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ボランティア・募金・…


last update:20110414

■東日本大震災関連 cf.災害と障害者・病者

募金関連情報

◆2011/05/19
 DPI日本会議メールマガジン(11.05.19)第294号より

こんにちは、DPIメルマガ編集部です。

宮城県、福島県、岩手県の各被災地障がい者支援センターでは、
日夜、現地での相談・支援、被害状況の調査など行っていますが、
深刻な人手不足となっています。

障害者救援本部では、被災地障がい者センターにおける
ボランティア活動にご協力いただける方を募っています。

活動場所は、岩手・宮城・福島のいずれかです。
活動内容は、被災障害者の状況調査、ニーズ把握、個別支援などですが、
被災地障がい者センターの支援活動は様々ですので、
専門知識を活かせない場合もありますが、どんな活動でも被災した方々の支援につながります。

1週間以上の活動が可能な方を歓迎しますが、短期間でもご相談下さい。ご協力をお願いいたします。

申込用紙(pdf) http://www.j-il.jp/temporary/3prefvolaapp.pdf
申込用紙(エクセル)http://www.j-il.jp/temporary/3prefvolaapp.xls

[問い合わせ・申し込み先]
東北関東大震災障害者救援本部(担当:高木)
TEL:042-631-6620  FAX:042-660-7746  e-Mail:9enhonbu@gmail.com

●お願い●
 ・障害者と関わる経験が1年以上ある方を歓迎します。
 ・活動期間は最低1週間お願いします。
 ・「被災地障がい者センター」の支援活動はさまざまです。専門分野や専門知識を
  活かせない場合もありますが、どんな活動にも参加していただきます。
 ・どの活動でも被災した障がい者の方々への支援につながります。
 ・活動中は「被災地障がい者センター」の一員として活動していただきます。
 ・活動を通して知り得た情報は秘密厳守をお願いしています。
 ・個人参加の方はお住まいの地域での「ボランティア保険」加入をおすすめします。
   (ボランティア保険は社会福祉協議会で扱っています。)
 ・現地までの交通費と滞在中の食費は自己負担となります。
●活動中の生活について●
 ・宿泊施設は準備していますのでそちらに宿泊していただきます。(共同生活です。)
 ・派遣先ではライフラインや物流がほとんど復旧していて、通常の生活を送れます。
 ・洗濯機はありませんが近くにコインランドリーがあります。
 ・入浴は宿泊施設にありますし、近くに銭湯もあります。
●持ち物について●
 ・活動着(動きやすい服装) ・保険証 ・洗面用具(タオル、歯ブラシなど)
 ・防寒着(寒さ対策) ・現金
 (足りない物があっても、購入できる環境なので心配いりません!布団はあります!)

----(以下、メールフォーム)-----

被災地障がい者センターふくしま・みやぎ・いわて三県共通
ボランティア申込書   (申込日  /  )

お名前(ふりがな):
住所:
生年月日:       (年齢  歳) 
所属機関:  
ご紹介者:
資格(運転免許/介助など):
特技・専門分野:
活動希望期間:   月  日〜  月  日  その他希望:
活動場所:希望場所 なし  あり(     )  福島(可/不可)

※活動場所は希望箇所がある場合は岩手、宮城、福島のいずれかをお書きください。
 希望がない場合は、こちらのほうで派遣先を決めさせていただきます。
 また福島については原発の影響があるため、希望先がない場合でも
 派遣可能かどうかをご自身で選択してください。

障害者救援本部の最新情報はこちら↓
http://shinsai-syougaisya.blogspot.com/

◆2011/05/06 障害者救援本部より
関係各位 障害者救援本部では、現在、現地の障害者救援活動にご協力いただけるボランティアの方を募集しています。ゴールデンウィーク後は、人手不足になります。
活動場所は、岩手・宮城・福島のいずれかです。
障害者の救援活動には息の長い支援が必要です。
活動内容は、被災障害者の状況調査、ニーズ把握、個別支援など。(申込用紙は共通です。)
1週間以上、現地で活動が可能な方、ぜひご協力をお願いいたします。
[問い合わせ・申し込み先]東北関東大震災障害者救援本部(担当:高木)
〒192-0046 東京都八王子市明神町4-11-11-1F TEL:042-631-6620 FAX:042-660-7746
E-mail:9enhonbu@gmail.com
http://shinsai-syougaisya.blogspot.com/

◆2011/04/11更新 日本ユニバ震災対策チームより義援金・ボランティア募集
 http://www.ud-web.com/shinsai/
◆世田谷ボランティア協会 専門ボランティア事前登録
 http://www.otagaisama.or.jp/
◆全国コミュニティライフサポートセンター(CLC) 東北関東大震災 被災地での看護職・介護職等のボランティア募集
 http://www.clc-japan.com/jishin_b.html
◆全国社会福祉協議会 災害ボランティア募集状況について
 http://www.shakyo.or.jp/saigai/touhokuzisin.html
◆全国社会福祉協議会 災害時のボランティア活動について
 http://www.shakyo.or.jp/saigai/katudou.html
◆市民キャビネット災害支援部会「生命維持に関わる物資提供のお願い」
 http://citycabinet.npgo.jp/

