HOME > Index >

「重度かつ慢性」基準化/治療抵抗性


Tweet
last update: 20170518


■新着


◆厚生労働省 2017/03/31 「厚生労働省告示第百十六号」[全文pdfファイル]
厚生労働省告示第百十六号
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)第八十七条第一項及び障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律(平成二十八年法律第六十五号)による改正後の児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第三十三条の十九第一項の規定に基づき、障害福祉サービス及び相談支援並びに市町村及び都道府県の地域生活支援事業の提供体制の整備並びに自立支援給付及び地域生活支援事業の円滑な実施を確保するための基本的な指針(平成十八年厚生労働省告示第三百九十五号)の全部を次のように改正し、平成三十年四月一日から適用する。
平成二十九年三月三十一日
厚生労働大臣塩崎恭久

◆消えた「社会的入院」問題――「重度かつ慢性」基準化で始まる新たな長期入院

日時:2017年3月25日(土)13時30分〜16時30分 懇親会
場所:朱雀キャンパス3F 308教室

主催:立命館大学生存学研究センター
共催:病棟転換型居住系施設を考える会、全国「精神病」者集団

後援:認定NPO法人大阪精神医療人権センター、京都ユーザーネットワーク、京都精神保健福祉士協会、京都精神保健福祉施設協議会、京都精神保健福祉推進家族会連合会、
京都精神神経科診療所協会、病棟転換型住居を考える京都実行委員会

概要
厚生労働省は、「新たな地域精神保健医療体制のあり方分科会」を設置し、精神保健福祉法の改正に向けた議論を進めています。第2回分科会では、平成25年〜27年度厚生労働科学研究費障害者対策総合研究事業「精神障害者の重症度判定及び重症患者の治療体制等に関する研究」(研究代表者:安西信雄)の報告が出され、「重度かつ慢性」の基準化についての議論がなされました。「重度かつ慢性」とは、精神科病院での長期在院者の中で機能障害が原因で退院、地域移行できない者とその範囲のこととされています。さて、いわゆる「重度かつ慢性」の基準化は、精神科病院に長期在院している者の置かれている不条理を当該精神障害者の機能障害に原因を帰責しようとするものであり、ひいては精神科医療従事者が研鑽して実践の水準をあげる機運を下げ、多くの人が指摘する国策の誤りに対しても免罪符を与えるものです。そして、「重度かつ慢性」とされた長期在院患者は、再び精神科病院において長期在院を強いられることになります。どのような重度な障害があろうとも地域で暮らす権利があるわけであり、人間として当たり前に暮らす権利を奪うような基準は阻止されなければなりません。阻止に向けて、多くの人の参加をよびかけます。

13:30 挨拶――
13:40 「重度かつ慢性」基準化の問題点の解説 長谷川利夫(杏林大学)
14:00 長谷川利夫×立岩真也 「重度かつ慢性!?そんなものはない!」問題の底流――消えた〈社会的入院〉から〈長期在院〉と「重度かつ慢性」への変遷
15:00 休憩(書籍の販売)
15:15 検討会での議論の持ち方と精神障害者の参画をめぐる諸課題について 澤田優美子(当事者・これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会委員)
15:30 指定発言――野地芳雄(京都精神保健福祉推進連合会)、有我譲慶(大阪精神医療人権センター)
16:10 フロアからの発言
16:30 閉会の挨拶――(立命館大学)

◆2016/04/22 平成25〜27年度厚生労働科学研究費補助金障害者対策総合研究事業 「精神障害者の重症度判定及び重症患者の治療体制等に関する研究」研究結果の概要 (これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会第2回新たな地域精神保健医療体制のあり方分科会資料2 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科長・教授 安西信雄氏提出資料)  http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000122522.pdf

「重度かつ慢性」暫定基準案(平成25年度に本研究班の合議により作成。これを本調査の際に用いた。)
 精神症状が下記の重症度を満たし、それに加えて、@行動障害、A生活障害のいずれか(または両方)が下記の基準以上である場合に、重度かつ慢性の基準を満たすと判定する。
 身体合併症については、下記に該当する場合に治療上の特別の配慮が必要と判定する。

