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資料:PSW協会―医療観察法に対する見解ほか―


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last update: 20161019


■目次

  1. 「校内児童等殺傷事件に関する見解」(2001(平成13)年6月18日)(日本精神保健福祉士協会[2001a:169])
  2. 「重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇等に関する見解」(2001(平成13)年9月17日)(日本精神保健福祉士協会[2001b:259])
  3. 「重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇等に関する見解・補足説明」(2001(平成13)年9月17日)(日本精神保健福祉士協会[2001b:249])
  4. 「精神障害者の医療及び福祉の充実強化と触法心神喪失者等の処遇の改革に関する要望書」(2001(平成13)年12月13日)(日本精神保健福祉士協会[2001c:346])
  5. 「『精神障害者の医療及び福祉の充実強化と触法心神喪失者等の処遇の改革に関する要望書』を提出するに至った経緯等の報告」(2002(平成14)年1月(日にち不明),会員宛郵送物)
  6. 「『心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(案)』について」(2002(平成14)年4月12日)(病院・地域精神医学会[2002:75-76])
  7. 「『心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案』に関する提言」(2002(平成14)年4月21日)(日本精神保健福祉士協会[2002b:9])
  8. 「『心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(案)』についての声明」(2002(平成14)年5月14日)(病院・地域精神医学会[2002:76])
  9. 「『心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案』に関する見解」(2002(平成14)年7月13日)(日本精神保健福祉士協会[2015-])
  10. 「『心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律』成立にあたっての見解」(2003(平成15)年8月13日)(日本精神保健福祉士協会[2003b:274])
  11. 「『心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律』に関する現段階での見解」(2004(平成16)年11月26日)(日本精神保健福祉士協会[2004b:12])
  12. 「『心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律』の運用に関する要望について」(2006(平成18)年1月24日)(日本精神保健福祉士協会[2015-])
  13. 「『心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律』における社会復帰調整官の増員について(お願い)」(2008(平成20)年9月5日)(日本精神保健福祉士協会[2015-])
  14. 「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に基づく指定医療機関等に関する省令の一部を改正する省令(案)及び心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に基づく指定医療機関等に関する省令附則第二条第三項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準の一部を改正する告示(案)に関する意見募集(案件番号495080398)について」(2009(平成21)年2月19日)(日本精神保健福祉士協会[2015-])
  15. 「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に関する見解」(2011(平成23)年1月16日)(日本精神保健福祉士協会[2015-])
  16. 参考:本協会のこれまでの見解や要望等


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@「校内児童等殺傷事件に関する見解」(2001(平成13)年6月18日)(日本精神保健福祉士協会[2001a:169])

日本精神保健福祉士協会 会長 門屋 充郎
 このたびの大阪の校内児童殺傷事件で,不幸にして亡くなられた児童のご冥福と,被害に遭われた方々及びご家族の一日も早い回復を心よりお祈り申し上げたい.今後,すでに派遣されているメンタルサポートチームを中心として,事件現場に居合わせた児童を含めた被害者に対するアフターケア体制が万全に敷かれることを強く求めたい.
 事件はいまだ捜査段階であり,事実関係は明らかではない.しかし,容疑者の精神科治療歴等が報道され,社会的な反響が大きく広がっていることから,本協会としての事件に関する当面の見解を表明する.

1.この事件の容疑者が犯罪行為を行うに至った背景を十分に検証したうえで,個別的な問題と一般化して議論すべき問題を区別して整理する必要がある.特に今回の事件が精神障害者全般の問題として取り扱われることにより,ようやく進展し始めた開放的医療やコミュニティケアならびにノーマライゼーションの方向性を後退させることがあってはならない.

2.立ち遅れた精神障害者への地域生活支援活動や精神科救急医療体制の充実を図り,誰もが自分の暮らす身近な地域で,必要な諸サービスを受けられる体制を早急に整備する必要がある.精神障害者の病状悪化のほとんどが生活上の諸問題に密接に関連しているにもかかわらず,問題解決のための相談・支援ネットワークが構築されないまま,当事者や家族が地域で孤立している状況が,犯罪行為に至る背景の一つであることを認識すべきである.

3.精神障害者の犯罪行為に対する精神科医療および司法制度のあり方については,慎重な検討が望まれる.

4.被害者やその家族,事件を目撃した子どもたちへのテレビ・新聞等の取材自体が事件の当事者の心的外傷となり,PTSDを悪化させかねない.これら事件の当事者,特に子どもたちへの取材においては,心のケアを再優先とする注意深さを期待する.

5.今回の報道では,現時点で事件と精神障害との因果関係が全く明らかにされていないにもかかわらず,容疑者の精神科治療歴や過去の診断名が報道され,あたかも精神障害が事件の原因であるかのような印象を与えており,精神障害者に対する差別・偏見の助長につながっている.多くの精神障害者が同一視されることへの不安と困惑を覚えていることからも,冷静かつ慎重な報道を強く要望する.
以上

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A「重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇等に関する見解」(2001(平成13)年9月17日)(日本精神保健福祉士協会[2001b:259])

日本精神保健福祉士協会
 日本精神保健福祉士協会は,去る6月18日に「校内児童殺傷事件に関する見解」を表明した.その後,重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇等に関する議論がにわかに活発となり,報道によると,政府・与党ともに新法制定を視野に入れた新たな処遇システムの検討が進められているところである.
 本協会としては,具体的な法案が示されていない現時点で処遇システムそのものを論じることはできないが,従来から措置入院者への援助・支援という形で重大な犯罪行為をした精神障害者と向き合ってきた精神保健福祉士の立場から,現状の処遇等における問題や課題について整理し,以下のとおり見解を述べる.
 なお,新たな処遇システムに関する法案が提示された時点においては,改めてそのことについて見解を表明することとしたい.

1.現行の処遇における課題
(1)精神科医療が,従前からの社会防衛的側面を払拭しないまま,数次にわたる精神保健福祉法改正を経た今日においても,医療が本来担う役割や機能を超えて,「保護」の名のもとに司法や社会が対応すべき問題までもかかえ込んでいる状況は何ら変わっていない.
(2)このことは,単に重大な犯罪行為をした精神障害者の問題に限らず,社会的入院の解消が遅々として進まず,社会復帰が果たせずにいることにも表れている.
(3)地域によって措置入院が長期化していたり,人口1万人に対する措置入院者の割合に相当の格差が生じるなど,現行の措置入院制度の運用上の明らかな差異がある.

2.重大な犯罪行為をした精神障害者への関わりを通して
重大な犯罪行為をした精神障害者とのかかわりにおいては,適切な医療を受け病状が回復したのち,特別な処遇がなくとも通常の地域生活支援体制のもとで社会復帰・社会参加を果たしている事例を少なからず経験している.
 一方では,かかわりの中で相当な困難を感じる事例もあるが,その背景には以下のような問題点を指摘することができる.
@精神障害者の生活権を保障していくシステムが社会の中に整備されていない.
A医療の対象と考えにくい人までも,医療機関で対応している.
B本来チーム医療で対応すべきことが,十分なマンパワーが確保できないためその実践が困難な状況にある.
C貧困な医療状況にあって,一部の重大な犯罪行為をした精神障害者に対して過度に拘禁性が高い処遇を行なわざるをえない. 

3.司法における課題
検察の起訴便宜主義や本来司法が果たすべき役割を医療が肩代わりしてきたことが,結果として精神障害者の偏見・差別を助長しラベリングを強化する結果になっている.また,安易に責任無能力とされることが精神障害者の尊厳を著しく冒し,逆差別となっている.
 民法が改正され,ノーマライゼーションの観点から精神障害者の保護と自己決定の理念の調和を図り,新たな成年後見制度が定められた.刑法における責任無能力をめぐる規定についても見直される必要がある.

4.精神科医療における社会的入院者の解消と全体的な底上げを
精神科医療における20世紀の負の遺産としての社会的入院者の解消は,重要な課題とされながらもその進捗状況は非常に遅れている.21世紀を迎えた今こそ,地域社会が受け入れるべき精神障害者の退院を促進し,マンパワーの格段の充実を図ることで,精神科救急医療体制を一般科並みに整備し,誰もが24時間安心して受診できる医療システムを構築することが急務の課題であり,精神科医療が本来担うべき機能・役割を明確にしていく方策が必要である.

