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十全会闘争/十全会双岡病院(京都)事件



1960'  ◆1970'  ◆1980'  ◆1990'  ◆2000'  ◆2010'  ◆文献

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■新着

◆立岩 真也 201510 『精神病院体制の終わり――認知症の時代に』,青土社 ISBN-10: 4791768884 ISBN-13: 978-4791768882 [amazon][kinokuniya] ※ m.

『精神病院体制の終わり――認知症の時代に』表紙
◇立岩 真也 2014/12/01 「精神医療現代史へ・追記9――連載 106」『現代思想』41-(2014-11):8-19
◇立岩 真也 2014/11/01 「精神医療現代史へ・追記8――連載 105」『現代思想』41-(2014-11):8-19
◇立岩 真也 2014/08/01 「精神医療現代史へ・追記5――連載 102」『現代思想』41-(2014-8):-
◇立岩 真也 2014/07/01 「精神医療現代史へ・追記4――連載 101」『現代思想』41-10(2014-7):8-19
◇立岩 真也 2014/06/01 「精神医療現代史へ・追記3――連載 100」『現代思想』41-(2014-6):-
◇立岩 真也 2014/05/01 「精神医療現代史へ・追記2――連載 99」『現代思想』42-8(2014-5):8-21
 ※これらは加筆等の上、『精神病院体制の終わり――認知症の時代に』第2章となりました。

◆桐原 尚之・長谷川 唯,2013/10/31,「全国「精神病」者集団の結成前後――大阪・名古屋・京都・東京の患者会の歴史」『立命館人間科学研究』28:27-40 http://www.ritsumeihuman.com/uploads/publications/86/28_p027-040.pdf

■全文収録

◆榎本 貴志雄 19750129 「十全会糾弾闘争の経過」『精神医療』2-4-2(16):32-39(特集:裁判闘争/行政闘争)

◆生村吾郎・喜多川武夫・岩本昌和・高石俊一・朝日俊弘 1978 「兵庫県における精神医療」,『精神医療』2-7-1(26):31-48→朝日[1983:114-151]*
*朝日 俊弘 19831125 『自治体精神医療論――住む所・働く場からの「精神医療」をめざして』,批評社,358p. ASIN: B000J6R4A4 2500 [amazon] ※:[広田氏蔵書] m.

「*他府県病院の入院については、兵庫県下の人口万対病床数が十八床と比較的少ないため、隣接する他府県の病院を利用している場合も考えられるが、問題は決してそれだけでは終らないようだ。
 入院先の病院ベスト三
 @大阪府下茨木市A病院    一ニ〇人
 A  〃 豊中市S神経科病院 九〇人
 B京都市 Hサナトリウム   七四人
 以下さらにずっと入院先の病院をみていくと、決して地理的に便利だとは思えない病院へかなり多数が、まとまって入院しているなど。たとえば、京都市内の十全会系の二病院だけで一〇〇人以上が入院している。
 これらのデータについてはさらに具体的な検討を要するだろうが、少なくとも、いわゆる「老人」や「アル中」など問題を含むケースの相当数が、他府県の病院へ半ば選択的に(?)流れている(流されている)ことは確実と思われる。」(朝日[1983:119-121])

◆19800216 「精神病棟の中で…京都・十全会病院の場合」
 NHK総合『ルポルタージュにっぽん』1980年2月16日放送

◆19831222 「最高裁,十全会側の上告を棄却」(一頁時評),『精神医療』3-12-4(49) :70 特集:地域活動の質を問う,精神医療委員会,108p. ISSN: 03030105 ※ 著者名:(T)(↓)

 
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■1960'

◆196706
 「十全会における患者虐待を初めて取上げたのは、京都府患者同盟で、昭和42年6月、患者を掃除、給食、おむつ交換、院長宅の雑役などに使っていることにたいし、抗議活動を展開した。」(榎本[1975:32])

◆196901
 「昭和44年11月、京都の障害者や福祉関係者の組織している社会福祉問題研究会(略称・社問研)に、ピネル病院の退職者から恐るべき医療の実態が伝えられ、きびすを接して、家族や患者の訴えも持ちこまれてきた。」(榎本[1975:32])

◆1969
 十全会双丘病院(京都):違法な拘束・極量の薬剤投与で患者死亡
 http://blogs.yahoo.co.jp/fukushimakichi/24705951.html

 
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■1970'

◆1970
 十全会双ヶ丘病院(京都):患者虐待・看護職員の水増し
 http://blogs.yahoo.co.jp/fukushimakichi/24705951.html

◆1970/05
 「このなかで昭和45年4月に、精神障害者家族あけぼの会が結成され、社問研とともに十全会の件を府会に訴え[…]」(榎本[1975:32])

◆1970/07-10
 「昭和45年4月に、精神障害者家族あけぼの会が結成され、社問研とともに十全会の件を府会に訴え、同年7月の府会本会議で三上隆議員(社会党)が質問にたち、灘井五郎議<0032<員(共産党)らの努力で、厚生労働委員会が4回も開かれ、同年10月、精神医療の充実向上、作業療法の改善、職員の確保、患者の人権擁護などにかんする府会勧告が、全会派一致で決議された。しかし、府衛生部は勧告にもとづく調査すら実施せず医事の内容にメスは入らなかった。」(榎本[1975:32])

◆1971/04 『朝日新聞』→大熊[1973]*
*大熊 一夫 19730220 『ルポ・精神病棟』 ,朝日新聞社,292p. ASIN: B000J9NFOU [amazon] ※ m→198108 朝日文庫,241p. ISBN-10: 4022602449 ISBN-13: 978-4022602442 [amazon][kinokuniya] ※ m.

 「絶望的な話を、ついでに、もうすこし紹介しよう。これらの話は、四十六年三月末、私と科学部記者 <0137< の二人が取材し、医学会総会にちなんだ連載記事「白衣の裏側」(四十六年四月一日〜四月八日朝日新聞夕刊)に載ったものの一部である。くすり一般の話だが、精神医療とて例外ではない。
               *
 […]
 こうした医師と製薬会社の腐れ縁の中から生れたくすりを使って、医療機関が儲ける手法の一例として――
 四十五年の暮れ、地元の精神障害者家族会から「患者を死ぬほど虐待した」と告発された京都の医療法人十全会。まともに経営したら大赤字といわれる精神科を中心に、高度成長をとげた”医療コンビナート”である。かつて同会に勤めていた中山宏太郎京大精神科助手の語るそのカラクリ。
 「系列下の三病院に徹底的に経営を競争させる。トンネル会社をつくって製薬会社からくすりを買いたたき、三病院に卸す。くすりをいろいろ抱合わせたメニューができていて、くすりに病人の方を合わせる。あるとき酸素テントを十基ほど買込んだら”重病人”が急にふえた。医師の給与は、募集広告だと「部長年収手取りり五〜七百万円」。このカネで、経営方針に服従させるのです」
 この十全会傘下、双岡病院の院長は、府下の精神科医でただ一人の社会保険支払基金審査委員をやっ <0139< ていたが、家族会などの追及で四十五年暮れにやめている。」(大熊[1973:137-140])

●66衆議院 社会労働委員会 5号 昭和46年09月03日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=4&DOC_ID=3901&DPAGE=3&DTOTAL=47&DPOS=47&SORT_DIR=1&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345

○谷垣委員長代理 次に、厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。大橋敏雄君。

○大橋(敏)委員 わが国の精神病院における事故とか事件が続発しておりますけれども、精神病院に関係しまして若干質問するわけでございますが、まず最初に確認しておきたいことがございます。
 それは昭和大学附属烏山病院の院長であった西尾友三郎氏が国立久里浜療養所に九月一日付をもって赴任されたと聞いておりますが、これは事実かどうかということです。

○松尾説明員 九月一日付で西尾さんを、ただいまお話のあった療養所長に発令をいたしております。

○大橋(敏)委員 先ほども申し上げましたように、わが国の精神病院でとかく事故あるいは事件等が続発しておりますけれども、実は先般、たしか二十一日だったと思いますが、厚生省に予算要求の申し出をやりました際、政務次官ではございましたが、精神病院の実態についての資料を要求いたしました。その返書といたしまして、いま私手に持っておるわけでありますが、きわめて荒削りの、粗末なといいますか簡単な資料が私の手元に届きましたが、それを見ましても、たとえば「精神病院における管理運営上のことについて昨年来各種の不祥事例が指摘された。その主なものは、一、患者の不当拘束、二、患者に対する暴力行為、三、施設整備の不十分、四、火災の防止、五、医師、看護職員の不足等がある。」このようにまず五つの項目が列挙されておりますが、実は私も精神病院の事件についていろいろと調査を進めてみましたところ、膨大な資料が手に入ったわけであります。
 きょうはきわめて制約された時間でございますので、それを一々読み上げるわけにはまいりませんが、そのおもなものを要約して申し上げますと、まず第一に、京都の十全会問題がございます。これは結局、医療よりももうけ主義に走っているという実態があったわけです。あるいはまた重高濃度の薬物投与、与えなくてもよさそうな患者に対してじゃんじゃん薬を与えていたという実態、あるいは患者の虐待、あるいは三医師の京都地検への告発等があったわけです。また相模湖病院においても医師、看護婦の不足等からいろいろな問題が起こっております。危険なしろうとによるこそくな医療処置、あるいは県からの改善命令がすでに出ていたにもかかわらず、それに応じていなかったとか、あるいは診療不在といいますか、アル中のための医療であるということで、きわめて簡単な対策がなされていた。またその中身は保安処分制度ではないかと思われるようなきわめて粗雑な内容であったということですね。いわゆる診療不在。また藤沢中央湘南台病院においても不法入院の問題あるいは不当監禁、不必要な超濃厚医療あるいは不法な治療行為。また岩手の南光病院においても、これは東北地方でも最も近代的な病院とされているわけでありますが、盛岡地裁への告発等が起こっております。内容は、エピアジンという新薬の実験投与、生体実験。かなり問題があらわれているわけであります。あるいは大阪の泉が岡病院ですね、ここには小づかいのピンはねの問題あるいはずさんな秘密裏の会計等が指摘されております。また五条山の問題については、すでに二人の良心的な医師が追放されているという問題。あるいは宮城県の小島病院の火災、ここでは六人が死亡しております。栃木県の両毛病院の火事においては、十七人の死者を出している。とにかくその中身を見れば見るほど、常識はずれの事件が続発しているわけでございますが、いま私が申し上げました精神病院の事件等は、いうならば氷山の一角ではなかろうかと私は思うのであります。
 そこでお尋ねしたいことは、実は先ほど申し上げました烏山病院と、いま私が申し上げましたいろいろな病院とは違うのか同じなのか、その治療のあり方あるいは管理のあり方等も含めてどうかということをまずお尋ねしたいと思います。

○滝沢説明員 ただいま先生から精神病院のいろいろな事件について御指摘がございました。具体的に烏山病院といま御指摘になった病院との比較の問題については、少なくとも昭和大学の附属病院であり、五百床の大きな規模を有し、しかも医師の数におきましても、常勤、非常勤含めて二十数名の医師がおると聞いております。少なくとも大学の附属病院であり、りっぱな医師がこの管理に当たっておられますので、いまあげられました例との比較では、常識的には烏山病院のほうが運営管理はりっぱであるというふうに、私は、少なくとも行政官としては常識的には考えております。

○大橋(敏)委員 いま御答弁がありましたように、われわれも、鳥山病院は厚生省がモデル病院であるというくらいに評価しているりっぱな病院であると聞いておりました。ところが先ほども申し上げますように、一般の精神病院で人権無視あるいは虐待、もうけ主義、医療不在、差別待遇、人体実験等々不祥事件が起こっているわけでございますが、それにも似た事柄があったというわけであります。というのは、御承知かどうかわかりませんが、この鳥山病院においてすらも、管理あって治療なしといわれるような実態があるわけです。それはE、F二病棟、生活指導病棟といわれているところでありますが、その病棟に入りますと、一生涯退院できないというような状態に置かれているというわけです。普通ぼけ患者の病棟であるとまでもいわれているわけでございますが、ここには百三十人の患者がいるということであります。従来の治療をしてもさっぱりきき目がない、沈でん病棟といわれて、その患者の家族の方々も、あそこに入ってしまえばだめだと、もう絶望視しているそうでございますが、実際に調べてみますと、そこに入った患者のほとんどが、入院日数というのは平均十年とかあるいは十五年、二十年の人が多いわけであります。要するに、ここは患者を治療してなおして社会に復帰させるというのではなくて、まるで収容所的な感じすら受けるわけでありますが、こういう実態がモデル病院といわれる鳥山病院の中にすらあったわけですね。私は、この一点から見まして他の病院においておやという感じを深くするわけであります。事実、昭和四十四年の七月ごろから実は松島という方と野村という二人の医師がこの病棟を受け持って、非常に空気は一変した、明るくなった、患者たちが生き生きしてきた。そして四十五年六月ごろまでに、約一年の間に八人の退院患者ができた。あるいは四十名くらいが外勤作業につけるまでになった。ところが問題なのは、そのようにいままで一生涯入院したきりであろうと思われた患者が、このような医師の努力によって、あるいは治療法によって現実に救われてきた患者がいるわけですね。そういう働きをやった医師に対して病院側はどのような措置をとったかといえば、四十五年の十二月には松島医師を解雇いたしております。それから松島医師と一緒に働き、同様な治療をしていた野村医師も四十六年七月二十二日付で解雇されているわけでありますが、私は非常にこれに疑問を抱くものであります。いままで私の説明を聞かれて大臣はどのような感じを持たれたか、まずお伺いしたいと思います。

○斎藤国務大臣 詳しいことは局長からお答えをいたしますが、私の感じといたしましては、やはり病院内の秩序を保って、そうして患者の治療に当たるということが肝心であろうと思うわけでございまして、どういう療法がいいか、どれがいいかということは、私はしろうとでございますから、これは学界なり専門の判断もあろうと思います。しかしながら、病院の経営は、一つの秩序を保った管理体制のもとにおいではじめて経営が効果をあげる、かように考えまするので、したがって、その病院としてとった措置が必ずしも不当ではなかろう、かような感じがいたすわけでございます。

○大橋(敏)委員 いまの大臣の答弁きわめて表面的なものでありまして、これまで絶望視されておりました十数名の患者が退院をした。中には二十七年ぶりに初めて退院をしたという人もおるわけです。しかも、それが会社にもうすでに働いているという事実があるのですね。また、一般の人たちと同様に数万円の賃金をもらって会社につとめておる人々が何人もいるわけであります。こういう事実の上から見た場合、これまでのいわゆる精神科医療のあり方というものは大きく検討されねばならない、抜本的に検討されねばならないという一つの評価がなされると私は思うのでございますが、どうでしょうか。

○滝沢説明員 ただいま先生が例示されました鳥山病院の病棟における古い、長く療養している患者、これはもうわが国の精神病院には多かれ少なかれ長期療養の患者がおりますけれども、これが退院ということまでにもつていくためにはたいへんな努力がいるわけでございます。先生の申された事実を私は確認したわけではございませんけれども、その事実がそうであるとするならば、たいへんな努力があったものと思うわけでございます。病気を治療することは、治療の方法その他患者の取り扱いにいろいろな療法がございますが、これは精神神経学会等の学会の場で論じていただく。また、新しい試みというものはいつの世にも医療の中にあるわけでございまして、そういうようなことから、たとえば従来精神病院というものは、各部屋とも全部かぎを締めておるのが常識であるというのが精神病院の実態でございましたが、十数年前、国立病院等はじめ各地にいわゆる開放療法というものが取り入れられまして、かぎのない患者の取り扱いという、従来取り扱ってきた方々から見れば画期的な一つの治療法が開拓されまして、そしてこれが逐次広がり、ほとんど全国の精神病院では何らかの形で、その取り扱いをでき得る患者に対しては開放的に取り扱う。これでいろいろの生活指導を含めた日常の治療をする。これらにつきましては、いま申し上げましたように、どのような方法がいいか、あるいはどうすることによって効果があがるかということについていろいろの試みをなさるということは、特に大学の付属病院等ではあり得ると思うのでございます。そういう意味で、先生が例示されましたような問題の――私詳細は承知しませんが、結果がよいということであれば、それは学会の場で大いに議論して、そしてその方法が一般的な精神病院の治療法として、あるいは患者の指導方法として取り入れることがよければ、これは学会として承認され、先ほど例に引きました開放病棟のようにこれが普及していくということが十分考えられると思うのでございます。

○大橋(敏)委員 いまあなたがおっしゃるように開放療法、これを現実に実施してみた。思いがけないすばらしい成果があらわれたということであるわけであります。そこでこれは、精神科の治療全般にこれを取り入れるべきであるかないかは、いまおっしゃった学会で当然これは議論になっていく問題だとは思いますけれども、少なくともこのような現実の証拠が出たからには、当然それは学会の中で検討されていくであろうし、また精神障害者の社会的回復については大いに研究に値する価値を持っている。これははっきり認める必要があろうと思うのですね。私が言いたいことは、そのように一烏山病院の中で起きた開放療法、そうしてそれから出てきた結果であろうけれども、それが精神科医療全般に及ぼす重大な内容を秘めているということから見た場合、そうした医師を簡単に解雇していった。先ほど大臣は秩序を乱すようなことであれば云々とおっしゃいましたけれども、これは当然解雇された関係の医師は裁判に持ち込むでありましょう。その裁判の上で明瞭になると私は思うのでありますけれども、いずれにいたしましても、病院というのは患者を治療してなおしていくというところであろうと私は思うのであります。
 もう一回大臣に基本的に聞きますけれども、その精神病患者を人間として見ていかれるのか、人間の病気として見ていかれるのか、あるいは精神病患者というものはもう人間以外の感覚で扱っていこうとするのか、これはきわめて基本的な問題でありますので、大臣からお答え願いたいと思います。

○斎藤国務大臣 申し上げるまでもなく、治療は人間の人権尊重ということが第一でございます。申し上げるまでもございません。私が申し上げましたのは、そういういい医療、いい治療方法をやって、いい効果があらわれたというような場合に、他に理由がなくして解雇ということは、これは独断的なやり方ではできない仕組みになっているわけでありますから、そこに何らかぐあいの悪い点があったのではなかろうか、かような観点から申し上げたわけでございます。

○大橋(敏)委員 まあ中身を知らない間は確かにいま大臣が感ずるようなことになると思いますけれども、現実に烏山病院のそうしたごたごたをいろいろと調べてまいりますと、非常に不都合じゃないかと思われる個所が幾らもあります。現実問題として、いろいろと、悪いといわれていた精神病患者の家族の方々が、その治療を受けて帰ってきた、非常な喜びのもとに、こうした医師の解雇についての措置に対して抗議を申し込んでおります。私はその抗議文を持ってはきておりますけれども、時間が制約されておりますので、その中身は省略いたします。しかし、いつ、どこで、だれが抗議を申し込んだかはここで申し上げておきます。患者家族九人、代表として、昭和四十六年八月二十三日です、これは西尾友三郎院長あてに抗議文が提出されております。また、四十六年六月七日付で患者家族十数名による、これは「御願書」という見出しでありますけれども、これまた西尾院長あてに提出されております。その「御願書」の全文を読む時間がございませんので、その中身の一部分を読ませていただきますが、「患者家族の心情と致しましても、かつては患者治療の捗々しからざることに絶望状態でありました。これは真に患者家族の佯りない心情でありました。しかしいまは野村先生の治療により、患者も癒り得るとの希望を持てる様になりました。これは私共患者家族としてどんなに嬉しいことか真に量り知れないものがあります。私共患者家族としていま心から願いますことは野村先生の手による治療は何としてもこのまま続けて欲しいということであります。野村先生が貴病院の措置の為めに万一病院を去ると云ったことにでもなれば、これは現に野村先生の治療を受けて居る患者に対し、また私共その家族に対し余りにも大きい打撃を与へることになります。」患者の家族の皆さんは、野村医師等がやりました開放療法というものを非常に喜んで受け取っているわけですね。そうした事実の上から、野村医師のやっていることはりっぱじゃないか、それを解雇するというのは不都合だと、こういって抗議あるいはお願いをしているわけですね。ところが現実には解雇になってしまっているわけであります。それはいろいろな問題があっただろうという御認識のようでございますが、それは先ほど言いましたように、いずれは裁判等で明らかになっていくことであります。また局長のほうからも、これは医学界で当然そういういい療法ならば取り上げられていくはずだというお話もありましたけれども、現にこの鳥山病院の中の問題が起こりまして、日本精神神経学会の理事長大熊輝雄さんから西尾友三郎院長あてに要請書が出ております。これは四十六年八月です。それもこの際読ませていただきますが、「日本精神神経学会理事会は、昭和四十六年七月十二日付で、一、野村医師に関する賞罰委員会活動を直ちに停止すること、二、野村医師問題に関して学会の参加において公開の場で事態を明らかにすることを貴殿に要請いたしましたが、これらの要請が無視され野村医師が解雇されるにいたったことは遺憾であります。今後とも上記要請の趣旨に沿い事情調査に協力されんことを重ねて要請します。」日本精神神経学会理事長大熊輝雄氏の要請書であります。これは四十六年八月に提出されているわけでございますが、このようにすでにこの問題を重視して学界が動き始めているわけであります。
 また日弁連の人権擁護委員会といいますか、そこもこの問題を重視して調査に乗り出そうとしております。すでに動きは始まっているわけでございますが、このように人権擁護の立場から見た場合も、これは重大問題だといわれる、鳥山病院のこの問題ですね。あるいは病院、精神学界、あるいは日本精神神経学会などの主要な学会が調査の続行をやっている問題というのは、これは私はきわめて大きな事柄であろう。そういう中にきわめて簡単に二人の医師は解雇されたわけでありますが、私はこの解雇された医師の内容についても、これは労働基準法に照らしても、あるいは不当解雇ではなかろうか、不当労働行為ではなかろうかというようなことを感ずるわけでございますが、この問題は労働問題でございますので、後日私は労働省にただしてみたいと考えているわけでありますけれども、いずれにいたしましても、人権擁護の立場から見ても、あるいは医学界のオーノリティーの立場から見て、烏山病院の解雇問題あるいは治療の問題はこれは重大問題である、こうして事件が進んでいるわけですね。そういう中に、この院長が久里浜病院に転任したというのは、私は厚生省として少し早まったのではないか、このような感じを受けるわけですが、その点はどうですか。

○松尾説明員 私どもが院長を久里浜病院の院長に迎えたい、こういう希望を持っておりましたのはすでにかなり前でございます。正式にはやはり理事長あてに、この人をちょうだいしたいということを申し入れておったわけでございますけれども、学内としてはいろいろな事情もあってだんだん延びておった。しかし辞任をされるにあたりましては、正式に一定の予告期間をおいてその辞表を出されて、それが大学内の理事会におきましても正当に議論をされた上で認められている、こういう形になった上で、私どもはそういう、大学側がこの辞意を正式に認めたということで、私どものほうも採用に踏み切ったわけでございます。

○大橋(敏)委員 先般、二十一日に鳥山病院の実態についても、その資料要求をいたしました。一枚の返事が来たわけでありますが、これを見ましても、最後にこう書いてありますね。「その他問題点及び措置状況」として、「昨年来烏山病院内で医療の方法について一部の医師との間に意見の相違をみてトラブルが生じていたが、現在は一応正常化し、特に問題は生じていない。」こう書いてあります。
    〔谷垣委員長代理退席、委員長着席〕
私は、烏山病院の中で起こった、いま私が申し上げましたいろいろな事件、トラブルというものは、おそらく単なる一病院の問題であって、それはすでに解決済みである、その他の病院に関係はないんだ、しかもそれはすでに解決してしまっているんだという認識の上に立っての今度の措置であっただろう、こう私は思うのですね。そこに非常に厚生省の甘さがあるんではないか、こう言いたいところなんです。もう一度その点について、私が言ったことについてどうお考えになるか、お答え願いたいと思います。

○松尾説明員 いろいろな病院内で起こっておりました問題、特に大学の付属病院として起こっておるような問題の始末をどういうふうに結論をつけるか、これは私どもが実は介入すべき問題ではございませんで、大学当局自身がそれについてどういう処理をするかということの御判断をされるべきだと存じます。したがいまして、もしいま先生御指摘のような事態が真に大学側にあって、それは結論をつけるべきではないという御判断であれば、その院長が出した辞意というものはその場ではむしろ撤回をさせて、引き続き何らかの収拾策をはかるという決定をすべきであろうと存じますけれども、私どもはそういう一応の手続を踏んでもらった上で、先ほど申し上げましたように正式に理事会も承認をした、こういうことであれば私どもはやはりその結論を一応尊重して、私どもの予定どおりの発令をした、こういうことにならざるを得なかったわけでございます。

○大橋(敏)委員 現在私が申し上げましたような問題をかかえたまま国立病院の院長の座につくということ自体が、私は問題であろうと感ずるわけです。また、彼らの医療のあり方が批判されている現在、厚生省が何らの考慮もなくかの医療を国立でやらせる、このような考えでやっていることにも問題があるんじゃないか。というのは、いま烏山病院で行なわれている従来の医療、それだけではこれは確かに問題である。開放療法といいますか、それをもって何とか切り開くときが来ているという一つの事例が出ているわけですから、そういうときにこの問題が整理されないまま久里浜病院に転任するということは、これは私は早まったような気がしてなりません。
 それからまた、厚生省の資料を見まして非常に不可解に感ずることは、医師の数が、これに常勤十四人、こうなっております。ところが実際私が調べてみますと、常勤は院長を含めて四名。だけれども、実際に働いている者は三人しかいないのですよ。入院患者数は五百四十一名となっております。もちろんこれは四十六年七月末現在の調査になっておりますが、患者は五百四十一名なんです。それで実際に働いている常勤の医師は四名。実質的には三名ですね。はたしてこのぐらいの医師でその患者のめんどうが見られるかということですね。これはどうなんですか。これがモデル精神病院といわれた烏山病院の実態なんです。これについてどうお感じになりますか。

○滝沢説明員 資料は、東京都等が烏山病院の実態をお知らせいただいた資料の中から、そのままのものを先生に差し上げたわけでございます。現実の常勤の医師が四名ということと、資料として十数名ということで食い違いがあるようでございますが、その間の事情は私はここで明らかにする――御報告をいただいた事実をそのまま資料といたしたので、その点の確認はいまの段階ではお答えできませんけれども、ただ私は、一つの大学の付属である精神病院というものの医師の管理が著しく悪い、あるいは医師の定員においても、あるいはその発令、いわゆる人事の上で発令している正式の定員というものと、それから実際に医療に携わる者との日常的ないろいろな違いというものはあり得る可能性はあると思いますけれども、少なくとも教育というものを兼ねた烏山病院が、このような問題について全くその四名なり三名だけで、ある極端な時点をとらまえればいろいろそういう時点はあろうと思いますけれども、実態としてそういうようなことがあるとは私は想像できませんので、むしろ常識的には資料で差し上げたような――医師の日常ある時点をとらまえたとき、学会があったとか、いろいろな事情で医師が少ないという実態はあるだろうけれども、少なくともそういうようなことで医療に携わる実態はそう少ないものではないというふうに思っておりますが、なお、いまの数字の食い違いにつきましては、御指摘がございましたので、その点については再確認の上、先生に資料を提出いたしたいと思います。

○大橋(敏)委員 実態は私が申し上げたほうが間違いないと言いたいところです。というのは、私は現実にその点は調べてきた。確かに十四名の数はそろいます。けれども、ほかの方はパートタイム的な医師ですよ。私が言いたいことは、五百四十一名の患者をかかえて、それでいいかということですね。モデル精神病院といわれた烏山においてこうですから、まして他の病院においておやと言いたいところですね。この烏山病院は私立の精神病院でありますが、私立だから調査権限云々とかいうことで等閑視しないで、これは精神病院全体の大きな問題であるととらえて、徹底的にいろいろな問題を調査してもらいたい。そして報告をお待ちします。
 時間がありませんので結論的に申し上げてまいりますけれども、先ほども読み上げましたように、家族の方々からは開放療法の結果について非常に喜びの声があがっている。しかも二人の解雇された医師に対して、解雇しないように、そしていまの療法を続けてもらいたいという要請文あるいはお願い文があったわけです。また日本精神神経学会も、先ほど読み上げましたように問題として取り上げて、いま進行中でございます。また、日弁連人権擁護委員会もその問題について進行中でございます。当の野村医師もこれを裁判に持っていこうということで、着々と準備が進められております。そして、大型弁護団も準備されている等々が今度の「朝日ジャーナル」の中にも報道されております。それだけに、今回の院長の赴任の問題はあとあと非常に問題を残すんじゃないか、このように私は懸念するわけですね。これは、厚生省のために私はいま言っているわけです。だから、もし将来、今度西尾院長が行かれた久里浜病院が精神病院にかわっていくと聞きますけれども、その医療の上において、あるいは管理の上において烏山と同じような事件や問題が起こった場合、どのような責任をとられるかということになるわけですね。この点はどうですか。

○松尾説明員 国立精神療養所につきましては、私どもの直轄しております施設でございます。したがいまして、直接のいわば指導監督というものの責任を持っているわけでございますので、一般的な指導監督という立場よりもさらに強い、きびしい指導下にあるというふうに考えていただきたいと思います。また、国立同士のお互いの提携連絡ということも密にしながら精神医療を最もよくしていくということが国立精神療養所に課せられた使命だ、こういうふうにも考えておりまして、したがって、いわゆる独断的な動きとか、あるいは最新の医学にはずれるようなことをただ黙ってやっていくというようなことは私どもとしても許しませんし、またそういうただいま申しましたようなやり方から見ても許されないという環境にございます。また、かりに、いろいろなことを試みていくということは必要でございます、しかしながら、その場合でもやはり病院内におきましてのすべての人の協力がなければ新しい治療というのはやれないわけでございます。そういう意味においては、院内全部の関係者が一つの方法について十分調整をし、合意に達した上で踏み切る、こういうことがやはり必要でございまして、こういう精神療養につきましては、たとえば看護婦の問題にいたしましても、あるいはその他の訓練に従事する人でありましても、これは医師とともに一体となってやらなければできない問題でございます。ただ注射をすればやれるというような治療ではございませんので、特にそういう院内全体のチームワーク、意思の疎通というものによって新しい問題も展開しなければならぬ、こういうふうに私は考えております。したがいまして、そういう形でこの新しい院長にも運営をさせたい、かように考えておりますが、万一そういうことにもとるような運営があったといたしましたならば、それは国立療養所の所長として不適格という判断をせざるを得ませんので、そのときは私どもはき然たる態度をとって処理をいたします。

○大橋(敏)委員 じゃ最後に、もう時間が来ましたので申し上げますが、いま全国で百万人をこえる精神病の患者さんがいるといわれますけれども、この方々はいわゆる犯罪者というような先入観といいますかあるいは偏見に囲まれて、社会復帰の道もなく、小さくなって暮らしているというのが実態でございます。こういうのは現在の精神科医療行政そのものに大きな欠陥があるのではないかと、私はそう思うのですね。行政そのものに欠陥がある。治療制度において、いま申し上げましたような、従来にない新しい精神科医療、つまり開放療法という問題が鳥山病院の中から現実に起こってきているわけであります。したがいまして厚生省も、単にいままでの精神病患者に対する医療行政のあり方を踏襲するのでなくて、新しく切り開いていこうという立場から、この開放療法のあり方についても大いに研究を進めてもらい、そして学会のほうにその問題点あるいは改善点を提起してもらいたい、私はこう思うわけでございます。
 最後に大臣に所見をお伺いしたいわけでありますが、今回の烏山病院の問題はまだ消えたわけではないわけです。くすぶっているわけですね。そういう中に院長が国立病院に赴任した、ここに大きな事柄が一つあろうと思います。それから将来何か起こった場合は適確に処断していくというような、いま局長のお話がありましたけれども、これは当然のことであろうと思いますが、私はその院長を処罰するとかしないとかいうものよりも、精神科医療のあり方について大きく転換させなければならないときが来ているということを大臣も認識を深められて、その方面でしっかりと戦っていただきたい。そして、精神病患者も人間として扱われるように、つまり治療を重点とした医療が行なわれるように、心から希望する次第であります。最後に大臣の所感を聞いて終わりたいと思います。

○斎藤国務大臣 精神病院のあり方につきましては、お説のとおりどこまでも患者の治療ということを本旨にしてまいらなければならないと、かように考えます。同時に、社会にそのまま置いておいて、そして他に危害を与えるというような場合もございますが、本旨はいまおっしゃるような点だと、かように考えます。新しい治療方法の開発につきましては今後もできるだけ努力をしてまいりたい、かように思います。

○森山委員長 滝沢公衆衛生局長からちょっと補足的な発言があります。

○滝沢説明員 大橋先生、答弁済んだあとでたいへん恐縮でございますが、私がさっき答えました開放療法というのは、実はかぎをはずしてやる治療法ということを一般的にいう意味でございまして、今回の鳥山病院でいろいろやっておられる治療法を開放療法というと、ちょっと私の答弁と先生のことばの使い方とが誤解を招くおそれがございますので、たいへん恐縮でございますが、この際念を押させていただきます。

 大橋敏雄:公明党国会議員(一九二五〜)

◆1971/11/28
 http://wwwd.pikara.ne.jp/rosenote/nenpyo14.html
 「11月28日 関西精神医療研究会・十全会系病院解体・患者虐殺糾弾行動。精神障害者解放同盟『比叡』が結成。」

◆1971/12
 「そこで、末川博立命大名誉総長、住谷悦治同志大総長、三浦百重京大名誉教授ら、学界、宗教界、法曹界、社会福祉界の代表的メンバーが発起人となって、十全会を告発する会が結成され、同年12月、しばりつけや薬づけによって傷害や死亡を招いた3例について、十全会の酒井泰一、池田輝彦、ならびに国吉政一医師を、京都地方検察庁に告発するにいたった。
 この告発にたいして、検事側の当初の熱意はしだいに尻すぼみになり、いったん専門医の鑑定を依頼しながら、告発者と同じ大学であったためか遠慮されると、これにかわる専門医の鑑定も求めず、証拠不十分という理由で不起訴にしてしまった。
 そこで告発する会が、検察委員会に提訴することを検討していたさなかに、十全会が名誉き損で告訴してきた。告発する会は、十全会の実態を明らかにする絶好の機会としてこの告訴をうけとめ、目下法廷闘争が進行中である。
 しかし、時がたつにつれて、当初に十全会糾弾を強調していた人たちが姿を消してゆき、糾弾闘争の下火になることが心配されていた。そのとき、日本精神神経学会精神医療問題委員会(略称・学会委員会)が十全会の実態調査の結果を報告し、これを朝日新聞が全国的に報道、ついで毎日新聞、朝日テレビ、関西テレビ、ラジオ大阪、週刊ポスト、潮(公明党系の月刊誌)も取上げ、府会では三上議員が質問にたち、社会党国会議員調査団も派遣され、護憲連合全国大会にも提起された。このようにして、十全会糾弾闘争はもりあがり、告発する会は徹夜の府庁内坐りこみも敢行して、けん命な闘争がつづけられている。」
 「直接の告発の対象となったのは三つの事例である。第一は28歳の女性で「反応性うつ病」。意識もしっかりしているのに入院後いきなり両手をべツトに固定され,下着もぬがされ,おむつをあてられ,食事もできるのにリンゲルの大量皮下を毎日,そのまま3週間しばりつけられていた(主治医に対し監禁致傷罪)。第二は26歳の男子で「分裂症」。両手両足をべットに紐固定,三日間放置し,右上肢麻痩等の後遺症を招く(主治医に対し監禁,傷害罪)。第三は33歳の男子で肺結核およぴ「導博稀質」。4日間にわたり大量の薬物(イソミタール,トリぺリドール,セレネース)を注射射,加えて電気ショックを行い,発熱そして吐物により窒息死した(主治医に対し,傷害致死罪)。
 告発は1970年12月,京都地検になされた」

◆1972/05/28
 http://wwwd.pikara.ne.jp/rosenote/nenpyo14.html
 「5月28日 関西の全精医研が総力を挙げ500人が十全会系病院糾弾闘争へ参加。京府医大など参加。」

高杉 晋吾 19720229 『差別構造の解体へ――保安処分とファシズム「医」思想』,三一書房,284p. ASIN: B000J9OVWA 1000 [amazon] ※ m.

V「七〇年代医療の恐怖図――「近代的」精神医療とは何か? 127-168

「1 「七〇年代医療」の恐怖図

 この肖像はだれのものか
 『ドリアングレーの肖像』(オスカー・ワイルド)という小説は奇怪な比喩に満ちていたが、美貌と青春を永遠に望んだ青年が、老いと醜さを肖像に身代りさせ、次第に老醜を増す己れの肖像に恐怖し、肖像をナイフで突刺した瞬間、現実の己れ自身がありとあらゆる醜怪さを全身に吹出しながら死に絶え、美貌と青春を誇る肖像のみがニコヤカに残った、というお話であったと思う。
 京都で随一を誇る医療法人「十全会」の精神病者に対する人権侵害事件を取材していた私に、しばしば去来したのは、十全会という奇怪な肖像は、日本の精神医療、いや日本の医療すべての問題を一身に集めた一つの姿ではないか、という感想であった。
 「十全会問題」にショックを受ける医療関係者のすべては、そこに、己れの姿の近い将来の到達点を見出すのではないだろうか。
 十全会問題の取材の最中に、阪大や大阪市大などのおもに医学部志望者の入試問題盗難事件が報道された。刑務所を舞台にして、医学部入学試験が荒稼ぎの材料となり、稼ぎの問題では犯人同士の殺人事件まで巻起こし、それが事件発覚の端緒になった、などというのは、あまりにできすぎた話で、私にはいまだに現実感がともなわない。
 だが、これは日本の(というよりは資本主義体制下の)教育問題の本質を語る上で、まことによき教<0128<材である。入学に何千万円かかろうとも、投資してしがいのある産業に、日本の活力ある資本家群が注目しないのがおかしいのであって、このような事件は起こらなければ不思議なのである。それと同様の意味で、医療マーケット問題ともいえる「十全会事件」は、日本の医療制度のもとにあっては、こうならない方がおかしいくらいの事件だといえばいえるのだ。

 氷山の一角、虐待の実例
 「七〇年代医療の先取りやね。たしかに、日本の医療制度、医療保険制度からいったら、みな大なり小なり似たようなもんだ、といえんこともない。とくに精神料の医療は困難だが、しかし、十全会の問題はだからといって批判の手をゆるめるわけにはいかん」と語るのは、京大精神科講師高木隆郎氏。「だってそうでしょう。われわれは戦後、食糧事情のひどい時期、みんな大なり小なりヤミをやった。しかし、それを口実にしてヤミのさまざまな方法を体系化し、専門の事業にしてトラックで荒稼ぎするものと、庶民のヤミとはいっしょにできん。たしかに頭のよい奴はそういう状況を逆用して荒稼ぎする。いわば状況の先取りだ。十全会事件もそのようなものだ」
 高木隆郎氏は京都の精神障害者家族会「あけぼの会」の代表。あけぼの会は昨年四月に発足した。この会に結集を始めた京都の精神障害者家族から期せずして集中したのが、京都の精神障害者の五分の一以上を収容する十全会系(理事長赤木孝氏)三病院、東山高原サナトリウム、双岡(ならびがおか)病院、ピネル病院の精神障害者に対する数々の虐待の訴えであった。
 一二月二八日、あけぼの会を主体にして京都府患者同盟、身体障害者団体連合会、社会福祉問題研<0129<究会などで結成した「十全会を告発する会」は、さまざまな患者家族の訴えの中から動かぬ証拠を捉えることができた三つの事件を京都地検に告発した。
 告発の事実を要約すると、
 @ 医師池田輝彦は、双岡病院に入院中であったAが、食事の差入れについて看護人に文句をいったため、懲戒を加えようと企て医療の必要性もないのに、両手両足をベッドにしばりつけるなどの暴行を加えて三日間放置し、右腕関節ざ創、右手指運動障害を負わせたので監禁致傷で告発する。
 A 医師酒井泰一(告発事実については被害者の手記を後に紹介する)を監禁傷害で告発する。
 B 医師国吉政一は、東山高原サトナウムに入院中であったCが、飲酒行為についてしかられた後で「国吉をやってやる」と叫んでいたことを聞いて立腹し、他の患者への見せしめとして懲戒を加えようと企て、同人の両手両足をベッドにしばりつけ、一日あたりイソミタール一・五グラム、トリパルドール一五ミリグラム、セレネース一五ミリグラム(いずれも通常の三〜四・五倍)を連日注射し、さらに電気ショックを加えるなどの暴行を加えたことにより、意識混濁、全身衰弱などの傷害を負わせ、四日目にいたり、吐物による窒息死にいたらしめた。傷害致死で告発する。
 告発内容にふれた@、Bはいずれも報復的・懲罰的意図が見られ、医師の病院における権力のあり方に恐怖さえ覚える。この三つの告発に共通しているのは、いずれも、患者をベッドヘくくりつけ、あるいは医学常識に反した大量薬液投与をおこなっていることだ。
 しかも、Bの事実は患者がアル中であると同時に、重症の結核患者であった。それに通常の三倍の薬を投与し、一日一回、週三回が限度の電気ショックを一日に三回も施した事実は、業務上の事故で<0130<あり得ないというのが告発側の判断であった。
 Aの事件について、被害者(若い女性)はつぎのように京都府議会厚生労働委員会(灘井五郎委員長)で証言している。「診察を受けるなり、暴れもしないのに、両手をきつく引っぱられ、冷たく閉ざされた鉄のドアのなかにほうり込まれ重いカギの音がガチャン。『何をするのです』という私の声も聞かれぬままに、両手をベッドにくくりつけられ、はずかしいことにパンティーもぬがされましたが、両手をくくられているため、抵抗もできません。驚きと興奮で呼び叫ぶと『やかましい』と注射をうたれ、三日間ほど何も知らずに眠りつづけましたが、ふらふらした頭の中で目がさめ、あたりをまわすと、八人の患者さんが、私と同じように両手をしばられ、きんきんにはれあがった両足にリンゲルをされていました。
 恐怖感に目をそむけようとしたとき、看護婦さんが五〇〇ミリリットルのリンゲルを持ち、私のヘ近よって来られます。私は食欲もありましたのでまさか私にするとは思いませんでしたが、くくられた私の両足にリンゲルを注入されました」
 彼女はこうして三週間、食事を与える代りにリンゲルを、便所に行く代りにおむつをされたままベッドにしばりつけられていた。彼女は、いま、市内の榎本診療所(社会福祉問題研究所事務所)で働いている。
 「少しよくなると作業療法といって働かされました。看護婦さんはパートでいる時間が限られています。だから患者さんの世話は私たちがやるんです。夜、看護婦さんがいないとき、首吊り自殺した患者さんの縄をほどいて、人工呼吸めいたことまでやりました。よくなったら準職員にして、月一万円<0131<の給料をあげるって教えられていました。別に疑問も持たなかった……」
 無邪気に語るBさんの横で、告発する会のE医師が、強い憤りを語る。
 「精神病患者が一時的に興奮しても、ベッドにしばりつけたりする必然性はないっていうじゃないですか。まして二十数日間もしばりつけたままにするなんてのは、言語道断ですよ。それが一人や二人じゃない。何人もしばりつけられ、リンゲルをうたれている。食欲があるのにリンゲルをうつなんて話は聞いたことがない。よくこんなことが医療費として請求して通るもんだと思いますね。医学常識上あり得ないことですよ」

 このようにして「ハシが転ぶ」
 七〇年九月二五日号の『週刊朝日』ではこのへんの事情をつぎのように報告している。
 「ふつう一ヵ月国保で入院で二、三万円で済む入院費が、十全会系病院では四、五万円、なかには十万円単位のものまであるといわれる。これについても、『うちはアル中ならアル中だけでみるんやない。肝臓も腎臓も徹底的に検査し痔まで治してそのうえ目が悪ければ眼鏡、歯が悪ければ入歯、総合医療やっとるわけで少々高いかもしれん。これこそ人間のための医療やないですか』という赤木理事長の弁明がある。しかし、これも双岡病院の東昂院長が京都府精神科医でただ一人、社会保険支払基金の審査委員ということになれば『うつ手はうってある?』というカングリも否定できないのではないか」
 私は残念ながら、京都滞在中、赤木理事長に数度電話したが「不在」で会えず、双岡院長東氏ほか<0132<告発された医師からも、「すでに新聞などで申上げた以外、問題が京都地検の手に移ったいま、申上げることはない」と取材を断られたので、病院側の言い分は、過去に新聞などで発表されたものを用いる以外はない。
 赤木理事長のいう「総合医療」の実態は、どんなものであろうか。病院、施設の実態を見るとき、何はさておいても最重点に考えねばならないのは、収容された患者の処遇――運命である。赤木理事長のこの点での見解は、つぎのようなものであるらしい。
 「ウチは府下随一の設備、スタッフも常勤医は大学の講師か公立病院の部長クラス以上と、府下最優秀のレベルにあるんや。全国で首吊りのない精神病院なんてないくらいや。なぜこんなハシが転がったようなことが取上げられないかんのですか」(『週刊朝日』前出)
 責任をもって治療に当っているはずの患者が、首吊り自殺しているのを「ハシが転がったようなこと」とする理事長。ではどのくらい「ハシが転がっ」ているのだろうか。
 患者自身が、首吊り自殺をはかった患者の縄をほどいて世話をする模様はすでにのベた。
 「あるおばあちゃん、美しい死出の装束で首つり自殺をしました。理由は長い入院生活の間、夫の墓まいりを許されなかったからです。自殺はこれだけに限りません。あまり度重なるので夜勤恐怖症になり、退職した看護婦もいます」(精神障害者家族会「あけぼの会」機関紙『あけぼの』昭和四五年一〇月五日号)。同号にはほかにも四例の死亡例があげられている。
 さらにピネル病院のあり方に抗議して退職した人々が出したパンフレット「私たちはなぜピネル病院を辞めたのか」@、A部にも、具体例としてあげられているだけでも自殺、薬づけによる死亡など<0132<八例が紹介されている。
 「45歳の患者、日に三回クロールプロマジン50mg、ヒベルナ25mgをうちつづけられ、五日目に発熱、翌日死亡。診断書には肺炎とある」「44歳、そう状態でベッドにしばりつけヒルナミン50mg、ヒベルナ25mgを日に三回注射、三日目から嗜眠状態、五日目死亡。診断書、肺炎」
 こうして「ハシが転ぶ」のだ。

 患者の非人間化による繁栄
 京大精神科助手、中山宏太郎氏は、つぎのように語る。
 「東山、双岡、ピネルで一、六〇〇ベッドはありますが、そこから年間粗収入として一五億円はあげとるでしょう。最初昭和二六年に東山サナトリウムが結核病棟として生まれ、昭和三〇年ごろの精神医療ブームの中で双岡に精神病棟ができ、昭和三八年ごろ、ピネルができ、そのころには三病棟とも老人病棟ができた。資本というものは、石炭がもうかりゃ石炭、ダメなら資本引上げて石油、といくもんだが、結核−精神病−老人と新しいマーケットを見つけ出していく十全会のゆき方もみごとなもんです。とくにもうけの大きいのは薬でしょう。それもナンバーリング処方と、関西薬品という十全会のトンネル会社(薬卸問屋)の二つがもうけの秘密でしょうか」
 ナンバーリング処方とは何だろうか。K京都府患者同盟副会長(現在東山サナトリウム結核病棟で療養中)が「東山高原サナトリウムの実態」というパンフレットを出したが、その中で次のように記している。<0134<
 「院内処方(ナンバーリング処方)とは、これまで(昭和四四年一二月まで)医師がそれぞれの診断にもとづいて患者に必要な薬を投与していたものが、一定の薬を組合わせて番号をうち(ナンバーリング)、病名によって投薬する約束処方のシステムに変えられてしまった。一二月以降、院内処方による投薬が始められてから、急激に薬や注射がふえた。別に病状に変化はないと思うのに、である」
 こうして、医師が患者を診断せず投薬する無診投薬が体制化される。薬を病人にあわすのでなく、病人を薬にあわせる。「注射を拒否して退院させられかけた患者があった。薬をのまないといって転院を命ぜられた患者もあった」という。
 関西薬品株式会社について中山氏は、「たしか、赤木一族の関西薬品(薬品の卸問屋・十全会のトンネル会社)には三共、田辺、フジサワ、シオノギ、タケダ、吉富、日本新薬、明治なんかが入っていたと思う。徹底して薬を買いたたいて、さすがの製薬会社も半分ぐらい手を引いたほどだ。買いたたいて病院ヘ高く売って、患者にはふくれ上がるほど薬をのませるわけだ」
 利潤を上げる方法は、このほかに、患者の作業療法と称する使役によって労働力を極端に節約し、患者を準職員として数千円から一万円で使用する。パートの看護婦は一〇年つとめて退職金五千円という報告も府議会厚生労働委員会ではなされている。いっぽう、医師は、年俸初任給で五〇〇万から七〇〇万の手取り(税こみでは千数百万円)を約束するといった徹底した差別体系を内部的に作り出している。
 「要するに」と京大高木講師は語る。「少数職員で大量投薬、注射、拘束等々の方法を駆使して患者を手のかからない状態にし、さらに軽症化した患者は労働力の補完として用い、公費や慢性化した患<0135<者を不動産の基本財産としていつまでも病院にとめておく」やり方が十全会の方針だ、という。つまり、いまの精神病院が多かれ少なかれどこでもやっている経営手段を全面的に体系化したものが、十全会の経営方針だ、というのだ。もし「経営」という問題で精神病院問題を見るなら、患者を人間として見て治療しようと思ったら、絶対に経営は成立たない。人間として患者に接する行為に、保険点数はゼロに等しい。半面精神衛生法二九条による強制入院患者が精神病院の金の卵だといわれるのは、最も非人間的に、経営上都合のよいように扱える患者だということだろう。飯を食わさず薬を食わす。被害者は訴えようにも外出禁止。こんなありがたい財産はない。経営を成立たせようと思えば、人間を非人間にしたてるしかない。それが精神病院の経営基盤だ。

 腐敗を進行させる風土
 「それにしても」とE氏は憤慨する。E氏は、自由労務者などの支えで市内円町電停前で診療所を開いた。前京都総評議長、社会党顧問のE氏は「開業したらとたんに、こんなに医療器具のダイレクトメールが来ましたぜ」と医療器具の売込みのダイレクトメールを見せる。「いかに医者がもうかっているか、ということですな」
 「患者の立場より医者の利益の擁護。府医師会は革新御三家というが、貧乏人の多い患者の立場に立たんで医師のエゴイズムを府政に反映さすためにばっかり努力しとる。十全会問題でも、告発する会としては府医師会が協力してくれると思ったがさっぱりですわ」「なんで患者に飯食わさんで薬食わすような、しばりつけリンゲルうちが社会保険支払基金の審査を通るんですか。そんなことが通用す<0136<るのは京都だけでっせ」
 支払基金の審査委員に双岡病院長東氏が入っていたことは、しばりつけリンゲルうちが審査を通る秘密のひとつだろう。だがそれだけでもなさそうだ。十全会事件についての京都府政の姿勢には、何やら定かならぬあいまいさがつねにつきまとうのだ。
 昨年七月七日、社会党三上隆府議が十全会の実態をついた。蜷川虎三知事は「医は仁術で医師まかせである。調査には限界がある」と答弁。これを不満としたあけぼの会などの代表は府衛生局、民労当局と再三話合いをしたが、ラチがあかず、知事に直訴。「ある時は夜の九時までねばって知事との会見を要求したが、秘書課は企管部長との会見すらことわりつづけた。ところがこれをしりめに、医師会の代表は、すらすら知事に会い、十全会問題について申入れをした」(『あけぼの』昭和四五年八月一五日号)
 九月四日、「精神病患者・老人患者の人権を守る会」が開かれた。席上「府衛生部長が演壇に立ったがにえきらぬいいわけに、参加者の怒りが爆発し演檀に立往生」「会後、代表が深夜まで衛生部長を追及」「衛生部長は、十全会三病院の死亡、傷害、拘束、無診投薬を告発する意志があること」などを約束したが「一一日の交渉で前言をひるがえすにいたった」(『あけぼの』昭和四五年一〇月五日号)
 九月六日、知事、助役以下をかこんで住民議会。知事は、二一日間しばりつけられリンゲルをうたれた事件について「本件については、保険審査で認められているから正しい」という意味の発言をした。
 このような知事の態度、患者家族やその周辺の人々は「人権じゅうりんにだれよりもきびしいはず<0137<の知事が?」といぶかしがる。E氏も「現在の精神医療で拘束が必要なときはまずありえないというのが、常識でしょう。あっても瞬間で、医師や看護婦の立会いでなされるべきではないですか。リンゲル注射も大出血とか食事のとれない場合ですよ。こんなことがわかってもらえないのだろうか」と腕を組む。

 「人民内部の矛盾で片付けられぬ」
 知事が、被害者の立場に対して何となくにえ切らない態度をしめすいっぽう、医師会に対する姿勢はかなりはっきりしている。
 府医師会は蜷川知事を「守護神だ」と称賛し、知事は医師会を「お医者さんは中小企業だ。知事はこれを守る」(『京都保険新聞』昭和三七年四月五日号)という関係にあり、府医師会が府市政選挙に医師の利益を守る立場から全力をあげること自体には、問題はないだろう。しかし、ことが医師と患者の関係になると、より本質的な問題がからんでくる。「医は仁術だとうまいことをいわれ、実際にはいろいろの点で報酬制限をされる。すなわち医師は社会的に重要な役割を果していながら、本当に医師として仕事をしていただく社会的経済的条件がつくられていない。ここには共通点がある。医は仁術であることと、医業は経営であることをすりかえて何もかも仁術として医師が犠牲になってよいというのでは、日本の医療制度を本当に確立できない。保険医協会に一人残らず入会して団結して、医は仁術であると同時に医業は経営であることも実現する必要があると思う」(『京都保険新聞』昭和四一年八月一五日号)。これは四一年度京都府保険医協会総会での蜷川知事のあいさつである。<0138<
 だが一般的に経営である、といっても、経営の中には、資本家=管理者と労働者がいる。一般的に医業は経営といっても、そこには厳然と貧困な大衆、患者がいるはずだ。この蜷川知事の思考が実っていくつもの医師会と府の間のとり決めなどがおこなわれ、医師の利益を守る措置がとられた。昭和三九年に医師会と知事の間に結ばれた覚書(『覚書・京都府における社会保険医療担当者指導実施要領』)もそのひとつだろう。これは、病院の指導・監査などにあたって、府は医師会との協議のうえでなければ指導・監査できない、という医師会側からの病院調査への強い歯止だ。
 「審査委員会の運営が全国一民主的であり、監査の前に行なわれる患者調査に保険医協会、医師会が立会って保険課などに勝手なまねはさせない」(『保険医協会二〇年史』八四ページ)。府保険課長人事には府医師会の同意が必要である、といった医師会の府政における強大な権限は、蜷川知事と府医師会の二人三脚で作り上げたものだ。そのこと自体は、つねに対中央権力への抵抗という形で説明されてきたし、そうした側面をふくめて全面的に否定さるべきものでもないだろう。しかし問題が、医業という経営と、患者という被抑圧状況にある者との関係に発展したときに、これにどう対処するかで府政の本質が問 われてくる。
 「提訴してからすでに半年以上、新聞も事態の一角を報道しているのに、府当局はいまだに効果的な処置を講じていない。なるほど府当局は調査をしたが、証人や被害者ぬきで、病院側の一方的な言い分だけを聞く調査は、逆に病院のもみ消しに役立つだけである」(あけぼの会などの『府知事への申入れ』書より)という憤りが吹出してくるのも、当然といえるだろう。
 そういえば,末川博氏らを発起人にして出発した「十全会を告発する会」には、府医師会も、府総<0139<評も参加していない。選挙では血道をあげる京都府の「革新勢力」は、薬づけ、強制労働、監禁、傷害、死亡等々、限りない疑惑につつまれた、革新御三家の筆頭=府医師会会員の問題には、血道を上げないのだろうか。それともこれは「人民内部の矛盾」ででもあるのだろうか。そういえば統一戦線にはつぎのような見方もあるらしい。
 「人民戦線内のわれわれの同盟者を評価する場合、かれらの矛盾の動揺だけを見ることは、かたよった、せまい、けちな態度をとることになるであろう」(『スペイン人民戦線史』)
 ああ「京都の夜明け」は、最も抑圧された人びとにとっては遠い。医療の腐敗は、革新統一戦線にとってもドリアングレーの肖像なのだ。
               (『朝日ジャーナル』七一年四月二日号)<0140<」(高杉[1972:128-140]

◆1972/12 (1970年12月京都地検になされた告発について)地検が容疑不充分で不起訴とする

◆1972/12 1972/12 →「虚偽事実を告発,同時に新聞記者に公表した」のは不特定多数にあたかも真実であるかのように伝ったとして名誉穀損(誣告罪)のかどで告発する会に3, OOO万円の損害賠傷を求めて提訴

◆1973
 十全会双ヶ丘病院(京都):患者虐待・看護職員の水増し(京都): 1月から9月までの間859人の患者死亡が発覚
 http://blogs.yahoo.co.jp/fukushimakichi/24705951.html

◆1974/09/01 「1974年9月1日の朝日新聞は,十全会医療の実状を「9カ月で死亡859人,スシ詰めのべッド,養護施設肩代わり」と報道している。」

◆『朝日新聞』1974年9月2日?
 (9ヵ月間で859名の死亡者をだしたこと+を報道)

◆1974/03 「49年3月末の届出では、入院患者の64%が脳器質性精神障害、その他の障害、あるいはその他となっているが、これらの病名の患者の大半は、老人と考えられる。」(榎本[1975])

◆1974/12/16 京都双岡病院、指定病院の指定解除

◆1975/01/31 東山高原サナトリウム・ピネル病院、指定病院の指定解除
 http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/093/1200/main.html

「 ○政府委員(大谷藤郎君) 十全会三病院のうち、京都双岡病院につきましては四十九年十二月十六日、それから東山高原サナトリウム及びピネル病院につきましては昭和五十年の一月三十一日に指定病院の指定が解除をされております。その理由は、各病院から指定を返上するという意向を示しまして、精神衛生法第五条では、設置者の同意がない場合は指定をいたさないということになっておりまして、それによりまして指定を解除したものでございます。
 先生御指摘の指定病院と非指定病院についてどう違うか。指定病院と申しますのは、自傷、他害のおそれのある精神障害者を都道府県知事の権限によりまして強制入院させる病院でございまして、非指定病院は、それをやらない病院というわけでございます。したがいまして、措置入院に伴います諸権限というもので、指定病院と非指定病院の違いがあるわけでございますけれども、入院の場合には指定病院と非指定病院の差がございますけれども、退院につきましても当然両方とも精神病院の管理者がいたすわけでございますが、これにつきましての精神衛生鑑定医の審査につきましては、非指定病院につきましても、同意入院患者につきましてはこれを実施することができるとされております。」

◆1974/09

「本年9月学会委員会の調査報告が発表されたが、そこでは次のような点が指摘されている。
 ○運動や散歩をする場がない。東山高原サナトリウムの病床利用率は、47%で、ベッドの間隔は30センチたらずである。
 ○シレランデレート6錠、エンボール3錠、インテルザル3錠、カリナクリン3錠、フィブレートC3T、アデノホリン6錠(77点)と記したゴム印がつくられていて、同一の薬剤が投与されている。
 ○プロピタン300mg、クロルプロマジン600mg、レボメプロマジン300mg、ハロペリドール13.5mg、クロールジアゼポキサイド60mgといったように、上限量をはるかにこえる多量が、重複して投与されている。
 ○精神患者は18円で作業をさせられている。
 ○東山の3病棟では部屋に鍵をかけられており、多数の患者が手をくくられていた。
 ○医療費が15万円の人がいる。それ以外におむつ代1万5千円、室料差額1日百−2千円をとられ、入院時には10万円を預けねばならない。
 ○ほとんどの患者がおむつを当てられ、排尿指導などは皆無で、6時から19時30分までの間にかぎって1日6回定時に交換される。
 ○重症者には食事がはこばれても、20分ほどして、そのままさげられる。
 ○看護婦はパートが多く、3病院兼務になっているという。
 ○病棟で医師を見かけることは、ほとんどない。
 ○遠方から集められて、家族から遮断され、独歩部屋、寝たきり部屋、重症室と移動させられて、隣りの老人との会話もたたれ、外出外泊は禁止され、私物の持ちこみも制限される。かくて、生涯かけて形成された他人との連鎖が、短期間のうちに取り去られ、生きる意欲を失なわざるをえない。入院後1ヵ月以内の死亡より、それ以後の死亡が多いのは、死ぬのは重症のためではなく、精神的支持が奪われた結果であることを示す。」(榎本[1975])

◆榎本 貴志雄 19750129 「十全会糾弾闘争の経過」『精神医療』第2次Vol.4 No.2[通巻16]:32-39(特集:裁判闘争/行政闘争)
 *全文を収録しています。

●75 衆議院 予算委員会 19号 昭和50年02月22日
 http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/075/0380/07502220380019a.html
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=4&DOC_ID=8665&DPAGE=3&DTOTAL=47&DPOS=46&SORT_DIR=1&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345

○小林(進)委員 私の質問は、ごく初歩の常識的な質問でございますので、できれば厚生大臣から御答弁をお願いいたしたいと思うのでございます。  現在、病院数は、国立、都道府県立、市町村立、公的医療機関、その他法人、個人病院を含めて一千四百四十九、まあ一千四百五十とおっしゃいましたから大体間違いない。それに対する病床数が二十六万一千七百四十五、大体二十六、七万人を収容するだけの病床があるようでございますが、大体これらの病床は、それぞれ満員に近く収容されているものと見て、その病院の内部における精神障害者の入院の状況でありますが、その実態は一体どんなものなのか。これは本日、御多忙の中をおいでいただきました福井東一先生にひとつお聞かせを願いたいと思います。

○福井参考人 ただいま御紹介いただきました福井東一であります。
 私は現在、精神神経学会の理事をやっておりますけれども、同時に医療問題委員会の委員長をやっております。と申しますのは、いろいろ新聞で皆さんがごらんになったと思いますけれども、精神病院でいろいろな不祥事件が起きております。これは、現実の問題としてひどいと思われるようなことがいろいろ新聞に出ているわけですけれども、そういった問題は、もしか治療というものが、学術的に考えられていると同じようなものが現実に行われているとしたら、そういうことはあり得ないわけです。その間をつなぐために、一体その食い違いがどこにあるかということをわれわれ委員会が調査をして、それを学術的にまとめたいということで始まった委員会であります。私は、その委員会の責任者としまして、数々の不祥事件の起きました病院に、何の権限もないのですが、何とか中へ入りまして、いろいろ実情を確かめたわけであります。
 その結果をいろいろまとめておりますけれども、その中で一番はっきり、だれが見てもおかしいと思うようなことは、たとえばこれは滋賀県の病院でありますけれども、精神薄弱者という知恵おくれの患者さんに対して、ちょっと暴れたからといって投網みたいな網の中に包みまして、そして寝転がしていたわけです。そういう中で暴れているうちに心臓が弱って死んでしまったということであります。そんなようなことも、やはりただ.おさめておけばいいのだ、入院して治療をされる者が、その中で逆に網の中に拘束されて――私も自分でかぶってみましたけれども、その中で身動き一つとれない。極端に言えば、間違えればそのひもが首にかかるということも可能性があるわけであります。そういう中で死んでいったということが事実としてあったわけであります。それから、やはりその同じ病院ですけれども、ちょっと言うことを聞かなかった患者さんが、特別な保護室といいまして、個人だけ入れておく部屋があるわけですけれども、そこの柱にひもでもって手足を張りつけみたいな形でくくりつけられて、それも、いまの精神医療というものが要請されている現状の中では、多少の職員と患者さんのトラブルはやむを得ないのでありますけれども、その方は三日間ぐらいそのまま放置された、食事も運んでもらえなかったそうです。大小便の始末もしてもらえないで、結局おしりが腐りまして、それでただでさえ不自由だった片足がほとんど使えない状態になってしまった。そんなようなことも、現実には精神病院の中で行われているわけです。そのことを、われわれが学会で調査しまして、県庁などに改善方の申し入れをしているわけであります。その申し入れば、結果的にはどこまで現実に取り入れられたかわからないのが現状であります。
 それから、そのほか、たとえば北海道に、これは新聞に出ました有名な病院でありますけれども、北全病院というのがございます。脳の手術というものは、十分にそれまでの経過を見て、最終的にやるべき手術であるということが厚生省の治療指針にあるにもかかわらず、その病院では、入院して間もなくその手術を決定し、行ってしまっておるわけであります。ということは、脳という人間にとって非常に重要な臓器というものが、治療するはずの精神病院において非常に軽視されている、そういう実態があるわけです。これは、あくまでもロボトミーという療法でありまして、治療でありますけれども、現実には、本当の適用でなく非常に安易に患者さんに行って、とにかく結果的には廃人にしてしまったわけですけれども、そういうようなことを気軽にやってしまっておる現状があるわけです。
 それからまた、ある病院で、そういう現状を見かねた患者さんたちが立ち上がりまして、暴動が起きたわけであります。これは静岡県の病院であります。ですけれども、患者さんが暴動を起こして何をやったかと言いますと、自分たちのひどい状況をマスコミに訴えたいということで暴動を起こして、それでどうしたというのではなく、とにかくマスコミを呼んでくれれば自分たちは暴動をおさめるということ、それで自分たちがいかにひどい目に遭っているかをマスコミに発表したところで暴動がおさまった。ですから逆に精神病院の中では、患者さん方が常識のある態度をとっておる。そういう現状もわれわれは実際に見てきたわけです。これは正式な学会の報告として報告してございます。
 そういう中で、これは京都府に十全会系の病院というのがありまして、京都府の入院患者の中の三三%がそこに入院されておるわけでありますけれども、京都府で一年間に亡くなる患者さんが大体九百数名、その中の八百数名がその病院でなくなっているわけです。余りにも死亡率が高い。極端に言うと約三倍の死亡率を持っている。なぜそういうように亡くなるかということを調べたわけですが、そうしますと、やはりその病院では、いまの厚生行政の中で非常にりっぱにやっているわけです。何というんでしょうか、一生懸命考えれば当然こういう病院ができ上がるのではないかというような病院なんです。ということは、建物も非常にりっぱですし、ドアなんかも自動ドアなんです。前に立ちますと自動的にドアがあくようなりっぱな病院であります。その病院の中で患者さんは、一人の人間として扱われるのではなく、完全にマスとして扱われているわけです。特に老人がそこに多く入院しているわけでありますけれども、それ自体も、実は老人内科というのが、入ったところにかかっていまして、家族は内科病院にでも入れたつもりで入れているわけです。ところが実際には、精神病院という、非常に拘束あるいはレッテルを張られる病院の中に入れられたわけでありますから、それ自体が一つの問題点として残りますが、それはさておき、とにかく入れられた老人は、たとえば食事なんかは特定の人が運んでくるわけですが、その老人が何か悲しいことがあって食べなかったら、次にまた運び去る専門の人がその食事を運び去ってしまうわけです。ですから、その間に、食事を食べたらどうだかというような、老人に対する思いやりというものは一切ないわけです。そうして全員おむつを取りかえてしまっているわけです。ということは、立ってトイレットに行けるような、まだまだ人生に余力を残している老人までがおむつという形で、もう立っていくという人生すらもそこで切り捨てられているということなんです。そして、そういうようなコンベアシステムで、最後に寝るときには、眠れる老人であろうが眠れない老人であろうが、注射をされて眠らされてしまう。これは非常に膨大な大きな病院であるだけに、そういうようなことがもうほとんど機械的にしか行われないわけです。しかも日本全国から集まってきた患者さんが、その中へ収容されているわけですから、家族からも切られ、職員からも切られ、それがもっと極端に言いますと、同僚の患者さんとお互い同士で話をしていても、病状がちょっと変わると次の部屋にすぐ移されてしまう。患者さん同士からも切られ、結局、物としてしか扱われていない。そういう病院の中で、結局老人はどんどん死んでいくという形があったわけです。そういうような実情をわれわれは報告しているのでありますけれども、これは私から申し上げるべきことかどうかわかりませんけれども、京都府なんかに申し込んでも、その結果はやはりあいまいになっているわけであります。
 それからもう一つ、ちょっとそのこととつながって一言だけ申し上げたいのですけれども、作業療法というものがあります。この作業療法というものが治療となっているということが盛んに言われたわけです。それでわれわれも、いまあるいは治療かもしれないとも思っているわけですが、しかし、これが現実の医療の場においては、結局、患者さんが働くことが治療であるという側面が生かされないで、何か病院の役に立つ面の方が生かされてしまっている。そして現在われわれは、その調査をいろいろやっている段階でありますから、そのことは申し上げられませんけれども、少なくとも本当の純粋培養の理論から言えば治療であるかもしれないものが、結果的には患者さんの賃金のピンはねという形であらわれている。そういったことに関してわれわれは、やはり厚生省にその点いろいろ要望書を出しているわけですけれども、そのまんまになっているわけです。われわれの学会として、要するに純粋培養である学問というものがあくまでも患者さんのものでなければいけないという視点から、患者さんにそれがどういう影響を与えているかということを中心につなげて考えているわれわれは、現在のところ行政から無視されている状態にあるわけです。
 その辺を現状として申し上げたいと思います。

○小林(進)委員 これは大変な、恐ろしいようなお話を承ったわけでございます。病院の中で、どうも拷問よりもひどいような、両手両足を縛られて三日もつるし上げられていたり、網の中に包まれて投げられていたり……。これは、いま、近代的な刑務所でも、あるいは近代的な警察でも、こういう残酷な拷問行為は行われていないと私は信ずるのでありますけれども、はからざりき、いわゆる精神障害者に対して病院の中でそういう残酷なことが行われているということを、寡聞にしていままで知らなかった。政治家の席を汚す者として私も大変ざんきにたえない次第でございます。
 私は、いまのお話をひとつ確認する意味で、ここで私の持っている資料をちょっと読み上げてみたいと思うのでございますが、最後にお話のありました医療法人十全会系統の系列下にある東山高原サナトリウム、双岡病院、ピルネ病院というこの三つの病院が、京都府における全入院精神病者六千四百二十八人の中の二千百二十四人の患者を収容し、三三%を占めている。その三三%を占めている三病院の死亡率を京都府の衛生部で調査をされた。その調査結果によりますと、七三年の一月から九月までの死亡患者が九百三十七人。これば京都全部であります。京都十四の精神病院の中の六千四百二十八人の中の死亡者、そのうち十全会系の死亡者が八百五十九人、九一・七%の高率を占めている。また、そのほかにも七百八十一人、八三・四%が入院をして一年以内に死亡をしているという、こういう統計が出ておるのでございますが、この点、先生、この統計に偽りはございませんでしょうか。

○福井参考人 いまの統計は、私たちも府庁まで行きまして確認してございます

○小林(進)委員 どうもその死亡の内容が少しも明白でない、また病名も明白ではないのでございまして、ただ、とにかく入院して一年もたたないうちにばったばったと死んでいく。死んでいくと、この病院は患者狩りと称して、何か病院では十五台ほどの白い十全会パトロール車というものをお持ちになっていて、頻々に、府内はもちろん、府外、近郷近隣、広域地域にこのパトロール車を出動せしめて、そうして新しい患者を集めている。これはほとんど外来者ではなくて人院患者を集めている。そうして一年もたたないうちに、多量に生み出される死亡患者というものをつくり出している。これが流れ作業のごとく絶え間なく循環して行われているというのでございますが、こういう事実は、先生いかがでございましょう、間違いございませんでしょうか。

○福井参考人 これは私として確認したことであり、しかも私たちが行うたときに、このような車が門のところへずらっと並んでおりましたので、台数に関しましては数字を根拠にいたしましたけれども、病院の前に並んでいたことは、私たち現実に目で見ましたし、また実際に、遠くの福祉事務所から、というのは兵庫県ですけれども、かなり定期的にここに送られてきているという事実も確認しております。

 *(日本精神神経学会理事)   福井 東一君
 *小林進
  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%9E%97%E9%80%B2_(%E6%94%BF%E6%B2%BB%E5%AE%B6)

●75衆議院 予算委員会第三分科会 2号 昭和50年02月25日
 http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/075/0388/main.html

○小宮[武喜]分科員 ここに昨年十二月一日発行の全国精神障害者家族連合会の機関誌「ぜんかれん」の九十二号がございます。この機関誌を見ますと「革新府政の看板が泣く、この地獄絵」「老人処理工場化した、十全会系三病院の実態」という見出しで、京都市にある医療法人十全会の系列下にある東山高原サナトリウム、それから双岡病院、それにビネル病院のいわゆる十全会三病院における異常な老人の多量死について詳しく報じられております。それによりますと、京都府下の十四指定精神病院で一昨年の一月から九月までの死亡患者九百三十七人のうち十全会三病院での死亡者は八百五十九人と、全死亡者の九一・七%を占めておりますが、このような十全会三病院の老人の多量死について厚生省は調査されましたか。

○佐分利[輝彦]政府委員 まず四十九年の九月に京都府の衛生部に指示をいたしまして、十全会病院の模様を調査させております。また、同年十月には厚生省に京都府衛生部の幹部を呼びまして、公衆衛生局、医務局、社会局等で報告を聞いております。なお、京都府の衛生部といたしましては、この事件発生後直ちに指導を行っておりますが、そのほか四十八年の十一月、また四十九年の十一月から本年の二月にかけて十全会系三病院の指導、調査をいたしております。

○小宮分科員 調査、指導はされておるけれども、その原因についてはどうであったのか、その点いかがですか。

○佐分利政府委員 原因の第一は、この三病院では六十歳以上の老人の入院が異常に多いわけでございまして、ほかの病院はおおむね一五、六%の老人の入院率でございますが、十全会系の三病院では六〇%を占めております。しかも老人が多いだけでなく、病気の重い老人が多かったわけでございます。これが第一点でございます。
 それから第二点といたしましては、そのような状態にありながら、医師とか看護婦だとか看護助手だとか、そういった医療の要員の数がかなり少なかったということが挙げられるかと思います。

○小宮分科員 のうのうとして、看護婦さんが少なかったとか、医師が少なかったとかというようなことを、よく厚生省は言えたものだと私は思いますよ。それ以外に、精神医療問題委員会がいろいろ調査した結果によれば、十全会三病院から転院してくる精神病患者は、信じられないぐらいの多量の向精神薬を服用させられており、この向精神薬の投与を打ち切るだけでもかなりの改善が見られるということを言われておるわけです。言葉を返せば、向精神薬を多量に投与していることが多量死の原因であり、打ち切ることが死亡者を減少させることになるわけです。そういうような原因を十分につかまぬと、ただ行って調査をした、来ていろいろ事情を聞いたということだけでは、この問題の解決にならぬと思います。したがって、調査されていろいろな事情を聞かれた。そこで、いま言われておるように非常に看護婦さんが少ない、医師の数も少ない、これはここの中にもはっきりしておりますけれども、そのことがここの中に言われているわけです。
 もう一つ、こういうような報告がなされております。病床が非常に窮屈だ。たとえばベッドとベッドの間が五十センチしかないとか、あるいはピネル病院のごときは、天井が普通の病院より二メートルぐらい低いとか、あるいは運動場もない、散歩などの機会も全然ないとか、いろいろな調査が出ているわけです。それから病床の利用率だって一四七%になっている。だから、もうぎゅうぎゅう押し込んでいるわけです。それで東山高原サナトリウムの二病棟では、かぎをかけられた上、多数の患者が手をつながれておるというような実態もはっきりしているのだから、そういったものをただ調査したというだけではなくて、どういうふうに改善措置を命じたのか、その点いかがですか。

○佐分利政府委員 まず、患者が定床をオーバーして入院しておりますので、ベッドを適正に増床させまして、利用率を引き下げております。百四十数%から百十数%に現在は下がっております。
 また次に、医師とか看護婦とか看護助手でございますけれども、これもその後改善いたしまして、四十九年末で医師は、非常勤でございますけれども、二十九名の増、それから看護婦、准看護婦は、これは三病院でございますが、八十九名の増、看護助手は百四十六名の増でございます。
 また、先ほど御指摘がございました、薬を使い過ぎるのではないかといった医療内容につきましても、指導いたしまして、先般の集中審議でも参考人の福井医師がおっしゃっておりましたけれども、現在はそのようなことがなくなっております。

○小宮分科員 それは現在では改善されてきているということですね。この報告によりましても、医師の数は実際どれだけいるか不明だというような問題それから、いまお医者さんが非常勤だということを言われましたが、看護婦さんにしても、三病院をぐるぐる回っているわけです。それで数から言えば、こちらの病院にはこれだけおるのだと言いながら、実はこちらの病院の数にも入っておる、またこちらの病院の数にも入っておるというようなことで、ごまかしているのですよ。医師の場合も、非常勤ということになれば、その医師が三つの病院を転々としておるかもわからぬ。そういうような実態を厚生省は把握しないと、特に先ほど言われたように、東山高原サナトリウムなんかは、基準看護すらとっていないのに、指定病院に指定されているわけです。ここの問題は、厚生省はもっと十分実態を把握して適切な措置をとらなければ、厚生省は何をしておるのかと言いたいのですよ。
 これはきのう、きよう始まったことじゃない。この何十年か続けられてきた。その後病床はだんだんふえつつある。そういう中で本当にそういう基準看護がなされているのかどうか、医師の数は不足していないのかどうかというような問題も、やはり厚生省は監督官庁として、京都府に任せるのではなくて、十分指導監督をやっていただかないと、こういうような問題があるのです。特にこうした老人の多量死の問題は、私はこの病院の利潤追求の姿勢にあるのではないかということを言いたいのです。ただ向精神薬を飲ませる。何のために向精神薬を多量に投与するのかという問題についても、やはり原因を掘り下げていただかぬとこの問題の根本的な解明にはならぬ、こう思います。その点につきましては、私は厚生省の責任は重大だと思うのです。問題が起きてからあわてて調査をするとか、呼んで聞くとかいうことでなくて、そういうような問題が社会問題になったら、いち早く調査をして、そして適切な手を打つというような行政指導をやらなければ、こういうような問題はなかなか解消できないのではないかというふうに考えますけれども、この問題だけで時間を取っておりますと三十分過ぎますから、次に移ります。
 それではもう一点。法務省来ておりますか。

 小宮武喜 民主党国会議員

●75参 - 予算委員会 - 17号 昭和50年03月27日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=4&DOC_ID=13888&DPAGE=3&DTOTAL=47&DPOS=44&SORT_DIR=1&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345

○目黒今朝次郎君 一番この問題が進まない背景は、やっぱり大蔵省が金を握っておる。そこで大蔵省――これもいない。大蔵大臣がいませんから、これも保留しておきます、この件に関する大蔵大臣の……。
 時間がないから先に進みますが、この問題、片桐参考人の説明を聞きますと、やはり国あるいは地方公共団体の病院でやるのが望ましい。ところが、厚生省からもらった資料によりますと、私立の病院がわりあいに多い。それで松本参考人にお伺いいたしますが、私立の病院で行われている問題などについて、九州の事件なども含めて、これらの背景についてぜひ聞かしてもらいたい、こう思うんです。

○参考人(松本憲一君) いま現場の労働者の立場から、国が人的な保障をしないということと、感染を含めて、障害、それから保障の確立をしない。全国的に見ても、地方では県立なんかがやっておりますけれども、都市部においては圧倒的に多数の私立病院に人工透析が任されておる。したがって、こういうことからどういうことが起こってきたかといいますと、私は北九州の実態を紹介しようかと思います。
 実は、人工透析といいますのは、一回の透析が約五万、月間で六十万から百万、平均して八十万という多額の治療費を食う一つの医療なんですが、これは更生医療の対象になっております。保険との差額は更生医療の対象になっておりますが、そういう多額の治療費を必要とし、一回の透析料が高いものですから、はっきり申し上げて、私立精神病院の営利のための一つの絶好の場となっております。
 たとえば、北九州に北九クリニックという人工透析の専門病院がございまして、ここに約八十人の透析患者が透析を受けております。ところが、先ほどお話がありましたように、現場の労働者でさえも血清肝炎の感染を恐れて、その保障体制がない限りは、なかなかわれわれさえ踏み切れないという悩みを持っておられる。この血清肝炎のおそれがあるにもかかわらず、本来使い捨てにすべきこの透析の器材を過酸化水素で洗い、ホルマリンで再生して、一回一回新品を使ったと同様な形にして請求し、一昨年の暮れから昨年の半ばにかけまして約八千万円の詐取を働いた医療機関があります。そしてこの再生によりまして、そこに入院している患者さんの全員が発熱し、舌の先がしびれ、さまざまな障害が実は出ておるわけであります。一回一回使い捨てすべきこの器材を平均八回ほど使っておりまして、これによって、この患者さんの中には、当然、腎臓でございますから、薬務行政の怠慢によって、盲になったクロロキンの被害者も含まれ、さらには透析の私的医療機関に放置された、こういう無責任によりまして二重の被害を受けている患者さんが実はおるわけであります。この件は現地におきまして新聞でもかなり厳しく追及したわけでございますが、せんだって、約半年かかりまして患者さん側の追及によってこの件が表に出たにもかかわらず、福岡県行政当局は、約八千万の詐取を行ったという事実を確認したにもかかわらず、現在まで全然行政的な何らの処分を行っておりません。
 これは、私立病院がこういう形で、この透析医療というものを営利の対象としている。北九州でも実際そういう例があるんですが、私立精神病院が最近数人の透析患者を扱い出した事実があります。そして私が聞いた話では、これほどもうかる商売があるとは思わなかったと、こういう話さえ出ております。衆議院の集中審議におきまして問題になりました京都の十全会の双岡病院あたりでも、たしかこの人工腎臓を扱っているはずであります。したがって、この人工腎臓の透析患者をこういう私的な状態に放置しておるがために、われわれの税金である保険の詐取まで招き、さらには患者の被害まで生み出している。早急にこれは国が公的な責任をもって保障すべき重要な局面だと私は考えております。

 *松本憲一(北九州医療に発言する市民会議代表)
 *目黒今朝次郎 社会党 1922年6月7日 - 2012年6月21日
  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%AE%E9%BB%92%E4%BB%8A%E6%9C%9D%E6%AC%A1%E9%83%8E

◆小澤 勲 編 19750325 『呪縛と陥穽――精神科医の現認報告』,田畑書店,201p. 1100 ASIN: B000J9VTT8 [amazon] ※ m.

