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原子力発電・報道など(2011年4月1日〜5日)


last update:(20110511)

◆上関原発の「妨害禁止」、中国電 申請取り下げ
 http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20110404-OYS1T00170.htm
 山口県上関町に上関原子力発電所の建設を計画している中国電力(広島市)は1日、建設予定地の周辺海域で反対派住民らによる妨害行為を禁じるよう山口地裁に申し立てていた仮処分を取り下げたと発表した。
 「地域住民に対し、東京電力福島第一原発事故の説明を優先させるため」としている。
 仮処分の申し立ては2月21日付。建設予定地から半径数十キロ圏内の海域で、埋め立て工事などを行う作業船に接近したり、進路を妨害したりする行為を禁止するよう求めていた。
 中国電力は福島第一原発の事故を受けて、3月15日から工事を中断しており、「工事再開後に妨害行為が行われれば、再び仮処分を申し立てる」としている。
(2011年4月2日 読売新聞)

◆会津若松市へ萩市が義援金2200万円
 http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20110404-OYS1T00197.htm
 福島県会津若松市に2日、山口県萩市から震災義援金2200万円と支援物資が届いた。会津藩が旧幕府軍、長州藩が新政府軍として戊辰戦争(1868〜1869年)を戦った歴史を持つが、近年は交流が進み、菅家一郎・会津若松市長は「感謝の気持ちでいっぱい」と話した。
 東日本大震災の発生後、萩市が「見舞いの言葉と支援の用意」を伝え、会津若松市が支援を要請していた。支援物資は水、下着、ランドセルなどで、14トントラックで会津若松市に届けられた。福島第一原発の事故で会津若松市に避難してくる約1800人の福島県大熊町の住民らに配布される。
 市長室で、野村興児・萩市長名の目録を手渡した萩市の槌田郁利総合政策部長が「少しでもお役に立ちたい」と話すと、菅家市長は「戊辰の時からの関係だが、いまは国家の危機。支え合って困難を乗り越えたい」と話した。
(2011年4月2日 読売新聞)

◆事故調設置へ 独立性を確保 枝野長官 放射能漏れ食い止めに「数カ月」
 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110403/plc11040323460014-n1.htm
 2011.4.3 23:45
 東京電力福島第1原子力発電所の放射性物質(放射能)漏れ事故をめぐり、枝野幸男官房長官は3日の記者会見で「事故の検証は客観性が高い枠組みで進めなければならない。事故対応に遅れを及ぼさない範囲ならばできるだけ早く進めるべきだ」と述べ、事故調査委員会を速やかに設置する方針を表明した。
 その上で「政府、経済産業省、原子力安全・保安院、原子力安全委員会も検証を受ける立場だ。実質的な独立性が必要だろう」と述べ、調査委は独立性の高い第三者機関にするとの意向を示した。
 また、福島第1原発から20〜30キロ圏内住民の屋内退避が長期化するとの見通しを示し「指示の在り方をなんらかの形で解消しなければならない。安全性を最優先に分析する」と述べた。
 細野豪志首相補佐官は3日のフジテレビ「新報道2001」で、放射能の外部放出を食い止める措置を優先させる考えを示した上で、完了時期について「数カ月後が一つの目標になる」との見通しを示した。

◆新人同士の一騎打ち
 http://www.tonichi.net/news.php?mode=view&id=35600&categoryid=1
 ◆ 県議選 蒲郡市区 ◆
 県議選蒲郡市選挙区(定数1)に立候補したのは、自民新人の飛田常年氏(53)と日本一愛知の会新人の荘田博己氏(54)。これまでの同選挙区で慣例だった、期数を重ねたベテラン市議が成り上がる形で県議会を目指したのとは異なり、2期以下の新人同士の一騎打ち。 一昨年の民主党への政権交代から昨年の地域政党の台頭と続く、混とんとした政局を反映し先の見えない激しい選挙戦が予想される。
 20年以上に及ぶ、生粋の自民党員という飛田氏の主張は、 国道23号バイパスや中央バイパスなどの幹線道路や、三河港蒲郡地区のマイナス11メートル岸壁など、社会基盤整備の推進が中心。
 設楽ダム建設についても、福島第1原発事故の深刻な事態を受けて、水力発電を含む多目的ダムとして必要性が高まっていることを強調している。
 ミカン農家の同氏が頼るのは、農協を中心とする農業票や地元である大塚町の保守票。加えて、自民系で市議会最大会派の市政クラブ所属の市議が、自らの選挙を直後に控えるだけに熱が入る。市域をくまなく回って支持を訴える。
 民主党の公認を辞退して大村新党「日本一愛知の会」公認候補となった荘田氏の主張の根幹は、県政刷新。大村秀章知事が唱える「平成の楽市楽座」で、減税や大胆な規制改革による景気回復や愛知の活力回復を目指し、医療や健康、福祉への集中投資を力説する。
 荘田氏の支持基盤は、 地元である市の中心市街地。「町部」と呼ばれ、進取の気風が色濃い商業地としての顔のほか、名古屋市や周辺市に通うサラリーマンなどが住むベッドタウンとしての都市型の様相もある。設楽ダム建設については、水余りの現状から無駄な事業として反対している。
 県議選では12年前、自民系同士の戦いで互いを中傷する怪文書が飛び交うなど、市を二分する激しい選挙戦が繰り広げられた。基本的には保守基盤の強固な土地柄だが、名古屋市や豊田市などの都市圏としての色合いが次第に強くなり、住民の政治意識に変化が芽生えている。
 東日本大震災による自粛ムードや地場産業の衰退による閉そく感が漂う中、堅実性を期待できる自民系の候補を選ぶのか、変化を求めて新党の候補をとるのか、市民の選択が注目される。(佐藤芳久)

◆発信箱:子孫のために=滝野隆浩(社会部)
 http://mainichi.jp/select/opinion/hasshinbako/news/20110404k0000m070141000c.html
 なんて不幸なことなんだろう。朝刊には各地の放射線量が載っている。「食品の規制値」の表もあるし、「ベクレル」や「シーベルト」という単位にみんな慣れてきた。福島原発事故の影響である。いま、「民間防衛」(原書房)を読み直している。スイス政府が「あらゆる危険から身を守る」ために全戸に配布した本だ。
 核や生物・化学(NBC)兵器で攻撃を受けたときの、民間レベルの対処法が具体的に書いてある。私たちが直面しているのは戦争でもないし、兵器級の脅威ではない。しかし、たとえば放射性物質から身を守る方法は「1メートルの土の下だと、放射線は5000分の1に弱まる」とか、「体の露出した部分は徹底的に洗う」などは役に立つ。「ごく小さい放射性のチリは、数カ月にわたってはるか上空に浮いており……草、野菜、果実、ときには飲料水まで汚染されることも」という記述は、まさにいまの日本の状況ともいえる。
 10年以上前、陸上自衛隊の元化学学校長の井上忠雄さん(75)から勧められた本だ。現在は、放射能(R)を含めた「NBCR対策推進機構」の理事長として、全国を講演して回っている。福島原発の事故について、井上さんは怒りを隠さない。「なぜ政府は発生当初から、きちんとデータを取って地形や風向きに即した汚染状況図を作り、公表しなかったのか。それがあれば農家は対策を打てたから、食物汚染もかなり防げた。これは半分以上、人災です」
 本は「最悪の事態に備える」という精神に貫かれている。科学的なデータに基づき、うろたえず、自分で、地域で、備えておくことを求めている。それが「民間防衛」の本質なのだ。巻末はこう締めくくられていた。「それは、また、われわれの後に続く子孫のためでもあるのだ」
毎日新聞 2011年4月4日 0時01分

◆NY近郊原発 不気味な影 80キロ圏に2千万人
 http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/235226
 【ニューヨーク州・宮崎昌治】福島第1原発の事故を受け、ニューヨーク市マンハッタン島中心部から56キロの距離にあるインディアンポイント原発(ニューヨーク州)への懸念が、米国内で急速に高まっている。米政府が福島の事故で自国民向けに圏外への避難勧告を出した半径80キロ圏にはニューヨーク市がすっぽり入り、対象人口は2千万人を超える。米経済の中枢に、原発の存在が影を落とし始めた。
 マンハッタン島の西を流れるハドソン川沿いを車で北上すると、約1時間で二つの巨大な球状の建物が見えてくる。インディアンポイント原発の原子炉建屋。敷地からは水蒸気が噴き上がる。
 東日本大震災から10日後の3月21日、同原発を管内にもつニューヨーク州ウエストチェスター郡議会で急きょ開かれた環境・エネルギー委員会で、運営会社エンタジーの幹部はこう断言した。
 「インディアンポイント原発は安全だ。何か問題があっても、わが社が全て解決できる」
 委員長のカプロヴィッツ議員(51)は同社の言い分を信用していない。「あの原発は過去に何度も事故を起こしている。それに、携帯電話もなかった40年前の技術だ」
   ●   ●
 三つある原子炉のうち、1962年に稼働した1号機はすでに閉鎖されたが、73年稼働の2号機と76年稼働の3号機はいまも現役。2000年には変圧器周辺で爆発事故があり、92年と05年、06年には使用済み燃料プールなどから、放射性物質に汚染された水の漏えいが相次ぎ発覚した。
 事故以外の懸念もある。米東部は地震が少ないとされるが、08年の米コロンビア大の調査で、同原発から1・6キロの距離に活断層が2本あり、マグニチュード(M)7・0の地震が起こり得ると報告された。「同原発の耐震設計はM6だ。M7が来たらひとたまりもない」とカプロヴィッツ議員は言う。
 01年9月11日の米中枢同時テロでは、世界貿易センタービルに衝突した2機のうち1機が、同原発の真上を通過していたことも後に判明した。有刺鉄線で囲まれた同原発には、「武装セキュリティーが監視中」と書かれた看板が立つ。
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 地元の環境保護団体「リバー・キーパー」のフィリップ・ミュシガス氏(47)は、福島第1原発の事故で米政府が在日米国人に取った避難勧告措置に首をひねった。
 「米国内の原発には、半径10マイル(16キロ)圏内の避難勧告措置しかない。もし今後、米国で同様の事故があれば、政府は50マイル(80キロ)圏での避難を勧告するのか」
 弁護士でもあるミュシガス氏らは3月28日、米原子力規制委員会(NRC)にインディアンポイント原発の即時閉鎖を求める嘆願書を提出。避難勧告の範囲を80キロに拡大することも求めている。「ニューヨーク市全体を避難させるなんて現実には不可能だ。日本と同じ措置を取るなら、この原発は閉鎖するしかなくなる」と指摘する。
 同原発の2基は13年と15年に相次ぎ運転許可の更新期限を迎える。エンタジー社は延長を求めているが、福島第1原発の事故を受け、ニューヨーク州のクオモ知事も「閉鎖すべきだ」との考えを表明。閉鎖を求める動きが広がっている。
 ただ、同原発はニューヨークの3割前後の電力を供給し、代替エネルギーの確保は容易でない。一方で、20−25キロの距離にはニューヨークの全飲料水を賄う水源がある。同原発は、ニューヨークの生命線を握っている。
=2011/04/04付 西日本新聞朝刊=

◆投入したポリマーって? 水吸い膨らむ粉、おむつにも
 http://www.asahi.com/national/update/0403/TKY201104030231.html
 福島第一原発2号機の取水口付近にある作業用の穴(ピット)の亀裂から出ている汚染水を止めるため、東電は3日に、化学物質ポリマー(吸水樹脂)を上流に投入した。水を吸い込んで膨らむ物質だ。紙おむつや保冷剤、園芸用の保水材、携帯用トイレなどにも使われている。
 ポリマーは水がないときは体積が小さくさらさらとした粉状だ。一方、水を含むと風船のようにふくらみ中に水を蓄える。水をぐんぐん吸い込みゼリーのようになり固まる。水を吸うと元の粉の体積の20倍、重さは70倍になるという。
 3日には8キログラム分のポリマーのほかに、水を含ませてかさを増させるため、おがくず60キロや新聞紙なども投入した。
 しかし午後6時の時点でも汚染水の海への流出は止まっていない。東電は4日朝まで、効果を確かめる。地面に薬剤を注入して地盤を固めて漏れを止める案も浮上している。

◆孫正義社長が100億円寄付/3日の動き
 http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20110404-756368.html
<東日本大震災:3日の動き>
【23:22】東北地方の交通網は3日、宮城県の小牛田と山形県の新庄を結ぶJR陸羽東線が全線で運転を再開した。同日夜には、JR東北線の宮城県内の名取―岩沼が復旧した。
【22:37】ソフトバンクは3日、孫正義社長が東日本大震災の被災者に向けて義援・支援金100億円を寄付すると発表した。11年度から引退するまでの報酬全額も寄付し、震災孤児らの支援に充てる。
【22:22】環境省の南川秀樹事務次官は3日、福島第1原発100+ 件事故を受け、2020年までに温室効果ガス排出量を25%削減するとの日本の数値目標は「見直し議論の対象になる」と述べ、再検討はやむを得ないとの認識を示した。
【21:41】厚生労働省は3日、福島県いわき市の露地栽培のシイタケから食品衛生法の暫定基準値を上回る放射性物質を検出したと発表した。新潟県産の農産物から放射性物質は検出されなかった。
【20:47】島根県は3日、松江市で2日朝からの24時間に、大気中のちりから微量のセシウム134を検出したと発表した。県によると国が定めた基準の数十万分の1で、健康被害の恐れはない。
【20:27】文部科学省は3日、福島第1原発から30キロ以上離れた上空をヘリコプターで調査、福島県で通常の10倍以上の放射線量を計測したと発表した。文科省は「より上層へ放射性物資が拡散している」と分析した。
【20:23】東日本大震災で津波被害を受けた岩手県宮古市で、津波が約38メートルの高さに達していたことが3日、東大地震研究所の都司嘉宣准教授の現地調査で分かった。
【19:47】原子力安全委員会は記者会見で、福島第1原発100+ 件事故について、原子炉の冷却機能を回復させることで放射性物質の放出量が低減するまでに「月単位」の時間がかかるとの見通しを明らかにした。
【19:39】警察庁は、東日本大震災で岩手県警大船渡署の百鳥憂樹巡査(21)の死亡を確認したと発表した。警察官の殉職は19人目で、11人が依然行方不明。
【17:43】枝野幸男官房長官は記者会見で、東京電力福島第1原発事故に関し「事故の検証はできるだけ早く、できるだけ客観性の高い枠組みで進めなければいけない」と述べ、独立性の高い第三者委員会を早期に設置する考えを表明した。
【17:39】原子力安全・保安院によると、吸水性ポリマーの注入後もピットから流出する汚染水の量の減少はみられないという。
【17:38】防衛省によると、岩手、宮城、福島各県の沿岸部で自衛隊と米軍が実施した集中捜索で、午後4時までに11人の遺体が見つかった。
【17:38】経済産業省原子力安全・保安院によると、福島第1原発100+ 件1〜3号機の原子炉に真水を注入するポンプが正午ごろ、外部電源で動くようになった。
【17:20】経済産業省原子力安全・保安院によると、東京電力は午後、高濃度の汚染水がたまり海に流出しているのが見つかったピットの上流部分に吸水性ポリマーを流し込む作業を実施した。
【17:09】放射性物質の拡散を監視するため関係各県は、農産物の検査を継続した。新潟県の検査によると、同県産のホウレンソウとコマツナ、イチゴ、キュウリの農産物4品目からは放射性ヨウ素、放射性セシウムともに検出されなかった。
【16:59】東北、関東各地で2日午後5時から3日午前9時に観測された各地の最大放射線量は、震災前の平常値を超えている茨城県や東京都などで引き続き低下した。群馬県は平常値に近づいた。
【16:38】午後4時38分ごろ、宮城、福島両県で震度4の地震があった。気象庁によると、震源地は福島県沖、震源の深さは約50キロ。マグニチュード5・3と推定される。
【16:30】横浜市の林文子市長は、仙台市役所で奥山恵美子市長と会談し、東日本大震災からの復興に向け、職員約30人を応援派遣するなどの支援態勢を今後も継続すると確認した。
【16:25】避難生活が続く岩手県陸前高田市で、市立高田一中に建設された仮設住宅が、報道陣に公開された。5日に希望者の抽選をして4月中旬から入居の予定。市や県によると、最初の入居は36戸で、うち18戸は高齢者や障害者に割り当てる
【16:22】上関原発100+ 件の建設が進む山口県上関町の柏原重海町長(61)は3日までの共同通信のインタビューで、福島第1原発の事故を受け、津波対策など「改善がなければ国民の支持は得られない」と述べ、建設継続のためには安全基準の見直しが必要との考えを示した。
【16:13】先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)がワシントンで14日に会合を開き、東日本大震災への対応などを協議することが判明。野田財務相らが出席する。
【11:33】東京電力は、地震発生後に福島第1原発で行方不明になっていた社員2人の遺体が建屋地下で見つかったと発表した。多発性外傷による出血性ショック死だという。(共同)
 [2011年4月4日6時11分]

◆福島第1原発:封じ込めに数カ月 「中長期的指針を」
 http://mainichi.jp/select/today/news/20110404k0000m040091000c.html
 細野豪志首相補佐官が3日、放射性物質の放出を止めるまでに数カ月かかるとの見通しを示したことで、原発周辺で続く避難や屋内退避の指示は長期化することが確実になった。放射線という「見えない不安」と向き合う住民の心身の負担は大きく、専門家は住民の生活設計のための中長期的な指針を策定するよう提言する。
 原子力安全委員会の防災指針では、体外から浴びる「外部被ばく」による放射線量の累積予測が10〜50ミリシーベルトの場合に屋内退避、50ミリシーベルト以上の場合に避難することを提案。屋内退避の長期化が予想される場合、「避難の実施も検討する必要がある」と明記している。
 細野氏の見解について、代谷誠治・原子力安全委員は3日の会見で「放射線量は減少傾向だ」として、現状を直ちに見直す必要はないとの見解を示した。
 しかし、住民の心身の負担に加え、風評被害などで地域の経済活動が止まる可能性を考えると、生活が成り立たなくなる恐れがある。危機管理に詳しい福田充・日本大教授(メディア社会学)は「数カ月になると、今後避難地域の拡大はあっても、屋内退避という選択肢はありえない。食料や水などの物資を運ぶ人の安全も確保できなくなる」と指摘。その上で「避難先での滞在可能期間、仕事の有無なども含めて、政府や自治体は集団避難の体制を構築する必要がある」と提言する。
 30キロ圏外の住民も、作付けや牛の世話などに従事していいかどうか悩んでいるという。福島県の放射線健康リスク管理アドバイザーとして1日に同県飯舘村を訪れた山下俊一・長崎大教授(健康リスク学)は「政府は、地域ごとに放射線量の積算値と今後の予想値を示し、安全宣言を出すか避難すべきかを判断すべきだ」と語る。【河内敏康、須田桃子、大場あい】

◆三重県知事選:原発立地、60%がNO 年代別で大差なく
 http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110404k0000m010152000c.html
 毎日新聞が実施した世論調査で、中部電力が原子力発電所の候補地として三重県内を検討していることについて、今月10日投開票の三重県知事選で選ばれる新知事がどう対応すべきかを聞いたところ、「反対すべきだ」が60%を占め、「賛成すべきだ」の8%を大きく上回った。東日本大震災で東京電力福島第1原発が深刻な事故を起こし、復旧が難航する中、中電の原発推進方針に県民が「ノー」を突き付けた格好だ。
 他は「よく分からない」が28%、無回答が4%だった。
 原発立地に「反対すべきだ」は男性で61%、女性で59%。「賛成すべきだ」は男性の11%、女性の4%だった。年代別で「反対すべきだ」は30〜50代が比較的多く、いずれも6割を超えた。
 投票先別では▽前津市長の松田直久氏(56)=民主推薦▽旧津市議の岡野恵美氏(58)=共産推薦▽元経済産業省課長補佐の鈴木英敬氏(36)=自民、みんな推薦=と回答した人の、いずれも6割以上が「反対すべきだ」で、大きな差はなかった。
 新知事に最も取り組んでほしい政策を「雇用対策」「景気対策」と答えた人でも、原発立地に「賛成すべきだ」はいずれも10%前後にとどまった。
 また、愛知県の大村秀章知事らが提唱している「中京都構想」について、三重県知事が「推進すべきだ」「どちらかといえば推進すべきだ」と答えた人のうち、原発立地に「反対すべきだ」は57%と6割に達しなかったが、「推進すべきでない」「どちらかといえば推進すべきでない」では76%に上った。【福泉亮】
毎日新聞 2011年4月4日 1時42分(最終更新 4月4日 1時50分)

◆原子炉建屋を特殊シートで遮蔽 政府、福島原発事故で
 http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011040301000759.html
 政府は東京電力福島第1原発100+ 件事故で、原子炉建屋を特殊シートで遮蔽する工事を行う方針を固め、東電に可否を検討するよう指示した。複数の政府関係者が3日、明らかにした。議論の過程で原子力専門家は「放射性物質の拡散を抑える効果は限定的で、リスクの方が大きい」と反対したが、政治判断で押し切った。措置の是非をめぐり議論を呼びそうだ。
 関係者によると、特殊シートの使用は、細野豪志首相補佐官の下に設けられた原発100+ 件対策チームのうち、馬淵澄夫首相補佐官らが率いるチームで議論。
 高さ約45メートルの建屋の周りに骨組みを建ててシートを張り巡らせ、内部に観測機器を設置する構想で、ゼネコンが提案したという。1〜4号機すべてで実行した場合、1〜2カ月の工期で費用は約800億円と見積もられている。
 原子炉や使用済み核燃料プールの温度が安定していない建屋を遮蔽すれば、新たな放射性物質の拡散を抑える効果が期待できる。ただ専門家によると、建屋内から出ている放射性物質の量は、爆発で飛散したがれきに比べて少なく、「遮蔽は急務でない」という。逆にシートで密閉すれば内部の放射線量が上昇して作業が困難になる上、内圧が上昇して再爆発を起こす危険性も指摘されている。
 専門家の間では否定的な見解が多かったが、政府側が東電への検討指示に踏み切ったという。政府関係者の一人は「原発の専門知識がないゼネコンの発案を、政治家と経営陣が採用した。無残な原発の姿を覆い隠して安心感を与えようという気休めだ」と批判している。

◆モーリス・ドニ展中止 震災影響 仏、作品の輸送禁止 山梨
 http://sankei.jp.msn.com/region/news/110404/ymn11040402070000-n1.htm
 東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所事故の影響で、フランス当局が展示作品の輸送を禁じたとして、県立美術館(甲府市貢川)は、16日から6月12日まで開催予定だった特別展「モーリス・ドニ−いのちの輝き、子どものいる風景」を中止すると発表した。特別展に伴う記念講演会やギャラリートークなども中止される。
 同美術館によると、主催するイベントなどの企画制作会社から「震災と原発事故の影響で、仏当局が日本への作品輸送と学芸員の渡航を禁止した」と説明されたとしている。
 モーリス・ドニ(1870〜1943年)はフランス象徴派を代表する画家で日本での人気も高いという。特別展では、フランス内外の美術館、個人所蔵の作品と、新たに見つかった初公開の作品など102点が展示されるはずだった。
 代替の展覧会として現在開催中の「新収蔵品展」の会期を5月8日まで延長、5月10日〜6月26日には拡大常設展(仮称)を開催する。
 問い合わせは同美術館(電)055・228・3322。

◆工業製品の放射線 測定サービス開始 福島
 http://sankei.jp.msn.com/region/news/110404/fks11040402110000-n1.htm
 県ハイテクプラザ(郡山市)は4日から、県内で製造された工業製品に対する残留放射線測定のサービスを始める。
 東京電力福島第1原発の放射線物質(放射能)漏れで、県内のメーカーは、海外の政府や取引先から出荷停止や輸出制限などの風評被害を受けているほか、放射線の分析結果の添付を求められるケースが続出。県に測定サービスの要望が相次いでいた。
 ハイテクプラザでは、サーベイメーター2台を常備し、企業が製品を持ち込めば、その場で表面線量測定を行い、放射線量を伝えるという。
 受付は、毎日午前8時半〜午後5時15分。問い合わせは、(電)024・959・1739。

