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多文化主義/多言語主義

multiculturalism/multilingualism

last update: 20120403

■新着

◆加賀美 常美代 編 20130715 『多文化共生論――多様性理解のためのヒントとレッスン』,明石書店,352p. ISBN-10: 4750338486 ISBN-13: 978-4750338484 2520 ※ mc.

■本センター関係者による文章[PDF/テキストデータあり]

◆西川 長夫 20130524 『植民地主義の時代を生きて』,平凡社,622p. ISBN-10: 4582702953 ISBN-13: 978-4582702958 [amazon][kinokuniya] 4800+ ※ s03. mc.
◆片山 知哉 2010/03/31 「ウィル・キムリッカのネイション概念――キムリッカ多文化主義論における、こどもという問いの不在」,『Core Ethics』6:133-143  [PDF]
片山 知哉 Can Multiculturalism Be Extended to Non-Ethnic Groups? Kymlicka, Will 抄訳
片山 知哉 2010/05/16 第36回日本保健医療社会学会 発表要旨
  「養育関係内の多文化主義――身体状況の差異によるコンフリクト,畳み込まれたポリティクス」

■本HP内関連項目

CODA & MFD
手話 sign language

■文献

 *『……』
立命館大学大学院先端総合学術研究科のHP内のファイルにリンク。

柳父 章  19720615 『翻訳語の論理――言語にみる日本文化の構造』,法政大学出版局,338p.
=20030125 『翻訳語の論理――言語にみる日本文化の構造』,法政大学出版局,341p. ISBN-10: 4588436066 ISBN-13: 978-4588436062 ¥3360 [amazon][kinokuniya] 
◆Grasby, Al 1984 The Tyranny of Prejudice, Australian Educa Press, Melbourne=(アル・グラスビー)20020323 藤森 黎子訳,『寛容のレシピ――オーストラリア風多文化主義を召し上がれ』,NTT出版,252p. ISBN:4-7571-4039-8 2415 [amazon][bk1] ※ *m01
◆Gutmann, Amy ed. 1994 Multiculturalism: Examining the Politics of Recognition,Princeton University Press=19961018 佐々木毅・辻康夫・向山恭一訳,『マルチカルチュラリズム』,岩波書店,240+3p. 2600 ※ http://www.arsvi.com内のファイル
◆Cordeiro, Paula A. ; Regan, Timothy ; Martinez, Linda Pitt 1994 Multiculturalism and TQE, Sage=20030831 平沢 安政 訳,『多文化・人権教育学校をつくる――TQE理論にもとづく実践的ガイド』,明石書店,202p. ISBN:4-7503-1781-0 2200 [amazon] ※ *m01
Kymlicka, Will 1995 Multicultural Citizenship: A Liberal Theory of Minority Rights, Oxford University Press=19981210 石山 文彦・山崎 康仁 監訳,『多文化時代の市民権――マイノリティの権利と自由主義』,晃明書房,428p. ISBN:4-7710-1062-5 5300 [amazon] ※ *m01
Kymlicka, Will ed. 1995 The Rights of Minority Cultures, Oxford University Press ※ *m01
◆Semprini, Andrea 1997 Le multiculturalisme, Paris, P.U.F., Coll. <>=(アンドレア・センプリーニ)20030410 三浦 信孝・長谷川 秀樹 訳,『多文化主義とは何か』,白水社,文庫クセジュ861,180+2p. ISBN:4-560-05861-X 999 [amazon][bk1] ※ *m01
◆Hage, Ghassan(ガッサン・ハージ) 1998 White Nation: Fantasies of Write Supremacy in a Multicultural Society, Pluto Press=20030825 保苅 実・塩原 良和訳,『ホワイト・ネイション――ネオ・ナショナリズム批判』,平凡社,402p. ISBN:4-582-45224-8 3990 [bk1][amazon] ※ *m01

