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日本における働き方/働かせ方
労働
last update: 20100610
*作成:
橋口 昌治
・
村上 潔
■〔憲法記念日〕非正社員の生存権が危うい
(2008年5月3日『京都新聞』社説)
「 「明日から来なくていい」。突然、首を言い渡されることも珍しくない。失業が前提なのだ。
そうかと思えば、「すぐに来られるか」と再度、声をかけられることもある。低賃金のうえ、企業にとっては景気や受注に合わせて労働力を調節できる便利な「調整弁」でもある。
これが、アルバイトやパート、派遣社員など非正規雇用の実態という。そんな若者らによる小さなメーデーの催しが先月末、京都市内であった。
主催したのは関西非正規等労働組合(通称・ユニオンぼちぼち、京都市南区)。京都や大阪などの非正規雇用の若者たち約五十人が加盟する。
「恩恵としての祝日よりも、権利としての有給を」を合い言葉に集合。
恩恵としての祝日は給料が出ない。休んでも給料が出る権利としての有給を−というわけで、プラカードを手に約百人がデモ行進した。
若者を中心に非正規の雇用が増え、全従業員の三分の一を超えた。いくら働いても収入が低く、ぎりぎりの生活を強いられるワーキングプア(働く貧困層)も増加の一途をたどる。
今や、日本の現状は「格差」というよりも、むしろ「貧困」とみるべきだとの指摘が相次ぐ。
国民投票法成立など、安倍晋三政権下で盛んだった憲法改正論議は、昨夏の参院での自民党大敗を受けて誕生した福田康夫政権では一転、開店休業の状態が続く。
代わって若者の貧困との関係でクローズアップされたのが生存権だ。
きょうは六十一回目の憲法記念日。暮らしの足元で、憲法がないがしろにされてはいないか。
◆解雇前提で調整弁?
生存権は、日本国憲法の第二五条で保障している。
1項で「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と定め、続く2項では「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と記す。
国民が、人間らしく生きてゆくために必要な条件、待遇などの確保を国に要求する権利なのだ。
ただ、憲法改正といっても大抵の人は実感がないように、日常生活のなかで、憲法を意識することはほとんどないかもしれない。
ユニオンぼちぼちの結成にかかわった副執行委員長の中村研さんも「解雇されるのが当たり前の状況の中で危機感は強いが、すぐに二五条を意識するわけではない」。
非正規やフリーターであることは、努力が足りないなど自己責任が強調されてきた。ものが言えない時期が続いていたのが「仕事を。残業代を払え。私たちも苦しいんだと声をあげられるようになったのが大きい」と言う。
それにしても「解雇が前提」、「調整弁」というのでは、若者たちの生存権が危うい。
◆派遣法改正が後押し
若者の雇用・労働事情が急激に悪化したのは一九九〇年以降だ。バブル崩壊後のリストラを背景に、九三、四年から長期の「就職氷河期」に入る。
新卒でも正社員になれず、フルタイムの非正社員が増えた。
背景に、日経連が九五年に打ち出した雇用戦略や小泉純一郎政権時の「市場原理主義」に基づく経済成長路線と規制緩和があるのは間違いない。
中でも、コスト削減を狙う企業を後押ししたのが労働者派遣法の改正だろう。限定されていた派遣の対象が、九九年の改正で原則自由化され、日雇い派遣が一気に拡大した。
企業にとってはメリットだが、低賃金で不安定な非正規雇用の若者への社会的な対応はなかったと、龍谷大の脇田滋教授は指摘する。
ほかの国でも同様の問題があるが、「パート」から始まったのは日本だけといい、特有の結果を招いたとみる。
六〇−七〇年代、正社員が九割を占める中、家計補助として行われた主婦のパート、学生アルバイトが事の始まりで、それゆえに賃金や社会保障、雇用環境への要求は弱い。
低劣な労働条件であっても社会問題化せず、労働組合も目をつぶってきたというのだ。
◆権利脅かすのは誰だ
組合はここへきて気づいたが、今も憲法二五条で保障する若年労働者の生存権を脅かしているのは政府であり、企業ではないかというわけだ。
そうした目で周囲をみると日本社会で「最後のセーフティーネット」とされてきた生活保護制度も心配になる。
老齢加算の廃止に続き、母子加算の削減も始まった。
窓口で受給者を減らす「水際作戦」が問題化したこともあった。北九州市で生活保護を打ち切られた男性が餓死した後、残された日記に「おにぎりを食べたい」と記されていたのは記憶に新しい。
財政健全化も分からないではないがそこには、弱い立場の人たちへの思いが欠けている。
同じことは、七十五歳以上のお年寄りを対象とした後期高齢者医療制度にも当てはまるのではないか。
「生きさせろ」の叫びは、非正規雇用の若者だけに限らない。
若者に希望、お年寄りに安心−が福田首相の国づくり方針のはずだ。
政府が憲法二五条の生存権を脅かしてどうする。」
◆20080212 『婦人之友』2008年3月号
▼第2特集「支えあう ひろがる 暮らしを大切にする働き方」
・男女ともに育児休業の取得を勧める(株)カミテ 秋田県小坂町
・共に働く仲間として 全労金の賃金シェア
・オランダの選択 0.5人分は家族のために
・ワークシェアリング再考 竹信三恵子(朝日新聞編集委員)
http://www.fujinnotomo.co.jp/
◆20070710 『インパクション』158
▼特集:〈非正規化〉する対抗の場――労働ではない「お仕事」?
