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「法定雇用率未達成企業の情報公開法に基づく開示請求」裁判


last update: 20131111


◆2002/03/14 「企業の障害者雇用の情報開示請求」訴訟
 東京労働局長に情報公開法による情報開示を求める/国に情報公開審査請求
◆2002/08/07
 金 政玉 他 「「法定雇用率未達成企業の情報公開法に基づく開示請求」裁判へのご支援のお願い」
◆2002/08/29 金 政玉→東京地方裁判所 
 「「障害者雇用率未達成企業一覧等の一部開示決定」に関する本件訴訟への意見陳述」
◆2003/05/16 判決公判

 

◆2002/11/02

*金政玉さんより(20021102)

お世話になります。

障害者雇用(法定雇用率未達成企業等)情報公開訴訟のご案内をさせていただきます。

●次回裁判日程 11月7日(木)11:30〜 東京地裁 606号法定
 集合 11時(1F弁護団控え室)

次回公判では、東京労働局長(厚生労働省)の答弁書に対する準備書面(反論)と証
拠資料の提出を行う予定です。

ご都合がよければ参加ください。
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DPI(障害者インターナショナル)障害者権利擁護センター
金 政玉(きむ じょんおく)
(Eメール)dpi.kim@mbb.nifty.ne.jp
(H.P) http://homepage2.nifty.com/dpi-japan
(メルマガ登録) http://www.mag2.com/m/0000070263.htm
東京都千代田区神田駿河台3-2-11
総評会館内
TEL:03-5256-5365 FAX:03-5256-0414
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◆2003/01/20

Date: Mon, 20 Jan 2003 20:41:36 +0900
[restrict-ML:02496] 「法定雇用率未達成企業」の情報開示を求める訴訟のご案内

お世話になります。

標記の件について、この間の状況報告をかねて次回公判の案内をさせていただきま
す。

よろしくお願い致します。

(以下、状況報告です。なお、このメールはBCCでお送りしています。)

「障害者法定雇用率未達成企業の情報開示を求める」訴訟への追い風!
―内閣府情報公開審査会が厚生労働省に答申―

 デフレの進行や失業率の上昇など不況が長期化している中、障害者の雇用も厳しい
状況にあるのは言うまでもない。障害者の解雇の件数は増えており、「自己都合」で退
職する障害者はさらに多いと思われるが、こうした中で、02年11月22日、内閣府情報
公開審査会が厚生労働大臣宛に注目すべき答申を行った。

●障害者雇用の現状―JAL訴訟と情報開示訴訟へ
 障害者の雇用を支援する法制は十分ではない。日本では「障害者の雇用の促進等に
関する法律」(雇用促進法)で従業員56人以上の企業の法定雇用率が1.8%と定められ
ているが、現状は1.4〜1.5%しかならない。その上、この法律は、企業に対し法定雇
用率を下回る人数一人につき月額5万円の「障害者雇用納付金」を納める義務を課し
ている。しかし、この納付金を支払えばすむといった風潮が企業に生じている。ま
た、厚生労働大臣が事業主に対して勧告をし、この勧告に従わないときは公表できる
制度があるが、この公表がされたのは平成3年の4つの事業主のみであり、とても行
政機関が十分に指導しているとは考えられない。
 そこで、「われら自身の声」(DPI日本会議機関紙)でもいくどか取り上げた
が、1999年に株主オンブズマンが日本航空の代表取締役に対して、障害者雇用納付金
を支払うのは法定雇用率に関する取締役としての義務違反であるという内容の株主代
表訴訟を提起した。この訴訟は、2001年5月17日「日本航空が法定雇用率の達成に努
力する、障害者に対する支援体制を推進する、法定雇用率に達するまでの間、その年
度ごとの雇用率をホームページで公表する」という内容の和解が成立した。
 これに続き、障害者雇用の実態について、行政機関に対してより強力な行政指導を
求めて行くために、2001年、東京、大阪、名古屋において、DPI障害者権利擁護セン
ター所長の金政玉や株主オンブズマンらが、各地の労働局に対し、事業主から各労働
局に提出される障害者雇用状況報告書を開示するよう請求をしたが却下された。この
ため、東京労働局長を相手取って2002年3月14日、情報公開法による情報開示を求め
て「企業の障害者雇用の情報開示請求」訴訟を起こすと共に、国に対して情報公開審
査請求を行った。

