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ワーク・ライフ・バランス

Work-life balance

last update:20100610
トピック(行政関係など) 記事 その他 英語文献

■トピック(行政関係など)

◆特集「ワーク・ライフ・バランス」(独立行政法人 労働政策研究・研修機構)
http://www.jil.go.jp/tokusyu/worklife/index.htm

◆少子化社会対策に関する先進的取組事例研究報告書(HTML版) 平成18年3月 内閣府政策統括官(共生社会政策担当)
http://www8.cao.go.jp/shoushi/cyousa/cyousa17/sensin/index.html

◆「ワーク・ライフ・バランス」推進の基本的方向 中間報告 平成19年5月24日
 男女共同参画会議 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会
http://www.gender.go.jp/danjo-kaigi/wlb/index-wlb1905.html

▼厚生労働省ホームページ
◇平成16年1月8日(木)10:00〜12:00 於:厚生労働省9階 省議室
「第4回 仕事と生活の調和に関する検討会議」
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/01/s0108-5.html
→「資料4:米国におけるワーク・ライフ・バランスへの取組について」
 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/01/s0108-5d.html
◇平成18年10月13日 厚生労働省
「男性が育児参加できるワーク・ライフ・バランス推進協議会提言について」
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/10/s1013-3.html



■記事

◆2010/06/09「専業主婦志向 生き方を選べる社会に」
◆2010/05/27「働き方が変わる?(上)「代替休暇制度」創設」
◆2010/05/07「障害児家庭、難しい仕事と育児両立 介護の負担重い母親」
◆2009/03/26「少子化対策PT第4回:ワーク・ライフ・バランスは「働くすべての人の問題」」
◆2008/05/05「ワーク・ライフ・バランス導入のメリットは。」
◆2008/02/15「「仕事と生活の調和」元年に」
◆2007/12/31「仕事も生活も、そして子供も」
◆2007/03/06「ワーク・ライフ・バランス――生産性上げ、ノー残業実現」
◆2006/08/07「女性が輝く社会に てぃるる10周年でシンポジウム」



◆女性が輝く社会に てぃるる10周年でシンポジウム
 (2006年8月7日『琉球新報』>社会)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-16077-storytopic-1.html
「(【写真】沖縄での男女の在り方を議論した「てぃるる」10周年シンポジウム=5日、那覇市西の県男女共同参画センター「てぃるる」)
 県男女共同参画センターてぃるる10周年事業「ワークライフバランスを考える やっぱりステキに輝きたい」が5日、同センターで開かれた。鹿嶋敬実践女子大学教授が仕事と家庭の両立について講演。シンポジウムでは県内各界で活躍する4人が沖縄社会における男女の在り方について意見を交わした。一般、女性団体関係者など約250人の参加者はバランスの取れた生き方や社会について考えた。
 鹿嶋教授は「男女共同参画社会へのキーワード〜ワーク・ライフ・バランスを中心に」と題して講演。諸問題の原因として「男性の仕事量が多過ぎる」と指摘。ある下着メーカーは、1日2時間の「がんばるタイム」で業務に集中し、毎日が「ノー残業デー」などの事例を紹介。「これからはジェンダー平等の時代。ジェンダーバイアス(偏見)を取り除いて」と訴えた。
 シンポジウムでは「ワークライフバランス(仕事と生活の調和)とは? これからの社会に必要なコト」をテーマに進行。精神科医の竹下小夜子さんは「冠婚葬祭や年中行事の時季に女性のうつ病が発症しやすい」と沖縄の女性を取り巻く環境を解説した。
 沖国大講師の桃原一彦氏は、沖縄の男性自殺率が高い点を指摘、「沖縄のワークライフバランス」を考える必要性を主張した。
 りゅうせき副社長の安里カツ子さんは、子育てなどで「女性が休みをもらうのはマイナスでない」と強調した。元県女性政策室長の大城貴代子さんは「がんばった女性がいたからこそ、現在の状況がある」と語った。」


