HOME >

障害学研究会関東部会・2000

障害学研究会関東部会



◆障害学研究会関東部会 第12回研究会のご案内

日時  12月16日(土)午後1時半〜4時半

場所  東京都障害者福祉会館2階「教室」
     (最寄り駅 地下鉄三田・JR田町駅)
     電話 03ー3455ー6321 ファクス 03ー3454ー8166

テーマ 「セクシュアリティ研究の覚え書き――方法と課題」

発表者  旭洋一郎(長野大学)

会費  1000円、学生 500円

参加  自由です。前もっての登録・連絡は不要です。

* 筆記があります。
    手話通訳が必要な方は早めにご連絡ください。


問い合わせ先 長瀬修 AXV44520@biglobe.ne.jp

 
 
>TOP

◆障害学研究会関東部会 第11回研究会のご案内

日時  10月28日(土)午後1時半ー4時半

場所  東京都障害者福祉会館2階「教室」
     (最寄り駅 地下鉄三田・JR田町駅)
     電話 03ー3455ー6321 ファクス 03ー3454ー8166

テーマ 「顔面にアザや傷のある人のトラウマ(心の傷)は
       なぜ表面化しなかったのか?」

発表者 石井政之(ライター)
     著書「顔面漂流記 アザをもつジャーナリスト」
     かもがわ出版 本体価格1900円 報告要旨

会費  1000円、学生 500円 

参加  自由です。前もっての登録・連絡は不要です。

**手話通訳があります。筆記が必要な方は早めにご連絡ください。

問い合わせ先 長瀬修 AXV44520@biglobe.ne.jp

 
>TOP

◆障害学研究会関東部会 第10回研究会

日時  9月30日(土)午後1時半ー4時半
場所  東京都障害者福祉会館「教室」
     (最寄り駅 地下鉄三田・JR田町駅)
     電話 03ー3455ー6321 ファクス 03ー3454ー8166
テーマ 「フィリピンから考える途上国の障害者問題」
発表者 城田幸子
会費  1000円、学生 500円 
参加  自由です。前もっての登録・連絡は不要です。
        
*手話通訳、要約筆記が必要な方は前もってご連絡ください。
筆記は手配中ですが、手話は手配の予定が現在ないので、
連絡をもらってからの手配になります。したがって、
参加予定の場合、可能な限り早目にご連絡をよろしくお願いします。


