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財源・財政



▼多くあるところから、少なくあるところへ▼
 医療崩壊、介護問題、失業、格差、貧困・・・・・・。迫りくるさまざまな難題を解決するためには根本的に財源が足りないと言われる。だがじつは税制のある部分を見直すことによって、消費税増税なしでも財源を確保することは十分可能だ――。丹念な思索によってさまざまな反論を吟味し導き出された、財源問題への画期的提言。
 税制見直し案を裏付ける 「税率変更歳入試算」 と、これまでの貧困問題の論調を総覧する 「格差貧困文献解説」 を付す。
   
立岩 真也村上 慎司橋口 昌治 20090910 『税を直す』,青土社,350p. ISBN-10: 4791764935 ISBN-13: 978-4791764938 \2310 [amazon][kinokuniya] ※ t07.

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○In this Site (http://www.arsvi.com)
 ◆財源・財政に関するニュース
 ◆
 ◆不足について
 ◆人口

■財源・財政に関する政策


◆税のあり方も思い切って改革。消費税の社会保障・少子化対策への特化へ。財源のない「高福祉」ではなく、「中福祉・中負担」こそ現実的です。(自民党)
 http://www.jimin.jp/sen_syu45/seisaku/2009_yakusoku/contents/03.html
 歳出・歳入改革や経済成長による税収アップを進め、今後10年以内に国と地方のプライマリーバランスの確実な黒字化を。また、地方財政の健全化も進めます。消費税を含む税の制度も、ムダ排除とともに経済の回復後に見直す準備を進めます。社会保障制度は、社会全体で適度な負担をお願いし、ちょうどよい福祉サービスを提供。消費税の社会保障・少子化対策への特化、社会保障番号・カードの導入など、堅固でわかりやすい制度へと進化させます。

◆税金は、官僚と一部政治家のものではありません。国民の税金を、国民の手に取り戻します。(民主党)
 http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2009/index.html
 国の総予算207兆円を全面組み替え。
 税金のムダづかいと天下りを根絶します。
 議員の世襲と企業団体献金は禁止し、衆院定数を80削減します。

◆税制抜本改革の基本的な視点(公明党)
 http://www.komei.or.jp/election/shuuin09/policy/index.html
(1)税制全般の一体的改革
 税制の抜本改革にあたっては、所得課税、法人課税、消費課税、資産課税等を含め税制全般について一体的に改革します。
(2)格差の是正、所得再分配機能の強化
 格差の是正や所得再分配機能の強化を図るため、所得税の最高税率の引き上げや相続税の見直しを行います。
(3)給付付き税額控除制度の導入
 生活支援や子育て教育支援等の観点から、いわゆる「給付付き税額控除制度」を導入します。
(4)消費税の社会保障目的税化
 消費税収の使途は、年金、医療、介護の社会保障給付および少子化対策の費用に限定します。消費税の見直しに際しては、複数税率の検討など低所得者への配慮措置を講じます。
(5)税制のグリーン化、自動車関係諸税の見直し
 低炭素化を促進する観点から、税制全体のグリーン化を推進します。
 また、自動車関係諸税については、取得、保有、走行各段階における複数の課税について簡素化を図ります。特に、自動車重量税の軽減など暫定税率を含む税率の在り方を総合的に見直し、負担を軽減します。
(6)地方の税財源の充実
 自立した基礎自治体の構築のため、課税自主権を拡大し、地方交付税等の財政調整機能に配慮しながら交付税の確保、補助金の縮小、税源配分の見直しを一体的に検討し、国と地方の税源比率を1対1とすることを目指します。その際、地方消費税の充実を図ります。

◆消費税増税に反対し、軍事費・大型公共事業などの無駄をなくし、大企業・大資産家に応分の負担を求めて、社会保障などの財源を確保します(共産党)
 http://www.jcp.or.jp/seisaku/2009/syuuin/20090728_kihon_1.html#_08
 以上のような改革を進めれば、大型公共事業削減(約2兆円)、軍事費削減(約1兆円)などの歳出の無駄の削減で5兆円以上、大企業の税率引上げ(約4兆円)、証券優遇税制廃止(約1兆円)、所得税の最高税率引上げ(約0.7兆円)などの税制改革によって7兆円以上、あわせて12兆円以上の財源が確保できます。これらの改革は、今後、数年間かけて段階的にすすめていきます。当面の緊急の景気対策のためには、特別会計の積立金など、いわゆる「埋蔵金」の活用もはかります。これによって、消費税増税に頼らずに、社会保障などの拡充をはかることが可能になります。

◆税財政 大企業・金持ち優遇の不公平をただす(社民党)
 http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/election/manifesto03_08.htm
 租税法律主義、国民合意、公正と公平、総合課税主義、自治税制の強化と地方財政確立、福祉社会への再分配など基本的な考え方に立って、不公平税制の是正および税の所得再分配機能を確立します。
 応能負担原則による累進性の強化に取り組み、フラット化や高所得者優遇税制の転換、所得格差の是正をはかります。
 総合課税の実現にむけて、的確な所得把握のための「公平番号制度」を早期に導入、金持ち優遇の結果に終わってきた細分化された各種所得控除の統合化および歳出措置(直接給付制度)への転換、自主申告制度の採用(年末調整は被雇用者本人が行うなど)を追求、納税者の権利を守る納税者権利憲章の制定をめざします。

法人税についての言説
◆税制抜本改革(自民党)
 http://www.jimin.jp/sen_syu45/seisaku/2009_yakusoku/contents/bank_01.html
 消費税を含む税制の抜本的改革について、平成21年度税制改正法附則による道筋に沿って、平成23年度までに必要な法制上の措置を講じ、経済状況の好転後遅滞なく実施する。これにより、堅固で持続可能な「中福祉・中負担」の社会保障制度を構築する。

