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第21回ろう教育国際会議 バンクーバー声明

聴覚障害/ろう(聾)



第21回ろう教育国際会議が、7月18日〜22日にカナダのバンクーバーで開催された。ブリティシュ・カリフォルニアろうコミュニティ協同で声明が発表され、1880年ミラノ声明文を全否定した文面が採用された。
7月19日、第21回ろう教育国際会議開会式で、主催者側は、ろう児の教育プログラムにおける手話の使用を禁じた1880年のミラノ会議の決議に対する、デフ・コミュニティの憂慮を取り上げた。

議長のクレール・アンダーソン氏は、「ろう教育国際会議2010のテーマ「教育におけるパートナー」は、協力して取り組むことの重要性を強調している」と述べた。生徒の教育的ニーズを満たすための機会を最大にできるのは、教育者、両親、生徒が互いに敬意を持って協力し合うことを通してである。
この目的を達成するために、ろう教育国際会議2010バンクーバー大会の実行委員会とブリティッシュ・コロンビア州デフ・コミュニティは、ミラノ会議の問題についての声明文の作成に共に取り組んできた。

声明の内容は以下の通りである。

(英文)
http://www.nad.org/sites/default/files/2010/July/ICEDNewEraVancouver2010.pdf

一番最後にある署名は下記の4名である。
ICED 2010バンクーバー実行委員会 議長
ブリティッシュ・コロンビア州ろうコミュニティ 代表
カナダろう協会 代表
世界ろう連盟 理事長


(和訳)第21回国際ろう教育会議カナダ・バンクーバー2010 声明日本語訳(財団法人全日本ろうあ連盟)
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/giji/__icsFiles/afieldfile/2010/09/08/1297399_1.pdf
(上のPDFより引用)

バンクーバー2010
新しい時代 : ろう者の参加と協働
聴覚障害教育国際会議(ICED)実行委員会および、ブリティッシュ・コロンビア州ろうコミュニティは、共同で次の事柄を基本方針として表明する。

「基本方針の表明」
世界的に、多くのろう市民は、「ろう」であることを障害の一種ととらえる一般人の理解に直面している。このような「障害観」は、ろう者をはじめ「異なるもの」としてみなされたすべての人の排除や軽視の一因となっている。
その結果、今も、多くの国々で、より広い社会へのろう市民の参加が妨げられ、排除されている。大勢のろう者が、意思決定、雇用機会、質の高い教育へ平等に参加することができないでいる。
このように「障害観」があるにもかかわらず、ろう市民は、多様性と創造性を受容する諸社会に積極的に貢献している。教育、経済活動、政治、芸術、文学の分野で、自国の価値を高めている。ろう者にとって、すべての社会に必要不可欠な、言語的・文化的少数派として認知されることは、不可譲の権利である。
したがって、すべての国家は、ろう者を含むすべての市民を認知し、参加を促進することが急務である。
1880年ミラノでのICED会議の決議
1880年、ミラノで国際会議が開かれ、ろう者の教育が討論された。当時の参加者は、世界中のろう者の教育や生活に影響を与えることになるいくつかの決議を行った。この決議によって、次の事項が生じた:
. 世界中のろう者のための教育プログラムで手話の使用が排除された。
. 世界中のろう市民の生活に不利益がもたらされた。
. 世界の多くの地域や国々の教育上の施策や立案における、ろう市民の排除につながった。
. 就業訓練、再教育などキャリア開発の分野で、政府の立案、政策決定、財政的援助にろう市民が参加できなくなった。
. ろう市民がさまざまなキャリアで成功する能力を阻み、多くのろう者が自分の夢を追いかけることができなくなった。
. 多くのろう市民が、自分の文化や芸術性を十分に発揮して各国の多様性に寄与する機会を阻んだ。

ゆえに、私たちは:
. ろうの児童生徒の教育プログラムにおける手話の使用を禁じた1880年ミラノ会議の決議をすべて退ける。
. ミラノ会議が及ぼした有害な諸影響を認め、心から遺憾に思う。
. 世界のすべての国家が、歴史を記憶し、すべての言語とあらゆるコミュニケーションの形式を教育プログラムが受け入れ、尊重することを要求する。

2010年7月19日、カナダ・ブリティッシュコロンビア州バンクーバーの第21回聾教育教育国際会議にて発表

2
「未来への協定」
私たちはここに宣言し、署名します。

・国際連合の諸原則にもとづいて、特に、教育は言語や学問的、実用的、社会的知識の獲得に重点を置いて実施されなければならないとした、国連の障害者権利条約で述べられている原則を批准し、それらに従うことを、世界のすべての国家に要求します。
・世界ろう連盟が2007年の第15回マドリッド会議で採択した決議、特に、多言語的/多文化的教育への平等で適切な参加を促進し支持するとした決議を是認するよう、すべての国家に要求します。
・国家が合法的に承認する言語に、自国のろう市民の手話を追加し、多数派である聴者の言語と平等に取り扱うことを、すべての国家に要求します。
・ろう市民のあらゆる生活に影響を与える政府のすべての政策決定プロセスに、ろう市民が参加することを促進、拡大、採用するよう、すべての国家に要求します。
・ろうの幼児、子ども、青年をもつ親たちがろうの文化や手話を理解するために、自国のろう市民を関わらせて援助するよう、すべての国家に要求します。
・教育プログラムでは子ども中心アプローチを、家族を構成するろう者や聴者の両方のためのすべてのサポートサービスには家族中心アプローチを支援するよう、すべての国家に要求します。
・ろうであることが確認されたすべての幼児を、早期教育による支援のため、地域や全国のろう者組織、ろう者のための学校やプログラムに託すよう、すべての国家に要求します。
・自国のろう市民が、自分たちの人権に関する情報を確実に得られるよう、あらゆる努力を行うことを、すべての国家に要求します。
. すべてのろう市民が、誇らしい、自信に満ちた、生産的で創造的な、特別の能力をもった自国の市民であると認め、また、それが可能になるよう、すべての国家に要求します。


REV:20120307(甲斐 更紗)
聴覚障害・ろう(聾)  ◇情報・コミュニケーション/と障害者
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