| >HOME ◆7月の失業率0.1ポイント改善3.6%――有効求人倍率、横ばい1.07倍。 2007/08/31, 日本経済新聞 7月、女性・若年層低下 景気は底堅く推移している。総務省が三十一日発表した七月の完全失業率(季節調整値)は三・六%と前月比〇・一ポイント低下し、雇用情勢が一段と改善し た。七月の鉱工業生産指数は前月比で低下したものの、地震に伴う自動車減産の影響を除くと上昇基調を保った。ただ、消費者物価は前月比横ばいで、個人消費 は伸び悩んだ。八月に発生した米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題などを含め、先行きにはなお不透明要因もある。(関連記事3 面に) 完全失業率の改善は二カ月連続で、一九九八年二月以来、九年五カ月ぶりの低い水準。女性や若年層の完全失業率の低下が目立つ。厚生労働省が同日発表した 七月の有効求人倍率(同)は前月と同じ一・〇七倍。厚労省は雇用情勢の判断を二年二カ月ぶりに上方修正した。 完全失業率は十五歳以上の働く意思がある「労働力人口」にしめる完全失業者の割合を指す。完全失業者数は前年同月を三十四万人下回る二百三十四万人。仕 事をしている人を指す就業者数は六千四百五十八万人と前年同月より三十七万人増えた。 男女別でみると女性は前月比〇・二ポイント低下の三・三%と九年十カ月ぶりの低水準。正社員のほかパートや派遣、契約社員など働き方の多様化で生活に合 わせて働ける環境が整いつつあり、女性の職場進出が進んでいる。男性は前月比〇・一ポイント低下の三・七%で四カ月連続で前月を下回った。 年齢別では二十四歳以下の若者の完全失業率が前年同月比一・三ポイント低下し、六・五%となった。六十―六十四歳は一・〇ポイント低下の三・三%。人手 不足に悩む企業が若者と定年直後の人材を積極雇用していることが分かる。また募集時、年齢制限を付けない求人が増え、高齢者でも職を見つけやすくなってい る。 一方、求職者一人あたりに何件の求人があるのかを示す有効求人倍率は二〇〇五年十二月に一倍台を回復して以来、一倍超の水準が続く。企業の求人を示す有 効求人数は前月比〇・六%減少したが、職探しをする有効求職者も〇・四%減っている。正社員の有効求人倍率は前年同月を〇・〇一ポイント下回る〇・五九 倍。 雇用情勢の判断は完全失業率が今年四月に四%を割って以降、三%台を維持している点などを評価し厚労省が「(地方と都市部の雇用状況の格差など)厳しさ が残るものの改善が『着実に』進んでいる」と上方修正。「着実に」という言葉を加えた。今後も「雇用情勢の改善傾向は続く」(厚労省職業安定局)とみる。 ◆年金保険料未納の企業、従業員救済へ厚労相前向き。 2007/08/31, 日本経済新聞 舛添要一厚生労働相は三十日の広島市内での講演で、企業が従業員の給与から天引きした厚生年金保険料を納めなかったため納付記録のない人について「与党 と議論して救済したい」と述べ、年金支給に前向きな姿勢を示した。同省が保険料未納企業の従業員救済を正式に表明するのは初めて。 講演後の会見では「法律を作ってやるのか、何らかの財政措置をするのか考えたい」と複数の方法を検討中であると説明した。厚労省は当初、未納企業から二 年の時効を超えて保険料を徴収できる特例法案をつくり、年金を支払う方針だった。ただ、未納企業からの徴収は容易ではないため、税金で財源を確保する案も 浮上しているもよう。 ◆マレーシア、独立50周年、きょう。 2007/08/31, 日本経済新聞 【クアラルンプール=伊東義章】マレーシアは三十一日、英国からの独立五十周年を迎えた。三十日深夜から記念式典を開催。クアラルンプールの独立広場で の記念式典では、アブドラ首相が「独立」を連呼し、参加者もそれに合わせて声を上げた。首相は演説で二〇二〇年の先進国入りに向けた努力を強調する。 同国はマハティール前首相が日本の発展に学ぶルックイースト政策の導入などで産業基盤を強化。実質国内総生産(GDP)は〇三年のアブドラ首相就任後も 五%を上回る成長率が続く。 外資導入政策で電子機器など製造業が集積したが、近年は中国、ベトナムなど労働コストの安い国も台頭し競争が厳しい。イスラム金融の振興など、新たな政 策で次の成長機会を模索している。 ◆フィリピンのGDP、4―6月は7.5%増(海外経済指標) 2007/08/31, 日本経済新聞 ■フィリピンのGDP フィリピン政府は三十日、今年四―六月の実質国内総生産(GDP)が対前年同期比伸び率で七・五%に達したと発表した。鉱工業、 サービス両部門が好調だった。海外労働者からの外貨送金の増加と財政構造改革の進展を背景に家計消費、政府支出も拡大。四半期ベースで一九八八年以来最高 の成長率となった。(マニラ支局) ◆テンプスタッフ、医師の開業支援、オリックスと組む――職員採用や資金調達。 2007/08/31, 日本経済新聞 人材サービスのテンプスタッフはオリックスと組み、九月から医師の開業を支援する事業に乗り出す。物件探しから資金調達、職員の採用、開業後の経営指導 まで一括して請け負う。労働環境が過酷な勤務医を辞めて開業する医師が増えており、診療所の開設数は増加傾向にある。勤務医としての業務と並行しながらの 開業準備は負担が大きいため、一括代行の需要は大きいとみている。 子会社のテンプスタッフ・メディカライズ(東京・渋谷)が看護師など職員採用や研修、全体のコンサルティングを提供。オリックスが資金調達や物件選定、 医療機器レンタルなどを担当する。 オリックスはこれまで、医師を対象に開業時の資金調達を支援してきた。テンプスタッフも医師向け人材紹介を手がけており、既存事業で培った医療機関や医 師とのネットワークをいかし、需要を掘り起こす。不動産や融資、医療機器のレンタルなどを除くコンサルティング料金は平均で百万円前後。当初は一年間で百 件の利用を見込む。 厚生労働省によると、二〇〇五年の一般診療所(入院用ベッド十九床以下)の開設数は〇三年に比べて三割弱多い約五千七百五十件。 ◆車用部品各社、利益拡大へ、今期、新興国向け需要けん引、ヨロズ、営業益47億円に。 2007/08/31, 日本経済新聞 タイ・中国伸びる 主要自動車部品の二〇〇八年三月期の連結業績は、アジアや中南米など新興国向けの需要がけん引し、大半の企業で利益が拡大する見通しだ。〇七年四―六月 期は二ケタの営業増益が相次いだ。円高や米景気の減速懸念がくすぶるが、収益源は多様化しており、影響は限定的との見方が多い。ただ日産自動車系の苦戦が 目立つなど、企業間の格差は開きそうだ。 サスペンション(懸架装置)などの足回り部品を手掛けるヨロズの〇八年三月期の連結営業利益は前期比六%増の四十七億円になる見通し。期初には四十億円 を見込んでいたが、タイ、中国で収益が拡大。最近の円高傾向を受け為替前提を一ドル=一一〇円と八円の円高方向に見直したが、アジアの伸びが吸収する。 マフラー大手のフタバ産業は中国向けが好調だ。四―六月期の中国の所在地別営業利益は十億円と前年同期比ほぼ倍増し、北米の八億円を上回った。中国で増 産を進めているトヨタ自動車向けが拡大。中国は労働コストが安く、他の拠点に比べ利益率も高いという。 武蔵精密41%増 ホンダ向けが主力の武蔵精密工業はアジアのほかブラジルで二輪車用部品拡大を見込み、通期の連結営業利益予想を四一%増に上方修正した。同じくホンダ系 の日信工業もインドネシアの回復、中国・ベトナムの好調がけん引する。 アジアや中南米などの新興地域では日本の完成車メーカーが生産を拡大、部品メーカーにも恩恵が及びつつある。野村証券の森脇崇アナリストによると、新興 地域の利益開示のある十七社の集計で、営業利益に占める新興地域の比率は〇八年三月期に二六%となる見通し。〇五年三月期比一〇ポイント増え、「本格的に 利益に寄与し始める」(森脇アナリスト)という。 株価は夏場以降、完成車メーカーと連動して大きく下げたが、部品各社の収益源は多様化しており、売られすぎとの指摘も出ている。海外の生産拠点の整備も 一段落し、工場の立ち上がり費用も薄れている。 円高進行は懸念材料だが、部品メーカー各社の為替感応度は一般的に完成車メーカーに比べて低い。海外向けは大半が現地生産で「日本からの部品の輸出はほ とんどない」(ヨロズ)。 日産自系は苦戦 もっとも企業ごとの業績にはばらつきがあり、夏場にかけ減産していた日産自系では減益や赤字になる企業が目立った。日産自向け取引が多い自動車ランプの 市光工業は四―六月期は営業赤字。〇八年三月期通期でも減益を見込んでいる。カルソニックカンセイは下期にかけ回復を見込むが先行きは依然不透明だ。 【表】主要自動車部品の連結営業利益 〓〓 単位は億円。カッコ内は前期比%、▲は減少または赤字。―は比較できず 〓〓 07年 4−6月期 08年3月期見通し デンソー 933( 13) 3,080( 2) アイシン 395( 45) 1,350( 3) トヨタ紡織 146( 53) 460(▲5) N O K 109(▲8) 445( 7) スタンレー 112( 20) 440( 8) ニッパツ 42(▲10) 290( 15) 小 糸 製 33(▲3) 248( 16) ケーヒン 71( 7) 242( 9) フ タ バ 58( 27) 240( 8) 日信工業 53( 15) 220( 6) 日 精 機 55( 15) 198(0.5) 武蔵精密 48(101) 165( 41) ショーワ 38(▲13) 150(▲15) カルソカンセ ▲10( ―) 140( 14) ユニプレス 13(109) 78( 12) エフテック 19( 20) 70( 5) ヨ ロ ズ 12( 67) 47( 6) 河 西 工 1(▲88) 37( 13) 市 光 工 ▲0( ―) 21(▲37) ユニバンス 2.61(▲5) 15(▲1) ◆日系企業の人事担当者、香港で会員組織発足、パソナアジア、情報交換の場。 2007/08/31, 日経産業新聞 【香港=吉田渉】パソナのグループ会社、パソナアジア(香港、戸崎悦子董事長)は九月三日、日系企業の人事担当者を集めた会員組織「日本CHO協会・香 港分科会」を発足する。香港と中国華南地区に進出している企業を対象として、現地での人事労務管理の情報交換の場とする考え。パソナは八四年の香港進出を 皮切りに、アジアでの人材ビジネスを拡大している。 分科会は一カ月に一回程度、現地での人材管理に関するセミナーや勉強会を開催する。参加費は無料。分科会を通じ参加企業との関係を深め、具体的な人材関 連ビジネスの提供につなげる考え。 香港にはすでに日系企業二万五千社が進出、広東省にも日系工場が相次ぎ開業している。だが労働関連法規や人事慣行が日本と異なり、人材管理に苦心する企 業が多い。日系企業に共通する悩みを吸い上げ、アジアでの人事マネジメント支援事業に生かす。 日本CHO協会は二〇〇四年に発足、国内では一千社が会員になっている。 ◆グリー社長田中良和氏――若手のやる気引き出すには(トップが語る勘所) 2007/08/31, 日経産業新聞 権限・責任バランスよく 社員の平均年齢二十七歳。今年十二月に創業四年目を迎えるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)大手のグリー(東京・港)には、活気あふれ る若い人材が集う。この若い人材の才能をいかに発揮させるかが成長のスピードを大きく左右する。創業者社長の田中良和氏に若い社員のやる気を引き出すコツ を聞いた。 ――若い組織を育てるうえで大切なのは。 「現場の社員がリーダーシップを発揮しやすい環境作りだ。社員は二十代が中心で、新卒より転職者が多い。部下の面倒をみたというマネジメント経験をもつ 人材はほとんどいない。チームを引っ張る人材を多く育てれば、組織全体の力を底上げできる」 ――リーダーシップを発揮してもらうために気をつけていることは。 「与える権限と責任のバランスに気を配っている。リーダーシップをとるとは、責任ももつこと。ただ、若い社員の中には責任の重さに耐えられない人が多 い。きちんと社員の能力に見合う責任を渡すことが大切だ」 「若い社員にはやる気ある人材が多いのだが、責任は関係ないと勘違いしている人もいる。数字で管理すると社員が疲弊してしまうが、目標を達成できない場 合、理屈で説明してもらうようにしている。一歩間違えば、多才と思っていた若い集団が烏合(うごう)の衆になりかねない」 ――社長の役割は。 「大企業では挑戦と失敗をある程度は繰り返せる。ベンチャーは一度大きな失敗をすると、会社への影響も大きい。社員が新しいサービスや技術に挑戦し続け られるよう、最終的な責任を社長が受け止める。一緒に働きたいと社員に思ってもらう点も大切。社員の良好な人間関係が築けるように気を配っている」 ――どのようにして経営を学んだのか。 「楽天での社員経験が参考になった。私が楽天に入社した当時は社員数は五十人ほどだったが、退社するころには一千人以上にまで成長していた。会社組織が めまぐるしく変化する中に身をおけたことは貴重な体験だった。会社は持続的に変化し続けるという意識をもつことを学んだ」 「私も三年前までは一社員だった。不満だったことや、悩んでいたことを振り返り、理想の上司像を考えている。上に立つ人物がどういう人であれば社員がう れしいか。逆に役員や部課長には、社員の理想の人であってほしいというメッセージを込めて配置を決めている」 ――組織が大きくなったら、注意したい点は。 「制度に固執しないこと。制度の設計に集中しすぎて組織が硬直的になり、風通しの悪い会社になっては本末転倒だ。運用を工夫してチームの力を最大限に引 き出せるようにしたい。採用面でも能力は採用基準の半分にとどめ、メンタリティーを重視する。成長する会社は、社員のやる気が大きい。モチベーションを刺 激し合える仲間を増やし続けたい」 (聞き手は星正道) たなか・よしかず 99年日大法卒。ソニーコミュニケーションネットワーク(現ソネットエンタテインメント)を経て、00年楽天入社。04年2月に SNS「GREE」を個人サイトとして公開。同年12月にグリーを設立して独立、社長に就任した。携帯電話に対応したサイト作りに転換したことが奏功、8 月には会員数200万人を達成。「ナナロク世代」と呼ばれる1976年前後に生まれたネット系ベンチャー起業家の一人だ。 ◆スタッフサービス板井信一氏――紹介予定派遣が盛況(ここが焦点) 2007/08/31, 日経産業新聞 スタッフサービス紹介予定派遣事業本部長補佐 板井信一氏 専門職軸に高い定着率 一定期間を派遣社員として働き、企業と折り合った場合に正社員への道が開ける「紹介予定派遣」の市場が盛況だ。二〇〇五年度の派遣者数は約三万三千人で 前年度比七割増(厚生労働省調べ)。業界団体の日本人材派遣協会が調べた主要百七社の四―六月の成約件数も約三千六百件と前年同期より三三%増えた。紹介 予定派遣に人気が集まる理由や今後の見通しをスタッフサービス(東京・千代田)の板井信一・紹介予定派遣事業本部長補佐に聞いた。 ――企業が紹介予定派遣に求める人材は。 「一般事務への需要もあるが、経理や人事など専門の分野を持っている人を求めている。年齢別ではある程度の経験を積んだ三十代前半と可能性のある二十代 の若手に二極化。男女比は男性一、女性九で、最近は男性の割合が急増している。年収では三百五十万―四百万円くらいの層が多い」 ――紹介予定派遣の伸び率はどの程度か。 「紹介予定派遣を始めた〇二年度から、毎年五割増し以上の勢いで膨らんでいる。〇六年度は弊社の派遣数で年間一千人を超えた。派遣期間は平均すると三カ 月くらい。企業からすれば人を見極める猶予があり、働く側も会社の雰囲気を知ることができるため、マッチング率が高いのが紹介予定派遣の特徴だ。派遣社員 が正社員に転じる割合は七割。残り三割のほとんどが派遣社員側の辞退によるものだ」 ――紹介手数料率などの仕組みは。 「派遣社員が正社員に移行する際の手数料は予定年収の二五%に設定することが多い。技術者をはじめとする人材不足が顕著な職種では広告費など募集コスト が高くなるため三〇%を請求する場合もある。基本的に、正社員となってから三カ月以内に辞めた場合は企業に手数料の三割を返す」 ――今後も市場が拡大する手応えはあるか。 「〇五―〇六年に比べると少し落ち着いたが、紹介予定派遣という手法は地方でも認知された。スタッフの意思で一般の派遣から紹介予定派遣に切り替える ケースも増えている。新卒で入社後三年程度で辞めた『第二新卒』も紹介予定派遣のターゲットで、需要の幅は今後も広がりそうだ」 (聞き手は北西厚一) いたい・しんいち=91年(平3年)東洋大卒。横浜そごう勤務を経て、01年スタッフサービスに入社。営業職を皮切りに統括マネジャーなどを歴任。06 年から現職。38歳。 ◆首都圏―関西のトラック輸送、引越社、鉄道に切り替え――燃料・人件費抑え価格下げ。 2007/08/31, 日経産業新聞 「アリさんマーク」で知られる引っ越しサービス専業大手の引越社(名古屋市、角田淑子社長)は九月一日から順次、首都圏―関西間の家財輸送をトラック利 用から鉄道コンテナ利用に切り替える。トラックの利用を最寄り駅と顧客宅間の短距離に限ることで燃料費や人件費を抑制。標準的な四人家族が鉄道を利用して 首都圏―関西間で家財道具を運ぶ場合の料金を、トラック利用の現行二十万円程度から十五万円程度に引き下げる方針。一年後をめどに同区間の輸送量の九割を 鉄道利用に切り替え、低価格を武器に輸送量拡大を狙う。 引越社は東京や千葉、埼玉など首都圏八カ所の貨物駅と名古屋、大阪、京都、神戸間を日本貨物鉄道(JR貨物)の鉄路を使い、引っ越し荷物を運ぶ。運送管 理業務は鉄道輸送に強い物流企業に委託し、引越社専用のオペレーターを置く。 顧客宅での見積時に引っ越し予定日のコンテナの空き状況を確認してから、受注する仕組み。コンテナに空きがない場合などはこれまで通りトラックで運ぶ。 専用コンテナの導入も計画している。引っ越し専業大手による家財の鉄道輸送は北海道など遠隔地への輸送に限られており、首都圏―関西間で大々的に取り入れ るのは珍しいという。 鉄道輸送への切り替えにより、燃料費や人件費をトラック輸送よりも三分の一程度安くできるうえ、二酸化炭素(CO2)の排出量も現在より年間約二百七十 トン削減できる見通しという。