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障害者の在宅就労

障害者と労働

last update:20101201

■目次

障害者の在宅就労に関するリンク集
文献
新聞記事


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■障害者の在宅就労に関するリンク

◆独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構
◇障害者の在宅就労支援ホームページ「チャレンジ・ホームオフィス」 http://www.challenge.jeed.or.jp/index.html
◇在宅勤務障害者雇用管理マニュアル http://www.challenge.jeed.or.jp/man/index.html
◇障害者の在宅勤務・在宅就業ケーススタディ −20の多様な働き方− http://www.jeed.or.jp/activity/education/zaitaku_casestudy20.html

◆民間支援団体
◇特定非営利活動法人ウィーキャン世田谷 http://www.w-setagaya.org/
◇特定非営利活動法人 札幌チャレンジド http://s-challenged.jp/
◇特定非営利活動法人 トライアングル西千葉 http://www9.plala.or.jp/triangle_nishi/
◇特定非営利活動法人 障がい者就業・雇用支援センター http://www.homework.or.jp/
◇特定非営利活動法人 バーチャルメディア工房ぎふ http://www.vm-studio.jp/
◇特定非営利活動法人 アイ・コラボレーション http://www.i-collabo.com/
◇株式会社 アンウィーブ http://www.unweave.jp/
◇特定非営利活動法人 JCIテレワーカーズネットワーク http://www.jci-tn.jp/index.html
◇特定非営利活動法人 ぶうしすてむ http://www.busystem.jp/
◇特定非営利活動法人 アイ・ネットワークくまもと http://www.npo-ink.jp/
◇特定非営利活動法人 障がい者自立生活センター 「ほっと大仙」 http://www.hotdaisen.jp/
◇特定非営利活動法人 在宅就労支援事業団 http://www.jigyodan.or.jp/
◇特定非営利活動法人 電気仕掛けの仕事人 http://www.sigotonin.jp/
◇eふぉーらむ http://www.e-forum.jp/
◇SOHO未来塾 http://www.sohomiraijuku.jp/
◇キャドパーク http://www.eonet.ne.jp/~cad-park/
◇VCOM http://www.vcom.or.jp (→現在アクセスできず。こちらのリンクに説明あり。http://www.kri.sfc.keio.ac.jp/ja/consortium/VCOM.html

◇社会福祉法人 プロップステーション http://www.prop.or.jp/index.html
◇社会福祉法人 東京コロニー 職能開発室 http://www.tocolo.or.jp/syokunou/
  トライアングル http://www.tocolo.or.jp/syokunou/triangle/vol01.html
◇社会福祉法人 兵庫県社会福祉事業団 兵庫県立総合リハビリテーションセンター 職業能力開発施設 http://www.hwc.or.jp/noukai/
◇社会福祉法人 大阪市障害者福祉・スポーツ協会 大阪市職業リハビリテーションセンター http://www.v-sien.org/
◇社会福祉法人 ふらっと http://www.ptp-net.com/index.html
◇社会福祉法人 山梨県障害者福祉協会 バーチャル工房やまなし http://www.y-virtual.jp/

◇株式会社 OKIワークウェル http://www.okiworkwel.co.jp/
◇ワークスネット株式会社 http://www.e-worksnet.co.jp/
◇株式会社FVP(福祉ベンチャーパートナーズ) http://www.fvp.co.jp/

◆地方自治体
◇宮崎県 在宅ワーク支援事業 http://www.pref.miyazaki.lg.jp/contents/org/shoko/rodo/home_work/index.html
◇高知県「マイセルフ・ネットワーク」 http://www.gallery.ne.jp/~myself/
◇岐阜県「バーチャルメディア工房事業」 → NPO法人バーチャルメディア工房ぎふ http://www.vm-studio.jp/

◆年表
2000年 厚生労働省「情報機器の活用による重度障害者の社会参加就労支援連携モデル事業」
1994年 日本障害者雇用促進協会委託調査「在宅勤務方式による重度障害者の雇用促進に関する調査研究T」 6419事業所中24事業所で51名の障害者が在宅雇用
1991年 「雇用保険ならびに身体障害者雇用率制度の在宅勤務者に対する適用上の指針」
1991年 東京コロニー ONE−STEP企画
1990年 プロップステーション発足
1985年 「重度障害者の在宅就労の実態と問題点」電話アンケート調査
1980年代 東京コロニーにおいて東京都からの字補助事業として重度身体障害者在宅パソコン講習事業開始


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■文献

◇厚生労働省職業安定局高齢障害者雇用対策部障害者雇用対策課 2007 「在宅就労の現状について (特集 在宅就労の現状と課題)」『リハビリテーション』 鉄道身障者福祉協会 499: 18-22
◇中根 雅文 2007 「視覚障害者と在宅就労--その課題と可能性 (特集 在宅就労の現状と課題)」『リハビリテーション』 鉄道身障者福祉協会 499: 14-17
◇濱田 英雄 2006 「HP-1-6 ITを活用した障害者の在宅就労の実例と展望(HP-1.ITが拓く近未来の福祉情報システム,パネル討論,ソサイエティ企画)」『電子情報通信学会総合大会講演論文集』 社団法人電子情報通信学会 2006 : SS-55
◇菊池 恵美子 2006 「作業療法士と就労支援--連携の輪を創りネットワークを拡げるために」『福島県作業療法士会学術誌』 福島県作業療法士会 1 1: 15-20
◇上村 数洋 2006 「IT社会における重度障害者の在宅就労支援を考える (特集 在宅就労している障害者(2))」『リハビリテーション』 鉄道身障者福祉協会 480: 29-33
◇木村 良二 2006 「在宅勤務を中心とした特例子会社のチャレンジ (特集 在宅就労している障害者(2))」『リハビリテーション』 鉄道身障者福祉協会 480: 24-28
◇佐々木 夏実 2006 「障害のある人の在宅就労に関わった情報発信とITサポート (特集 在宅就労している障害者(2))」『リハビリテーション』 鉄道身障者福祉協会 480: 20-23
◇白石 恵一 2006 「「障害者の在宅就労」とは (特集 在宅就労している障害者(2))」『リハビリテーション』 鉄道身障者福祉協会 480: 16-19
◇吉村 隆樹 2006 「私の在宅勤務 (特集 在宅就労している障害者(2))」『リハビリテーション』 鉄道身障者福祉協会 480: 12月15日
◇ 2006 「特集 在宅就労している障害者(2)」『リハビリテーション』 鉄道身障者福祉協会 480: 12-33
◇中川 美貴子 2005 「障害者SOHO--等身大のワークスタイル (特集 在宅就労している障害者(1))」『リハビリテーション』 鉄道身障者福祉協会 479: 26-30
◇新原 弘一 2005 「在宅勤務のチャンスをつかんで (特集 在宅就労している障害者(1))」『リハビリテーション』 鉄道身障者福祉協会 479: 22-25
◇北神 あきら 2005 「在宅で働く (特集 在宅就労している障害者(1))」『リハビリテーション』 鉄道身障者福祉協会 479: 18-21
◇金原 平太 2005 「在宅就労の現状と私生活 (特集 在宅就労している障害者(1))」『リハビリテーション』 鉄道身障者福祉協会 479: 14-17
◇安達 文洋 2005 「視覚障害者の在宅勤務 (特集 在宅就労している障害者(1))」『リハビリテーション』 鉄道身障者福祉協会 479: 10月13日
◇ 2005 「特集 在宅就労している障害者(1)」『リハビリテーション』 鉄道身障者福祉協会 479: 10月30日
◇城間 昭 2004 「独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構における在宅就労支援の紹介 (特集/障害のある人の在宅就業の促進)」『職リハネットワーク』 高齢・障害者雇用支援機構障害者職業総合センター 55: 26-29
◇堀込 真理子 2004 「(社福)東京コロニー(在宅就労支援団体)による支援の現状 (特集/障害のある人の在宅就業の促進)」『職リハネットワーク』 高齢・障害者雇用支援機構障害者職業総合センター 55: 19-25
◇林 美恵子 2004 「在宅就労--企業組合ユニフィカの場合 (特集/障害のある人の在宅就業の促進)」『職リハネットワーク』 高齢・障害者雇用支援機構障害者職業総合センター 55: 13-18
◇宮川 成門,堀部 哲,木村 公久 2004 「重度障害者の在宅就労に配慮したオフィスインテリアの開発(第4報)ベッドサイドデスクの開発」『岐阜県生活技術研究所研究報告』 岐阜県生活技術研究所 6: 27-29
◇宮川 成門,堀部 哲,木村 公久 2004 「重度障害者の在宅就労に配慮したオフィスインテリアの開発(第3報)木製デスクの開発」『岐阜県生活技術研究所研究報告』 岐阜県生活技術研究所 6: 22-26
◇宮川 成門,堀部 哲,木村 公久 2003 「重度障害者の在宅就労に配慮したオフィスインテリアの開発(第2報)木製デスクの開発」『岐阜県生活技術研究所研究報告』 岐阜県生活技術研究所 5: 11月13日
◇宮川 成門,堀部 哲,木村 公久 2003 「重度障害者の在宅就労に配慮したオフィスインテリアの開発(第1報)仕事部屋の現状」『岐阜県生活技術研究所研究報告』 岐阜県生活技術研究所 5: 6月10日
◇堀込 真理子 2002 「ITを利用した障害者の在宅就労を支援の場から考える(<特集>ITと障害者)」『障害者問題研究』 全国障害者問題研究会 29 4: 350-355
◇玉木 文憲 2002 「バリアフリーライター玉木文憲の障害者が開拓する「在宅就労の道」」『福祉チャンネル』 全国福祉情報推進協議会 1 : 44-46
◇日本障害者雇用促進協会開発相談部 2002 「クローズアップ雇用&福祉 在宅就労支援ホームページ「チャレンジ・エージェント」の紹介」『月刊福祉』 全国社会福祉協議会 85 14: 56-59
◇堀込 真理子 2002 「働くことをあきらめない人々の挑戦とその支援--PCとネットワークを利用した在宅就労の場合 (特集 障害者とIT関連企業への就労(2))」『リハビリテーション』 鉄道身障者福祉協会 440: 14-18
◇依田 晶男 2002 「特集 障害者雇用と福祉の新世紀(5)IT時代における在宅就労という新たな選択肢」『厚生福祉』 時事通信社 5021: 2月5日
◇小林 礼 2001 「情報社会の発達と障害者の在宅就労」『流通経済大学大学院社会学研究科論集』 流通経済大学大学院 8: 1月18日
◇津田 貴 2000 「障害者の在宅雇用事例〔含 質疑応答〕 (障害者の在宅就労を考える)」『職リハ調査研究資料』 国立職業リハビリテ-ションセンタ-〔ほか〕 24: 39-56
◇堀込 真理子 2000 「働くことを諦めない人々の挑戦とその支援〔含 質疑応答〕 (障害者の在宅就労を考える)」『職リハ調査研究資料』 国立職業リハビリテ-ションセンタ-〔ほか〕 24: 22-38
◇神谷 隆之 2000 「在宅ワークの実態と課題--グループ化の方向〔含 質疑応答〕 (障害者の在宅就労を考える)」『職リハ調査研究資料』 国立職業リハビリテ-ションセンタ-〔ほか〕 24: 1月21日
◇神谷 隆之 2000 「障害者の在宅就労を考える」『職リハ調査研究資料』 国立職業リハビリテ-ションセンタ-〔ほか〕 24: 1-56
◇神谷 隆之 1999 「在宅就労を中心とした障害者の就労促進に係るインターネットの活用に関する研究」『調査研究報告書』 日本障害者雇用促進協会障害者職業総合センタ- 35: 1-106
◇神谷 隆之 1999/11/20 「地域を支える(266)サイバード(任意団体・仙台市)--ネットで障害者の在宅就労図る」『厚生福祉』 時事通信社 10



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■新聞記事

2010年分  ◇2009年分  ◇2008年分  ◇2007年分  ◇2006年分  ◇2005年分  ◇2004年分  ◇2003年分  ◇2002年分  ◇2001年分  ◇2000年分  ◇1999年分  ◇1998年分  ◇1997年分  ◇1996年分  ◇1995年より前分

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▼2010年分
◇人材確保や研修、説明会…、中小福祉施設、共同活動に助成、都、5事業所以上対象。
(2010/11/10, 日本経済新聞 地方経済面 (東京), 15ページ)
 東京都は単独では人材の確保・育成が難しい中小零細の福祉施設に対して、共同で採用活動や研修を手掛けることを後押しする。小規模な介護施設や障害者施設が5事業所以上で実施した場合、費用を補助する。2011年1月にも始める。高齢化の進行で介護のニーズは高まっており、福祉分野の人材不足が深刻になっている。特に中小零細では顕著で対策に乗り出す。
 支援の対象は認知症高齢者向けのグループホーム、デイサービス施設などの介護施設や障害者支援施設。ただ、入所施設の場合は定員50人以下、在宅サービスの事業所の場合は定員20人以下を要件とする。
 これらの事業所が就職説明会や広告掲載、研修などを共同で実施した場合に助成する。5〜9事業所が共同で手掛けた場合、約69万円を上限に補助する。10事業所以上ならば上限は約138万円とする。11月末まで申請を受け付け、審査を経て、年明けから補助を始める。都は今年度中に総額で約3900万円を支援する方針だ。共同で求人、研修活動をする福祉施設の紹介もする。
 雇用情勢が厳しいなかでも介護や障害者支援などの福祉施設では人材確保が難しい。東京労働局によると、都内の9月の社会福祉の専門職の求人数は求職者数の1・84倍にのぼる。都によると、少ない福祉分野の求職者の中でも「大規模志向がある」といい、中小事業者は特に厳しい。
 また、中小事業者は人材育成に十分な時間やコストが割けないという問題があり、大規模事業者との間のサービスの質の差も出ているという。
 都の調べでは、都内に認知症高齢者グループホームは約290カ所、障害者グループホームなどは約450カ所ある(いずれも08年)。デイサービス施設など介護保険にかかわる事業者は08年度に約1万1千法人だった。


◇AACとウイングル、障害者雇用向け人事制度を提案。
(2010/11/09, 日経産業新聞, 19ページ)
 人事・組織コンサルティングのアクティブアンドカンパニー(AAC、東京・千代田、大野順也社長)は、障害者雇用のコンサルティングを手掛けるウイングル(東京・千代田、長谷川敦弥社長)と共同で、障害者の雇用に適した人事制度などを企業に提案する事業を始めた。改正障害者雇用促進法の施行を受け、障害者の雇用拡大をめざす中堅・中小企業の需要を開拓する。
 AACは顧客の事業に合わせ、障害者の仕事を評価・管理する人事制度を構築。ウイングルは障害者が担当する仕事の提案や、仕事に慣れるための研修を担う。
 企業が雇用した障害者に在宅勤務してもらう場合には、遠隔地でも健康状態や仕事ぶりを把握できる労務管理ノウハウを提案する。受注価格は障害者雇用の規模や研修実施期間に応じて決める。
 2009年の改正障害者雇用促進法施行により、今年7月から障害者の法定雇用率(従業員の1・8%)を満たしていない場合の罰則適用対象が従業員数200人超の企業に拡大した。従来は300人超の企業に限られており、対象外だった企業を中心に顧客を開拓する。


◇働く障害者、竹中ナミさんに聞く――弱者を弱者でなくする、期待されると誇りに。
(2010/09/11, 日本経済新聞 夕刊, 5ページ)
 働くことで人は認められ、誇りを持てる。ハンディのある人も同じ
 神戸市の六甲アイランド。パソコンがずらっと並ぶ事務所の主(あるじ)が、髪に金色のメッシュを入れた竹中ナミさん。「みんなにお願いしてるんですけど、ナミねぇと呼んでね」。一見、障害者団体のリーダーには見えない。
 「ハンディがある人は働けない人だと、親や社会があまりにも決めつけていませんか。働くことは社会の一員になること。他人に何かを期待され求められ、それに向かって活動するのが人としての生きがいでしょう。自分の存在が、誰からも期待されないことほどむなしいことはないと思う。働いて税金を納めるチャレンジド(障害者)が増えていくのがユニバーサル社会につながると思う」
 障害者は税金をもらって当然、ではない。障害者とも言わない。「障も害も嫌。ほかにふさわしい日本語がないから」。チャレンジドは「期待される人」の意がこもる米国の新語。使う自治体も出てきた。
 障害者にパソコンセミナーを開き、就労支援を始めて20年。社会福祉法人の理事長として、財務省の財政制度審議会など政府の各種審議会委員を務め、この6月NHKの経営委員にも就いた。
 「チャレンジドが働く手段としてパソコンが最適。入力業務やホームページ作り、あるいはイラスト制作などで活躍している人が次々出ています。京都には自分の会社を持ち、施設のベッド上にいながら仕事をこなす人もいる」
 自動車事故で頸椎(けいつい)を損傷した青年から、「毎日が日曜ってどんなに苦しいことか分かるか、と言われてハッとした」。弱者に手当を支給するのが福祉といわれるが、休日続きの生活を強いることになる。「考え方が違う。弱者を弱者でなくしていくプロセスが社会保障のはず」
 重度の脳性麻痺(まひ)の青年が、母親の欲しがっていた包丁を買い、喜ばれた。イラストが売れたからだ。
 「彼が、お金って公平なんですねと言った言葉も忘れられない。障害者年金は上から下りてくるけど、今度は仕事を評価してもらっての収入。重みが違う。認められたことが誇りにつながっていく」
 社会に支えられていたチャレンジドが、支える側に回るように
 16歳で同棲(どうせい)し、高校を除籍された非行少女。生活が一変したのは、長女の麻紀さん(37)を重度心身障害児として授かってからだ。
 「父ちゃんに話したら、『この子がいたらおまえは不幸になる。わしが一緒に死んでやる』と言われてビックリ。インテリの父にそう言わせる社会って何だろうと思ったのがそもそもの始まりでした」
 「医者や福祉関係者に相談に行くと、『がっかりせんよう』としか言われない。娘はかわいそうな人としか見られなかった。前向きな話を聞くには、同じ目や耳の不自由な人からだと思って、会いに行き、生活ぶりを教わった」
 障害児や福祉の世界を独力で学び、施設でのボランティア活動に参加する。
 「娘は社会から丸抱えの手助けが必要。私がいなくなるとどうなるのか。娘を支えてくれる人を増やさねばならない。それには社会的活動ができないと見られているチャレンジドが、支える側に回ってもらおう。そんな身勝手といえるおかんの一念でした」
 働く障害者を増やそう、と草の根団体「プロップ・ステーション」をつくる。ステーションとは「支えられる側から支える側に乗り換えるための駅のことです」。
 ラグビーで首の骨を折りながら、コンピューターを操作してマンションの経営者となっている青年の話に感動した。「プロップ」とは「支える」の意でラグビー用語だ。障害者に就労意欲をアンケート調査したら、「パソコンでなら」という結果に驚く。その声に応えようと、パソコンの研修事業に乗り出した。
 「私はパソコンはまるっきりダメだった。でも技術者や企業に応援を頼む人集めは大得意。いわばつなぎのメリケン粉みたいなもんです」
 ボランティアでパソコン操作を教えるのはプロばかり。
 「役立つのなら、と喜んで来てくれた。彼らが、チャレンジドの眠っていた力を引き出し、市場で通用するレベルまで教え込んでくれる。そして、技術を身につけたチャレンジドが、次は逆に教える側に回っていく」
 障害者の働く場は在宅。パソコンでの発注を増やしてほしい
 20年近い活動で4千人以上がパソコンの研修に参加した。そのうち一度でも仕事につながったのは500人近い。
 「まだまだ少ない。障害者の雇用率を高める政策はありますが、通勤が原則。それを在宅勤務に考え方を切り替え、業務の発注率を高めれば就労者は増えていく」
 日清製粉の協力を得て、パティシエ(菓子職人)を目指す障害者研修を始めて3年。
 「今年は東京の研修会場から神戸と名古屋にも映像を流して、スイーツ作りの輪を広げた。パソコンだけでなく、稼げるものだったら何でもいいんです。でも、プロを目指すからには、一流の指導者を付けるのは同じこと」
 「チャレンジドが社会で仕事ができるモデルを作っていきたい。ゼロから1にする火付け役が私の仕事。10から100に広げていく段階になれば、制度化が必要です」
 竹中さんのデスクの横には、ドラムなど本格的なバンドのセットが鎮座。米国大使館から昨年「勇気ある日本女性賞」を授与され、そのお祝いパーティーで歌を披露するためここで練習に励んだ。ギター奏者で米国在住の弟との共演を楽しむことも。
 音や明かりをほとんど認識しない長女だが、「私が歌うと笑顔を見せてくれるんです。ええ表情なんよぉ」。
(編集委員 浅川澄一)
 たけなか・なみ 1948年神戸市生まれ。神戸市立本山中卒。ボランティア活動後、89年障害者自立支援団体「メインストリーム協会」(兵庫県西宮市)事務局長。91年就労支援の「プロップ・ステーション」創立。98年社会福祉法人とし理事長に。著書に「ラッキーウーマン」「プロップ・ステーションの挑戦」。


◇働ける喜び パソコンで 障害者ら技術生かす 自宅を「仮想工房」に1年=山梨
(2010.07.29 読売新聞 東京朝刊 山梨 29頁)
 重度の身体障害者たちがパソコン技術を生かして名刺やホームページ(HP)作成などを請け負うNPO法人「バーチャル工房やまなし」(事務局・甲府市)が発足して1年が過ぎた。パソコン機能をフル活用して、自宅を「仮想工房」にして作業する障害者たちは生き生きと働いている。(山田佳代)
 メンバーは、県が2005年度から4年間にわたり重度障害者を対象に実施した在宅就労支援講座で、コンピューター技術を学んだ障害者12人と、講師など4人。講座終了後の昨年6月、参加した障害者らが「身に着けた技術を生かせる組織を作ろう」とバーチャル工房を発足させた。
 「皆さん、この日程でどうですか」。事務局長の渡辺和久さん(51)は甲府市の自宅で車いすに座り、パソコンに取り付けた小型カメラに向かって話しかけた。パソコンを使ったテレビ電話「スカイプ」で、ほかのメンバーに会合の日取りを打診したのだ。こうしてメンバーは自宅にいながらコミュニケーションができる。
 渡辺さんは会社勤めをしていた20年前、高さ約7メートルの柱で作業中に転落し、頸椎(けいつい)を損傷して下半身が動かなくなった。
 その後、退職を余儀なくされ、自宅療養してリハビリする日々が続いた。幼かった長男から「いつになったら治って仕事するの」と聞かれた。仕事を持って子どもに胸を張れる父親でいたい――と強く思った。
 06年度から3年、県の在宅就労支援講座で勉強した。研修で笛吹市の福祉施設のパンフレットを作成し、1万円を受け取った。「きょうはトンカツだ」と思いついた。事故に遭う前、給料日に自宅近くのトンカツ屋でよくトンカツを家族に買って帰った。かつての給料日のように家族でトンカツを囲んで食べた。「ごちそうさま」。食後の家族の一言がいまも心に残っている。
 バーチャル工房では、メンバー全員が営業を担い、発足後の1年間に名刺、パンフレット、HPの作成など300件以上を受注し、計400万円ほどを売り上げた。渡辺さんは「働く喜びを分かち合いたい」と受注した仕事を12人の障害者に振り分けている。
 運営委員長の矢崎繁さん(57)は、甲府市などで月1回開く法人の運営委員会に、甲州市の自宅からバスと電車を乗り継いで出席する。付き添うのはオスのラブラドルレトリバーの盲導犬「オーディン」だ。
 矢崎さんは20歳代で視力が低下する「網膜色素変性症」と診断され、約20年前、視力を失った。
 矢崎さんは自宅で、オーディンが座る横でパソコンに向かって仕事をする。得意とするのは、名刺の点字打ち。パソコン画面の文字を読み上げる音声ソフトを使ってHPも作る。仕上げ段階で背景の色合いなどに不備がないかは別のメンバーに確認してもらっている。
 「それぞれの障害の特性を理解し、ほかの障害を持つ人と協力していくことが大切だ」と矢崎さん。
 現在は、障害者に理解のある行政や福祉施設からの注文が多いが、理事長の小野智弘さん(70)は「将来的には、企業などいろいろな組織から注文を請け負えるようになりたい」と話している。
 

◇パソコン訓練:受講者を募集 母子家庭の自立支援 /奈良
(2010.07.16 毎日新聞 地方版/奈良 22頁)
 生駒市のIT関連会社「ワイズスタッフ」が、9月から実施するパソコン技能習得訓練の受講者を募集している。母子家庭などの自立を支援する県の「就労困難者在宅就業支援事業」の一環で、対象は県内在住の16歳〜65歳未満の一人親や障害者。IT関連の在宅就労を目指す。
 パソコンの文字入力ができ、最大9カ月の訓練に参加できることが条件。受講料は無料で、月々訓練手当が支給される。パソコンを貸与し、集合研修やインターネットを通じた指導で技能を学ぶ。
 訓練期間は、9月〜来年5月▽12月〜来年8月▽来年3〜11月の3パターン。応募の中から審査し、各訓練期間ごとに30人を受け入れる。申し込み締め切りは20日。問い合わせは同社(0120・451・016)。ホームページ(http://www.e‐mot.jp/)からも問い合わせ、申し込みができる。


◇改正障害者雇用促進法、人材各社にみるヒント、新職域で能力生かす。
(2010/07/22, 日経産業新聞, 20ページ)
テンプ系 クッキー工場開業
インテリジェンス系 100種超の業務請負
パソナ系 芸術家ら30人に工房
 改正障害者雇用促進法の施行で、7月1日から障害者の法定雇用率(従業員の1・8%)を満たしていない場合の罰則の適用対象が中堅企業にも広がった。産業界の負担が増す一方で、障害者を職場に受け入れるノウハウは不足しているとされる。障害者雇用に積極的に取り組んできた人材サービス業界を事例に、雇用創出のヒントを探った。
 1991年に障害者雇用の特例子会社、サンクステンプ(東京・中野)を設立するなど早くから障害者雇用に取り組んできたのが人材派遣大手のテンプホールディングス(HD)だ。現在の障害者雇用率は1・95%と、法定雇用率を上回る水準を維持している。
 同社は当初、グループ内の名刺印刷などの間接業務を集約してサンクステンプに委託することで、障害者の雇用を確保してきた。ただ、人材派遣市場の拡大に伴って雇用率の算定の際の分母となる社員数が急速に増えた結果、「90年代半ばから約10年間は法定雇用率を下回っていた」(和田幸久グループ人事部長)。
 和田氏らは「間接業務の集約によってひねり出せる雇用には限界がある」と判断。5年前に全く新しい障害者雇用の仕組みづくりに着手した。障害者による農業など様々なアイデアを検討する中で、テンプHDが選んだのは、生地作りや型抜き、焼成などの工程ごとに業務を細分化できるクッキー製造業務だった。
 サンクステンプでは工場の確保と並行して障害者に対する職業訓練を開始。粘土を使って生地をこねたり、型抜きしたりする練習を重ねてクッキーの品質を高めた。2006年5月に横浜市内にクッキー工場「よこはま夢工房」を開業。製造したクッキーは派遣スタッフや株主への記念品として活用している。
 転職情報サイト「DODA(デューダ)」などの運営を手掛ける人材サービス大手のインテリジェンスは、ここ数年で障害者雇用率を0・34%から1・67%まで引き上げることに成功した。
 同社では長年、障害者雇用の取り組みの遅れが課題になっていたが、転職市場の成長に伴う急速な事業規模の拡大に対し「障害者の採用はなかなか追いつかなかった」(障がい者採用チームの井上雅博マネージャー)。06年に監督官庁から指導を受けたのをきっかけに、障害者雇用に本腰を入れることになった。
 井上氏らがまず着手したのが、障害者のための職域開発だ。転職相談ブースの清掃や書類の電子化など、それまでパートやアルバイトを雇っていた業務をリストアップ。障害者を活用した場合には、人件費を人事部門が肩代わりすることを条件に、各事業部門の協力を取り付けていった。
 各事業部門から切り出した業務は、08年1月に設立した特例子会社のインテリジェンス・ベネフィクス(東京・新宿)に委託。同社は現在、派遣スタッフ向けの郵送物の発送や派遣契約終了後の返却物の管理など、100種類以上の業務を親会社から請け負う。
 人材派遣大手のパソナグループも、約20年前から障害者雇用に取り組んできた。03年に設立した特例子会社パソナハートフル(東京・千代田)では印刷や備品管理などの業務を親会社から受託することで障害者の雇用を創出。4月1日時点のグループの障害者雇用率は2・1%に達している。
 パソナハートフルの特徴は芸術や農業を含む幅広い分野での障害者の職域開発だ。同社は当初から障害を持つ芸術家らの支援を手掛け、06年には絵画の制作や縫製品づくりを支援する「アート村工房」を東京都武蔵野市に開設。現在は東京・大手町や大阪府など3カ所でも同様の施設を運営、約30人を雇用している。
 06年9月には障害者の自立支援や雇用創出を目的とする農場「ゆめファーム」を千葉県八千代市に開設したほか、07年には障害者によるパン製造にも進出した。パソナハートフルの深沢旬子社長は「今後はグループ外からの業務の受託を拡大する」と話し、新たなモデルケースの構築に意欲をみせている。
(白石武志)
地方での採用、受け皿に
 障害者雇用の支援サービスを手掛けるウイングル(東京・千代田)の北山剛シニアディレクターに、障害者雇用率を高めるためのポイントを聞いた。
 「企業の本社が集積している東京のような大都市では、障害者の求人は売り手市場となっており、企業が求めるような人材はすでに条件の良い大手企業に就職しているケースが多い。これから障害者雇用を拡大しようという中堅・中小企業は、まず地方での採用に力を入れるべきだ」
 「近年はインターネットサイトで競合他社の情報を収集したり、交流サイト(SNS)上の口コミ情報を監視したりする業務に大量のパート・アルバイトを活用する企業が増えている。こうした業務は在宅や地方拠点でも手掛けられるため、障害者雇用の有力な受け皿になるだろう」


◇うちわ話:岐阜県大垣市のNPO… /香川
(2010.03.11 毎日新聞 地方版/香川 21頁) 
 岐阜県大垣市のNPO「バーチャルメディア工房ぎふ」理事長の上村数洋さん(62)は、交通事故で手足が不自由になったのをきっかけに、障害者の在宅ワーカーにインターネットサイトなどを作る仕事を仲介している▼NPO設立前の約15年前、仕事に不可欠なパソコンを買うため、クイズ番組に出場。見事、賞金90万円を獲得し、パソコン4台を購入したという▼振るっているのは、番組で障害者の在宅就労支援の構想を熱弁したことだ。「まずは私の思いを知ってもらいたかった」と振り返る。高松市の講演会には、番組を見て応援するようになった女性も来ていた。共感や理解を広げるメディアの役割を改めて実感した。【馬渕晶子】


◇講演会:障害者の在宅就労支援を 働く環境整備の必要訴え−−高松 /香川
(2010.03.01 毎日新聞 地方版/香川 23頁) 
 障害者の在宅就労の現状を知るための講演会「『在宅で働く』ことを考える」が28日、高松市田村町のかがわ総合リハビリテーション福祉センターで開かれ、障害者や企業関係者など約70人が参加した。【馬渕晶子】
 県とかがわ総合リハビリテーション事業団が、10年度から障害者の在宅就労支援を本格化するのを前に主催。
 岐阜県大垣市のNPO「バーチャルメディア工房ぎふ」理事長の上村数洋さん(62)らを招いた。
 上村さんは、交通事故で四肢が不自由になり、社会復帰を目指した経験から、企業などの発注者と障害者の在宅ワーカーを仲介するNPOを設立。その経緯を話し、ワーカーが2、3人のチームで働き、NPO独自のイントラネットで連絡を取る仕組みも説明した。現在18人がワーカーとして登録、平均年収は約100万円という。就職や独立をした人もいる。
 パソコンを使い、ホームページなどの企画制作やデザインをしており「IT技術に加え、感性や社会性を磨くことが必要」とワーカー側の課題も指摘。「人材育成に最も力を注いでいる」としたうえで、企業の理解や、障害者が働くための環境を整備する公的な支援の必要性を訴えた。
 同様に、パソコンを活用して重度身体障害者の在宅雇用に取り組むITサービス業「沖ワークウェル」(東京都)の木村良二社長(59)も、取り組みを話した。


