◆2005/01/11 11:21 毎: <青色LED訴訟>和解成立 日亜が8億4391万円支払い
毎日新聞ニュース速報
青色発光ダイオード(LED)の発明者、中村修二・米カリフォルニア大サンタバー
バラ校教授(50)が、勤務先だった精密機器メーカー「日亜化学工業」(徳島県阿南
市)に約200億円の発明対価を請求した訴訟の控訴審は11日、東京高裁(佐藤久夫
裁判長)で和解が成立した。日亜側が8億4391万円を支払い、中村教授は自らが関
与した特許など計195件の対価請求をしないとの内容。発明対価を巡る訴訟としては
、調味料メーカー「味の素」の人工甘味料製法特許訴訟での1億5000万円を超える
過去最高額で決着した。
1審の東京地裁判決(昨年1月)は、発明の対価を約604億円と認定。中村教授の
請求通り200億円の支払いを命じていたが、大きく減額された。日亜の経営に多大な
影響を与えないよう配慮したとみられる。
控訴審では、控訴した日亜側が「1審は中村教授の発明を過大評価している」と主張
。中村教授側は「発明だけでなく製造段階でも全責任を負い、貢献は大きい」と反論し
ていた。佐藤裁判長は昨年12月、控訴審を結審させたうえで、双方に和解を勧告し、
和解交渉を重ねていた。
訴訟で争われたのは、青色LEDに関する特許のうちの一つだが、和解では中村教授
の関与した特許すべてが対象となった。その対価を6億857万円とし、遅延損害金を
合わせて8億4391万円の支払いで合意した。
青色LEDは電気を通すと青く光る半導体で、発明によってフルカラー表示が可能に
なり、携帯電話など小型液晶画面のバックライトなどに広く使用されている。市場規模
は年間約3000億円とされ、2010年には1兆円に達する見込み。日亜は93年、
世界で初めて商品化に成功した。【坂本高志】
中村教授は弁護士を通じ「和解額には全く納得していないが、弁護士の助言に従って
勧告を受け入れることにした。問題のバトンを後続のランナーに引き継ぎ、本来の研究
開発の世界に戻る」との声明を発表した。
また日亜化学工業は「当社の主張をほぼ裁判所に理解して頂けた。特に青色LED発
明が1人ではなく、多くの人々の努力・工夫の賜物(たまもの)とご理解頂けた点は大
きな成果と考える」とする小川英治社長のコメントを出した。
[2005-01-11-11:21]
5 01/11 23:45 毎: <青色LED和解>高裁説得で劇的減額
毎日新聞ニュース速報
200億円の支払いを会社に命じた1審判決から一転、青色発光ダイオード(LED
)の発明対価をめぐる訴訟は、8億4391万円を発明者の中村修二・米カリフォルニ
ア大サンタバーバラ校教授(50)が会社から受け取ることで和解した。東京高裁の強
い主導で進められた和解協議。中村教授側はなぜ劇的な減額をのんだのか。企業を相手
に発明の対価を求める訴訟が相次ぐ中、「現実的な額」での決着へ道筋を示したとも見
られる。今後、企業や研究者にどのような影響を与えるのか。
■中村氏側、最悪の事態避ける
高裁は和解協議に先駆け、原告、被告双方に「当裁判所の考え」と題した文書を示し
た。「(訴訟対象以外を含めた)すべての職務発明の対価について、将来の紛争も含め
た全面的な解決を図ることが、双方にとって極めて重要な意義のあることだと考える」
と強い決意を見せた。
発明の対価については「従業員のインセンティブ(奨励金)として十分なものである
べきだが、同時に企業が厳しい経済情勢や国際競争に打ち勝ち、発展していくことを可
能にするものであるべきだ」と指摘。教授側の貢献度を50%とした1審判決を否定し
、同種訴訟の先例である「味の素訴訟」(1億5000万円で和解)を踏襲し、特許に
対する日亜化学工業側の貢献度を95%、教授側の貢献度を5%として和解額を試算し
た。
高裁は、試算の基礎となる売上金の認定額や想定されるライセンス料率などを1審よ
り大幅に下げた。その結果、訴訟対象の「404特許」の対価は「1000万円程度」
(高裁の試算方法に基づき日亜側が計算)とされ、1審判決の認定(約604億円)の
約6000分の1になった。高裁の示した6億857万円(遅延損害金除く)の和解額
はあくまで、訴訟対象外の特許など195件を含むすべての発明によって会社が得た利
