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出生・出産と技術/生殖技術・2002年

代理母/代理母出産/代理出産 2002

出生・出産と技術/生殖技術



◆2002/04/03 「日本人夫婦、米国で着床前診断受けて出産」
 『朝日新聞』2002/04/03 他
◆2002/04/04 「「遺伝上の親」を子に開示…不妊治療」
 『読売新聞』2002/04/04
◆2002/10/16 「体外受精後の受精卵診断で妊娠率1.7倍に 米の医師団」
 朝日新聞ニュース速報
◆2003/10/25 「<生殖医療>実施の医療機関は倫理委員会設置を 厚労省が方針」
 『毎日新聞』2003/10/25
◆2002/11/05 不妊治療、保険適用検討へ
 読売新聞政治ニュース



◆2002/04/03 「日本人夫婦、米国で着床前診断受けて出産」
 『朝日新聞』2002/04/03

 「生まれてくる子どもが遺伝性のがんになるのを避けようと、日本人夫婦が米国の医療機関で着床前遺伝子診断を受けて出産していたことがわかった。この診断は体外受精で受精卵をつくり遺伝子に異常がないものを選ぶ方法。しかし、診断には「命の選別」との批判や、親が望む性質を備えた「デザイナーベビー」につながるという懸念もある。
 国内では、日本産科婦人科学会が対象を重くて治療法がない遺伝性の病気に限って認め、個別に審議することを決めている。しかし、国内で実施された例はない。この診断を日本人が受けたことがわかったのは初めて。
 シカゴの民間の生殖遺伝学研究所(ユーリ・ベルリンスキー所長)が朝日新聞の取材に答えた。
 夫婦の希望とプライバシー保護のため、詳細は明らかにしていないが、数年前のことで、夫婦の一方にがんにかかわる遺伝子p53の変異が受け継がれていた。
 この変異が遺伝すると若くして乳がんなど様々ながんになる恐れが強くなる。自然な妊娠・出産の場合は50%の確率で子どもに引き継がれる。
 「子どもに伝えたくない」という夫婦の願いにこたえ、体外で受精させた複数の受精卵を調べてこの遺伝子に変異がないものを母体に戻した。
 また、出産はしなかったものの、昨年も、p53とは別の遺伝子変異がある日本人夫婦も診断を受けたという。
 同研究所は「胎児を調べる出生前診断では変異が見つかると、夫婦は妊娠中絶をするかどうか決断を迫られる。着床前遺伝子診断は体外受精の一環として実施でき、中絶の負担がない」と説明する。
 この診断の国際研究グループのまとめ(昨年5月現在)では、欧米を中心に3000件以上が実施され、700人近い子どもが生まれている。」

◆2002/04/03 日本人夫婦に着床前診断=がんの危険回避に3年前実施−米
 時事通信ニュース速報

 「【ワシントン2日時事】米シカゴにある生殖遺伝学研究所のユーリ・ベルリンスキー所長は2日、時事通信の取材に応じ、同研究所で約3年前にがん抑制遺伝子として知られるp53に変異のあった日本人夫婦に対し、体外受精による着床前診断を実施し、遺伝子に異常のない受精卵を選択して妻の子宮に戻し、出産にこぎつけていたことを明らかにした。
 同所長は昨年、米国人のカップルに同様の着床前診断を行ったことを発表していたが、この時には日本人夫妻への診断には一切触れなかった。
 遺伝子p53に変異が起きると、がんの発症を抑制できなくなる恐れがある。そうした家系の子供はがんの発症率が高くなるため、この日本人夫婦は着床前診断で遺伝子に変異のない受精卵を選択してもらった。」[2002-04-03-10:47]

