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出生前診断関連年表

出生前診断

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年表:出生に関わる技術・政策(総合)一部を使用。上記の年表にあって以下にない情報がありますので,より詳しくはこの年表を御覧下さい。
出生前診断から各年(年代)についてのページにリンクされているのでご覧ください。

◆論文+資料集『闘争と遡行・1――於:関西・+』御注文承り中。

利光 惠子 20121130 『受精卵診断と出生前診断――その導入をめぐる争いの現代史』,生活書院,339p. ISBN-10:4865000038 ISBN-13:978-4865000030 \2940 [amazon][kinokuniya] ※ p01.

『受精卵診断と出生前診断』

国内での受精卵の着床前遺伝子診断(受精卵診断)をめぐる動き(1992−)

1948   優生保護法制定(7月,9月実施)。
1956   羊水穿刺法による性染色質診断開始。
1965   画像診断(単純造影法)開始。
1966   羊水穿刺法による染色体分析開始。
1966   兵庫県,衛生部に「不幸な子を産まない対策室」を開設,「不幸な子ど
     もの生まれない運動」を開始
1967   英国「人工妊娠中絶法(Abortion Act)」制定。西欧諸国の中絶自由化
     に大きな影響を与える。出生前診断が可能に。
1968   羊水穿刺法による酵素分析開始。
1970   胎児鏡 胎児視診開始
1972   羊水穿刺法によるαFP診断開始。
1972   日本脳性麻痺者協会「青い芝の会」,神奈川県での障害児殺害事件に対
     する減刑嘆願運動への批判を開始
1972   兵庫県で羊水検査開始。障害者団体から批判運動が起こる。
     (谷奥克己[1973])
     cf.松永真純 200112 「兵庫県「不幸な子どもの生まれない運動」と障害者の生」
     『大阪人権博物館紀要』5:109-126 →『闘争と遡行・1――於:関西・+』に収録
197205  優生保護法改正案国会上程。
1972   胎児鏡を用いた胎児生検開始。
1972   画像診断(超音波診断法)開始。
197305  優生保護法改正案国会再上程。
1974   胎児鏡を用いた胎児血採取開始。
1974   兵庫県羊水検査中止。
197405  優生保護法改正審議未了廃案。
1975   じゅう毛採取法 染色体分析・酵素分析・DNA分析開始。
1975   フランス,妊娠10週まで女性の中絶の自由を認める
     (出生前診断は1972年に開始されている)
197506  「青い芝の会」神奈川県連合会,胎児診断につき神奈川県知事に要請書
     を提出,反対運動を本格的に始める。→1976年4月,県は胎児診断を
     「子ども医療センターを始め県立病院で行うことを今後中止することを
     確約。
1976   羊水穿刺法によるDNA分析開始。
1976   英国「先天障害防止法(Congenital Disabilities Act)」制定。医師の
     両親に対する義務の不履行のために生まれた子どもが障害児であるとき,
     家族(両親)が医師に対して訴訟を起こすことが可能になる。
1976   米国「国家遺伝病法」制定。これにより胎児診断が普及。
1976   西ドイツ刑法218条改正。「子が遺伝的もしくは出生前の有害な影響のた
     めにその健康状態に除去しえない損傷を被り,その損傷が妊婦に妊娠の
     継続を要求しえないほど重大であると信ずべき有力な根拠があるとき」
     には妊娠中絶が処罰されないことになる。
19811002 渡部昇一「神聖な義務」(『週刊文春』10月2日号)。血友病が予想さ
     れる子を産むべきではないとし,大西巨人・赤人らがこれに反論。
198203  優生保護法改定案国会上程提案。反対運動が起こる。
198303  優生保護法改定案提出見送り。
198311  『ヴァンサンカン』1984年新年特別号に「結婚する前のコンセンサス・
     よい血を残したい」とする記事掲載。→198312
198312  全国障害者解放運動連絡会議,婦人画報社に対して抗議。→198402
198402  婦人画報社全面的に謝罪(1984年2月)。
198607  絨毛診断がすでに国内で実施され,臨床応用が70例に達していることが
     明らかになる。(グループ・女の人権と性[1989:21](年表))
