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科学技術/所有・国際競争・国家戦略・…2001<産業スパイ事件>

科学技術・国際競争・国家戦略・…2001
科学技術・国際競争・国家戦略・…


◆2001/05/10 「米 遺伝子スパイで日本人研究者2人を起訴」
 NHKニュース速報
◆2001/05/13 「米 日本の理化学研究員ら起訴」
 NHKニュース速報
◆<産業スパイ>理研関係者の処分も 管理責任問い
 毎日新聞ニュース速報
 [2001-05-15-03:10]
◆<遺伝子スパイ>身柄引き渡し要求は聞いていない 駐米大使
 毎日新聞ニュース速報 [2001-05-16-14:25]
◆<産業スパイ事件>芹沢被告が無罪主張 7月23日から本格
 毎日新聞ニュース速報 [2001-05-17-09:05]
◆芹沢被告無罪主張 7月23日から本格審理 遺伝子スパイ事
 共同通信ニュース速報 [2001-05-17-09:36]
◆引き渡しは政府の裁量 東京高裁で当否判断 遺伝子スパイ事
 共同通信ニュース速報
 [2001-05-17-17:34]
◆2001/06/28 「試料持ち込み再調査へ 遺伝子スパイ事件で理研」
 共同通信ニュース速報
◆2001/07/01 「遺伝子スパイ、部下の邦人研究者が見張りなど供述」
 読売新聞ニュース速報
◆2001/07/22 「産業スパイ事件、米司法省が「理研ぐるみ」との見方」
 読売新聞ニュース速報
◆2001/07/31 「理研が試料持ち込み認める報告書…産業スパイ事件」  読売新聞ニュース速報 他
◆2001/10/15 20:50 <遺伝子スパイ事件>芹沢被告の知人らが「支援する会」結成
 毎日新聞ニュース速報
◆2001/10/26 <遺伝子スパイ事件>日本人研究者の初公判日程を来年5月に
 毎日新聞ニュース速報
◆2001/11/28 研究試料の移転、採用契約を明確化=産業スパイ事件で再発防止−理研
 時事通信ニュース速報
◆2001/11/28 起訴取り下げ求め署名提出=支援する会が米大使館に−産業スパイ事件
 時事通信ニュース速報
◆2002/05/03 <遺伝子スパイ事件>岡本被告引き渡しへ 米国の請求受け
 毎日新聞ニュース速報
◆2002/06/08 試料持ち込み認める 遺伝子スパイ事件の被告側
 共同通信ニュース速報
◆2002/12/06 「無実証明の義務怠った」=起訴の助教授、元研究員を提訴
 時事通信ニュース速報
◆2002/12/16 岡本氏が請求棄却求める 遺伝子スパイの民事訴訟 東京地裁
 共同通信ニュース速報


◆2001/05/10 「米 遺伝子スパイで日本人研究者2人を起訴」
 NHKニュース速報

 「アメリカの司法当局は、日本の理化学研究所の研究者ら二人の日本人がアルツハイマー病の研究にかかわる重要な遺伝子などをアメリカの研究機関から盗み出していたとして、「産業スパイ」の罪でオハイオ州の連邦裁判所に起訴しました。
 起訴されたのは現在理化学研究所の遺伝子研究のチームリーダーで、おととし七月までオハイオ州の医療研究機関「クリーブランド・クリニック」で研究員として働いていた岡本卓(オカモトタカシ)被告(四十)とアメリカのカンザス大学医療センターの研究員、芹沢宏明(セリザワヒロアキ)被告(三十九)の二人です。
 芹沢被告は九日、FBI=連邦捜査局に逮捕されました。
 起訴状によりますと岡本研究員は、クリーブランド・クリニックでアルツハイマー病の原因解明のため遺伝子の役割を研究していたおととしの七月、研究の過程でできた組み換え用遺伝子や細胞の培養液など、研究材料を許可なく持ち出しました。
 そして知り合いの芹沢研究員のカンザス大学の研究室にいったん隠したうえで、翌月日本に持ち出したとしています。
 さらに芹沢研究員の研究室には、水だけを入れた小瓶を並べたり、持ち出さなかった研究材料は破壊したりして、ほかの研究員が研究を継続することを妨げたとしています。
 司法当局は、持ち出した遺伝子はアメリカの国立衛生研究所などから助成を受けて研究開発されたものであり、日本政府が運営にかかわっている理化学研究所のために機密を盗み出したとして、「産業スパイの罪」などにあたるとしています。
 また起訴状によりますと、岡本研究員は、クリーブランド・クリニックを辞める三か月ほど前に、理化学研究所からの要請で新しくできた脳科学総合研究センターの現在のポストに就任することを承諾していたとしており、この研究の成果の持ち出しが結果として理化学研究所の利益につながったとしています。」[2001-05-10-19:25]


◆2001/05/13 「米 日本の理化学研究員ら起訴」
 NHKニュース速報

 「アメリカ・オハイオ州の司法当局は九日、二人の日本人研究員が現地の医療機関からアルツハイマー病の研究にかかわる遺伝子情報を盗み出したとして、「産業スパイの罪」で起訴しました。
 起訴されたのは、おととし七月までオハイオ州の医療機関「クリーブランド・クリニック」で働き、現在は埼玉県にある理化学研究所で遺伝子研究のチームリーダーを務める岡本卓(オカモトタカシ)被告(四十)と、カンザス大学医療センターの研究員、芹沢宏明(セリザワヒロアキ)被告(三十九)の二人です。
 起訴状によりますと、このうち岡本チームリーダーは、「クリーブランド・クリニック」で研究員として働いていたおととしの四月、理化学研究所から日本で働くよう誘いを受けて、七月にアルツハイマー病の研究にかかわる重要なDNAサンプルなどを盗み出し、カンザス大学医療センターの芹沢研究員の研究室に隠したあとで、八月に日本に持ち帰ったとしています。
 そして司法当局はこうした遺伝子情報は、アメリカの国立衛生研究所から助成も受けている研究成果だとして、二人を通商上の機密を盗み出した「産業スパイの罪」で起訴しました。
 さらに起訴状では、二人が共謀して盗難が発覚したあとの捜査をかく乱するため、水だけを詰めたガラスの瓶を大学の研究室に並べるなどしたうえ、岡本チームリーダーが日本に帰国したあとも、FBI=連邦捜査局による事情聴取に故意に偽りを述べた疑いがあると指摘しています。」[2001-05-10-13:05]


