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医療・福祉の仕事


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last update:20161008


■目次

生存学関係者の成果 ◇関連事項 ◇ウェブサイト ◇全文掲載
立岩による文章 ◇ソーシャルワーカー ◇専門家・専門性
介護福祉士 ◇福祉の仕事の法律 ◇関連文献(発行年順)


■生存学関係者の成果[PDFあり]

立命館大学生存学研究センター 編 20150331 『生存学』Vol.8,生活書院,330p.  ISBN-10: 4865000364 ISBN-13: 9784865000368 2200+tax  [amazon][kinokuniya] ※
『生存学』Vol.8

立岩 真也堀田 義太郎 20120610  『差異と平等――障害とケア/有償と無償』,青土社,342+17p.  ISBN-10: 4791766458 ISBN-13: 978-4791766451 2200+110  [amazon][kinokuniya] ※ w02, f04
『差異と平等――障害とケア/有償と無償』

渋谷 光美 20100331 「在宅介護福祉労働としての家庭奉仕員制度創設と、その担い手政策に関する考察」,『Core Ethics』6:241-251 [PDF]
田島 明子 20100331 「作業療法の現代史2・1976 〜 1980」,『Core Ethics』6:551-562 [PDF]

安部 彰堀田 義太郎 編  20100226 『ケアと/の倫理』,立命館大学生存学研究センター,生存学研究センター報告11, 258p.  ISSN 1882-6539 ※

安部 彰有馬 斉 編  20090319 『ケアと感情労働――異なる学知の交流から考える』,立命館大学生存学研究センター,生存学研究センター報告8, 248p.  ISSN 1882-6539 ※

田島 明子 20080331 『Core Ethics』4:175-191
 「作業療法の現代史・1965〜1975――医療職化と独自性のはざまで」 [PDF]
樋澤 吉彦 20080331 『Core Ethics』4:305-317
 「心神喪失者等医療観察法における強制的処遇とソーシャルワーク」 [PDF]
坂下 正幸 20080331 『Core Ethics』4:437-456
 「音楽療法士の労働実態と生活に関する一考察――いま音楽療法の臨床で起こっていること」 [PDF]

坂下 正幸 20070331 『Core Ethics』3:165-180
 「音楽療法における専門性と資格化をめぐる言説」 [PDF]

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■関連事項

欠格条項 ◇音楽療法
労働 ◇非正規雇用  ◇有期労働契約(有期雇用) ◇外国人労働者/移民

社会福祉士 ◇介護福祉士(↓)
児童福祉士 ◇児童委員
医療ソーシャル・ワーカー(MSW)
精神科ソーシャルワーカー(精神保健福祉士)/臨床心理技術者

医師 ◇看護師 ◇助産師 ◇保健師
言語聴覚士(ST) ◇理学療法士(PT) ◇作業療法士(OT)
臨床検査技師 ◇薬剤師

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■ウェブサイト

◆医療安全支援センター総合支援事業
 http://www.anzen-shien.jp/
◆医療機能情報提供制度(医療情報ネット)
  http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/
◆公益財団法人 日本医療機能評価機構
 http://jcqhc.or.jp/
◆公益財団法人 日本医療機能評価機構 認定病院患者安全推進協議会
 https://www.psp-jq.jcqhc.or.jp/
◆認定NPO法人 ささえあい医療人権センターCOML(コムル)
 http://www.coml.gr.jp/
◆一般財団法人 日本医療教育財団
 http://www.jme.or.jp/

 

 

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■全文掲載

児玉 真美 2006/12/** 「輸入される介護労働“現代の奴隷制”とも」『介護保険情報』2006年12月号

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■立岩による文章

『弱くある自由へ』「遠離・遭遇」より

 「6 「専門性」を根拠にしないこと
 フルタイムの一生の仕事でだけある必要はないと述べた。次に、例えばこれは「素人」のする仕事ではなく「専門家」の仕事だというように、この仕事――もう一つ加えるとすれば「看護」という仕事だろう――について「専門性」が持ち出され、語られることがあるのだが、これをどう考えるか。
 まず「専門職」とはその「資格」が規定された仕事であるという理解が一つある。しかし、資格とは[…]
 次に専門性の特徴、意義として、その仕事の中身についての「自律性」があげられることがある。しかし、[…]
 そして、[…]他の人、「素人」にはできない仕事という意味で「専門性」という言葉が使われる。[…]」

