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姓/夫婦別姓




◇井上 治代 19860920 『女の「姓」を返して――夫婦別姓のすすめ』 創元社,286p. 1600 千葉社4839/三鷹367
◇星野 澄子 19871030 『夫婦別姓時代――氏名とわたしの自然な関係』 青木書店,174p. 1500 ※/三鷹324
◇星野 澄子 19880915 「民法・戸籍法における「氏」と呼称」 黒木・村武・瀬野編[1988:139-160]  
福島 瑞穂・榊原 富士子・福沢 恵子 19890930 『楽しくやろう夫婦別姓――これからの結婚必携』,明石書店,243p. 1600 千葉社4838
◇東京弁護士会女性の権利に関する委員会 編 19900210 『これからの選択 夫婦別姓』 日本評論社,251p. 1600 ※
福島 瑞穂 19900531 「楽しい夫婦別姓のススメ」,金井・加納編[1990:128-134]*
 *金井淑子・加納実紀代編 19900531 『女たちの視線――生きる場のフェミニズム』
 社会評論社,255p. 1700
◇星野 澄子 19900625 「いま,なぜ「夫婦別姓」なのか――さまざまな生の選択に向けて」,城西大学国際文化教育センター・水田 宗子編[1990:090-106]  

 

◇斎藤さんより(21 Apr 2002)

夫婦別姓法案をめぐる動きについて、下記の榊原富士子弁護士のメールが回送されて
きました。ご関心の方にお届けします。転送歓迎だそうです。文中に紹介されている
「17日の反対派の集会」についての記事も、最後に添付しました。取り急ぎ、ご連絡
までに。

■以下、榊原富士子弁護士のメール、転送歓迎だそうです。
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皆様 こんにちは。
別姓は、目がはなせなくなってきました!
近く2つ集会があります。
これらの集会の様子をみて、与党は対応を決めます。閣法で出すか、党議拘束をはず
すか。閣法では出せず野田議員らの与党の議員立法か・・。それも出ないかどうか。

集会への参加、電報、激励など、どんな協力でも、よろしくお願いします。

4月23日(火) 午後3時 参議院第一会議室
          与党女性政策提言協議会 

5月9日      以下のとおり

********** ここから5/9の情報 ***************

夫婦別姓選択制の実現を求める集会
―活力ある社会をめざして―                         
                         

 夫婦別姓選択制の法制化をめぐって、今、国会内では議論が白熱しています。日本
の経済、社会の低迷が続いていますが、夫婦別姓選択制を導入することは社会の活性
化につながる道です。夫婦別姓選択制が導入されることの意義について、経済、法律
の専門家が講演します。どうぞご参加ください。

基調講演  大森政輔 前内閣法制局長官
パネルディスカッション 八代尚宏 日本経済研究センター理事長 
              鹿嶋 敬 日本経済新聞社編集委員  
              与党議員

日時: 5月9日(木)  6時半開演(6時開場)
会場: プラザエフ(四ツ谷) 7階 カトレアの間
千代田区六番町15番地
рO3−3265−8111 (代表)
JR(中央線)四ツ谷駅麹町口より徒歩1分
地下鉄(丸の内線・南北線)四ツ谷駅から徒歩2分
ホームページ http://www.plaza-f.or.jp
      
参加費  1000円(資料代込み)

共催  夫婦別姓選択制推進会議
   氏名を大切にする研究者の会
    国際婦人年連絡会など共催団体をよびかけ中
連絡先  夫婦別姓選択制推進会議  連絡03(5379)7137   fax03(5379)7138

********** ここまで5/9の情報 *************


23日、参加が難しい方は、ぜひ祝電をやFAXを下記にお願いいたします。集計の都
合もあるので、できれば当日午前中までに届くようお願いします(前日着でも構いま
せん)。
<祝電宛先;万一手配が難しい場合はFAXでも構いませんが、電報の方が効果的>