 「日本精神神経学会はかなりの程度までわれわれの手によって動いてきた。われわれは金沢学会闘争を契機として精神科医全国共闘会議を結成した[…]この委員会はようやく全国的に政治的課題とされ始めていた刑法改悪阻止、保安処分新設粉砕闘争の一つの要として運動を進めてきた。認定医制度はもはや問題にもされなくなり、十全会病院、烏山病院、北全病院をはじめとする精神病院問題、台人体実験問題に対しても、われわれの糾弾、告発闘争は圧倒的多数の支持をうけた。[…]だが、にもかかわらず」

◆1976 「前進友の会」(京都)発足
 「前進友の会は1976年から、悪徳病院十全会東山高原サナトリウムの非人間的医療、殺人医療を糾弾しながら、命からがら生き抜いてきた病者の患者会でもある。」
 (http://zenshi-tomonokai.hp.infoseek.co.jp/031205.html

◆1976〜1978
 「グリーンメーラー」:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%BC
 「赤木孝は京都双岡病院などを運営する医療法人『十全会』の理事長として、1976年から1978年にかけて宝酒造・京都銀行・朝日麦酒・高島屋などの株式を買い占め。折も折、病院の乱診乱療が問題となっていた時期と重なり、管轄する京都府の行政指導によって持ち株を処分させた。」とある。
◆1977/07 一審京都地裁(菊池博裁判長)は,第三例以外は医療の裁量の範囲として,十全会側の勝訴,告発する会に80万円の支払いを命じた。告発する会は直ちに控訴

◇043 81 参議院 文教委員会 閉1号 昭和52年09月13日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=5&DOC_ID=36&DPAGE=3&DTOTAL=47&DPOS=43&SORT_DIR=1&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345
 ※以下の十全会は守山十全会で京都の十全会病院とは異なる。

○宮之原貞光君 どうも私は、だからなおますます腑に落ちないんですよ。たとえば愛知医科大学設置時に付された留意事項というのがありますわね。それなんか見たってこれきわめて矛盾した話でしょう。それからその後の病院の拡張でと言いながら、そのときの付帯事項の中には、いまの病院の敷地では非常に狭隘だから隣に広げていってうんと買いなさいと勧めておるんですよ、あなた方が、これは。あるいは付属病院の問題にしてもあれでは不十分だし、守山十全会病院についてもこれは非常に問題点があると、こうすでに指摘をされておるんですよ。あのときには完全であってその後石油ショックが云々というのはそれは理由にならぬでしょう、いまの発言では。むしろ当時のあなた方が認可したところのそのやり方から言うならば、きわめてずさんだったから、たとえばこういう事態が出ておる。この表面上のこの文章を裏づけるものとして、付属病院長から重冨理事を外しなさいと。理事長と病院長とこれとを兼ねているのはおかしい。あるいはまた重冨個人の所有しているところのこの守山十全会病院を付属病院とするのは、これは負債を十億も背負っているところのものなんだから、それを中に入れるというのはおかしいから、これは賃貸契約を結びなさいと指導やっておるじゃありませんか、あなた方は。そうでしょう。違いますか。どうですか。

○説明員(犬丸直君) 認可の際には、認可の際に必要とされる最低基準を満たしておるかどうかということで審査をいたしまして、その後より改善していくという点につきましては指導を加えながら現在に至っておるわけでございます。

○宮之原貞光君 いや、私が具体的に挙げたことは指導されたんでしょうが。――こううなずかないで、記録に残るように、そうならそう、ノーならノーと言ってくださいよ。首だけこうやったってね、ここでは心証的にはわかりますけれどもね、どうなんですか、それ。

○説明員(犬丸直君) 認可の後のアフターケアでまいりました留意事項、あるいは認可の際の留意事項というのは、その内容は私どもの指導の内容になっているわけでございます。

○宮之原貞光君 そうでしょう。だから、こういうことはすでに認可のときから不完全なもんだったんですよ。それを、こういうことをやれば大体認めようというところにきわめて私はこれは問題があるという指摘をせざるを得ないんです。だって、皆さんのその指示を受けたから、重冨理事は五十万円の、今度は病院長やめたから月給もらったり、あるいは病院の使用料として五百万円を取ったりしておるでしょうが。会計帳簿見てごらんなさい、あるでしょうが。そういうようなその後の、その直後のこういう問題がありながら実はやったというところに、私は文部省当局のこういう将来にわたるところの学校運営というものに対するところの一番の、最初の大事なところの出発点においてきわめてやはり問題点がある、不十分さがあったということを指摘せざるを得ない。むしろ私から言わせれば、このことは設立基盤のもろさ、言うならば無理な資金計画ということを知りながら、それより以上に強いところの力、政治的なやはりいろんな形のつくれ、つくれ、認可をせよというものがむしろ文部省に私は強く加わってきておる。そのことを皆さんが払い切れなかったというところに非常に大きな問題点があるということを感じざるを得ないんです、これは。その考え方、これは全然誤りでしょうかね。胸を張って否定できますか。

◆1978 京都十全会病院(東山サナトリウム)准職員41名大量入院問題
 http://www.byochi.org/contents/07_shiryo/files/nenpyo2008.pdf

◆1979/02〜06 
 http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/093/1200/main.html
 [政府答弁]「私どもといたしましては五十四年の二月から六月にかけまして相当深度のある調査を行いまして、適正な課税処理を了しているところでございます。」

●87衆 - 社会労働委員会 - 6号 昭和54年03月01日
ttp://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=5&DOC_ID=2360&DPAGE=3&DTOTAL=47&DPOS=42&SORT_DIR=1&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345

○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。
 私は、いま世間で非常に話題を呼んでおります京都の医療法人十全会グループによる大量の株の買い占め問題を取り上げながら、後半、いわゆる厚生省が診療報酬の不正請求で保険医の指導、監査を強化するという通達を出しておるわけでございますが、それが具体的にどのような形でやられようとしておるのか、この点について質問をしたい、こういうふうに思うわけであります。
 医療法人というのは当然医療法の適用を受けるわけでございますけれども、医療法の第四十二条に業務の範囲というのがあるわけでございます。その業務の範囲を超えるかどうか、まず基本的な見解を賜りたいわけであります。
 それはどういうことかと言いますと、具体的に一つ例を挙げますけれども、京都の医療法人の十全会というのはいろいろな関係の子会社グループもあるわけでございますし、このグループによりまして、けさもある新聞にも出ておるわけでございますけれども、朝日麦酒の株をかなり、推定でございますけれども、これは私きょう確かめてきたわけでございますが、明確に会社の方も何株だということは言っておりませんが、少なくとも二千万株を超すであろう、あるところでは二千五百万株だ、こう言っておりますけれども、大量に買い占めておる。こういうようなことは医療法四十二条の業務の範囲を超えるのかどうか。まず基本的な見解についてお伺いをしたいと思います。

○佐分利政府委員 投機的な利益を目的といたしまして大量の株の売買をすることは、医療法に定める業務の範囲を超えるものではないかと考えております。つまり医療法に抵触するおそれが非常に強いと考えております。

○草川委員 そういうことになりますと、具体的にちょっとお伺いをしたいわけでございますが、たまたま朝日麦酒の場合は、東京証券取引所の方へ私どもも調査をいたしてまいりましたけれども、ただいまのところ、証券取引法違反になるかならないか、もう少し推移を見たいというわけでございまして、現在までのところ、株価形成上不公正な取引のところまでいくかいかぬかということでございますが、過去にずいぶんいろいろな実績があるわけでございます。たとえば昭和五十一年の五月に宝酒造を法人名義で約二千五百万株購入しておる、こういうわけであります。ほかの法人名義でも六百七十万株持っておる、こういうことでございます。しかも十全会病院というのは、十全会というのと双岡病院、ピネル病院、それぞれ理事長と理事長の奥さんが責任者になって登録されておるわけでありますけれども、いろいろなものを合わせましても、十全会の名義だけでも二百八十七万株も持っておった、こういう事実があるわけでございますが、そういう過去の事実について厚生省として何か調査をなされたことがあるかどうか、お伺いします。

○佐分利政府委員 特に調査したことはございません。関係方面の情報を若干収集した程度でございます。

○草川委員 京都府の衛生部がこの問題について調査したというような報告は、厚生省の方には上がっておらないわけですか。

○佐分利政府委員 厚生省には参っておりません。

○草川委員 本当に厚生省が知らぬ、存ぜぬというお立場ならば、たとえば私がいま申し上げましたように、少なくとも宝酒造の二千五百万株をこの十全会が買い占めておったとするならば、先ほどおっしゃられました医療法の四十二条、業務の範囲を超えるのではないかという答弁と矛盾をするのではないでしょうか。

○佐分利政府委員 事実そのような株式投資が行われているならば、ただいま先生が御発言のとおりでございます。

○草川委員 じゃ、このとおりだとするならば、完全に医療法の業務の範囲を超えておるということを認められたわけでございますが、たとえば問題提起をすることについて、今後事実調査をなさることをお約束できますか。

○佐分利政府委員 衛生当局といたしまして、できるだけの範囲内で調査をいたしたいと思います。なお、こういった問題については専門家の協力が必要であろうかと思っております。

○草川委員 専門家の協力が必要だということは、それはそれなりにいいわけでございますけれども、実際上は、京都府の衛生部というのは厚生省の指導を得て、法人買いは多少無理じゃないかというので、この宝酒造については売却をしたらどうだという勧告をしておると私どもは伝え聞いておるわけであります。
 この点について、さらにもう一つ突っ込んだことを言いますと、十全会は京都銀行というものの一・九%、第三位の株主でもあるわけであります。つい最近出ました「会社四季報」という、いろいろな会社の株式の現有高を示す一番オーソドックスな本がございますが、この八百五十五ページに、京都銀行の株を二百五十一万株十全会グループとして持っておるということが明記をされておるわけであります。これは第三位であります。しかも京都銀行というのは地元でかなり大きいわけでございますけれども、これは財産保全という程度の範囲内で認めたらどうだろうかという、京都府衛生部の指導があるやに聞いておるわけでございますが、そのことも厚生省は御存じないわけでございますか。

○佐分利政府委員 私どもは聞いておりません。

○草川委員 聞いてないということをあくまでもおっしゃられるわけですから、それを信用せざるを得ないわけでありますけれども、それでは、この京都銀行の第三位の株を持たれたということについても、私が先ほど質問を申し上げましたように、厚生省としては事実を調査する、こういうことをお約束できますか。

○佐分利政府委員 先ほどお答えいたしましたように、この問題の調査の一環として、京都銀行株の取得状況についても調査をしたいと思います。

○草川委員 では最初にまた戻りますけれども、朝日麦酒の株について、これが二千五百万株か二千万株かわかりませんけれども、会社の方は、推定だけれども二千万株を超すであろうというものが十全会グループによって買われておるということを言明しておるわけでありますから、この点についても、厚生省としては調べられますか。

○草川委員 調査をしたいというお話でございますから、ひとつその調査の結果については、私どもの方にもぜひ明示を願いたいと思います。
 そのほか、実は高島屋というところに対しては名義がすでに八百六十万株も出ておるということがあります。これも専門家の方々によりますと、推定では二千万株を超すのではないだろうかとさえ言われ、さらに有名な企業であります立石電機三百万株、こういうようなものが出ておるわけでございますが、いずれにいたしましても、これはこの医療法人の十全会だけではなくて、子会社の関西食品だとかあるいは関西医薬だとか、いろいろな関連企業グループで、しかもお金は一カ所から支払われておるという、こういう調査があるわけであります。一般の商法の中には、関連会社の企業動態を親会社と一緒になって調べるという、いわゆる連結決算でいろいろと株主に対して保護をするというのがあるわけです。たとえば医療法人についてはそれとは全然別ではございますけれども、少なくとも、今後医療法人の経営実態をつかむためには関連会社もあわせて、いわゆる動向というものを把握する必要があると思うのですが、その点について厚生省としてはどういうようなお考えを持っておみえになりますか。

○佐分利政府委員 医療法人そのものの決算につきましては、その会計年度終了後二月以内に法人の方から届け出が行われることになっております。ただ、関連会社がございます場合に、そういったものまで衛生当局が調べることができるかどうか、法律上の問題もございましょうし、また、先ほど株式調査のところで申し上げましたけれども、こういった問題についてはかなりの専門家の協力も必要であると思います。したがって現時点におきましては、私どもは、医療法人そのものの決算をよく精査をするあるいは資産の状況を調べるということでどうかと思っておりますけれども、先生の御提案でございますから、その点についても検討はいたしてみたいと思います。

○草川委員 御参考までに申し上げておきますと、この医療法人十全会の双岡病院を初めといたしまして、関西食品だとか、それから関西理容サービスだとか、関西商事だとか、関西衛生材料サービスだとか、全部で二十を超す子会社があるわけでございますが、実は当初資本金八十万円、そうして倍額増資で百六十万円あるいは三百万円程度の資本金なんでございますが、こういうところが総トータル百億近い金を動かして、大量の株の買い占めに走っておるということが事実だとするならば、当然この関係会社に対しても、厚生省としては、専門家の協力を得るのも結構でございますけれども、十分な努力をしていただきたいと思うのですが、その点についてどういうお考えでございますか。

○佐分利政府委員 関係方面とよく協議をさしていただきたいと思います。

○草川委員 これは国税庁の方にお伺いをいたしますけれども、私、いま取り上げましたように、事は医療法人の問題と関連する子会社の関係でございますが、少なくとも一般世間の社会的常識の範囲を超える、本来は医療そのものに対して真剣にいろんな御努力をなすっていただかなければいかぬ、専任を義務づけた医療法のこういう団体がこういう過大な株式投資に走る、しかも投機に走るのではないだろうかというおそれが十分あるわけでございますけれども、そういうものに対してどのようなお考えを持っておみえになるのか、お伺いします。

○山本説明員 国税当局といたしましては、すべての納税者の申告の内容につきましてできる限りの情報、資料を検討いたしまして、平素適正な課税が行われますよう配意しているところでございます。
 ただいま先生お尋ねの十全会グループにつきまして、世上いろいろ報道等がありますことにつきましては、深い関心を持っておりまして、そういったことも資料、情報の一つとして十二分に活用してまいる所存でございます。

○草川委員 厚生省の具体的な調査と相まって、いわゆる法人税上の具体的な問題が出るならば、これは国民的な関心にもなるわけでございますし、悪い点は悪い点としてのうみを出さなければいけないわけでございますから、その点についてはより一層の、関心だけではなくて、具体的な行動というものを十分とっていただきたいと思いますし、ただいままでのところある程度の調査活動をなされてみえるかどうか、お伺いしたいと思います。

○山本説明員 特定の納税者につきましてのお尋ねでございますので、個別的な御説明は差し控えたいと思いますけれども、先ほどの答弁のとおり、十二分に関心を持って対処をいたす所存でございます。

○草川委員 守秘義務というものもあるわけでございますからあれでございますが、私どもの趣旨を体して十分な対応をしていただきたいということをお願い申し上げます。
 そこで、後半に移りますけれども、十全会のグループ、双岡病院を初めいろんなサナトリウム等もあるわけでございますけれども、具体的に経営体質について質問をしたいと思うわけでございます。
 まずたくさんの問題があるわけでございますが、一つ、大部屋に入院をしている患者に、大部屋にテレビがあるわけでございますけれども、一カ月二千五百円の聴視料を取っているわけでございます。それは個人のベッドに自分が必要に応じてテレビを置くという場合はどこの病院でもありますし、いわゆる電気代であろうとNHKの料金であろうと払う場面があるわけですが、大部屋に入院をしたがゆえにテレビ聴視料をいやでも取られるということについて、これは差額徴収になるのではないか、この点についてどうでしょうか。

○石野政府委員 大部屋の患者が共同で利用するような場合にその費用を徴収することは、これは私の方は適当ではないというふうに判断いたしておりますので、事実をよく調べた上で対処してまいりたいと思います。

○草川委員 では、事実を調べてその事実があるならば取りやめる、こういうことでございますね。
 ではもう一つ。やはり入院患者の方々、老人の方々が多いわけでございますが、当然寝たきり老人でございますからあかなんかも出ますので、頭を洗ってほしいということで、これはそういう要求がたくさんあると思うのですが、これは週一回九百五十円の実費を取っておるというのですが、これも差額徴収になるのかどうか、お聞かせ願いたいと思います。

○石野政府委員 これはいろいろなケースがあると思いますけれども、私どもが指導をいたしておりますのは、寝たきり患者等そういう方で、自分自身で洗髪ができないという方がおられます。そういう人たちについては当然病院の責任において行うべきものでございますので、これは看護の範囲内に入る、こう思っておりますので、もしそういう人たちに対してまでの費用を徴収するということであれば、これはやはり問題でございますので、先ほどの問題と同じように調査いたしまして善処いたしたいと思います。

○草川委員 では、直ちに調査をし、実行をしていただきたいと思います。
 次いで、双岡病院のベッド数と入院患者の比較でございますけれども、私どもの調査ですから、これは厚生省の方にも昨日申し上げておりますから、食い違いがあるならば私の方は撤回をいたします。五十三年、去年の十一月三十日現在では、双岡病院のベッド数は千四百三十七床というけれども千七百二人が入院をしておる、同じくピネル病院は四百十四床でございますけれども四百八十五人の入院患者をとっておる、東山サナトリウムは九百床でございますけれども千五十九人という調査報告があるわけですが、これは一体事実かどうか、御答弁願いたいと思います。

○佐分利政府委員 そのとおりでございます。

○草川委員 私は、実はこれは否定をされると思っておったのですが、そのとおりだということになりますと、ベッド数よりたくさんの入院患者がおるということについて、どのような御判断を持ってみえるのですか。

○佐分利政府委員 ベッド数より入院患者がたくさんいるということは好ましいことではございません。ただ、緊急の場合とかまた特に精神病院の場合には、普通の病院のように洋式のベッドがございませんで畳の部屋というのが少なくないわけでございます。そうすると洋式のベッドほど患者の数がはっきりと決まらないわけでございまして、少し余分に患者が収容されるということがございます。また地域によっては精神科の病床数が不足しておりますので、やむを得ず超過して収容しているというところもあるわけでございますけれども、この十全会系の病院のように二〇%近くも超過して患者を収容するということは、大変問題がございます。かつてもそのような状況にございましたので、四十九年から五十年にかけて行政指導をいたしまして、一時は七%程度まで下がっていたのでございますけれども、また最近もとのように一〇%を上回って二〇%近くになるというような状況になってまいりました。したがって、もう一度これらの病院に対して強力な指導をいたしたいと考えております。

○草川委員 四十九年から五十年にかけて過去そういう指導を具体的にしておる、どちらかと言えば非常に要注意の病院が世上言われるような株の買い占めに走っておるわけですから、私は厚生省は知らぬというのはおかしいと思うのですよ。知っておるはずですよ。そういうことは前向きに事実は事実として表明をして、悪い点をなくしていくということをしない限り、私は今日の医療行政というものは抜本的に解決にはならぬと思うのですよ。これはもう厳重に――二段ベッドを使っておるという説もございます。そして医療監査があったときには看護婦の詰め所も全部そこへ入れてしまう、あるいは職員の休憩室も臨時にベッドになるというようなことすらやっておるわけですよ。しかも監査の前日は、予告監査でありますから、職員あるいは患者に対して想定問答集まで配っておるわけですよ。そういう事実があるわけですから、そのようなことについても御存じないですか。

○佐分利政府委員 四十九年当時もこの二段ベッドが医学的に非常に問題になりましたので、強力な指導を行いまして、二段ベッドは取りやめてもらったわけでございます。その後毎年一度は医療監視を医療法に基づいて行っておりますが、五十三年度の医療監視のときも、われわれは二段ベッドは確認しておりません。指導どおり普通のベッドになっているという報告を受けております。

○草川委員 じゃ、二段ベッドはないけれども、大部屋では二割以上の患者を収容しておる。同様系列の三つの病院で、一つだけならたまたま地元からの要請もあって受け入れたという場合があるわけですけれども、三つの病院が同じように定員以上詰め込んでおるという事実は、私は見過ごすわけにはいかぬと思うのですね。ひとつ厳重な対策を立てていただきたい、こう思います。
 時間がございませんので、最後に、実は医療法人十全会精神科京都双岡病院の、昨年の七月に発行をいたしました診療報酬明細の部分的な写しを私は手にしておるわけであります。これは名前はもちろん伏せてあるわけでございますから触れませんが、年齢だけひとつ申し上げておきましょう。男の方で明治三十年生まれ、老人の方であります。傷病名は全部で九つついております。脳動脈硬化性痴呆、慢性気管支炎、虚血性心疾患、それからこれはちょっと字が小さくて読めませんけれども、何か腰を圧迫して骨折をした両下肢運動障害、慢性胃腸炎、皮膚炎、肺性心及び脳循環不全とか、ずっとたくさんなものがとにかく並べられておるわけであります。
 厚生省のこの通達を見ますと、不正請求、不正診療の中の一つにも、極端に診療点数が高いものあるいはその他の病名が多いものというのも対象になっておるわけでございますが、これが一カ月に十一万三千九百八十三点でございますから、お金にしまして、診療報酬の金額にしますと百十三万九千八百三十円の請求ということになります。老人の方で寝たきり老人です。私はお医者さんに聞いてみなければわかりませんから具体的なことを言いませんけれども、少なくとも他のお医者さんに言わせると、これはやはりちょっとおかしいと言うのですよ。一カ月に百十三万円も請求をする金額になるのもおかしい。しかも内容を見てまいりますと、注射料、これが一カ月の間に皮下筋肉内注射が九十回、静脈の中に入れるのが一回、その他が六十回ですから、百五十一回も注射を打っておるわけです。明治三十年生まれのお年寄りですよ。百五十一回も一カ月に注射を打ったら、それだけでも病気になるじゃないですか、いかに理屈があっても。こういうような内容についてどういうようにお考えになられますか。

○石野政府委員 いまの一例をもってではなかなかお答えにくいわけでございますけれども、一般的に、たとえば足骨折でございますか、足骨折で入院した場合だけでも大体月に三十万円程度の費用はかかるわけでございます。いまのお話では、そのほかにいろんな傷病名がついておりますので、それが事実であるとすれば当然その程度の金がかかると思うわけでございますが、問題は、そういう症状を持っておる者について常時そういうものをたくさんやっておられるということであるかどうか、これが一つ問題ではないかと思うわけでございますが、この一件だけで私ども判断はしかねるわけでございます。

○草川委員 もう一つ同じような内容でお伺いをしますが、検査料というのがあるんですよね。検査料というのは、いろんな検査をやれば当然請求点数というのは高くなるわけでございますけれども、これは非常におかしいのです。検査料の中に皮内反応テストというのがあるのです。二回で四十点です。これは大したことないでしょう。ところがそこに薬剤として一万一千八点、約一万一千点です。検査料だけで十一万円もの薬を入れるとするならば、皮内反応テスト二回というのはおかしいわけですよね。こういうような検査料の請求等についても、われわれ素人が見てもどう考えてもおかしい内容があるわけであります。こういうような点は、厚生省の通達にあります極端な高額請求も対象にするという、一月二十五日の石野保険局長名の通達の対象になると思うのですが、これはどうでしょうか。

野政府委員 私の方の通知を出した趣旨は、従来不正請求については当然指導、監督をやってまいりましたけれども、不当と思われるものについても特に医学常識から離れたものについては今後指導、監督をしますということをはっきり明示して、四つのパターンを決めまして明示いたしたわけでございます。
 その中で、特に一番目の常識的に外れました高額な医療費一件当たりの点数が常時非常に高いというような問題に該当するかどうかというお話であると思いますけれども、これはやはり、その中にも明示いたしましたように、多くの患者について幾つもの病名をつけていろんな検査をやり治療を行うということが、医学常識から判断いたしまして不当であるという場合について言っておるわけでございまして、なかなかいまの一件だけで云々というわけにはいかない。しかし、いずれにいたしましても、そういう御指摘でございますので、都道府県の保険課を通じましてよく事情を調べてみたいというふうに考えておるわけでございます。

○草川委員 今度の予算には、いわゆる厚生省の方も特別の要員というのですかGメンというのですか、いろんな予算措置もついておるわけでございますが、いろんな訓練で秋ぐらいになるだろうと言いますが、私は、十全会の問題についてはぜひひとつ今度の対象にしていただきたいと思うわけであります。いいことはいい、悪いことは悪いで、
 これは明確にしていく必要があると思うのですよ。そうしませんと、まじめに精神病院に取り組んでおみえになります病院の開設者の方々にも大変御迷惑なことだと思うので、私は明確にしていただきたい。
 時間がありませんので、最後に橋本厚生大臣に、私がいま取り上げましたように非常に重要な医療法人の具体的な一つの動きがあるわけでございますが、新大臣とされて非常に張り切っておみえになるわけでございますが、このような具体的な問題提起に対して大臣として一体どのような対応策を立てられるのか、ひとつ大いにがんばって督励をするというようなことをぜひ言っていただきたいわけでございますが、御見解を賜りたいと思います。

本国務大臣 いま草川さんの御調査になりました内容に基づいての質疑を拝聴しておったわけでございますが、伺っておる限りにおいて、はなはだ好ましくないと感じます。この予算が通過しました時点において、社会保険診療報酬に対する指導、監査の要員等も厚生省は確保するわけであります。そうした体形の中でこうしたものについても事実を調査し、直させるべきところは直させ、適法な処置をとるように努力をしていきたいと感じます。

○草川委員 大臣の声明を具体的に実行されることを特に要望いたしまして、私の質問を終わります。

◆精神医療委員会 編 19790405 『精神医療』3-8-1(30) 特集:日本の精神病院をめぐる各地の状況――総括,精神医療委員会,111p. ※

 総特集 シンポジウム 日本の精神病院をめぐる各地の状況
 I 今,何を問うべきか
 [討論](山下剛利・松本雅彦藤沢敏雄島成郎・松沢富男・井本浩之・大越功・桑原治雄・中山宏太郎) 3-11

 「司会:病院での運動の視点という立場で,大越さん,何かありませんか?
 「大越(洛南病院):統計的にみて,在院日数や措置入院が減少したたといわれているが,よく分析してみるとちょっとちがうんじゃないか。
 […]
 こういう状況のなかで, 60年代末に大学問題で闘った部分がサンドウィッチ構造のなかに入れられ,これから何を軸にして結集してゆくかが見えにくくなっているんだと思う。勿論個々の地域では実際に,現実的,日常的にアンチテーゼを出して闘ってはいるんだが,全体的基軸がみえにくくなっているんだと思う。
 京都の例で話すと,精神病院は老人(内科的)を入院させることで,経営を安定させようとする傾向が強くなっている。そのために,老人以外の在院患者が社会生活の保障もないままに,退院させられることが多くなっている。そして,この部分が,大学あるいは府立洛南病院などへまわってくる。そして,この部分が,大学あるいは府立洛南病院の民間では労働過重となるようなケースが公立へまわってくる。こういった動きは,いうなれぱ経営に重点をおいた病院の再編成の動きであるし,分類収容の方向なんだと思う。一方,行政はどうかというと,社会復帰センターについていえば,運営の人事権を京都精神病院協会系の者が握るならば,事業を開始しようという動きをはっきり出してくる。これは地域精神衛生審議会の討論でもはっきり出てくる。あきらかに,洛南病院,京大評議会がパージされてゆく体制がてきているわけです。[…] <0007<」

II 各地の医療状況


 京都レポート 中山宏太郎森山公夫小沢勲18-19

 「中山:京都の特徴をいうと,まず十全会病購院が老人医療を早くからとり入れ,昭和45年以降急激に老人医療ベッドが上昇した地区である。現在では,千数百ベッドといわれている。京都の人口構成としては,老齢化はさしてすすんんでいないにもかかわらずかかる現象がみられるわけで,その内容は極めて悲惨である。1年間の死亡者数は1,000名を越している。
 精神科一般のベッドが老人ベッドに転換するなかで,本来の精神科科が背負わされることになる。ベッド数の不足現象が起きている。全国と同様,中毒者が増加しているわけだが,これをひきうけるところがなかなかない。はみ出したのは大学学や府立病院に来ることになる。
 私個人としての考えでは,地域ともっっと密接な関係をもつ病院の運営,そこを核とした診療所群の形成が必要なんだろうと思う。今のままの病院中心主義では,開放化,自由化をしても,全体としてのベッド数の減少にはつながらないんだと思う。
 大学医局の解体闘争についていえば, 京都府立医大では連動の担い手が,すべてパージされ今にいたっている。この間,精医研問題があり,運動上, 2年間のブランクがあった。例えばこのために,十全会告発闘争が停滞したり,京都精神科医会も中断してしまったりした。病院協会と府行政が結びついて,わわれわれを排除しようとしている構造は全国的的にみて,同じものだと思う。例えば大越さんがいった社会復帰センターの問題などに見られる現象である。
 小沢:中山さんに追加すると,緊急入院制度が精神病院協会を中心にして推進されようとしているが,これを阻止しようとして,現在のところ緊張関係がつづいている。この過程で,医 <0018< 療センター構想が生まれている。大学教授,有力病院長,官僚が中心となり,京都全体の病院の人事権を握ろうという目論見があり,いうならば医局講座制が下からでなく,上から解体され,近代化される方向といってよい。これに対し,各病院,あるいは地城で活動している保健婦,福祉事務所の職員などと,反撃体勢を組もうとしている。
 十全会闘争については,京都の8, 000床のうち約1/3が十全会系の病院のものであり,われわれが診た患者も十全会系の病院へいってしまっている。その場合に,医師・保健婦が十全会病院へしつこく訪問するようにしている。十全会病院は,中山さんがいったように,老人医療へと転換していると同時に,精神病者の追い出しを計り,問題をおこすと,公立病院へ送ってくる。結果的に,救急医療体制のようなものを,われわれが背負わされることになる。」

◆1979/12
 1980/10/21 第093回国会 参議院社会労働委員会 第1号 昭和五十五年十月二十一日(火曜日)
 http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/093/1200/main.html

 「○政府委員(田中明夫君) 医療法人十全会が経営しております三つの病院のうち、東山高原サナトリウムはこれは五十四年十二月二十一日でございますが、病床数千八十九床となっておりまして、入院の患者数が千二百四人ということで、病床利用率は一一一%となっております。次の京都双岡病院につきましては、五十四年十二月十四日現在で調査をしておりますが、許可の病床数は千五百六十一床、それに対しまして入院患者数が千七百十三人ということで、病床利用率は一一〇%になっております。最後のピネル病院につきましては、五十五年の一月十六日現在で調べておりますが、許可の病床数が四百八十四床、これに対しまして入院患者数が四百八十九人ということで、病床利用率は一〇一%ということになっております。」

◆1979/12〜1980/01 医療監視
 1980/10/21 第093回国会 参議院社会労働委員会 第1号 昭和五十五年十月二十一日(火曜日)
 http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/093/1200/main.html
 「○政府委員(田中明夫君) 御指摘の点に関しましては、五十四年十二月から五十五年一月にかけて行われました医療監視の際にも、三病院においてそれぞれ看護婦の数が不足しているということを指摘しておるわけでございます。医療法上、医師、看護婦については実際の入院患者数及び外来の患者数に基づきまして必要な人員を算定しておりますので、ベッド数に基づいての算定ではないわけでございますが、一般にこういうような状態は危険な傾向を生じるとも考えられますので、今後ともその超過の入院の問題とあわせまして厳重に指導、監督してまいりたいと思っております。」
 http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/093/1200/main.html
 「前回の医療監視、すなわち昨年〔1979年〕の十二月からことしの一月にかけて行いました医療監視につきましては、三病院合計の医師数は十二名余裕があったわけでございますが、先ほども申しましたような今回の厳正な調査によりまして七名不足しているということがわかりましたし、また看護婦数につきましては前回は十七名不足ということでございましたが、今回の調査によりまして百二十二名の大幅な不足ということが判明いたしました。」

 
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■1980'


◆19800216 「精神病棟の中で…京都・十全会病院の場合」
 NHK総合『ルポルタージュにっぽん』1980年2月16日放送
 1)http://www.youtube.com/watch?v=9ApdfkHYLkA
 2)http://www.youtube.com/watch?v=o0dsm3mqV4U
 3)http://www.youtube.com/watch?v=ktaEY5FUhUI

□1
[赤木他と井上との面談の場面]
赤木:「私が今ですね先生に対してですね長生きしますとこう言いました。ところが先生しつれいな話ですけど3日後に反した結果が出たとしてもしょうがないわけなんですね。」
医師:「先生わるいですけど、現場ではもっともっと真剣にやってますよ。」
赤電:「電気ショックして死亡しましてもですね医師はなんにも書く必要ないんですね。」
医師:「痙攣があれば痙攣と書きますしね。」
赤木:「書きゃいいんですよね。」
N:今日もまた一人の老人が死亡退院しました。病院の話では1月の平均死亡率は2〜3%、年間およそ1000人が死亡して退院するといいます。
井上:「私の後にみえるこの大きな病院が医療法人十全会の経営する双岡病院です。その向こうにピネル病院、それからさらに東山サナトリウムという3つの病院が経営されているわけです。
 その全部ベッドを合わせますと3000、そこに約600人の精神病患者と約3000人の老人性痴呆患者が収容されているわけです。すこしオーバー気味に収容されているわけですね。
 一般の病院で手に負えなくなった患者手に余った患者がここに送り込まれてきているわけですけども、ちょうど10年ぐらい前から約2倍ぐらいの規模になっています。
 どうして一般の病院で手におえなくなった患者、引き受けなくなった患者を引きうけるのか、内容はどういうことが行われているのか、私たちは今からそれを調べてみたいと考えています。」
[病院内の映像]
N:「十全会ははじめ結核と精神科の病院として出発しましたが、最近は寝たきり老人や痴呆症の老人を中心に収容しています。大都市の精神病院のベッド数は最近横ばいないしは下降線をたどっていますが、京都市の場合は逆に増え続けています。十全会3病院の飛躍的なベッド数の増加がその最大の要因になっています
 十全会はいわば行政の手の及ばないかないところを補うというかたちをとりながら大きくなってきた病院です。
 老人たちは入院後、病状に応じて痴呆症の人、痴呆症でも動きまわる人、寝たきりの人などに分類されます。老人たちの平均年齢は81歳です。容体が変わると酸素テントのある重症病棟に送られます。」
井上:「この病院に足を一歩踏み入れて奇妙に感ずるのは、老人のにおいがまったくしません。とにかくお風呂があちこちにあって、1人2分ないし3分で入られます。ある補助看護婦の話ではなかには1回の保険請求が500円になるという特別なお風呂もあり、病棟の間でなんといいますか風呂入れ競争っていいますか、そういうのが起きているそうです。病院のあちこちには「親切清潔」とか「褥瘡ゼロ」とか、つまり床ずれですね、という文字が目につきます。たしかに清潔です。ただ肝心の老人の意志が、つまりその清潔という言葉とバランスをたもっているかどうか、ちょっと異常に感じました。」
(生活保護の患者が50%を超えるという字幕)
[元看護婦への聞き取り]
◇元看護婦:「私6月11日からこれまで勤務しましてね、6月もけっこう多かったようでしたけども、7月が28名で、3年ぶりぐらいでそういう人数を出したって言ってましたね。もちろん他の病棟でも何人か亡くなっておられますけども、うちの病棟が最高です。で、12月にそれを超えまして29名になりました。
◇:1か月、1つの病棟で?
◇元看護師:そうです。だから1晩に3人5人と亡くなった日もあります。
◇赤木:「わたくしどもは末端の医療機関でございましてですね。いわゆる終着駅という言葉がありますね。終着駅の役目をはたしております。わたくしども臨床家とすれば、そこに患者さんがあるんだから、誰かがしなければならない。たったそれだけのことなんですよ。法律がどうあろうとね。」
◇井上:「病院側が言う、他に受け入れ場のない患者を受け入れているという言葉に私は抵抗を感じます。例えばこの東山サナトリウムには現在精神病患者が600人いますが、そのうち約40人をある時期准職員として働かせたり、再び患者として入院させるということがあったといいます。
 こういう話を聞くにつれ、いったい十全会という病院はどんな考えと方法で医療をやってきたのか、その基盤となってきた精神科病棟の取材を続けました。私は取材の過程で何人もの元患者の人たちの声を聞きました。
 20日間も続けてベッドに拘束されたという人、1日に5、6本の安定剤を打たれて後遺症に悩んでいるという人などに会いました。
 ここに1冊のノートがありますが、これは1975年3月から1976年6月まで、つまり4〜5年前に十全会系統の病院で働いていた4〜5人の看護助氏族によって書かれたものです。その人たちはみんな辞めているわけですけれども、ここには実に様々な、言い方によってはほんと信じられないような患者に対する医療の問題が書かれているわけです。
 「12月10日「なぜいばるのか、なにも悪いことをしてないじゃないか
□2
お願いだ括らないでください」「落ち着いて落ち着いて」「括らないと約束してくださいよ」「先生括って括っておきますよ」。手を取り押さえつけしまう僕たち。「嘘つき。括られるんだったら僕死ぬ。だましたな忘れないぞ」「うるさい。静かにしろ」そうどなってしまった自分。どなることでしか自らの投げ出したい思いをはらいのけられなかった僕
たち」。
[元看護助士への聞き取りの場面]
◇元看護師1:「……しんどいですよね。逆にむなしさしか出てこない。書いても書いてもね。じゃあ自分たちが事実として書く、今日こんなことがあった、こんなひどいことがあった、それがですねだんだんページが積み重ねられていけばいくほどですね、そういう問題が出てきた。このままでいいのか。
 例えばほらノート書くっていってもさ、すごい緊張関係のなかで、例えば医者や看護婦がいる前では書けないでしょ。例えばトイレの中で書くとかさ。であの……の中で書くとかさ。で例えば看護婦が寝静まったあと一人こう見張りをつけて書くとかさ、すごいこうしんどいところで一年間ぐらい書いてきたわけでしょ。だからそういう意味で自分に対する自分の人間としてのあかしって言うんですか、もうこれ以上はゆずれへんていう気持ちってあったと思うんですよね。」
◇元看護師2:「自分にとってね、一日一日書いていったことはその日その日の事実であってね、その日その日の自分の確認なわけ。例えば嘘書いてもねしょうがないしね。」
[病院]
◇井上:「私は看護助士たちが書いたノートを手にして、そこに書いてあることが事実かどうか病院側にたずねました。4日後、病院側はカルテを用意して取材に応じました。」
[赤木他医師と井上]
◇井上:「ノートがね、もと看護助士が書いたノートがありましててね、それについてね、答えていただけますか。」
◇ノート:「11月28日、電気ショックでAさん死亡。11時頃入院があるとのことで12号室で支度して待機。私は診察室へ入院患者を迎えにいった。いつものとおりにベッドに寝かせた。そこへ電気ショックをやるためにやってきたМドクター。ここまではいつものことなのだ。Aさんのこめかみに電流が流された。からだの痙攣は弱く一瞬のうちに終わった。そして二度と自発呼吸をしなくなってしまったのだ。Мドクターや看護婦ははまっさおになり人工呼吸に必死となる。心臓はかすかに動いている。S院長の応援を頼んでAさん回復に汗を流す。茫然と立ちすくんでいる家族。
 30分がすぎ40分、そして1時間が経った時、Sドクターは死の宣告をした。」
[赤木他と井上面会の場面]
赤木:「どうですかこれ松田先生? ようこんなでたらめを書いたもんやねえ。」
医師:「びっくりしました。こんな電気ショックもなにもしてませんから。やればカルテにそう書くんですよね。」
[元看護助士への聞き取りの場面]
元看護助士:「入院直後にES、電気ショックですね、をやったわけですね。そいで、いつものとおり看護婦と医者が冗談まじりにわいわい言いながら、話しながらじゃあやるかっていう感じで電気ショックをこめかみにばしっと。」
[赤木他と井上面会の場面]
医師2?:「こちははそういう事実はなしと、いうことなんですね。」
井上:「なぜ2つ、つまり一方は見たと言い、一方はやらないというのがおかしいと思うんですが」
医師:「あのですね私はそれをはっきり覚えてないんですね。それでカルテを見て初めて初めて思い出せるわけですわ。やったことはすべて記載していますからね。電気ショックをやったらやってましたとね。やってないから。はい。やればね全部書きます。5年前のことですからね、いろいろ言われててちらって思い出してくる」。
[元看護助士への聞き取りの場面]
元看護助士:「常識では考えられないことですね。入院直後の人が電気ショックによって死んでしまうと。でも医者は心不全と書くだけで終わりです。」
[褥瘡のあとの映像]
「こう肉がこう盛り上がって腐っている。で真ん中がぼこんとこう陥没している。ここだけが平らでね。ここにもね、今なおってこのぐらいだけど、ここなんかがばっと口あいてるかんじでした。」
[元看護助士への聞き取りの場面]
元看護助士:「血気盛んな子がさ……考えられんでしょ」
元看護助士3:「もうばーんて足大の字でさ、肩というかさベッドの下に結んでいれある感じでだからね。まったく動けない。おもつはこうあてがわれて。」
元看護助士1:「あんなの絶対治療ではないし、医療と言わせんぞというのはありましたね。」
元看護師3:「入口でぼーんと取り上げられてね、まったく鉄格子の入った、こう最初にどこがどこかわからんようなね。過去のことや思うて忘れてしまうよりね。まずみんなの知らんところでねあるというのは、僕の仲間というかその中にいっしょにいる人自体も知ってほしいという病院の中の構造というかな、仕組みみたいなもんね、みんな知らなあかん。絶対そんなもん自分とはまったく関係のないことではないと思うんですね。街のすぐのところにあるんだしね。それをねまったく別世界みたいに知らんという状態でしょ。」
井上:「3月21日のノートにはアルコール中毒のSさんがが急死したことが記録されています。酒を飲むとショック状態に陥る薬を服薬中に飲酒したのが原因だと書かれています。」
元看護「8時の段階で投薬に行くわけです。すごい酒の匂いとねそしてふるえっていうですかあってですねこ、れはおかしいと。汗びっしょりかいてるしね、ふつうそういう方じゃないしね、これはおかしいと。これは……した方がいいんじゃないかということを言ったわけですが、二度めだし、ほっときなさいと言うことだったんですね。」
:「誰が?」
元看護助士:「看護婦ですね。資格がないんだから、あんたちなんやかや言うけれども資格がないんだからそういうことを言う資格がないんだと。それでそのままになっていたわけてす。」
[カルテの映像]
井上:「病院が見せてくれたカルテのコピーによれば夜の8時の時点のSさんの血圧は上が162下が90になっています。この血圧の高さからいうとSさんはショック状態になかったことになります。つまり酒は飲んでなかったのではないかという推測が成立します。
 しかしここに病院側のカルテのコピーと私たちが以前入手した同一人物のカルテのコピーがあります。左側は病院が見せてくれたもので、右側は私たちがそれ以前に入手したものです。なぜか右側のコピーのところには午後8時のところには血圧が記載されていません。」
[赤木他医師と]
医師:「PM8時。外傷著しく脈拍正常なるも飲んだのとちがうかと言うと、本人は風邪で咳のせいだと言い張り様子をみると。それでそのとき血圧が162/90なんですね。ということはね飲んでたら血圧は下がりますよね。でその4日前からね風邪ひいて薬出してるんですよ。もっと前。」
□3
[遺族?への聞き取りの場面]
遺族1:「いやそやけどそのなあせんせの書き方一つによってころっと違ってくるときあるんや。このカルテ」
遺族2:「先生の書き方で変わってくるんですわなあ」
遺族3:「ほんまに」
:「どういう処置をしたって先生は」「
元入院者1:「どういう処置をしたって、なに、朝起きたら死んどったって言うとったわなあ。」
遺族3:「飲まれん薬飲んどるでしょ。それで麻痺を起こしとるって先生が。」
遺族1:「先生やのうて看護婦さんやったがあんとき。」
遺族3:「ちがちがう」
遺族1:「先生やったか」
遺族2:「先生も、なぜにこのからだとか顔とかが腫れとるんですか言うたら、心臓がわるいからこうして腫れとるんですって。」
遺族1:「そうそうそう。あんた兄さん。かと思うたけど弟さんかわたし言うたんです。ほいで昨日なんたぴんぴんしとったやで言うて。昨日ぴんぴんしとたやんでねいうて患者さんが言うてくれたんや。」
井上:「もう一つのケース、Мさんという入院したての患者さんがベッドから落ちて亡くなっていたという記録があります。家族は病院からどんな説明を受けているのでしょうか。」
井上:「会えないですかね今日もまた。奥さんの気持ちをいろいろ聞いてみたいと思って。」
:「ああそうですか。」
井上:(ノート読む)「9時の一回目の投薬の時、Мさんベッドから落ちてるとの知らで駆けつけてみると、BくんのベッドとМさんのベッドの間に頭を乗っけはさまれるような恰好で既に死亡されていました。」
:「そんなこと言うたこともないし聞いたこともないんどっせ。……その場で死んどはるのんさかいに。」
井上:「Мさんのカルテには証言者の言うベッドから落ちていたという記載はどこにもありません。ただ心不全として処理されているわけです。」
[元看護助士への聞き取りの場面]
元看護助士:「ベッドとベッドの間にはさまって死んだなんちゅうのは、やっぱりそういう意味から言うと、やっぱりその場にいた当直医とかそこにいた看護婦の責任が問われるわけですよ。まあとにかく……なんと書こうかということで、……心不全がいいんじゃないかと。まさかベッドの間ではさまって窒息したなんて書からへんということを言うわけですね医者が。で結局家族が着た時にはもうすべてそういうアリバイ工作っていうですか、ようするにその私たちは手を尽くしたけれども、あかんやったと。7時半から3回も電話してると。ということで死因としては心不全と。こういうかたちでこう一件落着するわけですよね。」
[赤木他と井上面会の場面]
赤木:「当時そういうことならこの病棟日誌に看護婦が記載するということなんでしょうけどね。看護婦記載ないんですねこれに。
:「看護婦が」
赤木:「看護婦が書くのとドクターが書くのとありますね。ところがその夜は夜ですしねえ。

医師:「あのねカルテは僕らにとって絶対なんですよ。命なんですよ。」
:「カルテっていうのは加筆訂正まったくありえない?」
赤木:「もしカルテに虚偽の記載をいたしますと私ことども監獄やられなきゃならないわけですね」。」
[井上が2つのカルテを見ていく]
井上:「はじめに病院側のカルテを見てみましょう。入院午後4時。死亡時の血圧がそれぞれ記載されています。看護記録の欄には「医師の指示にて注射施行するもその甲斐なく午後9時35分永眠される」とあります。
 私はМさんがベッドから落ちたという事実があったのかをどうか、つまりМさんの死亡の状況を詳しく知りたかったのですが、病院のカルテにはその部分のカルテの記載がなく、入院直後の患者の状態が細かく書かれていました。
 こんなふうにカルテを見ると、入院したての患者に対して十分な配慮がなされている、そういうふうな印象を持ちます。しかし実際
私たちの入手したコピーには血圧も測っておりませんし、つまりまったく逆の印象をもつわけですね。」
[赤木他と井上面会の場面]
医師:「ここに書いてあるとおりです。食事もあまりしなくて、まあ失禁するぐらいの状態になって、車いすで家族といっしょに27日に見えたわけですね。その時最初は外来で診察した時はしんどいから寝かせてくれという状態で、血圧が120・70ぐらいですか。脈はやや不整ですが黄疸はないと。そういうかたちで本人も納得して入院された。まあ早く入院させてくれというふうに入院された。それから午前10時ですね、入院が。ですぐに点滴やって、水分の補給、それから肝臓の機能、かんほうざいですが点滴やって、それでしばらく落ち着いていたんでけどね。1時50分ぐらいになって、まあ今度は元気になってきたんですね。そしたら戸を叩いて出せと帰ると、不安な不穏な状態になってきたわけですもんでから注射をしたわけです。で、この注射をして、4時ですね、だいたい2時間後、血圧はまあだいたい正常で、落ち着いた状態になっていると。それでいちおう落ち着いた状態になってきたのが午後9時20分に急変したと。
井上:「この戸を叩き出せ帰ると」
医師:「これは私が」
井上:「5年前のことを覚えておられるんですか?」
医師:「いやカルテ見て。」
井上:「カルテにこう書いてあるわけですね?」
医師:「書いてます。書く必要ないんですから。そりゃそういう危険も必ずありますから。あればそれを警察へ言って検証してもらいます。書く必要ないんですよ。」
赤木:「書く必要ないんですよ。精神科は。」
:「精神科の場合は?」
赤木:「いいんです。例えば首つりますね。書く必要ないんです。警察に電話して立ち会っていただいて、検死の要があるかないか判断されて、それで後に残される問題は家族に対する話し合いだけだと。それでなんにも不思議もありませんし。」
:「首つりは別としては例えばベッドから転落の」
赤木:「ああいいですいいです。」
[病院 体操の?ビデオ? 看護師の歌〜鈴の音]
N:「十全会病院では痴呆症の老人が年々増えています。従来の精神病院の考え方は患者を周囲から離して収容するというものでした。その考え方はそのまま老人医療に適用されているように思われます。現在この病院の空きを待つ老人は300人を超えると言われます。」
字幕:「清光寺 病院を退院しても引き取り手のない人にはこの寺が用意されている」
[元看護助士との会話の場面]
井上:「もう病院はたとえそれが老人病院であろうとね、精神病院であろうとね、そこで入ってくるわけだから。今日10あった自由を明日9明後日6にしたらそれは病院と言えないんですよね。ね。まり病院っていうのは今日3で入ってきた人を、体の痛みをやわらげるのも自由を増すことだよね。もちろん痛みをやらわらげる。しかしおしめをさせて拘束するっていうことは、10あってね、あなたとの言葉で言えば、春っていうのは今日より明日すこしでも楽になること、気持ちがなごむことなんだよね。それが逆なんだもんね。」
元看護助士:「明日なんかないんです。彼ら四季を知らないんじゃないですよ。春ってなんですかって。いったいなんなんだ。春ってなんですかって聞かれた時これが春なんだと、あなたも春を持つべきだって言いたかったね。医療って人間っていうのを超えて存在しているっていうのを誰が許しているのかさ。みんなが許しているわけやんか。言いたいのはさ、あんたたちがこう入れてさ、ああひどい病院だって言うそいうあんたが許しているわけ。それを僕らがそう言ってる人がさ……。」
井上:「ぼくは病院のあり方、それから十全会だけじゃなくて、そこに送り込む、つまり病院側、家族側、国ですね、国家、それがですね根本を立て直していけば生きている老人を、だんだんだんだんぼけていく死んでいく人間じゃなくてね、こわれものとしての人間じゃなくて、今から生き返る人間、最期まで死ぬ瞬間までその人がいっしょうけんめい考えるそういう人間として扱えばね、やっぱり病院の仕組みとか行政の考え方が問われるべきで、今のままじゃあだめですよ。」

◇永田 浩三 20100725 『NHK、鉄の沈黙はだれのために――番組改変事件10年目の告白』,柏書房,286p. ISBN-10: 4760138412 ISBN-13: 978-4760138418 2000+ [amazon][kinokuniya] ※

 「シリーズ「戦争をどう裁くか」をいっしょにつくった桜井均さんというプロデューサーについて、もう少しくわしく紹介しておきたい。というのも、桜井さんはシリーズ第一回と第四回の責任者であるだけでなく、番組改変事件の前後にかけてわたしに何度も貴重なアドバイスをくれた人だからだ。
 桜井さんは、その作品の質の高さはもちろんのこと、テレビドキュメンタリーの枠を超えて社会に言葉を発信できる、NHKにとってかけがえのないデイレクターだった。今日にいたる<0068<まで、日本のテレビに言葉を与えた最大の賢人だと信じている。シリーズ「戦争をどう裁くか」を立ち上げたときも、その後発生したさまざまな問題にどう向き合うか悩んだときも、わ八しは桜井さんに助言をもらった。
 桜井さんとはじめて会ったのは、入局まもないわたしが京都放送局にいたころだった。科学番組や美術番組をやらせてもらえるといいな、などと漠然と思っていたわたしの前に、話題作『ルポルタージュにっぽん』を世に送り出した桜井さんと、のちに教養番組部長になる吉岡民夫さんがあらわれた。
 桜井さんが京都放送局に乗りこんできたときのことは、いまもはっきりと覚えている。局の電話を使って、取材先に容赦なくせまるバリトンの声は迫力があった。電話の相手は、京都市右京区の精神科病院、十全会病院。そこで認知症のお年寄りたちに対しておこなわれていた、まるで工場の製造ラインを思わせるような非人間的な看護、介護の内実を、桜井さんたちは明らかにした。入院しているお年寄りの多くは亡くなるまで病院から出られない。現代版の”姥捨山”のような実態を、京都府は黙認してきたのだった。お年寄りの集団が一糸乱れず入浴するようすを、病院は胸を張って紹介した。あからさまに異様な光景だった。
 当時、僣越ながらわたしも同じような企画を出していた。しかし、どうすれば番組をつくれるのか、わたしが成算もなくぐずぐずしているうちに、桜井さんはあっという間に番組に仕上げ、大きな社会的な反響を呼び起こした。その手腕に、わたしはただ呆然とした。ある番組を<0069<やりたいというイメージを漠然と抱くことと、じっさいに番組をっくることのあいだには、天と地ほどの隔たりがあることを知った。わたしはその後、一九八五年から『ドキュメント日本列島』の制作班で桜井さんといっしょになり、その厳しい指導を受けながらドキュメンタリーの<0069<ーの面白さに目覚めていったのだった。」(永田浩三[2010:68-70])

◆1980/06 『全国「精神病」者集団ニュース』1980.6

「前進友の会(京都)
昨年の末から「病」者集団の会議に参加できませんでしたが、やっと今回から参加できるようになりました。NHKのルポルタージュ日本で反十全会運動について訴えました。」
●91衆議院 予算委員会 14号 昭和55年02月19日
 http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/091/0380/main.html

○草川委員 時間がございませんので、次は十全会の方に行きます。
 先週の土曜日も、たしかNHKで「ルポルタージュにっぽん」というので京都の十全会病院の問題が取り上げられておりますが、実は私が取り上げました趣旨というのを簡単に申し上げます。
 これは三つの病院で十全会というグループになっておるわけでございますが、日本でも一番大きい民間の病院でございます。しかも、精神科を中心とした老人専門病院と言われておりまして、この法人の五十三年の収益は、今回若干税の修正申告をいたしておりますが、四十七億です。大変です、これは。そして、もうけたお金で朝日麦酒、高島屋など日本のトップ企業の株を買い占めておるわけです。朝日麦酒、二五%買い占めです。しかも、これはそれぞれのグループの名前で買っておりますから、医療法違反にならないわけです。しかも、この医療の内容にいろいろな問題点がございまして、ずっと以前にもこの予算の委員会で問題が出ておりますが、当時は九カ月間で八百五十九名の死亡者が出ておるというようなそういう数字すら出ておる病院でございます。現在のところは二千七百五十一ベッドあるわけですから、一口で二千七百といいますが大変ですね。大量のお年寄りが入っております。そういう点からこの十全会の問題を取り上げたいわけでございます。ごめんなさい。厚生省からの新しい資料によりますと、五十四年四月には許可病床は三千百七だそうです。ここに三千四百九十七名の方々が入院をしておみえになるというわけでございますが、精神科の病床だけでも一九・八%の過剰入院だということになっております。最近の数字ではちょっと下がっておりまして、一・〇八倍だというようなことでございまして、多少やりくりはあるようでございますが、それでもけさほど厚生省からいただいた資料では、許可病床数が三千百三十四、入院患者数が三千四百六人になっておるわけですが、こういうことですか。どうでしょう。

○田中(明)政府委員 お答えいたします。
 十全会系の病院の許可病床数は、東山高原サナトリウムが千八十九床、京都双ケ岡病院が千五百六十一床、ピネル病院が四百八十四床でございまして、これに対する入院患者数はそれぞれ千二百四人、千七百十三人、四百八十九人となっております。ピネル病院が許可病床数に対して五人超過という比較的超過入院患者が少ないのに比べまして、他の二病院は約一割程度の超過入院となっております。現在京都市において指導が行われているところでございます。この超過収容につきましては、先生御指摘のとおり五十三年の医療監視時と比べるとある程度の改善が見られるわけでございますが、患者の超過収容は望ましくないことでございますので、病院の実情を把握しつつ今後さらに指導の強化が図られるよう配慮してまいりたいと思っております。

○草川委員 お医者さんも非常に少ないのです。常駐のお医者さんというのが圧倒的に少なくて、一人で百四十八名の担当になっております、私の方の調べでは。常駐者はわずか三九%にすぎません。常駐のお医者さんは四割弱なんですね。そういうところへ特に年をとった方々、約十五台のパトカーがありまして、福祉事務所だとかいろんなところで、老人性痴呆症というのですか、あのおじいちゃん、おばあちゃんはもうどうにもならぬよと言うと、すぐ自動車が迎えに来て入院をさせるわけです。精神病院で許可をとっておりますから大量に、許可ベッド数よりたくさん入院をすることができるわけです。しかも、入れると両手を縛られるわけです。両足を縛られるわけです。そして食事を食べることができませんね。だから全部点滴をするわけです。
 きょう私は時間がございませんから、厚生大臣に一部だけレセプトを持ってきました。これをちょっと見てください。
 これは専門のあれですから余り皆さんの方に資料ではお配りをしませんけれども、四種類の診療報酬請求が私の手に入ってまいりました。去年のよりはちょっと請求月額が安いのですね。だけれども、平均しますと、八十八歳のおじいさんあるいは七十六歳のおばあさん、八十七歳のおばあさんというような方々のレセプトが来たわけですけれども、一カ月七十二万円、七十八万円、八十七万円、六十九万円という請求の内容であります。年をとったおばあさん。しかもこのおばあさんは、最初はどうでしょう、脳動脈硬化症だとか老人性痴呆症だという形で入ってきたわけですね。七十、八十のおばあさん。それで精神病院ですから、縛りつけというのはある程度認められるわけです、どこかにうろうろせぬようにというので。だけれども、食事の時間になったら食事を食べたいのだけれども、食事が目の前に来るのだけれども、看護婦さんだとか介添え人がいないものですから、来ることは来るけれどもそのまま引き揚げられるという例が多いというのですよ。
 それで、八十過ぎたおばあさんにどういう注射をやられておるかというと、一人は一カ月に七十六回、一人は百三十回、一人は九十九回、一人は九十一回。点滴注射です。あるいは皮下注射です。しかもその注射は十一種類ぐらいのいろいろな薬がミックスされたのが、こういうのがあるでしょう、こういうのをぶら下げて腕の中に注射をさせられておるわけです。だから少なくともその間は生きておみえになるわけですけれども、どんなおばあさんだって一カ月に七十回とか八十回打たれたら、それはどうでしょう、普通の人だって何とかなるのじゃないですか。
 それで、私、専門家じゃございませんけれども、たとえば腎不全という病名を書かれたおばあさんがいます。セポランという薬、これは抗生物質ですが、一カ月に二十回打たれております。これは三十一日の診療日数ですから。あるいはシンクロチンというようなものも十二回打たれておる。ところが、このセポランというのは、いろいろと調べてきますと、腎不全には非常に悪い薬なんだそうです。それでわざわざこの薬の箱には、注意をして打たなければいかぬと書いてあるのですね。「多量の投与は腎障害があらわれることがあるので観察を十分行い異常が認められた場合は投与に注意をし適切な処置を行え」と書いてあるのです。八十八歳のおばあさんは、そういうセポランという薬を一カ月に二十六回も打たれておるのです。どうでしょう、こういうのは。これは専門家じゃございませんから、いやそういう必要があったと言えばあったわけですけれども、私は常識的に見てこれは問題だと思うのです。しかも、この診療点数の五五%とか六三%は全部点滴なんです。普通皆さんがお医者さんにかかると薬をもらってきますね、飲み薬を。それはほとんどないのですよ。とにかく注射ばかりなんです。それで縛りつけでしょう。これは人権上問題にならぬのかという問題なんですがね。こういう例は人権擁護局はどういうふうに思われますか。

○中島政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘の案件につきましては、まだ関係者等からの申告もございませんので、私どもとして事案の内容をつまびらかに承知いたしておりませんけれども、人権に関する問題があるとすれば、人権擁護の観点からこれに対処いたしましてしかるべき措置を考えていきたい、このように考えております。

○草川委員 老人性痴呆症の方ですから、本人が申告できっこないわけですよ、本人はこうして病院の中に入っちゃっているのですから。できないでしょう。だからなかなかこれが正直なこと言って非常にむずかしいのは、私も現地に行っていろいろな方に聞いてきたのです。そうしたら、近くにある病院があるのです。そこの病院で脳血栓のおばあさんが治ったというのです。それで家族に引き取りに来いと言ったのです。なかなか家族は引き取りに来なかった。ようやく治ったから早く引き取りに来いと言って引き取らしたら、その家族が、こんな八十過ぎたおばあちゃんなんて言っておって、今度十全会にまた入れちゃったというのです。十全会に入れたら十何カ月後に、ということを期待するというのですよ。これは恐ろしいことじゃないでしょうか。そういう雰囲気というものが実はあるのです。だから京都へ行くと、十全会はそういう意味では、余りぎゃあぎゃあ言うなよ、高齢化社会で老人性痴呆症になって行き場のないいわゆる恍惚の人というのは、あそこに行けば何とか始末をしてくれる、こういう風潮があるのです。これは言ってはならぬことですがね。言ってはならぬけれども、そういう事実があるのですよ。現実に打たれているでしょう、いまこのレセプトの方を見ただけでそうでしょう。
 そしてこの中にも、もっとひどい例があるのですよ。涙を流さぬと見れぬような話があるのです。たとえば酸素テントに二十五日間入っておるわけです。一カ月近い。その人が水中機能訓練といって、ふろの中に入れさせられるわけです。手を挙げて立ってふろの中に入っていくわけです。それを二回やられるわけです。そして片一方では、これはいかぬというのかどうか知りませんが、注射を打つわけです、連続して二十何回とかね。抗生物質なんというのは四回か五回注射したら、効かないと薬をかえなければいかぬ。これは医療の常識でしょう。という形がやられておるのですから、これは物の見方によっては、精神病だ、あるいは老人病対策だ、逃げていくかわからぬからある程度縛りつけも必要だ、みんなこれは合法的だ。だけれども、それが一歩裏になると、これは金もうけになるわけですよ。大変なことになるわけです。これはどっちでしょうね。しかも、そういう病院というのが、十全会ではなくて、全国的に、ああいうことをやろうじゃないか、こういうパンフレットを配っているんです。いいですか。これは厚生大臣、ちょっと答弁してもらいたいのです。担当官でもいいです。これはあるのですよ。みんな老人専門病院だ。これは十全会ではないのですよ。ほかですよ。名前は挙げませんけれども、「診療科目内科」、ここまではいいですね。「(老年病入院専門病院)」と書いて福祉事務所に配って歩いているんですよ。あそこのおばあさん、一人でもうどうしようもないという話があると福祉事務所が電話して、ここに引き取りにこいというわけだ。さあっとそのおばあさん、おじいさんを受け取ってくれる、そういう病院がふえるわけ。無料ですからね。そして一カ月に七十万、八十万という収入がお医者さんはあるわけです。これは本当に大変なことですよ。高齢化社会だと言って総理が大演説をぶっておるけれども、その裏では現実にこういう話があるのです。しかも、大変な収益を上げておる。
 これは厚生省、どう思われますか。こういうやり方、宣伝していいのですか。

○田中(明)政府委員 医療法によりまして、国民に適正な医療を確保するという観点から、医業に関する広告について規制を行っております。もし御指摘のような広告がなされているといたしますと、医療法第六十九条の広告制限に違反すると思われますので、関係機関を通じて調査した上、所要の指導を行ってまいりたいと思います。

○草川委員 だから、そういう事例を挙げましたから、ひとつそういうことがないように指導してもらいたい。
 同時に、いま私、時間が非常にないので簡潔に申し上げましたが、こういうことこそ、実は医療監視を十分行う対象じゃないんでしょうか。一年間で約千人死ぬんです、この病院では。正確な情報を警察に聞いてもわかりません。そして、お寺へ行ってお寺で聞いてもわからない。あるいは火葬場に行ったって報告してくれない。みんなこれなんですよ。厚生省に行って、去年から厚生省に何回か頼んでおるけれども、京都府から厚生省にUターンで戻ってくるわけですよ。千人近い死亡者が出ておるのです、現実に。これは老人処理工場ですよ。
 こういう事例があるわけだから、厚生省は、昨年の予算でついた監査指導官制度というのが生まれておるわけですが、医療Gメン、これを発動する気持ちはないですか。これは厚生大臣、答えてください。

○野呂国務大臣 大変遺憾な事実であると拝聴いたします。そういう実態であるかどうか、今後指導監査を十分徹底いたしまして、いやしくもこうした医療機関が国民から疑惑を受けることのないように十分徹底してまいりたいと思います。

○草川委員 徹底はいいのですが、Gメンをどうするのですか。出すのですか。
    〔村田委員長代理退席、委員長着席〕

○野呂国務大臣 御承知のとおりに、中央、地方を通じまして、指導監査の者がおるわけでございますから、京都府と一体となってこの問題の指導に当たってまいりたいと思います。

○草川委員 これはこの前、大原さんも、渡辺先生も言っておみえになりましたけれども、これはやらなければだめだよ、これほど明らかになった問題だけはどんなことがあっても。そのために予算がついてこういうGメンをつくったわけだから。代表的な例ですから。これは相談をしてからとか、京都府と一体になって、京都府がだめだと言ったからやめたなんということは言わないようにしてください。これはもう一回、とにかくその決意を表明してください。

○野呂国務大臣 徹底した指導監査を行いたいと思います。

○草川委員 ということで、十全会がとにかくお金をもうけて、いま朝日麦酒五千二百万株、全体の二五%です。そして高島屋二千二百万株、一〇・五%、資金量は、高島屋で約六十億、朝日麦酒で九十億。百五十億円の資金量を動かして株の買い占めをやっておるんです。大蔵省、この点どうですか。

○吉本(宏)政府委員 十全会グループによる朝日麦酒株式会社等の株の取得につきましては、名義人がかなり多岐にわたっておりますので、完全な把握はむずかしいわけでございますが、おおむね委員の御指摘のとおりでございます。すなわち朝日麦酒が五千二百七十万株、発行済み株式の二四・九%、また高島屋が二千二百五十万株、発行済み株式の一〇・七%ということに相なっております。

○草川委員 いまもおっしゃられたように、非常に分散しておりますが、関西フードだとか関西商事だとか関西理容サービスとか、いろいろな会社で株を持っているのですよ。それで、関西理容サービスというのは床屋さんですわ。双ケ岡病院で四人の床屋さんがいるわけ。それから東山病院で三名か二名の床屋さんがいるわけ。そういうので、何と驚くなかれ、これは百六十万円の資本金だったですかな、四十八万株、一億五千万円朝日麦酒の株を持っているのですよ。床屋さんが持っていけないとは言いませんよ、頭のいい人がいるわけだから、資金を運用すればやれるわけ。しかし、これは明らかに床屋さんが一億五千万円の金を動かしっこない。結局これは十全会の理事長以下が動かしているわけよ。だから、医療法人じゃないから医療法に違反はしませんけれども、実態は私は、明らかにこれはだれが何と言っても、法的に問題はないけれども、ダミーがはっきりしているわけですから、論理的には問題だと思うのです。しかも一流の会社の株が二五%もぽんぽん持たれて、気持ちいいですかこれは、経営者として。よくはないと思うのです。こういう事実について大蔵省は、大蔵大臣はどう思われますか。

○吉本(宏)政府委員 現在の証券取引法によりますと、大量株式の取得自体を規制する手だてがございません。したがいまして、私どもとしては、こういった買い占めが一般投資者に対していやしくも不測の損失をこうむらせないように今後十二分に監視をしてまいりたい、このように考えております。

○草川委員 いまもお話がありましたが、結局、本当の老人病なり高齢者はどうあるべきかという問題を、われわれは一遍これで問題提起をしなければいかぬと思うのです。いまは保険の点数でそれを支えておるわけですよ。だから、ちょうど都合のいい病院があるじゃないか、金もうけだかしらぬけれども、黙って目をつぶろう、こういうわけ。そういうところはもうけたので株へ投資をする。明らかに近代国家としては恥ずかしいことですよ。社会福祉の国なんということは、何が世界的なレベルになったんですか、こういうような事例をほうっておいて。私はがまんのならぬ問題だと思うのです。特に行政管理庁は老人病の問題について問題提起をしておりますね。その点についてどういうようにお考えになりますか、お伺いしたいと思います。

○宇野国務大臣 老人医療に関しましては、いわゆる公費負担医療、二十数種でございますが、この全般に関しまして昨年監察をいたしました。その結果、本年一月でございますが、厚生大臣にぜひともその制度及び運営に対して必要な改善を加えるべきであるという勧告をいたした次第でございます。
 内容にちょっと触れさせていただきますと、御指摘の老人医療に関しましては、創設以来受診率等が相当増加したということが一点。中には、一部でありますが、同一の疾病で重複して受診をしている方々も見られる。そうしたことが、老人が比較的加入の割合の多い国民健康保険の財政にも影響を与えておるということが明らかとなった次第でございます。しかも、保険医療に関しまして諸制度がございますが、特に老人は医療費保障に九五%依存いたしておりますので、余りにも偏しておるのではなかろうかと思います。健康診査、健康教育、保健指導等の一貫した保健サービス、こうしたことに関しましては欠如しておるような面が把握された次第でございます。したがいまして、本当に医療を必要とする老人のために適切な給付を確保することが必要である。それこそ高齢化社会に対するところの制度の確立をもう一度改めて見直しなさい、こういう内容であります。

○草川委員 それじゃ最後になりますが、文部大臣にお伺いをします。
 いまいろいろと私ども問題提起をしたわけでございますが、実は医学教育という面で、残念ながら国立大学に老人病を専門とする講座というのが非常に少ないわけですよ。私はもっと力を入れていくべきじゃないだろうか、こう思うのですが、その点についてはどのようにお考えになられますか。

○谷垣国務大臣 御存じのとおり、老人医学の問題は、初め内科の専門というような形になっておりましたが、だんだんこれがその分野として確立をしなければならぬということで、たしか東大がその講座を持ちましたのが三十六年、それから京都の大学が四十二年、大阪、それから名古屋、最近は高知の新しい医科大学でそれぞれの講座を実は持っておるわけであります。また大学病院におきましても、老人専門の診療のセクションをいま申し上げましたようなところでは持っておるわけでございます。
 老人医学の問題につきましては、これからまだ問題が多いと思いますが、現在までのところはそういう状況で、学問的にも極力この問題に対しての解明を続けていかなければならぬ、こういうふうに考えてやっておるところでございます。

○草川委員 ちょっと話が飛躍をいたしますけれども、私はいま例を申し上げましたように、七十だ八十だというおじいさん、おばあさんに幾ら抗生物質を投与したって限界があると思うのですよ。そういう点では、たとえば中国の漢方だとか、あるいははり、きゅうだとか、いろいろなのがありますね。そういうものをもっと学術交流をして日本の中に導入をして、これまた今度は厚生省にお願いをしますけれども、そういう中国医療というようなものをもっと大胆に保険点数に採用するようなことの方が私は日本人的な意味でなじむんじゃないかと思うのです。これは私は素人ですから出過ぎたことになるかもわかりませんが、感じで申し上げますけれども。ところが、そういう分野というものは非常におくれておりますね、やはり西洋医学というのが優先しておりますから。だけれども、徐々にひとつ見直そうという時期が来ておるようでございますが、そういう点について、たとえばもっと理学療法士というようなものをたくさんつくるとか、私の提案したようなことについてどのようにお考えになっておられるか、文部省と厚生省にお伺いしたい、こう思います。

○野呂国務大臣 はり、きゅうなど、リハビリも含めまして、こうしたものはどちらかといえばまだ医学の上には十分その位置づけが明確でない点もあろうかと思います。この問題につきましては十分検討いたしまして、医学の治療の上にこれらがもっと重視されるような方向に検討してまいりたいと考えております。

○草川委員 いろいろと問題提起をいたしましたが、時間が来ましたので以上で終わりますけれども、私は、この十全会病院という問題を一つ取り上げましたが、この病院だけではなくて、いま全国的にこの種の老人病というものに対して何らかの対応を立てていかなければいかぬことは事実であります。私は、たまたまいま治ったおじいさん、おばあさんを、家族がそれを喜ばずに、ではあそこの病院へ連れていこうじゃないかということを言うような現代姥捨山ですね、現代姥捨山ということは決してこれは遠い国のことだとか特殊なケースとして思ってもらっちゃ困ると思うのです。実はどこにもこれは転がっておる問題なんです。だから逆に早急に――本来の老人病あるいは高齢化社会に対応する全体の、人の心の問題だとか、あるいは医療と経済性の問題だとかということも、いいことはいい、悪いことは悪いということを区別をしないところに、こういうおかしなことが生まれてきたと思うのです。だから、もっと大胆に厚生省が、いかぬことはいかぬとはっきり言い切る、そしてやっちゃいかぬことはやっちゃいかぬということでやる、そういうけじめさえついておれば、こういう例は生まれなかったと思うのですよ。そしてまた、そういうものをまねをするという例がないわけですから、この点は素人で申しわけございませんけれども、私は私なりの問題提起をしたつもりでございますから、どうかひとつ十分理解をしていただいて御検討をお願いしたい。
 以上申し上げまして終わります。ありがとうございました。(拍手)

○田村委員長 これにて草川君の質疑は終了いたしました。
 次回は、明二十日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

第091回国会 予算委員会 第14号
昭和五十五年二月十九日(火曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 田村  元君
      草川 昭三君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 倉石 忠雄君
        外 務 大 臣 大来佐武郎君
        大 蔵 大 臣 竹下  登君
        文 部 大 臣 谷垣 專一君
        厚 生 大 臣 野呂 恭一君
        農林水産大臣  武藤 嘉文君
        通商産業大臣  佐々木義武君
        運 輸 大 臣 地崎宇三郎君
        郵 政 大 臣 大西 正男君
        労 働 大 臣 藤波 孝生君
        建 設 大 臣 渡辺 栄一君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長
        北海道開発庁長
        官       後藤田正晴君
        国 務 大 臣
        (内閣官房長官)伊東 正義君
        国 務 大 臣
        (総理府総務長
        官)
        (沖繩開発庁長
        官)      小渕 恵三君
        国 務 大 臣
        (行政管理庁長
        官)      宇野 宗佑君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      正示啓次郎君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 土屋 義彦君
        国 務 大 臣
        (国土庁長官) 園田 清充君
 出席政府委員
        文部省初等中等
        教育局長    諸澤 正道君
        文部省大学局長 佐野文一郎君
        文部省体育局長 柳川 覺治君
        文化庁次長   別府  哲君
        厚生大臣官房長 大和田 潔君
        厚生大臣官房審
        議官      竹中 浩治君
        厚生省公衆衛生
        局長      大谷 藤郎君
        厚生省医務局長 田中 明夫君
        厚生省薬務局長 山崎  圭君
        厚生省社会局長 山下 眞臣君
        厚生省保険局長 石野 清治君
        厚生省年金局長 木暮 保成君

●91衆 - 社会労働委員会医療保険… - 2号 昭和55年03月19日
 http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/091/0209/main.html
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=5&DOC_ID=3495&DPAGE=2&DTOTAL=47&DPOS=40&SORT_DIR=1&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345

○浦井[洋]小委員 その次の問題ですけれども、この間NHKの「ルポルタージュにつぼん」という毎週やっているんですかね、あそこで京都の双ケ岡十全会病院、いわゆる老人専門病院が最近あっちこっちで話題になっておるわけなんですよ。なぜこういう病院が繁盛し、そこへ老人が蝟集するわけですか。