◆<産業スパイ>理研関係者の処分も 管理責任問い
毎日新聞ニュース速報

 「アルツハイマー病に関する遺伝子などを盗み出したとして理化学研究所員の岡本卓被告(40)ら2人が米国で起訴された事件で文部科学省は14日、岡本被告が理研に雇用された99年9月時点で刑事告発をされていたにもかかわらず不問にしたのは問題だと指摘した。そのうえで、理研の管理責任を問い、幹部の処分をする方針を明らかにした。
 文科省などによると、岡本被告は99年4月ごろ、当時働いていたクリーブランド・クリニック財団と雇用問題でトラブルになり、同年9月、研究試料を盗んだとして刑事告発を受けた。同月に理研に正式採用されたときに、上司に告発された事実を報告したが、上司は「あまり問題になるとは思えない」と判断し、不問にしていたという。
 また、同省は、これまでの理研の内部調査は不十分だとして理研に調査の徹底を指示した。
 理研はこれまで、研究内容の聞き取りや研究試料の購入リストのチェックなどを行ったうえで、米国から持ち出した遺伝子試料が理研での研究に使われた可能性は低いと判断していた。
 これに対して同省は、事実を解明するためには、研究チームの実験ノートや週報、月報、パソコン内の磁気データなど、実験データの精査が欠かせないとしている。調査は、第三者の専門家2人も交えて行わせる。
 同省は、来週にも理研側から報告を求める予定で、疑問点があれば、省内の調査チームのメンバーを派遣して独自に調査する。
 米司法省による岡本被告の逮捕、身柄引き渡し要求も予想されるため、同省としての調査結果のとりまとめを急ぐ。」
[2001-05-15-03:10]

◆<遺伝子スパイ>身柄引き渡し要求は聞いていない 駐米大使
毎日新聞ニュース速報

 「柳井俊二駐米大使は15日の記者会見で、理化学研究所=埼玉県和光市=の研究員らによる遺伝子スパイ事件に関し、米政府からの日本政府に対する岡本卓被告(40)の身柄引き渡し要求は「全然聞いていない」と述べた。
 日米外交筋によると、引き渡しは日米間の条約に基づく。米政府の要求を受けて、日本は「逃亡犯罪人引渡法」を根拠として、法相が東京高裁に引き渡し可否の審査を命令。法相の命令後、逃亡の恐れがあると判断された被告は拘禁される。」(ワシントン共同)
[2001-05-16-14:25]


◆<産業スパイ事件>芹沢被告が無罪主張 7月23日から本格
毎日新聞ニュース速報

 「米クリーブランド・クリニック財団を舞台にした遺伝子スパイ事件で、経済スパイ法違反などで起訴されたカンザス大医療センター助教授の芹沢宏明被告(39)に対する罪状認否の審理が16日午後4時(日本時間17日午前5時)、オハイオ州アクロンの連邦地方裁判所で開かれ、芹沢被告は「無実です」と起訴事実を否認、無罪を主張した。
ダウト裁判官は、初公判に当たる芹沢被告に対する証拠調べなどの本格審理を7月23日、同連邦地裁で開始すると通告した。
 芹沢被告は審理後、記者団に「米国の民主的裁判を信じている。無罪が証明されることを期待する」などと述べた。
 オハイオ州の司法当局者によると、捜査当局はやはり同法違反などで起訴、「主犯」と断定している理化学研究所(理研)チームリーダー岡本卓被告(40)の引き渡しを日本政府に求めるが、外交上の政治判断も絡む引き渡しには時間がかかるとみられ、岡本被告不在のまま公判が進められる。
 起訴状によると、1997年1月から99年7月末まで同研究所に勤務した岡本被告は退職直前の同年七月初め、遺伝子試料を違法に持ち出し、友人の芹沢被告に送付。8月に岡本被告が日本に持ち帰った。芹沢被告は一時、これを隠し持っていたほか、同年9月に米連邦捜査局(FBI)捜査官から事情聴取された際、虚偽の申し立てをした。
 岡本被告も弁護士を通じ、同研究所から理研への遺伝子試料の持ち込みを否定している。」(アクロン共同)
[2001-05-17-09:05]

◆芹沢被告無罪主張 7月23日から本格審理 遺伝子スパイ事
 共同通信ニュース速報

 「【アクロン(米オハイオ州)16日共同=小片格也】米クリーブランド・クリニック財団を舞台にした遺伝子スパイ事件で起訴されたカンザス大医療センター助教授の芹沢宏明被告(39)=逮捕後に保釈=に対する罪状認否のための初の審理が十六日午後四時(日
本時間十七日午前五時)すぎ、オハイオ州アクロンの連邦地裁で開かれ、芹沢被告は「無実を主張する」と起訴事実を全面否認した。
 ダウド裁判官は、芹沢被告に対する証拠調べなどの本格審理を七月二十三日午前八時半、同連邦地裁で開くと通告、十六日の審理は約十五分で終了した。
 検察側は、主犯格とされる岡本卓被告(40)=理化学研究所チームリーダー=の米国への身柄引き渡しについて「適切な措置を取る」と述べ、米政府が近く外交ルートを通じて日本政府に正式要請する方針を明らかにした。
 岡本被告は芹沢被告とともに経済スパイ法違反などで起訴されているが、身柄引き渡しは難航が予想され、事件の中心人物が不在のまま、第一審の公判が進められる見通し。
 米国人弁護士を伴って出廷した芹沢被告は、審理終了後、記者団に対し「無実が裁判で証明されると信じている」と語った。
 起訴状によると、一九九七年一月から九九年七月まで同財団ラーナー研究所に勤務しアルツハイマー病を研究していた岡本被告は九九年七月、同研究所から遺伝子試料を違法に持ち出し、友人の芹沢被告に送付。八月に岡本被告が日本に持ち帰った。芹沢被告は一時、これを隠し持っていたほか、米連邦捜査局(FBI)から事情聴取された際、虚偽の供述をした。
 岡本被告も弁護士を通じ、ラーナー研究所から理研への遺伝子持ち込みを否定している。
(了)」
[2001-05-17-09:36]


◆引き渡しは政府の裁量 東京高裁で当否判断 遺伝子スパイ事
共同通信ニュース速報

 「遺伝子スパイ事件で、米政府が帰国した岡本卓被告(40)の身柄引き渡しを請求してきた場合、日米犯罪人引き渡し条約と逃亡犯罪人引き渡し法に基づく手続きが取られる。
 外国から日本人の容疑者・被告の引き渡しを請求されても、自国民保護の立場から応じないが、米国だけは同条約で「裁量により自国民を引き渡すことができる」と規定。請求の当否は東京高裁が審査し、引き渡すかどうかは政府の判断にゆだねられる。
 手続きは、米政府がまず犯罪事実などを記載した引き渡し請求書を外務大臣に提出。外務大臣は法務大臣に請求書を送付する。
 法務大臣は@政治犯罪ではないA容疑や起訴事実が日本の法令でも犯罪と認められる「双罰性」があるB犯罪を行ったと疑うに足りる相当な理由がある―などの要件を満たす場合、東京高検に対し東京高裁への審査請求を命令する。
 東京高検が審査請求し、東京高裁は引き渡す場合に該当するかどうか審査。該当すると決定したときは、東京高検と引き渡し対象者に通知する。実際の引き渡しは、政府の判断を経て法務大臣が命令する。
 米政府は引き渡し手続きに先立ち、容疑者や被告の身柄を拘束する「仮拘禁」も要請できる。また引き渡し手続きと並行して「拘禁」も可能とされる。
(了)」
[2001-05-17-17:34]

 