1.野田聖子 自民党議員事務所 
   東京都千代田区永田町2−2−1
    衆議院第一議員会館711号室
    tel 03-3508-7161
   (FAX 03-3591-2143)

2.浜四津敏子 公明党議員事務所
   東京都千代田区永田町2−1−1
    参議院議員会館306号
    tel 03-3508-8306


どうぞ、よろしくお願いいたします。
17日の反対派集会はすごい熱気だったそうです。是非それを上回る勢いに。
また、このメールを広めていただきますよう。

榊原富士子
f-sakaki@chive.ocn.ne.jp
http://www.geocities.co.jp/WallStreet-Stock/4102/

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●毎日(反対派集会:ヤフーのダイジェスト版より)

<夫婦別姓>法案に反対の婦人団体が緊急集会
 全国の婦人団体約120団体で作る「日本女性の会」は17日、東京・永田町の憲
政記念館で「夫婦別姓に反対する国民の集い」を開いた。メンバーら約1000人が
参加。自民党を中心とする国会議員25人が駆けつけ、政府が検討している夫婦別姓
制度導入への反対を訴えた。今国会への法案提出反対の動きの後押しが狙い。(毎日
新聞)
[4月17日19時16分更新]

 

◇2002/04/30 夫婦別姓法案、今国会も提出見送りの公算
 読売新聞ニュース速報

 夫婦別姓制導入に向けた法案提出が、昨秋に続き、今国会も先送りとなる公算が大きくなってきた。法務省の民法改正試案に対し、自民党の反対派議員が攻勢を強めているためだ。森山法相や賛成派議員はなお法案提出の可能性を探っているが、党内合意が絶望的なことに加え、有事法制、政治倫理、メディア規制法案で与野党攻防が激化するのは必至とあって、審議入りの展望は開けそうもない。
 夫婦別姓問題を巡り、自民党法務部会は4月12日、法務省が作成した夫婦別姓「例外制」の試案を論議のテーブルに乗せようとした。しかし、反対派の中川昭一・元農相が「だれがどういう意見を話すかは、もう顔を見ただけでわかる」と主張。他に反論する議員もおらず、中身に入らないまま論議を打ち切った。
 賛成派の佐藤剛男部会長は、部会での意見集約を断念したうえ、党議拘束を外して国会審議にゆだねたい考えだ。しかし、同部会の正副部会長会議では、「政府提案で党議拘束を外すのは筋が通らない」と反発が相次ぎ、取り扱いは宙に浮いたままだ。
 野田聖子・元郵政相を中心とする賛成派議員は、連休明けの9日に集会を開いて論議を盛り上げたい考えだ。しかし、法案の扱いを最終的に決定する党総務会は、郵政関連法案の事前審査省略を「前例にしない」と確認しており、党議拘束外しが実現するメドは立っていない。
 法務省内も「小泉首相があまりやる気がないうえ、党内の反対が多ければ森山法相も無理にやろうとはしない」(幹部)と見る向きが強く、賛成派の中からも「もう成立しないだろう。世の中が保守化しているから、あと10年は(提出)できないのではないか」(橋本派中堅)との声も出始めている。
[2002-04-30-18:31]

 

 「夫婦別姓から見るジェンダー」

 2002/07/09
 政策科学部3回生
 山崎裕介

『夫婦別姓』

一、現行制度とその問題点

 民法750条は「婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」と
定め、いわゆる夫婦同氏制度を採用している。この規定は、形式的には男女同一
の取り扱いをしている、つまり、夫婦の姓を決定するには夫(男)の姓を選ぶこ
とも、妻(女)の姓を選ぶこともできるのであるが、現実には夫の姓を称するこ
とがほとんどであり、事実上の差別を引き起こしている。
このように、平等との関係で問題になるほか、個人の人格的利益(氏名権など)
との関係で起きる問題、婚姻によって姓を変えた者の社会生活上の問題などが指
摘されている。