中(浩)政府委員 十分なお答えにならないかと思いますが、一つは、前回から御説明申し上げておりますように、有病率の高い、受療率の高い老人というのが非常にふえてきておるということで、国民全体の医療需要が総体としてかなりの伸びを示しておる。したがいまして、一部では老人がなかなか入院しにくい、病院の側でなかなか受け入れていただけないという面も一つあろうかと思います。それからもう一つは、老人を抱えておる家庭の問題というようなものも一つあるのではなかろうか。そういった点から、お話がございましたように、主として老人を受け入れる病院というものが最近増加の傾向にあるということではなかろうかと思っております。

浦井小委員 こういう存在を必ずしも全面的に否定できないと思うのですよ。やはり根本は、私は制度的な欠陥がこういう必要悪的な現象を生んでおるというふうに思うわけです。ところが、そういう医療機関の実態を厚生省としてきちんと把握をしておられるのかどうか。私、これも資料を要求したいのですけれども、これは把握しにくいでしょうけれども、こういう俗称老人専門病院と言われるようなものが一体どれくらいあるのか、何床あるのか、そこに入っておられるお年寄りの数とか、一件当たりの医療費とか、平均入院日数、それから医師や看護婦がその医療機関でどういう配置状況にあるのか、これを調べて資料として出していただけますか。

中(浩)政府委員 病院の中身の問題でございまして、厚生省といたしましては医務局が主として所管をいたしておるわけでございますが、たとえば都の養育院の付属病院のような、みずから老人の専門病院と称してやっておられますところにつきましては、ある程度個別の資料を、たとえば都の養育院の付属病院にお願いをして出していただくというようなことは可能であろうかと思います。しかし、先生がいまおっしゃいますような、言うなれば、むしろ結果的に老人の入院患者が実態として多い、必ずしも都の養育院の付属病院のような形で病院側がお考えになっていたわけではないんだけれども、結果的に老人の患者が多いというような病院につきましては、恐らくは行政的にもどこがそういうことであるかという把握は非常にむずかしいのではなかろうかと思うのです。医務局の方に言ってみまして、可能な範囲内で出させていただきたい。その辺の問題につきましては資料が非常に乏しいのではなかろうかという感じを持っておりますが、医務局に話をしてみたいと思います。

 *浦井洋:共産党 1927年11月8日 -
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%A6%E4%BA%95%E6%B4%8B

◆1980/09 二審大阪高裁(下出義明裁判長)は,十全会側の医療は「必要性を超えた違法のもの」と認定,「告発には真実性の証明があり,公共の利益を図る目的であり過失はなかった」として一審判決を取り消し。告発する会の逆転勝訴とした。
 大阪高等裁判所第一二民事部:昭和52(ネ)1684:民事控訴事件判決
 http://thoz.org/hanrei/%E5%A4%A7%E9%98%AA%E9%AB%98%E7%AD%89%E8%A3%81%E5%88%A4%E6%89%80%E7%AC%AC%E4%B8%80%E4%BA%8C%E6%B0%91%E4%BA%8B%E9%83%A8/%E6%98%AD%E5%92%8C52%28%E3%83%8D%291684/1?page=1

◆土田武史 2005 (早稲田大学教授) 「医療法の改正」,『日本社会保障資料W(1980-2000)・解題』,国立社会保障人工問題研究所
 http://www.ipss.go.jp/publication/j/shiryou/no.13/data/kaidai/05.html

 「医療法は、1948(昭和23)年に荒廃した医療施設を整備することを目的に、病院と診療所の区分、そして病院における医療従事者や設備等の基準を定める法律として制定された。その後、1950(昭和25)年に個人病院の法人格取得を容易にする医療法人制度が設けられ、1962(昭和37)年に公的病院の新設や病床数の増加を規制する改正が行われたが、それ以降は大きな改正は行われてこなかった。
 この間、民間医療機関を中心に病院、病床数が増加し、また不足が問題となった医師数も、一県一医大の設置や医学部入学定員の増加などで、1980年代後半には将来の過剰が懸念される状態にまで増加した。しかし、医療機関や医師数は地域ごとに過不足の差が大きく、その是正が求められるようになった。また、従来の医療施設が感染症等の急性期疾患への対応に重点がおかれてきたのに対して、国民の疾病構造が変化し、また慢性期疾患の長期入院患者が増加すると、そうした状況への対応が必要とされた。
 こうしたなかで、1980(昭和55)年の富士見産婦人科病院事件や医療法人十全会事件などが発生したことを契機に、国会等で医療法人の監督を強化するための医療法改正が課題として取り上げられるようになった。1981(昭和56)年、厚生省は(1)医療法人に対する監督の強化、(2)都道府県ごとに「地域医療計画」を策定することを内容とした「医療法改正案」をまとめ、社会保障制度審議会に諮問した。同審議会は、法改正の意義を認めながらも、国の医療政策に明確性が欠けていることや法改正以前に行政措置で解決できる旨の答申を行った[1]。これに加えて日本医師会の反対が強いこともあって、厚生省は国会提出を断念した。
 1983(昭和58)年、野党の要求を受けて医療法改正法案が国会に提出され、継続審議を繰り返した後、医師会が要求していた医師一人でも医療法人を設立できる「一人法人制」を認めることで、1985(昭和60)年改正法案が成立した。いわゆる「第一次医療法改正」である。法改正後、医療計画の策定に先立って、いわゆる駆け込み増床の申請が急増するという状況もみられたが、その後は各都道府県で医療計画が策定され、医療施設の整備が進められた。」

◆1980/09/26 大阪高裁判決:十全会の精神科病院における治療について、注射づけ、薬づけ、違法拘束があり、大量の注射が健康保険の点数かせぎで、病院に不当な利益を得させたことを認める
 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/0ABFD0DE339EB73249256CFA0006ED56.pdf
 1980/10/21 第093回国会 参議院社会労働委員会 第1号 昭和五十五年十月二十一日
 http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/093/1200/main.html
 「○高杉廸忠君 局長も御存じだろうと思うんですが、去る九月の二十六日に大阪高裁で、具体的事例でありますけれども、ベッド拘束は「本人の意に反した専断的治療行為であり、違法」、こういうふうに判断をされておりますね。かつ、この具体的な事件でありますけれども、「十全会を告発する会」、この名誉棄損を認めた一審判決が大阪高裁では取り消されているわけでありますね。この判決後も従前にも増して大量の注射や縛りつけをしていることが院内の職員の人から私に訴えてきているわけであります。これが現実なんですね。で、効果的医療監視がなされていない。私はどうもそういうふうに、大臣はこれからの姿勢を述べられましたが、いままで効果的な医療監視というものが十分されていればこういうことはないと、私はこう思っておるんですけれども、そういうことについては従来どういうようなことで対処をされましたか。」

●1980/10/21 第093回国会 参議院社会労働委員会・第1号
 http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/093/1200/main.html
 園田厚生大臣:(1913〜84、198009〜198105厚生大臣)

○高杉廸忠君 大臣も御存じだろうと思いますけれども、わが国最大の医療法人であります十全会ですね、京都にあります、株式売買の実態について数年前より新聞紙上でその買い占めがしばしば話題になっているわけでありますが、直接の所管は京都府、こういうことになろうかと思いますが、京都府の方から情報や連絡、こういうことを得ておりますか。
 それから、またこれに基づいて的確な御指示、こういうことが今日までなされてきましたかどうか、この点を伺いたいと思います。
○政府委員(田中明夫君) 十全会の株の売買につきましては、医療法人として適切な業務であるとは考えられませんので、昭和五十三年ごろ京都銀行及び寶酒造の株式を保有し、投機的な操作を行っているというような情報に基づきまして、京都府に対してこの株の売却を命じまして、そのように処理されたというふうに聞いておるわけでございます。その後、最近新聞紙上等で、朝日麦酒等の株のまた投機的な売買をやっているというような情報がございましたので、京都府の方に問い合わせましたが、これにつきましては、どうも医療法人十全会自身は関与をしていないようでございまして、残念ながら衛生部としては把握できませんという状態でございます。
○高杉廸忠君 私の把握している情報では、十全会グループとしてその傘下に二十社あるそうでありますね。その名義で、朝日麦酒、寶酒造、いまお話がありましたように、さらに京都銀行等の株を買い占めている、二十億円を超える利ざやというものをかせいでいるそうであります。いまのお話しのように、医療法人名義でなされているものはその中でどのぐらいあったかどうかというのははっきりいたしてないようでありますが、関連会社といっても医療法人十全会の経営する、これは東山高原サナトリウム、それから双岡病院、ピネル病院等に対する食料品の供給だとか、衛生材料サービス、理容サービス等を行う関連子会社、これは明らかでありますし、その中心に立つのはあくまでも医療法人十全会であろうと、こういうふうに思います。
 そこで、先ほども確認をし、大臣からは医療法四十二条に抵触するんではないかというようなことも言われましたし、私は脱法行為のような感じがするわけでありますが、この点はどうでしょうか。
○国務大臣(園田直君) 私も御指摘のとおりに判断をいたしております。
○高杉廸忠君 私は、なぜこんなことをただしますかと言いますと、医療の経営が最近の風潮として特に金権体質を濃厚にしていることを大変憂えるからであります。所沢の▼富士見病院もまたしかりでありますし、この十全会の運営いたします病院の経営の実態も金権体質を有するということでは同一ではないだろうかと、こういうふうに思っております。
 そこで伺いますが、十全会経営病院の三つの許可病院ですね、そのベッド数と患者数、これはどういうふうになっておりますか。私は残念ながらちょっと資料が古い、五十年現在の資料しかありませんので、現在ベッド数と患者数、どういうふうになっているか、三つの病院ですね、お願いをしたいと思う。
▼○政府委員(田中明夫君) 医療法人十全会が経営しております三つの病院のうち、東山高原サナトリウムはこれは五十四年十二月二十一日でございますが、病床数千八十九床となっておりまして、入院の患者数が千二百四人ということで、病床利用率は一一一%となっております。次の京都双岡病院につきましては、五十四年十二月十四日現在で調査をしておりますが、許可の病床数は千五百六十一床、それに対しまして入院患者数が千七百十三人ということで、病床利用率は一一〇%になっております。最後のピネル病院につきましては、五十五年の一月十六日現在で調べておりますが、許可の病床数が四百八十四床、これに対しまして入院患者数が四百八十九人ということで、病床利用率は一〇一%ということになっております。
○高杉廸忠君 いま利用率を言われましたが、ベッド数よりはるかに入院患者が多いわけですね。ベッド数より患者が多いということはどういうふうにお考えになっていますか。
○政府委員(田中明夫君) 医療法上、病院の開設の許可あるいはその後の増設等の場合には、病床何床ということで建物の広さその他等を勘案いたしまして、適当な病床を許可しているわけでございますが、その病床数を上回る入院患者があるということは、県の衛生部の許可に反しまして、さらに多くのベッドを持ち込んで患者を入れているということになると思います。
○高杉廸忠君 ベッド数より入院患者がたくさんいるというのは、常識的に考えれば緊急の場合の全く摩擦的な現象で、しかも、それは短期間に解消されるべきものだと思うわけなんですね。精神病院で私はベッドを持ち込んでいるというのはそうであるとは思わないんですが、洋式ベッドではないんじゃないですか。畳の部屋が多いことで、そこで、しかも長期にわたってそういうような状態であるというのは私は異常ではないだろうかと、こういうふうに思っているわけなんです。今日まで、具体的にどういうような指導、監査をなさってきたか、伺いたいと思うんですが、どういうふうにされましたか。
○政府委員(田中明夫君) この医療法人十全会関係の病院につきましては、私どもは畳の部屋ということはないように聞いております。しかし、いずれにいたしましても許可病床数を超える入院患者を入れているということは、非常に不適当でございますし、特に御指摘のように患者さんは精神病患者、あるいは結核病患者あるいはその他の老人の慢性病患者ということでございまして、先生の御指摘のように急に一時的な伝染病患者がたくさん入ったというような事態とは違うわけでございまして、京都府といたしましては、毎年一回医療監視を実施した際に、病室の定員過剰につきましてその都度指摘をし、厳重に注意をしておるところでございまして、幸いに逐年若干改善を見ておりますけれども、まだまだ許可病床数を超えた入院患者を入れているわけでございますので、今後とも厳重な指導を行ってまいりたいと思っております。
○高杉廸忠君 いまの指導、監査等々についてのお話がありましたが、ベッド数に対して入院患者が多いということは、当然その対応する職員にも無理が強いられるわけですね。あるいは患者に対してどうしても手抜きの看護が行われるということになるんではないだろうかと、こう思うんです。そういう実態については行政の方でどういうふうに認識をされておりますか。
○政府委員(田中明夫君) 御指摘の点に関しましては、五十四年十二月から五十五年一月にかけて行われました医療監視の際にも、三病院においてそれぞれ看護婦の数が不足しているということを指摘しておるわけでございます。医療法上、医師、看護婦については実際の入院患者数及び外来の患者数に基づきまして必要な人員を算定しておりますので、ベッド数に基づいての算定ではないわけでございますが、一般にこういうような状態は危険な傾向を生じるとも考えられますので、今後ともその超過の入院の問題とあわせまして厳重に指導、監督してまいりたいと思っております。
○国務大臣(園田直君) ▼一言つけ加えますが、収容人員の超過は違法であります。これがかつまた長期化することは大した違法でありますが、残念ながら事務当局の答弁を聞けば、これを指摘し、京都府の衛生部を通じて指導、監督を徹底するようにし逐次改善していくと。こういうことでないと、再び富士見病院のような事態が起きないとは限らぬわけであります。残念ながら罰則がありません。そこで、警察と大蔵省と私と三者一体になって、そういう脱法行為を平気でやるところは徹底的に取り締まろうと、こういう決意をしておるわけでございます。
○高杉廸忠君 大臣から再三力強い御答弁をいただいております。しかし、まだ私は現実の実態について、なおかつこれからの要請も含めて申し上げたいと思いますから、引き続き御質問申し上げますけれども、そういった局長からの御答弁がありましたが、患者と看護体制のアンバランスが、私は具体的にはベッドの拘束だとか、あるいは大量に注射をするとか、睡眠療法等の過度の利用ということにつながってきているんではないだろうか。これは十全会の事件については御承知だろうと思いますが、私は内容としてはそういう積み重ねがそういう事件に出ているんではないだろうかと、こういうふうに思うんですが、その点はどうでしょう。
○政府委員(大谷藤郎君) ベッド拘束でありますとか持続睡眠療法等の患者に行動制限を加えるということにつきましては、精神衛生法の規定によりまして認められているところではございますが、これは医療または保護という観点から厳重に考えられて行われるべきものでございまして、こういったことが先生御指摘のような事実につながらないように厳重な指導をしてまいらなければならないというふうに考えるわけでございます。
▼○高杉廸忠君 局長も御存じだろうと思うんですが、去る九月の二十六日に大阪高裁で、具体的事例でありますけれども、ベッド拘束は「本人の意に反した専断的治療行為であり、違法」、こういうふうに判断をされておりますね。かつ、この具体的な事件でありますけれども、「十全会を告発する会」、この名誉棄損を認めた一審判決が大阪高裁では取り消されているわけでありますね。この判決後も従前にも増して大量の注射や縛りつけをしていることが院内の職員の人から私に訴えてきているわけであります。これが現実なんですね。で、効果的医療監視がなされていない。私はどうもそういうふうに、大臣はこれからの姿勢を述べられましたが、いままで効果的な医療監視というものが十分されていればこういうことはないと、私はこう思っておるんですけれども、そういうことについては従来どういうようなことで対処をされましたか。
○政府委員(田中明夫君) ▼医療監視につきましては、医療法によりまして、監視すべき事項、病院の設備が適切であるか、あるいは医療関係者の数が確保されているか、あるいは診療録等の書類が的確に記入されているかどうかというような点を監視するということになっておりまして、診療内容につきましては法律では監視すべき事項の中に入っていないわけでございます。したがいまして、われわれ医療監視を行いまして、この十全会の傘下の病院につきましても、先ほど来申し上げておりますように、患者がよけいに入っている、あるいは看護婦等の数が足りないということにつきましてはその都度厳重に忠告し改善を図っておるわけでございますが、医療の内容につきましてはなかなか踏み込んで調査ができないというのが現状でございます。
○高杉廸忠君 いままで私が申し上げましたような実態であるわけですね。で、グループとして最初申し上げましたとおりに株式投資をやっているわけですね。先ほど大臣から、倫理確立については大蔵を含めて今後確立をするというような方向をお示しになりました。その株の投機で、売買の利益というのは税務上の申告をしない、申告漏れというこういう事実が明らかにされているわけですけれども、時間の関係でこの問題だけに終始するわけにいきませんから、この実態把握もいままでお聞きしたところによりますと大変不十分でありますから、後日で結構でありますから、十全会グループについてはさらに調査をしていただいて、文書でひとつ御報告を願いたいと、こういうふうに思っているわけです。たとえば病院ごとにさっきお示しになりましたベッド数、入院患者数、それからお医者さんの数、常勤とか非常勤の別、看護婦さんの数、それから行政としては今日までいろいろ御指示をいただいたと思うんですけれども、その具体的な御指示をした内容、そして調査でどの点を把握されたというような具体的な医療法なり株式売買の実態、こういう点を後日で結構でありますから、文書でひとつ御報告をいただくようお願いをしたいと思いますが、どうでしょう。
○政府委員(田中明夫君) 医療法人十全会の法人自体及びその傘下にあります病院につきまして、御指摘のような点につきましてはできる限り資料を整えまして御報告いたしたいと思います。ただ、関連の二十にわたる会社につきましてはわれわれ調査権がございませんので、わかった範囲においては御報告申し上げますけれども、責任を持って御報告するというわけには残念ながらまいりません。
○高杉廸忠君 先ほど私がお願いした分も含めて、できるだけひとつ御報告をいただきたいとお願いしておきます。
 時間の関係で、次に私は大臣にお聞きをしたいと思うんですが、国立医療機関の定員問題等についてお聞きをしたいと、こういうふうに思っております。
 まず大臣にお聞きをするわけでありますが、国立病院・国立療養所問題懇談会というのが二度にわたって大臣に提言をしている。これを御存じだろうと思いますけれども、この提言について大臣はどういうように思っておられますか。まず大臣からお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 御指摘の懇談会からの提言――国立医療機関の内容の充実、臨床研究の充実、これはなかなか進んでおりませんが、重点事項の一つにして、加うるに定員配置の改善、こういうこと等も重点事項として努力してまいりたいと考えております。
○高杉廸忠君 私は、いまわが国の医療が救いがたい荒廃の中にあります。その原因の一つにはわが国における国立公立病院の比重の非常に低いところ、その低さであろうと考えているわけなんです。大臣はこの改善のためにいまお答えいただきましたように、早急に改善をしていくという姿勢を述べられました。そのためにはこれまた多くの問題がありますが、私はさしあたり次の二点というものを、この際大臣に強く要望を申し上げたいと思っておるんです。
 そのうちの第一は、国立病院、療養所における増員を妨げているのは国家公務員総定員法ではないだろうかと、こう思うんです。そこで、その総定員法から除外をしてはどうか。また当面定員削減の対象の枠外にすることであると、こういうふうに私は思いますが、大臣いかがでございましょう。所見を伺います。
○国務大臣(園田直君) 国立病院、療養所の増員は逐次努力はしておりますが、その増員よりも医学の進歩あるいは社会環境の変化の定員を必要とする需要と増員とがうんとかけ離れておって、年々定員が不足を来すようなことになっております。それからしてこれが総定員法の枠に縛られてどうにもならぬということは御指摘のとおりでありますから、これを枠外にするか何かいい方法をやるか、検討すべきであると考えております。
○高杉廸忠君 この問題につきましては大臣ね、昭和五十三年の三月三日の衆議院の予算委員会において当時の小澤厚生大臣がこう言っておるわけです。私は、病院、療養所みたいな場所、現場サービスあるいは年金業務をやるようなところは外して――というのはこれは総定員法ですね。「外してもらった方がいいのじゃないか」と述べられているわけです。
 また私は、五十三年三月二十二日の本院予算委員会において、この問題に対する質問をいたしましたところが、当時の荒舩行政管理庁長官からはこういうふうにお答えをいただいているんです。行政管理庁は人員を整理するところだけではない、大いに足らないところは増員を図ると、こう言われたわけであります。ことしに入っては二月の二十二日の衆議院予算委員会で橋本元厚生大臣が、厚生本省の定員削減に伴う激務、これは厚生省の方々でありますが、三人の方が亡くなったというようなことも含めまして、激務について触れられているわけであります。その後一般病院の百ベッド当たり職員数、開設者別で国立病院七〇・四に対して国立大学病院が一五三・九、公的病院平均でも一一〇・二、こういうような具体的な数字を実態を挙げて、そして削減問題についても配慮をされている国立療養所、国立病院と言われているその分野の定員がこういうような実態にあると、こういうようなことを力説をされたわけです。私の手元にも五十三年度の資料が比較されているのがありますが、国立病院、療養所、先ほど申し上げましたとおりに依然として低い水準にありますけれども、大臣これはどういうようにお考えになりますか。
○国務大臣(園田直君) 御指摘のとおりであると考えておりますが、現実はなかなか厳しい環境にあることだけは申し上げておきます。
○高杉廸忠君 ぜひひとつ大臣、前向きの姿勢でいま御要望申し上げました点の実現に御努力をいただきたい、お願いを申し上げるところであります。
 第二の点でありますが、大臣も御承知のように、賃金職員という定員見合い賃金職員というのが六千五百五十名にも達している今日なんですね。それで最近、大臣のところに任用中断についての上申書、こういうのが出ていて大臣も御存じだろうと思うんですけれども、これは国立病院の医療の増員問題、賃金職員の問題というのは十分御承知だろうと思いますけれども、この任用の中断と言われて実態としてはこういう施設長から、大変大ぜいの施設長から大臣の手元に来ている、これについてはどういうふうにお考えになりますか、これ。
○政府委員(田中明夫君) 大臣申されましたように、非常に国立病院、療養所の定員が不足しているというために、先生御指摘のいわゆる定員見合い賃金職員が多数に達しております。この扱いに関しまして、実は昭和三十六年の閣議決定によりまして一日雇用中断の取り扱いをして引き続いて再雇用はしてはならぬというようにわれわれ指示されておるわけでございまして、この決定をわれわれとしては守る必要があるわけでございます。
○高杉廸忠君 大臣、六千名を超える大臣の部下ですね、これが三月三十一日から四月一日にかけて全国で一斉にこの人たちが退職するんですよ。それで一日置いて次の日に、同じ人が任用をされるわけですね。そういう非常に私はこのような不自然なことを大臣どういうふうに思われますか。同じ人が一年間ずっと働いて、三月三十一日になったら退職をして、翌日の四月一日にはまた任用される、同じことなんですね。非常に不自然じゃないかと私は思うんですよ、大臣どうでしょう。
○国務大臣(園田直君) 臨時に働いておる人の立場から言えば不自然なところもあると思いますが、この問題は御承知の共済組合加入の問題と関連をしておりまして、ただいまこの訴訟は八月五日賃金職が原告、厚生大臣が被告として係争中でございます。かつまた、この問題は私のところだけではなくて各省全般にかかわる問題でございまするから、なかなか簡単に御返事はできないところでございます。
○高杉廸忠君 私は細かな点を指摘していきたいと思っておりますが、残念ながら時間が十分ありませんから要点だけを申し上げますと、この賃金職員の厚生省の方から出している手引きの中にも定員内賃金職員というのは一般の職員と業務については何も変わってないと、こういうふうに認めているわけなんですね。しかもいま申し上げたとおりに、同じ業務をやっている看護婦さんの中にも公務員である人とそうでない、まあ言いかえれば日雇いのような形ですね、しかも通年雇用ではなくて一年間のうちに一日だけ雇用が中断をして――そういうことをわざわざしているんですよね。これは非常に不自然でもあるし、大臣からはいま共済組合の係争中と言われましたが、私はだから国立病院、療養所等々における総定員法から枠組みを外して、やっぱり国民の信頼、そういうものを回復する国立医療機関としての使命を果たすべきではないだろうかと、こういうふうに思っているわけなんです。大臣に重ねて念を押しますけれども、いま申し上げました二つの点、私はこの際強くお願いをしておきたいと思うんですが、どうでしょう。
○国務大臣(園田直君) 施設長から大臣に参りました上申書にもいまおっしゃったようなことがよく書いてあるわけでありまして、医療というものはお互いが力を合わせなきゃできない、その医療に従事する職員が差別があることは耐えがたい、こういう趣旨のことが来ております。そういう点は十分理解できまして、御発言は十分拝承いたします。

1980/11/17-20 http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/093/1200/main.html

「○政府委員(田中明夫君) 十全会系の三病院に対しましては、厚生省の指示に基づきまして今月の十七日から二十日にかけて京都府が医師あるいは看護婦等の配置状況を中心に立ち入り検査を行ったところでございます。この調査の方法は、医師、看護婦全員につきまして免許証の提示を求めて有資格者であることの確認を行うと同時に、これらの者の勤務の状況について、タイムレコードにより把握する等、調査の厳正を期したところでございます。残念ながら調査員の数に制限がございまして、三病院同時に行うということはできませんでございました。

 この調査の結果によりますと、三病院の医師数、看護婦数並びにその必要数、充足状況は、東山高原サナトリウムにつきましては医師の必要数が三十八人のところ、実際に配置されている数が三十二人ということで、六名不足、充足率が八四%。京都双岡病院は必要数が四十七名のところ、実際に配置されている数が四十四名、三名不足、充足率が九四%。ピネル病院だけが必要数十四名のところ十六名配置されておりまして、二名超過ということで、充足率が一一四%ということになっております。また看護婦につきましては、東山高原サナトリウムは必要数二百二十名のところ、実際に配置されている数が百八十二名、三十八名の不足、充足率が八三%。京都双岡病院につきましては必要数三百九名のところ、実際に配置されております数は二百四十四名ということで、六十五名の不足、充足率七九%。またピネル病院につきましても必要数八十六名のところ、実際に配置されております数は六十七名ということで、十九名の不足、充足率は七八%というふうになっております。」

◆1980/10/30・31 政府による指導
 http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/093/1200/main.html
 「政府委員(大和田潔君) 実は私ども十月の三十日、三十一日と指導に伺ったわけでありますが、実は実態につきましては十分な把握ができないままにおるわけでございます。ごく最近の医療の実態、たとえばごく最近の医療費というものを見ましても、それはほかの病院とは、それほど多い医療費を使っておるわけではないというようなことしかわかりません。そういったことで、今後とも必要に応じまして指導、調査をいたしたいと思うわけでございますが、現段階におきまするところの医療の実態につきましては、まだ把握が不十分であるという段階でございます。」


●93参 - 本会議 - 8号 昭和55年11月12日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=5&DOC_ID=3622&DPAGE=2&DTOTAL=47&DPOS=38&SORT_DIR=1&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345

○柄谷道一君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま趣旨説明のありました健康保険法等の一部を改正する法律案に対し、総理並びに厚生、大蔵両大臣の見解をただすものであります。第一は医の倫理の確立についてであります。埼至県所沢市の富士見産婦人科病院の常識を超えた犯罪行為、医療法人十全会グループの株買い占めと脱税事件、豊洲厚生病院のから診療請求、さらに昭和五十四年度だけで史上最高の十億三千八百万円もの医療費の架空請求や水増し請求など、最近相次ぐ医療の荒廃に対して、心ある国民はこれを憂い、強い憤りの気持ちを持っております。そして国民の中に、これら一連の事件は氷山の一角であり、多くの医療機関でも不正が行われているのではないかという疑念が広がりつつあることもまた事実であります。
 医療の正しい実践を望むためには、医師、歯科医師と患者とのよい人間関係を前提とした医療の主体性、すなわち相互の信頼関係、秘密保持、医療の非画一性、医師選択の自由などが十分に確保されることがその基盤であることは論をまちません。
 もちろん、私は、真摯に国民の生命と健康を守るために尽力されている多くの医師がおられることを十分承知しております。しかし、こうした一連の不正事件を放置すれば、悪貨が良貨を駆逐すると言われるように、良心的医師の医療行為や請求事務まで悪影響を及ぼし、ついには医療界全体を崩壊させるおそれのあることを指摘せざるを得ません。このためには、問題を起こした医療機関に対して厳正に措置するとともに、医の倫理の高揚を図らなければなりません。
 医の倫理の基礎は、政治を含めた社会全体の倫理の向上と、医学教育における医師の使命感の醸成が図られなければならず、各職種の自主的団体が中心となってこれを推進するとともに、必要に応じ妥当な範囲でその制度化を図ることが必要であると考えますが、総理の見解と具体的方策を示していただきたいのであります。
 第二に、医療保険制度の前提諸条件の整備についてお伺いいたします。
 医の倫理の確立とあわせ、今日までたびたび公的審議会が建議し、提言している医療制度の抜本的改革を断行することは喫緊の政治課題であります。政府は今日まで医療保険の財政対策にのみ終始し、医療教育体制の改革、医療機関の適正配置と機能の明確化、専門医制度の確立と医療従事者の充実、公的医療の役割りの拡大、診療報酬体系の是正、現実に即した医薬分業の推進、さらに進んで医と検査の分業や患者の苦情処理など多くの問題について審議会の答申を軽視し、その改革を怠ってきました。その責任は重大と言わなければなりません。特に、「診療報酬の適正化が成果を上げていないことが、保険医療に絡まる問題の根源の大半である」として、四十六年九月、社会保障制度審議会が行った中医協の改組を含む建議がその後全く実現されていないことは全く遺憾と言わざるを得ません。医療制度の抜本改正を勇断をもって実行に移さなければならぬと考えますが、総理並びに厚生大臣の明快な答弁を求めます。
 第三に、高額検査機器の対策について質問します。
 昭和五十四年度の「社会医療等の調査」によりますと、検査料は前年比一八・六%増となり、医療費全体に占める割合も一割を超え一〇・六%に達するなど、最近における検査料の急増が目立ちます。このような事態を招いた大きな原因は、たとえば医療機関が競って高額医療用電子機器等を購入し、その償還のため必要以上に検査している傾向を見逃すことはできません。正確な検査が必要であることは十分理解しますが、高額機器を駆使するにはそれなりの技術と正確に映像を判定し得る体制が必要であります。このため高額医療機器を装備する医療機関について、一定の基準を設けて許認可制度とするか、各地域において共同で利用できる検査センターを設置するなどの措置を講じ、検査づけと言われる現状を是正することが国民に期待されている医療改革の第一歩ではないでしょうか。検査づけを含め薬づけを是正するため、今後具体的にどのような対策を講ずる方針であるのか、厚生大臣の答弁を求めます。
 第四は、監査と審査の強化についてであります。
 現在、保険医療機関等の監査を行う医療専門官が都道府県に配置されていますが、その人員はわずか七十六名と、定員の百七名にも満たず、県によってはいないところがあるなど必ずしも十分な監査がなされていない実態にあります。不正請求をなくすため、医療専門官がその使命を十分遂行できるようにするなど、監査体制を早急に充実すべきでありますが、当面どのような施策を講ずるのか、具体的な答弁を伺いたいのであります。
 また、社会保険診療報酬支払基金の審査支払い業務を強化することも、このような不正請求を解消するために不可欠な課題であると考えます。私は、この際、審査運営の実態を見直し、審査委員会委員の選任基準の明確化、統計的資料の整備と活用による医療機関の診療傾向を把握した上での重点審査の実施、審査基準の合理化、職員の責任と権限の明確化、審査委員の拡充などその機能を高め、あわせて財務運営の基盤確立や組織機構の改善が必要であり、そのため基金法を抜本的に改正すべきであると考えますが、これらの改革について政府の見解をただします。
 次に、本法案の内容について質問します。
 まず、国庫負担の連動についてであります。現行法では保険料の引き上げに対応して国庫補助を連動する規定がありましたが、改正法案では、この連動規定を削除するのみならず、当分の間現在の一六・四%を凍結する内容となっております。国庫補助は保険料とともに保険財政を担うものであり、保険者と被保険者の負担増によってのみ保険財政の再建を図る姿勢を容認することはできません。こうした見地から、私は現行どおりの連動規定を改正法案に取り入れるべきだと考えますが、厚生、大蔵両大臣の所見を伺います。
 さらに、累積赤字の処理について、改正案では保険料をもって六年間で償還するとなっていますが、政府は医療費のむだの排除など効率的な医療資源の配分によって累積赤字の解消に全力を注ぐべきであり、赤字が出れば保険料の値上げで補うという安易な姿勢はとうてい国民の理解が得られるものではないと信じますが、その決意と取り組みについてお伺いいたします。
 最後に、差額ベッド及び付添看護料といった保険外負担の解消について、自社公民の四党で合意がなされましたが、政府は今後具体的にどのような施策をもって四党間の合意を誠実に実施するのか、その内容を確認しておきたいと思います。
 今後の社会保障の計画的向上は、何よりも社会的公正という見地から推進しなければなりません。したがって、健康保険制度の抜本改正は本人と家族の医療給付の統合を目指すべきであり、可及的速やかにその同一給付を実現するよう強く政府に要求して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕

務大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。
 医療は、医師と患者の信頼関係の上に初めて成り立つものでございます。御指摘のように、医の倫理の基礎は、政治を含めた社会全体の倫理の向上と、医学教育における医者の使命感の醸成にあるということを御指摘がございましたが、私もそのとおり全く同感でございます。今後、医師の養成、教育につきましては、特にこの点に留意をいたしまして努力してまいりたいと考えております。
 医療保険制度の前提諸条件の整備について政府の取り組み方はどうかとのお尋ねがございました。
 詳細につきましては後ほど厚生大臣から答弁をいたしますが、御指摘のようないろいろの問題につきましても真剣に取り組んでまいらなければならないところでございます。しかしながら、他方において医療保険制度それ自体の合理化も急を要する問題でありますので、御提案しておりますような制度の改正をお願いいたした次第でございます。
 政管健保の累積赤字についてのお尋ねでありますが、お説のとおり、医療のむだの排除についてはでき得る限りの努力をしてまいらなければならないと存じます。しかし、医療費は人口の老齢化、医療の高度化などの影響によりまして今後も上昇を続けることは避けられない見通しでありますので、累積赤字の処理には受益者である被保険者の協力を求めざるを得ない状況でございます。御理解を賜りたいと存ずるわけでございます。
 自余の点は所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣園田直君登壇、拍手〕

●93 - 参 - 社会労働委員会 - 7号 昭和55年11月18日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=5&DOC_ID=3673&DPAGE=2&DTOTAL=47&DPOS=37&SORT_DIR=1&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345

○安恒良一君 私は十一月の十二日参議院本会議、並びに十一月十三日の当社労委員会において厚生大臣から提案がありました健康保険法等の一部を改正する法律案並びに同法案に対する衆議院の修正部分について質問をしたいと思います。
 なお、私は本会議におきまして社会党を代表して質問で明らかにいたしておりますが、私はまず本案の審議に当たって考えなきゃならぬことの第一点は、富士見病院、十全会病院、豊洲病院等に見られるような乱診乱療事件や不正請求、脱税等の事件、これらはわが国の医療の荒廃ぶりを象徴する事件としまして、国民の間に深刻な反響を巻き起こしています。すなわち、今日医療をめぐる諸問題が社会問題化し、医療に対する国民の不信と不安がますます増大をいたしております。まずこの不安と不信を解消することが当面の重要な課題であろうと思います。
 次に、第二の問題点は、保険料負担及び窓口における一部負担の増大を図る等の当面の財政対策を中心とする改正点、すなわち、保険財政対策至上主義の改正ではなくして、国民医療の肥大化に歯どめをかけるための総合的、抜本的な施策の確立を行うことが必要であるというふうに考えます。
 第三の問題点といたしましては、国民皆保険下における大原則でありますところの、いつでもどこでもだれでもがよい医療が受けられるような医療保険制度の、抜本的な改革がまず行われる必要があるというふうに実は考えるものであります。
 以上の三つの課題にこたえる医療保険制度の抜本改正がまず行われ、その中で赤字対策についてどう解決をすべきか、こういうことを議論をし合うべきだというふうに私は考えるわけであります。そういたしますと、現在提案されておりますところの政府原案並びに衆議院の修正案はこれにこたえるものではないというふうに私は思います。また、私はこの基本的な考え方について大臣にお聞きをしたいのでありますが、時間の関係で、すでに本会議で議論をいたしておりますから省略いたしまして、きょうはその前提の上に立って、大項目で言うと四つの問題点について質問をしていこうと思います。
 一つは、保険料負担と国庫負担のいわゆる保険財政問題、連動問題を含めてであります。第二番目には国民医療費の肥大化にどのように歯どめをかけるかという諸対策についてであります。第三番目は保険外負担の解消のためにどのような施策を実行するのかということ。第四番目は医療の供給体制、供給制度の適正化問題について御質問をしたいと思います。並びに私の提言をやりたいと思います。
 そこで、どうかこの討論を通じた中で、衆議院においてもいろいろ与野党の中で話し合いをされ、修正をするものは修正をされ、さらに申し合わせをするものはされておりますから、どうかこれらの議論をぜひひとつ聞いていただく中で、必要なものについてはぜひ政府としてもこれはお取り上げを願いたいし、場合によればそういうものについて与野党の中でお話し合いもお願いをしたいというふうに思います。
 そこで私は、私の質問を展開するに当たりまして資料をたくさん要求いたしておりまして、できればその資料を委員長の御許可によって配付をしていただいて、私の手元には届いておりますが、そういう点で審議がスムーズにいくような御協力をぜひお願いをしたいと、こう思います。

◆1980/11/15 →高杉廸忠
 http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/093/1200/main.html
 「私の手元に十一月十五日付で病院の方から書面をいただいております。それにはこういうように記されているわけでありますから、ちょっと読んでみます。
 九月の高裁判決で十全会は負けましたが、赤木理事長は平気で、むしろ平素よりきげんがよいくらいです。医師は、「こんな治療が悪いのはわかり切っている。しかし、やめるわけにはいかない。」と言っており、点滴注射はいままでよりふえています。赤木理事長から、毎日二千名、日曜も祝日も入浴させるよう特別命令が出ています。これは水治機能訓練料をかせぐためです。このために、いやがる人も、酸素ベッドに入っている人も、無理やりに引っ張り出され、一列行列でふろおけの前に並ばされています。この仕事をさせられている精神病患者の人はへとへとになって自殺しました。自殺はしょっちゅうです。ベッド拘束は相変わらずで、動き回る人はすぐ縛られます。赤木理事長は、動ける人は退院させよと言っており、「まだ退院させていないのか。」とどなっています。
 こういうように私のところへ手紙で来ております。この水治料という水づけ一分間一人五十点、三分間マッサージ料が八十点という話が伝えられております。こういう実態、これは把握をされておりますか。また、こういう行為が医療として点数請求というものができるのかどうか、私はちょっと不思議に思うわけでありますが、この点を明らかにしていただきたいと思います。」

●1980/11/27 参議院社会労働委員会
 http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/093/1200/main.html
第093回国会 社会労働委員会 第10号
昭和五十五年十一月二十七日(木曜日)

「○高杉廸忠君 先日の委員会で私は一医療機関の問題例の一つとして、最大の医療法人十全会の問題を取り上げてまいりました。しかし、そのときには時間も十分なく、また、その際要求いたしました資料においても、必ずしもその全貌を明らかにすることはできませんでした。
 そこで、まず十全会の最近の株式投機の実態、経緯、銘柄別にまず明らかにしていただきたい、このように思います。

○国務大臣(園田直君) 本日の新聞で高杉先生のお名前も出て、この十全会の姿がだんだん浮き彫りにされてきておりますが、実は正直に申し上げますと、私も就任直後、必ずしも正しい医療法人の運営のあり方ではないと考えまして、事務当局を通じて、京都の当局を通じてそれぞれ行政指導をやってきたところでありますけれども、なかなか実態がつかめない。しかも当事者も反省の色は私には感じられない。そこで、ずっと今日まで二ヵ月余り私はいろいろ情報を収集し、注目をし、具体策を検討してきておるところでございます。

○高杉廸忠君 大臣じゃなくても結構でありますから、いま私が申し上げました十全会の最近の株式投機の実態、経緯、それから銘柄別、ひとつ事務当局の方で結構でありますから、この際、明らかにしていただきたい。

○説明員(岡崎洋君) 御質問の点でございますけれども、十全会のグループがいつ、どのような株を買い、あるいはいつ売ったかということにつきまして完全に把握しておるわけではございませんけれども、この数年間のものといたしまして私どもが聞き及んでおりますものを申し上げますと、京都銀行株式、實酒造株式、高島屋株式、朝日麦酒株式等があるというふうに承知しております。ただ、このうち、京都銀行株式及び實酒造株式につきましては、すでに手放しておるというふうに思われております。

○高杉廸忠君 それじゃ、その評価額、こういうのはどうなりますか。

○説明員(岡崎洋君) ただいま手元にあると思われます高島屋株式と朝日麦酒株式につきまして申し上げますと、保有の株式数は、おおよそ高島屋のものが二千百万株程度、朝日麦酒株式が六千六百八十八万株程度というふうに東京証券取引所の調べではなっておりまして、これに一番最近時点の時価を掛けてみまして機械的に評価額を出してみますと、高島屋株式で約八十億円、朝日麦酒株式で約二百七十億円という計算ができます。

○高杉廸忠君 いまお答えいただきましたように、朝日麦酒の例をとりますと、十月二十二日現在で六千六百八十万株の株式を十全会グループが買い占めていることが明らかになりましたし、この株は発行済み株式総額の三〇・五%、こういうふうになっていることも私どもの調査でつかんでおります。この株式投機資金の出どころについて、私はこれは大臣に伺いたいんですけれども、大臣が御無理ならば当局で結構でありますから、その出どころについて、今日までどういうような取り組みをされて解明をされたのか。この点をひとつ最初に確認をいたしたいと思います。

○政府委員(田中明夫君) 非常に多額の株を十全会グループが現在も保有しているということでございますが、私ども厚生省といたしましては、医療法人十全会並びに医療法人十全会精神科京都双岡病院につきましては、医療法に基づきまして調査をいたしておるわけでございますが、先生御指摘の非常に多量の朝日麦酒等の株につきましては、この医療法人関係では現在所有しておらないようでございまして、残念ながら私どもの調査の及ぶところではないわけでございます。

○高杉廸忠君 先ほども評価額でお答えいただいたように、朝日麦酒でも二百七十億円、高島屋でも八十億円という大変なお金が明らかにされたわけでありますね。現在、十全会グループが動かしている株式投機への資金量の総額、大変な額になると思うんですけれども、それは一体どういうようにいままでのお取り組みの中からつかんでおられるのか、把握しておられるのか、この際はっきりお答えをいただきたい。

○政府委員(田中明夫君) 先ほどお答え申しましたように、私どもといたしましては、医療法人十全会並びに医療法人十全会精神科京都双岡病院につきまして、實酒造並びに京都銀行の株を有し、それを投機的な操作をしていたということを、医療法上好ましくないということで、京都府を通じましてその所有する株を五十四年の一月及び四月に全部売却させたところでございます。したがいまして、医療法人関係につきましては、現在、先ほど申しましたような株を多量に持っているということはないわけでございます。なお、この實酒造、京都銀行の株を売却いたしまして、名義書きかえに際しまして、資金の移動についてはまだ現在のところ把握いたしておりませんが、当時の株の価格あるいは処分の株数から考えまして、實酒造につきましては十六億円、京都銀行については約二十一億円の額に上るというふうに考えられます。

○高杉廸忠君 かなりの多額な金が動いているということはわかるわけですね。だから、これからやっぱり全貌をつかんで、資金総額というのは、やはり基本になるわけですから、この総額ぐらいはやっぱりはっきりつかむ、この姿勢をひとつ貫いていただきたい、これは要望であります。お願いをしておきます。
 それで、一部にはいまお話もありましたように医療法違反に絡んで名義書きかえが行われているわけですね。行政指導でそれがなされたとも聞いているわけなんです。なぜ行政指導をされたのか、その内訳はどういうように具体的になっているのか、また名義書きかえに際して、資金の動き、こういうものはどういうようにとらえているのか、以上の、きわめて具体的な点でありますから、一つ一つについてここではっきりお答えをいただきたいと思います。

○政府委員(田中明夫君) 医療法人が同一銘柄の株式を多量に取得いたしまして、いわゆる買い占めというような疑惑を持たれるような行為を行うということは好ましくないという観点から、医療法人の監督官庁である京都府が医療法人十全会及び医療法人十全会精神科京都双岡病院を指導いたしまして、その所有する實酒造及び京都銀行の株式を先ほども申し上げましたように五十四年一月及び四月に全株売却をさせたわけでございます。その株数は實酒造が両医療法人合わせまして六百七十万株、京都銀行が六百四十万株弱ということでございます。で、これだけの数の株を処分することによりまして医療法人が取得いたしました金額は、先ほど申し上げましたように實酒造につきましては十六億円、京都銀行につきましては二十一億円と推定いたしておるわけでございます。

○高杉廸忠君 先般の委員会で、医療法人が営利を目的として継続的に行う株式の売買とか買い占めは業務範囲の逸脱で医療法第四十二条違反であり、またそのグループで行うのも脱法行為であると、厚生大臣は私の質問に対してこう答弁をされております。その脱法行為というのは法律違反とどう関連をし、またどういう違いなり効果というものがあるのか、大臣どうでしょう、先日お答えをいただきましたから。

○政府委員(田中明夫君) 医療法人の資金が当該法人の正当な支払い項目として財務諸表上処理されておりますけれども、その処理が虚偽の記載であると、したがって正当な支払い項目に記載された資金が流用されて関連会社の名義の株の買い占めが行われているというような事実が明らかになった場合には、医療法第四十二条に抵触するというふうに考えております。

○高杉廸忠君 それは法律違反でしょう。脱法行為というのはどうなんですか。

○政府委員(田中明夫君) したがいまして、いまのような事実がありますれば医療法第四十二条違反ということになるわけでございます。

○高杉廸忠君 ここで法律違反と脱法行為の論争をしても時間をとるだけでありますから先に進めますが、いまの、名義を書きかえれば医療法第四十二条の違反は解消する、こういうようになるわけですね。現在違反事実が存在しなければ、それで事は足りるということになるわけですが、違反の事実行為は、じゃ一体脱法行為ということで、次に私は確認をしたいというのは、そういう違反の事実行為というのが出た場合はどういうふうになりますか。

○政府委員(田中明夫君) 先ほど申しましたように、財務諸表上一応正当というようなふうに処理されておりましても、それが虚偽であって実際には正当な支払い項目に記載された資金が流用されて、関連グループに流れているというようなことが明らかになった場合には、医療法の第四十二条違反ということになるわけでございまして、そういうような事実が明らかになりました場合には指導をして正させる、あるいは医療法に基づく処分をするということになると思います。

○高杉廸忠君 ことしに入ってから、十全会グループが朝日麦酒の買い占めをしていることが私どもの調査で明らかになっています。ちなみに、大臣聞いていてください、一月に九十二万株、二月に六十三万株、ずっと毎月五、六十万株ずつことしに入ってからもあるわけなんですね。ことしになってこれをトータルをいたしますと九百二十四万株十全会グループが新たに買っているんですね。そういうことは、おたくの方で解明といいますかつかんでおられるかどうか。

○政府委員(田中明夫君) 先ほど来申し上げておりますように、私ども衛生部局が把握できます事実は、医療法人のいろいろやっていることでございまして、医療法人以外の関連の会社がやっておりますことにつきましては、調査をする権限はございませんので、残念ながら把握しておりません。

○高杉廸忠君 それは医療法人であればできるわけですね。だから医療法人十全会の資金が流用されているとすれば、それは医療法に明らかに違反をする。そういう医療法人の流用資金、まあ恐らく考えられるのはかなりあると見られる。なぜなら株なり先ほどから話が出ている問題も多額な金で買い占められているということが、私どもは想像の域を脱しないと言えばそれでありますが、各マスコミでも明らかにされているわけであります。そういう法律違反だと、こういうことが明らかになる、そういう場合の処置ですね、これはどういうふうに考えられますか。

○政府委員(田中明夫君) 先生がただいま御指摘になったように、医療法人が虚偽の財務上の処理をして関連の会社に資金を流し、そこの会社で株の買い占めが行われているということになりますれば、医療法違反ということになるわけでございまして、なかなかそういう財務関係のやりくりがうまいようで、現在のところ、その朝日麦酒その他の株を取得する金につきまして、医療法人との関連がまだ解明されておりませんが、現在鋭意捜査中でございます。

○高杉廸忠君 いま申し上げているその十全会のグループの中心というのは、何といっても医療法人であります十全会と十全会精神科京都双岡病院の二つの医療法人であります。
 そこで伺いますが、それぞれの最近の年次別利益の金額はどのようになっているのか明らかにしていただきたいと存じます。

▼○政府委員(田中明夫君) 最近五年間の税引き前の当期利益を申し上げますと、医療法人十全会につきましては、昭和五十年度八億八千六百万円、五十一年度十億六千百万円、五十二年度十一億三千三百万円、五十三年度二十億三百万円、五十四年度八億七千二百万円となっております。また医療法人十全会精神科京都双岡病院につきましては、五十年度八億一千八百万円、五十一年度十四億六千三百万円、五十二年度十八億二千八百万円、五十三年度二十七億一千六百万円、五十四年度二十億四百万円というような数字になっております。

○高杉廸忠君 局長ね、いまの金額で五十年からずっと見て何か感じられませんか。五十三年にはこれは二十億でしょう。五十四年には八億ですね。ずっといままでのを見てみると特徴的に五十三年は大変なこう金額になっているんですが、どう感じられますか。

○政府委員(田中明夫君) 御指摘のとおり五十三年度は他の年度に比べまして、

○高杉廸忠君 倍です。

○政府委員(田中明夫君) 十全会の場合には倍、双岡病院の場合にもかなり多額の利益を上げておるわけでございまして、何か医業以外の収入があったのではないかということを考えさせられる数字であろうかと存じております。

○高杉廸忠君 決算報告について、一部報道によりますと、使途の不明金が数十億円あるとも言われています。それらの解明ですね、これは国税庁の方になろうと思いますけれども、どういうように進んでおられるのかまず一つ。
 これらのその虚偽の決算報告は、医療法人としての決算報告の提出義務に違反することになり、また同様の決算が税務当局にも出されているとすれば、これは法人税法違反となるのではないか、こういうふうに考えますけれども、いかがですか。

○政府委員(田中明夫君) ちょっとその前に私の方から。医療法人の決算につきまして、現在京都府に指示いたしまして、私どもの方でもいろいろと調査を開始しておるところでございますが、その詳細につきましては、今後京都府が調査する上で支障を来すことになりますので、残念ながら答弁を控えさせていただきたいと存じます。
 なお、決算報告につきまして虚偽であるかどうかの事実につきましては、現在のところまだ把握しておりませんけれども、仮に虚偽の決算報告が行われたといたしますならば、当然正当な決算を届け出ることを義務づけております医療法第五十一条に違反するものと考えております。

○政府委員(小幡俊介君) 十全会グループ並びに関係の法人につきましては、私どもといたしましては五十四年の二月から六月にかけまして相当深度のある調査を行いまして、適正な課税処理を了しているところでございます。その課税処理の中の一つ一つの具体的な項目につきます内容につきましては、御答弁申し上げることを差し控えさせていただきたいというふうに思う次第でございます。
 それから、虚偽の決算報告についてのお話でございますが、会社の決算、それが虚偽であるかどうかという問題と、もう一つ私どもの立場でいきますと、法人税の申告が、法人税法に照らして適正に行われているかどうかという、こういう問題二つあるわけでございますが、国税庁の立場でいきますと、会社そのものの決算が虚偽であるかどうかということはしばらく置きまして、法人税の申告が法人税法に照らして適正になされているかどうかということが、私どもの問題になるわけでございます。法人税の申告が場合によりますれば法人税法違反の問題というふうにもなるわけでございますが、それは個々のケースごとの状況によって決まってくるということになろうかと思うわけでございます。

○高杉廸忠君 大臣、いまお聞きのように、これだけの事件を、私にすればまだまだほんの調査の入り口にかかっていると思うんです。具体的な事実の一つ一つについては何ら解明をされていない。
 私は、そこで大臣にこれからの御決意を伺うわけでありますが、先ほどいわゆる三者構成の連絡会議、これはまさに有効に機能すると思うんです。ぜひ三者共同してその解明に私は全力で当たっていただきたい、こう思いますが、大臣いかがでしょう。

○国務大臣(園田直君) 私も当初から、各個ばらばらでやっていることはなかなかなまぬるくて脱法行為を容易にすると、逃げ道を与えるようなものだと考えておりましたので、このような例のない三省協議会を設置したわけであります。したがいまして、この協議会が機能を発揮しますよう、全力を挙げてそれぞれ事実の解明から入っていきたいと考えております。

▼○高杉廸忠君 次に、別な観点から資金の動きを見ていきたいと思っているわけですけれども、十全会並びにこのグループの不動産売買に伴う資金の流れというものを把握しておられるかどうか、いかがですか。

○政府委員(田中明夫君) 医療法人十全会及び医療法人十全会精神科京都双岡病院の会計に帰属いたします不動産の売買に伴う資金の流れにつきましては、現在、京都府を通じまして調査を命じておるところでございまして、まだその結果を得ておりません。

○高杉廸忠君 少し対応が私は遅いと思うんですね。先日も私は本委員会で指摘をしたわけであります。これは、資金が株式投機に向かおうが不動産投機に向かおうが資金の役割りという機能としては同じなんです。株式投機と同様に、私は追跡しなければおかしいとこう思っているんです。私は、もし十全会あるいは十全会から出た資金が、本来の目的以外、不動産投機に向けられ売買をして利益を上げているとしたら、これも医療法違反になると思いますけれども、どうでしょう。

○政府委員(田中明夫君) 御指摘のように、医療法人の資金によって不動産の投機が行われている場合には、株式の買い占めの場合と同様、医療法第四十二条違反となるというふうに考えております。

○高杉廸忠君 京都府の方へ命じられたと言うけれども、不動産売買に伴う資金の流れ、それから取得の実態、金額が明らかにされなければならない。そうでしょう。こういうことこそ厚生省一省ではやり切れない、だから三省共同して解明すべき問題である、こういうように思うんですね。だから全貌を、国民の前に明らかにし得ることを私は厚生大臣に、国民にはっきりわかるように示していただきたい、こういうふうにお約束をいただきたいと思いますが、どうでしょう。

○国務大臣(園田直君) 事実解明の上は、そういう方針でやっていきたいと考えております。

○高杉廸忠君 いま申し上げましたような莫大な資金量を一医療法人あるいはそれを中心とするグループが動かせること自体、私ははなはだ不思議なことなんだと思っているんです。また、戦標すべきことでもあると思います。大臣、どういうようにお考えになりますか。これ全貌を、いままでのお話、お答えをお聞きになっていると思いますけれども、どう感じられますか。

○国務大臣(園田直君) 私が当初、初めから計画的に脱法行為を考え、営利を考えやったこのような恐るべき事件はと申し上げたつもりでありますが、それはいま高杉委員がおっしゃったと同様の考え方を私も持っているわけでありまして、いやしくも国民の健康と生命を守るべき医療機関が、その国民と生命を守るという美名のもとに、計画的にいろいろな考えを行い、計画的に脱法行為を行うということは、これは非常にそのこと自体が恐ろしいことであります。この医療機関が莫大な資金を動かして、二十以上になんなんとするグループ、系列会社をつくって、そしてそれを巧みにこう回しながら事実を塗りつぶしていくということについては、これを黙って見ておるようでは法治国家と言えない、私はこのように考えます。

▼○高杉廸忠君 次に、十全会における医療の実態について私は順次伺っていきたいと思うんですけれども、この医療機関については一方で治療、医療内容についても多くの疑問が提起をされているわけです。現在公訴中でありますが、去る九月大阪高裁の二審判決は、十全会の精神科病院における治療について、注射づけ、薬づけ、違法拘束、こういうことを認めて、大量の注射が健康保険の点数かせぎで、病院に不当な利益を得させるものである、こういうように裁判所は言っているわけなんですが、こういう実態を、行政はいままでどのように把握をし、今日までどういうような対応をされてきたのか。この実態を聞くたびに私は不思議に思うんですが、どういうような対応をされてきたのか、お聞かせをいただきたいと思うんです。

○政府委員(大和田潔君) 実は私ども十月の三十日、三十一日と指導に伺ったわけでありますが、実は実態につきましては十分な把握ができないままにおるわけでございます。ごく最近の医療の実態、たとえばごく最近の医療費というものを見ましても、それはほかの病院とは、それほど多い医療費を使っておるわけではないというようなことしかわかりません。そういったことで、今後とも必要に応じまして指導、調査をいたしたいと思うわけでございますが、現段階におきまするところの医療の実態につきましては、まだ把握が不十分であるという段階でございます。

○高杉廸忠君 まあ実態もつかんでないというようなのは私はきわめて遺憾なんです。第二審でも示されているように、違法の疑いがある治療がなされてきたが、患者への影響は必ずしも明らかにされてないこと、その実態もつかんでないということは、私はきわめて遺憾であります。数の上でもですね、患者の実態はある程度明らかにされましたけれども、その中で死亡者の数並びに実態が把握されていない。なぜつかめないんですか。私が把握をしている四十九年までの死亡率を見ますと、岡山県下の全精神病院と比較をしますと、その三倍にもなる驚くべき極端な結果になっているんです。こういう実態であります。どうなんですか。

○政府委員(田中明夫君) 厚生省の正式の統計といたしましては、残念ながら十全会病院の患者の死亡率というのは明らかになっておりませんが、われわれが聞いておりますところでも、この病院の患者の死亡率というのは非常に高いというふうに聞いておるわけでございまして、またこの病院の患者は、非常に高齢者が多いということでございますので、そういう面でも、先生がいま言われたような普通の精神病院の数倍になるというようなことは考えられるわけでございます。ただ残念ながら、▼この病院のように高齢者を非常に多数収容している精神病院というのは、ほかには余り見当たらないものでございますので、そういう厳密な意味での比較ということはわれわれとしてはできないというようなわけでございます。

○高杉廸忠君 五十年以降の死亡者数だけでもやっぱり示してもらいたいと思うんですね。
 それから、死亡者数と同時に、私は退院者数というのがもうかなりいるわけですから、その中からやはり自殺をされた方もかなりいるように感じられるんですよ。そういう数字との関連で、五十年以降の死亡の数ぐらいは私はつかんでもらいたいと思うんですね。資料を後日で結構ですから出していただきたい。お約束してください。

○政府委員(田中明夫君) 京都府とも協力いたしまして、先生の御要望に沿うように、できるだけの努力をいたしたいと思います。

○高杉廸忠君 それじゃお願いをいたしておきます。
 私の手元に十一月十五日付で病院の方から書面をいただいております。それにはこういうように記されているわけでありますから、ちょっと読んでみます。
 九月の高裁判決で十全会は負けましたが、赤木理事長は平気で、むしろ平素よりきげんがよいくらいです。医師は、「こんな治療が悪いのはわかり切っている。しかし、やめるわけにはいかない。」と言っており、点滴注射はいままでよりふえています。赤木理事長から、毎日二千名、日曜も祝日も入浴させるよう特別命令が出ています。これは水治機能訓練料をかせぐためです。このために、いやがる人も、酸素ベッドに入っている人も、無理やりに引っ張り出され、一列行列でふろおけの前に並ばされています。この仕事をさせられている精神病患者の人はへとへとになって自殺しました。自殺はしょっちゅうです。ベッド拘束は相変わらずで、動き回る人はすぐ縛られます。赤木理事長は、動ける人は退院させよと言っており、「まだ退院させていないのか。」とどなっています。
 こういうように私のところへ手紙で来ております。この水治料という水づけ一分間一人五十点、三分間マッサージ料が八十点という話が伝えられております。こういう実態、これは把握をされておりますか。また、こういう行為が医療として点数請求というものができるのかどうか、私はちょっと不思議に思うわけでありますが、この点を明らかにしていただきたいと思います。

○政府委員(大和田潔君) 御指摘のような実態につきましては私ども正確には把握しておりませんが、一般的に申しまして一分間一人五十点という、そのお話でございますけれども、そういった治療目的を達しない程度の短時間の治療というものは保険の請求を行うことは認められないというふうに考えておるわけであります。現在、診療報酬といたしましては、水中機能訓練、これは医師の直接の指導、監督のもとに行うことを条件にいたしまして一日につき五十点、それからマッサージにつきましては五ヵ所まで、一ヵ所につき十二点、これが算定されるということになっておるわけでございます。
○高杉廸忠君 じゃ、いままでそういう請求が出て、どういうふうにされましたか、いままで請求されて。これは中身について一日に五十点と言われるのですけれども、私のところに訴えてくるのは水につけられるわけですね、水治料、これは一分間で五十点だというのは一人ですね。こういうようなことで請求が現実にいままでもあったわけでしょう、現実に請求がいままでも。請求の中身については何にも、何といいますか、監査といいますか、分析はしていない、こういうことなのですか。
○政府委員(大和田潔君) どうも申しわけないんでありますけれども、結論はそうでございますが、やはり請求が十全会病院からの診療報酬請求、これは支払基金に参るわけでありますが、その支払基金の審査の状況につきましては、いまのところ、まだ実は把握しておりませんので、先生の御質問につきまして十分なお答えができないわけでございますが、審査の過程において異常の点が認められたかどうかということにつきましては、早急に調査をいたしたいというふうに考えております。
○高杉廸忠君 これもお願いでありますが、後日で結構であります。調査をされた結果をひとつ資料で御報告をいただきたい。お願いをしておきます。
 それから精神病の入院患者一人当たり月平均医療費全国平均でどの程度となっているのか、これが一つ。
 また、十全会系統の三病院の患者の精神科医療費はどの程度になっているのか。これをひとつ示していただきたいと思うんです。
○政府委員(大和田潔君) これは政管健保の通常の外来の精神病患者に対する健康保険の点数、これは一日当たり甲表で三百七十四・七点、乙表で三百六十一・七点というふうになっておるわけでございます。
○高杉廸忠君 十全会は。
○政府委員(大和田潔君) 十全会につきましては、ちょっといま把握をしておらないわけであります。
○高杉廸忠君 これもひとつ資料で。私はやっぱり三病院の患者の医療費程度は出ると思うんですよね。だから、ひとつ資料で後でいただきたいと思うのです。お願いしておきます。
 それならば、現在の十全会系三病院の常勤の医師の数、それから看護婦の数、それに対する必要数、これはベッドとの関係であります。充足率、これはどの程度になっているのか。また調査方法等はどういうように行っているのか、三病院同時に行ったことがあるのかどうか、これもあわせて伺っておきます。
○政府委員(田中明夫君) 十全会系の三病院に対しましては、厚生省の指示に基づきまして今月の十七日から二十日にかけて京都府が医師あるいは看護婦等の配置状況を中心に立ち入り検査を行ったところでございます。この調査の方法は、医師、看護婦全員につきまして免許証の提示を求めて有資格者であることの確認を行うと同時に、これらの者の勤務の状況について、タイムレコードにより把握する等、調査の厳正を期したところでございます。残念ながら調査員の数に制限がございまして、三病院同時に行うということはできませんでございました。
 この調査の結果によりますと、三病院の医師数、看護婦数並びにその必要数、充足状況は、東山高原サナトリウムにつきましては医師の必要数が三十八人のところ、実際に配置されている数が三十二人ということで、六名不足、充足率が八四%。京都双岡病院は必要数が四十七名のところ、実際に配置されている数が四十四名、三名不足、充足率が九四%。ピネル病院だけが必要数十四名のところ十六名配置されておりまして、二名超過ということで、充足率が一一四%ということになっております。また看護婦につきましては、東山高原サナトリウムは必要数二百二十名のところ、実際に配置されている数が百八十二名、三十八名の不足、充足率が八三%。京都双岡病院につきましては必要数三百九名のところ、実際に配置されております数は二百四十四名ということで、六十五名の不足、充足率七九%。またピネル病院につきましても必要数八十六名のところ、実際に配置されております数は六十七名ということで、十九名の不足、充足率は七八%というふうになっております。
 前回の医療監視、すなわち昨年の十二月からことしの一月にかけて行いました医療監視につきましては、三病院合計の医師数は十二名余裕があったわけでございますが、先ほども申しましたような今回の厳正な調査によりまして七名不足しているということがわかりましたし、また看護婦数につきましては前回は十七名不足ということでございましたが、今回の調査によりまして百二十二名の大幅な不足ということが判明いたしました。
○高杉廸忠君 充足率についてもまあ八〇%前後になってますね。監視についていまお話がありましたが、昨年まあ監視をされたと。私が本委員会で先日質問しましてから、監視というのはいつ行ったんでしょうか、それひとつ伺っておきたいと思います。
 先般、質問のときに入院患者数が病院床を上回っているというのを指摘いたしましたね。厚生省からいただいた資料ではそれが改善されたことになっているんですね。したがって、その監視の実態について私のところへ来ました直訴状を後でまたこれも御披露をしたいと思うんですが、まずいまの監視とその経過について、ちょっと教えていただきたいと思うんです。
○政府委員(田中明夫君) 先ほど申しましたように、京都府に指示いたしまして、今月の十七日から二十日にかけましてやったわけでございます。具体的には、双岡病院及びピネル病院につきましては十七、十八の両日、東山高原サナトリウムにつきましては一千日に医療監視を行いまして、先ほど申し上げましたような医療関係の従事者の数を把握いたしたわけでございます。
 なお、病床の利用率につきましては、今回の調査によりますと、東山高原サナトリウムでは九九・六%、京都双岡病院では一〇八・五%、ピネル病院では九九・二%ということになっておりまして、先日先生に御報告いたしました数字に比較いたしまして、いずれも改善されておるわけでございますが、また実際にことしの一月の後、病棟の新設等もあったわけでございますけれど、伝えられているような、何か医療監視に行きますと患者を隠すというようなことが事実だといたしますと、この調査では実態が把握できなかったということもあろうかと思います。
○高杉廸忠君 いま局長が言われたように、私のところの手紙にはこういうふうに書いてあるのですよ。これもちょっと読んでみますと
  十月に監査がありましたが、その前から院内は大騒ぎです。空きベッドができだし、ベッドは屋上に運んで隠されました。その一方で、平素は全然使っていないデラックスな部屋にベッドが運び込まれました。職員は他の病院からも駆り出されました。監査が済んだ途端にベッドがまた運び込まれ、部屋は患者でいっぱいになっています。こんな監査では役に立ちません。
 こういうふうに私に訴えているわけです。残念ですが、私はこれが実態だろうと思います。こういう監視をしても、こういうことの事実の実態がつかめない。これは非常に残念なんですが、今後の監視、こういうものはどういうふうに進められますか、この際きちっとしてお答えをいただきたいと思うのです。
○政府委員(田中明夫君) 先ほど従業者の数につきましては、先生に御報告いたしましたような調査方法によりまして、従来の医療監視ではわからなかったような従業者の不足という実態が判明したわけでございまして、患者につきましては、残念ながらそういうような有効な手段がとれなかったおそれもあるわけでございまして、この病院の場合、やはりわれわれがといいますか、京都府とわれわれがいろいろ相談いたしまして、どういうような有効な方法をとって事実をつかんでいくかということにつきまして、今後綿密なる計画を立ててやってまいりたいと思いますが、実際にどうやるかということはちょっと現在のところまだ案が立っておりませんし、またそれを公表いたしますと、それの対策を講ぜられるというようなこともございますので、できる限りの努力をいたしまして真相を究明してまいりたいというふうに思っております。
○高杉廸忠君 大臣、お聞きのように、従来の監視、調査というのは全く機能してこなかったと思って、私はつくづく残念に思うのです。実効のない調査や監査、指導が今日までの私は行政の対応ではなかったのか、こういうふうに感じられるのです。
 そこで、いま私も読み上げましたとおりに、このことは昭和四十年代の初めからのうわさでもあるし、巷間伝えられているような実態が言われていたんですね。なぜ今日まで行政の手で解明ができなかったのか。そういううわさなりマスコミを通じていままでもかなり騒がれておりました。一体いままでどうして対応、改善がなされなかったか非常に残念だ、それは。その点は大臣、どういうようにお感じになりますか。いままでの御答弁を聞いても、対応としては監視をやってきたけれど、実態すらつかめない。こういうようなことが今日までの行政の対応だったのですね、非常に残念なんです。どうですか大臣。
○国務大臣(園田直君) 一般の医療機関に対する指導、監査という問題から考えましても、これでいいかどうか疑問を持つわけでありますが、特にいま御質問の問題は、これは相当前から評判になっているところでございます。私が就任してからすぐ、これを具体的に指示したところであります。それがなお、いまのようなことでやってもわからないと、こうなると、いままでどおりにやっておったんではだめだと、こういうことになりますので、急襲的に監査をやるか、あるいは移動的な監査班をつくるか、現行制度の中でももっとやるべきことはあるんじゃないかと、こう思うわけでありますが、具体的に一つ一つを解明をして、これに対する対応策を講じてまいります。
▼○高杉廸忠君 大臣ね、私は、具体的にここでひとつ問題を提起いたしたいと思うんです。現行の医療法第六十三条では、都道府県知事の医療法人に対する権限としては、まあ法人の業務または会計の状況に関する報告徴収権のみしか認められておりません。このようなことでは十全会の資金の流れを徹底的に解明することは困難であると思えるんです。私は、この際医療法を改正をして、都道府県知事に医療法人に対する立入調査権及び関係書類の押収権を与えるなど、思い切って監督権限の強化を図るべきであると考えますが、大臣、この際御決意はありませんか。
○国務大臣(園田直君) 医療法人に対する監督権限の強化、これは先ほどから申し上げますとおり、できるならば私は各医療機関、医師の良心に従ってやりたいと思うものでありますけれども、今日のようにモラルがなくなり各所に事件が起これば、この監督権を強化をし、医療法を改正するなどもまじめに検討しなければやむを得ない状態になってきたと考えます。
○高杉廸忠君 ぜひ、私がいま提起をいたしました医療法改正についても、ひとつ前向きに決断をいただきたいと思います。大臣、決断をいただきたいと思いますが、再度いかがでしょう。
○国務大臣(園田直君) 御意見は十分拝承しまして、具体的に検討をいたします。
○高杉廸忠君 さらに続けさしていただきますけれども、何ゆえに、いままで申し上げましたような異常な医療がなされてきた、それにもかかわらず診療報酬の請求が審査段階でチェックをされずに無事に通ってきたといいましょうか、そういうことに対しての問題点と、従来の行政の対応が、十全会における治療の不当を私は隠蔽してきたところにあるのではないかと、こういうふうに思うんですけれども、いかがですか。
○政府委員(大和田潔君) 基金におきましてこれがチェックできなかったという御指摘であります。これにつきましては、実は支払基金におきまする医療費のチェックというのはなかなかむずかしいんでありますが、しかし、むずかしいからできないということではどうも通らないと。私どもといたしましては支払基金の審査体制の充実、そういったものを通じまして、御趣旨のような線で前向きに努力をしていきたいというふうに考えるわけでございます。
○高杉廸忠君 このまあ隠蔽を可能にしてきたことに、考えられることは、患者に対する面会、通信の自由等、精神衛生法第三十八条による「行動の制限」の名のもとにこれらを奪ってきたことにも、まあ私は起因しているのではないかと、こう思うんです。その権利を具体的に具体化するための措置等をこの際とるべきではないかと、こういうふうに考えますが、この点はどういうふうにお考えになりますか。
○政府委員(大谷藤郎君) 精神衛生法の三十八条では、精神障害治療の特殊性にかんがみまして、入院患者につきまして、「医療又は保護に欠くことのできない限度」におきまして行動制限を加えるということを認めているわけでございます。しかし、その行動制限の具体的なあり方というものは、患者の病状によりまして精神医療という観点から、医師によって個別的に判断が下されるべきものであると考えております。しかし先生御指摘の、たとえば通信の自由の問題につきましては、これは憲法で信書の検閲を禁じているという趣旨にかんがみまして、従来とも厚生省ではこれは「行動の制限」に当たらないという見解をとっておりまして、そういう指導をいたしているところでございます。
 また面会につきましては、これも個別の医師の判断によるものではございますけれども、限られた場面に限ってこれは認められるべきものであって、一般的には軽率にこれを行うべきものではないというふうに考えておりまして、厚生省といたしましては、研修会あるいは鑑定医の協議会等の機会を通じまして、できる限りこの「行動の制限」を加えることについて慎重に取り扱うよう指導しているところでございます。
○高杉廸忠君 過去のカルテとレセプトの突き合わせだとか、高額請求の内容の解明など、今後私は実施をしていく必要があると考えるのですけれども、そういうことについてはどうお考えになりますか。
○政府委員(大和田潔君) 先ほど御指摘いただきましたように、現在までのところ十分な突き合わせ等は行えない状況でございますが、今後必要に応じまして、十全会系の三病院につきまして個別指導を実施することにいたしたいと思いますし、その際は、御指摘の点につきましても十分配慮いたしましてやってまいりたいと、このように考えております。
○高杉廸忠君 まあ従来のその保険審査体制のもとでは、必ずしも十分な対応がなされてきていない、これはお答えをいただいたとおりでありますけれども、したがって、今後より強力な体制が必要であると、こういうふうに思います。
 そこで、大臣直轄のもとに移動Gメンとも言うべき遊軍を持ちながら、臨機応変な対応ができるようにすべきだと私は考えるのですけれども、こういう考え方についてはどうでしょう。
○国務大臣(園田直君) 機に適し、時宜に適してあるいは移動し、あるいは急襲的に目標を選んでやることが必要になってきたと考えております。
○高杉廸忠君 ぜひそういうこともあわせ、積極的なお取り組みをいただきたい、これもお願いをいたしておきます。
 さらに進めさしていただきますが、十全会系の病院、これは精神衛生法による「指定病院」、これを返上したということを聞いておりますけれども、この返上した経緯ですね。またそのことによって、精神衛生法上の適用上の何らかの相違があるのかどうか、この点ですね。
 それから、指定病院ではないことによる行政上の立ち入りの調査、監視などが実施しがたくなると、こういうふうに考えられるんですけれども、この関連との問題についていかがですか。
○政府委員(大谷藤郎君) 十全会三病院のうち、京都双岡病院につきましては四十九年十二月十六日、それから東山高原サナトリウム及びピネル病院につきましては昭和五十年の一月三十一日に指定病院の指定が解除をされております。その理由は、各病院から指定を返上するという意向を示しまして、精神衛生法第五条では、設置者の同意がない場合は指定をいたさないということになっておりまして、それによりまして指定を解除したものでございます。
 先生御指摘の指定病院と非指定病院についてどう違うか。指定病院と申しますのは、自傷、他害のおそれのある精神障害者を都道府県知事の権限によりまして強制入院させる病院でございまして、非指定病院は、それをやらない病院というわけでございます。したがいまして、措置入院に伴います諸権限というもので、指定病院と非指定病院の違いがあるわけでございますけれども、入院の場合には指定病院と非指定病院の差がございますけれども、退院につきましても当然両方とも精神病院の管理者がいたすわけでございますが、これにつきましての精神衛生鑑定医の審査につきましては、非指定病院につきましても、同意入院患者につきましてはこれを実施することができるとされております。
○高杉廸忠君 いままで私は指摘をしてきたように、違法の疑いのある医療の実態、人権じゅうりんが現在も行われている、こういうふうに思っているんです。この実態を明らかにして解明していくことこそ現在必要なことだ、こういうふうに思うんです。
 私の手元に先ほど読み上げました手紙、直訴状のほかここにも用意いたしましたけれども、たくさんの厚生大臣あてのものがあります。後で厚生大臣にお渡しをいたしますから、十分ひとつ読んでいただきたい。非常な訴えでありますが、この十全会をめぐる問題というのは一つの例にすぎないと思うんです。このような実態が解消され、解明されてこそ初めて健康保険でも新たな負担増をお願いできるというものではないだろうか、こういうふうに思うんです。大臣いかがですか。
○国務大臣(園田直君) お手紙後で詳細拝見をして、事実解明の手がかりと有力な参考にしたいと考えております。いろいろまたその後のことについても、御意見のとおりに検討してまいるつもりでございます。
○高杉廸忠君 続けてわが国の精神医療の施策の転換等についてお尋ねをしていきたいと思うんですが、いままで議論をしてまいりましたことは、何も十全会だけの問題としてとらえるものではないんです。わが国医療行政として、特に精神科医療行政と精神衛生法のおくれ、貧困を示したものである、こういうふうに思うんです。
 こういう点からさらに私は若干の問題として本委員会でただしていきたいと思うんですけれども、現在精神科の病床数はどの程度になっておりますか。また、二十年前の昭和三十五年当時はどの程度ありましたか、ベッド数ですね、まず伺っておきます。
○政府委員(大谷藤郎君) 昭和五十四年末で三十万八百十八床の精神病床がございます。二十年前の三十五年当時では九万五千六十七床、約三倍の増加をいたしております。
▼○高杉廸忠君 いま示されましたように、昭和三十五年当時の九万ですね、今日の約三十万床、三倍にも増加している、三倍以上ですね。増加した原因というのはどこにあると考えられるんですか。
○政府委員(大谷藤郎君) これは患者の治療が行き渡ってまいりましたことと、いわゆる社会保障によります公費負担を初め、社会保障の費用が充実してまいりまして入院ができやすくなった、こういうふうな両方との要因からベッド数が増加したというふうに考えております。
○高杉廸忠君 ヨーロッパ先進諸国、アメリカ等の人口当たり病床数、これはどの程度になっておりますか。
○政府委員(大谷藤郎君) ヨーロッパでも国によって多少違いますが、たとえばデンマークが人口一万人対病床数が二十一・一、オランダが十九・二でございますが、フィンランドは五十二・三、スウェーデンでは四十・五、先生御指摘のアメリカでは若干少のうございまして、十二・八、こういうふうになっているわけでございます。
○高杉廸忠君 私は昭和三十五年当時の病床数が今日の諸外国の病床数、こういうふうに思われるんです。わが国の今日の病床数は二十年前の欧米の姿ではないだろうか、こういうふうに考えられるんです。二十年前から諸外国は精神医療について入院治療に対し深い反省に立って病床数の半減政策がとられてきたと、こういうふうに思われるんですが、この点はどのようにお考えになっていますか。
○政府委員(大谷藤郎君) 先生御指摘のように、欧米におきましてはできる限り地域精神衛生対策をもって精神衛生をやっていこうということで、入院患者を減らして、デーケアその他の社会復帰の諸施設を地域で完備していくことによって、精神衛生を普及していこうという姿勢に立っております。
○高杉廸忠君 わが国では、高度成長の過程で都市化の波、核家族化の傾向、これらの人を地域社会が受け入れていくことを困難にさせてきた、こういうふうに考えられる、こういった現象も、私は高度成長過程がもたらしたひずみの一つではないだろうか、こういうふうに思うんです。この点はどういうふうにお考えになっていますか。
○政府委員(大谷藤郎君) 精神障害の範囲につきましては、異常と正常が画然と分かれるものではありませんで、その間に長い移行の部分があるわけでございますが、地域社会が、できる限り精神障害者を受けとめていくという姿勢は、従来学者からも、これはむしろ都市化の社会よりはいわゆる古い農村的な社会の方が精神障害者を受け入れやすいということが言われております。
 しかし、この問題につきましては、これは欧米ともわが国と同じように非常に困難に直面しているわけでございまして、こういった都市化の中でも、できる限り地域社会に精神障害者を適応させるという政策をもって進んでいかなければならないというふうに考えているわけでございます。
○高杉廸忠君 わが国においても、精神科医療のおくれを取り戻すべく大転換を図らなければならないときにきているのではないか、こういうふうに思うんです。そのためには、医療面では通院による医療保障の確保、それから訪問看護体制の充実が前提の条件として必要であると思うんです。また生活の面では、共同住宅の確保、所得保障のための雇用に対する配慮等がどうしても必要でありますが、この医療面、生活面でどのように施策を進めていこうとされているのか、明らかにしていただきたい、こう思うんです。
○政府委員(大谷藤郎君) 精神障害者の将来対策については、全く先生御指摘のとおりでございまして、昭和四十年に精神衛生法を改正いたしまして、保健所に初めて地域における精神衛生相談を実施する精神衛生相談員を設置し、地域社会における精神衛生センター的な役割りを担わそうということで発足いたしました。その後、そういった精神衛生相談員あるいは保健所の医師等による訪問体制というものも順次充実しようとして努力してきたところでございます。
 また最近では、社会復帰の施設といたしまして、精神病院だけではなく、精神障害回復者社会復帰施設等のいわゆる社会適応を促進する施設を設置いたしまして、これの普及を図っていこうとしているわけでございます。
 また今年度では、いわゆる精神障害者をできる限り地域社会に復帰させるという目的で、職親制度というものを検討いたそうということで、検討の委員会を設置いたしまして、関係者の方々から意見をいただいているわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、そういった方向については明らかでございますけれども、何分いろいろな事情でその発展が若干スムーズに進んでおりませんことはまことに残念なことでございますが、私どもとしては、来年の国際障害者年もにらみまして、できる限りこれの充実に努めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○高杉廸忠君 現在、通常、外来の患者に対する健康保険による点数、これはどの程度になっておりますか、再診料とか調剤技術基本料とか、こう幾つかあると思うんですけれども、点数ですね。
○政府委員(大和田潔君) 外来の、これは一日当たり平均、ちょっと先ほども御答弁いたしましたが、一日当たりは、甲表で三百七十四・七点、三百七十五点でございますね、乙表で三百六十一・七点、三百六十二点でございます。これが一日当たりの平均点数と、こういうことでございます。
○高杉廸忠君 精神科のカウンセリングそれから慢性疾患指導料、これは三十分から一時間、これは必要だと思うんですが、この点数というのはどうなんですか。
○政府委員(大和田潔君) 精神科通院カウンセリング、これが百十点、それから精神療法、これが六十点、標準型精神分析療法百二十点、それから精神病特殊療法、これは発熱とか衝撃療法、これは一日につき三十点ということでございます。それから精神科デーケア、これが百点、こういうぐあいになっております。
○高杉廸忠君 局長、いま言われました各点数を聞いていますと、この点数ではとても外来での医業というのは成り立っていかないように思うんですね。少なくとも現在の二倍ないし三倍程度は必要ではないだろうかと、こういうふうに思うんですが、現在の点数は妥当だと思っておられるのか、どういうふうにこれをお考えになっておるのかお聞かせをいただきたいと思います。
○政府委員(大和田潔君) 実は、個々の診療行為の点数につきましては、今後、診療報酬改定の際に、中医協の御審議を踏まえて検討をしていくべきものと思うわけでございますが、御承知のとおり、診療報酬点数につきましては、病院経営、これが成り立っていくように、そういうような観点から診療報酬が決められている観点が多いわけでございますが、それを見ますと、実はこれは先生のおっしゃることに対して必ずしもその方向のお答えになるかどうかわかりませんが、確かに精神病院につきましては、入院が非常に多いと、外来が非常に少ないわけでございますが、この外来収入の割合が医業収入に比しまして七・三%低くなっておるわけでありますが、実は精神病院の収支状況は非常によろしいわけでございます。これは五十一年の医療経済実態調査の結果によりますと、精神病院の収支状況は一般病院、結核病院と比較いたしまして、かなり良好というような状態になっておるわけでございます。それは先ほど申しましたように、外来収入の割合が低いという、入院が非常に多いというようなことで精神病院のあれは成り立っておる、医療機関の採算が成り立っておるということによるものとも思いますけれども、精神病院につきまする点数につきましては、まあ妥当、適正なところをいっておると、あとは先ほどのように、個々の診療行為の点数につきましては、外来につきましてどういう点数にするかということにつきましては、診療報酬改定の際に中医協の御意見を十分踏まえながら対処していくというようなことを考えてまいりたいと、かように思っておるわけであります。
○高杉廸忠君 まあ、これは外来の点でやっぱり十分な配慮をする必要があると思うんです。それから同時に、その入院患者を減少させるためには、通院の医療機関を整備していくことがどうしても必要でありますね。そのためには、総合病院に精神神経科を必置することがどうしても必要だろうと、こう考えるんですが、そういった指導を今後なされる用意があるのかどうか、この際伺っておきます。
○政府委員(大谷藤郎君) 精神障害者の通院医療機関の整備を図るということは確かに重要なことでございまして、今後とも関係の審議会に御意見を伺いまして、できる限りそういった方向で検討してまいりたいと思います。
○高杉廸忠君 まあ、いずれにしましても、わが国においては、生活面、医療面の両面にわたって従来の施策をやっぱり大転換する、そういう時期ではないだろうか。精神科病床の半減政策とも言うべき施策をやはり大胆に進めていくべきだと私は思うんです。大臣お聞きになっていたでしょうから、その点はいかが御所見を持っておられるのか。今後の精神衛生行政の課題として、私はぜひともこの際そういう方向を進めていくべきだと考えます。いかがですか。
○国務大臣(園田直君) 医療行政でいろいろ問題が起こっておりますが、その行政の中でもやはりそれぞれの科目で、たとえば産科は分娩費と異常分娩費との差額等が一つの問題になっておりますが、特に精神衛生は非常にむずかしく、また問題が複雑であると考えております。日本では病院がほとんど民間経営が主でありますけれども、相手に重い、軽いの差はありますけれども、収容される患者は判断力の低い方であります。そういう方々の日々の食事費、入院費、こういうものから上前をはねておるんじゃないかなどという地域の評判もありまするし、それから治療についてもいろいろ問題があるわけであります。やはり精神衛生対策は地域の精神衛生対策が重点になり、社会復帰、地域の人々、そうして病院の治療。病院の治療はやはり何といっても営利と全く無関係に、こういう方々のお世話をできる国立または公立が一番適当であると考えますが、急激にはそれもできませんので、いまおっしゃいました総合病院あるいは国立、公立の病院に精神科を設けるなどという思い切った変革をいたさなければ、精神病院病棟に対するいろいろな事件は後を絶たないのではないか。いまは十全会の問題でありますが、これ以外にもやっぱりそういう問題が多数あるのではないかと非常に心配をし、落ちついた気持ちになれないわけでありまして、いまおっしゃったような方向に切りかえていく時期に来たと思っております。
○高杉廸忠君 ぜひ、大臣がそういう御決意で進まれることを望んでおきます。
 それと同時にわが国の、これは当局で結構でありますが、精神科の病院というのは民間依存で、先進諸外国とはまさに国公立対私立の割合が逆になっているんですね。で、そういう際におけるそれならば国立、公立病院の役割りというのはどういうように位置づけていくのか、こういうこともちょっとあわせてお聞かせをいただきたいと思います。
○政府委員(大谷藤郎君) 国公立医療機関におきます精神科は、精神医療の分野の中で取り扱い困難あるいは先駆的、不採算といった分野についての精神医療を行うということが私どもの考えている役割りでございます。すでに現在たとえば武蔵におきます神経センターでありますとか、あるいは久里浜におけるアルコール中毒センター、あるいは静岡におきますてんかんセンターと、こういった特殊な分野で精神科医療を先駆的に行うという考え方で取り組んでおりますが、今後ともそのような方向で努力してまいりたいと思う次第でございます。
○高杉廸忠君 大臣、重ねてですね、まあ大体本件についてはだんだん終わりに近づいてきておりますので、大臣が就任早々医療機関の総点検を指示されまして国立医療機関の充足をしていく、こういうような御決意もありますし、それから、定員についてもできるだけ増員を図りながらというようなことも含め、また精神の前向きなそういうような取り組みについてのお話がありました。したがって、そういうようなことを含めまして、国立医療機関の充足を含めて、まあ総定員法の枠外に置くとか、そういう充足についての何か工夫をしてみる必要があるだろうと、こういうふうに思うんですが、大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(園田直君) 御質問の趣旨と少し変わると思いますが、私は、国立病院、公立病院の使命がだんだんはっきり現実から浮き彫りにされてきたと、こう考えております。いままでは国立、公立の病院と一般病院は同じような性格であったのが、今後は、一般病院ではなかなか片のつかない慢性、長期の病気、あるいは一般病院ではやれないいろいろな高級機械を要するもの、あるいはプロジェクトチームをつくって治療するもの、こういうものが国立、公立であって、一般の病院、一般の個人開業のお医者さんの扱うことを国立や公立が余り扱うべきではない、非常に大まかな区別でありますが、そういう方向で国立、公立の位置づけをやっていかなきゃならぬ、こう思います。
 定員については、私自身が非常に問題を感じておるところでありまして、国会が終わればすぐ予算折衝に当たるわけでありますが、その重点の中に、いまおっしゃいました厚生省の抱えておる定員の矛盾、これをどう少しでも解決していくかという検討をきのう命じたところでございます。
○高杉廸忠君 精神関係について最後に大臣にお答えをいただくようにお願いをし、質問をいたしたいと思うんですけれども、精神障害者対策と保安処分についてであります。
 奥野法務大臣の発言を機に、刑法改正に保安処分を絡ませて、精神障害者対策を治安維持とか社会防衛の見地からのみ律しようとした動きが出ております。これこそまさに時代に逆行するものであります。そもそも精神障害者の問題というものはすぐれて医療、福祉の問題であると私は理解をいたしております。厚生大臣の立場からこの問題に対する御見解を承り、このことによってこの問題に関する質問をこの程度にとどめたい、このように思います。
○国務大臣(園田直君) 多発する犯罪、ごく最近は新宿のバスの焼き討ち事件など恐るべき事件が起こっております。こういう事件について厚生省としては、今後とも精神衛生法の趣旨にのっとり、精神障害者に対応する医療と保護及び適正な社会復帰に重点を置いた政策の充実に努めていく所存でありますけれども、一方また、刑法改正の問題として現在論議されておりまする保安処分というものは、間違えますと、かつての予備拘束であるとか、あるいは一定のことに対する拘禁ということに使われるおそれもあることであります。しかしながら、一方また、犯罪のおそれのある精神病患者を野放しにしておくことは大変でありますから、そういう両方の意味から、精神障害者の再犯防止という点に重点を置いて、そして障害者の適正な医療の確保、解決すべき点等考えながら、関係省とよく緊密に連絡をしていきたいと考えております。

