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アフリカ女性の銀行活用が広がる


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アフリカアフリカ Africa 2015


おかねおくれ


作成:斉藤龍一郎
 *(特活)アフリカ日本協議会事務局長

アフリカ女性の銀行活用が広がる

保証融資は女性の銀行サービス利用を促進する最良の方法

「待ってはいられません。私達は自分から動くのです」南アフリカ共和国MpumalangaのPankop(Pankop Women Farmers Forum)設立メンバーであるPilda Modjadjiさんは、そう明言する。「私達にとって大切な事業なのです」

現在300名の会員を抱えるこのグループは、果樹を共同栽培して、家族の食生活を補うため、また収入を得て子供達の学校の入学費用を支払うために、その収穫を利用するという慎ましいプロジェクトを開始した。しかしこの女性達はすぐに、学業を終えた子供達が村ではほんの僅かの雇用しか見込めないため、都会を目指し村から去ってしまったという点に着目した。村に新たな雇用源を生み出すと決意した彼女達は、伝統的首長や市町村役場の同意と支持を得て、乾燥果実・野菜の小さな工場を始めた。

そのプロジェクトは野心的で、通常20ドルから300ドル程度を取り扱う従来のマイクロファイナンスの融資では不十分だと考えた。Pankopは10万ドル相当の資金を必要としていた。彼女達はこの資金を地元の商業銀行から得る事が出来たが、それは、アメリカの非営利団体Shared InterestとスイスのRAFAD (Research and Applications for Alternative Financing for Development)により1996年に設立された、南アフリカの国際信用保証会社Thembaniによる、7万ドルの保証金のおかげであった。この保証金により銀行は、貸倒れの際には、保証を引き受けた団体が負債の一部を吸収してくれるだろうという安心感を得るのである。

この最初の借入金を元手に、Mpumalangaの女性達は、古い学校の共同宿舎を実際に稼動する工場へと改修させた。このプロジェクトは初めに若者65人の雇用を創出した。続いて二回目の、これもまたThembani保証により得た12万ドルの融資により、職場の様々なセクションに配置するため雇用人数を200人に増員した。彼女達の最後の借入金は約100万ドルに上り、そのうちの80万ドルはThembaniによる保証であった。この資金により、EUの衛生基準や食料安全性を満たし、製品の輸出を開始する事も可能になるだろう。

違ったアプローチ

農業従事女性フォーラムであるPankopは、アフリカにおけるマイクロファイナンスの新たな顔である。慣習的に、マイクロファイナンスの団体は、往々にしてドナーに深く依存する非営利組織であり、最低限必要なニーズに対しての融資を目的とし、一般的につましい貸付しか承諾しなかった。しかし民間投資会社や慈善事業を営む団体・個人による資金は、より高額な貸付金の供給を可能にしている。それは地元の商業銀行からの貸付に対して保証をするという形で行われており、この保証こそが、貸付側が恐れるリスクを軽減し、より大きな金額を貸し付けるように仕向けるのである。

1994年の創設の時より、Shared Interestは1300万ドル以上の保証に同意し、南アフリカの銀行、自治体や民間企業に対し約1億ドルもの貸付を支出するよう奨励してきた。この貸付金は、100万人以上の低所得南アフリカ人男性、南アフリカ人女性に利益をもたらした。そしてその受益者の4分の3は女性である。

Thembaniの母体であるShared Interestの所長Donna Katzinさんは、『アフリカ再生』誌に、団体は貸付金利用を容易にする事だけで満足してはいない、と断言する。「Thembaniはプロジェクトを選定しパートナーを選定しました。そして銀行融資を惹きつけるような商業プロジェクトやビジネスプランを構築する事に協力し、必要な貸付を行ってくれる銀行との架け橋となったのです」

Thembaniは同様に、貸付を引き受ける商業銀行に対する技術支援も行っている。Katzinさんは、かつてこれらの銀行の多くは、慣例に無い経済アクターに対して融資をしたがらなかったと語る。「殆どの銀行は経験や知識が無く、あるいはこういった融資に関して問題を抱えています。私達は、銀行のオペレーション方法を変えたいと思っています。彼らの資本を必要としている新たなグループを紹介して行きます」

ステップアップ

世界銀行グループの国際金融公社(IFS)によると、アフリカの全ての企業のうち、約48%は女性がその所有者である。しかし彼女達は貸付を得るのに苦労している。

こういった融資を助けるための保証を供給しているのは、Shared InterestのようなNGOだけではない。国際労働機関(ILO)やアフリカ開発銀行(DAB)は共同で、アフリカ開発銀行と国際金融公社が運営するGrowth Oriented Women Entrepreneurs(GOWE)と命名された、1000万ドルの保証プログラムを立ち上げた。このプログラムは、今から2011年までに、全アフリカのおよそ400人の女性企業家が貸付を得られるよう協力する事を目的としている。借入金の候補者は、その資格として、少なくとも2年以上継続している企業を運営している事、そして高い発展可能性を持っている事が要求される。その後認可された候補者は約2万ドルから40万ドルの資金を借りる事が出来るが、この事業拡大費に伴い、彼女達自身も20%の分担金供出が要求される。

国際金融公社のオペレーション責任者Mary Njorogeさんによると、「事業拡大の手段を模索している、既存の零細・中小企業に特化している」との事で、団体は「実際に中企業や大企業へのステップアップに至る女性企業の割合を増加させる」事を期待している。