◆海外の輸入元、相次ぎキャンセル 静岡
 http://sankei.jp.msn.com/region/news/110404/szk11040402260003-n1.htm
 茶業者、風評被害に恐々
 県を代表する産業の一つであるお茶が、福島第1原子力発電所の事故をきっかけに、海外の輸入元からキャンセルされる事態に見舞われている。一方、震災前に製茶した茶は買い占められるなど、原発事故による風評を色濃く投影した商いとなっている。県内の茶業者からは、今月中旬から本格的に始まる新茶シーズンの到来を前に、影響を危ぶむ声も出始めた。
 ≪「安全証明して」≫
 日本茶製造販売を手がける丸山製茶(掛川市)は、東日本大震災が起きた3月11日以降、欧州の輸入元からキャンセルの連絡が届いた。「日本茶は原発被害を受け、汚染されているのではないか」などと現地の消費者に動揺が広がり、問い合わせを受けた輸入元が日本からの輸入を一時見合わせたことが要因という。
 佐々木製茶(掛川市)は今のところキャンセルはないというが、メールで品質に関する問い合わせが殺到。これに対し、香港の輸入業者が震災前の茶を買い占め、「3月の売り上げが前年の同じ月に比べ、3倍伸びた」と話す。このほか、浜佐商店(静岡市)も、「一部でキャンセルが出ている」という。
 こうした動きを受け、日本茶輸出組合(静岡市)は、問い合わせに対し、福島と距離が離れていることを説明。それでも不安な取引業者に対しては、放射線のモニタリングができるウエブサイトを紹介するなどして、正しい情報収集を呼びかけている。
だが、「茶葉の安全証明書がほしい」と、確実な証明を求める声もあるという。同組合は農林水産省に、安全証明書のひな型の作成を要請するなどし、事態の収拾を急いでいる。
 ≪凍霜の次は原発≫
 関係者によると、今年は、震災の影響で、東北地方の顧客からの注文が激減。一部の生産者は「新茶に対する需要が高まる要素が全くない」と肩を落とす。昨年は、凍霜害の被害で新茶が枯れ、収穫ができない事態に陥った県内茶業にとっては、2年連続で打撃となりかねず、関係者は頭を抱えている。

◆「電源喪失で容器破損」東電報告書検討せず
 http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110404-OYT1T00076.htm
 東京電力福島第一原子力発電所2、3号機で使われている型の原発は、電源が全て失われて原子炉を冷却できない状態が約3時間半続くと、原子炉圧力容器が破損するという研究報告を、原子力安全基盤機構が昨年10月にまとめていたことがわかった。
 東電は報告書の内容を知りながら、電源喪失対策を検討していなかったことを認めている。
 国は2006年に「原発耐震設計審査指針」を改定し、地震の想定規模を引き上げた。これを受け、国の委託で原発の安全研究に取り組む基盤機構が、09年度から様々な地震被害を想定した研究を始めた。
 1970年前後に開発された、2、3号機の型の沸騰水型原発(出力80万キロ・ワット)については、地震で電源喪失した場合、原子炉内の温度や水位、圧力などがどう変化するかを計算した。
 その結果、3時間40分後には圧力容器内の圧力が上がって容器が破損し、炉心の核燃料棒も損傷。格納容器も高圧に耐えきれず、6時間50分後に破損して、燃料棒から溶け出した放射性物質が外部へ漏れるとした。
(2011年4月4日03時08分 読売新聞)

◆競走馬、小松に疎開 震災で福島の30頭
 http://www.toyama.hokkoku.co.jp/subpage/H20110404102.htm
 東日本大震災で被災した競走馬の育成施設「吉澤ステーブル福島分場」(福島県天栄村 )から4日、日本中央競馬会(JRA)所属の約30頭が順次、小松市の小松トレーニン グセンターに疎開する。震災で馬の受け入れ先を探していたところ、経営者が旧知の間柄 だった同センターが救いの手を差し伸べた。分場関係者は「本当にありがたい」と感謝し ている。
 疎開するのは、レース出走前の育成馬や現役のオープン馬など。震度5強の揺れが襲っ た福島分場は馬房の床がひび割れたり、坂路コースが崩落した。福島第1原発からは約7 0キロ離れているものの、馬主から預かっている馬の健康を第一に考え、他県に移動させ ることを決めた。4日から数回に分けて小松に運搬し、福島分場の育成スタッフ約10人 も小松トレーニングセンター近くに移り住む。
 福島分場は被災後、管理する馬約100頭を北海道や群馬、京都に一時避難させていた 。このうち、京都に避難させていた約30頭について長期的に滞在でき、環境の整った調 教施設を探していた。
 なかなか見つからなかったところ、吉澤ステーブルの吉澤克己社長から事情を聴いた小 松トレーニングセンターの森田始ゼネラルマネジャーが受け入れることを決めた。
 同センターはトレーニングコースのほか、全国で3カ所しかない温浴場や、ウオーキン グ用のプールなどを備えており、育成スタッフは調教のほか、馬のストレス解消などにも 取り組むという。
 同分場の損傷の程度や一連の原発事故の影響を考慮し、馬が福島へ戻る時期は未定とな っている。森田ゼネラルマネジャーは「困っている同業者に対して少しでも力になりたい 」と話している。

◆海中深くでも放射性物質を検出
 http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110404-OYT1T00091.htm
 福島第一原発事故の影響を継続して調査している文部科学省は3日、福島県内の大気中の放射線量などの測定結果を公表した。
 海水の調査では、同原発を中心とした太平洋岸沖合約30キロ・メートルの5地点で今月1日に採取した海水の表層から、1リットルあたり放射性ヨウ素131を最大12ベクレル、同セシウム137を15・7ベクレル検出。
 水深113〜160メートルからの採取でも、ヨウ素131を最大4・8ベクレル、セシウム137は11・4ベクレル検出した。ただ、いずれも原発区域外での水中の濃度限度の基準(1リットルあたりヨウ素131は40ベクレル、セシウム137は同90ベクレル)を下回っていた。
 原子力安全委員会は3日、放射性物質は拡散して魚に取り込まれるまでには相当薄まるとしつつ、水深の深い所でも検出したことから「注視していく必要がある」とした。
(2011年4月4日03時36分 読売新聞)

◆出荷できないコメ、減反での補償検討 岡田幹事長
 http://www.ibaraki-np.co.jp/news/news.php?f_jun=13018351315700
 東日本大震災と福島第1原発事故の影響視察で県内入りした民主党の岡田克也幹事長は2日夜から3日にかけ、県内農漁業・商工団体の幹部らからのヒアリングや使用不能となった水戸市役所などの視察を行った。ヒアリング出席者によると、岡田氏は放射性物質の影響でコメを作っても出荷できない場合、「減反して、その分を政府が補償することも検討対象になる」と述べたという。
 水戸市内で2日夜行われたヒアリングは、橋本昌知事や市野沢弘県JA中央会長ら各団体トップが出席し、非公開で約1時間行われた。
 岡田氏は「2011年度予算の予備費1兆1600億円を今月中にがれき撤去や被災者支援のために使う。1兆円を超える第1次補正予算を5月の連休前後に成立させたい。財源が足りず国債発行もある」と語ったという。
 終了後、橋本知事は「幹事長から農作物の出荷制限について、県全体でなく細かくやることも検討すべきとの発言があった。わたしからは出荷制限解除のシステムが必要だと伝えた」と語った。
 市野沢氏は「補償ルールを決める損害賠償紛争審査会を早く開くよう強く言った。幹事長も現地を見て理解したはず」と語った。
 和田祐之介県商工会議所連合会長は「風評被害は工業製品から観光まで広がっている。震災で中小の経営は厳しい。金融や税制面の支援をお願いした。スピードを持って対処してほしい」と話した。
 減反でのコメ補償検討発言について、同席した民主党国会議員は「いろんな議論があって幹事長も整理しきれていない様子だが、原発事故が作付けに影響した場合、何らかの補償が必要との認識だ」と説明した。
 3日の水戸市庁舎視察では、加藤浩一市長が損壊状況などについて説明し、修復・建て替え費用の国庫補助や民間による崖崩れ対策への国の補填(ほてん)などを求めた。
 岡田幹事長は加藤市長の説明を受けた後、本庁舎損壊に伴い隣接する市民会館に移転した窓口業務や使用不能の市水道庁舎などを視察した。

◆資金繰り相談、県内2000件超 中小企業の再建長期化へ
 http://www.ibaraki-np.co.jp/news/news.php?f_jun=13018349065624
 東日本大震災で被害を受けた県内中小企業から資金繰りの相談が相次いでいる。県によると、商工会、商工会議所、県中小企業団体中央会、県庁に寄せられた相談件数は3月30日集計で2232件。工場操業や店の営業が止まり「給料や家賃が払えない」など当座の運転資金に関する相談が多く、原発事故の追い打ちに遭った観光・サービス業からは「風評被害で予約キャンセルが続出」「売り上げが激減」と悲痛な声が上がっている。「今後は設備資金の相談が本格化する」(商工会関係者)とみられ、経営再建までの長期化は避けられない見通しだ。
 県は震災後の3月18日、現行の中小企業向け融資を拡充し、運転・設備資金ともに上限8千万円を利率1・2〜1・5%の低利で貸し出す特別対策融資を創設した。災害関連の特別融資は1998年の那珂川洪水以来。
 県によると、各商工団体や県庁に4809件の相談が3月13〜30日に寄せられ、このうち半数近い2232件が資金繰り相談で占めた。「連日30〜40件のペース」(北茨城市商工会)で増え続けている。
 水戸商工会議所の担当者は「小売り、サービス、飲食、製造など業種は幅広いが、運転資金の窮状を訴える相談が圧倒的」と話す。内容は▽取引先から売掛金が入らない▽メーカーや問屋から商品、部品が届かない▽予約が次々キャンセル-などで、震災の影響が操業や商売の隅々に及んでいることをうかがわせている。
 県南地域は被災が比較的少なかったが、原発事故に伴う風評被害や消費の自粛ムードで影響も。つくば市商工会は「筑波山の登山禁止(一部解除)は観光業に痛手。飲食・サービス業からは、女性らの客足が鈍って売り上げが減少したとの相談が多い」と話す。
 津波で甚大な被害を受けた北茨城市の商工会には資金繰り相談が相次ぐ一方、「借金してまで商売や事業を再開すべきか、ためらっている人もいる。原発事故の風評被害も災いしている」(担当者)といい、状況は他地域に比べ一段と厳しい。
 設備資金の融資には市町村発行の罹災(りさい)証明書が必要で、交付手続きが進むにつれ今後、建物や設備の修繕資金に関する相談が本格化する見通し。県産業政策課は「当面は期限を設けず融資相談に対応する」としている。

◆福島第1原発で初めて東電社員の死亡確認
 http://www.sanspo.com/shakai/news/110404/sha1104040506008-n1.htm
 福島第1原発で東京電力の社員の死亡が初めて確認された。東電は3日、福島第1原発4号機タービン建屋で震災直後から行方不明になっていた男性社員2人が遺体で発見されたと発表した。地震直後、点検のためにタービン建屋地下に向かって津波に巻き込まれたとみられる。2人の遺体は3月30日に発見され、除染後、福島県警による検視が行われたという。
 まさに非業の死だ。東京電力は3日午後、いずれも福島第1原発第1運転管理部に所属する、小久保和彦さん(24)と寺島祥希さん(21)の死亡を発表した。
 2人の死因は多発性外傷による出血性ショック死で、複数の外傷と大量出血の形跡があった。津波直後の3月11日午後4時ごろ死亡とみられる。
 福島第1原発では、これまで協力会社の社員5人の死亡が確認されているが、東電社員の死亡確認は今回が初めて。犠牲者は計7人となった。
 小久保さんと寺島さんは地震発生当時、中央制御室にいて定期点検中の4号機の電源操作や弁の開閉作業を行っていた。大きな揺れの後、被害を把握するために4号機タービン建屋地下1階に向かった。
 同僚がこの様子を目撃したが、その後に津波が同原発を襲い、4号機タービン建屋地下は水没。2人は行方不明になった。
 東電は2人の捜索を開始したが、タービン建屋地下1階は全域に放射性物質で汚染された水がたまっており、同24日時点で水深は約80センチあったという。
 東電はこれまで公表してなかったが、汚染水の一部を17〜26日に「復水器逆洗弁ピット」というタンクへ排水していた。
 そして水位が下がったことから暗闇の中をボートで捜索を続け、同30日午後3時25分ごろ、遺体発見となった。1人は水面に浮いた状態だった。
 同31日に遺体は福島第2原発で除染、4月2日になって県内の遺体安置所に運ばれ、福島県警の検視と家族との対面が行われたという。
 気象庁は地震直後の3月11日午後2時49分に福島県などに大津波警報を発令している。なぜ2人は危険な地下に向かったのか。東電は一般的に地震発生時には震度に応じて発電所内を点検することになっているとしており、会見では「事実関係は調査中」と繰り返すだけだった。
 また、勝俣会長名で「地震・津波に襲われながらも発電所の安全を守ろうとした若い社員を失い痛恨の極み。深くご冥福をお祈りする」とコメントを出したが、これは勝俣会長が会見に出てきたのではなく、代読によるものだった。

◆検証・大震災:発生直後に原発ベント指示、東電動かず 首相「おれが話す」
 http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110404ddm001040085000c.html
 東日本大震災から一夜明けた3月12日午前6時すぎ。菅直人首相は陸自ヘリで官邸屋上を飛び立ち、被災地と東京電力福島第1原発の視察に向かった。秘書官らは「指揮官が官邸を不在にすると、後で批判される」と引き留めたが、決断は揺るがなかった。 
 「総理、原発は大丈夫なんです。構造上爆発しません」。機内の隣で班目(まだらめ)春樹・内閣府原子力安全委員会委員長が伝えた。原発の安全性をチェックする機関の最高責任者だ。
 第1原発は地震で自動停止したものの、原子炉内の圧力が異常に上昇した。東電は格納容器の弁を開放して水蒸気を逃がし、圧力を下げる作業(ベント)を前夜から迫られていた。班目委員長は「視察の前に、作業は当然行われていたと思っていた」と振り返る。だが、着手は遅れた。
 首相は官邸に戻った後、周囲に「原発は爆発しないよ」と語った。
 1号機でようやくベントが始まったのは午前10時17分。しかし間に合わず、午後3時半すぎに原子炉建屋が水素爆発で吹き飛ぶ。「原発崩壊」の始まりだった。致命傷ともいえる対応の遅れは、なぜ起きたのか。
      ◆
 11日、東電の勝俣恒久会長は滞在先の北京で震災の一報を知る。心配する同行者に「情報がない」と漏らし顔をゆがめた。衛星携帯で本店と連絡を取り続けたが、帰国できたのは翌12日。清水正孝社長も出張先の関西から帰京できない。東電はトップ不在のまま対策本部を置く。
 一方、官邸の緊急災害対策本部。当初、直接東電とやりとりするのではなく経済産業省の原子力安全・保安院を窓口にした。「原子炉は現状では大丈夫です」。保安院は東電の見立てを報告した。
 しかし、事態の悪化に官邸は東電への不信を募らせる。菅首相は11日夕、公邸にいる伸子夫人に電話で「東工大の名簿をすぐに探してくれ」と頼んだ。信頼できる母校の学者に助言を求めるためだった。
 11日午後8時30分、2号機の隔離時冷却系の機能が失われたことが判明する。電源車を送り込み、復旧しなければならない。「電源車は何台あるのか」「自衛隊で運べないのか」。首相執務室にホワイトボードが持ち込まれ、自ら指揮を執った。
 官邸は東電役員を呼びつけた。原子炉の圧力が上がってきたことを説明され、ベントを要請した。しかし東電は動かない。マニュアルにはあるが、日本の原発で前例はない。放射性物質が一定程度、外部へまき散らされる可能性がある。
 「一企業には重すぎる決断だ」。東電側からそんな声が官邸にも聞こえてきた。復旧し、冷却機能が安定すればベントの必要もなくなる。
 翌12日午前1時30分、官邸は海江田万里経産相名で正式にベントの指示を出した。だが、保安院は実際に行うかどうかについて「一義的には東電が決めること」という姿勢を変えない。国が電力各社に文書で提出させている重大事故対策は「事業者の自主的な措置」と位置づけられている。
 「東電はなぜ指示を聞かないのか」。官邸は困惑するばかりだった。首相は「東電の現地と直接、話をさせろ」といら立った。「ここにいても何も分からないじゃないか。行って原発の話ができるのは、おれ以外に誰がいるんだ」。午前2時、視察はこうして決まった。
 事故を防ぐための備えは考えられていた。しかし、それでも起きた時にどう対応できるか。班目委員長は取材に「自分の不明を恥じる」と言ったうえで、こう述べた。「その備えが足りなかった」
      ◆
 東日本大震災から人も国も再び立ち上がるには何が必要なのか。教訓を得るというには重すぎる出来事を後世にどう伝えればいいのか。あらゆる現場を見つめ直し、長い時間をかけて考え続けなければならない。随時掲載する「検証 大震災」の初回は、かつてない原発の大事故に政府や東電が当初どう対処したのかを報告する。【震災検証取材班】<10・11面に特集>

◆福島第1原発事故 川俣町・飯舘村の15歳以下、被ばく基準値以下
 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110404ddm002040107000c.html
 枝野幸男官房長官は3日の記者会見で、東京電力福島第1原発から30キロ圏外の福島県川俣町と飯舘村で15歳以下の子ども946人の甲状腺被ばく線量を調べた結果、国の原子力安全委員会が定めた基準値(毎時0・2マイクロシーベルト)を一人も超えなかったと発表した。
 最大で0・07マイクロシーベルトだった。調査は政府による放射性物質拡散シミュレーションで両町村について比較的高い数値が出たため、3月28〜30日に実施した。
 同様の調査は3月24日にも川俣町で66人、26、27日にはいわき市で137人を対象に行い、基準値を超えた子どもはいなかった。【影山哲也】

◆福島第1原発2号機、立て坑亀裂 樹脂流し込み 汚染水流量、変化なく
 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110404ddm002040133000c.html
 福島第1原発2号機の取水口付近にあるピット(立て坑)側面の約20センチの亀裂から高い放射線量の汚染水が海に流出している問題で、東京電力は3日、汚染水の流入経路と思われるピットとつながる電源トレンチ(横穴)を特殊な樹脂などでふさぐ作業を実施した。しかし、汚染水の流量に変化はなく、東電は「4日朝まで効果を見守りたい」としている。
 ピットは縦1・9メートル、横1・2メートル、深さ2メートルのコンクリート製で、横穴を点検するために設置されている。横穴は断面が縦70〜90センチ、横110センチで、コンクリートで埋められた配管の中に電線を引く15本の電線管(直径約10センチ)が通っている。
 東電によると、電線管と電線の間を埋めるため、水を含むと約20倍に膨張する特殊樹脂「ポリマー」8キロ、おがくず60キロ、新聞紙を流し込んだ。樹脂などが膨らんで水の流れを止めると期待されたが、亀裂からの流水は止まらず、一方でおがくずなどが流れ出さなかった。このため、投入物は横穴で滞留しているとみられる。
 今後、東電は汚染水の流出経路を調べるため、「トレーサー」と呼ばれる色のついた水を流し込む予定。横穴はタービン建屋から海へ向かう途中で、汚染水がたまっているトレンチ(トンネル)とつながっている。東電の調査で、ピット内と横穴内の汚染水には、放射性物質のヨウ素131などがほぼ同レベルで含まれていることが分かっている。
 海への流出が見つかったのは2日午前9時半ごろ。水面から約1・2〜1・4メートル地点で、放射線量は毎時1000ミリシーベルト以上、ピット最上部で400ミリシーベルトあった。東電は同日、ピット内にコンクリート計5立方メートルを流し込んで食い止めようとしたが、流出は止まらなかった。2号機以外のピット周辺を調べたところ、他には汚染水が海に流れ込んでいる場所は見つからなかったという。
 一方、これまで原子炉への淡水注入は仮設のディーゼル電源を使用していたが、1〜3号機とも3日に外部電源へ切り替えた。これにより、電源への燃料補給をする手間が省ける。【藤野基文、江口一、松谷譲二】
 ◇4号機地下に一時貯蔵へ
 経済産業省原子力安全・保安院は3日、東京電力福島第1原発4号機のタービン建屋地下部分を、同1〜3号機のタービン建屋で見つかった汚染水の貯蔵場所確保のため、一時的に水のタンクとして利用することを明らかにした。4号機の地下1、2階部分が水没し、今後の復旧作業への支障が懸念されるが、保安院は「(水の貯蔵場所の確保を)優先せざるを得ない」との認識を示した。
 汚染水は「復水器」に入れる計画だが、復水器の容量を確保するために、器内の水を「復水貯蔵タンク」「サージタンク」「集中環境施設」などに移す「玉突き」作業が進んでいる。東電は2日、さらに汚染水を処理する集中環境施設から約1万1000トンの水を4号機タービン建屋地下1、2階(容量約3万トン)に移す作業を始めた。
 4号機は地震当時、定期検査中で炉心に核燃料は入っておらず、使用済み核燃料プールへの放水が続いている。【平野光芳】

◆福島第1原発事故 避難・屋内退避、地域見直し検討−−枝野官房長官
 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110404ddm002040128000c.html
 枝野幸男官房長官は3日の記者会見で、福島第1原発事故について「影響の長期化が避けられない状況だ」としたうえで、避難や屋内退避をしている住民への生活支援を強化する方針を表明した。避難指示(20キロ圏内)、屋内退避指示(20〜30キロ圏内)の地域設定については「放射線量の分析を踏まえて、さらに精緻な対応ができるよう準備を進めている」と述べ、長期化した場合の累積被ばく量などを考慮して見直しを検討する考えを示した。
 枝野氏は原発から放出される放射性物質の封じ込めについて「見通しを言える段階ではない。複数の手法を同時並行的に検討している」と説明。自主避難を要請している屋内退避地域に関しては「さらに長期になる中では、こういう指示の仕方はどこかで解消しなければならない」とする一方、「広めるとか狭めるということについて現時点で予断を持っているわけではない」とも述べた。
 ◇第三者機関で事故調査意向
 また、福島第1原発の事故対応に関し「政府、経済産業省、原子力安全・保安院、東電にとどまらず、原子力安全委員会も含めて検証を受ける側だ。独立性・客観性の高いやり方で検証する必要がある」と述べ、政府から独立した第三者機関を設置して調査する考えを示した。茨城県東海村で99年に起きた核燃料加工会社「ジェー・シー・オー」(JCO)の臨界事故では政府の原子力安全委員会に事故調査委員会が設置された。【影山哲也】

◆福島第1原発事故 収束へGE「協力」 東電と会長会談
 http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110404ddm002040142000c.html
 福島第1原発1号機を建設した米ゼネラル・エレクトリック(GE)のイメルト会長兼CEO(最高経営責任者)が訪日し3日、東京電力で勝俣恒久会長らと会談した。東電によると、イメルト氏は、原発事故の収束や火力発電所増設で協力する意向を伝えた。
 東電側は勝俣会長と武藤栄副社長(原子力・立地本部長)らが対応。1〜4号機の放射性物質封じ込めや冷却機能回復の工程のほか、夏場の電力需要ピーク時に向けて東電が計画する火力発電の能力増への支援について協議した模様だ。4日には海江田万里経済産業相らと会談する。
 福島第1原発はGEが開発した「沸騰水型」と呼ばれるタイプの原発で、GEは2号機も東芝と共同で受注した。GEは米ウェスチングハウス(WH)と並ぶ世界有数の原子炉メーカーだったが、米国の原子力開発停滞に伴って事業を縮小。07年に日立と原子力部門を統合した。【山本明彦】

◆温室ガス25%減「見直し対象」 環境事務次官、原発新設困難で
 http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110404ddm002040138000c.html
 【バンコク西尾英之】環境省の南川秀樹事務次官は3日、福島第1原発の事故を受けて、「20年までに90年比25%削減」とした日本政府の温室効果ガス削減目標について「見直し議論の対象となる」と述べた。
 国連気候変動枠組み条約の作業部会出席のために訪れたバンコクで記者団に語った。25%削減達成は、原発9基の新増設と稼働率85%(09年度66%)を前提にしている。原発事故で今後の新設が困難になるとみられる。一方、松本龍環境相は1日の会見で「見直す必要はない」と述べ、目標達成に取り組む考えを示している。
 作業部会は3日開幕し、年末の同条約第17回締約国会議(COP17)へ向け、来年末で期限切れとなる「京都議定書」後の温暖化対策の枠組みづくりを協議する。

