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予防接種・伝染病関連

preventive vaccination
[English]



■HP等

◆子どものためのワクチントーク全国
 http://www.zen.or.jp/~v-talk/
 (「予防接種による事故を少しでも減らして行きたいという願いのもとに…」)
→ワクチントーク全国(改称&URL変更)
 http://www.ne.jp/asahi/kr/hr/vtalk/
◆子ども研究会
 http://www.cyber66.or.jp/WM/ko/index.html
 (毛利子来=「ワクチントーク・全国」代表,他,)
◆予防接種後副反応集計報告
 http://www.ncc.go.jp/mhw/mhwinfo/0sj/9603/96032953.txt
◆山梨医療情報ネットワーク−予防接種情報
 http://www.y-min.or.jp/vaccine.html
◆予防接種ガイドライン
 http://www.y-min.or.jp/vaccine/
 日本小児科連絡協議会予防接種専門委員会作成・厚生省保健医療局エイズ結核感染症課」監修『予防接種ガイドライン』,(財)予防接種リサーチセンター発行を牧丘町立病院内科の村田さんがHTML化)
 予防接種の意義
 法律による予防接種
 任意の予防接種
 予防接種の実施
 ワクチンの特徴及び接種上の注意点
 予防接種の接種間隔
 接種不適当者及び接種要注意者
 副反応(健康被害)と対策
 参考1 疾病の概要と予防接種の効果

◆海外渡航者の為の医療情報サーヴィス
 http://evemac.center.himeji-du.ac.jp/IPublic/malaria-net-j/home.html
 (海外渡航の際の予防接種についての情報)

■本・文献

◆黒川 正身  19930810 『ワクチンは安全か』,大月書店,156p. ISBN-10:4272401602 ISBN-13:978-4272401604 \1529 [amazon][kinokuniya] ※ p05
◆ワクチントーク全国・予防接種制度検討市民委員会 編 19950415 『厚生省「予防接種と子どもの健康」攻略本』,ジャパンマシニスト社,54p. 620 ※
◆社団法人 細菌製剤学会  19961021 『五十年のあゆみ』,社団法人 細菌製剤学会,261p. 非売品 p05
◆母里 啓子 浜 六郎 山本 英彦  20041025 『医者には聞けないインフルエンザ・ワクチンと薬』,ジャパンマシニスト社,216p. ISBN-10:4880496057 ISBN-13: 978-4880496054 \1155 [amazon][kinokuniya] ※ p05 (新規)
◆Mike Davis [マイク・デイヴィス] 2005 The Monster at our Door,New Press.=20060309 柴田 裕之・斎藤 隆央 訳 『感染爆発――鳥インフルエンザの脅威』,紀伊国屋書店,246p. ISBN-10:4314010010 \1600 [amazon][kinokuniya] ※ (新規)
◆毛利 子来 母里 啓子 編 ワクチントーク全国「予防接種と子どもの健康」攻略本編集委員会  20060710 『予防接種へ行く前に―受けるこどもの側にたって』,ジャパンマシニスト社,166p. ISBN-10:4880491268 ISBN-13: 978-4880491264 \1260 [amazon][kinokuniya] ※ p05 (新規)
◆母里 啓子  20071210 『インフルエンザ・ワクチンは打たないで!』,双葉社,205p. ISBN-10:4575299995 ISBN-13:978-4575299991 \1050 [amazon][kinokuniya] ※ p05 (新規)

■インフルエンザ予防接種関連・新聞記事
1980年代
1990年代

■年表

19450922
連合軍最高司令官総司令部(GHQ)、公衆衛生対策に関する覚書発表
(衛生制度、施設の現状につき当面着手すべき事項指令)
19460326
伝染病研究所痘苗、血清販売規定中改正
19460402
「国立衛生官制」公布(翌年0401発足)
19460709
日本脳炎を伝染病予防法による予防方法を施行すべき伝染病に指定
19460805
「「ヂフテリア」予防用細菌学的製剤検定規程」制定
19460913
公衆衛生監視員制度規定
19461111
「「ヂフテリア」血清並びにその製品、製剤及び破傷風血清並びにその製品、製剤検定規程」制定(厚令)
19461118
京都府はじめ12府県に衛生部を設置
19470110
厚生省、日本医療団の結核療養所の国営移管を発表、反対運動起こる
19470206
肺結核、合成樹脂充填術発表
19470305
GHQの覚書に基づき、「伝染病届出規則」制定
(法定伝染病以外の13種の伝染病について医師に届出義務を課す)
19470306
引揚者の結核検診対策実施
19470317
GHQ、結核対策強化に関する覚書発表
19740401
日本医療団の93結核療養所を国に移管、その他の地方に移管
19470407
GHQ、保健所拡充強化に関する覚書を指令
19470426
「検疫所官制」公布・施行
(検疫所、厚生省の所管となる)
19470508
医薬制度委員会、国民医療法および薬事法改正の最終案を決定
19470521
「予防衛生研究所官制」公布・施行
19470905
伝染病予防法等改正、公布・施行
(伝染病予防法、結核予防法、「トラホーム」予防法、寄生虫病予防法による国庫補助率を2分の1に引き上げ)
保健所法改正、公布(19480101施行)
保健所業務の拡大、栄養士の配置。
設置主体は都道府県、政令市
19480306
伝染病予防法改正法公布・施行
(警察法の施行に伴い所轄警察官署を最寄の保健所長に改める)
194803
モデル保健所として東京都杉並保健所を設置
(これにならって各県に1ヵ所のモデル保健所を設置)
19480402
保健所を設置すべき市として人口15万人以上の30市を指定
(保健所法施行改正)
19380407
「地方衛生研究所設置要綱」を通達
(地方庁の細菌検査、衛生試験等の衛生関係試験検査機関の統合整備を図る)
19480408
「保健所法施行規則」制定、公布・施行
19480414
「学校清潔方法」訓令
19480528
GHQ、日本における発疹チフス系諸病の予防について指令
19480630
「予防接種法」公布(0701施行)
痘瘡、ジフテリア、腸チフス、パラチフス、百日咳、結核、発疹チフス、コレラ、ペスト、猩紅熱、インフルエンザ、ワイルス病を予防接種を行なう疾病と定め、その取扱いを規定
19480729
「薬事法」公布・施行(医薬品製造業の登録、薬事監視員制度の採用など。医薬部外品等取締法廃止)
19480730
「医療法」公布(1027施行)
病院基準の引き上げ(10→20床)、
総合病院制度、
診療所の患者収容制限、
人員諸施設の基準法定、
助産院の規定、
公的な医療機関制度の確立、
広告制限の強化
19480915
厚生省、母子衛生対策要綱実施を通知(社福)
19481111
「予防接種施行心得」の制定
(痘瘡、ジフテリア、腸チフス、パラチフス、コレラ)
19481116
ジフテリア注射禍事件発生
(京都、鳥根においてジフテリア毒素を含んでいたにも関わらず
国家検定をすり抜けたワクチン接種により84名死亡(京都で68名、島根で16名))
1948、秋
百日咳ワクチン禍起こり、65名死亡
19490323
「予防衛生研究所講習者規程」告示
19490519
伝染病予防法改正法公布(0601施行)
・衛生組合に関する規定の削除、
・都道府県駐在防疫職員を防疫監吏および防疫技師として都道府県に移譲、
・国地方公共団体との費用負担の明確化
19490531
「衛生統計協議会令」公布(0601施行)
19490906
「特定医薬品検定規定」制定・公布(0910施行)
・医薬品の国家検定品としてスルファチアゾール外8品目、初めて指定
19490922
ストレプトマイシン国内生産確保要綱、閣議決定
19490924
厚生省、「BCGワクチン(乾燥)基準」を制定、公布・施行
19491220
薬事法に基づき「スプレプトマイシン基準」を制定(告示)
1949
ワクチンの国家買い上げ始まる
19500215
「百日咳予防接種施行心得」告示
19500328
伝染病予防法改正
・運用が保健所設置の市長に権限が与えられる
19500530
「予防接種法等による国庫負担の特例に関する法律」公布・施行
・地方財政平衡交付金法施行による調整
19500707
伝染病予防令一部改正・施行
・保健所を設置する市と区域以外の区域に対する責任体制を都道府県とする
19500922
厚生省「抗菌性物質製剤検定規則」を制定
19500927
結核対策本部設置要綱決定
19501028
ストレプトマイシン国内製造許可
19501116
結核対策本部設置

