1 南アフリカの成り立ち――歴史、人種、エスニシティ
第1章 南アフリカは「アフリカ」の国である―多数派を占める先住民の歴史【峯陽一】
第2章 「白いアフリカ人」の誕生―アフリカーナー社会の形成と大移動【峯陽一】
第3章 イギリス人、コーサ人、「ゴールドラッシュ」の時代―南アフリカ史の大転換【峯陽一】
第4章 人種隔離からアパルトヘイトへ―アフリカ大陸をさまようナチスの亡霊【峯陽一】
【コラム1】南アフリカのユダヤ人左翼【峯陽一】
第5章 土地法から強制移住へ―アパルトヘイトの根幹をなした土地問題【佐藤千鶴子】
第6章 反アパルトヘイト運動の展開―ANCに流れ込んだ3つの潮流【峯陽一】
【コラム2】国旗と国章【坂田有弥】
第7章 ズールー王国の勃興とシャカ―神話から歴史へ【佐藤千鶴子】
第8章 「カラード」の歴史―歴史がつくった「カラード」【海野るみ】
第9章 インド人社会の形成と「サティヤーグラハ」―ガンディーが過ごした21年間【鶴見直城】
【コラム3】国花と国歌【楠瀬佳子】
2 ポスト・アパルトヘイト時代の南アフリカ政治
第10章 「虹の国」としての再出発―1994年を振り返る【峯陽一】
第11章 ポスト・アパルトヘイト体制への移行と暴力の再生産―政治暴力と「タクシー戦争」【遠藤貢】
第12章 真実和解委員会(TRC)を通じた和解の模索―その限界と意義【阿部利洋】
第13章 ANCはどこへ行く―南ア共産党との歴史的関係を通して見えてくるもの【福島康真】
第14章 「闘いは続く!」―都市の社会運動・労働運動とANCの緊張関係【牧野久美子】
第15章 マンデラ、ムベキ、ズマ―個性豊かな指導者群像【長田雅子】
第16章 国民党の消滅と民主連合の伸長―ポスト・アパルトヘイト時代の白人政党【長田雅子】
【コラム4】核兵器を廃絶した南ア【藤本義彦】
第17章 伝統的指導者の新しい役割―「伝統」と「近代」の分裂は超えられるか【佐藤千鶴子】
第18章 スティーヴ・ビコと黒人意識運動の遺産【峯陽一】
【コラム5】エイミー・ビール事件【峯陽一】
3 世界が注目する南アフリカ経済
第19章 「レアメタル」がないと車は走らない―日本の自動車産業を支える南アフリカ鉱業【西浦昭雄】
第20章 「財閥」の変容―アングロ・アメリカンとデビアス【西浦昭雄】
第21章 アフリカから世界へ―資源メジャーBHPビリトンを創ったビジネスマン【平野克己】
第22章 「オール電化」の夢―南アフリカの電力不足とアフリカ電力網【西浦昭雄】
第23章 南アフリカ企業のアフリカ進出―スーパーから携帯電話まで【西浦昭雄】
第24章 スタンダード銀行と中国――南アフリカと中国の深い関係【平野克己】
第25章 BEEとブラックダイヤモンド―黒人は豊かになれるか【西浦昭雄】
第26章 拡大する所得格差―なぜ一部の黒人だけが豊かになるのか【岡田茂樹】
第27章 日本企業の動向―拡大する自動車・鉱業分野での投資【岡田茂樹】
第28章 日本と南アフリカの経済関係―過去と現在の鳥瞰図【西浦昭雄】
第29章 世界経済と南アフリカ経済―旺盛な民間活力が強み【平野克己】
【コラム6】お金の話―通貨ランド【長田雅子】
4 ダイナミックに変わる南アフリカ社会
第30章 犯罪―市民生活を脅かす南アフリカ社会の暗部【白戸圭一】
第31章 北から南へ―ジョハネスバーグの多様な顔【津山直子】
第32章 ポスト・アパルトヘイト時代の社会保障―ベーシック・インカムを中心に【牧野久美子】
第33章 草の根の国際協力―JVCの活動から【津山直子】
第34章 エイズとともに生きる―タウンシップの苦悩と支え合い【小山えり子】
第35章 南アフリカの医療問題―頭脳流出と伝統医療【佐藤千鶴子】
第36章 ズールー人の魅力―「戦闘的」なだけではない、前向きであったか〜い人びと【平林薫】
