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NPO関連年表〜1995.12/特定非営利活動促進法



◆特定非営利活動促進法
 http://www.bekkoame.ne.jp/~kaihou/npoact/npoact.html
◆総理府令
 http://www.bekkoame.ne.jp/~kaihou/npoact/npoact12.html
◆特定非営利活動促進法のあらまし
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◆特定非営利活動促進法問い合わせ先一覧
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◆都道府県条例
 http://www.bekkoame.ne.jp/~kaihou/npoact/jyorei.html
市民活動を支える制度をつくる会

シーズ=市民活動を支える制度をつくる会 C's/法案検討委員会「市民活動推進法(試案)」(初案発表19950821,改訂第3版19951016)
市民活動法人法案(堂本暁子部会長試案)19950926

 
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◆特定非営利活動促進法

1998年3月25日公布 

目次

第一章 総則(第一条・第二条)

第二章 特定非営利活動法人

 第一節 通則(第三条−第九条)

 第二節 設立(第十条−第十四条)

 第三節 管理(第十五条−第三十条)

 第四節 解散及び合併(第三十一条−第四十条)

 第五節 監督(第四十一条−第四十三条)

 第六節 雑則(第四十四条・第四十五条)

第三章 税法上の特例(第四十六条)

第四章 罰則(第四十七条−第五十条)

附則

第一章 総則

(目的)

第一条 この法律は、特定非営利活動を行う団体に法人格を付与すること等により、ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進し、もって公益の増進に寄与することを目的とする。


(定義)

第二条 この法律において「特定非営利活動」とは、別表に掲げる活動に該当する活動であって、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするものをいう。


2 この法律において「特定非営利活動法人」とは、特定非営利活動を行うことを主たる目的とし、次の各号のいずれにも該当する団体であって、この法律の定めるところにより設立された法人をいう。


一 次のいずれにも該当する団体であって、営利を目的としないものであること。


イ 社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと。

ロ 役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の三分の一以下であること。


二 その行う活動が次のいずれにも該当する団体であること。

イ 宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とするものでないこと。


ロ 政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを主たる目的とするものでないこと。


ハ 特定の公職(公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第三条に規定する公職をいう。以下同じ。)の候補者(当該候補者になろうとする者を含む。)若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対することを目的とするものでないこと。


第二章 特定非営利活動法人

第一節 通則

(原則)

第三条 特定非営利活動法人は、特定の個人又は法人その他の団体の利益を目的として、その事業を行ってはならない。


2 特定非営利活動法人は、これを特定の政党のために利用してはならない。


(名称の使用制限)

第四条 特定非営利活動法人以外の者は、その名称中に、「特定非営利活動法人」又はこれに紛らわしい文字を用いてはならない。


(収益事業)

第五条 特定非営利活動法人は、その行う特定非営利活動に係る事業に支障がない限り、その収益を当該事業に充てるため、収益を目的とする事業(以下「収益事業」という。)を行うことができる。


2 収益事業に関する会計は、当該特定非営利活動法人の行う特定非営利活動に係る事業に関する会計から区分し、特別の会計として経理しなければならない。


(住所)

第六条 特定非営利活動法人の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。


(登記)

第七条 特定非営利活動法人は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。


2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない。


(民法の準用)

第八条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十三条及び第四十四条の規定は、特定非営利活動法人について準用する。


(所轄庁)

第九条 特定非営利活動法人の所轄庁は、その事務所が所在する都道府県の知事とする。


2 特定非営利活動法人で二以上の都道府県の区域内に事務所を設置するものにあっては、その所轄庁は、前項の規定にかかわらず、経済企画庁長官とする。


第二節 設立

(設立の認証)

第十条 特定非営利活動法人を設立しようとする者は、総理府令(前条第二項の特定非営利活動法人以外の特定非営利活動法人に係る場合にあっては、都道府県の条例。第二十六条第三項及び第四十四条第二項を除き、以下同じ。)で定めるところにより、次に掲げる書類を添付した申請書を所轄庁に提出して、設立の認証を受けなければならない。


一 定款

二 役員に係る次に掲げる書類

イ 役員名簿(役員の氏名及び住所又は居所を記載した名簿をいう。)


ロ 各役員の就任承諾書及びそれぞれの住所又は居所を証する書面として総理府令で定めるもの


ハ 各役員について第二十条各号に該当しないこと及び第二十一条の規定に違反しないことを各役員が誓う旨の宣誓書の謄本


ニ 役員のうち報酬を受ける者の氏名を記載した書面

三 社員のうち十人以上の者の氏名(法人にあっては、その名称及び代表者の氏名)及び住所又は居所を記載した書面


四 第二条第二項第二号及び第十二条第一項第三号に該当することを確認したことを示す書面


五 設立趣旨書

六 設立者名簿(設立者の氏名及び住所又は居所を記載した名簿をいう。)


七 設立についての意思の決定を証する議事録の謄本

八 設立当初の財産目録

九 事業年度を設ける場合には、設立当初の事業年度を記載した書面


十 設立の初年及び翌年(事業年度を設ける場合には、当初の事業年度及び翌事業年度。次号において同じ。)の事業計画書


十一 設立の初年及び翌年の収支予算書

2 所轄庁は、前項の認証の申請があった場合には、遅滞なく、その旨及び次に掲げる事項を公告するとともに、同項第一号、第二号イ、第五号、第十号及び第十一号に掲げる書類を、申請書を受理した日から二月間、その指定した場所において公衆の縦覧に供しなければならない。


一 申請のあった年月日

二 申請に係る特定非営利活動法人の名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地並びにその定款に記載された目的


(定款)

第十一条 特定非営利活動法人の定款には、次に掲げる事項を記載しなければならない。


一 目的

二 名称

三 その行う特定非営利活動の種類及び当該特定非営利活動に係る事業の種類


四 主たる事務所及びその他の事務所の所在地

五 社員の資格の得喪に関する事項

六 役員に関する事項

七 会議に関する事項

八 資産に関する事項

九 会計に関する事項

十 収益事業を行う場合には、その種類その他その収益事業に関する事項


十一 解散に関する事項

十二 定款の変更に関する事項

十三 公告の方法

2 設立当初の役員は、定款で定めなければならない。

3 第一項第十一号に掲げる事項中に残余財産の帰属すべき者に関する規定を設ける場合には、その者は、特定非営利活動法人その他次に掲げる者のうちから選定されるようにしなければならない。


一 国又は地方公共団体

二 民法第三十四条の規定により設立された法人

三 私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第三条に規定する学校法人


四 社会福祉事業法(昭和二十六年法律第四十五号)第二十二条に規定する社会福祉法人


五 更正保護事業法(平成七年法律第八十六号)第二条第六項に規定する更正保護法人


(認証の基準等)

第十二条 所轄庁は、第十条第一項の認証の申請が次の各号に適合すると認めるときは、その設立を認証しなければならない。


一 設立の手続並びに申請書及び定款の内容が法令の規定に適合していること。


二 当該申請に係る特定非営利活動法人が第二条第二項に規定する団体に該当するものであること。


三 当該申請に係る特定非営利活動法人が暴力団(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第二号に規定する暴力団をいう。以下この号において同じ。)又は暴力団若しくはその構成員(暴力団の構成団体の構成員を含む。)の統制の下にある団体でないこと。


四 当該申請に係る特定非営利活動法人が十人以上の社員を有するものであること。


2 前項の規定による認証又は不認証の決定は、正当な理由がない限り、第十条第二項の期間を経過した日から二月以内に行わなければならない。


3 所轄庁は、第一項の規定により不認証の決定をしたときは、速やかに、理由を付した書面をもって当該申請をした者にその旨を通知しなければならない。


(成立の時期等)