19510226
最初の血液銀行株式会社ニッポンブラッドバンク設立
19510331
「結核予防法」公布
・結核健康診断の整備、
・結核患者の登録
・医療費公費負担の規定を置く
19510402
予防接種法改正法公布・施行
一般医師について自発的に受けたものも提起の予防接種とみなす
19510516
世界保健機関(WHO)に加盟
・第4回WHOの保健総会において日本の加盟が承認される
19510516
「船員予防接種規則」制定
19510606
「検疫法」公布
19511013
厚生省、「結核予防法指定医療機関医療担当規程」制定
19511014
BCG有害論争起こる
・日本学術会議第7部会、BCGワクチンの慎重投与の意見を厚相に提出
厚生省、接種続行を声明
19511108
結核予防審議会、BCG有害論争に関し、有効無害の意見書
1951
結核、死因の2位に下がる
19520111
厚生省、結核医療の公費拡大を決定
19520118
厚生省、BCGの有効無害を再確認
19520308
薬事法に基づき「日本抗生物質医薬品基準」を告示
・個別基準の統一
19520528
結核死亡半減記念式典ならびに結核対策推進大会開催
19520604
厚生省、「結核診療の基準」告示
19520623
国立療養所の診療報酬を定める告示
19530509
「インフルエンザ予防接種施行心得」制定
19530924
国民健康調査、指定統計に指定
19531101
厚生省、国民健康調査実施
傷病、治療の状況、治療費、生活費、世帯の種類など
19540313
結核実態調査結果発表
(患者数292万人 調査期間195207-10)
19540601
伝染病予防法改正法公布・施行
・伝染病届出規則を廃止し、伝染病予防法に吸収
・日本脳炎を指定伝染病から法定伝染病に変更
19540904
厚生省、結核対策強化要綱を発表
19550204
厚生省、流感対策本部を設置し、ワクチン20万人分を用意
・インフルエンザが全国的に流行
19550601
今月より在宅結核患者の待遇改善として、栄養加算の6割増し、適用範囲の拡大、勤労者への勤勉控除などが実施となる
伝染病予防法改正
・ネズミ族・昆虫族駆除を市町村主体で実施等
19550801
結核予防法改正、結核検診全国民に拡大
19551231
結核実態調査の結果に基づき、結核病床の拡充計画は26万床を目標に
19560411
伝染病予防法改正法公布(0701施行)
・検疫法の改正にともない、届出伝染病に王熱および回帰熱を加えた検疫港以外の港においても検疫始まる
19560501
結核予防法施行規則改正
・外科療養が必要な入院などが公費負担の対象に
19560515
ペニシリン・ショック死事件
・尾高朝雄教授死亡。
19560828
厚生省、ペニシリン製剤による副作用の防止についての指針発表
19570401
厚生省、1956年の結核死亡率は人口10万人に対し48.6で、1943年のほぼ5分の1となり
死亡順位の第5位と発表
厚生省、無料結核診断実施を決定
19570528
インフルエンザ全国的に猛威をふるう
厚生省、対策を全国に通達
195705
インフルエンザ発生地は中国。東京で57型ウイルスと判明
19571106
伝染病予防調査会、ソークワクチンの国内生産や小児マヒの法定伝染病指定を要請するように決定
19571125
国立予防研究所、インフルエンザ罹患者はすでに
国民の40〜60パーセントに到達したと発表
19571126
第1回全国母子衛生大会開催
19580410
「学校保健法」公布
19580419
予防接種法改正法公布
・猩紅熱を予防接種法上削除
19580618
伝染病予防調査会、小児マヒ対策で厚相に答申
19580728
厚生省、保健所における医療社会事業の業務指針を通知
・医療社会事業従事職員の業務を医療チームの一部門として位置づける
19580812
学校保健法と公衆衛生関係法規との関係について、文部・厚生両省より通達
19580917
厚生省、「予防接種実施規則」制定
19590121
予防接種実施要領の制定
19590615
伝染病予防法に基づき急性灰白髄炎を指定伝染病に指定(告示)
19590908
千葉県血清研究所、ソークワクチンの国内生産に着手、来春から本格通達
19600311
結核予防審議会、結核医療基準にカナマイシン採用を答申
19600405
厚生省、結核患者の実態調査結果を発表
・新発生は30歳以上で急増
19600425
結核予防全国大会、社会協力体勢・低所得階層結核対策など討議
19600816
厚生事務次官、保健所の運営改善について通知
・保健所の規格基準を都市・農山漁村・両者の中間、および人口稀薄な地域の4型に分離
19600902
厚生省公衆衛生局長、保健所の運営について通知
19600906
北海道で小児マヒ大流行
・患者が1000名超える
19600908
日ソ協会、ソ連から小児マヒワクチン600人分が送られたと発表
厚生省、さらに大量輸入を要望
19601006
厚生省、ポリオ予防接種の対策要綱を決定
19601201
こどもを小児マヒから守る中央協議会の結成大会開催
19601214
厚生省、小児マヒワクチンを生後6ヶ月から1年半を対象とする、
1961年の予防接種計画を決定