◆検証・大震災:初動遅れ、連鎖 情報共有、失敗(その1)
 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110404ddm010040023000c.html
 ◇福島第1原発、津波…燃料棒溶融…爆発
 ◇3.11から2日間、官邸・保安院・東電は
 東日本大震災は国内未曽有の原発事故を引き起こした。首相官邸や東電、防衛省・自衛隊はどう対処したのか。米国の動きは。発生直後からの2日間を追った。【震災検証取材班】
 ■発生 11日14:46
 ◇暗闇の建屋脱出30分 「はぐれるな、手をつなごう」
 ◇「全員官邸に集合」 閣僚右往左往
 その時、東電の下請け会社に勤めるベテラン従業員は福島第1原発4号機タービン建屋の地下1階で鉄材の切断作業をしていた。11日午後2時46分、激しい揺れに必死で配管にしがみつく。
 「足場が倒れたら危ない」。3人の同僚と声をかけ合っていると突然、照明が消えた。暗闇の中、危険箇所を示す電池式の警告灯だけが赤く点滅している。
 頭が混乱して方向感覚がない。「はぐれたら大変だぞ。手をつないで行こう」。警告灯を懐中電灯代わりに、4人は一列になって1階に向かった。外に出られたのは30分後だった。
 1号機の「廃棄物処理建屋」で下請け会社の社員、菅波秀夫さん(60)は足場材の搬出作業をしていた。作業場の監督が中央制御室に連絡して急いで扉のロックを解除させ、仲間6人で出口に通じる隣の建屋に入った。だが、ほこりが立ちこめ視界がきかない。仕方なく作業場に戻ると照明が切れ、鉄骨が揺れる音だけが響く。どこからか声がした。「おれらについて来い」。それを頼りに出口をめざした。
 下請け会社を経営する小川喜弘さん(53)は放射性廃棄物を処理する「集中環境施設」の建屋4階で非常用バッテリーの点検をしていた。揺れが収まって階段を下りると、すぐに大津波警報が出た。4号機で定期点検中の作業員100人以上と高台に向かって逃げた。1号機の建屋の壁が崩れているのが見えた。
 避難所から自宅のある浪江町に戻った時、その光景にがくぜんとした。「人っ子一人いない。これは死の町だ」
 築50年を超す福島県庁舎が強い揺れに襲われた時、佐藤雄平知事は2階会議室で地元新聞社のインタビューを受けていた。5階建ての本庁舎は倒壊のおそれがあり、県は隣の県自治会館に災害対策本部を設置する。救助を求める声が対策本部を飛び交う。原発は後回しだ。3時10分すぎ、本庁舎で受けた第1、第2原発からのファクスには「全原子炉が自動停止」とあった。
      ◆
 福島第1原発から約200キロにある東京の国会議事堂。菅直人首相は、全閣僚とともに参院決算委員会に出席し、新聞報道で表面化した外国人献金問題を巡って集中砲火を浴びていた。
 激しい振動に天井のシャンデリアが大きく横に揺れ、立ち上がる首相のそばに松本龍防災担当相が駆け寄った。4分後には鶴保庸介委員長が「暫時ちょっと休憩」と宣言したが、委員会が再開されることはなかった。
 首相側近の江田五月法相は「全員官邸に集合」という大声に押されて首相官邸へと公用車で駆けつけた。官邸内の危機管理センターへと向かうためエレベーターで地下に下りたが、物置のような場所に出てしまった。
 中野寛成国家公安委員長らと出くわし、地上に上がるため乗ろうとしたエレベーターがストップ。じきに「防災相を除いて各省待機」の連絡が伝わったが、官邸は早くも混乱を極めていた。
      ◆
 「最初は人命救助、次は避難民対策だ」。参院第1委員会室を飛び出した北沢俊美防衛相は防衛省にいた小川勝也副防衛相に自衛隊出動に備えるよう指示を出したが、水面下では救命とは別の情報収集が始まった。
 福島第1原発から約60キロにある陸上自衛隊福島駐屯地(福島市)。原子炉が自動停止した原発の情報収集に乗り出した。防災訓練など日ごろから原発側との情報交換を欠かさず、作業はスムーズだった。
 「自動停止しており、今のところ問題はない」。東京・市ケ谷の防衛省メーンビルA棟地下3階にある中央指揮所(CCP)に駐屯地からの現地情報が伝わったのは地震発生から約1時間後の午後3時55分。その約20分後には「放射能漏れもない」との現地情報が新たに加わった。
 すでに自衛隊は被災地派遣の準備が始まっていた。部隊配置や移動状況などが大きなスクリーンに映し出される中央指揮所の作戦本部・オペレーションルームに姿を見せた折木良一統合幕僚長は号令をかけた。
 「全国の部隊を東北方面に集中して救援に当たるように」
      ◆
 東京都千代田区の東電本店。出張で不在の勝俣恒久会長らに代わって対策本部の指揮を執る藤本孝副社長は、補助電源で薄明かりがともる第1原発の中央制御室から、第1、第2原発の全基停止を知らされた。
 「電力需要が少ない週末はなんとかできても、週明けは大混乱するかもしれんな」。藤本副社長はつぶやいた。この時、原発事故が放射能漏れまで引き起こすとは予想もしていなかった。
 ■異変 11日16:36
 ◇冷却系ダウン 会見場に駆け込み「15条事態」
 ◇保安院幹部「悪夢じゃないのか」 「大丈夫」一転、首相に一報
 大津波で状況は一変した。13台ある非常用ディーゼル発電機のうち、12台が使用不能に陥った。さらに官邸を震撼(しんかん)させる緊急事態が起きたのは地震発生から約2時間後の午後4時36分。「炉心溶融」を防ぐための冷却システムがダウンした。このままでは、核燃料の損傷や放射性物質の外部漏えいにつながる。
 東京・霞が関の経産省で原子力安全・保安院の中村幸一郎審議官が記者会見していた最中だった。「蒸気タービンで駆動する冷却系が働いている。バッテリー(蓄電池)は7、8時間は保持される」
 会見を終えて中村審議官が席を立とうとした午後5時前。血相を変えた保安院職員が「東京電力から15条事態と判断したと連絡がありました」と会見室に飛び込んだ。「15条とは何だ」と騒然とする報道陣に「詳細は後ほど」と繰り返すばかりだった。
 原子力災害対策特別措置法(原災法)に基づく15条通報は、原子炉内に注水できず冷却機能を失うことに代表される重大な緊急事態の発生に適用される。1、2号機は注水が確認できなくなっていた。
 これに先立つ午後3時42分には、全交流電源が失われ、冷却機能の喪失につながりかねない事態になった。東電は15条の一つ手前のトラブルとして10条通報した。「10条でさえ通報が来るなんて考えもしなかったのに、より深刻な15条なんて。悪夢じゃないのか」。保安院幹部がうめいた。
      ◆
 東電の武藤栄副社長が「発電所を見てきます」と言い残してヘリコプターで福島原発へと飛んだのは午後3時半。まだ冷却系統は作動していたが、東電内でも危機感が広がり始めた。原子力部門の幹部は「15条も適用した方がいい」と考えていた。
 東電本店2階の対策本部はすべての電源を失ったことに困惑の度を深めた。こうした事態を想定した「シビアアクシデントマニュアル」に沿って管内の事務所などから電源車をかき集める作業を始めた。
 「6台は確保できそうだ」。だが、東電から報告を受けた保安院幹部に疑念がよぎる。「仮に電源が復旧しても地震や津波で計器類だって損傷しているはず。簡単に事が進むだろうか」
      ◆
 原発事故を巡る行政機関の情報伝達ルートは「東電→経産省原子力安全・保安院→首相官邸」という流れで、通常は官邸が直接、民間企業の東電に指示・命令することはない。「原発有事」に発展するまで首相はもっぱら保安院から「原発は大丈夫です」との報告を受けていた、と複数の政府高官は指摘する。
 首相が「冷却機能不全」という事態急変を知ったのは、東日本大震災発生後、首相官邸で初めての記者会見に臨む直前だった。だが、午後4時54分からの会見では「日本の総力を挙げる」と表明し、原発事故には「一部の原子力発電所が自動停止したが、外部への放射性物質の影響は確認されていない」と触れただけだった。
 首相はこのころから原発事故対応へとのめりこんでいく。公邸の伸子夫人に電話した際、「東工大の名簿」を求めた。母校の専門家からアドバイスを受けようとしたためだった。
 「私は原子力に詳しい」との自負を後に漏らす首相。そこからは「原子力村」と呼ばれる電力業界、経産省、東大研究者が原子力政策を支配するシステムへの対抗意識がうかがえる。伸子夫人は東工大時代の首相の友人を通じて名簿を官邸に届けた。首相はその後東工大出身の日比野靖・北陸先端科学技術大学院大副学長ら3人を内閣官房参与に迎えることになる。
      ◆
 「え、本当に大丈夫なのか」。午後5時前、各駐屯地などからの電話で「パンク状態」だった防衛省・中央指揮所内が一瞬、ざわめいた。それまでの「安全」とは異なり、首相官邸に詰めている統幕の連絡要員から「放射能が漏れている模様。ただし、大きな被害にはならないだろう」と異常事態の情報が伝わったためだ。
 原災法に基づき、首相が「原子力緊急事態宣言」を発令するのは時間の問題だとの情報も駆け巡った。
 官邸から原子力災害対策本部設置と「午後6時半から会議」との連絡があり、防衛省は午後6時過ぎ、「首相が原子力緊急事態宣言を発令する」との情報を漏らしたが、会議がずれ込みいったんは先送りされた。
 しかし、これを織り込み「原子力災害派遣実施部隊の長はただちに派遣準備を実施する」と定める防災業務計画に基づき、午後6時35分に陸自朝霞駐屯地(埼玉県など)の中央即応集団110人、化学防護車4台を待機させ、準備態勢を整えた。
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 ■ことば
 ◇10条通報、15条通報
 原子力災害対策特別措置法に基づく。10条は、原子力事業所の原子力防災管理者(福島第1原発では発電所長)は、敷地境界付近で基準以上の放射線量を検知するなどした場合に主務大臣(東電の場合は経済産業相)などへの通報が義務付けられている。15条は、さらに厳しい事態の場合、主務大臣は首相に報告し、首相は原子力緊急事態を宣言する。
毎日新聞 2011年4月4日 東京朝刊

◆検証・大震災:初動遅れ、連鎖 情報共有、失敗(その2止)
 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110404ddm010040035000c.html
 ◇福島第1原発、津波…燃料棒溶融…爆発
 ◇3.11から2日間、官邸・保安院・東電は
 ■厳戒 11日19:03
 ◇「国の指示待てぬ」 福島県が避難要請
 ◇非常用電源切れ 電源車、適合ケーブルなし
 原発の異常事態は時間とともに深刻さを増していった。「安全神話」を揺るがし、「原発震災」に直面した。「現行法ギリギリであらゆる措置を取るという考えだ」。周辺は菅直人首相の決意をこう表現した。
 午後7時3分、首相は冷却系が機能不全に陥る危険性を指摘し、初めて原子力緊急事態宣言を発令。午後9時23分、半径3キロ圏内の住民に避難指示を出した。12日早朝には10キロ、同夕には20キロと範囲が拡大していく。
 発令に当たっては秘書官らが六法全書と首っ引きで首相権限を調べた。原災法に基づき15条事態になれば自動的に同宣言が出され、政治判断をはさむ余地はないが、ある閣僚は「かなり強力な権限が首相に与えられる」と語った。
      ◆
 福島県も原発事故の恐怖に振り回された。原発崩壊の真偽が定かでない情報が飛び交った。
 国の指示に先立つ午後8時45分の県災害対策本部会議で原子力災害担当の荒竹宏之生活環境部次長が「2号機で炉心溶融の可能性」と報告。5分後に県は、半径2キロの住民に権限も前例もない避難要請を出した。佐藤雄平知事は「未曽有の被害。人命を最優先に、速やかに避難をお願いしたい」と災対本部前でテレビカメラに呼びかけた。
 3キロ以内の住民は約5800人だが、10キロでは約5万人、20キロでは約8万人に膨れ上がる。国に先立つ避難要請を荒竹次長は「細かい点を確認している余裕などなく、国の指示を待てる状況ではなかった」と振り返る。
      ◆
 原子炉の暴走を事前に食い止める「冷却作戦」が官邸、経済産業省原子力安全・保安院、東電のもとで進められた。
 対処方針は冷却システムを再起動させるための電源車をバッテリーが切れる7〜8時間以内に福島第1原発に集めることだった。電源喪失が午後3時42分。タイムリミットは午後11時前後から12日午前0時前後。時間との闘いだった。ひとまず東電が集めた6台が福島に向かったが、陸路の輸送は困難を極めた。
 「福島まで緊急車両は通れるのか」。首相は大畠章宏国土交通相に電話で交通状況を確認。執務室にはホワイトボードが運び込まれ、電源車の現在地が刻々と書き込まれていった。しかし、思わぬ誤算が生じた。
 電源を失った1〜3号機のうち、最初に危機に陥ったのは2号機だった。当初、原子炉の余熱でタービンを回し、冷却に必要な水を炉内に引き込む「隔離時冷却系」が作動し、炉内の水位を保っていた。
 だが、隔離時冷却系が午後8時半に突然止まり、炉心の冷却ができなくなった。このままだと核燃料が出す熱で炉内の水が蒸発し、燃料棒が水面から露出する恐れがあった。水面から出た燃料棒はさらに高温になり、いずれは破損し、核燃料が溶け出してしまう危険があった。
 待望の電源車が福島第1原発から約5キロ離れた、国の対応拠点「福島オフサイトセンター」(福島県大熊町)に到着したのは午後9時過ぎ。東北電力から提供された電源車2台だったが、ここでトラブルが発生する。
 電源車が高電圧だったため接続に必要な低圧ケーブルが用意されていなかったのだ。つなぎ口も津波で浸水していた。午後9時20分には福島オフサイトセンターの非常用電源が切れた。東電社員を含む職員ら15人は隣接する福島県原子力センターに移動したが、ファクス1台。パソコンはなかった。
 電源車の到着から2時間以上たった午後11時20分からの保安院の記者会見で山田知穂原子力発電安全審査課長は「電源車は接続されず、電源は回復していない」と作業難航を認めざるを得なかった。
 1、3号機はともにタイムリミットの12日午前0時を過ぎてもバッテリーは働いていた。問題の低圧ケーブルはようやく調達できたが、「関東から空輸準備中」(原子力安全・保安院の中村幸一郎審議官)で作業員も足りないというありさまだった。
 2号機の水位は安定し、このころはほかにも低電圧を含む2台の電源車が到着していたが、山田課長は午前0時50分過ぎの記者会見で心もとなげに語った。「今来ている電源車では、多分足りないと思う」
 政府高官は「東電のオペレーションは準備不足で、行き当たりばったりのようだった」と振り返る。
      ◆
 原子力緊急事態宣言を受けて午後7時半、北沢俊美防衛相が自衛隊始まって以来初の原子力災害派遣命令を発令。核・生物・化学(NBC)兵器に対処する「中央特殊武器防護隊」(中特防)が出動した。
 だが、もともとの防護隊の任務はNBCで攻撃された時に放射性物質を検知し、安全な場所に部隊を誘導すること。原子炉の知識はなく、防護服や化学防護車などの装備も「防護服は外部被ばくには十分対応できない。化学防護車に中性子を遮る防護板がついたのもJCO事故以降」(陸自幹部)というのが実情だった。
 ■混乱 12日未明
 ◇「ベント」放射性物質放出へ ためらう東電
 ◇ヘリで現地視察の首相「早くやれ」
 「22時50分 炉心露出」「23時50分 燃料被覆管破損」「24時50分 燃料溶融」−−
 11日午後10時、原子力安全・保安院は、原子炉内の水位が下がった2号機で何が起こるのかを予測、官邸に報告した。12日午前3時20分には格納容器内の圧力上昇が予測されていたため、弁を操作して高温の水蒸気を外部に逃がす「ベント」作業が必要と分析した。格納容器の破損を防ぐためとはいえ、意図的に放射性物質を外界に放出する「最後の手段」とも言える荒業だ。
      ◆
 事態は、冷却機能が働いていたはずの1号機でも深刻化していた。徐々に水位が下がり、燃料棒が最大90センチ露出し、原子炉格納容器の圧力が上昇。損傷の危険性が高まった。
 断続的に保安院で開かれた会見で「この事態を想定していなかったのか」と質問が記者から相次ぐ。保安院は「あらかじめ準備されているということではない」と苦しい弁明に終始した。
 一方、首相官邸では11日午後11時過ぎ、地下の危機管理センターで首相や海江田万里経産相、班目(まだらめ)春樹・原子力安全委員長、原子力安全・保安院幹部を交えて対応を協議。「早くベントをやるべきだ」との意見で一致し、東電側と連絡を取った。
 12日午前1時半には海江田経産相を通じて東電にベントで圧力を下げるよう指示。しかし、東電側からは、できるかどうか明確な返答はなく、いらだつ官邸が「何なら、総理指示を出すぞ」と威圧する場面もあった。
 それでも保安院の中村審議官は午前2時20分過ぎの会見で「最終的に開ける(ベントする)と判断したわけではない。過去にベントの経験はない。一義的には事業者判断だ」と説明した。
      ◆
 午前3時、東電は官邸に「2号機は冷却装置が働いている」と報告した。それでも、官邸にいた班目委員長は「これからベントですね」と語った。
 ほどなく、海江田経産相と小森明生・東電常務が会見した。海江田経産相は「ベントを開いて圧力を下げる措置を取る旨、東電から報告を受けた」と説明し、すぐに小森常務にバトンを渡した。これに対し、小森常務は「国、保安院の判断を仰ぎ、(ベント実施の)判断で進めるべしというような国の意見もありまして」と述べる。「東電の判断」という海江田経産相の説明と微妙な違いを見せた。
 方法は、水蒸気を直接大気に出す「ドライベント」ではなく、いったん水にさらして放射性物質を100分の1程度に減らす「ウエットベント」だった。いずれにしても前例がない。
 会見で、小森常務は当初、2号機でベントを実施すると表明したが、代わった東電の担当者は「今入った情報では、2号機は冷却機能が働いていると確認できた。1号機になるかもしれない」と説明した。記者を混乱させた。
 原発敷地内では放射線量が上昇し、保安院は午前6時、1号機の中央制御室で通常の約1000倍の放射線量が計測されたと発表した。原発正門付近でも通常の約8倍を記録した。今回の東日本大震災で初めて放射性物質の漏えいが確認された。
 政府は原子炉等規制法に基づき、東電にベントをするよう命令した。午前6時50分だった。
      ◆
 午前6時過ぎ、首相は班目委員長らと官邸ヘリポートから陸上自衛隊の要人輸送ヘリ・スーパーピューマで福島第1原発へ飛び立った。首相は線量計を携帯していた。午前7時過ぎ、同原発に着いた首相は大地震に耐えられる免震重要棟に移った。
 「そんな悠長な話か。早くベントをやれ」
 首相の怒声が響く。未明に指示したベントはまだ実施されていなかったからだ。現場を熟知する吉田昌郎福島第1原発所長は実施を約束。この後、官邸は東電本店よりも吉田所長に信頼を置くようになる。
 ■崩壊 12日15:36
 ◇指示から9時間、ようやく開始
 ◇東電「ガスボンベ爆発では」 首相「東電つぶれる」
 官邸からの再三の要請を受けて、東電では福島第1原発で現地の作業員らが冷却機能を失った原子炉の圧力を下げるため、炉内から水蒸気を外部に出すベントの準備に取りかかっていた。当初は2号機のベントが想定されたが、途中から1号機の原子炉格納容器の圧力が上昇していることが分かり、こちらを優先することになった。
 東電の原発事故時のマニュアルには手順も書かれているが、放射性物質を含んだ水蒸気を原発の外部に出すという初の事態に「福島の現場も東京の東電本店も緊張した」(保安院幹部)。しかも、停電で原子炉から水蒸気を放出するための圧力弁は自動では作動せず、放射線量が高い格納容器周辺に作業員が行き、手で弁を開く必要があった。停電で真っ暗な中での準備作業は難航。首相の視察後もなお現場は「ベントを開始できるまで、どれだけ時間がかかるか分からない」という状況だった。
 1号機の格納容器内の圧力は午前4時半には、通常の2倍超の8・4気圧に達し、核燃料が溶ける「炉心溶融」がいつ起きてもおかしくなかったが、ようやくベントが開始できたのは午前10時17分だった。
      ◆
 「ドーン」。震災対応をめぐる与野党党首会談が行われていた午後3時36分、福島第1原発1号機の原子炉建屋がごう音を立て、白い煙を噴き上げた。圧力が上昇した格納容器から漏れた水素が建屋の上部にたまり、空気と反応して水素爆発を起こしたのだ。テレビ画面では福島中央テレビが撮影した煙を上げる1号機の様子が生中継され、アナウンサーが興奮した声で爆発のニュースを伝えていた。
 与野党党首会談を終えた菅首相は執務室に戻ったが、東電からも保安院からも情報は入っておらず、問い合わせにも東電は「建屋から煙が出ている」というだけだった。首相は「なぜ官邸にすぐに報告できない。こんなことをしていたら東電はつぶれる」と、東電から派遣された幹部を怒鳴りつけた。幹部は「タービン建屋に保管しているガスボンベが爆発した可能性もあります」と説明したが、テレビ映像を見た首相には、小さなトラブルには思えなかった。約1時間後、東電からの連絡で水素爆発らしいと分かり、厚いコンクリートで覆われた建屋の上部が吹き飛ばされたことが判明する。
 「重要な情報がすぐに上がるように、東電の原発担当者を官邸に常駐させろ」。しびれを切らした首相は執務室横の特別応接室に「私設本部」を設け、東電幹部と保安院を所管する海江田経産相をそこに詰めさせた。ある政府高官は「首相は海江田さんや東電幹部を質問攻めにする一方、実務にたけている官僚とは話すらしなかった。『政治主導』にとらわれ過ぎているのではないか」と危惧した。
 一方、東電本店では、詰め掛けた取材陣に広報担当者が「建物の被害はテレビでしか確認できていない。作業員を今、現場に向かわせているところ」と繰り返すばかりだった。午後6時ごろから会見した保安院も爆発の状況や被害など正確な情報を把握していなかった。
 首相周辺は「東電も保安院も原子力安全委も(深刻な事態から目を背けようと)ぐるになっていたとしか思えない」と批判。一方、保安院を傘下に持つ経産省幹部は「事態が最悪の方向に動いたため、官邸は東電や保安院をスケープゴートに仕立てようとしている」と漏らした。
      ◆
 「これから一体、何が起こるんだ」。防衛省では、1号機の爆発をテレビで知った北沢防衛相が経産省や保安院から情報が入らないことにいら立った。「事実が分からないと、どういう対応ができるか戦略が立てられない。自衛隊として何ができるんだ」−−。語気を強める防衛相に、同省の緊張感は一気に高まった。
 自衛隊は、陸自の隊員4人が1号機の爆発直前まで消防ポンプ車2台で原子炉を冷やすため、水を注入していた。爆発当時は、原発から約5キロ離れた地点に下がっており、危うく負傷や被ばくを免れた。ある防衛省幹部は「非常用電源まで落ちているとは知らなかった。ベントももっと早くから行われていたと思っていた」と、東電や保安院への不信感をにじませた。
      ×
 東電は原発の「安全神話」が崩れていく現実を直視できず、初動の対応を誤った。官邸は政治主導にこだわりながら東電や保安院との緊密な連携を図れず、結束して危機に立ち向かえなかった。それは「想定外」という言葉でけっして片づけられるものではない。
 ◇情報不足に米も不信感 報道、日本特有を強調
 オバマ米大統領が大震災発生の一報をデーリー大統領首席補佐官から受けたのはホワイトハウスで就寝中の11日午前4時(日本時間同日午後6時)。午前9時半から電話で参加したナポリターノ国土安全保障長官らと緊急協議し、午前10時15分(同12日午前0時15分)にいったん中断して菅首相と電話協議に臨んだ。
 オバマ氏の関心は原発の現況にあった。首相は「今のところ放射能漏れの証拠をつかんでいない」と答えたが、オバマ氏は原発の安全システムが破損した最悪の事態を想定、チュー・エネルギー長官に対応を指示した。
 米政府が不満を募らせたのは情報不足だった。クリントン国務長官が11日、在日米軍機が「原発の一つに冷却材を運んだ」と述べ、その後事実誤認と判明したが、米国では情報不足が招いた「誤情報」と受け止められた。12日未明に日本に向かった米国際開発局(USAID)派遣の捜索・救助チーム75人に放射能対策の装備はなかった。
 原発政策を担う米原子力規制委員会(NRC)の対応は素早かった。11日中に担当技術者2人を東京に派遣。首相官邸に常駐を希望し、派遣人数を16日までに11人に増員したが、少ない情報は「日本不信」をあおった。
 NRCのヤツコ委員長は16日の下院公聴会で「使用済み燃料プールには水がないと信じている」と証言、「水はある」とする日本側と対立。ルース駐日米大使は「福島第1原発から50マイル(約80キロ)範囲の米国人退避」を勧告した。米国防総省も在日米軍に対し、50マイル以内に許可なしに立ち入ることを禁じた。米メディアがいっせいに「日本側の情報隠し」報道にかじを切ったのはこの前後だった。日本の避難指示に疑問が出され、米政府高官は「状況評価は『深刻』から『非常に深刻』になった」と振り返る。
 米国の原発建設は79年のスリーマイル島原発事故で中止となったが、オバマ政権が昨秋、原発推進を再開したばかりだった。しかも米国には福島第1原発1〜5号機と同型炉が23基稼働しており、人ごとではなかった。
 原発推進派のロビイストたちは、米国の原発政策への影響を食い止めようと議員らに「日本の特異性」を説明。ワシントンのロビー団体「核エネルギー研究所」のフリント上級副所長は、ホームページにリンクされたビデオで「米国の原発は物理的にも、どう運営されているかについても、日本の原発とは全く違う」と強調した。
 原子力安全・保安院が原子力政策を進める経産省の傘下にあることにも「産業界と親密な関係にある原発行政」(ウォールストリート・ジャーナル)など「米国と異なる監視体制」を指摘、日本特有の事故との印象を与えようとしている。