第十三条 特定非営利活動法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立する。


2 特定非営利活動法人は、前項の登記をしたときは、遅滞なく、当該登記をしたことを証する登記簿謄本を添付した届出書を所轄庁に提出しなければならない。


(民法の準用)

第十四条 民法第五十一条第一項(法人の設立の時に関する部分に限る。)の規定は、特定非営利活動法人の設立について準用する。


第三節 管理

(役員の定数)

第十五条 特定非営利活動法人には、役員として、理事三人以上及び監事一人以上を置かなければならない。


(理事の代表権)

第十六条 理事は、すべて特定非営利活動法人の業務について、特定非営利活動法人を代表する。ただし、定款をもって、その代表権を制限することができる。


(業務の決定)

第十七条 特定非営利活動法人の業務は、定款に特別の定めのないときは、理事の過半数をもって決する。


(監事の職務)

第十八条 監事は、次に掲げる職務を行う。

一 理事の業務執行の状況を監査すること。

二 特定非営利活動法人の財産の状況を監査すること。

三 前二号の規定による監査の結果、特定非営利活動法人の業務又は財産に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを発見した場合には、これを社員総会又は所轄庁に報告すること。


四 前号の報告をするために必要がある場合には、社員総会を招集すること。


五 理事の業務執行の状況又は特定非営利活動法人の財産の状況について、理事に意見を述べること。


(監事の兼職禁止)

第十九条 監事は、理事又は特定非営利活動法人の職員を兼ねてはならない。


(役員の欠格事由)

第二十条 次の各号のいずれかに該当する者は、特定非営利活動法人の役員になることができない。


一 禁治産者又は準禁治産者

二 破産者で復権を得ないもの

三 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わった日又はその執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者


四 この法律若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定(同法第三十一条第七項の規定を除く。)に違反したことにより、又は刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わった日又はその執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者


五 第四十三条の規定により設立の認証を取り消された特定非営利活動法人の解散当時の役員で、設立の認証を取り消された日から二年を経過しない者


(役員の親族等の排除)

第二十一条 役員のうちには、それぞれの役員について、その配偶者若しくは三親等以内の親族が一人を超えて含まれ、又は当該役員並びにその配偶者及び三親等以内の親族が役員の総数の三分の一を超えて含まれることになってはならない。


(役員の欠員補充)

第二十二条 理事又は監事のうち、その定数の三分の一を超える者が欠けたときは、遅滞なくこれを補充しなければならない。


(役員の変更等の届出)

第二十三条 特定非営利活動法人は、その役員の氏名又は住所若しくは居所に変更があったときは、遅滞なくその旨を所轄庁に届け出なければならない。


2 特定非営利活動法人は、役員が新たに就任した場合(任期満了と同時に再任された場合を除く。)において前項の届出をするときは、当該役員に係る第十条第一項第二号ロ及びハに掲げる書類を所轄庁に提出しなければならない。


(役員の任期)

第二十四条 役員の任期は、二年以内において定款で定める期間とする。ただし、再任を妨げない。


(定款の変更)

第二十五条 定款の変更は、定款で定めるところにより、社員総会の議決を経なければならない。


2 前項の議決は、社員総数の二分の一以上が出席し、その出席者の四分の三以上の多数をもってしなければならない。ただし、定款に特別の定めがあるときは、この限りでない。


3 定款の変更(第十一条第一項第四号に掲げる事項に係るもの(所轄庁の変更を伴わないものに限る。)並びに同項第八号及び第十三号に掲げる事項に係るもの(第六項において「軽微な事項に係る定款の変更」という。)を除く。)は、所轄庁の認証を受けなければ、その効力を生じない。


4 特定非営利活動法人は、前項の認証を受けようとするときは、当該定款の変更を議決した社員総会の議事録の謄本及び変更後の定款を添付した申請書を、所轄庁に提出しなければならない。


5 第十条第二項及び第十二条の規定は、第三項の認証について準用する。


6 特定非営利活動法人は、軽微な事項に係る定款の変更をしたときは、遅滞なくその旨を所轄庁に届け出なければならない。


第二十六条 所轄庁の変更を伴う定款の変更に係る前条第四項の申請書は、変更前の所轄庁を経由して変更後の所轄庁に提出するものとする。


2 前項の場合においては、前条第四項の添付書類のほか、第十条第一項第二号イ及び第四号に掲げる書類並びに直近の第二十八条第一項に規定する事業報告書等(設立後当該書類が作成されるまでの間は第十条第一項第八号に掲げる書類、合併後当該書類が作成されるまでの間は第三十五条第一項の財産目録)を申請書に添付しなければならない。


3 第一項の場合において、当該定款の変更を認証したときは、所轄庁は、総理府令で定めるところにより、遅滞なく、変更前の所轄庁から事務の引継ぎを受けなければならない。


(会計の原則)

第二十七条 特定非営利活動法人の会計は、この法律に定めるもののほか、次に掲げる原則に従って、行わなければならない。


一 収入及び支出は、予算に基づいて行うこと。

二 会計簿は、正規の簿記の原則に従って正しく記帳すること。

三 財産目録、貸借対照表及び収支計算書は、会計簿に基づいて収支及び財政状態に関する真実な内容を明りょうに表示したものとすること。


四 採用する会計処理の基準及び手続については、毎年(事業年度を設けている場合は、毎事業年度。次条第一項及び第二十九条第一項において同じ。)継続して適用し、みだりにこれを変更しないこと。


(事業報告書等の備置き等及び閲覧)

第二十八条 特定非営利活動法人は、毎年初めの三月以内に、総理府令で定めるところにより、前年(事業年度を設けている場合は、前事業年度。以下この項において同じ。)の事業報告書、財産目録、貸借対照表及び収支計算書(次項、次条及び第四十三条第一項において「事業報告書等」という。)並びに役員名簿(前年において役員であったことがある者全員の氏名及び住所又は居所を記載した名簿をいう。)、当該役員名簿に記載された者のうち前年において報酬を受けたことがある者全員の氏名を記載した書面並びに社員のうち十人以上の者の氏名(法人にあっては、その名称及び代表者の氏名)及び住所又は居所を記載した書面(次項、次条及び第四十三条第一項において「役員名簿等」という。)を作成し、これらを、その年の翌々年(事業年度を設けている場合は、翌々事業年度)の末日までの間、主たる事務所に備え置かなければならない。


2 特定非営利活動法人は、その社員その他の利害関係人から事業報告書等(設立後当該書類が作成されるまでの間は第十条第一項第八号に掲げる書類、合併後当該書類が作成されるまでの間は第三十五条第一項の財産目録。次条第二項において同じ。)、役員名簿等又は定款若しくはその認証若しくは登記に関する書類の写し(次条及び第四十三条第一項において「定款等」という。)の閲覧の請求があった場合には、正当な理由がある場合を除いて、これを閲覧させなければならない。


(事業報告書等の提出及び公開)

第二十九条 特定非営利活動法人は、総理府令で定めるところにより、毎年一回、事業報告書等、役員名簿等及び定款等(その記載事項に変更があった定款並びに当該変更に係る認証及び登記に関する書類の写しに限る。)を所轄庁に提出しなければならない。


2 所轄庁は、特定非営利活動法人から提出を受けた事業報告書等若しくは役員名簿等(過去三年間に提出を受けたものに限る。)又は定款等について閲覧の請求があった場合には、総理府令で定めるところにより、これを閲覧させなければならない。


(民法の準用)

第三十条 民法第五十四条から第五十七条まで及び第六十条から第六十六条までの規定は、特定非営利活動法人の管理について準用する。この場合において、同法第五十六条中「裁判所ハ利害関係人又ハ検察官ノ請求ニ因リ」とあるのは、「所轄庁ハ利害関係人ノ請求ニ因リ又ハ職権ヲ似テ」と読み替えるものとする。


第四節 解散及び合併

(解散事由)