二、夫婦同姓制度と夫婦別姓制度の比較

(1)夫婦・家族の一体感、外部からの識別に関して

 夫婦同姓制度を支持する見解(以後、a見解とする)から、「夫婦家族が同氏
であることが夫婦、親子の一体感を強める」「夫婦別氏は未成熟子の福祉に悪影
響を及ぼす恐れがある」「別氏制度により外部からも家族としての把握が困難に
なる」などの意見がある。これに対して、夫婦別姓制度を支持する見解(以後、
b見解とする)からは、「家族の一体感は氏によって生じるものではないし、夫
婦家族の一体感を求めること自体に問題を提起する」「別氏制度が社会に定着す
れば、これが子の福祉を害することはない」などの反論をしている。

(2)個人の人格的利益に関して

 b見解から、「氏名は人格権の一内容であり、人格権の尊重のため別氏を認め
るべきである」「改氏した配偶者にアイデンティティの喪失感をあたえ、また苦
痛感を与える」 「家名を残したいという国民の意識は依然として存在している
のであり、そのような利益を認める必要がある」との主張がなされている。これ
に対して、a見解から「氏名権のごとき権利は存在しない」「真のアイデンティ
ティは、氏の変更程度で失われるものではない」「別氏により家名存続を図った
としても、それは夫婦間だけでの解決にとどまり、子の代では再び問題が生じ
る」との意見がなされている。

(3)女性の社会活動上の問題に関して

 b見解から、「女性が男性と同等に働くうえで不都合を生じる」「婚姻、離婚
による改氏を機会にプライバシーにかかわることを聞かれるなどの不快な思いを
する」などの意見がある。この点に関して、a見解は、「旧姓使用の必要がある
場合、通称としての使用を認める形で対処すべきである」「婚姻前の氏を俗称と
して使用すれば済むことである」との反論がなされる。これに対して、「通称の
使用では処理できない場面も多い」「婚姻前の氏を通称として使用する場合、時
と場所によって使い分けねばならず、煩わしさと不快感を伴う」とのb見解から
の再反論が存在する。

(4)平等問題に関して

 男女平等の観点から夫婦別氏制度を認めるべきであるとするb見解からは、
「同氏制度は、夫婦が対等の関係を築くうえで障害となっている」「夫婦の一方
が改氏を強制される以上、実質的平等とは言えない」「女子差別撤廃条約16条
1項gは、夫婦別氏の権利を保障するものと解すべきである」との意見がなされ
る。これに対するa見解の反論は、 [一]で述べたような「現行法でも妻の氏
を選択することは可能である」といったもの以外、決定的な反論はなされていな
いようである。特に、夫婦の一方が改氏せざるを得ないこと、そして女性が改氏
することによって現実に(事実上の)不利益を蒙っていることは否定できないの
であり、夫婦同姓しか選択できない現行制度は平等の理念に反するのではないか
との疑問が生じるところである。

※このほか、戸籍に関しても両見解の意見が分かれるところである。夫婦の氏の
問題は戸籍と連動する問題であるところ、a見解からは、「戸籍制度の改正は極
めて困難である」「相続などの際の戸籍の検索が複雑になるなどの支障を生じ、
サービス低下につながる」「戸籍システムを改める必要があり、多額の予算を要
する」との主張がなされる。しかし現行制度下でも夫婦別姓を導入するすること
は可能であり、また、戸籍制度の改正の困難・予算の多額を理由に差別を認める
ことは許されるべきことではない。
また、これ以外にも問題は存在するが、それについては[三]において取り上げ
られる範囲で検討したいと思う。


三、民法改正要綱試案(平成六年七月一二日公表)

 この試案のなかでは、夫婦別姓問題についても触れられている。試案は選択的
夫婦別姓制度の導入を打ち出したものの、採用する方法を一つには絞り込まず、
三つの案を提示してさらに検討を加えることにしている。以下、提示された三つ
の案につき概観してみたいと思う。

