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報道2010-: 多発性硬化症(MS)


last update: 20140226

■目次

◇2014/01/19 「(患者を生きる:2398)脳と神経 繰り返す炎症:6 情報編 合う薬選び免疫抑制」:朝日新聞
          デジタル
◇2012/05/03 「標準薬効かない患者見極め 阪大、多発性硬化症で手法」:日本経済新聞
◇2012/01/18 「20〜30代に多く発症の神経難病 多発性硬化症、研究に成果」:北海道新聞
◇2010/11/18 「多発性硬化症(3)「卓球リハビリ」動き戻る」:読売新聞
◇2010/11/11 「多発性硬化症(2)言語療法 いらだち隠せず」:読売新聞
◇2010/11/04 「多発性硬化症(1)「笑点」収録時に意識薄れる」(落語家 林家こん平((はやしやこんぺい)さん
          67):読売新聞



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◇2010/11/04 「多発性硬化症(1)「笑点」収録時に意識薄れる」(落語家 林家こん平((はやしやこんぺい)さん 67):読売新聞
 http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=32867

「両手を挙げて叫ぶ「チャラーン」でおなじみ。人気テレビ番組「笑点」で40年近くにわたり、満面の笑みをお茶の間に届けてきた。
 仕事と酒に明け暮れてきたものの、大病を患ったことはなかった。しかし2004年の春ごろから、目のかすみに悩まされる。やがて声が出にくくなり、仕事を一時休んだ。
 受診した病院の耳鼻咽喉いんこう科では、原因が分からなかった。そして8月、「笑点」の収録の日、意識が薄れ、ろれつが回らない状態に。ひたすら笑顔を作って何とか本番を乗りきり、すぐ東京都内の病院に運ばれた。
 5か月後、転院した東京女子医大病院でようやく、病名が分かった。「多発性硬化症」。神経を包む被膜があちこちで壊れ、伝達信号がうまく伝わらなくなる。傷つく神経の場所によって、様々な症状が出る。20〜40歳代の女性に多く発症し、60歳代での発症は珍しいため、診断が遅れた。
 多発性硬化症は記憶が途切れることがあり、入院中の出来事について本人は「全然覚えていない」。しかし家族と弟子らは、交代で見張りについた。点滴を抜き、ベッド横の柵を乗り越えて、“脱走”をたびたび図ろうとしたからだ。
 次女の田中咲えみさんは「『仕事に行かなきゃ』の一心だったみたい。でも私たち周囲は、『この先、どうなるんだろう』と、不安でいっぱいでした」と振り返る。」


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◇2010/11/11 「多発性硬化症(2)言語療法 いらだち隠せず」:読売新聞
 http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=33116

「神経の信号がうまく伝わらなくなる多発性硬化症。発症後、右手と右足はまひで思うように動かず、声も出なくなった。
 急性期の治療として、ステロイド薬の投与を受けた。神経の被膜を傷つけていると思われる免疫細胞の働きを弱めるためだ。
 家族と弟子たちが昼夜交代で病室に詰め、入院生活を支えた。手の訓練では、弟子らが相手になってトランプをしたり、文字を書いたりした。
 次女の田中咲えみさんは「年齢的にも若いし、『笑点』も復帰を待つと言ってくれていた。復帰させなくちゃ、という責任感でみんなが動いてくれた」と振り返る。 2005年2月に東京女子医大病院から、都内のリハビリ専門病院に転院。本格的なリハビリが始まった。歩いたり、腕を動かしたりする運動系のリハビリは、頑張ることができた。
 問題は、商売道具の言葉の方。60分の言語療法が毎日行われたが、声が思うように出ず、いらだちを隠せなかった。言語聴覚士に、初心者向きの落語「寿限無じゅげむ」を話してみるよう勧められると、「今さら寿限無なんてできない」と、意固地になってはねつけた。
 回復した今、本人は笑顔で「僕はそんなこと言ってない。ハハハ」。
 結局、言語訓練は、会話の中で落語家仲間の昔話などをする方法で、次第にうまく進むようになった。」


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◇2010/11/18 「多発性硬化症(3)「卓球リハビリ」動き戻る」:読売新聞
 http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=33435

