HOME >

税・2008



 *↓の本のために作成開始。増補予定
◆立岩 真也・村上 慎司・橋口 昌治 20090910 『税を直す』,青土社,350p. ISBN-10: 4791764935 ISBN-13: 978-4791764938 2310 [amazon][kinokuniya] ※ t07.

『税を直す』表紙

石 弘光 20080125 『税制改革の渦中にあって』,岩波書店,223p. ISBN-10: 4000236741 ISBN-13: 978-4000236744 2310 [amazon][kinokuniya] ※ t07.

第2章 税制改革の主役交代―官主導から政治主導へ
 「一連の人事を見ると、官邸に異を唱える人はことごとく要職から外されてしまっているという印象が否めません。小泉純一郎施政権から安倍政権に変わって、特にその傾向が強まっているのではないでしょうか。経済分野では、安倍総理と同じ「成長派」ばかりが重用されているように感じます。[…]
 そもそもマスコミは僕を増税派と決めつけ、本間君を成長派に分けるからおかしなことになる。僕だって経済成長を無視しているわけではないし、本間君だって増税を否定しているわけでもない。片方のイメージを決めつけた方が受け手には分かりやすいのでしょうが、そういう報道の仕方は問題だと思います。[…]
 成長派派、増税が悪で歳出カットが善だと言っているようです。けれど、歳出カットというのは経済成長にとって増税以上に害があります。これはマクロ経済学の初歩ですよ。増税以上に歳出カットは経済成長と両立するものではないのに、そこら辺が国民にはきちんと伝わっていない。」(石[2008:69-70])

第5章 迫られる所得税の復権―改革の原点
 「二〇〇六年度税制改正において、定率減税の全廃がひとつの焦点になった。源泉徴収制度の下で、人々がこのような大規模な減税をどれだけ意識し消費を増やし、日本経済の回復に貢献したのかは定かでない。はっきりしていることは、先進国最悪といわれる財政赤字累積を一段と加速化させたことであろう。」(石[2008:154])

◆立岩 真也 2008/06/09 「節約への熱情について」,『京都新聞』2008-6-9夕刊:2 現代のことば,

◆上野 千鶴子・中西 正司 編 20081001 『ニーズ中心の福祉社会へ――当事者主権の次世代福祉戦略』,医学書院,296p. ISBN-10: 4260006436 ISBN-13: 9784260006439 2310 [amazon][kinokuniya] ※ a02. a06. d00. t07.

大沢 真理 20081001 「三つの福祉政府体系と当事者主権」,上野・中西編[2008:178-199]
 「OECD諸国の状況を見渡すと、一九九〇−二〇〇二年に一貫して租税負担率が顕著に低下したのは、日本だけである[…]
 その租税負担率の低下はほとんど国税で起こった。金額では租税収入のピークは一九九一年度の九八兆二八〇〇億円であり、それが二〇〇三年度には八割弱の七八兆円あたりまで低下した。国税収入では、ピークの九一年度の六三兆円あまりが二〇〇三年度には四五兆三七〇〇億円まで収縮した(地方税収は三四兆円前後で推移、二〇〇三年度以降国税は増収)。[…]
 ようするに、九〇年代末から企業と高所得者・資産家への課税を軽減することにより、国税のなかでも直接税収が削減された。[…]一九九〇年代なかばの日本の税・社会保障の再分配効果は、OECD主要国のなかで際立って小さかった[…]。
 […]八〇年代およびとくに九〇年代に税制の再分配効果が相当に低下した[…]。最高税率の引き下げなど所得税の累進性が弱められたこと、逆進性をもつ消費税の比重が増したことなどが背景にある。いまや国税収入を凌駕する比重をもつにいたった社会保障負担には、所得比例の拠出ながら最上限(雇用者社会負担の標準報酬月額)があること、国民年金第一号被保険者の保険料や国民健康保険の均等割のように、所得によらない定額部分があることにより、逆進的になっている。日本の小さな福祉政府のわずかな所得再分配機能は、社会保障の給付面に不釣合いなまでに依存しているのである。」(大澤[2008:188-189]、使われている文献は生活経済研究所[2007]、橘木[2006])

生活経済研究所 2007 『税制改革に向けて――公平で税収調達力が高い税制をめざして』、生活研ブックス25
橘木 俊詔 2006 『格差社会――何が問題なのか』、岩波新書

広井 良典 20081001 「これからの社会保障政策と障害福祉――高齢者ケアとの統合を含む社会サービスの可能性を視野に」,上野・中西編[2008:200-218]
 「基本認識として、@高齢化等を背景に保険原理(拠出と給付の均衡)が成り立ちにくい層が増えているという点からも、A社会保険が前提とする共同体的基盤や企業(雇用)・家族の画一性が揺らいでいるという点からも、社会保障財源における「税」の比重を高めていかざるを得ないと考えられる。
 実際、ヨーロッパ諸国においても社会保険財源→税財源へのシフトの傾向が見られる[…]。
 検討されるべき税財源としては、所得税の累進性の強化と並び、@消費税、A相続税、B環境税、C土地課税等を重要な財源として議論し実現していくべきである。」(広井[2008:210])

立岩 真也 20081001 「楽観してよいはずだ」,上野・中西編[2008:220-242]
 「とりあえずすぐにできることとして累進課税の累進性をもとに戻すことがある。多くの人は知らないか忘れていることだが、多く受け取った人からは多く(高い割合で)税をとるというその度合いを小さくして、そのままになってしまっている。だからそれをやめよう、まずは、すくなくとも、もとに戻そうということだ。」(立岩[2008:226])

