1909 クリフォード・ビアーズ『わが魂に逢うまで』(A Mind That Found Itself)刊行
1909 全国組織全国精神衛生委員会 設立
1913 ボストン精神病院のジャレット(M.C.Jarrett)による家庭歴の調査
1926 全米精神科ソーシャル・ワーカー(PSW)協会が設立
1930- アメリカ医学会(AMA)精神病院の調査を開始 John Grimeが任名
1946 全国精神衛生法(National Mental Health Act)制定
1946 精神衛生局(United States Public Health Service )設立
1946 情報調査センター(後の国立精神衛生研究所 National Institute of Mental Hygiene Division )設立
1950 朝鮮戦争で多くの兵が精神疾患罹患
1955 精神衛生研究条例(Mental Health Study Act)
1955 精神疾患と精神衛生に関する合同委員会 設立
1961 合同委員会が精神衛生行動計画(Action for Mental Health )をまとめる
1977 カーター大統領の政権下大統領の諮問機関として「精神衛生調査委員会」(The Commission on Mental and Health)発足
1977 国立精神衛生研究所(NIMH)システムの開発奨励、資金援助を始める。
ACT (the program of assertive community treatment),クラブハウスモデル、など助成対象になる
1978 「精神衛生調査委員会」最終報告書
1978 バザック(Bassuk)調査=1973年のアメリカの精神障害者の総数は520万人.うちの320万人が地域で生活
1980 精神保健体系法 (Mental Health Systems Act)成立
◆Committee on Psychiatry the Community 1978 The Chronic Mental Patient in the Community the Group for the Advancement of Psychiatry=1980 仙波 恒雄・高橋 光彦 監訳 『アメリカの精神医療』 星和書店
「この原著“The Chronic Mental Patient in the Community”を入手したのは、1979年9月、日本精神病院協会の全米精神医療視察団の一員としてニューヨークに立ちよったときである。今まで日本で想像していたものよりはるかに激しい“病院医療から地域医療への変換”(deinstitutonalization monvement:脱施設化運動)に大きな衝撃を受け、これらの現象をもたらしたアメリカ精神医療の実情を包括的にまとめたものはないかと数多く持ち帰った資料を整理しているうち、本書が多角的に現状を分析、解読してあり、アメリカ精神医療の今日を知る格好の書であるように思い、選書した」p8
入院患者が減少した理由には2つある。第1は、1955年からアメリカでもphenothiazineを主とするneurole-pticaが使い始められ、外来治療が容易になったことであり、第2は1962年から、John F. Kennedy元大統領の発案によりCommunity Mental Health Center (地域精神医療センター、CMHC)という構想が打ち出され、患者はできるだけ地域社会で面倒をみるようになったことである。[……]
とくに著しいのは、州立精神病院あるいは群立病院の患者の減少である。アメリカの州立病院の規模は日本より大きく3,000から7.000人ぐらいの患者を収容しているが、過去10年間で約35の州立病院が閉鎖になった。
CMHCについてふれると、最初Kennedyが出した計画では全米各地に合計2.000ヶ所作る予定であった。しかし現実には、1981年の統計によると約800しかつくられておらず、しかもそのうち約150は活動していない。この主な理由は予算不足ということもあるが、CMHCで働く意思が少ないことに一番の問題があるようである。[……]
CMHCに関連した動きの一つとして、アメリカでは4,5年前から、患者をできるだけ地域社会にもどすためにDeinstitutionalization(退院促進)を強力に行っているが、このことについての正式な議論が行われた。肯定派と否定派に分かれて1時間にわたり議論が展開され、聴衆の60%が失敗している方に、40%が成功している方に賛同していた。
失敗とみる主な理由は、病院から出された患者を受け入れる中間施設が不十分な点にある。すなわち、十分なスタッフと管理のゆきとどいたHalfway House やBoarding House,あるいはDay Care Centerなどの不足である。日本においても5年、10年先に同様の現象が起こるのではないかと思われる。そのさい、中間の受け入れ施設をしっかり作っておかないと、アメリカの二の舞になるおそれがある。(アメリカン。サイアナミッド社レダリー研究所臨床研究部次長)
私見では、精神衛生法改正改正を含めて、精神科医療の問題で最も重要なことは、患者がどのような質の生活をし、どのような質の治療をうけているかということである。この二点quality of life,quality of treatmentについては、入院患者であろうが、地域ケア、外来通院の患者であろうが、共に質のよいものが保障されなければならない。
精神衛生法の改正にあたって、前者については法を福祉的方向と施策とを明らかにすることが大切であろう。この点を見逃すと、アメリカ、イタリアの脱病院化におけるように、bag pepleの増加をきたすことにもなろう。
後者についてみれば、いわゆるハード面では精神病院の建築、設備の向上、改善が必要となる。アメリカにおけるワイアット対スティクニー裁判におけるジョンソン判事の基準が、わが国の医療費、生活習慣の上かみて妥当なものであるかどうかは別としても、このような判決もあることを留意すべきであろう。p362 (都立松沢病院)