長瀬修
AXV44520@biglobe.ne.jp

なおレジュメは23日をめどに本MLで
配布予定です。
↓ ◆20000924 城田さんより

障害学研究会発表                   城田 幸子   00/9/30
フィリピンからみる「障害者問題」


<修士論文概要>
 報告者の修士論文の目的は、途上国の「障害者問題」に対する先進国側の問題把握のあり方と、その解決策にひそむ問題を、フィリピンで貧困層の障害児支援をおこなう日本の非政府組織(NGO)、バタバタの会の活動を事例としながら明らかにすることである。 フィリピンの障害者の抱えている問題とは、西洋医学の現場で語られるような機能的な障害を持っていることでもなければ、先進国の障害者解放運動が展開してきた、支配文化としての健常者文化対それに従属をしいられる障害者文化という図式でもないのではないか。そして、先進国の健常者・障害者とも、彼らの問題を把握することなく、自文化中心主義的に「障害者」という同一性をつくりだし、自ら構築した問題を解決しようとしているように見える。
 1983年から1992年の「国連障害者の10年」を契機に、途上国における医療や福祉サービスの不足、障害を理由とする権利の剥奪など、途上国の障害者の抱える「問題」が先進国で語られるようになってきた。しかし私は、1998年2月から1999年12月までに計8回114日間にわたってフィリピンのメトロマニラでバタバタの会の活動に携わりながら調査をおこなったところ、このように先進国で把握され語られる問題は、本当に彼らのリアリティを表しているのかと疑問をもつにいたった。
 フィリピンの障害者のなかに、どれほど「同じ障害者」としての共通体験や意識があるのかを見ながら、先進国側によって構築される「同じ障害者」という同一性に疑問を投げかける。障害者をめぐる環境は、利益集団別に分断されている。それによりニーズも異なり、中産階級や都市でおこった自助運動が貧困層や農村の障害者を代弁することは難しい。
 フィリピンの障害者運動においても、「障害者をメインストリームへ」という言葉が聞かれる。しかし、スラム地域の健常児のおかれている状況を見た場合、彼らの多くは学校にいかず、親に虐待され、ストリートチルドレン化している。スラムの子どもたちの、このような「メインストリーム」を変えないかぎり、障害児の厳しい状況も変わらない。こうした中では、障害がつくりだした部分は、貧困に比べて二義的とさえ言えよう。
 たとえ利益集団ごとに差があろうと、障害という枠組みで切り取った場合、確かにそこには健常者という共通の「他者」がいる。しかし、もし利益集団の差異が障害の有無より大きければ、インペアメントを治療することで問題を解決しようとする医学モデルも、健常者社会との関係性に問題をみいだす社会モデルも、貧困層の障害者への解答になりはしない。先進国側の人間は、健常者・障害者であれ、自らの特定の経験に規定された「障害者問題」を普遍的なものとして語りがちである。しかし、このように自文化中心主義的に「障害者」という同一性をつくりだすことで、貧困層の「障害者問題」の本質が見誤られ、放置される危険性がある。途上国に対して植民地主義的な権力行使を行い、「障害者」という語り自体を持ちこむことで、「障害者」を作りだしているかもしれないことにも注意しなければならない。


<今後の課題>
 修士論文においては、先進国における「障害者問題」の構築と、それへの解決策の限界を指摘することにより、従来おこなわれてきた、先進国による強固な「障害者問題」の構築性の見なおしを意図している。
 それでは、途上国の貧困層の障害者のリアリティ、彼らの「真の問題」とは何か。「途上国における『障害者問題』」のみならず、「問題」の語りは困難である。それは、問題の追求が問題の多面性を気づかせ、把握していたはずの問題の輪郭からずれていき、そもそも、そこには本当に問題が存在するのかという問いすらでてくるからである。NGOを始めとする、介入を試みる外部者は、常にこのようなジレンマを抱えている。
 しかし、仮に彼らが何らかの「問題」を抱えていると仮定し、その把握に努めようとするならば、まずその地域・コミュニティにおいて、どのような人が「障害者」とみなされるかという点から始めなければならない。
 「バタバタの会」は、KAMPIに対する援助を今年いっぱいで終了させ、2001年からは首都マニラから北に400キロほどの場所にある、パンガシナン州の村で奨学金活動および村おこしプロジェクトを開始する。積極的に障害者もターゲットとして考慮するものの、必ずしも彼らのみを対象としない活動に私自身が関わることで、どのような人達がそこでは「障害者」という概念に近い存在であり、こうした営みに彼らがどのように関わる/関わらないのかを見ることで、上記の問題関心を明らかにする手だてとなると考えている。

<参考文献>
* 岡真理「『同じ女』であるということは何を意味するのか」、江原由美子編『性・暴  力・ネーション』勁草書房、pp.207-256、1998年。
* ニノミヤ・アキイエ・ヘンリー『アジアの障害者と国際NGO』明石書店、1999年。
* 城田幸子「フィリピン貧困層における『障害者問題』――国外NGOの取組みとその課題」、一橋大学大学院社会学研究科修士論文、2000年。
 http://ehrlich.shinshu-u.ac.jp/tateiwa/2000/000300ss.htm


 
>TOP

◆20000826 障害学研究会関東部会 第9回研究会

日時  8月26日(土)午後1時半ー4時半
場所  東京都障害者福祉会館「C2」室(2階)
     (最寄り駅 地下鉄三田・JR田町駅)
     電話 03ー3455ー6321 ファクス 03ー3454ー8166
テーマ 「重度障害者の地域生活を支えるシステム」
発表者 田中恵美子
     (日本女子大学人間社会研究科社会福祉学専攻博士課程)
会費  1000円、学生 500円