九月からテレビCMなどを通じて消費者に低価格と環境負荷低減を訴求し、首都圏―関西間の引っ越し需要取り込みを図る。 同社のグループ会社である引越社関西(大阪市)所属の運転手が二〇〇六年三月に居眠り運転で死亡し、厚生労働省兵庫労働局は〇七年二月に引越社関西など を労働基準法違反(時間外労働)の疑いで書類送検した。〇六年に実施した試験では、九―十二月の累計事故件数が前年同期より約二割減っており、鉄道輸送へ の切り替え推進には事故の発生を抑える狙いもある。 ◆非正社員数――首位ヤマト運輸、6万9000人(働きやすい会社2007) 2007/08/31, 日経産業新聞 二〇〇七年「働きやすい会社」調査で集計した非正社員数ランキングでは、最も多かったのはヤマト運輸で六万九千二百七十七人。正社員を加えた全社員数で もトヨタ自動車を上回り、最多だった。二位はイオンで六万六百二十二人、三位のイトーヨーカ堂は三万二千九百八十五人だった。 非正社員とはアルバイトやパートタイマー、嘱託、契約社員、派遣社員などを指す。ランキングではサービス業や小売業が上位を占め、各社は主婦やフリー ター、学生など幅広い層に雇用機会を創出している。上位企業はいずれも非正社員比率が五割を超えており、非正社員が貴重な戦力になっている。 厚生労働省の労働力調査によると、〇六年の非正社員数は千六百七十七万人で、全雇用者の三三%を占めた。 【表】非正社員数ランキング(人) 1 ヤマト運輸 69,277 2 イオン 60,622 3 イトーヨーカ堂 32,985 4 デニーズジャパン 22,942 5 ユニクロ 22,786 6 ユニー 22,100 7 セブン−イレブン・ジャパン 16,222 8 オリエンタルランド 16,212 9 西友 14,201 10 イズミヤ 13,973 ◆県内製造業従業者数、愛知、東京抜き全国トップ、「輸送機器」伸び「繊維」は減る。 2007/08/31, 日本経済新聞 総務省昨年統計、94万4000人 愛知県は三十日、総務省の二〇〇六年事業所・企業統計調査で、同県内の製造業の従業者数が都道府県トップの九十四万三千九百十一人となったと発表した。 〇一年の前回調査に比べ〇・三%増えた。自動車関連など「輸送用機械器具」の従業者数の伸びが目立つ一方で、「繊維工業」などは従業者、事業所数ともに減 少。業種や規模によって格差が広がっている現状も浮かび上がった。 調査は〇六年十月一日現在で実施。愛知県の製造業の従業者数はこれまでトップだった東京都を上回り、一九四七年の調査開始以来、初めて一位となった。労 働人口の面からも物づくりで日本一となった形だ。 県内の全従業者のうち製造業の従業者は二五・〇%を占めた。「輸送機械器具」の従業者は二十七万四千五百七十一人(前回比一七・九%増)で、事業所も三 千八百二十九カ所(同二・三%増)となり、好調ぶりを反映した。 減少が目立った「繊維工業」は二万六千三百九十二人(同二八・七%減)、三千八百八十二カ所(同三二・七%減)。「窯業・土石製品」は三万八千百三十八 人(同一三・三%減)、二千四百八カ所(同一九・四%減)だった。 製造業以外も合わせた県内全体でみると、従業者は三百七十七万二千五百四十七人(同二・三%増)、事業所は三十三万五千五百九十三カ所(同六・九%減) で、いずれも全国三位。従業者が四人以下の事業所は九・五%減り十九万五百九十四カ所で、逆に三百人以上の事業所は一九・一%増の七百九十九カ所となり、 規模による格差も鮮明になった。 非農林業の民営事業所の従業者三百五十五万四百二十三人のうち、六割強を占める「正社員・正職員」は〇・四%減った一方で、パートなど「正社員・正職員 以外」は一六・一%増となった。 ◆企業立地促進法、適用めざし活性化協、石川県、来春までに基本計画。 2007/08/31, 日本経済新聞 地方経済面 (北陸) 企業誘致に取り組む地域を支援する企業立地促進法の適用を目指し、石川県は三十日、県内十九市町や業界団体などと共同で「地域産業活性化協議会」を設置 した。二〇〇八年三月までに、産業集積の核となる業種や地域、地域活性化に伴う経済効果の目標値を示した今後五年間の基本計画を策定し、国に提出する。 同法が適用されると、該当地域に進出した企業が設備投資減税などの優遇措置を受けられる。自治体にも企業誘致に関する施設整備に補助金が出る。この日開 いた初会合では、会長に県の高本隆商工労働部長、副会長に金沢市の君塚明宏産業局長を選任。 県が適用地域を県内全域、対象となる産業を機械、繊維、食品、IT(情報技術)とする基本計画の素案を提示し、議論を交わした。 ◆近畿の失業率、0.9ポイント改善4.2%、7月、有効求人倍率1.12倍。 2007/08/31, 日本経済新聞 総務省が三十一日発表した近畿二府四県の七月の完全失業率(原数値)は四・二%と前年同月に比べ〇・九ポイント改善した。前月比では〇・一ポイントの改 善。雇用者数は前年同月比で二十九万人増えており、同省は「雇用は引き続き改善している」とみている。 完全失業者は四十四万人で、前年同月比で九万人減った。自営業を含む就業者は千五万人と、前年同月に比べ十二万人増えた。職を探していない人を示す非労 働力人口は七百四十九万人で、前年同月比で一万人増えた。 厚生労働省が同日発表した近畿の七月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月比〇・〇一ポイント上昇の一・一二倍。大阪の有効求人倍率は四カ月連続で上昇 した。京都の有効求人倍率は六カ月ぶりに上昇に転じた。 【表】7月の近畿2府4県の有効求人倍率 〓〓〓 季節調整値、カッコ内は前月比、ポイント、▲は低下 〓〓〓 大 阪 1.31 ( 0.01) 兵 庫 0.97 ( 0.02) 京 都 0.95 ( 0.01) 奈 良 0.80 ( 0) 滋 賀 1.33 (▲0.01) 和歌山 0.93 ( 0.03) ……………………… 近 畿 1.12 ( 0.01) ◆失業率0.1ポイント改善3.6%、9年5ヵ月ぶり低水準、7月。 2007/08/31, 日本経済新聞 大阪夕刊 (一面) 景気は底堅く推移している。総務省が三十一日発表した七月の完全失業率(季節調整値)は三・六%と前月比〇・一ポイント低下し、雇用情勢が一段と改善し た。七月の鉱工業生産指数は前月比で低下したものの、地震に伴う自動車減産の影響を除くと上昇基調を保った。ただ、消費者物価は前月比横ばいで、個人消費 は伸び悩んだ。八月に発生した米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題などを含め、先行きにはなお不透明要因もある。(関連記事3 面に) 完全失業率の改善は二カ月連続で、一九九八年二月以来、九年五カ月ぶりの低い水準。女性や若年層の完全失業率の低下が目立つ。厚生労働省が同日発表した 七月の有効求人倍率(同)は前月と同じ一・〇七倍。厚労省は雇用情勢の判断を二年二カ月ぶりに上方修正した。 完全失業率は十五歳以上の働く意思がある「労働力人口」に占める完全失業者の割合を指す。完全失業者数は前年同月を三十四万人下回る二百三十四万人。仕 事をしている人を指す就業者数は六千四百五十八万人と前年同月より三十七万人増。 男女別で見ると、女性は前月比〇・二ポイント低下の三・三%と九年十カ月ぶりの低水準だった。男性は前月比〇・一ポイント低下の三・七%で四カ月連続で 前月を下回った。 年齢別では二十四歳以下の若者の完全失業率が前年同月比一・三ポイント低下し、六・五%。六十―六十四歳は一・〇ポイント低下の三・三%。人手不足に悩 む企業が、若者と定年直後の人材を積極雇用していることが分かる。 一方、求職者一人当たり何件の求人があるのかを示す有効求人倍率は二〇〇五年十二月に一倍台を回復して以来、一倍超の水準が続く。企業の求人を示す有効 求人数は前月比〇・六%減少したが、職探しをする有効求職者も〇・四%減っている。 雇用情勢の判断は完全失業率が今年四月に四%を割って以降、三%台を維持している点などを評価し、厚労省が「(地方と都市部の雇用状況の格差など)厳し さが残るものの、改善が『着実に』進んでいる」と上方修正。「着実に」という言葉を加えた。今後も「雇用情勢の改善傾向は続く」(厚労省職業安定局)とみ る。総務省は「雇用情勢は改善が見られる」との判断を据え置いた。 ◆川崎市政占う両輪――行革プラン案、3年で職員1000人削減。 2007/08/31, 日本経済新聞 地方経済面 (神奈川) 二〇〇二年の「財政危機宣言」を契機に始まった行財政改革プランは今回で三回目となる。前回に続いて収支見通しの大枠を示す「財政フレーム」を策定する ほか、財政運営の基準となる指標を新たに設ける。〇八年度に「新たな公共サービス提供のガイドライン」を策定し民間活力導入を進めながら監視も強化する。 〇八年度には一九九七年以来となる大規模な組織再編に踏み切る。 市民局を「市民・こども局」に改め、局相当の「こども本部」を置いて子育て支援を充実させる。市民局の勤労市民室や消費者行政センターを経済局と統合し て「経済労働局」を新設する。 市対岸の羽田空港と連絡道路で結ぶ「神奈川口」構想の具体化や、臨海部の整備推進を担う部相当の組織を総合企画局に新設する。一〇年度には、下水道事業 と水道局を統合。公園や緑地を管理する環境局緑政部を道路や河川を管理する建設局に移管する。 ◆岡山地方最低賃金審議会、10円引き上げ658円答申。 2007/08/31, 日本経済新聞 地方経済面 (中国B) ■岡山地方最低賃金審議会 岡山県内の全産業、全労働者に適用される最低賃金について、時間額を十円引き上げ六百五十八円にするよう岡山労働局長に答申 した。十月二十六日から適用される予定。 ◆中労委、JR北海道に、転勤前の職場復帰命じる(ピックアップ) 2007/08/31, 日本経済新聞 北海道朝刊 (社会面) 中央労働委員会は三十日までに、JR北海道がJR北海道労働組合の組合員三人を組合員であることを理由に転勤させたのは不当労働行為に当たると認定し、 三人を転勤前の職場に復帰させるよう命じた。不当労働行為は認定したが職場復帰を認めなかった昨年六月の北海道労働委員会の命令を一部変更した。 ◆正規雇用促進求める、栃木県知事、経済団体に要望書。 2007/08/31, 日本経済新聞 地方経済面 (栃木) 栃木県の福田富一知事は三十日、宇都宮市内で県商工会議所連合会の簗郁夫会長ら県内経済五団体の代表に対し、正社員求人の確保を求める要望書を提出し た。こうした要望書を渡すのは二年連続。福田知事は「企業経営を取り巻く環境は厳しいと思うが、若者が安心して働ける環境が整備されないと社会の持続的な 発展はあり得ない」と協力を求めた。 県内の六月の有効求人倍率は一・六〇倍と全国第三位の高水準にある。だが正社員だけでみた求人倍率は〇・七四倍と、求人数全体の約四割にとどまってい る。要望書はこうした雇用のミスマッチの是正を県経済界に求めたものだ。 簗会長は「県と栃木労働局とさらなる連携を深めて取り組む」と応じた。ただ、県内企業の経営状態は必ずしも良好とはいえないとして「経営安定に向けた指 導をより一層お願いする」との注文もつけた。 【図・写真】要望書を手渡す福田知事(右)(30日、宇都宮市内) ◆(政策どこへ 安倍改造内閣:3)格差問題 「地域」重視に転向 朝日新聞 2007年8月31日 留任が決まった直後、構造改革の「旗振り役」である大田経済財政相の言いぶりが変わった。 内閣改造後の27日夕、首相官邸での記者会見。大田氏は冒頭、「景気回復が日本全国の地域、そして家計に波及できるよう努力する」と語り出した。景気浮 揚を目指す対象として、これまで繰り返してきた「家計」に「地域」が加わった。 安倍改造内閣の政権課題の一つは「都市と地方の格差」の是正である。 改造で「地方・都市格差是正担当相」を新設し、前岩手県知事の増田総務相が兼務。政府の経済政策運営を話し合う経済財政諮問会議も地方で開く。政権の看 板だった経済成長を重視する路線は、舞台の脇に追いやられたかに見える。 転換のきっかけは、参院選で民主党が地方重視を鮮明にし、圧勝したことだ。「ばらまき」とも取れる民主党の公約に、惨敗した自民党の内部でも共鳴が大き くなっている。 例えば農政。農家一戸一戸に所得補償をする政策で農村票を引きつけた民主党は、関連法案を提出する機会をうかがう。今のところ政府側から歩み寄る動きは ないが、自民党には「党や農家、国民にとって大事なものは(民主党と)話し合って実行する。これまでと違う動きが出てくることは間違いない」(谷津義男・ 党総合農政調査会長)との声が出る。 安倍首相の就任当初は、「格差」といえば所得格差だった。とくに就職氷河期の90年代半ば以降、正社員になり損ねた20代後半〜30代前半の低所得問題 を優先した。 理由があった。政府関係者によると、昨年12月ごろ「若年層の雇用情勢が改善しそうだ」との見通しが厚生労働省から官邸に入った。上向く前に、若年層の 雇用環境にスポットを当てた政策を打ち出せば、国会論争、参院選で優位に立てる。そんな判断でフリーターらに企業研修の場を与える「成長力底上げ戦略」を 打ち出したという。 「参院選を控え、格差是正を訴える民主党に対抗できる『材料』があれば、何でもよかった」と、政府関係者はいう。 結局、若い層にアピールできず、選挙戦術として役に立たなかった。 とはいえ、所得格差が改善する兆しもない。厚生労働省が24日に発表した調査では、所得格差が広がるほど「1」に近づくジニ係数は、04年の当初所得で 0・5263と過去最高になった。非正社員の増加も続いている。 一方、政権が力を入れようとしている都市と地方の格差問題も打つべき手は、像を結ばない。 増田総務相は、政府のサイフに頼る政策ではなく、地域産業の振興を強調する。菅・前総務相は地域間の税収格差を重視したが、増田氏は就任後の会見で「税 制で格差を是正するのは限度があるだろう。産業をそれぞれの地域で振興させたうえで、税として果たすべき役割を考えていくことが大事だ」と述べた。 与謝野官房長官は29日午後、増田氏を呼び出した。与謝野氏は橋本内閣で財政構造改革にかかわり、小泉内閣で歳出・歳入一体改革をまとめた財政再建派 だ。2人は「ばらまきをやっては駄目だ。それが地方の沈滞を招いた」という考えで、一致したという。 だが、ばらまかない地方対策とは何なのか。増田氏が唱える地域産業振興のため、政府に何ができるのか。その結論は出ていない。その席で2人が確認できた のは、「とにかく知恵を出そう」ということだった。 【写真説明】 閣議に向かう大田経済財政相。内閣改造後は都市と地方の格差是正に力点を置く=30日朝、首相官邸で、松沢竜一撮影 ◆(職場のホ・ン・ネ)年齢制限は必要? 生活設計、考えて 朝日新聞 2007年8月31日 ○年齢制限は必要? 「受付嬢は年齢?」(8月3日付)を読みました。女性の年齢差別は受付だけではありません。米国の日系企業で12年働き、51歳で帰国して人材派遣会社 へ行くと、こんな言葉を聞かされました。「企業は年齢幅を指定してきます。お仕事を見つけるのは難しい」。あぜんとしました。 新聞の求人欄を見て電話しても、大半がまず年齢を聞いてきました。事務に年齢が必要でしょうか。米国では接客の現場でも年配の女性の活躍が目立つのに。 (長野県 英会話講師 54歳 女性) ○生活設計、考えて 「団塊はお荷物なのか」(8月24日付)の投稿者は再就職先で年収250万円になるそうですが、退職金をもらい会社から仕事もあてがわれ、本当に幸せで す。土日にゴルフやドライブに行くのが今の生活なら、維持するのは無理かもしれませんが、生活設計を考えて暮らせばいい。 私は早期退職させられ、自分で探した今の再就職先は給与も大幅に減り残業代もつきません。でも弁当持参で自転車通勤して我が家の家計を維持しています。 (福岡県 会社員 58歳 男性) ◆GWG、コムスン譲渡で特別損失36億円 東証指導受け公表 朝日新聞 2007年8月31日 グッドウィル・グループ(GWG)は30日、子会社コムスンの事業譲渡に伴う特別損失が36億円になると発表した。介護報酬の不正請求に絡む返還額も 12億円に膨らむ。日雇い派遣の不透明な天引き問題では、派遣労働者への返還額を当初の43億円より少ない34億円と見込む。これらの特別損失の内訳は上 場する東京証券取引所の指導で急きょ公表しており、情報公開の姿勢が問われそうだ。 GWGは介護事業からの全面撤退を決めており、コムスンの事業所の統廃合費用などがかさんだ。派遣労働者への返還額は、連絡が取れない人もいるため、想 定よりも少なくなるという。 GWGは07年6月期連結業績予想を29日下方修正したが、損失の内訳などは「31日の決算発表まで明らかにできない」としていた。東証が開示するよう 指導し、30日夜になって公表。GWG広報IR部は「29日の開示が不適切だったわけではないが、東証のアドバイスに従った」としている。 ◆外国人研修生、法で保護 経財会議調査会、骨子案に盛り込む 朝日新聞 2007年8月31日 外国人労働者に関する制度改正について、政府の経済財政諮問会議の労働市場改革専門調査会がまとめた報告書の骨子案が31日、明らかになった。過酷な低 賃金労働が問題になっている外国人研修・技能実習制度について、労働関係法令が適用されない研修生も労働法で保護することなどを盛り込んでいる。 骨子案は同日午後の調査会に示され、9月にも報告書としてまとめる。 研修生に労働法が適用されれば、最低賃金が確保され、時間外手当、労災保険などが受けられるようになる。骨子案はこのほか、制度改正の方向として、現行 の研修・実習期間の上限3年を超えてより高度な技能実習ができる制度の導入や、技能実習の対象職種の拡大などを掲げる。運用面の改善策も、罰則の強化や、 制度の運営を担う国際研修協力機構の体制強化などを列挙している。 また、出入国管理法では一部例外を除き就労可能な外国人を弁護士や大学教授など専門的技術的分野に限定しているが、受け入れ範囲の「弾力的見直し」も打 ち出した。 外国人研修・技能実習制度をめぐっては、厚生労働省と経済産業省も見直し案を発表。厚労省は研修制度を廃止し、労働法が適用される実習生に一本化するこ とを提案している。 骨子案は、研修段階から労働法を適用する方向を示しており、今後の議論が注目される。 ◆生活保護申請に「無駄」 大阪市「門前払い」 弁護士、録音テープ公開 【大阪】 朝日新聞 2007年8月31日 生活保護を申請するため大阪市の福祉事務所を訪れた内縁の夫婦と、福祉事務所職員とのやりとりを録音したテープを、生活保護問題に取り組む弁護士が公開 した。夫婦の住居の家賃が高額であることを理由に、職員が「(申請は)無駄」などと申請書交付を渋る様子が録音されていた。窓口で対象者を絞る「水際作 戦」は北九州市などで問題化しているが、詳細なやりとりが明らかになったのは極めて異例。厚生労働省は「保護受給権を侵害する行為」とみている。(永井真 紗子) 録音を公開したのは、「生活保護問題対策全国会議」事務局長の小久保哲郎弁護士(大阪弁護士会)。「申請者が違法な理由で追い返される例が多く、証拠保 全のため」として申請者の了解を得て録音し、26日に東京であった同会議主催の全国集会で公開した。 申請者は心身に病気があり、仕事や収入もない50代の夫と30代の妻。以前は夫が働き、家賃11万円のマンションに住んでいたが、夫は目が悪くなって仕 事ができなくなった。多重債務を抱えて家賃を滞納しており、安いところへ引っ越すにも手持ち金がなかった。食事も友人からの差し入れだった。 夫婦は6月20、27日と7月3日の計3回、福祉事務所を訪れた。録音・公開されたのは友人が同行した2回目と、弁護士が同行した3回目。 6月27日の会話では職員が家賃を問題視。窮状を訴える夫婦に「緊急性が高いとは思っていない」と応対し、友人が申請書をもらおうとしても、「無駄」 「無意味に近い」と発言していた。申請書はこの日最後に交付されたが、申請は受け付けられなかった。 7月3日には別の職員が「指導をしている」と弁明。さらに「北九州市の水際作戦とは違う」などと、保護を受けられずに孤独死が相次いだ北九州市の対応と の違いを強調していた。 夫婦は7月3日に申請したが、簡易保険が財産とみなされたため、撤回。保険を解約して債務を返済した後、同10日に再申請し、認められた。保護開始前後 に安い家賃の住居に引っ越したという。 大阪市の福祉事務所は無断で録音されたことについて、「知らなかった。言ってもらえば拒むことはなかった」と説明。上野厚雄・市生活保護担当課長は「家 賃が高額の場合、保護を受けても最低限度の生活が保障されないため、申請前に通常、転居を勧めている」と話している。 これに対し、厚労省保護課は「家賃を理由に申請を拒むことは問題がある」と指摘している。 ◆保護率、指定市トップ 大阪市 大阪市が生活保護費の支出を抑制しようとする背景には、全国平均を大きく上回る保護率が財政を圧迫している事情がある。同市の05年度の生活保護費は全 国の市区町村で最多の2251億円で、全国の生活保護費の9%弱を占める。市の一般会計に占める割合は13%にもなる。 人口に占める生活保護受給者の割合(保護率)は政令指定市で最も高く、05年度は4・02%。全国平均の1・16%を大きく上回った。1・67%だった 92年以降、毎年伸び続けており、今年7月現在の被保護世帯数は8万5850世帯、11万2817人にのぼり、保護率は4・27%まで上昇した。 特に同市西成区は日雇い労働者が集まるあいりん地区を抱え、05年度の保護率は24区最高の16・73%。4世帯に1世帯が生活保護を受けている。 市は保護率の増加を抑えるため、働ける世代の受給者の就労を支援するケースワーカーを7月に約30人増員し、現在は約700人。さらに長期的に保護世帯 をサポートするため、08年4月までに社会福祉の専門職計六十数人を新規採用する。一方、不正受給は年間千件近くにのぼり、捜査機関への告訴や告発を積極 的に進める方針だ。 ◇「無意味なことに近いですよ」 福祉事務所と主なやりとり ●6月27日 申請者「申請しても受けられへんですか」 職員「今、家賃が高くてそこに1カ月しかおれませんという場合、今のままやったら却下されると思います」 申請者の友人「とりあえず生活保護の申請をしたいんですけど、申請用紙はいただけますか」 職員「申請して、却下されてどないするの。却下されるから私は保護受けれる要件がないということをお教えしてあげないかんわけや」 申請者「申請だけしたいんですけど」 職員「そんな無駄なことしたい言わはんのやったら、いろんな書類つけて出さなあかんから、あなた自身がそこまで手間暇かけたい言わはんのやったら、出さ はることはあなたの権利として私は拒否も勧めもしません。ただ無意味なことに近いですよと」 ●7月3日 弁護士「申請は受理しないっていうこと?」 職員「申請を受理しないんやなしに、指導してるの」 ◆キーワード <水際作戦> 生活保護を申請しようとする人に対し、福祉事務所の職員が申請書をすぐに渡さず、窓口での相談段階で対象者を必要以上に絞り込む手法。生 活保護問題に取り組む弁護士や福祉関係者らが批判の意を込めて名づけた。受給者の増加、国や自治体の財政難が背景にあるとされる。 ◆性的暴行、訴え放置 労働局が行政指導 京大病院、被害者に事情聴かず 【大阪】 朝日新聞 2007年8月31日 京都大医学部付属病院(京都市左京区)が元看護師の女性(31)から昨秋、セクハラ相談を受けたのに早く対応しなかったとして、京都労働局が男女雇用機 会均等法に基づき同病院を行政指導していたことが分かった。同病院は「結果的に対応が遅れ、反省している。9月中に本人へ調査結果を伝えたい」と説明して いる。 女性は昨年10月、職場の宴会から帰宅途中に同病院脳神経外科の医師に性的暴行をされたとして、同月に相談窓口に申し出た。病院側の反応はなく、今年1 月に再度訴えたが、同病院人権委員会は今も女性から事情を聴いていないという。 同病院は、女性と医師が示談交渉を弁護士に委ねていたことや、女性が京都府警に相談に行き、1月下旬には強姦(ごうかん)容疑で告訴したことなどから、 病院としての調査は必要ないと判断したという。女性は2月に同病院を退職。医師は同容疑で書類送検された。人権委員会前委員長の一山智・副院長は「司法判 断を待ち、処分を検討したいと考えていた。放置していたのではないが、今となっては甘かった」と話す。 今年4月施行の改正男女雇用機会均等法は、セクハラ対策として事実関係を迅速かつ正確に確認し、適切な対応を講じることなどを事業主に義務づけた。京都 大も「ハラスメント防止・対策ガイドライン」(05年9月)で、相談を受けたらすみやかに調査を始め、3カ月以内に調査を終えると定めている。 女性は「勇気を出して相談したのに病院の対応が不十分で、仕事ができなくなるほど追い込まれた。病院自体が調査しなければ、被害は減らない」と話してい る。 ◆(働きすぎの現場から 第3部 耐久レース:下)仕事は好き、だけど… 【大阪】 朝日新聞 2007年8月31日 ●職場の「兄貴」自殺…会社は何事もなく 過労死の不安、心に苦さ抱え 「遅くまでがんばるなあ。体、気をつけろよ」 昨冬の日曜日。西日本で出版物の制作会社に勤めるデザイナーの女性(31)が午後9時まで仕事をしていると、同期入社で営業の男性がふらりとやってき た。 「そっちも休日出勤?」と女性が返すと、「やっかいな客がいてね……」。車のキーを持って出て行く後ろ姿が、疲れて見えた。 1カ月後、男性がビルから飛び降りているのが見つかった。日曜出勤の翌朝だった。 「兄貴」。女性はそう呼んでいた。二つ年上で、よく愚痴を聞いてもらった。休日でも、顧客からの急な呼び出しに応じている姿を何度も見かけた。 社員に知らせる会社のメールは「原因はわからない」。でも、過労自殺としか思えなかった。 葬儀の時、男性の両親が「ご迷惑をかけて申し訳ありません」と参列した会社の幹部らに頭を下げるのを見た。悔し涙が出た。 女性は入社9年目。雑誌やカレンダーのデザインを任されている。リーダーとして派遣社員も指揮する。 パソコンに、毎日の出勤、退社、勤務時間を記録している。 「in 9:30/out 8:30/計23」 「何か」あった時のため、3年前に始めた。残業は月160時間。過労死ラインとされる月80時間の倍だ。残業代は60時間分しか出ず、手取りは月28万 円。うち7万円は深夜帰宅のタクシー代に消える。買う暇がないので化粧はしない。 それでも仕事が好きだった。やればやるほど力がつくのを実感でき、上司にも頼られた。1日16時間働いても「あと8時間使えたらなあ」と思ってい た……。 あれから半年。男性が最初からいなかったかのように、会社は動いていく。「私が過労死しても、同じなんだろうな」。心の中に苦いものがこみ上げる。 管理職になった女性の先輩は1人だけ。独身で、男性と同じように働く。そんな人生もいい、とは思えなくなった。「子どもを産み、育てながら仕事をした い。今の生活では無理だ」 深夜2時。4日で雑誌百ページ分をレイアウトする「超特急」指定の仕事を片づけながら、ふと思う。 「年齢的にも体力的にも、転職するなら今が最後のチャンスかもしれない」 ●「花形」部署で野心も…残業は月250時間 ふと思う「何のため必死に?」 7月の午後6時すぎ、関東の都市銀行に勤める男性(35)は家路を急いでいた。会社が設けた初の「ノー残業デー」。右手の菓子箱には、プリンが4個。 玄関を開くと、風呂上がりの次男(1)が素っ裸で飛びついてきた。満面の笑顔。続いて長男(4)。平日に家族と夕食をとったのは、結婚後初めてだった。 就職氷河期の95年入社。支店勤務をへて「花形」の企業買収の融資を担当する。年収は1千万円を超える。 帰宅が午前3時を過ぎても、朝6時には家を出る。残業は月250時間。会社は最近、残業を減らそうとしているが、「仕事量は減らない。『能力の高い君た ちならこなせる』なんて、あきれてしまう」。 会社はリストラを続けてきた。40・50代は出向、転籍。30代も昇格人数が絞られ、転職者が相次いだ。退職を知らせるメールが1日14通来たこともあ る。 「おれもいつか」と思っていたが、今は充実している。このまま出世レースに勝ち、部署のトップに。そんな「野心」もある。 大学時代はボート部。一心不乱にオールを動かし、ゴールした時の快感は格別だ。仕事も同じ。ゴールを目指しベストを尽くす。 体力には自信があったが、数カ月前、ひどい耳鳴りが続いた。「ストレスですね。仕事を減らしましょう」という医師に、苦笑いを返すしかなかった。 友人の弁護士は「お前みたいなやつが過労死するんだ」。長時間労働の証拠にと、「帰るメール」を妻に送ることにした。 時折、考える。電車に飛び込んだ上司や、過労で倒れた同期のこと。「妻や子に幸せな生活を送らせたい。自分が消えてしまっては、かなえてやれない」 年功序列は崩れ、会社は人生のセーフティーネットにならないと思う……。 「では何のために必死でオールをこぐのか。家族のため? 自分のため?」 答えは出ぬまま、今日も深夜、タクシーに乗った。 (この連載は、石村裕輔、諸麦美紀、山内深紗子が担当しました) ◆働く目的・理由、じっくり考えて 「若者はなぜ3年で辞めるのか?」著者・城繁幸さん スキルアップや出世など目標ややりがいが持てる人はメンタル面のリスクが比較的少ない。健康管理に気をつけて仕事を頑張るのもいいだろう。だが、希望の 職場をはずされたり、やりがいを見失ったりした途端、仕事に疑問を感じ、心身を病む場合がある。 社員が過酷な労働に耐えてきたのは、ある程度の年齢に達すると、自分の裁量で仕事ができるポストや高給などの「報酬」が約束されていた側面が大きい。 こうした日本的な年功序列制度は80年代ごろまで健在だったが、長引いた不況で実質的に崩壊した。企業が一定の成長を維持できなくなり、「報酬」は空手 形になりつつある。 管理職候補の選抜はだいたい30代前半で終わる。ポストに就けないと気づき、目標を見失う社員も多い。なのに、就職氷河期を経た30代は人数が少なく、 大量の仕事に追われがちだ。 「滅私奉公」しても報われないなら、そんなに仕事を頑張る必要があるだろうか。仕事だけが自己実現の手段ではない。プライベートに軸足を移してみては。 今の仕事でそれが難しいなら、転職も一つの方法だ。 何のために働くのか。滅私奉公的な働き方が求められた時代にはあまり省みられなかったそのことを、じっくり考えてみてほしい。 ◆情報クリップ 【名古屋】 朝日新聞 2007年8月31日 ●外国人労災ホットライン 9月9日午前11時〜午後4時、名古屋労災職業病研究会(052・837・7420)で、外国人労働者問題に詳しい弁護士や 医師らが無料で電話相談に応じる。英語、ポルトガル語、スペイン語、中国語、韓国語、タガログ語の通訳がつく。 ◆ホームレス支援誌「ビッグイシュー」が上陸 札幌で街頭販売 /北海道 朝日新聞 2007年8月31日 英国で生まれたホームレス支援のための雑誌「ビッグイシュー」の日本版が9月3日から、札幌市で売り出される。ホームレスだけが街頭で販売でき、売り上 げの一部を生活費にする自立支援事業だ。すでに大阪や東京など全国11都府県で販売されており、北海道は初上陸。販売を担うホームレスも「寒い冬が来る前 に、今の状況から抜け出したい」と意気込む。(山田理恵) ビッグイシューは、ホームレスに仕事を提供しようと、91年にイギリスで創刊。日本版は03年9月、大阪の民間会社「ビッグイシュー日本」(佐野章二代 表)が発刊した。若者層がターゲットで、内容は国際関係、特集、エンターテインメントが三本柱。月に2回発刊され、ホームレスは毎日街頭で売る。定価 200円のうち、仕入れに必要な90円を差し引いた110円がホームレスの収入となる。 販売するホームレスは「販売中、攻撃的、脅迫的な態度や言葉は使わない」ことなどを「ビッグイシュー日本」と契約、IDカードが発行されている。 全国ではすでに東京、愛知など11都府県で販売されているが、道内では3日からJR札幌駅周辺でホームレスの男性4人が立ちながら販売。学生や市民で ホームレス支援を続ける「北海道の労働と福祉を考える会」が中心となり、仕入れ、販売管理、広報などをする。 道内の目標販売数は1号につき千〜1500冊。大阪の場合、1日25〜30冊売ると、路上暮らしを脱して簡易宿泊所に泊まり、35〜45冊でアパートを 借りることができた。最終的には、アパートなどに住んで就職活動をするのが目標で、これまで全国の販売登録者644人のうち54人が新しい仕事を得たとい う。 「考える会」の事務局長で、北大3年の長谷川喜哉さん(21)は「学生や若者にアピールし、日本一の売り上げを実現したい」。販売する男性(56)は 「とにかくこの世界から抜け出したい」。他の男性(45)は「北海道の冬は厳しい。たくさん販売し、アパートを借りたい」と話した。 【写真説明】 ホームレスたちが街頭で販売する「ビッグイシュー」 ◆女性の再就職を支援 堺市、あす拠点開設 セミナーや職業紹介 /大阪府 朝日新聞 2007年8月31日 堺市は9月1日、「女性のための再就職支援プラザ」を、市役所三国ケ丘分館に試験的に開設する。出産や育児で離職していた女性の社会復帰を手助けする拠 点で、各種セミナーや職業紹介などを実施。11月末まで続け、効果を検証して来年度以降に本格実施するかどうか決める。(伊藤誠) 市労働課によると、昨年8月〜今年3月に市が主催した「女性の再就職チャレンジ講座」で、参加者から「退職中のブランクが不安」「子どもがいるので就職 活動が難しい」「パートしかできない」などの意見が目立ったという。 同プラザは、南海・JR三国ケ丘駅に近い市役所三国ケ丘分館4階に設け、雇用創出や社会人向けキャリアアップ事業などを手がける民間事業者に業務を委 託。3人が常駐する。 同プラザを利用できるのは、市内在住か在勤の女性で、年齢は問わない。事前に氏名などを登録し、利用前には予約が必要。 支援メニューは、個別のカウンセリングや就職力アップセミナー、パソコン操作セミナー、職業紹介などで、すべて無料。求人情報を独自に開拓し、希望に応 じて企業への同行などのサポートもする予定だ。市によると、再就職を目指す女性のために地方自治体が行う事業としては全国的に珍しいという。 プラザ内には、子どもも遊ばせておけるチャイルドコーナー、複写機を備えた情報提供コーナー、カウンセリングルームなどがある。 利用時間は午前9時(土曜は午前10時)〜午後5時、日曜と祝日休館。登録・予約、問い合わせは、今月末までは同プラザ事務局(06・4795・ 1410)、9月1日以降は同プラザ(072・250・8141)へ。メール(sakai−women@lec−jp.com)でも可能。 ◆コムスンに返還指導 介護報酬不正1億1300万円 県監査 /山口県 朝日新聞 2007年8月31日 県は30日、訪問介護大手コムスンの県内の2事業所で、他の事業所の職員の氏名を使った虚偽申請で訪問介護事業所の指定を得る不正があったとする監査結 果を発表した。同社に対し、不正に受け取った介護報酬計約1億1300万円を返還するよう指導した。 県長寿社会課によると、防府市と下松市の2事業所は訪問介護事業所として開業申請する際、サービス提供責任者として別の事業所の職員を届けたまま、04 年から05年5月まで運営を続けた。両事業所は今年5月末に廃止されている。 また、周南市と山陽小野田市の事業所には、責任者以外の訪問介護員が訪問介護計画を作成したり、責任者の数が足りなかったりする運営・人員基準違反があ り、再発防止を指導した。 県は厚生労働省の指示を受け、6月1日〜7月5日、県内にある15事業所を監査した。 ◆再発防止、行政指導へ 兵庫労働局、他社にも再点検要請 クレーン死傷事故 /兵庫県 朝日新聞 2007年8月31日 川崎造船神戸工場でクレーンが倒壊し7人が死傷した事故を受けて、兵庫労働局は近く、同社に対して再発防止を求める行政指導をするとともにに、県内の中 規模以上の造船業者約50社にも安全管理態勢などの再点検を求め、うち大手10社には立ち入り検査をして現状を確認する。 一方、県は30日、兵庫工業会などの県内7団体に労働災害防止を要請した。この日午前、表具喜治産業労働部長らが神戸市中央区の同工業会を訪れ、山口喜 弘会長に対して「安全はすべてに優先するという基本に立ち返り、労災防止に万全を」との井戸敏三知事名の要請文を読み上げた。 県によると、06年の県内の労災による死亡者は72人で、05年の56人から約3割増えた。今年は7日現在で、27人が亡くなっている。 ◆直接雇用「無条件でない」 組合側「だまされた」 請負問題で日亜化学 /徳島県 朝日新聞 2007年8月31日 偽装請負の是正のために請負労働者の直接雇用の方針を示していた日亜化学工業(阿南市)は30日、「無条件で直接雇用することは約束していない」とする 見解を明らかにした。同社は昨年11月、県の仲介で請負労働者の組合との間で、勤続3年以上の請負労働者は試験を経て契約社員に切り替えることで合意して いたとされており、今後、県や組合との間で問題が複雑化しそうだ。 見解は30日、偽装請負の現状を調査するために同社を訪れた共産党の小池晃・政策委員長(参院議員)らに文書で示された。それによると、偽装請負につい て、「かねてより認識し改善を行ってきた」と強調。直接雇用には「請負会社の強い抵抗」があったが、通常の採用試験をして、請負労働者に契約社員への道を 開いたと説明している。 しかし、組合側が合意の最大の理由にしていた「約1600人の請負労働者の直接雇用」については、「あくまで試験の結果」とするのみで、組合や県の受け 止め方と完全に異なっている。 偽装請負問題の改善のために労働局に是正指導を求め、日亜側との交渉にあたってきた全日本金属情報機器労組(JMIU)は「全面解決の方針を示したから 労働局への申告を取り下げた。だまされた。違法な労働実態を徹底的に追及する」と憤り、県にも仲介役として毅然(きぜん)とした態度を取ることを求めてい る。県は経験を重視してほぼ全員が採用されるという組合側と同じ理解をしていたと言い、「事実関係を確認したい」とした。 この時期に見解を示したことについて日亜の広報担当者は取材に対し、「国会議員が調査に来たから見解を伝えたまで。当初から方針は変わっていない」と回 答した。 ◆(惜別)弁護士・中島通子さん 女性の労働権切りひらく 朝日新聞 2007年8月31日 なかじま・みちこ 7月29日死去(ハワイで水死)71歳 8月6日葬儀 初めて会ったのは83年。「東大女子学生」をテーマに、同大出身だからと取材を申し込むと、「女性にはもっと大事な問題があるでしょ」。いきなりしから れた。だが取材当日、息子が急病になった。恐る恐る「行けない」と連絡すると、返ってきたのは温かな励ましだった。「女が働きながら子育てするのは大変。 私もそうだったからわかるわ」 筋を曲げない厳しさと、弱者へのやさしさ。この二つを原動力に、数々の訴訟で女性の働く権利を切りひらき続けた。 80年代の日産自動車家族手当訴訟は、手当の支給を世帯主に限ることが女性への支給を妨げると訴え、「間接的な性差別禁止」への一歩となった。帝国臓器 訴訟では、夫が転勤させられて育児参加できなくなった共働き社員の悩みを浮き彫りにし、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)問題を先取りした。 75年の国際婦人年には、「国際婦人年をきっかけとして行動を起こす女たちの会」を設立。自衛隊イラク派兵違憲訴訟の代理人も務め、反戦運動に奔走し た。「市民運動家で評論家。私を含め、あこがれて弁護士を目指す女性が続いた」と社民党党首の福島瑞穂さんは振り返る。 「彼女の原点は東京大空襲の恐怖と、そこから解放され、疎開先の富山の中学で味わった戦後民主主義の息吹だった」と、中島さんの著書を多く世に送り出し た編集者の野中文江さんはいう。 だが、理想への強い使命感と育児や介護など家族としての役割との間で、これでいいのかと自問を繰り返す素顔もかいまみせた。「行動を起こす女たちの会」 で共に活動した評論家の吉武輝子さんは言う。「あるべき姿と現実との落差を意志の力で埋めようと、自分に、ときには他人にも、厳しさを求め続けた人。つら いことも多かったでしょう」 葬儀の日、花に埋もれた顔は、そんな重荷をすべておろし、安らかにほほえんでいるように見えた。(竹信三恵子) 【写真説明】 男女の賃金格差を違法とした東京地裁の昭和シェル石油訴訟判決について、集会で話す中島通子さん=03年4月、東京都内で(全石油昭和シェル労組提供) ◆失業率が改善、3.6% 先月、地域格差なお大きく 朝日新聞 2007年8月31日 総務省が31日発表した7月の完全失業率(季節調整値)は、前月比0・1ポイント低下の3・6%で、98年2月以来の水準となった。3%台は4カ月連 続。厚生労働省が同日発表した7月の有効求人倍率(同)は前月と同じ1・07倍だったが、正社員に限ると同0・01ポイント減の0・59倍だった。同省は 「正社員への就職などに課題はあるが、雇用環境の改善は着実に進んでいる」としている。 男女別の完全失業率は男性が前月比0・1ポイント低下の3・7%、女性は同0・2ポイント低下の3・3%で、女性の改善が目立つ。完全失業者は前年同月 比34万人減の234万人で、20カ月連続で減った。15〜24歳の層が10万人減るなど、すべての年齢層で減少した。失業者の離職理由を見ると、リスト ラなどの会社都合が7万人減の52万人、転職など自己都合が12万人減の91万人だった。 4〜6月の3カ月間の雇用状況は、正社員が前年同期比29万人増の3483万人と増える一方で、パートや派遣社員などの非正社員も84万人増の1731 万人と正社員の増加幅を大きく上回った。雇用者(役員を除く)に占める非正社員の割合は0・9ポイント上昇し33・2%だった。失業期間は短くなる傾向に あり、「3カ月未満」が106万人で最も多い。 7月の地域別の有効求人倍率は、最も高かった愛知が2・03倍で、5カ月連続で2倍を超えた。しかし、最も低い沖縄が0・43倍で前月より0・01ポイ ント下がったのをはじめ、計25道府県で1倍を下回るなど、地域間の格差は依然大きい。 ◆近畿の完全失業率4.2% 回復基調続く 【大阪】 朝日新聞 2007年8月31日 総務省が31日発表した近畿2府4県の7月の完全失業率(季節調整前の原数値)は4・2%で、前月より0・1ポイント改善した。前年同月比では0・9ポ イント改善して完全失業者数は9万人減っており、昨年秋からの回復基調が続いている。厚生労働省が同日発表した近畿の有効求人倍率(季節調整値)は1・ 12倍で前月より0・01ポイント改善。府県別では滋賀1・33倍、大阪1・31倍、兵庫0・97倍、京都0・95倍、和歌山0・93、奈良0・80倍。 和歌山は前月より0・03ポイント改善、前年同月比でも0・11ポイント改善しており回復が目立つ。 ◆日米の内外価格差、1倍割れ迫る――デフレ長引き、ほぼ解消(景気データ) 2007/08/30, 日本経済新聞 東京の家賃はニューヨークの約二倍、食料品や被服・履物は約一・八倍――。いまから十年余り前の一九九四年の話だ。日本は米欧よりモノやサービスの価格 が高く、家計は「生活の豊かさを感じられない」と不満を抱え、企業は高いコストに悩んだ。八〇年代後半から問題視されてきた「内外価格差」がいまや消滅し つつある。 ■ピーク比4割強低下 内閣府の二〇〇七年度版の経済財政白書によると、米国の価格水準を一とした場合、日本は〇六年時点で一・〇七。ピークの九五年の 一・八六から十一年で四割強低下し、八五年以来ほぼ二十年ぶりの一倍割れが迫った。 最大の要因は九〇年代後半に始まったデフレ(物価の持続的下落)だ。日本の物価が十年近く下がり続ける一方、米国は安定的に上昇し、両国の物価水準が急 接近した。 ■労働コストは逆転 長期化したデフレの影響で賃金水準も米国を下回るようになった。モノをつくるのに必要な賃金を示す「単位労働コスト」を製造業でみ ると、日本は〇五年に二十年ぶりに米国を下回り、〇六年は差が一段と広がった。 最近のサラリーマン一人あたり賃金の伸び悩みは「景気回復の実感が乏しい」といわれる一因だが、国際的には割高だった賃金の修正の側面もあった。白書は 「日本企業の賃金面の高コスト体質がようやく解消してきた」と指摘する。 円安傾向もあり、海外で生活する日本人や海外旅行者の間で現地の物価高を嘆く声も聞かれる。日本国内の賃金や物価が上がってこないと、内外価格差解消を 単純に「豊かさの回復」と喜んでばかりはいられない。 ◆メイテック、「厚木テクノセンター」――派遣技術者育成(ここで勝つ成長のエナジー) 2007/08/30, 日経産業新聞 “プロ”の派遣技術者育成 小田急線本厚木駅からタクシーで約二十分。緑豊かな山のふもとに技術者派遣の最大手、メイテックの研修施設「厚木テクノセンター」(神奈川県厚木市)が ある。十四階建ての教室棟には、研修室が二十三部屋。朝早くから日が暮れるまで、所狭しと並べられたパソコンや機械の前で、若者が黙々と自己鍛錬に励んで いる。 メイテックはエンジニアを正社員として雇用し、研修プログラムで技能を磨いた上で企業に派遣する「特定派遣」を展開している。労働者派遣法に準拠する人 材派遣業の一種だが、出向の多い技術者集団と考えた方がわかりやすい。所属するエンジニアは約六千人。取引先は七百社以上にのぼり、同業界でのシェアは一 〇%近くを占める。 同社の技術者派遣は、請求料金がケタ外れに高い。平均的なエンジニアの派遣料が一時間あたり三千二百円程度であるのに対し、メイテックは四千八百円。一 度に数人単位の技術者を送り込める大手の強みもあるが、それ以上に、心臓部である技術力が評価されているからだ。 厚木テクノセンターはエンジニアにとって、玄関口となる。四月、赤坂の本社での入社式を終えた新入社員は大きなバッグを抱え、厚木へと向かう。ほぼ全員 が泊まり込みで行う名物の研修合宿。ここで、現場で必要な技術とビジネスマナーの基本をたたきこまれる。 派遣という仕組み上、勤務先で粗相があっても新人だからという理屈は通用しない。メイテックには顧客企業に対し、“プロ”のエンジニアを送り出す義務が ある。三十年以上の社歴を積み重ねてきた財産が、技術伝承のノウハウ。それらを二十九からなるカリキュラムに集約し、厚木テクノセンターで教授する。 最初の一カ月は機械や電気の技術ではなく、仕事に対する姿勢を学ぶ。力を入れているのが、プレゼンテーションなどで自分の考えを伝えることだ。「技術を 発揮できる環境は自分で作らねばならない。意思疎通の能力こそがエンジニアの基本」と、厚木など全国二十の研修施設を統括する柳沢智キャリアサポートセン ター長は語る。 三年先の自分をイメージし、そのためにどんな仕事と経験を重ねていく必要があるかを考える“研修”さえもある。最近の若者に創造性がなくなっているのは エンジニアの世界でも例外ではないといい、「まず目標を作る手段を教えてあげなければならない」(柳沢センター長)。 先生役は先輩社員。現役バリバリのエンジニアが一年間、同センターに出向し、新入社員とも共同生活する。機械や電気、ITなど、分野別に一人当たり四十 人くらいのクラスを受け持つ。二百人もいれば性格やタイプも様々で、社員のリタイアこそが最大の痛手。「落ちこぼれ」を作らないのが最大の役割だ。 六畳ほどに二段ベッドが備え付けてある二人部屋の社員寮と、テクノセンターを往復する約三カ月。派遣先が求める技術に応じたエンジニアから、厚木を離れ ていく。どの学年も数年に一度、定期的に行う同期会。一人前に成長した社員を見るたび、柳沢センター長は「やはり人こそが会社の宝」と思う。 (北西厚一) ▼厚木テクノセンター 名古屋、神戸のテクノセンターに続き、首都圏の重要拠点として一九九三年三月に完成。九五年にメイテックが本社機能を名古屋から 東京に移したのを契機に、同社の中心的なエンジニア研修施設となった。 地上十四階、地下一階建てで、本部・教室棟と講堂棟からなる。収容は約六百人。徒歩二十分ほどの距離に定員約二百八十人の社員寮を配備。カリキュラム開 発などを行う一般社員と講師役のエンジニアを含め、四十人弱で運営している。 【図・写真】厚木テクノセンターで研修を受ける新入社員ら ◆製造業に「業務請負リスク」、キヤノン、請負労働者80人採用。 2007/08/30, 日経産業新聞 キヤノンは二十九日、宇都宮光学機器事業所(栃木県宇都宮市)で働く業務請負会社の労働者約八十人に対し、六カ月ごとに契約を更新し最長二年十一カ月と なる期間社員での採用を申し入れたと発表した。同事業所では業務請負会社の労働者が偽装請負の疑いがあったと主張しており、キヤノンは栃木労働局の判断を 待たずに事態の早期解決を図った格好だ。 昨年十月、同事業所で働く業務請負会社の労働者が実態はキヤノン社員の指示で働く労働者派遣なのに、請負契約を装った偽装請負の疑いがあったとして栃木 労働局に是正指導を求めていた。同従業員らの当局への申告によると、キヤノンは半導体製造装置(ステッパー)用レンズの加工作業などで正社員が請負会社の 労働者に日常的に作業を指示していたという。 キヤノンは、偽装請負はなかったとの立場だが、労働局の判断を待つことなく、労働者の雇用を守り事態の早期解決を図るため期間社員として直接雇用を申し 入れることにした。 キヤノンは今年三月、グループ各社の工場で働く非正規雇用の従業員のうち一千人を来年末までに正社員に登用する方針を打ち出していた。 ◆製造業に「業務請負リスク」――受け入れ企業の労働指示違法に、需要は根強く。 2007/08/30, 日経産業新聞 直接雇用など切り替え迫る キヤノンが二十九日、宇都宮市内の工場で業務請負会社の社員を期間社員として採用することを申し入れたことは、製造業が業務請負を活用するリスクが高 まっていることを浮き彫りにした。派遣に比べ制約が少ない業務請負は企業の業績回復を支えてきた一方、「ワーキングプア」の温床という批判もある。雇用元 の請負会社だけでなく、発注企業に問われる責任が強まっている。 日本の製造現場で業務請負の労働者はごく一般的な存在だ。工場では正社員と違う色の制服やバッジをつけた請負会社の従業員が、正社員に交じって働いてい る。「業務請負なしに日本の製造業は成り立たない」とさえいわれる。 製造現場での業務請負が広がったのは、バブル崩壊後の一九九〇年代。生産拠点を中国など賃金の安い土地に移して生き残りを目指す一方で、生産コストの高 い日本でのものづくりをどう維持するか。メーカーが出した答えは、非正社員の活用による人件費の削減だった。 当時は製造業向けの人材派遣が認められておらず、「人を派遣するのではなく業務を引き受ける」という名目で、業務請負が急増した。 業務請負は請負会社が企業から工程の一部を請け負い、請負会社の指示で労働者が働く仕組み。正社員からの指揮命令はもちろん、声がかかった時点で違法な 「偽装請負」となりかねない。 作業そのものを請負会社の工場で行えるなら、問題は発生しないが、実際は工場に請負労働者を“派遣”する形が主流。すべての現場で請負会社の社員が指揮 命令できるとは限らず「以前はほぼ一〇〇%が偽装請負といっても過言ではなかった」(請負会社大手)という。 正社員は年齢が高くなるにつれて給与が上がっていくが、請負など非正社員は年齢が上がってもほとんど給与が上昇しない。忙しい時期に補充でき、必要がな くなれば契約解消できる業務請負は、企業の人件費削減に大いに貢献し、日本の製造業が復活する大きな支えとなった。 しかし、一部で請負労働者の過酷な労働環境が問題になり、厚生労働省は偽装請負の一掃に動く。二〇〇四年三月、製造業向け派遣を最長一年(〇七年三月か ら三年に延長)で解禁し、請負から派遣への転換を促した。一方で、偽装請負の是正指導も積極化。〇六年度の是正指導件数は三千四百七十四件と前年度の二倍 以上に増えている。 それでも、請負ニーズは根強く残る。派遣なら三年間の期限になると契約を解消し、三カ月後にもう一度結ぶ必要がある。その三カ月間に「派遣会社がほかの 企業に人を送る」(人材派遣大手)ことも多く、結果的には三割ほどが離職することになるという。 一方、請負なら雇用の期限がなく企業にとって使い勝手がいいうえ、たとえ労働者が休んだとしても請負会社が埋めるため、作業に穴が空く心配がない魅力が ある。改正法の施行後、一度契約を派遣に移したが、請負に戻す企業も出ているという。 実際、請負労働者の数は〇四年三月時点の約百万人から減っているものの、現在も八十六万人を超えるとみられている。 厚生労働省は六月末、全国の請負会社に対し、請負会社用と発注企業用の二種類の「適正な請負ガイドライン」を送付した。請負会社だけでなく、発注企業側 への監視・監督を強化する意思の表れだ。請負会社幹部は「一昔前は偽装請負が黙認することもあった労働局の態度は一変している」と明かす。 労働問題での失点は、イメージ悪化と相まって企業に想像以上の打撃を与える可能性がある。「責任は請負業者にある」という言い訳はもう通用しない。 (北西厚一) ◆道内求人倍率、7月0.02ポイント悪化、0.5倍に。 2007/08/30, 日本経済新聞 地方経済面 (北海道) 北海道労働局は二十九日、七月の道内の有効求人倍率(パート含む常用)が〇・五〇倍と、前年同月を〇・〇二ポイント下回ったと発表した。前年割れは三カ 月ぶり。千歳市に進出するデンソーの百人規模の求人はあったが、道内全体では求人数は減少した。 七月の新規求人は前年同月比七・八%減の二万二千七十七人。公共事業の先細りで建設業が二一%と大幅に減った。医療福祉も昨年急増した反動で一一%減。 新規求職者を年代別にみると、デンソーの求人に約千人が応募したことなどから三十―四十四歳の男性が一六%増と高い伸びだった。 ◆最低賃金15円、引き上げ答申、静岡県、時給697円に。 2007/08/30, 日本経済新聞 地方経済面 (静岡) 最低賃金の引き上げ額を議論する静岡地方最低賃金審議会は二十九日、静岡労働局長に「十五円引き上げ、時間額六百九十七円」を答申した。二ケタの引き上 げ額は一九九八年の十一円以来九年ぶり。引き上げ率は二・二%と昨年度の〇・七四%(引き上げ額五円)を大きく上回る。 九月十三日まで労使双方の異議申し出を受け、効力発生は十月二十六日を予定。国の中央最低賃金審議会は静岡県などを含むB地区に十四円アップの目安を出 していた。 ◆医師・看護師、人材逃すな――自治体・病院アピール必死(北陸リポート) 2007/08/30, 日本経済新聞 地方経済面 (北陸) 研修柔軟に 復職を支援 医療分野の人材確保に向け北陸の自治体や民間病院の試行錯誤が続いている。医師の臨床研修制度義務化や診療報酬の見直しで、地方から大都市圏への流出が 続く。三十日からは医大生が臨床研修を受けたい病院の希望順位を登録する作業が始まる。各病院は魅力ある研修を打ち出し、北陸からの流出傾向に歯止めをか けようと懸命だ。 「石川ブースは立派ですね。学生も集まっている」。