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神経線維腫症T型(NF1)(レックリングハウゼン病)


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last update:20180908


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■紹介  神経線維腫症T型(NF1)(レックリングハウゼン病)

◆定義(平成30年度 難病情報センターより)
・概要:神経線維腫症1型(NF1)はカフェ・オ・レ斑、神経線維腫という皮膚の病変を特徴とし、そのほか骨、眼、神経系などに様々な病変を生じる遺伝性の病気です。NF1は1882年にドイツの病理学者レックリングハウゼン氏によりはじめて報告されたため、レックリングハウゼン病とも呼ばれています。神経線維腫症U型とは全く別の病気で、原因や症状は異なっています。この病気は出生時3,000人に1人の割合で生じます。過去に行われた調査により、日本での患者数は約40,000人と推定されています。人種差や男女による差はありません。NF1は遺伝性の病気ですが、患者さんの半数以上は両親ともにこの病気がなくて、突然変異(約1/10,000)により発症しています。
・原因:原因遺伝子は17番染色体にあり、その蛋白産物はニューロフィブロミンと呼ばれています。ニューロフィブロミンには細胞の増殖を抑制する作用があるため、この遺伝子に変異がおこると増殖のシグナルが活性化され、様々な病変を生じると推測されています。
・遺伝について:NF1は常染色体優性の遺伝性の病気であり、浸透率はほぼ100%のため、両親のどちらかがこの病気の場合には子供に遺伝する確率は常に50%となります。ただし、患者さんの半数以上はご家族にこの病気がないにもかかわらず発症しています。
・症状:この病気の主な症状は皮膚の色素斑(しみ)と神経線維腫です。ミルクコーヒー色をした色素斑はカフェ・オ・レ斑と呼ばれ、生まれた時からみられるのが普通です。形は長円形のものが多く、丸みを帯びたなめらかな輪郭で、大きさは子供では5o以上、大人では15o以上のものが6個以上みられます。わきや足の付け根にできる小さな色素斑は雀卵斑(そばかす)様色素斑と呼ばれています。まれに大きな色素斑ができる場合がありますが、徐々にその部分がふくらんでくることが多いです。皮膚の神経線維腫は生まれたときにはありませんが、思春期ごろから少しずつできてきます。できる数には個人差があり、家族内でも症状に違いがみられます。頻度はさほど高くないですが、神経の神経線維腫やびまん性神経線維腫がみられることもあります。その他にまれな症状として生まれつき骨に異常がある場合や徐々に背骨が曲がってくる場合、また大人になって脳や脊髄などに腫瘍ができることがあります。
・治療法:現時点では病気の発症を未然におさえる根本的な治療法はありません。そのため、でてきた症状に応じた治療が行われています。皮膚の病変であれば皮膚科や形成外科の先生、発達や成長の心配があれば小児科の先生、骨の病変は整形外科の先生など各領域の専門の先生と相談して治療法を決めています。皮膚の色素斑はあまり目立ちませんが、希望があればレーザー治療などを行うことがあります。ただし、いったん色が薄くなっても再発することが多く、逆に色が濃くなってしまうこともあります。皮膚の神経線維腫は気にならなければ無理に治療する必要はありませんが、気になる場合は手術でとることができます。通常、数が少なければ局所麻酔で多ければ全身麻酔のもとで手術が行われます。その他、骨や神経系などになんらかの症状がでれば、なるべくはやめに専門の医師の診察を受けることが大切です。この病気には治療の難しい症状もあるため、主治医の先生ともよく話し合った上で、場合によってはNF1に詳しい医師に相談することも必要です。この病気に対して海外ではいろいろな薬を使って臨床試験が行われていますが、すべての人に効果があるわけではなく、現在日本で使用が認められている薬はありません。重い症状を合併する患者さんの割合はそれほど高くはありませんが、ほとんどの患者さんに色素斑と神経線維腫がでてきます。神経線維腫のため多くの患者さんが外見上の問題で悩んでおられますが、治療については主治医の先生とよく相談してください。この病気は症状に個人差が大きく、家族内であっても症状は全く同じではありません。患者さんの年齢によっても気をつけなければならない症状が違いますので、あらかじめ先生からよく話を聞いておくことが大切です。子供であれば半年〜1年に1回程度、大人であれば1年から数年に1回程度の定期受診を心がけてください。


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■関連サイト

◆難病情報センター 神経線維腫症T型(NF1)(レックリングハウゼン病)
 [外部リンク]神経線維腫症T型(NF1)(レックリングハウゼン病)
[外部リンク]日本レックリングハウゼン病学会
[外部リンク]小児慢性疾患情報センター
[外部リンク]稀少難病者の会 あせび会(相談事業部)