益と今後得られるであろう利益に対する試算だった。
高裁の強い姿勢に、原告側代理人は「最悪の事態も考え、中村(修二)先生に和解を
進言した」。和解不成立の場合、「404特許」だけを対象とする2審判決は「100
0万円」とされる可能性すらあり、高裁の和解額を「丸のみ」せざるを得なかったとみ
られる。
和解で互いの債務債権がすべて消えることで、▽原告側は日亜在籍時に得た知識を今
後の研究に自由に使える▽日亜側は原告が関与した300件以上の発明について訴訟の
リスクがなくなる、などのメリットも考慮されたようだ。しかし、ある裁判官は「原告
は高裁で大幅に減額されても和解せず、最高裁で勝負すればよかった」と漏らし、「発
明対価」の司法基準が示されなかったことを残念がった。【坂本高志】
■企業、発明対価の評価に苦心
今回の和解について産業界では「1億円を超える対価は経営にとってリスクになる」
(電機メーカー)と懸念する見方が多い。大手企業は発明報奨制度の整備・見直しを急
いでいるが、発明対価の評価に苦心しているのが現状だ。
03年1月に報奨金の上限を撤廃した東芝では、次世代DVD(デジタル多用途ディ
スク)「HDDVD」の開発陣の中には、複数の特許の対価として年3000万円を超
える報酬を得て、給与と合わせた年収が岡村正社長を上回る技術者もいるという。製薬
業界では、三共が03年10月、武田薬品工業は昨年7月に発明報奨金の上限金額を撤
廃した。日立製作所は改正特許法の4月施行をにらみ、3月から社内発明評価の新制度
を導入する。
現特許法は、職務発明した従業員に支払わなくてはならない「相当の対価」は「発明
により使用者が受けるべき利益の額と従業員の貢献度を考慮して定める」と規定するが
、使用者側が一方的に決めることが多いために、訴訟が相次いだ。
改正法は、使用者と従業員双方による事前協議や算定基準の開示などを促すことで、
対価決定の過程に発明者が関与する仕組み作りを目指す。ただ、対価の具体的な算定方
法は示していない。
今回、東京高裁は中村教授の貢献度を5%として対価を試算したが、5%の根拠を明
示したわけではなく、訴訟によって判断は分かれている。
企業側は「製品開発は小さな技術の積み重ね。一つの大きな特許だけを厚遇するわけ
にもいかない」「複数の技術に販売の努力があって商品は初めて売れる」など評価に頭
を痛めている。【野原大輔、塚田健太】
■研究者の海外流出懸念も
「技術者の社会的評価を低く抑えてきた日本の悪弊を改める千載一遇の機会がけ散ら
されてしまった」。同じ発明訴訟の原告で、元日立金属の研究者、岩田雅夫さん(59
)は残念がる。昨年4月の東京高裁判決で、自身の貢献度が10%しか認められなかっ
たのを不服として上告した。「スポーツ選手が1年に何億円と稼ぐ一方で、社会に不可
欠な技術や発明の価値が一生で6億円というのはギャップが大きすぎる。中村さんの貢
献度が5%というのも納得できない」。子どもの科学技術離れ、技術者や研究者が海外
へ流出することも避けられないと強調する。
政策研究大学院大の隅蔵康一助教授(知的財産権)は「この訴訟は企業研究者でもア
イデアが高く評価されることを示した。特許法改正に発展するなど、波及効果は大きか
った」と評価する。
東京大先端科学技術研究センターの玉井克哉教授(知的財産法)は同種訴訟は今後も
起きると見る。「(退職後に対価を求める)後出しジャンケンに億単位の対価を支払う
流れが定着すれば、経営側にはリスクが高い。企業の研究部門が海外へ逃げ、国内の研
究への費用配分が減る恐れもある」と指摘した。【元村有希子、中村牧生、江口一】
■ことば=青色発光ダイオード(LED=LightEmittingDiode)
電気を通すと青く光る半導体。日亜化学工業が93年、世界で初めて商品化に成功し
た。光の三原色のうち、赤や緑は20年以上前に発明されたが、青色は難航していた。
青色の発明でフルカラー表示が可能になり、大型ディスプレーや新型信号機として実用
化された。電球や蛍光灯に比べ省電力で、寿命も半永久的といわれ、信号機や携帯電話
などにも広く使用されている。2010年には市場規模は1兆円に達すると見込まれて
いる。
[2005-01-11-23:45]
3 01/12 00:18 毎: <社説>青色ダイオード 職務発明の評価を一変した
