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予防接種関連・新聞記事(1990年代)

preventive vaccination




1991/10/03 朝日新聞埼玉朝刊

インフルエンザ接種、「市町村の実情で」 県衛生部長 埼玉 

 県衛生部は2日、副作用が問題となっているインフルエンザ予防接種の接種方式について「個別接種にするかどうかは、実施する市町村の実情に応じた判断に任せる」とし、これまでの集団接種の方向から一歩踏み出す意向を明らかにした。この日の県議会で岡真智子議員(社会)の質問に川口毅衛生部長が答えた。
 現在、県内で個別接種を行っているのは上福岡、北本、浦和、所沢の4市。集団接種に反対しているインフルエンザネットワーク埼玉は「県が集団接種の枠をはずしたことで、全国的な流れに沿って、県内でも個別接種に切り替える自治体が増えるでしょう」と話している。




1992/02/21 毎日新聞東京夕刊

インフルエンザ患者134,602人 「Aソ連型」が猛威、ウイルス制圧最前線

 今年も猛威をふるっているインフルエンザ。学校・学級閉鎖など集団発生の患者数は八日現在十三万四千六百二人(厚生省まとめ)で、今がまさに最盛期だ。かぜの延長のようで、病気としては軽く考えられがちだが、その割には毎年流行するし、根絶の気配すらみえない。「ワクチンが全然効かない」という不満の声も上がっている。インフルエンザって、そんなに難しい病気なのだろうか。

 ◆次の流行を追え◆

 東京・品川の国立予防衛生研究所。流行中のインフルエンザウイルスのデータが全国から報告される。今年はAソ連型が七四・一%、A香港型が二五・九%。「予測が当たった」と根路銘(ねろめ)国昭・ウイルス第三室長は胸をなで下ろす。

 人がかかるインフルエンザのウイルスは大別してAソ連型、A香港型、B型の三種類。どれが流行するか予測するのは同研究所の重要な仕事。予測と違う型が流行すれば、ワクチンはほとんど効かないのだ。

 《ポイント(1) 同じウイルスが二年続いて流行の主役につく可能性は少ない》

 流行予測は前年の流行の分析から始まる。昨冬はA香港型八二%、B型一八%の割合で検出された。

 《ポイント(2) 春に検出されたウイルスはその年の冬に流行しやすい》

 前年分析だけでの予測は危険。少数だが春以降に季節はずれのウイルスが検出される。これを「ウイルスの芽」と呼ぶ。昨年検出されたのはAソ連型二三%、A香港型八%、B型六九%。B型が多いのは冬の流行がまだ続いていたためで「芽」とは言いがたい。

 《ポイント(3) 半年−一年前に中国で流行したウイルスは要注意》

 最近、この仮説が注目されている。九〇年の秋から冬にかけては、Aソ連型三八%、A香港型一八%、B型四四%で、(2)と似た傾向を示した。これらを総合して昨年五月末、「主流はAソ連型。香港型も追従する可能性」という流行予測を出した。ワクチン製造にかかる時間を考えると、十月の予防接種開始に間に合うギリギリの日程だ。

 根路銘さんは「一月末にワクチンを決める米国などに比べると、春のウイルスの動きを見てからワクチンづくりができる分、的中率は数段上」と言う。

 ◆新型ウイルスを探せ◆

 中国・雲南省に日本、米国、中国、WHO(世界保健機関)の「国際インフルエンザウイルス観測チーム」の基地があり、研究者が交代で新型ウイルス発生の見張りをしている。

 A型ウイルスは十数年に一度のペースで「新型」が出てきた。登場した最初の冬は爆発的に流行する。香港型(六八年発見)もソ連型(七七年発見)も、最初の冬は世界的な流行を記録した。新型ウイルスが、かつて二千万人以上の命を奪ったといわれるスペインかぜ(一九一八年)のような凶暴なものだとしたら大変だ。一刻も早く新型ウイルスを発見してワクチンを製造することが最善の予防策になる。

 鳥の世界には人間がかからないA型ウイルスが十一種類もある。鳥から直接人間に感染することはないが、ブタなどの家畜を通じて“混血”の形で入る可能性は十分にある。「アヒルとブタを家畜として大量に飼っている中国の農家が、新型ウイルス発祥の地になる可能性が高い」(根路銘さん)。研究者は週一回農家を訪ねて、アヒルのふんやブタの鼻の粘膜、農民の血液などを集めている。

 ◆いいワクチンを作れ◆

 流行予測も新型ウイルス探しも、よく効くワクチンを造るため。しかし、当のワクチンが最近、国民に信用されず、予防接種率はここ数年で急落。「副作用の心配が指摘されているうえ、予防接種を受けても感染するなど、ワクチンの効果を疑問視する声が広まったため」(厚生省)という。

 なぜワクチンが効かないのか。実はウイルスは、同じ型の中でも毎年微妙な変化を繰り返し、Aソ連型も細かく分ければ数万もの種類がある。「Aソ連型の流行を予測しても、ワクチンにどの種類のウイルスを選ぶかによって、全然効かない恐れもある」と根路銘さんは話す。

 ウイルスの変化のパターンから翌年の変化を予測し、一番近いと思われるウイルスをワクチンに使う。この冬は、「八九年に山形県で検出されたAソ連型」「同年北京で検出されたA香港型」「九〇年にバンコクで検出されたB型」をほぼ四対三対三の割合で使った。均等な割合で使ったようにみえるが、「香港型は昨冬流行したのと種類が違うものが春に出てきたため。B型は効きが悪く、含有量を増やした」とか。

 昨年暮れに横浜市内で検出されたAソ連型ウイルスは、ワクチンに入れた「山形型」と完全に一致。A香港型も、ウイルスの成分は九七%まで同じだった。だが、仮に一〇〇%的中させても、毎年一〇−一五%の人が、予防接種を受けたにもかかわらず感染する。「それがどうしてかの解明はまだ。これが今のワクチンの限界です。でも、接種を受けないよりは症状が軽いので、受けておいた方がいい」と根路銘さん。安心で信頼されるワクチンづくりが最大の課題だ。

 ◇ウイルスとワクチン◇

 インフルエンザウイルスは直径一万分の一ミリほどの球形の粒子。免疫学上A、B、Cの三つの型があるが、人間で問題になるのはAとB。ウイルスには血球凝集素(HA)とノイラミニターゼ(NA)という二種類のトゲがコンペイトウのようについており、トゲの成分(主としてアミノ酸)の違いによって、A型はさらにソ連型、香港型などに分けられる。

 ワクチンは死んだウイルスを精製したもの。体内に入ったトゲの周りを囲いこみ、発病を抑える。このためウイルスとワクチンは、カギとカギ穴のように同じ型でなければ意味がない。A型のようにトゲの成分が絶えず変わると、ワクチンを作るのは至難の業だ。




1992/02/26 毎日新聞大阪夕刊 

インフルエンザ今年も猛威、患者13万人中心は「Aソ連型」

 今年も猛威をふるうインフルエンザ。学校・学級閉鎖など集団発生の患者数は二月八日現在十三万四千六百二人(厚生省調べ)で、今が最盛期。かぜの延長のようで、病気としては軽く考えられがちだが、毎年流行するし、根絶の気配すらみえない。「ワクチンが全然効かない」という不満の声もある。インフルエンザって、そんなに難しい病気なのだろうか。

