原子力発電・報道など(2011年4月21日〜25日)
last update:(20110610)
◆浜岡原発「早期に連絡体制」 古田知事、中電副社長と合意
http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20110422/201104220934_13658.shtml
東日本大震災に伴う福島第1原発事故を受け、古田肇知事は21日、県庁で中部電力の阪口正敏副社長と面談、県境から91キロの静岡県御前崎市にある同社浜岡原発について、放射能漏れや火災など異常時の岐阜県に対する通報や平常時の連絡体制を確立するよう申し入れ、阪口副社長は了承した。連絡通報の対象事項や方法を5月にも文書で確認する。
古田知事は面談後、報道陣に「福島のケースを見て、90キロ以上離れていても目配りは必要だと強く感じている。県の思いはきちんと受け止めていただいた」と述べた。阪口副社長は「平時の意見交換する場も、事業を理解していただくにはいい機会」と前向きに進める考えを示した。
同社によると浜岡原発に関し、隣接しない県で連絡通報体制づくりを求めるのは岐阜が初めて。阪口副社長は安全対策として緊急的に原子炉への注水に必要な可搬式ポンプを配備したり、今後、津波による浸水を防ぐ壁や高台に非常用電源装置を設置することを説明。古田知事は「県として検討し、国の議論も見極める必要がある」と慎重に評価する考えを明らかにした。
県境から25〜80キロにある福井県や石川県の原発や研究開発炉など7施設についてはすでに異常時の通報体制を確立しているが、古田知事は5月中に関西電力や北陸電力など4事業者に平常時の連絡体制も整えるよう申し入れ、国にも安全対策に万全を期すよう要望するとした。
◆社民・福島党首、脱原子力で支持訴え 応援で県内入り
http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20110422/CK2011042202000119.html
社民党の福島瑞穂党首が21日、統一地方選後半戦の市議選候補の応援で県内に入り、江南、岩倉、春日井、瀬戸、日進市の社民陣営を回った。
社民党は国会の議席が衆参合わせて10に減り、統一選前半戦の41道府県議選でも20減の30議席と後退した中、地方からの立て直しを図っている。
福島党首は駅前やスーパー前などで応援演説し「社民党は唯一、脱原子力を掲げる政党」「中部電力の浜岡原発は津波対策が不十分で運転を止めるべきだ」などと震災問題に触れつつ「国政に反映させるには、地域から声を上げなければならない」と支持を訴えた。
公認候補の1人は「地元の支持者は激減している。まず自分が当選し、支持層を広げなければ」と話した。
◆チェルノブイリ 原発の悲劇防ぐ教訓に(4月22日)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/287708.html
その町には音がなかった。人々の営みの証しが失われていた。
旧ソ連ウクライナのチェルノブイリ原発の事故から10年後、現場まで数キロの原発従業員の町を訪ねた時のことだ。
4万人余りの住民が逃げ出し廃虚となった何棟ものアパートの窓はすべて割れ、床にはガラスの破片や食器のかけらなどが散乱していた。
放置された遊園地の観覧車は平和な生活と事故後の悲劇との落差を見せつけ、無残だった。
今月26日で事故から25年となる。原発周辺30キロの圏内は今も居住が禁止され、町は捨て置かれたままだ。
同じ光景が日本の福島で再現されつつあることに、戦慄(せんりつ)を覚えざるを得ない。福島原発の周辺20キロの避難指示区域に入った報道関係者らが「無音」を指摘していることは、同様の事態の進行を物語る。
菅直人首相はここを「警戒区域」とし、原則として住民の立ち入りを禁じるよう福島県に指示した。
チェルノブイリの教訓は残念ながら、日本で生かされなかった。
直視しなければならないのは、影響が何十年も残るという原発事故の深刻な事実だ。福島でなお続く放射性物質の漏出を一刻も早く止めるとともに、長期的視野から事故現場と周辺地への対策を練る必要がある。
チェルノブイリでは事故原発をコンクリートで覆って放射性物質を閉じこめた。近年その「石棺」が老朽化し、ひび割れを起こしている。
このためさらに巨大なシェルターで包み込む工事が来年始まる。2015年の完成を目指すという。
膨大な資金が必要なため着工は遅れていたが、事故25年に合わせ、ウクライナの首都キエフで開かれた支援国会合で各国の資金拠出が決まった。福島の事故によって、放射能汚染への懸念が高まったためだ。
福島についても今後、長期にわたって放射性物質を閉じこめ、管理していく態勢が必要となろう。国際社会の協力も得ながら周到な計画を立て、迅速に進めたい。
放射性物質の封じ込めと並行して取り組まなければならないのは、健康被害の防止策だ。チェルノブイリでは周辺の多数の子どもたちが甲状腺がんとなり、事故処理に当たった作業員らにもがん患者が続出した。
福島の事故原発100+ 件による人々の健康被害を最小限とするよう、検診態勢や予防策に万全を期すべきだ。
札幌の市民団体はチェルノブイリ事故の日に合わせ、パネル展や後援会などを計画している。
こうした催しを機にあらためて事故の実態を思い起こし、北電泊原発をはじめ日本各地の原発の安全確保に役立てていきたい。
◆全ト協引越部会が支援へ 「計画的避難」の住民
http://www.weekly-net.co.jp/logistics/post-5993.php
東京電力の福島第1原子力発電所から半径20キロ圏外の5市町村が新たに「計画的避難区域」に設定されたことを受け、全ト協の引越部会(鈴木一末部会長)は支援・協力体制の構築に向けて動き出した。
5市町村の人口は約11万5000人。予定通り「1か月以内」の条件で避難(移動)が実施された場合、引越輸送のプロの協力が必要不可欠になる。鈴木部会長は12日、本紙の取材に対して、「今回の大震災では何か手伝えることがないかと模索していた。近く在京の役員会を開き、具体的な内容を検討したい」と話した。
福島第1原発事故で原子力災害対策特別措置法に基づく計画的避難区域に設定されるのは、福島県葛尾村、浪江町、飯舘村の全域と川俣町、南相馬市の一部。12日現在、政府は「関係自治体の理解が得られ次第、正式に発令。住民には1か月以内をめどに避難するよう求める」としている。
原発事故への対応が長期化する中、住民への健康被害を予防する措置として実施されるものだが、1か月という短期間に、隣接するごく限られたエリアから11万5000人が半ば強制されて移動しなければならないという、前代未聞の事態に追い込まれている。さらに、「計画的避難が必要な期間は数年に及ぶ可能性も否定できない」との指摘もあり、着の身着のままの緊急避難ではなく、本格的な引っ越しとなるケースが多数予測される。
引越部会では大震災発生直後から、「瓦礫に埋もれた家具その他のモノの移動など、車と人で支援できることはないか」と検討していた。今後、該当する各自治体の情報収集に努めながら、具体的な支援体制を構築する。「政府、関係省庁から国交省を通じて正式な要請があるまでは待機することになるが準備を進める。人、車両その他の手配で関ト協(星野良三会長)にも協力をお願いすることになるだろう」と鈴木氏。運賃・料金について「金銭的なことは度外視だ。ただ、部会組織として取り組むからには何らかの基準が必要。全ト協事務局と相談する」と付け加えた。
また、引越部会幹部の1人は、「現地での引越作業では一定の放射線を浴びることになるが、風評被害に負けないよう情報共有化などを徹底して取り組んでいきたい」と話している。
◆影落とす震災/釧路港貿易、輸出落ち込み
http://www.news-kushiro.jp/news/20110422/201104222.html
釧路税関支署が21日発表した釧路港貿易概況(速報値)によると、3月の釧路港の貿易額は魚介類の輸出が大幅に落ち込み、5カ月ぶりに前年同月を下回った。これは中国やタイ向けの冷凍サケの輸出が、東日本大震災以降、完全にストップしているためで、福島第1原発事故による風評被害が波及した格好だ。事故の推移によってはさらなる輸出減も懸念される。
◆根室サンマ、晴れてベトナムへ
http://www.news-kushiro.jp/news/20110422/201104225.html
根室市と、市内経済団体などで組織する市アジア圏輸出促進協議会(会長・長谷川俊輔根室市長)が出荷していたベトナム向けの冷凍サンマが、23日にも釧路から船積みされることになった。同サンマは3月24日に根室市内の水産加工会社から出荷、ベトナムを目指す予定だったが、東日本大震災による福島原発事故で、ベトナム政府が日本産食品のチェック体制を強化していたため、船積みを見合わせていた。
◆原発事故受け6月末まで安全証明書発行 県がEU向けの輸出農産物に
http://www.nagasaki-np.co.jp/kiji/20110422/02.shtml
県は21日、欧州連合(EU)に輸出する本県産の農産物と、県内で最終加工された食品(水産物を除く)や飼料について、安全性を証明する文書の発行を始めた。EUが輸出国に証明書発行を求めたことに対する措置。6月末に輸出する分までの予定。
証明書では、東日本大震災が発生した3月11日より前に収穫、加工されたものであること、または同原発に近い福島県や茨城県など12都県以外の産品であることを県部局長名で証明する。
県がホームページ上や県庁で配布している証明書発行申請書と輸出申請書に必要事項を記入し、収穫日や製造日、産地が確認できる書類や送り状などを添え県に提出する。申請から発行まで2〜5日かかる。
問い合わせや申し込みは、生鮮食品は県農林部農産加工・流通室(電095・895・2997)、加工食品は県企画振興部文化観光物産局販売戦略課(電095・895・2621)。
◆JA福島が東電に抗議 庄篠会長「一刻も早く事故収束を」
http://www.nca.or.jp/shinbun/about.php?aid=2746
JA福島中央会の庄條梭皷長は15日、東京・千代田区の東京電力本社を訪れ、福島第一原発事故に対する農業被害で抗議を行った。庄條会長は「農業者は避難と出荷制限を余儀なくされ、風評被害に見舞われている。心痛は計り知れず、今塗炭の苦しみの中にある」と抗議。これに対し東電の清水正孝社長は「大変なご迷惑を掛け心からおわび申し上げる」と陳謝した。
◆全国農業会議所が自民に被災農業委員会への支援を要請
http://www.nca.or.jp/shinbun/about.php?aid=2753
全国農業会議所は12日、自民党農林部会(宮腰光寛部会長)で、東日本大震災と東電福島第一原発事故に関する要請を行った。要請の柱は、(1)農地などの災害復興(2)農業経営の再開(3)原子力発電所関連被害(4)農業委員会業務への支援の4点。農地基本台帳などが消失した市町村農業委員会の今後の事務処理と再作成費用の支援、農業委員選挙の実施が困難な農業委員会の選挙期日の延長や委員任期の延長も求めた。
◆JAグループが震災復興に向けて1次要請
http://www.nca.or.jp/shinbun/about.php?aid=2751
東日本大震災復興・再建対策JAグループ中央本部は14日、政府・与野党に対し、第1次要請を行った。
内容は、(1)復興・再建に向けた基本方針の早期策定(2)新しい活力ある地域づくりに向けた復興・再建の抜本的対策の構築(3)原発事故災害の早期終息、あらゆる損害・風評被害に対する万全・早期の賠償・補償の実現(4)農業者を含む被災者の生活・経営再建に対する早急かつ万全な復旧対策の措置の4つ。
◆原発避難牛、農水省受け入れ要請 「道内が有力候補」
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/agriculture/287735.html
農林水産省は、福島第1原発から半径20キロの外側に指定される「計画的避難区域」などで飼育されている牛を避難させるため都道府県に受け入れの要請を始めた。政府が22日に同区域を正式発表することを踏まえ、今後1カ月をめどに受け入れ先を決めたい意向。対象は2万頭程度になる見込みで、同省は広大な飼育環境が確保できる「北海道は有力な候補地」とみている。
農水省によると現在、同原発から半径20〜30キロの「屋内退避区域」には、農家340戸が約1万頭の乳牛や肉牛を飼育。計画的避難区域などを加えると2万頭程度に上る。
この地域の農家は、自宅に残って飼育している人のほか、避難先から牛舎に通って餌を与えている人もいる。計画的避難区域が指定されれば、住民は1カ月をめどに避難を始めるよう求められる。
このため同省は都道府県に牛の受け入れを要請。福島県も県内の農業団体を通じ農家に牛を売却するか、一時的に飼育を委託するのかなど意向を聞く。
牛の移動の際には、人の放射性物質の除染基準である10万カウント毎分(cpm)を適用し、数値を超えた牛は除染する。輸送費負担をどうするかは未定だが、同省は「原発事故との因果関係があり、東電に請求すべきもの」(畜産振興課)としている。
◆大日精化が続騰、放射性汚染水の除去に同社のフェロシアン化鉄が使用される
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0422&f=business_0422_058.shtml
大日精化 <4116> が続騰。福島原発事故で放射性物質汚染水の処理が急がれる中、セシウム汚染水浄化に使われるフェロシアン化鉄を手掛けていることが買い材料となっている。
東京工業大学大学院原子炉工学研究所所長で、内閣官房参与の有冨正憲教授(エネルギー工学)らのチームがフェロシアン化鉄を用いて、原子炉から発生する放射性物質のセシウムに汚染された水を浄化する実験に成功したことから、フェロシアン化鉄の国内製造を唯一手掛ける同社株に買いが向かった。今回の実験でも同社が材料を提供した。実験では処理後の水から検出されたセシウム濃度は1万分の1以下となり、ほぼ100%除去できた。(編集担当:山田一)
◆政権の意思決定過程見えず=民主・直嶋正行元経産相?論客に聞く
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201104/2011042100780
民主党の直嶋正行元経済産業相は時事通信のインタビューに応じ、東日本大震災への菅政権の対応について「(会議が多く)意思決定のプロセスが見えない」と指摘した。要旨は次の通り。
?震災の復興基本法案の国会提出が5月の大型連休後にずれ込みそうだ。
基本法はそんなに急いでやらなくていい。それよりも(復興の実行組織の)役割や機能をしっかり議論した方がいい。地元の意向も聞かないといけない。
?復興財源としての増税については。
議論が逆さまだ。五百旗頭(真・復興構想会議議長)さんがなぜ最初の会議で増税の話をしたのか、ふに落ちない。まずどういうことをやるかを議論し、現地のニーズをしっかり聞いて、その上で財源を議論すべきだ。
?消費税増税の話は早いか。
早い。そういうばかなことはしちゃいけない。
?官邸に会議が多いと言われる。
そう思う。誰が責任者かさっぱり分からない。意思決定のプロセスもよく見えない。
?与野党で菅直人首相の退陣論が相次いでいる。
(政権運営に)問題はある。もうちょっと風通しのいいやり方をすべきだ。ただ、こういう震災の時に、国のトップリーダーを代えていいかという判断はまた違う。今出ている退陣論は別の思惑だろう。
?野党にどう協力を求めるか。
震災を乗り越えるには与野党の協力が不可欠だが、大連立は難しい面がある。(首相が)いきなり個別の人に電話して(閣僚)ポストを打診するのは、やり方として非常にまずい。
?福島第1原発の事故について。
安全基準に漏れがあった。地震国として議論を重ねてつくったものだが、こういう事故が起きたのはショックだ。(原発の)絶対的な強さと、危機管理を含めたソフト面での発想が足りなかったかもしれない。
?今回の事故は経産相当時に想定していなかったか。
率直に言って想定していなかった。
?原子力政策は見直すべきか。
仮に原子力(発電)を続けるとしても安全面でもっとしっかりしたものを造らないといけないし、コストも相当掛かる。費用対効果を含め、日本のエネルギーをどう賄うか、もう一度描き出さないといけない。再生可能エネルギーの導入を今より急がなくてはいけない。
直嶋 正行氏(なおしま・まさゆき)神戸大経営卒。党参院幹事長、党政調会長、経産相。参院比例、当選4回。65歳(2011/04/22-09:52)
◆ロビーにあふれる原発作業員 福島のJヴィレッジを取材
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201104220143.html
「第1原発行きのバスが出まーす」。拡声器を通した声がロビーに響く。防護服を着て乗り込む人。すぐ脇の廊下で横になって仮眠する人。壁に張られた予定表や線量に関する注意書き。東京電力福島第1原発事故の対応拠点として、作業員と自衛隊員でごった返す「Jヴィレッジ」(福島県広野町など)を共同通信が取材した。
第1原発から20キロ圏が警戒区域に設定される直前の20日朝、いわき市からJヴィレッジに向かう国道6号は作業着姿の男性たちを乗せたバスやワゴン車で混雑していた。20キロ地点に設けられた警察の検問を通り、Jヴィレッジに入る。
玄関先には、防護服やヘルメット、手袋などが入った段ボール箱がうずたかく積まれていた。1階ロビーに足を踏み入れると、人、人、人。ぶつからないように気を使う。ロビー、廊下には防護服を着たまま疲れて倒れ込んでいる作業員も。こんなに雑然とした中でも、寝息を立てていた。
壁を見ると、第1原発敷地内の放射線量に関する最新情報が。「落下ガレキ 雰囲気20 表面40」「ゾウ周辺 20〜30」。単位はいずれもミリシーベルト。原子炉建屋の周辺、取水口付近…いずれも高い線量だ。
それにしても「ゾウ」とは…。「以前はキリンだったけど、今じゃゾウ、シマウマもあるよ」と、近くの作業員。原子炉建屋に放水する生コン圧送機を、大きさや形に合わせてそう呼んでいるらしい。
Jヴィレッジからは各地に向けて作業員らを運ぶ定期バスが出ている。乗車管理をする人たちの中には東電の女性社員もいた。第1、第2原発に向かうバス、近隣宿舎に帰るバス。東京直行便もあった。中でも、第1原発行きのバスに並ぶ作業員の顔は、心なしかこわばっているよう。
「バスの中では窓を開けない」。ロビーの真ん中に立て看板。移動の際の格好についての記載も。防護服、ゴム手袋、全面マスク、靴カバー。雨の日の外作業はアノラックを着用のこと。
昼食時。3階の講堂は東電社員や作業員の食事場所だ。仕出し弁当やカップ麺を黙々と口に運ぶ。廊下や階段では講堂からあふれた人たちが座って食事をしていた。
施設では多くの自衛隊員が行き交う。がれき除去のために出動した戦車隊の待機所や、横田基地から来た米軍消防車運用チームの控室もあった。
サッカー場の一部は、第1、第2原発への補給施設へと様変わり。作業員の一人は、レトルト食品や電子レンジで温めるパックご飯などが山積みになった補給施設前で「一時より、食事はだいぶ良くなりましたよ」と話した。
【写真説明】作業員でごった返すホテル棟=21日、福島県のJヴィレッジ
◆原発20キロ警戒区域 一時帰宅者続々
http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp0-20110422-764693.html
福島第1原発周辺20キロ圏内が22日午前0時、住民の立ち入りを禁じる「警戒区域」に指定された。21日、菅直人首相が佐藤雄平福島県知事に方針を伝えたことを受けたもので、関係自治体は9市町村にのぼる。
福島県警は警戒区域につながる国道、県道、市町村道計75カ所にバリケードを設置。国道6号など主要幹線道路10カ所には、警察官を24時間配置。検問とパトロールに最大590人を投入する。南部が立ち入り禁止となる南相馬市では、車の通行を妨げるコンクリート製のU字溝などを設置。田村市は警察官が常駐しない道路沿いに看板を設置することも検討している。
指定に伴い、原発周辺住民の一時立ち入りを段階的に始める。被ばく量を少なくするため、立ち入りができるのは1世帯で1人、滞在は最大で2時間程度。第1原発の半径3キロ圏内は対象外で、3キロ圏外でも放射線量が高い地域は対象外。持ち出せる私物は財布や通帳など貴重品など、バッグ1つに収まる程度の必要最低限に限られる。警戒区域内の人口は約7万8000人。一時的に立ち入りが認められる区域の人口は、3キロ圏内の約6000人を除く約7万2000人。
指定後は、強制的に立ち退きや立ち入り禁止が命じられるが、一時帰宅した住民が退去を拒む事態も想定される。罰則規定適用には慎重論があり、そのケースが起きた場合、県警は思いとどまるよう説得する。21日は指定前に自宅から貴重品や着替えを持ち出そうとする住民が、相次いだ。
<警戒区域とは>
災害対策基本法は、人の生命や身体への危険を防止するため特に必要と認められる場合、首相の指示を受け、市町村長が「警戒区域」を設定、防災関係者らを除き区域内への立ち入りを禁止や退去を命じることが出来る(63条)。従わない場合には、10万円以下の罰金または拘留の罰則を適用される可能性も。原子力事故の他、火山災害、風水害などの場合にも設定。
[2011年4月22日8時23分 紙面から]
◆例見ない量で魚介類への影響深刻/教授の目
http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp0-20110422-764699.html
東京電力は21日、福島第1原発2号機の取水口付近から海に流出した高濃度の放射性物質を含む汚染水の総量は520トンで、含まれる放射性物質は5000テラベクレル(テラは兆)に上るとの推計を発表した。
<榎田洋一教授の目>
5000テラベクレルという値は、平常時に比べてケタ違いに大きなもので、原発関係施設から海に流れ出た放射性物質の量としては世界でも例を見ないほどだ。
大気への放出量(推定37万〜63万テラベクレル)よりは少ないと思うかもしれないが、放出場所が岸に近いこと、大気中から海に沈降した量も考えれば、魚や貝類、海草などに与える影響は深刻なものになるだろう。
2号機の取水口付近からの流出が発見されたのは、たまたま作業員が気付いたからだ。他ルートから漏出している可能性もゼロではなく、東電はもう1度、取水口付近や、岸壁から汚染水が海に流れ出ていないかを総点検し、「絶対ない」と保証しなければならない。また今後、海洋資源への影響を精密に測定して、しっかりと公表していくということが重要だ。(名古屋大大学院マテリアル理工学専攻)
[2011年4月22日8時25分 紙面から]
◆菅首相「無視するんですか」怒声にオロオロ
http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp0-20110422-764691.html
菅直人首相(64)が21日、福島第1原発事故の影響で避難した住民が暮らす福島県田村市の避難所を視察した際、一部住民の前を素通りで帰ろうとし、「無視するんですか」ととがめられる場面があった。菅首相は、涙ながらに訴える住民に「ごめんなさい」と謝罪し、立ったまま話を聞いた。震災後の視察は4度目だが、福島県の避難所を訪れたのは初めてで、「今ごろ来ても遅い」との批判も出た。滞在時間も訪問先も事前に決められた、形だけの視察の実態が露呈した。
「もう帰るんですか!」「私たちのことを無視するんですか」。福島第1原発事故を受け、福島県大熊町から避難した住民が暮らす同県田村市の総合体育館。決められた日程を終え、次に視察する同県郡山市に向かうため出口に向かっていた菅首相を、怒号が呼び止めた。同県葛尾村から避難している夫妻だった。
「ごめんなさい。そんなつもりはありませんでした」「(いることを)知らなかったものですから」。菅首相は不意を突かれて歩み寄ったが、男性は「総理が来るというので待っていたのに、通り過ぎるのか」と畳みかけた。この時、時間的な問題から官邸側にあらかじめ声を掛ける住民を指定されていた菅首相は、出口付近にいた夫妻らには声も掛けず、素通りしようとしていた。男性の妻は「私たちも避難民です。無視される気持ちが分かりますか」「信用できるものもできなくなる」と、涙ながらに訴えた。菅首相は、うろたえた表情で「すみません」「どうですか」と話しかけたが、終始立ち話だった。
夫妻は「みんな、先の見えない不安を抱えながらやっている」「内閣はいろいろ言っているが、その人たちをここに連れてきて生活してみてください」と、長期間に及ぶ避難生活の不満をぶつけた。「もう、限界だ」と訴える男性に、菅首相は「全力でやります」と頭を下げるしかなかった。別の男性にも「私たちは我慢している。もっとリーダーシップを取り、早めに収束させてほしい」と、訴えを受けた。
