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労働関連ニュース 2007年8月10日から15日





◆上下水道管理を開放、政府、市場化テスト16事業追加。
2007/08/15, 日本経済新聞
 公共サービスの担い手を官民の競争入札で決める市場化テストで、政府が二〇〇八年度以降に対象に加える事業の全容が十四日、分かった。警察大学校や税関 研修所の施設管理や、地方自治体が運営する上下水道の保守管理の一部など十六事業。実施が決まっているものと合わせ、対象事業は四十一になる。
 テストを担当する内閣府は月内にも官民競争入札等監理委員会を開き、事業追加を決める。九月中に閣議で正式決定したい考えだ。
 追加案件は公共施設の管理が多いのが特徴だ。中央省庁が同意したのは財務、警察など十府省庁の約三十施設。警備など管理業務を入札対象とする。期間は〇 九年四月から三年以上を想定する。
 水道事業は(1)浄水場の排水処理設備や発電設備などの保守管理(2)工業用水道や下水道事業にかかわる施設管理――などを民間開放する。
 統計調査業務では、財務省の民間給与実態統計調査や厚生労働省の介護サービス施設・事業所調査などが対象になる。
 厚労省のハローワークの無料職業紹介は、経済財政諮問会議での合意通りに、〇八年度に東京都渋谷区と墨田区の二カ所で民間の窓口も設け、求職者が官民ど ちらでも選べる仕組みを導入する。
 市場化テストは政府が独占してきた官業の一部を民間の競争原理に委ね、コスト削減やサービスの質向上につなげようというもの。

◆401k導入企業、65%が個人拠出解禁求める――フィデリティ調べ。
2007/08/15, 日本経済新聞
 フィデリティ投信は、企業型確定拠出年金(日本版401k)の導入企業を対象に同制度の改正に関する意識調査を実施した。企業にしか認められていない掛 け金の拠出を個人にも解禁するよう求める企業は六五%に上った。同社は「従業員が退職後に一定の収入水準を確保するには、個人による資産形成も不可欠と考 える企業は多い」と分析している。
 掛け金の個人拠出解禁を求める理由(複数回答)を聞いたところ、「加入者が自覚を持って運用するきっかけになる」が七七%と最多となった。「老後の生活 に十分な年金資産を確保できる」(七四%)などが続いた。
 二〇〇八年三月末に課税凍結が解除される企業年金積立金への特別法人税については、「重大な影響がある」が六〇%に上った。
 調査は確定拠出年金教育協会(東京・中央)と共同で六―七月に実施。千百十七社のうち二百八十社から回答を得た。厚生労働省は研究会で401kの規制緩 和を求める報告書をまとめており、年末に向け制度改正の議論の動向が注目されている。

◆日雇い仕事、長期間寝泊まり、「ネットカフェ難民」初調査――就労支援狙い。
2007/08/15, 日本経済新聞
厚労省、相談窓口設置など
 日雇い仕事をしながらネットカフェで長期間寝泊まりする「ネットカフェ難民」について、厚生労働省は初の実態調査に乗り出した。秋までに結果をまとめ、 新たな相談窓口の設置や就労支援など本格的な対策を始める方針。ただどのような支援をするかを巡っては専門家から実効性を問う声も出ている。
 ネットカフェ難民は、家賃が払えないため住む場所がなく、夜は安価な料金で利用できる二十四時間営業のネットカフェなどで寝泊まりする若者らのこと。最 近「新たな貧困層の出現」と懸念する声が上がり始めているが、大規模な調査はこれまで実施されておらず、人数など実態はよく分かっていなかった。
 厚労省はすでに全国約三千店のネットカフェにアンケートや電話による調査を開始。東京や大阪では特定非営利活動法人(NPO法人)の協力を得て、利用者 から直接聞き取り調査も行う。ネットカフェで寝泊まりしている人数や年齢、「難民化」した理由やその時期などをまとめる。
 支援策としては、就労相談に応じる窓口を大都市部に設置する計画。安定的な就労実現には住所を定めるのが先決であるため、賃貸住宅への入居費用をためる 資金計画を助言したり、寮付きの仕事を紹介したりする。
 NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」(東京・新宿)の湯浅誠事務局長は支援策について「定期的な収入を得るまで何らかの生活保障がなけれ ば、支援制度を利用するのは現実問題として難しい」と指摘している。

◆アデコ、派遣・請負業務のコンプライアンス、製造や物流向け講習。
2007/08/15, 日経産業新聞
 人材派遣大手のアデコ(東京・港、マーク・デュレイ会長)は製造業の工場や物流企業の倉庫向けに、派遣・請負業務に関するコンプライアンス(法令順守) 講習の受託事業を始めた。
 軽作業派遣・請負大手が法令違反で揺れる中で、信用力を高めるのが狙いだ。新規顧客を確保するため、講習は無料とする。その後の具体的なコンサルティン グなどは有料で引き受ける。
 この事業は担当者が工場など現場を視察した上で、部門責任者や製造工程の管理者らを対象に講習する。内容はこれまで「偽装請負」となった事例や派遣・請 負社員への接し方、労働者派遣法の詳しい解説など。
 現状の法令順守に不安がある業者には有料のオプションを用意した。過去に派遣・請負業者との間で交わした帳票について法律通りに契約ができているか チェックするほか、合法で効率のいい派遣・請負社員の生かし方などをコンサルティングするという。オプションの費用は一事業所あたり三十万円程度。
 アデコは一般事務向けの派遣が主力で、製造や物流向けの事業の拡大を目指している。これまで関係が薄かった企業に対しこの講習をテコに派遣の拡大を図 る。

◆造船活況日中韓三つどもえ(2)外資系船舶、中国で攻勢――安い労働コスト狙い。
2007/08/15, 日経産業新聞
1面から続く
 韓国勢も現代総合商事が青島に韓中合弁第一号の造船所を設立するなど、中国を含めた国際的な分業体制づくりに乗りだしつつある。
 ただ、全体からみれば外資の船舶関連企業の中国進出は船体ブロックや艤装(ぎそう)品、ディーゼルエンジンの生産などが中心。安い労働力を狙った外資が 攻勢をかけると、受注や人材が外資に流出するのではとの警戒感も残る。
 中国の国防科学技術工業委員会船舶行業管理弁公室の発表によると今年上半期の中国の新造船完工量は前年同期比四三%増、受注量は同六五%増で既に昨年一 年間の実績を超えた。手持ち工事量は同一〇七%増の一億五百四十万重量トンと初めて一億トンの大台を突破した。報道によれば上半期の船舶品輸出額も六割増 えた。
 一方で、中国では都市部を中心に人件費などのコストが上昇。かつての比較優位が低下しつつある。生産管理など技術面での日韓との格差も依然残る。
 「労働コスト面での優勢がなくなれば日韓造船企業はためらいなく中国から撤退し、ブラジルやベトナムに移ってしまうだろう」。上海市経済委員会などが今 年一月にまとめた報告書はこう警告、「強力な船舶産業の基盤を築く必要がある」と結論付けた。成長が続いている間に外資を活用しながらどれだけ地力を付け られるかが課題となっている。

◆管理職女性活用じわり、全体に占める比率1.1ポイント上昇、昨年度、厚労省まとめ。
2007/08/15, 日経産業新聞
 厚生労働省がまとめた「二〇〇六年度女性雇用管理基本調査」によると、国内企業で係長以上の管理職全体に占める女性の比率は六・九%で、前回調査(〇三 年度)に比べて一・一ポイント上昇した。少子高齢化で労働力不足が懸念されており、企業の女性活用が管理職でも徐々に進み始めているようだ。
 管理職全体に占める女性の比率を産業別にみると、最も多いのは医療、福祉の三七・九%(前回調査比四・九ポイント上昇)。次いで教育、学習支援業の一 七・五%(同〇・九ポイント上昇)、飲食店、宿泊業の一四・四%(〇・八ポイント上昇)。係長職以上の女性管理職がいる企業は全体の六六・六%で、四・一 ポイント上昇した。
 今後、女性の活躍を促す上での問題点(複数回答)で、最も回答が多かったのが「家庭責任を考慮する必要がある」が一・〇ポイント低下の四七・七%。次い で「女性の勤続年数が平均的に短い」が〇・九ポイント低下の四二・五%、「時間外労働、深夜労働をさせにくい」が〇・三ポイント上昇の三五・八%。
 調査は常用労働者三十人以上を雇用する約七千社を対象に〇六年十月に実施した。回収率は八五・四%。

◆浜松地域テクノポリス推進機構理事長石村和清氏、第2期クラスター計画(核心を聞く)
2007/08/15, 日本経済新聞 地方経済面 (静岡)
広域化で技術向上
企業誘致、海外も視野に
 大学を核に新技術による産業創出を支援する第二期知的クラスター創成事業に浜松地域が選ばれた。前回に続き、五年で約三十二億円の補助金をもらい、同地 域での研究開発に弾みをつける。だが、第二期は新技術の実用化など一層の実績が求められる。事業を運営管理する浜松地域テクノポリス推進機構の石村和清理 事長に第二期計画の特徴と今後の課題について聞いた。
 ――第一期に続き、第二期も厳しい選考から浜松が選ばれた。
 「第二期として今回選ばれたのは六カ所。前回と比べるとほぼ半分となった。国も選択と集中という方針を打ち出しており、審査は相当厳格だった。まずは選 ばれてほっとしている」
 「一期目は研究成果の事業化や特許の出願件数、大学発ベンチャーなどで一応、目標を達成できた。知的クラスターで進めてきた研究テーマ三件が産業クラス ター事業に引き継がれ、実用化を目指す流れも出てきた。だが、計画開始当初からもう少し具体的な商品像を描いておけば、事業化できたものはもっと多かった かもしれない」
 ――二期目は参加大学、企業が広域化しているが、なぜか。
 「従来は浜松地域内の研究機関、企業だけで新技術による産業創出を目指してきた。だが、ローカルで進めるには限界があることが分かってきた。国も地域が 限られると世界的に競争力がある技術が生まれないのではという危機感を持っている。第二期に選ばれた地域をみれば、どこも広域化している」
 「今回は中核研究機関として豊橋技術科学大学に参加してもらった。同大学は実用的な研究を進めており、センサー技術で定評がある。浜松の画像技術と組み 合わせれば、優れた製品ができるはずだ。このほかにも首都圏や信州などの地域とも連携し、広域でシーズ探しをしていきたい」
 ――地域の光産業の規模を二倍にする目標だが、達成できるのか。
 「第一期では二〇〇四年度で千二百億円だった産業規模を〇六年度末で千七百億円にまで育てた。第二期では五年で三千六百億円に伸ばす計画だが、これには ベンチャーの創出や関連企業の集積が不可欠だ。海外も含めて企業を誘致できないかと活動している」
 「さらにこれまで以上に新技術の実用化を積極的に進めなければならない。商品化してどう売るかを考えるのは研究者だけでは無理。今年からコーディネー ターの数を三人増やし、体制を強化した。浜松は輸送用機器など既存の産業基盤が厚い。こうしたところに光技術を応用していければ、目標値は達成可能だ」
 ――企業誘致は行政も取り組んでいるが、何が課題と思うか。
 「浜松に来るメリットを強調できなければダメだ。税制上の優遇もそうだが、優秀な人材の有無、生活環境の点でも満足できるレベルでなければ企業は来な い。特に教育には力を入れる必要があるだろう。浜松地域は労働力として外国人を多く受け入れてきたが、これからは研究者としても海外から人材を招く必要が ある。そうした人のつながりから企業誘致につながる可能性もある」
<記者から>
推進機構の調整力カギ
 第二期知的クラスターの最大の特徴は広域化だ。東京都板橋区の光学機器メーカーや信州地域の精密機器産業などとの連携が計画に盛り込まれ、浜松の光産業 との融合を目指す。参画研究機関は従来の二大学から十四大学に増加。スイスや米国の大学も名を連ねる。研究者も二十九人から四十七人に増えた。
 だが、実際に広域連携をうまく実績に結びつけるのはそう簡単ではない。お互いの優れた技術を提供し合うわけだから、両者にとってメリットがなければ研究 は思うように進まない。テクノポリス推進機構の調整力が一層問われることになりそうだ。
(浜松支局 小沼義和)
 1960年早大卒、日本楽器製造(現ヤマハ)入社。97年同社社長。03年浜松地域テクノポリス推進機構理事長。69歳。

◆山口の夏のボーナス、妥結額5年連続増。
2007/08/15, 日本経済新聞 地方経済面 (中国A)
 山口県の民間企業の夏の一時金要求の妥結額が前年比五・五%増えたことが県の調査で分かった。二〇〇二年以来、五年続けて増加した。非鉄金属、一般機械 が二ケタ増となる半面、運輸、食品などが前年割れとなった。
 調査対象は企業規模や地域、業態などを考慮して抽出した県内の二百労組。要求を提出したのは六八・五%。平均要求額は前年比五・三%増の七十八万七千九 十四円。このうち妥結した百三十五組合の平均妥結額は五・五%増の七十五万千百四十九円。平均支給月数は二・五二カ月だった。
 平均妥結額が最も高い業種は石油・石炭。妥結額は一二・三%減ったが、百万円超を確保。次いで輸送機器、鉄鋼、非鉄金属の順で、いずれも八十万円台だっ た。

◆九州の自治体、「来れ団塊」移住支援競う――現実は…「しがらみ」の壁、高く。
2007/08/15, 日本経済新聞 地方経済面 (九州B)
家の処分・配偶者の反対…
 自治体が団塊世代に熱い視線を送る一方、団塊世代は「帰りたいけれども帰れない」という現実がある。
 団塊世代を中心に様々な経験や技術を持つ県外の人の転入を促す「ネクストステージを佐賀県で」事業を二〇〇六年度から始めた佐賀県。〇六年度中に移住を 決めた十六人のうち、最高齢者は四十代までにとどまり、実際に団塊世代が移住するまでには至っていない。「新たな就職先、持ち家の処分、配偶者の反対など が大きな壁になっている」(雇用労働課)
 〇六年度に同県の「暮らし相談室」に寄せられた移住に関する相談二百四十一件のうち、二十―三十代からの相談が百三十九件と半数を超え、五十代以上の相 談件数は四十件以下にとどまった。今年六月に「伊万里市定住サポートセンター」を設置した伊万里市でも「子供を呼び戻したいという相談はあるが、団塊世代 の相談はまだない」(企画政策課)。
 移住促進が直ちに地域活性化につながるわけでもない。
 移住先の人気日本一で移住専門誌まで登場している沖縄県では若い世代の移住者が多く、住民票を移転しない「幽霊人口」の割合が高いといわれる。行政に とっては税収がなく負担だけが重くなっている。
 西表島や沖縄ブームの火付け役となったNHKのドラマ「ちゅらさん」の舞台、小浜島がある竹富町は二〇〇五年の人口が約四千二百人と五年間で一六%も増 えた。だが、その結果「夏場のピーク時の水道需要やごみ処理能力に不安が出ている」(竹富町役場)といい、移住者には住民登録をするよう指導している。

◆厚労省、ネットカフェ難民初調査、長期寝泊まりの若者ら実態は…、就労支援など検討。
2007/08/15, 日本経済新聞 西部朝刊 (社会面)
 日雇い仕事をしながらネットカフェで長期間寝泊まりする「ネットカフェ難民」について、厚生労働省は初の実態調査に乗り出した。秋までに結果をまとめ、 新たな相談窓口の設置や就労支援など本格的な対策を始める方針。ただ「難民」にどのような支援をするかを巡っては、課題も多く専門家からは実効性を問う声 も出ている。
 家賃が払えないため住む場所がなく、夜は安価な料金で利用できる二十四時間営業のネットカフェなどで寝泊まりする若者らがネットカフェ難民と呼ばれてい る。最近「新たな貧困層の出現」と懸念する声が上がり始めているが、大規模な調査はこれまで実施されておらず、どのくらいの人数がいるのか、生活実態はど うなのか――など詳細はよく分かっていない。
 厚労省はすでに全国約三千店のネットカフェにアンケートや電話による調査を開始。東京や大阪では特定非営利活動法人(NPO法人)の協力を得て、利用者 から直接聞き取り調査も行う。ネットカフェで寝泊まりしている人数や年齢、「難民化」した理由やその時期などをまとめる予定だ。
 支援の必要性があれば、ハローワークの職員やボランティアらが就労相談に応じる窓口を東京や大阪など大都市部に設置する計画。安定的な就労実現には住所 を定めることが先決であるため、賃貸住宅への入居費用をためる資金計画を助言したり、寮付きの仕事を紹介したりする。
 ネットカフェ難民を支援するNPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」(東京・新宿)の湯浅誠事務局長は「ネットカフェ難民のような“広義のホー ムレス”を国が支援するのは評価できる」と歓迎。その半面、厚労省が検討中の支援策には「定期的な収入を得るまで何らかの生活保障がなければ、ネットカ フェ難民が支援制度を利用するのは現実問題として難しい」と指摘している。

◆帰省者向けに就職相談、秋田県と労働局、「Aターン」支援。
2007/08/15, 日本経済新聞 地方経済面 (東北B)
 秋田県と秋田労働局は同県への就職希望者を対象に、十一カ所のハローワークに「Aターン」の相談窓口を設けた=写真。AターンはUターンやJターンなど の秋田県の呼び名。月遅れ盆で帰省が集中する時期を利用し、地元出身者のUターンを実現しやすくする。
 同県はAターン登録制度をつくり、登録者に求人情報や県内企業のガイドブックを提供したり、面接会を案内したりしている。窓口ではその登録や職業相談を 受け付ける。対象は県外の会社などに勤める社会人とその家族。秋田市のハローワークは十八日まで、大館・北秋田・横手市は三十一日まで、他の七カ所は十七 日まで開く。
 同県は採用面接のため遠方から来県する人に今年から交通費を支給するなど、県内定着を促す活動を強化している。

◆茨城県内平均給与、5月は1.8%増。
2007/08/15, 日本経済新聞 地方経済面 (茨城)
 茨城県がまとめた五月の毎月勤労統計調査によると、従業員五人以上の県内事業所の平均現金給与総額は二十六万五千八百九十一円で、前年同月比一・八%増 えた。給与総額のうち毎月決まって払われる給与は二十六万三千五十二円で一・九%増加。平均所定外労働時間は二〇・八%増の十一・九時間だった。

◆人材派遣のTCC、IT技術者、アジアで確保――駐在事務所、比とベトナムに。
2007/08/15, 日本経済新聞 地方経済面 (栃木)
ネットで面接の環境整備
 人材派遣業のティー・シー・シー(TCC、宇都宮市、多羅沢智一社長)は海外でIT(情報技術)技術者の確保に乗り出す。年内にフィリピンとベトナムに 駐在事務所を設立。年間三十―五十人の技術者を受け入れ、技術者不足に悩む栃木県内企業などに派遣する。インターネット回線で面接できる環境を整え、企業 の利用を促す。
 フィリピンでは七月にマニラの人材紹介会社と提携した。二〇〇八年四月からは独立行政法人国際協力機構(JICA)が運営に協力するフィリピン大学IT 研修センターで年間二、三人の受講生の受講料を一年間負担。修了後、少なくとも二年間をTCCに就職し、日本国内で働く契約とする。同様のモデルをベトナ ムのハノイでも導入する。初年度に合計で十人程度の確保を目指す。
 顧客層として、自動車業界や航空機業界の下請けを担う栃木県内の中小企業を想定する。
 外国人技術者の受け入れ経験がない企業の不安を解消するため、高音質な通話ソフト「スカイプ」を使って、国内から求人企業が直接面接できる環境を整え た。ネット回線を利用して映像付きの通話が無料でできるため、双方が納得いくまで何回でも面接できるのが強みだ。
 国内の技術者不足を受け、ソフトウエアの開発設計業などで外国人技術者を直接雇用する動きが出ている。人材派遣業でもヒューマンリソシア(東京・新宿) がインドやフィリピン、ベトナムなどで人材を募集。業界では今後、同様の動きが広がる見通しだ。
 栃木県内でも技術者不足は深刻だ。栃木労働局がまとめている職業別常用求人状況によると、専門的・技術的職業の有効求人倍率(原数値)は五月時点で二・ 三二倍に達し、全職業平均(一・三〇倍)を大きく上回っている。
 TCCは「ヴェルサス」のブランド名で人材派遣を手掛ける県内大手で、登録者数は現在一万五千人。海外では上海に事務所を持つが、現地の日系企業への派 遣や紹介が中心で、国内企業への派遣は手掛けていなかった。事務所開設などの資金を確保するため、七月末にみずほ銀行を引受先に総額一億円の私募債を発行 した。
【図・写真】「スカイプ」を使い、双方が納得いくまで何回でも面接できるのも特徴