第三十一条 特定非営利活動法人は、次に掲げる事由によって解散する。


一 社員総会の決議

二 定款で定めた解散事由の発生

三 目的とする特定非営利活動に係る事業の成功の不能

四 社員の欠亡

五 合併

六 破産

七 第四十三条の規定による設立の認証の取消し

2 前項第三号に掲げる事由による解散は、所轄庁の認定がなければ、その効力を生じない。


3 特定非営利活動法人は、前項の認定を受けようとするときは、第一項第三号に掲げる事由を証する書面を、所轄庁に提出しなければならない。


4 清算人は、第一項第一号、第二号、第四号又は第六号に掲げる事由によって解散した場合には、遅滞なくその旨を所轄庁に届け出なければならない。


(残余財産の帰属)

第三十二条 解散した特定非営利活動法人の残余財産は、合併及び破産の場合を除き、所轄庁に対する清算結了の届出の時において、定款で定めるところにより、その帰属すべき者に帰属する。


2 定款に残余財産の帰属すべき者に関する規定がないときは、清算人は、所轄庁の認証を得て、その財産を国又は地方公共団体に譲渡することができる。


3 前二項の規定により処分されない財産は、国庫に帰属する。

(合併)

第三十三条 特定非営利活動法人は、他の特定非営利活動法人と合併することができる。


(合併手続)

第三十四条 特定非営利活動法人が合併するには、社員総会の議決を経なければならない。


2 前項の議決は、社員総数の四分の三以上の多数をもってしなければならない。ただし、定款に特別の定めがあるときは、この限りでない。


3 合併は、所轄庁の認証を受けなければ、その効力を生じない。

4 特定非営利活動法人は、前項の認証を受けようとするときは、第一項の議決をした社員総会の議事録の謄本を添付した申請書を、所轄庁に提出しなければならない。


5 第十条及び第十二条の規定は、第三項の認証について準用する。


第三十五条 特定非営利活動法人は、前条第三項の認証があったときは、その認証の通知のあった日から二週間以内に、財産目録及び貸借対照表を作成し、次項の規定により債権者が異議を述べることができる期間が満了するまでの間、これをその主たる事務所に備え置かなければならない。


2 特定非営利活動法人は、前条第三項の認証があったときは、その認証の通知のあった日から二週間以内に、その債権者に対し、合併に異議があれば一定の期間内に述べるべきことを公告し、かつ、判明している債権者に対しては、各別にこれを催告しなければならない。この場合において、その期間は、二月を下回ってはならない。


第三十六条 債権者が前条第二項の期間内に異議を述べなかったときは、合併を承認したものとみなす。


2 債権者が異議を述べたときは、特定非営利活動法人は、これに弁済し、若しくは相当の担保を供し、又はその債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社若しくは信託業務を営む銀行に相当の財産を信託しなければならない。ただし、合併をしてもその債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。


第三十七条 合併により特定非営利活動法人を設立する場合においては、定款の作成その他特定非営利活動法人の設立に関する事務は、それぞれの特定非営利活動法人において選任した者が共同して行わなければならない。


(合併の効果)

第三十八条 合併後存続する特定非営利活動法人又は合併によって設立した特定非営利活動法人は、合併によって消滅した特定非営利活動法人の一切の権利義務(当該特定非営利活動法人がその行う事業に関し行政庁の認可その他の処分に基づいて有する権利義務を含む。)を承継する。


(合併の時期等)

第三十九条 特定非営利活動法人の合併は、合併後存続する特定非営利活動法人又は合併によって設立する特定非営利活動法人の主たる事務所の所在地において登記をすることによって、その効力を生ずる。


2 第十三条第二項の規定は、前項の登記をした場合について準用する。


(民法等の準用)

第四十条 民法第六十九条、第七十条、第七十三条から第七十六条まで、第七十七条第二項(届出に関する部分に限る。)及び第七十八条から第八十三条まで並びに非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第三十五条第二項、第三十六条、第三十七条ノ二、第百三十六条から第百三十七条まで及び第百三十八条の規定は、特定非営利活動法人の解散及び清算について準用する。この場合において、民法第七十七条第二項及び第八十三条中「主務官庁」とあるのは、「所轄庁」と読み替えるものとする。


第五節 監督

(報告及び検査)

第四十一条 所轄庁は、特定非営利活動法人が法令、法令に基づいてする行政庁の処分又は定款に違反する疑いがあると認められる相当な理由があるときは、当該特定非営利活動法人に対し、その業務若しくは財産の状況に関し報告をさせ、又はその職員に、当該特定非営利活動法人の事務所その他の施設に立ち入り、その業務若しくは財産の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。


2 所轄庁は、前項の規定による検査をさせる場合においては、当該検査をする職員に、同項の相当の理由を記載した書面を、当該特定非営利活動法人の役員その他の当該検査の対象となっている事務所その他の施設の管理について権限を有する者(以下この項において「特定非営利活動法人の役員等」という。)に提示させなければならない。この場合において、当該特定非営利活動法人の役員等が当該書面の交付を要求したときは、これを交付させなければならない。


3 第一項の規定による検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。


4 第一項の規定による検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。


(改善命令)

第四十二条 所轄庁は、特定非営利活動法人が第十二条第一項第二号、第三号又は第四号に規定する要件を欠くに至ったと認めるときその他法令、法令に基づいてする行政庁の処分若しくは定款に違反し、又はその運営が著しく適正を欠くと認めるときは、当該特定非営利活動法人に対し、期限を定めて、その改善のために必要な措置を採るべきことを命ずることができる。


(設立の認証の取消し)

第四十三条 所轄庁は、特定非営利活動法人が、前条の命令に違反した場合であって他の方法により監督の目的を達することができないとき又は三年以上にわたって第二十九条第一項の規定による事業報告書等、役員名簿等又は定款等の提出を行わないときは、当該特定非営利活動法人の設立の認証を取り消すことができる。


2 所轄庁は、特定非営利活動法人が法令に違反した場合において、前条の命令によってはその改善を期待することができないことが明らかであり、かつ、他の方法により監督の目的を達することができないときは、同条の命令を経ないでも、当該特定非営利活動法人の設立の認証を取り消すことができる。


3 前二項の規定による設立の認証の取消しに係る聴聞の期日における審理は、当該特定非営利活動法人から請求があったときは、公開により行うよう努めなければならない。


4 所轄庁は、前項の規定による請求があった場合において、聴聞の期日における審理を公開により行わないときは、当該特定非営利活動法人に対し、当該公開により行わない理由を記載した書面を交付しなければならない。


第六節 雑則

(情報の提供)

第四十四条 経済企画庁長官は、第九条第二項の特定非営利活動法人の事務所が所在する都道府県の知事に対し、第二十九条第二項の閲覧に係る書類の写し(この項の規定により既に送付したものを除く。)を送付しなければならない。


2 第九条第二項の特定非営利活動法人は、総理府令で定めるところにより、前項の書類の写しを経済企画庁長官に提出しなければならない。


3 都道府県の知事は、条例で定めるところにより、第一項の規定により送付を受けた書類の写しを閲覧させることができる。


(実施規定)

第四十五条 この章に定めるもののほか、この章の規定の実施のための手続その他その執行に関し必要な細則は、総理府令で定める。


第三章 税法上の特例

第四十六条 特定非営利活動法人は、法人税法(昭和四十年法律第三十四号)その他法人税に関する法令の規定の適用については、同法第二条第六号に規定する公益法人等とみなす。この場合において、同法第三十七条の規定を適用する場合には同条第三項中「公益法人等」とあるのは「公益法人等(特定非営利活動促進法(平成十年法律第 号)第二条第二項に規定する法人(以下「特定非営利活動法人」という。)を除く。)」と、同条第四項中「公益法人等」とあるのは「公益法人等(特定非営利活動法人を除く。)」と、同法第六十六条の規定を適用する場合には同条第一項及び第二項中「普通法人」とあるのは「普通法人(特定非営利活動法人を含む。)」と、同条第三項中「公益法人等」とあるのは「公益法人等(特定非営利活動法人を除く。)」と、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第六十八条の六の規定を適用する場合には同条中「みなされているもの」を「みなされているもの(特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する法人については、小規模な法人として政令で定めるものに限る。)」とする。