◆広田 康生 編 19960131 『多文化主義と多文化教育』(講座外国人定住問題 第3巻),明石書店,280p. ISBN:4-7503-0774-2 3150 [amazon][bk1] ※ *
◆日本記号学会 編 19960330 『記号学研究16――多文化主義の記号論』,東海大学出版会,220p. ISBN:4-486-01370-0 2940 [amazon][bk1] ※ *m01
◆三浦 信孝 編 19970530 『多言語主義とは何か』,藤原書店,340p. ISBN:4-89434-068-2 2940 [amazon][bk1] ※ *m01
◆湯浅 俊彦・武田 春子 編 19970531 『多文化社会と表現の自由――すすむガイドライン作り』,明石書店,326p. ISBN:4-7503-0933-8 3360 [amazon][bk1] ※ *m01
◆多文化社会研究会 編訳 19970910 『多文化主義――アメリカ・カナダ オーストラリア・イギリスの場合』,木鐸社,274+8p. ISBN:4-8332-2247-7 3150 [amazon][bk1] ※*m01
西川 長夫渡辺 公三・McCormack, Gavan 編 19971020 『多文化主義・多言語主義の現在――カナダ・オーストラリア・そして日本』,人文書院,305p. ISBN:4-409-23026-3 2310 [amazon][bk1] ※ m01
◆小林 誠・遠藤 誠治 20001015 『グローバル・ポリティクス――世界の再構造化と新しい政治学』,有信堂高文社,238p. ISBN:4-8420-5541-3 3360 [amazon][bk1] ※ m01
 西川 長夫 「多文化主義・多言語主義」 197-217(第9章)
◆モーリス=スズキ,テッサ 20020524 『批判的想像力のために――グローバル化時代の日本』,平凡社,277p. ISBN-10:458270235X ISBN-13:978-4582702354 \2520 [amazon][kinokuniya] ※ bp g03 mc
◆河原 俊昭 編 20021001 『世界の言語政策――多言語社会と日本』,くろしお出版,247p. ISBN:4-87424-258-8 2940 [amazon][bk1] ※ *m01
ましこ ひでのり 20021010 『日本人という自画像――イデオロギーとしての「日本」再考』,三元社,2300円
◆桂木 隆夫 編 20030430 『ことばと共生――言語の多様性と市民社会の課題』,三元社,265p. 2500 ※ *m01 多文化主義/多言語主義
◆全国ろう児をもつ親の会 編 20030510 『ぼくたちの言葉を奪わないで!――ろう児の人権宣言』,明石書店,212p. 1500 ※ *m01 ろう/聴覚障害
上農 正剛 20031020 『たったひとりのクレオール――聴覚障害児教育における言語論と障害認識』,ポット出版,505p. ISBN:4-939015-55-6 2700 [amazon][bk1] ※ *m01 ろう/聴覚障害
 cf.立岩 2003/12/25 「『たったひとりのクレオール』」(医療と社会ブックガイド・33),『看護教育』44-12(医学書院)
◆米山 リサ 20031127 『暴力・戦争・リドレス――多文化主義のポリティクス』,岩波書店,229p. ISBN:4-00-024751-4 2520 [amazon][bk1] ※ m01
ましこ ひでのり 200311 『イデオロギーとしての「日本」――「国語」「日本史」の知識社会学 増補新版』,三元社,408p. ISBN: 4883031225 3570 [amazon] * m01
◆『ことばと社会』編集委員会編 20040220 『ヨーロッパの多言語主義はどこまできたか』,三元社,ことばと社会別冊1,180p. ISBN:4-88303-110-1 2310 [amazon][bk1]※ *m01
全国ろう児をもつ親の会 編/小嶋 勇 監修 20040901 『ろう教育と言語権――ろう児の人権救済申立の全容』,明石書店,481p. ISBN:4-7503-1959-7 5040 [amazon][bk1] ※ d **
◆ましこ ひでのり 編 20061215 『ことば/権力/差別――言語権からみた情報弱者の解放』,三元社,262p. ISBN-10: 4883031926 ISBN-13: 978-4883031924 2730 [amazon] ※ b