第37章 私のタウンシップ経験―ジョバーグからケープへ【木村香子】
第38章 南アフリカのジェンダー問題―アフリカ人女性の存在感【楠瀬佳子】
【コラム7】南アフリカの宗教【牧野久美子】
第39章 土地返還運動からコミュニティの再生へ―ルースブームの事例【佐藤千鶴子】
第40章 南アフリカにおける動物保護と共生―クルーガー国立公園を事例に【佐藤千鶴子】
5 底流をなす文化力
第41章 南アフリカ観光―ひと味ちがう見どころ紹介【長田雅子】
【コラム8】「南アフリカ料理」入門【佐竹純子】
第42章 雄大な自然と多様な文化―ケープを味わい尽くす【福島康真】
【コラム9】ワインとルイボス【福島康真】
第43章 南アフリカのスポーツは宗教である―観戦型も参加型もおまかせ【長田雅子】
第44章 「遠い夜明け」は来たか―南アフリカ映画あれこれ【海野るみ】
第45章 南ア黒人音楽の魅力―大地から響く、魂の歌声【佐竹純子】
第46章 南アフリカの演劇―「総合芸術」の魅力【楠瀬佳子】
第47章 多言語社会南アフリカ―11もの公用語【宮本正興】
第48章 教育改革の課題―「読み書きのパワー」を中心に【楠瀬佳子】
第49章 アパルトヘイト時代の文学―E・ムパシェーレの仕事を中心に【宮本正興】
第50章 ポスト・アパルトヘイト時代の文学―ゾイ・ウィカムの作品から見える新社会の課題【楠瀬佳子】
【コラム10】厳しさと柔和さと―ノーベル賞作家ク―ェー【くぼたのぞみ】
第51章 南アフリカのマスメディア・出版界―新しい動き【楠瀬佳子】
6 日本と南アフリカ、アフリカのなかの南アフリカ
第52章 21世紀の草の根交流――長野での「実験」【城島徹】
第53章 日本の反アパルトヘイト運動の歴史―JAACの運動を中心に【楠原彰】
【コラム11】反アパルトヘイト運動を支えた出版人【城島徹】
第54章 マンデラ歓迎西日本集会に2万8000人――関西の反アパ市民運動が原動力で開催【下垣桂二】
【コラム12】アパルトヘイト否!国際美術展【前田礼】
第55章 「名誉白人」とよばれた人びと―日本人コミュニティの歴史【山本めゆ】
第56章 移民―南アフリカと南部アフリカ・世界を結ぶ人の流れ【峯陽一】
第57章 モザンビークから見た南アフリカ―関係の歴史【舩田クラーセンさやか】
第58章 ジンバブエから見た南アフリカ―大規模農業とガーデニング【壽賀一仁】
第59章 「サウス・アフリカ」へ続く道―ボツワナのブッシュマンと南アフリカ【丸山淳子】
第60章 「虹の国」とゼノフォビア―アフリカ人としてのアイデンティティ【佐藤誠】
もっと知りたい人のための文献ガイド
第一部
第1章 大学における視覚障害者支援の概要 青木 慎太朗 12-30
第2章 文字情報へのアクセスとその支援 韓 星民 31-68
第二部
第3章 視覚障害者への情報支援と著作権法上の課題 青木 慎太朗 70-81
第4章 出版社の対応とその背景 植村 要 82-108
第三部
第5章 スーダンと日本、障害当事者による支援の可能性 斉藤 龍一郎 110-126
第6章 異なる身体のもとでの交信――COE&新学術領域研究で目指すもの 立岩 真也 127-147
資料編 テキスト校正ガイドブック 立命館大学障害学生支援室 150-178
10億を超えたアフリカの人口の過半数は15歳以下、アフリカの子どもに関わる報告やニュースがもっともっと紹介されてもいいのではと感じています(CF.アフリカの子ども)。そうした中、2006年に「アフリカのろう者と手話の歴史」を書いた亀井伸孝さんが、「森の小さな〈ハンター〉たち 狩猟採集民の子どもの民族誌」という興味深い本を出しました。
「おわりに」から印象に残った部分を抜き書きします
