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反・貧困(所得保障/生活保護/…)2008 6月



◆2008/06/02 「大阪市西成区で火災、住人1人が死亡」(日刊スポーツ)
◆2008/06/02 「青年自らが貧困考え、闘うことが大事 「第1回現代政治学講座」」(京都民報)
◆2008/06/03 「栃木・日光市が「父子手当条例」 ワーキングプアの家庭を支援へ」(産經新聞)
◆2008/06/03 「減反モッタイナイ 町村発言波紋」(産經新聞)
◆2008/06/03 「こんな働き方で"いいことないよ!" 青年雇用アンケート」(京都民報)
◆2008/06/04 「県内全市町に被害者窓口 福祉、住居など支援 意識啓発へ」(下野新聞)
◆2008/06/04 「教育現場に福祉相談員 13市町教委配置」(佐賀新聞)
◆2008/06/04 「歯科助成始まる、上越・妙高」(新潟新報)
◆2008/06/04 「110番・119番:生活保護費の不正受給容疑で女を逮捕 /大阪」(毎日新聞)
◆2008/06/05 「いじめ、中1で顕著 19年度の群馬県内相談件数」(産經新聞)
◆2008/06/06 「市民バス運賃200円上げ 甲州市、6月議会に改正案提出へ」
◆2008/06/06 「ホームレス更正支援へ情状出廷6年 神戸のNPO代表」(神戸新聞)
◆2008/06/07 「アイヌ民族:先住民決議 厳しい生活実態、実効性ある施策を /北海道」(毎日新聞)
◆2008/06/08 「母の日・父の日募金キャンペーン:「あんたの家はここ」独り立ち支える自立援助ホーム」(毎日新聞)
◆2008/06/09 「低所得者の機器購入を支援 地デジ推進で対策骨子」(共同通信)
◆2008/06/10 「生活保護10年連続増/鹿県内07年度」(南日本新聞)
◆2008/06/10 「少ない地域との接触-児童虐待個別調査」(奈良新聞)
◆2008/06/10 「大阪市:公金紛失などで職員処分 痴漢で逮捕も減給だけ /大阪」(毎日新聞)
◆2008/06/10 「批判受け通知「撤回」=生活保護の通院費−厚労省」(時事通信)
◆2008/06/10 「「事実上撤回」生保受給者の通院交通費の削減通知」(キャリアブレイン)
◆2008/06/11 「地デジ受信機支給へ 生活保護107万世帯に」(朝日新聞)
◆2008/06/11 「九重町 賃貸住宅の家賃助成 6月議会に条例改正案 若者の定住促進狙う」(西日本新聞)
◆2008/06/11 「諮問機関違法に設置条例基づかず・・・北九州市」(読売新聞)
◆2008/06/11 「介護ビジネス:「コムスン」から1年/中 競争、規制…遠い「安心」」(毎日新聞)
◆2008/06/11 「希望と回復の物語 土井ホーム里親 土井高徳さん 「神様からの贈り物」出版」(西日本新聞)
◆2008/06/11 「子育て裁判員には保育園を紹介」(新潟新報)
◆2008/06/11 「「横領」3回、ようやく免職=東京都青梅市」(時事通信)
◆2008/06/11 「夕張市の赤字額、計画比3億7000万円減 07年度の速報値」(日本経済新聞)
◆2008/06/12 「社会保障費の抑制 国は撤回すべきだ 介護、医療の現場も反発」(中日新聞)
◆2008/06/12 「那覇市、8人分打ち切り/生活保護の通院交通費」(沖縄タイムス)
◆2008/06/12 「北九州市議会:北橋市政支える審議会設置、議員と市側が論戦 /福岡」(西日本新聞)
◆2008/06/12 「マニフェスト達成でも6年後の累積赤字933億円 大阪市」(産經新聞)
◆2008/06/12 「「おにぎり食べたい」と餓死 福祉事務所長、不起訴」(産經新聞)
◆2008/06/13 「人からの信用がご褒美
平成20年度神奈川県県民功労表彰を受賞した菊池 てる子さん」
(タウンニュース)
◆2008/06/13 「札幌駅前バスターミナル:ホームレス締め出し サミット前 寝泊まり禁止に」(毎日新聞)
◆2008/06/13 「生活保護辞退の男性孤独死、前福祉事務所長を不起訴」(読売新聞)
◆2008/06/13 「ヤミ金判決 被害者救済の強力な武器に」(愛媛新聞)
◆2008/06/13 「「ヤミ金」判決 撲滅への第一歩としたい」(琉球新報)
◆2008/06/13 「脱北女性、総連を損賠提訴…大阪地裁に/読売・関西」(読売新聞)
◆2008/06/13 「市民団体の請求退ける 滝川市の保護費詐欺事件」(共同通信)
◆2008/06/14 「都市の「限界集落」、自治体運営… 地域課題探る研究大会 「改革派」元知事ら討論 公共政策学会」(西日本新聞)
◆2008/06/23 「外国籍の子どもに「学習権」の保障を」(公明新聞)
◆2008/06/23 「市が3460万賠償請求 滝川の生活保護費詐欺」(共同通信)
◆2008/06/23 「生活保護世帯への地デジチューナ配布などを取りまとめ−デジコンの取りまとめは後日。情報通信政策部会開催」(AV Watch)
◆2008/06/23 「ペットの餌代のためコンビニに押し入った「イヌ男」を逮捕、大阪府警」(AFP)
◆2008/06/23 「総務省、地デジチューナーを無償支給 生活保護世帯対象に」(日本経済新聞)
◆2008/06/24 「地上デジタル放送:支援、経済的弱者に配慮 「ばらまき」の批判も」(毎日新聞)
◆2008/06/24 「最低賃金 貧富の格差の早期是正を」(琉球新報)
◆2008/06/24 「この人に聞きたい:NPO法人「地域精神保健福祉機構」代表・宇田川健さん /千葉」(毎日新聞)
◆2008/06/24 「道内生活保護世帯、昨年度は過去最多の9万3,541世帯」(BNN)
◆2008/06/24 「北九州市:生活保護受給者の就労支援 対策チーム、民間専門職の導入提案 /福岡」(毎日新聞)
◆2008/06/24 「非正規増加で負担増20兆円 老後の生活保護費で試算」(共同通信)
◆2008/06/24 「母子生活支援施設を建設へ/相模原市」(神奈川新聞)
◆2008/06/24 「二十代・アキバ献花台発:/上 孤独、焦り…思い重ね」(毎日新聞)
◆2008/06/25 「二十代・アキバ献花台発:/中 薄氷踏む、派遣の生活」(毎日新聞)
◆2008/06/25 「医療保険「積み立て方式導入を」 財務省研が報告書」(日本経済新聞)
◆2008/06/25 「働く者が誇りなくす社会」(東京新聞)
◆2008/06/25 「最低賃金上げ 中小企業への支援が重要」(山陽新聞)
◆2008/06/25 「基準変更で現場混乱 保護費受給者の通院交通費」(産經新聞)
◆2008/06/25 「元組員夫婦に懲役13〜8年=生活保護2億詐取、「予算食い物」−札幌地裁」(時事通信)
◆2008/06/25 「室蘭市の累積赤字、昨年比31億円圧縮も健全化険しく」(室蘭民報)
◆2008/06/25 「生存権訴訟:老齢加算廃止巡り 26日東京地裁で判決」(毎日新聞)
◆2008/06/25 「事件事故裁判:市職員の胸元つかみ現行犯逮捕 /山口」(毎日新聞)
◆2008/06/25 「病院未収金・保険運営者が徴収」(産經新聞)
◆2008/06/25 「「妥当な判決」と滝川市長=元組員の生活保護詐欺事件で」(時事通信)
◆2008/06/26 「20年前への感謝、恩返しの寄付金で車イス披露 取手市」(産經新聞)
◆2008/06/26 「大阪市、府の維新プラグラムで4億6000万円の影響」(産經新聞)
◆2008/06/26 「07年県警DV相談 人口比で全国最多」(琉球新報)
◆2008/06/26 「老齢加算廃止は適法=「生存権侵害」認めず−生活保護受給者ら敗訴・東京地裁」(時事通信)
◆2008/06/26 「老齢加算廃止は合法 生存権侵害は認められず」(産經新聞)
◆2008/06/26 「7地裁の訴訟にも影響必至 老齢加算廃止「適法」判決」(産經新聞)
◆2008/06/26 「保護費不正受給で逮捕へ 通院100キロタクシー往復」(共同通信)
◆2008/06/26 「火災警報機設置助成率0・37%/相模原市がPR強化へ」(神奈川新聞)
◆2008/06/27 「非行少年を更生支援 田辺署が補導センターと連携」(紀伊民報)
◆2008/06/27 「生活保護費不正受給:群馬まで100キロ、タクシーで通院 埼玉・深谷市が組員告発」(毎日新聞)
◆2008/06/27 「「裏切られた」、原告控訴の方針 老齢加算廃止訴訟」(日本経済新聞)
◆2008/06/27 「老齢加算訴訟 「生存権」が心配になる」(信濃毎日新聞)
◆2008/06/27 「生活保護の老齢加算廃止は合憲 東京地裁」(神戸新聞)
◆2008/06/27 「生活保護費不正受給:一部、組に上納か 元組員ら逮捕」(毎日新聞)
◆2008/06/27 「生存権訴訟:東京地裁請求棄却 「問題点検証し、京都に生かす」 /京都」(毎日新聞)
◆2008/06/28 「島根県営住宅の入居を抽選制に変更」(山陰中央新報)
◆2008/06/28 「給食費:未納対策 那覇市内全校長にアンケート実施へ」(琉球新報)
◆2008/06/28 「どう喝が怖かった 深谷市が釈明 生活保護不正受給」(埼玉新聞)
◆2008/06/28 「鹿児島の妻絞殺:妻の依頼で殺人の被告、懲役3年の判決−−地裁 /鹿児島」(毎日新聞)
◆2008/06/29 「県内生活保護世帯が55年ぶりに1万世帯を突破した」(下野新聞)
◆2008/06/29 「[老齢加算廃止]現実を直視した判決か」(沖縄タイムス)
◆2008/06/30 「最低賃金改定 働く貧困層を無くそう」(中日新聞)
◆2008/06/30 「最低賃金:引き上げ、労働局に要請書−−県労会議 /群馬」(毎日新聞)
◆2008/06/30 「視覚障害詐欺事件 全盲を装った男が福祉サービスの詐欺も否認」(BNN)
◆2008/06/30 「威力業務妨害:大阪・富田林市役所に車突っ込む 男を逮捕」(毎日新聞)
◆2008/06/30 「知的障害者をサポート 成年後見NPO誕生へ」(岩手日報)
◆2008/06/30 「中長期の最低賃金水準を議論 厚労省審議会で議論開始」(朝日新聞)
◆2008/06/30 「「高卒初任給並み」争点=中央最低賃金審が初会合」(時事通信)
◆2008/06/30 「最低賃金:中央の審議開始 7月中をめどに目安額提示」(毎日新聞)



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◆「大阪市西成区で火災、住人1人が死亡」
 http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20080602-367194.html
 大阪市西成区玉出西2丁目の4階建てマンションで1日未明、住人1人が死亡する火災があり、西成署は同日深夜、重過失失火の疑いでこのマンションに住む無職森田光男容疑者(81)を逮捕した。
 調べでは、森田容疑者は1日午前2時ごろ、2階の自室でろうそくを倒し、いったんは手でたたいて消し止めたと思い込み外出。火は再び燃え上がり、室内約15平方メートルを焼いた。死亡したのははす向かいの部屋に住む男性(78)で、煙を吸ったとみられる。
 森田容疑者は生活保護を受けており、料金滞納で電気を止められ、缶詰のふたにくぎを立てた自作のろうそく立てを使っていたという。
 [2008年6月2日2時47分]




◆「青年自らが貧困考え、闘うことが大事 「第1回現代政治学講座」」
 http://www.kyoto-minpo.net/archives/2008/06/02/post_1797.php
2008年06月02日
 民青同盟京都府委員会と日本共産党京都府委員会は5月31日、京都市内で第1回「現代政治学講座 新自由主義と日本の格差社会化〜今日の時代をどう学び生きるか〜」を開き学生や社会人など青年35人が参加しました。
 生活保護問題対策全国会議代表幹事で弁護士の尾藤廣喜、神戸女学院大学教授の石川康宏の両氏が講演しました。
 尾藤氏は、貧困や格差が広がる現状を紹介し、「若い人たちが貧困の問題に取り組み、自分たちの問題を自分たちでうったえることは大切」と述べました。
 石川氏は、兵庫県の労働組合が「30で親からもらうお小づかい」「国保料立て替えといてお母さん」「弟と並んで行く先派遣先」と作った川柳を紹介し、「こういう状況を笑い飛ばして闘う力が青年にはある」と話しました。
 参加者からは「ドイツの日本経団連のような組織は日本の非正規雇用についてどう考えているのか?」「生活保護はどこで相談に乗ってもらえるか?」などの質問が出されました。
   ◇
 「現代政治学講座」は、毎月1回第4土曜日に定期開催する予定。
 第2回は、6月28日14時から機関紙会館5階にて開きます。日本共産党の森原公敏国際局次長が、「世界の窓から見た日本」と題して講演します。




◆栃木・日光市が「父子手当条例」 ワーキングプアの家庭を支援へ
 http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/tochigi/080603/tcg0806030300001-n1.htm
2008.6.3 02:59
 栃木県日光市は、母親がいない父親と子供、あるいは母親に重度の障害がある父親と子供の世帯「父子家庭」に対し、経済的援助を定めた「父子手当条例」の制定を決めた。市議会6月定例会に提案し、可決されれば7月から施行する。
 「働いて収入があっても生活が苦しい」というワーキングプアが社会問題となる中、市は生活に困っている父子家庭を対象に独自の支援策を盛り込んだ。
 経済的に困窮する母子家庭への支援は、児童扶養手当法で定められており、市内でも全母子家庭約730世帯のうち、約640世帯が支給を受けている。しかし、同法は父子家庭を対象外にしており、「父子家庭の経済問題」については全国的に問題が置き去りになっていた。
 対象は市内全父子家庭約90世帯のうち、約40世帯と見込まれている。条例案は、母子家庭への支援内容にほぼ準じ、年間所得230万円未満の父子家庭に対し、月額9850〜4万1720円を年3回に分けて支給する。第2子がいれば月額5000円、第3子からは同3000円が増額される。ただし、生活保護世帯は支給の対象外。
 市子育て支援課によると、同様の制度は平成14年7月、鹿沼市が全国で初めて実施し、現在8自治体で実施されている。日光市が始めれば、県内で2番目となる。




◆「減反モッタイナイ 町村発言波紋」
2008.6.3 19:13
 http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080603/stt0806031915003-n1.htm
 町村信孝官房長官が5月31日の講演で、「世界で食糧不足の国があるのに減反しているのはもったいない。減反政策を見直せば、世界の食糧価格高騰に貢献できるのではないか」と発言したことが、自民党内で波紋を広げた。
 発言に猛反発したのは自民党農水族ら。加藤紘一元幹事長は「コメを海外に援助しようとの考えだが、生活保護を受けている家が町内の祭りに10万円寄付するような話だ」とかみついた。3日の党役員連絡会でも武部勤元幹事長が「米価が暴落する可能性もあるので発言は慎重にしてほしい」と批判。伊吹文明幹事長も同日の記者会見で「長期的に正しくても短期的な政策だと誤解を与えてしまえば農業政策は成り立たない」と不快感を表明した。
 これを受けて、町村氏は同日の記者会見で「今年すぐにやるとは言っていない」と釈明した。