5.精神障害者の地域生活支援体制のより一層の整備を
2002(平成14)年度からの在宅福祉サービスの市町村への位置づけ,2003(平成15)年度からの障害者ケアマネジメントの導入が予定されている中で,社会的入院者の受け入れを視野に入れた地域生活支援体制が計画・整備され,権利擁護制度の充実のもと,個々の精神障害者のニーズに即したさまざまなサービスが継続して提供されるシステムを医療の充実とともに実現していくことが,国,行政機関,精神保健福祉に携わるすべての専門職,そして市民の責務である.
以上

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B「重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇等に関する見解・補足説明」(2001(平成13)年9月17日)(日本精神保健福祉士協会[2001b:249])

日本精神保健福祉士協会
1.措置入院制度の運用上の問題について
 現在,精神障害者の医療的な処遇は精神保健福祉法の規定に基づいて行われている.犯罪行為をした精神障害者の処遇については特別な規定があるわけではない.警察官通報,検察官通報に基づく措置入院制度の規定によって都道府県ならびに指定都市が運用を行なっているところであるが,この運用のあり方が地域によってまちまちであることを問題としたい.
 措置入院の対象となる精神障害者は,2名の精神保健指定医の診察により,その病状によって自傷他害のおそれがあると診断された場合である.精神障害の発現率や罹病率に地域差はないとされていることから,厳密に医療的な判断がなされた場合は,地域によって措置入院者の数に有意な差が生じることはないと考える.しかしながら1999(平成11)年6月現在の統計によると,人口1万人に対する措置入院者の割合は全国平均で0.27人であるが,指定都市を除いた都道府県別では最低0.09人から最高0.94人まで,地域による格差が10倍以上と非常に大きいのが実状である.このことは,さまざまな要因が重なった結果であろうが,最も大きな要因として考えられるのは,都道府県による制度の運用上の差異にあることは想像に難くない.
措置入院が行政による強制入院制度であり,その運用は全国的に統一されて然るべきものであることから,全国の状況調査をしたうえで適切な運用を図られたい.

2.精神科医療と司法の連携の問題
 日本における精神障害者の処遇問題の一つとして,精神科医療と司法の連携がほとんどとられていないことがあげられている.しかしながら,現行の制度上でも,運用の仕方によっては司法と精神医療が連携をとることが全くできないわけではない.鑑定留置中の治療の保障,医療刑務所の充実と出所後の医療機関への診療情報提供,監獄法ならびに刑事訴訟法の弾力的な運用による受刑者の医療機関への送致など,現行法体系においても,その運用によって今まで不十分であった司法と精神医療の連携を図ることはある程度可能と思われる.

3.精神障害者は責任無能力者か
 すでに,多くの精神保健福祉関係団体が指摘しているのは,精神障害者に対する司法手続き上の問題である.わが国の刑法では,心神喪失はこれを罰せずという厳然たる規定があるが,犯罪行為をした精神障害者の大多数が検察の段階で,心神喪失あるいは心神耗弱すなわち責任無能力・限定責任能力を理由に不起訴または起訴猶予とされている.その後検察官通報を経て,これらの精神障害者の処遇は精神科医療に委ねられることとなる.しかしながら,措置入院者として私達が出会う精神障害者の中には,果たして責任をもてない人なのであろうかと疑問を抱かせる人が少なからず存在するのである.
 わが国においても,遅まきながら精神障害者のノーマライゼーションの推進や地域精神医療・コミュニティケアの胎動が始まっており,2002(平成14)年度からようやく精神障害者の在宅福祉サービスの実施主体が市町村に位置づけられ,2003(平成15)年度にはケアマネジメントの本格的な導入も予定されている.すでに諸外国では脱施設化が進み,精神障害者も市民としての権利を享受するとともに,応分の責任を担うという考え方が主流となっている.精神障害者には,生活者としてさまざまな危険を冒す権利(失敗する権利)が専門的な支持システムのもとに保障され,その権利保障の代償として精神障害者本人と彼らを援助・支援する側が共に責任を負うという概念が浸透しているのである.
 このように,たとえ障害があっても市民としての権利と責任を保障していこうという時代の流れにあって,検察段階において,犯罪行為をした精神障害者の責任だけが自動的に(と思えるほど)免責されることに果たして合理的な根拠を見出せるのであろうか.起訴され裁判を受けた精神障害者については,その責任能力の有無・程度は,犯行当時の病状,犯行前の生活状態,犯行の動機・態様等を総合して判断されており,現に心神喪失として無罪とされる例が毎年数件に限られていることからも,検察における責任能力の判断手続きが適性に行われる方策が必要と考える.またその際は,必要に応じて医療も保障される手立てが検討されるべきであろう.
 「なにをやっても,自分たち精神障害者は罪を問われない」とは,精神保健福祉関係者であれば誰でも一度は精神障害当事者から聞かされたことがある発言であるが,これは自己を著しく卑下するものであり,私たちは人間として扱われていないのだという諦めや悲しみが内在しているのではなかろうか.このことは明らかな逆差別を生むこととなっている.一方で,「私が罪を犯したときには,裁判を受けてその罪を償いたい」という精神障害者も少なくない.裁判を受ける権利や罰を受ける権利を一国民として保障していく仕組みが必要である.

4.社会復帰の困難性について
 社会的入院をしている精神障害者の社会復帰が,私たち精神保健福祉士をはじめとする関係者と本人の相当な努力と,地域社会の理解のうえにようやく実現するという現状から考えると,重大な犯罪行為をした精神障害者の社会復帰は相当の困難が予想される.
 過去に重大な犯罪行為があったとしても,地域での受入れに当たっては,特別な施設をつくることは考えにくく,一般の精神障害者が利用できる生活支援サービスを活用することが当然に考えられる.しかしながら,現状の貧困な社会資源でどれだけの人を受入れる余地が残っているのであろうか.仮に,何らかの医療の継続システムが導入されたとしても,十分な生活支援体制が整備されないのであれば,結果的に将来の犯罪の発生を予防することは難しいといわざるをえない.
 昨年12月の法務省と厚生省(当時)の合同検討会の立ち上げに際して,この検討会における協議・検討事項とされたのは,「重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇決定及び処遇システムのあり方」のほか,「精神障害者に起因する犯罪の発生を予防するための方策」であった.前者については現在検討が進められているところであるが,後者についてはいまだ検討されておらず,その検討スケジュールも示されていない.
 立ち上げに当たっての主意書付属資料には,後者について検討すべき方策として以下の6点があげられている.@信頼され,親しまれ,受診しやすい精神医療の構築,A精神保健についての知識の普及,B早期対応が必要な事例について,保健所や病院,警察,児童相談所,学校等が,通常の行政の枠組みを越えてかかわることができる新たな仕組みの構築,C通院や服薬を中断しないための仕組みや支援体制の構築,D退院後や通院中の患者を孤独にしないための地域精神保健福祉サービスの構築,E地域における危機介入体制の構築.
 これらの方策が,新たな処遇システムと同時並行的に検討され,精神保健・医療・福祉全体を網羅するよりよいシステムが構築されることが,まさに喫緊の課題といえよう.

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C「精神障害者の医療及び福祉の充実強化と触法心神喪失者等の処遇の改革に関する要望書」(2001(平成13)年12月13日)(日本精神保健福祉士協会[2001c:346])

日本精神保健福祉士協会
1.精神障害者の医療及び福祉の充実強化について
(1)精神科医療整備計画を策定してください
 報告書にうたわれた精神障害者の保健・医療・福祉の充実強化は,精神科医療機関の偏在や人員配置基準などの抜本的改革なしに実現できません.このため,この先10ヵ年程度の精神科医療整備計画を策定し,具体的な数値目標を盛り込んだうえで,二次医療圏での適正な精神科病床配置,総合病院への精神科病床の付置,適正な病床配置に基づくマンパワーの他科並みの配置,救急診療体制の整備などを図ってください.
(2)精神障害者地域福祉計画を策定してください
 精神障害者は私達の社会の大切な構成員であるとの認識に立って,精神障害者が地域の中で充実した意義ある生活を獲得するためには,福祉サービスの飛躍的な充実が欠かせません.このため,精神障害者地域福祉計画を策定し,上記の精神科医療整備計画と合わせた精神障害者保健医療福祉総合計画としてください.
 また,これらの計画の実現のために,特別財源として公費の投入を含む予算措置を行ってください.

2.触法心神喪失者等の処遇の改革について
(1)新たな法律策定にあたっては,精神保健福祉士は対象者の生活支援の観点から援助を行うことを規定してください
 報告書によれば,触法心神喪失者等の処遇に関する判定にあたって,精神保健福祉士の関与が予定されています.入院・退院・通院等の医療上の措置の決定に際しては,単に病状についての医学的判定だけでなく,本人の生活状況や社会的環境について適切に判断することが,医療の目標である社会復帰のために不可欠です.
 精神保健福祉士は社会福祉学を学問的基盤としており,その実践領域は保健・医療・福祉となっています.今回,司法にまたがる領域に参加するにあたっても,本来の専門性に基づく援助を行うことに変わりはありません.このため,精神保健福祉士は対象者の生活支援の観点から援助を行うことを法律に明確に規定してください.
(2)新法施行は制定後3年以内として,この間に十分な時間をとって処遇に関するガイドライン等を策定してください
 報告書では,地方裁判所に設置される処遇決定のための判定機関における判定のあり方や判定の基準は示されておりません.また,専門治療施設での処遇内容や退院後の保護観察下の通院措置の具体的なあり方も不透明です.
 仮に,新法が来年の春に制定されたとしても,実際の施行時期は法制定後3年以内として,この間に,国に「触法心神喪失者等の処遇システム検討委員会」(仮称)を設置し,さらにこの委員会の下に「触法心神喪失者等の処遇判定ガイドライン策定小委員会」,「専門治療施設整備検討小委員会」,「通院措置システム検討小委員会」(いずれも仮称)を位置づけ,それぞれ綿密な実態調査と専門家や精神障害当事者による十分な議論を踏まえたうえで,処遇システムの構築を図るべきと考えます.
 また,法施行後も3年に一度の法の見直し作業を行なうことを,法律の附則に規定してください.
(3)保護観察所に精神保健福祉士を配置してください
 通院措置制度が,単なる再犯防止ではなく社会復帰と社会参加を実現するためのものであれば,保護観察所と保健・医療・福祉関係機関との適切な連携が欠かせません.そのために,生活支援の視点から関係諸機関と連携して対象者の支援ネットワークの形成をコーディネートする専門職として,保護観察所に精神保健福祉士を配置する必要があると考えます.
(4)不服申立てのシステムを確立してください
 判定機関の決定に対する不服申立て手続きについては,上級審査機関を規定するとともに,判定後の処遇に関する不服申立てのシステムも明確に規定してください.
(5)専門治療施設に十分な数の精神保健福祉士を配置してください.
以上