◆ワーク・ライフ・バランス――生産性上げ、ノー残業実現
 (2007年3月6日『読売新聞』東京朝刊15面[社会保障 安心])
「 ◆ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和) 
 仕事と生活の調和を意味する「ワーク・ライフ・バランス」という考え方が注目を集めている。人口減社会を迎え、少子化対策につなげたいという国の思惑などが背景にある。だが、「残業大国」の日本で、こうした考え方を、どのように根付かせていけばいいのだろうか。(大津和夫)
 《3つの提案》
 ・大胆な法規制で残業抑制
 ・業務の効率化で仕事減らせ
 ・非正社員の待遇改善を
 ◆無理しない
 DVDを買ったり、妻と外で夕食を取ったり、スポーツクラブで汗を流したり――。「無印良品」を展開する良品計画(東京)の松井忠三社長の平日の夜の過ごし方だ。
 同社は1月から、本部勤務社員を対象に原則として残業を禁止した。生産性の向上を目指した結果、「仕事の終わりを決めるという“締め切り効果”により、長時間労働による無駄や無理を省くことが最善の策」と、松井社長が導入した。
 勤務時間は午前9時から午後6時。やむを得ず残業をする場合は、事前に理由を届け出る。届け出がなく居残る社員には、館内放送や見回りで退社を促す。
 ノー残業の実施に併せて、各自の年間スケジュールと仕事の手順を細かく定めた。それまで頭の中にあった仕事を目に見える形にすることで、誰でも仕事を代われるようにしたのだ。松井社長は「子育て、趣味、勉強など、社員には視野を広げてほしい。仕事と生活の調和は、生産性を上げる武器」と話す。
 ◆少子化対策の柱
 ワーク・ライフ・バランスとは、だれもが働きやすい仕組みを作ること。日本ではここ数年、少子化対策に連動する形で広まった。
 政府は1994年に「エンゼルプラン」を策定して以来、保育サービスの拡充などに力を注いだが、効果は上がらなかった。こうした中、仕事と生活の調和を図ることが出生率回復につながるという考え方が広まり、2004年策定の少子化社会対策大綱には重点課題として明記されるなど、少子化対策の柱に掲げられるようになった。
 民間では、社会経済生産性本部(東京)が昨年6月、国や自治体に基本計画の策定を求める「ワーク・ライフ・バランス推進基本法」の制定を提言。8月には、経済界、労働界らの代表約100人で推進会議を設立した。
 一部の先進企業は、合同で研究会を作り、情報を交換している。背景には、労働力が減る一方で、女性の7割が出産を機に離職しており、「せっかく育てた女性が退社するのは損失」(電機メーカー幹部)という“コスト意識”がある。
 働く側も、仕事一辺倒の生活は望んでいない。内閣府が06年1月に実施した「男女の働き方と仕事と生活の調和に関する調査」では、性別、結婚の有無に関係なく、「仕事優先」を希望した割合は1、2%程度に過ぎない。
 ◆生き残りに必要
 長時間労働を是正するにはどうしたらいいのか。
 今国会に提出される予定の労働基準法改正案には、残業抑制策が盛り込まれている。現行法では、労働時間が1日8時間を超えると、平日で賃金の25%以上の残業代を支払うことになっているが、改正案ではこの規制を強化。月80時間を超えた場合の割増率をアメリカと同様、50%以上とした。
 だが、サービス残業が横行している日本では、「法規制を強化しても、仕事全体の量を変えない限り、未払い残業が増えるだけ」(あるIT企業幹部)といった見方が根強い。
 富士通総研の渥美由喜主任研究員は、「日本流の仕事の進め方を見直すべきだ」と主張し、具体策として、〈1〉会議や意思決定の手続きを簡素化する〈2〉各自の仕事の範囲と成果を具体化する〈3〉仕事を目に見えるようにして共有できるようにする――などを挙げる。冒頭で取り上げた「良品計画」も導入している欧米流の仕事法だ。
 「国際競争で生き残るためには、不可避の作業」と渥美氏は話す。
 見逃されがちなのが、非正社員の問題だ。
 「派遣ユニオン」(東京)の関根秀一郎書記長は、「非正社員は低賃金、短期間の細切れ契約で雇用が不安定。ワーク・ライフ・バランスなんてほど遠い状況」と指摘。オランダのように「同一労働・同一賃金」を確立するなど、正社員とバランスが取れた待遇を目指す必要性を強調している。
 ◆日本、有数の長時間労働国 
 ワーク・ライフ・バランスは、海外でも注目されているが、取り組み方は様々だ。
 イギリスでは2000年からキャンペーンを始め、企業に経済支援を行うなどの施策を実施。オランダは同年、労働時間の増減を使用者に要請する権利を労働者に認める労働時間調整法を制定した。スウェーデンは05年、勤続2年以上の労働者を対象とした最長1年の休暇制度を導入した。
 日本では、残業を前提とした働き方に問題があるというのが、専門家に共通した見方だ。
 日本は世界有数の長時間労働大国だ。1週間に働く時間が50時間を超える労働者の割合は、日本が28・1%と先進国トップ。厚生労働省の調査だと、04年の労働者1人当たりの年間の平均労働時間は1834時間で年々減少しているが、これはパートら短時間労働者が増えたことを反映した見かけの数字。週60時間以上働く人の割合を93年と04年で比較すると、10・6%から12・2%と増えた。
 過重労働に伴う脳・心疾患の労災認定件数は、年間310件を超える。日本の労働生産性(04年)は経済協力開発機構(OECD)加盟30か国中19位。日本女子大の大沢真知子教授は「労働者の健康まで害しかねない今の働き方は持続性に乏しく、生産性も低い。少ない労働力で労働の質を高める意味で、長時間労働の是正が不可欠」と語る。
      ◎
 ◆労使双方に利点 
 ◇ワーク・ライフ・バランスの推進会議のメンバーでコンサルタントのパク・ジョアン・スックチャさん
 「人口が減り、国際競争が激化する中で企業が生き残るためには、付加価値の高いモノを生み出すことが必要だが、仕事一辺倒では新しい発想は生まれにくい。一方、働く側は、職を失わないよう常にキャリアを磨き、健康維持や家庭での責任を、仕事をしながらこなすよう迫られている。仕事と生活の調和を図ることは、企業、労働者双方の利益になると、経営者が意識することが必要だ」
 《プラスα》
 ◆パパも子育てしたいのに 
 子供を持つ父親の多くは、子育てにかかわりたいと思いながら、理想通りにはいかないのが現状のようだ。
 ベネッセ次世代育成研究所が、2005年に0〜6歳の子供を持つ約3000人の父親を対象としたインターネット調査によると、平日に子供と過ごす時間で一番多かったのが、「1〜2時間未満」(27.0%)。2時間未満の人の合計は63.7%にのぼった。
 「理想とする時間」を聞いてみると、一番多かったのが「2〜3時間未満」(32.6%)で、逆に70.3%が2時間以上を挙げていた。
 ベネッセ教育研究開発センターが同年、東アジア5都市で行った幼児の父親の帰宅時間についての調査では、22時台以降に帰宅する父親は東京が39.7%だったのに対し、ソウルが21.5%、台北が10.0%、北京が9.5%、上海が8.5%と東京が際だって多かった。子供とのふれ合いの時間を増やすためには、まず帰宅時間から見直さないといけないのだろう。(孝)
 〈ワーク・ライフ・バランス〉
 仕事と生活の調和のことで、1980年代の終わりごろに米国、英国で生まれた考え方。最初は育児との両立支援が中心だったが、男女や子供の有無にかかわらず、だれもが働きやすい仕組みに拡大され、人材確保戦略の一端を担うようになった。
 図=1週間当たりの労働時間が50時間以上の労働者割合
 図=厚労省が予定している残業の割増率の改正
 写真=社員と言葉を交わす良品計画の松井忠三社長(中央)。残業を原則禁止し、生産性を向上させた(東京都豊島区の同社で)
 写真=パク・ジョアン・スックチャさん」