東日本大震災発生後、4度目の視察だが、原発事故で被害を受けた福島県にある避難所の訪問は後回しにされ、この日が初めて。滞在予定は5時間余りで、分刻みで日程が組まれていた。帰り間際に怒号を受け、滞在は約1時間延びたが、現実は駆け足視察。「今ごろ来ても遅い」と批判も上がった。避難所訪問に先立ち、菅首相は福島県庁で佐藤雄平知事と会談したが、こちらも滞在は35分。「ご苦労をおかけします」と一礼した首相と対照的に、佐藤知事は硬い表情で会釈しただけだった。
[2011年4月22日8時21分 紙面から]
◆米NRC:5月12日に原発の安全性検証について会合−ヤツコ委員長
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920008&sid=asohjUAQ2iOg
4月21日(ブルームバーグ):米原子力規制委員会(NRC)は、5月12日に会合を開き、福島第一原子力発電所の事故を契機にした米国の原発の安全性検証について検討する。同委員会のヤツコ委員長が明らかにした。
同委員長によると、会合は公開とし、NRCの5人の委員は職員から期間90日間の検証作業に関して進展状況の説明を受け、担当者が「適切な方法でアプローチしているか、作業は正しい方向に進んでいるか」を判断する。21日、ボルティモアの米ジョンズ・ホプキンズ大学でのインタビューで語った。
ヤツコ委員長は今月12日の上院の公聴会で、福島第一原発の状況は「こう着状態」にあり、まだ「安定と呼べる段階ではない」との見解を示していたが、ここ1週間でその見方はほとんど変わっていないと説明した。
◆原発事故の影響 足元にある危険、直視を
http://www.sakigake.jp/p/editorial/news.jsp?kc=20110422az
福島第1原発の事故は、複数の原発が並行して重大な事故を起こすという世界でも前例のない出来事である。未曽有のマグニチュードを記録した地震と津波災害の上に、政府と東京電力による後手後手の対応が重なって事態は悪化、もはや人災レベルに達したと言わざるを得ない。地元で暮らす人々の不安と恐怖はどれほどだろう。
今回の原発事故では県境を越えて影響が及ぶことが浮き彫りになった。まず茨城県内のホウレンソウから暫定基準値を超す放射性物質が検出された。原発の汚染水が太平洋に放出され、北茨城市の近海のコウナゴからも暫定基準値を超す放射性物質が検出された。福島県で水揚げされたコウナゴについては政府が出荷停止措置を発動した。
東京電力は事故収束に向けて工程表を発表、原子炉の安定に最大9カ月程度かかるとの見通しを示した。しかし放射性物質の放出が現在も続いている事実は深刻だ。大気中に長期間放出され続ければ、相当の量に達することは必至である。
国は福島原発事故を、史上最悪となった1986年の旧ソ連チェルノブイリ事故に匹敵する「レベル7」と評価。放射性物質の放出量はチェルノブイリの1割程度とした。福島原発事故の発生から1カ月余。その量は既に79年の米スリーマイルアイランド事故を大きく上回る。チェルノブイリの1割だからといって安心するのは早計だ。
放射性物質の拡散は風向きなどの気象条件や地形に左右される。大爆発を起こしたチェルノブイリ事故で約8千キロ離れた日本にも放射性物質が到達した事実を忘れてはならない。一般の産業事故であれば被害は局地にとどまろう。しかし原発が制御不能となって大爆発を起こした場合、その影響は国内だけにとどまらない可能性がある。それが原発事故特有の恐ろしさだ。
福島原発と本県の県庁所在地・秋田市との距離は約270キロ。青森県の下北半島の付け根にある六ケ所村・核燃料再処理施設から秋田市までは約170キロだ。再処理施設には2800トン余りの使用済み核燃料が保管されている。やや北には東通原発があり、下北半島の先端には大間原発が建設中だ。
地形学者らは再処理施設の直下に活断層が存在する可能性を指摘する。大間原発でも、周辺の津軽海峡の底に長大な活断層がある可能性が否定できないとしている。福島原発の事故は、本県にとっても極めて身近な問題なのだ。
チェルノブイリ事故当時の86年、国内の商業用原発は三十数基だったが、現在は54基にまで増えた。原発に依存しなければ、われわれの日常生活は本当に成り立たないのか。巨大地震で明らかになった原発の持つリスクを、今後も引き受け続けるのか。足元にある危険をいま一度直視し、その存在を問い直すべき時である。
◆鹿児島在住の福島出身者、被災者支援の会結成
http://kyushu.yomiuri.co.jp/local/kagoshima/20110422-OYS1T00246.htm
故郷の人たちの力になりたい――。県内在住の福島県出身者が、東日本大震災の被災者を支援する「うつくしま、福島の会(仮称)」を結成した。東京電力福島第一原子力発電所の事故で、避難生活の長期化が懸念される中、同会は「安心して鹿児島へ避難してもらうための“縁”になりたい」と話している。
発起人は、霧島市でホテルを経営する諏訪園厚子さん(57)、同市の印刷会社社長斉藤武夫さん(56)、同市の看護師目黒静子さん(27)。3人は福島第一原発がある福島県双葉町や、隣接する浪江町出身で、いずれも双葉高校を卒業した。
会の結成は、斉藤さんが「福島出身者として、何かできることがあるのでは」と諏訪園さんに協力を呼びかけたことがきっかけで、目黒さんも賛同した。
同会では、被災した家族や子どもらの一時移住の受け入れや就労支援のほか、各自治体と避難者をつなぐ役割などを担い、生活のサポートを行っていく。
20日に県庁で開いた記者会見で、諏訪園さんは「鹿児島にも福島県出身者がいて、親身に支援ができるということを分かってもらえれば。県人会のような集まりにしたい」と話し、すでに福島から避難してきている人も連絡してほしいと呼びかけた。
会によると、これまでに親戚を頼って県内へ避難してきた2人から相談が寄せられているほか、県内在住の福島県出身者などから「何か手伝いができれば」「住宅を提供したい」との申し出を受けているという。
問い合わせは「ホテル セントラルイン国分」の諏訪園さん(0995・47・5588)へ。
(2011年4月22日 読売新聞)
◆計画的避難、3千世帯の1万人対象 5市町村で実施
http://www.asahi.com/politics/update/0422/TKY201104220102.html
枝野幸男官房長官は22日午前の記者会見で、福島第一原発から半径20キロ圏外の避難計画を発表した。震災発生から1年間の累積放射線量が20ミリシーベルトを超えそうな福島県の5市町村にある地域を「計画的避難区域」に指定し、5月末までに住民を避難させる。約3千世帯の計約1万人が対象となる。
対象地域は、飯舘村の全域(対象住民約1700世帯、約6200人)と川俣町の一部(同約300世帯、約1200人)のほか、20キロ圏内をのぞく浪江町(同約500世帯、約1500人)と葛尾村(村人口約500世帯、約1600人)の全域。さらに21日まで対象外の方向で調整していた南相馬市は飯舘村と浪江町に隣接する森林地区(対象住民7世帯、10人)だけ含めることにした。
ほとんどの区域住民が新たな計画避難を迫られる飯舘村と川俣町には現地政府対策室を設置。総務、厚生労働、農林水産、経済産業の各省から計8人を派遣して常駐させる。
一方で、20?30キロ圏内などで計画的避難区域から外れる地域の大部分を「緊急時避難準備区域」に指定した。広野町の全域と、南相馬市、田村市の一部、楢葉町、川内村の20キロ圏内をのぞく全域で、約2万4千世帯の6万7千人近くが対象になるとみられる。政権は放射性物質の大量放出などに備え、圏外避難などを準備しておくよう求めた。
菅直人首相は22日、原子力災害対策特別措置法に基づいて20?30キロ圏内に出していた屋内退避指示の解除と、計画的避難区域と緊急時避難準備区域の設定を福島県知事や関係市町村長に指示した。
計画避難期間は22日から始まった。枝野氏は終了時期について「5月下旬がめどになる」と語った。今後、放射性物質のモニタリング結果に基づいて両区域の見直しを行う方向だ。枝野氏は避難期間について、東京電力が示した収束見通しを取り上げ「6カ月から9カ月先の段階で環境モニタリングのデータを集積、分析して見直しを行う」と述べた。
◆被災企業の拠点 道内に 道が移転相談窓口 生産、研究を支援
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/economic/287726.html
道は21日、東日本大震災の影響で業務や生産、研究活動が滞っている首都圏や東北の企業を対象に、道内移転などの相談に応じる専用窓口を、道庁内と道東京事務所の2カ所に開設した。拠点を一時的にでも道内に移し、企業活動を正常化してもらうことが狙いで、企業への働きかけも行っていく。
首都圏や東北では、工場が被災して生産ができなくなったり、福島第1原発事故による節電の影響で思うように研究ができなかったりする企業が相次いでいる。
例えば、バイオ研究の企業では、室温や湿度を24時間一定に保ち菌を培養するが、節電で研究の継続に不安が大きい。道内移転を希望する場合、道は北大など研究機関の設備を使ってもらう形で対応したい考えで、移転環境が整っていることをアピールする。
また、工場の移転を検討している企業に対しては、苫小牧東部地域など北海道ならではの広大で安価な敷地を持つ工業用地の情報を提供していく。
さらに従業員と家族が一緒に転居することも考慮し、住宅のほか、周辺の病院、学校などの生活情報も併せて示す。
既に道にはIT企業を中心に数件の相談が来ており、関心を示している企業もあるという。
◆泊原発の非常用発電機増設 北電 台数、時期は今後検討
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/287719.html
東日本大震災の余震で、東北電力東通(ひがしどおり)原発1号機(青森県東通村)で非常用発電機がすべて使えなくなった問題を受け、北海道電力は21日、泊原発(後志管内泊村)の非常用発電機を増やす方針を明らかにした。導入台数と時期は今後検討する。
7日の余震により、東通原発1号機では外部電源が一時途絶えて非常用発電機1台が稼働したが、外部電源復旧後にその発電機も使えなくなり、点検中の2台を含め、非常用の3台すべてが使えない状態になった。
これを踏まえ、経済産業省原子力安全・保安院は電力各社に、各原発100+ 件の保安規定の変更を指示。従来の保安規定では、運転中の原発は2台、定期検査中など冷温停止・燃料交換状態の原発は1台、非常用発電機を確保するよう義務付けていた。保安規定変更後は、常時2台以上を使えるようにしなければならない。北電は21日、保安規定の変更を保安院に認可申請した。
泊原発1〜3号機には、原子炉格納容器に隣接する建屋内に各2台ずつ非常用発電機を設置しているが、定期検査中は非常用発電機も点検するため、1台しか使えなかった。
非常用発電機は複数の原子炉に共用してもよいため、保安規定変更後は最低で1台の新設が必要となる。北電は、設置場所や発電能力などを踏まえて導入台数を決める。
北電が現在設置している非常用発電機は、6台すべてが軽油を燃料にするディーゼル式で発電能力は4740〜5600キロワット。新たに導入する発電機は、冷却水が不要のガスタービン式の可能性もあるという。
◆2号機流出の汚染水放射性物質規定の2万倍
http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp0-20110422-764697.html
東京電力は21日、福島第1原発2号機の取水口付近から海に流出した高濃度の放射性物質を含む汚染水の総量は520トンで、含まれる放射性物質は5000テラベクレル(テラは兆)に上るとの推計を発表した。
ヨウ素131、セシウム134と137が4700テラベクレルで、他の放射性物質を加えると5000テラベクレル。同原発の保安規定で定める1年間に外部に放出してよい放射性物質量の2万倍に相当。4日から10日にかけ、意図的に海に放出した低濃度汚染水に含まれていた量の3万倍に当たる放射性物質が海に垂れ流されていたことになる。
汚染水は今月2日に流出を確認し、特殊な薬剤を地下に注入して6日に止水した。東電は1日から6日までに毎時4・3トンが流出していたと想定。ただ近くの海域では先月末から高濃度の放射性物質を検出。別のルートで流出した恐れもあり、流出量は推計より多い可能性がある。東電では「ただちに人体に影響はない。魚介類などの採取と分析を進めたい」としている。
また東電の松本純一原子力・立地本部長代理は20日深夜の会見で、1号機で燃料溶融が起きた可能性があることを認めた。原子力安全・保安院はすでに、燃料のペレットが溶融して深刻な損傷が起こったとの推定を原子力安全委員会に報告している。
◆原発6キロ地区に入り娘を捜す父/ルポ
http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp0-20110422-764702.html
政府から「警戒区域」に指定された福島第1原発周辺のがれきの中を歩き回った男性がいた。神奈川県横須賀市に住む白川司さん(51)で、21日、日刊スポーツの取材に応じ、現地での様子を語った。
今月9日から1週間、同原発から北約6キロの浪江町請戸地区に単身で入っていた。3月11日の東日本大震災以来、行方の分からない長女(25)を捜すためだった。長女は震災当日、車を運転していて請戸小付近で津波に襲われた趣旨のメールを夫に出した後、連絡が取れなくなった。
白川さん 娘の夫が勤めていた会社や県警にも問い合わせた。でも、何も分からない。もう、私が行くしかないじゃないですか。
いわき市の知人から「簡単に入れそうな道がある」と山道を教えてもらった。知人も原発から20キロ圏内に入ったことはなく、警察の検問や放射能レベルの情報は持っていなかった。
白川さん 道幅も狭くて、陥没した大きな穴もあって大変だった。県警の検問もあったけど、娘を捜していることを告げたら、通してくれて、翌日から「気を付けて」と声を掛けてもらえた。情を感じた。
10日から15日までの6日間、1日2時間と決めて、長女の車を捜した。がれきの中には漁船やひっくり返った家もあったが、遺体は1体も見つからなかった。
白川さん この地区はすべて海水浴場で砂浜。遺体はすべて海に引き込まれたと思う。鳥も虫もいない。自分の靴音と風が鳴るだけ。荒野という言葉はここのことだと思った。
長女の車は見つけられなかった。活性炭入りのマスク、帽子、ビニール製のカッパも着込んだが、最後の2日は帽子もマスクも外した。いわき市内の避難所で放射線量のスクリーニング検査をしたが、11日は200マイクロシーベルト、15日は800マイクロシーベルトで「除染の必要なし」といわれたという。
白川さん 入ろうと思えばどこからでも入れる。泥棒らしき男も5人見た。自転車にサンダル姿でがれきを物色していた。放射能に汚染されているのだろうか。私は異常なしといわれた。専門家を入れてちゃんと調査してほしい。私が献体してもいいし、菅首相を案内してもいい。
最後に「これは無謀だと分かっている。でも娘を捜したくない親はいない」とつぶやいた。【寺沢卓】
◆定期健康診断を延期 JCO事故後から近隣住民実施 /茨城
http://mainichi.jp/area/ibaraki/news/20110422ddlk08040132000c.html
◇県、スタッフ不足で
東海村で1999年9月に起きたジェー・シー・オー(JCO)臨界事故後、県が近隣住民らを対象に毎年4月に実施してきた健康診断が今年は延期されることになった。県保健予防課は「東日本大震災の影響で、放射線専門医などスタッフの確保が難しい」とし、態勢が整い次第早期に行う方針を示した。
同課によると、東京電力福島第1原発事故への対応に伴い、放射線専門医を派遣する放射線医学総合研究所(千葉市)から派遣が難しいとの連絡が県にあったうえ、臨床心理士などスタッフの確保も難しい状況が続いているという。健康診断は例年、250人ほどが受診しているといい、県はすでに対象者に延期することを伝えた。同課は「早く検査を受けたい人は、市町村などが実施する特定検診を受診してほしい」と呼びかけている。【大久保陽一】
◆東電社長、知事に直接謝罪=福島原発事故後初めて
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201104/2011042200058
東京電力の清水正孝社長は22日午前、福島県庁に佐藤雄平知事を訪ね、福島第1原発の放射能漏れ事故について「大変なご迷惑をお掛けしていることを深くおわびする」と謝罪した。事故後、清水社長が知事と面会したのは初めて。
佐藤知事は「以前から(事故について)陳謝しているが、もっと心のこもった陳謝があるのではないか。(事故原因について)『想定外』と言っているが、聞きたくない」と強い口調で批判。「残念ながら(東電への)信頼は失ってしまった」と述べた。
原発事故で避難している住民について「着の身着のまま避難してきて毎日の生活にも困っていることを分かっているのか」と声を詰まらせながら話し、「損害賠償はしっかりやってもらいたい」と求めた。
清水社長は11日にも県庁に佐藤知事を訪ねたが、不在で会えなかった。佐藤知事は「当日朝に(面会を求める)電話が来た。大変失礼だ」と不快感を示した。
佐藤知事は、福島第1原発5、6号機と福島第2原発の再稼働について「安全安心でない原子力発電の稼働は今の段階では考えられない」と認めない方針を明言した。
会談後、清水社長は記者団に「現時点で(再稼働に)言及できる段階ではない」と述べた。午後には、原発から20キロ圏内の富岡町の住民らが避難している郡山市の避難所を訪問し、初めて原発周辺の住民に直接謝罪する。(2011/04/22-13:02)
◆福島・南相馬の被災者175人、一時帰宅終えて再び片品へ /群馬
http://mainichi.jp/area/gunma/news/20110422ddlk10040077000c.html
東日本大震災で片品村に避難している福島県南相馬市の被災者が21日、1泊2日の一時帰宅を終え、バス4台で同村に戻った。自宅から夏用の衣服などを持ち帰り、避難先の旅館に向かった。
一時帰宅したのは避難者約630人のうち175人。福島第1原発から20〜30キロ圏内にある同市原町区の自宅に一時帰宅した佐竹史朗さん(83)は夏に備えて薄手の服をビニールバッグに詰め込んで戻り、「避難した時に比べ古里に人が増えていたが、安全が確保されるまで片品にいたい」と話した。【塩田彩】
◆JAグループ、農産物被害5億円超 賠償請求へ協議会 /群馬
http://mainichi.jp/area/gunma/news/20110422ddlk10040066000c.html
JAグループ群馬は21日、東京電力福島第1原発事故で受けた農畜産物被害を巡り、一括して損害賠償請求を行うための協議会を設立した。県内ではホウレンソウとカキナから暫定規制値を超える放射性物質が検出され、約20日間にわたり出荷制限された。協議会の試算によると、被害額は少なくとも5億3000万円に上るとみられる。
協議会は、県内各JAや畜産協会など28団体で構成。原発事故で飛散した放射性物質による農畜産物の出荷停止や風評被害、土壌汚染などによる損害額を取りまとめる。
協議会が農家に行った聞き取り調査によると、何らかの被害を受けたホウレンソウとカキナ農家は1300戸以上とみられ、ホウレンソウは少なくとも5億円、カキナは3000〜5000万円の被害を受けた。
協議会は5月20日までに県内の被害額をまとめ、上部組織の全国協議会が東電に賠償請求する。また、政府にも責任があるとして、国にも補償金の支払いを求めていくという。
協議会長を務めるJA群馬中央会の奥木功男会長は設立総会で「原発事故で、県内の農家に甚大な被害が出ている。東電はしっかりと賠償してほしい」と述べた。【鳥井真平】
◆原発事故、県内企業の4割「海外取引に影響」
http://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/0003987479.shtml
福島第1原発事故による放射性物質の漏出をめぐり、兵庫県内の商社など4割強が「海外との取引に影響を受けている」と回答したことが21日、神戸貿易協会(神戸市中央区)の緊急アンケートで分かった。海外で日本製品の輸入規制が相次ぐ中、取引中止に直面したり、国ごとに異なる規制内容への対応に追われたりするなど、貿易業務に深刻な影響が出ていることが浮き彫りになった。(石沢菜々子)
調査は3月末から4月15日にかけて、商社や運輸・港湾の会員企業246社に実施。68社(27・6%)が回答した。
東日本大震災の影響について「かなりある」と回答した企業が20社(29%)。「ある」とした36社(53%)を合わせると、影響を受けた企業は8割超に達した。
このうち、原発事故を原因に挙げる企業が商社を中心に30社あった。「放射線安全証明書などを要求された」(12社、複数回答)とした企業が最も多く、「輸出契約をキャンセルされた」「工業製品にまで証明書を要求された」「輸出契約が無期限延期に」などの回答もあった。
行政への要望については「日本の食品の安全性を海外に訴え、輸入規制国と積極的に対話するべき」などの声が続出。
同協会は「輸出への影響は今後さらに出てくるだろう。国は速やかに風評被害への対策をとるべきだ」としている。
◆キャンセル3万5千人超 志摩の宿泊、レジャー施設
http://www.chunichi.co.jp/article/mie/20110422/CK2011042202000112.html
東日本大震災後、志摩市内の宿泊施設やレジャー施設で、予約のキャンセルが合わせて3万5000人以上に上ることが分かった。市が21日の市議会臨時会で明らかにした。
市観光協会が実施したアンケートによると、8日までに回答のあった80宿泊施設で、3月11日の震災発生後から5月末までの予約のキャンセルは計3万3380人あった。レジャー施設8カ所でも2168人のキャンセルがあり、宿泊との合計は3万5548人となった。
市商工観光部は「特に中国、台湾、韓国など外国からの旅行がほとんどキャンセルとなっていて、原発事故の影響が大きい。ゴールデンウイークも厳しいと思うが、直前に予約が入る可能性に期待したい」と話している。 (飯田竜司)
◆原発の元従業員「沖縄から生きる勇気」
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-04-22_16908/
東日本大震災の発生当時、福島第1原発5、6号炉の中央制御室で働いていた女性(31)が16日から21日まで、那覇市の宿泊先に一時避難している。女性は東京電力の下請け会社の派遣労働者。震災後は避難区域内にある自宅にも戻れず避難所を転々とし、職場も解雇され、今後の生活に不安が募る。取材に応じた女性は「希望を捨てずに生きていきたい」と言葉少なに語った。
地震発生当時、女性は20人以上の東電職員や下請け業者の社員と共に、中央制御室にいた。下請け会社に派遣社員として働いて1年半余り。主に計器の確認や放射能を測定する検査係の補助をしていた。
「まさかこんな大きな地震が起きるなんて想像もしていなかった。避難訓練をしたこともなかった」。女性は地震直後、約2キロ離れた会社事務所へ走って避難した。道路には亀裂が入り、地盤沈下がいたるところにある状態。夜になって家に帰ったが、一夜明けて津波の被害を知り、街の変わりようにあぜんとした。
女性は「会社からは原発の見通しが付かないので解雇すると言われた。住む所も職場も奪われ、先が見えない」とうつむく。
女性の母親や兄弟ら計6人も山形県の宿泊先に避難している。女性は沖縄に来るまで3カ所の避難所を転々とした。避難生活にも限界がある。
「沖縄で出会った人たちから生きる勇気をもらった。支援を申し出る人もいた。一日も早く家に戻りたいが、無理なら家族みんなで沖縄に住むことも考えてみたい」と静かに語った。
◆「原発憎めない」 金沢に避難の松村さん
http://www.hokkoku.co.jp/subpage/H20110422101.htm
福島第1原発から10キロの福島県浪江町で被災し、金沢市に避難してきた松村美穂さ ん(25)は21日、故郷が立ち入り禁止の「警戒区域」に指定されることを知り、肩を 落とした。甚大な被害を与えている同原発だが、東日本大震災が発生するまでは浪江町に 豊かさをもたらしてきたのも事実。松村さんは「原発を憎むに憎めない」と複雑な心境を 語り、戻れないふるさとに思いをはせた。
