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労働安全衛生法:雇入時健康診断における色覚検査の廃止




◆20000218 「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱」が
 労働省から、「労働省発基第10号」として中央労働基準審議会に諮問
 20000309中央労働基準審議会が労働大臣に「おおむね妥当と認める」と答申
 http://www.jil.go.jp/kisya/kijun/20000218_02_k/20000218_02_k_betten2.html
 「「労働安全衛生規則の一部改正関係」
 事業者が就業を禁止しなければならない者のうち、精神障害のために、現に自身を傷つけ、又は他人に害を及ぼすおそれのある者を削除するものとすること。……」

◆20010718 臼井さんより

「雇入時健康診断における色覚検査の廃止等について(回答)」が
7/16付で厚生労働省ホームページに掲示されています。
http://www.mhlw.go.jp/public/kekka/p0716-1.html

掲示によれば、ほとんどの意見は、廃止賛成の立場からのものです。

(厚生労働省ホームページより引用)

最も多かった意見が
「色覚異常に対する就業上の差別等の解消のための措置について提案する
もの 10件 」

これに対する回答
 公共職業安定所において求人受理時に仕事の内容を詳しく聞く等により、
差別が生じないよう今後とも適切に対処してまいりたい。
 また、職場における色覚異常についての正しい知識や、どのような人に
とっても見やすい表示の工夫を推進するための普及啓発を行ってまいりた
い。

下記は、関連する審議会の情報です。

7/10付(新着情報として13日に掲載)で
「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱」についての
労働政策審議会に対する諮問及び答申について
と題して、関連文書、答申文書が掲示されています。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/0107/h0710-3.html

 
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◆雇入時健康診断における色覚検査の廃止等について、
 厚生労働省が、7月6日締切りでパブリックコメントを募集中
 http://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/p0625-1.html
・引用:概要説明
 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)に基づく雇入時の健康診断の
項目のうち、色覚検査を廃止する。あわせて、労働安全衛生関係法令に基づ
き職場の安全確保措置として色分けを活用する場合(化学設備のバルブの区
分や有機溶剤の種類の表示等)においては、色分けとそれ以外の方法により
行われなければならないものとする。

 
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◆20010527 日本色覚差別撤廃の会第8回総会

 *高柳さんより

MLの皆様
 名古屋の眼科医の高柳です。名古屋で開催予定の会のお知らせを致します。興
味のある方は是非ご出席下さい。
1 日本色覚差別撤廃の会第8回総会
 日時:平成13年5月27日(日)午前11時〜午後3時半
 場所:朝日新聞名古屋本社15階 朝日ホール
 議題:地域の活動報告、諸改善報告、今後の活動計画、意見交換等
 名古屋駅から東山線藤が丘方面に乗り、次の伏見駅で下車、7番出口をその方
向に15mほどすすむ。信号を二つ越す。左側に朝日新聞名古屋本社。
朝日新聞本社電話052-231-8131
問い合わせ先 本郷眼科 052-771-9136
2 愛知視覚障害者援護促進協議会創立20周年記念式典
 日時:平成13年6月10日 午後1時〜4時
 場所:愛知県医師会館 9階大講堂
  利用者による合唱、マリンバ演奏会(鬼頭加代子先生)
  シンポジウム:眼科リハビリテーション・訓練のあり方・関わり方…愛視援
の事業から見えてきたもの…

 座長 原田良実(視覚指導員)、シンポジスト 高柳泰世(眼科医)、山本英
毅(視覚障害リハビリテーションワーカー)、浅井勇夫(視覚障害者)、加藤裕
子(ローヴィジョン者)、岩井保二(ボランティア)、名和晴代(視覚障害者・
ボランティア)
 名古屋駅から東山線藤が丘方面に乗り、二つ目の駅栄で下車、13番出口徒歩2

問い合わせ先 愛視援事務局(聖霊病院)052-832-1181(坂部、山本)
1は要訳筆記、2は要訳筆記と手話通訳をお願いしてあります。       

 
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◆20010605 臼井さんより

労働安全衛生規則についても国会で審議がされています。
現在把握できている3/22の分について、議事録からの引用でお伝えします。

151回-参-厚生労働委員会-03号 2001/03/22
国会議事録より

○委員長(中島眞人君) 次に、社会保障及び労働問題等に関する調査を議
題とし、厚生労働行政の基本施策に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

