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精神障害/精神医療 2012


last update:20170606


◆2012/11/19 ネットカフェ障害者入店拒否裁判一審勝利報告集会(DPI日本会議)

ネットカフェ障害者入店拒否裁判 一審勝利報告集会
日時 2012年11月19日(月)午後6時〜
場所 和泉橋出張所・区民館 洋室D
   〒101-0025神田佐久間町1-11 電話03-3253-4931
*会場の予約名は「スタジオI」です。お問い合わせの際はご注意ください。

終了後、近くのお店でささやかな食事会を開きます。(参加費:実費/予約制)
食事会へ参加希望の方は11月13日(火)17時までに
担当の李、西田までご連絡ください。

DPI障害者権利擁護センター
〒101-0054東京都千代田区神田錦町3-11-8 武蔵野ビル5階
電話 03−5282−3137 FAX 03−5282−0017


◆2012/11/10 2012年警視庁有識者会議による、てんかん、統合失調症、躁うつ病等を持った運転者に対する差別的提言への抗議(全国「精神病」者集団)

2011年4月、栃木県鹿沼市で起きた、クレーン車が登校中の児童に突っ込み6名の児童が亡くなった事故の遺族が中心となって、17万人分の署名を集め公安委員長に提出。その後2012年4月に始まった警察庁の有識者会議が、運転免許制度見直しについて、まとめた提言を2012年10月25日発表しました。その報告書の骨子は、

1、運転に支障がある症状を虚偽申告した人に対する罰則の整備を提案。
2、自動車の安全な運転に支障があると認められる人について、医師が任意で届け
出る仕組みの必要性を指摘。
3、病気で免許が取り消された人が再取得する時は試験の一部免除を提案。
4、症状の疑いがある場合は、明らかになるまで暫定的に免許停止を提案。
5、物損事故のデータベース化を提案(運転に支障ありそうな人の発見につなげ
る)。
6、診断書提出の義務は課さない見解。

となっています。
この提言骨子を整理してみたいと思います。
1〜5をまとめると、虚偽申告への罰則・主治医の通報の奨励・再取得への配慮・症状主義・疑わしき人物のデータベース化・診断書は取れないケースが多いことへの配慮、と箇条書きできると思います。
この箇条書きを並べ替えると、「正しい自己申告、主治医からの情報提供、そして埋もれがちな物損事故の情報の3点から、虚偽申告も簡単に見破れる体制を整え、監視と厳罰化で特定障害者の運転事故をなくす。」となると思います。
ここをさらに抽象化すると、「特定の障害者による事故を無くすため、障害者の情報を管理出来る様にする。」とすっきりと言えないでしょうか。
特定の障害とは、てんかん・躁うつ・統合失調症・など、です。
さて,心神喪失者等医療観察法という法律が施行されていますが、精神障害者に対する保安処分で、一言でいえば、精神障害者は何をするかわからない危険な存在である、という認識のもとに策定運営されている法律です。
それと同じことがこの提言の骨子にも言えると思います。
心神喪失者等医療観察法は、あまたある重大他害事件の件数のうちの数%にも満たないであろう、精神障害者の他害事件に対して徹底的な保安処分を、目が飛び出るような公金を投じて行う、というものです。
てんかんの事故についても同様で、日本てんかん学会によれば、2010年の人身事故件数726,000件のうち、てんかんが原因と思われる事故は71件だったという調査があります(ニューモデルマガジンX 7月号P,50)。
その状況に対して71件の事故のため特別な法制度を整備して対応しようとしています。
医療観察法が出来たからと言って、重大他害事件全体の件数は大きくは変化することはないでしょうし、道交法を改訂したからと言って、726,000件の人身事故件数に何ら影響があるわけでもありません。
どちらも精神障害者等の存在を、社会不安に対するスケープゴートとして祭り上げているだけのことです。
マイノリティーである精神障害者等がすべて悪いのだ、という社会認識を作り社会の耳目をそらそうとしている、のではないでしょうか。
まとめると、人身事故等交通事故を抜本的に減らすためには、すべての運転者に対して、その適性を取得時、更新時に限らず、もっと的確に調べるシステム、法制度が必要なのであるのに、提言は人身事故の0,00001%である、特定の疾患を持つ障害者の事故を減ずるため、障害者の情報管理を徹底しようとしているものです。
精神障害者等は事故を起こすという偏見差別の前提に基づいたもので、全体状況に何ら手を加えようとしない国の怠慢で差別的施策への提言であり、私たちは断じてこれを認めるわけにはゆきません。
以 上  