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▼2009年分
◇重度障害者がNPO設立 パソコン技術生かし自立=山梨
(2009.06.12 読売新聞 東京朝刊 山梨2 34頁)
 県の在宅就労支援を受けてきた重度障害者らが、身につけてきたパソコン技術を生かそうと、NPO法人「バーチャル工房やまなし」(小野智弘理事長)を設立した。今後、ホームページやパンフレット作成などの仕事を受けながら、障害者の在宅就労や情報技術習得のための支援事業も展開する。
 県は、障害者自立支援法に基づき2005年度から、視覚や肢体に重度の障害を持つ17人に対し、パソコン技術の習得を目指す支援事業を行ってきた。17人は、講師の指導を受けながら、県発注の名刺作成などに取り組み、08年度は合計で約100万円の収入を得ている。
 県が08年度限りで支援事業を打ち切ったため、「技術を磨いてきたみんなが一緒になれば、本当の意味で自立できる」と、小野理事長(69)や講師の田崎輝美さん(44)が呼びかけ、障害者13人と講師3人の計16人で新たな活動に踏み出すことになった。
 11日に甲府市で開かれた初総会では、視覚障害者のための音声ソフトを使ったホームページ作成について、官公庁などに営業活動していく方針などが話し合われた。


◇追跡・発掘:国の在宅就労支援事業で技術習得 重度障害者たちNPO設立 /山梨
(2009.03.04 毎日新聞 地方版/山梨 23頁) 
 ◇IT関連事業受託へ 「将来は納税が夢」
 「納税できる障害者になりたい」――。国による就労支援事業で技術を身につけた重度障害者たちがNPOを設立、IT(情報技術)関連事業を請け負うべく活動を始める。国は技術習得までは支援してくれるが、その後の仕事の紹介まではしてくれない。希望と不安が交錯する中でメンバーたちは自立への一歩を踏み出す。【沢田勇】
 NPOの設立を計画しているのは「バーチャル工房やまなし」(甲府市)のメンバー13人。いずれも視覚や肢体、知的障害などを持つ重度の障害者だ。
 バーチャル工房やまなしは、厚生労働省の「重度障害者在宅就労促進事業」を委託された県障害者福祉協会が05年11月に設立した。
 同事業は、重度障害を持つ人が自宅で仕事ができるよう技術習得を支援する制度で、05年度に厚労省が始めた。県内ではバーチャル工房やまなしのみが支援を受けている。国と県が支援スタッフの人件費を折半する。
 メンバーは、スタッフによる訪問指導やインターネットを使った遠隔指導で、パソコンなどの技術指導を受けながら、「コーディネーター」と呼ばれるスタッフが企業から受注した、ホームページや点字名刺の作成などの仕事をしてきた。
 しかし、同事業は教育プログラムとの位置づけのため、今月末で終了する。
 同工房のコーディネーター、田崎輝美さん(43)は「せっかく技術を習得しても、重度障害者が個人で企業と交渉して仕事を取ってくることは難しい」と指摘する。「経費の支援など、行政に細く長く続けてほしいと思う部分はある。障害者がせっかく技術を身につけても、また自宅で孤立してしまいます」
 事業の終了に戸惑うメンバーの姿を見て、田崎さんは現行のシステムを維持して仕事を受注できるよう、NPOを設立することをメンバーに呼びかけた。
 多くのメンバーが賛同し、2月19日には設立総会が開かれた。近く県にNPO「バーチャル工房やまなし」の認証を申請する予定だ。
   ◇  ◇
 メンバーの一人で富士河口湖町小立に住む鈴木勝則さん(48)は、18歳の時に交通事故で首の骨を折り、首から下がまひし、車いすでの生活を送っている。
 20年以上、ハローワークで求職してきたが、企業から問い合わせがあったのは1回だけ。それも、通勤が困難との理由で断られた。障害者を雇用する企業はあっても、重度の人が仕事にありつけることは少ない。
 しかし、鈴木さんは3年間の技術習得の結果、今では不自由な手を駆使してホームページなどの作成を手際よくこなす。「将来は納税できる障害者になるのが夢です」とNPOの設立を喜ぶ。
 理事長となる予定の南アルプス市加賀美の小野智弘さん(68)は半身不随の障害がある。
 現在は自宅でパソコンを使って名刺を作り、収入は年間10万円程度。しかし小野さんは言う。「重度障害者はどうしても『養ってもらっている』という負い目がある。たとえ数万円でも、自分の力で収入を得られる喜びは格別なのです」
 今後は知人の農家と協力して、作物のネット販売などをしていきたい考えだ。だが、県内経済は深刻な不況に見舞われている。「不安はすごくあります。企業も大変でしょう。でも、私たちの活動を少しでも理解して協力してほしい」
   ◇  ◇
 県障害福祉課は「在宅就労を支援する制度が何もなかったことを考えれば、現制度は評価できる。県としては今後、支援者ではなくパートナーとして協力していきたい」と話す。障害者に利用しやすいホームページ作成などに利点があるとして、県の業務を委託することも検討するという。


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▼2008年分
◇松山市:事業前倒し、中小企業支援 補正予算案に7億円−−緊急経済対策 /愛媛
(2008.11.28 毎日新聞 地方版/愛媛 25頁) 
 松山市は27日、38億8246万円の一般会計補正予算案など44議案を発表した。12月4日開会の定例市議会に提案する。
 補正予算案には、市独自の緊急経済対策として、地元の中小企業を支援するため、小中学校や公園などの市有施設や下水排水路、農道、水路の改修事業などに7億4308万円を計上した。中村時広市長はこの日の会見で、「必ず必要となる事業は前倒しして需要をつくり、地元企業を元気づけたい」と話した。
 このほかの主な事業は、道後地区などを整備する安全歩行空間整備事業に4900万円▽母子家庭の母親や障害者ら就労困難者を支援するためのテレワーク在宅就労促進事業に160万円――など。【松田文】


◇障害者の自立へ弾み 県、就労移行も指定 在宅就労仲介役・熊本のNPO /熊本県
(2008年10月21日 朝日新聞 朝刊 熊本全県・1地方 029)
 在宅就労を望む障害者と企業の仲介役として厚生労働省の登録を受けている熊本市のNPO法人「在宅就労支援事業団」が今月、県から障害者の就労移行支援事業所の指定を受けた。「在宅就労と就労移行の二重の網で自立を助けたい」と田中良明理事長は言う。(阿部峻介)
 交通費や施設利用費など職業訓練にかかる利用料は全額が本人負担だったが、今月から9割を国と県・熊本市が負担する。限度は障害者1人につき1日7690円で定員30人。これまでは1人月約2万円かかる利用料を本人が負担すると、作業工賃を得ても持ち出しになった。「自分で収入を得る感覚を知ってもらいたい」と事業団が利用料を肩代わりし、月約1万2千円の工賃を本人に払っていたが、資金難もあり「県の指定がないと事業を続けるのも難しかった」と田中理事長。
 事業団は99年設立。障害者や難病患者だけでなく、生活保護受給者や育児で外出できない人、失業者など約1万人が登録。切手張りや新聞折り込みなど自宅や熊本市九品寺5丁目の事業団事務所でできる仕事を登録者に振り分ける。県内外約70社から受注し、常時約200人が働く。
 06年には厚労省から九州で初めて「在宅就業支援団体」の登録を受けた。障害者の在宅就労を企業に促す制度に基づき、仕事を発注した企業は、報酬支払額年間105万円を超すごとに約5万〜6万円の特例調整金・報奨金を得られる。九州では10月までに宮崎、長崎に各1団体、全国で計18団体が登録を受けた。
 厚労省の在宅就業支援団体登録と県の就労移行支援事業所指定の両方を受けたNPO法人は県内初。「就労移行支援の結果、雇用に結びつかなくても在宅就労を紹介できる」と田中理事長。
 ただ、特例調整金のような制度はあまり知られておらず、支援促進につながっていないのが実情。発注後に倒産した企業もあるなど安定性も課題で、今後は行政にも仕事を発注するよう依頼する。田中理事長は「社会的弱者も自分で稼ぐことができ、発注側にも利点がある労働が当たり前になるよう支援を続けたい」と話している。問い合わせは事業団(096・375・7900)へ。


◇[甲斐春秋]ある男性の熱意=山梨
(2008.06.29 読売新聞 東京朝刊 山梨 35頁)
 先日、外資系保険会社に勤める甲府市在住の男性(48)が甲府支局を訪れ、「身体障害者がソフト産業で働ける技術習得用の教育施設を作りたい」と熱っぽく語り出した。
 3年前、知り合いのソフト関連会社社長が人材不足を嘆くのを聞き、「身体障害者の能力を生かすことは出来ないだろうか」との考えが浮かんだ。その後、支援団体などと接するうち、「山梨を、全国の障害者がコンピューターを学べる場所に」と構想が膨らんでいった。甲府市の専門学校に持ちかけたところ、場所提供には前向きな姿勢を示した。しかし、男性には資金もノウハウもない。「助言や資金を提供してくれる人の助けがほしい」と訴える。
 県は2005年度から、重度の障害者17人(知的、精神を含む)に情報処理技術を教え、企業などから仕事を請け負う在宅就労促進事業を進めている。委託先の県障害者福祉協会のコーディネーターが、個々の技術に合わせて受注した仕事を割り振る。県障害福祉課は、授産施設で作業した場合より高い賃金を得ることを期待するが、なかなか発注がないという。
 県事業でさえ、うまく運ばない状況下で、男性の構想の具現化は、とても厳しいものだろう。
 それでも、同課のある職員は言う。「(畑違いの)その男性のような人が、障害者支援への熱意をもってくれるのはありがたい」(林英彰)


◇橋下知事:障害者就労支援施設・府ITステーションを視察 /大阪
(2008.05.21 毎日新聞 地方版/大阪 23頁) 
 橋下徹知事は20日、障害者のパソコン利用などをサポートする府ITステーション(大阪市天王寺区)を視察した。府の財政再建試案(PT案)で、施設を利用した障害者の就労支援事業が全面見直し対象となり、事業継続を求める健康福祉部と改革プロジェクトチームが今月1日、激論を展開。知事が視察を要望していた。
 ITステーションは社会福祉法人「大阪障害者団体連合会」が運営を受託。視覚障害者が音声に沿ってキーボード入力するIT利用支援機器などが展示され、体験利用が出来るほか、IT講習会も実施。在宅就労の推進のため訓練や業務の受注もしている。
 橋下知事は支援機器の使い方の説明を受けたり、利用者に声をかけたりし、ステーションの樋口四郎所長と意見交換した。樋口所長は「できるだけ資格を取ってもらい、雇用や在宅就労に結びつけたい。ぜひ支援を」と要請。橋下知事は「就労は行政がやらなければいけない問題と思っている」と応じた。【石川隆宣】


◇(発達障害とともに:中)特性生かして 働きたい、適職どこに 【大阪】
(2008年03月07日 朝日新聞 朝刊 生活1 030)
 棚、棚、棚。約49万冊の医学書が並ぶ大阪大学付属図書館生命科学分館。冷え込んだ2月上旬、新開利人さん(36)は、返却図書を棚に戻す作業に追われた。英語や日本語の書名を見て、ABC順に整理された棚へ戻す。
 キビキビとした動作。話すときの柔らかな笑顔が印象的だ。高校時代は、ひょうきんでクラスの人気者だった。人気の「ブログ小説家」でもある。広汎性発達障害と診断を受けて1年。障害特性にあった仕事を探る厚生労働省の補助事業によって、1月中旬からこの図書館で職場体験をした。「決まった場所に決まった本を並べるのは得意。気持ちいい」
 診断がつくまではつまずきが続いた。人当たりがよいので、面接はクリアし、就職はできる。だが、小さなすれ違いが重なった。
 大学と専門学校を卒業後、初めて勤めたのは府内の知的障害者施設。指導員としてだった。決まり事が守られないと、「カチンとした」。クッキー作りで、材料の分量を間違えると「売り物ですよ。しっかりして」と、作業者を並べて厳しく注意した。7年目、施設関係者から「自分にあう仕事についた方がいい」と言われ、退職した。
 その後、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)やビデオ店で働いた。USJは9カ月、ビデオ店は約1年でやめた。レジ打ちや在庫管理など個々にはできるが、重なると、優先順位が判断できなかった。
 自室にこもり、朝から晩までゲームに没頭した。むなしさが募った。1年ほどして、自宅の壁をけ破った。このままでは精神的におかしくなる。精神科を受診し、07年3月、「広汎性発達障害」と診断された。
 働きたい。医師から紹介されたのが、「大阪府発達障害者支援センター アクトおおさか」だった。02年にできた当事者らの相談場所だ。大人からの相談も増えており、昨年4〜12月で230人、そのうち就労相談は49人(21%)と多い。
 切実な声を背景に、センターを運営する社会福祉法人「北摂杉の子会」が、厚労省から770万円の補助金を得て、特性を生かす仕事の研究を始めることになった。阪大医学部保健学科と付属図書館、ECCコンピュータ専門学校などを運営する学校法人「山口学園」(大阪市)が協力。新開さんも、職場体験をする9人の中に選ばれた。
 図書館以外では、ネイルアートやインターネットのホームページ作りのメニューがある。ネイルは、内職を希望するアスペルガー症候群の主婦。ホームページ作りは、コンピューターに関心のある30、40代の男女3人が取り組み、今月末までに、作ったネイルチップを売るホームページを立ち上げる。対人関係が苦手な人の在宅就労応援団だ。
 新開さんは2月上旬までの計11回、図書館で働いた。本を並べる仕事は得意だったが、コピーは苦痛だった。装丁が悪い本や分厚い本など、イレギュラーなものに戸惑ったと話す。北摂杉の子会では今月末まで職場体験を続け、新開さんらの声を生かして、発達障害の人にとって働きやすい仕事や環境をまとめる。
 新開さんは最近、通っている教会の事務職としてアルバイト採用が決まった。「給料は高くないけどうれしい」「私のような回り道をしないよう適職研究を進めて」と願う。
 小川浩・大妻女子大教授が06年、東京、大阪など7道府県の発達障害者189人を調査したところ、就労者(休職中も含む)71人のうち非正社員は約7割、賃金が15万円未満の人が8割近かった。発達障害の人の中には、数学的思考や記憶力に優れ、研究者や芸術家として成功するケースもあるが、職場で「自分勝手」と誤解され、仕事が長続きしなかったり、就職できなかったり、「まだ不安定な状況です」と小川さん。
 北摂杉の子会への厚労省の研究事業は、今年度限り。同会の松上利男常務理事(57)は、「さまざまな才能を生かせなければ、社会にとってもったいない。本人にも企業にもメリットになる仕事づくりにつなげたい」と話す。
    *
 新開利人さんは、新開涼のペンネームで、昨年末、アスペルガー症候群の女性らを主人公にした著書「あさっての向こうに」(文芸社)を自費出版した。生きづらさをテーマに、引きこもりやいじめなどの問題を抱える若者たちが、前向きに歩いてゆく姿を描いた。1575円。

 ◆どのように接しますか 正確性など長所も、ルールを伝えて 川崎医療福祉大学教授(児童青年精神医学)・佐々木正美さんに聞く
 自閉症など「広汎性発達障害」の子どもへの対応は、適応しやすい環境や教材を用意して、社会的な行動を教え、生活上の問題を減らす「治療教育」「療育」が中心になります。
 教育的援助で、社会生活上の困難を減らせます。代表的なのが「TEACCH(ティーチ)」プログラム。勉強エリアや遊びエリアなど各部屋に意味づけをしたり、引き出しにイラストをはってどこに何をしまうかを視覚的に理解させたりして、学びやすく暮らしやすい環境をつくります。こうした支援は、大人にも有効です。
 広汎性発達障害の人の中に「忘れることができない」悩みを訴える人がいます。昔の嫌な出来事を、突然、まるで現在、そのまま体験しているかのように思い出し苦しみます。いじめ、失敗など、苦痛の大きな体験を避けるよう、周囲の理解は大切です。
 広汎性発達障害の人は、具体性、正確性に優れ、記憶力もよいことが多く、手順や規則が明瞭(めいりょう)な作業は得意。一方、判断を任されたり、臨機応変な対応は苦手です。いずれも治療的に治すべきものではなく、一つの個性のようにとらえるべきもの。それぞれの個性に合った対応が大切です。
 職場でも、特性を理解してもらうと仕事がうまくいきます。私が勤める大学にも発達障害の学生がいます。その学生の就労時には、私は職場の人に特性を説明して理解を求めるようにしています。倉庫整理の仕事では、在庫品が具体的に何個になれば、新たに取り寄せるのかなど、ルールを決めるよう頼みました。
    *
 発達障害に関する体験や情報、ご意見をお寄せ下さい。〒530・8211朝日新聞生活文化グループ「発達障害とともに」係へ。ファクス06・6201・0179、メールはo−seikatsumen@asahi.com。


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▼2007年分
◇障害者自宅でPC講座 オンラインで指導 倉吉高専が開講 /鳥取県
(2007年11月02日 朝日新聞 朝刊 鳥取全県・1地方 024)
 体や精神の障害で職業訓練施設に通うのが難しい人が自宅でパソコン技術を学ぶ講座が1日、開講した。オンラインで指導する講師の側にも、障害者が含まれる。関係者たちは「在宅就労で重度障害者の社会進出を進めたい」と期待している。(下司佳代子)
 講座は、県立倉吉高等技術専門校(倉吉市福庭町2丁目)が開講した「在宅ワーク支援科」。来年1月末までインターネットにつないだ自宅のパソコンでワープロや表計算、ホームページの作り方を学ぶことができる。1日4時間ほどのスケジュールだが、受講生の都合で調整できる。
 インターネットを使って学ぶ「eラーニング」を障害者の職業能力開発に取り入れるのは、県の事業としては初めて。県内の20代後半から30代後半までの男女4人が受講する。中山寿子校長(58)は「自分のペースででき、分からない時はもう1回できるのがeラーニングのいいところ」と話す。
 電子掲示板で講師に質問できるほか、音声通話ソフトで話すこともできる。また、講師は受講生のパソコンをネット上で遠隔操作でき、受講生がどの部分を学んでいるかを把握できる。1日は米子高専(米子市彦名町)で開講式があり、受講生は講師から直接、訓練内容の説明を受け、基本操作を学んだ。
 同支援科の事業を受託した「IT工房鳥夢(とりーむ)」(米子市)は、小規模作業所とIT関連企業が提携して昨年設立した企業組合。小規模作業所「IT支援センター」の代表で車いすを利用する大羽和弘・鳥夢理事(47)や米子高専の准教授ら4人が講師を務める。


◇パソコン教室:目指すはネット在宅就労 障害持つIT技術者が指南
(2007.03.04 毎日新聞 東京朝刊 13頁 家庭面) 
 インターネットを使って障害者が自宅にいながら仕事のできる仕組みを作るため、障害を持つIT(情報技術)技術者が離れた場所の受講生にパソコンの使い方を教える試みが東京都内の厚生労働省の研修室を使って行われた。主催は社会福祉法人「プロップ・ステーション」(竹中ナミ理事長)。
 パソコン教室はNTTネオメイトが開発したシステムを用い、京都、仙台に在住する障害のある2人の講師が受講者10人にパソコンの使い方を教えるという試み。当日は研修室には2台のスクリーンとカメラを設置。1台のスクリーンには遠隔地の講師の姿が映し出され、別のスクリーンには講師がパソコンを操作する様子が映し出された。
 竹中理事長は「IT利用で障害者の在宅就労が可能。小さい子どものいる女性がスキルアップの学習を在宅で行える」と話す。【扇沢秀明】


◇サポート マリオン
(2007年02月07日 朝日新聞 夕刊 マリオン4 008)
 ◆在宅就労セミナー
 14日[水]、[後]1時半〜5時、東京都港区六本木3丁目の六本木ジョブパーク2階、大会議場(六本木一丁目駅)。昨年の障害者雇用促進法改正により、新たに加わった在宅就業障害者支援制度と在宅就業支援団体について理解を深める。パネルディスカッションも。100人。要予約(先着)。ファクスに、代表者の氏名、参加希望人数、職業、電話番号(ファクスかメールアドレスでも可)、「在宅就労セミナー参加申し込み」、要約筆記の必要の有無を記し、9日までに申し込む。ホームページ(http://www.tocolo.or.jp/syokunou)からも可。電話東京コロニー職能開発室(03・5988・7192、FAX5988・7193)。
 ◆5日でタバコをやめる禁煙講座
 18日[日]〜22日[木]、3月8日[木]、[後]6時半、東京都杉並区天沼3丁目の東京衛生病院(荻窪駅、電話03・3392・6151)。専門の医師やカウンセラーらによるチームが、さまざまな生活習慣病の原因になるたばこの害を医学的見地から説き、心理的依存へのケアを含めた禁煙対策を指導する。1万500円。要予約。15日までに申し込む。
 ◆肝臓病講演会
 18日[日]、[後]1時半〜4時、東京・池袋の豊島区民センター6階、文化ホール(池袋駅)。「ウイルス肝炎・肝硬変の最適な治療を求めて」をテーマに、最新の治療法、栄養治療などを解説。講師は、東海大八王子病院消化器内科助教授の白石光一さん。質疑応答あり。当日先着200人。電話東京肝臓友の会(03・5982・2150)。
 ◆公開市民講座 ホルモンと市民生活
 3月11日[日]、[後]2時〜5時15分、東京都千代田区平河町2丁目の都市センターホテル、コスモスホール(永田町駅)。ホルモンと健康、長寿の関係などについて、専門家が講演。第一部は、先端医療振興財団理事長・井村裕夫さんの「ストレスとホルモン」、東京女子医科大糖尿病センター所長・岩本安彦さんの「あなたに贈る生活習慣病対策」、社会保険中央総合病院長・齊藤壽一さんの「水と食塩と健康」△第二部は、3時45分から日本臨床男性医学研究所所長・熊本悦明さんの「男性にも更年期がある」、神戸大大学院医学系研究科教授・千原和夫さんの「元気で長生きするために」、東京女子医科大脳神経外科教授・堀智勝さんの「頭痛にひそむ脳腫瘍(しゅよう)」。600人。要予約(先着)。
 往復はがきに、〒住所、氏名、電話番号(あればファクスも)を記し、〒106・0041東京都港区麻布台2の3の22、一乗寺ビル、コンベックス内「公開市民講座」事務局係。1枚につき2人まで連記可。問い合わせはファクス(03・3505・2126)で受け付ける。


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▼2006年分
◇ボランティア情報 /山梨県
(2006年06月22日 朝日新聞 朝刊 山梨全県・2地方 032)
 ●バーチャル工房第2期生募集
 バーチャル工房は、移動困難などの理由で、一般の職場に就労するのが難しい重度の障害者を対象にした県の在宅就労支援事業。同事業では、06年8月から研修や実習を開始する第2期生を募集。自宅に派遣される講師から、ホームページ作成やビジネスマナーなどの講習を受けた後、実際の業務を受託してIT実習を行う。月1回程度、1期生との情報交換などをするミーティングも。応募資格は県内在住の18歳以上で障害区分1〜2級、パソコンを所有する高校卒業程度の学力を有する人。その他条件・選考方法については要問い合わせ。7月1日正午締め切り。申し込み・問い合わせは県障害者福祉協会・早川さん(電話055・252・0100、メールexan02bd@yahoo.co.jp)へ。

 ●プライムタイムボランティア募集
 甲府市中央5丁目の山梨YMCAでは、平日午後2時〜7時の学童保育に、日替わりメニューの遊びを取り入れた「プライムタイム」を実施している。車で小学校から同所への送迎ができる人、子どもと一緒にプライムタイムを過ごしてくれる人を募集する。学生も可。曜日・時間は応相談。簡単な面接あり。申し込み・問い合わせは山梨YMCA(電話055・235・8543)へ。
     ◆
 「ボランティア情報」は、県ボランティア・NPOセンターの「ボランティアボード」に寄せられた情報をもとにしていますが、直接の掲載依頼も受け付けます。募集・開催内容のほか、主催団体と連絡先を明記して下さい。
 あて先はいずれも「ひろば」と同じです。掲載したものは、本社の電子メディアで使用する場合があります。


◇障害者の在宅就労支援、軌道に 県が2期生募集 /山梨県
(2006年05月31日 朝日新聞 朝刊 山梨全県・1地方 031)
 県が昨秋から実施している障害者の在宅就労支援事業「バーチャル工房」が軌道に乗り始めた。工房では現在、1期生9人が高度なパソコン操作を勉強中だが、早くもイベント用パネルの作製依頼を受けた。6月1日からは2期生を募集し、さらに事業拡大を目指す。
 これは、移動困難などの理由で、一般の職場に就労するのが難しい重度障害者を対象に実施している事業。パソコンを使った在宅就労を可能にするため、専門講師による学習機会を設けるなどしている。
 5月には、介助犬や補助犬の育成に尽力しているボランティア団体から、イベント用パネルの作製を受注した。デザインからキャッチコピーまで、1期生が自分たちで案を練り、納品した。
 県によると、2期生は11人を募集、1期生と合わせ20人で工房を運営していく方針。県が年内スタートを目指す授産製品のネット販売のホームページもこの工房に作ってもらうことにしている。
 2期生に応募できるのは、パソコンを持っており、基本的な操作を習得している障害者。在宅で週4日以上、1日4〜6時間の学習を受けることなどが条件となる。1次試験は書類選考、2次試験はパソコン操作実技と面接を予定している。募集期間は7月1日まで。
 問い合わせは県障害者福祉協会(電話055・252・0100)へ。


◇短信 /愛媛県
(2006年05月18日 朝日新聞 朝刊 愛媛全県・2地方 029)
 ◆年賀寄付金を県内4団体に 年賀はがきなどを介して集まった06年度の寄付金の配布先が決まり、松山市三番町3丁目の松山中央郵便局で通知書の交付式があった。県内からは4団体が選ばれ、計約510万円が贈られる。
 選ばれたのは、ITで障害者の在宅就労を目指す「ぷうしすてむ」▽デーサービスや地域通貨事業と取り組む「ライフサポート友伍」▽児童デーサービス施設などを運営する「松山手をつなぐ育成会」▽障害者の創作活動を支援している「アトリエ素心居」。いずれも松山市内で活動している。


◇授産施設製品、ネット販売へ 受注増・意欲アップ期待 県、年内にも開始 /山梨県
(2006年05月10日 朝日新聞 朝刊 山梨全県・1地方 035)
 県は年内にも、インターネット上で、県内の授産製品の一括販売を始める。県障害福祉課は「障害者自立支援策の目玉」と位置づけており、運営の大部分も障害者グループに委託する方針。他県で既に実施例があり、波及効果が大きく、成功しているという。
 ホームページ上に開設した「店舗」で注文を受け付け、その受注票が、生産している授産施設などに届くシステムを作る。各施設は、受注票に従って生産し、宅配業者を通じて発送する。注文数が多い場合に備え、他の参加施設と協力して生産にあたる仕組みも構築する。
 県は、インターネットで販売することで、受注件数の増加が見込めると予測。それに伴い、生産意欲が上がり、商品のレベルが向上するほか、障害者の賃金アップにもつながると期待する。
 ホームページの運営は、県の「重度障害者在宅就労促進事業」でパソコン操作に習熟した障害者グループに委託する方針。併せて、県内授産製品のアンテナショップの経営希望者を障害者から募集し、ネット販売と連動させることにしている。
 ネットを使った授産品の販売は、兵庫県などが既に実施しており、大きな成果を上げているという。同県によると、数年前から、インターネット上に「通販ショップ」を開設し、同県内の授産製品の販売をしてきた。
 同県障害者支援課は「ネットでの売り上げはさほどでもないが、大量注文などを分担する仕組みができたことと、宣伝効果が大きい」と話す。昨年度までは委託事業として実施していたが、運営基盤ができたとして、今年度からは自立してもらい、補助金事業として運営してもらっているという。
 県は、これらの先進地に倣いながら、早期の「開店」を目指す。


◇障害者の在宅就労を支援  NPO「ほっと大仙」、機会拡大に期待=秋田
(2006.05.08 読売新聞 東京朝刊 秋田 35頁)
 ◆「パソコンでHP制作」仲介 
 パソコンを使って自宅にいながら仕事をしたい。そんな意欲に燃える身体障害者を支援する取り組みが、大仙市の非営利組織(NPO)「ほっと大仙」(会員100人)で始まった。ホームページ(HP)を制作できる腕前を持ちながら重い障害によって外出や営業活動がままならない人と、HP作成を希望する企業との間に立ち、ほっと大仙が仕事の受発注や報酬の支払いなどを仲介する。テストケースとしてまず、会員にほっと大仙のHP作成を発注した。定着すれば障害者の在宅就労のチャンス拡大につながりそうだ。
 きっかけは、障害者への就労支援を強化する一方で、福祉サービスに原則1割の自己負担を導入する障害者自立支援法だった。障害者が必要なお金は増えるのに、就労機会は県内に乏しい。障害者が自ら手に職をつけ、働ける環境を整えたいとの思いからだった。
 ほっと大仙は今年4月の法施行をにらみ、昨年10〜12月に8回のパソコン講習会を開いた。秋田市や大仙市などから参加した30〜50代の身体障害者7人が講習会のまとめとしてHPを作ったところ、完成度の高い作品が数点あった。今年1月に県内の障害者45人に行ったアンケートでも、今は仕事をしていない人が33人いたが、うち18人が「就労したい」と答えた。
 そこで、ほっと大仙の奈良克久事務局長(47)が中心となり、在宅就労を後押しするモデル作りに乗り出した。手始めに、会員で美郷町小荒川に住む永代和博さん(29)に3月、更新するほっと大仙のHP制作を依頼した。交通事故の後遺症で両手と両足が不自由な永代さんだが、30センチほどの棒を口にくわえて器用にキーボードをたたき、自分が通う施設のHPを自主的に作って管理してきた。奈良さんには、永代さんがHP制作者として実績を重ねることで企業に知ってもらい、他の障害者への仕事を増やしたいという希望もあった。
 「仕事は収入を得るだけでなく、生きがいにもなる」と奈良さん。パソコンを使いこなせる技術の向上や、ビジネスマナーの講習会も考えているが、「まだまだ課題は多い」と言う。
 仕事を持つ県内の身体障害者は昨年3月末で、1420人。全体のわずか2・6%にとどまっている。
 