◆緊急災害電話の無料通訳情報
 http://www.bricks-corp.com/

◆厚生労働省 「東北地方太平洋沖地震のボランティアを希望している皆様へ」
 http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=161833

◆KVネット 「東北地方太平洋沖地震被災地でボランティアしたいと思っている方へ」
 http://www.kvnet.jp/touhoku_jishin.html

◆福井県 「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震に伴う災害ボランティア登録のお願い」
 http://info.pref.fukui.jp/danken/npo/060_sv/touhokujisin.php

◆厚生労働省「平成23年東北地方太平洋沖地震等におけるボランティア・NPO活動支援のための募金」について
 http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=161831

◆神戸大学文学部歴史資料ネットワーク 2011/03 神東北地方太平洋沖地震(東北・関東大震災)による被災歴史資料保全活動への支援募金のお願い

 
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 *以下は千葉大学文学部社会学研究室『NPOが変える!?』(1996)の作成時のものでしかなく、役に立つものではありません。

 ◆ホームページ(↓)
 ◆ガイドブック(↓)
 ◆ボランティア「政策」(↓)
 ◆ボランティアの評価(↓)
 ◆寄付金の税控除についての理論(↓)
 ◆寄付・マッチングファンド(↓)
 ◆企業人のボランティア(↓)
 ◆ボランティア・マネジメントinUSA(↓)
 ◆文献

◆200010
 早瀬昇さんより「「奉仕活動の義務化」に反対し、自主的な「ボランティア学習」推進を求める要望書」賛同要請
◆200010
 「奉仕活動の義務化」を考える緊急教育フォーラム

 

■ホームページ・団体

◆郵政省・国際ボランティア貯金
 http://www.mpt.go.jp/Voluntary-Aid/voluntary-home-J.html
◆ViVa! ボランティア情報サポートプロジェクト
 http://www.jca.ax.apc.org/viva/
◆ハローねっと・ボランティア
 http://www.wnn.or.jp/wnn-v/
◆ボランティアワールド / NEC
 http://www.nhk.or.jp/nhkvnet/
◆NECボラネット
 http://www1.meshnet.or.jp/~volanet/index.html

日本ボランティア学会

 
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■ガイドブック/NPO・NGOリスト

◆あしたの日本を創る会 編 1989 『ハンドブック 子どものための地域づくり』,晶文社,249p.,2200円
◆イエローリポーツ 編 1994 『ボランティアを始めよう──自分に合った活動を捜すガイドブック』,実務教育出版,253p.,1200円
◆NGO情報局 編 1993 『いっしょにやろうよ国際ボランティア──NGOガイドブック』,三省堂,197p. ISBN:4385355258,1500円
◆NGO活動推進センター 編 1994 『NGOダイレクトリー'94』,
 NGO活動推進センター,294p.,2500円
◆グラスルーツ in かながわプロジェクト 編 1993 『(もっと)2神奈川!――地域を楽しく生きる人・店・グループのエコロジカル ネットワーク リスト』,グラスルーツ in かながわプロジェクト(横浜市中区弁天通3-26-3A アリスセンター気付 045-212-5835 FAX 045-201-4807),317p.,1700円
◆講談社 編 1994 『ボランティア はじめの一歩』,講談社,222p.,1300円
◆笹川平和財団日本語教育プログラム専門家委員会 1994 『草の根の日本語教育事例集』,笹川平和財団,98p.,非売品
◆『自然生活』編集部 編 1992 『もうひとつの日本地図 1992〜1993──いのちのネットワーク』,野草社,発売:新泉社,467p.,2215円
◆全国社会福祉協議会 編 1990 『住民参加型在宅福祉サービス団体一覧』,全国社会福祉協議会
◆全国自立生活センター協議会運営その他のサービス小委員会 1994
 『全国自立生活センター協議会年鑑 1993.4〜1994.3』,72p.,1000円
◆根本 悦子+アルス 1993 『患者のための医療ガイド』,三省堂,243p.,1600円
◆パンドラ 編 1989 『東京おんなおたすけ本 PartU』,パンドラ,発売:現代書館,187p.,1030円
◆ボランティア活動研究会 編 1995 『全国ボランティアグループ・団体ガイド』,ジャニス,発売:メディアパル,302p.,1750円
◆ボランティア・ワークショップ 編 1994 『ボランティアブック──これから始めるあなたに』,ブロンズ新社,317p.,1900円
◆───── 1995 『定年からのボランティア』,ブロンズ新社,277p.,1800円
◆堀越 栄子・根本 悦子 編 1991 『ふれあいの医療ガイド──医者に行ってもわからないことがわかる本』,学陽書房,387p.,2300円
◆Hollender, Jeffrey・グループ環 編 1995 『地球の未来は明るい──ボランティア&市民活動徹底ガイド』,ダイヤモンド社,158p.,1500円 [2]
◆ほんの木 企画・編集 1994 『実践市民ボランティアガイド』,ほんの木,269p.,1600円
◆マスコミ情報センター 編 1995a 『ボランティア便利帳'95』,マスコミ情報センター,発売:朝日新聞社,352p.,1600円
◆松田 昇・小木曽 洋司・西山 哲郎・成 元哲  20081020 『市民学の挑戦――支えあう市民の公共空間を求めて――』,梓出版社,346p. ISBN-10:4872622249 ISBN-13:9784872622249 \2800 [amazon][kinokuniya] ※ pp s4300000 d00p s03 (新規)
◆横浜市女性協会 編/女のネットワーキング・プロジェクト 製作 1993 『女のグループ 活動資金づくりの本──助成機関全国リスト付』,学陽書房,181p.,1800円
◆横浜女性フォーラム 1991 『新版・女のネットワーキング──女のグループ全国ガイド』,学陽書房,422p.,2800円
◆早稲田教育出版編集部 1995 『アフター5・休日のボランティア』,早稲田教育出版,早稲田教育出版,230p.,1300円
◆松田 昇・小木曽 洋司・西山 哲郎・成 元哲  20081020 『市民学の挑戦――支えあう市民の公共空間を求めて――』,梓出版社,346p. ISBN-10:4872622249 ISBN-13:9784872622249 \2800 [amazon][kinokuniya] ※ pp s4300000 d00p s03 (新規)