198609  日本産科婦人科学会の「診療・研究に関する倫理委員会」が,パーコー
     ル法による産み分けについての意見書を報告。適用を原則として血友病
     などの伴性劣性遺伝性疾患の予防に限定するなどの内容。
198609  日本医師会の「生命倫理懇談会」が男女産み分けにつき,伴性劣性遺伝
     疾患の予防に限定するとの見解を発表。特例として日本産科婦人科学会
     か大学の倫理委員会が認めた場合には実施を認めるとの臨床応用の道を
     残す。
198611  日本産科婦人科学会
     「パーコールを用いてのXY精子選別法の臨床応用に対する見解」
     を会告として発表。重い伴性劣性遺伝性疾患に限り,実施の登録報告を
     義務づける。(11月)
198711  日本産科婦人科学会
     「先天異常の胎児診断,特に妊娠初期絨毛検査に関する見解」
     を決定。夫婦のいずれかが先天異常の保護因者,伴性劣性遺伝病の保因
     者,前に生まれた子が先天異常児,高齢出産の場合等を対象とし,検査
     についての説明を十分に行なう等の内容。
     『日本産科婦人科学会雑誌』40-1(1988年1月)に掲載。
1988   東北大学医学部小児科多田啓也教授の調査で,先天代謝異常症の胎児診
     断の症例が全国で 260例に達していることがわかる。胎児診断実施の主
     な大学病院15ケ所にアンケート調査した結果で,うち異常と診断された
     のは63例。すべて両親の希望で中絶。羊水診断に加えて絨毛診断も使わ
     れ始めていることがわかる
     (『朝日』19880522→グループ・女の人権と性[1989:27](年表)
198805  東邦大学医学部が,筋ジストロフィーなどの遺伝病の出生前診断に,妊
     婦の胎盤の絨毛組織から遺伝子を取り出して調べる遺伝子診断の実用化
     を,大学内の倫理委員会に申請。本格的な臨床応用をめざすものとして
     は国内で初めての試み
     (『日経』880512→グループ・女の人権と性[1989:26](年表))
198812  東邦大学医学部倫理委員会,申請の出ていたデュシェンヌ型筋ジストロ
     フィーの出生前遺伝子診断を承認。じゅう毛診断を大学の倫理委員会が
     公式に認めたのは日本で初めて。
19960414 優生思想を問うネットワーク
     講演とパネルディスカッション(大阪)
     今こそ語ろう!自己決定って何だ?
     ─優生思想保護法・堕胎罪はいらない??─
     荻野美穂(女性史研究家)・長谷川良夫(全国青い芝の会)
     筒井純子(全障連関西ブロック)
     生越久美子(母子保健法改悪に反対する女たち・大阪連絡会)
19960529 自民党社会部会 優生保護法改正案まとめる
     1.法律名を「母性保護法」に改める
     2.法律の目的から「不良な子孫の出生を防止する」との表現を削除する
     3.「優生手術」を「不妊手術」に改め,要件を母体の生命に危険を及ぼす
     場合や母体の検討度を著しく低下する恐れのある場合に限定する
     4.人工妊娠中絶の要件を身体的または経済的理由により母体の健康を害す
     る恐れのある場合や暴行,脅迫によって妊娠させられた場合に限定する
     など
     『朝日新聞』0530
199606  「母性保護法」成立
19960710 優生思想を問うネットワーク
     「優生保護法改正,「母体保護法」に関する声明及び要望」
19960915 「アジア太平洋障害者の10年」中間年・課題別分科会・第2
     「優生思想を問う分科会 テーマ=出生前診断を考える」
     講演:白井泰子「出生前診断の現状と問題点」
     運営:全国障害者解放運動連絡会議・優生思想を問うネットワーク
19961110 優生思想を問うネットワーク
     連続講座第1回「知らずに受けた優生手術」
     佐々木千津子(全国青い芝の会・広島)
     於:大阪府同和地区総合福祉センター
19961214 優生思想を問うネットワーク
     連続講座第2回
     佐々木和子(京都ダウン症児を育てる親の会)
     於:大阪府同和地区総合福祉センター
19970120 優生思想を問うネットワーク,日本産科婦人科学会と
     着床前診断について話し合い
19970127 斎藤有紀子氏が日本産科婦人科学会・日本産科婦人科学会倫理委員会に対して
     「受精卵着床前遺伝子診断の倫理問題に関する要望書」
199702?? 優生思想を問うネットワーク,日本産科婦人科学会に
     「抗議および要望書」