 
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■引用等

◆Grasby, Al 1984 The Tyranny of Prejudice, Australian Educa Press, Melbourne=(アル・グラスビー)20020323 藤森 黎子訳,『寛容のレシピ――オーストラリア風多文化主義を召し上がれ』,NTT出版,252p. ISBN:4-7571-4039-8 2415 [amazon][bk1] ※ *m01
□内容説明[bk1]
オーストラリアの経験に学んで、人種差別のない多文化主義(マルチカルチュラリズム)の社会をつくる。それが再び日本を世界にとって魅力ある国にする道だ…。多文化主義先進国オーストラリアの事例を紹介。
□著者紹介[bk1]
〈グラスビー〉1926年ブリスベーン生まれ。オーストラリアの労働党の中心メンバーとして第一線にたつ政治家。ホイットラム政権移民大臣、初代コミュニティー問題コミッショナー等を務めた。

◆Gutmann, Amy ed. 1994 Multiculturalism: Examining the Politics of Recognition,Princeton University Press=19961018 佐々木毅・辻康夫・向山恭一訳,『マルチカルチュラリズム』,岩波書店,240+3p. 2600 ※ http://www.arsvi.com内のファイル

◆Cordeiro, Paula A. ; Regan, Timothy ; Martinez, Linda Pitt 1994 Multiculturalism and TQE, Sage=20030831 平沢 安政 訳,『多文化・人権教育学校をつくる――TQE理論にもとづく実践的ガイド』,明石書店,202p. ISBN:4-7503-1781-0 2200 [amazon] ※ *m01

Kymlicka, Will 1995 Multicultural Citizenship: A Liberal Theory of Minority Rights, Oxford University Press=19981210 石山 文彦・山崎 康仁 監訳,『多文化時代の市民権――マイノリティの権利と自由主義』,晃明書房,428p. ISBN:4-7710-1062-5 5300 [amazon] ※ *m01

Kymlicka, Will ed. 1995 The Rights of Minority Cultures, Oxford University Press ※ *m01

◆Semprini, Andrea 1997 Le multiculturalisme, Paris, P.U.F., Coll. <>=(アンドレア・センプリーニ)20030410 三浦 信孝・長谷川 秀樹 訳,『多文化主義とは何か』,白水社,文庫クセジュ861,180+2p. ISBN:4-560-05861-X 999 [amazon][bk1] ※ *m01

◆Hage, Ghassan(ガッサン・ハージ) 1998 White Nation: Fantasies of Write Supremacy in a Multicultural Society, Pluto Press=20030825 保苅 実・塩原 良和訳,『ホワイト・ネイション――ネオ・ナショナリズム批判』,平凡社,402p. ISBN:4-582-45224-8 3990 [bk1][amazon] ※ *m01
□内容説明[bk1]
なぜグローバル化の進展によって排外的なナショナリズムが強められるのか。オーストラリアを事例にとりながら、多文化主義政策に潜む「内なるオリエンタリズム」を暴き出す。
□著者紹介[bk1]
〈ハージ〉1957年ベイルート生まれ。オーストラリアに移住し、マックォーリー大学で博士号を取得。シドニー大学に勤務。

◆山本 真弓 編 20040910 『言語的近代を超えて――<多言語状況>を生きるために』,明石書店,明石ライブラリー067,329p. ISBN: 4750319708 2940 [amazon] ※,

◆石川 一雄 19941015 『エスノナショナリズムと政治統合』,有信堂高文社,277p. ISBN: 4842055243 4410 [amazon][kinokuniya] ※,
内容(「BOOK」データベースより)
国民国家をいかに超えるか。共存のための多元的統合理論/政策の枠組み提示。
内容(「MARC」データベースより)
政治発展論、国家建設理論の批判的検討からはじまる論文。国民国家をいかに超えるか、政治理論としての統合の枠組みに関する考察を提示。
目次
1章 政治統合とエスニシティ
2章 エスノポリティクスの構図
3章 エスノナショナリズムと多極収差の枠組み
4章 カナダ連邦制とミーチ湖憲法協定
5章 立法優位と離脱権
6章 「独自な社会」
7章 連邦制と国家連合
8章 四つのナショナリズム