 流行種の予測困難

 東京・品川の国立予防衛生研究所。流行中のインフルエンザウイルスのデータが全国から報告される。今年はAソ連型が七四・一%、A香港型が二五・九%。「予測が当たった」と根路銘(ねろめ)国昭・ウイルス第三室長。

 人がかかるインフルエンザのウイルスは大別してAソ連型、A香港型、B型の三種類。どれが流行するか予測するのは同研究所の重要な仕事。予測と違う型が流行すれば、ワクチンはほとんど効かないのだ。

 最近、別掲の仮説が注目されている。九〇年の秋から冬にかけては、Aソ連型三八%、A香港型一八%、B型四四%で、(2)と似た傾向を示した。これらを総合して昨年五月末、「主流はAソ連型。香港型も追従する可能性」という流行予測を出した。ワクチン製造にかかる時間を考えると、十月の予防接種開始に間に合うギリギリの日程だ。

 根路銘さんは「一月末にワクチンを決める米国などに比べると、春のウイルスの動きを見てからワクチンづくりができる分、的中率は数段上」と言う。

 ワクチン効かない不満の声も

 しかし、当のワクチンが最近、国民に信用されず、予防接種率はここ数年で急落している。なぜワクチンが効かないのか。ウイルスは、同じ型の中でも毎年微妙な変化を繰り返し、Aソ連型も細かく分ければ数万もの種類がある。「Aソ連型の流行を予測しても、ワクチンにどの種類のウイルスを選ぶかで、全然効かない恐れもある」と根路銘さんは話す。

 ウイルスの変化のパターンから翌年の変化を予測、一番近いと思われるウイルスをワクチンに使う。今冬は、「八九年に山形県で検出されたAソ連型」「同年北京で検出されたA香港型」「九〇年にバンコクで検出されたB型」をほぼ四対三対三の割合で使った。

 昨年暮れに横浜市内で検出されたAソ連型ウイルスは、ワクチンに入れた「山形型」と完全に一致。A香港型も、ウイルスの成分は九七%まで同じだった。だが、一〇〇%的中させても、毎年一〇−一五%の人が、予防接種を受けたにもかかわらず感染する。「それがどうしてかの解明はまだ。これが今のワクチンの限界」と根路銘さん。安心で信頼されるワクチンづくりが最大の課題だ。

新型ウイルス中国で発生?

 中国・雲南省に日本、米国、中国、WHO(世界保健機関)の「国際インフルエンザウイルス観測チーム」の基地があり、研究者が交代で新型ウイルス発生の見張りをしている。

 A型ウイルスは十数年に一度のペースで「新型」が出てきた。登場した最初の冬は爆発的に流行する。新型ウイルスが、かつて二千万人以上の命を奪ったといわれるスペインかぜ(一九一八年)のような凶暴なものだとしたら大変だ。一刻も早く新型ウイルスを発見してワクチンを製造することが最善の予防策になる。

 鳥の世界には人間がかからないA型ウイルスが十一種類もある。鳥から直接人間に感染することはないが、ブタなどの家畜を通じて“混血”の形で入る可能性は十分。「アヒルとブタを家畜として大量に飼っている中国の農家が、新型ウイルス発祥の地になる可能性が高い」(根路銘さん)。

 ポイント(1) 同じウイルスが二年続いて流行の主役につく可能性は少ない

 流行予測は前年の流行の分析から始まる。昨冬はA香港型八二%、B型一八%の割合で検出された。

 ポイント(2) 春に検出されたウイルスはその年の冬に流行しやすい

 前年分析だけでの予測は危険。少数だが春以降に季節はずれのウイルスが検出される。これを「ウイルスの芽」と呼ぶ。昨年検出されたのはAソ連型二三%、A香港型八%、B型六九%。B型が多いのは冬の流行がまだ続いていたためで「芽」とは言いがたい。

 ポイント(3) 半年−一年前に中国で流行したウイルスは要注意

 ウイルスVSワクチン

 インフルエンザウイルスは直径一万分の一ミリほどの球形の粒子。免疫学上A、B、Cの三つの型があるが、人間で問題になるのはAとB。ウイルスには血球凝集素(HA)とノイラミニターゼ(NA)という二種類のトゲがコンペイトウのようについており、トゲの成分(主としてアミノ酸)の違いによって、A型はさらにソ連型、香港型などに分けられる。

 ワクチンとは死んだウイルスを精製したもの。体内に入ったトゲの周りを囲いこみ、発病を抑える。このためウイルスとワクチンは、カギとカギ穴のように同じ型でなければ意味がない。A型のようにトゲの成分が絶えず変わると、相性ピッタリのワクチンを作るのは至難の業だ。




1992/06/29 朝日新聞朝刊

予防接種禍の全面解決を(社説)

 種痘やインフルエンザなどの予防接種がもとで死亡したり、心身に重い障害を負ったりした子どもやその親たちが、国を相手に賠償や補償を求めて起こした訴訟は、東京、大阪、名古屋、福岡の集団訴訟をふくめ全国で十数件にのぼる。
 その集団訴訟の1つ、「東海地方予防接種禍訴訟」で、名古屋高裁が原告団と国の双方に、和解を勧告した。
 一連の訴訟で初めてのことだ。勧告にあたり裁判長は「提訴から十数年、被害から短くても20年たつ。長い裁判は本当の救済にならないと痛感する」と述べ、早期解決の必要性を強調したという。
 まったく同感である。初期の被害児たちはもうみんな成人になった。看病に明け暮れた親たちも老境に近づいている。これに対し、各地の集団訴訟はいずれもまだ控訴審段階だ。最高裁まで争えば、最終的な決着までにあと数年はかかる。時機を失しては、救済の名に値しなくなる。
 和解案は、「法理論上の根拠はともかく国に賠償ないし補償の責任がある」との基本的立場に立ち、国に大局的見地から和解に応じるよう求めた。
 因果関係に争いのあるケースなどは別にして、各地の司法判断はいずれも、国に被害児に対する救済責任があるとする点では一致している。その意味では、国がこれ以上審理を引き延ばして争うことに、実質的な意味を見いだすのは難しい。
 今回の勧告は、その点で時宜を得たものであり、「東海訴訟」に限らず、全国各地の訴訟を全面解決へと導く契機となりうるものである。政府は、これ以上争いを続けることの無益を認め、広い視野に立って全面解決への決断を下すべきである。
 予防接種禍が普通の薬害や医療過誤と違うのは、大部分の接種者には何の被害も起きないのに、必ずといっていいほど、一部の人に、原因がわからないまま、死亡や重い後遺症が発生してしまうことだ。
 事前に発熱があったのに、担当医が十分な問診をしなかったといった事実があれば、国側の過失ということで損害賠償が求められる。しかし、多くの場合、被害を過失や義務違反と結び付けるのは難しいのが現状で、これまでの訴訟でも、被害者たちはその点の立証に四苦八苦してきた。
 しかも、予防接種自体は、その個人にとどまらず、社会全体を伝染病から守るという公益のために行われるものだ。国の公衆衛生政策の一環として実施されるものにほかならないから、それによって起きる被害を国が救済するのは当然だろう。
 各地の裁判所はこれまで、(1)過失を幅広く認定するなど国家賠償の要件をゆるやかに解釈する(2)公共の利益のために受けた被害だから、過失の有無を問わず、国には憲法に基づく補償責任があるという立場をとる、のどちらかの姿勢をとることによって、悲惨な予防接種禍をできるだけ救済する方針を打ち出している。
 しかし、どちらの立場にたっても、実は法理論的には問題や矛盾がある。これまでの判決も細部の理論構成では、それぞれを意識しあって微妙に食い違いがあり、法学界でも様々な論争を生んできた。
 今回の和解勧告が、「法理論上の根拠はともかく」という立場をとったのは、こうした論争を意識した上で、「最優先すべきは、現実の早期救済ではないか」という姿勢を鮮明にしたものであろう。
 理屈はどうあれ、早期に救済すべきだ。勧告の趣旨は、この点に尽きている。関係者はその意をくむべきである。