◆海外分析 政府発表より緻密
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110404/dst11040406590003-n1.htm
 危機の程度
 いまだに危機的状況から抜け出せないでいる東日本大震災に伴う東京電力福島第1原子力発電所事故。国民は政府や東電の発表、説明を注視しているが、今一つ実態や危機の程度が分からず、もどかしい思いをしている。一方、今回の事故には欧米を中心に海外の専門家、メディアも注目しており、その分析は日本より踏み込んだものが多い。鮮明な事故現場の写真が世界中に配信され、その画像を元に、原発先進国の研究機関が独自に開発したシステムを活用して事故の状況をコンピューターでシミュレート(模擬実験)し、積極的に情報開示しているためだ。
 ノーベル物理学賞を受賞した原子物理学者でもある米エネルギー省のスティーブン・チュー長官(63)は1日、米紙ニューヨーク・タイムズのインタビューに答え、「詳密なモデリング(仮説実験)の結果、(福島第1原発の)ひとつの原子炉(圧力容器)は70%損傷しており、別の原子炉の核燃料棒は33%が溶融していることが分かった」と言い切った。(SANKEI EXPRESS)
具体的な数字
 日本の経済産業省原子力安全・保安院のこれまでの発表では、「3号機の圧力容器が一部で破損しているとみられる」「1、3号機の核燃料棒は、一部溶融している可能性がある」としていたのと比べると、チュー長官の発言は具体的に数字が示され、分析の深さがうかがえる。
 米国、フランスの2大原発先進国では、1979年の米スリーマイルアイランド原発事故(大規模な炉心溶融)と86年の旧ソ連・チェルノブイリ原発事故(原子炉爆発)を経て、事故時にわずかな映像や断片的情報から原子炉で起きていることを探るためのシミュレーションシステムを開発してきた。マサチューセッツ工科大(MIT)のマイケル・ゴレイ教授(原子力工学)は「システムの精度は近年格段に上がっている。しかも今回は精度の高い写真が多数撮影されているので、かなり詳しく実態が把握できているはずだ。情報を開示するかどうかは別の話だが」とニューヨーク・タイムズに語っている。
 米スタンフォード大学は3月21日、今回の福島第1原発事故と原子力発電の将来について考えるパネルディスカッションを開いたが、席上、フランスの世界最大の原子力産業複合企業アレヴァの関連企業のアラン・ハンセン副社長は「(福島原発で)一部溶融した核燃料棒の温度は、最高時には摂氏2700度に達していた」と発言した。これは専門家が聞けば、愕然とする内容だった。
核心情報
 燃料棒は核燃料を焼き固めたペレットをジルコニウム合金で棒状に覆っている。ジルコニウム合金は約1100度で溶け出し、燃料本体が原子炉圧力容器の底に落ちた場合、圧力容器の鋼鉄の耐熱温度は2800度とされているためだ。さらに過熱され圧力容器の底を破って格納容器の中に燃料が入り込めば、原子炉建屋が崩壊している現状下では大規模な炉心溶融を起こしたスリーマイルアイランド原発事故を上回る事故となるところだった。
 事故の当事国では、核心情報の持つ重み、国民への影響力が第3国とは格段に異なる。とはいえ、政府は「隠す」「うそ」「過小評価」だけは現に戒めなくてはならない。
 チュー長官は「時間はまだかかるが、方向は確実に収束に向かっている」とも言った。この言葉を信じたい。

◆官邸サイト汚染水データ誤掲載、11時間後削除
 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110404-OYT1T00095.htm?from=main4
 福島第一原発2号機の取水口付近の立て坑(ピット)の亀裂から高濃度の汚染水が海に流出し続けている問題で、政府の原子力災害対策本部が3日、東電が実施した汚染水の分析の途中経過を、誤って首相官邸のウェブサイトに載せ、11時間後に削除していたことが分かった。
 削除されたデータは、汚染水に含まれる放射性物質の種類と濃度。東電の汚染水の分析を巡っては、十分精査しないまま公表したデータの撤回が相次いでおり、経済産業省原子力安全・保安院は「最終的に間違っていたら、さらに信頼を失う」として同本部に削除を要請した。東電と政府のずさんな情報管理態勢が改めて問われそうだ。
(2011年4月4日07時13分 読売新聞)

◆反発覚悟で森永卓郎氏提案「日本は原発のスイッチを入れよ」
 http://www.news-postseven.com/archives/20110404_16422.html
 世界中が震災後の日本経済の行く末を固唾を飲んで見守っている。復興へ動き出した日本だが、その計画が肝心となる。経済アナリストの森永卓郎氏は反発を受けるのを覚悟の上で、今こそドラスティックな政策を敢行すべしと断言する。
 * * *
 7月や8月の電力需要のピーク時期を迎えれば、他の電力会社も供給力に余裕はなくなるわけで、融通しても足りなくなると見て間違いない。いくら日本国民が優秀でも、節電をお願いしただけでは間に合わないだろう。本当に計画停電や工場の操業停止、鉄道制限が必要になるはずだ。
 ここで私は、反発を受けるのは承知のうえで、あえて提言させていただく。
「原発のスイッチを入れよ」
 残された道はそれしかない。
 今回の事故では、緊急冷却用ディーゼル発電機が、5mの津波を想定して防護されていたため、10m以上の津波に襲われて故障した。私は原発の設計については素人なので、防護方法は専門家に考えてもらいたいが、早急に津波対策に取り組み、新潟中越沖地震の影響でまだ3基が停止している柏崎刈羽や、今回被災した女川、さらには福島第二を再起動する準備を進めるべきである。
 そうしなければ、日本経済の失速だけでなく、夏場に大規模停電が起きてエアコンが止まり、熱中症で亡くなる高齢者が続出する事態も起きかねない。日本人はリスクを取らない民族だといわれるが、今はリスクを取る時だ。
 私は今まで原発を必要悪として認めざるをえないものと考えてきた。しかし、日本経済の失速を防ぐためには、他の選択肢はない。原発の是非を考えるのは、当面の電力不足を乗り切ってからでよい。
 問題は、果たして菅首相に原発のスイッチを入れる決断ができるかどうかだ。失礼ながら、このような「大反発を受けるが、国益を考えれば絶対に必要な決断」が彼にできるとは思えない。
 もし小沢一郎氏が「原発のスイッチを入れる」と宣言するなら、私は彼を全面的に支持する。
※SAPIO2011年4月20日号

◆草野仁 「私は男ですから」と震災時の父親の危機管理を語る
 http://www.news-postseven.com/archives/20110404_16456.html
 死者・不明者が2万8000人を超える(3月28日現在)という戦後最大の災害を前に、とまどうばかりの私たち。こんなとき私たちはどのように対応するべきなのか? 災害時の父親のあり方について、キャスターの草野仁さん(65)はこう語った。
* * *
私が子供のころのことです。母が調理に使っていた灯油コンロの炎が天井まで上がったことがありました。私と母がびっくりして言葉を失った瞬間、父が「すぐに毛布を持って来い」と叫んだんです。毛布をパッとコンロの上にかぶせると、火は消えました。子供心にも、「お、やるな」と思いましたが、こうした危機管理は、やはり男親、一家の大黒柱の担う役目ですよね。
「備えあれば憂いなし」とはいい古された言葉ですが、ふだんから家庭でも火事や地震に備えて、家族で話し合い、消火器の点検をしたり、避難経路の確認をしたり、シミュレーションしておくことが大切ではないでしょうか。年に1回でも家族そろって訓練しておくと、いざというとき慌てないと思うんです。
地震といえば、新婚時代に妻と映画を見ていたとき、震度5の地震に見舞われたことがあります。とっさに天井を見上げると梁が外れそうなほど揺れている。その瞬間、観客は一斉に出口に殺到してパニック寸前でした。でも、私は妻に「いまは出るな」といって、中で揺れがおさまるのを待ちました。つねに冷静であろうとしていると、とっさのときにも、自分はどんな行動を取るべきか、頭の中が高速回転して危機を避けようという勘が働くものです。日ごろから“平常心でいよう”と心がけることが大切なんですね。
今回の被災については、さまざまな情報が飛び交って、一部の商品が買い占められたり、また原発事故による放射線の影響についても報道が錯綜しています。ですから、そういう情報を取捨選択して、買い占めに走らないとかパニックにならないようにするとか、それもまた一家の大黒柱に課せられた役割だと思うんです。母親はそれを子供に周知徹底して自らも慌てず、家族をまとめる役割を担ってほしい。私は男ですから、非常時にこそ自分に厳しく、周りにやさしくありたいと思っています。
※女性セブン2011年4月14日号

◆反原発デモに若者ら500人 震災被災者も参加 京都
 http://mytown.asahi.com/areanews/kyoto/OSK201104030077.html
 福島第一原発の事故を受け、ピースウォーク京都などが主催する反原発のデモ行進が3日、京都市内であった。東日本大震災の被災者も加わり、若者ら約500人(主催者発表)が河原町通など約2キロを歩いた。
 デモに参加した清水香名さん(41)は仙台市で被災し、震災2日後の先月13日から、夫と娘2人とともに兵庫県の実家に身を寄せている。原発事故を知り、「子どもを被曝(ひばく)させたくない」と避難したという。
 高校生と中学生の娘2人も「子どもたちを原発から守れ」と英語で書いたプラカードを手に歩いた。清水さんは「原発の怖さは知っていても、避難できない人がいる。各地の原発が止まるよう、今後も私にできることをしたい」と話していた。(竹野内崇宏)

◆静岡・浜岡原発の停止求め署名送る 高山の団体が中電に
 http://mytown.asahi.com/areanews/gifu/NGY201104030014.html
 福島第一原子力発電所の事故を受けて、原発に反対する高山市の市民団体「原発不安倶楽部」の中畑朋子さん(49)らが3日、中部電力の浜岡原発(静岡県御前崎市)の停止を求める署名1481人分を集めて、同社へ送った。
 2003年にも同様の署名を募り、半年間で約2千人分を集めた。東日本大震災後の今回は口コミで活動が広がり、10日間で前回の7割以上が集まったという。中畑さんは「原発の事故が身近に起こりえると、不安に感じる人が増えてきた」と話した。

◆「製品は被曝なし」の証明、県内6商議所が発行
 http://mytown.asahi.com/areanews/kagawa/OSK201104030081.html
 福島第一原発の事故を受けて、県内の全6商工会議所が、海外に輸出する製品が放射能に汚染されていないことを示す「サイン証明書」を発行している。商議所は通常業務で原産地証明を発行しているが、県内業者から「『製品は被曝(ひばく)していない』という証明書を求められた」との相談が寄せられたためという。
 各商議所では、輸出製品について、香川産であるなど、大気中の放射線量が国の基準値以下である地域で作られたことを会員に宣誓してもらう。商議所は宣誓の署名が真に会員のものだという「サイン証明書」を出して、放射能の検査機関が発行する証明書の代わりに使ってもらう仕組み。
 高松商工会議所には3月下旬、中国やアジアに製品を輸出している会員4社から、証明書に関する問い合わせがあった。担当者は「海外での風評被害の懸念は工業製品にも及んでおり、証明書の発行は今後増えてくるのではないか。ただ、欧州連合(EU)では『水産品は水産庁の証明が必要』としているようで、輸出基準がさらに厳しくなりそうだ」と話す。
 サイン証明書は、さぬき市商工会と東かがわ市商工会でも実施している。

◆県議選 農業政策の主張注視 県内農家「不安受け止めて」
 http://www.shinmai.co.jp/news/20110404/KT110403FTI090005000022.htm
 東京電力福島第1原発事故の影響が県内農業にも及び始めている。誤解に基づくとみられる措置でロシアが県産食品を輸入禁止にするなど、風評被害の不安が生産者の間に広がってきた。安全性を示すには県の検査や風評対策が重要になる中、県議選の立候補者たちが掲げる農業政策に生産者の注目も集まっている。
 「県が真剣に取り組んでくれないと、県内の農業も大きな影響を受けてしまう」。ホウレンソウの出荷を始めて10年ほどになる伊那市西箕輪の伊藤清さん(46)は危機感を募らせている。
 今の時期はハウス物を直売所に出荷。150袋ほど出る日もあって忙しい。北関東産の葉物野菜が消費者に敬遠されているためか、「最近は売れている感じ」という。「でも、風評被害がいつ自分たちに降り掛かるか分からない」
 県は3月下旬に県産農畜産物を検査。24日に千曲市と上田市のホウレンソウから放射性ヨウ素などが検出されたが、食品衛生法の暫定基準値を大きく下回った。27日に長野、安曇野、伊那の各市で採取したホウレンソウからは検出されなかった。
 ところが、県内の卸業者が仕入れた茨城県産ホウレンソウから基準値を超える放射性物質が検出されたことをWHO(世界保健機関)が公表すると、長野県産と誤解したのか、ロシアが輸入禁止に。欧州連合(EU)も現在、長野など12都県で震災後に収穫、加工した全食品について、輸入に放射性物質の基準適合証明を求めている。
 県は現在、農産物の検査を頻繁に行っていない。長野市内の観測でちりなどの降下物から放射性物質の不検出が続き、空間放射線量も落ち着いていることに加え、県内で唯一検査できる県環境保全研究所(長野市)の対応に限界もあるからだ。
 「自分で作っているものは安心だと胸を張りたいが、農家にはそれを証明する手段がない」と伊藤さん。農産物の安全性を国内外へ発信していく県の役割は大きいと思う。「県議選では、農家の不安をしっかり受け止めて論議をしてほしい」
 3日、農作業中に原発やエネルギーの問題について訴える選挙カーの声を聞いた長野市の北沢弘通さん(73)は、別のことも気になった。
 「これから国産の農産物が不足し、便乗するように外国産が一気に入ってこないか」。関税を原則撤廃する環太平洋連携協定(TPP)参加をめぐる論議は震災後、進んでいないが、「県政には農業を大切にする視点を求め続けたい」と話した。

◆菅首相、「24」を見てください−議員が提言
 http://jp.wsj.com/japanrealtime/2011/04/04/菅首相、「24」を見てください−議員が提言/
 想像を絶する大惨事に直面したとき、リーダーは何をすべきか。みんなの党の松田公太参議院議員が提案している。
 松田議員は3月30日、自身のブログで、菅直人首相は「24」からいくつか教訓を学べると語っている。「24」は、主人公のジャック・バウアーが核や生物兵器テロの脅威から世界を救うといった内容の米国のテレビ番組。日本でも人気が高い。
 同議員は「菅総理。お忙しいでしょうが、夜中ならDVDの一話ぐらいは観る時間があると思います。是非、24(シーズンU)をご覧になって下さい」と呼びかけている。
 例に挙げているのは、「デービッド・パーマー」米大統領が、放射性落下物を「最も不安に感じている」ロサンゼルス市民に寄り添うため同地に行って指揮を取ると宣言するエピソード。これに対し、菅首相は東日本大震災翌日の3月12日にヘリから福島県地域を視察したものの、21日に予定していた被災地視察は延期した(その後4月2日に実行)。
 松田議員は、枝野幸男官房長官が福島第1原発の半径20〜30キロ圏内で会見を行うよう提言。「それができないなら、『自主避難勧告』ではなく『避難命令』を出してください」と訴えている。

◆脱原発の思い、避難者が歌に 石垣市
 http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-04-04_16267/
 【石垣】東日本大震災による原発事故の影響を避けようと、福島県から石垣市内に自主避難している2家族が3日、県営バンナ公園で開かれた震災チャリティーイベントに出演した。両家族は歌や避難報告を通して石垣市民に感謝した。
 同イベント「森と空のヒーリングガーデン」(主催・同実行委員会)には、福島市から一緒に避難してきた合津理望(りぼう)さん(26)、惠さん(26)夫妻と長男の命(みこと)ちゃん(0)、佐藤友和さん(36)、響子さん(32)と長女の空ちゃん(3)の両家族が出演した。
 理望さんは3月11日の震災発生時について「縦、横、突き上げるような揺れが2〜3分続き、ただごとじゃないと感じた。すぐに原発のことが思い浮かんだ」。不安は的中した。両家族の居住地はいずれも原発事故の避難区域外だったが、事故があった12日夜には最低限の荷物を持ち、車で自主避難を開始。3月下旬に放射能の影響が小さそうな石垣島を訪れ、市民のもとでホームステイしている。
 「逃げるしかねえべ 子どもを抱え 夢中で走った」―。この日は放射能の怖さを歌詞にし、曲に乗せた。友和さんは「福島の人は疑問を感じながらも放射能を浴び、汚染された作物を食べ、恐怖を知らずに生活しているのでは。被ばく被害を広げないためにも、国は早期に福島県民へ避難を促してほしい」と訴えた。
 理望さんは「今回の事故は本当に甘くないと思うが、日本にとっては『脱・原発』のチャンス。ただ原発を否定するわけではなく、肯定する人とも話し、考え合いたい」と望んだ。

◆独連立与党党首が辞任意向を表明
 http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20110404-OYT1T00250.htm
 【ベルリン=三好範英】ドイツのメルケル政権与党である自由民主党(FDP)のウェスターウェレ党首が3日、5月に開かれる党大会で党首を辞任する意向を表明した。
 4日に党幹部会を開き、後任の党首候補を選ぶ。同氏は外相にはとどまる意向を示した。
 先月の2州の議会選では、福島第一原発事故の影響で原発政策見直しを掲げる緑の党が大きく得票を伸ばし、FDPは大敗。
 党首の辞任を求める声が公然化していた。
(2011年4月4日10時31分 読売新聞)

◆脱原発の未来は 主婦ら企画 7、8日に講演会
 http://www.chunichi.co.jp/article/ishikawa/20110404/CK2011040402000142.html
 金沢など 「不安感じる人、来て」
 東日本大震災の福島第一原発事故を受けて、七、八日に県内の計三会場で、原発と自然エネルギーに関する講演会が開かれる。企画した金沢市の主婦小原美由紀さん(46)は「放射線の情報などがあふれ、無力感や不安を感じている人たちに来てほしい」と呼び掛けている。
 原発問題に詳しい文筆家の田中優さんが「福島原発の現状とこれからの自然エネルギーの可能性」と題して、原発震災や被ばくの実態などを解説する。七日は金沢市小将町のアートスペース「Kapo(カポ)」で午後一時半から、野々市町文化会館フォルテで午後七時から。八日は同市の県地場産業振興センターで午後一時から。
 田中さんは一九八六年の旧ソ連・チェルノブイリの原発事故以来、「脱原発」の立場で環境問題に取り組む。人気バンド・ミスターチルドレンの桜井和寿さんらと設立したNPOバンク「ap bank」の監事。震災後、全国から要望を受けて講演。インターネットで三月の大阪講演の映像が配信されると、アクセスは十七万件を超えた。
 県内の講演は、田中さんのブログ「田中優の“持続する志”」のメールマガジンを小原さんが担当している縁で実現。
 協力する金沢市のNPO法人「39アース」の理事長山本久司さん(64)は「原発反対や推進の立場を超え、新たなエネルギーや、生活の仕組みを考える場にしたい」と話している。
 参加費はいずれも千円で一部は震災義援金とする。七日昼は定員(七十人)に達したが、七日夜と八日昼は募集している。問い合わせは小原さん=電076(240)0413、野々市町のフェアトレードの専門店「コミュニティ・トレードal(アル)」=電076(246)0617=へ。 (押川恵理子)

◆米GE会長「原発事故収束に協力」 東電首脳陣と会談
 http://www.asahi.com/special/10005/TKY201104030249.html
 米ゼネラル・エレクトリック(GE)のジェフリー・イメルト会長兼最高経営責任者(CEO)が3日、都内の東京電力本店で勝俣恒久会長ら東電首脳陣と会談した。
 東電によると、GEも建設に携わった福島第一原子力発電所の事態収束と、東電の火力発電所増強について、「できることがあれば協力したい」と申し入れがあったという。具体策は今後、両社で決める。
 GEは、原発でも世界的なメーカーで、日本では福島第一の1、2、6号機を含め、複数の原発の建設に参加している。

◆集団避難「双葉町」から:預金引き出しの方法などを相談 4金融機関が説明会 /埼玉
 http://mainichi.jp/area/saitama/news/20110404ddlk11040161000c.html
 原発事故のため福島県双葉町民約1330人が避難している旧県立騎西高校(加須市騎西)で3日、周辺に支店を持つ4金融機関が合同説明会を開いた。町民約200人が、預金の引き出し方法などを個別に相談した。
 4機関は、埼玉りそな銀行▽埼玉縣信用金庫▽JAほくさい▽郵便局。避難者のほとんどは福島県内の金融機関に預金がある。この預金は身分証明ができればこの日参加した金融機関などから引き出せる。説明会では4支店の地図が配られ、こうした「代理現金払戻」制度を担当者が解説したり住宅ローンの相談に乗ったりした。
 電気工の男性(38)は「地元(双葉町)の東邦銀行を利用しているが、埼玉りそな銀行でも1日10万円まで引き出せると聞いて安心した」と話した。【町田結子】

◆南相馬支援 6000人集う
 http://mytown.asahi.com/tokyo/news.php?k_id=13000751104040002
 ◆杉並の公園でバザー
 被災者48人も駆けつけ参加
 東日本大震災の被災地・福島県南相馬市を支援するチャリティーバザーが3日、杉並区であり、家族連れなど約6千人が訪れた。被災者48人も避難先の群馬県から駆けつけ、区民ボランティアと一緒に衣料品や日用品を販売した。売上金は全額、義援金として南相馬市に寄付される。
◆学校再開待つ 高2叶谷さん「気分転換できた」
 「どうぞ、見ていってください」。1日オープンしたばかりの「桃井原っぱ公園」のバザー会場。区民ボランティアに混じって、青いはっぴ姿の声が響いた。震災後、南相馬市などから「集団避難」した人たちだ。市が災害時相互援助協定を結んでいた縁で、群馬県東吾妻町にある杉並区の保養施設で生活している。
 午前6時半ごろにバス2台で出発、10時40分に始まったバザーに参加した。寒い曇り空の中、バザーは食器や衣類を求める人たちで盛況。区民から寄せられた2万点以上が並び、500万円以上を売り上げた。
 「たくさん売れて、気持ち良かった。気分転換になった」と、500円コーナーで食器を販売した高校2年の叶谷明大(かのう・や・あき・ひろ)さん(16)。南相馬市の南隣・浪江町にある自宅は、福島第一原発の半径10キロ圏内。避難所を転々とした後、半月ほど前に母たちと東吾妻町に移った。高校では陸上部に所属。朝、昼、晩と避難所近くで体を動かすが、自宅に帰れるめども、高校再開のめども立たない。
 避難所のリーダーの1人で農業、若月芳則さん(61)の自宅も第一原発から十数キロ。植え付け前のブロッコリーの苗を残して避難した。「原発の20キロ圏内では、行方不明者の捜索もできず、避難した人はいつ帰れるかもわからない。あの地域を再生できるのか……」と厳しい表情で話した。(武井宏之)
◆南青山ではアートバザー 8日から
 NGO国際子ども教育基金が、被災地の子どもを支援するチャリティーバザーを8日から3日間、港区南青山2丁目の子育てひろば「あい・ぽーと」で開く。発起人は、白梅学園大学長の汐見稔幸さんと恵泉女学園大教授の大日向雅美さん。収益は被災した子どもの心のケアや保育園・幼稚園の再建に役立てる。
 教育関係の書籍にかかわるイラストレーターや作家らが額装済みの絵画や、絵本や育児書など約500冊を提供する。ほかにもテディベア作家によるアーティスト・ベア、家具作家の子ども用の椅子、イラン遊牧民による絨毯(じゅう・たん)「ギャッベ」、吹きガラス作家や陶芸家の器などが出品される。
 8日午後1時?5時、9日午前11時?午後5時、10日午前11時?午後4時。高原アートギャラリー八ケ岳のホームページ(http://www.will?cefi.com/)に、出品物の一部や会場への行き方が掲載されている。問い合わせは同基金(03・3403・4537)へ。