 
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◆久保田 武男 19970510 『日の出太陽の家物語』 ,日の出太陽の家後援会,218p. 1575 ISBN-10: 4877510168 ISBN-13: 978-4877510169 [amazon] ※ v05
◆似田貝 香門 編/柳田 邦男・黒田 裕子・大賀 重太郎・村井 雅清 20060331 『ボランティアが社会を変える――支え合いの実践知』,関西看護出版,202p. ISBN-10: 9784906438785 ISBN-13: 978-4906438785 1680 [amazon][kinokuniya] ※ v05.d10.

■ボランティア「政策」

 1992年から1993年の政府,審議会の答申

◇生涯学習審議会[1992]=
 「今後の社会の動向に対応した生涯学習の振興方策について(答申)」
 (1992.7.29 第2部第2章「ボランティア活動の支援・推進について」),

◇厚生省[1993]=
 「国民の社会福祉に関する活動への参加の促進を図るための措置に関する基本的
 な指針」(1993.4.14 厚生省告示第117号)
 (これについて栃木[1993])

◇中央社会福祉審議会地域福祉専門分科会[1993]=
 「ボランティア活動の中長期的な振興方策について(意見具申)」(1993.7.29)

◇生涯学習審議会 1992
 「今後の社会の動向に対応した生涯学習の振興方策について(答申)」(1992.7.29)
 →『ボランティア活動研究』8:55-60,
 『月刊福祉』77-4(1994.2):222-228(抜粋)

「ボランティア問題に関する関係省庁連絡会議の設置について」(19950203)

 

■ボランティアの評価

 小熊[1993],田代[1994d:57-58],永井[1995],早瀬[1995:118-121],
池田[1995]等の議論がある。

小熊 均  1993 「入学試験とボランティア活動」
   『月刊社会教育』37-12(1993-12):6-66
田代 正美 1994d 「企業とボランティア」(シリーズ ボランティア革命・6)
   『月刊福祉』(1995-6):56-59
早瀬 昇  1995 『元気印ボランティア入門──「自由」と「共感」の活動論』
   大阪ボランティア協会,ボランティア・テキストシリーズ10,168p.,900円
池田 幸也 1995 「ボランティア“評価”と学校の可能性」
   日本青年奉仕協会ボランティア白書編集委員会編[1995:120-127]
※ ※(社)日本青年奉仕協会ボランティア白書編集委員会 編 1995 『ボランティア
   白書 1995年版──「ボランティアライフ新時代」』,日本青年奉仕協会,
   248p.,3000円
中野 敏男 19990501 「ボランティア動員型市民社会論の陥穽」
   『現代思想』27-05(1999-05):072-093 1238

立岩 真也 19960229 「活動を評価するということ」
 (千葉大学文学部社会学研究室『NPOが変える!?』,第3章付論)
立岩 真也 1998/12/** 「大学に通いながら世間を知る──ボランティア活動と大学」
 『医短Tommorow』(信州大学医療技術短期大学部)
似田貝 香門 200802 『自立支援の実践知――阪神・淡路打診際と共同・市民社会――』,東信堂,342p. ISBN-10:4887137974 ISBN-13:9784887137974 \3800 [amazon][kinokuniya] s ※

