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科学技術/所有・国際競争・国家戦略・…2002

科学技術・国際競争・国家戦略・…
2002<薬>
2002<産業スパイ事件>


◆2002/01/25 <知的財産権>「戦略会議」設立へ 首相直属で2月上旬
 毎日新聞ニュース速報他
◆2002/01/14 [生命科学]「発展の『主役』として積極貢献を」(社説1)
 『読売新聞』
 http://www.yomiuri.co.jp/
◆ES細胞研究など最先端治療法の特許化検討へ
 読売新聞ニュース速報 2002/01/08
◆2002/01/08 <e−Japan計画>185万人の雇用創出効果 総務省試算
 毎日新聞ニュース速報
◆2002/02/04 [知的財産]「先見性のある総合戦略を築け」
 『読売新聞』2002/02/04社説(2)
◆2002/04/24 <社説>「研究機関再編 現場から声を上げないと」
 『毎日新聞』2002/04/24
◆2002/05/10 研究成果は大学や機関の所有=個人には利益還元−文科省報書
 時事通信ニュース速報 他
◆2002/05/22 知的財産基本法を制定、戦略会議が大綱骨子
 読売新聞ニュース速報 他
◆2002/06/10 [技術革新]「大きな飛躍へ大学は先頭に立て」
 『読売新聞』2002-06-10社説(1)
 http://www.yomiuri.co.jp/
◆2002/06/13 論文発表前に特許の確認を=大学・研究機関に提言−総合科技会議
 時事通信ニュース速報
◆2002/06/14 「知財立国」へ改革推進 政府の戦略大綱まとまる
 共同通信ニュース速報 他
◆2002/06/17 バイオ戦略会議 発足へ
 NHKニュース速報
◆2002/06/19 19:46 <来年度予算配分>技術革新で経済活性化を 総合科学技術会  毎日新聞ニュース速報
◆2002/06/24 途上国に第三国経由の調達権=米、WTO薬品特許問題で新提案
 時事通信 2002/06/25他
◆2002/07/01 「世界トップレベルの研究者の養成を目指して――科学技術・学術審議会人材委員会第一次提言(概要)」
 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu10/toushin/020701.pdf
◆2002/07/03 22:39 新技術創出など50項目、知的財産戦略大綱を決定
 読売新聞ニュース速報 他
◆2002/07/05 社説(2)[知的財産戦略]「スピードこそ取り組みのカギだ」
 『読売新聞』
 http://www.yomiuri.co.jp/
◆2002/07/05 <BT戦略会議>バイオテクノロジー実用化などを目的に設置
 毎日新聞ニュース速報
◆2002/07/18 バイオ戦略年内取りまとめへ
 NHKニュース速報・他
◆2002/07/22 知的財産訴訟で非公開検討 政府、秋に検討会設置
 共同通信ニュース速報
◆2002/07/23 <学術会議>研究力向上へムラ社会、現場離れなど“猛省”を
 毎日新聞ニュース速報
◆2002/08/28 学力向上に5倍超の77億円 文科省の03年度概算要求
 共同通信ニュース速報
◆2002/09/03 「知的財産で独自の諮問機関 法整備前に日本弁理士会」
 共同通信ニュース速報
◆2002/10/16 <知的財産基本法>大学や企業の責務規定設け了承
 毎日新聞ニュース速報
◆2002/10/19 バイオ戦略 中間報告まとまる
 NHKニュース速報
◆2002/11/20 社員への特許報酬、登録時には45000円程度
 読売新聞ニュース速報
◆2002/12/06 19:0 「戦略大綱を首相に提出=競争力強化目指す−政府のバイオ会議」
 時事通信ニュース速報
◆2002/12/10 「[医療特許]「バイオ振興へ範囲拡大が必要だ」」
 『読売新聞』2002/12/10 社説1
◆2002/12/17 先端医療にも特許、培養技術など想定 科学技術会議方針
 朝日新聞ニュース速報
◆2002/12/18 先端医療も特許に…総合科学技術会議
 読売新聞ニュース速報・他

 

◆ES細胞研究など最先端治療法の特許化検討へ
 読売新聞ニュース速報 2002/01/08
 http://www.yomiuri.co.jp/

 「遺伝子治療や再生医療など最先端の治療法の特許化が可能かどうか、特許庁は新年度から、検討に乗り出す。日本では、治療法の特許は「医療は産業ではない」との理由から認められていない。だが、ES細胞(胚(はい)性幹細胞)研究をはじめとする再生医療などでは画期的な治療法が次々に見つかっており、研究者から「特許を認めて欲しい」との要望が多く寄せられていた。特許が認められれば、医療関連の新産業が発展し、国際的な競争力が高まると期待されるという。
 治療法の特許をめぐっては、米国では「バイオテクノロジーを使った場合」に限って例外的に認められている。欧州では「医療は産業」と認定してはいるものの、治療法の特許化まではまだ認めていない。
 一方、日本では、現行の特許法は「人から取り出した細胞や血液、皮膚などを、治療のために加工して同一人物に戻す」作業は、すべて特許の対象とならないと定めている。
 例えば、東北大付属病院では、肺がん患者からがん細胞を取り出し、がん抑制遺伝子を組み込んで患者に戻す遺伝子治療が行われている。この際、遺伝子を組み込むのに使われる物質(ベクター)は特許の対象となるが、どの細胞にどの遺伝子を組み込み、どこに移植するのかまでを含めた治療法は、特許の対象にならない。また、すい臓のもとになる幹細胞を取り出してすい臓細胞に変化させ、糖尿病患者に移植する治療法の開発を、厚生労働省がプロジェクトを発足させて進めているが、これも同じ患者に戻す場合は特許の対象にはならない。
 特許庁は、ゴーサインが出たばかりのES細胞研究の進展などを見すえ、「メリット、デメリット双方を考え、特許化を認めるか判断したい」としている。」
[2002-01-08-03:02]

 cf.◇ES細胞

 

◆2002/01/08 <e−Japan計画>185万人の雇用創出効果 総務省試算
 毎日新聞ニュース速報
 http://www.mainichi.co.jp/

 「総務省は8日、05年度までに世界最先端のIT(情報技術)国家になることを目指す政府のe−Japan重点計画がすべて実行されれば、光ファイバー網などのインフラが充実し、05年度の日本の潜在成長力が0・5%上昇し、同年度で185万人の雇用創出効果があるとの分析をまとめた。e−Japan計画の経済効果を試算したのは初めて。
 報告は、総務省の「情報通信経済研究会」(座長、三友仁志・早稲田大学国際情報通信研究センター教授)がまとめた。それによると、DSL(デジタル加入者線)や光ファイバーなどの高速大容量通信網の整備や、電子政府への移行による需要創出などで、05年度で(1)国内生産額が36兆4640億円増加(2)労働生産性は2・8〜3・5%上昇(3)計画を実施しなかった場合より雇用は185万人増える――と推計した。
 報告は、ITによる労働生産性の向上は、労働人口が減少するなかで、日本が経済的繁栄を続けるために不可欠と強調している。
 ただし、ITによる産業構造の転換や企業経営の効率化は、「中抜き」による中間管理職のリストラや、従来型の卸売・小売業の衰退を招く可能性も指摘。このため、ITを活用した新規ビジネスを創出し、生産性の低い分野から生産性の高い分野へと労働力を移動させることが重要と提言している。」【尾村洋介】
[2002-01-08-21:00]

 

◆2002/01/14 [生命科学]「発展の『主役』として積極貢献を」(社説1)
 『読売新聞』
 http://www.yomiuri.co.jp/

 「二十一世紀は「生命科学の世紀」といわれる。歴史的な視野でみれば、人類文明にとって数百年に一度あるかないかの「大転換期」にさしかかっているともいえる。
 物質の究極や宇宙の起源を追究してきた現代科学がついに、「生命」という最後の謎(なぞ)に挑戦しつつある。
 長年かかって培われてきた自然観や生命観が急速に変容を迫られ、われわれの暮らしや生き方にも、深く大きな影響が及ぶと考えられる。
 地球上の全生物が、遺伝子DNAという共通の文字で書かれた設計図を持っていることがわかり、その解析で生命活動の謎が次々と明らかになってきた。
 人間の全遺伝情報を読み解くヒトゲノム計画は、当初は「百年かかる」といわれながら、IT(情報技術)の助けで十年ほどで済んでしまった。
 さらなるITの発展と、分子、原子レベルで物質を操作するナノテクノロジーなどの進歩に支えられ、今後十―二十年で、過去百年分にも匹敵する生命科学の進展が予想されている。
 直近の恩恵としては、遺伝子治療や再生医療、革新的な創薬などが期待され、先進各国で研究競争が激化している。
 これまで日本は、こうした時代の潮流に必ずしも敏感とはいえず、戦略的な取り組みに欠けていた。
 政府は昨年、科学技術振興の重点テーマとして生命科学を掲げ、総合科学技術会議が、関係省庁の研究助成テーマや予算要求を調整してきた。
 ようやく戦略的・体系的な取り組みが始まったわけで、新年度は生命科学戦略の元年とも位置付けられる。
 研究者の奮起が必要なことは言うまでもないが、今後も時代の変化に合わせた柔軟な戦略練り直しや大胆な予算投入など、不断の取り組みが欠かせない。
 忘れてならないのは、生命科学の射程は、こうした実利的な色彩の濃い分野に限らず、極めて広範なことだ。
 人間を人間たらしめている精神活動や心の解明に、自然科学の手法で脳科学者らが取り組みつつある。
 数十年内に、物理学におけるアインシュタインの相対論に匹敵する生命科学の新理論が、誕生するとの期待もある。
 生命科学の恩恵の最大化と弊害抑制のためには、自然科学以外の多様な知恵も動員しなければならない。
 生命科学の世紀に、挑戦すべきテーマは数多い。
 日本でも、この分野で多彩な人材が育ちつつあり、その発展の「主役」として、積極的な貢献を期待したい。」
[2002-01-14-09:15]