◆所得税法等の一部を改正する法律(平成21年法律第13号)(抄)
 http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/zeisei09/10/index.htm
 「所得税法等の一部を改正する法律」(平成21年法律第13号)では、附則において、税制抜本改革の道筋及び基本的方向性について規定しています。
 今後、この附則に従い、消費税を含む税制抜本改革の実現に向けた取組を進めます。

 二 法人課税については、国際的整合性の確保及び国際競争力の強化の観点から、社会保険料を含む企業の実質的な負担に留意しつつ、課税ベース(課税標準とされるべきものの範囲をいう。第五号において同じ。)の拡大とともに、法人の実効税率の引下げを検討すること。

◆あなたの町の小さな会社や工場を支え、安心して働き続けられるようにします。(民主党)
 http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2009/index.html
 中小企業の法人税率を11%に引き下げます。

◆持続的な成長を可能にする経済産業構造へ転換(公明党)
 http://www.komei.or.jp/election/shuuin09/policy/index.html
 新たな経済産業構造への転換へ向けた集中的な投資とともに、経済成長に資する税体系の見直しも重要です。税制の抜本改革にあたっては、法人税の在り方について、課税ベースを拡大しつつ、実効税率の引き下げを図ります。

◆中小企業を応援する政治へ本格的な転換をはかります(共産党)
 http://www.jcp.or.jp/seisaku/2009/syuuin/20090728_kihon_1.html#_04
 中小企業の法人税率の引き下げ……法人税にも累進制を導入し、中小企業の一定範囲の所得については、現行より税率を引き下げます。

◆税財政改革(社民党)
 http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/election/manifesto03_08.htm
○引き下げられてきた法人税の基本税率を34.5%にもどし、不公平な大企業の租税特別措置は大胆に縮小します。長期失業者や非正規労働者、障がい者を正規雇用として雇い入れた企業に対し、法人税の優遇措置を創設します。

年金
◆「老後の安心」を支え続ける年金制度の充実強化へ。(自民党)
 http://www.jimin.jp/sen_syu45/seisaku/2009_yakusoku/contents/02.html
 老後の生活を支える柱となるよう、3年以内に無年金・低年金対策のための具体策を実施。また在職老齢年金の見直しなど、年金制度の安定・充実を図ります。年金制度の抜本改革については、法律によって超党派の協議機関を早期に立ち上げます。年金記録問題については、日本年金機構の設立(来年1月)などにより、一日も早い救済を進めます。

◆年金、医療、介護の不安をなくし、誰もが安心して暮らせるようにします。(民主党)
 http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2009/index.html
 「年金通帳」で消えない年金。
 年金制度を一元化し、月額7万円の最低保障年金を実現します。
 後期高齢者医療制度は廃止し、医師の数を1.5倍にします。
 高齢化社会の不安を解消する第一歩は、国への信頼を取り戻すことです。
 「消えた年金」被害を補償するとともに、国民全員が受け取れる年金制度を確立。
 十分な医療・介護サービスを提供し、ひとつの生命を大切にします。

◆年金制度全般への対応(公明党)
 http://www.komei.or.jp/election/shuuin09/policy/index.html
 被用者年金の一元化
●被用者年金(厚生年金と共済年金)の一元化を早急に実現するとともに、厚生年金、共済年金の個人単位化を進め女性の年金権を確立します。
 未納・未加入対策
●被用者年金の適用の拡大を進めるとともに、社会保障カードを早期導入し、減免制度の確実な適用等により国民年金の未納・未加入問題の解消を進めます。
 国民年金基金の制度を改善
●国民年金基金の加入期間の延長や保険料の小口化などを進め、利用しやすい制度へと改善します。

◆(2)最低保障年金制度をつくり、無年金・低年金問題の解決をはかります(共産党)
 http://www.jcp.or.jp/seisaku/2009/syuuin/20090728_kihon_1.html#_02
 日本の年金制度の最大の問題は、無年金者が100万人を超え、国民年金だけの受給者は平均月額4万7000円など、日々の生活をまかなえない低額年金の人々が膨大な数にのぼっていることです。次の方向で無年金・低年金問題を解決し、年金全体の底上げをはかっていきます。
 受給条件を「25年以上」から「10年以上」にただちに引き下げる……保険料を「25年以上」納めないと1円も年金が支給されないという過酷な制度は日本だけです。アメリカでも年金の受給資格要件は約10年以上で、イギリス、フランス、カナダなど、受給の資格要件に加入期間がない国も少なくありません。
 年金額を月額5万円底上げする最低保障年金制度をつくり、国民年金では月額8万3千円に引き上げる…… 日本の年金制度には、諸外国では当然の最低額保障の仕組みがありません。全額国庫負担による最低保障年金制度の創設に踏み出します。すべての国民に当面月 5万円の最低額を保障し、その上に支払った保険料に応じた額を上乗せします。それにより、国民年金の満額を現行の月額6万6千円から8万3千円へと引き上げます。厚生年金も、基礎年金部分を同様に引き上げていきます。これにより無年金者はなくなります。

中央集権/地方分権
◆地方分権を、前へ。メンバー(地方)全員が元気な、活力あるチーム(日本)を。(自民党)
 http://www.jimin.jp/sen_syu45/seisaku/2009_yakusoku/contents/01.html
 国と地方の役割を明確にし、国が地方のやり方を縛っている現状の打破へ。「地方のチカラ」を強めるため、国の出先機関の廃止、補助金・税配分の見直しなどの「新地方分権一括法案」を成立させます。同時に、直轄事業負担金制度などの抜本的な見直しや、国と地方の協議機関設置の法制化を進めます。また、「道州制基本法案」を早期に制定し、平成29年までに「道州制」を導入します。

