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アジアの障害者に関する文献




安積・岡原・尾中・立岩『生の技法 ─家と施設を出て暮らす障害者の社会学─ 増補改訂版』
(19950515,藤原書店)所収の「アジアの障害者に関する文献リスト」より。

◆『朝日新聞』 1993 「アジアの障害者母国の現状を語る」11月13日朝刊
◆アジア・太平洋経済社会委員会(ESCAP)第48回総会 1992 「「アジア・太平洋障害者の十年」決議(仮訳)」(92年4月14〜23日・北京) 『月刊福祉』75-14(1992-12):50-51 解説:久保耕造
◆上野 悦子 1991 「海外のリハ専門家と障害者リーダーの研修」,
 『障害者の福祉』1991-2:16-17 ※
◆───── 1994 「アジアで展開されるネットワーク作り」,
 『障害者の福祉』14-10(159):16-18 ※
◆植村 英晴 1992a 「マレイシアの障害者福祉」,
 『障害者の福祉』12-5(130):33-35
◆───── 1992b 「シンガポールの障害者福祉」,
『障害者の福祉』12-9(134):18-20
◆大谷 嘉朗 1991 「アジアにおける障害福祉の現状と課題」,
 『月刊福祉』74-11(1991-10):36-41 ※COPY
◆岡田 太造 1991 「中華人民共和国障害者保障法について」,
 『障害者の福祉』11-5(118):12-14

◆『障害者の福祉』 1992 12-2(127),特集:アジアの障害者,450円

◆『障害者の福祉』編集部 1991
 「第九回アジア太平洋地域リハビリテーション会議」,
 『障害者の福祉』11-1(114):2ー15
◆管 一十  1991 「第二回世界盲人連合(WBU)東アジア・太平洋地域への案内」,『障害者の福祉』11-8(121):04-05 
◆高嶺 豊  1991 「国連エスキャッププロジェクトに挑んで」,
 『月刊福祉』74-11(1991-10):42-47
◆───── 1993 「アジア太平洋の障害者の十年
 ──開発途上国に住む障害をもつ人々の問題解決に向けて」,
 『季刊福祉労働』60:14-22
◆丹羽 勇  1992 「アジアへの国際協力」,
 『障害者の福祉』12-2(127):19-22 
◆中西 由紀子 1992 「国際協力を目指した国際交流
 ──アジアの障害者自立を願って」
 『われら人間』63:4-5
◆───── 1993 「CBRの実践」(インタビュー),
 『障害者の福祉』13-9(146):39-41
◆───── 1994 「アジア障害者問題研究会報告」
◆Handoyo Tiandrakusuma(ハンドヨ チャンドラクスマ) 1992 
 「インドネシアにおけるCBRの実践」,
 『障害者の福祉』12-2(127):8-11 