 

◆2002/01/25 <知的財産権>「戦略会議」設立へ 首相直属で2月上旬
 毎日新聞ニュース速報
 http://www.mainichi.co.jp/

 「政府は24日、特許や著作権などの知的財産権を包括的に保護するため、小泉純一郎首相をトップにした「知的財産戦略会議」(仮称)を2月上旬に発足させる方針を固めた。2月1日に行われる首相の施政方針演説で、国家戦略として取り組む考えを打ち出す。製造業の国際競争力低下を克服するには、産学連携による独創的技術の研究開発に加え、行政、教育、外交、司法などの分野を横断する総合的な政策立案が不可欠と判断した。
 日本の知的財産権は、所管が経済産業省(特許庁)、文部科学省(文化庁)、農水省、厚生労働省などに分かれているため、生命工学など複数の省庁にまたがる先端分野の育成政策がちぐはぐになりがちだ。特許審査や特許侵害の紛争解決も欧米に比べて時間がかかり過ぎ批判が出ていた。
 また中国や東南アジアでは、日本製のオートバイや電機製品、キャラクター商品などの模倣品が横行し、日本企業に深刻なダメージを与えている。このため、特許侵害を許さない司法制度の整備や、日本の知的権益を守る外交の必要性が指摘されてきた。
 新設される知的財産戦略会議では、こうした問題点を解決するため(1)知的財産紛争に対応する「知的財産裁判所」の創設(2)04年に開講するロースクールで知的財産専門の法曹を養成(3)海外の模倣行為の監視強化(4)知的財産情報の保護の徹底――などが検討課題になる見通しだ。会議は、関係閣僚、学識経験者、経済人らで構成される。
 同会議の構想は、自民党司法制度調査会の保岡興治会長らが民間団体「知的財産国家戦略フォーラム」(代表・荒井寿光元特許庁長官)の報告書をもとに提唱していた。」
【中澤雄大】
[2002-01-25-03:05]

◆2002/01/25 知的財産戦略会議を設置へ=首相直属、競争力を強化−政府
 時事通信ニュース速報

 政府は25日までに、特許や著作権など知的財産権の保護策や効果的に活用する仕組みを検討する、小泉純一郎首相直属の「知的財産戦略会議(仮称)」を2月にも設置する方針を固めた。知的財産権にかかわる政策を総合的に検討し、産業競争力の強化につなげるのが狙い。来月1日に予定される首相の施政方針演説に産業政策の柱の1つとして盛り込まれる。
[時事通信社]
[2002-01-25-17:26]

 

◆2002/02/04 [知的財産]「先見性のある総合戦略を築け」
 『読売新聞』2002/02/04社説(2)
 http://www.yomiuri.co.jp/

 日本は、将来を見据えて、どのような国を目指すのか。
 答えのひとつが「科学技術創造立国」だが、実現のためにぜひとも欠かせないことがある。
 それは、知的財産権の重要性を広く社会に浸透させることだ。
 総合科学技術会議が、知的財産戦略について月内にも検討を始めるほか、首相直属の「知的財産戦略会議」(仮称)を発足させる準備が、進んでいる。
 この分野でも、省庁縦割り行政の弊害が指摘されてきた。内閣全体の重要課題として、従来より一段高い見地から取り組みが始まることを歓迎したい。
 安い労働力を求めて製造拠点が海外に流出する動きが続き、産業の空洞化が一層深刻化すると、懸念されている。
 打開策のひとつとして期待されるのは知識集約型の新産業を創生することだ。科学技術上の先端的な成果が期待されるゆえんだが、それだけでは足りない。
 成果が特許などの知的財産権として強力に守られ、得られた先行者利益を新たな創造活動に投入する「知的創造サイクル」が有効に働かなければ、国力の増大にはつながらないからだ。
 特許庁などを中心に近年、知的財産強化政策が進められてはきた。だが、時代の変化にまだ追いつけていない。
 最近も、早急な対応を要する出来事が相次いでいる。
 青色発光ダイオードの発明で有名な中村修二氏が昨年、かつて所属していた会社に適正な報酬を求めて民事訴訟を起こしたことは、大きな波紋を広げた。
 企業研究者らの発明を定めた特許法の「職務発明規定」の見直しや、独創的な発明者を優遇しない企業風土の改善が、強く求められている。
 理化学研究所の元所員が米国で産業スパイ法違反で起訴された事件は、国内研究機関や大学に研究者の移籍ルールが欠けている実態に、警鐘を鳴らした。
 産業活動のノウハウなどを守る“情報窃盗罪”の制定を求める声も根強い。
 中国での日本製オートバイのコピー製品横行に象徴される模倣品対策も遅れており、重要な外交テーマであるとの意識が希薄だと言わざるを得ない。
 これらは一例にすぎない。知的財産を巡る課題は広範で、関係省庁の調整や連携を要する問題が山積している。
 今こそ、内閣主導で諸課題を整理し、「知的財産大国」へ向けた力強い総合戦略を描く必要がある。
 その際に欠かせないのは先見性だ。現状への対応に追われているだけでは、激化する国際間の知的財産競争に勝ち抜くことは出来ない。
[2002-02-03-22:42]

 

◆2002/04/24 <社説>「研究機関再編 現場から声を上げないと」
 『毎日新聞』2002/04/24
 http://www.mainichi.co.jp/

 「国立大学の法人化と歩調を合わせ、宇宙や原子力分野などの研究機関の再編・統合の検討が進んでいる。日本の科学技術や学術の現場が大きく変わりそうだが、将来の姿に不安も残る。
 昨年1月の中央省庁再編で首相を議長とする総合科学技術会議が内閣府に発足し、文部省と科学技術庁は文部科学省に統合された。これがすべての始まりだった。
 01年度からの第2期科学技術基本計画は国家的・社会的ニーズが高いライフサイエンス、情報通信、環境などを重点分野とし、競争的研究資金の倍増をうたった。競争原理の導入や産学官連携を前面に打ち出したものだった。
 そんな流れの中ですべての国立大学は民間的経営手法導入を柱に04年度にも一斉に法人化し、改革は各種研究機関にも及ぶ。
 文科省所管の宇宙開発事業団、宇宙科学研究所、航空宇宙技術研究所の宇宙3機関が統合され、03年度にも新たな独立行政法人が発足する。特殊法人の日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構も統合され、05年度にも職員が5000人弱というマンモス独立行政法人が生まれる。
 国立天文台、国立遺伝学研究所など13の大学共同利用機関は連合して04年度から総合的な学術研究法人になる可能性が出てきた。
 宇宙3機関統合ではロケット開発の一元化で効率化が図られる一方で、国際的に高い評価を受けてきた宇宙科学研の機能はほぼ独立した形で残ることになり、不満の声はそれほど聞かれない。
 原子力2機関統合は原子力政策とも深く関係し、困難を伴う。原研が担当した安全性研究が軽視されないか、負債の放射性廃棄物をどう扱うかなどの問題点があり、統合後の最大の目標となる高速増殖炉開発の行方も不透明だ。
 政府が研究現場を活性化し、科学技術の国際競争力を高めようと考えるのは理解できる。研究者も既得権益を主張するだけではもう済まず、社会的責任を果たすために意識改革が求められる。
 ただ一挙に米国型の研究社会に近付けようとしても無理だろう。活性化を狙って導入した研究者の任期付き任用もあまり進んではいない。研究者の理解と協力を得て改革を行う必要がある。
 その点で大学や日本学術会議、現場の研究者が積極的に発言しないのは残念だ。大学は沈滞ぶりが批判され、学術会議は自らの在り方を総合科学技術会議で議論されているという事情は分かる。
 だが、いま現場から大きな声を上げないと官僚主導で重点化、効率化が重視され、すぐに役立ちそうにはない基礎研究や、独創的研究に結び付く自由な発想が顧みられなくなる可能性がある。物言わぬ研究者群ができるのも怖い。
 国立試験研究機関は1年前に独立行政法人化しており、科学技術を担う機関はいや応なしに歴史的な転換期を迎えている。日本にはどんな研究戦略と研究環境が最も適しているのかを一線の研究者も含めて十分議論し、夢のある科学技術創造立国を目指したい。」
[2002-04-24-01:25]

 

◆2002/05/10 研究成果は大学や機関の所有=個人には利益還元−文科省報書
 時事通信ニュース速報

 公的研究機関や国立大学の研究者が生み出した特許権や研究材料などが、研究者個人のものか、研究機関や大学のものになるのかを議論していた文部科学省の検討会(主査・小原雄治国立遺伝研究所教授)は10日、原則として研究機関や大学の所有とする報告書をまとめた。研究者個人の所有とした場合、管理や利用が難しくなるためで、特許権などの知的財産権については、研究者に利益の一部を還元する。 
[時事通信社]
[2002-05-10-20:29]

◇2002/05/10 20:00 <研究成果>公的研究機関では組織の所有に 文科省検討会が
 毎日新聞ニュース速報
 http://www.mainichi.co.jp/

 「国立大学などの公的研究機関から生まれた特許や試料について、文部科学省の検討会は10日、「研究開発成果は各機関が所有する」との原則を定めた指針をまとめた。特許の大多数を研究者が個人で所有・管理している国立大では、独立法人となる04年度から、大学側が一元管理する体制に移行する。
 特許などの「研究開発成果」は、欧米では各研究機関が所有し、産業への応用に有効活用している。国内でも特殊法人の研究機関は同様の原則を定めている。だが、国立大では特許の8割が研究者の個人所有となっている。
 検討会は「研究成果を個人が所有したままでは、広範な利用が進まない恐れがある」と指摘。「機関側の所有」を契約で明確化しておくことを求めた。一方、研究者の意欲増進のため、特許が企業などに譲渡された場合は、対価の一部を研究者に還元する仕組みも必要とした。
 また、ほとんどの公的研究機関で明確な取り決めがなかった微生物や遺伝子などの試料やデータについても、機関側の所有にする。日本人研究者が米国捜査当局から起訴された遺伝子スパイ事件のようなトラブルの防止がねらいだが、同省では組織を超えた試料のやりとりに関する簡便な手続き方法も検討する。」【金田健】
[2002-05-10-20:00]