松村さんは震災の翌朝、着の身着のまま浪江町の自宅を飛び出して以来、一度も帰って いない。家族とともに新潟県内の避難所に身を寄せた後、義弟の姉を頼って、今月4日に 金沢へ移ってきた。母と妹2人、おいの5人で大桑町の市営住宅に住んでいる。父は「で きるだけ故郷に近い場所にいたい」と、福島県相馬市の兄夫婦の家にいる。
21日には、屋内退避区域である南相馬市に住む交際相手(24)が、車で7時間かけ て会いにやってきた。顔を合わせるのは1カ月ぶりだ。この時ばかりは笑顔を取り戻した 松村さんだが、将来を思うと不安になる。
勤めていた会社は被災を免れたが、自宅が被災して通うことができなくなった松村さん は、休業を余儀なくされた。貯金を切り崩しての生活が続く。金沢で一時的でも仕事を探 そうとハローワークに相談したが、実家から持ってきた車は1台しかなく、通勤に使えな いため選択肢は狭まる。浪江町に車を取りに帰りたいという一番の希望がかなう日は、警 戒区域指定で遠ざかった。
松村さんは「政府は事故の収拾に6〜9カ月というけど、どうせ延びるに決まっている 」とみる。たとえ原発が落ち着いても、再び故郷に住めるようになるかどうかは分からな い。「もう諦めるしかないのかな。こんなことになるなんて想像もしていなかった」と、 松村さんは伏し目がちに話した。
ただ、父親をはじめ、地元の人々の多くは原発関連の仕事で生活を支えてきた。現在、 福島原発の内部で復旧作業にあたる親戚や友人もいる。「私たちにとって原発は決して敵 ではない。早く元に戻ってと願うしかない」。松村さんは、生まれ育った「原発の町」に 帰れる日を待っている。
◆樋口健二氏「原発は差別の上に成立」
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-04-22_16922/
「原発事故を沖縄から考える」と題した講演会(主催・沖縄国際大学学生自治会)が18日、同大であり、原発被害の実態や公害問題を取材し続けている写真家、樋口健二氏(74)が「原発は差別の上に成り立っている。現場で働く下請け労働者の現状を知ってほしい」と述べ、脱原発・反原発を訴えた。
講演で樋口氏は、原発内で働く労働者の現状や被ばくした労働者の写真などを紹介しながら「国は、安全、クリーン、平和利用と原発の安全神話をあおり、国民を洗脳してきた」と強調。国や東京電力の福島第1原発事故の対応については「これまでの地震や原発事故など、国や東電は歴史から何も学んでいない」と怒りをあらわにした。さらに、原発内では通常の作業で多くの労働者が被ばくをしていると指摘した。
参加した被災者支援沖国ネットワーク代表の西本真梨さん(21)は「犠牲になるのは原発の労働者と放射能の不安にさらされる住民たちだと知った。地球温暖化で原発は必要だと思っていたが、本当に必要なのかを考えなければならない」と話した。
◆原発事故影響で風評被害の農家支援 新宿でキャンペーン /東京
http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20110422ddlk13040245000c.html
◇JA東京グループ
福島第1原発事故の影響で、風評被害に悩む農家を支援しようと、都、全国農業協同組合連合会(全農)やJA東京グループが協力して21日、「支えあい、ともに乗りこえよう! 被災産地農畜産物応援キャンペーン」を新宿駅西口で開いた。福島や茨城など6県の農産物が並び、買い物客らが購入していた。27日にも正午から午後4時まで開催される。
今回の対象は、福島▽茨城▽栃木▽群馬▽千葉▽埼玉の6県で栽培されたイチゴやホウレンソウ、ピーマンなど11品目。都産業労働局によると、いずれも出荷規制されていない安全な農産品という。全農の担当者は「原発の影響でどうしても敬遠されるが、皆さんに食べてもらい、本来の流通に戻していきたい」と語った。立ち寄った渋谷区の主婦(55)は「農家をなるべく応援しようと、普段からスーパーでも買っている。また機会があったら買いたい」と話していた。【田村彰子】
◆環境センターで放射性セシウム 県が検出 /青森
http://mainichi.jp/area/aomori/news/20110422ddlk02040170000c.html
県は21日、県環境保健センター(青森市)で、大気中の降下物から微量の放射性セシウムを検出したと発表した。東京電力福島第1原発事故の影響とみられるが、県は「健康に影響を与えるものではない」としている。
2月28日〜3月末の約1カ月間に採取したちりや雨水などから検出された。放射性セシウム134(半減期2年)が1平方メートル当たり0・12ベクレル、セシウム137(同30年)が同0・097ベクレル。放射性ヨウ素131も同1・0ベクレル検出された。また六ケ所村でも0・3ベクレルずつ検出された。
微量の放射性セシウムは、同じ時期の降下物を採取した東通村の東通原発付近でも、それぞれ0・2ベクレルずつ検出されている。【矢澤秀範】
◆検視や原発対応の防御服などで220億 補正予算で警察庁
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110422/dst11042210480024-n1.htm
22日に閣議決定された平成23年度の第1次補正予算案で、警察庁は検視やDNA型鑑定用の試薬、福島第1原発付近で活動する警察官の防護服の購入費用など、総額で約220億円を計上した。
検視、DNA型鑑定関連には約26億円を盛り込んでおり、約2万人分の遺体に対応できるという。また、津波の被害を受けた警察署の仮庁舎建設や警察車両の補充などに約76億円を充てる。
◆外国人観光客呼び戻そうと質問会 香港の報道関係者に /北海道
http://mainichi.jp/hokkaido/seikei/news/20110422ddlk01040255000c.html
東日本大震災後に激減した外国人観光客を呼び戻そうと、香港の報道関係者に道内を案内するツアーが開かれ、21日は新千歳空港で日本側への質問会があった。
ツアーは香港の大手旅行会社が企画し、新聞やテレビ、雑誌などの約20人が参加した。北海道運輸局や道、北海道観光振興機構などの担当者が質問会に出席し、道内経済への影響や今後の観光プロモーション方法などを説明。「福島第1原発事故による放射線量のデータを、どのように発信していくか」との質問には、道の担当者が「1日3回測定しホームページに掲載している」と答えていた。
同機構によると、昨年度上半期の香港からの観光客は4万7500人だったが、現在は「ほとんどゼロ」。北海道運輸局の城賢次国際観光課長は「北海道は安全で、普通の生活を送っているということを、香港で伝えてほしい」と訴えた。【今井美津子】
◆「脱原発」の国民投票を呼びかけ 札幌の弁護士ら
http://www.asahi.com/national/update/0422/TKY201104220132.html
札幌弁護士会の市川守弘弁護士らが呼びかけ人になり、「脱原発の国民投票をめざす請願運動」を始めた。原発の増設・新設の禁止や、既存原発の段階的廃止についての国民投票実施を国会に求めていく。
環境問題や自然保護に取り組んできた市川氏らは、今回の福島第一原発の事故で原発の「安全神話」が崩れたとして、「国内には浜岡原発をはじめ多くの原発が地震と津波の危険にさらされている」と指摘。「国民が原発について十分に討議し、意思表示してこなかったことが、今回の事故原因の一端になっているのでは」と問いかけている。
市川氏らの案では投票権者は18歳以上の日本国民とし、投票期日は、福島第一原発のすべての原子炉が冷温停止状態に入った後、なるべく早い期日としている。
請願署名の連絡・問い合わせ先は東京都文京区大塚5の6の15の401、保田・河内法律事務所内、脱原発の国民投票をめざす会(03・5978・3784)へ。
◆放射線量、有事の基準値設定を
http://www.yakuji.co.jp/entry22845.html
福島第一原発事故で東京電力は、安定的な「冷温停止状態」にするまで、6〜9カ月程度かかる見通しを示した。その工程表に対して、作業の遅れを心配する専門家の声も聞かれるが、一日も早い収束を願うのは万人の思いだ。
原発事故での放射性物質の拡散による人体への影響が懸念されるが、巷ではベクレルやシーベルトの単位が氾濫しており、この単位を聞いただけで、不安を抱く人も少なくないだろう。「基準上は線量オーバーしているが、直ちに健康に影響を及ぼす数値ではない」との関係者の曖昧な表現が、市民の不安を一層駆り立てる。
ベクレルは1秒間に放射性物質が出す放射線量の単位で、シーベルトは放射線が人体に及ぼす影響の数値だ。人間が1年間浴びても大丈夫とされる基準値は1ミリ・シーベルトで、100ミリ・シーベルト未満では人体への影響はないとされている。
500ミリ・シーベルトでは、リンパ球減少の急性症状が表れる。1000ミリ・シーベルトで1割が吐き気やだるさを訴え、4000ミリ・シーベルトで半数が30日以内で死亡する。
100ミリ・シーベルトから500ミリ・シーベルトの間はグレーゾーンで、明確な人体への影響は明らかにされていない。
今回の原発事故では、3号機付近で最高400ミリ・シーベルトの放射線量が計測された。また、3号機で復旧作業をしていた作業員3人が173〜180ミリ・シーベルト被曝した。
厚生労働省は、原発で緊急作業に当たる人員の被曝量上限を年間100ミリ・シーベルトから、今回に限り250ミリ・シーベルトに引き上げたが、有事での混乱を防止するには、今後、グレーゾーンの人体への影響を明らかにしていく必要があるだろう。
一方、放射性物質の農作物や乳製品への影響では、セシウムとヨウ素に暫定規制値が設けられている。飲料水と乳製品はセシウム200ベクレル、ヨウ素300ベクレル、野菜・穀類・肉類・卵などではセシウム500ベクレル、ヨウ素2000ベクレルとなっている。
日本の暫定規制値は、国際原子力機関の値の10分の1とかなり厳しい。放射線物質の規制値をより低く設定し、高い安全性を確保しておきたいことは理解できる。だが、平常時に設定された厳格な規制値と、有事での測定値を比較すれば、規制値を何倍も上回る数字が飛び交っても何ら不思議はない。
国が、農産物や水道水に含まれる放射性物質をきちんと測定し、消費者の安全を担保することは不可欠だ。だが、有事での放射線量と人体への影響、放射性物質の暫定規制値については、もう一度見直しを行い、「要監視」「要注意」「絶対に危険」などの段階をきめ細かく設定し、混乱を招くことなく、国民に正確に伝える必要があるだろう。
◆福島第1原発事故 補償金仮払い、東電栃木支店が窓口 /栃木
http://mainichi.jp/area/tochigi/news/20110422ddlk09040091000c.html
◇県内への避難者に
東京電力福島第1原発の事故により避難、屋内退避が指示された地域の住民に対し、東電が補償金の仮払いを決めたことに伴い、東電栃木支店は県内への避難者に対し、申請書類の申し込み窓口を設置した。
補償金仮払いの対象は、福島第1原発から半径30キロ圏内で避難や屋内退避を政府から指示されている住民。問い合わせや申請書類の請求は、栃木カスタマーセンター(0120・995・112、ファクスは0120・995・199)。平日は午前9時〜午後7時(土日は午後6時)に受け付けている。
◆発生40日 県内企業「もう一歩」 /埼玉
http://mainichi.jp/area/saitama/news/20110422ddlk11040251000c.html
◇休止店舗、8割強再開/売り上げ減・操業縮小
東日本大震災の発生から40日以上が経過し、県内企業や工場は相次いで営業や生産活動を再開した。しかし、計画停電や福島第1原発事故で受けた影響は大きく、フル稼働には「もう一歩」の状況が続いている。【田口雅士】
●サイゼリヤ
レストランチェーンのサイゼリヤ(吉川市)は20日、震災による液状化の被害を受けた千葉県浦安市の1店舗で営業を再開した。22日にも福島県内2店舗で再開させる予定だ。ただ、宮城県で2店舗、茨城県で2店舗が営業を再開できずにいる。
●しまむら
衣料品販売のしまむら(さいたま市北区)は国内1647店舗のうち402店舗が被災した。震災直後には100店舗以上が営業を休止したが、現在は休止が15店舗まで回復した。うち宮城県内の2店舗は近日中に再開する予定だが、原発事故の影響で休止中の福島県内の5店舗については「先が読めない状態」(企画室)という。災害による損失は23億5000万円を見込む。
●伊勢丹
計画停電や消費マインドの低下が業績に響いた百貨店。
伊勢丹で本店に次ぐ2番目の売上高を誇る浦和店(さいたま市浦和区)は、3月の売上高が前年同期比で75・6%に落ち込んだ。
「計画停電による営業停止と営業短縮が大きく影響した」(広報担当)
●ホンダ
ホンダは11日から完成車工場の埼玉製作所(狭山市)の生産を再開したが、操業は震災前の5割程度にとどまっている。取引先の部品メーカーがフルに生産できる状態になっておらず、部品の調達が安定していないのが原因だ。
◆電源喪失を想定し緊急訓練/六ケ所・再処理工場
http://www.mutusinpou.co.jp/news/2011/04/15956.html
福島第1原発事故を踏まえて日本原燃は21日、六ケ所再処理工場で、外部電源と非常用電源を全て喪失する事態を想定した安全対策訓練を実施した。東日本大震災後に配備した電源車を使い、再処理工場の冷却設備などに要する電力確保の手順を確認した。日本原燃は早ければ年内にも、さらに2台の電源車を配備する方針。
津波被害について原燃は「原発と異なり海岸から5キロ離れている上、標高も55メートルある」(山田立哉再処理計画部副部長)とし、大規模な被害は考えにくい―との見方を示しているが、安全確保の観点から今回の訓練を実施した。
この日は地震で外部電源2回線を喪失した後、起動した非常用発電機5台もトラブルで停止したと想定。
工場の安全確保に必要な電力は、新たに配備した電源車で補えるため、電源車と工場の電気室をケーブルで接続する手順が、マニュアルに沿って確認された。
また使用済み核燃料の貯蔵プールについても、防火水槽や大容量の貯水槽をホースでつなぎ、貯蔵プールに注水する手順について確認した。原燃側は「(使用済み核燃料の)発熱量は低い。冷却用の水がある程度蒸発するまで数カ月かかる」(山田副部長)としている
訓練後、山田副部長は「安全を確保するため訓練すべきことはする。今後もさまざまな事態を考えなければならない」とした。
◆原子力安全・保安院、立ち入り検査開始 緊急対策を確認 /静岡
http://mainichi.jp/area/shizuoka/news/20110422ddlk22040196000c.html
東日本大震災で被災した福島第1原発の事故を受け、経済産業省の原子力安全・保安院は21日、中部電力浜岡原発(御前崎市)が実施した緊急安全対策を確認するため立ち入り検査を始めた。22日まで調べる。
中電は津波で非常用電源を喪失した場合などを想定した各種の安全対策を実施。20日、国に報告した。保安院は今回の検査結果を審査し、この対策が妥当かどうか、評価する。
立ち入り検査したのは、同原発近くにある浜岡原子力保安検査官事務所の橋本唯一(ただいち)所長ら6人。21日は中電が国に提出した書類内容を点検した。
22日は電源装置の配備具合のほか、19日に行った総合防災訓練の際、同検査官事務所が指摘した課題が改善されているか、検証する。
橋本所長は「緊急対策で報告された主要装置は配備の度、点検してきた。(夜間や暗い室内の事故を想定して)蛍光テープを施設内に張ることなどをさらに要求している。指摘した改善項目が実施されているか、確認したい」と述べた。
中電は、福島第1原発の事故を教訓にした緊急対策として、浜岡原発に、(1)非常用発電機9台を設置(4月12日実施)(2)構内で生じたがれきの除去用に大型重機1台を配備(同14日実施)(3)原子炉格納容器の圧力を逃すための駆動用窒素ボンベの確保(同15日実施)−−などの取り組みを講じ、国に報告している。【舟津進】
毎日新聞 2011年4月22日 地方版
◆浜岡原発:考えよう 県内の若者が企画、24日に集会とパレード /静岡
http://mainichi.jp/area/shizuoka/news/20110422ddlk22040195000c.html
福島第1原発の事故で、その安全性に懸念が広がっている浜岡原発(御前崎市)について意見を交わす街頭集会が24日、静岡市内で開かれる。計画したのは県内の20〜30代の若者。集会後、参加者のパレードを予定している。原発に賛成か、反対かを問わず、浜岡原発について考え、行動する人の輪を広げようとしている。
浜岡原発は、発生が近い将来、想定されている東海地震の震源域にある。このため東日本大震災後、全国で改めて関心を集め、他県では運転の即時停止を求めるデモや集会が開かれてきた。
今回、静岡市内で24日に開く街頭集会とパレードを企画したのは、主に静岡市内の若者でつくる市民団体「ふきのとう」。
当日は街頭集会を午後1時半から30分間、同市葵区の青葉公園で開く。参加した個人や団体の代表者らが浜岡原発についての意見をリレー形式で1人、30〜60秒ずつ述べ合う。
パレードは午後2時から約1時間半の予定。シュプレヒコールは上げず、参加者がそれぞれの主張を書いたプラカードなどを掲げ、市内を歩くことを想定している。約2000人の参加を見込む。
主催団体のメンバーは街頭集会とパレードについてこう話す。
同市葵区の事務職員、下村大和さん(30)は「賛成か、反対かにかかわらず、浜岡原発について多く人が考えるきっかけにしたい」。
同区のカメラマン、杉山雅彦さん(39)は「静岡にずっと住みたいから声を上げたい」。でも、一方的な「反原発」を訴える集会にはしたくないという。幅広い意見を持った人が集まり、意見を交換できる機会にしたいと考えているからだ。
別のメンバーで同市駿河区の無職、中須由香さん(30)は東日本大震災の直後、自身が妊娠していると知った。「おなかにいる子どものためにも前向きなパレードにしたい」と語る。
問い合わせはふきのとう(054・209・5676)。【平林由梨】
毎日新聞 2011年4月22日 地方版
◆県市長会:東海市長会に原発の安全確保決議提案へ 浜岡原発停止は温度差 /静岡
http://mainichi.jp/area/shizuoka/news/20110422ddlk22010192000c.html
東京電力福島第1原発の事故を受け、県内に中部電力浜岡原発を抱える県市長会(会長、鈴木尚・富士市長)は21日、「原子力発電所の安全確保に関する決議」を愛知、岐阜、三重、静岡4県の市長でつくる東海市長会に提案することを決めた。決議をめぐっては、湖西市の三上元(はじめ)市長が津波対策の完了まで浜岡原発の運転を止めるよう求めるべきだと主張。これに対し県東部の市長が停電への懸念を示したため見送られ、東西の市長で温度差が浮き彫りになった。
市長会には県内23人の市長のうち21人は本人が出席した。浜松市の鈴木康友市長は欠席したが、副市長が代わって出席した。島田市の桜井勝郎市長は欠席し、代理出席もなかった。
中部電力は浜岡原発について防波壁の新設などの津波対策を発表しているが、21日の会議で三上市長は「津波対策が足りないことは中電も認めている」と指摘。「対策の終了まで運転を停止すべきだ」と訴えた。
これに対し伊東市の佃弘巳市長は、運転の停止について「停電した場合、混乱は大きい。停止して電力を安定供給できるのか」と疑問を呈した。
また、御殿場市の若林洋平市長も「停止時の影響と安全性のバランスを考える必要がある」と述べた。
浜岡原発から10キロ圏内の牧之原市の西原茂樹市長は「本音は即時停止だ」と語ったが、「この場で判断を求めることは難しい」とも述べ、運転停止要求を決議へ盛り込むのは困難との認識を示した。
これに同調する意見が目立ったため「即時停止」は決議には盛り込まず、停止を求める意見が出たことを東海市長会で報告することで最終的に合意した。【小玉沙織】
毎日新聞 2011年4月22日 地方版
◆津波対策強化を 県、中国電力に申し入れ
http://mytown.asahi.com/okayama/news.php?k_id=34000261104220001
県は21日、中国電力に対し、島根原発の津波対策強化などを申し入れた。中電は「高台への緊急用発電機設置や防波壁の大型化を進めていきたい」と応じた。
古矢博通副知事が広島市の中電本社を訪れ、藤井浩副社長に申入書を渡した。
内容は、現時点で可能な限りの地震・津波対策▽近隣県も含めた電力会社と自治体の定期的な災害対策協議??など。
島根原発は、県境から約55キロ北西の松江市にある。
古矢副知事が「原発に近い県北の住民は、農業面や観光面で不安を持っている」と迅速な対応を求めると、藤井副社長は「すでに緊急の安全対策を進めている。今後、事故から得られる新たな知見も対策に生かしたい」と答えた。
中電によると、島根原発で想定する津波は最大で高さ5.7メートル。原発の敷地が海抜8.5メートルで、さらに高さ0.9メートルの防波壁があることから、津波による被害はないとしてきた。
しかし、想定を超える津波に襲われ、原子炉冷却用の電源を全て失った福島第一原発の事故を受け、これまでなかった高圧発電機車を常駐させたほか、敷地内の海抜40メートルの高台に緊急用発電機の設置を計画。防波壁も、今後2年間で大型化を図るという。(宮武努)
◆世界の100人に南相馬市長と南三陸町の医師
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20110422-OYT1T00323.htm
【ニューヨーク=柳沢亨之】米誌タイムは21日、毎年恒例の「世界で最も影響力のある100人」を発表した。日本からは、福島第一原発事故による住民の窮状を動画投稿サイトで訴えた福島県南相馬市の桜井勝延市長(55)と、宮城県南三陸町の公立志津川病院で極限状況のなか、患者の避難、治療にあたった医師、菅野武さん(31)が選ばれた。
同誌は、政府と東京電力の対応を批判した桜井市長について「日本の権力層にかみついた」と評価、「彼の訴えは世界中で反響を呼び、効率性で知られる国がなぜ市民の失望を招いたのか、多くの人が疑問を抱くことになった」とした。
菅野さんに対しては「津波警報直後に患者を最上階に誘導し、以後2日間、最後の患者が避難するまで病院に残った」と称賛した。
ほかに、オバマ米大統領夫妻や今月結婚するウィリアム英王子とケート・ミドルトンさん、北朝鮮の金正恩氏らも選出された。100人に順位はない。
(2011年4月22日12時42分 読売新聞)
◆知事、原発の在り方に疑問 事業者と会談
http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20110422/CK2011042202000132.html
高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)を運転する日本原子力研究開発機構の辻倉米蔵・敦賀本部長が21日、県庁に嘉田由紀子知事を初訪問した。知事は福島第1原発の事故に起因した福島県産の農産物への風評被害に触れ「地震大国がここまで原子力に依存していいんだろうか」と国のエネルギー政策に疑問を投げかけた。
知事は、昨年10月にもんじゅで起きた燃料交換用機器の落下事故の報告を受けていないことを指摘し「定期的に協議の場を持つべきだ」と要望。辻倉敦賀本部長は「参画させていただきたい」と応じた。
機構は、国の予算で賄う唯一の原子力に関する総合的研究開発機関。知事は半分を原子力研究に充てていた科学技術庁(現文部科学省)の予算についても「偏っていた。今後は、原子力に傾かない形での地球の温暖化対策を研究していただきたい」と求めた。
福島の事故で、国が放射能の情報をすぐに出さず、段階的に避難指示をしたことに知事は「地形と気象情報をしっかりと抑えていたら、避難指示はすぐに出せたはず」と指摘。その上で「琵琶湖を預かる知事として、同じ事態が起きたら地域に申し訳が立たない」と述べた。 (木原育子)
◆浜岡原発停止求める声も 県市長会で中電が安全対策を説明
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20110422/CK2011042202000145.html
県市長会(会長・鈴木尚富士市長)の本年度初めての定例会が21日、静岡市内のホテルで開かれた。東日本大震災に伴う福島第一原発事故を受け、中部電力が浜岡原発(御前崎市)の安全対策を報告したが、一部市長からは停止を求める声が上がった。沼津市で5月に開かれる東海市長会総会で、「地震対策に関する決議案」などを提案することも決まった。 (唐沢裕亮)