◆知事選、原発集中地で夜の舌戦 投開票まで1週間切る
 http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/nationwidelocalelections2011/27330.html
 福井県知事選は10日の投開票まで1週間を切り、共産党新人の宇野邦弘候補(59)と3選を目指す無所属現職の西川一誠候補(66)は、夜も政策中心の訴えに力を注いでいる。2日夜はともに原発が集中立地する嶺南で個人演説会を開き、争点の原発政策や県民生活の安全・安心、地域活性化策などを丁寧に説明。有権者との距離を縮めながら浸透を図った。夜の舌戦を追った。
 ▽宇野候補 「産業面でも、雇用面でも原発依存から脱却する。財政的にもエネルギー的にも脱却する時期をいよいよ迎えた」。告示後初めて原発立地市町での演説会に臨んだ宇野候補は、旗印に掲げる原発政策の見直しを、演説で全面的に強調。「原発」を切り口にして県政の問題点を次々と挙げ、自身の政策を説いた。
 敦賀市のきらめきみなと館での演説会には約100人が訪れた。宇野候補は開始前から客席に入って握手。主婦から「敦賀は原発関係の雇用が大部分」と告げられると、演説では「農林水産業を振興せず、とにかく原発頼み」と応じ、産業構造の転換を訴えた。
 電源三法交付金などの“原発マネー”に触れ、県の財政にも矛先を向ける。支出分野別の全国比較では「土木費や建設費はトップ級だが、民生費や老人福祉費は45位。お金の使い方が原発絡みでゆがめられている」。身ぶり手ぶりを交え「暮らし応援」の立場を強調すると、会場から大きな拍手が沸いた。
 北陸新幹線延伸反対の訴えでは、県が高速増殖炉「もんじゅ」の運転再開をめぐり国に地域振興策を求めた経緯を挙げ「こういう県政だから、国の言いなりで世界最大の原発集中地帯になってしまった。今こそ自然エネルギーへの本格的な転換を」と主張。有権者の関心の高まりを感じ、演説にも熱を帯びている。
 ▽西川候補  マニフェストのビラを手にゆっくりと丁寧に政策を説明していく西川候補の口調が、一瞬強くなった。東京電力福島第1原発事故を踏まえ「県内では絶対にこのような事故を起こさせない」。原発の安全確保に向け、強い覚悟と決意を示した。
 美浜町保健福祉センターでの演説会には約220人が訪れた。住民の関心はやはり原発政策。参加者にビラを配り、見ながら訴える姿はすっかり定着したようだ。西川候補は冒頭「私のマニフェストは、守るマニフェスト」と述べ、国政で信頼が揺らいだ政権公約との違いを強調。先駆けとしての自負をのぞかせた。
 原発に関しては、既に電源喪失時など万一を想定した安全対策を国と電力事業者に対して要請したと説明。対策がどこまで実行されたかなどを検証し、県民に説明すると約束した。政府は原発増設を見直す意向も示すが「政府は他のことをさておいて(福島の)事故の収束に全力で取り組むべきだ」と指摘した。
 地域活性化や産業の活力に向けては、2014年度全線開通の舞鶴若狭自動車道を挙げ「福井県100年の悲願である嶺南・嶺北の一体化が図られる」と強調。「嶺南に新しい産業エリアをつくり、もり立てる」と訴えた。さらに大震災を教訓に大都市中心の政策を見直し「太平洋側から日本海側への国土軸の大転換が必要」と説いた。

◆自主避難、消えた村 30キロ圏内の葛尾
 http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110404k0000e040077000c.html
福島第1原発から北西に25.3キロの福島県葛尾(かつらお)村役場。無人の庁舎の前には、臨時の放射線測定器が置かれ、数値を表示し続けていた。郵便局、スーパー、石材店……記者が訪れた3月30日、周囲の店や民家には人影はなく、鳥のさえずりがはっきりと聞こえた。村の大半は国が自主避難を促している20〜30キロ圏内にあり、約1600人の村民のほとんどが村外にいる。【平野光芳、平川昌範】
 道を歩いていると、「ようやく車に給油できたから、実家の様子が気になって見に来た」。やはり原発から20〜30キロ圏内にある同県南相馬市の中心部から来た主婦、陶美佐子さん(68)に出会った。実家の畑から、自宅近くのスーパーでは手に入りにくい野菜を取っていくという。実家周辺の建物の被害は、せいぜい屋根瓦が落ちた程度。「原発さえなければ、皆、普通に住めたのにね」
 集落の外れにある畜産農家の敷地では、松本輝雄さん(50)が牛の世話をしていた。震災後に生まれた子牛を含めて、9頭の肉牛を育てている。「人がバケツでくんでやらないと、牛は水も飲めない」。隣接する田村市の避難所に身を寄せているが、水や草を与えるために車で毎日、通っている。「牛が売れるかどうかも分からないのに、ガソリン代ばかり使っている。国や東電は本当に自主避難の地域の住民にも、補償をしてくれるのだろうか……」
     ◆
 避難を巡って、村は大混乱した。山あいにある葛尾村は3月11日の地震被害は少なく、津波を受けた東隣の浪江町などから200人を超す避難者を受け入れていた。しかし、12日から深刻化した原発事故で、事態は一変した。「テレビでは原発が爆発する映像が映っているのに、国や東京電力からは何の情報提供もない。固定・携帯電話が使えず、何をどうしたらいいのかも分からなかった」と松本允秀(まさひで)村長(73)は振り返る。
 松本村長が全村自主避難を決めたのは14日の夜だった。役場職員の個人的なつながりから「オフサイトセンター(緊急事態応急対策拠点施設)からスタッフが避難したらしい」「東電の社員も新潟に避難しているらしい」といった真偽不明の情報が集まり、「事態は悪化する」と確信したからだ。
 同日午後9時25分、防災無線で「原発の状況が心配されます。(約40キロ離れた)福島市のあづま総合運動公園に避難します。自家用車で行けない人は村役場に集まって、バスに乗ってください」と全戸に告知した。ただ、この時点では、公園側と事前の打ち合わせはなし。「県庁に問い合わせても避難場所が確保できない。公園の駐車場が広いので、とりあえずそこに行けば一晩は明かせると思った」という。
 ある男性は「防災無線を聞いた時は酒を飲んでいたので、やむなく飲酒運転で避難した」と打ち明けてくれた。村が用意した5台のバスは定員オーバーで、「立ち乗り」が出た。
 国は翌15日になって、20〜30キロ圏内の住民に対して屋内退避を指示、25日には自主避難を促した。
     ◆
 村の役場機能は原発から100キロ以上離れた同県会津坂下町の川西公民館に移転している。廃校舎の教室を使った臨時役場には、「住民異動届」「年金」「印鑑登録原票」などと書かれたファイルが雑然と置かれ、十数人の職員が、支援物資の受け入れや住民の所在確認などに追われていた。職員を指揮する金谷喜一総務課長(59)は「これまで全戸に光ファイバーを設置したり、村外からの定住を促すなど過疎対策に力を入れてきたが、そんな努力も一瞬で奪われた」と嘆く。
 原発事故の事態収束のめどが立たず、避難は長期化する様相だ。村も、避難先での仮設住宅の建設を検討している。村役場とともに避難してきた農業、大山昭治さん(74)は「早く自宅に帰りたい。村の水や土壌は本当に大丈夫だろうか。ただ、原発の安定を期待するだけです」と肩を落とした。

◆福島第1原発事故 市民団体、脱原発への政策を提言 /福岡
 http://mainichi.jp/area/fukuoka/news/20110404ddlk40040172000c.html
 放射性物質の漏出が続く東京電力福島第1原発の事故を受け、脱原発を掲げる市民団体「みらい実行委員会」が2日夜、中央区の中央市民センターで講演会を開いた。環境保護事業などに融資する非営利団体「未来バンク事業組合」理事長で文筆家の田中優さんが、原発に頼らないエネルギー政策を提言した。
 田中さんは原発震災について「東電は『想定外』としているが、大津波対策の不備は国会で指摘されていた。放射性物質を体内に取り込む内部被ばくは発がんの確率を高める。政府は『ただちに人体に影響はない』と繰り返すが、危機感を持ち続ける必要がある」と訴えた。その上で「太陽光や風力、地熱などで地域のエネルギーをまかなう社会になれるか。今回の震災を脱原発のターニングポイントにしよう」と呼び掛けた。
〔福岡都市圏版〕

◆燃料の「崩壊熱」止まらず 原発、核分裂は制御
 http://www.asahi.com/special/10005/TKY201104040105.html
 止まっているはずの原子炉と、使用済みの燃料棒が次々と熱を発し、対応に苦慮する日々が続いている。様々な放射性物質の放出も止まらない。なぜこうなってしまったのか。原子力発電所と、エネルギーを生み出す核分裂反応の仕組みにさかのぼっておさらいした。
■「臨界」とは
 原子力発電は、核燃料から出る熱で水を沸かして蒸気をつくり、蒸気で風車のようなタービンを回して発電機を動かす。
 蒸気で発電するのは火力発電と同じだが、核燃料を使うのか、石炭や天然ガス、石油を使うのかが違っている。
 普通の原子力発電は、核燃料に3%ほど含まれるウラン235の原子が核分裂を起こすときに出る大きな熱を使っている。1グラムのウラン235が出すエネルギーは、石炭なら3トン分、石油なら2千リットル分に匹敵する膨大なものだ。
 核分裂は、原子の中心にある原子核が分裂すること。原子核は、中性子と陽子という2種類の粒子からできている。
 ウラン235に、外からきた中性子がぶつかると、小さな原子核に分かれて新しい中性子と熱エネルギーを出す。飛び出した中性子は、さらに近くのウラン235の原子核にぶつかり、核分裂が次々と起きて、大きな熱エネルギーを生み出す。
 核分裂を繰り返し、熱を出し続ける状態を「臨界」といい、発電をしているときはこの状態が保たれている。核燃料は細長い棒状の形。核分裂の状態は、中性子を吸収しやすい材料で作られた制御棒を出し入れして調整している。
■炉で湯を沸かし、発電
 核分裂させて湯をわかす巨大な装置が原子炉。東京電力などが採用する沸騰水型の原子炉では、蒸気を管を通して隣にある建物に運びタービンを回して発電している。発電後の蒸気は、復水器という装置で海水を使って冷やして水に戻され、再び原子炉に運ばれ、この循環を繰り返している。
 発電に使う水は、蒸気を作るためだけではなく、原子炉のなかで中性子の速度を落とし、反応を効率よく進める役割も果たしている。核分裂で出る中性子は飛ぶ速度が速すぎて、そのままでは、うまく次の核分裂を起こせないからだ。
 「水がなければ中性子が減速されず、連続的な核分裂反応が起こることはない」と京都大原子炉実験所の宇根崎博信教授は話す。つまり、原子炉が水のない空だき状態なら連続した核分裂はまず起きないことになる。
 核燃料から出る熱は、核分裂によるものだけではない。
 ウラン235が核分裂すると、いろんな原子核にわかれ、100種ほどの核分裂生成物と呼ばれる物質ができる。ほとんどが不安定な放射性物質。安定な状態になるまで、ベータ線などの放射線を出しながら「崩壊」を繰り返し、熱を出し続ける。その熱は核分裂を止めた直後で臨界状態のときの数%。核分裂生成物を多く含む使用済み核燃料は、平常時でもプールに入れて数年間、水で冷やし続ける必要がある。
 崩壊する速度は生成物によって違い、量が半分になるまでの時間を示す「半減期」は、1秒以下から1千万年以上までさまざま。原発事故ではヨウ素131(半減期8日)とセシウム137(30年)の検出が目立つ。
 東京工業大の鈴木達也准教授(放射化学)は「半減期が短いとすぐ崩壊してなくなり、長すぎると検出しにくい。ヨウ素131とセシウム137は検出されやすい半減期で量も多い」と説明。この2種は人体に取り込まれやすく、健康被害も心配される。
■冷却水、循環せず
 原発では、放射性物質をしっかり閉じこめる必要がある。核燃料を覆う管、厚さ16センチほどある鋼鉄製の圧力容器、厚さ3センチほどの鋼鉄製の格納容器、約2メートルの厚さのコンクリート壁などが、多重の壁とされてきた。
 福島第一原発では、制御棒を使って原子炉を緊急停止させ、核分裂を繰り返す臨界状態は止められた。だが、核燃料の中では核分裂生成物の崩壊が続いて熱を出し続けている。これを止める手だてはなく、冷やす水を循環させなければならない。
 しかし、そのためのポンプなどが津波で動かなくなった。原子炉や使用済み燃料プールにある核燃料を冷やすことができず、放射性物質の放出が続く重大な局面が続いている。(本多昭彦、吉田晋、米山正寛)

◆「泊プルサーマル撤回を」 札幌で反原発団体がデモ
 http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/283353.html
 福島第1原発100+ 件の事故を受け、北電泊原発(後志管内泊村)のプルサーマル計画に反対する緊急デモが3日、札幌市内で行われた。
 札幌の反原発団体「泊を止めよSHUTT(シャット)!」の泉かおり代表らが呼び掛け、市民ら約250人が参加。「原発はいらない」などと書いたプラカードを持って、大通公園と道庁の間をデモ行進した。
 泉代表は、泊原発西方沖には活断層の存在の可能性が指摘されているとして「プルサーマル計画を撤回し代替エネルギーを模索しよう」と訴えた。

◆東電、5日も計画停電見送り 火力再稼働で供給増
 http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011040401000364.html
 東京電力は4日、地域ごとに交代で電気を止める計画停電を5日も実施しないと発表した。終日見送りは8日連続。火力発電所が相次いで再稼働することから供給力が増し、需要を賄えると判断した。
 東電によると、5日は鹿島(茨城県神栖市)や横浜(横浜市)などの火力発電所の一部で稼働を再開。合計で約150万キロワットの供給力が新たに加わるため、ピーク時の需要見通し3500万キロワットに対し、4千万キロワットの供給力を確保できるという。
 ただ、福島第1原発の事故などで供給力が大幅に低下している状況は変わらないため、東電は引き続き節電を呼び掛けている。

◆京都党・村山代表「京都に原発ないのに反対を言う党がある」と暴言
 http://www.kyoto-minpo.net/archives/2011/04/04/post_7737.php
 京都市議選に8人の候補者を立てた京都党の村山祥栄代表(左京区候補)が3日、「京都には原発が1基もないのに、原発反対を言う党まである。一体何のための選挙なのか。首をかしげたくなる」などと述べ、原発の危険に不安を募らせる府民に敵対する暴言を吐きました。
 同日夜、左京区の松ヶ崎立正会館で行われた自身の個人演説会での発言。「選挙で、突然あちこちで他党が防災の話ばかりするようになった。もっとひどいところになると…」とした上で述べたもの。続けて「防災については、…そういう話はしないことにしている」と発言しました。
 京都府に隣接する福井県の若狭湾沿岸には関西電力などの原発が14基(全国の原発54基の26%)あり、半径80〜100キロ圏にほぼ京都府全域が入ります。大量の放射能が漏れ出す東京電力福島第1原発の重大事故を受けて、「このままでいいのか」という不安が、いま府民の中に広がっています。
 「京都に原発が一基もない」のは、関電が1970年代から立地を狙ってきた久美浜(蒲井・旭地区)、宮津(田井)、舞鶴(野原)の各原発計画を、府民と日本共産党が「安全性が未確立。命と暮らしを破壊するもの」と粘り強い反対運動で阻止してきたからです。村山氏の発言は、関電の京都への原発建設計画があった事実、府民の運動がこれを阻止してきた京都の歴史の事実への無知をさらすものです。
 京都党は「京都のことは京都で決める」とアピールしてきました。「国難」ともいうべき東日本大震災のもとでの今回の選挙は、多くの国民・府民が、被災地の惨状に心を痛め、救援と復興をどう進めるか、原発事故の影響を心配し、「福祉と防災の京都をどうつくるのか」を考えています。村山氏の発言は、こうした府民の思い、「京都のこと」に全く責任を持てない立場を自ら語ったものです。(ひ)

◆福島原発:「天災ではない」佐藤栄佐久・前知事
 http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110404k0000e010064000c.html
 福島県知事在職中に、国の原子力政策に疑問を投げかけていた佐藤栄佐久氏(71)に、東京電力福島第1原子力発電所の事故について聞いた。佐藤氏は「深刻な事態は国の原子力政策が招いたもので、天災によるものではない」と強調した。【岩佐淳士、松本惇】
 −−未曽有の事故に、東京電力は「想定外の事態」と繰り返した。
 ◆私でさえ安全と思っていた。経済産業省は「二重三重のチェックをしている」「自然災害による事故も絶対あり得ない」と言っていた。国がそれだけ言えば、地域社会が信用するのは当然だった。
 −−88〜06年の知事在任時、福島第1、第2原発で事故やトラブル隠しが発覚。安全管理に疑問を唱えていた。
 ◆原子力政策は、国会議員や福島のような立地県もタッチできない。政策の基本を定める長期計画策定会議のメンバーの大半は電力関係者の「味方」。政策を実際につくるのは経産省の官僚だ。彼らにとって、良いのか悪いのかは別問題で、一度方針を決めると後戻りしない体質だ。
 −−原子力安全・保安院の経産省からの分離が検討されている。
 ◆分離しないといけない。02〜06年に原発トラブルなどに絡んだ内部告発が、県に21通も寄せられた。保安院に情報提供しても対応もせずに東電へ情報が流されると、告発者は恐れていた。原発の運転を前提に安全面をチェックしろと指示してきたと指摘されるのも、保安院が経産省の一組織だからだ。
 −−第1原発敷地内からは、微量のプルトニウムも検出された。
 ◆3号機で使用中のプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料から出た可能性もある。プルサーマルは、専門家から安全性に懸念の声もあったが、国は推進してきた。
 −−多くの住民が原発関連の仕事に従事してきた現実もある。
 ◆原発のない町に帰っても働く場もないという問題は確かにある。ただ、第1原発がある双葉町を見てほしい。原発ができて永久に栄えると思っていたが、すぐに2機増設してほしいという話が出た。財政上の優遇もあったが、09年には自主的な財政運営が制限される「早期健全化団体」に転落した。原発立地の損得を、冷静に考えるべきだと思う。
 −−東電は、第1原発1〜4号機の廃炉を表明した。5、6号機や第2原発はどう扱うべきか。
 ◆第2原発を再稼働させるべきかどうか、まだ自分の中で整理ができていない。原発は1カ所の立地点で1兆円の投資となる。原発の扱いは、エネルギー政策の根幹にかかわる問題だから。
 【略歴】さとう・えいさく 日本青年会議所副会頭などを経て83年参院議員、88年に福島県知事。5期目途中の06年県発注工事を巡る汚職事件が表面化し、同10月に収賄容疑で逮捕された。無罪主張しているが1審、2審では有罪判決が出て、上告中。02年の東京電力の原発トラブル隠し問題では、原発立地県の知事として、プルサーマル計画への「事前了解」を白紙撤回した。
◆福島第1原発と佐藤栄佐久氏◆
71年3月 福島第1原発1号機が営業運転開始
88年9月 佐藤栄佐久氏が福島県知事に初当選
98年11月 県と地元2町が福島第1原発3号機でのプルサーマル計画受け入れを表明
02年8月 東京電力の原発トラブル隠し発覚
  9月 佐藤氏がプルサーマル計画への事前了解を白紙撤回
03年12月 福島、新潟、福井の3県知事が原子力安全・保安院の経済産業省からの分離を国に要請
06年9月 県発注工事を巡る談合事件で実弟らが逮捕された道義的責任を取り、知事を辞職
  10月 佐藤氏が県発注工事を巡る収賄容疑で逮捕される
10年8月 福島県がプルサーマル計画受け入れ表明
  10月 福島第1原発3号機でプルサーマル発電による営業運転を開始
11年3月 東日本大震災発生

◆微量の放射性セシウム検出 福島原発の影響か /島根
 http://mainichi.jp/area/shimane/news/20110404ddlk32040304000c.html
 県消防防災課は3日、松江市西浜佐陀町で同日午前9時までの24時間に採取した大気中のちりから1立方メートル当たり0・00007ベクレルのセシウム134を検出したと発表した。福島第1原発事故の影響とみられる。原発敷地外に放出できる濃度限度は同20ベクレルで約28万5000分の1。同課は「ごく微量で健康への影響はない」と話している。3月下旬以降、県内では微量の放射性ヨウ素が断続的に検出され、放射性セシウムは初めて検出された。【御園生枝里】

◆食品の放射性基準維持=「暫定規制値は妥当」?厚労省審議会
 http://www.jiji.com/jc/zc?k=201104/2011040400014
 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会分科会は4日、飲食物から摂取する放射性物質の暫定規制値について、「福島第1原発からの放射性物質放出が依然として収束しておらず、現状を維持するのが妥当だ」との意見で一致した。厚労省は分科会の了承を受け、現行の規制値を当面継続する。
 暫定規制値は、農畜産物の出荷制限などの基準として用いられる。規制値に基づき政府から出荷の制限などを指示された自治体は緩和を求めており、今後反発も予想される。
 分科会では、参考人として出席した専門家が「暫定規制値の根拠となった年間被ばく許容量は、リンパ球が減るとされる水準の100分の1で、多くの研究者が安全と評価している」などと説明。委員から緩和すべきだとの意見は出ず、分科会として「現状においては暫定規制値を維持すべきものと考える」とする所見をまとめた。(2011/04/04-12:51)

◆米エネルギー長官:福島原発原子炉の1つ、燃料棒が70%損傷の恐れ
 http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920008&sid=avns2ZBcOQFw
 4月1日(ブルームバーグ):チュー米エネルギー長官は1日、福島第一原子力発電所に6つある原子炉のうちの1つで燃料棒が最大70%損傷した恐れがあるとの見解を示した。
 同長官は米紙クリスチャン・サイエンス・モニターがワシントンで主催した朝食会で、高い放射能レベルが福島第一原発の原子炉危機の収束に向けた進展の妨げになっていると述べた。燃料棒の損傷度合いについては、「実際の計測ではなく計算に基づいた」認識だと語った。

◆放射線測定、研究者が続々=住民支援で100人超現地に?福島
 http://www.jiji.com/jc/zc?k=201104/2011040400018
 福島第1原発の放射能漏れ事故で、被ばくの不安を抱える福島県の住民に対し、研究者がチームをつくって放射線量測定を実施したり、相談に乗ったりする活動を始めた。全国の大学から延べ100人以上が現地入りし、これまでに5000人以上を測定したが、健康被害の例はないという。
 活動は原発事故が深刻化し始めた先月15日未明、大阪大核物理研究センターの藤原守准教授が「この危機に何かできないか」と研究仲間に一斉メールを送ったのがきっかけ。午後には趣旨に賛同した理化学研究所や京都大、関西学院大などの研究者50人以上が同センターに集まった。
 藤原准教授らは「われわれは原子力が専門ではないが、放射線量測定ではプロだ」として住民支援に当たることで一致、文部科学省や福島県に現地入りの同意を取り付けた。21日から川俣町や飯舘村の学校などに測定器を運び込み、住民が被ばくしていないか調査を開始した。
 チームのまとめ役になった同センターの谷畑勇夫教授は「『行きたい』という研究者が次々と集まってくる。感謝したい」と話す。これまでに東北大、新潟大、筑波大、東京大、広島大、徳島大、九州大などから参加があった。
 川俣町などで活動した藤原准教授は「大切なのは住民と直接、対話すること。『安心しました』と言われ、不安を取り除けたと思う」と振り返った。
 チームは住民に対する測定が一段落した後、土壌や大気、水などの環境測定も計画。谷畑教授らは「詳細なデータや知識を残すことはわれわれの重要な任務だ」と意気込んでいる。(2011/04/04-05:02)

◆原子力政策7割「条件付き推進」/県議選
 http://cgi.daily-tohoku.co.jp/cgi-bin/news/2011/04/04/new11040409top.htm
 東日本大震災による東京電力福島第1原発の事故を受けて、デーリー東北新聞社は、青森県議選に立候補した八戸市など県南地方6選挙区の29人(無投票当選した2選挙区3人を含む)を対象に、原子力と核燃料サイクル政策に関するアンケートを実施した。県内に集中立地する原子力施設について、全体の約7割に当たる20人が原則的に推進と回答。ただ、その大半が、安全確認や安全基準の引き上げといった条件を付けており、事故の影響を浮き彫りにした。一方、「いったん立ち止まって推進の是非を議論」を選択したのは6人、1人が「即時中止」と回答した。

◆福島第1原発事故 福島の全原発廃炉を 地元市民団体、首相あて要請書
 http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110404dde003040040000c.html
 東京電力福島第1原発の事故を受け、地元福島県の反原発団体や個人でつくる「脱原発福島ネットワーク」などが4日、経済産業省原子力安全・保安院を訪れ、菅直人首相と海江田万里経産相あてに第1、第2原発全10基の廃炉を求める緊急要請書を提出した。
 同事故に関しては、東電の勝俣恒久会長が放射性物質漏れを起こした第1原発1〜4号機の廃炉を明言した。しかし、要請書では「生命財産を奪われ、ふるさとを追われた福島県民の心痛を思うとき、原状回復と被害補償はもとより、福島原発すべての廃止と脱原子力へのエネルギー転換は必然」と求めた。
 要請書は同ネットとNPO法人「原子力資料情報室」(東京)が2日に呼びかけたところ、253団体と1000人以上の個人が賛同者として名を連ねた。【足立旬子】

◆「いま原発で何が起こっているのか」 井野・東大名誉教授ら講演
 http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110404dde018040070000c.html
 東日本大震災に伴う原発事故を受けた講演会「いま原発で何が起こっているのか−東京電力福島第一原子力発電所事故と原発立国のこれから−」(現代史研究会など主催)が16日午後1時から、東京・明治大駿河台キャンパスのリバティタワー地下1階1001号室で開かれる。
 「柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会」の井野博満・東京大名誉教授(金属材料学)と元東芝の原子炉格納容器設計者である後藤政志さんが講演。原発事故の原因と現状、今後のために何をすべきかなどを論じる。
 資料代500円。問い合わせは社会評論社・ちきゅう座事務所(電話03・3814・3861)へ。