◆10.仕事も生活も、そして子供も
 (2007年12月31日 asahi.com >朝日新聞社から>【社説】希望社会への提言)
http://www.asahi.com/shimbun/teigen/teigen10.html
「●男性の「残業づけ」をやめ、ゆとりと知恵を
●非正社員もハンディなく自立できる社会に
 「人」を大切にする新しい長期安定雇用の経営をつくることが、希望社会の土台になる。前回はそう強調した。
 働き手一人ひとりが将来への展望を持てる。創意工夫をし能力を発揮して、働きがいを感じる。それが企業を発展させ経済を成長させる、という姿だ。
 それをもう一歩進めて、仕事を家庭生活と両立させられないものか。
 少子化が急速に進んでいるが、仕事を続けられるなら子どもがほしいと考えている女性は多い。子どもを産んで育てやすい労働環境をつくることが、少子化対策の出発点になるはずだ。
 一歩先の風景を見るため、化粧品最大手の資生堂をのぞいてみた。
     *
 資生堂は女性社員が男性社員よりも多い。20年前からフレックスタイムや育児休業制度を導入し、女性が出産・育児で仕事を辞めなくて済むような工夫を重ねてきた。努力の結果、出産・育児で退職する女性がめっきり少なくなった。現社員の勤続年数は男性19・2年に対し、女性も17・6年と肩をならべる。
 いまはワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)に力を入れる。その重点課題が、男性正社員の長過ぎる労働をどうやって縮めるかという問題だ。
 夫が仕事人間で家事や育児を分担できなければ、妻は仕事を続けにくいし、子どもをあきらめるかもしれない。家庭生活とバランスのとれた働き方にすれば、男女ともに得るものが多い。
 「働きづめでは生活者の感覚を失い消費者の気持ちが分からなくなるから、会社にとっても損失。若い社員はもうそんな働き方に魅力を感じていない」と人事部次長の山極清子さんはいう。
 こう書くと、資生堂のように優秀な大企業だからと思われるかもしれない。しかし、地方にも「短時間労働」で業績を伸ばしてきた会社がある。
 岐阜県の南部、長良川沿いの輪中地帯にある電気設備機器メーカーの未来工業だ。ここは上場企業で労働時間が恐らくいちばん短い。年間休日140日、1日7時間15分労働で、残業も営業ノルマもナシ。70歳定年の終身雇用。それでいて給料は県庁なみの高水準である。
 「こんなことをしたら倒産する」。見学に来た経営者は決まってこう漏らすが、じつはそこに成功の秘密がある。
 社内のあちこちに「常に考える」の張り紙があった。5年に1度は1億円をかけて海外へ社員旅行に行き、感性を刺激する。ゆとりある働き方が、製品改良のアイデアを生んでいるのだ。
 たとえば、どんな部屋の壁にもある電灯のスイッチ。未来工業の製品は、その裏にある配線箱を施工しやすい形にするなど11の特許が詰まっている。独自の製品を考案し、無理な値引きをせずに利益を確保して売る。そんな好循環を、創業から40年以上も続けてきた。
 目標は高く遠いかもしれないが、こうした働く環境をめざしていきたい。
     *
 「残業を減らしたい」と考えている企業は多い。しかし、企業は競争しており、そのなかで組織風土や仕事のやり方を全社的に改革しなければいけない。そこに残業減らしの壁がある。
 そこで、極端な長時間労働に規制をかけ、企業の背中を押してやるのも一案だろう。欧州連合(EU)では1日11時間の連続休息を義務づけている。残業を含めて13時間以上は働けない。
 日本でも、残業の賃金割増率を引き上げる法案が国会に出されている。早く成立させるべきだ。
 男性ら正社員の労働時間が異常に長くなったことは、過労死や過労自殺も生んでいる。その一方では、パートや派遣といった細切れの雇用が大幅に増え、労働時間の二極化が進んでいる。ともに人件費リストラが生んだ後遺症だ。二つの働き方は表裏の関係にある。
 企業にとって正社員は、いつでも長時間働いてくれる都合のいい存在だ。だが残業が減ると、非正社員と比べ使い勝手の差がなくなってくる。それにより、両者の働き方や待遇の格差も縮まることが期待できるだろう。
 格差を縮めるには、労働規制の枠組みを立て直す必要もある。バブル後の不況から抜け出すため規制を虫食い的に緩和した結果、派遣や請負など不安定な働き方が野放図に増えてきたからだ。
 こうして格差が縮まれば、「同じ価値の労働に同じ賃金」という均等待遇に近づいていく。そうなると、生活に合わせて正社員でもパートでも働き方を選びやすくなる。同じ企業内の正社員でも、仕事や職種によって賃金体系が分かれていくことも考えられる。
 その過程では、待遇が下がる人が出るかもしれない。だが、非正社員を増やして在籍する正社員の給料を守ってきた面があることを考えると、ある程度は甘受せざるを得ないのではないか。
 こうした改革が実現すると、働き方がさらに自由で多様になるだろう。
 そのとき大切になるのは、急速な技術の進歩に合わせて働く能力を高めていくことだ。正社員には社内教育の機会がある。それ以外の人たちのために、能力開発や職業訓練の仕組みを社会全体で整えていくことを忘れてはならない。」