 

◆2002/05/22 知的財産基本法を制定、戦略会議が大綱骨子
 読売新聞ニュース速報
 http://www.yomiuri.co.jp/

 政府は22日、小泉首相や関係閣僚、民間の有識者らで構成する知的財産戦略会議(座長=阿部博之・東北大総長)を開き、特許などの知的財産を活用して日本の産業競争力を高めるための基本方針である「知的財産戦略大綱」の骨子をまとめた。骨子は、知的財産基本法を定め、同法に基づいて具体的な知財戦略を統括する新組織「知的財産戦略本部」を設置することを盛り込んだ。政府は秋の臨時国会にも知財基本法の法案を提出する方針だ。
 大綱の骨子は、発明や著作などを知的財産として適切に保護し活用する「知的財産立国」を目指すことを表明し、そのために「法律や諸制度、官民の慣行をゼロから見直す」とした。
 具体的な対策としては、特許審査の迅速化のほか、企業が特許化せずに社外秘としている技術など営業秘密の保護強化や、中国などで活発な日本製品の模倣品対策の強化など多岐にわたる項目を挙げた。また、企業が保有する知的財産について適切に公開するために、知的財産会計や知的財産報告書の導入を提案している。知的財産戦略会議は7月に正式な大綱をまとめる予定だ。
[2002-05-22-22:39]

◇2002/05/22 知的財産戦略会議が大綱の骨子
 読売新聞ニュース速報
 http://www.yomiuri.co.jp/

 政府は22日、小泉首相や関係閣僚と民間の有識者らで構成する知的財産戦略会議を開き、特許などの知的財産を活用して日本の産業競争力を高めるための知的財産戦略大綱の骨子をまとめました。 骨子は知的財産基本法の制定、知的財産戦略本部の設置を盛り込んでいます。
[2002-05-22-21:00]

◇2002/05/22 <知的財産>基本法制定、03年までに 戦略会議が大綱骨子
 毎日新聞ニュース速報
 http://www.mainichi.co.jp/

 「政府の知的財産戦略会議(座長・阿部博之東北大総長)は22日、特許や著作権など知的財産の保護・活用に関する「知的財産戦略大綱(仮称)」の骨子案をまとめた。知的財産立国を目指す日本の国家戦略の基本になる「知的財産基本法(同)」を遅くとも03年の通常国会までに制定することを柱とし、05年度までに各省庁が横断的に知的財産の創造、保護、活用、人材育成の4大テーマに集中的に取り組むことを盛り込んだ。
 基本法では、知的財産立国を目指す国家目標(基本方針)を確立し、首相を本部長とする戦略本部を設置することを明記する。同法に基づき、政府は政策課題ごとに05年度までの推進計画を策定する。
 骨子案では、創造戦略として大学・企業などでの特許取得支援や創造性を育む教育の充実を進めることを提唱。保護戦略では特許の迅速な審査▽著作権保護の適正化▽営業秘密の保護強化▽知的財産関連訴訟を担当する裁判所の集中化ーーなどについて法令整備を進めることを求めた。人材育成では弁護士や弁理士など知的財産の権利化や紛争処理に携わる専門人材の大量育成の必要性を訴えた。
 同戦略会議は6月に大綱案を正式に固め、7月に正式決定する予定。」【三島健二】
[2002-05-22-21:55]

◇2002/05/22 知的財産基本法制定を提言=戦略本部設置も−政府会議
 時事通信ニュース速報

 政府の知的財産戦略会議(座長・阿部博之東北大総長)は22日、第3回会合を開き、発明や特許などの知的財産の創出や保護を進めるための「知的財産基本法」を、遅くとも来年の通常国会で制定するよう提言することを決めた。7月に策定する知的財産戦略大綱に盛り込む。
 同日取りまとめた大綱骨子によると、「基本法」では、知的財産を基に製品・サービスの高付加価値化を進める国家目標を掲げ、それを実行する「戦略本部」の設置を定める方針。大綱ではこのほか、人的基盤の充実や知的財産の活用など、4つの戦略を2005年までに集中的、計画的に実施する方針も打ち出す。
 大綱はまた、大学や研究機関での創造活動を支援することや、営業秘密の不正取得防止のための罰則導入、特許申請に対する迅速・的確な審査体制の整備なども求めている。同会議は6月14日の次回会合で大綱案を詰める。
[時事通信社]
[2002-05-22-21:01]

◇2002/05/22 知的財産基本法案、今秋にも提出へ 政府戦略会議
 朝日新聞ニュース速報

 政府の知的財産戦略会議は22日、7月にまとめる知的財産戦略大綱に、知的財産の保護や活用の総合戦略を定める知的財産基本法の制定を盛り込むことを決めた。早ければ今秋の臨時国会に法案を提出する。
 基本法では国家の基本方針として、知的財産の保護と活用を通じて新たな知的財産を生み出す「知的創造サイクル」により経済・社会の発展をめざすとした。内閣に知的財産戦略本部を設置することで、縦割り行政を乗り越えて政府が一体となって行動計画に取り組む。
 さらに大学での知的財産創出や迅速な特許審査・審判、海外での保護強化など知的財産にかかわる制度を改革する計画をつくり、05年度までに集中的に実行するとした。
[2002-05-22-20:42]

◇2002/05/22 知的財産基本法を制定へ 戦略会議が合意
 共同通信ニュース速報

 政府が二十二日開いた三回目となる知的財産戦略会議(座長・阿部博之東北大総長)は、将来の知的財産立国を実現するための国家戦略の道筋を示す「知的財産基本法」(仮称)制定に向け、具体的な議論を進めることで合意した。
 特許権など知的財産を日本経済活性化のけん引車役として活用するのが狙いで、早ければ年内にも国会に提出、遅くとも来年の通常国会までの成立を目指す。
 省庁横断的に実際の施策を主導する戦略本部を設置することも決めた。
 基本法はいわば知的財産の憲法と言うべき存在で、実際の関連法改正や制度の整備などは戦略本部がコントロールすることになる。
 戦略会議は七月までに政策の細部を詰めて大綱をまとめる予定。この日、その柱となる骨子案を提示した。大綱に沿って基本法を策定する。
 骨子案は知的財産戦略について@産官学の連携強化や人材育成による創造体制の構築A特許紛争処理の迅速化や産業スパイ対策など保護対策B知的財産権を評価、資金調達に役立てるなどの活用策C法科大学院への知的財産ロースクールの設置や専門家育成など幅広
い人的基盤の充実策―を進めることを提言した。
 これをたたき台に、七月初めまでに大綱をまとめる。(了)
[2002-05-22-20:19]

 

◆2002/06/10 [技術革新]「大きな飛躍へ大学は先頭に立て」
 『読売新聞』2002-06-10社説(1)
 http://www.yomiuri.co.jp/

 「困った時の大学頼み。何でも問題が持ち込まれ、叱咤(しった)される」。そん
な声を最近、大学関係者から聞くことが多い。
 社会の期待がそれだけ大きいことの反映だ。今こそ大学は、変身し、飛躍する好機
といえる。
 文部科学省がまとめた今年の科学技術白書は、特集で「イノベーション」(技術革
新)を取り上げ、大学の役割の大きさを指摘している。
 日本がかつて高度経済成長を謳歌(おうか)した時代、造船や家電製品、半導体製
造などの分野で強い国際競争力を発揮した。
 これらの分野で行われた技術革新の内容は、製造工程の改良や革新が中心で、いず
れ他国に追われる運命にあった。
 だが、技術革新といっても多様だ。航空機やコンピューターの登場のように文明自
体を変えるような大きな革新や、遺伝子組み換え技術に始まるバイオテクノロジーの
ように、影響力が大きくより根源的な革新もある。
 前者を「改良型」の革新とすれば、後者は「原理型」の革新とも呼べる。
 改良型では開発研究に熱心な企業が独力で競争に勝てたが、原理型革新は独創的な
基礎研究なしには達成できない。大学の「知」が期待されるゆえんだ。
 原理型革新こそが、世界的な大競争時代を勝ち抜く国力の源泉であることを意識し
た先進諸国は、産学官連携の充実と知的財産権の強化を車の両輪に、大学などの活性
化を図っている。
 日本の現状はどうか。白書は、研究者数や投下資金はかなりの水準にあるが、重要
論文や基本的特許の比率で米国などに劣ると分析している。知の生産性向上が、課題
ということだ。
 折から国内で、様々な動きが同時並行で進んでいる。政府の総合科学技術会議や文
科省などが産学官連携の強化方策を次々と打ち出し、知的財産権の国家戦略策定も大
詰めを迎えている。
 これらの重要性はかねて指摘されながら、日本では大学の硬直性、閉鎖性が阻害要
因のひとつになっていた。
 国の研究予算の最大の投入先である国立大学が、二〇〇四年度の独立法人化に向け
て準備の最終段階に入っている。
 各大学の裁量権が大幅に拡大され、運営方針も自ら決められる。優秀な人材を高額
で採用することも可能になり、民間などからの資金獲得も努力次第だ。
 環境は整いつつある。大学にとって技術革新の主役となり、社会貢献を果たす絶好
の機会だ。
 こうした時代の潮流に鈍感では、大学の盛衰にもかかわることを、大学の研究者は
改めて自覚すべきだ。
[2002-06-10-08:39]

 