◆松井 亮輔 1991a 「カンボジア難民キャンプの障害者」,
 『障害者の福祉』11-1(114):22
◆松井 亮輔 1991b 「韓国の新障害者雇用制度」,
 『障害者の福祉』11-7(120):16
◆松井 亮輔 1991c 「インドの職業リハセンター」,
 『障害者の福祉』11-12(125):22 
◆楊 時雨  1991 「発展するハルビン市残疾人事業」,
 『障害者の福祉』11-05(118):18-19
◆松井 亮輔 1992 「転換を迫られるリハ技術協力」,
『障害者の福祉』12-2(127):28-29
◆藤田 雅子 1992 「バングラデシュの状況」,
 『障害者の福祉』12-2(127):12-18
◆丹波 勇 19920201 「アジアへの国際協力」
 『障害者の福祉』12-02(127):19-22 ※
◆アジア・太平洋経済社会委員会(ESCAP)第48回総会 19921201
 「「アジア・太平洋障害者の十年」決議(仮訳)」(92年4月14〜23日・北京)
 『月刊福祉』75-14(1992-12):050-051 解説:久保耕造 ※COPY
◆中西 由紀子 19921220 「国際協力を目指した国際交流──
 アジアの障害者自立を願って」(ずいひつ)
 『われら人間』063:04-05 ※
◆サルマ・マックブール 19921225 「日本は実効ある支援を」
 (インタヴュー 聞き手:堀 利和)
 『福祉労働』57:008-011 1236 ※
◆堀 利和 19921225 「アジアの障害者との連帯」
 (「白杖」の赤じゅうたん日記 第12回)
 『福祉労働』57:118-119 1236 ※
◆中西 由紀子 19930901 「CBRの実践」(インタビュー)
 『障害者の福祉』13-09(146):39-41 ※
◆福山 博  1993 「ネパールの盲人と障害者福祉」
 『障害者の福祉』13-7(144):25-28
◆カトリック障害者連絡協議会 1993 
 『第二回アジア障害者日本自立生活研修プログラム』
◆『季刊福祉労働』 1993 60号,特集:アジア太平洋の障害者,
 現代書館,1236円
◆福祉労働編集委員会 19930925 「「アジア太平洋の障害者」にあたって」
 『福祉労働』60:012-013 ※
 (特集 アジア太平洋の障害者)」
◆オンサクル,スパーパ 1994 「タイの社会問題と子ども・家庭」,
 『月刊福祉』77-1(1994-1):60-63
◆カトリック障害者連絡協議会 1994
 『第三回アジア障害者日本自立生活研修プログラム』
◆サルマ マックブール 19940325 「肩を組んで,手をつないで──
 アジア太平洋地域の障害者同士のいたわり合いとわかち合いの新しい絆」
 (海外レポート)
 『福祉労働』62:126-131 ※
◆『障害者の福祉』 1994 14-10(159),特集:アジアとの交流,
 450円
◆久野 研二 1994 「海外協力隊 マレーシア・サラワク州での協力活動から」
 『障害者の福祉』14-10(159):10-12
◆小松 博史 1994 「難民を助ける会 カンボジアにおける活動」
 『障害者の福祉』14-10(159):13-15
◆藤井 克徳 1994 「キャンペーン'94マニラ会議ならびにタイ・ベトナム訪問記」
 『障害者の福祉』14-10(159):5-9
◆中西 正司 19940325 「アジアに自立運動が広がった
 ──英文マニュアル発刊とフィリピンでの初の自立生活技能プログラムの実施」
 『福祉労働』62:117-119 ※

■中国

◆堂本 暁子 19891030 「”少産優生”中国からの報告」
 グループ・女の権利と性[89:161-181]
◆岡田 太造 1991 「中華人民共和国障害者保障法について」,
『障害者の福祉』11-5(118):12-14
◆楊 時雨  1991 「発展するハルビン市残疾人事業」,
 『障害者の福祉』11-05(118):18-19
◆□ 樸方 19930925 「中国における障害者政策と現状」
 『福祉労働』60:034-038 ※
 (特集 アジア太平洋の障害者)」

■韓国

◆松井 亮輔 19910701 「韓国の新障害者雇用制度」
 『障害者の福祉』11-07(120):16
◆趙 誠烈 19930925 「韓国の障害者福祉政策の現況」
 『福祉労働』60:023-033 ※
 (特集 アジア太平洋の障害者)」
◆逍 倫□(火火+宝) 19921001
 「韓国の障害児福祉の現状」(アジアの子どもたちは,今 9)
 『月刊福祉』75-12(1992-10):068-069

■フィリピン

◆アデラ・A 河野 19930925 「フィリピンにおける障害者の現状(概要)」
 『福祉労働』60:039-045 ※
 (特集 アジア太平洋の障害者)
◆中西 正司 19940325 「アジアに自立運動が広がった
 ──英文マニュアル発刊とフィリピンでの初の自立生活技能プログラムの実施」
 『福祉労働』62:117-119 ※

■カンボジア

◆松井 亮輔 19910101 「カンボジア難民キャンブの障害者」
 『障害者の福祉』11-01(114):22 ※
◆小松 博史 1994 「難民を助ける会 カンボジアにおける活動」
 『障害者の福祉』14-10(159):13-15

■インドネシア

◆Handoyo Tiandrakusuma(ハンドヨ チャンドラクスマ) 1992 
 「インドネシアにおけるCBRの実践」,
 『障害者の福祉』12-2(127):8-11 

■マレーシア

◆久野 研二 1994 「海外協力隊 マレーシア・サラワク州での協力活動から」
 『障害者の福祉』14-10(159):10-12
◆植村 英晴 1992 「マレイシアの障害者福祉」  『障害者の福祉』12-5(130):33-35