◆広田 康生 編 19960131 『多文化主義と多文化教育』(講座外国人定住問題 第3巻),明石書店,280p. ISBN:4-7503-0774-2 3150 [amazon]

西川 長夫 19970530 「国民文学の脱構築」,三浦信孝編[1997:246-261]*
*三浦 信孝 編 19970530 『多言語主義とは何か』,藤原書店,340p. ISBN:4-89434-068-2 2940 [boople][bk1] ※ *m01

 「もし多文化主義・多言語主義が徹底して追究されれば、現在の国民国家的秩序は根底からつくがえらざるをえないはずである。」(p.258)
 「多文化・多言語主義がこうした旧来のナショナリティ概念にもとづくかぎり、それはいたずらに多数のミニ・ネイションとそれらの諸集団のあいだの紛争を生みだすだけであろう。多文化・多言語主義が国民文学、したがって国民国家に対する真に有効な批判となりうるためには、それが依拠する文化概念、言語概念を根本的に疑い、変革しなければならない。文化にかんしては私はこれま(259)で、文化は交流し変革を続けること、文化はつねに雑種的であり、純粋で孤立的な文化などはありえず、したがって民族が虚構であると同様、国民文化(日本文化、フランス文化、等々)も虚構であることをくりかえし指摘してきた。それは変容し続ける自己の他者性や複数性に通じる議論でもある。
 ここでは同じことを言語について強調したい。言語は交流し変容する。言語は常に雑種的であり、純粋で孤立した言語などはありえず、国語(日本語、フランス語、等々)は虚構である。」(pp.259-260)

西川 長夫 19971020 「多文化主義・多言語主義の現在」
 西川・渡辺・McCormack編[1997:9-23]*
西川 長夫渡辺 公三・McCormack, Gavan 編 19971020 『多文化主義・多言語主義の現在――カナダ・オーストラリア・そして日本』,人文書院,305p. ISBN:4-409-23026-3 2310 [amazon][boople][bk1] ※

 「第五に、多文化主義・多言語主義の理論的な問題にふれておきたい。多文化主義が政策として登場したという事情から、その理論的な検討がなおざりにされる傾向があった。だが運動としての多文化主義も、政策としての多文化主義も、理論としての多文化主義によって深められ裏付けられない限り、方向を見失う恐れがないとは言えないだろう。本稿で私がここまで疚しさと煩わしさを感じながら、「多文化主義」のあとに「多言語主義」ということばを付してあえて「多文化主義・多言語主義」という書きかたを続けてきたのは、一つには多文化主義のあいまいさとある種の詐術を意識化したいという気持が働いていたからである。言語は文化の最も重要な要素である。もし多文化主義を唱えるならば、あるいは多文化主義を押し進めるならば、それは論理的に当然、多言語主義を伴うはずであるし、多言語主義を伴わなければそのことについて何らかの説明を必要とするはずである。」(p.16)
 「文化はあいまいな概念であるから、多文化主義を唱えることは容易である。それはたいして我身にかかってこない。だがひとたび多文化主義の必然的な帰結である多言語主義が導入されれば、事態は急変する。多文化主義を受けいれながら多言語主義を拒否する理由の説明は、いままで私の知りえた限りでは、経済的効率のみである。それは妥協によって成立つ現実政治の観点からは説得的な理由である。では、文化的多様性を認め、それぞれの文化的自立と共存を積極的に推し進めようとする多文化主義は、経済的な効率によって左右されるような性質のものであろうか。そこには論理的あいまいさが残されており、その理論的なあいまいさにあえて立ち入ろうとしない姿勢がうかがわれるのである。」(p.17)

