HOME > 事項 > 原子力発電/原子力発電所 >

原子力発電・報道など(2011年4月6日〜10日)


last update:(20110511)


◆連携実り原発避難先で出産
 http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201104060012.html
 福島第1原発事故を受け、関東地方から広島市に避難している外国人夫妻に女児が誕生した。自宅出産をしたいという強い願いを、同市南区の助産師前原英子さん(61)と知人の医師たちが支えた。見知らぬ土地で「リラックスして産めた」と2人は感謝している。
 神奈川県横須賀市に住む米国出身の英語講師カリル・バンデンボスさん(22)と中国・吉林省出身の範冬梅さん(30)夫妻。範さんが勤める外資系企業の勧めで3月20日から広島市内のホテルに滞在。1日に第一子レンちゃんが産声を上げた。
 妊娠37週だった範さん。前原さんは「いつお産が始まるか分からない」と引き受けた。知人で内科医の室本哲男さん(61)に頼み、安佐北区の自宅和室を提供してもらった。
 陣痛が強くなった1日朝、室本さん方へ移動。自宅のように範さんは寝ころんだりお風呂に入ったりしながら、お産を進めた。バンデンボスさんも妻をがっちりと抱えた。
【写真説明】レンちゃんの元気な誕生を喜ぶ範さん、バンデンボスさん夫妻と前原さん(右端)=撮影・奥村菜穂

◆指示されて…気象庁、ようやく拡散予測を公開
 http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110405-OYT1T00872.htm?from=main3
 東京電力福島第一原子力発電所の事故で、気象庁が放射性物質の拡散予測を連日行っていたにもかかわらず公開していなかった問題で、同庁は5日、拡散予測を初めてホームページで公開した。
 枝野官房長官が4日、公開を指示していた。
 この拡散予測は、放射性物質の〈1〉地上への降下量〈2〉大気中の濃度分布〈3〉大気の流れに沿ってどう流されたかを示す「流跡線」の3種類。同原発からの放射性物質放出量などが不明なことから、同原発から1ベクレルの放射性ヨウ素131が放出されたと仮定して計算した。
 地上への降下量についての最新予測によると、4日午後3時から72時間で放出される計1ベクレルのヨウ素131は、風に乗って南西方向に拡散。その結果、7日午前9時までに地上に降下した積算量は、東北南部から関東までは1平方メートル当たり10兆分の1ベクレル程度に薄まっていた。沖縄本島付近〜朝鮮半島南端では同1000兆分の1ベクレル、台湾ではさらに100分の1小さい値の同10京分の1ベクレルとなっている。
(2011年4月6日09時12分 読売新聞)

◆年間の被曝限度量、引き上げを検討 原子力安全委
 http://www.asahi.com/national/update/0405/TKY201104050616.html
 原子力安全委員会は5日、放射線量の高い地域の住民の年間被曝(ひばく)限度量について、現在の1ミリシーベルトから20ミリシーベルトに引き上げるべきか検討を始めた。放射線の放出が長引き、「長く生活する観点で考えないといけない」とし、現実路線への見直しを検討する。
 会見した代谷誠治委員は「防災対策での退避は通常、短期間を想定している」と指摘。すでに数週間に及ぶ退避や避難の考え方について、政府から見直しを検討するよう相談されていることを明らかにした。 原発から半径30キロ圏外の福島県浪江町の観測地点で放射線量の積算値が上昇している。先月23日から今月3日までの積算値は10.3ミリシーベルトになった。日本では人が年間に受ける被曝限度量は現在、一律1ミリシーベルト。国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告では、緊急事故後の復旧時は1?20ミリシーベルトを目標としている。

