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労働関連ニュース 2008年3月16日から20日



◆「内需中心型経済」へ改革急げ
 http://www.the-miyanichi.co.jp/contents/?itemid=6337&blogid=5&catid=15
 日銀総裁人事で国会が混乱している最中、日本経済への深刻な懸念材料が表面化してきた。

 外国為替市場で、円が急進し一ドル=99円台で取引された。1995年11月10日以来、12年四カ月ぶりの円高水準となり、国内企業業績悪化の懸念か ら株価も安値水準となった。

 急激な円高の主因は、サブプライムローン問題を抱える米国の景気の先行きに対する不安の広がりだ。

 景気浮揚を輸出産業頼みにしてきた日本経済は、個人消費の押し上げなど内需拡大策が必要だ。今回の円高は、そうした経済体質に向けた構造改革を促す「市 場からの警告」でもある。

■米国経済減速が波及■

 この数カ月、金融市場であふれかえっているのは、ドルを売る材料だ。

 サブプライムローン問題の深刻化をきっかけに、ドルの裏付けとなる米国経済への信認が根本から揺らいでいるのが原因だ。

 米連邦準備制度理事会(FRB)など米欧五カ国・地域の中央銀行は、こうした問題を収めようと市場への資金供給を協調拡大するとの緊急声明を発表したば かりだった。

 だが、「信用不安を抑制する効果は小さい」との懐疑的な受け止め方が強く、市場の安定化に至っていない。

 「米国は既に景気後退に陥っている可能性がある」という悲観的な見方が台頭しており、ドルはユーロや英ポンドなど主要通貨に対して「全面安」の様相で、 投機的な資金は、金や原油などの商品に向かっている。

 急激な為替変動は企業業績の悪化を招くのは必至で、原油をはじめ穀物価格上昇のピッチも速まり、日本経済へ大きな打撃となりそうだ。

 もはや「米国の問題」と対岸の火事を決め込んでいる場合ではない。

■「外需依存」には限界■

 日本経済がこれまで緩やかながらも成長を続けてこられたのは、円安と好調を続けた世界経済が背景にある。

 また、昨年から米国経済が減速傾向に陥っても、これを補うように中国やインドなどの新興国の経済が成長し、日本経済は輸出企業による外需依存の形で成長 を維持していた。

 しかし、米国の景気後退がいっそう進めば、いずれ中国などの新興国にも影響が出始めるだろう。

 そうなれば、日本経済はまさに「外需」という命綱を断ち切られることになる。だからこそ「内需中心型経済」への構造改革を急ぐ必要がある。

 円高対策として内需拡大が必要というのは、前回90年代半ばの円高局面と同じだが、当時に比べて政策手段が極めて限られている。

 景気後退局面では金融緩和も必要だが、現在の利下げの余地はわずかだ。巨額の財政赤字を考えれば、公共事業による内需拡大も期待できない。

 円高は、原油の輸入価格を押し下げる効果はあるが、今の国際商況はドルが売られるほど原油や食料が値上がりし、貿易条件の改善も期待薄だ。

 結局、今回の円高状況では、内需拡大への構造改革以外に日本経済安定の有効な手だてはないということだ。

 折しも春闘の真っ最中だが、景気をけん引する大手製造業を取り巻く環境にも陰りが見え始め、消費を喚起するような回答は見られなかった。

 政府や企業は雇用・労働環境を整備し、国民所得を上げ、内需の厚みを増す構造改革を早急に進めるべきだ。

◆社保庁労組ヤミ専従 不正給与5億円 委員長辞任へ
 http://www.asahi.com/national/update/0315/TKY200803150340.html
2008年03月16日06時06分

 社会保険庁で、許可なく労働組合の活動に専従しつつ、通常の給与を受け取る「ヤミ専従」が長年常態化していたことがわかった。全国社会保険職員労組(約 1万人)の20〜30人が、97〜04年に5億円前後の給与を不正に受け取っていたとみられる。高端照和委員長は責任をとって辞任する見通しで、ヤミ専従 に絡んで労組トップが辞任するのは極めて異例。管理職の一部も黙認していたといい、社保庁の管理態勢に改めて批判が高まりそうだ。

 社保庁は、職員の服務規定違反だとして関係者を処分し、給与の返金を組合側に求める方針だ。社保労組は返金に応じる方針。ほかの労組でもヤミ専従があっ たとみられ、不正給与総額はさらに膨らむ可能性がある。

