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体外受精in vitro fertilization(IVF)(+胚移植 embryo transfer IVF+ET)


last update:(最後に更新した日付 ex.20100502)

「★04 体外受精について、あれほど批判があったのに今は普通のことになっているではないか(だから、今とやかく言われているものもいずれ普通のことになっていくのだ)といった言われ方がよくなされる。しかし、その問題(cf.立岩[1997:156ff])は、この技術の使用が普通のことになったとして、終わらない、永続する。」
 立岩 真也 2002/02/01「生存の争い――医療の現代史のために・1」p.168
 『現代思想』30-02(2002-02):150-170 ※資料
 (立岩[1997]は『私的所有論』

Tateiwa, Shinya(立岩 真也) 2016 On Private Property, English Version, Kyoto Books chap.3 n.1
◆立岩 真也 『私的所有論』第3章注1(p.89)より
"In vitro fertilization (IVF)" is a process in which a woman's egg is inseminated outside of her body. This inseminated egg (embryo) is then implanted in a womb ("embryo transfer (ET)"). The term "test-tube baby" is used to described children born through this process of IVF-ET. Since chances of a successful pregnancy are increased by having many eggs transferred to the womb at once, ovulation inducing drugs are often used to gather extra eggs that are then simultaneously inseminated and transferred to the same womb (this has resulted in an increased rate of multiple-pregnancy (twins, triplets, and so on) that has in turn led to the use of techniques to reduce the number of embryos, a process that has been seen as posing ethical problems of its own). Technology that allows for eggs to be frozen and then later thawed and transferred to a womb during the easiest period for the woman in question to become pregnant is already being used, as is microscope insemination technology that allows for sperm to be planted directly in an egg. There are also other techniques, such as the "GIFT" method in which sperm and egg are brought together outside of the woman's body but conception occurs after they have been transferred to her womb. The first child conceived through in vitro fertilization was born in Britain in 1978 (Edwards and Steptoe [1980]).
The first child conceived through in vitro fertilization in Japan was born in 1983 at the Touhoku University department of gynecology (the trend within academic institutions/hospitals towards the pursuit of carrying out this procedure in Japan is examined in Oota [1983], prevailing attitudes before and after this procedure was first carried out are described in Fukumoto [1989], and the techniques themselves, along with additional comments and arguments including those made by university ethics committees, are introduced in Sato [1985]). In 1992 a total of roughly 19,000 IVF procedures were carried out in Japan, resulting in the birth of approximately 2,000 children, with a total of 6,000 children having been born through the use of this technique since it was first implemented (Japan Society of Obstetrics and Gynecology [1994]), and roughly 14,000 children are estimated to have been born worldwide through IVF in 1991 (Tsuge [1995a:7]). (For more on this topic see also various entries in "Jiten /Kazoku," Hikaku Kazokushi Gakkai ed. [1996]. I was in charge of the entries for "gene", "reproductive revolution", "in vitro fertilization" and "surrogate reproduction"). While reproductive technology also includes technology used to avoid pregnancy/childbirth and the kind of in utero testing examined in Chapter 9, I do not address these sorts of techniques in this chapter. This book's index also does not include topics like in utero testing under the heading of reproductive technology."

 「体外受精(in vitro fertilization=IVF)」は体の外で卵子と精子を出会わせ受精させること。この受精卵(胚)を子宮に戻し(胚移植 embryo transfer)着床させる。試験官ベビーと呼ばれるのは体外受精・杯移植(IVF−ET)の過程を経て誕生した子。一度に移植する受精卵が多い方が妊娠の可能性が高いので、排卵誘発剤を用いて過排卵を起こさせ複数の受精卵を採り出し、子宮に戻す(そのため多胎妊娠が起こりやすく、胎児の数を減らす減数手術が行われることがあり、これについて倫理的な問題が指摘される)。受精卵を凍結させ妊娠しやすい時期に解凍して子宮内に戻す技術、卵子に直接精子を入れる顕微授精の技術も実際に用いられている。他に体外で精子と卵子を混ぜ合わせ受精は体内で行わせるギフト法(配偶子卵管内移植法、GIFT)等の方法がある。一九七八年イギリスで初めての体外受精児が誕生(Edwards ; Steptoe[1980=1980])。日本では一九八三年東北大学産婦人科での出産例が最初(日本での実施を目指す学界・病院の動向を追った大田静雄[1983]、実施前後の動向を伝える福本英子[1989]、技術の実際とともに自らが加わった大学の倫理委員会での議論等も紹介した斎藤隆雄[1985])。一九九二年には治療周期総数で約一万九千件の体外受精が行われ、生まれた子は約二千人、一九九二年までの累計では生まれた子は六千人(日本産科婦人科学会[1994])、世界では一九九一年に一万四千人以上の子が体外受精で生まれている(柘植あづみ[1995a:7])。(他に『事典・家族』=比較家族史学会編[1996]の各項目。「遺伝子」「生殖革命」「体外受精」「代理生殖」の項目は立岩が担当。)なお、妊娠・出産を回避するための技術、第9章で検討する出生前診断等も生殖技術に含まれるが、本章では扱わない。また本書の索引でも出生前診断等に関する記述のある頁は生殖技術の項目に掲載していない。」


