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感染症 文献(日本)


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last update: 20200425

■目次

生存学関係者の著作等 ◇文献(日本) ◇引用 

関連ページ
感染症〜新型コロナウィルス
結核 文献
HIV/AIDS 文献(日本)


■生存学関係者の著作等

立岩 真也 20181215 『病者障害者の戦後――生政治史点描』,青土社,512p. ISBN-10: 4791771206 ISBN-13: 978-4791771202 3000+税 [amazon][kinokuniya] ※
有薗 真代 20170510 『ハンセン病療養所を生きる――隔離壁を砦に』,世界思想社,213p.  ISBN-10:4790716996 ISBN-13:978-4790716990 2800+税  [amazon][kinokuniya] ※ lep
北村 健太郎 20140930  『日本の血友病者の歴史――他者歓待・社会参加・抗議運動』,生活書院,304p.  ISBN-10: 4865000305 ISBN-13: 978-4-86500-030-6 3000+税  [amazon][kinokuniya] ※
新山 智基 20140910  『顧みられない熱帯病と国際協力――ブルーリ潰瘍支援における小規模NGOのアプローチ』,学文社,178p.  ISBN-10:4762024732 ISBN-13:978-4762024733 4104  [amazon][kinokuniya]
新山 智基 20111201  『世界を動かしたアフリカのHIV陽性者運動――生存の視座から』,生活書院,216p.  ISBN-10:4903690857 ISBN-13:978-4903690858 3150  [amazon][kinokuniya]
安部 彰 20110331 『連帯の挨拶――ローティと希望の思想』,生活書院,328p.  ISBN-10: 490369075X ISBN-13: 978-4903690759 2940  [amazon][kinokuniya]
横田 陽子 20110330 『技術からみた日本衛生行政史』 晃洋書房,244p.  ISBN-10:4771022291 ISBN-13:9784771022294 \3570 [amazon][kinokuniya] ※
美馬 達哉 20070530 『〈病〉のスペクタクル――生権力の政治学』,人文書院,257p.  ISBN-10: 4409040863 ISBN-13: 978-4409040867 \2520  [amazon][kinokuniya] ※ b m/s01

立岩真也『病者障害者の戦後――生政治史点描』表紙   『ハンセン病療養所を生きる――隔離壁を砦に』   『日本の血友病者の歴史――他者歓待・社会参加・抗議運動』   『顧みられない熱帯病と国際協力――ブルーリ潰瘍支援における小規模NGOのアプローチ』     『連帯の挨拶――ローティと希望の思想』   『技術からみた日本衛生行政史』   『〈病〉のスペクタクル――生権力の政治学』

共編著

天田 城介角崎 洋平櫻井 悟史 編 20130331  『体制の歴史――時代の線を引きなおす』,洛北出版,608p. ISBN-10:4903127192 ISBN:978-4-903127-19-4 \1880+tax  [amazon][kinokuniya] ※ shs
天田 城介村上 潔山本 崇記 編 20120310  『差異の繋争点――現代の差別を読み解く』,ハーベスト社,x+299p. ISBN-10: 4863390348 ISBN-13: 9784863390348 2700+税  [amazon][kinokuniya] ※ d04
稲場 雅紀山田 真立岩 真也 20081130  『流儀――アフリカと世界に向かい我が邦の来し方を振り返り今後を考える二つの対話』,生活書院,272p.  ISBN:10 490369030X ISBN:13 9784903690308 2310  [amazon][kinokuniya] ※

センター報告

新山 智基 編 20150325  『アフリカの病・医療・障害の現場から――アフリカセミナー「目の前のアフリカ」での活動を通じて』,生存学研究センター報告23, 168p. ISSN 1882-6539 ※
山本 崇記高橋 慎一 編 20101120  『「異なり」の力学――マイノリティをめぐる研究と方法の実践的課題』,生存学研究センター報告14,408p.  ISSN 1882-6539 ※
山本 崇記北村 健太郎 編 20081010  『不和に就て――医療裁判×性同一性障害/身体×社会』,生存学研究センター報告3,199p. ISSN 1882-6539 ※


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■文献(日本)

