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代理母/代理母出産/代理出産 2001

代理母/代理母出産/代理出産
出生・出産と技術/生殖技術 2001



◆2001/05/19
 根津院長会見
◆2001/05/20 <社説>代理母出産 認めるわけにはいかない
 『毎日新聞』
◆2001/05/20 <社説>[代理出産]「先端不妊医療の法制化を急げ」
 『読売新聞』
◆2001/05/21
 <民主・菅幹事長>「代理母出産」法未整備の現時点望ましくない
◆2001/05/22
 代理母絶対禁止に疑問 尾身科技担当相
◆2001/05/29
 <代理母禁止法案>提出の前倒しを検討 厚労相、来年制定目
◆2001/05/31
 代理出産の是非など検討 厚生労働省が部会設置へ
◆2001/05/31
 代理出産、賛成できない 日医副会長
◆2001/06/15
 代理出産禁止、当面見送り…日本不妊学会
◆2001/06/18
 <代理出産>是非について日本不妊学会と調整へ 日産婦
◆2001/06/23
 代理出産の是非を倫理審議会に諮問 日本産科婦人科学会
◆2001/06/24
 日本人の卵子提供者募る 米韓のバンク、邦人需要見込み ◆2001/06/29
 緊急ティーチ・イン「代理出産」何が問題か
◆2001/07/12 「押し寄せる商業化の波 英国 代理出産 海外では:中」
 『朝日新聞』2001/07/12
◆2001/07/14
 日本における生殖医療の現状と在り方を考える国際シンポジウム
◆2001/07/18
 「国内初の事例受け、高まる議論(代理出産 日本では)」『朝日新聞』朝刊
◆2001/09/06
 子宮・卵巣がんのサポートグループ「あいあい」第12回シンポジウム
 子宮のない人に、代理母は福音か?
◆2001/12/12
 代理出産認めず、産科婦人科学会の倫理審答申へ  読売新聞ニュース速報・他
◆2001/12/15 ES研究への胚提供承認=「代理出産は認めず」と外部審議会−日産婦
 時事通信ニュース速報


 
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◆20010519 「代理出産に独自ガイドライン」根津院長が会見
 読売新聞ニュース速報
 http://www.yomiuri.co.jp/

 「国内で初めて不妊女性の代理出産を行った長野県下諏訪町の根津八紘・諏訪マタニティークリニック院長は十九日、同クリニック内で記者会見し、出産までの経緯を説明するとともに、代理出産を行うため、クリニック独自のガイドラインを設けていることを明らかにした。根津院長によると、これまでにいずれも姉妹による五例の代理出産を試みたが、今回明らかになった五例目で成功した。ガイドラインは二例目から適用しているという。
 根津院長は「私は以前から借り腹は当事者間の了解があれば、ボランティア精神の元に当然行われてしかるべきものと考えていた。六年前、生まれながら子宮のない女性から訴えを受け、私の考えは決まった」と述べた。また、旧厚生省の専門委員会が代理出産を禁止する報告書を出したことについて、「(患者の)肉声を聞いたならば、このような結果は出されなかったと思う」と批判した。
 同クリニックのガイドラインは<1>依頼側は妻に子宮がなく、卵子、精子の採取可能な夫婦。引き受け側は結婚していて子供があること。ボランティア精神に徹し、金銭の要求や生まれる子に関していかなる権利の主張もしてはならない<2>双方は経費の範囲を超える金銭の授受はしない<3>医師はさまざまな危険性、問題点を説明し、両夫婦が納得したうえで実施する<4>子供は引き受け側の戸籍に入れ、後に依頼側が養子縁組みする――となっている。
 根津院長によると、代理出産を実施する際には、それぞれの当事者が「子供には理解力の持てたころ(四〜五歳)に事実を話し、生みの親と実の親双方は、感謝の心を忘れないような子育てをする」という誓約書に署名しているという。」
[2001-05-19-20:40]

◆「諏訪クで国内初の代理出産」
 読売新聞ニュース速報
 http://www.yomiuri.co.jp/

 「子宮を切除したため妊娠できない女性に代わり、この女性の卵子を使って第三者が妊娠する代理出産が、長野県下諏訪町の諏訪マタニティークリニック=根津八紘(やひろ)院長=で行われていたことが十八日、明らかになった。代理出産は米国などで行われており、渡米して治療を受ける女性もいるが、国内で実施されたのは初めて。
 生殖医療のあり方を検討してきた厚生省(当時)審議会の専門委員会は昨年十二月、代理出産を禁止する報告書をまとめただけに、論議を呼ぶのは必至だ。
 この女性は、以前に子宮の切除手術を受けており、女性の実妹が出産した。
 治療は、まず女性に排卵誘発剤を投与し、卵巣から卵子を採取。夫の精子とで体外受精したうえ、受精卵を女性の妹の子宮に移植、妊娠した。妊娠の経過は順調だったといい、今春出産した。生まれた子の性別などは明らかにされていない。
 治療は、これ以前にも二組に実施され、いずれも妊娠はしたものの、流産した。代理出産に協力したのは、患者の実の姉や妹で、姉妹には既に子供がいるケースだった。
 代理出産は、倫理面の批判があるうえ、妊娠・出産によるリスクも大きい。このため、日本産科婦人科学会が認めていないほか、海外でもフランス、ドイツなどでは禁止されている。
 一方、アメリカでは国レベルの法規制がなく、州によってはビジネスとして行われており、日本から渡米して治療を受ける夫婦もいる。イギリスは、高額の謝礼をしないなどを条件に容認している。
 根津院長は「子宮の切除手術などを受けた女性が子供を持つには、この方法しかない。子供のできない姉や妹のために協力したいという気持ちを無にできない。海外で実施されているのに、国内では許されないままでいいのか問題提起したい」と話している。
 根津院長は一九九八年六月、卵子提供による国内初の非配偶者間の体外受精を行ったことを公表、日本産科婦人科学会から除名された。しかし、これを機に、厚生省厚生科学審議会の専門委員会が、生殖医療の指針づくりに乗り出し、卵子、精子提供を認める報告書をまとめた。だが、代理出産については、「女性は子供を産む道具ではない」として禁止し、罰則ももうける方針を打ち出した。
 「代理出産」には、今回のように、夫婦の受精卵を他の女性に移植し、その女性が出産する「借り腹」と、不妊症の妻に代わって、第三者の女性が夫の精子を使って産む「代理母」がある。」
[2001-05-19-03:02]

◆「患者のために口火を切った 代理出産の根津院長会見」
 共同通信ニュース速報

 「不妊夫婦のために、別の女性が代わりに出産する「代理出産」を国内で初めて実施した長野県下諏訪町の「諏訪マタニティークリニック」の根津八紘院長が十九日、病院内で記者会見した。根津院長は「患者のために、だれかが口火を切らなくてはならなかった」などと述べ、自主的にガイドラインを作成した上で代理出産に踏み切ったことを明らかにした。
 根津院長は「私見」と前置きしながらも「ボランティア精神で産んでくれる人がいるなら医師として当然協力すべきで、見過ごすことは人の道を外れる」と持論を展開。三年前からすべて姉妹間で五例を試み、うち一例が今回のケースだと述べた。
 ガイドラインは、二年ほど前に二例目を実施した際に作ったと説明。@代理出産を依頼する側は結婚していて卵子も精子も採取可能な夫婦A出産側は結婚し子供がいること。金銭や生まれた子に関するいかなる権利も主張しないB子供は出産側の夫婦の子供として戸籍に入れ、依頼側の夫婦が養子縁組する―などが柱。費用はほかの体外受精と同額で約三十万円だという。
 一方、旧厚生省の専門委員会が禁止の方針を打ち出していることについては「患者の声が届かないうちに上で決めるのはおかしい。患者は訴えることができないので、私が代弁するしかない」と述べ、「最終的に決定する前に変えていただきたい」などと訴えた。
 非配偶者間での代理母については「現段階でそこまで行こうという気持ちはない」と述べた。」
[2001-05-19-19:01]

◆「「日本的行為認めるべき」 国の専門委で持論展開 根津院長」
 共同通信ニュース速報

 「借り腹は、金銭的な絡みではなくボランティア精神で成り立つ日本的な行為として認められるべきだ」―国内初の代理出産を実施した諏訪マタニティークリニックの根津八紘院長は昨年一月、参考人として招かれた旧厚生省の専門委員会でこう断言し、患者の希望に応じられるよう準備を進めていることを明らかにしていた。
 その際、提出された資料で、根津院長は代理母や借り腹に対する考え方を説明。「先天的に子宮のない場合、子宮摘出や卵巣摘出までも受けてしまった場合、妊娠が母体を死に至らせるような場合等において、妊娠・分娩(ぶんべん)を代行してもらうことは認められるべきである」と代理出産を肯定した。
 生まれた子どもの親権については、出産した人が出生届を出し、本当の夫婦に養子縁組させるという手段を取らなければならないと主張。出産した女性が子どもに愛着を持ってしまい、親であることを主張する事態を避けるために「代理母、借り腹を行う際には、法的な契約の締結が必要だ」と持論を展開していた。
 根津院長は専門委で「数年前、夫婦の受精卵を妻の妹のおなかで育ててほしいとの申し出を受けたが、妹の夫の親の反対で実現しなかった」とも述べた。
 それから一年、根津院長は独自のガイドラインに基づき、当事者間の誓約書だけで出産に踏み切った。
(了)
[2001-05-19-11:24]