1. 精神症状
BPRS総得点 45点以上、または、BPRS下位尺度の1項目以上で6点以上
注)BPRSはOverall版(表1)を用いる。その評価においては「BPRS日本語版・評価マニュアル(Ver.1)」(宮田量治による)に準拠する。

2.行動障害
 2月調査で用いた問題行動評価表(表2)を用いて評価する。1〜27のいずれかが「月に1〜2回程度」以上に評価された場合に、「問題行動あり」と評価する。(項目28の「その他」は削除。項目の配列を改め、自傷他害に関連する事項をA項、その他をB項とする)

3.生活障害
 障害者自立支援法医師意見書の「生活障害評価」(表3)を用いて評価する。その評価に基づいて、「能力障害評価」を「能力障害評価表」の基準に基づいて評価する。「能力障害評価」において、4以上に評価されたものを(在宅での生活が困難で入院が必要な程度の)生活障害
ありと判定する。ただし、「7.社会的適応を妨げる行動」は上記の「行動障害」と重複するので削除する。(注:「暫定基準案」では削除したが「基準案」では復活した)

4.身体合併症
 精神症状に続発する下記の身体症状を入院治療が必要な程度に有する場合に評価する。
@水中毒
A腸閉塞(イレウス)
B反復性肺炎

【補足】上記の行動障害のA項、B項の区別や重み付け、過去の入院歴や社会適応度・必要とされた地域生活支援等の履歴事項については、今後の調査研究の結果を踏まえて検討を行う。さらに、暫定基準案のそれぞれの構成要素についても今後の調査研究により妥当性の検証と修正を実施する予定である。(pp.6-7)
「・精神症状が重度または不安定で退院できない一番の原因(資料3 図表94) 調査日時点での退院の可能性については「可能」(13.7%)、「困難」(85.6%)で、退院困難の理由については「精神症状が極めて重症または不安定であるため」(困難患者の60.9%、全体の52.1%))が最も多く、それらの患者では暴力などの問題行動、日常生活機能の低下などが多かった(同)。」(p.12)

「V.研究を踏まえた重度かつ慢性の基準の性能(特に感度・特異度)の総括
 以上のようにWTの指導により実施された5,000人規模の研究1を含めれば「重度かつ慢性」基準に関連して3回の全国調査を実施したことになる。
 「重度かつ慢性」について、1年間継続して入院治療を受けても退院できないことを1つの目安としたが、WTの論点整理で「地域での受け手がないために退院できない群でなく、医学的・治療的に重度なため慢性に経過する群を中心に考えるべき」と指摘されたことを受け、1年継続入院患者のうち退院困難な理由が「病状が重いまたは不安定であるため」であるものを抽出することを目指した。しかし、退院可能性には本人の病状だけでなく、病院の治療体制、家族や地域の支援体制をはじめ多様な要因がからまるので、「病状が重いため退院困難」ということのゴールド・スタンダードを求めることは難しい。そこで、本調査研究では入院後1年経過時点での主治医の判断を仮のゴールド・スタンダードとして用いることとした。
 すなわち研究2、研究3において、入院後1年を経過した時点での主治医による退院困難の判断とその理由の判断を求め、暫定基準の妥当性の検証のため、医師判断をゴールド・スタンダードとした場合の一致率(基準の感度と特異度)を検討した。」(p.18)

「入院後1年〜1年3ヶ月の新たな長期在院患者581人のうち暫定基準を満たしたのは350人(60.2%)で、そのうち医師による退院可能性の評価で「病状が重いため退院困難」とされた患者は260人(74.0%)であった。医師判断を基準とした場合の暫定基準案の感度は0.710、特異度は0.581であった。」(p.21)

「前向き追跡調査の亜急性期登録群802人で、1年後も入院していた186人(23.1%)のうち1年時点評価で暫定基準を満たしたのは108人(58.1%)であった。108人のうち医師判断で病状が重いため退院困難とされた患者は64人(59.3%)であった。また、186人のうち1年時点の医師評価で病状が重いため退院困難とされた患者は85人(45.7%)で、うち64人(75.3%)が暫定基準を満たしていた。暫定基準案に該当する群では医師判断で「退院困難・重症のため」と判断された患者が他の群より有意に多かった(p<0.01)。医師判断を基準とした場合の暫定基準案の感度は0.753、特異度0.564であった。」(p.21)