 cf.立岩真也『自由の平等』
◇序章注15 「集団としての規定・同一性の肯定性が主張されるとともに、それが他の範疇の人々の排除やそこで規定される属性に回収されるものでない個人の抑圧につながりうることが問題にもされる。そしてそれに分配の問題が重ねられるという具合になっていて事態はなお複雑なのだが、しかしそれでも私は議論がおおまかすぎると感じる。例えばテイラーが持ち出すケベック州でのフランス語の問題についてどこまでのことが言えるのか、言語は他のものとどこが共通しておりどこが異なるのかを考えるといった仕事を一つずつ積んでいくことが必要だと思う。」

 テイラー/ハーバーマスの『マルチカルチュラリズム』*中の文章について
*Gutmann, Amy ed. 1994 Multiculturalism: Examining the Politics of Recognition,Princeton University Press=19961018 佐々木毅・辻康夫・向山恭一訳,『マルチカルチュラリズム』,岩波書店,240+3p. 2600
 http://www.ritsumei.ac.jp/acd/gr/gsce/db1990/9400ga.htm ※

 「テイラーとハーバーマスという、世界的な名声を得ている第一級の哲学者たちの、多文化主義をめぐる言説のあいだに見え隠れするあいまいさや矛盾あるいは言い落としの部分のなかに、今後展開し深めなければならない多文化主義の重要な理論的課題、むしろ彼の性といったものが示されているのではないかと思う。次の四点を指摘しておきたい。
 (1)先住民問題[…](19)[…]
 (2)新しいタイプの自由主義の提案にせよ、民主的立憲国家の成熟にせよ、ここでの議論は既成の国民国家の存続を前提して、国民国家の枠の中で、統合形態の再編、デモクラシーやシティズンシップの新たな形態を問うという形で進められている。[…]
 (3)[…]彼らが用いる文明、文化、エスニシティ、民族、アイデンティティ等々の主要な概念が、基本的には国民国家時代に形成された古い概念のままであって、そうした概念に対する根本的な懐疑や批判が、いくつかの興味深い提案はあるものの、いまだ十分に行なわれていないところ[…]
 (4)二人の哲学者の緻密な論理が時にあいまいで欺瞞的に思われるのは、エスニシティや民族問題(20)の背後にあってつねにその根本的な原因になっている、差別(あるいは搾取と被搾取)のシステム、形を変えた新しいタイプの植民地主義、といったものに対する指摘や考察の欠如、あるいはそうした差別のシステムと多文化主義がいかなる関係にあるかについての考察の欠如が感じられるからではないかと思う。」(pp.19-21)

西川 長夫 「多文化主義・多言語主義」,小林・遠藤編[2000:197-217]*
*小林 誠・遠藤 誠治 20001015 『グローバル・ポリティクス――世界の再構造化と新しい政治学』,有信堂高文社,238p. ISBN:4-8420-5541-3 3360 [amazon][boople][bk1] ※ *m01

 1 歴史的徴候としての多文化主義・多言語主義
 2 アメリカ・カナダの場合
 3 オーストラリアの場合
 4 ヨーロッパ的統合と共和国モデル
 5 多文化主義とアジア

 「多文化主義(multiculturalism)ということばは、1970年代の初めにカナダとオーストラリアで新たな国民統合の形態を示す国是として採用されて以来、急速に普及した。もちろん新語であって、英語の辞書(Randam Houseの新版)によれば65年、フランス語の辞書(Le Petit Robertの新版)によれば71年の日付が記されている。この英語とフランスの日付のずれは、多文化主義が英語圏からヨーロッパに広がっていったことを想像させると同時に、地域による多文化主義の差異を予想させる。英語やフランス語の多文化主義は一般的には、ある集団や共同体のなかで複数の文化が共存している状態を指すと同時に、そのような多文化の共存を好ましいと考え積極的にその推進をはかろうとする政策や思想的立場を意味する。
 多言語主義(multilingualism)も新語であり、現在では多文化主義にともなってあらわれ、多文化主義ほどに定着していない印象を与えるが、実際は(197)多文化主義より古い用語である。[…]文化には言語が含まれる。したがって、多文化主義政策は論理的には多言語主義をともなうはずである。だが、多文化主義は現実には、カナダは二言語多文化主義であり、オーストラリアは一言語多言語主義であることからも分かるように、必ずしも多言語主義を含まない。一見明らかなこの論理矛盾をどう考えればよいのだろうか。そこには文化と言語の一様ではない複雑な関係が示されていると同時に、多文化主義のある種の詐術が隠されている。」(pp.197-198)