◆2012/11/06日 障害者権利条約批准は可能か?国連障害者の権利条約推進議員連盟の皆様へ訴える(全国「精神病」者集団 会員山本真理)

 国連障害者権利条約の批准は現状で可能でしょうか?
 障害があろうとなかろうと他のものと平等な人権保障を求めた障害者権利条約の批准に向け、障害者制度改革推進会議他様々な努力が重ねられてきました。しかしながら、現状では障害者権利条約批准は不可能であると言わざるを得ません。
端的な理由を以下3点あげます
1 障害者は他のものと平等に、どこで誰とすむか選択して地域生活の権利を享受できるか 地域での住宅保障や介助支援保障がなされているか
  長らく指摘されてきた施設や精神病院に長期に隔離収容されている人々の地域移行について、残念ながら逆行する制度設計と運用が横行しています。
 施設や病院の敷地内のグループホーム設置の進行 地方分権により国の規制が外れ、各地の条例で施設敷地内にグループホームが作られようとしています。これは明らかな隔離収容の恒久化であり、到底認めることはできません。まさに条約に違反した状況です。

2 後見人制度の運用実態そしてその根本的問題点が放置されていること
  障害者権利条約は明白に代理人による代行決定を否定しており、後見人制度は根本的に問い直されなければなりません。障害者の意思を踏みにじり、隔離収容に利している後見人の運用実態があり、これらを根本的に是正する必要があります。これらの問題を放置したまま後見人制度普及が進められていることは重大な条約違反状況です。
 障害者に法的能力およびその行使能力がないという前提に基づいて強制医療や強制入院制度が放置されていることも問題です。

3 障害者権利条約は強制入院および強制医療を禁止しています。すでに障害者政策改革推進会議は強制入院制度のあり方について検討を求めたところですが、厚生労働省はこの要請を無視し、ひたすら保護者制度の廃止にのみ問題を歪少化し、強制入院の要件緩和の方向すら出しています。また一方で長期の精神病院入院患者については医師および看護について他科の人員配置基準より低くていいとした差別的な基準をただすどころか、差別的低水準以下ですら病棟と認めるという差別強化の方針を明らかにしています(厚生労働省「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム」及び「精神科医療の機能分化と質の向上等に関する検討会」報告)。これは病棟を施設として公認し、治療の場から生活の場として公認していくという許すことのできない差別であり、長期入院患者さんの病棟を終末施設化し、死亡退院を持って問題解決しようとするジェノサイト政策といえます。
 障害者差別禁止法制定どころか、公然とした精神障害者差別が政策化されようとしているのです

 すでに、障害者権利条約の国連委員会は各国の報告書の審査を進めており、ペルー政府や中国政府の審査において、委員会は条約に基づき、明確に強制入院制度の廃止、強制医療の廃止、そして後見人制度の廃止を求めていることを付言しておきます。


◆2012/09/18 2012姉刺殺大阪地裁判決への緊急声明(全国「精神病」者集団)
 2012年7月30日、大阪地方裁判所(第2刑事部)は、アスペルガー症候群の男性が実姉を刺殺した殺人被告事件において、検察官の求刑懲役16年を上回る懲役20年の判決を言い渡しました。判決によると、検察官の求刑を超える量刑をした理由として、「被告人が十分に反省する態度を示すことができないことにはアスペルガー症候群の影響があり、通常人と同様の倫理的非難を加えることはできないとしながら、十分な反省のないまま被告人が社会に復帰すれば同様の犯行に及ぶことが心配され、社会内でアスペルガー症候群という障害に対応できる受け皿が何ら用意されていないし、その見込みもないという現状の下では更に強く心配される」というものでした。そのうえで、「被告人に対しては、許される限り長期間刑務所に収容することで内省を深めさせる必要があり、そうすることが、社会秩序の維持にも資する」として、この異常な判決を正当化しました。
 この判決文は、アスペルガー症候群という精神障害を理由に、社会に復帰すれば同様の犯行に及ぶことが心配されるとして、求刑以上の量刑を下したわけであり、完全なる排外と保安処分に貫かれたものであるといえます。そして、判決文にある、この場合の「障害に対応できる受け皿」とは、更生保護、医療観察、強制入院、いかなるかたちであろうとも、障害を理由とした同様の行為なる差別意識に基づき閉じ込める保安処分施設=収容所(アサイラム)でしかありません。さらに、聞こえのいい「障害に対応できる受け皿」という語は、独り歩きし、さまざまな保安処分を支援の名の下に積極的に取り入れていくことになるでしょう。なによりも、こうした意見が裁判員裁判によって、なされたことは、忘れてはなりません。
 全国「精神病」者集団は、あらゆる排外と闘うため、このような裁判所の判決や「障害に対応できる受け皿」なる保安処分施設の推進、裁判員制度に対して、断固として粉砕の立場をとります。