1992/12/17 朝日新聞朝刊

損失補償が焦点 予防接種禍訴訟、あす控訴審判決

 1952年から74年にかけて種痘、インフルエンザなどの予防接種を受け、死亡したり、副作用で心身障害の後遺症が残った患者とその両親ら計62家族159人が、国を相手取り、損害賠償や損失補償として63億3000万円余りの支払いを求めている予防接種被害東京集団訴訟の控訴審判決が18日午前10時から、東京高裁(宍戸達徳裁判長)で言い渡される。
 第1次提訴以来19年を経ての判決で、東京、大阪、名古屋、福岡の全国4カ所で進められている予防接種被害集団訴訟の中では最初の高裁レベルの判断となる。
 1審の東京地裁は84年5月、原告らの被害を「伝染病の発生、まん延を予防する公共目的を実現するために起きた特別の犠牲」とし、財産を公共目的で収用する際の国家補償について定めた憲法29条3項を類推適用。国の損失補償責任を認め、計26億9600万円余りの支払いを国に命じており、被害救済のうえでこの判断が維持されるかどうかが最大の焦点となっている。




1992/12/27 読売新聞東京朝刊

[ミニ時典]予防接種

 伝染病のウイルスなどをごく弱体化させるなどして、体内に注入、その病気への抵抗力をつけるもの。戦後の衛生政策の一環として、昭和23年に予防接種法が制定された。
 義務づけられたのは痘そう、インフルエンザなど11種類で、当時は社会防衛上必要不可欠なものとされ、罰則規定のある強制接種だった。しかしその後、副反応事例の増加やワクチンの改良で接種の種類や時期などが小刻みに改定され、51年の法改正で、コレラなどの緊急接種を除いて、罰則はなくなった。
 脳障害などの副反応は100万分の1から2000万分の1の確率で必ず起きると言われており、これをできるだけ少なくするために、接種前の問診で子供の健康状態を的確に把握する必要性が指摘されている。
 このため現在では、インフルエンザや三種混合ワクチンが保護者の同意を条件にするなど、集団接種から個別接種への移行が進んでいる。(畑)




1993/01/13 読売新聞東京朝刊

[ミニ時典]インフルエンザ

 ウイルス性のかぜの一種で、「流行性感冒」とも呼ばれる。普通のかぜに比べて、発熱、頭痛、のどの痛みやけん怠感など全身症状が重いのが特徴。また、せきで吐き出されたウイルスで感染するため伝染速度は速く、しかも重症の場合は肺炎を引き起こすことがある。
 届け出伝染病に指定されており、予防接種は親の同意を得た上で、子供の健康状態に合わせて実施されている。
 毎年、10月ごろから流行が始まり、2、3月にピークになる。厚生省では、小中高校など全国の教育機関からの報告で患者の数を集計しており、今冬は昨年12月26日時点で8,888人。前年同期(2,307人)の4倍近くで、最終的に患者が100万人を超えた1989年以来3シーズンぶりに流行の兆しを見せている。
 今冬のウイルスはA香港型とB型で、混合流行のため短期間に両方に感染することもあり、注意が必要だ。(畑)




1993/03/06 朝日新聞朝刊

インフルエンザの予防接種を個別方式に 名古屋市が方針 【名古屋】

 名古屋市の本多英邦衛生局長は五日の市議会本会議で、小中学校で集団実施しているインフルエンザの予防接種を、早い時期に個人で受ける方式に変える方針を明らかにした。江口文雄議員(公明)の質問に答えた。
 同市は政令指定都市のなかで、最も接種率が高い。教師や一部の医師、親たちから「子どもの体調に合わせられる個別方式に変えてほしい」との要望が出されていた。医師会や学校医会などと協議を進めなければならないため、同市の担当者は「早ければ今年秋から個別化できるよう努力する」としている。 




1993/03/24 朝日新聞夕刊

予防接種見直し諮問 義務制緩和を軸に 厚生省

 厚生省は二十四日、公衆衛生審議会伝染病予防部会に「予防接種制度の見直しに関する委員会」を設け、制度を抜本的に見直すよう諮問した。昨年十二月の予防接種集団訴訟の東京高裁判決で、予防接種による副作用の被害者に対して国の過失を認め損害賠償を支払うよう命じる判断が示され、厚生省は上告を断念する際、現行制度の見直しを約束していた。一九四八年の旧予防接種法施行以来、義務接種は伝染病の集団防衛の立場から続けられてきたが、救済制度のあり方を含め、大きな転換期を迎えた。
 委員会では、現行の予防接種法で「受けなければならない」と義務づけられているジフテリアや百日ぜき、ポリオ、はしか、おたふくかぜ、インフルエンザ、日本脳炎、ワイル病などの義務接種のあり方が見直される。集団防衛を建前とした予防接種は、医療水準の向上などで大きな意味を持たなくなってきている。一人ひとりの体調に応じた個別接種が求められ、義務接種を完全に廃止するか、一部任意接種にして接種率を下げないような方策を検討するか、などの議論が中心となる。
 そのうえで、予防接種の効果だけでなく、副作用やどういう状態で接種をしてはいけないかなどの判断材料を保護者や医療機関に情報提供する制度を検討する。集団防衛から個人防衛への方向が示されるとみられる。
 また、七〇年に始まった予防接種による健康被害の救済制度についても、東京高裁で示された賠償額と比べて大きな隔たりがあることから、給付金に介護手当などの項目を増やすなどの検討も進める。




1993/03/24 毎日新聞東京夕刊

予防接種、根本見直し 救済制度拡充目指す−−厚生省が委員会設置

 副作用被害が多発している予防接種の改善策を検討するため厚生省は二十四日、「予防接種制度の見直しに関する委員会」(委員長、山下真臣・全国社会保険協会連合会理事長)を設置した。「集団防衛」の発想から強制的に行われているインフルエンザ予防接種などを根本的に見直し、被害者への救済制度拡充を目指す。今年中に報告書をまとめ、これを基に同省は来年の通常国会に予防接種法改正案を提出する。

 昨年暮れの予防接種被害東京集団訴訟の東京高裁判決で国がほぼ全面敗訴。同省は上告を断念し、対応策を検討するため同委員会設置を決めた。

 委員会は「予防接種のあり方」と「救済制度見直し」の二点について検討。予防接種関係では、医療水準の向上などを踏まえて集団防衛の発想を見直すほか、義務接種制度の改革、予防接種被害の情報収集・提供システム作りについて方向性を示す。

 例えばインフルエンザ予防接種は国の勧奨接種だが、その効果への疑問や接種拒否者に対する罰則がないため接種率は一九・九%(一九九一年)と低く、今回の抜本的な見直し対象となる。一方、救済制度見直しでは、給付額引き上げに加え、国家賠償的な制度に改めるかどうか検討する。