◆2002/06/01「だれにとってのなんのための、資格?」
 『ばんぶう』2002-06(日本医療企画)
 http://www.jmp.co.jp
◆1999/10/30「資格職と専門性」
 進藤雄三・黒田浩一郎編『医療社会学を学ぶ人のために』,世界思想社,pp.139-156
 http://www.sekaishisosha.co.jp
 【了:19981207】 35枚
◆1999/04/26「看護の質の保証と専門性――改めて看護の「専門性」を問う」
 (鼎談:中木高夫・立岩真也・山内豊明)
 『医学界新聞』2336:9-11(医学書院)
 以下で全文が読めます
 http://www.so-net.ne.jp/medipro/igak/new/news/n1999dir/n2336dir/n2336_09.htm
  http://www.igaku-shoin.co.jp/new/news/n1999dir/n2336dir/n2336_09.htm
◆1998/02/22「利用者からみる福祉専門職」(与えられた題)
 21世紀の福祉専門職を考える会 設立1周年記念 第1回公開討論会
 連続テーマ:保健・医療の動向と福祉専門職のありかたを考える
 於:上智大学 配布資料
◆1997/10/25「専門性がなんのやくに立つのか?」(講演)
 第22回北信越医療ソーシャルワーカー研究会・講演
 『抄録集』に書いた文章もありますが
 当日配布した文書の方がしゃべった内容に近いです
◆1997/06/07「ピア・カウンセラーという資格があってよいとしたら,それはどうしてか」
 全国自立生活センター協議会・協議員総会 シンポジウム
 「報告要旨」,『全国自立生活センター協議会協議員総会資料集』

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■ソーシャルワーカー

◇[英]social worker
 社会福祉実践において、専門的な知識と技術と価値観を持って社会福祉サービス利用者の相談に応じ援助を行う社会福祉専門職をいう。わが国では社会福祉士がその代表的な資格である。ソーシャルワーカーの要件は、属性モデルによれば、(1)体系的な理論、(2)伝達可能な技術、(3)学歴かテストによる社会的な承認、(4)職能団体、(5)倫理綱領、(6)公の福祉という目的などがあることである。 秋山智久
 『福祉社会事典』p.661

◇social worker
 社会福祉施設・機関、あるいは医療機関や学校などにおいて、専門的知識と技術、価値観をもって、社会福祉サービス利用者の相談・援助や社会資源の活用、地域への援助を行う社会福祉専門職をさす。わが国における、ソーシャルワーカーにかかわる国家資格としては、1987年に社会福祉士、97年には精神保健福祉士が創設されている。利用者の主体性を尊重しながら、人と環境の相互作用に着目し、両者の適合を図っていくことを役割としている。  『現代社会福祉辞典』,有斐閣,20031110,p.301

http://ja.wikipedia.org/wiki/ソーシャルワーカー

◇国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)のソーシャルワークの定義
 2000年7月27日モントリオールにおける総会で採択
 http://www.jacsw.or.jp/data/file/html/011109.html

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■専門家/専門性

以下三島[1999:9-10,25-26](表は略)