◆「これまでにも問題提起 不妊治療で根津医師 代理出産」
 共同通信ニュース速報

 「代理出産を行った諏訪マタニティークリニック院長の根津八紘医師は、これまでにも、日本の不妊治療の現状をめぐって「問題提起」してきた。
 体外受精などの不妊治療の結果、四つ子や五つ子などを妊娠した女性の胎児を減らす「減数手術」を一九八六年から続けていると公表したのは九三年。また九八年には第三者から提供を受けた卵子や精子を使った非配偶者間体外受精の実施を明らかにした。
 「現実に悩んでいる患者を前にして、ルール作りを待っていられない。公表することで問題提起となり議論が進む」と今回と同様の主張を展開してきた。
 減数手術では「優生保護法(現・母体保護法)違反」との立場を取る日本母性保護産婦人科医会と対立。非配偶者間体外受精では、日本産科婦人科学会の倫理規定に違反したとして同学会を除名された。
 しかし、いずれも根津医師の公表後、国や学会が指針作りに乗り出した。日本母性保護産婦人科医会は昨年三月、「減数手術」を容認する提言案を了承。昨年十二月には旧厚生省の専門委員会が近親者からの卵子や精子の提供を認める報告書をまとめている。」
[2001-05-19-11:06]

◆「大きい安全、倫理の問題 性急な実施との批判も 代理出産」
 共同通信ニュース速報

 夫婦以外の卵子や受精卵を使った体外受精など、生殖医療の是非には賛否両論のさまざまな意見がある。しかし、今回明らかになった代理出産については、母体の安全面や倫理面の問題がほかに比べてはるかに大きい。
 昨年末に代理出産禁止の報告書をまとめた旧厚生省の専門委員会も、当初から禁止の方向で議論を進めるなど、他の生殖医療とは一線を画す技術ともいえ、性急な実施との批判は免れないだろう。
 代理出産は、約十カ月にわたって母体にリスクが伴う妊娠・出産を、第三者に負わせなければならない。この間の、代理母の精神的負担も小さくない。
 さらに、代理出産で生まれてくる赤ちゃんをめぐる法律が整っていないことも懸念材料だ。他人の赤ちゃんと分かってはいても、おなかで子どもを育てるうちに母性が芽生えることは十分に考えられる。
 実際、代理出産が行われてきた米国では、出産を依頼した夫婦と子どもを産んだ代理母が、親権をめぐって裁判で争うケースが多発している。
 国は専門委員会の報告書を受け、三年以内に罰則付きの法律を整備する方向で作業に入ったばかり。法整備までの間も、報告書の趣旨を尊重するよう関係者に強く求めており、根津八紘院長の行為が波紋を広げるのは必至だ。
(了)
[2001-05-19-10:42]

◆「<代理母>「極めて遺憾」 厚生労働省」
 毎日新聞ニュース速報

 厚生労働省の厚生科学審議会の専門委員会は昨年12月、安全性や倫理性の観点から代理出産を禁止する報告書をまとめた。
 同省生殖補助医療対策準備室の椎葉茂樹室長は「極めて遺憾だ。専門委員会は2年3カ月かけて検討し、(今回代理出産に踏み切った)医師本人にもヒアリングを行った。今春の出産という時期から推定すると、議論の最中に体外受精を実施していたことになる。ただ、現時点では強制力がなく、医師の良心に頼るほかない状況で、法整備の必要性を痛感している」と話した。
[2001-05-19-15:25]

◆2001/705/19 「<代理母>ことば」
 毎日新聞ニュース速報

 不妊のカップルに代わり第三者の女性が子供を出産する方法。子宮を失うなどした女性に代わってカップルの受精卵を妊娠・出産してもらう方法と、女性の卵子、子宮ともに問題があり、カップルの男性の精子を第三者の女性に人工授精し妊娠・出産してもらう方法がある。
 受精卵の妊娠・出産を代行した代理母の場合、生まれる子供と代理母との間に遺伝的なつながりはない。人工授精による代理母の場合、子供は依頼人の男性と代理母の遺伝子を受け継ぐ。どちらの場合も現行法では出産時は代理母の実子と見なされる。
[2001-05-19-14:50]

◆「代理母出産の医師は生殖医療「渦中の人」」
 朝日新聞ニュース速報

 不妊に悩む夫婦のために、「代理母」という方法で子どもを出産させていた産婦人科医が19日、記者会見を開いた。長野県下諏訪町の諏訪マタニティークリニック院長、根津八紘(やひろ)医師。生殖医療が新たな段階に足を踏み出すとき、しばしば渦中の人物として登場してきた。日本産科婦人科学会からは除名された「異端児」。だが、「どうしても子どもを」と願う人たちが、いまも全国からこのクリニックを訪れる。
 昨年1月。厚生科学審議会の専門委員会の席に呼ばれた根津院長は、10人の委員の前で、はっきりこう宣言した。
 「(代理母のひとつである)借り腹のケースは何例か(希望者が相談に)来ておりまして、実際に行う方向で態勢はつくっております」
 それまで代理母を直接、規制するルールはなかった。ただ、不妊医療の最終段階ともいえるこの領域に踏み込んだと公表する医師もいなかった。
 委員のひとりが「大変なことをおっしゃっていることをおわかりになっているのでしょうか」とくぎをさした。
 根津院長は、こう反論した。「学会はそのような問題を論ずる場所だが、問題提起をしても却下されてしまう」
 今回、明らかになった代理母が妊娠したのは、この発言から数カ月後のことだった。
 実は、根津院長がルールを待たずに新たな生殖医療に踏み出したのは、今回が3度目だ。
 86年、四つ子や五つ子などを妊娠した場合に、母体内で胎児を死亡させる「減数手術」を日本で初めて実施した。当時、日本母性保護産婦人科医会が公式に認めていない手術だった。
 次は98年6月。「体外受精は夫婦間に限る」としてきた日本産科婦人科学会の会告に反することを承知の上で、妻以外の女性から卵子の提供を受けて夫の精子と受精させてから妻の体内に戻す「非配偶者間の体外受精」を公表した。
 学会は、この体外受精が会告違反にあたるとして、98年に根津院長の除名処分を決めた。
 だが、減数手術も非配偶者間の体外受精も、その後厚生科学審議会などで認められていく。既成事実が、あとから追認された形だ。
 こういった生殖医療は、ともすれば夫婦や関係者に心の負担を強いることになる。倫理委員会で議論するだけでなく事前の説明やアフターケアが欠かせない。
 しかし、根津院長のクリニックには実質的な倫理委員会はない。
 根津院長が続ける治療方針は、不妊に悩む人への「福音」とされる一方、「倫理面を含む議論が不十分」と批判も根強い。今回の代理母のケースで当事者にどれだけの説明がなされたのか。根津院長はまだ明らかにしていない。
      ◇
 代理母による国内初の出産を報じた19日付朝刊の記事で、朝日新聞社は関係者への配慮から、かかわった産婦人科医師を匿名で報道しました。しかし、(1)一部の報道機関がすでに実名で報道している、(2)医師自身も19日午後に記者会見を開いたことから匿名報道を続ける実質的な理由がなくなったと判断し、実名報道に切り替えます。
[2001-05-19-12:08]
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◆2001/05/19 「代理出産 中谷慶大名誉教授 行うべきでない」
 NHKニュース速報

 「国の委員会は去年、代理出産を禁止する報告書をまとめています。
 当時の委員長で、生命倫理が専門の慶応義塾大学の中谷瑾子(ナカタニキンコ)名誉教授は「アメリカに渡って代理出産をする夫婦がいたことから日本でもいずれありうると思っていたが、代理出産は女性の体を道具に使うもので、ビジネスにもつながりかねないので行うべきではない。しかし出産した子どもに対するケアは、今後、十分にしてほしい」と話しています。」[2001-05-19-11:24]

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◆「国内初の「代理母」出産=長野の病院で実施−厚労省は禁止」
 時事通信ニュース速報

 「国内初の「代理母」出産=長野の病院で実施−厚労省は禁止の方向
 夫婦の精子・卵子を体外受精し、別の女性の子宮で妊娠・出産する「代理母出産」が国内で初めて、長野県下諏訪町の諏訪マタニティークリニック(根津八紘院長)で実施されていたことが19日、分かった。国内には今のところ代理母を禁止する法律はないが、倫理的な問題点が多いことから厚生労働省が3年後をめどに罰則を伴う法律で禁止する方向で準備を進めている。今回の代理母出産は規制までの間げきを突いた形で行われ、医の倫理の点から波紋を広げそうだ。
 同クリニックは、妻が子宮切除手術を受けて子供を持てなくなった夫婦の相談を受け、意思を確認して代理母出産を行ったという。
 まず、妻の卵巣から卵子を採取し、夫の精子と体外受精して受精卵をつくり、女性の妹の子宮に移して妊娠させた。子供は順調に育っているという。 
[時事通信社]
[2001-05-19-11:01]


◆「<代理母>法規制の空白つく 厚労省と学会に衝撃」
 毎日新聞ニュース速報

 国内初の代理母出産を手がけた諏訪マタニティークリニックの根津八紘医師は19日、「患者の希望をかなえる行為」と強調した。国は03年をめどに代理母を禁止する法律を制定する方針で、今回は、法規制前の空白をぬって実施された形だ。厚生労働省は「極めて遺憾」と非難し、不妊治療に取り組む他の産婦人科医も「国は厳重に処分すべきだ」と強く反発する。倫理上の問題や商業主義への懸念から、代理母出産が世界的に敬遠される方向にある今、なぜあえて踏み切ったのか。