川喜田 愛郎 19640131 『感染論―その生物学と病理学』, 岩波書店, 733p. ASIN: B000JAH5KE [amazon] ※ h01.
◆Neustadt,Richard E,et.al. 19821231 The epidemic that never was: Policy-making and the swine flu scare, Vintage Books, ***p. ISBN-10: 0394711475 ISBN-13: 978-0394711478 =  西村 秀一 訳,『豚インフルエンザ事件と政策決断―1976起きなかった大流行』時事通信出版局,439p. ISBN-10: 4788709694 ISBN-13: 978-4788709690 3800+ [amazon][kinokuniya]
広瀬 弘忠 19890525 『エイズへの挑戦――患者・科学者・メディア・社会』,新曜社,346+45p.  ISBN-10:4788503417 ISBN-13: 978-4788503410 \3007 [amazon][kinokuniya] ※ hiv hiv-b
◆Arnold, David 19930801 Colonizing the body : state medicine and epidemic disease in nineteenth-century India, Univ of California Press = 20190921 見市 雅俊 訳, 『身体の植民地化――19世紀インドの国家医療と流行病 』,みすず書房,368p. 7600+ ISBN-10: 4622088517 ISBN-13: 978-4622088516  [amazon][kinokuniya]
広瀬 弘忠 19940420  『人類にとってエイズとは何か』,日本放送出版協会(NHKブックス692),248p.  ISBN-10: 4140016922 ISBN-13: 978-4140016923 864+税 [amazon][kinokuniya]
◆Askari, Fred K. 19990715 Hepatitis C, The Silent Epidemic: The Authoritative Guide, Perseus Publishing = 20020720 安田 宏 訳, 『C型肝炎――沈黙の感染症』,青土社,203p.+35p. 2200+税 ISBN-10: 479175977X ISBN-13: 978-4791759774  [amazon][kinokuniya]
◆酒井 シヅ 編 19990201 『疫病の時代』,大修館書店,242p. ISBN-10: 4469212296 ISBN-13: 978-4469212297 2000+ [amazon][kinokuniya]

◆井上 栄 20001020 『感染症の時代――エイズ、O157、結核から麻薬まで』,講談社(講談社現代新書1523),237p.  ISBN-10: 4061495232 ISBN-13: 978-4061495234 680+税  [amazon][kinokuniya]
広瀬 弘忠 20040121  『人はなぜ逃げおくれるのか――災害の心理学』,集英社(集英社新書0228E),238p.  ISBN-10: 4087202283 ISBN-13: 978-4087202281 700+税 [amazon][kinokuniya]
◆山内 一也 20050512 『ウイルスと人間』,岩波書店(岩波科学ライブラリー104),116p.  ISBN-10: 400007444X ISBN-13: 978-4000074445 1200+税  [amazon][kinokuniya]
美馬 達哉 20070530 『〈病〉のスペクタクル――生権力の政治学』,人文書院,257p.  ISBN-10: 4409040863 ISBN-13: 978-4409040867 \2520  [amazon][kinokuniya] ※ b m/s01
◆Esposito, Roberto 2008 Termini Della Politica, Comunita, Immunita, Biopolitica, Mimesis Edizioni  =20091010 岡田 温司 訳,『近代政治の脱構築――共同体・免疫・生政治』,講談社,290p.  ISBN-10: 4062584514 ISBN-13: 978-4062584517 \1800+税 [amazon][kinokuniya] ※
◆飯島 渉 20091221 『感染症の中国史――公衆衛生と東アジア』中公新書,212p. ISBN-10: 4121020340 ISBN-13: 978-4121020345 820+ [amazon][kinokuniya]