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■文献



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■ニュース

◆2017/2/22 「シリーズ:子ども 3歳の娘のおなかや背中に茶褐色の斑点がある」
『朝日新聞DIGITAL』
 3歳の長女。生まれたときから、カフェオレのような色をした斑点がおなかから背中にかけていくつもあります。気にしていなかったのですが、自治体の健診で「レックリングハウゼン病」の可能性があると指摘されました。どんな病気なのでしょうか。(大阪府・k)
【答える人】佐谷秀行(さやひでゆき)さん 慶応大先端医科学研究所教授(腫瘍生物学)=東京都新宿区
Q:レックリングハウゼン病とは。
A:神経線維腫症T型(NF1)とも呼ばれ、最初に報告した医学者の名前から病名がつきました。特定の遺伝子が原因でなる病気で、国内に約4万人いると推定されます。軽症の人も多く、生涯気がつかない人もいます。
Q:症状は。
A:主に二つあります。一つは、皮膚に「カフェオレ斑」ができることです。子どもは5ミリ以上の斑点が6個以上あると、この病気が疑われます。斑点は腹や背中にできることが多いです。もう一つは、皮膚などにこぶのような「神経線維腫」という腫瘍(しゅよう)ができることです。主に思春期以降にみられます。ほとんどは良性ですが、まれに神経に悪性腫瘍ができることがあります。骨に腫瘍ができて背骨が曲がることもあります。
Q:原因は。
A:原因となる遺伝子はわかっています。病気の親から子に遺伝する確率は50%になります。ただ、半数以上の患者は突然変異が原因です。
Q:相談者の場合、どんな治療が考えられますか。
A:今は子どもの状態を注意深く観察して下さい。こぶができれば、皮膚科などで切除を検討します。重症化しない人も多いので心配しすぎないようにしましょう。専門医は日本レックリングハウゼン病学会のウェブサイトに掲載されています。
Q:斑点は消せませんか。
A:残念ながら、消すことができる薬はありません。レーザー治療も試みられていますが、完全に消えるかどうかはわからないようです。
・あせび会、40年にわたり患者・家族を支援
レックリングハウゼン病は、体にカフェオレ斑やこぶのような神経線維腫ができ、患者にとって深刻な悩みとなる。患者会「あせび会」(東京都文京区)は、約40年にわたって患者や家族らの相談に乗り、支援をしている。あせび会は、レックリングハウゼン病を中心とした希少難病の患者らが地域で安心して暮らせることを目指し、1977年に結成された。専門医の医師らによる会員向けの講演会を毎年開き、今年は2月19日に東京都内であった。慶応大学先端医科学研究所の佐谷秀行教授(腫瘍生物学)や、この病気の診察経験が豊富な佃リバーシティ皮膚科(東京都中央区)の谷戸克己院長らが登壇した。佐谷教授は、カフェオレ斑と似た斑点が出る別の病気との判別について、「遺伝子検査で可能になってきた」と説明。また、米国での臨床試験では、がんに使われている分子標的薬によって腫瘍が縮小した症例があることを紹介した。会に寄せられる相談で多いのは、就労や結婚に関する内容という。佐藤エミ子会長は「患者や家族が、自信を持てるようにしていきたい」と話している。

◆2017/8/5 「医療相談室 娘がレックリングハウゼン病」
『YOMIURI ONLINE yomiDr.ヨミドクター』
 Q:30歳代後半の娘がいます。レックリングハウゼン病です。中学生の頃から体中の皮膚にぶつぶつができてそれが固まって目立つようになると年に1、2回、大学病院に入院し切っています。ぶつぶつが出来にくくなる治療はないのでしょうか。(70歳・女性)
A:体のぶつぶつ、手術が主体 大田有史 東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 皮膚科診療部長(東京都葛飾区)
レックリングハウゼン病はカフェオレ斑と呼ばれる茶色いあざと、皮膚にできるぶつぶつの神経線維腫が主な症状です。このほかに、背骨が曲がる脊椎側弯(せきついそくわん)や眼球につぶつぶが生じる虹彩小結節を発症したり、視神経や骨髄、内分泌器官、消化管に腫瘍ができたり、発達障害や知的障害を合併したりすることもあります。優性遺伝する遺伝病で原因遺伝子も判明しています。ただ、症状の個人差は大きく、すべての症状が出るわけではなく、その重症度もさまざまです。発生頻度は人口10万人あたり30〜40人で日本の患者数は推定でおよそ4万人です。現在、根治的な治療はありません。症状に対する手術療法が主体となります。神経線維腫に対しては、分子標的治療薬を使った治験が米国で行われ、良い成績を上げています。大きく広がるびまん性の神経線維腫では、腫瘍内で出血し、血腫となることがあります。圧迫で止血が困難な場合は、塞栓(そくせん)術を行います。カフェオレ斑に対しては、ルビーレーザーなどが試みられていますが成績は良くありません。どんどん症状が進行する脊椎変形には、コルセットで矯正を行った後、手術による固定を考えます。この病気は年齢とともに様々な症状が現れます。検査が必要な医療施設を受診することが大切です。



*作成:戸田 真里
UP:20180908 REV:
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