 
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■公益信託

※黒永英樹 19960229 「どのようにお金の流れをつくるか」(千葉大学文学部社会学研究室『NPOが変える!?──非営利組織の社会学』,第4章)より

 1922年に信託法が制定されているから,公益信託という制度自体は古くからあると言えるのだが,実際には半世紀以上にわたってこの制度が使われない状況が続き,ようやく1977年に2件誕生し,以後,増えてきている。
 公益信託は,信託銀行などの受託者に一定の財産を信託設定し,主務官庁から許可を得れば原則的には成立する。その運用益や元本で公益活動を行う。信託銀行等(受託者)がその管理・運用および日常運営等に当たる。人を雇用したり事務所を確保したりする必要はない。助成財団と同様の機能を持つが,システムとしては財団より単純で,設立にともなうコストは財団設立より少なくてすむ。
 (社)信託協会『公益信託要覧 平成3年版』によると,日本の公益信託は,91年3月末で344件,信託財産残高は268.6億円となっている(1年で,40件,57億円増加)。財団と異なり資金量は比較的小さく,当初信託財産(91年3月末の総額207.9億円)の規模は全体の4分の3が5000万円未満,約40%が2000万円未満であり,5億円以上は1.7%(6件)である。目的別では,奨学金給付29.1%,医学研究・医学教育振興11.9%,学術研究助成 8.4%と,教育関係の助成が多い。(経済団体連合会編[1992:324-325])
 依託者は「個人が過半数を占めており,信託財産が5億円以上で単一企業が設定した公益信託となると,富士フィルム・グリーンファンドなど極めて限られてくる。」(電通総研編[1991:219]。経済団体連合会編[1992:320]には企業が主体となった公益信託として,「世界愛鳥基金」(1991年3月末で2億円,目標は10億円),「文化基金」(5億円)の事例が紹介されている。)「しかし,管理運営コストが財団ほどかからないにもかかわらず,助成財団とほぼ同じ機能を果たせることから企業のフィランソロピー活動の対象として注目に値するシステムであろう」(電通総研編[1991:219])といった,企業による公益活動との関わりについての指摘がある。

(社)信託協会 1989 『公益活動と信託』,(社)信託協会
(社)信託協会 1991 『公益信託』,(社)信託協会

※100 東京都千代田区大手町2-6-2日本ビル6F 03-3241-7135

 
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■寄付

■寄付

※黒永英樹 19960229 「どのようにお金の流れをつくるか」(千葉大学文学部社会学研究室『NPOが変える!?──非営利組織の社会学』,第4章)より

 『社会貢献白書 1992年版』(経済団体連合会編[1992])に掲載されている数
値を用い,日米の寄付の状況を比較したデータをみる(表3)。
 ただしこの数値にはいくつか注釈が必要である。まず日本の個人寄付の数値は,
国税庁の「税務統計からみた申告所得税の実態」で推計されている値であり,所得
税の寄付金控除の対象となった金額であって,寄付金控除の対象とならない寄付や,
対象となりえても申告していない寄付等は含まれていない。だから実態とは大きな
乖離がある(経済団体連合会編[1992:302-303])。

       表3 個人・企業による寄付の日米比較(1990年)

個人 財団 遺贈 計 比 企業 企業財団 計 比 総計 比
日   342   54       396 1 5491   196 5687 1   6083 1
米 132340 9490  10140 151970 209 7670 1820 9490 0.91 161460 14.5
      (経済団体連合会編[1992:287-288,313-316]の数値を利用)

  単位:億円(個人1,018,000億ドル,企業59億ドルを1ドル=130円で換算)
比は左の項目をGNP(日本3兆ドル,アメリカ5.5兆ドル)で割った数値を
  出した時の比率(日本の値を1とする)。出典については本文を参照 ★04

 別の推計がある。「全国消費実態調査」(総理府統計局)では,1989年の1世帯当り年間寄付金支出は4692円であり(調査対象の9月〜11月の1ケ月平均支出額を単純に12倍したもの)に世帯数(89年で4056世帯)をかけて全国全世帯の寄付金支出を求めると,1900億円強と推計される(山内[1993:62])。1人 1500円強といったところか。実感としても,だいたいそんなものではないかと思う。この値でアメリカと比較してみると,GNP比で,日本1に対してアメリカ38となる。アメリカの 211分の1(個人財団の分を除く)といったはなはだしい違いではなくなる。
 次に個人財団について。これは,助成財団の助成事業額から企業財団の助成額を差し引いてみた数字(249億−196億=54億)だが,両者は各々異なった調査から得られた数字であり,およそ正確な額とは言えない。前者は,(財)助成財団資料センターが1991年7月に行った調査に回答をよせた 394の助成財団(個人財団が112・企業財団229)についての1990年度の事業費の総額であり,これが249億5000万円(290財団)となっている(経済団体連合会編[1992:313])。後者は(財)公益法人協会が行った調査(後述)によるもので,393の企業財団についての数字である。
 次に企業による寄付。先の表を見る限り,企業の寄付について,アメリカと日本の間に大きな違いはない。直接寄付だけについてGNP比でみると,むしろ日本の企業の寄付の方が上回っている。
 ただし,これにも留保がつく。先の日本企業の寄付金の数値は,国税庁の「税務統計から見た法人企業の実態」による(1990年について国税庁企画課編[1992],今田[1993a:136ー137]に紹介)ものだが,これは政党への献金などを含む寄付の全てであり,公益活動への寄付に限られていない。個別の企業についても,その寄付金の金額や対象分野はほとんど公表されていない(今田[1993a:136])。
 ただ以上を考慮に入れた上でも,個人による寄付(遺贈も含む)の差は大きい。また,財団★05による助成・寄付が日本では少ない。特に日本企業の場合,直接寄付の方がはるかに多い。日本の社団法人と財団法人,いわゆる民法法人の数は,1990年度末で社団法人が11602,財団法人が12439(経済団体連合会編[1992:312]),この中で個人財団,企業財団(及び募金財団)の数の内訳を示す統計はないが,(財)公益法人協会の調査は,1991年7月現在の日本の企業財団数を約460と推計しており,403財団(助成事業のみを行っている財団は241)の事業について報告しているが,このうち393財団の助成事業費が 196億円(自事業費334億円)(経済団体連合会編[1992:313],今田[1993a:138])となっている。特徴的なのは,助成型財団の多くは研究助成を主目的としたもので,しかも理科系(理・工・医学)を対象とした科学技術や自然科学を振興する財団が非常に多いことである。福祉,芸術,文化,国際交流を目的とした財団も現われだし,多様な分野への寄付が行われてはきているが,産業振興に直接関連した部分への寄付が中心となっていることは否めない。★06