今日、「万人のための教育(Education for All)」が国際機関によって唱導され、また、人間の豊かさと可能性を測る「人間開発指数(Human Development Index)」の重要な要素のひとつとして「教育」が位置付けられている。教育がなされないことは子どもにおける権利の剥奪であり、自由が奪われていることにほかならないとする価値観は、人類共通の了解事項になったかのようである。
私もこの思想には一理あると考えており、それを支持する趣旨の文章を書いたこともある。しかし、どこか心の底で、本当にそうなのであろうかと疑う視角も残っている。
本書で取り上げた、ミッションの学校をめぐって起きた様々な事件(第六章 ※森の中での狩猟が可能になる乾季になると子どもたちも森の中へ移動してしまい学校を休校にせざるをえなくなったことなどが書かれている)は、一見失敗のように見えるかもしれない。しかし、よく見れば、普遍的価値の追求を個別状況に沿わせて多少なりとも実現させ、子どもたちが取りうる選択肢を拡充しようとする、ひとつの達成と言えなくもない。子どもたちが秘めた潜在能力とそれが生み出す文花を受け入れつつ、現地の文脈に沿わせて教育を達成していこうとする姿勢は、今日の教育問題を考える上でも有効なヒントとなるのではないだろうか。
以下、目次と「はじめに」からの抜き書きです。
序章 個別と普遍:政治研究者のアフリカへの眼差しから
第1章 方法論:開発研究と地域研究の架橋を目指して
第2章 権力と収奪:新政治経済学の再検討
第3章 農業と政府:穀物土地生産性とその決定要因
第4章 民族と近代:難問としての「部族」主義
第5章 希少性と「国民」:独立の見果てぬ夢
結章 対話と国家:21世紀のための覚書
「はじめに」から
わたしたちにいま最も必要とされているのは、富裕さの反対側へ視野を広げることである。日本にとって、西欧・北米の諸国は世界の富裕さを共有する同類であり、東アジアはその同類となることを目指してきた追走者である。大雑把にいえば、すべて昨日より今日、富裕になる過程を経験してきた社会ばかりである。農業・農村の停滞に足をとられず、工業化に足を踏み出すことのできた社会ばかりである。
だが、自分と同じ側にあるものをつぶさに知ったところで、決して世界全体を認識したことにはならない。自分と大きく異なるもの、対極に位置するものを知らなければ包括的理解は生まれない。明らかに日本人および日本の知は、この点の努力を怠ってきた。世界の中で、文化、社会、自然などさまざまなな面において、国と社会のかたちにおいて、そして、とりわけ経済的富裕さにおいて日本と対極にあるのが、サハラ以南のアフリカ地域に属する貧困諸国だろう。アフリカには、形式的には他と変わらない主権国家があり、政府行政機構が存在しているが、それは、わたしたちが日常的に思い浮かべる国家や政府行政機構とは似て非なるものである。21世紀になり、アフリカ諸国は全体として経済成長を経験し、この地域に若干の注目が寄せられている。しかし、マクロ的な成長の陰には、広範な大衆の相も変わらぬ貧困が放置されている。この地域を理解することは、わたしたちの、人類社会全体の理解にとって不可欠の作業である。
序章 アフリカ農村社会と公共圏の概念/児玉由佳
第1章 エチオピア農村社会における公共圏の形成 ―市民社会/共同体の二元論をこえて―/松村圭一郎
第2章 アフリカ農村の生産者組織と市民社会−ガーナの事例から−/高根務
第3章 東アフリカ農村における森林資源管理と生計安全保障―タンザニアとケニアの参加型制度の事例分析―/上田元
第4章 ザンビアの農村における土地の共同保有にみる公共圏と土地法の改正/大山修一
第5章 ルワンダの農村社会と民衆司法―アブンジを中心に−/武内進一
補章1 新しい公共圏の創生と消費の共同体―タンザニア・マテンゴ社会におけるセングの再創造をめぐって―/杉村和彦