2 特定非営利活動法人は、消費税法(昭和六十三年法律第百八号)その他消費税に関する法令の規定の適用については、同法別表第三に掲げる法人とみなす。


3 特定非営利活動法人は、地価税法(平成三年法律第六十九号)その他地価税に関する法令の規定(同法第三十三条の規定を除く。)の適用については、同法第二条第六号に規定する公益法人等とみなす。ただし、同法第六条の規定による地価税の非課税に関する法令の規定の適用については、同法第二条第七号に規定する人格のない社団等とみなす。


第四章 罰則

第四十七条 第四十二条の規定による命令に違反した者は、五十万円以下の罰金に処する。


第四十八条 特定非営利活動法人の代表者又は代理人、使用人その他の従業者が、その特定非営利活動法人の業務に関して前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その特定非営利活動法人に対しても同条の刑を科する。


第四十九条 次の各号の一に該当する場合においては、特定非営利活動法人の理事、監事又は清算人は、二十万円以下の過料に処する。


一 第七条第一項の規定による政令に違反して、登記することを怠ったとき。


二 第十四条において準用する民法第五十一条第一項の規定に違反して、財産目録を備え置かず、又はこれに記載すべき事項を記載せず、もしくは不実の記載をしたとき。


三 第二十三条第一項又は第二十五条第六項の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。


四 第二十八条第一項の規定に違反して、書類を備え置かず、又はこれに記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をしたとき。


五 第二十九条第一項の規定に違反して、書類の提出を怠ったとき。


六 第三十五条第一項の規定に違反して、書類の作成をせず、又はこれに記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をしたとき。


七 第三十五条第二項又は第三十六条第二項の規定に違反したとき。


八 第四十条において準用する民法第七十条第二項又は第八十一条第一項の規定に違反して、破産宣告の請求をしなかったとき。


九 第四十条において準用する民法第七十九条第一項又は第八十一条第一項の規定に違反して、公告をせず、又は不正の公告をしたとき。


第五十条 第四条の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。


附則

(施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。


(検討)

2 特定非営利活動法人制度については、この法律の施行の日から起算して三年以内に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。


(経過措置)

3 この法律の施行の日から六月を経過する日までの間に行われた第十条第一項の認証の申請についての第十二条第二項の規定の適用については、同項中「二月以内」とあるのは、「この法律の施行後十月以内」とする。


(地方税法の一部改正)

4 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。 


 第二十四条第五項中「地縁による団体並びに」を「地縁による団体、」に改め、「政治団体」の下に「並びに特定非営利活動促進法(平成十年法律第 号)第二条第二項に規定する法人」を加える。


 第五十二条第二項第三号中「地縁による団体並びに」を「地縁による団体、」に改め、「政治団体」の下に「並びに特定非営利活動促進法第二条第二項に規定する法人」を加える。


 第五十三条第十二項中「公益法人等」の下に「(特定非営利活動促進法第二条第二項に規定する法人を含む。)」を加える。


 第七十二条の五第一項に次の一号を加える。

 十二 特定非営利活動促進法第二条第二項に規定する法人

 第二百九十四条第七項、第三百十二条第三項第三号及び第七百一条の三十四第二項中「地縁による団体並びに」を「地縁による団体、」に改め、「政治団体」の下に「並びに特定非営利活動促進法第二条第二項に規定する法人」を加える。


(経済企画庁設置法の一部改正)

5 経済企画庁設置法(昭和二十七年法律第二百六十三号)の一部を次のように改正する。


 第四条第十号の次に次の一号を加える。

 十の二 特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)の施行に関する事務を処理すること(都道府県の事務に属するものを除く。)。


 第五条第六号の次に次の一号を加える。

 六の二 特定非営利活動促進法に基づく所轄庁としての権限並びに同法の委任に基づく総理府令の制定及び改廃について内閣総理大臣を補佐すること。


別表(第二条関係)

一 保健、医療又は福祉の増進を図る活動

二 社会教育の推進を図る活動

三 まちづくりの推進を図る活動

四 文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動

五 環境の保全を図る活動

六 災害救援活動

七 地域安全活動

八 人権の擁護又は平和の推進を図る活動

九 国際協力の活動

十 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動

十一 子どもの健全育成を図る活動

十二 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動

 

◆特定非営利活動促進法案に対する附帯決議

参議院労働・社会政策委員会

平成十年三月三日

 特定非営利活動の健全な発展に資するため、次の事項について、それぞれ所要の措置を講ずるものとする。

一、この法案の施行に当たっては、憲法に規定する信教、結社及び表現の自由に配意し、特定非営利活動の自主性を損なうことのないよう努めること。
二、特定非営利活動法人に関し、その活動の実態等を踏まえつつ、税制を含め、その見直しについて、法律の施行の日から起算して二年以内に検討し、結論を得るものとすること。
三、民法第三十四条の公益法人制度を含め、営利を目的としない法人の制度については、今後、総合的に検討を加えるものとすること。
四、中央省庁の再編に際しては、この法律の所管及びその施行について、新たな観点から、責任ある推進体制となるよう十分な配慮をすること。

 右、決議する。

 

特定非営利活動促進法案に対する附帯決議

衆議院内閣委員会

平成十年三月十七日

 特定非営利活動の健全な発展に資するため、次の事項について、それぞれ所要の措置を講ずるものとする。

一、この法案の施行及び運用に当たっては、憲法に規定する信教、結社及び表現の自由が侵害されることがないように配意し、特定非営利活動法人の自主性を十分尊重するとともに、法律の趣旨、国会における審議を踏まえ、公正かつ透明な行政運営に努めること。
二、特定非営利活動法人に関し、その活動の実態等を踏まえつつ、特定非営利活動の推進及び支援のための税制等を含めた、制度の見直しについて、この法律の施行の日から起算して二年以内に検討し、結論を得るものとすること。
三、民法第三十四条の公益法人制度を含め、営利を目的としない法人の制度については、今後、総合的に検討を加えるものとすること。
四、別表十二項目に関しては、多様な特定非営利活動を含むように広く運用するよう努めること。
五、中央省庁の再編に際しては、この法律の所管及びその施行について、新たな観点から、責任ある推進体制となるよう十分な配慮をすること。

 右、決議する。

 
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■■経緯

■新聞紙上のNPO

※立岩真也 19960229 「資料:新聞紙上のNPO/NPO法制化を巡る動向」(千葉大学文学部社会学研究室『NPOが変える!?──非営利組織の社会学』)より

 NPOという語が記事中にある記事を検索した結果★01を以下にまとめる(NP
Oが非営利組織を意味しない無関係の記事は除外した。また『毎日新聞』の1995年
の34件のうち10件は「阪神大震災の人々を応援する市民の会」(略称:NPO応援
団)をとりあげたもの)。いうまでもなくNPOという語を使わずに非営利民間組
織について報道するあるいは論評する記事は他にも多数ある。だが,一つの参考に
はなるだろう。
 なお,次に付した年表(のようなもの)を併せて見ていただきたい。

     1990 1991 1992 1993 1994 1995 計
朝日         3   1   5  62  71
毎日         2   2   4  37  45
読売     1   1   1   2   2  21  28
計     1   1   6   5  11 120 144