《A案》

「夫婦同姓を基本とし、別姓も選択できる。子の姓は、夫婦が婚姻時に届け出
る」という案。夫婦についてはお互いの自律を尊重して別姓を認めるべきである
が、複数の子がある場合には、子の福祉や一体感を醸し出すために、子の姓は統
一するのがよい、という考え方を取っている。

(批判)

・結婚は両性の合意のみに基づいて成立すると定めた憲法に抵触する。
・事情が変わったとき(特に別姓を選択したとき、子の姓に関して届け出た姓で
はない方の姓に変更したい場合など)に対応できない。
・子を作る意志や能力のない夫婦もいる。

(反論)

・この方法が現状から考えれば最も簡明で、確実である。
・現行制度下でも、婚姻の際、潜在的にこの姓を定めていると解釈できる。
・実子だけでなく養子の姓の定めにもなる。

《B案》

「夫婦別姓を基本とし、同姓も選択できる。子の姓は、夫婦が出生時に協議して
決める」という案。姓を自分の個性・同一性を表すものと位置づ
けたうえで、人は自分の姓をつぎの世代に引き継がせる権利をもつ、との立場を
とる。

(批判)

・子が生まれたときに、どちらの姓を名乗るかについて、夫婦の話し合いがまと
まらなかったり、離婚や病気で話し合い自体ができなかったりし
た場合、困難が生じる。
・子相互間で氏が異なることが起こり得るが、兄弟姉妹間の一体感の喪失を招く
恐れがあり、また、子の福祉からも望ましくない。

(反論)

 上記批判に対して、これまでに「父(あるいは母)の姓を名乗ると法律で定め
ておく」「家裁の審判で決める」「くじ引きで決める」等の案が出て
いるが、それぞれ「男女平等の理念にあわない」「裁判所が合理的・客観的な判
断基準を設定できない」といった難点を抱えている。
 A案同様、婚姻時に夫婦が届け出ておく方法が現実的とされるが、あくまでも
協議が不調に終わったときにに備えた方法であるため、婚姻届の受理要件とする
ことまでできるのか疑問が残る。
 また、子相互間で氏が異なる点についてであるが、「これを認めないと、事実
上、夫の氏を名乗らされることになり、平等原則に反する」「個人の尊厳から夫
婦の別氏を認める以上、子の氏を統一することは矛盾である」等の反論がある。

《C案》

「夫婦同姓。ただし婚姻時に相手方の同意を得て届け出れば旧姓を自分の通称に
できる。子の姓は夫婦の姓とする」という案。婚姻によって改姓する者の不利
益・不都合を解消するという範囲内で、制度を改めるのを基本としている。

(批判)

 通称を名乗ることについての問題点は、既に[二、(3)]において述べた。
また、子の姓が夫婦の姓とされることについては、なんら現行制度と変わるとこ
ろはなく、解決策としては妥当でない。

四、私見

 上記の三案は一長一短があり、まだまだ改善の余地がある。平等の問題を中心
に考えると、通称の制度を導入しても夫婦の一方が改氏を強制されることには変
わりはなく、やはり、夫婦別姓制度は採用すべきであろう。しかし、夫婦同姓を
望む人もいるであろうから同姓にするか、別姓にするかを選択できる制度(原
則・例外という考えはしない)が最も望ましいと考える。子の姓について起こる
問題は、夫婦別姓を選択した以上不可避的であり、夫婦の一方が死去したとき又
は病気のときは別として(この場合は、立法その他の措置によって解決できると
解する。)、離婚・協議不調によって子の姓が決まらないのならいくら裁判所が
合理的・客観的な基準を設定することが困難であっても家裁の審判によるしかな
いであろう。

五、参考文献

・金城清子『法女性学』(日本評論社)
・朝日新聞(1994年7月13日付)
・ジュリストNo.1034(1993.11.15)

REV:......20030216
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