毎日新聞ニュース速報
青色発光ダイオードの発明者、中村修二氏と日亜化学工業との発明の対価をめぐる訴
訟は東京高裁で、日亜化学が8億円余を支払うことで和解した。
1審の東京地裁では、本来の発明の対価は600億円余だが請求が200億円なので
対価も200億円という判決があり、経済界に衝撃を与えた。同時に、不可能と考えら
れていた青色発光ダイオードの発明という世界的業績に対して日亜化学が支払った対価
が2万円、というあまりの低額にも社会は驚いた。
企業の従業員や役員、国や地方の公務員などが達成した、職務に属する発明は職務発
明と呼ばれる。中村氏の職務発明をめぐる2万円と600億円の落差は、これまでの日
本の企業社会に職務発明に対する明確な評価基準が存在しなかったことを示している。
企業と社員は一体であり、職務で発明されたものは会社のもの。社員には給料が支払
われており、職務発明に対する対価は勤務規則などに基づく報奨金で十分という常識が
支配していた。中村氏の訴訟は、その常識を打ち破る大きな役割を果たした。この流れ
を受けて、何人もの企業OBが現在も訴訟を起こしている。
また、企業も知的財産権に基づく収益確保を戦略として重視するようになった。その
ためには有能な研究者に十分な対価を支払わなければ人材を確保できない。中村氏の問
題提起は、企業にとっても職務発明に対する発想を転換するよい機会になった。
こうした職務発明に対する発想の転換を踏まえて、昨年5月には特許法が改正され、
今年の4月から施行される。従来は、企業に報奨金の勤務規則などがある場合でも、職
務発明の対価は裁判所が算定することになっていた。改正特許法では、企業の勤務規則
に基づく対価が不合理なものでない限り、その対価が認められることになる。企業側の
決定権が強まることになるが、同時に企業は職務発明の対価について世間の相場を意識
せざるを得なくなる。
青色発光ダイオードの発明の対価が2万円では、世間は非常識と考えて有能な人材は
その企業を避けるだろう。その意味で今回の和解は、日本の企業社会における職務発明
の対価について一定の相場を提供したことにもなる。
バブル経済崩壊後の長い経済低迷を経て改めて確認されたのは、日本経済の活力の源
は人にあるということだった。新しい発想や不可能に挑んで新たな分野を切り開くのは
人である。挑戦する人をどう処遇するかで、企業の命運や日本経済の活力が左右される
。
今回の和解の金額についてはさまざまな評価がありうる。安過ぎると考える技術者、
研究者も多いだろう。そうした人々は海外の研究所に流出していく。また、日本の企業
の中にも、より充実した対価を制度化している企業もある。中国経済の台頭でコスト競
争に目を奪われがちだが、今回の和解を、本当の競争力は人々の挑戦という原点を見直
す機会にしたい。
[2005-01-12-00:18]
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
16 01/11 13:20 共: 青色LED訴訟が和解 8億4300万円支払い=差替
共同通信ニュース速報
青色発光ダイオード(LED)を開発した中村修二・米カリフォ
ルニア大サンタバーバラ校教授(50)が、勤務していた日亜化学
工業(徳島県阿南市)に特許権の譲渡対価を求めた訴訟は11日、
日亜側がすべての職務発明の対価として遅延損害金を含め約8億4
300万円を支払うことなどを条件に、東京高裁(佐藤久夫裁判長)
で和解が成立した。
職務発明の対価として支払われる額としては過去最高だが、昨年
1月の1審東京地裁判決が命じた200億円(対価は約604億円
と認定)からは大幅減額となった。
中村教授は「金額には全く満足していないが、弁護士の勧めもあ
って受け入れることにした」とコメントを発表した。
佐藤裁判長は、昨年末の結審後に職権で和解を勧告。和解協議で
裁判所は「発明の貢献度は極めて大きい例外的なもので、訴訟で1
つの特許権対価を争うより、すべての発明について解決を図るのが
重要だ」との考えを強調した。
その上で「職務発明の対価は、従業員の意欲を啓発すると同時に、
企業が競争に勝ち発展することを可能にしなければならない」と判
断。中村教授の貢献度を5%とし、約6億円を対価の上限とする案