◆1980/12/01&02 医療監視

●94衆 - 本会議 - 3号 昭和56年01月28日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=5&DOC_ID=4352&DPAGE=2&DTOTAL=47&DPOS=35&SORT_DIR=1&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345
○飛鳥田一雄君 私は、日本社会党を代表して、鈴木総理の施政方針に関し質問をいたします。
[…]
 次に、医療問題について申し上げます。
 最近の医療の実情は、富士見産婦人科病院事件、十全会事件などの事例が示しておりますように、荒廃のきわみに達した感があります。政府は、さきの臨時国会で、これらの事件に対する解明をわが党に約束せられたのでありますが、今日まで何ら実質的なことは実行せられておりません。この際、法規に照らして厳正な措置を行うべきであります。この点も総理の御意見を伺いたいと思います。
 御承知のように、わが党は、医療制度改革のため、すでに地方自治体による医療法人の監査、点数出来高払い制度を改めるホームドクター制、薬価の引き下げなど、具体的な提案をいたしております。これによって不当に高い薬価を実勢価格にまで引き下げ、薬づけ、検査づけの医療をなくし、差額ベッドや付き添い費負担の問題を解決していくことが必要であると考えるのでありますが、総理の詳細な御見解をいただきたいと思います。
[…]
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕

○内閣総理大臣(鈴木善幸君) 飛鳥田社会党委員長の御質問にお答えいたします。
 […]
 富士見産婦人科病院、十全会などについては厳正な措置をとれとの御意見でありましたが、一部の医療機関に国民の医療に関する信頼を失うような行為が見られたことはきわめて遺憾であり、違法な行為が明らかになったものについては法令に照らして適正を期しているところであります。
 検査づけ、薬づけの問題につきましては、医療費の効率的使用が図られるよう諸般の対策を推進してまいります。また、差額ベッド、付添看護婦等保険外負担の解消につきましても、今後とも一層努力してまいります。
 […]

●94衆 - 予算委員会 - 6号 昭和56年02月09日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=5&DOC_ID=4459&DPAGE=2&DTOTAL=47&DPOS=34&SORT_DIR=1&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345
 川俣健二郎 かわまた けんじろう、1926年7月5日 - )は、日本の政治家。元衆議院議員。秋田県湯沢市(旧稲川町)出身。議員当時は日本社会党に所属。
 林義郎

○川俣[健二郎]委員 午前中に医療、福祉問題が幾つかの例を挙げて取り上げられておりましたが、私たちの党はここ十年この方取り上げて政府の対策を迫ってまいりましたが、それは医療法人十全会、この問題が京都府政の指導下にあっていろいろと論議されてきましたが、厚生省はそれなりに手を打ったようであります。
 そこで問題は、これでは事足りないという態度で伺いたいと思うのですが、その前にこの補正で特に明らかにしておきたいのは、予算の審議の場において、例の世を騒がせた所沢市の北野の富士見病院、これを私はいろいろとパネルを出させてもらったりして伺ったのですが、これには政治倫理というのも絡んでおったし、医療荒廃という問題も絡んでおったし、もちろん傷害事件という、患者同盟がいま訴訟を起こしている状態でありますが、その後のてんまつというか、どうなっておるのか、ここで伺って、それから質問に入りたいと思います。
 […]
○川俣委員 まあそういう性格だということがわかった。
 そこで、十分会の、私たちがいままで指摘してきた問題、医療法人十全会、先ほどの政治姿勢からもう一つ伺いたいのですが、私たちが一々指摘してきましたが、事務当局は十分知っておるのですけれども、時間がないので申し上げませんが、簡単に言うと、売り上げの五十五億から四億五千万、それから七十六億の売り上げから十二億二千万、こういうような利益を上げておるし、それから、問題の信託銀行の大口融資、それから土地買い、取得。家屋取得、買い。さらに加えて、老人をベッドに拘束する、いわゆる練る。こういったような問題をいろいろといままで指摘してきたのだが、われわれが指摘してきたことが、どうですか、事実でありますか。

○田中(明)政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘のベッド拘束その他不当な医療行為につきましては、昨年、京都府並びに京都市がいろいろ調査した範囲におきましては、認められておりません。

俣委員 そうすると、そのほかはほとんどよろしいですか。

中(明)政府委員 お答え申し上げます。
 土地の買収につきましては、われわれ、京都府に、十分会の財務内容の調査という観点から、特に建設仮勘定が異常に多額であるという点に目をつけまして、それに関して詳しい調査を行ったところでございますが、建設仮勘定が異常に多いということで、この実態は医療法人が赤木個人あるいは関連産業が保有しております固定資産購入の契約をいたしまして、その購入契約額のほとんど全額を支払いながら購入を完結せずに、建設仮勘定というような形で長期にわたって実質上お金を赤木個人あるいは関連会社に流していたというような事実が判明いたしました。

○川俣委員 そうなると、私はさらに聞きたいのだが、せっかく園田厚生大臣が再登場しまして、前の厚生大臣はどうやっておやめになったかということはきょうは触れませんが、再登場いたしまして、先ほどの富士見病院もああいう形で閉鎖命令という強い態度に出た。当初はできなかったけれども、厚生大臣はそういう意味においては大変評価できると思う。
 そこで、今度はさらに厚生大臣の指導のもとに、ひとつ警察庁あるいは大蔵省、三省庁の連絡協議を密にしてもっと医療監視体制を強めるというところまでいって、そしてあなた方がしている四十二条、いわゆる医療法人がやっちゃいけない範囲、六十四条業務停止命令、その打っちゃいけない業務をまだ停止してないという場合には、その医療法人の認可を取り消しすることができるという六十六条、ここまで割り切っているのはやはり何らかの根拠があってでしょう。いまの説明だけでは、ちょっと疑いのにおいがあるという程度じゃ、これだけ強いあれにはいまの法律では出れませんよ。

中(明)政府委員 先ほど申し上げましたとおり、建設仮勘定という名目でもって非常に多額の金が医療法人から赤木個人あるいは関連産業へ流れているということは、医療法人の財務調査で認められたところでございますが、その赤木個人あるいは関連産業に流れた金が何に使われているかということにつきましては、さらに詳しい調査を必要とするわけでございまして、現在の調査の結果をもってしては非常に疑わしい行為である、あるいは巧妙なる脱法行為であるということは考えられるわけですが、医療法人の金が株の買い占め等、医療法人にふさわしくない事業に使われたということをずばりと立証するというところまでは至っておりません。

俣委員 つまり、こういうことなんでしょう。医療法人の名前で土地を買った。普通の不動産というのは一割の手付金、そして九割を一年以内にやって固定資産に載せる。ところが、この人の買い方は道なんだな。九九%を買った形にして金を払い、あとの一%をそのままにして、したがって資産に上げなくたっていい、建設仮勘定でよろしいという手だてをとって法の盲点をくぐったわけだ。これはおかしいというので調査に入ったが、いまの医療法の範囲内では、立入調査権というのは病院の運営というかやり方、限度はここまでなんだね。そうですな、局長。ところが、医療法人いわゆる経営しておる帳面を見るとかそういったものの調査は、徴収する徴収権、聞き取るというところまでしかできない。したがって、あなたは改善命令権もない、役員の解任権もないんだから、いまの制度は。
 そうなると大臣、どうなんです。何らかの手だてをしないとやれないと思うのですよ。その辺なんです。せっかく厚生大臣がいま、非常に姿勢を正して医療にメスを入れようという段階ですから、その辺を確認したいのです。これは総括質問では深く入りますけれども、どうか。

俣委員 そこまでおっしゃられるのでしたら、これ以上内容に具体的に入りませんが、そうしますと、いま医療法ではどうにもならない。こんなものなんか本当に氷山の一角だと思われていますから、ここで大きな声を出せば富士見でも十分会でもそういう手だてをとれるが、恐らく全国的には、医療産業化というのは本当にたくさん、数え切れないほどある。こういう現状の中でどうしたらいいかということになると、先ほど申し上げましたように、一つは医療の監視体制というか医療制度そのもの。もう一つさらに申し上げたいのは、医療道徳というか、このごろ日本医科大学の裏口入学なんかもちらほら週刊誌に出ております。あるいは北里の寄付金の問題だって医学部の病院でございますけれども、本当に根本的にこういう医療というものにメスを入れない限りは、とてもじゃないが、将来健康保険制度も論議されることだが、幾ら健保料を上げてみたところで、こういうところのしり抜けをやったらだめだ。これは毅然たる態度でやると言ったって、ここで一々例を挙げれば、そのとおりでございました、やっぱりそのとおりでありましたので閉鎖命令を出しました、これが現状なんです。
 それじゃ確認しますよ。いまの立入調査権というのは病院の運営だけではあるが、医療法人そのものにも調査権を持てるようにする、そして改善命令を行う、役員の解任権などもうたった医療制度の改正に着手する意向があるということをひとつここで確認できれば、私はこの質問を終えたいと思うのです。

田国務大臣 ただいま御指摘の点について、改正をするつもりで検討を行っております。
 なお、答弁が長くなりますけれども、いろいろ問題がありますが、二つ大きな問題があると思います。
 一つは、私としては医療を産業にしてはならぬ。銀行が金を出して、べらぼうなビルディングの病院をつくって、高い機械を据えつけて、それの減価償却のために銀行と経営者が一緒になって他の方向へ、営利の方へ進む、この医療が産業化することは断じて防がなければならぬ。こういうためには、医療法人の監督もさることながら、やはり金融機関が良識と自制心を持ってやることが大事でありまして、われらが守らんとする自由主義社会は、これが健全に発展するかどうかは、一に銀行が公的機関であるということを認識して、そして良識と自制心によって金融を運営するかどうかによって決まると思います。今度の十分会を中心にした問題を調べてみますると、相当有名な銀行が、もうかるということで金融をしている。そして、その金融でだんだん太って株を買い占められて、今度は自分の銀行の系列の会社の株を買い占められて、自分が金を貸して今度は逆にあたふたしている。こういうことはまさに笑止千万なことでありまして、これは大蔵省にお願いして、今後銀行はぴしっと締まっていただかなければならぬ、こう思うのが一つの問題。
 もう一つは、立入検査あるいはその他の強化もございます。しかしながら問題は、やはり医療というのは技術に関することでありますから、大多数のお医者さんがそうであるように、お医者さんの良識と自制心によって行われるべきものであって、権力をもって弾圧すべきものではない。しかしながら、それを行わせるためには、こういう著明なものは断固としてこれをたたく。
 こういう二つのことが私は必要だと考えて、今後もやるつもりでおります。

俣委員 そこで、大臣のそういう積極的な姿勢を政府として全体で裏づけていただく意味で、いま厚生大臣もいみじくも言ったが、もうけるという意味ででたらめに銀行が金を貸しておる。何といったって医療産業化というのは金融が先なのだから。こういったものを十分会、医療法人の調査に当たって銀行局はある程度認められますか。是認できますか。

○米里政府委員 金融機関の社会性、公共性の観点から見まして、金融機関が社会的信頼を損なうような融資を行うということについては厳に抑制的に取り扱うという一般的な方針で、私どももしばしばこれに関連いたします投機資金、思惑資金あるいは投機的な土地取得資金といったようなもりを抑制するように指導しているところでございます。
 十分会の問題につきましては、これは個別の取引の問題でございますけれども、金融機関から見ましての担保保全面という点は十分配慮されておりますし、特に金融機関が投機的な有価証券取得を資金使途として貸し出したという事実はないというふうに私どもは認識いたしておりますが、なお今後、金融機関の公共性にかんがみまして十分任意して指導してまいりたい、かように考えております。

○川俣委員 そうしますと、せっかく厚生大臣が中心になりまして、厚生省、大蔵省、それに警察庁、こういう三者の体制で医療制度にメスを入れていくというお話は承りましたが、この予算委員会が終わると各委員会でこの問題は、健康保険法改正問題でかなり論議が深められるとは思うのだが、できれば近いうちにある程度そういったような考え方が、私の総括質問は後にありますけれども、そういう期間内に出るかということをここで確認しておきたい。
 それからもう一つは、これは私の方の提案ですが、いま日本の国にせっかく医療監視員というのが各地方にいる。ところが、医療法というのは、これは厚生大臣の責任だ。医療法の責任は厚生大臣にありながら、医療監視員の所轄は各県知事にある。
    〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕だから、所沢の富士見病院の問題でも、早く監視に行ってこいと言ったって、自分が監視員を持っていない。命令権もない。指示系列がない。そこで、これが何人ぐらいいるかというと、全国に五千人いる。ところが、その五千人はほとんど、ここで追及されて初めて動いているという状態なんです。ところが、各地域における医療の荒廃というか、大変な各町村の国民健康保険の赤字というものは、どうやらその辺にメスを入れていかないと片づかないんじゃないかというのが私たちの受けとめ方です。
 そこで、私の提案は、ひとつ医療法を担当する責任者である厚生大臣の直轄のもとに医療監視員という体制を組織化する必要があるのじゃないか。この論議は行政管理庁もお客さんになるが、ひとつぜひこの問題を検討して、次の私の質問の際にある程度の御意見を伺いたいと思うのです。これは新提案でございます。大臣、よろしいですか。

○園田国務大臣 今度、富士見病院、十分会病院その他の問題が起きまして、責任は厚生大臣にあるが権限、監督実施の問題は各都道府県知事が持っておる、そこで県あるいは府と連絡をしながら進めていくということで、こういう何か急にものが起こった場合には非常に不便を感じ、御発言のとおりの気持ちがいたします。しかしながら、実情把握という点についてはやはり地元の府県がよく知っているわけでありますから、いま直ちに監査課みたいな組織を厚生省でつくることがいいか、あるいは権限はいまのままにして、これを統括をする何か特別なチームをつくったがいいか、あるいは新制度をつくったがいいか、十分検討いたします。

○川俣委員 私は本当に自分でそう信じているというか、自分だけかもしらぬけれども、せっかくいる五千人の監視員というものを医療法の使い走りとして先になってやらせる、やるということでなければ、こんなのは氷山の一角じゃないかという声が多いだけに、私たちはそう思っています。そういう上に立って健康保険法というものの改正を審議しなければいかぬ。これは私の考え方ですから、ぜひまた後日の質問の際にも、ある程度のそういうめどがついたらさらにお話を承りたいと思い、この問題はこれで打ち切りたいと思います。[…]

●94衆 - 本会議 - 5号 昭和56年02月10日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=5&DOC_ID=4354&DPAGE=2&DTOTAL=47&DPOS=33&SORT_DIR=1&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345

○小山長規君 ただいま議題となりました昭和五十五年度一般会計補正予算(第1号)外二件につきまして、予算委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。
 […]
 以上のほか、総理のASEAN訪問その他の外交問題、物価と年金との関係、社会保障と所得制限、薬価基準の改定、十全会病院事件、武器輸出問題などについて熱心な質疑応答が行われたのでありますが、詳細は会議録により御承知願いたいと存じます。

●94衆 - 予算委員会 - 11号 昭和56年02月18日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=5&DOC_ID=4464&DPAGE=6&DTOTAL=180&DPOS=103&SORT_DIR=0&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=20520

○草川委員 では、以上で、とりあえず海外基地の問題は終わりたいと思いますが、いま建設大臣の答弁に私は非常に不満でございます。通産の方は通産なりに、今度の問題についていわゆるジャッジというのでしょうか、一応対応のためのいろいろな会を開こうということも言っておみえになるわけでありますから、私は、建設の方も具体的な問題について国民の皆さん方に明らかになるように、そしてまた諸外国の方々にも理解ができるような具体的な対応を立てられるということを強く望んで次の問題に移りたい、こう思います。  次は、時間の関係等もございますので、医療問題に入らせていただきたい、こう思います。
 まず簡単に医療問題について、過日も十分会[→十全会]問題等が具体的になっておりますが、医療の産業化という問題が、いま非常に大きな問題になっております。この医療の産業化というものについては、医療というものが金もうけの対象になるということは絶対許されないことでございまして、私どもは、とうとい人命をお預りをするお医者さんあるいは病院等が正しい運営、そしてまた、安心して経営ができるようなそういうものも支払いながら、保健行政あるいはまた医療行政というものはやられなければいけないわけでございますが、どうもながめておりますと、最近、医療の産業化というものが少し露骨になり過ぎておるのではないだろうか、こういう感じがするわけでございます。
 いま皆様のお手元に資料をお配りをしたと思いますけれども、この資料を見ていただいてもおわかりのとおりに、先ほどの財投の方にも関係するわけでございますけれども、開発銀行の融資が非常に医療の方にも流れてきておる。これは果たして開発銀行の本来のあり方にマッチをするかどうかという問題提起をしたいわけであります。
 […]
 たまたま、ここに日本リースという会社がありますが、これもリース専門で「はまなこ病院」というものに出資をいたしまして、この「はまなこ病院」というのが、実はこれは老人専門病院でございます。ミニの十分会病院のようなものでございますが、これが倒産をいたしました、五億円で。病人が、寝たきり老人がたくさんおみえになるまま競売に付されたわけであります。病人つきの競売になったわけです。その大口債権者というのは日本リースなんです。いまお医者さんは、リース会社が医療器具はほとんど持ってきてくれますから、お金を出さなくてもリース料だけで病院経営ができますから、簡単に新しい機械を買われる。これが実は保険財政を大変圧迫をすることになるのではないか。一番右に、これも埼玉県の診療所志木クリニックというのがあるのですが、これもつぶれたのです。これもオーナーはリース会社なんです。
 この医療リースという問題は、通産省にお伺いをいたしますが、通産省はリース産業発展のために、医療もやれと言って制度融資をやっておみえになるわけです。ICUのような救急医療なんかも、補助金出してリースやれ、こう言っておみえになる。一方ではプレッシャーがかかるわけです。ところが、受ける方の保険財政というのはどうなるかというと、保険の方はたまったものではないです。お医者さんは、レントゲンであろうが、断層写真なんかも新しいものを欲しいわけですから、リースの方がいいじゃないか、いいじゃないかと言って、結局高いものになってしまう。そして、医療産業というのはもうかるから、さあ新しい、付加加値の高い医療機器をつくって売ろう、こういうことになるわけです。
 この犠牲をどこか裏で開発銀行が支えておるとするならば、それはもう本来の政策目的でないじゃないか。かえって日本の医療というもの、保険というものの首を締めるために開銀は積極的な営業活動をやっておるのじゃないかということが出てくるわけです。いやらしい言い方ですけれども、結果としてはそういうことになるわけです。だから、医療の産業化という問題についてどう考えるのか、あるいは少なくともこのようなリースの問題について、私は、国立病院だとか大学病院は避けてやっていただきたいと思うわけでございます。
 通産省にちょっとお伺いをいたしますが、制度融資等もやっておみえになりますが、国立病院だとか大学病院にリースをどの程度使われておるのか、お伺いしたいと思います。

○田中(六)国務大臣 御指摘の開銀融資、つまり制度融資でございますけれども、五十三年度、五十四年度両年度で約一千七百件ぐらいございまして、国立病院関係は十二件、全体の約一%程度が現状でございます。

●94衆 - 予算委員会 - 12号 昭和56年02月19日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=5&DOC_ID=4465&DPAGE=6&DTOTAL=180&DPOS=104&SORT_DIR=0&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=20520

○野坂委員 いまお話がありましたように、一つの計算方法であるということでありますが、私どもも、一番初めの武藤さんのときの質問で案を提示して、弾性値の問題とかあるいはGNPの一一・七%とか、それよりも現実味を帯びたいまの状況から判断をしてやってくれば、そのような大きな税額、要調整額というものは出てこないのじゃないか、こういうことを提言しておりますので、大蔵大臣の方もこの点については十分御検討をしておいていただきたい、こういうふうに思うわけです。
 次に、最近、新聞をにぎわしております私立の医科大学の入学をめぐりまして、いろいろなことが出されております。
 私は、この際お聞きをしておきたいと思いますのは、お医者さんというのはずいぶん金がかかるものだ、こういうふうなことを国民は実感として感じたであろう。それから、医は仁術だ、お医者さんというのは非常に崇高で、人の命を預かっている、こういうふうに思われるわけであります。また、私たちもそう思っております。しかし、最近の富士見病院とかあるいは十分会とか、わずか一部の人たちによって医師会なり歯科医師の皆さんのイメージが非常に悪くなっておる、こういうのが実情ですね。しかも今度の事件です。この点については大多数のお医者さん、大多数の医学生なり歯学生というのは大きな迷惑を受けておるだろうと思うのですね。全く、そういう点については、どこで物を言っていいのかわからぬという焦りと怒りさえお感じになっておるだろうと思います。だから、一部のために大部分の皆さんがそのようなイメージダウンをするということは許されない。
 そういう意味で私はこれから質疑に入りたいと思うのですが、いまの医療費というのは、今年度はざっと十二兆円でございますね。来年度は十四兆円になるんじゃないかと言われております。これは大体、平均して一五%程度上がっております。賃金は六・五%とか七%とか八%とか、その辺ですと倍額程度上がっているわけですね、医療費というのは。だから非常に生活がやりにくくなってくる。医者代というのは、毎年一五%程度診療費が上がっておるわけですが、このお医者さんの点数の問題がいろいろ問題になってまいります。
 大蔵大臣、前に厚生大臣をしていろいろとここでやられたことがありますけれども、その辺はどういうふうにして間違いなく――診療報酬支払基金というのがありまして、チェックをすることになっております。十分チェックしてあるだろうかということが疑惑として出てくるわけですが、その辺は厚生大臣は、監督者の立場でどういうふうに進められておるでしょうか。

○山本(純)政府委員 私の担当でございませんのですけれども、ただいまの御質問、私が承知しておりますのは、医師の診療報酬請求は、各県に診療報酬支払基金という機関がございまして、そこに支払い報酬審査の委員の先生方をお願いいたしておりまして、これはいずれもその地域の信頼のある一流の先生方のメンバーでございます。そこで内容については審査、チェックをしていただいておるというふうに理解しております。

●94衆 - 予算委員会 - 13号 昭和56年02月20日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=5&DOC_ID=7601&DPAGE=6&DTOTAL=180&DPOS=105&SORT_DIR=0&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=20520

○中村(茂)委員 そういう意味で、地価の安定についての法的、政策的な対応について、ここで私の考え方を申し上げながら検討してみたい、こういうふうに思うのです。  その前に、この国土利用計画法に関連したことで一つお聞きいたしますが、京都で問題を起こしました十分会は、五十三年、この時期を中心にして株の買いあさりに走った。この時期を中心にして、土地投機を目的にして約四十件、金額で約六十二億円の不動産の取引を行っているわけであります。そのうち五件が国土利用計画法違反、こういう物件になっております。
 この違反の土地の内容、それからそれに対してどのような措置を行ったか、対応策についてお伺いをいたします。

○山岡政府委員 十分会グループの行いました土地取引の中で、国土利用計画法第二十三条の届け出義務に違反して行われた取引五件、約三・四ヘクタールあるとの報告を受けております。
 これらの取引につきましては、いずれも調査時点におきましてすでに解約済みになっておりまして、仮登記も抹消されていますので、いわば実質的な違法性は形式的には治癒されております。
 しかしながら、十分会の問題につきましては、すでに京都府から、医療行政上の観点を中心といたしまして行政指導がなされておるところでございますが、国土利用計画法上の措置につきましても、総合的な判断のもとに適切な措置をとるように、京都府及び京都市に対しまして指導しているところでございます。目下、両団体で検討いたしているところでございます。

○山岡政府委員 十分会グループの行いました土地取引の中で、国土利用計画法第二十三条の届け出義務に違反して行われた取引五件、約三・四ヘクタールあるとの報告を受けております。
 これらの取引につきましては、いずれも調査時点におきましてすでに解約済みになっておりまして、仮登記も抹消されていますので、いわば実質的な違法性は形式的には治癒されております。
 しかしながら、十分会の問題につきましては、すでに京都府から、医療行政上の観点を中心といたしまして行政指導がなされておるところでございますが、国土利用計画法上の措置につきましても、総合的な判断のもとに適切な措置をとるように、京都府及び京都市に対しまして指導しているところでございます。目下、両団体で検討いたしているところでございます。

○山岡政府委員 先生のお話のとおり、当分の間そういう違法の状態が続いたということはそのとおりだと思います。もっと早く無届け事犯を発見しなければならないわけでございますが、実は無届け取引の発見のためにはいろいろな手だてを尽くしております。
 一つの方法といたしましては、不動産の登記が終わりますと、市町村あてに登記済み通知書が参ります。その登記済み通知書の閲覧ということが一番基本でございますが、そのほかに森林法、都市計画法、農地法、いろいろな法律がございますが、それらの法律によります土地利用の転換に当たりまして、関係部局がお互いに連絡をするというのが二番目の発見方法でございます。三番目といたしまして、各種広告物等の情報を収集いたしまして現地を見て発見する。一部は地元の方々の通報等にもよる。
 こういうふうなことで発見するわけでございますが、この件につきましては、仮登記ということでございましたので登記済み通知書になかったこと、それから、医務当局の方で早くからわかっておったようでございましたけれども、内部連絡が若干不十分であったこと等が原因であったと思って反省いたしております。今後におきまして、そういうようなものの発見に十分力を尽くすように、現地にも強くお願いしておるところでございます。
 それから、処分ということでございますけれども、ただいまのそういうふうな違反事例にとりまして、無届取引等事務処理基準という相当厳しいものを示しておりますけれども、その中で、いろいろな違反の態様等によりまして始末書の徴収、是正指導、注意書による厳重注意、告発といった四段階ぐらいを考えております。
 それで、法の不知のためにそういうふうなことを受ける方もございますし、今回の場合等につきましては、そういうふうな違反の中身等につきまして、先ほど御報告をいたしましたとおり府と市の両方にまたがるものでございますので、両者でいま合議しながらその処分について検討中というのが現状でございます。

 […]
○中村(茂)委員 先ほどの十分会の無届けも、行政管理庁からいま指摘されている無届けの一つですね。こういうふうに指摘されているように、まだまだ全国的に相当あると思うのですよ。ですから、こういうものが出てきたときには厳しい対応をしておかなければ、また無届け、見つかったらそれを返してしまう、こういうことではいかぬ。それはいま報告があったからそれにつけ加えたわけですけれども、要は、特に三大都市圏について、いまの国土利用計画法を土地の規制の面とそれから需給の面からよく検討しなさい、こういうふうに言っていると思うのですね。いま土地というものをいろいろ考えてみた場合に、やはりこの国土利用法も五年、六年というふうにたってきたわけですから、通知のように見直す時期に来ているのではないか、こういうふうに私は思うのですが、所管の国土庁はどういうふうに考えておりますか。

○山岡政府委員 行政管理庁からの御指摘の点につきましては、すべて改善をしたというふうに私ども現在考えております。
 なお、残る問題といたしまして、規制措置の強化の検討ということが示されておるわけでございますが、特に改善の中で示されましたものは、国土法二十三条の届け出制の免責要件、現在、市街化区域内でございますと二千平方メートル以上ということで運用をいたしておりますが、その問題につきまして、もう少し引き下げることを検討すべきではないのか、検討したらどうかという御提案をいただいております。
 この点につきまして、国土利用計画法の届け出の現行基準二千平方メートルを決めます際には、先生よく御案内のとおりでございますが、四党の共同提案ということで現行法はできておりますけれども、その審議の過程におきまして、都道府県の事務処理能力、それから大規模取引の規制をやっておけば他のものにも波及するだろうという効果、他の法令との並び等を総合的に勘案をされまして、最も適切なものとして定められたというふうに私ども承知いたしております。
 最近の地価の動向は、民間住宅建設の動き等もありまして、土地をめぐる諸指標を見ますと、現段階で直ちに対象面積の引き下げが必要かなという点につきましては、私ども、そういう状況にはないのではないかと思っております。したがいまして、当面は現行法の定着と完全な実施ということを中心に行ってまいりたいと考えておりますけれども、御提案の趣旨は十分承知をいたしておりまして、絶えず地価の情勢を見ながらその点につきましての検討を続けておるというのが現状でございます。
 なお、もう一つの点といたしまして、規制区域の指定要件である投機要件等を外すことはどうかというようなお話がございますけれども、これにつきましては、やはり土地投機の集中による急激な地価の上昇ということが、土地を商品として取り扱うという反社会的なことが前提であるということからこの立法が行われたというふうに私ども承知いたしておりますので、実需を中心といたします最近の土地問題に対しましては、そういうふうな強権的な措置が直ちに正しいということではなくて、やはり宅地の供給をできる限り促進していく、投機を抑えるということが目下の急務であるというふうに考えておる次第でございます。

◆1981/02/21 改善計画を京都府に提出

●94参 地方行政委員会 - 4号 昭和56年02月24日

○佐藤三吾君 それでは、きょうはいろいろ問題があるものですから、次の問題で質問したいと思います。
 最近の医療の荒廃というのが非常に、新聞等でごらんのように、大変なものがございます。たとえば埼玉の富士見病院、これはもう中身については言うまでもないと思う。自治大臣であり国家公安委員長であった澁谷さんまでこれに絡まっておる。時の厚生大臣もこれに絡まっておる。そのため厚生大臣が首になるという事態も引き起こしておる。それだけじゃなくて、診療報酬のネコババであるとか――きょうもテレビで東京の歯科医師がやられていましたね。そのほかに、京都の十分会の事件が出ておりますし、さらにまた、熱海の国立病院の医師が暴力団の親分のにせ診断書を書いて賄賂をもらっておった、こういう事件も出されておる。今度は医師の卵になる医大の入試の問題で、日本医大が出てくる、北里大学が出てくる。さらに次々に、私立の大学の実態を見ると、ここら辺からもうすでに腐敗、荒廃というのが始まっておる。そういう実態が明らかにされて、私ども非常に残念でならぬわけです。
 これは、私は、特定の大学とか、もしくは特定の悪徳医師というだけではない、医療の全体に広がっておるような気がしてならぬわけです。なぜかと言えば、毎年の所得番付を見ると、ベストテンはほとんど医者がずらっと並んでいます。これは私はそういう面から見ると、日本の医療というのは、営利医療というか、そういうものに突き進んでおるのではないか。もっと言うと、そこからすべてが出てきているのではないか。そういうふうに私は思うのですが、そういう中で、この営利医療というものを一体どうしたらいいのか。私はやっぱりどうしても医療の社会化、公営化というものが軌道に乗っていかなければならぬと思うんですよ。それ以外に防ぐ方法はないのではないかという感じがしておるわけです。それにおまけがついて、自民党さんが中心になって、医師優遇税制と、こういうおまけまでついておる。
 大臣に私はお聞きしたいと思うんですが、こういう中で、どういうふうにしてこの営利医療、不正腐敗というものを医療の中から追放して、本当に国民の命と健康を守る、そういった医療体制を確立すべきなのか。その中で特に、大臣所管の自治体病院ですね、公営医療、これらの問題についていま基本的にどういうお考えを持っておるのか。私は、公営医療というのは、たとえば僻地もしくは採算がとれないところを含めて、いまいろいろな部分で活躍をしておることと思うんですが、そういった、採算を度外視してでも国民の健康と命を守る、そういう医療に徹すべきじゃないか。医療が荒廃しておるだけにその任務は大きいのではないかというふうに思うわけですけれども、まず、大臣の公営医療に対する基本的な見解をお伺いしておきたいと思うんです。

○国務大臣(安孫子藤吉君) 公営医療の問題は、現下の状況におきましてはきわめて重要な問題でございまして、自治省といたしましても、この公営医療事業に対しましてはそれぞれの措置を講じておるところでございます。採算点から申しますとなかなか苦しい事情もある。医療費の値上げという問題が常に起こりがちであるというような点から、病院の経営もなかなか困難な事態も生じておるのは御承知のとおりでございます。
 そこで、自治省といたしましても、そうした公営医療事業等につきましては、一般財源をある程度はつぎ込んででも地域社会におけるところの医療に対してその使命を果たしたいというようなことで、財政的な措置も一部議しておる、こういうことの方針をとって措置をしておるところでございます。

○佐藤三吾君 医療の荒廃の面についてはどういうふうに考えておりますか。なぜこういう問題が起こってくるのか。大学から……。

○国務大臣(安孫子藤吉君) こういう問題が起きる原因というものは、それは制度の問題もございまするし、あるいはまた医師自体の自覚の問題もあると思います。社会的な環境もあると思います。そういうものが重なり合いましてこういう思わしからざる事態が出ておる、こういうことでありまして、これは多面的にこの問題の解決のために政府としても努力をしていかなくちゃならぬ問題だと思います。同時にまた、医師自体の自覚という問題も欠くべからざる大きな要素だろうと思っております。

○佐藤三吾君 いや、私がさっき言っているように、医師の卵のときから不正入学が始まっておるわけですね、いま出ておるのは。そうでしょう。そして、それが大きくなると、埼玉の産婦人科になったり、十分会になったり、診療報酬の不正請求をやったり、こういう事件が次々起こってきておる。そしてそれを証明するように、全国の所得番付を見ると大体ベストテンにほとんど入っておる。それに御丁寧に、政府は医師優遇税制というものをおまけをつけておる。こういう実態というものがまさに営利医療になっておるのじゃないか。そのことについてあなたはどう考えるのかと、こう言っておるわけです。

○国務大臣(安孫子藤吉君) かつては医は仁術だと、こう言われておりまして、そうしたことでもって社会の医療行為が行われておったわけでございまするが、これは一面、時代の風潮もあると思いまするけれども、その気風がだんだんと薄れておるということも一つの大きな原因だろうと思います。したがいまして、やはり医師自体の自覚の問題がありまするし、また、制度的にもそういう問題を促進をするような、そうした施策も講じていかなくちゃならぬだろう、こういうふうに思っております。

◆1981/02/27 十全会グループに対する行政措置

●94衆 - 大蔵委員会 - 8号 昭和56年02月27日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=5&DOC_ID=4428&DPAGE=2&DTOTAL=47&DPOS=32&SORT_DIR=1&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345

○塚田[庄平]委員 […]
 そこで、証券局でございますが、さっきいろいろと、これからの証券業界の姿勢を正すための方策を二、三言いました。今度のいわゆる誠備グループの事件、これはいま脱税で、そのうちの特定の人がやられております。やられてというのは大変失礼な話なんですが、しかし私は、証取法の百二十五条、つまり相場操縦の禁止規定ですね、これとの関係をやはり証券局としては注意しなければならぬと思う。のみ行為ではないと思いますけれども、少なくともこの相場操縦、いわゆる仕手戦というのは、相場を操縦するのですよ。もうあの事件は仕手戦ということに、世間的な常識になっておりますね。
 そして、この仕手戦から来るいろいろな事件というのは、過去にも例がありました。あるいは殖産住宅の問題、あるいはまた、先ほど申しました高島屋の問題、あるいはヂーゼル機器の問題、宮地鉄工の問題、十全会グループの問題、これはもう数え上げると切りがないのですよ。そういうことについて百二十五条違反として、あるいは違反に近いものとして、証券局はこれに対して適正な指導をしたか、あるいは取引所に対して一定の指示を与えたかということについて、ひとつ御答弁を願いたいと思います。
[…]
○吉本(宏)政府委員 そのいわゆる株の買い集めとそれから仕手戦というものは、必ずしも同じではないわけであります。たとえば、十全会が朝日麦酒の株を大量に買い集めた、これは仕手戦とは若干違うのではないかと思っております。それから、御指摘の、誠備グループがいわゆる誠備銘柄と称します若干の銘柄をかなり大量に買い集めた、これは言うなれば仕手戦と私どもは認識しております。
 ただ、いま申し上げましたように、この目的と申しますか、相場操縦の意図が客観的に立証をされないとこの百二十五条は適用できない、こういう問題がございまして、御指摘の点はよくわかりますが、百二十五条の適用ということになりますと簡単にはいかない、こういうことであります。

●94衆 - 予算委員会第三分科会 - 2号 昭和56年02月28日

○川俣分科員 せっかく中医協のテーブルに着いたものが、また妙なことで物別れになってしまっては医療行政に支障を来すということを心配しながら私は質問しているのですよ。というのは、私らにも来ているのですが、医師会から各代議士に配られた文書に「この様な支払い方式が唱えられはじめた背景に、極少数ではあるが、不心得な行為をした医師の存在がある。」というようにあるのです。
 ところが、私も富士見病院や十分会等を取り上げさせてもらったが、ではほんの一部だろうかということになると、やはり出来高払い方式がある限りにおいては、五センチのやけどを治したって十センチのやけどを治したとカルテに書かれたってわからない。厚生省が指摘しているように、予防措置なんか点数にならない、かせげないんだ。私が言うのではない。あなた方が言うのだ。「病名をたくさん列挙しないと点数が増加しない。」「反復施療が多い医者の方が名医よりも点数が増加する。」「医薬品を多量に投与しないと点数が増加しない。」「より高価な医薬品を投与しないと点数が増加しない。」こういうように厚生当局が言われると、これはやはり出来高払い方式に欠陥があるのだろうかというように私たちは思わざるを得ないので、これはどうなんですか。

○大和田政府委員 実はいま先生がおっしゃいました事項でございますが、これはかって衆議院の予算委員会の分科会におきまして要求されました資料の回答でございます。「現行の診療報酬体系における点数制の矛盾点について」という項目で回答をしておるわけであります。
 ただ、ちょっとこれをコメントさせていただきたいと思いますが、その回答文を読んでみますと、「現行の現物給付による出来高払い方式における点数制の問題点として指摘されているのは、次のような事項である。」こういうようなお答えになっておるわけであります。したがいまして、これ自身、いま先生がおっしゃいましたことを、厚生省がこう考えているのだというふうにおっしゃられますとちょっと困るわけでございます。こういうふうに一般的に問題点として指摘されておる。それは厚生省も指摘されておる問題点があるということは十分承知しておるわけでございますが、厚生省の考え方というのはこれ自体ではない。問題点として指摘されておる。したがいまして、厚生省といたしましては、これらの問題点につきまして国会等におきまして実はこういうふうに指摘されておる、しかし厚生省としてはこう考えるといったようなことにつきましてコメントをいたしておるという経過があるわけでございます。
 たとえば先ほどもおっしゃいました第一の問題ですが、「患者が多くないと医業が成りたたない。」という指摘があるということを書いてございまけれども、それは確かに患者が多ければそれだけ医業収入が増加するのは事実でございますが、僻地、離島のような特別な地域を除きまして、一般には医業経営が成り立たないという例はまれなのではないかというふうに考えておるわけであります。「患者が多くないと医業が成りたたない。」こういうふうに言っておりますので、そういったことはなかろうというようなコメントは加えてあります。それ以外にもいろいろこの点につきましてのコメントは加えておるわけであります。

○川俣分科員 局長、あなた方の弁解はわかるのだよ。ところが、医師会のとり方はそうじゃないのだ。あなたが固有名詞を出したから言うけれども、「有島議員の質問に対する回答について厚生大臣の責任を問う」という声明書がある。世間が一般に言っているけれども私たちはそうじゃないということを医師会が言うのじゃなくて、「厚生大臣の責任を問う」、こういうように声明を出して、いま列挙したものに対して全部弁明というか陳述をしておる、文章としては。だから局長がそんな弁解をしたって、とる側の医師会はそうじゃないと言っている、「厚生大臣の責任を問う」と言っているのだから。どうですか。

○大和田政府委員 私どもといたしましては、先ほど申しましたように、こういう問題点が指摘されるという事項を列挙したわけでございまして、先生がいま言われました医師会の文書につきましても承知はいたしておるわけでございますが、恐らくこの列挙したこと自身につきまして問題にしておられるのではないか。ですから私どもといたしましては、列挙はそういう問題の指摘があるということで文書を出したわけでございますけれども、その中身につきましては、先ほど申し上げましたように私どもは別のコメントがある。しかし、医師会といたしましては、そういう問題を列挙したことにつきまして困るということでそういう文書が出たのではないかというふうに思われるわけでございます。

●94衆 - 予算委員会第五分科会 - 3号 昭和56年03月02日

○大原(亨)分科員 私も高齢化対策に手をつけまして、住宅環境というのが非常に重要であるということ、その当面の問題はともかくといたしまして、五年、十年、二十年、三十年、四十年後の日本の国民の要望に沿う住宅政策ができなければならぬ、こういうふうに思うわけです。その点から言うと非常に問題があるのではないか。
 そこでお尋ねするのですが、先般国土庁の定住構想基本問題研究会が出しました「高齢化社会に対応した国土政策について」、この中で重要な点が私は二つあると思うのです。一つは、日本の三大都市圏に高度成長を通じまして民族移動が集中いたしまして、全人口の半分以上、周辺を入れますと六割、コンビナートを加えましたら、そういう都市地域を加えましたら七割、八割というふうに集まっておるわけでありますが、その三大都市圏の人口の移動が停止状況になっておるということを指摘しておりまして、これは客観的な事実ですが、停止状況になったといたしますと、二十一世紀を展望する高齢化対策というふうに鈴木総理も演説をいたしておりますが、二十年後には、過疎地帯を含めます地方の年寄りが残っておったわけでありますが、三大都市圏が地方の高齢化の比率と匹敵するような高齢化社会になる、こういう分析をいたしておる点が非常に重要な点であります。こういう状況で、このままで高齢化が進んでいったら一体生活の基盤である住環境はどうなるかということが一つであります。
 それからこの中で第二の問題で指摘いたしております点は「住宅の確保」、これは三十二ページでありますけれども、高齢化社会に対応いたしまして住宅の非常な重要性を指摘いたしておりますが、たとえば高齢化社会になりますと、ここでは三世代の住宅というふうに提案をしています。しかし高齢化社会は三世代ではないのであります。四世代になるわけであります。二十年後には紛れもなくそうなる。たとえばいまでも天皇家のことを言いましたら、八十歳の夫婦、それから皇太子は少し若い。平均よりも四、五歳若いのですが、四十七か八です。その次は浩宮は二十歳前後でしょう。これはお嫁さんがどうのこうのということが新聞に出ています。しばらくいたしますと子供が生まれる。二、三年いたしますと四世代、これが典型になるわけであります。四世代ファミリーが同じ世帯に居住する。平均寿命は八十歳ですから、たとえば十歳、二十歳の人のことを言いましたら八十まで生きるのですから、赤ん坊が余命が七十三と七十八でありますから、平均いたしますともうほとんどが八十まで生きるということになりますね。三世代ではないのです。これは間違いです。四世代が多くなるのです。二十年後には紛れもなくそうなる。当分の間は三世代です。それに対応する住宅を考える、居住の基盤を考える、同居か別居かということを考える。余りむずかしいことは時間がないから言いませんよ、私がちょっと演説をしておくから。同居か別居かという問題がある。それからお年寄りを特別養護老人ホーム、いま利権問題でがたがた問題を起こしているが、あれは寝たきり老人やひとり暮らしの老人をそこに住まわせる計画というものは財政上もできないわけです。実際に人間的に言いましても高齢化社会の原則としてそういうことはできない。そうすると在宅だということになる。高齢者のひとり暮らしとか寝たきり老人が最大の社会問題になりますが、これが在宅だということになります。いまはだんだんと核家族化してきている。家庭へ帰れ、家庭へ帰れといって家庭基盤、ここにある定住圏構想というようなことを自民党や政府は言っておるのですが、そうではないのです。事実はそれに反しておるわけです。ですから、そういうふうに在宅ケアか施設ケアかといった場合に、施設で老後を、最後を全うするのか在宅かと言えば在宅なのです。特別養護老人ホーム等へ入っている人であっても――身寄りのない人は別ですが――であっても家庭に帰るということが目標でなければならぬ。そういたしますと、受け入れ態勢がないからといって病院へ――京都の十分会病院、あれは亡くなった稲川さんも関係あるけれども、十分会病院なんというものは結核病院から始まって精神系統の病気を入れまして、今度はお年寄りを入れて三千もベッドをつくって、エスカレート方式で非人間的なことをやって、大問題になっている。まだ解決しておりませんが、結局は病院に投げ込んでおいて、これで最後ということになりまして、老人医療費はふえるし、こんな社会というものは、これからの高齢化社会というものはあり得ないわけです。ですから、これはせっかく問題点を指摘して、非常に不十分ですが、これからどういうふうに運営するのですか、国土庁。

●94 - 衆 - 予算委員会第三分科会 - 3号 昭和56年03月02日

○野坂分科員 私は、医業の倫理の確立の問題、社会保険料の診療報酬不正水増し請求事件、医師会の民主化等の問題について質問をしたい、こういうふうに考えております。
 大臣初め関係各位の御案内のとおりに、医業は人命を預かるものであります。また人の命を救う崇高で尊厳な職業であるということは御承知のとおりです。これに従って大多数の医師は、使命感に燃えて、医業倫理を守り、予防や治療に専念されておることを信じて疑いません。しかし、近年、また最近におきましても富士見病院とか十分会とか近藤病院とか、また五日ほど前には「巨額脱税の四医師摘発」という記事がございましたが、これらのような不徳な医師の乱診乱療あるいは薬づけ、検査づけ、不正水増し請求等が相次いで起こって、国民の不信感を増大させておるということも御承知かと思うのであります。この際、このような不祥事件を徹底的に究明して国民の信頼を高めていくということは、医業界でも感じられ、行政としてもお考えになっておると思うのでありますが、厚生大臣は、これら一連の不祥事件に対してどのように現状を認識し、対応をしようと考えておるのか、まず冒頭に伺っておきたいと思うのであります。

○園田国務大臣 御発言のとおり、大多数のお医者さんは非常に良心的に地域また国民に向かって奉仕をされておるわけでありますが、その中で、いろいろ想像もできないような、国民から医療に対する信頼をなくするような事件が起きていることはまことに遺憾でありまして、こういう問題には厳正に、指導監督を強化して、そして国民の信頼を回復するように努めておるところでございます。

○野坂分科員 けさの朝日新聞に「乱診乱療にブレーキ?」というのが出ておりますね。ごらんいただいたと思うのですが、二十六日に予算委員会で、近藤病院問題に関連して厚生大臣は、本気になって監査をし、未然防止のために立入検査等の制度を十分生かしたい、こういうふうに述べられておりますね。近藤病院に限らないで、不正水増し等のいろいろとうわさのあるものについてはどしどし立入検査をして、このような薬づけや不正医療やあるいは水増し請求というものがないように措置をおとりになりますか。

○園田国務大臣 医療そのものは、原則は、医師あるいは医療機関の良心と自制によってやるのが基本であり、いたずらに束縛すべきものではないと考えておりますが、今日のように乱診乱療が行われ、不正な事件が起こる段階においては、徹底的に摘発をして、厳重にこれに臨む必要があると考えております。

●94 衆 - 予算委員会第二分科会 - 3号 昭和56年03月02日

○井上(普)分科員 臨床研修といいますと、大学を卒業した後、大学病院であれあるいは他の病院であれ、研修病院というのは大学病院だけではないのですよ。研修病院というのは恐らく大学の病院が三分の一、そんなものでしょう。(宮地政府委員「大学が八割でございます」と呼ぶ)八割になりますか。八割になったのはいいことだけれども、あとの二割はほかですね。臨床研修の研修病院でもおかしげなところを研修病院に指定していることも私は知っている。恐らく十分会病院もこれは研修病院の指定をしているのじゃないですか。かつてはあったのですよ、昔は十分会病院はそうだった。いまはなっていませんか。

○宮地政府委員 研修病院の指定は厚生省がいたしておることかと存じますが、具体的な中身は承知いたしておりません。

○井上(普)分科員 研修病院は厚生省がやるので文部省は知らぬところ。しかも、文部省が臨床研修のあり方について通知を出したところで、抜け穴があるでしょう。だから私は、こういうことじゃなくて、大学の講義あるいは大学の勉強の中で考える時間と機関をつくりなさい、こう申しておるのです。いままで阪大の澤潟さんの医学概論、あるいは言葉が違っておったと思うのですが、そういうことをやっておる病院も昔からあったのです。しかし、これは数が非常に少ないのです。ですから、ここで真剣に生命のとうとさあるいは生命の尊厳さというものを考える時間と機関をつくらなければ、なおなお医者の倫理観というのは衰えていくのじゃなかろうか。ただ、私は、そういうふうな制度をつくったところで、これは直るとは思いません。思いませんけれども、それも一つの方法じゃないか、このように考えるのです。
 このままいきますと、医者に対する国民の信頼はますます失う。これは結局医者にも、かつまた患者にも不幸なことなんです。先ほども申したのですが、医者の治療については基準というのができないのです。医者の良心のもとでこれが治療を行うということなのであって、基準というのはつくれる性格のものじゃないのです。でありますがゆえに、医のモラルというものはなお大切なんです。真剣にひとつこのことをお考え願いたいと思うのであります。
 私は十年前にこのことを申したのですけれども、その後改善の様子が見えぬものですから、一体文部省はどうしているのだ、あのときもひとつ検討してみましょうなんて軽々しくおっしゃった。けれども、その後十年間行われてないので、私はあえてこの二回目の質問に立ったわけでございます。大臣、いかがでございましょうか。

○田中(龍)国務大臣 ありがとうございます。まことにそのとおりと思うのでありまして、ことにモラルの問題ともなりますと、制度も大事、また学問の日進月歩いたしております問題に対しますいろいろな研究も大事、さらにまた、そういう問題に対する医学教育のいろいろな施設も充実しなければならぬといういろいろな問題がございますが、一番問題は、まことに厳粛な生命というものに取り組んでおいでになるお医者さんのモラル、その点については先生と全く感を同じくする次第でございます。十分に戒心いたしまして努力いたします。

●94参 - 予算委員会 - 5号 昭和56年03月10日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=5&DOC_ID=7168&DPAGE=1&DTOTAL=47&DPOS=17&SORT_DIR=0&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345

和田静夫君 言うまでもなく、今日の政治というのは、人民の人民による人民のための政治であるのが大原則でありますから、私は情報公開について、大平前総理もその必要性を認められましたし、いま中曽根行管庁長官も情報公開に向かって前進をしたいと、こういうふうに述べられているわけでありまして、総理の答弁の実行が早いことを期待をいたしておきます。
 まあもちろん御存じのことでありますが、アメリカの情報公開というのは、法的には文書管理規程について、これは公衆に対し情報を秘匿し、または公衆が資料を入手することを妨げることを認めるものではないという、そういう法案の成立から始まったわけでありますから、こういう教訓はやはり十分に生かすべきである、そういうふうに思います。
 参考人に来ていただいておりますが、この十分会から名誉棄損で訴えられていらっしゃった参考人らの告発する会が、昨年九月大阪高裁において勝訴をされました。公判の過程で明らかにされた十分会医療の実態を簡潔に述べていただきたいと思います。

考人(榎本貴志雄君) 昨年九月、大阪高裁の判決が下されましたけれども、その判決の過程として、十分会で二十日に及ぶ縛りつけをやっておるという事実、それから大量の薬づけ、注射づけをやっておるという事実をすべて認めた上で、現在の医療の中で、患者さんにどのような状態があっても、拘束を必要とするような場合も、外出禁止または保護室に入れる程度で、部屋の中に閉じ込めて、手袋を当てる程度のことは差し支えないけれども、手足をベッドに縛りつけるようなことは原則として許されないということがはっきり出ました。
 それとともに、注射づけにつきましては、三度三度食事を食べておるような人、こういった人たちに対して十五日間もリンゲル剤その他の注射をするようなことは、これは違法であり、点数かせぎだと言われても仕方がないと、こういうことが出ました。
 また、三日間にわたって睡眠療法という名前のもとに極限量の三、四倍程度の薬を飲まして、四日目に死に至らしめた問題についても、これは法律違反であると言われました。
 それから、その上に加えて、いかなる医療であっても、患者の承諾を得ないような医療、また、そのとき患者さんが返答できないような場合は、推定的にも承諾を得られないような医療は違法であると、こういう判決が出て、私たちの方が全面的に逆転勝訴したわけです。

田静夫君 一月末に厚生省、京都府の指導によって赤木理事長が退陣をして、世間では十分会[→十全会]問題は一件落着したと見られているわけです。その後、十分会医療の実態は改善をされたのでしょうか。また二月に出された十分会の改善計画によって、医師、看護婦の充足率は満たされたとお考えになっていますか。

○参考人(榎本貴志雄君) 私たちが十分会を告発してから十四年目ですけれども、厚生省並びに京都府当局の断によって初めて十分会を不当とする行政勧告が出たことに対しまして、私たちは非常に感謝しておりますが、その翌日に赤木孝さんという前の理事長は病院に出てきて、私は健在で居残るから心配するなど申しております。また東院長はその翌日の記者会見で、株の買い占めや不動産についてはちょっとまずかったけれども、十分会の医療は正しいと信じておると、このように新聞記者会見に申しております。そして四、五日前に会った十分会で働いておる看護婦さんの話では、医療の内容は全然同じ。一日に三病院で数万木の注射をしなければならぬわけですから、九時出勤ではとても間に合わないので、三時ごろから出てセットの注射の準備をして、四時ごろ、患者さんの寝静まっているときから注射を始めて、やっと一日の注射を終わる、こういうことが四、五日前にも訴えられております。
 それから、つい前には、天府会議員をしておられた先生が、西陣で非常に名高い方なんですけれども、末路は十全会に入れられて、お見舞いに行ったところ入浴中と、それで待っておったところ、裸のままで、ぬれたままで車いすに乗せられて、それからタオル一つ置かれて、そして屈強の男の人が車いすを部屋に運んできて、それからそのまま床の上にほうり投げた。その方はベッドの上にも上がれぬわけですね。こういった無残な目に遭った。それで、わしが言ってやろうかと言うたところ、黙っておいてくれ、言うたらあしたから縛りつけにされてしまうから、もうとにかくそっとしておいてくれと、こういった訴えも来ております。
 またその後、一人の日雇いのおばあちゃんですけれども、医者に勧められて、わしとこで手に負えないというので十全会に入れられて三日目に死んだという訴えや、それからこれもまたあるお医者さんにかかっておったんですけれども、家族、一家の慰安旅行をするために、ちょっと私の方でやれませんから、十全会という病院は付き添いなしで入れるからというので十全会に入れられた。こういったような訴えも来ております。
 その一方で、出ることによって、かえってお医者さんやケースワーカーから、京都には都合のええ病院があるなあと言って患者さんを次々送ってくる。こういう事実も反面にあるというので、医療の実態については以前と同じと言ってもいいんじゃないかと思います。
 それから、医者や看護婦の状態ですけれども、十全会の入院者の九割以上は、普通のお医者さんが手に負えないと言われているほど複雑な医療を要するお年寄りの方です。それで、一般の病院では患者十六名に一人の医者が必要ですけれども、十全会の八割は精神病床になっておりますので、医者は四十八名に一人でいいわけです。それで四十八名に一人としても、十全会には八十九名かの医者が要るんですけれども、本当におるお医者さんは二十五名だけです。そしていろいろつくろって医者の数が八十名ぐらいになっておりますけれども、毎晩当直に来るお医者さんが一晩じゅう徹夜で十六時間働いたことになって二人分になると、こういった計算でつじつまを合わしているわけです。現実にはそれだけの患者さんに二十五名の医者しかおりませんし、それから入院患者の九割以上は内科のうちでも手のかかる重症患者ですから、これが一般病院であったら百八十何名かの医者が要るわけです。ですから、真の充足率は一三・九%という数字が出ております。
 それから、医者をふやすことについては、京都では京都大学と府立医大と二つの医者の供給源があって、たくさんのお医者さんがうようよしてるんですけれども、こないだ京大の医学部教授と会って話しておったところ、要請があったなら地元の京大から医者を供出せんならぬということも教授が言っておるんですけれども、要請は全然ありません。ですから、医者の充足でも同じようです。
 看護婦についても、三日勤務、それから一日三時間勤務、それからこないだ聞いたところでは、事務職員やなんかの人も全部看護補助員で、全員登録されておるそうです。それで、看護婦の実態についてもほとんど変わりはないと言ってもよい状況です。

○和田静夫君 結局、この十全会問題はどのようにすれば解決ができるとお考えになっておりますか。

○参考人(榎本貴志雄君) 日本の警察権力は世界一と聞いておりますし、行政能力もこれはトップレベルにあると聞いておるんですけれども、これが本当の医療監視をやったならば、いまの医者の足らないこともすぐわかると思いますし、それからカルテの病名をちょっと見たならば、ほとんどが内科の患者さんを精神病床に入れておることもわかります。
 ところが、医療監視の件ですけれども、十月に来ていただいたのはありがたいことですけれども、中の職員からの話では、こんなややこしい患者を入れて御苦労さんですな、御苦労さんですなと、こういうことをおっしゃって、そして十全会の見せてくれる書類だけを点検された。それでもあれだけのことを見つけていただいたのは非常にありがたいことですけれども、ぼくはその前に、京都府庁の先輩でもあるので、昼間にどれだけ医者がいるか集めてみよと、そしたら、ほんまに全部で二十五名しかおらぬというんですけれども、そういう点検もしておりません。ですから、現在の制度のもとでも本式の医療監視をやったならば、医者の数の足らぬことや、精神病床に一般の患者を入れておることもすぐわかると思うんです。
 第二に、十全会のレセプトは全部診療報酬の支払い基金に出ておるんです。それで、これは私のような者に対しては水虫の治療をするのにグリセチンという抗生剤を七日間出して一遍に治してあげたのに、四百九十円取り過ぎたと言ってレセプトを全部返還する、それだけの権限があるのに、私もいま十全会のレセプトを八枚ぐらい持っておりますけれども、八十万、九十万円で、これはもう大阪高裁で違法とされた医療の十倍、それから昭和四十九年に日本の精神学会が殺人的と言わざるを得ないと言った医療レベルの十倍程度の医療費が請求されているのが全部やすやすと通っているわけです。ですから、現制度のもとでも診療報酬支払い基金で本当の審査をしたならば、あのような殺人的な医療は防げる。
 第三番目は、警察ですけれども、これも京都の警察の方と会って話したわけですけれども、日本の治安は世界トップだと、ニューヨークなんかと比べてみいと言われるわけですけれども、事病院内に対しては、もう初めから私たちが問題を警察や検察に訴えても、ああこれはわからぬということで、最初から逃げ腰の状態なので、これはいま入っていったならば、すぐ何例かの例が見つかると思うんです。医療監視のときは、あらかじめ通告して、向こうが設定した場所にしか入れられませんので、それで私たちは病院の中、ことに十全会の中は治外法権地帯ではなかろうかと、このように感じております。

○和田静夫君 厚生大臣、お聞きのように、この十全会問題というのは依然として解決をしていないんです。私も近親者があそこにいましたから、あの中に入ってよく知っていますがね。十全会問題はひとり十全会だけの問題では私はないと思うんです。日本の精神病医療あるいは老人医療のあり方、医療法人のあり方の問題が提起をされている。この問題に対して医師会は真相を明らかにすることなく、結果的には十全会医療を擁護する立場に立ってしまった。問われたものは医療ばかりではありません。医療行政そのものが私は問われたんだろうと思うんです。十全会問題は終わっていません。医療についても厳正な再調査を行って適正に対応すべきだと思うんですが、大臣いかがですか。

○国務大臣(園田直君) 十全会の問題は十何年続いた問題でありまして、これに対して対応の策をとるのになかなか苦労したわけでありますが、それはいまの参考人の話を聞いても思い当たる点が多々あるわけであります。一応赤木理事長が退陣をし、医療については京都の医師会の推薦する人、財政の運営については京都府の推薦する税理士、これを役員の中に入れるよう勧告を出したわけで、その勧告に基づいては逐次実行されておるようでありますが、十何年かの長い間のことでありますから、その後もまたいろいろ話が出ておりまするし、また、いま参考人の意見は非常に注意深く聞いておりましたし、非常な参考となりました。今後も、単にこれは十全会の問題でありませんから、十分監視を、足らざるところはさらに監視をして、そして全国の医療法人に対する良心の喚起に努めるつもりでございます。

員長(木村睦男君) 榎本参考人には、御多忙中のところ御出席くださいまして、まことにありがとうございました。御退席していただいて結構でございます。

○和田静夫君 この十全会の財務についても依然として全貌が明らかにまだなっていないと思うんです。財務諸表を取り寄せて見ましたが、依然として疑惑が生ずるものが多い。特に建設仮勘定についてはこれはぜひ再調査する必要があると思っているんですが、いかがですか。

務大臣(園田直君) 参考人の意見もあったことでありまするし、かつまたあちらこちらからいろんな話も聞くわけであります。特に、私が気になることは調査に行った者が御苦労さんだったとか、あるいは清潔保持はうまくいっているとかと、どうもというところもあります。したがいまして、これは決して一件落着、気を緩めるつもりはございません。
田静夫君 最後ですが、大蔵大臣ね、これは貸借対照表の固定資産のうち、債権の項目で五十四年三月決算で約五十三億計上されているんですよ。ところが五十五年三月にはこれがゼロになっているわけです。この五十三億はどこに行ったのか。損益計軍書の有価証券売却益にはこの数字どこ見ても出てこないんですよ。この点についても、これは厳密にやっぱり調査される必要があると思うんです。これは意見として述べておきます。よろしいですか。

務大臣(渡辺美智雄君) 事務当局から答弁させます。

○政府委員(渡部周治君) お答え申し上げます。
 十全会グループの関係個人及び関係法人に対しましては、昭和五十四年の二月から六月にかけまして相当深度のある税務調査を行いまして、当時として適正な課税処理を下したわけでございますが、その後、昨年の秋口以来保有しておる株式の売却をしておるというような情報も入ってまいっておりまして、私どもはその後の推移を関心を持って見守っておるところでございます。主要関係法人の決算期が三月にもありますし、関係個人の申告が三月に出てまいるわけでございますので、その申告内容等を見まして必要に応じ、調査をしてまいりたいと、このように思っております。

◆1981/03/17 毎日新聞報道

●1981/03/17 第094回国会 参議院社会労働委員会
 http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/094/1200/09403171200003c.html
 山本純男:厚生省医務局次長