中西 正司 20081001 「当事者主権の福祉戦略――ユーザーユニオンの結成へ」,上野・中西編[2008:244-276]
 「高額所得者の累進課税、企業税を一九九〇年当時に戻す。これだけで二二兆円が生まれる。相続税、固定資産税、企業資産税とその所得への課税を強化したうえで、基本的生活物資に課税しない方向で消費税<0267<を検討する。ちなみに一五〇〇万円を超える金融資産に課税すると課税ベースは一〇〇〇兆円となり、それに三%の税率を課すと三〇兆円がえられる(神野・宮本[2006]でのデータをもとに試算)。」(中西[2008:267-268])
 「それではわれわれが求めるサービスを実施するのに必要な額は、いったいいくらなのであろうか。」(中西[2008:268])
 「すべてを合計しても三兆四〇〇〇億でしかない。われわれの試算では九〇年代税制に戻すだけで二二兆円、金融資産課税を税率三%とすれば三〇兆円も生み出せた。四兆円というのはその一〇分の一にもならないささやかな額ではないか。できないはずはない。」(中西[2008:269])

◆日本財政学会 編 20081010 『財政再建と税制改革――財政研究第4巻』,有斐閣,360p. ISBN-10: 4641199957 ISBN-13: 978-4641199958 [amazon][kinokuniya] ※ t07.

◆税制調査会 200811(平成20年11月) 「平成21年度の税制改正に関する答申」
 http://www.cao.go.jp/zeicho/tosin/pdf/201128a.pdf

  「昨年の答申において当調査会は、「改革が遅れれば遅れるほど、解決困難な課題が膨れあがってしまう。抜本的税制改革は、国民的合意を得て、できる限り速やかに実<0001<施に移される必要がある」と訴えた。特に、先般とりまとめられた社会保障国民会議の最終報告において改めて示されているように、高齢化の進展等により社会保障給付が経済の伸びを上回って増加していくことは明らかである2。当面は景気対策を優先せざるを得ないにせよ、将来世代に負担を付け回しすることなく信頼できる社会保障制度を次世代に引き継いでいくために、増加していく年金・医療・介護等の社会保障給付や少子化対策に必要な財源を安定的に確保することは、国民の安心のために喫緊の課題である。
  政府が前述の「中期プログラム」の策定を通じて、改革の道筋を明らかにすることは、基礎年金国庫負担割合を2分の1に引き上げるための所要財源を含めた国・地方を通じた社会保障の安定財源確保と、税制抜本改革の具体化に向けた第一歩として重要な意義を持つものである。当調査会としては、政府がその策定に当たり、昨年の答申における提言内容を十分に反映させるとともに、税制抜本改革の実施時期を明らかにした「中期プログラム」とすることを強く求めたい。

(3)税制抜本改革の方向性について
  当調査会は、抜本的な税制改革の方向性について昨年の答申における提言内容を確認し、その後の情勢の変化も踏まえつつ、改めて議論を行った。その結果、足下の経済金融情勢に大きな変動はあるものの、我が国経済社会をとりまく構造的な変化の中で税制が取り組むべき中期的課題には基本的に変わりがないことを確認した。経済の荒波の中でも、前述のように高齢化の進展等に伴う社会保障費の増加は着実に進み、「格差」と呼ばれる諸問題は広がりを見せている。また、世界的な金融資本市場の混乱の中で、内需主導の持続的成長を実現できるよう経済の体質転換と成長力の強化を図るとともに、成長の成果を国民生活の安心・安定に結びつけることは益々重要とな<0003<っている。
  したがって、当調査会としては、昨年の答申に示した各税目の中期的な改革の考え方は、その後の大きな情勢変化の中でも、揺るぎなく堅持すべきと考える。「中期プログラム」で示される税制抜本改革の全体像において、当調査会の提言内容が十分に反映されるよう、政府に要請したい。
  税制の抜本的な改革を進めていくに当たっては、国民の理解と信頼を得ることが不可欠である。特に、社会保障の安定財源確保については、受益(給付)と負担の関係を国民にわかりやすく示し、国民の理解を得ながら、改革を実現していく必要がある。また、納税者番号制度について、国民の利便に資する形での効率的で円滑な導入を目指し、住民票コードや現在議論が行われている社会保障番号との関係の整理等を含め、さらなる具体化に向けた検討を深めるなど、適正・公平な課税の実現に向けて努力すべきである。
政府における「中期プログラム」を踏まえ、当調査会は、昨年の答申で示した所得・消費・資産にわたる各税目の改革の方向性について、今回の審議で多くの意見があった下記の課題等も踏まえながら、さらに議論を深めることとする。
  ― 社会保障の機能強化・効率化と国・地方を通じた安定財源の確保とそのあり方
  ― 格差問題等を踏まえた税体系における所得再分配のあり方の見直し
  ― 経済・社会・地域の活力に資する税体系のあり方の見直し
  ― 偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築
  ― 環境税を含む低炭素化の促進に資する税制のあり方」

◆立岩 真也 2008/11/29 「税金の本義」,『朝日新聞』2008-11-29朝刊・京都:31 コラム「風知草」5,

◆立岩 真也 2008/12/13 「「税制改革」がもたらしたもの」,『朝日新聞』2008-12-13朝刊・京都:31 コラム「風知草」6,


UP:20100226(ファイル分離) REV:
  ◇生存・生活  ◇分配
TOP HOME (http://www.arsvi.com)