◆「仕事と生活の調和」元年に
 (2008年2月15日『読売新聞』>ジョブサーチ>ライブラリー>ワーク・ライフ・バランス)
http://job.yomiuri.co.jp/library/wlb/li_wl_08021501.cfm
「(【写真】板東久美子(ばんどう・くみこ)さん
内閣府男女共同参画局長
東大法卒。1977年、旧文部省入省。秋田県副知事、文部科学省人事課長、大臣官房審議官などを経て、2006年7月より現職。53歳。)
 少子化対策や男女共同参画、経済の活性化を進めるうえで、仕事と生活の調和を意味する「ワーク・ライフ・バランス」が注目を集めている。背景には、働き方をめぐり個人、家庭、企業、社会に生じている様々なひずみがある。
 内閣府などの調査によると、子どもができても女性がずっと働き続けた方がよいと考える人が男女とも最も多く、4割以上となっている。だが、現実に、仕事と家庭の両立は難しく、約7割の女性が第1子出産を機に退職している。
 また、子育て中の男性で、仕事と育児に同じようにかかわりたいと希望する者は7割もいる。だが、一方で、30歳代男性の4分の1弱が週60時間以上働いており、育児時間は少ない。さらに、長時間労働は心身の健康もむしばんでいる。
 個人の生活と仕事の調和が実現できない状況が続くと、少子化のさらなる進行や労働力不足だけでなく、家庭や地域社会の機能低下、経済の活力や競争力の低下など、社会の持続可能性をも脅かす問題にもつながっていく。
 政府は昨年末、経済界・労働界のトップも参加して、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」と「仕事と生活の調和推進のための行動指針」を策定した。行動指針では、10年後の目標として、「週労働時間60時間以上の雇用者の割合の半減」「年次有給休暇の完全取得」など、具体的な数値目標も掲げた。
 2008年は、官民挙げての取り組みが本格化する、「仕事と生活の調和元年」である。希望や事情に応じて多様な働き方を選択でき、自らの人生を豊かに展開できるしなやかな社会の実現に向け、国、自治体、企業、働く人など皆でスクラムを組み、大きな流れを作っていきたい。」


◆働くナビ:ワーク・ライフ・バランス導入のメリットは。
 (2008年5月5日『毎日新聞』東京朝刊 >ライフスタイル>就職・転職)
http://mainichi.jp/life/job/news/20080505ddm013100003000c.html
「 ◆ワーク・ライフ・バランス導入のメリットは。
 ◇能率上がり経費減、無駄省き短時間勤務実現−−トップの決断不可欠
 仕事と生活の調和を目指すワーク・ライフ・バランス(WLB)。少子化対策の柱として注目を集めている。
   *
 「きょうは、どの仕事を必ず終わらせるか。いつも頭の中で整理しています」。東京都大田区の機械部品メーカー、妙徳の総務部次長、千田英昭さん(41)が仕事のコツを披露する。
 同社は従業員160人。4年前から、残業を申請した人を除き、全員が午後6時で退社する。さいたま市内の自宅から1時間20分かけて通勤する千田さんも、午後8時には帰宅する。「4歳と0歳の息子を風呂に入れられるのも仕事のやりがい」という。
 仕事は1人で抱え込まず、常に同僚同士で補い合う。中森俊雄社長(56)ら幹部は率先して帰宅する。勤務時間の短縮に向け、職場から紙の書類をなくした。紙だと自分の仕事に無関係の書類まで目で追い、作業時間が増えるからだ。情報は社内のパソコンで共有し、原本だけ保存する。取引先にも「電子データでの注文」を依頼している。
 内藤邦彦副社長(63)は「短時間に集中して仕事を片づける能力が必要」という。勤務時間は減ったが、5期連続で売上高が増え、業績は好調。社会的イメージも上がり「一石二鳥」となった。
   *
 政府は「WLBは企業のためにもなる」と普及を図る。内閣府の専門調査会は先月、従業員数が300人以下から1万人以上まで、規模が異なる17社の聞き取り調査をもとにWLBのコスト面でのメリットを試算した。
 勤務時間の短縮は、人的に余裕がある大企業の問題と受け取られがちだ。しかし、中規模企業(従業員100〜999人)で29歳の大卒女性が(1)育児休業後に復帰(2)出産を機に退職−−の場合を比べたところ、これまでの知識や技術が企業から失われない(1)の負担が約16万円少なかった。
 残業時間を1日30分短縮すると、従業員50人の企業で1180万円▽500人で1億3500万円▽1000人で3億円−−の経費削減効果があるという。
 ただ、残業を「美徳」ととらえる意識は根強い。企業側もサービス残業に甘え、人件費を節約して利益を上げようとする意識が抜けない。04年の国際労働機関(ILO)の資料では、週50時間以上働く労働者の割合は独5・3%▽仏5・7%▽英国15・5%▽米国20%−−に対し、日本は28・1%。「残業大国」は際立ち、働き方の見直しは容易ではない。内藤さんは、WLB定着には「トップダウンで姿勢を示すことが不可欠」と話す。【坂口裕彦】
==============
 ◇ワーク・ライフ・バランス
 仕事と家庭、地域生活、個人の趣味などに割く時間のバランスを取ること。少子化対策などで、ここ数年、政府や産業界が用いるようになった。働く女性の支援ばかりではなく、男性の生活の比重を仕事から家庭に向け、子育てしやすい環境を整える狙いがある。先月閣議決定した少子化社会白書は、今年を「仕事と生活の調和元年」と位置付けた。」