◆立岩 真也 2012/07/10 「これからのためにも、あまり立派でなくても、過去を知る」,『精神医療』67:68-78

◆立岩 真也 2012/07/25 「『精神』――社会学をやっていることになっている者から」
 萩野 亮・編集部 編 20120725 『ソーシャル・ドキュメンタリー――現代日本を記録する映像たち』,フィルムアート社,237p. ISBN-10: 4845912945 ISBN-13: 978-4845912940 2000+ [amazon][kinokuniya] ※ pp.190-197


◆「行政事業レビュー(精神障害者地域移行・地域定着支援事業)」
[外部サイト(You Tube)]
「平成24年度 厚生労働省行政事業レビューの公開プロセス
6月14日(木)14:00〜15:03 精神障害者地域移行・地域定着支援事業」


◆2012/02/09 心の健康推進議連ヒアリングに向けて・全国「精神病」者集団意見書(全国「精神病」者集団)

結論
私たちは心の健康推進基本法を求めません。

理由
1 立法事実がない さらに憲法違反、自由権規約拷問等禁止条約違反、そして障害者権利条約に抵触するおそれがある。
精神疾患(心の健康)の問題が重大な問題であるという認識を示しているが、その背景にある、性差別他差別問題、人権侵害、労働環境の問題、経済施策などを個人病理として解決しようとすることは重大な誤りであり、むしろ問題の所在を不明確にし、政策の失敗を糊塗することになる。
例えば自殺問題一つとっても一部の都道府県自死遺族会の調査では自殺者の少なくとも半数が精神科利用中あるいは利用歴があり、精神医療は自殺防止に役立っていない。むしろ精神医学化が、差別的ラベリングをし、それによる自殺の疑いすら多く指摘されている(参照 添付資料1) うつ病患者の増大と抗鬱剤の販売数増加が自殺を防止していない事実(添付グラフ参照 添付資料2また富士市による自殺防止キャンペーンが自殺を減らしていない事実)。
構造的な社会問題を心の健康の問題として、精神医学化するのは、厳に慎まなければならない。
 また月に100時間以上残業している欝の患者さんに残業をやめなければお薬をいくら飲んでもよくなりません、会社と話し合いましょうと主治医が提案し勤務先を聞いたら、なんと労働基準監督署だったという実話すらある。
 自殺防止や虐待、子育ての復職者が安心して働ける職場作り、総労働時間の削減、労働者派遣の禁止と正規職員課などの労働条件の解決、さらに貧困問題の解決こそが優先されるべきであり、心の健康基本法制定の立法事実はない。
 またすでに精神保健福祉法はその第3条国民の義務において「 国民は、精神的健康の保持及び増進に努めるとともに」とされ、さらに健康増進法第2条(国民の責務)において「国民は、健康な生活習慣の重要性に対する関心と理解を深め、生涯にわたって、自らの健康状態を自覚するとともに、健康の増進に努めなければならない。」としている。
 これらはすでに健康を国民の義務とし、疾病を持つものや障害者をいわば非国民として位置づけ優生思想を強化するものであり、憲法25条の生存権という権利を国民の個別の義務に添加したものでありそもそも問題であるが、これに屋上屋をかけて心の健康を推進しようとすることは重大な疑義がある。
そもそも心という目にも見えない形もないものが病んだり健康になったりするはずはなく、「心の健康」の法律による制定は、憲法第19条「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」に抵触するおそれすらあり、個人の精神的身体的統一性完全性不可侵性(インテグリティ)の侵害を禁止している拷問等禁止条約および自由権規約、そして政府が署名し今批准に向けた障害者権利条約17条にも抵触する
こうした立法事実がない法律を作るならば、精神保健福祉医療専門職の利権を拡大し、さらに市民の内心へまで踏み込んだ権利侵害を拡大するだけであり、自殺防止になるどころか虐待や差別人権侵害を強化しかねない