◆手塚 洋輔 20100219『戦後行政の構造とディレンマ――予防接種行政の変遷』,藤原書店,302p. ISBN-10: 4894347318 ISBN-13: 978-4894347311 4200+ [amazon][kinokuniya]
◆Keck, Frédéric 20101013 Un monde grippé, Flammarion =小林 徹 訳,『流感世界――パンデミックは神話か? (叢書 人類学の転回) 』,水声社,354p. ISBN-10: 4801002595 ISBN-13: 978-4801002593 3000+  [amazon][kinokuniya]
◆菅又 昌実 編 20101210 『日本における伝染病との闘いの歴史』,医学評論社,182p. ISBN-10: 4863990545 ISBN-13: 978-4863990548 1600+ [amazon][kinokuniya]
横田 陽子 20110330 『技術からみた日本衛生行政史』 晃洋書房,244p.  ISBN-10:4771022291 ISBN-13:9784771022294 \3570 [amazon][kinokuniya] ※
安部 彰 20110331 『連帯の挨拶――ローティと希望の思想』,生活書院,328p.  ISBN-10: 490369075X ISBN-13: 978-4903690759 2940  [amazon][kinokuniya]
新山 智基 20111201  『世界を動かしたアフリカのHIV陽性者運動――生存の視座から』,生活書院,216p.  ISBN-10:4903690857 ISBN-13:978-4903690858 3150  [amazon][kinokuniya]
◆鈴木 則子 20120301 『江戸の流行り病――麻疹騒動はなぜ起こったのか (歴史文化ライブラリー)』,吉川弘文館,211p. ISBN-10: 4642057420 ISBN-13: 978-4642057424 1700+ [amazon][kinokuniya]
天田 城介村上 潔山本 崇記 編 20120310  『差異の繋争点――現代の差別を読み解く』,ハーベスト社,x+299p. ISBN-10: 4863390348 ISBN-13: 9784863390348 2700+税  [amazon][kinokuniya] ※ d04
土佐 弘之 20120830 『野生のデモクラシー――不正義に抗する政治について』,青土社,370p.  ISBN-10: 4791766652 ISBN-13: 978-4791766659 2600+ [amazon][kinokuniya] ※ s.
◆加藤 茂孝 20130330 『人類と感染症の歴史――未知なる恐怖を超えて』,丸善出版,185p.  ISBN-10: 4621086359 ISBN-13: 978-4621086353 2200+税  [amazon][kinokuniya] ※ h01
天田 城介角崎 洋平櫻井 悟史 編 20130331  『体制の歴史――時代の線を引きなおす』,洛北出版,608p. ISBN-10:4903127192 ISBN:978-4-903127-19-4 \1880+tax  [amazon][kinokuniya] ※ shs
新ヶ江 章友 20130713  『日本の「ゲイ」とエイズ――コミュニティ・国家・アイデンティティ』,青弓社,257p.  ISBN-10: 4787233572 ISBN-13: 978-4787233578 \4000+税  [amazon][kinokuniya] ※
◆松原 宏之 20130920 『虫喰う近代――一九一〇年代社会衛生運動とアメリカの政治文化』,ナカニシヤ出版,314p. ISBN-10: 4779507677 ISBN-13: 978-4779507670 3800+ [amazon][kinokuniya]
◆鈴木 則子 編 20140120 『歴史における周縁と共生――女性・穢れ・衛生』,思文閣出版,362p. ISBN-10: 4784217142 ISBN-13: 978-4784217144 6800+ [amazon][kinokuniya]
◆Blaser, Martin J. 20140408 Missing Microbes: How the Overuse of Antibiotics Is Fueling Our Modern Plagues,Henry Holt & Co =山本 太郎 訳 20150701 『失われてゆく、我々の内なる細菌』,みすず書房,304p. 3200+ ISBN-10: 4622079100 ISBN-13: 978-4622079101 [amazon][kinokuniya]