 「1915年、アメリカ・ボルチモアで開かれた全国慈善・矯正事業大会(National Conference of Charities and Correction)において、「ソーシャルワークは専門職か?」(Flexner[1915:576-590])が発表された。この報告は、エブラハム・フレックスナー(Flexner,A.)によってなされたが、彼はこの短い「論文一つによって、その名は社会事業界に遍く知れわたっている人」(田代[1974:68])である。
 「その後の社会福祉専門職の研究に原点の位置を占めるかのように、多大な影響を与え続けてきた」(秋山[1988:85])といわれるこのフレックスナー講演は、社会福祉学の基礎知識として、社会福祉の専門家たるものは頭に入れておかなくてはならない事項である。なかでも、フレックスナーの功績として専門職が成立するための「6つの属性」を明確に提示したことが注目される(田代、[1974:68]秋山[1988:85]、NASW[1995:2584-2585]奥田[1992:67]などで引用される)。その専門職の規準とは次のようなものである。

@ 基礎となる科学的研究(基礎科学)のあること1)
A 知は体系的で学習されうるものであること
B 実用的であること
C 教育的手段をこうじることよって伝達可能な技術があること
D 専門職団体・組織を作ること
E 利他主義的であること2)

 これらは医学を完成された専門職のモデルとして提示されたといわれるが、フレックスナーの主張にインパクトがあったのは、なによりもこのモデルに準拠してソーシャルワークは専門職ではないという結果を導いたことである。フレックスナーはこれら属性を掲げた後で、「現段階でソーシャルワークは専門職に該当しない」(Flexner[1915:588])と結論づけた。当時、アメリカでは社会福祉を専門に教える学校は既に設立され、「専門的」な教育がそこで施されつつあるという認識があったばかりに、このことは社会福祉従事者を専門職化させようと試みる人々にとっては衝撃的なものであった(田代[1974:68]、小松[1993:28-29])。
 いや、そればかりではない。爾来、専門職化のためには、考案された「専門職として承認されるための条件」(フレックスナーの場合は例の「6つの属性」)を充たしていく過程を歩んでいくべき、という暗黙のルールが社会福祉学という場を支配していくことになる。▲09▲フレックスナーに準拠した論理展開によって「専門職化」を推し進めた人物としてグリーンウッド(Greenwood, E.)やミラーソン(Millerson, G.)などがあげられる。彼らの社会福祉の専門職化に関する研究も、フレックスナー「神話」(Austin[1983])の世界のなかでくりひろげられた議論であったといえよう。
 グリーンウッドは1957年に「専門職の属性」を発表し、独自に5つの属性(Greenwood[1957:44-55])3)を掲げた後で、「ソーシャルワークはすでに専門職である」と結論づけた。このフレックスナーと正反対の結論にも、フレックスナーの影響をうかがうことができる。なぜなら、フレックスナーの講演は、「発展する社会福祉学」(発展しゆくイメージについては、第3節参照)を運命付けたのであるが、グリーンウッドはその運命に従って、いよいよ社会福祉も専門職に昇格する時期にきたという判断を下したにすぎないからである。
 しかしながら、グリーンウッドが独自の専門職の基準を設け、既に当時のソーシャルワーカーはそれらの基準を充たしているため、専門職であると述べたことは人々の認識に基づいていた。1952年にソーシャルワーク教育協議会(Council on Social Work Education:CSWE)が結成され、ソーシャルワーク教育についての全米的な責任を持つものとなったほか、1955年に7つの社会福祉団体が統括され4)、全国ソーシャルワーカー協会(National Association of Social Workers:NASW)が組織された。このグリーンウッドの論文が合併して間もないNASWの機関紙“Journal of Social Work”に発表されたことも、一つの完成された学問体系に立脚しているように思われる。
 1967年に東京都社会福祉審議会が東京都知事に対して提出した答申「東京都における社会福祉制度のあり方に関する中間報告」のなかで、ミラーソン(Millerson, G.)の概念が用いられ、日本では彼の6つの属性が普及している(秋山[1988:86-87])。1964年に発表された「資格化団体 ―専門職化の研究」は、専門職を属性で把握し、専門職になるためにそれぞれの条件を充たすよう促す5)。ここでは条件として、「テスト合格」という用件が加えられていることが注目されている6)。しかしながら、この論文においても、属性モデルを規準とする基本的な姿勢はフレックスナーやグリーンウッドと大差ない。それは、ブラウン(Brown, E.L.)の掲げた属性7)にしてもまたしかりである。その他にも、多くの研究者が専門職性について言及したが、奥田のおこなった比較一覧表を参照したい。」