●患者を代弁
 「(代理母禁止の)最終決定の前に変えられるものなら変えたい」「代理母が必要な少数の不妊患者を代弁したい」
 19日午後1時から始まった会見では、根津院長が自ら用意していた原稿を読み上げながら出産に至る経緯などを説明。実施に踏み切った理由を明らかにした。
 また、代理出産が子宮のない女性の治療手段であることや、経費を超える金銭の授受を認めないことなどを定めた独自の代理出産ガイドラインを発表。今後の代理出産についても「力になるべきだと今も思っている」と気持ちに変化がないことを示した。
 これまで5組を対象に代理出産を試みた。無事出産したのは今回が初めてで、「子供は順調に育っている」としながらも、「家族が精神的に若干不安定になっている」と代理出産の複雑さをのぞかせた。残る4組のうち、1組は流産。ほかの3組は治療にはあたったが、途中で訪れなくなり、中断しているという。
 根津院長は、会見後の記者の質問に対し、「患者に尽くしてはく奪されるなら、いいじゃないですか」と医師免許のはく奪にも屈しない強い意思を示した。

●駆け込み
 厚生省(当時)の生殖医療専門委員会は昨年12月、「代理母は女性を生殖の手段として扱う行為で、禁止すべきだ」という結論をまとめた。この報告を受け、03年をめどに法制化の準備を始めたばかりの厚生労働省は、驚きと戸惑いを隠せない。
 「まさか本当にやるとは思わなかった。しかも、省内の体制整備も終え、さあこれからという時になぜ?」。今年4月、同省母子保健課に6人体制で新設された「生殖補助医療対策準備室」の椎葉茂樹室長は語る。
 「出産時期から推定すると、委員会の議論の最中に体外受精を実施したことになる。信じられない」と怒りをにじませた。省内からは「法制化前の『駆け込み』ではないか」との声も聞かれた。
 根津医師に対する指導や事情聴取は、根拠となる法律がなく、現状では不可能だ。
 同省は、6月中旬に予定される次回の厚生科学審議会で、法整備に向けた検討の場の設置の是非を諮り、今夏にも部会形式で具体的な検討を始めたい考えだ。
 日本産科婦人科学会は従来、体外受精を夫婦間に限っており、代理母などを規則で禁じてきた。今後改めて「代理母は禁止」を学会誌などで会員に訴える。
 日本不妊学会は、6月の理事会などで、対応を検討する方針だ。不妊学会倫理委員長の永田行博・鹿児島大教授は「根津医師の気持ちは分かるが、みんなが懸命に議論している中での独走は問題だ。事前に情報を公開し、世論に是非を問うてほしかった」と話す。

●生まれた子

 不妊夫婦が代理母に出産してもらった子供は、まず代理母の子供として出生証明書が書かれ、戸籍に登録される。その後、養子縁組をすることになる。今回は「すでに養子縁組を終えた」(根津医師)という。
 根津医師は今回、不妊の夫婦との間に「生まれてくる子供には、理解力が持てたころ(4〜5歳)に事実を話す」という誓約書を交わしており、生みの親と育ての親がいることを知らせることにしている。
 しかし、国は代理母を禁止する方向で法制定を準備しており、今春生まれた子供が4〜5歳になるころには、代理母が違法行為として位置付けられている可能性が強い。
 中川淳・広島大名誉教授(家族法)は、家裁の調停委員を務めた経験から「第三者の精子提供による人工授精のケースなど、その事実を子供に知らせたくない親の方がこれまでも多かった、誓約書のように子供の知る権利だけを優先させると、問題が起きることもある」と指摘する。
 また、弁護士の西岡芳樹さんは、代理母と依頼人との関係が将来的に悪くなったり、生まれた子供が障害児で引き取りをめぐってもめたりする可能性にも触れ、「生まれた子供に罪はない。予想外の生殖技術が応用されたときにも子供の地位、権利を守るための法整備を急ぐべきだ」と話す。

●海外では
 代理母についての規制は、世界的に厳しい方向に向かっている。
 ドイツとフランスは代理母出産と、そのあっせんを法律で禁じている。認めているのは英国と米国だ。
 英国では、代理母出産を手がける医療機関は国の免許が必要だ。生まれる子供の福祉を第一に考えて実施すること、代理母を依頼する両親に対してカウンセリングを行うこと、などが義務付けられる。代理母となる女性に実費以上の報酬を支払うことも厳禁だ。
 米国では州により規制内容が違う。代理母を法的に認めるのはネバダ州とアーカンソー州だ。カリフォルニア州の法律には明文規定がないが、代理母契約に基づく親子関係が判例で認められている。一方、アリゾナ、ルイジアナ州は代理母出産の契約を無効と定める。ニューヨーク州は88年、ミシガン州は92年に、代理母あっせん業を法律で禁止した。
 日本人を対象に、米国での代理母出産をあっせんしてきた業者は「最近は米国でも規制が厳しくなり、年間の代理母出産の件数が大きく減っている」と話す。
[2001-05-20-01:55]

◆2003/05/19 「<代理母>法整備置き去りに 医師「患者の希望で」」
 『毎日新聞』2003/05/19

 長野県内の産婦人科医が実施した国内初の「代理母」による出産。不妊に悩む夫婦が子供を得る最後の手段といえるが、厚生労働省は法律で禁止する方針を打ち出している。実施した医師は「患者の希望をかなえる」という大義名分を掲げるが、社会的な合意や法整備などを置き去りにした医療現場の先行は、生殖をめぐる技術に一切の歯止めがかからなくなる危険性をはらんでいる。
 厚生省(当時)の生殖補助医療技術に関する専門委員会は昨年12月、代理母を罰則付きの法律で禁じるべきだと報告した。厚労働省はこれに沿い、03年をめどに法律制定の準備を進めている。
 専門委が代理母を禁じた理由は(1)出産する女性を生殖の手段として扱う(2)妊娠・出産に伴う危険を代理母に負わせる(3)代理母が、生まれた子供に愛着を持つと、依頼した夫婦とトラブルになる可能性ある――などだ。生まれた子供は遺伝的には出産を依頼した夫婦の子だが、現行法では「産んだ女性が母親」と規定される。子供の法的地位が不安定になったり、将来、成長した子供に事実をどう伝えるかなどの問題が出てくる。
 米国ニュージャージー州では86年に、代理母と、出産を依頼した夫婦が子供の親権などを巡り裁判で争う「ベビーM事件」が起きた。同州最高裁は「親権は生みの親である代理母にあり、代理母契約は両親と共に生きる子供の権利を強奪するもので違法」との判決を出した。
 今回の根津医師の行為は「子供をほしがる夫婦の願いを、国が規制してよいのか」という問いかけだろう。
 しかし不妊治療の影響は、夫婦と医師にとどまらない。生まれてくる子供の生活を左右し、親子関係を変えるなど社会全体を揺るがす。生まれる子供の幸福を守り、社会の混乱を防ぐためにも一定の社会制度や法整備は不可欠だ。
 根津医師は「患者の希望」を優先している。しかし、規制のすき間を抜けるような手法で既成事実が積み重ねられれば、不妊治療の社会的な規制が有名無実なものになる。
【高木昭午】

 借り腹問題も未解決 

 日本産科婦人科学会会長の荒木勤・日本医科大教授の話 学会が代理出産を認めないのは、生まれてくる子供の将来を考えるからだ。現在の日本では、こうしたケースの親子関係についての法律も未整備で、子供の将来の不安を最小限にするための取り組みがなされていない。子供が欲しいというお母さんの気持ちは分かるが、倫理的に何をしてもいいわけではない。代理出産した女性などに対するカウンセリング制度もなく、つわりや妊娠中毒症など「借り腹」のリスクの問題も未解決だ。学会では今年8月、会員の医師ら50〜60人を対象に「生殖遺伝カウンセラー」養成のための講習会を開く予定だが、現実が先行し、整備が追いつかない状況だ。

 同情するが間違い 

 旧厚生省の生殖医療に関する専門委員会委員長を務めた中谷瑾子(きんこ)慶応大名誉教授(刑法)の話 今回のケースは専門委の最終報告でも禁じられたもので、基本的に間違っている。子宮を摘出された女性には同情するが、他人を出産の道具にすることは許されず、一定の限界を設けることが必要だ。出生した子供の出自を知る権利の保障なども問題となろう。その意味で担当医とは独立したカウンセラーの関与が必要で、公平公正な第三者による公的機関が個別に審査し、実施状況を公表すべきだ。ただ、今回はいったん妹夫妻の子供として届け出た後で養子縁組をするという手続きを踏んでおり、その点は評価できる。

 国は厳重処分を 

 体外受精などの不妊治療に取り組むセントマザー産婦人科医院の田中温(あつし)院長の話 この問題は旧厚生省の専門委員会で2年間29回も討議を繰り返し、全員一致で禁止を決めた。代理出産を求める声も十分検討した。もう医師が個人的見解を述べる段階ではない。根津氏は事情を知ったうえでルールを破っており、国は厳重に処分するなど早急に対応すべきだ。

 もう歯止めかからず 

 JT生命誌研究館の中村桂子副館長 人間の誕生の技術は、一度実施されると反対できない特殊性がある。誕生した人間の存在を否定できないからだ。体外受精を認めた段階でルビコン川を渡っており、代理出産が「生命倫理に反する」という言い方は意味がない。限られた中で生きることを大切にする価値観の社会でなければ、こうした医療に歯止めはかからず、間もなくクローン人間も誕生するだろう。問われるのは医師の行為ではなく、金で何でも手に入り、競争に勝つことが大事だとする、今の社会の有り様だ。」
[速報2001-05-19-15:00]