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D「『精神障害者の医療及び福祉の充実強化と触法心神喪失者等の処遇の改革に関する要望書』を提出するに至った経緯等の報告」(2002(平成14)年1月(日にち不明),会員宛郵送物)

日本精神保健福祉士協会常任理事会(文責・木太直人)
 会員の皆様におかれましては,日常の実践を通して精神保健福祉の向上にご努力されていることと存じます.また,常日頃より本協会の活動にご支援ご協力下さり感謝申し上げます.
 さて,機関誌及びニュースレターにて既にご承知のことと存じますが,この度,表記の要望書を関係者に提出致しました.事態の展開が急であることから,即応の必要に迫られたものです.事後にはなりますが,常任理事会として,会員の皆様にこの間の経緯及び要望の趣旨について,以下の通り報告いたします.

 今回の要望書提出に至った経緯について
 重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇のあり方については,1999年の精神保健福祉法改正時の附帯決議(「重大な犯罪を犯した精神障害者の処遇の在り方については,幅広い観点から検討を早急に進めること.」)に基づいて,2001年2月から法務省と厚生省(当時)の合同検討会が開始されていました.
 ところが,昨年6月の大阪池田小学校児童殺傷事件を契機とし国民の大きな関心事となり,緊急な政治課題として急浮上することになったものです.
この問題に対して,本協会としては,企画部プロジェクトとして2000年12月から検討を開始し,2001年5月には会員へのアンケート調査を実施するなどの取り組みを行ってきました.池田小学校の痛ましい事件に対しては,2001年6月18日付で「校内児童殺傷事件に関する見解」機関誌・精神保健福祉・通巻46号,169ページに掲載)を表明し,9月20日には「重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇等に関する見解1(同誌・通巻47号,259ページに掲載)並びに同見解の補足説明(同誌・同巻,249ページに掲載)を公表し,現状の重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇等における問題や課題を指摘しました.
これに前後して,自由民主党(以下,自民党)が「心神喪失者等の触法及び精神医療に関するプロジェクトチーム」(以下,自民党PT)において,公明党が「触法精神障害者の判定・処遇に関するプロジェクトチーム」(以下,公明党PT)において,与党が「心神喪失者等の触法及び精神医療に関するプロジェクトチーム」(以下,与党PT)において,さらに民主党では「司法と精神医療の連携に関するプロジェクトチーム」(以下,民主党PT)において,それぞれ新法制定を視野に入れた検討が行われてきました.因みに,自民党・与党ともに「触法心神喪失者」という表現を使用していますが,これは,児童殺傷事件を契機として重大な犯罪行為をした精神障害者の問題が精神障害者全般の問題ではないということを意図したものと推察され,一定の評価を与えられるものと言えます(とはいえ,「触法」という表現自体が,ジャーナリストの日垣隆氏が指摘するように,「触法精神障害者」か「触法少年」にしか使われないものであり,特別な意味合いを含んでいるのですが).
各PTが関係団体や司法精神医療や刑法の専門家や当事者・家族へのヒアリングを行ってきましたが,10月5日には本協会も自民党PTに呼ばれ,その時点での協会の見解を改めて直接伝える機会を得ました.
そして,11月に入り,1日に公明党PTが 「新たな精神障害者の触法行為に対する処遇システムについて」を公表し,9日に自民党PTによる「心神喪失者等の触法及び精神医療の施策の改革について」を,引き続き12日には与党政策責任者会議としてPT報告書をそれぞれ公表したことは報道等を通じてご存知のことと思います.また,11月22日には民主党PTの中間報告も出されています(資料として,自民党PT報告書,与党PT報告書,民主党PT中間報告を添付します(※本稿では省略:筆者注)).
与党PT(自民党PTも同じ)報告書では,単に「触法心神喪失者等の処遇の改革」だけでなく「精神障害者の医療及び福祉の充実強化」が述べられており,当協会はじめ関係団体の意見書の内容が反映されています.なお,「触法心神喪失者等の処遇の改革」については,当初は重大な犯罪行為をしたすべての心神喪失者についてその責任能力を判定するための判定機関を設置することが検討されていたのに対し,報告書では不起訴処分となった心神喪失者及び裁判所において心神喪失のため無罪となった者等を対象とし,判定機関においては精神科治療を受けさせるために専門治療施設への入院又は観察下での通院という処遇の決定をすることとなっています.
その後の報道等によれば,与党PTの報告を受けて,今春の通常国会提案に向けて政府による法案作成作業が進められているところです.12月末の報道では,新たな処遇決定手続きにあたって,与党PT報告書では精神保健福祉士も裁判官や精神科医と共に処遇判定の構成員として規定されていたものが,政府案では必要に応じて精神保健福祉士に意見を求めることができるという規定に変わるようです.
与党PTの報告書が発表されたことを受けて,本協会は,12月13日に「精神障害者の医療及び福祉の充実強化と触法心神喪失者等の処遇の改革に関する要望書」を提出し,新しい処遇内容そのものにも一定程度踏み込んだ要望を行ないました(要望書提出先:厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神保健福祉課長,法務省刑事局刑事法制課長,自民党PT座長・熊代昭彦議員,与党PT座長・佐藤剛男議員,民主党PT座長朝日俊弘議員).
本協会としては,早い時期から新しい処遇システムへの精神保健福祉士の位置づけに関する報道がなされ,報告書自体が不明瞭な点が多いながらも,現に具体性をもって規定されようとしていることもあり,俄かに当事者性を帯びてきたこの問題に重大な関心を寄せるとともに,協会としての立場を明らかにしておく必要があると判断し,12月7日から9日にかけて行われた常任理事会並びに全国理事会の討議を踏まえたうえで,今回の要望書提出に至りました.

要望書提出の意図
 要望書をご覧になった会員の中には,与党PT報告書で示された触法心神喪失者等の処遇規定(司法制度の枠組みでの規定)に関して協会の意見を何も言っていないではないかと感じている方もいるかと思います.
 このことは,理事会においても重要な論点の一つとして討議されました.しかしながら,この与党PT報告書を骨子として,政府がすでに具体的な法案作成作業に取り組んでいる現段階では,同報告書における規定そのものの問題点を指摘することよりも,新しい処遇に精神保健福祉士が位置づけられることがほぼ確実となっている現実を見据えて,より良い法律が作られるための建設的な要望・提案を行うことを重視しました.

 要望書の内容に関する補足説明
要望書の表題については,与党PT報告書では,最初に「触法心神喪失者等の処遇の改革について」の提言があり,その次に「精神樟害者の医療及び福祉の充実強化について」の提言という構成になっています.しかしながら,本協会としては,根本的な問題が現状の精神保健福祉施策の貧困にあるとの認識に立って,要望内容の優先順位を逆転させた表題としました.
以下,要望書をご参照のうえお読みください.

1.精神障害者の医療および福祉の充実強化ついて
(1)精神科医療整備計画の策定について
 自民党PT報告書では,最初に「基本的認識」を資料も付けて説明したうえで,ダイヤモンドプラン(仮称)として精神障害者医療保健福祉対策5ヵ年計画の策定を提言していますが,与党PT報告書では,残念ながら骨子の提言のみで,ダイヤモンドプランと言う呼称も計画年数も消えた形となっています.
精神障害者の保健・医療・福祉の充実強化を謳うのであれば,まず従来から指摘が多い精神科医療機関の偏在や人員配置基準の抜本的改革が必要となりますも当面考えられる改革策は,要望書の通りです.
また,精神科医療整備計画を10ヵ年としたのは,国の障害者プランが,総理府(当時)の障害者対策推進本部が策定した「障害者対策に関する新長期計画」(10ヵ年計画)の重点施策を具体的に実施していくために策定されたもので,来年度が計画の最終年度でもあることから,次期新障害者プランが策定される場合は10ヵ年計画になることを見越し,これと連動した形となることを求めたものです.さらに,精神科医療の改革は,5ヵ年程度で達成することは現状では困難と考えたことも10ヵ年とした理由です.
(2)精神障害者地域福祉計画の策定について
 精神科医療整備計画の策定は,いわば日本型脱施設化を図ることであり,その実現には地域における福祉サービスの飛躍的な充実策が同時並行的に実施されなければならないことは論をまちません.
 また,新障害者プランが策定されるとしても,精神障害者福祉施策が他障害領域の施策から圧倒的に遅れを取っている現実を直視すれば 精神障害者の総合的かつ特別な計画が必要であり,公費による特別財源の確保も欠かせないと考えました.
 特別に公費を投入するためには,国民のコンセンサスが得られる必要がありますが,そのための努力は国のみに限らず,精神保健福祉士をはじめとして精神障害者に直接的なかかわりを持つ専門職の責務であるとも考えております.