19610307
厚生省、小児マヒ対策として外国製ワクチンを緊急輸入
19610328
予防接種法改正法公布(0401施行)
・小児マヒ(急性灰白髄炎)の予防接種追加
19610522
古井厚相、総評に対し、ソ連から寄贈される小児マヒワクチン10万人分を受け入れ表明
(受入れ紛争が解決)
19610526
結核予防法一部改正
・命令入所患者の医療費の国庫負担率引き上げ、結核対策の充実など
19610621
厚生省、生ワクチン約1300万人分の緊急輸入と全国一斉の大量投与を決定
196106
九週7県に小児マヒ流行、初めて生ワクチン投与(35万人分)
19610712
ソ連から小児マヒの生ワクチン1000万人分が到着、
カナダへ生ワクチン300万人分を発注(0720から服用開始)
19620113
厚生省、1961年の小児マヒ流行の概況を発表。
患者数は戦後最高の2453人、生ワクチン大量服用以後激減
19620116
厚生省、ジフテリア流行に対処し、流行地は臨時予防接種を実施するとともに、
未就学児の接種率を高めるよう告示
19620126
カナダ製の小児マヒ生ワクチン1700万人分到着、13歳未満の子に服用
19620226
小児マヒ協議会全国集会、患者の後遺症の治療対策、
治療薬ガラタミンの健保適用、全額国庫負担などの要求を決議
19621113
結核予防審議会、結核医療の制限撤廃をはかる基準改正案を答申
1962〜
伝染病流行予測事業開始
19630105
公衆衛生教育制度研究協議会、公衆衛生教育制度の将来について厚相に答申
(公衆衛生従事者教育の強化、身分の確立、専修士の号を与えるなど強調)
19630722
厚生省、経口ポリオ・ワクチン基準を制定
19630904
ジフテリア、百日咳、破傷風三種混合ワクチン完成、
1964年春から予防接種使用に決定
19640208
国産小児マヒワクチン完成、全国各県に配布(0220から投与開始)
19640416
予防接種法改正法、公布・施行
・急性灰白髄炎の予防接種を義務付け、経口ポリオワクチンを使用する
19640714
結核予防審議会、肺結核後遺障害認定基準答申
19650802
中央薬事審議会、厚相に麻疹ワクチンの製造基準および接種方法を答申
19650818
「母子保健法」公布
・児童福祉施策の一部であった母子保健施策を総合的、体系的に整備
19650820
厚生省、日本脳炎防疫体制の強化を全国に指示
19651008
厚相、不活化麻疹ワクチンおよび弱毒生麻疹ワクチンの生物学的製造基準を告示
19660415
新宿赤十字病院で1965年6月から乳児結核が多発したことが判明
19680316
中央薬事審議会生物学的製剤特別部会ハシカ調査会、
ハシカ・ワクチンをKL法に統一することを決定
196803
予防接種事故事件で遺族ら、国・製薬会社・医師を被告とする
損害賠償請求訴訟の提訴を始める
19680827
ハシカ・ワクチン基準の改正(KL方式に統一)
19690117
財団法人予防接種リサーチセンター設立
19700518
天然痘の予防接種事故で国と北海道に損害賠償請求提起
19700601
予防接種法改正法公布・施行
・腸チフスおよびパラチフスを予防接種法上より削除
19700615
伝染病予防調査会、強制接種制度を任意制にすべきと答申
19700619
厚相、種痘ワクチン禍続発にともない、接種中止を了承
(患者206人、死者15人)
19700731
予防接種事故に対する緊急の行政措置閣議了解、厚生省、種痘後遺症や予防接種による副作用の被害者の臨時救済処置大綱を決定
(弔慰金330万円、後遺症130〜330万円を限度に支給)

19710129
結核予防審議会、結核対策の拡充強化に関する意見書を提出
19710226
日本結核療養所協会、結核患者の早期発見などの要望書を厚相に提出
19710816
結核予防審議会、結核新薬リファンピシンを結核予防法による治療薬として採用するように厚相に答申
19720720
保健所問題懇談会(厚相の私的諮問機関)、基調報告提出
(地域に密着した活動のため、3段階の保健センター組織の整備などを報告)
19731009
結核予防審議会、「結核の健康診断及び予防接種の今後のあり方に関する答申」を厚相に提出
19740620
結核予防法改正
・健康診断の実施時期の適正化など
19740914
厚生省、医薬品の製造及び品質管理に関する基準(GMP)を通知
19740927
処方箋料改正
19751017
中央薬事審議会、抗結核財の再評価結果を厚相に答申
19751205
厚生省、医用機器問題懇談会を設置
19760226
伝染病予防調査会制度改正特別部会、
予防接種事故による被害者救済の恒久化制度の法的性格に結論
・国の責任は認めず、社会保障と国家補償の中間的な制度を設置
19760322
伝染病予防調査会、予防接種の対象疾病等についてと予防接種による健康被害に対する救済についてを厚相に答申
19760511
厚生省、予防接種法改正案を第77回通常国会に提出
・予防接種制度の大幅改正
・副作用事故の救済措置の法制化
19760619
予防接種法改正法公布・一部施行(19770225全面施行)
・被害者救済制度の創設
・対象疾病の見直し
19760625
医薬品の副作用による被害者の救済制度研究会
(厚生省の委託機関)報告書発表へ
・薬害救済への企業基金創設を提案
19760713
緊急医療懇談会
1976
厚生省予防衛生研究所、新型ブタインフルエンザワクチンを製造
19770225
予防接種事故の被害者に対する健康被害救済補償制度発足
■この頃から健康づくりが提唱され始める
19771202
厚生省、医薬品による健康被害の救済に関する法律案大綱(厚生省薬務局試案)を公表
19780316
大流行の集団風邪(香港・ソ連型)患者296万9000人に達す(空前の記録)
19780424
厚生省、市町村保健センター整備要綱を通知
19780523
栄養審議会、伝染病予防調査会、結核予防審議会を廃止。公衆衛生審議会に統合
19780728
予防接種法施行令に麻疹を追加(1〜6歳の幼児)
19790202
厚相、中央薬事審議会に医薬品副作用被害者救済基金法案要綱を諮問
・救済基金の設立
・被害者に医療費・障害者年金等の給付
・給付のため基金を製薬企業から徴収
19790227
政府、医薬品副作用被害者救済基金法案を閣議決定、翌28日に国会提出
19790306
厚相・農相、中央薬事審議会に薬事法改正案要綱を諮問
・医薬品の有効性・安全性確保を内容、0313答申
19790614
医薬品副作用被害者救済基金法案、薬事法改正法案、審議未了、廃案
19790831
政府、薬事2法案(薬事法の一部を改正する法律案と医薬品副作用被害者救済基金法案)を第88回臨時国会に再提出
19791001
「医薬品副作用被害者救済基金法」公布・施行
薬事法改正法公布
・医薬品再評価制度の法制化
19791015
特別認可法人医薬品副作用被害救済基金発足(19800501業務開始)
19800731
厚生省、種痘を提起の予防接種より削除
19800816
厚生省、「医薬品の製造管理及び品質管理規則」制定