○大島慶久君 自由民主党の大島慶久でございます。
(前段引用略)
 まず、労働安全衛生法に雇い入れ時の健康診断が義務づけられております
が、色覚検査の項目が残っておるわけでございますが、これはなぜその項目
が残っているのか。そして、色覚の検査法というのがあるわけでございます
けれども、一体どういうものを使っておやりになっておられるのか、お答え
をいただきたいと思います。

○政府参考人(日比徹君) 御指摘のように雇い入れ時の健康診断の項目と
して色覚検査の項目が残っておりますが、現在もございますが、この点につ
きましては、労働者の安全の確保等に資するためということで、雇い入れ時
の健康診断の際、色覚異常を健診項目として把握するということにいたして
おります。
 なお、色覚検査の方法につきましては、御案内のとおりでございますが、
仮性同色表あるいは色相配列検査、さらにはアノマロスコープ等、いろいろ
な方法がございますが、労働安全衛生法上その検査の方法については特段定
めを置いておりませんで、検査を実施する医師の判断により、どの方法をと
るかをお決めいただくということになっております。

○大島慶久君 次に、色覚検査については各検査方法によって精度も異なっ
ておりますし、またすべての労働者に一律にその実施を義務づけることの是
非についても今後見直す必要があるんじゃないかと、私はその辺を強く感じ
ているわけでございます。このようなことを踏まえ、厚生労働省として雇い
入れ時の健康診断における色覚検査のやり方について検討すべきではないか。
色覚検査をそういった項目に入れていることがどうかということも含めて検
討していただきたいと私は思うわけでありますけれども、厚生労働大臣の御
見解はいかがでしょうか。

○国務大臣(坂口力君) 確かに御指摘をいただきますように、私の知って
いる人でも色覚異常がありますために、ある自分が進みたいと思っておりま
す職業につけなかった人がたくさんいます。そして、それは必ずしもそのこ
とが本当にその職業にとって大きな欠陥になるんだろうかという疑問を私も
かつて持ったことがございます。すべての労働者に一律にこれを実施する必
要があるかどうかということにつきましては、これは検討に値する問題であ
ると私もかねてから思っておりました一人でございます。
 御指摘をいただきましたので、こうした点も踏まえまして早急に検討させ
ていただきたいと存じます。

 
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◆20010615 臼井さんより

6/14参院厚生労働委員会で
会社の就業規則の就業除外規定が問題になっいてます。
井上美代議員(共産)が質問、労働基準局長が答弁
京都の会社の例が示され
次に該当するものは就業させない。
(1)らい病(ハンセン病)患者
(2)精神病者
(3)感染の恐れのある結核患者
局長は「最近までそういう記述があったことは驚き」とし就業規則に差別
的な事項がないかどうか企業ごとに点検していく方針を明らかにしたとい
うことです。(上記情報元は朝日新聞大阪本社版6/15 29面)

解雇規定には
(一)身体または精神の障害により業務に耐えられないと認められたとき
(一)老齢・若しくは身体又は精神の障害等に依り、業務に耐えられないと
認めた時。
(一)精神の異常または身体の虚弱もしくは疾病のため、業務に耐えられな
いと認められるとき
(一)精神または身体の故障により、あるいは虚弱、老衰等のために業務に
耐えられないと認めたとき。
など極めて多くあります。

 
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◆雇入時健康診断における色覚検査の廃止等について、
 厚生労働省が、7月6日締切りでパブリックコメントを募集中
 http://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/p0625-1.html
・引用:概要説明
 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)に基づく雇入時の健康診断の
項目のうち、色覚検査を廃止する。あわせて、労働安全衛生関係法令に基づ
き職場の安全確保措置として色分けを活用する場合(化学設備のバルブの区
分や有機溶剤の種類の表示等)においては、色分けとそれ以外の方法により
行われなければならないものとする。

 
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◆20010623 臼井さんより

朝日大阪本社版 6/21朝刊に
シリーズタイトル『記者は考える』編集委員記事として
「国は色覚差別の解消図れ」
と題する論説が掲載されています。

 
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◆20010707 臼井さんより

このメールは、#1316の続きです。
前半に、雇入時の健康診断について労働安全衛生規則の条文、
後半に、最終的に提出したパブリックコメントを掲載しています。
事実関係について修正した部分(大学受験資格制限の変遷など)、
表現が少し変った所があります。