◆地域のことは、地域が決める。活気に満ちた地域社会をつくります。(民主党)
 http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2009/index.html
 「地域主権」を確立し、第一歩として、地方の自主財源を大幅に増やします。
 農業の戸別所得補償制度を創設。
 高速道路の無料化、郵政事業の抜本見直しで地域を元気にします。

◆地域主権型道州制の導入(公明党)
 http://www.komei.or.jp/election/shuuin09/policy/index.html
 公明党は地域主権型道州制導入の道筋を明確にします。
国の出先機関の廃止・縮小、地方の税財源の充実等のため、新「地方分権一括法」を制定し、地方分権を新たなステージへ移行させます。
その後、国民的議論を喚起しつつ、3年を目途に「道州制基本法」を制定し、概ね10 年後から地域主権型道州制に移行します。
これにより、国のカタチを大きく変え、21 世紀にふさわしい効率的な政府を確立します。
自立した「地方政府」の確立により、各地域の活性化を図るとともに、身近な行政サービスを充実し、住民本位の地域づくりを進めます。

 地方の税財源の充実
●自立した基礎自治体の構築のため、課税自主権を拡大し、地方交付税の財政調整機能に配慮しながら交付税の確保、補助金の大幅縮小、税源配分の見直しを一体的に検討し、国と地方の税源比率を1対1とすることを目指します。その際、地方消費税の充実を図ります。

◆地方に権限と財源を移し、真の「地方分権」を推進します(社民党)
 http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/election/manifesto03_05.htm
○住民ニーズにかなった、「現場からの積み上げ型」の改革案の策定など、地域に根ざした分権・自治の取り組みをすすめます。
○地方自治法を全面的に検証し、市民自治を基本にすえた「地方自治基本法」を制定します。自治体の重要事項について直接住民の意思を確認するための住民投票を制度化します。
○ 道州制には、住民不在であること、域内格差の拡大につながりかねないこと、身近な行政が後退すること、憲法の規定する直接請求や、地方特別法に対する住民投票の意義が損なわれることなどの疑問があり、道州制こそ分権改革の柱であるという立場はとりません。まず現行の二層制の下での分権を進めるとともに、都道府県を広域的な「自治体」としてもっと住民との関係を充実させていきます。広域の行政課題に対しては、広域連合を活用します。なお、沖縄については、これまでのさまざまな経緯に鑑み、「一国二制度」的な特例的自治制度を検討し、沖縄県民の意思を尊重しながら実現をめざします。
○権限や財源の移譲、地方に関わる制度改正などについて、政府と地方の代表者等が協議を行う場として、「地方行財政会議」を法制化します。

住む
◆「すまう人」視点での住宅対策(自民党)
 http://www.ldplab.jp/ldplab/vote2009/labour/
 最大600万円の住宅ローン控除など過去最大の住宅取得支援を継続・強化し、ライフステージに応じた持ち家の取得、リフォーム、住み替えを支援する。特に子育て世帯や高齢者等が安心して生活できるよう、子育て支援施設やケア施設の併設された住宅等、良質な賃貸住宅を供給する。また、「ストック型社会」の実現のため、2世帯・3世帯住宅や200年住宅の推進など住宅の長寿命化を進めるとともに、既存住宅・リフォーム市場を整備する。

◆民主党『次の内閣』閣議(中間報告) 民主党住宅ビジョン〜生活安心住宅プログラム〜
 http://www.dpj.or.jp/news/?num=15615
2009年4月1日
1.基本理念
【住の大切さ】
 人間の生活にとって、「住宅」は欠かせません。
 これまでの住宅政策は、長年の「夢」であり、大切な「資産」となる持ち家取得に偏っていたことは否定できません。今日、ライフスタイルとライフステージに合ったマイホームの持ち方(住まい方)によって、より豊かな人生をおくれる住宅政策への転換が求められています。孤独死といった悲しい事件の起こらない、人と人が交流しやすく、快適に過ごせる規模の集合住宅のあり方など、新しい価値観の形成も必要です。
 ローン支払い後は資産価値、快適性も十分とは言えない住宅に住まざるを得ない状況を是正し、高齢者等が安心して快適に自立した生活を送ることのできる住環境の整備が求められています。
 また、生活・住宅困窮者にとって、公営住宅などは、重要な「セーフティネット」です。高齢者や障がい者、子育て世帯にも対応できるよう、賃貸住宅の機能の充実、賃貸市場の活性化、家賃補助等の支援策を講じ、在宅での医療や介護を促進するなど社会的入院の解消を図ります。

◆安心安全な住宅供給と生産性向上の両立(公明党)
 http://www.komei.or.jp/election/shuuin09/policy/index.html
●新築はもとより、リフォームやバリアフリーなどの改修工事において、安心安全な住宅の供給と住宅建築市場の活力を両立すべく建築基準法の一層の整備や機動的な運用を行います。特に、耐震偽装などを未然に防ぐ厳格な建築制度の確保と建設業の生産性向上の両立を目指し、構造計算適合性判定の円滑化を図るなど、建築確認手続きのスピードアップを図ります。また、住宅建築にかかる速やかな紛争処理を行う機関の設置と、詐欺対策、悪徳業者対策に取り組みます。
建築基本法の制定
●建築関係者をはじめ広く国民が共有できる質の高い建築物の整備に向け、目標や基本理念、関係者の責務を定める「建築基本法」(仮称)を制定します。
PFI制度の積極的活用
●PFI制度(公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力および技術的能力を活用して行う手法)の一層の活用を促し、コストパフォーマンスの高い(低コスト高サービス)公共サービスを提供します。