2 今私たちが求めるもの
1 まず精神障害者への差別立法を廃止すること、差別的政策を廃止変更すること
精神障害者差別をあおり人権侵害を重ね、分かっただけで17名の自殺者を出している心神喪失者等医療観察法の廃止(資料3 別紙東京新聞記事参照)
何の法的根拠もなく個人に強制介入するアウトリーチ事業を廃止すること(これは本人の同意が取れないからこそ医療保険が使えないと厚生労働省は説明している 参考資料参照)全てを拒否している方についてはヨーロッパでも高く評価されている例えばスエーデンスコーネ県のパーソナルオンブートのような試みが指向事業化されるべきである 資料4参照)

3 総合福祉法骨格提言を完全に反映した障害者総合福祉法を制定し、精神障害者にも使いやすい介助体制や支援を準備することで、精神障害者の地域生活を保障していくこと。
本人の権利擁護者を準備し、施設病院、刑事施設に出張御用聞きをする権限と義務を定め、また相談支援はケアマネージメントではなく権利擁護でもあるべきことを明記すべき。政府の現行の自立支援法における相談支援はケアマネージメントとして位置づけられ、かつ「中立公平」「家族あっての自立」という位置づけであり、人権擁護ではなく裁く機能を持たせられており、これはソーシャルワークの倫理規定「非審判」にも抵触する。
とりわけ骨格提言の地域移行の法定化を速やかに定め、長期高齢患者20年以上の入院患者が4万人以上いる実態を早期に解決すること(厚生労働省は来年度予算で精神病院に長期高齢患者の地域移行の担当者を各精神病院に一人配置するとしているが、精神病院に雇われた人間に退院送信は不可能、利益相反となる)
また地域移行は家族が介助している精神障害者についても自立生活に向けた介助支援体制を法定化することであり、この点も重要である

4 精神医療の一般医療への統合を進め、ハンセン病問題に関する検証会議の提言に基づく再発防止検討会の求める医療基本法制定およびそれに伴う患者の権利法制の確立が必要である。この提言は医師会および日本精神病院協会など医療提供側も含めて賛同したものであり、精神医療の底上げも重要であるが一般医療自体が崩壊している実態(地方は当然、例えば東京ですら小児科の救急は危機に瀕しているし、精神障害者の合併症治療も保障されておらず死亡者が出ている 資料5参照)を考えると、医療の基盤整備こそが今緊急に求められており、医療基本法の制定が何より優先課題である
 在宅医療の強化も必要であり、総合医による精神疾患への対応は今後さらに重要となる

5 強制入院制度については、数値目標を定めた削減方針を定めるべきであり、最終的に精神保健福祉法を廃止し医療基本法に統合すべき
 障害者権利条約は12条、14条、15条、17条、25条で強制入院および強制医療を禁止している
 オランダでは専門職団体が一致して年間10%ずつ強制入院を減らしていく計画が立てられ、そのためのオールタナティブの開発にも予算が付けられている。ノルウェーでは、少女への強制入院強制治療についてヨーロッパ拷問禁止条約の調査が入ったこともあり精神保健法の廃止への議論が始まっている
OHCHR(国連高等弁務官事務所)のモニタリングガイドおよび資料ではいかなる強制入院も障害者権利条約の下ではあってはならないとしている(添付資料6参照)
 また拷問等禁止条約前特別報告官は強制医療や強制入院は拷問等禁止条約が禁止している拷問あるいは残虐で非人道的品位を汚す処遇に当たりうるとしている(添付資料7参照)
《添付資料1》こころの病は誰が診る(日本評論社)2011年8月11日
《添付資料2》別紙(自殺予防事業が逆に自殺を増やしているとする問題提起等)
《添付資料3》東京新聞記事
《添付資料4》2011年度厚生労働省アウトリーチ事業糾弾声明
《添付資料5》ハンセン病問題に関する検証会議の提言に基づく再発防止検討会事務局事業
《添付資料6》障害者権利条約モニタリング―人権モニターのための指針専門職研修シリーズNo.17 国際連合人権高等弁務官事務所
《添付資料7》国連第63回総会への拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱い又は、刑罰に関する、人権理事会特別報告官(Prof. Manfred Nowak)の報告