浜松、島田両市の市長を除く21市長が出席。市長会の要請を受けた中電の浜岡原子力総合事務所の水谷良亮所長と静岡支店原子力グループの杉山和正部長が、津波に対応する防波壁の設置や緊急時の電源確保など浜岡原発の緊急安全対策を説明した。
市長らは、浜岡原発は東海地震の震源域の真上に立地し、福島第一原発と同じく海辺の低い土地にあることを憂慮。湖西市の三上元市長が「(原子炉建屋屋上への)非常用電源装置の設置と防波壁ができるまでは取りあえず(使用を)止めるべきだ」と、中電側に言い寄る場面もあった。
東海市長会総会で提案する地震対策に関する決議案をめぐっては、「取りあえず浜岡原発は止めるべきだ」との文言を案に入れると主張する三上市長に対し、計画停電の影響を受けた県東部の市長からは、電力の安定供給の必要性を求める意見も出され結局、見送られた。
◆上関原発建設計画:反対議員連盟、申し入れ回答に憤り禁じえない /山口
http://mainichi.jp/area/yamaguchi/news/20110422ddlk35040385000c.html
上関町周辺市町の現・元議員で構成する「上関原発建設計画に反対する2市4町議会議員連盟」(小中進会長)は、原発交付金の受け取りに反対する申し入れに対し、柳井市と周防大島町は3月30日付で回答したことを明らかにした。
申し入れは3月4日だった。両市町の回答は、原子力行政のあり方について国から方向性が示された結果を踏まえ、慎重に対応するとしている。自治体名、首長名と印鑑を除いて、一言一句同じだった。
回答について小中会長は「住民の安全を第一に考えなければならない立場の首長が自らの言葉で語らず、口裏を合わせたような同文の回答に憤りを禁じえない」とコメントした。
〔山口東版〕
◆米最大のパロベルデ原発、原子力規制委が運転期間20年延長を認可
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-20764220110422
[ワシントン 21日 ロイター] 米原子力規制委員会(NRC)は21日、国内最大の原子力発電施設であるアリゾナ州パロベルデ原発の運転免許を更新し、運転期間を20年間延長することを認めたと明らかにした。
NRCは、同原発の原子炉3基について、免許更新を妨げるような安全面および環境面での懸念はないとの見方を示した。
米国の多くの反原発団体は、東日本大震災に伴い福島第一原発で起きた事故の全面調査が完了するまで、原発の免許更新を一時停止するようNRCに求めていた。
パロベルデ原発は、州都フェニックスの西80キロメートルに位置し、ピナクル・ウェスト(PNW.N: 株価, 企業情報, レポート)傘下のアリゾナ・パブリック・サービス(APS)が運転している。40年間の運転免許を取得し、1986─88年にかけて運転を開始。APSは2008年12月に免許更新を申請していた。
免許更新により、同原発の1号機は2045年、2号機は2046年、3号機は2047年までの運転が可能になった。
NRCは米国で稼働中の原子炉104基のうち、66基についてはすでに免許を更新、さらに16基の更新申請を検討している。NRCが更新申請を却下したことはない。
◆福島第1原発:避難先探し、難航 計画区域指定
http://mainichi.jp/select/today/news/20110422k0000e040057000c.html
「とうとう来たか」。東京電力福島第1原発から半径20キロ圏内の警戒区域の外側で、累積放射線量が高くなると予想されるエリアが「計画的避難区域」に指定された22日午前、対象地域を抱える5市町村は事前に予告されていたためか、比較的冷静に受け止めた。このエリアの住民は今後1カ月程度の間に避難するが、「なかなか避難先を用意できない」などの悩みを訴える声も上がっている。
◇飯舘村
全域が計画的避難区域に指定された飯舘村の菅野典雄村長は村役場で記者団に対し、5月末までに住民の避難を終える見通しが立たないことへの不安を語った。菅野村長は「職員が必死に(避難先を)探しているが厳しい状況だ」と述べた上で「(避難完了が)どれくらいになるのか(分からない)」と述べた。
菅野村長によると、住民を村から1時間前後の3〜4カ所にいったん分散移動させる方針。「村民を早く避難させなければいけないが、(既に住民を避難させている原発周辺の)8町村の後からになるので、なかなか厳しい。子供や仕事、コミュニティーの問題もある」とし、「心を込めてやってほしい」と国に支援を求めた。
また、教育・福祉施策を重点的に行い、ブランド牛の育成などに努めてきたことを強調し、「ギブアップするつもりはない。絶対に再生させなければならない」と語った。
◇葛尾村
全域が警戒区域か計画的避難区域になった葛尾村は3月14日から自主避難を進めてきたが、今も第1原発の半径20〜30キロ圏に約60人が残る。
多くが畜産業で金銭面の事情から移転できない人たちで、村は国に「家畜の移動や補償をしてほしい」と求めている。金谷喜一(きんたに・よしかつ)総務課長は「国から畜産業者に対し明確な補償の回答がないため、残っている村民を説得できない」と話した。
◇川俣町
南東部が計画的避難区域にかかる川俣町。町災害対策本部の担当者は「具体的な地域がどこかは国、県から聞いていない」と話す。対象に入るとみられる山木屋地区は約350世帯約1200人が住み、既に自主避難した人もいるが、町は「避難先の確保を進めている」という。
◇南相馬市
警戒区域と計画的避難区域を抱えることになった南相馬市。桜井勝延市長は「放射線レベルは低く、できるだけ計画的避難区域は民家を避けてほしい」と国に要望してきた。この日は市民から「自分の家は計画避難の対象になるのか」との問い合わせが多数寄せられ、市職員が対応に追われた。【青木純、古関俊樹、蓬田正志】
◆「安全対策の点検求める」 運転中止要求に、県回答 /佐賀
http://mainichi.jp/area/saga/news/20110422ddlk41040410000c.html
県は21日、県平和運動センターなど4団体が3月に出した九州電力玄海原発(玄海町)のプルサーマル運転の中止などを求める要求書に回答した。県の担当者は「国や九電に安全対策の総点検を求めていきたい」などと県の対応を説明した。
要求書は福島原発事故を受け3月25日に提出。安全に関する独自の検討機関の設置や玄海原発3号機でのプルサーマル再開を認めないことを求めていた。
この日の意見交換では参加者から「今回の事故で過去の知見はあてにならないことがはっきりした。運転再開に県の了解は必要ないとはいえ、県民に安心感を与えるためにもっと主体的に関与してほしい」などの注文が出ていた。【竹花周】
◆柏崎刈羽原発:経産相に緊急安全策を報告 防潮堤の設置も /新潟
http://mainichi.jp/area/niigata/news/20110422ddlk15040069000c.html
福島第1原発の事故を受け、東京電力は21日、柏崎刈羽原発で同様の事態を想定して講じた緊急安全対策をまとめ、新たに構内沿岸部に防潮堤を築くなどの中長期的対策を加えた報告書を経済産業相に提出した。経産相が3月30日に電力各社に指示していたのに応えた。同原発は「現時点で取り組む必要がある対策については打ち出せた」としている。
柏崎刈羽原発を津波が襲って全電源が失われ、原子炉や使用済み燃料プールの冷却機能が喪失した場合の緊急対策として、既に400キロワットの電源車4台や可動式海水ポンプ4台などを配備。今後行う中長期的な対策として、構内の沿岸部に福島第1原発を襲った津波と同じ海抜約15メートルの防潮堤を13年6月までに設置。1〜4号機の原子炉建屋の周囲に地上10メートルの防潮壁を同年3月までに築くほか、緊急時の水源として12年9月までに約2万トンの貯水池を設ける計画もまとめた。
経済産業省原子力安全・保安院が今後、同原発に立ち入り検査するなどして、報告書の実施状況や妥当性を評価する。
中越沖地震(07年7月)で被災し停止していた柏崎刈羽原発全7基のうち2〜4号機はまだ停止中。運転再開にあたっては地元自治体が福島第1原発事故を踏まえた安全対策を求めている。【岡田英】
◆玄葉戦略相、新成長戦略を見直す考え
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110422-OYT1T00556.htm
玄葉国家戦略相(民主党政調会長)は22日の閣議後記者会見で、東日本大震災を受けて「国家戦略の再設計をしていく必要がある。成長戦略の中身も質的転換を図っていかなければならない」と述べ、政府が昨年策定した新成長戦略を見直す考えを表明した。
財政運営やエネルギー政策、温暖化対策など幅広い分野について、連休明けに全体の指針をまとめる。
新成長戦略では、原子力発電所の輸出強化などを柱に位置づけていたが、原発事故で原子力政策全体の見直しが迫られている。このため成長戦略についても修正が必要になったと判断した。玄葉氏は、原発輸出について「一度立ち止まって考えないといけない。事故の原因究明を第三者機関を使ってしっかりとやっていかないといけない」と述べた。
(2011年4月22日13時54分 読売新聞)
◆東日本大震災:「受給者になるとは」 避難先で生活保護、自宅ローン残し
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110422dde041040049000c.html
「まさか自分たちが生活保護の受給者になるなんて……」。東日本大震災からわずか40日余だが、異郷の地で生活保護を受給することが決まった被災者が少なくとも290人に上ることが分かった。原発事故で避難した人の多くは帰宅のめどが立たず、生活基盤をどちらに置くか、揺れる日々が続く。自治体の対応もさまざまだ。
「まさか受給者になるとは思っていなかった。こういう仕組みがあると困っている人に伝える側でしたから」。自動車修理会社に勤める消防団幹部、高田利宏さん(41)は話す。妻恵子さん(37)と子供3人を連れて震災6日後、福島県南相馬市の自宅から千葉県流山市に避難した。アパートに入居し、生活保護の受給も始まった。
地震直後、高田さんは警察と不明者の捜索に奔走した。子育て支援団体の中心だった恵子さんは徹夜で仲間と連絡を取り続けた。「早くここを離れろ。親類が遺書を残して原発の作業現場に行った」。妊娠4カ月の恵子さんや子供たちを案じる電力会社の知人に促され、故郷を離れた。
会社は再開したが、高田さんは「放射線の影響は分からず、妻子まで戻せない」と退職を決意した。生活保護を申請しようとしたが、流山市側は当初、食事の提供などを理由に「避難所にいる間は難しい」と回答した。避難所にボランティアで来ていた住民が間に入ってくれ、アパートの入居契約後、やっと保護が認められた。
今月、長女が中学校に、長男が小学校に入学した。高田さんは5月から半年の期限付きで市臨時職員となるが、築6年の自宅にはローンの半分が残る。
政府は6〜9カ月後をめどに、帰宅可能か見通しを示すとしている。しかし高田さん夫妻は「いつ本当に帰って大丈夫になるのか。新たな地域でのつながりも大事にしたいが、不安定なことには変わらない。めどが10年単位になることも覚悟している」と口をそろえる。【野倉恵】
◆福島第一 空冷装置の導入検討
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011042502000066.html?ref=rank
福島第一原発の事故で、東京電力は原子炉内の冷却水を空気で冷やし、循環させる装置の採用を検討している。格納容器内を水で浸す「水棺」と併せ、冷却効果を強化する。
通常時に使っていた水冷式の冷却装置は復旧、整備に時間が掛かる恐れがあり、効率は落ちるものの早く設置できる空冷式が選択肢に上がった。
東電や経済産業省原子力安全・保安院によると、ビルの冷房などに用いる冷却方式。欧州の原発で採用されている。保安院の西山英彦審議官は「設置すれば国内の原発では初めてではないか。設置場所を考えれば空冷が適しているだろう」と説明している。
格納容器にたまった水を原子炉建屋外に取り付けた熱交換器に引き込み、大型のファンで空気をあてる。併せて配管に水を掛け、蒸発の際に熱を奪う「気化熱」を利用する仕組みも取り入れる。冷えた水は再び炉に戻して冷却に使う。
まず1、3号機での設置を検討している。どちらも原子炉建屋で水素爆発が起き、炉内の水を配管越しに冷たい海水で冷やす水冷式熱交換器などが損傷している可能性が高い。関連機器のポンプなどがあるタービン建屋地下は高濃度の放射能汚染水で水浸しになった。
復旧のめどが立たず、効率は落ちるものの構造が比較的単純で設置しやすい空冷式装置の外付け案が浮上。水棺と併せて冷却能力の強化を狙う。
◆「原発見学したい」人が増える でも、建屋内は入場NG
http://www.j-cast.com/2011/04/25093889.html
福島第1原子力発電所の事故で原発の安全性に疑念が高まるなか、原発を見学したいと関心を寄せる人が増えているようだ。そもそも原発はどう運営されているのか、自分の目で確かめたいのだろう。
国内の原発では、併設する広報用の施設で原子力発電の仕組みを詳しく紹介する一方、発電所の建物へは入場を禁じている。
島根県見学ツアーに定員の倍の応募
各地の原発は「展示館」を開館しているところが多い
島根県では年4回、松江市内にある島根原発の見学会を実施している。福島第1原発の事故以降では初となる見学会は5月19日に行われるが、参加者の募集で「異変」が起きた。島根県原子力安全対策室に聞くと、定員50人に対して「100人の応募がありました。ここまで多いのは初めてです」と驚く。
見学会では、中国電力が運営する「原子力館」で島根原発の概要の説明を受けた後に発電所へ赴く。敷地内に入って、建設中の「3号機」や運転中の発電所の建物を外から眺めることはできるのだが、建物の中には入れない。「以前は中の見学も許可されていたのですが、米国の同時多発テロ以降、セキュリティー上中止になったのです」と、安全対策室は説明する。
他の原発でも状況は同じだ。例えば福井県の美浜原発には、「美浜原子力PRセンター」が隣接しており、原子炉など各種設備や装置の25分の1の模型に触れたり、放射線量を計測する装置を使ったりして原子力発電のイロハを学べる。 その一方で発電所内部の見学は、「国際テロ情勢を踏まえた警備上の理由」に受け付けていないとウェブサイトに書かれていた。
柏崎刈羽原発、以前は構内見学も可能だった
静岡県にある浜岡原発では「一般の人は、発電所の中に入れないことになっています」(中部電力広報)という。佐賀県の玄海原発も、「テロ対策」を盾に原発の建物への立ち入りを禁止しているという。
新潟県の柏崎刈羽原発の場合は、最近まで一般客も構内の立ち入りが許されていた。ウェブサイトには、事前に申し込めば2時間程度の見学が可能とあるので、個人でも比較的簡単に応募できたようだ。しかし柏崎刈羽原発に問い合わせると、「東日本大震災の影響で3月中旬以降、構内の見学は中止しています」と話した。同所を管轄する東京電力の社員が案内役を務めていたが、現在は福島第1原発の事故対応で現地に「応援」に行っており、見学者に対応できる状態でないことが中止の主な理由のようだ。今のところ、構内見学の再開は未定だと説明している。
◆浜松市長が防災連携へ声明の採択を提案 都市・自治体連合のアジア太平洋会議
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20110425/CK2011042502000167.html
浜松市の鈴木康友市長は23日、インド・トリバンドラム市で開かれている都市・自治体連合(UCLG)のアジア太平洋支部(ASPAC)会議に出席し、東日本大震災の発生を受け、会員都市間の防災面での連携強化をうたった特別声明の採択を提案。全会一致で採択された。
鈴木市長は「現在、日本の自治体が行っているような相互支援の体制を、アジア太平洋地域内でも整えていく必要がある」と提案。特別声明は(1)会員都市相互の防災協定締結に向けた行動の実施と、防災に関する情報を共有する体制の整備(2)国際機関、中央政府、非政府組織(NGO)、コミュニティー組織との連携強化−をうたっている。
これに先立ち鈴木市長は、震災の状況や各自治体の取り組みを説明。福島第一原発事故の日本国内への影響は限定的であることを説明し、浜松市が行う岩手県大船渡市への個別支援を報告した。
鈴木市長は24日の執行理事会では、昨年10月に浜松市であったコングレス2010(中日新聞東海本社後援)の開催報告をした。
UCLGは世界95カ国の1000都市以上が加盟。アジア太平洋支部には120都市が加盟しており、日本では浜松、静岡の両市が正会員となっている。
◆東電、福島第一原発の「汚染地図」初めて公表
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=39894
東京電力は24日、福島第一原子力発電所内で、高レベルの放射性物質で汚染された場所を示した「汚染地図(サーベイマップ)」を初めて公表した。
水素爆発が起きた3号機周辺は放射線量が毎時300ミリ・シーベルトのがれきが残るなど、爆発から1か月以上たった今も、長時間作業するには高過ぎる状態が続いていることが浮き彫りになった。しかし、東電は「撤去には半年以上かかるが、汚染地図の内容は(原子炉の安定化に向けた)工程表に織り込み済みで、遅れは出ない」としている。
地図は敷地内の約230か所で測定した放射線量を示したもの。先月23日に作成した地図によると、大気中の線量が毎時100ミリ・シーベルトを超える場所が、水素爆発の起きた1、3号機周辺を中心に5か所あった。この線量は1時間の作業で作業員の年間被曝の上限に当たるとされてきた数値だ。
今月23日の地図では、がれき撤去や放射性物質の半減期もあり、同100ミリ・シーベルト超の場所はなくなったが、大気中で同10ミリ・シーベルトを超える場所が1〜4号機周辺だけで30か所以上あった。特に3号機西側では、21日に同900ミリ・シーベルトのがれきを撤去したものの、近くには同300ミリ・シーベルトのがれきが残っている。爆発で飛び散った放射性物質により、大気中で同40〜70ミリ・シーベルトを検出した場所もあった。
3号機の使用済み核燃料プールに注水中の生コン圧送機は作業員が操作しているが、その周辺でも同20〜30ミリ・シーベルトを検出。1号機北側にも同40ミリ・シーベルトのがれきがあるほか、西側の大気中では同40ミリ・シーベルトあった。
同1000ミリ・シーベルト以上ある汚染水移送が進む2号機の作業用トンネル(トレンチ)から集中廃棄物処理施設まで続くホース表面では、同75〜86ミリ・シーベルトを検出。同施設手前のホース表面では原因は不明だが、同160ミリ・シーベルトもあった。
(2011年4月25日 読売新聞)
◆福島が「ナージャの村」になる日
http://tv.jp.msn.com/columns/column.aspx?articleid=567373
●移住を拒否し続ける人々
23日から東京・中野区の映画館「ポレポレ東中野」で原発に関する作品の特集上映が開催されるというので話題になっている。
この特集はチェルノブイリ原発事故が起きた「4月26日」に毎年企画されていて、今年は86年の事故から25年目の節目。劇場スタッフは年初から上映会の準備を進めてきたという。そこに起きたのが「3・11」の大震災と福島第1原発の放射能漏れ事故である。
「『3・11』以降、上映会を開催する意味合いがまったく変わってしまった」と言うのは写真家で映画監督の本橋成一氏(71)だ。
今回の上映会では本橋氏が監督した映画「ナージャの村」(97年)も上映される。この作品はチェルノブイリ原発事故による放射能汚染で強制移住地域に指定されながら、移住を拒否して故郷に住み続ける家族の姿を撮影したドキュメンタリー。世界各国で絶賛された。
本橋氏はこう言う。
「昨年の上映会はほとんど話題にもなりませんでしたが、今年は反響の大きさに驚いています。僕がチェルノブイリの村を訪れて感じたのは、そこに住む人たちの、種をまき、作物を収穫し、自然への感謝を忘れないというごく当たり前の暮らしぶりでした。ただ、その土地は放射能で汚染されているという現実がある。でもそこは彼らが生まれ育った故郷なのです。村人から“どこに行けというのか。人間が汚した土地だろう”という言葉を聞きましたが、これは福島にもあてはまる気がします」
上映会では、島の対岸4キロに原発建設計画が持ち上がった瀬戸内海に浮かぶ小さな島の生活を映した「祝(ほうり)の島」(2010年)など、原発と現在進行形で向き合う人々を追った作品も上映。
「私は戦後の高度経済成長期を過ごしてきました。暮らしが物質的にどんどん豊かになっていくのはうれしいものでした。ただ、その代償として海岸線は埋め立てられ、原発がどんどんつくられた。今回の震災と原発事故は我々に“豊かさ”について考え直しを迫っている気がします。目先の経済効果ではなく20年、30年かかってもいいから原発をひとつひとつ減らしていくしかないと思います」
政府は22日、福島第1原発から20キロ圏内を「警戒区域」に指定して住民を締め出した。チェルノブイリの悲劇は日本で今、起こりつつある。
(日刊ゲンダイ2011年4月22日掲載)
◆復興2次補正で財政再建道筋も 再開の参院決算委で首相
http://www.chugoku-np.co.jp/NewsPack/CO2011042501000223.html
菅直人首相は25日午前の参院決算委員会で、東日本大震災の復興に関し「相当の財政出動が必要だ」とした上で、今後の財政運営について「本格的な復興のための2011年度第2次補正予算案を議論していく中で、財政再建の道筋も合わせて打ち立てていきたい」と述べた。
原子力発電所の安全確保の体制については「これまでの形がそのままでいいか議論の対象になる」と述べ、見直す考えを示した。原子力利用を推進する経済産業省から、原子力の安全規制を担当する原子力安全・保安院を分離できるか検討する考えを示した。
自民党の岡田広、公明党の渡辺孝男両氏への答弁。
参院決算委は3月11日に首相と全閣僚が出席して審議していたが、東日本大震災発生で打ち切った。25日は残り時間で各党が質疑し、冒頭に出席者で黙とうした。
みんなの党の柴田巧氏は、あらゆる危機管理に強大な権限を持つ米国の連邦緊急事態管理局(FEMA)の日本版創設を要求。復興財源への埋蔵金活用を提案する。
このほか共産党の井上哲士、新党改革の荒井広幸、社民党の又市征治の各氏が質問。午後は首相らが出席して参院予算委員会で震災と原発事故をテーマとする集中審議。
◆復興2次補正で財政再建道筋も 再開の参院決算委で首相
http://kumanichi.com/news/kyodo/main/201104/20110425006.shtml
菅直人首相は25日午前の参院決算委員会で、東日本大震災の復興に関し「相当の財政出動が必要だ」とした上で、今後の財政運営について「本格的な復興のための2011年度第2次補正予算案を議論していく中で、財政再建の道筋も合わせて打ち立てていきたい」と述べた。
原子力発電所の安全確保の体制については「これまでの形がそのままでいいか議論の対象になる」と述べ、見直す考えを示した。原子力利用を推進する経済産業省から、原子力の安全規制を担当する原子力安全・保安院を分離できるか検討する考えを示した。
自民党の岡田広、公明党の渡辺孝男両氏への答弁。
参院決算委は3月11日に首相と全閣僚が出席して審議していたが、東日本大震災発生で打ち切った。25日は残り時間で各党が質疑し、冒頭に出席者で黙とうした。
みんなの党の柴田巧氏は、あらゆる危機管理に強大な権限を持つ米国の連邦緊急事態管理局(FEMA)の日本版創設を要求。復興財源への埋蔵金活用を提案する。
このほか共産党の井上哲士、新党改革の荒井広幸、社民党の又市征治の各氏が質問。午後は首相らが出席して参院予算委員会で震災と原発事故をテーマとする集中審議。(共同)
◆近隣諸国からの観光客で近年にぎわいを増した極東の島国は…
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/238838
近隣諸国からの観光客で近年にぎわいを増した極東の島国は、東日本大震災のあとは様子が変わった。東日本だけでなく西日本各地でも団体ツアー客の姿が減った
▼海外から来る人が減っただけではない。一時帰国組を含め日本から離れた外国人が少なくない。大地震と大津波に原発事故が加わったのが決定的だった。小さな島国全体が被災地になったと感じている人もいるようだ
▼日本を敬遠する外国人が多いことを残念に思っている人は、外国人のなかにもいる。日本文学者のドナルド・キーンさんもその一人。日本が見捨てられていくかのようなニュースを米国で見聞きし、居ても立ってもいられなくなったようだ