「土日なしの厳しいリハビリ。病院内の売店に一人で歩いて行けるようになり、いすからの立ち座りもふらつかずに出来るようになった。
 倒れてから9か月後の2005年5月、念願の自宅に戻ることができた。
 「最初は自分がどういう状態か分からなかったですけどね、どんどん良くなってね、みんなのおかげです」
 同年9月には、出演番組の「笑点」40周年の記念撮影で後楽園ホールに出かけた。落語家仲間と番組スタッフに拍手で迎えられた。
 「らくご卓球クラブ」の練習にも復帰した。中学時代に卓球部だった縁で二十余年前に自ら設立し、落語家を中心に100人余りが所属。元世界チャンピオンの伊藤繁雄さんらがコーチする本格的なクラブだ。
 復帰初日、伊藤さんと打ち合い(ラリー)をした。まひのある右手では、ラケットに球を当てるくらいしか出来なかったが、疲労のあまり5分と立っていられず、横になって休んだ。
 次の練習からは、周りが心配して見学だけにした。しかし本人は、うずうずして球を打ちたがる。少しずつ練習を再開、ラケットの動きに合わせ、脚もステップを取れるようになった。
 いまはサーブも打てるし、速いラリーも大丈夫。今年7月12日の練習では、ラリーは346回を数えた。
 次女の田中咲さんは「卓球は本当にいいリハビリになっている」と話す。」


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◇2012/01/18 「20〜30代に多く発症の神経難病 多発性硬化症、研究に成果」:北海道新聞
 http://www.hokkaido-np.co.jp/cont/health_news_tokushukiji/151394.html

「脳や脊髄といった中枢神経に病変が多発し、さまざまな症状が表れる「多発性硬化症」(MS)。再発を繰り返し、障害が残ることもある神経難病だ。だが近年、研究が進み、治療や診断が大幅に進歩してきた。また、MSの一類型とされてきた視神経脊髄型MSの大部分が、別の病気であることも分かってきた。変化するMS治療について、MSに詳しいさっぽろ神経内科クリニック(札幌市東区)の深沢俊行院長に聞いた。(西村章)

「視神経型」大多数は別疾患

 神経細胞は情報を電気信号として伝達している。その“電線”が軸索で、絶縁体となる髄鞘(ずいしょう)に覆われている。この髄鞘がはがれてしまう(脱髄)と、電気信号の伝達が遅くなったり、正確に行われなくなる。MSではこの脱髄が脳や脊髄のあちこちで起こる。
 脱髄を起こした病変の場所により感覚が鈍る、ふらつき、しびれ、脱力、疲れやすい、目が見えにくいなど多様な症状が出る。一度治まっても新しい病変が生じ、再発を繰り返す。自分の免疫が神経を攻撃するためといわれ、自己免疫疾患と考えられている。
 20〜30代の発症率が高く、高緯度地域に患者が多いという。深沢院長は「北海道はかかる人の割合が高く、少なくとも1万人に1、2人はいる」と話す。
 かつては病変が視神経や脊髄に限られるタイプを視神経脊髄型MSとしてきたが、そのうちの相当数が「視神経脊髄炎」(NMO)という別の病気であることが、研究で分かってきた。深沢院長によると、道内のMS患者の10〜20%はNMOとみられるという。
 NMOの患者には、抗アクアポリン4(AQP4)抗体と呼ばれる自己抗体が血中に見つかることから、これが関与する自己免疫疾患と考えられている。
 ただ、「まだよく知られておらず、誤った診断で治療されている人もいる。抗AQP4抗体を測ってきちんと診断すべきだ」と深沢院長。というのも、MSとNMOでは治療が異なるからだ。
 MSもNMOも症状が出たら、免疫や炎症を抑えるステロイドを大量に使う。改善が見られなければ血液から病因物質を取り除く血液浄化を行う。特に障害が残りやすいNMOは、血液浄化の効果が高いため、より積極的に実施する。

再発予防薬、治療法も前進

 両疾患とも重要なのは再発を防ぐ治療。「かつては有効な薬がなかったが、現在は大きく前進した」という。
 MSではインターフェロンが使われる。隔日の皮下注射か週1回の筋肉注射の2種類があり、患者自身で注射するのが基本。さらに、昨年11月に内服薬の「フィンゴリモド」が保険適用となった。患者にとって注射より使いやすいが深刻な副作用も起こり得る。安全と過信せず主治医とよく相談して服用するのが肝心だ。
 一方、NMOでは「インターフェロンやフィンゴリモドは病気を悪くする可能性もある」。代わりに少量のステロイドを長い間飲み続ける少量維持療法で再発を防ぐ。
 治療は早く始める方が効果が高い。軽い症状なら自然に治まることもあるが、そこで放置すると神経のダメージが進み、障害が残る恐れもある。定期的な診察と検査も必要だ。深沢院長は「気がかりな症状が出たら、念のため神経内科を受診して」と言う。磁気共鳴画像装置(MRI)の普及で病変の発見が容易となり、診断もしやすくなったという。
 若い世代が発症する病気だけに、人生への影響は大きい。深沢院長は「研究が進んでおり、必ずもっと良い薬が現れる。神経内科の専門医を受診して、その時のために今できる最善のことをし、いい状態を保ってほしい」と呼びかけている。」


