女性史
著者を見出す:ファトゥ・ソウ(Fatou Sow)
アフリカに生きる女性について研究をしているフランスの黒人女性(黒人と見なされている女性)は、数多くはない。その理由は、興味深い分析が無いとか、または有意義であったり心を惹きつけたりするような問題提起が無いという理由では無い。このテーマに注視すると、例えばその研究がセクシュアリティーの問題や宗教、社会関係の分野に入り込んで行く事が明らかになるからだ。西アフリカ及びサハラ以南アフリカの女性に関して、ファトゥ・ソウはこの研究分野におけるパイオニアである。
ファトゥ・ソウは1998年からパリ第7大学の時空間社会研究所(SEDET)に所属する研究者である。シェイク・アンタ・ディオプ大学にて社会学及び哲学の高等教育を終えた後、ソルボンヌ大学で第3過程博士号を取得し、フランスはパリ第7大学で社会学の研究を指導する権利を授与され、同校では“アフリカ”社会学を教えている。セネガル研究者団体、仏語圏アフリカの性と生殖に関する保健に関する研究ネットワーク、またイスラム法下にある女性の国際ネットワークの会員であり、一般的アフリカ女性の生活状況に関する研究を展開している。その功績として挙げられるのが、黒人女性を取り巻くセクシュアリティーや保健衛生問題についてのその研究が、アフリカ系アメリカ人フェミニストの研究を超越している事である。
1992年に、トロント大学はファトゥ・ソウに同大学名誉博士号を授与し、追って2002年にはカナダのオタワ大学も名誉博士号を授与した。実際に1980年からファトゥ・ソウは、メリーランド大学、ロサンジェルスのカリフォルニア大学、ボストン大学やオハイオ・ウェズリアン大学といった北米の数々の学術機関と共同研究をしている。黒人女性に関する研究にファトゥ・ソウが参加した事で、フランス、セネガルやアメリカの黒人女性の批判的フェミニスト研究に大きな価値が加わった。
ファトゥ・ソウは、南側諸国フェミニスト研究者グループであるDAWN (Development Alternatives With Women for New Era) に参画しているフランス国立科学研究機構(CNRS)に勤務している。長きに渡ってセネガルのシェイク・アンタ・ディオプにあるブラックアフリカ基礎研究所(IFAN)に関わっており、女性と法律に関する研究グループのメンバーを務めている。アフリカでの性別による社会的役割に関して進められた今日的なその研究は、フランスの黒人女性を機軸にした研究の向上促進に有効である。 ファトゥ・ソウは、以下の著作の共同出版に貢献した:
1972年:セネガル中央行政機関の役人 ブラックアフリカ基礎研究所(IFAN) アフリカ学・入門
1993年:2015年のセネガル人女性 ママドゥ・ディウフその他共著 女性省・人口協議会(Population Council) サン・ポール出版
1997年:アフリカ社会学の生成 アイシャ・イマムとアミナ・ママその他との共著 アフリカ社会科学研究発展評議会(Codesria) ダカール
1998年:「ジェンダー再評価」 アフリカ社会科学研究発展評議会(Codesria) のアフリカ・デベロップメント誌特集号
2002年:数で見るセネガル人女性;女性に関する社会経済的データの研究 ママドゥM.ゲイその他共著 国連開発計画 ダカール
2004年:性、ジェンダーと社会、アフリカ社会学の生成 アイシャ・イマムとアミナ・ママその他共著 アフリカ社会科学研究発展評議会(Codesria)/カルタラ社 パリ 「私達の身体・私達の健康:サハラ以南アフリカ女性の健康とセクシュアリティー」
コドゥ・ボップその他共著 パリ ハルマッタン社
共著の著書同様に、ファトゥ・ソウの出版物も様々な主題に渡る:
2005年:「女性、国家と神聖」サハラ以南の政治的イスラム アイデンティティー、言説と争点 ゴメス・ペレス監修 パリ カルタラ社
2005年:「アフリカの女性とイスラムを考える:フェミニズムアプローチ」ママ・アフリカへの寄贈 カトリーヌ・コケリー・ヴィドロヴィッチに捧げる雑録 パリ ハルマッタン社
2005年:「西アフリカの女性運動」 ジェンダーの平等 不平等な世界での正義への戦い 国連社会開発研究所 ジュネーブ
2004年:私達の身体・私達の健康:サハラ以南アフリカ女性の健康とセクシュアリティー ファトゥ・ソウとコドゥ・ボップ監修 パリ ハルマッタン社
2002年:性、ジェンダーと社会:アフリカ社会学の生成 アイシャ・イマム アミナ・ママ ファトゥ・ソウ監修 ファトゥ・ソウによるアフリカ社会学の生成の仏語版 ダカール アフリカ社会科学研究発展評議会(Codesria)/カルタラ社
2002年:ガバナンスの商品化 ファトゥ・ソウによる同書の仏語版 ヴィヴィアン・テイラー監修パリ DAWN/ハルマッタン社
国際開発研究センター ファトゥ・ソウの記事
http://www.idrc.ca/fr/ev-71557-201-1-DO_TOPIC.html
フェミニズム研究・資料・教育センター(CEDREF) ファトゥ・ソウの記事
http://www.cedref.univ-paris7.fr/pages/cv%20equipe/cvfsow.htm
Justine Bazie Yilargnin
2008年7月5日
原文 http://www.pluricitoyen.com/spip.php?article55
筆者
Justine Bazie Yilargnin
2006年から「アフリカンアートオブジェクトの専門家」を自称しているJustine Yilargnin BAZIEは、パリ第1パンテオン‐ソルボンヌ大学修士後期(マスター2)の学生である。その研究はブラック・クイアスタディーとポスト・コロニアルスタディーに基づき、人種、ジェンダー、性と階級そして特に学識における「知と力」の関係にアプローチしている。ウェブサイトhttp://blackstudies.blogspot.com で「Progressive Black Studies in France」を発表し、http://blackqueer.blogspot.comでは「That’s All Black Quare」を発表している。