◆原発事故影響、留学生帰国相次ぐ 浜松・オイスカ高
 http://www.at-s.com/news/detail/100016974.html
 多数の留学生を受け入れている浜松市西区のオイスカ高で、福島県の原発トラブルを懸念して母国に帰国する留学生が相次いでいる。各国の過熱する報道で、多くの親が不安を抱き、わが子を呼び戻しているらしい。学校側は「新学期のスタートを前に生徒が戻るか」と不安を隠せない様子。逆に「浜松は大丈夫」と家族を説得し、日本で募金活動をする生徒も出ている。
 同校は国際協力NGOを母体とし、途上国など7カ国から集まった留学生約50人が寮生活をしながら学んでいる。東日本大震災の後、留学生の家族から学校に「放射能が心配で帰国させたい」との申し入れが相次ぎ、大半の生徒が終業式を待たずに帰国した。
 同校によると、北欧各国は政府が日本からの退去を指示し、全生徒が帰国した。中には震災や原発事故を戦時中の原爆投下映像を交えて報道している国もあるようで、親から「爆風はどうだったか」と国際電話を受けた生徒もいるという。台湾の生徒は16人中15人が帰国。6日の新学期までに寮へ戻るか未定で、唯一とどまった袁煥庭君(3年)は「仲間がいないと寂しい」と話す。
 袁君は「浜松は原発から遠い」と家族を説得し、生徒会の募金活動にも協力してきた。「日本人は助け合って困難を乗り越えようとしている。自分も協力したい」と力を込めた。同校は「原発トラブルが長期化すれば日本留学の回避傾向が強まりかねない」と事態を注視している。

◆放射線量測定に米国協力 原発80キロ圏、文科省
 http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011040501001119.html
 文部科学省は5日、米エネルギー省と共同で福島第1原発100+ 件から半径80キロ圏の放射線量などを上空から測定すると発表した。原発事故を受けた周辺環境の調査で、外国の協力を受けるのは初めて。
 専用機器を備えた小型機とヘリコプターが高度約150〜300メートルから測定。避難や屋内退避区域を設定するデータとして活用するという。エネルギー省はこれまで原発100+ 件周辺の放射線量を独自に観測、公表している。
 米軍からは放射線管理などの専門部隊が既に来日しており、緊急の放射性物質の除染作業などに備えている。

◆日本食品輸入、全面禁止=インドが初実施
 http://www.jiji.com/jc/zc?k=201104/2011040500980
 【ニューデリー時事】インド保健・家族福祉省は、福島第1原発事故による放射性物質の放出を受け、日本からの食品輸入を3カ月間、全面停止することを明らかにした。ロイター通信が5日報じた。同通信によれば、日本の食品輸入の全面禁止はインドが初めて。
 同省は声明で「放射能汚染が日本国内のさまざまな地域に拡大した結果、日本からの食品輸入の供給プロセスにおいても、汚染が深刻化する可能性があるとの結論に達した」としている。インドは少量の加工食品、果物、野菜などを輸入している。(2011/04/05-23:57)

◆東電、仮払金100万円で調整 周辺住民1世帯当たり
 http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011040501001155.html
 東京電力は5日、福島第1原発事故の被害者救済に向けた賠償金問題で、周辺の住民に支払う仮払金を1世帯当たり100万円とすることを軸に調整に入った。月内にも実施する方向だ。
 津波の被害者に対し、被災者生活再建支援法に基づいて、支援金の一部を前倒しで1世帯100万円払うことを参考にした。海江田万里経済産業相は5日の記者会見で「これはもう可及的速やかに、できるところから支給したい」と述べ、早期の支払いに意欲をみせた。
 政府は原発事故の損害調査などを行う紛争審査会を早期に立ち上げ、賠償額の算定を始めたい考えだ。
 一方、補償総額について、被害が広範なこともあり、原子力事故では前例の「(茨城県東海村の)ジェー・シー・オー(JCO)臨界事故並みの、手厚い補償は難しい」(政府関係者)との見方も広がっている。
 1999年9月のJCO臨界事故では、現場から約350メートル圏内の住民が避難。仮払金は約2700件で約53億円が支払われた。
 周辺住民への見舞金や、企業や農業への風評被害などもあり補償総額は約6900件、約150億円となった。
 一方で今回の事故では、原発の周辺地域が放射性物質で汚染されたことに加え、避難対象が半径20キロに拡大。避難対象者も約8万人に上り「JCOとはけた違い」(経済官庁幹部)のレベルだ。JCOの基準をそのまま当てはめれば住民や農家、企業などへの補償は数兆円レベルに跳ね上がる。
 東電は今後、国と具体的な協議を始めるが、補償内容はJCOの時より引き下げられる可能性がある。支払い手続きに時間がかかれば、企業や住民、農家の負担は一層重くなるだけに、被害者の早期救済に向けた政府、東電の対応が急がれる。