成功を保証する貸付

ケニアでは、国連開発計画(UNDP)のプログラムが、商業銀行へと変貌を遂げたマイクロファイナンス団体であるEquity Bankとパートナーを組んだ。それは8100万ドルの資金の貸付を、専ら女性に対して開始するためであった。「私達はこの貸付を“Fanikisha(成功の保証)”と呼んでいます。そしてそれは今では、私達の金融商品のうち最も成功した商品のひとつなのです」と、Equity Bank会長のJames Mwangi氏は『アフリカ再生』誌に語る。「私達の銀行の顧客の54%は女性で、借入金の返済に関しては、彼女達の評判はすこぶる良いのです」

Equity BankのFanikisha貸付金は、担保よりもむしろ、企業の財務フロー評価に基づいて行われる。顧客はたったの25ドルでも、あるいは16万ドル以上でも、以前の借入れの返済履歴に応じて借りる事が出来る。

ナイジェリアでは最近まで、企業家精神に溢れ堅実な商業活動を行っている有能な女性達が、担保の条件を満たす事が出来ずに、あるいは借入れの経歴が無かったために、貸付を受ける事は出来なかった。殆どの商業銀行は、女性の企業そして彼女達が市場で占めている分野についてあまり知識が無かったため、貸付を行うにはリスクが高すぎる、と判断したのだ。

しかし、Access Bankという、そのうちのひとつの銀行は、女性の商売に対して、割に合う形で融資を行う事が出来るのではないかと考えた。この銀行は国際金融公社に問い合わせ、その結果後者は、特に女性企業家達への貸付を目的として1500万ドルの貸付金を提供した。またこれら女性企業家達が、その能力や商業活動業績を伸ばす事が出来るよう、その貸付には商業開発のアドバイスや養成が付帯された。

貸付にかかるコストの減額

ケニアでは、家族経営企業の企業家のうち61%が女性だが、20年前は、彼女達が事業拡大に必要な資金を得る事は非常に困難であった。1981年にある女性達のグループが集まり、女性への貸付を行うためのマイクロファイナンス団体であるケニア女性投資信託(KWFT)を結成した。初めのうち、ケニア女性投資信託はドナーによる限定的融資や、商業銀行での借入金に頼っていた。しかしこれら商業銀行は、ケニア女性投資信託が顧客達に課せられる以上の高金利を適用していた。ケニア女性投資信託の会長Jennifer Ririaさんは、団体は多くの貸倒れに直面し、莫大な負債を負ったと解説する。

しかし商業銀行が、女性への貸付が割に合うものだと理解して行くにつれ、ケニア女性投資信託のような団体への貸付は以前より高くつく事はなくなり、より低い利率での提供や、活動範囲の拡大を可能にした。今日では、ケニア女性投資信託は東アフリカ及び中央アフリカで最も重要な、女性のためのマイクロファイナンス団体である。2006年だけで、ケニア女性投資信託は顧客達に対し5200万ドルの融資を行い、1600万ドルに及ぶ構成員達の貯金と、ケニアの8地域のうち7地域に分散する20万以上の口座を運営した。

保険への到達

マイクロファイナンスの幾つかの団体は、単なる融資という活動を超えて、新たな一歩を踏み出している。ケニア女性投資信託は、緊急時の医療費によって、女性達はしばしば企業の資本金から医療費を捻出せざるを得ないという現実に着目した。そこでこの信託銀行は、顧客とその家族を対象に、医療保険プログラムを開始した。

年間60ドルの支払いで、顧客達は入院、傷害そして葬儀費用をカバーした保険契約証券を受け取る。またこの保険により、入院期間中には週単位の補償金を受け取ったり、それで稼働中の業務の債務に応じたりする事も可能になる。もし身体に障害が残った場合は、一括補償金を受け取る事が出来る。これは、官職に就いている人間以外、一般の人にとってまだまだ保険というものに手が届かないような国において、革新的なプログラムである。

Equity Bankは、大多数が女性であるその顧客に対して、同様のサービスを行っている。British American Insurance及びその他保険会社とのパートナーシップにより、約6ドルの月掛保険料で、収穫保険、基礎的生命保険あるいは葬儀保険を提供している。Equity Bank会長のMwangi氏は、貧しい人々は往々にして、穀物置場や家畜小屋といった昔からのやり方で貯金を保管している、と説明する。しかし天候や状況が不利に働けば、こういった人々は全てを失うというリスクに晒される。「個人単位では、彼らは保険の申込資格はありません。だが、もし病に倒れてしまったり収穫を失ってしまえば、彼らは全くの被災者となってしまうのです。」

従来の保険会社は、わずかな保険料しか納められない顧客には、保険のサービスを提供する事が出来ない。それは、管理費等のコストがこの保険料額を超過してしまうからである。しかしEquity Bankは、これら管理費等のコストを引き受け、こういった小額の保険料を集金して行き、その結果、保険料総額は年間2000万ドル以上になったのである。保険料徴収のエージェントとして営業していく中で、Equity Bankは、保険会社にコストと小額保険料徴収というリスクを回避させ、手数料という利益を得ただけではなく、顧客達がそれぞれ必要としている保険を得られるようにしたのである。

Afrique Renouveau Vol.22 No.4(pdf)

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