○高杉廸忠君 私は厚生大臣の所信に対する質疑として、予算の大変貴重な時間、大臣においでをいただきました関係から、主として十全会の問題、しかもそれも医療をめぐる不正の疑いや財務調査報告の内容のこの二つにしぼりまして厚生大臣の所見を伺いたい、こういうふうに思うわけであります。
 なお、お断りを申し上げておきますが、私が昨年の十一月の二十七日に本委員会で問題の提起をいたしました。その後、ことしの一月の二十七日十全会グループに対する行政措置が講ぜられております。確認でありますが、この行政措置の医療法人の運営の適正化等についての勧告について、まず大臣から確認の意味なんですが、お答えをいただき、所見を伺いたいと思っております。
○国務大臣(園田直君) 十全会の問題は、御承知のごとく相当長い間いろいろうわさされながら何ともできなかった問題でございます。これを皆様初め、お力添えによってようやくこれに対する一つの対応をやったのが今回でありまして、京都府とも相談の上、勧告を出し、これをのむようにいまやっているところでありますが、しかし、これで終わったとは考えておりません。なおいろいろな問題や逐次医療法の核心に触れる問題が、あるいは保険の不正に対する問題等も出てくるというような感じがいたしますので、保険局、医務局にはその点十分注意をして、これを監視をし、いささかも緩めるなど、こう言っているところでございます。
 勧告その他の経過については政府委員からお答えをいたします。
○政府委員(山本純男君) ただいま大臣から申し上げました京都府からの医療法人に対します勧告の内容を簡単に申し上げます。
 第一点は、「病院の運営の適正化について」でございまして、五十五年十二月一日及び二日に実施した医療監視の結果に基づきまして幾つかの改善事項を指摘し、その改善の実施方を勧告いたしました。
 医師及び看護婦の不足の解消を計画的に図ること。
 非常勤医師の占める割合が高いので、常勤化を計画的に図ること。
 初診時の精神症状に照らして、保護義務者の同意を必要と認められるものがあるので、点検精査した上で必要なものについては、同意書を徴収すること。
 精神病床に精神障害以外の症状を主とする患者を入院させていたが、患者の症状に応じた適正な病床に収容すること。
 ピネル病院におけるエックス線防護設備を整備すること。
 次に、医療法人の財務の運営の適正化についても勧告をいたしております。
  (1)医療法第六十八条において準用する民法第五十七条の規定に違反した無権代理行為による契約については、直ちに赤木孝から売買代金の返還を求めること。
  (2)国土利用計画法違反に係る土地取得において、多額の契約が長期にわたる返還期間で簡単に解消されているが、速やかに当該法人に売買代金に利息を付して返還させること。
  (3)法人の剰余金は、安全、確実に内部留保するとともに、施設、設備の改善、増員等医療サービスの向上等に適正に使用すること。
  (4)医療法人の不動産を関連会社の事務所等に使用させることなく、当該法人の定款に定める業務遂行のため使用すること。
 その他といたしまして医療法人の役員の刷新等でございますが、
  (1)社会的に種々の批判を受けていることを反省し、この際、信頼を回復するため、両法人の理事長は、その職を退くこと。
  (2)赤木理事長の親族及び姻族は、理事及び監事の職を退くこと。
  (3)両法人とも、定款変更を行い、社員理事以外の学識経験理事一名を置くこととし、京都府医師会の推薦する者を当てること。
  (4)両法人とも、監事二名のうち、一名は、府の推薦する税理士をもって当てること。
  (5)関連会社等の株の取得については、両法人の資金が流用されているという疑惑をもたれているので、当該株について、可及的速やかに処分を行うこと。
  (6)医療法人と関連会社との関係は、社会通念に照らし、適正な取引関係を確立すること。
 以上の内容でございます。
○委員長(片山甚市君) ただいま緊急な打ち合わせができましたので、理事会を聞かしていただくために若干休憩さしていただきます。
   午前十一時三十二分休憩
     ―――――・―――――
   午前十一時四十六分開会
○委員長(片山甚市君) これより委員会を再開いたします。
○高杉廸忠君 ただいま休憩前に引き続きまして、厚生大臣に引き続き御質問をいたしたいと思います。
 私は、去る三月の十一日に片山先生と十全会に行ってまいりましたし、その際十全会の新理事長の皆さんとの若干の意見の交換もいたしてまいりました。これらに関しまして見解だとか意見、いろいろありますけれども、後日時間をかけて論議をしていただきたいと、こういうふうに思いますが、実はいま勧告の内容について確認をいたしまして、昨年私が提起してからいろいろな新聞、テレビ、週刊誌などで皆さんから報道もいただいているわけであります。私どもの方でもその後も調査をいたしまして、その結果、これはどうしてもほうっておけないなと、こういうような問題も出てまいりました。そこで私は、きょうは時間的な制約がありますから、二つの問題について御質問をしお答えをいただきたいと、こういうふうに思っております。
 第一は、十全会双岡病院で感じたのですが、どうも准看護士あるいは看護助手さんおられるんですが、登録の関係と実際に働いている場所との関係でどうも実態としては、こういう表現がいいかどうか、幽霊看護士、幽霊看護助手とこういうふうに言われる節もあるように伺うわけであります。双岡病院の事務所に、事務長とそれから同補佐と呼ばれる方々がいらっしゃるわけなんですが、これは若い事務員の方に資格をとらせまして、詰め所の中では看護士になっているわけであります。しかし実際は事務のベテランで、薬品とか食品とか、対福祉、売店、そういうようなところで仕事をしているわけでありますが、ところがそれがタイムスリーブの中に入っているわけであります。そういう実態でありますが、監視の際に、こういう登録の調査、監査、こういうものはどういうことをおやりになったのか、これが第一であります。
 また、同スリーブに看護補助として事務員までが入っている、こういうような状態なんですが、調べてみますと、これはけさの毎日新聞でも大分出ているわけであります。そこで同病院の会計の、ここにも新聞にも出ておりますように、Aさんとしておきますが、どうやら登録は東山サナトリウムのようであります。Bさんは双岡で登録をされているようであり、この両方の、AさんBさんの住所もわかっているようでありますが、これは三病院とも共通で、こういう登録と実際の仕事という関係ではどうも違いがあるんではないかという疑いがあります。
 そこで、第二点目として伺うんですが、双岡、東山サナトリウムの看護婦さんの充足ですね、これは勧告をする以前、勧告をして今日まで、こう二つに分けます。この充足については、これはどういう現時点の充足率になっていますか。これは第二の御質問でありますが。
 少ない看護婦さんの中にはこういう部分が少しあるんではないだろうかというふうに疑うわけでありますが、第三点として、実態として現時点ではどういうように把握をされておりますか、お答えをいただきたいと思うんです。
○政府委員(山本純男君) 第一点の、名目上置かれている職員が実際には働いている状況とは違うのではないかという御指摘でございますが、昨年の十二月一日、二日にかけまして両法人の三つの病院に対しまして京都府、京都市合同で医療監視を行ったわけでございますが、その際には御指摘のような疑念が持たれておったことを京都府、市当局も十分自覚をいたしまして、日にちを離して別々に行うということではなく――一日ではでき切らないほどの膨大な事務であったのでございますが、日にちを詰めまして、ほぼ同時実施と言えるような態勢で監視をいたしまして、その際具体的に有資格者であるかどうかにつきましては免許証を確認し、また実際の勤務状況につきましては、出勤簿に当たってこれを調査するということでいたしたというふうに報告を受けておりますので、御疑問のような点については、私どもは一応疑念は晴れたというふうに報告を受け、了解しているものでございます。
 第二点の看護婦の充足状況についてでございますが、いま申し上げました十二月一日、二日の医療監視の結果、看護婦について調査結果が出まして、それについて改善が指示された状況を申し上げますと、十二月一日、二日現在におきまして看護婦の法定必要数は、百九十五人東山サナトリウム、二百八十四人京都双岡病院、八十三人ピネル病院ということでございますのに対して、実人員は東山百七十六人、双岡二百四十二人、ピネル六十五人、こういう状況でございまして、不足人員がそれぞれ十九、四十二、十八名ということなっておりました。これにつきましては、先ほども申し上げました京都府からの勧告の中で、五十六年十二月までに看護婦につきましては計画的な充足を図るようにということを指示いたしました結果、五十六年二月二十一円付をもちまして、五十六年十二月までに計画的に充足するという改善計画が府の方に提出されてきた段階でございます。そういう状況でございますので、いま現在これが何名増加したかはまだ報告を受けておりませんが、この十二月までに計面的に充足するという計画が今後誠実に履行されていくことにつきましては、随時京都府の方あるいは京都市の方から必要な調査等をいたしまして、その計画が履行されていく状況をフォローさせていきたいというふうに考えております。
 それから第三点の現状につきましては、いま現在、一番最近の時点の報告を受けておりませんが、計画が動き出しました状況は、逐次私どもで把握してまいりたいと考えております。
○高杉廸忠君 私がいま指摘をいたしました、仮名でありますがAさんBさんとこうなっておりましたが、指摘したようにこういう事実であれば、これは一種の二重登録の疑いや適正を欠く行為であると思うのです。したがって、これについても大臣、今後こういうことも含めて厳正に調査を進めていっていただく、こういうことで、大臣お約束いただけますでしょうか。
○国務大臣(園田直君) 経過その他については政府委員からいま報告いたしましたが、ただ一つ違うところは、私は疑念が晴れてはおりません。やはり看護婦、補助看護婦、お医者さん、そういうものが三病院のたらい回しをしておるのか、外部から二重登録で持ってきているのか。
 それからもう一つは、医療法で資格のない者が、いろいろなことをやっているという疑いはいまなお持っているわけでありまして、逐次いろいろな方面から御意見も承りまするし、先般委員長初め皆さんが視察に行かれた結果等も承りまして、今後とも厳正にこれを監視をし、改善をするよう全力を挙げることは、はっきりここで申し上げておきます。
○高杉廸忠君 では、次に具体的にまた伺いますが、医療従事者の身分資格制度の中にメディカルセクレタリーという、医療秘書というような表現を用いておりますが、こういうのがありますかどうか、これをまず確認の意味でお尋ねをするんですが。
○政府委員(山本純男君) 十全会病院に関しまして京都府から報告を受けておるところをまず申し上げますと、三病院に合わせて約五十名のメディカルセクレタリーと呼ばれる人員が置かれております。これらの職員は医師の指示を受けまして、患者の入退院時における手続事務、年金等について患者家族の相談に応ずる、食せんの返納、診療報酬請求事務などを行っているというふうに報告を受け取っておるところでございます。
 このような職員が私どもの関係で法規に照らしたものであるかどうかにつきましては、そういう制度はございませんけれども、やはり事務的な立場から必要な業務の補佐をする職員というものは、名前はいろいろかと存じますが、いずれの病院でも置かれているというふうに理解しております。それと同時に、このような者につきましては、法令上担当できます業務というものはきちんと制約があるわけでございますから、法令ののりを越えて業務に携わるということがいやしくもないよう、都道府県等を通じて十分指導しなければならないものと考えております。
○高杉廸忠君 十全会について私はお尋ねしたのじゃないんですが、一般的に現行法制度上そういう身分資格制度はない、こういうことで、ひとつ確認ですが。そういうことであれば、たとえば病院内部のこれは私設制度として、仮にそういうメディカルセクレタリーという制度があったとしても、メディカルセクレタリーそのものは医療並びに医療類似行為はできないと、こういうふうに解していいんでしょう。
○政府委員(山本純男君) 仰せのとおりでございまして、医師法を初めといたします身分法におきまして、ある業務ができるにはある資格が必要であるということが決められておる問題につきましては、そういう資格を持たない者は携わることができないものでございます。
○高杉廸忠君 いまお答えいただいたように、医療及び医療類似行為はできないと。私どもの調べたところによりますと、先ほどお答えいただいたように、五十数人の人が現実に十全会にはいらっしゃるわけで、現にこの新聞でも指摘されているように、血圧の測定、検尿、機能訓練などをやっておられる疑いがありますし、それから、指摘をしているように、その人たちの給与の明細書の中には血圧の測定、検尿、機能訓練手当、こういうものが入っているようであります。そうしますと、メディカルセクレタリーの勤務として、しかも入院患者の病歴管理までをこの人たちがどうもやっているような節であります。そこで、メディカルセクレタリーの方々が患者さん方の病歴管理をして、この人は胃潰瘍の病歴があるから胃の透視をしなさいと、こういうようなことをエックス線の方に回しているという、こういう事実関係もあるようであります。これは、いま現行法制度の中できちんとした位置づけも、お答えいただいたように、医療並びに医療類似行為というのはできない方が現にやっているというふうになりますと、またしかも、いま私が申し上げましたように、胃潰瘍だからエックス線に行きなさいと言うこと自体が、これは一種の診断の行為であるというふうに私は考えているんですが、そういうように考えてよろしいでしょうか。
○政府委員(山本純男君) 御指摘の点がございましたので、京都府を通じましてとりあえず私どもが照会をいたしましたところでは、このメディカルセクレタリーという職名を持った職員が御指摘のようなことにかかわっていることは事実のようでございますが、法令に違反するような形で携わってはいないという、一応の報告を受けております。
 具体的な例で申し上げますと、血液検査の関係ではカルテへの名前の記載、丸印をつけるチェックといったようなことを行っていることはあるようでございますが、これは医師の指示のもとに行ったものであり、かつ医師が内容を確認しているとのことでございます。また、血圧測定につきましては看護婦が行っておるということでございます。その他、検査に際します患者の衣服の着脱の手伝いをさせることはあるということでございますが、その際機器に触れるということはませていない。また、病衣の交換は看護婦の指示のもとに行っている。また、血圧測定手当等、御指摘の手当は現在支給していない、そういう報告をとりあえず受けておりますが、先生の御指摘もございますので、京都府当局とも連携をとりながら、また先ほど申し上げましたように、改善計画の実施状況をフォローしてまいる過程の中でも十分留意をいたしたいと考えております。
○高杉廸忠君 京都府との御連絡で確認をしたようでありますが、私の方の調査なり聞くところによりますと、いま言ったようなことが行われているように思われるわけでありますから、これが事実であれば大変なことだと思うわけであります。
 そこで大臣、こういう非常にまだ解明をされない点もあるようでありますから、この際、大臣からこういう点についても調査と措置をきちっと、やはり大臣としてお約束をいただきたい、こういうふうに思いますが、いかがですか。
○国務大臣(園田直君) 私もそのように考えますので、すでに保険局、医務局には具体的に指示をしたところでございますが、今後とも監視は続けてまいります。
○高杉廸忠君 いま申し上げました点は、十全会三病院に共通のような感じがいたしますから、これもあわせて申し添えておきたいと思います。
 時間の関係で次に質問をさしていただきたいと思いますが、十全会の株式投機資金捻出方法と、財務調査報告の解明についてであります。先ほどの改善勧告の中でも触れられておりますように、株式投機資金に使われた建設仮勘定について、この際私は特にただしたいと思うんですが、十全会の医療法四十二条の違反は、系列会社の株式投機への資金の大部分が二つの医療法人から出ていたことが厚生省の解明で明らかになったと思うんです。改善勧告でも、それは建設仮勘定という会計処理の方法を使って資金の捻出をしたことを認めていると思うんです。そのような方法は、決算報告によればこれは五十三年以降あらわれてきでいると思うんですが、厚生省もそういうように認識をされ、理解をされているのか、この点をまず確認をいたしたいと思います。
○政府委員(山本純男君) 御指摘のように、そういう財務手続の過程の中から医療法人としてふさわしくない、適切でないような取引の状況がうかがわれたことは事実でございまして、またその結果、関連法人その他の株式取得その他の活動にその資金が流用された結果になったのではないかという疑いを京都府当局が強く持ったわけでございまして、私どももまた、同様の立場から指導に当たってきたものでございます。
○高杉廸忠君 国土庁に伺うんですが、国土庁が国土利用計画法上問題があると。それから京都府及び京都市から報告を受けた取引というものは、これは何件ありますか。それをまず確認をしたいと思いますし、それから、その売買当事者はだれで、金額はどの程度でありますか。この三点。
○説明員(小笠原正男君) 十全会グループが行いました土地取引の中で、国土利用計画法第二十三条の届け出義務に違反して行われました取引は、全部で五件、約三・四ヘクタールでございますが、これ、五件の内訳をちょっと申し上げておきますと、一つは、売り主が関西殖産、買い主が医療法人十全会精神科京都双岡病院のもの。それから二番目に、売り主が赤木孝、買い主が同じく双岡病院のもの。それから第三、売り主が関西殖産で、買い主が同じく京都双岡病院のもの。それから第四番目に、売り主が赤木孝、買い主が医療法人十全会のもの。それから第五番目が、売り主が関西殖産株式会社、買い主が医療法人十全会のものという五件でございます。この五件のうち、三番目に申し上げました件が舞鶴市内、あとの四件は全部京都市内の土地でございます。
 全体の面積三・四ヘクタールほどでございますが、この全体の契約書をにらんでみますと、契約の総額は四十九億九千万ほどになっておりますが、この中には国土法の事前届け出対象外の土地なども含まれた一括契約になっているという点もございますので、こういうものを除きまして国土法関係の取引総額は四十二億三千八百万というふうに報告を受けております。
 なお、そのうちには、十全会の主張によれば、この中には引き渡すまでの造成費が含まれておると。したがって純粋の土地総額は二十五億円であるという主張をしているところでございます。
○高杉廸忠君 いま御報告いただいたのは、私も資料としていただいております国土庁土地局の五十六年一月三十日の資料、これですね。このうち京都市山科区日ノ岡一切経谷町の土地ですね、これはこの資料によりますと契約は五十三年九月三十日となっていますが、これに相違ないかどうか、これを確認ですね。
 それからまた、今回国土利用計画法違反ということが指摘をされて、その契約を解除して内金を返済することになっている。その金額はどの程度になっていますか、この二点確認をしたいと思います。
○説明員(小笠原正男君) 私どもの京都府、京都市から受けました報告によりますれば、一切経谷の土地の契約は五十三年九月三十日という報告を受けておりますが、その前に何か売買の予約のようなことがあったようなことも聞いております。
 なお、返済すべき金額等については、必ずしも今日の時点で明らかにされておりません。
○高杉廸忠君 これは国土庁さん、私が登記謄本とってみたんですね。調べてみましたら、関西殖産から十全会が、その土地について売買の予約をしたのは五十一年八月七日になっているんです。資料では五十三年九月三十日と、こう食い違いがあるわけですね。この点がひとつ、どうお考えになっているか。
 で、この土地の契約日が五十三年九月三十日というものは、これは存在してないんですね、謄本土は。そこで、これは一緒に売買予約をしたと思われる三件も同様ではないだろうかと、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○説明員(小笠原正男君) 契約書と登記簿の仮登記の面と必ずしも一致していない面がございまして、私どもも究明に苦労しておるところでございますが、五十一年八月七日にかなりの売買予約が行われたという事実はあるようでございます。ただし、その後売買予約が取り消されまして、それで別の買い主の方に改めて売られたというようなものもございます。
○高杉廸忠君 これは大蔵省になりますか、あるいは三省の関係で厚生省になりますか、ちょっと確認をしたいんですが、いま国土庁からのお話があった、その土地の売買予約に伴って支払われる今回の解除に基づき返還される、私の方では十二億九千四百八十万円とこうなるわけですが、医療法人十全会の何年度の決算に計上されているのか、正確に把握されているのかどうか、これをまず伺いたい。
○政府委員(山本純男君) 五十四年度末の財務表に載っているということでございます。
○高杉廸忠君 同様なことが、国土庁の資料にもあります京都市山科区御陵の土地についても見られるところなんですね。契約日は五十三年八月三十一日となっており、買い主は十全会双岡病院となっている。当初は、医療法人十全会に五十一年八月七日に売買予約をしているものである。その際支払われた資金も、決算報告の中で何年度に計上されているのか不明確なんですね。これはどういうように調査をされた結果、正確に把握されているかどうか、もう一度確認をいたしたいと思います。これは厚生省になりますか。
○政府委員(山本純男君) 昭和五十一年度中の代金支払い額は一億円である。また、これを貸付金勘定で処理をしたのは、正式な売買契約の締結に至らなかったためであるということを私どもは理解しております。
○高杉廸忠君 私は、いま厚生省からの御回答がありましたが、国土庁の方にも確認をしたいと思うんですが、国土庁が把握しております京都府あるいは京都市の報告ですね、これは医療法人側からの報告で、言ってみればいまのようなずれがあって、しかも報告をされたものをそのまま資料として出しておられるような、私はそういう推測をするわけです。こういうことでありますと、系列会社を使ってすでに五十一年から宝酒造及び京都銀行の株式投機が始まっていると私どもは聞いているわけなんですね。厚生省がいま把握をされました点の財務調査と資金捻出のための不動産の売買予約、そういった点で私は大臣、まだ解明されてない点が多々あるんではないだろうかと、こういうように思うんです。そういう点について、いま私も実際登記謄本をとってその間の事情をつぶさに調べましたが、ただいまのような疑念も含めて私は持っているものですから、念のためもう一度確かめて私は資料で明らかにしていただきたい、こういうように思うんです。大臣、いかがでしょう。
○政府委員(山本純男君) 御指摘のとおり私どもは、十全会の財務のあり方というものについて京都府を通じていろいろ調査をお願いいたしまして、京都府の衛生部におきましては、衛生関係の法令の定めます権限の範囲内で両法人から報告を求め、それに基づいた判断を私どもに報告してきたわけでございまして、これがそういう企業間の取引の実態を確実、正確に反映したものかどうかという点につきましては、いま申し上げました京都府としての本件についての調査の権限の制約もございますので、私どもは、京都府からの報告を一応正確なものとして受け取ったわけでございます。ただ、京都府が勧告をいたしましたことしの一月の時点におきましては、十全会関係両法人と関連会社なり赤木孝との間の財務上のそういう取引関係その他は、一応その時点としてはきちんと把握されたものと私どもは考えておりまして、それにつきまして解消すべき契約を解消し、それに伴いまして返済すべき金額、さらにはそれについての利息その他について京都府から厳重な指導をいたしたということでございまして、これは今後ことしに、これから逐次支払い、弁済ということが実施されていくということで理解しております。
○高杉廸忠君 国税庁の方にこの際確認をしたいと思ってお尋ねをするわけですが、いまお聞きをしているように、建設仮勘定という会計処理の方法、こういうのをやっているわけですね。十全会については六十億円を超えるような資金捻出のために建設仮勘定というものが利用されている実態なんですが、これは税法上の課税面ではどういうふうな取り扱いになるのか、土地の売買に通常そういったような会計処理がこれは認められているのかどうか、国税庁の方ではどういうふうに御見解を持っておられるのか。
○説明員(冨尾一郎君) 建設仮勘定につきましては、確かに企業会計上または税務上そのような扱いが――そのようなといいますか、多年にわたる工事等に伴って、建設をしていく過程で支出をした金額を、建設仮勘定として処理をするということは現実に行われているわけでございまして、そのこと自体は私どもとして、特に税法上から見てどうこうと申し上げることはできませんが、先生の御質問の趣旨がそのように建設仮勘定という形で、結果的に相手方に対して貸付金的な結果になっている場合の税務処理はいかがかという御質問だということにしてお答えをさしていただきたいと思います。
 税法上は、無利息で金銭の貸し付けまたは提供を受けた場合には、その場合、通常の利率で計算をした利息相当額が経済的利益ということで課税の対象になるという扱いをしているところでございます。
○高杉廸忠君 時間が大体来たようでありますから、最後に、大臣に私の方は再度お願いをし、確認をいたしたいと思うんです。
 大臣もお聞きのように、医療法人の決算報告を受けている、直接的には京都府あるいは厚生省、こういったところでこの資金のからくりですね、私はまだ解明されてないと、こういうふうに思うんです。そこで大臣も先般の本委員会における所信表明の際に、特に第三点として、医療の推進に当たっては、「医療に対する信頼が回復され、今後、昨年のような事件が二度と起こらないよう、さらに効果的な対策を講じてまいりたい」と、こういうようなお考えをお述べになりました。私も大変力強く感じているわけであります。したがって、いま私が幾つかの指摘をいたしました。まだ解明をされてない、あるいはまた改善を要するところも多々あるわけであります。大臣の最後に御決意を承りまして質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 先般、私の方針を申し上げた方針にいまも変わりはございません。
 数々の御指摘をいただきましたが、そういう改善すべきもの、疑惑があるもの、あるいはなおいろいろなことが出てくるもの、こういうことについては二度と再びこういう事件が起きないという方針のもとに、全力を挙げてこれを改正をし、改善をしてまいります。」

◆94参 - 予算委員会 - 11号 昭和56年03月17日

○和田静夫君 医師会は、プロフェッショナル・フリーダムなんと言っているんですよ。私は冗談じゃないという感じがするんです。医師会の言うプロフェッショナル・フリーダムというのは、乱診乱療のフリーダム、薬づけのフリーダム、脱税のフリーダムではなかったか、今日の実情は。もちろん私は、多くのお医者さんが現在の医療に頭を悩まされていると思いますし、たくさんりっぱな方々がいらっしゃいますが、そういうのは一部の医者だけかもしれません。しかし、プロフェッショナル・フリーダムの名のもとに富士見病院があった、あるいは十分会があった、あるいは近藤医院があった、勝手きわまることをやってきた、こう言ってよいと私は思うんです。
 これらの事件を明るみに出して告発したのは、厚生大臣、医師会ではなかったんですね。決して医師会ではなかった。被害を受けた患者であったわけですよ。あるいはその訴えを受けた素人の団体だったわけです。医師会のチェック機能は、私はないとは言いませんけれども、大変に弱いことはこういう多くの事件で明らかだ。地域医療計画の策定に、私はアマチュア――素人が、いま厚生大臣が言われましたように、参加させられることがそういう意味で保障されなきゃならぬのだと。供給を受ける側の意見を聞くということ、そのことが私は大変大切なんだと。医療審議会にしても実態は医師会が牛耳っているんですよ。供給を受ける側が忌憚なく物を言える場をシステムとして制度的に保障をする、このことは、率直に言えば公的病院の代表も明確に加える、こういうことでなきゃならぬと思うんです。厚生大臣の所見を伺います。

○国務大臣(園田直君) 医療というものについてはいろいろ問題がありますが、私は、医師会というのが国民から親しまれ、尊敬を受ける医師会になっていただくことが非常に大事だと、こう思っておるわけでありまして、ややもすると国民が、お医者さんというのは自分たちの利己主義のために国民を敵に回していると、こういう印象がなきにしもあらずでございます。幸い近ごろは、医師会の方でオープンシステム、相互監視などと言い出されたことは非常にありがたいことだと思っておりますが、いま御発言の公的病院の重要性、これを外さないように十分注意をいたします。

○和田静夫君 国の責任がこの医療計画の策定に対してどういうふうに一体位置づけられているのでしょうか。
 すなわち私は、国の責務として二つのことをきょう提案したいのですが、一つは、国は地域医療計画に対してガイドラインを示すこと、いま一つは、「国は、医療計画の達成を推進するため必要な措置を講ずるように努めるものとする」というふうになっているわけですから、これに財政的支援、財政措置を明記すること、こういうふうに考えるんです。後段の部分は大蔵大臣からも答弁求めたいのですが、まず厚生大臣。

○国務大臣(園田直君) 第一段の問題は、御指摘のとおりでございます。
 二番目の財政上の問題でありますが、総括して厚生大臣が考えますると、いろんな福祉その他一般の制度からして、各地方自治体にいろんな責任や仕事をお願いしておりますが、財政的には必ずしもお願いするだけのことはしてないんじゃないかという反省を絶えずしておるわけであります。今度の地域医療の問題もきわめて大事な問題でありますが、残念ながらまだ財政当局とは御相談がかなっていない状態でございまして、今後よく御相談をいたします。

◆1981/02 「十全会赤木孝は"祗園の夜の帝王」
 『週刊文春』,23(6)(1122)p148〜151
 http://webcatplus.nii.ac.jp/webcatplus/details/book/24960020.html

◆「1981年 医療法人十全会がアサヒビールの株式を買い占める。直後に株を放出し、その株を旭化成が買い取って同社が筆頭株主となり、業務提携も行う。」
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B5%E3%83%92%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%AB

●94衆 - 社会労働委員会 - 4号 昭和56年03月19日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=5&DOC_ID=4652&DPAGE=1&DTOTAL=47&DPOS=19&SORT_DIR=0&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345

○草川委員 やはり私立大学病院はとにかく一つの病名についてほかより診査が高いわけですね。これは個々の例ではなくて平均で言ったわけです。
 今度は個々の例を申し上げますと、大学の名前を挙げて恐縮でございますが、驚くなかれ一カ月一千万円台の診療報酬の請求になってきたわけです。私は去年もおととしも十全会問題を取り上げて一カ月百万円だと言って驚いたわけですよ。百万円ですごい診療報酬が高いじゃないかと言ったら、今度は一カ月一人一千万円台の診療報酬の請求が私立大学ではのべた出てきたわけです。
 これは大変なことだと思うのでずばっと物を言いますと、一つ慶応義塾大学、これはインチキでも何でもないりっぱな大学でございますからもちろん内容で一概に否定はできませんが、九百九十万円の請求があるわけです。ところが支払基金の方でちょっとこれはおかしいだろうというのでチェックになったと思うのですが、八百九十九万円で認められた、これは一つの例でございます。心不全だとかいろいろな病名がありますからそれなりの理屈はあると思うのですが、とにかく一千万円に近くなりました。
 ずばっと一千万円の例を申し上げますと、たまたまここにありますレセプトでありますが、帝京大学医学部附属病院は千百七十八万円の請求になっております。十二指腸潰瘍と血友病ですからそれなりの大変な手当てが要ると思いますけれども、千百七十八万円です。診療報酬基金の方でちょっとおかしいと言ってこれは削られておるわけです。九百九十九万円です。九十九万九千点でこう出るわけです。
 関西の方へ行きますと、関西医科大学附属病院というのがあります。これも千百三十三万円という請求でございまして、これも支払い側の方で少しチェックをされまして、九百五十八万円という支払いが行われておるわけです。
 いま問題になりました北里大学もいろいろなのがあるわけですが、北里大学等で見てまいりますと、これは一千万円台のはちょっと見つからなかったわけでございますが、六百七万円だとか五百八十万円台だとか八百万円台とか九百五十一万円台だというのが出てきたわけです。
 ちょっとこれはまたお聞きしますけれども、たとえば心筋梗塞の方で六百六万円という方を調べてまいりますと、検査が一カ月に千七百十四回やられておるわけです。一カ月に一人の人間ですよ、一人のカルテですから。千七百十四回の検査ということはどういう検査になるのでしょうか。技術的にちょっと技官の方がお見えだったらお伺いしたいのですが、どうでしょう。――見えませんか。では見えなければいいですけれども。
 保険局長にお伺いしますが、一カ月は三十日か三十一日ですね。この場合は五十五年、去年の五月ですから三十一日間の診療日数で入院をしてみえるわけですが、千七百十四回というのは実際考えられる内容でしょうか。

○大和田政府委員 大分多いという感じでございますが、これは私、技官でないものですから明確なことを申し上げられません。たとえばオートアナライザーなどを使いまして一挙に数多くの検査というものはあり得ると思いますけれども、千七百回というのは非常に多いという感じがいたします。

○草川委員 これは同じ北里大学ですけれども、別の人ですが、これも五月の診療報酬の請求で敗血症だとか腹膜炎なんかを起こしてみえる人ですが、この方も千五百十三回の検査をされているわけです。百回とか二百回というのはいまの局長の答弁でいいのですけれども、千五百回、しかも北里大学ですからそれはれっきとしたいろいろな問題があるわけですが、もう一人の方は、これは五十四年十一月のカルテでございますが、千百二十四回です。あるいは六百七十二回とか八百十三回とかという形になってきますと、一体検査というものになるのかならぬのか、私はちょっとそら恐しくなってくるわけですね。科学的な域をオーバーしてしまうのではないかと思いますし、いま申し上げましたように、私大の方も経営がえらいえらいと言っておりますけれども、そのえらいというのを保険の方に向けつつあるのじゃないだろうかと私は思うわけです。
 一番最初に申し上げましたように、こう言っては悪いわけですけれども、一応国立大学の大学病院というのはかなり権威のあるところと言われておるわけですし、むずかしい病気も行くでしょう、そこへ。その次に、そこは大学病院ですから私大の方へも行くと思うのですが、それにしても少し常軌を逸しているような例が多いと思うのですが、その点についての御見解を賜りたいと思います。

○大和田政府委員 私も感じといたしましてはかなり多いと思います。ただ私、こういうケースを聞かされるたびに一つ吹っ切れないのは、たとえば非常に重篤な病気で死ぬというような患者が入院してきた、その患者に対して最高の治療というものを大学付属病院が行った、そのために相当多額の医療費の請求になってきているといったような問題も現実にはあるわけでありまして、ただしかしそうでない場合もあるのではなかろうか、その辺の区分けというものが非常に私自身、こういう高額医療費に接しながら、悩みながらこういうものを見ておるというような現状でございます。

●94衆 - 文教委員会 - 5号 昭和56年03月20日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=5&DOC_ID=8111&DPAGE=1&DTOTAL=47&DPOS=20&SORT_DIR=0&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345


○中野(寛)委員 私も、文教委員の席にしばらくおりました関係で、国立学校設置法につきましては、幾たびか審議をしてきたわけであります。そして最近のその多くの内容は、国立大学に医学部を設置するとかいうふうに、いわゆる無医大県の解消が中心になって努力をしてこられたいきさつがあるわけであります。それだけに今日、その目的を達成したいま、果たしてそれが十分な運営のもとに国民に対して正しく運用され、そしてまた役立っているか、このことは、私どもにとって重大な関心事であります。このことについてお伺いをしたいと思います。
 さて、最近、巨額脱税の医師を逮捕したとか、または病院を調査したとかいうふうな記事が新聞等でほとんど毎日のように踊っているわけであります。また同時に、富士見産婦人科病院であるとか京都の十全会、そして神戸の近藤病院というふうに次々に病院の乱診乱療、そして、まさに金の中にどっぷりとつかり込んだような姿が報道をされるわけであります。また一方では、医科歯科系の私立の大学の不正入試や裏口の問題等が報道をされ、そして国民の大きな怒りを買っているわけであります。
 そういう中で、しかし、それでは民間の病院が、または私立の大学だけがそういう実態なのかということで、国立大学または国立病院に目を転じてみると、私立や民間の病院、大学に比較して決してまさるとも劣らない、あきれた実態が次々と浮かび上がってくるわけであります。大学や大学病院を中心にしてその実態を見るにつけても、結局のところ医療の荒廃は、むしろその大学や医局の中から医師とともに生まれ出てきているのではないだろうか、このようにさえ思わざるを得ない実態があるわけであります。
 すなわち、大学や大学病院から一般病院や診療所へ派遣医と称する医師のアルバイトが行われ、そして、そのアルバイト医師に多額の給与が払われる。それは大学の、または大学病院の勤務時間中に行われているにもかかわらず、一方の本務の方では賃金カットも何もされないという実態、そしてまた、そういうものを派遣してもらうために、教授や医局にリベートが支払われる、また一方、患者や家族からは、国立大学病院に入院をしておっても、入院や手術に多額な謝礼が要求されるという実態、また医薬品メーカーや医療機器メーカーから、多額の寄付やリベートが支払われて、その使い道がわからない、薬もまた持ち込まれると、それが横流しされて、現金問屋へ持っていかれる、こういう実態、これを私たちはしっかりと見据えて是正していかない限り、医療の改革、改善はなされないと思います。
 最近よく言われるのです。先生と呼ばれる種類の人たちの中で、三つの種類の人たちが、いまの社会で最も大きなひんしゅくを買っていると言われます。その先生と呼ばれる者の代表の一つが政治家であります。政治を清潔に立て直していくこと、政治家の倫理、モラル、これが第一に問われています。二番目が学校の先生です。現在の校内暴力やその他の実態を見るにつけても、学校の先生がもっとしっかりしておったらという、この声が次々に聞かれます。三番目はお医者さんであります。いまさら申し上げるまでもなく、先ほどるる申し上げた実態が次々に露呈をいたしております。
 そういう中で、大学病院ということになりますと、学校の先生とお医者さんを兼ねているわけであります。いいことを兼ねているのなら結構ですが、悪いことを兼ねているということになりますと、よっぽどひどいということになってしまいます。そういう実態の中で、幾つかの事例を挙げながら、お尋ねをしていきたいと思います。
 まず、大学病院等へ入院し、また手術を受けるというふうな場合の患者や家族からの謝礼の問題であります。
 この問題を質問しようと思い立ってから、何人かの同僚議員にこの話をしました。そうすると、私が問うまでもなく向こうから、国立大学の病院に入院したら、手術をするので一流教授に頼もうと思ったら百万は要るよ、多くの同僚議員が平気な顔をして言っておりました。国民の代表として、こういう実態をしっかりと監視し、批判していかなければならない者にまで、そういう実態がそのまましみ込まされているのかと思えば、大変恐ろしい気がいたしました。
 近畿のある国立大学産婦人科のA教授としておきましょう。具体的に名前を申し上げることもできますが、きょうは避けておきたいと思います。
 ここで断わっておきたいと思いますが、このような実態は、すべての大学教授がやっているということではありません。しかし、ごく一部の教授に限られているという問題でもありません。かなり普遍化している問題としてとらえたいと思います。
 このA教授の場合、一つの手術について、執刀する場合に二十万円、がん診断の医師が十五万円、アシスタント十万円、病棟長十万円、主治医五万円、合計六十万円、患者や家族に聞かれた事務職員が、このくらいは出した方がいいでしょうというふうに示唆をして出した金額であります。決して一例ではありません。これが慣例化しているのです。
 この実態を見るときに、単純計算をしてみましたが、たとえば週に一日手術日を設けて平均一日三人手術したとしたら、その教授分だけで二十万円掛ける三人掛ける五十週、一年間三千万円の所得になります。
 ちなみに、京都大学の教授の方々で、しかも臨床医四十人、そのうち何人が、あの国税庁が発表する高額所得者のリスト、一千万円以上の確定申告をしている人の中に入っているかと調べますと、二人だけです。どう見たって実態と合わない、そこに隠された何かがある、こう見るのが普通だと思います。
 こういう実態について文部省はどのようにお考えでありますか、まずお聞きしたいと思います。

○宮地政府委員 かねてから国立大学病院の教職員に対しまして、その地位の特殊性と職務の公共性にかんがみ、職務の適正な執行と厳正な服務規律の徹底を図るように、国立大学病院長会議等あらゆる機会を通じまして、私どもとしては、強く指導をいたしておるところでございます。
 ただいま先生から御指摘の患者、家族からの謝礼というようなことについても、これは厚生省の病院経営管理指導を待つまでもなく、かたく辞退するよう強く指導をいたしておるところでございます。もし御指摘のような事実があるとすれば、まことに遺憾でございまして、そういう体制を改めるように私どもとしてもさらに強く指導の徹底を図ってまいりたい、かように考えております。

●94衆 - 大蔵委員会 - 16号 昭和56年03月25日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=5&DOC_ID=4436&DPAGE=2&DTOTAL=47&DPOS=21&SORT_DIR=0&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A0%80%E6%98%8C%E9%9B%84
○堀委員 […]
 もう一つ医療の税制の問題で、いま二人以上の病院ならば医療法人がつくれるけれども、しかし、どうも一人だけの診療所はそういう処置ができないということで、一人でも法人として処理ができる道を開いたらどうかという問題をかつて私は提起したことがあるわけでございます。ところが、実はこの二月十四日に日本医師会の武見会長の「根本から医療を考えよう」、こういう全面的な意見広告が新聞に出ました。それをつぶさに読んでおりまして、私が問題提起をしておりました一人法人の問題が、武見さんのお考えからすると、これは医の倫理を否定するような傾向が出てくるというふうなお考えが実はとられているわけであります。ちょっとここのところを読み上げますと、
  医療が大型化するにつれ資本の導入が行なわなければならなくなりますが、医師だけではできないからというので設立されたのが医療法人法です。
  しかしこの法は結局、税金のがれのためのものとしてしか受け取られませんでした。
  しかも、医療法人の理事者になるには、何の資格もいらないのです。高利貸しでも暴力団でも何でもかまわないというわけです。
  このような医療法人の中でも、目に余る行為を行なったものが、たまたま摘発されているのです。
  私たちは医療法人法ができるときから、これに反対しました。その理由は、今日の結果が予測できたからです。
  しかも、医療法人法では出資を求めておきながら、配当を禁止しています。株式会社と異なって営利を目的としてはならないというわけですが、十全会のような巧妙な脱法行為によって、その意図もみごとに裏切られたことになります。
  最近では個人の開業医で法人化する、いわゆる一人法人を提唱する者がいます。
どうやらこれは私のことのようでありますけれども。
  しかし本来、医療は医師対患者の個人関係を基調とするものであって、患者対法人の関係であってはならないはずです。にもかかわらず医療法人に税の軽減を求め、または一人法人を認めさせようとする動きがあります。
  そしてその場合、法人としての義務をどのように負うかはまったく明らかにされていません。そこに政治のトリックがあります。
  このように、医療は法人が行なうものであるという概念ができて、医師の個人責任が見失われてきているような現状においては、医の倫理が更新されないのは当然のことです。
  むしろ倫理を否定するような傾向が出てくるのも無理はありません。
こういうふうな意見が述べられておるわけであります。
 私がこの問題を発表しましたときに、武見会長が医師の倫理にもとると言われたのですが、詳しいこういう表現がないものですから、なぜ医師の倫理にもとるか私もわからなかったのでありますが、ここでなるほどと私は思いました。武見会長のおっしゃる問題、富士見病院とかあるいは数日前に新聞に出た川合病院とか、医療法人である病院が確かに利益を目的として、本来医療法はそういうふうになっていないのでありますけれども、利益を目的とした行為に走って今日の医療への不信を招いておるという点は全く同感なんであります。そのことの中には、単にこの問題だけではなくて、保険医療機関という機関指定とか、私どもから見たらむだないろいろなことが行われているわけでありまして、そういう問題もあわせて改善をしなければならないと思うのであります。
 ただ、税の面から見ますと、実はいまの医師の業態の問題というのは大変問題があると私は思うのであります。それはいま租税特別措置法二十六条が改正をされて五段階税制というようなことになっているのでありますが、あの五段階税制なんというものは一体本当に根拠のあるものかどうかという点については私は非常に疑問があるのでありまして、やはりああいうものではなしに、所得に応じて税金が納められるような制度に変わるべきである。その場合には医業の収入と個人の医師の所得が分離されなければならないというのが、実は私ども税や経済をやっておる者の立場からすると合理的な対応だろうと思うのであります。医業の収入は全部その個人の所得とみなすということではなく、これはもういまの法人成りがいっぱい行われていて、要するに法人としての税を払い、さらに個人はそこの中から受け取った所得に対して所得税を払う、こういう合理的な税のシステムにする方が、医業課税というものが適正な合理的な経済行為としての課税に対応するものだというふうに私は考えるのであります。武見さんがここでこういう問題を出されると、これは一人で法人にすると法人が聴診器で診ているという話はどうも適切でないのでありまして、やはりこれは医師個人が診療するということにならざるを得ない。そうすると、税法の処理の対応というのは、これはやはり一つの税法としての医業所得と個人所得との分離ができる、そういうシステムを検討することの方がいまの問題の上では合理的ではないのか、こういう感じがいたしておるわけでございます。
 これはもう御答弁はいただきません。大蔵大臣と一回ゆっくりとひとつ論議をいたしますが、この前も予算委員会で申し上げましたけれども、今後の行政改革の中で医療問題というのは大変大きな部分を占めることになるだろうと思うのであります。そういう問題を処理いたしますときに、ただ一方的な問題の処理をするだけでは必ずしも医師の協力が得にくいのではないか。いま私が二つの問題を提起いたしましたのは、そういう医療行政の改革問題の全体の中の部分として検討をしていくことが、いまの医療に関する行政改革を進めるのに望ましい道になるのではないだろうか、こういうふうに考えているわけでありまして、一方的に税の処置を先にやってくださいということを私は問題提起をしているのではありません。非常に重要な行政改革に占める部分でありますので、そのことを総理もひとつ頭に置いていただいて、今後の医療に関する行政改革を進めるための参考にしていただければ幸いだと思うのであります。
 そこで最後に、行政改革の問題について総理に大変真剣な御発言をいただいて、私も賛成でございます。その中で、まだしかし率直に言って租税特別措置法というものが残っておりますが、これはさっきも大蔵大臣も答えておられましたけれども、要するに表から補助金を出すか、裏側で税金を減免することによって相対的に補助金が出たと同じ問題も実はあるわけでございまして、そういう意味では、この問題は要するに表からの補助金を合理的に削減していくということも大変重要でございますけれども、あわせてそういう相対的な補助金といいますか、税によって本来取るべきであるものを取らないということで起きておる補助金的性格のものもひとつ処理をしていただくようにお願いをいたしておきたいと思いますが、この点はいかがでございましょうか。

○高橋(元)政府委員 お示しのように、租税特別措置の中でこれは政策税制でございますから、政策目的に適合しておってほかにその目的を達成するのに適当な方法がないという場合には、これは目的に役立つ限りにおいて採用をしてきておるわけでございます。ただし、政策目的に照らしてもはや必要がなくなっておるとか、その租税特別措置で目的が上がっていない、目的が達成されていないというものにつきましては、これは大体において期限つきの措置が多うございますから、期限の到来するものを中心といたしまして見直しをしてきているわけでございますが、五十五年度の税制改正で、租税特別措置の中で企業関係の措置につきまして一律に大幅な縮減をいたしました。大体現在までに、五十一年以来続けておるわけでございますが、企業関係の特別措置の八割くらいはもう整理の対象になっております。今後とも社会情勢の推移に応じて見直しを図ってまいるということはかねがね申し上げておるところでございます。

●94 - 参 - 大蔵委員会 - 10号 昭和56年03月27日

○穐山篤君 不十分ですけれども、時間の関係でやむを得ないです、それは。
 それから、再三お尋ねするわけですが、誠備グループなり十分会の証券取引、一連の不祥事件というのは、改めてこの種の問題について勉強をいやおうなしにせざるを得ないという、そういう場面に直面をしたわけです。そこでやっぱり正常な株の取引あるいは株主というものを育てていかなければならないし、証券市場というものを健全にしていかなければならぬということは当然だというふうに思うんです。
 そこで、幾つか改善策をお考えでしょうけれども、今回の事件に照らして再発防止のために緊急に手を打たなければならない、あるいは当面手を打たなければならない問題が幾つかあると思うんです。またやってもらわなければならないと思うんですが、その点についての考え方をお伺いします。

○国務大臣(渡辺美智雄君) きわめて技術的な問題でございますから政府委員から答弁をさせますが、やっぱり会社の姿勢や外務員の姿勢、その他一般の投資家の方もやはり甘言に踊らされて、そんなにぼろもうけなんというのは世の中にごろごろないわけですから、そういう点も知ってもらわなきゃならぬし、いろいろあろうかと存じます。証券局長から委細は説明をいたさせます。

◆ 94 - 参 - 大蔵委員会 - 12号 昭和56年03月30日

○鈴木和美君 大臣に後から時間の中でお尋ねしますが、もう一回厚生省にお尋ねしますが、きのうの新聞ですが、丸茂さんが厚生省の関係者にいろんな対策についての接触その他が行われたことがずっと書いてありますね。特に私が問題としたいことは、関係者に申請が行われたときに、まあ、そう問題でないんだと。たとえば「医療法七条四項をたてに、有限会社化を認めない知事が出れば、選挙にひびくだろう」と言いながら大変圧力をかけたというようなお話があるんですが、そういう事実はありましたか。

○説明員(水田努君) 私は昨年の六月の末以来、医務局の総務課長をいたしておりますが、今日に至るまで富士見事件、医療一一〇番、予算、十分会、医療法改正ということに追われておりまして、丸茂先生にはいろいろお世話になっておりますが、税のことで直接先生からお話を承ったことは全くございませんし、また、私の上司の方から税の問題に――現在問題になっている問題について直接御指示をいただいたということも全くございません。

●94衆 - 本会議 - 19号 昭和56年04月17日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=5&DOC_ID=4368&DPAGE=2&DTOTAL=47&DPOS=22&SORT_DIR=0&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345

○沢田広君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となりました商法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問を行うものであります。
 ようやく今回、商法の一部改正が提案に至った経過、その原点に思いをいたさなければなりません。
 ダグラス、グラマン、ロッキード事件、多国籍企業の乱脈、不正経理、粉飾決算事件など、目に余るものがあったことはすでに御承知のとおりであります。
 かくて、昭和四十九年、衆参の附帯決議となり、法務省において会社法の改正について検討を始め、昭和五十四年五月二十二日、閣議了解により、航空機疑惑問題防止対策のため、政治の浄化、政治倫理の確立、これを担保する制度の創設が提言されました。これはいまだに実行されておりません。
 加えて、企業の倫理、制裁法規の整備、監査制度の充実、自主的監視機能の強化、多国籍企業による海外不正支払い防止、公認会計士監査の充実、経済界の自粛自制、賄賂罪の刑の加重、時効期間の延長等が提言されたのであります。
 この間、実に八年、ようやく日の目を見たのでありますが、この間はもちろん、今日におきましても、商道徳の退廃、企業の国民に対する背信行為、不正経理の乱発、まさに魑魅跳梁のさまはきわめて遺憾であり、この間の自民党政府の責任は、重かつ大と言わなければなりません。(拍手)
 総理も、この間、党内の総務会長九期、農林大臣などにあったわけでありますが、この責任についてどのように考えられますか、お伺いをする次第であります。これは、私、社会党の主張のみではなく、国民全般の天の声であるという立場から、明確に回答されることを期待するものであります。
 ちなみに、この間、北商のかずのこ事件しかり、十全会、KDD、石油やみカルテル、平和、大光相互銀行、日本発馬機、誠備グループ、日商岩井の香港事件等々、例挙のいとまもありません。
 商法は、六法の一つとして、わが国における商行為についての骨格法であります。昭和四十九年の附帯決議の内容からはきわめてほど遠いものであります。
 すなわち、会社の社会的責任、大小会社の区別、会計監査人の独立、監査法人の育成、休眠会社の整理、財務内容の公開、株主総会及び取締役会制度の改革等が求められたのであります。[…]

●94参 - 社会労働委員会 - 9号 昭和56年04月21日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=5&DOC_ID=7138&DPAGE=2&DTOTAL=47&DPOS=23&SORT_DIR=0&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345

○高杉廸忠君 ぜひひとつその実現に向けても、大臣の一層の御尽力を賜りたいと思っております。
 以上で参考人の杉山さんに、大変時間の関係で十分ではなかったかと思いますけれども、御出席いただきましてありがとうございました。
 次に、十全会の問題について質問をいたしたいと思います。
 私は本年一月の二十七日、医療法人十全会病院に対する勧告を機に、十全会病院の運営、医療内容について大きな転換が見られ改善を見るならば、改めて問題として取り上げる考えはありませんでした。残念ながら病院側の対応はそうではありません。したがって、再度この問題をただしたい、このように思います。
 まず、私は片山先生と同行いたしまして、去る三月十一日、京都十全会病院に行ってまいりました。その際、病院側から、当病院はわが国老人医療の先駆的役割りを果たしてきた、こういうふうに述べられました。また、一月二十七日の行政措置後何が改善されているか、こういうような問いに対しまして、日々医療内容は改善されており何も変わったことはない、こういうふうに答えられまして、私たちからすれば反省の色は見られませんでした。さらに、社会的に取りざたされているが、わが病院はあらゆる行政の調査を受けてきているので問題はない、とも言っておりました。
 こういった病院側の対応に対して、片山委員長はどのような御感想、十全会に対する認識を持っておられますか、異例でありますが、委員長と一緒に私も同行さしていただきましたので、委員長の御感想、御認識をまず伺いたいと思います。

委員長(片山甚市君) ただいま高杉委員から委員長に質問がありましたから、異例でございますが、お答えいたします。
 三月に十全会病院に参りましたとき、病院の院長、理事長の言葉をかりるならば、行政府からの勧告は私たちとしては受けましたけれども、それによって何ら改善する必要がなかった。こういうお答えでございまして、行政府が行いました改善命令については、この勧告については余り関心を払っておりませんでした。
 特に私たちが行って感心したのは、病院が大変清潔であるということでありました。そうしてそこには一病室に百名なり百二十名程度の八十歳を超える方々がずらりと並んだ、まるで生き仏様が並んでおられるという感じで、老後の人間の最後がこのような状態であっていいのかどうか、こういう感じで背筋が寒くなりました。子供たちが親を養うことなくこういうところにたくさんの人がおられました。その方々のお顔、お姿を見ても、決して生活の程度が低い人でなく、知識も教養も高い方々が多いように見受けられました。わが国におけるところの家族のあり方、家庭のあり方等について深く感ずるとともに、十全会病院が成り立っておる根本的なことについて恐ろしく思ったところでございます。三つの病院ともそれぞれ大同小異でありますが、老人医療について、老人の医療対策について根本的に考えなきゃならぬ、そう思ったところであります。
 非常に抽象的なお答えでありますけれども、高杉委員にお答えします。

○高杉廸忠君 厚生大臣、いま委員長から京都の十全会を見られた率直なお話もいただきました。お聞きのとおりであります。
 この問題に対し、大臣はどのようないままで報告を事務当局から受けておられるのか、また、大臣としてはこの問題についてどういうような御認識をお持ちでありますか、この際、まず伺います。

○国務大臣(園田直君) 私は、すべての医療機関に対して大臣として持っております権限で厳しく対処しておりますが、決して厳しくすることがいいとは思っておりません。しかしながら、医療並びに従事する人、医療機関が医療の本来の精神に立ち戻っていただかなければならぬと思って厳しく対処しているところであります。
 十全会は、経緯は御承知のとおりでありますから省略をいたしますが、勧告を出しました。その後、各位のいろいろな御発言あるいは御指導、その他の人々から――十全会の幹部が記者会見あるいはその他の態度で一番感じますことは、私が一番願っておる医療機関の責任者として一番大事な心構えというか、反省というのは必ずしも私はいってない。これを一番大きく見ておるところでございます。そこで、これについては京都府その他を通じてしばしば注意を促しております。かつまた、そういうことでありますから、勧告は勧告としてこれは十二月までに逐次改善をしてもらわなきゃなりませんが、それ以外に医療法または保険の面から、現在、過去において不正な事件がないか、これは別個の問題でありますから厳しい態度をもってこれを指導し、かつまた注意しながら見ておるところでございます。
 具体的な報告については事務当局からお答えをいたします。

○政府委員(山本純男君) 具体的な改善事項を、私どもただいま報告を受けておるところを要約して申し上げますと、医療法の関係では職員の数が不足しておるということを指摘したわけでございますが、これにつきましては四月二十日現在、私どもが報告を受けておりますところでは、常勤医師三名、常勤看護婦二名の増員が図られたということでございまして、まだ不十分ではございますが、今後なお指導してまいりたいと思っております。
 また、ピネル病院のエックス線防護設備が整備されていなかったという指摘がございましたが、これについては整備を行ったという報告を受けております。
 また、初めに申しましたとおり病院の充足がまだ行き届いておらない段階でございますので、入院患者をセーブしまして、やや入院の患者の数を抑制するという方針をとっておるということを報告を受けております。
 あわせておわびをしなければいかぬと思いますが、先生方御視察の折に、院長その他の医師が若干の行き違いがあったために不適切な発言をしたということを、京都府に対して謝ってきたということを私ども聞いております。

○高杉廸忠君 具体的に伺いますけれども、無資格者の診療について、本委員会において私は去る三月の十七日に指摘をいたしました。その指摘をしてから、厚生省の方では具体的にどのような調査をされましたか。これが一つであります。それからまた、その調査の結果それはどういうように出ておりますか、この際明らかにしていただきたいと思いますが、まず伺います。

○政府委員(山本純男君) 私ども京都府に対しまして、御指摘のありました件についての調査を指示いたしたわけでございますが、これを、具体的な医療監視という手続でやる段階まで至っておりませんで、まだ準備中というふうに承知しておりますが、現在の段階では、京都府が病院の責任者を呼びまして聞き取りを行った結果の報告を受けております。その点について申し上げます。
 まず、医療秘書というものが資格のない医療行為その他を行っておるという御指摘がございましたが、これにつきましては、医療秘書の業務といたしましてはこの三病院では、診療報酬請求事務、福祉事務所、患者家族との連絡事務、病院内における患者の搬送等の看護助手業務を行わせておるということでございまして、診断行為、たとえば心電図、脳波といったようなことはやらせていない。機能訓練の関係では、訓練室までの搬送業務を行わせたけれども、医行為に当たる機能訓練は行わせていない。また、血圧測定の関係では、測定値の告知あるいはカルテ記載その他医行為に及ぶことはやらせていないけれども、患者とのスキンシップを図るためということでございますが、血圧測定自体を、装置を操作させたことは認めております。
 以上が調査の結果でございまして、これらの事項に対しまして京都府では、必ずしも違法な行為と断定すべきものは認められないけれども、不適切なものが認められるので、そのような行為については改めるように三月十七日の日にそのような指導を行ったということを報告を受けております。

○高杉廸忠君 本年一月二十七日の勧告を受けて以来、十全会病院は医療内容、病院運営面で十分改善をしていると、こう言えるかどうか。残念ながら態度を改めたとは言えない節が見られるわけです。いまお答えいただきましたように、私は三月の十七日、本委員会で医療秘書、いわゆるメディカルセクレタリーの無資格診療を指摘しました。指摘をしますと、いま次長から御報告でありますと、十八日ではないかと思うんですが、私が質問した翌日の十八日に、十全会においては医療秘書の人たちを集めて、集合がかけられて、病院側から今後医療秘書の人たちは血圧の測定や検尿や機能訓練に携わらないようにという指示をした、こういうように私は聞いております。次長、そういう事実というものを御報告を得ていませんか、あるいは把握をしておりませんか。

○政府委員(山本純男君) 具体的にどういう指示なり何なりをやったかということは、実は報告受けておりません。しかしながら、ただいま申し上げましたとおり、京都府の衛生部の方から病院に対しましては、たまたま新聞にそういう事実が報道されたことに基づきまして、私どもが事実調査を指示いたした結果といたしまして、そういう不適切な行為についてはこれを改めるように指示をしたというふうに報告を受けておりますので、そのことに当たるかというふうに理解しております。

○高杉廸忠君 たとえばいま申し上げましたような、私が十七日に委員会で指摘をした翌日に、十八日に十全会なりに改善をしようという呼びかけをしたと、こういうような経過から見ると、どうも無資格診療がそれまで行われていたんではないかという疑い、あるいはまた、改善をするというならば、それ以前はそういう診療が行われていたんではないかというふうに考えるんです。それはどうでしょう。

○政府委員(山本純男君) 病院職員の日常の行為自体というものは、なかなか行政庁からは事細かく全部を把握するわけには必ずしもまいりませんので、私どもとしましては、その病院全体に対する指導監督の中で、そういうものの改善を求めていくということで対処をいたしておるわけでございます。
 で、いま御指摘のいろいろな医行為に紛らわしい行為というものが多々あるわけでございますが、たとえば検尿といったようなものは、これは必ずしも医行為ではございませんので、違法ということにはならないと考えておりますが、血圧測定ということになりますと、これはかなり微妙な点がございまして、かつてはこれはすべて医行為であると私ども考えて、厳しい指導を行っておったのでございますが、現在では、いろいろ医療技術その他が変わってまいりますと、非常に機械的な操作でありまして、必ずしも医行為生言えないような補助業務という色も非常に強くなってまいっておる、そういうところから、私どもも指導のあり方をただいま検討をしておる段階である。それからまた、リハビリの関係なんかで申しましても、急性の症状にある患者の場合でございますとか、あるいはリハビリ療法の内容がきわめて患者の心身に直接的な影響のあるような行為、そういうものは、これはきわめて明確な医行為でございますけれども、たとえば老人ホームで老人に体操をさせるとか、それをもうちょっと厳しい訓練をするというようなものは、必ずしも医行為とは考えておらぬわけでございまして、その辺はちょっと限界も微妙でございますので、これはむしろ細かい指導よりも、その病院でその衝に当たる人々、ことに主治医である医師の見識とあるいは心構えの問題であろうかと思いますので、私どもも、今後はそういう点に重点を置きまして、病院の運営のあり方については厳しく指導をしてまいりたい、こういうふうに考えております。

○高杉廸忠君 無資格者が診療に当たって、それに対する報酬として機能訓練手当等が支給されているということは、給料の明細から明らかなんです。この四月四日の毎日新聞ごらんになったと思うんですね。この毎日新聞の報道でも給料の明細がこう出ておるわけですよ。私もここに、幾つかの給料の明細書を持っております。この明細書の中にも機能訓練手当その他、血圧測定の手当、こういうものが医療秘書の人たちに現にいままで手当として出ている。こういう事実、これについてはどうなんですか、そういうことがあったという事実についてもお認めになりませんか。

○政府委員(山本純男君) 実は、新聞に載っておりました手当の全部を私ども確認できたわけではございませんのですが、京都府を通じて照会調査をいたしましたところ、昭和五十五年、昨年の一月以降用いられております給与台帳を私どもも見たわけでございますが、その中では、医療秘書に関連いたしまして、責任者手当、管理手当、機能訓練手当、無事故手当、マーク手当、こういう五種十全手当が支給されているというふうに報告を受けました。
 以上の手当の趣旨につきましては、責任者手当といいますのは、医療事務の責任の明確化ということでございまして月に五千円。管理手当につきましては、病棟における事務管理及び患者とのコミュニケーションの促進ということで月額一万五千円。機能訓練手当につきましては、機能訓練場までの患者移送、月五千円。無事故手当は、診療録からの正確な請求事務を達成するための手当、月五千円。マーク手当は、請求事務の正確化の促進ということで、無事故手当を連続六回達成した場合に一回千円ということで説明を受けております。このうち機能訓練手当につきましては、先生御指摘の時点――ことしの三月でございますが、以降は廃止をいたしまして、これにかえて管理手当の増額を行っておるということの報告を聞いております。

○高杉廸忠君 それは、機能訓練手当については三月十七日以降に手当をなくしたんだというふうに想定できるわけなんです。で、無資格者の血圧の測定とか、検尿とか、機能訓練、こういうのは、現行法律で法律違反であると思うんですけれども、どういう法規に抵触するんですか。

○政府委員(山本純男君) ただいま御指摘の行為と申しますのは、そのうち看護助手的な業務というものにつきましては、これは保助看法というところで、保健婦、助産婦その他資格のある者しかできないということになっておりまして、無資格の者がこれを業として行う場合には問題があるのでございますが、先ほど申し上げましたとおり、検尿といったような単純業務の場合には、これは必ずしも、その周辺ではございますが、医行為そのものではないので違法ではないというふうに解釈しております。また機能訓練の場合には、これは保助看法におきまして保健婦、助産婦、看護婦のほか機能訓練士、OT、PTの資格がなければできない業務でございますけれども、これまた先ほど申し上げましたように、その中には医行為に該当するような訓練内容、それから必ずしも医行為に該当しないような単純な補助的な訓練内容、それぞれございまして、その間はなかなか微妙な、ここからここまでということをきちんと申し上げることはなかなかむずかしいのでございますが、一例として先ほど申し上げましたように、急性症状のある患者に対する機能訓練、あるいは患者の心身に強い影響を与えるような刺激的な内容を持つ訓練、こういうものは医行為に該当するので、これを無資格者が行えば違法であるというふうに考えております。

○高杉廸忠君 非常な微妙な点もわかりましたが、警察庁の方にちょっとお尋ねをしたいと思いますけれども、いまお聞きのように非常に微妙でありますが、一方では医療費として請求をしている訓練ですね、こういうような場合、いま説明をいただきましたように、保健婦助産婦看護婦法、こういうものに触れると思うんですけれども、こういう事実について、警察庁として確認をしたことがありますかどうか、お尋ねをいたします。

○説明員(中島治康君) 警察としては確認したことはございません。

○高杉廸忠君 先ほど来からの私の質疑を聞いていて、微妙であるがやはりそこに法律に抵触する問題もあるということができるわけですが、私は、ぜひ確認に乗り出していくべきだ、こういうふうに思いますけれども、いかがでしょう。

○説明員(中島治康君) いろいろな問題がございますが、医師法違反になるかならぬかという問題、これは厚生省側の御見解がまとまることがまず前提だと思いますし、それから不正請求の関係、私どもの方は保険請求を見る立場にございませんので、そういった審査の結果について御連絡いただければ、しかるべき措置をとってまいりたい、こう考えております。

○高杉廸忠君 保険請求じゃなくて、要するに、いまあります現行法上の保助看法ですね、実は無資格者が、資格がない者が行った行為、これは現行法に抵触するんではないか、こう言っているわけですから、その疑いがあるとすれば確認にぜひ乗り出すべきではないか、こう申し上げているわけです。

○高杉廸忠君 厚生省の方にお尋ねをするんですけれども、いま申し上げましたような無資格者が行った訓練、検査、この保険の請求というのは私は不正請求の疑いがあると思うんですが、いかがですか。

○政府委員(大和田潔君) まず保険診療の請求につきまして、実は医者が立ち会わないということ自体、医者が立ち会わないで水中機能訓練を行ったと、医者の直接指導監督がなくて、そういったものを保険請求するということ自体、実は架空請求のような明らかな不正でないにしても、これはきわめて不当な行為であるというふうに私ども考えておるわけでございます。その前に、無資格の者がこれに携わったと、その機能訓練自体行えない者がこれを行ったというようなことにつきましては、これはたとえば一時的にそういった者が補助したといったような場合であれば、その医療行為自身が無効に属するようなものとは考えられないわけでありますが、もっぱら無資格者が常時そういう行為を行ったということになれば、やはり非常に問題があるというふうに私ども考えておるわけでございます。

○高杉廸忠君 その無資格者の医療行為による保険の請求、これは非常に微妙でありますが、私は不正請求の疑いがある、すでに受給された部分については調査をして返還させるべきものだと、こういうふうに思うんですが、いかがですか。

○政府委員(大和田潔君) この問題につきましては、すでに私ども京都府に対しまして調査を指示をいたしておるわけでございまして、その結果を待っておるところでございます。

○高杉廸忠君 次に、水治療訓練についてお尋ねをいたしたいと思うんですが、昨年の十一月二十七日本委員会においてその実態についてただしました。厚生省はその時点では、十分調査をしていなくて実態の把握がなされていなかった。そこで、私はどうも不思議に思うんですが、事実は、昨年の十月の三十日、三十一日の厚生省と京都府の調査では、私の質問以前に、すでに医師等の直接指導監督でないまま実施したものについて、保険請求がされたものがあったことを把握していたんではないかと、こういうふうに思われるんですが、こういった不正請求の実態について、私は大臣にこの際特に伺うのは、どういうような報告を受けておられるのか、またその報告を受けられたら、どのように対処するお考えですか、この際明らかにしていただきたいと思うんです。

○国務大臣(園田直君) そういう調査があり、これに基づいて不当な支払いは返すことを命ずる、これに対する対応の処分をすることは必要であると私は考えております。
 そこで、いまの問題は、京都府を通じてそういう事実がどうもあると、そこで金を返せと、こういうことになっておるが、正直に言うと勧告文にそういうことは書いてないと、こういう返答があったというので私は非常に怒っておるところで、勧告文はあの時点の反省を求めるための勧告でありまして、過去の不正事件とは全然別個の問題でありますから、過去、現在におけるいろんな不正、不当な事件があれば、これはほかのものよりも厳しく、私は対応すべきであると考えております。

○高杉廸忠君 大臣、ぜひひとつその強い姿勢で臨んでいただきたいと思うんです。
 水中機能訓練ですね、これについて伺いますけれども、体の不自由な人の機能回復のために通常ハーバードタンクを利用する理学療法であります。一回五十点でありますから五百円。十全会病院ではこのハーバードタンクをほとんど利用しないでポリバスを使いまして、そして無資格者の手で一日に千ないし千二百人に対して行う。これは試算してみますと、月に十二回として年間約七千二百万円、これを仮に四年間と見てみますと約二億八千八百万円程度の請求がなされているはずであります。私の考えによれば、この大部分は医療に名をかりた不正請求の疑いがあると言わざるを得ません。こうした診療費の不正請求の疑いに対して、厳正な措置がなされずしてこれから行われようとする医療費の改定の引き上げ、私は断じて許すことができないと思うんです。こういった解決を迫られている問題の基本について、医療費引き上げの以前の問題として、厳正に私は措置すべきだと思いますけれども、厚生大臣どのようにお考えになっておりますか。

○国務大臣(園田直君) 医療の信頼を回復するためにも、特に当面の医療費改定の問題に関しても、保険外負担の問題とか、あるいはこういう不正事件を厳重にやることがその相談する前提であるということは、御意見と全く同じに考えております。

○高杉廸忠君 先ほども大臣にお願いをいたしましたとおりに、適切な措置がなされずに今日に至っておる。大臣の手で一日も早くぜひひとつ処理をしていただきたい。お願いをしておきます。
 こうした医療の内容に対して、厳正に対処をしチェックをしていくのは、現在の体制では十分とは考えられない。先般以来検討が続けられております医療法について伺いますけれども、医療法人の指導監督、そういう規定の整備の中で医療法人に対する立入検査、これを行うことができるようにしようとしておりますが、この立入検査というのは、具体的にどういうようなものをお考えになっておりますか、この際明らかにしていただきたいと思います。それから医療内容のチェック、こういうところまで検査の対象としているのかどうか、そのお考えも聞きたいと思います。

○政府委員(山本純男君) 私どもが現在、審議会にお諮りする等準備を進めております医療法の改正案の中におきまして、医療法人に対しまして立入検査の条文を整備したい、こう考えておるわけでございますが、これは従来、医療法人につきましては報告を求めることができるだけでございまして、ある意味では話し合いの監督という形をとっておったわけでございますが、これを財務その他につきまして、私どもから立ち入って書類等を検査できるという内容のことを規定したいと考えておるわけでございます。これはあくまでも法人に対する監督でございますので、病院の診療その他ということには、間接的にしか及ばない内容というふうに考えております。

○高杉廸忠君 私は、医療内容のチェックを通じて適切な医療がなされているのかどうか、これを把握することなくして医療における不正行為をなくすことはできないと、こういうふうに思っています。したがって、そのための体制づくりと早急な医療法の改正、これを期待をしているわけでありますが、今回の諮問の案ではそれにこたえられているのかどうか、この際ちょっと伺いたいと思うんです。

○政府委員(山本純男君) 医療の内容のチェックということは大変むずかしい課題でございまして、私ども衛生法規という立場から医療法また医師法という身分制度それぞれ所管しているわけでございますが、現在、そういう法体系の中で私どもが医療機関に対して指導監督を行います場合には、一つは建築物、設備、それからまた定員配置という面についての形式的な内容をチェックすることが一つできます。また、そういう設備の機能という面について、これが十分であるかどうかということをチェックすることはできます。しかしながら、医療の内容と申しますのは、実はその中心は患者と医師とが向かい合いまして、医師がその患者の病状、治療方針というものについて判断をし、方針を決めるということが中心になるわけでございまして、これは現在の私どもの医療全体の法的な体系の中では、あくまでも主治医である医師の判断というものが最優先するということになっておるわけでございます。これを行政庁が外から、その判断が正しいか誤っているかということをチェックをしていくということは大変むずかしいことでございまして、そのためには何らか、たとえば診療報酬の場合には、ある場合には必要な医療であったかどうかということは検討されている例があるわけでございますが、そういうきわめて例外的な場合にしか行われていないわけでございまして、これを一般的に医療内容につきまして検討する、法規制を行う、あるいはそういう機構を設けるということは、大変むずかしい問題であるというふうに考えております。

○高杉廸忠君 聞きますと、必ずしも十分な対応ができる、こういうふうには思いませんですがね。
 そこで大臣に伺うんですけれども、私は昨年の十一月の質問でも、対応するには大臣の直轄のもとに、移動Gメンとも言うべき遊軍を持って、時期を失せず医療内容のチェックを行うような体制を要望いたしました。その際大臣は、「機に適し、時宜に適してあるいは移動し、あるいは急襲的に目標を選んでやることが必要になってきた」と、こういうふうに答弁をされました。そういう移動Gメンのようなものについて具体化される、そういうことについてはどういうふうなお考えを今日お持ちでありますか、大臣に伺います。

○国務大臣(園田直君) まず先ほどの、いま準備しております医療法改正の問題でありますが、私はこの立入検査というのは、どの病院、どの法人についても立ち入りをいたしますという趣旨の立入検査ではなくて、まじめにやっていらっしゃる方のところには医療に対して口を入れてはならぬと、これが原則。ただし、そういう微妙なところを利用してしりをまくってくるような医療機関で、どうも手が出ない、くつの裏からかいているようなかっこうではいけませんので、そういう場合にはこういう権限でやりますよという一つの重みをつけるためにお願いするわけでありまして、なお、医療直接については、厚生省としてはチェックはできませんけれども、保険、あるいは支払い、あるいは常識的な医療については、たとえば注射、検査、治療法が適正であるかどうかということは、私が口を出すべきことではない。出せませんけれども、一カ月に千回も検査したとか千本も注射を打ったとかいうのは、これはもう医療技術を超えた社会常識の問題でありますから、こういう問題はチェックをすべきである。かつまた、医療自体については厚生省が口を出すべきことでないことは、専門のお医者さんやそれぞれの機関と相談をすればわかることでありますから、これもやはりやるべきことである。そのために、いまは都道府県を通じてやっているだけでありまして、十全会もそういうところに問題があるような気がいたしますので、やはり指導、監査の体制を強化をして、今年度の予算でもこれを増強するようにしてございますので、直接本省からそういう最も拒否すべき事態が起きた場合には、出ていって直接検査をしたり指導したりするという体制をつくる準備をいたしております。

○高杉廸忠君 従来行ってきたような事前予告の監視体制では、組織的な金権体質に覆われた医療をなくすことはできないと思います。昨年厚生大臣が提唱されました警察、大蔵省それから国税庁、厚生省、この三者構成のねらいが継続して生かされ、金権体質の医療にメスが入れられなければならない、こう思っています。
 医療法の問題でありますけれども、医療法の不十分な点は改めて、早急に医療法の改正提案を図るべきだと思いますけれども、大臣どうでしょう。

○国務大臣(園田直君) 医療法の改正は、関係方面の御意見を承って調査しているところでございますが、一日も早くこれを国会に提出をして御相談をしたいと考えております。三省の連絡会議、これはいままでやってまいりましたが、どうもこれは警察、国税庁、こういう方々は非常に積極的に御協力を願っておって私は感謝しております。厚生省自体に問題がある。警察が何か調査をして問題が出てくる、あるいは国税庁の方で問題をみつけてきてやられる。その場合に、その後に厚生省が続こう、こういうことではなくて、この三省会議は、厚生省がちゃんと目星をつけて、おかしいところはおかしい。しかし自分の権限ではできないと。厚生省が主体になって警察や国税庁にお願いをすれば効果が十分あるはずでありますが、その点がなかなかいままでは、いま先例がございませんので、私は先例は新しくつくることが先例だ、こう言っているわけでありますが、今後そういうことに特に重点を置いて、厚生省の事務当局にもお願いをして、この三省会議はこのまま続けるばかりでなくて、これが本当に目的を達するようにやりたいと考えております。

○高杉廸忠君 十全会の問題につきましては、私が手がけましてからも約半年を経過しようとしております。残念ながら今日まで、多くの問題が未解決のままに残されておるのが実情であります。これに対し私は、国会の内外を通じて今後とも問題の解決に向けて全力を挙げて取り組む所存でありますが、十全会の不正な医療行為に対し、私はぜひ大臣に期待をする一人でありますし、大臣の在任中に、いま半年かかって私も幾つか指摘をいたしましたこと等を含めて、決着をひとつつけていただきたい。この機会にお約束を願いたいと思うのです。
 同時にまた、私はこういう問題の解決なくしては、今後審議が予定されております老人保健法、この創設、あるいは医療法の改正、また中医協の場で論議されようとしております医療費の改定、医療費の問題等々について、私は医療に対する国民の理解と信頼、これは本問題の解決以外にない。そのことが国民の信頼を回復する医の道であると思います。大臣の在任中に決着をつけていただくお約束と、今後これに対する大臣の決意を伺いまして、私の質問を終わります。

○国務大臣(園田直君) この問題が一年、二年ではなくて相当長期間続いてきたというところには、いろいろ厚生省の反省、制度に穴があるとか、あるいはそのほかにまたいろいろ事情があることは先生御承知のとおりであります。いまようやくこの問題を取り上げて、そして勧告まで持っていったわけでありますが、決して私は心を緩めておるわけではありません。これは十全会を私は目標にしているわけではなくて、全国の医療機関がこれを見て良心と自省に返ってもらうことを願っておるわけでありますから、十全会の方で本来の医療法人の精神に立ち返っていろいろ改善を得ていただくならば、私も進んで十全会に援助をいたしますけれども、そうでない限りは断じて手は緩めない覚悟でございます。

●94衆 - 交通安全対策特別委員会 - 7号 昭和56年04月22日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=5&DOC_ID=4514&DPAGE=2&DTOTAL=47&DPOS=24&SORT_DIR=0&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345

○草川[昭三]委員 実は、そこが非常に重要な、食い違う点になってくるわけですよ。
 私は実は、個人的なことを申し上げて恐縮ですが、社会労働委員会にも籍を置いたこともあるんで、十全会病院問題を何回か取り上げておるわけです。十全会病院も、今日社会的な大きな関心を呼んで、非常に批判をされておるのは、実はいまおっしゃったような発想があるんです。これは非常に重要なんですよ。
 本来の寝たきりの、植物人間というのですか、老人も同じでございますけれども、後代の人間なり家族にしてみれば、本音を言うならばめんどうなんですよ。厄介で厄介で仕方がない。そのために一家が悲惨な思いになるという例があるわけです。これは老人病も同じなんです。だから、とにかく十全会へ頼めば、十全会は一括して受け入れてくれる。そのかわりにもう寝たきりで注射の打ちっ放しで、大体十カ月で患者は亡くなっていくわけですよ。約三千近いベッドがありまして、一年間で千五百人くらいが死んでいくわけですから、私どもあえて、非常に言葉が悪かったのですが、老人処理工場だ、こう言ったわけです。その老人処理工場で亡くなった方々は、隣にもうちゃんとお寺まで鉄筋コンクリートであるわけですけれども、流れ作業でお寺まできれいにお参りしてくれるんだから。流れ作業になっておるんですよ。だけれども、その遺骨をとりに来るのはわずか三分の一ないというのです。三分の二はほうりっ放しだというのです。実はそういう発想に近づくものですから、医療のあり方をもう一遍考えようじゃないかというので――株の買い占めとかいろいろな問題があったのですけれども、十全会は非常に大きくなったわけです。
 ですから、寝たきりの植物人間というのは、本音を言うならば、どこか一カ所に収容してくれるならば家族は大喜びだと思うのです、その限りにおいては。これはもう私は率直に認めるのです。だけれども、それが安易に行われるとするならば、人間性の尊厳というのは一体どこへいくのか。あるいは中には寝たきりの植物人間でも、七年たって回復をしたという例もあるわけです。あるいはアメリカだと十二年間病院に入院をさしておいて助かったという例もあるわけです。だから、これはやはりいろいろな病院にそれなりに預けるとか、あるいは基本的には在宅で、自分のうちでめんどうを見ながら、訪問看護だとか繰り返し繰り返しやることによって、あるいは病院も、あの棟には植物人間の方が見えるけれども、みんなでひとつ見守っていこうではないかとかいうことが実は医療の尊厳につながっていくわけです。極端なことを言うならば、めんどうだから五十人集めよう。そうしたら、今度は北海道でもつくろうじゃないか、九州でもつくろうじゃないか、どんどん集めようということになっていったとするならば、いま一カ所にまとめて看護するのは非常に効率的な看護だとおっしゃいましたけれども、確かにそれは、十人より五十人まとめてめんどう見ようということは、付添看護婦がその分だけ少なくなることかもわかりませんけれども、私はこれはいかがなものかと思うのですよ。これは非常に重要な問題提起だと思うのです。
 今度は厚生省にちょっと専門的な立場からお伺いをしますけれども、脳外科の先生方としては、一カ所に集めることは、学術的な意味でどのような見解になるのか、意味があるのか、これをお伺いしたいと思うのです。

○水田説明員 お答え申し上げます。
 まず、先生にお答えする前に、今回運輸省がとられます措置の受けとめ方を御説明しておいた方がよろしいかと思いますので、それをお許しいただきたいと思います。
 現在自賠責の制度では、加害者が保険というシステムを使って、被害者に対して療養の給付なりあるいは介護手当なり、金銭給付という形をとっておられるわけですが、その中で遷延性の高度意識障害者について専門的なスタッフをそろえて、現物給付というかっこうで対処をなさる、こういうふうに私ども受けとめているわけでございまして、この遷延性の高度意識障害に陥ります原因は、先生御指摘のとおり、種々原因があるわけでございますが、今回のはいわゆる自動車事故に起因する単一性の、原因のはっきりしたものだけをとらえまして、そこに高度の専門スタッフをそろえて医療のケアをしていかれる。先生も御指摘のとおり、私ら身近に知っております例として福永騎手が、いま奇跡的に回復をしつつあるわけでございまして、こういう場においてそういう成果が生まれますならば、また多くの病院でこういう重度の障害者の医療のケアに当たっているわけですが、それに対するいろんなノーハウについての伝達その他が、この場を通じて開発されるということであれば、いろんな意味におきまして、介護のあり方を含めまして、私ども日本のこういう面での医学技術の進歩に寄与されるのではないかと思うわけでございます。
 その際の運営に当たっては先ほど先生の、第二の十全会にならないようにという御指摘は、運輸省の方も十分踏まえて御対処いただけると思いますし、また、対策センターという国に準ずる機関が設置運営されますので、十分期待に沿うような運営が行われるんではないかというふうに私どもも考えている次第でございます。

川委員 いまの水田総務課長の方の御答弁は、医療進歩に寄与することになると思うというようなお話でございましたけれども、それにはかなりいろいろな前提があったやに聞くわけであります。特に高度な専門スタッフあるいはそのためのノーハウ、これは現在厚生省でも国立病院なり、あるいは文部省の国立大学病院等においても、あるいはまた脳神経の専門の方々が、この植物人間対策をいろいろとやっておみえになるわけでございますが、現在運輸省が考えておみえになります千葉県の場所を設定をせられているこの内容について、果たして厚生省がいまいろいろな条件、前提的なことを言われましたことが満たされるかどうか、これは一つ大切な点であると思うので、お伺いします。

橋説明員 最初に、先生の先ほどのお話、私どもも十分理解をするところでございまして、大変教えられるところが多かったというふうに思っております。この療護施設は、まだこの法案が成立をいたしておりませんものでございますから、まだ具体的なる検討に入るわけにはいかないわけでございますが、法案を成立させていたださましたら、速やかに二年後の開業に備えていろいろな点についての具体案を詰めたい、かように考えております。その中で先生の先ほど来のお話のようなことにならないように、十分配慮をしていきたいというふうに思っております。
 そこで、御質問のそのような体制をとるような考えでいるかという点でございますけれども、一応五十名の収容に対しまして専門の医師を三名程度配置をし、その中には脳外科の専門医というのをお願いをして、体制をとっていきたいと思っておりますし、また、理学療法士というような、いわゆるリハビリのことを専門につかさどるような者も配置いたしたいと思っております。
 したがいまして、その立地、先ほど先生から千葉というお話がございましたが、一応千葉を想定して考えておりますが、法案の成立後、改めて正式に場所を選定するわけでございますが、その際には、先ほど来のお話にございましたようなことの体制がとりやすいような場所というものを選定をいたしたい、かように思っておるわけでございます。

川委員 ここでもう一回、また厚生省の方にお伺いをいたしますが、いま大体五十床のベッドが植物状態の患者の方々で満床になったと仮定いたしますが、脳外科の専門医三名、そのほかの看護婦だとか理学療法士、当然いろいろな医療機器も入ると思いますけれども、そういう程度の専属の医師というもので果たして植物性患者のめんどうが見られるかどうか。あるいは、本当に福永騎手のように蘇生をするような高い技術的な水準が保証されるのかどうか。これは外国の例等もあれば、外国の例等も含めてお伺いをしたいと思います。

沢説明員 私ども、外国でこのような施設があるというふうなことは聞いておりませんので、外国の例についてはわからないわけでございますけれども、今度運輸省の方でもって計画されております施設というものにつきましては、十分充実した形でもってそれが行われますならば、十分効果を上げることが可能だというふうに考えております。