◆記者の目:福島第1原発事故と地方経済=森禎行
 http://mainichi.jp/select/opinion/eye/news/20110406k0000m070164000c.html
 東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の事故で、作業にあたる「フクシマの労働者」が世界的に注目されている。私はその作業員たちの取材を続けてきた。命を張った「使命感」はあまりにも尊い。同時に、その背景に、原発に雇用を頼るがゆえに危険な作業に向かわざるをえない地方経済の深刻さも感じ、胸が痛む。原発に頼らず普通の市民が息づく町づくりを、原発被災地から離れた私たちも考えなければならない。
 ◇地元雇用が東電と国の責務
 私は3月下旬、同県いわき市に入った。太平洋に面した浜通り地方の中核都市だ。原発の周辺住民が避難先として目指し、発電所内に缶詰めだった労働者が休息する場所の一つにもなっていた。
 発電所からようやく出てきた労働者は、一様に口が重かった。伸び放題のひげと、険しい眉間(みけん)のしわが作業の過酷さを物語っていた。汚染された作業服に代わって着る赤紫色のジャージーが“安息の地”に移った証しに見えた。
 発電所内の彼らは、免震重要棟という閉ざされた建物を拠点とする。満足な食事や睡眠は望むべくもない。そして、目に見えない放射能と向き合う作業。現実を少しずつだが聞いた。現場でも、刻々と変化する事態はのみ込めなかったという。震災翌日の水素爆発では、免震重要棟にいた東電社員(47)は「地震とは揺れが違うな」と感じる程度だった。数百メートル離れた原子炉建屋が見通せず、つけっ放しのNHKテレビで「これだったのか」と知ったという。
 ◇ここで働く使命感と不安
 印象深かったのは、年齢が20代から60代まで幅広いことだった。東京出身の私が原発労働者に初めて接したのは約15年前。首都圏の野宿者と話す機会があり、「原発で働いた。被ばくしたけど体は大丈夫」と誇らしげに話した。その話から、単身の中高年が作業するイメージが強かった。
 今回、私と同じ子育て世代に多く出会った。南相馬市からの避難を求められた東電社員(35)は「避難所は3カ所移り、私は少ない方」と申し訳なさそうに話した。避難先から職場に戻った理由を尋ねると「この仕事に携わってきた」とはっきりした口調で使命感を語った。
 いわき市内の避難所では、震災当日に発電所にいた多くの労働者を取材した。所内は下請け業者の事務所棟が建ち並ぶ。福島第1、第2を合わせて原発関連で約1万人が働く。巨大な“町”だと改めて感じた。原発は無味乾燥な機械でなく、多くの人の支えで動いていた。
 「放射能の危険性」の議論は半世紀近く続いてきた。「原発必要派」は、資源の乏しい日本で不可欠だと強調。「不要派」は「放射能の不安が絶えない」と、代替エネルギーの導入を訴えてきた。
 避難所での取材では、福島第1で20年近く勤務した元請け会社社員(37)は「原発が無ければ、仕事は無い。何とか別の原発で働けそうでほっとしている」と話した。別の30代の下請け会社社員は「応援要請を受けたら行かざるをえない」と不安げに話した。
 そんな労働者の話を聞き、原発問題の本質は、「放射能の危険を承知で原発で働く」という地方の重い現実だと感じた。東電は福島第1、第2、新潟県の柏崎刈羽の3原発を持つ。いずれも東電の電力供給エリアではなく、東北電力のエリアだ。この3原発で作った電気はすべて首都圏に送られる。東電は「原発は安全」と胸を張りながら東京の本社から遠い地方に立地し、多大な雇用で地元の支持をつなぎとめてきた。今回、その構図は破綻した。
 皮肉にも、今後の復興においても東電の役割は極めて大きい。地方で大きな雇用を生み出せる企業は少ないのだ。現地の雇用情勢が深刻化するのは必至で、東電には雇用に関する責務がある。東電の経営形態がどうなるか不透明だが、公的資金と同社の資金で賠償を行えば済むという話ではない。被災地の未来像を描くためには、補償だけではなく「雇用」が不可欠だ。
 ◇次世代送電網のモデル地区に
 東電は国や他の産業とも協力し、フクシマの復興に新たな雇用創出で応えてほしい。不安のある原発は、もはや廃炉にするしかない。その作業で雇用をつなぎ、同時に新たな電気産業を、この地から世界に発信することが大きな復興メッセージになる。具体的には、例えば再生可能エネルギーの効率的な送電が期待されるスマートグリッド(次世代送電網)のモデル地区にしたらどうだろう。ガソリン不足に直面した地方のクルマ社会を克服すべく電気自動車に関する研究開発拠点にすることも考えられる。
 東電に求めたい。「フクシマの再生には、東電の力が必要だ」
(東京社会部)