*PC要約筆記と手話通訳を準備する予定ですが、
どちらか必要な参加予定の方は早目に
AXV44520@biglobe.ne.jp
(長瀬)までご連絡下さい。

なお、田中さんの同タイトルの論文は
http://ehrlich.shinshu-u.ac.jp/tateiwa/1.htm
全文掲載からダウンロードできます。

 
>TOP

◆20000624  障害学研究会関東部会第8回研究会

日時  6月24日(土)午後1時半ー4時半
場所  東京都障害者福祉会館「教室」(2階)
    (最寄り駅 地下鉄三田・JR田町駅)
    電話 03ー3455ー6321 ファクス 03ー3454ー8166
テーマ 「障害者家庭」へのまなざしの変遷
    −「重度障害者」に対する施策形成過程の検討
講師  土屋葉(お茶の水女子大学人間文化研究科)
会費  1000円、学生 500円

*PC要約筆記と手話通訳があります。
*関連する文献 土屋葉 2000(投稿中)
 「「障害者家庭」へのまなざしの変遷――「重度障害者」に対する施策形成過程の検討」

 
>TOP

◆20000520 障害学研究会関東部会第7回研究会

日時  5月20日(土)午後4時ー6時半
場所  東京都障害者福祉会館A2・A3室
     (最寄り駅 地下鉄三田・JR田町駅)
     電話 03ー3455ー6321 ファクス 03ー3454ー8166
テーマ 「性的弱者とは誰か?<ポルノという問題>をめぐって」
講師  金井淑子(横浜国立大学)
会費  1000円、学生 500円

*PC要約筆記と手話通訳があります。

 
>TOP

◆障害学研究会関東部会第6回研究会のご案内です。

日時  2月21日(月)午後6時ー9時

場所  東京都障害者福祉会館
     (最寄り駅 地下鉄三田・JR田町駅)
     電話 03ー3455ー6321 ファクス 03ー3454ー8166

テーマ *知的障害・と・自己決定
        寺本晃久(都立大学大学院)
    *近代日本における『標準化』の思想ーろう者認識ー研究序説、
       本多創史(一橋大学大学院)

会費  1000円、学生 500円

*PC要約筆記と音声・手話通訳があります。

問い合わせ先 長瀬修
AXV44520@biglobe.ne.jp
tel/fax +81-(0)45-503-1219

◆2000223

研究会報告。(この報告は、瀬山紀子が書いています。)

本多創史さん「伊沢修二の思想」(本多さんの報告は、既出の[jsds:3971] 関東
部会レジュメをご参照ください)の報告記録。

報告は、レジュメに沿って行われました(ここでは、主に、質疑応答を報告しま
す。)。伊沢修二(1851-1917)という人物は、近代日本の文部行政に、深くかか
わった人物。1875年に、文部省から米国へ派遣され、そこでベルによる「視話法」
を知り、その後、ダーウィン進化論(具体的には、ダーウィン進化論支持者のT.H.
Huxleyの『生種原始論』を日本語に翻訳した)に基づき、音声言語の価値づけ
(「常人」=音声言語の獲得者)を行った。その課程で、音声言語共同体(「国
語」共同体)としての「われわれ」という集団(「国民」)を立ち上げ、ろう者で
あっても、音声言語を獲得することによって、共同体の一員となることができると
主張。しかし、「音声言語」を「完全に」は、獲得できないであろう人々は、音声
言語共同体のなかの「下位の集団:二流市民」の座を許されたにすぎなかった。ま
た、伊沢は、「和文」「国文」と呼ばれる「伝統的?言語」の保持(重要性)を主
張したため、一般に「書き言葉」の取得が困難である聾唖者は、「国語」共同体か
ら排除されることになった。