◆<社説>「代理母出産 認めるわけにはいかない」
 『毎日新聞』

 国内で初めての「代理母」出産が行われていたことが分かった。「ついにここまできたのか」と驚きと戸惑いを感じた人が多いのではないだろうか。
 日本では体外受精児の第1号が83年に誕生した。いったん体外受精を認めると歯止めが利かなくなるという見方があった。この予測通りに、学会や政府が有効な方策を打ち出せないまま大きなハードルを越えてしまった。
 不妊夫婦の精子と卵子で体外受精し、妻の妹の子宮に移して妊娠・出産させた長野県の産婦人科医は、これまでも日本産科婦人科学会などの規則を破った。確信犯的な行為ということができる。
 98年には不妊夫婦の夫の精子と妻の妹の卵子による非配偶者間体外受精で、双子が出産したと明らかにした。医師は産科婦人科学会から除名され、これをきっかけに旧厚生省の専門委員会が卵子や精子提供の是非などを論議した。
 そして非配偶者間体外受精は条件付きで追認するものの、代理母出産は禁止という結論に達した。これを受け政府は罰則を伴う法律で代理母出産を禁止する方向で検討を始めたばかりだった。
 不妊夫婦の悩みは深い。今回、夫婦の遺伝子を持つ子供を得た姉夫婦は喜び、妹も姉の役に立てたと満足しているかもしれない。
 だが、いまの段階では代理母出産はさまざまな問題をはらみ、決して認めるわけにはいかない。
 妊娠・出産は母体には心身ともに大変な負担となる。「姉のために」という動機は尊いにしても、自分の体を道具として利用する行為と批判されても仕方がない。
 生まれた子供が後に真相を知った時に、どう思うだろうかという問題もある。まず子供の幸福を考えるべきなのに、夫婦の気持ちだけが優先されたことになる。
 いまは妹は冷静でも、自分のおなかを痛めた子供に愛着を感じるようになり、姉妹間に亀裂が入る可能性も心配される。
 生命倫理の重要性が指摘される中で、社会に混乱をもたらす代理母出産を生命倫理委員会の議論も経ずに実施した責任は重い。
 フランスやドイツなどでは代理母出産を認めていない。規制の緩い米国では代理母出産がビジネス化し、代理母と依頼夫婦の間でトラブルが続出している。
 早く法律を整備し、代理母出産を禁じるべきだ。仮に将来は代理母を社会が容認するとしても、子供の出自を知る権利の保障、親子関係の新たな位置付けなど改めて検討すべき課題は多い。
 焦点の医師は非配偶者間体外受精による出産を公表した後に月刊誌で、医学生の娘から「お父さんは私たちに自然とともに生きる人生を教えてくれたのに、どうして人工的な生命操作をやるのか」と問い詰められたと語っている。
 その医師がまたもやタブーを破った。今度は娘との間でどんな会話が交わされたのだろうか。
 この医師に自重を促すと共に、生まれた子供の保護はもとより、両親と妹夫婦の心のケアに当面力を尽くすことを望みたい。
[2001-05-20-01:20]

◆「代理出産、医療と倫理にあらたな課題」
 読売新聞ニュース速報
 http://www.yomiuri.co.jp/

 「子供を産めない姉のために力になりたいという妹の気持ちは無にできなかった」――。十八日に判明した国内初の「代理出産」。子宮切除で妊娠できなくなった姉に代わって妹が受精卵移植を受け、出産にこぎ着けていた。担当医は、国内で代理出産をめぐる賛否両論の議論を横目に、あえて実施に踏み切った医療行為の妥当性を強調する。米国ではビジネスにもなっており、生殖医療と生命倫理という新たな難題が、国内でも後戻りできない現実のものとなった。
 代理出産の治療を行った長野県下諏訪町の諏訪マタニティークリニックの根津八紘(やひろ)院長によると、この姉は以前、いったん妊娠しながら早産になり、赤ちゃんが助からなかったうえに、子宮切除手術を受けた。姉は子供をあきらめていたという。
 しかし、根津院長が「代理出産を認めるべきだ」と発言していたため、妹が「私にはすでに子供がいる。代理出産に協力したい」と、同院長に相談を持ちかけたという。
 妹が出産したのは今年春。厚生省(当時)の審議会が代理出産を禁じる報告書をまとめたのは昨年十二月で、受精卵移植は、審議会で結論が出される前に行われたことになる。

 ◆「待っていたら何も変わらない」…根津院長◆
 読売新聞社のインタビューに応じた根津院長との一問一答は次の通り。
 ――なぜ代理出産を実施したのか。
 子宮を切除した女性の妹から、「子供を産めない姉のために力になりたい」と相談を受けた。姉を思う妹の気持ちを無視することは、私には耐え難かった。
 ――厚生科学審議会は、代理出産を禁止する報告を出しているが。
 審議会は、この問題についてあまり議論をしないうちに結論を出してしまった。「女性は子供を産む器ではない」というのが禁止の理由だが、協力者の人間愛によって、ただの器にもなるし、ぬくもりのある器にもなる。心の問題なのに、一律に切り捨てていいと思わない。
 倫理面での反対があるが倫理的規範は社会や時代とともに変わる。子供を産めない人のために、体をはって尽くそう、ということが間違っているだろうか。
 ――法整備などルールができてから実施すべきだ、という指摘がある。
 九八年に公表した夫婦間以外の体外受精の時もそうだったが、ルールができるのを待っていたら何も変わらない。現実問題を示すことによって初めて議論が始まる。多くの人の議論を望みたい。

 ◆代理出産に様々な声◆
 今回のケースについては、学者や評論家などから様々な声が出ている。
 大東文化大の小野幸二教授(家族法)は「代理出産治療について国民のコンセンサスが得られていない現時点で、あえて治療に踏み切った根津院長の姿勢には賛成できない」と指摘したものの、「子供が欲しいという親の気持ちは尊重したい。将来的には認める必要がある」と含みを残す見解だ。
 大阪市に住む卵巣機能不全の患者の会代表の女性(37)は「アメリカでは、代理出産した女性が“わが子”に愛情を持ってしまい、トラブルも起きている。一般論としては反対だ」と、女性の気持ちを代弁する。しかし、「実際に出産したケースを目の当たりにすると非常に評価が難しい。夫婦の事情もあってのことだろうし、一律に言えない。早急に法的整備することが必要だ」と困惑気味の面も。
 これに対し、社会評論家の芹沢俊介さんは「この流れは止められないのではないか」と予測しながら、「母親の体内で子どもは様々なものを受け継ぐ。卵子を提供した母親に引き渡された後、自分を産んだ母との違和感を抱え続けるのでないか。真実をどうやって告知すべきかという重い課題が残る」と子どもの気持ちを案じた。
 作家の落合恵子さんは「代理出産や非配偶者間の体外受精をしてまで、子供が欲しいと思うのは、日本社会が、『子供がいて一人前』という価値観を女性たちに押し付けているからではないか」と、社会のあり方に疑問を投げかけた。
[2001-05-19-03:17]

◆5月20日付・読売社説(1)
 読売新聞ニュース速報
 http://www.yomiuri.co.jp/

 [代理出産]「先端不妊医療の法制化を急げ」
 子供を望む不妊夫婦に、現代医学はどこまで救いの手をさしのべるべきか。“神の領域”にも触れかねないこのテーマについて、またも新たな難題が持ち上がった。
 長野県のクリニックで、日本では初めての「代理出産」が行われていたことが明らかになった。厚生労働省などが、生殖補助医療の法制化に向けて動き出そうとしていた矢先のことである。既成事実の先行は遺憾と言わざるを得ない。
 不妊夫婦が第三者の女性に依頼して子供を産んでもらう代理出産には二種類ある。夫の精子を、依頼する女性の卵子と人工授精させて産んでもらう「代理母」と、夫の精子と妻の卵子を体外受精で受精卵にし、第三者の女性の子宮に入れて産んでもらう「借り腹」だ。
 今回、行われたのは後者で、妻の妹が「産みの母」の役を引き受けたという。病気で妻が子宮を摘出された夫婦にとっては、自分たちの遺伝的な要素を引き継いだ子供を得られる願ってもない技術だが、問題点も多い。
 まず安全上の観点では、夫婦以外の第三者の女性を、妊娠中毒症など命にもかかわる危険にさらしかねない。
 社会的、倫理的に複雑な問題を引き起こす恐れもある。
 出産を依頼した側が親なのか、産んだ方が親なのか。米国では、代理母が依頼主への出生児の引き渡しを拒否して、訴訟になった例もある。
 仲介サービスまで登場して、代理出産が商業化してしまった米国の一部の州では「富裕層が貧困層を利用する構造が進みかねない」との論議も起きている。
 代理出産は、こうした様々な問題があり、米国では連邦としての規制はないものの欧州では条件付きで認めている英国を除き、多くの国が禁止している。
 生殖補助医療について対応の遅れていた日本では旧厚生省の専門委員会が昨年末、法制化をにらんで報告書をまとめ、代理出産を禁止すべきだとした。しかし法や審査・実施体制をいかに整備するかなどはこれからの課題だ。
 既成事実が生まれた以上、この作業を急がなければならない。
 だが問題は、それだけでは終わらないだろう。生命科学や先端医療全般で、かつてない技術革新が進んでおり、人類の生命観への大きな影響が避けられなくなっている。そのことも、認識しなければならない。
 技術の恩恵と社会秩序をどう調和させるのか。これからも難問は続出するに違いない。国として総合的に検討する態勢を早急に整える必要がある。
[2001-05-19-22:28]

 