を示した。
和解条項では、中村教授が青色LEDなどについて在職中に発明
したすべての特許への対価約6億円と、遅延損害金約2億4000
万円を日亜が支払い、双方がすべての紛争を解決したことを確認し
ている。
昨年1月の地裁判決によると、中村教授は日亜在職中の1990
年に青色LEDの製造装置に関する技術を発明。日亜が特許出願し
93年、世界初の製品化に成功した。中村教授が当時、会社から受
け取った報奨金は2万円だけだった。
日亜側は控訴審で(1)対象の特許は製品化につながる数多くの
特許の一つにすぎず、実際は使用していない(2)十分な研修や設
備投資をした結果生まれた発明で、企業の貢献度が高い−−などと
主張。
これに対し中村教授は「すべての製品に不可欠な基本特許で、会
社の援助や指示なしに独力で発明した」として、控訴審では請求額
を201億円に増額していた。
(了)
20050111 131856
[2005-01-11-13:20]
22 01/11 11:25 共: 解説=裁判所の強い意向反映 青色LED訴訟和解
共同通信ニュース速報
最高裁まで続くのは必至と思われた青色LED訴訟が一転、東京
高裁で11日和解決着した背景には、「巨大な商業発明の対価は話
し合いで決めるのが望ましい」との裁判所の強い意向があったとみ
られる。
今春施行の改正特許法が企業と発明社員の協議を促しているよう
に、当事者間の事情や心情も反映した対価決定が望ましいのは事実。
しかし和解による終結で、600億円超の発明対価を算定した1審
判決に対する上級審の司法判断は、ついに示されないことになった。
この訴訟が「特許法の想定を超えている」と評する司法関係者は
多かった。爆発的に広がったLED市場に、1つの発明がどう貢献
したのか、細かな判断で算定額は大きく変動する。1審判決が「特
殊事例」と位置付けたように、裁判官泣かせの訴訟といえるだろう。
発明対価訴訟で最も重要な事実認定部分は高裁判決で決まる。ド
イツにあるような対価算定の指針がない日本で、この象徴的訴訟の
控訴審判決が持つ意味は極めて大きくなる。裁判所が、判決が与え
る影響を考慮し、和解の道を探ったとしても不思議ではない。
この訴訟は発明者の利益を重視した特許法35条の威力を見せつ
け、企業の発明報奨制度見直しや、相次ぐ対価請求訴訟などの劇的
な変化を引き起こした。「発明の値段」は判示されなかったものの、
日本の発明史に残る前例となったことは確かだ。 (了)
20050111 112217
[2005-01-11-11:25]
21 01/11 11:45 共: 「満足できず」と中村教授 苦い決着、無念あらわに
共同通信ニュース速報
「和解金額には全く満足していない」。会社側が遅延損害金を含
め約8億4000万円を支払うことで、11日に東京高裁で和解が
成立した青色LED訴訟。古巣の企業を相手に挑んだ中村修二・米
カリフォルニア大教授(50)の闘いは一応の区切りを迎えたが、
中村教授は発表したコメントで無念さを隠さなかった。
昨年末の結審直前「1審では勝ったが、実際に200億円を手に
したわけじゃない。裁判なんてどうなるか分からない」と淡々と語
っていた中村教授。「最高裁まで闘う」と公言していたが、裁判所
の強い説得に和解の選択を余儀なくされた格好で、苦い決着となっ
た。
「冷遇される日本の技術者を“奴隷解放”する」と始めた訴訟。
日本では、後続の訴訟や企業の発明報奨制度見直しなど大きな変化
を呼び、従業員の発明に関する特許法35条の改正(昨年6月)に
もつながった。
1審判決後、大学の米国人同僚は「日本の特許法はすごい」と話
した。個別の雇用契約で発明対価を給与などに反映させる米国のシ
ステムへの不満の言葉だった。日本に似た制度の台湾などからは講
演依頼が相次いだ。反響は本人の予想を超えていた。
日本の技術系社員が権利に目覚める中、職務発明の対価をめぐる
議論は過熱。青色LED訴訟は常にその中心にあった。
「100年に一度の発明だからこそ、みんなが驚く結果でなけれ
ば無意味だ」と額にこだわり続けた中村教授。しかし一方では「研
究や講義に使いたいエネルギーの大部分を訴訟に持っていかれる」
と、訴訟を続けることに疲れも見せていた。今後は本来の研究開発