◆大森 弘喜 20140520 『フランス公衆衛生史――19世紀パリの疫病と住環境』,学術出版会,624p. ISBN-10: 4284104136 ISBN-13: 978-4284104135 [amazon][kinokuniya]
新山 智基 20140910  『顧みられない熱帯病と国際協力――ブルーリ潰瘍支援における小規模NGOのアプローチ』,学文社,178p.  ISBN-10:4762024732 ISBN-13:978-4762024733 4104  [amazon][kinokuniya]
北村 健太郎 20140930  『日本の血友病者の歴史――他者歓待・社会参加・抗議運動』,生活書院,304p.  ISBN-10: 4865000305 ISBN-13: 978-4-86500-030-6 3000+税  [amazon][kinokuniya] ※
◆石 弘之 201412216 『感染症の世界史 : 人類と病気の果てしない戦い』,洋泉社,334p. ISBN-10: 4800305543 ISBN-13: 978-4800305541 [amazon][kinokuniya]
◆小川 眞里子 20160215 『病原菌と国家――ヴィクトリア時代の衛生・科学・政治』,名古屋大学出版会,486p. ISBN-10: 4815808260 ISBN-13: 978-4815808266 6300+ [amazon][kinokuniya]
◆山本 紀夫 20170125 『コロンブスの不平等交換 作物・奴隷・疫病の世界史』,角川選書,248p. ISBN-10: 4047035920 ISBN-13: 978-4047035928 1700+ [amazon][kinokuniya]
◆永島 剛, 市川 智生, 飯島 渉 編 20170502 『衛生と近代――ペスト流行にみる東アジアの統治・医療・社会』,法政大学出版局,276p. ISBN-10: 4588376047 ISBN-13: 978-4588376047 4800+ [amazon][kinokuniya]
有薗 真代 20170510 『ハンセン病療養所を生きる――隔離壁を砦に』,世界思想社,213p.  ISBN-10:4790716996 ISBN-13:978-4790716990 2800+税  [amazon][kinokuniya] ※ lep
◆加藤 茂孝 20180515 『続・人類と感染症の歴史――新たな恐怖に備える』,丸善出版,225p.  ISBN-10: 4621302949 ISBN-13: 978-4621302941 2200+税  [amazon][kinokuniya] ※ h01
◆磯部 裕幸 20180718 『アフリカ眠り病とドイツ植民地主義――熱帯医学による感染症制圧の夢と現実 』,みすず書房,368p. ISBN-10: 4622085992 ISBN-13: 978-4622085997 5400+ [amazon][kinokuniya]
◆飯島 渉 20180823 『歴史総合パートナーズ 4 感染症と私たちの歴史・これから』,清水書院,92p. ISBN-10: 4389500872 ISBN-13: 978-4389500870 1000+ [amazon][kinokuniya]
◆西迫 大祐 20180906 『感染症と法の社会史――病がつくる社会』,新曜社,388p.  ISBN-10: 478851589X ISBN-13: 978-4788515895 3600+ [amazon][kinokuniya]
◆山内 一也 20181215 『ウイルスの意味論――生命の定義を超えた存在』,みすず書房,264p. ISBN-10: 4622087537 ISBN-13: 978-4622087533 2800+税  [amazon][kinokuniya]
◆赤江 雄一、高橋 宣也 編 20191004 『感染る(生命の教養学14)』,慶應義塾大学出版会,308p. ISBN-10: 4766426150 ISBN-13: 978-4766426151 [amazon][kinokuniya]
◆河出書房新社編集部 編 20200527 『思想としての〈新型コロナウイルス禍〉』,河出書房新社,200p. ISBN-10: 4309249663  ISBN-13: 978-4309249667 1700+ [amazon][kinokuniya]