◆2012/01/31 日本精神科病院会長山崎學氏文章(協会誌巻頭言 会長 山崎 學Japan as No.1日精協雑誌 2012 1月号)に対する、「抗議・撤回および公式謝罪要求文」および「公開質問状」(全国「精神病」者集団)

日本精神科病院協会殿
全国「精神病」者集団

記 

貴協会誌 2012年1月号に掲載された会長山崎 學氏のJapan as No.1と題された協会誌巻頭言文章(以下「巻頭言文章」)は、その内容に関して、日本国内のみならず、諸外国の事例も含め事実関係の著しく偏った見方が存在するのみならず、その表現に関しても、日本の精神科病院、医療に対して批判を行っている人間や団体に対する、もはや誹謗中傷そのものとしか言いようのない表現、また精神科病床数、平均在院日数(いずれも言うまでもなく日本は世界一である)の削減、短縮、退院促進活動、人権擁護(アドボカシー)活動等に真摯に取り組んでいる当事者団体、関係諸団体に対するまさに侮辱そのものと思われる表記・内容が随所にみられ、到底容認されるべき文章ではない。
さらに、会長の立場で書かれた「巻頭言文章」である以上、日本精神科病院協会(以下「日精協」)としてかかる認識を共有しているものとも十分判断されうるが、仮にそうだとすれば、日精協そのものが、もはや公的な団体として社会的に存続すること自体大きな問題点をもはらみかねないこともここにあわせて指摘しておきたい。

「抗議・撤回および公式謝罪要求文」
我々は、「巻頭言文章」に強く抗議するとともに、「巻頭言文章」の即刻全面撤回および公式な場での正式な謝罪をここに強く要求する。

「公開質問状」
また、具体的な表記内容等に関して、以下の公開質問を行う。各質問内容等に具体的に即して、2月末日までに回答されたい。

T.「35万床の精神科病床数だけが強調され、しかも精神科病院における患者の処遇は、脱施設化前の欧米の精神科病院、つまり大規模入院施設で刑務所もどきの処遇がいまも行われているといった偏見に満ちたものでした。」の部分について

質問1 精神科病院における患者の処遇に関して、外部の人権擁護(アドボカシー)団体等の、立ち入り調査や救援活動を認めている精神科病院は日本の精神科病院全体のごく一部なのではないかとおもうがいかがか。またなぜ日本の多くの精神科病院は処遇に自信があるにもかかわらず、人権擁護(アドボカシー)団体の調査や訪問を拒否し続けているのか詳しくご事情をご説明頂きたい。
 
質問2 世界一であるといわれる身体拘束・隔離がこの間急激に増大しているといった点やいまだ後を絶たない患者に対する各種人権侵害(医療の名を借りた自由・人権の不当な剥奪、強制治療(様々な観点からの批判が存在するES療法の増加等も含む)やいまだ見られる使役等)、また数多く存在する「劣悪病院」の諸問題等、これらの点は、貴方が主張する「偏見」の問題ではなく、会長や日精協自身がが「正しく現実を認識していない」のではないかと思われるがいかがか。

質問3 貴方が日本の精神科病院での処遇に自信があるのならば、今後、当事者団体や人権擁護(アドボカシー)
団体の訪問や調査等またその結果の一般への情報公開等にも日本全国の精神科病院は「無条件」に協力すべきではないか(むろん、プライバシーの尊重の問題等に「正当に配慮」するのは当然とした上である )。

U.「この偏見を助長したのは、日本の精神科医療について歪曲化して発言をしている確信犯的原理主義者、外国カブレの学者、精神科病院を非難することで生活の糧を得ているといった人たちです」の部分について

質問1これが日精協会長という公的な立場にある人間が、外部からの批判に対して発すべき言葉なのだろうか?もはや語るべき言葉も持たない。即刻撤回し、謝罪するとともに、「年頭冒頭文章」を書いた山崎學会長はもはや日精協という公的な団体の会長という職務にふさわしくないものとさえ充分に思われるがいかがか。

