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労働関連ニュース 2008年9月6日から10日



◆都が継続雇用の動きをけん制 自治体ワーキングプア
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2008091102000102.html
東京都の荒川区を皮切りに広がり始めた自治体非常勤職員の昇給制度に、総務省が「雇用の継続化につながりかねない」と難色を示している。年収二百万円余りの非常勤職員らがワーキングプア脱出の糸口にと期待をかけている制度だけに「格差を固定する仕打ち」と批判の声が集まる。華々しく始まった自民党の総裁選。「うなるほど金がある」と吹聴する候補者らは、これほどまでに追い詰められた労働最前線の実態を知るか。

◆外国人雇用状況の届出状況について(速報)
 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/09/h0908-3.html
外国人雇用状況の届出制度については、昨年の第166回通常国会における「雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改正する法律(平成19年法律第79号)」の成立・公布を受け、平成19年10月1日から施行されている。

同制度は、外国人労働者の雇用管理の改善や再就職支援を図ることを目的に、すべての事業主に対し、外国人労働者(特別永住者、在留資格「外交」・「公用」の者を除く。)の雇入れ又は離職の際に、当該外国人労働者の氏名、在留資格、在留期間等について確認し、厚生労働大臣(ハローワーク)へ届け出ることを義務付けるものである。

平成19年10月1日時点で現に雇い入れている外国人労働者については、経過措置として、本年10月1日までに届け出ることとなっているため、全容の把握は10月1日までの届出を待つこととなるが、これまでの届出状況をみると6月末時点で雇用されている外国人労働者数は338,813人、雇用している事業所数は57,026事業所となっている(速報値。詳細は別添)。

経過措置の期限が近づいている中、専門的・技術的分野の外国人労働者を中心に、まだ届出の行われていない者も相当数存在していることが推測されるところ、厚生労働省においては、制度の一層の周知と関係者の協力が必要と考えているところであり、本省や各地方労働局において、パンフレットや各ホームページ(本省HP:http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/gaikokujin-koyou/index.html)を通じ届出の呼びかけを行っているほか、改めて事業主に対し同制度を周知し、その履行を確保するため、経営者団体、各種業界団体、地方自治体等約250団体あて周知協力依頼を行っているところである。

◆民間と契約の刑務所、9割が「偽装請負」状態
 http://www.asahi.com/national/update/0909/OSK200809090108.html
07年度に民間会社に業務を請け負わせた刑務所や拘置所など全国72の刑事施設のうち、約9割の64施設が請負会社の従業員を直接指揮したり、勤務時間を定めたりしていたことが、朝日新聞社の法務省への情報公開請求でわかった。直接雇用や派遣の契約を結んでいない労働者の労務管理は「偽装請負」にあたり、労働者派遣法などに抵触する。同省は各施設に改善を指導した。
労働者派遣法は、請負会社の従業員を直接指揮・監督する場合、受け入れ会社は労災防止などの安全管理責任を明確にするため、「派遣契約」を結ぶよう定めている。しかし、64施設は、実態は施設側の指示で働く派遣労働者なのに、労務管理を請負会社に任せねばならない業務請負契約しか結んでおらず、「偽装請負」の状態だった。

兵庫労働局は昨年12月、業務請負契約で働いていた事務員や管理栄養士を直接指揮し、勤務時間も管理していたとして、労働者派遣法に基づいて神戸刑務所に是正を指導。これを受け、法務省が全国の72刑事施設(刑務所53、拘置所7、少年刑務所8、医療刑務所4)を調査した。

この結果、07年度、71施設が総務や受刑者の処遇部門で主に人材派遣会社に業務を請け負わせ、510業務で従業員の派遣を受けていた。従業員に直接指示や命令をしていたのは45施設計241業務、勤務時間を定めていたのは59施設計434業務、勤務状況の管理は28施設計245業務に上った。また、60施設では請負会社の業務管理責任者が常駐していなかった。

このうち刑務所では、53施設のうち47施設で直接指示などが見つかった。

法務省矯正局は調査結果をもとに今年2月、請負会社側の業務管理責任者を定め、常駐させるように各施設に指示した。管理責任者を通じて、請負会社の従業員に指示を出すという。担当者は「業務請負契約が年々増える中で各施設ともチェックが甘くなっていた」と話している。(宋光祐)