◆「こんな働き方で"いいことないよ!" 青年雇用アンケート」
 http://www.kyoto-minpo.net/archives/2008/06/03/post_1821.php
2008年06月03日
 山科区、東山区、左京区の働く若者がつくる「青年雇用シンポ実行委員会」は、人間らしい働き方・生き方を考えるシンポジウム「こんな働き方で委員会!?」(8日午後2時から京都国際交流会館)に向け駅頭や街頭、コンビニやファーストフード店などで「青年雇用アンケート」を実施しています。
 5月31日のアンケート活動には10人が参加。同企画でシンポジストを務める日本共産党の原としふみ京都2区代表が、日雇い派遣で働く若者の実態や日本共産党が提案している派遣労働者保護法を紹介し、雇用アンケートへの協力と企画への参加を呼びかけました。
 同会はこれまでに106人分のアンケートを集め、「今の仕事を続けていけるか不安」「働けなくなったらどうしよう」という声が多く寄せられています。
 ある20代の女性は、平日は朝7時に仕事を始め夜9時半頃まで仕事をして、帰宅しても夕食をとって入浴したら眠るだけの生活。週に約20時間残業していますが残業代は出ません。「今の収入や働き方で、あきらめていることはありますか?」の問いに、「結婚・子ども」と回答し、「会社はサービス残業させすぎ。周りの女性はこのままではイヤと退社していく。働きながら子育てをするイメージがわかない」と、意見を書いています。
 妻子と暮らす30代の男性は、週6日働き約10時間の残業をしていますが、残業代は出ないことが多く、年収は300万円以下。「子どもの学費が支払えるか心配」と将来に不安を感じています。
 また同会のメンバーが、全国チェーンのファーストフード店の店長を訪問。名目だけでほとんど権限がなく、残業代も支払われない『名ばかり店長』のことを知っているかと聞くと、「テレビで話題になっていましたね」と対話になり、この店長も週約30時間の残業をしていますが、残業代は支払われていないことがわかりました。




◆県内全市町に被害者窓口 福祉、住居など支援 意識啓発へ(6/4)
http://www.shimotsuke.co.jp/hensyu/news/php/s_news.php?f=k&d=20080604&n=2
 犯罪被害者を支援するための担当窓口が二日までに、県内三十一市町すべてに設けられた。被害者に身近な市町の窓口が生活保護や住居などの相談に応じ、各担当部署に連絡して早期に的確なサポートを行う。市町と関係機関の間で被害者の相談情報を共有化する「連絡票」も活用する。ただ、市町にはまだ被害者支援が浸透していないのが実情で、県は六月五日に全市町の担当者を集めて研修会を開き、意識啓発を図る。

 犯罪被害者等基本法に基づく国の基本計画は、自治体に対し、支援窓口の設置や公営住宅の優先入居、福祉サービスの提供などを促している。

 県は二〇〇六年十月、被害者支援総合窓口を開設。相談内容に応じて担当部署や関係機関を案内する態勢を整えた。ただ、被害者が実際に相談をするのは居住する市町であるケースが多く、被害者からは市町への担当窓口開設が望まれていた。

 県内市町の窓口は、主に総務や生活安全、危機管理、福祉などの担当課に置かれた。

 各市町の窓口は、県が今年から全国に先駆けて導入した「被害者支援連絡票」を活用し、相談を受けた内容を県や被害者支援センターとちぎに伝え、相互に連携して対応する。

 内閣府犯罪被害者等施策推進室は「被害者に身近な市町が適切に支援することが重要だが、被害者のことは警察の範ちゅうというイメージがあり、市町にはまだなじみが薄い」と課題を挙げる。

 県くらし安全安心課が開く市町の担当者向け研修会は、被害者支援センターとちぎや県警犯罪被害者対策室が協力。講演のほか、被害者に関するパネルや被害者の等身大オブジェを会場に展示する。

 講師を務める同センターの和気みち子事務局長は「全市町に窓口ができたことは喜ばしい。ただ、全国には支援専門の担当者を置いている自治体もある。県内では今後さらに取り組みが必要。被害者の声を聞き、理解することから始めてほしい」と話している。





◆教育現場に福祉相談員 13市町教委配置
 http://www.saga-s.co.jp/view.php?pageId=1036&blockId=923671&newsMode=article
 子どもの家庭環境の問題解決を福祉面からサポートするスクールソーシャルワーカー(SSW)が本年度から県内13市町教委で導入される。教員だけで対応できなかった経済的困窮などの問題を福祉のプロとして助言、相談に乗るなどして支援。子どもの心理面をサポートするスクールカウンセラーなどと連携して多面的に問題解決に取り組む。
 SSWを導入するのは、佐賀、唐津、鳥栖、伊万里、武雄、鹿島、小城、嬉野、神埼の9市と白石、吉野ヶ里、有田、江北の4町。国の委託事業で全額補助を受け配置。自治体ごとに人数や配置形態は異なるが、社会福祉士、福祉関係の経験者らが原則、毎月16日間、対応に当たる。
 4月からスタートさせている唐津市では、社会福祉士の資格を持つ2人を市青少年支援センター内の子育てや青少年相談の窓口に配置。ケースごとに生活保護や就学援助の制度案内のほか、行政、福祉施設などの関係機関への紹介も行うなどコーディネーター役を担う。家庭環境の問題によって不登校になるケースもあるだけに、同市学校教育課は「不登校に関する各学校のヒアリングをした上で本格的に動いてもらう」という。
 嬉野市では、7月から不登校の児童生徒の学校復帰を支援する適応指導教室など2カ所に計3人を配置。杉崎士郎教育長は「家庭と学校との橋渡し役が期待され、学校で対応できなかった家庭環境の問題も第三者の立場から改善を図ることができる」としている。
 スクールソーシャルワーカー 教育、福祉の両面で専門知識を持ち、福祉や医療、行政などの関係機関と連携しながら子どもとその家庭が抱える問題の解決を図る。児童生徒の問題行動の背景に、家庭や地域など周辺環境の問題があることから、総合的な問題解決を図ろうと、文科省が本年度から全国114地域で配置事業を進めている





◆歯科助成始まる、上越・妙高
 http://www.niigata-nippo.co.jp/pref/index.asp?cateNo=2&newsNo=110896
 上越、妙高両市の成人を対象とする歯科検診費用助成制度が今月から始まった。上越地域では糸魚川市が2007年度から先行導入した制度で、生活習慣病との関連が指摘される歯周病やむし歯などの早期発見・治療を通じて、健康維持につなげるのが狙い。上越、妙高両市は「健康への意識を高めるきっかけになる」と期待を寄せるが、働き盛りで時間的な余裕がない30歳―40歳代がどれだけ受診するかなど効果のほどは未知数だ。
 両市の制度は35歳から5歳刻みで60歳までの市民を対象に、検診費用(2000円)の4分の3を補助するもの。個人負担は500円で済む。生活保護世帯は全額が助成される。
 両市がそれぞれ検診を委託した上越市85、妙高市12の歯科医院で受診できる。
 上越市民が妙高市の歯科医院で検診を受けることも可能。妙高市民も上越市の歯科医院を利用できる。
 受診希望者はあらかじめ両市に申請。審査を経て自宅に決定通知書などが郵送される。
 上越市は約1万7000人、妙高市は約3000人が対象となる見込み。
 歯周病は成人の8割がかかっているとされる。自覚症状がないまま進行するケースが多く、頭痛や肩こり、肥満、糖尿病、高血圧などとの関連が指摘されている。
 ただ、歯科の場合、痛くならないと医院を訪れない人が多い上に、サラリーマンや子育て中の人など、検診を希望しながら実際に受診する時間を作れない場合も想定される。
 受診できる期間は上越市が12月31日まで。妙高市は来年3月31日まで。両市では「口内健康は多くの疾病の引き金となるだけに、受診してほしい」と積極的な受診を呼び掛けている。
 糸魚川市が昨春から始めた制度は、40歳から10歳刻みで70歳までの市民を対象に市が全額負担する。初年度は対象者2633人のうち118人が受診した。
新潟日報2008年6月4日





◆110番・119番:生活保護費の不正受給容疑で女を逮捕 /大阪
 http://mainichi.jp/area/osaka/news/20080604ddlk27040749000c.html
 夫が生活保護を受給できなくなった後も生活保護費を不正にだまし取ったとして、天王寺署は3日、大阪市天王寺区城南寺町、ホームヘルパー、敷田幸子容疑者(38)を詐欺容疑で逮捕した。
 調べでは、敷田容疑者は03年8月から夫婦で生活保護を受給。夫(71)が刑務所に服役していた05年3月〜06年2月、自分の分しか受給できないにもかかわらず、夫と同居しているように装い、同区保健福祉センターから夫の分の保護費計65万1610円をだまし取った疑い。
 夫は04年11月、銃刀法違反容疑などで逮捕され、実刑判決を受けた。ケースワーカーが自宅を訪ねた際、敷田容疑者は「夫は友達のところへ出かけている」とうそを言うなどしていたという。
毎日新聞 2008年6月4日 地方版





◆いじめ、中1で顕著 19年度の群馬県内相談件数
 http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/gunma/080605/gnm0806050232000-n1.htm
2008.6.5
 群馬県総合教育センターは、センター内の「いじめ緊急対策室」に、平成19年度中に寄せられた小中高校生のいじめ相談状況を発表した。電話やメールによる相談件数は延べ743件で、前年度より204件減少した。本人のほか、母親からの相談が多かった。センターは「小学校の高学年から中学校にかけてが、いじめの多い世代になっている」としている。
 相談件数を学年別にみると、中学1年生が101件で最も多く、学習や生活状況の変化になじめずに苦しむ、いわゆる「中1ギャップ」が顕著に表れた。次いで、中学2年生の69件、小学5年生54件などだった。相談者別では、本人が46・7%を占め、保護者は46・4%。インターネット環境が整備されるなど社会情勢の変化から、本人では、メールやFAXによる相談が6割以上となった。保護者のほとんどが電話による相談で、このうち約9割は母親によるものだった。
 いじめの形態別では、「言葉での脅し」が121件と最多。以下、「冷やかし・からかい」の97件、「仲間外し」の53件、「暴力を振るう」の50件などと続いた。
 相談件数の約6割が、一度のアドバイスなどで対応を終わらせたが、県警や県少年育成センターなどと連携して処理したことが22件あり、該当の学校や教育委に報告したケースもあったという。





◆市民バス運賃200円上げ
甲州市、6月議会に改正案提出へ
 http://www.sannichi.co.jp/local/news/2008/06/06/14.html
2008年06月06日(金)
運賃値上げの方針を決めた市民バス=甲州市塩山上塩後

 甲州市の田辺篤市長は5日、6日開会する6月定例市議会に提出する一般会計補正予算など19案件を発表した。条例関係では、10月から市民バスの運賃を200円値上げする改正案を提出する。バスを運行している民間業者への委託料の公費負担が年間8000万円以上になっているためで、厳しい財政下、運行継続には市民の負担増が避けられないと判断した。
 市市民生活部によると、市民バスは現在10路線で運行。1回当たりの運賃は区間に関係なく100円。65歳以上、障害者、生活保護者、中学生以下は無料となっている。
 10月から適用する改正案によると、新たに高齢者を有料化した上で、運賃を200円アップして300円とする。負担軽減措置として年間と半年のフリーパス券を発行、料金は60歳以上が3000円(半年は1500円)、59歳以下が1万円(同5000円)。利用者は2006年度が約17万5000人、07年度が18万6000人で年々増えているが、収入は無料利用者が多いため年間560万円前後で推移。委託料から収入を差し引いた約8800万円は、市の一般財源で補てんしている。同部は「市民サービスの一環として運行しているが、財政を圧迫しているのは事実。安定した運行を維持していくため、利用者に理解を求めたい」としている。





◆「ホームレス更正支援へ情状出廷6年 神戸のNPO代表」
ホームレス更正支援へ情状出廷6年 神戸のNPO代表 
 http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0001112918.shtml
罪を犯したホームレスらの情状出廷を続ける「神戸の冬を支える会」事務局長の青木さん=神戸市中央区、神戸地裁
 貧困ゆえに犯罪に手を染めてしまう被告人を弁護しようと、ホームレスを支援する特定非営利活動法人(NPO法人)「神戸の冬を支える会」(神戸市)事務局長の青木茂幸さん(52)が、情状面の酌量で刑の軽減を求める証人として、神戸地裁への出廷を続けている。六年間で約三十人の裁判に立ち会ってきた。「社会で孤立し、行き場のない人の現状を知ってほしい」と、司法に対し、路上にあふれる声なき声を訴える。
 五月二十二日、神戸地裁二一三号法廷。裁判官の求めに応じ、青木さんが証言台に立った。
 被告の男(50)の罪は器物損壊罪。神戸市立更生援助相談所で暮らし、派遣の肉体労働で月収は約四万円。執行猶予期間中にパチンコ店で、負けた腹いせにトイレのガラスを壊して逮捕された。所持金は二千五百円。全財産だった。
 青木さんは生活保護の受給手続きや、持病の治療など、自立支援策を述べ、弁護士は再度の執行猶予を求めたが、男に下されたのは懲役六月の実刑判決だった。
    ◇
 青木さんが初めて出廷したのは二〇〇二年。一九九八年から続ける支援活動を知った弁護士の依頼がきっかけだった。
 「五百円の弁当を万引した」「寒さをしのごうと倉庫に無断で入った」など、拘置所で面会した被告人の多くは重くはない罪。身元保証人がいれば釈放される場合がほとんどだが、身寄りがないために「自己中心的で短絡的犯行」と裁かれていく。支援活動で痛感した生活困窮者の自立の難しさ、受け皿のもろさを裁判官や検察官に訴えたかった。
 支援の末に社会復帰できたのは、まだ数人。簡易宿泊所を用意しても、いつの間にかいなくなったり、再び事件を起こしてしまう被告人もいる。
 弁護士からの出廷依頼は増え続ける。青木さんは「貧困だけが背景ではないが、高齢者の再犯も増えている。できる限り支援していきたい」と話す。(飯田 憲)
(6/6 14:06)





◆「空港見たかった」武蔵小金井→成田 タクシー無賃乗車で逮捕
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080606/crm0806061758030-n1.htm
2008.6.6
 金がないのにタクシーで成田空港に乗り付けたとして、千葉県警成田空港署は6日、詐欺(無賃乗車)の現行犯で、住所不定、無職の本宮二郎容疑者(31)を逮捕した。「空港が見たかった」などと供述しているという。
 調べによると、本宮容疑者はタクシー代を支払う意思がなく現金も所持していないのに、同日午前9時ごろ、東京都小金井市のJR武蔵小金井駅北口で立川市の男性運転手(67)のタクシーに乗車。千葉県成田市の成田空港第1ゲートの検問所まで走行させ、タクシー代3万1260円を踏み倒した疑い。
 本宮容疑者は航空機のチケットなども持っていなかった。「生活保護を打ち切られ、むしゃくしゃしてやった」とも供述しており、同署が動機を追及している。