●共同募金

※黒永英樹 19960229 「どのようにお金の流れをつくるか」 (千葉大学文学部社会学研究室『NPOが変える!?』,第4章)より

 共同募金運動に対する北海道民の意識調査によると,配分が生活保護費,行政の福祉予算,難民救済に使われていると答えた率が,社会福祉協議会を上回っていて,理解度に難点がある。実施団体を地方自治体と答えたのが43.2%で,民間団体の23.8%,わからないの28.8%を上回っていることからも,理解されていない実態がうかがわれる。また共同募金へ協力したか否かの問いに,協力しなかったと答えた人(12.9%)にその理由を聞いたところ「使途が不明・使途が疑問」という理由が上位に位置する(その他に「強制的」,「国の責任」,「街頭でしつこい」,「マンネリ」など)。協力するにせよしないにせよ,どの機関・団体が取り扱い,どの分野どの団体に配分されるかはほとんどといってよいほど知られていない。共同募金配分金は地域福祉やその活動を支える主要な民間財源であるが,今後の共同募金活動については56.3%が盛んにすべきと考え,そのためには使途の明示や募金方法の工夫,広報活動などが挙げられている。(木村[1994:22-27])。
 募金とは,恵まれない人達へのお金の流れであり,そこには悪意や背徳など入る余地はないと考えているのではないだろうか。だから,何も言わなくても誠実に実行されるはずだ,これで困っている人が少しは楽になるだろう,と思うことになるのだろう。そのことが使途の不明確性,目的意識の稀薄化(募金の年中行事化)を引き起こすことになる。1992年の共同募金の実績額は約 170億円(一般募金のみ,歳末たすけあいを加えると 250億円超)である。たしかに大きな額であるが,かけられている手間を考えるとどうだろうか。国民の広い層に関心を喚起するという意味があるにもせよ,効率的であるとは言えないように思う。これを増やしていくには,有効に,有意義に使われていることを示し,共同募金にお金を入れることに魅力を感じるようにアピールしていく姿勢が必要だろう。ただ,募金箱にお金を入れるという時,普通どれほどの額を考えるか。また,一戸一戸寄付金袋が回り,大抵の場合,横並びに寄付の「相場」がなんとなく決まり,皆がそれに合わせるといったことが一般的だ。そして,寄付者が寄付先を指定できないことや,薄く広く配分されるという配分のあり方を考えると,現状のシステムを基本的に踏襲していった場合,どこまで伸びが期待できるか,また民間団体の資金源としてどこまで頼れるものになるか。

●国際ボランティア貯金

※黒永英樹 19960229 「どのようにお金の流れをつくるか」(千葉大学文学部社会学研究室『NPOが変える!?』,第4章)より

 国際ボランティア貯金は,NGO援助のために郵政省が1991年1月から始めた。
申し込み者を募り,それに応じた人の通常預金の利子の20%が,毎年3月,自動的
に「ボランティア口座」に贈られるというものである。加入者は1777万人(1995年
6月末)→約1828万人(1995年8月末)(『国際ボランティア貯金通信』19:4)。

     表5 国際ボランティア貯金の配分実績

年度 配分額 受益NGO 額/NGO
1991 11億 905万円 104団体  1066万円
1992 27億1580万円 189団体  1437万円
1993 24億1849万円 190団体  1273万円
1994 25億1905万円 197団体  1278万円
1995 28億1075万円 235団体  1196万円
 (『朝日新聞』1994-8-3:4,『国際ボランティア貯金通信』)

 例えば「アジア医師連絡協議会」(AMDA)は年間約2200万円,「日本国際ボ
ランティアセンター」(JVC)は年間約9800万円の配分を受けている(1995年度)。
 新聞記事(『朝日新聞』1994-8-3:4「元気いっぱい日本のNGO」中の「活動支
える「国際ボランティア貯金」」)は,JVCの総務担当のスタッフ柴田直史さん
の話を次のようにまとめている。

「ソマリアなどの救援プロジェクトが決まると,スタッフはとりあえず自費で飛び
出した。その後,日本に残ったスタッフが寄付金集めに奔走する。プロジェクトが
失敗すれば寄付は集まらず,スタッフが自腹を切ることもあった。
 寄付金集めに人手を取られることも痛かった。現地活動に回すエネルギーを削ら
れることになるからだ。
 「ボランティア貯金ができてから,募金の人手を活動に使えるようになったのは
大助かりでした。」
 さらに,専従スタッフに給料が払えるようになった。郵政省は人件費を認めてい
ないが,事業に回せる資金ができたため,… 給料支払いができるようになったの
だ。
 「私の場合,大卒34歳,3人家族で,手取り22万円。多くはないが,生活の心配
はなくなった。生活と生きがいの両立が可能になったのです。」と柴田さんは話す。」