◆群馬県内5月、現金給与総額5.4%増に、8ヵ月連続前年上回る。
2007/08/15, 日本経済新聞 地方経済面 (群馬)
 群馬県がまとめた五月の毎月勤労統計調査によると、一人当たりの現金給与総額(従業員五人以上)は二十五万二千三百五十六円と、前年同月より五・四%増 えた。前年水準を上回るのは昨年十月以来、八カ月連続となる。
 現金給与総額のうち、基本給を示す所定内給与は二十二万七千八百十八円と、同三・六%増えた。全国平均でみると、所定内給与の前年割れが続いているが、 群馬県内では八カ月連続で前年水準を上回っている。
 一方、残業などの所定外労働時間は十一・三時間と、同一〇・三%増えた。金融・保険業(四四・八%増)、卸売・小売業(三九・八%増)、サービス業(一 七・一%増)で大幅に労働時間が伸びた。
 常用労働者数は六十九万七千六十七人で同〇・二%増加。そのうちパートタイム労働者の比率は二八・八%となり、構成比は同一・二ポイント上昇している。

◆(ルポ虐待 母親)のしかかる育児 実母が突出、6割超 【大阪】
朝日新聞 2007年8月15日
 11日まで17回連載した「ルポ虐待・母親」で、子どもに手を上げた3人の母親を取材した。3人に共通していたのは、家族や地域によりどころをみつけら れず、一人で育児を背負おうとしていた点だ。みな、子どもを傷つけてしまう自分に悩み、心の中で「助けて」と叫んでいた。児童相談所への虐待相談では、主 な虐待者の6割以上を実母が占める。母親がわが子を虐待する背景には何があるのか。(松尾由紀)

 05年度、全国の児童相談所が対応した虐待相談は3万4472件。主な虐待者の内訳は、実母2万1074件(61・1%)、実父7976件(23・ 1%)、実父以外の父2093件(6・1%)、実母以外の母591件(1・7%)、その他2738件(7・9%)となっている。
 実母の突出を厚生労働省虐待防止対策室の担当者は「日本の場合、そもそも父親が育児にあまりかかわっていない。虐待者に母親が多いのは、多くの家庭で子 育てを母親が担っているから」と説明する。子育ては母親の責任という社会的な認識が変わらず、女性の育児の負担が不安やストレスになり、虐待につながって いるというのだ。
 同省の「虐待対応の手引き」は、虐待の背景にあると考えられる要因をいくつか挙げている。
 【保護者側】望まぬ妊娠、自身の虐待された経験、育児に対する不安やストレスなど【子ども側】乳児期の子ども、何らかの育てにくさを持っている子どもな ど【養育環境】内縁者や同居人がいる家庭、親族や地域社会から孤立した家庭、経済不安や夫婦不和などのある家庭など−。
 実際、今回取材した母親たちにも、これらのうち複数の要因が絡んでいた。

 ◆孤独の訴え、20年で倍増
 大阪人間科学大の原田正文教授(精神保健学)は1980年と02〜04年の2回、関西の別の市で、子どものいる保護者たちに、子育てについてほぼ同内容 を尋ねる調査をした。20年余りを隔てた二つの調査は、母親たちの子育てをめぐる状況が大きく変わったことを示した。
 「近所で普段世間話をしたり、赤ちゃんの話をしたりする人がいない」と答えたのは、4カ月児の親は15・5%から32%に、1歳半児でも10・5%が 21・1%と2倍になった。「育児でいらいらすることが多い」とした人は、1歳半児の親で10・9%から32・1%に、3歳児と3歳半児では16・6%か ら43・6%に増えていた。
 子どもをしかる時に体罰を使うかどうかも聞いた。育児でいらいらすることが多いと答えた人ほど、体罰を使う傾向が明らかだった。
 国は今年度、生後4カ月までの乳児のいる家庭を全戸訪問する事業を始めた。育児情報などを提供することで地域とつなぎ、家庭の孤立化を防ぐこと、養育環 境を把握することが目的だ。
 原田教授は「かつては大家族や地域が共に担った子育てを、母親ばかりが24時間担う現代の状況は異常とさえ言える。虐待予防には、子育てサークルなど、 母親同士の力をもっと引き出し、互いに支え合える仕組みも必要だ」と指摘する。

 ■主な虐待者(05年度)
実父     23.1%
実父以外の父  6.1
実母     61.1
実母以外の母  1.7
その他     7.9
 (総数34472件。厚労省の社会福祉行政業務報告から)

 ■近所で普段世間話をしたり、赤ちゃんの話をしたりする人がいますか
                  数人  1、2人   いない  不明
03年(子どもの年齢=4カ月) 32.6% 34.8% 32.0% 0.6%
80年(4カ月)        44.7  38.7  15.5  1.1

 ■育児でいらいらすることは多いですか
         はい    どちらでもない いいえ
03年(3歳)  43.6%  44.0%  11.8%
80年(3歳半) 16.6   45.0   38.5

03年(1歳半) 32.1   49.1   18.8
80年(1歳半) 10.9   42.1   47.1
 <「子育ての変貌と次世代育成支援」原田正文著(名古屋大学出版会)から。80年のデータは、大阪府で同年に生まれた子ども約2000人の保護者を追跡 した調査結果。03年は02年から04年に兵庫県であった乳幼児検診対象者の保護者(4カ月1669人、1歳半2253人、3歳2363人が回答)に調 査>

◆韓国・朝鮮人の歴史探る学習会 26日、雲南などで /島根県
朝日新聞 2007年8月15日
 雲南地域で戦前、発電所建設などに従事した韓国・朝鮮人の歴史を知ってもらおうと、市民グループ「日韓市民友好と地域の国際化を考える会」などが26 日、雲南市や奥出雲町の発電所や集落跡地などを見学するフィールドワークを開く。
 同会によると、北原発電所(同市木次町)の建設工事には韓国・朝鮮人労働者約300人が携わり、雲南地域には韓国・朝鮮人の集落跡地や韓国人女性の墓が 残る。
 フィールドワークは同会と在日本大韓民国民団県地方本部が主催。同発電所や韓国・朝鮮人労働者が建設にかかわった水路、墓地などを2時間余りかけて回 る。
 同会は来年、墓地に埋葬された女性ら韓国・朝鮮人犠牲者の慰霊祭を計画。韓国・朝鮮人の生活跡をたどる見学コースを設け、学習用の資料を制作したいとし ている。
 フィールドワークは26日午前9時半、県雲南合同庁舎駐車場に集合。問い合わせは江角さん(090・9733・0910)へ。

◆栗東市が都市計画プランを改訂 新幹線新駅建設を前提に /滋賀県
朝日新聞 2007年8月15日
 栗東市が、町づくりの基本方針を示す「都市計画マスタープラン」を全面的に改訂した。旧栗東町時代の97年に策定した2010年度を目標とするプランを 2年かけて見直した。事業中止が確実視される新幹線新駅の建設を前提にした内容になっている。
 「風格都市栗東」をテーマにしたプランでは、将来の都市像として「全国主要都市と湖南地域を結ぶ中心的役割」をうたい、新駅を中心として県南部の各都市 へ連絡する交通や観光のネットワーク形成を目指している。雇用の受け皿の整備も進めたい考えだ。
 同市は、新駅完成に伴う経済効果による増収や、新駅建設に絡む起債分も歳入に見込んだ長期財政計画案も公表しており、一貫して建設推進の立場をとり続け ている。
 プランは市のホームページ(http://www.city.ritto.shiga.jp/)で閲覧できる。

◆虚偽申請で失業給付金 京都・大阪府警、詐欺の2容疑者逮捕 /京都府
朝日新聞 2007年8月15日
 亀岡市にある休眠状態の会社を辞めたと偽って失業給付金をだまし取ったとして、府警と大阪府警は14日、それぞれ山科区西野山中臣町のアルバイト小林良 材容疑者(63)と大阪府豊中市原田中1丁目、無職樽井隆容疑者(54)を、いずれも詐欺容疑で逮捕したと発表した。両府警は2人の関係を捜査している。
 調べでは、小林容疑者は06年10月〜今年1月、亀岡市内にある建設会社を辞めたと偽って虚偽の失業認定申告書を京都西陣公共職業安定所に提出し、失業 給付金計約42万円をだまし取った疑い。樽井容疑者は同様の手口で大阪東公共職業安定所に申請し、今年4〜6月分として約45万円をだまし取った疑い。2 人が勤務していたとした会社は休眠状態で、活動実態がなかったという。
 両容疑者はいずれも偽造免許証を使うなど、架空の人物になりすましていた。
 また、京都労働局によると、小林容疑者は複数の偽名を使って01年10月〜今年7月、京都府内の別の2事業所を辞めたとして失業給付金計約490万円を 受け取っていたという。
 大阪府警によると、樽井容疑者は5年間で計約2千万円を受け取ったと供述しているという。

◆元職員ら3人、起訴猶予処分 兵庫労働局問題 /兵庫県
朝日新聞 2007年8月15日
 労働保険審査会(東京)あての労災認定不服申し立ての審査請求書類を偽造したなどとして、兵庫労働局が虚偽公文書作成・同行使容疑で告発していた同労働 局の元職員ら3人について、神戸地検は14日までに、起訴猶予処分にした。
 同地検は、虚偽作成された文書は請求人からの申立書や過去に聴取した内容に基づいており、労働保険審査会の判断を誤らせる可能性は低かった、などとして いる。

◆(高知 戦争の記憶・記録 土佐高女報国隊:上)勤労学徒、日夜の労働 /高知県
朝日新聞 2007年8月15日
 古い二つの腕章が私立土佐女子中高校(高知市追手筋2丁目)に保管されている。一つは、白い布地に黒い文字で「土佐高等女學校 學徒報國隊 大阪機工猪 名川製造所」。もう一つは、やや色あせた紫色の布に「高知縣 土佐高女報國隊」の白い文字が浮かぶ。
 「土佐高等女学校」は土佐女子中高校の前身にあたる。平和運動に携わっている高知市の映画会社代表の馴田正満さん(59)が、大阪市内の古道具屋で見つ け、「今の生徒と同年代の子が県外に行って戦争のために働いていた事実を知ってほしい」と昨年、同校に寄贈した。
 「腕章にある2本の太さが違う線は『親子線』といって、今の制服にも使われている。腕章の真ん中にある『勤』と書いてあるマークは、梅の花をデザインし た校章のようだ」と田村榮一教頭(61)は話す。
   ◇   ◇
 土佐女子中高の記念誌には、「学徒動員令により、男女中等学校も上級生は軍需工場に出動することになった」と記されている。「土佐高等女学校」では、 1944年11月に、5年生が大阪機工猪名川工場(兵庫県伊丹市)に、4年生は日本毛織加印工場(同県加古川市)にそれぞれ高知駅から出発した。猪名川工 場では、旋盤やボール盤などを操作。「作業は初め昼間の2交代制であったが、後には深夜作業に及ぶ昼夜3交代制に切り替えられた」。加古川の加印工場は毛 織物の紡績工場で、「大戦末期の空襲激化につれ、毎日退避することが多く、作業もほとんど手につかない状態だった」と当時の状況を伝えている。
 慣れない機械操作に生徒たちは取り組んでいた。糸をよる機械を操作し、横糸を通す「杼(ひ)」を変えたり、縦糸が切れると機械を止めてつないだりしたと いう。
   ◇   ◇
 加古川に派遣された伊与田芳子さん(79)=高知市塩屋崎町2丁目=は「機械は休まなかったので朝早くから働いていました。3交代制で夕方から働いたこ ともありました」と振り返る。現地では飛行服を作っていた。「女子工員さんを見習いながら、傷を付けたらいかんと大変気を遣いました」
 同級生の田村保代さん(81)=いの町小川樅ノ木山=も当時を思い起こす。「国防色の糸を作っていました。幅3メートルくらいの大きな機械のボタンを操 作していました。糸が切れて機械が止まるトラブルがあったりして早く番が代わって欲しかった」
 教員は付き添いとして1カ月交代で監督をしていた。同校で42年から体育教員として勤務していた中内鈴子さん(91)=春野町弘岡上=は、両方の工場に 付き添いとして行った経験がある。「工場では生徒を大事にしてくれました。けれど加古川では一人の生徒が糸を巻き取る機械に手の指が巻き込まれ、ツメの先 がつぶれたことがありました」。工場にいた医者が治療し、麻酔無しで指の骨を切った。「私は手を押さえて『大丈夫、大丈夫』と励ますだけでした」
     ◇
 戦局が悪化した44年8月、「学徒勤労令」が公布され、旧制中学以上の若者たちが軍需工場などに動員された。国家総動員法、国民徴用令……。法令を基 に、高齢者から子どもまでが戦時体制に組み込まれていった太平洋戦争の終戦から15日で62年。「土佐高女報国隊」の記憶をたどった。

 【写真説明】
「土佐高等女学校」の勤労学徒で使われていたとみられる腕章=土佐女子中高校で
教員として勤労学徒を引率した中内鈴子さん=春野町弘岡上で
当時高等女学校4年生だった田村保代さん=いの町小川樅ノ木山で

◆U・Iターン希望者に就職ガイダンス 17日に広島で、38企業参加 /広島県
朝日新聞 2007年8月15日
 ひろしまに帰ってきんさい!――。お盆に県外から広島へ帰省するU・Iターン希望者を対象に、県などは17日午後1時から4時まで、広島市中区基町のメ ルパルク広島で企業ガイダンスを開く。
 県内に事業所のある企業38社が参加して、個別のブースで中途採用希望者や来春大学を卒業見込みでU・Iターンを希望する人の相談に応じる。合わせて 82職種、280人(事務系58人、技術系222人)の募集があるという。家族を対象とした個別相談も実施。マツダなど5社がプレゼンテーションもする。
 入場無料で、県内の就職希望者の相談にも応じる。県、広島労働局、ハローワークの主催。問い合わせは県雇用対策室(082・513・3427)へ。(福 家司)

◆仙台簡裁、運送会社社長らに30万円罰金命令 「過労運転で死亡事故」 /宮城県
朝日新聞 2007年8月15日
 仙台市宮城野区で5月、大型キャリアカーが軽乗用車に衝突し、タクシー運転手の男性(当時40)が死亡した事故で、仙台簡裁は14日までに、東松島市の 自動車運送会社ケイズスポーツ社長の男(48)と同社社員で配車業務担当の男(36)、法人としての同社に対し、それぞれ罰金30万円の略式命令を出しい ずれも納付された。
 2人と同社については仙台区検が道交法違反(過労運転の下命)罪で略式起訴していた。
 県警の調べなどによると、2人は5月28日、同社社員の男(23)=業務上過失致死罪で一審有罪判決=に休憩なしの運転や荷下ろしなど、約17時間に及 ぶ労働をさせた。社員は同29日午前4時5分ごろ、同区の国道で大型キャリアカーを居眠り運転し、赤信号の交差点に進入して事故を起こした。

◆お盆の帰省客に地元定住の勧め 氷見市がフェア /富山県
朝日新聞 2007年8月15日
 お盆の帰省客らに地元への定住を勧めようと、氷見市主催の「U・Iターンフェアin氷見」が14日、始まった。これまで県外の大都市中心だった催しを、 団塊世代のリタイア組にも照準を合わせ、地元開催に転換し、空き家情報などで直接呼びかける。16日まで。
 期間中は、同市中央町の氷見フィッシャーマンズワーフ海鮮館に特設ブースを設け、希望者に市内の雇用情報などを定期的に提供する仕組みを案内する。定住 者用住居もUターン組向けに12軒の登録ずみの空き家など、賃貸住宅のほか、売り家などの情報も提供する。

◆(偏西風)石炭からトヨタへ 【西部】
朝日新聞 2007年8月15日
 筑豊に、日本経済史の縮図のような地域がある。福岡県宮若市だ。
 市北部のトヨタ自動車九州の本社工場は、北米に輸出するレクサスなどを生産。昨年度の売上高は1兆円に迫り、雇用や税収への貢献も大きい。
 その約5キロ南東に巨大な池がある。筑豊で最後まで石炭を掘った貝島炭鉱の露天掘り跡地だ。
 近くにある宮若市石炭記念館の展示内容は生々しい。色あせた労働組合の鉢巻き。「団結は力」と手書きした赤旗。ガリ切りの組合ビラのつづり。スト指令を 伝える号を読もうと手に取ったが、50年を経た紙が崩れ落ちそうで怖かった。
 昨年、宮若市の広報誌は「もしも『トヨタ』がなかったら」と題した特集を組んだ。炭鉱の盛衰を教訓に、好調への慢心を戒める心意気が、いい。
 石炭記念館の設立の辞には「町民の復興への意欲は、石炭を、そして貝島という存在を過去の中に風化してしまうだろう」とある。予言はあたったようだ。た だ、だからこそ、それに続く「炭鉱の記録を残すことは現代に生きる者の責務」という言葉が胸に響く。(経済・石川尚文)

◆コムスン、202事業所で不正請求 介護報酬返還4.3億円 厚労省まとめ
朝日新聞 2007年8月15日
 訪問介護大手のコムスン(東京都港区)が介護報酬を不正請求していた問題で、厚生労働省は15日、6月15日時点の集計で同社の計202事業所で不正請 求が行われており、介護報酬の返還対象となる額は4億3053万円にのぼることを、山井和則衆院議員(民主)の質問主意書に対する答弁書で明らかにした。
 厚労省と各自治体は、コムスンを含む広域訪問介護事業者に対して8月下旬終了をめどに監査を実施しており、不正請求の状況を改めてとりまとめる。
 コムスンについては、今年7月には栃木県の19事業所で、8月には愛知県の1事業所で不正請求が発覚。うち栃木県の1カ所では訪問介護員などの職員が確 保できていないのに介護事業所の指定申請を行い938万円の介護報酬を得ていたことがわかるなど、新たな不正請求が次々と明らかになっている。不正請求の 事業所数と総額はさらにふくらむ見通しだ。
 厚労省では今年7月、不正請求の再発を防止するための第三者委員会を発足させ、早期に介護保険法の改正を目指すとしている。

◆全国健保協会の理事長に小林氏
朝日新聞 2007年8月15日
 厚生労働省は15日、社会保険庁が運営する中小企業会社員向けの政府管掌健康保険(政管健保)を引き継ぎ、08年10月に発足予定の非公務員型公法人 「全国健康保険協会」理事長に、共同債権買取機構元社長の小林剛氏(62)を充てる人事を発表した。
 8月下旬に厚労相が正式に指名する。小林氏は東京大経済学部卒。富士銀行常務などを経て現在は芙蓉オートリース監査役。厚労省によれば、共同債権買取機 構で特定企業の枠を越え、利害調整の仕事にあたった実績を評価したという。