著者自身の南ア在住体験がアパルトヘイト法体制廃絶では片づかない課題を明らかに。南ア企業、経済人の活躍を紹介する章が興味深い。
利用可能な数値・統計から浮かび上がる「アフリカ問題」を解説する。
GDFスエズとエレクトロブラス、中南米・アフリカのエネルギー開発で合意 RSS
2010年09月07日
フランスのエネルギー大手GDFスエズ(GDF Suez)とブラジル電力公社エレクトロブラス(Electrobras)が、中南米・アフリカにおける再生可能エネルギーなどのエネルギー源の開発事業でパートナーシップを締結した。この契約にはエネルギーの共同研究や発電、送電事業に加え、両社の技術や人材を共有し合う意図も含まれている。
GDFスエズにとって、高いエネルギー需要と再生可能エネルギーに大きな可能性を持つラテンアメリカは重要な市場で、同社はブラジル最大の民間電力会社でもある。
一方のエレクトロブラスはラテンアメリカ最大の電力公社であり、ブラジルの市場を独占しているリーダーでもある。水力発電ダムや火力発電所、さらには原子力発電所と、同社の発電能力は3万9453メガワットにおよび、ブラジルの総発電容量の37%を占めている。
双日、インドで物流インフラ事業:民間最大のアルシアと協同
双日は14日、インド最大手の民間物流企業アルシア(本社:ムンバイ)と共同で、ムンバイ近郊のマハラシュトラ州およびデリー近郊のウッタルプラデシュ州で、FTWZ(物流加工保税区)と鉄道輸送を合わせた複合物流インフラ事業を進める趣旨の基本合意書を締結したと発表した。両社は、今後、資本提携も視野に入れて共同事業を進めるとしている。
FTWZとは、輸出入手続きの簡素化・迅速化、税制優遇などの優遇を与える経済特別区。この活用で保税蔵置・加工・再輸出など、インドを物流や製造のハブとして、中東やアフリカなどへ進出を図る企業のメリットになる。双日とアルシアは、主にインドに進出を検討する企業や、インドを拠点として中東・アフリカへの進出を検討する企業の誘致を図り、FTWZに加え、最新鉄道輸送技術を活用した物流インフラを設営し、サービスを展開する。中長期的には、ナグプル、コルカタ、チェンナイにも同様のFTWZを設営し、デリー・ムンバイを中心とした主要5拠点をカバーし、インドのほぼ全域で総合物流インフラ群を構築する。
インドの物流関連市場規模は14兆円で、今後も拡大すると見込まれている。特に、目覚ましい発展を遂げるインドの自動車産業で、自動車の輸送はトラック輸送に依存している。FTWZと鉄道技術の活用で、より安価で、機動的・効率的な運搬が可能となる。鉄道輸送は、温暖化ガス、特に二酸化炭素排出量がほかの輸送方法に比べ低く、大量の貨物の輸送が可能。将来も、低価格で環境にやさしい物流インフラとして重要視されている。(10年9 月14日、双日の発表から)
09/14/2010
国連総長、ミレニアム開発目標達成へ「日本の協力期待」
2010年9月17日11時18分
【ニューヨーク=丹内敦子】国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は16日、来週から始まるミレニアム開発目標(MDGs)サミットなどを前に朝日新聞などと会見し、世界的な不況下でも政治指導力や適正な政策、財源があればMDGsの目標は達成できるとの考えを示し、日本には「力強い協力を期待している」と述べた。
MDGsサミットにはオバマ米大統領を始め、約140カ国の首脳らが出席する予定。首相続投が決まったばかりの菅直人首相が出席することについては「ありがたく思う」とした。
国連はこの日、8分野にわたる目標を2015年までに達成するための資金が足りないと発表したが、潘氏は「政治的意思があればギャップは埋められる」と主張し、各国首脳らに改めて強い指導力を発揮するよう訴える考えだ。