2) 場合によっては、この6つの規準に加えて「専門職の集団に属する人々は、常規的・機械的なものではなく、知的な過程にたずさわるものであり、またかかる知的な仕事をなす際に個人的責任を負うもの」(岡本[1988:60])があげられることがある。ちなみに“Encyclopedia of Social Work”(NASW[1995:2585])では6つとなって▲25▲いるが、論文ではしばしば強調される点であることを考慮すると、この7つめの属性も重要であろう。
3) ここで、グリーンウッドは@体系的な理論、A専門職的権威、B社会的承認、C倫理綱領、D専門職的副次文化(サブカルチャー)という5つの属性を示している。
4) 全米ソーシャルワーカー協会職業安定所(1917年、後に全米ソーシャルワーカー協会)、アメリカ病院ソーシャルワーカー協会(1918年、後にアメリカ・メディカル・ソーシャルワーカー協会)、全米訪問教師協会(1919年、後に全米スクール・ソーシャルワーカー協会)、アメリカ精神医学ソーシャルワーカー協会(1926年)アメリカ・グループワーク研究協会ソーシャルワーカー(1936年、後にアメリカ・グループワーカー協会)、アメリカ・コミュニティーオーガニゼーション研究協会、ソーシャルワーク調査グループ(1949年)の計7団体が合併された。
5) ミラーソンが掲げる専門職の属性とは、@公衆の福祉という目的、A理論と技術、B教育と訓練、Cテストによる能力証明、D専門職団体の組織化、E倫理綱領の6項目である(秋山[1988:87])。
6) しかしながら、「6つの属性」のなかにあげていなかったからという理由だけで、フレックスナーが「テストによる能力証明」を支持しないと結論づけるのは短絡的である。彼の医学における「専門職」観は、何らかの資格制度を前提とするものである。
7) ブラウンは専門職の特性として、@高度の個人的責任を伴う知的操作の使用、A学習可能性、B専門化された規準を通じて、伝達されうる技術の保有、Cその諸規準の向上と利益の増進とのための団結化の傾向をもつ、Dそれは理論的たるにとどまらず、その目的、及び目標において、実際的なもの(岡本[1988:62])をあげている。
8) 岡田藤太郎はすでに1972年に「ソーシャルワークの専門性の特性を、一口で言って拡散性とあらわしてみたらどうかと思う」(岡田[1977:164-169])として、5つの拡散性(@ソーシャルワークの適用される対象領域の拡散性、Aその適用の多様性、Bその技術の非純粋性、Cその基礎とする学問の多様性、D専門職業性)を提示し、それを積極的な方向で認識するよう主張している。

 「グリーンウッドは体系的な理解、専門職的権威、社会的承認、倫理綱領、専門職的な副次分化からなる5つの「専門職の属性」をあげ、「専門的な関係では、専門家がクライエントにとって何が善く、何が悪いかを指示するが、クライエントは選択をせず、専門的な判定に同意するだけである」(Greenwood[1957=1972:184])と主張する。」(三島[1999:71])
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■介護福祉士

◆1996/08/29 「社会福祉士試験及び介護福祉士試験の受験資格の見直しについて」
 厚生省社会・援護局

●文献

『月刊福祉』1997-3 特集:社会福祉の専門職制度の今後──社会福祉士及び介護福祉士法制定10年

●法律

社会福祉士及び介護福祉士法(1987.05.26 法律第30号)
社会福祉士及び介護福祉士法施行令(1987.12.15 政令第402号)

 業務−専門知識と技術を持って、身体もしくは精神の障害があるもの
    や何等かの理由で日常生活に支障があるものに、日常生活の介
    護を行い、並びにその者とその者の介護者に介護の指導を行う。
 資格−@社会福祉士及び介護福祉士法第39条に基づく養成施設(注3)
    を卒業したもの 
    A一定の実務経験を有し、介護福祉士試験に合格したもの
    介護にかかわる技能検定に合格したもの
  *名称独占   