2.触法心神喪失者の処遇の改革について
(1)新法における精神保健福祉士の規定について
 与党PT報告書によれば,触法心神喪失者等の処遇は,司法制度の枠組みで医療上の措置が決定される形となっており,そこに精神保健福祉士が規定されることは,対象者とのかかわりにおける私達の従来の専門性が損なわれることを危倶させることとなります.
このため,仮に司法にまたがる領域に精神保健福祉士が参加するにあたっても,本来の専門性が担保されるための働きかけが必要と考えました.
(2)新法の施行時期と,処遇に関するガイドラインの策定について
先に触れたとおり,与党PT報告書は新たな処遇に関して細部に渡って提言しているわけではなく,極めて不透明な部分を多く含んだ内容となっています.
今春の法案提出は具体的な政治日程として上げられており,新法の制定は避けられないと思います.このため,新法を少しでも良い制度としてスタートさせるためには,政・省令や施行規則などの細部規定を十分な時間を取って慎重に決定していく作業が欠かせないと判断しました.
 以上のことから,施行時期を余裕を持って設定し,要望書にあるような処遇システム検討委員会等の設置による十分な議論が必要と考え要望しました.また,法施行後も出来る限り短期間での制度のモニタリングと見直し作業を規定することも重要です.
(3)保護観察所への精神保健福祉士の配置について
 通院措置制度への保護観察所の関与が提言されていますが,保護観察制度は再犯防止の観点から,主に仮釈放となった受刑者を対象にかかわりをもつものであり,精神障害者への関与は少ないのが現状です.地域における精神保健福祉ネットワークと保護観察所が連携を図るのであれば,そこに携わるコーディネーターが必要であり,その役割を取れるのは精神保健福祉士が最も適切であると考えました.
(4)不服申立てシステムの確立について
与党PT報告書の提言では,判定機関の決定に対する不服申立て手続きを定めるとしていますが,これには上級審査機関を規定する必要があります.
また,判定が出された後の専門治療施設における処遇等に関しても不服申立ての規定を盛り込む必要があると考えました.
(5)専門治療施設への十分な数の精神保健福祉士配置について
 専門治療施設を整備し,なおかつ真に対象者の社会復帰を目標とするのであれば,諸外国の同様の施設に倣い,少なくとも定床の2倍以上のマンパワーの配置が必要です.このため,本協会としては十分な数の精神保健福祉士の配置を要望しました.

 以上,要望書の提出経緯並びに要望項目の内容について報告いたしますが,会員の皆様には要望書提出の趣旨をご理解いただくとともに,この問題に多大な関心を持って今後の動向を注視していただくことを切望します.
また,要望書に関するご意見ご要望があれば,是非本協会事務局までお寄せいただけますようお願い致します.

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E「『心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(案)』について」(2002(平成14)年4月12日)(病院・地域精神医学会[2002:75-76])

精神保健従事者団体懇談会
代表幹事
森山公夫:日本精神神経学会
高橋 一:日本精神保健福祉士協会
樋口精一:日本病院・地域精神医学会
 わたしたち,精神保健従事者団体懇談会(精従懇)は,1986年9月に精神医療に関わる12団体で発足し,現在は,19団体が参加し,精神保健・医療・福祉の現場に関わる学術団体及び職能団体が一堂に会するわが国唯一の集団です.
わたしたちは,第154回国会に上程されている標記法案について,次の理由により,その可決成立に反対し,問題の抜本的見直しを行って必要な方策を立てることを求めます.

1.現在,精神障害者は,一般科よりマンパワー(医師・看護)の少ない入院施設や,圧倒的に不足している地域社会資源等,他の疾患・障害を持つ人たちと比べて著しく差別された劣悪な環境下に置かれている.加えて社会的に病気への認識が低く,差別や偏見の強い中で生きていかざるを得ない状況にある.
こうした状況を抜本的に改善し,精神医療・保健を全面的に充実させることこそが最も優先されるべき課題であり,結果として社会の安全確保につながってゆく最も有効な方策であると考える.
 まず,精神障害者33万人が入院中であるが,その3分の1と言われる社会的入院を解消するための精神科病床削減計画が必要であり,同時に,精神病院の職員配置に関する医療法の特例を撤廃する計画も必要である.そして,この両者を前提として,救急医療・危機介入を含む地域医療・保健福祉圏域の策定とその圏域ごとの数値目標を含む計画の策定が必要である.これらはいずれも,わたしたちはもとより,多くの精神医療・保健・福祉関係者が以前から指摘し,求めてきたことである.しかるに,この1月から審議を進めている社会保障審議会障害者部会・精神障害部会における「総合計画」(仮称)の検討状況を見る限り,上記の基本的な問題に厚生労働省が真剣に対処しようとしているのか甚だ疑問であると言わざるをえない.直ちに,上記基本的問題への対処方策が,必ず実施されるという保証を持って具体的な形で示されるべきである.

2.本来,刑罰は過去になされた犯罪行為に対して科せられるが,新法の目的は再犯の防止であり,将来の危険性を予測して処遇が決められることになる.@精神科臨床とは別の視点から将来の「再犯のおそれ」を理由として決定される入院処遇は,医療の名を借りた予防拘禁に他ならず,また,A「再犯のおそれがない」という判断は一般的にも困難であると考えられるので,相当長期にわたる拘禁的な入院がじゅうぶんに予測され,やはり医療の名を借りた不定期刑が導入されるものと見なさざるをえない.通院医療についても,ほぼ同様のことが言えるが,司法管理下の強制された「地域医療」が本来の地域医療・地域ケアの本質を著しく侵害するということも強く指摘しておきたい.
 こうして,精神障害者に対してのみ「再犯のおそれ」を取りあげることは,法の下の平等に反するもので,明らかに偏見に基づく差別であり,精神障害者にとってますます生きづらい社会を作るものと言わざるをえない.
 ちなみに現在,措置入院制度では「自傷・他害のおそれ」を強制入院の根拠にしているが,これは,あくまでも「現時点」における病状にもとづく精神科臨床上の判断から「医療と保護」を行うものであり,本法における「将来の」「再犯予測」に基づく処分とは質的に異なるものであることを指摘しておきたい.

3.不幸にして違法行為を起こした精神障害者についての最大の問題は,現在のところ,次の3点にあると考えられる.@簡易鑑定を含む起訴猶予処分前後の事情の不透明性.A起訴猶予後,措置入院となった場合の措置入院のあり方の問題性.B留置・拘留・受刑などの場における精神科医療の不十分性.

 わたしたちはむしろこれらの問題こそ,本法成立の前にまずもって検討され,改善策が提起されるべきであると考える.

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F「『心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案』に関する提言」(2002(平成14)年4月21日)(日本精神保健福祉士協会[2002b:9])

日本精神保健福祉士協会
 精神障害のため他害行為等のおそれのある精神障害者については,精神保健福祉法により,都道府県知事による行政処分として入院の措置が行われてきた.しかし措置入院後の医療に対する監督は必ずしも十分ではなく,実質的な運用は医療に委ねられた観がある.措置入院の目的は当該精神障害者の医療及び保護とされているものの必要以上に入院が長期化する例が少なくなく,結果的に医療が社会防衛の機能を果たしていることは否定し得ない.
 今国会に上程された「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案」(以下「法案」という)は,重大な他害行為を行い心神喪失等の理由で不起訴処分になった者及び裁判により実刑判決を受けなかった者に限定して司法処分の対象とした.社会防衛の視点からの処分の決定を医療から切り離し,司法の責任としたことには一定の意義が認められる.
 われわれは,あらゆる精神障害者に対し,そのニーズに応じた適切な受診援助と早期からの社会復帰援助,自己決定に基づく生活支援を行う社会福祉専門職である.不幸にして精神障害のために他害行為を行った者であっても,基本的人権の擁護をかかわりの基本としている.この立場から,これまでに「重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇等に関する見解」(2001年9月20日)及び「精神障害者の医療及び福祉の充実強化と触法心神喪失者等の処遇の改革に関する要望書」(2001年12月13日)を表してきた.
 法案が対象者の人権を尊重し,責任無能力等とされた対象者の主体性の回復と社会的復権を実現しうるものとなることを願い,以下の提言を行う.