◆2002/06/13 論文発表前に特許の確認を=大学・研究機関に提言−総合科技会議
 時事通信ニュース速報

 総合科学技術会議(議長・小泉純一郎首相)の知的財産戦略専門調査会(会長・井村
裕夫元京大学長)は13日、科学技術振興の立場から大学や公的研究機関における知的
財産活用の体制整備などを求める提言を取りまとめた。14日に開かれる政府の知的財
産戦略会議(座長・阿部博之東北大学長)に提出し、同会議が示す知的財産戦略大綱に
反映させる。
 それによると、大学や公的研究機関で研究成果の権利化と活用を積極的に進めるため
、(1)研究者の評価指標に、論文だけでなく、特許の取得状況も加える(2)研究者は論文
の発表前に特許の有無を調べ、新規性があれば迅速に特許出願できるようにする−こと
を提言。特許を個人の帰属から機関に帰属させて、国内外での特許出願費用は政府が組
織を通じて手当てし、個人負担させない支援策を提案した。 
[時事通信社]
[2002-06-13-18:29]

 

◆2002/06/14 「知財立国」へ改革推進 政府の戦略大綱まとまる
 共同通信ニュース速報

 政府は十四日、知的財産戦略会議(座長・阿部博之東北大総長)を開き、特許権など知的財産の保護、強化を通じ競争力の回復を目指す総合政策「知的財産戦略大綱」をまとめる。
 戦略会議は二○○三年の通常国会までに、「知財立国」に向けた国家戦略の道筋を示す知的財産基本法を制定することで合意。これまで各省庁がばらばらに取り組んできた体制を改め、省庁横断的に改革を主導する戦略本部を設置し、○五年度までに集中的に制度を見直す。
 大綱は、知的財産の創造と保護、活用、人材育成の四本柱で、○五年度までに実施に移す五十の施策を盛り込んだ。
 具体的には、これまで論文に偏っていた大学などの研究者の評価に取得した特許権を活用するほか、主要大学に知財本部を設置。産業スパイに刑事罰の導入を検討するなど、企業秘密の流出防止策も講じる。
 コピー商品の取り締まり強化を各国に要請。特許審査などの迅速化に向けて審査官を拡充、裁判を東京と大阪に集中させる。また、日米の特許相互承認に向けた検討も開始。法科大学院に知財関連科目を設置し、法律、技術双方に精通した人材育成も図る。
 戦略会議は小泉純一郎首相の発案で三月に発足。関係閣僚や研究者らをメンバーに検討を進めてきた。(了)
[2002-06-14-15:29]

◆2002/06/14 知的財産戦略大綱を決定へ
 NHKニュース速報

 政府の知的財産戦略会議は、特許や著作権などの知的財産を経済や社会の活性化に活かすため、大学と企業が協力して研究開発を進めることや、海外に出回っている日本製品の模倣品対策を強化することなどを柱とした「戦略大綱」を、きょう決定します。
 政府の知的財産戦略会議は、特許や著作権などの知的財産の保護と活用が日本の産業競争力を再生するカギになるとして、今年二月に、小泉総理大臣や関係閣僚、有識者が参加して発足したもので、きょうの会合で、およそ百項目にわたる「戦略大綱」を決定します。
 大綱には、全国で数十の大学を指定して企業との間で研究者の交流を図り、協力して研究開発を進めることや、特許や著作権の知識を小中学校の段階からわかりやすく教えること、海外に出回っている日本製品の模倣品対策のため、関係国への働きかけを強めることなどが、盛り込まれています。
 政府は、この大綱をもとにした「知的財産基本法案」を来年の通常国会に提出できるよう作業を急ぐ方針です。
[2002-06-14-10:52]

◆2002/06/14 「知的財産戦略大綱」で素案、“特許裁判所”設立盛る
 読売新聞ニュース速報

 政府の知的財産戦略会議(座長=阿部博之・東北大総長)は14日、今後の知的財産戦略の方向性や具体的な施策を示す「知的財産戦略大綱」の素案をまとめた。特許侵害裁判などを迅速化するため、知財関連訴訟の控訴審は、専門裁判官の多い東京高等裁判所に集中させて事実上の特許裁判所とすることなど、50以上の具体的な戦略を、実施の時期と責任省とを明記して盛り込んだ。
 特許侵害など訴訟処理の迅速化では、すでに司法制度改革で方針が決まっている東京・大阪両地方裁判所への訴訟の集中と合わせて、高裁レベルでも東京高等裁判所に集中させることを2004年末までに検討し、必要な措置をとるとしている。
 また全国の主要な国公私立大学に2003年度から知財の創造や活用を支援するための組織として「知的財産本部」を整備することや、企業が秘密にしている生産技術などの漏えいに対して刑事罰を適用するために2003年の通常国会に不正競争防止法の改正案を提出することも明記した。
 これらの具体的戦略を確実に推進するために、来年の通常国会に知的財産基本法案を提出し、成立後には同法に基づいて内閣官房に知的財産戦略本部を設置し、知的財産戦略計画を策定する方針も決めた。
[2002-06-14-23:07]

◆2002/06/14 20:47 主要大学に知的財産本部=戦略会議が大綱案
 時事通信ニュース速報

 政府の知的財産戦略会議(座長・阿部博之東北大学学長)は14日、特許や著作権など知的財産を経済活性化に生かすため、国家的な取り組みを図る知的財産戦略大綱案をまとめた。知的財産に関する政策が総合的に打ち出されるのは初めてで、全国十数カ所の主要大学に「知的財産本部」の設置を目指す。7月3日の次回会合で正式決定する。
 大綱案では、知的財産の創造、保護、活用、人材育成を4つの柱とし、2005年までに取り組むべき55の政策を掲げた。実現に向けて知的財産基本法の03年までの成立を図る。 
[時事通信社]
[2002-06-14-20:47]

◆2002/06/14 <知的財産大綱>創造の柱に大学 産業スパイ対策強化も
 毎日新聞ニュース速報
 http://www.mainichi.co.jp/

 「政府の知的財産戦会議は14日、特許や著作権など知的財産の保護・活用に関する知的財産戦略大綱の素案を発表した。知的財産立国を目指す国の基本戦略で、知的財産の創造、保護、活用、人材育成の4テーマのもとに、05年度までに政府が集中的に取り組む52項目の政策を掲げている。
 知的財産創造の取り組みの柱として、大学を位置づけた。全国数十の主要大学に「知的財産本部」を設け特許など知的財産の発掘・権利化を一元的に推進する。実績をあげた研究者に研究費用を優先配分したり、国からの委託研究で得た知的財産が、大学に帰属できるようにする。
 保護策では不正競争防止法を改正して企業秘密の漏えいに刑事罰を設け、産業スパイ対策を強化する。特許審査では、先行技術調査の外部発注や審査補助職員の活用で06年以降に「世界最高レベルの迅速・的確な審査が行われる」体制確立を目指す。模倣品・海賊版対策では、模倣品などが日本市場へ流入しないよう、税関での取り締り体制強化を図る。
 活用策ではインターネット上での著作権契約システムを整備し、音楽やゲームソフトなどの流通促進を図る。人材育成では04年開設の法科大学院で知的財産訴訟に強い専門弁護士を育成する。また知的財産の権利化に携わる専門家を育成するため、「専門職大学院(仮称)」設置を検討する。」【三島健二】
[2002-06-14-20:25]

◆2002/06/14 15:35 出遅れた日本の知的政策 米の技術輸出額は3・7倍
 共同通信ニュース速報

 知的財産権の保護、強化に向けた政府の戦略大綱が十四日、まとまった。日本の知的財産政策は米国より二十年遅れているとされるが、中国製品の追い上げを受ける日本が競争力を維持するための武器となり得るだけに、巻き返しに向けてようやくスタートラインに立ったと言える。
 米政府は一九七○年代末、日本製の自動車などの輸出攻勢で製造業が打撃を受けた際に国を挙げて知的財産対策を本格化。八○年には特許法を改正し、政府の資金援助で得られた特許権の成果を開発者に帰属させる「バイ・ドール法」を制定するなど企業や研究所などの技術開発を後押しする制度を強化した。
 このため、日本で同法に準じる制度ができた九九年には、米国の大学の特許出願件数は日本の大学の十三倍余り、五千百七十九件を記録。米国の二○○○年の年間技術輸出額も日本の約三・七倍、三百八十億ドルに達している。
 元特許庁長官で知的財産戦略会議のメンバーの荒井寿光氏は「知的財産に関する日米格差は深刻」とした上で、「大綱に盛り込まれた施策を実施すれば、十年後に世界最先端の知的財産国家に変身することも可能だ」としている。
(了)
[2002-06-14-15:35]

 

◆2002/06/17 バイオ戦略会議 発足へ
 NHKニュース速報

 政府は、バイオテクノロジー分野での国際競争力の強化が日本経済の活性化につながるとして、来月上旬にも、関係閣僚や有識者でつくる「バイオテクノロジー戦略会議」を発足させることになりました。
 研究開発が目覚ましいバイオテクノロジーは、医療や農業、環境などの幅広い分野で技術革新につながるものとして期待されていますが、所管する省庁が複数にまたがっているため、連携した取り組みが課題になっています。
 このため政府は小泉総理大臣の私的な懇談会の形で、来月上旬にも「バイオテクノロジー戦略会議」を、発足させることになりました。
 会議のメンバーには、尾身科学技術担当大臣や平沼経済産業大臣ら関係閣僚のほか、産業界の代表や学識経験者を起用する方向で人選が進められています。
 そして、研究開発の基盤整備や人材の育成のほか、新薬の臨床試験など医薬品の審査期間の短縮、バイオテクノロジー技術の農業や環境対策への応用について具体的な検討を進め、年内に基本方針をまとめたいとしています。
[2002-06-17-11:02]

 

◆2002/06/19 19:46 <来年度予算配分>技術革新で経済活性化を 総合科学技術会
 毎日新聞ニュース速報
 http://www.mainichi.co.jp/

 「国の総合科学技術会議(議長、小泉純一郎首相)は19日、来年度の科学技術関連予算の配分方針を決めた。今年度に引き続き、生命科学と情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料の四つを重点分野とし、産業競争力強化や雇用の創出など経済活性化につながる研究開発プロジェクトを推進する。
 このプロジェクトでは、比較的短期間で実用化が期待される研究テーマや、次世代の産業基盤となる基礎研究などを選定し、重点的に投資する。また、高性能の燃料電池など地球温暖化対策に寄与する先端技術開発を支援する検討会を、7月にも発足させることを決めた。」【金田健】
[2002-06-19-19:46]