●関連団体

◆日本介護福祉士会

●文献

◆古瀬 徹 1987 「ケアワーカーの専門性と独自性──「介護福祉士」創設の意義と今後の課題」、『社会福祉学』41(社団法人鉄道弘済会)

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■福祉の仕事の法律

●介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律+施行令(1992法63・政233)

 ◆介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律(19920527法律第63号)
 ◆介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行令(19920626政令第232号)

●社会福祉士及び介護福祉士法+政令(1987.05.26 法律第30号)

 ◆社会福祉士及び介護福祉士法(1987.05.26 法律第30号)
 ◆社会福祉士及び介護福祉士法施行令(1987.12.15 政令第402号)

 1992/08/01

★以下はNIFTY-Serve→FHAND→会議室15「福祉制度とADA」より転載したものです。
                           (1992.08.01 立岩真也)

040/040 PAF03701 UAY RTの補足、社会福祉の資格など
( 5) 92/08/01 19:24

<<長文注意>>

 RTで社会福祉に関わる資格制度(職務内容、どのようにすれば資格が得られるのか等)について質問を受けました。簡単にRTでは答えておきましたが、意をつくせない部分が多々ありましたので、この場を借りて補足したいと思います。

テレビ番組の影響もあり、ソーシャルワーカーになりたい、と思う人が増えているのでしょうか。しかしながら社会福祉の専門職(資格制度)はまだ整備されていない、というのが現状です。
 この理由は、単に「遅れている」ためばかりでなく、社会福祉の職務内容が、他の専門職と比べ独自性が薄い部分を持っているためで、社会福祉の本質にかかわっています。極論ですが、学生や主婦のボランティアが十分にかかわれるわけです。専門の勉強をした新卒者よりも生活経験の豊かな年輩者の方がケアはうまいというのは普通に見られることです。これがたとえば、医療や訴訟の分野ならば資格のない人はまずかかわれません。これが社会福祉の専門(職)性の議論を難しくしている背景です。ぼくも高度な専門職化は無理でしょうし、現実的ではないと思っています(せいぜい名称独占程度か)。
 それでも最近の傾向としては専門資格制度を整備していこうという流れにあって、社会福祉士・介護福祉士が国家資格として制度化されました。現場で働いている人のことを思うと身分保証にもなり良い傾向と言うべきでしょう。
 では社会福祉にかかわる主な資格を列記します。
保母、施設指導員、生活指導員、保健婦、看護婦、社会福祉主事、家庭奉仕員(ホームヘルパー)、理学療法士、作業療法士、医療ソーシャルワーカー、社会福祉士、介護福祉士などで、これに医師や栄養士も加えることができます。
 この内、医療関係を除いた資格について説明します。

・保母  職務−児童福祉施設において児童の養育にあたる。 男性可  資格−@厚生大臣の指定した保母養成学校(専門学校、短大、通教等) 要件  を卒業したもの 
   A保母試験に合格したもの 
 *業務独占  

・社会福祉主事 業務−福祉事務所にあって、生活保護、児童福祉、母子福祉、老人
           福祉、身体障害者福祉、精神薄弱者福祉に関する都道府県知
           事及び市町村長の行う事務を補助する事務吏員又は技術吏員。
            援護が必要な個人や家庭を面接し、調査し、保護の措置の
           有無を判断し、生活指導等を行う。
        資格−@大学において厚生大臣の指定する科目31科目中3科目を
        要件  修めて卒業すること(科目別掲:注1)
           A厚生大臣の指定する養成機関、講習会の課程を修了する
           B厚生大臣の指定する社会福祉事業従事者試験に合格する
            (この試験は行われたことがない) 
 *理解されるように社会福祉主事は任用資格で、社会福祉系の大学を卒業すれば、
  この任用資格(主事になれる資格)がもらえるが、公務員となり福祉事務所で働
  かなければ社会福祉主事にはなれない(任用資格が活かせない)。