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■引用

◆Keck, Frédéric 20101013 Un monde grippé, Flammarion =小林 徹 訳,『流感世界――パンデミックは神話か? (叢書 人類学の転回) 』,水声社.

「これらすべてに新興感染症の中で(新型ウイルスが発見されるたびにその数は絶えず増え続けているが)、インフルエンザは中心的な位置を占めるに至っている。第一の理由は、季節性インフルエンザという形態において、人類にとって最もありふれた病の一つだからである。第二の理由は、ニワトリと豚という、人間が最も頻繁に接触する動物から出現するからである。インフルエンザは、際立った動物疾病となった。つまりそれは、最も普通であると同時に最も常軌を逸しており、私たちの日常に根づいてはいるが、同時にこの時代の最大級の破局を私たちに思い起こさせているのだ。」(15頁)
「もし多くの点から見てインフルエンザはグローバル化の病だと言うことができるならば、それはたんにウイルスが、多かれ少なかれ緻密な交通ネットワークを通じて迅速に移動するという意味においてだけではなく、ウイルスが、自らが人間のもとで生み出す反応によって、自らの転移を可能にしていた諸々の交換関係を突然停止させる可能性があるという意味においてでもある。つまりこのウイルスは、自己を複製するために異なる有機体間の交流を必要とするのだが、有機体間の差異が上手く調整されない場合には、これらの有機体を破壊することがあるのだ。」(16頁)
「破局が連続的過程に不連続性を導入するものであるなら、それによって転覆されるのは遺伝子的な転移の総体ではなく、むしろ生物同士の歴史的な諸関係の総体なのだ。新興感染症が一人の人類学者に突きつけている問題は、次のようなものである。生物学的レベルにおける破局的な転移の中から、どのようにしていくつかの転移が政治的破局に変化するのか? 大事なのは、たんにどの社会的ファクターがウイルスの出現を説明するかを記述することではなく、この出現が、ひとまとまりの当事者たちによって、政治的破局という地平の中で、どのように解釈されているのかを描き出すことである。」(17頁)
「ウイルスは、自らが現れる文脈のそれぞれにおいて諸関係の構造に囚われており、この構造は、生物的なもの-政治的なもの、生産-消費という二つの軸において展開されている。これらの文脈のそれぞれに対して、私は次のように問うた。病原体はどのように破局に身構えるよう促すのか? そして病原体は、自らが明らかにする食物連鎖の中に、どれだけの数の当事者をまとめ上げうるのか? こうした問いによって、テロリストの襲撃や、ストライキや、ジェノサイドといった、さまざまな破局と関連する公共空間の中で、ウイルスがどのように表象されうるかが分かるだろう。」(20頁)
「ウイルスの行動に関する不確実性は、どのように権力の専制主義を呼び起こすのか? インフルエンザウイルスの転移に関する追跡調査は、どのようにパンデミックに地平へと向かって行くのか? いかなる点において、そうした全体化――人類全体を震撼させるパンデミックの告知――は、生物の間近でなされる作業を変形するのか? 社会科学の示すところによれば、社会を循環する実体には不確かで目に見えないという特徴があるため、近代社会を構成している予防政策を受けつけないのだが、そのせいでウイルスの伝染はつねに観念の伝染が伴うことになる。[中略] しかしながらパンデミックの恐怖は、厳密に分析するならば、社会的現象についての研究において、観念の伝染や噂の循環よりもさらに遠くまで進むことを可能にするものである。それは、社会の構成において全体化が果たす役割についての問いかけに繋がっているのだ。簡単に言うならば、なぜ伝染は人類全体を襲い、動員を呼び起こさざるをえないのか、というわけである。」(254-5頁)
「この調査の途中で私たちが何度も出会うことになった「備え」という概念は、この事態を上手く指し示している。つまり当事者たちは、共通のパンデミックに備えることによって、自分が巻き込まれている諸関係について語り、自分に特有の脆さに気づくことになるのである。この全体化という地平における不確実性の管理を記述するために、社会科学は「神話」という概念を持っている。この概念は普通の言葉遣いの中にも繰り返し現れているが、その場合には違った意味で、明らかにより批判的な意味で用いられている。したがって、今や素朴であると同時に学問的な仕方で問いを立てるときが来た。すなわち、パンデミックは神話なのだろうか? 」(255頁)
「本書において私が試みたのは、「神話の大地は丸い」というレヴィ=ストロースの断言を取り上げ直すことだったのだ。私は微生物学者たちを追いながら、ウイルスの起源に関する彼らの神話を共有していたが、彼らが国境を跨ぐときには、この神話の変換に注意を向け続けていた。微生物学者たちがウイルスは国境を知らないと言い続けるとしても、それでもなお、ウイルスについても社会的表象が意味をなすのは、歴史によって構成された国境を取り巻く文脈においてなのであり、ウイルスが国境を跨ぐときにこの表象が変換されたり反転したりするその在り方においてなのである。」(263頁)
「インフルエンザ・パンデミックによる差し迫った人類終焉の告知は、おそらくその動員力を失ってしまったわけだが、専門家たちは、事前に新興ウイルスを知らせるために動物を監視し続けている。野生動物や家畜の移動量の増加、気候温暖化、土壌汚染、森林破壊などといった、ウイルスの出現と結びついているさらに緩やかな生態学的破局の数々は、消え去ってはいないからである。香港が鳥インフルエンザに対する前哨地の役割を演じ、メキシコが豚インフルエンザに対してこの機能を果たすことに失敗したとすれば、その他の場所も、動物たちが人間に害をなす災いを事前に知らせる境界となりうるだろう。動物たちの監視をめぐる諸変換は、破局に関する私たちの表象を現実化するものだが、これを追跡するにはまた別の本が必要だろう」(265頁)

Esposito, Roberto 2008 Termini Della Politica, Comunita, Immunita, Biopolitica, Mimesis Edizioni =20091010 岡田 温司 訳,『近代政治の脱構築――共同体・免疫・生政治』,講談社.