 以上の3紙では,NPOという語は,アメリカのNPO(非営利機構と訳されて
いる)で市民グループの依頼を受けて広告キャンペーンを展開する「パブリック・
メディア・センター」と「FCT/子どものテレビの会・市民のテレビの会」との
交流会について伝える1990年4月16日の『読売新聞』の記事に最初に現れている。
また91年の記事はドラッカーの著書の紹介である。
 92年から94年の記事は,集会やシンポジウムの案内・紹介が多い。中でも比較的
大きく扱われているのは,92年10月31日から11月8日にかけて川崎・大阪・名古屋
で開催された日本ネットワーク会議主催のフォーラム「ネットワーキングを形に!
──個人と社会の新しいあり方を考える」,そして94年4月23日のシンポジウム
「市民活動を支える制度を考える」(→第1章)である。政府関係の記事としては
94年7月の国民生活審議会の総合政策部会市民意識と社会参加活動委員会の報告
「自覚と責任ある社会へ」の内容を伝えるものがある(→第1章)。
 新聞(記者)側の意見を表明しているものとしては,
 94年1月23日の『読売』の「異見小見」に「論議深めたい「公益法人」」:「…
 市民活動先進国である米国では,公益型法人(NPO)が財政基盤の確立を狙っ
て多彩な有料イベントを催しているが,収益を公益活動に使うなら一切非課税。法
人の設立自体が,州政府への届け出だけで済む。/わが国でも,公益法人の課税見
直しと同時に,制度の在り方も含めた論議を深めたらいい。それは,行政改革にも
つながる道だ。」
 94年10月30日『読売』社説「さらに広がれボランティア」:「… アメリカには,
NPO(非営利民間法人)の制度があって,税の減免や寄付金の税控除などの優遇
措置がある。直輸入はできまいが,何らかの形で法人化のための条件を緩和する工
夫が求められる。」
 95年1月16日『毎日』社説「NPO「草の根組織」の法人化を」:「… 当然な
がら,米国の制度をそのまま直輸入するだけで問題の解決にはならない。もとより
市民団体も社会的責任をより自覚して行政の下請け的な存在から脱皮して政策提案
を行う組織力の強化も必要である。/しかし,住民参加なくして近未来に迫った高
齢化社会は成立し得ないことを十分に認識し,政策の根本的な転換がより重要であ
る。/株式会社などの営利組織よりも,善意の非営利団体の方が法人格の取得が困
難である矛盾は,一日も早く解消しなければならない。」他に同紙では社説「ボラ
ンティア 震災直後の熱意はどこへ」(95年9月18日),中村啓三編集委員の[望
雲観風]として,「非営利団体が育つ社会に」(95年1月26日),「再開発で文化
の創造を」(95年2月2日),「ボランティアの原点」(95年2月9日)。
 95年11月26日『朝日』社説「市民が活動しやすい法案を」:「ボランティア運動
などをしている市民団体の活動をしやすくするための法案づくりが難航している。
/当事者である市民団体は,一定の条件を満たせばだれでも法人格を得られる登録
制を求めているのに対して,認可制にして役所の権限の及ぶところに置いておきた
いという考え方が,法制化を進めている政党のなかに根強いからだ。… 

★01 NIFTY-Serve の新聞記事データベースを使用。『日本経済新聞』が抜けてい
るのは使用料金が高かったためである。

■民間

9004  「パブリック・メディア・センター」(NPOの広告代理店)との交流会
    『読売』
920413 [もよおし]NGO広場「日本のNPO、その発展条件を考える」ほか
    『毎日』
921031〜第2回ネットワーカーズ・フォーラム
    「ネットワーキングを形に!―個人と社会の新しいあり方を考える」
    『毎日』『朝日』
940414 講演「もうひとつの「日本改造」論―新しい日本社会は企業とNPOの協働で生
    まれる」(播磨靖夫)日本フィランソロピー協会 [知]
    『毎日』
9405  「市民活動を支える制度を考える」
    『毎日』『朝日』
940715 NPO研究会主催の集い
    『朝日』宮城版
950121 とよなか国際交流協会 国際シンポジウム「新しい私が新しい社会をつくる―参    加と行動、共感と共生、育てNPO!」
    『毎日』『朝日』『朝日』

□法制化

950224 NPO研究フォーラム 緊急提言
    『朝日』
950415 「市民活動を支える制度をつくる会シーズ」,「NPO研究フォーラム」,「市    民公益活動の基盤整備を考える会」が集まり「市民活動の制度に関する連絡会」    を発足させる
    『朝日』
950624 「市民活動の制度に関する連絡会」公開フォーラム「市民活動の制度を考える」    大阪市
    『朝日』

950701 大阪青年会議所(JC)が「21世紀地球市民社会フォーラム」
    『朝日』『朝日』
 もともと国には税制優遇枠の拡大には抵抗感がある。シンポジウムでパネリストの
森信茂樹・大蔵省税制第二課長は、「税は国会の議決を経て収支を行うもの。優遇・
免税は国への回路を経ないで、収入者が直接使用することであり、原則論としては民
主主義の否定につながらないか」と述べた。
 ……
 NPOフォーラムの簡易な法人化提案は、いったん許可されると公開義務もなく優
遇を受ける今の制度への批判を含む。この点、現行公益法人の一種である宗教法人オ
ウム真理教の事件は、「公開」要求と同時に、一層の「許可基準の強化」という両作
用を生み、微妙な影を落としそうだ。(勲)
◆000037 (T950711E09--03)
市民団体の法人化 税制優遇望むが、国は消極的(単眼複眼)
95.07.11 夕刊 9頁 文化 写図無 (全964字)


シーズ・法案検討委員会
3月 「市民活動を支援する2つの法律に関する提言」
「市民活動推進法(試案)」
0821 p.
1016 p.
   QA
   意見

■政党

0215  連立与党 初会合
0628  連立与党NPOプロジェクトチーム 記者会見
    「市民活動促進法案」(仮称)
    『毎日』0629 『朝日』0629
0630  合意
0724  情報公開法など年内に方針固め 与党合意
95.07.25 朝刊 2頁 2総 写図無 (全143字)
 二十四日の与党党首会談で、行革に関して(1)情報公開法の制定(2)官邸機能
の強化にかかわる内閣法改正(3)審議会の公開(4)公務員の一括採用の推進(5)
NGO(非政府組織)やNPO(非営利組織)の活動を支援する立法――の五点につ
いて、予算措置も含めて年内に方針を固めることで合意した。
    『朝日』
1020  公益法人課税強化が浮上 宗教法人も対象に 与党税調
    『朝日』
1117  連立与党 「市民活動促進法案」(仮称)の原案・税制面での優遇措置を適用す    る「税制改正要望」を決定
    『毎日』1117『朝日』1118
 連立与党のNPO(非営利組織)プロジェクトチームは十七日、ボランティア組織
など、営利を目的としない市民団体に法人格を付与して活動を支援する「市民活動促
進法案」(仮称)の骨子と、法人化に伴う税制上の優遇措置などをまとめた。すでに
国会に提出されている新進党の案と比べると、法人になるための要件を緩和している
のが特徴。週明けの与党政策調整会議と与党税制改革プロジェクトにはかり、次の通
常国会への提出をめざす方針だ。
 法案は、対象となる団体を環境、国際協力、福祉など市民生活や福祉向上の事業を
行う「市民活動団体」と定義。税制面では原則非課税とし、収益事業のみを課税対象
としている。さらに、一定の活動実績を見て、当局と協議のうえ公益性が高いと認定
した「特定市民活動法人」(仮称)については、寄付金に対する税控除措置を講じる
としている。
 新進党案との違いは、法人格の取得要件を二つの側面で緩和している点。新進党案
は、(1)構成メンバーが十人以上(2)基本基金五十万円以上などの条件を付けて
いるのに対し、与党案は数人のメンバーがそろえば資金要件は問わないことにした。
 さらに、新進党案では都道府県知事が法人格の取得を「認可」するとしているのに
対して、与党案は「認証」とした。これは、資格審査がより厳重な「認可」では、行
政の介入につながるとして、市民団体などから反発が強いことから、定款について書
類上不備がなければ認められる「認証」にしたもの。
 ただ、歯止めとして、事業報告、財務諸表などについて届け出るよう「情報開示」
を義務づけ、情報開示が三年間なかった場合や、定款に違反があった場合には認証の
取り消し、裁判所による解散命令ができるようにした。(『朝日』)