◆2001/06/28 「試料持ち込み再調査へ 遺伝子スパイ事件で理研」
 共同通信ニュース速報

 「理化学研究所(理研)の研究者らが米クリーブランドクリニック財団(CCF)から試料を違法に持ち出したとして起訴された遺伝子スパイ事件で、米連邦捜査局(FBI)の捜査資料が公開されたのを受け、理研は二十八日、CCFの研究所から理研に遺伝子試料が持ち込まれていないかどうか確認する内部調査を近く再開することを明らかにした。
 公開されたFBI捜査官の宣誓供述書に、理研がこれまで把握していなかった岡本卓被告と別の理研研究者との電子メールのやりとりが記されていたため。
 この研究者は書面による調査で事件へのかかわりを否定したが、理研として実験ノートや研究室に保管されている試料を確認し裏付けを取る必要があると判断した。
 理研のこれまでの内部調査では、CCFの試料が理研に持ち込まれたことを疑わせるような証言やメールのやりとりが浮上。弁護士に依頼して事実関係を明らかにするための調査を行っており、七月中に結論が出る見通し。」
[2001-06-28-20:25]

 

◆2001/07/01 「遺伝子スパイ、部下の邦人研究者が見張りなど供述」
 読売新聞ニュース速報

 「【ニューヨーク30日=河野博子】アルツハイマー病の研究に絡み、日本人研究者2人が米連邦大陪審に産業スパイ法違反などの罪で起訴された遺伝子スパイ事件で、“主犯格”の岡本卓被告(40)(理化学研究所脳科学総合研究センター・チームリーダー)の下にいた日本人研究者が、クリーブランドクリニック(米オハイオ州)からのDNAや細胞株などの試料持ち出しについて、詳細な供述を行っていたことが30日、わかった。同日までに「非公開扱い」が解かれた米連邦捜査局(FBI)の捜査官の宣誓供述書を、読売新聞社が入手した。宣誓供述書は、FBIの捜査官が99年9月2日付で作成し、岡本被告の共犯で、DNAなどを一時預かったとされるカンザス大助教授、芹沢宏明被告(39)(逮捕後、保釈中)の研究室の捜索令状請求の際に裁判所に提出された。
 それによると、クリーブランドクリニックで岡本被告が率いていた研究チームは日本人研究者3人を含む5人。このうち、日本人のN氏が調べに対し、〈1〉同年7月8日、岡本被告に午後10時に研究室に来て、試料の複製を手伝うように言われた〈2〉指示されて3、4時間、見張りを続けた〈3〉岡本被告は遺伝子や細胞株を保冷ボックスに詰めていた――などと述べた。N氏は数日後、研究所内で試料の紛失が問題になっていることを知り、岡本被告を問いつめたところ、同被告に「複製する時間がなかった。口外すると研究者としての将来はないよ」と脅されたと供述。
 文書はまた、N氏が捜査当局の要請により、岡本被告との電話の会話を録音、岡本被告がこの中で、試料を持ち出し、芹沢被告に預けていることを認めたことを記している。」
[2001-07-01-03:08]

 

◆2001/07/22 「産業スパイ事件、米司法省が「理研ぐるみ」との見方」
 読売新聞ニュース速報

 「米国のクリーブランドクリニック財団研究所(CCF)から日本の理化学研究所(埼玉県和光市)に遺伝子や細胞株を持ち出したとして、日本人研究者2人が連邦大陪審に起訴された産業スパイ事件で、米司法省は「事件は理研ぐるみによるもの」との見方を強めていることが、米側捜査資料などからわかった。同省は理研研究員の岡本卓被告(40)が、これら試料の持ち込みについて理研関係者と電子メールを交換し、航空便も送っていたことなどをその根拠としている。これに対し、理研の調査チームは今月末、スパイ行為を全面否定する内容の報告書を公表する。
 【ニューヨーク21日=河野博子】この事件は、CCFから理研への移籍が決まっていた岡本被告が99年7月、アルツハイマー病の治療法などを研究するための試料をCCFから持ち出したというもの。連邦捜査局(FBI)が同年8月に作成した宣誓供述書によると、岡本被告は同年6月2日、理研幹部から「冷凍庫内にスペースを確保する。2箱分でどのくらいの大きさになるか」とのメールを、また7月19日には、都内の民間研究所員から「プラスミドDNA(大腸菌に組み込んだDNA)を受け取りました」とのメールを受信した。この所員のもとには、CCFの「オカモト」からサンプルが送られていたことが、航空便の記録で裏付けられたという。さらに、その翌日には別の理研研究者からメールをもらい、理研側が別の遺伝子を欲しがっているということを前提にした返事を出していた。
         ◇
 米側に岡本被告との“共謀”を指摘された研究者らは、理研の調査に対し、メール交換などの事実は認めた上で、スパイ行為を全面否定している。調査では、CCFから持ち込まれたとされるDNAや細胞株も見つかっていない。
 理研の調査担当者は「宣誓供述書は、捜査側に都合の良い事実だけを取り出したこじつけだ」と反論している。」
[2001-07-22-03:00]

 

◆2001/07/31 「理研が試料持ち込み認める報告書…産業スパイ事件」
 読売新聞ニュース速報

 米・オハイオ州のクリーブランドクリニック財団(CCF)研究所から日本の理化学研究所(理研)(埼玉県和光市)に遺伝子や細胞株を持ち出したとして、日本人研究者2人が起訴された産業スパイ事件で、外部の弁護士による理研の調査チームが31日、調査報告書を文部科学省に提出した。報告書は、岡本卓被告(40)が試料を2回にわたり理研に持ち込んだと断定する一方、理研の組織的な関与は否定しており、同省は米捜査当局にこの内容を伝える。今後は、問題の試料が米産業スパイ法の「営業秘密」に該当するかどうかや、米当局から同被告の身柄引き渡し要求があった場合の日本側の対応が焦点となる。岡本被告は、同日付で理研を自主退職した。
 報告書によると、岡本被告は1999年4月、アルツハイマー病の研究に使用していた「ベータアミロイド前駆体」とよばれるたんぱく質関連の遺伝子4種類をプラスチックチューブに入れ、CCFの研究者を介し都内の民間研究所の研究者A氏に送付した。同年7月には、さらに「カベオリン」とよばれるたんぱく質の遺伝子をチューブ10本に入れて自らA氏に送った。
 A氏は翌8月、両試料を持って理研に移籍、やはり理研に移っていた岡本被告の部下になった。しかし、同10月にこれらの試料が冷凍庫からなくなっているのに気づいたという。A氏は、これら試料を使った遺伝子組み換え実験の承認を理研から受け、その後「予定通りに実験を行った」と報告していたが、実際には別に入手した試料を使ったといい、試料が理研内で使われた可能性は低いとされている。
 一方、岡本被告がCCFによる告発を知った99年9月、理研に行くと自宅を出た後、丸2日にわたって居所が不明になっていたことが新たに分かった。同チームが、試料持ち込みや、所在不明だった間に理研内部に立ち入ったかなどを尋ねたところ、一切の回答を拒否したという。
 また、米捜査当局が、理研ぐるみのスパイ行為との見方を強めていることについて、報告では「理研が岡本氏に試料の持ち込みを依頼した形跡はないし、そのような意図で岡本氏を採用した事実も認められない」と全面否定している。
 報告書は今回の「事件」の教訓として、研究者が移籍する際の権利義務関係や、研究試料を移転する手続きについて、規定や指針を整備することを提言。文科省は関連研究機関に対し、先端研究分野の激しい国際競争を意識し、注意するよう通知を出す方針だ。
 岡本被告については、既に米司法省が非公式に身柄引き渡しを打診しているが、法務省サイドは「公式な要求は一切ない」としている。
[2001-07-31-22:33]

