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エジプト・アラブ共和国 2011年2月11日〜15日

アフリカアフリカ Africa 2014

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○最新のニュース・企画案内 → エジプト・アラブ共和国

○外務省 各国・地域情勢 エジプト・アラブ共和国

◆2011/02/11 asahi.com ツタンカーメン像など70点損傷 エジプト、混乱の中で
◆2011/02/11 asahi.com ムバラク大統領「10日中にも声明」の報道
◆2011/02/11 asahi.com ムバラク氏、エジプト副大統領に権限移譲と表明
◆2011/02/11 yomiuri.co.jp エジプト全土でスト、金曜礼拝前に一層緊迫
◆2011/02/11 yomiuri.co.jp ムバラク大統領、辞任か…国民向けに演説へ
◆2011/02/11 yomiuri.co.jp ムバラク大統領、権限委譲へ…即時辞任は拒否
◆2011/02/11 yomiuri.co.jp エジプト権限移譲、依然不明確…米大統領が声明
◆2011/02/11 cnn.co.jp ムバラク大統領、即時辞任を否定 デモは激化
◆2011/02/11 cnn.co.jp 中東の政情不安、経済的打撃が深刻化 スエズ運河もスト
◆2011/02/11 NIKKEI NET エジプト、11日に大規模デモ 政権移行、与野党協議が難航
◆2011/02/11 NIKKEI NET エジプト・ムバラク大統領、近く辞任か 首相が示唆
◆2011/02/11 NIKKEI NET ムバラク氏辞任「可能性が高い」 CIA長官、米報道
◆2011/02/11 NIKKEI NET NY株、9日ぶり小幅反落 ハイテク企業収益に警戒
◆2011/02/11 NIKKEI NET NY金、3日ぶり小幅反落 終値1362ドル
◆2011/02/11 NIKKEI NET NY原油、小幅反発 エジプト情勢巡り思惑交錯
◆2011/02/11 NIKKEI NET 米国株、ダウ9日ぶり反落し10ドル安 下げ渋りもシスコ下落重荷
◆2011/02/11 NIKKEI NET ムバラク大統領、副大統領へ権限委譲 即時辞任せず
◆2011/02/11 NIKKEI NET NY円、下落 1ドル=83円15〜25銭、米指標改善で一時1カ月ぶり安値
◆2011/02/11 NIKKEI NET スレイマン氏が事実上の大統領、エジプト駐米大使
◆2011/02/11 NIKKEI NET サルコジ仏大統領、ムバラク大統領の辞任「不可避」
◆2011/02/11 NIKKEI NET EU上級代表、エジプト「今こそ変革の時」
◆2011/02/11 NIKKEI NET 米大統領、ムバラク大統領「明確で迅速に説明を」
◆2011/02/11 NIKKEI NET 米大統領、「不明確」と批判 エジプトの政権移行
◆2011/02/11 NIKKEI NET エジプトは「秩序ある移行」ができるか  論説副委員長 脇祐三
◆2011/02/11 NIKKEI NET 原油・為替相場、落ち着いた動き エジプト権限委譲受け
◆2011/02/11 NIKKEI NET エジプト大統領、即時辞任を拒否 権限は副大統領に委譲
◆2011/02/11 NIKKEI NET NY株下落、一時43ドル安 エジプト情勢を懸念
◆2011/02/11 NIKKEI NET ムバラク氏、首都退避の報道
◆2011/02/11 NIKKEI NET エジプト大統領辞任、軍が権力掌握 米は歓迎の意向
◆2011/02/11 asahi.com ムバラク氏の辞任、暗に迫る オバマ米大統領が声明
◆2011/02/11 asahi.com イラン大統領、ムバラク政権崩壊に期待感
◆2011/02/11 asahi.com ムバラク氏、首都離れ保養地へ 大統領権限を移譲
◆2011/02/11 yomiuri.co.jp エジプト軍が声明、副大統領への権限移譲を支持
◆2011/02/11 yomiuri.co.jp ムバラク後、エジプトに反米国家…イラン大統領
◆2011/02/11 yomiuri.co.jp 国家元首の座はムバラク氏…駐エジプト米大使
◆2011/02/11 yomiuri.co.jp ムバラク大統領、家族とカイロ離れ国内保養地に
◆2011/02/11 ラミス・アンドーニ(Lamis Andoni) 汎アラブ主義の復活
◆2011/02/11 毎日新聞 エジプト:大統領、即時辞任論 高官相次ぎ言及
◆2011/02/11 毎日新聞 エジプトデモ:オバマ政権、手打てず 勇退期待空振りに
◆2011/02/11 毎日新聞 エジプト:ムバラク大統領の即時辞任論 政権内で高まる
◆2011/02/11 毎日新聞 エジプト:ムバラク大統領がテレビ演説、即時辞任は拒否
◆2011/02/11 毎日新聞 米大統領:エジプト大統領演説に不満 内容あいまい
◆2011/02/12 NIKKEI NET ロンドン外為11日 円は対ドルで続落
◆2011/02/12 NIKKEI NET 米大統領「エジプト国民、世界変えた」 辞任を歓迎
◆2011/02/12 NIKKEI NET NY原油、一時2カ月半ぶり安値 ムバラク氏辞任で
◆2011/02/12 NIKKEI NET NY金、小幅続落 4月物は1360.4ドル
◆2011/02/12 NIKKEI NET NY株、2年8カ月ぶり高値 エジプト懸念が後退
◆2011/02/12 NIKKEI NET NY株、2年8カ月ぶり高値 エジプト情勢好感
◆2011/02/12 NIKKEI NET NY円、続落 1ドル=83円40〜50銭で終了、欧州の財政懸念で
◆2011/02/12 NIKKEI NET 「エジプトは自由だ」 デモ参加者歓喜、広場に花火
◆2011/02/12 NIKKEI NET 国連事務総長「エジプトは早期の民政確立を」
◆2011/02/12 NIKKEI NET ロシア外相「エジプト情勢の安定化期待」
◆2011/02/12 NIKKEI NET 「米の中東戦略に空白」 ムバラク大統領辞任で米メディア
◆2011/02/12 NIKKEI NET ムバラク氏の全資産凍結 スイス政府
◆2011/02/12 NIKKEI NET イスラエル「平和条約維持望む」 周辺国、揺れる対応
◆2011/02/12 NIKKEI NET 前原外相「早期に民主的政府を」
◆2011/02/12 NIKKEI NET NY原油、一時2カ月半ぶり安値 ムバラク氏辞任受け
◆2011/02/12 NIKKEI NET 英首相「友人エジプトを可能な限り支援」
◆2011/02/12 NIKKEI NET 「ムバラク氏の勇断に敬意」 仏大統領が声明
◆2011/02/12 NIKKEI NET EU「文民政権へ国内対話を」 エジプト情勢で声明
◆2011/02/12 NIKKEI NET 菅首相「民主的政権誕生を期待」
◆2011/02/12 NIKKEI NET エジプトの日本企業「ひとつの節目過ぎた」 推移見守る
◆2011/02/12 NIKKEI NET エジプト軍「政府に代わるつもりはない」 民主化を約束
◆2011/02/12 cnn.co.jp エジプトのムバラク大統領が辞任を発表、軍が権限掌握
◆2011/02/12 cnn.co.jp 中東各地で祝意の行動や声明相次ぐ、ムバラク体制崩壊
◆2011/02/12 asahi.com 「我々が政権倒した」大統領府前、市民が歓喜 エジプト
◆2011/02/12 asahi.com 「エジプトの人々に敬意」 EU外相、市民たたえる
◆2011/02/12 asahi.com ムバラク大統領が辞任 エジプト軍、権限掌握
◆2011/02/12 asahi.com オバマ氏、ムバラク氏辞任を歓迎「人々の声にこたえた」
◆2011/02/12 asahi.com 英「国まとめる機会」仏「勇気ある決断」 辞任受け声明
◆2011/02/12 asahi.com 我々の新たな時代が始まる ムバラク氏辞任、歓喜の歌
◆2011/02/12 asahi.com スイス、ムバラク氏一族の資産凍結指示 5兆円報道も
◆2011/02/12 asahi.com エジプト軍「選挙で新政権」 一時的な権限掌握を強調
◆2011/02/12 asahi.com エジプト軍、現内閣を暫定維持 対イスラエルは友好路線
◆2011/02/12 asahi.com 青年の涙、ネットで共感 エジプト、よみがえったデモ
◆2011/02/12 yomiuri.co.jp 独裁30年、ムバラク政権崩壊…軍が全権掌握
◆2011/02/12 yomiuri.co.jp 「この瞬間待っていた」カイロ市民歓喜
◆2011/02/12 yomiuri.co.jp エジプト国民の声聞き届けられた…米大統領
◆2011/02/12 yomiuri.co.jp 「現代のファラオ」強権統治30年
◆2011/02/12 yomiuri.co.jp 欧州首脳、反応様々…ムバラク大統領辞任
◆2011/02/12 yomiuri.co.jp ムバラク大統領失脚、イスラエルに衝撃
◆2011/02/12 yomiuri.co.jp スイス政府、ムバラク氏と家族の資産凍結
◆2011/02/12 yomiuri.co.jp エジプトは自由を取り戻した…笑顔の兵士と握手
◆2011/02/12 yomiuri.co.jp 軍主導、政権移行協議は不透明な部分も
◆2011/02/12 yomiuri.co.jp アラブ諸国指導者、変革の波を警戒
◆2011/02/12 yomiuri.co.jp 軍全権は暫定措置、最高評議会が声明…エジプト
◆2011/02/12 yomiuri.co.jp オバマ大統領も辞任歓迎「民政移管を早期に」
◆2011/02/12 yomiuri.co.jp チュニジア暫定政権「辞任、大変喜ばしい」
◆2011/02/12 yomiuri.co.jp 国連総長「困難な決断に敬意」…エジプト情勢
◆2011/02/12 yomiuri.co.jp エジプトと同じ方法で…イラン改革派がデモ計画
◆2011/02/12 NIKKEI NET エジプト軍「国際的義務守る」 イスラエル和平尊重姿勢
◆2011/02/12 NIKKEI NET エジプト軍最高評議会とは
◆2011/02/12 Jeune Afrique スイス:銀行天国時代の終わり
◆2011/02/12 毎日新聞 エジプト:ムバラク大統領辞任 弾圧死者の母、怒り 「即時退陣」訴え届く
◆2011/02/12 毎日新聞 イスラエル:「ムバラク後へ準備」高官が言及 対エジプト関係悪化懸念
◆2011/02/12 毎日新聞 クローズアップ2011:エジプト大統領辞任 デモ18日、政権倒す
◆2011/02/12 毎日新聞 エジプト:ムバラク政権崩壊 軍、引導渡す
◆2011/02/12 毎日新聞 エジプト:ムバラク政権崩壊 独裁30年に幕 軍に権限移譲−−副大統領発表
◆2011/02/12 毎日新聞 エジプト:ムバラク政権崩壊 菅首相「敬意表したい」
◆2011/02/12 毎日新聞 エジプト:ムバラク政権崩壊 国民の声届いた オバマ米大統領が声明
◆2011/02/12 毎日新聞 エジプト:ムバラク政権崩壊 「ホワイト革命」ネットで市民連帯
◆2011/02/12 毎日新聞 エジプト:ムバラク政権崩壊 軍、暫定統治を強調 民政移管へ作業加速
◆2011/02/12 毎日新聞 エジプト:ムバラク政権崩壊 「これからいい国になる」 在日エジプト人らも歓喜
◆2011/02/12 毎日新聞 エジプト:ムバラク政権崩壊 「空飛ぶように自由」 カイロ、お祭り騒ぎ
◆2011/02/12 毎日新聞 エジプト:ムバラク政権崩壊 EU外相、現地訪問へ
◆2011/02/12 毎日新聞 エジプト:ムバラク政権崩壊 イスラエル、不安定化を懸念
◆2011/02/12 毎日新聞 エジプト:ムバラク政権崩壊 民主化へ、各国歓迎 米、混乱収束を期待
◆2011/02/13 NIKKEI NET 「ようやく生活取り戻せる」 エジプト在留邦人に安堵広がる
◆2011/02/13 jp.wsj.com エジプト軍最高評議会、イスラエルとの平和条約順守を示唆
◆2011/02/13 yomiuri.co.jp ムバラク前大統領側近、自宅軟禁に?
◆2011/02/13 yomiuri.co.jp ムバラク一家、資産総額は5兆8400億円?
◆2011/02/13 yomiuri.co.jp 米保守派、イスラム原理主義の台頭を懸念
◆2011/02/13 NIKKEI NET エジプト、前首相の出国禁止 抗議の広場の交通再開
◆2011/02/13 NIKKEI NET ツタンカーメンの木像など盗難 エジプト考古学博物館
◆2011/02/13 NIKKEI NET エジプト国民が覆した世界の独裁の常識
◆2011/02/13 cnn.co.jp エジプト市民の生活正常化へ、国際条約の順守も宣言
◆2011/02/13 asahi.com ツタンカーメン像など18点盗難 エジプト考古学博物館
◆2011/02/13 yomiuri.co.jp イスラエル「安保の要」失う…ムバラク辞任
◆2011/02/13 岡真理 エジプト、タハリール広場と三代の独裁者
◆2011/02/13 毎日新聞 エジプト:ムバラク政権崩壊 在日同胞「幸せな気持ち」
◆2011/02/13 毎日新聞 エジプト:ムバラク政権崩壊 柔道の師「弟子たち無事で」 ラシュワンさん連絡なく
◆2011/02/13 毎日新聞 エジプト:ムバラク政権崩壊 中国、波及を警戒 北朝鮮は伝えず
◆2011/02/13 毎日新聞 エジプト:ムバラク政権崩壊 国民に向き合わず=カイロ支局長・和田浩明
◆2011/02/13 毎日新聞 エジプト:ムバラク政権崩壊 識者の話
◆2011/02/13 毎日新聞 エジプト:ムバラク政権崩壊 「自由を呼吸」 メディア、姿勢一転 政権崩壊を歓迎
◆2011/02/13 毎日新聞 クローズアップ2011:エジプト・ムバラク政権崩壊(その1) 辞任拒否が裏目
◆2011/02/13 毎日新聞 クローズアップ2011:エジプト・ムバラク政権崩壊(その2止) 米も最後に決別
◆2011/02/13 毎日新聞 エジプト:ムバラク政権崩壊 アラブ洗う「第3の波」=専門編集委員・布施広
◆2011/02/13 毎日新聞 エジプト:現内閣で暫定政権 軍が声明、正常化急ぐ
◆2011/02/13 毎日新聞 衝撃・連鎖崩壊:中東はどこへ行くのか/上 指導者なき民衆革命
◆2011/02/14 NIKKEI NET 円続落、83円台半ばで推移 1月上旬以来の円安水準
◆2011/02/14 NIKKEI NET 日経平均、反発で始まる エジプト沈静化・米株高受け
◆2011/02/14 NIKKEI NET 日経平均、一時1万700円回復 米株高や円安で買い先行
◆2011/02/14 NIKKEI NET エジプト、6カ月で民政移行 憲法改正し大統領選
◆2011/02/14 NIKKEI NET 円の下げ幅縮小、83円台前半で推移 国内勢が買い
◆2011/02/14 NIKKEI NET 米大統領、エジプト軍評議会を歓迎 中東安定へ関係国と協議
◆2011/02/14 NIKKEI NET 反体制派、軍の移行計画を評価 経済回復は多難
◆2011/02/14 NIKKEI NET 日経平均、午前終値80円高 エジプト沈静化で安心感
◆2011/02/14 NIKKEI NET 円続落、83円台前半で推移 国内勢買いで下げ幅縮小
◆2011/02/14 NIKKEI NET 日経平均、119円高 エジプト沈静化で9カ月半ぶり高値
◆2011/02/14 NIKKEI NET ムバラク氏の辞任拒否演説 直前に次男が原稿修正
◆2011/02/14 News Week 日本版 エジプト:祭りの後、でもまたいつでも祭りは起きる 酒井啓子
◆2011/02/14 cnn.co.jp エジプト軍が議会解散、憲法停止を発表 暫定統治へ
◆2011/02/14 cnn.co.jp ツタンカーメン像など17点、考古学博物館から持ち去られる
◆2011/02/14 asahi.com エジプト、憲法停止 6カ月以内に大統領選と議会選
◆2011/02/14 asahi.com イスラエル首相、エジプトの平和条約順守確約を歓迎
◆2011/02/14 asahi.com オバマ氏、エジプトの国際条約維持を歓迎
◆2011/02/14 asahi.com カイロのタハリール広場、デモ隊撤収はじめ「観光地化」
◆2011/02/14 yomiuri.co.jp 金箔ツタンカーメン像など18点盗難、デモ余波?
◆2011/02/14 yomiuri.co.jp エジプト、憲法停止・国会解散…半年後に新政権
◆2011/02/14 yomiuri.co.jp エジプトの国際協定順守表明、米大統領が歓迎
◆2011/02/14 yomiuri.co.jp エジプトの平和条約堅持方針、イスラエル歓迎
◆2011/02/14 yomiuri.co.jp 「ムバラク氏は国内の保養地に」エジプト首相
◆2011/02/14 yomiuri.co.jp ムバラク氏が体調悪化、意識不明に…エジプト紙
◆2011/02/14 yomiuri.co.jp ムバラク一家の5兆円、湾岸国に移動済みか
◆2011/02/14 毎日新聞 エジプト:対イスラエル政策、軍評議会を評価−−オバマ米大統領
◆2011/02/14 毎日新聞 エジプト:ムバラク氏長男、弟に「お前が悪い」
◆2011/02/14 毎日新聞 エジプト:ムバラク氏、資産移動か 最大5兆3400億円、国外に−−英紙報道
◆2011/02/14 毎日新聞 エジプト:ツタンカーメンの副葬品など盗難
◆2011/02/14 毎日新聞 エジプト:半年内に民政移行 改憲、国民投票で−−軍発表
◆2011/02/14 毎日新聞 エジプト:熱気冷め、不協和音 警官隊デモに市民怒声
◆2011/02/15 NIKKEI NET [FT]エジプト国民の期待と病める国の現実
◆2011/02/15 NIKKEI NET エジプト軍「10日内に憲法改正案」 通信社報道
◆2011/02/15 NIKKEI NET エジプト証取、業務再開を延期 20日以降に
◆2011/02/15 NIKKEI NET エジプト情勢論評サイト、内政論じれば削除 中国
◆2011/02/15 NIKKEI NET ムバラク氏の健康悪化か エジプトで報道相次ぐ
◆2011/02/15 NIKKEI NET エジプトの日本企業、相次ぎ業務再開 なお慎重姿勢も
◆2011/02/15 asahi.com エジプト政府系メディア、手のひら返す 革命称賛の報道
◆2011/02/15 asahi.com  「これは革命だ」エジプト、デモ計画した30歳の18日
◆2011/02/15 yomiuri.co.jp デモ激化「お前のせい」ムバラク2世兄弟げんか
◆2011/02/15 yomiuri.co.jp エジプト、民政移行プロセス本格始動
◆2011/02/15 jp.wsj.com エジプト軍最高評議会、スト中止を労働者に呼び掛け
◆2011/02/15 NIKKEI NET NY原油、続落 3月物は84.81ドルで終了
◆2011/02/15 NIKKEI NET ピラミッドに再び観光客 日本人ツアー回復には時間
◆2011/02/15 NIKKEI NET 与謝野経財相、ムバラク退陣「中東石油問題に大きな影響無い」
◆2011/02/15 NIKKEI NET エジプト首相「野党入閣へ」 英外相に伝達
◆2011/02/15 NIKKEI NET 不明の収蔵品、構内で一部発見 エジプト博物館
◆2011/02/15 NIKKEI NET 北海ブレント原油、103ドル台 WTIとの差拡大
◆2011/02/15 cnn.co.jp 中東・北アフリカに広がる混乱、国別の状況は今
◆2011/02/15 asahi.com エジプトの博物館、盗品2点発見 逃げた泥棒が捨てた?
◆2011/02/15 yomiuri.co.jp エジプト各地でスト相次ぐ…不満一気に噴出
◆2011/02/15 yomiuri.co.jp 観光客戻って!エジプトの損失1日258億円
◆2011/02/15 yomiuri.co.jp エジプト首相、英外相に「来週にも内閣改造」
◆2011/02/15 asahi.com エジプト政府、元高官の資産凍結を英に要請
◆2011/02/15 asahi.com ムスリム同胞団が政党化検討 エジプトで選挙へ動き
◆2011/02/15 asahi.com 観光再開したけれど…ピラミッド、閑古鳥 エジプト
◆2011/02/15 asahi.com 反米化防げ 米、中東に電話攻勢 エジプト政権崩壊受け
◆2011/02/15 NIKKEI NET 「愛国心で1つに」 エジプトのデモ参加者の声 モハメド・ガマル氏
◆2011/02/15 毎日新聞 エジプト:ムバラク政権崩壊 識者座談会 アラブの地殻変動
◆2011/02/15 毎日新聞 エジプト:「辞任か追放」 軍、ムバラク氏に迫る−−10日演説後
◆2011/02/15 毎日新聞 エジプト:タハリール広場、平静戻る
◆2011/02/15 毎日新聞 エジプト:ムバラク政権崩壊 民政へ道筋、不透明 改憲委員の選出課題
◆2011/02/15 毎日新聞 エジプト:「国の父」「失業増えた」 ムバラク氏、出身地の評価二分
◆2011/02/15 毎日新聞 エジプト:前政権高官の資産凍結協議−−EU
◆2011/02/15 毎日新聞 エジプト:10日以内に改憲草案 国民投票2カ月以内−−軍評議会
◆2011/02/15 毎日新聞 エジプト:イスラエルとの平和条約「改定を」−−ムスリム同胞団最高幹部
◆2011/02/15 毎日新聞 エジプト:待遇改善求め、警官らがデモ
◆2011/02/15 毎日新聞 エジプト:ムバラク氏の健康悪化報道−−現地メディア


 
 
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ツタンカーメン像など70点損傷 エジプト、混乱の中で

2011年2月11日3時30分

【カイロ=前川浩之】エジプトの大規模デモによる混乱で、カイロ中心部にあるエジプト考古学博物館が略奪被害に遭い、所蔵されている「黒豹(ひょう)の背に乗るツタンカーメン王立像」など70点が損傷していたことが分かった。

エジプト考古省のザヒ・ハワス大臣が10日朝、朝日新聞など一部外国メディアを同館に招き、明らかにした。この像はツタンカーメン王墓で見つかった副葬品の一つで、ツタンカーメンが黒豹の上で直立している。高さは約85センチ。略奪被害後、黒豹の背の部分でまっぷたつに折れ、王の左手や黒豹の脚はバラバラの状態で見つかった。黒豹の右耳も欠けていた。さらに、黄金の装飾品や木製の船の模型なども損傷を受けていたことが確認されたという。

同館の収蔵品はいずれも世界一級の価値があり、特にツタンカーメン関連の副葬品はエジプト考古学上、非常に貴重とされている。現在、館内では修復作業が進められており、ハワス大臣は「すべてを3日以内に直す」と強調した。

大臣によると、博物館に夜盗が入ったのは、そばのタハリール広場で大規模デモ「怒りの金曜日」があった1月28日夜。男9人が博物館の塀をよじ登り、天井のドーム屋根のガラス窓を破ってロープで侵入した。男らはツタンカーメンの展示物が並ぶ2階に降り立ち、付近を物色。一角に展示されていたツタンカーメン王立像の入っていたガラスケースを破り、像をつかんで放り投げたという。

計13のガラスケースが壊されたが、世界的にも有名な「ツタンカーメンの黄金のマスク」や、石製の棺や像などは無事だった。男らは侵入に気づいたデモ隊の人たちが捕まえたという。



 
 
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ムバラク大統領「10日中にも声明」の報道

2011年2月11日6時8分

【カイロ=貫洞欣寛】ムバラク大統領の即時退陣を求める市民デモが続くエジプトの与党・国民民主党(NDP)のバドラウイ幹事長は10日、ムバラク大統領が権限をスレイマン副大統領に移譲すると語り、大統領が辞任する見通しであることを明らかにした。英BBCなどは、ムバラク氏が10日夜(日本時間11日未明)にも声明を出して発表すると報じている。

ムバラク体制を支えてきたエジプト軍は10日夕、「軍の最高評議会は、祖国を防衛し、市民の正当な熱望に応じるため、今後も協議を続けることを決めた」とする「声明第1号」を発表。市民デモが続く中、軍部を中心に権限移譲と、治安維持の方策などの協議が続いている。衛星テレビ局アルジャジーラなどによると、デモが続くカイロ中心部のタハリール広場で、軍の幹部指揮官が同日、デモを続ける市民らに「みなさんの要求は満たされることになる」と述べた。

バドラウイ幹事長は国営テレビで「ムバラク大統領は市民の要求にいつでも応じる。大統領は権限をスレイマン副大統領に移譲することになる」と述べた。ただ、アルジャジーラは関係者の話として「軍はスレイマン氏への権限移譲に留保をつけた」としており、軍部はスレイマン氏への移譲に反対している可能性を伝えた。

大統領権限がスレイマン副大統領に移譲されれば、軍部と軍出身者を中心とする現在の体制が基本的に維持されることになる。

デモを続ける市民の間では、スレイマン副大統領も「大統領と一体化して強権体制を支えてきた人物」と見られ、副大統領の同時退陣を求める声が強い。ムバラク大統領が権限を副大統領に譲ることを正式に発表した場合でも、デモが沈静化するかどうかは不透明だ。

エジプトでは、市民デモによるチュニジアの政変に影響を受けたムバラク氏の即時退陣を求めるデモが1月25日から始まった。ムバラク氏は内閣を更迭し、スレイマン情報長官を副大統領に任命。自らも、「世襲」がうわさされた次男ガマル氏も、9月の大統領選には出馬しない意向を表明して沈静化を図った。しかし、30年続く強権支配に対する国民の反発は根強く、タハリール広場では連日、即時退陣を求める市民の波で埋まった。

スレイマン副大統領は6日、野党勢力や知識人、財界人らを招いて「対話」を始めたが、ネット上でデモを呼びかけた若者中心のグループ「4月6日運動」などは参加せず、逆にデモに加わる市民の数は増えていった。野党勢力はイスラム教の金曜礼拝がある11日に3度目となる大規模な金曜デモを呼びかけており、タハリール広場はかつてない群衆で埋まっている。



 
 
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ムバラク氏、エジプト副大統領に権限移譲と表明

2011年2月11日7時12分

【カイロ=貫洞欣寛】エジプトのムバラク大統領は10日夜(日本時間11日朝)、テレビ演説し、大統領としての権限をスレイマン副大統領に移譲する、と発表した。

即時退陣を求めるデモの要求に対し、事実上の辞任に応じた形だ。ただ、大統領の地位には引き続きとどまる意向を示したため、デモ側は強く反発している。

エジプトでは30年にわたり強権支配を続けてきたムバラク氏に対し、即時退陣を求める市民デモが3週間近く続いている。ムバラク氏は「市民の要求は正当である」と述べ、一連のデモの犠牲者とその家族に哀悼の意を示した。

一方、「外国の圧力には屈しない」と述べ、政権の早期移行を求める米国に反発。「私はこの国で生まれ、この国で死ぬ」と述べ、国外出国についても否定した。続いて演説したスレイマン副大統領は、野党勢力との対話を継続すると約束。デモ隊には帰宅し、職場に戻るよう呼びかけた。

退陣要求デモの拠点となっているカイロ中心部タハリール広場では、かつてない数の人々が集まってムバラク氏のテレビ演説を待ったが、即時辞任でないことを知ると「ムバラク出て行け」の大合唱となった。権限を移譲されたスレイマン副大統領に対しても、「強権支配を支えてきた張本人」としてムバラク氏と同時の辞任を求める声が相次いだ。11日は金曜礼拝後の大規模デモが計画されており、激化する可能性が高い。



 
 
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エジプト全土でスト、金曜礼拝前に一層緊迫

【カイロ=新居益】エジプト各地で10日、ムバラク大統領の辞任要求デモに連動し、公共交通や病院の労働者が賃上げなどを求めるストライキを行った。

11日にはイスラム教の金曜礼拝に合わせて、再び大規模デモが行われる予定で、緊張が高まっている。

カイロ最大の病院では10日、医療関係者約3000人がストに入り、人民議会(国会)に向けデモ行進した。法曹関係者数千人も、複数ある大統領宮殿の一つに向けて行進した。首相府や人民議会の周辺では9日以降、デモ隊が座り込みを続けている。

ストは北部アレクサンドリアやイスマイリア、南部のアスワンやアシュートに広がり、ガス会社の労働者らが参加した。スエズ運河では9日以降、労働者のストが続く。

一方、ロイター通信によると、スレイマン副大統領が行っている野党勢力との対話について、野党・国民進歩統一党が「大衆の要求に応えていない」として参加をとりやめる方針を示した。対話の中断を表明したのは同党が初めて。

(2011年2月11日00時36分 読売新聞)



 
 
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ムバラク大統領、辞任か…国民向けに演説へ

【カイロ=新居益】英BBC放送が10日報じたところによると、エジプトのシャフィク首相は同日、ムバラク大統領が辞任する可能性があると明らかにした。

軍首脳は同日、「国家を守り、国民の正当な要求を支持するため必要な措置を取る」と言明した。大統領の即時退陣を求める国民を支持したものと見られる。1月25日に反体制デモが始まって以来、エジプト情勢は重大な局面を迎えた。

大統領の与党・国民民主党のバドラウィ幹事長は、大統領が10日中に国民向けに演説する見通しを明らかにした。これに先立ち、シャフィク首相は大統領辞任のシナリオを検討していることを表明。衛星テレビ「アル・ジャジーラ」によると、軍司令官は10日、カイロ中心部のタハリール広場を訪れ、ムバラク大統領の即時辞任を求めるデモ隊に向けて「あなたたちの要求はすべて実現するだろう」と述べた。

(2011年2月11日01時21分 読売新聞)



 
 
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ムバラク大統領、権限委譲へ…即時辞任は拒否

【カイロ=新居益】エジプトのムバラク大統領は10日深夜(日本時間11日早朝)、国営テレビを通じて演説し、「憲法の規定に基づき副大統領に権限を委ねることを決めた」と述べた。しかし、デモ隊の要求する即時辞任は拒否、今年9月の大統領選まで職にとどまる意向を示した。

大統領の演説に先立ち、シャフィク首相が英BBC放送に、大統領が辞任する可能性を示していたため、反体制デモの参加者の間では辞任への期待が高まっていた。

(2011年2月11日07時06分 読売新聞)



 
 
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エジプト権限移譲、依然不明確…米大統領が声明

【ワシントン=黒瀬悦成】オバマ米大統領は10日、エジプトのムバラク大統領の演説を受けて声明を発表し、同大統領が表明したスレイマン副大統領への権限移譲は「即時、有意義かつ十分なのかどうか、依然として不明確だ」と指摘、「エジプト政府は真の民主化移行に向け、信頼に足る具体的で明確な行程を提示すべきだ」と要求した。

オバマ大統領は「エジプトの将来は、エジプト国民が決める」としつつ、「国民の願望は満たされるべきだ」と強調。エジプト政府が非常事態宣言の解除や「不可逆的な政治改革」、「自由かつ公正な選挙に向けた明快な行程表の策定」を進めるよう要請した。

(2011年2月11日18時43分 読売新聞)



 
 
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ムバラク大統領、即時辞任を否定 デモは激化

2011.02.11 Fri posted at: 11:37 JST

カイロ(CNN) エジプトのムバラク大統領は10日深夜、テレビ演説を行い、即時辞任を改めて否定した上で、憲法の規定に従ってスレイマン副大統領に「権限を移譲する」と述べた。しかし、即時辞任を求める民衆の怒りは収まらず、カイロのタハリール広場を中心としたデモは激しさを増している。

この日、ムバラク氏が演説を行うことが明らかになると、同氏が辞任を発表するのではないかとのうわさが広まり、タハリール広場には多くの民衆が集まっていた。

しかし、ムバラク氏は9月の次期大統領選以降に辞任するとの意向を改めて繰り返すにとどまり、憲法の規定に従ってスレイマン副大統領に「権限を移譲する」としたが、権限の範囲については明らかにしなかった。また、外国の介入や指図を受け入れるつもりはないとも述べた。

タハリール広場に掲げられたスクリーンで演説を見守っていたデモ参加者からは、「出て行け、出て行け」との掛け声があがった。

一方、10日には、石油、鉄道、通信などの主要産業の労働者がストライキを始めた。国営新聞によると、スエズ運河の職員らも給与改善を求めてデモを始めた。石油輸送の要であり、エジプトの主要な財政源でもあるスエズ運河が閉鎖され、石油価格が急騰するのではないかとの懸念が高まっている。

また、エジプト第2の都市、アレクサンドリアでも大規模なストが行われている。

ホワイトハウスは10日夜、エジプト政府は「信頼性のある具体的かつ明白な真の民主主義への移行を加速しなければならず、現時点ではその機会をつかめていない」とするオバマ米大統領の談話を発表した。



 
 
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中東の政情不安、経済的打撃が深刻化 スエズ運河もスト

2011.02.11 Fri posted at: 12:53 JST

(CNN) 中東諸国の政情不安が深まる中、物価高騰や政府債務の拡大による経済への影響を懸念する声が高まっている。

格付け会社ムーディーズはデモの広がりを懸念し、チュニジア、ヨルダン、エジプトの国債格付けを引き下げた。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)も同様の動きをみせている。

ヨルダン当局は、財政状況は良好だとして格下げに反発している。実際、同国では外貨準備高が昨年上昇し、現在約120億ドルに達しており、今年は6%の経済成長率を見込んでいる。しかし、一連のデモを受けて財政赤字削減方針を転換。物価上昇を補うために補助金や所得拡大に約6億ドルを投じることを決めた。国際債券市場には警戒感が漂い、混乱脱出を金で買おうとする動きだと批判する声もある。

エジプトやチュニジアでは既に、観光収入の減少や穀物・原油価格の高騰によるインフレが問題となっている。ヨルダンは石油の9割を輸入に頼っているうえに、先週エジプトで起きたガスパイプライン爆発の影響でガス供給が滞っている。

ヨルダン同様、エジプトも一連のデモを受け、これまでの財政赤字削減方針を転換し、貧困層への補助金や政府職員の給与・年金の増額を決めた。デモの長期化で店舗や企業、銀行や株式市場が閉鎖に追い込まれたことの影響も深刻だ。

エジプト中央銀行は今週、貴重な外貨を投じて為替介入を実施。同国の株価は、証券取引所閉鎖前の2日間で約50億ドル値下がりしていた。デモが起こるまでは国際債券市場で高い評価を受けていたエジプトだが、今後は原油輸送の要であるスエズ運河の職員がストを始めたことなどもあり、一層の経済的打撃が懸念される。



 
 
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エジプト、11日に大規模デモ 政権移行、与野党協議が難航

2011/2/11 0:16

【カイロ=岐部秀光】エジプトで1月下旬からムバラク大統領の退陣を求めデモを続けている反体制派の若者たちは、イスラムの休日である11日の金曜日に各地で大規模集会を計画、最大の動員を目指している。政権移行協議が難航するなか参加者らはいらだちを強めておりデモは再びヤマ場を迎える。

首都カイロ中心部のタハリール広場を占拠しているデモ隊の多くは10日、近くにある国会議事堂にも移動し座り込みを始めた。当局から釈放され一躍、デモの象徴となった米インターネット検索大手グーグルの地域幹部ワエル・ゴニム氏は簡易ブログ「ツイッター」で、11日を「殉教者の金曜日」と名付け、デモの犠牲となった人々のためにも集会に参加するよう呼びかけた。

11日の大規模デモはカイロだけでなく北部アレクサンドリアやスエズ、マンスーラなどの都市でも計画されている。

6日始まった政権移行に向けた与野党協議も難航。野党勢力の一角である国民統一進歩党は10日、協議から離脱すると発表した。「国民の要求の最小レベルにも達しなかった」と政権の対応を批判した。

エルバラダイ前国際原子力機関(IAEA)事務局長も協議プロセスそのものを「不透明」と批判した。最大野党のムスリム同胞団は協議継続の意向を示しているが政権による大幅な譲歩を要求している。2回目の協議は2、3日のうちに開かれるという。

6日の第1回協議で設置が決まった改憲準備委員会は、大統領選出馬条件を緩和するなど野党勢力の求めに応じて憲法の6条項を見直すと表明した。政権側は野党との合意を実行に移す姿勢を演出するが、「大統領の即時辞任」を求めるデモ参加者は譲らない立場だ。



 
 
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エジプト・ムバラク大統領、近く辞任か 首相が示唆

海外メディア報道 権限委譲の観測も

2011/2/11 1:32

【カイロ=岐部秀光】民衆による激しい退陣要求デモに直面するエジプトのムバラク大統領が9月の任期満了を前に近く辞任する見通しが強まった。シャフィク首相は大統領の辞任シナリオについて政府内で話し合いを始めたと述べ、10日中にも大統領自身が辞任を発表する可能性を示唆した。英BBCなどが報じた。スレイマン副大統領、あるいは軍に大統領権限を委譲する可能性もある。

エジプト軍の最高評議会は最高司令官であるムバラク大統領を抜きにして会議を開催。エジプト軍代表は国営テレビを通じて「国民を守るために必要な措置を講じる」と述べた。「人々の合法的な要求を支持する」とも指摘した。フェキ情報相が大統領の辞任を否定したとの情報もある。

BBCによると、与党の国民民主党(NDP)のバドラウィ幹事長はムバラク大統領が近く国民向けに話をするだろうと述べた。同党幹部はムバラク氏が権限をスレイマン副大統領に譲り渡すことを望むと述べた。ムバラク氏を象徴的な存在として大統領にとどまらせるシナリオも指摘されている。

中東の衛星テレビ局アルアラビーヤは、ムバラク大統領が紅海のリゾート地であるシャルムエルシェイクに向かったと伝えた。

エジプト軍のルウェイニ将軍は首都カイロで民衆が集まっているタハリール広場に姿を見せ「すべての要求は満たされるだろう」と述べた。

ただデモ参加者がこうした動きを受け入れて抗議運動をやめるかどうかは不明。権力の空白が生じて同国だけでなく中東地域全体に混乱を広げる恐れもある。

約30年にわたりエジプトを統治してきたムバラク氏は1月下旬から激しい反政府デモに直面。政権移行を巡る与野党の協議が難航する一方、11日には過去最大規模のデモが計画され事態の収拾がきわめて困難になっていた。

ムバラク大統領は、次回の大統領選挙には出馬しないと約束する一方、秩序ある政権移行を見届けるために任期を全うする考えを示していた。



 
 
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ムバラク氏辞任「可能性が高い」 CIA長官、米報道

2011/2/11 1:36

【ワシントン=弟子丸幸子】米CNNテレビなどの10日午前(日本時間11日未明)の報道によると、パネッタ米中央情報局(CIA)長官がムバラク大統領が同日に辞任する「可能性が非常に高い」と述べた。エジプト当局は米政府側にスレイマン副大統領が権限を継承すると伝えたという。



 
 
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NY株、9日ぶり小幅反落 ハイテク企業収益に警戒

2011/2/11 6:19

【NQNニューヨーク=海老原真弓】10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は9営業日ぶりに反落した。前日比10ドル60セント安の1万2229ドル29セント(速報値)で終えた。IT(情報技術)大手シスコシステムズが9日夕に発表した四半期決算が大幅減益となり、ハイテク企業の収益に対する警戒感が台頭した。シスコが14%安となり、ダウ平均を押し下げた。

エジプトのムバラク大統領が今後の政治運営について米株式相場の取引終了直前に演説した。反政府派のデモなど混乱が続いたエジプトの情勢が落ち着くとの見方が一時広がり、ダウ平均が下げ渋る場面があった。

ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は小反発し、1.38ポイント高の2790.45(同)で終えた。



 
 
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NY金、3日ぶり小幅反落 終値1362ドル

2011/2/11 6:32

【NQNニューヨーク=川内資子】10日のニューヨーク金先物相場は3営業日ぶりに反落した。ニューヨーク商品取引所(COMEX)で取引の中心である4月物は前日比3.0ドル安の1トロイオンス1362.5ドルで終えた。ドルが対ユーロなどで上昇したことが、金の売りを誘った。

欧州の財政懸念などを背景に、外国為替市場でドルが対ユーロで上昇した。ドルの代替資産との位置付けがある金の売りが優勢となった。

ただ、エジプト情勢の不透明感が逃避資金の受け皿となりやすい金の買いを誘い、午後にかけて下げ幅を縮めた。欧米メディアが「反体制デモが続いているエジプトでムバラク大統領が近く退陣を発表する」と報じた。政権交代などでエジプト情勢が一段と混乱する可能性が意識された。

銀は6営業日ぶりに反落。プラチナは続落した。



 
 
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NY原油、小幅反発 エジプト情勢巡り思惑交錯

2011/2/11 6:36

【NQNニューヨーク=川内資子】10日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で原油先物相場は6営業日ぶりに小反発した。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で、期近の3月物は前日比0.02ドル高の1バレル86.73ドルで取引を終えた。エジプト情勢の動向を巡る思惑が交錯し、方向感に乏しくもみ合った。

反体制デモが続いているエジプトのムバラク大統領が近く辞任を発表すると欧米メディアが報じた。大統領が辞任すれば、中期的には原油の供給を巡る不安要因が減る一方、短期的には政権交代に関連した不透明感が増すとの見方が交錯。今後の展開を見極めたいとして、取引見送りのムードが強かったという。

国際エネルギー機関(IEA)と石油輸出国機構(OPEC)がそれぞれ2011年の世界の石油需要見通しを引き上げた。ただ、ほぼ予想通りとの見方から相場の反応は限られた。

ガソリンは4営業日ぶり、ヒーティングオイルは3営業日ぶりにそれぞれ反落した。



 
 
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米国株、ダウ9日ぶり反落し10ドル安 下げ渋りもシスコ下落重荷

2011/2/11 7:25

【NQNニューヨーク=海老原真弓】10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は9営業日ぶりに反落し、前日比10ドル60セント(0.1%)安の1万2229ドル29セントで終えた。IT(情報技術)大手シスコシステムズが9日夕に発表した四半期決算が大幅減益となり、ハイテク企業の業績に対する警戒感が台頭。シスコが14%安となり、ダウ平均の重荷になった。

シスコは投資判断の引き下げも伝わり、一時過去1年(52週)の安値を付けた。ダウ平均は約2年8カ月ぶりの高値圏で推移しており、利益確定売りも出た。ダウ平均の下げ幅は一時約80ドルに拡大した。

一方、ダウ平均は下げ幅を縮める場面があった。エジプトのムバラク大統領が今後の政治運営について、米株式の取引終了直前に演説した。反政府派のデモなど混乱が続いたエジプト情勢が落ち着くとの見方が広がった。朝方に米労働省が発表した週間の新規失業保険申請件数は市場予想以上に減少。米労働市場の改善期待も株価を支えた。

米連邦準備理事会(FRB)は、ウォーシュ理事が3月末前後に辞任すると発表。ウォーシュ氏は市場の一部でインフレ警戒派として知られている。辞任発表に対する市場の反応は大きくなかったという。

ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は小反発し、1.38ポイント(0.0%)高の2790.45で終えた。

業種別S&P500種株価指数(全10業種)のうち、下げたのは「IT(情報技術)」「消費安定」の2業種だった。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の売買高は約10億3000万株(速報値)、ナスダック市場は約24億1000万株(同)だった。

ダウ平均の構成銘柄ではディスカウントストア大手のウォルマート・ストアーズやマイクロソフトも安い。今期の収益について慎重な見通しを示した飲料大手ペプシコが下げた。

前日夕に発表した四半期決算が市場予想を上回り、業績見通しを引き上げた高級スーパー大手ホール・フーズ・マーケットが急伸した。大幅増益となる四半期決算を発表した通信機器大手アルカテル・ルーセントの米預託証券(ADR)が25%高と急伸。四半期決算で前年同期比の最終赤字幅が縮小した通信大手スプリント・ネクステルが大幅高だった。



 
 
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ムバラク大統領、副大統領へ権限委譲 即時辞任せず

2011/2/11 6:36 (2011/2/11 7:39更新)

【カイロ=岐部秀光】民衆による激しい退陣要求デモに直面するエジプトのムバラク大統領(82)は10日午後10時半(日本時間11日午前5時半)過ぎに国営テレビを通じて演説し、憲法に基づいて権限をスレイマン副大統領に委譲すると述べた。一方で平和的な政権移行の重要性を強調し、デモ参加者が求めていた9月の任期前の辞任については表明しなかった。

大統領は演説で「誤りを認める」と発言し、人々の不満に理解を示した。9月の選挙に出馬しないことを改めて表明。デモ参加者が求めている憲法改正や非常事態法の解除についても応じると強調した。一方で「外国の圧力には屈しない」と述べ欧米諸国の介入に不快感を示した。

大統領に続きスレイマン副大統領も演説し「平和的な権力移行のためにどんなことでもする」と述べ理解を求めた。

ただ、首都カイロのタハリール広場では大統領の即時辞任を期待していた参加者の多くが演説に失望の声を上げた。事前に「辞任演説」の情報が伝えられ、喜びにわいた広場の雰囲気は一変した。