■減数手術

青野 透 1997 「減数中絶の医学的適応と倫理──TTTS(双胎間輸血症候群)を例に」
 『金沢大学大学教育開放センター紀要』17:63-78
 「減数中絶を多胎妊娠継続の回避の選択肢をしない医師たちはさかんに、倫理をもちだす。しかし、そこでいう倫理は具体的内実が全くない。少なくともTTTSの事例では、倫理を持ち出すことは許されない。個々の医師が倫理的判断をするのが望ましいかのような幻想があるが、倫理を錦の御旗とすることはできない。倫理にも根拠が必要である。開かれた議論にもとづいてガイドラインを制定することの必要性とされる由縁である。」(青野さんによる紹介)

◆青野 透 1996 「減数中絶問題と法思想」,『書斎の窓』457:31-36
 「減数中絶の問題を、法学の立場からどのように捉えることができるかを論じたものである。とくに、<自然>と<人為>の線引きは可能か、再考すべきではないか、と問題提起をした。」(青野さんによる紹介)

◆青野 透 1996 「多胎妊娠は回避できるか──『減数中絶』問題検討の前提として」 『金沢大学大学教育開放センター紀要』16:25-40
 「学会が主張する、<減数中絶を公認しなくても、そもそも多胎妊娠を回避することができるのだからいい>、という言説が医学的に根拠のないものであることを示した。医学の専門家たちがいうことだから正しいとは限らない。医学文献を重ねあわせていけば、嘘は暴かれる。」(青野さんによる紹介)

◆19990323 「<減数手術>母子の生命が危険に限って認める方針──専門委」  『毎日新聞』19990323

 「厚生科学審議会先端医療技術評価部会の生殖補助医療技術に関する専門委員会(中谷瑾子委員長)は23日、四つ子や五つ子を妊娠したとき子宮内で一部の胎児を死亡させて残った胎児だけを出産させる「減数手術」について、母子の生命に危険がある場合に限って認める方針をまとめた。
 方針では多胎妊娠した場合、減数手術で胎児の数を調節することは胎児の生命軽視にあたり、原則的には認められないとした。しかし、三つ子以上で母子の生命が危険な場合の減数手術は容認した。
 専門委は今回の方針を守るため、行政や学会がルールを作ることを提言し、減数手術を実施する施設の登録制や報告制などの整備を求めている。
 減数手術については産婦人科医でつくる日本母性保護産婦人科医会が18日、法律の整備を条件に容認する見解を公表している。」【吉川学】
[毎日新聞7月23日] ( 1999-07-23-21:31 )

 *毎日新聞JamJam
  http://www.mainichi.co.jp/

◆19960217
 不妊と生殖技術を考えるオ−プンフォ−ラム第2回
 どう考える?『減数手術』

 

◆2000/02/10 「オランダの諮問委、レズビアンの体外受精拒否は法律違反」
 『朝日新聞』2000-02-10
 「オランダの治療平等委員会は9日、レズビアンのカップルに対する体外受精拒否は法律違反だとする勧告を出した。同委員会によると、不妊治療専門の3つの病院が、父親と母親がそろっていないことを理由に女性カップルの治療を断ったという。」(速報22:32)

  
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◆1983/01
東北大学:体外受精・胚移植(IVF&ET)に関する憲章
◆1998/04
徳島大学:「ヒト体外受精卵子宮内移植法」に関する申請についての倫理委員会判定


