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■整形

◆谷本 奈穂 20080711 『美容整形と化粧の社会学――プラスティックな身体』,新曜社, 306p. ISBN-10: 4788511126 ISBN-13: 9784788511125 \3045 [amazon][kinokuniya] ※ b02.r07.

■神を演ずる play god

◆立岩真也『私的所有論』第3章(p.53)より

 「……ハリスは、予想される反論、また実際に寄せられた反論に答えていく。 「Xの個性が尊重されるべきである」という主張には、しかしY・Zの個性も尊重されるべきだろうとハリスは言う。これが神を演じることになるという指摘には、「われわれに物事を変える能力がある時には、物事を変えないという選択をすることもまた、世界に何がこれから生じるかを決定すること」(Harris[1980=1988:172])であり、Y・Zを死ぬに任せることも神を演じていることに変わりはないとする。」

  ◇cf.サバイバルロッタリー

◆立岩『私的所有論』第4章(p.153)より

「技術に対する「素朴」な懐疑、批判として、「神を演ずる」ことになるという言い方がなされる。そしてこうしたもの言いに対して、「学問」の側からおおむね否定的な反応がある◆21。否定の根拠として出されるのは、人は、人にせよ、ものにせよ、作為し利用し改変する存在だということであり、神を演じることになるなどと言ってそれを否定するのは馬鹿げた行いだということである。前段の事実は事実としてその通りだと言うしかない。しかし、それでこの懐疑、批判を否定し尽くせたと思うとしたらそれは違う。制御し作為しているという事実があり、そのようにしようという欲望があるのと同時に、そうしようとしない欲望があるのである。そしてもちろん、この懐疑、欲望には、本来神様、創造主は必要とされない。私が決定しないことを言うのに、どうしても私という位格を超越する何かを措定しなくてはならないわけではない。◆22」

◆立岩『私的所有論』第4章注20の引用

 「反対者たちは、デザインで仕立てられた人間が生物学的に運命づけられた地獄に群がっている、ぞっとするような「すばらしい新世界」を見ている。科学者はついに神を演じるようになり、家系をいじくり、無意識にあるいは故意に、フランケンシュタインの怪物をつくりだすかもしれない(でも、これらの批判家は、研究者がなぜそのような怪物をまず第一にでっち上げたがっているのかを説明したためしがない。)」(Bodmer ; McKie[1994=1995:390-391])遺伝子操作に対する疑念を「フランケンシュタイン症候群」として捉え、批判し、動物の遺伝子操作のあり方を論じている書としてRollin[1995]。 (『フランケンシュタイン』=Shelley[1818=1984])

◆以下,立岩『私的所有論』第4章注21

「題名にこの語がある単行書としては、Goodfield[1977=1979]、Howard ; Rifkin[1977=1979]。「神を演ずる」という技術への批判を批判するものとして、Harris(第2章4節)、Proctor[1992]、Rollin[1995]。」

◆以下,立岩『私的所有論』第9章注30の一部(p.440)

 「積極的優生を支持するグラヴァーの主張を検討する(Glover[1984]、他の著書としてGlover[1977]、Glover et al.[1989]等。以下は森村進[1987]の紹介による)。
 ……
 D「不自然」「神を演ずるもの」という批判に対して、「放っておけば死んでしまう病人を救う医療は「不自然ではないののか? 自然さや神意に訴える議論は、あまりにも漠然としていてとらえ所がない。そのうえ、神を持ち出す議論は、神の存在を信じている人にしか意味を持たない。」」

◆森岡正博

 「……遺伝子治療の方に顕著に見られる倫理問題としては,その技術が,生命の根本原理であるDNAへの介入になる点がある。DNAは,生命の遺伝と発生と成長を支配する原理であり,それへの介入は「神を演じる」ことになるという難しい問題が残る。そのDNAが人間のものであれば,なおさらであろう。……」(森岡正博[1990:66])

 森岡 正博 1990 「遺伝子治療の倫理問題」,加藤・飯田編[1990:63-67] <428>

経験機械 (experience machine)