七月中旬、東京・有明で開かれた臨床研修を控えた医大生対象のセミナー会場では、初めて東京会場に出 展した富山県の病院関係者がため息をもらした。 10病院が連携 今年のセミナーでは三県が初めてそろい踏み。最も活発だったのが二年目になる石川県だ。十病院が共同出展し、広さは主催者が用意した間取りで最大の百平 方メートル(十ブース相当)を確保。「一度話を聞いてみませんか」と通りかかる学生に声をかけ、約三百人の学生が訪れた。 従来、大学卒業後の医師の多くは「医局」と呼ばれる制度のもと徒弟に近い制度で勤務先が決まっていた。二〇〇四年度からは病院が研修プログラムごとに募 集定員を設け、医大生と双方の希望で研修先を決める「研修医マッチング方式」に移行した。この制度変更が医師の卵の大都市流出に拍車をかけているのだ。 新制度後の充足率をみると地域格差は顕著だ。全国平均を上回る東京、大阪に比べ北陸三県は研修医の充足率は五―六割前後と低い。特に今まで隣県から医師 志望者が集まっていた金沢大学医学部付属病院は深刻。「富山、福井も含めた大都市志向のマイナス影響が同大に効いてきた」(石川県医療対策課)という。 各病院は手を打ち始めている。金沢大では研修医の指名制や、プログラムごとに研修内容の選択の幅を広げるなど対策を打ち出した。一九八〇年開学と医大後 発組の福井大学(当時は福井医科大学)は、戦前から続く医局の影響が強くないことを逆手にとって「滋賀など関西などからいかに呼び込むか」と腐心する。 成果は出ている。八尾総合病院(富山市)に今年四月から研修医として働く渡辺祐紀さん(26)は関東出身で富山大学のOB。「地方の人は都会志向が強い が、ライフスタイルも含め地方で医療に携わる面白さはある」と話す。 実践教育の講座 医師に比べ地元密着度が高いといわれる看護師。〇六年度の診療報酬改定で、国は看護師一人あたり入院患者が七人と手厚い配置をした病院への報酬を上乗せ した。大都市部の病院や知名度の高い病院が採用を積極化。このため三県では慢性的な人材不足だ。 手をこまぬいているわけではない。福井大は十月中旬から看護師の教育実践プログラムを開始。八週間、週二回にわたり電子カルテを用いた患者の診断法やが ん患者の看護など医療現場の最前線で必要な知識・実技指導を盛り込んだ。〇九年度までの三年間で各年度二クールの実施を予定している。 富山県は今年度から看護師不足の解消を目指し、結婚や出産・育児などで離職した看護師へ再就職を呼び掛ける「潜在看護職員掘り起こし事業」を始めた。県 看護協会と連携。県ナースセンターへの登録を呼び掛けるため、映画館や情報誌に広告を出稿するなどの事業を展開している。 医療人材の労働条件にもつながる診療報酬は国が決めるなど地方単独では簡単に解決しにくい問題があるのは事実。だが人口減少で限られた人材をいかに呼び 込むかは各自治体、病院などの工夫にもかかっている。「医」の劣化を防ぐため、各県の模索は続く。 (金沢支局 加藤貴行 福井支局 村越康二) 【図・写真】石川県のブースは医学生約300人を集めた(東京・有明で開かれたセミナー) ◆グッドウィルG、赤字407億円に拡大 天引き返還膨らむ 朝日新聞 2007年8月30日 グッドウィル・グループ(折口雅博会長、GWG)は29日、07年6月期の連結業績予想を下方修正し、当期赤字が3月時点の300億円から407億円に 拡大すると発表した。売上高は5090億円、経常利益は67億円の見通し。介護事業から全面撤退するための費用がかさみ、不透明な天引き問題での派遣労働 者への返還額も膨らんで、損失見込み額が増えた。 GWGは約6万人の介護サービス利用者や、300万人近い登録派遣スタッフを抱える。厚生労働省は利用者や労働者保護の観点から、経営の先行きを注視し ている。 GWGは3月に、介護事業子会社コムスンの経営悪化に伴う特別損失などを理由に、07年6月期の当期赤字見通しを明らかにした。その後、6月にコムスン が不正のために処分を受け、ほかの業者に介護サービスを引き継ぐ費用の負担が生じた。不正請求した介護報酬の返還も迫られた。 さらに日雇い派遣事業でも、労働者の給料から長年不透明な天引きをしていたことが明るみに出た。GWG全体の返還額は、過去2年分だけでも対象者約95 万人、43億円に上る。 ◆正社員への転換、奨励金で後押し 厚労省、来年度から 朝日新聞 2007年8月30日 厚生労働省は08年度から、契約社員や期間工ら有期雇用の労働者を正社員として採用した中小企業に対する奨励金制度を設ける。1企業当たり最大135万 円を支給し、初年度で約5千人の正社員化を目指す。 対象は、一定の経験年数があったり技能を習得したりした有期雇用の労働者を、正社員に転換することなどを就業規則で定めた中小企業。1人を正社員にする と35万円を支給し、その後2年以内に3〜10人を正社員化すると、1人につき10万円を支給する。 また、厚労省は来年4〜5月、有識者らによる研究会で、有期雇用の労働者の正社員化に関する指針を策定。正社員への転換を進めている企業の事例集も作 る。 来年4月施行の改正パート労働法では、正社員より労働時間が短いパートについて、正社員への転換を進めることが企業に義務づけられた。だが、正社員と同 じ時間働く有期雇用の労働者は同法の対象ではなく、法律とは別に奨励金や指針で正社員化を後押しする。 ◆中国人強制連行、群馬原告も敗訴 最高裁判断を踏襲 朝日新聞 2007年8月30日 第2次大戦中に連行され、群馬県内のトンネルなどで過酷な労働を強いられたとして、中国人の男性18人(うち5人は死亡)と遺族が、国と企業2社を相手 に約4億6千万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が29日、前橋地裁であった。小林敬子裁判長は、最高裁が4月に強制連行をめぐる訴訟で示した「72年 の日中共同声明によって賠償請求権は放棄された」との判断を踏襲し、原告側の請求を棄却した。原告側は控訴する方針。 判決は強制連行や労働の事実は認め、被告側に救済努力を促した。 訴状などによると、原告らは戦時中、中国で日本軍に捕らえられるなどして、強制的に県内に連れてこられ、トンネル掘削工事などに従事させられた。県内に 連れてこられた計892人のうち、109人が死亡したとされる。 ◆(声)人事院の勧告、実施は慎重に 朝日新聞 2007年8月30日 主婦 吉川嘉笑(よしえ)(大阪市鶴見区 33歳) 人事院が07年度の国家公務員の月給を、年収で4万2千円増額するよう勧告をしたとあった(9日朝刊)。ことし4月分の民間給与と比較して若年層で格差 が大きかったためという。 人事院勧告は、官民格差を是正するのが目的だ。争議権(スト権)などの労働基本権に制約がある国家公務員の給与や労働条件改善のために出される。 今回の民間給与実態調査はどういう基準で行われたのか。「日雇い、フリーター、派遣社員、契約社員など」を含めての話なのだろうか。もし含めないで、勧 告が実施されれば逆に格差を大きくする結果にならないだろうか。 労働基本権を駆使し、労働条件について雇い主と話し合う民間の労働者はどれだけいるのか。 安倍首相が「国民の理解が必要。財政状況も考えなければならない」と、完全実施にやや含みを残したのは、当然だと思う。 ◆JR北海道の組合員転勤は「不当」 中労委、取り消し求める命令 /北海道 朝日新聞 2007年8月30日 JR北海道労働組合の組合員で、札幌車掌所の車掌3人が04年2月に釧路運輸車両所への転勤命令を受けたことについて、中央労働委員会は29日、「不当 労働行為に該当する」として転勤の取り消しを求める命令書をJRに交付した。 中労委は「会社側は他の車掌に対する指導、教育を行うための人材の補充を行ったとしているが、釧路には若手を指導できる能力がある者が10人程度いた。 転勤は札幌車掌所における組合の勢力が拡大することを懸念し、抑制することを願うため」とした。 これに対し、JRの島田修総務部長は「不当労働行為との認定は極めて遺憾」とした。 この問題を巡っては、初審の道地方労働委員会は昨年6月、「転勤を命じる際に組合員であることを理由として差別的な取り扱いをしてはならない」との判断 を示しつつ、車掌らの申し立ては退けた。このため、車掌らとJRの双方が中労委に再審査を求めていた。 ◆最低賃金は時給620円に 7円上げ /山形県 朝日新聞 2007年8月30日 山形労働局は10月25日から、県内の最低賃金を7円引き上げ時給620円とする方針を決めた。公労使3者でつくる山形地方最低賃金審議会の答申を受け たもので、引き上げ額は02年に時間額表示となってから最大。 審議会の意見聴取で、労働者委員が「経済や雇用状況が山形に比べて悪い県より最低賃金が低い」と大幅引き上げを主張。一方、使用者委員は「県内企業は経 営が厳しく中小企業の倒産も相次いでいる」と反発した。 調整を図った公益委員から「7円の引き上げが妥当」との見解が示され、採決の結果、労働者委員の賛成を得た。 同労働局によると、これまでの最大引き上げ額は3円。最低賃金620円を下回る労働者は県内に約3千人という。 ◆期間社員「不安増す」 キヤノン、請負労働者82人に直接雇用申し入れ /栃木県 朝日新聞 2007年8月30日 キヤノン宇都宮光学機器事業所での違法な「偽装請負」を栃木労働局に申告し、衆議院予算委員会の公聴会でも実態を生々しく語った大野秀之さん(32)ら 請負労働者82人に、キヤノンが「期間社員」としての直接雇用の申し入れを始めた。同社の諸江昭彦(もろえあきよし)常務が29日午前、県庁で記者会見し て明らかにした。その理由を同常務は「社会の関心などを考慮した」と説明した。大野さんらは「より不安定さを増す」としているものの、申し入れは受ける意 向だ。 申し入れは28日午後8時過ぎ、その日の勤務を終えた労働者を対象に始まった。労働者の一人によると、雇用主の請負会社の管理者に休憩室に集められ、そ こでキヤノンの担当者を紹介され、封筒を渡されたという。 「今なお労働局の調査が継続中でありますが、キヤノンにとってそれ自体決して望ましくない事態を早期に解決するため、直接雇用の申し入れを行うのが最善 と判断いたしました」という説明文が入っていた。 29日午前10時から、キヤノンの人事本部長でもある諸江常務ら3人が県庁内で記者会見した。 その説明によると、申し入れの対象は、半導体製造装置用レンズの研磨・測定に携わっている63人と、昨年5月時点で働いていたものの、その後、職場を離 れた19人。請負会社とキヤノンの契約は9月30日に終了。10月1日、直接雇用に応じた労働者を入社させ、原則として、同じ仕事を続けてもらう。契約期 間は初回が5カ月で、以降6カ月ごとに更新する。最長2年11カ月までで、それ以降は契約しない。ただし、年1回ずつ計3回、正社員登用の試験を受けられ る。 諸江常務は「昨年7月の新聞報道に始まり、さまざまな指摘が出ている。加えて宇都宮については、働いている人の中から申告があった」「労働局の判断がま だ出てこない中で、会社として一歩前に踏み出す努力をすべきではないかというのが今回の背景だ」と述べた。 午後1時半から、同じ場所で今度は、大野さんら請負労働者4人が記者会見した。 大野さんが支部長を務める労働組合「キヤノン非正規労働者組合」の宇都宮支部には22人の組合員がいて、全員が今回の申し入れの対象だという。大野さん は「自分たちはこの職場でどの正社員よりも長くやっている。契約期間におびえないで、やりがいのある仕事をしたいというのがもともとの願いだった」とした 上で、「不満と不安はあるが、申し入れを受けないと職場にいられなくなる」と受け入れの意向を示した。 ◆「早期解決」にはほど遠く 《解説》今回のキヤノンの対応は、労働局や労働委員会の結論が出る前に先手を打って、「偽装請負」の是正を一応図った形となっている。しかし、キヤノン の言う「事態の早期解決」からは、ほど遠い。 直接雇用の対象者のなかに、キヤノンの工場でキヤノンのために10年以上も働いてきたベテランの労働者がいる。彼は、10年前の入社時から違法な偽装請 負の状態が続いていたと主張する。それが事実ならば、キヤノンはとうの昔に、労働者派遣法に基づき、彼に直接雇用を申し込まなければならなかったはずだ。 そうした労働者の主張に対するキヤノンの回答が今回の発表ともいえ、直接雇用の義務を果たしたようにも見える。 だが、雇用安定の観点からは疑問点が多い。 10年以上働いてきた彼にキヤノンは「5カ月」の期間社員雇用を申し入れるという。正社員登用試験を受験できるが、10年間の実績や経験はまったく考慮 しない。しかも、合格者の人数は不明だ。最長2年11カ月の契約が終了すれば、職場から去ってもらうという。 松下電器や東芝の子会社では、偽装請負を指摘した請負労働者を期間工として直接雇用したものの、数カ月で雇い止めにして失業させた実例がある。違法状態 で長年にわたり労働者を都合よく働かせてきた企業が、短期間だけ直接雇用してクビにするのでは、いかにもバランスが悪く、筋が通らない。 キヤノンの場合はその点、どうなのか。今回の発表では、そこまでの答えは読み取れず、「解決」とは言い難い。 (奥山俊宏) 【写真説明】 記者会見するキヤノンの諸江昭彦常務(左)ら=29日午前10時3分、宇都宮市本町で ◆JR東海労組資料窃盗事件 幹部きょう書類送検 【名古屋】 朝日新聞 2007年8月30日 JR東海労働組合(萩原光広委員長)の幹部がJR東海(本社・名古屋市)の駅から内部資料のコピーを盗んだとされる事件で、愛知県警は同労組幹部 (45)を窃盗容疑で30日に名古屋地検に書類送検する方針を固めた。県警は7月に同労組本部(東京)や名古屋地方本部(名古屋市)などを家宅捜索し、幹 部から任意で事情聴取を続けていた。調べに幹部は「知らない」などと容疑を否認しているという。 公安3課などの調べでは、幹部はJR蒲郡駅に勤務していた今年1月下旬ごろ、同駅の助役が自分のキャビネットに保管していた「時系列等報告書の取り扱い について」などの内部資料を無断で持ち出し、同駅内で資料を複写したコピー用紙31枚を盗んだ疑い。 資料は管理職に配られ、事故や不祥事などの経緯について社員が文書で報告することを新たに義務づけ、拒否を繰り返した場合には「再教育」することを規 定。組合側との想定問答なども含まれていた。 県警は先月13日に同労組本部や幹部宅などを家宅捜索し、内部資料のコピーなどを押収した。 JR東海によると、駅の特定の場所に入る場合や機器の使用などの際、社員としての認証が必要で、履歴が残る仕組みもあるという。県警は履歴などから幹部 が関与したと判断したとみられる。 同労組は1月に「内部資料」を本部のパソコンからインターネットの同労組のホームページに掲載。同労組は、強制捜査後に開いた記者会見で、「資料は1月 に匿名で郵送されてきた。窃盗容疑は会社と県警が労組の弾圧のためにでっち上げたものだ」と主張していた。 ◆(働きすぎの現場から 第3部 耐久レース:中)「非正規に戻りたくない」 【大阪】 朝日新聞 2007年8月30日 「なんでこんなとこにいるんだろう」 6月のある夕暮れ。関西のメーカーに勤める女性は、ビルの高層階にある心療内科の待合室で35歳の誕生日を迎えた。窓から目に飛び込んできた夕日に、涙 が止まらなくなった。 大学を卒業した96年は就職氷河期だったが、人に接する仕事をしたいと、何とか大手不動産会社の営業職に就いた。でも、休みは月2日、毎晩のように午前 2時までの残業。体力の限界を感じて2年で退職した。 次の製薬会社でも、年収400万円で1年の半分は出張に追われ、疲れ果てて29歳で辞めた。 その次の就職先はなかなか見つからず、派遣に。月給25万円。医療系の大手企業で、正社員と同じように仕事を任され、残業をこなした。「必要とされてい る」とうれしかった。だが、忙しい時期を過ぎると、期間満了前に一方的に契約を切られた。 派遣会社の担当に「納得がいかない」と訴えたが、「もう決まったこと」の一点張り。一生懸命働いたし、認められているとも思っていたのに……。派遣とは こういうことなんだ、と身にしみた。 「非正規の仕事は二度としたくない」。ハローワークや企業のホームページで正社員の職を探し始めた。 30歳を超えると求人は少ない。今の職を見つけるのに1年半かかった。顧客管理システムを開発、販売する会社で、販売先に行ってシステムのパソコン導入 を手伝ったり、使い方を指導したりする仕事だ。 女性は、関西から沖縄まで西日本全域の販売先を担当。システム立ち上げの時には営業マンとペアになり、約1カ月間、ホテルに泊まり込んで、付きっきりで サポートする。パソコンに不慣れな顧客の場合は、昼食やトイレに立てないほど忙しい日も多い。 午後9時ごろホテルに戻ったあとは、パソコンで会社への報告書を作り、翌日の準備。午前3時まで寝られない日々が続く。 一カ所が終わっても、すぐに次の販売先へ。この1年で10カ所を飛び回り、恋愛するひまもなかった。 残業代はつかず、月給24万円。それでも、販売先が、システムのスタート時に「この人のおかげです」と言ってくれると、やっててよかったと思った。 しかし、今年初め、チームを組む営業マンが突然辞めた。会社は「人手不足」と人を補充せず、女性の業務は2人分になった。 食事の時間はほとんどなくなり、食欲も失っていった。めまいや吐き気に襲われるようになった。 「お願いですから、人を増やしてください」 ホテルから電話で何度も上司に訴えた。だが、答えはいつも「人がいないんだ。君ならできる」。 体重は減り続け、身長156センチで36キロに。ホテルの風呂で毎晩泣いた。高いビルを見ると、自殺の衝動に駆られた。眠れず、睡眠薬を酒に混ぜて飲み 干した。 それでも、「正社員」を手放す気にはなれなかった。同僚や上司に心身の不調を見抜かれないよう、努めて明るくふるまった。 忙しさが少し落ち着いた初夏。心療内科にかかり、うつ病と診断された。ボロボロ泣いた誕生日は、2度目の受診日だった。 毎晩、抗うつ剤と睡眠薬を飲む。そのたびに「こんなになってまで生きている意味があるのか」と考えてしまう。病気を隠しながら生活するのも、つらい。で も、「生きていくためには、やはり正社員じゃないと。がんばるしかない」と自分に言い聞かせる。 長時間労働のうえ、残業代も支払わない会社の働かせ方は違法だと思うが、訴える気はない。訴えて勝ったところで、居づらくなり、いずれ辞めざるをえなく なると思うからだ。 