◆アイヌ民族:先住民決議 厳しい生活実態、実効性ある施策を /北海道
 http://mainichi.jp/hokkaido/seikei/news/20080607ddlk01010283000c.html
 ◇知事「国と呼応し考える」
 6日の衆参両院でアイヌを先住民族と認めるよう政府に求める決議が採択され、政府も有識者懇談会の設置を明言するなど、アイヌの社会的・経済的な権利回復に向けた新しい取り組みが始まる。道が06年に行った実態調査では、アイヌは生活保護を受けている割合が平均より高く、決議に盛り込まれた「差別され、貧窮を余儀なくされた歴史的事実」が尾を引いていると見られる現状もある。今こそ、実効性のある施策が求められている。【高山純二】
 「アイヌの方々が北海道の先住民族だということは認識している。国の動きと呼応して、我々自身も、何をどのようにやっていくか考えなければならない」。高橋はるみ知事は6日の会見で、アイヌ関連施策の充実を検討する意向を示した。
 道は06年10月、アイヌの生活実態を把握し、施策のあり方を検討するため、アイヌを「地域社会でアイヌの血を受け継いでいると思われる人。また、婚姻・養子縁組などによりそれらの方と同一の生計を営んでいる人」と定義し、人口や生活実態を調べた。
 調査によると、アイヌは道内72市町村に2万3782人(8274世帯)が住む。ただ、北海道ウタリ協会は「不利益を被ると考えて手を挙げない人もいる」として、道調査の数倍はいると推計。道外に数千人が生活していると見ているものの、実態は不明だ。
 道調査では、生活保護を受けているアイヌの割合は1000人あたり38・3人で、平均(24・6人)との差は13・7人もあった。今も「仕事がなく、職場を確保できるよう保護策をしてほしい」(帯広市のアイヌ)という声が根強い。
 また、アイヌは高校進学率が93・5%、大学進学率が17・4%で、平均よりもそれぞれ4・8ポイント、21・1ポイントも低い。アイヌが必要としている対策(複数回答)では「教育の充実」が78・6%でトップ。このほか▽文化の保存と伝承(50・2%)▽生活と職業の安定(32・0%)▽住宅や生活環境の整備(18・7%)などと続いた。
 アイヌ語で「人」を意味する「アイヌ」の呼称は、差別された歴史を思い起こすとして、抵抗感があるとされる。調査では、この6〜7年に差別された経験のあるアイヌは2・1%で、経験のない人(72・3%)を大きく下回り、データ上は差別はほぼなくなった。しかし、「就職や結婚で今も差別がある」と訴えるアイヌも少なくない。
 高橋知事は決議について「社会的・経済的地位の向上に向け、国としてのアクションを起こす第一歩になる。それを促すと期待している」と述べた。
 ◇「アイヌ」を明確に−−北海道大アイヌ・先住民研究センター長の常本照樹氏
 国会決議の先にはいろいろなシナリオが考えられる。例えば、国会にアイヌ特別議席を設けることは困難でも、諮問会議などを設けて政策決定過程にアイヌの意見を反映させることはできる。ただし、これらを議論する有識者懇談会ができれば、アイヌ自身が何の権利を要求するのか具体的に示すことが求められる。アイヌ自身がアイヌの範囲を決め、権利の受益者を明確にしなければならない。また、交渉に責任を持てる全国的体制も必要になる。これらは、懇談会の検討の中身にもかかわってくる。この意味で、5月に国会請願を行ったアイヌ側にボールが投げ返されたとも言える。
 ◇少数意見の尊重を−−元国立民族博物館館長の佐々木高明氏
 国連宣言にあるように、少数民族は自決権を持っている。自決権といっても「北海道を(アイヌに)返還せよ」という主張は現実的ではない。また、国会にアイヌの特別議席を置くことも「すべて国民は法の下に平等」とうたう憲法の観点から見ても難しい。日本の実情に応じて、少数民族のどのような権利を実現させるか、国民的理解を積み重ねていく必要がある。世界的に見れば、日本人も少数民族だ。「少数だ」「多数だ」という議論は相対的なとらえ方でしかない。国際交流の進んだ現代だからこそ、少数の意見を尊重することは、やがて一人一人の権利擁護にもつながると考えるべきだ。
毎日新聞 2008年6月7日 地方版





◆母の日・父の日募金キャンペーン:「あんたの家はここ」独り立ち支える自立援助ホーム
 http://mainichi.jp/life/health/fukushi/news/20080608ddm013100188000c.html
 児童養護施設を出たり、家庭にいられない子どもが10代後半で働き、1人でアパートに住む−−。その困難さは計り知れない。そんな彼らを支えるのが自立援助ホームだ。仕事を見つけ、自分の足で立とうとする2人の声を伝えます。【柴田真理子】
 淳平さん(17)=仮名=が、栃木県内唯一の自立援助ホーム「星の家」に来たのは、定時制高校1年の夏。バイクを盗んで補導された。家に帰ることを拒んだところ、児童相談所から紹介された。
 「星の家で一番うれしかったのは、みんなで飯を食うこと。家ではいつも、1人だったから」。帰ると「おかえり」と言ってくれ、「今日学校で何やったの」と聞いてくれる。それがうれしかった。
 中学1年でバイクを盗み、非行をした子どもたちが入所する児童自立支援施設で卒業まで過ごした。いったん自宅に戻ったが、母と内縁の夫が暮らす家に居場所はなかった。ふさいだ気持ちを抱えているうち、再びバイクに手が出てしまった。
 星の家に来て飲食店で働いたが、2週間で「向いてないと思って辞めた」。次のカー用品店も翌年春、高校退学と同時に辞めた。そんなとき、ホーム長の星俊彦さん(54)が、知り合いの建築会社を紹介してくれた。「とりあえずやってみろ。作業着姿はかっこいいぞ」と。会社の寮に引っ越すとき、妻の美帆さん(43)は「ここを出ても、あんたの家はここだから」と言ってくれた。
 仕事はビルの足場作り。最初の5カ月は、鉄やアルミの材料をひたすら運んだ。初めて足場を組んだとき、緊張で足が震えた。「一歩間違うと命を失う。いかに自分の安全を保って上に行けるか」。そんなところにやりがいを感じる。就職してもうすぐ1年だ。
 「星の家に行ってなかったら、きっとまた盗みをした。どこかで自分を変えないとまた同じ。星の家でそう思えた」。将来の夢はトラック運転手。「ほんとのおやじがそうだったから」。やんちゃ坊主のような笑顔を見せた。
    *
 東京都内のある自立援助ホームは毎年、ホームだけの成人式を行う。ホームの先輩たちから受け継がれた青色の振り袖で出席した幸江さん(20)=仮名=は、涙が止まらなかった。「ここで大人になれてよかった」
 中学のころ、父の母への暴力が激しくなった。殴りつけ、髪の毛を引っ張る。母は心を病んだ。高校3年の夏、幸江さんは、5人の弟妹を残し、DV被害者らを受け入れる福祉施設で母と暮らし始めた。でも母は金銭感覚に乏しく、自宅にも帰りたがった。
 見かねた生活保護担当者に自立援助ホームを紹介され、高校の教師にも勧められた。「あなたがしっかりすることが家族のためにもなる。働いてお金をためて、将来家族を助けてあげなさい」
 ホームの職員と二人三脚で就職活動に取り組んだ。「私は何もできない」と言うと、「あなたは頑張ることができる」と励ましてくれた。高校卒業後、建築会社に就職し、設計などの仕事に携わってきた。16万円の給料からホームの寮費3万1000円、生活費4万円を引いた残りを貯金してきた。そろそろアパートを借りて、1人暮らしを始めるつもりだ。
 「もしここに来ていなかったら?」と尋ねると、こんな答えが返ってきた。「ここが大切過ぎて、来ていなかったらなんて考えられない」
 ◇運営資金は寄付、補助金頼み
 星さんが星の家を開いたのは、児童養護施設の職員時代、施設出身者が仕事を辞めては行き場をなくし、次々に家にやってきたから。「10代後半で突然、自立するのは無理。星の家で一緒に住む期間は、これから先を一緒に生きていくとっかかり」と長いスパンで成長を見守る。年間約2000万円の運営資金を寄付や補助金などでまかなう。
 自立援助ホームは、既存の児童福祉の枠組みで救われない子どものために、民間の手で増えてきた。97年に児童福祉法で国の事業として位置づけられたが、07年度で全国49カ所にとどまり、26道県は一施設もない。
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 ◇母の日・父の日募金の送り先
 現金書留は〒100−8051 東京都千代田区一ツ橋1の1の1 毎日新聞東京社会事業団。郵便振替は、00120・0・76498。「母の日・父の日募金キャンペーン」と明記し、よろしければ送金の際、寄付への思いやメッセージを添えてください。各地域面にお名前と金額を掲載しますので、匿名を希望される場合はその旨を明記してください。問い合わせは同事業団(電話03・3213・2674)へ。
毎日新聞 2008年6月8日 東京朝刊




◆低所得者の機器購入を支援 地デジ推進で対策骨子
 http://www.47news.jp/CN/200806/CN2008060901000539.html
 総務省は9日、地上デジタル放送総合対策本部の会合を開き、2011年7月に地上デジタル放送への完全移行を達成するための総合対策骨子をまとめた。生活保護世帯など低所得者がデジタル対応機器を購入する際の財政的支援や、広報の強化などが柱。ことし夏までに細部を詰め、09年度予算で要求する。
 骨子では、低所得者対策として、デジタルチューナーなどの受信機器購入に対する支援を明記。ビル陰などによる電波障害対策のため設置している都市部の共同受信施設のデジタル化への支援など、予算措置が伴う対策を入れた。
 放送事業者側の中継局などの整備が間に合わず、デジタル放送を見ることができない地域を対象に、衛星を活用した放送を準備することも盛り込んだ。
2008/06/09 17:36 【共同通信】





◆生活保護10年連続増/鹿県内07年度
 http://www.373news.com/modules/pickup/index.php?storyid=11085
(2008 06/10 07:57)
 2007年度に鹿児島県内で生活保護を受けた人は2万6413人で、10年連続で増加したことが、9日までに分かった。人口千人当たりの被生活保護人員を表す保護率は15.1となり、9年連続で上昇した。数値はいずれも年度平均。
 県社会福祉課は「被保護世帯の半数近くは、家族の扶養を受けられなかったり、年金だけでは生活費が足りない高齢者世帯。高齢化の進行が保護人員増加の主な要因となっている」と分析している。
 県内の被生活保護人員は1963年度をピークにいったん減少、97年度に過去最低となったが、98年度から上昇に転じた。保護人員が2万6000人台に乗ったのは、88年度以来19年ぶり。保護率が15を上回ったのは87年度以来20年ぶり。
 08年4月現在、県内の被生活保護人員は2万6339人。鹿児島市が最多で1万1525人。次いで奄美市2945人、霧島市1380人。保護率は瀬戸内町が最も高く68.5。次いで大和村64.6、奄美市62.6などとなっている。
 生活保護は、基準額と収入の差を生活保護費として支給する制度。08年度の基準額は、標準3人世帯(33歳男性・29歳女性・4歳子ども)の場合、鹿児島市で14万7580円。





◆少ない地域との接触-児童虐待個別調査  (2008.6.10 奈良新聞)
 http://www.nara-np.co.jp/n_soc/080610/soc080610b.shtml
 奈良市月ケ瀬で今年3月に発生した児童虐待事件を受けて県が設置した「県児童虐待等調査対策委員会」(委員長・加藤曜子流通科学大学教授、19人)の第2回会合が9日、県庁内で開かれた。全国的に珍しいとされる個別調査結果報告では、虐待家庭は地域との接触が少なく、生活保護を受けている家庭が多いことが明らかにされた。
 今回は、虐待の原因・要因を検討するために調査分析が必要として、児童虐待の平成19年度の県内相談件数1228件を対象に、各市町村や県子ども家庭相談センターに依頼して、個別ケースの調査結果を報告した。調査は児童相談所などの記録や資料から関係者に記入してもらう方法で実施。期間は今年4月17日から5月2日まで…
 〜この続きは本紙をご覧下さい〜





◆大阪市:公金紛失などで職員処分 痴漢で逮捕も減給だけ /大阪
 http://mainichi.jp/area/osaka/news/20080610ddlk27010797000c.html
 大阪市は9日、生活保護受給者から返還を受けた生活保護費6万8200円を自分の机の引き出しに放置し紛失した旭区役所の男性職員(46)と、JR阪和線の快速電車内で女性の下半身を触るなどして逮捕された港区の男性職員(52)=4月に起訴猶予=をいずれも減給3カ月の懲戒処分にしたと発表した。
 また、夜行バスとレンタカーを使用するなど出張命令とは異なる交通手段と経路で群馬県に出張した財政局の男性職員2人(43歳と44歳)を減給1カ月にした。他に、過去の職場の情報システムに他人のIDとパスワードで侵入し、元同僚の悪口を書き込んだ財政局の女性職員(44)を減給1カ月、昨年7月に無断欠勤で処分を受けたのに、それ以降も13日間の無断欠勤をしていた環境局の男性職員(41)を停職1カ月とした。【田中龍士】
毎日新聞 2008年6月10日 地方版





◆批判受け通知「撤回」=生活保護の通院費−厚労省
 http://www.jiji.com/jc/zc?k=200806/2008061001027
2008/06/10
 厚生労働省は10日、生活保護受給者に支給する通院交通費「移送費」の支給要件について、4月に出した都道府県への通知を改めると発表した。受給者の支援団体などから「給付範囲が限定的になる」といった批判が出たためで、舛添要一厚労相は同日の記者会見で「事実上、撤回と同じような効果を持つ。必要な医療が受けられなくなるのではという受給者の不安を解消したい」と述べた。
 北海道滝川市で元暴力団員らが通院費を不正に請求した事件を受け、同省は4月、移送費を支給する場合、災害現場からの緊急搬送などを除き「例外的給付」とすると通知。例外的給付の具体例として、「へき地で公共交通機関を使っても高額になる場合」などを挙げた。