◆立岩 真也「体外受精」
 比較家族史学会編『事典・家族』,弘文堂(19960228)1.5枚

・主に卵子はつくれるが,卵管が詰まっていて妊娠できない女性に対して
・また一部の男性不妊症・・精子の数が少ない場合・・にも有効
 (鈴木[1983:191-196])
・女性の腹部に穴をあけて入れた腹腔鏡か,先端部から超音波の出る棒状の採卵器
 の器械を介して排卵直前の成熟卵を採取し特殊培養液の中で受精させる。受精卵
 が2〜8細胞期までに発育した時点で腟経由で子宮内に戻して着床させる。試験
 管ベビーとも呼ばれる。最低3日間の入院が必要とされたが,日本では最近,外
 来通院による体外受精が行われており,これは超音波を利用する採取で,胚移植
 法によるもの。現在はこれより簡便な方法も出ている(略)。19851111埼玉県越
 谷市で配偶子卵管内移植により男児誕生↓(略)
 (imidas90:1037)

・配偶子卵管内移植(GIFT法 Gemate Intra-Fallpian Transfer)
 一般には簡易体外受精と呼ばれる。
 体外に取り出した精子と卵を混ぜただけで,受精を確認せずに女性の卵管に戻す。
 IVF−ETで最大の難関とされる受精卵の体外培養の段階を省略するために考
 え出された。技術も設備もない民間病院でも手軽にできるというので日本ではこ
 れを手がける施設が増えている。IVF−ETに比べて自然の生理に近く,妊娠
 率が高いとされている。ただし卵管が両方ともふさがっている場合には使えない。
 (福本[1989:36])
 1984年に初めてこの方法による子供が誕生。(柘植[1991])
 日本:1985年越谷市立病院でこの方法で原因不明の不妊患者から子供が誕生
 (福本[1989:35])

・体外受精卵卵管内移植(IVF−ETR In Vitro Fertilization-Embryo Tubal
Replacement)
 受精卵を子宮にではなく卵管に移植して自然に子宮に移送させる。卵管が両方と
 もふさがっている場合には使えない。
 1986年 東海大で子宮筋腫,子宮内膜症,卵管内精子輸送障害と診断された患者
 が妊娠第31回不妊学会て報告:GIFTでも妊娠できない難治性不妊に試みて妊
 娠させることができたと報告(福本[1989:35-36])

・顕微受精
 顕微鏡下で一個の精子を卵に注入することによって受精させる。乏精子症や異常
 がある精子の割合が多いときに受精の確率を高めるために行われる。

・凍結受精卵
 −196cで冷凍保存 最も妊娠しやすい時期を選んで解凍して母体に戻すため,妊
 娠率は通常の体外受精より高い。採卵の回数を減らすことができる。1984年,初
 めてこの治療法がオーストラリアで成功して以来欧米では 100人近く誕生。日本
 8802→年表
 厚生省:不妊症の治療として適切に実施されるなら問題はないという見解
 夫婦の死後でも別の女性に受精卵を移植すれば出産も可能という倫理的な問題
 相続などの法的問題
 安全性にも懸念が残る
 といった多くの問題を残し倫理的・社会的な論議を呼んでいる
 (imidas90:1037 より詳しくはWarnock[1985=1989]→下の年表)

・「孤児胚」
 198406 クィーン・ヴィクトリア医療センターで不妊症の治療を受けたカリフォ
 ルニアの夫婦が2つの冷凍胚をセンターの貯蔵庫に残したまま航空機事故で死亡
 希望する女性がいたら移植すべきか 研究目的のために利用できるか 捨てるこ
 とができるか 産まれた場合遺産相続の権利があるか(後に胚の遺伝上の父親は
 亡くなった夫ではなくだれかわからないオーストラリア人であることが発覚)

 19840909 ウォーラー委員会(1982ヴィクトリア州政府によって設置)が報告 
 両親がはっきりとした指図を残さぬまま死亡したならば,貯蔵庫から除去される
 べきと勧告
 州政府は勧告を履行する立法措置を導入する前に,公的討議のために3か月間の
 猶予期間をおくと述べる
 が 198410州上院は「孤児胚」が養子にされ,移植されることを認める特別修正
 案を通過させる
 (「ヴィクトリア州生命の権利協会」会長マーガレット・タイ夫人によって指導
 された孤児胚のためのキャンペーンによるもの)90人以上もの婦人がその孤児胚
 に子宮と住居を提供することを申し出る
 (Warnock[1985=1989:287-289])
 日本では840619各紙(斎藤[1985:104])…オーストラリア

・受精卵を巡る対立
 198908離婚を決意したアメリカの夫婦が凍結した受精卵をめぐって法廷で争うことに  不妊症→体外受精 9つの受精卵の2つを体内に戻したが失敗 7つは凍結保存 離婚 にあたって夫は「離婚する以上,彼女との子供は欲しくない。受精卵はまだ生命とはい えない。冷凍のままの方が幸せ」と主張 妻は「受精卵は既に一個の生命 体内に戻し て産みたい」と対立 アメリカ産科学会では「生命の可能性を持っており,人間に対す るのと同じ尊厳をもって扱うべきだが,人間そのものではない」とし「物説」を取る学 者も多い。これに対し妻側の弁護士は「受精卵はまだ体の一部にはなっていないが,4 〜8細胞に卵割していて,潜在的な生命だ」と強調(imidas90:1037-1038)