 

◆2002/06/25 途上国に第三国経由の調達権=米、WTO薬品特許問題で新提案
 時事通信社

 【ワシントン24日時事】米通商代表部(USTR)は24日、薬品特許問題に関す
る開発途上国向けの新たな例外規定案を25日に開かれる世界貿易機関(WTO)の貿
易関連知的所有権(TRIPS)理事会に提出すると発表した。薬品の生産能力のない
途上国が、製薬会社のある他の途上国からエイズ治療薬などを安価に調達する権利を認
めるのが柱。 
[時事通信社]
[2002-06-25-09:16]

◆2002/06/25 途上国に特許の例外承認 医薬品問題で米が新提案
 共同通信ニュース速報

 【ワシントン24日共同】米通商代表部(USTR)は二十四日
、エイズなどの感染症に対する医薬品を、貧しい発展途上国が容易
に入手できるようにするための特許規定の例外提案を発表した。二
十五日、ジュネーブでの世界貿易機関(WTO)の貿易関連知的所
有権(TRIPS)の理事会会合に提出する。
 米提案は、アフリカ諸国のように、国内に医薬品生産設備がない
国が、エイズやマラリア対策などを進める場合には、その国の政府
にTRIPS協定の例外規定である「強制実施権」の行使を承認。
生産能力のある途上国に生産を委託することも認めることで、膨大
な特許料を支払わずに、薬が入手できるようにする。
 一方で、この安価な医薬品が、他国に再輸出されないよう制度を
設ける。
 アフリカ諸国などは、エイズなどの薬を入手するために膨大な特
許料を払わなければならず、事実上薬が入手できないことが問題と
され、知的所有権の規定にどのような例外措置を設けるかが、議論
になっている。
(了)
[2002-06-25-12:07]

 

◆2002/07/03 22:39 新技術創出など50項目、知的財産戦略大綱を決定
 読売新聞ニュース速報

 政府の知的財産戦略会議(座長=阿部博之・東北大総長)は3日、知的財産を使った産業活性化の具体的な施策を盛り込んだ「知的財産戦略大綱」を小泉首相に提出した。大綱は知的財産基本法の制定を盛り込んでおり、これを受け、政府は基本法を策定するための準備室を5日に内閣官房に設置、今秋の臨時国会にも法案を提出する。 3日、まとまった大綱には、大学などからの新技術の創出促進、特許侵害訴訟の迅速化、摸倣品などへの対策など、50項目の知的財産の保護策や活用策が盛り込まれた。政府は、知財基本法の成立後に知的財産戦略本部を内閣官房に設置、大綱に盛り込んだ施策を実施するための総合的な調整を担当させる。
 一方、3日の戦略会議では、米ハーバード大学医学部から新薬開発に関する遺伝子を盗み出したとして日本人研究者が産業スパイの疑いで逮捕されたことに関連して、遠山文部科学相が「大学の研究成果を不当に流出させないように、不正競争防止法の強化をお願いしたい」と述べ、不正競争防止法を改正し、産業スパイに対する刑事罰の導入などを急ぐよう求めた。
[2002-07-03-22:39]

◆2002/07/03 21:11 <知的財産大綱>日本は米に20年遅れ 発明者への報酬も不
 毎日新聞ニュース速報
 http://www.mainichi.co.jp/

 「日本の知的財産政策は、米国に約20年遅れていると言われる。米国では80年、政府の委託で開発された研究成果を大学や民間企業などの開発者に帰属させる「バイ・ドール制度」が成立し、大学の特許取得を後押しした。しかし日本では同様の制度が始まったのが99年と20年近く遅れたこともあり、大学の特許出願件数(99年)は米国の5179件に対し、日本はわずか374件にとどまっている。
 発明者への報酬制度も日本は不十分で、青色発光ダイオードを発明した中村修二氏(カリフォルニア大サンタバーバラ校教授)のような人材流出につながっている。
 日本では今年4月、海外での日本製品の模倣品被害が顕著となったことを受け、対策に業界横断的に取り組む「国際知的財産保護フォーラム」が結成されたが、米国で企業の反模倣品団体が設立されたのは78年。英国やフランスでも同様の団体が設立されている。」
[2002-07-03-21:11]

◆2002/07/03 18:46 <知的財産大綱>官民挙げた決意表明 「知財後進国」脱却な
 毎日新聞ニュース速報
 http://www.mainichi.co.jp/

 「政府が3日正式決定した「知的財産戦略大綱」は、知的財産権の保護や創造の舞台として、今日の日本が「後進国」という現実を浮き彫りにしている。大綱はこの現状から抜け出し、「知的財産立国」を目指す官民挙げた決意表明だが、短期間でかき集めた行動計画には生煮えや、骨抜きが懸念される項目も含まれ、経済活性化につながるかどうかは、政府の実行力次第と言えそうだ。 【三島健二、上田宏明】
 政府が知的財産に着目したのは、戦後日本の経済成長の原動力だった加工組立型の産業構造が、アジア諸国などの追い上げで優位性が薄れたため。知的財産重視の政策で成功した経済活性化に成功した米国にならい、知的財産をもとに製品やサービスの高付加価値化を進めようとしている。
 知的財産戦略会議は小泉純一郎首相が主宰する官民横断的な組織として今年3月に発足し、わずか3カ月余りの議論で、100を超す行動計画を打ち出した。その異例のスピードは、知的財産の保護や活用で欧米、特に米国に取り残された現状への官民共通の強い危機感が反映されている。
 ただ、その分大綱に盛り込まれた行動計画には調整不足が否めない項目が目立つ。例えば特許侵害品の輸入差し止めでは経済産業省が財務省と連携し、新法制定も視野に有効な水際措置を取る方針だが、法務省は乗り気ではなく、制度の具体化は不透明だ。特許流通市場の整備のため経産省は特許の証券化・信託設定の解禁を求めたが、金融庁は難色を示し、行動計画では抽象的になった。
 個々の行動計画を実効的に運用するためには、関係各省の温度差や利害対立を超えて戦略を推進する政治のリーダーシップが不可欠になる。」
[2002-07-03-18:46]

◆2002/07/03 18:31 <知的財産>「戦略大綱」を正式決定 保護、活用を強化へ
 毎日新聞ニュース速報
 http://www.mainichi.co.jp/

 「政府の知的財産戦略会議は3日、特許や著作権など知的財産の保護と活用を強化し、経済活性化の起爆剤とすることを目指す「知的財産戦略大綱」を正式決定した。知的財産の創造、保護、活用、人材育成の各テーマのもと05年度までに政府が集中的に取り組む100項目以上の行動計画を掲げ、担当省庁と実現時期を明記している。
 大綱では、立ち遅れが目立った知的財産の保護策の充実・強化策に特に力点を置いた。新法制定も視野に日本製品の海外海賊版・模倣品の輸入を差し止める措置を04年度までに講ずるほか、「産業スパイ」対策として不正競争防止法に刑事罰を導入する改正案を03年の通常国会に提出する。
 また知的財産紛争を迅速に処理するため、特許訴訟の控訴審を東京高裁に集中することで事実上の「特許裁判所」とすることも視野に、04年度末までに高裁の専門的処理体制の強化に取り組む。
 知的財産創造の取り組みでは、欧米に比べ創造的な研究開発で立ち遅れた大学・研究機関の運営にメスを入れ、02年度中に研究者の業績評価に特許取得の状況を指標として活用することや、業績に応じて研究費を優先配分する仕組みを導入することを盛り込んだ。
 これらの施策を着実に実施するため、政府は内閣に「知的財産戦略本部(仮称)」を設置することを骨子とした知的財産基本法案を年内にも国会に提出する。今月から準備室を発足させて法案作成に着手し、03年春の戦略本部設置を目指す。 【三島健二】
 知的財産 特許や商標、実用新案、意匠(デザイン)、著作権、営業秘密、製造ノウハウなどの無形資産の総称。物を対象とする所有権の概念と異なり、知的財産関連の法律は無形の情報を対象とすることから、政府は従来法令などで使っていた「知的所有権」という用語も、今年度中をめどに「知的財産」「知的財産権」に変更する方針。

  知的財産戦略大綱の概要

●行動計画●

<創造の推進>
・特許取得状況を勘案した研究者の評価指針策定
・創造の業績に応じた研究費配分

<保護の強化>
・特許審査・審判の迅速化
・実質的な「特許裁判所」機能の創出
・海外での海賊版対策の強化
・輸入海賊版の輸入差し止め策強化
・営業秘密の保護強化

<活用の促進>
・特許の流動化策の検討

<人材の育成>
・権利化に携わる専門職の組織的育成」
[2002-07-03-18:31]

◆2002/07/03 20:23 知財戦略大綱を決定=05年までに55の政策を具体化−政府
 時事通信ニュース速報

 「政府の知的財産戦略会議(座長・阿部博之東北大学学長)は3日、特許や著作権など知的財産を経済活性化に生かすため、総合的な政策をまとめた「知的財産戦略大綱」を決定し、小泉純一郎首相に提出した。大学の特許管理や模倣品対策の強化、特許審査の迅速化など2005年までに取り組むべき55の政策項目を示しており、関係省庁が具体化作業を進める。」
[時事通信社]
[2002-07-03-20:23]