 NGOの側としては,募金活動を代行してもらうことによって,資金集めの手間
が省ける。また,1団体に渡る額が比較的多く,実質的な活動に使うことができる。
また募金を集める側としては,比較的手間のかからない方法である。そして,募金
する側としては,目的が比較的明確なので,募金しようという気になりやすいとい
うことも言えそうだ。

●ユナイテッド・ウェイ

※黒永英樹 19960229 「どのようにお金の流れをつくるか」(千葉大学文学部社会学研究室『NPOが変える!?──非営利組織の社会学』,第4章)より

 さらに大規模に寄付を集め配分する組織がアメリカにはある。資金供給の仲介機
関として「連合資金供給機関(Federated Founder)」と呼ばれるものがあり,サ
ービス提供機関のために民間から献金を集めているのである。中でも大きなのは
「ユナイテッド・ウェイ」である。これは,約2300の地方「共同募金会」によって
作られたネットワークで,地域の社会サービス機関にかかわって,個人を対象にし
た募金活動を行う。ここで採用されているのが「職場勧誘」と名づけられた方法で
ある。職場で働く人々に直接寄付を訴え,寄付を約束した金額は,雇用者が給料日
ごとに自動的に給料小切手から控除するシステムである。1990年に,アメリカ全土
にある地方ユナイテッド・ウェイは総額31億ドルの寄付を集めた。
 従来配分先はユナイテッド・ウェイ公認の「会員機関」に限られていたが,それ
に対する非難が高まり,その結果,地方ユナイテッド・ウェイの多くが,寄付者が
寄付先を指定できるという「寄付者による選択」方式をとるようになった。
(Salamon[1992=1994:50-51])
 また,アメリカではNPOに代わり募金活動に専門的に関わる個人や会社がある。
大きなNPOは常勤のスタッフとして募金活動専門家を雇っている。これらの募金
活動専門家は職業組合を作り,ネットワークを組んで研究集会や訓練を行っている。
また,営利募金活動会社は,非営利団体から募金キャンペーン運営の委託を受け広
報活動を行っている。(Salamon[1992=1994:52-53])

■寄付金の税控除について

◆NPO法人の税制支援措置実現のための寄附YES!99人委員会
 http://c-s.vcom.or.jp/group/group39.html
※石塚美由紀 19960229 「アメリカのNPO活動と日本の市民活動」(千葉大学文学部社会学研究室『NPOが変える!?』,第1章)より

 「寄付金の税控除は,政府による暗黙の補助金(an implicit tax subsidy)であるとも言われる(James & Rose-Ackerman[1986=1993],等)。寄付金の税控除を正当化する理論として「補助理論」(Subsidy theory)と「公平理論」(Equity theory)がある。
 「補助理論」とは,慈善団体の行う公益の供給は,一般の市場になじむものではないので政府からの補助を行う必要がある。これを政府から直接補助金を支出するのではなく,寄付控除という税制上の補助金とする方が経済的に見て効率的であるという考え方である。
 「公平理論」とは,慈善目的の寄付はもともと自分の利益を求めるために行われるのではなく,所得課税は納税者の現実に享受する収支に対するものになすべきだとすれば,利他的目的で寄付をした場合と,自己の利益のために資材を費消した場合とを同等に課税するのは妥当とはいえない。したがって課税の公平という考え方に立ち,慈善目的の寄付金には課税せず控除をして公平を図るべきだ,という考え方である。(公益法人・公益信託税制研究会編[1990],雨宮[1993:296-298]に紹介)
 また寄付する側からすると,自分では直接使われ方を特定することができない政府への税金を納める代わりに,地元地域社会で公益的な活動をしているNPOに別の「税金」を直接収める選択権をもてる。」

 「…アメリカでは寄付金による税控除がNPOの寄付を促していることは前述したが,日本の寄付金の税控除の制度はアメリカほど整ってはいない。日本で個人が寄付をする場合,税控除が受けられるのは寄付をする相手が,国,地方公共団体,「特定公益増進法人」の場合と,大蔵大臣による「指定寄付金」に限られている。
 「特定公益増進法人」とは,所得税法施行令 217条に基づき認定され,事業目的について細かい規定があり,その運営組織及び経理が適当であると認められること,相当と認められる業績が期待できること,受け入れた寄付金によりその役員又は使用人が特別の利益を受けないこと,その他適当な運営がされているものと認定されたものと厳しい条件がある。また,特定公益増進法人は,特別の場合を除き民法第34条に基づく公益法人のみを対象に認定される。
 大蔵大臣による「指定寄付金」とは,民法第34条に基づく公益法人,その他公益を目的とする事業を行う法人,団体に関する寄付金で,@広く一般に募集されること,A教育又は科学の振興,文化の向上,社会福祉への貢献,その他公益の増進に寄与するための支出で,緊急を要するものに充てられることが確実であること,が認められなければならない。それに加え,大蔵大臣の指定は,@寄付金を募集しようとする法人又は団体の営む事業の内容及び寄付金の使途,A寄付金の募集の目的及び目標額並びにその区域及び対策,B寄付金の募集期間,C募集した寄付金の管理の方法,D寄付金の募集に関する経費,の審査により行われる。
 これらの寄付金は特定寄付金と呼ばれ,年間所得の25%−1万円までが税控除の対象となる。特定公益増進法人にしろ,大蔵大臣による指定寄付金にしろ,認定の対象となるのは法人格のあるものに限られ,任意団体は除外されている。任意団体として活動している市民団体への個人による寄付金は税控除にはならないのである。まず,法人化取得という壁を乗り越えないことには,寄付金の税控除はなされないのである。
 法人が寄付を行う場合は,個人が寄付を行う場合と,税の優遇措置が大きく異なってくる。「贈与又は無償の供与として行われた財産的給付のうち,法人の事業遂行と直接関係のないもの」はすべて寄付金とされる。国,地方公共団体への寄付金などを含む特定寄付金以外の,いわゆる一般寄付金にも税の優遇措置があり,寄付の相手は個人が寄付をする場合のように制限されていない。したがって,寄付は必ずしも公共的な寄付に限られていない。
 日本では,個人が寄付をするより法人が寄付をすることに関して制度が寛容であるといえる。実際,日本の寄付金支出は法人による寄付が寄付総額に占める割合は94.14%(1990年)と非常に高い。それに対しアメリカは 5.1%である。アメリカでは個人の寄付がかなり一般的である。1989年の個人所得による寄付は平均2.19%である。75%の世帯が年間平均 978ドルを寄付している。(岡部[1993:14],本間[1993:63-71])(→第4章)」