◆放射性廃棄物処分場誘致でアンケート 反核団体、知事候補の回答発表
 http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/283787.html
 【幌延】宗谷管内幌延町と周辺の酪農家らでつくる「核廃棄物施設誘致に反対する道北連絡協議会」が5日、4知事候補への「原発及び高レベル放射性廃棄物最終処分場に関する公開アンケート」の結果を発表した。
 最終処分場の道内受け入れは4氏とも「いいえ」としたが、その事前調査を受け入れるかは、高橋はるみ氏が「具体的に情報がない」と「どちらでもない」とし、残る3氏が「いいえ」とした。
 今後も道内で原発を利用すべきかは、鰹谷忠氏、宮内聡氏が「いいえ」とし、高橋氏は「現時点でどちらでもない」、木村俊昭氏は「はい」「いいえ」の両方に丸をつけ、「原発は過渡的エネルギーとして、新エネルギーの普及を」と書いた。
 同協議会の久世薫嗣(くせしげつぐ)代表委員は「福島第1原発事故で被害が広がる中、原発全部をすぐに止めてほしいが、残念な回答」としている。
 同町では日本原子力研究開発機構が高レベル放射性廃棄物の地下処分法を研究している。

◆東電賠償へ基金検討 原発避難住民への一時金で経産省
 http://www.asahi.com/national/update/0405/TKY201104050653.html
 経済産業省は5日、福島第一原発の事故で避難中の住民らへ一時金を仮払いするため、東京電力が「賠償基金」を設けて支払う方向で、東電と調整に入った。海江田万里経産相が、一時金の仮払いを東電に指示した。基金は当初、数百億円規模とみられ、将来的には法律に基づく賠償の原資になる可能性もある。
 対象は、原発事故で避難指示が出た半径20キロ以内や、屋内退避を指示された半径20?30キロ以内の住民ら。基金の管理や支払い事務は、住民の情報を把握している被災自治体に協力を求める方向で検討中だ。
 賠償基金の仕組みは、原子力損害賠償法(原賠法)とは別の仕組みだが、経産省は一時金を原賠法に基づく補償の先払いとする方針。基金を原賠法の補償の原資とする場合は、東電が基金に追加で資金拠出するとみられる。
 原賠法では、賠償が東電の支払い能力を超えるときは、政府の支援を定めている。最終的な賠償額は数兆円に上る可能性があるため、基金は政府支出の受け皿になる可能性もある。
 枝野幸男官房長官は5日の記者会見で「避難している方は当座の資金で困っている。東電もそういう観点で検討を進めている」と述べ、海江田経産相は会見で4月中に仮払いする方針を示した。(小暮哲夫)

◆1人当たり1000円未満…浪江町、見舞金拒否
 http://www.sponichi.co.jp/society/news/2011/04/06/kiji/K20110406000573010.html
 東京電力が5日までに、福島第1原発の事故で被害を受けた自治体に一律2000万円の見舞金を支払った。受け取りを決めた自治体がある一方、原発の北に位置する浪江町は「住民への補償が先だ」として受け取りを拒否。対象外となった20キロ圏外の自治体からも反発の声が上がった。
 浪江町の根岸弘正総務課長は「住民一人一人への賠償金額が確定していない段階で受け取ることはできない」と怒りをあらわにする。町の人口は約2万600人。1人当たり1000円も行き渡らないと指摘した上で「事故の原因は東電。東電が直接住民に配って歩くのが筋ではないか」と憤った。
 見舞金を受け取ったのは、南相馬市、双葉町、大熊町、富岡町、楢葉町、広野町、葛尾村、川内村、田村市の9市町村。
 一方、東京電力が事故で被害を受けた住民に対し、損害賠償額が確定する前に仮払金を支払う準備を進めていることが分かった。原子力損害賠償制度に基づくもので、避難生活での当面の生活資金を援助する狙い。仮払金額は国と協議して決めるが、周辺住民1世帯当たり100万円を軸に調整。月内にも実施する方向だ。


*作成:橋口 昌治
UP:20110511 REV:
原子力発電/原子力発電所 
TOP HOME (http://www.arsvi.com)