0309  社会党 「95年宣言」中執案
    『朝日』
05   「95年宣言」
    『朝日』0528
    「NGO、非営利組織(NPO)、環境保護、生活協同組合運動などと連帯」
1116  「憲法精神を具体化」 社会党新党の理念案提示 結成準備会
 【新党づくりの基本姿勢】社会民主主義勢力、リベラル勢力、民主主義者の結集。
政治家、有識者、市民運動団体、生協、労働団体、NGO(非政府組織)、NPO
(非営利組織)の総結集をめざす。
    
0707  新党さきがけとローカルパーティー「神奈川ネットワーク運動」(又木京子代表)
    7項目の「政治契約」(政策協定)
    「(2)NPO(非営利団体)、NGO(非政府組織)を支援する」
    『朝日』

□新進党

0518  新進党 法案
    『朝日』

0627  新進党のNPOパートナーズ(河村たかし座長) 6月27日
「市民公益活動を行う団体に対する法人格の付与等に関する法律案(骨子)」
「市民公益法人」
(『読売新聞』0628)

1)市民団体は,基本基金100万円以上をもっている等の要件を満たしているとき,
2)都道府県知事の認可によって市民公益法人になることができる。
3)基本基金は常に保有する必要がある。
4)知事は市民公益法人の業務及び財産を検査でき,改善命令や業務停止命令を出すことができる。
5)知事は設立の認可を取り消すことができる。
6)市民公益法人には郵便料金の割引が適用される。
7)市民公益法人協会を設立し,会員である市民公益事業報告書等の情報公開業務を行う。8)大蔵大臣が認可した「特定市民公益法人」に関しては,課税上の優遇措置及び寄付金控除対象資格を与える。(第4号)

1)法人の規模,地域性など制限が多すぎ市民活動の発展を阻害する恐れがある。
2)都道府県知事の認可,監督がついてまわり実質上,官庁が市民活動をコントロールする内容である。
3)「特定市民公益法人」への申請ルートも,主務官庁が市民公益協会に変わっただけで実質的違いが不明である。
4)対象団体の「活動内容」が明確でなく,同好会的団体や地域のクラブ,選挙の後援会,宗教団体などの方が利用者として予想できる。
等(第4号)

1107  新進党 法案 新進党NPO議員立方専門委員会(河村たかし座長)
    『朝日』

■行政

□国

940701 国民生活審議会(首相の諮問機関、会長・加藤一郎成城学園長)の総合政策部会は一日、市民意識と社会参加活動委員会の報告「自覚と責任ある社会へ」をまとめた。重要さを増す社会参加活動を中心的に担う非営利組織(NPO)、非政府組織(NGO)への支援策として、法人格を取りやすい「中間法人」制度の創設を提唱しているのが最大の特徴。『毎日』

18省庁「ボランティア問題に関する関係省庁連絡会議」
 第4回 6月12日

経済企画庁 「市民公益活動団体実態把握調査」
 10月末
 3月

□東京都

0620  青島東京都知事所信表明
    『朝日』『朝日』『朝日』
「地方自治の原点である住民自治を活性化させるため、都民や市民団体と都政の間に新しいパートナーシップを築く。ボランティア、NPO(民間の非営利団体)などと、どう連携すべきかを検討する。」(要旨)

 
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 新聞(上記の3紙),及び「インターVネット」(→第1章付論2)中の会議室
【市民活動を支える制度】(シーズが情報を提供→第1章)に掲載されている情報
★02等をもとに,ここ数年,特に1995年になってからの動向を簡単にまとめた。な
おいくつかの法案等はこの会議室に全文が収録されている。後で少し法案の内容を
少し紹介するが十分なものではない。収録先を注に記したので参考にしていただき
たい。

9004  「パブリック・メディア・センター」(米国のNPO)との交流会
    (『読売』0416)

920413 NGO広場「日本のNPO,その発展条件を考える──USA・欧州NP
    Oの調査報告と,意見交換」(『毎日』0413)
921031〜第2回ネットワーカーズ・フォーラム「ネットワーキングを形に!──個
    人と社会の新しいあり方を考える」(『毎日』1015『朝日』1104,栗原
    [1992],丸山[1993])

9402  ニッセイ基礎研究所「市民活動に対する支援実態に関する調査」発行
940326 総合研究開発機構(NIRA)「市民公益活動基盤整備に関する調査研究」
    報告書を出版 (『朝日』0723「窓」欄に紹介)
940414 講演「もうひとつの「日本改造」論──新しい日本社会は企業とNPOの
    協働で生まれる」(播磨靖夫)日本フィランソロピー協会(『毎日』0408)
940423 シンポジウム「市民活動を支える制度を考える」開催(同実行委員会)
    (『朝日』0503『毎日』0516)「市民活動推進法・試案」(東京ランポ・
    バージョン),「公益寄付金税制の改善に関する提言・骨子案」(自由人
    権協会)を発表。
    →「市民活動を支える制度をつくる会」(シーズ)結成へ
940701 国民生活審議会(首相の諮問機関,会長・加藤一郎成城学園長)の総合政
    策部会市民意識と社会参加活動委員会報告「自覚と責任ある社会へ」。重
    要さを増す社会参加活動を中心的に担う非営利組織(NPO),非政府組
    織(NGO)への支援策として,法人格を取りやすい「中間法人」制度の
    創設を提唱しているのが最大の特徴。(『毎日』0702)
940715 NPO研究会(宮城県)主催の集い(『朝日』0713宮城版)
941030 『読売』社説「さらに広がれボランティア」
941105 市民活動を支える制度をつくる会シーズ結成(同日,発足記念イベント開
    催)(『朝日』1028)
941115 『朝日』社説「善意が根づく社会にするには」
941129 経済企画庁第14次国民生活審議会総合政策部会「個人の自立と社会参加」
941205 社会党が有志で「NPO推進のための作業委員会」発足(峰崎直樹参議院
    議員ら)
941212 新党さきがけ「NPS研究会報告書」発表
941214 新党さきがけが「NPS(ノン・プロフィット・セクター)支援問題検討
    プロジェクト」を発足(座長:梁瀬進)
941216 大磯研究会「日米交流の活性化のために:要望書」発表
    (日米交流を進めているNGO代表12人が政府に要望書を提出
94???? 総合研究開発機構(NIRA)が市民公益活動団体に関する法案の作成プ
    ロジェクトを発足(95年秋をめどに)