●情報の開示を求める
 この請求を管轄する内閣府情報公開審査室に対し、厚生労働省の諮問庁は「障害者
雇用未達成企業一覧等の一部開示決定に関する件―平成14年諮問第145号―」で「整
理番号」「会社名」「産業分類」「労働者数」「合計」「不足数」「備考」を不開示
という意見書を送った。理由は、
・「勧告」を経ずに公表することによって、企業の自主的な改善努力を促し、時間的
な猶予を与えながら企業に取り組みを行わせるという促進法の趣旨に反し、現行の指
導の効果が薄れ、制度運営に支障をきたす
・促進法16条の解釈上、勧告に従わない時以外の場面での公表はできない
・公表されることによって、当該企業が企業努力をこえた社会的な制裁を受け、正当
な利益が害される
というものであった。

これに対し内閣府情報公開審査室は11月22日の答申で、
・促進法16条による公表は特に悪質な企業を公表するものだが、情報公開法による
公開は各事業者の障害者雇用についての客観的事実が明らかになるだけである
・従って促進法の勧告や公表の効果が薄れるとは思われない
・企業の社会的責任等を考えると、促進法の運営に支障をきたすとは考えにくく、今
件による公開が障害者雇用促進の障害になると認められない
・実際に企業名公開によって被害を受けたという事案を把握していない
として、厚労省諮問庁が不開示とした「整理番号」「会社名」「産業分類」「労働者
数」「合計」「不足数」「備考」については、情報開示すべきであるとの判断を示し
た。
 
●今後の課題
 法定雇用率達成自体が障害者の雇用問題を抜本的に解決するものではないが、障害
者差別を禁止する法律がなく、事実として就業が困難な障害者の現状を打開する策の
一つにはなるだろう。今回の答申を裁判上で役立てていくのは言うまでもないが、厚
労省が今回の答申を尊重して実行に移すよう強く働きかける必要がある。

● 次回裁判日程 03年1月24日(金)11:00〜 東京地裁 606号法定
集合 10時30分(1F弁護団控え室)

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◆2003/03/20

Date: Thu, 20 Mar 2003 21:12:33 +0900
From: 金政玉
Subject: [restrict-ML:02624] 法定雇用率未達成企業名等の開示請求を求める裁判(結審)傍聴のご案内

いつもお世話になります。

標記の件について、次回公判が結審になります。

昨年11月に、内閣府の情報公開審査会が東京労働局管内の雇用率未達成企業(約9000
社)の開示を認める画期的な「答申」を出して以降、本裁判の争点は、雇入れ計画の
作成
命令を出された会社名(東京労働局管内では35社を数えます)の開示を認めるかどう
かとい
う点にあります。(同「答申」では不開示)

裁判官にプレッシャーをかけるためにも、1人でも多くの傍聴を呼びかけさせていた
だきます。ぜひご参加ください。

●裁判の案内
・3月26日(水)午後4時30分
・東京地裁606号法廷

●参考資料として、DPI日本会議の機関紙(「われら自身の声」02年12月)の関連
記事を掲載いたします。

「障害者法定雇用率未達成企業の情報を開示せよ!」
―内閣府情報公開審査会が厚生労働省に答申―

 デフレの進行や失業率の上昇など不況が長期化している中、障害者の雇用も厳しい
状況にあるのは言うまでもない。障害者の解雇の件数は増えており、「自己都合」で退
職する障害者はさらに多いと思われるが、こうした中で、11月22日、内閣府情報公開
審査会が厚生労働大臣宛に注目すべき答申を行った。