◆少子化対策PT第4回:ワーク・ライフ・バランスは「働くすべての人の問題」
 (2009年3月26日『毎日新聞』)
http://mainichi.jp/life/today/news/20090326mog00m100047000c.html
「(【写真】(左から)連合の古賀伸明さん、経団連の輪島忍さん、川本裕康さんを招いて行われた少子化対策PTの第4回会合=内閣府で)
 少子化問題に取り組む「ゼロから考える少子化対策プロジェクトチーム(PT)」(主宰・小渕優子少子化対策担当相)の第4回会合が24日、内閣府で開かれた。「ワーク・ライフ・バランス(WLB)/働き方/父親の子育て支援」をテーマに、仕事と生活のバランスをとるための制度や社会的意識について話し合った。
 PTメンバーは、NPOファザーリング・ジャパン代表理事の安藤哲也さん、経済評論家の勝間和代さん、第一生命経済研究所主任研究員の松田茂樹さん、日本テレビ解説委員の宮島香織さん、東京大学社会科学研究所教授の佐藤博樹さん。この日は連合事務局長の古賀伸明さん、日本経団連常務理事の川本裕康さん、同労働基準グループ長兼安全・衛生グループ長の輪島忍さんが有識者として出席した。
 まず佐藤さんが、WLBは「ほどほどの働き方ではなく、メリハリのある効率的な働き方」「少子化対策ではなく、すべての社員のため」など、「労使とも数多くの誤解を抱いている」と指摘。さらに「従来型」の働き方は「男性フルタイム社員」を想定していたが、「男女問わず多様なニーズに即した多様な働き方の開発が求められる」と述べた。
 次に松田さんが、非正規雇用者のWLBについて説明した。パートやアルバイト、契約社員など非正規雇用という働き方が社会に定着・拡大しているなか、収入が低く雇用が安定しないため、若者は結婚や出産をためらっているという意見とを紹介。育児休業や育児休業中の所得補償などを非正規雇用者も安心して受けられるようにすれば、雇用上の不安もなくなり、少子化対策につながるとして、「正規だけでなく、非正規も視野に入れたWLBを推進することが課題だ」とまとめた。
 また、安藤さんは「WLBは早く帰ることが目的ではなく早く帰って何がしたいかが重要。若い世代は家事・育児を共同でやろうとしているが、会社や上司の理解が不足している。男女の役割分担という考え方は変化しており、仕事か家庭かではなく、仕事も地域活動も家庭生活も行う『寄せ鍋』的な生き方をみんな目指してほしい」と訴えた。
 川本さんは、経団連はさまざまな取り組みはしていると紹介したうえで「有期契約者への支援については見てこなかったが、調査・検討したい」と述べた。また、連合の古賀さんは「WLBは子どものいる人や女性に限った問題ではなく、働いている人すべて、とくに男性の問題だと改めて認識した。手が回っていなかったところは見直したい」と述べた。
 小渕担当相は、「WLBの重要性は認識していても、実態はなかなか進んでいない。国として何をやっていけばいいのかを考えたい。WLBは子育ての問題だけではなく、『親の死に目に会いたい』など、生活のすべてにかかわることだと思っている」と述べた。
 次回第5回会合は4月7日、「幼児教育・公教育」をテーマに話し合われる。【浜田和子】」


◆障害児家庭、難しい仕事と育児両立 介護の負担重い母親
 (2010年05月07日金曜日『河北新報』)
http://www.kahoku.co.jp/news/2010/05/20100507t15033.htm
「(【写真】グループゆうの事業所で、障害のある子を育てながら働く母親たち=仙台市泉区南中山)
 障害児のいる家庭は母親が子どもの介護を担う一方、父親が生計を維持するため長時間働かざるを得ない傾向が強く、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)が進んでいないことが、障害児の放課後ケアなどに取り組む仙台市泉区のNPO法人「グループゆう」の調査で明らかになった。
 グループゆうは2月上旬、仙台圏の障害児がいる家庭730世帯に調査票を送付。201世帯から回答を得た。
 介護・子育ての主な担い手は、母親が94%を占め、父親は4%だった。母親の51%は日常生活の中で「介護・子育て」の比重が一番高いと答えたが、父親は「睡眠」が最多の38%。父親の81%は平日、育児や介護に携わる時間が1時間未満しかなかった。
 就労状況を見ると、父親の95%が働く一方で母親は35%にとどまり、多くは年収200万円以下のパートタイマーだった。
 仕事と生活のバランスを取りたいと望む親は多く、父親の40%が残業を減らしたいと思っているのに対し、母親の28%は逆に仕事を増やしたいと望んでいた。
 仕事と育児を両立する上で困る点として、子どもの長期休暇中の支援サービスや、普段の送迎サービスの不足を挙げる親が多かった。
 グループゆう代表理事の中村祥子さんは「障害児に必要な社会の支援サービスが不十分なため、母親が担い手として待機せざるを得ない状況にある。障害児の親は、国が進めるワークライフバランスの蚊帳の外に置かれている」と指摘する。
 グループゆうは障害児の親が同法人の事業所で働く場合、自分に合った勤務時間を選択できる制度を設けた。自閉症の2児を育てながら働き出した菅沢妙子さん(43)は「家にいると子どものことを考え込んでしまうが、働くことで気持ちに余裕ができた」と言う。
 中村さんは「障害児への支援サービスに加え、母親の就労を後押しする職場環境づくりも大切だ」と話している。
 グループゆうは調査報告書を500部作成。調査協力者や希望者に無料で配布する。連絡先はグループゆう022(376)7679。」