◆2002/07/03 20:08 「知的武装」で競争力強化 20年遅れで国家戦略始動
 共同通信ニュース速報

 政府は三日、知的財産戦略大綱を決定し、地盤沈下が指摘されている日本の産業競争力を「知的武装」で、復活させる国家戦略をスタートさせた。
 安い労働力を背景に、世界の市場を席巻し始めた中国などアジア諸国。そうした「アジア製」の製品には、日本製品の模倣品も多く「このままでは日本の産業は沈没してしまう」との危機感が新政策を後押しした。しかし米国では知的財産政策に一九八○年代から積極的に取り組んできた。二十年遅れの日本が、知的財産をバネに産業再生を果たせるかは未知数だ。
 知的財産権の侵害に対し、産業界はいら立ちを強めている。経済産業省と日本自動車工業会など五十六の業界団体が四月、中国などで出回る日本製品の模倣品への対策を協議する官民合同の「国際知的財産保護フォーラム」を創設。日本経済団体連合会も六月に「国際競争に打ち勝つには、知的財産権を最大限に活用していくことが不可欠」との提言をまとめた。
 デフレ経済下での業績不振。追い打ちをかける中国などからの安値攻勢。日本産業の悲鳴が背景にある。
 しかし、日本では知的財産を経済の活力に結び付けるインフラが未整備だった。平均の特許審査期間(二○○一年)は、米国の約十四カ月に対し日本では約二十二カ月。大学の特許出願件数は米国が日本の十倍以上。この事態を打開するために決定された大綱は、特許審査・紛争の処理を迅速化し、全国の主要大学に「知的財産本部」を設けるなど総合的な施策を盛り込み、実施時期も明記した。
 既に走りだしている日本企業もある。約六万八千件もの特許を持つNECは、○二年三月期の特許料収入が数百億円に達した模様。四月には「知的資産事業本部」を設置、専門家を集めて特許ビジネスの一層の拡大を狙う。「大綱の一日も早い実現を」(大手電機メーカー)との声が産業界から沸き上がっている。
(了)
[2002-07-03-20:08]

◆2002/07/03 19:52 来年までに基本法制定 知的財産保護へ国家戦略 5日に準備
 共同通信ニュース速報

 政府は三日、知的財産戦略会議(座長・阿部博之東北大学長)を開き、特許や著作権など知的財産を活用して日本の産業競争力の回復を目指す総合政策「知的財産戦略大綱」をとりまとめ、小泉純一郎首相に提出した。
 大綱は、知的財産立国に向けた国家戦略の基本となる「知的財産基本法案(仮称)」を二○○三年の通常国会までに制定することを明記。小泉首相は「(大綱は)経済活性化戦略の柱の一つ。五日に知的財産基本法準備室を設置し、実現に向けスタートを切る」と述べ、大綱の内容を早期に具体化していくよう指示した。政府は早ければ秋の臨時国会に基本法案を提出する方針だ。
 中国などアジア諸国の産業が急成長し、国内産業の競争力低下が懸念される中で、日本の知的財産政策が米国より二十年遅れでようやく始動した。
 大綱は、知的財産の創造、保護、活用、人材育成を四本柱とし、○五年度までをめどに集中的に取り組む五十五の施策を示した。政府は知的財産の保護・活用に取り組むための省庁横断的な「知的財産戦略本部(仮称)」を創設し、政策課題ごとに実行計画を策定していく。
 具体的には、特許訴訟の審理を迅速化するため東京、大阪両地裁に「特許裁判所」的な機能を持たせることや、産業スパイに対する刑事罰の導入の検討、コピー商品に関する外交交渉を活発化させることなどを列挙した。
 戦略会議は小泉純一郎首相の発案で三月に発足。関係閣僚や学者らをメンバーに検討を進めてきた。今後も二カ月に一回程度会合を開き、実行状況を点検していく。
(了)
[2002-07-03-19:52]

 

◆2002/07/05 社説(2)[知的財産戦略]「スピードこそ取り組みのカギだ」
 『読売新聞』
 http://www.yomiuri.co.jp/

 「知的財産立国」を確かなものとするために、何が必要か。その処方せんを検討していた政府の知的財産戦略会議が、戦略大綱をまとめた。
 大きな柱として、基本法の制定を求めているほか、知的財産の保護など改善を迫られていた諸課題に、解決の道筋を示している。
 日本の知的財産政策は、米国に二十年は遅れているといわれる。その遅れを取り戻す一歩である。
 とくに、大綱具体化のために設けられる戦略本部の役割は大きい。関係省庁の垣根を超えた協力が欠かせず、内閣の指導力と実行力が何より問われる。
 日本の立ち遅れを象徴する出来事が、最近、頻発している。発光ダイオードを巡って、発明した企業研究者に正当な報酬が与えられず、訴訟が起きた。米国では、日本人研究者が産業スパイ法違反で相次いで摘発されている。
 日本製品の模倣品や海賊版が、中国などで横行していながら、有効な防止策が取られていない。
 大綱が、現行の特許法の職務発明規定の見直しや、産業スパイ行為禁止のための不正競争防止法改正などを主張しているのは、当然のことといえる。
 裁判機能の強化や、特許庁の特許審判制度と裁判所の特許侵害訴訟の二重構造がもたらす審理の長期化問題など、司法制度の改革を必要とする課題も多い。
 戦略の集中実施期間とされる三年間で諸課題を確実に処理する必要がある。各省庁が、それぞれの懸案にばらばらに取り組むという、従来ありがちだった手法は、今や時代錯誤だ。連携とスピード感こそ、求められている。
 独創的な知的成果をいかに多く生み出すか。生み出した成果をいかに活用するかの戦略も、また重要だ。
 大学の研究活動の活性化や企業との連携強化を、強力に推進する必要がある。ところが大学には、いまだに産業界との結びつきを嫌う気風が残っている。
 知的財産に対する認識の薄い企業トップが多いのも問題だ。重要な特許を保有する企業が評価される仕組みや、特許の流通市場を活性化する方策が必要だ。
 様々な施策が実を結び、定着するためには、長い視野に立った教育や国民の理解も欠かせない。
 秋に向けて、基本法案の策定作業が本格化するが、こうした視点も忘れるべきではない。
 独創性があまり尊重されず、横並び意識の強いことが日本社会の特質だった。知的財産立国への取り組みが進めば、その“構造改革”にもつながる。
[2002-07-04-22:12]

 

◆2002/07/05 18:41 <BT戦略会議>バイオテクノロジー実用化などを目的に設置
 毎日新聞ニュース速報
 http://www.mainichi.co.jp/

 「政府は5日、バイオテクノロジー(BT)を実用、産業化し、国民生活の向上と産業競争力の強化を図ることを目的とした「BT戦略会議」を設置することを決めた。今月18日に初会合を開き、年内にもBTに関する政府の基本戦略をまとめる。
 同会議は、民間を含む12人の有識者と小泉純一郎首相、官房長官、科学技術担当、文部科学、厚生労働、農林水産、経済産業、環境の7閣僚がメンバーで、座長には岸本忠三大阪大総長が務める。
 主要テーマは、ヒトゲノム(全遺伝情報)の解読データの利用を図る「ポストゲノム」の研究方針の策定や、クローン問題で派生する倫理問題など。」
[2002-07-05-18:41]

 

◆2002/07/01 「世界トップレベルの研究者の養成を目指して――科学技術・学術審議会人材委員会第一次提言(概要)」
 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu10/toushin/020701.pdf

世界トップレベルの研究者の養成を目指して
−科学技術・学術審議会人材委員会第一次提言(概要)−

これからの我が国にとって、世界トップレベルの優れた研究
者の養成は極めて重要な課題。関係者が人材養成の方向性を共
有し、研究者養成に取り組むことが重要。

トップレベルの研究者に求められる能力

○ 予測が困難な最先端分野の研究
○ 異分野融合によるブレイクスルー
 ↓
○ 多様な人材の確保
○ 研究の視野の広さ、柔軟性
       ↓
幅広い知識を基盤とした高い専門性(真の専門性)

研究者養成の現状と課題
○ 博士課程の教育機能が不十分
・専門分野の幅の狭さ
・国際性、エリート養成の不足

○ 大学院組織における同質性

○ 博士学生が研究に専念できない
・経済的支援が不十分

○ 博士、ポスドクの進路の問題
・企業への就職が少ない
・ポスドク経験の評価が不十分

世界トップレベルの研究者を養成するための改革方策

博士課程における教育機能の強化

○ 教育的視点の強化、カリキュラムの改革、自立性の養成
○ 大学院の研究者養成機能強化のための支援
○ 博士学生の海外派遣の支援改革の方向性具体的改革方策

大学院における研究人材の多様性の確保
○ 教員採用における配慮
・自校出身者比率の低減
・ポスドクからの採用の増

博士課程学生に対する経済支援の充実
○ 各種の支援制度のバランスある整備
○ リサーチアシスタントの充実

人材養成面における産業界との連携
○ 産業界のニーズの反映
・博士学生のインターンシップ
○ 人材養成における産学官連携
の場の設置

 
 

◆2002/07/18 バイオ戦略年内取りまとめへ
 NHKニュース速報

 政府は、きょう小泉総理大臣の私的懇談会として設置する「バイオテクノロジー戦略会議」の初会合を開き、人間や生物の遺伝子情報を活かした技術など、バイオテクノロジー分野での研究開発の強化や、研究成果を産業化につなげるための基本方針を年内に取りまとめることにしています。
 「バイオテクノロジー戦略会議」は、小泉総理大臣の私的懇談会として設置されるもので、大阪大学の岸本忠三(キシモトタダミツ)学長を座長に、学識経験者や産業界の代表ら十二人の委員が、きょう、総理大臣官邸で初会合を開きます。
 政府は、バイオテクノロジーが、医療や農業、環境などの幅広い分野で技術革新につながるものだとして、日本の企業の競争力の強化や新規産業の育成のためには、各省庁の枠を超えた積極的な取り組みが必要だとしています。
 このため、「戦略会議」では、研究開発の強化や研究成果を産業化につなげるための具体的な行動計画を盛り込んだ基本方針を年内に取りまとめることにしています。
[2002-07-18-10:48]