◇タウン TOWN たうん /大阪府
(2006年03月18日 朝日新聞 朝刊 大阪府・2地方 029)
 <聴く>
 ◆第5回チェリーブロッサムコンサート 24日18時半〜20時半、吹田市泉町2丁目のメイシアター。府立摂津高校吹奏楽部が出演し、「口笛吹いて働こう」や「たなばた」などを演奏する。参加費300円(学生無料)。問い合わせは同校吹奏楽部(072・635・1441)へ。
 <観る>
 ◆塔本ひろこ「花ものがたり」個展 28日までの11〜18時(28日は17時まで)、北区天満橋1丁目、帝国ホテルプラザ2階のアートプラネット余次元(06・6882・7755)。少女や草木を描いたメルヘン画=写真=を約30点。水曜休み。
  ◆山口珠瑛「レトロ・ア・ラ・カルト」 22〜31日の12〜19時(25、31日は17時まで)、中央区大手通1丁目のギャラリー・センティニアル(06・6943・5892)。「レトロで粋」「レトロでかわいい」などをテーマにしたイラスト展。アクリル板にニードルで線を描き、アクリル絵の具で着色した作品=写真=を約30点。ポストカードやポチ袋などの雑貨も販売する。26日休み。
 <学ぶ>
 ◆大阪市コミュニティ・ビジネスモデル事業報告・発表会 23日14時半から、福島区吉野4丁目の大阪NPOプラザ3階会議室。大阪市と大阪NPOセンターが支援するコミュニティ・ビジネスのモデル事業者らが集う報告・発表会。14時半からの第1部は、大阪市立大学大学院助教授の橋爪紳也さんの基調講演と、モデル事業者5団体による報告発表(無料)。16時15分からの第2部は、意見交換や交流会(茶菓子代500円)。定員は先着100人。申し込みはファクスに住所、氏名、電話番号、メールアドレス、所属組織と、1部と2部のどちら(両方でも)に参加するかを明記して、大阪NPOセンター(06・6460・0268/ファクス06・6460・0269)へ。
 ◆講演「美しい地球を子供たちに えっ!地球ってこんなに大変なの?」 23日18時半、豊中市新千里東町2丁目の千里阪急ホテル。豊中青年会議所主催。NPO法人ネットワーク「地球村」代表の高木善之さんが、環境問題とそれに伴う飢餓の問題について現状を語る。入場無料。希望者は氏名と電話番号、居住地、年齢、性別、メールアドレスを書き、同会議所(ファクス06・6857・5270)へ申し込む。ホームページ(http://www18.ocn.ne.jp/〜tyjc/)からも申し込み可。
 ◆就活ナビ@Dawn 23日と30日の19〜21時、中央区大手前1丁目のドーンセンター4階。無料。就職活動やこれからの生き方を考えたい人に、先輩たちの体験談から人生のヒントを見つけてもらおうという講座。無料。23日は、市民参加のまちづくりNPO「ハンズオン!埼玉」副代表理事、吉田理映子さんの講演「自分の人生をプロデュースする」。30日は、京都の「塔南の園児童館」児童厚生員、瀬戸優美子さんと近鉄生駒店「八百一」副店長、宮前正裕さんが「就活・本音トーク〜わたしの場合」と題して話す。申し込み、問い合わせは同センター(06・6910・8615)へ。22日締め切り。
 ◆関西いのちの電話第24回公開講座 25日18時半〜20時半、此花区西九条6丁目のクレオ大阪西。大阪市立大学教養部非常勤講師の牧口一二さんが「歩かれへんけど歩いてる―いのちを活(い)かす道―」と題して話す。参加協力金800円(当日1000円)。問い合わせは関西いのちの電話事務局(06・6308・6868)へ。
 ◆プロップ・コンピューターセミナー 4〜9月、中央区本町1丁目の大阪産業創造館5階の人材育成センター。障害者や高齢者などの在宅就労に役立てるため、コンピューターグラフィックやワード・エクセルの基本操作を学ぶ。パソコンの基本操作ができる人が対象で、一般の人も参加可能。グラフィックコースは4月5日〜9月27日の毎週水曜18時半〜20時半、ワード・エクセルコースは4月7日〜9月29日の毎週金曜18時半〜20時半。いずれも全25回で、受講料はグラフィックコースが5万円(障害者3万7500円)、ワード・エクセルコースが3万7500円(同2万5千円)。講座を手伝うボランティアもあわせて募集する。問い合わせはプロップステーション(078・845・2263)。


◇障害者への「就職支援」「工賃上げ」に成功報酬 事業者の「励み」期待
(2006.02.27 読売新聞 東京朝刊 生活C 29頁)
 ◆入所者選別の恐れも 
 障害者の就労を支援する事業者に支払われる訓練給付に、就職者数が多かったり、工賃が目標を越えたりした場合の成功報酬が上乗せされることになった。評価する声がある一方、「障害者が選別される」との懸念もある。(小山孝)
 「今年中に就職したい」。兵庫県加古川市の知的障害者授産施設「加古川はぐるまの家」で働く森将樹さん(26)が、汗をぬぐいながら語った。森さんの仕事は、回収された使い切りカメラから電池を取り除いて、再利用可能かどうかを調べること。昨年6月から施設に通っているが、課題だった作業スピードや「自信のなさ」は解消されつつあり、施設では年内に就職は可能と見ている。
 1980年に開設した施設は定員50人。就労重視の原則を掲げており、より実践的な経験を積んでもらおうと、企業から受注した組み立て作業などを行う。納期厳守で、品質管理も徹底する。就職する人を送る激励会は「後続の励みになれば」と盛大だ。
 平均工賃は月3万円。約80人が施設を巣立って就職した。高井敏子施設長は「これまでは就職させてもさせなくても評価は同じ。就職の支援や1円でも多く工賃を払うことがどんなに大変なことか」と話し、成功報酬の導入に理解を示す。
     ◎    
 福祉の支援を受けながら障害者が働く場には授産施設や福祉工場などがある。これが、10月から、障害者の希望や能力に合わせ、「就労移行支援事業」と「就労継続支援事業」に再編される(表参照)。4月に施行される障害者自立支援法に基づく見直しで、成功報酬の導入も盛り込まれた。
 授産施設の場合、働く場を提供するだけでなく、一般企業に就職するための訓練を行うという役割も持つ。しかし、「就職したい」という障害者の思いに、必ずしも応じ切れていない。授産施設などで作る全国社会就労センター協議会の調査では、知的、身体障害者の4割、精神障害者の6割が「施設を出て働きたい」と考えているのに対し、実際に施設を出て就職するのは年間1%程度という。
 また、知的障害者授産施設の平均工賃は月額約1万2000円。施設で働くだけでは1人暮らしなどは難しい。
 背景には、様々な能力の障害者が混在して能率が上がらない現状や、施設職員の就労に関する知識の乏しさが指摘される。ある施設関係者は「能力のある障害者が就職すると効率が下がるので、引き留めている施設もある」と明かす。
     ◎
 成功報酬は、事業者が本来の役割を果たす動機付けとして期待される一方で、懸念もある。日本障害者協議会の藤井克徳常務理事は「そもそも施設の数が足りないので、事業者が成果の出そうな人を選別する逆選択が起きるのでは」と危ぶむ。「施設だけで、就職できる力を付けさせるのは難しい。能力のある人を探さざるを得なくなる」(関東地方の授産施設施設長)との声もある。
 新制度への移行は段階的に行われ、2011年度末に完了する。国は同年度までに、就職する人を現状の年間2000人から8000人に引き上げる目標を掲げている。全国社会就労センター協議会の星野泰啓会長は「すべてを施設で行うことは難しい。教育や労働行政と連携し、地域で支える仕組み作りが必要だ」と話している。
 

◇重度障害者の在宅就労 ホームページ制作、9人で開始=大分
(2006.02.15読売新聞 西部朝刊 二大分 31頁)
 自宅のパソコンで出来るインターネットのホームページ(HP)制作などを重度障害者に発注し、自立を後押しする取り組みを県が始めた。当面は大分、別府市に住む9人でスタートするが、2007年度には約25人の障害者に仕事をしてもらう計画だ。
 ◆県「バーチャル工房支援事業」
 パソコンを仮想の工房に見たて、「バーチャル工房支援事業」と名付けた。県障害福祉課によると、手足が不自由な障害者や知的障害者が対象で、手がける業務としては、HP制作のほか、ソフトウエア開発、名刺の作成などを見込んでいる。
 企業からの受注や仕事の配分などは、障害者向けに情報技術の講習を行っているNPO法人「障害者UP大分プロジェクト」(大分市)に委託。同法人は障害者の技術力に応じて仕事を振り分けるだけでなく、技術指導や製品の品質管理も担当する。
 国の補助事業で、県としての取り組みは2007年度まで3年間だが、県ではこの間にシステムの定着を図り、NPO単独での事業継続を目指したいという。
 9日には事業開始の記念式典が県総合社会福祉会館で開かれたが、出席した障害者に対し、県やNPOの代表は「最後まで投げ出さずに仕事を続け、技術を高めてほしい」と激励した。
 大分プロジェクトの小森満治副理事長は「企業が発注したくなるホームページを制作できるように指導し、独立して就労できる障害者を1人でも多く増やしたい」と話していた。
   

◇障害者の就労支援、バーチャル工房が始動 自宅でIT技術習得 /大分県
(2006年02月14日 朝日新聞 朝刊 大分全県・2地方 034)
 重度障害者の在宅就労を推進する国の補助事業を活用した「バーチャル工房おおいた」が活動を始めた。参加者たちは、自宅で指導を受けながらIT技術を習得し、企業などから受注した仕事をこなす。
 05年度から07年度までの補助事業で、05年度の補助額は約400万円。県から委託を受けたNPO法人「障害者UP大分プロジェクト」(大分市)が参加者に技術指導をするとともに、企業や団体からホームページづくりなどの仕事を受け、参加者の「工房」に振り分ける。
 当面、10人が参加する。別府市の宮川被徳さん(44)は「これまでパソコンのメンテナンスの仕事をしてきたが、体力的にも通勤がつらかった。自宅でできるのでありがたい」。技術指導などにあたるNPOの末広賢介さんは「補助終了後に参加者が独立したり、グループで事業化したりできるように全力で支援したい」と話している。
 NPOでは、最終的には25人ほどの参加を目指している。


◇障害者:ともに「支え合う」仲間 自立のあり方探る−−福井で講演会など /福井
(2006.01.11 毎日新聞 地方版/福井 21頁) 
 ◇講演とパネルディスカッション
 「障害があっても、その人の意志にふたをしない」−−。自立のあり方を考える講演会とパネルディスカッションが7日、福井市内であった。障害者の生活支援に取り組むNPO法人「ナレッジふくい」(高嶋公美子理事長)が主催。神戸市の社会福祉法人「プロップ・ステーション」理事長の竹中ナミさん(57)を講師に招き、「障害者は『支えられる』だけの存在でなく、ともに『支え合う』仲間」という視点から、福祉の可能性を探った。【田辺一城】
 ◇竹中さんが講演
 支え合いを意味する「プロップ」。竹中さんがステーションを立ち上げる契機となった、知人男性のラグビー選手時代のポジションだった。
 15年前、高校ラグビーで将来を嘱望されたが、試合中の事故で左手指先と首しか動かなくなった。当初、男性は大きなショックを受けたが、「考える力が残されている。働いて社会に出たい」と決心。両親に告げると「だったら、長男なんだから家業を継げ」。男性は家業のマンション経営を学ぼうと、大学に願書を出した。「前例がない」と言われたが、周囲の支援でワープロ受験にこぎつけ、理工学博士まで取得。卒業後、マンション管理をパソコンにデータベース化した。マンションの清掃作業は近隣の知的障害者に募集をかけた。
 「社会は障害ある人を見ると、気の毒、不幸だ、家族もつらいだろうと考える。だが、介護は必要だが立派な『青年実業家』。日本の福祉は、障害のマイナス面だけに着目した『何かしてあげましょう』のサポートで、可能性を広げることに目を向けてなかった」
 竹中さんは(1)働く気持ち(2)周囲のバックアップ(3)コンピューター−−が、障害者の雇用促進につながると確信。「私たちに先行投資を」という言葉に企業が協力し、ステーションはパソコンを利用した在宅就労の草分け的存在になった。「Challenged(障害者の新語)を納税者にできる日本」が合言葉となった。在宅就労支援を盛り込んだ改正障害者雇用促進法(今年4月施行)の成立にも力を尽くした。
 重度の心身障害を持つ娘の母でもある。「障害のある子の親は、ほとんどが『この子よりも1日遅く死にたい』と話す」という竹中さんも例外ではない。33歳になった娘を残し死ねる社会をつくるため、「その人ができることを引き出す仕組みを。障害者は支えられるだけの人という考えを取っ払いたい」と語った。
 ◇「遠慮する時代終わらせよう」−−パネル討論から
 パネルディスカッションでは「自立の障壁になるものは何か」との視点から、福井県内で暮らす人たちが意見を交換。共通したのは「障害者の方から遠慮する時代は、もう終わらせよう」という積極的な姿勢だった。
 福井市の自立生活センター「Com−Support Project」代表の高畑英樹さん(29)は「自立は、自分で生活を組み立て失敗しながらも暮らすこと。そのためには『こんなサービスが必要だ』と僕ら自身が(社会に)発信しないといけない」と指摘。
 鯖江市で福祉機器販売業を営み、介助犬「カノン」と暮らす桑原彰三さん(32)は「『誰かが助けてくれるだろう』と待つ姿勢が自分は嫌。介助犬がいて他人と話す機会が生まれた。アイテムを利用すれば社会とつながれる」と、「壁」をつくらない重要性を語った。
 また、精神障害で発作に襲われることがある河合利信さん(49)=松岡町=も「病気から勉強させてもらっているとプラスにとらえれば、目に見えない財産。少しずつ社会と接し、挑戦していけばいい」と話した。


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▼2005年分
◇NPO「ナレッジふくい」:障害者の自立考えよう−−来月7日、福井で講演会 /福井
(2005.12.30 毎日新聞 地方版/福井 21頁) 
 ◇介助犬と暮らす桑原さんら意見交換−−IT活用した在宅就労の可能性探る
 障害者や高齢者の生活支援に取り組むNPO法人「ナレッジふくい」(福井市)が1月7日、講演会「自立について考えよう!」を福井市大手2の県教育センターで開く。神戸市の社会福祉法人「プロップ・ステーション」の竹中ナミ理事長(57)を講師に、県内の障害者らのパネルディスカッションも企画した。
 プロップは、支え合いの意味。コンピュータを活用して障害者の就労促進を目指す、草分け的存在。障害者を新語「Challenged」で表し、「Challengedを納税者にできる日本」がキャッチフレーズ。竹中さんは21世紀臨調などの委員も務める。
 演目は「IT活用による障害者の在宅就労の可能性について−マイナスこそプラスの種!」。ディスカッションは、鯖江市で介助犬と暮らす桑原彰三さんや、福井市の自立生活センター「Com−Support Project」代表の高畑英樹さん、日本てんかん協会県支部「波の会」世話人の河合利信さんらがパネリスト。ナレッジの高嶋公美子理事長は「自立支援法はマイナス面ばかり強調されたが、在宅就労でも雇用関係が可能になるなど、自立の可能性が広がった面もある」と話している。
 午後1時半〜4時。無料。問い合わせはナレッジ(0776・54・0828、info@knowledge−f.jp)。年末年始は留守番電話だが、連絡先などメッセージを入れておけば後日、対応される。【田辺一城】


◇ふくおか探見:来年4月に改正・障害者雇用促進法 「企業への周知が課題」 /福岡
(2005.12.04 毎日新聞 地方版/福岡 23頁) 
 ◇国が在宅就労支援へ…「企業への周知が課題」
 企業に障害者の雇用を義務づけた障害者雇用促進法が改正され、来年4月から施行される。在宅で働く障害者への支援策を盛り込んだほか、法定雇用率の算定対象に精神障害者を含めたのが大きな改正点だ。果たして障害者には朗報なのか? 課題はないのか? 県内では珍しい民間による障害者の就労支援グループ「福岡ジョブサポート」を訪ねた。【井上俊樹】
 東区。福岡空港を発着する飛行機がごう音を響かせて頭上をかすめていく。6年前に活動を始めた福岡ジョブサポートの2カ所目の拠点となる元倉庫の部屋の奥にはパソコンが並び、講師の野口由美子さん(41)を囲むように3人の障害者が座っていた。「パンフレットに写真をレイアウトしたい時は、こうやればうまく仕上がりますよ」。3人は野口さんの説明にうなずきながら、画面を追う。
 そのうちの1人、越智英雄さん(37)=博多区=は生まれつき脳性まひ。松葉づえで何とか自分で歩けるが、他にも障害を抱えている。過去に授産施設で印刷の仕事をしたことはあるが、就職経験はない。「在宅で働いて給料をもらえれば一番いいのですが」と越智さん。パソコンを学び始めたのも、将来仕事を請け負えるくらいになりたい、という夢があるからだ。
 1960年に施行された障害者雇用促進法は、従業員数56人以上の民間企業に障害者を1.8%(98年から)雇うよう義務づけている。だが県内の達成企業は44.5%(昨年)。雇用率は00年の1.64%をピークに4年連続で下がり、04年は1.54%(全国1.46%)になった。福岡ジョブサポートでも登録する障害者延べ約80人のうち、これまで採用されたのは15社17人だ。
 今回の法改正で、在宅で働く障害者に仕事を発注した企業には年間発注額105万円につき6万3000円の調整金が国から支給されることになった。偏見などで就職が困難な精神障害者を雇用率の算定対象に含めたのも大きな前進だ。
 ジョブサポートの松本玲子代表(58)は「法改正で雇用環境が少しでも改善されれば」と期待を寄せる。また、障害者就労支援の草分けとして知られる社会福祉法人「プロップ・ステーション」(神戸市)の理事長で法改正に携わった竹中ナミさんは「今後は全面的な介護が必要な人でも仕事が出来る仕組みにしていかなければならない」と力を込める。
 とはいえ、現実の課題は多い。データ入力やホームページ作成などの仕事を在宅で請け負う障害者は現在もいるが、主婦など競争相手は多く、単価も低い。自身も在宅就労の経験がある野口さんは「障害者本人がどれだけレベルアップして、付加価値の高い仕事をこなせるようになるかが重要」と指摘する。
 また雇用率に算定される精神障害者は手帳の取得者に限られるが、抵抗感があるため手帳の取得率は高くない。福岡ジョブサポートの場合で4人中1人だけだ。さらに、改正そのものがあまり知られていないという懸念もあり、松本代表は「もっと企業にアピールしていきたい」と話している。
〔福岡都市圏版〕


◇バーチャル工房:スタート 重度障害者の就労、起業を支援 /山梨
(2005.11.17 毎日新聞 地方版/山梨 27頁) 
 ◇自宅でホームページ作成、データ入力
 重度の身体障害のある人が自宅でホームページ作成などIT(情報技術)関連事業を行う「バーチャル工房」の開始式が16日、甲府市の県福祉プラザで行われた。メンバーは肢体不自由や視覚障害を持つ人たちのうち、パソコンの基礎技術試験にパスした男女10人。自宅で専門家の技術指導を受けながら仕事を受注し、2年半でプロとして働ける技術を習得して企業への就労、起業を目指す。
 国の重度障害者在宅就労促進事業で工房を設立。移動などが困難で働きたくても機会のなかった重度障害者に就労の機会を与え、自立を図る。インターネットを利用して工房(作業場)に行かなくても自宅にいながら高度ホームページの作成やグラフィックデザイン、プログラム開発などの技術指導を受け、技術を習得しながら実際の仕事も行う。
 事務局の県障害者福祉協会が技術を指導する講師を手配するほか、企業などを回りホームページ作成やデータ入力などの注文を受ける営業活動を行いサポートする。
 メンバー10人のうち、8人は肢体不自由、2人が全盲と弱視の障害があるが、中には障害者の技能競技大会アビリンピック全国大会のホームページ作成部門で銅賞を取った経歴を持つメンバーもいる。
 富士河口湖町に住む鈴木勝則さん(45)は「今までは移動できないことで働くのが難しかった。(自宅で出来る)就労訓練の場はずっと願っていたもので、社会に貢献できるような多くの技術を習得したい」とやる気をみせる。
 今後、10人は技術指導やビジネスマナーなどの講習を受け、早ければ12月中にも受注を開始する。【鷲頭彰子】


◇障害者在宅就労、支援事業がGO 「バーチャル工房」開始式 /山梨県
(2005年11月17日 朝日新聞 朝刊 山梨全県・1地方 031 )
 重度障害者の在宅就労を推し進める国の補助事業「バーチャル工房支援事業」が16日スタートし、甲府市の県福祉プラザで開始式があった。今年度、全国7府県1市で先駆けて始まった試みで、参加者は今後2年半、自宅で指導を受けながらIT技術を習得、受注した仕事をこなす。
 開始式には、公募で選ばれた重度障害者10人(肢体不自由8人、視覚障害2人)が参加。杉原初男・県福祉保健部長は「移動困難で働く機会が得にくかった方々も、今後は家にいながらパソコンなどを使い、新たな可能性に挑戦してほしい」と励ました。
 委託先の県障害者福祉協会が企業や団体からホームページ(HP)づくりやデータ管理の仕事を探し、参加者が働くバーチャル(仮想)の「工房」に振り分ける仕組み。3年で補助を受けない独立採算にすることを目標に、専門スタッフの出張講習や月1回の合同学習も行って技術向上を目指す。
 全国障害者技能競技大会(アビリンピック)のHP作成部門で01年、銅賞を取った経験をもつ富士河口湖町の鈴木勝則さん(45)は、「自己流で始めたので、いずれ本格的に学びたかった。貴重な機会を生かし、専門性を身につけたい」。南アルプス市の小野智弘さん(65)も「以前から事業に関心があった。パイオニアとして本気で頑張りたい」と抱負を語った。


◇講演会:障害者の就労・自立支援へ ネットでライブ中継も−−29日、高松で /香川
(2005.10.26 毎日新聞 地方版/香川 23頁) 
 障害者の自立を目指して活動するNPO「障害者在宅就労サポートZe.Ro」が、障害者の就労・自立支援のための講演会を29日、高松市屋島西町の四国電力総合研修所で開催する。入場無料。
 障害者の医療から就労・自立へのプロセスを考え、すべての人が自然に支えあって生きるユニバーサル社会を作ろうという企画。三宅医学研究所(同市番町)の三宅信一郎理事長が「リハビリから地域リハビリへ−障害者の自立に向けた試み−」、ユニバーサルデザインを研究する会社・ユーディット(横浜市)の代表取締役、関根千佳さんが「あなたが人生の主人公!障害と技術でダブルの価値を生む」をテーマにそれぞれ講演する。他にも、医療や福祉情報機器の展示会がある。
 午後1時半〜同4時20分(展示会は午前11時から)。定員約250人。イベントの様子はインターネットでもライブ中継される予定。申し込みは、「講演会参加申込」として、住所、氏名、電話、返信先メールかファクス、車いす使用者の数を明記し、電子メール(zeroweb@ejstyle.net)かファクス(087・887・0886)。【高橋恵子】


◇グループホーム:身障者4人、新たな一歩 「クローバー」誕生−−上富田町 /和歌山
(2005.10.04 毎日新聞 地方版/和歌山 23頁) 
 身体障害者のための県内初のグループホーム「クローバー」が3日、上富田町岡に誕生した。和歌山市出身の辻博文さん(39)ら、同町岩田の県福祉施設「牟婁あゆみ園」に入所していた43〜39歳の男性4人が引っ越し、地域生活の新たな一歩を踏み出した。
 クローバーは、同園から約500メートル離れた2階建て4室のアパート。賃貸物件を探していたところ空室があり、家主が元同園の看護師だったことから6月に話がまとまった。
 1階2室を借りて、1室(45平方メートル)に2人ずつ入居できるよう改修し、畳を板張りに、トイレは横壁を抜いて、介助しやすいようアコーデオンカーテンにした。
 4人は最重度の障害があり、世話人3人のほかホームヘルパーが午前1時ごろまで床ずれ防止や排せつの世話をする。
 クローバーの運営費は、ヘルパー代年間1000万円を国、県、利用者の出身自治体が負担。世話人の給料同200万円は、県と上富田町が拠出。家賃と食費、光熱費など月1人約6万5000円は、それぞれ月約8万円の障害者年金から負担する。
 身障者のグループホームはこれまで、県内にはなかった。同園が昨年度、入所者にアンケートをしたところ、80人のうち67%が施設から出たいと希望していた。
 辻さんはテニス部で活躍し、全国大会にも出場したが、高校3年の夏、海水浴中の事故で首の骨を損傷。高校を2年遅れで卒業し、和歌山大2部で学んで、中学の社会科教員免許を取得した。同園の自治会長、県福祉事業団理事を務めている。
 4人は手や足でキーを操作するパソコン通。在宅就労の意欲は強く、ハローワークに登録を済ませた。【吉野茂毅】


◇技術センター新設で講演会 日本福祉大 /愛知県
(2005年06月28日 朝日新聞 朝刊 愛知全県・2地方 026)
 日本福祉大は、福祉テクノロジーセンター開設を記念した講演会「福祉テクノロジーが拓(ひら)く未来」を7月2日午後1時から半田市東生見町の同大半田キャンパス101教室で開く。
 同センターは4月に開設。人に優しい支援技術を研究・開発するとともに、地域貢献として、福祉器具の展示や利用に関する相談、製作などにも当たっている。
 講演会では、IT(情報技術)を活用した重度障害者の在宅就労支援をしている「バーチャルメディア工房ぎふ」理事長の上村数洋さんが「障害者の社会参加と支援技術の役割」、同大助教授の渡辺崇史さんが「生活を支える支援技術」などと題して話す。当日は施設内の見学もできる。
 無料。申し込みは同センター(0569・20・0143)へ。


◇(広がるか 障害者の働く場 制度改正を前に:下)工夫 働くスタイルに可能性
(2005年06月02日 朝日新聞 朝刊 生活1 033)
 ○IT使い在宅就労
 手や脚の筋肉が萎縮(いしゅく)し、運動機能が失われていく難病を患う仙台市の間藤裕也さん(27)は、パソコンを使って家で仕事をする。関西や四国の3人の障害者仲間と請け負っている。5月下旬、テレビ会議で電動車いすに座ったリーダーの中内幸治さん(47)が神戸市から応じた。「今度、新しい仲間が加わります。両手が不自由で口でキーボードを使っている人です」
 仕事は大阪市のNTTネオメイトが発注、市町村合併に伴う市庁舎や学校など公共機関の名称変更を調べてパソコンに入力する。
 間藤さんは、外では車いす、部屋では両ひざをついて移動する。高校卒業時、地方公務員を目指したが、自力で通勤できないため、あきらめた。その後、在宅でプログラミングを学んだ。今は1日4、5時間ほど働き、月額7万円の報酬を受け取る。「自分で稼げるのがうれしい」と話す。
 仕事を仲介するのは、ITを活用した障害者就労を進める神戸市の社会福祉法人プロップ・ステーションだ。パソコン講座ではこれまで、計約1500人が学び、約150人が在宅就労を経験した。
 障害者雇用促進法の改正案は、在宅の障害者に仕事を発注する際、こうした支援団体を介した場合でも発注元に特例調整金などを支給する。
 ブロードバンドの発達で在宅就業の環境は整ってきた。プロップの竹中ナミ理事長は「在宅就業を進めるには、安定的な仕事の確保が重要。法定雇用率を達成できない企業に納付金を課すよりも、障害者に仕事を外注させる制度を設けては」と提案する。
 ○症状理解、職場でカバー
 大阪府枚方市の精密機器用アルミケースなどを製造するアクテック(従業員65人)は、5人の精神障害者を雇用している。採用時には、精神障害があることを本人の同意を得た上で、ほかの従業員にも伝える。症状が不安定になったり、薬の副作用で眠気が出たりする場合もあるからだ。「周囲も症状を分かっていれば、対応しやすい」と芦田庄司社長。働く時間は、原則1日7時間。時給は750円からで、能力に応じてアップする。統合失調症の男性従業員(56)は運送などの仕事を転々としてきた。「病気を隠して働き、悪くなると辞めた。ここでは2週間ごとの通院も気兼ねなく休める」
 精神障害のある人を受け入れた後、ビデオ関連機器でネジが1本欠けた製品を出荷、自主回収した。回収には500万円ほどかかった。売り上げ減も続き、採用を批判する声も出た。ミスを防ぐ態勢に力を入れた。作業手順を作り直し、少人数のグループごとにノルマや目標を決めた。ペアを組んで工程ごとにミスがないか点検し合う。芦田社長は「健常者だってありうるミス。品質や生産性を保つため、全体でカバーする仕組みが大切」と話す。
 ○短時間労働でも0.5人分
 東京都新宿区の株式会社「ストローク」の主な仕事はビル清掃やダイレクトメール発送代行などだ。元NHK職員の金子鮎子さんが精神障害者の働く場として立ち上げた。JR高田馬場駅近くのビルで朝8時から清掃をするのは勤続約15年の男性(45)。会議室の机をふき、いすを上げ、掃除機をかける。精神障害になったのは21歳ごろ。勤務時間は月約80時間で時給は710円。男性は「明るくなって、仕事に手間もかけられるようになったんですよ」と笑う。
 役員、顧問を除き、働くのは24人。うち社員4人、常勤・非常勤のパート計14人と訓練生6人で、精神障害のある人は17人。週の平均就労時間は、30〜40時間4人、20〜30時間5人。
 雇用促進法の改正案では、疲れやすく長時間働くことが困難な人が多いことにも配慮し、週20時間以上30時間未満の短時間労働でも0・5人分として法定雇用率に算定する。法定雇用率の算定対象となる精神障害者は、長期間、日常生活に支障がある場合に発行される「精神障害者保健福祉手帳」を持っていることが条件。しかし、手帳取得をちゅうちょする人も多い。金子さんは「本人や医療機関が取得のメリットを知らないことも多い。手帳があれば雇用率の対象になるという啓発が必要だ」という。
 改正案では、精神障害者の雇用率について、新規雇用だけではなく、働きながら発症した人も含めた。厚生労働省の98年度調査では、精神障害者雇用者5万千人のうち1万3千人は就職後の発症だ。同省は「雇用率達成のため、企業が本人に手帳の取得を強制することがないようにしたい」とし、プライバシーに配慮した公平な運用について指針を作る方針だ。
 <障害者雇用促進法の改正案>
 現行法では、従業員56人以上の企業は1人以上の身体や知的障害者を雇用する義務がある。改正案では、法定雇用率(1.8%)を計算する際、新たに重いうつ病や統合失調症などの精神障害者も加える。法定雇用率の算定条件となる「精神障害者保健福祉手帳」の所持者は03年度末で約31万3千人。現在、法定雇用数を超えて障害者を1人雇用すると、企業には1カ月2万7千円の雇用調整金が支給される。新たに設けられる特例調整金は、この雇用調整金を超えない額での支給を検討している。


◇在宅就労支援へ、松山市が研究会 センター設立目指す=愛媛
(2005.05.26 読売新聞 大阪朝刊 愛南予 30頁)
 身体障害者や母子家庭の母親らに、在宅就労(テレワーク)の機会をと松山市は25日、「松山テレワーク支援センター整備に関する調査研究会」(委員長=湯浅良雄・愛媛大法文学部長)を発足させ、同市の愛媛大で初会合を開いた。研究会では支援センターが担うべき役割などを論議して9月に市に提言。市はセンター設立の具体的作業に入る。
 会合では、3年前から、市内の母子家庭の延べ65人に、自宅で仕事をしてもらうなどした実証実験の結果を市の担当者が報告。就労者の技能向上に時間がかかることや、交代要員を確保するシステム作りの必要性などを課題として挙げた。