障害者雇用の現状―JAL訴訟から情報開示訴訟へ
 障害者の雇用を支援する法制は十分ではない。日本では「障害者の雇用の促進等に
関する法律」(雇用促進法)で従業員56人以上の企業の法定雇用率が1.8%と定められ
ているが、現状は1.4〜1.5%しかならない。その上、この法律は、企業に対し法定雇
用率を下回る人数一人につき月額5万円の「障害者雇用納付金」を納める義務を課し
ている。しかし、この納付金を支払えばすむといった風潮が企業に生じている。ま
た、厚生労働大臣が事業主に対して勧告をし、この勧告に従わないときは公表できる
制度があるが、この公表がされたのは平成3年の4つの事業主のみであり、とても行
政機関が十分に指導しているとは考えられない。
 そこで、「われら自身の声」でもいくどか取り上げたが、1999年に株主オンブズマ
ンが日本航空の代表取締役に対して、障害者雇用納付金を支払うのは法定雇用率に関
する取締役としての義務違反であるという内容の株主代表訴訟を提起した。この訴訟
は、2001年5月17日「日本航空が法定雇用率の達成に努力する、障害者に対する支援
体制を推進する、法定雇用率に達するまでの間、その年度ごとの雇用率をホームペー
ジで公表する」という内容の和解が成立した。
 これに続き、障害者雇用の実態について、行政機関に対してより強力な行政指導を
求めて行くために、2001年、東京、大阪、名古屋において、DPI障害者権利擁護セン
ター所長の金政玉や株主オンブズマンらが、各地の労働局に対し、事業主から各労働
局に提出される障害者雇用状況報告書を開示するよう請求をしたが却下された。この
ため、東京労働局長を相手取って2002年3月14日、情報公開法による情報開示を求め
て「企業の障害者雇用の情報開示請求」訴訟を起こすと共に、国に対して情報公開審
査請求を行った。

「情報を開示せよ」
 この請求を管轄する内閣府情報公開審査室に対し、厚生労働省の諮問庁は「障害者
雇用未達成企業一覧等の一部開示決定に関する件―平成14年諮問第145号―」で「整
理番号」「会社名」「産業分類」「労働者数」「合計」「不足数」「備考」を不開示
という意見書を送った。理由は、
・「勧告」を経ずに公表することによって、企業の自主的な改善努力を促し、時間的
な猶予を与えながら企業に取り組みを行わせるという促進法の趣旨に反し、現行の指
導の効果が薄れ、制度運営に支障をきたす
・雇用促進法16条の解釈上、勧告に従わない時以外の場面での公表はできない
・公表されることによって、当該企業が企業努力をこえた社会的な制裁を受け、正当
な利益が害される
というものであった。これに対し内閣府情報公開審査室は11月22日の答申で、
・雇用促進法16条による公表は特に悪質な企業を公表するものだが、情報公開法に
よる公開は各事業者の障害者雇用についての客観的事実が明らかになるだけである
・従って促進法の勧告や公表の効果が薄れるとは思われない
・企業の社会的責任等を考えると、促進法の運営に支障をきたすとは考えにくく、今
件による公開が障害者雇用促進の障害になると認められない
・実際に企業名公開によって被害を受けたという事案を把握していない
として、厚労省諮問庁が不開示とした「整理番号」「会社名」「産業分類」「労働者
数」「合計」「不足数」「備考」については、情報開示すべきであるとの判断を示し
た。
 
今後の課題
 法定雇用率達成自体が障害者の雇用問題を抜本的に解決するものではないが、障害
者差別を禁止する法律がなく、事実として就業が困難な障害者の現状を打開する策の
一つにはなるだろう。今回の答申を裁判上で役立てていくのは言うまでもないが、厚
労省が今回の答申を尊重して実行に移すよう強く働きかける必要がある。
(以上)

本メールは、BCCでお送りしています。
重複して受け取られる方には、申しわけありません。
転載等は歓迎ですので、ぜひよろしくお願い致します。

 
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◆金さんより

お世話になります。
下記のご案内をさせていただきます。

●障害者雇用率未達成企業の情報開示を求める判決公判のご案内

標記の件について、5月16日(金)が判決公判になります。

 昨年11月に、情報公開法に基づく開示請求(請求人:金政玉)について、内閣府の
情報公開審査会が東京労働局管内の雇用率未達成企業(約9000社)の開示を認める画
期的な「答申」を出しました。
現在、本裁判の主な争点は、雇入れ計画の作成命令を出された会社名(東京労働局管
内では35社を数えます)の開示を認めるかどうかという点にあります。(同「答申」
では不開示)

1人でも多くの傍聴を呼びかけます。

● 裁判(判決公判)の案内
・5月16日(金)午後1時20分
・東京地裁606号法廷

● 公判後、集会と記者会見を予定していますので、合わせてご都合の範囲で参加く
ださるようお願い致します。
・集会:午後1時30分〜午後3時
・記者会見:司法記者会(午後3時から)、厚生労働記者会(午後3時40分から)

このメールは、BCCでお送りしています。重複してお送りしている方には、申しわ
けありません。
よろしくお願い致します。
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◆2003/05/26 「障害者雇用率未達成企業名開示訴訟「画期的答申」の引き金に 東京地裁 企業名公表を追認 「訴えの利益消去」原告請求は棄却」
 『福祉新聞』2003/05/26