1.審判における「再び対象行為を行うおそれ」の判定について
(1)法務省刑事局の調査によれば,殺人事件を起こし,精神障害のため心神喪失者または心神耗弱者と認められた者の大半に前科・前歴がなく,重大犯罪の前科・前歴を有する者は6.6%にすぎない.過去の経過をもって将来を予測するための材料にすることは難しく,また病状と行為の因果関係が必ずしも一義的に特定できるものではないことから,精神障害のために再び対象行為を行うおそれの有無を判定することは困難と考えられる.仮にごくわずかの可能性をもって再び対象行為を行うおそれがあると判定することになれば,対象者の退院はかなわず,無期限の予防拘禁になりかねない.
 法案による医療が単なる社会防衛ではなく,対象者の社会復帰を目指すものであるとすれば,精神障害のため再び対象行為を行うおそれの判定について,政省令により,対象者の回復の可能性を認めた柔軟な基準を設ける必要がある.
(2)審判において精神保健参与員が意見を述べる場合に,対象者の生活環境,生活歴等の資料を得るため,入院による鑑定に際して,医師だけでなく精神保健福祉士の関与が必要である.

2.指定入院医療機関について
(1)対象者の生活状況を把握し,退院に向けた環境調整を行うため,指定入院医療機関に十分な数の精神保健福祉士を配置する必要がある.
(2)指定入院医療機関における対象者の処遇について,対象者,保護者または付添人に対し,精神保健福祉法第38条の4の規定と,同様の処遇改善請求権を付与すべきである.
(3)対象者は,単に病状の安定と生活の回復だけでなく,精神障害のため自らが行った他害行為に対する贖罪という重い課題を背負っており,医療及び福祉的援助が果たす役割は大きい.入院医療の目的が医療施設内での病状の安定だけでなく,地域社会での安定した生活を目指すものであれば,リハビリテーション機能の充実は極めて重要である.そのための施設設備の整備とともに,作業療法士,臨床心理技術者,精神保健福祉士等の十分な配置が必要である.
(4)指定入院医療機関の実際の配置は地域的に限定され,退院後の生活拠点とは地理的に大きく隔たることが予想される.退院後の指定通院医療機関への通院と,地域社会における生活への円滑な移行のために,指定入院医療機関からの外泊制度または仮退院制度を設ける必要がある.

3.指定通院医療機関について
(1)保護観察所の精神保健監察官と連携し,対象者の医療中断を防止するとともに,対象者が主体的に通院による医療を継続できるよう援助するため,指定通院医療機関に十分な数の精神保健福祉士を配置する必要がある.
(2)対象者が必要なときに適切な医療を受けることができるよう,指定通院医療機関における救急医療体制を整備するとともに,指定通院医療機関を含む医療圏域の精神科救急医療体制の整備を図る必要がある.

4.地域社会における処遇について
(1)地域社会における処遇が単に社会防衛の観点からでなく,真に対象者の自立した生活の実現を目指すものとするため,対象者の生活自立を図るコーディネーターとして,保護観察所に十分な数の精神保健監察官を配置する必要がある.
(2)地域社会における精神障害者の生活自立のために利用可能な資源は極めて乏しく,早急にその充実を図る必要がある.
(3)地域精神保健福祉活動の中心となる保健所,市町村への精神保健福祉士の配置を促進する必要がある.
(4)対象者に対する地域社会の理解を促進し,対象者が必要に応じて地域社会の諸資源を利用しながら生活の自立を実現できるよう,関係機関職員の研修とともに地域社会に対する普及啓発を図る必要がある.

5.その他
(1)全く新しい制度であり,法案をめぐって様々な論議が行われているところであることから,附則において施行から3年後の見直しを規定すべきである.
(2)法案が成立した場合には,新制度の運用をめぐる具体的事項について,広く関係者の意見を集めるとともに,十分な時間をかけて検討すべきである.

「「『心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案』に関する提言(2002年4月21日 日本精神保健福祉士協会)」の訂正について」(第4章脚注22),「F」の訂正)
会長 門屋 充郎 
本誌第118号の9ページに掲載した標記提言に重大な誤りがあったため,第1回全国理事会の決定にしたがい,5月28日付で訂正版を作成し,2002年度定期総会の議案書に同封して,全会員に送付いたしました.ここに重ねてお詫びし,報告いたします.
訂正箇所は次のとおりです.
○ 「2.指定入院医療機関について」の(2)の全文を削除する.
○ 続く(3)を(2)とする.
○ 同じく,(4)の全文を削除する.
 なお,標記法案に対する協会の見解については,6月15,16日に開催される第3回常任理事会で検討した上で,見解(案)として全国理事に送付する予定です.

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G「『心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(案)』についての声明」(2002(平成14)年5月14日)(病院・地域精神医学会[2002:76])

全国精神障害者社会復帰施設協会     全国自治体病院協議会精神病院特別部会
全国精神医療労働組合協議会       全国精神障害者地域生活支援協議会
全国精神保健福祉センター長会      全国精神保健福祉相談員会
全国保健・医療・福祉心理職能協会    国立精神療養所院長協議会
全日本自治団体労働組合衛生医療評議会   地域精神保健・社会福祉協会
日本作業療法士協会           日本精神科看護技術協会
日本精神神経学会            日本児童青年精神医学会
日本集団精神療法学会          日本精神保健福祉士協会
日本総合病院精神医学会         日本病院・地域精神医学会
日木臨床心理学会
わたしたち,精神保健従事者団体懇談会(精従懇)は,1986年9月に発足した,精神医療・保健・福祉に関わる学術団体及び職能団体が一堂に会する,我が国ただ一つの連合体です.
わたしたちは,第154回国会に上程されている標記法案(以下法案)について,その可決成立に反対であることを表明し,抜本的見直しを行うよう要請いたします.

反対であることの理由

1.精神障害者の入院施設や地域社会資源は,他の疾患・障害を持つ人たちのそれと比べて著しく不十分な状態であり,その上,精神障害者は偏見にさらされた生活を強いられています.こうした状況を抜本的に改善し,精神医療・保健・福祉を全面的に充実させることこそが最も優先されるべき課題です.そのことを抜きに,「他害行為」への対応策のみを先行させた法案の成立を急ぐことは,精神障害者への偏見を助長するのみで,真の問題解決にはなり得ません.

2.法案では,「将来の再犯のおそれ」を要件として処遇が決定され,専門施設への入院処遇は再犯のおそれがなくなるまで無期限に延長できることになっています.「再犯のおそれ」を精神医学的に科学的根拠をもって予測することは難しいことです.特に再犯のおそれが「ない」という判断はきわめて困難であることから,この法案のもとでは,対象者が必要以上に長期間収容されることが予想されます.

3.また,再犯のおそれを基準とする司法管理下での強制された「地域医療」は,地域医療・地域ケアの本質を著しく侵害するということを強く指摘しなければなりません.

4.不幸にして違法行為を起こした精神障害者への対応について,重要な問題は次の3点であり,法新設の前にこれらの課題への取り組みがなされるべきです.
1 簡易鑑定など起訴猶予処分に至る過程に関する問題
2 責任無能力あるいは限定責任能力とされ措置入院となった場合の医療の問題
3 留置・拘留・受刑など司法の場における医療のあり方の問題

 以上

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H「『心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案』に関する見解」(2002(平成14)年7月13日)(日本精神保健福祉士協会[2015-])

日本精神保健福祉士協会第38回総会
 日本精神保健福祉士協会は2001年9月17日と同年12月17日に重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇に関する「見解」と「要望」を表明した.その後,標記法案が明らかとなったことから改めて協会として検討を行った.その結果,2002年5月に開催された全国理事会において協会としての態度を審議し,精神保健従事者団体懇談会が表明する反対『声明』に同調することを採決によって決定し,協会としての見解を表明することとした.
協会は法律案が社会防衛を目的とし「再犯の恐れ」を基準とした無期限の予防拘禁を可能とする政府案には反対である.不幸にして重大な犯罪を起こした精神障害者が,刑事責任能力がないとされたときの入通院の正当な根拠は,他害行為の背景にある精神障害に対する医療の必要性以外にはありえず,社会防衛的処遇が必要となれば,それは司法の責任において行われるべきである.これらを明確にした充分なデュープロセスの確保が必要で,慎重な対応が望まれる.
 協会は精神障害者の社会的復権の観点から,精神障害者の医療・保健・福祉における支援に関わり,一貫して精神医療が社会防衛的役割を果たすことは時代に逆行すると主張し続けてきた.特に精神科入院医療は治療行為に加えて,刑事責任能力がないとして措置入院となった者への予防拘禁を含む社会的入院など,一般科医療より劣悪な条件下で過酷な役割を担わされている.医療はいかなる状況にあっても疾病からの回復を支援すべきものであって,社会防衛を目的とすべきものではない.しかし,現実の精神医療は司法の問題を含む社会的処遇の役割なども担わされてきた.このことが精神医療の問題を複雑にし,総体的に医療の質を低下させてきたと考えている.
 協会は,基本的に精神障害者の責任能力を認め,自己決定を尊重することを前提として処遇されるべきと考え,いかなる立場,状況にある精神障害者であっても等しく質の高い医療が保障されるべきであると主張してきた.司法の場における精神障害者に対しても,良質な医療・保健・福祉を受ける権利が保障されるべきであり,当該精神障害者が裁判を受ける権利が保障されること,また,場合によっては刑を受ける義務を負うべきであることを確認するものである.
 日本の精神障害者の社会的処遇を含む精神保健福祉の現状は,国内の監査機関・諸外国からの勧告等からしても国際的に劣悪な状態である.政府が行うべきは,現状の精神保健福祉政策の抜本的改革,社会防衛政策を基本的に廃し,脱施設化による病床削減,精神科特例の廃止と充分なマンパワーの配置,大幅な医療費の確保などによる良質な精神医療体制の歴史的転換が喫緊の課題である.そのうえで,日本と同程度の経済・社会・文化水準にある先進諸国が行っているコミュニティケアを基本とした精神保健福祉施策への大胆な転換を進める必要がある.
 協会は国会における標記法案の審議を速やかに中断し,まずもって日本の精神保健福祉の政策転換を行い,司法と医療の役割分担と連携について改めて検討するべきであることをここに見解として表明する.