◆20010521
<民主・菅幹事長>「代理母出産」法未整備の現時点望ましくない
毎日新聞ニュース速報
 民主党の菅直人幹事長は21日、和歌山市内での会見で、「代理母出産」について、「法整備も含めて何もない中で、こういった形での出産を人工的には行うのは現時点では望ましくない。倫理的にもまとまっていないし、ルール作りを急ぐべきだ」と述べた。
[2001-05-21-22:10]

 

◆20010522 代理母絶対禁止に疑問 尾身科技担当相
 共同通信ニュース速報

 「尾身幸次科学技術担当相(沖縄・北方対策担当兼務)は二十二日の閣議後の会見で、国内初の代理母出産について「他の人に迷惑をかけない形で、子供が欲しいという切実な要望が満たされるわけだから、絶対だめだというふうに社会のルールを決めていいのか疑問に思う」と述べ、限られたケースでは容認すべきではないかとの考えを示した。
 尾身氏は「厚生省や産婦人科学会は非常に消極的と聞くが、これは生命倫理の根幹に触れる問題。科学技術の進歩と人間社会の在り方について、多くの関係者でよく議論すべきだ」と語った。」[2001-05-22-11:18]

 

◆20010529 「<代理母禁止法案>提出の前倒しを検討 厚労相、来年制定目標」
 『毎日新聞』

 「坂口力厚生労働相は29日、代理母出産を禁止する法整備の前倒しを検討する意向を固めた。厚生労働省は03年の通常国会に法案を提出する予定で準備作業に入っていたが、長野県の医師が国内初の代理母出産を手がけたことが明らかになり、今後、同様のケースが起きることも予想されるため、法規制を急ぐ必要があると判断した。
 代理母出産は(1)夫婦の精子と卵子を体外受精し、別の女性の子宮内で妊娠・出産する(2)精子を妻以外の女性の子宮に注入し妊娠・出産する――の2種類。厚生省(当時)の専門委員会は昨年12月、「女性を生殖の手段として扱い、子供の福祉の観点からも望ましくない。法律で禁止するべきだ」との見解をまとめた。
 これを受け、厚労省は今年6月の厚生科学審議会で法整備の検討機関の設置を決める予定で、7月から幅広い分野の専門家で具体的な検討を始める。厚労相は29日、「すでに禁止する方向は専門委員会の報告書で決まっている。検討にはそんなに時間はかからない」と指摘、来年中の法律制定を目指すべきだとの考えを示した。
 法案は代理母出産を禁止する一方で、夫婦以外の精子や卵子、受精卵を使った体外受精を条件つきで認める内容となる見込み。このため、厚労省内には(1)インフォームドコンセントのための環境整備(2)カウンセラーの養成(3)情報管理体制の構築――など、生殖医療拡大に伴う準備に十分な時間をかけたい考えから、前倒しに消極的な意見が強い。厚労相には今後、事務当局との調整が必要となる。
 代理母については、自民党からも「法制化を急ぐべき」との声が上がっており、厚生労働部会や「脳死・生命倫理及び臓器移植調査会」で、厚労省の法案作成と並行して議論を進める方針だ。」[2001-05-30-03:10]

 

◆20010531 「代理出産の是非など検討 厚生労働省が部会設置へ」
 共同通信ニュース速報

 「厚生労働省は三十一日、代理出産を禁止する法律の整備や、体外受精などに関する医療体制づくりなどについて具体的検討を進めるため、厚生科学審議会に生殖補助医療部会(仮称)を設置することを決めた。
 六月十一日の同審議会で正式決定した後、議論をスタート。同省は部会の意見を参考にしながら、二○○三年の通常国会に法案を提出したい考えだ。
 しかし、長野県の諏訪マタニティークリニックで代理出産が実際に行われていたことが分かったことから、法整備を前倒しで進めるべきだという意見もある。
 設置される部会は、生殖医療や生命倫理、心理、法律などの専門家計二十人前後で構成される見通し。
 旧厚生省の専門委員会は昨年末、代理出産の禁止、非配偶者間体外受精の条件付き容認などを内容とする報告書をまとめ、三年以内の体制整備を求めた。
 部会は、この報告書を土台に、法案に盛り込む内容、医療施設の指定基準、不妊治療の実施指針などを検討する。
 治療を受ける夫婦らへのカウンセリングの在り方、実施側の人材養成なども話し合われる予定だ。」[2001-05-31-19:39]

 

◆「代理出産、賛成できない 日医副会長」
 共同通信ニュース速報

 「諏訪マタニティークリニック(長野県)の根津八紘院長が国内初の実施を公表した代理出産について、日本医師会の小泉明副会長は三十一日、「賛成できない。生まれてくる子の福祉を考えれば、深刻な影響を与えかねない」などと述べ、医師会として代理出産に反 対する姿勢を表明した。
 超党派の国会議員でつくる生命倫理研究議員連盟(中山太郎会長)の意見聴取で話した。
 小泉副会長は「人を生殖の手段として扱ってはならない」として代理出産禁止の方針を打ち出した旧厚生省専門委員会の報告書を尊重する考えを示した。」[2001-05-31-12:52]

 

◆20010615
 「代理出産禁止、当面見送り…日本不妊学会」
 読売新聞ニュース速報
 http://www.yomiuri.co.jp/
 「日本不妊学会は15日の倫理委員会で、長野県の不妊治療施設が実施していたことが先月明らかになった代理出産について、学会として全面的に禁止するのを当面見送ることを決めた。厚生労働省や法務省などが現在進めている生殖医療に関する法整備の検討の結果を見守るという。」[2001-06-16-05:50]


 「代理出産の全面禁止に反対意見続出 日本不妊学会」
 朝日新聞ニュース速報
 厚生労働省が代理出産を全面禁止する方向で法制化を検討していることに対し、15日開かれた日本不妊学会の倫理委員会で反対意見が相次いだ。
 委員長の永田行博・鹿児島大教授(産婦人科)によると、「同省の方針を追認すべきだ」という意見があった一方、「議論が不十分な段階で全面禁止するのはおかしい」「条件つきで認めるべきだ」などの異論も複数出た。9月の倫理委で学会の見解をまとめ、厚労省に伝えることにした。
 同学会の会員である長野県の諏訪マタニティークリニックが代理出産を実施していたことについては「許されない手法」など批判的な意見で一致した。
 厚生省(当時)の生殖補助医療専門委員会は昨年12月、女性を生殖の道具にしかねないなどの理由で、代理出産を罰則付きで全面禁止すべきだとの報告書をまとめた。
[2001-06-15-23:41]


<代理出産>法制化による全面禁止に反対 日本不妊学会倫理
毎日新聞ニュース速報
 厚生労働省の厚生科学審議会が代理出産禁止などを盛り込んだ法律をつくる方針を打ち出したことについて、日本不妊学会は15日開いた倫理委員会で、同学会として法制化による全面禁止には反対し、厳しい条件を付けて代理出産が認められる方策を同省などに働きかけていくことを決めた。
 永田行博・倫理委員長(鹿児島大教授)によると、この日の倫理委では同審議会の方針を尊重するとの委員長談話をまとめる予定だったが、委員から「不妊女性のために代理出産が認められるケースがあるべきだ」「これまで学会として論議しておらず、直ちに賛成していいのか」などの異論が出た。最終的に条件付きで代理出産を認めるべきだとする意見が多数を占めたという。
 また、同学会メンバーの、長野県の諏訪マタニティークリニックの根津八紘院長が国内初の代理出産を実施したことについて、「問題のあるアンフェアな行為」との意見で一致したが、同学会として処分は行わないことを決めた。永田委員長は「やっても効果がない」と説明した。 【高野聡】
[2001-06-15-21:15]

 

◆20010618
 <代理出産>是非について日本不妊学会と調整へ 日産婦
 毎日新聞ニュース速報
 日本産科婦人科学会(日産婦)の常務理事会は18日、代理出産の是非について今後、日本不妊学会と話し合い、両学会の見解を調整する方針を決めた。23日の理事会で正式決定する。
 日産婦は以前から「体外受精は夫婦間に限る」との規則を設け、夫婦の受精卵を別の女性に妊娠・出産してもらう代理出産を禁じてきた。しかし15日に開かれた日本不妊学会の倫理委員会(委員長・永田行博鹿児島大教授)では、「代理出産の全面禁止には反対」との意見が大勢で、不妊治療の専門家が加入する2大学会の見解が食い違う可能性が生じた。
 このため倫理委員長が話し合って調整することにした。これとは別に日産婦は18日、代理出産や、受精卵提供による体外受精の是非について、外部委員を交えた同学会の倫理審議会で改めて検討する方針を決めた。【高木昭午】
[2001-06-18-20:15]

 

◆2001/06/23

◇代理出産の是非を検討へ 日産婦学会、倫理審で
 共同通信ニュース速報
 日本産科婦人科学会(日産婦、会長=荒木勤・日本医大教授)は二十三日の理事会で、代理出産の是非などについて、新たに学会外の有識者を交えて組織する倫理審議会に諮問し、検討することを決めた。
 同学会は従来、会員の産婦人科医に、子宮などに問題があって妊娠・出産できない女性のために別の女性が出産する代理出産を禁止してきた。
 しかし、五月中旬、学会員ではない長野県の産婦人科医が代理出産の実施を公表、議論を呼んでおり、会員の一部から見直しを求める意見もあるため、「真摯(しんし)に受け止めて検討することにした」(荒木会長)という。
 倫理審議会は米本昌平・三菱生命科学研究所室長ら外部委員六人と会員三人の計九人。早ければ今年中、遅くとも本年度中に倫理審議会からの答申を受け、学会としての見解を出す。
 また、不妊治療の終了で不要になった受精卵を万能細胞の研究に利用することの是非や、受精卵の提供の是非についても倫理審議会に諮問し、順次、答申を受ける考えだ。
 この日の理事会では、先に日本不妊学会が精子や卵子の凍結保存を、がんの治療で不妊になる恐れがある未婚の男女にも認める姿勢を打ち出したことについても検討。日産婦は不妊学会の姿勢が代理出産につながる可能性もあるとみており、今後、両学会の倫理委員会レベルで調整を続けていくことを確認した。
(了)
[2001-06-23-19:16]

