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原子力発電・報道など(2011年3月26日〜31日)


last update:(20110409)


◆14原発が浸水「想定外」9電力会社を調査
 http://mainichi.jp/select/today/news/20110326k0000m040156000c.html?inb=tw
 福島第1原発が電源を失う原因となった津波による浸水について、東電以外の全電力会社が所有する原発でも、津波による浸水を想定していなかったことが毎日新聞の調査で分かった。専門家は「津波に対する想定が甘い」と指摘している。【日野行介、平野光芳】
 福島第1は、想定(5メートル)を超える推定14メートルの津波で被災。非常用発電機などの重要機器のほとんどが浸水で使えなくなり、原子炉の冷却が遅れて深刻な事故に発展した。
 調査は震災後、東電を除く全国の9電力会社に対し、所有する14原発の津波対策について尋ねた。電力各社は、過去の地震記録なども併せて津波の高さを想定、対策を取ってきた。
 東北電力の女川(おながわ)原発は最高9.1メートルの津波を想定。これに対し敷地は海面から14.8メートルの高さにあるため、陸上構造物に被害はないと想定してきた。今回の地震で同原発が受けた津波の高さは不明だが、同じ宮城県女川町の女川漁港には15メートル近い津波が襲来した。
 中部電力は震災後の22日、浜岡原発の敷地内の高台に非常用ディーゼル発電機を設置する方針を表明。中国電力も24日、島根原発の非常用発電機を海面から約40メートルの高台に新設する計画を報告した。
 地震や津波で原発が機能不全に陥る「原発震災」を警告してきた石橋克彦・神戸大名誉教授(地震学)は「電力会社は津波を甘く見ている。日本で原発建設が本格化した60年代には、原発の立地条件で津波の影響はほとんど考慮されず、後付けで電力会社に都合よく津波が想定されてきた。地震と津波のリスクを予想することは難しい。それを考えれば、日本列島で原発を推進するのは危険だ」と指摘する。

◆自主避難、前夜の要請 官邸、混乱を回避
 http://mainichi.jp/select/today/news/20110326k0000m010160000c.html?inb=tw
 東京電力福島第1原発から20〜30キロ圏内に対する自主避難要請は24日夜、首相官邸の主導で対象の9市町村に伝えられたうえで、枝野幸男官房長官が25日の記者会見で発表した。原子力災害対策特別措置法(原災法)に基づく避難指示を出せば、放射性物質による汚染拡大を政府が正式に認定することになり、周辺住民の不安に拍車をかけかねない。一方、屋内退避の長期化で不自由な生活への不満が住民側に強まっていたため、超法規的な「要請」によって政府批判の緩和を狙った。
 自主避難の要請は24日夜、官邸から経済産業省原子力安全・保安院に設置された災害対策本部と現地の対策本部を通じ、20〜30キロ圏内にある9市町村に伝えられた。原発事故の対応を超えた政治判断は保安院にはできないため、25日に原子力安全委員会の臨時会を開き、放射線のモニタリング結果などを理由に、自主避難が「望ましい」と助言する形をとった。
 原災法に基づく避難指示は「異常な水準の放射線量」の検出が前提となる。自主避難を自治体に要請する根拠法はなく、実際に住民を避難させるかどうかの判断は各市町村に委ねられた。避難先の確保や移動手段なども市町村が考えなければならず、野党からは「中途半端」などの批判がかえって強まっている。
 菅直人首相は25日夜、避難指示に切り替えなかったことについて「原子力安全委員会の専門家の判断を尊重した対応」と強調した。しかし、保安院の関係者は「先に判断したのは官邸。避難指示は放射線量が高いまま下がらない場合などに検討する」と語り、官邸指示に従った苦肉の策だと認めた。【青木純】

◆東電、2号機の高放射線量を事前把握 作業員らに伝えず
 http://www.asahi.com/national/update/0326/TKY201103260185.html
 東京電力福島第一原子力発電所(福島県大熊町、双葉町)3号機のタービン建屋内で起きた作業員3人の被曝(ひばく)で、3人が作業に入る6日前の18日、2号機のタービン建屋地下で、通常時に比べて異常に高い放射線量を確認しながら、東電は作業員に注意喚起をしていなかったことがわかった。東電は「情報共有が早ければ被曝を防げた可能性がある」と認め、謝罪した。
 東電福島事務所によると、6日前の18日、2号機のタービン建屋地下1階で放射線量を測定したところ、作業員の被曝線量の上限(250ミリシーベルト)を上回る毎時500ミリシーベルトだった。
 一方、3人の作業員が3号機で作業を始めたのは、24日午前10時半ごろ。作業員には2号機の情報は伝わっていなかった。前日にはなかった水が深さ15センチになっていたが、3人は前日の作業では線量が低かったこと、「タービン建屋は通常、線量が高い場所でない」と思っていたことなどから、水につかって作業をして、局所被曝した。18日のデータが事前に伝わっていれば、作業員らの思い込みを防げた可能性がある。
 東電福島事務所の担当者は「情報共有が悪かったために24日の被曝が起きた。おわびしたい。今後は社内の情報共有に努めたい」と述べた。
 東電や経済産業省原子力安全・保安院によると、1、2号機のタービン建屋地下にも高い放射線量の水がたまっていることがわかった。1号機では、24日に水を採取して分析。3号機と同様、通常の原子炉内の冷却水より約1万倍強い、1立方センチ当たり380万ベクレル(放射能の単位)の放射能が検出された。
 含まれている放射性物質の種類は3号機とほぼ同じだった。燃料に含まれる物質が検出されているうえ、半減期の短い物質が多いことから、原子炉内から漏れ出した可能性が高いという。
 2号機の水は、表面付近の放射線量が毎時200?300ミリシーベルトだった。これにより、1?3号機について、今後、配管の損傷などからどういう経路で漏出が広がったのかを調べていくことになる。
水の深さは3号機で最大1.5メートル、2号機は1メートル、1号機は40センチ。4号機でも、放射性物質の状況は不明だが、80センチの水がたまっているという。1号機では、ポンプを使って建屋内のタンクに排水する作業を進めている。
 また、2号機では26日午前、消防ポンプで原子炉に送り込んでいた海水を真水に切り替えた。海水に含まれる塩分の悪影響を防ぐためで、これで原子炉を冷却する必要がある1?3号機すべてが真水の注水になった。
 午後には2号機の中央制御室の照明が点灯した。1、3号機に続き3基目。

◆「トラブルは峠を越えた」技術協会最高顧問
 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110326k0000e040035000c.html
 【ワシントン斉藤信宏】79年の米スリーマイル島原発事故の検証に立ち会った日本原子力技術協会の石川迪夫(みちお)最高顧問が25日、米原子力規制委員会(NRC)のヤツコ委員長らとの面会を前にワシントン市内で記者会見した。福島第1原発事故について「使用済み核燃料プールでのトラブルは峠を越えた」との認識を表明。冷却水が失われ燃料棒が損傷したとみられる1〜3号機の原子炉についても「小康状態のまま2週間が経過しており、今後、大きな変化が生じるとは考えにくい」と述べて、事故は収束に向かいつつあるとの見方を示した。
 石川顧問は、ヤツコ委員長が16日の米議会公聴会で、福島第1原発の4号機について「使用済み核燃料プールに水がなく、放射線量が極めて高くなっている」と警告したことについて「まったくの事実誤認だ」と強調。「使用済み核燃料の崩壊熱による水の蒸発は1日50トンに過ぎない。プールには1200トンの水があるから、仮に地震直後から蒸発が続いていたとしても、水は今も入っていることになる」と反論した。
 一方、経済産業省原子力安全・保安院がレベル5と発表した事故の暫定評価について「スリーマイル島原発事故に比べて放射能汚染が広範囲に及んでいる上、1号機から4号機まで計4機で相次いで事故が発生していることを考えればレベル6に相当する」と認識の甘さを指摘した。

◆米メディア、日本は弱点を無視 強く批判 「安全性確保を先送り」
 http://www.hokkaido-np.co.jp/news/international/281318.html
 【ワシントン貴志雅之】深刻な事態に陥っている東京電力福島第1原発事故をめぐり、米メディアが自然災害に対する日本政府や東電などの認識の甘さを指摘している。大津波の危険性や、非常用の原子炉冷却装置の必要性を専門家が指摘していたにもかかわらず、経済産業省原子力安全・保安院や東電は「無視していた」という。
 24日の米紙ワシントン・ポストによると、日本政府が2006年に原発の新耐震指針を制定したのを受けて耐震性評価のための専門家委員会が09年6月に開かれた。その席で地質学の専門家である独立行政法人「産業技術総合研究所」(茨城県つくば市)活断層・地震研究センターの岡村行信センター長が、869年に三陸沖を震源とする貞観(じょうがん)地震が発生した際、大津波が仙台以南にも押し寄せたと指摘した。
 同委員会はこの会合の直近にまとめた中間報告で、福島県沖で1938年(昭和13年)に起きた塩屋崎沖地震を津波の想定として設定、貞観地震に触れていなかった。これに岡村氏が疑問を呈し、想定の変更を繰り返し求めたが、保安院や東電は今後の検討課題として先送りした。
 貞観地震はマグニチュード8・3の巨大地震。同センターや東北大などの調査で、津波が海岸線から最大4キロの内陸まで達したことが分かっている。
 また、23日の米紙ウォールストリート・ジャーナルも、「日本は原発が持つ弱点への警告を無視」と伝えた。
 記事では、地震や津波に備え、電力を必要としない「非常用復水器」という原子炉冷却装置が必要との技術者の指摘があったにもかかわらず、「(政府や東電には)現在の原子炉に新たな安全装置を取り付けるという議論はほとんどなかった」という諸葛(もろくず)宗男・東大公共政策大学院特任教授(原子力政策)の話を引用。日本政府や東電を「問題を(現在ではなく)将来の原子炉で解決することに熱心だった」と批判した。

◆過酷労働もう限界、両親は不明…原発の東電社員がメール
 http://www.asahi.com/national/update/0326/TKY201103260360.html
 東京電力の福島第二原子力発電所で働く女性社員が、東電本社の幹部に、現場の状況を電子メールで伝えてきた。事故を起こした企業の社員であり、被災者でもある立場の苦しさもつづっている。両親の行方はわからないという。
 メールを受けた幹部はかつて女性の上司として第二原発で働いていた。幹部からメール転送された東電関係者が、社員の名と所属を伏せて記者に見せた。関係者は「いまの状況で見せることが適切なのか迷ったが、社員の希望でもあり、現場の様子を知る参考にしてほしい」と話す。
 メールの送信日時は23日正午過ぎ。送り主は46歳の事務職の女性社員だ。次のような内容でつづられている。
 「1F(福島第一原発)、2F(第二原発)に働く所員の大半は地元の住民で、みんな被災者です。家を流された社員も大勢います。私自身、地震発生以来、緊急時対策本部に缶詰めになっています。個人的には、実家が(福島県)浪江町の海沿いにあるため、津波で町全体が流されました」
 「実家の両親は津波に流され未(いま)だに行方がわかりません。本当なら、すぐにでも飛んでいきたい。でも、退避指示が出ている区域で立ち入ることすらできません。自衛隊も捜索活動に行ってくれません。こんな精神状態の中での過酷な労働。もう限界です」
 福島第一、第二原発では、2010年7月時点で東電の社員約1850人、関連会社や原発メーカーなど協力企業の社員約9500人が働いている。東電によると、9割が福島県内在住で、そのうちの7?8割は原発周辺の双葉地域の住民。事故後は東電、協力企業の地元社員だけでなく、全国から集められた社員らが交代で作業している。
 「被災者である前に、東電社員としてみんな職務を全うしようと頑張ってます。特に2Fは、自分たちのプラントの安全性の確保の他に、1F復旧のサポートも同時にやっていた状況で、現場はまるで戦場のようでした。社員みんな心身共に極限まできています。どうかご理解下さい」
 「今回の地震は天災です。でも、原発による放射性物質の汚染は東電がこの地にあるせいです。みんな故郷を離れ、いつ戻れるかどうかもわからない状況で、不安を抱え怒りを誰にぶつけてよいのか分からない! それが今の現実です」
 社員は「この現実を社内外に届けてください」と伝え、本社の支援を求めている。(永田稔)