進展が遅れている女性と子どもの健康改善は「最も重要な課題」とし、「数百万人の女性と子どもの命を守るためにも資金を投入しなければならない」と強調。「日本には能力、政治指導力、財源もある」とさらなる協力を求めた。
先進国の追加援助が焦点=途上国開発で首脳会合−国連
【ニューヨーク時事】途上国の貧困撲滅などを目指すミレニアム開発目標(MDGs)の首脳会合が20日、3日間の日程で開幕した。2015年の期限まで残り5年となる中、母子保健分野で遅れが目立ち、目標達成が危ぶまれている。先進国が踏み込んだ追加援助を打ち出せるかが会合の焦点で、最終日の22日に具体的な行動指針を盛り込んだ成果文書を採択する。
会合には約140カ国の首脳が参加。国連の潘基文事務総長は冒頭で演説し、「残り時間はわずかだが、やるべきことは多い」と述べ、各国に取り組みの加速を強く促した。
MDGsは2000年の国連ミレニアム・サミットで、21世紀の国際社会の責務として採択した「国連ミレニアム宣言」が基になっている。貧困・飢餓の撲滅や初等教育の完全普及など八つの分野で数値目標を掲げている。(2010/09/20-23:05)
ミレニアム開発目標サミット開幕、目標達成への努力促す
2010.09.21 Tue posted at: 09:53 JST
国連(CNN) 世界の貧困、飢餓問題などの改善を目指すミレニアム開発目標(MDGs)サミットが20日開幕し、国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長らが目標達成に向けた取り組みの強化を促した。
サミットには世界150カ国近くの首脳らが出席し、23日からは引き続き国連総会が開かれる。潘事務総長はサミット開幕を前にした報告書で、取り組みの進展には偏りがあり、このままでは達成不可能な目標もあると指摘。経済不安を口実に努力を怠るべきではないと訴えていた。
MDGsは2015年までに、極度の貧困・飢餓人口の半減と完全雇用、初等教育の完全普及、乳幼児死亡率の3分の2削減、妊産婦死亡率の4分の3削減など、8分野での目標達成を目指している。
サミットではフランスのサルコジ大統領が、国際的な金融取引に課税し、これを目標達成への資金とする案を主張。ボリビアのモラレス大統領は、先進国による「途上国からの資源略奪」をやめさせる必要があるとして天然資源の国有化を訴え、また国際通貨基金(IMF)や世界銀行の「富の分配の不平等」に対する批判を展開した。イスラエルのペレス大統領は、パレスチナとの共存による和平を呼び掛けるとともに、「飢えた世界に平和はない」と述べ、MDGsへの賛同をあらためて表明した。
開発目標サミット開幕 「さらなる支援を」国連が訴え
2010年9月21日7時22分
【ニューヨーク=丹内敦子】ミレニアム開発目標(MDGs)サミットは20日、国連本部で開幕した。世界的な不況で各国からの支援金が滞り、このままでは2015年の期限内に多くの目標達成が困難だと見られている。サミットでは、新たな拠出表明や行動計画が期待されている。
サミットは22日まで続き、オバマ米大統領ら約140カ国の首脳らが参加する予定。国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は、これまで10年間での進歩を評価すると同時に、不況下であってもさらなる支援が必要として「みんなにとってより良い未来に投資しましょう。これほど価値のある世界的な計画はないのです」と訴えた。
国連によると、世界の貧困、教育、環境など8分野で改善をめざす目標のうち、1日に1.25ドル未満で生活する極度の貧困人口の比率を半減するとの主要目標は達成できる見込みだ。だが、その他はこのままの改善ペースでは達成が厳しいと見られている。