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◇2012/05/03 「標準薬効かない患者見極め 阪大、多発性硬化症で手法 」:日本経済新聞
 http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG03015_T00C12A5CR8000/

「大阪大学の中辻裕司講師や熊ノ郷淳教授らは、感覚障害などが起きる難病「多発性硬化症」で標準的な薬が効かないタイプの患者を見極める手法を開発した。血液中に特定のたんぱく質があると効き目が表れないことを突き止めた。治療前の血液検査に応用できれば、早いうちから別の治療薬を投与できる。多数の患者でさらに検証し、実用化を目指す。
 多発性硬化症は脳や脊髄、視神経などに炎症が起こり、運動まひや感覚障害などを起こす難病。国内患者は約1万2000人。一般にインターフェロンベータが最初の治療に使われる。患者によっては効果がないだけでなく、悪化する場合もあった。
 研究チームは、免疫にかかわるたんぱく質「セマフォリン4A」に着目した。インターフェロンベータ療法を受ける患者約30人を調べると、血中にこのたんぱく質が目立つ患者は4〜5年後には介助がないと歩けないほどに悪化したが、少ない患者は歩ける距離が短くなる程度だった。
 薬が効かない患者は最初から別の薬を使えば治療効果が上がる可能性がある。成果は米免疫学会誌に3日掲載された。」


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◇2014/01/19 「(患者を生きる:2398)脳と神経 繰り返す炎症:6 情報編 合う薬選び免疫抑制」:朝日新聞
 デジタル
 http://digital.asahi.com/articles/DA3S10933013.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S10933013

「「多発性硬化症(MS)」は中枢神経(脳・脊髄〈せきずい〉)と視神経に炎症が頻発し、視力が落ちたり、運動機能に異常が起きたりする病気。複数の場所に炎症が起き、症状が落ち着く「寛解」後にも再発を繰り返す多発性と、症状が治まったあと神経が硬くなる特徴からこの病名がついた。国内の患者は1万人以上で、3対1で女性が多い。
 神経細胞の信号を伝える電線(軸索〈じくさく〉)の周りを覆う絶縁体(髄鞘〈ずいしょう〉)が炎症で壊れ、様々な症状が出る。原因は未解明だが、免疫細胞が髄鞘を攻撃する自己免疫疾患とみられる。炎症はMRIで分かる。腰椎(ようつい)の骨の間から針を刺して髄液を調べても、異常がわかることが多い。
 根治療法はまだなく、再発時にステロイド薬を大量点滴するパルス療法など、免疫を抑制する対症療法が主体になる。
 「視神経脊髄炎(NMO)」も、視神経と脊髄に炎症を繰り返す。失明や手足の不随などに見舞われるため、MSの重症型と考えられてきた。
 しかし、神経細胞と血管との橋渡し細胞(アストロサイト)を攻撃する特殊な自己抗体(AQP〈エーキューピー〉4抗体)が10年前に発見され、MSと区別されるようになった。国内の推計患者数は3千〜4千人。9割が女性だ。
 病気に応じて最適な治療法を選ぶようにもなってきた。東京女子医大病院の太田宏平医師(神経内科)は「MSに使う薬で症状が悪くなるNMO患者の報告もある」と注意を促す。簡易なNMOの検査なら、最近は各地で受けられる。
 早期発見、予防は症状が多彩であるため難しい。斎田孝彦・関西多発性硬化症センター所長は「まずは神経内科など専門医を受診して欲しい」。
 再発予防の新薬開発も進む。国立精神・神経医療研究センターの山村隆・神経研究所免疫研究部部長は「関節リウマチ薬がNMOの再発を予防することを見つけた」と話す。MSも、欧米で実績がある点滴薬が年内にも使える可能性があるという。
 MSとNMOの関連情報は、全国多発性硬化症友の会(http://www.h2.dion.ne.jp/〜msfriend/)やMSキャビン(http://www.mscabin.org/)に詳しい。」



*作成:小川 浩史
UP: 20140222  REV: 20140226
多発性硬化症 「難病」
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