◆原子力をめぐる不透明さ(河野太郎)
2011年3月26日
 http://www.taro.org/2011/03/post-963.php

◆東電「貞観地震」の解析軽視
 http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110327k0000m040036000c.html
 東京電力福島第1原発の深刻な事故原因となった大津波を伴う巨大地震について、09年の経済産業省の審議会で、約1100年前に起きた地震の解析から再来の可能性を指摘されていたことが分かった。東電は「十分な情報がない」と対策を先送りし、今回の事故も「想定外の津波」と釈明している。専門家の指摘を軽んじたことが前例のない事故の引き金になった可能性があり、早期対応を促さなかった国の姿勢も問われそうだ。
 09年6月、原発の耐震指針の改定を受け、電力会社が実施した耐震性再評価の中間報告書案を検討する審議会。869年に宮城県沖で発生したマグニチュード8以上とみられる「貞観(じょうがん)地震」を、岡村行信委員(産業技術総合研究所活断層・地震研究センター長)が「非常にでかいもの(地震)が来ているのが分かっている」と取り上げた。
 当初の報告書案はこの地震に触れていなかった。東電は「被害はそれほど見当たらない」と答えたが、岡村さんは、宮城県から福島県の広い範囲で浸水したという最新の研究から「納得できない」と追及。その後に提出された報告書案は「(貞観地震と同規模の揺れは)想定内」とし、現在の耐震構造で問題ないとの見方を示した。
 岡村さんは、04年のスマトラ沖大地震のように、幅広い震源域がほぼ同時に破壊する「連動型地震」を想定した対応を求めたが、審議会の事務局は「最終報告書で検討する」という形で収めた。
 ◇専門家「貞観の再来」
 多くの専門家は、東日本大震災を「貞観地震の再来」とみている。同研究所などは05年以降、貞観地震の津波による堆積(たいせき)物を調査。同原発の約7キロ北の福島県浪江町で現在の海岸線から約1.5キロの浸水の痕跡があったほか、過去450〜800年程度の間隔で同規模の津波が起きた可能性が浮かんだ。
 東電によると、現地で測定された地震動はほぼ想定内で、地震によるトラブルは少なかった。一方、非常用電源の喪失などの津波被害で、原子炉が冷却できなくなった。
 ◇「『想定外』は言い訳」
 東電の武藤栄副社長は25日の会見で「連動地震による津波は想定していなかった」「(貞観地震に対する見解が)定まっていなかった」と釈明。東電の対応に、岡村さんは「原発であれば、どんなリスクも考慮すべきだ。あれだけ指摘したのに、新たな調査結果は出てこなかった。『想定外』とするのは言い訳に過ぎない」と話す。【須田桃子、藤野基文】

◆「原発事故怖い、強制送還して」中国人が強制送還求め自首
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110327/crm11032700390000-n1.htm
011.3.27 00:37
 長崎県警は26日、入管難民法違反の疑いで中国人のアルバイト、林建明容疑者(48)を逮捕した。
 県警によると、林容疑者は26日に県警本部に自首。調べに対し、「千葉県船橋市に住んでいたが、福島第1原発事故の影響が怖くて1週間ほど前に長崎に来た」などと供述、強制送還を求めているという。
 県警の調べによると、林容疑者は平成12年9月6日までの在留期限を過ぎて以降も、国内に居住していた疑いが持たれている。

◆「非正規切り」深刻 震災、停電で経済停滞 首都圏や道内労組への相談急増
 http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/281399.html
 東日本大震災で日本経済全体が打撃を受ける中、派遣をはじめとする非正規労働者の解雇や自宅待機が、被災地以外の地域にも広がっている。首都圏では計画停電による産業活動停滞の影響が大きく、労働組合への相談件数が急増。労組関係者からは「解雇などはリーマン・ショックの時以上の規模になる」との声も上がる。震災に関連する「非正規切り」は道内でも見られ、今後、拡大する可能性もある。
 東京都港区のレストランバー。計画停電への対応で鉄道の本数が減ったことなどもあって、客数が震災前の10分の1に落ち込み、十数人のアルバイト全員を解雇した。男性店長(40)は「バイトを雇っていては、店の家賃も払えない」と嘆く。
 個人加盟の地域労組でつくる全国コミュニティ・ユニオン連合会(全国ユニオン、東京)には、震災に関する労働相談が90件以上寄せられた。ほとんどが非正規労働者で、半数以上が派遣だった。被災地はまだ混乱しているためか、それ以外の地域からが多い。計画停電や資材不足が原因で会社が休業し、解雇や契約解除、無給のままでの自宅待機を言い渡されるケースが目立つ。
 連合会加盟の派遣ユニオンの関根秀一郎書記長は「企業はいつでも辞めさせられるからこそ派遣労働者を雇っており、壊滅的に派遣が切られるだろう。震災被害は甚大で、次の仕事に就くのも困難。大量の失業者が生まれる」と予測する。
 連合非正規労働センター(東京)にも、全国から30件以上の相談が来ている。派遣労働者の女性が「計画停電で電車が運休し、出社できなかったら、『交通手段に問題のない人を雇いたい』と契約解除を通告された」と訴えるなど、「震災に便乗した悪質な事例」(同センター)もある。
 労働基準法では使用者都合の休業の場合、労働者に賃金の6割以上を補償する決まりだが、厚生労働省は15日、計画停電中の休業では原則的に補償の必要はないとする通達を出した。また、取引先や鉄道、道路の被災による休業も、取引先への依存度、輸送経路の状況などによっては、補償しなくていい場合があるとの見解だ。
 だが、時給制で働く非正規労働者は、休業期間は無給。補償がないままの自宅待機は死活問題となる。
 「非正規切り」の動きは、道内でも始まっている。札幌市内のコールセンターの男性アルバイト(25)は、震災当日から2週間以上、自宅待機。それまで日給8千円前後、週5日ほど働いていたが、「休業補償は出ないらしいと仲間から聞いた」と不安を口にする。
 札幌地域労組の鈴木一書記長は「道内では、外国人客が減った観光業などで非正規労働者の解雇や自宅待機が進むのでは。言い渡されてもすぐに承諾せず、労組や弁護士に相談してほしい」と話す。
〈主な相談先〉
▽派遣ユニオン(電)03・5371・8808(午前10時〜午後8時、日曜、祝日除く)▽札幌地域労組(電)011・756・7790(午前9時〜午後6時、平日のみ)▽道労連(電)0120・378・060(午前10時〜午後6時、同)
(東京報道 片岡麻衣子、中務航志)

◆被曝限度量の緩和提案 国際放射線防護委、移住回避促す
 http://www.asahi.com/national/update/0326/TKY201103260337.html
 国際放射線防護委員会(ICRP)は、原発事故などが起きた後に周辺に住む人の年間被曝(ひばく)限度量は、2007年の勧告に基づき、1?20ミリシーベルトの範囲が妥当とする声明を発表した。日本の現在の基準は、一律に1ミリシーベルト。福島第一原発事故の影響が収まっても、放射能汚染は続く可能性があると指摘し、汚染地域の住民が移住しなくてもいいよう、日本政府に配慮を求めた形だ。
 ICRPは専門家の立場から、放射線防護に関する勧告を行う組織。声明は、21日付で発表された。
 07年の勧告では、一般の人が年間浴びてもいい放射線量を三つの範囲で設定。緊急時は20?100ミリシーベルト、緊急事故後の復旧時は1?20ミリシーベルト、平常時は1ミリシーベルト以下とした。
 今回の声明はこの勧告を紹介したもので、原発事故の影響を受けた地域に住民が住み続ける場合は、1?20ミリシーベルトの範囲内で検討するという考え方を紹介した。この地域も、長期的には1ミリシーベルト以下にすることが目標だとした。
 ICRPは通常、各国の個別事例については言及しない。しかし今回は、「日本で起きた悲劇的な出来事に、深くお悔やみ申し上げます」と述べる異例の内容となった。
 福島県南相馬市の25?26日にかけての1日の放射線量は計0.028ミリシーベルト。1ミリシーベルトを基準とすると、約1カ月で超えてしまう。現在の線量が続くと仮定すると、年間総量は約10ミリシーベルトのため、20ミリまで引き上げた場合は、移住の必要はなくなる。一般的に放射線の被曝量が100ミリシーベルト以下なら、健康への影響は心配ないとされている。
 日本アイソトープ協会の佐々木康人常務理事は「ICRPの基準はもともと、余裕を持って設定している。日本の基準はさらに、厳しめの数値を取っている。1?20ミリシーベルトという数字なら、健康に全く影響はない」と話している。

◆電源喪失後のビジョン語らず 東電武藤副社長
 http://response.jp/article/2011/03/27/153889.html
26日夕、東京電力本店(千代田区内幸町)で開かれた原発担当の武藤栄副社長の会見が荒れた。いまだ予断を許さない福島第一原発の状況について、津波後のビジョンが語られなかったからだ。武藤氏は原子力発電を牽引した立場にいる。
会見の雲行きが怪しくなったのは、新聞『赤旗』の記者が「津波によって電源が失われた場合の想定はしなかったのか」と、質問した後のことだった。
「発電所内の電源は地震でなくなったが、その時にディーゼル発電はしっかり起動している。地震では電源はなくなっていないわけだが、その後の津波が襲ったところで電源を喪失している。津波が今回の電源をなくした原因だと言えようかと思う」
原発は緊急停止後も、原子炉を冷却するために水を循環させなければならない。今回の事故は、そのための電源が失われ原子炉内の温度を制御できなくなったことが、事故の根幹にある。それは今も復旧作業中で、解決されていないのだ。
電源を喪失したときのバックアップ体制はどう考えられていたのか。しかし、武藤氏は、それに答えることはなく、「地震の後も、電源は確保できていた。津波によって電源は落ちた」と、喪失した原因が津波であるということを繰り返し、その後を語ろうとはしなかった。
記者が繰り返す同じ質問に武藤氏は「電源がなくなった場合でも、原子炉を冷やすことができるように設計はされている。ただ、これは一定の時間バッテリーを使いながら、原子炉の中の蒸気でもって原子炉を冷やすことが基本的な考え方」と前置きして、説明を始めるのかとと思いきや、再び、こう話し出した。
「バッテリーの稼働の時間を超えて電源が復旧できないような状況になるというのは、今回の津波が全ての電源設備を利用できないような状況にしたということがある」
核心をはぐらかす武藤氏に、「今、この状況下で、最悪の事態をどのように想定しているのか」と、何人もの記者が詰め寄ったが、その回答も次のようなものだった。
「ともかく原子炉を冷やすということに尽きると思う。そのためには原子炉の中に水を入れ続けるということが大事なわけで、淡水の注入を続けていくということが引き続き大切なこと」
そして会見は打ち切られた。

◆福島第一原発40周年迎える 海水に濃い放射能はどこから?
2011年03月27日
 http://astand.asahi.com/magazine/judiciary/articles/2011032700003.html?iref=chumoku