「免疫化とは、制御された「菌」を共同で引き受けて中和化されることにより機能するものである。そこで、もしわたしたちがこの操作をひっくり返すとしたら、どうなるだろうか。もし免疫化プロセスの完遂から出発して共同体を再考するとしたら、どうなるだろうか。本質的に外部のない世界――完全に免疫化済みの――には必然的に内部もない。その成功の頂点で、免疫化は、自己自身からの免疫化へと至らしめられる。つまり、共同体の突破口、共同体の時代がふたたび切り開かれるのである。」(126頁)

「もし共同体の理念が、喪失、除去、剥奪を意味するなら、もし充溢ではなく空虚や可変性へと送り返されるとしたら、それは、主体という個人のアイデンティティにたいするリスクや脅威であるように感じられるかもしれない。というのも、こうした共同体の理念は、まさしく共同体の安定性と存続とを保障する境界線を揺るがせ、あるいは侵犯するからであり、くわえて潜在的に危険のともなう他者との接触つまり感染にもまた個人を晒すからである。」(133頁)
「まさに、この脅威――人間の共同体の起源を、その創立者の罪に結びつけるあらゆる物語のなかで神話的に書き換えられている――にたいして、近代は、「コムニタス」と「イムニタス」の範例的な対比にのっとって、免疫化のプロセスを進行させている。前者が、みずからを超えたところに個人を追いやる何ものかを個人に課するとすれば、後者は、リスクの多い他者との接触から自力でみずからを守り、自分とは相反するあらゆる責務からみずからを解放し、みずからの主観性という殻のなかに自己をふたたび閉じ込めることで個人のアイデンティティを再構成する。」(133頁)
「免疫化とは、予防のために外部をあらかじめ内在化すること、外部を中和化し適合化すること以外のなにものでもないのだろうか。」(133頁)

「ここでわたしが打ち出そうとしている主張は、自由という概念もまた同様の閉鎖性に、つまり、共同体の概念が経験したのと同じ中和化という操作に支配されているのではないか、ということだ」(134頁)
「自由について語れば語るほど、要求し主張すればするほど、あらゆる旗印のもとに刻まれれば刻まれるほど、ますます自由は、過去あるいは未来のかなたへと逃げていくかのようなものなのだ。つまり、かつて存在したが、いまはもう消えてしまったひとつの実体のようなもの、きわめてかすかな光をなおも送りつづけてはいるが、ある時点で消えてしまう星のようなもの。あるいは反対に、ヘーゲルが絶対的自由について述べていたように、無秩序やテロリズムという破壊的な結果として爆発してしまわないためにも、ある程度の距離を保たねばならない何らかの約束事のようなもの。自由とは、あたかもそうしたものであるかのようなのだ。」(134頁)
「ひとたび主体が立ち上げられ――デカルト以降の哲学が「自由意志」とか「未決の意志」と呼んだもの――、それに条件づけらると、自由は、みずからの意味の地平を縮小させ、ますます貧困な内容となるばかりでなく、逆のロジックへと覆されるリスクに繰り返しさらされることになった。」(136頁)
「近代の政治哲学のすべては、必然的に解き放たれる自由から、自由に強いられる必然性へと、途切れることなく移り行くことで、結局は相変わらず必然性のくぼみのなかに自由を連れ戻すことになるのだ。」(136頁)

「徹底的にその推移を把握するには、この場合もまた、「自由」という語に暗に含まれた本来の意味に戻らねばならない。驚くべきことに、そのことから引き出されるのは、自由という理念の起源には、まさしく共同体の意味論とつながるものがあるということだ。[中略]それらは、結びつけ、引き入れ、共有する潜勢力という意味を含んでいるのだ。」(137-8頁)
「したがって、関係における、関係としての自由とは、しばらく前からわたしたちが自由と同一視してきた個人の自主性だとか自律性とはまったく正反対のものなのだ。つまり、自由という理念の本来の意味には、否定的なニュアンスはまったくない。障害の不在、束縛からの解放、抑圧を逃れた状態といったこっとはまったく関係がないのだ。それは、共通の、あるいは共同の発展、反映、拡大へと送り返されるような、強い肯定の意味――政治的でも生物学的でも物理的でもある――を有するのだ。」(138頁)