▼米国からの報道によると、米コロンビア大学名誉教授で88歳のキーンさんは日本永住の意思を固めた。日本国籍を取得する手続きも始めた。今月末に大学での最終講義を迎えることもあり、決断した
▼これまでも日米で半分ずつ暮らしてきた。住まいがある東京都北区は数年前にキーンさんを名誉区民に選んでいる。東京からも脱出する外国人が多いと聞かされて、自分がなすべきことを知った
▼18歳で「源氏物語」を英訳で読んだのがきっかけで日本語を勉強し始めた。自著に「日本語の美」がある。美を生んだ日本文学に魅せられた。自著には「二つの母国に生きて」もある。国籍取得の決意は、母国を共にする日本人への連帯のメッセージだろう。
=2011/04/25付 西日本新聞朝刊=
◆「原発安全、今こそ肝に」 嶺南住民・新選良への声
http://www.47news.jp/news/2011/04/post_20110425101631.html
福島第1原発事故の惨状や、避難生活を余儀なくされる人々の苦悩を目の当たりにしてなお、原発とともに歩まなければならない本県の原発立地、準立地の住民。「今こそ住民の代表者という自覚を」「地元で安心して暮らせるという当たり前のことを守って」。原子力政策をめぐる新選良への期待は、過去に例を見ないほど切実で深刻だ。24日誕生した新首長、市町議に求める嶺南住民の声を聞いた。
【対策徹底】
福島第1原発は地震と津波に耐えきれず、深刻度はチェルノブイリ事故並みとなった。このため「絶対安全と言えなくなった」「敦賀でも同じような状態になる可能性がある」などとし、多くの住民が安全性確保への行動力を求めた。
運転開始から40年以上経過した原発を抱える敦賀市民からは、廃炉にまで言及した強い意見があった。自営業男性(64)は「福島第1原発と同じ炉型の日本原電敦賀1号機の津波対策を万全に」と求めた。主婦(67)や会社役員男性(50)も「40年が経過した敦賀1号機はできたら止めてほしい」「廃炉も視野に安全対策を徹底してほしい」などと訴えた。
【市町連携】
立地と準立地の連携を密にして「万が一」に備えよう、との意見も準立地の小浜市を中心に上がった。
同市の自営業男性(63)は「福島の事故で警戒区域となった20キロ圏内に小浜市はほぼ全域が入る」とし「立地地域と同じような原子力防災を考えなければならない」と訴えた。別の会社員男性(47)も「小浜はほかの市町に比べ、事故が起きたときの対策が十分でない。周辺市町と連携し、地域全体で訓練することが必要」とした。
【地域経済】
「地域経済のための原発」を認識した上で安全確保や利益還元を訴える住民も。高浜町の団体職員(50)は「将来にわたってリスクを背負っている。地元にしっかり利益を還元できるよう事業者に働き掛けるべきだ」と話した。
おおい町の遊漁船業者(60)は、福島の事故以降、利用客が減少した点に触れ「風評被害がないよう住民の声を行政や事業者に働き掛けてほしい」と訴えた。
「老朽化した原発を止めて」とした敦賀市の主婦や会社役員男性も「市の財政を考えると原発は必要」という認識に立っており、徹底した安全対策を求めた。
【新エネルギー】
新しいエネルギーへの転換や原発依存から脱却した市政運営を探るよう求める声もあった。高浜町の主婦(43)は「今ある原発を使いながら風力などの自然エネルギーも考えてほしい」。別の主婦(62)は「怖い思いをしてまで原発を推進してほしくない。自然エネルギーに転換して」と述べた。
敦賀市の女性(24)と会社員男性(51)は「原発に頼らない市政運営が必要」「原発依存の財政体質からの脱却を視野に」などと語った。
新選良の実行力に期待する声は大きく、おおい町の公務員男性(27)は「原発への危機意識が高まっている今こそ、町民の代表者という自覚と高い意識を」と訴えた。同町の女性は(50)は「地元で安心して暮らせるという当たり前のことを、住民は今一番求めている」と最後に付け加えた。
◆雑誌の「夏の電力充分」報道で政府の電力供給見通し方向転換
http://news.livedoor.com/article/detail/5513693/
週刊ポスト前号(4月29日号)「『原発完全停止』でも『停電』なし」が、政府と東電を大慌てさせた。震災対応そっちのけの大騒ぎは呆れるしかないが、彼らにはそれほど「痛いところを突かれた報道」だったのだろう。
本誌がスクープしたのは資源エネルギー庁作成の「東京電力の設備出力の復旧動向一覧表」という極秘資料だ。これには7月末の東京電力の供給能力が「4650万kW」と記され、これが「真夏の大停電が起きる」という政府の“脅し”の根拠にされた。
ところが資料を子細に検証すると、ここには東電管内全体で1050万kWの発電力を持つ揚水発電(※1)が全く含まれず、停止中の火力発電所も加えられていなかった。これらを含めれば、企業や一般家庭に使用制限を設けずとも「真夏の大停電」は回避できる。それをしない背景には、与野党政治家の「原発利権死守」の思惑があった、というのが前号の概要である。
その締め切り日だった4月14日、揚水発電についてエネ庁を直撃すると、狼狽した様子で極秘資料の存在を認め、「確実に発電できるものしか供給力には含めない」(電力基盤整備課)と苦しい回答に終始した。
が、同庁は本誌取材の直後、舌の根も乾かぬうちに、「全く別の指示」を東電に出した。翌15日夕方、東電は「揚水発電の400万kW、震災で停止中の共同火力発電所(※2)の再稼働110万kWなどで550万kWの上乗せが可能になったため、7月末の供給力は5200万kWになった」と発表したのである。
経緯を知る経産省幹部が明かす。
「『ポスト』が取材をかけたあと、エネ庁から東電に揚水の一部を供給力に含めろと指示が下った。記事が指摘していた通り、これまでエネ庁は東電に“原発の必要性がわかる資料”を要求してきたから、彼らも突然の方向転換に面食らったようだ」
要は「電力隠し」を見抜かれたエネ庁と東電が、本誌スクープで国民裏切りの大嘘がバレるのを恐れ、発売前に大慌てで供給力の水増し調整を行なったというわけである。
それでも枝野幸男・官房長官は4月15日の会見で、「これで需給ギャップが埋められるものではない」と強調した。まだ“原発は必要”といううそにしがみつく醜いあがきだったが、弥縫策(びぼうさく)はまた綻ぶものだ。
(※1)揚水発電/水力発電所を挟んで上貯水池と下貯水池を作り、夜間などの余剰電力を利用してポンプで水を汲み上げ(この作業を「揚水」と呼ぶ)、昼間の電力使用ピークの時間帯に水を流下させて発電する仕組み。
(※2)共同火力発電所/東電が他社と共同で出資・運営し、電力供給を受ける火力発電所のこと。4月15日に発表された見通しでは、鹿島共同火力(出資は東電50%、住友金属工業50%)の1、3、4号機と、常磐共同火力(出資は東電49%、東北電力49%など)の8、9号機が今夏までに再稼働するとされた。
※週刊ポスト2011年5月6日・13日号
◆新市町村議 決まる
http://mytown.asahi.com/niigata/news.php?k_id=16000651104250001
統一地方選後半戦の新潟県5市議選と3町村議選は24日、投開票され、新議員が決まった。東日本大震災の発生で原子力発電所の安全性が争点となった柏崎市議選などで、有権者は地域の将来を決める一票を投じた。ただ、震災による「自粛ムード」の影響からか、投票率は長岡市議選で53.51%(前回63.05%)、新発田市議選で57.69%(同66.76%)と過去最低を記録するなど軒並み低下した。
東京電力福島第一原発の事故が収まらない中、原発の推進派と反対派が立った柏崎市議選。選挙期間中、県は原子力防災のあり方を見直す検討に入り、東電は柏崎刈羽原発に防潮堤を築く津波対策を発表した。先の県議選に続き、有権者の関心が原発の安全対策に集まる中での選挙戦だった。
東電の労働組合が擁立し、初当選した無所属新顔の相沢宗一氏は「柏崎刈羽原発を安全に動かし、電力供給をきちんとやることが信頼につながる」と述べた。選対幹部は「予想外によかった。電力関係の皆さんが逆風に危機感を示した」と語った。
原発推進派で無所属現職の丸山敏彦氏は8選。選挙戦では、柏崎刈羽原発の2基増設の持論を封印し、「逆風」をかわした。
◇
原発反対派で無所属現職の矢部忠夫氏は、前回の2007年より票を伸ばして7選を果たした。選挙カー自粛の市議会決議に反対し、従来通りの街頭活動を繰り広げた。
「福島のような原発事故が柏崎であってはならない」と強調。一方、稼働中の原発をすぐに停止できる状況にはないとの認識も示し、「柏崎刈羽原発の監視役」を担うと訴え、市民から一定の支持を得た。
◆韓国で福島県内の作業員を募集「現代版の徴用か」―韓国
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0425&f=national_0425_402.shtml
韓国の求人サイトで22日午後、「日本・福島の震災被害地域の住民臨時居住地工事」というタイトルの求人広告が掲載された。福島県で仮設住宅を建設するための作業員を募集するもので、その内容が波紋を呼んだ。韓国の複数のメディアが報じている。
■「【写真特集】福島原発」写真トピック
韓国メディアは、あるプレハブ住宅の建設会社が福島県で働く作業員を募集するという求人広告を出したところ、インターネット上などで「現代版の徴用ではないか」との批判の声が上がったと報じている。
その後、建設会社は24日午前、募集広告を求人サイトから削除した。同社は、日本のある建設会社から仮設住宅の造成工事の一部を依頼された下請け業者だった。
また、工事区域は福島原発から約60キロ離れた場所で、この地域に2万軒の仮設住宅を建設することが明らかになった。
求人広告では、大工、電気工事、プレハブ建築物の技術者など105人を募集。一週間のうち6日の勤務で、期間は5月初旬から8月末までの4カ月間。月給は400万〜650万ウォン(約30.3万円〜49.2万円)で、勤務地は福島郊外の安全な地域であると表記されていた。韓国の月平均賃金は268万ウォン(約20.3万円)。
韓国のインターネット上では、「仮設住宅を建設する場所なので、安全な地域。大きな危険性はない」「給与も高く、強制性はない」という意見が上がった。その半面で「日本人が嫌がる地域に、なぜ韓国人を送るのか」「命を粗末にするようなもの」「お金の力で、誰もが嫌がる地域に人を派遣するのは現代版の徴用だ」といった、求人広告への批判の声が多く見られたという。(編集担当:李信恵・山口幸治)
◆豊富な実績、市民ら支持 敦賀市長選、河瀬さんが5選
http://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20110425/CK2011042502000150.html
24日投開票された統一地方選後半戦で、県内では敦賀市長選と、福井市など6市町議選で25日未明にかけ、新たな顔触れが次々と決まった。
無投票だった4年前の前回選挙から一転し、4人が激しく争った敦賀市長選は、無所属現職の河瀬一治さん(59)=自民推薦=が、いずれも無所属新人の渕上隆信さん(50)ら3人を振り切り、5選を果たした。当日有権者数は5万4080人。投票率は70・74%だった。
福井、敦賀、小浜の3市議選と池田、高浜、おおいの3町議選も激戦となり、当選の知らせを受けた候補者たちは歓喜に沸き立った。 (統一地方選取材班)
◆「一番重い責任感じている」
「これまでの経験と実績が評価された」。敦賀市長選で初の5選を果たした無所属現職の河瀬一治さん(59)=自民推薦=は、笑みを浮かべ勝利宣言した。
当選が決まると、同市本町1の事務所でテレビの開票状況を見守っていた支持者から大きな拍手と歓声が起きた。近くの自宅から姿を現すと、再び歓声に包まれ、河瀬さんは握手攻めに。柔和な顔をさらにほころばせた。
今回の市長選は、初当選した1995年以来の4人が立候補する大激戦となった。新人の3人が多選批判を強める中で「仕事に長い短いは関係ない。皆さんに約束した政策を実行できるのは経験豊富な自分だ」と応戦。選挙中、1日30回近い街頭演説をこなし、町づくりや産業振興などの実績をアピールして支持の拡大に努めた。
河瀬さんは「5度目の当選だが、一番重い責任を感じている」と支持者に感謝。今後は原発への対応など多くの課題が待ち受ける。敦賀3、4号機の本格着工については「安全性が確認されれば進めたい」とも話した。
「身を引き締めて職務に当たりたい」。きっぱりした口調で今後への決意を語った。 (立石智保)
<解説>原発、防災の課題が山積
東京電力福島第1原発事故で、敦賀市でも原発への不安が広がる中、市民は河瀬一治さんの首長としての豊富な政治経験を選んだ。安全を見極めながら、原発問題にどう対処するのか、町づくりなどほかの課題は−。河瀬さんにとっては、まさに手腕が問われる5期目となる。
選挙戦は3月に入るまで、多選批判で苦戦も予想された。しかし東日本大震災と福島の事故で、様相が変化。同じ原発立地地域として、市民の関心は「地域の安心安全を守れるのは誰か」に移り、手堅い市政運営を続けてきた河瀬さんが優位を保った。
市には本年度内に予定される敦賀原発3、4号機の本体工事入りや、高速増殖原型炉もんじゅの40%出力試験開始、福島の事故で緊急性を増した避難道路の整備など、原発、防災関連の課題が山積。河瀬さんは早速、これらの処理に手を付けることになる。
同時に、市政には敦賀港の振興やJR敦賀駅西地区の再開発、福祉など、ほかにも懸案がめじろ押し。多選によるマンネリ化を避け市役所組織の活性化を図りながら、これらの課題もどう成果を上げていくか。さまざまに市民の視線を集める中でのかじ取りとなる。 (立石智保)
◆3市議選、激戦制し晴れ晴れ
http://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20110425/CK2011042502000163.html
◆福井市 現職は全員が当選
25日未明に新たな顔ぶれが決まった。新旧別は現職22人、元職1人、新人9人。
投票率は52・88%で、前回の58・93%を6・05ポイント下回り、過去最低となった。当日有権者数は21万2513人。
党派別では民主1人、自民2人、公明3人、共産2人、無所属24人。4減の定数32となった今回は現職11人が引退し、新人13人が立候補する「世代交代」選挙となった。
各候補者はJR福井駅西口再開発や少子高齢化対策などを争点に、訴えを展開。ベテランや引退議員の地盤を引き継いだ新人などが勝ち上がった。 (古谷祥子)
◆敦賀市 新人への交代進む
現職19人、元職2人、新人5人が当選。高齢議員が引退し、新人への交代が進んだ。投票率は70・74%で、記録が残る1963(昭和38)年以降では、最低だった2007年の70・83%を下回り、記録を更新した。
党派別は民主2人、公明2人、共産2人、無所属20人。候補者数が定数をわずかに2上回るだけの激戦で、それぞれ地域や出身母体などを固めながら支持を訴えて回った。
政策では、原発への対応を中心に舌戦を展開。当選を決めると支持者らと喜び合い、今後への意気込みを語った。 (立石智保)
◆小浜市 元職、明暗分ける
現職13人、元職1人、新人4人が当選した。党派別では自民、公明、共産各1人、無所属15人。
現職の女性が唯一の議席を守った。返り咲きを狙った元職は、1人が落選し、明暗を分けた。新人は全員が当選した。
投票率は74・69%で、前回を5・5ポイント下回った。
選挙戦では、各陣営が当選ラインとみた800票を目標に運動を展開。出身地域を基盤の票田にして上積みを図る戦術に徹した。
開票は午後9時から市民体育館で始まり、同10時すぎから当選者が決まり始めた。 (池上浩幸)
◆統一地方選終了 積み残された課題は何か
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/238839
統一地方選の後半戦が終了した。九州では25市町村長選と89市町村議選の投票が行われ、新首長や新議員が誕生した。
東日本大震災の影響で東北の一部地域で選挙が延期され、選挙運動の自粛ムードが広がるなど、異例ずくめの展開だった。福島第1原発の事故による放射性物質拡散で「原発震災」の脅威が現実となり、各地の原発の地元では防災対策をめぐる論戦が白熱した。
九州では、玄海原発(佐賀県玄海町)に近い伊万里市でも、市議選で原発の安全対策を訴える候補者が目立った。伊万里市は同原発から最短でも12キロ離れており、いわゆるEPZ(原発から10キロ圏内の防災対策重点地域)の圏外だ。しかし、福島第1原発事故では30キロ圏外でも高濃度の放射性物質が検出され、EPZは事実上、有名無実化した。
原発事故に対応する専門部署さえなかった伊万里市では、組織体制や安全対策の構築に追われている。行政をチェックする立場の議会も対応を迫られ、急きょ原発対策が市議選の焦点に浮上した。
九州各地でも安全対策を見直す機運が高まり、玄海原発と鹿児島県薩摩川内市の川内原発では、住民側の強い要望を受けて、九州電力が初めて津波被害を想定した訓練を地元住民に公開した。
しかし、地元自治体や住民の取り組みは、原発からの距離によってまだら模様を描いている。今回の震災で住民の関心が高まったのを機に、あらためて地域の防災、「安全と安心」対策の見直しを進めることが、選挙後に残された最大の課題だろう。九州は学校耐震化率も69%台で全国平均(73・3%)を下回っており、対応が急がれる。
一方、鹿児島県阿久根市の市政と議会の混乱などをきっかけに、首長と議会のあり方や、議会改革の行方など、地方自治の根幹に関わる問題が提起されたのも、今回の統一地方選の特徴だった。
昨年来、九州各地の地方議会で表面化した政務調査費の不適正支出や、議員定数、議員報酬のあり方をめぐる議論も注目されたが、震災の陰に隠れて十分な論戦が展開されたとは言い難い。
統一地方選のさなかに、福岡県福津市議選(昨年12月)で、4人の候補が選挙ポスターの作製費用を水増し請求していたことが発覚し、公費支出のずさんさにあらためて厳しい批判が集まっている。今回、当選した新議員は、公費支出の透明化や住民に開かれた議会への改革にただちに乗り出すべきだ。
国会では震災被災地の復旧・復興へ、数次に及ぶ補正予算編成が論議されている。しかし、1千兆円にも迫る国の借金の山が、財源確保の巨大な障壁として立ちふさがる。
今回の選挙では各自治体でも財政再建が大きな争点となるはずだったが、議論は積み残しの印象だ。新しい首長と議会が改選後にどんな改革の一歩を踏みだすのか。有権者は、まだ目が離せない。
=2011/04/25付 西日本新聞朝刊=
◆警戒区域で家畜を殺処分へ 県が所有者の同意を得て
http://www.minpo.jp/view.php?pageId=4147&blockId=9833393&newsMode=article
県は24日、東京電力福島第一原発から半径20キロ圏内の警戒区域で、瀕死(ひんし)状態となった牛や鶏などの家畜を所有者の同意を得た上で殺処分すると発表した。死んだ家畜から害虫が発生し、衛生状態が悪化するのを防ぐ緊急措置。放射線量が高い場所を除く警戒区域の九市町村を対象に25日から作業を始める。ただ、原子力災害に伴う家畜の殺処分は法的な根拠がない上、埋却処理や家畜の損失に対する賠償も課題で、県は国に早急な対応を求める。(17面に関連記事)
県によると、警戒区域内の畜産農家は376戸。家畜は昨年10月現在、牛3500頭、豚3万匹、鶏68万羽、馬百頭が飼育されている。
福島第一原発事故に伴う避難指示で、農家は家畜を畜舎に残すか、野放しを余儀なくされ、捜索に入った警察官からは「家畜が死んだり、死にかかったりしている」との通報が相次いでいる。
県は、気温が上昇し、放置された家畜による衛生状態の悪化を防ぐ観点から早急な対策が必要と判断。国が方針を明確にしていないため、県独自に実施する。
瀕死状態の家畜は所有者の同意の上で、獣医師が殺処分する。死亡した家畜には害虫の発生を抑える消石灰を散布し、ブルーシートで覆う。現段階で埋却の見通しは立っておらず、今後、処分の在り方が課題となる。
一方、野放し状態の家畜が野生化し、家屋を荒らしたり、住民が一時帰宅する際に危害を加える懸念も出ている。このため、所有者の意向を踏まえ、殺処分や畜舎に戻すなどの対策を講じる。
相馬野馬追のために管理されている馬は食用外のため、例外的に除染し、区域外に移送することも検討する。
作業は防護服を着用した県の職員と獣医師らが放射線量を測りながら進める。25日に南相馬市小高区、26日に田村市都路町で行い、その後は警戒区域内の市町村と日程を調整して実施する。5月上旬までに終えたいとしている。環境放射線量の数値が高い地域では作業を見送る。
鈴木義仁県農林水産部長は24日、報道陣に対し「畜産の良好な産地で緊急対応を取ることは苦渋の決断」と述べた。農林水産省は「県の判断を尊重し、支援したい」としている。
家畜の殺処分は、伝染病の場合、家畜伝染病予防法に基づき都道府県が行う。宮崎県の口蹄(こうてい)疫では牛6万8千頭、豚22万匹が処分された。原子力災害の場合は殺処分に法的な根拠がない。県は既に国に対し、死んだ家畜も含めて損害賠償するよう求めている。
(2011/04/25 08:42)
◆家畜殺処分へ立ち入り始まる 福島の警戒区域
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110425/dst11042511160013-n1.htm
福島第1原発から半径20キロの警戒区域内で、餌や水を与えられずに死にそうになっている牛や豚、ニワトリなどの殺処分を始めるため、福島県は25日、区域内への立ち入りを始めた。
原発事故で立ち入りが規制された地域内での殺処分は法律で規定されていないが、県は衛生上の観点から独自に処分を始めた。
県によると、殺処分のために入るのは南相馬市の小高地区。昨年10月時点で牛887頭、馬80頭、豚約6200頭、ニワトリ約26万羽が飼育されている。県は所有者の同意を得て、死にそうな家畜に限り殺処分する。
小高地区は津波の被害も受け、91戸ある畜舎のうち損壊、流失したところもある。住民も避難していることから、家畜の所有者と連絡を取るのは困難も予想される。
県家畜保健衛生所の職員6人が2班に分かれ、放射線量を測りながら作業。警戒区域内は防護服とマスクを着用し、1日の被ばく放射線量の上限を50マイクロシーベルトに定めている。
◆南相馬、ようやく小学校入学式 福島原発事故の影響
http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011042501000268.html
福島県南相馬市で25日、5カ所に分かれて小学校の入学式が開かれる。新1年生は約150人。放射線の影響を避けるため、市内16校が福島第1原発の30キロ圏外にある小学校や体育館など5カ所に移り、学校を再開したが、入学式はまだしていなかった。
市によると、本来の入学対象は647人。3月12日の1号機の水素爆発で多くが市外に避難し、今月17、18日にあらためて対象世帯に入学の意向を確認した。
南相馬市は福島第1原発の北約10〜40キロにある。20〜30キロ圏は事故後、屋内退避指示が出されていたが、22日に解除され、20キロ圏外が新たに計画的避難区域などに指定された。
◆福島第1原発:警戒区域一時帰宅、移動含め5時間
http://mainichi.jp/select/today/news/20110425k0000e040040000c.html
東京電力福島第1原発から半径20キロ圏内の警戒区域について、国の原子力災害対策本部は25日、住民の一時帰宅の実施基準を正式発表した。住民の被ばくが累積で1ミリシーベルトを超えないよう、自宅での滞在は最大2時間、移動を含めて滞在は最大5時間とした。
一時帰宅が認められるのは1世帯1人で、15歳未満や歩行が困難な高齢者らは対象外とする。帰宅者は国が用意する防護服やマスクを着用。地域ごとにバスで区域外の中継基地を出発し、市町村職員や、放射線を測定する東電関係者が同行する。持ち出せるのは現金や通帳など必要最小限とし、食品や家畜は許可しない。乗用車やペットは今後検討するという。
終了後は中継基地などで放射線量検査(スクリーニング)をし、高い場合は除染する。原発から半径3キロ圏内や、その他放射線量が高い地域、津波被害で危険な地域は除外する。【茶谷亮】
◆スイス、脱原発には時間かかるが新規建設には反対=経済相
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK889282320110425
[チューリヒ 24日 ロイター] スイスのシュナイダー・アマン経済相は24日、同国が完全に脱原発を果たすには数十年かかるが、この間に新たな原発建設を行うべきではないとの見解を示した。
同相は、企業寄りの自由民主党(FDP)に所属している。
同相は「グリーン」技術について、開発は民間部門主導で行われ、公共部門が適切な枠組みを提供するという構図が必要と述べた。