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
【参考資料】

雇入時の健康診断については
具体的には、労働安全衛生規則43条(下記)に規定があります。

(雇入時の健康診断)
第43条  事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者
に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。た
だし、医師による健康診断を受けた後、3月を経過しない者を雇い入れる場
合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を掟出したときは、
当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。
1.既往歴及び業務歴の調査
2.自覚症状及び他覚症状の有無の検査
3.身長、体重、視力、色覚及び聴力(1,000へルツ及び4,000ヘルツの音に係
る聴力をいう。次条第1項第3号において同じ。)の検査
4.胸部エックス線検査
5.血圧の測定
6.血色素量及び赤血球数の検査(次条第1項第6号において「貧血検査」と
いう。)
7.血清グルタミックオキサロアセチックトランスアミナーゼ(GOT)、血
清グルタミックピルビックトランスアミナーゼ(GPT)及びガンマーグル
タミルトランスペプチダーゼ(γ−GTP)の検査(次条第1項第7号にお
いて「肝機能検査」という。)
8.血清総コレステロール、高比重リポ蛋白コレステロール(HDLコレステ
ロール)及び血清トリグリセライドの量の槍査(次条第1項第8号において
「血中脂質検査」という。)
9.血糖検査
10.尿中の糖及び蛋白の有無の検査(次条第1項第10号において「尿検査」
という。)
11.心電囲検査


★色覚とは別件ですが、
労働安全衛生規則「第3節 病者の就業禁止」の第61条には、去年まで
「2.精神障害のために、現に自身を傷つけ、又は他人に害を及ぼすおそれ
のある者」との欠格条項がありました。
この項は、見直しの結果、削除され、現行法は下記のようになっています。

第61条
1項  事業者は、次の各号のいずれかに該当する者については、その就業
を禁止しなければならない。ただし、第1号に掲げる者について伝染予防の
措置をした場合は、この限りでない。
1.病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病にかかつた者
2.心臓、腎臓、肺等の疾病で労働のため病勢が著しく増悪するおそれのある
ものにかかつた者
3.前各号に準ずる疾病で厚生労働大臣が定めるものにかかつた者
2項   事業者は、前項の規定により、就業を禁止しようとするときは、
あらかじめ、産業医その他専門の医師の意見をきかなければならない。

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

【なくす会から厚生労働省に提出したパブリックコメント】
2001年7月6日

雇入時健康診断における色覚検査の廃止等についての意見

障害者欠格条項をなくす会
(代表 牧口一二・大熊由紀子)
事務局
〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台3-2-11総評会館内
DPI障害者権利擁護センター気付
TEL 03-5297-4675  FAX 03-5256-0414


(一)労働安全衛生法に基づく雇入時の健康診断の項目のうち、色覚検査を
廃止することについて、賛成です。

雇い入れの時に、一律の色覚検査を行う必要は全くないはずです。
もし、具体的に従事する仕事の内容からどうしても色の識別が必要な場合は、
机上の色覚検査でではなく、その仕事の現場で、求められる色の識別をその
人ができるかどうかを確認し、その上でもし困難な場合には、補う方法や環
境の改善工夫について、本人および職場の人々と相談し、必要に応じて各方
面の専門家と相談すればよい問題です。

補助的手段・工程や環境の改善工夫によってほとんどの問題は解決できます
し、色覚の分野でもノウハウが蓄積されています。
交通信号を識別できない人は実際上存在しませんが、誰にとっても読み取り
やすくするため、1972年ごろ、緑色→青緑色に変更された経過もあります。
色覚以外で一例をあげると、ある大手のチョーク製造会社では、数の計算を
苦手とする障害をもつ人が多く働いていますが、定型の箱にチョークを並べ
ることで自然にスムースに計数できるなど工夫しています。

色覚検査では「色覚異常」とされ、医師や色彩学の専門家として活躍してい
る人が、現に各分野に存在します。1987年前後までは、「色盲」「色弱」者
は多くの医薬系、理工系、教員養成課程などの大学学部を受験できませんで
した。提起を受けて、それらの受験資格制限は1993年頃までにほぼ撤廃され
ており、色の識別が全くできないかのような誤解・差別偏見による排除であっ
たことが明らかです。しかしまだ各種の採用試験・採用時検査・採用にあたっ
て提出する診断書等には、色覚を問題にするものが多数存在しています。