19810311
厚相、医療法改正案要綱を社会保障制度審議会に諮問
・自治体ごとの地域医療計画の策定
・医療法人に対する指導監督の強化など
19810526
厚生省公衆衛生局長、感染症サーベイランス事業の実施について通知
19810619
公衆衛生審議会、結核の健康診断の実施方法について答申
19810701
厚生省、感染症サーベイランス事業を実施
19820331
厚生省、GLP(医薬品の安全性試験の実施に関する基準)を制定
19820710
公衆衛生審議会、今後の結核患者管理の在り方について答申
19830325
政府、地域医療計画の策定と医療法人に対する指導監督規程を主な内容とする医療法改正法を国会に提出(198311、衆議院解散ともない廃案)
198304
東大阪市を保健所法の政令都市に指定(政令市数31)
19840105
公衆衛生審議会、市町村行政に保健事業を早急に定着すべきだ、との答申をまとめる
19840906
保健所法改正法公布
・保健所運営補助金
・人口、面積を基礎とする交付金に改められる
19850312
仙台地裁、インフルエンザ予防接種訴訟で障害と予防接種の因果関係を認定し、
宮城県泉市に医療費拒否処分取消しを命ずる
19851031
名古屋地裁、種痘などの予防接種禍訴訟で、国の防疫行政面での過失を一部認め、国に賠償を命ずる判決
19860206
厚生省結核審議会、結核医療の基準の見直しについて意見具申
・標準的化学療法としてINH(イソニコチン酸アミド)およびRFP(リファンビシン)の併用を主軸とする強化療法を採用
・外科的療法についても術式等の見直しを行なう
19861110
公衆衛生審議会伝染病予防部会インフルエンザ小委員会、現時点におけるインフルエンザ予防接種についての見解を発表
・インフルエンザの有効的な予防手段としてはワクチン接種しかないこと
・インフルエンザワクチンは感染を予防し、または症状を軽減する効果があることなど
19870107
厚生省、結核・感染症サーベイランス事業を実施
・全国の保健所、都道府県、指定都市および厚生省間をコンピュータ・オンライン・システムで結ぶ
19870806
公衆衛生審議会伝染病予防部会、インフルエンザ予防接種の当面のあり方について意見書を提出
・当面法律上の取扱いを変更することなく、被接種者の健康状態を最もよく知っている保護者の以降を採り入れる

199409
予防接種ガイドライン作成
199510
予防接種法改正 ・義務接種から勧奨接種に
・集団接種から個別接種の推進へ
・学校における集団接種がBCGのみに
200111 インフルエンザ予防接種ガイドライン作成

□この年表作成に使用した文献

◆加藤達夫 1996 「学校保健―[IV]健康観察上での問題点と対応 4.予防接種」,『小児科臨床』49-増刊 1433-1442
◆厚生省五十年史編集委員会 編 1988 『厚生省五十年史(資料篇)』 ,財団法人厚生問題研究会

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◆厚生省五十年史編集委員会 編 1988 『厚生省五十年史(記述篇)』 ,財団法人厚生問題研究会

 大正年代に入ると、インフルエンザの大流行をみるに至った。大正七年スペインに発したインフルエンザはたちまち世界各国に大流行し、我が国においても大正七年八月中旬から九月上旬に蔓延の兆しを示して、急速に全国に広がった。その後大正十年七月に至る前後三回の流行を繰り返した。その患者数は前後も三八万の多きを達した。インフルエンザには伝染病予防法は適用されなかったが、行政措置として諸般にわたる強力な対策が実施された。(財団法人厚生問題研究会[1988:192])

 昭和二十二年には、全面的な伝染病の流行状況を把握するため、GHQの昭和二十二年三月の覚書に基づき、「伝染病届出規則」(昭和二二・三・五 厚令五)が制定され、法定伝染病ですでに届出義務のあるもののほか、法定伝染病以外の必要と認められる一三種について医師の届出義務が定められた(財団法人厚生問題研究会[1988:591])

 終戦後の応急対策から若干の時期を隔てて行なわれた防疫対策のうち、特記すべきものは、「予防接種法」(19480630)の制定である。
 種痘については古くから整備されてきたが、それ以外の予防接種についても早くから見当が進められていた。明治四十二年には陸軍部内で腸チフスの予防接種を行う事が訓令され、また大正年間のインフルエンザ(スペイン風邪)の流行の際、内務省から予防接種実施の訓令が出された。その他、各道府県や市町村でも任意事務としては相当広範囲に腸チフス等の予防接種が行なわれた。しかし、当時は予防接種の効果についての学説が定まっておらず、法律によって強行的に行なうには至らなかった。
 終戦後のこの時期には、GHQの指示の下に、緊急対策として、広い範囲の対象者に行政措置で発疹チフスなどの予防接種が行なわれた。進歩したアメリカ医学による新しい予防接種は発疹チフスに卓効を示した。また昭和二十一、二十二年には同じく行政措置で、徹底的に腸チフス、パラチフスの予防接種が行なわれたが、これによって患者の発生数、死亡数が激減した。これらのことから、予防接種の効果は、広く承認されることとなった。
 この成果に基づき、昭和二十三年には「予防接種法」が制定され、同七月一日から施行された。同法はジュラ移の種痘のほか腸チフス、パラチフス、ジフテリア、百日ぜき及び結核についての提起の予防接種を国民の義務とし、また上記六疾病に加え発疹チフス、コレラ、ペスト、猩紅熱、インフルエンザ、ワイル病(レプトスピラ症)について臨時の予防接種を義務付けた。種痘以外のものについて、全国民にこのような後半な予防接種の義務づけをしたことは、諸外国にも例がなく、予防接種による伝染病の防圧が、このように短期間に著しい効果を上げたこともまた例をみないことであった。
 我が国の衛生対策においては、戦前から引き続いて、上下水道、住宅等の生活環境関係施設の整備が進まず、また伝染病予防技術の進歩もあって公衆衛生的手法が優勢であった。広範な伝染病を対象とした「予防接種法」の制定は、このような我が国衛生行政の在り方の一つの形態であったが、また反面、このように予防接種が著しい効果を上げた結果、衛生対策の面から、生活環境関係の社会資本を整備する必要性が強く認識されることがなかった。
 この間、昭和二十三年十一月、予防接種法施行まもない時期に、京都でジフテリア予防接種禍事件(無毒化が不完全なジフテリアワクチン接種による死亡事件)が発生し、死者六十八名という犠牲者を出し、予防接種の順調な施行を危うくする状況もあったが、その後も予防接種は広範に実施され、国民に普及していった。(財団法人厚生問題研究会[1988:592])