◆偽装請負告発者の雇い止め 正社員化の指導強めよ 厚労省に労働者・野党が要請
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-09-09/2008090906_01_0.html
偽装請負の是正に反して直接雇用した労働者の雇い止めが相次いでいる問題で、日本共産党、民主党、社民党の野党三党が労働者と一緒に八日、国会内で厚生労働省に対して、派遣先が正社員で雇い入れるなど指導の強化を求めました。
正社員化への指導を求める「偽装請負を内部告発する非正規ネット」の要請に背を向ける同省の姿勢をただそうと開いたもので、日本共産党から小池晃、大門実紀史、山下芳生の各参院議員、佐々木憲昭衆院議員が参加しました。

各党の代表は、告発者が雇い止めされるなどの実態を示し、是正指導で雇用の安定がはかられていないと批判し、責任を果たすよう求めました。

職業安定局の大槻勝啓次長は、告発者に対する雇い止めについて「不利益扱いはあってはならない」としながらも、民間の契約関係を理由に長期雇用の指導などはできないと答えました。

これに対し小池氏は「雇い止めは許されない。雇用の安定をはかるための行政指導は法の趣旨にのっとった指導だ」と指摘。大門氏は「偽装請負の上に雇い止めするとは二重の違法であり、(放置して)すまされるのか」と批判。山下氏は、「現行法でも、やろうと思えば指導はできる」とのべました。

組合員への雇い止めとたたかうキヤノン非正規労働者労働組合宇都宮支部長の大野秀之さんは、栃木労働局が「直接雇用された時点で雇用は安定されたと判断している」と無責任な姿勢をとっていることを指摘し、解雇を撤回させ、雇用を守る指導を求めました。

◆働けど:’08蟹工船/番外編 役所支える「非正規」
 http://mainichi.jp/life/job/news/20080909ddm013100110000c.html
自治体の財政難などに伴い職員数の削減が進むなか、非正規職員が増え、いまや職員全体の5割を超す自治体も現れている。しかし、正規職員(公務員)とほぼ同じ仕事をしながら、半年や1年など短期の契約を何度も繰り返し、年収は200万円に満たないケースも少なくない。「安定」が売り物の役所を、条件の厳しい非常勤職員が支える実態を見た。【有田浩子】
◇予算上は物品費扱い、待遇厳しく
大阪府南部の自治体で図書司書として働く女性(39)は勤続7年。2年前にパートから非常勤になり時給910円から月額報酬制になったが、社会保険料などを引かれると手取りは月13万円。年金暮らしの父親と2人で暮らす。「1人で生活できる額ではない」という。

勤務先の図書館では、非常勤職員は週に働く時間数が正規職員の4分の3という以外、仕事内容はほとんど変わらない。1年契約だが、仕事がなくならない限り雇い止めはしないといわれている。それでも将来への不安は尽きない。そもそも非常勤は予算の項目上、人件費ではなく物品費扱い。「大学を卒業して司書資格を取ったのに、非常勤の月額報酬の根拠は高卒初任給の4分の3。専門性も経験も認められていない」と話す。

日本図書館協会によると、公立図書館の司書・司書補のうち非正規は約6割に上る。



埼玉県内の消費生活センターで20年以上働く女性相談員(63)は県内2カ所のセンターで週2日と週3日、掛け持ちでそれぞれ1日5〜6時間働く。

司書と同じ1年契約の非常勤職員。1自治体で週30時間に満たない勤務のため、社会保険への加入もない。手取りは17万〜18万円。以前は往復1000円の交通費も自腹だったが、同じ相談員で労働組合を作り自治体側と交渉するなかで交通費支給や年休、残業手当などを勝ち取った。

こうした非正規の自治体職員は80年代後半から増加。総務省の調べでは、全職員約304万人のうち、非正規は約15%に当たる約46万人(06年調査、週20時間・6カ月以上)。自治体の外郭団体職員などを含めると100万人程度とみられる。

大阪自治労連の調査では、職員数の多い大阪府と大阪市を除いた職員全体に占める非正規の割合は07年調査で32%。5割超も2市町あった。女性が多く8割以上とみられる。

公務員の定数が増やせないなか、住民のニーズが高い窓口業務など一般事務のほか、保育、学童保育、図書司書、消費生活相談員、看護師など住民サービスの最前線で非正規職員が目立っている。