◇ここに注目!:県予算案/9止 障害者雇用対策 /青森
(2005.03.05 毎日新聞 地方版/青森 23頁) 
 ◇自立を支援「県がモデルに」
 三村申吾知事が就任以来掲げてきた公約に雇用促進がある。しかし、青森労働局が発表した1月の県内の有効求人倍率(季節調整値)は0・41倍で、前月を0・05ポイント上回ったものの、全国では31カ月連続の最下位(全国平均0・91倍)となり、依然として雇用情勢の厳しさは続いている。
 県は引き続き若年者の雇用対策を重点施策に挙げるとともに、新年度予算では障害者の雇用促進にも力を入れる。
 継続事業の「チャレンジド雇用・就業支援事業」はふるさと再生・新生重点枠経費に指定され、1724万円を計上した。障害者支援関係者によるネットワークの形成や企業に対する就労希望障害者の情報提供、就労支援に取り組む社会福祉法人などを支援する。
 さらに新規では、障害者が職場に適応できるよう人的支援を行う「ジョブサポーター育成事業」に534万円を配分した。初年度はサポーター育成カリキュラムの作成・教材開発などを進める。約90人を目標に育成する方針だ。情報技術(IT)を活用した在宅就労を推進する「チャレンジドSOHO推進事業」には320万円をつけた。
 また「知的障害者庁内短期研修事業」として222万円を計上。知的障害者を県庁の障害者雇用に関連した課に半年ずつ計6人を配置し、就業に向けた研修をする。新規はいずれも2カ年事業。
 障害者雇用については国が行政機関や企業に対して法律で一定の雇用率を規定している。青森労働局がまとめた障害者雇用状況調査(04年6月現在)によると、県内民間企業の障害者雇用率は1・52%で、法定雇用率の1・8%を下回っている。県労政・能力開発課は「障害者の自立を支援するのが狙い。県庁がモデルとなることで民間企業の啓発につながれば」と話している。【湯浅聖一】=おわり


◇視覚障害者、電話で活躍 女性の雇用拡大に期待 授産施設 /静岡
(2005年02月21日 朝日新聞 朝刊 静岡1 037)
 目の不自由な女性の職場を広げようと、電話を使ったアンケートやイベント案内に取り組んでいる授産施設がある。静岡市春日3丁目の「静岡市ワーク春日」だ。全国でただ一つという視覚障害者による電話業務室で、民間のコールセンターと変わらない丁寧で素早い対応を売りにしている。活動を広げて授産施設のイメージを改めたい考えだ。(長尾翔)
 
 「商品にお気づきの点はありますか」
 「納期はご満足いただけましたか」
 視覚障害の女性3人がヘッドホンのマイクを通して電話の相手に尋ねる。回答は即時にパソコンへ入力。点字入りの名刺など、施設が作った商品の購入先に電話して意見を聞くほか、昨年は県の「障害者在宅就労調査」を請け負い、3人で600件近く電話した。
 彼女たちを支えるのは、画面内容を音で知らせるパソコンと電話が一体化した「電話業務支援システム」。入力した文字をヘッドホンの右耳で確認し、左耳で相手の声を聞き取る。NTT西日本などと5年前に開発し、翌年から業務を始めた。
 パソコンの音声は日常会話の2倍程度に速めてある。相手を待たせないためだ。「訓練の積み重ねで可能になった。聞き逃すことはほとんどない」と指導員の村松陽子さん(27)は語る。
 「障害があることは問題ではないと、自信がついた」。沼津市の杉山実加さん(20)は昨年、健常者も参加する電話応対コンクールの静岡地区予選で59人中14位に入り、県大会出場条件の12位に迫った。「何でも遠慮がちだったが、チャレンジしていくことが大事と自信がついた」
 指導は徹底している。毎朝、発声練習を繰り返し、姿勢や表情、呼吸の仕方までをチェックする。「仕事をもらった人に失礼があってはならない。電話でも実際に会ったように、笑顔で話すように教えている」と村松さんは話す。
 入所して2年目の細倉恵さん(21)は「明るくなった」「話し方がうまくなった」と周りから言われるようになった。緊張しやすく、話すことが苦手だったが、「色々な人と会話する中で、落ち着いて話を聞けるようになった。友人と居酒屋に入ってお酒を飲むなど、行動範囲も広がった」と言う。
 現在、視覚障害の女性が働く場所は鍼灸(しんきゅう)やマッサージなどに限られている。企業の合同説明会に行っても、受け入れ先はほとんどないのが現状だ。
 電話業務室は企業からの受注も目指しているが、認知度はまだ低い。施設の収入は、主に県や市の広報紙の点訳で賄われ、職業訓練が収入になるのはこれからだ。システムの開発から携わった村上絵美さん(23)は「単純な手作業だけという授産施設のイメージを、身につけた技術で変えたい」と話している。
 

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▼2004年分
◇県が新IT推進計画案 来年7月、ネットで旅券申請可能に=埼玉
(2004.12.20 読売新聞 東京朝刊 埼玉南 36頁)
 ◆来年度、法人2税の申告を電子化 フリーマーケットHP開設
 県は、IT(情報技術)を活用した行政サービスを向上させるため、来年度から三年間の「新IT推進アクションプラン(行動計画)」案をまとめた。来年七月をめどにインターネットでパスポートを申請できるようにし、法人二税の電子申告システムの運用を来年度から始めることなどを盛り込んだ。県民が不用品を売買できるフリーマーケットのホームページを来年度から開設し、日常生活の利便も図る。新プランは来年三月に正式決定される。
 今年度で終了する「IT推進アクションプラン」では、庁内LANなど基盤の充実を掲げていた。全面改定となる新プランは、「電子県庁」「ITを活用した施策」など、ITの本格活用に重点が置かれている。
 電子県庁の推進策として、ネット上で申請・届け出ができる手続きを現在の五十五から二百八十に増やす。外務省の旅券電子システムなどを利用し、自宅のパソコンからいつでもパスポートの申請をできるシステムを構築。来年七月から稼働させる予定で、岡山県に次いで全国二番目の実施を目指す。
 地方税の手続きもネット上でできるようにし、納税者の利便性向上を図る。まずは法人事業税・法人県民税の申告を電子化し、来年度の運用開始を目指す。二〇〇六年度から自動車税の納付と車の保管場所証明の手続きをネット上で完結できるようにするため、現在のシステムを改善することも明記した。
 県庁内の情報システムについては、個別に導入してきたことで「連携がないまま使われている」とし、効率化を図る方針を示した。現状では、文書管理システム、財務会計システムなど約二百のシステム運用に年間約30億円がかかっており、県は「保守管理コストの圧縮などで、運用経費を約三割削減したい」(IT企画室)としている。
 「ITを活用した施策」では、非営利組織(NPO)との連携を深める方針を示した。フリーマーケットのホームページの製作を委託するほか、障害者がIT関連の仕事で在宅就労できるようにするため、パソコン訓練を実施するNPOを支援することなども盛り込んだ。


◇告知板 /徳島
(2004年11月24日 朝日新聞 朝刊 徳島1 026)
 ◆禁煙ポスター表彰式 23日、徳島市幸町3丁目の県医師会館で。健康増進法を受けて県医師会が初めてポスターを募集。優秀作品は禁煙キャンペーンのデザインに使われる。主な表彰者は次のみなさん。
 【最優秀賞・日本医師会賞】北島南小6年、藤本華奈【優秀賞・県医師会賞】藍畑小2年、松島ひかり【同・保健所長会賞】藍住中3年、三間富久美【同・県医師会環境保健委員会賞】川内北幼稚園、高岡采音【特別賞・朝日新聞社賞】城東高1年、脇野量子
 ◆視覚障害者パソコン講座(中級コース)受講者募集 在宅就労に向けた技術を習得する。徳島市富田橋6丁目の県立盲人福祉センターで、基本操作や文書作成など3回の講座を05年1月の部が「12、19、26日」、2月が「6、13、20日」の2クール。無料。地域パソコン講座などの修了者が対象で定員は各クール5人。今月25日から募集し、定員になり次第締め切る。電話、ファクス、手紙などで受け付ける。問い合わせは同センター点字図書館(088・623・6311、ファクス623・6347)へ。


◇県、HP作り講習会参加者を募集 重度障害者支援で=宮城 読売新聞 東京朝刊
(2004.10.20 宮城2 33頁)
 重度障害者の在宅就労を支援するため、県は、インターネットのホームページ作成技術を電子メールで学べる「e―ラーニングモデル事業」に乗り出す。
 定員五人で、募集期間は二十一日から十一月四日まで。講習は同月十八日から来年二月二十四日まで、仙台市内の民間企業に委託して実施する。
 受講資格は〈1〉県内在住〈2〉ハローワークなどに求職登録している重度障害者〈3〉自宅にパソコンがある〈4〉一日四時間程度の継続受講が可能〈5〉義務教育修了者――など。
 申込書は県のホームページからダウンロードするか、県産業人材育成課((電)022・211・2762)から取り寄せる。


◇障害者の就労考える後援会−−来月16日・高松で /香川
(2004.09.10 毎日新聞 地方版/香川 25頁) 
 障害者の社会参画を目指すグループ「障害者在宅就労サポートZe.Ro」が、講演会「みんな社会へ! チャレンジドが拓(ひら)くユニバーサルかがわ」を10月16日、高松市屋島西町の四国電力総合研修所で開催する。入場無料。
 講演会は県NPO提案型協働事業の一つで、自らも障害を持つメンバーが、他の障害者への支援活動として企画。講演するのは、障害者の自立のために活動する「プロップステーション」(神戸市)理事長の竹中ナミさん。「すべての人が誇りを持って生きられる街に!」をテーマに、IT(情報技術)活用による障害者の就労などを考える。障害を持つ就労者や地元企業が参加したディスカッションも行われる。
 午後1時半〜4時半。定員250人になり次第締め切り。イベントの様子はインターネットでもライブ中継される。申し込み、問い合わせは(http://www.ejstyle.net/zero/)か、副代表の増本幸子さん(087・874・9697)。【高橋恵子】


◇障害者の利用促進へ 「ITステーション」オープン 天王寺/大阪
(2004年09月02日 朝日新聞 朝刊 大阪2 029)
 障害者のIT利用促進を目的とした「大阪府ITステーション」が1日、天王寺区にできた。障害者を対象とした雇用情報の提供や、パソコン体験指導、パソコンを使った職業訓練をする。
 「障害者のIT利用日本一」を目指す府が、旧天王寺府税事務所を2億8300万円かけて改修。大阪障害者団体連合会が運営する。
 パソコン300台を配備し、障害者を対象とした訓練や相談だけでなく、府民や企業に障害者の実務能力をアピールする場としても活用していく。07年度までに約100人の在宅就労と、300人のITを活用した雇用を目指す。
 開館時間は月曜日から土曜日の午前9時から午後9時まで。問い合わせは06・6776・1221。


◇障害者の支援拠点・府ITステーション、きょうオープン−−天王寺区 /大阪
(2004.09.01 毎日新聞 地方版/大阪 27頁) 
 ◇パソコン300台を配備
 障害者のIT(情報技術)利用の支援拠点となる府ITステーションが1日、天王寺区六万体町にオープンする。パソコン300台を配備し、障害者を対象とした雇用情報の提供、パソコン体験指導、職業訓練などを実施。07年度末までに障害者の在宅就労100人、ITを活用した雇用300人などをめざす。
 「障害者のIT利用日本一」をめざし、府が約2億8300万円かけて旧天王寺府税事務所を改修した。地上5階、地下1階で延べ約2400平方メートル。大阪障害者団体連合会が運営し、府民や企業に障害者の実務能力をアピールする場としても活用していく。
 また、同ステーションの職業訓練修了者を対象に、教育や職業紹介事業などを幅広く展開している「東京リーガルマインド大阪本部」によるキャリアカウンセリングや職業紹介、職場定着サポートなど民間のノウハウを生かした就職支援を全国で初めて実施。データ入力やホームページ作成などITを活用した在宅就労を希望する障害者の訓練も行う。
 平日午前9時〜午後9時開館。問い合わせは06・6776・1221。【堀雅充】


◇技術身につけ働く希望を 障害者自身が支援活動−−高松の「Ze・Ro」 /香川
(2004.08.06 毎日新聞 地方版/香川 25頁) 
 ◇IT講習や講演、県のNPO提案型事業に
 車椅子で生活する障害者6人でつくるグループ「障害者在宅就労サポートZe・Ro」(高松市郷東町)は、就職先を見つけるのが困難な他の障害者にも働く希望を持ってもらおうと、パソコンの技術などを教える活動を始めた。8月にはNPO法人申請やIT講習会開催を予定。障害者が発起人となって障害者職業支援グループを作るのは全国でも珍しいといい、メンバーは「誰だって最初は『ゼロ』から。まずやってみて」と呼びかけている。
 代表の川田英司さん(26)は、22歳で事故に遭い、副代表の増本幸子さん(55)も5年前から手術の後遺症で足が不自由。中途障害者の多くは障害でそれまでの生活や仕事を失ってしまい、その上、仕事を探しても少ないのが現状。増本さんも当初は「(今まで)出来たはずのことが出来ない」といら立ったという。
 「悩んでいる間も時間が過ぎるなら、今どうするか考えよう」と考えた川田さんは、他にも「働きたい、再出発したい」と悩む障害者がいることに気づいた。職業支援活動は出来ないかと、県の障害者用ホームページ「バリアフリーかがわ」作成に携わっていた増本さんらに声をかけ、今年1月、グループをスタートさせた。
 これまで、老人ホームや公共施設のホームページの企画・作成・運営などで収入を得てきたが、収益は次の仕事の資金に回すので精いっぱい。資金面の折り合いがつかず、目標の支援活動が出来ないでいた。軌道に乗らない中、ミーティングを繰り返し、IT講習などの計画を県の「NPO提案型協働事業」に提案。このほど採択され、事業資金を得ることが出来た。
 8月から障害者対象のホームページ作成専門講習や、在宅就労、社会参加についての講演などを実施。講演の模様をインターネットでライブ中継し、全国の障害者にも発信していく。「障害者は弱者と見られがちだが、技術をしっかり身につければやっていける」と増本さん。川田さんも「向いてない、出来ないと決め付けないで、やってみてほしい」とエールを送る。
 問い合わせは増本さん(087・874・9697)、Ze・Roのホームページ(http://www.ejstyle.net/zero/index.html)【高橋恵子】


◇重度障害者に、IT技術指導−−工房おかやまの訓練生、県が募集 /岡山
(2004.07.24 毎日新聞 地方版/岡山 25頁) 
 IT(情報技術)を活用した重度障害者の在宅就労を支援するため、県は吉備高原保健福祉のむら事業団に委託し、賀陽町吉川に開設する「バーチャル工房おかやま」の訓練生を募集する。
 応募資格は、身体障害者療護施設を含む、県内在住の重度障害者で、身体障害者手帳1級または2級を持つなどの条件を満たす人。工房では企業などからの仕事の受注、訓練生への指導などを行う。訓練は9月から個人の能力に応じて最長1年間、事業団職員が訓練生宅を訪れて行い、ホームページ作成方法などを教える。パソコン技術などが一定のレベルに達したと認められれば会員となり、業務に応じた賃金を受け取ることができる。
 希望者は8月10日までに、所定の申込書と経歴書に必要事項を記入の上、提出。書類選考合格者は実技、面接、調査などの2次選考を受ける。問い合わせは、同事業団(電話0866・56・8484)へ。応募書式はホームページ(http://www.kibicity.ne.jp/ ̄it‐support)からダウンロードする。【野村房代】


◇[発信箱]選ぶ理由=野沢和弘
(2004.06.26 毎日新聞 東京朝刊 2頁 2面) 
 おそらく多くの人は知らないだろうが、今月閣議決定された政府の骨太改革第4弾の中にこんな一節がある。
 「障害者の雇用・就業、自立を支援するため、在宅就労や地域における就労の支援、精神障害者の雇用促進、地域生活支援のためのハード・ソフトを含めた基盤整備等の施策について法的整備を含め充実強化を図る」
 昨年始まったばかりの障害者の支援費制度で、財源不足のために批判の矢面に立たされ通しの厚生労働省だが、骨太改革の懐に飛び込み、この1項目を盛り込ませたことはもっと評価されてもいい。また、自閉症など福祉のはざまに残された人たちの早期ケアなどを目指し、発達障害者支援法案を推進する原動力となっているのは公明党議員だ。
 米国に追従してイラク戦争に加担する小泉政権に対し、私自身は今度の参院選で「NO」を示したいと思う。しかし、障害者の地域福祉を考えると分からなくなる。
 「障害者や高齢者の地域福祉のために議員になった」と公言する民主党の若手議員2人を知っている。この2人こそ「希望の星」、と期待している。しかし、現在の民主党の障害者施策には見るべきものがあまりない。
 比較不能な争点が多数ある中で、2大政党制に向かってどのように投票行動すべきか悩むことが多くなった。もし障害者の地域福祉の充実を願って与党に投票しても、自衛隊の多国籍軍参加にお墨付きを与える1票と思われたのではたまらない。せめて、投票用紙に選ぶ理由でも書かせてもらえないか。(社会部)


◇障害者対象に就業支援講座 NPO、名古屋で10日説明会 /愛知
(2004年04月07日 朝日新聞 朝刊 愛知2 022)
 パソコンを活用した障害者の在宅就労「テレワーク」の普及に取り組むNPO法人「電気仕掛けの仕事人」(本部・御津町)が、5〜12月に実施する障害者向けの就業支援講座の説明会を、10日午後1時から名古屋市中村区で開く。
 講座では、テレワークに必要な表計算やホームページ制作などの技術に加え、企業とのやり取りなどのビジネスマナーも学べる。初心者も受講でき、数千円のテキスト代がいる。入門、初級、中級の各講座があり、約2カ月間、週4〜5日のペースで集中的に学ぶ。
 説明会場は、名古屋市中村区名駅5丁目の花車ビル中館809号。希望者はファクス(052・569・5144)か電子メール(npo@sigotonin.net)で、氏名、生年月日、住所、電話番号、障害の内容、最終学歴、職歴を記入して申し込む。
 同NPO法人は昨年度、県の障害者テレワーク支援事業を受託した。障害者がホームページ制作やテープ起こしなどの業務を企業から受注し、成果を上げている。
 問い合わせは、同NPO法人の名古屋事務所(052・588・5422)へ。


◇障害者就労支援、夏までに改善策−−厚労省
(2004.02.18 中部夕刊 1頁 1面) 
 入所施設ではなく、街で生活する障害者が増えているのに働ける場が少ない現状を打開するため、厚生労働省は18日、「障害者の就労支援に関する省内検討会議」を設置し、全省的な取り組みをスタートさせた。今夏までに改善策を打ち出し、必要ならば法改正も行う。
 会議は障害保健福祉部と高齢・障害者雇用対策部を中心に、関係局課が参加。自立生活の訓練・作業をする「授産施設」などにいる障害者を企業に就職させるための具体策や、IT(情報技術)を活用した在宅就労など障害者が働ける場所の拡大などを検討する。
 同省によると、民間企業の障害者の雇用率は1・48%(昨年6月現在)で、横ばい傾向。一方、全国社会就労センター協議会の調べでは、授産施設にいる障害者の46%が、施設を出て企業で働きたいと考えているものの、実際の就職率は1%足らずだった。【須山勉】


◇障害者雇用:就労支援、夏までに改善策−−厚労省
(2004.02.18 毎日新聞 東京夕刊 1頁) 
 入所施設ではなく、街で生活する障害者が増えているのに働ける場が少ない現状を打開するため、厚生労働省は18日、「障害者の就労支援に関する省内検討会議」を設置し、全省的な取り組みをスタートさせた。今夏までに改善策を打ち出し、必要ならば法改正も行う。
 会議は障害保健福祉部と高齢・障害者雇用対策部を中心に、関係局課が参加。自立生活の訓練・作業をする「授産施設」などにいる障害者を企業に就職させるための具体策や、IT(情報技術)を活用した在宅就労など障害者が働ける場所の拡大などを検討する。
 同省によると、民間企業の障害者の雇用率は1・48%(昨年6月現在)で、横ばい傾向が続いている。【須山勉】


◇厚労省、障害者就職で検討会 企業への就労促す(ぴっくあっぷ)
(2004年02月18日 朝日新聞 夕刊 2総合 002)
 障害者の就労を進めるため、厚生労働省は18日、省内検討会議を立ち上げ、初会合を開いた。身体・知的障害者に限られた障害者雇用促進法の法定雇用率の対象に精神障害者を入れることや、IT(情報技術)を使った在宅就労、授産施設などでの「福祉的就労」から一般企業での就労を促す仕組みづくりなどについて、今後企業なども交えて話し合う。
 

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▼2003年分
◇障害者の在宅就労 地図製作に携われるITシステム開設 NTT西日本=熊本
(2003.07.23読売新聞 西部朝刊 熊北 26頁)
 NTT西日本(大阪市)と子会社のNTTネオメイト(同)は二十二日、熊本市で、障害者が自宅にいながら地図製作に携われる情報技術(IT)によるシステム「デジタル地図バーチャルファクトリ(仮想工場)」を開設した。
 ネオメイトは加工処理できるデジタル地図の作製を手がけている。自治体や企業の要望に応じて提供しており、病院や店舗といった情報を盛り込んでいる。情報を最新版にする作業を、通勤困難な障害者が自宅のパソコンでできるように、熊本市南熊本の拠点施設「デジタル地図センタ」と回線で結んだ。
 県内では十三人が、同時に開設された神戸市では五人が、地図製作に携わる。
 熊本市での開設式典には、潮谷知事ら約百人が出席した。ネオメイト経営企画部は「来年三月までに、百人規模の就労ができるようしたい」と話していた。


◇インターネット活用した障害者の雇用事業 NTTネオメイトが開設を発表 
(2003.07.16 読売新聞 大阪朝刊 B経 08頁)
 NTT西日本の子会社、NTTネオメイト(大阪市)は十五日、障害者が自宅や作業場でブロードバンド(高速大容量通信)を通じて働ける「デジタル地図仮想工場」を二十二日に開設すると発表した。インターネットの常時接続を利用した障害者雇用の仕組みは国内で初めてという。
 管理業務を担うデジタル地図センター(熊本市)に置いたサーバーと、障害者の自宅などのパソコンを双方向で接続し、自治体の都市計画やカーナビで用いるデジタル地図の作製や修正を依頼する。
 すでに同種の地図作製事業を手がけているネオメイトが一括受注した業務の一部を委託する。障害者への業務あっせんは、熊本県の在宅就労実験事業「チャレンジド・テレワークプロジェクト」と社会福祉法人プロップ・ステーション(神戸市)に依頼し、障害者二十人が働く予定。今後、東海以西の各地にも業務の委託先を広げる計画だ。


◇チャレンジドが支える社会 竹中ナミ(時流自論)
(2003年06月29日 朝日新聞 朝刊 オピニオン1 021)
 6月初旬、アメリカのワシントンDCを訪れました。米国防総省の「コンピューター電子調整プログラム」(CAP)理事長、ダイナー・コーエンさんに招かれたのです。99年、シアトルで開かれたパソコンによる在宅就労(テレワーク)の国際会議で「チャレンジド(障害者)のテレワーク」という分科会に参加したとき、講師を務めたのがダイナーさんでした。
 CAPは国防のために開発された最先端技術を駆使して、重度のチャレンジドが政府職員や企業人として働けるよう、訓練や就職支援をする機関です。事務局には、話した言葉がリアルタイムで文字に変換されて画面に現れるソフトウエアやチャレンジドのために開発された機器がズラリと並んでいました。
 01年9月11日のテロによって建物の一部が破壊された国防総省では多くの犠牲者が出て、心身に重度の障害を負った職員もたくさんいます。CAPはそういう人たちのためにプログラムを組み、次第に仕事に復帰しつつあるそうです。
 補償金だけでなく、仕事への復帰を保証するのが政府の方針だとダイナーさんは語りました。「すべての国民が誇らしく生きられるようにすることが国防の一歩ですからね」。実は彼女自身、難病のチャレンジドでもあるのです。
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 ところで今回の訪米の目的は、ブッシュ大統領が掲げる「ニューフリーダム構想」に基づいてチャレンジド政策を検討する省庁間会議に、オブザーバーとして出席することでした。驚いたのは、集まった25人の官僚の半分が女性、そして全盲の人が2人、手話通訳がつく聴覚障害の人1人を含めて7人がチャレンジドだったことです。
 しかも、本来はあと5人がチャレンジドだけど、他の会議と重なったので障害を持たない職員が代理出席している、ということでした。アメリカではチャレンジドの就労について、政府自らが範を示すことを法で明確にしており、政府職員の7%がチャレンジドだそうです。
 「ニューフリーダム構想」が「すべてのこどもたちに分け隔てのない教育」を最重要課題として挙げているのに、私は大変共鳴しました。ワシントン大学ではすでに7%の学生がチャレンジドであり、全米平均でも学生の3%がチャレンジドとききました。今後は、これを人口比率に近い10%まで上げようと努力しているとのことです。
 振り返って、日本のチャレンジドの大学在籍率は0・09%ときいたことがあります。日本のチャレンジドの能力が劣っているからではありません。チャレンジドに期待するより哀れみの目で見る国民意識と教育制度の違いから来た結果です。チャレンジドの社会進出の壁をなくすには教育改革からや!と改めて実感しました。
 アメリカには、私たちプロップ・ステーションの活動を支援してくれる力強い人、マイクロソフト社のビル・ゲイツさんもいます。同社からは、プロップのコンピューターセミナーにいつも最新ソフトウエアが提供され、また複数の重度チャレンジドがプロップの紹介で社員として採用されました。そんなご縁で今年2月に来日したビルさんにお話をきく機会を得ました。
 「コンピューターは、人々が自分でも気付かなかった可能性に気がつく助けになる」というビルさんは、チャレンジドにとってコンピューターは社会への突破口になると断言します。
 そのためソフトだけでなく、視覚障害者のための音声システム、片手だけで操作ができるキーボードなどさまざまな周辺機器の開発も進めているということでした。「コンピューターがチャレンジドに役立つようにすることが我々の使命」「ユニバーサル社会を一緒に推進していきましょう!」。力強くビルさんは語りました。
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 かつてビルさんに頂いたメッセージの中に、チャレンジドのための設備や規則は他の人にも恩恵が及ぶことがある、とありました。例えば車いすのために設置された道路のゆるやかな傾斜は、ベビーカーや自転車を利用する人にとっても便利です。チャレンジドの社会参画推進は、高齢者や女性の社会進出にもつながります。ビルさんの生き方が誰もが暮らしやすいユニバーサルな哲学に裏付けられていることがとてもうれしく、また力強く感じました。
 これはビルさんの個人的な考えというだけではありません。アメリカには「障害を持つアメリカ人法」(ADA法、90年制定)があり、企業にもチャレンジドが使いやすい機器の開発が義務づけられているのです。
 今回、同法の制定に尽力したジョン・ケンプさんにワシントンで会いました。幼いときに両手と両足を失いながら、義足、義手で弁護士として活躍し、チャレンジド政策を政府に提言するボランティアリーダーでもあります。「チャレンジドが社会を支える一員でなければいけない」という彼の穏やかな口調が印象的でした。
 ついでながら、ワシントンのレストラン数カ所で、振動と光で順番がきたのを知らせる十数センチ角のプラスチック板を手渡されました。レストラン以外に病院、銀行などでも利用できそう。ユニバーサルなグッドアイデアやなぁと思いました。
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 たけなか・なみ 48年生まれ。社会福祉法人「プロップ・ステーション」(本部・神戸市)理事長。
   

◇就労支援にCG教室 障害者対象に軽米のNPO、盛岡で4月から本格開講=岩手
(2003.06.19 読売新聞 東京朝刊 岩手 28頁)
 障害者を対象に、ステンドグラス制作やパソコンなどの在宅就労を支援している軽米町のNPO法人「チャレンジド・カシオペア」が、コンピューターグラフィックス(CG)の教室を盛岡市内で開いている。昨年十二月から試験的に第一期生を教えていたが、養護学校の生徒ら受講生の上達ぶりに手応えを感じ、四月から一年課程の本格開講に踏み切った。
 教室は盛岡市三本柳の「ふれあいランド岩手」で毎週土曜日午後一時―三時に開かれている。同法人代表理事の高橋克典さん(53)が昨年十二月、知り合いの県立盛岡養護学校高等部の生徒から「CGをやってみたい」と相談されたのがきっかけだった。
 全身まひから立ち直り、今も障害を持つ高橋さんの持論は「障害者だからこそ、創造性と個性豊かな仕事をするべきだし、できるはず」。さっそく、この生徒を含め同部の生徒三人を一期生に迎え、手探りで教室をスタートさせた。だれも上達は早く、教室終了までの四か月間でポスターやパンフレットのデザインができるようになった生徒もいた。福祉団体などからチラシ作成の依頼も来た。
 今年四月からの二期生からは社会人にも門戸を広げ、現在、学生とパートなど計六人が教室に通っている。
 二期生の同部二年の畠山光君(16)は両足に障害を抱え、左手も不自由なため、右手一本で作業している。パソコンに触ったことすらなかったが、今は「完成したらお母さんにプレゼントしたい」とカレンダー制作に挑めるほどになった。
 受講生たちをボランティアで指導している畠山はるみさん(39)は「みんなとても熱心で、一回も休まない生徒もいるほど。技術を覚えるのも早いです」と喜んでいる。問い合わせは、チャレンジド・カシオペア(0195・46・3112)。 
 

◇[あんない]職業アドバイザー養成講座ほか
(2003.03.20 毎日新聞 大阪朝刊 13頁 家庭) 
 ◆職業アドバイザー養成講座 女性の再就職、起業などを支援するプロを養成。21日(大阪市中央区北浜東のエル・おおさか)、22日(同区大手前のドーンセンター)、23日(同)。講師はNPO法人「女性と仕事研究所」代表の金谷千慧子さんら。受講料5万2500円。同研究所(06・6341・3516、ファクス6341・3517)
 ◆コンピューターセミナー 障害者の在宅就労を支援する社会福祉法人プロップ・ステーション(078・845・2263、ファクス845・2918)の主催。「グラフィック」(4月2日から24回、受講料3万6000円)「ワード、エクセル」(同4日から4回、6000円)「ウィンドウズ」(6月6日から16回、2万4000円)の各コース。受講に障害の有無は問わない。大阪市中央区本町の大阪産業創造館。詳しくは同法人。
 ◆中卒・中退の子どもをもつ親のネットワーク例会 29日14時、大阪市北区同心の大阪ボランティア協会。500円。同ネット(072・831・2532)。


◇盛岡・原田さん、障害者と在宅ビジネス 評価し県が補助金 /岩手
(2003年03月05日 朝日新聞 朝刊 岩手2 030)
 盛岡市津志田の印刷会社代表原田良平さん(56)が、障害者の在宅就労ビジネスモデルを3月1日からスタートさせた。
 自宅をオフィスとして使い、コンピューターなどを使って仕事をしている障害者も少なくない。だが、1人で仕事するため、受注からすべて1人でこなさなければならないなど、実務経験が浅く、できる仕事が限られる多くの障害者にはハードルが高かった。不況下での仕事量減少も重なった。
 原田さんは、受注から納品までの流れを分担する仕組みを作れば、多くの障害者が仕事に参加できる、と考え、責任を持って指導できる印刷業でのシステムづくりを考えた。
 印刷業は、基本的に営業、デザイン、入力の3分野からなる。営業担当は、顧客の注文を受け、原稿、資料、要望などをまとめ、デザイン担当に引き継ぐ。デザイン担当は原稿の制作・企画・構成をする。描いた下書きは入力担当者に渡され、入力された版下を、再びデザイン担当が校正して品質を確認。営業担当が納品する。
 デザインと入力担当は障害者が在宅でも可能だ。
 学生時代から福祉ボランティアをしてきた原田さんは、これまでも就職を望む障害者を、自ら経営する印刷会社で受け入れてきたが、なかなか長続きしなかった。
 「公的な就業支援は企業に福祉を肩代わりさせているようなもの。企業そのものが障害者も就労できる仕組みをつくらなければ長続きはしない」と指摘する。
 県は02年度、原田さんの取り組みに62万円補助した。商工企画室の植野歩未新産業推進主査は「障害者と契約して印刷業務を委託する新しいビジネスモデルだ。公的な就業支援ではなく、ビジネス的アプローチで初めた点で意義深い」と評価する。
 在宅就労ビジネスモデルは、二戸市、盛岡市、遠野市などから8人が参加した。技術研修や技術開発から、印刷制作までをこなす事業本部の下に各地に支部をつくり「産官学民」の支援で、県内外に広める構想もある。