◆想定外は「根拠なき過信」 福島第一原発事故 東海村村長に聞く
2011年3月27日
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/20110327/CK2011032702000055.html
 一九九九年に核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)の臨界事故を経験した東海村の村上達也村長(68)に、今回の福島第一原発事故について聞いた。 (近藤統義)
 −「想定外」の地震と言われたが、国や東京電力の対応は
 原子力事故に特有だけど、全体の知識がないと(どんな情報を与えられても)奥歯に物が挟まったような感じがする。専門家だけの世界になってしまう。世界で四番目の大地震だから、しょうがなかったとはならない。
 原子炉冷却を含め、非常用電源がすべて使えなくなることを想定していないというのは「根拠無き過信」と言うしかない。こういうときに重要な役割を果たさねばならない原子力安全委員会の姿が見えない。なぜか。一方、米国は原子力規制委員会(NRC)が出てきて、福島第一原発の半径八十キロ以内に住む米国民に避難勧告を出した。
 −日本原子力発電の東海第二原発も(東日本大震災の津波で)非常用発電機が一基使えなくなった
 原発というのは、外部電力で支えられている。その周辺機器は本体部分と同じように重要だ。村も三基のうち一基は津波で機能しなかったから(福島第一原発のような事故は)十分あり得る。それを想定しないというのは、まさに科学的精神の欠落だ。背景には二〇〇七年の新潟県中越沖地震での柏崎刈羽原発事故で関心はすべて断層型地震に行ってしまい、海溝型地震への対処がなされなかったという事情がある。これはおかしい。村も津波への対策を強めなければならない。
 −日本は電力需要の約三割を原子力に頼っている
 日本は自分の体以上に大きな経済力を持ちすぎたと思う。目先の経済効率で言ったら自然エネルギーなんて話にもならない。しかし、原発に依存したがために今こういうことになっている。
 −これからの原発政策はどうなる
 ルネサンスと浮かれて、原発ビジネスに血眼になっていた。JCOは限られた地域だけど、今回は全国レベル。避難者の悲惨な様子を見てたら想像を絶する。国民に原発へのアレルギーは出るだろう。
 −村が進める原子力センター構想の先行きは
 原発は必要という前提に立つならば技術、安全基盤を世界的に確立していかなければならない。
 そのために村が蓄積した技術や研究成果で協力していこうと進めている矢先だった。われわれの原子力技術は世界に貢献できるという前提で進んできたけど見直すことが必要かもしれない。残念だ。
 村上達也(むらかみ・たつや) 1943年、東海村生まれ。一橋大卒。97年に東海村村長に就任し、現在4期目。全国原子力発電所所在市町村協議会の副会長を務める。村が進める「原子力センター構想」は、関連施設が集まった村の特色を生かし、原子力の安全や技術基盤の確立、人材育成などを進め、原子力と地域社会が調和したまちを目指そうという考え。昨年9月、原子力センターの具体的な在り方を検討する有識者懇談会を初めて開いた。

◆反原発デモ:東京で行われる 市民ら1000人が参加
 http://mainichi.jp/select/science/news/20110328k0000m040029000c.html
 東京電力福島第1原子力発電所の事故を受け、原発に反対する市民ら約1000人が27日、東京・銀座をデモ行進し、「すべての原発を止めて」「エネルギー政策の転換を」と訴えた。
 原水爆禁止日本国民会議など反原発の市民団体らでつくる「再処理とめたい!首都圏市民の集い」が主催。参加者は横断幕を掲げ、銀座から東京電力本社前を通って日比谷公園まで約3キロを歩いた。
 デモに加わった東京都大田区の杉原浩司さん(45)は「原発の危険性が改めてはっきりした。国には情報公開を徹底し、まずは東海地震による危険性の高い中部電力浜岡原発を早急に止めてほしい」と話した。【市川明代】

◆大津波、2年前に危険指摘 東電、想定に入れず被災
 http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011032601000722.html
 東日本大震災で大津波が直撃した東京電力福島第1原発(福島県)をめぐり、2009年の審議会で、平安時代の869年に起きた貞観津波の痕跡を調査した研究者が、同原発を大津波が襲う危険性を指摘していたことが26日、分かった。
 東電側は「十分な情報がない」として地震想定の引き上げに難色を示し、設計上は耐震性に余裕があると主張。津波想定は先送りされ、地震想定も変更されなかった。この時点で非常用電源など設備を改修していれば原発事故は防げた可能性があり、東電の主張を是認した国の姿勢も厳しく問われそうだ。
 危険性を指摘した独立行政法人「産業技術総合研究所」の岡村行信活断層・地震研究センター長は「原発の安全性は十分な余裕を持つべきだ。不確定な部分は考慮しないという姿勢はおかしい」としている。
 06年改定の国の原発耐震指針は、極めてまれに起こる大津波に耐えられるよう求めるなど大幅に内容を改めた。東電は、新指針に基づき福島第1原発の耐震設計の目安となる基準地震動を引き上げると経済産業省原子力安全・保安院に報告。保安院は総合資源エネルギー調査会の原子力安全・保安部会で研究者らに内容の検討を求めた。
 委員の岡村氏らは04年ごろから、宮城県などで過去の津波が残した地中の土砂を調査。貞観地震の津波が、少なくとも宮城県石巻市から福島第1原発近くの福島県浪江町まで分布していることを確認した。海岸から土砂が最大で内陸3〜4キロまで入り込んでいた。
 貞観津波についての研究は1990年代から東北大などが実施。岡村氏らの研究チームは、津波を伴う地震が500〜1000年間隔で発生してきたとしているが、震源断層の規模や形状、繰り返し期間をめぐっては研究者間でも異論がある。
2011/03/26 22:48 【共同通信】

◆2号機の汚染水濃度「10万倍」に訂正
 http://mainichi.jp/select/science/news/20110328k0000m040106000c.html
 福島第1原発2号機タービン建屋地下で見つかった汚染水の放射性物質の濃度について、東京電力が27日昼の会見で「通常の原子炉運転時の冷却水の約1000万倍」と発表するミスがあった。濃度を測定した放射性物質の種類を誤ったのが原因で実際は約10万倍。発表後、内閣府原子力安全委員会は誤りとして再測定を指示。東電は同日夜、「データの吟味が不十分だった」と謝罪し、数値を訂正。さらに28日未明にも発表を訂正した。
 東電はいったん、放射性のコバルト56(半減期77日)のデータを、より半減期が短いヨウ素134(同53分)と誤ったと訂正。さらにコバルト56ではなく、セシウム134(同2年)のデータをヨウ素134と誤ったと再訂正した。
 原子力安全委は25日夜発表された1号機のデータも誤りとして再測定を指示した。

◆IAEA事務局長:福島原発危機、「終結には程遠い状況」−NYT紙
 http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920008&sid=aSnKV7wxDcwg
 3月27日(ブルームバーグ):国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は26日、米ニューヨーク・タイムズ紙とのインタビューで、大震災で被害を受けた東京電力福島第一原子力発電所の事故について、「終結には程遠い状況」だとの認識を示した。
同事務局長はその中で、これまでの措置は一時的なものにすぎず、同原発の被害状況を考慮すれば、原発の緊急事態は今後数週間あるいは数カ月続く可能性があると同紙に述べた。
 同紙によると、天野事務局長はまた、原子炉への海水注入作業が成功したかどうかははっきりしないとした上で、「冷却システムが回復しない限り、温度は上昇し、新たな放射線漏れの恐れが高まると付け加えた。

◆Japanese Rules for Nuclear Plants Relied on Old Science
By NORIMITSU ONISHI and JAMES GLANZ
Published: March 26, 2011
 http://www.nytimes.com/2011/03/27/world/asia/27nuke.html?_r=3&src=twrhp&pagewanted=all

◆内閣支持は28%に上昇、世論調査 原発対応評価せず58%
 http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201103270189.html
 共同通信の全国電話世論調査によると、内閣支持率は28・3%で、先月中旬の前回調査から8・4ポイント上昇した。
 ▽原発対応を58%が評価せず
 共同通信が26、27日に実施した全国電話世論調査によると、福島第1原発事故への政府対応について「評価しない」とする回答が58・2%となり、「評価する」の39・3%を上回った。
 ▽被災者支援を57%が評価
 共同通信の全国電話世論調査で、東日本大震災の被災者支援での政府対応について「評価する」が57・9%となり、「評価しない」の39・2%を上回った。
 ▽67%が復興のための増税に賛成
 共同通信の全国電話世論調査で、復興財源のための増税について「賛成」とする回答が67・5%となり、「反対」の29・4%を上回った。

◆東電が会見減を申し入れ 記者クラブ反発で撤回
 http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/environment/499460/
 東京電力福島事務所(福島市)は27日、これまで東電本店とは別に1日4回開いていた記者会見を、本店と同時の2回に減らすと福島県政記者クラブに申し入れた。
 国民が原発事故の推移を見守る中、情報制限とも受け取られかねない対応に、クラブ側が反発すると、数時間後に撤回した。
 申し入れは、福島事務所が26日午前に2号機を1号機と誤って高い放射線量を検知したと発表したことがきっかけ。27日午後、本店から「出す情報は同じでなければならない」と回数や内容を統一するよう事務所に指示があったという。
 事務所は記者クラブにこの指示を口頭で伝えたが、クラブ側の反発で本店が方針を撤回した。
 事務所関係者は「玉石混交でもいち早く情報を伝えたかった。勇み足になり、確認できていない情報を発表し、迷惑を掛けた」としている。

◆東電、福島県産品を社員が積極購入検討
 http://sankei.jp.msn.com/life/news/110327/trd11032722170015-n1.htm
 東日本大震災による福島第1原子力発電所の事故を受け、東京電力は27日、福島県の地元産品を社員が積極的に購入し、支援する検討を始めたことを明らかにした。
 東電ではこれまでにも、青森県の台風で落果したリンゴを社員が購入して支援したり、柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)が事故を起こした際に、社員が新潟県への観光客誘致に協力したりした例があるという。
 福島の地元産品については「まだ決めていないが、物産支援はある」(藤本孝副社長)としている。
 一連の原発事故に関連し、東電の清水正孝社長は福島県の佐藤雄平知事に謝罪訪問を申し入れたが、断られている。

◆計画停電より総量規制を…同友会・桜井代表幹事
 http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110315-OYT1T00635.htm
  経済同友会の桜井正光代表幹事は15日の記者会見で、東京電力の計画停電について「いつ停電になるのか、前日の夜にならないと分からず、国民生活にも企業活動にも負担が大きい」と述べ、電気を止める地域や時間帯が日によって異なる現在の手法を批判した。
 桜井氏は「企業は生産や部品調達の計画をどう組み直すか考える必要があり、大変やりにくい」と見通しを立てづらいことに不満を訴えた。そのうえで、対案として「総量規制なら各企業は(自社の事情に合わせて)工場の操業を止められる」とし、供給する電力の減少に合わせて企業や個人に電力消費を減らすよう求める総量規制が望ましいとの考えを示した。
(2011年3月15日17時47分 読売新聞)

◆平安の人々が見た巨大津波を再現する ー西暦 869 年貞観津波ー(2010年8月)
 http://unit.aist.go.jp/actfault-eq/Tohoku/no16.pdf