1993/03/29 読売新聞東京夕刊

今冬のインフルエンザ検証 目立った死亡、重症例 病原性強いA香港型が7割

 罹患(りかん)者数八十六万四十三人(三月六日現在)。今冬のインフルエンザはA香港型とB型が共に猛威を振るい、昨シーズンの二十七万人を大きくしのぎ、近年では最も流行した八九年から九〇年の百七万人に迫った。しかも、死亡者や重症例が目立ったのが特色。根路銘(ねろめ)国昭・国立予防衛生研究所呼吸器系ウイルス研究室長らの解説で、今冬のインフルエンザを検証する。(前野一雄記者)
 ◆B型と時間差で流行長期化 昨冬比3倍超の86万人に猛威
 全国的に流行した中、採取されたウイルスは千五百二十五個(二月六日現在)。うちA香港型が一千百六個(七二%)、B型が四百十九個、昨シーズン流行したAソ連型は全く姿を見なかった。病原性が強いA香港型が流行の主流だったことが、脳症や肝障害、肺炎などの重症患者発生につながり、症状が出てわずか八時間後に肝不全で急死した男児もいた。
 「重症化した症例は、ウイルスが免疫機能を障害、その間に増殖し脳や肝、肺などに広がったため」と推測され、増殖するほど熱は高くなり、三十九度以上が八割以上に見られたという。
 流行時期が長期間だったのも今シーズンの特徴。B型がまず、昨年十月初めから十一月中旬まで九州を中心に西日本に現れた。続いて十一月終盤から十二月にA香港型が登場、B型の流行の後を継ぐ形で勢力を拡大。正月明けには全国規模で猛威を振るい、三月まで流行が持続した。
 通常の流行パターンは、十一月初めに最初のウイルスが観測され、急激に流行のピークを迎える。今冬は滑り出しが早く、緩やかに上り詰めていった。
 ウイルスは流行期間が長い場合、途中で突然変異して抗原の構造を変え、威力を持続させる。また、異種のインフルエンザウイルスが同時流行すると、通常は互いに干渉し合って弱体化するが、「出現に時間差があったため中程度の伝播(でんぱ)力のA香港型とB型が、トータルでは猛威を振るった」
 気象条件は「全体的には暖冬で高湿度、大流行の原因とは考えにくい」。年々低下している予防接種との関係では「ワクチンの型はほぼ的中したが、子供の二割が受ける程度の接種率では流行が抑えられない。だが、死亡・重症例は未接種者のようだ」。
 最近の研究で、A型もB型も中国で流行した二、三年後に、わが国に現れることがわかってきた。このため国立予防衛生研究所では九〇年から世界保健機関(WHO)と共同で、中国の六か所に観測点を設置し、アジア地域の流行を監視している。
 「近年の傾向は都市化に伴い、流行が広範囲になっている。インフルエンザは元来、呼吸器系の症状のほか、全身では関節痛などだが、脳症、肝障害などを伴うものへと急激に変わりつつある。陰湿になってきただけに、免疫力が弱い乳幼児や高齢者では侮れない」。今冬の流行は対処法に検討を迫るものだったといえる。
                 ◇
   《際立って重かったケースとその分析》
【ケース1】 
 東京の障害児施設。1月初旬に出た最初の患者を皮切りに、同室から同じ病棟、他の病棟へと感染が広がり、多数の職員も罹患した。罹患者は230人に達し、職員の勤務のやりくりがつかないほど。いずれも症状が強く、成人の収容者と10歳の児童の2人が肺炎で死亡、一時在宅中の小児も肝障害で死亡した。
【ケース2】 
 B型に感染した大阪市の4歳、男児。1月初め、発熱に続いてケイレン発作、下痢、おう吐を起こす。熱は41度にも上がり、救急施設に運ばれたが、血圧、呼吸機能が低下、発病から4日後に死亡。肝障害を起こしていた。
【ケース3】
 大阪市の5歳、男児。1月下旬、A香港型に感染。高熱とケイレンに加えて、出血性ショック、脳症を併発。重い肺出血から呼吸困難と貧血に陥り、肝機能の低下、腎(じん)障害を起こした。しかし、3日後に意識が戻り、回復に向かう。
 【分析】ケース1は、生活を共にする環境下、A香港型と推測されるウイルスが効率よく広がった。同時に、突然変異を少しずつ起こしながら感染力を強めていったと考えられる。
 ケース2は、侵入したウイルスが肺で増殖、出血をもたらすB型の恐れられるパターン。動物実験ではみられるがヒトでは珍しく、対症療法しかないのが現状。その反面、ケース3は脳圧を低下させるなど、対症療法が功を奏したものだ。
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1993/12/05 朝日新聞朝刊

インフルエンザワクチン、義務接種外れる 公衆衛生審部会答申案

 予防接種の見直しを進めている公衆衛生審議会伝染病予防部会(石丸隆治部会長)の答申案の骨格がかたまり、予防接種法でいわゆる義務接種とされてきたインフルエンザワクチンが義務接種から外れ、MMR三種混合ワクチン副作用の主因となったおたふくかぜワクチンも義務接種化が見送られることが確実になった。年内にも大内厚生大臣に答申する。最終的には予防接種法改正が必要だが、ワクチン事情は様変わりしそうだ。
 答申案をまとめている同部会の「予防接種制度の見直しに関する委員会」の意見書によると、いわゆる義務接種とされる定期接種の対象となる病気は、現在のジフテリア、百日ぜき、ポリオ、麻しん、風しん、日本脳炎、インフルエンザ、ワイル病から、インフルエンザ、ワイル病を外し、破傷風を加える。このほかに、結核予防法に基づくBCGが残る。
 インフルエンザワクチンの接種率はすでに児童、生徒など対象者の二割台に落ちており、現状を追認したかっこうだ。
 一九八九年から麻しん、風しんとともにMMRワクチンとして定期接種化をめざしたおたふくかぜワクチンは、副作用の無菌性髄膜炎多発で見送られた。
 ワイル病は風土病で、法律にはあるが予防接種はほとんど行われておらず、この機に除外される。一方、破傷風は死亡率が高く、すでに三種混合ワクチンの一つとして定着しており、定期接種に格上げされる。
 同部会は(1)今後は、医師が診察して行う個別接種を原則にする(2)予診の徹底(3)接種できない条件の見直し(4)被害者救済制度の充実、なども盛り込む方針だ。




1993/12/14 読売新聞東京朝刊

予防接種「義務」外す 厚生相へ答申 来年10月から努力規定に

 予防接種制度のあり方について検討していた厚生省の公衆衛生審議会は十三日、制度見直しの答申をまとめた。〈1〉接種を現行の「義務制」から「勧奨制」にする〈2〉インフルエンザを対象から外す〈3〉副作用被害救済制度の給付水準を引き上げる――などが主な内容。きょう十四日、大内厚相あてに提出され、同省では次期通常国会に関連法規の改正案を提出、来年十月から新制度をスタートさせる。
 同省の制度見直し案によると、これまで社会防衛が主目的だった予防接種を、「個人の健康の保持増進を重視するもの」にし、「接種を受けなければならない」とされていた義務規定を、「受けるよう努めなければならない」との努力規定に変更する。これまでも罰則がないため強制接種ではなかったが、今後は「国民の義務」的要素がなくなり、接種を受けるか否かや時期などが、より個人の選択に任されることになる。
 対象もジフテリア、百日ぜき、ポリオ、麻しん、風しん、日本脳炎、破傷風、結核の八種に限定。インフルエンザは、今後は希望者が費用(一回四千―五千円)を支払っての任意接種となる。
 また、集団接種は可能な限り避け、医師が本人の健康状態などを十分に予診したうえで個別に実施。副作用被害救済は、患者や家族の高齢化による介護問題を考慮して、年金支給額(現行は一人平均年数十万―三百万円)の引き上げを検討する。
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1993/12/20 読売新聞東京朝刊