◇[デジタリアン]車いすのSOHOワーカー 林美恵子さん39
(2003.02.04 読売新聞 東京夕刊 ITB 08頁)
 ◇高知県中村市
 ◆障害者の視点で情報発信
 不自由な体を電動車いすに預け、右手二本と左手一本の指でパソコンのキーボードをポツポツと打つ。指の動きとは対象的に打ち出す言葉は熱く、激しい。
 四万十川の下流の町・中村から、インターネットを通じて、障害者の視点から情報を発信してきた。
 「水と空気と野菜がうまい。生臭くて食べられなかった魚のうまさもここに来て知りました。ここにしか住めないんです」
 中村は父の故郷。高校を卒業して兵庫県西宮市から家族で移った。ほどなく十歳年上の夫と結婚、十九歳で一人娘の母となった。
 三十歳の時、名前も治療法もない病気になった。いつまで生きられるのだろう。三十分間だけ泣いた。娘はまだ十歳。母として、この子に行路を示しておかなければならない。そう思い、障害を受け入れた。
 人の助けも必要だったが、地元の人々が手をさしのべてくれた。昔ながらの人の輪が残っていた。「でも、ここには仕事だけない」。この生活を日本中に移植し、町に若者が残れるようにしたいと、在宅就労の障害者ライターになった。
 ネットとは七年前に出合った。知人が中古のパソコンを贈ってくれたのがきっかけだった。一九九七年にホームページを開設、重度障害者による在宅就労集団も組織、翌年には福祉情報サイト「ハートフルオンラインHo!」を始めた。
 二〇〇〇年には「広域電脳企業組合『ユニフィカ』」を設立、障害者モニターとして商品開発に参画するベンチャー企業として市場の開拓に挑む。
 「都会に住む人や健常者には見えない情報を提供することで、私も恩恵にあずかれる。みんなを巻き込み、みんなを変える。ネットを使えば、それができる」と力を込める。
 目標は障害がある人間も、生きたいように生きていける社会を作ること。障害を得た今の自分を楽しむ姿を見てもらうことで近付いていく。(津久井美奈)
    

◇[特集]毎日起業家新聞 障害者の就労にエール−−首都圏ソフトウェア協同組合
(2003.01.31 毎日新聞 東京朝刊 14頁 特集) 
 ◇NPOを技術支援−−パソコン習得し、在宅の仕事に道
 首都圏ソフトウェア協同組合(本部・東京都港区、横尾良明代表理事)が、障害者の在宅就労を支援するNPО法人「WeCAN!(ウィーキャン)」(東京都練馬区、上條一男理事長)の支援活動に乗り出した。当面は、技術面での協力などを行うが、将来は受注支援や共同事業にも取り組んで「在宅就労の普及に努めたい」(横尾代表理事)といっている。
 「WeCAN!」は、高齢者や障害者の在宅就労を促進しようと98年12月に発足した特定非営利活動法人だ。発起人の一人である上條理事長が、26歳で事故にあって車イス生活に入った後、パソコン技術を習得。同じ境遇の人たちにパソコンを教える「福祉パソコンの会」をスタートし、さらにそのパソコン技術を生かせば、日本企業では大幅に立ち遅れている障害者らの在宅就労の道が広がるはずだと、全国組織を設立した。
 横尾代表理事は、パソコンとインターネットを使って家庭などで仕事するマイクロビジネス(MB)や、スモール、ホームビジネス(SОHО)の普及を図る社団法人日本テレワーク協会のマイクロビジネス協議会の活動で、上條氏らの存在を知った。
 そこで、すぐに上條氏にボランティア的な支援を申し入れた。当面は、「WeCAN!」メンバーが受注したが技術的に高度な仕事は、同組合員が手伝う。メンバーの技術力が同組合並みに上がってくれば、仕事を紹介する。さらに共同でイベントに参加したり、法制度の整備をともに関係機関に働きかける、などの活動に取り組む方針だ。
 上條理事長は「ITの進化は、働くことをあきらめていた障害者たちに、家で働けるという希望をもたらしました。障害者が働けば、社会負担を軽減し、労働力不足にも貢献できます。私たちの人材育成と就労支援の活動を、ぜひ応援してください」と語っている。「WeCAN!」のホームページはwww.wecan.or.jp/


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▼2002年分
◇障害者の在宅就労支援、参加者と企業を募集 県、10月から/熊本
(2002年08月14日 朝日新聞 朝刊 熊本1 023)
 障害者の在宅就労を支援する県の事業が10月にも始まる。コンピューターを使った仕事ができる障害者と、仕事を発注する企業・団体を引き合わせる仕組みをつくり、障害者の自立につなげるのが狙い。都道府県では三重県に次いで2例目の取り組みとなる。
 事業は「チャレンジド(障害者)・テレワークプロジェクト」。テレワークはパソコンなどを使い、自宅などで時間にとらわれずに働く新しい就労のあり方をさす。
 障害者と仕事を発注する企業や団体を仲介事業者が結びつける。04年度まで実験的に展開し、テレワーク普及に向けた課題や解決策を探る。仲介事業者には情報技術分野で実績のある第三セクターを予定している。
 事業の対象となる障害者はホームページ作成やプログラム開発の技術をもつ人。参加者向けの説明会を28日、発注企業や団体向けの説明会を9月11日、いずれも益城町のグランメッセ熊本で午後1時半から開く。問い合わせは情報企画課(096・383・1111、内線3083)へ。


◇IT技術習得しよう 神戸市が障害者対象にセミナー 来月から東灘で=兵庫
(2002.07.10 読売新聞 大阪朝刊 神明2 30頁)
 神戸市は、身体に障害を持つ人たちの就労を支援する「IT技術習得セミナー」を8月2日から10月25日まで毎週金曜日、東灘区・六甲アイランドの社会福祉法人「プロップ・ステーション」で開講する。
 市は、障害者や高齢者が住み慣れた地域で安心、快適に過ごせる「ユニバーサル社会」の実現を目指して、フォーラムなどで専門家らから意見を募っており、セミナーはその具体支援の一環。就労が可能なレベルのパソコン操作技術を習得してもらう。
 全国に先駆け、IT(情報技術)を活用して障害者らの在宅就労支援を続ける「プロップ・ステーション」のスタッフが、コンピューターグラフィックスの基礎や画像処理の方法、ホームページのデザイン法などを指導する。
 身体障害者手帳を持ち、現在、就労していない10人を募集。自宅のパソコンでインターネットや電子メールの操作ができ、講習に通えることが要件。教材費は1回1000円。
 希望者は20日までにセミナーのホームページ(http://www.prop.or.jp/it‐kobe/)にアクセスして、電子メールで申し込む。応募多数の場合は抽選。問い合わせはプロップ・ステーション(078・845・2263)。


◇障害者の仕事に夫婦一役 静岡の冨岡さん、PC在宅就労に力/静岡
(2002年04月17日 朝日新聞 朝刊 静岡2 034)
 静岡市北の冨岡年雄さん(46)、直恵さん(39)夫婦が昨年秋に立ち上げた、障害者のパソコン在宅就労を支えるNPO法人「ピーシーネット」が軌道に乗りつつある。自宅で働くことを望む障害者のパソコン技能の向上を目指し、障害者の仕事の「仲介役」として頼りにされている。
 「高失業率が続くなか、障害者を取り巻く雇用情勢の悪化は意外と忘れられている」と年雄さん。直恵さんも「ITの進展は自宅就労を容易にし、障害者の働く場が広がると期待されるが、障害者がどうやって仕事を獲得するのかなどの取り組みが少ない」と、設立した理由を熱っぽく語る。今年1月には県からNPO法人の認証を受けた。
 ともに東京都出身。年雄さんはプログラマーとして活躍してきたが、10年ほど前に体調不良となり、94年、気候の良い静岡市に引っ越してきた。しかし、病院で「慢性腎不全」と診断された。1カ月の入院を余儀なくされ、退院後も体力の要る仕事には就けなくなった。
 「目の前が真っ暗になった」という2人だが、新たな転機が訪れた。01年、夫婦ともにIT講習会の講師に選ばれ、「パソコンを使った仕事に就きたい」「専門的に操れるが仕事へのつなげ方が分からない」と、切実に願う障害者らと出会った。
 年雄さんは週3回の透析を受けながら専門分野を生かす。IT講習の講師を務めた直恵さんだが数年前まで、パソコンに触れたことさえなかった。これらの体験を生かせば、「障害者の願いの一つをかなえられるのでは」と気づいた。
 講習会仲間らと作ったNPOは、障害者の仕事の仲介役であるとともに、「人材発掘」をモットーにしている。
 2人は言う。「自宅に引きこもりがちな障害者らのほとんどが、びっくりするような能力を持っている」。
 

◇障害者らに快適な社会を 来月神戸でフォーラム 実現の方向性討論=兵庫
(2002.04.11 読売新聞 大阪朝刊 神明2 24頁)
 神戸市は、障害者や高齢者が住み慣れた地域で安心、快適に過ごせる「ユニバーサル社会」実現の方向性について考えるフォーラムを五月十二日、神戸・六甲アイランドのファッションマート九階イオホールで開催する。全国に先駆け、IT(情報技術)を活用した障害者らの在宅就労支援を続けている市内の社会福祉法人「プロップステーション」との共催で、プロップの活動紹介のほか、全国規模で仕組みづくりに取り組んでいる専門家ら七人の意見交換などがある。
 「Let’sユニバーサル・シティKOBEフォーラム2002」。今年二月中旬、国会議員二十一人で「ユニバーサル社会の形成促進プロジェクト・チーム」(座長=野田聖子衆院議員)を発足したことなどから、自治体単位でも積極的に取り組みを進めようとフォーラムを企画した。
 矢田立郎市長のほか、全国で初めて県庁に「ユニバーサルデザイン室」を設けた坂本由紀子・元静岡県副知事(現厚生労働省東京労働局長)、電子自治体の環境整備について研究する須藤修・東京大大学院教授、野田議員、浜四津敏子・参院議員ら計七人がパネルディスカッションする。
 コーディネーターは、プロップステーションの竹中ナミ理事長。一九九一年に発足したプロップは、障害者や高齢者を対象に週に二回のパソコンセミナーを開催。そこで訓練を受けた在宅ワーカー約百人に、企業や役所から請け負ったホームページ制作やポスターデザインなどの仕事の情報を提供している。竹中理事長は「一人でも多くの人が自分の身の丈にあった働き方で地域、国を支え、元気と誇りを持てるような社会システム作りを神戸から発信したい」と話している。
 午後二―五時。定員六百人で先着順。参加希望者は住所、名前、電話番号を書いて、〒658・0032 神戸市東灘区向洋町中六の九、神戸ファッションマート六E―一三、プロップステーションに郵送かファクス(078・845・2918)で申し込む。ホームページ(http://www.prop.or.jp/kobeforum/)からでも可。問い合わせはプロップ(078・845・2263)。


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▼2001年分
◇[イブニングアイ21]社会福祉法人・プロップ・ステーション理事長、竹中ナミさん
(2001.11.28 毎日新聞 大阪夕刊 1頁 1面) 
 《障害者を「チャレンジド(Challenged=挑戦する人)」と位置づけて、納税者にできる社会を目指す。プロップとは「支援」の意。92年、設立。98年に社会福祉法人。企業、自治体から業務委託された仕事を、パソコンによるネットワークサービスで在宅の障害者へ紹介する。最近では、調理師などの資格試験合格者名簿のデータベース化を受注した。利用している障害者は全国で約100人》
 ◆「チャレンジド」というのは米語で、障害を持った人は神から挑戦すべき課題、チャンスを与えられた人たち、と考えます。課題(障害)が大きいほど、その人の可能性は大きいんです。
 障害者が、収入を得て納税者になる、それが当たり前の社会だ。そういう社会の実現に向けて、障害者の在宅就労を支援するのがプロップ・ステーションです。
 《29歳になる長女の母だ。生後間もなく、重度の障害があることが分かる。父が言った。「自分がこの子を連れて死のう。でないとお前も、この子もかわいそうだ」。「障害があるってそんなに大変なの?」。独学で福祉行政、社会の仕組みを学んだ。「福祉という言葉は嫌いだ」という》
 ◆日本の福祉制度は、「体が不自由だ、目が見えない、耳が聞こえない」など、その人のマイナスを数えることから始まる。気の毒な人たちだから「してあげる」。「福祉」という言葉にはそんな響きが色濃くある。
 健常者と障害者を分けて考えてるのはだめ。障害者に対してバスの運賃を割り引くよりも、そんな人たちが一人でバスに乗ることができる社会、それが大事なんです。
 《「子どもが自分より一日でも早く死んでほしい」。それが重度障害児を抱える日本の母親だった。そんな母親を数多く見てきた。自身も離婚後、長女を連れてアパートを探したが、障害を理由に100件以上も断られた、という。神戸市生まれ、53歳》
 ◆過去の障害者の介護は「母親を中心とした家庭内で」だけしかなかった。だから限界があった。高齢社会を迎え、両親の介護が社会問題化してきた。10年後には団塊の世代が高齢世代になる。そうなってから考えても遅い。ようやくそのことに気がついたのが今の日本だ。一人一人が身近な問題として実感しなくては。そこから社会全体が変わっていくんです。
 《三重・志摩スペイン村で11月1日から3日間北川正恭・三重県知事、堂本暁子・千葉県知事、潮谷義子・熊本県知事らを迎えてフォーラムを開いた。テーマは「私が変わる 社会が変わる」。財務省・財政制度審議会専門委員》
 ◆障害者、高齢者を問わず、一人でも多くの人たちが、自分の身の丈に合った働き方で社会を支えていく。そんな社会構造にする。その時初めて母親たちが、障害を持つ子どもを残して安心して死ねるんです。(赤松成明 写真・金子裕次郎)


◇徳島市で障害者のためのIT講座開講 在宅就労目指し25人が受講 /徳島
(2001.06.05 毎日新聞 地方版/徳島 19頁) 
 障害者の在宅就労を推進するため3日、徳島市山城町のアスティとくしま内「とくしまITビレッジ」で「ステップアップパソコン講座」(県、とくしまノーマライゼーション促進協会主催)が始まり、手足や聴覚などに障害を持つ25人が1回目の講習を受けた。
 県障害者テレワーク促進事業の一環で、開講式では松崎敏則・県障害福祉課長が「パソコンを使って社会参加や自己実現を目指すことに勇気を持って取り組んで下さい」などと激励。参加者は既に、障害者を対象とした初歩的なパソコン講座を受講しており、来年3月まで毎月2回の講習で、ワープロソフトの使い方や画像データの処理方法などを学び、県のホームページや民間企業から委託された印刷物を作成する実習も行う。
 参加者の一人、鴨島町西麻植の堀口賢二さん(47)は、「この講座を活用して、何かできるようになれれば」と話し、テキストを見ながら講師の説明に熱心に耳を傾けていた。 【朝日弘行】


◇障害者のパソコン講座開講 徳島市でITビレッジ 在宅就労目指し25人=徳島
(2001.06.04 読売新聞 大阪朝刊 徳島 28頁)
 障害者の在宅就労に向けた「ステップアップパソコン講座」(県など主催)が三日、徳島市山城町、徳島工芸村内の研修施設「とくしまIT(情報技術)ビレッジ」で始まった。パソコンの基礎知識がある肢体不自由、視覚、聴覚などの障害者二十五人が参加。月二回、三月まで計二十回行われ、表計算や画像データ処理、ホームページの作成方法などを学び、仕事を受注して納品する就労シミュレーションも行う。
 県の障害者テレワーク促進事業の一環。開講式では松崎敏則・県障害福祉課長が「技術を習得し、自立を目指して頑張ってほしい」とエールを送った。初日は、受講生の習熟度の差をなくすために、パソコンの基本操作の講義があった。上板町引野、瀬尾勝紀さん(29)は「もっとパソコンを習熟し、在宅で冊子を編集したりパソコン教室を開いたりしたい。将来は通勤して仕事もしてみたい」と話していた。
 

◇「障害者にIT技術を」 県などが講座開催 徳島 /徳島
(2001年06月04日 朝日新聞 朝刊 徳島1 027)
 障害者に在宅就労できるパソコン技術を身につけてもらおうと、徳島市山城町の徳島工芸村で3日、「県障害者テレワーク促進事業・ステップアップパソコン講座」が始まった。視力や聴力、手足にハンディを持つ24人がさまざまな技術を学び、自立と社会参加を目指す。
 講座は県と、とくしまノーマライゼーション促進協会の主催。ワープロや表計算ソフトなどの基礎から、ホームページの作製や在宅就労の演習など、来年3月まで計20回の講習を予定。パンフレットや会報づくりができるようにしたいという。
 また、県と同協会は7月8日午後1時半から、徳島市万代町3丁目の徳島プリンスホテルで、シンポジウム「ITが拓(ひら)く障害者の未来」を開催する。参加申し込みは同協会(088・624・2882)。


◇[ボランティア21世紀]プロップ・ステーション 障害者にパソコン指導/大阪
(2001.04.11 読売新聞 大阪朝刊 大阪2 28頁)
 〈チャレンジド(障害を持つ人)を納税者に〉。刺激的なキャッチフレーズで、障害者の在宅就労を後押しして十年。「経済的自立が人間としての誇りにつながる」と、理事長の竹中ナミさん。パソコンがその道具だ。「ハローワークにも行けない重度障害の人も、電子メールがあれば自宅で働ける。仕事は障害の有無と関係ないから、安く買いたたかれることもない」
 コンピューターセミナーを開いて、パソコンを基礎から指導。ホームページ制作やiモードのコンテンツ作りなどを行政や企業から受注し、仲介する。自宅のパソコンが職場という障害者の仲間は七十人。インターネットで始めた求人には半月で全国から百人の障害者が応募した。
 「子育てや介護中の女性も置かれている立場はチャレンジドと同じ。パソコンで社会全体のライフスタイルを変えられたら」。その夢はIT(情報技術)革命の波で一歩近づいた。
              ◇
 北区池田町1の75の607(06・6881・0041)
 神戸市東灘区向洋町中6の9 神戸ファッションマート6E―13(078・845・2263)
 http://www.prop.or.jp/
  

◇[特集]「福祉とインターネット」シンポジウム IT駆使し、社会参加
(2001.03.28 毎日新聞 東京朝刊 17頁 特集) 
 ◇障害者やお年寄りもパソコンで仕事/受け取るだけから生産活動へ
 毎日新聞社は、パソコンなどのIT(情報技術)を活用した21世紀の新しい福祉社会の実現を目指すシンポジウム「福祉とインターネット−−新たな社会作りへの挑戦」(厚生労働省・大阪府後援、アコム協賛)を今月11日、大阪市の大阪産業創造館で開いた。
 パソコンの画面やホームページの文字を拡大したり、合成音声で読み上げるソフト、キーボードのいらない専用入力装置などの開発で、弱視者や重度の脳性まひの人たちは、パソコンやインターネットを駆使して仕事を始めている。ITは外出が困難な障害者や高齢者の社会参加の手段としても注目を集めている。シンポでは、ITを経済再生の起爆剤としてだけではなく、福祉分野に活用する意味や課題を探った。シンポ参加者は、与える福祉から障害者や高齢者も生産活動に参加する福祉への転換を強く求めた。【メディア企画室・岩下恭士】
 ◆基調講演「IT時代の福祉戦略」−−本間正明・大阪大学教授
 ◇開かれた情報通信、NPOの成長加速
 福祉に関心を持ったのはウォーリック大学で教えるために家族を連れてイギリスに行ったときだった。地方都市にもかかわらず、ボランティア活動が根付いていて、私の子どもたちに英語を教えてくれた。それが日本NPO学会を作るきっかけになった。
 20世紀の日本は政府のような公共部門が情報を独占し、上から一方的に情報が発信されていたが、インターネットの出現は市民に開かれた双方向の情報通信を可能にした。これが今後のNPOの成長を加速させるだろう。
 公と民の情報格差が克服されることで、民主主義の本来の姿である政府と国民がともに治める「共治」が可能になる。
 福祉を考えるとき、個人、地域、公の三つのレベルがある。これはそれぞれ「自助」、「共助」、「公助」に対応する。この三つがセットになって社会に定着することで個人を尊重する福祉社会が築かれる。
 「自助」とは、従来の日本の福祉のように社会的弱者への援助としてではなく、障害を持つ人自身が能力を高める道具としてのIT活用を行うことであり、その条件整備を図る必要がある。
 阪神淡路大震災をきっかけに、政府依存という日本人の意識が大きく変わった。個人が主体的に協同するNPOや地域社会の形成といった「共助」は、ITの力が最も発揮される部分だと思う。
 経済財政諮問会議の委員として、福祉分野におけるインテグレーション、ノーマライゼーションを実現するために、国民に対する十分な情報提供のメディアとして、電子政府の構築を進めるべきだと提案している。特にこれまでバラバラに提供されていた個人の年金や雇用に関する情報をインターネット上で統合的に閲覧できるような仕組みが求められる。ITの振興が国民の福祉の向上に役立つよう努力したい。
 IT革命によって問われているのは技術ではなく、それを使う人間の意識だ。逆説的だが、IT時代こそアナログの時代だと考える必要がある。
 ◆パネルディスカッション
 ◇制度的支援が必要−−社会福祉法人プロップ・ステーション理事長、竹中ナミさん
 ITを活用した重度障害者の在宅就労を支援する活動を10年続けてきた。ITへの期待の一方で、弱肉強食の国を造る道具として利用されないかという危惧(きぐ)もある。アメリカでは1960年代にケネディ大統領がすべての障害者を経済活動に組み込んで納税者にすることを訴えており、それが障害者の差別撤廃と機会均等を保障する今日のADA(障害を持つアメリカ人法)につながっている。すべての国民が誇らしく生きるために、障害者も社会参加し、働くことができる社会にする制度的支援が日本にも求められる。
 ◇変革迫られる教育−−大阪府立盲学校教諭・中島康明さん
 視覚障害の生徒にコンピューターを教えている。情報処理科の今年の就職率は100%だったが仕事だけでなく、盲学校という少人数の閉じられた世界しか知らない生徒たちにとって電子メールやホームページを通しての社会参加は健常者以上に大きな意味がある。その一方で、目が見えなくてもパソコンで事務ができると企業の採用担当者に話すと、健常者と同じ作業量を要求される。
 ITが情報のバリアーを除去した代わりに、結果よりも障害者への就労機会の提供を重視したこれまでの福祉的就労から、生産性が問われる競争的就労が要求される中で、盲学校教育も変革が迫られる。
 ◇経済の仕組み整備を−−スタンフォード日本センター研究部門所長・安延申さん
 以前、通産省(現経済産業省)に勤務していた時、沖縄サミットのIT憲章作成にかかわった。デジタルデバイド(情報格差)解消を言うのはいいが、IT弱者をただ受け取るだけの人と見なす政策に疑問を感じた。iモードの登場で耳の不自由な人も移動中にメールでコミュニケーションできる。福祉とITで重要なのはこれまで受け取るだけだったIT弱者が社会活動に参加し、社会に貢献できるようになったことだ。この先、少子高齢化が加速する社会の中で、受け取る人は与える人の倍になる。
 従来の強者、弱者の二分法をやめて、障害者や高齢者も生産活動に従事できる経済の仕組みを作る必要がある。
 ◇在宅就労支援に力−−大阪府健康福祉部障害保健福祉室在宅課長・井手之上優さん
 障害者福祉の基本は自立。その実現の鍵を握るのがITだと思う。しかしある調査によると、障害者の7割が情報機器を利用したことがない。ITが障害者の利用を考慮していないのではないか。ITの振興で逆に情報のバリアーが高くなる懸念もある。大阪府では2月から、視聴覚、肢体障害者対象のIT基礎講習会を開いている。定員60人に対して300人近い応募があった。課題は外出の難しい重度障害者への訪問指導や障害の程度に応じた講習時間の設定。また特に重度の視覚、上肢障害者を対象に画面音声化ソフトなどの周辺機器や専用ソフトの購入を助成する計画もある。さらにこの秋開所予定の「国連・障害者の10年記念施設」ではパソコンボランティアの指導者養成や障害者関連情報の提供事業も開始する。就労支援では、従来の企業雇用や授産施設、福祉作業所などでの労働に加えて、インターネットを生かした在宅就労の支援にも力を入れたい。
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 シンポ講演者の全発言は毎日新聞社のバリアフリーホームページ、ユニバーサロンで閲覧できます。http://www.mainichi.co.jp/universalon/


◇パソコンのインストラクターを障害者の自宅に派遣−−平群町社会福祉協 /奈良
(2001.02.04 毎日新聞 地方版/奈良 23頁) 
 メールを送受信できる携帯電話やパソコンなどIT(情報技術)機器が普及する中、障害者の生活も変わりつつあるようだ。県聴覚障害者協会(事務局・橿原市大久保町)によると、聴覚障害者のほとんどがメール機能のある携帯電話を持ち、「外出先でも連絡がとれ、生活に欠かせない」必需品になっている。平群町社会福祉協議会は、今年度から障害者の自立と社会参加を促進するため、パソコンのインストラクターを自宅に派遣する事業を始めた。受講者からは「世界が広がった」と好評だ。 【神谷素生】
 県聴覚障害者協会女性部メンバー、北田知子さん(38)=三郷町竜野南2=と高橋久美子さん(47)=三宅町石見=は2〜3年前から携帯電話を持ち始めた。「若い世代から広がり、とても便利なので、今ではほとんどの聴覚障害者が持つようになった」と北田さんは語る。これまでなら連絡の手段はファクスが主だった。北田さん、高橋さんとも子供が保育園や小学校で病気になった時、「迎えにきてほしい」という連絡のファクスに気付くのが遅れたり、渋滞に巻き込まれ、保育園のお迎えに間に合わないと連絡できなかったなどの経験があった。
 今は幼稚園や学校から携帯電話にメールを送ってもらう。電車が遅れた時も、これまでは翌朝の新聞で原因を知るしかないことが多かったが、駅で待ちながら文字ニュースで確認できるようになった。「大学生の息子と会話が増えました。買い物中の私に『ついでに本を買ってきて』とメールが届いたり。コミュニケーションが深まりましたね」と高橋さんは思わぬ効果に喜ぶ。北田さんも「手放せません。私の一部になっている感じ」と笑う。
  ◇  ◇  ◇
 平群町社協は昨年10月から、町から障害者社会参画促進事業の助成を受け、パソコンインストラクターが障害者の自宅を訪問、1回2時間、全5回、パソコンの使い方を教えている。
 受講者の一人、同町菊見台2、主婦、大井千鶴子さん(48)は全身リウマチで、歩いたり、手首を動かすことなどが不自由で、「進行性の病気なので、いつ動けなくなるか分からない。今のうちに外と交流する手段を身に付けておこうと思った」ときっかけを語る。全くの初心者だったが、インストラクターの窪井紀子さん(57)=同町竜田川1=にマンツーマンで指導を受け、メールの送受信やインターネットができるようになった。
 国も障害者のIT支援を始める。厚生労働省障害者社会参加推進室によると、今年4月から、障害者が障害者対応のソフトや大型キーボードなど周辺機器を購入する場合、費用の3分の2を、10万円を限度に補助する。「ハード面の支援だけでは不十分」という批判もあるが、平群町はソフト面の支援を補う形だ。
 IT化で、自宅でプログラム作成やデータの打ち込み作業など、障害者の就業が増えることを期待する声もある。横井扶紗・平群町社協地域福祉担当員は「障害者の在宅就労につながれば」と話している。


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▼2000年分
◇リポート2000 パソコンで挑む 障害者がシステム開発会社設立=三重 
(2000.10.20 中部朝刊 三重A 32頁)
 ◆バリアなし
 ◆在宅就労者に発注 谷井さん大西さん  業界の大物も応援
 ◆同じ土俵で 見合う報酬を
 パソコン研修で障害者の在宅就労を支援する久居市のNPO「ペプ・コム」代表の谷井亨さん(33)と、コンピューター技術者の大西照久さん(49)が、障害者の技術を本格的に仕事と結びつけようと、株式会社「インテグラル」を設立した。障害者の在宅就労のために活動している団体はあるが、民間資本だけの株式会社として事業展開する形は、全国的にも珍しいという。自ら障壁を取り除いていこうという力強い動きに、マイクロソフト社特別顧問の成毛真さんら業界の大物も株主に名を連ね、期待が高まっている。
       岩永 直子
 事業内容は、ホームページの作成や維持管理業務、ソフトウエアの開発・販売など、パソコンを使うあらゆる業務。ほかの会社と違うのは、障害を持つ在宅就労者に発注するという点だけ。谷井さんが社長、大西さんが副社長で社員二人というちっぽけな会社だ。「インテグラル」は、かけがえのないという意味を持つ。「障害を持っていても、一人ひとりが独自の可能性を持つ大切な存在」という思いをこめ、八月に設立した。資本金は一千万円。
 谷井さん自身、十八歳のとき事故に遭い、首から下が動かない障害を持つ。独学で情報処理の資格を取り、口でくわえた棒でキーをたたき、仕事をこなしている。障害者の可能性を広げるパソコン技術を広めようと、昨年四月、ペプ・コムを発足した。
 ところが、せっかく技術を身につけても任意団体では仕事の受注が難しいことがわかってきた。ペプ・コムのコンピューターメンテナンスを手がける大西さんに相談し、NPO法人や社会福祉法人など様々な組織の可能性を検討した。
 大西さんは元外科医。十年前に脳しゅようを発症し、両手両足が思うように動かない後遺症に悩み、やはり独学で身につけたコンピューター技術で第二の人生を歩み始めている。
 「技術を持つ者として同じ土俵に上がろう」と、二人で会社を設立することを決めた。谷井さんが、障害者用のパソコン機器開発に積極的な成毛さんに構想を話したところ、株主になることを申し出てくれた。成毛さんの紹介でゲームソフト会社「スクウェア」の鈴木尚社長も出資した。
 すでに、八人の障害者にデータ入力やプログラミングなどを発注し、iモードでホームページ作成やアンケートなどを行うシステム開発の仕事を始めている。軌道に乗れば、技術者や営業マンも雇って事業拡大を図る考えだ。
 谷井さんは「技術があっても障害者は職を得るのが難しい。雇われたとしても、本格的な仕事は任されないのが現実。株式会社という形では、競争や経営もシビアになるが、障害者が本格的に実力を発揮し、それに見合う報酬が受けられる社会の実現へ第一歩を踏み出した」と張り切っている。
 

◇藤野博則さん 高嶋健夫(それぞれのバリアフリー) マリオン
(2000年08月31日 朝日新聞 夕刊 マリオン2 006)
 障害者の「働く場」作りに取り組む(31歳)
 