政権が期待した今回のムバラク氏の演説による事態の収拾は困難とみられる。エジプト各地では11日に大規模な反政府デモが計画されており、混乱が広がる恐れがある。



 
 
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NY円、下落 1ドル=83円15〜25銭、米指標改善で一時1カ月ぶり安値

2011/2/11 7:43

【NQNニューヨーク=古江敦子】10日のニューヨーク外国為替市場で円相場は下落し、前日比85銭円安・ドル高の1ドル=83円15〜25銭で取引を終えた。一時83円37銭と1月12日以来ほぼ1カ月ぶりの円安・ドル高水準を付けた。米雇用指標の改善を背景に、円売り・ドル買いが出た。米国債市場で長期債利回りが上昇し、日米金利差の拡大を見込んだ円売りが進んだ。

米労働省が朝方発表した週間の新規失業保険申請件数が市場予想以上に改善し、2008年7月以来ほぼ2年半ぶりの低水準となった。米雇用が順調に回復しているとの見方から、円売り・ドル買いが膨らんだ。

米国債市場で30年物国債入札の結果が振るわなかったことなどから、米長期債利回りが上昇(価格は下落)した。日米金利差が拡大するとの思惑が強まったことも円相場を押し下げた。

ただ、円売り一巡後は下げ渋った。83円台前半で、日本企業が米国債償還に絡むリパトリエーション(資金の本国送金)の円買い・ドル売りを入れたとの声が聞かれた。円の高値は82円83銭だった。

円は対ユーロで小幅に5日続落し、前日比05銭円安・ユーロ高の1ユーロ=113円10〜20銭で取引を終えた。一時113円41銭まで下落し、1月28日以来の円安・ユーロ高水準を連日で更新した。対ドルでの円売り圧力が強かったため、対ユーロでも円に売りが優勢となった。

ユーロは対ドルで下落し、前日終値の1ユーロ=1.37ドル台前半から1.36ドルちょうど前後に水準を切り下げた。米長期債利回りの上昇で、欧米金利差が縮小するとの見方からドル買い・ユーロ売りが出た。財政不安が強いポルトガルの国債利回りがこのところ過去最高水準で推移しており、南欧諸国の財政の先行き不透明感からユーロ売りが強まったとの声が聞かれた。この日のユーロの安値は1.3577ドル、高値は1.3639ドル。

反政府デモが続くエジプトで、ムバラク大統領が9月の任期満了を前に近く辞任するとの観測が広がった。エジプトの政情が落ち着くとの見方からユーロが下げ渋る場面があったが、状況を見極めたいとして様子見ムードが強かったという。

英ポンドは対ドルで下落し、前日夕の1ポンド=1.61ドルちょうど前後から1.60ドル台後半に水準を切り下げた。イングランド銀行(中央銀行)がこの日、政策金利の据え置きを発表した。市場では予想通りとの受け止めが多かったが、利上げを予想していた一部の投資家による失望売りがやや優勢だった。ただ、同国のインフレ観測は根強く、一時は対ドルでポンドの買い戻しが目立った。



 
 
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スレイマン氏が事実上の大統領、エジプト駐米大使

2011/2/11 8:16

【ワシントン=共同】エジプトのシュクリ駐米大使は10日、CNNテレビに対し、ムバラク大統領は憲法上の「すべての権限をスレイマン副大統領に委譲した」と述べ、スレイマン氏が事実上の大統領になったと語った。



 
 
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サルコジ仏大統領、ムバラク大統領の辞任「不可避」

2011/2/11 12:21

【パリ=共同】フランスのサルコジ大統領は10日、エジプトのムバラク大統領が即時辞任を否定した演説について、同大統領の辞任は「不可避」であり、エジプトが民主化の方向へ進むことを望むと表明した。

フランス国民に政府の政策を説明するため出演したテレビの討論番組で述べた。

サルコジ大統領は「私が心の底から望んでいるのはエジプトに民主主義が誕生することだ」とした上で「まだ時間はかかるだろうが、エジプトが別の形の独裁や宗教的独裁に陥ることなく民主化への道を進むことを願う」と表明した。



 
 
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EU上級代表、エジプト「今こそ変革の時」

2011/2/11 12:24

【ブリュッセル=共同】欧州連合(EU)のアシュトン外交安全保障上級代表は10日、ムバラク・エジプト大統領のテレビ演説を受けて声明を発表、「大統領は迅速で、抜本的な改革への道を開かなかった」と批判し、「今こそ変革の時だ」と述べ、政権移行の加速を呼び掛けた。

上級代表は「(大統領演説に対する)エジプト国民の反応を注視している」と述べた。

大統領の演説に先立ち、上級代表はエジプトのアブルゲイト外相と電話で会談し、EUが同国の民主的な政権移行に向けて包括的支援を実施する用意を表明。近く同国を訪問する意向を伝えた。

上級代表は、14日からの週にチュニジアを訪問するが、EU当局者によると、エジプト訪問については、同国政府が受け入れに難色を示しているため、ぎりぎりの調整が続いている。



 
 
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米大統領、ムバラク大統領「明確で迅速に説明を」

2011/2/11 10:38 (2011/2/11 12:35更新)

【ワシントン=共同】オバマ米大統領は10日、エジプトのムバラク大統領が同日の演説で即時辞任を表明せず、スレイマン副大統領に権限を移譲すると述べたことについて「有意義で十分な移譲なのかが不明確だ」と指摘し、エジプト国民と世界に「明確な言葉で迅速に説明する」よう求める声明を発表した。

オバマ氏は、エジプト国民の多くが政府の真剣さを確信できずにいると言明。ムバラク政権には「真の民主主義への具体的で明確な道筋」を示す責任があると訴えた。

米中央情報局(CIA)のパネッタ長官は同日、演説前に行われた下院公聴会で「ムバラク氏は今夜辞任する可能性が高い。秩序ある移行という見地からみて意義深い」と発言。情報が混乱する中で、オバマ政権がムバラク氏の真意をつかめていなかったことを露呈した。



 
 
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米大統領、「不明確」と批判 エジプトの政権移行

2011/2/11 14:35

【ワシントン=弟子丸幸子】オバマ米大統領は10日、エジプトのムバラク大統領がスレイマン副大統領に権限委譲をすると演説したことを受けて声明を発表し「即時かつ有意義で十分な(政権)移行なのか依然として不明確だ」と批判した。「真の民主化に向けたエジプト政府の真剣な姿勢を確信できない国民がなお大多数いる」とも述べた。

米政府高官によるとオバマ大統領はミシガン州での遊説先からワシントンに戻る途中でムバラク大統領の演説を聴いた。その後、ホワイトハウスで安全保障関係の政府高官らとエジプト情勢への対応を緊急で協議した。

米中央情報局(CIA)のパネッタ長官はムバラク大統領の演説に先立ち、米議会公聴会でムバラク大統領が同日中に辞任する可能性が高いと語っていたが、実際には演説の内容が異なっていた。オバマ政権の情報収集、情勢判断力に疑問を呈する声もあがりそうだ。



 
 
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エジプトは「秩序ある移行」ができるか  論説副委員長 脇祐三

2011/2/11 7:00

脇祐三(わき・ゆうぞう) 76年日本経済新聞社入社。エジプト留学、バーレーン駐在、ウィーン駐在、欧州総局編集委員、編集委員兼論説委員、アジア部長、国際部長などを経て論説副委員長兼編集委員。国際政治経済、石油市場、海外ビジネス動向などをフォロー。著書に「中東激変」「中東 大変貌の序曲」など。

エジプトのムバラク大統領は10日夜(日本時間11日朝)、国営テレビを通じて演説し、スレイマン副大統領へ権力を委譲する一方で、9月の任期満了まで職にとどまる方針を示した。だが、デモ隊はムバラク大統領の即時退陣を迫り続ける。米オバマ政権は「秩序ある移行」を重視し始め、野党勢力を含めた政治改革協議を評価しつつも、民主化の「不可逆的な進展」の明示が必要と、あせりもにじませている。

エジプトでは6日、スレイマン副大統領と野党勢力の協議が開かれ、事実上の最大野党であるイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」も協議に参加した。8日には、野党候補の大統領選出馬を困難にしている現在の憲法を改正するための改憲準備委員会も設置された。改憲準備委員会は9日、憲法の6つの条項を見直し対象とすることで合意した。

■「力の空白」避けたい米政府

米政府要人は、ムバラク大統領に即時退陣を求めるような直接的な表現を努めて避けるようになった。先週末以来のキーワードは、「秩序ある移行(orderly transition)」だ。クリントン国務長官は「変化には一定の時間がかかる」と語り、エジプト側の動きを見守る姿勢を示す。オバマ大統領も7日、政治体制移行をめぐる協議に進展がみられると評価した。

次のエジプト大統領選に向けた暫定的な政治の枠組みが固まらないうちにムバラク政権が崩壊し、「力の空白」の中で混乱がさらに深刻化するのは避けたいと、米政府は考えている。

ゲーツ米国防長官は8日、アラブ地域の他の政府も民主化に向け前向きの措置を取るよう希望すると語った。エジプトの激震を回避して秩序ある移行のモデルを示し、その間に他の国々も政治改革を進めれば、親米的な政権が次々に政治危機に陥るような事態も避けられるという発想だろう。

だが、エジプトの反政府デモ側は「スレイマン副大統領との協議に参加した野党勢力はわれわれの声を代表していない」とし、大統領の即時退陣を要求し続ける構えだ。「米国はムバラク政権の居座りを支持するのか」との反発も広がっている。

そして、反政府デモが8日から再び盛り上がった。デモの渦中で1月下旬から当局に拘束されていたグーグルの中東・北アフリカ地域担当のエジプト人、ワエル・ゴニム氏(30)が解放された後、民放テレビのインタビューや自らのツイッターで発したメッセージがきっかけの一つになったようだ。

いきなり拉致され、12日間も目隠しをされて拘束された。インターネット上で知り合ったエジプトの若者たちの革命なのに、当局は外国勢力が背後にいると決めつけている。私は再びデモに加わる−−同氏のメッセージを受けて、「体制側の本質は変わっておらず、大統領が退陣するまで運動を続けなければならない」という機運が広がったとみられる。

スレイマン副大統領を中心に政権側が政治改革に動き始めたのは、デモの圧力を受けたものだ。米国もエジプト国民の民主化要求を支持しないわけにはいかない。だが、ある程度の時間をかけても「秩序ある移行」をめざそうとするなら、ムバラク大統領の即時退陣を迫るデモの圧力が、現実の政治プロセスの障害にもなる。

米国にとって悩ましいのは、オバマ政権が「秩序ある移行」の考えに傾いたことを、エジプト政権側が大統領の任期を全うすることと同義と解釈しかねないことだろう。スレイマン副大統領は、改革に向けた対話を否定するとクーデターになりかねないと主張し、デモ隊によるカイロ中心部の占拠をいつまでも許容することはできないとの考えも示し始めている。アブルゲイト外相も9日、「混乱すれば軍が介入するだろう」とデモ側をけん制した。

これに対してバイデン米副大統領は、逮捕令状など通常の司法手続き抜きで反政府勢力を拘束する根拠とされてきた非常事態法を、すぐに解除するようスレイマン副大統領に要求した。さらに、民主化の「不可逆的な進展」を速やかに国民に明示することが重要だとクギを刺し、反政府デモ参加者も政治改革の行程表づくりに加えるべきだとの考えも示した。

だが、こうした米国の要求にもジレンマがある。民主化の具体的な手順を早急に示さなければならない一方で、改革協議に参加する勢力をさらに広げると合意形成は難しくなり、長い時間がかかる可能性が大きいからだ。

■エジプト軍は中立保ち衝突防いできたが……

これまで、社会秩序がかろうじて保たれてきたのは、カイロなどで警察に代わって前面に出てきた軍がデモ隊弾圧を避け、中立的な立場をとってきた結果でもある。大きなヤマ場と見られた4日の金曜日も、軍が反政府デモと「大統領支持派」と称される集団の間に緩衝地帯をつくって衝突を抑え、万単位のデモ隊が大統領官邸に押し寄せて不測の事態が起きかねないような事態も防いだ。

ゲーツ米国防長官は「エジプト軍は模範的な姿勢で任務を遂行してきた」「彼らはすべて、われわれが彼らにそうしてほしいと示唆したようにしてくれて、民主化の進展に貢献した」と称賛する。

ただし、ムバラク大統領退陣という象徴的な成果を求めてしびれを切らすデモ隊が再び膨れ上がってきた場合にも、これまで通りうまくコントロールできるだろうか。11日金曜日から次のヤマ場を迎える。



 
 
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原油・為替相場、落ち着いた動き エジプト権限委譲受け

2011/2/11 21:30

エジプトのムバラク大統領が副大統領に権限を委譲するとの報道を受け、原油相場はひとまず、落ち着いた動きとなった。ニューヨーク市場のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油の10日終値は前日比1バレル0.02ドル高い86.73ドル。1月31日に一時92ドル台後半と2年4カ月ぶりの高値をつけたが、過度な供給減少懸念が薄れ、その後は落ち着いた値動きとなっている。

外国為替市場の反応も限定的だ。円相場は11日の海外市場で一時1ドル=83円台半ばまで値下がりし、約1カ月ぶりの安値をつけたが、エジプト大統領が権限委譲を表明した前後の円相場は1ドル=83円30銭を挟み上下10銭程度の値幅で取引された。市場関係者の間では今後の行方を見極めたいとの気分が強い。



 
 
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エジプト大統領、即時辞任を拒否 権限は副大統領に委譲

2011/2/11 23:01

【カイロ=花房良祐】反政府デモが続くエジプトで10日深夜(日本時間11日早朝)、ムバラク大統領は国営テレビを通じて演説し、9月の任期満了まで大統領職にとどまり、即時辞任を拒否する考えを改めて示した。そのうえで憲法に基づき権限をスレイマン副大統領に委譲すると表明。批判の沈静化を狙ったが、あくまで大統領の退陣を求める反体制派は反発しており、11日も大規模なデモが発生した。

ムバラク大統領は「権力の移行まで責任を果たす」と述べて任期末までの続投に意欲を示した。このほか副大統領への権限委譲に言及したが、委譲する権限の範囲については明らかにしなかった。演説の直後、スレイマン副大統領は声明でデモ隊に抗議活動をやめて帰宅するよう呼びかけた。

ロイター通信によると、カイロ中心部のタハリール広場には10日夜、20万人以上が集合。演説内容が伝わると非難の声がわき起こった。

11日も数十万人がそれぞれ同広場や北部アレクサンドリアに集まった。また軍が厳戒態勢を敷くカイロの大統領府近くに約2千人が集合、情勢が緊迫化している。大統領府付近で抗議集会が開かれるのは初めて。英BBCは11日、西側情報筋の話として、ムバラク大統領がカイロを離れ、東部保養地シャルムエルシェイクに到着したと報じた。

軍は11日、ムバラク大統領の改革を保証するとの声明を発表。軍として大統領の取り組みを支持する姿勢を示唆した。このほか、大統領の強権政治の根拠となっている非常事態法を解除する用意があるとし、政府と野党勢力の合意事項を確認した。

ロイター通信によると、スレイマン副大統領は11日、これまで事態の打開に向けて協議してきた有識者の中から副首相を1人選出するようシャフィク首相に要請した。与党国民民主党(NDP)以外のメンバーを取り込むことで政権批判を和らげる考えだ。



 
 
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NY株下落、一時43ドル安 エジプト情勢を懸念

2011/2/11 23:44

【NQNニューヨーク=川内資子】11日の米株式相場は下落して始まった。ダウ工業株30種平均は続落し、午前9時35分現在、前日比43ドル67セント安の1万2185ドル62セントで推移している。ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は反落し、同7.09ポイント安の2783.36で推移している。反政府デモが続くエジプトのムバラク大統領が10日、9月の任期満了まで大統領職にとどまる姿勢を改めて示した。即時辞任を求める反政府側は反発しており、エジプト情勢が一段と緊迫化するとの見方から投資家が運用リスクを避け、株を売る動きが優勢となっている。

マイクロソフトと携帯電話事業で提携すると発表したフィンランドの携帯電話機最大手ノキアの米預託証券(ADR)は急落。前日夕に大幅減益決算と同時に1株当たりの営業利益見通しの引き下げを発表した食品大手クラフト・フーズは安い。アナリストが投資判断を引き下げたと伝わった通信大手スプリント・ネクステルも売られている。

一方、マイクロソフトは小幅高。追加の債務削減策を発表した自動車大手フォード・モーターが上昇。アナリストが目標株価を引き上げたと伝わった半導体大手マイクロン・テクノロジーはもみ合い。



 
 
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ムバラク氏、首都退避の報道

2011/2/12 0:13日本経済新聞 電子版

【カイロ=花房良祐】反政府デモが続くエジプトで11日、ムバラク大統領と家族がカイロを離れ、東部の保養地シャルムエルシェイクに移った。欧米や中東メディアが一斉に報じた。これに先立つ10日夜、大統領は演説し、即時辞任を拒否するとともに、権限をスレイマン副大統領に委譲すると表明した。カイロを離れることで権限委譲を実行に移していることを印象づけるのが狙い。反体制派は辞任拒否に反発し、11日も大規模なデモ…(有料購読記事です)



 
 
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エジプト大統領辞任、軍が権力掌握 米は歓迎の意向

29年の長期政権に幕

2011/2/12 1:27 (2011/2/12 1:42更新)

【カイロ=花房良祐】29年間にわたりエジプトを統治してきたムバラク大統領が11日、辞任した。スレイマン副大統領は同日、国営テレビを通じて「ムバラク大統領は辞任を決断した」と話し、権力を軍が掌握すると宣言した。チュニジア政変に触発されてエジプトでは1月25日から連日抗議デモが続いていた。9月の大統領選挙への不出馬を表明していたが即時辞任要求は収まらず、任期半ばの退任を余儀なくされた。米国政府は歓迎する意向だ。

スレイマン副大統領は「国が直面する困難な状況を考慮し、大統領は軍最高評議会に権限を委譲した」と話した。今後は次期大統領の選出などを巡る民主化プロセスが焦点となる。

欧米メディアは11日、ムバラク大統領と家族が同日カイロを離れ、東部の保養地シャルムエルシェイクに移ったと報じた。これに先立つ10日夜、大統領は即時辞任を拒否し、権限をスレイマン副大統領に委譲すると表明していたが、辞任圧力に抗しきれなかった。反体制派は反発し、11日も大規模なデモが発生していた。ムバラク大統領の辞任が伝わると、カイロ中心部のタハリール広場に集まった群衆から一斉に歓喜の声がわき上がった。

シャルムエルシェイクはカイロ南東約400キロに位置する。ムバラク大統領の別邸があり、冬は頻繁に訪れている。

10日の演説では、ムバラク大統領は「権力の移行まで責任を果たす」と述べて9月の任期末までの続投に意欲を示していた。このほか副大統領への権限委譲に言及していた。AFP通信によると、11日は全土で100万人以上が抗議デモに参加。同日、大統領府近くに約2千人が集合した。大統領府で抗議集会が開かれるのは初めて。

ロイター通信は大統領府からヘリコプターが飛び立ったとの目撃情報を伝えた。ムバラク大統領が脱出した可能性もある。



 
 
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ムバラク氏の辞任、暗に迫る オバマ米大統領が声明

2011年2月11日20時9分

【ワシントン=望月洋嗣】オバマ米大統領は10日、エジプトのムバラク大統領がスレイマン副大統領への権限移譲を表明した演説について、「この移譲に意味があり、十分なのか依然として不明瞭だ」と批判する声明を発表し、エジプト政府により明確な説明を求めた。

大統領は「人々の願望が満たされねばならない」とも述べ、ムバラク氏がデモ参加者の求めに応じて辞任を決断するよう暗に迫った。また、民主化移行を示す具体的な方策として、30年続く非常事態令の解除や幅広い野党勢力との交渉、選挙までの行程表の策定などを求めた。



 
 
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イラン大統領、ムバラク政権崩壊に期待感

2011年2月11日21時29分

【ベイルート=北川学】イランのアフマディネジャド大統領は11日、イスラム革命から32周年の記念式典で、エジプトの市民デモについて「新たな中東が間もなく出現する」と述べ、親米のムバラク政権崩壊に期待感を示した。

大統領は「32年前に我々が成し遂げた革命が、中東や北アフリカで(イスラムの)目覚めを呼び起こした」と自賛。「勝利を信じて最後まで闘ってほしい。悪者(ムバラク大統領)は最終的には去ることになろう」とエジプトのデモ参加者を鼓舞した。

イランでイスラム革命が起きた直後、エジプトはイスラエルと平和条約を締結。イランは反発し、エジプトと断交した。



 
 
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ムバラク氏、首都離れ保養地へ 大統領権限を移譲

2011年2月12日0時58分

【カイロ=貫洞欣寛、古谷祐伸】アルジャジーラなど複数の中東衛星テレビ局は11日、エジプトのムバラク大統領が家族とともに飛行機でカイロを離れ、シナイ半島の保養地シャルムエルシェイクに入ったと報じた。ムバラク大統領は10日夜(日本時間11日朝)にテレビ演説し、大統領としての権限をスレイマン副大統領に移譲すると発表。同時に、大統領としての地位にはとどまる意向を示した。だが、首都を離れることで、大統領職にはとどまるものの、実権のない象徴的な地位に退く可能性がある。

ムバラク氏は10日のテレビ演説で、「憲法規定に従い、権限を副大統領に移譲する」と述べる一方、「責任を担い続ける」「(任期の)9月までの間に権力の平和的な移行を進める」と語り、今後も大統領の座にはとどまる考えを示した。さらに、「私はこの国で生まれ、この国で死ぬ」と述べ、メディアなどで取りざたされている「辞任後、出国する」との見方を否定した。スレイマン副大統領も演説で、デモ隊は帰宅し、職場などに戻るよう呼びかけた。

ムバラク、スレイマン両氏とも権限移譲の詳細について言及しなかったが、シュクリ駐米エジプト大使は米CNNで「大統領は全ての権限を失った。ムバラク氏は現在も公的には国家元首だが、実権はスレイマン副大統領に移った」との見方を示した。

一方、エジプト軍最高評議会は11日、声明を発表し、(1)混乱収束後直ちに非常事態令を解除(2)総選挙の結果に関する不服申し立ての受理(3)憲法改正(4)自由で公正な大統領選挙の実施−−を保証するとした。さらに、権力移行が完結するまでは市民の要求に真剣に向き合い、デモ参加者を訴追しないことなどを確約した。

即時辞任を求める野党勢力やデモに参加する市民らは大統領演説に猛反発。11日のイスラム教金曜礼拝後に「勝利の金曜日」と名付けた大規模デモを行った。退陣要求デモの拠点、カイロ中心部タハリール広場には20万人を超えると見られる市民が集まり、北部アレクサンドリアなど各地でデモが行われた。

権限移譲を受けたスレイマン副大統領に対しては「最側近としてムバラク強権体制を支えてきた」との批判があり、辞任を求める声も強いため、デモが沈静化するかどうかは不透明な情勢だ。

シャルムエルシェイクは紅海に面した高級リゾート地で、ムバラク大統領の肝いりで開発が進められ、各種の外交交渉や国際会議を誘致。ムバラク氏は昨春ドイツで「胆嚢(たんのう)の摘出手術」を受けた後、しばらく同地で静養していた。

今年に入りムバラク即時退陣を求めるデモが続くようになってから、米国政府筋などの情報として「スレイマン副大統領に権限を移譲し、ムバラク氏はシャルムエルシェイクかドイツで静養生活に入る」との観測が出ていた。



 
 
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エジプト軍が声明、副大統領への権限移譲を支持

【カイロ支局】エジプト軍は11日、ムバラク大統領が10日のテレビ演説で示したスレイマン副大統領への権限移譲を支持する声明を発表した。

声明は11日の軍最高評議会後に発表された。事態沈静化後の非常事態の解除や公正な大統領選挙実施などを保証するとし、国民に対し、日常生活に戻るよう呼びかけた。

(2011年2月11日19時38分 読売新聞)



 
 
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ムバラク後、エジプトに反米国家…イラン大統領

【テヘラン=久保健一】イランのアフマディネジャド大統領は11日、テヘラン中心部のアザディ(自由)広場で開かれたイラン革命32周年記念式典で演説し、エジプトで続く反体制デモについて「まもなく、米国やイスラエルの存在しない『新しい中東』が出現するだろう」と述べ、親米のムバラク大統領が辞任すれば反米国家が出現するとの見方を示した。

また、「イラン革命は世界に新たなイスラム革命を引き起こしつつある」とも述べ、大統領辞任後のエジプトはイスラム体制化すると強調した。

アフマディネジャド大統領は「エジプト国民は自らの将来を選択する権利があり、イランはこれを支援する」と述べ、エジプトの反体制派を支援する可能性も示唆した。

(2011年2月11日19時56分 読売新聞)



 
 
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国家元首の座はムバラク氏…駐エジプト米大使

【ワシントン=黒瀬悦成】エジプトのサメハ・シュクリ駐米大使は10日、米FOXニュースの番組に電話出演し、ムバラク大統領が権限を移譲するとしたスレイマン副大統領について「実質的な大統領で、憲法上定められたすべての権限を握っている」と説明した。

大使は一方で、国家元首の座は「現在もムバラク大統領が形式的に保持している」としたほか、副大統領は議会解散権や閣僚解任権、憲法修正権を持っていないとも指摘。「権限」のあいまいさが浮き彫りになった。

(2011年2月11日22時36分 読売新聞)



 
 
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ムバラク大統領、家族とカイロ離れ国内保養地に

【カイロ=新居益】中東の衛星テレビ「アル・アラビーヤ」は11日、エジプトのムバラク大統領が家族とともにカイロを離れ、同国東部の保養地シャルムエルシェイクに到着したと報じた。

英BBC放送、AP通信も政府筋などの情報として大統領のシャルムエルシェイク入りを伝えた。

(2011年2月11日23時06分 読売新聞)



 
 
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汎アラブ主義の復活

−−エジプトの革命派、空疎なスローガンではなく社会的公正にもとづいた新しいかたちの汎アラブ主義を復活させた。−−

ラミス・アンドーニ(Lamis Andoni)             2011年2月11日

エジプトの革命−−それ自体、チュニジアの蜂起の影響を受けたもの−−は、新しい汎アラブ主義(パン・アラビズム)の感覚を呼び起こした。そして、この感覚は、社会的公正や自由を求める闘いをベースにしている。アラブ世界じゅうからエジプトの革命家たちに寄せられる圧倒的な支持は、圧政(少なくとも権威主義)、統率者たち、腐敗、金融界や政界の少数のエリートによる支配を拒否するというある種の団結を反映している。

エジプトの人々と連帯したアラブ各国の抗議行動からは、エジプトが、アラブ全体をまとめ、リーダーだった時代の復活を望む強い思いも示唆される。かつてエジプト大統領だったガマール・アブドゥル・ナセルの写真が、ナセルの死んだ1970年にはまだ生まれてもいなかったような人々によってカイロやアラブ諸国の首都で掲げられ、こうしたシーンは、1950年代や60年代にアラブの街路を席巻した光景を彷彿とさせる。

しかし、今回の状況は、往時の汎アラブ・ナショナリズムそのままというわけではない。あのころの汎アラブ主義は、西欧による支配や1948年のイスラエル国家樹立に対する直接の対応だった。今回の汎アラブ主義は、アラブ世界のどこにも民主主義の自由がないこと、そして、アラブ世界のどこでも富が不公正に配分されていることに対応したものだ。

今、我々は、民主主義を求める運動−−狭隘なナショナリズムや、汎アラブ主義をも超える動き−−の出現を目の前にしている。この運動は、北にも南にも、東にも西にも共感を呼ぶような、人としての普遍的なさまざまな価値観を大切にしている。

今回の動きに反帝国主義の要素が不在だといっているわけではない。しかし、エジプトをはじめとする各地で起きている抵抗は、人間の解放をめぐって、さらに深い理解を促しているし、こうした理解こそ、抑圧からの自由や、外来者による支配からの自由に際しての真の基盤となるはずだと思う。

これまでの汎アラブ主義とは異なり、今回の運動は、恐怖から解き放たれ、人間としての尊厳を保ててはじめて、人々はよりよき社会をつくりあげ、希望や繁栄の未来を工夫することができるという本質的信念を体現している。外来者による支配からの解放が民主主義を求める闘いに先んずるという過去の革命家たちの古き「知恵」は、もはや地に堕ちた。

エジプトの革命家たち、そしてその前のチュニジアの革命家たちが、その行動−−ことばだけでなく−−を通じて明らかにしたのは、自国の民衆を抑圧する一方で大国に対しては、みっともないほど従属する統率者たちの姿だった。ニセモノのアラブの団結を正当化せんがためにイスラエルへの敵意を操作する空疎なスローガンの無力さも明らかになった。こうしたスローガンこそ、アラブ社会の不断の抑圧や裏切り、そしてパレスチナの人々の切望を覆い隠してしてきた存在に他ならない。

パレスチナという口実

戒厳令を敷きつづけて反対意見を封じ込めるための口実に、パレスチナの大義を使う時代は終わった。パレスチナの人々は、自国の民衆を抑圧する統率者たちに、裏切られつづけてきた。助けてもらったことなど、ついぞない。シリアやイランの体制が、パレスチナの人々の抵抗への支持を口にするだけで、自国内で、表現の自由を押さえつけ、恥も外聞もなく人権を踏みつけにすることは、もはや不可能となった。

同様に、パレスチナのファタハやハマスが、相互の抑圧や、自分たち以外のパレスチナの人々への抑圧を正当化しながら、イスラエルへの抵抗の歴史に言及することも、もはや許されない。パレスチナの若者たちは、運動のメッセージに応えているし、国内の不公正−−ファタハのものであれ、ハマスのものであれ−−と闘うことこそ、イスラエルによる占領を終わらせる闘いの前提条件であって、国内の不公正との闘いを、占領に対する闘争のために我慢したりすべきではないという考えを共有している。

エジプトやチュニジアで起きた事態から明らかになったのは、国内の抑圧に対するアラブの団結が、外来者の脅威に対するアラブの団結よりも強いということだ。つまり、アメリカによるイラクの支配も、イスラエルによる占領も、屈辱と貧困に生きるのではなく焼身自殺の道を選んだチュニジアの若者の行動のようなかたちでアラブの人々を触発することはなかったということ。

だからといって、アラブの人々が、イラクやパレスチナの占領下の人々のことを気にかけていないというわけではない。アラブのさまざまな国で、そして、さまざまな状況で、これまでも、何十人もの、場合によっては何百人、何千人もの人々が、街頭に繰り出して、イラクやパレスチナの人々との連帯の気持ちを示してくれた。しかし、そのことは、民主主義の自由がないがゆえに、そうした国々の占領が続いているという認識を反映したものではない。

アラブがイラクを守れず、パレスチナを解放できなかったことは、アラブの無力さを象徴するようになった。こうした無力な状態にあること自体、恐怖や麻痺状態−−社会の不公正によって周辺へと追いやられ、治安装置による抑圧によって押しつぶされてきた普通のアラブの市民が生きてきた日常−−の結果、長きにわたって存続してきたものだ。

アラブの人々が、イラクやパレスチナの人々を支援するために集まることが許されたのは、まずもって、人々の怒りの矛先を、自国政府から外来者の脅威へとそらすためだったといってよい。もう長いあいだ、人々は、占領下の人々を支持する声を発するために、自らの社会や経済の不満を棚上げしたというのに、翌朝も、同じ抑圧の鎖につながれたまま目覚めねばならなかったのである。

その間もずっと、親西欧の政府も反西欧の政府も、それまで通りのいとなみをつづけた。片や、アメリカの援助に頼って独裁支配をかため、片や、反イスラエルのスローガンに頼って、自らの民への抑圧を正当化してきたのである。

しかし、今日、エジプトやチュニジアだけでなく、アラブじゅうの人々が、自国の政府を信用できなくなっている。タハリール(解放)広場のエジプトの革命家たちに連帯を表明すべく、アンマンやダマスカスに抗議の群集が集まっているようにみえても、彼らは、まちがいなく、自国の支配者にノンを突きつけている。

ラマラーでは、抗議の群集が、パレスチナ内部の分断を終わらせようと呼びかけるスローガン(アラビア語では、エジプトの人々が体制の終焉を呼びかけるスローガンと響きが一緒だったりする)を繰り返し、イスラエルとの交渉の終焉を要求し、そんな交渉を頼みにするようではパレスチナ当局の居場所はないという明確なメッセージを送っている。

1950年代や60年代には、何百万ものアラブの人々が、植民地支配の残渣と忍び寄るアメリカの覇権からアラブ世界の解放を継続する覚悟で街頭へと繰り出した。2011年、何百万もの人々、自由を求めるだけではなく、過去の世代がおかした過ちを決して繰り返さない覚悟で街頭へと繰り出した。外来者という敵に向けたスローガンは、その相手がいかに妥当な対象であっても、民主主義の自由を求める闘争を棚上げするものである限り、むなしく響く。

カイロをはじめとする各地で抗議行動に参加している人たちは、マール・アブデル・ナセルをアラブの尊厳のシンボルと考えているから、ナセルの写真を掲げているかもしれない。しかし、デモの参加者たちが訴えるのは、ナセルとはちがう汎アラブナショナリズム−−すなわち、国民の解放が、政治的反対意見の抑圧とは相容れないことを踏まえたある種の汎アラブナショナリズム−−である。今回の動向は、民主体制での自由を求める共通の願い触発された真のアラブの団結なのだから。

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ラミス・アンドニは、中東・パレスチナ問題のアナリスト・解説者。

このアーティクルに書かれた見解は、書き手自身のものであり、必ずしも、アルジャジーラの編集方針を反映しているわけではない。

*翻訳して、送ってくれた人がいました。

http://english.aljazeera.net/indepth/opinion/2011/02/201121115231647934.html



 
 
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エジプト:大統領、即時辞任論 高官相次ぎ言及

【カイロ樋口直樹】ムバラク大統領(82)の即時退陣を求めて、全土でストライキやデモが続いているエジプトで10日、シャフィク首相がムバラク大統領が辞任する可能性があると、英BBCに明らかにした。また、米CNNは、ムバラク氏が軍最高司令官の職務を軍部に移譲する可能性を伝えた。大規模デモの圧力を受けムバラク氏が今年9月に予定される任期満了を待たずに辞任すべきだとする意見が政権内で高まっているようだ。ただ、辞任を否定する報道もあり、予断は許されない。

シャフィク首相はBBCで、ムバラク氏の任期途中での辞任が検討されていることを明らかにした。また与党幹部もBBCに同様に辞任の可能性を示唆しているという。ロイター通信は同日、政府高官が辞任の可能性に言及したと伝えた。

報道によると、軍の幹部は同日、デモの中心地であるカイロのタハリール広場で、「人々の要求は満たされる」とムバラク氏辞任を示唆するような発言をした。

ムバラク大統領は同日に国民向けに演説するとの情報もある。

政権には、全土で続くデモに加え、スエズ運河を運営する企業など主要産業でストライキが起こり、国民の反発が頂点に達したとの判断があるようだ。

軍のスポークスマンは同日に声明を発表、幹部が現在の状況を協議していることを明らかにし、引き続き、中立的に治安の維持にあたる意思を明確にした。ムバラク氏の進退には触れなかった。

ムバラク氏は今月1日、国営テレビで演説し、次期大統領選に出馬しない考えを明らかにしていた。スレイマン副大統領が野党勢力との協議を開始し、憲法改正など野党側の要求を協議している。

ただ、全国各地で続く大規模な反政府デモや、最大の同盟国・米国からの一層の民主化要求圧力などを受け、81年以来約30年間続くムバラク政権は最大の窮地に立たされている。

◇スエズ運河スト カイロに数万人

【カイロ和田浩明】大規模な反ムバラク政権デモが続くエジプト国内では10日、各地で労働者の抗議活動が激化した。スエズ運河の関係企業や国営企業の従業員のほか、アレクサンドリアなど北部地中海沿岸と東部紅海沿岸の複数の都市で、計数千人の公務員がストライキを起こした。

また、デモの中心となっているカイロのタハリール広場にはこの日も数万人が集結した。デモ隊は国会や首相府も包囲し、政権への圧力を強めた。AP通信によると、バスの運転手や医師、弁護士ら数千人が新たにデモに加わった。デモやストが激化した背景には、ムバラク政権や既成勢力への不信感が根強く、与野党の政権移行への話し合いが進展しないことにいら立ちがあったとみられる。

◇先月25日のデモが口火

エジプトの反大統領デモは、1月14日にベンアリ政権を崩壊に追い込んだ隣国チュニジアの政変に触発される形で始まった。

同月25日、カイロやスエズなどで数万人規模のデモが起きると、翌26日にはシナイ半島北部や南部アシュートにも拡大。28日の金曜礼拝後に大規模デモが起きると、29日にはムバラク大統領の指示で内閣が総辞職し、副大統領にスレイマン情報長官、新首相にシャフィク前民間航空相を指名した。2月1日には100万人規模のデモが行われ、ムバラク大統領は次期大統領選不出馬を表明した。しかし、即時退陣を求めるデモは続き、4日には「追放の金曜日」と銘打ち各地で大規模デモが敢行された。

◇29年間、独裁体制

元空軍司令官のムバラク大統領は81年10月、サダト前大統領の暗殺を受け、副大統領から大統領に就任した。現在5期目で、29年間にわたり独裁体制を維持してきた。親米、親イスラエルの姿勢を打ち出し、イスラエルとアラブ諸国の仲介役や、中東和平プロセスの進展に努めた。

昨年3月にドイツで胆のうの炎症が判明し手術を受けて以降、健康問題が報じられる機会が増えていた。

毎日新聞 2011年2月11日 東京朝刊



 
 
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エジプトデモ:オバマ政権、手打てず 勇退期待空振りに

【ワシントン草野和彦】即時退陣を拒んだムバラク・エジプト大統領から「外国の介入だ」と反発を受けた米国。当初ムバラク氏に「勇退勧告」したオバマ政権は、エジプト政権内の混乱などへの懸念から「政権移行」に方針を軟化させた。ところが、その方針をムバラク氏から袖にされた形だ。ムバラク氏の真意や動向を読み切れない米国は、ムバラク氏と友好関係の親米・同盟国とエジプト国内の民主化勢力との間で板挟みになり、打開策を見いだせていない。

エジプト国内外では、ムバラク氏の10日夜の演説前、「いよいよ退陣か」との臆測報道が飛び交った。米中央情報局(CIA)のパネッタ長官は米議会の公聴会で「ムバラク氏が今晩、辞任する可能性が高い」と語り、オバマ大統領もミシガン州での遊説で「我々は歴史の展開を目撃している」と「変革の瞬間」を強調した。

ムバラク氏が自発的に「勇退」すれば、反政府デモは沈静化し、米国に対する「介入批判」もかわすことができる。10日付米紙ワシントン・ポスト(電子版)は「多くの米当局者が辞任を期待した」と伝えた。

だが、ムバラク氏は「即時退陣」を改めて拒否。7日の時点でエジプト情勢には「進展」があるとの認識を示していたオバマ大統領は、10日のムバラク氏の演説後、多くのエジプト国民が政府の真剣さに「確信を持てないでいる」との声明を発表した。

米国が「民主化支持」の立場を強調するには、退陣要求を復活せざるを得ない可能性もあるが、サウジアラビアなど他の親米独裁国家がムバラク政権との連帯を強めており、米国もこうした国々の意向を無視することは難しい。また、米ウォールストリート・ジャーナル紙によると、イスラエル政府は米政府に対し、「ムバラク氏が退陣すれば、イスラエル国内で右派勢力が強くなって中東和平に影響が出る」と警告したという。

エジプト国軍にムバラク氏に圧力をかけるよう依頼する手もあるが、ワシントン・ポスト紙によると、ゲーツ国防長官はエジプトのタンタウィ国防相と約1週間、連絡が取れていないという。

毎日新聞 2011年2月11日 21時15分(最終更新 2月11日 21時34分)



 
 
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エジプト:ムバラク大統領の即時辞任論 政権内で高まる

【カイロ樋口直樹】ムバラク大統領(82)の即時退陣を求めて、全土でストライキやデモが続いているエジプトで10日、シャフィク首相がムバラク大統領が辞任する可能性があると、英BBCに明らかにした。また、米CNNは、ムバラク氏が軍最高司令官の職務を軍部に移譲する可能性を伝えた。大規模デモの圧力を受けムバラク氏が今年9月に予定される任期満了を待たずに辞任すべきだとする意見が政権内で高まっているようだ。ただ、辞任を否定する報道もあり、予断は許されない。

シャフィク首相はBBCで、ムバラク氏の任期途中での辞任が検討されていることを明らかにした。また与党幹部もBBCに同様に辞任の可能性を示唆しているという。ロイター通信は同日、政府高官が辞任の可能性に言及したと伝えた。

報道によると、軍の幹部は同日、デモの中心地であるカイロのタハリール広場で、「人々の要求は満たされる」とムバラク氏辞任を示唆するような発言をした。

ムバラク大統領は同日に国民向けに演説するとの情報もある。

政権には、全土で続くデモに加え、スエズ運河を運営する企業など主要産業でストライキが起こり、国民の反発が頂点に達したとの判断があるようだ。

軍のスポークスマンは同日に声明を発表、幹部が現在の状況を協議していることを明らかにし、引き続き、中立的に治安の維持にあたる意思を明確にした。ムバラク氏の進退には触れなかった。

ムバラク氏は今月1日、国営テレビで演説し、次期大統領選に出馬しない考えを明らかにしていた。スレイマン副大統領が野党勢力との協議を開始し、憲法改正など野党側の要求を協議している。

ただ、全国各地で続く大規模な反政府デモや、最大の同盟国・米国からの一層の民主化要求圧力などを受け、81年以来約30年間続くムバラク政権は最大の窮地に立たされている。

毎日新聞 2011年2月11日 1時26分(最終更新 2月11日 1時31分)



 
 
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エジプト:ムバラク大統領がテレビ演説、即時辞任は拒否

【カイロ和田浩明】ムバラク大統領(82)の即時退陣を求めて、全土でストやデモが続いているエジプトで10日、大統領が国営テレビで国民向けに演説したが、即時辞任は拒否した。一部の権限をスレイマン副大統領に移譲するとしたが、政権移行は任期満了の9月まで続くと述べた。また、欧米など国際社会から、政権移行への圧力を受けていることを意識し「外国の指示は受け入れない」とした。

デモの中心になっているカイロのタハリール広場には辞任を期待して数十万人が集まったが、大統領演説に落胆や怒りの声があがった。

毎日新聞 2011年2月11日 6時47分



 
 
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米大統領:エジプト大統領演説に不満 内容あいまい

【ワシントン草野和彦】エジプトのムバラク大統領演説を受けオバマ米大統領は10日、声明を発表し「権限移譲が迅速かつ有意義で、十分なものか明らかではない」と指摘した。演説内容のあいまいさに不満をあらわにした形だ。その上で非常事態令解除や、野党勢力との対話を通じた憲法改正、自由で公正な選挙への行程表作成などを改めて求めた。

オバマ大統領は声明で、「(エジプト)政府が真の民主移行に真剣なのかを確信できないでいる」とエジプト国民の気持ちを代弁し、ムバラク政権の取り組みの遅れを非難しながら、エジプト国民に対し暴力に走らないように促した。

一方、ショークリ駐米エジプト大使は10日、米CNNテレビのインタビューに対し「ムバラク大統領は(演説で)スレイマン副大統領にすべての大統領権限を移譲すると語った」と述べ、現在はスレイマン副大統領が「事実上の大統領だ」との認識を示した。

毎日新聞 2011年2月11日 18時20分(最終更新 2月11日 19時32分)



 
 
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ロンドン外為11日 円は対ドルで続落

2011/2/12 1:43

【ロンドン=欧州総局】11日のロンドン外国為替市場の円相場は続落。前日終値に比べ20銭円安・ドル高の1ドル=83円35〜45銭で引けた。

日中はエジプトのムバラク大統領が即時辞任を拒否したことで情勢不安が強まり、安全投資としてのドルが主要通貨に対して買われた。一時は円が83円67銭前後と1月7日以来の安値を付けたものの、その後下げ渋った。

円の対ユーロ相場は小反発。同15銭円高・ユーロ安の1ユーロ=112円95〜113円05銭で引けた。

欧州の財政問題が改めて懸念されたことや、欧州中央銀行(ECB)の早期利上げ観測が後退したこともユーロ売りにつながった。

ユーロは対ドルで続落。前日終値に比べ0.0055ドルユーロ安・ドル高の1ユーロ=1.3545〜55ドルで取引を終了した。

一時は1.3505ドル近辺と1月21日以来の安値を付けた。

英ポンドは対ドルで続落。同0.0075ドルポンド安・ドル高の1ポンド=1.6000〜10ドル。

最近の利上げ観測でポンドが買われた反動で、売りが優勢となった。

スイスフランは対ドルで下落し、1ドル=0.9715〜25スイスフランで終了した。

1月のスイスのインフレ率が市場予想を下回ったことを受けて、フランが売られた。一時は0.9750スイスフラン付近と1月13日以来の安値を付けた。



 
 
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米大統領「エジプト国民、世界変えた」 辞任を歓迎

2011/2/12 5:57

【ワシントン=弟子丸幸子】エジプトのムバラク大統領の辞任を受け、オバマ米大統領は11日、ホワイトハウスで「ムバラク氏は辞任によってエジプト国民の変革への渇望に応えた」との声明を発表した。「エジプトの人々は自身の国を変えることで、世界も変えた」と語り、エジプト国民の民主化運動をたたえた。