◆【ゆうゆうLife】働き方が変わる?(上)「代替休暇制度」創設
 (2010.5.27 08:05 MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/life/welfare/100527/wlf1005270813000-n1.htm
 ■長時間労働抑え、多様な働き方推奨
 日本人の働き方が大きく変わる。4月施行の改正労働基準法に加え、6月30日には改正育児・介護休業法が施行。若手から管理職まで長時間労働を抑制するとともに、子供の誕生時から父親の子育て参加を後押しする。若年期・子育て期・介護期といった人生の段階に応じて多様な働き方を選べるようにし、持続可能な社会保障の維持が狙いだ。“ジャパニーズ・ビジネスマン”は21世紀、どんな働き方になるのだろう。(牛田久美)
 ■生産性を高めつつ
 総合事務機器メーカー「コクヨ」(大阪市東成区)の東京品川オフィスでは平成20年からいち早く業務を“見える化”(可視化)し、残業抑制による「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)」に成功している。
 対象部門では、全員が毎朝、残業しない前提でその日の予定を15分刻みで組み、優先順位をつけて上司と同僚にメール送信する。夕方に結果を報告し、予定とズレがあれば分析して改善、定時退社を目指す。
 推進役の人材開発部の赤木由紀さん(39)によると、当初は不満の声が上がったという。「業務日報がある」「顧客に合わせており、長時間労働は改善できない」など。しかし、変化はすぐ現れた。
 「上司の帰社を待つことが多かったが、朝に予定が流れてくるから15分のすき間に相談できる」「若手の訪問先に中堅社員が同行する例が増え、現場の教育訓練で若手が急成長した」「夜の会議開始を待つ必要がなくなった」
 業務の2割を占めた移動時間も、終了時刻を意識して行き先をまとめる工夫が見られた。また、顧客から信頼が厚く営業成績が良い社員は、こうしたことを独自にやっていたことに予定の共有で気付き、チーム力が上がった。
 ■「風土作ってほしい」
 半年後には、最も困難とされた営業部門で総労働時間の27%削減に成功。顧客訪問件数は3割も増えていた。帰宅後は趣味や自己研鑽(けんさん)の時間。子供を風呂に入れる父親もおり、「体が楽になった」との声もあった。
 赤木さんは「集中して仕事し、生活を大切にする。多様な能力を持った社員がそれぞれの能力を十分に発揮する環境と風土を作ることが、多様化するニーズに対応する付加価値の高い商品を生む」と明かす。
 育児支援のつもりが、「風土を作ってほしい」という現場の声を受けて全社員に導入が始まった働き方の見直し。企業の発展に不可欠な取り組みとして、グループ全社に業態に合わせて展開する予定だ。
                   ◇
 ■“休暇の貯金”が可能に
 「仕事と生活の調和」は、平成19年に官邸で政労使が開いた「官民トップ会議」で合意した「ワーク・ライフ・バランス憲章」に基づき、国全体の試みとなっている。
 4月施行の改正労基法では、月60時間以上の残業代の割増率を25%から50%以上に引き上げた。残業時間が長ければ長いほど経営を圧迫する。
 給与増を求めて残業することを懸念する声もあった。しかし、「残業と仕事の効率化に関する意識調査」(gooリサーチ)などでは、残業の理由のトップは「時間内に仕事が終わらない」で6割超。「残業代は生活給の一部」(35・9%)を大きく上回っている。
 厚生労働省労働基準局監督課は総務省の労働力調査結果を挙げ、「30代の子育て世代の男性のうち、2割が週60時間以上働いている」と指摘。「健康を保持しながら、労働以外の生活のための時間を確保して働き、仕事と生活の調和が取れた社会の実現が改正の目的」と説明する。
 ただ、業種や職能によって単純に労働時間を減らせない例もある。そのため、引き上げ分の残業代を有給休暇として付与する「代替休暇制度」も新設された。労使協定で可能となる、いわば“休暇の貯金”だ。
 欧米では、ニューヨークや東京、ロンドンの金融市場を見守る証券マン、事件解決まで現場に滞在する犯罪捜査官ら官民を問わず、こうした制度を活用して長期休暇を取得している。
 日本でも、そんな働き方が可能となる。
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 ≪社会保障制度に詳しい恵泉女学園大、大日向雅美教授の話≫
 「ワークライフバランスの実現が企業の成長戦略だとトップが理解し、実現に踏み切ったところは成果を上げ始めている。大手だけではなく中小もそうだ。規模が小さいからできることもある。
 その先進企業として内閣総理大臣表彰を受けた金型業『カミテ』(秋田県小坂町、従業員36人)は『多能工システム』を考案した。全社員が営業も総務も経理もできるシステムで、協力し合うことでアイデアを生み、生産ロスをなくした。その収益で企業内保育園を運営し、近くの工場からも受け入れた。上手康弘社長が『単に従業員の働きやすさを求めたのではなく、競争が激化する国際社会での生き残り策を徹底的に考えた結果、ワークライフバランスになった』と語ったのが印象的だった。
 多様な労働力を活用し、働きやすい環境づくりを進めつつ、成長戦略につなげていく。日本の未来は今、こうした企業の工夫と努力にかかっている」」