◆2002/07/18 12月にバイオ大綱を策定 戦略会議が初会合
 共同通信ニュース速報

 生命科学分野の最先端の研究成果を、医療や創薬に活用するための国家戦略を検討する「バイオテクノロジー(BT)戦略会議」(座長・岸本忠三大阪大学長)の初会合が十八日、首相官邸で開かれた。
 小泉純一郎首相が主催する形で月一回程度開催。十二月上旬をめどに、遺伝子情報に基づくゲノム創薬の推進など、各省が取り組むべき政策課題や目標年次などを盛り込んだ「BT戦略大綱」を策定する。
 小泉首相は「目覚ましい発展を遂げているバイオテクノロジーの成果を活用し、世界最高水準の健康社会の実現や、企業の競争力強化を進めたい」と意欲を示した。
 この日の会議では、総合科学技術会議の井村裕夫議員や、藤沢薬品工業の藤山朗会長らが、日本の医薬産業の現状を報告。新たな治療法の臨床研究を行うための環境の不備や、人材不足などの問題点を指摘した。
 また協和発酵工業の平田正社長は「企業にとって投資リスクが大きい分野なので、知的特区の導入や薬価制度の見直しなど優遇策を検討してほしい」と要望。「先行する欧米に追いつくには、各省庁が連携して日本の得意分野を伸ばす必要がある」との意見が相次いだ。(了)
[2002-07-18-20:28]

 
 

◆2002/07/22 知的財産訴訟で非公開検討 政府、秋に検討会設置
 共同通信ニュース速報

 政府の司法制度改革推進本部(本部長・小泉純一郎首相)は二十二日までに、特許、不正競争防止など知的財産関連訴訟で企業の営業秘密を保護するため審理(口頭弁論)を非公開とできるか、民事訴訟法の改正も視野に検討する方針を固めた。
 日本経済の国際競争力向上に必要な知的財産権の保護強化策の一環で、有識者や実務者で構成する知的財産関係の「検討会」を秋に新設し、本格的な作業を開始する。
 ただ、公開制限は憲法がうたう裁判の公開原則に大きな例外を設けるものとなるだけに、日弁連などの反対も予想され、検討の行方がどうなるかは不透明だ。
 公開原則の現状では、例えば企業が営業秘密の侵害を受けても、訴訟で秘密が公然となれば元も子もないため提訴を断念したり、訴訟になっても秘密保持を優先した結果、十分な立証ができず敗訴となる場合がある。同じく憲法が保障する「裁判を受ける権利」の侵害だとの指摘も多い。
 そのため推進本部は、営業秘密文書の提出を義務付けるなど証拠収集手続きの強化策と合わせて検討し、遅くとも二○○四年末までには結論を得る考え。
 検討会では、このほか知的財産関連訴訟の迅速化などを図るため@特許関係訴訟控訴審の東京高裁への集中A専門家の裁判手続きへの参加拡大B特許侵害訴訟と特許庁に申し立てが行われる特許無効審判の関係の合理化―についても具体的に検討する。
 非公開の問題は、一九九六年制定の新民事訴訟法の立案段階でも検討されたが、憲法八二条に抵触する恐れがあるとして見送られた経緯がある。
(了)
[2002-07-22-14:16]

 
 

◆2002/07/23 <学術会議>研究力向上へムラ社会、現場離れなど“猛省”を
 毎日新聞ニュース速報
 http://www.mainichi.co.jp/

 「国内70万人の研究者を束ねる日本学術会議(吉川弘之会長)が、日本の研究力向上に向けた提言をまとめた。技術や知の輸入主義、閉鎖的なムラ社会、実務家を軽視する現場離れなど8項目にわたって“猛省”し、明治以来の慣習に生きる学術界の構造改革を促した。「研究者が自己批判できたのは一歩前進」(吉川会長)という。
 提言は「経済大国なのに研究水準が高くないのはなぜか」という問題意識に基づき、人文・社会、自然科学両分野の会員による混成チームが論議した。
 原因として、優秀な人材を大学や国内に囲い込む一方で、外国の評価に振り回され国内の独創的な研究を見極める力がないと指摘し、「ものまねでない日本発の研究」を提言した。
 また、実学分野でも社会貢献より論文を評価する閉鎖性があると批判。「法廷へ行ったことのない法律家や手術ができない医者がいばるようではだめだ」として、大学院を出た若手が一定期間、実務経験を積むことが有効だとした。
 ただし、提言を実行に移すための具体策は盛り込まなかった。「決意を形にする手足(予算や組織)がない」(吉川会長)など、幹部からも提言の浸透について困難視する声が出ている。」【元村有希子】
[2002-07-23-19:50]

 
 

◆2002/08/28 学力向上に5倍超の77億円 文科省の03年度概算要求
 共同通信ニュース速報

 文部科学省は二十八日、二○○三年度予算の概算要求を発表した
。学力低下の懸念を払しょくするため、「学力向上アクションプラ
ン」に本年度当初の五倍を超える約七十七億円を充てた。一般会計
総額は約七兆百七十五億円で同比6・7%の伸び。うち文化庁予算
は一千百五十七億円で17・5%増。
 文化庁分を除いた予算の半分近くを占める義務教育費の国庫負担
金は従来ベースで約三兆千百七十三億円を計上。しかし、小泉純一
郎首相が国の関与縮小の観点から制度見直しを指示しており、見直
しの方向が定まれば年末の査定までに減額になる可能性がある。
 学力向上策としては、教育関係学部の学生を「放課後学習チュー
ター」として小中学校に配置。放課後の補習で授業が分からない子
どもの解消を図るなど総合的に取り組む。また、学校施設の耐震化
を進めるために、改築・補強費用に2%増の一千七百億円を要求す
る。
 子どもの体力向上の取り組みと、オリンピックでのメダル獲得率
倍増を目指した選手強化事業にはそれぞれ約60%増の約二十七億
円。
 科学技術分野では、脳の働きを解明し、人の一生涯にわたる教育
に生かすための方法を探る研究に約十億円を要望。特許など、大学
での知的財産の活用を戦略的に実施するための体制整備などに約九
十四億円を盛り込んだ。
(了)
[2002-08-28-19:19]

◇2002/08/28 <概算要求>学力向上などに重点 文部科学省
 毎日新聞ニュース速報
 http://www.mainichi.co.jp/

 「文部科学省は28日、来年度予算の概算要求をまとめた。一般会計で7兆175億円と前年度比6.7%の伸びとなった。教育分野は学力向上に力点を置き、科学技術では、生命科学など4分野に重点配分する。
 新指導要領の導入で、学力低下の懸念が高まっているため、小中高校での学力向上策に約77億円と今年度の5倍以上の予算をつけた。小中学で習熟度別授業を推進する「学力向上フロンティアスクール」を今年度の850校から倍増させ、高校でも新たに200校指定する。
 科学技術分野では、遺伝子研究の医療への応用や超高速コンピューターシステムの開発など、経済活性化につながるプロジェクトを推進。この結果、生命科学や情報通信などの重点4分野の関連予算は、今年度より3割以上の増額となった。
 また同省は、光電子増倍管が01年に大量破損した東京大宇宙線研究所の観測施設「スーパーカミオカンデ」(岐阜県神岡町)を4年間で全面復旧させることを決め、増倍管の製造費約5億3000万円も盛り込んだ。」
[2002-08-28-18:56]

   

◆2002/09/03 「知的財産で独自の諮問機関 法整備前に日本弁理士会」
 共同通信ニュース速報

 「日本弁理士会(笹島富二雄会長)は三日、政府が法整備の検討を進めている知的財産制度について、独自の提言や要望をまとめる諮問機関「知的財産制度改革推進会議」を設置したと発表した。
 秋の臨時国会への提出が予想される「知的財産基本法案」(仮称)など、国の動きに先行して弁理士が果たす役割を具体的に検討。特許にかかわる専門家集団として、意見を反映させる狙い。
 メンバーは六十九人。政府が七月に策定した知的財産戦略大綱の柱に合わせ、知的財産の創造・活用や国際対応など四つのテーマで検討する。
 笹島会長は「基本法案で忘れられている点がないか積極的に提言していきたい」と話した。」[2002-09-03-18:49]

◆2002/10/16 <知的財産基本法>大学や企業の責務規定設け了承
 毎日新聞ニュース速報

 政府の知的財産戦略会議は16日、特許や著作権など知的財産の保護、活用などに関する施策を集中的、計画的に推進することを目的にした知的財産基本法案を了承した。大学や企業が発明者の適正な処遇に努めることとする、との責務規定を設けたのが特徴。国内では最近、青色発光ダイオード(LED)特許の所有権を巡る訴訟などを契機に、先端技術を支える研究者の処遇の不十分さが指摘されており、同法案にも待遇見直しの規定を盛り込むことにした。
 同法案は、知的財産の定義を(1)発明、著作物など人間の創造的活動で生み出されるもの(2)商標など商品や役務を表示するもの(3)営業秘密など事業活動に有用な技術上、営業上の情報――とした。国、地方公共団体、大学、企業は連携して知的財産戦略の推進に必要な施策を講じる責務があると指摘、併せて発明者の適正な処遇に努めることを求めている。
 同法案は18日に閣議決定され、同日召集の臨時国会に提出される。法案成立後、早ければ03年春にも内閣に知的財産戦略本部が設置される。首相を本部長とし、知的財産保護、活用など具体的な施策の目標と達成時期を定めた推進計画を策定する。計画の達成状況の調査のほか、結果の公表や見直しも実施する。 【瀬尾忠義】
[2002-10-16-20:01]

 

◆2002/10/19 バイオ戦略 中間報告まとまる
 NHKニュース速報
 人間や生物の遺伝子情報を活かした技術などバイオテクノロジーの利用による産業競争力の強化策を検討している小泉総理大臣の私的懇談会は、年内の大綱の取りまとめに向け、研究成果を速やかに産業化につなげることなどの必要性を盛り込んだ中間報告案をまとめました。
 「バイオテクノロジー戦略会議」は、医療や農業、環境など、幅広い分野でバイオテクノロジーによる技術革新をおこし、産業の競争力を強化するための対策を年内に大綱として取りまとめることにしています。
 これまでにまとまった大綱の中間報告案によりますと、対策として、常に世界の最先端を行く研究を進めるため、予算を充実させて研究開発を強化すること、研究の成果による恩恵を国民が広く受けられるようベンチャー企業を活性化させることなどで研究成果を速やかに産業化につなげること、学校教育などを通じて国民の理解を浸透させることの三つを戦略として掲げるべきだとしています。
 戦略会議は、この案をもとに具体策の検討を進めていくことにしています。
[2002-10-19-11:01]