◆4―6月GDP、デフレ脱却へ一進一退――「名実逆転」解消、賃金弱含み。
2007/08/14, 日本経済新聞
 内閣府が十三日発表した四―六月期の国内総生産(GDP)によると、名目経済成長率は年率一・一%と、物価変動の影響を除いた実質成長率(年率〇・五 %)を二・四半期ぶりに上回った。ただ、物価に影響を与えるとされる賃金の動向は弱含んだまま。デフレ脱却に向けた歩みは一進一退を続けている。(3面参 照)
 生活実感に近い名目成長率が実質成長率を下回る状態はデフレ経済の象徴とされるが、四―六月期は名目が実質を上回った。二〇〇六年十―十二月期に続く 「名実逆転」状態の解消は、デフレ脱却に向けた一応の前進とはいえる。
 物価の総合的な動きを示すGDPデフレーターは前年同期比〇・二八%のマイナスで、マイナス幅は一―三月期(〇・三五%)からわずかに縮小。国内需要 (内需)デフレーターは〇・二%のプラスで、三・四半期ぶりに水面上に浮かび上がった。
 デフレーターは需要項目ごとにあるが、個人消費でマイナス幅が縮小する一方、設備投資や公共投資のプラス幅が拡大した。輸入価格の上昇に対応した企業の 価格転嫁が徐々に進展しているといえる。
 名目成長率が実質を上回ったのは前期と比べた「瞬間風速」だけで、前年同期比の成長率はなお名目が実質を下回る。デフレーターが前年比でプラスになるの は「あと数四半期かかる」(農林中金総合研究所)との声が出ている。
 一方、四―六月期の企業が一定のモノをつくるのに必要な賃金を示す「単位労働コスト」は前年同期比二・一%のマイナスだ。一―三月期よりもマイナス幅は 〇・一ポイント縮んだものの、依然としてマイナス圏内にある。
 単位労働コストが上がると物価が上昇しやすくなるため、内閣府がデフレ脱却の進展度合いを測る指標の一つと位置づけている。ただ、足元では賃金面からの 物価上昇圧力は限定的で、大田弘子経済財政担当相は「デフレ脱却が確実とはいえない」と慎重な判断を変えなかった。

◆労働経済白書から(5)「賃上げ」と「所定内給与」連動性薄く(終)
2007/08/14, 日経産業新聞
非正社員の増加映す
 二〇〇七年版の「労働経済の分析」(労働経済白書)は、春季労使交渉による賃上げが全体の賃金上昇に必ずしもつながっていない実態を指摘した。一九九〇 年代後半以降、非正規雇用の増加で、正社員中心の労働組合による賃金改善の全体への波及力が弱くなっており、春季賃上げ率と所定内給与伸び率の連動性が薄 れている。
 〇六年の厚生労働省集計の春季賃上げ率(主要企業)は一・七九%と、前年を〇・〇八ポイント上回った。一方、所定内給与伸び率(三十人以上規模)は〇・ 三%と前年を〇・五ポイント下回った。職場でパートや派遣社員などの比率が高まることによって「春闘による賃上げが必ずしも社会全体の賃金上昇につながっ ていない」(白書)。
 労働組合への参加を通じ賃金交渉にかかわることができる正社員が有利になる一方、「そのほかの労働者に成果配分が広く均霑(きんてん)していく仕組みが 次第に崩れてきている」(白書)。
 一人ひとりの労働者が抱えている課題は多様化・個別化しており、労働組合組織率は長期の低下傾向にある。〇六年の労働組合組織率は一八・二%と十年前の 九六年(二三・二%)から五ポイント低下している。
=おわり
 ▼春季賃上げ率 現行賃金に対する春季賃金労使交渉の妥結額の上昇率を企業から集計し算出する。妥結額は定期昇給分を含む。様々な機関が集計しており、 厚生労働省集計の「春季賃上げ要求・妥結状況」の春季賃上げ率はその一つ。

◆埼玉県内06年度、個別労働紛争が減少――労働局、背景に雇用情勢回復。
2007/08/14, 日本経済新聞 地方経済面 (埼玉)
 埼玉労働局は二〇〇六年度の個別労働紛争解決制度の利用状況をまとめた。民事上の個別労働紛争の件数は九千八百六十二件と前の年度比七・八%減った。労 働局長に助言や指導を求めた件数は二〇・二%減り、紛争調整委員会への解決のあっせん申請も二七・五%減となった。同局では「雇用情勢の回復を背景に、労 使間での自主的な解決が困難になったケースが減少しているため」とみている。
 労働局では県内八カ所の「総合労働相談コーナー」などで、解雇や労働条件の引き下げを巡る労働者と事業主との個別労働紛争に対応している。〇六年度に寄 せられた相談は五万千七百三十七件で、二・八%増えた。
 民事上の個別労働紛争の内訳では「解雇」が三千四百三十九件で最も多かったが二八・五%減少。「労働条件の引き下げ」も千二百六十二件で二〇・五%減っ た。一方で、「いじめ・嫌がらせ」は千三百七件で二一・八%増となるなど「対人関係がトラブルの原因として浮上してきている」(同局)。
 労働局長による助言・指導の申請は百六十二件。紛争調整委員会によるあっせんの申請は百二十四件で、合意形成率は九二・七%と高かった。「職場のトラブ ルで困った場合は、泣き寝入りしないで相談してほしい」(同)と話している。

◆茨城県内企業、夏季一時金9.6%増、バブル期上回る伸び。
2007/08/14, 日本経済新聞 地方経済面 (茨城)
 茨城県が十三日発表した県内企業の二〇〇七年の夏季一時金調査によると、平均妥結額は前年を九・六%上回る六十万六千七百四十七円だった。バブル期の一 九八九年の九・三%を上回り、八〇年の九・八%に次ぐ高い伸びになった。企業業績の改善が進んだのに加え、企業が「利益を毎月の賃金より一時金で還元する 姿勢を強めている」(労働政策課)ためとみられる。
 平均要求額は六十八万三千八百二十四円で前年比四・〇%増えた。妥結額を規模別にみると、中小企業が五十二万四千二百四十八円、大企業が六十七万千九百 七十八円だった。
 産業別に妥結額をみると、輸出の好調が続く建設機械などの一般機器が五十九万七千九百十円で二三・一%増と大きく伸びたのが目立つ。化学が一四・三%増 の七十三万七千四百八十五円、鉄鋼が六・七%増の七十二万四千八百六十八円と素材産業も金額を増やした。
 調査は県内三百社の労働組合を対象に実施。有効回答数は百五十四組合だった。

◆栃木、3年連続「赤字」に、昨年産コメ、天候不順で収量減――農政事務所調べ。
2007/08/14, 日本経済新聞 地方経済面 (栃木)
 栃木農政事務所は栃木県内の二〇〇六年産の米生産に関する収益状況をまとめた。十アールあたりの米の生産費が、売り上げにあたる粗収益を上回る「赤字」 の状況が三年連続で続いている。天候不順で収穫量が減少したことや、需要低迷から米価が上がらないことなどが要因。厳しい農業経営の実態を表した結果とい えそうだ。
 十アールあたりの生産費は十二万三千六百二十五円。前の年度に比べると二・八%下回った。原油高の影響でトラクターなどの燃料費(三千四百九十八円)が 一五・九%増えたが、その分は「減価償却済みの農機具を引き続き使うことで費用抑制につなげた」と農政事務所。都道府県別でみると全国で五番目の低コスト 水準となった。一戸あたりの作付面積(百四十九アール)も四年連続で増えており、大規模化が全国よりも進んでいることもコスト減の背景にあるとみられる。
 一方で、天候不順で収穫量が減ったため粗収益は十万四千三十三円と九・〇%落ち込んだ。生産費から差し引くと、一万九千五百九十二円の「赤字」となる計 算。生産費の中には、家族の労働力を賃金で換算した額が含まれており、その分で、所得を維持・確保しているのが現状だ。
 調査は玄米を六百キロ以上販売した県内の農家三十五戸を対象に実施した。

◆勤務医の6割が「希望持てない」 大阪府保険医協会調べ 【大阪】
朝日新聞 2007年8月14日
 勤務医の6割が「未来に希望が持てない」、4割が「使命感ややりがいが失われていく」と考えていることが、大阪府保険医協会・勤務医部会の調査で分かっ た。週60時間以上働いている医師は半数近くにのぼり、労働基準法で定める週40時間を大幅に超えた。調査チームの原田佳明・小松病院副院長(小児科)は 「法を守った働き方では医療が成り立たない現状を知ってもらいたい」と話している。
 大阪府内の勤務医560人が回答。調査によると、1週間の勤務は46%が60時間を超えた。宿直時に36時間以上の連続勤務した医師は33%もおり、全 く仮眠がとれなかった人も7・5%いた。
 やりがいを取り戻すために「診療以外の業務負担を減らす」ことを挙げた人は64%を占めた。

◆休業補償金など暴力団組長ら詐取容疑 警視庁が逮捕
朝日新聞 2007年8月14日
 休業補償金などを詐取したとして、警視庁は、山口組系暴力団組長石井巌容疑者(44)=東京都足立区西新井1丁目=ら計7人を詐欺容疑で逮捕した、と 13日発表した。詐取した給付金は約6年間に総額2500万円を超えるとみられる。
 ほかの逮捕者は、調布市西つつじケ丘4丁目、会社員小原延年容疑者(59)、足立区本木南町、柔道整復師川原治夫容疑者(49)=いずれも別の詐欺事件 で逮捕、起訴=ら。
 組織犯罪対策4課の調べでは、石井容疑者らは、04年1月〜05年4月、足立労働基準監督署に、実態のない建設資材販売会社に勤務中の男性が、労働災害 にあったなどと2件の虚偽申請をし、休業補償金や療養費など計820万円をだましとった疑い。
 同課によると、石井容疑者は、川原容疑者に虚偽の診断書の作成を依頼するとともに、給付金制度に詳しい小原容疑者に労基署へ書類を提出させていたとい う。

◆「男の曲がり角」は35歳? 20代でも7割「感じる」 ライオン調査
朝日新聞 2007年8月14日
 「男の曲がり角」は何歳か、体力、外見、精神面についてサラリーマンの意見を聞いたところ、平均年齢は35歳だった。すでに20代でも7割が曲がり角を 感じていた。平均寿命が80歳に近づきつつある日本人男性。早すぎる燃え尽きが心配になるような結果が、ライオン(本社・東京)のインターネット調査であ らわれた。
 調査は6、7月、首都圏の20〜40代の男性会社員450人に実施した。
 曲がり角の平均年齢は、体力では32・5歳、外見では34・6歳、精神面では36・2歳で、総合評価は34・7歳。曲がり角と感じる時は、体力では「疲 れやすくなる」72%、外見では「おなかが出る」60%、「髪が薄くなる」51%。精神面では「守りの姿勢に入る」49%、「考え方が固定される」 48%、「向上心がなくなる」43%などが多かった。
 実際に曲がり角を感じたことがあるか聞いたところ、20代で71%、30代で87%、40代で96%が感じたことがあり、「趣味のスポーツでも、すぐあ きらめるようになった」(35歳)、「新たな目標も見いだせず無気力になってきた」(38歳)などの声があった。
 厚生労働省がまとめた簡易生命表によると、06年の日本人男性の平均寿命は79・00歳で、前年より0・44歳延びた。

◆(声)語りつぐ戦争 特攻寸前の父、戦後は飯場へ
朝日新聞 2007年8月14日
 中学校教員 久保裕次(神奈川県相模原市 51歳)
 志願して予科練に行った父は生きていれば82歳になる。今夏の62回目の終戦記念日をどのように迎えただろう、と思う。人間魚雷「回天」の出撃訓練を受 けていた父は、出撃を2日後に控え、終戦の日を迎えた。私が生まれたころ生活苦からトンネル掘りに転じ、全国各地の飯場を転々として家にはあまり帰らな かった。そのため私には父の思い出が少ししかない。
 先月末、東京・東中野の映画館で「地熱に挑む―新黒部第三発電所導水路」(1963年)という建設工事の記録映画を妻と観(み)にいった。黒部ダムは父 が働いた工事現場だという話を聞いたことがあった。170度を超える地熱の中で防塵(ぼうじん)マスクもせず、下着にかっぱを着ただけで働く男たち。やけ どをし、熱中症になりながらトンネルを掘る労働者。子供のころ聞いた父の話が目の前の映像と結び付く。このようにして家族を養っていたのかと目頭が熱く なった。
 父は約20年前、坑内労働者の職業病とされるけい肺で死んだ。特攻隊に志願、国のために死のうとし、家族のため死んでしまったお父さん。もう少し長生き して、10人の孫の成長した姿を見てほしかった。

◆景気加速、まだ遠く 順風でも賃金上昇なく GDP10期連続成長
朝日新聞 2007年8月14日
 戦後最長となった現在の景気拡大は、実質国内総生産(GDP)のプラス成長が10四半期連続に達して安定期に入ったともいえる。ただ、景気の勢いが今後 加速するとの見方はほとんどなく、低成長路線からの脱出は難しそうだ。世界の景気拡大を先導してきた米国経済の雲行きも怪しくなっており、日本経済の先行 きには不透明さが増してきた。(大月規義)

 13日発表の4〜6月期GDPは、個人消費と輸出の伸びが縮まった分を設備投資の回復が穴埋めし、成長率は前期比0・1%増とぎりぎりでプラスを保っ た。
 年率換算にすると0・5%増で、1%台後半とされる日本経済の潜在成長率を3四半期ぶりに下回った。だが、年率5・4%の驚異的な回復を示した昨年 10〜12月期や、その直後でも同3・2%成長した今年1〜3月期の後の「反動」が出ることを考えれば、「4〜6月期は底堅い動きであり、鈍化を否定的に 考える必要はない」(第一生命経済研究所・新家義貴主任エコノミスト)との評価もある。
 反動の影響を軽減するため、GDP成長率を半年ごとに分けて年率で示すと、今年前半の伸びは3・1%で、昨年後半の1・9%から拡大している様子が分か る。
 ただ、順風の中でも、賃金の増加は今回も確認できなかった。総務省の労働力調査によると、就業者数は4〜6月期に前年同期より0・9%増えており、企業 の採用意欲は積極的だ。しかしGDPでみた名目の雇用者報酬は0・2%しか増えなかった。
 また、4〜6月期の設備投資の伸びは1・2%と、前期の0・3%から大幅に回復したが、住宅投資は前期比3・5%減と2期連続のマイナス。「大都市の地 価上昇や建設資材高騰の影響があり、投資活動全体が堅調なわけではない」(リーマン・ブラザーズ証券の白石洋エコノミスト)との厳しい見方もある。
 国内経済が軟弱なままの地合いに、米国景気の減速も懸念され始めた。7〜9月以降の見通しも「依然として力強さには欠けるだろう。賃金が上昇して消費の 明確な改善がみられるには、10〜12月期まで待たなければならないのではないか」(UBS証券の前川明エコノミスト)との指摘が多く、景気の加速は当 面、期待できそうにない。

 ■エコノミスト5人に聞く「GDPの評価と利上げ時期」
 ●櫨浩一 ニッセイ基礎研究所 経済調査部長
 異常に高かった1〜3月期とあわせると2%弱で潜在成長率に近い。利上げは9月以降

 ●白川浩道 クレディ・スイス証券 チーフエコノミスト
 消費は底堅かったが利上げの支援材料にはならず。8月利上げは難しく、次回は9〜10月

 ●河野龍太郎 BNPパリバ証券 チーフエコノミスト
 輸出は弱かったが将来の改善は見込める。消費は予想通り。利上げは早くても9月

 ●加藤出 東短リサーチチーフ エコノミスト
 過去数期とあわせて見れば2%台前半の成長が持続。市場が落ち着けば8月利上げもある

 ●上野泰也 みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
 中身自体は良くないが、日銀が「シナリオ通り」と主張できる内容。利上げは8〜9月

 ■国内総生産(GDP)の推移■
 2007年    1〜3月期     4〜6月期      寄与度
国内総生産      559兆4221 560兆1754   0.1
           (0.8)     (0.1)
年率換算成長率    3.2       0.5
民間最終消費支出   308兆0921 309兆1723
           (0.8)     (0.4)     0.2
民間住宅        18兆5931  17兆9457
           (▼0.8)    (▼3.5)   ▼0.1
民間企業設備      90兆5665  91兆6638
           (0.3)     (1.2)     0.2
民間在庫品増加      1兆2668     5471  ▼0.1
政府最終消費支出    95兆6198  95兆9230
           (▼0.2)    (0.3)     0.1
公的固定資本形成    21兆7556  21兆2912
           (▼1.3)    (▼2.1)   ▼0.1
財貨・サービスの純輸出 23兆8925  24兆1539   0.0
財貨・サービスの輸出  84兆9903  85兆7191
           (3.4)     (0.9)     0.1
財貨・サービスの輸入  61兆0978  61兆5653
           (0.9)     (0.8)    ▼0.1
 (単位・億円、四半期の数値は季節調整済みの年率換算〈実質〉、かっこ内は前期比増減率%、▼は減。寄与度は4〜6月期成長率)

◆(経済気象台)敗因は構造改革にあらず
朝日新聞 2007年8月14日
 参院選における自民惨敗の理由の一つとして、構造改革による地方や農家の疲弊が挙げられている。地方に多い1人区で自民党が多数の議席を失ったのは、そ の表れだという。そこで、構造改革の手綱を緩め財政支出を増やして、痛みを和らげるべきだとの主張が勢いを得ている。
 たしかに、地方や農家の困難の背景には構造改革がある。財政バランスを回復するために公共工事が削減されて、地方の所得は伸び悩んだ。地方経済の主要な 担い手である中小企業や農業では、一律的な財政支援が縮小され、競争力を有する企業や農家への集約化が図られている。
 しかし、選挙での敗因を構造改革に求めるのは問題の本質を取り違えていると筆者は考える。
 地方の経営者や労働者は、グローバリゼーションや人口減少という構造的な環境変化の下で、公共投資が一時的な失業対策にはなっても、地方経済の持続的発 展、将来の雇用や所得を創造するエンジンになるとはもはや考えていないはずだ。また農業で生計を立てている人々も、日本の農業が生き残るためには競争力の 強化や高付加価値化、効率化が不可欠なことを認識しているだろう。
 だとしたら、彼らにとって重要なのは、地方経済を牽引(けんいん)する新たな産業や企業をどのようにしてつくるのか、競争力や付加価値の源泉をどこに求 めるのか、どのような戦略でいつまでに実現するのかという構想と具体策だったのではないのか。さらに突き詰めていえば、現在の政権がその成長戦略の中で、 地方経済や農業をどのように位置付けているのか、切り捨てようとしているのか再興しようとしているのか、その覚悟を彼らは知りたかったのだと思う。
 しかし、安倍首相のみならず自民党の指導者や候補者からは、そのような主張は聞かれなかった。だから、不安にかられた有権者は自民党から離れた。(山 人)

◆白根高元監督の山形さん急死、公務災害と認定されず /山梨県
朝日新聞 2007年8月14日
 県立白根高教諭で野球部監督だった山形功さん(当時40)が昨年3月、くも膜下出血で急死し、遺族が公務災害の認定を請求していた問題で、地方公務員災 害補償基金県支部は白根さんの死亡を「公務外である」と決定、13日までに遺族に通知した。遺族らは、決定を不服として、支部審査会に審査請求をする方針 だ。
 山形さんは、授業と生徒指導のほか、野球部監督も兼任。休日も早朝から指導にあたっていた。遺族らによると、「死亡前1カ月間の時間外労働は約118時 間だった」として、公務災害の認定を請求した。しかし同基金は、時間外労働時間は61時間程度で、認定基準である週平均25時間を超えず、「過重で長時間 におよぶ勤務とはいえない」とした。
 妻の真弓さん(36)は「野球部監督として頑張っていた功績を認めて欲しい」と訴えた。

◆ボーナス、前年から9.6%増 今夏県内平均ここ10年最高 /茨城県
朝日新聞 2007年8月14日
 県内企業の今夏のボーナスの妥結額が平均で前年から約5万円(9・6%)増と大幅に伸び、60万円の大台を超えたことが県労働政策課のまとめで明らかに なった。同課は「景気回復の恩恵が数字に出てきたのではないか」としている。
 調査は県内の組合のある大手150社、中小150社計300社の組合を対象に実施、154組合から有効回答を得た。要求は平均で68万3824円(2・ 49カ月)と前年比2万6516円(4%)増だったが、妥結額は60万6747円で前年比5万3232円(9・6%)増と大きな伸び。妥結月数も2・21 カ月で前年比0・20カ月伸びた。
 03年から妥結額は上昇基調にあるが、今回はこの10年では最も大きな上昇幅となった。県労働政策課は「製造業を中心に多くの業種で伸びた。好業績が基 本給の上昇ではなく、一時金に反映された結果だろう」と話す。