◆2001/07/31 「遺伝子持ち込みの可能性も」
 読売新聞ニュース速報

 米国のクリーブランドクリニック財団研究所(CCF)から日本の理化学研究所(理研)に遺伝子や細胞株を持ち出したとして、日本人研究者2人が米連邦大陪審に起訴された産業スパイ事件で、外部の弁護士で構成する理研の調査チームは31日、調査報告書を公表した。
 報告書は、“実行犯”とされた岡本卓被告(40)が、遺伝子などの試料を理研に持ち込み、実験に使おうとした可能性を認める一方、理研の幹部や研究員が試料の持ち込みなど、“スパイ行為”に関与したことはないとする内容になっている。
[2001-07-31-16:19]

◆2001/07/31 「理研が組織的関与を否定 遺伝子スパイ事件で報告」
 共同通信ニュース速報

 「日本人研究者が米研究所から試料を違法に持ち出したとされる遺伝子スパイ事件で、理化学研究所(理研)は三十一日、「起訴された岡本卓被告の採用を通じて、理研が研究成果を取得しようと意図していた事実は認められない」として、理研の組織的関与を否定する調査報告書をまとめ、文部科学省に提出した。
 これまで岡本被告の部下の研究員が「岡本被告から送付された遺伝子試料を理研内に持ち込んだが、その後紛失した」と認めているが、報告書はこの研究員が岡本被告と共謀していた可能性を否定。米国で告発されたのを知った岡本被告が単独で試料を処分したとの
見方を示唆した。
 岡本被告は事情聴取に対し、当初は持ち込みを否定していたが、その後はこの点について供述を拒否しているという。」[2001-07-31-17:13]

◆2001/07/31 「理研スパイ事件 外部調査で試料の使用認定できず」
 NHKニュース速報

 理研=「理化学研究所」の研究者らがアメリカの研究機関から遺伝子などの試料を持ち出したとされる事件で、理研が依頼した弁護士の調査チームは、「問題の試料が研究所内で使用されたと認定することはできなかった」とする報告書をまとめました。
 この事件は埼玉県和光市にある理研で、研究チームのリーダーを務める岡本卓(オカモトタカシ)研究員ら二人が、理研に利益を与える目的で、アメリカの研究機関から遺伝子などの研究試料を持ち出したとされるもので、二人はアメリカの司法当局から産業スパイなどの罪で起訴されています。
 これまでの調査で、理研に利益がもたらされたことはなかったとしながらも、試料そのものが研究所内に持ち込まれた疑いが出てきたため、外部の三人の弁護士に引き続き調査を依頼していました。
 それによりますと、この研究者が問題の試料について証言を拒否するなどはっきりとはしないものの、研究者の実験記録などから「試料が使用されたと認定することはできなかった」としています。
 また、理研やその関係者が試料の持ち込みに関与した形跡もなかったとしています。
 一方、研究員を採用する際の手続きや試料の持ち込みや持ち出しの管理については、適切さに欠ける面があったとして、見直すよう理研に求めています。
 これを受けて理研は記者会見し、「今後、指摘された改善策を検討したい。岡本研究員については辞職願が出され、きょう承認した」と話しています。」
[2001-07-31-18:52]

◆2001/08/01 「理研へのサンプル持ち込みを断定 遺伝子スパイ事件」
 朝日新聞ニュース速報
 理化学研究所(理研)の研究員、岡本卓被告らが米国で起訴された「遺伝子スパイ事件」で、理研の調査委員会は31日、調査結果を文部科学省に報告した。岡本氏が米国の研究施設から持ち出したとされる遺伝子サンプルは一時、理研に保管されていたと判断。「持ち込んだ事実はない」というこれまでの岡本氏の主張を否定した。しかし、実験に使われた形跡は認められなかったとしている。岡本氏は31日付で辞職した。
 報告書は外部の弁護士チームがまとめた。
 それによると、サンプルを持ち込んだのは、岡本氏の勧誘で岡本研究室に加わった研究員。
 99年4月と7月に、米国のクリーブランド・クリニック財団の研究所にいた岡本氏らが、まだ別の研究所にいたこの研究員に問題のサンプルを計14個送った。研究員は理研に赴任した直後の同年8月下旬、これらを理研の冷凍庫に保管した。
 研究員が出した実験の申請書や報告書には使用を裏付ける記載があったが、「結局は使わなかった」と証言した。
 研究員は秋になって、冷凍庫内のサンプルがないことに気づいた。
 報告書は、岡本氏が廃棄した証拠はなかったとした。ただ、米国の告発を知った直後の99年9月10日から11日に、行方が分からなくなるなど不自然な行動があったと指摘している。
 これまで岡本氏は「サンプルを理研に持ち込んだ事実はない」と主張していたが、弁護士チームの事情聴取には「いっさい答えられない」と証言を拒否した。
 岡本氏は問題が明らかになった5月以降、出勤が認められず、謹慎状態だったが、7月15日、「31日に辞職したい」との文書を理研あてに郵送。理研側はこれを認めた。
 一方、弁護士チームは、岡本氏の研究成果を米財団から「横取り」する意図を理研側はもっていなかったと判断した。
 理研の小川智也理事(1日付で副理事長)は、理研の名誉が傷つけられたなどとして、「米国の裁判の成り行き次第では、岡本氏に損害賠償を求める場合もある」と述べた。
 弁護士チームは、研究者の採用や転出の際、各研究機関の権利・義務を明らかにする▽研究者の異動に伴うサンプルの取り扱い手順をつくる▽研究記録を正確に記載する▽問題が起きた研究員の処遇に関する規定をつくる、という四つの改善策を示した。
 文科省は「理研には改善策を実行してもらいたい。行政としては、研究活動や国際協力が妨げられないよう、今回の件を教訓に必要な措置を検討したい」と話した。」
[2001-08-01-00:44]

◆2001/07/31 「岡本氏への不信あらわに=産業スパイ事件で理研幹部」
 時事通信ニュース速報

 「米国で起訴された産業スパイ事件で文部科学省に最終報告書を提出した理化学研究所の幹部らは31日夕、同省内で記者会見。岡本卓チームリーダーへの不信感をあらわにした。
 理研から調査を依頼された弁護士の渡部惇・第2チーム長は、遺伝子試料が持ち込まれた可能性のあった3つのルートについて歯切れよく説明。その上で「持ち込みは岡本ルート」ときっぱり。しかし「(岡本氏の行為が)違法行為に当たるかどうかは今回の調査の対象外。米国での裁判で明らかにされることだ」と判断を避けた。
 理研側は、岡本氏から7月15日付で「チームリーダーとして責任を果たせなくなった。いろいろ迷惑を掛けた」と記された辞表が提出されたことを明らかにした。」
[時事通信社]
[2001-07-31-23:38]