「私にはもう、次の行き先はない。だから、絶対、辞めません」 ●組合・法律を活用、まずは相談を 熊沢誠・甲南大名誉教授 契約を突然打ち切られるなど非正規労働者の差別的な働かされ方と、正社員の働き過ぎという問題は表裏一体だ。労働者間の格差が広がる中、非正規労働者に なることを恐れ、無理してでも正社員を続ける人は確実に増えているだろう。 非正規労働者の約9割が年収300万円以下。多くの人が、親にパラサイトしたり配偶者を見つけたりしないと生活が困窮するのが現実だ。自立志向が強い人 ほど、この現実がムチになる。心身ともに病み、それでも会社に不調をさとられまいと、孤独の中で耐えている正社員たちがどれほど多くいることか。 選択肢は辞めるか、我慢するかの二つだけではない。会社の働かせ方が違法だったりするのが一番の原因。いきなり弁護士に相談するのがためらわれるなら、 まずは女性ユニオンなどの第三者機関に相談してみては。法律を武器に、会社との団体交渉で未払い残業代の支払いや労働条件の是正を求めていける。 会社と戦うのは怖い、解雇もあり得ると恐れる気持ちは十分理解できる。だが、生き続けることが一番大切だ。泣いてばかりの生活から抜け出すためには、根 本的な解決に目を向ける必要がある。そのための組合や法律。この女性は取材を受けた時点ですでに一歩踏み出している。真剣に相談を考えてほしい。 ◆(声)途上国の貧困、変える生活を 【西部】 朝日新聞 2007年8月30日 会社員 河野良幸(福岡県行橋市 47歳) テレビで、貧しい国の子どもたちの生活を見ることがある。幼い子どもが過酷な労働を強いられ、その子どもが働いて得たわずかばかりのお金が家族の生活を 支える。悲惨な様子におもわず涙し心が痛む。 しかし、いつもテレビはここで終わってしまい、なぜこのような貧しさが存在するのか、なぜ貧しさは克服できないのかと疑問に感じていた。 その疑問を解き明かしてくれる本を読んだ。「世界から貧しさをなくす30の方法」(合同出版)という本だ。巨額な円借款による累積債務、開発援助という 名の環境破壊。テレビの向こう側の貧しさが日本の経済政策と私たちの日常生活に深くかかわっていることを知った時、私は日本人であることに恥ずかしさと罪 悪感を覚えた。 安価な食料を日本に供給するために、今日も貧しい国の森林が破壊され、低賃金で過酷な労働を強いられる人々がいる。彼らの犠牲の上に私たち日本人の豊か な生活があることを知った今、世界から貧しさをなくすために、私は日常の生活を少しでも変えていく努力をしようと思う。 ◆<解説>「司法の救済」道閉ざす 日中共同声明が壁 強制連行訴訟、請求棄却/群馬県 朝日新聞 2007年8月30日 この日の前橋地裁判決は、今年4月の最高裁判決を踏襲したものだ。 最高裁第2小法廷は、被告国と建設会社による共同の不法行為があったと認定した。しかし、「日中共同声明(72年)により、国としてだけでなく個人の賠 償請求権は放棄された」として、原告の訴えを退けた。そのうえで、付言のなかで被害者の救済に向けた努力を被告(国と企業)に求めた。 つまり、被害事実を認定したが、後は裁判所の外で解決してくれ、というもので、戦後補償問題について司法による解決の道を閉ざした、と批判を受けた。 29日の前橋地裁判決は、同様に強制連行、過酷な労働の事実に踏み込み、その責任が企業と、国にあると明確に認定した。 一方で、そうした行為が、賠償責任につながる不法行為にあたるかどうか検討はせずに、「日中共同声明」を根拠に結論を出し、付言で「被告の自発的な救 済」を求めるにとどまった。 同じ問題で、札幌高裁が6月に最高裁判断を踏襲して、この日の前橋地裁判決とほぼ同じ判断を示している。今後も各地で起きている同様の訴訟でもこうした 判決は続くと見られる。 前橋訴訟の場合、提訴から5年が過ぎ、当時の生存原告18人のうち5人が判決を待たずに亡くなっている。現在の原告46人のうち33人が遺族だ。 訴訟中に父を亡くした張彦栄さんは「父の遺言通り、最後まで戦う」と述べた。 今後、弁護団は小林敬子裁判長の被告側に任意の救済努力を促した付言を根拠に、国、企業に対し自主的な解決を求めていくとしている。 ■判決の要旨 前橋訴訟判決要旨は次の通り。 (原告らに対する強制連行・強制労働の有無) 国は戦時中の国内の労働力不足に対応するため、中国人労働者を移入することを決定。原告らはまともな説明を受けることなく、一方的に日本に連行された。 また、原告らは過酷な長時間労働に従事させられたものであって、企業らの事業場での就業形態は強制労働にほかならない。国は、原告らを直接使用したもの ではないが、軍需部門の労働力不足の解消を国策に掲げ、これを実現するため、原告らの意に反する労働を強制したとの評価を免れない。 (条約等による請求権放棄) 日中共同声明は、個人の請求権も含めてサンフランシスコ平和条約の枠組みで処理されるのが相当。原告らの請求権は、いずれも日中戦争の遂行中に行われた 強制連行・強制労働の事実に基づくものであり、仮に請求権の発生が認められるとしても、いずれも日中共同声明5項により裁判上訴求する権利を失っていると いわざるをえない。 ◆キーワード <日中共同声明> 日本と中華人民共和国が国交正常化した72年に出された声明。その第5項で「中華人民共和国政府は、中日両国国民の友好のために、日 本国に対する戦争賠償の請求を放棄することを宣言する」とある。戦後補償をめぐる訴訟では、その効力が国家だけでなく、個人にも適用されるかどうかの判断 が割れていた。 【写真説明】 「不当判決」の幕が掲げられると支援者らは肩を落とした=前橋市大手町3丁目の前橋地裁前で ◆(とちの記)イラン文化、居酒屋で楽しく発信 宇都宮 /栃木県 朝日新聞 2007年8月30日 午後5時ごろ、宇都宮市下岡本町の居酒屋「写楽」の看板に灯がともる。店名とともに、イランと日本の国旗が浮かび上がる。「いらっしゃい!」。店主でテ ヘラン出身のフェレイドン・カレギャランさん(40)が威勢良く声を掛けると、常連の一人がペルシャ語で「サラーム(こんにちは)」と答えた。 フェレイドンさんが来日したのは91年。22歳だった。80年に起きたイラン・イラク戦争は88年に終結したが、故郷の治安は乱れ、仕事もなかった。 ちょうど、日本はバブル全盛期。仕事を求める人は日本へと移り住んだ。フェレイドンさんも日本に夢を求めた。18歳で徴兵され、2年間、国境警備兵として 従事した際、付近に着弾したミサイルの破片が足に刺さった。心と体についた戦争の傷も癒やしたかった。 初めての東京は、うわさ通りの建設ラッシュだった。しばらくは引っ張りだこの状況が続いたが、景気は徐々に後退。仕事を見つけるのも難しくなり、92年 に宇都宮市に来た。居酒屋、運送屋といろんなアルバイトを転々とした。「おい外人さん」と名前で呼ばれることもなく、労働力としかみなされないことに傷つ いた。救ってくれたのは、理髪店で知り合った一恵さん(35)だった。 4年後の96年に結婚。一恵さんの助けもあって、99年に自分の店を持った。浮世絵が好きで、「写楽」と名付けた。 イランに居酒屋はない。来日して、ふらっと立ち寄って以来、とりこになった。カウンター越しにお客さんと話せること、一人で来ても人の輪が広がるのが好 きだという。「日本人はおとなしい人が多いけど、居酒屋でお酒を飲みながらだと心の中にあることを話してくれるんですよね。不思議な空間です」 午後7時ごろから、店は活気づく。「これはイランのどこの料理?」「イランの男は料理するの?」。イランの家庭料理を挟んで、会話が弾む。時には、戦争 も話題になる。「イランに興味を持ってくれるお客さんがいて、うれしい。正直、イランのイメージは悪い。戦争を語り、イランを語るのが、私の使命だとも 思っている」 (才本淳子) 【写真説明】 お客さんと談笑するフェレイドンさん=宇都宮市で ◆最低賃金時間額、10円引き上げへ 審議会が答申 /群馬県 朝日新聞 2007年8月30日 群馬労働局長から諮問を受けて最低賃金について審議をしていた「群馬地方最低賃金審議会」が時間額を10円引き上げ664円(引き上げ率1・53%)と する答申を出した。異議申し出がなければ、官報公示などの手続きを経て10月中にも引き上げになる。 審議会は、厚生労働省の委員会が地域ごとに決めた目安額を基準に議論をした。群馬の目安額は9〜10円だった。引き上げは04年度から4年連続だが、こ こ4年間の引き上げ額は1〜6円にとどまっていた。 ◆「公務外」を不服、遺族が審査請求 野球部監督急死 /山梨県 朝日新聞 2007年8月30日 県立白根高(南アルプス市)の野球部監督だった山形功さん(当時40)が、くも膜下出血で死亡し、遺族が公務災害の認定を請求したが「公務外」との決定 を受けた問題で、山形さんの妻真弓さん(36)が29日までに、決定を不服として地方公務員災害補償基金県支部審査会に対して審査請求をした。 真弓さんなどによると、山形さんは昨年3月26日昼、野球部の練習試合をこなして自宅に帰った後、倒れた。そのまま病院に運ばれ、翌日死亡したという。 山形さんは教諭として授業や生徒指導もしていたうえ、野球部監督として休日も早朝から指導にあたることが多かったという。 そのため、遺族は「死亡前1カ月間の時間外労働は約118時間だった」として、公務災害の認定を請求。しかし同基金は、時間外労働時間は61時間程度 で、認定基準を超えていないと判断していた。 ◆フルキャスト――業績の先行きに不透明感(注目株を斬る) 2007/08/29, 日本経済新聞 フルキャストの株価が急速に出直っている。労働者派遣法違反による事業停止命令の報道をきっかけに、今月三日から五営業日連続で制限値幅いっぱいまで下 げた。その後、売り急ぐ動きは一巡したものの、業績の先行き不透明感は強く、上値追いには限界があるとの見方が優勢だ。 株価は二十二日に四万九千九百五十円まで売られた。報道直前から五七%、二月の年初来高値からは八五%安い。下値の一つのめどとみられていた一株純資産 (四万四千八百三十七円)近くまで下げたことで、空売りしていた目先筋の買い戻しなどが先行。二十八日までは逆に五日続伸した。 だが、業績面での下支え材料は見当たらない。業務停止の影響で〇七年九月期の連結純利益は前期比七七%減の六億九千万円に下方修正。これに日雇い派遣ス タッフの給与から天引きしていた「業務管理費」の返還に伴う特別損失も加わる。 来期についてもモルガン・スタンレー証券の根間尚志氏は、賃上げの顧客企業への転嫁が難しいことや業務停止による発注手控えといった影響などを指摘。目 標株価を六万七千円に下げている。 別の証券系アナリストも「足元の上昇は急落後の単なるリバウンド(反動)。業績からは楽観的になれる材料はない」と言う。裏付けに乏しいだけに、上げは 続かないとの見方が多いようだ。 ◆派遣ユニオン、グッドウィル派遣実態、国に調査要請。 2007/08/29, 日経流通新聞MJ 派遣労働者の組合、派遣ユニオン(東京・新宿)は、厚生労働省に対して日雇い派遣大手グッドウィルを禁止業種への派遣などを繰り返しているとして、実態 調査を求めた。日雇い派遣は量販店、外食店などでの活用が増えており、調査の行方は注目を集めそうだ。 同ユニオンはグッドウィルが建設現場に子会社を通じて違法派遣をしているなどと主張。関根秀一郎書記長は「同社はこれを業務請負としているが、複数のス タッフの証言から違法派遣であることは明白」とした。 派遣業界ではフルキャストが違法派遣で、八月十日より全事業所が一―二カ月の事業停止となったばかり。グッドウィルでも同様の問題が確認されれば、重い 処分は免れない見込み。その場合、人手不足の深刻化から派遣に依存する流通企業も少なくないだけに、店舗運営などに影響が及ぶ可能性もある。 ◆愛知県内、最低賃金、初の700円超へ――15年ぶり20円引き上げ。 2007/08/29, 日本経済新聞 地方経済面 (中部) 愛知労働局は二十八日、愛知県内の労働者の最低賃金(時給)を前年より二十円引き上げ、七百十四円にすると発表した。一九五九年の制度開始以降、初めて 七百円を超えた。二十円以上の引き上げも九二年以来、十五年ぶりとなる。同局は同日、愛知地方最低賃金審議会(会長・皆川正名古屋大大学院教授)から答申 を受け、十月二十五日から適用する予定だ。 最低賃金は県内の全二十七万事業所で働く労働者三百十五万人に適用される。同局はこのうちコンビニエンスストアのアルバイトなど約二万八千人強が賃金引 き上げの対象となるとみている。 最低賃金を巡っては、国の中央最低賃金審議会が十日、賃金水準や失業率、物価指数などからみた総合指数が「Aランク」の愛知県など五都府県について、引 き上げ額を十九円とする目安を提示。愛知地方賃金審議会では「中小企業が賃上げするには、苦しい地域や業種もある」との意見も出たが、県全体としての経済 状況を考慮し二十円とした。 これに対し、愛知県労働組合総連合は同日、「答申は社会が求める格差と貧困の解消とはほど遠い。最低賃金で生活する労働者は増える傾向にある」との談話 を発表し、大幅な引き上げを求めた。 先の参院選でも、野党各党が最低賃金一千円以上を公約に挙げるなどして主張していた。 県内の最低賃金は七四年に初めて二百円を突破。八九年に五百円、九四年に六百円を超えた。初の据え置きとなった二〇〇二年は六百八十一円で、〇三年も継 続。〇四年から〇六年までも、引き上げは二―六円と小幅だった。 ◆南予の雇用開発を支援、愛媛県の計画、労働局承認。 2007/08/29, 日本経済新聞 地方経済面 (四国) 厚生労働省愛媛労働局(松山市)は二十八日の愛媛地方労働審議会で、愛媛県が県南部・南予地域で進める雇用開発計画を了承した。計画は県が南予地域で企 業誘致や新事業創出などに取り組み、同地域での雇用機会の創出を図る内容。厚労省は十月にも南予に事業所を設置・整備し、地元の求職者を雇用した事業主 に、最高で年千二百五十万円を助成するなどの支援を実施する方針だ。 愛媛県は計画で、コールセンターや農林水産物の食品加工業などを南予に誘致し、地域資源を活用した新事業創出や中小企業の新分野展開などを後押しする。 雇用機会の創出を図り、三年間で南予の有効求人倍率を全国平均の三分の二以上に引き上げるとしている。 六月の南予地域の有効求人倍率は〇・五二倍。全国平均一・〇七倍の二分の一以下の水準にある。県はこのほか高齢化に対応した就業の場の確保や、Uター ン、Iターン者などへの就労支援にも取り組む。 厚労省は地域の求職者の雇用助成だけでなく、能力開発助成として職業訓練にかかる経費の助成も実施する。 ◆博多大丸、契約社員、正社員に――段階実施、待遇改善で人材確保。 2007/08/29, 日本経済新聞 地方経済面 (九州B) 博多大丸(福岡市)は今秋以降、段階的に契約社員を正社員として採用すると発表した。まず九月一日に販売専門の契約社員のうち女性三人を正社員に切り替 える。正社員登用による待遇改善で有能な人材を囲い込む。 博多大丸では今年四月、売り場での接客・販売に特化した契約社員を約四十人採用した。これらの契約社員を対象に七月から今月にかけて、正社員希望者を募 集、選考して三人の登用を決めた。同社には約二百人の非正社員が勤務しているが、非正社員を正社員として採用するのは初めて。今後も定期的に正社員登用を 進めるとしている。 小売業界では、ユニクロがアルバイトや契約社員の正社員への大量切り替えに乗り出すなど、待遇改善による人材の囲い込みが進んでいる。 九州の百貨店では岩田屋が今年四月、登用試験を経て、契約社員五人を正社員として採用した。流通業界の競争が厳しくなる中、今後も同様の動きが広がりそ うだ。 ◆埼玉県内、最低賃金15円上げ、審議会答申、時給702円に改定。 2007/08/29, 日本経済新聞 地方経済面 (埼玉) 埼玉地方最低賃金審議会(会長・江田元之さいたま市産業創造財団理事長)は、県内の最低賃金を十五円引き上げて時給七百二円に改定するよう埼玉労働局に 答申した。引き上げは四年連続。引き上げ幅は前年の五円を大幅に上回り、初めて七百円台に乗った。早ければ十月二十日にも適用となる。 最低賃金は企業が正社員やパートといった雇用形態に関係なく、労働者に払わなければならない賃金の下限額。最低賃金を巡っては政府の「成長力底上げ戦略 推進円卓会議」が底上げを促し、中央最低賃金審議会(厚労相の諮問機関)が県内の場合、十四円の引き上げを目安として示していた。こうした事情を踏まえ、 前年比で二・一八%増の七百二円に決まった。答申を受けて、同労働局では九月十日まで異議申し立てを受け付ける。 ◆夏季一時金2.7%減、栃木県内、4年ぶり前年割れ。 2007/08/29, 日本経済新聞 地方経済面 (栃木) 栃木県は県内企業の二〇〇七年の夏季一時金(ボーナス)の妥結調査結果をまとめた。全産業を加重平均した一人あたりの妥結額は六十五万五千四百三十九円 (二・二八カ月)で、前年を二・七%下回った。妥結額が前年割れしたのは〇三年以来、四年ぶり。規模が小さい企業ほど、落ち込み幅が大きくなっており、景 気回復の動きが企業全体に波及していないことを改めて示す結果となった。 妥結状況を従業員数別で見ると、一千人以上の「大企業」は七十二万二千四百四十八円で、〇・三%の微増だった。これに対し、三百―九百九十九人規模の 「中堅企業」は五十六万七百七十五円と、三・四%の減少。さらに三百人未満の「中小企業」では四十三万六千二百四円で、一三・三%の大幅な落ち込みとなっ た。 業種別ではプラスチック(三七・五%増)が最も伸び率が高かった。次いでゴム・皮革(二六・五%増)、卸売・小売業(一九・〇%増)と続く。逆に運輸・ 通信業(二六・六%減)は前年に比べて最も大きく落ち込んだ。 調査は二百八十の労働組合を対象に実施。七月末までに百五十六労組から回答を得た。 ◆京都地方最低賃金審議会、最低賃金、時給700円答申。 2007/08/29, 日本経済新聞 地方経済面 (京都・滋賀) ■京都地方最低賃金審議会 二十八日、京都府内の最低賃金を十四円引き上げ、時給七百円とするよう京都労働局に答申した。引き上げ答申は四年連続。異議 申し立てがなければ十月二十五日から適用される見通し。 ◆滋賀地方最低賃金審議会、15円上げ677円に。 