◇代理出産の是非を倫理審議会に諮問 日本産科婦人科学会
朝日新聞ニュース速報
 日本産科婦人科学会は23日の理事会で、外部の有識者を中心とした倫理審議会を設置し、代理出産の是非を諮問することを決めた。国内初の代理出産を長野県の産婦人科医が実施していたことを受け、これまで代理出産を禁止してきた同学会の会告が適切かどうか、検討することにした。年度内にも結論を出してもらう。
 審議会は生命倫理学者や法学者ら同学会の非会員6人を含む、9人で構成する。併せて、不妊治療に他人の胚(はい)を提供することや、余剰胚を胚性幹(ES)細胞の研究に使うことの是非など、新たに浮上している問題についても検討してもらう予定だ。
[2001-06-23-19:15]

◇<代理出産>あらためて是非を検討へ 日本産科婦人科学会
毎日新聞ニュース速報
 日本産科婦人科学会(会長・荒木勤日本医大教授)の理事会は23日、代理出産について、同学会の倫理審議会(委員9人)で、あらためて是非を検討することを決めた。同学会は現在、代理出産を禁じているが、会員の一部から再検討を求める声が出たため、学会外の委員6人を含む審議会に諮ることにした。早ければ年末までに結論を出す。
【高木昭午】
[2001-06-23-19:10]

◇有識者らの倫理審議会を設置=代理出産問題、改めて検討−
時事通信ニュース速報

◎有識者らの倫理審議会を設置=代理出産問題、改めて検討−産科婦人科学会
 日本産科婦人科学会(荒木勤会長)は23日、都内で理事会を開き、学会の倫理委員会とは別に有識者らによる倫理審議会を設置し、代理出産の問題について検討することを決めた。  同学会は代理出産を認めていないが、その根拠となる見解が古く、代理出産についての議論を経ていない。厚生労働省が罰則付き禁止の方向で法制化を進めている中、長野県の病院で初めて実施されていたことが判明。学会員からも全面禁止に反対する声が上がり、改めて検討する必要性が出てきた。  審議会には、禁止を前提とせず白紙の状態で議論してもらい、その結論を受けて学会としての見解をまとめる。 [時事通信社] [2001-06-23-18:42]
 ◇日本産科婦人科学会
 ◇米本昌平

 

◆2001/06/24 11:31 日本人の卵子提供者募る 米韓のバンク、邦人需要見込み
朝日新聞ニュース速報

 不妊で悩む夫婦に第三者の卵子などをあっせんする民間の卵子・代理母バンクが今春、韓国で初めて設立され、日本人の卵子提供者を募っている。日本人の不妊夫婦の需要を見込み対日事業を柱の一つにしている。米国のバンクでも、日本人夫婦向けに日本から卵子を提供する女性を招いて採卵する計画を進めている。いずれも有償での提供になる。日本ではできない卵子の売買が、海を渡れば実現してしまう。
 韓国で生まれたのは「DNAバンク」(ソウル)で、すでに100人を超える韓国人女性が卵子提供者として応募しているという。これらの女性から採卵して不妊夫婦の夫の精子と受精させ、妻か代理出産する女性の体内に移植する。
 提供者は22歳以上が原則で身長、体重、血液型のほか、毛髪やまぶた、肌の特徴、学歴、知能指数などを登録している。これをもとに不妊夫婦が提供者を選ぶ。
 移植に際しては、卵子や精子を提供してくれた遺伝上の母親・父親と、生まれてきた子どもの間には一切の権利、義務が生じないことを文書で約束させている。
 日本人提供者はまだいないが、5月末、日本語のホームページを立ち上げ、日本の雑誌にも広告を掲載する。さらに日本語のできるスタッフも雇い、卵子提供者には約2週間の韓国旅行をプレゼントする。
 バンク側は「大金を払って米国で卵子を求める日本人夫婦が多い。韓国なら地理的に近く、経費も米国の半分以下ですむ。しかも同じ日本人の卵子を集めれば、需要は十分見込める」と強気だ。
 採卵する女性に対する謝礼の額は明らかにしていない。
 韓国では卵子などの売買、あっせんを規制する法律はない。大韓医師協会は4月、医師が関与することを禁じる倫理指針案を発表したが、韓国内でも意見が分かれ策定のめどはたっていない。
 米国では最大手の代理母・卵子バンク「CSP」(ロサンゼルス)が来年から、日本在住の医師の協力を得て日本人の卵子提供者を募る。提供者は約60万〜120万円の報酬に加え、渡航費と滞在費も支給される。
 米国へは毎年、100組を超える日本人夫婦らが卵子を求めて渡航する。にもかかわらず、東洋系の卵子は慢性的に不足している。CSP側は「日本人は日本人の卵子のためなら高額でも払ってくれる」といい、卵子提供者の渡航費や滞在費を払っても採算がとれるとふんでいる。
 日本国内では、厚生省の専門委員会が昨年12月、他人からの卵子提供を、無償なら認める方針を打ち出している。
[2001-06-24-11:31]

 

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緊急ティーチ・イン「代理出産」何が問題か
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●日 時 2001年6月29日(金)18:30−21:00
●会 場 東京ウイメンズプラザホール(渋谷・表参道、青山学院大向)
●参加費 1500円(資料代含む)
●申 込 不要
●パネリスト
     石井美智子氏(東京都立大学法学部教授)
     江原由美子氏(東京都立大学人文学部教授)
     柘植あづみ氏(明治学院大学社会学部助教授)
●司 会 鈴木良子氏(フリー編集者・ライター)
●主 催 「代理出産」ティーチ・イン実行委員会
     tel/fax 03-5477-1558(鈴木方)
●趣意文 生殖技術の法整備が検討される中、長野県の産婦人科医・根津八
     紘医師が「代理出産」を実施したことを公表しました。【賛成】
     【反対】さまざまな声があがっていますが、まずは問題点を整理
     していきたいと考えます。申込不要。多くの人の参加をお待ちし
     ています。

 

◆2001/07/12 「押し寄せる商業化の波 英国 代理出産 海外では:中」
 『朝日新聞』2001/07/12

 「世界には法的に代理出産が認められている国があります。例えば英国はお金もうけでないケースに限って容認しています。生殖医療のあり方を話し合った旧厚生省の専門委員会はとりわけこの国を参考にしました。でも、取材してみると商業化の波が押し寄せ、ひずみも生じていました。(文・写真 岡崎明子)

○あっせん 非営利に限って容認

 「赤ちゃんは変わりない? 依頼人とはうまくいっている?」
 英国スコットランドの中心都市エディンバラに住むキャロル・オライリーさん(29)は毎月、代理出産を試みている130人に様子を尋ね、100通以上の問い合わせメールに返事を書く。
 代理出産をあっせんする民間団体「COTS」の広報担当。3人の子どもの世話をしながらの仕事は大変だ。
 それでも「子どもを持つのは女性の喜び。それを助けてあげたい」。
 自身も代理出産を経験した。6年前に女の子、4年前に男の子を産んでいる。「キャロルおばさんって呼んで、なついてくれるわ」。居間に、自分の産んだ子ども全員の写真を飾っている。
 85年、キム・コットンさん(46)という女性が英国で初の代理母になった。
 世界初の体外受精児が78年に誕生した英国。政府はその後、こうした生殖医療の新しい技術にどう対応するかを、委員会を設けて検討した。
 コットンさんのケースは委員会の報告が出た直後。しかも、米国のあっせん機関から日本円に換算して当時で115万円の報酬を受け取り、大きなニュースになった。
 政府はすぐに動いた。その年に「代理出産取り決め法」を制定し、営利目的のあっせんを禁止した。代理出産がビジネスになるのを恐れた措置だった。ただし、非営利の場合は認めた。
 政府の委員会の報告は営利、非営利を問わず、あっせんを全面禁止していた。しかし、非営利の場合に限って容認する意見も添えられていた。
 代理出産を求める夫婦がいる現実がある。禁じれば個人的に行われるようになってしまう。それより一定の歯止めをかけて認める方がいい――。
 結果的に、法律にはこの意見が採用された。
 裁判所に申し立て、子どもの親権を、代理出産した女性から依頼人夫婦に速やかに移せる制度も90年に整えられた。
 こうした流れの中、コットンさんは88年、「代理母の立場にたった代理出産」を掲げてCOTSをつくる。「ボランティア」で代理出産を引き受ける女性と依頼人を登録し、仲立ちする。
 いま英国では年に180人以上の子どもが代理出産で生まれる。多くは姉妹や友人間の個人的な約束だが、30〜40人はCOTSを介している。
 ロンドン郊外の自宅には、子どもの写真を添えた依頼人からの感謝の手紙が絶えない。「97%はうまくいっている」とコットンさんは胸を張る。
 ところが、「COTSは法違反すれすれ」と問題視する人は、保健省の生殖医療担当者マイケル・エバンズ氏をはじめ少なくない。