 障害のある人にとって、「働く」ことへのバリアは依然として高く、険しい。長引く不況で、就労機会はいっそう少なくなっている。
 人材派遣大手のパソナで障害者の職能開発に取り組む藤野さんは、「企業と働く人がお互いに相手を知らなすぎることに、雇用が増えない最大の原因がある」と指摘する。
 企業側はどんな仕事を任せればよいのか、わからない。一方の障害者側も、どのように職場環境を改善してほしいのか、具体的な提案ができない。だから、「私たちがパイプ役になって、少しでも多くの働く場を提供したい」と、静かに闘志を燃やす。
 自身も先天性の弱視ながら、障害者派遣を担当するサンライズグループの長として、約三十人の部下を束ねる。その八割が障害者。使う側と使われる側、それぞれの事情がわかる立場にいる。
 同社が昨年七月に始めた業界初の障害者派遣サービスは、基本的には健常者の派遣と何ら変わりない。希望職種や適性、技能などを診断した後で登録し、研修を行って企業に派遣する仕組みだ。
 これまでに登録した人は約二百人。比較的多いのが聴覚障害、肢体不自由、知的障害の人などで、三十歳代前半が多いそうだ。データ入力、ホームページ作成といったOA関連業務、調査や資料作成、郵便物の仕分け・発送、電話交換など、仕事の中身も多様だ。
 もっとも、約一年間の実績は、派遣した人は短期も含めてざっと二十人、派遣先企業もまだ十社程度に留まっている。「障害者雇用は職安から話が来るものと考えている企業が多く、人材派遣サービスの対象とはまだ認識されていない」と、藤野さんはため息をつく。
 コンピューター技術者である藤野さんが今後、特に期待しているのは「IT革命」の影響だ。障害者でも扱える端末機器の開発によって、「在宅就労」の機会が飛躍的に広がると見られている。
 「障害者にも健常者に劣らぬ能力があるのに、社会は十分に生かしていない。IT関連業界は技術者の絶対数が足りないだけに、今がチャンス。もっと職場や仕事を開発して、活躍の場を広げたい」
 (共用品推進機構運営委員 高嶋健夫)
     *
 ふじの・ひろつね 普通高校卒業後、東京都の障害者能力開発校で情報処理を学ぶ。百貨店勤務を経て、九○年パソナに入社。現在、人事企画本部サンライズグループ長。電話03・5223・1370、ファクス03・5223・1375


◇[視点・直言]県の「情報ハイウエー」 “弱者”に使いこなせる環境を=岡山 
(2000.08.11 読売新聞 大阪朝刊 岡山 23頁)
 二十一世紀に向けた県の施策の目玉でもある光ファイバーを使った高速通信網「情報ハイウエー」がほぼ完成した。県内をコンピューター網で結び、企業の情報収集はもちろん、買い物や医療、文化など日常生活のあらゆる分野の情報を瞬時に得ることができる。県民生活の向上に、大きな可能性を持つ社会基盤整備であることは間違いないが、反面、「デジタル・デバイド」という言葉も生まれている。こういった情報、機器を使える人と使えない人との間に格差が生じるという問題で、県内でも大きな課題になりつつある。
                      (岡山支局 森川 明義)
                     ◇
 「情報ハイウエー」構想は、県内の情報格差を無くし、住んでいいる地域にかかわりなく、インターネットなどの高速通信網を利用できる環境を整えるのが目的だ。一九九六年度から整備が始まり、今年度中の完成が見込まれている。
 県内九振興局を始め、岡山大など県内に張り巡らされる通信網は全長約四百五十キロ。県はこの通信網を無料で開放しており、企業や個人は各振興局などで直接、接続することができるほか、民間の接続業者を介してインターネットなどで利用できる。昨年から一部で利用が始まっている。
 県の産業、文化の発展にとって、必要不可欠な基盤整備だが、一方で、これを使いこなせる人と使えない人との間の情報格差が懸念されている。中でも、障害のある人にとって事態は深刻だ。
          ◇    ◇
 障害のある人たちの通所作業所「パソコンハウス」(岡山市学南町)。代表の黒川圭一さん(39)は二十七歳の時、病気の後遺症で四肢が不自由になり、車いす生活を送るようになったが「パソコンができれば、在宅就労も可能になるのでは」とパソコンを使った文章の打ち込みや企業のホームページの作成、福祉機器の紹介・販売をしている。
 悩みは、作業所のメンバーがなかなか増えないこと。現在は十二人が登録して仕事をしているが、約半数が県外在住者。遠くの人とでも一緒に共同作業できるのがインターネットを使う仕事の利点だが、黒川さんは「県内の障害者ももっとパソコンを利用してほしい」と話す。
 パソコンは、障害のある人にとって大きな武器になり得る。外出が困難だったり、言葉による意思の疎通が難しかったりする人でも外部とのコミュニケーションがとれ、就労機会も増える。しかし、現実にはパソコンは、障害のある人にとってまだまだ使いやすい道具になっていない。
 川崎医療福祉大の太田茂教授(福祉工学)は「障害のある人の中でも、デジタル・デバイドは大きくなっている」と指摘。意欲のある人はどんどん使いこなして社会参加しているが、そうでない人は取り残されたままになっている。
 使えないのを「個人の責任」で済ませることはできない。障害のある人がパソコンを使うためには、入力装置を工夫したりするなど様々な援助が必要になるからだ。
 パソコンメーカーも、指の動きが不自由な人用にキーの操作方法を工夫したり、目の見えない人には画面を自動的に読み上げる装置を付けたりしている。しかし、障害の状態や程度は千差万別で、本当に使いやすいようにするには、個々の障害に合った改良が必要になってくる。
 大阪などでは、それぞれの障害の程度に応じて市販のパソコンに手を加えて使えるようにするパソコンボランティアがいる。しかし県内では、こうした活動や行政の取り組みは耳に入ってこない。
 さらに、障害のある人は、ない人に比べてパソコンに関する情報に触れる機会も少なくなりがちなのも問題だ。黒川さんは「パソコンやインターネットが、仕事や社会参加につながるというイメージが具体的にわかないと習う意欲も起きない」と言う。仕事にしろ趣味にしろ、目的がはっきりしないと、パソコンを使いこなすのは難しいというわけだ。
 そのためには、パソコンを使っている作業所などに、行政を始めとする公的機関が仕事を発注するなどの支援をし、社会参加する人を増やすことが有効だろう。パソコンボランティアを養成し、資金面で助成するのも一つの方法だ。
 県は、生涯学習にパソコンを位置づけ、力を入れているが“情報弱者”になりがちな障害のある人、高齢者にこそ、より学びやすい環境を積極的に提供することが求められる。情報ハイウエーの利用でも、バリアフリーの観点を欠かすことは許されない。
 

◇障害者向け「パソコン教室」 社会参加、就労を支援 大阪産業大学が6月に開講
(2000.05.18 毎日新聞 大阪夕刊 11頁 社会) 
 パソコンを使って障害者の社会参加を進めようと、大阪産業大学エクステンションセンター(大阪府大東市)は、聴覚障害者や肢体不自由者らを対象とした「パソコン資格基礎講座」を開く。大学機関によるこうした試みは異例で、担当者は「障害者の就労を目指した第一歩。受講対象を広めつつ続けたい」と話している。
 講座は、受講者がプログラム開発の即戦力となることを目的とし、「ビジュアルベーシック」という名のプログラミング言語を習得するカリキュラム。今回の対象は聴覚障害者や肢体不自由者らのパソコン初心者約70人で、パソコン画面を見てキーボード操作ができることが条件。
 この講座は、障害者らの社会参加を助ける取り組み(アクセシビリティ)の一環で、最近は幅広い分野で試みられている。パソコンでは基本ソフト(OS)に、視聴覚障害者に必要な音声化ソフトを開発しやすいようなプログラムを付けているほか、高齢者が使いやすいような機能を付けた商品も開発されている。
 企画した同大情報科学センター職員の小河茂樹さん(56)は「パソコンは障害者こそ利用すべきツール(道具)で、在宅就労などの手段となっていくはず。今後は高齢者など受講者の対象を広げていきたい」と話している。
 開講日は6月17、24日、7月8日の午後1時〜同4時。同大工学部の平塚彰助教授らが担当する。受講費8000円で、締め切りは6月10日。問い合わせは同センター(072・875・3001)。 【高橋望】


◇ジャパンパラリンピック 記録処理に新システム 障害者3人が開発=新潟
(2000.03.12 読売新聞 東京朝刊 新潟B 34頁)
 ◆「選手たちを支えたい」
 新井市で開かれている「ジャパンパラリンピック スキー競技大会」で、神林村の伊藤和彦さん(42)ら三人の障害者が開発したパソコンの運営支援システムが今回初めて導入され、活躍している。障害者スポーツでは、実際の競技タイムのほかに障害の程度や部位が考慮されるため、順位の決定などに時間がかかってきたが、新システム導入で記録処理が大幅にスピードアップされた。三人はインターネットを利用した共同作業でシステム開発をしており、障害者の在宅による就労の可能性を広げるという意味でも、今後注目されそうだ。
 ◆在宅就労面でも注目
 新システムの開発にあたったのは、伊藤さんと、埼玉県所沢市の松田あきらさん、熊本市の石川清重さんの三人。「ハンデが細かく分かれていて難しかったけれど、これで順位が決まるので、正確なものをと神経を使いました」と伊藤さんは舞台裏を明かす。
 障害者のスキー大会では、障害の部位や程度によってスタート順を変えたり、ハンデを付けたりするうえ、障害の程度が一人ひとり異なるため、複雑な事務処理が必要になる。
 新システムでは、まず障害の個人情報を入力してから競技結果を入力すると、簡単なマウス操作でスタート順や順位などが表示できる。データを保存し、次の大会で活用することも可能だ。
 過去五回の大会では、専門家が煩雑なコンピューター処理を一手に引き受けていたが、会場が初めて新井市に移されたのを契機に、だれにでもできるシステムの開発をと、日本障害者スポーツ協会が昨年末、松田さんに製作を依頼した。
 大会規模や期限が迫っていたこともあって、松田さんは一人では無理と判断。神戸市の障害者就労支援団体「プロップ・ステーション」のインターネットプログラム講座をともに受講していた伊藤さんらに呼びかけ、インターネットでの共同作業で先月末、開発に成功した。
 松田さんは今回、実際に会場に乗り込んで、役員を指導しながら競技結果の打ち込みなどに取り組んでおり、「思った以上に順調で驚いている。まだまだ改良点があると思うので、大会が終わってから見直したい」と話している。
 交通事故で車いすでの生活を余儀なくされ、今回は残念ながら会場に来ることはできなかった伊藤さんも「今の自分にはスキーはとても無理で、できる人がうらやましい。選手には楽しんでもらいたい。少しでも支えることができればうれしいです」と、エールを送っている。
 
 
◇障害者就労支援フォーラム開催 身障者コメディアンの毒舌に爆笑−−仙台 /宮城
(2000.01.30 毎日新聞 地方版/宮城) 
 ◇自身の生い立ちネタに−−ホーキング青山さん
 障害者の就労促進を目指し来年1月にオープン予定の「仙台市障害者雇用支援センター」を知ってもらおうと、同市青葉区の福祉プラザで29日、「障害者就労支援推進フォーラム」が行われた。シンポジウムのほか、コメディアンのホーキング青山さん(26)=本名・青山世多加=が記念講演し、持ち前の毒舌を披露。満席の会場を沸かせた。
 ホーキング青山さんは1994年に「史上初の身体障害者の芸人」としてデビュー。講演では「自分の生い立ちを話すだけでネタになる」と言い、養護学校での運動会に参加者が皆同じ速度の電動車いすで50メートル走を行った話や、調理実習でホットケーキを調理中に同級生のよだれが入った話などのエピソードを紹介、会場は爆笑の渦に包まれた。ホーキング青山さんは「僕のネタは障害者にとって自分の悪口を聞くようなものなのにみんな笑ってくれる。『励まされた』という声も聞く。障害者に差別がないように気を使い過ぎる中で、本音で話しているのがいいのではないか」と話す。
 シンポジウムには、重度障害者在宅就労支援団体「サイバード」の広岡馨代表や市障害者社会参加推進協議会の平田建治会長などが参加。支援のネットワーク作りや作業指導などの人的援助の必要性などを訴えた。
 来場した車いすの男性(54)=同市泉区、自営業=は、「青山さんのように、自分の得意なものを生かして就職する障害者が増えてくるといいですね」と話していた。【野原大輔】


◇中小企業情報を集積・発信!−−県商工部、ホームページを3月に開設 /福岡
(2000.01.18 毎日新聞 地方版/福岡) 
 ◇電子商取引対応を支援
 県商工部は、県内の中小企業情報を集積したホームページ「F−TOWN(Fタウン)電脳商社」(仮称)を3月に開設する。県企業振興公社が既に開設しているホームページ「F−TOWN」の中に設け、インターネットを活用して企業情報を国内外に発信し商取引の拡大を目指すとともに、電子商取引の普及に対応できるよう中小企業を支援する。
 企業のホームページ作成は、同公社がA4判1ページ分を無料で引き受ける。企業概要やセールスポイント、商品カタログなどを紹介し、商取引の促進を図る。またFタウンの会員(年会費2万円)になった場合、詳しい企業情報や英語版なども掲載できる。さらにインターネットビジネスやマーケティングなどのセミナーに無料で参加できる。
 同部や同公社は、商工会議所や市町村、各種団体などを通じて参加を呼びかけ、5800社の情報掲載を目指す。申し込みは17日に受け付けを開始、12月上旬まで。このほか同公社に下請け受注企業として登録している2500社については先行してホームページ作成を進めており、最終的には8300社の参加を見込んでいる。
 ホームページ作成には、緊急雇用対策基金事業を活用し、在宅就労ができる主婦や障害者らに依頼する。同部は「将来的には、電脳商社が世界的なネットにリンクするようにしたい」と話している。問い合わせは同公社情報部電話622・5432。【浅田芳明】


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▼1999年分
◇パソコン教室で障害者の就労支援 ボランティア団体が松山で開講=愛媛  
(1999.09.27 読売新聞 大阪朝刊 愛南予 29頁)
 社会の壁を乗り越えよう――。目や耳にハンデを持つ人たちが、障害者の活動と就労を支援する伊予市のボランティア団体「Bu system(ぶう しすてむ)」(村田健史代表)のパソコン教室で、熱心にキーボード操作などに取り組んでいる。パソコンの基本を習熟して、電子メールで社会の輪を広げ、在宅就労の第一歩となれば、と約二十人が今年七月から十一月末までの予定で毎月二回学習。「Bu」も仕事を受注し、受講者らが自立した仕事ができることを目標に、特定非営利活動促進法(NPO法)による法人化に向け準備。“共生”の夢は膨らむ。
 「Bu」は今年一月、コンピューター教育にかかわる村田代表ら十五人で発足。会員は現在、障害者やボランティア活動に興味のある人ら約七十人。教室の会場は松山市久米窪田町のテクノプラザ愛媛で、今月十八日は、約二十人がパソコンに向かい、電子メールで、言葉のやり取りをする方法などを学んでいた。目や耳の不自由な人たちは、画面上の指定した言葉の音声を聞くことができる音声ガイダンスソフトを使ったり、アシスタントが手話で講師の話を伝えたりしていた。足が不自由な同市高浜町一、会社員百井明さん(36)は、アシスタントとして参加。「インターネットでこの団体を知って会員になった。みんなで教えあって、仕事ができるようにつなげたい」と意気込んでいた。
 同団体では、十五台のパソコンの貸し出しも行っており、初心者の入会も歓迎している。NPO法人に認証されると、団体の信頼度が増し、仕事の依頼も増えることから、十月中旬に県に法人化への申請を行うことにしている。村田代表は「パソコンを使って、障害者が、壁を乗り越えられるようにしたい」と話していた。問い合わせは、同団体事務局(伊予市森、089・982・6482)へ。ホームページのアドレスはhttp://www.busystem.palclub.ne.jp
 

◇福岡県がパソコン在宅就労を支援 雇用創出へ組織化
(1999.09.13読売新聞 西部夕刊 夕2社 08頁)
 福岡県は十三日、中小企業のホームページ作成や県立図書館が保有する行政資料のデータベース化などを、自宅などで仕事をする主婦や障害者らに委託する「在宅就労ネットワーク事業」の計画を明らかにした。
 国が雇用対策のため県に交付する「緊急地域雇用特別交付金」を基金化(約八十億円)して行う事業の一つ。補正予算として九月議会に提案する。
 県によると、東京や熊本では、自宅や小さな事務所でパソコンを使って個人で仕事をする「SOHO」(スモールオフィス・ホームオフィス)の従事者が組織化されているが、福岡県内では組織化されていない。今回の事業を通して、県内のSOHOの組織化を促進し、企業の求人とSOHOの求職を結ぶことで、新たな雇用を創出するのが狙い。
 中小企業のホームページ作成は、企業の業務内容や新製品などを紹介してインターネット上の商取引を促進するのが狙いで、県内八百社が目標。図書館には、数万部に及ぶ白書や県の刊行物が保存されており、これらをデータベース化して効率的な閲覧ができるようにする。また、約八万部の銃砲刀剣類の登録情報のデータベース化も行う。
 事業費約一億七千万円で、約三百人の雇用創出を見込んでいる。


◇ホームページ作成応援講座 鶴岡の福祉ネット山形 /山形
(1999年09月21日 朝日新聞 朝刊 山形 026)
 パソコンで在宅就労し障害者が自立を目指そうと、活動する「福祉ネット山形」(事務局・鶴岡市)が「ホームページ作成講座」を、十月一日(基礎編)と十五日(応用編)に酒田市松原町の「アスプコンピュータスクール」で開く。いずれも午後一時から五時まで。
 対象は障害者とボランティア、福祉関係者。講習料一回二千円、テキスト代千五百円。会場はバリアフリーになっていて車いすで参加できる。申し込み、問い合わせは鶴岡市本町三丁目の福祉ネット山形(0235・24・4282)へ。


◇20日から定例県議会 /福岡
(1999年09月14日 朝日新聞 朝刊 福岡 027)
 県議会の議会運営委員会は十三日、九月定例会を今月二十日に開会することを申し合わせた。会期は十月八日までの十九日間。一般会計補正予算案など十八議案が提案される予定。
 補正予算案は、国の「緊急地域雇用特別交付金」の関連事業が柱で、交付金の活用方法を県庁内で絞り込みを続けていた。九月議会では、交付金をいったん基金とした後、約二十億円を第一弾の事業費として計上。市町村へ配分した差額の約十億円について、県が十一の事業を提案する。
 図書資料のデータベース化など、主婦や障害者を対象にした在宅就労ネットワーク事業のほか、子供の情報処理能力を向上させるために情報分野の指導者を派遣する情報教育推進事業、不法投棄の産業廃棄物を撤去する事業などが盛り込まれた。いずれも一カ月から六カ月の臨時雇用で、約千五百人の雇用創出を見込めるという。
 議会の日程は次の通り。
 二十日 本会議(開会・議案提案)▽二十七−二十九日 本会議(代表質問)▽三十日−十月一、四日 本会議(一般質問)▽五−六日 常任委員会▽八日 本会議(採決・閉会)


◇緊急雇用対策の第1弾、産廃撤去など11事業−−福岡県、9月議会に提案へ
(1999.09.13 毎日新聞 西部夕刊 社会) 
 福岡県は13日、国から配分される緊急地域雇用特別交付金(79億8200万円)を財源とした県緊急雇用対策を発表した。2001年度までに教育、福祉、環境などの事業を民間に委託、就業の機会を増やす。まず9月定例県議会に提案する一般会計補正予算案に約10億1700万円の事業費を計上し、約1500人の雇用創出を目指す。
 県労働部によると、特別交付金は全額、基金としてプールし、約半額を市町村に配分。市町村は独自に事業を実施する。
 県は第一弾の基金事業として、不法投棄された産業廃棄物の撤去やパソコン講師の学校派遣、チャイルドシートの普及促進、図書資料のデータベース化など11事業を実施する。雇用期間はいずれも6カ月未満。
 産廃撤去事業「クリーンアップ福岡」には約3億9500万円を投入、県内に不法投棄された建設資材や廃油などの産業廃棄物約7000立方メートルを一掃する。約170人の雇用創出と環境美化との一石二鳥を狙う。都道府県の全域を対象とした産廃撤去の取り組みは全国でも珍しいという。
 またデータベース化事業では、主婦や障害者らの在宅就労の確保を図る。
 このほか県単独事業として就職セミナーや合同会社面談会の開催など5000万円を補正予算案に計上した。県労働部は「厳しい雇用、失業情勢の改善を図るため基金事業は2000年度までに集中的に実施したい」としている。【浅田芳明】


◇機関誌「Hopeful」を創刊 障害者の在宅就労を支援−−久居のNPO /三重
(1999.08.02 毎日新聞 地方版/三重) 
 ◇障害者の在宅就労を支援する、久居市のNPO「ペプコム」
 ◇メンバーの思いが「ひしひし」
 障害者の在宅就労を支援する久居市のNPO(非営利団体)「ペプコム」が、活動内容などを紹介した機関誌「Hopeful(ホープフル)」を創刊した。“希望に満ちた”を意味する名前の同誌は積極的に社会に参加しようとするメンバーの思いが、ひしひしと伝わってくる。【張智彦】
 ペプコムは、高校生の時にモトクロスバイク練習中に起こった事故で首から下が不随になった谷井亨代表(32)=同市森町=が、今年4月に友人らとともに旗揚げした。
 谷井代表は事故後、コンピューターを独学でマスターした。口にくわえたアクリル棒でキーをたたき、24歳の時に第2種情報処理技術者の資格を取得。現在は自宅でプログラミングの仕事をしている。
 ペプコムは「Pep(やる気)・Com(共に)」という英語の頭文字からとったネーミング。事故で絶望していた谷井代表にやる気と夢を与えたパソコンを生かし、障害をもった仲間たちが助け合いながら、各メンバーの自立に役立てるのが目的だ。谷井代表の自宅を拠点に、7人のメンバーが18人のボランティアと共に活動。障害者や高齢者を対象に家庭にいながらパソコンで仕事ができるようにするためのセミナーを週1回開いたり、地元企業から情報処理などの仕事を請け負うなどしている。
 機関誌(A4判、22ページ)は、活動内容やメンバーの生の声を多くの人たちに伝えようと、結成直後から準備。障害者の世界を広げるパソコンの使い方や体が不自由な人を助ける周辺機器の紹介など盛りだくさんの内容となっている。
 出来上がった2000部は福祉関係者に配布したほか、関係機関の窓口、図書館などにも置いた。
 谷井代表は「ネット上では健常者、障害者の区別なく仕事ができる。多くの仲間とさらに会の可能性を広げたい」と話している。
 セミナーの参加や機関誌に関する問い合わせは、ペプコム(059・254・2525)。


◇パソコンで在宅就労を 障害者の自立訴えホームページ開設 /山形
(1999年07月15日 朝日新聞 朝刊 山形 027)
 経済的に自立した障害者であろうと、パソコンを使った印刷工房「まかしょ・ふぁくとりー」を主宰している山形市蔵王成沢の山口浩二さん(三九)が、障害者の在宅就労促進を訴えて、インターネット上にホームページ(HP)を開いた。「自立を求める障害者の存在を知ってもらうと同時に、幅広い立場の人々と意見交換ができる窓口にしたい」と話している。
 
 山口さんは十代のころ、病気を患い、体調を維持するのが難しくなるなどの障害が残った。仙台市の民間会社に勤務していたが、体が続かず退職して、山形の実家に帰郷した。四年前、東北芸術工科大(山形市)で開かれた公開講座に参加。コンピューターと電子ネットの世界に触れ、「これを使って生計を立ててやろう」と一念発起した。一九九六年一月、機器をそろえて個人事務所「まかしょ・ふぁくとりー」を設立した。
 とはいえ、コンピューターはほとんど未経験だったため、受注した仕事を通じて技術を覚える試行錯誤の繰り返し。初めは当然、大きな仕事が見つからなかったが、慣れてくるにつれ、企業の名刺やイベントのチラシの大量注文を取ってさばけるようになった。
 昨年六月からは、県内の障害者にパソコンの普及を図り、コンピューターを使った在宅就労を支援する「福祉パソコン・ネットワーク山形」の幹事に就任。自分も含めた障害者の自立に向けて、本格的な活動を始めた。
 だが現実には、障害者に回ってくる仕事は単価が安く、生活費をまかなうレベルにはほど遠い場合が多い。体が不自由だと十分な営業活動ができず、山口さん自身も両親と自分の年金が生計の柱だ。しかも近年は不況のせいか、印刷業界は大手の進出が激しく、価格競争で負けてしまうことも多い。
 「障害者が自立したくても、仕事がなければ実現不可能だ」。悩んだ山口さんは、不特定多数に向けて個人が簡単に情報発信できるインターネットの強みを生かし、職を求める障害者仲間に連帯を呼びかけ、健常者にも理解を求める窓口として、約二カ月かけてHPを開設した。
 表紙では「混とんとした時代だからこそ、自分で立ち上がり、自分の道を切り開いていこうという人たちが集まることを期待したい」と呼びかけた。また、自立を求める自分の信条やこれまでの体験、障害のある・なしについての思い、そして「まかしょ・ふぁくとりー」についての紹介や今後の活動計画などを、イラストを多用して詰め込んだ。
 HPを開設して二カ月余り。アクセス数は約三百五十件とまだ少ない。それでも、山口さんは「自分の手で食えてこそ生きているあかし。<障害のあるみんな、いい仕事しようぜ>というエールを込めたつもりなので、見てやって下さい」という。
 HPのアドレスはhttp://www3.macbase.or.jp/〜mfkytk/
 

◇障害者向けのインターネット、甲府・県福祉プラザに開設 /山梨
(1999.06.19 毎日新聞 地方版/山梨) 
 障害者の社会参加を進めようと、パソコンやインターネットを体験できるコーナーが甲府市北新の県福祉プラザの県障害者社会参加推進センター団体交流室に開設され、このほど運用を開始した。障害者向けに開発した周辺機器が用意され、定期的にインターネット体験教室も開かれる。
 県と大学、メーカーが地域の情報化推進を進めようと設立した「県地域情報化推進協議会」が障害者の新しいコミュニケーション手段と在宅就労の方法として整備を進めてきた。
 団体交流室に設置されたのは、デスクトップ型とノート型のパソコン計5台と周辺機器、インターネット回線。同推進協に加盟するメーカーやケーブルテレビ局が提供した。
 操作は障害者グループが指導したり、インターネットで結成したボランティアが体験教室を開いて、パソコンの基本操作やホームページの閲覧、電子メールの使い方などを教える。
 県情報政策課は「パソコンの操作を教え合うこともできるので障害者の交流の場となることを願っている」と話している。体験教室は26日、7月24日午前10時〜午後3時。
 参加申し込み、問い合わせは県情報政策課内の同推進協(電話055・223・1418、ファクス055・223・1421、電子メールアドレスはstaff@www.fynet.or.jp)へ。【浅見茂晴】


◇視覚障害者の在宅就労を考えよう! 連絡会がシンポジウム−−20日、船橋 /千葉
(1999.06.01 毎日新聞 地方版/千葉) 
 目の不自由な人たちでつくる千葉県中途視覚障害者連絡会は来月、視覚障害者の在宅就労を考えるシンポジウムを開く。長引く景気低迷で、企業のリストラが相次いでおり、障害者の雇用環境は一段と厳しくなっている。シンポジウムでは悩みを語りあうとともに、就労支援の取り組みを紹介し、雇用促進を目指す。
 講師として労働省職業安定局の職員を招き、点訳やテープ起こし作業など、視覚障害者の在宅就労支援の現状を紹介する。主催者は「障害のあるなしにかかわらず参加してほしい」と企業の就職担当者らにも参加を呼びかけている。
 20日午後1時から、船橋市前原の同市東部公民館で、参加費(資料代)500円。問い合わせは同連絡会(電話047・336・5112)へ。【熊谷泰】


◇パソコン使い社会参加を 障害者らの在宅就労を支援−−久居の「パプコム」 /三重
(1999.05.23 毎日新聞 地方版/三重) 
 ◇久居のNPO「パプコム」
 障害者らの在宅就労をサポートするNPO(民間非営利団体)が久居市森町に結成され、22日にパソコンセミナーを開いた。今後、仕事のあっせん、セミナーの開催、情報交換などに取り組み、ハンディを持つ人たちの自立や社会参加を支援する。
 団体は「パプコム」(谷井亨代表)。「やる気」と「共に」の意味の英語を組み合わせた名前。
 谷井代表が15年前にモトクロスバイクの事故で、首から下の体が不随になり、車いす生活に。その後パソコンでメールのやりとりや、プログラミングなどの仕事を覚え、今回はそれらを障害者らに活用してもらおうと結成した。
 自分の体を自由に動かせない人たちは、健常者と同様に出勤して行う仕事は困難。だが、自宅でパソコンを使い、データ入力などの仕事は可能。また、画面上で買い物もでき、介護者なしの活動範囲も広がる。
 この日は障害者ら10人が参加。事務所に設けられた5台のパソコンで、インターネットやワープロの操作方法などを谷井代表やボランティアの講師から一生懸命に学んだ。同会の問い合わせの電話は059・254・2525。
 谷井代表は「一人で閉じこもりがちな障害者が、パソコンを使うことで大きな可能性が広がった。多くの仲間を募り、いろいろなことにチャレンジしたい」と抱負を語った。【張智彦】


◇[視点・直言]コンピューターシンポで “チャレンジド”の挑戦=兵庫
(1999.05.14 読売新聞 大阪朝刊 神戸 31頁)
 コンピューターネットワークを使って障害者の在宅雇用を図るシンポジウムが先日、神戸で開かれた。「仕事を持ち、様々な社会活動に参画したい」と願う障害者。その実現の可能性を、コンピューターの進化が劇的に拡大しつつある現状に驚かされた。
 社会福祉法人「プロップ・ステーション」(竹中ナミ代表)が開催したシンポ「GATSNNN(ガツン)!’99 夢はもう現実だ!」には、二日間で延べ約七百人が参加。
 同ステーションでは「〈チャレンジド〉を納税者にできる社会に」を合言葉に、一九九二年の設立以来、障害者などを対象にしたコンピューターセミナーを開催。延べ二百五十人が受講し、約四十人が企業のシステム開発やデザインなどの仕事に就いた。
 〈チャレンジド〉とは障害者を意味する米語で、「ハンデを負った人」でなく「挑戦すべきものを与えられた人」という思いを込めた言葉だ。
 シンポでは、脳性マヒや脊椎(せきつい)損傷などで体が不自由なメンバー六人のコンピューターグラフィックス作品が披露された。やわらかな色彩で描かれたメルヘン画あり、ざん新なコラージュ風の作品あり。「真っすぐな線を引くことすら難しかった私が今、自分の中の小宇宙を思い通り描いている。半年前には考えられなかったことが現実に起きている」と、メンバーの一人は、表現できる喜びをかみしめるように語った。
 絵画やデザインといった用途別のイラスト用ソフトを使えば、パソコン画面上の点と点をクリックするだけで直線や曲線が簡単に引けるし、絵の具や筆を使わなくても色を塗れる。メール交換によって、自宅のベッドの上で仕事の依頼を受けたり、リポートを提出したりすることも可能だ。
 パネリストの専門家は「身体的ハンデによるパソコン操作上の悩みは、四、五年内にほぼ解決する」と断言する。
 趣旨に賛同して手弁当で参加した行政担当者らも「障害者などを対象に、パソコン研修や在宅就労のあっせんを行うキーステーションを設置する」(大阪府羽曳野市)など支援策を発表し、いずれも「働く意欲も能力もある人々を応援するのは当然」と話す。
 竹中代表は「これは障害者にコンピューターを普及させる運動じゃない。障害という理由だけで、保護される側に閉じ込められていた人が、社会を支える側に回って誇りを持てるようになるための手段が、とりあえずコンピューターだった」と強調した。
 最後に、チャレンジドの中村弘子さん(34)の言葉を紹介したい。「私たちに仕事を下さる方は、最初は社会貢献の気持ちからかもしれません。でも仕事を通じ、対等なパートナーと考えて下さる方が一人でも増えることを願っています。私たちは多くのことをあきらめてきましたが、納税者になることはまだあきらめていません」
                           (西田 朋子)