2007/08/29, 日本経済新聞 地方経済面 (京都・滋賀) ■滋賀地方最低賃金審議会 二十八日、滋賀県の最低賃金を現行の一時間当たり六百六十二円から十五円増の六百七十七円に引き上げるよう滋賀労働局に答申 した。十月二十五日から適用される予定。 ◆コムスン、施設介護事業の譲渡額は210億円 11月1日、ニチイに 朝日新聞 2007年8月29日 グッドウィル・グループ(GWG)の子会社で介護事業から撤退するコムスンが、有料老人ホームなど居住系施設介護事業を業界最大手のニチイ学館に譲渡す る問題で、両社は28日、譲渡金額を210億円、譲渡日を11月1日にすると発表した。 事業譲渡されるのは有料老人ホーム26カ所と、認知症対応型のグループホーム183カ所。会社分割の手法でつくった三つの受け皿会社にコムスンの事業を 移し、ニチイ学館に引き継ぐ。従業員約3千人も全員が移る。 コムスンの第三者委員会(堀田力委員長)が27日、ニチイ学館を事業譲渡先に選定。両社とも「利用者の不安解消のため」として、譲渡金額や譲渡日の決定 を急いだ。GWGやニチイ学館の業績に与える影響は未定。 介護サービス継承には自治体の審査を受けて認可を得る必要があるが、ニチイ学館は「厚生労働省など行政側と相談し、スムーズな移行をめざす」としてい る。 一部の自治体は十分な審査期間の確保を求めているが、「早期に新しい会社に引き受けて欲しい」という利用者の声も考慮して審査を急ぐとみられる。 ◆愛知の最低賃金20円引き上げ答申 【名古屋】 朝日新聞 2007年8月29日 労使双方からなる愛知地方最低賃金審議会(会長=皆川正・名古屋大大学院教授)は28日、愛知県の最低賃金の時給を現行の694円から20円引き上げ、 714円へ改正するよう尾沢英夫・愛知労働局長に答申した。10月25日から適用される。2ケタの引き上げは98年以来となる。 ◆(働きすぎの現場から 第3部 耐久レース:上)「新婚生活は、なかった」 【大阪】 朝日新聞 2007年8月29日 家事が一段落した2月の夕方。九州地方に住む女性(31)は、台所に据えてあるデスクトップ型のパソコンに向かった。いつものようにインターネットのサ イト「ミクシィ」に入り、「システムエンジニア(SE)の嫁の会」と名づけられたコミュニティーを開く。 「会社に泊まり込むダンナのためにエアベッド買ったよ」 「帰宅の遅い夫を何時まで待つべきか?」 SEの夫を持つ妻たちの素直な書き込みが並ぶ。 カタカタと、女性はキーボードをたたき始めた。 「今月は出張が2回。1回は排卵日にかかる可能性が大。自腹を切って夫についていくのか…?先々に、ため息しか出てきません」 不妊治療のことを、初めて書き込んだ。不安をだれかに聞いてほしい――。 夫(31)もソフトウエア会社に勤めるSE。女性自身も元SEで、02年に職場結婚した。月150時間の残業が当たり前の職場では「家庭と両立できな い」と思い、仕事はあきらめた。 だが、「新婚生活はなかった」。夫は朝8時過ぎには家を出て、帰宅は午前1時を回る。東京や大阪にある大きなソフト会社のSEとシステム開発を進めるこ とも多く、1〜2カ月の出張は珍しくなかった。 03年には数週間の東京出張が、行ったまま半年に延びた。会社に「転勤」はなく、家族はついていけない。夫は短期賃貸マンションで暮らし、納期前には徹 夜で仕事。休みもない。自腹を切って何度も出張先へ行った。 それでも年収は残業代を含め約400万円。「同じ年の東京のSEは年収1千万円だって」。夫の話に、「地方のSEって何!」とつい大きな声が出た。 ようやく半年が過ぎるころ、さらに3年の「残留命令」が出た。「家庭が壊れる」と、女性は自分の元上司でもある夫の上司と交渉し、特例の「転勤」を認め てもらった。 04年1月、東京で一緒に生活し始めた。夫の仕事も少し落ち着き、午後10時に帰る日もでき、休日も取れるようになった。 ともに過ごす時間が増えると、夫からセックスを求められるようになった。結婚したときから、子どもはほしいと思っていた。なのに、その気になれない。不 妊治療を始めたのは、そのころだ。 今年1月、九州へ戻れた。上司に相談して、夫は長期出張がなく治療を受けやすいマネジメントの担当になった。セックスレスは少しずつ解消された。 それでも、東京の親会社との交渉などで、出張は全くはなくならない。このまま仕事に振り回され続けるのか。子どもは授かるのか。不安は尽きず、東京のこ ろに見つけた「嫁の会」をのぞく日々を過ごした。 会を立ち上げたのは東京で医学書を編集するNaokoさん(30)だ。月100時間以上の残業をこなすSEの夫(31)の、仕事の実態を知りたかったと いう。そこに、妻らの悩みや、それに応える励ましが続々書き込まれるように。 「結婚1年ですが、すれ違いの日が続いております。待ってる側としては不安なのです」 「うちなんか帰る帰らないコールを徹底するのに7年かかりました」 会員は300人を超え、まるでバーチャル社宅だ。 「長時間働く夫を支えるストレスや悩みは相当なもの。なのにみんな孤立している」とNaokoさん。不妊治療の女性の書き込みには「人生の可能性さえ狭 めてしまう現実を知りとても驚いた」。 不妊治療の書き込みにはエールが次々に届いた。 「排卵日を理由に出張拒否は言いづらいかも。家でもんもんとするよりは、今回はついて行っては」 女性は「理解してくれる人がいるだけで気持ちが少し楽になった」という。 7月に体調を崩し、精神的に落ち込む日が続いた。その話を夫から聞いた上司は夫に3日間の休みをくれた。うれしかった。 転職も何度も考えた。だが、夫は住み慣れた地元の九州で、何より好きなSEの仕事を続けたいと強く希望している。 夫はいずれソフト開発の一線に戻り、長期出張を繰り返すことになるだろう。不安がないと言えばうそになる。でも、夫や会社の協力、同じ悩みを抱える「嫁 の会」の妻たちの励ましには光明を感じる。「人同士は助け合えるんだ」。そんな希望を今は抱いている。 ◇ 辞めたくても辞められないまま、過重労働に耐え、懸命に仕事を続ける働き手たち。その姿は家族とともに耐久レースを走り続けるランナーのようにも見え る。本人は、家族は、どう仕事と向き合っていけばいいのか。 ○声上げることが会社変える 脇坂明・学習院大教授 ワーク・ライフ・バランス(WLB)の充実に向けての主導権はもちろん、社員を管理する会社側にある。だが、社員自身にできることもある。 自分の会社の短時間勤務制度や育児休業制度を知らない人は、実は結構多い。まずは利用できる制度がないか調べ、利用者がいれば話を聞いてみよう。 制度があっても、利用すると成績に反映されてしまうため、使えない場合はある。制度そのものがないケースも。落ち着いて上司と話し合ってみてはどうか。 同僚に加わってもらうのも手だ。働かせ方が違法である場合も多いので、労働基準法などを自分なりに勉強すれば、会社を動かすてこになるかもしれない。 個人で職場を変えるのが難しいのは確かだ。それでも声を上げることで、少しずつでも会社を変えることにつながるだろう。 最近の調査で、出産・育児などの支援制度が充実し、男女を均等に待遇する傾向が強い企業ほど、利益が上がっていることが明らかになった。 画一的な大量生産の時代には、長時間労働が生産性を向上させた面があった。しかし、社員一人ひとりの発想がいっそう重要となる時代を迎え、プライベート の充実が生産性の向上につながる一面があることを示す結果と言えよう。 企業が企業自身のために従業員のWLBの充実を必要とする。21世紀はそんな時代だと私は考えている。 ◆高速走れ、お助けロボ 関西の中小企業「3K」改善へ 異業種チーム開発着手【大阪】 朝日新聞 2007年8月29日 高速道路の道路保守やサービスエリア(SA)清掃などの作業環境を改善しようと、関西の中小企業がチームでロボットの開発に着手した。テントウムシ形の トイレ掃除ロボと、道路保守作業中の事故を減らすためのロボで、今秋の完成を目指す。ユーザーが直面する課題を解決する「ロボット」をつくるため、地域の 異業種企業・団体がチームを組む特色ある枠組みだ。(大宮司聡) 開発中のテントウムシ形ロボは、テントウムシを意味する「LADY BIRD」。高さ約1メートル、長さ約1・3メートル、幅約80センチ。SAなどの トイレの床に水を吹き付けながらブラシをかけ、水分を吸い込んで汚れを取る。 作業しない時は、内蔵スピーカーで、道路交通情報や観光情報を提供。1台350万円の見込みだ。 道路保守のロボ「仁王」は大型標識の形。車線を閉鎖して作業する時に、車線が減少する場所に置く。ETC装置をつけた車が約270メートル前まで近づく と、ETC装置を通じて音声で知らせる。標識も光を出して警告する。こちらは1台150万円。 開発のきっかけは西日本高速道路管内の兵庫、滋賀、徳島県内などで保守管理業務をしているアスウェイ(大阪府茨木市)の相談。 全国の高速道路のトイレは約2千カ所。作業者は高齢の女性が多く、最近は夜間作業の安全性の確保が課題だ。保守作業では、トラックなどの居眠り運転が原 因で、年間50件以上の死傷事故が発生しているという。 高速道路の関連作業は危険できつい、汚いという「3K」仕事。もともとイメージが悪いうえ、高齢化で労働力が不足するとみた同社は「作業を簡素化できな いか」(西田行宏・副社長)と考えた。関西のロボット企業などが集まる、大阪市都市型産業振興センターの会員組織「次世代ロボット開発ネットワーク」に今 春、相談した。ネットワークの呼びかけに応じたロボット企画開発企業、金属加工技術協会など10団体・企業が参加して、今月20日に「3Jロボット開発集 団」を設立した。 開発費は、アスウェイが負担。技術協会などが技術の指導を担当。会員企業などがロボットの要素技術を提供するという分担内容だ。同ネットの足立尚樹事務 局長は、「課題解決に応えるために、中小企業や団体が集まってロボットをつくる取り組みは珍しい。今後もこの枠組みで様々なロボットを生み出したい」と話 している。 【写真説明】 テントウムシ形掃除ロボットのイメージ図。上から見た図(上)と側面から見た図 ETCなどを利用して保守作業をしていることを運転手に知らせるロボット。トラックに搭載したイメージ図 ◆最低賃金の上げ、20円は「不十分」 愛労連が反対表明 /愛知県 朝日新聞 2007年8月29日 愛知地方最低賃金審議会が、最低賃金の時給を20円引き上げて714円とするよう愛知労働局長に答申したことに対し、県労働組合総連合(愛労連)は28 日、「答申は、『格差と貧困の解消』とはほど遠い」などと反対を表明した。今月中にも同審議会に異議を申し出る。 ◆県の最低賃金を11円引き上げて 審議会が答申 /奈良県 朝日新聞 2007年8月29日 奈良地方最低賃金審議会(井上清会長)は28日、今年度の県最低賃金を現行から11円引き上げて、667円にする答申を出した。厚生労働省の中央最低賃 金審議会が今月10日に示した奈良県の目安額「9〜10円」を上回った。10月25日から実施される。 同省によると、前年度、前々年度の奈良県の引き上げ額はいずれも4円だった。 ◆最低賃金時給、8円引き上げ 審議会が答申 /徳島県 朝日新聞 2007年8月29日 労使双方などで構成する徳島地方最低賃金審議会(会長=横畠康吉・四国大学大学院教授)は27日、県の最低賃金の時給を現行の617円から8円引き上 げ、625円にするよう、斉藤幸夫・徳島労働局長に答申した。10月下旬にも適用される見通し。引き上げ率は1・30%で、1%台を超えたのは98年 (1・53%)以来9年ぶりとなる。 同労働局から7月に諮問を受け、県内の中小企業への賃金実態調査の結果や、景気動向などを参考に審議。厚生労働省の中央最低賃金審議会が今月10日、全 国平均の最低賃金時給(現行673円)を14円、徳島では6〜7円引き上げるよう、目安を提示したことを考慮したという。 ◆教諭自殺は公務災害 バドミントン大会準備中 地裁判決、基金の判断覆す /宮城県 朝日新聞 2007年8月29日 仙台市立中山中の教諭だった大友雅義さん(当時36)が98年、全国中学校バドミントン大会の準備中に自殺したのは、過重な勤務を強いられたためだとし て、大友さんの妻博子さん(41)が、地方公務員災害補償基金県支部(支部長・村井嘉浩知事)を相手取り、公務災害として認定するよう求めた訴訟の判決が 28日、仙台地裁であった。潮見直之裁判長は「運営業務は公務にあたり、自殺は公務に起因する」として、「公務外の災害」とした同支部の認定を取り消すよ う命じた。 大友さんは98年8月、仙台市内で開催された同大会の準備期間中、滞在していたホテルで首をつって自殺した。裁判では、(1)大会を主催する中学体育連 盟関連の業務が公務にあたるか(2)自殺は公務に起因するか――が争点となった。 判決では、バドミントン部の顧問だった大友さんが、大会実行委員会の総務部長として中体連の関連業務に就いたことについて、「顧問への任命は、中体連や 実行委員会の役員に就任する職務命令を含む」として、公務にあたると判断した。 大友さんが同年4月から、それまで指導経験のない社会科を担当していたことや、文化祭や体育祭の指導が重なったために、超過勤務に加えて自宅でも深夜ま で仕事が続いたことを挙げ、「極めて大きな精神的負荷が与えられていた」と判断。大友さんが不眠や食欲不振を訴えるようになったのは軽度のうつ病の症状と 認定した。その上で「公務とうつ病との間には相当因果関係が認められる」として「自殺の公務起因性を否定した処分は違法」と結論づけた。 判決を受け、同支部長の村井知事は「判決の内容を検討し、基金本部と協議の上、控訴するかどうかを含めて決めたい」とのコメントを出した。 ◆原告の妻「労働条件の改善を」 「公務外認定を取り消す」。潮見直之裁判長が主文を言い渡すと、傍聴席の支援者から「よしっ」という声が上がった。夫の死から9年。自殺を公務災害と認 めた判決に、自身も教員の原告、大友博子さん(41)は「教員が自分の命を落とさざるを得ない状況はやはりおかしい。この判決が、中体連などでの大会運営 や、労働条件の改善につながれば」と話した。 判決後、博子さんとともに開いた記者会見で弁護団は、「基金県支部は控訴することなく、判決を確定させるべきだ」とする支援団体と連名の声明を読み上げ た。弁護団長の佐藤由紀子弁護士は、中体連の仕事が公務と認められたことや、確認しにくい教員の労働時間が超過勤務と認定されたことなどを挙げ、「現場の 教師にとって意義深い」と評価。「この判決を力として過労死、過労自殺がなくなるよう、労働条件の改善を図りたい」と話した。また博子さんは「くじけそう になったこともあったが、同じようなケースを起こしたくないという思いは変わらなかった」とふり返った。 【写真説明】 「判決が学校現場に響いて欲しい」。訴えが認められ、弁護団とともに記者会見した原告の大友博子さん(左)は安どの表情を見せた=仙台市青葉区の仙台弁護 士会館で ◆高卒求人微増、大卒は大幅増 来春の新卒対象調査 /山形県 朝日新聞 2007年8月29日 来春の卒業予定者への7月末現在の求人数が、高校、大学、短大などいずれの学校でも前年同期を上回っていることが、山形労働局のまとめでわかった。特に 大卒は16・0%増、短大卒が47・4%増となった。同局は景気回復に加え、採用側に高学歴志向が進んでいる可能性もあるとみている。 県内の8400事業所と57経済団体に対し、08年3月の新規学卒者への求人状況を調査した。高卒者への求人数は4377人(前年同期比0・6%増)。 建設業が12・2%、卸売・小売業が30・9%いずれも増加したのに対し、飲食・宿泊業は11・1%、サービス業は21・0%のいずれも減。業種ごとにば らつきが出た。 高卒の求職者は7・5%減の3326人で、うち県内で就職を希望する人は2566人。求人倍率は1・32倍で、前年同期を0・11ポイント上回った。 大卒者の求人数は1万5506人(同16・0%増)、短大は1197人(同47・4%増)、高等専門学校は2567人(同4・9%増)、専修学校は 4775人(同7・8%増)。 ◆中国人強制連行前橋訴訟、きょう地裁で判決 原告団、事実認定に望み /群馬県 朝日新聞 2007年8月29日 第2次大戦中に中国から連行され、県内で強制労働させられたとして、生存者と遺族が国と建設会社に損害賠償などを求めた訴訟は29日、前橋地裁で判決が 言い渡される。最高裁が4月、中国人強制連行訴訟で中国人個人の請求権が失われているとの初判断を示しており、今回も厳しい判決が予想される。原告団は裁 判所が事実認定に踏み込む点などに望みをつないでいる。 「原告の請求権は日中共同声明で失われた」とする最高裁の初判断は前橋訴訟原告団も落胆させた。強制連行を含めたすべての戦後補償裁判で中国人側の敗訴 が決定づけられたからだ。6月、別の訴訟で最高裁第2小法廷は原告の上告を退け、その後の札幌控訴審も原告の訴えを棄却した。 一方、最高裁判決は強制連行、過酷労働という事実の認定には踏み込み、「建設会社を含む関係者が被害救済に向けて努力をすることを期待する」とした付言 をつけた。前橋訴訟でも期待される点だ。 原告団は「裁判官の良識に期待したい」としている。 前橋訴訟は02年5月、トンネル掘削工事などに従事した18人の生存者と死亡した2人の遺族13人の計31人が提訴した。5年を超える訴訟の間、生存者 の5人が亡くなった。 訴状や弁護側の準備書面によると、死亡した2人を含む20人は、戦時中、中国で日本軍に捕らえられるなどして、強制的に県内に連れてこられた。月夜野町 (現みなかみ町)や太田市で、トンネル掘削工事や旧中島飛行機の地下工場の工事などに従事させられた。暴行を受けた人もいれば、食べ物を満足に与えられ ず、栄養失調から失明した人もいたという。県内に連れてこられた計892人のうち、109人が死亡したとされる。 判決を前日に控え、原告遺族の王俊義さん(55)は「良い結果が出るか分からないが、全面解決できるまで頑張っていきたい」と話している。 ●支援者ら「勝利を信じる」 02年5月に発足した「群馬訴訟を支援する県民の会」(会員数621人)は提訴以来、県民に強制連行の事実を伝え、原告団の支援活動を続けてきた。 会の設立にも携わった副代表の山田和夫さん(77)=伊勢崎市=は「拉致のように連れてこられ、過酷な労働を強いられた原告らの苦しみは我々には想像で きないほどだ」と話す。 5年あまりの支援活動のなかで、冬でも夏服しか支給されず、毎日12時間休みなく石やセメントを運ばされ、多くの中国人が疲労と空腹で亡くなったことを 知った。 