◆2001/07/31 「米国の遺伝子試料、持ち込み認める=理研最終報告、組織関与を否定」
 時事通信ニュース速報

 「米国研究機関のクリーブランド・クリニック財団(CCF)から遺伝子試料を盗み出したとして、理化学研究所(小林俊一理事長)の岡本卓研究チームリーダー(40)ら2人が米国の産業スパイ法違反で起訴された事件で、理研は31日、最終的な調査結果を文部科学省に報告した。報告書は試料の持ち込みを認めたが、研究に使用された事実はなかったとした。
 同時に、理研は「組織として意図的に関与したことはなかった」とする声明を発表。岡本氏については「潔白を望んだが、疑わしい面が残った」として、同氏の辞表を受理したことを明らかにした。
 報告書は、外部の弁護士らで構成する調査第2チーム(渡部惇チーム長)が研究員らから聴取してまとめた。」
[時事通信社][2001-07-31-22:11]

◆2001/07/31 「<遺伝子スパイ事件>理研、持ち込みを認める 研究員の辞表」
 毎日新聞ニュース速報

 日本人研究者による遺伝子スパイ事件で、理化学研究所は31日、最終的な調査結果をまとめ、文部科学省に提出した。報告書は、理研研究員の岡本卓被告(40)が米国のクリーブランド・クリニック財団(CCF)から理研に移籍する際に、CCFの遺伝子試料を理研に持ち込んだ事実を認めた。しかし、試料が理研での研究に使用されたかと、理研の組織ぐるみの関与については否定的な見解を示した。
 岡本被告は理研の聴取に対し「試料を理研に持ち込んだことはない」と否定していた。理研側は「行動に疑わしい部分がある」とし、7月中旬に岡本被告から出ていた辞職願を31日付で受理した。
 今回の調査は、第三者の弁護士グループが実施した。報告書によると、問題の遺伝子試料は99年4月と7月の2回、CCFから日本国内の他の研究所にいたA研究員に郵送された。4月は岡本被告の指示を受けたCCFの研究者、7月は岡本被告自身が送っていた。
 A研究員は、同年9月に理研に正式採用された岡本被告のチームで働く予定で、この試料による研究を指示した岡本被告の文書も送付されていた。
 A研究員は8月、試料が入ったチューブ14本を理研に持ち込み、冷凍庫に保管したが、数カ月後になくなっていることに気づいた。実験の申請書には、この試料を使うものも含まれていたが、A研究員は「岡本被告と相談して、研究テーマを変更した。CCFの試料は使っていない」と説明している。
 岡本被告は、米カンザス州立大助教授の芹沢宏明被告とともに、CCFの遺伝子試料を盗み出し、日本に持ち込んだとして、今年5月、オハイオ州連邦地検から経済スパイ法違反の罪で起訴された。米捜査当局は、岡本被告の身柄引き渡しを日本政府に要請することを検討している。」【金田 健】
[2001-07-31-23:15]

 

◆2001/10/15 20:50 <遺伝子スパイ事件>芹沢被告の知人らが「支援する会」結成
 毎日新聞ニュース速報

 「米国で摘発された日本人研究者による遺伝子スパイ事件で、盗み出した研究用サンプルを一時保管したとして起訴された米カンザス大医療センター助教授、芹沢宏明被告(40)の知人らが「芹沢博士を支援する会」を結成し、15日に東京都内で事件をテーマにしたセミナーを開いた。米国にいる芹沢被告もビデオで登場し「自分自身と日本の名誉のためにも、無実を明らかにしたい」と訴えた。
 弁護団によると、サンプルを芹沢被告に送った元理化学研究所研究員の岡本卓被告(41)側は、使用目的などを一切知らせてこなかったという。芹沢被告は「何ら不法なことをしていない信念があったからこそ、米国で研究を続けていた。私の行為が犯罪ならば何万という研究者が同じ苦痛にさらされる恐れがある」と強調した。
 支援する会は、起訴取り下げを求める署名を5000人分以上集めており、米当局に提出する予定。裁判費用援助のため、東京大医科学研究所の新井賢一所長らが世話人となり、募金も行っている。」【金田健】
[2001-10-15-20:50]

◇10/15 19:49 米国で起訴の芹沢被告を支援=友人ら初集会、署名呼び掛け−東京
 時事通信ニュース速報

 「米国研究機関のクリーブランド・クリニック財団(CCF)から遺伝子試料を盗み出したとして、岡本卓被告(41)=元理化学研究所研究チームリーダー=とともに起訴されたカンザス大助教授の芹沢宏明被告(40)を支援しようと結成された団体主催の「遺伝子スパイ事件を考える」セミナーが15日都内で開かれ、主催者は芹沢被告の「無実」を訴え、米国での弁護士費用のカンパを呼び掛けた。」
[時事通信社]
[2001-10-15-19:49]

 

◆2001/10/26 <遺伝子スパイ事件>日本人研究者の初公判日程を来年5月に
 毎日新聞ニュース速報
 「日本人研究者2人が米クリーブランド・クリニック財団からDNA試料などを持ち出したとされる遺伝子スパイ事件で、オハイオ州アクロンの連邦地裁は25日までに、カンザス大医療センター助教授の芹沢宏明被告に対する本格審理(日本の初公判に相当)を来年5月13日に延期することを決定した。アクロンまたはクリーブランドの連邦地裁で午前8時半から開かれる。
 裁判所側は事件の主犯格とされる岡本卓被告(元理化学研究所チームリーダー)も出廷し、2被告合同で本格審理を開始することを求めているが、岡本被告の米国への身柄引き渡し実現のめどは立っていない。
 本格審理は11月5日に開く予定だったが、起訴事実を否認する芹沢被告側が、証拠資料収集などの準備が不十分として裁判所に延期を求めていた。(ワシントン共同)」
[2001-10-26-10:35]

 

◆2001/11/28 研究試料の移転、採用契約を明確化=産業スパイ事件で再発防止−理研
 時事通信ニュース速報

 「日本人研究者が米国研究機関の遺伝子試料を盗み、理化学研究所(埼玉県和光市)に持ち込んだとして起訴された産業スパイ事件で、理研は28日、事件の再発防止策として任期制研究者の採用手続きを厳密に行うほか、研究試料の移転について初の規定を設けることを決めた。関係規則を年内にまとめ、来年1月から実施、採用規定についても同4月から適用する。
 事件後、理研内の調査研究会(委員長・小林俊一理事長)が改善策を検討していた。理研の岡本卓・元研究チームリーダー(41)が米研究機関を離職した際のトラブルが事件に発展したとみられることから、今後、理研が任期制研究者を採用する際には、前に所属していた研究機関の推薦書を得ることとし、ヘッドハンティングによる採用でも、前職場での契約条件を確認できる書類提出を義務付けた。」
[時事通信社]
[2001-11-28-21:52]