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I「『心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律』成立にあたっての見解」(2003(平成15)年8月13日)(日本精神保健福祉士協会[2003b:274])

日本精神保健福祉士協会 会長 高橋 一
 日本精神保健福祉士協会(以下,協会)は,2002年7月13日の第38回総会において標記法案(以下,法案)に関する見解を採択し,法案に対して反対の立場を表明した.
 反対の主な理由は,再犯の恐れを入通院決定の要件とすることにより,無期限の予防拘禁を可能とする危険が高いこと,法案の成立によっても精神科医療が旧来の社会防衛的役割を払拭することにはならないこと,国際的に劣悪な状態にある日本の精神保健福祉の状況を抜本的に改革することが先決であること,であった.
 その後,第155回国会に与党より法案の一部修正案が提出され,対象者の社会復帰を目的とすることが強調されたが,法案そのものの規定が基本的に何ら変わらないことから,協会は先の見解に基づき,同国会衆議院の審議等の場で意見陳述を行い,精神保健福祉士としての立場を明確にしてきた.
 第154回から第156回の3期にわたる審議を経て,本年7月10日に法案は可決成立した.衆参両議院法務委員会での強行採決は,国民の人権に係る重大な法案審議に相応しくない後味の悪いものとなったが,国会という公開の場でこれほど精神障害者施策に関して議論されたことはかつてなく,また厚生労働省を挙げての対策本部を設置しなければならないほどに,その貧困な状況が明らかになったことも事実である.
 法律は成立したが,審議過程で関係諸団体から出された司法や精神科医療に関する疑念や課題については明確な回答や解決策が得られないままの事項が多くあり,協会としては,今後も引き続き諸課題の改善・解決への取組みを求めていかねばならない.
 また,新たに精神保健参与員や社会復帰調整官として精神保健福祉士の関与が規定されているが,我々は精神障害者の人権擁護と社会復帰・社会参加を促進する役割を担う者として,かつて強制医療を基調とした精神衛生法の下で様々な制約を受けながらも,精神障害者とのかかわりを通して彼らの社会的復権に努めてきたように,新しい制度の対象となる人々を社会が受け入れていくための方策を怠ってはならない.
 そのためにも,協会は今後具体的に検討される指定入院医療機関での処遇内容や対象者の地域社会での処遇等について,監視機構や報告義務など考えられる人権擁護システムも検討したうえで,積極的に要望や提言を行なっていく姿勢である.
 同時にこれまで以上に精神障害者への差別と偏見の解消に向けた国民への啓発(情報提供)や正しい知識普及への貢献に努め,病気や障害を理由に誰も排除されることのない真のノーマライゼーション社会の実現のために一層の努力をすることを表明する.

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J「『心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律』に関する現段階での見解」(2004(平成16)年11月26日)(日本精神保健福祉士協会[2004b:12])

社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 高橋 一
国は,現在「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」(以下,医療観察法)の2005年7月までの施行に向けた準備作業を進めている.報道等によると,指定入院医療機関の整備は,独立行政法人国立病院機構の病院や公立病院の指定手続きや建設着工が,地元住民の根強い反対もあり遅れている.当初予定されていた30床規模の専門病棟の全国24か所の設置についても,一部で病床数を縮小する形での病棟設置や既存病棟での改修による設置も許容するなど,法施行の難しさを物語っている.
 一方で,国は本年3月に,医療観察法の鑑定,指定入院医療機関運営,入院処遇,指定通院医療機関運営,通院処遇,地域処遇に係るガイドラインの試案を公表し,その後も関係諸団体の意見も取り入れながら改変した内容について公開し,来年1月のガイドライン策定に向けた作業を進めている.法運用上の根幹となるガイドラインの策定経過を情報公開してきたことに加え,入院処遇及び通院処遇のガイドライン(案)では,処遇の目標・理念の一つに「標準化された臨床データの蓄積に基づく多職種のチームによる医療提供」が掲げられ,精神保健福祉士も対象者の社会復帰調整を主に担う職種として位置づけられていることは,一定の評価が与えられるものである.
 本協会は,2003年7月の医療観察法成立を受けて,同年8月13日に法成立に当たっての見解を表明し,医療観察法の諸課題について引き続き改善・解決への取り組みを求めていくことや,医療観察法の対象となる人々を社会で受け入れていくための方策を怠ってはならないことを確認した.この見解に基づき,本協会の理事を中心とした諸会員は,これまで厚生労働科学研究や司法精神医療等人材養成研修の企画等に参加し,精神障害者の人権擁護と社会復帰・社会参加を促進する観点から意見を述べてきた.
 また,医療観察法に規定された精神保健参与員や社会復帰調整官の中心的な職種が精神保健福祉士であることからも,本協会は法の目的である対象者の社会復帰が形骸化され,社会からの隔離へと目的が変質しないよう,今後もこの法制度に関心と関与を持ち続けなければならない.
 私たち精神保健福祉士は,精神保健福祉に対する認識の低さ等の地域社会における様々な矛盾や地域精神保健福祉システムの貧困といった困難状況の中にあっても,従来から重大な他害行為を行った精神障害者とかかわりを持ち続けてきた.私たちが大切にしてきたその「かかわりの視点」は,新しい法制度の下でも何ら変わるものではないことを確認したうえで,現時点で以下のような課題があり改善への取り組みが必要であると考えている.

1.審判における精神保健参与員の関与
 医療観察法の審判における精神保健参与員の役割は,対象者の社会復帰の見通しや,必要とされる処遇及び環境調整の内容について,専門的な立場から具体的な意見を述べることにある.精神保健参与員は,ソーシャルワーク実践の相当の経験に基づき,対象者の可能性に焦点化した意見陳述が必要となる.
 すでに,司法精神医療等人材養成研修が始まっているが,精神保健参与員が最低限獲得すべき知識や技術の習得に些か不安を抱かせるカリキュラム内容や時間配分となっていることから,来年度以降の研修ではその内容の充実が図られるとともに,研修参加にかかる交通費等の経費についても配慮される必要がある.

2.指定入院医療機関における入院処遇
 入院処遇における精神保健福祉士の役割は,入院当初からの丁寧なかかわりを通して対象者との信頼関係を構築したうえで,対象者の社会復帰の調整を具体的に進めていくことにある.指定入院医療機関では30床規模の病棟で2名の精神保健福祉士の配置が予定されているが,具体的な社会復帰調整には,対象者の意向を踏まえたうえでの退院予定地の社会復帰調整官や指定通院医療機関,利用が想定される社会復帰施設等の関係機関との連絡調整に相当の時間と労力を要することから,より適正な数が配置される必要がある.
 また,入院中の対象者には,第三者性が担保された外部の権利擁護者が定期・不定期に訪問し,直接面接ができるようなシステムを早急に検討する必要がある.なお,指定入院医療機関に配属される精神保健福祉士の業務においては,入院中の対象者の権利に関する情報提供が位置づけられ,権利擁護について精神保健福祉士が十分機能できるよう業務を保障すべきである.

3.指定通院医療機関における通院処遇
 現時点での指定通院医療機関運営ガイドライン(案)によると,基幹型指定通院医療機関の要件として臨床心理技術者,作業療法士,精神保健福祉士の配置が盛り込まれている.しかし,これらのコメディカル職種がすでに配置されている医療機関でも,ほとんどの場合は業務対象が入院患者に集中しており,新たに医療観察法の対象者のケアのために時間を割くことが難しい現状にある.また,医療観察法の対象者のためだけに新たにコメディカル職種を配置することは,医療経済上不可能である.
 このため,厚生労働省・精神保健福祉対策本部が決定した「精神保健医療福祉の改革ビジョン」(2004年9月2日)における精神医療改革策に連動させる形で,アウトリーチ型の外来中心医療への早急な転換を図り,最低でも外来部門に専従の精神保健福祉士を配置できるような診療報酬体系の構築が急がれる.