 「先住民から奪った土地に居座り続けることは、いかなる論理によって正当化され、奪った者たちの現存と現在の諸制度はいかなる理由によって正当化されるのであろうか。かつて「文明化の使命」と「無主の地」の教義が果たした役割を今ではグローバリゼーションの理論と多文化主義・多言語主義が果たそうとしている、という側面を見落してはならないと思う。他方、アジアの可能性がアジアの豊かな多様性にかかわるものであるとすれば、われわれは多文化主義・多言語主義を単に欺瞞として退けるのではなく、その可能性を異なった角度から追求する必要があるだろう。それは、大航海時代以来の歴史の大転換がもたらす歴史のアイロニカルな課題の一つである。」(p.216)

◆自由主義、共和主義、多元主義――A・トゥレーヌ 長谷川 秀樹著 232-248
 三浦 信孝 編 20031230 『来るべき〈民主主義〉――反グローバリズムの政治哲学』,藤原書店,381p. ISBN:4-89434-367-3 3990 [amazon][boople][bk1] ※ * m01

 「フランスにおける多文化主義に対する偏った、あるいは感情的な見解[…]。それは、多文化主義は共同体主義に同じだという見方、そして共同体主義は個人と国家以外に権利の主体を公認しない共和主義を否定するものだ、という理屈である。さらに、多文化主義はアメリカなどアングロサクソンの思想であって、フランスにはなじまないという意見もある。総じてフランスでは多文化主義に対する評価は否定的で、多文化主義は共和主義に反するという図式がある。フランスで多文化主義を掲げることは、共同体主義者で反共和主義者と同一視される傾向がある。
 トゥレーヌは多文化主義が共同体主義であるという図式そのものが共和主義であるとして批判する。また、自らが多文化主義であることを意思表明して反共和主義を掲げるという論法、すなわち多文化主義か共和主義かという二項対立論自体も、共和主義であるとしてこれを否定する(1994:236)」(長谷川[2003:242])


◆多文化主義とフランス共和制 中野 裕二著 269-283
 三浦 信孝 編 20031230 『来るべき〈民主主義〉――反グローバリズムの政治哲学』,藤原書店,381p. ISBN:4-89434-367-3 3990 [amazon][boople][bk1] ※ * m01