[社説]予防接種の安全性を高めよう

 健康被害が相次いでいる予防接種のあり方を検討してきた公衆衛生審議会は、接種の理念や方法の全面的な見直しを厚相に答申した。厚生省は次期通常国会に予防接種法などの改正案を提出する。
 答申には、すでに規則などで実施に移されているものもあるが、昭和二十三年に制定された予防接種法は、四十六年ぶりの抜本改正となる。
 予防接種法は戦後の日本で天然痘やポリオの流行を阻止するなど、大きな役割を果たしてきた。しかし、昭和四十年代には種痘、インフルエンザ・ワクチンなどによる健康被害が相次ぎ、各地で司法救済を求める集団訴訟が起きた。
 昭和五十一年に健康被害の救済制度が法制化され、昨年度末までの対象者は千四百七十一人、死者は五十六人にのぼる。
 東京高裁は昨年十二月、東京集団訴訟の控訴審判決で国の過失を認め、百五十六人に総額二十三億円の損害賠償の支払いを命じた。国は上告を断念し、予防接種の見直しを審議会に諮問していた。
 答申は、予防接種の理念を社会防衛的な側面だけでなく、個人の疾病予防の側面を重視すべきだとしている。公共の福祉は無論、重要だが、それは個人の健康のうえに成り立つとの考え方だ。
 また現行法は国民に接種を義務づけているが、これも努力規定に改められる。個人の意思が尊重される一方、国の責任があいまいになれば接種率が下がる心配もある。このため答申は「国の関与と責任の下に実施する」ことを求めている。
 現行の救済制度は、障害年金が月額十二万一千円―二十四万七千円だが、答申は医療手当や死亡一時金も含めて、給付水準を改善すべきだとしている。
 公共の福祉を推進する過程で起きた被害者であり、彼らの両親も高齢化し、介護負担も増している。公共の責任で手厚い救済措置を取るのは当然だ。
 予防接種の対象疾病も現行の十一種(BCGを含む)のうち、流行を阻止する効果が疑問視されるインフルエンザ、最近はほとんど実施されていない痘そう、コレラ、ワイル病をはずし、新たに破傷風を加えて八種とすることにしている。
 対象疾病の変更は余りにも遅い。今後は流行に応じて迅速に対応できるよう、制度を改める必要がある。
 さらに答申は一部の学校などで行っている集団接種を改め、かかりつけの医師を通じて行う個別接種を基本とすべきだとしている。その際、予診を徹底することは無論だが、国は接種できるかどうかの基準を医師に示す必要がある。
 予防接種の方法は変わっても、その重要性に変わりはない。国民に接種の必要を啓発すると同時に、副作用や注意事項の情報を正しく伝えることが重要だ。
 つい最近も、はしか、おたふく風邪、風しんの新三種混合(MMR)ワクチンの副作用被害が相次ぎ、接種が中止されたばかりだ。何にも増して、安全なワクチンの開発が望まれる。




1994/03/17  朝日新聞朝刊

予防接種法の改正に望む 毛利子来(論壇)

 政府は、今国会に、予防接種法の改正案を提出する。東京、福岡、大阪での予防接種訴訟判決で、責任を厳しく追及された結果を受けてのことである。
 とすれば、実際に予防接種を行っている小児科医として、また母親や被害者たちと「予防接種を受ける側のものに」と運動を続けている者として、簡単に見過ごすわけにはいかない。
 幸いに、目下法制化の作業中と聞くので、急ぎそうした立場からの率直な要望を述べさせていただくことにする。
 第一に理念について。厚生省担当課の説明によると、従来の「疾病の蔓延(まんえん)から社会を守るという社会防衛的側面の強調」から「社会防衛とともに個人の健康を守るという側面も強調」する方向へとシフトするという。
 これは一歩前進と評価するものの、うさんくささをも覚えざるをえない。
 そもそも現行法は社会防衛そのものを目的としていたのではなかったか?
 だからこそ被害者を「やむをえぬ犠牲者」として、まともな責任を取らずにきたのではなかったか?
 また「個人防衛」を取り入れるといっても、「社会防衛」に力点が置かれていることには変わりがない。それは法改正のもととなった公衆衛生審議会の答申が「個人に対する疾病予防を基本とし、その積み上げの結果として社会の疾病予防を図る」と述べていることにも反する。
 第二に「義務づけの緩和」というのが曲者である。担当課の説明によれば、現行法で「受けなければならない」とあるのを「受けるよう努めなければならない」に変えるという。
 これも一歩前進と評価したいところだが、受ける側に立つとそうはいかない。なにしろ「努めなければならない」とされれば、受けない者は「ズボラだ」とか「それでも親か」とか、非難されるのは目に見えている。
 しかも、この点も、審議会の答申が「個人の意思を反映できる制度となるよう」求めていることに反するのではないか? 少なくとも、答申は「勧奨」つまり「おすすめ」を求めているのであって、そのためにこそ十分な広報を提言しているのだ。
 もっとも、まったく強制力を排除すると被害の救済が公的に不可能になるという問題はあろう。しかし、レッキとした法律に基づき、対象とする疾病の範囲も定め、市町村長が主体者として接種を行う以上、公的責任を取るのは当然。社会防衛のために「高い接種率の維持を図る」というのならば、なおさら公的責任が伴うはずである。
 したがって、ここは、あくまで個人の意思を尊重するとの答申の趣旨を生かして「受けることができる」といった条文にすべきであるし、同時にその裏付けとして、「市町村長は、十分に情報を提供したうえで、希望する者に接種を行わなければならない」といった条文も設ける必要があると考える。
 なお、情報の提供については「啓発普及」と表現されているのが気にかかる。言葉自体に国民を見下すような感じがあるし、これまでの啓発された体験からはにわかには信じられない。今後は、ぜひとも包み隠しのない情報を提供してもらいたいものである。国民はそれほど無知ではない。納得しさえすれば受けるべきものは受ける。納得できなければインフルエンザの例のように、いくら強制しても接種率は下がるばかりだ。
 第三に接種方式について「個別接種を基本とする」というのは歓迎できる。しかし、これにも不信を感じざるをえない。地域の事情によっては集団接種も妨げないとされているからである。だが、少なくも学校、幼稚園、保育所での接種はやめなければ、強制力を排除することはできない。どうしても集団接種が必要な場合は、母子保健センターなどで行うべきである。
 第四に被害救済に関しては、「認定」に漏れがない仕組みを作ることが望まれる。まず、接種に当たってはがき一枚つけ、遠慮なく申告できるようにすればよい。そして認定に当たっては、当然のことながら、各地の裁判で採用された「白木四原則」を基準にする。それだけでかなり漏れはなくなるはずだ。
 「介護」と「施設」を制度化するのは歓迎だが、なによりも被害者に聞いて、実態に沿ったものにすることが大切である。
 最後に、これからは、むやみと新しい予防接種を導入しないようにしてほしいと思う。あのMMR三種混合ワクチンの悲惨を繰り返さないために。
 (もうり・たねき 小児科医、ワクチントーク全国代表=投稿、東京都)