 体外受精について斎藤[1985]が詳しい

■歴史

19730912 コロンビア大学 体外受精を行う
     移植するばかりになっていたが 非倫理的等で 上司が受精卵を破壊
     両親が訴える
1978   判決 慰謝料支払いを命ずる
     (『毎日』780718夕刊・0819夕刊に報道→斎藤[1985:58-59])
19780725 英国オールダムで世界で初めての試験管ベビー
     ルイーズ・ジョイ・ブラウン誕生
     EdwardsとSteptoeによる
     (二人の生い立ち,家庭環境,学問への志向,試験管ベビーへの挑戦,
     社会的反応,等の記録としてEdwards・Steptoe[1980=1980],他に
     朝日新聞科学部[1982:80]鈴木[1983:159-163]斎藤[1985:59])
19840328 凍結受精卵を用いた体外受精により世界初めての誕生:
     ゾウ(オーストラリアのメルボルンのモナシュ大学クィーン・ヴィクト
     リア医療センターで帝王切開により)
     同時にセンターで治療を受けた他の5人の女性が冷凍胚から発育した子
     を身ごもっていると発表される→840816
198407  ロッテルダムで2番目の子が誕生
19840716 エドワードとステプトー冷凍胚を使った2人の患者をもっていると発表
19840816 0328に発表されたうちの一人である男児誕生:3番目
     (以上Warnock[1985=1989:287])
198406  「孤児胚」の問題(→別記)
198408  フランス 癌で亡くなった夫の冷凍精液の引渡しを求める裁判
     女性な有利に判決(→別記)
198410  ヴィクトリア州上院「孤児胚」が養子にされ,移植されることを認める
     特別修正案を通過させる(→別記)
19850308 0716の1人が誕生(以上Warnock[1985=1989:287])
198908  凍結受精卵裁判 合衆国(→凍結受精卵の項)

・イギリス,オーストラリア,アメリカ,オーストリア,西ドイツ,フランス,ス
 ウェーデン,イスラエル,スイス,シンガポール,南ア共和国,カナダ,チェコ,
 イタリア,デンマーク,ユーゴ,日本……8306現在(鈴木[1983:174])11国に
 ついては成功例の数も)
・英国の他,合衆国,オーストラリア,西ドイツ,チェコなど十数か国で臨床応用
 が行われすでに約3000人以上が誕生(マシア[1987:122])
・イギリス・オーストラリア・アメリカ・ヨーロッパ大陸の現況について
 鈴木[1983:159-175]
・世界でおよそ1000人の体外受精児が誕生(imidas90:1037)


・日本
1978秋  日本受精着床学会設立
198211  日本産科婦人科学会「体外受精に関する基準」
19830101 東北大学医学部産婦人科学教室「体外受精・胚移植に関する憲章」施行
19830314 日本で初めての体外受精・胚移植による妊娠成功を報告
     (東北大学付属病院鈴木雅洲教授グループ)
     (太田[1983]マシア[1987:122-123]…)
     続いて第2,第3の成功を報告(斎藤[1985:61])
19830412 徳島大学医学部倫理委員会
     「「ヒト体外受精卵移植法」に関する申請についての倫理委員会判定」
19830412 徳島大学医学部倫理委員会委員長談話
19830806 慶応大学飯塚理八教授グループと徳島大学森崇英国教授グループがほぼ
     時を同じくして妊娠成功を報告(斎藤[1985:61])
198310  日本産科婦人科学会「「体外受精・胚移植」に関する見解」
     同学会雑誌35-10 に会告として掲載
     1006の各新聞紙上に全文報道
     (斎藤[1985:117],鈴木[1983:197-198]にも転載)
19831014 初の体外受精児が東北大で誕生
     (東北大での移植について東北大教授による鈴木[1983]
     斎藤[1985:61])
     『毎日新聞』が実名入り報道
     両親と家族が病院側に抗議(斎藤[1985:156])
     2年28日生きて風邪をこじらせ心不全で死亡(imidas90:1037)
19831021 徳島大グループ2例目の成功を報告(斎藤[1985:61])
198311  各紙 厚生省が体外受精をめぐる倫理基準や医療の範囲に関する指針づ
     くりのための研究班設置を検討していることを報道(斎藤[1985:118])
19831222 東北大学で2例目誕生 840108に発表
     別の病院で出産(斎藤[1985:156])
19840309 各紙 徳島大学倫理委員会への審査申請前の時期の,産婦人科教室にお
     ける受精卵実験が取り上げられ問題にされる(斎藤[1985:119])
19840513 日本産科婦人科学会
     「ヒト精子・卵子・受精卵を取り扱う研究に関する見解」
     の中で受精卵の冷凍保存を認める
     0513は各紙の報道があった日(斎藤[1985:108]
     各基準等,斎藤[1985]に掲載(DBに登録)
1984春  9大学と1民間病院で実施している(斎藤[1985:109])
198408  までに東北大4,東京歯科大1人,徳島大3人,東海大3人
     斎藤[1985:18]
198802  日本産科婦人科学会「冷凍保存期間は母体の生殖年齢をこえない」など
     6項目の倫理規定を設ける(imidas90:1037)
198907  東京医大のグループが凍結受精卵による妊娠に国内で初めて成功
     (朝日…)