 

◆Date: Tue, 3 Jun 2003 13:53:41 +0900
From: 金政玉
障害者雇用率未達成企業の情報開示を求める判決公判(5月16日)の件

いつもお世話になります。

標記の件について、報告が大変遅れて申しわけありません。
判決の結果は、昨年11月に出された情報公開審査会の「答申」を追認するもので、
司法の立場から独自の判断を示してはいません。
参考資料として、福祉新聞5月26日号の記事と弁護団声明を下記に掲載させていた
だきます。

当面の焦点は、企業名の開示について、当該企業からの不服申立(東京労働局管内約
120社)の審査結果です。その結果は、今月中に情報公開審査会から出される可能
性がありますので、改めて報告させていただきたいと思います。今後ともご支援をよ
ろしくお願い致します。

(参考資料)

◆福祉新聞2003年5月26日◆

障害者雇用率未達成企業名開示訴訟
「画期的答申」の引き金に
     東京地裁 企業名公表を追認
     「訴えの利益消去」 原告請求は棄却


 障害者の法定雇用率(1・8%)を満たしていない企業の一覧など情報を全面開示
すべき――と金政玉さんが東京労働局長を相手取り東京管内約九千社の情報公開を求
めていた裁判の判決が十六日、東京地裁であった。判決の内容は、「内閣府の情報公
開審査会が『企業名などは開示すべき』と答申しているので、訴えの利益は消失し
た」と原告の請求を棄却するもの。裁判所としては答申を追認するにとどめた格好だ
が、画期的な答申を引き出したのも、まさに金さんだった。


 裁判を起こしたのは、DPI障害者権利擁護センター所長の金政玉さん。雇用促進
法制定以来、調査では法定雇用率が達成された年は一度もない上、就職差別や不況の
あおりを障害者はもろに受けている実態から、「制度が法の趣旨に沿って適切に運営
されているとは思えない。東京労働局長は東京管内で法定雇用率未達成の企業約九千
社の名前や未達成状況を全面的に情報開示すべき」と訴えていた。
 これに対する判決では、金さんの請求を棄却。というのも、裁判の途中で、金さん
の取り組みがきっかけになった情報公開審査会の答申によって「非開示」とした東京
労働局と厚生労働省の決定がすでにくつがえされていたからだ。裁判官は「訴えの利
益は消失した」ことを理由に棄却した。
 判決の背景は――二〇〇一年十月、金さんは東京労働局長に対して、情報公開法に
基づき未達成企業の会社名や労働者数、不足障害者数などの開示を請求。これを東京
労働局長は「公表は企業への社会的制裁になるので不適当」と却下。そこで金さんは
提訴した。同時に、厚生労働大臣には行政文書の開示を求め不服審査請求したが、厚
労相も「公表は、厚労省の勧告や指導に従わない企業に対して行うもの」と却下。相
次ぐ却下に納得できない金さんは内閣府の情報公開審査会(厚労相の諮問機関)へ意
見書を送った。昨年十一月、そこで初めて審査会が厚労相に「情報公開法の趣旨に照
らして未達成企業名などを開示すべき」と答申し、厚労相は不開示決定を取り消す裁
決をすることに。
 ただ、金さんが情報の全面開示を求めたのに対して、答申も判決も障害程度の記入
欄などは一部非開示としている。理由は「企業名に加えて障害程度などまで開示する
と個人が特定できてしまう。障害者に対する偏見や差別がある実態を見ると個人に不
利益を及ぼす恐れがある」。判決後、金さんや支援者側からは「そもそも障害者の雇
用差別をなくすために裁判を起こしたのに、プライバシーを理由に差別実態を把握し
ようとしないことは不満」との声が上がり、さらなる運動に取り組む姿勢を見せた。
 なお、答申を踏まえ、来月にも未達成企業名は開示される予定。企業名が明るみに
出れば、日航訴訟のように「障害者を雇用しないかわりに多額の納付金を支払うのは
不当。企業の責任を果たすべき」と株主が経営者を訴えて勝つ判例が増える可能性も
ある。
 裁判が始まった時、金さんはこう語っていた。「地道ながら、情報公開は就労が難
しい障害者の実態を打開する策の一つになるだろう。そして、『本来は障害者差別禁
止法が必要なのだ』という裏付けになるはず」。