◇県、雇用対策で緊急支援 労政事務所に相談窓口開設 /佐賀
(1999年01月23日 朝日新聞 朝刊 佐賀)
 県内の有効・新規求人倍率が全国平均を下回るなど厳しい雇用情勢が続いているため、県緊急倒産対策本部(本部長・大竹邦実副知事、各部局長らで構成)は二十二日、雇用・労働関係の緊急追加支援策を決めた。同日、県庁と佐賀、唐津、武雄の三つの労政事務所に緊急労働相談窓口を開設。労働基準局と合同の緊急巡回相談や、中小企業の創業や異業種進出、失業者による新規創業、中高年者の雇用などで新たな支援を実施する。
 県によると、県内の有効求人倍率は昨年に入り急速に低下し、十一月は〇・四〇倍(全国平均〇・四七倍)と、一九八六年八月以来の低水準を記録。新規求人倍率も〇・七三倍(同〇・八五倍)で下がり続けている。経済対策で公共工事は増加したものの、倒産は依然高水準で個人消費も大きく落ち込んでいる。
 今回の支援策は▽中小企業を起こしたり、異業種進出で労働者を新規雇用したりする場合や失業者自らが中小企業を起こして新規雇用する場合、賃金の半分を一年間助成▽中高年者の労働者を失業を経ずに受け入れた企業に賃金の三分の一を助成▽中高年求職者に対する就職促進訓練や職場体験講習の実施▽障害者へパソコンを無償貸与し在宅就労を支援する、などが主な内容となっている。
 緊急巡回労働相談は、労政事務所や労働基準監督署がない鳥栖市と鹿島市を中心に実施する。日時と場所は次の通り。
 鳥栖総合庁舎会議室(二十九日、二月十二日、二十六日、三月九日)▽鹿島総合庁舎別館会議室(二月五日、十九日、三月二日、十六日)▽佐賀市の県勤労者福祉会館会議室(三月二十三日)=いずれも午前十時から午後四時まで。


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▼1998年分
◇パソコン駆使し在宅ワーク 障害者こそSOHO 全国組織「WeCAN!」発足
(1998.12.23 読売新聞 東京朝刊 生活B 22頁)
 パソコンやインターネットを駆使しながら在宅で働く、いわゆるSOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)を目指す全国規模の障害者団体「WeCAN!」(東京・練馬)が今月、旗揚げした。障害や病気のために通勤や長時間の作業が困難でも、パソコンでお互いに助け合えば在宅でも質の高い仕事が出来ると強調。在宅就労の道を切り開いていきたいと意気込んでいる。
 参加しているのは、コンピューターネットワークを利用して翻訳作業やプログラミング、ホームページ作成、版下作成などの仕事を在宅で請け負った経験のある全国の障害者団体や、在宅就労に関心のある障害者ら約100人。
 在宅就労希望者は多いが、残念ながら仕事の発注はまだ少ない。このため、まず企業などへ発注の協力を訴えていくことにしている。
 「私たちにとってパソコンやインターネットは魔法の羽。これがあれば普通の人のように仕事をやっていける。互いに得意分野を教え合うことで、質の高い仕事もスピーディーにこなせるようになる」と同会代表の上条一男さん。自身もけいつい損傷のため車いす生活で、パソコンで電子メールなどを楽しんでいる。
 同会では、障害者にパソコン技術などを教えるボランティアの募集もしている。問い合わせは、同会事務局(03・5383・7533)へ。


◇パソコンで障害者就労を 「WeCAN」設立全国大会−−新宿区 /東京
(1998.12.10 毎日新聞 地方版/東京) 
 コンピューターネットワークを活用して障害者の在宅就労と自立を目指したNPO(非営利組織)「We CAN!」の設立全国大会が9日、新宿区神楽河岸1の都福祉機器総合センター多目的ホールで行われた。
 同会は障害者が中心になって結成。在宅での仕事を希望する障害者にパソコンのホームページ作成などの技術を教えるほか、企業からの情報誌作成などの仕事を受注する業務なども計画している。自宅と受注先をコンピューターネットワークで結ぶSOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)で在宅勤務のできるコンピューターの仕事は、長時間の就労や移動が困難な障害者に向いているとされる。
 長引く景気低迷を反映して障害者の雇用状況は厳しいが、同会代表の上條一男さん(46)は「パソコンやインターネットはまさに魔法の羽」と話す。上條さんは1978年、事故のため頚椎(けいつい)を損傷し、以来、車いすの生活となった。手も不自由になったが独学でパソコンを学んで94年に「福祉パソコンの会」を設立し、自活の手段にと自宅で障害者らにパソコンを教えてきた。「人材や技術、共有できる全国組織を作ることで企業や行政と障害者の懸け橋になりたい」と抱負を語る。
パソコン技能教えるボランティアも募集
 障害者がSOHOで仕事をしていくのには壁も多い。パソコンが高価なうえ、健常者よりも通信時間が多くかかる。上條さんは「自分たちに何ができるのかさまざまな知恵を出し合っていきたい」と話している。
 同会ではパソコンの技能を教えるボランティアも募集している。問い合わせは同事務局電話5383・7533へ。【竹永昌代】


◇連携 ネット(夢の職場になりますか SOHOの光と影:下)
(1998年12月04日 朝日新聞 朝刊 1家 025)
 「SOHOの仲間入りをしました。ぜひ私の作ったホームページをのぞいてください」「この不況、頑張って一緒に乗り切りましょう」
 インターネット上のサークル「SOHO’s Club」のコミュニケーションコーナーには、昼夜を問わずSOHOたちが訪れる。メッセージとともに記された書き込み時刻には午前三時、四時というものも珍しくない。「みんなが寝静まった深夜に見ると、『あー、こんな夜中に同じように頑張ってる人がいる』と、元気が出ます」と主宰者の中村香織さん(二七)は語る。
 *
 中村さんは大学卒業後、派遣会社に所属し、名古屋市でパソコン講師などをしていた。派遣先の居心地は良かったが、「このままではぬるま湯につかっているようで、レベルアップできない」。会社を起こしたいという夢の第一歩として四年前、独立した。
 システム開発やホームページ作成など仕事は順調。しかし、二十四時間、年中無休のSOHO稼業は肉体的にも精神的にも負担が大きい。
 「夜中に携帯電話が鳴っても『起きてましたよ』という声で出ないといけないでしょ。自分をしっかり持たないと振り回されちゃう」
 深夜、ふと思った。「私みたいな人、全国に二、三十人くらいはいるのかなあ」。同じ立場同士で孤独をいやす場があればと去年三月、「SOHO’s Club」を立ち上げたところ、二、三日で百人以上が登録。現在は三千人もの会員を抱える。
 「情報交換したり悩みをうち明けたり。同僚も話し相手もいないんじゃ、あまりにも寂しい」
 「在宅」「個人」という言葉から孤立したイメージが浮かぶSOHOにも、広がりとともに多様なつながりが生まれている。
 大阪市ではSOHOたちが集まり、事業協同組合設立に向け準備を進めている。デザイナーやプログラマーら約二十人が参加し、組合として受けた仕事の内容によって随時、プロジェクトチームを組む仕組み。法人格を持てば信用が増し、規模の大きな仕事を数多くこなせるとの発想だ。代表発起人の塩見政春さん(三五)は「いわばバーチャルカンパニー。こんなんが全国各地にできるのが理想なんや」。
 互いの連携に大きな希望を託す人たちもいる。
 東京都練馬区の上條一男さん(四六)は二十年前、事故でけいつい損傷になり、以来車いすでの生活。両手足が不自由になったため、指の関節でキーをたたきながらパソコン技術を学んだ。
 *
 編集など定期的に受注を得るようになった。一方で、リハビリに励んでやっとのことで就職先を見つけても、通勤の難しさや精神的な疲労から仕事をやめてしまう障害者が多いことも知った。「ネットワークを使えば在宅でもレベルの高い仕事ができる」と一九九二年に「福祉パソコンの会」を作り、学習会や情報提供などを続けてきた。
 「幅広い理解を得るためには全国的なネットワークが必要」と十月初旬、インターネットを通じて呼びかけたところ、すぐに全国各地から六、七十人が参加を申し出た。
 「ばらばらに要望を言うのではなく、受け皿となる組織を作ってそこから行政や社会に訴えれば効果的」。障害者SOHOのあり方について検討していく全国組織「We CAN!」を九日に旗揚げする。大忙しの上條さんだが、表情は明るい。「今、とっても盛り上がってる。だって、今まで夢を語れなかった我々が夢をかけてるんだから」
 「個」であることの弱みはネットワークの力でカバー――SOHOとして生き抜いていくための知恵が今、様々な連携を生んでいる。
 (このシリーズは平塚史歩が担当しました)
 ◇関連団体のメールアドレス
 ●日本サテライトオフィス協会
 http://egg.tokyoweb.or.jp/soajhome/index.htm
 ●SOHOギルド http://www.sohoguild.co.jp/
 ●SOHO’s Club http://www.s−chc.com/soho/
 ●福祉パソコンの会
 http://www.jah.ne.jp/fukushi−pc/
 ●We CAN! http://www.wecan.gol.com/jp/


◇山形県鶴岡市 パソコンで障害者が変わる 佐藤博幸(地域通信)
(1998年12月02日 朝日新聞 朝刊 オピニオン 004)
 障害者は生活のいろいろな場面で助けを必要とする。しかし、パソコンとそのネットワークによって、健常者と同じように自力で生計を立て、当たり前に社会参加ができるようになる。
 こんな思いを抱く人たちが集まって、六月に「福祉パソコンネットワーク山形」が発足した。パソコンの基本の学習、パソコンでの点訳、音声情報の収集・提供、ホームページの作成・運用、要約筆記、健常者からのサポートなどの七つの部会で活動をしている。
 働く意欲と努力があれば、障害があってもパソコンを使って様々な仕事ができる。会員は五十八人でスタートして、すでに百人を超えた。月一回、県内各地を巡り障害者向けの講習会や点訳講習会などを開いている。ここでの経験を生かして、二人の仲間が在宅就労を始めた。
 県内外の企業や個人から、仕事の依頼やホームページへの広告契約など温かい支援が寄せられている。当会を含む国内の四団体が情報を交換し合い、人材、技術の共有を図り連携して活動を始めている。
 多くの障害者は知らないうちに親や施設、病院による保護と隔離に慣らされてしまう。一般社会やビジネスのルールを体験し学習する機会もなかなか与えられない。そんな中、ネットワークの活動を機に、家の中に閉じこもっていた多くの障害者たちが表に出てきた。
 しかし、障害者にとってパソコンはまだ高い買い物だ。私たちはパソコンを日常生活用具の給付対象品とするよう制度要求も始めた。パソコンは障害者の必需品になりつつある。ネットワークを活用することで、自らを変えることができるのだ。
 (福祉パソコンネットワーク山形代表)


◇森正さん 障害者の在宅就労手助け(人きらり) /長崎
(1998年11月30日 朝日新聞 朝刊 長崎)
 障害者が仕事に就き、社会参加できるようパソコンを学んでいるグループが長崎市にある。「フロンティア」という団体で、1期生6人に続き、現在、2期生8人がパソコンの基本操作の修得に励んでいる。その活動を支援しているボランティア団体が「フロンティア・サポート・クラブ」。森正さん(44)らが発起人になった。
 森さん自身も車いすでの生活者だ。東京の外資系大手ソフト会社の在宅勤務の契約社員として、ホームページの翻訳をしている。会社とのやりとりはインターネットと電話で済ませる。今月、3年目の契約更新をした。
 16年ほど前に神経系の難病を患い体が不自由に。プログラミングの講習を受けたが、仕事には結びつかなかった。ほかの仕事を経験するうちに、「自宅でできる仕事が理想」と考え翻訳の勉強を始めた。しかし、自宅では調べられる資料が限られ、これも断念した。そんな時、障害者の就労を支援する市民団体に出あい、インターネット上でセミナーを受講した。
 そこで偶然、翻訳を勉強していた経験が役立ち、仕事が舞い込んだ。こうした経緯から、長崎でも同じような活動をと、賛同者と一緒にフロンティアとサポート・クラブを立ち上げた。
 「電子メールで仕事の注文が送られてくればいいが、書類だと障害者には受け渡しが必要になる。できない部分をどう支援していくかが重要なんです」
 「バリアフリーというが、歩道の段差などハード面だけでなく、意識のバリアを取り除いていきたい」。今後は、今の活動を発展させ、町づくりの提言もしていきたいという。


◇[経済再生と広がる暮らし]21世紀へ今なすべきこと 働く機会創出=特集
(1998.11.26 読売新聞 大阪朝刊 朝特F 26頁)
 ◆「SOHO」働く機会創出
 インターネットなどのコンピューターネットワークの発達で、自宅で仕事をする人が増えている。SOHO(ソーホー=スモールオフィス、ホームオフィス)、テレワークといった言葉がよく聞かれるようにもなった。「在宅勤務」は、これまで外に出ることが難しかった子育て中の主婦や重い障害を持つ人たちにも、働く機会を広げている。
 ◆主婦や障害者 生活に合わせ ネット発達、自宅が職場
 奈良県生駒市の松岡祐子さん(39)は、有限会社「ニコニコム」(大阪府東大阪市)の社員だ。企業向けにコンピューターソフトの開発をする同社で、松岡さんにまかされた業務はプログラマー。社員は社長の吉崎広江さん(37)を含め計3人いるが、一般の会社でイメージされるような本社、オフィスというのはなく、それぞれが自宅で仕事をしているのが特徴だ。
 松岡さんは、夫と小学5年の娘との3人暮らし。毎朝、2人を送り出した後の午前9時から午後5時までを一応の“勤務時間”にしている。自宅にいると、学校や地域の用事も出来、予定通り時間配分ができないことも多いが、融通がきくというメリットもある。
 与えられた業務を一人でこなすのが難しい場合は、同社が契約している外部のプログラマーに発注する。その場合の工程管理も責任の一つで、在宅勤務といっても、ソフトの納入をはじめ、トラブルが発生すれば、現場にいくこともある。
 仕事場はリビング。以前は別室でしていたが、扉を閉めてしまうと子どもに目が届かなくなるため、ここの一角に変えた。多少能率は落ちるが、子どもと一緒にいてやれるなど、生活と仕事の両立には都合がよかったという。
 松岡さんは、大学の文学部を卒業してコンピューターのソフト制作会社で5年弱働き、プログラマーとしての技術を身につけたが、出産を機に退社した。
 子どもが3歳になるまでは専業主婦だった。保育園に預けることができるようになり、自宅近くのソフト開発会社で働き始めたが、不況のため2年で失職した。「もうプログラマーとしての仕事は無理かもしれない」と思い、経理の勉強をしていた時、大学同期の吉崎さんから、会社設立と同時に声がかかった。4年前のことだ。
 「やりたかったプログラマーで、子育てをしながらでもできる」。松岡さんにぴったりの条件だった。
 吉崎さんは、3人の子どもがあり、義父母の介護などで会社をやめたが、それでも働きたいと、在宅で仕事の出来る現在の会社を興した。
 同社でもう一人の女性社員は現在、出産後の休暇中だ。復職を目指しており、吉崎さんと松岡さんらは、労働時間を短縮するなど、小さな子どもを抱えていても無理なく仕事に励めるように、働き方を変えようとしている。基本的な収入は減ることになるが、より自分の生活にあった働き方が可能になるからだ。
 「会社にライフスタイルを合わせるのではなく、会社がライフスタイルに応じて変わってくれる今の形態が、とってもうれしい」と松岡さんは話している。
                □    ■
 車いす生活の山崎博史さん(33)(大阪府堺市)は、在宅のコンピュータープログラマーだ。
 19歳の時、交通事故で首の骨を折り、四肢に障害が残った山崎さん。事故後しばらくは「無気力で生きるしかばねだった」が、結婚をきっかけにして、再び社会に参加し、働くことを決意した。5年前の11月のことだった。
 障害を持つ人にコンピューターの技術を身につけてもらうことで、就業を支援している市民団体が大阪市内にあることをラジオ番組で知った。それまでパソコン、コンピューターには触れたこともなかったが、さっそく電話をいれた。
 パソコンさえ買えば何でもできる、すぐにも仕事ができると思っていたが、キーボードの位置すら分からず、ショックを受けた。
 が、週に1回開かれていた同市民団体のセミナーに参加、3週目にはパソコンを購入した。本体、プリンター、通信用のモデムなど合計で約50万円の出費。当時の山崎さんにとっては大きすぎる額だったが「背水の陣のつもりで思い切って買った」。
 半年後には同団体で受注した高校の成績管理システムを作る仕事にも参加できるほどになった。さらにデータベース作成の技術を磨き、貿易会社の在庫管理システムをほぼ独力で作り上げ、納入した。初仕事といえるものだった。それからも、大手企業の仕事を積極的に請け負い、在宅プログラマーとして実力を蓄えていった。
 新しい技術の習得にも常に取り組み、仕事のない時でもほぼ毎日パソコンに向かっているのが、現在の山崎さんの生活だ。
 障害のない人に比べると、キーボードを打つ速度は遅いが、考えながらプログラムを書くプログラマーにとって、スピードはさほど重要でないと、山崎さん。
 まだまだ、コンスタントには仕事が入ってくる状況ではないが、「コンピューターのおかげで、障害のない人とも同じ土俵で勝負できるようになった」と喜ぶ。将来はテレワーカーとして企業に雇用されるのが夢だ。
 

◇佐藤博幸さん(この人に聞く やまがた人名録) /山形
(1998年10月25日 朝日新聞 朝刊 山形)
 福祉ネット山形代表
  
 ――障害者とパソコン、意外な感じがしますが?
 意外?とは意外ですね。パソコンは障害者の最も身近な「友の一人」であり、また障害者の社会参加のための最強の「武器」の一つと私たちは考えているのです。パソコンが広く普及し始まったことで障害者の可能性が大きく広がった、との実感が日ごとに強くなってきています。障害者が在宅で仕事が出来る時代が来た、と感じています。
 ――福祉ネットはどういうきっかけで?
 そもそもは、県や福祉関係者、NTTなど色々な人の協力で昨年開いた障害者のためのパソコン講習会に、予想をはるかに越えた人が来たことが始まりです。まず山形で開き、次いで庄内支庁で開いたのですが、熱気がすごかった。それでは、というので酒田、鶴岡、新庄と、各地域で次々に講習会を開きましたが、どこでも関心が高く、障害者が熱心にパソコンに取り組んでいました。
 特に若い人の関心が高く、パソコンで仕事が出来ないか、という相談が次々に寄せられた。私自身、障害者で、障害者福祉の仕事をしてきたが、こんなに多くの若い障害者たちが、何かをしたがっていたとは、これまで気がつかなかった。それなら、全県的な福祉のネットをつくったらどうだろう、ということになったのです。このネットで障害者の在宅就労を進め、社会参加の道を大きく開きたい、と考えています。
 ――それで代表に?
 本部は県都・山形に置いた方がいい、と思ったが、「内陸より庄内のほうがより熱気がある」「(代表は)お前がやれ」と言われ、パソコンとの付き合いも長い、ということから、代表を引き受けることにしました。
 ――会員はどれほど?
 四十人ほどでスタートしましたが、日ごとに増え、百人ほどになっています。入会費も、月々の会費もなしで、催し、企画、研修、講習ごとに実費で負担してもらい、まかなうやり方にしました。障害者と健常者の共同作業・事業ですので、ボランティアの皆さんの役割・協力が極めて大きい。会員も障害者、健常者が半々の割合です。
 ――パソコン講習のほかにはどんな活動を?
 福祉ネットには(1)学習(2)在宅就労(3)点訳情報(4)音声情報(5)サポート(6)ホームページ運用の六つ部会があります。
 (1)障害者がパソコンの操作を学ぶ講習会を数多く開く(2)障害者自身が社会的・経済的自立を目指し、パソコンを活用した事業展開を自己責任のもとに行う(3)経験豊富なボランティアと連携、点訳事業の普及を目指す(4)視覚障害者や肢体不自由者のための音声入力システムなどの情報収集と提供(5)ネットの活動を助ける(6)市民の理解と支援が得られる広報に取り組む――という内容で、すでに、講習会、細々ではありますが在宅での仕事も始まっています。
 パソコンでの点訳も二十四日に酒田で、学ぶ会を開きました。これも熱気があって、パソコンで点字の世界が大きく広がることが分かりました。サポート、ホームページ運用でもボランティアの人たちに活発に助けてもらっています。
 ――この不況、不景気の影響は?
 まず弱者に「しわ寄せ」が来るという風潮があるのは困ったことです。でも、私は何事も明るく見ていこう、という楽観論者ですので、ネットの仕事も障害者施設の仕事も前向きに、積極的に、どこにでも出掛けていって、大勢の人たちに声をかけて、やっていきたい、と思っています。
 (聞き手 加藤安彦)
    *
 さとう・ひろゆき 酒田市生まれ。1歳の時、小児マヒにかかり、両足に障害があるため歩行は松葉づえを使う。酒田北高卒。酒田の食品加工会社に20年勤務。鶴岡のコミュニティー・ケアセンター「よつばの里」(身障者通所自立生活支援施設)所長。48歳。


◇障害者を納税者に パソコン利用で仕事はできる−−スウェーデン「サムハル」社報告
(1998.08.29 毎日新聞 大阪夕刊 10頁 芸能) 
 インターネットは人と人との距離を縮め、身体の障害をハンディではなくしてしまう。パソコンを使うと、例えば手が不自由でも文字や絵を書くことも可能。パソコンの発達で、障害者が健常者と同じスタートラインに立てる世界は広がりつつある。こうした技術を利用して、障害者の就労を促進する動きも全国各地で始まっている。大阪のボランティア団体「プロップ・ステーション」(竹中ナミ代表)もそうした団体の一つ。このほど「プロップ」も参加して、障害者の就労問題を考える「チャレンジド・ジャパン・フォーラム国際会議」が神戸市で開かれた。話し合われた内容を報告する。【佐々本浩材】
 大会名の「チャレンジド」は、障害者を表す新しい米語。「神から挑戦すべきことを与えられた人々」という意味が込められているという。
 「プロップ」は、約7年前から「チャレンジドを納税者に」を合言葉に、チャレンジドも仕事を持つことで社会を支える側に回って、誇りを持てるようにしようと活動している。そのための最大の手段がパソコン。大阪や神戸、ネット上などでパソコンセミナーを開いて、すそ野を広げる一方、チャレンジドの就労促進を企業などに積極的に働きかけてきた。現在、企業に就職した人のほか、在宅で仕事を始めた人もいる。
 フォーラムは今回で4回目。障害者をはじめ企業や大学、行政関係者など約300人が参加。
 今回の目玉は、スウェーデンの国営企業「サムハル」の報告。約3万人の従業員のうち約90%が障害者で、特に知的障害者や複数の障害がある人などの雇用を増やす一方、自社のグループ企業以外への転職も積極的に図っている。
 1980年の設立で、IBMやボルボなどの下請けのほか、レストランやクリーニングなどのサービス事業と仕事は多岐にわたっている。最近はグラフィックデザインや情報処理サービスなどの仕事も増えており、個人負担はほとんどなしで各家庭でパソコンが使えるように投資している。
 来日したゲハルド・ラーソン社長によると「ヨーロッパでも同様の試みはそれほどない」。当初は議論もあったが「納税者や企業に納得してもらった」という。
 成功の秘けつについて「価格は市場価格に合わせ他の民間企業との競争を公平にする」「障害者が働かずに社会保障を受けるより企業に補助金を出すほうが出費が少ないことを国民に示す」「障害者が誇りを持てることを理解してもらうこと」の三つを挙げ、80年は政府の補助金が売り上げの170%だったのが、昨年は96%になり、金額で3億ドルも補助金を減らしたと誇らしげに語った。
 日本では障害者の雇用はここまで進んでいない。「プロップ」の竹中代表は「働くのが当たり前という認識があればそうなるのかと思った。今はパソコンという武器があるので、かなり早いスピードで進んでいけると思う」と話した。
 別のセッションでは「プロップ」所属のチャレンジド3人が最近の仕事の状況を報告。「自分の中の才能を起こされた」と喜びを語る一方で「パソコンは進歩が早く、すぐに技術が古くなる。勉強に本代がかかる」「使いやすい機器が欲しい」などの悩みも聞かれた。
 参加した企業側は「最初から在宅就労となると不安はあるが、何かを身につけてくる人は大歓迎。企業は障害者の雇用比率が法律で定められているが、こうした在宅での就労もカウントできるようにしてほしい」と行政に注文していた。
フォーラム終了後、握手する「サムハル」のゲハルド・ラーソン社長(中央)と「プロップ・ステーション」の竹中ナミ代表(右)。左端は司会の金子郁容・慶応大教授


◇パソコンを障害者の「友」に 在宅就労など目指すネット発足 /山形
(1998年06月25日 朝日新聞 朝刊 山形)
 「パソコンを障害者の武器に!」を合言葉に、障害者の自立と社会参加を目的とした「福祉パソコン・ネットワーク山形」(略称、福祉ネット山形「FUNY」)が二十八日、鶴岡市内で発足総会を開きスタートする。障害者にパソコンを普及し在宅就労を実現しようという、障害者と健常者が互いに支え合う全県的な組織だ。発会を前に会員、賛助会員を募るとともに、障害者へのパソコン「給付の制度化」などを行政に要望していく方針だ。
  
 福祉ネットは、山形市や鶴岡市、三川町などで行った障害者のパソコン講習会が予想を超える参加者があったことなどから、有志が春から設立に向け準備を進めて来た。これまでのところ障害者とボランティア五十八人が参加を申し込んでいて、発足総会には六十人ほどが参加する。
 会則案や事業計画によると発足時には(1)パソコン学習(2)在宅就労(3)点訳情報(4)音声情報(5)サポート(6)ホームページ運用の六テーマ部会を設け、部会ごとの事業運営を行うことにしている。
 すなわち、ネットの目的は(1)障害者自身がパソコン操作を学習する機会を多く持ち、健常者と自然な交流の場とする(2)障害者がパソコンを活用した事業展開を自らの責任のもとに実施する(3)経験のあるボランティアと連携して点訳事業の普及を図る、など。
 また、視覚障害者や肢体不自由者のための音声入力システムの情報収集・提供・相談も行い、こうした活動を支援し介助者の協力のためのネットワークを推し進めていく。会の活動を広くPRし、市民の理解と支援が得られるような広報にも取り組むことにしている。
 ネットワーク山形は五月、発起人段階でインターネットにホームページを開設し、点字入り名刺印刷の事業もスタートさせた。障害者対象のパソコン講習会は今年度は月一回程度、県内各地で開く具体的計画が進んでいる。
 ネットワークの活動を資金面で援助してもらう賛助会員(会費、一口千円)と、ホームページに広告(一行、一カ月千円)を募集している。さらに、会では県内各地域ごとの拠点づくり、会員の増強などの組織の充実、ボランティアへの公的な支援、障害者へのパソコン給付や補助などの制度化を求め、行政機関への要望を進める方針だ。
 発起人代表で事務局を担当する鶴岡のコミュニティー・ケア・センター「よつばの里」の佐藤博幸所長は「若い障害者からの反響が大きく、どうにかスタート出来そうだ。地域や行政の支援を得て、あわてず、息の長い活動を続けたい。市民の皆さんの参加をぜひお願いしたい」と話している。
 当初、山形市での開催を予定していた発足総会は、参加希望者が庄内地区に多いことから、鶴岡市苗図の地域福祉センター「なえず」で午後一時から開くことになった。
 総会は経過報告、ホームページ紹介、会則、事業計画、予算などを決め、役員を選出する。午後二時から第二部として東京の「福祉パソコンの会」代表の上條一男さんを囲み「パソコンは世界を広げる・障害者の社会参加と自立について」と題した参加者が加わったパネルディスカッションがある。参加費は五百円。
 問い合わせは鶴岡市本町三―二―五「よつばの里」(〇二三五―二四―四二八二)へ。
  

◇[生活スコープ]ワイド版 障害者の世界広げるパソコン 音声合成装置で便利に
(1998.06.23 読売新聞 東京朝刊 生活A 17頁)
 ◆見えぬ目での育児記した電子メール基に自費出版
 目覚ましいパソコンの広がりは、障害者にも大きな恩恵をもたらしている。家に居ながら様々な情報を入手でき、限られた世界にいた人がだれとでもコミュニケーションを図れる。仕事を得る機会も増え、電子メールで送った体験談を自費出版するなど生活を一変させた人もいる。ただ、習熟にはまだ難しさがあり、利用出来る人と出来ない人との格差も心配される。(板東玲子)
 スピーカーから抑揚のない女性の声が流れる。「視覚障害のお母さんを見かけたら、ぜひ声をかけてあげたい」「目の悪い人は日常生活自体が大変なんですね」――。パソコンの人工音に、埼玉県鶴ヶ島市、針治療院経営の高原光子さん(44)はじっと耳を傾ける。電子メールを“聞く”のが日課なのだ。
 高原さんは生まれた時からほとんど目が見えない。パソコン画面の文字は、音声合成装置が音読してくれる。キー入力すると同時にそのキーの意味を“声”が告げる。
 電子メールは、自らの育児体験をつづった自費出版本「翼を折らないで」を読んだ人たちからの反響だ。「メールは楽しみだけどなかなか返事が書けなくて」と高原さん。
 高原さんは3男1女を育てあげた。現在15―22歳までのきょうだいの中で、「翼を」は長男を中心に書いた。
 夫も視覚障害者、両親は離れて暮らしていたこともあり、育児・家事は高原さんがほとんど負担した。目が見える人でも育児ノイローゼになる時代、目が見えないことが苦労をいっそう多くした。
 子供の顔色や体温計の温度が確認できず、子供が泣く度に病気ではないかとおびえた。ほ乳瓶の目盛りを読み取れないため、計量カップの必要量を示す高さに穴を開ける工夫をした。絵本の読み聞かせの代わりに物語を創作して聞かせた――。こんな体験を、振り返る心のゆとりがようやくできた昨年、友人に電子メールで書き送った。
 感動した友人がホームページに全文を掲載したところ、「ぜひ本に」とのメールが相次いだ。そこで、B6判215ページにまとめ、今月、自費出版をした。
 「軽い気持ちで書いたことが、こんなに反響を呼ぶなんて」と、高原さんはパソコンの威力に改めて驚いている。
 夫で音楽家の蘭堂さん(46)はパソコンで作曲をする。ゲームを作ることもある。2人で、デジタル化された書籍や新聞、通信販売のカタログを“聞く”。「パソコンのお陰で、生活がすごく楽しくなりました」
 ◆指の関節で キーを操作 けいつい損傷男性
 東京・練馬区の上条一男さん(46)は、26歳の時にけいつい損傷で車いす使用者になった。両手とも握った状態で指が動かない。親指の第一関節でパソコンキーを操作するが、早くて正確だ。
 パソコンの知識や技術を苦労して習得、操作の指導などをしてきた。昨年からは毎週、慈善団体の週報編集の仕事を仲間とそれぞれの自宅でしている。だれかが通院などで休んでも補い合えるため、仕事に責任が持てるメリットがある。
 「パソコンは生活の糧であり、生きがいです」という上条さんの暮らしぶりに、障害者から、「あなたを目標にしたい」などのメールが連日届く。
 「パソコンは自立のチャンスを与えてくれた素晴らしい道具。でも、専門的な技術を持ちながら、職を得られない仲間もまだたくさんいるんです」と話す。
 ◆学習会開くグループも 増える指導ボランティア
 障害者に恩恵の大きいパソコンだが、操作を一人で習得するのは健常者以上に難しい。その中で、行政や民間の支援が少しずつ広がっている。
 障害者がパソコンの操作を一人で覚えるのが難しいのは、指導者が少ないことが大きい。そんな状況の中で、少数だが、様々な努力が始まっている。障害者グループ「福祉パソコンの会」(上条一男代表、会員60人、http://www.jah.ne.jp/fukushi‐pc/)は、パソコン学習会や在宅就労のためのセミナーなどを開いている。パソコンを学びたいという障害者のため、障害者自身が5年前に作った。パソコンの選び方や使い方など初歩的な相談をする場がない人に喜ばれている。
 障害者の自宅などにパソコンの使い方を教えに訪れるパソコンボランティアも、首都圏や関西を中心に広まっている。東京都障害者福祉会館や横浜ラポールなど、自治体の施設で開かれる障害者対象のパソコン講習会も増えた。
 慶応大学の村井純教授(コンピューターネットワーク論)は「パソコンを使える障害者と使えない人の間に格差が生じている。それをいかになくすかが新たな課題だ。障害のある子供ができるだけ早い時期からパソコンに親しめる環境を作っていくべきだ」と指摘する。
 ◆周辺機器はまだ高価
 さらに、障害者には、周辺機器が必要だ。次第に性能が良くなっているが、音声合成装置は約10万円、点字ディスプレーは50万―60万円とまだ安くない。マウスを使いにくい人には3千―1万円のトラックボールやペンタイプのマウスなどがあるが、すべての障害のタイプにこたえているわけではない。
 ◆コミュニケーション情報入手が容易に パソコン急速に浸透
 「インターネット白書’98」(日本インターネット協会編)によると、国内のインターネット利用者数は1千万人を超えている。障害者の利用がどのくらいあるかは不明だが、全国障害者問題研究会の薗部英夫さんは「ここ二、三年、加速度的にパソコンを使う障害者が増えているのを肌で感じる」と言う。
 これまで、障害者は特に生活にかかわる身近な情報の入手や、他人とのコミュニケーションなど健常者にとって当たり前のことが難しい――と言われてきた。
 それがパソコンの広がりで大きく変わりつつある。例えば点字や録音が頼みの綱だった視覚障害者は、音声合成装置や点字ディスプレーなどを利用することで、デジタル化された新聞や書籍、通信販売のカタログなど生活に関係の深い情報に、自由に接することができるようになった。
 手話や筆談に頼る聴覚障害者はパソコン通信や電子メールを使えば、ほとんどハンデを感じずにコミュニケーションを図れる。一人では外出が困難な人も、家に居ながら友達を作れ、社会とつながりを持つことが可能になった。
 ボランティアや福祉機器、障害者団体など、障害者にとって身近な情報を掲載した官民のホームページも増えた。
 薗部さんは「パソコンによって健常者が5倍便利になるとすれば、障害者にとっては0が無限大になる可能性がある。革命的なことだ」とパソコンの広がりを評価する。
 