◆顕微受精

・1回70万円ほど(加茂[1986:345])
 開業医で200万『毎日』831127→斎藤[1985:17]
・成功率の低いこと→女性の負担が重いことが指摘されている
・排卵誘発剤を用いることによる「余剰の」胚の問題
・肯定論:Singer & Wells[1984=1988]

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■文献(発行年順)

*◆Firestone, Shulamyth 1970 The Dialectic of Sex : The Case for Feminist Revolution, William Morrow=1972 林弘子訳,『性の弁証法──女性解放革命の場合』,評論社,305p.
◆Warnock, Mary 1983 In Vitro Fertilization : The Ethical Issues (2) The Philosophical Quarterly 33(132)=1988 「体外受精をめぐる倫理的問題」,加藤・飯田編[1988:69-81]
*◆大田 静雄  1983 『試験官の中の子どもたち』,三一書房,212p. <89>
◆日本産科婦人科学会 1983 「「体外受精・胚移植」に関する見解」(日本産科婦人科学会会告,1983年10月) 『日本産科婦人科学会誌』35-10:7→日本不妊学会編[1996:215-219]
*◆Singer, Peter ; Wells, Deane 1984 The Reproduction Revolution : New Ways of Making Babies, Oxford Univ. Press=1988 加茂直樹訳,『生殖革命──子供の新しい作り方』,晃洋書房,324+7p. <91>
◆泉 久雄 1985 「体外受精と家族法」 『新法学案内』
*◆斎藤 隆雄 1985 『試験官ベビーを考える』,岩波書店,180p. <89>
*◆Masia, Juan 19851015 『改訂増補 バイオエシックスの話──体外受精から脳死まで』 南窓社, 223p. 1854
*◆大谷 實  19851025 『いのちの法律学──脳死・臓器移植・体外受精』 筑摩書房,214p. 1440
◆加茂 直樹 1986 「新しい生殖技術と社会──「ウォーノック報告」の意味するもの」,『ライフサイエンス』13-7〜9→加茂[1991:118-149] <91>
◆白井 泰子・白井 勲・藤木 典生 1986 「人間の生命過程への介入とバイオエシックス(Y):体外受精に内在する倫理問題と社会的態度」 『愛知県コロニー発達障害研究所社会福祉学部研究報告』11:13-26
◆畦地 豊彦 1987 「「体外受精」問題・その十の論議」 日本臨床心理学会編[1987:165-211] 
◆岩志 和一郎 1987 「体外受精の許容条件とその限界」 『法律時報』59-12:32-36 
◆品川 信良 19880630 「体外受精と倫理」 岡本・馬場・古庄編[88:171-186]
◆お茶の水女子大学生命倫理研究会 199110 『女性と新しい生命倫理の創造──体外受精と家族関係をめぐって』,お茶の水女子大学生命倫理研究会,259p.
 112東京都文京区大塚2-1-1お茶の水大学哲学研究室内 03-3943-3151内線317 
柘植 あづみ 1991 「体外受精・凍結保存技術のMTA──生殖技術と女性の関係についての一考察」 『Sociology Today』2:17-30
*◆加茂 直樹  1991 『生命倫理と現代社会』,世界思想社,世界思想ゼミナール,214p.
◆服部 篤美 1991 「日本(3)・体外受精・胚移植」 『比較法研究』53:84-93
◆服部 篤美 1995 「日本における体外受精の実施状況」 唄・石川編[1995:433-454]
◆丸山 マサ美 1996 「体外受精技術の社会政策に関する国際比較研究」 『常盤大学人間科学論究』4:139-156