ちょうど今年六月末に閉会した通常国会では、医師法等27法令の欠格条項を
見直す法案と、道交法の一部を改正する法案も成立しました。その審議にお
いて政府側からも、これまでのような一律の排除ではなく、社会参加を広げ
る観点から個別的な評価でできる限り可能性の道をさぐる方向が折々言及さ
れました。
また、「障害者に係る欠格事由の適正化を図るための医師法等の一部を改正
する法律案に対する附帯決議」として、「3 各種資格試験等においては、
これが障害者にとって欠格条項に代わる事実上の資格制限や障壁とならない
よう、点字受験や拡大文字、口述による試験の実施等、受験する障害者の障
害に応じた格別の配慮を講ずること。」「5 本法改正を実効あるものとす
る観点から、障害及び障害者の機能を補完する機器の開発、職場介助者等の
職場における補助的手段の導入に対する事業主への助成など、関係行政機関
が一体となって総合的な障害者の就業環境の整備に努めること。」などが、
五年後をめどとする見直し規定の附則修正とともに、可決されたところです。
バリアフリー、ユニバーサルデザインと広く言われ、発想を転換して個々
人の持てる力を発揮できる環境づくりを進める時代です。検査や試験は、障
害や病気等すなわち劣等・異常・欠格とする見方で排除する発想を前提とし
てきたものが多くあり、発想から根本的に見直し、合理的な理由のない検査
は、雇入時はもちろん、採用後も廃止すべきです。今後は、補うノウハウの
開発普及に一層力を注ぐ必要があります。


(二)労働安全衛生法・同規則をはじめ労働安全衛生関係法令に規定する検
査の適否について、改めて全面的な見直し作業を行うことを要望します。

今回、色覚検査廃止を検討されたのと同様、
ア)検査で「異常」等とされても、実際上の業務に支障があるかどうかは別
の問題
イ)補う手段方法の可能性
ウ)検査を行うことが本当に必要かどうか
の観点から、改めて見直し作業が必要です。

上記イ)については、例えば視力障害であれば、コンピュータなど様々な補
助機器が開発活用されており、職場に補助者を導入する制度も存在します。
その他の障害や疾患等も、実際上支障が出るかどうかは、その人がたずさわ
る具体的な職務内容、労働環境によるところがきわめて大きく、よいコンデ
ィションを保っていくための薬や医療手段も進んできているところです。


(三)当会に寄せられたメッセージから

「障害者欠格条項をなくす会」は1999年5月に障害の違いや立場をこえて発
足した全国規模の市民団体です。欠格条項廃止にむけて、「できないからダ
メ」から「どうすればできるか」へと、体験・知恵を集め、海外事情も調査、
それらをもとに各省庁や各政党に働きかけを行ってきました。
当会に寄せられた、色覚にふれたメッセージから紹介します。不安をかかえ
た人からの質問はこの他にもありました。軍医が徴兵検査のために開発した
石原式検査で「色覚異常」と判定されただけで、人生を左右されてきたこと
が、どれほど多いかがうかがえます。

(メッセージより)
生物教師です。私自身、「色覚異常」で、大学理学部生物学科や教員採用試
験(理科・生物)では悩み苦労しました。大学入試や教員採用試験から色覚
条項を撤廃するようにしたいです。【群馬県】

私には色覚障害があり、また疾患にもかかっていますが、私のような立場の
人間には本当に職業選択の自由はないのですね。今の状況が変わることを願
っています。【東京都】

昭和29年、機械メーカー受験の際、赤緑色弱ということで、眼科医の再検査
を受けましたが、「事務部門で働くには支障なかろう」ということで採用さ
れました。以後、今年で退職するまで実務上支障なく、又、クレームを受け
ることもなく勤務してきました。ただし、採用試験の際の筆記試験の成績が
目につくこともなかったら、入社試験で落とされただろうと思います。【兵
庫県】