 「日本における公益活動に対する税制,寄付に関わる税制については,総合研究開
発機構[1994:22-32],経済団体連合会編[1992:287-296](寄付金税制)。宮内
[1992]には寄付金税制の民間助成効果について具体的な試算がある。他に,橋本・
古田・本間編[1986],石村[1988][1992][1994],公益法人・公益信託税制
研究会編[1990],雨宮[1993],等。また,今田[1993:127-135]は制度の変遷
をまとめている。」

雨宮 孝子 1993 「フィランソロピー税制の現状と課題──特に寄付金税制を中心として」,林・山岡編[1993:277-302] [1]
公益法人・公益信託税制研究会編 1990 『フィランソロピー税制の基本的課題』,(財)公益法人協会 [1]
James, Estelle ; Rose-Ackerman, Susan 1986 The Nonprofit Enterprise in Market Economies, Harwood Academic Publishers=1993 田中敬文訳,『非営利団体の経済分析──学校,病院,美術館,フィランソロピー』,多賀出版,141p.,ISBN:4811533518,2369円 [1]
林 雄二郎・山岡 義典 編 1993 『フィランソロピーと社会──その日本的課題』,ダイヤモンド社,356p. ISBN:4478300453,2900円 [5]


 
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■マッチング・ギフト

※伊澤敦史 19960229 「企業の社会貢献活動について」
 (千葉大学文学部社会学研究室
 『NPOが変える!?──非営利組織の社会学』,第5章)より

 まだ数としては少ないが,最近注目されている制度として,「マッチングギフト
制度」がある(経済団体連合会編[1992:283,285-286],笹川平和財団コーポレー
ト・シチズンシップ研究会編[1990:100-108])
 これは,従業員が何らかの寄付をする場合に,企業側もこれに上乗せして,ある
一定額を拠出して同一の対象に寄付をするというシステムである。「マッチングギ
フト制度」は最近になって日本でも見られはじめている。
 エッソ石油では1979年と早い時期から行われている。学校教育の充実を目的とし
たもので,社員やその家族が卒業/在学している学校へ自発的な寄付を行うとき,
会社も同額寄付するというものである。申請制で会社の承認がいるが,寄贈した後
は,受けた側がそれぞれの裁量で活用できる。(電通CC編[1994:65-66])。
 また,この制度はアメリカで盛んに行われ,リーバイ・ストラウス社の例で言え
ば,社員が公益事業に寄付した場合,1000ドルを限度に同額を寄付するといったも
のがある。
 また,大阪ガスでは「コミュニティギフト制度」といって,社員が地域で活動し
ているボランティア団体を対象に,申請者を通じて団体の活動に必要な器材や備品
を購入したり,資金を援助する制度を設けている。
 両者に共通するのは,結果だけを見ると企業が寄付行為を行っているのではある
が,社員が主体的に関わっている社会貢献活動に対する支援にも同時になっている
点である。これは,活動に熱心な社員にとってやりやすい環境を与えるだけでなく,
他の社員にもボランティア活動や寄付行為への関心を向けさせることになる(田代
[1994:119])。

 
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■企業人のボランティア

◎新刊

◆高橋 陽子 19970815 『フィランソロピー入門──社会貢献,そして自分探しの社会参加』,日本フィランソロピー協会,発売:海南書房,207p. 2000

……

佐野剛士・成井正之 「企業人のボランティア活動──2つのボランティア・グループ,そしてボランティアする契機」
土屋葉 「レジャーとしてのボランティア/生活すべてがボランティア──企業人の意識・主婦の意識」
(以上,千葉大学文学部社会学研究室『NPOが変える!?』所収)を御覧ください。