◆公共サービスの民間開放推進を 県経済同友会、福田知事に提言 /栃木県
朝日新聞 2007年8月14日
 公共サービスの民間開放を積極的に推進させようと、県経済同友会(筆頭代表幹事=板橋敏雄・板通取締役会長)は、「小さな自治体をめざして」と名付けた 提言をまとめ、福田富一知事に提出した。現在の行政サービスの要、不要の判断も内部だけでするのではなく外部の目を入れるよう主張し、知事にリーダーシッ プを求めている。
 提言は、公共サービスの民間開放を推進して地元企業などのビジネスチャンスを広げるべきだと主張。シンクタンクやNPOなどを交えて行政が担う事業を予 算項目ごとに議論し、必要か不要か、民間がやるべきか公共部門でやるべきかなどを決める「事業仕分け」制度の導入を求めた。
 県が昨年から公共施設の運営を民間企業に委ねる目的で42カ所で導入した「指定管理者制度」は、公募期間が短かったことや、不十分な情報公開を理由に 「公平さと公正さを著しく欠く制度運用」と指摘。次回以降の改善を要求した。
 また、サービス事業費について、公共機関と民間企業の算出額を競わせる「市場化テスト」や、公共施設整備への民間資本の導入、茨城、群馬両県との道州制 の議論の推進なども盛り込んだ。
 県は06年2月にまとめた県行財政改革大綱の中で、経費削減などの観点から民間企業への外部委託の推進を掲げた。市場化テストは、東京都が公共職業訓練 校の科目を民間専門学校に委ねた例もあるが、公務員の雇用問題などから、なかなか進まないのが現状だ。

◆東名で玉突き――バス運行会社を国交省緊急監査。
2007/08/13, 日本経済新聞
 愛知県岡崎市の東名高速道路で起きた玉突き事故を受け、国土交通省は十三日、観光バスを運行する「シンフジハイヤー」を緊急監査した。会社の運行管理や 運転手の労働条件、勤務実態などが道路運送法などの関係法令に違反していないかどうか調べる。

◆「女性の就職支援セミナー・面接のときのマナー」、他(経済がいどガイド)
2007/08/13, 日本経済新聞 地方経済面 (西部特集)
■「女性の就職支援セミナー 面接のときのマナー」 福岡市男女共同参画推進センター・アミカスが21日、午前10時から正午まで福岡市南区のアミカス で。就職したい女性を対象にマザーズハローワークの職員が面接の時に役立つマナーを紹介する。参加無料。定員20人。申し込み・問い合わせはアミカス (電)092・526・3755。
■ 「中高年齢者のための実体験セミナーと交流会」 福岡高齢期雇用就業支援センターが22日、午前10時から午後4時まで、福岡市博多区の同センターで。中 高年齢者を対象に、これからの豊かな生活のための起業や再就職、NPO法人の設立の方法からU・Iターン就職の現状などまで紹介する。参加無料。定員20 人。申し込み・問い合わせは同センター(電)092・433・1068。
■「働く女性のステップアップセミナー 情報社会の波に乗る〜インターネットの世界〜」 福岡県筑後労働福祉事務所が24日、午後7時から9時まで福岡県 久留米市の久留米総合庁舎で。働く女性を対象に、仕事で役に立つインターネットなどの情報インフラの使い方を紹介する。参加無料。定員30人。申し込み・ 問い合わせは同事務所(電)0942・30・1034。
■「働く女性のためのキャリアアップセミナー」 福岡県北九州労働福祉事務所が24日と29日、午後1時半から5時半まで、北九州市小倉北区の北九州市立 男女共同参画センター「ムーブ」で。女性を対象に自己表現力を磨くための文章力のつけかたや対人コミュニケーションの方法などを紹介する。参加無料。定員 は各日程とも20人。申し込み・問い合わせは同事務所(電)093・592・3507。
■「米国国立公文書館における機密開示政策」 福岡アメリカン・センターが27日、午後2時から4時半まで、福岡市中央区の同センターで。米国国立公文書 館のマイケル・J・カーツ氏を講師に迎え、米国の機密情報開示政策について説明する講演会。日英同時通訳付き。参加無料。定員90人。申し込み・問い合わ せは同センター(電)092・733・0246。

◆段ボール肉まん報道、懲役1年 捏造の元ディレクターに 北京で判決
朝日新聞 2007年8月13日
 【北京=峯村健司】中国の国営新華社通信などによると、段ボール肉まん捏造(ねつぞう)報道事件で、北京市第2中級人民法院(地裁に相当)は12日、番 組を制作した北京テレビの元契約ディレクター(28)に対し、「捏造報道により肉まん業界と商品の名誉を傷つけた影響は大きい」として、特定商品の名誉棄 損罪で懲役1年、罰金千元(約1万6千円)の判決を言い渡した。
 判決によると、元ディレクターは業績を上げるため、今年6月、北京市内で出稼ぎ労働者に段ボール入り肉まん20個余りをつくらせ、7月上旬に生活情報番 組で段ボール肉まんが露店で売られていたと報道した。元ディレクターは「視聴者や北京テレビの関係者に迷惑をかけて申し訳なかった」と謝罪したという。

◆<解説>利上げへ、決め手欠く 賃金「目減り」、世界市場の不安定 GDP速報
朝日新聞 2007年8月13日
 今回の4〜6月期の国内総生産(GDP)速報は、日本銀行が8月に利上げに踏み切る材料となるかどうかで注目された。ふたを開けると、「デフレ状態が悪 化する」といったエコノミストらの事前予測とは逆に、物価の変動も含めた名目成長率はあまり減速せず、GDPデフレーターを見てもデフレ脱却に向け前進し た。設備投資の回復も顕著だ。=1面参照
 ただ、昨年から懸念され続けている個人消費、賃金の問題はあまり解決されていない。完全失業率は3%台まで下がっているものの、今回のGDPでも雇用者 報酬の名目は前年同期比0・2%増にとどまり、「1人あたりの賃金に換算すると目減りしている」(内閣府)状況が続く。GDPの大黒柱である個人消費の伸 び率は今回、前期の0・8%から0・4%に半減。これは年初の「暖冬効果」などが抜け落ちた影響に加え、依然として賃金の上昇が見られないことが背景にあ る。
 また、消費者心理を見ると、内閣府の消費動向調査では購買意欲を示す指数が今年7月まで8カ月連続で前年割れを示している。住民税の増税やガソリン高、 不安定な株式市場を考えると、消費を盛り上げる環境は悪化している。
 さらに米国の低所得者向け住宅ローン(サブプライムローン)の焦げ付き問題の広がりで、頼みの海外需要がマイナスに転じる可能性も今後の懸念材料だ。
 今回、GDPは10四半期連続のプラス成長となったが、サブプライム問題で前週末から世界の金融市場が動揺を見せている中で、国内市場が8月利上げを再 び有力視するまでの「決め手」には至っていない。(大月規義)

◆少子化対策足並みに乱れ――国、歳出増懸念し遅れ気味、地方、子育て支援の実施急ぐ。
2007/08/12, 日本経済新聞
 国と地方で少子化対策への温度差が目立ち始めた。人口減を心配する地方の自治体は競って力を入れ、総務省が自治体から募った地域活性化の事業案でも少子 化対策が最も多い。一方、政府は参院選で与党が大敗したことで消費税増税の議論をしにくくなり、歳出増を伴う対策に及び腰になっている。政府全体の取り組 みが遅れれば、ようやく回復した出生数が再び頭打ちになる恐れもある。
 総務省が地域の活性化を目的に募った「頑張る地方応援プログラム」の第一次募集で、地方自治体は少子化対策こそ活性化の切り札になると考えていることが わかった。
 ▼各地から事業案相次ぐ 事業案で最も多いのは、保育料を一部助成するなどの「少子化対策」で、五百五十一件。「企業立地促進」(二百七件)や「地場産 品発掘」(三百六十六件)など地域色が出やすいテーマを大きく上回った。
 地方の事業案に対しては、国から自治体に三年間、最大で年三千万円を交付する。「バラマキ」との批判は強いが、原則的に応募したすべての自治体に交付金 を出す仕組みだ。
 実際、自治体は少子化対策に工夫を凝らしている。過疎の農村で話題になった若者の結婚支援事業を、奈良県は県主導で進める。三月までにイベントを四百回 近く開き、千五百組以上のカップルができた。子持ち家族の買い物を割り引く取り組みも石川県などが主導して広がった。
 一方、国が進める少子化対策は停滞感を強めている。保育所の整備や子持ち世帯への現金給付には財源が必要。しかし与党が参院選に大敗したことで消費税増 税の議論が不透明になり、財源の裏付けを伴う対策を打ち出すことが難しいためだ。
 ▼選挙前から対策に停滞感 「消費税の増税分のうち、一部を少子化対策に振り向ける」。厚生労働省のこんな思惑をよそに、対策の停滞感は参院選前から あった。
 政府が少子化関連で計上した二〇〇七年度の予算額は約一兆七千億円。すでに巨額だが、先進国の中では比較的出生率が高いフランス並みの対策をすると、年 に十兆六千億円かかる。
 増税をにじませる対策を参院選前に打ち出すことはできず、政府の「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議が六月にまとめた中間報告は、予算や税 の措置を伴う具体的な施策をほとんど盛り込まなかった。
 参院選後は財源論を封印され、停滞感はますます強まっている。戦略検討会議は四つの分科会で具体的な議論をしてきたが、このうち「働き方の改革」分科会 は事実上、活動を休止する方向だ。
 政府関係者は同会議とは別にできた「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)推進官民トップ会議」に議論をまとめるためと説明するが、首相官邸の 肝いりで始まった重点戦略会議の失速を象徴している。
 〇六年の合計特殊出生率(一人の女性が生涯に産むと推定される子供の数)は六年ぶりに上昇し、一・三二となった。ただ「出生率の回復は一過性で終わる可 能性があり、一層の少子化対策が必要」と指摘する専門家は多い。
【表】自治体の特徴ある少子化対策  
東京都港 区  廃幼稚園の施設で子育て支援、支援する人材育成も
神奈川県海老名市  企業の昼休みに、父親向け子育て講座
静岡県  子どもが公民館などで合宿しながら通学するイベントを地域で支援
石川県  3人以上の子持ち世帯は買い物を割引
奈良県  若者の結婚増に向けイベントなど支援
大阪府  仕事と家庭を両立するため、中小企業が発案した様々な取り組みを支援
【図・写真】国も少子化対策に取り組んでいるが…(今年1月、地方団体幹部らと活性化策について懇談する安倍首相=右端)

◆米不法移民、雇用主への罰則厳しく、政府が規制強化策、罰金25%上げなど26項目。
2007/08/12, 日本経済新聞
 米政府は十日、不法移民を故意に雇った雇用主への罰金を現行より二五%高くすることなどを柱とした二十六項目の移民規制強化策を発表した。上院が包括的 な移民規制改革法案の採決を断念したことから、現行法の範囲内で可能な規制強化を実施する「苦肉の策」に出た形だ。
 規制強化策は合法的な就労資格を証明できない従業員が多数いた場合、九十日以内に解雇しなければ雇用主に罰金を科すと明記。メキシコとの国境に配備する 警備員や無人偵察機なども増強する。一方で中南米からの季節労働者への依存度が高い農業や造園業などの人手不足に配慮し、季節労働者向け査証(ビザ)申請 手続きを簡素化することも盛り込んでいる。
 ブッシュ政権は国境警備強化と同時に、就労合法化に道を開く包括的移民規制改革を内政の最重要課題に掲げてきた。大統領選を来年に控え、保守層の要望が 強い規制強化を優先させたとみられる。(ワシントン支局)

◆(声)自給的農家は農政対象外か
朝日新聞 2007年8月12日
 公務員 白石泰寿(群馬県安中市 45歳)
 私は毎週末、耕作を放棄した我が家の田畑で草刈りをしています。気温が高く雨も多いこの時期は、放っておくと、あっという間に伸びてしまうので、周囲の 住宅や田畑に迷惑をかけないためにも、草を刈らなければならないのです。
 我が家は数年前まで養蚕、シイタケ、水稲などの複合経営農家でした。しかし、両親が高齢化するのに伴って規模を縮小し、現在では自家用の水稲と野菜を細 々と作る、いわゆる自給的農家になってしまいました。周囲の農家も我が家と同様、条件の悪い農地を貸し付けることもできず、やむを得ず耕作放棄するところ が年々増えています。
 農政は集団化や企業化による規模拡大を目指しています。国際競争に耐えうる足腰の強い農業経営は必要なことなのでしょうが、我が家のような自給的農家 は、農政の対象から外されつつあるようです。
 条件の悪い中山間地域は、農業どころか地域共同体そのものが崩壊してしまうのではないかと心配です。条件の整った地域との格差は開くばかりで、格差を辛 うじて補ってきた労働力も高齢化によって限界に来ているように思います。

◆(声)若い世代 仕事も休みも、どちらも大事 【西部】
朝日新聞 2007年8月12日
 高校生 松元哲郎(鹿児島県薩摩川内市 17歳)
 将来、何の仕事をしたいのか、どのような生活を送りたいのか、まだ分からない。ただ、自分が思うままに時間を使い、休日も取れるような仕事に就きたい。
 そんな都合のよい仕事がないことも分かっている。中学校の3年生がこんなことを言うならまだしも、私は高校3年生なのだ。
 しかし、現在の日本の労働条件は若者にとって過酷すぎるのではなかろうか。新聞によると、30代の働き盛り世代に、長時間労働による体と心の病が広がっ ているそうだ。それも大都会での話ではなく、鹿児島県内でも朝9時から翌日の1時まで働き続け、倒れた人もいる。痛ましいことだ。
 私がこの記事を読み感じたことは、法律上の労働基準と現実の労働があまりにもかけ離れているということだ。過酷な仕事と、楽だが賃金の低い仕事。どちら かに偏らない、バランスの取れた仕事こそが人間らしい仕事ではないだろうか。

◆途上国で格差大 アジア開銀指摘、「社会基盤投資に偏り」
朝日新聞 2007年8月12日
 アジア開発銀行(本部・マニラ)は、アジアの不平等についての報告書をまとめた。各国経済は好調だが、90年代以降、「途上国では貧困層が豊かになるス ピードよりも、富裕層が豊かになる方が速い」と指摘している。
 調査対象の22カ国・地域のうち、カザフスタン以外では上位20%の富裕層が1カ月間に支出する金額の伸びが、下位20%の貧困層の支出の伸びを上回っ た。要因として、都市部とそれ以外で社会基盤への投資や教育水準の違いが大きいことを挙げた。解決には、労働者の技能や保健・教育の質の向上といった施策 が必要だ、としている。

◆「着雪」なんの、一吹きでOK 小谷の商工会がスプレー開発 /長野県
朝日新聞 2007年8月12日
 人口3600人、豪雪で知られる小谷村の商工会(会員260人)が、除雪作業の大敵「着雪」を防ぐ画期的な塗料スプレーを開発し、来シーズンに向けて事 業化の準備を進めている。シャベルの刃や除雪機械の排土板に一度塗れば一シーズン以上効果が持続するという。(山田新)

 スプレーは商品名を「スノーノーベル」といい、主剤はシリコン樹脂塗料。貝類の付着を防ぐ船底塗料に使われた有機スズ化合物の環境汚染が問題になり、代 わるものとして開発された。開発者が雪にも応用できるのでは、と同商工会の経営指導員・吉田三郎さんに提案したのが事業化のきっかけとなった。
 高齢化が進む山村では、除雪作業は悩みの種だ。シャベルやスノーダンプに雪がつくと、重くなり、はがすのに手間がかかる。除雪機械の場合も、オペレー ターが運転を中断し鉄棒で凍り付いた雪を突いて落とす重労働となる。従来の着雪防止スプレーはシリコン変性オイルで、いわば潤滑油。すぐにはげ落ちて効果 がなくなってしまう。
 豪雪の05年12月、実験のため、シリコン樹脂塗料と硬化剤を混ぜて、スコップやスノーダンプ、除雪機械にはけ塗りした。冬が終わるまで塗り直す必要が なかった。
 試作品は中小企業庁が昨年に発足させた「地域資源∞全国展開プロジェクト」に採用され、手軽に使えるスプレー缶とする実験が補助金で始まった。補助金 800万円のうち250万円を使った。残りは、熱効率のいい半導体熱交換素子を使った発熱シートの開発にあてた。屋根に張れば、雪が積もらず、雪下ろしの 重労働から解放される。これも今年1月、実証実験が行われ実用性が確認された。
 シリコン樹脂塗料の難点は、使うときに硬化剤と混ぜなければならないことだ。2剤分離式スプレーは構造が複雑で単価が上がるが、塗料と硬化剤の割合を調 節することで、1液タイプのスプレーでも使用可能になった。塗料メーカーによる「加速試験」で、一度塗れば3〜4年は効果が持続するとの結果も出た。
 「スノーノーベル」は420ミリリットル入りで3平方メートルに塗布可能。価格は3500円程度の予定。出資者を募って販売会社を設立し、今秋からの全 国販売を目指す。
 中小企業庁の「プロジェクト」には、全国の商工会、商工会議所から207の事業が採用されたが、特産品開発や観光振興などが多い中、「スノーノーベル」 は異彩を放っている。吉田さんは「雪国ならではの発想から生まれた製品が地域おこしにつながれば」と期待を語る。

 【写真説明】
着雪防止スプレー缶「スノーノーベル」
ロータリー式除雪機の雪をかき込む部品にスプレーする吉田三郎さん=小谷村下里瀬で

◆慣例破った最低賃金の改定(社説)
2007/08/11, 日本経済新聞
 中央最低賃金審議会は今年の地域別最低賃金引き上げの目安を平均で時給十四円と決めた。従来の決め方に従えば五円程度と予想されたが、その三倍近い引き 上げ幅である。
 昨年までは、使用者側の支払い能力に多分に配慮する格好で上げ幅が決まっていた。今回は絶対額は小さいものの平均二ケタの引き上げとし、生計費も重視す る方向を一応示した。今や労働者の三人に一人を非正規労働者が占め、賃金面での下支えが重要になっている。最低賃金のあり方自体も見直す必要がある。
 審議会では使用者、労働組合、学識経験者の代表が交渉し、基本的に三十人未満の事業所の賃金改定状況をベースに決着するのが慣例だった。これを目安に都 道府県の地方最低賃金審議会がそれぞれの上げ幅を決めて、各地の労働局が改定する。
 地域別最低賃金の毎年の引き上げ幅は長い間、数円という状態が続いてきた。昨年五円上がり、現在は全国平均で時給六百七十三円だ。改定後に最低賃金を下 回る労働者の比率は例年一%台にとどまっていた。
 今の最低賃金の水準は欧米より低く、地域によっては生活保護費を下回る。「格差」論議の高まりを受けて安倍晋三首相は引き上げに積極的な意向を示してき た。先の国会で継続審議となった最低賃金法の改正案は生活保護費との整合性への配慮を盛り込んでいる。政府の成長力底上げ戦略推進円卓会議は、中央最低賃 金審議会に「賃金の底上げ」に資する目安の引き上げを促していた。
 民主党は三年程度の間に全国平均で時給千円に引き上げるよう提案している。だが、中小企業の支払い能力を無視して一気に引き上げるのは現実的ではないだ ろう。地域ごとの経済情勢の違いもある。中央最低賃金審議会は今回、東京、大阪などの十九円に対し最も低い青森、沖縄などは六―七円と差を大きくした。
 最低賃金引き上げだけで賃金を効果的に底上げするのは難しい。最低賃金の決め方や水準などについて今後さらに議論を深めるとともに、中小企業の生産性向 上や大企業の中小企業との取引適正化を進めることも不可欠だ。働く人たちがより付加価値の高い仕事に就けるような職業訓練など支援策の充実も課題である。