「自由とは、限りなく単独の単一の共同体でもなく、無限の単独性、つまり複数性のなかに広がる共同体なのだ。もし共同体が、共通の主体、あるいは実体ではなく、それ以上還元できない主体や実体のあいだで共有される単独制の様態であるとすれば、自由とは、そのような還元不可能性と一致するだろう。つまり、「いつも」、「時々」、「そのつど」というかたちで、共同体を横切る間隔、境界、閾なのだ。共同体をみずからの外へとさらすもの、あらかじめ内部を中和化することなく、内部をそれとして保持しつつ、外部を内部へと投影させるもの、それが自由である。自由とは、共同体の内部にある外在性だと言えるだろう。自由は、共同体のなかで免疫化にていこうし、みずからと同一化することなく、自己との差異へと開かれたままのものである。共同体の内部に突如として開かれる始まり、鼓動、裂け目なのだ。あらゆる実存の単独性に開かれる共同体、つまり、これこそが自由という経験なのだ。」(145頁)


「周知のように、生医学的な用語では、伝染病にたいする免除ないし防止の一形態が、免疫として理解される。一方で、法律用語において、免疫は、共通の法が及ばない状態に誰かを置くという保護の一種を表している。したがって、どちらの場合でも、免疫化は、むしろ共同体全体がさらされるリスクから、誰かを安全な状態におくという特別な状況を暗示することになる。すでにこの点で、共同体と免疫のあいだに根本的な対立が現れており、こから最近のわたしの考察は生まれている。」(152頁)
「免疫、つまりラテン語でいうイムニタス[immunitas]は、コムニタス[communitas]の反対ないし裏返しとなるといえるだろう。 この語彙は両方ともムヌス[munus]――「贈与」「任務」「責任」を意味する――という語から派生しているが、コムニタスが肯定的な意味であるのにたいし、 イムニタスは否定的な意味を持つ。そのため、もし共同体のメンバーが贈与というこの義務、すなわち他者への配慮というこの法によって特徴づけられるとすれば、 免疫は、こうした条件からの免除もしくは適用除外を意味することになる。他のすべての人々を巻き添えにしている義務や危険から、ある人を保護すること、それが免疫なのだ。 その身を外部におくことで、社会的な循環の輪を砕くのである。」(152-3頁)
「現在、わたしが支持したいと考えている基本的な主張は、本質的に以下のとおりである。この免疫装置、つまり免除と保護の要求は、 もともと医学と司法の領域に属するものであったが、だんだんとわたしたちの生にかかわるすべての分野や用語へと広まっていくことで、 現代の経験における現実的で象徴的な収束点にまでなったということ。もちろん、どんな社会も自己防御の要求を表明してきたし、どんな集団も、 生命の保存について根本的な問いを立ててきた。しかし、わたしの印象では、近代という時代が終焉を迎えた今日においてはじめて、こうした要求が回転軸となって、 そのまわりで、実際の経験や、文明全体の想像が展開されている。その一例をあげるとすれば、免疫学、つまり免疫システムの研究と強化のために定められた科学が、 医学的側面においてのみならず、社会、司法、倫理的な側面においても引き受けている役回りを眺めるだけで十分だろう。 エイズという免疫不全の症状の発見が、個人と集団の経験の正常化という観点から、 つまり保健衛生だけにとどまらない厳密な規範の遵守という観点からとらえられていることが、何を意味するかを考えてみるといい。免疫は、伝染病の予防のみならず、 社会的・文化的な意味においても、病の悪夢によってあらゆる相互関係のなかに打ち立てられたバリアーなのだ。もし、 感染症という領域から移民という社会的な領域へと目を転じるなら、それについての裏付けが得られる。というのも、増加の一途をたどる移民の流れが、まったく不適切なことに、 わたしたちの社会にとって大きな脅威のひとつと考えられているという事実は、この側面からも免疫性の問題が引き受けつつある中心性を物語っているからだ。生物学的に、 社会的に、環境的に、わたしたちのアイデンティティを脅かす、もしくは、少なくとも脅かすようにみえる何ものかにたいして、新たな柵やブロック、 新たな分離線がいたるところに出現しつつある。まるで、気づかぬうちにさえ、軽く触れられることへの恐怖が助長されたかのようであり、それはすでにエリアス・カネッティが、 わたしたちの近代性の起源として、触覚と接触と感染とのあいだの不運な短絡のうちに見いだしていたものである。それはあたかも、接触や関係や共同性といったあり方が、 汚染というリスクと同一視されてしまったかのようである。」(153-4頁)
「リスクをどこまで自覚するかは、時代によってかなり異なるが、 まさしく現代において頂点に達している。このことは、グローバリゼーションと呼ばれるものと関係しなくはない一連の付加的要因による。 人間だけでなく、観念や言語や技術といったのも、おたがいにコミュニケーションをとり、交差すればするほど、その反発力として、予防的免疫化への要求が高まる。 新たなローカル主義がふたたび芽生えつつあることは、グローバリゼーションという地球規模での汚染にたいする、一種の免疫的拒否として説明できるだろう。 「自分たち(セ)」が「グローバル」になればなるほど、外側にあるものを加えようとすればするほど、否定性のあらゆる形式を取り込もうとすればするほど、 免疫的拒否を増殖させてしまうのだ。」(155頁)
「重視されるのは、過度の流通を、したがって潜在的な汚染を阻止することである。 この観点から、ウイルスは、わたしたちが抱く悪夢すべての一般的なメタファーとなった。実際に、この恐れ、少なくとも生物学的な恐怖が和らげられるような瞬間が、 いままでにもあった。わたしが言っているのは、一九五〇年代、六〇年代のことであり、このとき、 抗生物質によって何千年来の感染症が根絶できるという楽観的な考えが広まったのだった。だがそれは、エイズが出現するまでのことであった。そのとき、 心理的なダムが決壊したのである。ウイルスは、象徴的にも現実的にも、克服できないものとして、ふたたびその姿を現わす。わたしたちの内部へと入り込んで、 わたしたちを意味の空白へと引きずっていく、まさに悪魔そのものとして。まさしくこのとき、免疫の要求は、わたしたちの基本的な責任、つまり、 わたしたちの生にわたしたちが与えた形式そのものになるまで、過剰に成長したのだった。」(155-6頁)