ゾンタークツァイトゥング紙によると、同相は「脱原発は可能だが、完全な実現にはおそらく30年あまりを要するだろう。新規の原発建設は不可能だ。私も、中期的には原発を離れ、代替エネルギーに向かう路線が必要と確信する」と述べた。
スイスでは、福島の原発事故を受け、エネルギー政策をめぐる論議が再燃している。同国では3基の原発建設が承認手続き中だが、3月に安全基準の問題で手続きが中断した。
同国には現在5基の原発があり、国内の電力の約40%を発電しているが、一部は近年中に廃炉の必要がある。新たな建設予定地については、2012年半ばまでに決定されることになっている。
◆河瀬氏、まちづくり仕上げ決意 5期目に向け抱負
http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/nationwidelocalelections2011/27766.html
16年ぶりに4人の争いとなった敦賀市長選で5選を果たした河瀬一治氏は24日、喜びを体いっぱいで表した。選挙終盤に3新人から多選批判を浴び、渕上隆信氏の急追をかろうじてかわしただけに、当確が報じられると選挙事務所は歓喜の渦に包まれた。支援者に囲まれた河瀬氏は「原発の安全確保が第一。福祉、教育など山積する課題に全力で取り組む」と5期目に向け、力強く抱負を述べた。
敦賀市本町1丁目の選挙事務所には開票前から大勢の支持者が集まり、結果を見守った。午後10時過ぎ、当選確実の報が出ると「おー」という歓声が上がり、事務所内の喜びは一気に爆発した。
約10分後、河瀬氏は支持者に囲まれ、大きな拍手がわき起こる中で事務所前のお立ち台へ。「多くの皆さんに支えてもらい感謝している」と何度も頭を下げた。「震災の後で敦賀のかじ取りは厳しい。5度目で一番責任の重さを感じる当選。引き締めてやっていく」と決意を語った。花束を受け取り、「バンザイ」を繰り返す支持者と笑顔で喜びを分かち合った。
東京電力福島第1原発事故を受け、原発の安全、防災対策が注目された選挙戦。
河瀬氏は今後の原子力行政について「安全確保がしっかり行われるか厳しく見守り、避難道路も整備していく」。敦賀3、4号機の増設には「いろんな知見を照らし合わせ、安心となれば前へ進めたい」と述べた。
行財政改革は「無駄を省き、雇用を増やして財源を確保したい」。中心市街地活性化については「施設などを総合的に整備し、若い人たちが戻るようなバランスのとれたまちづくりを」と意気込みを見せた。
選挙戦ではほかの陣営から多選批判を受け、2500票足らずでかわしての勝利。「長いから悪いのではなく、いかにいい仕事をするかが大事。斬新な市政運営ができるよう頑張る」ときっぱりと話し、「敦賀のまちを元気に明るく盛り上げていきたい」とまちづくりの総仕上げに臨む決意を語った。
◆フジクラ、シャフト生産の目処が立つ
http://www.golfdigest.co.jp/magazine/gear/news/release/gn1000002749001.html
福島第一原発の事故で、現場から11qに位置する藤倉ゴム工業の小高工場は避難区域に指定されていたが、22日午前0時をもって警戒区域へと危険度がアップ。これにより完全立ち入り禁止となり、同工場再開の目処は立たなくなった。
小高工場は昨年11月に操業をはじめた最新鋭のシャフト工場で、アフターマーケットで人気の高い『モトーレ』などを生産していた。震災を受けて同社は数名の技術者をベトナムへ派遣、現地の工場で生産の手はずを模索するなど、様々な可能性を探っていた。
そこへ吉報が届いた。同じく県内で福島第一原発から23qに位置する原町工場で、ゴールデンウイーク明けを目処にシャフト生産をはじめる目処が立ったという。「わずか1ラインでの再スタートですが、ようやく仕事ができるようになります。震災以後、こちらの事情を察してか、取引先からの電話も鳴りませんでした。働けないことが、こんなに辛いとは・・・」(関係者)。そんな思いをしてきただけに、同社にとっては久々の明るい話題。
多くのクラブメーカーが、同社製シャフトを主力商品に装着している。そのため、春の新商品を出荷できないケースも相次いでいたが、着実に解決していくことが望まれる。
◆防護服で在宅2時間・1世帯1人 警戒区域一時帰宅基準
http://www.asahi.com/national/update/0425/TKY201104250101.html
「福島第一原発の半径20キロ圏内」と設定され、立ち入りが禁止された「警戒区域」への一時帰宅の許可基準が決まった。国の原子力災害対策本部は24日までに、警戒区域にかかる福島県内の各市町村に伝えた。
経済産業省原子力安全・保安院によると、一時帰宅が認められるのは1世帯あたり1人のみ。15歳未満は認めない。個人線量計を持ち、防護服などを着用したうえで、地区ごとに集団でバスに乗り、自治体や東電の職員が引率して移動する。
滞在中に浴びる放射線量を1ミリシーベルト以下に抑えるため、警戒区域内での滞在時間は5時間とされ、在宅できるのは最大2時間。食品や家畜などの持ち出しは認めていない。自家用車やペットについては別途検討するとしている。
一時帰宅の前に警戒区域内の放射線量を計測し、その結果をふまえて、一時帰宅できる場所や時間を調整する。福島第一原発から半径3キロ圏内は、放射線量が高いとみられるために一時帰宅は認めない。立ち入り制限に違反した場合、10万円以下の罰金や拘留が科せられるという。
一時帰宅の実施主体は市町村。原子力災害現地対策本部の大村哲臣総括班長は開始時期について「市町村の計画があり、準備ができ次第」とした。(川田俊男、福島慎吾)
◆韓国紙も菅首相の寄稿掲載 原発事故に深い遺憾
http://www.chugoku-np.co.jp/NewsPack/CO2011042501000349.html
【ソウル共同】25日付の韓国紙、東亜日報は、東日本大震災で韓国が国を挙げて支援したことへの感謝や、福島第1原発事故への「深い遺憾」の意を示し、日本の再生に向け全力を尽くす決意を表明した菅直人首相の寄稿文を掲載した。
菅首相は、国内外で批判された原発事故の情報公開について「あらゆる関連情報を即時に、高い透明性を維持して公開していく」と強調。日本の食品の輸入制限を行う国が相次いでいることに関し、日本政府が「科学的な基準に基づく安全確保」に万全を期しているとして、安心してほしいと呼び掛けた。
さらに今後、事故の徹底検証を行って「教訓を世界と共有」し、同様の事故の再発防止を含め原子力の安全性向上に貢献したいと表明した。
また震災で被災した日本の子供たちを励まそうと、韓国の幼稚園児や小中高校生が慰労の手紙を日本に送り激励したことにも触れ、謝意を表明した。同様の寄稿は他国向けにも順次行われている。
◆電力需要、東電と東北電大幅減 3月、震災で生産が停滞
http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011042501000344.html
東京電力と東北電力が25日発表した3月の電力需要実績速報によると、産業用の大口電力の販売量は、東電が前年同月比17・6%減の54億9千万キロワット時、東北電は30・1%減の15億6千万キロワット時だった。東日本大震災の影響で企業の生産活動が停滞し、電力需要が大幅に落ち込んだ。
前年実績を下回ったのは東電が15カ月ぶり、東北電は16カ月ぶり。
発電所の被災によって電力供給能力が低下したことも要因。福島第1原発100+ 件で深刻な事故を起こした東電の供給エリアでは、計画停電を実施したことで工場の操業が制限されたほか、多くの企業に節電意識が広まったことが大幅な需要減につながった。東北電の供給エリアでは、震災で生産設備が損壊したことなどが響いた。
3月は震災前の電力使用も含まれているため、4月は、減少率がさらに大きくなる可能性が高い。
東電の単月としての減少率は、リーマン・ショックで落ち込んだ2009年2月(22・0%減)と同年3月(20・3%減)に次ぐ過去3番目の大きさ。東北電は、1957年3月(30・5%減)以来、過去2番目の大きさとなった。
一方、電気事業連合会が25日発表した電力10社合計の3月の大口電力の販売量は6・3%減の213億9千万キロワット時で、16カ月ぶりに前年実績を下回った。また10年度の大口電力の販売量は、前年度比7・5%増の2803億9千万キロワット時だった。
◆食品・家畜持ち出し認めず…一時帰宅基準
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110425-OYT1T00565.htm
国の原子力災害現地対策本部(福島市)は25日、福島第一原発事故で原則立ち入りが禁止された原発から20キロ・メートル圏内の「警戒区域」への一時帰宅の許可基準を公表した。
関係自治体に24日に通知したもので、食品や、家畜などの生き物については持ち出しを認めないとしている。
また、一時帰宅者は「当面1世帯1人」とし、15歳未満の子どもと高齢、病弱などの理由で移動に支援を必要とする人は対象にしない。
(2011年4月25日11時49分 読売新聞)
◆原発選挙 揺れた地域 統一地方選終了
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/politics/election/2011unity/main/20110425/20110425_0012.shtml
福島第1原発事故の収束が見えぬ中で実施された統一地方選が24日終わった。未曽有の震災がもたらした「安全神話」の崩壊は、九州でも、地元を二分する原発論争に逆風や追い風を呼び起こしただけでなく、これからの古里や国のカタチのありようを候補者そして有権者に問い直した。曲がり角に立つ原発政策やまちづくりは新たな局面を迎えている。
●20年の誘致論争封印 串間
17議席を23人が争った24日の宮崎県串間市議選。串間は玄海(佐賀県玄海町)、川内(鹿児島県薩摩川内市)に次ぐ九州第3の原子力発電所誘致をめぐって、約20年前から市を二分する論争が繰り広げられてきた。統一地方選前半戦の投開票日(10日)には、原発立地の賛否を問う住民投票が行われる予定だったが、東日本大震災を受けて無期延期となった。
串間の原発問題は1992年に九州電力が建設を打診したのが発端。昨年7月の市長選で、かつて原発推進派で現在は中立を強調する野辺修光市長が、住民投票実施を公約に掲げて当選した。
3月11日の震災発生まで原発推進派、反対派ののぼり旗や看板があちこちに立ち並び、多くの候補者も色分けされていた。しかし、同月14日、野辺市長が「原発誘致は安全性確保が絶対条件。現状では市民に不安と混乱を招く」として住民投票の見送りを表明すると、情勢が一変した。
地元の市民団体が4月17日の告示直前に立候補予定者全員に実施した電話アンケートの結果、「原発推進」と回答した人はゼロ。これまでは原発誘致による地域活性化を訴えてきた現職は「福島であんな事故が起きては推進ムードは失速せざるを得ない。原発は地方議会レベルの話ではなくなった」と“翻意”の理由を説く。一方、反対派現職は「原発への関心が高まった今こそ各候補が考えを語るべきだったのに…。住民投票がなくなったことで原発論争が冷め、市議選も地縁血縁の選挙に戻った」と嘆いた。
大半の候補は「原発問題は争点にならなかった」と話す。野辺市長も本紙の取材に対し「私の任期中に住民投票の実施は考えられない」「市民にも原発設置をめぐる議論はないに等しいと考えている」とコメントした。
●「10キロ圏外」の防災論戦 玄海
九電玄海原発から最短距離で約12キロ。24日に議員選が投開票された佐賀県伊万里市は、原発事故の防災対策重点地域(EPZ、半径10キロ)の圏外だが、原発事故対策をめぐる論戦が熱を帯びた。6選を果たした現職の盛泰子さん(55)もその一人。盛さんは「EPZ拡大を県や国に働き掛けたい」と力を込めた。
塚部芳和市長は25日、統一地方選前半戦の知事選で「原発の安全対策の総点検」を公約に3選した古川康知事にEPZ拡大を要請する予定だ。
九電は定期点検中の玄海原発2、3号機について「地元の理解」を条件に5月下旬にも運転再開したい意向で、古川県政は3期目の船出とともに大きな課題に直面する。県幹部は「安全確保への主体的な取り組みが問われる」と表情を引き締めた。
●容認一変 反対派に風 川内
「原発のあるまちづくり推進」。九電川内原発が立地する薩摩川内市には、そんな大看板が立っている。九電は現在、3号機増設を計画しているが、市は1号機着工の1978年度から総額220億円を超す関連交付金で潤ってきた。
そこに起きた福島第1原発事故。統一地方選前半戦の鹿児島県議選同市区(定数3)では、増設反対派の無所属新人が初当選し「原発容認」の自民が独占していた議席の一角を切り崩した。地元自治会も「安全神話が崩壊した」と増設容認から計画凍結に転じ、周辺3市2町も凍結で追随した。
岩切秀雄市長と伊藤祐一郎知事は昨年、増設計画に同意していたが、県議選投開票日の翌日、「安全性が担保されているとは言えない」と、増設に必要な公有水面埋め立て申請の手続き保留を九電側に伝えた。「いま増設なんて無理、遠のいた話だ」。ある県幹部はそう語った。
=2011/04/25付 西日本新聞朝刊=
◆政府の原発対応「評価せず」76・4% 首相の指導力、8割「発揮せず」 早期退陣論4割
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110425/stt11042511440004-n1.htm
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が23、24両日に実施した世論調査で、東京電力福島第1原子力発電所の放射能漏れ事故への政府の対応を76・4%が、被災地復興や被災者支援についても62・7%がそれぞれ評価せず、後手に回る菅直人政権への批判が強まっていることが分かった。内閣支持率は21・8%で東日本大震災前の前回調査(2月26、27日調査)より3・1ポイントの微増したが、政権発足後、3番目の低さで、依然厳しい政権運営が続いている。
政府対応では、震災から1カ月以上たってから事故を国際原子力事象評価尺度(INES)で最も深刻な「レベル7」に引き上げた政府や、東電の対応に不信感が高まっている。原発事故の政府発表に66・2%が「信頼できない」、東電の対応、発表は76・4%が「適切ではない」、東電の原発事故収束に向けた工程表についても63・4%が「信頼できない」といずれも否定的な見方をした。
菅首相に対しては、79・7%が震災、原発対応で指導力を「発揮していない」と答え、評価したのはわずか13・4%だった。
自民党など野党や与党の一部から噴出している菅首相の退陣論については賛否が拮抗(きっこう)した。原発対応や被災地復興が一段落するころまで続けることを望む回答が39・6%と最も多かったが、「なるべく早く退陣してほしい」(23・8%)に、「今国会が終わる夏ごろ」(16・2%)を加えた早期退陣論も4割に達していた。
本格的な復興費用を盛り込む平成23年度第2次補正予算案の財源確保のための国債発行は51・9%が「適切」と回答。増税についても65・5%が「やむを得ない」と答えた。所得税、法人税、消費税の「基幹3税」のうち増税に適するのは消費税と答えたのが41・2%と最も多かった。容認できる税率は「7%程度まで」(39・2%)と「10%まで」(32・3%)が大半を占めた。
次期衆院選の時期については「任期満了か再来年」(29・7%)が最多だった。だが、「今国会が終わる夏ごろ」(21・0%)、「今年後半」(15・5%)、「なるべく早く」(13・6%)と早期解散を望む声も根強く残っている。
◆佐賀県 原発 安全へ新組織
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/238855
佐賀県の古川康知事は25日、3期目就任後初の定例記者会見で、福島第1原発事故を受け、九電玄海原発(同県玄海町)をめぐる地域防災計画について「今のままで十分だということにはならない」と述べ、計画見直しに取り組む新組織の設置を発表した。原子力安全対策課の人員も増やし、防災体制の強化を図る。いずれも同日付。
組織改正では総合防災統括監を新たに配置。指揮下に既存の消防防災課と新設の防災企画グループを置く。同グループを事務局として、原発事故への対応策を検討する原子力災害チームと、自然災害などに対応する総合防災企画チームの二つの全庁的プロジェクトチームを編成。現行の地域防災計画などを検証し、計画修正や国への提言を行っていくという。
玄海原発から半径10キロが対象となっている防災対策重点地域(EPZ)についても、古川知事は「もちろん見直しの対象にしていかなければならない」との見解を示した。
=2011/04/25付 西日本新聞夕刊=
◆復興と同時に財政再建も…首相が意向
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110425-OYT1T00627.htm
菅首相は25日午前の参院決算委員会で、東日本大震災からの本格的な復興のための2011年度第2次補正予算案に関し、「相当の財政出動が必要だ。これまでの財政健全化の努力とどう連動する形が取れるかが大きな課題になっている。震災の復興と同時に、財政再建の道筋も併せて打ち立てていきたい」と述べ、財源確保の際に消費税引き上げなどによる財政健全化の長期的見通しを同時に明らかにする意向を示した。
政府は復興財源確保のため、消費税を早ければ12年度から3年間限定で3%引き上げる方向で検討に入っている。引き上げによる税収を「震災復興基金」(仮称)で管理し、復興再生債の償還財源とする方針だ。
首相は原子力政策の見直しに関し、「原子力安全・保安院は経済産業省の一部として位置付けられ、原子力安全委員会は内閣府が所管している。そういう形が良いのかどうかも議論の対象になる」と語った。一方、日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)や運転中の原発については、「今すぐ停止することまでは考えていない」と述べた。
(2011年4月25日14時13分 読売新聞)
◆3回目の不明者集中捜索 原発30キロ圏内も
http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011042501000401.html
東日本大震災の被害が大きかった岩手、宮城、福島各県で25日、自衛隊、在日米軍、海上保安庁、警察が3回目となる行方不明者の集中捜索に当たった。
防衛省によると、福島第1原発の半径30キロ圏内も初めて対象エリアにした。20〜30キロは海上を含め自衛隊が、20キロ圏内の警戒区域は警察が受け持った。
自衛隊はこれまでで最大の約2万4800人を投入。航空機約90機、艦艇約50隻態勢で26日夕まで、海上や主要河川の河口部、冠水地域、がれきの下を捜す。海自の潜水士約100人は岩手県陸前高田市の広田湾、宮城県気仙沼市の気仙沼湾など4カ所を捜索した。
全校児童の約7割が死亡・行方不明になり、今も児童9人と教諭1人が不明の宮城県石巻市の大川小学校周辺には、自衛隊と消防、警察が計650人を投入した。深さ1メートル近くに堆積した土砂を人海戦術で掘り起こすなどした。
集中捜索は1日から3日間と10日にそれぞれ実施。182遺体を収容した。
◆放射線測定器を企業に貸出 福島、製品の風評被害防止
http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011042501000406.html
福島県は25日、福島第1原発の事故による工業製品の風評被害を防ぐため、県内の中小企業に放射線測定器を無料で貸し出すと発表した。県内6カ所の地方振興局に計8台を用意し、26日から実施する。
県によると、電子部品メーカーなどの中小企業が、取引先から製品の放射線測定を求められるケースが相次ぎ、県の研究施設「福島県ハイテクプラザ」などに持ち込まれた計234製品の測定を実施してきた。企業側からは、測定器を貸してほしいとの要望も増えていた。
◆【放射能漏れ】枝野氏、いわき市長に謝罪 避難準備区域除外の「要望」めぐり
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/110425/mca1104251220015-n1.htm
枝野幸男官房長官は25日の記者会見で、東京電力福島第1原発の事故を受けた緊急時避難準備区域に福島県いわき市が含まれなかった理由として「市から強い要望があった」と22日の記者会見で説明したことに対し、渡辺敬夫市長から抗議を受け、25日午前、電話で直接謝罪したことを明らかにした。文書でも改めておわびする。
枝野氏は、いわき市が区域指定から外れたことについて「市の意向を忖度(そんたく)したものだった。避難区域から外れるのが期待されるという意向があったとは認識しているが、(市側との)十分な認識が共有されずに、誤解を招く発言になった」と発言を訂正した。
渡辺氏は23日の記者会見で「事実無根だ」と反発。枝野氏に発言撤回を求める文書を送った。
◆放射性物質検査機関わずか6カ所 依頼殺到、1カ月2千件超え
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/110425/mca1104251244019-n1.htm
食品中の放射性物質(放射能)の検査が可能な厚生労働省の関係機関は、国立保健医療科学院(埼玉県和光市)などの4行政機関と、財団法人「日本食品分析センター(多摩研究所)」(東京都多摩市)、同「食品環境検査協会(横浜事業所)」(横浜市中区)の2登録検査機関の計6カ所しかない。特に2登録検査機関には原発事故後、検査依頼が殺到している。
通常は年間50件ほどの検査を行っている日本食品分析センターは事故後、1カ月の検査依頼が2千件を超えた。2台の検査機器を24時間フル稼働させたが追いつかず、今月11日から15日まで受け付けをいったん停止。18日の再開後も1日100件近い依頼が寄せられている。
主に日本に輸入される食品の検査を年間10〜30件行ってきた食品環境検査協会も、事故後は検査依頼が1日70〜100件と急増。1台の検査機器を24時間使って検査しているが、石田浩平所長は「全国の事業所から応援を頼んで検査を行っている。職員も疲れ、そろそろ限界」と話す。
検査機関は自治体も所有している。しかし、環境中の放射性物質や国内に流通する食品の検査を優先しているところが多いため、輸出品の検査まで手が回らないのが現状だという。
中国向けに秋サケなどの冷凍魚介類を輸出している北海道漁連(札幌市中央区)は「秋サケの輸出はまだ先だが、今ある検査機関だけでは間に合わず、輸出できなくなる。できるだけ早く検査体制を整えてほしい」と訴えている。
◆放射能安全証明書、政府の交渉進まず 「輸出できない」食品業者ら悲鳴
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/110425/mca1104251243018-n1.htm
東京電力福島第1原子力発電所の事故による放射能漏れを受け、約20カ国・地域(EU含む)が日本の食品における放射線量検査などの安全証明書を要求している。しかし、これまでに政府が対応できたのはEUとシンガポールだけ。政府の証明書がないと事実上輸出ができないことから、輸出企業からは早急な対応を求める声が上がっている。(平沢裕子)
日本から輸出される食品の安全証明書を求めているのは、タイや韓国、中国、ベトナム、オマーンなど。福島第1原発に近い東北・関東の12都県で生産・加工される食品だけでなく、日本国内全ての食品に対して証明書を求める国や企業もある。
5年前から鮮魚を中国に輸出している「長崎魚市」(長崎市)では政府の証明書がないため、4月半ばから輸出ができない状態だ。同社総合企画部の呉永平部長は「県を通じて働きかけているが、『政府の証明書でないとだめだ』と言われている。中国への輸出は水揚げの1%とはいえ、5年かけて信頼を築き上げ、ようやく定番商品として中国の消費者に受け入れられてきた。輸出できない状況が続けばお客さんが離れてしまう」と困惑する。
政府がEUとシンガポール向けの証明書しか発行できないのは、他国との交渉がまとまっていないためだ。国によって食品の安全基準は異なり、食品中の放射性物質(放射能)の基準値などを相手国から示してもらう必要がある。
しかし、基準そのものがない国もあり、水産庁漁政部加工流通課では「例えば、海藻の基準は魚と同じでいいのかなど細かい点を詰める必要もある」としている。
呉部長は「このまま日本からの輸出が滞れば、『日本の食品は危ないから輸出できない』という風評が広まる可能性がある。輸出再開は海外に日本の商品の安全性を示すことにもなるから、政府には迅速な対応をお願いしたい」と話している。