◆東京電力:発電と送電の分離案 政府、大手と統合検討
 http://mainichi.jp/select/today/news/20110404k0000e020082000c.html
 福島第1原発で深刻な事故を起こした東京電力への公的支援に関連し、政府内で東電を発電部門と送電部門に分離し、送電部門を他の大手電力会社などに統合する処理案が浮上していることが4日、明らかになった。東電は福島原発事故の放射性物質の漏えいで巨額の損害賠償が見込まれる。政府は原発周辺の避難住民らへの賠償に万全を期すとともに、電力供給の安定を図るため、東電に出資して管理下に置く方針。しかし「深刻な事故を起こした東電を公的資金で救済するだけでは、国民の理解が得られない」(政府筋)と見ており、分離処理案が浮上した。
 東電の分離と他の電力会社への統合が実現すれば、電力大手10社が地域ごとに発電から送電まで電力事業を事実上独占する戦後の電力体制の再編につながる可能性がある。
 10社の中でも、東電は売上高が関西電力の約2倍の約5兆円と断トツの存在で、昨年末時点で約7兆5000億円の有利子負債を抱える。福島原発の処理や数兆円にのぼると見込まれる損害賠償負担で経営が悪化するのは確実で、政府は東電破綻を防ぐため、出資して一時的に公的管理下に置く方針を固めている。
 ただ、公的管理の長期化は避けたい考えで、最終処理策の検討も進めている。政府が公的資金で救済することには国民の反発も予想され、政府は「(公的管理脱却後の最終処理では)東電の看板のまま存続させるのは難しい」(官邸筋)との見方に傾いている。
 また、丸ごと他の電力会社に統合するには規模が大き過ぎるとの指摘もある。このため、政府内では発電部門と送電部門を分離する「発送電分離」に踏み切り、送電部門を東北電力と合併させて「東日本電力」とする案や、ナンバー2の関西電力と統合させて、東西で異なる電力の周波数の統一を進め、長期的な電力の安定供給体制の構築につなげる案などが議論されている。【三沢耕平】
 【ことば】発送電分離
 東電など電力会社が一貫して行う電力事業を「発電」と「送電」などの機能別に分離し、それぞれ別の事業者に行わせること。発電会社は送電会社に送電線網の使用料を払い、家庭や企業に電力を供給する。実現すれば、鉄鋼会社など発電事業への新規参入組も公平な条件で送電線網が使えるようになり、電力市場の競争が活発化。電気料金の値下げや太陽光発電など再生可能エネルギーの普及促進につながると指摘される。

◆遠ぐ行けね…医療崩壊、72歳医師ら食い止め「政府が無責任な避難勧告」
 http://sankei.jp.msn.com/region/news/110405/fks11040514400009-n1.htm
 東日本大震災で地震、津波に加え、東京電力福島第1原発事故に向きあう福島県の太平洋側の地域。市内の大半が原発から30キロ圏内で避難指示と屋内退避の対象となっている南相馬市では、命を支える医療にも影を落とす。物流が滞りがちで医薬品の供給もままならない状況が続く。放射性物質という「見えない敵」との戦いが長期化するなか、現地の医療の実情を取材した。
兵糧攻め
 屋内退避圏にある原町中央産婦人科医院の高橋亨平院長(72)は「(3月15日の)屋内退避指示をきっかけに南相馬は真空地帯になり、物資が一切入らなくなった。医薬品も食料もガソリンも、生活物資も、何もかも」と話した。
 市内の医療機関は混乱し、入院患者への食事を1日1〜2食にしてしのぐ病院もあった。治療もままならず、必要な薬や血液などを入手できずに患者が亡くなったケースもあった。
 「入院患者を退避させるなど安全確保もできないうちに、政府の一言が物流を止めた。人の命をどう考えているのか」と怒った。
 被災しながら18日まで診療を続けていた高橋院長だが、「放射能のせいではなく物資がないため」に一時、市外へ避難。だが、22日、診療を再開させた。その日だけで訪れた患者は約100人。風邪も、高血圧も、肺炎も診た。市内で受診できる唯一の医療機関だった。「地域医療を守るとか大げさなものでなく、患者さんがいるから」と高橋院長は言う。
 やがて、「あいている病院があるなら」と避難先から戻る住民もではじめた。福島市内での避難生活で孫が体調を崩し、屋内退避地域にある自宅に戻ったという女性(64)は「もしここがなければ我慢して福島に残っていたかもしれない」と話す。
約150人が避難生活を送る市立原町第一小学校の体育館。菊池キヨコさん(81)、正子さん(59)の母娘は先月17日からここで暮らす。自宅は避難指示地域にあり、正子さんは9年前に患った脳梗塞で左足にまひが残る。キヨコさんが介護をしてきた。
 「(障害のある)娘が一緒だと、とおぐにはいげね。トイレが大変なんだよ」。30キロ圏外に出ず、屋内退避地域にある避難所をあえて選んだ理由をキヨコさんはこう説明する。
 避難所には週に2回、市立総合病院の医師が巡回診療に訪れる。偶然にも正子さんの担当医だという。「よがったよ」と笑顔のキヨコさん。
 だが、今後、避難指示地域の見直しがあり、市外へと避難しなければならない事態になったときを考えると、「不安だわよ、本当に。遠ぐまで先生が来てくれるのか…」とキヨコさんの表情が曇る。
踏みとどまったが
 崩壊寸前までいった南相馬市の医療体制だが、高齢の高橋院長の孤軍奮闘に地元医師会も立ち上がった。約10人の開業医らが輪番で診察する共同診療所を先月25日、原発から30キロ圏外で休業中の鹿島厚生病院の一室に開設。今月4日までに延べ886人が受診した。
 今週に入ると、さらに4つの医療機関が再開。また、屋内退避地域を対象に福島県立医大付属病院や長崎大病院、自衛隊の医師らが、高齢者などの自宅を回る巡回診療も始まった。
 だが、入院できる医療機関は市内にまだなく、必要時には相馬市や福島市などの病院へ搬送する。その理由は物流だ。「医薬品を南相馬市に運ぶルートは確立できたが、食料確保が難しく入院患者に食事を出せない」(高橋院長)からだ。
 「屋内退避」や「自主避難」といった言葉がもっている意味以上に「一人歩き」し、人々の命を守る医療や食料を市民から遠ざけてしまっていた。

◆汚染水放水に韓国懸念表明
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2011040502000194.html?ref=rank
 【ソウル=辻渕智之】韓国政府は四日夜、在日韓国大使館を通して、福島第一原発の放射能汚染水放出に対し、「法基準の百倍を超す汚染水の海への放出行為は国際法的に問題を引き起こす可能性もある」との懸念を日本外務省に伝えた。韓国外交関係者が五日、明らかにした。
 周辺国に影響を与えかねない汚染水放出の事前連絡がなかったことに韓国では反発が広がった。
 大手紙、朝鮮日報は一面トップに「隣国には一言の通報もなかった」と見出しを掲げた。

◆ネットの噂と乖離した被災地の実態 福島・いわき市
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110405/dst11040515080038-n1.htm
 4月2、3日の両日、東日本大震災で大きな津波被害が出た福島県いわき市を取材した。ツイッターでは「原発の風評被害で物資が届かず、避難所で餓死者が出そう」といった投稿が行われ、YouTubeでは全国から送られた支援物資が市内の競輪場に山積みとなる映像が投稿され、ネット上で「市役所が仕分けをできず、市民に行き渡っていないのでは?」と今も話題になっている。ネット上でウワサがはびこるのは、現状が正確に伝わっていないことが一番の原因のようだ。直接足を踏み入れると、ネット上の情報とは大きく乖離(かいり)した現実があった。(鎌田剛)
 東京都内から常磐道で北上し、沿岸部の四倉地区を訪れた。福島第1原発まで約32キロ。同市北部の一部地域は福島第1原発の事故を受け、屋内待避が呼びかけられている半径30キロ圏内にかかっている。ネット上の一部情報では、原発に近いというロケーションの影響で「動ける人は逃げてしまい、避難所は身動きができないお年寄りばかりが残り、物資が届かず困っている」という話だった。
 海沿いは激しい津波に襲われ、国道6号沿いのホームセンターが全壊している。「道の駅よつくら港」の駐車場には、グシャグシャに変形した乗用車が整然と並べられていた。集落も全壊した家屋が多く、200人の被災者が、少し高台にある福島県立四倉高校の武道場と体育館など3ヵ所に別れて避難生活を続けていた。
 体育館に入って驚いたのは、小中学生たちが車座になって「Wii」で遊んでいたことだ。地元中学の男子生徒(14)は「まだ勉強できる状態にない。僕の家は全部流されてしまった。でも友達の兄ちゃんが、テレビと『Wii』を引っ張り出し、持ってきてくれた。勉強道具もなくなったので、1日何もやることがなくて退屈なんです」と話す。
 食料と飲料水は十分にあるという。だが、「学校は始まると聞いたが制服はない。あとこれ1着しか服がなくて、困っている」と、自身が着ている灰色のスウェットをつまんだ。「簡易トイレで大変だし、夜中もよく眠れない」と、長期化する避難所暮らしは少年に相当なストレスを与えていた。
 炊き出しの世話係をしていた四倉町商工会の吉田裕徳事務局長(61)は「原発の避難圏ではないが、いわきそのものが被曝しているという風評で、最初は物が来なかった。ただし、今は物が動き始めている。市の対策本部からはきちんと物が届くし、きょうも三島町(同県西部)の皆さんが炊き出しをしてくれた。外の人は『とにかく、いわきは危ない』というイメージがあり、市民と温度差がある」と語る。
 近くにある市役所四倉支所の責任者は「ここに物が山積みになっていて『なんで渡さないんだ』と怒鳴り込んでくる方もいた。ただ、食料や飲料水は避難所や高齢者世帯へ搬出している。この場でだれにでもに配ると、届けるべき人たちへの物資がなくなる可能性がある」と説明する。そして「市内はコンビニも開き始め、地区からスーパーに向かうバスも出ている」。また、震災から1週間ほどは「確かに物資が足りない部分もあった」(同)というが、ネット情報の”飢餓状態”というほどではなかったと振り返った。
 続いて、いわき市中心部にあり、支援物資の物流拠点になっている「いわき平競輪場」に向かった。YouTubeの投稿で3月30日に撮影された山積みの物資が映し出され、「市民に行き渡ってないのでは?」という議論のきっかけとなった場所だ。ある避難所の被災者は「競輪場には物があふれ過ぎて、物資を積んだトラックを追い返したらしい」とまことしやかに語っていたが…。本当のところはどうなのか。
 物流本部にいた同市財政部の責任者が取材に応じ「先週まではかなりの物量があったのは確かだが、物が集中し、どうしようもなくストックしているわけではなかった。当初からボランティアの力を借りて24時間体制できちんと仕分けし、適時、避難所へ搬出している」と、品物によって区分された物資の配置表をコピーしてくれた。実際、物資を積んだトラックは到着し、自衛隊員があくせくと動いて続々と物資を搬出していく。
                    ◇
 それでは、足りないものは何か。ある避難所の責任者は「もっと一度に大勢の調理ができるプロパンガスやコンロといった調理設備がほしい。会津から生鮮食品は送られてくる。140人避難していれば、半分は奥さん方。つまり、70人のシェフがいることになる。炊き出しがないときは、おにぎりやカップめん、そして菓子パンなんかになる。長期間食べ続けていると、油や砂糖でお腹をやられる人が出てきている」。避難所の被災者からも「温かいご飯が食べたい」という声を多く聞いた。また、女性の被災者は「肌着や下着が意外に手に入らず、困っている」とも。そしてほぼ全員は「早く仮設住宅に入りたい」。
 津波で広範囲の住宅街が壊滅状態になった同市南部の薄磯地区では、取材途中に「いわきの報道が少な過ぎる! もっと写真を撮って、大きくやってくれよ」と複数の被災者にハッパをかけられた。
 そのうちの50代の女性は「私の家は土台だけ。家財道具で見つかったのは表札1個だけよ。多くの人が亡くなり、行方不明者もどれだけいるのかわからない。こんなにひどいことになっているのに、マスコミは南三陸や気仙沼、石巻の方ばかりやっている。ちゃんとした報道は『ミヤネ屋』(読売テレビ系)だけだった」と憤る。
 今回の地震はあまりにも被災地が広範囲だったこともあり、いわき市内の状況を詳しく報じたマスコミ報道は少なく、同市出身で他県で暮らす人たちからも「情報が少なすぎる」という声があがっていた。
 空前の被害となった東日本大震災では、こうした報道の空白地帯がまだ多く存在しているようだ。

◆「体内被ばくに効く」と偽り 天然鉱物を販売の2容疑者逮捕−−警視庁
 http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110405dde041040050000c.html
 福島第1原発事故に便乗し、天然鉱物である「ゼオライト」を体内被ばくに効く医薬品として販売したとして警視庁生活環境課は5日、いずれも神戸市灘区宮山町1の健康食品販売業、梅若文孝容疑者(50)と従業員の千葉なつみ容疑者(29)を薬事法違反(医薬品の無許可販売など)容疑で逮捕した。東日本大震災が起きた3月11日以降、東京や福島などの1000人以上にネット販売し総額2400万円を売り上げたとみられる。
 逮捕容疑は3月25日、茨城県守谷市の主婦(48)に「プレミアムゼオライト」という商品3本(計90ミリリットル)を1万5000円で販売したなどとしている。
 梅若容疑者らは08年以降、米国から輸入したゼオライトを「Design for Life」などの社名で販売。震災後にネットで「体内の放射性物質を吸着し排せつする」と宣伝し始めたが、生活環境課は「医学的、科学的根拠は確認されていない」としている。【村上尊一】

◆原子力政策大綱の策定を中断〜原子力委
 http://news24.jp/articles/2011/04/05/07180158.html
 国の原子力委員会は5日午前、福島第一原子力発電所の事故を受けて、今後10年間の原子力政策の指針となる新しい「原子力政策大綱」の策定を中断することを決めた。
 新しい「原子力政策大綱」は、原子力発電所の増設などを盛り込んだ国のエネルギー基本計画に沿って今後の中長期的な原子力政策の方針を定めるもので、去年12月から策定に向けた議論が行われてきた。原子力委員会は5日午前、東日本大震災後初めての会合を開き、今回の事故を受けて新しい政策大綱の策定を中断することを決めた。今後は、事故の原因究明とエネルギー政策全体についての国民的な議論を踏まえて検討するとしている。
 今回の中断によって、30年までに14基以上の原発を新設するなど原子力推進を明確に打ち出した政府の原子力政策は大きな転換を迫られる可能性が出てきた。

◆福島第1原発事故 水産物検査を強化−−農相方針
 http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110405dde002040032000c.html
 鹿野道彦農相は5日の閣議後会見で、東京電力が福島第1原発から低レベルの放射性物質を含む汚染水を海洋に放出し始めたことを受けて、水産物の検査を強化する方針を明らかにした。地元自治体に協力する形で新たに茨城県の那珂湊港などで魚介類の調査に乗り出す考えを示した。
 茨城県沖で漁獲されたコウナゴから高濃度の放射性ヨウ素が検出されたことに関連し「(放射性ヨウ素の規制値が設定されていない)水産物について、食品安全委員会に検討していただきたい」と述べ、基準作りを働きかける意向を表明した。
 一方、汚染水放出について、「枝野幸男官房長官の記者会見まで(農林水産省には)どこからも連絡がなかったのは遺憾だ」と不快感を示した。【行友弥】

◆福島第1原発で法令基準500万倍のヨウ素
 http://www.sanspo.com/shakai/news/110405/sha1104051515017-n1.htm
 東京電力は5日、東日本大震災による福島第1原子力発電所事故で、2号機タービン建屋からとみられる水が流出している付近の海の放射性ヨウ素の濃度が4日午前9時段階で、1立方センチメートルあたり20万ベクレルだったと発表した。法令基準濃度の500万倍にあたる。
 東電はまた、同じ場所での2日、3日段階での濃度についても発表。2日は30万ベクレル(法令濃度の750万倍)、3日は7万9千ベクレル(同200万倍)だった。
 東電は2日に採取した流出汚染水の分析に着手した段階で、流出先付近の海の汚染のレベルについて「法令基準の1千万倍程度」と説明していた。(産経新聞)

◆科学者の視点で検証 福井大でシンポ /福井
 http://mainichi.jp/area/fukui/news/20110405ddlk18040677000c.html
 東京電力福島第1原発事故について考えようと、大学教員らで作る「日本科学者会議福井支部」は11日午後7時から「福島原発災害から何を学ぶか」と題したシンポジウムを福井大学教育地域科学部1号館で開く。参加無料。
 シンポジウムでは、山本富士夫・同支部代表幹事=福井大名誉教授=ら3人が、福島原発災害の経過と問題点▽福島第1原発事故で全く役に立たなかった原子力防災計画▽住民運動・科学運動と原発推進政策−−と題して講演する。
 事務局の森透・福井大教授は「今回起こったことは、原発が立地する福井としては他人ごとではない。津波などの想定外の事態への対応も含めて、科学者の視点から検証する機会にしたい」と話している。問い合わせは森教授(0776・27・8725)。【安藤大介】

◆美浜原発構内で放射性ヨウ素131 福島第1影響か /福井
 http://mainichi.jp/area/fukui/news/20110405ddlk18040674000c.html
 関西電力は4日、美浜町の美浜原発敷地内と環境モニタリングセンター屋外の2カ所で、微量の放射性ヨウ素131を検出したと発表した。関電は「関電の原発でヨウ素が放出されるような操作はしていない」としており、東京電力福島第1原発の事故の影響とみられる。
 関電によると、検出された放射性物質濃度は1立方メートル当たり美浜原発敷地内で0・0017ベクレル、同センターで0・00153ベクレルだった。【柳楽未来】
毎日新聞 2011年4月5日 地方版

◆島根原発:プルサーマル中止、中国電に申し入れ−−新日本婦人の会 /島根
 http://mainichi.jp/area/shimane/news/20110405ddlk32040521000c.html
 東日本大震災による福島第1原発事故後の先月下旬に中国電力が島根原発2号機(松江市鹿島町)でのプルサーマル計画を変更しないと表明したことなどに対し、「新日本婦人の会県本部」(松江市)は4日、同社島根支社で、計画撤回を求める申し入れ書を手渡した。
 プルサーマルは、ウランとプルトニウムの混合酸化物(MOX)を燃料として使う発電で、島根原発2号機では14年度中から始まる予定になっている。
 同本部は、原発事業を変更する方針はないと中国電が表明したことについて「大きな憤りを感じる」と述べ、「事業継続の態度を表明する姿勢は県民への大きな裏切り」と批判。新たな安全基準ができるまで島根原発での発電を当面中止することと、プルサーマル計画白紙撤回の2項目を要求した。中国電側は「必要な対策を取っている」などと説明した。【目野創】
毎日新聞 2011年4月5日 地方版

◆「影響なし」 四国電力、11年度供給計画 /愛媛
 http://mainichi.jp/area/ehime/news/20110405ddlk38040566000c.html
 四国電力(高松市)はこのほど、11年度供給計画を発表した。東日本大震災による東京電力福島第1原発事故の影響はないとした。また、今月下旬からの伊方原発(伊方町)1〜3号機の定期検査について千葉昭社長は、「より入念なチェックが必要。検査期間は延長するかもしれない」と従来以上に時間を掛けることを示唆した。
 計画では、販売電力量を前年度比0・9%減の288億キロワット時を想定した。猛暑だった昨夏は需要が増えたため、その分の減少(約5億キロワット時)を除けば実質的には同0・7%増となる。自らの発電量に他社からの受電量を加えた「発受電電力量」に対する原子力比率は39%(前年度43%)。3基の定期検査実施で利用率が約10%落ちるためという。
 千葉社長は「国の対策指示には粛々と対応し、現在稼働中の原子炉は活用していく」と話した。【馬渕晶子】

◆ドイツ、原発停止措置によって電力の純輸入国に=独業界団体
 http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-20438020110405
 [フランクフルト/ハノーバー 4日 ロイター] ドイツのエネルギー・水道業界団体BDEWは4日、原発の一時停止措置により、ドイツは電力の純輸入国になったことを明らかにした。主な調達先は、フランスとチェコ共和国。
 ドイツでは先月、日本の福島第1原発事故を受けて、80年以前に建設された旧型の原子力発電所7基を少なくとも3カ月停止したのに加え、2基が2007年以来停止、1基が定期点検のため停止している。
 BDEWは、ハノーバーで行われた産業フェアの会合で、先月実施された発電能力7000メガワット(MW)の原子力発電所の停止措置により、ドイツは1日当たり50ギガワット時(GWH)の純電力輸入国となったとし、「フランスとチェコからの電力輸入が倍増した」と述べた。
 フランスは電力の80%を、チェコは約25%を原子力でまかなっている。
 ただBDEWは、今後は現行のシナリオが変わる可能性もあると指摘。「中期的には、たとえば(石炭やガスなどによる)国内の既存設備の活用を拡大するなど、ほかの戦略が実施される可能性がある」と述べた。

◆東電:収支状況見通せず、補償は国の協力を勘案−藤本副社長
 http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920019&sid=aeASqPA2ZVwc
 4月5日(ブルームバーグ):東京電力の藤本孝副社長は5日午後の記者会見で、2011年3月期決算の発表を「未定」としたことに関連し、「収支状況を見通せない。福島第一原発事故の補償は国の協力を勘案する」との見解を示した。
 藤本氏は決算を5月にも発表する方針を示した。福島第一原発5、6号機の今後については「未定」と述べた。

◆日本株は下落、震災の影響懸念し自動車売り−汚染水放出で水産も安い
 http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920009&sid=av.fQi.C8z7A
 4月5日(ブルームバーグ):東京株式相場は下落。東日本大震災による業績への打撃に対する警戒感が根強く、自動車や金融、素材関連株などが幅広く売られた。東京電力福島第一原子力発電所で放射能汚染度が低い水の海への放出が始まり、収益への影響が不安視される水産株も安い。
 TOPIXは前日比12.59ポイント(1.5%)安の847.16、日経平均株価は103円34銭(1.1%)安の9615円55銭。両指数とも小幅高で始まったが、早々にマイナス転換、その後は午後中ごろまでじり安展開となった。
 T&Dアセットマネジメントの天野尚一運用統括部長は、輸出企業の収益環境について、「目先は生産能力の減退が響き、売り上げの落ち込みが大きくなりそう。現状程度での円安水準による為替採算の改善ではカバーしきれない」との見方を示した。
 トヨタ自動車は、震災の影響で4月下旬にも北米生産を全面中止する可能性が高いと、5日付の日本経済新聞など各紙が報道。トヨタが売られたほか、ホンダや日産自動車も下げ、輸送用機器指数は東証業種別33指数でマイナス寄与度1位。このほか、証券、保険、銀行といった金融株が売られ、繊維製品や鉄鋼など素材関連株も下げた。
 SMBCフレンド証券の中西文行シニアストラテジストは、「震災の打撃が各方面に広がりを見せているため、相場動向を大きく左右する海外投資家の買いが細ってきた」ことを懸念していた。取引開始前の外資系証券9社経由の注文状況は、株数ベースで2日連続の売り越し(310万株)と市場では観測されている。
汚染水放出で水産株安い、東電は上場来安値
 日本水産、マルハニチロホールディングスといった水産株の下げが目立った。震災で被災し、放射能漏れ事故を起こした福島第一原発では4日夜、施設内にたまった放射能汚染度が低い水1万1500トンの海への放出を開始した。「消費者の水産品購入手控えにつながるのでは、と警戒された格好」と、T&Dアセットの天野氏は指摘した。賠償責任の増大が懸念される東京電力はストップ安(値幅制限いっぱいの下落)で終え、1951年12月に付けていた上場来安値を59年ぶりに更新した。
 このほか、米半導体工業会(SIA)が4日に発表した2月の世界半導体売上高(3カ月平均)が前月比1.1%減となり、東京エレクトロンやアドバンテスト、エルピーダメモリといった半導体関連株も安い。
 東証1部の出来高は概算で26億1850万株、売買代金は1兆5335億円。値下がり銘柄数は1489、値上がり銘柄数は148。業種別33指数は、電気・ガス、その他金融、鉱業、海運、水産・農林、輸送用機器、繊維製品、建設など31業種が下落。上昇はゴム製品と食料品の2業種。
 国内新興市場は、ジャスダック指数が前日比1%安の50.59、東証マザーズ指数は同2.8%安の437.38とともに3日続落。

◆福島第1原発事故 東京電力、避難指示9市町村に見舞金 浪江町は拒否
 http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110405dde003040039000c.html
 東京電力は5日、福島市の会見で、避難指示が出ている福島県の9市町村に見舞金を支払ったことを明らかにした。金額は公表していないが、総額1億8000万円と見られる。「避難生活が長引いており、当面役立てていただくためにお支払いした」と説明している。東電によると、見舞金を支払ったのは福島第1原発の20キロ圏内、第2原発の10キロ圏内にかかる▽南相馬市▽双葉町▽大熊町▽富岡町▽楢葉町▽広野町▽葛尾村▽川内村▽田村市の9市町村。3月31日以降、各自治体の口座に同額を振り込んだという。
 避難指示地域にある浪江町によると、見舞金2000万円の支払いの申し出があったが受け取りを断った。【伊藤直孝】