1994/09/03 朝日新聞岡山朝刊

予防接種法の改正(人つれづれ)/岡山

 市場尚文さん 医師
 
 今年十月から予防接種法が約五十年ぶりに改正されます。改正の要点は、この間の伝染病の発生状況、医学医術の進歩、予防接種に関する国民の意識の変化などを踏まえ、現状に沿った予防接種の選択、予防接種による健康被害について救済措置の充実を図ることにあります。これに伴い、実施方法も、集団接種に代わって個別接種を推進するように指導されています。
 今度の改正で、インフルエンザワクチンはついに廃止されることになりました。私たちがインフルエンザネットワークを結成して、このワクチンが必要性、有効性、安全性に問題があることを指摘して、集団接種を廃止する運動を本格的に進めてから、実に七年後の決断になりました。
 当初、このワクチンの有効性を主張して譲らなかった厚生省も、保護者の側からのボイコット運動、これによる接種率の低下を無視できず、三年前から方針を転換して、個別接種に移行するように指導してきました。この指導に連動して、岡山市、津山市を筆頭として昨年度までに県内三十三市町村では、集団接種を廃止しました。これらの市町村では、接種率はゼロに近い状態です。しかし、残る四十五市町村は、厚生省の指導に従わず、私たちの度重なる要請も無視して、種々の理由で集団接種を頑固に継続してきました。賢明な県民の多くがインフルエンザワクチンをボイコットしたため、この地域でも接種率は二〇%以下で、幸いなことに重大な事故は起こっていませんが、さまざまな指摘・批判を受けているにもかかわらず、漫然と集団接種を継続した責任は、今こそ厳しく反省する必要があると思います。
 また、過去大流行して多数の人命を奪ったスペイン風邪、アジア風邪などを持ち出して、誤った知識で保護者を恐れさせ、インフルエンザワクチンの有効性を強調してきた一部の医療関係者も、この際反省する必要があると思います。
 さて、麻疹(はしか)、百日ぜきなど、場合によっては生命にかかわるような重大な病気が予防接種により、発症を予防できるようになったことは、医学の素晴らしい進歩のたまものです。しかし、今日行われてきた予防接種がすべて必要であるのか、有効であるのかという点については、インフルエンザワクチンの例で明らかなように十分吟味する必要があると思われます。インフルエンザに関しても、保護者に対する説明を十分することによって、保護者はインフルエンザワクチンボイコットの選択をすることが出来ました。
 紙面の都合で、詳しく問題点を指摘できませんが、日本脳炎ワクチンもまた、インフルエンザワクチンと同様の問題を内包しています。今後継続される予防接種に関しては、保護者に十分な説明をした上で、受けたい人だけが受けるという体制にする必要があると思います。医療の場で強調されているインフォームド・コンセント(説明と同意)は、予防接種にも適応されなければならないと思います。
        *       *       *
 いちば・なおふみ 岡山市生まれ。岡山大医学部卒。87年に県内の医師らと「インフルエンザネットワーク」を結成。その後「こども・からだネットワーク」になり世話人に。47歳。岡山市湊。




1994/09/20 毎日新聞東京朝刊

予防接種、義務でなくなると… 来年4月から法律の改正で

 ◇「保護者の納得」前提 疑問点は医師に質問

 予防接種法などの改正により、来年四月から予防接種の仕組みが変わる。予防接種が義務でなくなる、インフルエンザが対象疾病からはずされる−−などが大きく変わる点だ。義務制でなくなったのは、任意による個人接種への流れとも言える。しかし、義務でなくても、受けるとなれば、気になることはたくさんある。

 「『今日受ける予防接種について市町村から配られている説明書を読みましたか』−『はい、いいえ』」

 十月から予防接種を受ける際に提出する予診票の質問項目の最初にこの記述が入る。回答が「はい」でない限り、接種はされない。

 予防接種を受けることが義務でなくなり、個人(保護者)が納得したうえで受けるためには、予防接種やワクチンについての理解が不可欠とされるためだ。

 市町村から配られる説明書のもとになるのが、厚生省作成の「予防接種と子どもの健康」。予防接種の考え方、対象疾病、接種の受け方、ワクチンの副作用によって起こる可能性のある症状(副反応)とその頻度などがB5判二十ページ余りにわたり書かれている。

 読んでなければ、予防接種を受けに行った先で読むか、もう一度出直すことになる。読んで疑問に思うところがあったらどうするのか。同省は、「納得できるまで医師に質問してほしい」という。質問と説明はあって当たり前との考え。よく知ったかかりつけ医での接種を同省が勧めるのもこのためだ。

 市民団体「子どものためのワクチントーク全国」の青野典子さんは、これまでの電話相談などから、「質問をしたが、そんなことを聞くのはあなただけ」と言われた例をたくさん聞いている。もちろん懇切に説明する医師もいる。

 どんな説明がされるのか、質問をためらっていては分からない。青野さんは「接種を受けにいく前に友人と共通の疑問点を見つけておき、一緒に質問すれば聞きやすいのではないか。そして、とことん聞いて納得できたら受ける。予防接種に限らず、医師と市民のいい関係づくりにつながる」と話す。

 しかし、受ける側が最も気になる副作用については、因果関係の認定手続きなどは従来と変わらず、証明の大部分を被害者側が負う実態は変わらない。厚生省のパンフレットの説明では、副反応は「まれ」だが、可能性はあるとしている。青野さんらは「『まれ』か『可能性』を気にするかは親によるでしょう。事前に説明があったとしても、予防接種はまだまだ打ちっぱなしになっている。接種を受けたあとどうなるのか。厚生省が今もフォローしようとしないことが気になる。義務でなくなっても、予防接種のメリット、デメリットを明確にせず、接種率の低下だけを心配しているところがある」と話している。




1994/10/01 毎日新聞東京朝刊

予防接種、迷ったら「電話相談」へ−−新制度の「努力義務」

 予防接種法などの改正による新たな予防接種制度が一日から実施される。風しんや日本脳炎などこれまで法律で義務付けられていた接種が「努力義務」扱いとなり、受けるかどうかが選択できるようになる。保護者が判断に迷うことが予想され、厚生省は三日から「予防接種ホットライン」を開設して電話相談を受け付ける。

 「受けるように努めなければならない」とする努力義務になるのはジフテリア、百日ぜき、ポリオ、麻しん、風しん、日本脳炎、破傷風、結核予防のためのBCG。インフルエンザは同法の対象からはずれ、おたふくかぜ、B型肝炎などと同じ任意接種となる。