◆「住まいは人権」の立場で、住宅・居住環境を守り改善します(共産党)
 http://www.jcp.or.jp/seisaku/2009/syuuin/bunya/bunya_23.html
 日本共産党は、この住宅政策を転換し、国民の居住の権利を明確にし、その保障を基本とするよう「住生活基本法」(「住宅基本法」)を改正します。その内容としては、(1)国民の住まいに対する権利の規定、(2)耐震性や居住スペースなど、めざすべき居住・住環境の水準の法定化、(3)適切な居住費負担の設定、(4)公共住宅の質量ともの改善の明確化、(5)国民の居住権を守るための国・自治体や住宅関連業者・金融機関などの責務を明確化するなど住宅政策は、市場任せでなく国・自治体が責任を持つようにします。

◆「格差社会是正に向けたアクションプラン」(社民党)
 http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/other/07.htm
(2)社会保障
 何よりも住宅の保障と健康不安の解消が必要です。年金収入で、何でもまかなおうとすると大変ですが、最低限の住宅が保障され、病気になっても心配ないとなったら、年金もそれなりに「暮らせる年金」が保障されれば十分となります。住宅を福祉の基盤として位置づけ充実させます。

老い
人口(population)・少子化・高齢化
◆「70歳現役社会―生涯現役社会」の実現へ。(自民党)
 http://www.jimin.jp/sen_syu45/seisaku/2009_yakusoku/contents/02.html
 高齢者の方々が健康でイキイキと活躍できる社会を。人材バンクや情報提供等の充実を目指す「70歳はつらつ現役プラン」を策定し、経験・知見を活かした就業・ボランティア活動などへの参加機会を拡大。元気な「70歳現役社会 - 生涯現役社会」を実現します。

◆子育ての心配をなくし、みんなに教育のチャンスをつくります。(民主党)
 http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2009/index.html
 中学卒業まで、1人当たり年31万2000円の「子ども手当」を支給します。
 高校は実質無償化し、大学は奨学金を大幅に拡充します。
 経済的な理由で十分な教育が受けられない。どこの国でもない、日本での話です。
 民主党は、すべての子どもたちに教育のチャンスをつくります。
 社会全体で子育てする国にします。

医療経済(学)
公的介護保険
◆医療・介護サービスを、もっと身近に。安心と満足が、全国どこでも受けられる健康長寿社会へ。(自民党)
 http://www.jimin.jp/sen_syu45/seisaku/2009_yakusoku/contents/02.html
 安心できる医療のために、診療報酬のプラス改定により医師数の増加や地域医療の再生を進めます。介護についても、今後3年間で施設の充実と、介護報酬のさらなるアップを実現します。

◆後期高齢者医療制度は廃止し、医師の数を1.5倍にします。(民主党)
 http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2009/index.html

◆「新介護ゴールドプラン」(仮称)の策定(公明党)
 http://www.komei.or.jp/election/shuuin09/policy/index.html
●高齢化が進む2025 年を展望し、必要な介護サービス基盤の整備の目標を示す新たな「新介護ゴールドプラン」(仮称)を策定します。また、公費負担割合の引き上げなどにより介護保険財源の安定化を図るとともに、医療・介護の一体的な提供を確保する地域包括ケアシステムを構築するため、診療報酬と介護報酬が同時改定される2012 年の改定において所要の措置を講じます。

◆社会保障(共産党)
 http://www.jcp.or.jp/seisaku/2009/syuuin/digest/01.html
●後期高齢者医療制度の廃止
●“窓口負担ゼロ”をめざし、子どもと高齢者の医療費を無料に
●国保料(税)ひとり1万円の引きさげ、国保証とりあげの中止
●最低保障年金をつくり、国民年金なら月8万3000円に
●介護保険料・利用料の減免、安心できる介護制度に
●障害者自立支援法の廃止

◆いのち セーフティネットを充実(社民党)
 http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/election/manifesto03_02.htm
 社会保障は、社会が支え合うセーフティネット(安全網)です。弱者の保護のみならず、長期的な社会の安定や発展の土台となるものです。それを単なる負担と捉え、赤字解消を名目に国や自治体の役割を縮小させてきた小泉構造改革は明らかに誤りでした。2002年度から始まった社会保障費の機械的な削減(毎年2,200億円)によって、医療、介護、年金など、生命や暮らしに直結するセーフティネットは機能不全をおこし、人びとを不安に陥れています。社会保障費削減方針を早急に撤回させ、セーフティネットを張り直し、いのちを大切にする政治を実現します。

失業/フリーター/NEET
◆不安定な経済状況だからこそ、安定した雇用制度を。働ける喜びを、誰しもが実感できる社会を取り戻します。(自民党)
 http://www.jimin.jp/sen_syu45/seisaku/2009_yakusoku/contents/02.html
 厳しい経済環境でも解雇せず働く場所を守る企業をサポート。若者の正規雇用化援助、女性への支援として再就職に積極的な企業に対する新たな制度「働くお母さん応援計画」の創設やマザーズハローワークを拡充します。特に不安定な雇用環境にある非正社員の方のために、日雇派遣の原則禁止、雇用の常用化促進など、働きやすい環境を作るための「労働者派遣法の改正」を行います。職業訓練や職業紹介など「雇用のセーフティネット」も準備します。