「わたしたちの生を守るために必要な免疫は、ある閾の向こう側へ越えていくと、生の否定に行きつくということである。つまり、わたしたちの自由だけではなく、わたしたちの個人的で集団的な実存の意味そのものが失われてしまうような、一種の檻か甲冑のなかへと、わたしたちの生を押し込んでしまうのである。」(156頁)
「この生の保護と拒絶のあいだの二律背反的な関係は、医学的免疫化の手続きそのもののうちに暗示されている。周知のとおり、ある病気の患者に予防接種をほどこすにあたって、その病気の一部が、制御され、耐えうるかたちで人体に注入される。このことが意味しているのは、このケースにおいて、それから守られねばならないはずのまさにその毒が、薬として処方されるということである。あたかも、生かしておくためには、死を味わわせることが必要であるかのように。」(157頁)

「自己免疫的な政体にゆだねられるとき、つまりまさしく自己のアイデンティティへと強迫観念的に向けられた政体にゆだねられるとき、世界は、つまり、全体としての人間の生は、生き残る可能性がさほど高くないということである。生の否定的な保護は、まさにその反対側に裏返るほどに強化されるとき、結局は、外部の敵もろとも自己の身体を破壊することになってしまうだろう。内在化の暴力、つまり外部や否定的なものの廃止は、徹底的な外在化、つまり完全な否定性へと裏返りうる。」(161頁)

「おそらく、わたしたちの言語学的な伝統の深層に、フーコーが述べたように、現在の進行方向を転換するための鍵を探すことができるだろう。いまだ現実に試されたことはないが、たしかに存在はしている、もうひとつ別の可能性を、歴史のアクチュアリティのなかに解き放ってやるために。」(165頁)

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*作成:塩野 麻子
UP:20200425(ファイル分離) REV:
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