◇古田睦美(聞き手・海妻径子)「オルタナティブ・ワークの企業化にどう対抗するか」8-23
◇金田麗子(聞き手・大橋由香子)「正社員ではない働き方――パート労働からスペースの専従へ」24-43
◇成定洋子「フェミニズムへの致命的な忠誠心?――女性センターの場合」44-53
◇金靖郎「生協は新自由主義[ネオリベラリズム]と共存できるのか――格差社会と生協の危機(?)」54-61
◇鎌倉淑子「今、公共図書館で起こっていること」62-64
◇地主明広「支援者を雇うということ」66-75
◇亀口まか「ペイドワーク/アンペイドワーク――コミュニティ・カフェ事業の実践から」76-78
◇岸本聡子「柔軟・安定的な雇用確保と予算縮小の間で」79-81
◇海妻径子「「対抗の場」と「再生産」の保障」82-89
http://www.jca.apc.org/~impact/magazine/impaction.html
▼
マルクスは、『資本論』の「労働日」の章で、労働時間の制限と短縮は、労働者が人間としての尊厳を保持するためにも、人間としての発達の場の確保するためにも必要であると述べている。ILOの文書は「権利が保障され、十分な収入が得られ、適切な社会的保護が与えられた生産的な仕事」をディーセント・ワークと定義しているが、スミス流に言えば「社会的規準からみて人並みの生活ができる仕事」、マルクス流にいえば「労働者の人間的尊厳と正常の精神的・肉体的発達を可能にする仕事」と言うことができよう。
あえてこれを言うのは、働きすぎと貧困に曝されている日本の労働者にとっては、「まともな労働時間」と「まともな賃金」を保障するディーセントワークがきわめて >17> 重要な意義をもっていると考えるからである。一方で、非常に労働時間が長く、たとえ賃金は高くても自分の時間がほとんどない「タイムプア」が存在し、他方で、あまりにも雇用が不安定で、賃金が低いために、人並みの生活ができない「マネープア」が存在する。これではどちらもディーセントではない。タイムプアとマネープアのどちらもなくしていくには時短と賃上げ、とりわけサービス残業の根絶を含む長時間残業の規制と、最低賃金とパート賃金の大幅な引き上げをともなう賃上げが肝要である。
「男は仕事、女は家庭」プラス「男は残業、女はパート」の性別分業を維持して、男性は家族的責任を負担せずに、能動的生活時間の大部分を会社に捧げ、女性は家族責任に縛られて非正規労働に追いやられるという日本的な働き方を変えないかぎり、女性の低賃金と男性の長時間労働はなくならい(ママ)。組織率の低下に悩む労働組合の再生の可能性も、こうした意味での時短革命と時給革命に労働組合がどれだけ取り組むことができるかどうかにかかっている。この点でもディーセントワークの実現が急務である。
(森岡[2008:16-17]*)
*森岡 孝二 20080310 「雇用・労働の二極分化の働き方」,『社会文化研究』10:1-17 (特集:脱「格差社会」への課題)
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『企業社会と会社人間』
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『管理職層の人的資源管理――労働市場論的アプローチ』
,有斐閣,255p. ISBN-10: 4641161593 ISBN-13: 978-4641161597 ¥3465
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◇禹 宗? 20030225
『「身分の取引」と日本の雇用慣行――国鉄の事例分析』
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佐口 和郎
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『人事労務管理の歴史分析』
,ミネルヴァ書房,454p. ISBN-10: 462303786X ISBN-13: 978-4623037865 ¥6000
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◇高橋 伸夫 2004 『虚妄の成果主義――日本型年功製復活のススメ』,日経BP社
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『労働市場の経済学――働き方の未来を考えるために』
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佐口 和郎
・中川 清 編 20050630
『福祉社会の歴史――伝統と変容』
,ミネルヴァ書房,399p. ISBN-10: 4623044130 ISBN-13: 978-4623044139 ¥3990
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『勤労意欲の科学――活力と生産性の高い職場の実現』
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◇日本能率協会 編 20061115
『成果主義の新展開――人と組織の持続的成長を実現する』
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◇佐藤 厚 編 20070530
『業績管理の変容と人事管理――電機メーカーにみる成果主義・間接雇用化』
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◇野村 正實 20070815
『日本的雇用慣行――全体像構築の試み』
,ミネルヴァ書房,453p. ISBN-10: 4623049248 ISBN-13: 978-4623049240 5040
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◇沼上 幹・軽部 大・加藤 俊彦・田中 一弘・島本実 20070822
『組織の〈重さ〉――日本的企業組織の再点検』
,日本経済新聞出版社,262p. ISBN-10: 4532133378 ISBN-13: 978-4532133375 3800
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◇小倉 一哉 20071107
『エンドレス・ワーカーズ――働きすぎ日本人の実像』
,日本経済新聞出版社,261p. ISBN-10: 4532352835 ISBN-13: 978-4532352837 2000
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◇
日本社会臨床学会
編 20080430
『「教育改革」と労働のいま』
,シリーズ「社会臨床への視界」第一巻,現代書館,325p. ISBN-10: 4768434754 ISBN-13: 978-4768434758 \3000
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[kinokuniya]
※ 0109 w0106
*このファイルは文部科学省科学研究費補助金を受けてなされている研究(基盤(B)・課題番号16330111 2004.4〜2008.3)の成果/のための資料の一部でもあります。
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/gr/gsce/p1/2004t.htm
UP:20070816 REV:20070831 0910 20080215 0415 0504 1013 1118, 20100610
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