◆月額10万円の手当つき職業訓練制度により、求職者を支援します。(民主党)
 http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2009/index.html

◆雇用(共産党)
 http://www.jcp.or.jp/seisaku/2009/syuuin/digest/01.html
●派遣法の抜本改正で「正社員が当たり前」の日本へ
●最低賃金「時給1000円」以上でワーキングプアをなくす
●長時間労働の規制、サービス残業根絶で「過労死」をなくす
●介護・医療・保育、自然エネルギー産業などで新たな雇用を生みだす
●失業給付期間の延長など失業者の生活援助と再就職支援を強化

生活・生存
生‐政治・生‐権力(bio politics)
◆中小企業を支援し、時給1000円(全国平均)の最低賃金を目指します。(民主党)
 http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2009/index.html

◆最低賃金の着実な引き上げ(公明党)
 http://www.komei.or.jp/election/shuuin09/policy/index.html
●生活保護との均衡を図り、全国平均1,000 円を目指し最低賃金の着実な引き上げを図ります。

◆最低賃金の引き上げ、公契約法(条例)などで「働く貧困層」をなくします(共産党)
 http://www.jcp.or.jp/seisaku/2009/syuuin/20090728_kihon_1.html#_01
 全国最低賃金制度を確立し、当面、最低賃金を時給1000円以上に引き上げ、くらしと地域経済の底上げをはかります。そのために、中小・零細企業には雇用保険財政なども活用して必要な賃金助成を行います。
 国や自治体などが事業の外部委託を発注する際に、低賃金を押しつけるために生まれている「官製ワーキング・プア」を是正します。発注する公的機関と受託する事業者の間で結ばれる契約(公契約)に、生活できる賃金など人間らしく働くことのできる労働条件を定めるようにし、そのための法律や条例を定めます。

◆最低賃金を引き上げます(社民党)
 http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/election/manifesto03_01.htm
○最低賃金が生活保護水準を下回る都道府県の最低賃金を早急に引き上げます。
○中小企業に充分に配慮をしつつ、最低賃金(現在全国平均で時給703円)を段階的に時給1000円以上へ引き上げ、ワーキングプアをなくします。

 http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/election/manifesto03_08.htm
○低所得者、子育て世帯に対する給付付き税額控除制度(所得税の減額と給付金の支給を組み合わせて生活を支援する仕組み)を検討します。

分配/贈与
ベーシック・インカム
◆2009 「日本『改国』宣言」(新党日本)
 http://www.love-nippon.com/PDF/mani3.pdf
すべての個人に最低生活保障(=ベーシック・インカム・BI)を支給し、「年金」と「生活保護」の抜本的な統合を図る中で、役所の裁量行政のムダを省き、地域に根差し、向上心に溢れる日本の中流家庭を共創します。
「最低生活保障」(ベーシック・インカム・BI)の導入
北欧諸国で取り組みが始まっているベーシック・インカムは、生活に必要な最低限の費用を、すべての個人に無条件で支給する画期的な制度です。(コラム参照)

北欧型社会保障実現への具体的道程
@ 乳幼児から高齢者まで、毎月一定の金額を一律に、一人ひとりに配当する。
A 現行の社会保障給付(保険、手当、扶助)に於ける、現金給付部分(年金、生活保護、失業保険等)に関して抜本的な統合を図ると共に、障害者、母子・父子家庭には積極的加算を実施する。
B 年金受給資格者には、既に4年前から新党日本が提唱する、毎月の積立実績と将来の支給金額を明確に印字する年金通帳を導入した上で、これまでの積立金額、積立期間に応じて年金支給総額を明示し、その総額を保証すると共に、一括給付か毎月のBIへの上乗せか、選択制とする。
C 裁量行政の象徴的存在の社会保険庁、各自治体の福祉事務所は役割を終える為、順次、これを廃止する。

ベーシック・インカムという考え方
社会保障制度が前提としていた「労働」と「家族」の形態は、変容しています。雇用の不安定化と非正規化が進行すると同時に、「男性稼ぎ手モデル」の専業主婦型家族が「標準家族」とは最早、規定し得ない社会状況が到来しているのです。
ベーシック・インカム構想とは実は、大きな政府論とは対極に位置します。個人所得税制に於ける所得控除は不要となり、税制と社会保障制度の統合が実現し、社会保険料の徴収や記録に関わっていた役所と経費、福祉給付で不可欠だった選別主義的な資力調査に投じる経費も不要となります。
経営の観点に立っても、仮に月額20 万円の給与を支給する為に、企業も社会も総額30 万円のコストを投じているとしたなら、無条件に20 万円を所得保障した方が、個人に立脚した中福祉・低負担の効率的な社会を実現可能とします。脱・福祉の切り捨て、脱・行政の肥大化を同時に達成し得るのです。

シミュレーション「ベーシック・インカム(BI)」
乳幼児から高齢者まで、1人月額5 万円のベーシック・インカムを保証した場合は、以下の所得となります。現状の基礎控 除と医療保険の徴収は相殺してあります。

ケース 1 年収200 万円 4人家族の場合
● 最低生活保障(BI)
 4人×5万円× 12 か月= 240 万円(非課税)
● 家計所得
    200 万円× 0.9 = 180 万円(所得税10%)
           計 420万円

ケース2 年収450 万円 3人家族の場合
● 最低生活保障(BI)
 3人× 5万円× 12 か月= 180 万円(非課税)
● 家計所得
    450万円× 0.8 = 360 万円(所得税20%)
           計 540万円

