★カリルフォルニア州では検査について厳しい精度管理をしている。飯沼「私はそれを聞くと、胎児は患者である(フィータス・イズ・ア・ペイシェント)、という言葉を思い出します。これまでは妊婦だけが非常に大切な価値をもって遇されてきましたけれども、今は胎児もその女性と同じぐらいに大切であると。
恩田 日本では、胎児はまだ人格が認められていないために保険の適用から外れていますよね。
飯沼 妊婦に対する診断と同じぐらいに重大なものとして胎児診断が位置づけられていることを表わしていると思います。今後、日本における胎児診断が広まっていく中で、ほんとうに胎児が生きている母親と同じぐらいの価値づけで患者としてみるならば、誤診のない羊水検査、あるいは胎児診断を展開しないと、1件のエラーが大きな負担となって医療界にはね返ってくると思います。」(飯沼和三・恩田威一[1994:5](「日本における出生前特殊スクリーニングの現状――トリプルマーカーによるダウン症検査について」(対談),『The Medical & Test Journal』433:4-5