◆社会保障審議会障害者部会(第83回)資料
 http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000147361.pdf

◆社会保障審議会障害者部会(第81回)資料
 http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000139977.pdf
◆成果目標の参考資料(参考資料3)
〈a href="http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000147365.pdf" target="_blank">http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000147365.pdf"

「平成37年までに重度かつ慢性に該当しない長期入院精神障害者の地域移行を目指す(※)とともに、治療抵抗性統合失調症治療薬の普及や認知症施策の推進による地域精神保健医療福祉体制の高度化を着実に推し進めることを目標とした推計式を開発する。」(p.16)

◆障害福祉計画及び障害児福祉計画に係る基本指針構成案
 http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000147361.pdf

◆第30回障害者政策委員会 議事録
 http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/k_30/gijiroku.html

○岩上委員 岩上でございます。
 一般社団法人全国地域で暮らそうネットワークという団体を設立したところでございますが、私たちは長期にわたり精神科に入院している 人の地域移行を図り、一人一人が望んでいる地域生活を送るための実践を強化し、人材を育成し、政策提言を行ってきたところでございます。
 現在、精神科病院で1年以上入院されている方は18万5,000人と言われていまして、そのうち4万5,000人の方は1年間のうちに退院できるのですが、そのうちの1万人の方は病院で亡くなり、1万7,000人の方は転院・転科を余儀なくされている。厚労省の科学研究等の調査によると、1年以上入院している方のうち6割の方はいわゆる重度かつ慢性の患者さんと言われています。その方々に対する重厚な支援は大変重要なわけですが、例えばそれ以外の4割の方、7万4,000人の方々は受け入れ条件が整えば退院できるという数値でございますので、こういったことをきちんと目標に掲げていく必要があると思っております。
 医療と福祉の連携と官民共同による支援によってこそ、こういった地域移行の課題は解決できる。そういった気概で私も本委員会に臨みたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。


◆怒っているぞ!障害者切りすて!ネットワーク関西
 http://app.m-cocolog.jp/t/typecast/613470/517951/86362392

◆◆精神保健福祉法改定論議の危険な動き
――「重度かつ慢性」と診断した人を死ぬまで隔離するつもりか...

 精神保健福祉法改定のための議論をしている「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」の論議で、もう一つ危険な動きは、「重度かつ慢性」と診断した人を、退院支援の対象から外し、死ぬまで隔離することが狙われているのです。
 厚生労働科学研究の中で、こうした対象者は、1年以上入院している人の6割に当たる、という研究結果が出されています。
 1年以上、精神科病院に入院している人は、役20万人と言われますので、そのうちの12万人がこのような対象とされようとしているのです。
 しかも、この記載が「精神病床のさらなる機能分化について」の部分で書かれていますので、、極めて職員体制の少ない病棟に隔離し続けようとしていると思われます。
 私が参照したのは、9月30日会合で出された「新たな地域精神保健医療体制のあり方分科会における論点整理について」です。
 その記述を以下に記載します。
 ----------
A「重度かつ慢性」に関する調査結果とその活用についてどのように考えるか(現状)
○「精神科医療の機能分化と質の向上等に関する検討会<今後の方向性に関する意見の整理>平成24年6月28日」では、地域で生活することが非常に困難な状態にあり、長期に入院が必要な患者を「重度かつ慢性」であると概念整理し、調査研究を通じて基準を明確化する方針が示された。
○厚生労働科学研究班(平成24〜27年度)の策定した「重度かつ慢性」の基準案では、「精神病棟に入院後、適切な入院治療を継続して受けたにもかかわらず1年を超えて引き続き在院した患者のうち、精神症状の重症度の基準を満たし、行動障害又は生活障害のいずれかの基準を満たしていること」が要件とされた。当該研究班の実施した全国調査では、1年以上の入院患者の約6割が、基準案に該当した。
○「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針」では、「重度かつ慢性」の症状を有する精神障害者以外の精神障害者であって、1年以上の長期入院をしているものについては、退院支援や生活支援等を通じて地域移行を推進する方針を示した。
-------------
 厚労省をはじめとする精神科関係の人々の中では、長期入院しているが、退院できない人たちがいるということをあらかじめ想定して、その人たちをどう選別するか、という思考で、政策を進めているのです。
 これを「障害者」運動は、絶対に許してはなりません。