◆「事実上撤回」生保受給者の通院交通費の削減通知
 http://www.cabrain.net/news/article/newsId/16529.html
 舛添要一厚生労働相は6月10日、厚労省が今年4月に都道府県などに対して出した、生活保護受給者が医療機関などに通院する際の交通費の支給基準などを厳格化する内容の通知について、解釈を柔軟にする内容の通知を同日付で出す意向を表明した。厚労相は記者会見で、「事実上、(通知の文言が)不明確、不親切だったり、解釈があいまいだったり、それが自治体の側の独自の解釈となっている。今回の通知はそういうことがないように明確になっており、事実上撤回と同じような効果を持つ」と述べた。(熊田梨恵)
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「医療費無料相談室」を開設−神奈川県保険医協会
非正規雇用で生活保護20兆円−シンクタンク試算
「国保死亡事例」18都府県で31件
 今年2月に北海道滝川市で発覚した、元暴力団員がタクシー代などの交通費として「通院移送費」約2億円を不正受給していた問題などを受け、厚労省は4月、都道府県などに対し、生活保護受給者が医療機関に通院する際に医療費とは別に支給される通院移送費について、支給の基準や範囲を厳格化する内容の社会・援護局長通知「生活保護法による医療扶助運営要領について」を出していた。
 舛添厚労相は「生活保護受給者には、必要な医療を受けられなくなるという不安を抱いている方がいるので、そういったことはないとはっきり書き、不安を解消したい。(通院)移送費の問題で必要な医療を受けられなくなることはない」との認識を表明。通院移送費の支給基準や範囲について、夜間で電車やバスなどがない時間のタクシー利用も検討できるようにするなど、解釈を柔軟にする内容の社会・援護局保護課長通知を同日付で作成したことを明らかにした。その上で、福祉事務所のケースワーカーなどに通知内容の周知徹底を図るとの方針を示し、「一番大事なのは、生活保護受給者が必要な医療を受けられないことがないよう(にすることで)、その趣旨を徹底させたい。担当者が直接出向いて、ケースワーカーを集めて意見交換し、周知を図る」と述べた。また、「滝川の事件のような不正は許さない」と述べ、不正受給を厳しく取り締まる方針を示した。
 さらに、4月の厚労省通知について、「(毎年の社会保障費)2200億円(削減)が底流にあるのでは」との質問に対し、「まず2200億円でなく国民の命を守るために何ができるか、国民に提示するのが正当なプロセス。福田内閣の政策が転換するよう努力する」と答えた。
■「生活費削らないと病院に行けない」
 それまでの支給基準と範囲は「移送に必要な最小限度の額で、入院・転院・退院・通院に係る交通費」とされていたが、新基準では、原則として国民健康保険で支給される移送範囲である▽災害現場などからの緊急搬送▽離島などからの搬送▽移動困難な人の転院▽移植のための医師派遣、臓器などの搬送―に限定した。例外はあるものの、個別に内容を審査するとした上で、▽身体障害者などで、電車・バスの利用が困難な場合▽へき地などで交通費が高額になる場合▽検診命令による受診▽医師の往診などに係る交通費―などに限定。医療機関の所在地は、原則として生活保護受給者を担当する福祉事務所管内とし、「医師の意見、嘱託医協議などを基に、給付の必要性を十分に検討」して支給を決定するとしていた。自治体から支給が認められなかった場合は、受給している生活保護費から交通費を工面することになるが、現在は移行期間で、7月から制度の運用を始める予定だった。
 新基準について、厚労省は「どの程度を支給するかは自治体の判断」としているが、生活保護受給者などからは、「支給基準や範囲が大幅に狭められる。もともと生活費を切り詰めているのに、通院移送費が出なくなっては病院に行けなくなる」などとして、通知の撤回を求める声が上がっていた。
■自民議員らが撤回の要望書
 こうした状況を受け、自民党内の有志の国会議員ら23人が同日、国会内で舛添厚労相に対し、通知の撤回などを求める「生活保護通院移送費の通知撤回を求める要望書」を提出。世耕弘成参院議員は記者団に対し、「自治体の基準もあいまいで、本来の生活保護と本末転倒な内容になっている。細々と生活している人の生活費が切り詰められるようなことがあってはならない」と語った。
 新しい通知は、「受給者の個別事情に配慮し、適切な手続きにのっとって審査することが重要であり、画一的な取り扱いによって不適切な給付決定をしたり、逆に、必要な医療を受けられなくなることがあってはならない」とした。あいまいとの指摘があった「へき地」については「都市部であっても一律に排除されるものではない」、「高額」については「慢性疾患などにより医療上の必要から継続的に受診するための交通費の負担が高額になる場合も検討の対象」などとしている。また、「身体障害」についても、知的障害や難病などが排除されるものではないとした。夜間の突発的な傷病でタクシーを利用する場合も、検討の対象になるとしている。
 厚労省によると、2006年度は通院移送費による移送が約130万件あり、合わせて約44億円の通院移送費が支給されている。
更新:2008/06/10 22:59   キャリアブレイン





◆地デジ受信機支給へ 生活保護107万世帯に
 http://www.asahi.com/digital/av/TKY200806100268.html
2008年6月11日
 総務省は、11年7月24日までにすべてデジタル化される地上波テレビ放送を視聴するための専用チューナーなどの受信機器を、経済的に購入が厳しい生活保護世帯に現物支給する方針を固めた。全国で約107万世帯が対象で、1台5千円の簡易チューナーが開発された場合でも、支給額は50億円を上回る。(橋田正城)
 地デジ対策を検討する総務省の委員会が10日、支援策についてほぼ合意に達した。関係者によると、会合では生活保護の受給基準には当てはまらないが、経済的に厳しい世帯への普及対策も必要だとする意見が相次いだ。現物支給の対象はさらに広がる可能性がある。早ければ来年度にも実施する見通しだ。
 対応テレビへの買い替えなど地デジは視聴者の自己負担が原則だが、経済的な事情で対応機器の購入がままならず、視聴できない世帯が生じる可能性がある。テレビ放送は生活に必要な情報を提供しており、地デジへの完全移行までに必要な対策を講じなければ、日常生活に支障を来す恐れもあった。このため、総務省の委員会で金銭的な支援策を検討してきた。
 委員会では(1)支援対象は、経済的な困窮度の高い人に限定する(2)アナログ放送を受信している人が11年度以降も地デジを視聴できるための措置に限る――ことを原則として議論してきた。
 具体的には生活保護世帯や、NHK受信料の全額免除世帯(約140万件)、高齢者のみの世帯(約840万世帯)、障害者世帯(約600万世帯)を支援対象として検討。まず生活保護世帯に支援策を打ち出すことにした。
 支給方法については、現金、現物、クーポン券の3種類を検討したが、現金配布は「過去に例がなく、本来の目的と違った用途に使われるおそれがある」との意見が大勢を占め、「最もシンプルで合理的な支援策」(委員)である現物支給でまとまった。アナログ放送用のテレビも専用チューナーを取り付ければ、地デジ放送が視聴できる。
 総務省は5千円程度という低価格チューナーの開発を電機メーカーに求めている。現在、量販店で主流の2万円程度のチューナーが支給される場合は、支援総額は214億円となる。
 地デジについての低所得者対策は、27日に開かれる情報通信審議会(総務相の諮問機関)で第5次中間答申として提出される。その後、総務省が8月末までに細部を詰めて、来年度予算の概算要求に盛り込む。
 07年度末の地デジ受信機の世帯普及率は43.7%。増田総務相は今後3年間で、低所得者対策や高層ビルの陰で生じる難視聴施設の改修費など2千億円規模の対策が必要になるとしている。





◆九重町 賃貸住宅の家賃助成 6月議会に条例改正案 若者の定住促進狙う
 http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/27883
2008年6月11日
 九重町は、今年4月以降に町内の民間賃貸住宅へ入居した住民の家賃を、一部助成する事業に乗り出す。町外への人口流出を抑えることや、若い世代の定住促進が狙い。
 6月定例議会に提案した「町いきいきふるさと若者定住促進条例」の一部改正案の中に盛り込んだ。
 助成の対象は、単身世帯が月額3万円以上、同居世帯が同4万5000円以上の民間賃貸住宅や空き家への入居者。家賃から住宅手当や生活保護費などを差し引いた実質家賃額をベースに、単身世帯では最高1万円を、同居世帯では同1万5000円を限度に給付する。
 助成期間は3年間。(1)申請者及び同居人の住所が町内(2)二親等以内の家族との賃貸契約でない(3)申請者及び同居人が過去にこの制度による家賃補助を受けていない(3年以内なら残存期間の助成を受けられる)などが条件。給付は5月と11月の年2回で、半年間の入居を経過した後、6カ月分を事後的に支払う。年齢制限はない。
 町企画調整課は「地元出身なのに、近隣の自治体に住んでいる人も少なくない。制度を若者らの町外流出防止に役立ててほしい」としている。
=2008/06/11付 西日本新聞朝刊=





◆諮問機関違法に設置条例基づかず・・・北九州市
 http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/fukuoka/news/20080610-OYT8T00841.htm
市長の諮問機関を設ける際、調査や審査、調停などを伴う場合は地方自治法で条例に基づく設置が義務づけられているにもかかわらず、裁量で設置できるとした職員向け手引書を北九州市が作成していたことがわかった。総務省や専門家は違法性を指摘しており、同市も法への抵触を認め、見直す考えを示している。(興膳邦央、後田ひろえ)
 同法は、自治体が調査や審査をする付属機関を設ける場合、条例に基づいて設置することを明記している。手引書は同市の行政手続きの手順や解釈などを記した独自のもので、それによると、裁量で設置できる私的諮問機関を「付属機関と同様の趣旨で設置される」と定義。目的も同法で定める付属機関の設置目的と同じく「市政運営上の参考として必要な調停、審査、審議または調査等」としている。同市には裁量で設けた諮問機関などが約50あり、生活保護を受けられなかった3人の孤独死を検証した「生活保護行政検証委員会」は昨年5〜12月に計12回開かれ、3人の保護手続きを担当した市職員の尋問や、市の文書記録の審査を行うなどした。中学校給食導入の是非を検討している「食育推進会議」は昨年4月〜今年5月に計12回開かれ、試行中の学校視察などをしている。こうした運用について、九州大の斎藤文男名誉教授(行政法)は「付属機関と同等の役割、権限を持つ委員会は、条例に基づかなければ違法。委員への報酬なども法的根拠がない」と指摘。北九州市立大の岡本博志教授(同)も「活動内容が裁量で設置できる機関の範囲を逸脱している可能性がある」と話している。総務省行政課も「調査を行い、組織化も明らかな委員会が、設置の根拠となる条例を持たない場合は違法になる」としている。同市は大半の委員会で、1人当たりの報酬を1回の会議につき1万500円支給している。設置条例がない諮問機関委員への報酬について、福岡地裁は2002年、若宮町(現・宮若市)の支出を違法と判断、全額返還を命じる判決を出した。さいたま地裁も同年、埼玉県越谷市の支出について違法とする判断を示した。北九州市総務市民局の山口彰局長は「条例に基づく機関の答申は尊重しなければならないが、裁量で設置した場合は柔軟に対応できるとの考えがあった。現状の違法性は否定できないので、必要があれば手続きの見直しを検討する」と話している。





◆介護ビジネス:「コムスン」から1年/中 競争、規制…遠い「安心」
 http://mainichi.jp/life/health/fukushi/news/20080611ddm002020066000c.html
 「終(つい)のすみかと信じて財産を預けたのに」。シャンデリアが飾られた玄関脇のホールで、集まった入居者はいくら説明を聞いても不安をぬぐえなかった。
 5月末、東京都世田谷区の「バーリントンハウス馬事公苑」で、業者による説明会が開かれた。折口雅博グッドウィル・グループ(GWG)前会長が「介護ビジネスの集大成」とうたった超高級有料老人ホーム。承継した不動産コンサルティング会社「ゼクス」(東京都)はホームの購入を延期し続け、入居者と契約も結ばない。しかもこの日、建物約800カ所に図面と整合しない部分があることも告げられた。
 入居者64人の2割が要介護・要支援。認知症が進んだ人もいる。職員の退職が相次ぎ、夜間の体制も心もとない。最高3億円の入居一時金を払ったのに、業者が倒産した際などに取り戻せるのは法の規定では500万円まで。ある入居者は「耐震性に問題があれば、ゼクスも手を引くかもしれない。GWGを訴えてもお金は戻らないのでは」と戸惑う。
 「企業の論理」に余生を委ねた高齢社会の足元は脆弱(ぜいじゃく)だ。介護業界ではM&A(合併・買収)が活発化し、経営者の交代でサービスが低下する例も珍しくない。コンサルティング会社「あいけあ」の土屋有社長は「もうかると思って参入したものの、入居者を集められず厳しい運営を迫られているホームも多い」と業界事情を語る。
     ◇
 介護付き有料老人ホームは訪問介護に比べ収益性が高いが、保険給付を抑えるために総量規制をかけ、新たな施設を認めない自治体もある。一方で、家族を頼れない人の入所介護へのニーズは高まる。そこで規制対象外の住宅型ホームなどが増えている。介護が必要な人は外部の訪問介護サービスなどを受けるものだが、実態は玉石混交だ。
 「最初はどこかの家族が引っ越してきたと思ったんです」。九十九里浜に近い千葉県大網白里町で、畑の間に建つ民家を見やり、農作業中の男性が言った。1年前に県内の業者が借り上げ、近隣住民は徘徊(はいかい)する高齢者や頻繁に来る救急車を見て「いつか事故が起きるのでは」と不安を募らせた。
 月額利用料は約10万円。11・5畳の一室で4人が暮らし、仕切りもなく簡易式トイレが置かれていた。実態は住宅型ホームだが、県には無届け。そこにヘルパーを派遣していた系列の事業所で介護報酬約4000万円の不正請求が発覚し、県は今年1月指定を取り消し、計4カ所のホームも閉鎖された。
 入居者36人の半数は生活保護受給者。3分の2は東京都民で、病院を退院する際に紹介された人も多い。女性経営者は「制度の勉強不足だった。でも、待機者の多い特養ホームにも、一時金が高い有料ホームにも入れない高齢者の受け皿が必要ではないのか」と話す。閉鎖後、自宅に戻れた人はいないという。
 規制と競争のはざまで、「安心できる介護」は遠いものになっている。
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 ご意見、情報をお寄せください。〒100−8051毎日新聞「介護ビジネス」係。メールは表題を「介護」として、kurashi@mbx.mainichi.co.jpへ。
毎日新聞 2008年6月11日 東京朝刊




◆希望と回復の物語 土井ホーム里親 土井高徳さん 「神様からの贈り物」出版
 http://nishinippon.co.jp/nnp/lifestyle/topics/20080610/20080610_0001.shtml
2008年06月13日 14:26
神様からの贈り物・里親土井ホームの子どもたち
■「内面の復元力を信じて」

 北九州市若松区の里親、土井高徳さん(54)が、児童虐待などで心に深い傷を負った子どもたちとの暮らしをつづった「神様からの贈り物 里親土井ホームの子どもたち」を出版した。土井さんは本紙生活面で「土井ホームの子どもたち」を連載中で、読者から大きな反響があり、掲載1周年を機にまとめた。ホームでの生活を通して、子どもたちが希望を見いだし、回復していく様子がつづられている。 (簑原亜佐美)
 土井さんは、天理教の分教会長をしている。熊本大学卒業後、不登校の子どもたちの養育に取り組むようになり、2002年、国の制度である「養育里親」になった。
 「知識をさらに深めたい」と03年、北九州市立大学大学院に入学、臨床教育学を専攻し、現在も博士課程に在籍している。専門知識をもとに、国内ではまれな「治療的里親」として活動している。「土井ホーム」では現在、4人の中高生が暮らしている。
 連載は昨年4月スタート。本は、連載で紹介し切れなかったエピソードを加筆し用語解説も豊富に掲載するなど、充実した内容になっている。
 ある少年は、親から激烈な「養育放棄(ネグレクト)」を受け、公園の水道水を飲んで生き延びた。親が生活保護費をギャンブルに充てたため、給付停止に。周囲は少年の保護を親に提案したが、かたくなに拒否された。「飢え、栄養失調…。豊かな日本に今なお存在する貧困がある」と土井さんは力を込める。
 「子どもたちは、二重三重の苦難に直面し、心に深い傷を負っている。傷を『内在化』させ、睡眠障害や病的解離など、精神的な症状を見せる子もいれば、『外在化』させ、暴力や非行に走る子もいる」
 子どもたちは「問題行動を繰り返す」と受けとめられてしまい、児童養護施設などでもうまく人間関係を築けず、行き場を失っているのが現状だ。
 「どの子も内面に復元力を秘めている。そのことを本を通じて伝えたかった」。土井さんは、具体的な接し方や治療的ケアを多数紹介している。
 例えば、刺し身が泳ぐほどしょうゆをかける子どもには、「いっぱいかけたらダメ」としかるのではなく、「1、2、3とビンを傾けたらいいよ」と具体的に教える。「お風呂を見ておいで」と言ったら、浴室をじっと見つめる子どもには、「浴槽にお湯がたまったか見てきなさい」と話す。
 (1)複数の指示を同時に出さない(2)日課やルールは張り紙にして明示する(3)スケジュールはできるだけ変更せず、変更する際は早く指示する−などが大事という。「安心、安全が確約された家で、24時間の生活を通して、子どもの心を解きほぐしていく。忍耐の連続だが、その子なりのペースで、自己コントロールや自己モニター(監視)の力を身に付けていく」
 厚生労働省によると、社会的養護が必要な子どもは全国で約4万人。施設養護が中心で、里親委託率は9.4%(06年度)だ。国は家庭的養護の推進に取り組んでおり09年度、小規模住居型の「里親ファミリーホーム」制度を新設する予定だ。土井ホームのようなグループホーム型の養育に注目が高まっている。
 「1人で抱え込まず、専門家と連携し、チームで臨むことが大切」と土井さんは言う。土井ホームには、精神科医や臨床心理士など約15職種の支援者がいる。「専門家を探すことは大変で、里親制度を普及させるためには、関係機関による情報提供など、支援が欠かせない」
 四六判。税込み1680円。福村出版=03(3813)3981。
=2008/06/10付 西日本新聞朝刊=