950116 『毎日』社説「NPO「草の根組織」の法人化を」
950117 阪神・淡路大震災
950120 大阪ボランティア協会と大阪YMCAなど「兵庫県南部地震・被災地の人
    々を応援する市民の会(略称:NPO応援団)」発足させる(『毎日』0121
    大阪本紙,同0215他)
950121 とよなか国際交流協会 国際シンポジウム「新しい私が新しい社会をつく
    る―参加と行動,共感と共生,育てNPO!」講演:レスター・サラモン他
    (『毎日』0114『朝日』0114大阪版)
950127 衆議院予算委員会の質問に対して五十嵐官房長官がボランティア支援立法
    の用意があることを回答
950203 18関係省庁による「ボランティア問題に関する関係省庁連絡会議」設置
    (座長:総務庁,事務局:経済企画庁)★03
950208 シーズ「ボランティア支援立法措置に関する要望書」を村山首相に提出
950215 連立与党NPOプロジェクトチーム結成,第1回会合を開く(座長:熊代
    昭彦衆議院議員=自民党)(『朝日』0216『毎日』0217)
950224 NPO研究フォーラム「NPO制度改革に関する緊急提言」発表★04
    (『朝日』0225夕刊)
950301 市民公益活動の基盤整備を考える会(NIRA調査研究関係者)「市民団
    体の法人化などに関する超党派的なとりくみに対する要望書」を各党に,
    「市民団体の法人化などの検討に対する要望」を首相に提出
950303 新進党の「明日の内閣」で「ボランティア基本法案」をとりまとめる。
    議員立法として参議院に提出へ。
950304 「震災復興支援・京都NPO連絡会」発足(『毎日』0307京都版,同0317
    京都版:0318シンポジウム,同0414京都版:0416コンサート)
950308 新進党「ボランティア基本法」を国会に提出(廃案となる)
950314 環境庁「法人格の取得方策など環境NGOの支援に関する研究会」発足
950315 シーズ,「市民活動を推進する2つの法律に関する提言・案」発表。
950317 自由人権協会「公益法人寄付金税制の改革に関する提言」を大蔵大臣に提出
9503  新進党NPOパートナーズ結成
950331 経済企画庁「社会参加活動推進システムについての調査研究」まとまる
950415 「市民活動を支える制度をつくる会シーズ」,「NPO研究フォーラム」,
    「市民公益活動の基盤整備を考える会」が集まり「市民活動の制度に関す
    る連絡会」を発足させる(『朝日』0424)
950426 「ボランティア問題に関する関係省庁連絡会議」,法人制度について,民
    間3団体(NPO研究フォーラム,シーズ,考える会)にヒヤリング
950513 シーズ「シンポジウム:政治は市民活動推進のために何をすべきか」を開催
950518 新進党「民間非営利公益活動法人格付与法案」(略称:NPO法案)をま
    とめる(『朝日』0519)→0627
950524 全国社会福祉協議会全国ボランティア活動振興センター「ボランティア活
    動支援に関する提言」を発表
9505  社会党「95年宣言」要旨「[政策目標」…NGO,非営利組織(NPO),
    環境保護,生活協同組合運動などと連帯。…」(『朝日』0528)
950612 18省庁「ボランティア問題に関する関係省庁連絡会議」第4回
950620 青島幸男東京都知事姿勢方針演説「…ボランティア,NPO(民間の非営
    利団体)などと,どう連携すべきかを検討する。…」(要旨)(『朝日』
    0618 0620 0621)
950624 「市民活動の制度に関する連絡会」他諸団体「公開フォーラム:市民活動
    の制度を考える」開催(大阪) NPO研究フォーラム,シーズ,市民活
    動の基盤整備を考える会(代表:木原勝彬)が各々の試案発表(『朝日』
    0623大阪版)
950627 新進党のNPO(市民公益団体)議員立法専門委員会(座長:河本たかし)
    「市民公益活動を行う団体に対する法人格の付与等に関する法案(骨子)」
    ★05と税制上の優遇措置を講じる法案を発表(『読売』0628)
950628 与党3党のNPOプロジェクトチームが記者会見 「市民活動促進法案
    (仮称)」に関する合意内容を発表(『朝日』0629『毎日』0629『読売』
    0629)
950630 与党3党による「3党合意の検証に立って新たに付け加えるべき当面の重
    点政策」に「非政府組織・非営利団体への法人格付与法の早期制定」を謳う。
950701 大阪青年会議所(JC)が「21世紀地球市民社会フォーラム」開催
    (『朝日』大阪0628夕刊,0711夕刊)
950704 与党NPOプロジェクトチームが市民団体6団体と意見交換会
950709 「市民活動推進センター設立委員会」(代表幹事:リングホーファー・マ
    ンフレッド,木原勝彬)発足記念シンポジウム(『朝日』0701奈良版)
950718 阪神・淡路復興委員会が村山首相に提出する「兵庫県,神戸市の復興計画
    に関する意見書」案(全11項目)要旨の9「…ボランティア活動にも大き
    な役割があり,NPO(非営利市民団体)・NGOによる新しい秩序の形
    成を期待したい。」
    (『読売』大阪0718)
950724 与党党首会談 行革に関し予算措置も含めて年内に方針を固めることで合
    意した5点中に,NGO(非政府組織)やNPO(非営利組織)の活動を
    支援する立法(『朝日』0725)
950804 シーズ月例フォーラムで新進党案を河村たかし議員が説明
950821 シーズ「市民活動推進法(試案)」発表
950918 『毎日』[社説]ボランティア 震災直後の熱意はどこへ
950926 さきがけ案骨子が公表される。★06
951016 シーズ・法案検討委員会,「市民活動推進法・試案」発表★07 経済企画
    庁に提出(『読売』東京1019)
951020 与党税調で公益法人課税強化が浮上(『朝日』1021)
951020 「NPO連絡会(仮称)」の準備会発足(『朝日』1015)
951102 シーズ・緊急フォーラム『市民活動の制度』の争点を問う〜立法上のポイ
    ントと今後の見通し パネラー:河村たかし(新進党)・堂本暁子(さき
    がけ)・伊藤道雄(NGO活動推進センター)・福島瑞穂(弁護士)他★08
951104 NPO連絡会 サンフランシスコで第1回日米NPO市民会議開催
    (『朝日』1015,1102「山岸秀雄さん 日米NPO市民会議を開く
    (ひと))
951107 新進党「市民公益法人格付与法案」国会に提出(『朝日』1108)
951117 連立与党の非営利民間組織(NPO)プロジェクトチーム「市民活動促進
    法案」(仮称)の原案と税制面での優遇措置を適用する「税制改正要望」
    を決定(『毎日』1118『朝日』1118) 1121の与党税制改革プロジェクト
    に報告(『読売』東京1121)
951123 「市民活動の発展を考える討論会」(名古屋)(『朝日』名古屋1108,1117
    愛知版)
951126 『朝日』社説「市民が活動しやすい法案を」
951205 シーズ主催のシンポジウム『与党3党「NPO法案」の目指すもの』★09
    ゲスト 熊代昭彦議員(自民党),五島正規議員(社会党),堂本暁子議
    員(さきがけ),他
951226 連立与党の「市民活動推進法案」明らかになる(『朝日』1227)

■法制化を巡る動向・政党

立岩真也 19960229 「資料:新聞紙上のNPO/NPO法制化を巡る動向」,(千葉大学文学部社会学研究室『NPOが変える!?――非営利組織の社会学』,第1章付論)より