 ホットラインは横浜市の検疫衛生協会内に設置(045・671・1858)。月−金の午前九時半−正午と午後一時−四時に受け付ける




1994/10/12 朝日新聞栃木朝刊

風邪にご用心 予防接種法改正で集団やめ任意に /栃木

 インフルエンザの集団予防接種が県内の学校や幼稚園から姿を消す。予防接種法の改正により、十月からインフルエンザのワクチンが法の対象外となったからだ。県内ではこれまで毎年、幼稚園児から高校生までを対象に集団接種が続けられてきたが、今後は個人が流行の情報を入手し、独自に病院で行うことになる。ここ数年、毎年のようにインフルエンザによる学級閉鎖が出ており、県健康対策課では「受験生を抱えた家庭などは特に注意を」と呼び掛けている。
  
 インフルエンザの接種については、国の公衆衛生審議会が昨年、「流行するウイルスの型がとらえ難く、ワクチンの構成成分の決定が困難」という理由で、対象から除外することを厚生大臣に答申した。数種類の型があるインフルエンザの場合、予測をたてて予防接種をしても、実際には別の種類が流行し、予防接種を行う意味がないケースも少なくないという。
 県内ではこれまで、厚生省の予測データをもとに県が接種する種類を決定、市町村が実施するという形がとられてきた。法改正に伴い、今後、行政は予防接種に一切かかわらず、個人が個別に医者に相談することなる。
 宇都宮市医師会(宝住与一会長)は「有効性に問題があるから任意接種になったわけで、どの程度の医療機関がワクチンを常備するのかは現段階では全くわからない。希望者がそれほど多いとは考えられず、問題はないと思う。医師会としてどういう対応をするのかは、今後の様子をみて検討する」と話している。
 県教委保健体育課のまとめによると、一九八九年度にA香港型のインフルエンザが流行し、四十七の小中学校で二百二十四学級が閉鎖。九〇年度には三十学級、昨年度は一学級がそれぞれ閉鎖となった。
 県健康対策課は、すでに各市町村に対し予防接種法改正の広報を依頼。宇都宮市では近々、各学校長あてに通知を出すという。同課は「予防接種の有効期間は三カ月。副作用の心配はほとんどないが、受ける前の健康状態やアレルギー反応などには十分注意が必要」と話している。




1994/11/23 毎日新聞愛知

市長に公開質問書 インフルエンザ集団予防接種の中止問題−−県内の教員ら /愛知
 地方版/愛知

 名古屋市内の小中学校でインフルエンザの集団予防接種が中止されたことに対し、県内の教員などでつくる「愛知学校労働者合同連絡会」は二十二日、市衛生局などを訪れ、行政の対応などを尋ねる市長あての公開質問書を提出した。

 予防接種の中止は、予防接種法の一部改正でインフルエンザが対象疾患から除外されたことに伴う措置。同連絡会は先月、同市に「中止の理由や法改正の内容を、子供、保護者が納得できるよう、文書で説明すべき」と申し入れていたが、市側は「周知に関しては、広報紙などで行っている」と、今月十日付で回答した。

 この日提出した質問書では、「学校が保護者などから中止の理由を尋ねられたら、だれがどのように答えるのか」「インフルエンザ以外の予防接種を学校で実施する場合、その方法はどうなるのか」など四項目について説明を求めている。

 メンバーの一人は「中止の事実が学校現場によく伝わっておらず、混乱がある。今まで盛んに接種を勧めてきたのだから、行政はもっとしっかりと対応すべきだ」と話している。




1995/01/28 読売新聞東京朝刊

インフルエンザ猛威 小中生・園児、1週間で15万人増

 インフルエンザ患者が急増し、十五日から二十一日の一週間だけで、全国の保育所、幼稚園、小・中学校で新たに確認された患者は十五万人を超えたことが二十七日、厚生省のまとめでわかった。爆発的な増加は来月まで続くとみられ、八九、九二年冬と二年おきに大流行していた「三年周期」は崩れ、シーズンの患者総数は八十七万二千人にのぼった九二年冬を上回る勢いだ。阪神大震災に遭った兵庫県の患者数も七千人を超えたため、厚生省は避難生活を続ける六十五歳以上を対象に、予防接種を行う特別医療チームを編成、来週早々にも現地に派遣する方針だ。
 厚生省の集計によると、全国の園児、小・中学生のうち、昨年十月末から今月二十一日までに確認されたインフルエンザの疑いがある患者の累計は十七万二千四百五十七人。とくに、十五―二十一日の一週間の新たな患者は十五万五百五十人に達した。
 このため、福岡(七十校)、高知(四十一校)など延べ三百六十四校が休校となったのをはじめ、学年閉鎖、学級閉鎖はそれぞれ九百三十二校、二千二百七十八校にのぼっている。
 累計患者数は、流行のなかった九三年の百七十倍(昨年同期千九人)にのぼるほか、大流行した九二年の同時期(十万九百三十六人)と比べても、一・七倍。地域的には、関西地方での流行が目立っている。
 国立予防衛生研究所によると、今年のインフルエンザの特徴は、A香港型を中心に、Aソ連、B型の三種類のウイルスがいずれも流行していること。三種類が確認されることがあっても、そろって流行するのは珍しいといい、八九―九〇年冬以来、患者総数が百万人を超える恐れも出てきた。
 症状は鼻水、せきに続き、三十九度前後の高熱を出し、関節痛や筋肉痛が起こる。
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1995/07/27 読売新聞東京朝刊

ゼラチンショック 予防接種のワクチンに含有 「使用上の注意」改定/厚生省

 予防接種で使われる麻しんなどのワクチン類の薬に含まれているゼラチンが、ショック症状やじんましんなどを引き起こす可能性が高いことがわかり、厚生省は二十六日、「医薬品副作用情報」の使用上の注意を改定し、医療関係者に慎重に投与するように注意を呼びかけた。
 副作用が心配されるのは、薬の成分が熱で分解しないようにゼラチンが含まれる予防接種ワクチンなど。国内で昨年五―六月に、ゼラチンが含まれる麻しんのワクチンを投与された一―三歳の幼児に、この症状が出たことが確認された。
 その後、米国でも麻しんやMMR(麻しん、風しん、おたふくかぜ混合)ワクチンで、同様の症状が出るとの報告があり、同省では使用上の注意の改定に踏み切った。
 現在までに副作用症例が報告されているのは、麻しんとMMRワクチンだけだが、ゼラチンはこのほかにもインフルエンザ、ジフテリア、日本脳炎などのワクチンなどにも用いられている。
 このため同省では該当するワクチンを使用する際には、投与後の経過観察を注意することなどを強調。さらにゼラチンが含まれる食品に過敏症の既往歴のある患者への投与を慎重にするよう求めている。




1995/11/12 朝日新聞朝刊

個人接種時代 インフルエンザワクチンとどう付き合う

 インフルエンザワクチンは、「効かない、副作用がある」と不評を買った末、昨年、集団接種が中止となった。「学校の集団接種で社会全体の流行の抑制」という試みは挫折したが、その後は一気に「ワクチンのない国」になったかのような激減ぶりだ。一方、米国などは、国が老人への接種を進めるなど、個人が感染から身を守るために使用を増やしている。日本でも、体の弱い老人や病人にこそ使うべきだとの声も強い。個人接種時代の新しい付き合い方を探ってみた。
  