・施設指導員 業務−施設利用者のケアを主に行う。
       資格−施設によって若干の違いがあるが、例えば児童施設では、
       要件 @厚生大臣の指定する養成機関を卒業したもの
          A大学で心理学、教育学、社会学を修めたもの
          B高卒あるいは同等の資格をもち、2年以上、児童福祉事業に
           従事したもの
          C教員免許を有し、厚生大臣、都道府県知事が適当と認定した
           もの
          D3年以上児童福祉事業に従事し、厚生大臣、都道府県知事が
           適当と認定したもの

・生活指導員 業務−施設において利用者のケア及び生活指導を行う。
       資格−精神薄弱者施設の生活指導員は、
       要件 @大学で心理学、教育学、社会学を修めたもの
          A高卒あるいは同等の資格をもち、2年以上精神薄弱者福祉事
           業に従事したもの
          B精神薄弱者の更生援護に関し相当の学識経験を有すると認め
           られるもの
          その他の生活指導員については特に資格要件の規定はない。 
          ただ、実際には社会福祉主事の任用資格(つまり大学等で社会
          福祉関係の科目を修める)があれば待遇の面で違う。

・家庭奉仕員(ホームヘルパー)
       業務−障害(老人、身体障害者、心身障害児、精神薄弱者、被爆者)
          をもった家庭に派遣され、家事、介護、相談、助言等のサービ
          スを行う。
       資格−特別な資格要件はない。ただし、次のような規定が通知にある。
       要件 @心身ともに健康であること
          A社会福祉に関し、理解と熱意があること
          B家事、介護の経験を有し、相談助言の能力を有すること
     *事前の養成機関はなく、年に1回(1−2日程度)の研修が定められて
      いる。

・理学療法士(PT)
       業務−身体の障害を持つものに対して、医師の指示により、治療体操、
          運動、電気刺激、マッサージ、温熱等の物理的方法を与え、基
          本動作の回復をはかるものをいう。
       資格−理学療法士学校、養成施設卒業者で国家試験に合格したもの
       要件

・作業療法士(OT)
       業務−身体や精神の障害を持つものに対して、医師の指示により、手
          工芸などの作業を行わせ、応用動作の回復、社会適応能力の回
          復をはかるものをいう。
       資格−作業療法士学校、養成施設卒業者で国家試験に合格したもの
       要件
     *PT、OTは名称独占

・医療ソーシャルワーカー(MSW)
       業務−医療チームの一員として社会保障や社会福祉制度などの社会資
          源を活用して、患者とその周りの環境を調整し、安心して療養
          生活を送れるように援助するとともに、患者の健康回復や社会
          復帰の援助を行う。病院と地域、関係諸機関との連携をはかる
          など重要な役割を担っている。
       資格−資格制度がなく特別な要件はない。日本医療社会事業協会が資
       要件 格の制度化に向け運動を進めている(某団体が反対している)。
          求められる業務は比較的高度であり、医学の基礎知識と社会福
          祉の知識の双方が求められよう。

・社会福祉士 業務−専門知識と技術を持って、身体もしくは精神の障害があるもの
          や何等かの理由で日常生活に支障があるものに、福祉に関する
          相談に応じ、助言、指導その他の援助を行う。
       資格−厚生大臣が行う社会福祉士試験(年1回)に合格したものであ
       要件 って、社会福祉士登録簿に登録されたもの
      <受験資格>       
         @社会福祉士及び介護福祉士法第7条に基づく養成施設(注2)
          を卒業したもの 
         A同7条に定められた実務経験を有するもの
     *名称独占

