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訪問看護・在宅看護


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□1967

川村 佐和子 20070331 「研究と実践活動」,川村編[2007:1-14]
川村 佐和子 編 20070331 『基礎看護学―看護研究』(ナーシング・グラフィカ19),メディカ出版,136p. ISBN-10:4840411085 ISBN-13: 2400+ [amazon][kinokuniya] ※ vn. n04

 「私が神経難病の方々の訪問看護を始めるようになったのは昭和42年ごろです。神経内科が診療科として認められたころでしたが、まだ専門医も少なく、外来や入院病床もほとんどありませんでした。診断もつかない方々が多く、東京進行性筋萎縮症協会が専門医に依頼して休日に検診会を開催し、そこに来てやっと診断がついたという方々もたくさんいらっしゃいました。パーキンソン病とか筋ジストロフイー症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)などといっても、その方々の多くが聞いたことのない病名でした。ですから、その方々の訪問看護については相談相手も見つかりませんでした。訪問看護を行っている病院は全国で五つぐらいだと本に書いてあった時代のことです。自分が行っている仕事はこれでいいのかどうかを判断したい、自分の実践を示して他の人から意見をもらいたい、目分の知識や技術だけで支援してはいけないという気持ちが強まり、次第に自分が行っている仕事をまとめ、伝えたいた思うようになりました。
 また、医療や福祉の恩恵を十分受けられない患者の状態を社会に知ってほしい、このような状況を何とか改善できないものかという気持ちもありました。
 訪問看護実践の中にある事実というのは、個別性が高い。生活の状況なども含め、同じ条件の人は二人といません。文献がないのはあたり前だと初めは思っていましたが、看護した方々の病気や生活問題を分類整理してみるといくつかのグルーフかでき、それぞれるタイトルがつけられにような、つまり何か共通性があるのではないかと考えるようになりました。個別の観察例の数が増え、内容が深まってきた結果です。そこで、自分が支援させていただいた方々の体験を集めて、自分だけで使う資料集でもよいから、看護の根拠をつくっていこうと考えるようになりました。
 (1)病気による生活問題を時間軸に沿って図にする
 […]△008 […]
 (2)生活時間図」