◆2002/04/04 「「遺伝上の親」を子に開示…不妊治療」
 『読売新聞』2002/04/04

 「第3者からの精子や卵子、受精卵の提供による不妊治療についてルール作りを進めている厚生労働相の諮問機関「厚生科学審議会」の生殖補助医療部会(矢崎義雄部会長)は3日、将来、生まれた子供が請求した場合、提供者の特定につながる住所、氏名などの個人情報を広く開示する方針で基本的に合意した。これまでの国の論議で、身長や体重など、提供者を特定できない情報に限り開示を認めるとしていた方針を転換した。ただし、提供者には個人情報の開示を拒否することができる、と考える意見も強く出され、具体的な開示条件、範囲については引き続き慎重に検討することになった。
 同部会が方向転換したのは、子供の「出自を知る権利」が、国連で「子供の権利条約」として保障され、世界的に認識が広がっていることを重視したもの。最も進んでいるスウェーデンとオーストラリアの一部の州では、人工授精に精子を提供した男性の氏名などを子供に開示している。
 委員からは「身長、体重などの情報を開示するだけでは、『出自を知る権利』を認めることにならない」との意見が続出し、「個人を特定できる情報まで開示するのが妥当」とすることでほぼ一致。一昨年末に国がまとめた「個人特定につながらない情報だけを、提供者の承認を得て開示する」との骨格案を覆した形だ。
 しかし、提供者の開示拒否権について同部会では、「子供が申請したら、情報は全面開示が基本」としつつも、「提供者が、個人を特定する情報の開示を拒否する権利を認めるべきだ」との意見も出され、結論は持ち越された。
 提供者に開示拒否を認めた場合、提供者の考えの違いによって、ある子供は遺伝上の親を知ることができ、別の子は情報にアクセスできないという不平等が生まれる。
 開示によって子供が「遺伝上の親」を知った場合には、精子や卵子の提供から約20年もたって突然訪ねてきたり、認知を迫るなど法的なトラブルが起こることも想定される。
 提供者が夫婦の兄弟姉妹というケースの扱いは論議中だが、兄弟姉妹からの提供を認めることになれば、子供がその事実を知った時の法的、心理的な問題は一層複雑なものになると考えられるため、慎重な対応が必要となっている。
          ◇
 中谷瑾子・慶応大学名誉教授(生命倫理)の話「子供の権利を認める立場からいえば、今回の方針は妥当だ。その場合、カウンセラーを養成し、提供者や不妊治療を受ける夫婦、子供に正しく情報を伝え、心のケアにあたる体制を充実させていくことが重要だ」[速報2002-04-04-01:53]

◆2002/10/16 「体外受精後の受精卵診断で妊娠率1.7倍に 米の医師団」
 朝日新聞ニュース速報

 体外受精したあと、遺伝子や染色体を調べる受精卵診断で正常とされたものだけを子宮に戻すことによって、妊娠率が1.7倍にアップする。米専門医グループが15日、そんな臨床試験の結果を米国生殖医療学会総会で発表した。米国では受精卵診断の規制はなく、「いのちの選別」が加速するとの批判が出ている。
 臨床試験をしたのは、カリフォルニア州で不妊クリニックを開業するローレンス・ワーリン医師ら。習慣性流産や高齢などの理由で不妊になり、複数の施設で体外受精を受ける女性57人が試験に参加した。
 習慣性流産の人では、受精卵診断で選別すれば妊娠率64%、診断をしないと38%だった。高齢出産の人では、それぞれ43%と25%。受精卵診断によって妊娠率が1.7倍もよくなっていた。
 染色体や遺伝子に異常のある受精卵は、着床や発育が難しい。体外受精で出産にたどり着けるのは、一般的に5〜30%にとどまるという。
    ◇
 国内では、日本産科婦人科学会が「受精卵診断は重い遺伝病に限る」とする会告(指針)を出している。受精卵診断をしたとの報告はまだ一例もない。北九州市のセントマザー産婦人科医院は99年、習慣性流産を防ぐ目的で受精卵診断の実施を同学会に承認申請した。しかし、同学会は「重い遺伝病にあたらない」などとして受理しなかった。
[2002-10-16-19:20]

◆2003/10/25 「<生殖医療>実施の医療機関は倫理委員会設置を 厚労省が方針」
 『毎日新聞』2003/10/25

 「不妊治療のあり方について検討している厚生労働省の「生殖医療補助部会」が24日開かれ、夫婦以外の精子や卵子、受精卵を用いて生殖医療を実施する医療機関には、倫理委員会の設置を義務付ける方針を固めた。夫婦間の体外受精など、国内の一般の生殖医療は規模の小さなクリニックで実施されることが多いが、第三者からの提供を受けて行う場合には大学病院など、規模の大きな医療機関に限定される見通しとなった。
 部会案によると、倫理委員会は医学、法律、生命倫理などに詳しい10人前後で構成され、このうち外部委員と女性をそれぞれ2人以上含む――などの条件を満たすことが望ましいとしている。
 同部会は、倫理委の設置以外にも、すでに医療技術や設備が一定の条件を満たした機関を国が認定することで合意している。厚生労働省では「妊娠から誕生後まで適切な体制が取れる施設が望ましい」としている。」【田中泰義】[速報2002-10-25-11:31]


◆2002/11/05 不妊治療、保険適用検討へ
 読売新聞政治ニュース

 「坂口厚生労働相は5日の閣議後の記者会見で、人工授精や体外受精など不妊治療への医療保険適用について、「少子化対策は1年でも早くやらなければならない。不妊治療への支援も出来るだけ早く実現したい」と述べ、2003年度中の実施も視野に入れ、検討を進める考えを示した。
 厚労相は、「不妊は病気とは言い難いが、正常ではないという意味で(保険適用を)可能にしていい」と述べ、改めて適用の必要性を述べた。
 その上で、人工授精や体外受精の成功率が2割程度と低いことを挙げ、「成功率は低く、不妊治療を公的な病院が手がけていない問題点もある。不妊治療のどこまでを医療保険で見るか、成功率の見極めも大事だ」と述べ、治療内容に応じて適用範囲を決める必要があると指摘した。」(11月5日22時31分更新)


ファイル分離:20031227
生殖技術 

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