 結核の予防面では、昭和十八年から開始されたBCG接種が、戦後も満一〇歳以上十九歳までの全員に行われ、昭和二十三年に「予防接種法」が制定されてからは、従来行政措置で行なわれていたBCG接種は同法によって行なわれるようになり、三〇歳未満の全国民が年に一回ツベルクリン反応の検査を受け、その結果によりBCGを受ける体制が出来上がった(財団法人厚生問題研究会[1988:606])

【予防接種法前史】
 残された記録によると予防接種が伝染病の予防措置として実施されたのは、万延元(一八六〇年)ごろからである。天然痘自体の流行は更に古く、元禄九(一六九六)年に福島県の一山村で大多数の村民が感染し、大きな被害をもたらしたことが伝えられている。明治の初期や末期にも天然痘が大流行があり、国民に大きな不安を与えた。その間、種痘関連の規則や太政官布告が出されたが、法律という形で整備されたのは明治四十二年の「種痘法」(明四二・四・一四法三五)が最初であり、これらによって種痘の実施は国民間に定着していった。
 また、大正年間にはインフルエンザや腸チフスの大流行があり、内務省は、その対策として予防接種を施行すべきことを訓令し、その都道府県、市町村等においても任意事務として従来から腸チフスなどの予防接種を相当広範に実施していた。ただし、予防接種の有効性については医学界で必ずしも定説化しなかったため、予防接種が実施されていながらも制度的な整備はなかなか図れなかった。(財団法人厚生問題研究会[1988:699])

【予防接種法の制定】
 昭和二十年八月いわゆる「日華事変」以来太平洋戦争へと続く戦争が終結した。しかし、この戦争によって疲弊しきった国内の経済・社会情勢の中で、保健衛生施設や医薬品の供給等公衆衛生を支える基盤が著しく弱体化する一方、発疹チフス、痘瘡、腸チフス等が爆発的に発生し蔓延した。このような背景の中で厚生省は、GHQの強い指示もあって、終戦後進駐軍によってもたらされた予防接種に関する進歩的医学を採り入れ、緊急伝染病予防対策として行政措置による予防接種を広範に実施することとした。
 この結果、昭和二十年の末から翌二十一年の初夏にかけて発疹チフスが流行した際には、予防接種の卓効が一般に確認されることとなった。また、昭和二十一年から昭和二十二年にかけて徹底的に施行された腸チフス・パラチフスの予防接種によってもその患者発生数の激減がみられ、その他の予防接種についてもその効果が確認された。
 この経験を踏まえて、種痘以外の予防接種の制度化に大きな弾みがかかり、昭和二十三年六月には種痘も含めた「予防接種法」(昭二三・六・三〇法六八)が制定されることとなった。同法の条文中には、「伝染の虞がある疾病の発生及びまん延を予防するために、予防接種を行い、公衆衛生の向上及び増進に寄与すること」を目的とすることが明記されている。
 予防接種の本来の趣旨は、個人に伝染病の病原体に感染しないような免疫をもたせることであるが、この法律では地域的集団としての住民が免疫を保有することにより伝染病の爆発的流行を防止しようとする社会防衛的理念が貫かれていた。対象疾病はその性状に応じて定められ、実施主体は機動的に対応できるような権限が付与された。
 当時の予防接種方の内容の概略は、次のとおりであった。
 一 定期の予防接種を行なう疾病としては痘瘡、ジフテリア、腸チフス、パラチフス、百日せき及び結核を規定したこと。また臨時の予防接種を行なう疾病として、以上の疾病のほか、発疹チフス、ペスト、コレラ、猩紅熱、インフルエンザ及びワイル病を規定したこと。
 二 予防接種の実施主体は市町村長として、市町村長は保健所長の指示を受けてこれを行なった。
 三 厚生大臣は、必要があると認めるときは、都道府県知事に命じて臨時の予防接種を行なわせることができること。
 四 都道府県知事は、疾病の蔓延防止のため必要があると認めるときは臨時に予防接種を行い、又は市町村長に行わせることができる。
 五 予防接種を受けたものに対して証明書を交付し、市町村においても台帳を作成し、その記録を整備すること。
 予防接種法の施行に際しては、行政当局が、接種義務の条項にのみ依存することなく、予防接種に関する国民の衛生思想上の向上、普及にも努めるべきこと、また、罰則適用についても、これらによって予防接種を強制することが趣旨でなく、あくまでも国民が自ら進んで予防接種を受けるようになることが大切であると強調されていた。
 なお、「予防接種法」の制定に伴い、種痘法は廃止された。
 「予防接種法はその後数次にわたって改正された。昭和二十六年には「結核予防法」(大八・三・二七法二六)の全面改正(昭二六・三・三一法二六)に伴い結核の予防接種に関する規定がこれに吸収された。また、従来定期接種の範囲としては市町村長が実施する場合のみとされていたものを一般の医師が自発的に接種した場合も定期接種とみなすように改められた(昭二六・四・二法一二〇)。昭和二十八年には、厚生大臣が都道府県知事に臨時接種を行わせる場合の条件を政令で定めることとされた(昭二八・八・一五法二一三)。(財団法人厚生問題研究会[1988:700])

【予防接種による健康被害救済制度の創設】
 しかし、昭和四十年代に入ると上下水道・ゴミ処理施設等生活環境施設の整備、国民の生活水準向上、ワクチンの改良開発、防疫対策の進歩などにより伝染病の発生状況には大きな変化が表れ、かつてのような大流行はみられなくなった。
 このような状況の中で、厚生省は昭和四十三年五月、伝染病予防調査会に「今後の伝染病予防対策のあり方」を諮問した。その後、同調査会は昭和四十五年六月に中間答申を行なったが、その中で予防接種法については、
(ア)強制接種制度は臨時予防接種に限定し、他は任意接種とすべきこと
(イ)予防接種により重篤な副作用が起きたときに、被害者を迅速に救済する制度を国が早急に確立すること
を提言した。これと相前後して、昭和四十五年には種痘の予防による健康被害が相次ぎ、このため同年六月十九日、厚生省は種痘ワクチンの接種の一時中止を決定した。更に昭和四十五年七月三十日には、伝染病予防調査会の中間答申を踏まえて、予防接種事故に対する緊急の行政措置(「予防接種事故に対する措置について」)が閣議了解された。その内容は、予防接種による副作用被害者のうち死亡者の遺族に最高三三〇万円、後遺症を残した者に一三〇から三三〇万円を至急するというものであった。
 伝染病予防調査会は、昭和四十五年に中間答申を行なった後、昭和五十年十二月に、「予防接種の対象疾病等について」を、昭和五十一年三月には「予防接種の今後のあり方及び予防接種による健康被害に対する救済について」を取りまとめ厚相に答申した。同調査会は、後者の答申の中で、予防接種に伴って極めてまれに生じる無過失の健康被害について国家補償的精神に基づいて救済する必要があるとして、法的措置による恒久的な救済制度の創設を提言した。
 この答申を踏まえて、昭和五十一年六月、「予防接種法」が改正(昭五一・六・一九法六九)され、予防接種による健康被害に対して、医療費、医療手当、障害児養育年金、障害年金、死亡一時金、葬祭料などの給付が国二分の一、市町村・都道府県それぞれ四分の一負担で行われることとなった。(財団法人厚生問題研究会[1988:960])