1フランス共和制と文化的多様性
 「統合理念としてのフランス共和制の特徴は、人間が言語・宗教など多様な属性を有した個人として行動する空間を「私的領域」、他方、そうした属性を捨象し、共和制への参加者すなわち市民(citoyen)としての属性のみをもつ空間を「公的領域」として区別し、「公的領域」と「指摘領域」を明確に分離する点にある。この統合理念のもとでは、諸個人は「私的領域」において自らの独自性を維持し、同時に「公的領域」において市民として平等である。」(269)
2多文化主義のフランスへの紹介とその反応
 1一九九〇年前後のフランスの政治社会状況
 2フランスへのアメリカ多文化主義の紹介と反応
 「[…]アメリカの多文化主義は閉鎖的共同体同士の対立しか生まないもの、フランス社会を分裂させるものと位置づけられていた。」(273)
 3共和制の批判的再検討
3フランスの多文化主義
 1ロマンの「フランス型多文化主義」
 2ヴィヴィオルカの多文化主義論
 3フランス多文化主義論の特徴
 「[…]「寛容」と比較したときフランスの多文化主義はどこにその特徴があるのだろうか。それは一つには、今日「国民戦線」支持者が増加し、人種主義が増大している原因をどこに見るかという点である。「寛容」派は差異の強調に原因を見いだし、「多文化主義」派の普遍主義の強調に見いだす。その結果、問題解決の方向も違っている。二つ目は、両者の議論のレベルである。「寛容」派はフランス共和制の統合理念や原則から多文化主義を批判する。「多文化主義」派は実際に困難をかかえるアクターの視点から、プラグマティックな視点で多文化主義を論じることを主張している。「寛容」派の議論からは、差異の尊重の具体策が見えてこず、逆に、「多文化主義」派には、ヴィヴィオルカ自身が認めるとおり理論的問題点も残る。井上達夫はケベックのフランス語文化保護のための特権付与を容認するウィル・キムリッカらの理論を「居直りの論理」と表現し、西川長夫は、多文化主義にはある種のうさんくささと曖昧さがつきまとっていると指摘している(井上、1999、95頁:西川、1997、258頁)
4多文化主義論から見たフランス共和制


◆クレオール化の政治哲学――共和国・多文化主義・クレオール 三浦 信孝著 284-304
 三浦 信孝 編 20031230 『来るべき〈民主主義〉――反グローバリズムの政治哲学』,藤原書店,381p. ISBN:4-89434-367-3 3990 [amazon][boople][bk1] ※ * mc

1クレオール受容への四つの問い
2「文化的多様性」のトリアーデ
 「[…]今日世界中いたる所にみられる多民族多文化社会において、共に生きることを可能にする社会モデルは少なくとも三つある。図式化して並べれば、「共和国」「多文化主義」「クレオール」のトリアーデである。」(289)
3共和主義による多文化主義批判とその限界
 「第一の共和国モメントは、国民主権である。」(292)
 「第二の共和国モメントは、開かれた国籍原理である。」(292)
 「第三の共和国モメントは、政教分離である。」(292)
 「統合の共和国モデルは、この非宗教性原理の民族問題への適用だと考えられる。」(293)
 「多文化主義は自由主義のみならず共和国モデルと正面からぶつかる。多文化主義は「差異の政治」を追求するあまり、社会を複数のエスニック集団に分け、それらを真に統合しないで分断する危険をはらむからだ。ひとりの人間を黒人であるがゆえに優遇するためには、その人間を黒人として同定(「黒人として同定」に傍点)しなければならない。アメリカのセンサスが国民を五つほどのエスニック集団に分けて自己申告させるのは象徴的だ。」(294)
 「八〇年代に勢いを増した「差異への権利」の主張は多文化主義の前兆だったが、ピエール=アンドレ・タギエフのような人種主義の専門家から、差別と戦うのに極右「国民戦線」など人種差別する側の「差異主義」と同じ論理に立っている限界を指摘され、以後言説としての有効性を失っていく。」(295)
 「ただし注意が必要なのは、共和国の普遍主義は、人々を身分制や民族ないし宗教共同体のくびきから解放するときは自由・平等の原理としてはたらくが、共和国が内外の的から身を守る防衛的局面に立たされると、保守的で排他的なナショナル原理に転化する可能性を秘めていることだ。」(295)
4「クレオール化」の思想的射程
5日本社会のクレオール化のために


◆ましこ ひでのり 編 20061215 『ことば/権力/差別――言語権からみた情報弱者の解放』,三元社,262p. ISBN-10: 4883031926 ISBN-13: 978-4883031924 2730 [amazon] ※ b


◆立岩 真也 2007/**/** 「多言語問題覚書――ましこひでのり編『ことば/権力/差別――言語権からみた情報弱者の解放』の書評に代えて」,『社会言語学』7


UP: REV:2006061(ファイル修復) 20070820,20100413,27, 1028, 20120403
ろう文化 Deaf culture