◆事故の影響 世界で広がる見直し
 http://mainichi.jp/select/world/news/20110328k0000m030062000c.html
 東日本大震災で被災した福島第1原発事故の影響が、世界各国に広がっている。ドイツが1980年以前に稼働した老朽原発7基の運転を3カ月間停止する措置に踏み切ったほか、中国も新規原発の審査を一時中断、イスラエルなどが計画中止を表明した。運転中に二酸化炭素をほとんど排出せず、地球温暖化対策の切り札として近年、再び脚光を浴びた原子力発電だが、再び「冬の時代」に逆戻りするとの観測も出始めている。【ロンドン会川晴之、ワシントン斉藤信宏】
 ◇EU、検査強化で合意 反原発運動が活発化
 86年にチェルノブイリ原発事故を経験した欧州諸国は、今回の原発事故にいち早く反応した。欧州連合(EU、加盟27カ国)は15日の特別会合で域内諸国の原発の安全性検査を実施し、耐震性や津波対応に加え、冷却装置など、今回の事故で浮き彫りになった問題点を検査することで合意。25日の首脳会議で正式承認した。
 チェルノブイリ事故後、欧州では原発懐疑論が高まり、イタリアなどが原発建設を凍結、英国など多くの諸国も新規計画を見合わせた。だが、当時と違い、エネルギー価格は高騰、風力など再生利用エネルギーのコストはまだ高く、EUの4分の1の電力を供給する原発に代わるエネルギー源確保は難しい状況にある。
 経済協力開発機構(OECD)のグリア事務総長は「原発は欧州の電力供給で重要な位置を占める」と強調。国際エネルギー機関(IEA)の田中伸男事務局長も「地球温暖化対策のためには原発は不可欠」と述べるなど、各国に慎重な対応を求めている。
 欧州最大の原発メーカーである仏アレバは「信頼回復が極めて重要」と、対話に努める姿勢を強調する。ただ、事故を機に、ライバルである日本メーカーが商戦から脱落する可能性が高いとの計算も働く。
 しかし新規原発の審査を一時停止したスイスでは、直近の世論調査で反対派が87%を占めた。2年前は賛成が73%で、賛否が逆転した。ドイツでは26日、ベルリン、ハンブルクなど4都市で25万人規模のデモが実施されるなど、反原発運動が活発化している。
 ◇中国、新規建設計画を一時停止
 中国は16日に、新規原発の建設計画の審査と承認を一時停止した。
 急増するエネルギー需要を背景に、現在の13基の原発に加え、今後新たに25基建設する計画だが、国民の不安が高まっていることを考慮した。政府は「導入予定の原発は、より安全な新世代」と安全性を強調する発言を続けている。
 ◇イスラエル、ベネズエラ計画断念
 計画停止も相次ぐ。イスラエルのネタニヤフ首相は17日、同国初の商業用原発計画の中止を表明した。同国沖で天然ガスが発見されたのも一因だ。
 ベネズエラのチャベス大統領は23日、計画断念を表明した。
 ◇トルコは続行表明
 一方、日本と同じ地震国のトルコは、エルドアン首相が「原発計画を停止する考えはない」と強調する。19年運転開始予定の黒海沿岸の原発は、東芝・東京電力の企業連合が交渉を続けているが、ユルドゥズ・エネルギー天然資源相は24日、交渉期限を今月末から年内いっぱいに延ばす考えを示すなど、日本の状況に配慮する考えを表明している。
 79年のスリーマイル島原発事故以後、約30年間、原発の新規着工を凍結してきた米国は10年1月、着工容認に転じ、現在は24基の新設計画が進行中だ。
 ◇支持派は14ポイント減…米国
 オバマ大統領は、就任直後から「エネルギー需要の増大に対処し、気候変動の被害を食い止めるためには原子力発電の拡大が不可欠だ」と主張してきた。しかし、福島第1原発事故後の米CBSテレビの世論調査で、新規原発建設支持派が43%と、2年半前に比べて14ポイント減少するなど国民に不安が高まっていることに配慮し、「国民の安全のため、責任ある対応が必要」と、安全性の検証を急ぐよう原子力規制委員会(NRC)に指示した。
 ただ、米政府が原発建設の凍結に動いたわけではない。米政府は昨年2月、ジョージア州の原発2基向けに約83億ドル(約6700億円)の融資に対する政府保証を決定。25日にはNRCが「ボーグル発電所で建設許可の妨げとなるような環境への悪影響は見つからなかった」と発表し、原発建設への事実上のゴーサインを出した。
 世界最多104基の原発が稼働し、電力の約20%を原発で賄う米国では、国民の不安を和らげつついかに計画通りに原発建設を進められるかが今後の焦点となっている。

◆炉心溶融を震災当日予測 応急措置まで半日も
 http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011032701000673.html
 経済産業省原子力安全・保安院が、震災当日の11日夜、東京電力福島第1原発事故に関して、3時間以内の「炉心溶融」を予測していたことが27日、分かった。また翌12日未明には放射性ヨウ素や高いレベルの放射線を検出、原子炉の圧力を低下させる応急措置をとる方針が決まったが、実現するまでに半日も要した。政府文書や複数の政府当局者の話で判明した。
 溶融の前段である「炉心損傷」を示すヨウ素検出で、政府内専門家の間では危機感が高まり、応急措置の即時実施が迫られる局面だった。
 しかし菅直人首相は12日早朝、原子力安全委員会の班目春樹委員長と予定通り現地を視察。政府与党内からは、溶融の兆候が表れた非常時の視察敢行で、応急措置の実施を含めた政策決定に遅れが生じたとの見方も出ている。初動判断のミスで事態深刻化を招いた可能性があり、首相と班目氏の責任が問われそうだ。
 政府原子力災害対策本部の文書によると、保安院は11日午後10時に「福島第1(原発)2号機の今後のプラント状況の評価結果」を策定。炉内への注水機能停止で50分後に「炉心露出」が起き、12日午前0時50分には炉心溶融である「燃料溶融」に至るとの予測を示し、午前3時20分には放射性物質を含んだ蒸気を排出する応急措置「ベント」を行うとしている。
 保安院当局者は「最悪の事態を予測したもの」としている。評価結果は11日午後10時半、首相に説明されていた。
 この後、2号機の原子炉圧力容器内の水位が安定したが、12日午前1時前には1号機の原子炉格納容器内の圧力が異常上昇。4時ごろには1号機の中央制御室で毎時150マイクロシーベルトのガンマ線、5時ごろには原発正門付近でヨウ素も検出された。
 事態悪化を受け、東電幹部と班目氏らが協議し、1、2号機の炉内圧力を下げるため、ベントの必要性を確認、4時には保安院に実施を相談した。また菅首相は5時44分、原発の半径10キロ圏内からの退避を指示した。
 だが東電がベント実施を政府に通報したのは、首相の視察終了後の8時半で、作業着手は9時4分。排出には二つの弁を開く必要があるが、備え付けの空気圧縮ボンベの不調で一つが開かなかった上、代替用の空気圧縮機の調達に約4時間を費やし、排出が行われたのは午後2時半だった。
 与党関係者は「首相の視察でベント実施の手続きが遅れた」と言明。政府当局者は「ベントで現場の首相を被ばくさせられない」との判断が働き、現場作業にも影響が出たとの見方を示した。
 政府に近い専門家は「時間的ロスが大きい」とし、ベントの遅れが海水注入の遅延も招いたと解説。1号機では排出開始から約1時間後、水素爆発で同機建屋の外壁が吹き飛んだ。
2011/03/28 08:20 【共同通信】

◆原発立地自治体の財政問題
 http://togetter.com/li/114191

◆原発計画を据え置き 中電
 http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201103260029.html
中国電力が近く発表する2011年度の電力供給計画に、東日本大震災による影響が織り込まれないことが25日、分かった。島根(松江市)、上関(山口県上関町)の両原子力発電所の着工や運転開始の計画は据え置く見通し。福島第1原発事故の影響の広がりが現時点では判断できないことを考慮した。
 ただ、事故を受け原発の地元からは安全確保に向けた要望が高まっており、政府も原子力政策の見直しを検討する方針を示している。中電は当面、現行計画を維持するものの、見直しは避けられそうにない。
 供給計画は電気事業法に基づき、電力会社が毎年10年先の電力の需要見込みや発電所の建設スケジュールを国に届ける。福島第1原発の事故は予断を許さない状況が続いており、事故原因の解明や対策策定に時間がかかる見通しのため、中電は供給計画で現行のスケジュールを維持するとみられる。
 島根原発3号機は2012年3月の運転開始、上関原発1号機は同年6月着工、18年3月の運転開始を目指している。

◆[FT]それでも東電は生き残る 破綻・国有化の可能性低い
 http://www.nikkei.com/biz/world/article/g=96958A9C9381959FE0E7E2E1E68DE0E7E2E1E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;p=9694E3E7E2E0E0E2E3E2E6E1E0E2
 (2011年3月25日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
 三井住友銀行のバンカーたちは先日、日本の原発危機の渦中にある東京電力に2兆円規模の緊急融資を行う融資団を結成した時、14年前に受けた恩に報いていた。
■アジア金融危機時に20億ドルを預金
 消息筋によると、三井住友銀が1997年のアジア金融危機の最中に資金繰りの問題に直面した時、同行の忠実な顧客企業であり、最高の信用格付けを持つ東電が、欧米の銀行から低利で約20億ドルの資金を調達。その現金を即座に三井住友銀に預け入れ、同行が危機を切り抜ける手助けをしたのだという。(注)
 東電福島第一原発で今月起きた原発事故は大惨事となった。これほど大規模な惨事でこれほど中心的な役割を果たした後に生き残れる企業は少ないだろう。事故による放射能漏れは数百キロ離れた場所まで広がり、食物連鎖と給水設備を汚染した。その結果、多額の損害賠償請求が発生するとみられている。
 だが、東電は自社の潤沢な財源に加え、日本の大手銀行と政府の支援があるため、打撃は受けるものの、おおむね元の姿を保てるだろうと銀行筋や政府関係者は話している。
 「電力を供給する企業として東電が消え去る可能性はない」。政府系金融機関の国際協力銀行(JBIC)で資源ファイナンス部長などを務め、現在は内閣官房参与も兼ねる前田匡史氏はこう話す。
■「東電は破綻が許されない会社」
 23日に東電に対して最大2兆円の緊急融資を実施することで合意した融資団(三井住友銀のほか、三菱東京UFJ銀行やみずほコーポレート銀行などが参画)にかかわっているあるバンカーもこれに同意し、「東電はただ破綻しないだけでなく、破綻が許されない会社だ」と言う。
 東電は多額の費用負担に直面する。破損し、汚染された発電所の汚染除去、失われた発電能力の代替、放射能漏れの被害を受けた住民や企業への補償などにかかる費用だ。漏れ出した放射能は、現地から200キロ以上離れた東京にまで及んだ。
 同社は今後何年も利益面で痛手を受けるだろう。この見通しのために、原発での緊急事態を引き起こした3月11日の大震災以降、東電の株価は60%も下落した。東電がいくら賠償金を払わなければならないかは定かでないが、同社幹部はその額が、政府の規制の下で保険をかけている1200億円を上回るのは「確実」だと話している。
 その額を超えると、「異常な自然災害」の場合には費用を納税者に負担させられるが、法律は曖昧で、実際問題としては、負担を分担することは政治的に難しい。「(補償は)まず東電が責任を持ち、それができない場合は国が責任を持つ」と枝野幸男官房長官は語っている。
■社債償還後も3兆6900億円の負担可能
 補償のほかに東電が負わねばならない費用も多額だ。例えば、福島で失われた発電能力を代替するコスト。2007年7月に起きた地震で東電の別の原発施設が停止した時は、ほかの燃料を買ったために同社の燃料費は予算を4200億円もオーバーした。
 汚染除去と廃炉にも多額の費用がかかるが、この点では、東電は将来の発電所閉鎖費用として取り置いている5100億円の準備金を利用することができる。
 BNPパリバ証券のクレジット調査部長、中空麻奈氏は「東電が破産するかどうか聞いてくる投資家が大勢いる。特に外国人投資家が多い」と言う。だが、中空氏は、東電は首都圏でほぼ独占状態の事業を手がけていることによって守られると考えている。こうした事業は多額のキャッシュフローを生むからだ。
 東電は2010年3月期に営業活動によって9980億円のキャッシュフローを稼ぎ、期末時点で総額7兆5240億円の有利子負債に対して1530億円のネットキャッシュ(正味現金)があった。純資産は2兆5160億円だった。
 同社は今年、約5700億円の社債を償還しなければならない。だが、中空氏は、東電は社債償還費を引いた後でも、最大3兆6900億円の追加費用を負担できると試算している。また、銀行筋は、東電が債券市場から閉め出された場合には、緊急融資を増額できると話している。
■原発事業の国有化の可能性低い
 危機が収まった時、東電は今と違って見えるかもしれない。経営陣は仕事を失う可能性が高く、東電をいかに規制するかについても議論が行われるだろう。だが、ある政府関係者は、東電が原発事業の免許・認可を失い、国が同社の発電所を国有化せざるを得なくなるとの見方を一蹴する。
 政府関係者は、そのような事業をどう運営するのかほとんど見当もつかないうちは、国有化の可能性は低いと話している。
(注)三井住友銀行は2001年にさくら銀行と住友銀行が合併して誕生したため、このエピソードは前身銀行の一方を指している。
By Henny Sender, Michiyo Nakamoto and Jonathan Soble
(翻訳協力 JBpress)

◆「アメリカに放射能が来る」世界で吹き荒れるパニック報道
 http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110325/219150/?rt=nocnt