 上に年表とした情報を別様に整理しながら,法制化を巡る動向を簡単にまとめる。
 見てきたように,ここ数年,主に民間の側でNPOに対する関心が高まっていた。また政府・政党による検討も始まっていた(→第1章)。1994年の12月5日には,社会党が有志で「NPO推進のための作業委員会」(峰崎直樹参議院議員ら)を発足させている。12月12日には,新党さきがけが「NPS研究会報告書」を発表,同14日には,「NPS(ノン・プロフィット・セクター)支援問題検討プロジェクト」を発足(座長:梁瀬進)させていた。
 1995年1月17日の関西大震災は各政党・政府においてその動きを加速させた。
 政府の対応については第1章と年表。現在は経済企画庁がNPOの法制化の必要性についての調査を進めている。法案の提出・審議については,各政党案の方が先行しそうな情勢のようだ。
 連立与党(自由民主党・日本社会党(1996年に社会民主党と改称)・新党さきがけ)は,95年2月に与党NPOプロジェクトチームを結成,15日に初会合,6月28日には記者会見し,そこまでの合意内容を発表した。それによると,「市民活動促進法案」(仮称)の内容は,法人制度の改善を主眼にしたもので,議員立法で,秋の臨時国会かその後の通常国会に提出をめざすとした(『毎日』0629,『朝日』0629)。また6月30日の与党3党による「3党合意の検証に立って新たに付け加えるべき当面の重点政策」でも「非政府組織・非営利団体への法人格付与法の早期制定」が謳われた。7月24日,24日の与党党首会談で行革に関し予算措置も含めて年内に方針を固めることで合意した5つの事項の5番目として,NGO(非政府組織)やNPO(非営利組織)の活動を支援する立法があげられた。(『朝日』0725)
 また,新党さきがけの政策調査会NGO支援検討部会が,9月26日に市民活動法人法案(堂本暁子部会長試案)を発表した。以下のような内容になっている。主務官庁は置かず,10人の会員と 100万円の設立準備金があれば登記によって法人となれる(第11条)。「公益」といった表現は用いず,非営利性,会員制,特定の政党又は宗教のために利用しない,といった要件だけで「市民活動法人」を規定している(第6条)。市民活動推進委員会を都道府県ごとに設置して監督を行う(第30〜34条)。この委員会は行政機関ではあるが,委員は市民活動法人の代表理事や有識者から選ぶことにし,市民活動法人の自主性を保てるようにする。
 一方,新進党は,95年3月に「NPOパートナーズ」(河村たかし座長)という委員会を結成し,6月27日には「市民公益活動を行う団体に対する法人格の付与等に関する法律案(骨子)」を発表,11月7日には法案を臨時国会に提出した。一定の地域を基盤に教育や社会福祉,環境保全,国際理解の増進などを行う「市民公益法人」を新設。@社員10人以上,A基本基金として50万円以上の財産を保有,B「会員の過半数及び役員の3分の2以上が,同一都道府県に住所地をもつこと」「主たる活動地域が同一都道府県内であること」――などの条件を満たした公益団体に,都道府県知事が法人格取得を「認可」するという案になっている。
 他方,連立与党のNPO(非営利組織)プロジェクトチームは,11月17日,「市民活動促進法案」(仮称)の骨子・税制面での優遇措置を適用する「税制改正要望」をまとめた。週明けの与党政策調整会議と与党税制改革プロジェクトにはかり,次の通常国会への提出をめざす方針だという。
 法案は,対象となる団体を環境,国際協力,福祉など市民生活や福祉向上の事業を行う「市民活動団体」と定義。税制面では原則非課税とし,収益事業のみを課税対象としている。さらに,一定の活動実績を見て,当局と協議のうえ公益性が高いと認定した「特定市民活動法人」(仮称)については,寄付金に対する税控除措置を講じるとしている。
 すでに国会に提出されている新進党の案と比べると,法人格の取得要件を2つの側面で緩和しているのが特徴。第一に,数人のメンバーがそろえば資金要件は問わないことにした。第二に,都道府県知事が法人格の取得を「認証」するとした。これは,資格審査がより厳重な「認可」では,行政の介入につながるとして,市民団体などから反発が強いことから,定款について書類上不備がなければ認められる「認証」にしたもの。ただ,歯止めとして,事業報告,財務諸表などについて届け出るよう「情報開示」を義務づけ,情報開示が3年間なかった場合や,定款に違反があった場合には認証の取り消し,裁判所による解散命令ができるようにした。(『毎日』1117,『朝日』1118)

法制化を巡る動向・シーズ
 シーズ(→第1章)は,1995年2月8日に「ボランティア支援立法措置に関する要望書」を村山首相に提出,3月15日に「市民活動を推進する2つの法律に関する提言・案」を発表。4月15日には,シーズ,NPO研究フォーラム(会長:本間正明),市民公益活動の基盤整備を考える会(代表:木原勝彬)の3団体が呼びかけて,「市民活動の制度に関する連絡会」を結成。個別の団体を超えた意見交換の場も作られた。その後も,シーズは各政党の担当者を招いてのシンポジウムなどを積極的に開催していくと同時に,法案検討委員会が独自の法案を作成する作業を進めてきた。シーズ案の理念・原則は「私的自治の原則」「情報公開の原則」「公平な社会的分担の原則」の3つ。民法の公益法人とは別に,特殊な非営利法人としての「市民活動法人」を規定する特別法を作るべきだとしている。法人格を取得させるための「市民活動推進法」と税制上の優遇措置に関わる「市民活動推進のための租税制度の整備をする法律」の2つからなる。後者の具体案は,95年3月の要綱発表後,現在検討中。前者について,95年10月16日の「市民活動推進法(試案)」(改訂第3版)では手続きは以下のようだ。「会員になろうとする者10名以上又は2以上の法人が発起人となり,規約を作成」(第13条),「規約は,公証人の認証を受けなければその効力をもたない」(第15条)→創立総会(第16条)→「主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立」(第17条)→「市民活動法人は,成立した日から2週間以内に,その登記簿謄本及び規約の写しを添えて,主たる事務所の所在地を管轄する都道府県に届け出なければならない」(第18条)。また,裁判所が解散を命ずることができるとしている(第71条)。

争点
 第一に,どのような団体に法人格を認めるかという問題,これに関連して,法人格の付与等における行政府との関係,行政による規制のあり方。オウム真理教の一件などもあり,一部では「行政の監督責任」がまた云々されることにもなって,法制化の論議にも影響が出ていないとは言えない。
 新進党案が想定しているのは,いわゆる「地域のボランティア団体」であり,全国的にあるいは海外で活動を行い,ゆえに法人格をより必要としている団体が入らない。あるいはかなり無理をして体裁を整えないといけない。ゆえに,この案には強い批判がある。
 手続きについては,シーズ案では登記所への「登記」と届け出。連立与党案は都道府県知事による「認証」。新進党案は都道府県知事による「認可」。順に行政による縛りが強くなる。
 シーズは,そもそも行政による数多くの団体の活動の事前評価と常時の監督は不可能であり,また活動の自由を保障する上で問題があるとしている。監査役の設置,構成員への情報公開,市民への情報公開により,すなわち基本的には「市民自治」によって,活動を監視すべきだとし,政治による関与としては,裁判所に解散命令の権限を付与している他,犯罪行為については刑法と税法によって対処すればよいとしている。筋が通った,現実的な考え方である。民間団体の多くもこうした主張に同意している。「お墨つき」を政府からもらうことによって「社会的信用」を得ようという方向もありうるだろうが,多くの組織はこのような考え方をしていないし,またそのために払う代償が大きいとも考えている。まずは,営利法人と同等に,簡易に法人格を取得する道が開かれればよいと考えている。
 第二は,収益事業や寄付金に関わる税制,より広くお金を巡る問題。非営利法人制度を「悪用」しようとするとすれば,それはまずお金に絡んだものだろう(だから,法人格の付与自体についての細かな規制は不要だとも言える)。非営利=利益の非分配が規定されたとしても,それに抵触しない方法での特典の「私的」利用法,例えば寄付がなされ(免税され),それが理事への報酬として家族・親族に払われるといったことは考えうる。たとえばこうした問題をどう処理するか。多くの団体は,法人格を取得したすべての団体が税制上の特典を受けられるというのではなく,その資格はより限定されたものとしてよいと考えている。ただ,その具体的な条件となるとまだ詰められてはいないようだ。
 他にも,民法(における公益法人の規定)との整合性をどうとるかといった問題がある。今ある組織は,様々の不都合を抱えながらもなんとかやっていて,今すぐに法人格がないと活動が立ちいかないということではない。急いでしまって,これなら大丈夫と(行政府に)思われる団体しか使えないような窮屈な法律が作られるよりは,慎重な検討と討議を積み重ねていく方がよいと思う。



UP:1996 REV:20110316
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