【インフルエンザワクチン】
 昭和三十二年五月から翌年春にかけて、いわゆる「アジア風邪」と言われるA2型インフルエンザが我が国で大流行した。当時インフルエンザワクチンは国内で製造されていたが、その製造株については外国で分離されていた株を用いていたため、国内で製造されていたインフルエンザワクチンは免疫力が低く流行を予防する効果がそれほど期待できるものではなかった。
 このため、昭和三十三年四月二十八日の閣議決定により、インフルエンザワクチンを国家買上するための予備費が認められ、これを受けて厚生省は、このA2型インフルエンザ株と従来のA型、B型株の三種混合のワクチンをメーカーに生産指導することとし、同年十一月より三種混合ワクチンの製造が開始されるところとなった。
 これを契機として、我が国のインフルエンザワクチン製造株は国内の流行株に切り替えられることとなった。(財団法人厚生問題研究会[1988:1070])

【日本脳炎ワクチン、麻疹(はしか)ワクチンなどの研究開発】
 昭和四十年代に入り、伝染病の発生も小康状態となったが、一方では、新しいワクチン類の開発研究及び実用化も順調に進んでいた。
 昭和四十年代末までに実用化されたワクチンとしては、百日咳ワクチン、ジフテリア・破傷風混合ワクチンをはじめ、インフルエンザHAワクチン、精製ツベルクリン、乾燥ボツリヌス抗毒薬、乾燥弱毒生麻疹ワクチン、乾燥弱毒生風疹ワクチンがある。(財団法人厚生問題研究会[1988:1072])

【昭和三十三年の予防接種法の改正】
 昭和三十年度に厚生省が行なったジフテリアの免疫調査の結果、免疫効果が生後三ヶ月以降と三歳以降において著しく低下している事実が判明した。そこでこの事態に対処するため、昭和三十三年四月「予防接種法」(昭和二三・六・三〇法六八)の一部改正(昭三三・四・一九法六六)が行なわれた。
 その内容は次のとおりであった。
 一 三か月以降及び三歳以降の年齢層に対して免疫効果を付するため、従来三期のジフテリア予防接種に新たに一期加えたこと。その結果、ジフテリアの第一期と第二期の定期接種がそれぞれ百日せきの定期接種と重なるようになったが、百日せき・ジフテリア混合ワクチンの使用によって、これら二種の予防接種を同時に行なうことが可能となった。
 二 猩紅熱の予防接種については、ワクチンの効果をかんがみ、これを行なわないこととした。
 また、この昭和三十年四月の「予防接種法」の改正の関連して、予防接種の実施方法についても、その内容全般にわたって検討整理が行なわれた。すなわち予防接種の実施方法は、従来、「予防接種施行原則」(昭二三・八・一〇厚令三六)によりその一部が定められ、その施行心得については「インフルエンザ予防接種施行心得」(昭二八・五・九厚告一六五)など三つの令が定められていたが、昭和三十三年九月、予防接種の実施方法を定める方法を定める省令として新たに「予防接種法実施規則」(昭三三・九・一七厚令二七)が制定された。これに伴い、従来の三つの予防接種心得は廃止された。(財団法人厚生問題研究会[1988:1086] 一部修正)

【その後の予防接種法の改正】
 昭和三十九年四月には、経口ポリオワクチンの国内での使用経験とこれについての専門家の見当が行なわれた結果、予防接種法による予防接種には従来の不活化ワクチンに代えて経口ポリオワクチンを用いることとされた(昭三九・四・一六厚令一七)。
 またこれに伴い「予防接種法」の改正(昭三九・四・一六法六〇)が行われ、予防接種の定期は従来の「一 生後六月から生後二十一月に至る期間 二 前号の定期の予防接種後十二月から十八月に至る期間」に改められた。
 その後、昭和四十五年六月にも「予防接種法」の一部が改正(昭四五・六・一法一一一)され、腸チフス・パラチフスの予防接種は対象から除かれた。(財団法人厚生問題研究会[1988:1088])

◇伝染病予防調査会の答申

 医学の進歩、環境条件の変動等に伴い伝染病の疾病構造、病状経過が変化する中で、今後の伝染病予防対策の在り方を検討する必要を認め、昭和四十三年五月三十一日、厚相から、伝染病予防調査会に対して「今後の伝染病予防対策のあり方について」が諮問された。
 これに対して伝染病予防調査会(会長中村敬三氏)は、直ちに審議を開始した。同調査会では、伝染病予防法関係(感染源対策及び感染症経路対策)を総括部会急性伝染病小委員会(委員長福見秀雄氏)が、予防接種法関係を予防接種部会(部会長豊川行平氏)が、それぞれ分担審議するとともに、両部会が連絡をとり、総括部会でも審議が行なわれた。
 この結果伝染病予防調査会は、昭和四十五年六月十五日、厚相に対して中間答申を提出した。この中間答申の内容は次のとおりである。
 一 今後の伝染病予防対策は、従前からの発生時対策にとどまらず、伝染病に関する情報収集をはじめとする平常時における対策の強化が必要となってきていること。また、伝染予防対策は、感染源対策、感染経路対策が総合的に実施されることが必要である。
 二 具体的な伝染病予防対策としては
 (ア)予防接種の義務づけはなるべく廃止し、国民が進んで受ける方向に進むべきこと
 (イ)予防接種の対象疾病として人から人へ伝播しないものも採り上げるべきこと
 (ウ)全額公費負担の体制は維持すべきこと
 (エ)予防接種による障害の被害者を国が簡易迅速に救済すべき制度を確立すべきこと
この中間答申の提出後、伝染病予防調査会では、更に対象疾病、情報組織の在り方等について、答申の内容を具体化、施策化及び制度化するための検討が進められた(財団法人厚生問題研究会[1988:1091])