◆最低賃金、平均14円上げ決定――生産性の向上必要に。
2007/08/11, 日本経済新聞
 最低賃金の引き上げについて日本総研の山田久・マクロ経済研究センター所長は「生産性を上げていかないと中小企業や非製造業、地方で厳しい状況となる」 と指摘する。
 労働経済白書によると二〇〇〇―〇六年の単位時間当たりの労働生産性の上昇率は年率一・七%。米国の七割程度の水準にとどまり、特に非製造業で伸びが低 い。今回、目安通り全国で最低賃金が引き上げられれば前年比二・一%増で、労働生産性の伸び率を大きく上回る。
 中央最低賃金審議会は十日まとめた答申に、政府に対し特に中小企業の生産性向上を支援する要望を盛り込んだ。
 最低賃金と同水準で働く人の多くはパートなど非正社員。「給与が増えた分が生活必需品の購入に回れば、消費が拡大する期待も持てる」(木地孝之元慶応大 准教授)との指摘もある。
 来年以降も最低賃金の大幅引き上げは続く可能性がある。政府は「最低賃金と生活保護の支給額との逆転」の解消などを盛り込んだ最低賃金法の改正案を秋の 臨時国会での成立を目指す。
 これに対し民主党は、「法案を修正しなければ参院を通過させない」と「時給千円」を盛り込むよう求める見通しだ。

◆国産切り花、多品種少量栽培に活路、安価な輸入品とすみ分け。
2007/08/11, 日本経済新聞
 バラなどの切り花が国内市場で一年中出荷されることが多くなった。輸入の花が増えているためだ。輸入切り花は国産の花と競合するのか、すみ分けるのか。
 結婚式のブーケに使う多年草のカラー。国内では長野や福島産が春から秋にかけ出回る。しかし最近では冬場でも安定調達が可能になった。ニュージーランド など南半球から輸入されるカラーは結婚式場のブーケの定番になりつつある。
 切り花の輸入はキクやバラを中心に一九九〇年代後半から増えた。貿易統計によると二〇〇六年の切り花輸入額は二百八十億円で前年比一一%伸びた。国内消 費の一七%を占める。輸出元はマレーシアやベトナム、ケニアなど世界中に広がる。
 輸入品は国内の端境期とは関係なくやってくる。当然、国内の生産者は不安を口にする。輸入品は総じて人件費が抑えられているため、輸送コストを上乗せし ても国産より安いことが多い。
 日本花普及センターの試算によると、品質が同レベルの輪ギクでは国産が一本六十五円に対し輸入品は五十円程度。輪ギクをつくる愛知の生産者は「価格競争 力のある中国産が出回るのは脅威」と話す。
 米国はかつて国内の農家が花の生産をしていた。約二十年前にコロンビアなどから安くて品質の良い輸入花が増え、「国内の切り花生産者が淘汰された」(日 本花普及センターの西岸芳雄専務理事)。
 日本への切り花輸入は今後も拡大する公算が大きい。だが、大田花きの磯村信夫社長は「うまくすみ分けができる」と主張、米国とは同じ道をたどらないとみ る。
 米国の花き生産が衰退したのはほとんどの品種が輸入品と競合したため。品種開発に努めず自国で作る品種も少なかった。その点、日本は技術・開発力に活路 があるという。
 日本では年間三千種類の花が開発され、栽培技術は世界トップクラスとされる。多品種少量栽培がお家芸だ。一方、輸入切り花は「品種の数はそれほど多くな い」(西岸氏)。未熟練労働者を使って生産コストを削減し、栽培が簡単な品種を大量に生産するからだ。
 別の観点から、輸入品の台頭は国内生産者にもメリットがあるとの意見もある。花が途切れなく市場に出回れば「消費者に浸透し、結果として国産も売り上げ 増につながる」(日本花輸出入協会の杉山晋理事)。
 とはいえ国内の生産者にコスト削減の努力は必要だ。中にはセリで一番高値をつけることを目標に「コスト意識が薄く最高級品づくりに注力する生産者も少な くない」(磯村氏)。
 海外では日本人の好みに合わせた高級切り花を生産する動きも台頭しつつある。多品種少量栽培とコスト低減が両立すれば輸入品とのすみ分けは可能だろう。

◆厚労省職員、利害団体から報酬、31人分、2年で1億7000万円。
2007/08/11, 日本経済新聞
書籍のチェック代名目 4人処分
 厚生労働省は十日、同省所管の特別民間法人「中央労働災害防止協会」(東京都港区、会長・御手洗冨士夫日本経団連会長)から二年間にわたり、同省職員六 人が書籍チェック代名目で計約一億七千万円の報酬を受け取っていた、と発表した。同省は「利害関係者から多額の報酬を受け取った」として国家公務員倫理規 定に基づき、退職者などを除く三人を戒告処分に、上司一人を厳重注意とした。
 処分は、現在本省室長クラスの職員二人と都道府県の労働局部長一人の計三人が、懲戒処分の戒告。報酬を受け取った職員以外で、管理監督責任があったとし て本省の課長一人を内規に基づき文書で厳重注意した。
 同省労働基準局総務課によると、報酬を受け取ったのは同局安全衛生部の職員。労働安全研修テキストなどを発行する中央労働災害防止協会が、職員三十一人 に八十六種類のテキストを増刷する際の校正チェックなどを依頼。報酬は書籍の発行額の一律一〇%で、同協会は二〇〇〇年度と〇一年度に計約一億七千五百万 円を支払ったという。
 三十一人とは別の課長補佐クラス六人が、報酬の振込先の通帳を預かり、安全衛生部の四つの各課で現金を引き出してプール。深夜のタクシー代や夜食代、参 考図書代に使ったといい、総務課は「聞き取り調査によれば職員らは『私的な流用はしていない』と話している」と釈明している。
 総務課によると、この仕組みは安全衛生部内で代々引き継がれてきた。疑問視する声もあったが返還はせず全額使い切ったという。同課は「その後、タクシー 代は公費で間に合わせている。倫理規定は二〇〇〇年度以降に適用されるので、それ以前については調べる必要はない」としている。
 今年六月時点で、厚労省から同協会への天下り職員は十八人、常勤理事としても事務次官経験者を含む三人が天下っており、関係は深い。同協会を巡っては、 東京国税局が一九九八年度から〇一年度までの間、計約三億八千万円の所得隠しを指摘していたことが昨年四月に発覚。厚労省が内部調査を進めていた。

◆夏季一時金、妥結額3.6%増加、長野県内民間平均、2年連続プラス。
2007/08/11, 日本経済新聞 地方経済面 (長野)
 長野県が十日まとめた二〇〇七年夏季一時金調査によると、県内民間労働組合の平均妥結額は四十七万五千六百二十一円で前年比三・六%(一万六千三百四十 七円)増えた。前年の一・三%増に続き二年連続のプラス。業績の回復を一時金に反映させる企業が増えているようだ。
 調査は県内四百十四組合を対象に実施した。百九十九組合が要求を提出し、平均要求額は一・八%増の五十七万六千六百四十六円。七月三十一日時点で百八十 九組合が妥結した。平均妥結月数は一・九一カ月で前年比〇・〇七カ月増。
 産業別の妥結額は食料品や繊維、鉄鋼・金属、機械、電機、運輸など十一業種が前年を上回った。一方で精密、卸・小売り、新聞・通信など四業種は下回っ た。
 企業規模別では従業員一千人以上が一・七%増の六十二万六百六十一円、三百―九百九十九人が七・五%増の五十二万五千四百五十一円、三百人未満が〇・六 %増の三十九万四千八百七十四円。一時金の増額傾向は大企業から中堅企業に広がっているもようだが、小企業では伸びが小幅にとどまった。

◆北陸農政局、コメ生産費2.2%減。
2007/08/11, 日本経済新聞 地方経済面 (北陸)
 ■北陸農政局 十日、新潟県と北陸三県の二〇〇六年産のコメの生産費の調査結果を発表した。農機具や肥料、労働費などに支払利子などを加えたすべてのコ ストを示す「全参入生産費」は、十アール当たり十五万七百六十三円で前年比二・二%減った。マイナスは二年連続。一九九七年産と比べると一六・九%の減少 になる。
 内訳は業務の効率化や委託の増加で労働費が二・九%減ったほか、借入金の削減や生産量の縮小で支払利子・地代参入生産費は一・四%減った。

◆最低賃金、時給9―14円目安上げ、小売業、人件費増を懸念。
2007/08/11, 日本経済新聞 地方経済面 (北陸)
 最低賃金の引き上げを決める中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)が十日開かれ、北陸地方については時給九―十四円の引き上げ目安を正式に決め た。個人消費が鈍く売上高が伸び悩んでいるだけに、地元の小売業からは今後、人件費増につながらないか懸念する声も出た。
 総合ディスカウントストアのPLANTは最低賃金が上がった場合、その影響で「人手を確保するために(パートなどの)時給引き上げは避けられないだろ う」とみる。ただ、一律に引き上げることには慎重な姿勢で「刺し身さばきができるなど技術がある人は上げるが、それ以外は据え置くなど技能給部分をより明 確化することも考えたい」と、柔軟性を持った賃金制度で人件費の上昇を抑える考え。
 石川県が地盤の食品スーパー、東京ストアー(金沢市、箕田秀夫社長)は「パートを最低賃金で採用していないのですぐには影響はしない」としつつも、「こ れを機に全般的に時給引き上げの動きが活発になれば、パートをつなぎ止めるため引き上げざるを得ない」という。
 食品スーパーのアルビスは「最低賃金の引き上げが人件費に与える影響を今後精査し、賃金テーブルの見直しなどの対応策を講じたい」と話す。

◆5月、山梨県内定期給与0.9%増、飲食・宿泊や製造業伸びる。
2007/08/11, 日本経済新聞 地方経済面 (山梨)
 山梨県がまとめた五月の県内勤労統計調査によると、従業員五人以上の事業所の一人平均の定期給与(基本給と残業代などの合計)は前年同月より〇・九%増 えた。飲食・宿泊業、製造業などがけん引し、四月に続きわずかながら前年を上回った。労働時間が伸び、正社員などが増えた。
 定期給与は全十一業種中、飲食・宿泊業(二三・三%増)、製造業(三・〇%増)など五業種が伸びた。しかし、運輸業(一九・〇%減)や建設業(六・二% 減)など六業種が落ち込み、全体では微増にとどまった。
 正社員など一般労働者数が二・二%増え、パートタイム労働者数は〇・七%減った。両方を合わせた常用労働者数は複合サービス業(六一・六%増)や運輸業 (九・三%増)が引っ張り、一・五%増となった。正社員増加などの影響で、労働時間は所定内、所定外とも二%強増えた。

◆鳥取経済団体、労働局に、最低賃金上げに反対の要望書。
2007/08/11, 日本経済新聞 地方経済面 (中国B)
 鳥取県商工会議所連合会(八村輝夫会長)など鳥取県の経済六団体は十日、最低賃金の引き上げに反対する要望書を鳥取労働局に提出した。反対の理由として (1)鳥取経済は労働賃金を引き上げる状況にはない(2)零細企業は事業継続が難しくなり、失業者を増やすことになる――と指摘。中央主導の最低賃金論議 に反発し、地域の実情に合った決定を求めている。
 鳥取商工会議所が七月、役員企業などを対象に許容できる引き上げ幅をアンケートしたところ、「引き上げに対応できない」との回答が四三%あったとする調 査結果も示した。八村会長は談話を発表し「中小零細企業の生産性、収益力を上げることを先行すべきだ」としている。

◆メッセージ、昇給3年で最大4割、フルタイムの介護スタッフ、レベル別、人材確保。
2007/08/11, 日本経済新聞 地方経済面 (中国B)
 有料老人ホーム大手のメッセージは十日、介護スタッフ向けに三年間で最大四一%程度年俸が上がる新たな昇給制度を十月から実施すると発表した。同社では 二〇〇八年三月期、新制度により約五百六十人が一人につき平均二十三万円強、年俸アップすると試算している。介護業界の人材難に対応、優秀なスタッフをつ なぎとめるのが狙い。
 同社は有料老人ホーム「アミーユ」を全国展開。パートを含む全従業員は約三千四百人いる。このうち昇給制度の対象となるのはフルタイム(一日八時間程 度)で働く介護スタッフで、入社一年以上やヘルパー二級以上などを条件とする予定。これまでも昇給制度はあったが、対象や昇給幅を大幅に拡充する。
 レベル一―四のキャリア段階を設定。現行の多くの介護スタッフはレベル一からスタートし、審査にパスするごとにレベル二(昇給幅一四%程度)、レベル三 (同二八%程度)、レベル四(同四一%程度)へと段階的にキャリアアップする。
 キャリアアップは一年に一段階まで。上司の推薦や資格、勤務評価が判断材料となる。同社は新制度による労務費増加額を今年度一億三千二百万円、来年度二 億八千二百万円程度と見込む。〇八年三月期の業績見込みには織り込み済み。
 子育て支援制度も拡充する。妊娠・育児中の休暇拡充や育児サービス利用料補助、退職した場合の再入社制度などが柱。
 介護業界では高齢化による需要増に対し、低賃金・重労働からスタッフ確保が難しい状況。時間給を上げる動きも一部ではあるが、メッセージは思い切った昇 給や子育て支援を打ち出すことで人材確保に動く。
【表】キャリア段階  年俸アップ幅
レベル1  ―
レベル2  14%程度
レベル3  28%程度
レベル4  41%程度

◆取り込め女性パワー、優秀な人材狙う――ミツバ、サンデン(北関東リポート)
2007/08/11, 日本経済新聞 地方経済面 (群馬)
ミツバ、本社近くに保育施設
サンデン、専門チーム意識改革
企業イメージ向上
 北関東の企業が女性活用に向けた取り組みを強化している。保育施設の開設や男性だけだった職場への起用を進め、出産などでの離職を防ぐ。女性ならではの きめ細やかなサービスを提供することで顧客ニーズをつかむと同時に、「女性に優しい」との企業イメージを向上、優秀な人材の獲得につなげたいとの狙いもあ る。ただ、まだ一部の企業にとどまっており、今後、取り組みのすそ野をいかに広げるかが課題となっている。
 自動車部品大手のミツバ(群馬県桐生市)が四月に立ち上げた保育施設「おひさまガーデン」には、社員の子ども三十二人がほぼ毎日通う。対象年齢は零―五 歳。夏空の下、広場に置かれた簡易プールでは子どもたちの歓声が響く。
民間より2割安
 「育児のために有給休暇を使って休む必要が無くなった」と社員には好評だ。本社と施設までは徒歩十分ほど。市外の工場勤務でも子どもを連れて出勤すれば 専用バスが迎えに来るほか、急な残業でも午後八時までは預かってもらえる。料金は三歳未満なら月三万円で、民間平均より二割以上安いという。江原佐智子園 長は「秋以降にも七―八人の入園希望者がおり需要は高い」と強調する。
 ミツバは社員数約四千百人のうち女性が二割を占める。事務系から生産ラインでの組み立て、製品設計など技術職も多い。県内有効求人倍率は全国二位の一・ 八八倍(六月)と高水準で推移する中、「優秀な人材確保のためにアピール材料が必要」と同社。子育てしながらも働きやすい環境を整備することは、出産など による離職防止の役目を果たし、企業イメージを高めて組織の活力を維持するとの判断だ。
 カーエアコン用コンプレッサー大手のサンデン(群馬県伊勢崎市)。女性の役職者が少なく退職が目立つ状況を改善するため二〇〇四年に専門チームを結成し た。総務、製造などから女性十人以上が集まり、育児・介護勤務制度の拡充やセミナー開催、小冊子発行などに三年間取り組んだ。
 「機会均等が進んだことで管理職を目指すなど女性の意識も高まった」とリーダーを務めた常木美幸さん。チーム結成前はゼロだった女性の課長代理は九人に 増え、“寿退社”も激減する効果があがった。
 男性中心だった仕事に女性を起用する動きも目立つ。北関東綜合警備保障(宇都宮市)では警報を受けた場合などに駆け付ける「機動隊」に今年度、女性二人 を初めて配属。従来は体力面などから男性だけだったが、「顧客が不安を感じている時に女性のソフトな対応が必要」(人事部)と判断した。
女性店長2人に
 食品スーパーのカスミ(茨城県つくば市)は昨年度、初めて女性店長が誕生。今年度はさらにもう一人増やした。売り場のボードに顧客が作った折り紙を展示 するなどの企画が好評。「きめ細かい感性が顧客やスタッフとの対応に生かされる」(同社)という。女性の活躍の場を増やすことが顧客ニーズに対応する重要 な要素だとの認識が広がりつつある。
 総務省の〇五年の国勢調査によると、企業に勤める人を表す雇用者数での女性割合は北関東の三県とも四〇%を超え、十年前に比べ二―三ポイント前後上昇。 企業の一層の成長には、女性の活用に遅れは許されない状況になっていると言える。
 ただ、群馬労働局雇用均等室の小山内恵子室長は「首都圏の企業に比べ、女性活用が企業体力の向上につながるという認識が経営者の中で希薄」と問題点を指 摘する。一部で先進的な取り組みが始まったとはいえ、多くの企業では依然として不十分なのが実情。女性がチャレンジできる制度の充実や社内意識の向上が求 められる。(前橋支局 栗原健太)
【図・写真】ミツバは従業員向け保育施設を自社運営する

◆夏休みボケ、解消のコツ――気分を切り替えて、ハードな予定組む(仕事常識)
2007/08/11, 日経プラスワン
 だるい、会社に行くのがおっくう、頭が働かずミスを連発した――。夏休み明けの出勤初日、こんな経験をした人も多いだろう。夏休みボケを早期に解消し、 リフレッシュした気分で仕事を再開するコツを探った。
 「毎年夏休み明けは、頭がぼーっとし、仕事のリズムがつかめない」とぼやくのは、東京都内のメーカーで海外営業を担当する田中卓さん(仮名、31)。夏 休みは例年十日間ほど取っている。だが、休暇中も仕事のメールチェックは忘れない。いつも頭から仕事が離れない分、職場復帰が早いかといえば、休み明けの 初日はいつも「使い物にならない」(田中さん)。
 アニメーションの企画・制作にあたるGDH(東京・新宿)の石川真一郎社長は、夏休みボケ解消のため、こんな手法を取り入れている。
 毎年、夏と冬場に各約三週間の長期休暇を取るようにしている。休み明けはきついかと思いきや、復帰初日に八つもの会議を入れたことも。あえてハードな予 定を組むことで、休みボケなんてしていられない環境を作り出すためという。「いやでも仕事のリズムに戻れ、事務作業をするよりも効率がいい」と石川さんは 話す。
◆   ◆
 夏休みボケ発生の原因は何か――。経営コンサルティングを手がけるリンクアンドモチベーション(東京・中央)の藤崎雄三取締役は「心身両面における休日 と平日のギャップが通常よりも大きくなるから」と指摘する。例えば、家族連れで旅行した場合、はしゃいだ子どもに付き合うなど体力的に平日とは違った疲れ が残りがち。また、プライベートの仲間と過ごし、リラックスできる休日と、仕事モードの攻撃的な環境では精神的にギャップが大きい。
 「夏休み、ギャップができるのは当たり前。それがないと休んだことにならない。要は復帰直前にどれだけそのギャップを解消できるかがボケ解消のカギ」と 藤崎さん。
 体力的なギャップを少なくするため「できれば仕事復帰の二日ほど前から平日の生活リズムに戻す」とアドバイスするのは、生物の体内時計に詳しい早稲田大 学先進理工学部の柴田重信教授だ。
 同教授によると、そもそも人間の体のサイクルは二十四・五時間で、一日の二十四時間よりも三十分程度長い。そのずれの調整のため、季節にもよるが、午前 六 ―八時ごろに光を一定時間浴びることで体内時計が早く進む、という。逆に夜中の午前零時―二時ごろに強い光を浴びると、体内時計が遅れてしまう。平日と休 日で生活のリズムが狂うことで体内時計の遅れが生じ、それが体に蓄積し、だるさを生むらしい。
 その解消法は「夜中にテレビやコンビニの照明などの光を浴びず、朝六―八時ごろの間に太陽光などを浴びる」(柴田教授)こと。その意味で、早寝・早起 き・朝ご飯は理にかなっているわけだ。
◆   ◆
 休み明けは体のだるさもさることながら、とかく気分もしゃきっとしない。それは「休みも終わりと考えるから。休み明けを新学期と思えばワクワクしてくる はず」と、前向きにとらえるようアドバイスするのは、コーチングによる研修を実施しているジャストレード(東京・千代田)の須子はるか代表取締役だ。
 内面だけでなく、新しい服で出社する、胸を張って歩くなど、外見から新たな心持ちになれるような行動も、しゃきっとするコツという。
 本人もさることながら、須子さんは職場の上司、同僚らに対しても、こんな注文を付け加える。例えば「今回の休みで一番楽しかったことは何?」など本人の ゆううつな感情ではなく楽しい感情にふれる質問を投げかけてみる、といったことだ。
 周囲の目もあり、なかなか長期の休暇は取りにくいという人がいるかもしれない。しかし、冒頭の石川社長は「全く違った環境に身を置くことで、頭がリフ レッシュし、視野が広がる。休み前には出なかったアイデアが出てくることも」と休暇によるリフレッシュの効用を説く。
 厚生労働省が六月に発表した夏休みに関するアンケート(全国千三百三十社対象)では、今年の企業の夏休みの日数は、平均八・二日と去年よりも〇・四日長 い。八月のお盆が十一、十二日の土日と連続しているため、という。
 例年よりちょっぴり長い今年の夏休み。自分なりの解消法を休み前から考えておき、いざ突入したら、仕事を忘れ、思いっきり満喫したい。
【図・写真】楽しかった思い出にひたるのもほどほどに