川委員 いや、だから、運輸省は十分な処置だということを言っておるわけだからそれは問題ないのですが、中身を、たまたまいま三名の医師というような具体的な提案があり、それから予算もそれなりのアウトラインが立てられておるわけでございますが、その種のものは、まさしく医学の進歩に寄与するに値するものであろうかどうか。これは専門はやはり厚生省ですから、厚生省にも申し上げますけれども、昭和四十九年に日本脳神経外科学会が、厚生大臣齋藤邦吉殿というので「植物状態患者及び家族救済策採択要望書」が出ておるわけですから、これに実際は厚生省としてはこたえてないわけですよ。そういう段階の中で、運輸省は一つの予算というものがあり、いろいろな要望があってこういう問題提起をしたわけですから、私は、その積極性は買わなければいかぬと思うのです。けれども問題は、その中身が充実をし、中身を間違えるとこれはもう大変なことになるし、それから、うまくいけばそれこそ世界にもないのですから、日本が初めてなのですから、本来ならばこれは厚生省がやればいいんですよ。しかし、厚生省がやらないから逆に運輸省がやろう、こういうことになったと思うのですけれども、運輸省だからといって、省庁が違うからというのではなくて、これは非常に重要ですから、では今度は労働省も労災は労災でやろう、こういうことになるかもわかりませんね。労災の寝たきりの方々をやろうということになるかもわかりません。予算が先行して、植物人間が実は後からくっついてくるということになるわけですよ。植物人間という、実に今日、社会的な問題にどのようにして対応すべきか。実はいま運輸省は、三千円という介護料を出している。これはいいことだと思うのです。とりあえずこれを一万にして、あるいはとりあえずは全国の患者の方々にめんどうを見ておいてから、この種のものをつくってもらうなら、私は、もう少し考え方もあるのです。言い方も違うわけです。そうして、厚生省全体で老人病の問題も含めて社会的な問題についてプロジェクトチームでも組んで、それじゃ労災の方も予算を出そうじゃないか、あるいは自賠責の方も予算を出そうじゃないか、そしてこの種の対応を立てたらどうかというように持っていかないと問題が多いと思うのです。ターミナル整備というのですか、寝たきり老人というのは、老人もあれば労災もあれば、あるいは自動車事故もあれば、脳外科もあるわけですから、たまたま交通事故になったら非常にめんどうがいい、どこかに収容、と言うと言葉は悪いのですが、入院をして、家族が本当に助かったということになるわけですから、差が出てくるわけですよ。人間は病気になるのに、よく後のフォローをしてもらう原因をつかみながら病気にならぬと困るわけですね。だから極端な言い方をすれば、ぼくはもういいかげんに年をとって、どうも植物人間になりそうな病気になるなら、トラックの前でまず倒れるわけですよ、これは卑近な例ですけれども。本当に日常生活の中で倒れる人と差があってはいかぬと私は思うのですが、その点は、厚生省としてどう思われるか、お伺いしたいと思います。

沢説明員 厚生省としては、遷延性の高度意識障害者、いわゆる植物状態の患者さんだけを特定に取り上げまして、そしてその対策というふうには行っていないわけでございますけれども、たとえば一番意識障害に陥る原因の一つでございます脳卒中予防対策とか、そういったような予防対策を拡充するとともに、諸般の厚生行政全般の対策を拡充する、そういったような形でもってこれらの問題に取り組んでまいりたいと思っております。

●94衆 - 交通安全対策特別委員会 - 8号 昭和56年04月23日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=5&DOC_ID=4515&DPAGE=2&DTOTAL=47&DPOS=25&SORT_DIR=0&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345

○沢田委員 たとえば大企業の話、一々揚げ足をとるつもりはありませんが、その企業が健康を保持するということは、いわゆる休業率といいますか、稼働率を引き上げるためには健康保持は企業の大前提なんですよ。三時の体操をやらせようという公務員も同じですが、病気になったならば企業のロスが大きいのですよ。ですから、企業としてはなるべく速やかに改善策をとって企業に復帰してもらわなければならぬ。日曜日に電気をつけて、暖房をつけて、あるいはいまなら冷房をつけてやっていることはないでしょう。それはエネルギーを消費するということなんです。土曜日を半日休むならば土曜日も休ませてしまってほかの日に残業をした方が同じエネルギーを使うならば得だという発想なんですよ。そういう発想で大企業などは健康保持関係はやっているわけです。公務員や何かが少しぬるま湯につかっているという状況だけであって、企業の方からいけばそういう計算勘定でやっているのです。これは保険金を、さっきわれわれはぶったくられたということを言っているのですが、皆さんはありがとう一つ言うわけじゃない、車検のときに取っていってしまう。そういう金の積み重ねなんです。だから片っ方から見れば不快感だけ残っている金なんです。皆さんの中で徴税員をつくって集めて歩いてみなさい。こういうことをやるんですがいかがでしょうかと聞けば、恐らくそれはノーだと言うに決まっている。それは国がもし税金を取るなら取ってやるべきだ。三十万、四十万人いるところの一部分の氷山みたいなかっこうをつくることが整合性のある政治体制だとは私はどう考えても言えないのですね。これはいまいいことはいいことだと言うだけでは済まされないものがある。さっき言った基本的なものは複合給付になることが一番問題だということを私は言いたいわけです。政府から金が出てくるなら別なんです。いわゆる保険の二重給付ということはどうやってみても今日の社会構造の中からいって混乱を起こす以外の何物でもない。これは物であれ、入れば月九万円取って、あとは無償でやるんでしょうから、やれば、恐らく。本人負担を取るなんということで了承されっこないですから。そうなると、結果的にはその施設費その他からは必ず不平等が起きる。その人たちは、いま言ったように政策的なものなんですから、基本は自賠償の関係ではないのです。そこを何か運輸大臣なり運輸省が――基本的には、天下りとかなんとかというえげつない言葉だけの問題でわれわれは言おうとしているのではない、法理論的にどうもそれはそぐわないというふうに思うのです。一たんその給付が終結をしている。その終結をしたものをさらに給付を与えていくという二重給付的な性格のものは法体系を非常に混乱に陥れる。その人たちに請求権が残っていたというなら別ですが、請求権はもう喪失している。政策的に厚生省と同じような物の見方で助けてやろうというならば、国の政策の一部分として見ていかなければいけない。この金は出してもいいですよ。それは国に納付して、国の一般会計予算の中に組んで、そして国の中の施策としてやっていくということにならないとどうしても納得しがたい面があるのです。いわゆる二重給付の問題がある。それは取られることについてわれわれ抵抗を感じますよ。国に納めるために自動車保険税を納めているのではない。特定財源を外すというだけでも抵抗があるくらいですからね。ですから、そういうことはいろいろありますけれども、これは厚生省の方に私は聞きたいのですが、そういう点についてはどういうふうに受けとめているのか。私の言っているのが杞憂なのか。そうじゃなくてそういう二重給付とすることが民法上の問題にしても、国でもやっているじゃないか、おまえ一回判こを押したんだけれどももう一回国でだってめんどうを見ているじゃないか、おれがめんどうを受ける権利はあるんだ、こういう前例をつくっていくということになりかねない。これは私の思い過ごしとかなんとかじゃなくて、どうも法律的に見ますと運用益であろうとなかろうとそういうものが二重に使われていくということは避けなければならぬ問題だと思います。運輸大臣、これはせっかく提案したんですが、ここでできれば再考をしていただきたいというのがいまの私の本当の気持ちです。中身としてどうこうということよりも、いわゆる保険システム、保険というものの限界。だから、もしそうだとすれば、今度改正しました中身を改善をする、そして現在寝たきりなりでいる人たちの条件は、厚生省が全般的に、その中の自動車だけ取り上げてもいいですが、それについては納付金で納めて国の一般会計予算の中で厚生の予算としてやっていく。それがいいか悪いかを国民が判断をすることは別の問題です。それならそれの一つの論拠というものがあると思うのです。ところが、保険の中でこのセンターがやっていくというつながりの中でいったんではどうしても複合給付、二重給付ということに結果的になる。
 あとは、行政管理庁おいでいただいているんですが、行政管理庁として実はこういう二重給付的な性格のもの――途中で来たんですからわからないかもしれませんが、とにかく自動車事故対策センターというようなものは私から見ると余り大したものだと思えないし、いいかげんだと言うと少しおかしくなるかと思いますが、似たり寄ったりだなと思いますよ。そういうようなものが果たして今日の段階、こういう病院を持ってまた赤字を累積をして、そして山口さんはお医者さんではない、経営能力があるかと言ったら、お医者さんとしての経験がないんだから経営能力はないという状態の中へ押し込んでいくということがいいか。木に竹を接ぐという言葉がありますが、まさにそういう形態を十全会病院や富士見病院――あれはあれでもお医者さんですよね。山口さんはお医者さんじゃない。何が何だかわかりゃしない。だからそういうものに監督させていくシステムが果たして妥当かということになると、私は妥当だとは思えない。どうせ院長はだれか頼むんだろうけれども、労務管理それから運営管理その他については医者でなければわからないものがあるはずですよ。われわれが見たら暖房がむだだあるいは水がむだだと思うものがあっても、お医者さんから見れば違う見解がある。どうかそういうことでひとつお答えをいただきたい、こう思います。

●94衆 - 社会労働委員会 - 15号 昭和56年05月14日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=5&DOC_ID=4663&DPAGE=2&DTOTAL=47&DPOS=27&SORT_DIR=0&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345
○永井委員 私は、いま議題になっております医師法等の一部改正案の審議に当たりまして、差別用語あるいは不快用語、こういうものを直すことは非常に有意義だと思います。また、いままでこういうものが、国際障害者年であることしになってこれを直していくということで、この時期まで実はこのまま残ってきたのが不思議なくらいでありまして、これは非常にいいことでありますが、この不快用語などをなくすることとその関連で、現実の問題について少し問題を提起をしてみたい、このように考えるわけであります。
 現実の問題というのは、一つは心身障害者の皆さんの生活が向上させられなければならない、差別がなくならなければならない、こういうことの法の精神とはうらはらに、現実に心身障害者の方々がたとえば医療を受ける段階で幾つかの差別あるいは不当な扱い、こういうものを受けている事実がかなりあると私は見ているわけであります。
 そこで、特に精神障害者の方々の医療の問題と人権の問題について、具体的に私は厚生大臣にお伺いしてみたいと思うのでありますが、すでにマスコミなどで繰り返し報道されております京都の十全会関係の病院、この中から、この間わが党が現地調査をした関係もありまして、そこからいろんな問題を把握をしてまいりました。もうすでに新聞等で報道されている分もありますけれども、また新たな事象というものもそこに出てきておる。こういうことから、幾つか問題点を提起するわけであります。
 たとえば京都市の北区の門前町というところにお住まいの仮にAさんとしておきましょう。このAさんという方が昭和五十四年二月二十一日、京都市の北野病院というところで実は診断を受けたわけであります。これがアルコール中毒だという診断でありました。その診断を受けてから十全会の東山の高原サナトリウムに実は入院されたわけであります。このAさんは、入院をしましてから直ちに二週間の拘束を受けました。その拘束を受けた結果、実は足が動かなくなってしまったのですね。現在では、その方はつえをつかなければ歩けないという三級の障害患者になってしまったわけであります。
 アルコール中毒患者が入院をして、これが二週間病院に入って、そのために二週間後には足が動かなくなってしまう、私はこれは常識で考えられないことだと思うのですね。そのことからこのAさんという方は現在訴訟の準備をされておりまして、間もなく正式に裁判の法廷で争われるということになるのでありましょうが、この種の不当と思われる拘束について、厚生省はその実態をどこまで把握されているのか、まず精神病患者などを扱っている病院などの実態について把握されているとするなら、その内容をひとつ教えていただきたい。

○大谷政府委員 精神衛生法によりまして、入院患者に対しましては医療または保護に必要な範囲内での行動の制限を加えることができるとされております。しかし、この問題につきましては、医療上の問題としてできる限り慎重に行わなければならないということで、研修会あるいは鑑定医の協議会あるいは通知等によりましてできる限り慎重に行わなければならないということで指導をいたしているところでございますけれども、こういった行動制限は医療の一環として行われているものでございまして、特段私どもとしてはこれを統計上把握するというふうなことはいたしておりません。

○永井委員 特別な把握のための行為は行っていない、あくまでそれは医療として行っているのだからということでありますが、その医療という名のもとに本来あってはならぬ行き過ぎた不当な拘束、こういう状態があった場合は、その事実が明らかになったら厚生省はどうされるのですか。

谷政府委員 この問題につきましては、事実認定等大変むずかしい問題があるかと思います。しかし、このような問題につきましては、私どもといたしましては、先ほども申しましたように、まず医療、医学上の問題としてできる限りそういったことか行われないように指導するということが第一でございますが、もしそういった事実がございました場合には、これは当然病院の医師等に対しまして事実を聴取し、そういった点についてはいろいろな措置、対応をとる、こういうことでございます。
 最終的には、行政上には限度がございますから、たとえば二、三そういった例で裁判等になっている例もございますけれども、事実の問題の認定というのは非常にむずかしい問題でございます。したがいまして、行政上としてもできる限りそういったことに対しましては人権侵害にならないよう調査し、指導し、努力するところでございますけれども、そこにはおのずから限度があるという点も御理解いただきたいと思うのでございます。

○永井委員 厚生行政の指導のあり方として限度があるということは、私はわからぬわけではないのです。たとえば私が問題提起をしております十全会に関係する問題は、かなり長い間の問題になってきているわけですね。裁判も起こされている。あるいはここに関係の新聞の切り抜き全部持ってきておるわけでありますが、正義を貫き通すという立場から新聞でもずいぶんいろいろな報道がされている。また、マスコミの方々が事実をつかむためにいろいろな努力をその方でされている。もちろんマスコミの報道ですべてを左右されるということはないのでありましょうけれども、しかし、これだけ社会的な問題になっている十全会病院で、訴えられているような、問題になっているような不当な拘束が事実であるかどうか、当然私はそういうところに関心を持って、調べるのも警察権力とまた違った立場で調べるのが厚生省の責任であろうと私は思うのでありますが、調べられたのですか、どうですか。

○大谷政府委員 当然のことといたしまして、京都府を通じて調査をいたしたり、指導をいたしたりしているわけでございます。

○永井委員 私は具体的な問題でさらにちょっと申し上げてみたいと思うのでありますが、いま私が申し上げました北区の門前町にお住まいのAさんという方、この方の私たちに対する訴えを聞いてみますと、入院されたときに無意識の状態になった。どういうふうに無意識の状態になったのか、これは専門的にわかりませんけれども、時折目覚めてひもで縛られていることに気がついた。何とかほどいてくれということで何度も訴えたと言うのです。ところが、だれもいないし、ただこらえるだけで、がまんするしか仕方がなかった。そして二週間後、縛った帯を解いてもらったが、そのときには足のくるぶしから下が全く白ろう病のように真っ白くなってしまって、歩ける状態ではなかった。それで縛られている間様子を見にきた様子もなかった、こう私たちに訴えているわけですね。
 さきに大阪高等裁判所においてこの十全会病院事件に関する逆転判決がありましたね。そしてさかのぼって言えば、昭和五十一年の四月に大津の地方裁判所の判決の例があります。このように医療の拘束というものは、ある意味では違法性を持っている。どうしても拘束しなくてはならない症状の人はこれは別として、医療のための拘束だということで、仮にこういう裁判例でも出ておりますような不当な行為が医療という名のもとに行われているとしたら、これはもう医療じゃないわけですね。そこには人権侵害の問題あるいは場合によったら傷害罪という問題も起きてくると思うのでありますが、この関係について厚生省及び警察庁刑事局ですか、ひとつお答えいただきたいと思うのです。

島説明員 先生御指摘の事実につきまして、京都府警の方から何ら報告を受けておりません。したがいまして、私どもの方はその事実を確認いたしておりません。

谷政府委員 医療の概念に当たらない不当な拘束につきましては、これは当然刑法上の問題として処理されるべき問題でございますし、厚生行政といたしましても、こういった問題については厳正に対処しなければならないというふうに考えるわけでございます。
 ただ、先生申されますように、アルコール中毒と言わず、麻薬中毒あるいは薬物中毒等では、その中毒の状態のときには相当ひどい禁断症状、暴れたりいろいろな状態がございます。こういった問題につきましては、これはやはり医療上の問題として当然拘束ということもあり得るわけでございますから、そこのところの事実の認定というのか大変むずかしい問題でございまして、抽象的な議論だけではなかなかそれがございませんので、やはり事実の問題として私どもとしては対応してまいりたいというふうに考えるわけでございます。

○永井委員 もちろん認定が非常にむずかしいことはわかるのですよ。わかるのですけれども、そのいま問題になっておる十全会関係の病院、ここでこういう具体的なことが出てきた。その事例が出されたとすると、これはやはりいま言われたように具体的な事象なんですから、そのことについて真実であるかどうか、あるいはどういう医療行為としての拘束が行われておったのか、これは当然調べられるわけですね。調べてもらえるわけですな。また調べるべきですね。これは一言でいいですからお答えください。

○大谷政府委員 この精神病院の入院には三種の種類がございまして、十全会の場合につきましては一いわゆる措置入院という強制入院を行う指定病院というものを取り消しているわけでございます。したがいまして、十全会の方ではいわゆる自由入院患者が主として入院しているということで、そういった患者につきましては、本来そういった拘束の医療というものにつきましては少ないはずでございます。
 もちろんそういった事実がございますれば、これは京都府を通じて厳正に、先ほどからも申し上げておりますように対応いたしたいというふうに考えるわけでございますし、従来からもそれについては、京都府としては精力的に御努力いただいているというふうに伺っておるわけでございます。

○永井委員 私はこれからまた幾つかの例を、さらに認識を深めていただくために申し上げますけれども、私がいま提起しているこの具体例というのは、いわゆる精神衛生法の第二十九条にいう措置入院あるいは同三十三条にいう同意入院、これじゃないのですよ。いわゆる自由入院なんです。自由入院の人のことを私は申し上げている。ですから、自由入院で入るような人が、果たしていま私が申し上げているようなそういう拘束が直ちに行われなければならないような状態であったのかどうなのか、これは私は常識的に考えてもらえばわかると思う。
 そういう立場でもう一つ私は例を申し上げますか、いまから申し上げますことは、これは新聞にも出た。古い話でありますけれども、昭和四十五年六月十八日の新聞に、十全会の双岡病院の問題でありますけれども、これも自由入院の方でありますが、同じく患者が、両手足を縛りつけられ、精神病患者大けが、という見出しで新聞の記事に出ました。これはずいぶん昔の話で十年前、十年も前の話というのは、それだけ十全会病院というのは長期にわたって根が深いということなんですから、そのように御認識願いたいと思うのでありますが、京都市下京区の会社員の長男が、当時二十四歳、昭和四十四年十一月二十二日から十二月三日まで拘束を受けて、右手足などに傷を受けた。しかも父親は面会を求めたけれども許されなかった。そして二月二十五日というのですから三カ月後でありますが、そういう状態を初めて知って、そうして問題が広がっていったということが新聞でも報道されております。
 あるいは同じく同年の七月六日の新聞には、虐待される精神病院患者、衝撃治療で自殺、ベッドに三日間縛る、という見出しが出されている。
 あるいはその年の十一月、同じく双岡で看護人ともめたということから、患者が、当時二十八歳の人でありますが、三日間ベッドに拘束されて、そして自動車に乗せられて途中で道にほうり出されたとか、あるいは東山のサナトリウムでは電気ショックの恐ろしさから患者が自殺したとか、こういうことが新聞でその当時いろいろ報道されているわけですよ。こういうことが新聞で報道されたということは、昔からよく言いますね、火の気のないところに煙は立たぬというて、やはりいろいろなことが事実があるからそういう問題が社会的に広がってきて、そうして新聞も報道する、こういうことになってきたと私は思うのです。
 まだありますよ。ピネルでは、百二十三畳敷きの大広間に九十人以上の患者をすし詰めにした。そして日に三回、私は専門家じゃありませんので薬の名前とかいろいろなことは余り詳しくないのでありますが、クロールデロマジンなどの注射をされ続けたために五日目に死亡したとか、あるいは肺炎として片づけられて、その死亡診断書か出たとか、これは全部当時の新聞記事なんです。
 こういう新聞記事がどんどん出るというこのときから、いまの園田厚生大臣に対して申しわけないのでありますが、その当時から厚生大臣を先頭にしてそういうマスコミで報道された、あるいは社会的に告発をされているこういう問題について積極的な監査なり指導なり、あるいはそういう事件についてたとえば警察庁の方で、直接立件する、かどうか別にして、実情を調べてみるとかこういうことをもしやっておったとするなら、私はいまの十全会病院という問題は途中で芽を摘むことができたと思うのであります。
 そういう面から、私は園田厚生大臣にお聞きをするわけでありますが、いま現実の問題としてここまで十全会病院の問題が社会的に大きく取り上げている。いわば政治問題にもなってきているという状況の中で、園田厚生大臣の現在における十全会病院に対する対応の仕方あるいは決意、これを一言ひとつお願い申し上げます。

○園田国務大臣 これは相当長い間世間で言われてきた事件でありまして、私の方ではどうもこのままではいかぬと思って、警察、国税庁、厚生省、三省庁連絡協議会を閣議で了解を得て設けました。その設けたのは、話を聞くと、現在の医療法その他においては取り締まる権限がないとこう言うから、それじゃ三省庁でそろってやれば現在の法律制度の中でもできるだろう、こういうつもりでやったわけであります。そして何回もやっておりますが、いろいろな新聞に書かれていることに対するあれはなかなかできない。
 そこで、先般京都府を通じて勧告を出したところでありますが、その後見ておりますと、少なくとも何か改善の意思はないような気がいたします。改善の色もない。どこが悪いのだと言わんばかりに、この勧告さえ守ればあとはどうでもいいのだ。ひどいのは、不正事項があってもそれは過去のことだからいいのだと言わんばかりのことでありますので、そういうことなら私はこれはもう一遍当初からやらなければならぬ。これは全く私の至らぬところでありまして、いま答弁を聞いておりましても、どうも私のような理解力のない大臣にはわからぬ答弁がいっぱいある。
 病院を指導し監督するのは厚生省でありますから、その厚生省が京都府を通じてどうやっている、何やっているということはわかりますけれども、大臣が正式に三省協議会を設け、この十全会を徹底的に摘発しろと指令を出しているのに、いまの答弁を聞いていると、新聞に書かれたり国会で言われたり、あるいは投書かあった人から話を聞いたことを確かめたり調査をした形跡が一つもない。そういう事実があれば何とかと言いますが、その事実があるかどうかを調べろ、私はこう言っているのですから、そこらあたりから――どうもいままでの惰性か何かわかりませんけれども、これは単に精神病関係ばかりでなくて、保険の方からも医務局の方からも、どうも一般の病院を回って指導しているような気持ちで各局長さんやっていらっしゃるのじゃないだろうか。
 私は言っているのです、全国の病院を全部やることはできないよ。だから、ねらった病院で手ぬるいことをやると、それならおれたちもやろうと不正事件を誘発するのだ。一つの病院には申しわけないけれども、ねらいをつけたら徹底的にやって、不正なことをやったら大変だというこれは一つのけじめをつけることであって、罪悪とか罪人をつくるためにやるのではない。それが行って一般のあれみたいに講評して、整理整とんが非常によろしいとか、まるで一般の視察に行ったような感じで、だんだん話を聞いていると、私の方が何かこの人たちは十全会と昔から関係あるのじゃないかと心配しながら、足元に火がつきはせぬかという心配を持つぐらいに何か動いていない。
 三省協議会だってそうです。警察や国税庁の方は、これはこちらに権限がないから頼んでいるのであって、いわば助っ人です。助けてもらっている。それなら厚生省が、こういう話があるからこれを調べてくれ、警察に頼まなければ警察の方が動かぬのはあたりまえであります。あるいは水の訓練は無資格者がやっている。これで請求した保険は払い戻しを受けるのが当然であります。そういうために脱税をやっている。これは国税庁でやってくれ。
 何か厚生省が本当に一点これだけは徹底的にやって、もう二度とこういう事件が十全会じゃなくて全国の法人にないようにしたいという意欲でございますけれども、これは一つの愚痴でございまして、私はこれを事務当局の方と相談して、私の言い方や監督が不十分でございますからもう一遍お願いするつもりでございます。

○永井委員 いまの大臣の答弁を聞いておりまして、私は非常に心強く感じるわけでありますが、大臣に愚痴を言わせないという事務当局の毅然たる決意を改めてこの委員会の席上をかりて私はお聞きしたいと思うのであります。警察の方も、いまこの三省協議会ができているわけでありますので、こういうことを通して助っ人なら助っ人らしくさらに具体的な問題の解明と、二度と問題が起きてこないように私はあえて申し上げておきます。
 ついでのことで恐縮でありますけれども、いま府や県の医療行政に対応する態度についてもちょっと大臣言及されたわけでありますが、私から言えば、病院だけが悔悟の色がないのではなくて、その指導する側にあいまいさがあるんではないか、こう言わざるを得ないのであります。
 ここに私は四月三十日の毎日新聞の切り抜きを持っているわけでありますが、この毎日新聞の切り抜きを見ると、京都の野中副知事の十全会病院に対する問題の処理に当たって一月二十七日の勧告をめぐる厚生省、京都府の受けとめ方の違いには問題があるということから言及しているわけでありますけれども、一月二十七日以前の問題についてはすべて決着がついたんだ、このように発表しているわけですね。そうしてこの発表に対して、五月一日に改めて府政記者クラブというところで新聞記者の皆さん方に会見をされております。その内容もそこに出られた新聞記者に、本来私たちが日常的には取材をされる側でありますが、名前は秘しますけれども、そのときは私たちの方から新聞記者の方々に取材をさしていただいたわけであります。
 その中で出てきましたことは、この野中副知事の発言に対して、それはおかしいんではないのか、いままで全部決着がついたと言っているけれども、じゃ何がどのように決着がついたのかという新聞記者の方たちの質問に対して、野中副知事は、この一月二十七日の問題はすべて片づいたということなんだ、厚生省からこの問題について以後どうしていくんだということについて話があったけれども、いやすべて片づきましたという回答をしておきましたという通り一遍な回答に実は終わっているわけですね。
 この一言を見てもわかりますように、もうすでに直接指導しなくてはいけない京都府という府政の中までこの問題はある意味で癒着してしまっているんではないか、私はこういう気がしてならないのであります。それだけに、いま大臣の御答弁にありましたような、悔悟の色もないということに対してさらに毅然たる態度で対応される、このことについて私はもう全面的に、スポーツで言えば太鼓をたたいて応援したいぐらいの気持ちでありますので、ひとつ厚生大臣、毅然たる決意でこれからも当たっていただきたい、このように考えるわけであります。
 もう一つ私は、この問題について内部告発の関係で、私も医療のことは余り専門的ではないのであります、しろうとでありますが、ある医者が、これは十全会の病院に勤務したことのあるお医者さんでありますけれども、ここの医者が、名前は伏せますよ、名前は伏せますけれども、内部告発したことについてちょっと申し上げておきますと、私がいま問題にしておる拘束という問題ですね。この拘束という問題について医学的にどういうことかということを若干述べておられるわけですね。
 たとえば自殺のおそれがあるとか暴れて頭部をぶつけるおそれがある場合とか、あるいは看護婦が十分にいればいいんでありますけれども、看護婦の数が少ない場合は手が少ないものでくくりつけておかなければならぬ、こういう場合に拘束するんだということを、一応医学的なことでずっと説明されているのであります。その中で自分の体験として、言えば本来拘束する必要のない患者さんを、人手が足りないこともあったのでありますが、結果的に拘束してしまったということを自分で自己批判をされている面があるわけですね。
 そうして、たとえば拘束で問題になったこと、これを他の病院の例を取り上げて言われているわけでありますが、和歌山のある病院で六十二時間両手を拘束された婦人の手が壊死してしまって右手首あるいは左手親指より切断されたということがニュースとして伝わった、こういうことは、言えば拘束の行き過ぎた場合に起きることなんだと指摘をされているわけですね。こういう不当な拘束というものが結果として自分の勤めておった病院でかなり見られたということをある関係者の方も自己告発をされているわけであります。このことも私はあえて一つの実態としてつけ加えておきたいと思います。
 そこで、幾つか問題があるわけでありますが、電気ショック、この電気ショックというものを頭にかけられて意識不明になったとか、あるいは何か言うと、よし今度は電気ショックをかけるぞということでおどかされたという証言も患者さんの中にずいぶん出てまいっております。私はあえて言いますけれども、最前申し上げたように、措置入院であるとか同意入院であるとかという人のことを言っているんじゃないんですよ。ここで私たちが調査をしてきましたのはすべて自由入院の方たちでありますので、多少精神的に障害を持っておられて、健常者と比べると表現力が弱いとかいろいろな問題はあるでしょう。あるのだろうけれども、暴れてどうにもならぬから拘束しなければいけないというふうな患者でなかったことだけは、私はあえてここで申し上げておきます。
 法務省の人権擁護局調査課長にお見えになっていただいておると思うのですが、こういう問題は、具体的に問題が提起されたり、あるいはいま厚生大臣が言われたようにこういうことがあるらしいとわかったら、事実が出てしまってどうにもならなくなる以前に、そういうことがあってはならぬので、あらかじめ調査をするべきだと思いますが、こういうことは人権擁護局としてはどういうふうにとらえられておるのか、お答えをいただきたいと思います。

流説明員 私どもといたしましては、人権侵犯事件につきましては、被害者等の関係者からの親告を待って行うということを原則にしておるわけでございます。もちろん特別な事情があります場合には親告がなくてもやっておるわけでございますけれども、本件のような、いま先生のお尋ねのような件につきましては、確かに人権擁護上も問題のある事例もあろうかと思うのでございますけれども、何せ医療または保護のために必要なのかどうか、相当の医療行為の範囲内なのかどうかという点につきましては、われわれ人権擁護機関では非常に手に負えない、非常にむずかしい問題がございます。
 したがいまして、そういうたとえば手を縛ったという事実があったからといって、果たして直ちに人権侵犯に結びつくのかどうかという点でいろいろ問題があるものでございますから、関係者の親告を待ってやるということでやっておるわけでございます。

井委員 いま私が申し上げましたように、不幸にして精神的に傷を持っていらっしゃる方、こういう人は健常者と同じように自分の意思ですべてが表現される、あるいは自分の意思で能動的に行動を起こすということができ得ない人たちが多いわけですよ。それだけに医療という一つの枠の中で、病院で言えば、病院という建物の中でそういう人権侵害に係るようなことが起きやすい条件をもともと持っているわけでありますので、それは人権擁護局が日常的に扱う一般の問題と違った面で人権擁護局が目を光らせるといいますか、こういうことが必要だと私は思うのですが、いかがですか。

流説明員 私どもも毎年大体二十件ないし三十件ぐらいの件数、ほとんど親告のものが多いわけでございますけれども、精神障害者に関する事件を取り上げてやっております。また、ことしは国際障害者年でもございますので、そういった身体障害者あるいは精神障害者の方々の人権をどうやって守っていくかという問題についても啓発活動等を行っていきたい、こういうふうに考えておりますので、その一環としていま先生の御指摘の点も考えさせていただきたい、こういうふうに考えております。

井委員 いま私が提起しましたような人権侵害にかかわる問題というのは、一件や二件じゃないのですね。きょうも時間があれば、ここに私が準備している具体例だけでも十ぐらいあるのですよ。
 たとえば、ある婦人が自由入院で診断を受けた、そしたらいきなり拘束されて大部屋へ連れ込まれて、くくられて、リンゲルを打たれ、注射を打たれ、結果的にその拘束が解かれたのは三週間後であった。そういう告発はずいぶんここにあるわけですよ。これは一つずつ取り上げる時間がありませんので、私がいままで申し上げた一つ二つの例で大体のことがわかっていただいたと思うのです。
 したがって、そういうことがいろいろなマスコミにも取り上げられている実情もありますので、もし調査が不十分であり、あるいは調査がされていない面があるとするなら、この際ひとつ毅然たる行政の態度を示す上から、あるいは司法の立場で言うと司法権の確立の立場からも、この問題については改めて調査に着手してもらいたい、このことを私はお願いをしておきたいと思います。
 幾つか例がありますが、時間がなくなりますので、私は次の問題に入っていきたいと思います。
 この間、厚生省に参りまして大臣にも要望したところでありますが、患者の方々が退院をなさって、その退院をした後、準職員という形で雇用されているという問題がありますが、この関係について厚生省どこまで把握されていますか。

和田政府委員 先般、先生からこういう問題があるというお話を聞きまして、私どもびっくりいたしまして、いま京都府に対しまして早速事実関係の調査を指示しておるところでございます。この事実が明確になりました場合は厳正に対処してまいりたい、このように考えております。

○永井委員 私は、いま私が提起しました問題についてここで具体的にちょっと申し上げておきたいと思うのであります。
 いままでにこの十全会病院の関係では、正常な形に戻った患者さんに病院の作業に従事してもらう、もちろんこの病院の治療の中に、作業させながら治療するということもあるのでありますが、それとは別に、患者さんが健康を取り戻されたということで準職員という形を保障されて就職をされる。ところがこの準職の方々に実は問題が出てまいったわけであります。
 それはどういうことかというと、お調べになればこれはわかってくると思うのでありますが、昭和五十三年の十二月から五十四年にかけて起きたことでありますけれども、準職員五十数名おった中で四十一名の準職の方が実は強制的に入院させられたという問題であります。これはどういうことかというと、比較的元気な人たちばかりでありますので、りっぱに病院の中の与えられた作業をしているわけでありますが、ある日、病院の事務長、担当医、そういう方々から集まってくれと言われて集まったところで、全部一遍に集めたのじゃなくて何回かに分けて集めているようでありますが、その人たちに対して、君たちはあすから入院してくれ、休養のつもりで二カ月か三カ月入院してくれ、こういうふうに言っているわけですね。
 この関係者の証言はきょうここに持ってきておりませんけれども、何人かの方々のテープもとってございます。記憶をたどたどしくたどりながら朴納な言葉で答えていらっしゃるわけでありますが、その内容を聞いてみますと、いま言ったように、集められて、あしたから入院してくれ、そしてその入院することについては自分の家の者にしゃべるなということで口どめしながら入院をすることを求めているわけですね。だから患者の中から、それは何のために入院するのですか、こう言ったら、いやこれは理事長の命令だ、病院の都合で入院してもらうのだ、ごう言っているわけですね。
 本来自由入院の場合でも、自由入院ならなおさらでありますが、本人が入院したいというときには、どういう状態か診察を受けて、たとえば体温をはかることもあるでしょう、あるいは聴診器を当てることもあるでしょう。入院の必要な状態が起きたときは、自由入院でありますので、本人がそこで診断を受けて、それに基づいて入院するというのが普通でありますけれども、この場合はそんな手続は一切ないのですね。診察行為も一切してない。いきなり入院してくれ。そして入院して、もし本人の成績かよかったら――入院して成績かよかったらというのはぼくはわからぬわけだけれども、入院して成績がよかったら、出てきたら、今度は正規の職員にしてあげます、こういうことを言っているわけです。
 そしてそのことを信じて、あるいは理事長の命令だから、事務長に言われたからということでやむなく入院をした人が十二月から一月にかけて実は四十一名いるわけです。
 この四十一名入院したときにはおもしろいことがあるのです。おもしろいと言ったらしかられますけれども、自分の宿舎、準職が入っている宿舎、独身寮みたいになっているのでありましょうが、この宿舎から入院するのにマイクロバスに乗って集団で入院するために病院へ行っているのですよ。これがもし本当に入院ということであれば、ベッドに寝て診察を受け、薬の投与を受けということになるのでありましょうけれども、そんな形跡がさらさらない。入院していた間何をしていたかというと、いままで自分が準職として働いておった同じ作業を同じように、同じ日課でやらされている。これは入院というカルテだけつくって実際は入院さしてないのでありますから、言うならば幽霊入院なのですよね。そしてその入院したことに基づいて、当然のことでありますが保険請求もされているはずであります。その保険請求はどの程度されたかわかりませんけれども。
 これは、たとえば単に不当なやり方だということだけではなくて、私は一種の詐欺行為だと思うのです。(「犯罪だ」と呼ぶ者あり一犯罪だと思うのです。
 そうして、この人たちが退院したときにも正職になった人は一人もおりません。入院のときには成績がよかったら正職にすると約束しているのでありますが、これもなされていない。患者を預かって、その患者がよくなって、その者の中から自分たちの職場のためだということで準職という身分を与えて仕事をさしている。もらっているのは一日百円か二百円なんです。それも品物でもらったりする。チョコレートでもらうのか、いろいろなものでもらうのでしょう。品物でもらったりするのが百円か二百円程度で働かされているわけです。
 そうすると、不当な労働を強要して、そうしてまともな賃金も払わず、入院もしていないのに不当な幽霊入院をさせてその間仕事をさせる。そのときの条件として、退院したら正規の職員にするというのが、一人も正規の職員になっていない。これは一体どのようなことになるのでしょうか。いま声がかかりましたけれども、私は、単なる不当な医療だということだけではなくて、まさにこれは労働基準法違反であり、あるいは人権侵害であり、犯罪を構成すると思うのでありますが、どうでありましょうか。
 厚生省、あるいは人権擁護局もそうでありますが、労働省もお見えいただいておりますので、労働省の方もお答えいただきたい。

和田政府委員 ただいまのようなことでございますれば、確かに架空の入院ということにならざるを得ないと思います。これはまさしく不正行為であるというふうに考えます。

田国務大臣 お許しを得て発言したいと思うわけでありますが、先ほどから聞いておりますと、法務省とか警察の方々の御意見はあれで正しいと思います。自分たちも関心を持っておるが、医療行為か犯罪行為かというのはなかなかむずかしい、これは法務省や警察の方はこれが事件になるか起訴になるかということをお考えになるのは当然であって、あれでいいと思う。
 しかし、厚生省はそうはいかぬのであります。評判が立ったり、そういう事実が新聞に書かれたりしたら、これは一々調べて、こうこういうふうに調べたら事実はそのとおりでありました、したがって法律に基づいてこうやりますと言うか、あるいは、調べたところこれはそういう事実はこうこういうわけで全くありませんでした、あるいは次には、どうしてもわかりませんという三つで、わからぬことを厚生省が責任をとるか、事実を解明するか、これは厚生省の仕事だ。そして、記者会見などで、改善案で妥協したんだからあとのことはそんなことはないんだと、そういう保険の二重請求をやったことを局長とか大臣が勝手に勘弁してやるなんということがやれるんだったら、これは法治国家じゃありません。
 こういう点をもっときちんとして、私からももう一遍頭を下げてあれしますが、質問を受けていると、そういう事実があるとするならばと言う。こういう事実があるじゃないかと言われているんだから、それを調べるのがわれわれの仕事ですよ。そういう事実が判明すればと言う。判明することはありませんよ、向こうはだまそうと思ってやっているのだから。黙って見ておったらまたあと何十年でも判明はしない。できるかできぬかやってみて、できなければおしかりを受ければいい。やらぬでおって、京都府に任しておるとか、事実が判明すればとか、そういうことでは何十回質問受けても同じで、質問される方もむだだと私は思う。そういうことを繰り返してはいかぬ。
 これはやっぱり政府もそれからまた追及される方も一つの目的のためにやっておるわけでありますから、与野党にかかわらず、まず厚生省がその態度を変えて、私は黙っていま聞いておって、法務省や警察の方に申しわけないと思います。三省協議会なんかつくって迷惑をかけているということはよくない。これはやっぱり言われたことは、その事実が判明すればとか、そういうことがあるとすればとか、そんなことはわかり切ったことですよ。事実が判明したら保険の不正請求は取り消すのがあたりまえでしょう。それが事実かどうかということをいま言われているのだ。どうして黙って見ているのか、こう言われているのですから、だれの責任と言わずにもう一遍おわびしてやり直しましょう。申しわけありませんが、そういうことでございます。

井委員 委員長、もう一回答弁さしてください。

川委員長代理 保険局長。

和田政府委員 早速調査をいたします。

井委員 労働省、どうですか。

○岡部説明員 ただいま御指摘のような問題点、これは労働基準法上の問題といたしましては、たとえば賃金の問題、あるいはまたさらに根本的に労働契約の問題、多々問題があるようでございます。この十全会につきましては近く監督の予定もあるようでございますので、先生のいろいろな問題点を現地に伝えまして、その点を含めて調査、監督いたしたいと存じます。

井委員 労働省、念のために私は申し上げておくのでありますが、日にちは忘れましたけれども、ことしの三月の初めごろだったと思うのでありますが、同じこの社会労働委員会において私はパートタイマーの問題を取り上げて質問したことがあるのです。そのときにも私は申し上げたのですが、パートタイマーと準職員ということでは受けとめ方が違うようでありますがやっていることは同じようなことなんです。ただ、一般のパートタイマーよりも準職の方が濃度が非常に濃い。ちょっと調べてみますと、朝の八時から午後の三時までとか、朝の九時から午後の三時半、四時ごろまでという、働く時間帯もかなり長時間であります。一般の病院の勤務者、日勤勤務者といいますか、事務職など、こういう人たちの労働時間よりも実は長いこと働かされているのですね。そして、これが治療のための作業でないだけに、この人たちに対しては当然本来なら就業規則が適用されるべきだし、あるいは労働条件について、就業規則に基づくこともあるでありましょうが、その人たちに明示をしてから、これだけの賃金で働いてもらいますという手続をちゃんととらなければいけない。あるいはそのことが労働基準監督署の方にも届け出をされなければいけない、こう思うのでありますが、そういうことは一切されていないのです。
 そしてこの中に相当長期間働いた人たちもいらっしゃいます。半年や一年じゃなくてもっと長い間この病院のために準職で働いた方々もいらっしゃるわけでありますが、この人たちがやめた場合も実は退職金も一銭ももらっていない。もちろん休暇などについてもそういう者は正規の法律に基づいた措置がとられていない。名前が準職だから、あるいは病院の中だからということで、これを対外的には治療のための作業ということでごまかしてしまうという意図があったのではないか、こういう気がするわけでありますので、この辺の関係について、労働省の方、さらにその問題をただ一点だけじゃなくていろんな面で調査をして厳しく対応してもらいたいと思いますが、どうでございますか。

部説明員 実は、民営精神病院に関しまして、それが強制労働にわたるかどうかということで、最近でございますが司法手続をとった事件も他の県においてございます。同様に、そのような観点、先生いま言われましたような労働時間、休暇の問題、就業規則、労働条件の明示の問題、さらにまた退職金の問題、それらの点も含めまして調査することにいたします。

○永井委員 いま大臣からも再度重ねて、私にしてみれば非常に満足のいく答弁がなされたわけでありますけれども、京都府が、私が最前指摘しましたように、一月二十七日の問題は全部済んだ、こう言ってしまっているわけです。何を指してそう済んだと言っておるのか私はいまだにわからぬわけでありますけれども、たとえば赤木一族が退陣をした、理事長がかわった、経営陣がかわったからそれまでのことは全部終わりなんだ、こういうことも中には入っていると思うのですね。
 個人のことを申し上げて恐縮でありますが、今度の十全会の理事長になった方はお医者さんであります。医学博士のりっぱな方でありますけれども、この人の履歴をちょっと調べてみると、昭和三十一年から十全会の病院に勤務をされているお医者さんなんですね。いわば長年にわたってずっと続けられてきました不正、あるいは私たちから言うと犯罪行為にも該当するようなことをやってきたその責任者のうちの一人なんです。理事長がかわって中身が全部変わる、そういうこともあり得るのでありましょうけれども、今度の場合に限って言えば、私は、首のすげかえで決して中身は変わっていない、こう思うのです。
 ところが、そのことを契機にして、いま大臣も指摘されましたように、一月二十七日のことは全部終わりなんだ。これがもし終わりなんだということで済んでしまうとするなら、医療犯罪を犯し得になってしまうわけです。このことはやっぱり該当のところに厳に慎んでもらわなくてはいけない。こういうことが放置されるといろんなところに問題が波及をするわけです。富士見病院で大変この委員会でも問題が追及をされましたが、富士見病院の問題がこのごろはだんだんマスコミにも載らなくなった。人のうわさも七十五日ということで、うわさが終わった時分にはまたおれのところも金もうけしようか、そのために乱診乱療、不正医療をやるかということにもなりかねないのですよ。その場限りで終わってしまう。あるいはその場さえ乗り切ってしまえばいい。いまも大臣が言われておりましたように、私たちの調べたところでも、監査に行く、立ち入り調査に行くときに、大臣も残念だったようでありますが、何月何日に調査に行くということをわざわざ何日か前に監督官庁の方から予告をしているわけですよ。一般の行政指導に行くのなら別でありますが、予告をされたのではそれに対応することはあたりまえの話であります。
 私たちが調べたところでも、たとえば物置であるとかふとん部屋であるとか、倉庫がわりに使っておるところに雑然と物が積み込まれている。雑然と積み込まれているところを、あした監査に来るという日に、あわてて働いている者を動員して中を片づけて、リネン室とりっぱな看板を掲げて、ここはリネン室に使っていますと、こういうことをやっているわけですね。
 あるいは、患者に対する看護婦の数が圧倒的に少ない。少ないためにまともなことができない。このことが見つかったら大変だというので、監査に来る場所以外の、たとえば双岡であるとかピネルとかいろいろなところを持っているわけですから、そこの看護婦を大量に動員して、監査のときだけだあっと配置をした。これは全部内部の人たちの証言でわかっているわけですよ。
 だから、厚生行政というものは、ある意味では非常にやりにくい面もあるかもしれませんけれども、いま国民から指摘をされているような問題が多いときだけに、私は、そのことについて大臣の決意にあるようなことをさらに強めていく、事務当局がそういうことをやっていくということを重ねてここで強く要求をしておきたいと思うわけであります。
 だんだんと時間も終わりになってまいりました。最後に、ことしは国際障害者年であります。かつての、たとえば国際婦人年であるとかあるいは近いところでは国際児童年であるとか、これらが、その初年度にはいろいろなことが計画をされ、大々的にPRがされ、いろいろなことがされますけれども、初年度が過ぎてしまうと何か水が引いたように、後については一切触れることはなくなってしまう。あるいはその後具体的にどういうふうに行政が対応しているかということもなかなか国民の前に明らかになってこない。こういうことがいままでに何回か経験があるわけですよ。ことしは障害者年だというので政府も大々的にPRをし、いろいろな行事も行われておりますが、本来、国際障害者年として扱うようなことは、ことしの問題じゃなくて日常的にやられておかなくてはいけない。これが日本の、私たちで言えば福祉社会をつくる重要な視点だと思うのですね。
 そう考えてきますと、きょうこの委員会にかかっております医師法等の一部改正案に見られるように、冒頭に申し上げたことでありますが、差別とか不快用語、こういうものをなくすることだけでおさまる問題ではありませんので、むしろいま言ったように、十全会の病院の問題は一つの問題として例示をしているわけでありまして、厚生行政全般でいくと、心身障害者とかあるいは精神に傷を持っていらっしゃる方々とか、こういう人たちについてもっと温かい政治がなされなくてはいけない。
 私たちも反省するのでありますが、たとえば精神障害者の方々を見た場合に、幾ら頭の中でわかっておっても、私たち健常者と同じようなことで対応する、そういう目を向けるということは、私たち自身だってまだ欠けている面があるわけですよ。それだけに私は、この国際障害者年にちなんで、単に十全会の病院だけではなくて、そういう健常者にない不幸な状態を持っておられる方々に対する、厚生大臣としてこれからの全体の対応の仕方についてお伺いをしておきたいと思うのです。

田国務大臣 障害者の方々に対する基本的な姿勢は、御指摘のとおりでありまして、ずっと昔は障害者に対しては一つの同情、善意ある傍観ということ、それから変わってまいりまして、手を出して助けようという考え方、いまやこれからかじを切らなければならぬことは、一緒に肩を組んで地域や社会の発展に一緒にやりましょうというふうに変わってきたと考えております。
 そこで、今年の障害者年というのは、今年度の行事が主ではなくて、今年度にできる計画を中心にして、向こう十年間にどのようにして具体的に落ちなくやるかということだと考えております。具体的な問題はいま検討してもらっておりますが、私と総務長官が副本部長になっておりますから、できるだけ早く両方でやって、この案ができた後の、これをどのように推進していくかとか、こういうことを検討する所存でおります。
 なお、先ほど御質問の中に、検査するのに予告して行く者がおるかと、こういう質問でありますが、私もそれは非常に不思議に思いましたので、実は、予告して行ったのかと聞いたら、予告して行ったと、こういうことで、これは事実であります。そこで、何で予告して行ったのかと、こういう質問をしますと、いや、病院に行くときには、指導する際に急に行くと混乱やいろいろなことがあるから、前もって通知をして、そして両方で相談し合ってよりよき病院の経営をやろうと、こういうことだということで、これは私は、厚生省のお方はりっぱな良心のあるお医者さんばかり相手にしておって、こういうような危急の場合の対応がなくて、いままでの惰性でやっていらっしゃるんだなと、ふっとわかるような気がしまして、私はそのときに、おかしいじゃないかと、普通のときに病院に指導しに行くならそれで結構だ、病院と厚生省が手に手をとって助け合うべきだ、しかし、こういうことが指摘をされて、おかしいのではないかと調べに行くときに指定して行くことがあるかと、その後講評などというのはどういうわけだと、少なくとも笑顔一つ見せてはならぬのだと、こういう話をしたのでありますが、そういうところにもまたわれわれが注意してやらなければならぬと考えております。その御指摘は御指摘のとおりでありまして、私からも十分注意しておきます。

井委員 もう時間がやってまいりましたのでこれでおきますけれども、警察庁の方、最後にもう一つだけ、くどいようでありますけれども。
 私は最前申し上げましたように、一月二十七日以前の問題はすべて決着がついたということが行政指導に直接現地で当たられる府の、名前を挙げて恐縮でありますが、野中副知事の方から記者会見で発表されたという問題があります。いま私はいろいろな具体的な問題も例示として挙げたのでありますけれども、いままでずっと調べてみると、すでに警察の方で捜査に入っていらっしゃる問題もありますね。水治療の水増し請求の問題であるとかあるいは無資格診療、新聞で見る限りかなりの問題について警察庁もお調べになっているようでありますが、これは時効の問題もあるのでありましょうけれども、ことし一月二十七日以前のいろいろな問題についても、当然これは事実がわかれば対応されると思いますが、どうでございますか。

島説明員 先生がおっしゃるとおり、二十七日でございますか、それ以前の問題でございましても、時効が完成していない限り、犯罪が成立するものにつきましては適切に対応してまいります。

井委員 最後に。厚生大臣の決意にありましたように、三省協議会まで設置をしていただいておるわけでありますので、ひとつここで、医師法の一部改正という、きょうかかっておるこの議案でありますが、医療行政全般にわたって国民が絶対的な信頼を持てるという、このことが一日も早く到来しますように、厚生大臣を先頭にして獅子奮迅のがんばりをお願いしなくてはいけないと思うのです、いまの実態からいうと。大変御苦労をかけることでありますけれども、ひとつ決意をさらに固めてがんばっていただくことを心からお願いいたしまして、質問を終わります。大変ありがとうございました。

昭和五十六年五月十四日(木曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 山下 徳夫君
   理事 今井  勇君 理事 戸井田三郎君
   理事 戸沢 政方君 理事 湯川  宏君
   理事 田口 一男君 理事 森井 忠良君
  理事 平石磨作太郎君 理事 米沢  隆君
      金子 岩三君    木野 晴夫君
      小坂徳三郎君    古賀  誠君
      竹内 黎一君    友納 武人君
      長野 祐也君    丹羽 雄哉君
      葉梨 信行君    八田 貞義君
      浜田卓二郎君    牧野 隆守君
      箕輪  登君    池端 清一君
      金子 みつ君    川本 敏美君
      木間  章君    佐藤  誼君
      栂野 泰二君    永井 孝信君
      大橋 敏雄君    浦井  洋君
      田島  衞君    菅  直人君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 園田  直君
 出席政府委員
        厚生省公衆衛生
        局長      大谷 藤郎君
        厚生省医務局長 田中 明夫君
        厚生省社会局長 山下 眞臣君
        厚生省児童家庭
        局長      金田 一郎君
        厚生省保険局長 大和田 潔君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局保
        安部公害課長  中島 治康君
        法務省人権擁護
        局調査課長   水流 正彦君
        労働省労働基準
        局監督課長   岡部 晃三君
        社会労働委員会
        調査室長    河村 次郎君

●94参 - 社会労働委員会 - 14号 昭和56年06月02日
 http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/094/1200/main.html

○高杉廸忠君 今国会における本委員会の厚生関係の論議も本日で終えるようであります。そこで、大臣がかわられましたこともあり、私は委員各位の御理解を賜りまして、特に確認の意味を含めまして、議題であります二法案の質疑に先立ちまして厚生大臣に見解を承りたい、このように思っております。
 私は、昨年の十一月二十七日の本委員会におきまして、健康保険法の一部改正案審議の際、最終確認事項といたしまして、社会党、公明党、民社党、この方々を代表して最終確認をしました折に、富士見産婦人科病院と十分会の両問題の完全な解明をただしました。園田前厚生大臣からは、両事件にきわめて当面重大事件である、「厚生省としては最善の努力をしてこの解明をいたします。」と、明快なお約束をいただいております。また、この約束の一つの実行といたしまして、本年一月二十七日に十分会に対する行政措置がとられました。この措置は御承知のとおりに、同会の医療不正行為の問題についてはほとんど触れられておりませんでした。したがって去る五月の八日、私どもは党の政審会長であります武藤政審会長、片山参議院社会労働委員長、そして衆議院の社労の永井、栂野両議員と私とで園田前厚生大臣に対して十分会問題の処理に関しておおよそ三点、第一に、法に基づく迅速かつ厳正に医療実態の解明を図る。第二に、三省庁閣僚協議会を開催をして協力を要請する。第三として、医療法一部改正案の早期提出を図る。こういうようなことについて申し入れを行いました。さらに、このことにつきましては五月の十四日、衆議院社会労働委員会においても論議をさせていただいているところであります。
 私どもといたしましては、前大臣とのお約束のとおり、村山厚生大臣におかれましても、これが完全解明は当然のことと存じておりますが、前大臣からどのような引き継ぎをされたか、こういうことを含めまして確認をさしていただきたいと思います。
 まず、厚生大臣の所見を伺います。

○国務大臣(村山達雄君) 十分会の問題につきましては、園田前大臣からも引き継ぎを受けているわけでございまして、私も厚生大臣になる前に薄々知っておりますし、その後いろいろないままでの経緯を聞いておりますが、結論といたしましては、やはり前厚生大臣と同じようにこの問題ははっきり解明し、そして厳正な措置をとっていきたいという点につきましては、全く変わりございません。

○高杉廸忠君 大臣から、解明されるという所見を伺いましたが、十分会に関して私どもの調査の結果で、若干でありますが提起をして、確認をしたいと思うんです。
 十分会の東山高原サナトリウムで、昨年、カルテの改ざんが行われたことがわかりました。私はいま、改ざん前のものと改ざん後の写しをここに持っております。これがそうです。
 そこで、この件についてただしたいと思うんですが、このカルテは二組ありまして、一つは昭和五十年六月二十七日、慢性酒精中毒症で同サナトリウムに入院をされ、同日九時三十五分に死亡された当時五十九歳のAさんに関するものであります。死因は急性心不全とされています。ところが、当時現場におられた方が書いたものによりますと、この方は、午後九時ベッドの間に頭を乗っけて、はさまれるかっこうですでに死亡していたと書かれてあるわけであります。それからが大変でありまして、当直医が駆けつけてきても、カルテに病名が付されていない。看護婦さんは看護婦さんで、自分が気づかないうちに、しかもベッドとベッドの間にはさまれるかっこうで死亡していたもので、躍起になってその事実をもみ消そうとしていたと、こういうようなことも調査の結果明らかであります。あるいは当直医であります医師にしても、この事実について「何と書いておこうか」「心不全とでも書こうか」と、こういうようなことでありました。「ベッドの間で死亡したって書けないじゃないか」と、こういうような会話がそこでなされたようであります。そして、その結果としてカルテには、心不全にて死亡と書かれたと、調査の結果、こういうふうな私ども証言をいただいております。
 そこで改ざん後のカルテを見ますと、精神的既往歴、身体的現在症あるいは精神的現在症が新たに加筆記入をされたようになっているわけであります。原本になかった血圧測定が、あたかもそれがなされたかのように三カ所に記入されている跡もはっきりしているわけであります。このほか、恐らく後から全く新しく添入されたとしか考えられないようなカルテが一枚あるのですけれども、こういう加筆をされたのは五十五年一月であるとの話も得ているわけなんです。
 二つ目は、Aさんと同様の病名で昭和四十四年三月二十七日に入院され、昭和五十年三月二十一日にこれまた急性心不全で亡くなられたBさんのものです。これについても書かれたものがありまして、これを見ますと、心臓発作のために死亡、原因はシアドマイド服用にもかかわらず飲酒したためによると、こういうふうになっているんです。午後八時の投薬に回っていたときに、Bさんがけいれんを起こしていたので、看護婦さんに伝えたというんですね。しかし看護婦さんによれば、「大丈夫ですよ。もう二度目だし、みせしめにはちょっとほうっておいた方がいい」と、こういうようなことも言っていたようであります。十時、十一時の巡回のときも、Bさんはけいれんを起こしてすごい汗をかいていたというのです。で、看護婦さんに「いいんですか」とこう聞いたら、「大丈夫よ」と繰り返すだけで、看護婦さんは病室にさえ行かなかった。朝五時、同僚に急に起こされたときには、もうBさんの脈搏はないということで、だめだったわけであります。
 そこでF棟の方へ運んで酸素テントを出したのですが、酸素のメーターが上がっていないんですね。で、中央病棟の専門の係の方を呼んできたのですけれども、二十分ぐらいしてやっと係が来たときには、メーターが故障だったというのですね。そういうことで、お医者さんがやっと来たときにも、脈と眼球を見て、「だめです。柳の下にいつもドジョウがいるとは限らないんだよ」と、こういうようなことも言って放置したと、こういう関係もわかってきたんです。それで、そういうだめだと言っていながら、点滴注射を十分やったと、こういうふうになっているんです。
 このカルテの方にも、五ケ所にわたって血圧測定が新たに書き込まれているように思われるんです。改ざんはAさんの場合と同時期と考えられるのですが、私はこれらの改ざんは、手抜きや過誤による死亡の実態を隠蔽するためになされたものであると思えるんです。この際、真相解明がなされるべきであると考えるのですが、どういうふうに厚生省の方ではお考えになっているのか。私はこれらについては明らかに医師法第二十四条第一項違反であって、同時に第三十三条の罰則が適用されなければならないと思いますが、厚生大臣並びに警察庁の見解を伺いたいと思います。

○政府委員(田中明夫君) ただいま御質問の件につきましては、昨日の毎日新聞の朝刊に同じようなことが報道されておりましたので、私どもといたしましては、早速京都府の衛生部に調査を依頼いたしましたところ、本日までに電話で得ました回答は、京都府の方で十分会系の三病院の院長並びに問題の患者さんの主治医をやっておりました計四人から、病院におきまして説明を求めましたところ、五年経過をした五十五年に診療録に追加記入をするとか、あるいはまた診療録を訂正したということはないという回答を得ておるわけでございます。
 なお病院におきましては、新聞に報道されております二つの診療録のうち、加筆後とされているものは現存しているけれども、加筆前とされているものは見当たらないということであったわけでございます。御案内のとおり、カルテの保存義務の期間というのは五年でございますので、事件が起こりましてからそれ以上たっております今日、このような病院側からの答えを得たわけでございまして、なかなかこれ以上突き進むということはむずかしいような実情にあるわけでございます。

○高杉廸忠君 ちょっと警察庁の方からも見解を聞きたいと思っております。

○説明員(中島治康君) 警察としましても新聞の発表の内容、先生からいまお話しいただきました内容で承知している程度でございまして、事実関係を確実に掌握いたしておりませんので、いまの段階では何ともお答えいたしかねる状況でございます。

○高杉廸忠君 さらに、ちょっと念を押しておきたいんですが、カルテの改ざんで警察庁に特に伺いたいんですが、この場合、報道機関からの不正の指摘があって、これへの対応として改ざんがなされて、テレビの画像を通じ事実を隠蔽しようという意図に基づいていたんではないかというふうに思うんです。したがって私は、これは刑法の「虚偽私文書作成」に当たると考えますが、この点は警察庁の御見解はどういうふうになっておりますか。
 それからまた死亡診断書にも死因として記載されているわけなんですが、したがってこれも刑法第百六十条に該当するのではないかと、こういうふうに思うんですが、この二つの点について警察庁の方でどうお考えになっておりますか。

○説明員(中島治康君) カルテの改ざんが私文書偽造に当たるかどうかという問題は、これは刑法百六十条は「公務所ニ提出ス可キ診断書」それから「検案書」「死亡証書」と、こうなっておりますので、カルテの改ざんが直ちに私文書偽造になるかということについては消極に解せざるを得ないと思います。
 それから、死亡診断書に虚偽の記載があるとしますれば、これはただいま申しました百六十条の問題、あるいは医師法の問題が出てまいるかと思いますが、その辺は事実関係が明らかでございませんし、五年前の問題だとしますと、これは時効の問題もございますので、この席ではっきり結論を申し上げるわけにはまいらない次第でございます。

○高杉廸忠君 大臣、十分会におけるカルテの問題というのはまだ若干あるように聞いているんです。私が聞いているところでは、昨年の十月三十、三十一日の保険指導の際、四、五旦則、いや一週間程度前からもうすでに保険指導が近日中に行われるよと、こういうようなことが事前に、どういう連絡があったのかわかりませんが、すでに十分会では知っていたようなんですね。しかも、その調査の対象となるカルテも事前にちゃんと連絡ができていたということも聞いているんです。したがって、カルテの改ざんをしようと思えば、十分な時間的な余裕があるような連絡のように聞いているんです。こういうような対応がなされているということになると、一体これは保険なり厚生省の指導というのは、具体的にそんなに前から、カルテの抽出までも事前にちゃんと連絡しているのかどうか、私は非常に疑問に思っているんです。余り長くこの問題には入れませんので、その点だけちょっと確認しておきたいのは、保険指導について具体的な指導をどうされたのか。

○政府委員(大和田潔君) ただいまの問題につきまして私ども調査をいたしたのでございますが、調査の日の前日の夕刻に調査対象のカルテといいますか、調査対象者を連絡をいたしたということでございます。
 もう少し具体的に私ども調査をいたしたところ、いわゆるこういったレセプトを調べるという、それにつきましては京都府が府下の政管の分であるとか、あるいは京都市の国保分というものにつきまして約二千枚のレセプトを収集をしておる。それで、前日厚生省が参りまして、その中から厚生省と京都府の共同作業で、約百五十人分の抽出を前日にいたしたわけでございます。調査日前日、指導日前日にいたしたわけでございます。それを夕方に病院に連絡をしたと、こういうような経過になっておるわけでございまして、決してそれより前に病院が知っておったということはないという調査の結果でございます。

○高杉廸忠君 私は、以上指摘しましたように、このようなことがたびたび繰り返されるようなことのないように、国会においても行政においてもその真相を解明をしていかなければならないと、こういうふうに考えております。私どももここ三、四年ぐらいは、少なくとも国会で牽制的にこの問題についても強く監視をしていかなければならないと、こういうふうに考えております。
 そこで、大臣に締めくくりとしてお尋ねをしたいと思いますが、医療をめぐる問題が山積をしている今日であります。国民の医療に対する信頼を回復するためにも、この提起をいたしました十分会の問題に関して、厚生大臣の引き続き解明に対する決意をこの際お聞かせをいただきまして、本件については終わりたいと思います。厚生大臣から決意を伺いたいと思います。

○国務大臣(村山達雄君) 先ほども申し述べましたが、十分会の問題が表面化いたしましてから、厚生省としては厳正にやってきたつもりでございますし、今後も引き続き厳正にやってまいりまして、必要な措置をとってまいろうと思っておるわけでございます。

◆94 参議院 決算委員会 閉5号 昭和56年09月18日
 http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/094/1410/main.html

○鶴岡洋君 時間がございませんので、最後に御要望申し上げておきますけれども、この職域病院については、ぜひとも一般開放を急いでいただきたい。厚生省はいわゆる国民医療の責任ある監督官庁でございますので、その辺をしんしゃくして、ぜひとも推進をしていただきたい、このように御要望を申し上げておきます。
 最後に、医療法の改正の問題でございますけれども、ちょうど一年前の九月でございますが、富士見病院事件が起こりました。また十分会の株の買い占め等昨年は医療機関の不祥事事件がたくさん起きたわけでございます。富士見病院は、早くから患者などから、あそこはおかしいんじゃないかと、保健所等への訴えがたくさんあったわけでございますけれども、行政当局がすぐに対応しなかった、そういうために結果としてはあのような大きな社会問題になったわけです。それはいま言ったように対応ができなかった、また医療機関に対するいわゆる指導監督権限がなかったのでそうなったと、こういうふうになっておるわけでございます。この医療機関の指導監督に万全を期することがいわゆる急務であったわけでございます。当時当委員会で、この場でございますけれども、前の園田厚生大臣は、この席で、何回も医療機関に対する指導監督の強化、医療に対する諸問題について全面的に見直しを約束しております。また、私も四月の十日でございましたか、本会議で、こうした背景を踏まえて、政府が医療機関の指導監督規定を整備するための医療法の改正案を第九十四回国会に提出する決意について、厚生大臣に質問をいたしました。そのときに厚生大臣が答弁したのは、社会保障制度審議会から諮問に対する答申をいただく予定になっておりますから、いただいたならば、関係各省庁、各方面と十分調整の上、できるだけ早く国会にお願いしたいと、こういうふうに答弁をしております。ここでもやっておりますし、本会議でもやっておりますし、これは大臣の約束です。そういうにもかかわらず、いままで提出もされてないし、また聞くところによると今回も提出されないというような話もございますけれども、一体どういう理由で提出されなかったのか、各方面との調整ができなかったのか、その辺は大臣がかわっても、これは方針は変わらないと思います。人はかわれども、政府の方針は変わらないと思います。そういった意味で、村山厚生大臣に聞くわけですけれども、どういう理由なのか、その辺をお聞かせを願いたいと思います。

○国務大臣(村山達雄君) 去る前回の通常国会におきまして、医療法の改正を提案すべく準備いたしたわけでございます。中身は二点ございまして、いま委員御指摘の医療法人に対する規制の強化、もう一つは地域医療の整備と、この二つの問題を抱えておったのでございます。しかし、通常国会なかなか時間がございません。もう一つは、わが自由民主党における社会部会におきまして、党内でこの問題についてもう少し煮詰めさしてもらいたい、主たる論点は、現行法でどこまでやれるのか、それからどうしても改正を必要とするのはどこにあるのか、それから、やった場合のプラス面も考えられるが、いろんな副作用も考えられる、そういったあらゆる面からして、もう少し党で党内の意思統一を図りたいから、もう少し党で煮詰めさしてほしいというお話でございます。政府・与党一緒になって提案すべき性質のものでございますので、残念ながらこの前は提案を見合わせまして、党のいま煮詰めを待っておるというところでございます。
 臨時国会は御承知のように、今度はさしずめ臨時応急的な来年度の一般会計の財政再建に資するもの、これだけ出すわけでございますので、臨時国会では率直に言って考えておりません。出すとすれば、この次の通常国会であろうと思っております。それまでの間、十分党側と意思疎通をいたしまして、そして十分な準備の上、出す場合には提案してまいりたいと、かように考えておるわけでございます。

○鶴岡洋君 私が心配しているのは、残念ながらと大臣おっしゃいますけれども、去年の問題が起きたとき、あれほど大きな社会的問題になりましたし、時がたてばもう忘れられたというようなかっこうで、これは提出されないということになると、私は大変なことになると思うんです。また再びああいう問題が起きないとも限らないわけです、いまの状況では。ましてやけさの新聞にも書いてありましたけれども、たとえば、病院側から告訴を取り下げろとか、それからいわゆる被害者の同盟側に対して、「その実態は加害者による恐かつ集団であるのに、被害者同盟を標榜し、事実に反するもう想により病院側を中傷した」と、こういうふうにも言っておりますし、「理事長、院長に刑事処分を受けさせるのと病院を倒産させる二つの目的で、手術が「正当な治療行為」であったことを知りながら、「異常のない子宮や卵巣を摘出したのは、傷害罪に該当する」として告訴し、病院を倒産に追い落とした」と、こういうふうになってくると、主客転倒か本末転倒かわからなくなってくるわけです。時がたてばこういうふうになってくるんです。だからいわゆる権限強化のために早くしなければいけないと、こういうことで、ましてや先ほど言ったように、ここで何回も約束しているわけです。それは自民党の調整があるかもわかりませんけれども、私はそういうことを心配して、一刻も早くこれは提出して法改正をすべきであると、こういうふうに思うわけですけれども、いま大臣の答弁だと、臨時国会はちょっと無理だという話なんですけれども、そうではなくて、こういうものを参酌して、さらにこの点について強力に推進方をお願いしたい。もう一度決意をお願いいたします。

○国務大臣(村山達雄君) いま鶴岡委員のおっしゃったことは、十分心にとめて留意してまいります。まあ臨時国会は正直申し上げまして私は無理だろうと思いますが、通常国会までに何とか成案を得たいと努力してまいるつもりでございます。

●95衆 - 行財政改革に関する特別… - 4号 昭和56年10月12日
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○森井委員 ここにこういう本があるんですよ。これは天下の名著でしてね。「新健康保険制度大綱(案)についてのメモ(日医会長武見太郎)に対する反論 衆議院議員渡辺美智雄」、こうなっているのです。これは恐らく本当に一かどの見識ですよ。これを見ますといいことが書いてある。恐らく千円でもさっと売れるのじゃないですかね。
 これを見ますと、その十七ページに「薬価基準の引下げ」というのがありまして、「現在の薬価基準と薬の実勢価格の差は、三〇〜四〇%である。中には九〇%の開きのあるものもある。この開きはすべて医療機関の収入になり、かくれた所得になる仕組である。従って薬の多用、過剰投与、薬の買い叩きはなくならない。またこの利ザヤの開きの大きい薬を使うようになる。これも医療費増高の原因である。薬価基準は、日医の反対が強くても迅速に実勢価格に合わせて引下げるべきである。」
 ついでにもう一言申し上げておきます。「開業医優遇税制の廃止」です。廃止ですよ、これは。「必要経費の大・小、有・無にかかわらず、一率に受取り社会保険診療報酬の七二%を天引必要経費と認める現行制度は、平均経費率五二%との間に二〇%の架空経費(免税所得)を認めることとなり、社会的不公正を招いている。」
 もう多くは申し上げませんけれども、私は渡辺元厚生大臣の言われるとおりだと思うんですよ。気づいていながら、なかなかそれを直すことができない。なぜか。村山厚生大臣、なぜ直せないか。薬については薬の資本の関係もありますが、やはり薬の差益、いみじくも渡辺元厚生大臣が述べていますように、これは医者の差益のもとになっているのです。それは確かにおっしゃるように、今年度一八・六%薬価基準を下げましたよ。しかし、これでもう実勢価格との乖離はなくなったと断定できますか。答えていただきたいと思いますが、恐らく断定できないから、先ほど薬価算定方式は直していかなければならぬ、こうあなたは言われたというふうに理解をしてよろしいのかどうなのか。
 それから、やはりこの際本気で医療費を、あなた方が心の中で思って外に出されないでおることを実現しようとすれば、私は日本医師会との関係を清算しなければならぬと思う。たとえばお医者さんの変な悪いことをしたのがおる、これはずいぶんおるわけです。たとえば十全会のように、たとえば所沢の富士見産婦人科病院のように、あるいは近藤何がし病院のようにたくさん、濃厚診療をしたりあるいは虚偽のレセプト等をこしらえて診療報酬を詐取したりいろんなのがおるわけですが、これは臭いなと思っても、すぐに指導、監査ができない仕組みでしょう。第一に、日本医師会と昭和三十五年に締結しましたあの覚書といいますか、申し合わせが邪魔になっている。もうここまで来たら、こういう行政改革で、金がないからお年寄りの年金まで飛ばそうかというときに、何としても医療費はむだを省かなければならぬ。私はぶった切れとは言ってないのです。むだを省けと言っておるのです。むだを省くためには、やはりこの際、厚生省は毅然とした態度でいかなければならぬ。そのためにはとりあえず、あなた方の決意のほどを知る一つのバロメーターとして、踏み絵としてあの昭和三十五年の日本医師会との申し合わせを破棄したいと思うが、この点についてはどうですか。
○村山国務大臣 いま御質問が二つございまして、薬価基準についてどういうふうに考えておるか、それから医師会との申し合わせについて破棄するつもりがあるかどうか、この二つでございます。
 おっしゃるように、医療費はここのところ大体GNPのところで落ちついてまいっておりますが、まだやはりむだなものは、医療資源の効率的なあれからいたしまして、どんどん適正なものにしていく必要があると思います。その意味で、何といっても薬代の実勢価格をはっきりつかまえること、それから同時に、実勢をつかまえましても、その算定方式によりましては、実勢価格を基礎にして違う薬価がついてくるはずでございますので、その薬価基準の算定方式についても前向きに検討していくということでございます。
 なお、いろいろな適正化につきましては、私はやはり何と申しましても医者と患者の信頼関係を確立することが第一だと思っております。そして、むしろ診療側の方で自発的に本当に自分たちが改革しないと、一部の人たちのために大変な国民の不信を買っているというところの医師会もたくさん出ておりまして、私のくにの方ではもうすでにそういう機運がどんどん出ておりまして、もし不正があれば医師会がみずからやるというのも出ているわけでございます。もとより、これを全部行政機関で追っかけ回すということになりましたら、一体どれだけ人間をふやしていいかわからぬのでございまして、信頼関係が決定的に基礎だと思っております。同時にまた、不正の請求をするような者がありますれば、厳正に処断していくということは、当然そのうらはらとして考えねばならぬところであろうと思うのでございます。そういう意味でそういうものを総合的にやりまして、そして医療費のむだを圧縮してまいりたいと思っております。
 それから、医師会との申し合わせの点でございますが、あれはいわば指導について、あるいは監査について、どこから指導に入り、どこから監査に入るかということについての取り交わし事項でございまして、税務の方でも青色申告等について同じような規定があるわけでございます。
 今度あそこで一番問題になりますのは、もし学識経験者を推薦しない場合、あるいは推薦しても立ち会わない場合はどうなるかという点が、私は実務的に言って一番大きなポイントだと思いましたが、すでに健康保険法の改正でその点は改正されておりますので、いまのところ全然支障になっておりませんし、われわれは所信に基づいて調査する、指導すべきものは指導し、監査するものは適正に厳正に監査してまいりたい、かように思っておるわけでございます。


●95参 - 社会労働委員会 - 3号 昭和56年10月27日

○山田耕三郎君 次の点は、保安処分の新設よりも先に厚生省としてしなければならないことが山積しておるのではありませんかという立場からお尋ねをいたします。
 まず、保安処分と精神医療につきまして、及び今日の日本の精神医療のおくれの実態等につきましては、後日発言の機会を与えられたときに詳細に申し述べ、厚生省の御意見を承りたいと存じますが、きょう特にお願いをしておきたいのは、今日通り魔事件が起こるたびに、犯罪を犯した精神病者の特殊収容、つまり刑法を改正して保安処分を新設せよの声が高くなります。十月十六日の閣議の一部が新聞に出ておりました。法務大臣は、現在は精神障害で責任能力がなければ何の刑罰もない、これでは社会の防衛はできないと言っておられますし、さらに措置入院制度を改善する場合でも司法機関の判断を入れる必要があると述べ、措置入院では退院時期が早過ぎる点を指摘されておられますのに対しまして、村山厚生大臣は、新聞の発表でありますので全部出ておりません、部分的なことしか出ておりませんが、多分その文章の前後があるのだろうとは思いますけれども、医者としては治った者を病院に入れておくことはむずかしいと説明をしておられますのですけれども、医療法人十全会に見られるごとく、精神病院での貧困な医療の実態を、さらにはまたただいまも局長がお答えいただきましたが、地域精神衛生活動体制の現状をこのままにしておいて法的取り締まりにのみ加担されるようでありますと、これは厚生省の怠慢を責めなければなりませんのでございます。
 ある精神科医はこのように言っております。精神病者が犯罪に至る前には、本人あるいは家族から必ず精神的危機の救助を求める信号が送られているということです。そしてその信号を聞き取ることのできないのは精神科医の未熟さ、精神衛生相談の不備、精神病院の貧困と言い切っておりますのです。
 そこで、まず私は厚生省に最低次のことを確実に実施していただきたいと思います。
 一つは、いまも言いましたように、地域精神衛生相談が無機能であってはいけません。地域精神医療の担当機関が近隣の人々の共同体感情に耳を傾け、地域精神相談が機能化するようにまず指導をしてやっていただきたい。
 二つ目には、精神病院に対する指導監督を強化してほしいと思います。今日、先ほども申し上げましたように、病院がブラックボックスとして地域と切り離されることなく、病院内と病院外との風通しをよくするために、最低法律で決められてあることだけはぜひひとつ守らしていただくような強力な行政指導をお願いいたしたい。
 三つ目には、精神病院の人的配置は、一般病院よりも劣悪な条件で認められておりますが、精神科医療の基本原理からすれば、早急に質的向上を図るべきだと考えます。しかし当面、医師法施行令に見られる例外規定だけはぜひ削除されるべきだと思います。
 四番目には、病院の人的資質の向上のために、臨床心理士でありますとか溝神科社会福祉士等の職種を早急に資格化される必要があると思います。
 以上四点について厚生省の対応をお尋ねをいたします。

府委員(大谷藤郎君) まず第一点の地域精神医療の担当機関が、近隣の人々の共同体感情に耳を傾け、地域精神相談が機能化するよう指導すべきではないかという御指摘でございますが、これは当然のことでございます。先ほどからも再々御答弁申し上げておりますように、私どもといたしましても、できる限り地域における精神医療というものに全力を挙げて、積極的な活動を進めてまいりたいというふうに考えております。
 第二点目の精神病院に対する指導監督を強化せよというお話につきましても、今後とも、先ほども申し上げましたように、精神病院に対する指導監督につきましては、いろいろな面からその徹底を図ってまいりたいというふうに考える次第でございます。
 第三点につきましては、医務局長がお答え申し上げますので、次の四番目につきまして先に答弁さしていただきますが、臨床心理士、精神科社会福祉士等の職種を資格化させたらばいかがかというお話でございますが、確かにこれも一つの考え方でございますけれども、何と申しましても、臨床心理士あるいは精神科社会福祉士といったような職種につきましては、他の一般のソーシャルワーカーあるいは保健婦その他、そういった地域のワーカーとの業務分担の問題が必ずしも明確になっておりません状況では、現在のところ直ちに法制化するということははなはだむずかしい点があるというふうに考えておりますが、なお先生の御指摘の点につきましては、十分研究させていただきたいと思う次第でございます。