◆子育て裁判員には保育園を紹介
 http://www.niigata-nippo.co.jp/pref/index.asp?cateNo=1&newsNo=111075
 来年5月から始まる裁判員制度で、新潟地裁は、子育て中の裁判員や候補者が子どもを預けられるように、同地裁の近くにある公立保育園をあっせんすることを11日までに決めた。
 最高裁は育児中の人が参加する場合に保育サービスを受けやすくするよう各地裁に求めていた。
 同地裁は、一時保育が可能な公立保育園を所管する新潟市と協議。半径約1キロ以内にあり、一時保育の態勢が整っている拠点園「旭保育園」(同区寺裏通1)を指定する見込み。このほかに受け入れ可能な5園を検討している。
 同地裁から紹介を受けた裁判員や候補者が直接、市と一時保育の契約を結ぶ。利用料は全額自己負担となるが、生活保護を受ける低所得者は免除される。
 現在、同市立保育園の一時保育は、新潟市民のみに限られるが、市は市外の人でも使えるように調整中。裁判や評議が午後5時ごろまでの想定であることから、同四時以降の時間外利用についても対応を検討する。
 奥田隆文・同地裁所長は「新潟の場合は一時保育サービスが充実しているので安心して参加してほしい」と話している。
新潟日報2008年6月11日





◆「横領」3回、ようやく免職=東京都青梅市
 http://www.jiji.com/jc/zc?k=200806/2008061100977
2008/06/11
 東京都青梅市は11日、生活保護費の返還金1カ月分などを横領していたとして、元福祉総務課主事の男性職員(42)を同日付で懲戒免職処分にしたと発表した。同主事はこれまでも生活保護費の横領などで2回処分を受けている。市は近く青梅署に業務上横領などの容疑で告訴する。
 市によると、男性職員は同課に在籍中の2006年5月から9月にかけ、被保護者が市に返還した生活保護費3万円を横領した。
 同職員は、約18万8000円を自宅に持ち帰ったとして07年3月に減給6カ月の1回目の処分を受けた。さらに同9月には、最初の事件以前に150万円を横領していたことが発覚、停職6カ月の処分を受けていた。職員は先物取引で多額の借金があったという。





◆夕張市の赤字額、計画比3億7000万円減 07年度の速報値
 http://www.nikkei.co.jp/news/retto/20080611c3c1100z11.html
 夕張市は市議会行政常任委員会に2007年度決算の速報値を報告した。07年度末の一般会計の赤字額は約334億8433万円となり、1年前に比べ約18億4900万円縮小。財政再建計画の見通しに比べ、約3億7000万円赤字解消額が増える見通しとなった。
 再建計画では07年度に赤字を約14億7500万円解消する見通しだったが、計画より約1億3000万円特別交付税が増えたことで歳入が増加。生活保護などの扶助費の減少や、事務費の見直しなどで歳出も削減した。市は今秋に正式な決算を市議会に報告する。





◆社会保障費の抑制 国は撤回すべきだ 介護、医療の現場も反発
 http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2008061202000106.html
2008年6月12日
 介護や生活保護など福祉関連のさまざまな団体が「社会保障費の自然増を毎年度二千二百億円抑制する方針を国は撤回するべきだ」とアピールしている。今月下旬に策定される政府の経済財政運営指針(骨太の方針2008)で、この方針が維持されるかどうかが焦点になっているからだ。現場の動きを追った。 (白井康彦、佐橋大)
 貧困問題に取り組む市民運動メンバーや法律家らでつくる「反貧困ネットワーク」は今月に入って、社会保障費抑制方針の撤回を求める福田首相あての要望書を作成。賛同者を募り始めた。
 厚生労働省が昨秋、社会保障費抑制方針を受け、生活保護基準の切り下げを検討。これに対してネットワークは反対運動を展開、国会も野党が同調して厚労省は切り下げを断念した。
 しかし、生活保護費を抑えたいとの厚労省の姿勢は強く、今年四月に生活保護受給者の移送費(通院交通費)について、生活保護費として支給される条件を厳格化する通知を出した。
 受給者からは「移送費が自己負担になったら生活が成り立たない」などの懸念の声が相次ぎ、生活保護問題に取り組む団体が集会を開くなどして通知の撤回を要求。厚労省は十日、条件を緩和する内容の再通知を出した。
 生活保護基準、移送費とも、問題の背景にあるのは社会保障費抑制方針であるため、ネットワークは「方針撤回がどうしても必要だ」(湯浅誠事務局長)と判断。東京都や大阪府、埼玉県で街頭アンケートを始めた。市民からは「方針に反対」との意見が圧倒的だという。
 社会保障費の削減に、介護現場からも反対の声が上がっている。
 社会保障費の圧縮で介護報酬が減らされ、職員の待遇が悪化。その結果、介護職員の離職率が高くなって人手不足に陥り、さらに労働環境が悪くなる悪循環が起きている。
 全国の介護福祉士やケアマネジャーら約三千人が東京都千代田区の日比谷公園大音楽堂に集まり、「介護職員の生活を守る緊急全国集会」が五日開かれた。
 全国老人保健施設連盟などが主催したこの集会に、介護労働安定センター、日本医師会、全国社会福祉協議会などが賛同団体に名を連ねた。
 集会では、若手の男性職員から「今の給料では結婚して所帯を持てない」との報告があり、増え続ける介護需要に対応し、労働環境を改善するための介護給付費の増額の必要性を再確認。社会保障費の削減撤回を求める宣言を採択した。
 同連盟の関係者は「削減が続けば介護の担い手がいなくなり、制度が崩壊する」と警告する。
 反発は医療側からも。日本医師会の唐沢祥人会長は五月十六日、委員として出席している政府の社会保障国民会議で「毎年の機械的な削減が医療崩壊を招いている。抑制が続けば、状況は改善しない」と訴えた。
<2200億円抑制問題> 政府は2006年の骨太の方針で、社会保障費の自然増を毎年度2200億円、5年間で合計1兆1000億円抑制する方針を導入。07、08の両年度の予算は、この方針を守って編成した。国の財政再建が急務であることが背景にある。国の予算の一般歳出に占める社会保障関係費の割合は上がり続けている=図参照。しかし、医療や介護などで体制のほころびが目立ち、自民党内でも方針の撤回派と維持派が綱引きしている。





◆那覇市、8人分打ち切り/生活保護の通院交通費
 http://www.okinawatimes.co.jp/day/200806121300_02.html
国基準厳格化で
 那覇市が、市内の生活保護受給者で医療扶助の一部として「通院移送費(交通費)」を給付していた十七人のうち、通院にバスを利用していた精神障害者八人の給付を打ち切ったことが十一日、分かった。四月一日の厚生労働省通知で、同費用の給付基準が厳格化されたことに伴う措置。通院移送費については、全国の自治体で打ち切りが相次いでおり、実質的な保護費の切り下げとして問題視する声が高まっている。
 那覇市は身体障害者などでも、生活費の圧迫が認められない通院移送費については給付を取りやめる方針。同日の市議会六月定例会で比嘉瑞己氏(共産)の質問に対し、明らかにした。
 市の澤岻郁子健康福祉部長は「生活保護で給付する生活扶助費に交通費も含まれている」とし、受給者の不利益にはならないとの認識を示した。対象者にはケースワーカーを通して了解を得ているという。
 通院移送費の給付基準はこれまで「必要な最小限度の額で、入院・転院・退院・通院に係る交通費」とされ、実質的な給付判断は個別ケースで異なっていた。
 しかし、北海道滝川市で二〇〇七年に通院移送費の不正受給が発覚したことを受け、厚労省が基準を明確化。「身体障害者等で電車・バス等の利用が著しく困難か、最寄りの医療機関に受診する際の交通費が必要」「へき地等で最寄りの医療機関に電車・バス等で受診する場合でも受診に係る交通費の負担が高額」などと定めた。
 那覇市はこれまでバスやモノレールによる通院費請求は原則認めず、病状などでやむを得ず通院費がかさむ受給者への給付を基本に運用。ただ、医療機関からの依頼や要望に応じて、バス賃請求を認めるなど柔軟に対応していた。





◆北九州市議会:北橋市政支える審議会設置、議員と市側が論戦 /福岡
 http://mainichi.jp/area/fukuoka/news/20080612ddlk40010434000c.html
 ◇「議会の承認必要だ」VS「市の決裁で問題ない」
 北九州市の6月定例議会が11日開会し、本会議で質疑と一般質問が行われた。北橋健治市長が市政改革のてこにしている市民参加型審議会について、村上幸一議員(自民党議員団)は「議会の承認に基づいて置くべきだ」と主張。市側は市の決裁で設ける現行方式に法的問題はないとの見方を示し、両者が論戦を展開した。
 北橋市長は07年に就任後、主なものだけで13の審議会を設けた。大半は市の決裁による。市政最大の懸案となっていた生活保護行政の見直しでは、審議会報告をもとに運用を全面転換した。審議会は「北橋カラー」を市政に反映させる手立てになっている。
 村上議員は、審議会について「市の重要な施策を決めている」と指摘。地方自治法が市の諮問を受ける「付属機関」の設置には、法律か条例に基づくよう求めていることに触れ、「条例による設置、つまり議会の承認が必要だ」と主張した。
 市側は審議会の趣旨について「業務運営上の参考のため、市民や専門家の意見を聴くために設置された」(山口彰総務市民局長)、「市の執行権を拘束する力はない」(橋本嘉一副市長)と答弁。「付属機関」とは性格が異なり、市の決裁だけで置かれても問題ないとの見方を示した。
 会計面でも「審議会委員への報酬は条例に基づき、適法に支出している」(山口局長)と強調した。ただ、今後の運用には「疑義が生じるなら見直しをしていきたい」(橋本副市長)と答え、議会の理解を得られる形にする考えを示した。【平元英治】
 ◇女性管理職登用の目標設置−−北橋市長が正式表明
 北橋健治市長は11日の市議会本会議で、今後10年間の女性職員育成策を示す「女性活躍推進アクションプラン」(8月策定予定)に、女性が管理職に占める割合を高めるため、数値目標を設ける方針を正式に表明した。
 市長は「数値目標は、あらかじめ女性の登用枠を設けるものではない。意識改革などに皆で取り組み、結果として目標に到達することを目指す」と述べた。森浩明議員(市民の風)に答えた。
 市によると、昨年度は全行政職(保育士を除く)のうち女性が21・7%いながら、係長級以上の役職に就く割合は4・5%で、17政令市中最下位。市長は先月の庁内会合で、同プランに数値目標を盛り込む考えを示していた。
 ◇学校・幼稚園の耐震診断、5年前倒しで実施へ
 また、北橋市長は本会議で、震度6弱以上の地震で倒壊する恐れが高い90の市立学校・幼稚園への耐震診断を、当初計画から5年前倒しし、11年度までに終える方針を示した。中国・四川大地震を受けた措置。
 市教委によると、診断対象は▽小学校=56校▽中学校=28校▽高校=1校▽特別支援学校=2校▽幼稚園=3園。市長は「耐震化促進は市政の最重要課題と認識している」と述べた。
 一方、木下一也建築都市局長は同じ本会議で、ホームセンター大手の「ダイキ」(松山市)が八幡西区の黒崎副都心に進出する時期について「来年中の開店を目指している」と市に伝えてきたと明らかにした。ともに村上幸一議員(自民党議員団)に答えた。【平元英治】
〔北九州版〕
毎日新聞 2008年6月12日 地方版





◆マニフェスト達成でも6年後の累積赤字933億円 大阪市
 http://sankei.jp.msn.com/politics/local/080612/lcl0806121835004-n1.htm
2008.6.12
 大阪市は12日、平成29年度まで10年間の中期財政収支概算を発表した。進行中の行財政改革で掲げた削減目標を達成しても26年度には累積赤字が933億円になり、地方公共団体財政健全化法上の早期健全化団体に転落、28年度に最大の約1200億円に達する。
 回避には23年度から7年間、毎年170億円分の対策が必要。市はこれまで自治体の"禁じ手"とされる公債償還基金取り崩しで対応する予定だったが、平松邦夫市長は「取り崩しをしない対策を模索している」と方向転換を示唆した。
 市が中期収支概算を行うのは昨年9月に続き2回目。昨年は28年度に約1000億円の累積赤字が生じるとしたが、今回の概算では法人市民税の減少などで約200億円悪化した。
 概算によると、18年度から5年間の行財政改革目標を設定した市政改革マニフェストが達成された場合でも、23年度からは阿倍野再開発事業の公債償還財源不足の本格化や、生活保護費増などで毎年35〜367億円が不足する。
 26年度には地方自治体の"黄色信号"とされる早期健全化団体に転落する。
 28年度に累積赤字はピークに達し、1234億円に上る。

市はこれまで公債償還基金の取り崩しで対応するとしていたが、大阪府の橋下徹知事が、同じ性格の基金である減債基金取り崩しをやめたこともあり、市も事業見直しなどほかの方策を模索。
 しかし、財源の見通しはついておらず「全く基金に手をつけない方向を打ち出したわけではない」(平松市長)と不透明だ。
 一方、概算では現行マニフェストが達成できない場合も試算。この場合は、23年度に早期健全化団体に転落、24年度には累積赤字が2000億円を超え、国の監督下でしか予算編成ができず、起債の制限がある財政再生団体に陥る。
 現在はマニフェスト期間中だが、経常経費削減目標である900億円のうち約430億円しか達成されておらず、残る470億円削減に向け、市は今年秋までに人件費削減を含めた対策をまとめる。
 また、この概算は、二次破綻(はたん)が懸念されている市の第三セクター、「大阪ワールドトレードセンタービルディング」(WTC)や土地信託事業処理に伴う支出は、「金額が確定していない」として織り込んでいない。さらに税収の伸びも不確定で、不足額が拡大する可能性が高い。





◆「おにぎり食べたい」と餓死 福祉事務所長、不起訴
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080612/crm0806122000028-n1.htm
2008.6.12
 北九州市小倉北区で昨年7月、市の生活保護を打ち切られた50代の男性が餓死した問題で、福岡地検小倉支部は12日、公務員職権乱用と保護責任者遺棄致死容疑で市民団体から告発されていた当時の小倉北福祉事務所長(59)を、嫌疑不十分で不起訴とした。
 男性は平成18年年12月から保護を受けていたが、昨年4月に打ち切られ、7月に自宅で「おにぎり食べたい」などと書いた日記を残して餓死しているのが見つかった。その後、市民団体が「辞退届を提出させ、自力での日常生活が困難だったのに保護をしなかった」と告発していた。
 告発した「生活保護問題対策全国会議」は「大変遺憾だ。検察審査会への異議申し立てを検討する」とコメント。北九州市の小村洋一保健福祉局長は「妥当な判断をしていただいた。今後も適正な生活保護行政に努める」としている。