オバマ大統領は「これは(政権)移行の終わりではなく始まりだ。困難な日々が待ち受けている」と指摘。エジプト軍部に対して「国民が信用できる移行を進めねばならない」と呼び掛け、非常事態法の解除、自由で公正な大統領選挙と憲法改正などの具体的な措置を求めた。

同時に「米国はエジプトの友人かつパートナーであり続ける」とも語り、民主化を全面支援する姿勢を強調した。



 
 
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NY原油、一時2カ月半ぶり安値 ムバラク氏辞任で

3月物は85.58ドルで終了

2011/2/12 6:01

【NQNニューヨーク=古江敦子】11日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で原油先物相場は反落した。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で期近の3月物は前日比1.15ドル安の1バレル85.58ドルで終えた。一時85.10ドルと、期近物としては昨年12月1日以来ほぼ2カ月半ぶりの安値を付けた。エジプトのムバラク大統領の辞任発表を受け、中東の原油供給懸念がひとまず後退し、売りが膨らんだ。

ムバラク大統領の辞任によって「近隣の主要産油国にデモが拡大し、供給が滞る」との警戒感がいったん和らいだ。原油などの物資輸送航路であるスエズ運河の運行に影響が出る懸念も後退し、原油を売る動きが加速した。

エジプトの政情不安を背景に3月物は1月末に一時92.84ドルと、ほぼ2年4カ月ぶりの高値まで上昇。11日は直近高値から約8%下げた計算になる。

市場では「中東不安は収まっておらず、中東の産油国にデモが広がる可能性は消えていない」との見方も一部で聞かれた。

ガソリン、ヒーティングオイルはともに続落した。



 
 
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NY金、小幅続落 4月物は1360.4ドル

エジプト懸念が後退

2011/2/12 6:07

【NQNニューヨーク=川内資子】11日のニューヨーク金先物相場は小幅に続落した。ニューヨーク商品取引所(COMEX)で取引の中心である4月物は前日比2.1ドル安の1トロイオンス1360.4ドルで終えた。エジプトのムバラク大統領が11日に辞任。エジプト情勢が落ち着くとの見方から、金の売りがやや優勢となった。

ムバラク大統領の辞任を受け、エジプト情勢が沈静化するとの見方が浮上。逃避資金の受け皿となりやすい金に利益確定売りが優勢となった。外国為替市場でドルが対ユーロなどで上昇したことも、ドルの代替資産という位置付けがある金の売りを誘った。

ムバラク大統領の辞任が伝わる前に、4月物は一時1369.7ドルまで上昇。中心限月として1月20日以来、ほぼ3週間ぶりの高値を付ける場面があった。

銀は続落。プラチナは3日続落した。



 
 
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NY株、2年8カ月ぶり高値 エジプト懸念が後退

終値43ドル高の1万2273ドル

2011/2/12 6:20

【NQNニューヨーク=滝口朋史】11日の米株式市場で、ダウ工業株30種平均は反発し、前日比43ドル97セント高の1万2273ドル26セント(速報値)と約2年8カ月ぶりの高値で終えた。エジプトのムバラク大統領の辞任発表を受け、エジプト情勢が沈静化するとの期待が買い安心感につながった。米景気の回復が改めて焦点となるなか、2月の消費者態度指数(速報値、ミシガン大学調べ)が前月比で市場予想以上に改善。米景気の回復ペースが速まるとの期待から買いが優勢になった。

ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は続伸し、同18.99ポイント高の2809.44(同)で終えた。



 
 
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NY株、2年8カ月ぶり高値 エジプト情勢好感

米景気回復、期待高まる

2011/2/12 7:29

【NQNニューヨーク=滝口朋史】11日の米株式市場で、ダウ工業株30種平均は反発した。前日比43ドル97セント(0.4%)高の1万2273ドル26セントと、2008年6月13日以来ほぼ2年8カ月ぶりの高値で終えた。エジプトのムバラク大統領の辞任発表で、事態が沈静化するとの期待が買い安心感を誘った。消費関連指標の改善を受け、米景気の回復期待が強まったことも相場を押し上げた。

エジプトのスレイマン副大統領が11日、国営テレビを通じて「ムバラク大統領は辞任を決断した」と発表。辞任を求める反体制派のデモが収まり、悪化が続いていた情勢が落ち着くとの観測が広がった。米景気の悪化要因になりかねなかった原油の供給懸念が後退し、安心感につながったという。

米ロイター通信が発表した2月の米消費者態度指数(速報値、ミシガン大学調べ)が前月比で改善し、昨年6月以来8カ月ぶりの高水準となった。米実質国内総生産(GDP)の7割を占める個人消費の持ち直しが続くとの期待から小売関連株などに買いが広がった。

ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は続伸し、同18.99ポイント(0.7%)高の2809.44と07年11月6日以来、約3年3カ月ぶりの高値を付けた。S&P500種株価指数も続伸し同7.28ポイント(0.6%)高の1329.15と、08年6月19日以来の高値で終えた。

業種別S&P500種株価指数では全10業種8業種が上昇。「金融」と「消費循環」の上昇が目立った。原油先物相場の下落を受け「エネルギー」が小幅安。「公益」も下げた。売買高はニューヨーク証券取引所(NYSE)が約9億7000万株(速報値)、ナスダック市場が約20億3000万株(同)だった。

米政府が11日、公的資金で救済した米連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)を時間をかけて廃止する方針を示した。住宅ローン関連事業が拡大するとの思惑から、MGICインベストメントやPMIグループなど民間のローン保証大手株が軒並み上昇した。

アナリストによる目標株価の引き上げが伝わった半導体大手マイクロン・テクノロジーが上昇。前日の取引終了後に追加の債務削減策を発表した自動車大手フォード・モーターも上げた。ダウ平均構成銘柄では建機大手キャタピラーや米銀大手JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカなどが上昇率上位に顔を出した。

一方、米ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)が11日、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を14日か15日にも申請する見通しと報じた米書店大手ボーダーズ・グループが急落した。

マイクロソフトと携帯電話事業で提携すると発表したフィンランドの携帯電話機最大手ノキアは大幅安。マイクロソフトにも売りが優勢だった。前日に発表した四半期決算で利益見通しを引き下げた食品大手クラフト・フーズがダウ構成銘柄で下落率首位となった。



 
 
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NY円、続落 1ドル=83円40〜50銭で終了、欧州の財政懸念で

2011/2/12 7:37

【NQNニューヨーク=川内資子】11日のニューヨーク外国為替市場で円相場は続落し、前日比25銭円安・ドル高の1ドル=83円40〜50銭で取引を終えた。欧州の財政懸念などを背景にユーロが対ドルで下落し、対円でのドル買いを誘発した。

ポルトガルの国債利回りが過去最高値に近い水準で推移しており、ユーロ圏の一部諸国の財政問題が深刻化することへの警戒感が足元で強まっている。ユーロが対ドルで下落し、対円でもドル買いが優勢となった。

エジプトのムバラク大統領の辞任発表の直後は、エジプト情勢が沈静化するとの見方から、投資家がリスクを避ける局面で買われやすいドルが下落した。ただ、今後のエジプトの政情を巡る不透明感をぬぐい去るまでには至らず、ドル売りは続かなかった。

11日発表の2月の米消費者態度指数(速報値、ミシガン大学調べ)は前月比で改善したが、相場の反応は限られた。

欧州市場で円は一時83円68銭まで下落し、1月7日以来、約1カ月ぶりの安値を付けた。ニューヨーク市場での安値は83円61銭、高値は83円31銭だった。

円は対ユーロで6日ぶりに小反発し、前日比10銭円高・ユーロ安の1ユーロ=113円00〜10銭で取引を終えた。ユーロ圏の一部諸国の財政懸念などから円買い・ユーロ売りがやや優勢となった。

ユーロはドルに対して続落し、前日終値の1ユーロ=1.36ドルちょうど前後から1.35ドル台半ばに下落した。欧州の財政懸念からユーロ売りが優勢となった。ユーロは一時1.3497ドルまで下落し、1月21日以来の安値を付けた。高値は1.3572ドルだった。

ドイツ首相府は11日、ドイツ連邦銀行のウェーバー総裁が4月末に辞任すると発表した。欧州中央銀行(ECB)の次期総裁の有力候補とされていた同総裁が、ECB総裁に就任する可能性はほぼなくなったと受け止められた。事前の報道と同じ内容だったため、相場の反応は目立たなかった。



 
 
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「エジプトは自由だ」 デモ参加者歓喜、広場に花火

2011/2/12 9:51

【カイロ=岐部秀光】「われわれは自由だ」。11日夜、エジプト反政府デモの象徴となった首都カイロのタハリール(解放)広場では、ムバラク大統領辞任の知らせが伝わった瞬間、デモ参加者の歓喜の声が地鳴りのように響き渡った。若者たちは仲間と抱き合い、手をたたき、赤白黒のエジプト国旗を振って喜びを爆発させた。

「ヤー、ハビブチ、ヤー、マスリ(我が恋人、エジプト)」。人々は古い愛国歌を合唱し、ようやく勝ち取った自由の味をかみしめた。1月下旬の反体制デモ開始から約半月。多くのデモ参加者は広場で寝泊まりを続けてきたが、打ち上げられた花火が疲労した人々の顔を明るく照らした。デモ参加者と、監視していた兵士が握手する姿も見られた。

広場にいた会計士のアリ・サーレムさん(27)は「われわれは自由だ。エジプトは自由だ。今はみんなが未来を考えている」と興奮。大学で法律を学んでいるムスタファ・アハマドさん(18)は「ムバラク時代にはこの国に法律なんてなかった。彼自身が法律だったから」と話し、大統領退陣による民主化の進展に期待を膨らませた。

キリスト教徒の主婦、マリヤム・ミラドさん(35)は「ムバラク大統領はイスラム教徒とキリスト教徒を差別していた。宗教が異なる人々が手を取って新しいエジプトを築けたらいい」と話した。

工場で働くアミール・フセインさん(55)は大統領辞任のニュースを聞いて、いても立ってもいられず広場に駆けつけた。大統領批判の声を上げた若者たちを「誇りに思う」と話した。

夜間外出禁止令にもかかわらず人々は通りに飛び出し、深夜まで勝利を祝う車のクラクションの音が響いた。



 
 
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国連事務総長「エジプトは早期の民政確立を」

2011/2/12 9:54

【ニューヨーク=杉本晶子】国連の潘基文(バン・キムン)事務総長は11日、エジプトのムバラク大統領の辞任を受けて談話を発表し「困難だったはずの決断を尊重する」と述べた。そのうえで「透明で秩序正しく、平和的な権力の移行」と「自由で公正かつ信用性のある選挙を通じ、早期の民政確立が必要」と強調した。



 
 
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ロシア外相「エジプト情勢の安定化期待」

2011/2/12 9:55

【モスクワ=金子夏樹】エジプトのムバラク大統領の辞任を受け、ロシアのラブロフ外相は11日、「(大統領の辞任で)政府の通常業務が保証され、情勢の安定につながることを期待している」と述べた。インタファクス通信が伝えた。同外相は権限移譲を受けた軍と反体制派に向け、安定の確保を急ぐよう期待を示した。



 
 
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「米の中東戦略に空白」 ムバラク大統領辞任で米メディア

2011/2/12 9:57

【ワシントン支局】米メディアは11日、エジプトのムバラク大統領辞任と歓喜する市民の様子を「革命」などの見出しで一斉に速報するとともに、ムバラク政権を支持してきた米政府の中東政策の今後について不透明さを指摘した。

ワシントン・ポスト(電子版)は、ムバラク氏の辞任によってオバマ政権の中東戦略に「空白が生まれる」と指摘。中東情勢の流動化は米国にとって有望であると同時に危険ももたらすと警告した。

ウォール・ストリート・ジャーナル(同)は、ムバラク氏が中東政策のキーパーソンとなっていた米国やサウジアラビア、イスラエルなどの各国にとって「不確実の時期」が始まると分析。エジプトで政権を掌握した軍による統治の行方も不透明だと指摘した。

ニューヨーク・タイムズ(同)は「数十年にわたって米国の中東政策遂行を助けてきた盟友を民衆が退陣させた」とし、オバマ政権は他のアラブ諸国への影響分析を急いでいると報じた。



 
 
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ムバラク氏の全資産凍結 スイス政府

2011/2/12 10:03

【ジュネーブ=藤田剛】スイス政府は11日、辞任したエジプトのムバラク大統領がスイス国内で保有する全資産を即時凍結したと発表した。凍結期間は3年間で、金融資産のほか不動産も対象となる。凍結の理由については「エジプト政府の資産が大統領らに着服されることを防ぐため」と説明している。資産額などは明らかにしていない。

スイス政府は1月にチュニジアのベンアリ前大統領がスイス国内で保有する全資産も凍結済み。



 
 
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イスラエル「平和条約維持望む」 周辺国、揺れる対応

2011/2/12 10:16

エジプトのムバラク大統領が辞任し、中東各国には様々な反応が広がった。エジプトの今後の外交政策が自国の安全保障を大きく左右するイスラエルや、デモの飛び火を懸念するヨルダンは事態の展開を厳しく注視。イランは親米路線だったムバラク氏の退陣を歓迎するなど、それぞれの思惑が際立っている。

エジプト新政権での反イスラエル勢力台頭を懸念する同国政府高官は「極めて重要な局面で、早急な結論は出せない」とした上で、エジプトとの平和条約が「地域の安定を保障している」と指摘し、「条約維持を望む」と語った。

1月の政変がエジプトのデモの端緒となったチュニジアでは、国営通信が「アラブの大勝利」と報道。暫定政府も事態収拾に動いたエジプト軍を「愛国的」と称賛した。トルコもエジプト国民に祝意を表し「速やかな民政移行」を求めた。

一方、チュニジアのデモが飛び火し、内閣が総辞職したもののデモが続くヨルダンの外務省は「エジプト国民の意思を尊重する」としたものの、祝意は示さなかった。

ムバラク政権崩壊を中東の親米勢力の弱体化につながるとして歓迎するイランは、11日が革命記念日に当たり、サレヒ外相は「偉大な勝利」と絶賛。「エジプト軍は(米国やイスラエルと戦う)歴史的義務を果たすべきだ」と述べた。

パレスチナ自治区ガザを実効支配し、エジプトの友好国であるイスラエルと敵対するイスラム原理主義組織ハマスも「エジプト革命の始まり」とたたえ、ガザ封鎖の解除を求めた。

湾岸産油国のアラブ首長国連邦(UAE)の国営通信は「エジプト軍の能力を信頼しており、引き続き強固な関係を維持するよう望む」との声明を伝え、中東安定への努力を求めた。(ドバイ=太田順尚)



 
 
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前原外相「早期に民主的政府を」

エジプトとの友好維持を強調

2011/2/12 10:31

【モスクワ=田島如生】ロシアを訪問中の前原誠司外相は11日夜(日本時間12日朝)、エジプトのムバラク大統領の辞任発表を受けて「エジプトが早期に民主的政府の下で安定することを願う」との談話を発表した。政府は今後の政権移行を注視するとともに、引き続き現地にいる邦人の保護に万全を期す考えだ。

外相は政治体制の秩序ある移行を求め「穏健安定勢力として地域の平和と繁栄のため今後も建設的な役割を果たす」ことに期待を表明した。「わが国は中東アフリカ地域の主要国であるエジプトと強固な関係を有してきた」とも指摘、両国の友好関係を引き続き発展させたい意向も強調した。

外務省によるとエジプトの邦人観光客はほぼ全員が出国済み。在留邦人の多くも国外に退去し、残っているのは企業の管理者や報道関係者、大使館員など約400人だという。



 
 
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NY原油、一時2カ月半ぶり安値 ムバラク氏辞任受け

株は終値43ドル高

2011/2/12 10:48

【ニューヨーク=川上穣】エジプトのムバラク大統領の辞任発表を受け、11日のニューヨーク市場では原油先物が反落し、一時1バレル85.1ドルとほぼ2カ月半ぶりの安値を付けた。エジプト情勢が沈静化するとの期待感から、原油の供給懸念がひとまず後退した。株式市場ではダウ工業株30種平均が反発したが、政権移行が順調に進まなければ原油高・株安要因となるリスクはなお残る。

原油先物の期近物は前日比1.15ドル安の1バレル85.58ドルで終えた。石油の輸送航路であるスエズ運河への影響など短期的な原油の供給懸念が和らいだ。原油価格は直近高値を付けた1月末から約7%下げている。エジプトの混乱に一応の区切りがついたとの見方がある一方で、周辺産油国へのデモの波及を警戒する声も根強い。11日のロンドン原油市場(ICEフューチャーズ)の北海ブレント先物相場は小反発。期近の3月物は前日終値に比べ0.56ドル高の1バレル101.43ドルとなった。

株式市場ではダウ平均が反発し、2008年6月13日以来2年8カ月ぶりの高値を付けた。エジプト情勢の沈静化期待や消費者心理の改善を映す指標の発表を受け、小売関連株などに買いが広がった。終値は前日比43ドル97セント(0.4%)高の1万2273ドル26セント。週間では2週連続の上昇となった。

一方、ニューヨーク外国為替市場で円相場は続落し、前日比25銭円安・ドル高の1ドル=83円40〜50銭で取引を終えた。ムバラク大統領の辞任発表直後に一時ドル買いが優勢となり、欧州の財政懸念もドルを買う流れを後押しした。



 
 
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英首相「友人エジプトを可能な限り支援」

2011/2/12 10:51

【ロンドン=上杉素直】英国のキャメロン首相は11日、エジプトのムバラク大統領辞任を受け、「タハリール広場で勇敢かつ平和的に自国の変革を叫んだ人々にとって素晴らしい日になった」と語った。「友人であるエジプト、そしてエジプトの人々に対して、我々は可能な限りどんな支援もしていく準備がある」とも表明した。

さらに「今日起きたことは最初の一歩にすぎない」と指摘。「エジプトの国家運営の担い手は人々の希望を反映していく義務がある。開かれ民主的で自由なエジプトに変わるための民主主義化の動きが必ずなければいけない」と強調した。



 
 
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「ムバラク氏の勇断に敬意」 仏大統領が声明

2011/2/12 10:52

【パリ=古谷茂久】フランスのサルコジ大統領は11日、エジプトのムバラク大統領の辞任について「仏は(大統領の)勇敢な、必然の決断に敬意を表する」などと歓迎する声明を発表した。エジプトの新指導者に対しては「エジプトを自由で多元的な社会へと導く改革を、可能な限り早期になし遂げるよう励ましたい」とし、同国民には「自由への歩みは非暴力を貫いてほしい」などと訴えた。

ドイツのメルケル首相は11日、「非常に喜ばしい。ただ最終的には自由な選挙が行われなければならない」との声明を出した。



 
 
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EU「文民政権へ国内対話を」 エジプト情勢で声明

2011/2/12 10:59

【ブリュッセル=瀬能繁】欧州連合(EU)は11日、エジプトのムバラク大統領の辞任について「民主主義への秩序だった移行への道を開いた」と歓迎するとともに、「いま幅広い基盤に基づく文民政権樹立へ(エジプト国内の)対話を加速することが重要」との声明を発表した。

体制移行の間に重要な役割を果たすとみられるエジプト軍には「平和的な方法で民主的な変化を確保するように責任を持って行動する」よう求めた。声明はファンロンパイ大統領(首脳会議の常任議長)、バローゾ欧州委員長、アシュトン外交安全保障上級代表の3者の連名だ。



 
 
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菅首相「民主的政権誕生を期待」

エジプトの邦人保護に万全

2011/2/12 11:27

菅直人首相は12日、エジプトのムバラク大統領が辞任したことに関して「エジプト国民の平和的な政権交代を求める活動が、新しい展開を示していることに敬意を表したい。民主的に新たな政権が誕生することを期待している」と述べた。首相公邸前で記者団の質問に答えた。

政府は今後の政権移行を注視するとともに、引き続き現地にいる邦人の保護に万全を期す考えだ。外務省によるとエジプトの邦人観光客はほぼ全員が出国済み。在留邦人の多くも国外に退去し、残っているのは企業の管理者や報道関係者、大使館員など約400人だという。



 
 
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エジプトの日本企業「ひとつの節目過ぎた」 推移見守る

2011/2/12 12:30

エジプトのムバラク大統領が辞任したことに対し、日本企業からは事態の推移を見守りたいとする声が相次いだ。日立製作所グループは現地販売会社の駐在者など20人弱の日本人社員のほぼ全員をエジプト国外に退去させているが、今後の対応については「状況を見て判断したい」とするにとどめた。カイロ郊外で工場建設を予定している東芝も「状況を注視したい」としている。

住友電気工業子会社でエジプトに自動車用組み電線(ワイヤハーネス)の生産拠点を持つ住友電装は「現地の状況を現在確認中」という。情勢の混乱を受け停止した工場の操業は今月4日から一部再開している。

8日からカイロ事務所を再開していた三菱商事は「ひとつの節目が過ぎたことは確か。早期の政情安定化を望みたい」と早期の政情安定へ期待するが、引き続き事態の推移を見守りながら業務を継続する考えだ。



 
 
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エジプト軍「政府に代わるつもりはない」 民主化を約束

2011/2/12 13:13

【カイロ=花房良祐】エジプトのムバラク大統領が11日に辞任し、大統領権限を軍の最高評議会に移譲した。エジプト軍の最高評議会は11日、「国民の要望を実現するための改革案を策定し、近く発表する」と表明、早期の民主化を約束した。今後は次期大統領の選出を巡る民主化プロセスが焦点となる。

スレイマン副大統領は11日、「国が直面する困難な状況を考慮し、大統領は軍最高評議会に権限を移譲した」と話した。直後に軍は「国民が求める正統な政府に取って代わるつもりはない」との声明を発表。早期に民主的な政権の樹立を目指す意向を示した。

最高評議会は軍の首脳会議で、タンタウィ国防相がトップを務める。今後は国防相が主導権を握る可能性もある。ムバラク大統領辞任後のスレイマン副大統領の役割は明らかになっていない。

憲法上は大統領職が空席となってから60日以内に大統領選を実施するが、軍が権力を掌握したことで選挙の時期は不透明となった。軍が人民議会(国会)を解散するとの見方も浮上しており、民主的な政権に円滑に移行するかは定かではない。

エジプト軍は米国政府から年13億ドル(約1080億円)の軍事援助を受け取っており、緊密に連携する間柄。エジプトの一連の政治危機の最中もタンタウィ国防相はゲーツ国防長官と5回も電話会談した。民主化プロセスの中で軍は親米穏健派路線を志向していくとみられる。

野党のムスリム同胞団は「(国民に銃を向けないという)約束を守った軍に敬意を表する」と述べ、軍の役割を歓迎した。新ワフド党幹部は英BBCに「(大統領の任期の)9月より前の大統領選もあり得る」との見方を示した。

カイロ中心部のタハリール広場に集まっていた数十万人のデモ隊は、大統領の辞任が伝わると、深夜まで自動車のクラクションを鳴らしたり、花火を打ち上げたりするなど喜びにわいた。

チュニジア政変に触発されてエジプトでは1月25日から連日抗議デモが続いていた。ムバラク大統領は9月の大統領選挙への不出馬を表明していたが即時辞任要求は収まらず、抗議デモ開始から18日目に退陣を余儀なくされた。



 
 
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エジプトのムバラク大統領が辞任を発表、軍が権限掌握

2011.02.12 Sat posted at: 09:01 JST

カイロ(CNN) エジプトのホスニ・ムバラク大統領が11日に辞任し、軍の最高評議会に権限を渡した。約30年にわたるムバラク氏の強権支配は、1月25日に始まった大規模な民衆デモにより、ついにその幕を閉じた。

スレイマン副大統領は11日に国営テレビを通じ、ムバラク氏の辞任と、今後は軍最高評議会が国家運営を担うことを発表した。

ムバラク氏は10日夜に行ったテレビ演説で、大方の予想通り、大統領としての権限をスレイマン副大統領に移譲する一方で大統領としての地位にはとどまる意向を示していた。しかし翌11日、この発表に失望した民衆によるデモがカイロなどの主要都市で激しさを増したことから、辞任を決断したとみられる。

辞任の発表を受け、カイロ市内では数万人の市民が歓声を上げ、街は興奮に包まれた。デモ隊からは「エジプトは自由だ」「神は偉大だ」との声が上がり、人々が国旗を振ったり、クラクションを鳴らしたり、花火を打ち上げたりする光景も見られた。

エジプトと同盟関係にある米国のオバマ大統領は、エジプト軍の責任ある行動を称賛するとともに、エジプト当局は市民の権利保護、非常事態令の解除、憲法や法律の改正、自由かつ公正な選挙への地ならしに着手する必要があるとの考えを示した。



 
 
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中東各地で祝意の行動や声明相次ぐ、ムバラク体制崩壊

2011.02.12 Sat posted at: 15:47 JST

(CNN) アラブの大国エジプトのムバラク大統領が反政府デモのうねりで11日、辞任に追い込まれたことは中東各地で大きな反響を呼び、エジプト国民への共感や祝意を示す行動や声明が相次いだ。中東には強権国家が多いが、チュニジアやエジプトでの政権打倒を目指す国民蜂起に触発され、イエメン、ヨルダンなどでも政府批判のデモが起きていた。

エジプトと平和条約を締結するイスラエルでは、主要テレビ局2局がスレイマン・エジプト副大統領によるムバラク氏辞任の発表や反政府デモ隊が集結するカイロ・タハリール広場の模様などを実況中継し、エジプト政変がイスラエルの今後の政策に及ぼす影響を中東問題専門家らが論じ合った。同国北部のハイファでは数十人がエジプト国旗やパレスチナ旗を路上で掲げ、車の警笛を鳴らすなどした。

イスラエル政府は声明を発表していない。ただ、米ニューヨークに本部がある有力なユダヤ人団体は、エジプトの主要野党勢力であるイスラム組織の「ムスリム同胞団」が政権移行で果たす役割への懸念を表明した。

イスラム組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザでは、パレスチナ住民がムバラク氏辞任を祝って路上に繰り出し、銃を空に向けて発砲するなどした。ハマスの報道担当者はパレスチナ人の勝利にも相当するとし、エジプトの新指導部がガザへの経済封鎖を解除することなどを期待した。

エジプトと対立するイランでは、国営通信がメフマンパラスト外務省報道官の談話を伝え、「欧米が求める形ではない新たな中東が誕生しつつある。これはイスラム教の覚醒(かくせい)に基づく」とした。プレスTVは、エジプトの歴史をつくった国民の正義を求める勇敢な行動を支持するサレヒ外相の声明を報じた。

レバノンの首都ベイルートではムバラク体制崩壊を喜ぶ目立った騒ぎはなかったが、イランやシリアが肩入れするイスラム組織ヒズボラの軍事部門が拠点を築くレバノン南部などでは数百人の住民が花火を打ち上げ、銃を上空に発砲した。ハマスの報道担当者はエジプトの老若男女の国民の結束を称賛、「血は剣より強いことを示した」とたたえた。

イエメンの野党陣営はエジプト革命を受け中東の地図が変わるとし、圧制や力の行使は体制の維持につながらないことを証明したと指摘。ヨルダンのジュデ外相はエジプト国民の自由な選択を尊重すると表明。アラブ首長国連邦(UAE)政府は、エジプトの軍最高評議会が国民の願いや希望を実現させる国政を進めることを信頼しているとの声明を発表した。



 
 
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「我々が政権倒した」大統領府前、市民が歓喜 エジプト

2011年2月12日1時19分

【カイロ=古谷祐伸、前川浩之】「我々が政権を倒した」。エジプトの反政府デモの拠点、タハリール広場では、大統領辞任の報が伝わると集まっていた人たちが一斉に喜びの声を上げた。金曜礼拝にあわせた3回目の金曜デモ「勝利の金曜日」で、この日は約15キロ離れた大統領府前にもデモが広がっていた。

「逃げようとしてもそうはいかない。捕まえて資産を没収しないといけない」。無職のアブドル・アジズさん(26)は広場でそう叫んだ。AP通信によると、野党勢力の指導者として期待されているエルバラダイ国際原子力機関(IAEA)前事務局長は「人生で最良の日だ」と述べた。

大統領府前には数万人が集まっていた。医師タレク・ワヒドさん(26)は、広場を飛び出して仲間と一緒にやってきた。ワヒドさんらを動かしたのは、権力の座に居座り続けようとする大統領への憤りだ。

「こうなったら、国営テレビを制圧し、大統領府にも押し入るしかない」。10日夜、広場の民衆デモの「組織委員会」で責任者を務めるアフマド・ナギーブさん(34)は大統領の演説を聴き、そうぶちまけた。

最大野党勢力ムスリム同胞団所属という元国会議員モフセン・ラーディさん(43)は「(演説を受け)民衆のパワーは高まり、『革命』に有利な状況にある」と話す。

野球場二つ分ほどの大きさのタハリール広場は、すでに市民の怒りを押し込めておくには狭くなっていた。

30年間続いた強権支配の崩壊という歴史的な瞬間を体験しようと、若者から家族連れまでさまざまな人たちが集まり、身動きが取れないほどだ。

大学生オマル・マグディさん(25)は10日に初めて広場にやってきた。「ムバラクは独裁者で今まで怖かった。辞めると聞いたから、もう大丈夫だと思った。歴史的な夜に何が起きるかを現場で見たくて」

参加者は運動の勢いをそがないように、混乱を避ける工夫も始めている。

広場では多くのボランティアの男性が手をつなぎ、群衆を動かす誘導路を作っている。意見を訴えるための即席ステージがいくつもできた。広場中心部の外資系高級ホテル建設現場にあるトイレでは、エジプトでは珍しく順番待ちの列ができている。11日の大規模デモに備え、広場北側には新たに急ごしらえのトイレもできた。

音楽が鳴り響き、マイクを通したシュプレヒコールに交じって、パンやお菓子を売る屋台の声も飛ぶ。付近のカイロ市民からの差し入れを配る「配給所」もあり、チーズにパン、ジュースにツナ缶などをひとまとめにしたものを無料で配る。運営者の一人、マハムーズ・オフマンさん(22)は「こういう時こそ団結が必要です」。

広場の一角の芝生部分の通称「テント村」も健在だ。市民が持ち込んだビニールシートを、木などにくくりつけた簡易なものだが、連日泊まり込みを続ける男性は「家に帰っても電気や水が来ない時も多い。どうせ同じだ」と笑顔だった。



 
 
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「エジプトの人々に敬意」 EU外相、市民たたえる

2011年2月12日1時31分

【ブリュッセル=井田香奈子】欧州連合(EU)のアシュトン外交安全保障上級代表(EU外相)は10日、エジプト情勢をめぐり、「平和的に民主的変革へのキャンペーンをするエジプトの人々に、EUは敬意を表する」との声明を出し、市民をたたえた。

アシュトン氏は、ムバラク大統領の10日の演説については、「ムバラク氏はより早く深みのある改革への道をまだ開いていない」として対応が不十分だと批判。早期にエジプトを訪問する意向も示していた。



 
 
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ムバラク大統領が辞任 エジプト軍、権限掌握

2011年2月12日3時5分

【カイロ=貫洞欣寛、古谷祐伸】エジプトのスレイマン副大統領は11日、ムバラク大統領が辞任し、軍の最高評議会に権限を渡したと発表した。ムバラク氏は10日夜(日本時間11日朝)にテレビ演説し、大統領としての権限をスレイマン副大統領に移譲すると発表。同時に、大統領としての地位にはとどまる意向を示していた。だが、即時辞任を求める大規模デモが11日も起き、激しさを増したことなどから、辞任を決断したとみられる。

スレイマン副大統領は「ホスニ・ムバラク大統領は辞任を決め、国家運営のための権限を軍最高評議会に移譲する」と述べた。

中東の地域大国エジプトで5期30年にわたり強権支配を続けてきたムバラク氏が大衆行動によって追いつめられ、退陣したことは、今後の中東各国の情勢に大きな影響を与えることになるとみられる。カイロ市内では発表直後、一斉に車のクラクションが鳴り、タハリール広場のデモ隊は歓声を上げて大騒ぎとなった。

エジプト憲法では、大統領が辞任して空位となったり、永続的に職務執行が不可能となったりした場合は、人民議会議長か憲法裁判所長官が権限を代行する規定となっており、軍部が憲法を一時的に停止する可能性がある。スレイマン氏は、自らの処遇については触れなかった。

ムバラク氏は10日のテレビ演説で、「憲法規定に従い、権限を副大統領に移譲する」と述べる一方、「責任を担い続ける」「(任期の)9月までの間に権力の平和的な移行を進める」と語り、今後も大統領の座にはとどまる考えを示していた。さらに「私はこの国で生まれ、この国で死ぬ」と述べ、メディアなどで取りざたされている「辞任後出国する」との見方を否定した。スレイマン副大統領も演説で、デモ隊は帰宅し、職場などに戻るよう呼びかけた。

一方、エジプト軍最高評議会は11日、声明を発表し、(1)混乱収束後直ちに非常事態令を解除(2)総選挙の結果に関する不服申し立ての受理(3)憲法改正(4)自由で公正な大統領選挙の実施−−を保証するとした。さらに、権力移行が完結するまでは市民の要求に真剣に向き合い、デモ参加者を訴追しないことなどを確約した。

だが、ムバラク氏の即時辞任を求める野党勢力やデモに参加する市民らは大統領演説に猛反発。11日のイスラム教金曜礼拝後に「勝利の金曜日」と名付けた大規模デモを行った。退陣要求デモの拠点、カイロ中心部タハリール広場には20万人を超えるとみられる市民が集まり、北部アレクサンドリアなど各地でデモが行われた。

スレイマン副大統領に対しては「最側近としてムバラク強権体制を支えてきた」との批判があり、辞任を求める声も強かった。スレイマン氏が今後も副大統領など政府の顔として残った場合、抗議デモが沈静化するかどうかは不透明。

アルジャジーラなどによると、ムバラク氏は11日、家族とともにシナイ半島の紅海に面した高級リゾート地、シャルムエルシェイクに入ったという。シャルムエルシェイクはムバラク氏の肝いりで開発が進められ、各種の外交交渉や国際会議を誘致。ムバラク氏は昨春ドイツで「胆嚢(たんのう)の摘出手術」を受けた後、しばらく同地で静養していた。

今年に入りムバラク即時退陣を求めるデモが続くようになってから、米国政府筋などの情報として「スレイマン副大統領に権限を移譲し、ムバラク氏はシャルムエルシェイクかドイツで静養生活に入る」との観測が出ていた。



 
 
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オバマ氏、ムバラク氏辞任を歓迎「人々の声にこたえた」

2011年2月12日11時3分

【ワシントン=望月洋嗣】オバマ米大統領は11日、エジプトのムバラク大統領辞任について「変化を渇望するエジプトの人々にこたえた」と歓迎する声明をホワイトハウスで読み上げた。今回の事態でエジプト軍部が果たした役割を評価し、公正な選挙につながる政権移行プロセスを支えるよう促した。

オバマ氏は「エジプトの人々が声を上げ、その声が受け入れられた。エジプトはもう後戻りはしない」と、反政権デモが掲げてきた民主化要求を高く評価した。長年、米国の中東政策に協力してきたムバラク氏の失脚で、中東地域が不安定化する懸念も指摘されるが、オバマ氏は「民主主義的なエジプトは、地域と世界で責任ある指導力を発揮すると確信する」と主張した。

今回の反政府デモで、若い世代がフェイスブックなどのネット上の交流ツールを使って活動を拡大した点も評価。「非暴力と道徳の力が、歴史の弧を正義の方向に曲げた」と語り、冷戦終結につながったベルリンの壁の崩壊や、ガンジーの非暴力運動になぞらえて、エジプト市民をたたえた。



 
 
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英「国まとめる機会」仏「勇気ある決断」 辞任受け声明

2011年2月12日11時15分

エジプトのムバラク大統領が11日夜(日本時間12日未明)に辞任したことを受け、各国首脳や国連からは歓迎や称賛の声明が相次いだ。欧米諸国からは、これからの民主化や公正な選挙、文民統制への移行を求める注文もついた。

   ◇

【ロンドン=伊東和貴】キャメロン英首相は11日、ムバラク大統領の辞任について「エジプトは国を一つにまとめる貴重な機会を手に入れた」と称賛した上で、「これは最初の一歩に過ぎない。統治層には民衆の願いを反映する義務がある。文民統治への移行が必要だ」とクギを刺した。

   ◇

【パリ=稲田信司】フランスのサルコジ大統領は11日に声明を発表し、ムバラク大統領辞任について「勇気ある不可欠な決断」と評しつつ、「歴史的瞬間を祝福する」と歓迎した。また、新体制に対しては「自由で透明な選挙による民主的制度を確立するよう熱望する」と促し、反政権運動への参加者らに対し、非暴力的な手段で変革を求めるよう自制を呼びかけた。

   ◇

【モスクワ=副島英樹】ロシアのラブロフ外相は11日、ムバラク大統領の辞任を受けて、「今回の最新の出来事が、安定の回復と国家機構の機能正常化につながり、現政府だけでなく野党勢力も、情勢を安定化させる用意があることを示すよう期待する」と記者団に述べた。

   ◇

【ニューヨーク=丹内敦子】エジプトのムバラク大統領の辞任について、国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は11日、「エジプト国民の幅広い利害を包括する、難しい決断を下されたことを尊重する」と歓迎し、暫定政権には関係者らと連携して今後の対応を明確に示すように促す声明を発表した。

国連本部で記者団に語った。潘氏は平和的な政権移行や自由で公平な選挙の重要性を強調。その上で、「エジプト国民は平和的に忍耐強く、整然と、正当な権利を行使した」と、大規模な武力衝突に至らずに政権移行にこぎ着けたことを称賛した。



 
 
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我々の新たな時代が始まる ムバラク氏辞任、歓喜の歌

2011年2月12日11時51分

「自由、解放、勝利」

11日午後6時過ぎ、ムバラク大統領退陣の一報が伝わると、カイロ中心部のタハリール広場を埋め尽くした群衆はどよめき、続いて歓喜の声がわき上がった。

即時辞任を求める連日の民衆デモにもかかわらず、ムバラク氏は前夜の演説で政権への居座りを宣言。この日、広場に集まった群衆の怒りは頂点に達し、「ムバラクよ、立ち去れ」との叫び声がこだましていた。

そこに飛び込んできた突然の「吉報」は、広場の各所に設けられた演説台のスピーカーや携帯電話のメールなどを通じ、瞬く間に広場全体に伝わった。肩を組んで踊り出す若者、抱き合いながら涙を流す母子。打ち振られる無数の国旗。その中で、白髪の男性が身動き一つせず、天を仰いでいた。

興奮状態から落ち着きを取り戻し始めた午後8時過ぎ、一人の男性が演説台で即興の曲を披露した。

ムバラク治世の30年

抑圧された日々

苦しかったろう

だが、独裁者はもういない

自由を取り戻した今日

我々の新たな時代が始まる

哀愁を帯びた旋律に、市民らはそれぞれの思いをかみしめながら聴き入った。

   ◇

ムバラク大統領の即時辞任を求めるエジプト民衆のデモは11日、拠点のタハリール(解放)広場から、権力の象徴である大統領府前へと広がった。その直後に大統領は退陣。30年にわたる強権支配からの解放を、市民は自らの力でつかんだ。

タハリール広場から約15キロ離れた大統領府。11日午後1時前、イスラム教の金曜礼拝を終えた人々が続々と、大統領府の裏手の路上に集まり始めた。午後3時ごろには、大統領府に面した片側2車線の道路が約500メートルにわたり埋め尽くされた。

デモが始まって18日目。大統領府はカイロ中心部から遠く、警備も厳しいことなどから、これまではデモの現場にはほとんどならなかった。だが、ムバラク大統領が10日のテレビ演説で即時辞任を拒否したことで、民衆の怒りは頂点に達した。

大統領府周辺には有刺鉄線の柵が張り巡らされ、向こう側から何台もの戦車が砲身をこちらに向けている。緊迫した雰囲気の中で、警備する兵士らとデモ隊とのにらみ合いが続いた。

だが午後5時過ぎ、雰囲気が変わり始めた。戦車がそろって砲身を横に向け、さらに兵士が戦車に国旗を取り付けたり、デモで犠牲になった若者の遺影を戦車の上に飾ったりした。群衆と連帯するかのような動きにデモ隊から拍手が起こり、「革命だ。今日は最後の日だ」との声がわき上がった。

ムバラク退陣のニュースがラジオなどを通じてデモ隊に伝わったのは、それから約1時間後。言葉にならない歓喜の叫び声が続き、人々は跳び上がり、抱き合った。

ムバラク氏はこの日、カイロを脱出し、シナイ半島のリゾート地シャルムエルシェイクに入ったという。

大学生のワリド・サラーマさん(22)は「エジプトを誇りに思う。これで初めてまともな選挙を経験できる。正直ほっとしたね」と、興奮気味に話した。

大統領府前のデモ隊はその後、続々とタハリール広場に向かった。仲間と合流し、夜を徹して祝福するためだ。

大群衆が集うタハリール広場も、興奮の渦に包まれていた。花火が打ち上げられ、市民らが「胸をはろうぜ」と声をかけ合う。中立を守ってきた軍の兵士らに握手を求め、兵士らも子どもを抱えあげて戦車の上で記念撮影に応じた。

教育省で働くイブラヒムさん(47)は「小学校で中退する子をゼロにしたい」。地元紙のカメラマン(48)は「これからは秘密警察におびえず、政府の問題を指摘する写真を紙面に載せることができる」。広場の市民らは口々に未来への希望を語った。

ムバラク氏の退陣が実現したとはいえ、今後の政局や社会情勢がどう推移するのかはまだ不透明だ。

「でも、今日だけは素直に喜ばせてくれ。この瞬間をどれほど待ちわびたことか」。中学校教師の男性(35)は感極まった様子で話した。(カイロ=井上道夫、古谷祐伸)



 
 
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スイス、ムバラク氏一族の資産凍結指示 5兆円報道も

2011年2月12日13時9分

【カイロ=前川浩之】エジプトのムバラク大統領が辞任したことを受け、ムバラク氏の巨額の金融資産が存在する可能性が取りざたされてきたスイスが11日、ムバラク氏と家族、ムバラク氏側近ら12人を対象に、スイス国内の銀行などにある資産を最大3年間凍結する政令を出した。「国有財産の横領を防ぐため」としている。

カルミレイ大統領が11日付で政令を出した。ムバラク氏や次男ガマル氏ら一族7人のほか、国外逃亡が疑われているマグラビ前住宅相や、人権侵害の疑いで訴追準備が進むアドリ前内相ら政権幹部5人の計12人を名指しし、スイス国内のすべての金融機関に調査と、判明した銀行口座の預金や有価証券などのすべてを凍結するよう命じた。

スイス政府は「額は確定していない」とした。英紙ガーディアンは2月初旬、中東専門家の話として、ムバラク一族が持つスイスの口座や英ロンドンの不動産などの資産の合計は最大約700億ドル(約5兆8千億円)と推定されると報じている。

スイスの銀行は、顧客情報を第三者に漏らすと刑事罰になる銀行法を悪用した途上国の独裁者らの資金の受け皿になってきた。イメージ改善を図るため、スイスは今年から新法を施行。凍結資産の持ち主の国家元首らが、国有財産横領で有罪とされた場合などには、その国の国民に還元できる仕組みを導入した。

今回のムバラク氏の資産を巡っても、スイス政府は新法に基づいて今月初めに調査を開始。資金の出入りを監視し、辞任時の凍結に備えていた。先月には、民衆デモで倒されたチュニジアのベンアリ前大統領や、選挙結果を受け入れずに居座るコートジボワールのバグボ大統領の資産も同様に凍結している。



 
 
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エジプト軍「選挙で新政権」 一時的な権限掌握を強調

2011年2月12日15時0分 印刷

【カイロ=貫洞欣寛】エジプトのムバラク大統領の辞任に伴い、大統領の全権を受け継いだ軍最高評議会は11日夜(日本時間12日未明)、「評議会は国民が選挙で選ぶ正統な政府の代わりとなるつもりはない」とする声明を出した。軍の権限掌握は民主化に向けた一時的な措置との考えを強調しており、新たな政権づくりへの道筋を示せるかが今後の焦点となる。

「声明第3号」と名付けられた声明は、「国民の要望を達成するための諸方策を検討している」として、民政移行のために具体的にどのようなシナリオを描いているのか示していない。また、デモを主導した野党勢力への対応などについても触れていない。

ただ、評議会はムバラク氏の退陣が明らかになる前の11日午前に発表した「声明第2号」で、(1)混乱収束後の非常事態令の解除(2)総選挙の結果に関する不服申し立ての受理(3)憲法改正(4)自由で公正な大統領選挙の実施−−を保証。さらに、権力移行が完結するまでは市民の要求に真剣に向き合うとしており、軍が民主化プロセスの後見役を担うとの姿勢を示している。

エジプト憲法では、大統領が辞任した場合は人民議会議長が権限を代行し、議会も解散した場合は憲法裁判所長官が代行する規定となっている。人民議会のスルール議長はムバラク氏の側近で、大統領選の立候補資格制限を発案した一人として国民の批判が強く、暫定大統領となればデモがさらに激しくなりかねない。また、スレイマン副大統領に対しても即時辞任を求める声が強く、ムバラク体制を支えた側近らをどう処遇し、関与させるのかも大きな課題となる。