◆2017/01/24 病棟転換居住系施設を考える会 「いわゆる「重度かつ慢性」の基準化に反対する声明」

 2012年6月28日に開かれた第7回 精神科医療の機能分化と質の向上等に関する検討会で「今後の方向性に関する意見の整理」が発表され、その中で、今後の精神科医療においては「新たな長期在院者を作らないことを明確にするため、『重度かつ慢性』を除き、精神科の入院患者は1年で退院させ、入院外治療に移行させる仕組みをつくる」との方針が出された。このなかで「重度かつ慢性」の患者については、「新たな長期在院患者を増やすことのないよう明確かつ限定的な取扱とする」こととし、その基準については「調査研究等を通じて明確化する」とされた。
 この「重度かつ慢性」の基準については、平成25〜27 年度 厚生労働科学研究費補助金 障害者対策総合研究事業「精神障害者の重症度判定及び重症患者の治療体制等に関する研究」として取りまとめられた。さら、2016年4月22日の「新たな地域精神保健医療態勢のあり方分科会」では、同研究の研究代表者である安西信雄氏(帝京平成大学大学院 臨床心理学研究科)を招きヒヤリングを行い、その後も議論が続けられている。
 この「重度かつ慢性」の基準化は同分科会においても複数の構成員から、「『重度かつ慢性』という評価判定は非常に絶望的な響きとともに、退院の対象にならない人、そういうレッテルになってしまうおそれがすごくあって、それをすごく恐れています」(精神保健福祉事業団体連絡会:伊澤構成員)、「地域で私ども経験していると、妄想ばりばりでも朝ちゃんと起きて自分なりに食べられて、言葉は悪いですけれども、自傷他害という感じがなければ退院して生活していらっしゃる方はいっぱいいます(中略)これがそれこそ壁にならないようにしていただければということです」(日本作業療法士協会:荻原構成員)、「治らない人、よくならない人みたいな形で捉えられてしまうと、臨床的ではないというか、医者のほうがよくならないと思って治療しても患者さんはよくならない方が多くなると思うのです。決してそういうふうにならないように構成しなくてはいけないのではないか(中略)外来で私が診ている患者さんでもこの基準であれば該当する方がおられます。項目の問題もあるだろうとは思うのですけれども、そのあたりをもう少し厳密にやる必要があるのと同時に、そういう対象の方がどうして地域で生活ができているのかをしっかり調査しないといけないのではないか」(日本精神神経科診療所協会:田川構成員)などと問題点が指摘されている。しかしながら、その後の検討会において、これらは省みられることなく、この「重度かつ慢性」の対象者は入院患者の6割とするなど、常軌を逸した議論が行なわれている。
 そもそも、「重度かつ慢性」の患者については、「新たな長期在院患者を増やすことのないよう明確かつ限定的な取扱とする」とされていたはずである。しかしその限定的であるはずのものが6割というのは極めて不適切と言わざるを得ない。
 私たちは、このような「重度かつ慢性」の基準をもって、これからの精神保健医療福祉の施策を検討することに反対する。さらに、現在開催されている「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」において、このような不適切な基準を基に議論を進めないよう強く求める。


◆2016/08/04 日本病院・地域精神医学会 厚生労働大臣塩崎恭久様宛 「「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」に対する緊急意見書」