◆人からの信用がご褒美
平成20年度神奈川県県民功労表彰を受賞した菊池 てる子さん
 http://www.townnews.co.jp/020area_page/02_fri/02_atsu/2008_2/06_13/atsu_jin.html
厚木市妻田北在住 72歳
 ○…厚木市睦合南地区の民生児童委員を8期24年間務めた功績が評価され、神奈川県県民功労者表彰を受賞した。「驚いています。まさか私が、という気持ちです」。受賞の知らせは受けたもののまだ内心では信じられないという。穏やかな口調で話しやすく、人をほっとさせる優しい笑顔の持ち主だ。
 ○…地域の人々の悩みや相談に応じる民生児童委員は、一人暮らしのお年寄りや生活保護を受けている人々を見守る仕事も担っている。その活動は地道だが、社会福祉への貢献度は大きい。始めたきっかけは自治会の人に誘われたこと。当時はその仕事がどんなものなのかも知らずに安請け合いしたという。月に約15件の相談に応じ、行政サービスの勉強や地域への気遣いなど苦労は多い。普通ならば大変と思うところだが、「私の性に合っていて楽しかった」と笑顔で話す。
 ○…結婚をして厚木に移り住んだのは37年前。人のために何かをすることが好きで、二人の息子が小さい頃は、子ども会やボーイスカウトなどの役員を引き受けていた。民生児童委員を務めた24年間一番嬉しかったことは、長い付き合いがあったお年寄りに「今まで出会った人の中で一番感謝している」と言われたことだそうだ。心の底から信用してもらえた喜びは他の仕事では得がたいものがあった。「この仕事は、信用がご褒美ですね」。
 ○…長く続けてきた仕事も体力を理由に昨年引退。家の仕事を放り出しても、何も言わず協力してくれた夫に一番感謝しているという。その旦那さんは、受賞の知らせをきいて「あっ、そう」とそっけない返事だったそう。だが、「授賞式には一緒に行く」と心では喜んでいる様子なのだとか。「これからは、家でのんびり過ごしたい」と微笑む顔には、何かをやり遂げた充足感が滲み出ていた。





◆札幌駅前バスターミナル:ホームレス締め出し サミット前 寝泊まり禁止に
 http://mainichi.jp/hokkaido/shakai/news/20080612hog00m040007000c.html
札幌駅前バスターミナルに張り出された「寝泊まり禁止」を呼びかける掲示板=札幌市中央区で
 北海道洞爺湖サミット(7月7〜9日)を前に、札幌市中央区の「札幌駅前バスターミナル」が、施設の管理徹底を理由に事実上のホームレス締め出しを始めた。運営する札幌駅総合開発によると、3月に窃盗や放火事件があったためで「ホームレスいじめではない」と説明している。一方、支援団体からは「サミット絡みの過剰反応の可能性もあり、人権上問題だ」と指摘する声があり、波紋が広がっている。
 ターミナルの待合所や階段に1日から「注意」と題し、札幌駅総合開発と札幌中央署の連名で寝泊まりや営業時間後の立ち入りを禁止する掲示が張り出された。同社は今後、警備員が巡回し、寝泊まりしないよう注意を促す方向で検討中だ。
 市によると、市内のホームレスは1月現在109人。このうち、シャッターがなく夜間も出入りが自由なターミナルには20〜30人が寝泊まりしている。同社は「公共性の高い施設なので、サミットを前に警戒を強化する必要がある」と強調する。ただ、今のところ強制排除は考えておらす「要請」にとどめるという。
 4、5年前からターミナルで生活している道内出身の50代男性は「春ごろから警察官に職務質問される機会が増えた。ここは襲われる心配もないので、安心して眠れる唯一の場所。迷惑を掛けているのは分かっているが、締め出されると行き場がなくなる」と困惑している。
 ホームレスの支援に取り組む札幌市の市民団体「労働と福祉を考える会」は影響を調査する方針。代表を務める木村武徳・北星学園大准教授は「道内のホームレスにとって、冬はバスターミナルのような場所が必要だ。今回の措置が他の施設にも波及するかどうか注視したい」と話す。
 市内には無料で宿泊できる「救護施設」が4カ所(計12人収容)ある。市保護指導課は「完全に締め出された場合は、施設での受け入れを考える必要がある。当面は情報収集に努める」としている。
 00年の九州・沖縄サミット前は、沖縄県内の自治体が「管理徹底」を理由に公園で寝泊まりするホームレスのテントなどを撤去。支援団体から「人権軽視」との批判も寄せられた。【吉井理記、写真も】
2008年6月13日





◆生活保護辞退の男性孤独死、前福祉事務所長を不起訴
 http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20080613-OYS1T00175.htm
 北九州市小倉北区の男性(当時52歳)が市の就労指導を受けて生活保護を辞退した後に孤独死した問題で、公務員職権乱用と保護責任者遺棄致死容疑で告発されていた同市の前小倉北福祉事務所長(59)について、福岡地検小倉支部は12日、不起訴処分(嫌疑不十分)とした。
 男性は2006年12月から生活保護を受けていたが、福祉事務所職員から仕事を見つけるよう促され、昨年4月に受給を辞退。7月に自宅で死亡しているのが見つかった。生活保護問題に取り組む弁護士や司法書士らが8月に当時の小倉北福祉事務所長を告発していた。
 同地検支部は不起訴の理由について「前所長が違法、不当な手段で男性から生活保護の辞退届を出させて廃止を決定したとの証拠はなく、生活保護の廃止が男性の生命、身体に危険を及ぼしたと認定するのは困難」としている。





◆ヤミ金判決 被害者救済の強力な武器に
 http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017200806135661.html
 画期的な判決といっていいだろう。法外な高金利で貸し付けるヤミ金融業者には、利息分だけでなく、元本も含めた全額を返さなくてもいいという最高裁の判決だ。
 裁判は県内の十一人が「ヤミ金の帝王」と呼ばれた元暴力団幹部に、支払い済みの全額と慰謝料などの損害賠償を求めた上告審だった。二審の高松高裁は利息分の支払いは命じたものの、元本の支払い請求は退けていた。
 これに対し最高裁は、貸し付けられた元本を多額の金を脅し取るための道具と見なし「法律上保護されない」と判断した。犯罪グループの手元に資金を残さないことを最優先したわけだ。
 ヤミ金の存在そのものを許さない厳しい姿勢を示したといえる。被害者には心強い判決だ。高く評価したい。
 判決では、どれだけの暴利なら元本を返さなくていいのかという判断はなかった。
 しかし、ヤミ金融被害対策弁護団の宇都宮健児団長は、出資法の上限金利である年利29・2%を超える貸付金はすべて該当するとみなす。法制化しなくても、この判決で十分効力があるとする。うなずける判断だ。
 これを武器に、ヤミ金を撲滅するためにはまず、被害者が立ち上がることが必要だ。二〇〇七年度、県消費生活センターに寄せられた相談中、フリーローン・サラ金に関するものが二番目に多く、全体の約15%を占めている。隠れた被害者は多いはずだ。
 相手が暴力団だとしても恐れず、警察や行政の相談窓口に出向いてほしい。
 相談体制の充実も求められる。窓口自体は既存の県消費生活センターや法テラス愛媛、松山たちばなの会などのほか、県内全二十市町にも設置された。
 しかし、これまでの窓口では「ヤミ金といえども借りた金は返せ」という対応が多かったという。担当者は、今回の判決の意味を肝に銘じてもらいたい。
 また、政府のヤミ金対策指針では、被害者から相談があった時点で警察が業者に「警告電話」をかけることや、口座凍結、携帯電話利用停止などの封じ込め策が盛り込まれている。これを機に、あらゆる手段を講じてヤミ金業者を追い詰めてほしい。
 多重債務問題の背景にある社会格差、貧困問題への対策も欠かせない。借金を一時的に解消できたとしても、原因を取り除かないと根本的な解決にはならないからだ。
 全国的には、民間非営利団体(NPO)が独自の少額低利融資と生活指導で債務者を救済してきた事例もある。県内の自治体でも、低利融資制度の創設や生活保護、公営住宅の充実などに積極的に取り組むべきだ。





◆「ヤミ金」判決 撲滅への第一歩としたい
 http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-133081-storytopic-11.html
2008年6月13日
 指定暴力団山口組系旧五菱会によるヤミ金融事件をめぐって損害賠償を業者側に求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第三小法廷は「損害から元本を差し引くことはできない」との初判断を示し、元本を支払額から差し引く算定をした高松高裁に審理を差し戻した。
 法外な高利で貸し付けられ、暴力的な取り立てに遭ったヤミ金の被害者には、利息分のみならず元本も含め返済分全額を賠償すべきだとする画期的な判決だ。
 「ぬれ手であわ」式に暴利をむさぼるヤミ金業者は、もとより反社会的な存在である。判決は社会問題化しているヤミ金の根絶に向けて、司法の立場から厳格な姿勢を示した。最高裁の判断を高く評価したい。
 ヤミ金被害の損害賠償をめぐっては、これまで高裁レベルで判断が分かれていた。元本を損害額から差し引く「差額説」を採用する判断と、元本も含む「全額説」に基づくケースがある。
 今回、最高裁の判断の根拠となったのは、民法に定められた「不法原因給付」の規定である。違法な取引など「不法な原因」に基づいて貸し付けた金は、返還請求ができないというものだ。
 例えばヤミ金から10万円を利率400%で借りた場合、元利合計50万円の債務を負ったことになるが、この10万円は40万円という暴利を得るために不当に貸し付けたものである。だから債権として保護される対象に値しないとの論理だ。
 元金となる資金がヤミ金業者の手元にある限り、高利で貸し付けるための「甘いえさ」として利用され、新たな被害者を生む。そんな悪循環を断ち、業者を追い詰める力になり得るという観点からも今回の判決は意義深い。
 それにしても年利数百%とか数千%とはあくどすぎる。県内では2007年度に県民生活センターに寄せられたヤミ金被害相談は254件に上った。警察は取り締まりを一層強化してほしい。
 司法は被害者救済の方向を示した。これを早急に法制化につなげなければならない。





◆脱北女性、総連を損賠提訴…大阪地裁に/読売・関西
 http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20080613-OYO1T00524.htm
在日朝鮮人の帰還事業で北朝鮮へ渡り、劣悪な環境での生活を強いられたのは、「地上の楽園」などと虚偽の宣伝をした在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の責任として、脱北者で韓国籍の高政美(コジョンミ)さん(47)(大阪府八尾市)が13日、朝鮮総連に慰謝料など1100万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。高さんは東京地裁への提訴を検討したが、居住地に近い大阪地裁とした。日本に住む脱北者が帰還事業を巡って訴訟を起こすのは初めて。
 帰還事業は1959年、日本と北朝鮮の両赤十字社が共同で始め、日本政府も閣議了解していたが、高さん側は「日本政府などは帰還者をだます意思はなかった」と被告にはしなかった。
 訴状では、高さんは3歳だった63年、家族で北朝鮮に渡った。2000年に脱北して中国に入ったが、強制送還され、拷問を受けたという。03年に再び脱北し、05年に日本へ戻った。
 高さんは「朝鮮総連は北朝鮮の内情を説明する義務を怠り、地獄のような環境に送り込む誘拐行為を実行した」と主張している。
 朝鮮総連の話「同じような訴えを棄却した判例がすでにある。訴えは同胞社会と日朝関係に害を与える以外のなにものでもない」

日本政府の責任問う声も

 帰還事業を巡っては、1959年2月に事業を閣議了解した日本政府などの責任を問う声もある。
 事業は閣議了解から10か月後の同年12月に始まり、84年7月までの間、日本人妻や子供を含む9万3340人が北朝鮮に渡った。
 国交のない両国間で事業の実施主体となったのが、日本と北朝鮮の両赤十字社。国内各地で「地上の楽園」と宣伝し、帰還者を集めたのが朝鮮総連だった。
 事業の背景について明治大の川島高峰准教授(民衆思想史)は、閣議了解の文書に、当時の在日朝鮮人の生活保護の受給率が著しく高い点などに触れた「極秘」の記述があったと指摘。「差別で職に就けずにいた在日朝鮮人を減らしたい日本政府と、朝鮮戦争後の復興のために労働力を確保したい北朝鮮の思惑が一致して事業が進められた。朝鮮総連はもちろん、日本政府や赤十字社にも応分の責任がある」と話している。
 北朝鮮事情に詳しいフリージャーナリストの石丸次郎氏も日本政府や赤十字社の責任を指摘したうえで、「人生を台無しにされた人が被害を訴えるのは当然だ。今も家族が離散状態にあったり、安否が不明だったりと未解決の問題も残る。今回の訴訟が、帰還事業とは何だったのかを改めて考えるきっかけになってほしい」と話した。





◆市民団体の請求退ける 滝川市の保護費詐欺事件
 http://www.47news.jp/CN/200806/CN2008061301000637.html
 北海道滝川市の夫婦らによる介護タクシー代などの生活保護費詐欺事件で、市が支給した約2億3800万円を田村弘市長ら幹部4人に全額返還させるよう求めた市民団体の住民監査請求に対し、市監査委員は13日、違法な支出も市の損害もなかったとして請求を退けた。
 監査結果によると、監査は地方自治法に従い、財務会計上の行為に限って実施。市が行った支給手続きについて「通常の事務処理が行われた」と判断した。
 片倉勝彦被告(42)=公判中=ら夫婦の病状把握が十分だったかなど、保護費支給に至る過程については監査対象としなかった。
 監査請求した市民団体の富沢和雄代表(80)は「到底、市民の理解や共感を得られる内容でない」と話し、住民訴訟を起こすことも視野に取り組む考えを示した。
2008/06/13 18:29 【共同通信】





◆都市の「限界集落」、自治体運営… 地域課題探る研究大会 「改革派」元知事ら討論 公共政策学会
 http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/28461
2008年6月14日
 日本公共政策学会の2008年度研究大会が14、15日、北九州市小倉南区の北九州市立大である。著名な学識経験者らが都市部の「限界集落」や貧困、自治体運営のあり方など幅広いテーマでシンポジウムや討論会を開く。
 大会は12回目で九州での開催は初めて。期間中、2回のシンポと17の分科会で論議を交わす。
 分科会では、北九州市の町と大字(おおあざ)単位で65歳以上の割合(高齢化率)を調査し、都市部の「限界集落化」の実態を浮き彫りにした北九州市立大の楢原真二教授が調査結果を紹介し、高齢化と地域コミュニティーについて問題提起。阪神大震災の災害公営住宅での孤独死問題などを調査している下関市立大の池田清教授もコミュニティーの崩壊について論じる。14日午後2時45分から2時間の予定。
 同時間帯には、「改革派知事」と呼ばれた浅野史郎、片山善博、北川正恭の3氏が「補完行政の今後」と題し、シンポ形式で国と地方自治体のあり方を語り合う。
 15日午前9時半からは格差社会で問題化している貧困をテーマに討論。北九州市立大非常勤講師の藤藪貴治氏が、厚生労働省から不適切と指摘された同市の生活保護行政の問題点を指摘する。特定非営利活動法人(NPO法人)自立生活サポートセンター「もやい」の湯浅誠事務局長は若者の貧困の実態を報告する。
 参加費は2日間通して1000円(学生500円)。問い合わせは、楢原教授の研究室=093(964)4102。
=2008/06/14付 西日本新聞朝刊=