 
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■ボランティア・マネジメント

※島田誠 19960229 「人を用いる──アメリカのNPOはどうしているか」(千葉大学文学部社会学研究室『NPOが変える!?』,第3章)より

 NPOの活動は、以上に記した有給職員だけによって行われるのではない。理事の多くがボランティアであることは既に述べたかが、他にも活動に参加したい人を受け入れる。またそれは、人件費の節約のための工夫でもある。そうした人々をひきつけ、適切に配分することもNPOの活動、運営にとって重要な課題になる。まずNPOがボランティアにどのように対するのか(「ボランティア・マネジメント」)についてみる。これは、後に述べるインターンの受け入れ等にも共通するものである。
 NPOの側では、ミッション・ステートメント(Mission Statement) と呼ばれる活動目的や内容を示した文書を作成し提供する(柏木[1992:32][1993f:8])。団体の理念(Mission) は、「「利害関係をもたない人」を中心にした理事会が決定を行う際に用いられる基準」であり、「社会に存在するさまざまなニーズや意見がMission という形で表現され、NPOという場を通じて具現化されることになる」(柏木[1993d:4])のだが、それが文書化・・「絶対に文書化されていなければならないというわけではないが、口頭で伝えることに限界がある以上、必要性は極めて高い」・・されたものがミッション・ステートメントである(柏木[1992:32-33])。
 「労働力や金銭の形で示される協力を受けるには、NPOは、人々の共感をえるようなMISSION STATEMENT を作成しておかなければならない。この文書が重要なゆえんである。
 MISSION STATEMENT は、団体そのもののとボランティアに対するものと分けて作成されることもある。だが、基本的な概念が同じであることはいうまでもない。いずれにせよ、このMISSION STATEMENT に基づいて、ボランティアに対するプログラムを作成することになる。」(柏木[1993f:8-9])
 ミッション・ステートメント自体は抽象的・全体的なものであり、具体的な仕事の内容についてはジョブ・ディスクリプション(JOB DESCRIPTION )が作成される。これは米国で人事採用の際に一般に用いられる仕事の内容を詳しく示した文書であり、これに基づいてリクルートが行われ、ボランティアに渡される。さらに、面接その他で採用を決定し、オリエンテーション、さらに必要であれば、団体の職員や先輩のボランティアによるトレーニングが行われる。採用後もボランティアの活動を管理し、評価し、補充・再配置等を行っていく。評価を金銭に反映させることはできないから、ボランティアに感謝する集いを催したり、賞状を送って功績を讃えるとともに、やる気を引き出すといったことも行う。さらに、こうしたプロセス全体を通じボランティア・マネジメントがうまく機能しているか評価し、必要ならプログラムの変更が行われる。(柏木[1993f:9])
 その際にはボランティアとの意志疎通が重要になってくる。また、ボランティアに何が提供できるか(ボランティアが何を得られるか)という視点も重要とされる。 「その一つとして、まずいえるのが、ネットワーク作りや情報入手だ。ある特定の理念を持ったNPOの活動に関わる人々とのネットワーク作りは、ボランティア個人の人間関係を豊かにするだけでなく、その個人の知識も豊かにするし、将来の活動や仕事にも大きな影響を与える可能性がある。…
 これに関連して、ボランティアがNPOから得られるものとして、もう一つ考えられるものが、職業訓練や職業選択の情報、機会の提供だ。… NPOは比較的少人数でやっているところも多いことから、業務の全体像がつかみやすいこともあるし、責任のある仕事を任される場合も多い。ボランティアの仕事をやるうちに、次にやる職業のアイデアを得て、そのための訓練を積むことも可能だ。アメリカでは、ボランティア活動を履歴書に書くことが、就職の際にプラスに働く場合がほとんどだ。また、NPOでボランティアを長期的にやるうちに、そこでの就職が決まるということもよくある。…
 ただこれは、全てのボランティアが就職の機会を狙っていたり、情報収集に目の色を変えているということではない。ボランティアが、「人のために何かをやっている」という気持ちを率直に感じられることも、大事な「テイク」の一つだ。… 」(秋山[1994a:4-5])
 最後に、ボランティアに対する支援システムについて。次に記す学生のインターン制度もそのひとつと言えるだろうし、ボランティアの紹介や、ボランティア・マネジメントをの改善などを専門に行うNPOもある(秋山[1994b])他、企業内の支援システムもある。先に「ローンド・エグゼクティブ」を紹介したが、「日本のように休暇制度を作るっていうのはほとんどないです。ボランティアは奨励するけれども、勤務時間外にやってもらうのが原則だっていう場合が多いですね。ただいろんな紹介サービスをやるんですね。企業の中にコミュニティ・リレイションズっていう部局があって、そういうところにリストがあってみせてもらう。ボランティアをすることによって、社内で表彰されたりとかそういったことはあります。また例えばサンフランシスコのリーバイスなんは、企業の中で、ボランティア・チームみたいなのを作って、そのチームの中で植林をやろうとか、HIV感染者に食事の宅配サービスをするとか、そういったことをやって、そういうことが奨励されているみたいなところはあります。ですから、会社に行くのも、働くのはもちろん大事なんですけれども、でもそれだけじゃなくて、そういったネットワークの中に入っているから、この企業にする、みたいなところで、就職先を選ぶ人は少なくないと思います。」(今田氏)


UP:1996 REV:20110316, 17, 18, 0414, 0507, 09, 26
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