・介護福祉士 業務−専門知識と技術を持って、身体もしくは精神の障害があるもの
          や何等かの理由で日常生活に支障があるものに、日常生活の介
          護を行い、並びにその者とその者の介護者に介護の指導を行う。
       資格−@社会福祉士及び介護福祉士法第39条に基づく養成施設(注3)
           を卒業したもの 
          A一定の実務経験を有し、介護福祉士試験に合格したもの
          B介護にかかわる技能検定に合格したもの
     *名称独占   

 この他に民生委員、児童委員が社会福祉に係るが名誉職的色彩が濃く、ここでとり
あげる資格制度にはなじみません。また、母子相談員、身体障害者相談員、精神薄弱
者相談員という専門職は資格要件というものはなく、実務経験者や当事者(障害者本
人や親など)から適任者をあてています。

 ここでの問題は障害者の職域として「社会福祉の現場」はどうか、という問題でし
ょう。当事者の意見を反映した制度運営には障害者のコミットは当然ですが、現状で
はそう多くはないようです。個人的に知っている人も数名です。
 資格制度がはっきりせず、福祉採用枠の公務員ルートが中心であったからでしょう
が、資格制度が整ってくるに従い、可能性は大きく開けるはずです。その場合、実習
のやり方、受け入れ先、その評価など未解決の問題が浮上し、現行の専門教育制度の
問題も提起されるでしょう。可能性の追求はすべきでしょう。

注釈は後で・・・・


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■関連文献(発行年順)