こうした自治体の非正規職員について、吉田耕三・人事院職員福祉局長(当時)は昨年4月の衆院総務委員会で「継続的雇用を前提として考えられていないのが現在の仕組み」と指摘。実態として長期雇用していても、あくまでも臨時・緊急的な雇用として扱われるため、育児休業は認められず、ボーナスや退職金などもない。一方、労働者の保護強化を目的に今年4月に施行された改正パート労働法も適用外となっている。

また、財政難に伴う業務の民営化で非正規職員の雇用が危うくなるケースも出ている。


大阪府門真市で7カ所の市立保育園で正規(約80人)と非正規(約120人)が同じ職場で働いてきた。非正規は時間を区切った「パート」(約50人)と、フルタイムで働き正規職員とともに担任につく「アルバイト」(約70人)に分かれる。

アルバイトは年齢、勤続年数にかかわらず給与は日給一律8100円で、月の手取りは13万〜14万円。アルバイトに育児休業はない。正規職員は妊娠がわかった時点で時短勤務もあるが、アルバイトは出産前にやめざるを得ない場合もある。雇用は半年ごとに更新され、通算15年働くアルバイトもいる。

市は来年度から7施設中4施設を民営化する。この4施設で来年度以降も働く場合、運営を引き継ぐ社会福祉法人の採用試験を受ける必要があるという。

◇一方的解雇に違法性指摘する判決も
自治体の非正規職員をめぐっては変化の兆しも出ている。

昨年11月、東京都中野区が区立保育園の非常勤保育士28人全員を一方的に解雇したのは違法だとして元保育士4人が区に損害賠償を求めた訴訟で、東京高裁は注目すべき判決を下した。解雇は容認したものの、「解雇権の乱用といえるほど違法性が強い」「実質が変わらないのに民間の雇用契約より非常勤公務員が不利になるのは不合理。実情に即した法整備が必要」との判断を示したのだ。

これを受け、国は地方公務員の短時間勤務の在り方に関する研究会を発足させ、法改正も視野に年内に結論を出すことにしている。また今年6月、人事院は非常勤職員の給与について、通勤手当や経験給・ボーナスの支給などに努めるようガイドラインを示した。非正規の自治体職員の待遇改善につながるとの期待がある一方、厳格な有期雇用(3〜5年)や外部委託が進む可能性も指摘されている。
毎日新聞 2008年9月9日 東京朝刊

◆日経スペシャル「ガイアの夜明け」 9月9日放送 第330回
"使い捨て"雇用を問う 〜働くものに明日はあるか 第3章
物流倉庫での商品仕分け、弁当工場のおかず入れ、ビルの清掃係‥。人手のいる単純作業を、「日雇い」派遣に頼る業界は、多岐に渡る。もはや日本の産業界に組み込まれた労働システムと言っても過言ではない状況だ。
6月25日。人材派遣最大手・グッドウィルが、「日雇い派遣」事業の廃業を発表。二重派遣や港湾地区への派遣など違法な派遣が発覚し、2人の逮捕者を出したことがきっかけだ。これまで、「日雇い」派遣という働き方をめぐっては、ワーキングプアの温床、格差社会の象徴、労働者使い捨て・・・マスコミなどの批判にさらされてきた。そして、政府が規制に動きだす事態にまで発展した。現在、与党は原則禁止の方針で法案をまとめ、秋の臨時国会に提出予定だ。しかし、「日雇い派遣」禁止は、実態経済に即した問題解決となるのだろうか? 日本の産業界の底辺に広く浸透している、短期の人材派遣が消えていく・・・。日雇いでの働き方を選択した人々と、彼らを必要とする企業などからは、今後の生活や事業の見通しに危機感を持つ人も多い。「日雇い派遣」が日本の経済システムに組み込まれている実態を見つめ、日本の労働市場のあるべき姿を模索していく。

◆派遣の実態を報告 貧困問題考えるシンポ 川口
 http://www.saitama-np.co.jp/news09/08/13x.html
現代の貧困や非正規雇用問題を考えようと川口市で七日、埼玉弁護士会主催のシンポジウム「働かないから貧しいんじゃない! 現代の貧困と働き方のルール」が開かれた。
会場では、東京大学大学院経済学研究科の神野直彦教授が「格差社会からの脱出を」をテーマに講演。「フルタイムとパート労働の間であまりにも格差が激しいことが貧困の元になっている」と指摘し、就職のための再教育・再訓練の場の必要性を挙げた。