◆2号機高濃度汚染水の評価妥当 海への流出で保安院
http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011042501000416.html
経済産業省原子力安全・保安院は25日、福島第1原発2号機取水口付近から海に流出した高濃度汚染水について「東京電力が推定した放射性物質の量は妥当」との評価を発表した。汚染水の浄化システムや流出防止策を進め、地下水や海域の監視も続ける。
東電は、汚染水には放射性ヨウ素やセシウムが4700テラベクレル(テラは1兆)含まれ、ほかの放射性物質を合わせた量は5千テラベクレルと発表。周辺海域で検出された放射性物質の濃度は当初より低下し、潮流で拡散して濃度が下がったと保安院はみている。ただ1、2号機の地下水の濃度が高く、保安院は「引き続き監視が必要」としている。
◆福島県飯舘村と川俣町に現地政府対策室
http://news.toremaga.com/politics/country/325792.html
枝野幸男官房長官は22日の記者会見で東京電力福島第一原発から20km以上離れた地域のうち、年間累積放射線量が20ミリシーベルト以上になると予測されるエリアについて「計画的避難区域」とし、福島県、地元関係市町村と調整のうえ、該当する地域の住民については「1カ月後を目途に安全なエリアに避難させる」ことを発表した。該当地域は葛尾村、浪江町、飯舘村の全域と南相馬市と川俣町の一部地域。
また、枝野官房長官は同原発から20km以上30km以内のエリアにこれまで出されていた屋内退避指示を解除し、あらたに「緊急時避難準備区域」とし、緊急時に避難できるよう準備を求めた。ただし「こども、妊婦、介護を必要とする人、入院患者はこの地域に入らないことが求められる」。一方、運送業者などに「日常の生活関連物資の搬入、運搬などについてはよろしくお願いします」とあくまでも当該地域が緊急時に備えて避難の準備をしておくべきエリアであることへの理解を求めた。該当地域は広野町の全域と楢葉町、川内村、田村市、南相馬市の一部地域。
計画的避難区域や緊急時避難準備区域などの見直しについては「6ケ月ないし9ヶ月先に環境モニタリングのデータなどを分析して行う」とした。
なお、枝野官房長官は原発から30km以上離れた飯舘村と川俣町に「現地政府対策室」を立ち上げ、総務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省の職員を常駐させると述べた。同日、各省の職員が現地入りした。(編集担当:福角忠夫)
◆大規模放射能漏れ・爆発などの危険性は後退=細野首相補佐官
http://jp.wsj.com/Japan/node_227700
【東京】福島第1原発事故を担当する細野豪志首相補佐官は先週末、ウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューに応じ、同原発では政府と東京電力による原子炉安定のための懸命な作業が続いているが、爆発や大規模放射能漏れなど差し迫った危険性は後退しているとの認識を示した。
細野補佐官はまた、大量の放射性物質が漏出し、広範囲で多くの住民が避難を余儀なくされている同原発事故について、政府と国会が原因と事故対応について調査を開始することを明らかにした。調査は、専門家らで構成される独立した特別委員会が行い、証人喚問権限を持ち、議会から独立したものになるという。
細野補佐官は「事故の検証をしていくと、自ずとどこに問題があったか、日本の原子力政策の規制の問題も含めてはっきりとすると思う」と述べた。また、政府内に数多くの原子力関連の組織があることが、事故当初数日間、政府の東電間でコミュニケーションが混乱し遅れる要因になった可能性を示唆した。
6週間前に起きた東日本大震災により、過去25年で最悪の原発事故を起こした福島第1原発について、細野補佐官は、政府の見解としては状況が完全に安定化したとは言えないと指摘。ただ、原発での状況悪化のさまざまな可能性を検討した後であったとしても、政府の避難対策は妥当との見解を示した。
細野補佐官は「相当シビアなケースもふくめて、政府として検証しているが、そう言ったケースでも、今の避難地域を拡大する必要があるとは思っていないし、例えば東京とか京都が危険ということはありえない」と述べた。
日本政府はこの1週間で原発付近の住民に対する避難対策を強化した。しかし、当局者によると、原発事故現場での差し迫った危機というよりも、長期的な放射能汚染見通しを確認したうえでの変更という。
政府は先週、同原発から半径20キロ圏外の避難計画を発表し、5市町村を正式に計画的避難区域に指定した。
細野首相補佐官は、原子炉を冷却するシステムを構築することが同原発安定化の重要な部分であると指摘。ただ、問題は二つあるという。事故を起こした原子炉施設内で作業ができるよう放射線量を低下させることと、冷却の結果汚染される水を処理する方策を見つけることだという。
汚染水処理について政府は内外の科学者や企業から助言を求めているが、汚染水は、原子炉安定化作業の障害になっているほか、環境汚染の危険性があるため、主要な問題になっている。
細野首相補佐官は「我々の目的は極めて明確だ。これ以上の放射性物質の飛散を止めることで、これは空中も海も同じことだ」と述べた。
本紙は22日、原子炉1号機の圧力が設計圧の2倍に達していたにもかかわらず蒸気放出が遅れたことが状況の悪化につながった可能性がある、と報じた。
細野首相補佐官は、今回の事故で政府の長期的なエネルギー政策が変更されることはないとの見解を示した。政府は2030年までに14基の原発を新増設する計画。福島第1原発事故の評価が完了すれば、さらに原発を建設するか国民に信を問う必要があると指摘した。
細野補佐官は、日本は二つの主要な選択肢を持ち続けるべきだという。ひとつは自然エネルギー促進に依存する脱原発の道であり、エネルギー需要の一部を満たすため引き続き原子力を利用するという選択肢だ。
細野補佐官は「今の雰囲気で冷静な判断はできないと思う。しばらくは両方の手段を残すなかで、国民が判断していくべきだ」と述べた。
◆震災対応原因で統一選敗北…野党が首相追及
http://news24.jp/articles/2011/04/25/04181595.html
25日の参議院決算委員会で、野党側は24日までの統一地方選挙について、政府の東日本大震災への対応が民主党の敗北につながったと菅首相を追及した。
菅首相は、選挙結果は真摯(しんし)に受け止めるとしながらも、「震災対応でやるべきことはしっかりやってきている」と反論した。
自民党・岡田広議員「震災対応が今回の(統一地方)選挙の結果に反映をしたと考えている。菅首相の考えを聞きたい」
菅首相「少なくとも震災対応については、私は政府を挙げてやるべきことはしっかりやってきていると考えておりまして、今回の結果は結果として真摯に受け止めなければならないが、今後も(震災対応に)全力を挙げて取り組んでいきたいと考えている」
また、福島第一原子力発電所事故の初動対応についても、菅首相は「間違っていたことはあり得ない」と強調した。しかし、野党側は対決姿勢を強めていて、菅首相の退陣を求めていく方針。
民主党内でも副大臣の一人が「菅首相にまったく猶予はない」と批判するなど、菅首相の政権運営は震災復興と原発事故を抱える一方でさらに厳しくなりそうだ。
◆福岡の小川知事、防災見直しへ 専任組織を設置
http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011042501000436.html
10日の福岡県知事選で初当選した小川洋知事(61)が25日、県庁に初登庁した。記者会見で、東京電力福島第1原発事故を踏まえ「県内の糸島市は佐賀県の九州電力玄海原発の半径30キロ圏内にある。事故を想定し、県の防災計画を見直す」と述べ、新規計画を策定するため専任組織を設置する考えを示した。
小川知事は防災計画の見直しについて「県民の避難計画や佐賀県からの避難者受け入れも含め、県民の安全に関わることなので早く着手しなければならない」と強調。新組織は津波や原発の情報収集から始めるとした。
一方、麻生渡前知事が会長を務めた全国知事会の後任会長を決める26日の選挙で、立候補した埼玉県の上田清司、京都府の山田啓二両知事について「両知事とも面識がある。いずれも立派な方で地方分権に向け活躍した。2人の所信を聞いた上で(誰を支持するか)決断したい」と述べた。
小川知事は、同じ旧通産省出身の麻生前知事に後継指名されて知事選に出馬。多党相乗り候補となり、共産系の相手候補に大差を付けて当選した。
◆防災計画見直し班新設 福岡・小川知事初登庁
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/238864
今月10日の福岡県知事選で初当選した小川洋新知事(61)が25日、初登庁した。小川知事は就任記者会見で、東日本大震災を踏まえて県の地域防災計画を見直すため、専任の作業チームを消防防災課に新設することを明らかにした。
地域防災計画は、地震や風水害などの災害発生時の対応策をまとめる。現計画は原発事故で放射性物質が拡散する事態を想定しておらず、九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)から半径20キロ圏内に福岡県糸島市が入るため、小川知事は選挙戦のときから計画を見直す考えを表明していた。
作業チームは職員4人で構成。地震や津波などの被害想定を見直すとともに、原発事故が発生した場合の県民の避難措置や佐賀県からの避難者受け入れなどを検討する。
また、東日本大震災の被害を受けた企業が福岡県内に工場や事業所を移転しやすくするように、移転可能な場所の情報提供や税制の優遇、補助金などによる支援を検討する方針も示した。
知事選で強く訴えていた「県民幸福度日本一の福岡県」については、外部有識者を交えて具体化を検討する。3人の副知事は「仕事ぶりを見て今後考えたい」と語り、当面は現態勢を継続する見通しだ。
これに先立つ初登庁の際は、県庁玄関前で職員に拍手と花束で出迎えられた。その後、幹部職員約300人に「風通しの良い職場づくりに努力してほしい。県民の幸せのために、を合言葉に私と一緒になって走ってもらいたい」と訓示した。
16年ぶりの新知事誕生に県庁内は「お手並み拝見」(幹部)の雰囲気。訓示を聞いた幹部職員(54)は「誠実、堅実のイメージ。幸福度の考えは示されたが、早く具体的な政策を打ち出さないと職員は動きようがない」と話した。
=2011/04/25付 西日本新聞夕刊=
◆枝野氏「いわき市の要望」を訂正 避難区域除外で
http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011042501000441.html
枝野幸男官房長官は25日午前の記者会見で、福島第1原発100+ 件の半径30キロ圏内に一部が含まれる福島県いわき市を、計画的避難区域や緊急時避難準備区域にしなかった理由に関し「市の強い要望に基づいた」との22日の発表を訂正した。
枝野氏は区域設定の経緯について「避難区域から外れることを期待する市の意向を忖度した」と説明。「地元と意見交換したが、避難区域の設定は国の責任だ。誤解を招くような発言になった」と述べた。会見に先立ち、発言の撤回を文書で求めていた渡辺敬夫いわき市長に電話で陳謝した。
◆東日本大震災:冷静な対応求める 県立医療大で放射線講座 /茨城
http://mainichi.jp/area/ibaraki/news/20110425ddlk08040099000c.html
東京電力福島第1原発事故で放出された放射性物質の影響が懸念される中で、県立医療大(阿見町)が24日、放射線の専門家による特別公開講座を同大で開いた。
同大放射線技術科学科の佐藤斉准教授(放射線管理学)は大学や町内で測っている放射線量の数値を紹介しながら、「現在は大気中に漂っている放射性物質は検知されていない。水道水や市販の農作物による内部被ばくは考慮する必要はない」と現状を説明。そのうえで「原発対策が進行中で放射性物質が急激に増えることは起こりうる。引き続き観測し変化があればすぐにお伝えする」と冷静な対応を求めた。
佐藤准教授は86年4月のチェルノブイリ原発事故の5年後に現地入りし、子どもの甲状腺がんの状況などを調査している。
一方、窪田宣夫教授(放射線生物学)は「日常生活における放射線」をテーマに講演。低線量の被ばくによる発がんについて「累計100ミリシーベルトト以下の被ばくでは確定的な影響は生じない。遺伝的な影響の心配はない。長期間ゆっくりと被ばくした場合、多段階の生体防御システムが有効に働きリスクは小さくなる」と説明した。
また、「5〜10年と収束しないと心配であることは確実だ。早く収束してほしい」と語った。講座には町民ら320人が参加。「小学校のグラウンドの線量も測ってほしい」などの意見も出た。【安味伸一】
◆福島市公園に注意呼び掛ける看板 基準上回る線量
http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011042501000456.html
福島市は25日、大気中から国の基準(毎時3・8マイクロシーベルト)以上の放射線量が検出された市内の二つの公園に「利用は1日あたり1時間程度としてください」と注意を呼び掛ける看板を設置し、砂場はブルーシートで覆った。
福島第1原発から60キロ以上離れているにもかかわらず、基準と同じ放射線量が検出された「信夫山子供の森公園」。いつもなら子どもたちの声が響き、桜の花見客でにぎわうが、この日は人の姿は全くなかった。
市公園緑地課の職員は「いい公園にするために頑張ってきたのに…」と話し、近所の女性(78)は「子どもの声が聞こえなくて寂しい。こんなに静かな春は初めて。原発事故がただただ悔しい」と涙を浮かべた。
福島市の中心部にあり、基準を0・1ポイント上回った新浜公園にも看板が設置された。
◆東日本大震災:県産農産物を水戸駅で直売−−県北6農協 /茨城
http://mainichi.jp/area/ibaraki/news/20110425ddlk08040096000c.html
県産農産物の安全性を訴えるため、JA茨城みずほなど県北6農協が合同で24日、JR水戸駅の改札前で農産物の直売を行った。コマツナなど旬の葉ものや乳製品など、約120種類が並び、買い物客や乗客が次々と買い求めた。
東京電力福島第1原発の事故により、県産のホウレンソウ、パセリ、カキナと原乳が一時全域で出荷制限されていたが、現在も制限しているのは北茨城市と高萩市のホウレンソウのみ。だが、県農協中央会によると、県産野菜は今も中卸業者に敬遠されるなど風評被害に苦しんでいるという。
この日は前日に震災後初のホームゲームで1勝を挙げた水戸ホーリーホックの選手2人も駆け付けた。選手会長の小池純輝さん(23)は「県産の野菜はおいしくて安全。多くの人に理解してもらえるよう、力になりたい」と話していた。【山崎明子】
◆15歳未満は認めず 警戒区域滞在は5時間
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2011/04/25/kiji/K20110425000697700.html
政府は25日までに、東京電力福島第1原発から半径20キロ圏内の「警戒区域」への一時帰宅について、具体的な許可基準を決め、関係自治体に伝達した。(1)1世帯当たり1人で、15歳未満や高齢者は認めない(2)放射線量を1ミリシーベルト以下に抑えるため、警戒区域の滞在は5時間、在宅は2時間(3)食品や家畜の持ち出しは認めない―などを設定した。
菅直人首相は25日の参院予算委員会で、5月の大型連休明けから一時帰宅を開始したいとの意向を示した上で「2万6千世帯を超えるので一遍ではなく、かなりの時間がかかる」と指摘した。枝野幸男官房長官は記者会見で、早ければ一両日中にも町役場などを先行して一時立ち入りさせたいと述べた。
海江田万里経済産業相は参院予算委員会で、世帯当たりの人数を増やすことにも努力したいとの考えを示した。
原子力災害対策本部は帰宅の可否について、原発の状況や気象条件を踏まえ判断する。汚染の可能性があることを事前に周知し、終了後は放射線量のスクリーニングを行い、必要なら除染する。自家用車やペット持ち出しは別途検討している。
対象者は「警戒区域に居住し、当面の生活上の理由により一時立ち入りを希望する者」と「立ち入りができなければ著しく公益を損なうことが見込まれる者」とした。
一時帰宅は各自防護服着用で、個人線量計を装備。自治体職員や東京電力社員などが引率して地区ごとにまとまってバスで移動し、連絡用に無線なども携帯する。半径3キロ圏内は放射線量が高いため、一時帰宅は認められない。違反した場合、10万円以下の罰金などが科せられる。
◆福島第1原発事故 東電「仮払い補償金」で南相馬市役所に窓口 /福島
http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20110425ddlk07040042000c.html
◇相談の市民続々
東京電力は24日、福島第1原発から半径30キロ圏の住民に払う「仮払い補償金」の相談窓口を南相馬市役所に設置した。早朝から市民が次々と訪れ、請求方法などを問い合わせた。「東電カスタマーセンターの電話が話し中でつながらない」との苦情があり、問い合わせ殺到の緩和が期待される。
請求書類の配布と受け付けは29日〜5月2日、市立原町第三小学校(同市原町区上町1)の体育館で。請求に必要な住民票の取得で市役所窓口が混雑することが予想され、東電に委任することもできる。仮払いは1世帯100万円、単身世帯は75万円。同市は30キロ圏外の鹿島区の住民も対象に含めるよう要望している。
問い合わせや請求書類はカスタマーセンター(電話0120・995・002か006)。受け付けは平日午前9時〜午後7時。土日は午後6時まで。【神保圭作】
◆プルサーマル発電 安全性で直嶋元経産相「国の認識甘かった」 /福島
http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20110425ddlk07040024000c.html
東京電力福島第1原発3号機のプルサーマル発電について県が昨年8月、受け入れを決めた時の経済産業相である直嶋正行氏は24日、福島市で記者団に対し、当時国が安全性が確保されているとしたことについて、「津波被害はきちんととらえていなかった面があるのは事実」と述べ、国のチェックが甘かったことを認めた。
民主党の「復興ビジョン検討チーム」座長として県災害対策本部を訪れ、佐藤雄平知事らとの意見交換後に語った。直嶋氏は「安全基準の問題や事故後の対応など、さまざまな点で透明性ある検証をし、今後につなげることが重要だ」と強調した。
これとは別に、原発立地県の石井隆一・富山県知事も佐藤知事を訪問。医師や看護師の派遣継続や、原子力災害の補償や生活支援を盛り込んだ特別法制定に向け、福島県と協力して国に要請していくことを約束した。【関雄輔】
◆福島第1原発事故 避難区域指定、連絡もっと早く 南相馬市長 /福島
http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20110425ddlk07040027000c.html
福島第1原発事故で、屋内退避指示区域が「計画的避難区域」と「緊急時避難準備区域」に指定されたことを受け、南相馬市の桜井勝延市長は22日の会見で、「国の切り替えの連絡は前日の21日。1週間程度余裕をもって指示してほしい」と注文を付けた。
市の計画的避難区域は南西部の原町区馬場などで、6世帯10人が今も生活。市職員が避難を呼びかけている。緊急時避難準備区域は、原町区や鹿島区の一部で「止まっていた宅配便などは可能な限り再開してもらうよう業者に要請したい」と話した。
警戒区域については「できるだけ早く一時帰宅を認めてもらいたい。住所別ではなくて、避難所別にしてほしい」と述べた。【神保圭作】
◆いわき市長に陳謝=枝野官房長官
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201104/2011042500350
枝野幸男官房長官は25日午前の記者会見で、福島第1原発から半径20キロ圏外の計画的避難区域などの設定に関し、自身の説明が十分でなかったとして、福島県いわき市の渡辺敬夫市長に同日電話し、陳謝したことを明らかにした。
枝野長官は22日の会見で、屋内退避区域だったいわき市の一部が計画的避難、緊急時避難準備の両区域から外れたことについて「市からも強い要望があり結論を出した」と説明した。しかし、25日は「いわき市長からそのような認識はない旨の申し出を頂戴した。市の意向を忖度(そんたく)したが、誤解を招く発言になった」と述べた。(2011/04/25-13:00)
◆チェルノブイリからフクシマへ「同じ道たどらないで」
http://www.asahi.com/international/update/0424/TKY201104240184.html
事故発生から満25年を26日に迎える旧ソ連・ウクライナのチェルノブイリ原発。廃炉のために運転を全面停止するスイッチを操作した職員は、「チェルノブイリは長いこと忘れられていた。フクシマは絶対に同じような道をたどって欲しくない」と訴える。
セルゲイ・バシトーボイさん(40)。現在は広報担当者として、チェルノブイリ原発でなお働く。くしくも、チェルノブイリの1号炉を始動させたのが、やはり原発職員だった父のアレクセイさん(67)だ。
息子のバシトーボイさんは原発の町プリピャチで育った。事故当日は、インフルエンザで学校を休み、自室で寝ていて、窓越しに原発の上空に煙が上がるのを見た。父は当時、4号炉で燃料棒の交換作業などの担当だったが、この日は休み。別の同僚が被曝(ひばく)して亡くなった。
父の影響で原発で働くことを決心したバシトーボイさんは、ロシアの大学で物理学を学んだ。ふるさとへの思いは強く、ほかの就職先を蹴ってチェルノブイリ原発を選んだ。
2000年12月15日。事故後も唯一稼働していた3号炉の制御室で、多くの同僚職員が見守る中、バシトーボイさんが停止スイッチをひねった。同原発で「最後の火」が消えた。始動させた父と、停止させた息子。親子とも、たまたま当番が回ってきて果たした役割だった。
現場の人間として、老朽化した原発がどれほど危険かは理解していた。でも、自分を含めた5千人以上の職員の雇用が失われていくことがつらかった。「勤務は交代制。同じ顔ぶれと長い時間働いていて、みんな家族のようだった」
バシトーボイさんは、福島第一原発について、こう気遣う。「一番大変なのは、今、事故の拡大を食い止めようと現場でもがいている末端の作業員たち。彼らは本当に英雄だ。フクシマでは絶対に、チェルノブイリのような人命や健康、精神的な苦痛などの犠牲を出して欲しくない」(キエフ=関根和弘)
◆福島原発周辺に新たに正断層「直下型地震の危険」
http://www.j-cast.com/tv/2011/04/25094036.html
「なぜ、私たちが東京のためにこんな目に遭わなくてはいけないのか」
東京電力・福島第一原発事故の避難住民にしてみれば、まったく割り切れない思いだろう。では、福島原発を襲った地震はどんなものだったのか。
東京大学地震研究所の石山達也教授は、「正断層が起こり、下に引っ張られる力が事故を起こすきっかけとなった。3月11日以前は福島第一原子力発電所の周辺には正断層はなかった」と解説する。
正断層とは水平方向に引っぱる力がかかっている場所に存在する。そして、地下に斜めに入った割れ目を境に、片方が他方の上をすべり落ちるような方向で動いてできる。これまでは九州中部の火山地帯に見られるとされていたが、今回は福島原発周辺でこれが起きたというのだ。
中野岳断層の50キロメートル先
さらに、井上貴弘リポーターの福島県の現地から「12〜3年前までは、この中野岳断層と呼ばれる断層はなかったと言われていますが、いまは大きな亀裂が地面に入っています。この50キロメートル先に福島原発があります」と伝える。
つまり、東日本大地震の余震ではなく、新たにできた正断層で地震が起きる可能性があるということだ。それも福島原発の周辺が震源地というのだから、原子力発電所は今度は完全にぶっ壊れる。
司会のみのもんたは「今回の原発事故が起きてから、どの電力会社も自分たちの原発は絶対に安全だとは言っていない。現在、沖縄を除いて54基の原発があるが、改めて安全性を見直す必要がある」
◆露から福島案ずるメール続々
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201104250076.html