退役軍人の軍事アナリスト、サフワト・ザイヤード氏は「軍は、スレイマン氏を続投させてデモを続ける国民に銃を向けるか、スレイマン氏らを使わず独自に移行政府をつくるかのどちらかを選ぶことになる。後者を選ぶだろう」との見方を示した。

一方、野党勢力はムバラク氏退陣と軍への全権移譲を歓迎している。最大野党のイスラム組織ムスリム同胞団は「独裁者を取り除いたことを神に感謝したい。軍の権限掌握は、市民社会づくりのための一時的な措置であると確信している」とコメントした。

民主化運動指導者エルバラダイ前国際原子力機関(IAEA)事務局長は「この日を何十年も待っていた。軍と市民が協力し、自由で公正な選挙を準備したい」と話している。



 
 
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エジプト軍、現内閣を暫定維持 対イスラエルは友好路線

2011年2月13日5時2分

【カイロ=貫洞欣寛、北川学】ムバラク大統領の辞任に伴い、全権を受け継いだエジプト軍最高評議会は12日、声明を出し、現内閣を暫定内閣として機能させ、すべての国際条約を順守すると発表した。イスラエルなどとの友好関係はこれまで通り維持することを示し、国際社会が抱く中東地域の不安定化への懸念を払拭(ふっしょく)する狙いがあるとみられる。

「第4号」と題した声明で、「現在の内閣と知事は新政府発足まで任務を続ける」とし、シャフィク首相(空軍出身)らを暫定内閣として維持させる考えを示した。ムバラク氏は市民からの辞任要求をかわすため1月末、全閣僚をいったん更迭し現内閣を発足させていた。

ただ、声明は、ムバラク氏から大統領権限を移譲されたスレイマン副大統領の処遇については触れていない。スレイマン氏は軍が全権を掌握したことで、事実上すべての権限を失ったとの見方が出ている。

声明はさらに、「これまでのすべての声明を順守する」とも述べている。軍最高評議会はムバラク氏が辞任した11日夜、「国民が選挙で選ぶ正統な政府の代わりとなるつもりはない」と声明を出し、軍による全権掌握は選挙で選ばれた新政府発足までの一時的な措置との考えを示している。その姿勢を改めて強調することで、軍が政権に居座る考えがないことを国内外に強調する狙いがあるとみられる。

また、治安維持のため、市民に対して警察への信頼回復と協力を求めている。

さらに、声明はすべての国際条約の順守を確約。具体的な言及はないものの、エジプトが1979年にイスラエルと締結した平和条約も含まれるとみられる。親米路線のムバラク政権の崩壊に伴い、米国などはエジプトとイスラエルの関係悪化を懸念していた。

一方、家族とともにシナイ半島の海洋リゾート地シャルムエルシェイクに入ったムバラク氏の動向は、その後伝えられていない。

デモの拠点となったカイロ中心部タハリール広場では12日、参加者が撤収作業を始めた。ムバラク派との衝突の際に使われた石やれんがの破片、泊まり込みのために使った毛布などが運び出され、清掃も行われた。

国営テレビによると、これまで午後8時〜翌朝6時の外出禁止令は、同日から午前0時〜同6時に緩和された。



 
 
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青年の涙、ネットで共感 エジプト、よみがえったデモ

2011年2月13日5時4分

18日間にわたるデモでエジプトのムバラク大統領を辞任に追い込んだのは、若者たちがインターネットを通じて結集した結果ともいえる。「革命」に決定的な役割を果たした一人は、ワエル・ゴネイムさん(30)だった。

検索サイト「グーグル」のドバイ駐在社員としてインターネット技術に精通。匿名で立ち上げたフェイスブック上のグループ「ハレド・サイード連帯」で1月25日のデモを呼びかけてエジプトに帰国したところを、拘束された。

「ハレド・サイード連帯」は、昨年6月に北部アレクサンドリアのネットカフェで身分証明証の提示や所持品検査を拒否したために警察官の暴行を受けて死亡し、圧政による理不尽な犠牲の象徴となった28歳の青年の名を冠した。フェイスブック上の賛同者は70万人を超えている。

ゴネイムさんは、釈放された今月7日夜、テレビ局のインタビューで、自分の呼びかけたデモで命を落とした若者たちの写真を見て絶句。「僕は安全なところからキーボードをたたいただけだ。英雄は街頭にいるあなたたちだ。権力にしがみつくやつらが悪いんだ」と泣きながら語った。

これが共感を呼び、映像サイトのユーチューブに転載され、フェイスブックでは「僕らはゴネイムを信じる」という新たなグループができた。先行きが見えず、参加者が減りつつあったデモが、匿名をかなぐり捨てた青年の涙で、息を吹き返した。

10日のデモが初参加だった医師タレク・ワヒドさん(26)は「ワエルさんのような有能なエジプト人が、母国を愛して行動している。デモに参加して殺され、けがした人々もいる。自分も何かしなければと思った」と話した。

無党派の若者主体の民主化運動グループ「4月6日運動」もデモ動員の土台をつくった。2008年4月6日、北部の工場であった賃上げストに連帯したデモをフェイスブックなどで呼びかけたのを原点とするグループだ。中心となる学生らはその後、複数のデモにかかわり、一定の経験を積んできた。賛同者の多くは「ハレド・サイード連帯」と重なっている。

こうした若者の力を政権側は当初、軽視していたようだ。4月6日運動の呼びかけを見て1月25日のデモに加わり、その夜から3日間、治安当局に拘束された大学生(23)は「どこの国にカネをもらった」「お前はイスラム過激派か」と尋問を受けた。「ネットでデモを知り、加わった普通の若者が中心だということを、体制側は理解できていなかった」と話す。

国連によると、エジプトの人口約8400万人の52%が24歳以下だ。世界銀行の資料では、05年のエジプト男性の15〜24歳の失業率は23%に達し、全世代の平均値の2倍以上。若者らの不満は爆発寸前だった。

11日、ムバラク氏辞任が決まり、大統領府前で大喜びしていた、白髪頭の元テレビ局員ナセル・イブラヒムさん(55)は興奮気味に語った。

「エジプトは、本当の民主主義を知らずにきた。僕らの世代は、こんなことができるなんて想像すらしなかった。世界に通じる価値観を求め、それを実現する知識も持つ若者たちの新しい精神は、宗教や世代の違いを越えて伝わったよ。多分、最後にはムバラクにもね」(カイロ=貫洞欣寛、古谷祐伸)



 
 
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独裁30年、ムバラク政権崩壊…軍が全権掌握

【カイロ=新居益】エジプトのスレイマン副大統領は11日夜(日本時間12日未明)、国営テレビを通じて演説を行い、ムバラク大統領が辞任し、全権を軍最高評議会に移譲したと表明した。

AFP通信によると、大統領は11日、東部の保養地シャルムエルシェイクに移動した。これにより、30年にわたってエジプトに強権体制を敷いてきたムバラク政権は崩壊した。チュニジアで始まった政変は中東アラブの盟主エジプトでも体制崩壊につながった。周辺諸国に波紋が広がることは必至で、米国は対中東政策の根本的な見直しを迫られることになった。

スレイマン副大統領は声明で、「我が国が直面している困難な状況を勘案して、大統領は辞任を決意した」と述べた。ムバラク大統領は10日の演説では、「私は憲法と国民の利益を守る責任を負い続ける」とし、今年9月の次期大統領選まで職にとどまる意向を改めて表明し、即時辞任を拒否していた。

(2011年2月12日01時15分 読売新聞)



 
 
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「この瞬間待っていた」カイロ市民歓喜

【カイロ=佐藤昌宏】中心部のタハリール広場でムバラク辞任を求め続けた反体制デモの参加者たちは、大統領が辞任表明したとの情報が伝えられると、「我々はエジプト人としての誇りを持っている」と叫び、頭上でエジプト国旗を振っていた。

無職男性(55)は「この瞬間を待っていた。これで腐敗の時代はもう終わる。これからよい人生を送ることができるだろう。本当にうれしい」と叫んだ。

カイロ中心部の通りを走る車はクラクションを鳴らして喜びを表現した。30代のタクシー運転手は「ただ素直にうれしい。この国がどうなるかわからないが、これからきっと、いいことがあるだろう」と興奮気味に語った。

タハリール広場には11日午前までに十数万人が集結。大統領の出身地、北部ミヌフィーヤ県から来たという大工マフムード・バンナさん(53)は「昨晩はいらいらしてよく眠れなかった。ムバラクを裁判にかけ、すべての悪行を暴くべきだ」とまくしたてた。

カイロ大大学院の女子学生オラ・マフムードさん(21)は「ムバラク大統領が国民の要求と全く逆のことを言った。私たちはなめられていると感じた」と語気を強めた。

カイロの大統領府前でデモに参加した40歳代の男性は、「しょせんムバラクと軍は同じ穴のむじなだ。ただ、軍までは敵には回したくない」と小声で語り、軍主導の政権運営への不満をあらわにした。

(2011年2月12日03時02分 読売新聞)



 
 
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エジプト国民の声聞き届けられた…米大統領

【ワシントン=山口香子】オバマ米大統領は11日、エジプトのムバラク大統領の辞任を受けてホワイトハウスで声明を読み上げ、「エジプト国民は声を上げ、それは聞き届けられた。エジプトは、2度と同じにはならない」と述べ、平和的なデモを続けてきたエジプト国民を称賛した。

一方で、「これは移行の終わりではなく始まりだ。まだ不明な点が多くある」と指摘。大統領の全権を移譲されたエジプト軍部に対し、「国民にとって信頼できる移行を保証しなければならない」と呼びかけ、非常事態の即時解除や、憲法改正などに着手するよう求めた。また、「米国はエジプトの友人であり、パートナーであり続ける」と述べ、民主的な体制移行に支援を惜しまない考えを示した。

(2011年2月12日05時54分 読売新聞)



 
 
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「現代のファラオ」強権統治30年

30年間アラブの大国エジプトを強権統治したムバラク大統領は、「現代のファラオ(古代エジプトの王)」と呼ばれた。同国で1952年、クーデターにより王制が倒れた後、在任期間が最長の大統領となった。

ムバラク大統領は1928年、ナイル川河口のミヌフィーヤ県の寒村に生まれた。空軍士官学校を卒業後、パイロットになった。73年の第4次中東戦争では、空軍司令官としてイスラエル軍への奇襲攻撃で緒戦を率い、国民的英雄となった。75年、軍出身のサダト大統領の副大統領に任命され、81年のサダト暗殺を受け、大統領に就任した。

大統領就任後は、サダト氏が79年に実現したイスラエルとの和平合意を維持。一方、89年に除名されていたアラブ連盟に復帰した。親米路線を貫き、91年の湾岸戦争では米軍主導の多国籍軍に参加した。

(2011年2月12日07時43分 読売新聞)



 
 
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欧州首脳、反応様々…ムバラク大統領辞任

【ブリュッセル=工藤武人】欧州の首脳は11日、エジプトのムバラク大統領の辞任を評価する一方で、全権を掌握したエジプト軍の最高評議会に対し、民主的な体制への移行を着実に進めるよう求めた。

ドイツのメルケル首相は、「我々は皆、歴史的な変革の目撃者だ。エジプトの人々と喜びを分かち合いたい」と述べた。欧州連合(EU)のファンロンパイ欧州理事会常任議長(EU大統領)は欧州委員会のバローゾ委員長らとの共同声明で、ムバラク氏の辞任を「エジプト国民の声に耳を傾けた」結果と歓迎、ムバラク氏の退陣を求めてきたデモ参加者の「勇気」をたたえた。

英国のキャメロン首相は声明で「国家運営をする者には、エジプトの人々の願いを反映する責務がある」と指摘し、エジプト軍に民主的で自由な体制への移行に取り組むよう要請した。フランスのサルコジ大統領も「自由かつ透明な選挙に基づく民主主義制度の確立」に向けた措置を講じるよう呼びかける声明を出した。

(2011年2月12日11時43分 読売新聞)



 
 
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ムバラク大統領失脚、イスラエルに衝撃

【エルサレム=加藤賢治】イスラエルは、同国との平和条約(1979年)を順守してきたムバラク大統領の辞任に衝撃を受けている。

イスラエル政府高官は11日夜、本紙に「平和条約は両国にとって重要で、中東の安定化を保障するものだ」と述べ、今後もエジプト政府は同条約を堅持すべきだと強調した。しかし、「今後の政権がどのような性質になるのか、現時点で予測することは不可能だ」とも述べ、両国関係が極めて不安定な状況に陥ったことを認めた。

イスラエルはムバラク氏退陣で、今後、エジプトのイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」が台頭し、条約破棄を求める世論が高まることを最も警戒している。親米穏健派の中核的存在だったムバラク氏の失脚で、中東でイランやシリアなどの反米、反イスラエル勢力が勢いを増すのは避けられず、イスラエルは安全保障政策の見直しを迫られそうだ。

(2011年2月12日11時46分 読売新聞)



 
 
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スイス政府、ムバラク氏と家族の資産凍結

【ブリュッセル=工藤武人】ロイター通信によると、スイス政府は11日、エジプトの大統領を辞任したムバラク氏とその家族がスイス国内に保有する資産を即時凍結した。

銀行口座に加え不動産も対象となり、凍結期間は3年間。ムバラク氏がスイスに保有する資産総額などは明らかになっていない。同国外務省は、ムバラク氏の辞任直後に凍結措置を発動した理由について、「エジプトの国家資産が横領されるのを防ぐため」と説明している。

スイス政府は1月に、チュニジアの政変で国外逃亡したベンアリ前大統領の全資産も凍結している。

(2011年2月12日12時48分 読売新聞)



 
 
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エジプトは自由を取り戻した…笑顔の兵士と握手

【カイロ=佐藤昌宏】「ホスニ(ムバラク大統領)は去った。エジプトは自由を取り戻した」−−。

反体制派の牙城となった首都カイロ中心部のタハリール広場では、11日夕にムバラク大統領辞任の報が伝わると、一斉に歓声が上がり、エジプト国旗を振ったり、手をたたいて喜び合う人の輪があちこちに出来た。

家族で広場に来た会計士ウサマ・ヌルディーンさん(48)は「この喜びを国民みんなで分かち合いたくて駆けつけた。自分も新しい国造りに、ぜひとも参加したい」と興奮気味に語った。

ムバラク大統領は非常事態のもとで、政権批判を許さないなど国民の言論を厳しく統制した。腐敗がはびこり一部特権階級が富を独占、一方では職に就けない若者があふれた。

婚約者と来ていた銀行員アルア・ハーテムさん(22)は「デモで国は一時マヒしたけど、国民全員が協力すれば、経済の損失はすぐに取り戻せる。新大統領には、国民の声を聞いてくれる人がいい」と話した。

タハリール広場に11日夜集まった人は、4日の大規模集会の20万人を優に上回ったとみられ、歩くのもままならないほど。広場に入れない群衆が付近の路上にあふれ、車のクラクションや太鼓を鳴らすお祭り騒ぎは12日未明まで続いた。

(2011年2月12日13時33分 読売新聞)



 
 
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軍主導、政権移行協議は不透明な部分も

【カイロ=田尾茂樹】エジプトのムバラク大統領辞任を受け、今後は大統領から全権を移譲された軍が主導し、民主的な本格政権発足までの移行体制を担う。政権移行協議が円滑に進むかどうかは不透明な部分も多い。

大統領辞任で、18日間続いた民衆デモは、ひとまず収束に向かうとみられる。軍がこれまでの声明で、「改革を求める国民を妨げることはない」「自由で公正な選挙の実施を保証する」と強調し、国民の意思を尊重する姿勢を示していることを国民は好意的に受け止めている。

憲法規定では大統領が辞任した場合、60日以内に選挙を実施すると定められている。しかし、国民は、与党候補以外の立候補を事実上不可能にしている憲法の改正を強く要求しており、軍はまず、次期大統領選に向けた改憲作業を進めるとみられる。

その場合、どのような手続きがとられるかは現段階では不明だ。選挙の実施時期がいつごろになるか、選挙まで軍政を敷くのか、暫定政権を設けて選挙に備えるのか−−なども明らかになっていない。

(2011年2月12日13時43分 読売新聞)



 
 
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アラブ諸国指導者、変革の波を警戒

【エルサレム=加藤賢治】エジプトのムバラク大統領辞任を受け、アラブ諸国は体制変革の波が自国に及ぶ事態への警戒を強めている。

ロイター通信は11日、イエメンのサレハ大統領が同日夜、軍幹部らを緊急招集し、兵士や公務員の給与引き上げを協議すると伝えた。

同国では、今年1月のチュニジア政変以降、反政府デモが相次いでおり、政権の支持基盤である軍への待遇改善を図り、政情不安を抑え込む狙いとみられる。

湾岸の王制バーレーンは11日、各世帯に1000バーレーン・ディナール(約22万円)を支給することを決めた。同国では少数派のイスラム教スンニ派が支配層で、多数派のシーア派住民の不満が根強い。支給の表向きの理由は、民主化への「国民行動憲章」の10周年記念だが、14日に民主化デモが予定されており、体制への不満を和らげようとの意図があるのは明らかだ。

(2011年2月12日14時13分 読売新聞)



 
 
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軍全権は暫定措置、最高評議会が声明…エジプト

【カイロ=新居益】エジプトのムバラク大統領の辞任に伴い全権を移譲された軍最高評議会は11日、国営テレビを通じて声明を発表し、「今後のステップや手順に関して近く発表を行う」と予告した。

今後の大統領選や議会選の実施に向けたスケジュールなど民主的な本格政権発足までの道筋を示すものとみられる。軍主導による政権移行プロセスが始動した。

声明では、軍が「正統な政府」に取って代わることはないと言い切り、最高評議会による全権掌握はあくまで暫定的な措置であるとの立場を明確にした。その上で「我々は根本的な変化開始を真剣に望む国民の意思を理解しており、軍最高評議会が国民の期待をかなえるため検討を行っている」と強調した。軍が民衆の側についていることをアピールし、国民の協力を取り付ける狙いがあるとみられる。

(2011年2月12日14時15分 読売新聞)



 
 
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オバマ大統領も辞任歓迎「民政移管を早期に」

【ワシントン=黒瀬悦成】オバマ米大統領は11日、エジプトのムバラク大統領の辞任を受けてホワイトハウスで声明を読み上げ、ムバラク氏の辞任は「国民の変化の熱望に応えた」と歓迎の意を示した。

一方で、「政権移行はこれから始まる」と述べ、全権を掌握した軍部やエジプト国民に対し、民主化を確実に実行するよう促した。

オバマ大統領は、「エジプト国民の声は聞き届けられた。これからのエジプトは昔のエジプトではない」と語り、「この先、困難な日々が待ち受けているが、エジプト国民は(民主化に向けた)平和的で建設的な方策を見いだすと確信している」と激励した。

オバマ政権は、10日に即時辞任を拒否したムバラク氏が一転して辞任を決断し、エジプト国内での混乱拡大が食い止められたことを歓迎。今後は軍部に対し、円滑かつ平和的な政権移行に向け、非常事態の解除を求めると同時に、「憲法改正」や「自由・公正な選挙」に向けた具体的道筋を策定し、民政移管を早期に実現させるよう求めていく。

(2011年2月12日14時16分 読売新聞)



 
 
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国連総長「困難な決断に敬意」…エジプト情勢

【ニューヨーク=柳沢亨之】国連の潘基文(パンギムン)事務総長は11日、ムバラク・エジプト大統領の辞任について「国民の広範な利益に配慮した困難な決断に敬意を表する」と歓迎する声明を発表した。

事務総長はまた、全権を掌握した同国軍最高評議会に、「文民政権の早期樹立に向けた自由、公正かつ信頼できる選挙」の実施を求めた。

(2011年2月12日16時44分 読売新聞)



 
 
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エジプトと同じ方法で…イラン改革派がデモ計画

【テヘラン=久保健一】イランの改革派主要政党「イスラム・イラン参加戦線」は12日、エジプトのムバラク大統領辞任にあたり声明を発表。

その中で、「ムバラク政権とイランの権威主義的支配者は驚くほど似ている」と指摘し、「我々も(エジプトの反体制派と)同じ方法で戦っていく」と述べ、反政府デモ再開を目指す考えを示した。改革派は、14日に、エジプト反体制派を支持するデモを計画している。

イランのイスラム体制は、エジプトの反体制デモを支持し、その様子を国営テレビでも大々的に報道している。だが、ムバラク氏退陣が実現したことで、下火になっていたイラン改革派の反政府運動が再燃するかどうか注目される。

(2011年2月12日19時58分 読売新聞)



 
 
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エジプト軍「国際的義務守る」 イスラエル和平尊重姿勢

大統領辞任から一夜、声明を発表

2011/2/12 22:45 (2011/2/13 1:36更新)

【カイロ=岐部秀光】エジプトのムバラク大統領辞任から一夜明けた12日、権力を掌握した軍の最高評議会は声明を出し、国内の安定回復を急ぐ姿勢を打ち出した。シャフィク首相率いる現在の内閣が当面、存続して「すべての国際的な義務や条約を守る」と言明し、イスラエルとの平和条約を尊重する立場を確認。軍主導の統治を長期化させず、民主化を推進すると改めて確約し、中央・地方が一体となって早期に経済を軌道に乗せる必要があるとも強調した。

軍の介入による事態収拾に、多くの市民は今のところ好意的だが、軍からもたらされる情報は乏しく、先行きを不安視する向きもある。一部のデモ参加者は、内閣総辞職を求めており、軍が明確な道筋を示すまで活動を継続すべきだとの声もある。首都カイロではデモの中心となったタハリール広場になお数千人が残り、完全な秩序回復までなお曲折も予想される。

最高評議会の声明はテレビを通じて公表した。民主的な制度への平和的な移行を前面に出し、デモ拡大をうけた内閣改造で発足した現内閣の機能を暫定的に継続させるだけでなく、政権崩壊に伴う混乱が予想される地方政府にも業務継続と経済正常化への協力を指示した。

対イスラエル関係では強硬論への傾斜を懸念する国際社会も意識した。エジプトは4度の中東戦争を経て1979年、アラブ諸国の先陣を切ってイスラエルと平和条約を締結。イスラエルとの相互国家承認などを柱とした同条約の順守を打ち出し、ムバラク政権の外交路線を維持する立場を明確にした。イスラエルのシュタイニッツ財務相は12日、声明について「両国にとっての利益」になると歓迎した。

反政府デモによって混乱した国内各地の経済・社会は徐々に正常化しつつある。タハリール広場に軍が設置したバリケードが撤去され、戦車も通りから姿を消した。

営業停止を強いられていた商店の一部は営業を再開。国営テレビはカイロ、アレクサンドリア、スエズで午後8時からの夜間外出禁止令が午前0時からに緩和されると伝えた。ロイター通信によると、1月27日から取引を停止している証券取引所は16日に再開する。

今後の民主化プロセスでは民意を反映した大統領選挙を実現するための法整備が焦点となる。大統領辞任前にスレイマン副大統領と野党勢力が確認した合意が下敷きになりそうだ。

軍は1981年の発令以来続いている非常事態法について、治安の正常化を見極めたうえで解除に動くとみられる。AP通信によると軍は前政権関係者の出国を原則禁止した。ロイター通信によると、ムバラク氏に近かったフェキ情報相が12日、自宅で軟禁された。

アルアハラム紙などこれまで一方的に政府の立場を伝えることが多かった政府系メディアも12日、「若者たちの革命」による勝利をたたえた。

エジプト軍最高評議会が発表した措置

○軍最高評議会はこれまでのすべての声明を尊重する

○中央、地方が一体となって経済を回復軌道に乗せなければならない

○現在の政府および知事は新政権発足まで業務を遂行する

○エジプトはすべての地域的、国際的な義務と条約を順守する

○軍は選挙で選ばれた代表が国を統治する自由で民主的な制度への平和的な移行を期待している



 
 
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エジプト軍最高評議会とは

2011/2/12 13:29

▼エジプト軍最高評議会 国防・安全保障に関する最重要事項を決める会議。「体制の守護者」を自任するエジプト軍は長くムバラク政権の後ろ盾となってきた。メンバーには最高司令官の大統領のほか、国防相や各軍の司令官が名を連ねる。焦点の非常事態法の解除など国内の安定にかかわる問題にも大きな影響力を持つ。今回、ムバラク大統領は最高司令官も辞任、タンタウィ国防相が評議会のトップを務めることになる。2月10日の最高評議会ではムバラク氏が排除されており、軍がその時点で大統領に対し退陣を求めていた可能性も指摘されている。



 
 
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スイス:銀行天国時代の終わり

2011年2月12日付、ジュンヌ・アフリク誌

スイスは自国のイメージ回復を図ろうとしているが、銀行の秘密はまだその黄金時代がまだ当面続く様子である。

ホスニー・ムバラク氏、ローラン・バボ(「バグボ」と表記されることもある)氏、ズィン・エル・アビディン・ベン・アリ氏の資産凍結、「デュバリエ法」の施行等、スイス連邦はもはや独裁者たちの金庫番という役割を降りたいと願っている。特に、彼らが政権を失った時はなおのこと。

数ヶ月前、ジュネーブにおける不正取得財産返還に関する会議の際、記者会館の物静かな応接室で、ヴァロンタン・ゼルウィガー氏は集まったジャーナリストたちの前で悲痛な調子で語った。連邦外務省に属する国際公法局の局長である同氏の仕事は、とりわけスイスのイメージアップである。つまり、汚い金にまつわる「神話と真実」の選別をすることである。その任務は容易ではない。ゼルウィガー氏はジェームズ・ボンド映画の前々作、カジノ・ロワイヤルの中で、有名なイギリス人スパイの敵役が、明らかに不法な資金処理を、明らかにスイス人と思われる銀行家と策謀するというシーンに言及した。「だれがこのシーン に驚くでしょう?」と同氏は苛立ちをあらわにする。同氏に拠れば、これはスイスに対する使い古された紋切り型の固定観念であり、つまりは不当な扱いなのである。

活かすべき教訓

もう何年にもわたり、スイスは、犯罪組織や独裁者たちの利用する租税回避地としての自国のイメージを打ち消そうと努力している。1月19日、(内閣にあたる)連邦参事会は、コートジボワールのローラン・バボ氏、そしてチュニジアのズィン・エル・アビディン・ベン・アリ氏(そして続く2月11日には、辞任したホスニー・ムバラク氏)の「スイスにおける不確定資産」を「即時」凍結することを決定した。3年間有効のこの措置は、「スイス金融業界が、不法な手段で入手された可能性のある資金の金庫番を果たすことを防ぐ」ことを目的としている。数日後の2月1日、新しい法律が発効した。この法律は「政治的に危険にさらされた人物の不法入手資産を返還」するものである(違法取得財産返還法:LRAI)。連邦当局によれば、これは世界初の法律である。何年にも及ぶNGO団体の要求を受けて、この法律は連邦議会において2010年10月に採択された。デュバリエ一家によって預けられた資産のために作られたこの法律は(ちなみに「デュバリエ法」というあだ名が付けられているのだが)、奇遇にも、このハイチの元独裁者が自国に帰国した数日後に発行された。

専門家はこれを「活かすべき教訓だ」と評価する。1986年、ベビー・ドックの亡命後間もなく、スイスはハイチ新政府の要請を受けて、スイス国内銀行にデュバリエ一家が預けた資産、と言っても割り出すことのできた資産のみだが、の凍結を行なった。その総額は約420万ユーロ。フランス亡命中、デュヴァリエ氏は、司法当局を相手に提訴することにより、何度となくその資産をとり戻そうと試みた。2010年2月、同氏は訴訟に勝った、つまり連邦裁判所は同氏の資産の一部をハイチ政府に返還することを拒否したのである。スイス側は、両国間に司法相互扶助協定が締結されていないことをこの理由に挙げ、そうこうしている間に、ハイチ側は訴えを取り下げたのである。スイス政府は即座に違法取得財産返還法の施行を急ぐ対応を取り、これにより司法を超越した権限を手にし、ハイチに財産の返還を行なおうとした。このカリブ海の島国が再び混乱に見舞われているときに、スイスは「自国のイメージを回復する」最高の機会が到来したと言うわけですよ、と日刊紙ル・タンの法律欄担当者であるファティ・マンスール氏はいささか皮肉を込めて述べた。

ではこれは単なる宣伝用行為なのか?スイス当局はそれを完全否定し、15年来、総額で約17億スイスフラン(13億ユーロ)を各国政府に返還したことを指摘している。「我々以外の国でこれほどの金額を返還した国はない」とゼルウィガー氏は確言する。事実、2005年にスイス連邦はナイジェリアに対し、元独裁者のサニ・アバチャ氏の口座にあった5億1,000万ユーロを返還している。その2年前には、フィリピンに対し、フェルディナンド・マルコス氏が横領した4億9,800万ユーロを返還している。ペルー、アンゴラ、メキシコ、そしてカザフスタンも同様に資産返還を受けている。「スイスは防止と相互扶助という2つの支柱に根ざした制度を構築した」と、ある外務省文書は説明している。しかしながら「いわゆる失敗国家と呼ばれる国の増加現象により、このシステムの限界を示した」と同文書は述べている。

それ以前に提訴された訴訟に関しては、司法の相互扶助のお陰でスイスは横領された資産の返還を可能にしてきた。「問題は、相手方政府が対応しない場合だ」と、この問題にもっともかかわりの深いスイスのNGO、ベルン宣言の責任者、オリビエ・ロンシャン氏は指摘している。「デュバリエ法」はこの問題点を解決することを目的としている。これにより、政府は自発的に一部資産の返還が可能になるはずである。「改善に向けた小さな一歩だ」とこの活動家は評価するものの、「小さな」という点を強調する。なぜならNGO団体はこの法律が不完全であると考えているからだ。「この法律を活用するには、資産の出所である国が、スイス側に刑法上の相互扶助の要請を申請する必要がある上、失敗国家であると判断されなくてはならなく、この二つは矛盾している」。また一方で、「この法律は関連国の市民団体、または法学者、あるいは被害者の弁護士による資産凍結の手続きの申請を認めていない」。

財務問題の専門家であるベルナール・ベルトッサ判事は「適応を可能にする前提条件に制約が多すぎて、(この法律の)実質的な影響力はほぼ皆無に等しいだろう」と確信している。デュバリエ訴訟のために特に考え出されたこの法律は、最善の場合でも「法律よりも外交上の基準に依存する」危険があり、最悪の場合では、この事例にのみ適応が可能である。「この法律の意図は、価値あることが証明された制度を継続させることにある。我々は既存制度を崩壊させることは得策とは考えておらず、それを補完することを希望している」とゼルウィガー氏は反論する。一方で、「独裁者が罰せられる?しかし、それはどうやら彼らが権力の座から引き下された時だけに行なうようだ」とあるジャーナリストは揶揄し、「全くの無意味な行為だ」と述べている。

善意の行為

問題の根は深く、「解決策は、不法な資金の返還ではなく、最初からそのような資金を呼び寄せないことだ。デュバリエ資金や、ベン・アリ資金は最初からこの国に入ってきてはいけなかった」とオリヴィエ・ロンシャン氏は語る。スイスは、自らが唱える善行を実行するための能力を持ち合わせているのだろうか?「例えば現連邦大統領のミシュリン・カルミー=レイ女史のような一部の指導者は、そうだと言えるだろう」。しかし問題は、スイスに約350もの銀行が存在することだ。そしてそれら銀行の持つ力が計り知れなく大きいことである。確か銀行業は10万人以上の雇用を生み出しているではなかっただろうか。「もし違法取得財産返還法が可決されることがあれば、それは銀行の支持を得たからだ。そして銀行がこの法律を支持することがあれば、それはあくまで銀行のイメージ回復のみを目的としている」。

しかしながら、事態が前進していることも確かである。1980年代、銀行はまさしく神聖視されていた。銀行の活動に関しては、誰もが口を閉ざした。しかし、状況は変わった。そして法律もまた、国際的な圧力も一部影響し、変わることとなった。「法がその効力を証明し、その結果、資金洗浄の件数が明らかに減少した」とヴァロンタン・ゼルウィガー氏は考えている。

おそらくそうであろう。しかし一方、人の考え方と言うものはゆっくりとしか変わらない。1984年、「銀行の秘密と銀行権力の横暴」に反対する一般市民の立法発議は、73%の有権者によって否決された。また一年前には、61%のスイス人が銀行の秘密主義の廃止に反対していることがアンケート調査で判明した。つまり、犯罪組織と独裁者たちは、銀行を替えることを考えるまで、まだ少し時間の余裕があるということだ。【翻訳:水野綾子、AJF】

原文はこちらでご覧下さい。 http://bit.ly/eEztHC



 
 
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エジプト:ムバラク大統領辞任 弾圧死者の母、怒り 「即時退陣」訴え届く

【スエズ(エジプト北東部)で鵜塚健】エジプト国内でムバラク大統領への「即時退陣」要求が一層高まる中、大統領は11日、辞任した。これまでの即時退陣拒否に対し、とりわけ治安当局のデモ弾圧で犠牲になった遺族は憤りを募らせてきた。「即刻、辞任を!」。エジプト北東部スエズ中心部で11日に行われたデモで、息子を失った母親は声を張り上げていた。

◇政府が8万円「慰謝料」

石油掘削会社の契約社員だったムハマド・アフマドさん(24)は、1月25日に始まったデモに参加。26日のデモでは治安部隊が発砲したゴム弾を受けて左足を負傷した。それでも家族に「こんな不公平な社会はおかしいよ」と繰り返した。

その後もデモに加わり続けたが、28日夜、母ノエルさん(47)はアフマドさんの友人から訃報を受けた。病院で対面した長男は既に冷たく、背中から銃弾を受けて上半身の衣服には大量の血がにじんでいた。この日、スエズで17人が死亡。自宅ベランダからデモを見ていた青年も含まれる。催涙ガスで死んだ子供もいた。

アフマドさんはコンピューター技師になるのが夢だったが、役人との人脈がない若者に、就職のチャンスは限られている。毎日朝6時から夜7時まで掘削の現場に立ち、月給は最高で600エジプトポンド(9600円)。家具職人の父は収入が不安定なため、アフマドさんが家族のぎりぎりの生活を支えていた。今月10日に予定された大学生の妹アミナさん(18)の婚約を楽しみにし、結婚資金も出していた。

「彼は家族の支えだった。私たちはこれからどう暮らせばいい?」。ノエルさんは途方に暮れる。政府は遺族に5000エジプトポンド(8万円)を支給し決着を図る意向だが、ノエルさんは応じるつもりはないという。

「息子のいない人生なんて意味がない」「平和なデモに暴力で応じる政府は絶対に変えないといけない」。ノエルさんは決意を語っていた。

毎日新聞 2011年2月12日 東京朝刊



 
 
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イスラエル:「ムバラク後へ準備」高官が言及 対エジプト関係悪化懸念

【エルサレム花岡洋二】即時辞任を拒否したエジプトのムバラク大統領の演説を受け、隣国イスラエルのバラク国防相は10日、訪問中の米国で会見し「エジプトの国民自身が進む方向を見つけなければいけない」と語り、評価を避けた。しかし別の政府高官は「ムバラク後」の対エジプト関係に向け準備を始めていることを明かした。

79年に平和条約を結んだ両国だが、イスラエルは、ムバラク大統領の実権喪失で関係が一気に悪化することを懸念している。イスラエルのニュースサイト「yネット」によると、ある政府高官は演説後に「(新しい状況に)ふさわしい準備をしなければならない」と語った。

国防予算が増額される可能性に触れたほか、もともとは不法移民防止のためにエジプト国境に建てる予定だった壁の計画を早めるよう、ネタニヤフ首相が関係省庁に指示したことも説明した。

エルサレム・ポスト紙は、外交関係者が、エジプト情勢について前日は「異常な平常」で落ち着きつつあると話していたが、事態の急変に「驚いているようだ」と報じた。

毎日新聞 2011年2月12日 東京朝刊



 
 
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クローズアップ2011:エジプト大統領辞任 デモ18日、政権倒す

◇市民の力、結実 世代、思想を超え

ムバラク・エジプト大統領が11日、カイロを出てシャルムエルシェイクに移動したあと辞任が発表された。大統領は権限移譲こそ確約し、即時退陣を拒否していたが、18日間に及ぶデモで辞任に追い込まれた。どんな体制で政権が運営されるかを含め今後、軟着陸できるかどうかの鍵は、反大統領派からも一定の支持を得る軍部が握っている。【カイロ鵜塚健、樋口直樹】

「ムバラク大統領は全くわかっていない。スレイマン副大統領に権限移譲したところで何も変わらないじゃないか」。外科医のアザ・アブデルハミドさん(40)は11日、反政府デモの中心地であるカイロ・タハリール広場に夫や娘3人と初めて足を運んだ。即時退陣拒否を表明した10日夜の大統領演説を聞いて、腹立たしさにいても立ってもいられなくなったというのだ。

ムバラク大統領がカイロを脱出した11日はイスラム教の金曜礼拝があり、タハリール広場には朝から続々と市民が集結していた。パンや飲み物などを持ち込みボランティアで配っている人もいる。平和的なイメージが広まったことで、デモは次第に「祝祭」的な色を帯び、ますます多くの市民を引き寄せた。その結果、当局が強硬手段に出ることをより困難にもさせた。

次期大統領選への出馬に意欲を示すエルバラダイ前国際原子力機関(IAEA)事務局長ら「新指導者」の姿は見えないが、デモ参加者は大統領の即時退陣要求の一点で結束している。11日はカイロの大統領宮殿にもデモが押し寄せ、圧力を強めていた。

デモ参加者は当初、若者が中心だったが、今ではベビーカーを押す家族連れや車いすの男性、ニカブ(目だけ露出したかぶりもの)をまとった女性らの姿も見かける。年代も考え方も違うより幅広い層が集まるようになり、支持層は確実に広がっていた。

ムバラク大統領は10日夜の演説で、スレイマン副大統領への権限移譲を確約することで事態の沈静化を狙ったとみられるが、反大統領派の意思を「読み違えた」のは明白だった。

連日仕事を終えた後に友人とタハリール広場に通う会社員、ムハマド・サミエルさん(28)は1月末のデモの際、当局による銃弾で友人を失ったといい、「この国は抜本的に生まれ変わらなければ意味がないんだ」と力を込めた。会計士のムハマド・ハリードさん(38)は「今はデモに参加している市民すべてがリーダーだ。国を率いる本当の指導者は、情勢が落ち着いた後に民主的な選挙で決めればいい」と話し、デモ参加者の連帯に胸を張った。

反大統領派の多くはスレイマン副大統領への権限移譲に批判的な一方で、軍部を後ろ盾とする一時的な政権移譲には好意的な意見も聞かれる。「軍はいつ市民に敵対するかわからない」との不安はあるが、軍がこれまで反政府デモに比較的寛容な対応を見せてきたことから、「暫定的になら任せても問題ない」という立場だ。

◇軍、国の行方左右 唯一の実効機関に

ムバラク大統領をシナイ半島の保養地シャルムエルシェイクへ追い立てたのは、同氏の10日夜の退陣拒否表明に激怒した反大統領派の圧力に加え、同氏が首都に居座ったままでは民衆の怒りを静められず、大統領の身辺に危険が及びかねないと軍部が判断したためとみられる。混迷の度を深めるエジプトで軍部はひときわ存在感を強めている。

ムバラク大統領の求心力の低下ぶりは、10日の軍最高評議会の顔ぶれに表れていた。大統領演説前に開かれた評議会に、国軍最高司令官である大統領と、その後継者と目されるスレイマン副大統領の姿はなく、「大統領の実権は軍部へ移った」との見方も出ていた。

反大統領派のデモが拡大する中、軍部はムバラク体制の維持か、民衆の側に立つのか、重大な決断を迫られていた。

軍部は10日夜、国家の安全を守り、国民の願望に沿うための手段を講じる、との声明を発表。その後、ムバラク大統領は退陣を拒否しつつ、副大統領への権限移譲を発表した。しかし、反大統領派は演説内容に激怒し、副大統領への権限移譲さえも完全に拒否する事態に発展した。軍部は大統領を遠隔地に「隠居」させることで民衆の怒りを静めつつ、身の安全を確保しようとした模様だ。

ムバラク大統領が辞任して軍に権限を移したため、軍部の存在感は大きい。

こうした軍部に対する反大統領派の評価はさまざまだ。概して、強硬手段をちらつかせて反政府デモの解散を要求し始めたスレイマン副大統領への反発が極めて強いのに対し、軍部への信頼感は依然として健在だ。ただ、軍部の突出を警戒する声もある。事実上の最大野党・穏健派イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」などは、「軍事クーデター」に発展することを恐れている。

軍部はこれまで中立的な「黒衣」に徹し、ムバラク政権と反大統領派の全面対決を回避させる役割を演じてきた。しかし、政権が機能不全に陥りつつある今、強制力を持つ唯一の実効機関として国の行方を左右することになる。

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■ことば

◇金曜礼拝

金曜の昼に集団で行われるイスラム教の礼拝。イスラム教徒には1日5回の礼拝が課せられており、普段はそれぞれに祈りをささげているが、金曜の昼はモスク(礼拝所)などに集まり、集団で礼拝することがコーラン(聖典)で義務付けられている。エジプトやサウジアラビアなどでは金曜日が休日。

毎日新聞 2011年2月12日 東京朝刊



 
 
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エジプト:ムバラク政権崩壊 軍、引導渡す

<分析>

【カイロ和田浩明】ムバラク大統領は11日、家族と共に首都カイロを離れシャルムエルシェイクに脱出し、大統領職をついに放棄した。10日の演説で、国民から一層高まる「即時辞任」要求を再び拒否したが、反発が収まる気配はなく、追い詰められた形となった。

最近、ムバラク大統領家族が東部の高級保養地シャルムエルシェイクに移るのではないかとの報道が繰り返されていた。シャルムエルシェイクは外国の賓客を迎える際に選ばれることの多い場所だ。

大統領はまず保養地に退去し、自分と家族の安全を確保。その上で、スレイマン副大統領が大統領の辞任を発表した。あくまで「エジプト国内にとどまりたい」との意思を示した格好だ。

ムバラク氏自身は今回の騒乱が始まってから国民向けに行った2度の演説で「エジプトで死ぬ」と明言。元空軍司令官のムバラク氏は、52年の軍部クーデターで国を追われ65年にイタリアで客死したファルーク国王の轍(てつ)を踏むことは避けたいと考えたとみられる。

ムバラク大統領は82歳と高齢で、近年は健康問題も浮上している。このため、今回の騒乱が始まってから、「健康診断」のために外国に移動するとの観測も出ていた。昨年3月に胆のう除去手術を受けたドイツは有力候補として挙がり、独誌シュピーゲル(電子版)は、南部の温泉保養地バーデンバーデンへの受け入れが打診されたと報じた。

即時退陣要求が高まる中でのカイロ脱出は、理由がどうであれ「事実上の亡命」と受け取られるのは必至だ。ムバラク氏は大規模デモに象徴される国民の激しい怒りの増大を背景に、国政での影響力を拡大しつつある軍部の判断が強く働いた結果と言えそうだ。

毎日新聞 2011年2月12日 東京朝刊



 
 
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エジプト:ムバラク政権崩壊 独裁30年に幕 軍に権限移譲−−副大統領発表

◇家族と首都脱出

【カイロ伊藤智永】エジプトのスレイマン副大統領は11日夜(日本時間12日未明)、国営テレビで声明を発表し、ムバラク大統領(82)が大統領職を辞任したことを明らかにした。これに先立ちムバラク氏は同日午後、家族とともに首都カイロの大統領宮殿を離れ、同国東部の保養地シャルムエルシェイクに到着していた。ムバラク氏は10日深夜に国営テレビで演説し、即時辞任を拒否する考えを示していたが、国内で激化する反政府デモの圧力に抗しきれず、軍に大統領権限を移譲した。30年に及ぶムバラク体制は崩壊した。

ムバラク氏は10日夜の国営テレビでの演説で、政権内にも広がっていた即時退陣論を拒否し、9月の次期大統領選で平和的な権力移行を実現するまで大統領職にとどまると表明していた。同氏は次期大統領選への不出馬を確認した上で、「外国の圧力には屈しない」と発言。憲法改正や情勢安定後の非常事態宣言解除など権力移行のための民主化に向けた努力も強調。「市民の要求は正当だ」とも語り、デモでの犠牲者と遺族に哀悼の意を表明し、「私はこの国で生まれ、この国で死ぬ」と国外脱出の可能性を否定していた。

直後にスレイマン副大統領は「変革は始まった」として権力移行を主導する考えを表明。「対話の扉は開かれている」と野党勢力との協議継続を約束し、デモの参加者に「帰宅して職場に復帰しよう」と呼び掛けた。

10日夜にムバラク氏の緊急演説が予告されると、カイロのタハリール広場には、深夜にもかかわらず家族連れや女性だけのグループなどこれまでより幅広い層の市民が集結。退陣表明を期待して広場に集まった過去最多とみられる数十万人の市民は、ムバラク氏の演説が終わると「辞めろ、辞めろ」などと怒りの声を上げた。

11日に再開された金曜礼拝後のデモでは即時退陣要求が一層激しさを増し、AFP通信によると全土で100万人以上が参加。即時退陣を求めるカイロでのデモはタハリール広場のみならず大統領宮殿周辺にまで広がった。