リレートークでは派遣社員らが職場の実態などを報告した。菓子メーカーの工場に派遣され、先月解雇された男性(60)は「月六万円の寮費のうち、家賃は三万二千円で、残りは光熱費として天引きされていた。金が無くて前借りしては給料から引かれる悪循環の繰り返しだった」と振り返った。

七年間、車の部品製作の深夜勤務をさせられた女性(28)は「夜勤専門の正社員は一人もいなかった。なのに昇給やボーナスは一度もなく、体を壊すと会社を辞めてくれと言われた」と不公平な待遇を批判した。大手企業の偽装請負を告発した男性(33)は「子どもが三人いてきついが、子どもをつくらないで暮らしていかなければならない世の中になってほしくないので頑張っている」と話した。

弁護士会からは海外と比較して日本の派遣労働の問題点が報告された。厚労省で派遣法の改正案が示されているが、弁護士会は、均等待遇原則が盛り込まれていないことや、登録型派遣の維持などの問題点を指摘。登録型の原則禁止と臨時・専門的な職業に限定することなどを提言した。

◆ 残業代・深夜手当ない 派遣や請負実態告発 埼玉弁護士会シンポジウム
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-09-08/2008090804_01_0.html
埼玉弁護士会は七日、第十七回憲法と人権を考える市民のつどい「働かないから貧しいんじゃない! 現代の貧困と働き方のルール」を川口市の市民ホール「フレンディア」で開き、約二百七十人が参加しました。派遣労働や偽装請負で働く労働者や労組関係者などが切実な実態を報告しました。
埼玉県内の大手食品メーカーに派遣労働者として働き、今年八月に体調不良を理由に解雇された男性(60)は、残業代や深夜勤務の手当のなかったことや、会社の寮に強制的に入居させられて光熱費込み六万円の寮費を給与から天引きされた実態を告発。寮費や派遣会社からの前借り分の返済のため、手取りは月三〜五万円しかなかったとのべました。

県内の自動車部品会社で偽装請負として働いていた女性は、長期間夜勤専門で働き続けて体調を崩したとのべ、「夜勤専門は派遣労働者ばかりで、正社員は一人もいなかった。働けるときはこき使い、働けなくなったら追い出される」と発言しました。現在は労組に加入して直接雇用を実現し、さらに正社員化をめざしてたたかっているとのべました。

講演した神野直彦・東京大教授は、欧米諸国に比べて日本は税金や社会保障の形で所得を再分配する機能が弱いと指摘し、「そのまま(派遣労働など)労働市場の不平等化が進み、格差が広がった」とのべました。

◆自治労 非正規職員待遇改善へ
 http://www.nhk.or.jp/news/k10013969261000.html
自治体の職員でつくる労働組合「自治労」は、賃金が低く雇用が不安定な非正規の職員が増えているとして、待遇の改善に取り組んでいく方針を決めました。自治労は「住民サービスをきちんと維持するためにも待遇の改善に取り組みたい」と話しています。

自治労によりますと、全国の自治体では財政再建などを理由に正規の職員を減らし、非正規の職員を増やす動きが広がり、非正規の職員はおよそ40万人に上っています。ところが正規の職員の年収が一般の行政職の平均でおよそ700万円なのに対し、非正規の職員の年収は170万円足らずにとどまっているということです。こうした賃金の格差を是正するため、自治労は非正規の職員の待遇改善に取り組んでいく方針を決めました。具体的には、まず最低限の生活を保証する賃金として、少なくとも高卒初任給程度の水準まで引き上げを目指すとしています。また、同じ賃金のまま契約を繰り返し長期間働いている非正規の職員も多いとして、勤続年数や実績などに応じた昇給を求めていくことにしています。自治労は「人件費削減のしわ寄せが非正規の職員に押しつけられている面がある。住民サービスをきちんと維持するためにも待遇の改善に取り組みたい」と話しています。

◆働くナビ:労働者の実態伝えるサイト「ユニオンチューブ」とは。
 http://mainichi.jp/life/job/news/20080908ddm013100045000c.html
◆労働者の実態伝えるサイト「ユニオンチューブ」とは。
◇団交の模様、不当労働追及集会…動画で情報交換−−情報発信力向上へ、講座も
労働者が抱える問題や働き方の実態を自らの手で伝えようとする動きが広がっている。働く者の3人に1人が非正規労働者で占められ、労働組合の組織率が18%に低迷するなど、自分以外の労働者がどんな状況に置かれているか分かりづらい現代。インターネットを通じて働く者同士が情報を交換し、つながろうという試みだ。その中心になっているのは、昨年9月にスタートした動画投稿サイト「ユニオンチューブ」(http//video.labornetjp.org/)だ。