◆2001/11/28 <遺伝子スパイ事件>理研が改善策報告書
 毎日新聞ニュース速報

 「理化学研究所は28日、遺伝子スパイ事件に関連し、同様の問題が起きないよう研究用試料の移転や採用手続きについての改善策を報告書にまとめた。年内をめどに見直し作業を進めている就業特則や契約書に反映させ、新年度から施行する。
 報告書は、新規採用された研究者が外部から試料を持ち込む際、前にいた機関の規則に基づいた手続き完了を徹底させる▽研究者の異動にかかわらず研究室の試料は理研に帰属するものとして扱う――などを盛り込んだ新たな規定の必要性を指摘している。」
[2001-11-28-18:45]

 

◆2001/11/28 起訴取り下げ求め署名提出=支援する会が米大使館に−産業スパイ事件
 時事通信ニュース速報

 「米国研究機関から遺伝子試料を盗み出したとして日本人研究者が起訴された産業スパイ事件で、カンザス大助教授の芹沢宏明被告を支援する会が28日、同被告の起訴取り下げを求める要望書を5452人の署名を添えて、在日米国大使館に提出した。
 提出したのは、日本で芹沢被告の指導教官だった新井腎一東大医科学研究所所長や友人らで、同大使館科学技術・環境担当のケビン・K・メア公使らが受け取った。芹沢被告は元理化学研究所研究チームリーダー岡本卓被告から研究サンプルの保管を依頼され、試料の中身も知らずに預かっただけで、産業スパイ法が適用される問題ではないと訴えている。」
[時事通信社]
[2001-11-28-19:42]

◆2001/11/28 <遺伝子スパイ事件>芹沢被告支援で署名
 毎日新聞ニュース速報

 「日本人研究者による米国での遺伝子スパイ事件で、起訴された米カンザス大医療センター助教授、芹沢宏明被告(40)を「支援する会」が28日、起訴撤回を求める5452人分の署名を米大使館に提出した。
 署名は、東大医科学研究所の新井賢一所長らが呼びかけ、7月中旬から芹沢博士の研究者仲間や知人から集めた。この日、米大使館のケビン・メア公使(科学技術・環境担当)に手渡した。
 弁護団は今月上旬、「研究用試料を預かっただけの芹沢博士は無実で起訴撤回を求める」という動議書を米裁判所に提出。12月17日には公聴会が開かれる。」
【吉川学】
[2001-11-28-18:45]

 

◆2002/05/03 <遺伝子スパイ事件>岡本被告引き渡しへ 米国の請求受け
 毎日新聞ニュース速報

 「日本人研究者が米オハイオ州のクリーブランド・クリニック財団研究所からDNA試料を盗み、日本に持ち込んだとされる遺伝子スパイ事件で、経済スパイ法違反の罪に問われた理化学研究所元研究員、岡本卓被告(41)=日本在住=について、米国政府が今年3月、日本政府に身柄引き渡しを請求していたことが分かった。法務省は日米犯罪人引渡条約に基づいて検討しているが、身柄引き渡しの条件は整っているとの見方を強めている。近く最終判断し、早ければ今月中にも、東京高検を通じ、東京高裁に引き渡しの審査請求を申し立てる方針だ。日本の研究者が同条約で米国に身柄を引き渡されるのは極めて異例だ。
 岡本被告は99年7月、研究所に保管されていたアルツハイマー病研究用のDNAや細胞株などを盗み出し、同8月に必要な試料を日本に持ち帰ったとして、昨年5月に米国当局に起訴された。
 法務省は米国政府から送付された捜査資料などの内容を検討している。同条約では、自国民を相手国に引き渡すためには、犯罪行為が日米両国の法令に反する「双罰性」の要件に該当し、さらに「1年以上の拘禁刑」に処される犯罪であることが条件だ。経済スパイ法に当たる法律は日本にはないが、同省は岡本被告の行為が、刑法の窃盗か横領に該当すると見ている。
 審査請求があった場合は東京高裁が引き渡しの可否を最終的に決定する。認められれば、岡本被告は日本国内で身柄を拘束されて米国に引き渡されることになる。
 事件をめぐっては、岡本被告から一時、試料を預かったとされ共謀罪に問われたカンザス大医療センター助教授、芹沢宏明被告(40)が、検察側との司法取引に応じた。岡本被告とのやりとりをなかったと捜査当局にうそを供述した偽証罪を認め、近く経済スパイ法の公訴が取り消される見通しだ。

【解説】日米条約が根拠に 「自国民保護」の原則あるが

 遺伝子スパイ事件で、政府は理化学研究所の元研究員、岡本卓被告(41)の身柄を米国に引き渡す方向で検討している。
 外国との間の犯罪人の身柄引き渡しについては、「逃亡犯罪人引渡法」に規定されている。同法では、自国民保護の立場から外国政府が日本国内にいる日本人容疑者の身柄の引き渡しを要求してきても、原則として応じない。また引き渡す場合は、その犯罪が日本の法令で死刑、無期、3年以上の懲役か禁固にあたる罪に限られる。
 しかし、米国との間では、80年に「日米犯罪人引渡条約」が発効。両国の法令で死刑、無期懲役、1年以上の懲役か禁固の刑について引き渡すことができ、逃亡犯罪人引渡法より軽い罪で引き渡すことができる。また、自国民であっても政府の裁量で、引き渡すことができることになっている。日本の刑法での窃盗や横領は、これに該当する。
 今回は、米国務省が外務省に引き渡し請求をしてきた。外相は捜査書類などを添付した引渡請求書を法相に送った。現在は、法務省がこの書類を元に、引き渡しの可否を検討している段階で、今後、法相の命令を受けた東京高検検事長が、引き渡す場合に該当するか、東京高裁に審査を請求し、引き渡しの可否を決める。
 岡本被告は昨年5月に起訴されたが、その時点ですでに日本に帰国していた。裁判は本人が出頭するか、日米間の犯罪人引渡条約に基づき身柄を米国に移送されなければ始まらず、見通しが立っていなかった。
 関係者によると、今年になって岡本被告は「研究の場を離れ、今は臨床医としての生活を送っている」と知人に語っていたという。」
[2002-05-03-03:05]

◆<遺伝子スパイ事件>芹沢助教授が司法取引 偽証罪で有罪認
 毎日新聞ニュース速報

 「【アクロン(米オハイオ州)斗ケ沢秀俊】日本人研究者2人がオハイオ州のクリーブランド・クリニック財団研究所(CCF)からDNA試料を盗んで日本に持ち込んだとされる遺伝子スパイ事件で、共犯とされた芹沢宏明カンザス大医療センター助教授(40)は1日、アクロンの連邦地裁での審理で、偽証罪を認める司法取引に応じた。本件の経済スパイ法違反での公訴は取り消されることが確定した。
 芹沢助教授は審理で、検察側から追起訴された偽証罪について、「有罪です」と認めた。追起訴では「(主犯格とされる元理化学研究所研究員の)岡本卓被告が(CCFに返す)試料に水道水を入れるなどの作業をしているのを見ていた。岡本被告と連絡を取っていないと証言したが、電話や電子メールで連絡していた」などとしている。