◇予防接種健康被害救済制度
 
【暫定的救済制度】
 昭和四十年代に入ると、伝染病の発生や流行は著しく減少し、一方医学医術の進歩や生活環境の整備等が進んできたことによって、疾病予防という社会防衛的要素の太宗を担ってきた予防接種制度の基盤にも著しい変動が見られるようになった。
 また予防接種の副反応による健康被害の発生に対し、国民の関心が高まり、昭和四十三年三月には、予防接種事故の遺族が、国や製薬会社に損害賠償を求める訴訟を提起するに至った。
 このような状況の中で、予防接種法全般の見直しが必要となったが、なかでも、予防接種による健康被害については、健康被害が生じても接種時に実施上の過失がなければ国家賠償等の救済の対象とはならず、救済の途が極めて限定されることから、この不合理を是正するためにも救済措置の必要性が認識されるようになった。
 昭和四十三年五月、厚相から伝染病予防調査会に「今後の伝染病予防対策のあり方について」が諮問された。また、昭和四十四年一月には、財団法人予防接種リサーチセンターが設立された。 
 昭和四十五年五月には天然痘の予防接種事故の被害者から、国と北海道に損害賠償請求が提訴された。また同年六月十三日には東京都内で十三人が発疹発熱したとの報告をはじめ各県から種痘後の副反応を伴う死亡等の事例(患者二〇六人、死者十五人)が報告され、再び予防接種による健康被害が社会的関心事となった。このため、厚生省は同年六月、種痘ワクチンの接種中止を決定した。
 このような状況が直接的契機とになって、厚生省においてその対応策が検討されることとなった。その結果、恒久的救済措置を創設するための検討を行うことを前提に応急の行政措置を講ずることとして、昭和四十五年七月「予防接種事故に対するそちについて」の閣議了解が行なわれた。これに基づいて同年十月一日より
 (ア)予防接種により死亡した者には弔慰金を支給すること
 (イ)障害のある者には後遺症一時金、医療を必要とする者には医療費を支給すること
 (ウ)措置の実施は、国が地方公共団体の協力を得て行なうこと
とされた。(財団法人厚生問題研究会[1988:1092])

【伝染病予防調査会の答申】
 昭和五十一年三月二十二日、予防接種の実施方法と被害者救済制度について最終的な見解(「予防接種の今後のあり方及び予防接種による健康被害に対する救済について」)をまとめて厚相に答申した。
 答申の内容は次のとおりであった。
 一 予防接種の今後の在り方としては
 (ア)幼少児期の定期種痘は第一期を従来の生後六か月以降二歳までから生後三歳以降六 歳までに引き上げること
 (イ)小学校入学、卒業各六か月以内の第二、第三期を廃止すること
 (ウ)ジフテリアは第三期(小学校入学六か月以内)を廃止し、新たに女子中学生等に風疹 の予防接種を実施すること
 (エ)伝染病の流行に対して的確な対策を立てるため、各種伝染病の発生状況、免疫保有 状況などを常につかめるサーベイランス(疾病流行監視)体制を強化すること
 (オ)予防接種は平常時と緊急時に分け、平常時については罰則付きの強制は廃止し、緊 急時については罰則を残すこと
 二 予防接種による健康被害の救済については、予防接種が、法に基づき公共目的の達 成のために行なわれるものであるから、社会保障と国家賠償の中間に当たる国家賠償と して救済を行い、社会的公正を図る必要があること。
 救済の方法としては、「予防接種法」(昭二三・六・三〇法六八)に基づくすべてを補償 対象とし、その範囲は、副反応のため医療が必要な者、障害を有する者及び死亡した場 合とすること。(財団法人厚生問題研究会[1988])

【予防接種健康被害救済制度の確立】
 昭和五十一年三月の伝染病予防調査会の答申に沿って「予防接種法」が改正(昭五一・六・一九法六九)された。
 その改正の趣旨は、次のとおりであった。
 一 昭和四十年以降伝染病の発生が著しく減少したこと、医学医術の進歩、生活環境の 改善等衛生環境の整備が図られたことにかんがみ、予防接種の対象疾病、実施方法等の 緩和・改善を図ったこと。
 具体的には、
 (ア)予防接種法の対象疾病から、腸チフス、パラチフス、発疹チフス及びペストを削除 し、新たに、麻疹、風疹、日本脳炎及び特に必要があると認められる疾病として政令で 定める疾病を加えたこと
 (イ)従来法律で定められている定期に予防接種を行う疾病及びその定期を政令で定める こととした
 (ウ)臨時の予防接種を、緊急の必要がある場合に行うものとそれ以外のものとに区分し、 緊急の必要がある場合に行う臨時の予防接種の対象疾病は、痘瘡、コレラ及び厚生大臣 が定める疾病に限定したこと
 (エ)予防接種義務違反に対する罰則規定を緊急の臨時接種のみに限定すること
 
 二 予防接種による健康被害の救済措置として、昭和四十五年七月の閣議了解による応 急の行政救済措置により支給を行なっていた各種の給付を見直し、
 (ア)医療を要する被害者には医療費及び医療手当を支給すること
 (イ)障害を有する一八歳未満の者を養育する者には障害者養育年金、一八歳以上の障害 を有する者には障害年金を支給すること
 (ウ)死亡者の遺族に対しては死亡一時金及び葬祭料を支給すること
(財団法人厚生問題研究会[1988])

◇感染症サーベイランス

【感染症サーベイランス事業】
 医学・医療の進歩に伴い、これまでのように束縛の強い形で患者を監視することによってではなく、感染症の動向を把握することによってその伝播を防ぐという考え方が出されてきた。このような背景の中で、昭和五十一年三月の伝染病予防調査会の答申において、サーベイランス体制の強化が提案された。これは一般に「感染症サーベイランス」といわれる。
 厚生省は昭和五十六年五月、「感染症サーベイランス事業の実施について」(昭五六・五・二六衛発四二二公衆衛生局長通知)を、各都道府県知事に通知し、同年七月より感染症サーベイランス事業を開始することとした。感染症サーベイランス事業の目的は、感染症の蔓延を未然に防止することであるが、この時器用の概要は次のとおりである。
 一 感染症に対する地域的・全国的な監視体制を設け、患者の発生状況、病原体の検索 など流行の実体を早期かつ的確に把握し、その情報を速やかに地域に還元すること
 二 これによって医療機関でのプライマリ・ケアの推進に資する一方、予防接種、小児 集団生活の管理、衛生教育など適切な予防措置を講ずること
 三 対象となる感染症は
 (ア)新たに幼児や学童を中心に感染が目立ち、まれに合併症を引き起し、後遺症を残し たり死亡に至る感染症
 (イ)ニュータイプの感染症の中で、伝染病予防法による届出の義務等がなく、発生状況 の把握や不十分な疾病
 であること
 四 都道府県、指定都市で選定された医療期間が把握した患者数を、都道府県・指定都 市レベル、更に国のレベルで週単位に集計し、流行の防止に役立てること(財団法人厚生問題研究会[1988])