 「1 在宅看護研究会の誕生
 一九七〇年八月、朝日新聞東京本社の講堂で一つの講演会がもたれた神経病総合センター設置促進講演会≠ナある。会場に集まった人々の大半は明らかに身体上の不自由をもっていた。全国スモンの会、東京進行性筋萎縮症協会の会員たちである。そして美濃部東京都知事の登壇を待っていた。その期待のまなざしを受け、都知事はあっけないほどはっきりと「神経疾患患者のための施策に着手する」と発言した。患者会が準備した要望書は手渡されたが、既にその必要さえないほどであった本当だろうか≠ニ互いに顔を見合わせていた患者さえいた一幕であった。しかし、事実この会で△086 の都知事の発言は行政レべルで実現されていった。既に六八年六月、重い心身障害をもつ児童および成人を収容する施設として府中療育センター≠ェあり、その在リ方の検討と併せて、後天的原因による神経疾患(心身障害)患者を対象とする神経病院、およびこれら対象者の疾患、障害の基礎的研究や予防・治療・リハビリテーション・看護・福祉のための応用的研究を行なう研究所、の三施設が同じキャンパスに置かれ、協力関係を保つことができるよう計画が推進された。
 まず七一年五月には府中病院に神経内科が置かれ、七二年四月、神経科学総合研究所が開設になったのである。
 これら患者の期待と要望を担って発足した神経科学総合研究所は、その目的に「脳・神経系についての基礎医学的研究、脳神経系の疾患ないし障害の臨床医学的研究、ならびに脳神経疾患患者および心身障害児(者)の社会福祉に関する基礎科学的研究を行い、広く神経科学の発展を通じて都民の健康と福祉の増進に寄与すること」をうたっており、明確に社会科学的研究が位置づけられている。
 七三年四月、社会学研究室が開設され、その中に看護学部門が置かれ、木下安子・山岸春江・関野栄子が着任した。看護学の基礎に立ち、それぞれ現場経験をもつ研究者三名が、この研究所を基盤にどういう方向で研究を進めるか、それは全く主体的に決めうることである。
 患者の置かれている現実は極めて厳しい。医療の手の外に置かれ、苦しみ、悩む声が次々に寄せられる。そしてこれに応える神経疾患看護の蓄積は乏しい。ことに入院をしていない在宅患者△087 が庄倒的に多いにもかかわらず、それらの患者に対する訪問看護は皆無であり、全く未開拓の分野である。したがって実践的な方法論、すなわちフィールド・ワークを軸にすえた研究方法論によって新しい世界を切リ開いていく以外にない。実践を重視する立場は、看護が実践科学であることからすれば当然である。看護実践を通じ看護技術を深め、そこから法則性を明らかにし、看護科学の理論化・体系化へも迫れるはすである。
 わずか三名のスタッフに課せられた役割は大きく、容易なことではないが、患者たちの要望を一れば知るほど、立ちすくんでいるわけにはいかない。ともかくやらなければならない。
 こうして在宅患者に焦点を定めた研究方法の方向が定まったのである。同一キャンパス内にあって、神経疾患患者への援助活動を始めていた東京都立府中病院神経内科医療相談室の川村佐和子・鈴木正子・中島初恵との協力関係が生まれた。さらに七ニ年七月に設置された都医療福祉部では、難病対策の調査研究費として七三年三〇〇〇万円を予算化した。その調査研究の一つ特殊疾病に関する研究――療育相談、早期発見、早期治療の機構に関する研究=i班長=公衆衛生院重松逸造疫学部長)にメンバーとして参加することにより、公衆衛生院をはじめ、都保健所、東大医学部保健学科、東京都医師会などの協力が得られ、研究費についても見通しがもてた。
 こうした研究基盤が整い、その有機的な連繋の上に、実践的な自主研究グループ在宅看護研究会≠ェ誕生した。この組織は国立公衆衛生院衛生行政学部の阪上裕子をはじめ、医療ソーシヤルワーカーの参加を得、また保健婦・看護婦にも呼びかけ、当面は、都委託研究の一部を担い、△088 在宅神経難病患者の調査を行なうとともに、自主的な技術研修をすすめようとするものである。」



『難病と在宅ケア』(発行:日本プランニングセンター)

◆木下 安子 19780725 『在宅看護への出発――権利としての看護』,勁草書房,304p. ISBN-10:4326798394 ISBN-13:978-4326798391 欠品 [amazon][kinokuniya] ※ n02. a02

◆石原 由紀子 19900510 『訪問看護日誌――寝たきりなんて認めない』,青木書店,198p. ISBN-10: 4250900207 ISBN-13: 978-4250900204 1545 [amazon] ※ d01 t02

川村 佐和子 編 19940221 『筋・神経系難病の在宅看護――医療依存度が高い人々に対する看護』,日本プランニングセンター,262p. ISBN-10:4931197507 ISBN-13:978-4931197503 欠品 [amazon][kinokuniya] ※ n02. md

岡本 祐三監修・松山和江著 19970525 『「家」で看とる看とられる 訪問看護婦が見つめた「お年寄りの在宅ケア」』,保険同人社,230p. ISBN-10:4832702068 ISBN-13:9784832702066 1500 [amazon][kinokuniya] ※d01, c09, ms 

◆水島 裕・西岡 久寿樹 監修/星 恵子・下条 貞友 編 200204** 『在宅看護・介護のための難病ガイド』,日本医学出版,247p. ISBN-10:4931419496 ISBN-13:978-4931419490 欠品 [amazon][kinokuniya] ※ ms. w03

◆宮崎 和加子 20020610 『家で死ぬのはわがままですか――訪問看護婦が20年実践した介護の現場から』,筑摩書房,248p. ISBN-10: 448003725X ISBN-13:978-4480037251 693 [amazon] ※ d01 t02

川村 佐和子 編 20070320 『在宅看護論』,放送大学教育振興会; 改訂版,212p. ISBN-10:4595307640 ISBN-13:978-4595307645 欠品 [amazon][kinokuniya] ※ a02. c04



UP: REV:20180614
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