 厚生労働省は、2016年1月に「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」を設置し、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)の改正に向けて検討を進めています。
 当該検討会では、医療保護入院における移送及び入院の手続等の在り方、医療保護入院者の退院を促進するための措置の在り方、入院中の処遇、退院等に関する精神障害者の意思決定及び意思の表明の支援の在り方、精神病床のさらなる機能分化、精神障害者を地域で支える医療の在り方、精神疾患に係る医療体制の在り方、その他、の論点を検討することとされ、「医療保護入院等のあり方分科会」、「新たな地域精神保健医療体制のあり方分科会」の二つの分科会に分かれて報告をまとめることが確認されています。
 本学会では、当該検討会に一大の関心を払ってきましたが、残念ながら以前から指摘されてきた精神障害者の人権上の問題を解決するための抜本的な見直しを趣旨とするものではなく、新たなる問題を引き起こしかねない極めて問題のある検討内容と言わなければならないという結論に至りました。
 つきましては、特に問題であると思われる論点を箇条書きにし、早急に精神医療保健福祉体制の抜本的な見直しに向けた議論に軌道修正することを求めます。

1.重度かつ慢性の基準化について
 「新たな地域精神保健医療体制のあり方分科会」において「重度かつ慢性」の基準化が議論されています。「重度かつ慢性」の基準化は、精神科病院に長期在院している者の置かれている不条理を当該精神障害者の機能障害に原因を帰責しようとするものであり、ひいては精神科医療従事者が研鑽して実践の水準をあげる機運を下げ、多くの人が指摘する国策の誤りに対しても免罪符を与えるものです。そして、「重度かつ慢性」とされた長期在院患者は、再び精神科病院において長期在院を強いられることになります。さらには、この「重度かつ慢性」でない、そもそも軽症の方が長期入院を余儀なくされている実態があります。本学会は、たとえ実際に精神障害者が重度で慢性症状を呈しているとしても地域で暮らす権利があることを確認し、また、人間として当たり前に暮らす権利を奪うような基準であるのならば、基準化それ自体に対して反対の立場を示します。

2.医療保護入院について
 「医療保護入院等のあり方分科会」では、医療保護入院の存続を前提とした議論がなされています。2012年改正時は、障害者権利条約の批准を前にして保護者制度を含む医療保護入院等の見直しを中心に改正に向けた議論がなされました。ところが、国会に上程された法案の中身は、医療保護入院が存続した上に「保護者の同意」から「家族等の同意」に変更したことで同意権者の範囲を拡大するようなものでした。このことは、国会においても問題となり、衆参両委員会による付帯決議や附則に見直し規定が入るなど、この度の改正を方向づけました。それにも関わらず、医療保護入院に対する抜本的な見直しに向けた議論がされておらず、現行法に対してほとんど変更が加えられないのではないかと深刻に憂慮します。本学会としては、厚生労働省に対して医療保護入院に対する抜本的な見直しのための議論を求めます。

3.障害者権利条約を踏まえた議論
 2012年の精神保健福祉法改正審議に際しては「精神障害のある人の保健・医療・福祉施策は、他の者との平等を基礎とする障害者の権利に関する条約の理念に基づき、これを具現化する方向で講ぜられること」とする附帯決議が可決されました。しかし、当該検討会では、障害者権利条約の趣旨を確認するなどの検討を一切しておらず、立法府及び国際社会を軽視するような進め方となっています。本学会は、政府・厚生労働省に対して立法府及び国際社会を尊重して、障害者権利条約の趣旨に基づく検討を進めることを求めます。

4.隔離・身体拘束の急増の問題について
  新聞各社の報道にもあるように、2013年度分の精神保健福祉資料によると、身体拘束を受ける患者は10229人、隔離を受ける患者は9983人にまで増加し、身体拘束は10年間で実に2倍になっていることが判明しました。本学会では、2013年第56回札幌総会、2014年第57回仙台総会、2015年第58回東京多摩総会と3年に渡り隔離・身体拘束のシンポジウムを開催し、隔離・身体拘束急増の状況に警鐘を鳴らしてきましたが、事態は深刻な方向へ進んでいると言わざるを得ません。国として増加の原因を早急に調査し、人権上問題がないかどうか精査したうえで、改善に向けた方策を至急打ち出していくことを求めます。