ユニオンチューブは、ネット上で動画を閲覧・投稿できる「ユーチューブ」と同様の仕組みで、労働組合の活動や労働問題に関する映像を紹介している。労組や労働問題の専門家らでつくる実行委員会が昨年実施した「ユニオン・Yes!キャンペーン」の一環として始まった。どういう問題に取り組んでいるのか、組合がない中で働いている人はどんな問題を抱えているのかといったテーマを映像にして投稿してもらう。現在は市民グループ「レイバーネット日本」が活動を引き継いでいる。

ユニオンチューブは反響を呼び、派遣労働者問題に取り組む労組の団体交渉の模様や「名ばかり管理職」問題を追及する集会などさまざまな映像が投稿された。サイトの作成に参加した映像作家の松原明さんは「不払い残業などを訴える映像を見て、労働相談にくる人も出てきた。映像の力を感じる」と話す。これまでにアップされた映像は100本を超える。

劇場公開される作品も誕生した。映像作家の土屋トカチさんが制作した「フツーの仕事がしたい」だ。長時間労働を強制されたトラック運転手が労組に加入して、会社側の妨害に負けず、「普通の労働条件」を勝ち取るまでを描いた。ユニオンチューブに争議の映像をアップしたところ、厳しい労働の現状が「現代版蟹工船だ」と各方面で評判を呼び、劇場公開が決まった。

一方、ユニオンチューブに呼応して映像ドキュメンタリーの作り方などを教える場も作られた。NPO「市民メディアセンターMediR」(東京都新宿区)が10月から開く44講座だ。映像作品を作るには、カメラの操作や編集などの技術が必要なため、これまでは投稿者が限られがちだった。MediRは、市民の情報発信が社会を変えるほどの力を持つ韓国の状況に刺激を受けた人々が、情報発信の担い手を育成しようと結成した。今年春から試験的に開講し、20〜60代の参加者が映像技術やメディア論を学んでいる。

10月の正式開講には、ユニオンチューブを作ったメンバーらが全面協力。短編ビデオの作り方やインタビューの仕方▽フライヤー(ビラ)制作入門▽ジャーナリスト養成講座−−などのメニューが並ぶ。事務局の松浦敏尚さんは「映像から文章、マンガまで、自分の方法で日々の思いや情報を発信するすべを身につけてほしい。思いが広がれば社会も変わっていく」と話す。講座は有料。問い合わせは同センター(03・6382・9646)。【東海林智】

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◇労組の組織率
労組の組織率は長期低落傾向が続き、07年は18.1%にまで落ち込んだ。組織率の低下が労働者同士のつながりを弱めているとの指摘がある。
毎日新聞 2008年9月8日 東京朝刊

◆「生の困難」に陥った人々を支援する、埴野謙二さん /富山
 http://mainichi.jp/area/toyama/interview/20080907ddlk16070326000c.html
◇垣根越え生存権守る 「ゆたかな富山」は本当か−−埴野謙二さん(72)
貧困、多重債務、非正規雇用、福祉の縮減、格差の拡大−−。「生きること」そのものを脅かすさまざまな問題に近年、各地で法律家や市民団体、労働組合などが取り組んでいる。「住み良さ日本一」とされる富山で「生の困難」に陥っている人々の支援活動に取り組む市民団体メンバー、埴野謙二さん(72)に、支援者の実感を聞いた。【江田将宏】

−−富山は一般的には豊かな印象を受けますが。

持ち家率などが高い一方、人口に対する生活保護の受給世帯の割合を示す保護率は全国最低です。数字だけを見れば、正に豊かな県のような印象を受けますが、それらのイメージは、「富裕神話」のようなものだと思っています。

−−その意味は。

持ち家に複数の世代が同居していれば、都市部であればホームレスやネットカフェ難民に陥る可能性のある人たちでも抱え込むことができます。「家」がセーフティーネットとなっている。生活保護も、「世間体」を強く意識する富山では、本当のぎりぎりまで避ける傾向が見られます。それらが実体を覆っているということです。

総務省の就業構造基本調査(速報値)などを見ると、富山でも非正規雇用が3割近くまで迫っています。何らかの事情で、「家」から外れてしまうと、一気にホームレス状態にまで陥る可能性があります。