■専業主婦志向 生き方を選べる社会に
 (2010年6月9日(水)『信濃毎日新聞』)
http://www.shinmai.co.jp/news/20100609/KT100605ETI090003000022.htm
「 夫は外で働き、妻は主婦業に専念するべきだ−。こう考える若い既婚女性の割合が初めて増えた。国立社会保障・人口問題研究所が5年おきに行っている家庭の実態調査で分かった。
 69歳までの6000人余りの回答をまとめた。2003年の前回調査に比べ、“専業主婦志向”は全体で3・9ポイント増加し、45%となった。20〜40代で増え、50、60代では減っている。
 政府などの各種調査では、雇用や労働の環境の悪さを訴える若者の声が際立っている。
 専門家は、非正規労働者が増え正社員も長時間の労働で疲れていることや、家庭と仕事の両立が難しいことを要因に挙げる。
 働きにくさが背景にあるのなら、国や企業は環境の改善に一層努めなければならない。
 国はワークライフバランス(仕事と生活の調和)を唱え、育児期にある男女の労働時間を短くし、休暇を取りやすくするよう企業に求めている。保育サービスの不足をはじめ、経済的支援のあり方など課題はまだ多い。
 企業も、若い世代の声にもっと耳を傾けるべきだ。在宅で働ける仕組みを整えたり、ワークシェアリングを取り入れるといった工夫で、働き方の幅を広げたい。
 内閣府の最近の調査でも、子育て世代の7割が、安心して育児休暇を取れる職場になっていないと答えている。育児後に再就職できない、長時間労働が改善されていないとの回答も6割を超えた。
 東京大学大学院教授の瀬地山角氏は「〈家族〉の社会学」(岩波書店)で、日本で職業を持たない専業主婦が一定の数で“登場”したのは、大正時代としている。戦後の1960年代になって家電製品が普及すると、女性が社会に進出するようになった。
 専業主婦は都市部に多い傾向がある。職場と住宅の距離、家族形態の違い、夫の収入の差などが地方との違いを生んでいる。
 家事や育児を賃金に換算すると専業主婦1人当たりの平均は年276万円。そんな推計がある。単純に金銭に置き換えられるものではないけれど、それだけ経済的な価値のある仕事といえる。
 ただ、若い女性の専業主婦志向が、社会へのあきらめの反映であってはならない。それぞれの生活にあった生き方、働き方を選べる社会にしたい。女性と家庭、仕事の関係のあり方も時代とともに変わる。一人ひとりが能力と個性を発揮できる環境をどうつくっていくか。この視点が基本になる。」



■その他

◆小澤 考人 20090320 「日本版ワーク・ライフ・バランス施策の現状と問題点――欧米との対照に基づく「憲章」の検討を中心として」,『社会文化研究』11:35-60
http://japansocio-culture.com/nenpou/index.htm

◆〔特集2〕ワーク・ライフ・バランス再考
 20090130 『女性労働研究』No.53(加速する雇用破壊――生活と労働を守る闘い)pp.60-95
 ◇萩原 久美子「ジェンダー視角からの「ワーク・ライフ・バランス」政策(二〇〇三〜二〇〇七年)の検討」(60-74)
 ◇W・A・スピンクス「ワークファミリー・ボーダー理論から考える在宅勤務」(75-84)
 ◇原 伸子「ワーク・ライフ・バランス概念・論理について考える――EUにおける政策展開をてがかりに」(85-95)
http://ssww.sakura.ne.jp/kaishi.html

◆守島基博 20070903 「「ワークライフバランス」に対する三つの誤解」(ビジネススクール流知的武装講座),『PRESIDENT Online』
http://www.president.co.jp/pre/20070903/002.html

▼古田[2007]
海妻 最近はひたすらペイドの労働時間が長ければいいというのではなくて、ワークライフバランスという言葉が注目を集めているように、それ以外の、まさにサブシステンスの時間[……]少なくともそれらの時間のバランスに関心を向ける、というふうにはなってきているとは思います。けれどもそのことがいまひとつ盛り上がりに欠けるのは、そのワークライフバランスというものが正規雇用者だけの権利であることが暗黙の前提になっているからだと思います。非正規雇用の人からみると「正規雇用者のワークライフバランスを可能にするための代替要員として、私たち非正規雇用者は都合よく使われているではないか」ということになる。その声にどうこたえていくのか。
古田 その場合でいう「正規雇用者層のワークライフバランス」と言うのは、賃労働と何のバランスかというと、サブシステンスというよりも「お金を使って遊ぶ」ライフのバランスということですよね。だからもちろん、自由時間や浪費を >20> するための賃金を被雇用者の階層間で争奪しているようにかんじるということは、働いている人のリアリティーとしてあるけれども、日本にいるというだけで非正規雇用者だって、第三世界から盗っている側面もあるわけですよね。だから正規も非正規も、「相手がどれだけ他の人のペイを盗っているか」で対立しあうより、「どれだけサブシステンスを盗られているか、という点で、お互い同じ構造の中にいるじゃないか」というつながりをみつけていくように、〈運動〉の中でも考えていかないと、と思います。
(古田[2007:19-20]*)
古田睦美(聞き手・海妻径子) 20070710 「オルタナティブ・ワークの企業化にどう対抗するか」,『インパクション』158(2007-07):8-23 (特集:〈非正規化〉する対抗の場――労働ではない「お仕事」?)