◆韓国にもごく微量の放射性物質が到達
 http://sankei.jp.msn.com/world/news/110328/kor11032810080000-n1.htm
 2011.3.28 10:07
 韓国政府傘下機関である韓国原子力安全技術院が23日以降、同国東部の江原道の大気中からごく微量の放射性の希ガス、キセノンを検出していたことが分かった。福島第1原発事故で放出されたものとみられる。聯合ニュースが28日までに報じた。
 検出されたキセノンの放射線量は、人が日常生活で自然環境から受ける量の2万3千分の1にすぎず、人体に影響を及ぼす水準ではない。同院はコンピューターシミュレーションの結果、同原発から出たキセノンが偏西風に乗ってカムチャツカ半島、シベリアを経て朝鮮半島まで流れてきたと分析している。
 同院は事故判明後、韓国全土の70カ所に設置されている放射線モニタリング装置などの数値を24時間態勢でチェックしている。(共同)

◆原発周辺、避難指示圏内になお60人 朝日新聞社調べ
 http://www.asahi.com/national/update/0327/TKY201103270256.html
 福島第一原発の20キロ圏内には、1号機で水素爆発が起きた12日に避難指示が出され、警察庁は15日、「全員が避難を完了した」としていた。だが、朝日新聞が27日、20キロ圏内にかかる10市町村に確認したところ、7市町村が圏内に残留者がいると答え、少なくとも60人余がとどまっていることがわかった。
 福島県警は、避難指示直後から第一原発の近くに立ち入れないよう主要道路に警察官を配置している。このため、市街地での残留者の大半は指示の段階からずっと圏内にとどまっているとみられる。一方、農村部には集落に通じる小道が多く、田村市や葛尾村などでは残留者が出入りしている形跡もあったという。
 こうした状況のなか、各自治体は陸上自衛隊や地元消防に協力を依頼。安否の確認と避難の説得を続けている。
 各自治体によると、残留者の多くは身内を介護している人や、酪農をしている人。「寝たきりの親は介護が必要で避難所生活に耐えられない」「餌をやらないと牛が死んでしまう」といった理由で避難を拒んでいる。
 避難指示は「首相は市町村長と知事に対し、避難のための立ち退きや屋内退避の勧告、指示を行う」とした原子力災害対策特別措置法の条文に基づく。各自治体は「法的な強制力がないので、強く拒否されれば打つ手がない」と説明する。
 圏内のほとんどの地域で、電気やガスなどのライフラインが止まっている。各自治体は、生存が確認できた世帯には食料を届けているが、最多の34人がいる南相馬市は「説得に応じて避難した人たちとの公平性を欠く」として、説得以外の対応はとっていない。ただ当面の食料があることは確認できているという。
 県は「残留者の総数はつかんでいない」としている。26日には、富岡町で寝たきりの高齢者や重病人のいる3世帯5人が発見され、病院に搬送される人も出た。町内は電話がつながらなくなっており、この5人については、情報が寄せられるまで町が所在を確認できていなかった。こうした例からみて、なお未確認の残留者がいる可能性もある。
 ただ、圏内の市町村の多くが役場機能を移転させていることもあって情報収集が難しい状況。自治体側からは、国の主導による確認や説得の作業を求める声が上がっている。(小林誠一)

◆原子力監督機関と電力会社は一心同体
2011年 3月 28日
 http://jp.wsj.com/Japan/node_211377
 【東京】日本の原子力監督当局は、監督対象の業界に近づきながら権力を増大してきた。この傾向が福島第1原子力発電所の事故を引き起こした過ちにつながった可能性がある。
 世界の標準に反して、経済産業省は原子力業界の監督と国内外での日本の原子力技術の推進という二つの役割を担っている。この二つは相反することも多い。
 この体制は、昨年のメキシコ湾での原油流出事故以前の米国の沖合掘削の監督体制を思い出させる。つまり、同じ機関が業界を監督しつつ、沖合ガス・油田開発を促進していたのだ。事故後にまずオバマ政権がしたことの一つが、この機関の解体だ。
 米国では、原発を監督する原子力規制委員会は、原子力の研究・推進をするエネルギー省から独立した組織だ。フランスはかつて日本と似たような体制だったが、2006年に独立した機関を設置した。
 日本の監督当局がより強い独立性を確保していたら、原発の安全性に関する規則はより厳格であった可能性があり、福島第1原発の危機は回避できた、あるいはこれほど深刻化しなかったとの批判がある。
 経産省は06年に原発の耐震性評価を命じたが、期限は設けなかった。同原発を運転する東京電力が中間報告をしたのは09年。津波については、研究を続けているとしただけだ。
 環境エネルギー政策研究所の飯田哲也氏は「保安院も、電力会社もみんなお仲間なので、いろいろなことをみんな容認してしまう」と述べた。
 07年の中越沖地震では、東電の柏崎刈羽原発が損壊した。日本弁護士連合会は調査を行い、東電による震源断層の評価が誤っており、監督当局がこの間違いを発見できなかったために地震への対策が足らなかったと指摘。「早急に」独立した監督機関を設置すべきだとしていた。民主党は09年に政権を取る直前にこの考えを支持した。
 一方、経産省傘下の原子力安全・保安院の西山英彦審議官は、同省の原発推進部門は監督部門に干渉しないとして現在の体制を擁護。「保安院と東京電力が癒着していたから今回の事態が起きてしまったということではまったくない。今の事態がそういうことを考えさせる動機にはならない」と語っている。
 経産省はかつて日本経済を広範にわたり監督してきた。しかし近年は、自動車など他産業で規制緩和が進んだためエネルギーや電力に比重が移っている。
 業界を公然と批判する数少ない議員の一人、自民党の河野太郎議員は「経産省は電力会社や無数の外郭団体にどんどん天下りをさせ、政治家は(電力会社)からお金をもらっている。そのかわりに電力会社は地域独占を守ってもらっている」としている。
 昨年夏、資源エネルギー庁前長官の石田徹氏が東電の顧問に就任した。昨年6月まで同社取締役副社長だった白川進氏も経産省出身だ。関西電力や四国電力など、全国の電力会社の上層で同省出身者が幅を利かせている。
 2人が死亡した1999年の茨城県東海村の施設での臨界事故など90年代の一連の事故を受けて、政府は2001年に同省が二つの役割を持つ問題に対処しようとした。これで誕生したのが原子力安全委員会だ。
 しかし、同委には企業を調査したり変更を命じたりする権限はない。業界幹部によると、原子力技術の研究で同委をサポートする団体のスタッフや原子力学者4000人は、福島第1原発の問題ではおおむね傍観者だという。
 06年まで18年にわたり福島県知事を務めた佐藤栄佐久氏は、知事生活終盤で原発反対に転じた。同氏によると、ある出来事をきっかけに経産省を信用しない人から内部告発を受けることが多くなった。東電の安全違反を告発したとされる元作業員の身元を経産省が同社に知らせたことが02年に明らかになったのだという。佐藤氏はインタビューで、「国もそんないい加減な安全管理をしていたということがわかってしまった」と語った。
 原子力安全委員会の副委員長を務めた経験を持つ大阪大学の住田健二教授は次のように語った。「原子力の行政に携わる人たちは、原子力の推進と規制を同時にやろうと頑張ってきたが、その結果は多数の事故やトラブルということになってしまった。いま行政の仕組みを変えずに、原子力ヘの国民の支持を保つことはもはや困難だ」

◆第1原発に作業員450人=食事は1日2回、雑魚寝状態?福島
 http://www.jiji.com/jc/zc?k=201103/2011032800838
 福島第1原子力保安検査官事務所の横田一麿所長は28日、福島市で記者会見し、22?26日に福島第1原発を訪れた際の状況を説明した。東京電力社員約380人と協力企業の約70人が復旧作業に当たっていたという。
 作業員らは午前10時ごろから夕方まで原子炉建屋内や建屋周辺で作業。1号機から約300メートル離れた免震棟で食事や睡眠を取っている。免震棟は放射性物質が入りにくい換気システムを備え、訪問時の放射線量は1時間当たり6マイクロシーベルト前後で、現在は2?3マイクロシーベルトまで低下した。
 食事は1日2食。作業前の朝にビスケット30枚程度と野菜ジュース、作業後の夕方に非常用アルファ米と缶詰1缶が東電から支給される。就寝は会議室の床や廊下などに雑魚寝状態で、毛布も全員分は確保できていない。(2011/03/28-19:06)

◆建屋外にも高濃度汚染水=2号機は1000ミリシーベルト以上?福島第1原発
 http://www.jiji.com/jc/zc?k=201103/2011032800720
 東日本大震災で危機的状況が続く福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)で、東京電力は28日、1?3号機の各タービン建屋地下から海岸方向に延びる地下トンネルと地上に通じる両端の立て坑に水がたまり、2号機では水面で毎時1000ミリシーベルト以上の強い放射線を測定したと発表した。測定は27日午後。水が周辺に漏れている可能性や排水作業による冷却装置復旧の遅れが懸念される。
 2号機のタービン建屋地下1階の水たまりでは26日に同レベルの強い放射線が測定され、原子炉から弁や配管を通じて漏れたとみられる高濃度の放射性物質が含まれている。地下トンネルとの間には壁があるが、配管が通る部分の隙間などからこの水が流出した可能性がある。
 東京電力によると、1号機タービン建屋の地下トンネルにたまった水の表面からは毎時0.4ミリシーベルトの放射線を検出。3号機は、がれきが障害となり測定できなかった。トンネルや立て坑は放射線管理区域外で、放射性物質が検出されてはならない場所だ。トンネルはいずれも高さ、幅3メートル前後で、海水ポンプからの配管や電線が入っている。
 このうち2号機の場合は、海側にある立て坑までの長さが約76メートル。立て坑の深さは16.3メートルで、地上から深さ約1メートルのところまで水が入っていた。立て坑とトンネルを合わせた容量は約6000立方メートル。
 海側の立て坑から海岸まで約55メートルあるため、東電は水が直ちに海に流出することはないとみている。しかし、コンクリート製のトンネルが損傷して水が周囲の土壌に染み出していることも考えられ、東電は流出の可能性と併せ調査している。
 1?4号機の放水口近くで採取された海水からは、25日から26日にかけて高濃度の放射性ヨウ素が検出されており、流出が疑われている。(2011/03/29-01:24)

◆東電、恩を仇で? 計画停電“原発ヒーロー”にも容赦なし
2011.03.28
 http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20110328/dms1103281136003-n1.htm
 長期化が必至の東京電力の計画停電。その地域間格差が、新たな波紋を呼んでいる。元凶となった福島原発に命がけで協力し、帰還した消防隊員らが所属する消防署に対しても、容赦なく電気を止めているのだ。英雄たちに対し、恩をあだで返すような機械的な対応に批判の声が高まっている。
 「原発の放水では東京消防庁が大きくクローズアップされましたが、横浜市も22日から3日間、計67人を派遣しました。彼らも命がけで任務を遂行しましたが、横浜市内の消防施設の一部が停電対象のまま。(停電対象外の)東京都千代田区に本部を置く東京消防庁との扱いの差に市民は憤っています」
 横浜市役所の関係者は不満を隠さない。同市消防局は18消防署と77出張所を有するが、出動した各隊員が所属する複数の施設が、計画停電の対象区域。横浜を代表して命をかけた消防士に対する対応としては確かに冷たい。
 「各消防署には、最低3日間は対応できる非常用発電装置が備わっているため、当面の業務に支障が出ることはありません。しかし、火災の際に役立つ各地の消防水利には、自家発電機能がない施設も多く、不測の事態が生じることも考えられます。市民の命に関わるわれわれ中枢機関だけは、除外にしてもらいたい気持ちはあります」(市消防局企画課)
 横浜市と接する川崎市も、隊員36人を派遣しているが、やはり計画停電の対象から外されていない。阿部孝夫市長が、清水正孝・東電社長に重要施設の停電除外要請したが色よい返事は得られていない。川崎市と多摩川を挟んだ川向かいの東京都大田区は電気がともっているだけに川崎市民の不満も募る。
 「総合庁舎の司令センターもこれまで2回ほど停電となりましたが、いまのところ自家発電機能があるため支障は生じておりません。変電所から直に線を引くには膨大な費用がかかると聞いています。重要施設の停電回避に関する要請は続けていますが…」(市消防局広報)
 原発放水をめぐっては、計画停電対象区域のさいたま市、千葉市の各消防局も数十人の消防士が出動待機を続けており、同様に市民の怒りが爆発する可能性がある。