■タイ

◆高瀬 智津子 198411 「東南アジアの社会福祉──タイを中心に」
 (特集:1984年・各国の社会福祉)
 『月刊福祉』67-11:048-053
◆高田 美江子 19930301 「タイの村の小さな保育園
 ──今,アジアのかたすみで・2」
 『月刊福祉』76-04:070-073
◆ナロン・パティバチャラキク 19930925
 「タイの障害者をめぐる状況と当事者運動」
 『福祉労働』60:046-051 ※
 (特集 アジア太平洋の障害者)
◆オンサクル,スパーパ 1994 「タイの社会問題と子ども・家庭」,
 『月刊福祉』77-1(1994-1):60-63
◆藤井 克徳 1994 「キャンペーン'94マニラ会議ならびにタイ・ベトナム訪問記」
 『障害者の福祉』14-10(159):5-9

■ベトナム

◆藤井 克徳 1994 「キャンペーン'94マニラ会議ならびにタイ・ベトナム訪問記」
 『障害者の福祉』14-10(159):5-9

■インド

◆松井 亮輔 19911201 「インドの職業リハセンター」
 『障害者の福祉』11-12(125):22

■バングラデシュ

◆中田 豊一 19930201 
 「バングラデシュの農民とともに──シャプラニ−ルの20年」
 (今,アジアのかたすみで・1)
 『月刊福祉』76-02:100-103 ※

■ネパール

◆福山 博  1993 「ネパールの盲人と障害者福祉」
 『障害者の福祉』13-7(144):25-28

■スリランカ

◆野村 美知子 199007 「スリランカ プリティプーラ」
 (アジアの福祉と日本・7−海外編・1)
 『月刊福祉』73-07:092-097

■アジアにおける障害者運動 1995

尾中文哉「アジアの開発途上国における障害者運動と自立生活」
(安積・岡原・尾中・立岩『生の技法 ─家と施設を出て暮らす障害者の社会学─ 増補改訂版』
(19950515,藤原書店)より。
この本には「アジアの障害者に関する文献リスト」も収められています。

補論:アジアの開発途上国における障害者運動と自立生活     尾中 文哉

 アジアの開発途上国での動き
 この書物の第一版が出版された後に,わたしが意識するようになってきたことは,アメリカや日本における自立生活の運動と軌を一にするような動きが,アジアの発展途上諸国でも次第に現れてきつつある,ということである。障害者は,ここでも,家庭や施設にとじこもることなく外へ出て自ら活動し始めている。
 とはいえ,日本と異なる点は多い。第一に,これらの国々の多くでは,軍政時代が長く,経済的にも貧困の問題をかかえていたため,「福祉」に予算が向けられることがそもそも少なかった。そのため,「設備の整った施設に収容することがベスト」という,日本で問題となった考え方が,長い間現れてこなかった。このことは,一面では,障害者が物理的,経済的に常に親の庇護のもとにいなければいけないという否定的な効果をもったが,他面では,自分たちで運動を起こさざるを得ず,活発な障害者たちが現れる,という,「ケガの巧妙」的な効果ももっていた。シンガポールやマレーシアなど既に経済成長を達成しつつある国では,家族介護と施設(主に通所施設)設立による,日本と似た障害者対策が確立しつつあるともいえる(植村[92A][92B])。しかし,フィリピン,タイ,バングラデシュ,インドなど大部分の地域では,障害者は自ら活動を起こさねばならないという部分があった。 第二に,一方で,アメリカや日本の障害者自立生活(Independent Living)運動の考え方がすぐさま可能となるような社会的条件が整っていなかった。「社会的条件」とは,例えば既に述べた福祉予算の額の違いであるが,また例えば移動である。まず車椅子そのものが不足しているし,仮に車椅子があっても通行できる舗装道路が十分でない,車椅子で乗車できるような公共交通機関が整備されていない(鉄道は未発達で,バスは危険性が高いなど)ということである。あるいはまた例えば人々の差別的態度である。障害者を施しや憐れみの対象としてみる傾向が強く,自立しうると認めようとしない偏見が,健常者中心の社会に,根強く存在した。  そうした困難にもかかわらず,あるいは困難のゆえにかえって,アジアの開発途上国では障害者自身による運動が起こってきている。ここでは,その例を若干みることにしよう。