・平山宗宏 1986 「これからの予防接種」, 『日本医師会雑誌』96-11, 1713-1718

予防接種についての考え方の変遷

まず、集団防衛から個人防衛の移行という点があります。伝染病が致命的であって、しかも恐ろしかった時代の予防接種は、法律をもって強制してでもこれを実施し、住民の大多数に免疫を与えることによって、その伝染病の流行を抑制しようとけいかくされました。つまり、これが集団防衛という考え方であり、その効果の実績はきわめて大きいものがありました。
 そしてこの場合、ワクチンの副反応が多少あってもやむをえない時代でしたし、また副反応の実態が不明であったためにその存在自体を周知させるのも困難でした。
 ところが、恐ろしい伝染病が抑圧され、また治療法が確立されてくると、予防接種は効果の程度もさることながら、副反応がないということの要求が大きくなってきました。また、近年、若い親たちの意識も国のため社会のために予防接種を受けるという集団防衛的発想を認めなくなり、わが子の健康のために受けるという個人防衛的考え方でなければ納得しない状況になってきています。事実、現在では個人防衛として有意義なワクチンだけが用いられているといえましょう。(p1714)

 このほかのワクチンも、集団防衛に役立つとはいえ、現在では自分のこどものために受けなさいと心からいえる予防接種だけが使われているといってよいでしょう。(p1714)

2番目に、予防接種事故を減らすための工夫があります。予防接種がみな安心して進んで受けるためには、いわゆる予防接種事故を減らす必要があり、最近はそのための対策が強化され実施に移されてきています。
これも予防接種の考え方の変化の一つです。いわゆる事故といわれるもののなかには、実は予防接種とは無関係な、つまりワクチンがぬれぎぬを着せられている例も少なくありません。しかし、まぎらわしいケースの存在はやはり予防接種に対する一般の人々の信頼を損ねますから、まぎれ込み事故も含めて予防対策を講じなくてはなりません。そのために、予防接種後に発病ないし発見されるとワクチンの副作用と見誤られやすいような病気、特に小児の旧制神経系の疾患の実態調査もおこなわれて、さまざまな事実が知られるようになりました。(p1714)

3番目に、禁忌の考え方の変化です。前述しましたように、集団防衛から個人防衛に変わっていくときに変更を要するもう1点は、この禁忌の考え方です。つまり、集団防衛の場合はその地域の70-80パーセント異常の人に免疫を与えれば流行を阻止できるということで、障害や病気をもつ人は切り捨てて考えられてきました。しかし慢性疾患を持つ子どもにも免疫を与えたいし、ワクチンによって健康児以上にその必要性が高いといえます。心臓や腎臓病などの疾患をもつ者も、急性期、憎悪期は禁忌として書かれておりますが、調子のよいときは接種しても差し支えがないようになっています。

4番目に、集団接種から個別接種へという趨勢です。接種率をあげるためには集団的に行なうのが便利で、能率も良い方法です。また万一の事故のときに複数の医師が同じ会場に居合わせたほうが好都合であるということで、現在でも集団接種が主流になっています。
しかし、これからはその子どもの生まれたときから状況を知っている、いわゆるホームドクターがその子の都合に合わせてスケジュールを個別接種方式が事故の予防にも有利であることは確かです。(p1714)
西垣昭利 1981 「3,住民の健康に果たす保健所の役割」西尾雅七監修 1981 『現代の地域保健U 健康保障への道程』49-62

インフルエンザウイルスに、A型・B型などの型のあることは、よく知られているが、単に数種型があるというだけでなく、常に継代による抗原性の変異が続いているのである…日本各地で流行するインフルエンザも、地域によってウイルスの抗原性が異なることが多く、また一つの型(抗原性)のインフルエンザの流行のあと、別の型のインフルエンザが流行するといった波状的流行もある。(p.52)

インフルエンザワクチンの効果については諸説あるようである。80パーセントというものもあれば、3,40パーセントというものもある。ただ、現在おこなわれている予防接種の中では、最も効果が低いワクチンとして一つとして、接種を推進している学者すら不満を抱いているということを指摘しておきたい。(p.53)

ただ少なくとも予防接種を受けるか否かの判断、国民各個人の価値観にもとづく自己決定権にゆだねられるべきであることを強調したい。その際、法的に「強制接種」であるか否かはさほど重要なことではない。仮に「勧奨」にすぎない場合でも、国民に充分な知識を与えぬまでの「勧奨」は強制と同じことである。(…)専門家のなすべきことは、正しい知識を広めて、各個人の判断に資することであって、知識を与えぬまま、各個人の判断を事実上封じてしまうことではないだろうか。(p.57)

大国真彦・尾嵜新兵・神谷齊・木島ミ・平山宗宏 1994「[座談会]予防接種法改正のねらい」, 『日本医師会雑誌』111(9): 1476-1491

平山:集団防衛という考え方から個人防衛に変わってきたわけです。従来の法律の考え方は法で強制しているから、何か起こったら、つまり健康被害があったら救済しますという関係になっておりました。
 それが法律を改正しにくかった理由でもあったと思うのですが、今回は強制とか義務とかではなく、国の勧めという勧奨であっても、結果的に皆が予防接種を受けてくれれば流行も止まる、社会防衛ができる、だから救済も続けてやりましょうという、そういう考え方に法律家が納得してくださったので、この改正案ができたのだと思います。(p.1478)

尾嵜:インフルエンザについては、ワクチンそのものが、罹患の際の重篤か防止の効果があるようですが、流行を防止する効果がはっきりしておりません。インフルエンザウイルスの流行の特殊性といいますか、頻繁に突然変異を起こしますので、それに的確に対応できるワクチンの製造は難しい。したがって今回、これについては任意にしてはどうかという整理をしたわけです。(p.1479)

根路銘国昭 1993 「インフルエンザ予防接種の意義」,『学校保健研究』35:529-536

 …インフルエンザ政策に対する意識が、国民と行政との間に調和が十分に図れなくなってきつつあることは認めなくてはならない。前者の動きの中で、インフルエンザ政策の要となっているワクチンは要らないというのか、集団予防接種政策を不要と主張しているのか、あるいはインフルエンザの病を軽症とみて、格別な対策を要しないのか、というとにかく、論点の焦点についても曖昧さが残っている。(p.529)

 極端な発言に至っては“ワクチンを接種するくらいなら、インフルエンザに感染した方がましだ。これによって、きっと優れた免疫応答が得られるに違いない。”ある小児科医の発言である。科学的な背景が脆弱であったせいもあるが、それぞれの流行期におけるワクチンの役割が十分に読み取れなかったという問題も行政側に未詳かの論議として残されている。(p.529)


作成:生田明子
UP:20070627 REV:20070628, 1109, 1203, 20090823, 1217, 20130514, 0620, 20140124
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