−−ホームレス支援も行っています。

今後、実態を正確に把握する必要がありますが、富山出身者が案外多いんです。富山市の地下道などに冬は30人程度、春以降は80〜90人ぐらいでしょうか。県外の人間は、雪国の冬は避けるでしょう。身内からの借金などで「家」のセーフティーネットから外れてしまったが、県外にも行けない。冬でも残っている人たちはそういう人が多いようです。

02年にホームレス自立支援特別措置法が施行されましたが、とても十分と言えない。例えば、生活保護を受給するためには住所地がいるが、彼らには入居に必要な連帯保証人を頼める人がいません。申請できても受給開始までの間、何も収入がなく家賃も払えない。ホームレス対策は、やはり国と自治体がきちんと向き合わないと。

−−これからの活動について。

今、労働運動や消費者団体、高金利・多重債務などにかかわる活動、反貧困運動などが垣根を越えて、互いに連携する動きが出てきています。思想やイデオロギーではなく、現状、現実に対する危機感に根ざしています。

だが、「富裕神話」に覆われた富山では、ただ「反貧困」を掲げても東京と同じリアリティーは共有できません。そこで、私たちは「生(生きること)の保障の再生」を求めるネットワークを作ります。富山の生活保護の実態を点検し、生きることが困難な状況に陥っている人々を支援する仕組みを作りたいと考えています。

−−今年は、魚津から始まった米騒動から90年です。

当時と今の状況は似た面もあるでしょう。単なる町おこしの材料とするにはもったいない。生きることそのものを脅かされた場合、市民には生存権を行使する権利があります。富山に住み着いて40年以上たちます。行政や人々の意識を変えるのは至難の業とは分かっていますが、富山の空気を「動かしたい」。そう思っています。

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■人物略歴

◇はの・けんじ
1936年、東京生まれ。68〜97年、富山大講師(教育行政)。一方、反原発や福祉・ごみ問題に取り組む市民団体代表としても活動。政党に属さない市民派の富山市議だった亡妻の遺志を継ぎ、99年に2度目の市議選挑戦で初当選。1期務めた。市民団体「生・労働・運動 net jammers」メンバー。
毎日新聞 2008年9月7日 地方版

◆反貧困全国キャラバン:貧困「個人の問題でない」 「ルポ最底辺」著者が訴え /岡山
 http://mainichi.jp/area/okayama/news/20080907ddlk33040311000c.html
◇岡山で集会
国内の格差と貧困の拡大を訴える「反貧困全国キャラバンおかやま集会」が6日、岡山市津島西坂1の労働福祉事業会館であり、「ルポ最底辺」の著者・生田武志さんが「現代の貧困をどう理解するか」と題して講演した。

生田さんは、路上生活者になることを自業自得とする考えに対し、“椅子取りゲーム”を例に反論。「努力しても、椅子が人数より少ない限り必ず誰かがあぶれる。野宿者や貧困は個人の問題ではなく、正社員という椅子が少ない構造的問題」と指摘した。

また、虐待や不登校、引きこもりなど家庭や社会を居場所にできない「関係の貧困」を現代の貧困の特徴として挙げた。非正規雇用の若者を中心に、行政サービスや企業福祉を期待できない中で、家族が最後の生活保障になっているケースも多いといい、生田さんはセーフティーネットの充実と人が支え合う社会の必要性を訴えた。

足に障害があり、現在は働いていないという安田伸一さん(45)は「病気や医療、障害などで困っている人をいかに助けるかが重要だと思う」と話した。【石川勝義】
毎日新聞 2008年9月7日 地方版

◆労働格差 是正に向け対策を急げ
 http://www.shinmai.co.jp/news/20080906/KT080905ETI090007000022.htm
雇用や賃金など働き方による格差が社会問題になっている。非正規社員が増えて、正規社員との賃金格差が広がったり、違法な日雇い派遣が相次いだり、多くのひずみが生じている。

仕事は人生を支える基盤である。その土台がぐらついている。

不安定な職にある若者たちから、将来に希望が持てないといった声がしばしば聞かれる。深刻な事態である。

「労働格差」を正し、希望の持てる環境を整備するのは、政治の責任だ。総選挙を控え、若者たちの関心を引き寄せる労働政策を、各党に求めたい。

このところの労働環境をめぐる変化は著しい。労働者派遣法の施行以来、政府・与党が派遣事業の規制緩和を推し進めたからだ。

当初は限定されていた派遣業務の対象を、1999年に一部を除き原則自由化し、04年には製造業でも解禁した。背景には、国際競争力を高めたいとする産業界の要望がある。

労働側には、多様な働き方を選択できるといった利点がある半面、雇用が不安定になるなどさまざまな不利益も生じている。光と影を吟味した上で、ゆがみを是正しなければならない。