◆放射線検査「義務付け」 偏見で過剰反応
 http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/news/20110329k0000m040129000c.html
 福島第1原子力発電所の事故に伴い避難した人たちが、放射線量を確認するスクリーニング検査で「異常なし」とする証明書を提示しなければ医療機関で受診できないケースがあることが分かった。避難所に入所する際、スクリーニング検査を事実上義務付けられるケースも。専門家は「非科学的な偏見による過剰反応だ」と指摘している。【平川昌範、阿部周一】
 原発から半径20〜30キロの自主避難促進区域にある福島県南相馬市原町区から福島市に避難してきた会社員、岡村隆之さん(49)は24日、市内の医療機関で8歳の三女の皮膚炎の治療を断られた。理由はスクリーニングの証明書がないこと。市販薬で何とかしのいだが、岡村さんは「ただでさえ不安な避難生活。診察を断られたことが、どれだけショックだったか」と話す。
 福島県は13日、県内13カ所でスクリーニング検査を始めた。17日からは、その結果を記した県災害対策本部名の証明書も発行している。しかし、本来は個人が自らの放射線量を知って安心するために行われる検査の証明書が、避難してきた人が受け入れてもらうためのお墨付きになっている実態がある。
 南相馬市などから約1300人が避難している福島市の「あづま総合運動公園」の避難所では、17日から入所の際にスクリーニングの証明書提示を求め、証明済みの目印にバッジを付けることになった。避難者が一時帰宅した際には再入場時にも検査を求めており、出入り口には説明文が張り出されている。
 避難所の担当者は「他の避難者から不安がる声が多かったため始めた。疑心を事前に摘み取るために必要だと考えている」と説明する。収容人員の多い他の避難所でも同様にスクリーニング検査を求める所がある。
 証明書の使われ方について、県地域医療課は「県内外の受け入れ施設から『証明書が欲しい』と求められた。避難される方の利益を考えると証明書は出さざるをえなかった。混乱を招いたが、証明書で利益を受ける人の方が多く、現状では発行を続けざるをえない」という。
 だが、南相馬市の中心部にある相双保健所の笹原賢司所長は「これまで8000人以上を検査したが、除染を必要とする基準値を超えた人はいなかった。南相馬が汚染地域のように扱われるのはおかしい」と憤る。震災後、福島県に入った広島大病院高度救命救急センター長の谷川攻一教授(救急医学)は「原発での特殊な作業に従事する人を除けば、現時点で基準値を超える放射線量が出る人がいるはずがない。証明書がなければ必要な医療を受けられないなどというのは言語道断。過剰反応は厳に慎んでほしい」と話している。

◆放水焦る官邸 効果考えず場当たり的指示
2011.3.28
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110328/dst11032819250053-n1.htm
 東京電力福島第1原子力発電所では、冷却機能復旧に向けた作業とともに、使用済み核燃料プールへの放水が続けられている。27日には50メートル以上の高さから狙った場所に放水できる民間のコンクリートポンプ車が1台追加された。最も有効で安全な方法とされるが、現場に投入されたのは自衛隊、警察、消防による放水の後だ。政府内でも「順番」が疑問視され、官邸の情報収集や判断能力不足を指摘する声が目立つ。
 19日午後に開かれた「各党・政府震災対策合同会議」の第1回実務者会合。公明党の石田祝稔政調副会長は、民間のドイツ製コンクリートポンプ車について、「国土交通省は存在を知っていたはずだ」と官邸と省庁との連携不足を指摘した。
 公明党の説明では、ポンプ車の活用を官邸側に提言し、19日朝に「使う」と回答があったという。官邸はそれまで、自衛隊と警察、消防に半ば強引ともとれる放水要請を繰り返しており、注水に最も効果的なポンプ車の存在を知らなかったとみられる。
 核燃料プールへの注水が急浮上したのは震災4日後の15日早朝。定期点検のため運転を停止していた4号機で水素爆発と火災が発生し、注水による冷却が急務になった。
 複数の政府関係者の話を総合すると、官邸側はすぐに自衛隊にヘリコプターによる散水を要請。しかし、「完全に吹き飛んでいない建屋に上空から水を放水するのは危険」と、性急な実行は見合わされた。自衛隊関係者によると、自衛隊は当時、前日に起きた3号機の水素爆発での隊員負傷の対応をめぐり、経済産業省に不信感を抱いていたという。
 放水を焦り、自衛隊の対応に不満を募らせる官邸は翌16日朝、今度は経産省を通じ、すでに高圧放水車を東電に貸し出していた警視庁機動隊の出動を警察庁に要請。警察庁は「一刻も早く」という指示に、急遽派遣した。
 一方、午後には防衛相の放水指示を受けた陸自のヘリが出動したが、放射線量が高く断念した。しかし、警察の出動が報じられた夜には、ヘリからの放水再挑戦と消防車による地上からの放水を決断。17日午前にヘリからの放水を決行した。
 夜には機動隊に続き、自衛隊も地上からの放水を実施。派遣要請を受けた東京消防庁も出動し、19日未明に放水を成功させた。その後、準備に時間がかかった東京消防庁に海江田万里経産相が「言う通りやらないと処分する」と恫喝まがいの発言をしたことも発覚。海江田氏は謝罪している。
 政府関係者は「官邸が省庁間の調整も満足にできなかったため、結果的に冷却効果の小さいものから順番に現場に投入された」と指摘する。実際にポンプ車が稼働したのは22日になってからだ。
 放水能力や技術などの検討もないまま、場当たり的に出動を命じた官邸の判断に、政府内からも批判の声が上がる。別の政府関係者は「官民挙げて投入できるものをテーブルに並べ、最優先の投入を決めるという判断がまったくできていない。情報力もなく、まさに政治主導という虚像の弊害だ」と憤る。
 現場レベルでも不信感は根強い。ある関係者は「官邸は『やれ』の一点張り。現地に赴く人の命や安全を本当に考えているのか」と訴える。21日に東京消防庁の活動報告会に参加した隊員の一人は、「(石原慎太郎都)知事は涙を流して礼を言ってくれた。上からものを言うだけの官邸と違う」と吐露した。

◆東北地方太平洋沖地震の被災者の受け入れについて(3月17日)
 http://www.city.yokohama.jp/ne/news/press/201103/images/phpJVBrJ7.pdf

◆2地点で放射性物質急増 福島・飯舘村など
 http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/news/20110329k0000m040079000c.html
 文部科学省は28日、福島第1原子力発電所から北西約40キロの福島県飯舘村で26日に採取した雑草1キログラム当たりから、過去最高値の放射性セシウム287万ベクレルを検出したと発表した。北西約45キロの川俣町でも過去最高値のセシウム57万1000ベクレルを検出。これまで減少傾向だった放射性物質が2地点で急増した。文科省は「採取場所が全く同じではなく一概に評価できないが、高いレベルの放射性物質が残留していることは確かで、農作物への影響を注視する必要がある」と説明した。
 飯舘村の雑草のこれまでのセシウム最高値は20日採取分の265万ベクレル。セシウムの半減期は約30年で、採取地点付近では拡散しないで残留している可能性が高い。一方、放射性ヨウ素は20日採取分の254万ベクレルから103万ベクレルに減少。半減期が8日のためとみられる。
 川俣町で26日採取された雑草のセシウムは25日採取の49万7000ベクレルを上回ったが、放射性ヨウ素は66万3000ベクレルから48万8000ベクレルに下がった。これも半減期の差が影響しているとみられる。
 27日に採取した水道水1キログラムでは、茨城、栃木、埼玉、東京など10都県で放射性ヨウ素0.34〜37ベクレル、栃木、東京など6都県で放射性セシウム0.25〜5.2ベクレルが検出された。
 28日午前9時までの24時間で採取した1平方メートル当たりの定時降下物(雨など)は茨城県で放射性ヨウ素74ベクレル、放射性セシウム21ベクレルを検出。他に9都県でヨウ素6.3〜59ベクレル、6都県でセシウム5.5〜36ベクレルを検出した。
 都道府県に設置するモニタリングポスト(自動観測局、MP)は28日午後5時時点で茨城県0.229マイクロシーベルトなど7都県で1時間当たりの大気中放射線量の通常値を超えた。いずれも数値は低下傾向。
 一方、原発から20〜60キロ離れた福島県内の41カ所の屋外で28日午前6時〜午後4時にモニタリングカーで調査したところ、1時間当たりの大気中放射線量は0.3〜77.6マイクロシーベルトだった。【篠原成行】

◆東電、仏に支援要請 原発事故受け
 http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011032801001029.html
 【パリ共同】東京電力が福島第1原発の事故で、フランス電力(EDF)や核燃料会社アレバ、原子力庁などフランスの原子力関連企業・機関に支援を要請したことが分かった。ベッソン産業・エネルギー・デジタル経済担当相が28日、ラジオ番組で明らかにした。
 29日付フランス紙ルモンドによると、アレバは事故発生直後から東電側と連絡を取り合っていたが、事態が急展開したのは「この36時間」としており、26日ごろに緊急要請があったことを明らかにした。
 同紙は「東電が原発事故の統御不能に陥った可能性」との見出しを掲げ、事態を深刻視している。
 ベッソン担当相は「東電からの(フランス各機関に対する)支援要請は(事故発生後)初めて」と述べた。EDFは18日、専門家の派遣や原発事故に対応するロボットを含む資材130トンの搬送など独自の救援計画を発表。だが、ルモンド紙によると日本側はこれを拒否したという。
 フランスは日本の原子力業界と関係が深く、アレバは日本の電力会社の委託でプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料の加工を請け負っている。福島第1原発3号機で現在使われているMOX燃料は、1999年にフランスから運ばれた。
2011/03/28 22:04 【共同通信】

◆汚染水が海に漏れ出ている可能性も
2011年 3月 29日
 http://jp.wsj.com/Japan/node_211681
 【東京】政府当局者と東電が28日、福島第1原子力発電所2号機の外で放射性濃度の高い大量の水が見つかったと発表したことから、同原発から180フィート(約55メートル)しか離れていない海に放射性濃度の高い水が漏れ出している可能性が懸念されている。
 2号機タービン建屋の外にある坑道(トレンチ)内でみつかった水は表面の放射線量が毎時1000ミリシーベルトを計測しており、同機タービン建屋地下にたまった高濃度の放射性物質を含む水と同水準。
 このため、1号機と3号機の外で発見された汚染水以上にはるかに高い濃度の放射性物質を含む水が漏れ出していることになり、2号機は一層深刻な問題に直面していることが浮き彫りになった。1号機のトレンチにたまった水の放射線量は毎時0.4ミリシーベルトと計測されている。3号機については測定値はこれまでのところ確認されていないが、当局者らは1号機からの水と同水準だとみている。
 2号機のトレンチ内で高濃度の放射性物質を含む水が見つかったことは、原子炉内の燃料棒に深刻な損傷が起きている可能性ならびに、原子炉圧力容器と原子炉格納容器の両方から水が漏れ出ていることを示唆している。当局者はどのように水が漏れたについては確定していない。
 経済産業省傘下の原子力安全・保安院の西山英彦審議官は、2号機のトレンチ内の水は地上まで1メートルの高さまでたまっていたと述べた。
 一部の専門家は、危機時の緊急作業員に対する放射線量の年間許容限度の4倍に相当する高濃度の放射線量は、原子炉の損傷の可能性を示していると指摘している。原子炉工学の専門家、北海道大学の奈良林直教授は原子炉の継ぎ目に損傷が生じ、汚染水が染み出している可能性があると指摘した。
 原子力安全・保安院はこれまでのところ、圧力容器や格納容器への深刻な損傷の可能性は低いとみている。むしろ、主蒸気管や管の破損部分から水が染み出た公算が大きいとの見方を示している。
記者: Mitsuru Obe