19970307 DPI女性障害者ネットワークが日本母性保護産婦人科医会に対して
     「胎児条項発案に反対する意見書」
19970330 「日本人類遺伝学会遺伝性疾患胎児の中絶、法規定求める」
      『読売新聞』
19970403 「SOSHIREN 女(わたし)からだから」が日本人類遺伝学会に
     「胎児条項の導入に反対する意見書」
19970403 DPI女性障害者ネットワークが日本人類遺伝学会理事会に対して
     「胎児条項の導入に反対する意見書」◆
19970404 日本脳性マヒ者協会全国青い芝の会が日本人類遺伝学会理事会に対して
     「重い遺伝性疾患の胎児の中絶を容認する「胎児条項」に対する抗議書」◆
19970410 日本人類遺伝学会
     「優生保護法改正に関する理事会声明」
     『読売新聞』報道
19970419 生命倫理研究フォーラム・第7回研究会
      白井泰子「出生前診断の現状と問題点」
19970710 第1回厚生科学審議会先端医療技術評価部会
     議事録
19971003 第2回厚生科学審議会先端医療技術評価部会
     議事録
19971127 第3回厚生科学審議会先端医療技術評価部会
     議事録
19971208 女の管理と優生思想を問う会・「あほう鳥」社
     日本産科婦人科学会診療・研究に関する倫理委員会委員長への「質問書」
19971211 第4回厚生科学審議会先端医療技術評価部会
     議事録
19980129 第5回厚生科学審議会先端医療技術評価部会
     議事録
     出席団体:日本人類遺伝学会/日本臨床遺伝学会/日本弁護士連合会
19980129 日本弁護士連合会の意見書
     厚生科学審議会先端医療技術評価部会「生殖医療に関する意見聴取」の際提出
19980210 玉井真理子→日本弁護士連合会
     厚生科学審議会先端医療技術評価部会に提出された貴会の意見書に対する質問
19980216 第6回厚生科学審議会先端医療技術評価部会
    議事録
     出席団体:社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会/財団法人全国精神
     障害者家族会連合会/社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会/社団法人日本筋ジス
     トロフィー協会/日本ダウン症協会/日本脳性マヒ者協会全国青い芝の会
19980318 第7回厚生科学審議会先端医療技術評価部会
     議事録
19980424 第8回厚生科学審議会先端医療技術評価部会
     議事録
19980521 第9回厚生科学審議会先端医療技術評価部会
     議事録
19980610 日本産科婦人科学会第2回公開討論会
19980622 第10回厚生科学審議会先端医療技術評価部会
     議事録
19980627 日本産科婦人科学会,受精卵の着床前診断を認めることを決定
19980703 SOSHIREN女(わたし)のからだから
     日本産科婦人科学会への抗議文
     『女のからだから』157号(19980728)p.3
19980722 「SOSHIREN女(わたし)のからだから」
     第10回先端医療技術評価部会の論議に対する意見書
     『女のからだから』157号(19980728)p.10
19990620 優生思想を問う連続講座’99 第2回
     「親である」ってなんだろう〜障害児の親として出生前診断を考える〜
19990717 ピア大阪人権講座「出生前診断と障害者の人権」

※特記のない場合は日本についての事項。

※以上は立岩真也が作成しているデータベースから必要な事項を選んだもの。グループ・女の人権と性『アブナイ生殖革命』(1989年,有斐閣)末尾の「知っておきたい基礎知識」(作成:丸山百合子・草野いづみ)「生殖技術関係年表」(作成:草野いづみ)から引用させていただいたデータが最も多い。

◇谷奥 克己  1973 「「羊水検査」実施のねらい――優生保護法「改正」の意図と関連して<不幸な子どもを生まない運動とは>」,
 『臨床心理学研究』11-1:41-57 ※
◇グループ・女の人権と性 編 1989 『アブナイ生殖革命』,
 有斐閣選書792,270p. ※1700

 ※は生存学書庫にあり。


UP: REV: 20130927, 1003, 20150116, 17
出生前診断・選択的中絶  ◇産・生  ◇身体の現代:歴史生命倫理 
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