の世界に戻るという。
(了)
20050111 114329
[2005-01-11-11:45]
19 01/11 12:20 共: 「和解金額が高額だ」 産業界は前例化を警戒
共同通信ニュース速報
青色発光ダイオード(LED)の発明対価訴訟は、日亜化学工業
側が開発者の中村修二・米カリフォルニア大教授に対し、請求額の
200億円を大幅に下回る約8億4000万円を支払うことなどで
和解した。しかし、産業界は「それでも和解金が高額だ」などとし
て、この水準が同種訴訟の前例となることを警戒する声が広がって
いる。
訴訟案件を抱えている東芝は「和解金額の算出方法が明確でない
ため、この金額が妥当かどうか分からない」(東実執行役上席常務)
としながらも、今回の和解が前例となることに懸念を示している。
一方、企業側はLED特許訴訟や味の素の人工甘味料特許訴訟な
ど一連の高額訴訟を受け、社員の発明や研究開発などに対する報奨
金制度を見直す動きを加速させている。マツダは昨年、約100万
円だった報償金の上限を撤廃、武田薬品工業も報償金の支払総額を
20倍に引き上げている。
(了)
20050111 121520
7 01/11 19:45 共: 技術者確保にルール課題 改正特許法、企業に促す
共同通信ニュース速報
青色発光ダイオード(LED)の特許権の譲渡対価をめぐって、
日亜化学工業と中村修二教授が11日、東京高裁で和解が成立した。
1審が命じた巨額の対価が大幅減額、経済界には「常識に照らし、
まあまあ」(奥田碩日本経団連会長)との安堵(あんど)も。しか
し、改正特許法の本格施行が迫り、有能な技術者確保に報奨金支払
いルールの早急な整備が早急な課題だ。
最近の景気回復は、デジタルカメラや薄型大画面テレビなどデジ
タル技術力に支えられてきた。世界的な技術開発競争が激化、特許
権など知的財産が競争力の核となる事業環境下で日本経済が持続的
に拡大するには、技術力の強化が急務だ。
今春施行される改正特許法は、企業側と従業員が発明の対価を協
議するとした。しかし、適正な発明対価の算定方法についての指針
はなく、企業の裁量による部分が大きいのも現実だ。
このため、「辞めた社員にもロイヤルティー収入の数%を支払う
制度を既に導入。改正法施行後は、説明会などで周知徹底させたい」
(NEC)とする企業もあるが、「経営者と従業員側が協議をする
方向」(富士写真フイルム)、「改正特許法に向けては協議の仕方
を含め検討中」(キヤノン)など具体策は、これからという企業も
多い。
野村総合研究所の木村靖夫技術・産業コンサルティング部部長は
「一連の高額特許訴訟は、企業の報奨金制度拡充と技術者の処遇改
善につながってきた」と指摘。改正特許法で「従業員と会社側が対
価を協定で決めるようになり、適切な算出方法が議論されるように
なるだろう」とみている。
(了)
20050111 194233
[2005-01-11-19:45]
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
12 01/11 13:50 読: 青色LED訴訟和解、中村教授に8億4400万円
読売新聞ニュース速報
青色発光ダイオード(LED)の製法を開発した米カリフォルニア大サンタバーバ
ラ校の中村修二教授(50)が、開発当時の勤務先で、青色LEDの特許権を持つ日
亜化学工業(徳島県)に対し、発明の対価の一部として約200億円の支払いを求め
た訴訟は11日、東京高裁(佐藤久夫裁判長)で和解が成立した。
和解条項では、同社が中村教授に計6億857万円の発明の対価を支払う。支払額
は遅延損害金(利息)を含め8億4391万円で、発明の対価をめぐり企業が支払う
金額としては、「味の素」が人工甘味料の製法を開発した元社員に支払った和解金の
1億5000万円を上回り、国内で史上最高額となる。
和解に伴い東京高裁が示した見解によると、6億円余の対価は、中村教授が日亜化
学工業社員時代に行ったすべての職務発明を評価した金額。1審判決は青色LEDの
発明に対する中村教授の貢献度を50%と評価して200億円の支払いを命じたが、
同高裁は「発明の対価は、企業が厳しい競争の中で発展していくことを可能とするも
のであるべきだ」と指摘した。そのうえで、これらの発明に対する会社側の貢献度を