◆風評抑え込んだスリーマイル―原子力規制委員会が一元広報
 http://www.j-cast.com/tv/2011/04/05092174.html
 なんと、「(原発による)風評被害をゼロにする方法」があるらしい。情報プレゼンターの笠井信輔アナは「スリーマイル島に学ぶものがあるんです」と言う。
番組によれば、一応、いまのところ福島原発と同レベルの「5」の事故とされる米国・スリーマイル島の原発事故では、ほとんど農作物等への風評被害が起きなかったそうだ。
もっとも、福島原発事故の規模、燃料ポテンシャルや、冷却機能の喪失、容器損傷、剥き出しの使用済燃料などからして、最悪の「7」に進む危険性を指摘する専門家(見方によってはすでに「7」とも)もいて、事故が進行形であることや政治的判断、国際的な配慮などで「5」にとどめているのだろうというのが、日本国内のおよその「風評」だろう。
局長が原発近くから発信
そんななか、米国のスリーマイル島の事故からなにを学んで、福島原発と日本の深刻な現状にどう当てはめられるのか――と視聴者的に訝しく思っていると、現地・米国の長谷川豊アナらのリポートでは、当時、原子力規制委員会のデントン局長が原発のすぐ近くから、情報を一元化して広報したのがすばらしく、どうやらそれが風評被害がほとんど起きなかった理由――であるらしい。
それよりも、事故の規模や深刻さ、収束までの期間の違いが主因ではないか――と視聴者的には思わざるをえない。さらには「池上彰さんが、すべての情報をまとめて、比較的原発の近くから毎日報告を行ったら、私たちは混乱しないかもしれませんね」という長谷川のご賢察が、駄目押しのようにスタジオでご披露されるに至っては、もう何をか言わんやという気分ではある。

◆福島第1原発事故 事故の概要、日本当局者が説明−−IAEAセミナー
 http://mainichi.jp/select/world/news/20110405dde003040051000c.html
 【ウィーン樋口直樹】福島第1原発事故に関する日本政府と国際原子力機関(IAEA)共催の非公開セミナーが4日夕、ウィーンのIAEA本部で開かれた。日米欧の原子力安全規制当局者らが事故の現状や影響、緊急対応策などを説明。参加者によると、正確で迅速な情報の共有により、事故の教訓を原発安全策の強化に生かすことなどを確認した。
 セミナーには、150カ国余りのIAEA加盟国から約400人の専門家らが参加。立ち見が出るなど関心の高さを示した。

◆東電、福島第1原発増設断念、藤本副社長「議論難しい」
 http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110405/biz11040515460016-n1.htm
 東京電力の藤本孝副社長は5日の定例会見で、福島第1原子力発電所の7、8号機の増設計画について「客観情勢からみて、増設を議論するのは難しい」と述べ、改めて計画を断念する方針を示した。東日本大震災後に相次いだ福島第1原発の事故で安全性に対する不信感が世界的に高まっているため、新たな原発の建設は困難と判断した。
 福島第1原発については、深刻な危機が続く1〜4号機について勝俣恒久会長が廃炉にする考えを表明している。ただ、藤本副社長は冷温停止状態となり、安定している5、6号機の廃炉については「議論していない」と明言を避けた。
 一方、高血圧とめまいで先月29日から都内の病院に入院した清水正孝社長の容体について「病状は把握していないが、遠からず復帰すると聞いている」と、早期の復帰見通しを示した。

◆被災児童も希望胸に 石川県内の小中学校で入学式 いわき市からランドセル
 http://www.toyama.hokkoku.co.jp/subpage/E20110405001.htm
 石川県内13市町の公立小学校122校と中学校51校で5日、入学式が行われ、新入 生が希望を胸に校門をくぐった。志賀町や加賀市などの小学校では東日本大震災で被災し た福島県からの新1年生も入学し、新生活の一歩を踏み出した。
 公立小中学校の入学式は6、7日も行われる。今年度の新入学者数は小学校225校で 1万197人(昨年比480人減)、中学校94校で1万1161人(同335人増)と なっている。
 県教委によると、東日本大震災の被災地から、県内の公立小中高校に転入学する児童生 徒数は3日現在で41人。内訳は小学生33人、中学生7人、高校生1人となっている。
 志賀町富来小には、同町草木で避難生活を送る福島県いわき市の坂本翔君(6)が入学 した。背中には祖父母がいわきから送ってくれたランドセル。見知らぬ町で暮らす戸惑い と学校生活への希望を詰め込み、翔君は新しい友達が待っている教室へ飛び込んだ。
 母和子さん(42)によると、いわき市久之浜町の自宅は福島第1原発事故による屋内 待避指示圏内のぎりぎり外。だが、放射線の影響を心配し、父泉さん(41)の実家があ る志賀町に身を寄せた。
 避難の際、着替えと毛布で荷物はいっぱいで、翔君のランドセルは持ってこられなかっ た。自分で選んだお気に入りで、和子さんは「寂しそうだった。避難生活がこんなに長く なるとは思わなかった」と話す。
 そんな孫のために、福島県広野町からつくば市に避難していた和子さんの父吉野光男さ ん(68)さんと母万寿子さん(67)が、いわきまで取りに行き、ランドセルを送って くれた。泉さんの父母からは小学校の制服をプレゼントされた。
 元気に入学式に臨んだ翔君だが、残念なのは、お父さんがいないこと。東京電力の協力 会社に勤める泉さんは福島に戻っている。
 式では、新入生全員の名前が呼ばれ、翔君はこれから友達になる33人と同様、大きな 返事を体育館に響かせた。和子さんは「いつまで通うことになるか分からないけど、富来 で楽しい学校生活を送ってほしい」と目を細めた。

◆新たに香取市、多古町、旭市のホウレンソウなどを出荷制限
 http://www.jacom.or.jp/news/2011/04/news110405-13158.php
 政府は福島第一原発事故の影響で福島県など10県で農畜産物の放射性物質の検査と一部農産物の出荷制限などを行っているが、4月4日、新たに千葉県の一部農産物から暫定基準値を超える放射性物質が検出されたことをうけて出荷制限を指示した。
 対象となったのは、千葉県香取市と多古町のホウレンソウ、同旭市のホウレンソウ、チンゲンサイ、シュンギク、サンチュ、セルリー、パセリ。
 それぞれ3月22日?30日に農場から直接採取したり流通品を調べた結果、暫定基準値1kgあたり2000ベクレル(Bq)を超えるヨウ素131が検出されたため、菅首相が原子力災害対策本部長として出荷制限を指示した。
 千葉県のそのほかの市町村産や品目については、暫定基準値を超える放射性物質は検出されていない。
 出荷制限の農畜産物については、今後も引き続きモニタリング調査を継続し、検査結果が暫定基準値を下回れば出荷制限を解除する。
 放射性物質が検出された農畜産物についてはこれまで県単位で出荷・摂取制限を指示してきたが、4月4日の原子力災害対策本部での決定を受け、本発表分からより細かい区分での制限・解除を指示するよう改めた。

◆日本の原発事故、温室効果ガス削減の目標に影響与えない
 http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920012&sid=apJKbagSKSFQ
 4月5日(ブルームバーグ):欧州連合(EU)は、日本での原子力発電所事故を理由に温室効果ガスの削減目標を変更することはない。EUの行政執行機関、欧州委員会の気候戦略・交渉責任者、アルツール・ルンゲメツガー氏が表明した。
 同氏はバンコクでのインタビューで、日本の状況が目標に影響を及ぼすことはないと言明、目標値は科学的に削減が必要とされる量を示していると説明した。

◆輸出品の原産地証明 仁坂知事が政府を批判
 http://www.hidakashimpo.co.jp/news/2011/04/post-3894.html
 東日本大震災による福島原発の事故を受け、 農林水産省がEU (欧州連合) の要請に基づき、 食品等の輸出品が被災地以外の地域産であることの証明書を発行するよう求めていることに対し、 仁坂吉伸知事が5日、 「これは明らかなWTO (世界貿易機関) の協定違反のひどい措置。 こんなことを許し、 外交的にきちんと抗議もせずに、 どうして日本国民を守れるのか」 と怒りをぶちまけた。 県はすでに証明書発行をスタートさせているが、 「県内事業者を守るためには仕方がない」 と、 不本意であることを強調した。
 EUは日本からの輸出品について、 福島、 茨城、 宮城、 新潟、 東京、 千葉など12の都県産は受け入れないようにするため、 それ以外の地域は原産地の証明書を発行するよう日本政府に要請。 これを受けて農水省は各道府県に通知し、 和歌山県も4日から県内産の食品等に証明書を発行している。
 これに対し、 仁坂知事は定例会見で 「WTOの衛生植物検疫措置の適用に関する協定をみても、 加盟国は人の生命、 健康を守るために必要な限度においてのみ、 十分な科学的原則に基づいて (輸入規制の) 措置をとるということになっている」 と、 EUの決定が協定違反の過剰反応であると指摘。 さらに農水省にも 「日本国民を守らず、 闘わずにEUの手先のように (和歌山県など) 君らだけは助けてあげるといわれるのは、 同じ日本人を裏切っているようでとても心苦しい」 と不満を表し、 農水省にはEUに対して抗議するよう求めたという。
 県食品流通課によると、 県内からはEU向けに梅干し、 梅酒、 酒、 しょうゆなどが輸出されている。

◆姿見えぬ原子力安全委 事故時の助言役、果たせず
 http://www.asahi.com/special/10005/TKY201104050218.html
 原子力の安全確保の基本方針を決める原子力安全委員会の存在が、揺らいでいる。事故時には専門家の立場から政府や事業者に助言をする役割も担うことになっているが、福島第一原発の対応では本来の使命を十分に果たせていない。未曽有の大事故に、能力の限界を指摘する声も内部から上がっている。
 安全委は内閣府に置かれた、省庁から独立した機関。作業員2人が死亡、住民ら約660人が被曝(ひばく)した核燃料施設JCOの臨界事故(1999年)の反省から、直接事業者を規制する原子力安全・保安院が経済産業省の中に設けられ、その保安院の安全規制を監視するお目付け役として、独立色を強めたはずだった。
 安全委の委員は、原子力や放射線などの専門家5人。約100人の職員が事務局として支える。ふだんは安全審査や原子力防災の指針を定めるなどの仕事をしているが、今回のような事故時には、緊急に専門家集団を設けて首相に技術的助言をすることが原子力災害対策特別措置法で決まっている。
 だが、安全委は当初沈黙を続けた。住民の被曝や汚染の広がりの予測に役立つ放射能拡散の試算もなかなか公表しなかった。
 班目(まだらめ)春樹委員長が初めて会見したのは、地震発生から12日後の3月23日。「助言機関として黒衣に徹してきた」と釈明した。2号機の建屋外で高濃度の放射能汚染水が見つかった28日の会見では、「どんな形で処理できるか知識を持ち合わせていない。保安院で指導してほしい」と自らの役割を否定するような発言も飛び出した。
 安全委は事故発生当日、専門家集団を招集するとともに、現地へ職員を派遣した。官邸や保安院、東電にも連絡係を置いて情報を集めてきた。だが、委員の一人は「今の安全委では人手が足りない」と漏らす。
 代谷(しろや)誠治委員は「原子炉の圧力などの重要なデータが時々刻々で入ってこない」と打ち明ける。4月1日に始まった原発敷地内での飛散防止剤散布も「漏れ伝わってきた程度」といらだちを隠さない。
 JCO事故の際に陣頭指揮を執った安全委員経験者らからは「今回は安全委の顔がみえない」「技術的側面の支援をしていない」との批判まで出ている。
 政府内でも存在感は薄れていくばかり。菅直人首相は3月16日から29日にかけて原子力などの専門家6人を内閣官房参与に次々と起用。4月1日には放射線医学の専門家を首相官邸に招いて意見交換した。その一方で、政府は保安院の院長や審議官の経験者を安全委事務局に送り込み、てこ入れを図り始めた。
 安全委は4日に開いた定例会で、地震後初めて保安院から事故の正式な報告を受けた。報告内容はすでに入手済みの情報ばかり。班目委員長は「保安院とのコミュニケーションが足りないと思っていた。今回の報告が改善の一歩になれば、というのが本音だ」と話した。

◆高レベル汚染水、施設内に6万トン
 http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/nuclear/news/20110405k0000e040050000c.html
 福島第1原発の施設内にある、高レベルの放射性汚染水の分量が、約6万トンにのぼることが5日分かった。海江田万里経済産業相が同日の会見で明らかにした。
 高レベルの汚染水は1〜3号機のタービン建屋とその周辺に各2万トンあるとみられる。
 大量の汚染水の保管場所を確保するため、東京電力は4日夜から、集中環境施設内などにある低レベルの汚染水計1万1500トンを直接海に放出している。5日午前6時までに、集中環境施設から2200トン、5、6号機から30トンを放出した。
 ◇放出を謝罪 経産相
 海への放出について同相は「私どもとすれば、やむをえない措置だったとおわびする。汚染水の放出は今回を最後にしたい」と述べた。【平野光芳】

◆被災地域の農産物セール 生産者応援で流通各社
 http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011040501000570.html
 イトーヨーカ堂やJ・フロントリテイリングなどの流通各社が東日本大震災の被害を受けた東北・北関東地域の農産物のセールを相次いで実施する。被災した県の商品を目玉に売り上げを増やし、福島第1原発事故に伴う風評被害に苦しむ生産者を応援する。
 ヨーカ堂は6〜10日に東北などを除く全国の約140店舗でフェアを開催。福島県産のコメ「ひとめぼれ」5キロを1480円で提供するなど、各店舗で約60品目の食料品を用意する。サミットは同じ期間に春レタスなど茨城県産の農産物を特価で販売。ダイエーも16、17日に岩手、宮城、福島3県の物産展を開く。
 百貨店では、J・フロント傘下の大丸東京店が6〜8日に東北・関東産の野菜を販売する特設会場を設置。横浜高島屋は6、7日に群馬県などの野菜を試食販売する。
 一方、イオンは8〜12日に生活必需品や食材を安値で提供する「復興応援特別セール」を実施し、売り上げの約1%を支援に使う。

◆「事前連絡なし」に不満=汚染水放出で情報提供要請?韓国政府
 http://www.jiji.com/jc/zc?k=201104/2011040500582
 【ソウル時事】韓国外交通商省報道官は5日、東京電力が福島第1原発の放射能汚染水を海に放出したことについて、日本側から事前の情報提供がなかったとし、「隣国が関心を持つ事項、または心理的に不安を感じる事項がある場合には、事前通報があっていいのではないか」と不満を表明した。放出に関し、4日に在日韓国大使館を通じて日本の外務省に説明を求めたという。
 韓国内では、今後、海流に乗って汚染水が韓国に到達するのではないかとの不安が広がっている。朴錫煥第1次官も5日、国会での答弁で、日本側との事前協議がなかったと強調。「日本政府に関連情報の提供を要請し、共同の現地調査を提案する」と言明した。(2011/04/05-16:34)

◆屋内退避の児童「相当いる」=今月下旬から圏外校で受け入れ?福島・南相馬
 http://www.jiji.com/jc/zc?k=201104/2011040500647
 原発事故で市の大半が避難指示圏や屋内退避圏に入る福島県南相馬市は5日までに、屋内退避圏外の同市鹿島区の小学校3校と中学校1校に児童・生徒を集め、4月下旬から授業を再開することを決めた。屋内退避圏にとどまっている小中学生が相当数に上るため、市教育委員会は「子供の安全を最優先に考えた」としている。
 市教委によると、震災前は小学校16校で約4000人、中学校6校で約2000人の児童・生徒がいた。震災と原発事故で全校休校となり、全国各地に避難したが、地元に戻る家族が次第に増加。児童・生徒数は市全体で震災前の1割の約600人になり、さらに増えているという。
 市教委の堀川幸一学校教育課長は「親の仕事の事情などで地元に戻って来ざるを得ない子供が増えており、屋内退避圏内に相当いる」と説明。具体的な人数は「把握していない」としつつ、「(4月下旬に授業を再開する)小中学校4校の施設を使い、最大限努力したい」と話した。(2011/04/05-18:37)

◆放射性セシウムで規制値超え=コウナゴ、県は出荷自粛要請?茨城
 http://www.jiji.com/jc/zc?k=201104/2011040500549
 茨城県の漁業関係者らは5日、同県北茨城市沖で4日に取れた小魚「コウナゴ」から、1キロ当たり526ベクレルと食品衛生法の暫定規制値(500ベクレル)を超える放射性セシウムが検出されたと発表した。県によると、魚介類でセシウムが規制値を上回るのは、全国で初めて。
 このコウナゴからは、同日国が暫定規制値を2000ベクレルと決めた放射性ヨウ素も検出されたが、1700ベクレルと規制値は下回った。
 県はこの結果を受けて5日、県内の各漁業協同組合などに出荷自粛を要請、各漁協は当面の間、コウナゴ漁を中止することを決めた。
 地元漁協は近く、東京電力福島第1原発で起きている高濃度の放射能汚染水の海への流出の早期解決や、漁の停止による損害の補償などを東電と国に要請する方針。
 一方、同県ひたちなか市の磯崎漁協と那珂湊漁協は5日、同市沖などで4日に取れたコウナゴ、シラウオなど6種類の魚から3.6?600ベクレルの放射性ヨウ素が、5種類の魚から4?94ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。(2011/04/05-19:56)

◆中国深センの原発、安全性PRへ見学を受け入れ
 http://sankei.jp.msn.com/world/news/110405/chn11040516530003-n1.htm
 新華社電によると、中国広東省深センの大亜湾原発を運営する中国広東核電集団は5日までに、同原発の一部施設で一般の見学を認めると発表した。10人以上の団体が対象で、原発の運転状況を紹介する展示施設などを有料で開放する。安全性をPRする狙いがあるとみられる。香港から約50キロの同原発では昨年、5月と10月の2度にわたって内部で放射性物質が漏れる事故が起きており、香港などで批判が強まっている。(上海 河崎真澄)

◆対応「社内で議論ない」=福島第1原発5、6号機?東電副社長
 http://www.asahi.com/business/jiji/JJT201104050064.html
 東京電力の藤本孝副社長は5日の記者会見で、東日本大震災で被災した福島第1原発5、6号機の廃炉を含めた今後の対応について「社内で議論しておらず、見通しは立っていない」と述べた。運転開始から30年以上が経過し、老朽化の問題が指摘されていることに関しては、「(扱いは)年数だけでは決め難い」と語った。
 同社の勝俣恒久会長は3月30日の記者会見で、緊急冷却のため腐食性の高い海水を注入した1?4号機の廃炉を明言。一方、冷温停止状態となり安定している5、6号機の対応については、国などの意向を聞く姿勢を示すにとどまった。

◆それでも東電は潰れない 枝野発言も会社存続が大前提
 http://gendai.net/articles/view/syakai/129776
 ●マーケットの読みは「第2のチッソ」
 東京電力は株式市場でも注視されている。4日は、終値こそ7円安の442円と小幅だったが、売買代金は560億円で依然トップ。活発に取引されているのだ。
「東電には生保や銀行、ゼネコンなどの安定株主が多く、個人投資家も値上がりではなく配当に期待する富裕層が中心。実際、東電は最低でも年60円の配当を継続してきました。ひと山当てたい投資家が狙うような株ではなかったのです。それが原発ショックで様変わりした。大手企業や金持ちが我先にと株を手放したため、外国人投資家やデイトレーダーが“バーゲン・ハント”に乗り出している。いまや市場のオモチャ状態です」(証券アナリスト)
 値動きも乱暴だ。地震前の2153円から17日の715円まで一気にドスンと落ち、その後盛り返したものの、23日の1175円をピークに再び下落。4月1日には一時399円まで下げた。
 ただ、落下の勢いは衰えてきた。「マーケットは東電の破綻はないと見ている」(前出のアナリスト)というのだ。
 この日は、放射性物質で汚染された水を海に捨てることも決めた。近隣住民はもちろん、農家や漁師への補償額も天文学的な数字に膨らみそうだ。それでも、東電株は紙クズにならないとみられているのだ。
「東電は第2のチッソになりそうです」と言うのは、東京東海証券チーフエコノミストの斎藤満氏。チッソは、1956年に確認された水俣病の原因企業だ。膨大な補償損失で1000億円を超える債務超過に陥ったが、国などの支援措置で存続してきた。この1日に、補償部門のチッソと事業会社のJNCに分離されたばかりである。
「チッソは水俣病患者の補償のために存続してきた。利益は被害者に回され、株主への配当もない。でも、倒れることは許されませんでした。東電も同じです。政府が潰さないでしょう。破綻状態に陥っても、巨額な補償金の捻出には、東電が利用者から集める電力料金を充てるしかない。マーケットにはそんな読みがある。普通なら1円を目指して当然の株価が400円前後で止まっているのも、そのためです」
 枝野官房長官も、「まずは東電に責任を持っていただく」「安易に免責等の措置がとられることはあり得ない」と断言。会社の存続をにおわせている。
 東電が背負う十字架は重い。

◆福井のもんじゅで電源喪失訓練 福島原発事故受け
 http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011040501000697.html
 東京電力福島第1原発事故を受け、日本原子力研究開発機構は5日、高速増殖炉原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)で、シミュレーターを使った電源喪失時の対応訓練を実施した。
 巨大地震で原子炉が緊急停止し、津波で非常用発電機も機能しなくなったと想定。参加した職員11人は警報が鳴り響く中、冷却材のナトリウムの温度や流量を確認、自然循環が作動し原子炉が冷やされるのを監視した。
 冷却材として一般の原発が水を使うのと違い、もんじゅは管理の難しい液体ナトリウムを使用。電源喪失時には、ナトリウムが温度差に従って系統内を自然循環するように設計されており、電源がなくても原子炉の熱は系統から大気中に逃がされるという。

◆日本料理店、大量倒産も=原発事故受け?香港
 http://www.asahi.com/international/jiji/JJT201104050085.html
 【香港時事】日本にとって最大の農水産物輸出市場である香港で、これまで人気が高かった日本料理店が、福島第1原発事故の影響を受けて大量に倒産する恐れが出てきた。
 九竜地区の繁華街にある高級日本料理店の経営者は「仕入れ先を関東以西に替えているが、影響は免れない。客が全部で2、3人の日もある」と嘆く。香港人の来客はほとんどなくなったという。
 地元各紙によると、同じ地区にある別の高級日本料理店は1日、売り上げが7割も落ちたため閉店に追い込まれた。一部の日本料理店は食材を日本産から米国産などに切り替えて、安全をアピールしている。
 香港飲食業協会の黄家和会長は地元紙に「約600軒の日本料理店のうち100軒以上が倒産してもおかしくない」と語った。立法会(議会)では「政府が日本料理店に緊急融資を実施すべきだ」との声も出ている。
 香港メディアは連日、日本の放射能汚染問題を大きく報じており、日本食品離れは今後、料理店だけでなく、スーパーなど小売店にも広がる可能性がある。 
[時事通信社]

◆東電の火力増設、アセス免除に=電力供給の早期回復で?経産、環境両省
 http://www.jiji.com/jc/zc?k=201104/2011040500624
 経済産業省と環境省は5日までに、東京電力が火力発電設備を増設する場合、環境影響評価(アセスメント)の手続きを条件付きで免除する方針を決めた。福島第1原発など、東日本大震災による発電所の被災で、大きく落ち込んだ同社の電力供給力の早期回復を後押しすることが狙い。
 免除の条件は、1年以内に計画し、3年以内に電力供給が可能な施設で、設置場所は既存の発電所の敷地内に限定することなど。
 火力発電所の増設は、窒素酸化物(NOx)など大気汚染物質を排出するため、アセスメントの対象となる。ただ両省は、今夏以降の電力不足に対応するため、災害時の復旧についてはアセスメントの手続きを免除できる環境影響評価法の例外規定を適用することとした。(2011/04/05-17:09)

◆「被災地の食材を官邸や各省庁の食堂でも」 仙谷副長官
 http://www.asahi.com/politics/update/0405/TKY201104050431.html
 仙谷由人官房副長官は5日、各省事務次官らでつくる被災者生活支援各府省連絡会議で「(原発事故の)風評被害に苦しんでいる農家があるので、官邸や各省庁の食堂で食材を仕入れて利用するようお願いしてほしい」と指示した。
 原発事故の被災地や周辺自治体では、一部野菜などが出荷停止になったあおりで対象外の農産品も売れなくなる風評被害が起きており、政府を挙げて風評被害を打ち消すのが狙い。
 原発事故の被災地産の農産品をめぐっては、参議院の議員食堂が「被災地支援カレー」と題して福島県産のニンジンとジャガイモを使ったメニューを出している。

◆震災発生時の様子生々と 福島原発で作業の男性
 http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110405_15
 先月11日の震災発生当時、福島第1原発4号機内で作業中だった山田町出身の男性(66)が現在、町内の避難所に身を寄せている。原発が壊れそうなほどの揺れ、近くには炉心―。恐怖と隣り合わせの中、必死で避難した当時を振り返った。
 男性は東京電力の孫請け企業に当たる設備会社の職員で昨年11月から、同原発内の作業員として「シュラウド」と呼ばれる機器の取り換え工事に当たっていた。東京電力のホームページによると、シュラウドは原子炉圧力容器内部にある筒状の構造物で、燃料集合体や制御棒などを覆っている。
 地震発生時、男性は4号機5階の使用済み核燃料プールがすぐそばに見える場所でクレーンに乗り作業中。「燃料プールが落下するんじゃないか」というほどの激しい揺れだった。
 揺れが収まると、原発内は停電。床面には燃料プールからあふれた水がこぼれていた。クレーンから降りた男性は、その水を避けるように1階へ駆け降りた。施設を出て海側を見ると大きな津波が迫っている。男性は後ろを振り向かず、全速力で高台にある現場事務所へ駆け込んだ。
 男性は全国各地の原発で作業経験を持ち、地震に強いという原発へのイメージもあり「大きな被害はでないんじゃないか」と考えていた。しかし、あまりの揺れと津波で「1〜3号機は壊れたかもしれない」との予感もあった。
 事務所から近くの避難所に移ると、ラジオからは水蒸気爆発など原発の危機的内容が報じられていた。放射線の影響を調査するスクリーニングで被ばくしていないことが分かったが、二度と原発へ戻ることはなかった。
 福島県内で避難所暮らしを続けていた3月29日、青森県の親戚が車で迎えに来て、30日に実家のある山田町入り。今は町内で避難所生活を続けている。
 男性は「福島県民も大変困っている。早く収束してほしい」。原発の行く末を案じる毎日だ。