◆立岩『私的所有論』第4章注19

「関連して、Nozick[1974=1992:67-72]、Glover[1984=1986:199-205]の「経験機械」についての記述を参照のこと。「あなたが望むどんな経験でも与えてくれる」(Nozick[1974=1992:67])この機械をなぜ人は望まないのかについて論じられている。彼らのこの問いに対する回答は本文に私が述べたことと同じではないが、近い部分がある。この種の議論から、つまり経験機械を望まないというノージックも認める前提から、ノージック達の議論を覆すことが可能だと私は考えている。」

■電子架空世界

◆立岩『私的所有論』第4章注18

 「コンピュータ通信等の電子メディアを論じている本の中で森岡正博は次のように述べる。
 「私が原理的に支配可能な世界の内部で、私に向かって暴力的に反抗する存在者を、本当に他者と呼べるであろうか。…他者を見失った架空世界の住人たちの多くは、真の<他者>を見つけるために、…現実世界をふたたび訪れることになるだろう。そのとき、彼らにとって、この融通のきかない牢獄のような現実世界こそが<他者>となるのだ。彼らは、自分たちのコントロールの手が及ばないこの現実世界それ自体に、究極の他者を見出すであろう。彼らを疎外し、彼らの傲慢な欲望を決して認めてくれなかったこの現実世界こそが、電子架空世界からの帰還者のための「不動の他者」となる。」(森岡[1993b:45-46])

森岡 正博  1993b 『意識通信――ドリーム・ナヴィゲイターの誕生』,筑摩書房,219p. <169-170> ※

■フランケン症候群 (Franken Syndrome)

Shinya Tateiwa September 1997 On Private Property『私的所有論』), Tokyo, Keiso-Shobo 445+66p ISBN-10: 4326601175 ISBN-13: 978-4326601172 6300yen [amazon]/[kinokuniya]
Shinya Tateiwa 2016 On Private Property, English Version, Kyoto Books Translation by Robert Chapeskie

 「反対者たちは、デザインで仕立てられた人間が生物学的に運命づけられた地獄に群がっている、ぞっとするような「すばらしい新世界」を見ている。科学者はついに神を演じるようになり、家系をいじくり、無意識にあるいは故意に、フランケンシュタインの怪物をつくりだすかもしれない(でも、これらの批判家は、研究者がなぜそのような怪物をまず第一にでっち上げたがっているのかを説明したためしがない。)」(Bodmer ; McKie[1994=1995:390-391])
 遺伝子操作に対する疑念を「フランケンシュタイン症候群」として捉え、批判し、動物の遺伝子操作のあり方を論じている書としてRollin[1995]。
 (『フランケンシュタイン』=Shelley[1818=1984])

 "Genetically altering a human being is the unacceptable face of molecular biology, they argue. Such critics see a terrifying Brave New World of designer-made human beings, populating some biologically determined hell. Scientists could end up by playing God, tinkering with pedigrees and perhaps unwittingly, or even deliberately, creating Frankenstein monsters (though these critics never explain why researchers would ever want to conduct such monstrosities in the first place)." (Bodmer; McKie [1994, 1997:243=1995:390-391])
 For a book that looks at the misgivings surrounding genetic modification as a kind of "Franken syndrome," criticizes these fears, and puts forward a position on what should be done surrounding the genetic modification of animals, see Rollin [1995].

Bodmer, Walter ; McKie, Robin 1994 The Book of Man, A.P.Watt=1995 長野敬・平田肇訳,『ヒトを探る,ゲノムを探る』,三田出版会,413p. <170,314,433>
Rollin, Bernard E. 1995 The Franken Syndrome : Ethical and Social Issues in the Genetic Engineering of Animals, Cambredge Univ. Press(「科学技術の発達と現代社会II」運営委員会編[1996:106-114]にchap.1 There are certain things human were not meant to doの渡辺啓真による紹介「人間には,してはならないことがある」) <169>
Shelley, Mary 1818 Frankenstein ; or, the Modern Prometheus=1984 森下弓子訳,『フランケンシュタイン』,創元社推理文庫,329p. <170>


UP: REV:20110813
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