◆Flexner, A. 1910 Medical Education in the United States and Canada:A Report to the Carnegie Foundation for the Advancement of Teaching,4,The Carnegie Foundation for the Advancement of Teaching.
◆―――――  1915 ‘Is Social Work a Profession?’,National Conference of Charities and Correction,Proceedings.
◆―――――  1960 Abraham Flexner:An Autobiography
◆秋山 智久  1971 「社会福祉専門職の研究――専門職をめぐる諸概念と成立の条件について」、『四国学院大学論集』、22、四国学院大学文化学会
◆秋山 智久  1975 「米国における社会福祉専門職の現状と展望――非専門職化の流れの中で」、『社会福祉研究』、17、財団法人鉄道弘済会
武見 太郎 19821021 『ベッドでつづった病人のための病人学』,実業之日本社,217p. ASIN: B000J7VZAI \1029 [amazon] ※ r06 w03 0y/a01
◆Austin,D.M. 1983 ‘The Flexner Myth and the History of Social Work’,Social Service Review,57-3,The University of Chicago.
◆Brauns, H.- J.and Kramer,D. 1986 Social Work Education in Europe:A Comprehensive Description of Social Work Education 21 Europian Countries,=1987、古瀬徹・京極高宣監訳、『欧米福祉専門職の開発――ソーシャルワーク教育の国際比較』、全国社会福祉協議会
◆秋山 智久  1987  「『社会福祉士及び介護福祉士法』法制化の過程と課題」、『月刊福祉』 、 70-9、全国社会福祉協議会 
◆秋山 智久  1988 「社会福祉専門職と準専門職」、仲村他編[1988:84-97]
◆地域医療振興協会・自治医科大学地域医学研究会 編 19911128 『今日と明日のへき地医療』,講談社,222p. ISBN-10:4062051516 \1528 [amazon][kinokuniya] w03
◆森 寿子 19921101 『改訂版 重度聴覚障害児の音声言語の獲得――9歳の壁の打破 聴覚活用法からの言語教育理論の提言』, にゅーろん社, 179p.  ISBN-10: 4891080256 \7000
◆草薙 進郎・四日市 章編 19960715 『聴覚障害児の教育と方法』, コレール社, 270p. ISBN-10: 4876371784 ISBN-13: 978-4876371785 [amazon]
◆吉岡 博英・四日市 章・立入 哉 編 19960801 『聴覚障害教育情報ガイド』, コレール社, 234p. ISBN-10: 4876371792 ISBN-13: 978-4876371792 [amazon]
森川 美絵 1998
 「「参加型」福祉社会における在宅介護労働の認知構造――ジェンダー,二重労働市場,専門化の観点から」
 山脇直司・大沢真理・大森■・松原隆一郎編『現代日本のパブリック・フィロソフィ』,新世社:396-418
◆三島 亜紀子 1999 「社会福祉の学問と専門職」*,
 大阪市立大学大学院修士論文
◆『月刊福祉』 19990301 特集:福祉改革のなかで福祉専門職を検証する
 『月刊福祉』82-03(1999-03) 971
◆『ノーマライゼーション 障害者の福祉』 19990901
 特集:社会福祉専門職の動向
 『ノーマライゼーション 障害者の福祉』19-09(218) 800 ◆『季刊福祉労働』84号(1999年9月25日) 定価1200円+税
 特集 医療・福祉における専門職の専門性とは
◆丸山 博/自治体に働く保健婦のつどい 編 20000122 『保健婦とともに――21世紀の保健婦を考える』,せせらぎ出版,265p. ISBN-10: 4915655911 ISBN-13: 978-4915655913 2000 [amazon][kinokuniya] ※ ms.
近藤 誠 20000201 『本音で語る!――よくない治療ダメな医者』,三天書房,351p. ISBN:4883460479 ISBN-13: 9784883460472 \1680 [amazon] ※
◆小島操子・田中京子 編 20000615『看護のコツと落とし穴〈3〉外科系看護』,中山書店,197p ISBN-10:4521600611 \2700 [amazon][kinokuniya] ※ f02, w03
杉野 昭博 200103 「大学における福祉専門職教育――迷走する資格制度と養成課程」
 『関西大学社会学部紀要』32巻3号 pp.299-315
 http://ipcres1.ipcku.kansai-u.ac.jp/~suginoa/ronbun/200103.htm
近藤 誠 20020830 『成人病の真実』,文芸春秋,253p. ISBN:4163588302 ISBN-13:9784163588308 \1500 [amazon] ※
近藤 誠 20030920 『大学病院が患者を死なせるとき――私が慶応大学医学部をやめない理由』,講談社,396p. ISBN:4062567784 ISBN-13: 9784062567787 882 [amazon] ※
◆ドクターズマガジン編 20031113 『日本の名医30人の肖像』,阪急コミュニケーションズ,373p. ISBN-10: 4484032236 ISBN-13: 978-4484032238 [amazon]
◆田中 マキ子 20050325 『看護教育の病理――バーンアウト再生産のしくみ』,多賀出版,240p. ISBN-10:4811570219 ISBN-13:978-4811570211 \6090 [amazon][kinokuniya]※ c04
◆土屋 典子・大渕 修一・長谷 憲明 200606 『ケアプランのつくり方 サービス担当者会議(ケアカンファレンス)の開き方 モニタリングの方法――改正・新制度の重要ポイントを解説!(居宅介護支援専門員のためのケアマネジメント入門 (1))』,瀬谷出版,199p. ISBN-10: 4902381087 ISBN-13: 978-4902381085 1943 [amazon]  b
◆藤井 ひろみ 著 桂木 祥子・はた ちさこ・筒井 真樹子 編 200703 『医療・看護スタッフのためのLGBTIサポートブック』,メディカ出版,158p. ISBN-10:4840420939 ISBN-13:978-4840420938 2310 [amazon]
◆堤 荘祐 編 20080410 『−実践から学ぶ−子どもと家庭の福祉』,保育出版社,230p.ISBN 978-4-938795-69-6 2600(本体2477)
◆菊井 和子・大林 雅之・山口 三重子・斉藤 信也編 20080925 『ケースで学ぶ 医療福祉の倫理』,医学書院,165p. ISBN-10:426000736X ISBN-13:9784260007368 \2310 [amazon][kinokuniya] ※ ms, a06h, w03 (新規)

※は立岩研究室にあり


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*作成:金城 美幸北村 健太郎
REV:....20050429 20080818 0910, 20090421, 0710, 0714,0817,20100417,28, 20131207,20161002,1008
生活・生存  ◇労働  ◇外国人労働者/移民  ◇事項
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