ムバラク氏の演説を受け、動向が注目されていた軍は11日午前、最高評議会を開催。終了後に声明を発表し、副大統領への権限移譲や憲法改正といったムバラク氏の取り組みを支持する方針を明らかにした。「現在の状態が終わること」を条件に、30年前に発令されたままの非常事態宣言の解除も約束した。

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■ことば

◇シャルムエルシェイク

シナイ半島の南部にあるエジプト国内有数の保養地。紅海でのスキューバダイビングなどを楽しむ欧米や日本の観光客らに人気がある。半島の先端にあり治安管理が容易なことから、ムバラク大統領もたびたび保養に訪れている。一方、中東和平を巡る首脳会議などさまざまな国際会議の開催地としても有名。また、05年7月には80人以上が犠牲となる爆破テロが発生した。

毎日新聞 2011年2月12日 東京朝刊



 
 
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エジプト:ムバラク政権崩壊 菅首相「敬意表したい」

菅直人首相は12日午前、エジプトのムバラク大統領が辞任したことについて「エジプト国民の平和的な政権交代を求める活動が新しい展開を示していることに敬意を表したい」と評価した。そのうえで「民主的に新たな政権が誕生することを期待している。中東における建設的役割を果たしていってほしい」と述べた。首相公邸前で記者団に語った。【青木純】



 
 
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エジプト:ムバラク政権崩壊 国民の声届いた オバマ米大統領が声明

【ワシントン草野和彦】エジプトのムバラク大統領の辞任を受け、オバマ米大統領は11日、ホワイトハウスで声明を読み上げた。大統領は「エジプト国民は声を上げ、彼らの声は届いた。過去のエジプトには二度と戻らない」と述べ、エジプト国民の平和的な民主化運動をたたえた。さらに暫定的に権限を移譲されたエジプト国軍に政権移行プロセスの実施を求めた。

毎日新聞 2011年2月12日 東京夕刊



 
 
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エジプト:ムバラク政権崩壊 「ホワイト革命」ネットで市民連帯

【カイロ鵜塚健】「私たちは生まれ変わった」「エジプトは自由だ」。ムバラク大統領の辞任が発表された11日午後6時過ぎ、デモの中心であるカイロのタハリール広場では辞任情報が携帯メールでまたたく間に広がり、広場は地鳴りのような歓喜の声に包まれた。思想信条、階層も関係なく見知らぬ同士が抱き合い、喜びのあまり泣き崩れる人もいる。ネットや携帯でつながった「ゆるやかな連帯」が独裁体制を打ち倒す、新しい民衆革命の姿があった。

イスラム教の休日である11日は同広場でも金曜礼拝があり、朝から多くの市民がつめかけた。夕日が傾いてもその数は減らない。あたりが暗くなったころ大統領の進退に関する声明が出るとのうわさが流れ、デモ参加者は携帯電話で受信したテレビニュースの映像やメールをのぞき込む。

「辞任したぞ」。スレイマン副大統領の声明発表の映像を映す携帯を幾重もの人の輪が取り囲む。「ファラオ(エジプト王、独裁者)は倒された」。「生まれて初めて自由を感じた」。人々は喜びを爆発させた。あちこちで大小無数の3色の国旗がはためく。

ネットや携帯メールで辞任を自宅で知った市民も広場に駆けつける。広場入り口では若者らが「エジプト、エジプト」と声をかけ市民を迎え入れる。「今日を一生忘れないために家族で来た」と電器店経営、アハドさん(47)は声を弾ませる。

けが人を無償で治療した医師や看護師のボランティア、デモ参加者のために食べ物を差し入れ、掃除を買って出た市民。参加者は互助会まで作り18日間の戦いを耐え抜いた。大規模な流血もなく市民の多様な連帯で成し遂げられたさわやかな政変劇を、白色をイメージし「ホワイト革命」と欧米では呼び始めている。

「エジプト人よ、胸を張ろう」「エジプトを再建しよう」。あちこちで掲げられたスローガンが明日への希望を表している。

毎日新聞 2011年2月12日 東京夕刊



 
 
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エジプト:ムバラク政権崩壊 軍、暫定統治を強調 民政移管へ作業加速

【カイロ伊藤智永】エジプトのムバラク大統領(82)は11日夜(日本時間12日未明)、大統領職を辞任した。スレイマン副大統領が国営テレビで声明を発表し、全権限が軍に移譲されたと明らかにした。これを受けて軍最高評議会(議長・タンタウィ国防相)は「国民が求める政府に取って代わるつもりはない」との声明を発表し、軍の統治が暫定的なものであることを強調した。

軍最高評議会はムバラク氏の辞任に先立つ11日午前、「自由で公正な大統領選挙を実施するために必要な法律改正」や、「現在の状態が終わること」を条件に、30年前に発令されたままの非常事態令の解除を約束する声明を発表。今後、民政移管へ向けた作業が加速される見通しだ。

チュニジアの市民蜂起に触発されて、1月25日にエジプトで反政府デモが始まってから18日目。即時辞任をかたくなに拒否してきたムバラク氏だったが、激化するデモの圧力に抗しきれず、5期30年に及んだ長期強権体制は崩壊した。中東での民主化を求める波が、アラブの「盟主」を自任するエジプトでも政権崩壊を引き起こした影響は大きく、他の長期独裁の国々に波及する可能性がある。

11日夜から12日未明にかけてエジプトの各都市では、大統領を辞任に追い込んだ「勝利」を祝う市民数十万人が繰り出し、花火を打ち上げたり、革命歌を合唱するなど喜びを爆発させた。

ムバラク氏は10日深夜の国営テレビでの演説では即時辞任を拒否したが、反政府派の市民の怒りは増幅。オバマ米大統領も声明で即時辞任拒否に不満を表明し、国内外から追い詰められた。ムバラク氏は辞任発表時、首都カイロの大統領宮殿から同国東部の保養地シャルムエルシェイクに移っていた。

軍は憲法を停止したかを明確にしておらず、ムバラク氏から一時権限を移譲されたスレイマン副大統領が現在も権限を有しているかなど、不透明な要素も多い。大統領選など今後の政治日程も含め事態は流動的だ。

一方、スイス外務省報道官は11日、ムバラク氏の所有とみられる資産(推計700億ドル=約5兆8400億円)を今後3年間にわたって凍結することを明らかにした。

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◆エジプト政権崩壊に至った経緯◆

12月17日 チュニジアで青年(26)が政府に抗議して焼身自殺しデモ・暴動が広がる

1月14日 チュニジアでベンアリ政権崩壊

  25日 カイロやスエズなどで数万人規模の反政府デモ

  28日 金曜礼拝後大規模デモ。カイロなどで夜間外出禁止令

  29日 ムバラク大統領がスレイマン氏を副大統領に任命

2月 1日 「100万人」デモ。ムバラク大統領が次期選挙不出馬を表明

   2日 カイロで反大統領派と大統領支持派が衝突

   3日 ムバラク大統領、米テレビに対し即時辞任を拒否

   6日 スレイマン副大統領が野党勢力と対話。憲法改正委員会設置で合意

  10日 ムバラク大統領、テレビ演説で即時辞任を拒否

  11日 スレイマン副大統領がムバラク大統領辞任を発表

毎日新聞 2011年2月12日 東京夕刊



 
 
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エジプト:ムバラク政権崩壊 「これからいい国になる」 在日エジプト人らも歓喜

ムバラク大統領辞任に、在日エジプト人たちからは喜びの声が上がる一方、エジプトと交流のある関係者からは今後を心配する声も聞かれた。

エジプト出身で、東京都品川区でエジプト料理店を営む河本イマドさん(47)は朝5時までテレビのニュースを見ていた。「デモには若者だけでなく子供からお年寄りまで集まり、国民の強い気持ちが辞任につながった」と感慨深げに語った。

新宿区で飲食店を経営するシャラビィ・マゲドさん(50)も「勝ったという感じだ」と喜び、「ムバラク政権はメディアを統制し、国民に本当のことが分からないようにしてきた。国民は自分の生活で精いっぱいだった。これから、もっといい国になる」と話した。

一方、昨年11月にエジプトの民族舞踊団の公演を開催するなど、同国と交流がある「川崎・エジプト親善協会」=川崎市=の会長、斎藤文夫さん(82)は「政治的な変化が今後あるだろうが、早く治安を回復してもらい、これまで通りの交流をしたい」と話している。【樋岡徹也、真野森作、塩谷英明】

毎日新聞 2011年2月12日 東京夕刊



 
 
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エジプト:ムバラク政権崩壊 「空飛ぶように自由」 カイロ、お祭り騒ぎ

【カイロ鵜塚健】市民数十万人が連日参加した反政府デモに“追放される”形でムバラク大統領が11日に辞任を表明したエジプト。歓喜に包まれたカイロ市内は、国旗を振り、歌い踊る市民で、夜通し盛り上がった。花火やクラクションの音が夜空にこだまし、さながらパーティー会場のような光景が夜明けまで続いた。

深夜になっても、国旗を窓から出して走る車やクラクションを繰り返し鳴らす車が幹線道路を行き交う。まるでサッカー・ワールドカップで優勝したかのような騒ぎだ。

デモ開始以降、略奪も発生したため、カイロ市中心部では路地のあちこちで自警団が警戒を続けてきたが、この日だけは緊張感は消え、いすや地面に座り込み笑顔で独裁体制打倒の喜びをわかちあう姿が見られた。

「空を飛んでいるような自由な気分よ」。カイロ市内の旅行会社に勤める女性、ヘバ・ガラルさん(29)は叫ぶように話した。ガラルさんは大学を卒業し、英語とスペイン語を習得したが就職は困難を極めた。「これまでのエジプトは、ムバラク大統領や有力者につながるコネが重要で、私も就職で悔しい思いをした。今後は多くの人に公平な社会を望みたい」と新生エジプトに希望を託す。

独裁体制打倒を支えたのは市民のねばり強さだ。「私たちに武器はなかった。しかし意志があった」と多くの市民が「勝利」の理由を語る。人権団体の調査では、先月25日からのデモで、少なくとも300人が死亡、1500人が負傷している。治安当局に拘束されたデモ参加者は何万人にも上ると推定される。多くの犠牲がはらわれた。今月3日、デモに参加中に理由もなく半日間拘束された薬剤師のガベル・アブドさん(42)は、「今後は本当に民主的な国を望みたい」と未来への強い思いを語る。

会社経営のアフマド・イブラヒムさん(60)は「これまでは何をするにも役所からわいろを要求され、断れなかった。時間がかかってもいい。エジプトの社会は絶対に良くなると信じたい」と話した。

毎日新聞 2011年2月12日 東京夕刊



 
 
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エジプト:ムバラク政権崩壊 EU外相、現地訪問へ

【ブリュッセル福島良典】欧州諸国首脳は11日夜、ムバラク大統領の辞任を受け、「大いなる歓喜の日だ」(メルケル独首相)などと歓迎、権力を掌握したエジプト軍に対して、国民の民主化要求に応えるよう求めた。

欧州連合(EU、加盟27カ国)のアシュトン外務・安全保障政策上級代表(外相)は記者会見で、近くエジプトを訪問し「自由で公正な選挙」に向けた政権移行を支援する考えを表明した。

キャメロン英首相は大統領権限を移譲されたエジプト軍最高評議会を念頭に「エジプトを当面率いる人々は国民の要請を反映させる義務を帯びており、文民による民主統治に移行しなければならない」とクギを刺した。

また、メルケル独首相はエジプトがイスラエルとの平和条約を尊重するよう求めた。

毎日新聞 2011年2月12日 東京夕刊



 
 
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エジプト:ムバラク政権崩壊 イスラエル、不安定化を懸念

【エルサレム花岡洋二】ムバラク政権崩壊について、中東各国では地域不安定化への懸念や民主化の歓迎など、さまざまな反応が見られた。

隣国イスラエルの政府当局者はラジオに「エジプトと周辺国にとり、民主主義体制への移行が滞りなく行われることを望む」と述べた。また、エジプトと結ぶ平和条約について「条約は、両国の国益にかない、中東地域の安定をもたらす」と尊重を求めた。体制の変化にある種の懸念を持っているとみられる。

イスラエルとエジプトに事実上経済封鎖されているパレスチナ自治区ガザ地区では、モスク(イスラム礼拝所)から拡声機で「アラブの祝日だ」との声が流れ、住民も花火で祝った。イスラム原理主義組織ハマスの報道官は「ガザ再建に向け、封鎖を解くよう求める」と語った。

トルコ紙ヒュリエット・デーリー・ニューズ(電子版)は「エジプトの民衆蜂起に早くから反応 トルコ面目躍如」と題した記事を掲載。1日に「デモ支持」を打ち出したエルドアン首相を評価した。

カタール当局は「民主主義、改革、尊厳を手に入れたいとのエジプト国民の願い実現に向けて重要な一歩だ」と歓迎する声明を発表した。

また、レバノンのデーリー・スター紙(電子版)によると、イスラム教シーア派組織ヒズボラ系列のテレビ放送でキャスターが、ムバラク大統領を古代の指導者に例えて「ファラオが死んだ」と喜んだ。イラクのムトラク副首相はロイター通信に「民意に背いた人間の運命だ」と語った。

一方、イランのサレヒ外相は「偉大なエジプト国民の勝利を祝福し、勇敢で正義を求めた行動を支持する」との声明を出した。

毎日新聞 2011年2月12日 東京夕刊



 
 
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エジプト:ムバラク政権崩壊 民主化へ、各国歓迎 米、混乱収束を期待

◇大統領「終わりでなく始まり」

【ワシントン草野和彦】エジプトのムバラク大統領の辞任を受けて11日、声明を発表したオバマ米大統領は「政権移行への終わりではなく、始まりだ」と強調し、エジプト情勢の今後の展開を注視する姿勢を鮮明にした。政権移行に伴う混乱防止を最優先してきた米国は、ムバラク氏の辞任による事態の沈静化を期待しているが、待ちかまえる「困難な日々」(大統領)を見据えている。

声明で、オバマ大統領は「国民にとって信頼性のある政権移行を保証しなければならない」と述べ、国民が納得する形での民政移管をエジプト国軍に求めた。具体的には非常事態令の解除や、「自由で公正な選挙」につながる憲法、法律の改正を改めて促した。

しかし、「ムバラク後」の新政権の具体像は描けていないのが実情だ。大統領は声明で「米国はエジプトの友人、パートナーであり続ける」と約束したが、米議会内には穏健派イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」台頭への懸念もある。

また、米国が特に不安視するのは、エジプトと米国の同盟国イスラエルとの今後の関係だ。ギブス大統領報道官は11日の記者会見で「次のエジプト政府はイスラエルとの協定を認識することが重要」と述べ、両国間の平和条約の順守を求めた。

10日の演説で大統領職にとどまることを主張したムバラク氏について、オバマ大統領は「辞任で国民の変革への渇望に応えた」と述べただけで、過去の業績には触れなかった。

毎日新聞 2011年2月12日 東京夕刊



 
 
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「ようやく生活取り戻せる」 エジプト在留邦人に安堵広がる

2011/2/13 1:13

【カイロ=共同】エジプトのムバラク政権崩壊から一夜明けた12日、首都カイロ在住の日本人からは「ようやく日常生活を取り戻せる」と安堵の声が広がった。一方、政情の先行きが現時点で明確ではなく、今後の展開を注視したいとの声も聞かれた。

国際協力機構(JICA)エジプト事務所長の井黒伸宏さん(46)は「街で略奪が横行していると聞き不安だったが、これで治安は回復すると思う」。しかし、業務で関係の深いエジプト政府は1月末のデモ開始以降、事実上機能しておらず、今後の政情に注意したいと気を引き締めた。

地元旅行会社の中野正道さん(58)は「本当にほっとしている」。だが、エジプトを旅行する日本人観光客はデモ以降、激減しており、客足の回復にはまだ数カ月はかかると話した。

伊藤忠商事カイロ事務所長の伊藤寿宏さん(52)も治安の回復を期待する一方、「進行中の大型案件がどうなるか心配」と語った。



 
 
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エジプト軍最高評議会、イスラエルとの平和条約順守を示唆

2011年 2月 13日 10:43 JST

【カイロ】エジプトのムバラク大統領辞任を受け、全権を掌握した軍最高評議会は、イスラエルとの平和条約を順守する意向を示唆するとともに今後選挙を実施した上で、「自由で民主的な国家」に平和的に移行する方針を示した。

長期間政権の座にあったムバラク氏の辞任から一夜明けた12日、軍最高評議会は声明を発表し、エジプトは「すべての地域的および国際的な義務と協定を順守する」とした。これらの条約には1979年に締結されたイスラエルとの平和条約も含まれる。

イスラエルのネタニエフ首相は「平和条約は両国に大きな貢献をしてきたほか、中東全体の平和と安定の要石でもある」と述べ、エジプト軍政当局の発表を歓迎した。

エジプト軍最高評議会は、新内閣が発足するまで現内閣がとどまり、「自由で民主的な枠組みの中での権力の平和的移譲」を約束した。新たに選出された政府は「自由で民主的な国家建設に向け統治する」としている。ただ、民主国家移行の具体的な日程は示さなかった。

エジプトのイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」は12日、同組織ウエブサイトに掲載した声明で、権力や議会での過半数獲得などは模索しないと言明。同組織は、エジプト革命では一参加者に過ぎず、要求は国民のそれに呼応したものであるとこれまでの見解を改めて示した。また軍政当局に対し、速やかな政権移行内閣の発足、非常事態法の撤廃、憲法改正、自由選挙の実施、すべての政治犯の釈放などを要求した。

18日間続いたデモなど民衆の激しい抗議行動の結果、ムバラク氏は11日に辞任し、大統領の権限は軍に移譲されたが、アラブ社会で最も多くの人口を抱えるエジプトは同国ばかりか中東全体にとっても、先行き不透明な一歩を踏み出した。

国内メディアが司法筋の情報として伝えたところによると、政府高官や元閣僚らの海外渡航が禁止されている。これらの中にはアナス・エルフェッキ情報相やナジフ前首相らも含まれているという。

AP通信によると、軍部は事態正常化のため、夜間外出禁止時間を緩和した。

デモ隊が集結し、治安部隊とにらみ合ったカイロ市内のタハリール広場では12日、兵士らがバリケードや有刺鉄線などの撤去作業を行った。

エジプトの証券取引所は16日から取引を再開すると発表した。株式市場は、反政府デモが始まった2日後の1月27日から休場していた。休場前の2営業日で主要株価指数は16%下げていた。

記者: Summer Said



 
 
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ムバラク前大統領側近、自宅軟禁に?

【カイロ支局】ロイター通信は12日、エジプト軍筋の話として、ムバラク前大統領側近のフィキ情報相が自宅軟禁下に置かれたと報じた。

(2011年2月13日01時24分 読売新聞)



 
 
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ムバラク一家、資産総額は5兆8400億円?

エジプト大統領を辞任したムバラク氏の一家は、欧米に多数の不動産や銀行口座を保有し、資産総額は約700億ドル(約5兆8400億円)に上るとも言われる。

スイス銀行は11日、辞任を受けて一家の資産を凍結しており、長期政権下で行われていた蓄財の実態調査の行方が注目される。

英紙フィナンシャル・タイムズによると、スイス政府は、「エジプトの国家資産が横領されるのを防ぐため」として、ムバラク氏夫妻のほか、2人の息子とそれぞれの妻、ムバラク政権時代の元閣僚、与党関係者らの資産を凍結した。銀行口座と不動産を対象に資産を3年間凍結し、これまでの資金の流れを確認する方針だ。

英紙ガーディアンなどによると、ムバラク氏とスザンヌ夫人はスイスや英米に銀行口座を持ち、ロンドン、ニューヨーク、ロサンゼルスの高級不動産を取引するなどして資産を蓄えたとみられる。

(2011年2月13日09時35分 読売新聞)



 
 
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米保守派、イスラム原理主義の台頭を懸念

【ワシントン=黒瀬悦成】オバマ米大統領は11日、エジプトのムバラク政権を崩壊に追い込んだ民衆デモを称賛。「非暴力という倫理の力が、歴史の弧を正義の方向へと曲げた」と語ってエジプトでの民主化実現に楽観的な見通しを示した。

しかし、米国内では保守派を中心に、イスラム原理主義組織ムスリム同胞団の台頭を懸念する声が強く、オバマ大統領の楽観姿勢に対する疑問の声も出ている。

オバマ大統領は声明で、今回のエジプトの事態を、インドネシアで1998年にスハルト長期支配体制を倒した学生デモになぞらえた。

その上で、エジプトでもインドネシアと同様、軍部が政治の実権を手放し、真の民主体制に移行することへの期待をにじませた。

(2011年2月13日10時53分 読売新聞)



 
 
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エジプト、前首相の出国禁止 抗議の広場の交通再開

2011/2/13 17:03

【カイロ=松尾博文】エジプトのムバラク大統領辞任を受けて権力を掌握した軍最高評議会は12日夜、シャフィク首相やワグディ内相らを集め、事態の正常化策を協議した。シャフィク首相は協議後、「治安回復と市民生活の正常化が最優先の課題だ」と述べた。エジプトの検察当局は同日、ナジフ前首相の出国を禁止した。国営テレビが伝えた。

反体制派による抗議行動の拠点となってきたカイロ中心部のタハリール広場は13日、部分的に車両の通行が再開した。同広場にはムバラク大統領の辞任後も、最高評議会の民主化策を見届けるとして一部のデモ隊が残っている。広場では13日、デモ隊に退去を呼びかけた軍部隊との間で小競り合いが発生した。

エジプトの中東通信によると、検察当局は12日、アドリ前内相の移動禁止と家族を含む資産凍結措置も命じた。検察は前内相やラシード前通商産業相ら複数の閣僚について3日に出国禁止措置を命じたが、軍最高評議会が措置継続を確認、ナジフ前首相まで対象を拡大して旧政権の責任追及の動きを本格化させている。



 
 
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ツタンカーメンの木像など盗難 エジプト考古学博物館

2011/2/13 20:36

【ドバイ=松尾博文】エジプトのザヒ・ハワス文化財担当国務相は13日、ツタンカーメン王の木像を含む収蔵品8点がエジプト考古学博物館から盗まれたと発表した。ムバラク大統領退陣を要求するデモが続いていた1月28日に暴徒化した集団の一部が博物館に侵入しており、その際に盗まれた可能性がある。

盗まれたのは表面に金箔が張られた、もりを持つツタンカーメン王の像など8点。ツタンカーメン王は古代エジプト第18王朝のファラオ(王)で、墳墓からみつかった黄金のマスクなどの収蔵品はエジプト考古学博物館で最も人気を集めている。

博物館ではこれまで暴徒の侵入によりミイラなどが損傷したと発表していたが、貴重な収蔵品が失われていたことが明らかになった。



 
 
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エジプト国民が覆した世界の独裁の常識

2011/2/13付

日本経済新聞 朝刊

エジプトのムバラク大統領が辞任した。1月25日に始まった反政府デモは、30年近く続いた独裁体制を18日間で倒した。驚くべき速さだ。インターネットを通じて広がった国民の連帯による独裁打倒は、これまでの国際政治の常識を変える。

アラブで最大の人口を抱え、地域の安全保障の要であった国の激変は、中東をめぐる国際関係に大きな影響を及ぼすが、国際社会は変化を歓迎し、民主化が着実に進展するよう支援していく必要がある。

体制移行の課題も多く

エジプト国民が求めたのは、過去の政治への明確な決別である。政治の権限は、とりあえず国軍の最高評議会に委ねられた。政治危機の中で軍は中立的な立場を続け、権威を保ってきた。軍首脳の中にはムバラク側近とみなされてきた人もいるが、国民の多くは軍に信頼を置く。

軍は早急に、民主化の手順、政治改革の行程表を明確に示さなければならない。公正な選挙の実現に向けて、野党勢力の大統領選立候補を困難にさせていた憲法の改正、通常の司法手続き抜きに反政府勢力を拘束できる根拠となっていた非常事態法の解除を、急ぐ必要がある。

オバマ米大統領は「エジプトの民主化は始まったばかりだ」と指摘した。民主的な政治体制への移行にあたって、課題が山積していることも認識しなければならない。

革命を先導したのは、フェイスブックやツイッターなど新しいメディアを通じたインテリ中間層のネットワークだ。宗教色は比較的薄い。だがムバラク政権打倒に結集した国民のすべてが、西欧的な「市民社会」を目指しているわけではない。

事実上の最大野党であるイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」の幹部の多くは、大学教師や弁護士、医師などだが、イスラエルとの平和条約破棄、イスラム法の徹底などの原則論を掲げる。国内の警戒感も根強いし、イスラエルや米国はさらに強く同胞団の台頭を警戒する。

同胞団への国民の支持がどのくらい強いかについては、見方が分かれるが、同胞団が武力闘争路線をとらず、複数政党による選挙制を是とする勢力である以上、これを排除することはできない。むしろ、こうしたイスラム勢力をいかに政治改革のプロセスに加えていくかが、これからの中東の民主化で重要になる。

ムバラク政権打倒のデモで同胞団は積極的に前面に出ず、次の政権をめざす意思もあいまいにしている。その背景には、高率の失業やインフレへの不満を短期間に解消するのは難しいという事情があるようだ。

選挙を経て生まれる新政権が安定するか否かも、経済情勢次第だ。

イスラエルとの平和条約締結から30年以上を経て、戦争の悲惨さや軍事対決による経済の疲弊を知らない世代が、今やエジプト国民の多数を占める。イスラム勢力でなくても、反イスラエル、反米の感情はかなり強い。そうした感情が政治の前面に出るのを封じてきた独裁政権の崩壊によって、中東和平をめぐる政治環境は大きく変わる可能性もある。

長年、独裁政権を外交のパートナーとし、独裁下の「安定」に頼ってきた米国も、欧州諸国も、日本も、外交戦略の練り直しが必要だ。

重要なのは、民主化で自由にものを言えるようになるだけでなく、国民の多くが生活もよくなったという実感を抱けるようにすることだ。

これまで米国の援助は軍事中心、日本の援助はハコモノ中心だった。エジプトでは、日本の協力による科学技術大学も最近、開校した。

国民に資する援助に

新たな産業や人材の育成、雇用創出や生活環境の改善に結びつくような支援に日本はもっと力点を置くべきだ。それは、中東やアフリカで強権的な政権と緊密な関係を結んで資源の確保などを進める中国と異なり、相手国の国民から感謝される形できずなを強めることにつながる。

所得水準が高く、所得税も存在しないサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)など湾岸アラブ産油国に、革命的な動きが一気に広がる可能性は、現段階ではまだ小さい。だが、エジプトの独裁崩壊のインパクトは大きく、他のアラブ諸国も政治改革の道筋を示さないと、中長期的な安定は確保できなくなる。

日本がエネルギー資源の多くを依存するこの地域の国々の、政治改革や雇用創出への側面支援は、経済安全保障戦略としても重要である。

経済成長の半面での人権抑圧や若年層の雇用の問題、インフレの重圧は、世界の多くの新興国、発展途上国にも共通する。中国も例外ではない。今回のエジプトの政権崩壊に最も神経質になり、情報統制を強めているのは中国だ。

新しい形の「革命」の影響は、中東を超えて世界に広がりつつある。さまざまな不確実性もはらんだ変化の行方に目を凝らす必要がある。



 
 
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エジプト市民の生活正常化へ、国際条約の順守も宣言

2011.02.13 Sun posted at: 16:24 JST

カイロ(CNN) ムバラク大統領辞任を受けたエジプト情勢は12日、大規模な反政府デモの舞台となった首都カイロのタハリール広場でボランティアの市民ら数百人がほうきなどを持ち、計18日間の抗議行動で焼かれた車の残がいやごみの後始末作業を開始した。警官もバリケードの片付け作業に従事、交通整理も開始した。

企業や店舗も13日の業務再開を目指しており、平常の市民生活が戻りつつある。証券取引所は16日に平常業務に戻る。

ただ、タハリール広場には12日、市民ら数千人が集まり、軍政ではなく民政の実現までとどまると気勢を上げた。広場にはまた、抗議活動で死亡したデモ参加者らを追悼する大理石製の記念碑が出来た。国際人権擁護団体ヒューマンライツ・ウオッチは、死亡者は302人としているが、実際はもっと多いとの指摘もある。

一方、政権移行期における全権を受け継いだ軍最高評議会は12日、国際協定や公約すべてを順守するとの声明を発表した。同評議会のスポークスマンを務めるエナン軍参謀総長が国営テレビで表明した。

国際協定にはイスラエルと1979年に締結した平和条約が含まれる。イスラエルではエジプト政変で同条約が破棄されることへの懸念が出ていた。この条約でエジプトはイスラエルを最初に承認するアラブ国家だった。中東和平努力に深く関与する米国も政変がエジプトのイスラエル政策の変質につながる事態を危ぐしていた。

イスラエルのネタニヤフ首相はエナン参謀総長の声明を歓迎し、同条約は中東全体の平和と安定の礎石であると強調した。イスラエル国防省によると、バラク国防相はエジプト軍最高評議会議長であるタンタウィ国防相と電話で話し合った。



 
 
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ツタンカーメン像など18点盗難 エジプト考古学博物館

2011年2月13日22時52分

【カイロ=古谷祐伸】エジプト考古省は13日、ムバラク前大統領退陣を求める民衆デモで起きた騒乱の最中に、カイロ中心部のエジプト考古学博物館から収蔵品18点が盗まれていたと発表した。中にはツタンカーメン王の像2点も含まれていたという。考古省は警察と協力して捜査を始めている。

主な盗難品は、博物館2階に展示されていた「女神に運ばれるツタンカーメン王の像」と、「もりをうち込むツタンカーメン王の像」の胴体と腕の部分。いずれの像も金ぱくが施された木製。多神教から一神教へ宗教改革を進めたことで知られるファラオ、アメンホテプ4世(別名アクエンアテン)が供物のトレーを捧げている石灰岩製の立像もなくなっていた。

治安当局とデモ隊の衝突が激化した1月28日夜、泥棒が博物館の天井の窓から内部に侵入した。考古省のザヒ・ハワス大臣は今月6日、収蔵品70点が傷つけられたものの、修復は可能だと発表していたが、盗難被害の有無については触れていなかった。

エジプト考古学博物館は、ツタンカーメン王の黄金のマスクなど10万点以上の収蔵品を誇り、ピラミッドと並ぶエジプト観光の目玉。民衆デモの拠点となったタハリール広場に隣接しており、騒乱の影響で閉館している。再開の日程は決まっていない。



 
 
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イスラエル「安保の要」失う…ムバラク辞任

【エルサレム=加藤賢治】イスラエルにとって、エジプトのムバラク前大統領失脚は、自国の安全保障の要を失ったに等しい重大事だ。

パレスチナとの中東和平交渉でも、親米穏健派のムバラク氏はアラブ諸国とイスラエルとの橋渡し役を務めてきただけに、イスラエルは外交戦略の大幅見直しを迫られることになる。

エジプト軍最高評議会は12日の声明で、国際協定は順守すると述べ、イスラエルとの平和条約を堅持する姿勢を示した。ただ、イスラエルは、軍による暫定統治が終わった後の議会選ではイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」が台頭する可能性が高いと見ており、そうなった場合に平和条約の見直しを求める声が高まることを恐れている。エジプトで見直し機運が高まれば、やはりイスラエルと平和条約を結んでいるヨルダンの世論にも影響しかねない。

(2011年2月13日20時36分 読売新聞)



 
 
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エジプト:ムバラク政権崩壊 在日同胞「幸せな気持ち」

「マブルーク(おめでとう)」。12日夜、エジプトの政権崩壊を知った在日エジプト人たちが集い、喜びを分かち合う姿が見られた。午後7時過ぎ、大阪府茨木市にあるイスラム教徒の集まる施設「大阪イスラム文化センター」(通称・茨木モスク)にはエジプト人、バングラデシュ人、インドネシア人など約25人が集まった。円になって座り「本当に幸せな気持ちだ」「エジプト人が変化を求めていたから実現できた」と感想を述べ、喜びをかみしめた。最初は「歴史的快挙」を静かにたたえる会合だったが、徐々に盛り上がり、それぞれ握手し合って喜びを分かち合う場面がみられた。

辞任を知った瞬間、喜びのあまり絶叫したという神戸大医学部のエジプト人留学生、アレ・オマルさん(33)は「エジプト人が平和的な強さを持っていることを証明できて誇りに思う。こんなに素晴らしい日はない」と涙を浮かべた。【津久井達】

毎日新聞 2011年2月13日 東京朝刊



 
 
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エジプト:ムバラク政権崩壊 柔道の師「弟子たち無事で」 ラシュワンさん連絡なく

◇ロス五輪無差別「銀」・ラシュワンさん

激動するエジプト情勢。日本とエジプトの友好の懸け橋になった人たちも、ニュースにくぎ付けになっている。

84年ロス五輪柔道無差別級銀メダリスト、モハメド・ラシュワンさん(55)の恩師で、東京都練馬区在住の元全日本柔道連盟事務局長、山本信明さん(69)は、孫弟子を含めて数万人の教え子が同国にいるが、デモ参加者と治安維持に当たる軍人や警察官など立場が分かれている恐れもあるという。

時折入る電話で他の弟子の無事を知り喜ぶ一方、ラシュワンさんからはまだ連絡は無いという。

ラシュワンさんは五輪決勝で山下泰裕さん(53)と対戦。負傷した右足をあえて狙わず、寝技で敗れた。だが、その柔道家精神が称賛を浴び、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の「フェアプレー賞」を受賞した。70年代以降通算10年ほど同国に滞在し、同五輪当時のエジプト柔道チームを指導していた山本さんも同国政府から文化功労賞を贈られた。

その後、ラシュワンさんは日本人女性と結婚。第2の都市・アレクサンドリアに居住し、ファストフード店などを営む一方、来日の度に山本さんに会いに来るという。

今回、山本さんの元には連日、エジプトの弟子から「私は大丈夫」「傷つけ合い、殺し合いはしていない」などと安否を知らせる電話が入っている。「今のところ、弟子の中にけが人や死者が出たとの情報はない。何かあれば、連絡をくれるはず」と、ラシュワンさんらの安否に胸を痛めている山本さん。

「エジプトは、我々日本の柔道家に敬意を払い、大切にしてくれた友好国だ。早く混乱が収まってほしい」と願いを語った。【竹内良和】

毎日新聞 2011年2月13日 東京朝刊



 
 
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エジプト:ムバラク政権崩壊 中国、波及を警戒 北朝鮮は伝えず

◇中国、波及を警戒

【北京・浦松丈二、米村耕一】中国外務省の馬朝旭報道局長は12日、エジプト情勢について「国家の安定と正常な秩序の早期回復につながることを望む」との談話を発表した。国営新華社通信も「国際社会は平和的な政権移行を求めている」との記事を配信し、混乱波及を望まない中国政府の立場を代弁した。

中国のインターネット上では「次は中国の番」「エジプト軍は発砲しなかった。(天安門事件で発砲した中国軍とは違う)人民の軍隊だ」など政府批判の書き込みが相次ぎ、中国当局はこれを次々と削除している。

特にエジプト情勢が緊迫化した先月末からは中国版ツイッター(ミニブログ)でエジプト情勢についての発言を検索できなくする措置を取っている。エジプトでツイッターがデモ呼びかけに使われていることに神経をとがらせている模様だ。

◇北朝鮮は伝えず

一方、北朝鮮の国営メディアは12日夜までエジプトの政変について何も伝えていない。北朝鮮で世界とつながるインターネットに接続できるのは国家機関や大学などの一部だけで、携帯電話も基本的に国外との通信は遮断されている。

毎日新聞 2011年2月13日 東京朝刊



 
 
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エジプト:ムバラク政権崩壊 国民に向き合わず=カイロ支局長・和田浩明

◇ムバラク前大統領、独裁30年 「救国の英雄」から「孤独なファラオ」に

「孤独なファラオ」は、最後まで国民に直接向き合おうとしなかった。古代エジプトの王に擬せられる絶大な権力を約30年にわたりふるったムバラク前大統領(82)。圧制への若者らの怒りがインターネットを触媒に起爆したわずか18日間の「指導者なき革命」に、「王位」を追われた。

「ムバラク大統領は辞任する」。衝撃の発表を11日夜に行ったのは右腕のスレイマン副大統領だった。前夜に本人が2度目の辞任拒否演説を行ってからわずか19時間後だった。

第4次中東戦争(73年)で空軍司令官として活躍し「救国の英雄」となり、最高権力者への道筋をつかんだムバラク氏。軍歴を含め60年を超える公務の主目的だったという「国民と国土の保護」の看板は、即時退陣を求める全国的な反政府デモのうねりの前に放棄した形だ。9月の任期切れで「尊厳ある退出」を行うとの希望は、あまりにも民意と乖離(かいり)していた。

ムバラク氏は81年のサダト元大統領暗殺後、副大統領から第4代大統領に選ばれた。中東最大の世俗国家の指導者として基本的に親米路線を維持。91年の湾岸戦争では多国籍軍に参加した。一方、03年のイラク戦争では国内外の反戦論の高まりで米英主導の進攻を批判、サウジアラビアと共同和平提案を行った。

対アラブ世界では、前政権下の79年にイスラエルと和平条約を調印して孤立したエジプトのアラブ連盟への復帰を89年に実現。中東和平では分裂したパレスチナ各派の仲介などを通じ、米主導の和平交渉を支援した。

内政面ではサダト氏暗殺に伴い発令した国家非常事態宣言を約30年にわたり維持し、独裁的な統治体制を強化。95年には訪問先のエチオピアでエジプトのイスラム過激派の暗殺未遂事件に遭遇した。

01年の米同時多発テロ後、ブッシュ米政権の圧力で民主化要求が強まり、05年の大統領選挙では複数候補制を導入したが、圧倒的多数の票を得て5選した。

同年の人民議会選挙では非合法の穏健派イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」が議席を伸ばしたため、民主化要求勢力の抑え込みに転じた。

近年は高齢による健康の衰えから後継問題が浮上しており、次男ガマル氏が今年9月に予定されていた大統領選挙に出馬して「権力世襲」するとの観測も流れていた。

毎日新聞 2011年2月13日 東京朝刊



 
 
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エジプト:ムバラク政権崩壊 識者の話

◇“無策”に国民失望−−片倉邦雄・元駐エジプト大使

エジプト人は一般に温厚で、暴力や流血を嫌う人々だ。苦難の時代でも、アラビア語で「ノクタ」と呼ばれる冗談を交えて政権を批判して笑い飛ばしてきた。しかし今回、ついにその堪忍袋の緒が切れたのは、30年にわたり、中東和平や経済開発で具体的な成果を残せなかったムバラク政権への失望にあったと思う。

ナセル元大統領は、海上輸送の要衝であるスエズ運河を国有化し、経済基盤の一つを築いた。サダト元大統領は、イスラエルと平和条約を結んだ。ムバラク氏は何もしなかったという評価だ。

例えば、イラクによる90年8月のクウェート侵攻だ。エジプトは侵攻を事前に食い止めようとしたが失敗し、その後、米主導の多国籍軍の一員として参戦。「常に米国の言いなり」という見方が定着してしまった。

中東和平問題でもエジプトは、イスラエルと国交を持っていることでの影響力発揮を常に期待されてきたが、ムバラク政権は進展に寄与できずにきた。この間の中東和平の停滞は、エジプト国民に「石の一つも動かせなかった」と大きなショックを与えた。

他方、足元では高い失業率や物価の高騰などの経済問題に具体的な対策を取ってこなかった。それでも、組織力、清廉さを兼ね備え、国民から一定の信頼を得ていた軍を支持母体にして、サダト政権の軌道の上に立ちながら惰性で政権を保ってきた。次男ガマル氏への権力継承も図ろうとした。

政権に対する国民の鬱積した不満は情報技術の進化を背景に瞬く間に広がっていったが、ムバラク氏は変化する民意を読めなかった。

長期独裁政権下で、次の政権を担う政治組織は育っていない。ムバラク氏の辞任で第1幕は終わるが、次期政権への移行段階の第2幕、3幕は、明るい見通しばかりとは言えない。【聞き手・田中龍士】

◇周辺国の衝撃大−−宮田律・静岡県立大准教授(現代イスラム研究)

エジプトの政変が周辺諸国に与えた衝撃の大きさは、チュニジアのベンアリ政権打倒とは比較にならない。反政府デモの引き金となった食料品価格の高騰は、各国で中間層以下を直撃している。民主化要求の波が、あまり豊かでない国や、抑圧的な強権体制の国に波及する可能性は十分ある。具体的にはヨルダンやイエメン、シリア、イランなどだ。中でも、特に危機感を強めていると考えられるのがヨルダンだ。

アブドラ国王は補助金投入で食料品価格を抑えようとしたが、成果は出ていない。内閣も刷新したが、民衆の怒りは収まらない。イスラム教の預言者ムハンマドの末裔(まつえい)が統治する「王政」だが、最近では、国民の間に「生活難は王政の腐敗が原因だ」との意識が高まっている。タブーだった王政批判も、ここへきて一部で公然と飛び出すようになった。

ヨルダンはエジプトと同様にイスラエルと平和条約を結んでいる。だが、ヨルダンの人口の6〜7割はパレスチナ人が占めており、親イスラエル路線に対する不満もずっと鬱積してきた。

一方、イランは今回、エジプトの反政府運動を称賛する反応を見せた。これは「民主主義」尊重の姿勢をアピールすることで、自国内の改革要求を再燃させないための予防措置だろう。ムバラク大統領が辞任した2月11日はくしくも、79年のイラン革命で親米の王政が崩壊したのと同じ日だ。イランの改革派がエジプトの動きに触発されているのは間違いない。

イスラエルの対応も焦点の一つだ。ムバラク氏はイスラム原理主義組織ハマスが支配するパレスチナ自治区ガザ地区への支援に消極的で、ガザへの人や物資の出入りを制限してきた。こうした「歯止め」がなくなれば、ガザへの武器流入を阻止しようとイスラエルが強硬手段に出る可能性もある。【聞き手・前田英司】

◇親米路線転換を警戒−−久保文明・東京大教授(米国政治)

米国は反政府デモが起きた当初、ムバラク政権を支持する方向だったが、民主化の勢いを察知してその態度を切り替えた。なぜ民主化勢力を早い段階で支持しなかったのかという批判もあるが、混乱が生じればテロリストなどがつけ込む余地を与えた可能性もあった。秩序の維持と民主化の両立を米国は歓迎している。

エジプトは、中東・アラブ諸国の中でイスラエルとの共存を公式に表明してきた数少ない国の一つだ。米国や湾岸の親米諸国は、そのエジプトが外交路線を変えることを恐れている。

米国は民主化を支持する一方で、イスラエルとの共存や親米といった路線をエジプトが維持することを願っているのだが、必ずしもそうはならないだろう。エジプト国民は、ムバラク政権よりはるかにイスラエルに批判的だったからだ。穏健派イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」は、イスラエルを認めないとの立場を表明している。民主化が進めば、抑圧されてきたそうした批判や米国に対する非難の声が出てくるだろう。それは米国がムバラク政権を支持してきたつけだ。

他方、ムスリム同胞団は穏健派であり、極端に過激な路線は取らないだろう。また、エジプト軍は今後も、イスラエルとの関係など外交でも影響力を持つだろう。ただ、軍人はプロの政治家ではない。一方で、エジプト国民は民主的な政治を初めて経験するのであり、行く末を楽観的にばかり見るのは難しい。

エジプトの政権崩壊はこれから周辺国に波及する可能性がある。米国はイスラエルを承認するヨルダンや、親米のサウジアラビアなどで政変が起きることを恐れているだろう。だが、その時には、エジプトでの教訓を生かし、民主化勢力に早めに肩入れするかもしれない。【聞き手・田中龍士】

毎日新聞 2011年2月13日 東京朝刊



 
 
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エジプト:ムバラク政権崩壊 「自由を呼吸」 メディア、姿勢一転 政権崩壊を歓迎

【カイロ鵜塚健】独裁体制を敷き、厳しい情報統制を行っていたムバラク大統領が辞任したエジプトで、政府系メディアは11日夜から、反大統領デモを事実上無視してきた従来の方針を転換し始めた。国営テレビはデモを初めて放映。前大統領がカイロを離れたことを伝え「今、エジプトは自由を呼吸している」とコメンテーターが述べた。前大統領に忠実だったメディアの「激変」は、政権崩壊で報道の自由がやっともたらされたことを強く印象付けている。

ムバラク政権は反政府デモの高まりに神経をとがらせ、政府系メディアへの締め付けを強めるとともに、中東カタールの衛星テレビ「アルジャジーラ」の記者を何度も拘束するなど、外国メディアも弾圧した。

大統領辞任から一夜明けた12日、カイロ市内の路上には、歓喜にわく市民の写真を大きく扱った新聞がずらりと並んだ。これまでデモの様子をあまり伝えなかった政府系紙でさえ、政権崩壊への国民の喜びを伝える記事に紙面を割いた。「若者の革命がムバラクを追い出した」「人々が政府を転覆した」。政府系アルアハラム紙は大見出しで政変の事実を報じた。また政府系のアルゴムフリア紙も「(反政府デモが始まった)1月25日の革命は勝利した」と伝えた。

