◇作業療法とその問題点について――昭和45年ブロック研でのまとめ――(舟幡定雄)
<作業療法と看護>
現在の精神病院で実施されている作業療法は、全体の約70%が看護者によって行われている事が調査報告されている。
(S42日精協)此の実情から見てもわかる様に作業療法に関する諸問題の多くは看護者によって究明されていかなければならない。そして作業療法のあり方と云うものも今後の発展の中で自らのものとして行かなければならない。
<パネルデスカッション「作業療法とその問題点」より>
1. 理論的問題点
@ 発表する精神医療の中で患者の身体と精神の機能回復に役立つ専門的知識と技術を学んだ専門職の養成をしなければならない。
A 作業療法の根本問題として、治療者の人格反映の影響が大切であることから、患者と治療者との対人関係が重要である。
B 看護者の人格、資質、態度〜人間お互いの接触・交渉の在り方と云った理論の確立。
C 精神衛生法の治療上の問題を取りまとめた法的な問題の改革をしながら作業療法の理論を定設化して促進させる事が重要であろう。
D 言語的疎通性の得にくい患者には行動が何よりも手がかりになる。患者の行動観察を通じて対人関係などを調べ、関心や欲求を知り、患者のニードによる作業療法をすすめる。
E 現在の作業療法の多くは看護者の手に委ねられている。その中で作業療法を進めていく過程には基本的な問題が多く見出される。次にその幾つかをあげる。
先ず始めに佐合療法の(1)目的、(2)目標、(3)性格等があげられる。次に目的と云った曖昧さから、(4)手順等も検討されず療法の(5)評価、(6)記録等の効果判定は殆ど行われていない。
以上の諸点を明確にして行き乍ら作業療法の有り方を十分検討し、看護学の観点からも療法としての正当な評価が得ら得るように努力しなければならない。
2.院内作業療法の問題点
@作業場等の設備の不足
A作業種目の不足
B段階別による療法が行われていない。
C専門職の配置と格付の不明確
D作業療法に対する所要経費の負担が困難。
Eナイトホスピタルの有り方。
F作業療法と組織機構の確立と従事する職員間の連絡(療法部と下部組織・コミュニケーションの問題)
2. 院外作業療法の問題点
@ 院外作業場への職員(指導員)の配置。
A 作業中の怪我等事故の取扱いと治療費。
B 往復途上の交通事故の対策。
C 治療と労働の関係
D 作業と報酬
E 療法と期間
F 療法と職業訓練
3. その他の問題点
@ 地域に於いて作業療法が正しく評価されていない。
A 事業主の協力を得るにはどうしたらよいか。
B 作業療法の診療報酬としての医療保険での点数化の実現
C 措置入院患者と作業療法。
(…)
4. 終りに
現在の実際のなかで、精神科作業療法は如何にあるべきかを、今後の発展過程で考え、作業療法の看護理論と実際の確立をすすめて行き、各病院が共通の原則を持ち、その上で各々が創意工夫していくべきであろう。(p.368)
◇皆んなの協力で看護体制の現状調査をまとめよう 組織委員会
<なぜ調査するのか…>
「精神医療」と「精神科看護」は決して別個なものでなく、この認識から私達はもっと直接的な看護から問題をみつめていきたいと思います。「精神科看護はどうあるべきか」この命題を追求し、かつ「患者に暖かい手を差しのべる」立場から、自らの看護体制がどうなっているかを明らかにする必要があると思います。(…)
<どんな問題を行うのか>
@ 看護単位
A 夜勤体制
B 待遇状況
C パラメジカルの導入
D 看護者需給対策問題(p.389)
・東京都支部 長期在院患者に対する自立への援助(東京都立松沢病院 幡野静子)
かつて理想とされた生活療法、作業療法、などが画一主義、患者の主体性を奪う、使役であると今日批判され、そうした価値観の混沌とした中で、私達は一体何を行ったらよいかという困惑を経験してきた。そうした不安といらだちの中で精神科看護のあるべき姿を模索してゆく中で(…)
「精神病院で患者の治療を妨げる因子はなにか」(…)
@ 精神病院自体が持つ管理と抑圧のメカニズム
A 長期在院者の家族崩壊
B 家族環境と分裂病との関係
C 患者のかかえてきた歴史と病状の把握の不完全さ
D 精神障害者に対する社会的偏見
E 精神病に対する私達看護者のあきらめ
と考え、看護目標に「自立への援助」とかかげて具体的にその改善に努力した。(…)
受け持ち制⇒患者自治会⇒民主的に