○政府委員(田中明夫君) 第三点の精神病院における人的配置のことについてお答え申し上げたいと思います。
 まず、医療法で定めております人員配置基準といいますのは、すべての病院に適応できる最低基準を示しているものでございまして、重病患者が多い病棟等では、この基準を超えて必要な人員を配置するなどの措置を講ずるということは、管理者としての院長の当然の責務でございまして、管理者の判断にゆだねているところでございます。また社会保険の診療報副点数におきましても、それぞれ配置された人員に対応した点数も定められておるところでございます。
 次に、精神病院について考えますと、精神病院に入院している患者の症状というのが、一般的に申しまして、いわゆる一般病院における患者の症状に比べまして慢性的であり、かつ安定しているということは否定できない事実であろうかと存ずるわけでございまして、したがいまして、一般病院より少ない医師あるいは看護婦で対応することが、通常の場合を考えますと可能であるというふうに考えられますので、現時点におきましてこの人員配置基準を変更する考えはわれわれとしては持っておりません。

●95衆 - 社会労働委員会 - 3号 昭和56年10月29日
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○永井委員 保険医がもし不正を働いて取り消し処分になった場合に、保険局長は二年だと言われました。そうしますと、たとえばこの老人保健法案が制定されたとして、第二十八条では老人保健取扱機関について、都道府県知事に対して厚生省令で定めるところにより老人保健医療機関とならない旨を申し出たものを除いて、自動的に老人保健取扱機関となっていくわけですね。あるいは二十九条に同じ趣旨で保健医の取り扱いが示されていますね。
 そうしますと、保険局長に聞くのでありますが、いままで問題になりました医療機関がずいぶんありました。たとえば齋藤元厚生大臣を辞任に追い込んだ芙蓉会富士見病院事件あるいは京都十全会系の病院、あるいは兵庫県の近藤病院、その他にも新聞をにぎわしたところはずいぶんあるわけであります。そういうところが保険医指定を取り消されたとして、取り消されているのでありますが、兵庫県の場合は裁判で争っているようでありますけれども、保険医を取り消されて、二年たったらいわば自動的に、本人あるいはその機関が申し出ない限り老人保健取扱機関になっていくわけですね。二年たったら保険医として再指定がされたとしますね、そうしますと、そこが都道府県知事に対して老人保健医療機関とならない旨を申し出ない限り、自動的に老人保健取扱機関あるいは取り扱いの保険医として指定されていくわけですね。これはどうですか。

○大和田政府委員 保険医療機関の指定というのは自動的ではございませんで、保険医療機関としての再指定の申請をやるということになるわけでございまして、その結果保険医療機関に再指定をされるという行為が一つある。再指定されましたらこの老人の指定医療機関としてスタートしていく、こういうようなかっこうになるわけでございます。

●衆 - 法務委員会 - 9号 昭和56年04月28日
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○横山委員 それでは、商法について質問をいたします。
 私どもは長年この商法について検討を続けておるわけでありますが、公職者として町の企業、それは大、中、小、零細といろいろな政治的な問題でつき合っておる、話をしておるという中で、どうも商法ということについての認識度がきわめて薄い。いわんや中小企業、同族会社、零細企業になりますと、商法の存在ということも知らない。内容がどうなっておるか知らない。登記その他届け出書類をつくるときには公認会計士ないしは税理士に頼んで、適当に株主総会が行われたことにして、そうして、ある意味では私文書偽造になるのか、そういうようなことを通例といたしておるわけであります。これが悪いと言ったってどうしようもないのです。うどん屋株式会社で、専務が裏でおむつを洗たくしておる、おい、株主総会をやるので来い、とろいこと言っとりゃ、あすな、こういうことになるわけであります。そのことは、私どもが商法を討議するに当たって、やはり現実問題として認識をしなければいかぬ。
 一方では、なぜわれわれが商法改正を議論をするかというと、そういううどん屋株式会社の問題じゃなくて、大企業が社会的責任があるにかかわらずそれを十分に行わない、商法の規定を行わない、社会的責任を痛感しないというところに問題がある。だから、商法の討議の力点を、アカデミックな商法の法文解釈もさることながら、具体的事案、今日まで起こっております大企業の具体的事案と一体マッチをしておるかどうか、実例の中に一体商法が生きておるかどうか、そういう角度からわれわれは討議をしないと意味がないのではないか、そういうふうに私は思うわけであります。
 その意味で、二、三の例を引きながら質問をしたいのでありますが、まず第一に、ダイエーと高島屋の提携問題であります。
 ダイエーは、五十五年十一月ごろ、十全会グループより高島屋株式一株四百四十円で二千二百万株、発行株式の一〇%を買い取り、これがもとに高島屋に対し、オ・プランタン・ジャポンへの協力要請、提携問題交渉を打ち出した。高島屋側は、一月、新聞に事実が発表されるまで飯田社長はその事実を知らなかったという内紛状態を露呈する結果になりました。しかし、三和銀行の仲介によって、ダイエーは取得株のうち一千万株を三百九十円六十銭で高島屋に売り渡し、提携具体化に向かって動き出したというのであります。
 ところが、この議論の中できわめて遺憾なことは、高島屋の飯田社長は、一月に新聞で事実を発表されるまでその事実を全然知らなかったということなんであります。高島屋は、四月二十二日の新聞によりますと、役員人事を大幅に刷新して、今日までこのダイエーとの交渉に当たった諸君に対して、専務ら四人を退任をさせたということなんであります。われわれは、いま商法の取締役会を議論をし、代表取締役と取締役の問題について議論をいたしておるわけでありますが、社長がかかる重大問題を知らなかったというのは一体どういうことなのか。
 ダイエーは高島屋株の売買で、単純計算で約五億円の損失を生じたことになるが、まず第一に、ダイエーはそういう損失をしたことについて、ダイエー側及び高島屋側の商法上の取締役が行った行為は一体今回の改正によってどういうふうに理解をしたらいいのか、それを伺いたいと思います。

●96衆 - 予算委員会 - 14号 昭和57年02月20日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=5&DOC_ID=8023&DPAGE=2&DTOTAL=47&DPOS=31&SORT_DIR=0&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345

○大原(亨)委員 たとえば埼玉県の富士見病院の問題、これは齋藤さんも名前出しましたが、有名な話になりますが、その後の問題、それから京都の十全会病院の問題、それから大阪の代表的な問題は川合病院の問題、これは大蔵大臣は非常によく知っておられる。そういう問題等があるので、その事後の経過を聞きたいわけでありますが、これは改めて別の機会にいたします。
 いずれにいたしましても、やはりこの医療の問題は非常に問題を抱えておって、せっかく財政を担当しておられる大蔵大臣はこの問題についてはかなり深いわけでありますから、十分閣内で意識統一をして、国税庁のこともあります、全体のこともあります。これは文書偽造であり詐欺、横領ですからね。四十円のコストの物を四百円で請求しましたり、五回注射を打ったのを十回注射を打ったように請求するんでしょう。こんなのは明らかに文書偽造、詐欺、横領ですから。たまたま間違ってやったというのじゃないのですから。これは一般的に全部やるのだということがいけないわけで、それでは悪い方からやっていく。まじめな三分の一の医師というものは、やはりみんなやってくれと言っている。私どもはたくさん知っている。あんなものをほうっておくからいけないのだと言っている。医師会が本当に学術団体であるならば、自律能力があるはずだ。自分のところで処理しなければならぬ。診療報酬だって平均的なもの以上に、たとえばかぜ引いたら鎮痛剤、解熱剤、それからそれを飲むと胃が悪くなるというので食事の前に飲めばいいと胃薬、それから肺炎になるかもしれぬというのでビタミン剤と抗生物質、いろんなものをごっそり出すでしょう。そういうことは、やはり必要な診療基準があるのですから、医師会等はぴちっと診療基準をつくって、それを守らぬのは自己規律するぐらいな気持ちじゃないと、私は保険制度は維持できないと思う。
 保険料負担の限界の問題について私は議論したいと思うのですが、時間の関係がありますけれども、厚生年金や国民年金や共済年金の保険料負担と医療費の負担がこのままいくとどうなるか、国民所得がふえていくとどうなるか、所得税と住民税との関係はどうなるかということを考えないと、これは十年先には大問題を起こす。こういうことですから、私は老人医療の問題についても、最近の状況というものは非常に憂うべき問題であり、政府の統治能力について疑問を持つ、こういう点があるわけですが、きょうはこの話は終わりまして、前に進んでまいります。
 人口問題研究所の所長が来ているのですが、出生率が昭和四十九年以来非常に低下した。これは厚生省が修正するのですが、人口問題研究所のめどを超えて低下したわけです。そして、これは昨年一部修正して出しましたが、これはいろいろな学者の意見もそうですが、私は、昭和六十年にいまの状況が最低になる、合計特殊出生率が二・一というように考えておったのが最低になる。出生率がだんだんと低下して、最低が一・六八人、二人と三人の子供を持った人が大多数であったのが、二人と一人になるという状況であります。そういうことが続きますと、これは教育にも影響あるし、労働にも影響あるし、産業にも影響あるし、経済計画にも影響があるわけでありますが、その基礎になる出生率の低下の原因と見通しについて、人口問題研究所がこの中心的な作業をいたしまして昨年出しました見通しは、いままでと同じようにこれは非常に安易なものであって、事態の深刻さを考えていないものではないか。調査の問題ですから、議論の根底にありますから、これについて簡単にお答えをいただきたい。これは長い時間、かかったら三十分ぐらいかかるんだから、簡単に答弁してください。

◆96 参議院 予算委員会 6号 昭和57年03月12日
 http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/096/1380/main.html

○片山甚市君 制度審に諮問されました医療法改正案要綱に言う都道府県医療計画の作成、これは医療圏、必要病床数その他医療圏における医療施設整備の目標などがありますが、高額医療機器乱用の規制要件とすれば、この改正案は今国会でどのように取り扱われることになりますか。

○政府委員(大谷藤郎君) ただいまも申し上げましたように、法的規制ということでは高額医療機器の規制ということは大変むずかしいことだと考えております。

○片山甚市君 日本医師会等も賛成をしないからでありましょうから。
 いずれにしても、政府が約束したところの二十七項目の確認事項は他の質問との関係もございますけれども十分でありません。そういう意味で別の機会にただしたいと思いますが、総理としては今後医療についてどのような抜本対策をとられるか、決意を聞きたいと思います。

○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど来お話がございますように、総医療費は十三兆円にも上るというような大変な国民生活にとっても大きなウエートを持っております。そして、この中におきまして、薬剤費それから検査費というものが五〇%に近いものを占めておるというようなこういうあり方につきましても、私は、国民医療の合理化、改善を図る見地から再検討を加える必要があると、こう思っております。
 またさらに、医療全体の面からいたしましても、地方の医療計画というものもわれわれは注目をいたしておるわけでございまして、地域住民に密着した医療制度というものを確立をするということ、これが今後の真の医療の確保の上から重要な課題であると、このように考えておるところでございます。

○片山甚市君 そこで、先ほど二十七項目に関連する十分会、富士見病院の問題についても詳しくお聞きをすることができませんでしたが、これも氷山の一角だと思います。いろいろと厚生省はやったかもわかりませんが、結果的に医療法人によるずさんな病院経営が改まっておりません。あくどいもうけは別としても、最近の病院の倒産件数の推移とその原因はどうなっておるか、厚生省として分析をどうされたか、政府として御答弁願います。

○政府委員(大谷藤郎君) 医療機関に対しまして指導、監査を十分いたしまして、これについて対処いたしたいというふうに考えております。

○片山甚市君 倒産件数の推移、その原因はどういうことになっておるか。

◆高杉 廸忠 19821025 『福祉優先社会の構想』,学陽書房,219p. ISBN-10: 431382006X ISBN-13: 978-4313820067 [amazon][kinokuniya] ※

 「高齢化社会における老人福祉を問う
 私は五六年三月、十全会グループの病院を実際に視察した。寝たきりの老人が、一つの病院に一〇〇〇人以上も集まっている光景を見て、「果たしてこれが老人医療のあり方たろうか」「老人福祉とは一体何たろうか」という疑問を強くもった。
 しかし、逆に考えると、老人医療、老人福祉が現状のままで、わが国が高齢化社会に突入したときの姿を、十全会グループの病院は暗示しているともいえる。その意味では、高齢化社会を先取りした病院なのた。今後の高齢化社会における福祉を問題とする場合、十全会グループの実情は、避けて通ることができない課題としてわれわれの前に立ちはたかっている。
 ところが、この十全会グループは、医療の問題としてよりも、「株の買い占め」事件によって社会問題化された。高島屋や朝日麦酒の株の大量買い占めがマスコミで取り上げられ、関連会社を使ってとはいえ、医療法人が株の買い占め行為で社会をゆるがしたこと自体が、医療法法人の領域と良識の範囲な超えた利潤追求であるとして批判をあびた。
 私も国会の質問では、医療法人による株の買い占めの問題から追求したが、いざ医療の内容を調査してみると、医師や看護婦の数が規定の数に不足し、べッド数と入院患者の数がズレているという基本的なところから、問題点が次々と明らかにされてきた。<0165<
 ところで、十全会グループの利益追求の経営と医療行為の不適正さが問題になったのは、実は最近のことではない。すでに一〇年以上も前から、さまざまな問題がマスコミや裁判所や国会で出されていた。この一〇年問、十全会問題を放置してきた厚生省や京都府の責任は重大であるが、実は、長い問放置されざるをえなかったところにこそ、わが国の老人福祉をとりまく複雑で重要な問題点が存在していたのである。
 五五年一〇月一二日、私は参議院社会労働委員会で、高齢化社会に入りつつあるわが国の老人医療のあり方に問題を提起するために、そして、富士見産婦人科病院のような金もうけ本位の医療経営にメスを入れるために、十全会問題をとりあげた。
 第一に、薬を使えば使うほど収入が増える仕組みになっている現行医療保険制度、医師相互の監視機構がなく、密室化しやすい医療行為の現場、不公平税制の典型である医師優遇税制など制度上のさまざまな問題点、第二に、厚生省など監督官庁庁の事なかれ主義、第三に、すべてを病院や医師にまかせ切りにし、老人ホームや老人病院に一旦入れると、その後は老人との人間的なつながりを疎遠にしてしまう患者の家族や地域社会の態度のようなわれわれ自身も含めて反省し改めなければならない点など深刻な問題が存在しているのである。
 結局、現代日本の医療をとりまく多くの矛盾と問題が一つに集約されて出てきたのが、今回の十全会問題であったと言える。
 前述のように、十全会問題の本質には、医療法人のモラルと病院経営のあり方とともに、老人医療のあり方をめぐる問題が存在している。寝たきり老人や動くことの不自由な老人患者を十全会グルー<0166<プの三病院が集中的に引き受けていたこと、そして、十全会を仮に無くしてしまった場合、それに代わって老人を世話する福祉施設が現状では極めて少ないということが、厚生省や京都府が沈黙を守らざるを得なかった最大の理由であった。それは逆に、老人をとりまく家族関係や地域社会のあり方、そしてそれらを総合した「福祉」のあり方が問われていることを意昧する。
 高齢化社会に入りつつある今日、十全会グループのみでなく、老人病院の新設は全国的に増えている。厚生省や各自治体が、老人医療、とりわけ寝たきり老人や体の不自由な老人患者を入院させる病院のあり方、老人福祉のあり方を明確に示さぬ限り、今後とも第二、第三の十全会グループが現われる可能性があることを強調したい。」(高杉[1982:165-167])

●96衆 - 物価問題等に関する特別… - 3号 昭和57年03月18日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=5&DOC_ID=7377&DPAGE=2&DTOTAL=47&DPOS=33&SORT_DIR=0&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345

○依田委員 一方では経営の苦しくなる病院が出てくる。しかし一方では、新聞紙上あるいはまた国民の皆さん方は、病院というものはもうかっておる、こういうことです。と申しますのは、いろいろ新聞紙上をにぎわわす事件を起こす病院があるわけでありまして、その中で特に病院のチェーン化、つまりいろいろ病院を買収したりなんかして急激に伸びる病院があるわけであります。どうもそういうところの経営というのは、本当にまじめにやっておって果たしてそれだけ伸びるのかどうかということを考えていくと、何か裏があるんじゃないか。たとえば、チェーン化ですから、これは薬屋を現金で買いたたくことができますから、そういう意味でも便利がいいでしょうし、あるいはまたお医者さんにノルマをかけてみたり、あるいはそれだけの大きいところになりますといわゆる脱税というか節税、つまり保険の巧妙な利用法、そういうものを特別に研究する人員を置いていろいろやらせたり、そういうことをして伸びてそして事件を起こす、こういうところが最近非常にふえておるわけであります。有名なのは十全会事件などございましたけれども、国税庁で最近のこういう大どころの病院の不正事件、そしてまたそれの脱税、こういうものについてどういうふうに把握されておりますか。

部説明員 大病院というお話でございますけれども、私どもの場合法人と個人というふうに分けて把握をいたしております。大体大病院と申しますのは法人が多いかと思いますが、法人につきまして申し上げますと、従来から課税上問題がある法人が多いということで、特に法人である病院につきましては、ここ数年来全国的な重点業種ということで調査を重点的に進めております。具体的に申しますと、普通の法人の約二倍程度のいわゆる実地調査というのを実施いたしております。
 その結果でございますけれども、大体四件に一件程度不正が行われておるという状況でございます。ただ、この四件に一件程度と申しますのは、一般の法人と比べてそれほど大きな差がないというところでございますけれども、もう一つの特色といたしましては、いまの不正の一件当たりが大体一千万円程度ということになっておりまして、これは全法人の平均の約二倍程度になっておるということでございます。ただ、この点も、病院の場合には一般の法人に比べますと一般的に規模の大きいものが多いという実態にございますので、そういったいわゆる売上対比では必ずしも多いという状況ではございませんけれども、大体において一般の法人に比べればかなり大きな不正の金額になっておるということでございます。

○依田委員 昨年の、そういう大きいあれを出したところはどういうところとどういうところなんですか。個別的事例について……。

○渡部説明員 具体的な事例は把握いたしておりませんけれども、全体的な特色を申しますと、やはり多いのは、売上金額を落とすとかあるいは架空の人件費を使うとか、架空の薬の仕入れを立てるとか、そういう手口が多いわけでございます。

○依田委員 私の質問の趣旨と違って、私は、十全会病院事件とかそのほか幾つかあったわけでありまして、そういう事件の具体的名を挙げていただきたい、こう思ったわけでありますけれども、もう時間がございません。
 いずれにいたしましても、昨年の薬価の改定、これはいままでの濁った医療の世界、こういうものに石を投げ込んだというような感じだろうと思うのであります。これがこれからいろいろな方面へ波紋を広げていく。私が言いましたように、中小病院の経営の悪化の問題も出てくるであろうし、あるいはまた、薬品メーカーのそういう動きも出てくるであろう、先ほど申し上げたようないろいろな動きも出てくるであろうし、また一方では、今度はそういう病院を買収なりしてチェーン化して大きくなる、しかし一方では、そのチェーン化の途中で正当な行為でない行為で大きくなっていく、いろいろな形の現象が、いままでの医療界の中でなかった動きというものがこれから薬価の改定を機にいろいろ出てくるのじゃないか、こう思うわけであります。
 厚生省はそういう意味で、これからよくこの医療界の動きを注視していただいて、この薬価基準の改定というのは国民の医療費の負担を少なくしようということで行われておるわけでありますから、その結果が逆目に出るようなことがあっては困るのでありまして、そういう意味でこれからの厚生省の行政指導、行政のあり方、こういうものについてわれわれも注視をしていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
 時間が参りまして、きょうはいわゆる医療費の不正請求の問題までタッチできませんでしたけれども、この辺で終わらせていただきます。

●96 - 参 - 社会労働委員会 - 12号 昭和57年04月27日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=5&DOC_ID=8487&DPAGE=2&DTOTAL=47&DPOS=34&SORT_DIR=0&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345
 吉原健二:厚生大臣官房審議官

○山田耕三郎君 そういうことですから、この医療体系の問題では、社会的不正義が存在しないような体系をぜひつくることに本気でがんばっていただきたいと思います。
 それからそれに関連をしてもう一つありますんですけれども、私は近年連続して一つの精神病院の運営を眺めております。そこのお医者様の話によりますと、精神障害者の治療にはいまだに定説はありませんということです。そして、治療に当たって、患者に対して薬物を使用するということは極力避けた方がその人の体のためにはよろしいと。精神病というのは社会病理が原因でありますから、その人の生活の中から社会病理を取り除いてあげるように治療をしていかなければならないとすれば、それは当然のこととして対話であり、人間関係であります。ところが、対話は点数になりませんということであります。けれども、良心的な医師の懸命の努力によって、この病院には退院があります。患者の新陳代謝がございます。十名退院をしますと、二名ぐらいはまた病院へ戻ってこられますけれども、その返ってこられます二名の追跡調査をしてみますと、地域社会における受け入れの状況がきわめて悪い、家庭事情がきわめて悪い、そういうことのようでありますけれども、そういう要因を取り除いてあげれば、社会復帰は可能でありますというように申しております。
 今日、多くの場合象徴的に言われますのは、治療なき格子戸というように言われております。このことについては、患者の退院が非常に少ないということ、しかも入院患者の年齢が高齢化されてきておりますということ、そういったことから治療の困難性はわかりますけれども、何かこの辺に対する厚生省の努力というものが必要なのではないか。これは自治体行政の中で見ましても、公立の精神病院をつくるということは、法定事項になっておりますけれども、つくれてない府県がまだまだございます。さらに、もっといけないのは、その府県に精神科の専門医が配置をされておりません。
 だから、私は、懸命にやっておられるんだといたしましても、たとえば京都の十全会でありましたように、たとえば高島屋、朝日麦酒の株の買い占めがありましたような事実から見て、医療法人がどうしてこういう財政力を蓄えることができるのか。これは他の病院に対しても大変御迷惑なことである。だから、こういった批判が出てくるのではないかと私は思いますのですけれども、そういう面には野放しであってはいけないと思いますんです。この辺の指導も強化していただいて、こういった面から医療費が増高をしていったり、むだに使われていくということについての歯どめをかけていただく責めは、責任は厚生省にあるように思いますが、いかがでしょうか。

政府委員(三浦大助君) 精神科医療と申しますのは、最近非常にいい薬がたくさん出てまいっておりまして、あるいはまた精神療法とか作業療法というものがかなり最近発達してまいりまして、定説はございませんけれども、かなり系統的な医療技術が確立されてきた。したがって、開放的な医療体制というものが非常に進んできたというふうに私ども見ておるわけでございまして、したがって、こうした精神医療の進歩の状況を踏まえながら、精神障害者の社会復帰のための施策を私ども重点的に進めておるわけでございます。今回予算の中にございます職親制度などもその一つのあらわれでございます。
 御指摘のように、精神衛生法の四条で各都道府県に精神病院の設置を義務づけているわけでございますが、現在まだ八県が未設置になっております。これを調べてみますと、こうした県では、国立療養所あるいは他の公的な医療機関が精神医療の中心的な役割りをしておる、したがって県立病院に精神病床がないということでございますが、私どもこういうことでは、今後の精神医療というのはますます重要な分野になってまいりますので、この八県につきましてもできるだけ早急に精神病院あるいは病棟が設置されますように県の方をいま指導しておるわけでございます。

 […]

○高杉廸忠君 私はこの際、出来高払い制の採用に起因する医療制度の矛盾を是正するためにも、思い切って人頭払い方式の採用、こういうことが具体的に検討されるべきだと思うんです。たとえば都道府県別の一件当たりの給付について見ても、いわゆる西高東低が言われたり、大臣も御存じのように、富士見産婦人科病院、さらに京都の十全会等々に象徴される医療の荒廃、これをめぐる諸問題は、支払い方式を変更すればかなり改善が期待されると考えるんです。大臣いかがでしょう。

○高杉廸忠君 注目される老人医療費の支払い方式、これについては、大臣も御承知のとおりに、さきの通常国会で、外国の制度も参考にして新しい方式を考えたい、こういうような前厚相の意欲的な答弁もありまして注目されたことは記憶に新しいところなんです。厚生省として老人保健審議会にたたき台を提示して審議してもらうという意向のようでありますが、厚生省としてはどのような腹案を持っているのか、またたたき台としてそれはどのような案というものを用意されているのか、それぞれの方式についての長所、短所、この際私は示していただきたいと思うんですが、いかがでしょう。

○国務大臣(森下元晴君) 富士見病院とか三郷病院、その他新聞をにぎわした、不正請求したり、また老人を食い物にしたような例がございまして、まことに遺憾きわまりないことでございまして、そういう点だけを見ました場合に、そういう制度も一つの方法であると思いますけれども、ほとんどの医師の方は私はそうでないと実は信じておりまして、出来高払い制度は、必ず裏には医の倫理という一つの精神的な、高度な聖職としての精神的な背景がある、医師としての裏づけのある出来高払い方式という――私は人間の性は善であるという考え方の上に立ってやっていきたい。ただ一部そういうまことにけしからぬ、法を悪用する、出来高払い制度という制度を悪用する医者のあることは、またあったことは事実でございまして、そういう点は別の方法で是正できると思っております。

政府委員(吉原健二君) 老人の診療報酬につきまして、どのような診療報酬あるいは支払い方式をとるか、この法案を提出さしていただきましてから、厚生省としてもいろんな角度から実は研究をいたしているわけでございますけれども、率直にいまの時点での考え方を申し上げさしていただきますと、外国の制度、いま例に挙げられました登録人頭払いの方式でありますとか、あるいは西ドイツがとっておりますような請負方式、これを老人医療、わが国に導入することは実際問題として大変むずかしい、率直に言って、いまの時点では無理な点が多いのではないかと思っております。
 その理由でございますけれども、イギリスなどは先生御案内のように登録人頭払いという方式をとっておりまして、日本で言う開業医に限りまして登録医制度をとり、その医師について患者からの登録を前提にして人頭払い的な診療報酬支払い方式をとっているわけでございますけれども、病院についてはそういった方式でございませんで、イギリスの場合の病院は全部公費で賄われているわけでございまして、登録人頭払いという方式をとっておりません。
 それからそういった方式がとれる大前提といたしまして、日本の場合と医療制度が全く異なりまして、登録医、つまり開業医と病院との間に機能上の分化がございます。高度の医療はすべて病院で行う、登録医なり開業医が行うのはプライマリーケアと申しますか、初歩的な初期診療だけを開業医、登録医が担当すると、そういうふうに機能がはっきり分化をしておりますので、ある意味では人頭払い的な診療報酬支払い方式がとれるわけでございますけれども、仮に日本の場合にそういったことをすぐ導入いたそうとしますと、日本の場合には病院と診療所の間にそういった機能分化というものがございません。ございませんで、同時にまた患者が自由に医者を選べる、あるいは医療機関、病院を選べる、こういう自由が保障されているわけでございますけれども、それをある面で制限するような結果になるわけでございます。日本の場合の自由開業医制度、それから患者の側からの医療機関を自由に選択できる制度、そういったものを基本的に変えない限り、なかなか登録医制度というのは導入しにくいという面がございます。同時に、プライマリーケアを担当する医師というのはどういう医師であるべきかというようなこともあわせて考えませんと、いまの開業医そのものをすぐ登録医というようなことにするわけにまいりません。
 そういったことをいろいろ考えますと、現在の日本の医療制度のもとにおきまして、たとえ老人医療に限定をするにいたしましても、すぐ登録医制度を導入するということは実際問題として非常にむずかしいのではないかと思っておるわけでございます。
 それから請負方式、西ドイツでとっているような請負方式にいたしましても、これは実は開業医についてだけとられている方式でございまして、病院については全く出来高払いで支払われているわけでございます。この場合にも、西ドイツの場合にそういった請負方式がとれるということの背景にはいろんな沿革的な理由もございますし、保険者と医療機関の契約によって報酬を決めるという長い歴史もあったわけでございます。そういったことが背景になって請負方式というものがとられているわけでございますけれども、日本の場合には実際問題として請負方式というものをとり得る余地が少ない。御案内のように、昭和十八年までは医師会との請負という方式はとられておりましたけれども、それにはいろんな問題がございまして、それ以来ずっと出来高でやってきているというようなこともございます。そういったことを考えますと、請負方式もなかなか日本の場合にすぐ導入するということはむずかしいのではないかというふうに思っておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、外国の制度をいろいろ研究しておりますけれども、なかなかそのままの形で日本の制度に導入することはむずかしい。したがいまして、やはり現在の出来高というものを基本的に前提にして、その出来高が持っております欠点なり短所というものをできるだけ少なくしていく方向で老人の場合の診療報酬も考えていかざるを得ないのではないかというふうに思っているわけでございます。

○高杉廸忠君 審議官、もう法案を出しているんだから、老人医療費の支払い方式の改善というのを具体的に出さなければ審議にならぬじゃないんですか。どうですか。

○政府委員(吉原健二君) 具体的に、しからばじゃ出来高を前提にするにいたしましても、一体どういうことを考えているのかという御質問だろうと思いますけれども、現在の時点で私ども考えておりますのは、現在の出来高払いというものを前提にしながら、できるだけ薬づけとか検査づけと言われているような医療というものが少なく、なくなるような報酬体系というものを考える必要がある。具体的には予防でありますとか、日常の生活指導でありますとか、生活管理というものを重視した報酬体系というものを考えていく必要があると思いますし、それからできるだけ入院というものを少なくして、在宅で療養できる条件を整えていく。在宅の患者に対する医療サービスというものが報酬体系の中で評価され、それが促進されるような仕組みの報酬体系を考えていく必要がある。具体的にたとえばデーケアでありますとか、デーホスピタル、そういったものも現在の診療報酬では正面から認められておりませんけれども、そういったものも考えていく必要があるのではないか。具体的には中医協で、非常に専門的な事柄でもございますので、中医協での御意見というものを踏まえながら具体案というものをつくり上げていきたいというふうに思っているわけでございます。

●96参 - 社会労働委員会 - 13号 昭和57年05月11日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=5&DOC_ID=5305&DPAGE=2&DTOTAL=47&DPOS=35&SORT_DIR=0&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345

○高杉廸忠君 最後になろうかと思いますけれども、御承知のとおりに、現在疾病にあって介護を必要とするお年寄りというのは、家庭に介護の手がないところでは、特別養護老人ホームに入所するとか、あるいは病院へ入院するか、このいずれしかないんですね。しかし、すべてとは申しませんけれども、老人ホームでは、地域社会に密着して存在するという面が希薄であるし、ともすると、入所者と家族の方々のつながりが、地理的にも気持ちの上でも遠く薄くなっているのが実態ではないか、こういうふうに考えるし、またそれも入所希望者を受け入れるだけの十分なこういう体制にないのが今日の私は実情だろうと思うんです。
 また、入院されているお年寄りについても、先ほどから私が述べましたように、あるいは以前から問題としてきましたように、都病院や十全会の問題を指摘しましたけれども、どうも営利の対象としか老人を見ていない、こういった実態にあるのではないかと、こういうふうに思うんですね。こういう実態でお年寄りが安心して死を迎えられることになるだろうか。そういう点では残念ながら、わが国の施策の対応というのは貧困である、こういうふうに言わざるを得ないんです。社会連帯の中でお年寄りの最期をどのようにみとっていくか。わが国の施設体系、大変不十分であると考えるんです。
 先般来私どもは、わが党のナーシングホーム等の提案に対しましても、本委員会を通じて大臣からも、検討あるいは勉強中、こういうような答弁しかいただいてないのをきわめて私は残念に思うんです。そういった答弁にあること自体がおくれを示しているのではないだろうかというふうに考えるんです。施設の面で医療と福祉、家庭と社会、これをつなげる役割り、これをどのような面で担っていくのか、こういう考え方を私は明らかにしていただきたいと思うし、大臣が本委員会でしばしば御要請になります法案の成立についても、私どももいま幾つかの点の問題提起をし、できるなら与野党合意で修正等も実現して、前向きな姿勢の中で取り組んでいきたい、こういうような気持ちも持っております。いま申し上げましたようなことで、最後にこれからの施策の充実等々について、ぜひひとつ大臣の御見解、御決意を伺いたいと思うんです。
 以上をもちまして私の質問を終わりたいと思います。

●96衆 - 社会労働委員会高齢者に… - 4号 昭和57年05月14日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=5&DOC_ID=5871&DPAGE=2&DTOTAL=47&DPOS=36&SORT_DIR=0&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345

○増子参考人 御紹介にあずかりました増子です。東京の足立区にある柳原病院というところに勤めておりまして、内科の医者をやっております。特に老人の問題、いま金井先生の方からもありましたが、寝たきり老人の医療と看護の問題についてお話をさせていただきたいと思います。
 参考資料が、こういう資料とそれから「地域看護の展望」という資料とそのほかのプリントがあるかと思いますが、それを随時ごらんいただきながらお話をしたいと思います。
 いままでいろいろな形で述べられておるように、われわれのところでも老人問題、医療の中では老人の問題が非常に比重としては重いわけですから、その問題に取り組んできました。特に老人医療費が無料になって以来、いわゆる外来における老人の比率が多くなりましたし、入院においてもかなりの比率になってきました。
 その中でわれわれが日常的に考えて非常に困ったことだというふうに思っていた問題は何かといいますと、外来に通院することができるお年寄りは何とか医療の対象になる、あるいはまた入院を要する老人の場合ももちろん入院医療という形でできる。しかし、入院するほど悪くはないが、しかも入院も余り望んでいないけれども、施設にも入れない。しかし、かといって外来にも通院してこれない。言ってみれば外来の医療と入院の医療とのはざまにあるそういうお年寄りもかなりの数に上るということに、日常の医療の中で大分気がついてきたわけであります。しかもそういうところで、たとえばよく新聞をにぎわしている話がありますが、いま金井先生の話にもあったように、寝たきり老人を大体は奥さん、おばあさんが看病して、そして疲れ切って無理心中をしたとか、あるいは看病のために婚期を逸してしまった娘さんの話等々、いろいろな話が出てきておるわけであります。こういったところが実は大分われわれの病院の患者さんの中にも起こってきておりまして、この問題を何とかしなければいけないということで、この問題について取り組みを考えていたわけであります。
 もう一つ、医療機関から見ますと、寝たきり老人といった問題がかなり大きな比重を占めるように思います。われわれの病院は単なる民間病院でありますので、特に大きなベッド数を持っているわけでもありません。八十七床ですから小さい病院です。一たん病院に入院した患者さん、これはいろいろな病気で入院した患者さんなんですが、そういう人たちがもとどおりになって、前と同じように元気に歩いて帰れるとか、そういうふうな場合には余り問題は起こらないわけです。もちろん入院中の付き添い料の問題だとか差額ベッドの問題であるとか、あるいは三カ月も半年も長く入院しておりますと家族の中でお年寄りが占めるポジションがなくなってしまうというふうなことの問題などもありますけれども、しかしいずれにしても、よくなれば大分問題が違うわけですね。ところが、たとえば脳卒中の後遺症の場合であるとかあるいは手術した後の経過がなかなか思わしくない等々のような場合は、家族がその後はやはり常時介護しなければいけないというふうな状況で退院の問題が起こってくる場合が大変深刻なわけです。
 われわれとしては当然病院としてやれることはやったのだからそろそろ退院してはどうかというふうな話を持っていっても、家族の方はとてもこのような状態ではうちでは見られない、うちではいろいろな人たちが働いている、子供の問題もあるというふうなことで、結局退院をなかなか受け入れないという状況が起こってくるわけであります。その理由としては、もちろん家屋の狭さや介護する人手がない、経済的な理由あるいは退院後の医療上の不安などということが挙げられておりますが、特にその辺の問題について、われわれもいろいろ家庭訪問したり何かする中で、確かに家族が言うのは単に言いわけだけではない大変大きな問題があるんだというふうなことがわかってきております。
 寝たきり老人の場合でも、症状が安定している場合には特別養護老人ホームとかそういうことが対象になるかと思いますが、東京だけの特殊事情かもわかりませんが、特別養護老人ホームというのは区部にはほとんどない。足立区にも一個、東部ブロックでは二つぐらいしかないというふうなことで、あとは三多摩とか千葉、埼玉の、しかも遠いへんぴな田舎の方に行かなければないというふうなことになっております。
 そこで老人病院ということになりますと、これは京都の十全会であるとか三郷中央病院の最近の例でも明らかなように、医療の質としても問題があるし、しかも月最低四万円以上もかかってしまうというふうな状況、中身を聞いてみますと、十二人の寝たきり老人に一人の付き添いがつくというふうな状況もあるようであります。こういうところにそういう老人たちが送られることはやはりまずいのではないか。しかも、そんな病院がどんどん、いまラッシュだそうでありますが、そういうことになりますと、われわれとしてはそういったところに喜んでお年寄りを送るというわけにはいかない。
 さて、そうなってきますと、在宅でこのお年寄りが何とかならないだろうかということが医療機関の側からも非常に大きな問題として出てくるわけであります。もともと医療的には積極的には入院している意味がほとんどない。しかし家族やあるいは在宅に帰っていく、そういう条件がないというのは、医療から見れば積極的な意味がないわけですから、医療費という点で見ればむだではないかという点もあるかと思います。
 そこで、在宅での医療を積極的に可能にする条件は何か。実際にここに、在宅にいる人たちが何で問題になっているか、どういう条件が必要かということを調査したわけであります。東京東部地域ねたきり老人実態調査の運動というものがその中で行われました。その内容がこれに書いてあります。ちょっとごらんいただきたいと思います。その中で幾つかの点が明らかになりました。内容は、いま金井先生のお話と幾つかダブる点がありますが、この十八ページのところをごらんいただければと思います。
 一つは、地域の中に身近にたくさん埋もれている寝たきり老人がいるということです。登録されている、いわゆる老人福祉手当をもらっている老人と、われわれが実際一軒一軒訪ねていって発見した寝たきり老人には大変な差がある、この図の丸と丸の差ですね。そういうことがわかりました。しかも、寝たきり老人はかなり長期にそのままであるというふうにわれわれは理解しておりましたが、大体七、八人に一人ずつ一年間に死亡するということもわかりました。それから、介護する人々が大変疲れておって教育も十分受けられていないということもわかりました。これは二十四ページの方に書いておりますが、介護の教育を受けているというふうに答えた人が半数に満たないというところであります。
 それから、われわれの調査で明らかにしたもう一つの内容は、もしリハビリとか訪問看護とかいうことがあった場合にこういった状況を改善することができないだろうかということでいろいろ検討して、改善が期待できるというふうにわれわれが判断することができたものが三分の一に上っているということであります。
 さらに、在宅を支える福祉制度の内容についてはたくさんの制度があります。二十九ページから三十ページにあります。これは区によっても大分違いますが、しかしその中でも、ごらんになっておわかりになるように、利用状況と利用の必要性というものを比べますと、全くと言っていいぐらい福祉施策が利用できていないし、しかもその施策自身も十分ではない、そういうことがわかったわけであります。
 しかも、先ほどの話にあったように、寝込み始めの適切な医療が寝たきりを予防する上では非常に決定的なわけですが、そういう点から見ますと、地域医療の体制とか、家族とかそういう者の教育、そういったことは非常に大事なわけですが、なかなかそれがされていない。寝たきり老人には、たとえば警察の方や消防署の方や医療機関や福祉事務所がそれぞれ訪ねていったり、地域の老人クラブの方が訪ねていくことがあっても、それがお互いに協力し合ってその人たちの改善のために取り組むという形にはならないというふうなことで、これではまずいのではないかということで、開業の先生たちや、あるいは病院に働く看護婦さんたち、保健所、福祉事務所の人たちがお互いに協力し合ってこの調査を成功させた。そして、その中でお互いの信頼と相互理解を深めることができ、その後、全区的にこういった方向での協力関係を打ち立てることができたということがあると思います。
 足立区の医師会もこの運動に共鳴し、そしてみずからの問題として医師会独自の調査活動も行い、そして、そういったことを通して足立区では、医師会主導型ではありますけれども、訪問看護制度が確立しました。われわれの病院では、その訪問看護制度の内容を十分に評価する面がいろいろありますが、われわれのやっている中身で補充しながら、この訪問看護制度を積極的に活用してきました。その結果、幾つかの成果を上げることができました。それは「地域看護の展望」という本が手元にいっていると思いますが、その中に、その経過とか成果については書いてありますので、もし時間等々がありましたらば、ぜひお読みをいただきたいと思います。
 最初のうちは、定期的な往診を要する患者さんに看護婦がついていくというところからありましたが、そのうちに脳卒中後遺症の在宅のリハビリの指導であるとか、褥瘡の治療であるとか、それから徐々に変化してきておりまして、在宅のまま死を迎えたいというがんの末期の患者さんのケアであるとか、あるいはわれわれが長期間何も変化がないと思っているような人たちが突然在宅のまま調子が悪くなってくる、そして発熱したり動かなくなったりする、そういったものに対して適時手を打つというふうなことにだんだん対象を広げるようになっております。柳原病院における「訪問看護」というふうなパンフレットが行っていると思いますが、その中ではそういった内容がつぶさに書かれております。
 そして、われわれが訪問看護というものを最初に始めたころは、そういう定期的な往診をするところに看護婦がついて回るという形から出発しましたが、徐々にいろいろなふうに病気の対象が変わっていくと同時に、福祉制度の活用といったところも最初のうちは大変多くやるようになりました。看護婦さんなのかケースワーカーなのかわからないとつぶやきが出るくらい福祉制度の活用、たとえば車いすの必要な人に申請するとか、ギャジベッドの導入、これは絶対ギャジベッドの方がいいとか、あるいは巡回入浴が必要だというふうな活用を進めるという形のものが最初ありました。しかし、そのうち徐々に看護内容の充実へと展開し、いまでは大変大きな成果を上げるようになってきております。
 たとえば褥瘡を持つ患者が、訪問看護を始める前、二年前で申しますと全体の二七%に褥瘡があった、それが訪問看護して二年後になりますと八%の比率へ大幅に下がっておる。しかも大きさも、悪性度といいますか、かなり症状の重い褥瘡はほとんど消えてなくなって、小さい褥瘡が単に残っている程度に改善するという形で、大きな効果を上げることができております。リハビリについても、先ほどもありましたが、ほとんど体動ができない人たちが体動ができるようになる、あるいはほとんど寝たばかりが座位ができるようになる、さらにはまた立位なりいざりなりができるようになるという形の改善が目に見えるように出てくるようになりました。外出可能になった例もありますし、意欲を取り戻したり、明るさを取り戻したりするような患者さんは数え上げれば切りがありません。
 そうした点の中で症例が二つここに出してありますが、長くなりますからポイントだけ言いますと、左の方の〇塚〇ンさんという方は、気管切開をするとか、そういう意味では普通の場合であれば病院に置かなければいけないと判断されます。たとえば気管カニューレ、マーゲンチューブ、要するに胃に管を入れて栄養をとる、それから膀胱には留置カテーテルを入れるという状態で入院中の治療をしておりましたが、いろいろな話し合いをした中で、結局、訪問看護と家族の教育ということによってこの患者さんは退院することができ、しかも退院してからむしろ自分のことについてよくわかり、反応がよくなってきた。たばことか、おはようとか、あるいはビールをくれなどということも言えるようになるというような、目に見える驚くべき改善をするようになった一例があります。
 さらに、右の方の症例では、これはお年寄り二人暮らしで片一方が完全に寝たきりの状態であったわけですが、それに家事援助者制度という福祉制度を活用することによって、お互いに障害を持ちながらも、その中で看護婦さんの訪問看護と在宅医療のサービスによって、十分なとは言えないかもしれませんが、医療が提供され、床ずれが改善するとか、座位ができるようになったとか、そしてまた本人の笑顔も多くなったとか、誕生パーティーをみんなでやったときにはビールも少し飲んで浪花節を歌うというような驚くべき効果を上げる条件もこの中でつくり出すことができたということであります。
 そういう私たちのつたない経験でありますけれども、この中でわれわれが考えてぜひ御検討いただきたいと思うことは、幾つかありますが次の点であります。
 一つは、寝たきり老人はいま日本で五十万人とも六十万人とも言われております。これが二十年後には八十万なり百万なりに増加するだろうと予測されております。こうしたお年寄りをすべて病院とか施設に収容しようとすること自体が不可能であるばかりではなくて、医療的に見ても多分医療費のむだ遣いにもなるだろうし、しかもお年寄りはむしろ家庭で十分な医療を受けたい、家族に守られて生活したい、家族にいろいろ教育してもらえば、家族も何とかがんばりたいという部分もあるわけでありまして、そういう人たちにとっても歓迎されないことになってはつまらないのではないか。
 したがって、在宅のまま医療を受けることができるかどうか、そういう医療のシステムを一日も早く確立することがいま非常に大切になっているのではないかと思います。先進諸国の中でも、特に日本だけが在宅医療あるいは訪問看護制度が国の制度として確立していないというところから考えてみますと、日本での制度の確立が急がれると思います。さらに、訪問看護が一般的にいろいろ言われておりますが、こういう目で見ますと、在宅医療の中での位置づけという点が大変重要なのではないかと思っております。
 医師の往診、訪問看護、リハビリあるいはケースワーカーの努力といったものが、チーム医療といいますか、そういうものが十分有効に結合することによって、予期せぬほどの効果を得ることができるということがわれわれの経験から言えると思いますし、すでに全国二百カ所以上のところで訪問看護が実験的にいろいろな苦労の中で行われておりますが、そこで行われている成果も同じようなことを証明していると思います。
 さらに、われわれの経験から見ますと、訪問看護や在宅医療が十分機能するためには、実際には家庭的な介護する人たちあるいは介護条件といいますか、そういうものの整備が大変重要である。ホームヘルパーであるとか家事援助者制度であるとかそういったいわゆるマンパワーといいましょうか、そういったところでのバックアップがなければ、家族がただいたずらに犠牲を負って、とてもじゃないけれども疲弊して、疲れ切ってしまうというふうなこともありますし、結果としては訪問看護の効果も上がらないということにもなってきておるように思います。
 さらに、寝たきりの老人の予防の問題でございますけれども、当然予防が望ましいとわれわれも思っております。しかし実際、この予防というのも一般的に健康診断をやるとかあるいは何か注射をして予防をするというわけにもいきませんので、成人病、老人病の日常的な管理が重要でありますし、特に成人病の糖尿病であるとか高血圧であるとか、ありふれた病気をきちっと治療して生活環境を整えるということが、寝たきり予防には決定的であります。
 しかも、こういった点から考えますと、老人医療の有料化によって受診が抑制されるというようなことは、われわれの目から見ますと、寝たきりの予防にも逆行すると思います。寝込み始めの医療の重要性、リハビリ医療の重要性については、金井さんもおっしゃっておりましたが、われわれも全く同じような意見で、そういったところでの医療の対応の仕方、在宅リハビリの有効性といったことを強調しておきたいと思います。
 ただ問題は、もう一つわれわれが誤ってはいけない点は、在宅医療というのが入院医療あるいは施設福祉に全面的に取ってかわるものではあり得ないということです。入院の適用外の寝たきり老人にとっては意味がある、場合によっては入院がまたすぐ必要な場合もある、したがって、入院と在宅というものは生きた連携を持っていなければならないということであります。
 さらにまた、特別養護老人ホームとか老人ホームとかいろいろありますが、まだ日本には厳密な意味では存在しないナーシングホームといったものも、地域に密着した形で存在することができるとすれば、どんどんこれから必要になってくるのではないか。こういった入院といわゆる施設と在宅というものが三つの機能をそれぞれ有効に分担するということによって、初めてお年寄りにとって最もいい効果の上がるような在宅の医療と福祉の内容がつくられると思っております。
 総医療費抑制の問題であるとか医療費のむだ遣いがいま論議されている中で、ともすれば安上がり医療として訪問看護が論議されがちであります。しかしながら、本当にむだな医療費をなくするという点では、いたずらに入院させておくということをお年寄りも望み、家族も望むというふうなもの、そういった問題の解決を手助けする意味では、在宅医療の意義は非常に大きいと思いますが、しかしもう一つの側面で強調しておかなければならないのは、在宅福祉、家庭的な意味でのさまざまな欠陥をバックアップする施策なしには、その在宅医療、訪問看護の効果も十分な効果を上げ得ないし、結果としてはまたそのこともむだな出費にもなりかねないという側面を持つのではないかという点であります。

●96参 - 社会労働委員会 - 15号 昭和57年07月06日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=5&DOC_ID=5307&DPAGE=2&DTOTAL=47&DPOS=37&SORT_DIR=0&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345
○山田耕三郎君 私は、医療の荒廃によります医療費の増高が、何の罪もない弱者であります老人に対して、一部負担金を課さなければならないというような発想を誘発してきたのではないか、こういう考え方に立つものであります。だから、こういう法案を出されますについては、現行法のままでなしに、医療の荒廃を防止する何らかの施策があわされて出てこなければいけなかったのではないか、このように思っております。そういう立場から次の問題をお尋ねいたします。
 たとえば医療法人十全会の医療費の不正請求の実態が、約一カ年を経過した後のこの委員会において、委員の質問に対してさえいまだに明確になっておらないという答弁がございました。それは、私は怠慢ということよりも、むしろ現行制度のもとではなかなか踏み込めない面があってそのことが明らかにならないのではないか、このように思っておりますんですけれども、この辺に対するお考え方を承りたいと思います。

○政府委員(大和田潔君) 十全会につきましては、水中機能訓練に係る保険請求、これが問題になったところでございまして、すでに御報告いたしましたように、昭和五十五年十月に厚生省、京都府が共同保険指導を行っております。医師の直接指導監督のないものに係る請求、水治療訓練の場合に医師の直接指導監督のないものの請求、これが問題でございまして、その事実を確認の上に、返還を含めた必要な措置を講ずるように京都府に指示をいたしたわけでございます。
 この問題、何が時間がかかっているかといいますと、本件につきましては、医師の直接指導監督のないもの、どれがそういうものに該当するかということの特定がなかなか困難である、つまり事実確認に長期間を要していると、こういったようなことでございます。

●97 - 衆 - 予算委員会 - 5号 昭和57年12月17日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=5&DOC_ID=5990&DPAGE=2&DTOTAL=47&DPOS=38&SORT_DIR=0&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345

○大原(亨)委員 私は、行革と医療改革、行革と年金改革、二つを焦点として質問をいたしますが、最初に、それらをめぐる政治姿勢の問題につきまして質問をいたします。
 一つは、これはいろいろといままで、神戸市の近藤病院とかあるいは京都市の十全会病院とか、たくさんの病院で社会問題が発生いたしましたが、埼玉県の芙蓉会富士見産婦人科病院のことであります。富士見産婦人科病院に対しましては、厚生省も医療法上、医師法上あるいは保険法上の措置をとっていると思いますが、どういう措置をとっておりますか。

●98 - 参 - 決算委員会 - 1号 昭和58年01月19日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=5&DOC_ID=6016&DPAGE=2&DTOTAL=47&DPOS=39&SORT_DIR=0&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345

○本岡昭次君 いまの議論、厚生大臣もお聞きいただいてよくわかっていただいたと思うんですね。私が言っていることが真実なのか、一体厚生省が把握しておられる事実が真実なのか、もっとほかに真実があるのかというふうなことが一向に解明ができない。結局、現在の医療法というものはこういうことを好きほうだいにやるこの医療法人に対しては全く無力だと言うほかはないわけなんです。皆保険になって、いま医療は自由診療のような単なる商行為じゃないわけでしょう。もうこれは。国民の税金、そしてそれぞれの保険金がその医療機関の医療というものを推進しているんです。全く私は公的な立場で考えなければならぬ時点になっていると思います。
   〔理事和田静夫君退席、委員長着席〕
 そこで厚生大臣にお伺いするんですが、この問題については十全会病院問題、三郷病院問題等ここ何年か繰り返し繰り返し起こっています。園田元厚生大臣のときには、いまの医療法の持っておる欠陥を補うために三者協議会というものを設けて、そこで権限を強化して対応していきますということを申され、そして十全会の問題の解決に当たられて、最終的には都とそれから国が行政勧告という形で問題の解決をするというふうなことも行われているわけですが、いまとなってはそうしたことじゃなくて、一歩踏み込んでこの医療法改正というものに踏み切らなければどうにもならぬ時点が来ているんではないかということを、冒頭に大臣は努力しますということをおっしゃった、その時点ではそれで結構だと思いますが、いま都病院はこれは氷山の一角だと思うんですよ。それで具体的にいかに医療法がこうした医療法人の行為に対して無力であるかということを厚生大臣もよく理解できたと思うので、この医療法改正に踏み切っていく、そして医療費の適正化あるいは医療機関運営の改善、こうしたものについての積極的なひとつ御意見をここでいま一度伺っておきたいと思います。

○国務大臣(林義郎君) 本岡議員のお話、聞いておりまして私も御趣旨は非常によくわかるところであります。いろいろな問題がありますし、なかなかかゆいところに手が届かないというような感じもあるわけでございますし、医療法人につきましての監督規定が整備されてないということも率直に私は認めるべきことだろうと思いますし、そういったものを含めまして先ほど申しましたように医療法の改正につきまして検討をいま進めておるところでございます。あの……。
○本岡昭次君 いや、あのと言ってお座りになりましたが、その後をもう少し具体的に聞きたいと思います。
○国務大臣(林義郎君) それではその後を続けさしてもらいますが、いろんな調整をいたさなければなりませんので、できるだけ検討を急いで今国会に改正法案を提出いたしたい、こういうふうに
考えております。

●98衆 - 予算委員会 - 11号 昭和58年02月21日  厚生大臣:林義郎 http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=5&DOC_ID=6317&DPAGE=2&DTOTAL=47&DPOS=40&SORT_DIR=0&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345

○川俣委員 […]
 そこで、次の質問に入るのですが、厚生省の問題で、医療問題に入らしてもらいたいと思います。
 これは、私も社会労働委員会で長年やってきましたが、いよいよ日本の医療法、この大改正が、何年かぶりで改正するという意思表示が国会になされております。そこで、いままでなぜ改正案を出す出すと言って出せなかったんだろうか、こういった問題とか、何が障害であったんだろうか。そして、この予算委員会の場でも、十全会病院、都病院、そして去年、おととしあたりは富士見病院――女性の蔵器を全部摘出してもうけておったという富士見病院、いわゆる悪徳医療、医師ということで大騒ぎになったわけですが、そういうものも踏まえて医療法というのを改正するつもりだろうと思うのですが、その辺をまず最初に聞かしていただきたいと思います。
○林国務大臣 川俣議員にお答えいたします。
 医療法は、御承知のとおり昭和二十三年に制定されまして、その後十八回にわたって改正が行われておりますが、この中で、昭和二十五年に医療法人制度の導入をいたしましたし、昭和三十七年に議員立法で公的病床規制の導入をしたのが大きな改正でございまして、今国会に改正案を出すとなると、それから約二十年ぶりの改正をいたしたい、こういうふうに考えておるところでございます。
 御指摘のように、園田厚生大臣が五十五年の十一月に検討する旨を発言いたしましてから、鋭意関係方面と意見の調整に努力をしてきたところでございますが、医療関係団体との調整など残された問題があったことから、残念なことに、昨年までの国会に改正法案を提出するに至っておらないのが実情でございます。
 御指摘の富士見病院、十全会病院、都病院等悪徳医の事件がたびたび国会でも御議論いただいておりますけれども、そういったものを十分に踏まえてこの改正案を出さなければならない、こういうふうに考えておるところでございます。
○川俣委員 「”薬づけ” ますます」という見出しもいまだに新聞から消えていない。「半分は薬と一部検査料」、いまやもうすでに国民総医療費が年間十三兆円から十四兆円近くなっております。そこで、こういった問題を、この医療費を医療法の改正でかなり大胆に積極的にやるつもりがあるかということと、それから、それにひっかけまして、この二月一日から問題の老人医療法というのが施行されまして、各自治体ではいろいろなそれぞれの混乱ぶりを見せております。自治体でいままで無料にしておったのを、国の法律ができたからというので有料にするのもいかがかという自治体の問題もありまして、いろいろとあるんだが、いずれにしても二月一日から実施しておる。
 そこで、薬漬け等々で医療費が十三兆円以上になってきたという問題は、この場でも論議になりましたが、診療報酬の立て方にも問題があるのじゃないだろうか。総理大臣、日本の国はいま単純出来高払い制といいまして、とにかく治ろうが治るまいがと言っては失礼だが、どなたに注射しても、これさえ打てば何点、この薬をやれば何点という単純出来高払い制で、諸外国とはかなり――大体世界に五つぐらいあるのですが、そこでこの診療報酬体系というのをもう少し検討してみたらどうか、各国を研究してみたらどうか、諸外国に研究員を派遣して検討しろ、こういうことを言った記憶があるのですが、それをなさったのかどうかということが一つ。
 それと、今回の老人医療法の内容を見ますと、なるほど老人には痛いからというので注射する、それで点数を稼ぐということを野放しにする単純出来高払い制というのはなじまないということで、ようやく改正されて、老人医療法にはその単純出来高払い制というのは修正の形で入っております。ところで、国民医療が十三兆、十四兆とウナギ登りになることを考えますと、老人だけではなくて、すべてにある程度これを加味する段階に来たのではないかと思うので、その二点だけを林さん、ぜひ聞かしてもらいたい。
○林国務大臣 先ほど御質問ありました中で、医療法の今国会提出をお話し申し上げましたが、私はいま御指摘のように、国民医療費が相当の額に上っている、これをやはり適正なところへ持っていかなければならないというのが一つの大きな使命だろうと思います。ただ、医療法の改正で、先ほどお話しを申し上げました非常に悪徳の医師に対する処分、その他医療法人に対する処分を厳格にするということだけでは、私はなかなかこの問題の解決にならないと思うわけでありまして、広く国民医療費の適正化対策というものを各方面にわたりましてやっていかなければならないと思いますし、厚生省の中におきましても、そういった対策本部を設けまして鋭意努力しているところでございます。
 いま御指摘のありました諸外国の例はどうなっているか、研究に行ったかというお話でございますが、実は先生から五十六年二月二十八日、当予算委員会の分科会で御指摘がございまして、五十六年の九月西ドイツ、フランス、五十七年の一月に西ドイツ、フランス、イギリス、五十七年一月にフランス、イタリア、オランダ、五十七年十月にカナダ、アメリカ等に担当官を派遣いたしまして、また五十六年度には厚生科学研究費補助として主要国における診療報酬に関する研究を病院管理研究者に委託をいたしましてやっておるところでございます。この報告は、五十七年の四月二十一日に、衆議院の社会労働委員会に高齢者に関する基本問題小委員会というのがございますが、それに対しまして「諸外国の診療報酬支払方式」ということで御提出を申し上げておるところでございます。
 出来高払いの問題でございますが、診療報酬体系を一昨年五十六年六月の改正で、技術料重視の診療報酬体系の確立を目指して大幅な見直しを行ったところでございますし、同時に、老人診療報酬につきましては、老人の心身の特殊性を踏まえた新たな診療報酬を設定をしてやるということにしたわけでございます。
 一般診療の見直しをしろという御指摘でございますが、これは省内に設置しました国民医療費適正化対策本部の診療報酬部会におきまして検討中でございますし、中医協でも審議が進められる予定になっております。こうした審議状況を踏まえまして対応をいたしたい、こういうふうに考えております。」

●98衆 - 社会労働委員会 - 10号 昭和58年05月19日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=5&DOC_ID=6477&DPAGE=3&DTOTAL=47&DPOS=41&SORT_DIR=0&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345
 厚生大臣 林義郎
 委員 大原亨(日本社会党)
○大原(亨)委員 当然に日本の医療制度は、医師や医療機関の偏在している点、あるいは過剰医時代の処理の問題とか、医療供給体制全体の高齢化社会に対応するそういう計画の必要性からいっても、われわれは老人保健法をやるときに、そういう体制の整備なしに、一部負担の問題とかあるいは病院の区分けの問題とか特例外病院とか、いろいろな問題を通じまして診療報酬の議論をするときに、そういう受け皿というか地域医療計画がなければいけないじゃないかという議論をして、当然出すべきであるということを主張したわけですね。そういう趣旨は私どもは変わらないわけですが、それに対応する法律であるかどうかという点はかなり問題があります。
 たとえば医療審議会の構成にいたしましても専門家だけに限定したりしておりますが、これは自民党が医師会と話をしてやったのかな。あるいはそういうことなどというのは、審議会の性質から言いまして、地域医療計画というものとしますとこれは補強しなければならぬということであります。ですから、そういう問題があるわけですけれども、医療法を制定をするということは必要なわけですが、これをなぜ急いで出すということになったのか。国会でも要請したから急いで出すという条件で、たとえば富士見病院とか十全会病院のような例がありますね。医療法人がでたらめなことをやったという例があるから、それが一つは動機になっているのですか。
○林国務大臣 医療法の改正を国会でいろいろ御議論されましたのは、まさに大原先生御指摘のように、老人保健法の制定に伴いまして、可決していただくときに、ぜひその地域医療体制をやらなければならないということがございました。また、いまも御指摘の富士見病院その他の不正病院に対しまして、医療法に基づくところの監督規定等が不十分ではないかという御指摘もございました等々を踏まえまして、国会に医療法の改正というものを申し上げておるところでございます。
 医療法というのは私は医療の基本法だろうと思います。基本法の提出をするということは、政府としてもよほど腹をくくってお願いをしているわけでございまして、この基本法をどうするかというのは、ぜひ国会でも十分な御議論を賜り、いい医療体制ができるように私たちは念願をしているところでございますし、そういった意味で、できるだけ早く御可決あらんことを心から期待をしているところでございます。
○大原(亨)委員 新聞にもどこにもみんなそう書いてあるわけです、そういう動機からだということを。私は去年だったか予算委員会でやったことがあるのですが、一番悪徳の富士見病院と当時の齋藤厚生大臣の関係、どういうことをしてきたということは知っているでしょう。それが行政管理庁長官でしょう。それで医療改革ですか。私は、政府はやる気がないのじゃないかと思っておるのだ。いかがですか。あなた、国務大臣としてそういうところを粛正していきなさいよ。
○林国務大臣 人の話になりますと、私も個人的な話を申し上げるつもりはございませんが、やはりそういったことが、富士見病院というような医療法人として好ましくないようなことをやっていることに対して、政府の監督権がなかなかうまく及ばないというような法律ではやはり困るだろう、こういうことで法律案をお願いをしているところでございます。
○大原(亨)委員 そういう法律をちょっとつくりましても、大体根本が間違っておるわけだから。そうでしょう。私も指摘したのだけれども、あの人は一回も総選挙の洗礼を受けておりませんよ。ちょっとやめたというだけであって、今度また出てきている。副総理であるの。行政管理庁長官であるの。もってのほかじゃないですか。厚生省に対して大きな影響があるのでしょう。あなたは一々行って聞くわけでしょう。そんなことありませんか。大体きちっと整理をしておいてやらなければ、幾ら監督規定を入れたってできぬじゃないですか。
 確かに奥さんが病院長をしているでしょう。医療法人の理事長でしょう。ああいうふうなことをやるために医者を理事長にするという、言うなればそれが医療法の政府案の背景でしょう。奥さんが病院長ですよ。その主人から、理事長から五百万、五百万、五百万というふうな政治献金をもらっている。大臣室でもらっている。そんなことを見ておいて、医療法を改正して何をしようと考えるのだと、国民は、関係者は思いますよ。みんな言っているのじゃないですか。私は、そういう点を国務大臣として正して、本当にりっぱな医療法をつくるということで出してくれなければいかぬ、こう思いますよ。いかがですか。私の言うとおりでしょう。
○林国務大臣 いろいろと問題があったことは私も承知しておりますが、いろいろな不正がないような形で法律というものは考えていかなければならないというのが、私は法律のたてまえであろうと思います。だから、齋藤先生はそのことでどうだとかいうことじゃなくて、いろんなことを考えられまして、そのときに厚生大臣をやめられたのだろうと思います。依然として残っているからどうなんだというような話ということと、その責任の話と医療法の話というのを一緒にしますと、立法というものは一体何であるか、こういうふうな話にも相なってくるだろうと思いますし、私は、立法は立法としてやらなければいかぬし、もしも法律が制定されるならば、それを厳正に執行していくというのは私は行政府の責任であろう、こういうふうに思っておりますし、私は行政府の長として、もしも法律が可決されましたならば厳正に執行していく決心でございます。
○大原(亨)委員 これ以上は議論しませんが、私の方が正しいことはわかっておるから。
 そういう富士見病院とかが出るでしょう。みんな出る。富士見病院とか十全会病院で、不動産を買ったり、むちゃくちゃをやる。お年寄りを入れてきて点滴漬けにして、オートメーションでふろに入れて、全く非人間的な扱いをしているという経営形態について、十分監督ができるようにするというのはいいわけですよ。そういうことをあえて言いながらやるという政府の局、課の諸君のその行動はよろしいわけです。しかしながら、よろしいけれども、実際にそういうことをやろうとしても、こういう私が言ったようなことを議論しておかないと、本当に正しく前に進まないと私は思っている。そういうことは個人齋藤君と私の関係じゃない。彼は個人的に親しい人です。親しい人ですが、しかし、やはり行政として考え、立法として考えた場合には、そういうことの議論抜きでやられたのでは、こういう法律の議論は正しくできない。
 そこで、医療計画と公法人に対する監督という問題であると思います。この問題については、私は、医療計画の策定というのは、いまのアナーキーの無政府的なあの医療の供給体制を順次誘導しながら、医療圏の設定もその一つでありますが、誘導しながら、この医療供給体制の受けざらをつくりながら、花岡医師会長も自浄作用ということを言っておるのですから、老人医療その他を逆用いたしまして悪徳医師のはびこらないような、そういうきちっとしたけじめをつける、そういうものでなければいけない。これは医者であったら直るという問題じゃない。医者が理事長であったならばいいという問題ではない。あのときだれかそういうことを言いましたけれども。あれは医者でなかったからああいう悪いことをしたのだと。そうじゃない。奥さんが理事長になったって、主人がそのほかの常務理事か何かやっておりましても、同じような問題が起きるわけです。ですから、そういう問題で本当の意味で医療を改革するというか、医療の姿勢を正す、高齢化社会に対応するということでこの問題が真剣に論議をされるように期待をいたしまして、私の時間が参りましたので、終わりたいと思います。

●100 - 衆 - 行政改革に関する特別委… - 2号
昭和58年09月26日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=5&DOC_ID=6776&DPAGE=3&DTOTAL=47&DPOS=42&SORT_DIR=0&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345

○森井委員 医療法はどうしたのですか。政府は、国会に提出されるまでもずいぶん時間がかかりましたね。富士見産婦人科にしろ、十全会にしろ、これは枚挙にいとまがないくらい医療の荒廃というのは指摘をされて、なかんずく医療法人はもっと指導監査の充実もしなければならぬ。それから医療機関の偏在等がありますから、したがって地域医療計画も立てなければならぬ。そういうふうなことで医療法を準備なさいまして、すぐ提出なさらないで、しばらくたってようやく、最初のときです、最初医療審議会におかけになってから二年もたって、たしかようやく国会に提出された。
 私どもは、これはないよりはやはり早く成立させた方がいいと思っておるわけです。したがって、この国会ではまだ審議が始まっていないのですけれども、厚生大臣としては、いま申し上げましたように、いみじくも言われました医療の荒廃等を防ぐ一つの手段にもなるわけですから、医療法について恐らくあなたとしては一刻も早く成立をさせてほしいというお気持ちだろうと思うのですけれども、この点について所信を承っておきたいと思うのです。

◆1983/10/20 最高裁判決(中村治朗裁判長),二審判決に対する十全会側の上告を棄却

◆吉田おさみ 19831201  『「精神障害者」の解放と連帯』 ,新泉社,246p. 1500 ISBN-10: 4787783157 ISBN-13: 978-4787783158 [amazon][kinokuniya] ※ m.