デモに敵対的でさえあった国営テレビの変化は激しかった。当初、国営テレビは、デモの参加人数を大幅に少なく伝えたうえ、「デモを扇動するように、米国の人権団体でイスラエル人から訓練された」と話す若い女性のインタビュー映像を繰り返し放映。市民からは強い疑問が突き付けられた。編集方針に反発し、複数のテレビ局幹部が辞職したとの情報もある。10日夜には、タハリール広場から約500メートル離れた国営テレビのビル前にデモ隊の一部が移動し、11日夕方には数千人が集結し、国営テレビの姿勢を強く批判した。

前大統領が保養地シャルムエルシェイクへと出発した後、国営放送のリポーターは、大統領宮殿付近から「エジプト人は自らの歴史を自分で決める能力があることがわかったのだ」と報告した。

政府系紙の見出しの変わりようを見たカイロ市の会計士、アフマド・アリさん(42)は「ようやく事実に目を向けるようになった。これからは政府の規制もなくなるだろうから新聞も変わってほしい。言論の自由は今後のエジプトを支えるものだから」と話す。

毎日新聞 2011年2月13日 東京朝刊



 
 
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クローズアップ2011:エジプト・ムバラク政権崩壊(その1) 辞任拒否が裏目

エジプトのムバラク前大統領は11日、前夜の「退陣拒否」演説から一転、首都カイロを家族と共に脱出し、30年にわたった権力を手放した。この急転直下の辞任劇の舞台裏で、一体何が起きていたのだろうか。そして、誰がムバラク氏の後継としてこの国を率いていくことになるのか。カリスマ指導者なき市民革命がこの国をどこに導くかは、今後の展開次第だ。【カイロ樋口直樹】

◇思惑外れ軍に権力 後継・スレイマン氏、不透明

ムバラク政権崩壊の最後の秒読みは10日夜、ムバラク氏の「不可解」な辞任拒否演説から始まった。

「大統領は辞任するかもしれない」。10日夕、シャフィク首相のこの発言が報じられると、最大与党・国民民主党幹部からも「辞任しても驚かない」との感想が飛び出した。首都カイロのタハリール広場を埋める反大統領派の人々は狂喜乱舞した。だがこの夜、大統領の「辞任表明」を確信し、広場に押しかけた人々を待っていたのは、期待を裏切る「辞任拒否」表明だった。反大統領派の怒りは頂点に達した。人々は靴を脱ぎ、手で振り回しながら叫んだ。「あしたを見ていろ。決着をつけてやる」

アラブで、靴で人をたたくのは最大の侮辱を意味する。難攻不落に見えたムバラク城は、広場からもあふれ出すほどの民衆の熱気と興奮の波に、のみ込まれてしまった。政権崩壊を確実にした辞任拒否演説には、不可解な点も多い。政府高官や与党幹部が相次いで「辞任の可能性」に触れ、それを追認するかのように急きょ同夜、大統領演説が設定されながら、結局、ムバラク氏はスレイマン副大統領への権限移譲を発表するにとどまった。

大統領の側近も最大の同盟国・米国も、大統領の即時辞任は不可避だろうとみていた。大統領が名誉を保ったまま表舞台を去る機会(演説)を大統領周辺が設けたのではないか、との観測もあった。だが、大統領は改めて「即時辞任」を拒否。このため、「大統領は直前に演説内容を変えたのでは」との見方も出た。

ムバラク氏の辞任表明の遅れは、後継者と目されてきたスレイマン副大統領への権力移譲さえもご破算にした可能性がある。11日夜、国営テレビで大統領の辞任を発表する副大統領の顔はこわばっていた。大統領権限は軍部へ渡ったからだ。

ムバラク氏は今年9月の次期大統領選まで、自分の息のかかったスレイマン氏を暫定大統領に据え、憲法改正などを体制側に有利に進める考えだったとみられている。同氏は野党勢力との政治対話を始めたが、抗議行動を続ける民衆は権力の「欺まん」を見抜き、同氏主導の政治プロセスさえも拒絶していた。

他方、草の根的な民衆の抗議運動の中に、「ムバラク後」の政治的混乱を収拾し、民主的な大統領選の実施を導けるだけのリーダーは育っていない。国家機能がまひ状態に陥る中、暫定政権の受け皿になり得たのは、国民の信頼が厚い軍部しかなかった。

ムバラク氏の「1日遅れの辞任表明」は、民衆パワーを侮った読み違えだったのか。または、同氏の進退を巡り内部で見解が分かれていたと言われる軍部の干渉があったのか。真相はやぶの中だが、結果的にムバラク政権早期崩壊につながり、ムバラク氏の思惑に反し軍部へ権力が渡るという皮肉を招いた。

◇民主化プロセス、なお時間 軍も一枚岩とはいえず

ムバラク政権崩壊に伴う混乱の収拾はひとまず軍部に委ねられることになった。当面、軍最高評議会を率いるタンタウィ副首相兼国防相が主導権を握る見通しだが、事実上の軍政の復活を懸念する声もあり、民主化に向けた政治プロセスが動き出すにはまだ時間がかかりそうだ。

政権側が当初描いていた「ムバラク後」の構想は、大統領の辞任表明を受け、腹心のスレイマン副大統領率いる暫定政権に権力を移譲し、次期大統領選の準備に入るというシナリオだった。政権のスムーズな移行や継続性といった観点から、米欧にも受け入れられやすいとみられてきた。

このシナリオがつぶれた今、ムバラク政権で国防相を長年務めた軍最高評議会議長のタンタウィ氏が取って代わった。大統領選の候補者になりうる。

だが、軍部は一枚岩でないと言われる。軍を実質的に差配するアナン参謀総長は、政権に対する民衆の不満に同情的で、デモ隊への実力行使を完全に拒否してきたと言われる。両者の微妙な緊張関係は、今後の民主化プロセスに影響を与える可能性がある。

次期大統領候補には他に、ムバラク氏の最大の「好敵手」と見られてきたアラブ連盟のムーサ事務局長の名前が挙がる。ムバラク政権の外相時代に、イスラエルに対し批判を浴びせ、反イスラエル感情が根強い国民の人気を博した経緯がある。

今回、反大統領派に加わったノーベル平和賞受賞者、エルバラダイ前国際原子力機関(IAEA)事務局長や、野党ガッド党の創設者ヌール氏らの名前も挙がる。事実上の最大野党・穏健派イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」の動向も無視できない。公正な選挙が行われれば、最大政党に躍進する可能性があるとの見方が強いからだ。

ムバラク政権を打倒した草の根的な民衆パワーの中には、若者を中心に既存の政治の枠組みを嫌う傾向も強い。このため、今後、反政府勢力の中から新たなリーダーが出現する可能性もある。

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◆エジプト政権崩壊に至った経緯◆

1月14日 チュニジアでベンアリ政権崩壊

 25日 カイロやスエズなどで数万人規模の反政府デモ

 28日 金曜礼拝後大規模デモ

 29日 ムバラク大統領がスレイマン氏を副大統領に任命

2月 1日 「100万人」デモ。ムバラク大統領が次期選挙不出馬を表明

  3日 ムバラク大統領、米テレビに対し即時辞任を拒否

 10日 ムバラク大統領、テレビ演説で即時辞任を拒否

 11日 スレイマン副大統領がムバラク大統領辞任を発表

毎日新聞 2011年2月13日 東京朝刊



 
 
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クローズアップ2011:エジプト・ムバラク政権崩壊(その2止) 米も最後に決別

◇市民の反発恐れ 同盟国の抵抗振り切り

【ワシントン草野和彦】オバマ米大統領は11日、「民主的なエジプトは、中東だけでなく世界中で責任ある指導的役割を果たせる」と述べ、新生エジプトへの期待を表明した。アラブの親米独裁国家や同盟国イスラエルの抵抗を受けながらも、“ムバラクのエジプト”との決別を明確に宣言した。

ギブス大統領報道官によると大統領は11日午前、ホワイトハウスで会議中に渡されたメモでムバラク氏辞任を知った。それから約1時間にわたって練られた声明で、ムバラク氏に触れたのは「辞職でエジプト国民の変革への渇望に応えた」の部分だけだった。

米メディアによると、「民主化ドミノ」を恐れるサウジアラビアなど親米国家がムバラク氏との連帯を強め、米国に圧力をかけていただけでなく、イスラエルは、ムバラク氏が退陣すれば自国内の右派勢力が強くなり、中東和平に影響が出ると警告していた。

だが、エジプト国内で退陣への期待がこれまでになく高まった10日、ムバラク氏が演説でなおも大統領の座に固執したことで、米国は完全に見切りをつけたようだ。反米感情が高まらないようにするためにも、国民の側に立つしかないと判断したとみられる。

報道官によると、演説には「誰もが驚いた」という。演説後にオバマ大統領は文書の声明を出したが、ムバラク氏の名前さえ出さず「(改革の)機会をまだとらえていない」と不満をあらわにした。

また大統領は11日の声明で、反政府デモを通じて「創造性やテクノロジーを使いこなせる新世代の出現を見た」と述べ、デモの中心となった若者との今後の連帯を訴えた。

◇日本は不安定化を警戒 「非米欧路線」活用の機会も

エジプトのムバラク大統領辞任を受け、日本政府は「(速やかに)憲法からの逸脱状態が回復されることを期待する」(12日、前原誠司外相談話)として、米国などと連携しながら、安定的な新政権の早期樹立を促していく考えだ。ただ、米国の中東での影響力は今後、低下していくことも予想される。これまで米欧とは異なるスタンスで中東と向き合ってきた経験がある日本だけに、国際社会で新たな役割を求められる可能性もある。

日本の中東政策は必ずしも米欧追随ではなかった。1981年に初来日したパレスチナ自治政府のアラファト議長は、西側先進国の首脳として初めて日本の首相(鈴木善幸氏)と会談した。米同時多発テロ前の01年1月には、河野洋平外相(当時)が「河野イニシアチブ」を発表し、イスラム世界との対話促進を掲げるなど、独自の距離感を取ってきた。

中東地域研究者の板垣雄三・東大名誉教授は「チュニジアのあおりで突然、エジプトで動きが起きたのではなく、30年間の独裁の深まりや、さまざまな市民の運動が前提にある」と指摘。「サウジアラビアでも火種がないわけではなく、これらが連結して中東全体が大きな政治変動に入っている」と見る。そのうえで「非欧米の潜在力を評価し、世界全体の調和を図っていくのが日本の使命ではないか」と強調した。

政府が警戒するのが、エジプト新政権内でイスラム原理主義勢力が台頭すること。外務省幹部は「幅広い支持層や勢力による『一色ではない政府』を期待している」と語った。

また、中東・アフリカ諸国にはエジプト同様、独裁的長期政権や若者の高い失業率など、不安定要素が共通している国が多く、ヨルダンやイエメンでは体制への不満が表面化している。中東全体が不安定化すれば、原油の供給に影響が出ることも懸念され、外務省幹部は「若者の失業率が高いなど要素が共通している国が多い。いつ、どこで、どう火を噴くか、日本としても注目しないといけない」と語った。

外務省によると、エジプトへの邦人観光客はほぼ全員が出国し、現地に残っているのはエジプト人の配偶者や報道関係者ら約450人という。【犬飼直幸】

毎日新聞 2011年2月13日 東京朝刊



 
 
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エジプト:ムバラク政権崩壊 アラブ洗う「第3の波」=専門編集委員・布施広

民族主義を信奉する若手将校のクーデターではなく、コーランをかざしたイスラム革命でもない。エジプトの政変を支えたのは、生活苦にあえぐ若者たちだ。「職もない。権利もない。命は惜しくない」という叫びが象徴していよう。中東に特徴的な行動原理であるアラブ民族主義でもイスラム教でもない、平凡な市民感覚が作りだした「第3の波」が、中東全域に津波のように押し寄せている。

失脚したムバラク氏には思い出がある。80年代末、大統領だった同氏に会見した時、当時のレーガン米大統領の「力の中東政策」は強硬に映らないかと尋ねた。するとムバラク氏は目をむいて「レーガンは強硬派じゃない」と私をしかりつけるように言ったものだ。

徹底して親米路線を歩むことがエジプトの近代化につながる。そうムバラク氏が信じたとしても、間違いとは言えまい。しかし、アラブの指導者には「過去の清算」も必要だ。48年のイスラエル建国以来、アラブは戦争に明け暮れた。非常時を理由にアラブの指導者たちは庶民に耐乏生活を強い、強権的な体制を押し付けてきた。

イスラエルや米国との戦いが「大義」だと信じればこそ、庶民は不合理にも耐えた。73年の第4次中東戦争後、アラブ側が戦いを諦め、「大義」も死語になりつつあるのに、なぜ庶民は貧しいままなのか。なぜアラブの指導者たちは長期政権を保っているのか−−。それらの実にまっとうな問いが、これまで置き去りにされてきた。

そんな問題意識の広がりが80年代からのイスラム原理主義の台頭につながった。90年代初頭、アラブ初の完全自由選挙がアルジェリアで行われた時、予想に反して圧勝したのは新顔の原理主義政党である。欧米は「第2のイラン出現か」と慌て、結局、軍が介入する形で選挙結果が白紙撤回された経緯がある。

しかし、エジプトのデモはむしろ原理主義を警戒し、あくまで平和的であった点で画期的だ。場違いな連想ながら「フセイン支持デモ」を思い出した。90年8月、フセイン政権のイラクがクウェートに侵攻し「ペルシャ湾岸の富の再配分」を主張した時、アラブ各地で貧しい民衆がこれを支持した。二つのデモの性格は違うが、貧富の格差への問題意識は共通する。チュニジアに端を発した民衆運動は今後、サウジアラビアなど湾岸諸国にも及ぶと考えた方がいい。

泉下のフセイン元大統領と、91年の湾岸戦争でイラクを攻撃したムバラク氏。反米と親米で立場が正反対の2人が、ともに悪役として歴史に名を残すことになったのは皮肉だ。

毎日新聞 2011年2月13日 東京朝刊



 
 
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エジプト:現内閣で暫定政権 軍が声明、正常化急ぐ

【カイロ伊藤智永】ムバラク前大統領の約30年に及ぶ独裁体制が崩壊したエジプトで、全権限を移譲された軍の最高評議会(議長・タンタウィ国防相)は12日、国営テレビを通じ、選挙による新政府樹立までシャフィク首相の現内閣が暫定内閣として国政に当たるとする声明を発表した。ムバラク前大統領が先月31日に発足させたシャフィク内閣は総辞職させられるとの見方もあったが、政府の基本的な枠組みを維持することで、観光や経済に打撃を与えた社会混乱からの回復を急ぐ姿勢を示したものだ。

声明はまた、隣国イスラエルとの平和条約(79年)を含む「すべての国際的な条約を順守する」とした。米国やイスラエルでは、中東和平で重要な仲介役を担ってきたエジプトが政権崩壊で平和条約を維持するのか懸念が高まっていた。声明は外交的な基本姿勢に変化はないとのメッセージを送ることで、国際社会の不安に応えた形だ。

声明は▽新政権の発足まで現内閣を維持する▽過去に締結した地域的、国際的な条約を順守する▽軍は選挙で選ばれた新政権への平和的な権力移譲を望む▽軍はこれまでの発表事項は守る▽国民に警察との協力を呼び掛ける▽国民及び企業に業務再開と経済再建への貢献を呼び掛ける−−の6項目。

今後、選挙による新政権発足までシャフィク内閣が実務を行う。軍最高評議会は、これまでの声明で、全権掌握は暫定的な措置としており後見役に徹するとの姿勢を示したと言える。新政府樹立までの具体的な道筋などは依然として不透明だ。

AP通信によると、軍最高評議会は、前・現政権関係者の無許可での海外渡航を禁止する措置をとった。汚職などの責任追及に備えた措置とみられる。

国軍は12日、首都カイロ中心部で反政府デモが続いたタハリール広場で、バリケードの撤去を開始。国営放送によると、午後8時〜 午前6時だった夜間外出禁止令が午前0〜6時に短縮されるなど正常化に向けた動きも始まった。事実上の最大野党である穏健派イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」の報道官は、AFP通信に対し、軍による権限掌握を歓迎した。

ただ、ロイター通信によると、反政府デモを呼びかけた中心グループは、非常事態令の停止▽現政権の閣僚の総辞職▽文民も参加した暫定的な大統領評議会の設置−−などを求め、要求が受け入れられるまでタハリール広場にとどまると主張しており、すぐに秩序回復につながるかは不透明な側面もある。

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■ことば

◇エジプト軍最高評議会

国防や安全保障問題で最も重要な事項をまとめる会で、最高司令官役で議長の大統領をはじめ、国防相、参謀総長、各軍の司令官らで構成。ムバラク氏が大統領を辞任したことで、タンタウィ国防相がトップの議長となった。大統領の全権を移譲された会は今後、非常事態令の解除を含む諸策を協議するものとみられる。

毎日新聞 2011年2月13日 東京朝刊



 
 
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衝撃・連鎖崩壊:中東はどこへ行くのか/上 指導者なき民衆革命

◇独裁政権、なすすべなく

「大統領が辞めたなんて、まだ信じられない」。エジプトのムバラク政権が倒れた11日夜、民衆革命の拠点となったカイロ・タハリール広場から外れた路地のカフェで、カイロ大法学部2年のマフムードさん(20)は、沸き立つ群衆を遠目に半ば放心状態だった。

1月25日に始まった反政府デモに初日から毎日参加。後頭部には警官に警棒で殴られた傷痕が生々しい。動機はいくつもある。生まれる前から大統領が同じで、政府には不正が横行、自由にものが言えず、同世代には失業者があふれている。

18日間で群衆が変化していくのに驚いた。爆発的に膨れあがっただけでなく、初期の暴力状態が消え、最後は家族連れも交じるお祭り状態になった。

一人で広場へ通っていた父親たちが、11日夜は「歴史的な日を子供たちにも見せたい」と、家族と一緒に広場へ押し掛けた。

集まったきっかけは、インターネットや携帯電話など新しい通信手段で得た情報だ。お互い顔も知らず、指導者も政策もない。広場に来てから、標語を掲げるため地面で手書きする人々だ。

スレイマン副大統領が事態を収拾するため対話の相手に選んだ野党指導者らが、広場で演説する姿はほとんど目立たず、既成の政治手法は、広場から排除されていた。当局に拘束されていたインターネット検索最大手グーグル幹部のエジプト人男性、ワエル・ゴニムさん(30)が「英雄」扱いされたのも、一時の現象に終わった。

数も質も、独裁政権の弾圧が使えない新しい形の民衆蜂起が革命として姿を現した。

チュニジア、エジプトと続いた「指導者なき革命」は、周辺国で長期支配を続ける指導者を、戦々恐々とさせているはずだ。

両国の怒りのもとになった若年層の増大とその高失業率は、他の強権国家に共通の課題となっている。王族に富と権力が集中する世界最大の産油国サウジアラビアは、人口の過半数が25歳未満で、若年層の失業率は3割との推計もある。政府は海外留学制度などを強化し若者の不満そらしを図るが、ネットなどで世界の状況を熟知する若者は将来的な民主化要求運動の核になる可能性もある。

イエメンやアルジェリアでも「怒れる若者」が頻発しているデモに多数参加。指導者は今期限りの引退や非常事態令の解除を発表してガス抜きに必死だ。

エジプトなどの革命を、自らが79年に達成した民衆主導のイスラム革命の波及と言いはやすイランでも、「軍事独裁化しつつある」(クリントン米国務長官)強権的体制への若者の不満は根強い。09年6月の大統領選後は反体制派デモが荒れ狂った。これまで置き去りにされてきた民衆を主役に、中東は変革期に入っている。【カイロ伊藤智永、和田浩明】

   ◇

ムバラク政権崩壊で中東の政治図は大きく塗り替わる可能性がある。周辺国や米国の中東外交への影響を探った。

毎日新聞 2011年2月13日 東京朝刊



 
 
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円続落、83円台半ばで推移 1月上旬以来の円安水準

2011/2/14 8:45

14日早朝の東京外国為替市場で、円相場は3営業日続落して始まった。8時30分時点では前週10日の17時時点と比べ80銭の円安・ドル高の1ドル=83円41〜44銭近辺で取引されている。米景気の回復期待を背景にドルが買われやすい地合いが続いており、東京市場が休みだった前週後半に円は83円台に水準を切り下げた。エジプトのムバラク大統領が11日に辞任したことを受け、反政府運動が周辺国へも波及するとの懸念から安全資産とされるドル買いが優勢となった。週明けの東京市場もこの水準を引き継ぎ、円は1月上旬以来の円安水準で推移している。

円は対ユーロで3営業日ぶりに反発して始まった。8時30分時点では同28銭の円高・ユーロ安の1ユーロ=112円74〜77銭近辺で取引されている。前週末の海外市場でユーロ圏の一部諸国の財政懸念からユーロが売られた流れを引き継いだ。

ユーロの対ドル相場は4営業日ぶりに反落して始まった。8時30分時点では同0.0165ドルのユーロ安・ドル高の1ユーロ=1.3513〜16ドル前後で推移している。前週の海外市場では中東情勢の先行き懸念でドル買い意欲が強まったほか、欧州の財政問題が重荷となりユーロが売られた。ドイツ連銀総裁のウェーバー総裁が4月に辞任することが決まり、欧州中央銀行(ECB)の総裁後継候補から外れたとの見方もユーロ売りにつながった。〔日経QUICKニュース〕



 
 
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日経平均、反発で始まる エジプト沈静化・米株高受け

2011/2/14 9:02

14日の東京株式市場で日経平均株価は反発して始まった。84円高で寄り付き、1万0700円を小幅に下回る水準で推移している。日本市場が連休中の11日、エジプトのムバラク大統領が辞任を発表した。エジプトの反体制派のデモなどによる混乱が収束するとの見通しから、米株式相場は上昇。ダウ工業株30種平均は2年8カ月ぶりの高値を付けた。エジプト情勢の落ち着きや米株高を受けた買いが先行した。

8時50分に内閣府が発表した2010年10〜12月期の国内総生産(GDP)の実質成長率は、年率換算で1.1%のマイナスとなり、市場予想の平均(2.2%のマイナス)ほど悪化しなかった。もっとも、市場の関心は先行きに移っており、反応は限定的だった。

〔日経QUICKニュース〕



 
 
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日経平均、一時1万700円回復 米株高や円安で買い先行

2011/2/14 9:26

14日前場寄り付きの東京株式市場で、日経平均株価は反発して始まった。上げ幅は90円前後で、1万0700円を小幅に下回る水準で推移している。ムバラク大統領の辞任に伴いエジプト情勢が沈静化の方向にあることで、日本市場が連休中の米株式相場は上昇。一時高まった地政学リスクがひとまず後退したことで、国内外の投資家のリスク許容度が高まり、日本株にも買いが先行。1万700円を上回る場面もあった。

外国為替市場では、欧州の財政懸念がくすぶり、円相場が1ドル=83円台に下落したことで、自動車や電機など輸出株の買い安心感につながっている。

8時50分に内閣府が発表した2010年10〜12月期の国内総生産(GDP)の実質成長率は年率換算で1.1%のマイナスとなり、市場予想の平均(2.2%のマイナス)ほど悪化しなかった。市場では「先行きの景気の回復力への期待を強め、株式相場を下支えする要因になりそうだ」(日興コーディアル証券)との見方があった。

東証株価指数(TOPIX)は続伸。

トヨタ、ホンダ、日産自の自動車株やキヤノン、日立、ソニーなど電機株が軒並み高い。三菱商、国際石開帝石の資源関連株や郵船、川崎汽など海運株も買われている。欧州法人社長を4月1日付で社長兼最高執行責任者(COO)に起用すると発表したオリンパスが続伸。一方、KDDI、ファストリが軟調。〔日経QUICKニュース〕



 
 
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エジプト、6カ月で民政移行 憲法改正し大統領選

軍最高評議会、議会を解散

2011/2/14 9:50

【カイロ=松尾博文】ムバラク大統領の辞任を受けエジプトの実権を掌握した軍最高評議会は13日、憲法の停止と議会の解散を発表した。民政への移行期間は6カ月をめどとし、新政権発足までは最高評議会が統治する。その間、憲法を改正したうえで大統領選と議会選挙を実施する。民主化を求める反体制派の声を大筋で受け入れた内容で、新体制づくりに向けた作業が本格化する。

最高評議会の声明によると、新政権発足までは最高評議会議長であるタンタウィ国防相が対外的に国家を代表し、シャフィク首相率いる現内閣が存続する。

憲法を停止したうえで立法権を持つ人民議会と、人民議会に助言を与える諮問評議会をともに解散する。憲法改正を検討する専門家委員会を設置し、憲法改正を問う国民投票を実施する。その結果をもとに新しい大統領と議会議員を選出する選挙をする。

最高評議会の統治期間は6カ月または大統領選挙と議会選挙が終了するまでとしている。最高評議会が民政移行の具体的な手順と日程を示したのは、権力を掌握した11日以降初めて。

ムバラク体制下では憲法規定によりムバラク大統領に批判的な人物が大統領選に出馬することが事実上できなかった。また昨年11月に実施された人民議会選挙では野党の出馬に圧力を加えたり、選挙活動を妨害したりするなどの結果、政権与党の国民民主党(NDP)が議席をほぼ独占する事態となった。野党勢力は大統領選挙の出馬を制限する憲法条項の改正や議会選挙のやり直しを求めていた。

今後は憲法改正の内容や、そのための検討委員会の人選に反体制派の主張がどこまで取り入れられるかが焦点になる。また、13日の声明は野党勢力が求めている非常事態法の解除については具体的な手順を示しておらず、反体制派が反発する可能性がある。

シャフィク首相は13日、ムバラク氏の辞任後初となる閣議を開催した。終了後記者会見した首相は「治安の回復に最優先で取り組む」と強調した。前大統領が任命したスレイマン副大統領の処遇は「軍が決める」と述べた。

一方、エジプトの検察当局は12日夜、ナジフ前首相の出国を禁止する措置を命じた。



 
 
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円の下げ幅縮小、83円台前半で推移 国内勢が買い

2011/2/14 10:20

14日午前の東京外国為替市場で、円相場は下げ渋り。10時時点は前週10日の17時時点に比べ64銭の円安・ドル高の1ドル=83円25〜28銭近辺で推移している。円は東京市場で約1カ月ぶりの安値圏にあるため、国内の輸出企業やファンドなどによる円買い・ドル売り注文が入った。10時前の中値決済については「ドル需要に偏りはなかった」(国内銀行)との指摘があった。

朝方は前週末の海外市場の流れを引き継ぎ、83円台半ばの円安水準で始まった。11日にエジプトのムバラク大統領が辞任。中東やアフリカの周辺国にも反政府運動の動きが広がる可能性があるとの見方から、運用リスクを回避する際に受け皿となりやすいドルが買われた。「エジプトと中東情勢の先行きはなお不透明感が強い」(国内銀行)との声が聞かれる。欧州の一部の国の財政懸念を背景に海外市場でユーロ売り・ドル買いが進んだことも対ドルで円の下げにつながった。

円は対ユーロでじり高。10時時点では同41銭の円高・ユーロ安の1ユーロ=112円61〜64銭近辺で推移している。欧州の財政懸念がユーロ売りを誘った。対ドルでの円が下げ幅を縮小する動きにつれ、じわじわと上昇した。

ユーロは対ドルでもみ合い。10時時点では同0.0155ドルのユーロ安・ドル高の1ユーロ=1.3523〜26ドル近辺で推移している。

〔日経QUICKニュース〕



 
 
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米大統領、エジプト軍評議会を歓迎 中東安定へ関係国と協議

2011/2/14 10:23

【ワシントン=弟子丸幸子】エジプトのムバラク政権崩壊を受け、米政府は中東地域の安定のため関係国と相次ぎ協議した。オバマ大統領は12日、キャメロン英首相、ヨルダンのアブドラ国王、トルコのエルドアン首相とそれぞれ電話で会談。エジプトで権力を掌握した軍最高評議会がイスラエルとの平和条約など国際的義務の順守を表明したことを歓迎した。

オバマ大統領は各首脳に中東地域の平和と繁栄に役割を果たす決意を伝えた。一方、バイデン副大統領は13日、イラクのマリキ首相と電話し、中東地域とイラクの安定に向けて協議。エジプトの政権移行が平和的に実現したことを歓迎した。いずれも米ホワイトハウスが会談内容を発表した。

ロイター通信によると、米軍制服組トップのマレン統合参謀本部議長がイスラエルを訪問しており、ネタニヤフ首相ら政権幹部と14日に会談する方向だ。マレン氏はこれに先立ち、ヨルダンも訪れたという。

米国務省の発表によるとバーンズ国務次官(政治担当)も11〜12日にヨルダンを訪問。バヒト新内閣が推進する包括的な政治・経済改革を米国として支援する姿勢を明確に示した。



 
 
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反体制派、軍の移行計画を評価 経済回復は多難

2011/2/14 10:46

【カイロ=花房良祐】ムバラク政権が崩壊したエジプトで、軍最高評議会が民政移行計画を示し、「ムバラク後」を見据えたプロセスが始まった。首都カイロでは反政府デモの中心舞台となったタハリール広場で自動車の通行が再開するなど日常生活も一部で復旧。ただ経済活動の本格回復にはしばらく時間がかかりそうだ。

反体制派はおおむね軍が示した移行プロセスを評価。ロイター通信によると野党指導者アイマン・ヌール氏は「デモ隊を満足させる内容だ」と表明。ほかの活動家も「軍の素早い対応に感謝する」と述べた。

軍は13日、タハリール広場にあるデモ隊のテントを強制排除した。広場を一目見ようと押しかけた通行人を縫うようにして自動車の通行も再開。数百人は民主化までとどまるとして集会を続行した。ムバラク大統領の辞任後の最初の営業日となった13日は銀行や商店は通常通り開店。日常生活への回帰が本格化した。

ただ経済の完全回復にはほど遠い。ラドワン財務相は13日、2010会計年度(10年7月〜11年6月)の経済成長率見通しは混乱前の6%から、3.5〜4%に低下すると言及。特に主要産業の観光への打撃は大きい。普段はにぎわうカイロのスーク(市場)は13日、閑古鳥が鳴いていた。土産物屋の男性は「デモ発生以降、客が1人も来ていない」と漏らす。

労働争議も多発。13日は警察官が内務省前で賃上げを求めたほか、郵便局など幅広い分野でストライキの動きが出ている。憲法停止により軍が超法規的措置で争議を抑え込む可能性もある。内務省によると警察の能力はデモ発生前の35%という。シャフィク首相は原子力発電所の建設計画に変更はないと強調したが、混迷が長引けば延期は不可避だ。

ムバラク政権の責任を追及する動きも本格化。AFP通信は13日、検察当局が治安当局を指揮したアドリ前内相を事情聴取すると報じた。フェキ情報相は12日、辞任。「外国勢力がデモを支援したという流言飛語を広めた」として非難されていた。

シャフィク首相は13日、ムバラク前大統領が依然としてエジプトの保養地シャルムエルシェイクに滞在していると言明した。前大統領の資産の扱いが注目されている。



 
 
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日経平均、午前終値80円高 エジプト沈静化で安心感

2011/2/14 11:30

14日午前の東京株式市場で日経平均株価は反発。前引けは10日終値比80円78銭(0.76%)高の1万0686円43銭だった。エジプト情勢が沈静化の方向にあることや米株式相場の上昇基調などを背景に買い安心感が広がった。日経平均は取引時間中としては2営業日ぶりに1万0700円台に乗せる場面があった。

エジプトのムバラク大統領の辞任で、地政学リスクがひとまず後退したことで国内外の投資家のリスク許容度が高まり、日本株にも買いが入った。一方、外国為替市場では中東情勢の変化や欧州の財政懸念がくすぶっていることを背景に米ドルが買われ、円相場が1ドル=83円台に下落。円高による採算悪化懸念が和らぎ、自動車や電機など輸出関連の主力株に買いが入った。

8時50分に内閣府が発表した2010年10〜12月期の国内総生産(GDP)の実質成長率は年率換算で1.1%のマイナスと5四半期ぶりにマイナス成長に転じた。ただ、市場の関心が先行きに移っていることや、マイナス幅が市場予想の平均(2.2%のマイナス)を下回ったことで、特に売り材料視されなかった。市場では「設備投資は5四半期連続で増加し、先行きの景気が回復するシナリオに沿った内容だった」(国内証券ストラテジスト)との指摘があった。

東証株価指数(TOPIX)は続伸し、取引時間中としては約9カ月ぶりの高値を付けた。業種別TOPIXの上昇率上位には「その他金融業」「不動産業」「海運業」などが並んだ。

東証1部の午前の売買代金は概算で6670億円、売買高は同9億3416万株だった。値上がり銘柄数は1079、値下がりは403、横ばいは177だった。

トヨタ、ホンダの自動車株や東芝、日立、キヤノンの電機株が高い。第一生命が買われ、三井住友FG、三菱UFJ、みずほFGの大手銀行株も堅調。商船三井、郵船の海運株、三菱商、三井物の商社株も買われた。ファナック、コマツも上昇した。英国人の社長登用を発表したオリンパスの上げが目立った。一方、新日鉄、住金、JFEの大手鉄鋼株が軟調で、KDDI、NTTの通信株やJTが安い。三菱マ、三菱ケミHDが小幅安で、ファストリも下落した。

東証2部株価指数は続伸。ソフトクリエ、エノテカが買われ、稀元素も高い。一方、AQインタが安く、トーセイ、三光Mフーズが下げた。

〔日経QUICKニュース〕



 
 
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円続落、83円台前半で推移 国内勢買いで下げ幅縮小

2011/2/14 12:19

14日午前の東京外国為替市場で、円相場は3営業日続落。12時時点は前週10日の17時時点に比べ54銭の円安・ドル高の1ドル=83円15〜18銭近辺で推移している。米景気の回復期待などを背景に東京市場が休みだった11日の海外市場で円は83円台に下落。週明けの円は東京市場で約1カ月ぶりの円安水準にあるため、国内の輸出企業や個人投資家の円買い・ドル売りを誘い、下げ幅を縮小した。

エジプトのムバラク大統領の辞任を受け、前週末の海外市場では中東の周辺国に反政府運動が広がるとの懸念から、運用リスクを回避する目的でドルが買われた。ポルトガルの国債利回りが過去最高水準に上昇するなど欧州の財政不安が再び意識され、対ドルでユーロ売りが優勢となり、対ドルで円も押し下げた。9〜17時の円の安値は83円46銭近辺、高値は83円16銭近辺。

円は対ユーロで3営業日ぶりに反発。12時時点は同39銭の円高・ユーロ安の1ユーロ=112円63〜66銭近辺で推移している。欧州の財政懸念からユーロに売りが出ている。

ユーロは対ドルで4営業日ぶりに反落。12時時点は同0.0135ドルのユーロ安・ドル高の1ユーロ=1.3543〜46ドル近辺で推移している。欧州中央銀行(ECB)の総裁候補だったウェーバー独連銀総裁の辞任を受け、ECB内のインフレ抑制姿勢が弱まるとの見方がユーロ売り・ドル買いを誘った。〔日経QUICKニュース〕



 
 
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日経平均、119円高 エジプト沈静化で9カ月半ぶり高値

2011/2/14 15:30

14日の東京株式市場で日経平均株価は3営業日ぶりに反発した。終値は10日終値比119円89銭(1.13%)高の1万0725円54銭だった。ムバラク大統領の辞任を受けたエジプト情勢の落ち着きや米株高の継続、外国為替市場での円相場の下落など、外部環境の改善を受けて買い安心感が広がった。日経平均は2010年4月30日以来の高値で終えた。東証1部の値上がり銘柄数は全体の7割強にあたる1190だった。

トヨタが大幅続伸するなど自動車株が買われ、電機の主力株も総じて堅調。相場全体の上昇に伴い大手銀行株やノンバンク株、不動産株など株価の出遅れが目立っている業種の上げも目立った。市場では「主力株に高値警戒感があるなかで、相対的に出遅れ感のある大手銀行株などを買う流れが強まった」(みずほ証券の瀬川剛エクイティストラテジスト)との見方があった。東証1部で昨年来高値を更新した銘柄は111銘柄だった。

朝方に内閣府が発表した2010年10〜12月期の国内総生産(GDP)の実質成長率は年率換算で1.1%の減少と5四半期ぶりにマイナス成長となった。ただ、市場の関心が先行きに移っていることや、マイナス幅が市場予想の平均(2.2%減)を下回ったことで、相場への影響は限られた。

東証1部の売買代金は概算で1兆5241億円、売買高は同20億7742万株だった。値下がり銘柄数は343、横ばいは137だった。

東証株価指数(TOPIX)は6日続伸し、約9カ月半ぶりの高値で終えた。業種別TOPIXは33業種すべてが上昇し、上昇率上位には「その他金融業」「鉱業」「不動産業」などが並んだ。

ホンダ、日産自の自動車株や東芝、日立、キヤノン、ソニーなど電機の主力株が高い。前週末に決算を発表した第一生命の上げが目立ち、商船三井、川崎汽、郵船の海運株、三菱商、三井物の商社株も買われた。ファナック、コマツが上げ、英国人の社長登用を発表したオリンパスも大幅高となった。一方、りそなHDが下げ、新日鉄、JFEの大手鉄鋼株が軟調。NTTや武田が安く、リコーも下落した。ファストリの下げも目立った。

東証2部株価指数は続伸。ソフトクリエ、日精機が高く、自部品も上昇。一方、AQインタが安く、トーセイ、セントラル総が下げた。〔日経QUICKニュース〕



 
 
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ムバラク氏の辞任拒否演説 直前に次男が原稿修正

米報道

2011/2/14 22:51

エジプトのムバラク大統領が辞任前夜の演説で、予想を裏切り即時辞任を拒否したのは、次男のガマル氏が直前に演説原稿を書き換えたためだったとする情報を、米AP通信や米紙ワシントン・ポストなどが伝えた。ムバラク氏の土壇場での変心に慌てた軍が「辞任かクーデターか」の選択を突きつけ、最終的に11日の退陣につながったという。

反政府デモの拡大を受け、大統領は10日夜の国民向け演説で辞任を表明する方向で準備が進み、エジプト政府上層部や米政府にも情報が伝わっていた。しかし、演説の直前、ムバラク氏の家族や側近が巻き返しに動いた結果、ムバラク氏は辞任拒否に傾いた。一時は大統領の後継候補と目されてきたガマル氏が原稿を書き換えたという。

エジプト紙アフバルによると、演説の収録中にムバラク氏の長男アラー氏がガマル氏を「おまえが友人を政権につれてきて腐敗まみれにし、父の晩節を汚した」となじり、殴り合い寸前になったという。(カイロ=松尾博文)



 
 
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エジプト軍が議会解散、憲法停止を発表 暫定統治へ

2011.02.14 Mon posted at: 09:36 JST

カイロ(CNN) ムバラク大統領辞任を受けて全権を受け継いだエジプト軍最高評議会は13日、議会を解散し、憲法を停止した。そのうえで、今後6カ月間または選挙が実施されるまでの間、政権を担当すると述べた。

同評議会が国営テレビを通して発表した声明によると、憲法改正のための委員会を新たに設置し、改正案は国民投票にかける。大統領選挙とともに議会選挙も実施する。移行期間中は同評議会が新法発令の権限を持つとしている。

シュクリ駐米エジプト大使はCNNとのインタビューで、軍指導部は実務的な暫定機関として、治安と経済の回復を最優先に日常的な業務を進めると述べた。

これに対し、民主化運動指導者のエルバラダイ前国際原子力機関(IAEA)はCNNに、軍は国民にもっと詳しく今後の見通しを示すべきだと語った。

大規模デモの舞台となったカイロのタハリール広場周辺は13日までに交通が正常化し、大部分の店が営業を再開した。一方、エジプト中央銀行前ではこの日、従業員らによる新たなデモが発生し、トップが追放された。国営テレビは、国内の銀行が16日まで閉鎖されると発表した。また内務省前では、数百人の警官が待遇改善を求めて抗議デモを行った。警官の賃金は現在、同ランクの軍兵士の約4分の1程度で、残業を拒否すれば収監される可能性がある。

エジプト情勢の影響は周辺諸国にも広がり、12日にはイエメンの首都サヌアやアルジェリアの首都アルジェも反政府デモが発生した。アルジェではデモ隊が治安部隊と衝突し、100人前後が拘束されたと伝えられる。



 
 
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ツタンカーメン像など17点、考古学博物館から持ち去られる

カイロ(CNN) エジプトの反政府デモの混乱に乗じて何者かが押し入った首都カイロの考古学博物館から、ツタンカーメンの木像など収蔵品少なくとも17点が持ち去られていたことが分かった。ザヒ・ハワス文化財担当相が13日に明らかにした。

持ち去られたのは、金箔を張ったツタンカーメンの木像「女神に運ばれるツタンカーメン王の像」と「もりを打ち込むツタンカーメン王の像」の一部、アクエンアテンの石灰岩像、供物をささげるネフェルティティ像、アマルナ王妃の頭部の石像、木製のシャブティ小像11体など。収蔵品の点検で紛失していることが分かったという。

警察と軍は、先に拘束した容疑者数人を取り調べる方針。

ハワス氏は1月31日の時点でCNNの取材に対し、デモが始まって間もない同月28日の夜、何者かが博物館に押し入って像や展示ケースを破壊し、宝飾品などを盗んだと話していた。

その後容疑者数人が拘束され、一部は古美術品を所持していたとされる。



 
 
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エジプト、憲法停止 6カ月以内に大統領選と議会選

2011年2月14日10時27分

【カイロ=古谷祐伸】エジプトのムバラク前大統領(82)の退陣で全権を握った軍の最高評議会は13日、評議会による統治期間を今後6カ月か、新政権の発足までとする声明を発表した。この間に憲法改正に関する委員会を設置。憲法改正の国民投票を行った上で大統領選や議会選を実施するなど、民主化に向けた今後の見通しも示した。

国営テレビが伝えた声明によると、民政復帰に向けたプロセスは、憲法の停止▽議会上下院の解散▽憲法改正に向けた委員会の設置▽憲法改正のための国民投票▽大統領選と議会選の実施、との流れになる。大統領選への立候補資格を限定した現行憲法の停止や議会解散には、「ムバラク色」を一掃し、社会を安定させる狙いがあるとみられる。

民政復帰までの間、軍最高評議会議長や国防相を務めるムハンマド・タンタウィ元帥(75)が国家元首を務める。現シャフィク内閣は継続し、イスラエルとの平和条約など国際条約は引き続き順守する。

声明は「我々は民衆の要求を達成する。自由や法の支配、平等、複数政党の参加、社会正義、腐敗の根絶は、今後の国を導く統治の基礎になる」との理念を表明。評議会による統治は民主化のための一時的なものとの立場を改めて示した。

軍部の方針に対し、野党勢力などは前向きだ。2005年の大統領選に野党から出馬し、のちに逮捕されたアイマン・ヌール氏は「革命の勝利だ」。デモを呼びかけた若者グループの幹部もロイター通信に「軍は我々の要求を満たそうとしている」と述べた。

デモ隊が残るカイロ中心部のタハリール広場は、13日朝から軍がテントなどの撤去を始め、平穏が戻りつつある。シャフィク首相は13日の記者会見で「すべては平穏に戻った」と強調。治安の回復を急ぐ考えを示した。当初デモ隊に厳しく対処した警察は国民の信頼を失っており、複数の警察署がデモ隊に焼き打ちされるなど、警察はまだ完全には機能していない。

一方、逮捕された仲間の解放などを求めるデモ隊は、「まだ要求が満たされていない」として、少なくとも毎週金曜日に大集会を開く方針だ。広場に居座りを続ける市民もおり、デモが再燃する可能性もある。



 
 
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イスラエル首相、エジプトの平和条約順守確約を歓迎

2011年2月14日10時46分

【エルサレム=井上道夫】イスラエルのネタニヤフ首相は13日の閣議で、ムバラク大統領辞任に伴い全権を受け継いだエジプト軍最高評議会が、エジプト・イスラエル間の平和条約を含め、すべての国際条約の順守を確約したことを歓迎。「平和条約は両国関係にとどまらず、中東全体の平和と安定の礎石になっている」と述べた。

ロイター通信によると、これに先立ち、イスラエルのバラク国防相は12日、現在、同評議会を率いるタンタウィ国防相と電話会談。内容は明らかになっていないが、治安維持の協力などについて話し合ったとみられる。

エジプトはイスラエル建国(1948年)後、4次にわたる中東戦争を経て、79年、アラブ諸国の中で初めて同国と平和条約を締結。イスラエルにとって同国は安全保障上、欠かせないパートナーになっている。双方はイスラム過激派の取り締まりでも協力している。



 
 
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オバマ氏、エジプトの国際条約維持を歓迎

2011年2月14日11時6分

【ワシントン=望月洋嗣】オバマ米大統領は12日、エジプト情勢について英国やトルコの首脳らと電話会談し、エジプト軍最高評議会がイスラエルとの平和条約を含むすべての国際的な義務を守る、としたことを歓迎した。民主化への秩序ある移行に向けて、国際社会と協力して経済的な支援を行う考えも示した。

ホワイトハウスによると、オバマ大統領はキャメロン英首相、ヨルダンのアブドラ国王、トルコのエルドアン首相に相次いで電話し、「エジプトの人々による歴史的な変革」を歓迎する意向を表明。評議会が市民主導の民主化移行を進める方針を示したことを評価し、「民主主義は中東地域にさらなる安定をもたらす」との考えも伝えた。

一方、バーンズ国務次官は11、12の両日にヨルダンを訪問し、アブドラ国王ら同国首脳と会談。米政府は、親米的な同国でエジプトに続く「市民革命」が起きることを警戒しており、バーンズ氏は米政府が従来通りの協力を続ける考えを示すとともに、包括的な政治、経済改革を進めるよう促した。



 
 
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カイロのタハリール広場、デモ隊撤収はじめ「観光地化」

2011年2月14日13時42分

【カイロ=北川学】ムバラク前大統領の即時退陣を求める反政府デモが続いたカイロ中心部のタハリール広場で、デモ隊のテントなどが撤去され、13日午後から車の通行が再開された。占拠していたデモ参加者も相次いで撤収しており、広場は以前の姿を取り戻しつつある。

広場では、デモに参加していた若者たちが率先して路肩のごみを片づけたり、スローガンが書かれた横断幕を取り外したりしていた。革命の「聖地」を見ようと訪れる市民も絶えない。軍の戦車や装甲車をバックに写真を撮る人も多く、まるで新しい観光地のようだ。

その一方、ロータリーの芝生の上で座り込みを続けようとする人もいた。デモに2週間参加し続けた警備員ウード・ムハンマドさん(32)は、「警察に暴行されて腕の骨が折れ、頭もけがした。警察や内務大臣の責任が明らかになるまで、自分は帰らない」と話した。



 
 
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金箔ツタンカーメン像など18点盗難、デモ余波?