◆2号機建屋外に高濃度汚染水 地下坑道通じ漏出
 http://www.asahi.com/national/update/0329/TKY201103280589.html
 東日本大震災で被害を受けた福島第一原発で、東京電力は28日、2号機のタービン建屋から外へつながる坑道とたて坑にたまった水から、毎時1千ミリシーベルト以上の放射線が測定されたことを明らかにした。汚染水は容量ほぼいっぱいとみられるが、排水作業は難航している。燃料を冷やすために注水は止められず、水の漏出は続き、汚染水は増え続けるとみられる。このまま行けば、大量の放射能を海など外の環境に投棄せざるを得なくなる。
 原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長は28日の会見で、「正直、大変な驚き。憂慮している」と話した。土壌や海水の汚染を引き起こす可能性もあるというが、「どのような形で処理できるか知識を持ち合わせていない。原子力安全・保安院で指導していただきたい」と話した。
 東電によると、1?3号機でタービン建屋から外につながるたて坑と坑道に水がたまっているのを見つけた。2号機の場合、たて坑は深さ15.9メートル、坑道は長さ76メートル、容積は6千立方メートル。水の表面の放射線量は毎時1千ミリシーベルトを超えた。その場に15分いるだけで作業員の被曝(ひばく)限度量の上限を超えてしまう値だ。
 2号機では、タービン建屋内でも、同程度の汚染水が見つかっており、東電は、建屋と坑道の間で水が行き来しているとみている。
 タービン建屋内は放射能を厳格に管理する放射線管理区域だが、坑道は区域外。坑道には冷却用の海水をくみ上げて熱交換器に送る配管などが通っている。汚染水はたて坑の出口から1メートルのところまで上がってきており、ほぼ容量いっぱいとみられる。
 その一方で、東電は原子炉への注水作業を続けている。燃料を冷やすため、注水を止めるわけにはいかない。だが注水を続ければ、坑道への水の漏出が続くことになる。
 東電は対策として、タービン建屋からの水抜きを考えている。つながっている可能性が高いところを抜けば、坑道やたて坑の方の水位も下がるかもしれないという。
 具体策として、あふれた水を復水器に戻そうとしている。だが、2号機では復水器が満杯。3号機も容量に問題があり、排水作業は難航している。
 原子力安全委員会は28日夜の記者会見で、坑道の水がすでに海に漏れている可能性もあるとの見方を示した。原発の沖合の海水を調べる地点を増やして監視を強めるという。東電によると、たて坑の出口から海までは約55メートル。海に漏れた跡は確認できないというが、坑道には継ぎ目があり、防水加工は完全ではないという。
 2号機以外では、1、3号機の線量は、1号機の坑道の水表面で毎時0.4ミリシーベルト、3号機は空間の線量で毎時0.8ミリシーベルトだった。タービン建屋内の汚染の傾向を反映した数値になっており、いずれも坑道と建屋内の水はつながっていると見られる。
 だが、東電の武藤栄副社長は26日の会見で、タービン建屋の地下で汚染水が見つかったことについて、「(放射線管理区域から)外に出ていく経路というのは設計上造っていない」と説明していた。
 また、汚染水が放射線管理区域外で見つかったのは27日午後だったが、東電の武藤副社長は28日夜の会見で「情報は28日午後に聞いた」と述べ、異常に気づいてから1日経って報告を受けたことを明らかにした。

◆日米両政府、原発対応で四つの検討・作業チーム
 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110329-OYT1T00075.htm
 日米両政府が東京電力福島第一原子力発電所事故への対応で連携を強化するため、合同の連絡調整会議を創設し、その下に課題ごとの検討・作業チームを新設したことが28日、明らかになった。
 日米双方の政府高官や原子力専門家、自衛隊、米軍のほか、東電や原発関連企業も参加し、日米同盟を背景に総力戦の態勢を築く狙いがある。
 検討・作業チームは、〈1〉放射性物質の拡散を防ぐため、早急な取り組みが必要な「放射性物質遮蔽」〈2〉中期的に原発を安定化させる「核燃料棒処理」〈3〉長期の対策となる「原発廃炉」〈4〉住民の健康管理など「医療・生活支援」――の四つだ。「医療」以外の3チームはすでに発足しており、「医療」チームも近く設けられる。細野豪志首相補佐官が4チームの取り組みを総括する。
(2011年3月29日03時04分 読売新聞)

◆汚染水対応 班目氏、「知識持ち合わせず」
 http://mainichi.jp/select/science/news/20110329k0000m040183000c.html
 班目春樹・原子力安全委員長は28日夜の記者会見で、東京電力福島第1原発のトレンチでみつかった高放射線量の汚染水への対応について、「どのような形ですみやかに実施できるかについて、安全委ではそれだけの知識を持ち合わせていない。まずは事業者(東京電力)が解決策を示すとともに、原子力安全・保安院にしっかりと指導をしていただきたい」と述べた。首相への勧告権限も持つ専門家集団トップの発言だけに、その役割について議論を呼びそうだ。
 同委員会は原子力利用時の安全確保のために基本な考え方を示し、行政機関や事業者を指導する役割を担い、他の審議会より強い権限を持つ。だが、班目委員長は23日に会見するまで、国民に対して見解や助言の内容などを説明することがほとんどなく批判を浴びていた。【大場あい】

◆第一原発の北側海水から高濃度ヨウ素 基準の1150倍
 http://www.asahi.com/national/update/0328/TKY201103280512.html
 東京電力は28日、福島第一原発の北側で27日に採取した海水から、最大で安全基準の1150倍にあたる濃度の放射性物質が検出された、と発表した。東電によると、27日午後2時すぎに第一原発の5、6号機の放水口の北約30メートルで採取した海水を調べたところ、基準の1150倍のヨウ素131が検出された。25日朝に1?4号機の放水口の南側で採取した海水から1250.8倍のヨウ素131が検出されており、汚染が広がっているとみられる。

◆スリーマイル事故の14万倍 福島事故の放射性物質
 http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011032901000136.html
 東京電力福島第1原発の事故で放出された放射性物質の量は、1979年に発生した米国のスリーマイルアイランド(TMI)原発事故で放出された量の14万〜19万倍に上るとの試算を米国の市民団体、エネルギー環境調査研究所(IEER)のグループが29日までにまとめた。
 IEERのアージャン・マキジャニ所長は「事故の深刻度の国際評価尺度で、TMI事故と同じレベル5だとする日本の公式見解は、幻想としか思えず、多くの誤解を招くものだ」と批判。評価尺度はより深刻なレベル6に当たると指摘した。
 IEERによると、事故でこれまでに環境中に放出されたヨウ素131の量は240万キユリー(1キユリーは370億ベクレル)と推定され、これだけでTMI事故の放出量の14万倍。これに加えて、放射性のセシウム134とセシウム137が計50万キユリー程度放出されたとみられ、合わせると放出量は19万倍に達する。
 IEERによると、放射性のヨウ素もセシウムの量も旧ソ連のチェルノブイリ原発事故で放出された量の10%程度。だが、チェルノブイリ事故の放出源は原子炉1基だけだったのに対し、福島の事故の場合、三つの原子炉と四つの使用済み燃料プールが放出源になったとみられ、半減期が約30年と長く、体内に取り込まれやすいセシウム137の量も多いため、環境への影響が長く続くことが懸念される。
 マキジャニ所長は「日本政府は、事故の実態を市民によりよく理解させるため評価をレベル6に引き上げ、これまで放出された放射性物質の量や、今後予想される放出量などを詳細に公表すべきだ」としている。
2011/03/29 08:52 【共同通信】

◆水の排出、解決のめど立たず 福島第1原発事故
 http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011032901000120.html
 東日本大震災による福島第1原発事故で東京電力は29日、原子炉や使用済み燃料プールの冷却機能回復に向け、1号機のタービン建屋地下にたまった高濃度の放射性物質を含む水を復水器に移す排出作業を進めた。
 同様のたまり水がある2、3号機では、満水の復水器を空けるために別のタンクに水を移すことを検討。タービン建屋には冷却機能を回復させるのに必要な電気系統の設備が集中しており、こうした水の排出が急務だが、解決のめどは立っていない。
 経済産業省原子力安全・保安院は29日の記者会見で、1〜3号機の建屋外の立て坑で見つかった高い放射線量の水が、海にあふれた状況は確認されていないが、継続的に調査するよう東電に指示したことを明らかにした。水は除去する方針だが具体策は未定。水位が高い1号機では流出防止のため土のうを積むなどして対応。2、3号機は水位が安定しており、対策を検討している。
 また1号機では、原子炉を冷やす水の注入に使っている消防ポンプを、29日中にも仮設の電源ポンプに切り替える。東電によると、原子炉の温度が上昇しているため、28日夜から水の注入量を増やしている。
 29日は、3号機の使用済み燃料プールに生コン圧送機で真水の放水を計画。4号機では中央制御室の照明復旧を目指す。
2011/03/29 11:38 【共同通信】

◆福島の野菜農家が自殺 摂取制限指示に「もうだめだ」
 http://www.asahi.com/national/update/0328/TKY201103280468.html
 福島県須賀川市で24日朝、野菜農家の男性(64)が自宅の敷地内で首をつり、自ら命を絶った。福島第一原発の事故の影響で、政府が一部の福島県産野菜について「摂取制限」の指示を出した翌日だった。震災の被害に落胆しながらも、育てたキャベツの出荷に意欲をみせていたという男性。遺族は「原発に殺された」と悔しさを募らせる。
 自宅は地震で母屋や納屋が壊れた。ただ、畑の約7500株のキャベツは無事で、試食も済ませ、収穫直前だった。遺族によると、男性は21日にホウレンソウなどの出荷停止措置がとられた後も「様子をみてキャベツは少しずつでも出荷しないと」と話し、納屋の修理などに取り組んでいた。
 23日にキャベツの摂取制限指示が出ると、男性はむせるようなしぐさを繰り返した。「福島の野菜はもうだめだ」。男性の次男(35)は、男性のそんなつぶやきを覚えている。「今まで精魂込めて積み上げてきたものを失ったような気持ちになったのだろう」
 男性は30年以上前から有機栽培にこだわり、自作の腐葉土などで土壌改良を重ねてきた。キャベツは10年近くかけて種のまき方などを工夫し、この地域では育てられなかった高品質の種類の生産にも成功。農協でも人気が高く、地元の小学校の給食に使うキャベツも一手に引き受けていた。「子どもたちが食べるものなのだから、気をつけて作らないと」。そう言って、安全な野菜づくりを誇りにしていたという。
 遺書はなかったが、作業日誌は23日までつけてあった。長女(41)は「こんな状態がいつまで続くのか。これからどうなるのか。農家はみんな不安に思っている。もう父のような犠牲者を出さないでほしい」と訴える。(西堀岳路)

◆米東部でも放射性物質=福島原発事故
 http://www.jiji.com/jc/zc?k=201103/2011032900092
 【ワシントン時事】米環境保護局(EPA)は28日までに、福島第1原発の事故で拡散した放射性物質が、東部のペンシルベニア、マサチューセッツ両州で採取された雨水から検出されたと発表した。微量で、人体への影響はないと説明している。
 EPAはまた、西部カリフォルニア、南部アラバマ、ハワイ各州とグアムなどで、大気中から検出された放射線量が先週よりわずかに高くなっていることも明らかにした。ただ、人体に影響を及ぼすレベルではないとしている。
 EPAは福島第1原発の事故を受け、全米規模で観測態勢を強化してきた。(2011/03/29-07:53)