 アジアの開発途上国における当事者の運動の実例
 1)フィリピン …… 
 2)タイ …… 

 雇用の意味
 自立のための一つの方法は就業であるが,既に述べたように,アジアの多くの国々では,世界の他の地域と同様,障害者は憐れみや施しの対象という考え方が根強く,経済活動の主体となるということが,そもそも考え方として,受け入れられていなかった。しかし,「国連障害者の十年」(一九八三年〜一九九二年)やILO条約一五九号などの影響で,職業の問題に関心が向くようになった。職業は,既に述べたような様々であるが,小規模共同作業所という形態をとることも多い。しかし,職業化のもうひとつの方策として,一般の職場への雇用も注目されるようになり,九〇年代に入って,従業員に対するパーセンテージを指定する割当制度を含む雇用の規定を設ける国が増えてきた(韓国,インド,タイなど)★03。実施が遅れる,納付金によって代替してしまう,身体障害に雇用が偏るなど,いくつかの問題があるが,上のような障害者観を打ち破りうるという点では,大きな意味をもっている。

 「研修」の流行と成果
 最近になって,日本との間で頻繁に行われるようになったことの一つは,「研修」である。つまり,障害者や障害者に関わる専門家などを日本に招き数週間さまざまな場所を訪問してもらい,日本の障害者の事情を見たり交流したり,逆に自分の国の事情を伝えたりしてもらう,ということである。この主催者は,国際協力事業団のように公的団体である場合もあれば,全国社会福祉協議会,日本キリスト教奉仕団アガペ身体障害者作業センターやカトリック障害者連絡協議会,タイ国障害児のための財団のように民間の団体もある。
 この活動は,様々な成果を生んでいるが,自立生活にとって重要な効果のひとつは,日本で,自分でアパートを借りて自立して生活している重度障害者に会って,本当にそういうことが可能なんだ,ということを体験することである。それは,多くのアジアの障害者に衝撃を与えている。もちろん,同時に制度や社会状況の違いをも実感することになるが,それでも,目標の具体的なイメージがつかまれるのだ。

 ◆「アジア太平洋障害者の十年」について
 ◆CBRと「障害者の中心的関わり」

 結びにかえて
 現在のアジアの開発途上国の中には,急速な経済発展を達成しつつある国もあれば,経済発展がうまくいかない国もある。政治的紛争をかかえている国もあれば平和な国もある。さまざまな状況のちがいがありながらも,そのなかで共通してみられるのは,障害をもつ人々が,社会のなかに出て活発に活動し始めている,ということである。もちろんそこには,国によって,様々な壁が存在している。政府予算の壁,交通の壁,就職の壁,知識の壁,学校の壁,等々。けれども,障害者たち自身の団体やそれに協力する民間団体の影響力で,「雇用割当」や「アクセス法」や「研修」や「アジア太平洋障害者の十年宣言」や「地域に根ざしたリハビリテーション(CBR)」というアイディアを獲得し,それらの壁はすこしずつ崩されていっている。
 その歩みは,紆余曲折があり,決してやさしいものではない。しかし,全体的な流れとしては,スタイルや条件の違いこそあれ,アジアの開発途上国においても,アメリカや日本で普及しつつある「自立生活」と近いところに向かっている,と考えることができる。つまり,障害者が自らの生活のありかたを決めるのであり,親や施設に保護されて生きるのではない,という考え方である。

《謝辞》本章の執筆にあたっては,アジア・ディスアビリティ・インスティテュートの中西由起子氏および国立職業リハビリテーションセンターの穂坂由喜男氏の詳細かつ鋭い批判とアドバイスを受け,筆者の知識や理解の足りないところを大きく補っていただいた。筆者が両氏のコメントを十分に生かせていることを切に願う。また,フィリピンのKAMPI会長オーロラ=エストレーラ氏,タイのスチャダー=ジラウォンワニット氏には,一九九三年の来日講演会(同年十一月十三日『朝日新聞』朝刊に紹介記事)を金子郁容氏と本書執筆チームの協力で開催したときに,大きく影響を受けた。その際にお力添え頂いた多くの方々に対してとともに,深く感謝したい。

REV: 20161025
「外国」
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