府中市の市民団体ジュノーの会に、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故の被災者から電子メールが相次いで届いている。国際評価尺度でチェルノブイリと並ぶ「レベル7」となった福島第1原発事故の被災者の健康を案じている。
チェルノブイリの被災者団体「ゼムリャキ」のメンバーから計24通が届いた。タマーラ・クラシツカヤ代表は「政府が脅威がないと言っても直ちに避難し、子どもを救って」と呼び掛け。「靴のほこりを拭き取り、手を洗い、部屋の中を頻繁に雑巾がけした。帽子やスカーフを着け、髪を覆うことも大切」など体験を生かしたメッセージもあった。
ジュノーの会はメールの日本語訳を支援物資に添えて福島市の被災者に届けている。会のブログでも公開。24日午後1時半からは、府中市文化センターで報告集会も開く。
甲斐等代表は「ヒロシマ・ナガサキとチェルノブイリの声を福島の人に伝え、危機感を共有したい」としている。ジュノーの会=電話0847(45)0789。
【写真説明】チェルノブイリ被災者からのメールを読む甲斐代表
◆復興と原発事故「分けて議論を」…宮城知事
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110425-OYT1T00677.htm
宮城県の村井嘉浩知事は25日の定例記者会見で、政府の「東日本大震災復興構想会議」について「原発の是非を問いだすと百家争鳴となり、議論が前に進まなくなるのではないか」と福島第一原発の事故を取り上げることに懸念を表明した。
その上で、復興と原発事故を「分けて議論すべきだと思う」と主張した。
構想会議は当初、東京電力福島第一原子力発電所の事故をテーマとしていなかったが、委員の反発で入れることになった経緯がある。
また、自ら提案した災害対策税について「財源を確保せず、『あれもこれもやるべきだ』と主張するのは無責任だ。松下政経塾にいる時から、災害対策のための国家レベルの基金を作るべきだと主張してきた」と語った。
(2011年4月25日13時37分 読売新聞)
◆玄海原発再開、佐賀知事が先送り「国の判断待つ」
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/110425/mca1104251325022-n1.htm
佐賀県の古川康知事は25日の定例会見で、発電再開を延期している九州電力玄海原発2、3号機について「(九電が国に提出した緊急安全対策の報告書に対する)国の判断結果を待ちたい。独自に判断するのは難しい」と述べ、県としての方針決定を先送りした。
古川知事は原発から半径10キロのEPZ(防災対策の重点地域)について「今までの決まりで十分とはならないだろう。どこまで拡大するか議論すべきだ」として対象範囲の見直しを表明。合わせて、東京電力福島第1原発の事故に関する情報収集や、防災計画の点検などに当たる原子力防災チームを新設すると発表した。
◆福島2号機 建屋水位 変化なし
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011042502000207.html
福島第一原発の事故で、東京電力は2号機のタービン建屋と立て坑にたまっている高濃度汚染水の移送を続けているが、建屋の水位に変化はなく、立て坑の水位低下もペースが鈍い。東電は、建屋の水を早期に抜き、冷却機能の復旧につなげたい考えだが、今後、日程変更を迫られる可能性もある。
東電は、2号機のタービン建屋などにたまった約二万五千トンの高濃度汚染水を、集中廃棄物処理施設(容量三万トン)に移送する作業を十九日午前に開始。二十五日までに千四百十トンを移送し、約一カ月かけ約一万トンを移送する予定。
現在、炉心には一日当たり約百六十トン注水しているのに対し、約二百四十トンを移送しており、建屋内の汚染水は一日約八十トン減る計算だ。
建屋とつながっているとされる立て坑の水位(地上部から水面まで)は、十九日は八十センチだったのが、徐々に下がり、二十五日には八十八センチとなった。
ただし、肝心のタービン建屋の水位は三メートル十センチで、移送開始当初から変わっていない。
経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は二十五日午前の会見で、「現在は、炉心に注水しながらのテスト的な移送。うまくいけば、十日やった後、ポンプの数も増やすことになっている」と説明。移送と並行して、新規の水を使わない循環型の冷却設備の設置を目指す方針を示した。
◆復興と財政再建並行 2次補正で首相意向
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2011042502000211.html
参院決算委員会は二十五日午前、菅直人首相と全閣僚が出席し質疑を行った。首相は東日本大震災の復興に関し「相当な財政出動が必要だ」と指摘した上で、今後の財政運営について「本格的な復興のための二○一一年度第二次補正予算案を議論していく中で、財政再建の道筋も合わせて打ち立てていきたい」と述べた。
民主党は二次補正の財源として、通常の国債とは別勘定で管理する「復興再生債」(仮称)を発行することを決め、その償還財源として期間を限定し増税することを検討している。こうした案も含めて議論し、財政再建の長期的な道筋を示す考えだ。
また、首相は原子力発電所の安全確保の体制について「これまでの形がそのままでいいか議論の対象になる」と述べ、経済産業省と原子力安全・保安院を分離できるか検討する考えを示した。
今後の復興計画を実行に移す政府の組織体制については「政府でも与野党でも議論している。関東大震災の時の復興院も一つの考えだが、二重行政になるとの指摘もある」と述べるにとどめた。これに関連し、枝野幸男官房長官は記者会見で「大型連休明け前の段階で一定の方向性を示さなければいけない」と述べた。
決算委は三月十一日の大震災発生で審議をいったん打ち切り、今回、約一カ月半ぶりに残りの質疑を行った。午後は首相らが出席して参院予算委員会で、震災と原発事故をテーマとする集中審議を行った。
◆高汚染水処理、セシウム吸着させ沈殿 契約の仏企業提案
http://www.asahi.com/national/update/0425/TKY201104250176.html
福島第一原発の収束の鍵を握るのが、たまり続ける放射能汚染水の処理だ。原子炉を安定して冷却するしくみを作る作業の妨げになる上、外に漏れれば再び海洋汚染に発展する。東京電力は仏企業と契約し、浄化設備を作って6月から処理を始めるが、技術的に課題もあり、先行きは不透明だ。
東電と4月上旬に契約したのは仏の原子力大手アレバ。ロベルジョン最高経営責任者によると、1時間あたり50トンの汚染水を処理し、放射能濃度を1千?1万分の1に低減できるという。
現在、1?3号機のタービン建屋や坑道などに計約7万トンの汚染水がある。特に2号機のタービン建屋のたまり水は、表面線量が毎時1千ミリシーベルトを超え、濃度は極めて高い。
アレバが提案するのは「凝集沈殿法」と呼ばれる方法。この汚染水にフェロシアン化ニッケルなどの吸着剤を入れ、放射性セシウムなどを吸着させた上で、凝集剤を入れて沈殿させて取り除く。仏ラアーグにある同社の使用済み燃料の再処理施設でも採用している方法だ。
汚染水の処理について、日本の研究者からも提案があったが、放射性廃液の扱いのノウハウを持っているアレバ社との契約に至った。経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は「(アレバ社は)世界で最もノウハウがある。廃炉の技術と合わせれば全体的に強い」と話した。
東電はこのほか、放射性物質を吸着する鉱物ゼオライトを混ぜたフィルターに汚染水を通したり、加熱して蒸留することで塩分と放射性物質を取り除く方法も検討している。
東電は2号機の高濃度汚染水約2万5千トンを、敷地内の集中廃棄物処理施設(容量1万トン)に移送し続けている。25日朝の時点で1400トンが移送された。1号機の汚染水はタービン建屋内の復水器に移送中で、3号機も復水器に移送する予定。移送後は浄化処理をして濃度を下げ、仮設タンクやメガフロート(大型浮体式構造物)、バージ船で保管したり、再び原子炉の冷却水に使ったりする計画だ。
ただ、集中廃棄物処理施設や復水器などの空き容量は十分でない。東電は7月をめどに汚染水の仮設タンクを設置する計画だが、容量は1万トンしかない。しかも、汚染水は原子炉への注水に伴って増え続けている。このため、東電は浄化処理施設が完成したら、浄化と並行して移送を続けることにしている。
浄化処理がうまくいかないと移送は滞ることになりかねないが、専門家の間には技術的課題を指摘する声もある。東工大の有冨正憲原子炉工学研究所長は「各号機により汚染水の成分がだいぶ違う。津波の海水やディーゼルタンクが流された際の重油も含まれているはず。それによって、吸着率に大きな差が出る」と話す。(香取啓介)
◆「交付金なし。もらったのは被害だけ」福島・川俣町「計画的避難」の理不尽
http://www.j-cast.com/tv/2011/04/25094044.html?p=2
「避難しながら通勤できないか」(町長)
その川俣町の古川道郎町長が電話で訴えた。
「1か月で出て行かないといけないが、メドがたたない。みな不安でいっぱいです。家族だけでなく、動物もいるし、工場の移転もある。1か月でできるかどうか。
原発周辺地区の避難の人たちを受け入れているから、もう施設は埋まっている。われわれは遅れて避難となったので、いま行き先を探している」
羽鳥「また、引っ越しでも障害があるそうですね」
これはきのう(2011年4月24日)の新聞が報じたが、この地区への集配を引っ越し業者が拒否しているという。「社員の安全確保のため」というのだが、現に人が住んでいる地域へも入らないというのは、ほとんど風評被害に近い。
町長は「政府からは何の説明もない。国は実情を確認しながら指示を出してもらわないと現地では手の打ちようがない」という。また線引きも微妙だ。「線量の低いところもあるので、避難はしても、安全を確認しながら通勤で工場を操業できないかと要望している」(町長)
なんともきわどい綱渡りである。こうして知恵を絞っている被災地の首長にくらべ、中央の動きのなんと鈍く見えることか。足の引っ張り合いなんかしている時じゃないだろうに。
◆チェルノブイリ事故再発、8割が懸念 ロシアで世論調査
http://www.asahi.com/international/update/0425/TKY201104250161.html
旧ソ連のチェルノブイリ原発事故から26日で25年となるのを前に、ロシアの世論調査機関「世論財団」が国内各地で原発について聞いたところ、チェルノブイリのような事故の再発を懸念する人は80%に達し、「原発は生命と健康への脅威だ」と感じている人は85%に上った。インタファクス通信などが24日伝えた。
親類縁者が何らかの形でチェルノブイリ事故に関係していると答えた人は25%に上り、同原発の近くに住むのは今も安全でないと74%が回答。原発が自宅近くに建設される場合は82%が拒否すると答えた。
原子力を成長産業と位置づけるロシアは、福島第一原発事故後も自国の原発は安全だと強調しているが、国民の不安は強いことが示された。一方で、世論調査機関「レバダ・センター」の調査によると、「原発撤廃」は賛成が13%にとどまり、「現状維持」(31%)や「より推進」(23%)が上回った。(モスクワ=副島英樹)
◆直嶋元経産相、津波対策の不備認める
http://www.minyu-net.com/news/news/0425/news11.html
民主党副代表の直嶋正行元経済産業相は24日、福島市で記者団に対し、本県が東京電力福島第1原発3号機のプルサーマルを受け入れる際の国の原発安全性の確認で、今回の原発事故の原因となった津波への対策について「従来の安全基準をベースにしたチェックをした。津波被害については今回の事故が起きるまで、きちんと捉えていなかったのは事実」と認めた。
今後の原発の津波対策については「あらためてどのような基準にするかと、発生したときの対応について、透明性を確保して検証し先々のことにつなげていくことが重要」との見方を示した。今回の原発事故では、地震の揺れではなく津波による被害で電源喪失を招き、原発の冷却機能が失われた。
直嶋氏は経済産業相在任時、プルサーマル受け入れを判断するため県が求めた安全確認に応じ、福島第1原発3号機の耐震安全性や高経年化(老朽化)対策、経年劣化が懸念されたプルサーマル用のプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料の健全性について、東電の対応を検証する立場にあった。
(2011年4月25日 福島民友ニュース)
◆佐賀県が原発防災チーム新設
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20110425-OYS1T00717.htm
佐賀県の古川康知事は25日の定例記者会見で、東日本大震災を受け、防災対策を検討する全庁的な組織として「原子力防災」「総合防災企画」の両プロジェクトチームを同日付で設置したと発表した。
部長級や課長級の職員らそれぞれ約20人で構成。九州電力玄海原子力発電所(玄海町)について県の地域防災計画を検証し、原発から半径10キロと定めている防災対策重点地域の範囲(EPZ)の見直しなどに向けた作業を進める。
古川知事は、定期検査中の玄海原発2、3号機の運転再開の対応について「九電の緊急安全対策に対して国が4月末にも示す見解を見て考えたい」と述べた。
(2011年4月25日 読売新聞)
◆東日本大震災:福島第1原発事故 原子炉建屋調査ロボット開発−−千葉工大など
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110425dde041040007000c.html
◇線量計・カメラ装備 遠隔操作も可能
階段を上ることのできる緊急災害対応ロボット「Quince(クインス)」が24日、千葉県習志野市の千葉工業大で公開された。東京電力福島第1原発の原子炉建屋内の状況調査ができるよう、線量計やカメラなどを装備。遠隔操作もできる。東電から要請されしだい投入される。
開発したのは、同大や東北大などの研究者らでつくるNPO法人「国際レスキューシステム研究機構」。全長66センチ、幅48センチ、車高22センチで、戦車のように無限軌道で走り、がれきを乗り越える。扉のドアノブを回して開ける軽作業用アームを取り付けることもできるという。
田所諭・東北大教授は「狭い場所でも階段を上る性能を備えたロボットはほかにない」と説明。政府と東電の事故対策統合本部のリモートコントロール化プロジェクトチーム、浅間一・東京大教授は「5階(の原子炉建屋オペレーションフロア)に近づけるロボットが必要だ。クインスを導入することになるだろう」と語った。【岡礼子】
毎日新聞 2011年4月25日 東京夕刊
◆東日本大震災:福島第1原発事故 1号機の容器圧力、元に戻る 窒素注入続行の方針
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110425dde003040010000c.html
水素爆発防止のための窒素注入が続く福島第1原発1号機について東京電力は25日、格納容器内の圧力が注入前の水準に戻ったことを明らかにした。東電は格納容器内に水がたまって冷却が進んだ結果と見ているが、窒素が容器外に漏れている可能性もあることから、爆発を防ぐために今後も窒素の注入を続ける方針だ。
1号機の燃料棒の損傷度合いは70%と推定され、第1原発の原子炉の中で最も激しい。
損傷の結果、燃料棒の被覆管が溶け、材料中のジルコニウムが冷却水と反応して大量の水素が発生。原子炉建屋内に充満し、3月12日に水素爆発が起きた。
原子炉内では今も強い放射線で水が分解されるなどして水素が発生しており、再爆発の危険がある。窒素注入は、化学的に安定で燃えない窒素を格納容器内に入れ、水素の濃度を下げる目的で今月6日から始まった。
当初、格納容器内の圧力を2・5気圧に高めることを目標にしていた。しかし、注入前の1・56気圧が11日の1・95気圧で頭打ちとなり、24日正午には注入前とほぼ同じ1・58気圧に下がった。注入量は予定の6000立方メートルの2倍近い約1万1350立方メートルに達している。
東電は、燃料を冷却するための注水で発生した水蒸気が格納容器に移動して水になり、底にたまると同時に圧力低下を招いたと分析する。圧力が想定通りに上がらないのは、格納容器から窒素が漏れているためとみており「窒素注入をやめれば水素の割合が高まり、爆発のリスクが増える。窒素注入は継続する」と話す。【江口一、藤野基文】
毎日新聞 2011年4月25日 東京夕刊
◆京都の外国人留学生、帰国や来日中止相次ぐ
http://www.kyoto-np.co.jp/local/article/20110425000067
京都の大学で、東日本大震災や原発事故によるとみられる外国人留学生の帰国や、来日取りやめが相次いでいる。家族や出身国政府の勧告により中止するケースが多く、各大学は「関西は安全なのに」と戸惑っている。
毎年50人ほどの留学生が4月に入学する同志社大では、米国やオーストラリアなどから訪れる予定だった計26人が辞退した。また、留学中だった8人が震災後に途中帰国している。出身国政府の勧告や、家族から帰国や訪日中止を促されるケースが多いといい、担当者は「問い合わせなどには関西は安全と伝えているが、それぞれの事情があり、やむを得ない」と話す。
京都外国語大では4月から交換留学予定だった33人のうち、14人がキャンセル。昨年9月から留学中の5人も既に途中帰国したが、「授業などに影響は出ていない」という。
このほか同志社女子大では、毎年6月に韓国のソウル女子大の学生10人ほどが国際交流目的で来日していたが「今年は派遣を中止したい」と申し出があった。立命館大では、4月に就任予定の外国人教員3人が赴任をやめたが、ともに「地震や原発が理由かは明らかでない」としている。留学生約1500人が在籍する京都大は「留学を中止する学生はいるが具体的な数はつかめていない」という。
一方で、来日したり滞在を続ける留学生は多数おり、各大学ともオリエンテーションなどを通じて地震関連情報を提供している。同志社大は「少しでも安心してもらうために」と、京都市内の避難所などを記した外国人用の防災マップを配っている。
【 2011年04月25日 13時23分 】
◆福岡県 防災専従班新設、玄海原発対策で
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20110425-OYS1T00781.htm
福岡県の小川知事は、県幹部の人事案を固めた。企画・地域振興部長に西村栄造・労働局長(58)を充て、新社会推進部長には長谷川英祐・総務部次長(56)を起用する。また県の防災計画を見直すため、消防防災課内に4人の専従班を新設する。
このほか、議会事務局長に福山利昭・保健医療介護部次長(56)、会計管理者に三笠昭隆・環境部次長(58)、福祉労働部理事兼労働局長に馬場忠久・商工部次長(58)が内定。女性登用の象徴として、大曲昭恵・子育て支援課長(53)を福祉労働部次長に抜てきする。発令は議会事務局長は27日付、それ以外は5月1日付。
防災の専従班新設は東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けた対応。現計画は、糸島市から約20キロに位置する九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)に関する防災対策を盛り込んでおらず、小川知事は事故を想定した計画に改める考えだ。
一方、特別職の企業管理者には企画・地域振興部の佐藤清治部長(59)が就任する。任期は5月2日から4年間。
(2011年4月25日 読売新聞)
◆一時帰宅「連休明けに」=原発避難住民―菅首相
http://jp.wsj.com/Japan/Politics/node_227794
菅直人首相は25日午後の参院予算委員会で、福島第1原発事故で避難を余儀なくされた20キロ圏内の住民の一時帰宅について、「(5月の)連休明けからスタートできると見通している」と述べ、当初目指していた今月中の実施がずれ込むことを明らかにした。民主党の増子輝彦氏への答弁。
これに関し、福山哲郎官房副長官は「対象は2万6000世帯あり、(調整に)若干時間がかかる」と述べ、安全確保に万全を期した上で実施する方針を示した。枝野幸男官房長官は21日の記者会見で「数日中には始めたい」と述べていたが、首相らの答弁はこれを修正したものだ。
◆市の東日本大震災支援事業、旅費と住宅・資金も用意
http://www.minyu.ne.jp/digitalnews/110423_4.htm
紋別市議会は22日、平成23年第2回臨時会を紋別市議事堂で開き、東日本大震災被災者支援に関わる一般会計補正予算案と、戸籍電算化に伴うコンピューターシステム一式(総額4620万円)の取得に関する議案を審議。原案通り承認した。被災者受入では、紋別までの避難旅費全額や生活支援金(上限10万円)、公営住宅提供(家賃1年間免除)など手厚い支援策を盛り込み、被災者が金銭的な負担なく紋別市で新たな生活を始められるようにした。
補正予算は歳入歳出予算の総額に、歳入歳出それぞれ1195万8000円を追加して、歳入歳出の総額をそれぞれ151億3479万8000円とするもの。補正財源には予備費を充てた。災害支援策は大きく分けて2つ。
1つは被災した自治体への職員派遣で、建築職2人、一般職4人の計6人を、2人ずつ実働7日間、現地へ派遣するための旅費として99万6000円を計上した。
もう1つは紋別へ避難してくる被災者の支援策で、総額1096万2000円。東日本大震災と福島原発事故による被災者、屋内退避区域以内の避難者、それに同震災・事故で日常生活に影響を受けた人を対象に、住宅支援と生活支援、見舞金を設定した。
住宅支援について市は、公営住宅(家賃1年間免除)と移住体験用おためし住宅(3ヵ月以内)の提供を表明していた。
今回は新たに、こうした住宅に入居するまでの「つなぎ宿泊支援」としてホテル宿泊支援(1人1泊3食付5000円、3日間まで)と、公営住宅・おためし住宅で不足した場合の民間アパート家賃支援(月5万円、3ヵ月間)を決めた。ホテル宿泊は、北海道の支援策と合わせると最大6日間の利用が可能で、この間に生活拠点の整備を進めてもらうことにした。
また、おためし住宅には家財道具が揃っているが、公営住宅や民間アパート等には無いため、家財道具の提供について市民に協力を求めている(登録制)。
生活支援は金銭的支援で、紋別までの避難旅費実額と、一時金(家族3人で最高10万円)、活動費(買物時のバス代、1ヵ月間程度)を補助する。
見舞金は、市内の親類宅等に身を寄せている被災者が対象で1万円となっている。
◆「忘れんな希望」 いわきの若者、東北へ応援歌 ユーチューブで配信
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110425dde041040041000c.html
♪散る放射能と混ざり合う雨。春よ、今年も変わらず桜が咲く。まだ終わることできねえ東北。忘れんな、捨てんな希望−−。東日本大震災と原発事故に伴う大きな被害を受けた福島県の若者たちが、東北地方を応援するヒップホップソング「春」を作った。同県いわき市の津波被災地でプロモーションビデオも撮影し、動画投稿サイト「ユーチューブ」に配信される。
作ったのは、同市で活動する20〜30代のDJ、ラッパーら男女約10人。いわき市で日常的にヒップホップのイベントを開いている仲間たちだ。音楽事務所を経営する遠藤隆志さん(33)が中心になって被災者の支援活動に取り組んできた。
同市は震災後、停電が長く続き、原発事故で多くの市民が避難したため、中心部の人通りはほとんどなくなった。遠藤さんと仲間たちは「自分たちの街を自分たちで守ろう」と自主的にパトロールをしたり、全国の友人から集めた毛布や食料などの支援物資を約50カ所の避難所に配って回った。避難できない高齢者方に食べ物を届けたりもした。
「春」は、米ニューヨークで活動する日本人DJで、かつていわき市でのイベントに参加したことがあるMUNARI(むなり)さんが無償で曲を提供し、遠藤さんたちが歌詞を付けた。また、プロモーションビデオの映像は津波で甚大な被害を受けた薄磯海岸沿いで撮影した。
遠藤さんは「外から東北の人間を励ます曲はあふれているが、自分たちがリアルに窮地に追い込まれた心情を歌った音楽は少ない。ぜひ全国の人たちにも聴いてもらいたい」と話している。【袴田貴行】
*作成:橋口 昌治