質問2 また「年頭冒頭文章」が日本精神科病院協会全体の見解なのだとすれば、日精協は外部等からの真摯な批判者を誹謗中傷することを協会全体で認めている団体ということになろう。即刻協会そのものを解散し、批判に謙虚に耳を傾け、見識と自己改革能力もった団体として再出発すべきであろうとも思われるがいかがか。

V.「欧米の脱施設化は、精神科医療に対する国の財政的困窮の結果といった側面と、イタリアに見られるような政治運動の一環として行われたという両面性を持っています。」の部分について

質問1 欧米やイタリアに関する認識に関して。いわゆるケネディー演説から始まったアメリカの精神医療改革にせよ、イタリアの精神医療改革にせよ「人権運動」だったことは、世界中の多くの関係者が共有している認識ではないのではないか?「脱施設化」に関する上記見解は一面的に偏った認識と思われるがいかがか

W.「また、病床削減を行ったアメリカ、イギリス、カナダ、イタリアでは精神科病床を増やす必要に迫られ、精神科病床の増床を始めています。」の部分について

質問1 精神科病床の増床を進めようとしているのは、例えばイタリアでは精神科医の中でも一部のいわゆる「保守派」と言われているグループであると聞いている。アメリカ、イギリス、カナダ等世界全体の動きは当方も充分承知してはいないが、現時点まだごく一部の動きに過ぎないとおもわれる。いずれにせよ35万床という実数でも対人口比でも世界一の精神科病床数の日本での削減に反対する論拠には全くなりえないと思うがいかがか。

X「馬鹿のひとつ覚えのように「地域移行」「平均在院日数の短縮」「入院抑制」を推進すれば、過鎮静にして在宅で看るといった欧米型の精神科医療に追い込まれ、患者にとっても家族にとっても好ましい結果にならないのは明らかです。」

質問1「馬鹿のひとつ覚えのように「地域移行」「平均在院日数の短縮」「入院抑制」を推進」とは具体的にどういう意味か。ご説明頂きたい。特に「地域移行」「平均在院日数」「入院抑制」の推進」に日々献身的努力をなされている、各種関係者、当事者団体等にもっとよく理解できるよう、どこがどう「馬鹿の一つ覚え」なのか、より具体的に、当事者、関係者も出席する公的な場所でしっかりと責任を持ってご説明、ご回答願いたい。

Y 「欧米の失敗の轍を踏まないように、 精神科医療改革は時間をかけて慎重に進めるべきです」
                        記 
貴方が主張するところの「欧米の失敗」に関する認識に関しては、諸外国の関係者に「巻頭言文章」を発信したうえで、事実関係を確認後、後日再質問させて頂くことにするが、その際は誠意をもったご回答をぜひともお願いいたしたい。

質問1「精神科医療改革は時間をかけて慎重に進めるべきです」の部分は具体的にどのくらいの時間をかけて、何処をどう慎重に進めようと考えているのか見解をおきかせ願いたい。

質問2例えば入院30年以上の「超長期社会的入院患者」は、すでに入院治療の必要もないのにもかかわらず、今後も長期間在院しつづけ、おそらく「死亡退院」以外に実質的退院はないようさえに思われるが、この点どうか?「脱施設化」「障害者が地域で暮らす権利」の観点も踏まえたうえで、よりわかりやすく明確な見解をお示しいただきたい。

Z「また、医療提供のバロメーターである、アクセス、コスト、アウトカムいずれをみても、日本の精神科医療は世界一だと思います」

質問1こういった重要な問題に関して「思います」では良くないのではないか?貴方が医療提供のバロメーターとして挙げている「アクセス」「コスト」「アウトカム」それぞれについて、精神科病院の僻地への偏在の問題(アクセス)や医療法特例の問題(コスト)等踏まえたうえで、また今回特に意味がわかりにくかった「アウトカム」についても、可能な限りのエビデンスに基づいたご説明をお願いしたい。

質問2 医療には様々なバロメーターが存在するが、各種バロメーターも検討、国際比較したうえで「日本の精神科医療は世界一」とエビデンスに基づいたうえで主張するべきではないだろうか?十分な科学的データーに基づかず一部のバロメーターだけを取り出し、しかも「コスト」や「アウトカム」だけを取り上げ、医療経済学重要な「コストパフォーマンス」分析さえ存在ない著しい「誤解」が生じかねない主張は日本精神科病院協会として即刻撤回すべきであると思うがいかがか。


UP:2012 REV: 20130518, 0617, 20170606
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