◆外国籍の子どもに「学習権」の保障を
 http://www.komei.or.jp/news/2008/0623/11832.html
与党有志議連が「中間報告」
財務、文科両省に提示
外国人学校の「認可」緩和、税制優遇など
制度的差別の解消めざす
 公明新聞:2008年6月23日
「中間報告」を額賀財務相(左から3人目)に示し、要望する浜四津代表代行(左隣)、山下氏(右隣)ら議連のメンバー=12日 財務省

 自民、公明の与党有志議員でつくる「外国人学校及び外国人子弟の教育を支援する議員の会」(会長=河村建夫衆院議員、幹事長=山下栄一参院議員)がこのほど、日本で暮らす外国籍の子どもたちの「学習権」確立を目指す「中間報告」をまとめた。財務、文部科学両省に提示された同報告のポイントを解説するとともに、一貫して外国人子弟の教育支援に取り組んできた山下参院議員に、その意義や今後の活動などについて聞いた。

「中間報告」のポイント
外国人子弟教育の基本方針策定
「外国人学校支援法」の制定
各種学校認可の審査基準緩和
寄付金税制優遇の導入
通学定期割引制度の適用
不就学・就学実態調査の実施
公教育での多文化共生教育推進
日本語教育の拡充
経済界と協力しての基金創設

確かな"青写真"
 1990年の入国管理法改正で日系人家族らの就労が自由化されて以降、日本で暮らす外国人は激増し続けている。2006年末現在、その数は208万人を超え、国内総人口の約1.6%を占める。
 これらの外国人が、不足する国内の労働力を補っていることは政府も認めるところだが、その一方でさまざまな問題も浮上している。なかでも最大の問題が子どもの教育問題だ。日本語が十分に理解できないために授業についていけず、不就学になり非行に走る子どもは少なくない。外国人児童生徒の3割以上が不就学との推計もある。
 中間報告は、こうした無責任な教育ネグレクト(放棄)を許している最大の要因を「国に確かな"青写真"がないため」と見て、冒頭で「外国人児童生徒の教育に関する基本方針の策定」を主張している。

公教育の枠内に
 外国人の教育ニーズに応えるため、保護者や教育関係者が自主的に設立、運営しているのが外国人学校だ。"老舗"の韓国・朝鮮学校や中華学校から、ニューカマー系のブラジル学校やフィリピン学校まで、その数は現在210校以上に上る。
 だが、これらの学校は、学校教育法第1条に定める正規の学校(いわゆる「1条校」)として認められていないため、国庫助成を一切受け取れない。学校保健や給食、奨学金制度などの対象からも排除されている。とりわけ著しい制度的差別を余儀なくされているのがニューカマー系の学校だ。韓国・朝鮮学校などのように「各種学校」の認可すら得られず、単なる「私塾」扱いとなっている。
 こうした実態を中間報告は厳しく批判し、外国人学校への経済的・人的支援を包括的に定める仮称「外国人学校支援法」の制定を要求。併せて、(1)外国人学校を対象とした各種学校認可基準の策定とその緩和(2)寄付金への優遇措置導入(3)通学定期割引の適用拡大――なども訴えている。

公立校での教育
 そもそも外国人児童生徒の数は全国にどれくらいいるのか。法務省の在留外国人統計によれば、2006年末現在、学齢期を含む5〜14歳の登録者数は約12万8300人。ところが文科省調査では、日本の小中学校に在籍する外国人児童生徒(6〜15歳)が約6万6800人、外国人学校在籍児童生徒数(同)が2万1800人で、併せて8万8600人にしかならない。実に4万人弱が「未掌握」というわけである。
 このため中間報告は、文科省の学校教育調査項目に「外国人子弟の就学・不就学実態調査」を入れるよう主張。また、公立学校での外国人子弟への教育の充実を図る一環として、日本人児童生徒に対する多文化共生教育の展開も盛り込んだ。
 このほか報告は、(1)「生活者としての外国人」の視点からの日本語教育の充実(2)経済界と協力した教育支援のための基金創設(3)在住外国人対策経費に対する地方交付税措置の拡充――なども明記している。

「多文化共生」への一歩に
7月に最終報告
議員幹事長 山下栄一参院議員
 「教育を受ける権利」はすべての人間に保障された基本的人権の一つであり、国籍や民族の違いで差別されることがあってはならない。子どもの権利条約など各種の国際人権条約も、「学習権の保障はすべての者に認められた権利である」ことを明確にうたっている。
 だが、日本の教育社会の現状は、残念ながらそうはなっていない。真の意味での「教育の国際化」が進んでおらず、「多民族・多文化共生」という国際社会共有の理念への理解も不足している。議連の活動は、こうした日本の教育社会を変革しようという試みでもある。外国人の子どもたちを取り巻く劣悪な教育環境を改善し、国籍の壁を超えた平等な学習権の保障を目指している。
 中間報告には、外国人学校への税制優遇措置の導入や各種学校認可基準の緩和など具体的施策を数多く盛り込んだ。
 過去4カ月にわたり、外国人学校関係者や有識者、自治体関係者から行ったヒアリングや現場視察などを通して浮かび上がった問題点と対策を、きめ細かにまとめ上げることができたと思っている。
 中間報告は財務、文科両省に提示したところだが、議連としてさらに調査・研究を続け、7月に最終報告をまとめ上げる方針だ。ターゲットは来年度予算の概算要求と税制改正。ここに報告内容を全面的に反映したい。
 今後の課題としては、多文化共生の考え方をどう社会に浸透させていくかという問題がある。幸い、この点は全国26の外国人集住都市が先駆的取り組みをしている。26都市の経験と実績を全国に発信していけるシステムづくりに努めたい。
 仮称「外国人学校支援法」の制定など法整備も重要だ。また、近年急増している「ニューカマーとしての中国・韓国人子弟」への教育支援も新たな課題として浮上している。外国人登録制度の見直しや生活者の視点からの制度改革なども含めた「総合的な外国人政策」の確立も欠かせない。引き続き、全力で取り組んでいく決意である。

公明 教育の国際化へ全力
議連に総勢20人
 外国人子弟の教育問題に、公明党は国会・地方議会議員が一体となって取り組んできた。
 1999年、沖縄県のアメラジアンスクール(在日米兵と日本人との間に生まれた子どものための学校)に通う子どもたちに卒業資格が認められたのも、浜四津敏子代表代行や地元公明党議員の執念にも似た取り組みが実ったものだ。2003年には、欧米系のインターナショナルスクール出身者にしか大学受験資格を認めないという文科省の"差別的方針"に、「教育の国際化という時代の動きに逆行するもの」として強く抗議し、アジア系学校にも大学受験の門戸を開放させた。池坊保子文科副大臣(当時は政務官=公明党)が、同省の歴代高官の中で初めて外国人学校を公式訪問し、社会に強烈なインパクトを与えたのも、このころのことだった。
 議連は、こうした公明党の取り組みの延長上で立ち上がったものである。きっかけは昨年(2007年)秋、都内で開かれた草の根の市民の集い「多民族共生教育フォーラム」。パネリストとして出席した山下参院議員に、会場から「超党派での取り組みを」との要望が出され、山下氏は「ぜひ実現する」と約束。その後、山下氏の呼び掛けに自公両党の有志議員が素早く応じ、2月に正式発足した。
 公明党からは神崎武法常任顧問、浜四津代表代行、池坊副大臣ら総勢20人が参加している。





◆市が3460万賠償請求 滝川の生活保護費詐欺
 http://www.47news.jp/CN/200806/CN2008062301000248.html
2008/06/23
 北海道滝川市の夫婦らによる約2億円に上る生活保護費詐欺事件で、滝川市は23日までに、詐欺罪で公判中の元暴力団員で無職片倉勝彦(42)、妻ひとみ(38)両被告ら計7人と札幌市の介護タクシー会社に3460万円の損害賠償を求める訴訟を札幌地裁滝川支部に起こした。
 訴状によると、片倉被告らは2006年12月−07年11月、35回にわたり滝川−札幌両市間を往復したと虚偽の申請をし、滝川市から介護タクシー代をだまし取った。
 請求額は、詐取された約2億円のうち、札幌地検が公判で指摘した架空請求分。市は25日に予定される片倉被告らの判決後、追加の賠償請求も検討するとしている。





◆生活保護世帯への地デジチューナ配布などを取りまとめ
−デジコンの取りまとめは後日。情報通信政策部会開催
 http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20080623/soumu.htm
6月23日発表
 総務省の情報通信審議会 情報通信政策部会(第30回)が23日開催された。同政策部会の委員会から、第5次中間答申に向けた報告が行なわれた。

■ 生活保護世帯への簡易チューナ配布を提言
 「地上デジタル放送推進に関する検討委員会」で協議が行なわれていた「地上デジタル放送の在り方」ついては、中間答申案がまとめられて、承認された。
 同案は、2011年のデジタル放送完全移行に向け、「今後3年間を最終段階と位置づけて」まとめられた。難視聴対策のための衛星放送の活用や、アナログテレビへのシール貼付、放送終了の告知のためのメッセージ表示、地上アナログ放送終了後のアナログテレビのリサイクルなどが盛り込まれている。低価格チューナの開発/流通については、「2009年夏までに実現できるよう取り組むべき」と言及している。
 加えて、地上デジタル放送の完全移行に向け、生活保護世帯を対象に、国が専用チューナを無償で支給する方針を決定した。2007年の第4次答申で触れている「自己負担による購入」を原則としながらも、「経済的な理由により、必要最小限の対応すらできずに、テレビが視聴できなくなり、災害時も含めた必要な情報をこれまで得ていたのに得られなくなる事態が生じることのないよう、支援を行なうことが適等」とし、2009年度から生活保護世帯を対象に、簡易チューナの無償給付を行なうよう提言している。
 2006年度の生活保護世帯は約107万世帯で、これらの世帯が対象となる見込み。なお、給付の方法については、「現物給付を基本とし、国において具体的検討を行なうべき」としている。また、現物給付による一括発注により、簡易チューナの低価格化も促していく。さらに、必要に応じて室内アンテナの給付や屋外アンテナの回収等の支援も検討すべきとしている。
 また、2008年秋に全国10箇所に「テレビ受信者支援センター(仮称)」を設置。センターは地方公共団体や放送事業者、メーカー、工事事業者、販売店などが協力し地域密着型の組織として運営。説明会の開催や工事業者の紹介などを担当する。完全移行に向けて取り組む。さらに、「2009年初頭には全都道府県に一箇所は設置するべき」としている。

■ デジコン委員会は骨子案を提出
 「ダビング10」の決着を見た、「デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会」からは、答申案ではなく、骨子案が提示されるにとどまった。答申案の文面等について24日に委員会で議論し、まとめる予定。
 ダビング10の開始日時については、19日の委員会の合意を得たことと、Dpaが23日に開始日時を7月4日午前4時に決定したことを報告。答申案の文言については、次回委員会で確定するが、「情報通信審議会として、私的録音録画補償金の議論について早期の合意形成を図られることを期待する」との趣旨の骨子案に対して、同委員会の委員を努める消費者団体の代表からは「ダビング10と補償金の問題を切り離す、としているが、もともと委員会で補償金の問題を扱っていたわけではない。"期待する"というという人がいるのはわかるが、"期待していない人もいる"(高橋委員)」との意見も出た。
 デジタル放送のコピー生後に関わるルールの担保手段(エンフォースメント)の議論についても、前々回の委員会の内容の整理などが報告されたほか、コンテンツの取引市場の形成など取り組みなどについても報告された。これらも、24日の委員会の議論を受けて中間答申案を決定する。

□総務省のホームページ
http://www.soumu.go.jp/
□開催概要
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/kaisai/080627_1.html
□関連記事
【6月23日】「ダビング10」開始日が7月4日午前4時に決定。Dpa発表
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20080623/dpa.htm
【6月19日】「ダビング10」開始日は7月5日ごろ。近日中にDpaが確定
−急転直下の決着。「ダビング10に限り補償金と切り離す」
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20080619/dub10.htm
【2月28日】「ダビング10」とは何か。デジタル録画緩和策の実際
−6月2日開始に向け、本質と課題をJEITAに聞く
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20080228/dub10.htm
【4月25日】アナログ放送に「2011年7月放送終了」のメッセージ表示
−停波半年前にはアナログ放送が常時レターボックスに
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20080425/soumu.htm
【ダビング10対応状況リンク集】
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20080207/dub10.htm
( 2008年6月23日 )





◆ペットの餌代のためコンビニに押し入った「イヌ男」を逮捕、大阪府警
 http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2409418/3069229
2008年06月23日
大阪市内のコンビニエンスストアの監視カメラに撮影された犬の面をかぶった強盗の姿(2008年6月23日、大阪府警提供)。(c)AFP/OSAKA PREFECTURAL POLICE
【6月23日 AFP】動物が好きで多くのペットを飼っていた大阪市の男が、餌代を払えなくなり、「イヌ」の面をかぶってコンビニ強盗を働き逮捕された。
 大阪府警は19日、3月に別のコンビニ強盗未遂で逮捕され、公判中の住所不定、無職河田教晴(Takaharu Kawata)被告(28)を、強盗容疑で再逮捕した。
 警察によると、河田被告は3月に大阪市内のコンビニエンスストアに押し入り現行犯逮捕されたが、それ以前に発生した2件のコンビニ強盗の容疑もかけられ、計58万7000円を脅し奪ったとされていた。
 その後、現行犯逮捕された店とは別のコンビニの監視カメラに、白黒のぶち模様の大きな犬の面をかぶり、ナイフを突きつける被告の姿がとらえられていた。
 同府警が発表した供述内容によると、河田被告は動物が好きで、犬2匹、猫5匹、カメ5匹、ヘビ2匹を飼うほか、水槽で熱帯魚も飼育しており、餌代などに困って強盗したという。テレビでナイフによる事件を見て、強盗は簡単にできると思いナイフを購入したという。犬のうち1匹のビーグル犬は、奪った金で買ったとみられる。
 河田被告は無職で、毎月12万円の生活保護を受給していたが、自分とペットの生活をまかなうには十分でなかったと供述している。
 報道によると、現行犯逮捕の際に被告は犬の面をかぶっていなかったが、犬の面を食いちぎられてしまったためだ、と被告は説明したとされる。
 被告の逮捕後、ペットたちはペットショップに引きとられた。賃貸マンションの契約は解除された。(c)AFP





◆総務省、地デジチューナーを無償支給 生活保護世帯対象に
 http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20080623AT3S2301523062008.html
 総務省は23日、2011年7月の地上デジタル放送への移行に向けて、生活保護世帯を対象に、視聴に必要な専用チューナーを無償で現物支給する方針を決めた。情報通信審議会(総務相の諮問機関)の専門部会が同日まとめた答申案に盛り込んだ。来年度から2年間かけて実施する計画で、来年度予算編成に向けて財務省と調整に入る。
 地デジに移行すると、専用のチューナーを接続しないと番組が見られなくなる。生活保護世帯は06年度末で107万世帯。総務省は電機メーカーに5000円程度の低価格のチューナーの開発を要請している。5000円に収まるとしても、無償支給のための必要経費は50億円を超える。アンテナの改修でも支援策を検討する。(02:23)