○報酬 200万円超える場合も

 まず入会金として約6万円。契約の際、依頼人夫婦は、代理出産をしてくれる女性に150万円ほどの「報酬」を支払うよう助言される。その額は200万円を超えることもある。謝礼も含めた必要経費という。
 カウンセリングにも1時間1万円かかる。
 ある依頼人は「50万円で済むと言われたのに、200万円まで上がった。恐喝のようだった」と現地紙に訴えている。
 両者の仲が悪くなり、子どもを引き渡さなかったことや、10代の少女が両親に隠して代理出産したケースもあった。
 「事件を機に急いで作られたいまの法体制では、代理出産を問題なく実施することはできない」と、カーディフ大のデレク・モーガン教授(医療法)は指摘する。
 97年、批判が一気に高まる事件が起きた。
 COTSを介し、200万円でオランダ人夫婦から代理出産を引き受けた女性が「相手を信用できなくなった」として妊娠中絶を通告。ところが実際には中絶せずに、別の夫婦と個人的に代理出産を契約し50万円を受け取ったと報じられた。
 一方、個人間の代理出産契約も危険をはらんでいる。
 英国で体外受精の費用は1回約100万円と日本より数倍も高いため、代理出産の約8割は人工授精が選ばれる。
 引き受けた女性が自宅で注射器を使い、依頼人の夫の精子を子宮に注入する例が多い。カウンセリングはもとより、医学的な検査もない。
 「子どもの成長にあわせて10年以上もケアが必要な場合もある。それに検査なしではエイズウイルスや性病などに感染していてもわからない」
 体外受精による代理出産を多く手がけるボーンホール病院(ケンブリッジ)のピーター・ブリンズデン博士は指摘する。
 体外受精の場合は遺伝的両親の記録が国に保管されるが、人工授精では親が話さなければ、子どもは一生、出自を知ることができない。

○必要経費 報酬制限の法改正検討

 こうした状況を長く放置してきた政府もようやく腰を上げた。97年に作業班を設けて約1年間、法改正について専門家たちが意見を交わした。
 そして(1)報酬は妊婦服など必要経費に限る(2)COTSのような機関は認可制にする(3)代理出産にかかわるすべての人にカウンセリングや法的助言の機会を与える――とする報告書をまとめた。
 座長を務めたマンチェスター大のマーガレット・ブレイジア教授(生殖医療法)によると、英国でも代理出産ビジネスを容認する考え方が広まりつつあるという。
 「調査では多くの女性が代理母を『職業』と考えていた。報酬を必要経費に限定すれば代理母の希望者は確実に減る」
 コットンさんは「報酬を制限したら代理出産が地下に潜る。米国のようにプロに徹するか、リスクを負うか。選択のときが来ている」とこの報告書を批判する。 作業班の報告から3年。法改正案はまだ、国会に提出されていない。」

 

◆2001/07/14 19:37 ◎「ニーズ聞くべきだ」「倫理必要」=代理出産などで討論−
 時事通信ニュース速報

◎「ニーズ聞くべきだ」「倫理必要」=代理出産などで討論−国際シンポ
 日本における生殖医療の現状と在り方を考える国際シンポジウムが14日、横浜市内で開かれた。国内初の代理出産を実施した諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)の根津八紘院長も出席し、「出産をあきらめるよう説得できない場合、当事者のニーズを聞き、こたえる道を模索すべきだ」と訴えた。
 根津院長は日本産科婦人科学会(荒木勤会長)が代理出産を認めず、国も法律で禁止する方向で議論していることについて、「ガイドラインは必要だが、当事者の声が十分届かない形でできてしまうのは問題」と述べた。
 石井美智子東京都立大教授(家族法、医事法)は、「生殖医療は患者と医師だけの問題でなく、生まれる子供、精子や卵子の提供者、社会全体が当事者」と指摘。最も重要なのは子供の福祉の視点だとして、法整備を含む規制の必要性を強調した。
 総合討論では、根津院長に同調する声や、古い規制に縛られ、医療が前進しないとして大学や学会を批判する意見も聞かれた。
 荒木会長は「医療には倫理が必要で、慎重にならざるを得ない。高い倫理性を持った規範の下で、進歩に努めるべきだ」と答えた。 
[時事通信社]
[2001-07-14-19:37]

◆07/14 代理出産規制めぐり議論 国内初実施の医師も出席 国際シン
 共同通信ニュース速報

 第三者からの精子や卵子の提供による体外受精、代理出産など、先端的生殖医療について考える日本受精着床学会の国際シンポジウムが十四日、横浜市で開かれ、不妊治療の専門家や法律家らが議論を戦わせた。
 不妊女性の妹の卵子を使った体外受精の実施を一九九八年に公表して日本産科婦人科学会(日産婦)を除名され、さらに今年五月、国内初の代理出産実施を公表した長野県の根津八紘医師も出席。「当事者のニーズが本気であり本物ならば、こたえる道を模索すべきだ。法的に禁止したり妨害することは憲法の保障する基本的人権を奪うことだ」と持論を展開、これに賛同する参加者もいた。
 一方、日産婦の荒木勤会長は「時代の流れで学会も考えを柔軟にしていかねばならない。代理出産についても今後検討する」としながら「自主規制は必要。倫理性のある規範の下で医学を進歩させたい」と主張。根津医師が「倫理イコール既成概念の面がある。既成概念にとらわれては科学は進歩しない」と応酬する場面もあった。
 法学者の石井美智子・東京都立大教授は今後、国が定める生殖医療に関する法律について「子供の福祉を一番重視した法規制を考えるべきだ。規制とは『できなくする』だけではなく、きちんと行われるようにして、生殖医療が社会的に認められることでもある」と話した。
(了)
[2001-07-14-20:08]

 

◆2001/07/18
 「国内初の事例受け、高まる議論(代理出産 日本では)」『朝日新聞』朝刊

 2001.07.19 東京朝刊 24頁 くらし 写図有 (全2711字)

 代理出産をはじめとする生殖補助医療について、法律づくりに向けた議論が始まりました。そのたたき台は、旧厚生省の専門委員会が昨年12月にまとめた報告書です。ここでは代理出産は「全面禁止」でした。しかし、今年5月、国内で初の代理出産が明らかになり、関連学会がその是非を論議しています。「全面禁止」の方針は変わるのでしょうか。(岡崎明子、科学部・石田勲)

 「条件付きで容認すべきかどうか詰めきれなかった」
 「全面禁止の方向に異論は出なかった」
 厚生労働省で16日にあった生殖補助医療部会はのっけから、代理出産の是非をめぐって様々な意見が飛び交った。
 部会は、生殖補助医療の法案をつくるのが目的で、この日が初会合。来秋までに結論を出し、03年の通常国会への法案提出を目指す。
 「詰めきれなかった」と口火を切ったのは、加藤尚武・鳥取環境大学長(生命倫理学)。「全面禁止」の方針を出した旧厚生省の専門委のメンバーも務め「議論が少し拙速だった印象も残る」と振り返った。
 全面禁止に「異論は出なかった」と指摘した東京都立大の石井美智子教授(家族法)も専門委のメンバーだった。
 「代理出産も含め、専門委員会の原案をどこまで踏まえるのか、議論して欲しい」
 確かに専門委では、当初から「全面禁止」に異論が出なかったこともあって、条件付き容認の可能性などについて議論は尽くされなかった。
 「現段階では代理出産は禁止だが、今後いろいろな議論が出てくるかもしれない」
 こんどの部会の部会長を務める矢崎義雄・国立国際医療センター総長は含みをもたせた。
 厚生労働省の動きにあわせて、法務省の法制審議会も動き出している。
 不妊治療によって生まれた子どもと親の民法上の親子関係について、専門部会を設けて検討している。
 同省民事局の清水響参事官は「代理出産が禁止されようとされまいと、その子の母親を決めなければならない」と話す。
 そして、「代理出産で生まれた子は、たとえ、遺伝的つながりがなくても、産んだ人が母親となる原則は変わらない」と続けた。

 ○「子供もたぬ選択も」「患者の権利認めて」 関連学会
 関連学会でも、代理出産について考えようという動きが出てきた。不妊治療にかかわる産婦人科医や研究者らでつくる日本受精着床学会が14日に横浜で開いた国際シンポジウム。代理出産を実施した諏訪マタニティークリニックの根津八紘(やひろ)院長も加わって訴えた。
 「代理出産に反対するなら、当事者に子どものいない人生を悟らせたり、養子をあっせんしたり、個人的、社会的保障が必要だ。法律で禁止するのは基本的人権を奪うことになる」
 会場からも「代理出産でしか、子どもをもてない少数派の権利も認めるべきだ」など、禁止に反対する意見が出た。
 これに対し、都立大の石井教授は「少数派の尊重は大切だが、代理出産を認めなければ、本当に患者さんの権利を保障できないのか、慎重な議論が必要。子どもをもたない人生の選択もあるのではないか」と指摘した。
 日本産科婦人科学会も検討を始めた。学会が代理出産を禁止する根拠となっている会告は83年に出している。しかし、会員から「全面禁止」を疑問視する声が複数、寄せられ、会告が適切かどうかを考えようと言うのだ。8月から生命倫理や法律の専門家、小児科医ら外部委員6人を含む9人からなる倫理審議会で論議し、今年度中には結論をまとめる予定だ。
 日本不妊学会も倫理委員会などで代理出産の是非を議論し、結論によっては、全面禁止の方針を見直すよう、国などに働きかけていく方針だ。
 三菱化学生命科学研究所の米本昌平・社会生命科学研究室長は、国は根津院長の「問題提起」を重要な課題として受け止め、議論していくべきだと指摘する。
 「個人的には代理出産は原則禁止にすべきだと思う。ただ例外的な個々の事例については、家庭裁判所など公的機関が是非を判断すればいいのではないか。これが一番妥当なソフトランディングだと思う」