 <>内は立岩真也『私的所有論』で言及されている頁を示す

 
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◆2000/11/28 「精液からエイズウイルス除去 妻の卵子と体外受精 新潟大で」
 NHKニュース速報

 「エイズウイルスに感染した夫の精液からウイルスを取り除き、妻の卵子と受精させる国内では初めての体外受精が、来月にも新潟大学医学部で行われることになりました。
 妻や子どもへの二次感染をできるかぎり防ぐ方法として、注目されています。
 この体外受精を行うのは、新潟大学医学部産婦人科の田中憲一(タナカケンイチ)教授と、東京・杉並区の荻窪病院の花房秀次(ハナブサヒデジ)医師らのグループです。
 花房医師は、エイズウイルスに感染した男性の精液を遠心分離器にかけると、比重の違いから重い精子が下に、軽いエイズウイルスが上に分離されるのを利用して、ウイルスを取り除く新しい方法を開発しました。
 そしてこの方法を使って、エイズウイルスをできるかぎり取り除いた夫の精子を、三十歳代の妻の卵子と体外で受精させ、再び妻の体に戻す、国内では初めての体外受精が、来月にも新潟大学で行われることになりました。
 新潟大学では、すでに学内の倫理委員会の承認を得ているということです。
 エイズ感染者の夫の精子からは、妻や生まれてくる子どもが二次感染するおそれがあり、これまでは子どもを持つことをあきらめる夫婦も多かったということで、新潟大学の田中憲一教授は、「どうしても子どもがほしいというエイズ感染者の夫婦の希望にこたえ、より安全な方法を提供できる可能性がある」と話しています。」
[2000-11-28-17:51]

 エイズウイルス(HIV)に感染している男性の精液からウイルスを取り除き、妻の卵子と受精させて妊娠を目指す体外受精に、新潟大学医学部産婦人科(田中憲一教授)が国内で初めて取り組む。すでに大学の倫理委員会が承認しており、12月中にも実施する予定という。
 同大学によると、体外受精を受けるのは県外に住む夫婦で、夫がHIVに感染している。取り出した精液から、パーコールという溶液を使うなどしてウイルスを取り除き、卵子と受精させ妻の体に戻す。
 HIVに感染した男性の精液にウイルスが含まれていると、妻や生まれてくる子に感染する危険があるため、従来は妊娠をあきらめる例が多かった。海外ではウイルスを取り除いた精子を子宮に送り込む人工授精で、母子とも感染せずに出産に成功した例が2000例以上報告されている。
 この手法は、国内では慶応大学産婦人科が中心になって開発した。重さの違いによって、ウイルスの含まれる精液から精子を分離する。現在の技術では検出できない程度までウイルスを除去することができ、精液中のウイルス量を1000分の1以下に減らすことができるという。すでに国内の複数の大学の倫理委員会が、この手法を使った人工授精の実施を承認している。
 開発に携わった東京・荻窪病院血液科の花房秀次部長は「従来は難しかった精子表面に付着しているウイルスの除去を、新しい方法で可能にした」と話す。
 ただ、精子の表面についたウイルスを理論的に完全に取り除くことができるわけではなく、精子の中にウイルスが入り込んでしまう恐れもあり、100%安全とは言い切れない。
[2000-11-28-14:54]