95%として、大幅に減額した。
中村教授は1990年に青色LEDの製法を開発し、勤務先だった同社が93年に
製品化、97年に特許として登録した。中村教授は99年に退社して米大学に移った
が、特許出願時に1万円、登録時に1万円の計2万円しか受け取っていなかったため、
「発明の正当な対価を受け取っていない」として2001年に提訴した。
1審・東京地裁は2004年1月、同社が青色LEDの製法の特許を独占すること
で得られる利益を1208億円と算定。「個人的能力と独創的な発想で世界的発明を
成し遂げた」と指摘して、中村教授の発明への貢献度を少なくとも50%と判断。発
明の対価は604億円と認定して、請求通り200億円の支払いを同社に命じた。
控訴審は12月24日に結審したが、佐藤裁判長は判決期日を3月28日に指定す
るとともに、和解を勧告し、協議が続いていた。
◆納得はしていない◆
中村教授の話「和解金額に納得していないが、弁護士の助言に従った。発明対価の
問題のバトンは後続のランナー、一人一人の技術者に引き継ぎ、本来の研究・開発の
世界に戻りたい」
◆主張理解され成果◆
日亜化学工業の小川英治社長の話「当社の主張、特に青色LED発明が1人でなく、
多くの人々の努力・工夫のたまものであることを裁判所にご理解いただけた点は大き
な成果と考える」
◆青色発光ダイオード=電流を光に変換する半導体で、大型スクリーンや携帯電話
の表示装置、信号機の光源などに使用される。輝度は高いが消費電力は少なく、用途
は広い。1993年に日亜化学工業が商品化し、赤色、緑色とともに「光の三原色」
がそろった。
[2005-01-11-13:50]
1 01/12 02:24 読: 1月12日付・読売社説(1)
読売新聞ニュース速報
[青色LED和解]「『発明の対価』の問題解決に生かせ」
大きな発明をした技術者にどう報いるのか、改めて企業に対応を迫る結果となった。
「夢の光源」といわれる青色発光ダイオード(LED)の発明対価を巡る訴訟の和
解が、東京高裁で成立した。
発明者の中村修二・米カリフォルニア大教授が、開発時に勤めていた日亜化学工業
を相手取り、青色LEDの製法特許を同社に譲渡した対価として、約200億円を支
払うよう求めていた。
和解額は、利息を含め約8億4400万円だ。一審の東京地裁は中村氏の発明への
貢献を評価し、日亜側に200億円の支払いを命じた。双方が不服として控訴したが、
いずれも不満を残しながら、東京高裁の和解案を受け入れた。
大幅減だが、国内で発明対価を巡る訴訟が相次ぐ中、前例がない高額だ。
発明対価について定めた改正特許法が今年四月に施行される。労使双方が事前の話
し合いで、対価の合理的な算定方法などルールを作り、訴訟続発に歯止めをかけるの
が狙いだ。今回の和解から教訓をくみ取り、改正法に沿って、研究開発の環境作りを
急がねばならない。
訴訟で、日亜側は、技術開発に伴う企業としてのリスク負担や事業化努力を強調し
た。「企業活動ができなくなる」と産業界を震撼(しんかん)させた一審の巨額の支
払いは受け入れられない、と主張した。
中村氏側は、技術者の貢献への「正当」な評価を求めた。青色LEDは実際、道路
の信号機や照明など多方面に活用され、人工光源の世界を塗り替えた。
東京高裁は、技術者の開発への貢献を重視する一方で、企業活動に配慮する見解を
示した。そのうえで、中村氏の発明への貢献度を、一審の50%から5%へと大幅に
引き下げた。根拠として、「味の素」の人工甘味料の発明対価を巡る訴訟で、技術者
の貢献度が5%で和解したことを挙げている。
改正特許法施行に備え、特許庁は労使対話の留意点を盛り込んだ事例集を企業に配
布し、企業も、発明報奨金の上限をなくすなど改革に乗り出している。
その際に重要とされているのは「対価の合理的な算定」だが、今回の訴訟はそれ自
体が難しいことを印象づけた。
しかも、対価をカネに換算するだけでは、技術者の不満を減らし、研究開発への意
欲を促すことは難しい。
企業の間には、待遇の向上や、有能な技術者が独立して事業を起こす際に、在籍時
の発明の利用を認めて支援するなど多彩な取り組みも出始めた。
幅広い「発明の対価」を視野に技術者を処遇し、産業力を高めたい。