◆田中康夫代表のベーシック・インカムに関する発言をまとめました。
 http://www.love-nippon.com/basic.htm

■人

石 弘光
権丈 善一
佐藤 進
神野 直彦
二木 立
西村 周三
根岸 毅宏
福田 幸弘
山井 和則
吉村 仁

■行政

▼内閣府 http://www.cao.go.jp/
[機関]
◇経済財政諮問会議
 http://www.keizai-shimon.go.jp/
◇経済社会総合研究所
 http://www.esri.go.jp/index.html

[資料]
◇経済財政政策
 http://www5.cao.go.jp/keizai/index.html
◇年次経済財政報告/年次経済報告(経済財政白書/経済白書)年次リスト
 http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/index.html
◇「経済財政改革の基本方針2009」
 http://www.keizai-shimon.go.jp/cabinet/2009/decision0623.html

▼財務省 http://www.mof.go.jp/
[資料]
◇予算・決算
 http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/syukei.htm
◇「資料 日本の財政を考える」
 http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/sy014.htm
◇財政関係諸資料(平成21年8月)
 http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/siryou/sy_new.htm
◇平成21年度税制改正
 http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/zeisei09/index.htm

▼総務省 http://www.soumu.go.jp/
[機関]
◇自治財政局
 http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/index.html
 「自治財政局では、地方財政計画の策定を通じて、福祉、学校教育、消防、道路や河川等の社会基盤の整備など住民の多様なニーズに応える行政サービスの財源を保障・調整しています。
 また、三位一体の改革の成果を踏まえ、新たな地方分権制度改革への取組を行っています。」

[資料]
◇地方財政制度
 http://www.soumu.go.jp/iken/zaisei.html

▼厚生労働省(旧厚生省) http://www.mhlw.go.jp/
[資料]
◇予算及び決算、税制の概要
 http://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/index.html
【平成10年度厚生省予算概算要求の基本的考え方(財政構造改革への取組み)】
「公的年金の一元化について」 1996/02/07

▼国土交通省 http://www.mlit.go.jp/
[機関]
◇国土交通省道路局 | 道路IR・財源
 http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-funds/ir-funds.html
 「道路整備を行うために大きな役割を果たしてきた道路特定財源は、平成21年度から一般財源化されました。ここでは、一般財源化に至る経緯や、平成20年度までの道路特定財源の沿革等についてご紹介します。」

■本

 ▼1980-
◇国民税制調査会 編 19830425 『行政改革と税財政――第二臨調の矛盾を突く』,学陽書房,215p. ISBN-10: 4313820086 ISBN-13: 978-4313820081 1600 [amazon][kinokuniya] ※ t07.
福田 幸弘 19841129 『税とデモクラシー』,東洋経済新報社,287p. ISBN-10: 4492610103 ISBN-13: 978-4492610107 [amazon][kinokuniya] ※ t07.
◇国民税制調査会編 19860115 『財政危機下の税制改革――"増税なき財政再建"は可能か』,学陽書房,236p. ISBN-10: 4313820124 ISBN-13: 978-4313820128 \1680 [amazon][kinokuniya] ※ t07.

 ▼1990-
和田 八束・星野 泉・鵜川 多加志・青木 宗明 編 19941210 『現代の財政と税制――21世紀への税財政構想』,文眞堂,237p. ISBN-10: 4830941766 ISBN-13: 978-4830941764 [amazon][kinokuniya] ※ t07.
◇山井 和則 19950703 『家族を幸せにする老い方』,講談社,277p. ISBN-10: 4062077191 ISBN-13: 978-4062077194 [amazon][kinokuniya] ※ b a02 a06
◇Rosanvallon, Pierre 1995 La nouvelle question social: Repenser l’État-providence, Seuil
=20060520 北垣 徹訳,『連帯の新たなる哲学――福祉国家再考』,勁草書房, 264p. ISBN-10: 4326653094 ISBN-13: 978-4326653096 \3465 [amazon][kinokuniya]
◇五十嵐 敬喜・小川 明雄 199703 『公共事業をどうするか』,岩波新書,228p. ISBN-10: 400430492X ISBN-13: 978-4004304920 \660 [amazon][kinokuniya]