     ×     ×     ×

 「この1年間は私と家族にとって過酷な試練でした。ようやく研究者としての生活に戻れます」。遺伝子スパイ事件で経済スパイ法違反の共犯とされ、司法取引による公訴取り消しの決まった芹沢宏明カンザス大医療センター助教授(40)は1日、アクロンの連邦地裁前での会見で、ほっとした笑みを浮かべた。
 昨年4月に逮捕され、大学は休職に。保釈後、休職は解けたが、裁判への対応に追われ、研究できる状況になかった。主犯とされた理化学研究所の元研究員、岡本卓被告(41)の裁判が始まらないため、自身の裁判も進まず、焦りや不安に駆られる日々だった。
 支えになったのは日本や米国の大学教員、弁護士らが結成した「芹沢宏明弁護支援会」だった。「岡本被告から試料を預かっただけ」と、芹沢助教授の無実を訴え、3000万円を超える高額の裁判費用に充てる義援金を集めた。
 芹沢助教授は「言葉にできないほどのご支援を受け、たいへんうれしく思います。米国に残る機会を与えられたことに感謝します」と述べた。
 今後も捜査への協力が義務付けられ、事件とのかかわりは続く。弁護団は「岡本被告は芹沢博士をだまし、操った」と指摘する。芹沢助教授は「未解決の問題を残している事件の真相を解明するために、捜査当局に十分に協力するつもりです」と話していた。

 ■事件の真相不明のまま

 日本の学術界を揺るがした遺伝子スパイ事件は、共犯とされた芹沢宏明カンザス大医療センター助教授の経済スパイ法違反での公訴取り消しが決まり、一つの節目を迎えた。しかし、主犯格とされる理化学研究所元研究員の岡本卓被告の裁判は起訴後1年を迎えた現在もまだ始まらず、事件の真相は不明のままだ。
 米連邦捜査局(FBI)や検察側が描いた事件像は、岡本被告が1999年、当時在籍していたクリーブランド・クリニック財団研究所(CCF)からアルツハイマー病治療などに関連するDNA試料を持ち出し、理研や日本の利益を図ったとの内容だった。CCFの告発が捜査のきっかけとなった。
 スタースCCF所長は米科学誌「サイエンス」で「特許となるような研究ではない。本人の申し出があれば、慣例に従って試料は与えられた」と述べている。研究内容そのものよりも、無断で持ち出した行為が「スパイ事件」としての立件につながったようだ。
 芹沢助教授については起訴状でも、岡本被告の試料を預かったこと以外に積極的な関与を示す事実は示されていない。共犯と認定すること自体、無理があり、司法取引の形を取ったとはいえ、公訴取り消しは当然だろう。
 事件の全容解明には、岡本被告の出廷や証言が不可欠となる。検察側は「岡本被告の身柄引き渡しを日本政府に要請した」としているが、引き渡しが実現するかどうかは流動的だ。 【斗ケ沢秀俊】」
[2002-05-02-10:35]

◆2002/05/02 <遺伝子スパイ>芹沢被告の公訴取り消しへ 偽証罪は認める
 毎日新聞ニュース速報

 「【アクロン(米オハイオ州)斗ケ沢秀俊】日本人研究者2人がオハイオ州のクリーブランド・クリニック財団研究所からDNA試料を盗み、日本に持ち込んだとされる遺伝子スパイ事件で、経済スパイ法違反の罪に問われたカンザス大医療センター助教授、芹沢宏明被告(40)に対する審理が1日午前(日本時間同日深夜)、アクロンの連邦地裁で開かれた。芹沢被告は検察側との司法取引に応じ、新たに訴追された偽証罪を認めた。後日の判決時に本件の同法違反は公訴が取り消される。
 起訴状によると、芹沢被告は、理化学研究所(埼玉県和光市)の元研究員、岡本卓被告(41)が99年7月、当時在籍していた同財団研究所から試料を無断で持ち出した際、自分の研究室に岡本被告から郵送されてきた試料入り箱を預かった。その後、同財団研究所が試料を捜したため、岡本被告と共謀し偽の試料を作ったとされる。
 芹沢被告は、岡本被告とともに昨年5月に起訴されたが、起訴事実の認否では「試料を預かっただけ。私は無実です」と主張。芹沢被告の本格審理(日本の初公判)は今月13日に予定されていた。しかし、首謀格とされる岡本被告について、検察側はまだ日本政府に身柄引き渡しを求めておらず、芹沢被告側は裁判の長期化を避けるため司法取引に応じたという。
 検察側は4月30日、芹沢被告を、岡本被告と電話や電子メールで連絡していたのに捜査段階で「一切の接触がなかった」と供述したなどとする偽証罪で訴追した。1日はこの偽証罪の認否が行われ、芹沢被告はこれを認めた。連邦地裁は、有罪判決の言い渡し時に、検察側の申請に基づき経済スパイ法違反の公訴を取り消す。
 岡本被告は起訴直後に「事実無根。何の証拠もない」とする声明を発表。一方、理研は昨年7月、岡本被告が試料を理研に持ち込んだ事実を認める最終報告書を文部科学省に提出している。
 岡本被告の裁判は、本人が出頭するか、日米間の犯罪人引渡条約に基づき身柄を米国に移送されなければ始まらず、その見通しは立っていない。
 司法取引は米国の正式な司法制度で、裁判の時間と費用の節約などのため、被告が一部の罪を認める代わりに、他の罪の公訴を取り消したり、軽い罪に変更する手続き。」
[2002-05-02-02:50]

◆2002/05/01 <遺伝子スパイ>芹沢被告の公訴取り消しへ 司法取引に応じ
 毎日新聞ニュース速報

 「【アクロン(米オハイオ州)斗ケ沢秀俊】日本人研究者2人がオハイオ州のクリーブランド・クリニック財団研究所からDNA試料を盗み、日本に持ち込んだとされる遺伝子スパイ事件で、経済スパイ法違反の罪に問われたカンザス大医療センター助教授、芹沢宏明被告(40)に対する審理が1日午前(日本時間同日夜)、アクロンの連邦地裁で開かれる。芹沢被告は検察側との司法取引に応じ、新たに訴追された偽証罪を認める代わりに、本件の同法違反は公訴が取り消される見通しになった。
 起訴状によると、芹沢被告は、理化学研究所(埼玉県和光市)の元研究員、岡本卓被告(41)が99年7月、当時在籍していたクリーブランド・クリニック財団研究所から試料を無断で持ち出した際、自分の研究室に岡本被告から郵送されてきた試料入り箱を預かった。その後、同財団研究所が試料を捜したため、岡本被告と共謀し偽の試料を作ったとされる。
 芹沢被告は、岡本被告とともに昨年5月に起訴されたが、起訴事実の認否では「試料を預かっただけ。私は無実です」と主張。芹沢被告の本格審理(日本の初公判)は今月13日に予定されていた。しかし、主謀格とされる岡本被告について、検察側はまだ日本政府に身柄引き渡しを求めておらず、芹沢被告側は裁判の長期化を避けるため司法取引に応じたという。
 検察側は4月30日、芹沢被告を、岡本被告と電話や電子メールで連絡していたのに捜査段階で「一切の接触がなかった」と供述したなどとする偽証罪で新たに訴追した。1日はこの偽証罪の認否が行われ、芹沢被告はこれを認める。判決は後日言い渡され、連邦地裁は検察側の申請を受け、芹沢被告の経済スパイ法違反の公訴を取り消す見通しだ。
 岡本被告は起訴直後に「事実無根。何の証拠もない」とする声明を発表。一方、理研は昨年7月、岡本被告が試料を理研に持ち込んだ事実を認める最終報告書を文部科学省に提出している。
 岡本被告の裁判が始まるには、本人が出頭するか、日米間の犯罪人引渡条約に基づき身柄が米国に移送される必要があるが、その見通しは立っていない。
 司法取引は米国の正式な司法制度で、裁判の時間と費用の節約などのため、被告が一部の罪を認める代わりに、他の罪の公訴を取り消したり、軽い罪に変更する手続き。