精子からHIV除去し体外受精
読売新聞ニュース速報

 「新潟大学医学部は二十七日までに、エイズウイルス(HIV)に感染した夫の精液からウイルスを除去し、妻の卵子と受精させる国内で初めての体外受精を実施することを決めた。妻や子供への二次感染の予防が目的。すでに同大の倫理委員会の承認を得ており、来月中にも行う。
 エイズ治療に取り組む荻窪病院(東京都杉並区)と慶応大医学部(新宿区)などが共同で開発した画期的なウイルス除去法を使い、厚生省エイズ研究班の事業として実施する。血友病の患者が感染した薬害エイズの被害者の中には、結婚しても子供をあきらめたり、出産を望む妻が感染してしまったりしたケースがあり、これまで安全な体外受精の開発を望む声が強かった。欧州の専門医から問い合わせが相次ぐなど、国際的にも注目されている。
 今回導入されるのは、血液のリンパ球を除去するためなどに使われる「パーコール法」を改良したウイルス除去法で、これに不妊治療などで用いられる「スイムアップ法」と呼ばれる技術を組み合わせた。
 まず、パーコールと呼ばれる粉末の溶液を試験管内に入れ、その密度が下の方ほど濃くなるらせん状の層を作る。それに夫から取った精液を載せて遠心分離機にかけると、精液の成分が比重の差などに応じて分かれ、一番下の層には比重の大きい正常の精子が、比重の小さいリンパ球やウイルスは上層にそれぞれ集まる。その上で、最下層から取り出した精子を別の容器の培養液に入れて温め、泳いで上ってきた活発な精子を採取するスイムアップ法を用いると、現在の検査法では限界までHIVを除去できるという。
 こうして得られた精子と卵子を体外で受精させてから、妻の子宮に戻して成長させる。
 この方法の開発に中心的に取り組んだ荻窪病院血液科の花房秀次部長は、「人工授精よりさらに安全性を高めるため体外受精にするので、技術ミスがない限り、安全性はほぼ百パーセントに近い水準だ」という。
 精液からのHIV除去は荻窪病院などで行い、新潟大で、この精子を用いて十二月中に三十歳代の夫婦に体外受精を実施する。
 イタリアでは、今回の方法よりも簡単な、パーコールの密度が二層だけの分離法を使って人工授精を行い、すでに二千人以上の希望者に実施している。この方法でも、妻子への二次感染の報告はこれまで一例もなく、日本から治療を受けに行った夫婦もいる。
 しかし、イタリアの方法に対しては、これまで安全面で疑問の声もあった。
 国内で約百二十人の薬害エイズの被害者の治療を行ってきた花房医師のもとには、これまでに三十組以上の夫婦が子供を作りたいと相談に訪れたが、感染の危険性があることからあきらめるよう助言するしかなかったという。このうち十組ほどは二次感染の危険を知りつつ子供を作り、中には妻が感染したケースもあった。
 国内のエイズ患者、感染者の報告総数は六千九百三十七人(うち千百九十六人が死亡)で、この八割近くが男性。血友病の治療で感染した男性も千八百人(うち約五百人が死亡)に上る。
 新潟大医学部産婦人科の田中憲一教授は、「危険性を知りながら命をかけて赤ちゃんを作ろうとしている妻たちに、極めて安全な方法があるのを知ってもらうことは極めて意義がある。感染者の夫婦に希望を持ってもらえるように、なんとしても成功させたい」と話している。」
[2000-11-28-03:02]

2000/11/28 12:54 時: ◎HIV感染者の精子で体外受精へ=ウイルス除去後、来月にも実施−新潟大
 時事通信ニュース速報

 「エイズウイルス(HIV)に感染した夫の精液からウイルスを除去した上で、妻の卵子と体外受精させる臨床研究が新潟大付属病院で12月にも実施されることが28日、分かった。イタリアなど海外での実施例は報告されているが、2次感染など安全性の問題が指摘されていたことから、国内では初めてとなる。
 同大医学部によると、体外受精を受けるのは、30代の夫婦で、夫は薬害エイズの被害者。既に同大倫理委員会の承認を得ている。
 精液からのHIVの除去は、エイズ治療の分野で実績のある荻窪病院(東京都杉並区)で行い、新潟大病院で除去後の精子を妻の卵子と体外受精させる。除去方法は、比重による遠心分離技術を応用。血液からリンパ球を除去する際に使われる「パーコール法」など複数の方法を組み合わせるという。」
[時事通信社]
[2000-11-28-12:54]