4.対象者の地域内処遇
1)都道府県及び指定都市の精神保健福祉センターは,精神保健福祉の技術的中核機関であることから,医療観察法の対象者の地域ケアが適切に実施されるよう,地域の関係機関・施設等の職員を対象とした研修を実施する必要がある.
  また,同センターは精神保健福祉に関する複雑困難な相談指導を業務としていることから,医療観察法の対象者も含めた重度精神障害者の地域ケアの推進のために,アウトリーチを基本とした多職種によるケアチームの配置が検討される必要がある.
2)医療観察法の対象者に限らず精神障害者全般の地域ケアが円滑に行われるよう,人的資源の充実が望まれることから,保健所及び市町村への精神保健福祉士の配置や精神障害者社会復帰施設等のサービス提供機関の増員が促進される必要がある.
3)地域内処遇の中心的な役割を担う社会復帰調整官は,対象者の地域生活支援のコーディネートが本務であり,地域ケア関係者の過重な期待は社会復帰調整官の孤立化を招きかねない.このため,地域内の精神保健福祉関係機関の精神保健福祉士等は,社会復帰調整官と積極的な連携を図る必要がある.
 また,社会復帰調整官は一部を除き保護観察所に1人の配置とされているが,制度の充実に向けて早急に複数配置とする必要がある.
4)医療観察法の対象者の地域生活には地域住民の理解が欠かせない.これまで以上に精神障害者に対する差別と偏見の解消に向けた国民への情報提供等が必要である.

 最後に,医療観察法の目的が対象者の社会復帰の促進にあるとすれば,最も重要なことは,対象者の地域生活の維持であり,そのための継続的なケアが保障される地域生活支援システムが生活圏を中心に整備されることである.対象者の地域内処遇は,現行の精神保健福祉サービスの活用を前提としていることから,早急にこれらの地域間格差の解消と飛躍的な充実が図られなければならない.

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K「『心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律』の運用に関する要望について」(2006(平成18)年1月24日)(日本精神保健福祉士協会[2015-])

社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 高橋 一
平素より障害保健福祉施策の推進にご尽力を賜り,厚くお礼申しあげます.
 さて,「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」(以下「医療観察法」という.)が昨年7月に施行され,すでに同法の対象者の審判及び処遇が実施されているところです.また,法施行に当たり,入院処遇ガイドラインをはじめとする各種ガイドラインが示され,それらに則った処遇が実施されていることと存じます.
 しかしながら,当該法が規定する鑑定入院における対象者の処遇のあり方に関して,当協会として若干の危惧を抱いているところです.
 また,すでに通院処遇の決定が下され,当該対象者に対する医療観察法に基づく地域内処遇も始まっておりますが,自治体によってはいまだ十分な連携体制を取れずにいるところも散見されます.
 つきましては,医療観察法の適正な運用のために下記の通り要望いたします.



1.最高裁判所・厚生労働省・法務省の共管による鑑定入院処遇ガイドラインを早急に定めてください.
[理由]
 医療観察法の対象者は原則として地方裁判所の裁判官による鑑定入院命令により,鑑定その他医療的観察を受けることとなります.しかしながら,法施行から現在まで鑑定入院中の具体的な処遇ガイドラインは示されておりません.
 鑑定入院については,入院中の責任の所在が明確になっていないとともに,対象者の処遇に関しても法律上何ら規定がありません.つまり,入院鑑定中の対象者の権利保障および行動制限のあり方等が入院を受ける医療機関の判断に任されている状況にあり,その処遇に恣意性が働きかねないことを強く危惧します.
 このため,鑑定入院中の対象者の処遇については,少なくとも1)精神保健福祉法が規定する入院中の処遇に準拠すること,2)鑑定の客観性と適切な治療を確保するため,鑑定医師と主たる治療担当医師は原則として分けること,3)入院中の行動制限はあくまでも治療上の必要性に照らして行うこと,等を明記したガイドラインを早急に定める必要があると考えます.

2.対象者の地域社会における処遇の円滑な実施のために,以下の事項につき特段の配慮をしてください.
1) 法務省と厚生労働省の連携をより一層深め,継続的かつ定期的な協議の場を持ってください.
2) 各都道府県における地域ネットワークの強化を図ってください. 
[理由]
 通院決定を受けた対象者は,指定通院医療機関における医療を受け,保護観察所による精神保健観察の下で生活をすることとなります.当該対象者の生活については,精神保健福祉法に規定する精神保健福祉サービスの提供により支援していくことが想定されており,当然ながら地域内の関係機関・施設が地域ネットワークを構築していくことが求められています.

 医療観察法の施行に先立ち,「地域社会における処遇のガイドライン」(法務省保総第595号/障精発第0714003号)が通知されておりますが,自治体によっては当該ガイドラインが十分に活用されず,保護観察所と自治体・精神保健福祉主管課等との協議の場さえ持てずにいる所もあると聞いております.
当該ガイドラインに謳われているように,まずは法務省と厚生労働省の連携の強化及び地域社会における処遇の実施体制についての情報の共有の促進を通して,地方厚生局,指定医療機関,保護観察所,都道府県・市町村等の関係機関相互の連携協力が円滑に行われるよう,具体的方策を構ずることが肝要と考えます.

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L「『心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律』における社会復帰調整官の増員について(お願い)」(2008(平成20)年9月5日)(日本精神保健福祉士協会[2015-])

社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 竹中秀彦
平素より精神障害者の保健福祉施策の推進にご尽力を賜り,厚くお礼申しあげます.
 さて,「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」(以下「法」という.)が施行されて3年が経過し,同法の審判結果に基づき,対象者の入院および地域処遇が実施されておりますが,入院指定医療機関の整備予定の遅れから,法対象者の病床が著しく不足している現状にあることを認識しております.
 本年8月1日付で厚生労働省から「心身喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に基づく指定医療機関等に関する省令の一部を改正する省令」が公布されました.法制定当時に,特別な医療の必要性を根拠として整備方針を立てたことに鑑み,新たな入院処遇施設を容認していくことにならないように厚生労働省の本法への医療体制を注視していきたいと考えております.
 しかしながら,法施行より対象者の増加,特に地域処遇の増加に対し,広域で生活環境調整等にあたる社会復帰調整官の負担は多大なるものがあります.地域によっては短期間の人事交替により知識や技術の継承が困難と聞き及んでおります.
 また,対象者数の多寡等を事由として他都道府県県への協力に派遣される事例も少なくないとのことですが,このような対応は必要に応じた人員増によって対処すべきと考えます.
 対象者数の多寡にかかわらず,未だに基盤が脆弱な精神保健福祉における地域関係者や医療機関関係者とのネットワーク形成のための準備は不可欠の取り組みです.また,研修という形で対象者数の多い地域の実情を学ぶことも可能と考えます.広域である都道府県に一人の配置は,休みや相談等もままならず,社会復帰調整官の質の向上や勤務の継続において課題であると考えます.
 つきましては,下記の点につきまして要望をいたしますので,何卒ご高配を賜りたくお願い申しあげます.



1.社会復帰調整官の人員配置について,各地に複数(最低2人以上)の配置が可能となるような積極的な増員計画と予算措置をお願いしたいこと.

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M「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に基づく指定医療機関等に関する省令の一部を改正する省令(案)及び心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に基づく指定医療機関等に関する省令附則第二条第三項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準の一部を改正する告示(案)に関する意見募集(案件番号495080398)について」(2009(平成21)年2月19日)(日本精神保健福祉士協会[2015-])

社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 竹中秀彦
標記の件について,下記のとおり本協会としての意見を述べますのでお取り計らいのほどよろしくお願い申しあげます.



第1 意見の趣旨
 標記意見募集に係る省令等改正案は,心神喪失者等医療観察制度の運用面において,法が目的とする対象者の社会復帰の促進に支障をきたす恐れがあることを懸念いたします.

第2 意見の理由
 標記の省令については,特に指定入院医療機関の病床整備が進んでいないことから,病床が不足し,入院医療が必要と決定された者への適切な処遇の確保に支障を来たしかねない状況となっているため,将来的に病床に不足が生じた場合における「臨時応急的な対応」として,2008年8月1日に改正されたと理解しております.
 前回の改正時に,特定医療施設等に入院決定を受けた対象者を3か月とはいえ入院による医療を行うことができるとした附則第2条第1項の規定については,医療法等に規定された精神病床との比較において圧倒的なマンパワーを配置した「手厚い医療」を前提として策定された入院処遇ガイドライン(以下,ガイドライン)で示されているところの,入院処遇の目標・理念の実現を阻害することが強く懸念されているところです.
 然るに,当該措置をさらに6ヶ月まで延長することができるとする今回の改正案は,ガイドラインで目標としている急性期治療の3ヶ月を超えて,回復期に至ってもマンパワーの不十分な特定医療施設等に治療を委ねることを意味しており,継続的な評価に基づく医療の提供が,質的にも量的にも担保されるとはとても思えません.結果として,当該措置を受けた対象者の社会復帰が進まなくなり,対象者に不利益をもたらす可能性が高いと考えます.
 また,医療観察診療報酬は「指定医療機関が提供する医療は,一般の精神医療とは異なり,公共性及び専門性が極めて高いことに加え,継続的かつ適切な医療を実施するためにも,その設置主体において安定した病院運営が行われるよう定め」られていることから,当該診療報酬が「一般の精神科医療」を提供する特定医療機関等に支払われることに,国民の納得が得られるとは思えません.
 さらに,標記告示案は,特定医療施設等の対象範囲をいたずらに拡大するもので,法が謳うところの理念や精神を形骸化することにほかなりません.