◆季刊『女も男も』No.108(2006.12),女子教育もんだい編集委員会編
 特集=ワーク・ライフ・バランス――「働き方・暮らし方の二極化を問う」
http://www.rks.co.jp/pub/onna/contents/co108.html

◆萩原久美子 20060730 『迷走する両立支援――いま、子どもをもって働くということ』,太郎次郎社エディタス,304p. ISBN-10: 4811807200 ISBN-13: 9784811807201 2310 [太郎次郎社][amazon]

◆大沢真知子 20060324 『ワークライフバランス社会へ――個人が主役の働き方』,岩波書店
http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/02/7/0257580.html



■英語文献

●キャサリン・ハキム Catherine Hakim
 http://www.lse.ac.uk/people/c.hakim@lse.ac.uk/
 http://personal.lse.ac.uk/hakimc/
ロンドン大学経済政治学院(LSE)上級研究員である。社会科学雑誌に掲載された論文が80以上あり、また労働市場動向、女性問題、社会政策および研究方法に関する数々の著作がある。ハキム博士による近著には「労働市場における社会変化とイノベーション」(オックスフォード大学出版会1998年)や「21世紀のワークライフスタイル選択」(オックスフォード大学出版会2000年)、現代社会のファミリーモデル:理想と現実(アシュゲート社 2003年)がある。博士の主な現在の研究対象は、様々な文脈特に女性のワーク・ライフ・バランスの選択において行動を導くものとしてのコア・バリュー、態度、動機、中心となる人生目標である。
 http://www.jpf.go.jp/cgp/exchange/event/070526.html
   ↑
 CGP-SSRCセミナーシリーズ公開シンポジウム
 『少子化とワークライフ・ファミリーバランス:世界と日本』開催報告
 http://www.jpf.go.jp/cgp/exchange/event/report_070526.html
 http://www.rieti.go.jp/jp/special/af/041.html
 http://d.hatena.ne.jp/torinseven/20070526

 cf.「大家族」キャロリン・モイニハン 2005年9月29日(木)
 http://www.seido.jp/library/reports/060329/060329-r02.htm

◆Hakim, Catherine 2000 Work-lifestyle choices in the 21st century : preference theory, Oxford University Press. 340p. [amazon]
▽書き出し
This book proposes a new theory for explaining and predicting current and future patterns of women's choices between family work and market work, a theory that is historically-informed, empirically-based, multidisciplinary, prospective rather than retrospective in orientation, and applicable in all rich modern societies.

◆Hakim, Catherine 2003 Models Of The Family In Modern Societies: Ideals And Realities, Ashgate Pub Ltd. 282p. [amazon]
▽書き出し
Affluent modern societies offer people a widening choice of lifestyle.



◆Williams, Joan 2000 Unbending Gender: Why Family and Work Conflict and What to Do About It, Oxford University Press. 338p. [amazon]
▽From Publishers Weekly
In this theoretically sophisticated and thoroughly accessible treatise on gender, work and domesticity, Williams offers a new vision of "family-friendly" feminism that would support women in all the various roles on the worker-caregiver continuum. With special attention to the diversity of women's experience in terms of race and social class, this book challenges common assumptions about gender roles and women's choices concerning work, family and career. Arguing that the liberal feminist ideal of full equality in the workforce and the anti-feminist call to full-time domesticity do not represent a satisfactory range of options, Williams, who is the co-director of the Gender, Work and Family Project at the American University Law School, says that the time is ripe to acknowledge the "norm of parental care," and work to develop flexible employment policies that will mitigate the stresses of the work/family dilemma. The title of the book refers to the way in which our social and domestic patterns have proven more resistant to alteration than feminists had hoped, largely due to the powerful social forces that support conventional gender roles, particularly common expectations about mothers and caregiving. Williams proposes a major shift in feminist strategy, focusing on the needs of diverse families, broad recognition of the value of domestic work and an expansion of the limited scheduling options available to women and men in the workplace. Of interest to feminists, working women and caregivers as well as policy makers, this groundbreaking study presents an important new perspective on this evolving discourse. (Nov.)
Copyright 1999 Reed Business Information, Inc.

Tomlinson, Jennifer 200608 "Women's work-life balance trajectories in the UK: reformulating choice and constraint in transitions through part-time work across the life-course", British Journal of Guidance & Counselling 34(3):365-382 [Cambridge]

◆Lewis, Suzan; Lewis, Jeremy ed. 199709 The Work-Family Challenge: Rethinking Employment, Sage Pubns 192p. ISBN: 0803974698 [amazon]
[Book Description]
 In The Work-Family Challenge contributors from the United Kingdom, Europe and the United States explore the possibilities of challenging traditional employment structures to take account of contemporary work and family realities. They take a critical look at the notion of `family-friendly' employment, and explore ways in which the rapidly changing needs of both organizations and the workforce can be met.
 The volume argues that real progress requires moving the focus from specific policies and practices towards more systemic organizational change. It examines the contexts and opportunities - global, international, national, sociopolitical, legal and economic - for this change. The book concludes that positive solutions are attainable but will require a rethinking of employment, with constructive partnerships at many different levels, and with work and family as a core strategic business issue.
 This will be stimulating reading for students, academics and professionals in human resource management, industrial relations, organizational behaviour, social policy, family studies and women's studies.
◆Lewis, Suzan; Cooper, Cary L. 20050114 Work-Life Integration: Case Studies of Organisational Change, John Wiley & Sons Inc 188p. ISBN: 0470853433 [amazon]
◆Gambles, Richenda; Lewis, Suzan; Rapoport, Rhona 20060428 The Myth of Work-Life Balance: The Challenge of Our Time for Men, Women and Societies, John Wiley & Sons Inc 134p. ISBN: 0470094613 [amazon]

→●Lewis, Suzan
 http://mubs.mdx.ac.uk/staff/Personal_pages/Suzan2/index.htm

◆Lockwood, Nancy R. 20070630 Work/Life Balance: Challenges And Solutions, Society for Human Resource ISBN: 1932132066 [amazon]


*作成:村上 潔
UP:20070615 REV:0620, 1016, 1018, 1121, 20080221, 0409, 0503, 0527, 0606, 1008, 20090304, 0406, 20100519, 0603, 0610

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