 社保庁の後継組織のあり方について検討している政府の「年金業務・組織再生会議」の指摘を受け、社保庁が昨年12月から過去10年間にさかのぼって実態 を調べていた。

 関係者によると、07年4月にできた社保労組の前身の自治労国費評議会で、労使慣行が見直される04年まで数十年にわたってヤミ専従が続き、組合が負担 すべき給与が税金から支払われていた。社保労組は「言い訳できないことで反省している」と認める。

 社保庁は、全厚生労組(社保庁関係組合員約2200人)でも、同様のヤミ専従が行われていたとみている。処分を受けた職員は、社保庁の後継組織として 10年に発足する日本年金機構に採用されない可能性もある。第三者委員会が処分歴や能力をもとに審査し、職員数を絞り込むためだ。

 不正の規模が大きく長期間にわたることから、上司だった管理職も黙認していた可能性が高い。社保庁関係者も「地方の職場によっては長年の労使慣行となっ ていた」と認めており、管理側の責任も問われる。

 社保庁を巡っては、労組と結んだ100件近くの業務内容に関する覚書や確認事項が発覚。「国民年金保険料の督促状発行はゼロでもよい」といった項目もあ り、批判を受けて05年1月までにすべて破棄された。

 不適切な労使関係は「消えた年金問題」の一因といわれ、社保労組は今月、「労使関係や当時の活動が、国民の利便性向上にマイナスをもたらした部分もあ る」と自己批判する報告をまとめている。一方で、組合内には「すべての問題が労組の責任のように決めつけられている」といった不満も根強い。

◆社説:春闘賃上げ 中小企業やパートの底上げも
 http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20080316k0000m070117000c.html
 02年1月を底にした日本の景気拡大は輸出に引っ張られた企業部門の活況が特徴である。ただ、この景気拡大も内閣府の外郭機関による調査でエコノミスト の半数近くが年内に後退に陥るとみているように、終わりは近そうだ。

 外国為替市場で円が急伸し、1ドル=98円台に突入する状況も、マクロ経済的に総合的にみれば急激すぎることもあり、成長を押し下げる要因として働く。

 そこで重要になっているのが家計や、それを支えている賃金である。個人消費は国内総生産の約6割を占めており、経済が安定的に発展していく土台の役目を 果たしているからだ。しかも、個人消費は輸出や民間企業の設備投資ほどには変動が大きくない。

 そして、国民の大多数を占めている勤労者の家計を支えているのが賃金である。賃金が目減りするようなことになれば、家計は縮み志向に向かってしまう。

 では、今春闘の回答は家計を元気付けるに足るものといえるだろうか。自動車や電機など主要産業は3年連続の賃上げ回答だが、これは企業業績からみても当 然のことだ。ただ、引き続き高収益を上げている割には、賃上げ率は大きくない。連合の高木剛会長は「国民の期待に応えられたかといえば残念さもある」とい うが、要求側はどこまで本気を出したのか。

 さらに、この賃上げは正社員が対象だ。経済全体が元気になるためには、それだけでは不十分だ。社会全体の賃金かさ上げが実現されなければ、経済が元気に なるとはいえない。

 昨年10〜12月期の実質成長率は前期比年率で3.5%と高めとなったが、個人消費の伸びは0.9%に過ぎない。雇用者報酬が1年前に比べて0.2%し か伸びていないからだ。

 非正規労働の拡大を勘案すれば賃金が減っている勤労者が多いということだ。正社員と派遣労働やパート労働の賃金格差縮小や、正社員化は経済の質を高める ためにも欠かせない。

 大手企業はこうした問題に大局観を持って取り組む時である。

 また、中小企業には大企業からの厳しいコスト切り下げ要求などで、賃上げの余裕がないところも少なくない。しかし、多くの勤労者は中堅・中小企業で働い ている。大企業の都合で厳しい状況に置かれることは、経済全体にはマイナスに働く。政府の経済成長戦略でも中小企業活性化は重要な柱だ。下請け代金の適正 化など効果的な対策を取るべきだ。

 今春闘の大詰め段階で、福田康夫首相が御手洗冨士夫日本経団連会長に賃上げを要望した。政府も景気の先行きに危機感を抱いたからだ。経済界は賃金コスト 切り下げ一本やりの競争力強化策は見直す必要がある。経済は大企業だけで成り立っているのではない。

毎日新聞 2008年3月16日 0時05分 (最終更新時間 3月16日 0時06分)


UP:200800403 REV:随時
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