◇パソコンで障害者、社会へ 教えるボランティア続々
(1998年02月17日 朝日新聞 朝刊 1家 015)
 パソコンが障害者の社会参加を進めている。体の自由がきかない重度の障害者が仕事を手にし、視覚障害者は点訳を介さずに情報を手に入れ、文字が書けるようになった。就労、教育、コミュニケーションの分野で、ハンディを補い、自立への足がかりとして期待されている。使いこなせるようになるには試行錯誤の連続だが、障害者からのSOS情報を受けて出向くパソコンボランティアも広がりをみせ、新たな交流の場も生まれつつある。(斉藤泰生)
  
 ●仕事 働く夢、家で実現
 右手で左手首をギュッとつかむ。腕のふるえを抑えながら、左中指でキーボードを打つ。「プログラム作成の締め切りは今月末。追い込みなんです」。東京都板橋区に住む本間一秀さん(二三)は今、プログラマーとしての初仕事と格闘中だ。
 重度の脳性まひの本間さんは二年間、社会福祉法人東京コロニーのトーコロ情報処理センター(東京都新宿区)が開く在宅パソコン講習を受けた。パソコン通信を使った講義で情報処理技術を学び、第二種情報処理技術者、初級システムアドミニストレータの資格を取った。「朝十時から途中休んで夕方六時まで自習。初めて集中した」
 働くことが夢だった。この間の実習が縁で、昨年六月から福祉機器開発会社の契約社員として、在宅でソフト開発の業務につく。仕事の打ち合わせは電子メール。半月に一回、会社に日々の勤務時間をメールで伝える。報酬は月五万円の固定給とプログラム完成ごとの出来高払い。「パソコンは自分の存在を社会に示すもの。技術を見込まれて仕事がくるようになりたい」
 同センターの講習は東京都内の重度身体障害者が対象だが、希望者は年々増え、来年度は五人の枠に約三十人が応募した。脳性まひや頚椎(けいつい)損傷で寝たままの状態の人もいる。「重度でも技術があれば働けるという期待が高まっている」とセンターの堀込真理子さんは話す。
 パソコンを活用して、重度障害者の在宅就労を支える組織も生まれている。仙台市を中心に活動する「サイバード」は二年前に発足。七十五人の会員が地元企業のホームページ作成などを請け負う。
 事務所はない。会員への仕事の発注、作業のやりとりすべてはネットワーク上だ。筋ジストロフィーの長女をもつ代表の白鳥さち子さんが、パソコン教室を開くなかで仲間が集まり、仕事につながった。「障害者の働く意欲をどうくみ取り、技術を高めていくかが課題」という。
 ●教育 盲学校で情報処理、音声で記事読める
 早口のコンピューター音声が流れる。読み上げているのは、パソコン画面に呼び出したクリントン米大統領の女性疑惑の記事。新聞社のホームページにアクセスして情報を読みとる、筑波大学附属盲学校高等部(東京都文京区)の「情報処理」の授業のひとこまだ。
 メールを発信したり、ホームページを読んだりというネットワークの利用法を昨年度から授業に取り入れた。二年の選択科目だが、全員が履修する。「視覚障害者は情報欠乏状態。パソコンで補えればと思って取った」と普通科の大川達也さん(一七)は話す。
 点字ではなく、文字をワープロ機能で共有できた。辞書ソフトやデータベースを活用すれば、生の情報を受け取れる。同校でコンピューターを教える高村明良さん(四二)は「パソコンの操作を学ぶだけでなく、必要な情報を選ぶ目を養う。ネットワーク社会とは何かを教える必要が出てきた」と変化を口にする。
 パソコン通信を使い、ひと月分の新聞記事を引き出すと情報提供料は一万円を超す。本は著作権がからんで電子データではなかなか読めない。「情報が得られる状況にありながら、料金や法整備の遅れで手に入れられないことも多い」と高村さんはこぼした。
 ●相談 メールで仲間支える
 頚椎損傷者の支援グループ「FLC」(会員九十五人)会長の金子寿さん(三七)は、パソコンを活用して「ピアサポート活動」に取り組んでいる。
 ピアサポートとは、障害者の自立生活に向けた仲間同士の支え合いを指す言葉。「私もそうでしたが、障害を負って間もないときはすごく落ち込む。同じ体験者が精神面で支えて、退院後の在宅生活のアドバイスや福祉機器の利用の相談に乗る。本人や家族を勇気付けるんです」
 金子さんは高校二年のとき鉄棒から落ちて首の骨が折れ、肩から下の神経がまひした。入院中同室だった仲間との交流を目的に十三年前に会を発足。「患者が落ち込んでいるので相談に乗ってほしい」というケースワーカーの依頼をきっかけに、五年前からサポート活動を始めた。病院や施設から連絡を受けて、患者と面会したり、電話で話をしたり。そこに最近、パソコンが加わった。
 「環境制御装置とはどういうものか」「助成金の対象条件は」。問い合わせや悩みを打ち明けたものなどメールは一日に三十―五十通届く。また、商用ネットでは医療や生活技術、福祉機器の紹介などを載せた「自立生活コーナーQ&A」の情報も発信する。米国では、障害者の生活を障害者自身が支援する拠点として「自立生活センター」が各地にある。金子さんは「人の移動を伴わないパソコン通信にその役割ができないか」と構想中だ。
 社会参加に力を発揮するパソコンだが、厚生省が重度身体障害者に給付する「日常生活用具」の対象外。「障害があるためにどうしても必要な機器、とはいえない」と同省障害福祉課は話す。「コミュニケーション福祉機器として助成の適用を」。金子さんら障害者からの要望は強い。
 ◆各地でネットワーク化進む
 障害者の間でパソコンが普及するにつれて援助の手を求める声が増え、それにこたえるパソコンボランティア(パソボラ)の輪が広がっている。操作の講習会を開いたり、家を訪ねて教えたり、障害に合わせた補助器具を作ったり。パソボラの全国ネットワーク化の動きも出てきた。
 「パソコン通信の接続がうまくいかない。助けてください」。先月、全国障害者問題研究会(東京都新宿区)にファクスが届いた。送り主は東京都北区の尾堀元英さん(五八)。事務局が会のパソコン通信「みんなのねがいネット」の電子掲示板でボランティアを募った。「北区だったら自転車で行ける距離だよ」。会員の一人の藤沢卓さん(四三)がメールで名乗りを上げる。
 脳性まひの尾堀さんは、昨年暮れにパソコン通信ができるワープロを購入したばかり。「ここの回線はダイヤル式ですか」「モデムの電源は」。マニュアルをめくりながら藤沢さんが接続の手助けをする。同ネットへの入会手続きを終えて、ついでに文書の送信も練習。「全然できなくてひと月悩んでいたから、本当によかった」。三時間かけて操作の手順を教わった尾堀さんの表情に笑みが戻った。
 パソボラの取り組みは、地域に密着したパソコン通信で活発だ。
 「ネットワーク杉並ここと」は、東京都杉並区の住人が中心の草の根ネット。会員約百三十人のうち四割が身体や聴覚などの障害者だ。パソコンの調子がおかしくなれば、会員同士が連絡を取り合って様子を見に行くほか、月一回、障害者のためのパソコン通信の講習会も開く。運営スタッフの村一浩さんは「顔の見える関係で気軽に助け合える。コミュニティーづくりにもなっている」。
 昨年四月にできた「しずおかパソコンボランティアねっと」(板垣徹代表、会員五十二人)では、県内の社会福祉協議会や福祉施設にトラブルの相談が入ると、連絡を受けて駆けつける体制をとる。
 こうした草の根ネットが横につながる動きもみられる。日本障害者協議会は昨年、インターネットのメーリングリストを活用して、障害者支援のネットワークづくりを始めた。
 草の根ネットの運営者らをリストに登録。手助けを求める障害者が現れれば、その情報をメールで登録者全員に同時に流す。受け取った運営者はそれぞれの通信に転載してボランティアを募るしくみだ。「障害者のSOS情報を広く共有できれば、必要なときにすばやく対応できる」と同会で情報通信ネットワークプロジェクトを担当する薗部英夫さんは話す。
 ルーテル学院大学(コミュニケーション論)の清原慶子教授は「パソボラは単に教え、教えられるという関係だけではない変化を生んでいる」という。障害者の視点からパソコンをより使いやすくするヒントを得たり、自宅を訪ねることで障害者の自立や社会参加への理解が深まったり、「ノーマライゼーションにつながる動きだ」と評価する。
 一方で、課題もある。在宅訪問の際の交通費や講習会の会場費などの負担は軽くない。横浜市では、障害者への訪問リハビリテーションサービスの中で、エンジニアによるパソコンの技術支援があるが、こうした行政サービスは全国的にはまれだ。薗部さんは「公的な機関で講習の機会を増やしたり、パソコンの専門知識をもった人材の養成などにも予算をつけてほしい」と求めている。
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 日本障害者協議会は三月六、七両日に長野市で「パソコンボランティア・カンファレンス98」を開く。全国のパソボラが集い、各地の取り組みや障害者の在宅勤務の報告などがある。参加費当日五千円(宿泊費別)。申し込みの締め切りは二十一日。申込書などの問い合わせは同会(〇三―五九九五―四五〇一)へ。
  

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▼1997年分
◇身体障害者を対象にインターネット講習会 山形市 /山形
(1997年12月17日 朝日新聞 朝刊 山形)
 インターネットで社会参加しませんか――。山形市十日町一丁目、県身体障害者更生相談所で十六日、身体障害者を対象に、「インターネット接続講習会」が開かれ、遠くは酒田や鶴岡など県内各地から約三十人が集まり、インターネットを学んだ=写真。
 講習会は入門から中級まで三コースに分かれ、パソコンの操作や電子メールなどを体験した。宇野紘道・相談所長は「パソコンは障害があっても使える。移動が困難な障害者が家にいながらいろんな人たちとコミュニケーションでき、在宅就労も可能になる」と、インターネットに期待する。
 講習会に参加した東根市東根甲、薬剤師山本輝子さん(四八)は「初めてだからちんぷんかんぷん、だけどおもしろい。電子メールなら大胆なラブレターが書けそうですね」と楽しそうに話していた。


◇[私とボランティア]日本障害者協議会・田中克典さん (青い山脈)
(1997.12.01 毎日新聞 東京朝刊 11頁 総合) 
 <日本障害者協議会(JD)情報通信ネットワークプロジェクト委員・田中克典さん>
 ◇仲間という気持ちで
 障害者と情報の問題に取り組む私たちプロジェクトが今、力を入れているのはパソコンボランティアです。
 障害者にとって、情報をやり取りでき、仲間作りや在宅就労の機会を探ることもできるパソコン通信やインターネットは社会参加の面から、とても有効で心強い味方です。
 しかし、パソコンを使いこなすのは結構難しい。障害によっては、キーボードやマウスに代わる入力装置が必要になります。そんな時、障害者の求めに応じて、接続、設定から入力装置の改良などまで、サポートしていこうというのがパソコンボランティアです。
 工業高校の教諭をしていますが、月1回埼玉県深谷市にある身障者施設に通っています。ボランティアというより、パソコンを通じて仲間に加えてもらっているという気持ちです。詳しくないから、としりごみする必要はありません。自分の持っている知識の範囲内で手助けできることもあるはずですから。
 今、各地で草の根的なパソコンボランティアのネットワークが次々に誕生しています。こうした動きを有機的に結び付け、広げていきたいと思っています。
 3月に行った「パソコンボランティア・カンファランス97」の講演やシンポジウムなどをまとめた「パソコンボランティア」(日本評論社、本体1700円)が出版されました。また、来年3月の長野パラリンピック期間中、カンファランス98を開く予定です。JDは電話03・5995・4501。


◇PC味方に在宅勤務 ハンディ超えて働きたい SOHO時代【大阪】
(1997年06月03日 朝日新聞 朝刊 3社 029)
 パソコン(PC)、インターネットの普及で、自宅などでビジネスを起こしたり、在宅勤務をしたりする「スモールオフィス・ホームオフィス」(SOHO)が注目を集めている。国土の広い米国では、様々な職種で在宅勤務が活発だが、日本でも都市部の住宅難で、通勤時間が長時間になっていることを背景に、在宅勤務を採用する企業が出ている。通勤がハンディとなりやすい障害者にも期待が大きい。しかし、体のハンディをかかえ、パソコンをどこでどう学ぶかや、技術を身につけても仕事をどうやって得るか、課題も多い。そうした中で芽生えてきた新しい動きをみた。
 ●一から出発
 大阪府堺市在住の山崎博史さん(三二)は十九歳のときに交通事故で、手足が不自由になった。二十八歳で中学校の同級生だった景子さん(三二)と結婚。これを機に在宅の仕事を探しているとき、ラジオで障害者の在宅就労のためのパソコンセミナーなどを開いている非営利組織(NPO)のプロップ・ステーション(大阪市、竹中ナミ代表)のことを知った。「仕事できますか? 金もうけできますか?」。パソコン経験はゼロだったが、必死だった。
 最初はキーの配列もわからず、キーボードの絵をベッドの横に張って覚えた。初めての仕事は貿易会社の在庫管理ソフト。セミナー初受講から一年半だった。
 「もう歩けないとわかったときには、ショックで病院の屋上で自殺をしようとさえしたが、今は生きていることがうれしい」と山崎さん。去年十二月からは日本アイ・ビー・エムからの注文でプログラミングの仕事をしている。
 ●絵本作家に
 大阪府枚方市の久保利恵さん(二二)は首から下の筋力が衰える難病のウエルドニッヒ・ホフマン病。短大では日本画を学び、卒業後、パソコン通信をやろうと近くの電器店でパソコンを買った三日後にプロップ・ステーションのセミナーを新聞で知り、参加した。
 これまではコンピューター・グラフィックス(CG)ではなく、絵筆を使った仕事だったが、二社から絵の注文を受けた。作品はインターネットでのホームページにもつかわれている。現在、CGでつくるホームページの仕事の打診も受けているという。
 「絵本作家になることが夢」という久保さんの画材のひとつにパソコンが加わった。久保さんは「技術さえ身につければ、対等に仕事ができる道が広がった」と期待をかける。
 ●母校で指導
 大阪市東住吉区の石田圭介さん(三七)は脳性小児まひ。大阪府立堺養護学校高等部卒業後まもなくパソコンを始めた石田さんは一九九〇年からは母校でもパソコン指導もしている。プロップ・ステーションのセミナーにボランティアとして参加していた妻の優子さん(三四)と出会い、九四年十一月に結婚した。翌年には二人で自費出版などを請け負う「圭優堂」をつくった。
 石田さんは「障害者なら在宅勤務というのではなく、社会参加の選択肢のひとつとして在宅勤務もあるべきだ」と言う。
 ○「社会支える側に」
 プロップ・ステーションでは現在、大阪、神戸で約五十人の障害者がセミナーに通う。プロップ・ステーションでは、その人たちをアメリカで使われている「チャレンジド」(挑戦することを与えられた人々の意味)と呼ぶ。代表の竹中さんは「うちのキャッチフレーズは『チャレンジド』を納税者にできる日本。納税者になるとは、誇りをもって働き、社会を支える側に回ること。今、そのチャンスの時です」と話している。


◇[われらV1年生]/3 「険しい顔」が変わった
(1997.02.15 毎日新聞 大阪夕刊 11頁 特集) 
 障害者の在宅就労を支援する民間団体「プロップ・ステーション」(大阪市)のパソコン講習会。パソコンの画面の前で講師の川畑力さん(35)=大阪府松原市=は、講習生の質問に熱心に耳を傾ける。白熱した議論になることも。「障害を持つ講習生のエネルギーはすごい。とにかく思考が前向き。その姿勢に学ぶべきことがたくさんある」と講習ボランティアを始めてからの率直な感想だ。
 大阪市内でマルチメディア関係の会社を経営。専門畑で培ったパソコンの腕を生かそうと「プロップ・ステーション」のボランティア講師募集に応募したのが、昨年10月。
 これまでボランティアの経験は全くない。「ボランティアとか社会参加とかは『ええかっこしい』とはっきり否定していた」
 「会社でもうけないといけない」「家族のために頑張ろう」と肩ひじを張って一直線に過ごしていた。昨年の夏ごろ、「会社のため、家族のため、いつも『なにかのため』だった。本当に自分のために生きてきたのだろうか」という疑問がわき、ふっと肩の力が抜けた。その矢先、ボランティア講師募集が目にとまった。
 「これだったら自分の能力も生かせる。やってみたらええやんか」
 今は週1回のペースで十数人の講習生を担当。今年の秋に計画されているプロップ・ステーション主催のアートフェスティバルへの出品作品(コンピューターグラフィックス)の作成指導に余念がない。テーマは「challenged」(神に挑戦すべきことを与えられた人々、という意味の障害者の呼称)。
 週1回の講習会では、間に合わずに、“休日出勤”や家に“仕事”を持ち帰ることもある。講師ボランティアの生活に占める割合は高い。「家族から『なんでそこまで』と言われますよ。でも『自分が楽しいからやるんだ』と答えています」と完全にボランティアに“はまった”様子だ。
 その一方で、生活にめりはりがついた。ボランティア、仕事、家庭と時間が凝縮し充実している。
 ボランティアを始める前からの知人から「顔が変わった」と言われた。「前はそんなに険しい顔をしていたのか」と川畑さんは苦笑する。
 川畑さんの中では、数カ月のうちにこのボランティアが「ライフワーク」となった。川畑さんは自分の考え「人はだれとでも対等であるべきだ。そして一緒に成長していく」を実感している。
 講習生の一人は、「川畑さんがいると、鬼に金棒」と信頼を寄せている。講習生らと川畑さんの二人三脚のチャレンジはアートフェスティバルまで当分、続く。【宝満志郎】


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▼1996年分
◇インターネット上にバリアなし 障害者向け通信講座が開講 【大阪】
(1996年09月04日 朝日新聞 夕刊 1社 015)
 障害者の在宅就労を目指す大阪の非営利団体が、インターネットを使ってコンピューターのプログラム技術を教える通信講座を始めた。プロの技術者を育て、雇用に結びつけるのが目的。情報通信社会で新しい障害者の働き場所を開拓する試みとして注目されている。
  
 「在宅スキルアップ・セミナー」と名付けられた講座を始めたのは、関西を中心に活動する「プロップ・ステーション」(竹中ナミ代表)。同団体はコンピューターを活用した障害者や高齢者の社会参加を進めるため、五年前に発足した。
 これまで大阪市内で障害者向けの初級パソコンセミナーを開き、約百五十人が受講した。遠隔地からの参加希望にも応じるため、今回初めて、すべてをインターネット上で運営する通信講座を始めることになった。
 受講生の募集からテキスト配布、質疑応答、リポート提出、実力テストまでのすべてをオンラインで処理する。外出が難しい障害者にとって利用しやすいシステムだ。八月から始まった講座には、岩手、新潟、埼玉、神奈川、長崎から計六人が参加した。
 高校生時代、体育授業中の事故でけいついを痛め、車いす生活を続けている盛岡市南仙北一丁目の大久保朝弘さん(三三)は、知人の勧めもあり、セミナーを受講している。「全国どこにいても参加できるのがありがたい。技術を身につけて仕事に結びつけば…。こうした講座を待ち望んでいた」
 週一回、六人に課題を与え、パソコン画面上で質疑のやりとりをするボランティア講師の西宮市甲子園三番町、橋口孝志さん(六一)は「生徒が障害者だという意識は持っていない。コンピューターネットに参加すれば、だれもが同じ立場。障害の有無は関係ない」と話す。
 半年間の講座で、データベースを自力でプログラムできるレベルを目指す。同団体では、これまで公立高校の成績管理システムや企業の在庫管理システムの仕事を受注した実績がある。今後、同団体が企業との窓口となって仕事を受注し、障害者に割り振りをする「コーディネーターとしての役割」(竹中代表)をしていきたいとしている。
 日本障害者雇用促進協会中央障害者雇用情報センター(東京)の昼間稔所長は「情報通信の発展で新しい職域が生まれ、障害者にも就労機会が増えている。インターネットを使った教育は新しい試みであり、成果を注目したい」と話す。
 プロップ・ステーションのアドレスは、「http://www.eni.co.jp/prop」


◇[輝いていたい]夢かない在宅勤務 ハンデ感じず情報社会の一員に
(1996.06.21 読売新聞 大阪夕刊 夕生1 05頁)
 テーブルに並んだ一万円札がまぶしかった。今年四月、大阪市住之江区の児島加代子さん(21)は生まれて初めて手にした報酬を何度も数えた。家族に食事をごちそうし、妹に小遣いをあげた。うれしくて、そうせずにはいられなかった。
 インターネットに設けられた「ホームページ」の動向を調べるのが仕事。世界的規模のコンピューターネットワークが夢にまで見た在宅勤務を可能にしてくれた。
                ◇   ◇
 幼稚園を卒業してすぐ、高熱に襲われた。原因不明の難病、若年性関節リウマチと診断され、小学校の時から車いすの生活になった。
 「障害があっても、仕事をして自立したい」。そう考え、高校を卒業すると、市の職業リハビリテーションセンターに二年間通い、コンピューターを習った。
 仕事は見つからなかった。障害を持つ人を対象にした合同就職面接会で「会社に階段があるので」と採用を断られた。「チャンスがあるのは障害が軽い人だけ。私たちを本気で受け入れる気は、最初からないのだ」と思った。
 在宅でできる仕事を、と考え出したのにはほかにも理由がある。自宅近くの駅にはエレベーターがない。仕事が見つかっても、一人では通勤できないのだ。仕事そのものがないうえに、仮にあっても、ハンデのために通えないなんて納得できないが、それが現実だ。
 自宅での仕事を引き受けられる力をつけようと様々な資格を取った。英会話、漢字検定。時間を空費するのはいやだから、書道を習い、絵を描いた。漫画家か画家になれないものかとも思った。
                ◇   ◇    
 いらだちを感じていた昨年十月、「障害者の在宅就労」という新聞の文字が目に飛び込んできた。非営利の市民団体が主催するパソコン講習会の案内。参加を申し込み、懸命に勉強して四か月、とうとう依頼されたのが今の仕事だ。
 パソコンをインターネットに接続し、NTTの「ホームページ新着情報」にアクセスする。企業や自治体のホームページを一つ一つ開き、情報を分析する。種類、手法。革新的なものはないか――。リポートにしてシンクタンクに送る。おびただしい情報の中に道筋を見いだそうとする、コンピューター社会ならではの新しい仕事だ。力を発揮するうえで障害のあるなしは関係ない。
 単調ではある。でも、そんなことが問題にならないくらい充実感と、喜びがある。絵や書道など学んできたことを、いつかこの世界で生かせる、という手ごたえも感じている。
                ◇   ◇    
 こうした仕事で使われる「ネット・サーフィン」という言葉がある。コンピューターが作る情報の網(ネット)を渡り歩く、という意味だ。「渡り歩く」というのは、本当にぴったりした言葉だと、最近思う。情報の海にも、可能性と出合いに満ちた人生にも。                             (森川 明義)


◇障害者に厳しい雇用実態−−山梨障害者職業センターが受講者の就職状況調査 /山梨
(1996.05.31 毎日新聞 地方版/山梨) 
 山梨障害者職業センター(大村文男所長)はこのほど、センター受講者の「就職状況調査」の結果をまとめた。受講者の約60%が職に就いておらず、厳しい雇用実態が浮き彫りになった。
 ◇不足している知的、精神障害者の集いの場
 ワープロやパソコンの基本的操作の講習を行う職業講習(OA)と、基本的な労働習慣を身に着ける職業準備訓練(WT)の2コースの受講終了者187人を対象に調査し、121人から有効回答を得た。OAは身体障害者、WTは知的、精神障害者が受講するケースが多い。
 その結果、OA受講者82人中、就労しているのは28人(就労率34%)、WT受講者は39人中19人(同49%)だった。その大半は、8時間前後勤務のフルタイム労働だった。
 また、仕事については、全体の68%が「満足」「やや満足」と回答した。しかし、OA受講者からは「障害を周りが理解してくれない」「簡単な仕事しか任されない」などの不満が出されたほか、WT受講者からは「ボーナスがでない」「仕事が大変」などの給料や仕事内容についての声が上がった。
 一方、未就労者74人中、働く意思を持っている人は26人で約35%だった。
 未就労者のうち、OA受講者は資格を生かし、勤務時間が自由に選べるフレックス勤務や在宅就労を希望。また、WT受講者の大半は数カ月間、センター職員などが職場で指導する「援助雇用」を希望した。
 一方、聴覚障害者協会などの障害者自助団体や、スポーツサークル、パソコン通信など、職場以外の情報交換の場を持つ人は全体の26%しかいなかった。中でもWT受講者はわずか2人しか情報交換の場を持っておらず、知的、精神障害者たちの集いの場不足が明らかになった。また、センターで情報交換の場を作った場合には、約67%の人が「参加を希望する」と回答した。
 同センターでは「景気の低迷から全体的に雇用人数が減っており、障害者を受け入れる企業が少ないのが現状。企業側に補助金制度などを説明して、一層の理解を求めていきたい。また、悩みを気軽に打ち明けられる環境を作り、障害者の生活を向上させていきたい」と話している。


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▼1995年より前分
◇7団体に贈呈 朝日福祉パイオニア資金<社告> 【大阪】
(1993年03月05日 朝日新聞 朝刊 2社 026)
 障害者やお年寄りの自立と生きがいにつながる独創的な事業・企画を支援する92年度「朝日福祉パイオニア資金」の配分が決まりました。
 申請のあった63件を選考委員会で審査した結果、新規分五団体と、前年度からの継続でさらに成果が期待できる二団体に贈ります。
 ◇枚方手をつなぐ親の会(大阪)
 「重度障害者の宿泊訓練施設開設」145万円
 ◇メインストリーム協会(兵庫)
 「全国車いす市民集会の高校生版開催」200万円
 ◇きつつき共同作業所(広島)
 「地域ぐるみの福祉事業展開」140万円
 ◇南宇和精神障害者の社会参加を進める会(愛媛)
 「障害者の在宅就労へ和牛の飼育」120万円
 ◇特別養護老人ホーム「豊島ナオミ荘」(香川)
 「離島の老人ケアへボランティア派遣」200万円
 〈前年からの継続〉
 ◇とよなか元気ネットワーク(大阪)
 「福祉のまちづくり運動継承と提言案作成」50万円
 ◇大阪中部障害者解放センター(同)
 「自立生活プログラムの継続・発展」150万円
 朝日新聞大阪厚生文化事業団


◇福祉のいま 働く場拡大へ市民団体が活動(ともに生きる) 大阪
(1992年05月13日 朝日新聞 朝刊 大阪)
 パソコン通信や音声装置を使えば、体のハンディを克服できる−−コンピューター技術を使って障害者の就職を促進させようと結成された市民団体「プロップ・ステーション設立準備委員会」(竹中ナミ代表)が、兵庫から大阪に拠点を移し、本格的な活動を始めた。障害者の働く能力についての企業の認識不足、国の援助制度の不十分さから、障害者雇用は余り進んでいないのが現状。同委員会では、雑誌を発行して就職情報を提供したり、障害者の自宅にコンピューターの講師を派遣して「在宅就労」の道を探ろうとしている。
 同準備委員のひとり、亀山英昭さん(26)=神戸市東灘区=は16歳の時に失明。6年前から独学でコンピューター技術を学んだ。ボランティアの助けを借りつつ、プログラミングやデータ分析などの技術を一通り身につけた。「一般企業でもパソコンなどは使うはず」と50社以上の企業を訪問、就職を申し込んだが、全部断られた。
 点字では情報の入手や発信でかなりのハンディがあったが、コンピューターに付ける音声装置や、指先の感覚で印刷物などの情報を読み取るオプタコンを使えば、そうしたハンディが飛躍的に解消されたという。
 しかし、現実には「目の不自由な人には、マッサージ師の道があるはず。どうして一般企業に勤めたいのか」と「視力障害者=マッサージ師」と決めつけられたり、「車いす用のスロープなら、荷物運びなどに一般の社員も使えるが、音声装置だと視力障害者しか使わない」と設備投資の“効率”を理由に拒否する企業の壁は厚かった。
 大阪府の障害者雇用は、法定雇用率1.6%を未達成の企業が全体の43%(1990年度)ある。しかも、従業員1000人以上の企業では81%など、大企業の雇用率が低い。
 プロップの準備委員13人のうち6人が障害者。プロップとは「支柱」の意味で、障害者と企業が支え合う「支柱」の関係をつくろうとの願いを込めている。去年5月、西宮市で発足したが、企業との連携を強めようと、北区同心1丁目の大阪ボランティア協会内に移った。同協会には、「企業市民活動推進センター」があるためだ。
 4月10日に創刊号を発行した雑誌「FLANKER」(フランカー)では、府内の職業安定所に寄せられたOA関係の障害者求人情報を掲載し、障害者が活躍するコンピューター関係の職場を紹介する。
 続いて、在宅障害者の家に週2回、講師を派遣する「コンピューター養成講座」(定員5人)を8月1日から来年3月31日まで開く。
 講師には、健常者のボランティアの他に、亀山さんやけい髄損傷者の坂上正司さん(27)=宝塚市=など、障害者もいる。坂上さんは高校時代にラグビー事故で左手の指が動くだけの体になったが、電動車いすで関西学院の大学院まで進み、理論物理学を学んだ。坂上さんは「フロッピーを郵送したり、パソコン通信で仕事のやりとりはできる」と話している。

*作成:青木 千帆子
UP: 20101201  REV:
障害者と労働 
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