 

◆2002/11/20 社員への特許報酬、登録時には45000円程度
 読売新聞ニュース速報

 サラリーマンが職務上、行った発明について、日本企業が払っている報酬が、特許権が登録された時点では平均4万5000円程度であることが、読売新聞が主要企業100社を対象に実施したアンケート調査で20日分かった。大半の企業が「登録された特許を使って収益を上げた時は、これとは別に実績に応じた対価を払う」としているが、報酬に上限を設けたり、報酬を払う制度がない企業も多く、業種によっても対価に大きな格差があることも分かった。
 職務上の発明については、島津製作所の田中耕一さんの発明への対価が、ノーベル賞受賞が決まるまで、1万円だったことや、元従業員が正当な対価を求めて勤務していた企業を訴えるケースが相次いでいることなどから、見直しを求める声が高まっている。
 アンケートは先月、主要企業100社に書面で行い、職務上の発明の対価については、このうち60社が一部、または、すべての対価を公表した。特許法では、従業員の職務上の発明に対する特許権については、正当な対価を払って会社が引き継ぐことを認めているが、60社が特許の出願・登録までに従業員に払う対価の平均額(幅がある場合は下限で算出)は、1件の発明につき、4万4900円だった。
 実際に、その特許を使って製品を開発したり、他の企業から特許使用料を得たりした場合などに払う実績報奨金は、電機、製薬、素材業界が高く、日立製作所やエーザイなど対価に上限がない企業も多い。逆に造船・重機業界は実績報奨金が低いなど、業界による格差も見られる。
 算定の根拠も収入に応じて細かく決めている企業(新日本製鉄、アサヒビールなど)や、発明の内容を個別に審査して決める企業(ソニーなど)など、さまざまだった。
[2002-11-20-23:38]

 

◆2002/12/06 19:0 「戦略大綱を首相に提出=競争力強化目指す−政府のバイオ会議」
 時事通信ニュース速報

○戦略大綱を首相に提出=競争力強化目指す−政府のバイオ会議
 日本のバイオ産業の競争力強化を目指す政府の「バイオテクノロジー(生命工学)戦略会議」(座長・岸本忠三阪大学長)は6日夕、2010年を目標とする総合対策を定めたバイオテクノロジー戦略大綱を、小泉純一郎首相に提出した。
 大綱は、再生医療をはじめ先端バイオ分野の研究予算の倍増を図ることや、特許取得、人材育成を通じたバイオベンチャーの活動支援など、50の行動指針と200の具体的な行動計画を盛り込んだ。今後は政策の迅速な実行が課題となる。首相は戦略大綱を受け「国の最重要課題の一つとして取り組んでいきたい」との考えを示した。
 国内バイオ市場は10年に現在の19倍の25兆円に拡大すると推計され、自動車や電機に次ぐ基幹産業への成長が期待される。先端バイオ分野は、欧米諸国に比べ取り組みの遅れが目立っていたため、今回の総合対策で巻き返しを図る。 
[時事通信社]
[2002-12-06-19:03]

 

◆2002/12/10 「[医療特許]「バイオ振興へ範囲拡大が必要だ」」
 『読売新聞』2002/12/10 社説1
読売新聞ニュース速報

 決断の遅れは、重大な禍根を残すことになる。
 医学や医療を巡る特許の問題が、まさにそれに当たる。
 バイオテクノロジーの急速な進歩は、様々な医療関連技術を生み出している。だが日本では、そうした技術にどこまで特許を適用すべきかをめぐり、基準作りが遅れた。
 日本の特許法は「産業上利用することが出来る発明」であることを、特許の条件の一つにしている。
 これまでは「医療は産業ではない」との解釈を基に、特許庁は大半の医療関連発明を特許の対象から除外してきた。
 しかし米国では、治療方法をはじめ広範な分野で特許を認め、関連するベンチャー企業などが急成長を遂げている。
 最近、医療に革命をもたらすとして、各国で注目されているのは、疾患のある臓器などを抜本的に治療する再生医療や遺伝子治療、万能細胞関連技術だ。
 日本では特許が認められないため、研究現場からは改善を求める声が強い。優れた研究成果を上げても、実用化に結びつけられないからだ。
 政府が七月にまとめた知的財産戦略大綱も、この問題の解決を求めており、産業構造審議会知的財産政策部会の小委が検討を進めている。
 特許範囲の拡大に慎重な意見は、次のようなものだ。
 「生死の境にある患者の治療を行う医師が、特許権に妨げられて治療を行えないことも起こりうるのではないか」
 確かに、このような事態があってはならない。しかし、制度を工夫すれば避けられることだ。医師の行為は特許権の侵害に当たらないことを法的に保証するなど、様々な手法が考えられる。
 このままでは、先進的な関連技術を開発した日本の研究者が、米国だけで特許の取得を目指す動きが加速する。特許制度の空洞化である。
 バイオベンチャー企業も、これでは育ちようがない。ひいては、高度な医療サービスの導入が次々と遅れることにもつながる。患者の利益にもならない。
 知的財産基本法が成立し、知的財産立国を目指す動きがようやく本格化する。政府は、バイオテクノロジーを産業再生のための戦略分野と位置づけ、大綱作りも急いでいる。
 医療と特許の問題の解決をこれ以上先延ばしすることは、取り返しのつかない国際競争力の低下を招く。
 どのような制度で、いかに特許範囲の拡大を図るか。政府は早急に具体策を詰めて、必要な法改正や特許審査基準作りなどを、急がなければならない。
[2002-12-10-09:08]

 

◆2002/12/17 先端医療にも特許、培養技術など想定 科学技術会議方針
 朝日新聞ニュース速報

 政府の総合科学技術会議(議長・小泉首相)は、18日の知的財産戦略専門調査会で、再生医療や遺伝子治療などの先端医療技術に、特許を認める方針を打ち出す。薬や機器と違い、医療行為自体は特許になじまないとされてきた。だが、医師自身が行う場合は侵害にあたらないとした上で、生体組織の加工などが開発者以外の企業に回される場合は、特許料を得られるようにする。バイオベンチャーなど、先端医療を支える産業の発展を促すのが目的だ。
 特許法は「産業上利用できる発明」に特許を与えてきたが、「医業は産業にあらず」という解釈から、医療行為で特許を申請しても門前払いされてきた。だが先端医療では、組織や細胞の培養、加工など、医師が企業に依頼する医療関連行為が増えるとみられる。
 先端医療技術は国際的な開発競争が展開されており、特許で先行者利益が保護されないと、特にベンチャー企業は苦しいという声が出ていた。総合科学技術会議も、先端医療分野が産業として発展することが患者の利益にもなる、と判断した。
 ただ、例えば再生医療技術に特許を与えると、皮膚や軟骨、細胞の加工や培養を医師が自分の病院で行った場合も、特許侵害の恐れがあり、そのままでは自由な診療ができなくなる懸念がある。
 開発企業が関与する部分だけに特許を認めるか、医療行為全般について認めるかの議論が残っているが、後者の場合でも、医師が行った場合は特許侵害に当たらないよう制度上の工夫をするとしている。今後の特許法の解釈や法改正は、産業構造審議会(経産相の諮問機関)の知的財産政策部会にゆだねる。
[2002-12-17-08:17]

◆2002/12/18 先端医療も特許に…総合科学技術会議
 読売新聞ニュース速報

 総合科学技術会議の知的財産戦略専門調査会は18日、再生医療や遺伝子治療など最先端の医療技術を特許の対象とするため、特許法の審査基準を直ちに改正することなどを盛り込んだ提言をまとめた。これまで医療行為は「産業ではない」という理由で特許は認められていなかったが、バイオベンチャーなどの拡大を踏まえ、特許化を望む声が上がっていた。
 特許法は産業上の発明に特許を認めているが、医療行為は「産業に該当しない」という同法の審査基準によって対象外とされている。このため患者から採取した皮膚を培養して治療に使う再生医療など、先端医療で画期的な手法が次々に開発されているが、新技術を特許として守り、ベンチャー企業などを設立することが困難となっている。
 一方、米国ではバイオテクノロジーを使った医療行為は特許が認められるため、技術を模倣される心配をせずに、ベンチャー企業に投資を集め、優れた治療法を広く提供することが可能となっている。
 先端医療の特許化に関しては、経済産業省の産業構造審議会のワーキンググループで10月から検討されている。この検討結果が特許法や審査基準の改正に反映されるため、提言は「適切な法改正が早期に実現することを期待している」と促している。
[2002-12-18-13:26]

◇2002/12/18 先端医療技術に特許認める 総合科技会議が報告
 共同通信ニュース速報

 総合科学技術会議の知的財産戦略専門調査会は十八日、再生医療を用いた人工皮膚培養技術など、先端医療分野の発明に特許権を認めるよう求める最終報告をまとめた。
 バイオ分野のベンチャー企業を育成するのが狙い。経済産業省の産業構造審議会の議論を経て、特許庁に審査基準の明確化などを求める。
 医師が自らの治療行為を行う目的で培養する場合は特許料の支払いを免除し、新たな治療法の普及を妨げないよう配慮したのが報告書の特徴。現在の特許法は医療行為に特許権を認めていないため、バイオ技術の広まりに伴って産業化を阻害するとの声が挙がってい
た。
 報告書は、国立大学や公的研究機関での発明を機関帰属とする原則を確認。特許化に伴う費用を国が負担する仕組みが必要と指摘した。
(了)
[2002-12-18-10:35]

REV:......20030216,0802
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