◆日本が原発事故を説明=事態収拾へ協力要請?IAEA
 http://www.jiji.com/jc/zc?k=201104/2011040500715
 【ベルリン時事】国際原子力機関(IAEA)と日本政府は4日夜、ウィーンのIAEA本部で福島第1原発の事故の状況を説明する緊急会合を開いた。日本からは経済産業省原子力安全・保安院や文部科学省の担当者が出席し、事故の推移やこれまでの対策、環境モニタリングの状況などを報告した。
 会合後に記者会見した原子力安全・保安院の中村幸一郎審議官によると、日本側は「国内はもとより、世界的な英知を結集して深刻な事態を乗り切りたい」と述べ、各国に協力を要請した。また、「事故原因と対策を検証し、透明性高く情報を提供する」と約束した。
 中村審議官は会見で、復旧作業は「高い放射線量やがれき、余震など難しい状況下で行われており、時間がかかっている」と説明し、理解を求めるとともに、短期的対策と中長期的対策を並行して進めていくと語った。(2011/04/05-18:38)

◆浜岡原発の防波壁設置へ調査 中電が津波対策
 http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011040501000839.html
 中部電力は5日、浜岡原発(静岡県御前崎市)の津波対策として敷地海側に高さ12m以上の防波壁を設置するため、ボーリングなどの地盤調査を12月までの予定で始めたと発表した。防波壁設置には数年かかる見込み。
 3、4号機の原子炉冷却用ポンプを、浸水防止のため高さ1・5mの壁で囲う工事も来年9月までの予定で実施する。
 こうした対策について、県の小林佐登志危機管理監は5日「安全性がどれぐらい高まるのか説明してほしい」と求めた。
 東京電力福島第1原発事故を受け、川勝平太知事は、定期検査中の浜岡原発3号機の運転再開を当面認めない意向を示している。

◆原子力安全委:屋内退避「防災対策の枠組み外れる」−東電福島第一原発
 http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920000&sid=anFkY34qnazc
 4月5日(ブルームバーグ):原子力安全委員会の代谷誠治委員は5日の会見で、東京電力福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故で出されている半径20−30キロ圏の屋内退避が長期化していることについて「防災対策の枠組みを外れている」と述べた。
 国際原子力機関(IAEA)では屋内退避は2、3日の処置だが、福島第一原発での屋内退避は数週間続き解除できる状況ではないとした。官邸でもそういう考えが出てきているのではないかと代谷委員は前置きし、退避基準変更について「判断するのは行政側」と語った。

◆「お酒を飲んで花見をしてください」 岩手、宮城、福島の蔵元がアピール
 http://www.j-cast.com/2011/04/05092272.html?p=2
 酒を傾けながら被災地について語ってほしい
東北の他県にある日本酒の蔵元も、久慈さんに同調する。宮城県大崎市の「一ノ蔵」常務の鈴木整さんは、ツイッターで久慈さんが「東北の酒を飲んでください」とアピールする内容をリツイート(再投稿)し、広めてきた。
「一ノ蔵」は、震災で仕込み蔵が被害を受け、製品も数万本が破損、一時倉庫の前は割れたビンの破片などがうずたかく積み上がった。2011年3月22日から出荷を再開したが、「3月の出荷は例年の半分です」と鈴木さんは打ち明ける。宮城県沿岸部の得意先が被災し、首都圏からの注文も、計画停電の影響で飲食店が不振だったため激減したという。被災地の本格的な復興がいつになるのか読めないなか、「これからどうなるんだろうと不安でいっぱいです」という。
現状では「関東が頼みの綱」と鈴木さん。「一ノ蔵」の社員の中には、地震や津波で家が壊れた人もおり、鈴木さんも車を流されたという。「酒を傾けながら『三陸はどうなっているだろう』などと被災地を思ったり、語り合ったりしていただければありがたいですね」。
福島県郡山市にある「仁井田本家」専務の高橋豊美さんも、過度の自粛ムードに懸念を示す。「花見気分になれないかもしれないが、少しでも東北を応援していただけるのであればお酒を控えないでほしいのです」と高橋さんは願う。
地震の被害はそれほど大きくはなく、今季の酒造りにも支障が出なかったが、今は「とにかく原発問題が心配です」と語る。福島第1原子力発電所の事故で、風評被害は出ないだろうか、来シーズン用に仕込む酒につかうコメは地元でとれるのか、など悩みは尽きない。「先が見える支援」として、何より自分たちがつくった酒を飲んでもらうことが一番ですと高橋さんは語った。

◆茨城漁船のキンキなど水揚げ拒否される
 http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20110405-757340.html
 茨城県神栖市のはさき漁協所属の漁船が5日、同県沖で捕れたキンキなどの魚を千葉県の銚子港に水揚げしようとして断られたことが、茨城、千葉両県の漁業関係者への取材で分かった。
 農林水産省は、差別的な取り扱いを禁じた卸売市場法に違反する可能性があるとして、銚子港で市場を運営する銚子市漁協に千葉県を通じて改善を指導。県も漁協側に慎重な対応を求めた。
 銚子市漁協によると、福島第1原発事故による放射性物質拡散の影響がはっきりするまで、茨城県以北の魚の水揚げを控えるよう、3月25日に同県の漁協などにファクスで要請。それ以降に魚が持ち込まれたケースは、今回が初めてという。
 さらに、同県北茨城市沖で4月1日に採取したコウナゴ(イカナゴの稚魚)から1キログラム当たり4080ベクレルの放射性ヨウ素が検出されたため、引き続き水揚げを控えるよう要請を続けるとしている。(共同)
 [2011年4月5日19時27分]

◆「日本食品、放射能前に輸入」スーパーが説明努める
 http://cambodiawatch.net/cwnews/nikkei/20110405.php
 カンボジアの大手スーパーマーケットチェーン『ラッキー スーパーマーケット』における日本製品の売上は、福島第一原発の放射能漏れの影響で50パーセント低下した。『ザ プノンペン ポスト』紙が4日付で伝えた。
 製品は放射能漏れ前に輸入されたものなので食品安全は確保されている、とラッキーでは呼びかけている。
 同じくカンボジアの大手『バイヨン スーパーマーケット』でも日本製品の売上が落ちており、顧客に対して、これらの製品はすべて放射能漏れ前に輸入したものであり、今後輸入発注を行う予定はない旨説明に努めているという。
 また商務省では、震災後に輸入される日本食品の安全検査を導入する準備中だとしている。

◆オバマ氏、エネルギー政策で「全米行脚」開始 2012年大統領選
 http://sankei.jp.msn.com/world/news/110405/amr11040519240009-n1.htm
 【ワシントン=佐々木類】2012年米大統領選への立候補を正式に表明したオバマ大統領は6日、民主党支持基盤の強い米東部フィラデルフィア市、ニューヨーク市のタウンホール集会に出席し、支持を訴える。大統領周辺は「クリーンエネルギー政策に関する市民との対話」(カーニー大統領報道官)が主な訪問目的と説明するが、大統領選に向けた事実上の全米行脚“第一弾”となる。
 オバマ大統領は6日の集会で、福島第1原発事故で見直し機運が高まる原発について、「風力や太陽光とともにクリーンエネルギーの大きな柱になる」として、積極的な建設推進に理解を求める方針だ。
 オバマ氏は1月の一般教書演説で「2035年までに電力の80%をクリーンエネルギーで賄う」としており、この公約に道筋をつけるためにも2期目の続投が必要と訴える。
 現在、国内では中東・北アフリカ情勢の緊迫化に伴いガソリン価格が高騰し、オバマ陣営にとって選挙戦の“逆風”となっている。
 大統領はこうした庶民の懐具合に配慮し、「ガソリン価格の高騰から消費者を守り、原油の輸入を減らして自給率を高める」(カーニー氏)方針を示し、景気低迷で国内に蔓延(まんえん)する閉塞(へいそく)感を打破したい考えだ。
 一方、大統領は今年に入り、エジプトやリビアなど中東の騒乱への対応に忙しい。だが、経済政策に対する保守層の反発など、内政課題が山積している状態は、大敗した昨年11月の中間選挙以降変わらない。
 医療保険改革や金融規制改革に反対で、比較的中低所得者が多いとされる草の根の保守運動「ティーパーティー(茶会)」は、米国版「白人一揆」といえ、有権者の約70%を占める白人の“オバマ離れ”を加速させているとされる。
 大統領の再選不支持は50%(クイニピアック大の世論調査)に達する一方、支持率は42%止まり。失業率は8・8%と下落傾向にあるが、雇用情勢は依然として厳しい。
 下院多数派の共和党との歳出削減交渉が難航し、連邦政府機関の閉鎖危機に直面。ウィスコンシン州を発火点とする共和党系州知事による労働組合たたきも、各州の財政悪化と連動して国政を揺さぶっており、出口が見いだせない状態だ。
 内憂外患のオバマ大統領だが、来週以降、カリフォルニア州で遊説し、全米行脚を本格化させる。

◆原発被害全額補償を…8町村首長ら、首相に要望
 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110405-OYT1T00832.htm
 東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響を受ける福島県双葉町など8町村の首長や議長らが5日、首相官邸などを訪れ、菅首相や関係閣僚らに事故の早期収束などを求める要望書を手渡した。
 要望書には、国が特別法を制定し、原子力災害の被害を全額補償することなどが盛り込まれている。会談で首相は原発事故による被害補償について、「東電がやるが、不可能な場合、国が責任を持つ」と述べたという。
 しかし、事故の収束時期についての明言は避け、「不安定な中の安定。安定化に向けて全力を尽くす」と答えるにとどまったという。
 記者会見で、首長らは「(避難者は)顔つきが変わった。ほおがこけ、体が小さくなった。毎日、『町長、いつ(自宅に)帰してくれるのか』との言葉ばかりが寄せられる」(遠藤勝也・富岡町長)「一日も早く村に帰りたい。それが村民の願いだ」(松本允秀・葛尾村長)など切実な声を上げた。
(2011年4月5日23時29分 読売新聞)

◆飯舘村の小中学校、新学期は使用せず
 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110405-OYT1T00834.htm
 文部科学省は5日、福島県内で観測した放射線量などを公表した。
 また、村内の一部が屋内退避区域(福島第一原発から20〜30キロ圏内)になっている同県飯舘村の40か所で同県が観測した大気中の放射線量などの分析結果も発表した。それによると、同原発から北西に約40キロの地点にある、村立小中学校3校と県立相馬農業高校飯舘校1校で、3月28日に1時間あたり13・2〜17・7マイクロ・シーベルトを観測した。一般の人が自然界以外で浴びてもよい年間許容量は1000マイクロ・シーベルト(1ミリ・シーベルト)。
 福島県教委と飯舘村教委によると、これら村立小中学校は新学期は使用せず、隣の川俣町などで授業を再開する方針。相馬農業高飯舘校も、当面、授業を再開する予定はたっていない。
(2011年4月5日20時02分 読売新聞)

◆原発補償、国の責任で=周辺自治体に菅首相
 http://www.jiji.com/jc/zc?k=201104/2011040500846
 菅直人首相は5日午後、首相官邸で、福島県川内村の遠藤雄幸村長ら東京電力福島第1原発周辺の8町村長らと会談した。首相は原発事故について「何とか一つの山は越えたと言える状況をつくっていきたい」と表明。その上で、補償問題について「東電にやれるところはやってもらうが、最終的には国の責任で最後の最後まで対応させていただく」と述べた。
 首相は官邸から公邸に移動する際、記者団から会談の感想について質問を受け、「いろいろな話を聞かせてもらいました」と語った。
 遠藤村長らは、事故の早期収束を要請したほか、(1)原発事故による補償は国の責任で全額補償(2)原発半径20キロ圏内から避難した住民の一時帰宅?などを申し入れた。(2011/04/05-21:18)

◆原発の安全性、国に求める緊急決議を提案 県市長会
 http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.1865458.article.html
 佐賀県市長会(会長・横尾俊彦多久市長)は5日、東日本大震災による福島第1原発事故を受け、九州市長会に、原発の安全性向上を国に求める緊急決議を提案することを決めた。
 緊急決議は塚部芳和伊万里市長が「原発から10キロ圏内を想定している国の防災指針では、周辺住民は防災訓練にも参加できない。積極的な措置が必要」として提案。(1)不安軽減を図るため、防災対策を重点的に充実すべき地域の対象範囲(EPZ)の拡大(2)徹底した原因究明−を盛り込んだ。
 出席した市長からは「分かりやすい言葉での情報開示についても加筆を」「海洋汚染などの基準値の再考を」などと国への要望項目追加を望む意見が相次ぐ一方、玄海原発がある玄海町に隣接する坂井俊之唐津市長は「案に反する訳ではないが、EPZ拡大に絞ると、玄海原発が危険だととられかねない。また、川内原発がある鹿児島県市長会の動きと一緒の方がいいのではないか」と慎重な姿勢を示した。
 協議の結果、「原発10キロ圏」拡大とした標題を、「原子力発電所の安全を高めるための決議(仮称)」に変更することで一致。EPZ拡大や原因究明とともに、平時からの情報共有なども要望に加えた。
 県市長会は鹿児島県市長会の意向を尋ねた上で、文言を整理、修正。5月19、20日に長崎県壱岐市で開催する九州市長会への提案を目指す。

◆「高温ガス炉」採用の原発、中国で着工へ
 http://www.xinhua.jp/socioeconomy/politics_economics_society/272426/
 【新華網済南】中国の電力大手、中国華能集団の張廷克副総経理はこのほど、山東省で建設を計画する華能山東石島湾原子力発電所に採用する高温・ガス冷却式反応炉について、「温度を7500度に高め、発電効率を大幅に高めた」と述べた。
 高温・ガス冷却式反応炉を利用した原子力発電所建設は、中国の重点科学技術プロジェクトの一つ。清華大学原子力研究院、中国華能集団傘下の華能山東石島湾原子力発電有限公司、中核能源科技有限公司がプロジェクトの主体となる。今年3月1日に国務院の承認を受け、まもなく本格着工する。
 張副総経理は「高温・ガス冷却式反応炉の最大の特徴は固有の安全性。炉内にいかなる事故が起きても炉心溶融を起こさず、放射線漏れの心配がない」と説明した。
 清華大学原子力研究院が2004年9月、国際原子力機関(IAEA)の主催で、10メガワット高温ガス炉に対して行った安全実験では、原子炉の冷却能力が失われた状況下、人や機械による操作がなくても、反応炉内の余剰熱が排出され、安全状態が保たれた。
 張副総経理によれば、石島湾原発が完成すれば、中国は高温・ガス冷却式反応炉の実用化に世界で初めて成功することになり、原子力技術の輸入国から輸出国への転換も見込める。
(編集翻訳 松尾亜美)

◆政府、夏の電力使用制限発動へ 大企業ピーク時25%削減軸に
 http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011040501000946.html
 政府は5日、夏場の電力不足による大規模停電を回避するため、東京電力管内で工場を持つ企業などの大口需要者に対し、電気事業法に基づく電力使用制限令を発動する方針を固めた。週内にも発動方針を決定。東日本大震災で被災した東電の発電所の復旧状況などを見極めながら、夏の電力需要ピーク時間帯の使用を昨年実績比で25%削減することを軸に産業界と調整する。
 同法に基づく使用制限令が発動されれば、第1次石油危機時の1974年以来となる。電力需要の抑制には現在導入している計画停電もあるが、産業界などから工場の操業計画が立てにくいとの反対意見が多かった。
 海江田万里経済産業相は5日の記者会見で、使用制限令の発動を「必要と思っている」と明言。東京電力の藤本孝副社長も同日「発動された場合は(対象となる)大口顧客と相談しながら支援したい」と述べた。
 一方で、強制措置には慎重な企業もある上、一部閣僚からは「企業活動を抑制させ、経済に悪影響を及ぼす」との反対意見も出され、慎重に調整を続ける。
 東電管内の電力需要は、昨年夏に約6千万キロワットを記録。これに対し、大震災で福島第1原発を含め火力発電所が被災し、東電の供給力が減少。東電は復旧や増設に取り組んでいるが、今年夏の供給能力は最大でも5千万キロワット程度と見込まれている。
 このため、政府は3月末までに日本経団連に、ピークとなる夏場の電力使用を大幅に削減することを要請。経団連は企業や業界ごとの節電策を積み上げる「電力対策自主行動計画」(仮称)の策定に着手。工場の操業時間を分散させたり、自家発電を最大活用したりするなどして電力消費を減らすことを検討中で、4月中に具体的な計画をまとめる。
 ただ、こうした取り組みだけでカバーしきれない可能性もあり、政府は企業などが一定の電力使用量を超えたときに罰金を科す使用制限が必要と判断している。

◆2日後、人影なく…古里の惨状「記録に」
 http://mainichi.jp/select/today/news/20110406k0000m040075000c.html
 福島第1原子力発電所が立地する福島県双葉町など、東日本大震災2日後の周辺の状況を撮影した写真を毎日新聞が入手した。荒れ果てた道路、田畑を埋め尽くすがれきの山など被害の大きさが伝わる。撮影者は福島第1原発で働いていた双葉町の会社員、松木清隆さん(56)。原発事故で避難指示が出された半径20キロ圏内の中心にある古里について「戻れなければ復興が始まらない」と懸念した。
 撮影は3月13日。松木さんは普段、第1原発の5、6号機で作業をしているが、地震発生時は給与明細を受け取るため双葉町の会社事務所にいた。激震のため帰途の道路は陥没などで一部が崩壊、家も傾いて物が散乱していたが、幸い母親らは無事。12日には1号機で水素爆発が発生、13日朝に自宅を離れ、原発から北西方向の川俣町に軽トラックで向かった。「古里の惨状を記録に残しておきたい」とカメラを構えた。
 双葉町では第1原発から北約3キロの地点で撮影し、隣接する浪江町でもシャッターを切り続けた。20キロ圏内に掛かる南相馬市では国道6号を歩く豚も写した。松木さんは「20キロ圏内には立ち入れず手つかずのまま。町に戻れない状態では復興が始まらない」と表情を曇らせた。【町田徳丈】

◆知事ら10首長、東電と国に抗議=福島原発の汚染水放出などに?茨城
 http://www.jiji.com/jc/zc?k=201104/2011040500867
 茨城県の橋本昌知事と沿岸9市町村長は5日、福島第1原発の事故により、農業や畜産業、水産業で出荷制限や風評被害を受けているとして、菅直人首相と東京電力の勝俣恒久会長に文書で抗議を行った。
 また、同原発で4日から、政府が「低レベル」とする汚染水計1万1500トンの海洋放出が始まったことについて、文書では「法令の規制値の最大で数百倍という高濃度の汚染水であり、通常では考えられない行為。やむを得ない緊急措置であったとしても、申請から20分後に容認されているのは、極めて疑問」と強く非難。事前に地元自治体に連絡がなかったことに対しても抗議した。(2011/04/05-22:02)

◆福島第1原発:避難地域拡大へ…20キロ圏外も
 http://mainichi.jp/select/today/news/20110406k0000m040113000c.html
 政府は5日、東京電力福島第1原発事故で屋内退避指示を出している20〜30キロ圏内に市域の大半が入る福島県南相馬市の住民約1万8000人について、一両日中に集団避難計画をまとめることを発表した。避難先は県内だけでなく、山形、新潟、栃木、群馬県も検討している。屋内退避区域では物資の流通が滞るなどしており、政府は避難指示区域を現在の20キロ圏内から拡大するための調整を本格化させた。
 ◇政府、受け入れ先調整
 原子力被災者生活支援チームの第2回会合が5日、首相官邸で開かれ、松下忠洋副経済産業相が、集団避難の受け入れ先を確保する調整を進めていることを報告した。
 政府は屋内退避区域の市町村に自主避難を要請しているが、南相馬市以外の8市町村にも約2000人が残っているという。松下氏は会合後「南相馬市長の意見を聞きながら、受け入れ先をしっかりマッチング(適合)させることが大事だ」と記者団に語った。
 ただ、政府は集団避難の実施時期を明らかにしていない。枝野幸男官房長官は会見で「事態が悪化した場合に備えて、オペレーションを事前に想定しておく」と述べた上で「退避エリアについて、科学分析が進んでいる。それを踏まえて判断していく」と述べた。
 政府は累積被ばく量のモニタリングや「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム」(SPEEDI)による放射性物質の拡散シミュレーションなどを材料に判断する構え。【影山哲也】

◆避難者の所在確認でコールセンター=原発周辺8町村を対象に?福島県
 http://www.jiji.com/jc/zc?k=201104/2011040500861
 福島県は6日から、双葉郡8町村の住民の所在を確認するためのコールセンターを開設する。8町村は福島第1原発から半径20キロ圏内にあり、多くの住民が避難したが、親類宅などに身を寄せた住民の所在は十分に確認できていないのが現状だ。所在確認ができれば各町村に伝え、罹災(りさい)証明の発行手続きなどに活用する。
 県によると、双葉郡8町村の住民は約7万人だが、所在が確認できているのは4万人弱。浪江町や双葉町では3?4割程度しか把握できていないという。役場機能が移転し、電話番号が変更されたことなどから、県で一括して対応することにした。
 コールセンターの電話番号は(0120)006865。受付時間は日曜・祝日を含め、午前8時から午後10時まで。(2011/04/05-21:04)

◆埼玉県が避難住民の就労を支援 近くチーム発足
 http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011040501001024.html
 埼玉県の上田清司知事は5日の記者会見で、東日本大震災や福島原発事故を受け、埼玉県で避難生活を送る住民の就労を支援する考えを明らかにした。近くプロジェクトチームを発足させ、避難所ごとに相談会を実施。ハローワークとも連携して避難住民の就労を進める。
 県によると、同県加須市に役場機能ごと集団避難した福島県双葉町の町民向けの求人が、加須市に70社、双葉町に40社から寄せられているという。県のホームページにも避難住民が対象の求人情報を掲載していく。
 また、上田知事は埼玉県に避難している小中高生計800人が、県内の公立学校に転入学することも明らかにした。
 小学生524人、中学生236人は53市町の学校に、高校生40人は県立の26校に入る見込みで、全員に教科書を配布する。手続き中の児童、生徒もおり、転入学はさらに増えそうだ。

◆「緊急措置」改めて謝罪=漁協抗議、汚染水放出?東電
 http://www.jiji.com/jc/zc?k=201104/2011040500876
 福島第1原発事故で、低レベル放射性物質を含む汚染水を海に放出していることについて、東京電力の松本純一原子力・立地本部長代理は5日、地元漁協から抗議を受けたことを明らかにし、「緊急避難的な措置だった。誠に申し訳なかった」と改めて謝罪した。
 松本本部長代理は「(漁協に)やりますと連絡した程度で、丁寧に説明していなかった」と説明不足を認めた。(2011/04/05-21:24)

◆首相「国が最後の最後まで対応」 原発周辺町村長と会談
 http://www.asahi.com/politics/update/0405/TKY201104050553.html
 菅直人首相は5日、福島県の井戸川克隆・双葉町長ら福島第一原子力発電所の周辺8町村の首長と首相官邸で会談し、原発事故の補償について「東京電力にやれるところはやってもらう。最終的には国の責任で、最後の最後までしっかりと対応させていただく」と述べた。
 菅首相は原発の現状について「原子炉が低い温度で安定してきている、電源がかなり回復してきているという前進が見られる。一日も早く一つの山は越えたと言える状況を作りたい」と語った。一時帰宅については「どうやって安全性を確保して希望に沿えるか検討する」と述べ、時期は明言しなかった。
 首相は4日にも井戸川町長と会談している。双葉地方町村会長の遠藤雄幸・川内村長は、原発事故の一刻も早い収束や避難生活への国の支援、農林業への補償など8項目を要望した。
    ◇
 双葉地方町村会の首長らは菅首相との会談後に記者会見した。福島第一原発の今後について遠藤勝也・富岡町長は「(まだ廃炉が表明されていない)5、6号機についても、地元住民、世論を考えると運転は至難だと思う」と述べた。将来的に安全が確保された場合については井戸川克隆・双葉町長が「踏み込んだ判断はしていない。日本としてエネルギーをどうするのか広く議論を進めてもらいたい」と語った。


*作成:橋口 昌治
UP:20110511 REV:
原子力発電/原子力発電所 
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