【カイロ=新居益】エジプト政府は13日、首都カイロのタハリール広場のそばにある考古学博物館から、古代エジプトのファラオ(王)、ツタンカーメンの像など収蔵品18点が盗まれていたと発表した。

ザヒ・ハワス考古相が発表したもので、主な盗難品は、女神に運ばれるツタンカーメン像(金箔(きんぱく)を施した木製)や、銛(もり)を打ち込むツタンカーメン像(同)の一部、唯一神信仰の導入を試みたファラオ、アメンホテップ4世(アクエンアテン)の立像(石灰岩製)など。

同博物館では先月下旬、デモの最中に暴徒が侵入し、収蔵品のミイラを傷つける事件が起きていた。その後、学芸員らが被害状況を詳しく調べた結果、盗難が判明した。

(2011年2月14日12時05分 読売新聞)



 
 
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エジプト、憲法停止・国会解散…半年後に新政権

【カイロ=新居益】エジプトのムバラク政権崩壊を受けて全権を掌握した軍最高評議会は13日、声明を出し、憲法停止と国会解散を発表した。

新政権発足までの移行期間を6か月間、または、大統領選・国会議員選の終了までと定め、それまでは軍最高評議会が統治する。軍主導の民主化推進により、国内の安定回復を急ぐ姿勢を打ち出したと言える。

軍最高評議会の声明は国営テレビを通じて公表したもので、今回が5番目。

声明によると、憲法の一部改正に関する委員会を設置し、改正に関する国民投票の規則を定める。憲法改正について国民投票を行い、選挙制度を整備した後、大統領選・国会議員選を実施するとみられる。委員会の構成については触れていない。

(2011年2月14日14時22分 読売新聞)



 
 
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エジプトの国際協定順守表明、米大統領が歓迎

【ワシントン=山口香子】オバマ米大統領は12日、キャメロン英首相、ヨルダンのアブドラ国王、トルコのエルドアン首相らと相次いで電話会談し、ムバラク前大統領辞任後のエジプト情勢について協議した。

ホワイトハウスによると、オバマ大統領は会談で、全権を掌握したエジプトの軍最高評議会がイスラエルとの平和条約などの国際協定を順守すると表明したことを歓迎。また、民主主義は中東地域に安定をもたらすとの見方を伝え、他国と協調しての経済的支援も含め、民主制への移行を支援していく考えを強調した。各国首脳とは、民主的な政権樹立への秩序ある移行が重要との認識で一致した。

一方、バイデン米副大統領は13日、イラクのマリキ首相と電話で会談し、エジプト情勢について協議した。

(2011年2月14日14時29分 読売新聞)



 
 
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エジプトの平和条約堅持方針、イスラエル歓迎

【エルサレム=加藤賢治】イスラエルのネタニヤフ首相は13日の定例閣議で、エジプトの軍最高評議会がイスラエルとの平和条約(1979年締結)を堅持する外交方針を12日に示したことについて、「条約は2国間だけでなく、中東全域にとっての平和と安定の礎石でもある」と指摘、同評議会の姿勢を「イスラエルは歓迎する」と述べた。

イスラエルは、軍による暫定統治後に行われるエジプト国会選で、イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」が台頭し、条約破棄を求める声が高まる事態を警戒している。

(2011年2月14日15時17分 読売新聞)



 
 
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「ムバラク氏は国内の保養地に」エジプト首相

【カイロ=工藤武人】エジプトのシャフィク首相は13日、辞任したムバラク前大統領が同国東部の保養地シャルムエルシェイクに滞在していることを確認した。

ムバラク氏の去就について、政府首脳が認めたのは初めて。

(2011年2月14日17時23分 読売新聞)



 
 
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ムバラク氏が体調悪化、意識不明に…エジプト紙

独立系のエジプト紙アルマスリ・アルヨウムは14日、消息筋の話として、ムバラク前大統領(82)が11日の辞任後、健康状態が極度に悪化し、「意識不明」の状態になっていると伝えた。

(2011年2月15日00時44分 読売新聞)



 
 
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ムバラク一家の5兆円、湾岸国に移動済みか

【ロンドン=大内佐紀】13日付の英サンデー・テレグラフ紙は、エジプトのムバラク前大統領が、自身に対する抗議デモ発生から辞任に至るまでの18日間に、30億ポンド(約3900億円)から400億ポンド(約5兆2000億円)ともみられる莫大な資産を、西側諸国から湾岸諸国の銀行に移していた疑いがあると伝えた。

西側情報筋の話として報じたもので、前大統領は約30年の間に蓄財、外国の銀行に貯蓄していた資産が凍結されることを見越し、緊急家族会議を開いた上で、スイスや英国などの銀行から「より友好的な国」に移すよう資産管理担当者に指示したという。

移動先としてはサウジアラビアやアラブ首長国連邦などが取りざたされている。

(2011年2月14日18時46分 読売新聞)



 
 
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エジプト:対イスラエル政策、軍評議会を評価−−オバマ米大統領

【ワシントン草野和彦】米ホワイトハウスによると、オバマ大統領は12日、キャメロン英首相、ヨルダンのアブドラ国王、トルコのエルドアン首相とそれぞれ電話でエジプト情勢を協議した。その中で大統領は、エジプトで実権を掌握した軍最高評議会が民政移管を確認し、イスラエルとの平和条約など国際的義務の支持を発表したことを歓迎した。

大統領は、エジプトの秩序ある民主化移行のため、国際社会と協力して財政面を含めて必要な支援を行うことを表明した。

毎日新聞 2011年2月14日 東京夕刊



 
 
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エジプト:ムバラク氏長男、弟に「お前が悪い」

【カイロ支局】「お前が国を台無しにしたんだ」−−。ムバラク前エジプト大統領の長男アラア氏が、父親への退陣要求が強まる中、大統領宮殿内で弟ガマル氏に食ってかかっていたことが分かった。ロイター通信がエジプト紙アルアクバルの報道として13日伝えた。一時は大統領職の「世襲」も予測されたガマル氏とその周辺による政権の私物化を責めた格好だが、アラア氏自身も資産をため込んでいたと指摘され、政権末期の“あがき”が露呈したとも言えそうだ。

ロイター通信によると、アラア氏はムバラク氏の最後のテレビ演説(10日)収録時、「お前が友人たちを招き入れた結果がこのざまだ。父は人生の最後に名誉に包まれず、お前が父のイメージを台無しにさせたんだ」とののしり、一触即発の状況になったという。

元々は銀行マンだったガマル氏は02年、与党・国民民主党(NDP)の政策委員長に就任し、ビジネスでの友人らをNDPや内閣に引き込んだという。英紙ガーディアンは、ムバラク氏本人とガマル氏だけでなく、アラア氏、ムバラク氏のスザンヌ夫人を含めた一家全体の蓄財を指摘。ロンドン、ニューヨーク、ロサンゼルスやリゾート地の紅海沿岸での不動産取引などを通じ、莫大(ばくだい)な資産を形成したと報じている。

毎日新聞 2011年2月14日 東京夕刊



 
 
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エジプト:ムバラク氏、資産移動か 最大5兆3400億円、国外に−−英紙報道

【カイロ支局】政権の座を追われたエジプトのムバラク前大統領が、18日間続いた抗議デモの間に一族の資産を海外の口座に移していた疑いがあることが分かった。13日付の英サンデー・テレグラフ紙が報じた。デモの拡大に辞任は避けられないと判断し、最大400億ポンド(約5兆3400億円)とも言われる巨額資産の保全を図ったとみられる。

同紙によると、欧米の情報筋が「ムバラク氏はここ数週間で、(海外に)資産を移動させ始めた」と明かした。スイス政府は既にムバラク氏の資産凍結を発表しているが「ムバラク一族は資産保全のために緊急会議を開き、意向を受けたアドバイザーが既に金を動かしている。チューリヒに資産を預けていたとしても、もう(ほかの場所に)移された後だろう」と指摘した。

エジプトに先立つ反政府デモで失脚したチュニジアのベンアリ前大統領がスイスの銀行に資産を凍結されたことを受け、先手を打った可能性があるという。

資金の移動先は明らかにはなっていないが、友好関係のある湾岸諸国が取りざたされている。

長期独裁に対する国民の厳しい批判を背景に、今後、ムバラク氏周辺に対する汚職や不正蓄財疑惑の追及が行われる可能性もあり、その資産の行方が注目されている。

毎日新聞 2011年2月14日 東京夕刊



 
 
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エジプト:ツタンカーメンの副葬品など盗難

【カイロ樋口直樹】大規模な反政府デモが続いたエジプトの首都カイロのエジプト考古学博物館から、「黄金のマスク」で有名な古代エジプト王ツタンカーメンの副葬品など18点が盗まれていたことが13日、分かった。ザヒ・ハワス文化財担当国務相が発表した。博物館は先月末に盗難に遭ったが、被害の全容が明らかになったのは初めて。

盗難に遭ったのは、女神に担がれたツタンカーメン像や、魚に銛(もり)を打ち込むツタンカーメン像の一部など。いずれも金箔(きんぱく)を施した木製品で同王の代表的な副葬品。また、ツタンカーメンの父でエジプトに一神教を導入しようとした異端の王アメンホテプ4世の石灰岩像など、極めて貴重な文化財も盗まれていた。

ツタンカーメンは紀元前1300年ごろに在位。若くして死去したといわれる。1922年にエジプト南部ルクソールの「王家の谷」で発掘された墓からは王のミイラにかぶせられた「黄金のマスク」をはじめとする美しい副葬品の数々が発見された。盗掘を免れた王墓は極めて珍しい。

エジプト考古学博物館は、反政府デモの拠点だったタハリール広場に面している。AP通信によると、デモ隊と治安警察が激突した先月28日、混乱に乗じて少数の略奪者が博物館の非常階段で屋上に上り、ガラス張りの天井を破ってロープで館内最上階に侵入したとみられている。

ハワス国務相は「略奪者の捜査を既に開始した」と述べた。考古学博物館は現在閉館中で、兵士らによる警備が続いている。

毎日新聞 2011年2月14日 東京夕刊



 
 
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エジプト:半年内に民政移行 改憲、国民投票で−−軍発表

【カイロ樋口直樹】ムバラク政権の崩壊で実権を掌握したエジプト軍最高評議会は13日、人民議会(国会)などを解散し、憲法を停止したと発表した。憲法改正委員会を発足させ、改憲案は国民投票で承認を得る。ムバラク前大統領を辞任に追い込んだ国民の民主化要求に応える措置で、新政権発足までの移行期間は今後6カ月間、または次期大統領選などが実施されるまでとした。

軍最高評議会が民政移管への大枠を示したことで、今後は、デモ参加者や野党勢力などの要求を政治プロセスに反映させるための具体策が焦点となる。

昨年11〜12月の人民議会選挙では、ムバラク氏率いる与党・国民民主党(NDP)が大勝したが、野党側は不正があったとして選挙のやり直しを求めていた。また、5期約30年に及ぶムバラク政権を支えてきた制度上の問題点として、現憲法に定められた大統領選への厳しい立候補条件などの見直しが喫緊の課題になっている。

今後は、憲法改正委員会の草案に基づく国民投票などを経て、改正憲法下で次期大統領選が行われる見通し。大統領選は今年9月に予定されていたが、軍最高評議会の方針によって、8月に前倒しされる可能性もある。それまでの間は評議会議長のタンタウィ国防相が国家元首を務める。

また、シャフィク首相率いる暫定内閣は13日、ムバラク政権崩壊後初めて閣議を開いた。シャフィク氏は閣議後の記者会見で「内閣の主な関心事は治安の回復だ」と強調。国民生活の正常化に向け、「生活の糧や医療など国民の基本的要求」に応えることや、国民の権利の尊重や汚職対策の強化なども約束した。また、AP通信によると、首相はスレイマン副大統領の進退は軍が決めると述べた。

デモ参加者や野党勢力はこのほか、非常事態令の即時停止や政治犯の釈放、軍事裁判の廃止なども求めている。一方、反政府デモの拠点になってきた首都カイロ中心部のタハリール広場では13日、車の通行が再開されるなど正常化への動きが加速している。

国営放送は12日、検察当局がナジフ前首相、アドリ前内相らの海外渡航を禁止したと報じた。前内相は資産凍結も命じられた。前内相は警官・治安部隊を動員した市民の弾圧を主導したとされ、前首相には汚職の疑惑がもたれている。

毎日新聞 2011年2月14日 東京夕刊



 
 
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エジプト:熱気冷め、不協和音 警官隊デモに市民怒声

【カイロ鵜塚健】市民のデモの力でムバラク前大統領の独裁体制を倒した「革命」から2日たった13日、カイロの熱狂の温度は徐々に下がり始めている。タハリール広場から去るべきか去らざるべきか、議論を続けるデモ隊を軍が押しのけ、車を通し始める。デモ隊を弾圧した警官らは市民との和解と待遇改善を求めデモ行進。ムバラク政権から任命された幹部の追放を求め、銀行員らはストを決行した。改革への熱い思いの次の矛先を探しあぐね、カイロは戸惑っているように見える。

「政治犯の釈放が先だ」。広場に居座りを決め込んだデモ参加者が排除しようとした兵士にくってかかる。小競り合いになり、兵士が棒を振り回した。軍と市民が衝突するのは初めてだ。軍は市民が泊まり込んでいたテントの撤去作業を開始した。「新しい国づくりに向け、当面軍を信じていいのではないか」(食堂経営、マフムードさん)との声もあるが、軍主導の暫定統治でムバラク一派が居残るのではないかと疑問を呈する人もいて、果てしない議論が続く。

地元メディアによると警官隊が隊列を組み賃上げを求めてデモを始めた。「市民と警察は手を携えている」。つい先日まで、デモ隊に催涙弾を撃ち、暴行した警官隊の主張に、「非人間的な行為をやったのはおまえらだ」と市民から怒鳴り声があがる。「すべて上からの命令でやったんだ」。あまりの怒りの激しさに泣き出す警官もいる。軍はデモを解散するよう指示し威嚇射撃した。内務省前に移動した警官らにワグディ内相は、「チャンスがほしい」と待遇改善への努力を約束した。内相は警官らが市民への暴行で訴追されないことも示唆した。

広場では銀行員らが「(幹部は)去れ」と大声をあげる。ムバラク前大統領に指名され、高額な報酬を得る幹部への不満が爆発したのだ。教職員組合の男性らが「権力にコントロールされるのはごめんだ」と叫んだ。

ムバラク前大統領を倒して自由を得ることでは一致していた市民の次の目標は多様だ。一体感を取り戻そうと、デモ隊は18日の金曜礼拝の日に「勝利の行進」を予定している。

毎日新聞 2011年2月14日 東京夕刊



 
 
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[FT]エジプト国民の期待と病める国の現実

2011/2/15 0:00

(2011年2月14日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

それは驚くべき光景だった。エジプトの民衆がホスニ・ムバラク大統領を失脚させたほんの数時間後に、タハリール広場の大勢のボランティアが車道や歩道をきれいに掃除し、いわば旧体制を一掃していたのだ。

■未来への希望と衝突する現実

エジプト人は、国民が疎外感を覚え、国民を顧みない権力欲の強い政権に国を牛耳られていた暗黒時代から立ち上がり、今、母国を自らの手に取り戻しつつある。彼らが抱く期待は感動的で、彼らが新たに見いだした市民の義務感は見事だ。

だが、エジプト人が明るい未来に目を向けるなか、彼らの期待はすぐにエジプトの現実と衝突する可能性がある。何しろエジプトは、数十年間の悪政のうちに積み上がった風土病のような社会・経済問題に苦しめられている国だ。

高揚感に満ちた若者は、自分たちはタハリール広場のデモを完璧に成し遂げたのだから、エジプトも運営していけると言う。ただし、彼らの国は人口8000万人を擁し、そのうち40%が貧困の中に暮らす地だ。公式統計では、労働力人口の44%が読み書きができないか、半ばできない状態で、労働者の54%が経済の非公式部門で働いている。

■残ったムバラク氏肝煎りの現政権

過去3週間、反政府デモの中核を成した若者(教育を受けており、インターネットに精通した人々)は民主的な未来に対する熱狂の波に飲み込まれた。彼らは民主制こそが、この国の病に対する答えだと考えている。

デモに参加していた20歳のマルワが言うように、「以前は民意が存在しなかったが、今はある。だから、どんな政府も我々の意思を尊重しなければならない。さもなくば、我々はまた街頭に繰り出す」というわけだ。

エジプト軍の司令官たちがどれほど国民の要求を受け入れるかは、まだ分からない。軍は13日、議会を解散し、半年以内に選挙を実施すると約束して、国民を安心させようとした。しかし、大統領諮問委員会と移行政府の設置を求める若者の要求は無視する形で、ムバラク氏が選んだ現内閣を暫定政府として残した。

もしかしたら、反政府デモを率いた若者たちは、短期的には満足させておけるかもしれない。だが、ほかの社会集団、なかでも労働者はもっと性急だろう。

■小さな反乱、全国拡大のリスク

恐怖から解き放たれた労働者は終盤になって革命に加わり、政府系の雇用主に対して立ち上がり、給料引き上げを要求した。全国各地で小さな反乱が起きるリスクは現実に存在する。13日には大勢の抗議者がカイロにある政府所有の百貨店と銀行のオフィス前に集まり、雇用主は泥棒だと非難し、賃上げを要求した。

投資銀行EFGエルメスの調査部門担当バイスプレジデントのサイモン・キッチン氏は、新たに誕生する政府は難しい問題に直面すると指摘する。例えば、それが民間投資を阻害しかねない時に、旧体制との関係を巡って実業家をどこまで追及するのか? また、国のすべての臓器が腐敗に侵されていたとの確信が広がるなかで、多くの政府系企業・機関でパージが起きるだろう。

「しかし、ただ単に人々を解任して、リーダー不在の組織を維持するわけにはいかない」とキッチン氏は言う。

■年70万人の新規雇用が必要

さらに、公的部門を使って雇用を創出しようとする衝動が働くだろう。エジプトは失業率の上昇を食い止めるために、年間70万人の新規雇用を創出する必要がある。しかし、政府は8%近い財政赤字を出しており、大衆迎合的なアプローチを取る余裕がほとんどない。

暫定政府の財務相を務めるサミール・ラドワン氏は「一般論だが、多数のエジプト人労働者は雇用に適さない。この教育制度が生み出した産物は雇用不能だ」と語っている。

厳しい現実は、次期政権が歴代政府と同じ苦境に見舞われる恐れがあることだ。失脚した政権内のチームは、過去最大級の外国投資を引き寄せ、経済成長率を押し上げた。だが、勢いのある数字が困窮した大衆をなだめることはほとんどなかった。むしろ、食糧と石油価格の上昇を背景にインフレが急騰したため、社会の格差を悪化させ、貧富の格差を広げる結果になった。

■希望を抱き続けることが大事

確かに、軍と選挙で選ばれる新政府は一息つく時間を与えられるだろう。今回解き放たれた若者のエネルギーと責任感のインパクトは過小評価すべきではない。

また、法の支配に基づいて運営される経済は間違いなく、外国からの投資を引きつける強力な磁石になるはずだ。週末にタハリール広場で革命の成功を祝っていた若者は次のように語っている。「厳しい時代になるが、今大事なことは、革命を衰えさせないように楽観的になり、希望を抱くことだ」

By Roula Khalaf In Cairo 

(翻訳協力 JBpress)



 
 
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エジプト軍「10日内に憲法改正案」 通信社報道

野党の要求反映が焦点

2011/2/15 0:14日本経済新聞 電子版

【カイロ=岐部秀光】エジプトでムバラク政権崩壊後の全権を掌握した軍最高評議会は14日、声明を出し、賃上げを要求する労働者のストを批判、経済再建に向けた国民の結束を呼びかけた。停止した憲法の改正案を10日以内にまとめ、2カ月以内に国民投票にかける意向との報道も出ている。混乱で傷ついた経済の回復が急がれる中、軍主導への警戒も出ているデモ参加者や野党の声を民主化プロセスにどう反映させるかが課題となる。

民政移行の前提となる公正な選挙には憲法改正が不可欠となる。これに関しAFP通信は、軍最高評議会幹部が14日までに米インターネット検索大手グーグル地域幹部のワエル・ゴニム氏らと対話し、10日以内の改正案作成などの行程を明らかにしたと伝えた。

軍最高評議会は専門家委員会を設置し憲法改正案をまとめる意向だが、委員会の構成や改正案の是非を問う国民投票の詳細を明らかにしていない。憲法改正の議論への野党の関与のほか、野党が求める1981年に発令されたままとなっている非常事態法の解除や政治犯の釈放などへの対応も不透明だ。

事実上の最大野党でありながら非合法扱いだった穏健派イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」への対応も注目される。シャリア(イスラム法)導入を掲げ庶民層の支持を集める同胞団は、米国とつながりが深い軍エリート層とは相いれない面も多い。スレイマン副大統領の進退や処遇も決まっていない。

赤いベレー帽をかぶった軍警察は14日、タハリール広場に残るデモ参加者に退去を命じた。一部デモ参加者は軍主導の民主化の実態が確認されるまで活動を継続すべきだと主張している。強引な介入で事態の収拾に動いた軍が権力に居座るシナリオを警戒している。

ストを批判した声明は「こうした微妙な時期のストは、治安や経済に害を及ぼす」と、市民生活に影響が大きい経済活動の回復に配慮を見せる。ただ、若年層の失業や貧困などの中長期的な問題も残る。経済回復が遅れれば、各地で起きた賃上げ要求のストが再び激化する可能性もある。



 
 
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エジプト証取、業務再開を延期 20日以降に

2011/2/15 0:17

【カイロ=花房良祐】エジプト証券取引所は14日、16日に予定していた業務再開を延期すると発表した。「銀行部門の機能回復」を条件に再開は早くても20日としている。ただ、銀行や政府部門でストが発生しており、さらに遅れる公算が大きい。エジプトの政情混迷に対する海外投資家の警戒感は強く、1月27日の取引を最後に休場した証取は、再開をたびたび延期している。



 
 
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ムバラク氏の健康悪化か エジプトで報道相次ぐ

2011/2/15 0:19

【カイロ=松尾博文】14日付のエジプトの独立系紙アルマスリ・アルヨウムは、ムバラク前大統領が意識不明に陥ったと報じた。政府系紙ジュムフリヤは同日、ムバラク氏が滞在する東部の保養地シャルムエルシェイクの当局者の情報として、前大統領が鬱状態にあり、投薬や国外での治療を拒否していると報じた。ただ、意識不明との見方は否定した。

いずれも真偽は不明。一方、エジプトのシュクリ駐米大使は14日、米NBCテレビで「ムバラク氏の健康状態はおそらくやや悪化している」と述べた。82歳のムバラク氏は昨年、ドイツで胆のう炎とみられる手術を受けている。



 
 
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エジプトの日本企業、相次ぎ業務再開 なお慎重姿勢も

2011/2/15 0:32日本経済新聞 電子版

日本企業が大規模デモの影響で停止していたエジプト拠点の業務を相次ぎ再開している。日産自動車が現地工場を再稼働させたほか、三菱商事など大手商社6社も14日までにカイロ市内の営業拠点の業務を再開。現地情勢が一定の落ち着きを取り戻しつつあるとの判断からだ。ただ今後の政権運営などには不透明さも残るため、慎重姿勢を崩さない企業もある。

日産は13日にエジプト工場の操業を再開した。ムバラク氏の大統領辞任により、現地の混乱が収束に向かうと判断。「従業員の安全確保ができる」(同社)とみて再稼働に踏み切った。カイロ郊外の同工場は反政府デモの拡大など現地情勢の悪化を受け、1月30日から操業を止めていた。

スズキもカイロ郊外の合弁工場の稼働を6日に再開、「すでに通常稼働に戻っている」としている。大塚製薬も医療用医薬品製造の現地工場(ラマダンシティ)を12日からフル稼働に戻した。同工場は5日に操業を一部再開したが、11日に抗議デモの影響で再び停止。12日に改めて稼働を再開し、1日24時間操業の体制にした。

三菱商事など大手商社6社は7日から14日までの間に現地の事務所や支店の業務を再開。ドバイなどエジプト国外の近隣都市に一時退去させていた現地駐在の日本人社員も順次、エジプトに復帰させている。

ただ三菱商事は「引き続き、政治情勢を含めた現地動向の把握に努めたい」としており、カイロ市内の事務所の営業時間を必要に応じ短縮するなど柔軟な措置をとっている。

現地ではムバラク大統領の辞任で権力を掌握した軍最高評議会が経済活動の正常化を急いでいるが、一方で労働争議が多発するなど今後も混迷が続く可能性もある。日本企業も突然の事態急変に備えるため、引き続き現地の状況把握に追われそうだ。



 
 
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エジプト政府系メディア、手のひら返す 革命称賛の報道

2011年2月15日1時46分

【カイロ=貫洞欣寛】約30年にわたって強権支配を続けたムバラク政権が倒れたことで、政権べったりの報道を続けてきたエジプトの政府系「御用」メディアが、手のひらを返したように一斉に民主化を求める市民の動きを伝え始めた。

ムバラク大統領ら政権幹部の動向を常に1面で報じてきた政府系紙アハラムは、12日付で「市民が政権転覆」「エジプト人ら、史上初の民衆革命を祝福」の大見出しを掲げて「革命」をたたえた。

同紙はこのところ徐々にデモ隊に好意的な報道を増やしていたものの、反政権デモが始まった日の動きを伝えた1月26日付の1面トップはレバノンでの暴動に関する記事だった。カイロでの反政権デモは3〜4番手ニュースの扱いで、見出しは「数千人が失業問題などで平和的デモ」。一方、独立系紙マスリルヨウムは同じ日、1面全てをデモの報道で埋め、赤い文字で「警告」の見出しをつけ、大きな違いを見せた。

エジプト国営テレビもこれまで、反政権デモ隊の数を必ず「数千人程度」「少数が」などと過小に報道したうえ、「外国勢力の陰謀に気をつけよう」「外国メディアにスパイが紛れ込んでいる」などと外国人敵視の空気を作り上げていた。

しかし、11日夕の大統領辞任発表後から、国営テレビ局前のデモ参加者にマイクを渡し、政権批判を次々と生中継で語らせ始めた。中には「国営テレビがウソばかり伝えるから、みんな(衛星テレビ局)アルジャジーラしか見ないんだ」と叫ぶ人もいた。



 
 
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「これは革命だ」エジプト、デモ計画した30歳の18日

2011年2月15日7時0分

最初は「抗議デモ」のはずだった。だが、呼びかけに続々と集まった市民を見て気づいた。「僕らが始めたのは、革命だ」−−。エジプトでムバラク大統領を辞任に追い込んだ市民デモの中核メンバーが、ムバラク氏退陣までの18日間を語った。

アフマド・マヘルさん(30)らが1月25日のエジプトの祝日「警察記念日」にデモをしようと計画したのは、昨年12月のことだ。「威張って国をだめにしている張本人が警察官。その記念日なんてお笑いぐさだと訴え、失業問題や貧困に関心を集めようと思った」という。

大学で土木工学を学んだ。だが、就職口はなかなか見つからなかった。選挙は不正ばかり。友人らと3年前、賃上げや民主化などを訴える「4月6日運動」を立ち上げた。インターネットの交流サイト・フェイスブックなどで呼びかけ、デモを始めた。だが、デモをしても警官の方が参加者よりも多かった。

1月25日のデモも「二、三千人くればいい」と思っていた。フェイスブック上の別のグループも、この日のデモを呼びかけていた。

そこに同14日、チュニジアでベンアリ政権が倒れた。デモ呼びかけへの賛同者が突如として増え始め、7万人を超えた。ネットの威力に、改めて驚いた。

25日。1万人は優に超える市民がカイロ中心部タハリール広場に集まった。最初の「若者に仕事を」「汚職を追放」といったシュプレヒコールは、いつの間にか「独裁政権打倒」「ムバラク追放」に変わった。

このまま帰宅すれば逮捕される。マヘルさんらはタハリール広場に近い事務所に戻り、26日、27日とデモを続けながら、次の手を打った。イスラム教金曜礼拝がある28日の大規模デモの呼びかけだ。政権側は携帯電話とインターネットを遮断したが、メンバーが各地に走り、デモのことを知らせた。

午後1時すぎ、金曜礼拝を終えた人々が、各方面からタハリール広場に向かった。「ガラベーヤ」という伝統的な服を着た貧しい農民や労働者、ジーンズ姿の若い女性、家族連れ。その多くは、これまでのデモで見かけたことのない顔ぶれだった。

マヘルさんは腹をくくった。「チュニジアを見て、人々の勇気に火がついた。これはもはや抗議活動じゃない。革命だ。この流れは、だれにも止められない」

それ以降、家に帰ったのは娘の3歳の誕生日だった1月30日だけ。タハリール広場周辺に泊まり込みデモを続けた。人々は次々と増えていった。

今月11日午後6時すぎ。

マヘルさんは市内をタクシーで移動中だった。ラジオでムバラク退陣を知った。車から飛び出して誰彼かまわず抱き合った。止めどなく涙があふれてきた。

マヘルさんは言う。「デモは、まだ続けるよ。エジプトが自由で民主的な社会になるまで、僕らは闘う。あきらめない。これまでも、いつか変化はくるとずっと信じていたのだから」(カイロ=貫洞欣寛)



 
 
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デモ激化「お前のせい」ムバラク2世兄弟げんか

【カイロ=新居益】エジプトのムバラク前大統領(82)の息子2人が、前大統領の辞任前日の10日、反体制デモ激化の責任を巡って大げんかをしていたと、13日付の同国紙アル・アクバルが報じた。

前大統領が10日、大統領宮殿内でテレビ演説の収録中、別室で長男アラア氏(49)が次男ガマル氏(47)を「お前が自分の友人を登用し過ぎたから、こうなった」となじった。殴り合いに発展する直前、側近が仲裁に入ったという。

アラア氏は富裕なビジネスマン。一方、ガマル氏は国民民主党で政策委員長を務め、前大統領の後継者とみられていた。ガマル氏は、多くの友人を同党幹部や内閣に送り込んでいたとされる。

反体制デモは、ガマル氏らの縁故主義や腐敗も批判していた。

(2011年2月15日07時54分 読売新聞)



 
 
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エジプト、民政移行プロセス本格始動

【カイロ=長谷川由紀】エジプト軍最高評議会が13日の声明で憲法停止や国会解散などを表明したことにより、ムバラク政権崩壊後の民政移行に向けた権力移行プロセスが本格始動する見通しとなった。

安定回復を急ぐ評議会は、野党勢力が求める「民主的な政権」の発足を目指す方針を繰り返している。ただ、具体的なプロセスを巡り、野党勢力との思惑の違いが表面化する可能性もある。

反体制デモの呼びかけ人の一人、インターネット検索大手グーグル社の地域幹部ワエル・ゴニム氏は14日、民主化運動グループのウェブサイトで、軍最高評議会がデモを主導した若者の代表らと会談したことを明らかにした。評議会側は、独立した委員会が10日以内に憲法改正案をまとめ、2か月以内に国民投票を行う方針を示したという。

(2011年2月15日00時44分 読売新聞)



 
 
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エジプト軍最高評議会、スト中止を労働者に呼び掛け

2011年 2月 15日 8:41 JST

【カイロ】エジプト軍最高評議会は14日、労働者に対し、経済回復を脅かしかねないストを中止するよう呼び掛けた。エジプトでは2週間にわたる反政府デモのあと、さまざまな労働者グループによるストが増えている。

しかし同評議会は大方の予想に反して、ストを禁止するまでには至らなかった。これは民主的な政権移行の約束が本物であることを野党勢力に示すため、過度に権威主義的なトーンを打ち出すのを避ける狙いとみられている。反体制派デモを主導した青年指導者も14日、ストはエジプトの労働者の重要な権利だが、経済が弱体化した現在、マイナスになると警告していた。

軍広報担当者は「コミュニケNo5」という声明を読み上げ、「この重要な時期に行われているストはマイナスの結末をもたらす」と述べた。また「軍最高評議会は市民と労働組合に対し、義務を果たすよう訴える」としている。

「革命的青年委員会」と称する組織のシャディ・ガザリ・ハルブ氏は、同委員会が13日にエジプト軍最高評議会と話し合いを開始したが、そこで出された多くの要求リストを軍部が履行するだろうと述べ、警戒的ながら楽観していることを明らかにした。同氏は32歳で、医師だという。

同委員会は10の野党グループから13人、非政治的グループから3人が加わっている。同委員会は1月25日に最初の大規模な抗議行動が行われた際の主要なオーガナイザーで、カイロのタハリール広場での抗議行動の主要勢力の一つだった。

13日の協議では、軍最高評議会側からはマハムド・ヒジャジ陸軍少将とアブデル・ファタハ少将が参加したという。この協議は軍部が11日の全権掌握後、野党指導者と行った最初の面談とみられている。同評議会のコメントは得られていない。

ハルブ氏は若者と軍部との間には潜在的な意見の対立点が2つあると述べ、軍部が現在の内閣をそのまま在職させたこと、そして政治改革への工程表を野党勢力の意見を取り入れることなく発表したことだと指摘した。同氏によれば、若者運動指導部は一部の閣僚を直ちに解任するよう希望しているが、軍部はまず憲法委員会を創設することを優先しているという。同氏は、軍との話し合いは今週末再び行われると語った。

一方、反政府抗議行動の旗手となったインターネット検索最大手グーグル地域幹部ワエル・ゴニム氏は、会員制交流サイト(SNS)のフェイスブックのサイト上で、軍部とのこの初会合について詳細に語っている。同氏によれば、軍側は、憲法委員会が10日以内に設置され、2カ月以内に改憲案の是非を問う国民投票を実施する方針を示したという。またデモの際に拘束された人々を釈放すると約束した。

しかしゴニム氏の説明については公式に確認されておらず、軍部は声明を出していない。

記者: CHARLES LEVINSON And JOE LAURIA



 
 
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NY原油、続落 3月物は84.81ドルで終了

2011/2/15 6:24

【NQNニューヨーク=川内資子】14日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で原油先物相場は続落した。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で、期近の3月物は前週末比0.77ドル安の1バレル84.81ドルで取引を終えた。米国内の在庫水準の高さに着目し、原油を売る動きが出た。一時84.58ドルまで下落し、昨年12月1日以来、約2カ月半ぶりの安値を付けた。

前週末のエジプトのムバラク大統領の辞任発表を受け、米市場の関心はひとまず米国内の需給に戻った。WTIの現物受け渡し地点となっているオクラホマ州のクッシングの在庫が過去最高水準に達しており、需給は緩和状態にあるとの見方から原油が売られた。外国為替市場でドルが対ユーロなどで上昇したため、ドル建てで取引される原油の割安感が薄れ、原油が売られた面もあった。

ただ、1月の中国の貿易統計で輸出額が前年同月比で大幅に増加。新興国がけん引する形で世界的には原油需要の強さが続くとの見方から買いが優勢となる場面もあった。

ガソリンとヒーティングオイル相場はともに3営業日ぶりに反発した。



 
 
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ピラミッドに再び観光客 日本人ツアー回復には時間

2011/2/15 9:51

【カイロ=共同】エジプト情勢が正常化に向かう中、首都カイロ近郊ギザのピラミッドでは閉鎖が解除され、観光客が戻り始めた。観光用のラクダ業者は一様に安堵の表情だが、エジプト全体では客足の回復はこれから。日本人観光客の渡航も激減している。

砂漠の中に立つピラミッド周辺では今月9日、約2週間ぶりに一帯の封鎖が解かれたが、観光客の大部分はエジプト人。普段は各国からの客で混雑するピラミッド前の道を、少数の家族連れらがのんびりと歩いて行く。

娘と訪れた地元の会社員モハメド・ハサンさん(26)は「ピラミッドはエジプトの誇り。早くにぎわいが戻ってほしい」。ラクダ業者のサイード・ナセルさん(28)も「少しずつ人々が戻ってきた。本当にほっとしているよ」と笑顔を見せた。

一方、地元旅行会社によると、2月に日本からエジプトを訪れる団体客は例年1万〜2万人程度だが、今年は「ゼロ」。今後も数カ月間は団体旅行受け入れの見通しが立っていないという。



 
 
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与謝野経財相、ムバラク退陣「中東石油問題に大きな影響無い」

2011/2/15 9:54

与謝野馨経済財政相は15日の閣議後記者会見で、エジプトのムバラク大統領が辞任したことについて「政権移譲が平和的にされるならば、懸念していたよりもはるかに小さい混乱でことが収まりそうだ。日本が依存している中東の石油問題に大きな影響はないと思うし、ないことを期待している」と語った。〔日経QUICKニュース〕



 
 
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エジプト首相「野党入閣へ」 英外相に伝達

2011/2/15 10:05

【カイロ=花房良祐】反政府デモでムバラク政権が崩壊したエジプトについてヘイグ英外相は14日、英国議会で「エジプトのシャフィク首相から来週にも内閣を改造し、野党幹部を入閣させると聞いた」と話した。ロイター通信などが報じた。このほか複数の元政府高官の資産凍結を求められていることも明らかにした。ムバラク前大統領が含まれるかは不明だ。

ヘイグ外相はシャフィク首相と13日に電話会談した。エジプト政府は野党勢力を取り込むことで挙国一致の政権であることを内外に印象付ける狙い。具体的な閣僚ポストや入閣する人数については明らかにしなかった。

エジプトではムバラク政権崩壊に伴い軍最高評議会が権力を握ったが、シャフィク内閣は引き続き職務を遂行するとしていた。軍は反体制派と対話を始めており、憲法改正など早期の政権移行プロセスを進める意向だ。

一方、元政府高官の資産凍結については英外相は「欧州連合(EU)などと要請に応える用意がある」と述べた。エジプトでは旧政権幹部に対して出国禁止措置をとるなどして責任を追及する動きが本格化している。巨額とされるムバラク前大統領の資産の行方も注目されている。



 
 
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不明の収蔵品、構内で一部発見 エジプト博物館

2011/2/15 10:05

【カイロ=花房良祐】エジプト考古学博物館の収蔵品8点が行方不明になっていた問題で、ザヒ・ハワス文化財担当国務相は14日、一部を発見したと発表した。AFP通信などによると、11体の立像で構成する展示品1点のうちの1体と、昆虫の像1点を博物館の庭などで発見したという。金箔が貼られたツタンカーメン王の像などは依然として見つかっておらず、捜索を続ける。

反政府デモが続いたエジプトでは考古学博物館がデモの中心舞台となった「タハリール広場」の近くにあり、先月末に暴徒が侵入。展示ケース13個が割られ、ミイラなどが損傷した。世界的に有名なツタンカーメン王の黄金のマスクは無事だった。



 
 
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北海ブレント原油、103ドル台 WTIとの差拡大

2011/2/15 22:15

世界の指標原油の価格差が一段と拡大している。ロンドン市場の北海ブレントは中東情勢の混迷を背景に1バレル100ドル以上で推移。通常はブレントより2〜3ドル高いニューヨーク市場のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)を逆に18ドル上回っている。欧米の需給環境の差が背景にある。異例の逆転現象は当面続きそうだ。

14日の北海ブレント相場(終値)は1バレル103.08ドルと、2年6カ月ぶりの高値をつけた。対照的にWTIは84.81ドルと2カ月半ぶりの安値。価格差は約18ドルと、過去最大とみられる水準まで開いた。

ブレントは年初時点でWTIを約3ドル上回っていた。1月末にエジプトで反政府デモが発生したあと、価格差は約10ドルに広がっていた。先週以降はブレントが上がり、WTIが下がる日も多く、イランにデモが波及した14日になって価格差はさらに広がった。

逆転現象の理由としては「欧州と米国の需給の差」(野村証券の大越龍文シニアエコノミスト)を指摘する声が多い。昨年5月のギリシャ債務危機でユーロ安・ドル高が進み、ドイツなどの輸出企業の景況は改善した。8月以降、ブレントが上回る状態が定着した。

一方、米国の原油在庫は過剰だ。WTIの現物受け渡し拠点であるオクラホマ州クッシングの在庫は過去最大規模に膨らんでいる。カナダから原油を運ぶパイプラインが先週に開通し、今後、在庫増に拍車を掛けるとの見方もある。

さらにエジプト情勢の混乱が中東に近い欧州のブレント相場を押し上げた。ただ「投機的な取引で上昇した側面も強い」(三菱UFJリサーチ&コンサルティングの芥田知至主任研究員)。米景気の拡大観測が強まれば、価格差は縮まるとの見方もある。



 
 
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エジプトの博物館、盗品2点発見 逃げた泥棒が捨てた?