高校教員で、進路指導担当をしています。鉄道会社への就職希望者で、色覚
が問題にされて、就職できない生徒が毎年何人かいます。「運輸省令」で、
電車などの運転免許は「色覚正常」が条件ですが、これを基準に、公営地下
鉄でも民営鉄道でも、事務職員・改札係から運転手まで一括で「色覚正常な
者」を採用条件にしているようです。会社に聞くと「入社後、どんな仕事に
ついてもらうかわからないから」と言われるのですが、色覚検査は、特殊な
色の組みあわせでテストするもので、色覚検査表の色文字は読みとれなくて
も、一つ一つの色はわかります。交通信号の赤青黄を見まちがうことはない
ですし、印刷物などの、よみとりにくい色の組みあわせを改善するなど、工
夫の問題です。【大阪府】

 
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◆労働基準監督官の受験資格
 (20010526 臼井さんより)

労働基準法を調べていたことから、
偶然、労働基準監督官の受験資格を見て驚きました。

人事院のホームページ上「国家公務員の採用試験情報」
http://www.jinji.admix.go.jp/saiyo/saiyo.htm
「各試験の案内」の中にあります。

次のいずれかに該当する者は不合格となります。
  ○ 裸眼視力がどちらか1眼でも0.6に満たない者
(ただし両眼とも矯正視力が0.7以上の者は差し支えありません。)
  ○ 全色盲である者
  ○ 2000、1000、500各ヘルツでの検査結果をもとに算出した聴力レベル
デシベルが、片耳でも50デシベル以上の者
  ○ 四肢の運動機能に異常のある者(ただし、職務遂行上支障のない程度
のものは差し支えありません。)

矯正視力が両眼0.7以上というのは四輪運転免許の場合より厳しいですね。
片目0.7以上(視野150度以上)の基準が道路交通法施行規則にあります。
聴力は、これは補聴器をつけないでということかと解釈しましたが、
片耳50デシベル以上ならこれも多くの聴覚障害者があてはまるでしょう。
「全色盲」とありますが色覚が必ず問われる仕事内容ではない筈です。

ここまで厳しい条件を課す根拠がどこにあるのか、
仕事内容の説明を見ると
「労働基準監督官は……6,000万人の労働者の生命と健康を守り、人間尊重
の基本理念に立脚した法定の労働条件を確保することを任務とし、労働本省
又は全国各地の労働局、労働基準監督署に勤務して、労働基準法、労働安全
衛生法などに基づいて、工場、事業場などに立ち入り、帳簿・書類の点検、
関係者の尋問、機械・器具の構造規格、性能及び安全装置の検査、作業環境
の測定などを行い、これらについて違反があった場合には、機械・器具の使
用停止などの緊急措置を命じたり、刑事訴訟法に規定する司法警察員として
の職務を行います。特に最近は、労働条件の確保・改善、労働災害の防止、
職業性疾病の予防を推進する面でも労働基準監督官の活躍が期待されていま
す。 」
とあります。
http://www.jinji.admix.go.jp/saiyo/fshiken.htmより)

要するに、危険を伴う現場にも出入りし正確な検査や審査をしなければなら
ないということを、上記受験資格の理由にするものと思われますが、実態は、
署内でデスクワークや相談業務にたずさわる人もいますし、個々の仕事内容
は多様で補う手段も色々とありうるはずです。受験資格の段階でこのような
条件を課す必要はないでしょう。

なお、上の身体的条件の他、共通して定められている「国家公務員採用試験
を受けられない者」の条件として下記の掲示があります。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(1) 日本の国籍を有しない者
(2) 国家公務員法第38条の規定により国家公務員となることができない者
  ○ 成年被後見人、被保佐人(準禁治産者を含む)
  ○ 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでの者又はその刑の執
行猶予の期間中の者その他その執行を受けることがなくなるまでの者
  ○ 一般職の国家公務員として懲戒免職の処分を受け、その処分の日から
2年を経過しない者
  ○ 日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張す
る政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
 ※ 外国の国籍を有する者は、外務公務員になることができません。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

なお、国家公務員採用一種試験の場合は
> 【点字による試験等】
> 「行政」区分について、点字による試験を行います。その他視覚障害の程度
> によって、すべての試験の区分で拡大文字による試験、解答時間の延長等の
> 措置が講じられる場合があります。
という表示があります。
点字試験や拡大文字試験、時間延長は、
視覚障害者団体等が長年の活動で獲得されたものと聞いています。



障害者と労働・2002  ◇障害者と労働
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