 経済スパイ法

 知的所有権の保護や外国からの産業スパイ行為の防止を目的に96年に米国が制定した連邦法。外国の政府や機関への利益を図るため、窃盗などの違法な手段で商業上の秘密を入手したり、提供することを禁止している。最高刑は禁固15年、罰金50万ドル。」
[2002-05-01-20:05]

 

◆2002/06/08 試料持ち込み認める 遺伝子スパイ事件の被告側
 共同通信ニュース速報

 「米クリーブランド・クリニック財団から遺伝子試料を持ち出したとして、日本人研究者二人が米国で起訴された「遺伝子スパイ事件」で、主犯とされた元理化学研究所(理研)チームリーダー岡本卓被告(41)の弁護士が八日までに、試料の理研への持ち込みを認めた意見書を、森山真弓法相に送った。
 岡本被告は日本在住で、米国が日本に身柄引き渡しを請求している。
 岡本被告側が、事件の核心部分である試料持ち込みを認めたのは初めて。ただし意見書は、同被告が研究試料は処分してよいと信じていたとして「犯罪の構成要件を欠く」と主張。身柄引き渡しは違法かつ不相当と強調している。
 意見書は、岡本被告が同財団から理研に移籍した一九九九年に@同財団で部下が研究に使っていた遺伝子試料を日本に送り、理研に持ち込んだA岡本被告が同財団で研究する前から持っていた試料を理研へ持ち込んだB同財団の研究室にあった試料を壊したり廃棄した―ことなどを認めた。
 だが、試料を壊したのは、関係が悪化していた日本人の部下に対する嫌がらせが動機で「理研を利する意図はなかった」と起訴事実を否定。岡本被告が、自分の管理下にある試料を自由に処分できると信じていたとして、こうした発想は「世界的にも多くの研究者の通念」と主張している。
 意見書は、岡本被告が理研に持ち込んだ試料を米国での捜査を知った後、ひそかに廃棄したことも明らかにした。
(了)」
[2002-06-08-22:16]

 

◆2002/12/06 「無実証明の義務怠った」=起訴の助教授、元研究員を提訴−東京地裁
 時事通信ニュース速報

 「理化学研究所(埼玉県和光市)の岡本卓・元研究チームリーダーが米国の研究機関から遺伝子試料を持ち出したとされる事件で、共犯として米国で起訴された芹沢宏明・米カンザス大助教授=司法取引で公訴取り下げ、米国在住=は6日までに、「岡本氏が無実を証明する義務を怠った」などとして、同氏を相手に77万ドル(約9600万円)の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。」
[時事通信社]
[2002-12-06-17:12]

◇2002/12/06 15:03 読: 遺伝子スパイ、無罪主張の「共犯」が「主犯格」を提訴
 読売新聞ニュース速報

 「日本人研究者2人が米国の研究所から遺伝子試料などを持ち出したとされる遺伝子スパイ事件で、共犯者として起訴された後、司法取引によって公訴取り下げとなった米カンザス大助教授・芹沢宏明被告(41)(米国在住)が、“主犯格”として起訴された元理化学研究所研究員・岡本卓被告(42)(日本在住)を相手取り、77万ドル(約9400万円)の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしたことが6日、明らかになった。「岡本被告が疑惑解消のための協力要請を拒んだため、膨大な弁護費用と精神的苦痛を被った」というもので、今月16日に第1回口頭弁論が開かれる。
 この事件では、米オハイオ州のクリーブランドクリニック財団でアルツハイマー病の研究をしていた岡本被告が、同財団に保管されていた遺伝子などの試料の一部を故意に破壊し、一部を芹沢被告に預けた後、日本へ持ち帰ったとされる。
 米連邦大陪審が2001年5月、産業スパイ法違反などの罪で2人を起訴したが、岡本被告は当時すでに日本に帰国していたため、米政府が日本政府に身柄引き渡しを請求している。
 一方、米国で逮捕された芹沢被告は「中身を知らずに預かっただけ」として、裁判で無罪を主張していたが、今年5月、預かった試料の数などについて米連邦捜査局(FBI)にうその供述をしたとする偽証罪を認めるかわりに、産業スパイ法違反などの公訴を取り下げてもらうという内容の司法取引に応じた。
 こうした経緯について、芹沢被告側は今回、東京地裁に提出した訴状の中で、「岡本被告から送られた試料の内容について、同被告から説明を受けたことは一切なかった」と重ねて主張。「岡本被告は、芹沢被告にかけられた疑惑を解消すべき責務があったのに、事案の真相を捜査当局に明らかにしようとしなかった」とし、司法取引に至る過程で使った弁護士費用40万ドルと慰謝料など37万ドルの支払いを求めている。
 これに対し、岡本被告側は「刑事被告人に対しては、法廷ですら証言拒絶権が保障されており、岡本被告に芹沢被告の疑惑を解消すべき責務などまったくない」としており、全面的に争う構えだ。」
[2002-12-06-15:03]

 

◆2002/12/16 岡本氏が請求棄却求める 遺伝子スパイの民事訴訟 東京地裁
 共同通信ニュース速報

 「日本人研究者二人が米国から遺伝子試料を違法に持ち出したとされる「遺伝子スパイ事件」で、芹沢宏明・米カンザス大助教授(休職中)が、主犯とされる岡本卓・元理化学研究所チームリーダーに七十七万ドル(約九千二百万円)の損害賠償を求めた訴訟の第一回口頭弁論が十六日、東京地裁(大竹たかし裁判長)で開かれ、岡本氏側は請求棄却を求めた。
 二人は経済スパイ法違反などの罪で米連邦大陪審に起訴されたが、芹沢氏は偽証罪を認めるのと引き換えに、検察当局が経済スパイ法違反罪の起訴を取り下げる司法取引が成立。
 芹沢氏は訴状で「岡本氏には、真相を捜査当局に明らかにして、疑惑を解消すべき責務があるのに協力要請を拒んだため、司法取引に応じるしかなく、精神的苦痛を被った」などと主張。
 答弁書で岡本氏は「自分の行為が犯罪になるとは全く予想できず、芹沢氏が共犯になるとは夢にも思っていなかった」とした上で「米国でも容疑者や被告には黙秘権が保障されている」と反論した。
 事件は、一九九九年に岡本氏が試料を持ち出し、芹沢氏に預けた後、日本に持ち込んだとされる。米政府は日本政府に岡本氏の身柄引き渡しを求めている。」
[2002-12-16-14:09]


REV:.....20030218,19,20,24
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