大きな原因は資金不足だ。国連は、期限まで残り5年で開かれる今回のサミットを機に、国際社会からできるだけ多くの追加支援を得て弾みにしたい考えだ。また、最も達成が遅れている妊産婦や5歳未満の子どもの死亡率を減らすことに重点を置く方針。
サミットでは、国際社会の協力を再確認する文書を採択する予定。文書は、3年後に引き続き各国の支援を促す特別会合を開催するよう国連総会に要請。国連事務総長には毎年、目標達成に向けた進み具合の報告を求めている。
途上国開発で行動を=成果文書を採択−国連サミット
【ニューヨーク時事】米ニューヨークの国連本部で開かれていたミレニアム開発目標(MDGs)サミットは22日、途上国開発を進めるための行動指針や、2013年に国連総会の特別会合を開催することを盛り込んだ成果文書を採択し、閉幕した。
成果文書は15年を期限に貧困撲滅などを目指すMDGsを「完全に履行する決意」を強調。アフリカなどで乳幼児や妊産婦の死亡率が高水準にあることを懸念し、目標達成に向け、あらゆる努力を行うことを約束した。
「初等教育の完全普及」などを含め、達成が難しい項目が多い中、文書は、先進国が国民総生産(GNP)の0.7%分を政府開発援助(ODA)に充てるなどとした誓約に関し、具体的な計画を立て履行に取り組むよう援助国に促した。
国連の潘基文事務総長は同日、とりわけ進ちょくが遅れている母子保健分野について、各国や国際機関が表明した約400億ドル(約3兆4000億円)の支援を活用し、対策を強化する方針を打ち出した。
(2010/09/23-12:10)
留学生が企業の国際戦略に協力 立命館アジア太平洋大
2010/9/28 5:21
立命館アジア太平洋大学(APU、大分県別府市)は在籍する留学生を企業の国際的な事業チームに参加させ、ブランド構築やマーケティング戦略研究などに協力する。第1弾として三洋電機と連携、同社の技術者とAPUの留学生が共同で、アジアや新興国でのビジネスモデルを研究する。APUは今後、連携先を流通業やサービス業などにも拡大する計画だ。
産学が製品開発など技術面で協力する事例は多いが、「海外での事業展開に踏み込んで連携するのは珍しい」(APU)という。
三洋電機とのプロジェクトでは「太陽電池事業の中国や韓国などアジア地域での展開」「冷蔵庫や洗濯機などのBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)、アフリカでの事業拡大」をテーマに設定。10月末までに研究結果をまとめる。
三洋電機からは10人、APUから中国、韓国、ベトナム、バングラデシュの留学生8人が参加するほか、立命館大学(京都市)からも中国・韓国の留学生7人が加わる。
25人を5つのチームに編成。留学生らはそれぞれ出身国・地域の特性を踏まえてブランド構築、販売促進などのマーケティング戦略、工場立地などの生産戦略を三洋電機の社員と検討する。APUのキャンパスや兵庫県にある三洋電機の研修施設を使用するほか、テレビ会議やインターネットを通じて討議。提言をまとめて、三洋電機の幹部に提出する。
APUは98カ国・地域から約3000人の留学生が集まる。企業にとっては文化や習慣の異なる国や地域の現状を学生を通じて把握でき、「グローバルな視点を持った自社の人材開発に生かせる」(三洋電機人財開発部)ほか、中長期的に販売・生産戦略にも反映できるメリットがある。
APUは今後、海外での店舗拡大を計画している流通業やサービス業などに連携を広げる方針。同校では毎年約500人が学部を卒業しており、過半数が日本企業への就職を希望している。企業との連携を深め、就職先の確保にも役立てたい考えだ。