◆19831222 「最高裁,十全会側の上告を棄却」(一頁時評),『精神医療』3-12-4(49):70 特集:地域活動の質を問う,精神医療委員会,108p. ISSN: 03030105 ※ 著者名:(T)

 「1983年10月20日,最高裁は京都十全会の暴力・殺人医療を告発した「告発する会」の主張を認めて二審判決を支持し,これを不服とした十全会側の上告を棄却する旨の判決を言い渡した。
 通常十全会といっているのは,赤木孝により経営される京都市内の三病院,すなわち東山高原サナトリウム,双岡病院およびピネル病院の総称である。問題の発端であった1970年頃で精神病床約2000, 1982年の届出では精神病床2481,その他(老人内科,結核等)を併せると総病床3164を数え,京都府下の精神病床のほぼ3分の1を占める。もっとも,現在の「精神病床」の多くは,内科,痴呆老人,ねたきり老人用にあてられているのだが,看護基準の低い精神病床として届出されているのである。経営は20を超える名目的筒抜け会社を周辺につくり,薬品の納人から諸雑品,リネンのサプライにいたるまで,医療関連産業は二重三重にこれらの会社を帳簿上媒介させて,税金対策としていた。「告発」以後でもこの患者無視,「医療」不在の営利主義が一向に改まらず,退院患者を「準職員」として低賃金で看護婦代りに働かせ,再発はまだしも,新病棟ができて空床ができると,とたんに医療保険本人の患者に早がわりさせたり,老人患者に集団水浴療法(リハビリ)と称してナチスばりに水浴者を3分間毎に笛を吹いて交替させて点数をあげる等,目にあまる状況が続き,政府側に本年の老人医療法改悪を正当化するひとつの口実を与えていたようである。1974年9月1日の朝日新聞は,十全会医療の実状を「9カ月で死亡859人,スシ詰めのべッド,養護施設肩代わり」と報道している。
 ところで,十全会の医療を批判する動きは,入院結核患者たちの「患者同盟」や,ピネル病院を退職した医師,看護婦たちなどから,1968, 69年頃から表面化していた。ここで問題となっている裁判闘争を直接担った「告発する会」は,護憲連合京都事務局長,京都社会福祉問題研究会ならびに京都府精神障害者家族会「あけぼの会」の事務会々長で京大精神科の高木隆郎,元ピネル病院看護婦〇さん,患者同盟Kさん,身体障害者連盟Sさんの5名であり,これに京都弁護士会の坪野米男,崎間昌一郎らの弁護士が一つの運動として全面的に協力した。
 直接の告発の対象となったのは三つの事例である。第一は28歳の女性で「反応性うつ病」。意識もしっかりしているのに入院後いきなり両手をべツトに固定され,下着もぬがされ,おむつをあてられ,食事もできるのにリンゲルの大量皮下を毎日,そのまま3週間しばりつけられていた(主治医に対し監禁致傷罪)。第二は26歳の男子で「分裂症」。両手両足をべットに紐固定,三日間放置し,右上肢麻痩等の後遺症を招く(主治医に対し監禁,傷害罪)。第三は33歳の男子で肺結核およぴ「導博稀質」。4日間にわたり大量の薬物(イソミタール,トリぺリドール,セレネース)を注射射,加えて電気ショックを行い,発熱そして吐物により窒息死した(主治医に対し,傷害致死罪)。
 告発は1970年12月,京都地検になされたが, 72年12月,地検が容疑不充分で不起訴としたごことから,十全会側は1973年4月,「虚偽事実を告発,同時に新聞記者に公表した」のは不特定多数にあたかも真実であるかのように伝ったとして名誉穀損(誣告罪)のかどで告発する会に3, OOO万円)損害賠傷を求めて提訴した。
 1977年7月,一審京都地裁(菊池博裁判長)は,第三例以外は医療の裁量の範囲として,十全会側の勝訴,告発する会に80万円の支払いを命じた。告発する会は直ちに控訴, 1980年9月,二審大阪高裁(下出義明裁判長)は,十全会側の医療は「必要性を超えた違法のもの」と認定,「告発には真実性の証明があり,公共の利益を図る目的であり過失はなかった」として一審判決を取り消し。告発する会の逆転勝訴とした。
 今回の最高裁判決(中村治朗裁判長)は,この二審判決に対し十全会側が上告していたのであるが,それを棄却して告発する会の勝訴を確定的なものとしたのである。要するに悪質な医療についての告発と,これに関連した新聞報道(マスコミへの告知)は,告発者が捜査機関をもたないことからくるやむをえぬ程度の事実との不一致はあったとしても,大綱において真実であれば,公共の利益という趣旨から誣告には当らないという判断である。 (T)」(全文)

●101衆 - 法務委員会 - 8号 昭和59年04月11日

○三浦(隆)委員 次に、第二十六条の医療監視員の規定がございます。医療監視制度によって精神病院における不祥事を未然に防止し得なかったのはなぜなのだろうか。あるいはどのようにすればよりよくこの制度が機能するのでしょうか。その点についてお尋ねしたいと思います。

○柳沢説明員 結果的に先生御指摘のようなことになったわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、厚生省といたしましては医療監視員の質的向上あるいは医療監視の年一回の励行あるいは医療監視の際のきめの細かい監視指導等を通じてさような事件が起こらないように努力いたしたいと存じます。

○三浦(隆)委員 これまでの答弁で、病院全体の数が仮に約九千だといいますけれども、精神病院に限って言えば千にも満たない数でありまして、それを都道府県全般で割ってみれば全国的には一つの県で有している精神病院なんというものは大した数ではないわけです。そういうことからは、現在の法規でも、あるいは改正の法案が通っていけばなおのこと、県内にはほんのわずかしか精神病院はございませんから、回ってみようと思えば、一回でも二回でも三回でも回ることはさほど困難なことではなかろうと思います。と同時に、年一回でも、正確に本当によく見ていれば、かなり見抜けたはずのものが見抜け得ないできたというのは、今度は回数だけの問題ではないのでありまして、本当によく立入検査などが行い得たのかどうか、正しい報告を聞き得てきたものか、それが大変に疑わしいんだというふうに思っております。
 時間の都合もありますし、深くは触れませんが、例えば国会の議事録の昭和四十五年四月の記録なんかでも、大阪の粟岡病院、こうしたことはこうした今の法規によってわかったわけではなくて、患者が、自分は人権侵害を受けているということを書いたメモを窓から飛ばしたようなことでわかった。あるいは似たように、安田病院では退院患者から、碧水荘では新聞記者から、相模湖病院では退院患者から、小林病院では患者の家族から、あるいは青梅の精神病院ではというふうな幾つかの記録があります。あるいは同じ年の七月の記録を読みますと、佐野市の病院の例が載っております。あるいは四十八年六月では、烏山病院、吉田病院、アヤメ病院、あるいは佐藤病院、あるいは富士山麓病院等の記録が載っております。あるいは五十五年二月、五十六年二月等では十分会病院等の記録があり、こうしたような一連の精神病院に通じた不祥事件は、すべてこの法規による立入検査等でわかったわけでは何にもないんだということなんです。ですから、これまでと同じような発想でやれば、これからだって全然役には立たないんだというふうなことでございますので、今までと同じ答弁だけで済ますのではなくて、確実に実効性のあるような、言うなら法規を法規どおり的確に行使していただきたいとお願いするのですが、その気持ちだけでも答弁していただけますか。

○柳沢説明員 先生御指摘の御趣旨が十分生かせるような、そういう医療監視を行ってまいりたいと思っております。

○三浦(隆)委員 ぜひそのようであってほしいと思います。そうでないと国会の質疑というのは何の意味もないし、国会の権威なんというのも全く意味のないものになってしまうと思います。そうではなくて、国会の質疑を通じながら少しでもよりよい法制度になるように、あるいは少しでもよりよく法制度が運営されていくように、そういうことが人権擁護にもつながっていくことだと思っております。
 次には、精神衛生法に関連してお尋ねをしたいと思います。
 第一点は、第二十九条の措置入院あるいは第三十三条の保護義務者の同意による入院等についてでございます。宇都宮病院における入院患者の集め方には幾つかの行き過ぎがあったようでございます。例えばある週刊誌によれば、元職員の談話として、「一時は院長の命令一下、浮浪者狩りというのをやりました。市内の浮浪者を片端から車に連れこんで、病院に入れてしまうのです。」また別の週刊誌によりますと、県内の精神科医の談話として、「東京オリンピックのころには、患者集めに山谷のドヤ街に行って、飲みつぶれているのをかき集めてトラックに乗せて連れてきたという話です。」こんなようなことも載っているわけでございます。そうしたこともありまして、現在、同病院入院患者全員に対して入院の要否を鑑定する実地審査が行われております。
 さて質問は、初めに措置入院に関連してでありますが、管理者との共謀によるような鑑定医の故意及び過失、いわゆる誤診によるような不法入院の疑いを除去するためにも、鑑定医所属の病院と入院先の病院とを明確に分離したらどうかという意見がありますが、これについてどうお考えになりますか。
 続けまして、時間の都合がありますので、先へ進みます。
 その次には、またけさの新聞によりますと、きのうから宇都宮病院の精神病院入院患者約七百名に対して――実は三月十四日現在では九百四十四人おりました。問題が発生しました時点では、三月十四日九百四十四名、三月二十四日には八百八十九名、そして実地審査を行いましたときには約七百人でございました。さて、この七百人全員の入院の要否を鑑定するため実地審査が行われているわけですが、審査を行った初日二十一人を診療した結果、うち十四人は措置入院は不要であると鑑定されたと言われております。二十一人のうち十四人が措置入院不要だというのは大変な数だと思います。にもかかわらず、これらの人々は現在まで措置入院患者とされていたわけです。しかも、これらの人々はみずからの意思ではなかなか同意入院への切りかえも退院もなし得ない状況にあったわけです。
 そこで、現行法上は特に入院期間の定めもございませんが、これを法定し、例えば三月とか半年とか一応法定し、治療上必要に応じてこれを更新するようにしたらどうかという意見もありますが、これについての御見解はどうでしょうか。

●101衆 - 社会労働委員会 - 9号
昭和59年04月19日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=6&DOC_ID=7301&DPAGE=3&DTOTAL=47&DPOS=43&SORT_DIR=0&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345

○橋本[文彦]委員 同意入院の場合には一般的には通常の患者と同列に扱う、そう伺ってよろしいですか。
 ところで、全国的に見ますと病院の数もふえておりますし、またそれに対するお医者さんの数もふえているわけですけれども、事精神病院に関しますと、その比率がどんどん低落化している。こういう現実が統計ではわかるわけなんですが、それでも、いわゆる精神病院だけの単科病院、これが五十七年度に九百九十七病院ある。恐らくもう子は超えているだろうと思うわけですが、これだけの病院がある。しかも医師数も、精神病院の医師は約八千人台、一病院当たり八人は優におられるという計算になるわけですけれども、看護士・婦の方も四万一千人、これから見ますと、四十一人ぐらいは一つの病院に看護士・婦さんがおる。そういう基準からしましてもこの宇都宮病院は明らかに少な過ぎる、一目瞭然なわけでございます。そういうデータがあるわけですので、もっともっと強力に当該の病院には指導していただきたい、こう思っております。
 そういうわけで、この宇都宮病院を契機にいたしましてかかる実態が出たわけですけれども、他の精神病院あるいは精神病院以外の病院にも、こういう医師の不在、看護士・婦が少ないというようなことは、現在統計的に把握されておりますか。

○吉崎政府委員 ただいますぐ手元にありますのが、先ほど御紹介のありました精神病院の大きなもの、五つの病院についてでございますけれども、調査時点は若干違いますが、それについて申し上げます。
 ベッド数千六百、これは単科ではございませんで、一部若干一般病床も含んでおりますが、十全会京都双岡病院につきましては、例えば医師につきましては標準数三十二について現員三十六でございまして、四人超えております。ただ、この場合、ここは看護職員数につきましては標準数二百五十に対しまして現員が二百三十六でございまして、十四人標準より少のうございます。浅香山病院につきましては、医師四十五に対して三十三、これは十二人標準より少のうございます。看護職員につきましては標準二百二十八に対しまして三百三。都立松沢病院は、医師二十五に対しまして四十三、かなり多くなっております。また、看護職員につきましては百七十三に対して四百、これもかなり多くなっております。恒昭会藍野病院につきましては、医師は二十五に対して四十、看護職員百六十に対して百七十二でございまして、各病院について若干差はございますけれども、これは患者の態様その他によるのかと思いますが、御指摘にもございましたが、宇都宮病院のような例は例外と考えております。

●101 参議院 決算委員会 9号 昭和59年06月25日

○本岡昭次君 医療法に問題がある、この問題についてはまだ社会労働委員会のところで、そのほかにもいろいろ現在の医療法あるいは精神衛生法に問題があるのでそれはそれで追及をし、また厚生省の善処を求めてまいりたいと思います。
 そこで、今私が田中病院の問題について言いましたけれども、田中病院にあった田中食品あるいは田中薬品という二つの会社は、新聞によって田中病院の事件が表面化するや、五月三十日に間髪を入れず社員総会を開いて解散をしてしまった。上毛病院も幸栄不動産あるいは上毛センターの二つの会社もありますが、これも調べていただいたらわかると思うんですが、いずれもこれは幽霊、トンネルの会社、こういうことも私たちは情報としてつかんでおります。こういうものが医療法人を経営する一族にとって、先ほど厚生省からもありましたけれども、医療法そのものを骨抜きにする脱法の道具として使われている、ここのところから逃げてしまえば問題の本質の解決はできないと思うんですね。京都十分会グループの六十億を超える土地取引、二百七十億円に達する株買い占めにも同様の手口が使われて、そして大きな事件になったのはごく最近のことなんですね。その当時の厚生大臣であった故園田直氏は、法の不備を補うために医療法改正案というものをまとめられた。今もそういう案は提案しているんだとおっしゃるけれども、それがいまだに日の目を見ていないわけで、したがって早急にこの医療法の改正というものを成立さすのか、さもなくば、故園田厚生大臣が当時十分会グループのこの問題を解明するために厚生省だけではだめだということになって設置された警察そして大蔵省もかかわって国税、厚生、この三省庁による連絡協議会のようなものをこの際つくるか、それともできないというなら、官房長官がお見えでございますが、内閣が責任を持って解明を図るか、この際明確な宇都宮病院問題に対する解決の態度をここで明らかにしていただきたい、このように思うんです。

○国務大臣(藤波孝生君) ただいま医務局長から御説明申し上げましたように、医療法人のいろんな運営につきましておるいは経営につきまして、他の法人といろいろな関係があるという場合に、なかなか医療法人でない法人格を持っておる他の企業を立入調査することができない、こういったことができるようにするということは一つあるだろうと思います。それから医療法人そのものにつきましては、やっぱり今度の事件などを考えてみまして医師なり職員なりの倫理観の問題とか、あるいは病院の体制の問題とかいろいろ医療法人そのもので指摘していかなければならぬ問題もあるだろうと思います。いろんな角度からこういった事件、事案が二度と起こらないように対処していくということは非常に大切なことでございまして、厚生省を中心にいたしましてこの事態を深刻に受けとめて、今対応を急ごうとしておるところでございます。
 ただ、先生御指摘のように、それじゃ関連の企業といろいろトンネル会社などをつくって資金が動いている、あるいは利益金が他の企業へ動いているといったような事態をどうするのかということにつきまして、ここですぐにそのような形で対応するということはなかなか今申し上げましたように、他の法人への調査など非常に難しい面がございますけれども、先生の御指摘を踏まえさしていただきまして、関係企業それぞれ今お話がありましたように、教育の施設であるとか、あるいは通産省所管の企業であるとかいろんな関連産業、一般的に言われておりますので、それらの官庁が十分連携を取り合いましてこの問題を、医療法人報徳会の運営を中心にいたしましてその周囲のことにつきましてもいろいろ調査をしてまいらなければなるまい、そんなふうに考えておりますが、対応につきまして少し時間をいただいて相談をさせていただきたい、このように考えております。

○本岡昭次君 官房長官の前向きな答弁をいただいて、それで了解せねばならぬと思うんですが、いま少しはっきりさせておいていただきたいんです。
 検討するということの中身の問題として、十分会病院の事件が発生をしてその全貌を解明するために、当時厚生省、それから大蔵省の中の国税、それから警察、そうしたところが中心になって、そして今おっしゃったように関係するところとの協議をしながらその問題の解明に当たってきたというこの前例を踏まえて、こうした各関係省庁の連絡協議会というようなものをつくることをこれから考えて、そしてそれによって解決をしていく、もうこのような答弁をいただければ非常にありがたいと思うんですが、いかがですか。

○国務大臣(藤波孝生君) 先ほどお答えをいたしましたように、捜査当局によりまして事態の解明が急がれておるところでございますし、事実関係についてはっきりしていくというのが一つあるだろうと思います。
 それから当然厚生省といたしまして、医療法人のいわゆる中身がどうなっているのか、報徳会の中身がどうなっているのかということにつきましていろいろ調査をしていっておられることであろうと、こう思いまして、それらの事実関係の解明が進んでまいります中で、いわゆる関連産業との関係につきましてもまた浮き彫りにされてくる面があろうかと思います。そういった時間的な、どの時期にそういうふうに対処するかというようなことも含めまして、少し時間をいただきまして検討をさせていただきたい、このように申しておるところでございまして、やはり事実関係がずっと解明されていくことが中心であろうと思いますので、政府といたしましてもこの事案に対しまして厳しい態度で臨む、対応していくということをお答えを申し上げておきたいと存じます。

○本岡昭次君 ひとつ厳しい態度で政府として対応していただきたいということを強く要望しておきます。
 宇都宮病院事件は、ある意味では戦後における医療機関での不正あるいは人権侵犯事件としては、これは最大級のものであると思います。この解明なくして世界第二位の経済先進国日本は、人権の面では全くの後進国のそしりを免れないと私は思います。
 現に五月十五日付のイスラエルの新聞ハァ・アレツ紙は「日本の経済的脅威の裏庭」というふうに題しまして、記事の中で「日本の精神病院の患者の処遇は、ユダヤ人の強制収容所をほうふつさせる」というふうに述べております。あの戦時国家のイスラエルの人々の目にも宇都宮病院事件はこのように映っているわけなんです。人権の問題からも政府の責任ある対応が求められると思いますし、また、三月十五日以降いろんな事実が明らかになっておりますが、中曽根総理大臣も予算委員会の中でこの問題についての答弁をされております。若干紹介しますと、「たとえ身体的あるいは精神的な欠陥がある者につきましても、やはり人格としての取り扱いを入念に行わなければならない。そういう点についてもし取り扱い上不備な点や考えの上において間違っている点があれば当局として厳重にそれらを取り締まらせ、また是正する措置をやらなければならないと思っております。」、このように予算委員会で総理が宇都宮事件問題で答弁をしております。精神障害者の人権確立のためにも本件の解明については政府として強い決意で臨んでいただかなければならぬと思うんですが、この点について官房長官に再度お伺いをしておきたいと思います。

○国務大臣(藤波孝生君) 予算委員会におきまして総理がお答えをいたしておりますように、強い決意でこの問題に対処しなければいかぬ、こんなふうに考えるわけでございます。
 精神病患者の問題は、医療の問題とかあるいは保護の問題とか、あるいは社会に復帰をして再生をしていくといったようなときにどういうふうに指導をしていくかとか、いろんななかなか難しい問題があるだろうと思うんです。私も詳しく専門的に知っておるわけではありませんけれども、今ここに座って先生の御指摘を聞いているだけでも、なかなか難しい問題があるだろうなということは想像いたしておるところでございます。しかし、それらの一人一人の患者の人権が正しく守られ、そして治療、医療が加えられていくようにしなければならぬということは非常に重要な問題でございまして、患者の人権を中心にいたしまして対処しなければなるまい、このように考えておる次第でございます。先生の御指摘を承らせていただきまして、政府といたしましても強い決意でこの問題に対処してまいりたい、このように考える次第でございます。

○本岡昭次君 そこで官房長官にお願いがあります。
 厚生省は、今官房長官が人権の問題は重大だとおっしゃいましたが、そのことにかかわって、入院患者の人権を守るガイドラインをつくるというふうなことが聞こえてまいります。そのことに関連して申し上げるんですが、国連は一九六八年から十六年越しに詰めてきた精神病者または精神障害者保護のための原則、ガイドライン、保障草案というものをつくり、そしてダエス最終報告書ということで現在国連の段階でまとまっているということなんです。この問題は私は、一部の専門家や医師だけの視野や、あるいはまた厚生省という行政の立場だけでできるものでない、こういうふうに考えております。そこで、国連という世界の場でこの精神病患者の人権をどのように守っていったらいいか、保護をしていけばいいかという草案が今できて、それが国際的に論議をされているという状況にあります。そこで、政府は早急にこの最終報告を入手して、もう外務省の方は入手していると思うんですが、これを政府刊行物として発行をして、広く国民に精神障害者の人権を守るということは一体どういうことなのかという事柄について、ひとつ国民的な論議をする材料を提供していただいて、そして先ほど言ったように人権後進国と言われるようなそういう汚名を返上していく第一歩としていただきたい、そのダエス報告をひとつ政府の力で翻訳をしてそして政府刊行物として出して、私たちの目にもそれが触れるようにしていただきたいというお願いですが、いかがですか。

○国務大臣(藤波孝生君) 国連でそのような論議が進められておるということを今聞かせていただいたところでございます。外務省、厚生省とよく連絡をとりまして、先生御指摘のようなそういう動きに対応いたしまして国内におきましても国民の理解を深めていくように努力をしなきゃいかぬ、そのように今考えておるところでございます。早速に勉強させていただきまして、いろいろ対策につきまして関係省庁と相談をいたしまして、しかるべき結果が出ましたならば国民に向かっていろいろな形でこれを理解を深めるための努力をするというふうに持ってまいりたいと存じます。

○本岡昭次君 時間がありませんので、今の御答弁でまた次の機会にお願いをしていきたいと思います。官房長官どうもありがとうございました、時間が参りましたので。
 次に、宇都宮病院の措置入院患者の実地審査についてお伺いしますが、この措置入院患者の実地審査の結果はどのようになっておりますか、ひとつ簡単にお答えください。

●101参 - 社会労働委員会 - 17号 昭和59年07月31日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=6&DOC_ID=131&DPAGE=3&DTOTAL=47&DPOS=44&SORT_DIR=0&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345

○本岡昭次君 それで問題の解明の手がかりをつかむことができました。京都の十全会病院のときのように、ひとつ積極的な対応をこれから求めてまいりたいと思います。
 そこで、六月三十日の新聞によりますと、リンチ死、乱脈医療などが明るみに出た報徳会宇都宮病院がペーパーカンパニーの関連合社に約十七億円の本館建築工事を発注、同社は一億円を天引きして地元中堅業者三社に工事をそっくり下請に回していた。このトンネル操作に伴い、同社は五十七年八月決算で約二千万円の所得申告漏れを宇都宮税務署に摘発、追徴されていたと報道がされています。このトンネル会社は報徳建設株式会社で、今問題になっております宇都宮病院の前院長石川氏の弟の石川裕郎県会議員が代表取締役を務めておられます。
 そこで国税庁に伺いますが、この新聞報道は事実ですか。

●101 参議院 決算委員会 閉1号 昭和59年09月18日

○本岡昭次君 どうも外務大臣、もう外務省が答弁しておきながらすべて厚生省、厚生省ですよ。これだけのことを国際的な場でやるんですから、十分中身をかみ砕いて外務省自身も納得したものをやらなければだめじゃないですか。ひとつ外務大臣聞いておいてください。
 宇都宮事件が極めて例外であるのかないのかという問題なんですがね。宇都宮事件以前にも精神医療委員会というところが出している雑誌ですね、全部事件になっているんですよ。警察が取り上げて、虐待の。それが十分会事件、栗岡病院事件、安田病院事件、伊藤病院事件、中村病院事件、秋田病院事件、大和川病院事件というのは特に挙げられているんです。そのほか、警察に調べさして挙げさしたら枚挙にいとまがないほどあるんです。しかもその宇都宮事件が起こって今日まで六カ月、その間にそれではなかったのかというと、これはまたたくさんあります。私が取り上げただけでも田中病院事件、上毛病院事件、七山病院事件、そして成田病院事件、聖十字病院事件というふうに次々と患者の人権を侵害し虐待しているというのが出てきているんです。一体こういう事実を前にして宇都宮病院事件が極めて例外であるということをどうして言えるんですか。これは聞けばだれでも怒りますよ。外務大臣、率直にどうですか。今私が言いました事実で極めて例外というところから始まる反論として正しいですか。

国務大臣(安倍晋太郎君) 私も政治家としましては、今おっしゃるようないろいろな事件といいますか精神病院事件については関心持っておりますが、外務省としましては、これはもう精神病院の実態なんか外務省が知るはずがないわけですね。これはまたそういう立場にないわけですよ。ですからやはり主管官庁である厚生省がこれ、精神病院についての実態等は熟知しておられまして、そのための行政をやっておられるわけですから、外務省は外国に対しまして日本の主張を出す場合はやはり主管官庁である厚生省の意見を聞き、厚生省の判断をこれは日本の政府の判断として外務省が伝えると、こういうことでございますから、これはあくまでも基本的な判断認識というのは、知らない外務省がすべきことではありませんし、やはり厚生省の判断、それを受けて政府として外務省が諸外国に、あるいは国際会議でこれを伝えると、こういうことをやっているのが外務省だと、こういうふうに思います。

○本岡昭次君 しかし、あなた、私が今言ったようなことを、中で極めて例外という表現が日本の精神病院問題についての正しい記述の仕方かどうかということは判断できるでしょう。精神病院問題は外務省は門外漢だ、今私が言ったじゃないですか、だから、あなたに教えてあげた。そのことをもってどう思われますか。それはひとつ答えてく、ださいよ。

○国務大臣(安倍晋太郎君) これはやっぱり私からお答えをする、私自身も政治家としては関心持っておりますが、しかしこれ、その判断は私がもう何も専門家でないわけですから、やはり政府の責任における判断というものは、答弁というのはこれは軽々に私が行う筋合いのものではなくて、やはり主管官庁である厚生省の責任者である厚生大臣がこれは答弁すべき筋合いのものじゃないかと、こういうふうに思います。

○本岡昭次君 日本の政府も困ったことですね。しかし、あなた自身が率直にそれはちょっと例外と思いにくいですねというふうなことすら言えないのですか。閣僚というものは不自由なもんですね。渡部大臣どうです。

○国務大臣(渡部恒三君) 今外務大臣からお答えしたとおり、この問題についての責任は全部厚生省にございます。

○本岡昭次君 どうもはっきりしないですね。厚生省、ちょっと時間がないので一つ先に聞いておきますが、さきの七月三十一日、当院の社会労働委員会で、私が大阪の七山病院の問題の調査をお願いしたんですが、その後どうなっていますか。

●102 - 参 - 社会労働委員会 - 6号 昭和60年02月26日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=6&DOC_ID=1156&DPAGE=3&DTOTAL=47&DPOS=45&SORT_DIR=0&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345

○高杉廸忠君 時間の関係で、締めくくるわけでありますけれども、現在医療法は、医療法人の経理に関する立入検査権がない。そこで私は、昭和五十五年十全会事件を取り上げた際の約束で、医療法改正が約束されましてから五年たつわけですね。本気で医療法人の不正をただす意思が厚生省にあるのかどうか。大臣、医療法改正、これは早急に協議を始めて、医療法人報徳会から石川一族の経営するトンネル会社にどれだけの医療費が流出したか把握していただきたい、これをお願いします。こうしたことを放置しておいて、医療費の適正化だ、こういうことは私は口にすべきでないと思うんです。早急に、厳正に対処していただく、このことを強く要請をし、時間が参りましたから、大臣の決意を伺って私の質問を終わります。

◆増子 忠道 19850525 『地域医療の現場から――寝たきり老人・医療思想・医療費』,勁草書房,265p. ISBN-13:9784326798568 ASIN:B000J6UHZ8 3500 [amazon][kinokuniya] ※ yt1968.

 都市の医療問題
 1 地域医療の視角――医学部闘争から地域医療へ
 2 都市の医療問題
 3 病院で老人医療を考える
  一 地域医療のあり方問う老人医療 〔初出は1982年5月1日「社会保険旬報」〕
  二 老人病院の恐るべき実態
 京都十全会病院の例
 「看護婦の水増し届出、無資格者の採用、でたらめな検査、リハビリ、そしてその結果あげた膨大な黒字を脱税、他社への投資」(75)
 ……
 「本来、公的責任で必要な場所に必要な医療機関とシステムを確立しなければならないのに、精神病にしても救急にしても私的病院が圧倒的に多いため、経済的法則(利益誘導型政策といった方がより正確か)に従って、土地の安いところに人手のかからない病院が乱立することになる。それは当然、医療システムの混乱につながり、医療と福祉の連携が断絶し、地域医療からの離脱となり、しかも医療内容の低下を生じているのである。老人病院も同様の歴史をくり返しつつある。その例がいみじくも京都十全会であり、他の老人病院ブームである。」(増子[1985:76])
 「こうした医療政策(無策という政策?)は、医療従事者の低賃金、重労働、両親をマヒさせるやり方を強い、国民の犠牲を強いてきたばかりでなく結局は医療費のムダをつくり出しているのである」(76)

●102参議院 決算委員会 閉3号 昭和60年09月20日

○本岡昭次君 次に、総務庁長官に伺います。今も長々と精神障害者の人権問題についての論議を聞いていただいたんですが、それを前提にした上でお願いします。
 私どもは、ここ数年にわたり民間精神病院のやり方をいろいろ調べてまいりましたが、実に問題が多いのであります。例えば、既に御存じだと思いますが、京都十分会病院では患者をざぶっと一分間水に漬ける。しかもそれは無資格者が患者を水漬けにして、お一人様五百円。一人水漬けしたら五百円です。そしてそれを一日置きに千人から千二百人もやって、それが水治療であるということで医療費をどんどん請求をしている。そしてたくさんの利益を上げていった。また、昨年問題になった宇都宮病院では、院長が一人で千人の患者を診る。そして横でゴルフのアイアンを持って脅迫しながらテープを回して、元気ですか、はい、
大丈夫か、はいと言いながら一人一、三秒でやって、それがいわゆる精神療法で、お一人様の値段が六百円といって請求をしていく。こうなってきますと、これはまさに詐欺のようなものだと、こう思うんです。ところが、また最近では、病気でない人を病気だというふうにして、正当な適正な手続もせずに入院をさせてしまって、そして長期に不法監禁をするというふうな状態にしていくんですね。そうすると、御存じのとおり一人当たり月十八万程度の入院費というものが支給されるんです。そうすると、病気でない人が病気だとして入れられて、結局医療費としてそこに十八万円がおりていくという仕組みになるんです。あいているベッドがあればあけないで、だれでもいい、いっぱい集めてきて寝かせれば一人当たり十八万円と、こういう仕組みになっているのですね。
 それで、私がことしの七月に調査した千葉県の大多喜病院でもそういう問題があると、こういうふうに見ているのですが、八月二十日の朝日新聞によると、同意入院制度を悪用して、いわゆる適正な手続を抜きにして四人も不法入院をさせている、こうなる。適正な手続を経ないで入院している人に対して医療費がおりていくということは、これは不法だと私は思うんですね。間違っていると思うんですよね。それで四人でありますとたちまち八百六十四万円というふうな形で一年間にその病院に病気でない人に対する金が入る。名古屋の紘仁病院では、私たちが今問題にしている一つとしては、自分で働いて八人の家族の生活の糧を得ていた人を、家族の同意すらとらずに二十年間もこの病院に入院させていたと。いわゆる同意入院という手続において全く不法入院であった人に、二十年間もその病院に生活保護その他お金を支払い続けてきたということなんです。二千万円、三千万円もの金が不当に、税金が医療費として使われたということになると見ているんですが、こういうのはほんの氷山の一角でいろいろなところに、我々の知らないところにあると思います。
 今、行政改革だ、何だと言って医療費が高過ぎるとか、いろいろな面で論議があるんですが、こういうでたらめがこのまままかり通るというふうなことでは、やはり正しい厚生行政とも言えないし、国民の大きな僕は不信がここに集中すると思うんです。そこで、民間精神病院に対して徹底的にひとつ特別監察をやっていただいて、こうした不正な医療費というものをむさぼっているような状況を絶対になくすべきだと、こう考えるんですが、それにはひとつ行政特別監察というふうな形でもって、総務庁の方の積極的なひとつ対応をお願いしたいと思うんですが、いかがでございますか。

○国務大臣(後藤田正晴君) 従来から精神病院の治療のあり方とか、あるいは経営のあり方、いろいろな問題が出ておることは承知をいたしております。これらの厚生省も精神衛生法を初めいろいろな面についての改善を御検討なさっておるように聞いておるんですけれども、ただいま御質問の医療費の請求等についてもまたいろいろな問題があると、これも承知をいたしております。
 ただ、私どもの立場は、民間病院に対して直接行政監察というわけにはまいりません。しかし、こういった精神病院等の指導監督ということは、これは当然厚生行政として適切に行なわなきゃなりませんので、いろいろな問題点があるわけでございますので、必要とあれば厚生行政が適切に行われているのかどうかという観点で、それとの関連で個人病院に対する指導がどのように行われているか、こういう点について監察をやるということについては検討してまいりたいと、かように考えております。

○本岡昭次君 ぜひこれはひとつお願いをいたしたいと思います。
 それでは、厚生省が来ておられますので、具体的な問題を厚生省にお伺いをしていきたいと思います。
 それは名古屋の紘仁病院の件であります。これに関しまして、八月二十五日の新聞に「精神病院に連れ去り20年名古屋の駅頭から理由なく入院、出さず」といった報道になっています。ところが我が党の調査団が、ジュネーブで新聞社の皆さんと話をしてから少し後になったのですが、この間に愛知県なり名古屋市が、私から言わせれば、自分の都合のよいように調査をして、八月二十七日に、不法監禁をしていた事実はなかったと言って調査を打ち切ってしまいました。私どもは実にあきれています。あいた口がふさがらぬという表現をここで申し上げたくなるような実態なんです。一体何を行って見たのかということであります。
 そこで、厚生省に聞きますが、これでいいのかということなんですね、私どもとしては。もう一度厚生省の立場から県と市に調査をやり直させる意思というものは今のところあるのか、ないのか。それをまず伺っておきたいと思います。

●103 衆議院 社会労働委員会 3号 昭和60年11月28日
 森田景一(公明党)
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A3%AE%E7%94%B0%E6%99%AF%E4%B8%80

○森田(景)委員 前回時間切れになりましたので、引き続いて質問したいと思いますが、きょうも持ち時間十分ということでございますので、最初にお聞きしたいことをみんな申し上げますの
で、ひとつ答弁漏れのないようにお願いしたいと思います。
 今回の改正では、「医療法人には、役員として、理事三人以上及び監事一人以上を置かなければならない。」このように第四十六条の二で決められているわけでございます。この理事の資格といいますか要件といいますか、これについてはどのようにお考えになっていらっしゃるのか、これが一つです。
 それから「理事三人以上及び監事一人以上置かなければならない。」こうなっておりますが、このようにした理由について御説明をいただきたいと思います。これが第二点です。
 第三点は、一人法人を認めよ、こういう動きがあるわけでございますが、これに対してはどのようにお考えになっていらっしゃるのか、お答えいただきたいと思います。
 それから第四十六条の三関係では、「理事のうち一人は、理事長とし、定款又は寄附行為の定めるところにより、医師又は歯科医師である理事のうちから選出する。ただし、都道府県知事の認可を受けた場合は、医師又は歯科医師でない理事のうちから選出することができる。」となっているわけでございます。このただし書きの「都道府県知事の認可を受けた場合」というところは、どういう条件があれば都道府県知事の認可を受けられるのか、認可の条件ですね、これについてお答えいただきたいと思います。
 前回の答弁では、現在医師でない理事長の医療法人については、この法律を施行後二年間はそのまま認めるという答弁であったと思います。これは非常に薄情なやり方ではないかと私は思っているわけです。少なくとも福祉を推進しようという厚生省がとる態度ではないんではないか、このように考えているわけでございますが、なぜ理事長は医師でなければならないのか、その辺について明快なお答えをいただきたいと思います。
 私が考えますに、今回の医療法の改正のきっかけになったのが富士見産婦人科病院の乱診乱療事件だったと聞いておりますけれども、ここは確かに理事長はお医者さんではありませんでした。また、十分会グループの株買い占め事件も、この十分会グループについては理事長はお医者さんではありませんでした。お医者さんでない理事長がいろいろと目的外の事業に走る、こういうことは非常に残念なことでございますが、それではお医者さんが理事長なら大丈夫かといいますと、そうとも言い切れない事例があるわけです。これは例えば北九州病院グループの問題、こういうこともあります。
 私が、厚生省は非情ではないか、こう申し上げましたのは、例えば運転免許証というのがあります。あれはたびたび改正になりました。長い期間に改正になってきまして、改正のたびに免許証を持っている人たちはかなり優遇されてきた経過があるわけです。例えば、昔は小型、普通、大型、こういう免許証がありました。それが改正になりまして普通と大型になったときには、小型は普通免許に含まれるようになった。それから、自動二輪車も運転できるようになった。こういう温情のある措置が講ぜられております。また、一種、二種の制度ができましたときに、今まで一種の免許を持っていた人は試験もしないでそのまま二種の免許を持てるようになった。こういうやり方が本当に温情のあるやり方だと思うのです。
 そういう点から考えますと、医師でない理事長は二年間だけはそのまま認めるけれども、その後はわからない、いきなりこういうことでは非常に不親切だ、厚生省は非情な省ではないか、こういうことになりかねないと思っているわけでございます。少なくとも、現在あるお医者さんでない理事長でいらっしゃる医療法人も、これは特別の問題を起こさない限り将来とも認めていっていいんじゃないか、その辺のところの決断をなさってもよろしいんじゃないか、このように考えているわけでございます。
 以上、まとめて質問いたしましたので、答弁の間に時間が切れる可能性がありますから、答弁漏れのないようにお願いしたいと思います。

○竹中政府委員 まず、医療法人の理事の資格でございますが、理事長につきましては医師または歯科医師に限ることを原則とするということでございますけれども、その他の理事につきましてはそのような制限を設けておるわけではございませんで、禁治産者でございますとか、医事に関する法令に違反をして罰金以上の刑に処せられた者、そういった欠格事由に該当しない限り、これは医師、歯科医師でなくても理事になることができるということでございます。
 それから、今回の改正案におきまして理事を三人以上、監事を一人以上必ず置かなければならないということにした理由は何かということでございますが、従来は、理事は一人以上で、そして監事は任意設置ということになっておったわけでございます。今回、医療法人の業務運営の適正を期しますために、監事も必置機関にする、それから、役員の最低定数を理事三人以上とする、そして監事は一人以上にするというふうに定めたわけでございます。
 なお、社会福祉法人におきましても、今申し上げました理事三人以上、監事一人以上ということに定められておるわけでございます。
 それから、いわゆる一人法人の問題でございますが、他の委員からもこの問題につきましてはいろいろ御指摘があったわけでございまして、その際にお答え申し上げたとおり、国会がこうした方向で御決定をされた場合には、政府としてこれに従うことは当然であると考えておるわけでございます。
 その次に、理事長は原則として医師または歯科医師でなければならないというふうにした理由でございます。
 申すまでもなく、医療施設の運営に当たりましては、医師または歯科医師としての自覚、倫理にまつところが大きいわけでございます。医療を供給する側が営利追求の手段とした場合には、その弊害は非常に大きいわけでございます。医療法人は専ら医療を遂行するための非営利的な法人というわけでございまして、従来、その運営、組織の構成について制約がなかったわけでございますが、これまで起こりましたいろいろの案件、事件を考えてみますと、その医療法人において医学的な知識が欠落をしておって、それによって問題が起こったというような場合が多いわけでございます。そういった点を勘案をいたしまして、今後の医療の適正な提供を確保するために、医療法人の管理運営をつかさどる責任者である理事長は原則として医師、歯科医師から選出をするというふうにいたしたわけでございます。
 なお、その場合に、既存の医療法人についてどうするのかということでございますが、一応二年間の経過期間を置きまして、その間にできるだけ医師または歯科医師に理事長にかわっていただくという行政指導をいたしたいと考えておりますが、二年間経過期間が済みました後に、なお医師でない方が引き続きその医療法人の理事長をしておられるというような場合には、それはそれで認めることにいたしたいと考えております。
 以上でございます。

○森田(景)委員 答弁漏れです。知事の認可の条件。

○竹中政府委員 医師、歯科医師以外の人を理事長にしてもよいということで都道府県が認可をするわけでございますが、その場合に、非常に抽象的で恐縮でございますが、その人を理事長としても十分運営が適正に行われるというふうに判断した場合には都道府県知事が認可を与えるということでございまして、その範囲は厚生省が通達で示すという予定にいたしております。この点につきましては、私どももこれから関係の方々の御意見を十分伺いまして、このことによりましていろいろ問題が生ずるというようなことがないように、また、制度の適正な運営が図られるという方向で具体的な内容については検討を進めてまいりたいと考えております。
 なお、そのうちの一つの例として申し上げましたのが、先ほどのあの既存法人の二年間経過後の場合でございます。

○森田(景)委員 時間が参りましたので、終わります。

●103 - 参 - 社会労働委員会 - 4号 昭和60年12月10日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=6&DOC_ID=1934&DPAGE=3&DTOTAL=47&DPOS=46&SORT_DIR=0&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345

○和田静夫君 私、申し上げたのは、必要病床数と区域の設定は医療計画の根本にかかわる論点だと思っていますからね、その意味で申し上げて、ここのところは外すことができないところでありますから、次回に資料の出てくるのを待って、譲ります。
 現在の病床数をどう評価しているかという問題なんですがね、これは過剰と考えていらっしゃるのか、おおむね適切なのか、少ないのか。また地域的に見てどうなのか、大都市部には過剰と考えているのか。あるいは、必要病床数はどういうように算定をされるかという問題は今出てきますから、それに対応することを私も考えますが、東京は、どうもおたくたちが考えていらっしゃる、これは補正係数の私のとり方とおたくのとり方が狂っていれば話は違ってくるわけでありますがね、そこのところは詰めてからの話になろうと思うんですが、人口万対比で七九・七を六一・一に削減。するような形をお考えになっているんじゃないかと、おたくの算定試案をもとにして私なりにはじいてみると非常に危惧される状態でありますから、ここのところは出てきてからの論議にした方がいいと思います。まあ、ここでやり合うよりも、それじゃ、出てきてから、次回にここのところはいたしましょう。
 それから、問題をクリアするためにもう少し別の問題を取り上げておきたいのでありますが、医療法人の監督の問題なんですね。
 医療監視の結果、報告が全く公表されなくなってきていますね。医療監視の結果、医療法違反がぞろぞろ出ているにもかかわらず、その結果が公表されないというのはどういうわけなんですか、これ。
 さっきも言いましたけれども、医療法改正のきっかけは、富士見病院事件だとか十全会事件だとか、医療法違反の事件が多発をした結果であります。そういう意味からして、医療法違反に対して行政がきちんと対応できる法的根拠を与えることが今次改正の私は最大の目的だろうと思うんですね。ところが、その判断の基礎となるデータが公表されていない。これじゃ、大臣、話にならぬと思うんですね。医療法違反件数、都道府県の内訳あるいは事例別内訳、これは出ましょうか。

●109衆 - 社会労働委員会 - 6号 昭和62年08月26日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24576&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=6&DOC_ID=3756&DPAGE=3&DTOTAL=47&DPOS=47&SORT_DIR=0&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25345
○前川参考人 総評の前川でございます。国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律案に、私は反対する立場から意見を述べさせていただきたいと思います。
 […]
 高齢化社会はコストの高い社会ですから、必要な負担には私どもも応じていく、こういう決意を持っています。しかし同時に、苦しい家計の中から拠出される金が本当に効率的に使用されているのかどうかに疑問を持っていることも事実です。医療法改正の契機と言われる富士見産婦人科病院事件、十全会病院問題、診療報酬の不正請求、あるいは毎年発表される各税務署ごとの高額所得者リストにおける病院経営者や医師の所得の現状は、額に汗して働く一般の国民には、率直に言って納得しかねるものがあることも事実です。こうした状況のもとで、国民が国立の医療機関に寄せている信頼は極めて大きなものがありますし、むだをなくしていくという立場から、国立医療機関がその先頭に立って努力をし、そういった全体の気風をつくり上げていく、こういうことを私どもとしては強く期待をしているわけです。そういった立場からは、国立医療機関が一般的、基本的医療を放棄をするあるいは縮小をするということでなく、やはりしっかりとこれを守って、質のよい医療を効率的に供給をしていく、こういうことではないでしょうか。[…]

●109参議院 社会労働委員会 9号 昭和62年09月18日

○本岡昭次君 私は、政府提出の精神衛生法等の一部を改正する法律案に対して、原案に賛成する立場から若干の質問をいたします。
 私ども社会党は、昭和五十五年以降、精神障害者の人権と医療のあり方について、京都十分会病院事件、東京東村山都病院事件、今回の法改正のきっかけとなった栃木宇都宮病院事件など、十数カ所を超える精神病院の不祥事件に対し国会で追及をしてまいりました。
 我が国の精神衛生行政は、これまで患者を社会から遠ざけることによって成立をしてきました。国は、低利の融資で民間に精神病院の建設を奨励し、その上、精神病院は医療法を守らなくてもよいという特例を設け、さらに行動制限規定によって精神病院の治外法権化も促進をしたという結果になっております。その結果、一部には精神病院は一般社会とは別だという認識を育てて、患者に対する暴行行為、そして人権侵害の多発という異常な事態をつくり出したというふうに私どもは考えております。また、そればかりでなく、この間、国際社会の流れからも著しく立ちおくれ、今日では我が国の国際的立場を傷つけるものとすらなっております。
 このような状況を改めるためには、まず精神衛生法の抜本的改正が何よりも必要であると考え、社会党は国内外で今日まで努力を続けてまいりました。幸いにも社会労働委員会のメンバーの皆さんを初め、歴代の厚生大臣の御理解をいただくことができて今日を迎えたと思っております。この間、七カ年の歳月が流れました。感無量の思いであります。また、精神障害者の御家族、退院者、病院関係者、ジャーナリスト、法律家を初めとする多くの皆さんの献身的な御努力に対して、心からの敬意も表したいわけであります。
 まだまだ多くの弱点を持つ改正案でありますが、厚生省が精神障害者の人権に光を当てて国際的な人権水準に一歩でも近づけようとしたその方向性を評価し、今後の改革に大きな期待を寄せつつ質問をいたしたいと思います。
 まず、厚生大臣に基本的な問題を二、三お伺いいたします。
 厚生大臣は、今回の法改正をもって日本における精神障害者元年といたしたいと私どもの前で発言をなさいました。私も、ぜひそうあってほしいと念願するものであります。しかし、そのためには、当面、また五年後に向けて幾つかの難問を乗り越えなければならないと思います。そうした意味で、以下幾つかの問題について所見を伺っていきます。
 先ほど申しましたように、ことしが精神障害者元年となるためには、見直しを行う五年後にこの政府の改革案が導入した任意入院、社会復帰、医療審査会、地域精神医療などがどのように実りあるものになっているかにかかわると私は判断をいたしておるところであります。
 どうしても必要なこととして、一として、任意入院を原則として開放処遇の拡大を図らなければならないこと。一として、入院中心主義から地域ケア、精神衛生医療への移行を図ること。三、これに必要なマンパワーを確保すること。また、これらを可能とする予算裏づけ毒確保すること。四、精神障害に対するゆえなき偏見と差別をなくすること。
 行政、国会がともに手を携え、国民に理解と協力を求めていかなければならないと考えるのであります。これからがむしろ大事業であると考えます。厚生大臣のこの法改正に当たっての明確な決意を求めたいと思います。

○国務大臣(斎藤十朗君) 御指摘いただきましたように、私は今回の精神衛生法等の一部改正の法律を契機として、本年を日本の精神保健元年、こういうふうにいたしたい、このようにたびたび申し上げてまいりました。そして、就任以来、この精神衛生法等の改正についてのいろいろな方々の御論議、また省内における作業等についても、そのような認識の上に立ってやってもらいたいということで進めてまいったつもりでございます。
 今回のこの精神衛生法の改正をしていただきますことによって、まさに日本の精神保健元年と位置づけられるようなそういう結果につなげていかなければならないわけでございまして、しかしながらこれまでの過去の経過、歴史的な背景等いろいろ考えますと大変難しい問題も多々あり、それを乗り越えていかなければならないことであろうと思うわけでございます。
 この法律の趣旨が本当に生かされ、そして実効あらしむるものになっていくために、最大限の努力をこれからやっていかなければならない、このように認識をいたしておるところでございます。

◆第二東京弁護士会人権擁護委員会 編 1987 『精神医療人権白書』,悠久書房

 「昭和44年12月10日、肺結核・高血圧・精神病質で入院していた患者(主治医の説得を無視して飲酒したことはあったが)精神錯乱・感情興奮により暴れたり、自傷自殺の危険が大きいなどの条件を一切欠き、何ら医療及び保護の必要がないのにベッドに四肢を縛りつけられて死亡するまで拘束された。そのうえ主治医は極量をはるかに超えた危険極まりない過剰注射(イソミタール)を持続睡眠療法の名の下に継続、患者は意識混濁・全身衰弱で同月24日吐物により窒息死亡するに至った。他にも2人の患者が長期間ベッド拘束され不必要な多量のリンゲル液等の注射によって傷害をうけている。これらはいずれも患者の承諾を欠いたままなされた行為である。大阪高等裁判所は、治療行為の違法性阻却要件として、治療目的、手段方法の相当性と患者の承諾を挙げベッド拘束・持続睡眠療法・リンゲル注射等の相当性について厳しい条件を付している。東山高原サナトリュウム・双岡病院などいわゆる十全会系病院は、ベッド拘束を比較的安易に利用し、その例外性と許容される要件を厳格に考えず、「保護室が不足している場合や医師看護人などの人手不足等人的物的施設の不備を補うため、扱い難い患者につき自傷他害のおそれがあるものとたやすく決め付け、むしろ他の治療・保護措置の簡易な代替手段として安直にベッド拘束を用いていたことが確認できる」と高等裁判所から厳しく批判されている。さらに、京都府衛生部の調査によると、十全会系精神病院(昭和48年9月末現在入院患者数2,124名)では、同年1月から9月までの間の死者は何と959名にのぼった。(朝日新聞昭和49年9月2日)前期患者の事件はほんの一例にしか過ぎない。」(p17)

 
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■1990'

◆小山通子〈36才〉 1996? 「あのころの日の岡荘」,『キケンな〈なかま〉たち――地を這う20年を振り返って 前進友の会』
 http://yuinoumi.web.fc2.com/zenshin-zenshin.html

 「私が、日の岡荘に足を踏み入れて早いもので、20年になります。
 1976年春 最初は、十全会東山サナトリウムの学生アルバイトの人達とパンフレットの発行作業に、軽い気持ちで来たことがこの長い付き合いの始まりとなったのです。精神病院についての何のイメージもなく、「兄弟だろ」の原稿を手渡されて、一気に世界が変わってしまいました。知らないことが、とても恐ろしいことだということを思い知らされました。ノートに記されたたくさんの人達の死。人間ではないような医者・看護婦。「電気ショック」「拘束」、人間が考えたこととはとても思えないような非人間的な「医療行為」、激しい恐怖に目もくらんでしまいそう。数ヵ月間でやっとパンフレットが刷り上がりました。私には何もできなかったのです。
 その秋に、「一回みんなで飛鳥にいこうか」と、初めてのレクを企画しました。退院したばかりの人、しんどそうな人、アルバイトの学生達。何人で行ったろうか。有り合わせの弁当をつつきながら、楽しい出会いのひととき。秋の早い日暮の中で一人の人が言った一言。私には忘れられないものでした。「しんどいけれど、退院して働く決心だ」、美しい月を見上げながら歌った唄。誰かが「病院の中ではなく、こうして一緒に見る月はとても美しいなぁ」と言った。鉄格子ではなく、友人と共に見る月はどんなに美しく感じられたのだろう。友の会の原点はここから始まったと信じています。
 忘年会、ボーリング大会と幾度となく集まって「前進友の会」という名前をつけることとなりました。(後日談ですが、特定のある政治団体と勘違いされて困ったこともある‥‥)
 最初のころは、学生だけが十全会告発の運動をしており、あくまでも学生主導型の活動でした。そうした中で、お互いに話し込んで行くと、どうしてもしっくりしないものがあり、何度か、逆に「なんで病院のことや、差別のことを隠すのか?」と切り返されることもありました。そして、やっと話をするようになっていったのですが、それが後々には例会という形で残って行きました。
 今から思うと、よく日の岡荘に、夜になると、だれかれなくよくだべっていたのを思い出します。「家におったら、仕事に行け言われるわ」「薬のんどったら朝起きられへん」「金がないんや」、みんなもう十全会や家庭には帰りたくないみたい。頼れる医者もいないのにどうしていたのか不思議だった。なんやかや言いながら、いつも最後は「頑張ろうぜ。負けたらあかん」いっぱい唄って、叫び合って一晩過ごしては、狭い部屋で雑魚寝したっけ。ともかく働かなどうしようもないので「就職したら、一升瓶持って来いや」「おう、わかったわ」そんな約束がいつのまにか出来たりもしていました。とにかく、お互いを励まし合い、寄り集まっては一晩明かしたものです。
 78年5月のある日、一大事件が起こってしまった。いつか十全会でであったAさんが(十全会に面会に行ったとき、初めてであったのに、この前あったやんかと笑っていた人の良い青年の)、アルコール依存のやくざやさんに脅されて、院外に酒を買いに行ったのがばれて、強制退院になってしまったのです。それともう一人の人も。二人とも帰るところがないというし、とりあえず、学生の部屋で居候することにしたけど、これがまたすごいことになってしまって、何しろ誰もお金がないもんだから、「冷蔵庫のもん、食べていいゆうたんやんか」「だからって全部食べていいゆうてへんやろ」「試験前やからだまっとって」「頼むからなんかしゃべらせて」「うるさい」というぐあいで、衝突も結構あったりして。遊びに行くと待ってましたとばかりに、「あのなぁ、ちょっときいてんか」で始まり、2、3日寝ずの話を聞かされたりもしました。もう一人の人も、家族が近くにいるのだけども、ヤクザやさんとの接触などのこともあってやっぱり帰りづらいとのこと、もうたいへんだったなぁ。
 Aさんは結局何度か衝突があって、飛び出して行って滋賀県の草津にアパートを借りて、寝る時間を惜しんでアルバイトしてはったなあ。バイクで訪ねていったら、裸電球ひとつで寂しい部屋だったそうです。寝るのは3時間ぐらいで、ある日くたびれてやって来て「日の岡荘に帰って来たい」って泣いていたのを思い出します。いろいろあって「出てけ」って言ったけど、つらかったそうです。
 そんなことがあって、78年8月に日の岡荘に“みんなの部屋”を借りることになったのですが、Tさんが「これみんなのために使って」と一冊の貯金通帳を渡してくれました。こつこつと貯められていたお金。病気をおして仕事を続けながら「いつか何か役に立てたい」と集めたものだったそうです。通帳を見せてもらって、すごくありがたかったです。日の岡荘の大家さんもすごく独特の雰囲気のある人で、二つ返事で貸してくれました。この出会いも、後々の友の会にとっては欠かせないものでした。
 この年は、5月に「病」者集団の大野さんを招いての講演集会、8月京都での全障連大会、11月友の会3周年“もうひとりのアリス”上演講演集会と、すごくいろいろなことがあって、今までになく友の会の仲間が、京都市内、洛南病院、遠くは光愛病院まで広まったことです。ともかく、面会に行ってはまた、友達が増えていく感じで、毎日あっちこっちと飛び回っていました。そして、一番すごいことは、仲間のNくん、Mさんたちが、「病気のことを隠したいという自分の心に反して、忘れることが出来ないという思いを、日常の中で埋め尽くすことができない」と、初めて、自分達の言葉で話しはったことです。これは、病者部会というグループになっています。
 “みんなの部屋”ができて、ますますみんなよく来たものです。しんどくなって包丁で「もう死んだるわ」「そんなら死んでみろ」と言ってみんなで、真剣になって話したりなんて事もありました。生身の人間同志がぶつかり合うのですから、ときには怒鳴りあったり、お互いのプライバシーもなくなるぐらいの雑然とした部屋のときもありました。レク委員会・編集委員会・みんなの部屋委員会などの集まりで、いろいろな病院から仲間が集まるようになると、「部屋が明るいので」と、また一人二人と集まってにぎやかなものでした。私もそのころ引っ越して来ました。そして岩倉病院から退院してきたYさんも、いろいろしんどいこともあったな。友の会で障害年金をもらわはった最初の人やったんやけど、ともかくお酒が大好きな人やったから、近くのお好み焼きやさんに、ぼられる(お金をふんだくられる)。あれよあれよという間に身ぐるみ剥がされてしまっちゃって、すごいことになってしまったんです。それで寝られないからと、市販の睡眠薬を飲みすぎて倒れたり、お酒を飲み過ぎたりもあったし。でも何人かで自炊して楽しかった毎日。いつも独りでご飯を食べたことは、なかったです。仕送りの5万円のうち1万2千円は部屋代で、残りはほとんど食費でした。「もうお金あらへん」というと「ほんならアルバイトにいったら」で事の終り。誰かれなしに来て、戸を閉めてることがなかったよね。扇風機もストーブもなかったけど何だか楽しかったものです。番犬の犬まで台所にやってきたり、“みんなの部屋”で例会をしたりするときは、窓越しに顔を出していたよね。「あれ、次郎丸(犬の名前)盗み聞きしとんか」なんてね。Eちゃんはよく夜中の3時4時にやって来て「UFOがきたんやけど」「この時計あってへん」「コーヒーよんでんか(飲ませて)」「あのね、今何時かわからへんの」「家で言ったらお父さんに叱られるからいいやろ、コーヒーちょうだいな」なんてやりとりも‥‥。また十全会で準職員として働いていた人達も引っ越して来ていて、まるで子供のように付き合っていただきました。彼女たちの頼もしい暮らしぶりは頭が下がりました。このころ本当に日の岡荘は、20室のうち半分以上が、友の会の仲間だったので、月に一回くらい“日の岡荘会”という全員集合の会があって、鍋を囲んだりとまるで、大家族のようにみんなが付き合っていました。これは、大家さんのおおらかなやさしさが、ひとえに、みんなを包み込んでいてくれたのだと思います。とにかく、楽しかったし、みんな自由にありのままでアパートの中でいれました。
 さて、準職員というのは、十全会を退院するときに、働ける状態にある患者さんに「社会で働いたらいろいろたいへんなことがあるから」と差別を逆手にとって、安い賃金で働かされていた人達の事です。早出勤務などは午前4時にはアパートを出て、休息時間などほとんどない状態です。ある日、ずうっとためていたという給料明細を見せてくれました。凄く安いのです。アルバイトなら、14、5万にはなるだろうに、(それも20年近くも働いてはったのに)10万そこそこだったのです。だからといって、彼女たちが、陰気で暗いかというと、ゼンゼンそうではなく、華やかに女らしく、そしてエネルギッシュで、仁義ある暮らしぶりでした。それが78年11月に、十全会の不当強制入院問題が起こってしまったのです。「理事長命令だから、休養のつもりで3ヵ月入院してくれ」と、全く病院の都合で50人くらいの準職員の人達が、ある日には、マイクロバスに乗せられて、強制的に入院させられたのです。その勧告を受けられた4人から「なんとかならへんか」と相談があった。とりあえず岩倉病院に診察に行ったんだけど、誰も病気ではなく、十全会の言うような“休養”の必要は全くないわけ。すごいなあと感心したのは、堂々と「自由入院で、3ヵ月したら退院で、部屋はみんな一緒」と赤木理事長や医師たちと、彼女等は渡り合って入院したこと。でも、一番私が悔しかったのは、こんな不当なことを目の前にしながら、何一つ彼女たちが十全会から自由になれるもの《職場・金の問題》を用意できなかったことでした。そして唯一できるものとして、“反十全会市民連合”を友の会が中心となってやっていくこととなりました。
 しばらくして、NHKの「ドキュメンタリー日本」のスタッフが、日の岡荘を訪ねてきました。それから1ヵ月間の地獄のような合宿体制。進行役の作家井上光晴には、正直言って背筋がゾクゾクしました。みんなの部屋で「やるのか、引くのか」と迫られたときは、脳みそが引きずり出されるみたいでした。NくんとYさんが出演されました。Nくんの十全会への恨みを感じさせるものでした。しんどかったですよ。
 Oのおいちゃんも引っ越して来て、一人で博愛会病院の患者会“やまいも”を作って「わしは、会長兼小使いじゃ」とせっせとやってはった。「まだまだ隠居はしない。寺男する」とすごい勢いでした。おっちゃんのつながりで、また仲間が増えていきました。また、準職員だったSさんも越してこられて、堂々と実名で「私は、十全会に強制入院させられた。たくさんの人のために私は一人でも闘う」と長い人権擁護委員会への提訴の闘いに向かわれました。それは、Sさんのおっとりとした様子からは、到底想像できないくらい激しいものでした。心が洗われるような思いで一杯になりました。
 そんなある日、久しぶりに郷里に帰っている間に「個人的に負担がかかっているから、これからみんな自分で飯は食べる」ことが決まったらしく、一方的に言われて何だか気落ちしてしまいました。一緒に飯を食べることは、これ以後少なくなっていくのですが、私の心の中では今だに納得できないものを残してしまいました。楽しかったのになぁ。でも相変わらずの人間模様は、日の岡荘に繰り広げられていきました。巨人が負けると、宇宙語で叫ぶI氏。暑いのは苦手だからと3台もクーラーを付けてしまったGさん。Rさんや、Lちゃんも引っ越してきはった。ともかく、個性の強い人ばかりで夜になるとますますにぎやかだった。
 82年に結婚するまで、いろいろなお世話になった日の岡荘の皆さん。古い建物で、一階はいつも薄暗かったけどみんなの部屋には、いつも懐かしい思い出と、落ち着いて座り込める雰囲気がありました。85年に改装して今の“みんなの部屋”になりました。そして94年の11月に、古い部分は壊されてしまいました。これから何が建つかまだ決まっていないようです。それにしても日の岡荘として残らはったのは、RさんとKさんと大家さんだったTさんだけです。少し寂しいのですが、私の心の中では、あの頃の古ぼけたガラス窓とか、締まりの悪いトイレの扉、広々とした廊下だとかが、はっきり残っています。それは、何にもかえがたい生身でのぶつかり合いの日々でもありました。このころのことを、誰かが“思春期前の少年たち”とたとえた人がいましたが、今は、ひょっとしたら“壮年期”なのかもしれないです。毎日顔を合わしていながら、どこか大人びてしまって遠慮が先に立っているのは少し寂しいですが、まだまだ友の会の原点“共に生きる”はみんなの中にあります。若い青年たちの底抜けの明るさもうれしいです。そして何よりも差別の問題に対してはっきりとした姿勢を示していることです。前進友の会の中には、今も、あの頃の“みんなの部屋”が生き続けています。それは、彼の地に旅立っていってしまった仲間の志を引き受けながら、脈々とこれからも続いて行くと思います。」(全文)

◆江端一起〈33才〉 1996? 「友の会の歩み、そして今」,『キケンな〈なかま〉たち――地を這う20年を振り返って 前進友の会』
 http://yuinoumi.web.fc2.com/zenshin-zenshin.html

 @前進のはじまり
 「前進友の会は京都市山科区日ノ岡にあります。この近くに、医療法人十全会の経営する東山サナトリウムという「悪徳病院」が存在します。正に『病者』を食い物にして株買い占め・無資格診療・土地転がし等をしていた所です。「薬づけ」「ベッドしばり付け」「電気ショックづけ」で、次々と入院患者を殺し、たとえば初めて外来診察にきた女性にその場で電気ショックをやり、そのまま殺してしまった、たとえば9ヵ月間で859名もの死亡者をだしていた(朝日新聞1974年9月2日)等の事件は枚挙にいとまがありません。とうとう国会でも問題となりました。(この最初期の地獄のような病院の実態は、友の会のパンフ「兄弟だろ」に詳しいです)
 当時、その十全会病院に入院中、あるいは通院中の『病者』が、病院でアルバイトとして働いていた学生のアパートの一室に、遊びに来たりするようになってきました。そのアパートが日ノ岡荘でした。
 「精神科に入院させられたばっかりに仕事がない」「このままでは病院に殺されてしまう」「退院しても家族とうまくいかない」「隠れて薬を飲んで働かないかん、どないしょ」「十全会をいつかつぶしたる」こんな話をしながら、ハイキングに行ったり、ボーリング大会をしたりしました。その時、会の名前でもつけようかとある『病者』が考えたのが、《前進友の会》なのです。1976年のことでした。そのうち段々と会に10人20人と集まるようにもなり、京都市内の精神病院への面会活動も定期的に行けるようになり、《なかま》の輪はますます広がっていきました。そうしたある日、東山サナトリウムを強制退院させられた『病者』が行き先がなく、友の会を頼って訪ねてくるということがありました。学生の部屋で雑魚寝で毎日を過ごしていたのですが、頼れる家族もなくまして福祉も《なかま》にとっては『強制的に入院を迫る』恐ろしい所で大変な毎日でした。そこで、友の会としてこの際日ノ岡荘に一室を借りることとなりました。なけなしの貯金を「みんなのために」と差し出してくれる《なかま》、カンパも自力更正で集めました。それが、友の会《みんなの部屋》の誕生でした。《みんなの部屋》はみんなの憩いの場、集いの場、共同生活の場、駆け込み寺、そして《前進友の会》の事務局として機能するようになりました。」

◆「十全会 (京都、医療法人)1997年12月02日 朝日 医療法人「十全会」グループが総額20億円の所得隠し」
 http://www4.airnet.ne.jp/abe/news/company.html

 
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■2000'

「前進友の会」 2003/05/11
 http://yuinoumi.web.fc2.com/zenshin-2003.5.11.html
 「私たちの原点は「十全会」闘争でした。」

◆川合 仁 20031225 「精神科評議会運動の理念と展開」,京都大学精神医学教室編[2003:74-76]*
*京都大学精神医学教室 編 20031225 『精神医学京都学派の100年』,ナカニシヤ出版,121p. ISBN-10: 4888488347 ISBN-13: 978-4888488341 3150 [amazon][kinokuniya] ※ m. m01a.

 「更に評議会出身者が、地域の病院に出て、開放化に努力した功績も歴史にのこるものである。スティグマを背負ったとも言える岩倉病院を開放化したことと、収奪の限りをつくした十全会病院に対する反十全会斗争は、京都、関西の精神病院での患者処遇を改善するための象徴的斗いであったと思う。」(川合[2003:74])

 
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■2010'

◆『二木立の医療経済・政策学関連ニューズレター(通巻83号)』(転載)
 発行日2011年06月01日
 http://www.inhcc.org/jp/research/news/niki/20110601-niki-no083.html

 「医療法人の非営利性を担保しているもう1つの規定に、理事長を原則として医師又は歯科医師に限定している第46条の3があります。これは1985年の第一次医療法改正で新設された規定ですが、その直接の契機は1980年に相次いで社会問題化した埼玉県・富士見産婦人科病院事件と京都府・十全会グループ事件でした。両事件では、医療法人の暴走が医師ではない理事長主導で行われたことが問題視され、この規定の新設により「医学的知識の欠落に起因し問題が惹起されるような事態を未然に防止しようとする」(1986年6月26日健康政策局長通知)とされました。この規定は、理事長である医師に対して、医療倫理と経営の論理(利益の最大化)が対立した場合には、前者を優先させという抑止効果を持っていると言えます。
 実は、私は今までこの規定の重要性を充分に理解していませんでした。しかし、経済同友会が本年が3月30日に発表した医療・福祉ビジネスの改革提言[8]で、「[民間]事業者の[医療・福祉ビジネス]参入障壁等の緩和・撤廃」措置として、「株式会社などの多様な主体による医療機関経営への参入を進める」こと等と並んで、「経営者である医療法人の理事長職における資格要件を見直す」こと(つまり、理事長の医師要件の撤廃)あげているのを知り、この規定が医療の非営利性を担保する重要な規定であることを再認識しました。」

◆三宅貴夫 2012 「私の転居歴2――京都」,『認知症あれこれ、そして』
 http://alzheimer.at.webry.info/201203/article_2.html

 「1964年の春、倉敷から京都に移り住みました。
 9歳年上の私の兄は、堅田にある東洋紡の研究所から京大の工学部に内地留学しており、京都市右京区御室のアパートに下宿していました、そのアパートの部屋が空いていたので最初の転居先としました。アパートの部屋は6畳一間で、洗面所、洗濯、トイレは共同で、さらに夕食の賄い付きでした。
 ここに住む前、兄は会社からスウェーデン―どの大学か研究所か知らない―に留学していたのですが、倉敷の「三宅鶴」の経営がかなり悪くなり倒産のおそれがあるため、母に呼び戻され留学を中断したそうです。
 戦後の民法で兄弟姉妹は平等に扱われるようになったとはいえ、日本人の意識が急に変わることはなく社会的慣習も現在にいたるまで残っており、実質的に「長男」が「家」の面倒をみることに変わりはなかったので。こうした長男―兄―が「三宅鶴」と「三宅家」の世話―たとえば倉敷に在る家の墓をみている―をしてくれてきたために、責任の軽い私が自由に振舞えたとのだと思っています。こうした長男としての束縛について兄から聞かされたことはほとんどなく、想像するしかありません。
 御室のアパートがある場所は、京都の街中から西に高尾さらには周山に向かう周山街道沿いに金閣寺、龍安寺、妙心寺の並びにある仁和寺―五重塔の備えた壮大な伽藍と八重桜の庭園、多数の国宝を有する真言宗御室派総本山として有名だが、一体何を学び教えているのか外には全く伝わってこない―の南側に在り、京都で珍しい一部路面を走る嵐山電鉄の御室仁和寺駅の近くにある閑静な住宅街にありました。この御室に戦後、大阪の立石電気の社長が会社をこの地に移して社名を「オムロン」に変えたことは、東洋紡を退職して、しばらくオムロンに勤めていた兄から聞きました。
 またアパートのすぐ南側には双ケ丘(ならびがおか)が在りました。私にとって「双ケ丘」というと、丘ではなく病院の「京都双岡病院」を連想します。画像
 また枝葉の話になりますが、私が東京から京都に戻った頃で、十全会グループの病院のひとつである双岡病院は「老人病院」と京都に限らず近畿一円で有名でした。有名というのは確かな高齢者医療を行っていたからではなく、分け隔てなくどのような高齢者、もっぱら認知症の高齢者を受け入れる病院―収容所―だったからです。この病院は、まだ結核患者が少なくない1954年に結核病院としてスタートしました。結核予防法で医療費の自己負担がなかったので結核患者を受け入れていたのです。その後、結核患者が少なくなり、1964年に起きたいわゆる「ライシャワー事件」―アメリカ大使が統合失調症の日本人に刺された―についての政府の事後対策として主に「統合失調症」―昔の「精神分裂病」でよくできた新造語の病名。「痴呆」を「認知症」に代えたように―の精神障害者または精神病者を無料で治療し収容しやすいように当時の精神衛生法―いまの「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」(略称:精神保健福祉法)―が改められるや、政府の後押しもあって「精神病院」―言葉のイメージが悪いと今は「精神科病院」と呼ぶ―が大幅に増え、この時流に双岡病院も乗り、結核から精神へ鞍替えしたのです。多くの精神科病院と同じく治療というより収容の双岡病院も多量の抗精神病薬、くわえて看護師による暴力が院内に横行し、おおよそ病院と呼べるものではなく、精神障害者の収容所として機能したのです。そのひどさに京大の精神科医らが「十全会闘争」を展開したと聞きます。「聞きます」というのは、この頃私は医者になったばかりで精神科医療にあまり関心がなく、この問題についてほとんど知らなかったのです。
 この双岡病院を具体的に知ったのは、厚生省から出向という形で京都府保健予防課の精神衛生係に3年ほど勤務した時でした。この頃既に、貧困だった高齢者福祉を補完するという名目で「老人医療費無料化―自己負担の無料化―」が国の制度として始まっていました、高齢者の医療費の自己負担が無料となったのを機会に、双岡病院がどんどん高齢者を受け入れ始めたのです。「十全会闘争」などで精神科医療を非難されるのに懲りたのか、ここでも時流に乗って精神障害者から高齢者に鞍替えしたのです。しかも実質的には精神病院であることの強み―鎮静剤投与と身体拘束が許される―を活かし、他の病院が嫌がる認知症の高齢者をどんどん受け入れるようになったのです。
 この時期、特別養護老人ホームそのものも少なく、あっても認知症の高齢者はお断りで、一般の病院でも「良心的」精神科病院でも治療の見込みがなく、初めから「社会的入院」となるような高齢者の入院を拒んだのです。こうしたなかで双岡病院は分け隔てなく認知症の高齢者を入院あるいは収容―京都だけでなく近畿一円から―させたのです。家族が連れてくるのが難しいのなら、車で迎えに行っていました。認知症の人と家族への社会的支援がほとんど皆無のなかで家族はとことん自宅でみなければならなかったのですが、当然、みられなくなる家族が後を絶たず、介護家族にとって最後の拠り所が双岡病院だったのです。さらに「ありがたいこと」にそれほど待たなくてもよく1週間ほどで入院できたのです。これは裏返せば、生きて退院する高齢者はほとんどなく、死亡して退院があたりまえでした。しかも入院して間もなく退院できた、または退院させられていたのです。これが待たなくて入院できるからくりだったのです。
 この病院には京都府の職員としてではなく、知り合いで介護ができないと父親を泣く泣く入院させたので見てほしいと、面会ということで病院のなかを見る機会がありました。広いフロアーにぎっしりとベッドが置かれ、ほとんどの高齢者はベッドに寝たまま―そのほとんどが「寝かされ老人」―、ベッドの上で食べ、排泄し、そこで亡くなっていたのです。
 このような病院とは呼べそうにない病院でも社会的需要がきわめて高く、京都府も京都市も、認知症への取り組みが全くないなかで双岡病院の行為を黙認していたのです。身近な話をすれば、府の職員の親が認知症になると双岡病院に入れざるを得ないという状況であったのです。役所が組織的にまた職員個人としても黙認していたのです。その弱みを知っていた病院は、「社会的悪」と開き直って強かったのです。
京都に戻り専門的な高齢者医療、とくに認知症医療を取り組もうとしていた私がこれを黙認するわけにはいきませんでした。この思いが京都府を辞めて堀川病院に移る頃、「呆け老人をかかえる家族の会」―現在の「公益社団法人認知症の人と家族の会」―を立ち上げるきっかけの一つでした。
 私が「家族の会」を発足させるまでの経緯については来月で終わりになる「介護保険情報」の連載「認知症と30年」で詳しく書きました。この連載が終了次第、私の「認知症なんでもサイト」で5月頃に全文を紹介するつもりです。
 現在の双岡病院ですが、認知症の人と家族の社会的環境は、とくに2000年の介護保険制度の導入によって各段に改善されました。とはいえ認知症の人の在宅生活あるいは在宅介護は容易ではなく、施設入所させてそこで介護を受けたい家族は少なくないのです。私が4年前まで診療していた盛林診療所から往診していいた認知症の人の家族も在宅での介護ができなくなったと双岡病院への入院を希望し、私が「紹介状」を書いたことがあります。私の場合でも、私の身体状態が悪くなり、妻を自宅でみれなくなるとグループホームを希望してはいますが、すぐに利用できるとは限らないので、双岡病院の世話にならないとも限りません。
 その双岡病院は以前と違い、すぐには入院できないようです。入院した高齢者が亡くなることが少なくなるほど病院の医療がよくなったためかもしれません。
十全会グループは現在、二つの医療法人からなり、京都双岡病院は「新生十全会」に属しています。このグループは、その他、「京都東山老年サナトリウム」「なごみの里病院」「はーとふる東山」ーこれは介護老人保健施設で開設前に見学したことがあり、きれいな建物で職員の対応もよいとの印象でしたーを合わせて3病院1施設でベッド数は3000床を超える日本で最大級のおそるべき巨大施設群なのです。時代とともに双岡病院もよくなってきたようですが、病院のサイトの以下の病院概要を読む限り、基本的にはあまり変っていないのではとの印象を受けます。
 京都双岡病院は1954年(昭和29年)科学的で適切な医療を普及する目的で開院。翌年医療法人を設立、長年にわたって高齢者の総合医療と看護・介護に従事してまいりました。
 ごく軽度の方から重度の方の65歳以上の痴呆性疾患にも重点をおき、徘徊や失禁などといった症状に応じて専門のスタッフが看護させて頂きます。また、自立の方から寝たきりの方までの病棟によって最適な看護・介護機能を備えております。
枝葉の話が長くなりました、双岡病院から双ケ丘のふもとのアパートに戻ります。」

◆永田 浩三 2013/11/24 「精神科病院協会の反撃」,『隙だらけ 好きだらけ日記――映像 写真 文学 そして風景』http://nagata-kozo.com/?p=10067

 「問題を感じたのは、最初のVTRだ。ロケの舞台は、日本精神科病院協会会長の山崎学院長の、群馬県高崎のサンピエール病院[…]今、全国の精神科病院は、それまでの思春期や、若い患者から、認知症の高齢者を対象にしようと、一気に舵を切ろうとしている。患者・家族を救うためというのは、建前で、基本的には、経営のためだ。これまで、認知症のひとのことなど、まったく知らない医療関係者が、なだれをうって、金づるとしての認知症病棟へのシフトをはかっている。
 しかし、厚労省のこころある官僚は、そうしたことは許すまじと、認知症対策の指針を発表。地域移行・在院日数の短縮・入院の抑制という歯止めをかけようとしている。だが、そうした政策は、業界を危うくするものだとして、日本精神科病院協会は反撃に出たのだ。
 そうしたなかでの、当の日精協の親分の病院に、おんぶにだっこのロケである。認知症専門の閉鎖病棟。そこで、BPSD、暴言や暴力を示すひとたちを撮り、いくらきれいごとを言っても、認知症のひとは、しょせんこうした、わけのわからない状態になり、家族や地域で何とかなるものではない、という強烈なメッセージが伝えられる。周辺症状を抑えるために、拘束も堂々とおこない、口から食べられなくなると、胃ろうがおこなわれる。
 こうした映像をまともに見たのは、ルポルタージュにっぽんで取り上げた、十全会・双ヶ岡病院以来だろうか。まさに三〇年前の風景がそこにあった。VTRでは、娘さんが、「父を殺してしまおうか」と思ったという証言も使われている。
 日本の精神科医療は、多くの課題を抱えてきた。これまで、家族を救うため、精神科病院の長期入院はしかたがない、必要悪だとされ、いったいどれほどのひとたちが、無残な収容の結果、無念の死を遂げてきたのだろうか。山崎会長は、業界紙に、イタリアのような精神科病院廃止の試みが、どれほど無謀かを、あげつらい、ヨーロッパの改革を冷笑している。しかし、ほんとうにそうか。現実を見ていないのは、どちらの方だろう。[…]」(永田[2013])

◆立岩 真也 2013/12/10 『造反有理――精神医療現代史へ』,青土社,433p. ISBN-10: 4791767446 ISBN-13: 978-4791767441 2800+ [amazon][kinokuniya] ※ m.

 「そしてさらに、たしかに存在したらしいが、よくわからないのは、彼らが、地域での活動を様々に行ない、幾つかの病院の改革に関わったことである。その幾つかが困難なものであり頓挫したこともあったこと、これらについての記述はさらに断片的であり、この本だけでは知りようがない。岩倉病院の開放化、反十全会斗争(小澤[1972]、榎本[1975]、川合[2003:75])、山崎光夫による一九五〇年代からの七山病院の開放化の継続(横山[2003:93])、光愛病院(高槻市)の開放化(物江[2004])、横山博による田原診療所の設立。最後のものにしても次のような記述ぐらいしかなく――「反精神医学」の語が見える――いくらかでも具体的なことはほとんどわからない☆20。」(立岩[2013:])

 「2 小澤勲
 一九七二年、第六九回日本精神神経学会のシンポジウムは「生活療法とは何か」だった。小澤勲☆01はそこで報告し(小澤[1972])、それが学会の雑誌に掲載された七三年の翌年、『臨床精神医学』にその続きの文章(小澤[1974a])を書き、両方(いずれも全文をHPに掲載)が『反精神医学への道標』(小澤[1974b])に収録された。シンポジウムでの報告の冒頭、小澤は一九六九年に出された「ピネル病院退職者会」によるパンフレットから引用している。
 小澤の略歴は一度書いたことがあるが、とくにその前半について補筆する。一九六三年、京都大学医学部卒業。滋賀県中央児童相談所兵庫県立病院光風寮勤務を経て六六年、京都大学医学部大学院入学。<0281<六八年、大学院を自主退学。七〇年より京都府立洛南病院勤務(その後、同病院副院長、老人保健施設桃源の郷施設長、種智院大学教授、種智院大学客員教授を歴任し、二〇〇八年死去。)大学に長居したという種類の人ではない。そして七〇年からは洛南病院だから、学会大会の当時、ピネル病院に勤め人として関わったということではない。

 「ピネル病院で行なわれている「作業療法」は決して「療法」などの名に価するものではなく、「無給労働」でしかない。……『看護学級』なる名のもとにオムツ交換、洗濯洗面介助、与薬介助、食事介助、病室清掃、ベッド清掃、患者の身のまわりの整理等、朝九時−タ五時まで追いまくられる。洗濯場には担当の職員もおらず、起床時間より一時間も前に洗濯係の患者は起こされて洗濯をさせられ、厨房も栄養士以外は患者がこれに当たる。……このような『療法』のなかでなおっていく人もいるだろう。だが、だからといって一種の強制労働、しかも無給の強制労働を認めていいものだろうか。強制労働に耐える人間をつくりだすこと、これがはたして治療といえるだろうか。……患者の『作業療法』が一週間、いや三日でも完全にストップしたら機能麻痺に陥るような病院。これがはたして病院といえるだろうか。……看護助手の大部分(八三%)は社会復帰(?)した前患者である。彼らは手取リ一万円程度の給料で時には看護婦以上の準深夜勤を割り当てられ疲労困憊する。なかには宿舎が完備できないまま病室に収容されているものまでいる。」(小澤[1972→1974b:93-94]に引用、「……」は引用文のまま)

 まず問題はこんなまったく具体的なところにあった。各地で、その前もその時もその後も(今引用した文章には言及はないが)暴力が振るわれ、不当・不要なことがたくさんなされた。それに対して様々な「造反」「改革」があった。そのうち裁判になったり、本が書かれた幾つかについてはいくらかを知ることかできるが、それ以外にも様々<0282<があった。そしてその多くがまったくの徒労というのでないにしても、そううまくはいかなった。
 それ以前に、どこで何がなされたのか知られていない。すくなくとも私は知らない。「十全会における患者虐待を初めて取上げたのは、京都府患者同盟で、昭和四二年六月、患者を掃除、給食、おむつ交換、院長宅の雑役などに使っていることにたいし、抗議活動を展開した」(榎本[1975:32])と書かれていて、この病院での抗議・抵抗は、学会改革、大学闘争・紛争よりも早くに始まっていることになる。そして、病院での出来事と運動を記す記事に、その主張が、府中療育センターにおける身体障害者とその支援者たちの闘争が美濃部都政のもとでその政策に反してなされた(なされざるをえなかった)ように(立岩[1990])、(革新)医師会と良好な関係を保っていた蜷川(革新)府政において容易に受けいれられなかったことは記される(高杉[1971])。それとともに、小澤の研究上の指導者ということだったらしい高木隆郎(六六年から京都大学講師)がこの運動に関わった京都の精神障害者家族会「あけぼの会」(一九七〇年発足)の最初の代表を務めたのだともいう。この会が主体になって同年末「十全会を告発する会」が発足したという。そのことが記されている高杉[1971]には他に中山宏太郎の名もあがっており、河合[2003]では以前とりあげた京大評議会が関わったことが記されている。また、やがて小澤が務めた洛南病院で電気ショックがなされていたことを糾弾する「前進友の会」(一九七六年発足)はこの闘争を自らの「原点」だとする。こうしたことが断片的にわかるが、それ以上は、とくに始まりのところは今のところわからない。いくらかでもわかると、医師・研究者が始めたものが「本人」たちにも伝染してその後で独自に展開していくという筋ではないことがわかるかもしれないが、そこはまだわからない。<0283<
 もちろん、その明らかに随分儲けた(それを意図した)病院で行なわれた「療法」と「ほんもの」の生活療法とは別のものだと主張することはできるだろうし、実際そのように言われる。ここでも「理屈」のほうを見ていく。[…]」(立岩[2013:281-284])

 
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■文献

◆第二東京弁護士会人権擁護委員会 編 1987 『精神医療人権白書』,悠久書房
◆榎本 貴志雄 19750129 「十全会糾弾闘争の経過」『精神医療』2-4-2(16):32-39(特集:裁判闘争/行政闘争)
◆三宅貴夫 1983 『ぼけ老人と家族をささえる――暖かくつつむ援助・介護・医療の受け方』、保健同人社
◆―――― 2012 「私の転居歴2――京都」,『認知症あれこれ、そして』 http://alzheimer.at.webry.info/201203/article_2.html
◆高杉 廸忠 19821025 『福祉優先社会の構想』,学陽書房,219p. ISBN-10: 431382006X ISBN-13: 978-4313820067 [amazon][kinokuniya] ※
高杉 晋吾 19710402 「七〇年代医療」の恐怖図」→1972 『朝日ジャーナル』1971-4-2→高杉[1972:128-140](題は高杉[1972]収録時のもの)
◆大熊 一夫 19730220 『ルポ・精神病棟』 ,朝日新聞社,292p. ASIN: B000J9NFOU [amazon] ※ m→198108 朝日文庫,241p. ISBN-10: 4022602449 ISBN-13: 978-4022602442 [amazon][kinokuniya] ※ m.
高杉 晋吾 19720229 『差別構造の解体へ――保安処分とファシズム「医」思想』,三一書房,284p. ASIN: B000J9OVWA 1000 [amazon] ※ m.
◆立岩 真也 2013/12/10 2013c 『造反有理――精神医療現代史へ』,青土社,433p. ISBN-10: 4791767446 ISBN-13: 978-4791767441 2800+ [amazon][kinokuniya] ※ m.
◆山下剛利・松本雅彦藤沢敏雄島成郎・松沢富男・井本浩之・大越功・桑原治雄・中山宏太郎) 「討論」,『精神医療』3-8-1(30):3-11(特集:シンポジウム 日本の精神病院をめぐる各地の状況、I 今,何を問うべきか)
中山宏太郎森山公夫小沢勲 「京都レポート」『精神医療』3-8-1(30):3-11(特集:シンポジウム 日本の精神病院をめぐる各地の状況、II 各地の医療状況)



001 66 衆議院 社会労働委員会 5号 昭和46年09月03日
002 75 衆議院 予算委員会 19号 昭和50年02月22日
003 75 衆議院 予算委員会第三分科会 2号 昭和50年02月25日
004 75 参議院 予算委員会 17号 昭和50年03月27日
005 81 参議院 文教委員会 閉1号 昭和52年09月13日
006 87 衆議院 社会労働委員会 6号 昭和54年03月01日
007 91 衆議院 予算委員会 14号 昭和55年02月19日
008 91 衆議院 社会労働委員会医療保険制度に関する小委員会 2号 昭和55年03月19日
009 93 参議院 社会労働委員会 1号 昭和55年10月21日
010 93 参議院 本会議 8号 昭和55年11月12日
011 93 参議院 社会労働委員会 7号 昭和55年11月18日
012 93 参議院 社会労働委員会 10号 昭和55年11月27日
013 94 衆議院 本会議 3号 昭和56年01月28日
014 94 衆議院 予算委員会 6号 昭和56年02月09日
015 94 衆議院 本会議 5号 昭和56年02月10日
016 94 衆議院 大蔵委員会 8号 昭和56年02月27日
017 94 参議院 予算委員会 5号 昭和56年03月10日
018 94 参議院 社会労働委員会 3号 昭和56年03月17日
019 94 衆議院 社会労働委員会 4号 昭和56年03月19日
020 94 衆議院 文教委員会 5号 昭和56年03月20日
021 94 衆議院 大蔵委員会 16号 昭和56年03月25日
022 94 衆議院 本会議 19号 昭和56年04月17日
023 94 参議院 社会労働委員会 9号 昭和56年04月21日
024 94 衆議院 交通安全対策特別委員会 7号 昭和56年04月22日
025 94 衆議院 交通安全対策特別委員会 8号 昭和56年04月23日
026 94 衆議院 法務委員会 9号 昭和56年04月28日
027 94 衆議院 社会労働委員会 15号 昭和56年05月14日
028 95 衆議院 行財政改革に関する特別委員会 4号 昭和56年10月12日
029 95 参議院 社会労働委員会 3号 昭和56年10月27日
030 95 衆議院 社会労働委員会 3号 昭和56年10月29日
031 96 衆議院 予算委員会 14号 昭和57年02月20日
032 96 衆議院 社会労働委員会 3号 昭和57年03月18日
033 96 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 3号 昭和57年03月18日
034 96 参議院 社会労働委員会 12号 昭和57年04月27日
035 96 参議院 社会労働委員会 13号 昭和57年05月11日
036 96 衆議院 社会労働委員会高齢者に関する基本問題小委員会 4号 昭和57年05月14日
037 96 参議院 社会労働委員会 15号 昭和57年07月06日
038 97 衆議院 予算委員会 5号 昭和57年12月17日
039 98 参議院 決算委員会 1号 昭和58年01月19日
040 98 衆議院 予算委員会 11号 昭和58年02月21日
041 98 衆議院 社会労働委員会 10号 昭和58年05月19日
042 100 衆議院 行政改革に関する特別委員会 2号 昭和58年09月26日
043 101 衆議院 社会労働委員会 9号 昭和59年04月19日
044 101 参議院 社会労働委員会 17号 昭和59年07月31日
045 102 参議院 社会労働委員会 6号 昭和60年02月26日
046 103 参議院 社会労働委員会 4号 昭和60年12月10日
047 109 衆議院 社会労働委員会 6号 昭和62年08月26日


UP: 20110730 REV:20110801, 22, 0907, 20140204, 09, 11, 12, 18, 23, 0501, 03, 10, 15, 0706, 09, 12, 1011, 12, 1108
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