 ▼2000-
◇芝田 英明 編 20010201 『福祉国家崩壊から再生への道――21世紀生活大国ニッポンへの提案』,あけび書房,201p. ISBN-10: 4871540278 ISBN-13: 978-4871540278 \1800 [amazon][kinokuniya]
◇福田 泰雄 20020124 『現代日本の分配構造――生活貧困化の経済理論』,青木書店,301p. ISBN-10: 4250202054 ISBN-13: 978-4250202056 \3600+税 [amazon][kinokuniya]
石 弘光 20010625 『税制ウォッチング――「公平・中立・簡素」を求めて』,中公新書,252p. ISBN-10: 4121015916 ISBN-13: 978-4121015914 819 [amazon][kinokuniya] ※ t07.
◇Saltman, Richard B. ; Busse, Reinhard; Mossialos, Elias 20020401 Regulating Entrepreneurial Behaviour in European Health Care Systems, Open Univ Pr
=20041020 一圓 光彌 監訳,『医療財源論――ヨーロッパの選択』,光生館,331p. ISBN-10: 4332600754 ISBN-13: 9784332600756 [amazon][kinokuniya] ※ ms
◇森 裕之 20030315 『公共事業改革論――長野県モデルの検証』,有斐閣,310p. ISBN-10: 4641199914 ISBN-13: 978-4641199910 ¥6000 [amazon][kinokuniya] c05 c14
◇金井 辰樹 20031020 『マニフェスト――新しい政治の潮流』,光文社新書,230p. ISBN-10: 4334032206 ISBN-13: 978-4334032203 \700 [amazon][kinokuniya]
権丈 善一 20040325 『年金改革と積極的社会保障政策――再分配政策の政治経済学 II 』,慶應義塾大学出版会,282p. \3200+税  ISBN-10: 4766410610 ISBN-13: 978-4766410617 [amazon][kinokuniya]
◇高橋 利雄 20050910 『アメリカの財政政策と税制改革』,ぎょうせい,239p. ISBN-10: 4324077274 ISBN-13: 978-4324077276 2500 [amazon][kinokuniya] ※ t07.
◇岡崎 伸郎・岩尾 俊一郎編 20060210 『「障害者自立支援法」時代を生き抜くために』,批評社,メンタルヘルス・ライブラリー15,176p. ISBN4-8265-0436-5 C3047 \1900円+ [amazon][kinokuniya] ※,
◇坂本 忠次・住居 広士編 20060520 『介護保険の経済と財政――新時代の介護保険のあり方』,勁草書房,262p. ISBN-10: 4326700548 ISBN-13: 978-4326700547 \2940 [amazon][kinokuniya] ※ b ds
石 弘光 20080124 『現代税制改革史――終戦からバブル崩壊まで』,東洋経済新報社,795p. ISBN-10: 4492610537 ISBN-13: 978-4492610534 \7875 [amazon][kinokuniya] ※ t07.
◇日野 秀逸 20080405 『医療構造改革と地域医療 新版――後期高齢者医療と財政問題から日本の医療を考える』,自治体研究社,134p. ISBN-10: 488037508X ISBN-13: 978-4880375083 \1400 [amazon][kinokuniya] ※ a06.
◇大津 和夫 20080720 『置き去り社会の孤独』,日本評論社,242p. ISBN-10: 4535585407 ISBN-13: 978-4535585409 \1890 [amazon][kinokuniya] p0206
上野 千鶴子中西 正司編 20081001 『ニーズ中心の福祉社会へ――当事者主権の次世代福祉戦略』,医学書院,296p. ISBN-10: 4260006436 ISBN-13: 9784260006439 \2310 [amazon][kinokuniya] ※ a02 a06 d00
◇日本財政学会編 20081010 『財政再建と税制改革――財政研究第4巻』,有斐閣,360p. ISBN-10: 4641199957 ISBN-13: 978-4641199958 [amazon][kinokuniya] ※ t07.
◇上村 敏之 200903 『公的年金と財源の経済学』,日本経済新聞出版社,300p. ISBN-10: 453213367X ISBN-13: 978-4532133672 \2310 [amazon][kinokuniya]
権丈 善一 200903 『社会保障の政策転換――再分配政策の政治経済学V』,慶應義塾大学出版会,312p. ISBN-10: 4766415965 ISBN-13: 978-4766415964 \1680 [amazon][kinokuniya] ◇永田 宏 20090706 『命の値段が高すぎる!――医療の貧困』,ちくま新書,238p. ISBN-10: 4480064982 ISBN-13: 978-4480064981 \777 [amazon][kinokuniya] p0206

■言及

岡部 耕典 2003/11/12 「支援費制度において介護保険制度の財源を用いる議論について」
◇小沢 修司「格差社会とベーシック・インカム」人文書院
 http://www.jimbunshoin.co.jp/rmj/BIm.htm
立岩 真也 2007/03/25 「財源問題とはどんな問題なのか」,次世代福祉戦略研究会 於:東京・医学書院
天田 城介 2009/06/07 「〈老い〉をめぐる政策と歴史・素描――なぜゆえに高齢者を生かそうとしてきたのか」第7回福祉社会学会 於:日本福祉大学

■引用

石 弘光 20010625 『税制ウォッチング――「公平・中立・簡素」を求めて』,中公新書,252p.

「課税の公平はもっとも基本的なもので税負担に公平感のない税制では国民の支持を得られない。課税の公平は個人の主観的なもので税負担に公平感のない税制では国民の支持を得られない。反面、あいまいながら社会通念としての公平の基準は厳然と存在し、税制改革の折にはこれを無視できない状況になる。」(石[2001:19])

「課税の中立とは家計や企業の経済活動を税制によって歪めるべきでないとする原則である。課税によって、民間は政府に対して税支払いの義務が生じる。これが実際に発生する税負担だが、しかし税支払額以上に追加的に負担が生じる場合もある。高い累進課税率による勤労意欲や貯蓄意欲の減退や、あるいは特定の財のみに課税されると、消費者は好みを変え、非課税の財へ購入を移すかもしれない。」(石[2001:19])

 公平・中立・簡素の「三つの原則はこのように一般的な基準として広く認められているが、そのそれぞれがトレード・オフの関係にあることはよく知られている。」(石[2001:20])