2011年2月15日10時22分

【カイロ=古谷祐伸】カイロのエジプト考古学博物館から、民衆デモの最中に収蔵品18点が盗まれた事件で、ザヒ・ハワス考古相は14日、うち2点が博物館周辺で見つかったと発表した。盗んだ泥棒が逃げる際に投げ捨てたとみられるという。

考古省によると、見つかったのは、ミイラの魔よけに使われるフンコロガシの置物と、ミイラ型の人形1体。博物館の外にある土産物屋の脇で見つかったという。金箔(きんぱく)を施されたツタンカーメン王の像2体などは見つかっていない。

泥棒は、大規模な民衆デモがあった1月28日夜、博物館に忍び込んだ。ハワス考古相は、泥棒が盗んだ残りの収蔵品を博物館の周辺に埋めたとみて、調べている。



 
 
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エジプト各地でスト相次ぐ…不満一気に噴出

【カイロ=田尾茂樹】ムバラク政権が崩壊したエジプト各地で14日、賃上げなどを求める労働者のストライキやデモが相次いだ。

AFP通信などによると、首都カイロでは、交通局の職員約3000人のほか、一部銀行や政府機関でも職員がストを行った。カイロ郊外では、繊維工場の労働者約5000人が待遇改善を求めて座り込みを実施し、救急隊員約500人もストに参加した。北部アレクサンドリアの銀行や工場、病院でもストがあった。

デモやストの参加者は、「幹部職員は前政権との癒着で腐敗している」と主張し、辞任や更迭を求めた。

強権的なムバラク体制下で抑え付けられてきた労働者の不満が政権崩壊を機に噴出した形で、民政移行まで暫定的に国家を統治する軍は、新たな社会不安につながるとして警戒を強めている。軍は14日の声明で、「治安や経済に大きな打撃となる」として、国民に対し、ストをやめて経済復興に協力するよう求めた。

(2011年2月15日11時30分 読売新聞)



 
 
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観光客戻って!エジプトの損失1日258億円

【カイロ=佐藤昌宏】エジプトでムバラク大統領の辞任まで続いた混乱により、基幹産業の観光業は大打撃を受けた。

国内が平静を取り戻したことから、業者らは観光客の呼び戻しに懸命となっている。

カイロ近郊ギザのピラミッド前では14日、エジプト観光ガイド組合の300人以上が集まり、安全をPRした。英語やスペイン語などさまざまな言葉で「みなさん、来てください」と書いたプラカードを掲げた。同組合のワリド・エルバトゥーティー副会長(44)は「もう混乱は終わった。是非、エジプトを訪れて欲しい」と訴えた。

エジプトは、気候の温暖な12〜2月が書き入れ時だが、首都カイロなどでデモが始まった1月25日以降、観光客が激減。宿泊客がゼロというホテルも出ており、民間銀行の分析では、1日あたりの損失は約3億1000万ドル(約258億円)に上るという。

(2011年2月15日20時20分 読売新聞)



 
 
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エジプト首相、英外相に「来週にも内閣改造」

【ロンドン=大内佐紀】エジプトのムバラク政権崩壊を受け、英国のヘイグ外相は14日、英議会で、エジプトのシャフィク首相と電話で会談したことを明らかにした。

その上で、「首相から、来週にも内閣を改造し、野党勢力からも閣僚を起用する方針だと聞いた」と述べた。ロイター通信が報じた。

ヘイグ外相は、エジプト政府から同国の複数の前政権高官の資産を凍結するよう要請があったことも明かし、「当然、協力する」と述べた。

同通信によると、14日には英国のほか、米仏両国がエジプトから資産凍結の要請があったことを認めた。両国とも、エジプトが要請した資産凍結の対象者リストにムバラク前大統領は含まれなかったとしている。

また、欧州連合(EU)は、21日にブリュッセルで開く外相理事会で対応を協議することを決めた。ムバラク氏は英国の銀行に複数の口座を持っているとされる。

(2011年2月15日20時34分 読売新聞)



 
 
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エジプト政府、元高官の資産凍結を英に要請

2011年2月15日11時6分

【ロンドン=伊東和貴】ヘイグ英外相は14日、エジプト政府から同国の元高官数人の資産凍結を要請されたことを明らかにし、「違法行為や国家資産の乱用を示す証拠があれば、断固かつ迅速な行動を取る」と述べた。高官の名前には触れなかった。

英BBCなどによると、外相は、欧州諸国の財務相がエジプトへの経済支援や元高官の資産凍結について協議していると述べ、他国と連携して対応する方針を示した。下院での答弁で述べた。英国内にはムバラク前大統領の一族が所有する不動産があるという。



 
 
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ムスリム同胞団が政党化検討 エジプトで選挙へ動き

2011年2月15日11時20分

【カイロ=貫洞欣寛】エジプト最大のイスラム団体で、政党としては非合法化されているムスリム同胞団は14日、声明を出し、これまで政党結成を制限していた法律が改められれば政党を結成する考えを示した。与党・国民民主党(NDP)内にも離党して新党をつくる動きがあり、今回の「革命」を主導したネット世代の若者らも政党結成に関心を示すなど、半年後にも予定される議会選や大統領選に向けた動きが出始めている。

ムスリム同胞団は草の根の福祉・宗教ネットワークを通じて、NDPに対抗できる規模の組織を持つエジプトで唯一のグループ。だが、組織としては非合法扱いで、政党結成も認められていない。

このため、2005年の総選挙では団員を無所属で立候補させる戦術をとり、88議席を獲得、事実上の最大野党となった。しかし、昨年の総選挙では、団員の大量拘束など政権側の強い干渉を受けて選挙戦途中からボイコット、全議席を失った。

一方、地元紙によると、NDP党員5千人ほどが「この党では改革は望めない」として離党し、一部が13日付で新党「新エジプト青年党」の結成を発表する声明を出した。NDPはムバラク体制を支えてきた政党だが、現在は支持ががた落ちしている。

また、これまで無党派としてネット上などで活動してきた若者たちも、政党結成を考え始めている。「4月6日運動」幹部の一人は朝日新聞に「連携できる政党があればいいが、なければ自分たちが政党になろうという意見もあり、議論中だ」と語った。

次の総選挙や大統領選では、今回のデモで大きな役割を担った若者世代の票の行方が情勢を大きく左右するのは確実で、既成政党の間でも若者票の争奪が始まるとみられる。

ムバラク前大統領の退陣で全権を掌握したエジプト軍最高評議会は、半年以内の選挙実施を目指すとしている。



 
 
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観光再開したけれど…ピラミッド、閑古鳥 エジプト

2011年2月15日21時36分

【カイロ=北川学】エジプト政変の余波で閉鎖されていたカイロ近郊ギザのピラミッド地区の観光が、9日から再開された。ただ、今のところ訪れる人は少なく、客相手の馬やラクダも退屈そうだ。インターネットの交流サイト「フェイスブック」では、観光をもり立てようと新たな呼びかけが始まった。

「コニチハ」「山本山〜」。「カフラー王のピラミッド」の前でたむろする馬やラクダに近づくと、観光客を乗せて歩かせる御者たちが知る限りの日本語で客引きを始めた。アブドさん(24)は「仕事を始めて15年。こんな危機は初めて」と嘆く。周辺に観光客は数人で、閑散とした様子は痛々しいほどだ。

反政府デモが始まる前は最低でも1日あたり150エジプトポンド(約2100円)の稼ぎがあったが、今は収入が途絶えた。2頭のラクダの餌代に毎日100エジプトポンドかかるが、賄えない。父母ときょうだい7人を養うため、「こいつを売り払うしかない」とラクダの顔を見上げた。

カイロのタハリール広場では2日、ムバラク派がデモ参加者を襲撃。馬やラクダに乗って突進したのは、ギザの御者たちだった。アブドさんによると、ムバラク派の地元議員が「デモが続けば観光が打撃を受ける。やめさせるために協力を」と説得して回ったという。アブドさんの友人もラクダに乗って参加した。

「やむにやまれぬ気持ちだったんだ。おれたちも食わなきゃならない」とアブドさん。その後、友人とは連絡が取れず、当局に拘束された可能性がある。ラクダの行方も分かっていない。

エジプト当局は9日、1月29日から実施してきたギザ地区の封鎖を解き、観光客の受け入れを再開した。ただ、デモが続く間にカイロ国際空港から16万人以上の外国人が出国した。1日300人の限定で内部を公開する「クフ王のピラミッド」も14日に訪れた人はまばらで、ほとんど「貸し切り」状態だ。

エジプトには昨年、1470万人の外国人観光客が訪れた。ムバラク氏の辞任で人々の要求は満たされたが、政変は国内総生産(GDP)の約1割を占める主要産業の観光に大きな打撃を与えた。

そんななか、あるエジプト人が8日、フェイスブック上で「観光を支援しよう」と呼びかけた。「観光に携わる人とその家族250万人以上が苦しんでいる。エジプトに来てほしい」と訴え、15日昼現在で約6万人が登録している。

カイロの女子大生ヒバさん(21)は、呼びかけに応じて初めてスフィンクスを見に来た。「新しい政府ができて国内が落ち着けば、きっと外国人も戻ってくる。それまでは私たちエジプト人が支えなきゃ」と笑った。



 
 
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反米化防げ 米、中東に電話攻勢 エジプト政権崩壊受け

2011年2月15日22時58分

【ワシントン=望月洋嗣】エジプトのムバラク政権崩壊で中東外交の「礎石」を失ったオバマ米政権が、地域の安定化に向けて矢継ぎ早に動いている。関係国の首脳らと精力的に連絡を取る一方、「民主化ドミノ」を恐れる国には高官を派遣。エジプトで「秩序ある民主化」を実現するため、過去の「市民革命」の事例も研究しているという。

ムバラク大統領辞任から一夜明けた12日、オバマ米大統領は英国のキャメロン首相やトルコのエルドアン首相、ヨルダンのアブドラ国王らと相次いで電話会談。バイデン副大統領も13日までにイラク、クウェート、アラブ首長国連邦の首脳らと電話で会談したという。

ホワイトハウスによると、オバマ大統領は各国首脳との会談で「民主主義は中東地域にさらなる安定をもたらす」との考えを示し、エジプトの民主化を支援する意向を表明した。だが一方で、米政府は中東が「民主化ドミノ」で混乱したり、反米政権ができたりすることを強く警戒しており、そうした事態を防ぐための外交努力にも力を入れている格好だ。

エジプトとともに米国の中東外交を支えてきた親米のヨルダンには、バーンズ国務次官と米軍制服組トップのマレン統合参謀本部議長を急きょ派遣。国王や首相、外相らとの会談で、米国がヨルダンの政治、経済改革を支援する意向を伝えたという。反米に傾かないよう、米国が主導権を握りたいとの意思表示だ。

また、クローリー国務次官補は14日、イエメン、アルジェリア、バーレーンの反政府デモの動きを注視していると明らかにした。

一方、米紙ワシントン・ポストによると、ドニロン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は、親米的な独裁国家が崩壊した過去の事例の研究を指示した。オバマ政権はエジプトが民主化を経て、イランのような反米イスラム国家になることを警戒している。このため、世界最大のイスラム人口を抱え、1990年代末からの民主化移行後も比較的安定しているインドネシアに注目しているという。

オバマ大統領は小学生時代をインドネシアで過ごした経験があり、ムバラク氏辞任を受けた11日の声明で、エジプトの「市民革命」をインドネシアの民主化運動になぞらえて称賛していた。



 
 
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「愛国心で1つに」 エジプトのデモ参加者の声 モハメド・ガマル氏

民主主義を考える

2011/2/15 4:00日本経済新聞 電子版

--反政府運動が広がっています。デモはどのように始まったのですか。

「フェイスブック上のサイト“我々はみなハレド・サイードだ”から始まった。ハレド・サイードはアレクサンドリアで警察2人に撲殺された若者で、彼の無残な写真がフェイスブックで公開された。それ以来、役人の汚職や警察による人権侵害などたくさんの事例が投稿されるようになり、多くの人がアクセスする人気サイトになった。この中で1月25日を“怒りの日”として、デモをしようという呼びかけがあった。同日は“警官の日”の休日だったからだ。(1月14日に民衆が独裁政権を倒した)チュニジアの革命が我々を勇気づけてくれた」

−−ムバラク大統領は1日、9月の大統領選への不出馬を表明しましたが、即時退陣要求を求めるデモはむしろ拡大しています。

「25日のデモは怒りをぶちまける場で、はじめは自分たちが何を求めているのかはっきりしなかった。タハリール広場でデモに対する警官隊の弾圧が始まると、どこともなく人々が叫びだした。“民衆は政権退陣を要求する”。この言葉が発せられたときはじめて、誰にとっても何が望みかが明確になった。最初はフェイスブックを通じた情報が我々をつないだが、政府がアクセスを遮断しても関係なくなった。デモ行進中に、次から次に街の人々が合流し、運動が膨れあがっている。ムバラクが市民の声を無視し、警官が弾圧の手を強めれば強めるほど、退陣を求める運動の勢いが増している」

−−何が民衆を駆り立てているのですか。

「みなの怒りを挙げたら本になる。エジプトは教育、保健、経済、人権の何を取ってもゼロということ。誰でも日々、理由なく逮捕される環境に置かれているということ。ムバラクに対する批判が禁じられていること。カネが一部の人間の懐に入り、大半がぎりぎりで生活していること。米国のエージェントとなってイスラエルに奉仕していること…。我々は尊厳を失い、パン欲しさに自由を引き換えにしてきたのだ」

−−ムスリム同胞団など野党の一部は政権と交渉に入りました。

「政権と“野党”の交渉はデタラメだ。タハリール広場の民衆を代表する野党なんて存在しない。ムバラクが退陣するまで交渉なんてありえない。ムスリム同胞団は(西側でいわれるほど)影響力を持っていない。同胞団の考えはキリスト教徒との対立を招きかねないし、多くのエジプト人は政教分離が正しいと考えている」

「(政権との交渉に参加しなかった)エルバラダイ氏(国際原子力機関の前事務局長)のことは尊敬している。彼の政権に対する要求は民衆の考えと一致している。しかし、彼は大きな過ちを犯した。1月25日の“怒りの日”に外国にいたことだ。運動が広がった後もすぐには帰国しなかった。だから民衆は彼が自分たちを代表するとは思っていない。いまは“1月25日の若者の政党”をつくろうという話が出ている。それはムバラク政権を倒し、民主主義を打ち立てたときになる」

−−ムバラク大統領が11日、ついに辞任しました。

「10日の夜、みな辞任声明を期待し、広場に立っていた。ムバラクが演説を始め、彼が辞めるつもりがないと分かるとみなが一斉に“エルハール(出て行け)”と狂ったように叫びだした。だから、スレイマン副大統領に権限を委譲するという発言は誰も聞いていなかった。みな靴を掲げてムバラクに対する抗議をあらわにした。11日は本当に狂ったような大騒ぎだった。みな喜びに満ちあふれていた。国旗を振り回し、軍の兵士と記念撮影する市民で街はあふれかえった」

−−市民は権力を掌握した軍を信頼しているのですか。

「歴史的に軍は常に尊敬されてきた。誰も軍が暴挙に出るとは考えていない。軍は権力を奪取しようと思えば、いつでもムバラクを追い出すことができたはずだが、そうはしなかった。軍が民主化への移行を保証するとみなが信じている」

「緊張が高まるなかで、軍の介入に発展する恐れも抱いた。市民に銃を向けることはないと私を含め多くのデモ参加者が信じていたが、軍とムバラクに忠実な部隊の衝突はありえた。流血の惨事が回避されたことを神に感謝した」

−−デモの最中も広場で礼拝する民衆の姿が印象に残りました。イスラム教が人々の団結を支えたのですか。

「イスラムの教えは不正に対して戦う心を支えてくれた。しかし、我々を1つにしたのはエジプトを思う愛国心であって、イスラム教ではない。デモには多くのキリスト教徒も参加していたことを強調したい。タハリール広場は毎日カーニバルのようだった。みなが自由に演説し、歌い、詩を朗読する。集まる人々はみな平等だった。老若男女、貧富の格差、宗教の隔たりもない」

−−民主化では市民の声を反映させる政党が必要です。

「まだ具体化していないが、“1月25日の若者の政党”が出てくる可能性がある。既存の野党も若者らの力を取り入れていかなければ腐っていくだけだ。いまは民衆から何が台頭するかは予想できないが、エジプトは必ず新たな力を生み出すはずだ」

「もう誰が次の大統領になるかはそれほど重要ではない。問題は彼がどんなプロセスで大統領になるか、そして民衆のために何をするか。それをコントロールするのはエジプトの民衆だということだ。我々が自ら大統領に対する判断を下し、(不正を行った場合は)罰を与えるということだ。今後、民衆を裏切ろうとする大統領は常に1月25日を思い起こすことになる」

注)インタビューはフェイスブックを通じ、デモのさなかと、ムバラク大統領の辞任後に実施した。

(聞き手は国際部 古川英治)

モハメド・ガマル氏 フェイスブックを起点とした反ムバラク政権の運動に参加、1月25日のデモ初日から首都カイロのタハリール広場に立ち、ムバラク大統領の退陣を訴え続けた。医学生。23歳



 
 
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エジプト:ムバラク政権崩壊 識者座談会 アラブの地殻変動

◇東京大大学院総合文化研究科教授・山内昌之氏/桜美林大大学院教授・五十嵐武士氏/元毎日新聞カイロ特派員・佐藤陸雄氏

エジプトで、18日間の反政府デモが約30年に及ぶ強権体制を敷いたムバラク前大統領を辞任に追い込んだ。チュニジアに始まった民主化要求の波は「アラブの盟主」をのみ込み、さらに周辺諸国へも広がる気配を見せている。混迷を深める中東情勢について、山内昌之・東京大大学院総合文化研究科教授、五十嵐武士・桜美林大大学院教授、佐藤陸雄・元毎日新聞カイロ特派員の3氏に語ってもらった。【司会・坂東賢治外信部長、写真・塩入正夫】

■歴史的視座から

◇民主化着実に浸透−−山内氏

◇米の政策基盤動揺−−五十嵐氏

司会 今回のエジプトの動きは文明史的、世界史的、あるいはアラブ史的にどう位置づけられますか。

山内 アラブの共和国が持っている体質、つまり大統領制を敷きながら、ほとんど終身制もしくは独裁化した政権が、中東の一番大きな国であるエジプトで倒れた。中東・イスラム世界には類似の体制が多い。ドミノ現象という形で連続的に続くかどうかは別として、少なくともナイルの流れが氾濫を起こしてデルタに着実に浸透していくような、時間差はあっても、いずれは広がる政治変動を私たちは目撃したということだろう。

二つ目は、エジプトの近現代史と政治において大事な役割を果たしてきたのは常に農民と軍人だった。農村と軍という要素はエジプト史の隠された要素だが、これが大きな歴史の節目に出てきた。(カイロ中心部の)タハリール広場に集まった人たち、ツイッターやフェースブックのような新しいメディアの局面を見ることは非常に大事な視点だ。指導者なき革命としての今回の原動力はそういう名もない若者たち、軍、(穏健派イスラム原理主義組織)ムスリム同胞団という要素から成り立っているが、いずれにしても、その背後にある層としての農民や農村国家としてのエジプトということに目を留めておかなければならないだろう。

五十嵐 米国の覇権ということを考えると、中東問題でオバマ政権はブッシュ前政権の軌道修正をしている。前政権は非常に野心的な帝国的支配を目指し、その中核に中東があった。アフガニスタン、イラクという二つの戦争までやったが、目的は達成できなかった。オバマ大統領が(08年の米大統領選で)当選したが、イラク戦争に反対し、その点を清算しようというのが彼の第一目標だった。

現在の政策でいうとイラク、アフガンからの撤兵を視野に入れた安定化が最大で緊急の課題になっている。中東政策ではイスラエルの存続、石油の安定供給といった従来の課題に加えて、国際テロ対策、大量破壊兵器の拡散防止やイランの核開発問題もある。その中で、エジプトは争点ではなかった。むしろ基盤だった。ところが今その基盤が動揺している。従来の政策の立て直しを始めていたところで、さらに不安定な要因が生じてしまった。

今回オバマ政権の対応がちぐはぐだったとされるが、その一つの理由は中東政策へのアプローチの違いが政権内部にあった。クリントン国務長官も含めて、国務省のプロたちは暫定政権で安定移行することを重視した。だから即時退陣を警戒し、慎重論だった。

ところが、オバマ大統領自身は(ブッシュ前政権時代の)帝国の遺産の尻拭いをするために方針転換してきている。オバマ大統領は今までの大統領に比べてイスラム圏に親近感がある。そういう点でイスラム圏の発展を重視する考えもあった。これはプロからすると少し理想主義的、あるいは地に足がついていないという評価になってしまう。だが最終的にオバマ大統領自身が民主化を支援しなければいけないという方針を打ち出し、プロを抑えてしまった。

佐藤 私はちょうどサダト元大統領が暗殺され、ムバラク前大統領が就任する時にカイロ特派員をしていた。今回の一連の報道を見て「ムバラク氏がどういう任務を担って登場したか」という視点が欠けている気がする。ムバラク氏にはサダト氏のようなカリスマ性はなく、引き継いだ課題を実務的に処理する必要があった。

第一の任務は暗殺事件を起こしたような急進的なイスラム組織を一掃することだった。第二は、イスラエルに占領されていた自国領土(シナイ半島)を回復することだった。サダト氏がエルサレムを訪問し、カーター元米大統領の仲介でイスラエルと平和条約を締結したことは多分、エジプト民衆の意に沿っていなかったから暗殺という事態になったのだろうが、ムバラク氏はこの和平路線を維持し、領土奪回を政策の課題にすえた。

第三に、イスラエルとの和平で孤立したアラブ世界への復帰だった。イスラエルとの関係を維持しながら復帰を果たす。三つの課題はどれも非常に難しいことだがムバラク氏は最終的にすべてを実務的に処理して達成した。そういう意味ではエジプトにとって優秀な指導者だったと思う。

ただ、負の側面もあり、テロ対策を重視する半面、強権政治や弾圧が不可避の要素としてあった。ムバラク氏を単なる強権的な専制政治家だと割り切って評価してしまうのは、必ずしも妥当ではない。

■薄い反米色

司会 今回のエジプトの政変は「革命」とも表現されますが、イラン・イスラム革命(79年)と比べると反米色があまり見えませんでした。

山内 中東の政治は、かつての「イスラム」「アラブ・ナショナリズム」という要素だけを手がかりに考えていた時代から、少し異なる局面に入った。イラン革命の場合、軍は旧体制崩壊の過程で将軍も指揮官レベルも逃げ出し、軍は機能しなかった。これに対し、エジプトでは軍が機能している。この違いが、エジプト国民が抑圧と混とんを免れている理由だ。

次に考えなければならない要素はムスリム同胞団の問題だ。同胞団は1928年の大恐慌直前に発足したが、以来、社会福祉活動や医療、法律の無料相談などボランティア活動をしながら社会の底辺に支持を広げた。政府に代わり、この分野での役割を果たしてきたのだ。しかし、ムスリム同胞団が本質的に「イスラム国家」樹立を目指す組織であることは事実だ。ムバラク氏はイスラム原理主義の中でもテロにつながる勢力を徹底的に弾圧した。同胞団はそういう要素を抱えつつも、そこから脱皮しながら社会福祉活動などを粘り強く続けたことで、市民社会の20%程度の支持を獲得している。

イスラム系与党出身のエルドアン首相が率いるトルコのように、ムスリム同胞団が現実的な行政経験を持ち、政治的な挑戦に応えられるような換骨奪胎を果たせば、一定の役割を果たすだろう。逆に、急進派が唱えるイスラム国家論などに回帰していくなら、軍との対決が表面化して社会の安定を根底から覆すことになる。ただ、こうした事態は同胞団も恐れているだろうと思う。そして「アラブのナショナリズム」や「イスラム」に、若者や普通の市民が新たな価値観を持ちつつあるという新たな要素が加わった。

司会 ムバラク政権が18日間で崩壊してしまった最大の原因は何ですか。

山内 大統領も官僚も尊大になっていた。農民国家で、あれほど率直だった国のエリートとは思えないような形になり、30年にわたる長期政権のうみがたまった。今、ムバラク氏の不正蓄財が明らかになり始め、その額は5兆8400億円相当。これに対し人口の40%が1日2ドルで生活している。15〜25歳の若者の34%が失業に苦しんでいるという現実もある。非常に分かりやすい構図だ。国民はこれを肌で感じて知っている。どんなに隠しても出てくる。

長期政権下、軍でさえ利権の構造を抱える。上層部は一種の軍産複合体のようなものであり、天下りや利権の共有といった構造がある。軍は、ムバラク氏が自分たちの利益や権益を守る限り、ムバラク氏を守る。そういう相互依存ができていた。予備役や家族・親族、関連企業を合わせれば軍関係者は1000万人近くに上る。エジプト人口の8分の1だ。軍にとって、ムバラク氏と心中して既得権益を失う事態は絶対に避けなければならなかった。

司会 米国がムバラク政権退陣にどの程度の役割を果たしたと考えますか。

五十嵐 パネッタ米中央情報局(CIA)長官が「今晩、ムバラク氏が辞任する」と議会証言した後、ムバラク氏は声明で「辞任しない」と言い、オバマ大統領が激怒したということがあった。エジプトは米国の軍や情報機関と連携が強く、米軍がエジプト軍の各層に介入したと言われている。

背景には、米国のエジプトへの対外援助がイスラエルに次いで多く、年間約15億ドルのうち約13億ドルが軍に対する支援という事情がある。エジプトは兵器の移転や軍事訓練でかなりの支援を受ける一方で、テロ対策も含め、米国の「下請け」のような役割を担ってきた。米国は今後も、エジプト軍の中でも西欧的な訓練を受け、専門軍人としての知識があるとされる中堅層を軸にしたチャンネルを使い、影響を与えられると見込んでいるようだ。

国際テロ対策でもエジプト情報部の情報は重要とされる。パレスチナ自治区ガザ地区やイランについてもエジプト経由の情報が多く、中東全域の過激派組織の情報もかなり持っているようだ。軍部が今後もそうした役割を担うかどうかが米国にとっては大きな問題だ。

佐藤 ムバラク政権崩壊の理由は、簡単に言えば、軍がそう判断したからだ。ムバラク氏は軍により擁立されたのだから、軍から引導を渡されたという話はうなずける。エジプトでは体制を支えるのは軍しかない。今回「民政移管」と盛んに言われるが、受け皿がない。過大に「民主革命」を評価することはできない。

■体制変革なるか

司会 そうした体制の受け皿がないと言われる中で今後の展開をどう見ていますか。

佐藤 私たちが知っている欧米の議会制民主主義のようなことを基準に、中東・アラブ地域で起こることは推し量れないと強く思う。インターネットの呼びかけで、多数の若者がタハリール広場に集まったこともその一つだ。インターネット検索最大手グーグル幹部のワエル・ゴニム氏は、テレビで「もう耐えられない」と訴え、収束しかけたデモを再び大きくした。

私はゴニム氏が発した「神」という言葉にイスラム的なものを感じたが、彼らが受け皿として認められるとすれば、よほどの決意がないと私たちが考えるような民主的な政党はできないと思う。当面は軍とイスラム勢力、国際原子力機関(IAEA)前事務局長のエルバラダイ氏といった欧米に知られた市民勢力などのバランスの上に、現体制が形を変えて続くしかないのではないだろうか。

五十嵐 軍や財政といった国家体制があるかないかで、民主化移行のプロセスは違ってくる。民主化というと政権交代のイメージがあるが、軍政からの民政移管の場合は憲法で制度的な変革をすることになる。

現在の与党・国民民主党をベースにした軍部の政党化が行われるのかどうか。そして、野党をどれだけ体制に組み込めるか。ムスリム同胞団は05年の人民議会(国会)選挙で、系列候補が88議席を獲得した経験があり、制度的なプロセスに乗れるだけの経験を持っている。

また、インターネットで影響力が広がった背景には、経済成長による生活改善への期待感と、高学歴化がある。エジプトは昔から中東ではインテリを輩出してきた国だ。高学歴層が増えると、情報が情報として影響をもちうるような社会変動が起きる。欧米的な訓練を受けた層が軍でも発言力を強めれば、民主化も不可能ではない。

山内 近代エジプト史を振り返ると、第一次世界大戦まではオスマン・トルコ帝国の領土だった。その後、英国の保護領になったが、大戦後のパリ講和会議に代表団を派遣し、独立へと先導したのは政党政治だった。

この代表団から発展したワフド党は国王に対抗した。国王が制限なき王権を求めたのに対し、ワフド党は立憲政治を追求した。しかし、ワフド党は大恐慌などを経て腐敗し、第二次大戦が終わった時には統治者能力を逸していた。代わって王制の批判勢力として台頭した軍が52年に革命を起こした。従って、エジプトには議会制民主主義の受け皿があり、この点ではむしろアラブ世界のトップリーダーだったと言える。

体制内変革を選ぶか、議会制民主主義に進むのかはまだ見えないが、悠久の文明と英知を誇るエジプト人には体制変革を成功させる可能性がある。

■他国への波及

◇若者反乱の要素も−−佐藤氏

司会 かつて東欧の社会主義が崩壊したドミノ現象のように、他のアラブ諸国や、あるいは中国などにも波及するでしょうか。

山内 ドミノ現象のように急ではなく、時間をかけて浸透していくだろう。リビアやシリア、サウジアラビアなどの抑圧の強さは並ではなく、国民がその恐怖心や不安を克服するには時間がかかるからだ。また、王制と共和制には違いがある。王制国家は国民に利益を分配する構造を持っており、エジプトのように1日2ドルで暮らす悲惨な国民はいない。既に利益を享受している国民が国王に背を向けるような状況には、すぐにはならないだろう。

ポスト・ムバラク時代には、中東の地政学的変化と国際政治の構造変動が起きてくる。やはり最も重要なのは米国の役割だが、人権や民主化を政治哲学として信じるのは、外交戦略とは違う営みだと気付かなければならない。世論調査で米国を好きだと答えたエジプト国民は15%しかいない。米国は外圧でアラブの民主化を図ろうとしてきたが、イラク、イラン、アフガニスタン、アルジェリアなど、どこも失敗している。米国がイスラエルの国益を中東の安全保障の最優先課題としていることが原因だ。イスラエルの国益を保護しながらアラブの民主化を図ろうとする外交姿勢はねじれている。

この異なる二つの目標を解決する道筋は、パレスチナ問題の法と正義に基づく公正な解決しかない。それができなければ、これからエジプトで誰が元首になり、どのような政治体制が生まれようとも、米国の中東における存在感はますます弱くなる。

司会 米国の中東政策の基盤が崩壊した今回の政変は、米国にどれだけの衝撃を与えたでしょうか。

五十嵐 既にイラク戦争とアフガン戦争によって米国の中東における影響力はかなり減退していた。軍事力を背景に中東へ介入しても成果を上げられない情勢になっている。米国は当面はエジプトの民政移管を援助することになるだろう。今後エジプトでの主導権を発揮できるかどうかは、経済援助を軍部がどれだけうまく活用してくれるかにかかってくるのではないか。

司会 エジプトの政変が周辺の中東諸国にどんな影響を与えるでしょうか。

佐藤 私はタハリール広場の群衆を見ていて三つ気づいたことがある。まず参加者がエジプト国旗を振っていたことだ。サダト元大統領が唱えた「エジプト第一主義」である。次に、アラビア語で「イエス・ウィ・キャン(私たちはできる)」と書かれたプラカードを目にした。この言葉を選挙のスローガンにしたオバマ米大統領のような発想でデモに参加した若者がたくさんいたのだろう。そして、これとは対照的に、米メディアのインタビューに「米国なんて大嫌いだ」と答える人がいた。この3要素はそれぞれ対立する概念のはずなのに、広場に混在して、爆発的なエネルギーになった。これが若者の「反乱」だということをもっと注目していいだろう。グローバル化が進む中で人やモノのやり取りの仕方が変わり、予測のつかないことが次々と起きている。イデオロギー的な側面とは別に、不満を持つ若者が発言の場を持とうとする大きな流れがある。だからドミノ的に波及するのではないかと思う。

五十嵐 新しい通信手段を活用できる人が出てきて、それを利用する人が増えている。これは高学歴化と関係している。人々の発想が、伝統的なシンボルであるとか、宗教的なレトリックでは行われなくなっている。

中東では、中国以上に高学歴者の高い失業率が問題になっている。これにどう取り組むかといえば、生活状況の改善だ。「開発独裁」のような形で持っていくのが一つのやり方としてある。生活上の要求に応えることで、政治的な要求には我慢してもらう。しかし、中東では今のところ、それはできていない。エジプトではこれから軍部が、支援や資源をどう再配分していけるかが課題になる。また、ムバラク氏の海外の隠し資産をどう確保できるか。

政治的な民主化の過程でポピュリズムに走ったり、急激な民主化に進むと失敗する。軍部はそういう経験を知っているはずだから、支援・資源の再配分を進めながら、少なくとも高学歴者の失業問題に取り組むことが重要な課題になる。これを処理できるかどうかで、これからの政治の展開は決まる。

現状で、エジプトのムスリム同胞団が過激でないことは非常にプラスだ。過激なら軍と対決する構図になり、民主化の可能性は遠のく。米国も教条的でない助言に乗り出すだろう。なぜならエジプトの対外政策を確保することこそ米国の至上命題だからだ。それがどれだけの効果を生むかどうかは、まだわからない。

司会 エジプトの変化をイスラエルが脅威に感じれば、事態はさらに複雑化します。

五十嵐 エジプトでムスリム同胞団の発言力が高まるのは間違いない。そうなると(同胞団系である)パレスチナのイスラム原理主義組織ハマスが強くなる可能性は高い。イスラエル政府はこうした情勢にどう対処するのか考えなければならない。従来の姿勢を継続し、米国の支援に頼るようでは……。米国にとってイスラエルのために軍事介入する用意は非常に限られている。(パレスチナ自治の合意に踏み切った)故ラビン元首相のような人材が出てこなければ、イスラエル自身が困難に陥る危険性もある。

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■人物略歴

◇やまうち・まさゆき

1947年生まれ。北大文卒。東大学術博士。カイロ大客員助教授、ハーバード大客員研究員などを経て現職。

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■人物略歴

◇いがらし・たけし

1946年生まれ。東大法卒。東大法教授、日本比較政治学会会長、アメリカ学会会長などを経て現職。

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■人物略歴

◇さとう・りくお

1939年生まれ。京大文卒。ワシントン支局長などを歴任。訳書に「王様と大統領 サウジと米国、白熱の攻防」など。

毎日新聞 2011年2月15日 東京朝刊



 
 
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エジプト:「辞任か追放」 軍、ムバラク氏に迫る−−10日演説後

【ワシントン草野和彦】エジプトのムバラク前大統領が今月10日に「即時辞任拒否」の演説をした後、一転してカイロを追われ辞任する事態になったのは、エジプト国軍が「辞任か追放」という二者択一の最後通告を突きつけた結果だったことが、米紙ワシントン・ポストの報道で分かった。

同紙によると、反政府デモの高まりの中、エジプト国軍とムバラク政権指導部の間では先週半ばまでに、ムバラク氏が何らかの形で権限移譲をすることで合意していた。オバマ米政権も10日までに、国軍から「辞任か権限移譲」の二つのシナリオを聞いていたという。

ところが、ムバラク氏は現地時間10日夜の国民向けテレビ演説で、スレイマン副大統領への「権限の一部移譲」を発表しただけで、即時辞任を拒否し、側近さえも驚いた。演説の数時間後、軍部は「辞任か追放」を迫り、ムバラク氏はカイロ脱出という不名誉な結末を迎えた。この演説は、ムバラク氏の去就を巡って揺れ続けたオバマ政権にとっても決定的で、政権高官によると「米国を間違いなくエジプト国民の側に付かせた」という。

一方、AP通信によると、演説は当初、ムバラク氏の即時辞任を表明する内容だったが、一時は後継者とみられていた次男のガマル氏が、直前に原稿を書き換えたという。家族や一部側近は、まだ辞任しなくても大丈夫と判断していたらしい。

毎日新聞 2011年2月15日 東京朝刊



 
 
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エジプト:タハリール広場、平静戻る

【カイロ伊藤智永】タハリール広場は、ムバラク前大統領の辞任から3日目の14日、反政府派市民の看板などがほとんど撤去され、車の流れも元の状態にほぼ復旧した。見物に訪れる市民は多いが、主張や抗議する姿は影を潜め、反政府派市民を弾圧した警官たち数百人が待遇改善を訴えて広場に繰り出した時も、見守るだけだった。

警官は隊列を組み、市内各所から内務省まで「市民と警察は一体だ」と叫びながら、勤務時間短縮や賃上げを要求。デモ弾圧の際に亡くなった同僚の写真を掲げ「我々は命令されただけだ」と主張した。

毎日新聞 2011年2月15日 東京朝刊



 
 
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エジプト:ムバラク政権崩壊 民政へ道筋、不透明 改憲委員の選出課題

【カイロ樋口直樹】ムバラク政権の崩壊でエジプトの実権を握った軍最高評議会が13日、今後の民主化プロセスを明らかにした。旧政権を支えた人民議会(国会)を解散、憲法を停止するとともに、憲法改正や人民議会選挙、大統領選挙への道筋を示した。反政府デモ参加者や野党はおおむね歓迎している。だが、6カ月の民政移行期間中、改憲案などに民意を反映させるための具体策や選挙日程などはまだ示されておらず、課題は残る。

◆憲法改正

「革命の勝利だ」。民主化プロセス発表を受け、05年の前回大統領選でムバラク氏と争った野党「ガッド党」創設者、アイマン・ヌール氏は地元メディアに語った。抗議デモの拠点、カイロのタハリール広場でも「軍と国民は一体だ」とのシュプレヒコールが続いた。

だが、憲法改正の行方を不安視する人は少なくない。連日抗議行動に参加した技術者、エッサムさん(56)は「軍部もムバラク政権の一部だったことに違いはない」と指摘。「憲法改正委のメンバーはまだ分からない。民意は本当に反映されるのか」と不安げな表情を見せた。

憲法改正は、民主的な選挙を行う上で死活的な意味を持つ。最大野党の穏健派イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」は54年に非合法化されたうえ、07年の憲法改正で宗教政党の活動が禁止されたため、憲法や関連法令の改正無しには公正な選挙に臨めない。

同胞団が合法化されれば、議会選挙で大きな勢力を得る可能性が高いが、合法化されない場合、不満が鬱積し政情不安の要因にもなり得る。

一方、5期30年に及ぶムバラク政権を制度的に支えた、大統領選の厳しい立候補条件の緩和や、多選規制も重要課題だ。大政党の後ろ盾が無くても、無所属候補が公正な選挙で戦える制度づくりがカギとなる。

◆選挙日程

軍最高評議会は民政移管のスケジュールについて「今後6カ月間、または人民議会選挙、諮問評議会(大統領の助言機関)選挙、大統領選挙が行われるまで暫定的に統治する」と明らかにした。だが、憲法改正案の提示▽国民投票による承認▽両議会選挙▽大統領選挙−−の具体的な日程には触れていない。

こうした民主化プロセスが、ムバラク前大統領時代に発足したシャフィク内閣の下で進められることにも反発がある。タハリール広場に残り続ける人々は「前政権の残滓(ざんし)の一掃」を訴え、「暫定政権」に指名されたシャフィク内閣を拒否している。

現地ジャーナリストの一人は「軍を賛美する国民の声の裏側には、自分たちを裏切らないでほしい、という思いがある」と言い、国民に軍政への一抹の不安があると解説する。

毎日新聞 2011年2月15日 東京朝刊



 
 
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エジプト:「国の父」「失業増えた」 ムバラク氏、出身地の評価二分

【シビンエルコム(エジプト北部)鵜塚健】ムバラク前大統領への非難がエジプト全土を覆う中、同氏の出身地では評価が真っ二つに割れている。独裁政権下での民衆抑圧や巨額の私財蓄積ばかりが注目されるが、地元には30年間にわたりイスラエルとの紛争を防いだ「功績」を評価すべきだとの声も強い。

◇政治の行方に不安の声

首都カイロから北へ70キロ、ナイル・デルタの都市シビンエルコム(人口約50万人)。ジャガイモ畑が広がる農村だ。ムバラク氏が高校生まで育ったというカフルモセルハ地区を訪ねると、支持の声が相次いだ。人柄は素晴らしく、幼少のころからイスラム教の聖典コーランを完璧に記憶していたという「伝説」も残る。

「30年間も米国やイスラエルから守ってくれた功績は大きい」。ムバラク氏の親類に当たる衣料品店経営、ガミル・ムバラクさん(53)は、第4次中東戦争(73年)以来の「平和」に果たした前大統領の役割を強調する。自動車修理工のエザト・カワルさん(44)も「外国の“犬”が入るのを防いでくれた。彼は素晴らしい父親だ」と絶賛。カイロでの反大統領デモは「イラン人やシリア人などがたきつけたものだ」と話した。

別の親類のアフマド・ムバラクさん(23)は「周囲の役人が無能だっただけで、前大統領に責任はない。デモの規模が100万人だったとしても、8000万人以上の全人口からみれば一部だ」と語った。取材中、「お前たちが悪い情報ばかり流すから前大統領は追放されたんだ」と息巻く男性も現れた。外国メディアへの不信が強く、前日に訪れた米CNNテレビの記者は住民に殴られたという。

一方、同地区にも、もちろんムバラク前政権への不満はある。薬局店主のムハマド・ファイクさん(67)は「失業の増加やわいろの横行は目に余る。そんな社会にした責任は前大統領にある」と指摘。「大学を卒業しても月給100エジプトポンド(1600円)で働かざるをえない若者がいる。以前はこんな社会ではなかった」と憤る。青果店主のヘーリト・サードさん(48)も「税金は上がる一方。ムバラクは最後の10年間、国民から気持ちが離れてしまった」と嘆いた。

ムバラク支持派、反対派の双方に一致するのは今後の行方への不安だ。カイロでデモに参加した若者らは一様に期待感にあふれていたが、ここでは「ムバラク氏に変わる指導者はいない。今後は混乱期が続くのでは」との声が目立った。

毎日新聞 2011年2月15日 東京夕刊



 
 
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エジプト:前政権高官の資産凍結協議−−EU

【ブリュッセル福島良典】欧州連合(EU、加盟27カ国)は15日、エジプト・ムバラク前政権の元高官らがEU域内に所有する資産の凍結措置を協議する。21日にブリュッセルで開くEU外相会議で正式に決定する見通し。EU筋が毎日新聞に明らかにした。

エジプト当局は英国、フランス、ドイツなどEU加盟国に資産凍結を要請している。ヘイグ英外相は14日、議会答弁で「EUや友好国と連携し、要請に協力する。違法行為や国家資産流用の証拠があれば断固たる措置を取る」と述べた。

また、ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のユンケル議長(ルクセンブルク首相)は14日、EUがムバラク前大統領の資産を凍結すべきだとの考えを示した。欧州ではスイスが既に前大統領の資産を凍結している。

だが、エジプト紙アルマスリ・アルヨウム(英語電子版)によると、エジプト外務省がEUに資産凍結を要請したのはナジフ前首相ら前政権・与党の元閣僚・高官。仏外務省報道官も「前大統領と家族は(凍結要請に)含まれていない」と述べた。

欧米メディアによると、前大統領と家族の資産は推定400億〜700億ドル(約3兆3000億〜5兆8000億円)に上るとされる。英紙などは、前大統領が18日間に及んだデモの間、一族の資産を欧州の銀行からペルシャ湾岸諸国に移動したと報じている。

毎日新聞 2011年2月15日 東京夕刊



 
 
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エジプト:10日以内に改憲草案 国民投票2カ月以内−−軍評議会

【カイロ伊藤智永】エジプトでムバラク前大統領辞任後の全権を掌握する軍最高評議会が、10日以内に憲法改正草案をまとめ、2カ月以内に賛否を問う国民投票を行いたいと考えていることが14日、明らかになった。反体制派デモを主導した若手活動家代表8人が13日夜、評議会の将官2人と意見交換した際、こうした日程案を示されたという。

草案は、独立機関の憲法改正委員会が作成する。軍側は16日にも、若手活動家代表らと再び会談する予定。新政党の結成を促しているとの情報もある。ムバラク氏辞任前、旧政権は野党勢力との対話に軸足を置いた結果、民心から遊離して失敗した。

代表の中には、デモの時期に当局に拘束されて「英雄」視されたインターネット検索最大手グーグル幹部のエジプト人男性、ワエル・ゴニム氏(30)も含まれている。軍側が市民代表との対話を重視しだした狙いが注目される。

一方、カイロ市で反体制派市民の拠点だったタハリール広場は14日、デモ発生前の状態に復旧したが、今度は市民や公務員が、職場ごとにデモやストを行う動きが広がった。

AP通信などによると、公共交通機関や救急車の運転士、警察官らが、それぞれ数百人規模で、テレビ局の周りやタハリール広場に繰り出して賃上げなどを要求。市中心部の銀行の支店でデモを行った。

毎日新聞 2011年2月15日 東京夕刊



 
 
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エジプト:イスラエルとの平和条約「改定を」−−ムスリム同胞団最高幹部

◇「中東包括和平、実現せず」

【カイロ和田浩明】エジプトの穏健派イスラム原理主義組織で最大の野党勢力「ムスリム同胞団」最高幹部の一人、ラシャド・バイユーミ氏(75)は14日、毎日新聞と単独会見。ムバラク前大統領の辞任で実権を掌握した軍部が維持を打ち出している、79年締結のイスラエルとの平和条約に関し、「国際条約は尊重するが、妥当性について国会などに諮るべきだ」と語り、改定が必要との認識を示した。

同条約は中東で敵対国に囲まれるイスラエルにとって安全保障上、重要性が高い。イスラエルの「後見役」である米国も維持を求めている。親米路線を維持したムバラク氏の失脚で同胞団の台頭を懸念する米国は、今後さらに警戒を強めそうだ。

バイユーミ氏は同胞団執行部のナンバー2でカイロ大教授。イスラエルとの平和条約に関し、「中東の包括和平の必要性をうたっているが、実現していない」と不満を表明。「国際法上、改定は可能だ」と述べ、国会などに諮り一般国民の声を反映させるべきだと主張した。具体的な改定内容への言及は避けた。

一方、軍最高評議会が13日発表した憲法停止や議会解散、選挙実施などの措置については「部分的に賛成できる」と評価。軍部から対話を求められれば「できるだけ協力する」との姿勢を示した。

その上で、治安機関による人権弾圧の象徴だった非常事態令の解除や、政治犯の釈放、腐敗政治家の摘発を「喫緊の課題だ」として早期対応を要求した。

また、今後の政治参加については、大統領選での候補擁立や政権参加については否定。国政選挙には出るが、「権力掌握を狙っているとの印象を与えないためにも、過半数確保を図るつもりはない」と述べた。

毎日新聞 2011年2月15日 東京朝刊



 
 
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エジプト:待遇改善求め、警官らがデモ

【カイロ樋口直樹】ムバラク政権が崩壊したエジプトで14日、首都カイロを中心に国営企業職員らによる待遇改善要求デモが続発した。銀行や交通、観光分野をはじめ、警察官もデモに加わった。実権を握る国軍最高評議会が労働組合や職能団体の集会を禁じる動きに出る、との報道もある。デモには郵便、メディア、繊維、鉄鋼分野の職員らも参加している模様。同評議会は市民生活の正常化を急ぐ方針を示している。

毎日新聞 2011年2月15日 東京朝刊



 
 
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エジプト:ムバラク氏の健康悪化報道−−現地メディア

【カイロ和田浩明】エジプトの複数のメディアは14日、ムバラク前大統領(82)の健康状態が悪化していると報じた。同氏は東部の保養地シャルムエルシェイクに滞在中とみられるが、動静は明らかになっておらず、報道の真偽は不明だ。

独立系紙アルマスリ・アルヨウム(電子版)は「情報筋」の話として、ムバラク氏が11日に辞任後、健康状態が悪化し心理的に落ち込んでいると報じた。同氏は投薬や医師の診断を拒んでおり、国外も含めて病院へ搬送すべきかは決定されていないという。政府系紙アルゴムフリアも、ムバラク氏が重度のうつ病を患っているが、「エジプトは去らない」と主張していると報じた。

毎日新聞 2011年2月15日 東京朝刊



*このファイルは文部科学省科学研究費補助金を受けてなされている研究(基盤(B)・課題番号16330111 2004.4〜2008.3)の成果/のための資料の一部でもあります。
 http://www.ritsumei.ac.jp/acd/gr/gsce/p1/2004t.htm

UP:2011 REV:
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