「人間に家畜以下の扱いをした上、反省や謝罪もしない政府や企業を許すことはできない」と山田さんはいう。 同会では毎月1回の総会と幹事会の開催や年に4回会報を発行。04年には被告の鹿島と青山管財(旧ハザマ)に出向き、賠償要請もした。 これまでの21回の公判も欠かさず傍聴した。「最後の最後まで勝利を信じたい」と山田さんは話す。 今年、山田さんから事務局長を引き継いだのが伊勢崎市の元教員、山口富雄さん(61)だ。「強制連行は歴史上許されないこと。(裁判に)勝利し真の意味 で戦争を克服していきたい」と話した。 【写真説明】 「群馬訴訟を支援する県民の会」副代表の山田和夫さん(右)と事務局長の山口富雄さん(左)。29日の判決を市民にも傍聴してほしい、と街宣車で訴えた= 前橋市内で 1945年に中島飛行機太田製作所の分散工場の一つとして掘られた旧中島飛行機地下工場の入り口。戦時中、ここでも多くの中国人が働いた=太田市西長岡町 で ◆請負労働者を直接雇用 栃木・宇都宮のキヤノン、82人 朝日新聞 2007年8月29日 キヤノン宇都宮光学機器事業所(宇都宮市)で働く請負労働者ら82人について、キヤノンは29日、期間社員(期間工)としての直接雇用を申し入れる方針 を明らかにした。請負労働者の大野秀之さん(32)らが違法な偽装請負で長年使用されてきたとして正社員としての雇用を求めていた。同社は「事態の早期解 決を図る」と説明したが、最長2年11カ月で職を失う可能性のある期間工にとどまったことに、労働者側からはなお不安の声もあがっている。 キヤノンによると、昨年5月以降に離職した19人を含む請負労働者82人に10月1日付で期間工として採用したいと申し入れる。契約期間は5カ月で、最 長2年11カ月まで更新する。正社員への登用試験も受けられるが、何人が正社員になれるかは「めどがたたない」という。請負会社とキヤノンの契約は終了す るため、請負労働者が職場に残るには直接雇用に応じなければならない。 キヤノングループでは昨年、労働者の派遣を受けている実態があるのに形式的には「請負契約」を結ぶ偽装請負が各地の工場で発覚。大野さんらは、昨年10 月、職場の偽装請負を栃木労働局に申告し、正社員雇用をキヤノンに指導するよう求めていたが、まだ結論は出ていない。 大野さんは「正社員になる話に期待して申し入れを受けようと思う」と述べた。栃木労働局には引き続き、偽装請負の認定と正社員採用の指導を求めていくと いう。 ◆(欧州新移民:3)マイスターの技生かす 朝日新聞 2007年8月29日 ノルウェー第2の都市ベルゲンから、北へフェリーに揺られて約2時間半。アスクボルは氷河で出来たフィヨルドの奥に位置する。遠くにそびえる山々を眺 め、ヒューニガーさん(52)は自宅から数分の自動車整備工場へ向かう。 「午後3時には仕事が終わるんだ。信じられないだろう」 旧東独のライプチヒ出身のヒューニガーさんは、92年に自動車整備のマイスターを取得した職人だ。同じ工場には独の工科大を卒業したエンジニアが働き、 人口約3千人の町には移住組の配管工マイスターも暮らす。 交通手段の少ないノルウェーでは自動車が重要で、高い信頼性を誇るドイツ車は非常に高価だ。「ドイツ人は母国のメーカーと複雑な技術の話も直接できる。 経験豊富なマイスターなら顧客は安心して高価な車を預ける」。自動車整備工場の経営者、ビューネスさん(59)は力説する。 好調な経済を背景にしたノルウェーの失業率は2%台。高学歴化とともに経験豊かな技術者が不足している。 中世の徒弟制度を受け継ぐマイスターは、経験に裏打ちされた専門知識を持つ世界的にも珍しい制度だ。長い下積みの後で挑む試験は受験回数の制限もあり、 厳しさゆえに脱落する人も多い。 独ではマイスターでなければ開業できない業種が約90あったが、自由競争を妨げるなどの理由で約40まで削減。それでもこの信頼性を勝ち取ろうと、世界 中から職人が集まる。一方、欧州18カ国でマイスターの相互協定が結ばれ、その「特権」を利用してマイスターたちは海外を目指し始めた。ノルウェーでも開 業資格として認められる。 もともとヒューニガーさんは自動車会社などに勤務。89年に修理工場を開業し、順調な生活が続いていた。状況が変わり始めたのは東西統一後。競争社会は 旧東独にも忍び寄ってきた。非合法な修理屋が安価で仕事を請け負い始め、ヒューニガーさんの顧客も値段に釣られて、ひとりまた一人と離れていった。 店を閉めようと決心したのは05年だった。ライプチヒで開かれた移住転職セミナーが目にとまった。これまで1日のほとんどを仕事に費やし、家族と過ごす 時間がなかった。マイスター資格を生かし、ゆとりある生活を海外に求めた。 ベルリンの人材派遣会社から、「ノルウェーで仕事してみませんか」と連絡があったのはそんな時だ。自然に満ちあふれた生活に魅力を感じ、旅行がてら訪れ てみた。そこで、経営者のビューネスさんと出会う。「あなたが必要なのです」の一言で、すべてを決めた。 「おれはもう戻らない。マイスターをドイツは必要としていない」 移住は、マイスターを目指すゲゼレと呼ばれる修業者にも広がる。将来の就職を考え、3年間の修業を自分の好きな国や恋人の住む国で行う若者が増えてき た。欧州連合(EU)誕生以降はこの傾向に拍車がかかる。 「移住が増える傾向は認識している。政府レベルで改善策を話し合う必要がある」と、独労働社会省はマイスターらの流出に警戒感を示す。 夏場はほとんど日が落ちないノルウェー。ヒューニガーさんが趣味の機械いじりを楽しむ時間は仕事後も十分にある。今はビューネスさんからもらった中古 ボートの整備に余念がない。妻(52)と2人で過ごす時間も増えた。今の生活を「新婚みたいだ」と笑い、普段はいかめしい顔を崩して妻を抱き寄せた。 「幸せをつかめた。おれはマイスターだから」 (アスクボル〈ノルウェー中部〉=金井和之) 【写真説明】 自宅のテラスでくつろぐヒューニガーさんと妻のブルーンヒルトさん=アスクボルで、金井写す ◆暮らし全般の悩み解消バックアップ 連合山口、周南に相談センター /山口県 朝日新聞 2007年8月29日 連合山口は28日、周南市岐山通2丁目の市勤労福祉センター内にオープンした「生活あんしんネット」周南センターの開設式をした。仕事の紹介から労働や 福祉、暮らし全般にかかわる相談に応じることができ、連携している弁護士や医師など専門家との橋渡しも可能という。加盟労組の組合員だけでなく、一般市民 の困りごとや悩みの解決を全面的にバックアップする機能を備えているのが特長だ。 同センターは、連合山口と県労働者福祉協議会の主要事業である「生活あんしんネット」を下関地区とともに周南地区に拠点として拡充した。地元の労働者福 祉協議会とともに春から事業をスタートし、中国労働金庫や全労済県本部などの協力も得ている。 職業相談や消費、福祉生活、労働問題の各アドバイザーら4人が常駐(職業相談は月・水・金)し、労働相談に加えて離婚や交通事故、多重債務、医療などの 生活相談にも対象を広げた。専門家の助言や紹介を受けることもでき、センターにはハローワークの求人情報にアクセスできる端末や、心身の健康に不安があれ ば心理療法士の資格を持つ社会福祉士と対話できるテレビ電話もある。 久保啓二事務局長は「悩みをどこに相談していいか迷っている人が多い。いっしょに問題を整理し、解決に結びつけるお手伝いをしたい」。相談は、平日午前 9時から午後5時、電話0120・050・643へ。 ◆中電工を書類送検 労働安全衛生法違反の疑い /山口県 朝日新聞 2007年8月29日 (下関労働基準監督署調べ) 28日、中電工(本社・広島市)と、同社の現場責任者の男性(51)=長門市=を労働安全衛生法違反の疑いで地検下関支部 に。7月16日、下関市豊北町角島で、電柱変圧器取り換え工事の際、高圧電路に絶縁用防具を装着せずに、同社の男性(当時26)に作業をさせた疑い。男性 は感電死した。 ◆最低賃金8円引き上げ答申 審議会 /熊本県 朝日新聞 2007年8月29日 熊本地方最低賃金審議会(会長、荒井勝彦・熊本学園大教授)は28日、県最低賃金を現行より8円引き上げ、時給620円にするよう熊本労働局長に答申し た。引き上げ答申は4年連続。 これを受けて熊本労働局は9月末に官報に公示し、10月末から実施する予定。 同審議会は7月に労働局長の諮問を受け、様々な経済指標や中央最低賃金審議会が目安として厚労相に答申した引き上げ額を参考に、審議を重ねていた。 中央最低賃金審議会が示した引き上げ額の目安は、熊本を含む地方は6〜7円だったが、東京などは19円。雇用機会の多い都市部では大幅に引き上げる一 方、景気回復が遅れている地方では小幅な引き上げにとどまり、都市と地方の格差が拡大している。 ◆外国人宿、あいりん人気 「労働者の街」変身中 世陸も拍車、旅行客に活路 【大阪】 朝日新聞 2007年8月29日 「労働者の街」で知られる大阪市西成区のあいりん地区(釜ケ崎)で、簡易宿泊所(簡宿)を利用する外国人客が増えている。日雇い労働者が激減するなか、 一部の簡宿が外国人旅行者に活路を見いだそうとPRや設備改修に乗り出したためだ。25日から開催中の世界陸上大阪大会が後押しし、格安宿は大にぎわい だ。(左古将規) JR大阪環状線・新今宮駅から100メートルほどの簡宿「ビジネスホテル中央」。世界陸上の観戦に訪れた米国人の弁護士、ジョン・ベナンさん(49) が、ロビー備え付けのパソコンでインターネットを閲覧していた。 3畳の和室で1泊2600円。シャワーとトイレは共同だが、エアコンとテレビと冷蔵庫は部屋に付いている。「値段が手頃で交通の便もいい。申し分ない よ。街の雰囲気はロサンゼルスのダウンタウンに似ているね」 あいりん地区は、建設現場などで日雇いの仕事をしながらアパートや簡宿で寝泊まりする労働者の多い街として知られる。だが、バブル崩壊を機に状況は変 わった。 あいりん労働公共職業安定所によると、雇用保険手帳を発行する日雇い労働者は、86年度末の2万4458人をピークに、06年度末は4204人まで減っ た。担当者は「不況と建設業の機械化で求人が減った。労働者も高齢化し、生活保護をもらってアパートで暮らし始めた人も多いようだ」とみる。 廃業したり、アパートに商売替えしたりする簡宿が相次ぎ、大阪府簡易宿所生活衛生同業組合に加盟する同地区の簡宿は、バブル期の約200軒から92軒 に。1人1泊1千〜2千円台が相場という安さを売りに、サラリーマンや学生らをターゲットとする簡宿が増え、一部が目を付けたのが外国人旅行者だった。 同地区の簡宿13軒は05年春、「大阪国際ゲストハウス地域創出委員会」(OIG委員会)を立ち上げた。英語、中国語、韓国語のパンフレットを作り、関 西空港などに置いた。同じ3カ国語でホームページも作った。 同委に参加するビジネスホテル中央は、トイレを和式から洋式に変え、大浴場に加えて共同シャワー室を新設。各部屋にインターネットの回線も引いた。かつ ては客の100%が労働者だったが、今は旅行者や出張に来たサラリーマン、外国人がほとんどだ。 同ホテルを含む簡宿5軒を運営する「中央グループ」専務の山田英範さん(30)は「外国人客は今は2〜3割を占める。世界陸上の期間中は半分以上だ。8 月下旬は客が減る時期だが、今年は5軒とも満室」と言う。 山田さん自身、学生時代はアジアなどを旅した。世界中のバックパッカーが集まるタイ・バンコクの安宿街「カオサン・ロード」に滞在し、外国人旅行者と地 元タイの若者が入り交じる活気あふれた雰囲気にひかれた。「日本のカオサンにしたい」と意気込む。 OIG委員会に入る簡宿・ビジネスホテル太洋でも、世界陸上期間中は20〜30人の外国人客が宿泊。昨年採用した英語を話せるスタッフ3人が活躍してい るという。 同委のパンフレット作りなどに協力した阪南大の松村嘉久・准教授(観光地理学)は「簡宿に泊まる外国人客の多くは長期滞在型のバックパッカー。世界陸上 は『旅行者の街』としてのあいりん地区を世界に口コミで広める良い機会だ」と話している。 【写真説明】 世界陸上の観戦に訪れた旅行者らが簡易宿泊所のロビーで談笑する。宿の山田英範さん(右から2人目)も輪に加わった=28日、大阪市西成区で 1泊2600円。3畳の和室はエアコン、テレビ、冷蔵庫付き。テレビの下にはパソコンにつなげるインターネット用のケーブルも=大阪市西成区で ◆派遣ユニオン、グッドウィル派遣実態、国に調査要請。 2007/08/29, 日経流通新聞MJ, 4ページ, , 355文字 派遣労働者の組合、派遣ユニオン(東京・新宿)は、厚生労働省に対して日雇い派遣大手グッドウィルを禁止業種への派遣などを繰り返しているとして、実態 調査を求めた。日雇い派遣は量販店、外食店などでの活用が増えており、調査の行方は注目を集めそうだ。 同ユニオンはグッドウィルが建設現場に子会社を通じて違法派遣をしているなどと主張。関根秀一郎書記長は「同社はこれを業務請負としているが、複数のス タッフの証言から違法派遣であることは明白」とした。 派遣業界ではフルキャストが違法派遣で、八月十日より全事業所が一―二カ月の事業停止となったばかり。グッドウィルでも同様の問題が確認されれば、重い 処分は免れない見込み。その場合、人手不足の深刻化から派遣に依存する流通企業も少なくないだけに、店舗運営などに影響が及ぶ可能性もある。 ◆ネットカフェ難民5400人、50代も4人に1人、半数が非正規雇用、初の全国調査。 2007/08/28, 日本経済新聞 夕刊 ネットカフェを泊まり歩いて暮らす「ネットカフェ難民」が全国で推計約五千四百人にのぼることが、厚生労働省が初めて行った調査で二十八日分かった。半 数が日雇い派遣やパートなど非正規雇用だったほか、四〇%は失業者や就職活動をしていない無業者だった。年齢別では二十代が二六・五%とトップで五十代も 二三・一%。厚労省は住居確保や就労支援に向けて約一億七千万円を来年度政府予算の概算要求に盛り込む。 厚労省は六月から、全国約三千二百店のネットカフェなどに電話調査。店内で夜を明かす生活を送っている利用者が一日当たり約六万九百人にのぼり、うち 七・八%が「住居がなく、寝泊まりするため」に店を利用していることが判明した。 これを受け同省は「住所不定で、週半分以上ネットカフェなどを利用しているのは全国で約五千四百人」と推計した。就業形態別では、日雇い派遣やパートな どの非正規雇用の労働者が二千七百人、失業者は約千三百人、無業者は約九百人で、正社員は約三百人。 電話調査と並行して東京で二百二十四人、大阪で四十一人の住む家がない利用者からの聞き取り調査も行った。住む家がない理由として、東京の三二・六%、 大阪の一七・一%が「仕事を辞めて家賃が支払えなくなった」と回答。「仕事を辞めて寮や住み込み先を出たため」は東京二〇・一%、大阪四三・九%だった。 住居確保の問題点(複数回答)は「敷金などを貯蓄する難しさ」が東京六六・一%、大阪七五・六%。「安定した収入がなく、入居後に家賃を払い続けられる か不安」としたのは東京三七・九%、大阪五八・五%だった。平均月収は東京で十一万円、大阪で八万円。四〇%以上が路上生活を経験していた。 厚労省は特定非営利活動法人(NPO法人)などとも連携し、ネットカフェ難民の就労支援を実施する方針。ハローワークの職員らが相談窓口を東京や大阪な どに設置し、賃貸住宅への入居費用をためる資金計画を助言したり、寮付きの仕事を紹介したりする。厚労省就労支援室は「まず住居の確保を支援し、その後で 安定した就業につなげてもらいたい」と話している。 ▼ネットカフェ難民 決まった住居がないため、二十四時間営業のネットカフェなどを泊まり歩いている人で、就労形態も不安定とされている。新たな貧困層 の出現として注目され始めたが、実態はよく分かっていなかった。今回の調査では、ネットカフェを週三日以上利用する「住居喪失不安定就労者」をネットカ フェ難民と定義した。 ◆「派遣」の能力開発支援、賃金に反映も――業界団体、パソナ。 2007/08/28, 日本経済新聞 業界団体、訓練モデル作成 パソナ、経験に応じ資格 人材派遣会社などが派遣社員の能力開発やキャリア形成に向けた仕組みづくりに乗りだす。業界団体の日本人材派遣協会は教育訓練や能力評価のモデルを作成 し、派遣会社に導入を促す。パソナも経験に基づく資格制度を導入する。派遣社員は能力開発の機会が少なく、賃金でも正社員との格差が課題になっている。人 手不足を背景に今後はキャリア形成を支援する動きが広がりそうだ。 人材派遣協会は厚生労働省の委託を受けて事業を実施する。学識者や業界関係者で構成する委員会をこのほど発足。九月から派遣会社や労働者の実態調査をす る。まず事務職を中心に、派遣社員が能力を向上させる機会の確保や、会社側がその能力を適正に評価する仕組みを検討する。 年内をメドにモデルを作成し、派遣会社や受け入れ先企業に導入を促す。派遣社員として働き続ける場合でも、難易度の高い業務に移る形でキャリアアップが 可能とみている。 人手不足でスタッフの確保に苦労する派遣会社でも同様の動きが出ている。 パソナは十一月をメドに独自の資格制度を導入する。専門スタッフがこれまでの仕事を派遣社員から聞き取り、一般事務や受付など職種別に経験を五段階に分 類する。派遣社員は能力や経験が評価される機会が少ないが「実際は経験によって生産性に差がある」(南部靖之社長)。このため経験に応じて資格が上がるよ うにし、意欲を高める。資格を賃金に反映させることも検討する。 技術者派遣のジェイテックは来年夏をメドに定期昇給を基本的に廃止し、技術水準で評価する成果型の賃金制度に移行する。技術力や責任感などにもとづき技 術者を四段階に分類。各等級に求められる職務内容や成果を明確にする。 派遣労働者数は二〇〇五年度に約二百五十五万人と前年度比一二%増え、過去最高になった。七割強が二十―三十代の若年層で占める。正社員に比べて能力開 発や評価の機会が少ないため難易度の低い仕事に就くことが多く、所得の伸びも鈍い。厚生労働省によると、年収は三百万円未満が八五%を占め、正社員との格 差が大きい。 派遣社員やパート、アルバイトなどの非正社員は労働人口の三割を占める。少子高齢化が進むなか、処遇を改善し、人材を活用する環境づくりが課題になって いる。 ◆ネットカフェ難民5400人、50代も4人に1人、半数が非正規雇用、 |