◆原発災害 リスクを具体的に示せ
3月29日(火)
 http://www.shinmai.co.jp/news/20110329/KT110328ETI090004000022.htm
 福島第1原子力発電所の事故処理が長引きそうだ。作業に当たる人たちの安全とともに、周辺住民の健康を守り暮らしを支える態勢強化が欠かせない。
 福島県では避難や屋内退避の対象圏内だけでなく、圏外からも地元を離れる住民が相次いでいる。一方で、地域に残っていても、食料や薬が足りないなど、不安な暮らしを強いられている。
 菅直人政権は、きめ細かな対策を示し、一刻も早く混乱を収めなければならない。
 原発事故後、政府は半径20キロ圏内の避難に加え、20〜30キロには屋内退避を指示した。さらに25日になって、20〜30キロ圏内の人々に自主避難を促した。
 一連の政府の対応には、さまざまな問題が指摘されている。
 第一に、周辺住民の健康管理である。20キロ圏内の病院や介護施設から移動した患者・高齢者のなかには、十分な治療が受けられずに死亡した人が出ている。避難指示後の政府の対策が甘かったと批判されても仕方ないだろう。
 二度とあってはならないことだ。自治体や関係機関などとの連携を密にし、住民の生命を守る万全の態勢が求められる。
 問題の第二は、危険の度合いがよく分からないことだ。どの地域で、どの程度のリスクがあるのか、納得できる説明がなされたとは言い難い。
 とくに、「自主避難」の要請は混乱を招く。避難したくてもできない人や、引き続き残りたいと思う人もいるだろう。このままではどう行動していいか戸惑う住民も多いのではないか。
 「自主避難」は、原発災害に伴うさまざまな影響やリスクを、個々の住民に負わせることになりかねない。放射能の健康への影響や仕事の補償などについて、政府は説明を尽くすべきだ。
 半径30キロ圏外でも、同様の問題がある。物流に支障が出たり、農作業のめどが立たなかったりと、暮らしが立ちゆかない地域が広がっている。健康被害を心配する声も強い。
 情報をきめ細かに開示するとともに、それが何を意味するのか、だれにも分かる言葉で伝えなければ住民は納得できないだろう。
 福島県から県外に避難する人々が急増している。再び帰ることができるのか、「故郷喪失」の焦燥感は計り知れない。
 こうした非常事態がいつまで続くのか、その間の生活はどうしていくのか、中長期的な展望も求められている。

◆発信箱:すべて想定されていた=福岡賢正(西部報道部)
 http://mainichi.jp/select/opinion/hasshinbako/news/20110329k0000m070181000c.html
 原発事故の報道に強烈な居心地の悪さを感じている。その理由を突き詰めていくと、メディアが安易に使う「想定を超えた」という言葉のせいだと思い至る。眼前で今起きている事態は本当に想定外だったのか。
 《最大の水位上昇がおこっても敷地の地盤高(海抜6m以上)を越えることはないというが、1605年東海・南海巨大津波地震のような断層運動が併発すれば、それを越える大津波もありうる》
 《外部電源が止まり、ディーゼル発電機が動かず、バッテリーも機能しないというような事態がおこりかねない》
 《炉心溶融が生ずる恐れは強い。そうなると、さらに水蒸気爆発や水素爆発がおこって格納容器や原子炉建屋が破壊される》
 《4基すべてが同時に事故をおこすこともありうるし(中略)、爆発事故が使用済み燃料貯蔵プールに波及すれば、ジルコニウム火災などを通じて放出放射能がいっそう莫大(ばくだい)になるという推測もある》
 すべて岩波書店の雑誌「科学」の97年10月号に載った論文「原発震災〜破滅を避けるために」から引いた。筆者は地震学の権威、神戸大の石橋克彦氏。つまり今回起きたことは、碩学(せきがく)によって14年も前に恐ろしいほどの正確さで想定されていたのだ。
 石橋氏はその後も警鐘を鳴らし続け、05年には衆院の公聴会でも同様の警告を発している。電力会社や原子力の専門家たちの「ありえない」という言葉を疑いもせず、「地震大国日本は原子力からの脱却に向けて努力を」との彼の訴えに、私たちメディアや政治家がくみしなかっただけなのだ。
 05年の公聴会で石橋氏はこうも警告している。日本列島のほぼ全域が大地震の静穏期を終えて活動期に入りつつあり、西日本でも今世紀半ばまでに大津波を伴う巨大地震がほぼ確実に起こる、と。

◆プルトニウム 燃料棒溶融裏付け
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011032902000180.html
 福島第一原発敷地内の土壌から放射性物質のプルトニウムが検出された問題で、枝野幸男官房長官は二十九日午前の記者会見で「燃料棒から出ているのはほぼ間違いない。一定程度、(燃料棒が)溶融したことを裏付けている。大変深刻だ」と述べ、第一原発の炉心溶融が原因との見方を示した。東京電力は敷地内でプルトニウムの測定を続けるが、政府としても敷地外の周辺地域で測定を検討する考えを示した。
 東電の武藤栄副社長は二十八日深夜の会見で「大変申し訳ない。引き続きモニタリング(測定)する」と陳謝した。
 東電によると二十一、二十二日に採取した1、2号機の排気筒周辺など敷地内五カ所の土壌から、プルトニウム239、240を検出した。このうち、二カ所で238が土壌一キログラムあたり、〇・五四ベクレルと〇・一八ベクレルを検出した。国内で通常検出される土壌の238は最大で〇・一五ベクレルで、今回の事故で放出された可能性が高いと指摘。ただ、レベルが低く「人体に影響はない」としている。
 福島第一原発では、3号機でプルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料を使うプルサーマル発電が行われていた。プルトニウムは他号機でも使用中の燃料などに含まれており、今回検出されたものがどの号機から放出されたかは分からないという。
 東電などは、深刻な原発危機の脱却に向けた復旧作業を予定通り続ける方針。
 1号機のタービン建屋の地下から海側の建屋外へつながるトレンチの立て坑では、高濃度の放射性物質を含んだ水があと十センチであふれる状況。このため、土のうなどを積んで海に流れないよう応急的な措置を取った。2、3号機の水位は安定しており、対策を検討中。
 1〜3号機で立て坑の扉がなくなっていた。経済産業省原子力安全・保安院は地下水の状況を含め継続的に調査するよう東電に指示した。
 1〜3号機のタービン建屋地下のたまり水については、東電は1号機で原子炉から出た蒸気を冷やして水に戻す「復水器」に回収する作業を行い、水位低下を確認した。
 原子炉を冷やすために注水を続ければ、たまり水が増える可能性が高い。枝野官房長官は「原発の空だきを阻止しないといけない」と述べ、注水量を減らす中で原子炉の温度が上がらないようにする努力が必要だとした。
<プルトニウム> 原子炉でウラン燃料を燃焼させると生成され、天然にはほとんど存在しない放射性物質。鉛より重い重金属で、水の約二十倍の重さがある。代表的なプルトニウム239の半減期は約2万4000年と極めて長い。ウランよりも少量で核分裂反応を起こすことができ、高速増殖炉「もんじゅ」の核燃料となっている。長崎原爆にも使われた。核保有国の大半が利用している。

◆関西電力:「原発計画は粛々と推進」八木社長
 http://mainichi.jp/select/biz/news/20110329k0000m020143000c.html
 関西電力の八木誠社長は28日の定例会見で、定期検査中の原発3基の運転再開と今後予定している高浜原発4号機(福井県高浜町)でのプルサーマル発電について「粛々とやっていく」と述べ、計画通りに進める考えを示した。東日本大震災を受けて九州電力は玄海原発(佐賀県玄海町)2、3号機の運転再開の延期を決めており、電力会社間の方針に差が出ている。
 点検中の原発は美浜原発1号機(福井県美浜町)、高浜原発1号機、大飯原発3号機(福井県おおい町)の3基。八木社長は「国が新たに示すガイドラインに対応したうえで再開したい」とした。【横山三加子】

◆原発関連団体は「天下り」の巣窟だった
 http://netallica.yahoo.co.jp/news/177465
 福島原発事故の“恐怖”がジワジワ広がっている。25日は、半径20?30キロの地域で自主避難が促されたほか、経産省原子力安全・保安院が、これまでに17人の作業員が被曝線上限量の100ミリシーベルトを超えたと明らかにした。あらためて原発の危険性を認識せざるを得ないが、これを食い物にしてきたのが霞が関の官僚たち。原発の関連団体は「天下り」の巣窟だったのだ。
 もともと原発は「迷惑」施設だ。自治体も住民も受け入れに「反対」が本音。しかし、国は「電源開発促進税法」「電源開発促進対策特別会計法」「発電用施設周辺地域整備法」という「電源三法」をフル活用。交付金やハコモノ補助など、あの手この手で“アメ玉”をしゃぶらせ、自治体や住民を懐柔してきた。
「この原発推進運動を支えてきたのが、天下り団体。例えば、経産省関連の『日本立地センター』は、住民向けのセミナーやクイズ大会、メディアへの広報活動などを展開し、『原発で地域振興』『原発は安全』と刷り込みをしてきた。国の補助金・委託費交付額は09年度実績で年間収入の約半分の5億円。理事長や専務理事など役員は旧通産官僚で、年収は軽く1000万円を超えています」(都内の環境団体関係者)
 驚くことに、こうした原子力関連の「天下り団体」は無数にある。原発地域の振興策などを手掛ける「電源地域振興センター」(東京)、原子力推進を掲げる「日本原子力産業協会」(東京)、原子力の基礎研究を行う「日本原子力研究開発機構」(茨城)、大型混合酸化物(MOX)燃料などを研究する「核物質管理センター」(東京)、原発の安全管理などを行う「原子力安全基盤機構」(東京)、海外のエネルギー事情を研究する「海外電力調査会」(東京)……。数え上げるとキリがないが、共通するのは、理事クラスに旧通産省、科技庁、文科省出身者が名を連ね、年収で1000万?1500万円も得ていることだ。
 原子力問題などを研究する市民グループ「高木学校」(東京)のメンバーはこう言う。
「原発は産官学一体となった国策です。だから原発の関連団体には、電力会社や電機メーカー、研究者とともに天下り官僚がいる。これはずっと続いてきたことです。国が研究開発、用地確保、住民への広報活動といった一連の活動を全面的にバックアップしてきたため、反対運動もあまり起きず、広がらなかった。そうやって長年、原子力業界は牛耳られてきたのです。その結果が、今回の大事故の背景にもあるのではないでしょうか」
 これだけ多くの団体が税金で原子力を研究しながら、いざという時には役に立たない。甘い汁を吸ってきた官僚OBは、率先して現場で汗を流したらどうか。自衛隊や消防、警察、東電協力会社に尻拭いさせて、知らんぷりは許されない。
(日刊ゲンダイ2011年3月26日掲載)

◆震災で東京がバリアフル都市になった件(障害者当事者の視点から)
 http://togetter.com/li/116287

◆タービン建屋の汚染水排出 福島原発、復旧へ作業続く
 http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011032901000731.html
 福島第1原発事故で東京電力は29日、1〜3号機のタービン建屋地下にたまり、復旧作業の障害になっている放射性物質で汚染された水を排出し、復水器と呼ばれる装置内に移す作業を進めた。
 タービン建屋には冷却機能の回復に必要な電気設備が集中し、水の除去が最大の課題。2、3号機は復水器が満水で、入っている水を別のタンクに次々に移し替える玉突き式作業を開始。1号機は復水器に余裕があり、水を移す作業を続けている。
 炉心冷却機能の復旧に向けた見通しについて、東電の武藤栄副社長は「タービン建屋地下の水で作業が遅れている。具体的なスケジュールは申し上げられない」とした。
 一方、4号機の中央制御室の照明が点灯。第1原発の6基すべてで制御室の照明が復旧した。
 復水器は発電のためタービンを回した蒸気を水に戻す装置。容量は1号機1600トン、2、3号機3千トン。3号機は復水器の水を容量2500トンの「復水貯蔵タンク」に移すが、まずこのタンクの水を共用の「サージタンク」に送り込み、復水貯蔵タンクを空にする作業を進める。
 1〜3号機のタービン建屋外の立て坑で見つかった水も懸念材料。東電は水があふれないよう水位が高い1号機の立て坑周辺に土のうを積み、排水方法を検討する。
 1号機では一時、原子炉の温度が上がり、注水して温度を下げた。枝野幸男官房長官は「空だきになるのは優先的に阻止しなければならない」と注水の必要性を強調。プルトニウム検出と2号機建屋の汚染された水について「燃料棒が一定程度溶融したと思われることを裏付けるものだ」と述べた。
2011/03/29 20:09 【共同通信】


*作成:橋口 昌治
UP:20110409 REV:
原子力発電/原子力発電所 
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