 国立予防衛生研究所の根路銘国昭・呼吸器系ウイルス室長は「今のインフルエンザワクチンは、かなり効きますよ」と話す。
 「効くワクチン」を作るカギは、流行するウイルスのタイプを予測することだ。日本で流行する型は、半年から一年前に必ず中国で流行する。これを八〇年代末から中国南部で定点観測している。また、従来は、三月まで国内でウイルス調査をして、それをワクチンに反映させていたが、昨年は五月、今年は六月まで延ばして最新のウイルス情報をとるようにした。効きが悪いB型のワクチンも抗原量を増やし、改善した。
 皮肉なことに、使う人が激減した後に、こうした「自信作」が登場した。昨年五月、予防接種法が改正され、幼稚園や小中学生を対象にした集団接種が中止となり、個人接種に変わった。
 ワクチン製造所の一つ、千葉県血清研究所の丸山典彦・主任研究員によれば「小中学生の六割が接種していた十年ほど前は、全国で二万リットル(二千万人分)のインフルエンザワクチンを製造していたが、昨冬の生産は四百八十リットル(四十八万人分)、今年の予定も四百九十リットル」と、完全なワクチン離れが起きている。
 ところが、米国では近年、六十五歳以上を対象にした無料接種を進め、昨年には、対象人口の六〇%に実施した。免疫力が落ち、高熱や肺炎が危険になる慢性病の患者にも勧めようとしている。フランスでも老人の接種率が高まっている。
 なぜこうも違うのか。日本鋼管病院(川崎市)の菅谷憲夫・小児科長は「欧米では『老人の命の最後のともしびを消す病気』と恐れられ、一方、日本では、学級閉鎖をもたらす程度の子どもの病気との印象が強い」と説明する。
 菅谷さんは九三年初め、東京都にある重度の心身障害者施設でインフルエンザ症状になった人を調べた。このシーズンに、約二百三十人の入所者のうち四人がインフルエンザから肺炎などを併発して死亡した。一方、ほぼ同数いる職員も、かなり感染したが、死者はなかった。
 こうしたことから菅谷さんは老人、心臓や肺、腎臓の病気をもつ人、ぜんそく患者、糖尿病の人、がんの手術をした人など、いわゆるハイリスクの人のほか、老人と同居する子どもや受験生、老人施設の職員らも、自分と周囲の人を守るために接種を考えたほうがいい、という。
 老人への接種を勧める病院はまれだが、東京都世田谷区の開業医、原勝さんは、二年前から、通院の患者約五十人の老人に接種している。「鼻とのどに噴霧する形で行っている。インフルエンザにかかりにくいし、かかっても非常に軽い」という。
 ただ、問題もある。効き目は七割程度とされ、はしかなど他のワクチンに比べ低い。保険が利かないので、二回の接種で五千円程度かかる。
 副作用にも注意が必要だ。厚生省によると、ワクチン接種による健康被害は認定された数だけで計百八十六人。副作用は、患部のはれ程度から、まれだが重いショックを起こすこともある。とくにワクチンはニワトリの受精卵で培養するので、卵アレルギーのある人はできない。やはり、個人個人が医師と相談して決めるしかない。
  
 ●インフルエンザのタイプ 主なタイプとしてはA香港型、Aソ連型、B型がある。変異が激しく、それぞれ細かい種類に分かれる。今冬の流行は「中規模で、A香港型が主、少し遅れてB型も」と予測。全く新しい型が現れる可能性もあり、そうなるとワクチンも作り直しになる。




1995/12/08 読売新聞東京朝刊

インフルエンザの流行ウイルス 今冬は中規模の混合型 ほぼ100%予測可能

 ◆中国で早期情報取得 夏場にウイルス観測
 インフルエンザの流行が、最近はかなり正確に予測できるようになった。大流行した昨冬に比べ、今シーズンは中規模ですみそうだ。ただ、油断は禁物。新型が登場して流行する可能性があるほか、高齢者や持病のある人がインフルエンザに感染して合併症で亡くなるケースもあるからだ。
 インフルエンザ・ウイルスは、A香港型、Aソ連型、B型が主なタイプ。一九六八年にA香港型が初めて登場して大流行、その後七七年にAソ連型が大流行した。これまでは、この三つのタイプのいずれかが、年ごとに流行したが、八〇年代後半からそのパターンが崩れてきた。
 国立予防衛生研究所・呼吸器系ウイルス室長の根(ね)路(ろ)銘(め)国昭さんは、一つのタイプが単独でそのシーズンの流行を支配することがなくなり、複数のタイプによる「混合流行」の時代に入った、という。
 今冬の流行予測も混合型で、「シーズン前半の一月初めまでがAソ連型、中盤からA香港型が流行し、後半にB型に移っていく」と根路銘さん。流行の規模は学童の患者数で五十万人程度の中規模になると見ている。
 近年、こうした予測が的中するようになった。その理由は、日本やヨーロッパなどより流行が一年早い中国に観測基地を設け、ウイルス情報が手にはいるようになったことや、中国で捕まえたウイルスの遺伝情報を解読、進化の方向をチェックできるようになったことによる。
 さらに、非流行期の夏場に全国五百病院でウイルスを観測、分離しているため、夏に見つかったウイルスはその年の冬にはやる傾向が分かってきた。こうした日本と中国での調査結果から、「ほぼ百パーセント流行ウイルスが予測できる」と根路銘さんは強調する。
 これらの調査結果から今冬は新型のウイルスが登場する可能性もあるという。新型ウイルスの発祥地とされる中国南部で、人間の世界ではまだ流行していないウイルスが十一種類見つかり、これらの新種が日本に伝わってくる恐れが十分にあるためだ。新型が登場すると、免疫がないため患者数は五倍から十倍に増えるという。
 川崎市にある日本鋼管病院小児科長の菅谷憲夫さんは「流行情報に十分注意して、はやっている時には栄養や休養をしっかり取ってほしい」と話す。わが国では学級閉鎖のイメージが強いために、インフルエンザは「子供の風邪」程度の認識しかないが、高齢者の命取りになりかねない重い病気でもあるからだ。
 アメリカではインフルエンザに感染して肺炎を併発したり、持病の心臓病が悪化したりして毎年二万―四万人が死亡しているというデータもあり、昨年は六十五歳以上の高齢者の約六〇%に無料でワクチン接種を行っている。フランスでも同様に高齢者への接種が広く行われている。
 わが国では、昨年予防接種法が改正され、学校での集団接種が廃止されて、個人の任意接種に変わった。
 菅谷さんは外国の動向を踏まえ、「大人も子供も心臓病や慢性気管支炎やぜん息などの持病のある人、がんの手術をした人、免疫力の落ちた高齢者などはワクチン接種も考えた方がいい」と話す。




1996/03/30 朝日新聞朝刊

副反応の報告443件 予防接種で厚生省が初の全国調査

 厚生省は二十九日、予防接種による副反応をめぐる初の全国調査の結果を発表した。一昨年十月から昨年九月までの一年間、風しん、日本脳炎など七種類について報告をまとめた結果、接種後に腕が赤くはれる程度のものも含め計四百四十三件の報告があった。
 内訳は、混合ワクチンのDPT・DTが百四十四件で三九度以上の発熱が二十九件あった。発熱はゼロ歳から二歳までが約七二%を占めた。二歳男児の死亡例があったが、インフルエンザが疑われ、副反応と死亡との関係はわかっていない。
 ポリオは十件で、生後三カ月の乳児が接種後に乳児突然死症候群の症状を起こして死亡した例があったが、接種との関係は不明だという。このほか、麻しん七十九件、風しん百三十七件、日本脳炎五十五件、BCG十八件だった。


UP:20071114
薬/薬害
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