とくに問題が大きいのは、日雇い派遣である。違法な「二重派遣」や、港湾運送など禁止された業務への派遣など、悪質な雇用が相次いだ。

大手の派遣業者が、そうした違法派遣を行い、厚生労働省から業務停止命令を受けるなど不祥事を招いた。見直しは当然だ。

政府・与党も危機感を強め、日雇い派遣の原則禁止などの方針を示している。福田康夫首相の突然の退陣表明が、問題の解決をあいまいにする結果を招いては国民の信頼をさらに失うだろう。具体化へ詰めを急ぐべきだ。

野党も労働派遣の是正に向けた取り組みを強めている。期間や業種などをめぐって、さまざまな論点が出されている。労働者の権利保護に沿う形で、論議を深めていく必要がある。

最低賃金の問題も、引き続き検討が必要だ。本年度は全国平均で15円程度の引き上げが示されたものの、なお低過ぎるといった声は強い。中小企業対策と併せて対策を進めたい。

ワーキング・プア(働く貧困層)が問題となり、戦前のプロレタリア文学の代表作「蟹工船」が売れている。労働者の切実な訴えに、政治がどう応えるか、審判のときが近づいている。

◆マック店長が勤務中に死亡 遺族ら「過労死」と労災申請
 http://www.asahi.com/job/news/TKY200809050335.html
日本マクドナルドの横浜市内の店舗の女性店長(当時41)が昨年10月、勤務中にくも膜下出血で倒れ、死亡したのは過重労働が原因だとして、遺族らが5日、横浜南労働基準監督署に労災の申請をした。同社は「名ばかり店長」の長時間労働が指摘されてきたが、支援する労働組合・連合では「過労死が明らかになるのは初めて」という。
連合などによると、女性店長は昨年10月16日夕、別の店舗で行われた新製品に関する講習中に突然、倒れた。救急車で病院に運ばれたが、3日後に亡くなった。亡くなる前の半年間の残業時間は、出勤に使っていた車の駐車記録などから推定すると、過労死ラインとされる1カ月80時間を超える月が3カ月あった。最長の7月には約120時間に及んでいたとみられる。

女性は、昨年1月に店長に昇進。店長を含め正社員2人の体制で、月商1千万円を超える店の運営を任されていた。夏季は特に、近くである大規模イベントに向けたアルバイトの確保などに奔走していたという。

だが、会社の勤務記録では、倒れた当日も「公休」と記録されるなど、ずさんな労働時間管理がされていた。女性の手帳には「上司から残業を35時間以内にするよう厳命」などと記されており、正確な残業時間を申請できない状況があったようだ。

日本マクドナルドは「労災申請の事実を把握しておらず、コメントは差し控えたい」としている

◆損賠提訴:偽装請負で労災、死亡男性遺族がTOTOを
 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080906ddm012040132000c.html
住宅設備機器メーカー「TOTO」(本社・北九州市)滋賀工場(滋賀県湖南市)で昨年5月、派遣会社社員の男性作業員が死亡した事故で、遺族が5日、TOTOなどに約1億円の損害賠償を求め大津地裁に提訴した。遺族側は、男性は「偽装請負」状態で働かされており、TOTOに安全管理義務があったと主張している。
訴えたのは、滋賀県甲賀市甲賀町櫟野(いちの)の西野尾茂信さん(当時39歳)の両親ら。

訴状によると、西野尾さんは業務請負契約で93年から同工場で勤務。昨年5月14日、機械の復旧作業中、機械と支柱に頭を挟まれて死亡した。同社マニュアルでは復旧作業中は電源を切るはずが、生産性を重視し、緊急停止装置の設置などを怠ったと訴えている。
TOTO広報部は「訴状の中身を見てから真摯(しんし)に対応したい」としている。

この事故では、東近江労働基準監督署が昨年9月、「偽装請負」と認定し、労働安全衛生法違反容疑でTOTOを書類送検。今年7月、甲賀簡裁が罰金50万円の略式命令を出した。【金志尚】
毎日新聞 2008年9月6日 東京朝刊


UP:20081022 REV:随時
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