◆全国平均14円、最低賃金引き上げ答申 厚労省の審議会
朝日新聞 2007年8月11日
 07年度の最低賃金の引き上げについて、厚生労働省の中央最低賃金審議会は10日、全国平均で時給14円(現行時給673円)を引き上げの目安として柳 沢厚生労働相に答申した。今後、各都道府県に設けられた審議会で目安をもとに引き上げ額を決め、10月中に新しい最低賃金が適用される。
 目安は、都道府県をA〜Dのランクに分けて示され、東京など都市部のAランクが19円、Bが14円、Cが9〜10円、地方中心のDが6〜7円。
 この日は、同審議会の小委員会が答申案を報告。中小企業の生産性向上策を政府に求める要望を答申に盛り込むことで了承された。

◆国民年金決算、279億円赤字 厚生年金は黒字、昨年度
朝日新聞 2007年8月11日
 社会保険庁は10日、会社員が加入する厚生年金と、自営業者らが入る国民年金の06年度収支決算発表した。厚生年金は、前年度に続き2兆8103億円 (時価ベース)の黒字となったが、前年度は4023億円の黒字だった国民年金は279億円の赤字となった。
 企業の雇用回復で、厚生年金の加入者は3373万6千人(前年度比67万人増)と3年連続増加。保険料収入が9250億円増えたものの、前年ほど運用収 益があがらなかったため黒字額は前年より5兆5千億円減った。国民年金は加入者減で保険料収入が442億円減った。積立金は時価ベースで厚生年金が139 兆7509億円(前年度比5956億円減)、国民年金が9兆3828億円(同2938億円減)。
 中小企業のサラリーマンが加入する政府管掌健康保険の06年度決算は1079億円の黒字で、4年連続の黒字となった。

◆シャープ新工場、経済効果1.1兆円 堺市が試算 【大阪】
朝日新聞 2007年8月11日
 シャープが世界最大のテレビ向け液晶パネル工場などを堺市の臨海部に建設することについて、同市は10日、稼働後の市内への経済波及効果が年間1兆1千 億円になると試算結果を発表した。市税の税収効果も、固定資産税などの減免期間を終える11年目以降は年間58億円にのぼる見込みだ。
 同社の新工場建設や関連事業所の進出による、建設業界や関連産業への初期投資を中心にした一時的な経済波及効果は、約8千億円。市内での新規雇用は最大 で4・5万人を見込む。
 工場稼働後の恒常的な効果は、年間約1兆1千億円。液晶パネル工場のみの出荷見込み額(年間1兆円)をベースにしており、実際の出荷額や、併設される太 陽電池工場の稼働状況などによって変動する可能性はあるという。

◆タクシー券私的流用、厚労省6人懲戒
朝日新聞 2007年8月11日
 厚生労働省は10日、公務用のタクシー券を私的に流用したとして、雇用均等・児童家庭局の課長補佐級職員を2カ月の減給処分にするなど、計6人を懲戒処 分した。同僚と飲食後に帰宅する際などに計4回、5万6210円分を流用、全額返済されているという。

◆原稿料不正取得、厚労省3人処分
朝日新聞 2007年8月11日
 厚生労働省は10日、00〜01年度に、安全衛生部の職員計31人が、外郭団体の中央労働災害防止協会から書籍の原稿料として計1億7496万円を受け 取ったのは、利害関係者から金銭を受け取ることを禁じた国家公務員倫理規定に違反するとして、当時、原稿料のとりまとめを担当していた計3人を戒告処分に した。

◆就業制限「不当」、JR東海を提訴 労組幹部「窃盗無関係」 【名古屋】
朝日新聞 2007年8月11日
 JR東海(本社・名古屋市)の駅から内部資料が盗まれたとされる事件で、JR東海労働組合の男性幹部(45)が10日、窃盗容疑で事情聴取されたことを 理由に同社から業務に就くことを禁じる「就業制限」を受けたことは不当だとして、同社を相手取り、就業制限の取り消しや慰謝料500万円の支払いなどを求 める訴訟を名古屋地裁に起こした。
 愛知県警は7月13日にこの幹部から任意で聴取し、関連先を家宅捜索。同社は同日付で、懲戒処分などを決定するまで、翌日からの就業を制限すると幹部に 通知した。訴状で幹部は「窃盗事件とは無関係なのに、犯人扱いされ、精神的苦痛を受けた」と主張している。
 同社は「訴状を見ていないのでコメントできない」としている。

◆中国帰国者の支えに 日本語学習や就労手助け 仙台に東北初の「センター」 /宮城県
朝日新聞 2007年8月11日
 日本に永住帰国した中国残留孤児を支援しようと厚生労働省が設置した、日本語学習や就労相談に乗る「東北中国帰国者支援・交流センター」の開所式が10 日、仙台市青葉区の県社会福祉会館であった。センターは全国に計6カ所あるが、東北では初めて。

 式には村井知事や帰国者ら約90人が集った。県社会福祉協議会の加藤正人会長は「自立支援に向け13人の専門指導員を招きました。センターを笑顔の絶え ない集いの場にしましょう」と呼びかけた。
 残留孤児は県内に約130人、東北6県では約700人が生活している。しかし、就労が難しく、語学や生活習慣の違いから苦しい生活を強いられてきた。帰 国後の支援も数年で打ち切られるため、国を相手取った残留孤児の訴訟の遠因にもなってきた。
 センターは中長期的な支援を目指している。専門の指導員がおり、日本語学習では、平仮名や漢字を学ぶだけではなく、買い物などの「消費生活」や、通院に 必要な「医療」などのコースもある。また書道や野菜作りなどのサークル活動を通じた交流の場も設ける。日本語学習には、63人から申し込みがあった。
 「わたしは、板橋竹子、です。日本語の勉強、大好きです。よろしくお願いします」。開所式後に開かれた日本語の授業に、仙台市の板橋竹子さん(64)は 姉の繁子さん(66)と参加した。帰国者5人が自己紹介の仕方や、友達を第三者に紹介する方法を学んだ。
 竹子さんは2歳の時に、中国黒竜江省の養母に預けられ、家族は散り散りになった。38歳の時に一時帰国し母親と再会を果たし、2年前に永住帰国した。片 言の会話はできるが、読み書きはままならない。
 日本人の友達から来る手紙に、返事が書けないことが悩みだった。「早く返事を書きたい。友達もつくって、話をたくさんしたい」と意気込んでいた。

 【写真説明】
公開授業でカードやホワイトボードを使いながら、自己紹介の仕方を熱心に学ぶ帰国者ら=仙台市青葉区の県社会福祉会館で

◆米作るほど、赤字拡大 昨年度生産費、3年連続収益上回る /栃木県
朝日新聞 2007年8月11日
 県内で昨年度収穫した米1俵(60キロ)あたりの生産コストは1万5606円で、販売収益を3年連続上回ったことが10日、栃木農政事務所のまとめで分 かった。米価が伸び悩む中、原油高騰の影響で生産コストが上昇しており、作れば作るほど膨らむ赤字を、労賃分を実質的に削ることで何とかしのいでいる現状 が浮き彫りになった。(白木琢歩)

 同事務所が公表した06年度の米生産費統計(調査対象農家35戸)によると、米1俵あたりの販売収益は1万2855円で、生産費との差額は2751円の 赤字。05年度も生産コスト1万4512円に対し販売収益は1万2873円にとどまった。生産コストには農家の家族の労働を賃金で換算した金額が約4割含 まれている。
 最近では03年度に販売収益が黒字になったことがあるが、この年は日照不足と冷害のため収量が大きく減り、米価が上昇したという特殊な要因があった。同 事務所は「農家も切りつめられるところは切りつめているが、生産費が収益を上回る基本構造はここしばらく変化していない」とする。
 06年度の生産コストのうち光熱動力費は440円と、前年度比27・5%の大幅増。原油価格の高騰で農機などに使用する軽油や灯油、ガソリンが高くなっ たためだ。
 各都道府県ごとの米生産コストの比較(10アールあたり)でみると、栃木は全国で5番目(05年度は3番目)に安かった。農家1戸あたりの作付面積が 149アールと全国平均に比べ約30アール多く、経営規模が比較的大きいことが効率化につながっている。
 米ができるまでの労働時間(10アールあたり)は27・01時間。機械化の進展などで毎年労働時間は減る傾向にあり、10年前の32・90時間に比べ約 2割減少した。
 水田では9月上旬ごろの収穫に向け、稲が順調に育っている。宇都宮市内の水田で草取りに励んでいた70代男性は「燃料費は高いままだし、米価は下がって ばかり。豊作でも、小農家は赤字が大きくなるだけだよ」とあきらめ顔だった。

 【写真説明】
稲穂が垂れ始めた水田で除草作業に追われる生産農家。作業量が多いにもかかわらず、収益確保は至難の業だ=宇都宮市内で

◆(07知事選)酷暑の中、訴え 上田氏、神奈川知事が応援 吉川氏、街頭演説/埼玉県
朝日新聞 2007年8月11日
 知事選が告示された翌10日、現職で無所属の上田清司氏(59)、新顔で共産党が推薦する吉川春子氏(66)の主な候補者2人は、酷暑の中、県内各地を 駆け回り支持を訴えた。
 上田氏は10日夕、JR大宮駅西口で街頭演説会を開いた。東京都の石原慎太郎知事と神奈川県の松沢成文知事が来て、首都圏3知事が顔をそろえるはずだっ たが、石原都知事は体調不良で欠席。急きょ、長男で自民党幹事長代理の石原伸晃衆院議員がマイクを握り「上田氏には時代を見据える目と将来を見通す力、実 績がある」と訴えた。
 上田氏ら3知事は、千葉を加えた1都3県の首都圏連合を提唱。排ガス規制やなど首都圏の共通課題の解決に向けて協調してきた経緯がある。
 吉川氏は、川口市、鳩ケ谷市、さいたま市などを選挙カーで回り、県庁前や、同市桜区の田島団地などで演説した。
 午後6時には、JR戸田公園駅前で地元支援者と街頭に立った。舟山順二・埼玉土建蕨戸田支部書記長は「吉川さんは24年間の国会活動で医療、教育、労働 などの実績がある。パート労働や最低賃金の問題に一生懸命取り組む弱い者の味方だ」と支持を呼びかけた。

◆石綿除去の工事、3施設で実施へ 高岡市 /富山県
朝日新聞 2007年8月11日
 高岡市は10日、市内の福祉会館など市所有の3施設で石綿(アスベスト)の含有率が規制値を超えていたとして、除去のための緊急工事をすると発表した。 昨秋の法改正による規制強化と検査方法の精度向上で、規制値を超えるものが増えているという。
 除去工事を行うのは、伏木福祉会館と戸出福祉会館、中田図書館の3施設。石綿は、伏木が玄関と階段室(4・8%、4・3%)、戸出が3階ホール(5・ 1%)、中田が機械室(0・6%)。それぞれ昨秋改正の労働安全衛生法施行規則で0・1%超に強化された基準値を超えていた。
 同市では、一昨年のサンプル調査で3施設を含む42施設が、当時は1%超だった規制値を下回り、施設解体時に石綿を除去する予定だった。

◆東急建設の事業整理でシティ弘前ホテル売却 10月めど /青森県
朝日新聞 2007年8月11日
 弘前市大町1丁目のシティ弘前ホテルを保有するTCプロパティーズ(TCP、東京都)は10日、同ホテルの建物と事業をエリアリンク(東京都)とラン ドーナージャパン(名古屋市)の2社に売却すると発表した。2社はホテル事業を継続し、約100人の従業員もそのまま雇用する方針。TCPは売却額を明ら かにしていない。
 TCPによると、10月1日をめどに売却する。従業員の雇用や地元経済に配慮する意向があることを理由にして売却先を選んだという。
 同ホテルは地下1階、地上12階建てで客室数141。弘前駅前に89年に開業し、部屋の稼働率は平均して約80%。
 TCPは、建設業への特化を目指す東急建設(東京都)が、不動産事業を整理するための会社として、東急建設からの会社分割で03年10月に発足。シティ 弘前ホテルの売却も事業整理の一環とされる。

◆(シューカツ学生 ここが聞きたい)起業する力、つきますか?
朝日新聞 2007年8月11日
 リクルート 「R25」編集長 藤井大輔さん

 リクルートは人材輩出企業というイメージがあるのでしょうか。確かに若くして独立し、人材関係やコンサルティングなどの会社を立ち上げる人は多い。
 私は95年入社で同期が55人ほどいましたが、今残っているのは3割程度。辞めた人は、起業と転職が半々ぐらいですね。
 うちは創業期には、数人〜十数人の小さなグループ単位で損益を管理する「プロフィットセンター制」を取っていました。今もその風土が残り、どの事業部で も、若いうちから収支に関する議論に参加します。
 私は入社以来、ずっと雑誌編集を担当してきて、営業や事業経営に携わったことはありませんが、やはり損益計算書の見方などはたたき込まれていますよ。
 年1回、社員が事業のアイデアを出しあう「ニューリング」というコンテストもあります。昨年は約7千人の社員から600以上の応募がありました。毎年、 上位入賞した幾つかの案は事業化が検討されます。フリーマガジン「R25」もそこから生まれた事業です。
 ニューリングに限らず、「これをやりたい」と手を挙げればやらせてもらえる風土はあります。ただ、やるからには最後までやり遂げることを求められます。
 そういう環境で働くうちに、独立してもやっていけるだけの経営者としての力がつくのかもしれません。
 新入社員は、営業を中心に雑誌などの企画編集や人事などの管理部門に配属されます。各部署が必要な人材を社内公募し、3年目以上の社員が応募し合格すれ ば、上司の合意なしに異動できる「キャリアウェブ」という制度もあります。
 リクルートの仕事は、雑誌やインターネットなどのメディアを使い、消費者と顧客企業をマッチングさせること。情報があふれる今の社会の中で、一人一人に ぴったりの情報を探すお手伝いをしたいと考えています。(聞き手・生田大介)

 ◆POINT
 ・損益は常に頭の中に
 ・社内には新事業コンテストも

◆無認可保育所に大阪市立ち入り O157集団感染 【大阪】
朝日新聞 2007年8月11日
 大阪市は10日、病原性大腸菌O(オー)157の集団感染が起きた同市北区の無認可保育所「ポポラー大阪天六園」に対し、特別立ち入り調査を行った。市 保健所の職員を含む計6人が午後3時から約3時間、園児の健康管理態勢などを園の保育士らから詳しく聞き取った。
 3歳女児の死亡を重視し、厚生労働省が定める指導監督指針に基づいて年に1度の定期調査とは別に実施した。市こども青少年局は「結果は1週間後をめどに 公表する」とした。一方、同園は一時保育を除く月決め保育を16日から再開する。

◆正社員の雇用、不足感和らぐ 関経協、7月調査 【大阪】
朝日新聞 2007年8月11日
 関西経営者協会が10日発表した7月の雇用短期観測調査によると、正社員の雇用判断指数(不足と答えた企業の割合から過剰と答えた企業の割合を引いた数 値)は15・0だった。4月の前回調査より3・3ポイント下落、やや不足感が和らいだ。
 ただ、大手企業は14・0、中堅が6・1なのに対して、中小は20・9と不足感が強い。職種では営業・販売や技術・研究、生産・技能で、不足感が依然強 い。
 同時に調査した業況判断指数(業況が良いと答えた企業の割合から悪いと答えた割合を引いた数値)は、マイナス2・4と前回調査の9・2から悪化。マイナ スは7四半期ぶりで、10月の見通しもマイナス1・7と厳しい。同協会は「原油など原材料価格の高騰を商品に転嫁しにくい非製造業の判断が悪化した」と説 明している。

◆昼休み1時間、閉庁6時 金沢市が勤務時間を検討 /石川県
朝日新聞 2007年8月11日
 金沢市職員の昼休みが短縮された影響で周辺部の飲食店などの売り上げが減ったとされる問題で、同市は10日、昼の休憩時間を現在より15分延長して1時 間にし、合わせて閉庁時間を午後6時まで延長する方向で検討に入った。
 この日開かれた「開庁時間等に関する懇話会」(座長=鴨野幸雄・金沢大名誉教授)が意見をまとめ、市側に伝えた。職員の労働強化につながらないよう、勤 務時間の多様化を検討するなど柔軟な対応を求めた。
 武村昇治総務局長は「市民サービス、地域への影響、職員の勤務時間など多様な視点を意識して検討していきたい」と話している。
 同市の本庁舎などの職員の昼休みは4月に、それまでの1時間から45分に短縮された。これに対し、市役所周辺の柿木畠振興会が1時間に戻すよう要望して いた。
 勤務時間は午前9時から午後5時45分までで、昼休みが延長されれば、始業か終業時間の変更が必要になる。窓口などを訪れた市民対象のアンケートでは9 時開庁を望む声が54・1%と最も多かった。職員対象のアンケートでも9時開始の希望者が52・0%。現行通りの午後5時45分終業を希望した人は22・ 5%、午後6時を希望した人は29・5%だった。
 終業時間が遅くなることで、子育てや介護をしている職員らの帰宅が遅れるため、市は勤務時間について柔軟に対応するよう検討していくとしている。

◆地元、なお傷深く 社屋は競売へ 「耐震偽装」木村社長有罪 /熊本県
朝日新聞 2007年8月11日
 耐震強度偽装事件で、木村建設の社長、木村盛好被告(75)に対し、東京地裁が有罪判決を下した10日、地元・八代市などの関係者は複雑な思いを口にし た。事件発覚から約1年9カ月。同社の破産により、膨大な債権処理をはじめ、解雇された元社員の再就職、関連・下請け業者の苦境など今も影を落としてい る。

