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障害学研究会関西部会・2007

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◆20070218日
 障害学研究会関西部会第26回研究会
 「アルビノ」についての諸々:白雉改元、白い天皇、八百比丘尼伝説、猩々の見世物、白児の家系調査、白人崇拝、アルビノ萌え……。そして当事者の現実


 
 
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◆20070218日
 障害学研究会関西部会第26回研究会
 「アルビノ」についての諸々:白雉改元、白い天皇、八百比丘尼伝説、猩々の見世物、白児の家系調査、白人崇拝、アルビノ萌え……。そして当事者の現実

日時: 2月18日(日) 午後2時〜5時

会場: 茨木市民会館 第一会議室
    http://www.city.ibaraki.osaka.jp/kikou/shiminkaikan.html
   【交通】
   阪急京都線茨木市駅・JR京都線(東海道線)茨木駅より、ともに徒歩10分。
   阪急茨木市駅とJR茨木駅を結ぶ中央通りに面しています。市役所むかい。
   *これまで関西部会の会場としてよく利用していた福祉文化会館の隣りです。
    おまちがいのなきよう。
   [アクセス・マップ] http://www.ibabun.jp/sub/sub03.htm

テーマ:「アルビノ」についての諸々:白雉改元、白い天皇、八百比丘尼伝説、猩々
     の見世物、白児の家系調査、白人崇拝、アルビノ萌え……。そして当事者
     の現実

発題者: 矢吹康夫(京都精華大学人文学部・卒→現在・無職→07年4月より立教大
      学社会学研究科博士前期課程(予定))

    *メール末に矢吹さんからのメッセージを掲載しています。そちらもご覧く
     ださい。

参加費\1,000

 ☆点字レジュメ(自動点訳)の用意があります。
 【!】手話通訳・要約筆記をご希望の方は、10日前までにお申し出ください。
  (派遣元の方針により、利用者の参加が確実でない場合、通訳者・筆記者を派
   遣してもらうことができません。申し訳ございませんがご協力をお願いいた
   します)
 【!】視覚障害その他の理由で誘導が必要な方は、3日前までにお申し出くださ
  い。会場最寄駅よりご案内いたします。

連絡先: ribot@mbf.nifty.com (倉本智明/障害学研究会関西部会共同世話人)


<発題者からのメッセージ>
 皆様こんにちわ、矢吹です。報告のタイトルが長くて申し訳ありませんが、それだけ内容てんこ盛りだと思っていただければ幸いです。
 さて、アルビノ(白皮症、先天性色素欠乏症ともいう)とは、全身のメラニン色素を作ることができない、またはわずかしか作れない常染色体劣性の遺伝性疾患である。遺伝タイプによって様々だが、視力障害をともない、紫外線に弱いため日焼けをしやすく、皮膚ガンなどの発症率も高い。また、著しい外見的特徴があり、髪は白〜金髪、薄い茶髪などで、肌は白く、目の色は青や茶色、灰色など多様である。今回は、日本におけるアルビノの歴史を概観し、最後にそれらをふまえて、私(矢吹)も含めた現実の当事者の抱える「生きづらさ」について報告できればいいなぁ、と思っています。

 黒髪を旨とする日本の歴史上、白人(しらひと)や白子、白児(しらちご)と呼ばれたアルビノ当事者たちは、その外見ゆえに畏怖され、それと同時に崇拝もされる両義的な存在であった。だが、民俗学・文化人類学において例証されているように、こうした両義性は民俗社会からの排除を意味していた。しかし、中世から近世に入るとその聖性は薄れ、彼/彼女らは神聖なる者ではなく新奇なる者として、見世物になったり博物学の対象となっていったのである。そして、明治維新以降、近代西洋医学や優生学・遺伝学が導入されると、病者・障害者として新たに治療や隔離、あるいは予防の対象となった。
 と、ここまでの歴史はアルビノに限らず、他の多くの「異形の人々」がたどった系譜とよく似ており、さほど目新しくはない。日本でのアルビノをめぐる様相が独自の展開をしていくのは近代以降のことだ。まず一点目は、戦後のサブカルチャーシーン、とりわけ近年のオタク文化圏における「アルビノ萌え」なる現象である。病者・障害者を見世物にすることはもちろん、話題にのせることすらはばかられる「道徳的な」社会において、病気・障害であるはずのアルビノが、キャラクターとして大量に生産・消費され、場合によっては性的欲望の対象となっているのである。アルビノのキャラクターに萌える人々は、アルビノについて、当事者について理解した「フリ」をして「政治的な正しさ」を確保する。さらに、2次元と3次元の連続性をなくすことで、3次元世界の当事者を不可視化する。こうした2次元のキャラクターに萌えるための巧妙なロジックを用いることで、彼/彼女らは倫理的葛藤を回避しているのだ。
 そして、もう一点が現実の当事者に直結する話だが、近代西洋文明との接触にともなう白人崇拝に端を発する、「金髪はカッコイイ・白い肌は美しい」というアルビノの外見に対する肯定的な評価である。それと同時に、遺伝病ゆえの結婚差別や特徴的な外見ゆえの就職差別などもあるため、当事者に向けられる肯定/否定の評価のギャップは非常に大きい。また、言い忘れていたが、アルビノは根本的な治療法はないものの、放っておいても簡単には死なず、症状も悪化せず、さほどお金のかからない疾患である。それはすなわち、当事者の抱える問題が「問題」として顕在化しにくいということでもある。そのため医学・遺伝学領域以外でアルビノが研究対象として主題化されたことは皆無で、世間一般の認知度も低い。その結果、生まれながらに金髪の日本人が存在するなどとは知りもしない人々によって、「普通でない日本人」としてではなく「普通の『ガイジン』」として見なされることにもなりうるのだ。
 同じ身体、同じ「私」でありながら、それがあからさまに否定的なスティグマとして働くこともあれば、賞賛され羨望のまなざしを向けられることもある。さらには、隠してるつもりがなくても見る側の誤解によってパスすることすら可能となる。こうした状況は、アルビノ当事者に独自なアイデンティティ管理を促していると思われるが、はたして、どうなのか……。

 以上は、学部のときの卒業論文の内容が主で、それに大学院入試で提出した研究計画書の内容を足した構成になっています。つまり、一部「今後の課題」を含んだ見切り発車な報告となりますが、(interestingよりはamusingに近い)おもしろい報告になるよう心がけますので、おヒマな方はぜひ足をお運び下さい。なお、当日はグラフィカルな資料を何点か使用します。口頭でも説明するとはいえ、その点ご了承下さい。


*作成:青木慎太朗

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