以下、質疑応答。
コメント:言文一致体とは、ここでは何を意味するのか?旧かな使いの問題と、言
語の問題は、べつものでは。伊沢は、日本語表記の合理化に批判的だったのか。
本多:言文一致、言語変革に対して伊沢は否定的だった。わかりやすい表記にして
しまうと、日本の国体が失われていくとして合理化を批判した。
ハクスリ経由のダーウィンニズムを土台にして、人間=音声言語取得者という認識
をもっていた。

コメント:明治以降、日本のおいて音声言語が価値づけられ、それが伊沢によって
広まったというが、その理由は?
本多:なぜ、広まったかについては答えられない。一ついえば、伊沢は、ブルドー
ザーといわれるほど、日本の文部行政(?)の変革に力を持った存在だったという
こと。
コメント:大正14年以降、口話法が広まるのはなぜか。
大正14年に口話法が導入されるが、それ以前から口話法は一部で取り入れられて
いた。体系的になったのが、大正14年以降。背景には、聾学校校長の人事異動な
どもあるが、思想的バックボーンとして大正デモクラシーによる「形式的平等主
義」があったと考える。

コメント:事実確認。伊沢が、ろうあ教育問題に関心を持ったきっかけは?それ
と、ろうあ教育における彼の役割は?
本多:米国で、ベルによる視話法を知ったこと。彼の弟が吃音者だったこと。明治
23年に、東京聾唖学校の校長になっている。また、森有礼と伊沢は、訓盲唖院
(現在の筑波大付属盲学校)が文部省の直轄校になるのに寄与した。ただし、視話
法は、当時のろう教育で受け入れられてはいなかった。大正14年に口話法が作ら
れていく課程で、再評価されていった。

コメント:伊沢は、音楽取調掛、体操伝習所にもかかわったとあるが、それと視話
法と関係があるのか?彼の身体観について知りたい。
本多:役人として音楽や体操にかかわっただけで、直接関係はないが、国民国家を
作る課程で、伊沢が、音楽教育の必要性を説いたということはある。標準モデルを
広めるのに、音楽教育が適していると主張している。

コメント:中途失聴者の位置について。
本多:いわゆる「音声共同体」とそこに属させない人とのグレーゾーンに位置す
る。共同体の中の下位集団。全ろう者も、できうるかぎり集団内へ編入させようと
した。彼は、難聴とろう者の別を米国で知った。後に彼は、吃音者の教育に力を注
いだことからも明らかなように、後には、「音声言語共同体」へ編入させることが
できる人のみが彼のターゲットとなっていった。全ろう者は排除されていく。

コメント:国民化プロジェクトの一貫。多数の「聴者」に編入させていく試みとし
て聞いた。国民化プロジェクトという意味では、徴兵制等との関連はどうか。
本多:徴兵制に関しては、調べがついていない。国民化プロジェクトに関しては、
国民化の課程でおこる軋轢、完全には、編入させられない部分についての問題、矛
盾を見ていきたいと思う。
伊沢が標準日本語の訓練や、標準化された「日本語」というものを意識した背景に
は、日清戦争や日露戦争という歴史的背景がある。戦争を契機に、「国民」を生み
出すことが求められると同時に、戦争によって人々が「国民化」していく、という
経過がある。いわゆる「標準化モデル」は、日清、日露戦争の間の時期に、作られ
ていったと考えられる。

コメント:伊沢のろう者観を知りたい。「常人」幻想を伊沢が抱くに到る過程を知
りたい。
本多:ハクスリ経由のダーウィニズムによる「常人」幻想を伊沢が鵜呑みにしてい
た。なぜ、その幻想を鵜呑みにしたのかについては、わからない。それを直接問う
のは、困難。どう問うのかが大切だと思う。伊沢自身のろう者観は、基本的に同情
のそれ。下にいる人を引き上げようという発想だったと言えるだろう。

報告は以上です。


UP:2000 REV:随時
障害学
TOP HOME (http://www.arsvi.com)