5.政策決定の基礎情報の収集と実態把握について
国連等国際社会からも再三指摘されているように、我が国は議論のベースとなる統計情報が決定的に不足しており、これについて早急に調査公表すべきです。例えば、国連の拷問等禁止条約委員会日本の第二回定期報告に対する最終見解(第55回会期(2013年5月6日から31日)委員会により採択)では、精神保健ケアについて以下の指摘をしています。「精神保健ケア
22 精神保健施設に対して運用上の制限を確立している精神保健福祉法にもかかわらず、また締約国代表の提供した追加情報にもかかわらず、委員会は非常に多数の精神障害者と知的障害者が非常に長期間精神保健ケア施設に非自発的に留められていることに懸念を持たざるをえない。非人道的で品位を汚す程度におよびうる行為である、独居拘禁、身体拘束そして強制医療が頻繁に行われていることを、委員会はさらに懸念する。精神保健ケアに関する計画についての対話の間に得られて情報を考慮しても、委員会は精神障害者の入院に対するオルタナティブに焦点を当てたものに欠けていることに懸念を持たざるをえない。最後に、拘束的な方法が過剰に使用されていることへの効果的で公平な調査がしばしば欠けていること、同様に関連する統計的データが欠けていることに懸念を表明する」
 また、OECDが2014年11月5日付けで発表した「OECD医療の質レビュー 日本 スタンダードの引き上げ 評価と提言」(OECD Reviews Health Care Quality JAPAN RAISING STANDARS ASSSSESMENT AND RECCOMENDATIONS)では、「治療の質を改善するための措置に対応する指標(統合失調症または双極性障害を有する患者の超過死亡率、処方行為、隔離と拘束の使用、当初の予定になかった再入院)の収集を優先し、国全体で促進すべきである。」としています。
我が国においては、上記のような非自発的入院の実態が明らかになるような調査が全く行われておらず、国は一刻も早く調査、公表し、議論を開始するよう強く求めます。
以上


◆病棟転換居住系施設を考える会 拡大学習会のご案内
日時:2月19日(日) 13時30分〜17時 定員 90名
会場:中野区産業振興センター大会議室(JR中野駅南口から徒歩5分)

 昨年,精神保健福祉法の見直しのための検討会が始まり,7月26日の相模原市の津久井やまゆり園の事件を受けて,措置入院制度の検討が加わるなど,精神障害に関する様々な動きがあります.いずれも精神障害のある人の権利を大きく侵害する可能性がある動きであり,病棟転換型居住系施設を考える会の毎月の寄り合いでも危機感をもって,これらの動きを注視しています.12月にはいわゆる「重度かつ慢性」の基準化に反対する声明を発表しました(次ページ参照).
 精神保健福祉法の改正の動向,その中で気になる「重度かつ慢性」の基準化,社会保障審議会障害者部会で検討されている次期障害者総合支援計画などの動き,社会保障のあり方を大きく変えようとしている「我が事 丸ごと」地域共生社会が示す方向性など,今検討されているいくつかのことを取り上げて,状況を共有しながら,これからの「考える会」の方向性など検討できたらと思っています.ぜひ,ご参加ください.
プログラム(予定)
13:30〜13:40 拡大学習会開会にあたって 長谷川利夫(杏林大学保健学部)
13:40〜14:30 テーマ1の報告と討論      長谷川利夫
これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会の動向と「重度かつ慢性」問題について
《休憩 10分》
14:40〜15:20 テーマ2の報告と討論      古賀 典夫
(障害者は怒っているぞ全国ネットワーク)
社会保障審議会障害者部会の動向(精神障害分野を中心に)
15:20〜15:50 テーマ3の報告と討論      増田 一世(やどかりの里)
「我が事 丸ごと」共生社会とは
《休憩 10分》
16:00〜17:00 全体討論 「考える会」で取り組んでいくこと 今後の方針について
進行:関口明彦(全国「精神病」者集団)

病棟転換型居住系施設について考える会  stopbttk@yahoo.co.jp
この『速報』は、複写、転送、転載、大歓迎です。ご自由かつ積極的にご活用ください。
《連絡先》長谷川利夫(杏林大学保健学部作業療法学科)
TEL.042-691-0011(内線4534)〔携帯電話〕090-4616-5521  http://blog.goo.ne.jp/tenkansisetu


*作成:桐原 尚之
UP:20170301 REV: 20170518
精神障害 
TOP HOME (http://www.arsvi.com)