 判決では、建設業法違反(粉飾決算)とともに詐欺罪も認定され、木村社長に懲役3年執行猶予5年(求刑懲役5年)が言い渡された。
 木村建設の元幹部社員(55)は「奈良のホテル工事の残り代金を受け取ったのは国土交通省が偽装疑惑を発表する10日前。その時点で、我々は建築基準法 に適合(建築確認)した物件という事実をより重くみる」。元役員(69)は「会社の最高責任者として結果責任を問われた面もあるのか」と戸惑いを見せた。
 一方、同社が施工し、耐震強度の偽装が発覚した北九州市八幡西区のホテル。休業や改修などで約2億5千万円の損害を受けたといい、同ホテル社長(56) は「罰を受けるのは当然。検査機関などが責任を問われないのはおかしい」と話した。
 木村建設では木村社長ら4人が逮捕された。うち篠塚明・元東京支店長(46)は建設業法違反の罪で懲役1年執行猶予3年の有罪が確定、元役員2人は起訴 されなかった。
 木村社長の判決は地元にとっても一つの区切りだが、事件の傷は深い。
 破産管財人によると、全国の債権者は1195人、債権総額は402億6600万円(07年3月現在)に上る。返済に充当できるのは9億円前後といい、八 代市の本社ビル(5階建て)も競売手続き中だ。
 解雇された社員は子会社を含め196人。昨年末の時点では、八代公共職業安定所に求職を申し込んだ51人のうち20人の就職は未定だった。これ以降は雇 用保険期間の終了で集計しておらず、現況は不明という。
 八代市内の下請け・関連業者二十数社は緊急融資などでしのぎ、連鎖倒産は出ていないという。だが、建具店の経営者(75)は「融資の返済が続く中、木村 からの仕事は途絶えた。じわじわと苦しくなっている業者も少なくない」と話す。

 【写真説明】
窓もシャッターも閉ざされたままの木村建設本社屋。競売の準備中だ=八代市敷川内町で

◆フリーターからコンビニ店長へ 派遣人材で初事例
 http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/business/75626/ 08/11 02:03

 フリーターから初のコンビニ店長が誕生。

 企業へのコンサルティング業務やアウトソーシング事業などを展開するセレブリックス・ホールディングス(東京都新宿区)は、同社が手がけるコンビニエン スストア向けの社員紹介事業を通じ、第1号のコンビニ店長を送り出した。4年制大学を卒業後、コンビニでアルバイトを続けてきた27歳の男性フリーターを 登録スタッフとして、「サークルK」「サンクス」をチェーン展開するコンビニ大手のサークルKサンクスに紹介し、この7月にサークルKサンクスの本部が契 約、店長に起用した。

 セレブリックスHDはコンビニへの短期人材派遣事業の一環として、同社の登録スタッフのキャリアアップとコンビニ本部のフランチャイズ(FC)オーナー 確保策を目指した「コンビニ社員紹介予定派遣」を昨年から実施、そのなかの「フリーターでもコンビニ経営者になれる」(仮称)プランに沿って、初の店長を 送り出した。

 サークルKサンクスは、コンビニFC店のオーナー不足が深刻化していることに対応し、昨年、加盟金や共同契約者を必要とせず、1年契約でコンビニの経営 ができる、新しい経営委託契約制度の導入に踏み切った。通常、FC店オーナーになるには300万円以上の加盟金や共同経営者のほか、10年の契約期間が必 要なのに対し、この契約制度は初期投資・リスクが低くFC店の新たな担い手としてコンビニで働くフリーター層に着目した点が注目されている。

 セレブリックスHDはこの契約制度に沿って、登録スタッフのなかからコンビニ経営に興味のあるスタッフを紹介予定派遣でサークルKサンクスに紹介、半年 間の店舗勤務を経て、現在、2人が本部と契約し、残る1人も、店舗研修に取り組んでいる。

 第一号店長となった27歳の男性フリーターは、店長業務の経験はないものの、コンビニ店長に興味があり、将来的な不安もあったため、応募したという。

◆最低賃金「千円は必要」 県労連、国審議会答申受け要請 /熊本県
朝日新聞 2007年8月11日
 厚生労働省の中央最低賃金審議会が福岡県を除く九州・沖縄各県の最低賃金を6〜7円引き上げるよう答申したことを受け、県労連の楳本(うめもと)光男事 務局長らは10日、熊本市の熊本労働局に「生活費の確保だけでなく、地域活性化も考え、大幅な引き上げが不可欠」と賃金引き上げを要請した。
 県内の最低賃金は現在時給612円。県内の賃上げ額は、今後、熊本労働局長が熊本地方最低賃金審議会に諮問し、答申を受けて決める。
 政府と労使代表による「成長力底上げ戦略推進円卓会議」は7月、例年以上の引き上げを同審議会に求め、答申の引き上げ額は全国平均が14円となったが、 東京など都市部が19円の高水準だった一方、東北や九州などは抑えられた。地方での景気回復の遅れなどを考慮し、都市部での引き上げが優先されたという。
 楳本事務局長は「地方と都市部の格差、貧困を無くすには、最低賃金は千円は必要」と訴えた。

◆川崎市交通局労組、有罪幹部に「退職金」――選挙違反の8人、計1億円。
2007/08/10, 日本経済新聞
 二〇〇四年の参院選をめぐる川崎市交通局の川崎交通労組幹部による公選法違反事件で、有罪が確定した労組の元委員長(59)ら幹部八人に対し、労組と上 部団体の「日本都市交通労組」(東京・港)が、退職金などの名目で計約一億円を支給していたことが十日、分かった。
 組合活動中の損失を補てんする川崎交通労組の「犠牲者救援金」制度に基づく支給。谷野安喜夫委員長は「事件や処分で生活費を絶たれる組合員を救済する制 度だが、時代にそぐわないので現在、見直している」と話している。
 元委員長は民主党比例代表候補、那谷屋正義氏=当選=への選挙運動報酬として十五万円を受け取ったなどとして懲役一年六月、執行猶予五年の刑が確定し、 交通局を懲戒免職。ほかの七人も罰金の略式命令を受け、三―六カ月の停職処分となった。
 日本都市交通労組は昨年八月、元委員長に来年三月の定年までの給与、賞与と退職金に相当する約四千五百万円に裁判費用などを加え、計約六千万円を支給。 川崎交通労組も八人に対し停職などによる給与の減額分、計約四千万円を支払った。
 救援金制度には給与補てんのほか、逮捕に一万円、三カ月以上の懲役・禁固刑に二十万円の見舞金を支払うことなども規定されている。

◆国内企業、3分の2に女性管理職。
2007/08/10, 日本経済新聞
 女性管理職がいる企業は国内の企業の三分の二に――。厚生労働省の調査によると係長以上の女性管理職がいる企業は六六・六%で前回調査(二〇〇三年度) の六二・五%を四・一ポイント上回った。
 産業別では医療・福祉(九六・四%)や飲食店・宿泊業(八二・三%)、金融・保険業(八〇・二%)で割合が高く、電気・ガス・水道(三九・七%)や製造 業(五八・九%)などでは低い。ただ管理職にしめる女性の割合は前回調査比一・一ポイント上昇の六・九%にとどまる。

◆労働経済白書から(4)生産性、中小・大手の格差拡大――機械設備の量が主因。
2007/08/10, 日経産業新聞
 二〇〇七年版の「労働経済の分析」(労働経済白書)は、大企業と中小企業の労働生産性の格差が広がっていると指摘した。資金力で劣る中小が従業員一人の 使える機械設備の量で大手に及ばないことが格差の主因だ。内需依存度の大きい中小は外需主導の景気回復を十分に取り込めず、機械設備の稼働状況が改善しに くいことも格差に拍車をかけている。
 〇五年の中小企業の労働生産性は前年度比四・二%減の五百八十七万円だった。一方、大企業は三・八%増の千四百十八万円に高まり、格差は八百三十二万円 と一〇・六%拡大した。
 格差が拡大したのは従業員一人が使える機械設備の量をさす「資本装備率」の差にあるとみられる。厚生労働省の分析では格差の主因となっており、中小企業 が設備投資で大企業に遅れている様子がうかがえる。
 〇〇年以降は資本装備率だけでなく、機械設備の稼働状況をさす「資本回転率」も中小は相対的に低下している。外需主導の景気回復の波に乗る輸出型の大企 業に対し、内需に依存する中小企業は大手に比べ売り上げが伸び悩んでいることが響いている。
 特定の部品などに特化して技術を鍛錬する中小企業は付加価値の高さでは大手に対して優位を保ってきたが、それも徐々に優位性を失いつつあると白書は指 摘。「人材確保・育成が懸念されるなか中小企業の生産技能の蓄積も低下している」(白書)という。
 ▼資本装備率 従業員一人当たりの有形固定資産額のこと。従業員一人当たりが用いることのできる機械設備の規模をさす。数値が高いほど工場での機械化が 進んでいることになる。資本装備率は労働生産性を高める要素の一つで、機械化で資本装備率が高まれば労働生産性が上がる関係にある。

◆全国平均、最低賃金14円上げ、政府審議会小委が見解。
2007/08/10, 日経MJ(流通新聞)
 中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の小委員会は八日、二〇〇七年度の地域別最低賃金の改定目安について、全国平均で時給を十四円引き上げるこ とが適当とする見解をまとめた。時給で示す現行方式となった〇二年度以降では最高の引き上げ。
 現在の全国平均の最低賃金額は時給六百七十三円。
 引き上げの目安は、都道府県をAからDの四段階に分けて決定。東京や大阪などのAランクが十九円、埼玉や長野などのBランクが十四円、北海道や群馬など Cランクが九―十円、青森や徳島などDランクが六―七円。
 十日開催予定の中央最低賃金審議会で正式決定する。その後、都道府県の地方最低賃金審議会が具体的な引き上げ額を審議し、金額を決める。

◆ドラッグストア、人材確保へ、女性の労働環境見直し――育児へ時短制度、保育所開設。
2007/08/10, 日経MJ(流通新聞)
 ドラッグストア各社が薬剤師など女性従業員の福利厚生や労働環境の見直しを進めている。薬剤師は店舗運営に欠かせないが、各社とも女性比率が高く、出産 や育児などを機に離職するケースも多い。薬剤師不足が続くが、薬学部の六年制移行の影響もあり、二〇一〇年から二年間は薬剤師の採用が難しくなる。各社は 福利厚生面などで女性が子育てしやすい環境を整えることで薬剤師確保につなげたい考えだ。
 「この制度がなければ退職していたかも」。セイジョーの祖師谷一番店(東京・世田谷)で働く薬剤師の山崎ひろみさんの勤務時間は、午前九時から午後四時 までと同僚の薬剤師と比べて短い。
 山崎さんは初めての出産を機に育児休暇に入ったが、今年三月に職場復帰した。山崎さんが利用したのは、セイジョーが昨年十月に導入した「ウオーミング アップ制度」。育児休暇明けの正社員が対象で、子供が中学校に入るまで勤務時間を短縮できたり、土日・祝日の休暇などが認められたりする。
 出産前の山崎さんは午後十時まで勤務することもあり、「従来の労働環境では育児は難しかった」。育児をしながら薬剤師として働きたかったため、同制度を 利用した。セイジョーでは薬剤師の約六割を女性が占めており、「女性が働きやすい環境を整えることで離職を防ぎたい」(同社)考え。ウオーミングアップ制 度も女性薬剤師などから寄せられた意見を参考にした。
 北陸が地盤のクスリのアオキも勤続二年以上の正社員を対象に、規定勤務時間を八時間から六時間に短縮できる制度を導入。育児などでも働きやすい環境を提 供する狙いで、三人の女性社員が利用しているという。
 北海道・東北が地盤のツルハホールディングスは育児休暇中の女性社員などが家庭でもインターネットを使って接客などの研修を受けられるシステム開発を検 討している。同社はすでに社内のイントラネットを使って動画による研修システムを導入しているが、育児休暇中でもこうした研修を自宅で受けられるようにす ることで、技能向上につなげたい考え。
 同社は四月、札幌市内に保育所を開設。地域住民のほか自社従業員も利用できるため、保育所に子供を預けて働くことができるという。今後も東北や首都圏で の保育所開設も視野に入れる。
 出産や育児のほか、親族の介護のために女性薬剤師などが退職するケースもある。ウエルシア関東では正社員やパート社員を対象に、同社と提携関係にある応 援家族(東京都福生市)が運営する有料老人ホームの入居費用などを割引料金で利用できるようにしている。
 二〇〇九年施行の改正薬事法で医薬品販売の新資格「登録販売者」が導入され、薬剤師が店舗に常駐しなくとも医薬品を販売できるようになる。一方で薬剤師 は「専門性の高い接客が期待できる」(ウエルシア関東)ため、他社との差異化を目指して、女性薬剤師などの確保が引き続き課題となる。
 昨年、薬学部が六年制に移行した影響もあり、薬剤師の採用が難しくなるのは確実。福利厚生などの環境を整備し、女性薬剤師の確保を目指すドラッグストア は今後も増えそうだ。(遠藤邦生)
【図・写真】セイジョーは育児をしやすい環境を整えて、女性薬剤師の離職を防ぐ(東京都世田谷区の店舗)

◆大型店進出で需給逼迫、静岡県西部、パート確保激化――待遇改善相次ぐ。
2007/08/10, 日本経済新聞 地方経済面 (静岡)
正社員登用・時給アップ
 浜松市、湖西市など静岡県西部でパートタイマーの「囲い込み」が始まった。大型スーパーの相次ぐ出店などで需給が逼迫(ひっぱく)、人材流出を防ぐため 契約社員や正社員への登用、時給アップなどの待遇改善が相次いでいる。だが人件費増は不可避で、「パート対策」が大きな経営課題になってきた。
 「忙しいときに思ったように人が集まらなくなってきた」――業務用大型プリンターなどを組み立てるローランド・ディージー(DG)の都田事業所。女性 パートと派遣社員だけで現場を運営する独自の手法で注目されていただけに、高橋栄一プロダクション部部長の危機感は強い。
 このため今年四月、「製造専任職」という役職を新設し、もともといるパート六十人を一気に正社員にした。休日の取得しやすさはパート並みに維持し賞与な どの条件を大幅に引き上げた。
 流通業でも正社員・契約社員化が進む。二〇〇五年度から中核となるパートの契約社員登用を進めている遠鉄百貨店(浜松市)では今年から、契約社員の正社 員化にも積極的に取り組み始めた。賞与が約一カ月分増えるほか、一年契約ではなく、無期限の雇用形態に変わり安定的に働ける。昨年は二人だけだったが、今 年は四月に五人をすでに正社員とした。
 「イオンなどの大型店が進出し始めた三年ほど前から急速にパートの採用が難しくなった」。遠鉄百貨店ではこうみる。イオン以外にも県西部ではこの三年間 にホームセンター大手、カインズの大型店が三店、西友のショッピングセンターが一店相次いで出店。こうした大型店だけでパートの新規雇用数は二千人以上と みられる。
大丸開業で2300人
 浜松市では二〇一〇年に大丸も開業予定だ。同社と関連企業だけで二千三百人程度を採用する見通しで、さらにパートの逼迫感は強まる。
 パートの月間有効求人数は大型店出店前の二〇〇三年度で平均三万九千九百五十五人だったが、二〇〇六年度は四万六千二百十九人まで増加。一方、月間有効 求職者数は四万二千三百二十二人から三万千九百七十八人に減少。〇三年度までは一倍を下回っていた県西部のパートの月間有効求人数は〇四年度は一・二三 倍。昨年度は通年で一・四五倍だが、〇七年三月には単月で一・六九倍まで上がった。
 浜松市周辺は製造業が盛んで、正社員の働き口は多かった地域だが、流通業はそれほど多くなく、女性パートの求人倍率は高くなかった。だが、相次ぐ商業施 設の開業でパートの求人数は一気に増えて、逼迫の度合いが全国レベルに達した。
経営の重しに
 慢性的な人不足で、浜松市周辺の時給の相場は上昇傾向にある。遠鉄百貨店では〇四年時点で七百八十円だった時給が現在は八百二十円。地場スーパーのシー ズンセレクト(浜松市)では「手当などを含めて千円前後の時給で求人する場合もある」という。総菜・弁当店「知久屋」を展開する知久(同)では四月に中級 パートタイマーという役職を設け、勤続年数三年以上のパート二百人を登用。時給を二十円上げ八百三十円とした。
 パートは不況時に人件費削減など企業側の事情で活用してきただけに、各社のパートの待遇改善は人件費増を招く。遠鉄百貨店は契約社員や正社員への登用で 人件費が年間七百万―八百万円上がる見通し。「人は欲しいが正社員化は人件費の押し上げ要因になるため難しい」(シーズンセレクト)という企業もある。原 料高など他のコストアップ要因もあるなか、いかに安定的な収益を維持していくか、企業は新たな課題を抱え込んだ。
【図・写真】ローランドDGの都田事業所では女性パート約60人を正社員化した(浜松市)

◆鉄鋼各社、安全対策に力、生産急拡大で労災増加――新日鉄、コンベヤーに囲い。
2007/08/10, 日本経済新聞 地方経済面 (中部)
大同特殊鋼 講習専門の施設
 鉄鋼各社が生産現場の安全対策に力を入れている。新日本製鉄の名古屋製鉄所(愛知県東海市)は三十億円を投じ、工場内のベルトコンベヤーの安全を強化す る。大同特殊鋼は従業員などの安全講習に使う専門施設を工場内に設ける。増産に沸く鉄鋼業界だが、一方で労働災害は増加。安全確保の必要性が高まってい る。
 新日鉄の名古屋製鉄所は二〇〇九年春までに、工場内のすべてのベルトコンベヤー、計六十八キロメートルに柵を設ける。作業員の巻き込み事故などを防ぐ狙 いだ。またコンベヤー内部で担当者がメンテナンス作業などをする際の事故を防ぐため、作業時に休止したコンベヤーの再稼働は作業員本人しかできない仕組み を採用する。
 名古屋製鉄所では今年三月に作業員がコンベヤーに巻き込まれ死亡するなど事故が増加。増産投資や設備更新の工事中に事故が多く、工事にあたる協力メー カーの安全対策の支援も強化する。
 大同特殊鋼は来年三月までに、知多工場(同)内に高所作業や粉じんなどの危険性を体感できる約十の設備を備えた安全講習向け施設を設置。同社の生産活動 にかかわる約一万二千人(正社員約三千六百人含む)を対象に講習を実施する。全作業員を対象とする体感講習は初めてとなる。
 同社でも〇五年に工場内で死亡事故が発生。昨年六月に専門部署「安全推進部」を設置し、対策予算を与えて安全性向上を目指している。
 災害件数は少ない愛知製鋼も対策に取り組む。重傷事故を起こす危険性がある設備の洗い出しを急いでいるほか、トヨタ自動車グループの主要メーカーが統一 して実施する「ロックアウト」も実行する。設備の作動ボタンなどにふたや鍵を付けて事故を防ぐ工夫で、愛知製鋼では全生産ラインのうち約三百七十カ所を対 象に九月末までに完了させる計画だ。
 鉄鋼各社は一九九〇年代後半の不況で大幅な人員削減に踏み切ったこともあり、「作業員一人あたりの仕事量が増え、事故の一因となっている」(鉄鋼メー カー)。協力メーカーへの外注作業が増え、安全指導の不徹底を指摘する声もある。大型設備が多い鉄鋼の生産現場は事故の危険性も高く、協力メーカーと一体 になった対策強化が求められている。
【図・写真】高所作業の危険を体感できる設備などを活用し、作業員の安全への意識を高める(名古屋市の大同特殊鋼、星崎工場)

◆大分、伐採作業で事故、社長ら書類送検――安全衛生法違反の疑い。
2007/08/10, 日本経済新聞 西部夕刊 (社会面)
 豊後大野労働基準監督署(大分県)は十日、伐採作業中の安全措置を取らなかったとして、労働安全衛生法違反の疑いで、大分県豊後大野市の伐採会社「三重 グリーン」と社長(65)を書類送検した。
 調べでは、同社と社長は五月二十六日、豊後大野市三重町西畑の山林で、周囲の安全確認をせずに作業員に伐採作業をさせた疑い。切り倒した高さ約二十二 メートルの杉の木が別の男性作業員(56)の頭を直撃し、男性は脳挫傷で死亡した。