大沢 真理 20081001 「三つの福祉政府体系と当事者主権」,『ニーズ中心の福祉社会へ――当事者主権の次世代福祉戦略』,医学書院,178-199

 「OECD諸国の状況を見渡すと、一九九〇−二〇〇二年に一貫して租税負担率が顕著に低下したのは、日本だけである[…]
 その租税負担率の低下はほとんど国税で起こった。金額では租税収入のピークは一九九一年度の九八兆二八〇〇億円であり、それが二〇〇三年度には八割弱の七八兆円あたりまで低下した。国税収入では、ピークの九一年度の六三兆円あまりが二〇〇三年度には四五兆三七〇〇億円まで収縮した(地方税収は三四兆円前後で推移、二〇〇三年度以降国税は増収)。[…]
 ようするに、九〇年代末から企業と高所得者・資産家への課税を軽減することにより、国税のなかでも直接税収が削減された。[…]一九九〇年代なかばの日本の税・社会保障の再分配効果は、OECD主要国のなかで際立って小さかった[…]。
 […]八〇年代およびとくに九〇年代に税制の再分配効果が相当に低下した[…]。最高税率の引き下げなど所得税の累進性が弱められたこと、逆進性をもつ消費税の比重が増したことなどが背景にある。いまや国税収入を凌駕する比重をもつにいたった社会保障負担には、所得比例の拠出ながら最上限(雇用者社会負担の標準報酬月額)があること、国民年金第一号被保険者の保険料や国民健康保険の均等割のように、所得によらない定額部分があることにより、逆進的になっている。日本の小さな福祉政府のわずかな所得再分配機能は、社会保障の給付面に不釣合いなまでに依存しているのである。」(大澤[2008:188-189]、使われている文献は生活経済研究所[2007]、橘木[2006])

◇生活経済政策研究所 20070300 『税制改革に向けて――公平で税収調達力が高い税制をめざして』,生活経済政策研究所,生活研ブックス25,143p. ISBN: 9784902886108 2000 [kinokuniya] t07.

立岩 真也 20081001 「楽観してよいはずだ」,『ニーズ中心の福祉社会へ――当事者主権の次世代福祉戦略』,医学書院,220-242

 「とりあえずすぐにできることとして累進課税の累進性をもとに戻すことがある。多くの人は知らないか忘れていることだが、多く受け取った人からは多く(高い割合で)税をとるというその度合いを小さくして、そのままになってしまっている。だからそれをやめよう、まずは、すくなくとも、もとに戻そうということだ。」(立岩[2008:226])

橘木 俊詔 20060920 『格差社会――何が問題なのか』,岩波新書,212p. ISBN-10: 4004310334 ISBN-13: 978-4004310334 735 [amazon][kinokuniya] ※ e03. t07.

所得税の負担率を上げる
「第一に、格差拡大に寄与してきた所得税の累進度の低下を阻止する政策が考えられます。具体的には、三七%にまで低下した所得税の最高税率を五〇%程度にするといった方法がありますが、これに関しては、日本社会においては、いま意見が真っ二つに分かれています。政府税制調査会の中でも、「累進度を下げすぎたので、やや元に戻した方がよい」という意見がある一方で、「いや、このままの累進度で問題はない」「むしろもっと下げるべきだ」という意見もあり、やはり二つの意見が対立しています。政治家の中でも意見が様々です。最終的には国民の選択によって決定されることです。
 かつてのように最高税率を七〇%、八〇%にまで戻せとは、私は主張しません。五〇%前後が適当だと考えます。いずれにしても、現在の累進度の低下は問題であり、それを是正する必要があると私は判断します。」([197])

 「所得税の累進度を上げる政策を採るということは、所得税の負担率を上げることにつながります。これについては、反対論も当然、強く出されるでしょう。所得税の負担率はもっと下げるべきで、上げることは減税の時代にふさわしくないといった意見です。
 しかし、日本の租税負担率を世界の先進諸国と比較すると、日本における負担率は、実はとても小さいのです(図5−6)。」([198]) 「累進所得税」の導入による年金改革」

◆大津 和夫 20080720 『置き去り社会の孤独』,日本評論社,242p. ISBN-10: 4535585407 ISBN-13: 978-4535585409 \1890 [amazon][kinokuniya] p0206

「同省によると、@の若者を就業させるために必要な一人当たりの政策費用は、「カウンセラーによる個別指導などでおよそ一〇万円」(幹部)という。Aへの費用は、@の一〇万円に加え、若者一人を雇い入れる企業への助成金が約二〇万円かかることを追加して約三〇万円と見積もった。
 Bのニート支援は、三ヶ月程度の合宿生活をおくってもらうことで生活訓練から始めて最終的に就労までつなげる「若者自立塾事業」が柱だ。その費用は「塾生一人当たり約五〇万円」(関係者)という。これに、@、Aで示した、カウンセリングや企業への雇い入れ助成金で必要な計三〇万円を追加。さらに、「相場三〇万円」という入塾に必要な自己負担額を軽減する目的で、国が最大二〇万円補助する施策を新たに打ち出すとし、計一〇〇万円と見積もった。
 @、A、Bの類型別に推計された一人当たりの政策費用に、対象者数(二〇〇七年の数値)を掛け合わせた総額は、合計約一兆四二〇〇億円にのぼる。この額は、二〇〇七年現在の失業者、フリーター、ニート、の該当者すべてに、現行の支援策を講じた場合に必要な額だ(表9)。
 ただ、この額は、あくまで現行制度の枠内での見積りにすぎない。わが国の若年支援は、就労政策に偏重しており、住宅支援や学歴を身につけさせるための費用、さらには、一部でめだつ精神疾患への対応、親へのカウンセリング――など、先行する欧州では”常識”の対策を講じていくとなれば、必要な財源は膨らむ。また、雇用情勢が悪化すれば、該当者もそれだけ増えることになる。この試算は現在の低失業率を前提としているもので、同省では「失業率は今後欧州並みに五%になる」との見方がもっぱら。以上のことから、約一兆円は「最低ライン」という見方ができる。」(p.187-188)

「ちなみに、第三章で紹介したイギリスのニート対策「コネクションズ」では、一人のニートに対して少なくとも二三〇〇万円の費用が投じられている。」(p.191)


*作成:橋口 昌治村上 慎司
UP:20090821 REV:0823 0824 0825 0826 0828 0831 0902
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