[2005-01-12-02:24]
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6 01/11 19:56 NH: 青色LED報酬訴訟和解 東大・玉井教授 大きな先例に
NHKニュース速報
きょうの和解について特許など知的財産権が専門の東京大学の玉井克哉(タマイカツ
ヤ)教授は「八億円余りもの金額が確定したことで、今後は大きな発明をした研究者に
対して億の単位での報酬が相場になるのではないか。一方、研究の成果が利益を生むか
どうか分からない段階で投資をしなくてはならない企業の立場に、裁判所が理解を示し
たことは、研究者への報酬のあり方に影響を与える大きな先例になると思う」と話して
います。
[2005-01-11-19:56]
◆2005/03/09 知的財産高裁の初代所長に篠原勝美氏
読売新聞ニュース速報
特許や著作権を巡る訴訟を専門に扱う国内初の裁判所として来月1日に新設される
「知的財産高等裁判所」の初代所長に、東京高裁部総括判事の篠原勝美氏(60)が
就任することが9日、分かった。
最高裁の裁判官会議で了承されており、知的財産保護の中核となる知財高裁のかじ取
りを担うことになる。
篠原氏は東京高裁知財専門部の裁判長として、「審理が遅く、専門技術への理解が
足りない」と産業界から批判されてきた知財訴訟の改革に当たった実績を買われ、所
長登用が決まった。
東京高裁内に設けられる知財高裁は、計4部から成り、知財訴訟に通じた裁判官1
8人、調査官約10人のほか、大学教授や研究者らから任命された非常勤の専門委員
約100人を抱える。特許に関する特許庁の審決が妥当かを判断する訴訟全部を1審
として担当するほか、特許権侵害に対する賠償請求訴訟や差し止め訴訟についてもす
べての控訴審を引き受ける。
このうち、企業活動に重大な影響を与える訴訟などでは、裁判官5人による「大合
議」で審理し、所長が裁判長を務める。同高裁の裁判官会議を取りまとめ、所内の人
事配置を決めるのも所長の権限となる。
知財訴訟を主に扱う裁判所は、米国やドイツなど少数の国にしかなく、充実した審
理で特許権侵害や模倣品の輸入に歯止めをかける効果が期待されている。
◇
篠原 勝美(しのはら・かつみ)氏 66年東大法卒。函館地・家裁所長、200
0年から東京高裁部総括判事。長野県出身。60歳。
[2005-03-09-14:34]
◆2005/03/09 国際特許出願、日本は2位=松下、ソニーがトップ10入り
時事通信ニュース速報
◎国際特許出願、日本は2位=松下、ソニーがトップ10入り−WIPO
【ジュネーブ9日時事】世界知的所有権機関(WIPO)が9日発表した特許協力条約(PCT)に基づく2004年の国際特許の出願件数は、電子出願の受付開始などで前年比4.3%増の12万100件に達した。日本は1万9982件でIT(情報技術)関連を中心に15.0%の高い伸びを示し、2位を維持。企業別のトップテンには2位に松下電器産業(1711件)、10位にソニー(572件)が入った。
[時事通信社][2005-03-09-21:52]
◆2005/03/09 日本、2万件で2位保つ 国際特許出願件数
共同通信ニュース速報
【ジュネーブ9日共同】国連の世界知的所有権機関(WIPO)
は9日、特許協力条約(PCT)に基づく2004年の国際特許出
願状況を発表、国別で日本は前年に続き、米国に次ぐ2位の座を維
持した。
WIPOによると、PCTに加盟している世界126カ国からの
総出願件数は前年比4・3%増の12万100件。日本の出願件数
は同15・0%増の1万9982件だった。米国の出願件数は4万
1870件。
企業別では1位がオランダの電機メーカー、フィリップス(23
62件)。上位に入った日本企業は松下電器産業が2位(1711
件)、ソニーが10位(572件)、三菱電機が11位(567件)
。
WIPOは、PCT出願ノウハウの浸透や、情報通信産業の活性
化などにより「日本、韓国、中国の出願件数が飛躍的に増大した」
のが04年の特徴としている。
PCTに基づく国際特許出願は今年、受理開始の1978年から
の累計件数が100万件を突破している。
(了)
20050309 211230
[2005-03-09-21:15]