2000/11/28 12:45 <体外受精>HIV除去する試み実施へ 新潟大医学部など
毎日新聞ニュース速報
 「エイズウイルス(HIV)に感染した夫の精液を使い、ウイルスを除去する処理を施した後で体外受精する試みを、新潟大医学部産婦人科(田中憲一教授)と荻窪病院(東京都杉並区)の花房秀次血液科部長らが共同で行うことが、28日、分かった。10月に新潟大医学部倫理委員会(委員長・山本正治医学部長)の承認を得ており、12月に実施予定という。国内で、HIVを除去した精液を使った人工授精の例はあるが、体外受精の試みは初めてとみられる。
 田中教授によると、対象は30代の夫婦。
 まず花房医師らが、HIV感染者である夫の精液の成分を「パーコール法」という手法を使って比重別に分離。正常精子などの重い部分と、ウイルスやリンパ球などを含む軽い部分に分ける。さらに、正常精子などの部分に、ウイルスの遺伝子が含まれていないかどうかを検査する。
 問題がなければ、検査した精液を凍結し、新潟大へ輸送。新潟大で妻の卵子と体外受精させて母体に戻す。
 新潟大倫理委は、夫婦に十分な説明をして同意を得、カウンセリングもすること、胎児の感染が分かった場合は万全の措置を取ること、などを条件にこの方法を承認した。
 倫理委メンバーの朝倉均教授(医学部付属病院長)は「今回の方法だと感染リスクは99%以上ないが、100%ではない。実施にあたっては万全の対策をとりたい」とコメントした。
 体外受精を担当する田中教授は「感度の高いHIV検査法を使うので、ほぼ安全に行えると考えている。妊娠16週で胎児のウイルス検査をし、感染の有無を夫婦に伝えて判断してもらう」と話している。
 一方、HIV除去を担当する花房医師が所属する荻窪病院の飯田悦郎院長は「この方法は本院では実施しておらず、病院の倫理委員会の議事になっていない」と指摘しており、手続きの不十分さが問題になる可能性も出ている。
 ◆薬害エイズ被害者の救済団体である「はばたき福祉事業団」(東京都)の大平勝美・理事長の話 薬害エイズ被害者の多くは20代から40代と結婚生活において最も大事な年代になっている。子供が欲しいという願望が強く、苦しんでいる人たちは多い。
 配偶者に感染しない安全な方法が待ち望まれていたので、たとえ万が一感染ということがあっても、子供をもうける可能性を開いた意味は大きい。今回のケースが成功し、あちこちの病院で行われるようになってくれればうれしい。」
[2000-11-28-12:45]

  cf.◇エイズ

 

◆2002/06/24 10:29 体外受精の親子関係 法整備へ
 NHKニュース速報

 「法務大臣の諮問機関である法制審議会の専門部会は、夫婦以外の第三者から卵子や精子の提供を受けて体外受精などで生まれた子どもについて、提供者ではなく、出産した妻と、その夫を、親と定める方針を固め、法律の整備を進めることになりました。
 不妊に悩む夫婦が、夫婦以外の第三者から卵子や精子の提供を受けて体外受精などで出産する、いわゆる「生殖補助医療」をめぐっては、倫理上の問題などから、様々な議論が交わされていますが、厚生省の専門委員会は、親子の法的な関係を明確にすることを条件に、こうした医療を容認すべきだという提言を一昨年、まとめています。
 これを受けて、法務省は、法制審議会に専門部会を設けて、検討した結果、第三者から提供された卵子を夫の精子で人工受精させ、妻が出産した場合には、卵子の提供者ではなく、出産した「妻」を「母」とすること、また、妻が夫の同意を得て、第三者から提供された精子を人工受精させ、出産した場合には、精子の提供者ではなく、妻の「夫」を「父」とし、出 産した妻とその夫を、親と定める方針を固めました。
 法務省は、法制審議会の答申を待って、厚生労働省が提出する関連法案とも内容をすり合わせた上で、早ければ来年の通常国会に、法案を提出したい考えです。」
[2002-06-24-10:29]

 

◆2002/08/04 黒人の精子を誤って授精 英国の体外受精ミス
 共同通信ニュース速報

 「【ロンドン31日共同】英国の白人夫婦から黒人の赤ちゃん(双子)が生まれた体外受精ミスで英高等法院は三十一日、同じ病院で体外受精による妊娠を試みていた黒人夫婦の男性の精子を、病院が誤って白人女性の卵子に授精させていたことが判明したとの声明を発表した。
 論理的には黒人夫婦の受精卵を白人女性の子宮に入れた可能性もあったが、遺伝子レベルの試験で判明した。
 声明は「生物学的には双子の父と母が誰であるかが分かったが、プライバシーの保護や報道の自由との折り合いなど困難な問題がたくさんある」と将来の課題を示した。
 さらに「当事者たちの名前や病院の名前などを当面、公表してはならない」とする関係者からの仮処分申請を認めた、と述べた。」
[2002-08-01-08:34]



◆人工受精着床倫理セミナー

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人工受精着床倫理セミナー
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日時 2000年9月26日(火)15:00−17:00
場所 ブリティッシュ・カウンシル インフォメーションセンター
演題 生殖技術と法規制の必要性 The Need for Regulation
講師 英国受精・胎児問題管轄局長 スザンヌ・マッカーシー(民事法・家族法)
   Suzanne McCarthy,
Chief Executive of the Human Fertilization & Embryology Authority
主催 ブリティッシュ・カウンシル
入場 無料
定員 70名
締切 9月20日
連絡先 ブリティッシュ・カウンシル科学・社会部
    原 智子/辻 正/志村美和
    tomoko.hara@britishcouncil.or.jp


REV:20031227,20100630, 20160529
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