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N「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に関する見解」(2011(平成23)年1月16日)(日本精神保健福祉士協会[2015-])

社団法人日本精神保健福祉士協会
はじめに
 2005年7月に心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(以下,「医療観察法」という)が施行され5年が経過した.医療観察法の附則には第4条として「政府は,この法律の施行後5年を経過した場合において,この法律の規定の施行の状況について国会に報告するとともに,その状況について検討を加え,必要があると認めるときは,その検討の結果に基づいて法制の整備その他の所要の措置を講ずるものとする.」と規定されている.この規定に基づき,先般2010年11月26日に国会報告が閣議決定された.その内容は現状の課題を明らかにするものは何も含まれておらず,極めて不十分なものである.現在,障害者権利条約の批准に向けた国内法の整備が検討されている中,医療観察法についても権利条約に照らした整合性の観点から法制度の見直しが検討されなければならない.

本協会のスタンス
 本協会は,医療観察法の制定及び施行までの過程において,折に触れ見解を表明するとともに関係各省に要望書を提出してきた(※).また,法施行後,多くの精神保健福祉士が医療観察法に関与することとなった.直接的には,社会復帰調整官,精神保健参与員,指定入院医療機関や指定通院医療機関の精神保健福祉士,自治体の精神保健福祉士,そして法対象者の地域ケアを担う障害福祉サービス事業所等の精神保健福祉士としてのかかわりであり,間接的には厚生労働科学研究や人材養成研修の企画検討等への参画や本協会としての医療観察法地域処遇体制整備に係る調査研究事業の取組みなどである.
 2008・2009年度に取り組んだ各調査研究事業においては,以下のような課題抽出や提言を行った.

2008年度障害者保健福祉推進事業「心神喪失者等医療観察法制度における地域処遇のための関係機関連携に係る試行的実践事業 報告書」より
<調査研究において陪席可能なケア会議・CPA会議の参加と関係者へのヒアリングから確認された地域処遇の課題>(※CPA会議:指定入院医療機関における入院対象者のケア会議)
 1)地域処遇への移行に関する医療機関の地域偏在が及ぼす課題
 2)支援連携を可能とする豊かな社会資源の不足
 3)全額公費負担の通院医療費と自己負担となる通院交通費のもたらす課題
 4)地域連携を可能とする人的・経済的保障の不足
 5)地域処遇の終了後のケア継続に関する課題
<医療観察制度における地域処遇推進のための関係機関連携のあり方>
 1)精神保健医療福祉関係者への医療観察法制度の普及啓発
 2)重層的な支援体制の構築を
 3)ハード・ソフト両面の資源整備を
 4)地域処遇から地域精神保健福祉支援体制までの継続したケアマネージャーを
2009年度障害保健福祉推進事業「心神喪失者等医療観察法制度における地域処遇体制基盤構築に関する調査研究事業 報告書」より
<円滑な地域処遇の推進のために(提言)>項目のみ
 1)居住資源の整備課題への対応
 2)強制を伴う通院処遇における通院交通費の負担への対策
 3)生活保護制度の運用に関する対策
 4)継続的かつ医療的緊急対応可能な医療提供体制の整備に関するモデル圏域の設定
 5)司法領域・精神保健福祉領域のマンパワーの整備
 6)移行型バトンタッチではなく,ダブル・マネージャー・システムのような重なりあいや協働へ
 7)医療観察法の処遇のフローに相談支援事業所(市町村)の位置づけを明記する
 強制力をもつ処遇も含んでいる医療観察法にかかわることは,ソーシャルワークを本分とする我々にとって,今も多くのジレンマを伴うものであるが,我々のかかわりはあくまでも現行の法制度の運用において出会う対象者の生活支援の観点に立つものであり,法施行後の要望等や提言などは,その立場で行ってきたものである.
※2002年7月には,第38回総会において法律案が社会防衛を目的とし「再犯の恐れ」を基準とした無期限の予防拘禁を可能とするものであることから,当時の政府案に反対の立場を表明している.その後法成立に際しては,制度に関与しながら,諸課題の改善・解決への取組みを求めていくことを表明してきた.文末にこれまでの見解及び要望等を時系列で示す.

法施行5年経過を迎え
 今回,法施行後5年を迎え,これまでの関与を踏まえて,本協会として現時点における医療観察法に関する評価を提示し,課題解決に向けた具体的な提言を行うことを企図したが,先ずは,改めて法そのものに関する全体的視点からの見解を以下に示すこととした.
 なお,医療観察法が現状として施行されている間は,当然ながら法制度に関与しつつ,法制度における矛盾や課題の把握やそれらの改善に向けた行動も,個々の対象者支援に関する実践や支援において行っていくという姿勢は貫徹するものである.

1)法制定の背景要因の変化に関する検証の必要性
 精神科病院がいわゆる触法精神障害者を措置入院として受け入れていることが病院の開放化の隘路となり,特別な制度のもとでの手厚い医療の提供が必要であるという説明が法制定前にあったことに対し,法施行後5年の現段階において,精神科医療がどのように変わったか細部にわたる検証は欠かせない.

2)精神医療や精神保健福祉全般の水準向上は為されたのか
 医療観察法の附則には,政府による「精神医療等の水準の向上」と「精神保健福祉全般の水準の向上」が謳われている.医療観察法の整備と精神保健医療福祉の向上を車の両輪と位置付けたものであるが,この間の取り組み実績は果たして車の両輪たり得たのであろうか.
 法の対象者の状況をみると,医療観察法の対象となる以前に一般精神医療を利用していた者が半数近くに及んでいる.このことは,現状の精神医療や精神保健福祉全般の水準が精神障害者の生活を十分に支えるまでに至っておらず,再発や悪化を防ぎきらず,結果として対象者にとっても対象行為の被害者にとっても不幸な結果を招くこととなっていることを如実に示すものである.
 2010年の診療報酬改定により,救急・急性期・身体合併症医療の重点的評価は行われたものの,依然として医療法上の精神病床の人員配置基準は変わらず,低い基準に抑えられている.また,精神障害者の障害福祉サービスや地域生活支援事業の利用は増えているが,病院からの地域移行を含めた地域における精神障害者の生活支援体制は量的にも質的にも心もとない状況であることに変わりない.

3)既に破たんを呈した手厚い医療提供体制
 一方,手厚い医療を謳っていた指定入院医療機関のたび重なる基準や規格の変更により,小規模病棟ではコメディカル職種の配置が少なくてもよく,なおかつ一般病棟の一部に医療観察病床を置くことができるとしたこと,指定病床以外の病床を「特定病床」として法対象者の受け入れを可能としたことは,精神保健福祉法上の入院医療と医療観察法による入院医療を切り離して「手厚さ」を提供するとした当初の制度設計がもはや破綻していることを意味している.

4)改めて,障害者権利条約に照らした精神保健医療福祉全体の抜本的変革の推進と実現
 を
 いま急ぐべきは,車の両輪の一方の車輪として位置付けられた精神保健医療福祉の貧困状況を改善し,大胆な改革へのスピードを上げていくことである.
 現在,障がい者制度改革推進会議において,障害者権利条約との整合性に照らした国内関連法の整備・制度改革が議論されている.そのなかで,医療分野における論点の一つとして,精神科医療における強制入院制度の見直しが掲げられており,医療観察法における入院も含めた検討が行われることになっている.このような動向も踏まえて,国はいま一度医療観察法のあり方を検証し,大胆な見直しを検討すべきである.

5)検証のための丁寧な実態報告を
 医療観察法を現時点で評価・検証するには,制度総体としてあまりにもその実態が明らかにされていない点が多い.我々の個別実践の積み重ねはあるものの,対象者の処遇を含めた全国の運用実態を明らかにすることなしには具体的な課題も抽出できない.見直しのあり方を検討するためには実態を明らかにすることが先ず必要である.

おわりに
 本協会としては,見直した結果としての方向性が廃止なのか改正なのかという結論ありきではなく,今後批准しようとしている障害者権利条約に照らした法制度の見直しを図ることと,その検証及び検討のために運用の諸実態を明らかにすることを求めるものである.

以上


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参考:本協会のこれまでの見解や要望等

※2001.9.17「重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇等に関する見解」「補足説明」
※2001.12.13「精神障害者の医療及び福祉の充実強化と触法心神喪失者等の諸具の改革に関する要望書」
※2002.7.13「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案」に関する見解(日本精神保健福祉士協会第38回総会)
※2003.8.13「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」成立にあたっての見解 
※2004.11.26「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」に関する現段階での見解
※2006.1.24「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」の運用に関する要望について 
※2008.9.5「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」における社会復帰調整官の増員について(お願い) 
※2009.2.19<パブリックコメントへの意見提出>心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に基づく指定医療機関等に関する省令の一部を改正する省令(案)及び心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に基づく指定医療機関等に関する省令附則第二条第三項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準の一部を改正する告示(案)に関する意見募集(案件番号495080398)について


*作成:樋澤 吉彦
UP: 20161019 REV:
資料:PSW協会―保安処分への反対決議ほか―  ◇精神科ソーシャルワーカー/臨床心理技術者  ◇精神障害/精神医療  ◇強制医療/保安処分/心神喪失者医療観察法/…  ◇事項
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