◆年金混沌、自・民の溝 自民、保険料の事務費充当を容認 民主、給付以外流用ダメ
朝日新聞 2007年8月10日
 参議院の与野党逆転を受け、年金など社会保障関係の法案の行方が混沌(こんとん)としてきた。民主党は9日、さきの通常国会で廃案となった「年金保険料 流用禁止法案」を参議院に再提出。年金制度の抜本改革も視野に入れて攻勢に出る。労働法制でも政府案との内容の隔たりは大きい。そんななかで、私たちの暮 らしに直結する重要法案の論議はどうなるのか――。

 民主党は参院選マニフェストで掲げた政策を(1)ただちに実現(2)予算含みで提案(3)政権交代後に実現――に3分類。流用禁止法案は「公約実行に向 け国民に対する重要なメッセージ」(菅直人代表代行)として(1)に分類。これを足がかりに政権交代後、年金制度の抜本改革に乗り出す考えだ。
 保険料の流用をめぐっては、1945年度から05年度までに計6・4兆円を給付以外に支出。グリーンピア(3千億円)、年金福祉施設(1・4兆円)など だ。これらの施設への支出はすでに打ち切られたが、現在も年金記録管理のシステム経費や年金相談など、運営経費3800億円(07年度)のうち、2千億円 を保険料で賄っている。
 与党が通常国会で成立させた社会保険庁改革関連法は、事務費にあてることを恒久化した。自民党の厚労族幹部は「民間の保険でも運営経費は保険料を使って いる。すべて禁止するのは不合理」と民主党案を批判。厚労省は、11年度稼働の年金記録の新システム構築の経費約2千億円に保険料をあてる計画だが、流用 が禁止されれば財源のめどが立たなくなる懸念もある。
 民主党は国政調査権を活用し、特殊法人などの無駄遣いを洗い出し、財源を調達する考えだが、政府・与党内には実効性を疑問視する声が強い。
 一方、通常国会に政府が提出し、継続審議となっている厚生、共済年金の一元化法案について、民主党は国民年金を含めた完全一元化を主張。秋の臨時国会で 政府案の是非を巡り激しい論争になりそうだ。
 保険料を主な財源とする現行の年金制度と、消費税を5%に据え置いたまま全額を最低保障年金の財源とする民主党案との隔たりも大きい。菅代表代行は2日 の記者会見で、「野党の段階での実現は難しい。民主党が政権を担えばやりますということを、常に示していく」と述べた。

 ◆残業代割増率で対立も 政府、80時間超 民主、すべてで
 継続審議中の労働基準法改正案など労働3法案の行方も焦点だ。民主党は秋の臨時国会での対応は決めていないが、これまでに、残業代の大幅な引き上げな ど、企業により負担を求める案を打ち出している。政府の労基法改正案は月80時間を超える残業について、残業代の割増率を現行の「25%以上」から 「50%以上」に引き上げる内容。一方の民主党案では、「残業はすべて割り増し50%以上」と、労働者に手厚い案を提示している。大幅な割増賃金を企業に 突きつけることによって、過労死の抑制につなげる狙いだ。
 また、最低賃金法の改正でも、政府案は最低賃金を生活保護の給付水準以上に引き上げることを目指すだけだが、民主党は「労働者とその家族の生計費」を基 本に全国一律の最低賃金制度(時給約800円を想定)の創設を提案。さらに地域ごとに上乗せし、施行後3年間で全国平均の時給を千円にするとしており、現 在の全国平均673円から大幅なアップを求めている。
 民主案に対し、経済界は困惑を隠さない。一定条件の社員を労働時間規制から外すホワイトカラー・エグゼンプションの規定が労基法改正案から削除されるな ど、「選挙前だからといって大幅な譲歩を強いられた法案内容なのに、これ以上労働者よりの法案にされたらたまらない」(中小企業団体)というわけだ。

 ■年金・労働 民主党と政府・与党の考え方
 【民主党】
 <年金制度の一元化>
 厚生年金、共済年金、国民年金を統合
 <財源>
 基礎年金部分は税方式に
 <保険料の使途>
 年金の支給に限定
 <社保庁改革>
 国税庁と統合し、「歳入庁」を設置
 <記録確認>
 納めた保険料がいつでも確認できる「年金通帳」を交付
 <最低賃金>
 全国一律(時給約800円)にした上で、地域ごとに上乗せし、平均1千円に

 【政府・与党】
 <年金制度の一元化>
 厚生年金と共済年金を統合
 <財源>
 現行の保険料方式が中心
 <保険料の使途>
 事務経費の一部に充当可能
 <社保庁改革>
 10年1月に廃止し、年金業務を非公務員型の公法人「日本年金機構」に移管
 <記録確認>
 納めた保険料がわかる「ねんきん定期便」を加入者に毎年1回送付
 <最低賃金>
 生活保護水準以上に引き上げ

◆「日雇い」半数、失業も フルキャスト、きょうから事業停止
朝日新聞 2007年8月10日
 違法派遣で東京労働局から事業停止命令を受けた日雇い派遣大手フルキャスト(東京都渋谷区)は、10日から新規の派遣ができなくなる。事前に契約を終え ていた取引先への派遣はできるが、1日約1万2千人の同社の派遣労働者のうち半分近くが仕事を失うとみられる。失業補償が受けられる見込みはなく、労組は 「安全網のないまま放置された状態」と訴えている。
 フルキャストは労働者派遣法で禁止されている港湾業務に派遣したとして、違法派遣をした神戸市の3事業所は2カ月、残る全事業所(6月末で313カ所) は1カ月の事業停止命令を受けた。
 ただ、処分が始まる10日までに適正に契約が結ばれているものは、労働者の仕事を守る必要性もあり、そのまま派遣を続けることができる。同社は3日に事 業停止命令の通知を受けた後、取引先との契約を長期化するなどで影響を抑えようとした。それでも半分近い仕事が失われる見込みだ。
 新たな仕事の募集がなくなり、日雇い派遣労働者があてにしていた給料をもらえないとしても、補償される仕組みはない。
 日雇い労働者への失業手当制度(日雇い雇用保険)も、厚生労働省は「現在の日雇い派遣は想定外」として適用していない。学生らが一時的に働く事例も多い として、保険適用の前提となる「生活を支える仕事」に該当するとは言い切れないとの判断だ。
 派遣労働者でつくる派遣ユニオンは「事業停止で仕事からあぶれてしまったら、寝るところや食べるものさえ奪われかねない」と指摘している。

 ◇安全網の整備急げ(くらしの視点)
 フルキャストの事業停止で、一番割を食うのが同社に登録している日雇い派遣労働者だ。
 正社員や長期の派遣労働者なら、会社側の責任で仕事がなくなれば、賃金の6割以上の休業手当がもらえる。クビになっても、失業保険で一定期間は食いつな ぐことができる。
 だが、日雇い派遣労働者は会社から仕事を紹介するメールが届かなくなっても救済制度はなく、明日の糧が期待できなくなる。厚生労働省も「保護制度が現状 に追いついていない」と、安全網の立ち遅れを認めている。
 規制緩和によって日雇い派遣業界は急成長してきた。そこで働く弱い立場の労働者を守る制度も、急ぐ必要がある。

◆(もっと知りたい!)石綿調査、高い女性死亡率 生活空間の汚染を強く示唆
朝日新聞 2007年8月10日
 兵庫県尼崎市のクボタ旧工場周辺で、多数の住民が石綿のため亡くなっていた「クボタショック」。それから2年。今年5月末に出た環境省の初の健康被害調 査で、旧工場の周辺では、中皮腫による女性の死亡率が最大で全国の68・6倍にのぼることが分かった。何が起きているのか。
 (下地毅)

 人口46万人の尼崎市は昭和初期から工業を中心に発展してきた。クボタ旧工場があった小田地区は、JR尼崎駅を中心に東西約3・3キロ、南北約2・3キ ロ。工場と住宅・商業施設が混在する市の中心地の一つだ。
 環境省の調査によると、02〜04年に中皮腫で亡くなった尼崎市の住民の割合は、全国平均に比べ女性で最大14・5倍、男性で12・1倍。とくに小田地 区では女性で68・6倍、男性で21・1倍になった。小田に接する中央地区でも女性18・3倍、男性5・7倍。工場に近いほど高くなる傾向にあった。
 中皮腫はきわめて珍しいがんで、石綿を扱う仕事に就いたことがない人の場合、100万人に年1〜2人程度しか発症しないとされる。今回の調査対象は居住 歴などから絞り込んだ約18万人。3年間で42人が中皮腫で亡くなっていた。このうち、ふだんの生活で石綿が飛散している状態を指す「環境暴露」が原因と 疑われる人が最低10人も含まれていた。
 石綿関連職業に就く機会が少なく、地域にいる時間が長い女性の高さは、一般の大気が石綿に汚染されていたことを強く示しているといえる。
 また、環境省の調査に先行した車谷典男・奈良県立医大教授らの疫学調査もある。
 クボタ旧工場に近づくほど中皮腫死亡率は男女とも上昇し、女性では最大54・1倍だった。発がん性が強いとされる青石綿が工場内で使われていた70年代 の周辺石綿濃度も推定しており、今回の結果を重ねると=図=工場の石綿と住民被害の関係が浮かびあがる。
 今回の公表を受け、地元からはあらためて「公害ではないか」との声があがった。
   *
 しかし、環境省は調査数が少ないことを理由に環境暴露の存在には否定的だ。5月28日、数値が公表された「石綿の健康影響に関する検討会」では委員の学 者らから「数値は環境暴露を強く示唆している」と異議が続出し、結局この報告書だけが「中間とりまとめ」という玉虫色の表現でまとめられた。座長の内山巌 雄京大教授は「表現を再検討する」と話す。
 「石綿公害」として、尼崎市に公害健康被害補償法の適用を求める被害者らの声に対しても、環境省石綿健康被害対策室は「工場と住民の被害との因果関係が はっきりしない。公害指定は検討もしていない」と話す。
   *
 環境省は今回、石綿を扱う工場があった大阪府泉南地域、佐賀県鳥栖市と尼崎の3地点で健康リスクも調べた。3地点ともに、労働現場外で石綿を吸った可能 性がある人に石綿肺をうかがわせる所見が見つかった。
 また、佐賀・大阪両府県では労働現場が由来だということが確認できない中皮腫が15〜17%あった。環境暴露の可能性を示すデータだ。
 環境省は今後、奈良県、岐阜県羽島市、横浜市鶴見区を加えた6地点でリスク調査を続ける。それぞれ従業員に大きな被害を出した企業があるが=表=、住民 被害の広がりは把握の難しさと企業が情報公開に後ろ向きで分かっていない。
 いずれの地域でも現在は石綿は使われておらず、大気中の石綿濃度は尼崎でも異変はない。だが、中皮腫など石綿疾病は潜伏期間が長く、石綿が大量に使われ たのが60〜80年代だったことから、今後の発症が心配される。
 6地点の調査は、各工場で石綿が使われた年代に地元に住んでいた人が中心で、本人の申し出が必要だ。被害の実態をつかむためには、広報など調査に参加し やすい体制つくりも大切だ。

■健康リスク調査6地域の被害(★は新規)
(1)主な石綿関連企業
(2)従業員と住民の被害状況(3月31日現在、企業公表分)

●兵庫県尼崎市
(1)クボタ旧神崎工場、旧尼崎工場
(2)従業員(労災認定数):申請者を含め144人 住民(企業の「補償金」支払い):125人

●大阪府泉南地域
(1)60〜70年代に200以上の工場が密集
(2)(全工場が閉鎖しており企業による救済制度なし)

●佐賀県鳥栖市
(1)旧日本エタニットパイプ(現リゾートソリューション)鳥栖工場
(2)従業員:5人 住民:なし(06年9月11日現在)

●奈良県★
(1)ニチアス王寺工場と子会社の竜田工業
(2)従業員:ニチアス57人、竜田工業33人 住民(※)

●岐阜県羽島市★
(1)ニチアス羽島工場
(2)従業員:38人 住民(※)

●横浜市鶴見区★
(1)旧朝日石綿工業(現エーアンドエーマテリアル)横浜工場
(2)従業員:19人 住民:なし
<(※)ニチアス全体(子会社を含む)で住民の被害は6人>

◆知事選、主な候補の第一声 /埼玉県
朝日新聞 2007年8月10日
 (31面から続く)

 ◆「行革日本一」めざす 上田氏
 県内の各界各党から推薦や支援を頂いた。大きな団体の応援もありがたいが、各界各党から漏れた人たちを県庁は救えるのかという点を大事にしてきたつもり だ。
 自分が何かをやったというより、やって頂いた。まず、犯罪が4分の1近く減り、検挙率が2倍になった。納税率がV字回復し、企業誘致大作戦の果実はこれ からだが税収はバブル期を超え史上最高に。天下りを廃止し、県職員の定数を削減。単年度の県債依存度を3・2ポイント減らした。医療福祉の予算は4年間で 3割増やした。マニフェスト53項目と「みどりと川の再生」「行革日本一」「女性のチャレンジ支援」を掲げて戦う。

 ◆予算の使い道改める 吉川氏
 働く貧困層・ワーキングプアの問題は県内でも深刻だ。パート・派遣労働者保護条例を作って、公共事業を発注する場合には、労働者の処遇が適正な企業を優 先する。
 八ツ場ダム、スーパー堤防の建設、大企業誘致などの無駄遣いを中止する。県予算の使い道を根本的に改め、緊急に必要な福祉、教育、医療などに使ってい く。
 医師不足を解消するために、医学生に奨学金を支給して、埼玉県に定着してもらう制度を作るほか、県内の国公立大の医学部設置を検討する。
 ドメスティックバイオレンス、児童虐待の対策では、被害者をかくまうシェルターや児童相談所の職員を増やしていく。

◆正社員化、なお法の壁 要件厳格、改正後もパート救われず 林弘子 【西部】
朝日新聞 2007年8月10日
 今年の5月、改正パート労働法が成立した。次の三つの要件をクリアできるパート労働者と正社員の差別的な取り扱いが禁止された。(1)職務(仕事の内 容・責任)が正社員と同じ(2)雇用の全期間人材活用のしくみ(転勤や配転の有無および範囲)が正社員と同じ(3)契約期間の定めがない、または反復更新 することにより無期契約と同視できる、の三つだ。果たしてこの3要件をクリアできるパート労働者がいるのか、と国会審議でも問題になった。
 今回の改正後、名古屋銀行本店で働く坂(ばん)喜代子さん(55)は3要件をクリアしているとして団体交渉を始めた。労働時間は正社員より2時間15分 短いが有期契約を更新して28年間働いてきた。現在、時給は900円、ボーナス1万8千円、年収約100万円である。
 最初は豊明支店にパートとして採用されたが、頸肩腕症で労災認定されて10年間休職後、本店に復職した。職務内容は正社員と同じで、98年から正社員と しての採用を求めてきた。しかし、パート労働法改正後の交渉で銀行は、坂さんの本店への異動は「転勤」ではなく「配慮」と主張して(2)の要件を認めず、 交渉は難航している。
 もともと3要件をクリアできるパート労働者は約4〜5%に過ぎないといわれている。その少数に入ると思われた坂さんが苦戦しているように、現実的に救わ れる労働者は極めて限られている。
 坂さんが正社員化を要求し始めた90年代は、60年代に続く女性雇用差別裁判ブームであった。86年の男女雇用機会均等法施行前後に、大企業を中心に導 入された男女コース別雇用管理制度の違法性を争う裁判が続いたためだ。
 総合職―男性、一般職―女性のコース別のため、一般職の女性労働者たちの賃金は総合職の5〜6割しかない。住友電工、住友化学、野村証券、岡谷鋼機、兼 松等の一般職女性たちが原告となった。だがほとんどが均等法施行前の入社だったために敗訴した。
 裁判所は、97年の改正によって禁止されるまで均等法が配置・昇進に関する男女の平等取り扱いを「努力義務」としていたことを根拠とした。この改正均等 法が施行される99年までは時代を限って「(性差別を禁止した)憲法14条の趣旨には反するが、当時の公序良俗には違反しない」差別という、まったく理解 に苦しむ解釈をしたのである。
 これらの裁判は兼松を除き高裁で和解したが、その後、女性正社員を全く採用しなくなった企業もある。改正均等法では男女コース別制度は違法とされたため に、同法施行後の裁判の中心は正社員と非正規社員の差別問題に移行した。
 男女の賃金差別については、労働基準法4条が女性であることを理由とする差別を禁止している。均等法は賃金以外の男女の差別待遇を禁じるが、正社員間も しくは非正規社員間の差別に限られる。したがって、男性正社員と女性パート労働者が、同じ仕事をしているのに待遇に格差があっても、雇用形態が異なるため に均等法違反ではない。
 ただし、女性正社員と女性パート労働者については判例がある。96年の丸子警報器事件判決は、両者が同一労働をしている場合、2割以上の賃金格差は違法 とした。
 イギリスを始めとする欧州連合(EU)諸国では、正社員(男性)とパート労働者(女性)の賃金格差は、外見上は性的に中立な基準が一方の性に対して著し い不利益をもたらす間接差別に該当すると解釈されている。
 日本でも06年の均等法改正の際に、間接差別禁止規定が新たに設けられた。だが、正社員(男性)とパート労働者(女性)の格差は間接差別の定義には含ま れなかった。このため、正社員とパート労働者の均等待遇の実現は、今年のパート労働法の改正に持ち越されたが、結果は期待を裏切るものだった。
 均等法成立から22年。正社員間の男女賃金格差はわずかに改善された。だが、非正規社員が女性労働者の過半数になったために全体としての男女間賃金格差 はむしろ拡大している。
 解決策として注目されるのが、日本ではいまだに裁判規範として確立していない二つの原則だ。同じ仕事には同じ賃金を支払う「同一労働同一賃金の原則」 と、雇用形態や職種の違いを越えて、男女の労働の価値の比較評価を法令で義務付け賃金を決める「同一価値労働同一賃金の原則」である。
 日本政府は、67年に「同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬」に関する国際労働機関(ILO)100号条約を批准している。ILOの条 約勧告適用専門家委員会から現在、同一価値労働同一賃金原則の立法化の検討を求められている。
   *
 はやし・ひろこ 福岡大教授(労働法) 福岡県飯塚市生まれ。米イエール大ロースクール、コロンビア大ロースクールなどで客員研究の後、85年から現 職。03年から弁護士兼務。

◆賃金不払い容疑で業者を書類送検 津 /三重県
朝日新聞 2007年8月10日
 津労働基準監督署は9日、津市高茶屋小森町の土木業者「新光土木」と、同社社長(56)を労働基準法違反(賃金不払い)の疑いで津地検へ書類送検した。
 調べでは、同社は社員6人に、1月分の賃金約140万円を支払わなかった疑い。同社は公共工事の受注などで得た資金があったのに賃金に回さず、取引先へ の支払いに充てていたらしい。1月下旬に全従業員を解雇したという。

◆中国人実習生に3分の1の時給 容疑で業者を書類送検 平戸 /長崎県
朝日新聞 2007年8月10日
 中国人の技能実習生に最低賃金の3分の1程度しか時給を支払わなかったとして、江迎労働基準監督署は8日、平戸市生月町の縫製業者「ブレスト」と経営者 の男性(54)を最低賃金法違反の疑いで平戸区検に書類送検した。同社側は「違法と認識していた」と容疑を認めている。
 調べでは、同社は05年7月〜06年5月、国の外国人研修・技能実習制度に基づいて雇った中国人実習生の女性18人に時給225〜250円しか払わな かった疑い。県が定めた最低賃金は時給608円(05年10月〜06年9月)で、18人が受け取った給与との差額は計1500万円に上るという。
 同署によると、同社は99年以降、この制度で毎年10人前後の中国人実習生を雇っているが、やはり同程度の時給しか支払っていなかったといい、8年間で 総額約1億円の差額が出たとみている。


UP:20071114 REV:随時
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