 ◇患者からの希望あった 昨年10月、不妊治療施設アンケート
 旧厚生省の研究班(班長=矢内原巧・昭和大名誉教授)が昨年10月、不妊治療専門施設を対象にアンケートを実施した。その中で、こんな結果が出ている。
 「代理出産」を希望した患者が過去1年間に59人いた。
 日本産科婦人科学会に登録して、体外受精などの不妊治療を実施している約510施設のうち、6割にあたる約300施設が回答した。
 59人のうち、患者夫婦の受精卵を代理出産を引き受けてくれる女性に移植する方法の希望者は43人、夫の精子を第三者の女性の子宮に入れる方法を希望する人は16人だった。
 旧厚生省の専門委のメンバーも務めた矢内原班長はこう指摘する。
 「代理出産を希望する患者さんは潜在的にはさらに多いと思う。ただ、生まれてくる子どもの福祉が法的に整備されておらず、カウンセリングシステムも確立していないなど問題も多く、禁止が妥当との報告書になった。国民を対象にした意識調査においても、日本では、まだ生殖補助医療は国民の十分な理解を得ているとは言い難い。時間をかけて慎重に議論すべきだ」

 ◇独仏は禁止 対応割れる海外
 これまで「代理出産 海外では」で紹介した英米以外の欧米諸国も、代理出産については対応が分かれている。
 ドイツは、89年に制定した「代理母あっせん禁止法」などで禁止した。
 ナチス時代の優生思想への反省から、翌90年には胚(はい)保護法を定め、不妊治療で使わずに余った胚の研究や、胚への遺伝子治療なども禁止した。フランスも94年に「生命倫理法」を制定し、代理出産を禁じている。スイスやスウェーデンでも同じような対応だ。
 イタリアやベルギー、オランダはいまのところ、生殖医療を規制する法律はないという。カナダでは規制法案が国会に提出されたことがあるが、廃案に。再び提出が準備されているようだ。

 <来週は>
 今週で代理出産の企画はひとまず終了します。来週の25日(水曜)は、病院で亡くなったときの解剖数が減っているという話です。26日(木曜)は、プライマリー・ヘルス・ケアという耳慣れない言葉を紹介します。

 ●きょうは「国内の代理出産」
 ご意見・ご感想には、電話番号など連絡先を明記して下さい。
 <郵便>〒104・8011 朝日新聞社 くらし編集部
 <ファクス>03・3549・0813(東京)、06・6231・0916(大阪)
 <eメール>木曜日は医療・介護 iryo−kaigo@ed.asahi.c
om
 アサヒ・コムの「くらし」のページはhttp://www.asahi.com/life
 【写真説明】 代理出産について意見が交わされたシンポジウム。根津院長(左から2人目)も参加した=14日、横浜市内で
朝日新聞社

 

◆「代理出産認めず、産科婦人科学会の倫理審答申へ」
 読売新聞ニュース速報[2001-12-12-21:34]
 http://www.yomiuri.co.jp/

 「日本産科婦人科学会の倫理審議会は12日、出産する女性への身体的負担などを理由に「代理出産は認められない」とする内容の答申をまとめた。しかし、代理出産を実施する医師を「刑罰をともなう法律によって規制することは妥当ではない」とし、罰則つきの法規制を打ち出している昨年末の旧厚生省報告書より緩やかな内容となった。今月15日の理事会に報告される。
 倫理審議会は、代理出産を認めない理由として、<1>妊娠、出産する第三者の女性の身体的な負担が大きい<2>親子関係が複雑化する<3>生まれてくる子供の福祉が脅かされる恐れがある――などを挙げた。
 同学会のガイドラインに違反してまで代理出産を実施する医師はきわめて例外的で、あくまでもモラルの問題だとの立場から、刑罰化は不適当と判断。さらに将来、代理出産が認められる情勢も考えられるので、こうした事態を想定した対応を同学会として考慮する必要性も強調した。
 同学会は代理出産を認めない方針を打ち出していたが、今年5月に長野県内の不妊治療クリニックで国内初の代理出産が明らかになり、一部の産婦人科医には代理出産を認めるべきとの意見もあったことから、改めて検討を行っていた。」
[2001-12-12-21:34]

◆12/12 「<代理出産>「認められない」と結論 産婦人科学会の倫理審議会」
 毎日新聞ニュース速報

 「日本産科婦人科学会の倫理審議会(米本昌平委員長)は12日、代理出産について、「出産する女性にリスクがあり、認められない」とする結論をまとめた。旧厚生省厚生科学審議会の生殖補助医療技術に関する専門委員会も昨年12月、「法律で禁止すべきだ」との最終報告を出しており、国の見解と同じ内容になった。今月15日に開かれる同学会の理事会に答申し、同学会は答申をもとに審議する。
 審議会は倫理学者や法学者など同学会の会員以外の6人の有識者を含む9人で構成されている。今年6月に理事会から代理出産などについて諮問を受け、検討してきた。」[2001-12-12-21:10]

 

◆2001/12/15 「ES研究への胚提供承認=「代理出産は認めず」と外部審議会−日産婦
 時事通信ニュース速報

 日本産科婦人科学会(荒木勤会長)は15日、東京都内で理事会を開き、胚(はい)性幹細胞(ES細胞)作成のための受精卵使用を認める会告改正案を承認した。早ければ来年1月にも会員に通知され、これにより、再生医療に用いるES細胞の国産化が実質的にスタートする。
 ES細胞は、受精卵が分割した初期の胚からつくる特殊な細胞で、さまざまな細胞や組織に分化する可能性を持つ。これまで受精卵の利用は、不妊研究など生殖医療に目的が限られていた。京都大の研究グループが11月、学内の倫理委員会で国内初のES細胞作成計画の承認を受けた。
 また、この日の理事会では、外部有識者による倫理審議会から、代理出産に関する答申を受けた。答申は(1)妊娠・出産に伴う危険を第三者に引き受けさせることになる(2)生まれてくる子の福祉に反する−などの理由から、「認めるべきではない」とした。
[時事通信社]
[2001-12-15-19:16]

 ◇ES細胞

◆2001/12/15 <代理出産>将来の条件付き容認に含み残す答申 産科学会審
 毎日新聞ニュース速報

 日本産科婦人科学会の倫理審議会(米本昌平委員長)は15日、カップルの受精卵を別の女性に妊娠・出産してもらうなどの代理出産について「禁止すべきだ」とする答申を、同学会(会長・荒木勤日本医大教授)の理事会に提出した。答申は出産する女性の危険や、母子関係の混乱のおそれなどを理由に禁止を主張しているが、一方で「(将来的に)社会の許容度が高まった場合」の条件付き容認に含みを残した。学会は今後、答申を検討して方針を決める。
 答申は、将来的には「ごく例外的な場合」に限って代理出産を認める制度作りも考えられるとし、その制度の例として▽実施施設と学会の両方の倫理委員会の許可で認める▽新設される第三者機関の許可で認める▽家庭裁判所の許可で認める――の三つを挙げた。
 また、代理出産を法律で禁止した際に、実施した医師に刑罰を科すことについて「適当ではない」と主張した。これに対し荒木会長は「個人的見解だが、罰則の是非は学会が見解を出すべきことではなく、国の審議会に委ねる方がよい」と話した。【高木昭午】
[2001-12-15-19:15]

◆代理出産の禁止を 日本産科婦人科学会審議会が答申
 朝日新聞ニュース速報

 代理出産をめぐり、日本産科婦人科学会の倫理審議会(米本昌平委員長)は、無償有償を問わず、認められないとする答申をまとめ、15日、同学会の理事会に報告した。理由として(1)代理出産は危険性も伴い、人間の尊厳に反する(2)生まれてくる子どもの福祉に反する(3)家族関係を複雑にするなどを挙げた。
 さらに、医師らが代理出産に関与しないよう求め、商業的なあっせんや広告は法的に禁止すべきだとした。
 審議会は生命倫理学者や法学者ら外部の6人と同学会員3人から構成されている。
[2001-12-15-20:16]

◆12/15 代理出産を禁止と答申 日産婦学会の倫理審議会
 共同通信ニュース速報

 「日本産科婦人科学会(日産婦)の倫理審議会(委員長=米本昌平・三菱化学生命科学研究所室長)は代理出産を認めないとする答申をまとめ、十五日の同学会理事会に報告した。
 代理出産は、不妊夫婦の受精卵を妻以外の女性に移植したり、夫の精子を妻以外の女性に人工授精するケース。答申は、いずれも第三者である女性に身体的・精神的負担を与え、不妊治療の範囲を超えると指摘。さらに、生まれる子供の福祉や公序良俗に反する、などとして認めなかった。
 ただ将来、社会の許容度が高まった場合に、例外的に認めるための審査制度についても言及した。
 違反者への対応は、刑罰をともなう法規制は妥当ではなく、学会の除名処分などで対応すべきだとした。
 日産婦は従来、会員の産婦人科医に対し代理出産を禁止してきたが、今年五月、非会員の長野県の産婦人科医が実施を公表したため、外部の有識者を交えた倫理審を設置し、あらためて是非を諮問していた。
 今後、答申の内容を検討した上、従来の禁止の姿勢を確認する見込み。」
[2001-12-15-20:13]

  ◇日本産科婦人科学会
  ◇米本昌平


REV:.....20030216,1227
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