(参考資料・弁護団声明文)
2003(平成15)年5月16日
            声  明  文                

 障害者雇用促進法の前身である身体障害者雇用促進法において1967年に法定雇
用率の制度が定められてから既に30年以上もの長期間が経過しました。この間,1
976年の同法の改正により雇用義務が「努力義務」から「法的義務」に変わり,1
987年には同法の改正により,身体障害者雇用促進法が障害者雇用促進法になり,
法の対象を身体障害者だけでなく,知的障害者を含めた障害者に拡大する改正が行わ
れています。このように,同法においては,障害者の雇用に対する企業の社会的責任
が強調されています。法定雇用率についても,1967年から幾度も引き上げられ,
1998年には,0.2ポイント引き上げられ,民間企業においては1.8%になっ
ています。
 それにもかかわらず,日本の企業の大半はいまだに法定雇用率を達成していませ
ん。それどころか,現在においては,長く続く不況のもと,障害者に対する解雇が急
増している状況にあります。これでは,企業は社会的責任を十分に果たしていないと
言わざるを得ません。厚生労働省が平成14年8月に発表した「身体障害児・者実態
調査結果」(平成13年6月1日調査)中の「就業状況別身体障害者数及び就業率の
年次推移」によると,平成3年に30.1%であった就業率が,平成13年には2
3.3%に減少しています。平成13年の23.3%という就業率は,過去の調査と
比べても著しく低い就業率であり,一般の就業率(59.4%)と対比しても40%
に満たない数字です。
 企業の側で障害者の雇用を促進しようとするならば,企業によっては新たな設備が
必要であったり,障害者の就業を可能とするための方策を講じる必要がある場合が考
えられますが,これまで必ずしも積極的にその努力を行ってこなかった企業が状況の
改善を行うにはきっかけとなるものが必要であると私たちは認識しております。その
きっかけとして企業の名が開示されることは有益であります。さらにいえば,企業が
障害者雇用促進法障害者の雇用が少ないことを反省し障害者雇用促進法その上で障害
者雇用の促進に取り組んでいくことを社会にアピールすることは,むしろ企業の社会
的評価を高くするものであります。
 他方,障害者雇用促進法は,雇入計画作成命令,公表制度等,雇用率達成指導に関
連する制度を法定していますが,厚生労働省がどのような基準でこの制度を適用する
かを明示していなかったため,厚生労働省が果たして適正に企業に対して雇用率達成
指導を行っていたかが明確ではありませんでした。むしろ,上記のような障害者の就
業状況に鑑みれば,厚生労働省のなす指導は十分ではなかったといわざるを得ませ
ん。
 私たちがこの度情報公開請求訴訟を提起した目的は,情報公開により,法定雇用率
を下回る企業に対して障害者雇用を促進する契機を与え,かつ,厚生労働省が適正な
雇用率達成指導について国民に対して説明責任を果たせ,国民的な議論を深めて行く
ことにあります。
 この度,本件訴訟において一部勝訴判決を得ることが出来ました。全面勝訴判決に
至らなかったことは,残念ではありますが,裁判所が審査会の裁決の厚生労働省の答
申を追認したことは,障害者の雇用状況に対する企業の社会的責任を十分に考慮した
からに他ならないと考えます。
 この判決を契機に,厚生労働省が一層,雇用率達成指導を強化していくことを望み
ます。また,法定雇用率未達成の各企業がその社会的責任を十分に認識し,今後障害
者の雇用促進に対して,一層努力をすることを求めるものであります。

以上

◆2003/09/12 「10月に障害者雇用未達成企業をHPに掲載 障害者団体」
 http://news.goo.ne.jp/news/asahi/shakai/20030912/K0012201222022.html

 「障害者の法定雇用率を達成していない企業名の公開を求めていた障害者インターナショナル日本会議(東京都千代田区)は12日記者会見し、未達成企業9040社の名前と雇用率を10月中旬にも同会議のホームページに掲載するほか、未達成の理由について企業に公開質問状を出す、と発表した。株主代表訴訟を起こすことも検討しているという。
 メンバーの金政玉さんは、厚生労働省が「雇い入れ計画」を作るよう行政指導した企業数は35社だったことを明らかにし、「9040社も未達成なのに、お粗末な行政指導といわざるを得ない」と述べた。」


UP: 20030822(ファイルを分離)  REV: 20131111
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