◆地上デジタル放送:支援、経済的弱者に配慮 「ばらまき」の批判も
 http://mainichi.jp/life/electronics/news/20080624ddm008020033000c.html
 情報通信審議会(総務相の諮問機関)の部会が11年7月の地上デジタル放送への移行をにらみ、生活保護世帯への地デジ対応チューナー給付を求める答申をまとめたのは、国主導で地デジ移行を進める以上、経済的弱者への政府の支援策も不可欠との声が高まったためだ。
 地上テレビ放送のデジタル化は、高画質・高音質の番組やデータ放送などを視聴できるようにすることや、情報を圧縮して送り、電波の利用枠に余裕をもたせるのが狙い。デジタル化で生まれた枠は、需要が急増している携帯電話や「高度道路交通システム(ITS)」などに充てられるという。
 問題はアナログ放送しか受信できないテレビを持っている人に経済的負担を強いることだ。
 総務省によると、海外ではオランダ、スウェーデン、フィンランドなどが既にアナログ放送を終了。08年から地デジ移行が進むフランス、英国では政府が基金を創設して低所得世帯などにデジタル受信機の購入を補助する。米国はすべての地上波受信世帯に受信機購入のクーポンを支給する。
 無料配布には「デジタル受信機は本来、それぞれで用意するのが原則。予算のばらまきにつながる」との批判もあるが、総務省の部会は地デジを「国全体の利便性向上につながる国策プロジェクト」と位置付け、生活保護世帯に限れば、異例の現物給付にも理解が得られると判断した。【川口雅浩、前川雅俊】
毎日新聞 2008年6月24日 東京朝刊





◆最低賃金 貧富の格差の早期是正を
 http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-133454-storytopic-11.html
2008年6月24日
 最低賃金の大幅引き上げに政労使(政府、労働者、企業)の代表が合意した。合意された目標水準は現行の687円(時給、全国平均)を今後5年間で755円とするものだ。貧富の格差是正にもつながる。実現を後押ししたい。
 合意は、20日に首相官邸で開かれた政労使の代表が参加する「成長力底上げ戦略推進円卓会議」で実現した。
 引き上げ目標となった水準は「小規模事業所の高卒初任給の最も低い水準」である。
 大田弘子経済財政担当相は「最低賃金を引き上げることは長い目でみて、消費と経済全体によい循環をつくる」とコメントしている。
 驚くのは、最低賃金の水準について、大田担当相が「これまでは目指すべき水準がなかった」と語った点だ。
 最低賃金は、毎年7月から8月に中央最低賃金審議会が経済情勢などを踏まえて引き上げ額の目安を決め、地方審議会が地域別の最低賃金を決めてきた。
 ところが現行の最低賃金は、生活保護費すら下回っている。
 仕事をし報酬があるのに、最低限の生活が難しい「ワーキング・プア」問題の源流がそこにある。
 円卓会議の資料では日本の最低賃金は先進国の中でも低い。例えば、英国は時給1162円、フランスが1334円、オーストラリアが1344円だ。
 日本人の長時間労働は欧米人から「ワーカホリック(仕事中毒)」とやゆされてきたが、低賃金が長時間労働を強いてもいる。
 地域格差もある。一般労働者の賃金分布では東京、神奈川は1000円以上1500円台が多く、沖縄は600円から800円台に山があり、最低賃金を下回る600円以下もある。
 合意はされたが、労働生産性と賃金とのバランス論から、大幅な引き上げに反対論も根強い。
 賃金には能力・力量に応じた「成果・能力給」のほかに最低限の生活を保障する「生活給」の側面もある。
 生活給の格差は基本的人権や生存権、命の格差にもかかわる。格差是正は政労使の義務であろう。





◆この人に聞きたい:NPO法人「地域精神保健福祉機構」代表・宇田川健さん /千葉
 http://mainichi.jp/area/chiba/news/20080624ddlk12070005000c.html
 ◇当事者として伝えたい−−NPO法人「地域精神保健福祉機構(コンボ)」代表・宇田川健さん
 ◇行政に障害者の自立生活支援訴え社会的な死防ぐ
 日本には約250万人の精神障害者がいるといわれる。約32万人の精神科入院患者のうち、約7万人は後見人などがいないため、長期入院を強いられる「社会的入院」だ。そんな中、重度の精神障害者の在宅生活を支援する「包括型地域生活支援プログラム(ACT)」が、市川市などで行われている。NPO法人「地域精神保健福祉機構(コンボ)」は、ACTの活動普及を目指し、07年2月に設立された。コンボの共同代表で、自身も現在、統合失調症気分障害の宇田川健さん(36)にその取り組みを聞いた。

 −−コンボの活動と、特徴を教えて下さい
 ▼メンタルヘルスマガジン「こころの元気+(プラス)」や、ホームページ(アドレスhttp://comhbo.net)での当事者への情報提供が主です。「こころの元気+」では統合失調症などの病気について、治療法や薬の知識を紹介するほか、障害者団体の記事や障害者の生活を応援する特集を組んだりしています。コンボは私のような障害者が主体になって活動している点が画期的です。

 −−コンボ設立にかかわるきっかけは
 ▼大学時代に躁鬱(そううつ)病になって以来、入退院を繰り返してきました。転機は98年、28歳で米国のロサンゼルス精神保健協会と日本の当事者団体の交流プログラムに参加したこと。00年からはプログラムのコーディネーターとなり、ACTの関係者と知り合ってコンボ設立にかかわりました。

 −−米国と日本の違いは
 ▼驚いたのは、当事者が自分の病名、薬の名前とその効用・副作用の知識を持っていること。薬も自分の調子に応じて選択して服用し、主体的に病気と付き合います。またロサンゼルスは米国でも先進的な地域で、障害者でもフルタイムの仕事で給料を得て、自立生活を営んでいます。米国で90年に成立した障害者対策法(ADA)の存在は大きいです。障害者の公民権を認め、雇用などでの差別を禁止しています。県障害者差別禁止条例成立に反発が大きかったことを見ても分かるように、日本は遅れています。社会的入院の多くは生活保護を受けながら数十年の入院生活を送ります。家族や社会が引き受けないことを理由に、「社会的な死」が作り出されています。

 −−精神障害者の社会復帰を進める上での課題は
 ▼各地域に私のような「発言する当事者」を育てる必要があります。多くの障害者にとって転機となるのは、障害を抱えながら社会生活を営むモデルケースとの出会い。そのモデル的存在が社会に発言し、偏見をなくしていくべきです。これまで精神障害者の居場所は、病院や作業所など医療、福祉の場に限られてきました。関係者の多くは「社会復帰は病気が良くなってから」と考え、簡単な手作業をさせるだけ。これでは一般社会で生きられません。一般的な職場で症状に応じて働き方を変えたり、何度も挑戦しながら徐々に移行すべきです。行政には、ACTに対し予算をつけ、優秀な職員が就職できる仕組みを作ってほしいです。重度の精神障害者が地域生活を維持するための仕組み作りが急務です。【聞き手・中川聡子】
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 ■人物略歴
 ◇うだがわ・けん
 1971年生まれ。埼玉県越谷市出身。90年、筑波大学に入学。躁鬱病を発症して休学、96年退学。98年から日米精神障害者交流プログラムに参加。07年2月から現職。問い合わせはコンボ事務局(電話047・320・3870)
毎日新聞 2008年6月24日 地方版





◆道内生活保護世帯、昨年度は過去最多の9万3,541世帯
 http://www.bnn-s.com/news/08/06/080624145737.html
06月24日(火) 15時00分
文:井上 
2006年度版の生活保護手帳
 1,000人当たりの被保護人員の割合を示す「保護率」も過去最高の24.6。
 2007年度の全道の被保護世帯数(生活保護を受給する世帯)は、過去最多の9万3,541世帯となったことが道のまとめでわかった。
 被保護人員の割合を示す「保護率」(人口1,000人当たりの被保護人員の割合)も、07年度は24.6(前年度比0.6ポイント増)と過去最高となった。全道の被保護人員は13万7,570人。
 札幌市の被保護世帯数は、3万5,467世帯、保護率は28.0、被保護人員は5万2,702人。
 道は1951年度に生活保護の調査を開始した。札幌市を除く道内の保護率は、85年度の21.0をピークに95年度まで減少を続けた。96年度以降は増加に転じ、04年度は85年度を上回る21.1、05年度は21.7、06年度は22.3と増加が続いている。
 道内で保護率が最も高かったのは三笠市の44.6。昨年度の保護率22.8を超えた市は、札幌、三笠の両市のほかに釧路市44.3、歌志内市42.6、函館市38.9、小樽市37.8、室蘭市33.8、赤平市33.7、旭川市32.8、美唄市30.3、夕張市26.2、苫小牧市24.4の10市だった。
 道保健福祉部では「はっきりとした要因は分析できないが、景気動向、雇用情勢、高齢者比率が影響し、複雑に関連している」と説明する。 





◆北九州市:生活保護受給者の就労支援 対策チーム、民間専門職の導入提案 /福岡
 http://mainichi.jp/area/fukuoka/news/20080624ddlk40010376000c.html
 生活保護受給者の自立支援に向け北九州市が庁内に設置した「就労自立支援対策チーム」の第3回会議が23日開かれ、他都市の就労支援事業の視察結果などが報告された。
 視察先は川崎市と東京都の足立区、杉並区で、いずれも福祉事務所に1人の就労支援専門職員を配置している。川崎市には9人の専門職員がおり、昨年度は397人を支援して276人が就労した。足立区は375人を支援し199人が、杉並区は152人を支援し97人が就労した。
 一方、北九州市は230人の支援に対し、就労は26人にとどまっていた。大きな要因として、対策チームは就労支援専門員が小倉北区と八幡西区に各1人しかいないことを挙げている。
 対策として、今年度中にも門司、若松、戸畑の各区役所保護課を巡回して勤務する民間キャリアカウンセラーを今年度中に導入するよう提案している。キャリアカウンセラーは、就労支援専門員に準じ(1)求職相談に応じ、求人情報の提供や求職活動を指導・援助(2)ハローワークに同行して求職を支援するなどの業務を担当するよう検討しているという。【木村雄峰】
〔北九州版〕
毎日新聞 2008年6月24日 地方版





◆非正規増加で負担増20兆円 老後の生活保護費で試算
 http://www.47news.jp/CN/200806/CN2008062401000762.html
 就職氷河期に増えたフリーターや派遣社員ら非正規雇用者が、賃金が低いために生活資金を準備できないまま老後を迎えて生活保護を受けると、追加的な財政負担が累計で20兆円に上ることが24日、分かった。シンクタンクの総合研究開発機構が試算した。
 福田首相は非正規雇用対策も含めた包括的な社会保障対応策を7月中に打ち出す方針だが、こうした潜在的な「貧困問題」を放置することになれば、新たな財政圧迫要因となる恐れもある。
 試算では、1968−77年生まれを就職氷河期世代と設定し、この世代を58−67年生まれの世代と比較。学校を卒業した後、就職活動をした非正規雇用者と、家事も通学もしていない無業者で、老後に生活保護を受ける可能性がある人が77万4000人増加すると算出した。
2008/06/24 18:38 【共同通信】





◆母子生活支援施設を建設へ/相模原市子育て・教育
 http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryxiiijun0806526/
2008/06/24
 相模原市は二十四日までに、経済的に困窮するなどした母子家庭を支援する「母子生活支援施設」を同市並木三丁目に建設が予定されている市営住宅内に併設することを決めた。市内では初の施設で、二〇一一年六月の開所を目指す。市が施設を建設し、民間による運営を検討している。
 〇七年十月の市内の母子家庭数は前年同期比七百五世帯増の六千八百七十七世帯と増加傾向にある。市こども育成課によると、経済的理由などで支援が必要な世帯は毎年十〜十三世帯という。
 市内に同施設がないことから市はこれまで、生活保護制度を活用し民間アパートへ入居させ、相談員が訪問指導してきた。だが自立に向けた生活訓練や就労支援が不足しがちなため、施設建設を決めた。
 施設は鉄筋四階建てで、延べ床面積約二千平方メートル。二十世帯が入居できる母子室のほか、家事訓練を行う自立訓練室や学習室などを設置。専門職員として母子指導員や少年指導員が常駐する。
 七月から地元説明会を開催する予定。





◆二十代・アキバ献花台発:/上 孤独、焦り…思い重ね
 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080624ddm013040130000c.html
献花台はすぐに花や供え物でいっぱいになる=東京都千代田区外神田で21日、長谷川直亮撮影
 ◇事件起こすかどうか、一線どこに?
 ◇クビになるかも。怖い
 東京・アキバ(秋葉原)−−。大通りの交差点に献花台はある。
 花束、スナック菓子、アニメキャラクター……。下段にはペットボトルの白キャップが、ハチの巣のように並ぶ。
 今月8日、7人の命をトラックとナイフで不条理に奪い、加藤智大容疑者が逮捕された。25歳の男は、ネアカ、ネクラ、ロリコンなどの言葉が流行した1982(昭和57)年に生まれている。惨劇の犠牲者を悼む献花台には若者がひっきりなしに訪れ、その大半が男と同じ20代だ。

 □  □

 事件9日後の17日午後7時−−。都内のタイ式マッサージ店で働くユミコさん(22)=仮名=が花束の山を見つめていた。1人でカラオケに行き、アニメソングを歌った帰りだという。
 「友達がいないから悲しかったんじゃなくて、友達がいない人間はダメなんだと思い込んでしまったんじゃないかな」。来たのは2回目で、自分と男の生い立ちを重ねていた。
 両親は教師で、塾、ピアノと習い事が多い少女期を過ごした。テレビ番組はニュースだけという家庭もストレスだった。そのはけ口は友達へと向かう。つらく当たって気づくとひとりぼっち。不登校になった。押しつぶされそうだった。
 アニメと出合い、救われた。兄が借りてきたビデオを親に隠れて見た。主人公が旅をして魔物を倒していくストーリーに「この世じゃないみたいに自由」と心が弾んだ。漫画の専門学校に入ったが、プロへの道は遠い。
 あの男と自分との違いを探し、答えが見つからない。
 「事件を起こすかどうかの一線ってどこにあるの」

 □  □

 事件10日後の翌18日−−。昼休みの献花台は会社員や学生の姿が目立つ。女子高校生4人が手を合わせ、手をつなぎ去っていく。「みんなで使えるように」と数珠と線香も添えられた。
 青表紙に「祈帳」と書かれたノートもだれかが置いたのだろう。大学生のユウサクさん(23)がノートを読み末尾に自分の思いを刻んだ。
 「勝ち組の人は優秀な学校を出て一流企業。僕もその道が絶たれました」
 工業系専門学校に推薦入学したが、就職できなかった。「勉強が足りないのか」と思い大学に進み、2度目の就職活動も苦戦している。内定が出ない。
 −−コミュニケーション能力に欠ける
 −−仕事には笑顔も必要だが君は鉄仮面
 面接官の言葉が胸に突き刺さる。思えば中学の部活動でもキャッチボールの相手が見つからなかった。非正規雇用は切り捨てられると本で読み「絶対避けなければ」と焦る。

 □  □

 電脳タウンをメイド姿の少女たちが行き来し、店員のダミ声やBGMが響く。日が暮れると、街は電飾に彩られた。
 仕事帰りの若者が目立つ午後7時−−。容疑者と同じ派遣社員の25歳の男性が、30分近くたたずんでいた。「クビになるかもしれない。怖い」
 飲食店アルバイトの男性(27)は「事件を防ぐ方法が思いつかない」と悩んでいた。
 「孤独は人を追い詰める。孤独はいけない」

 □  □

 だれかが犠牲者に花を手向け、それが献花台になった。警察、町内会、行政が協力し、供えられた花束や品は1万7000点近くに上る。怒り、悲しみ、やりきれなさ、閉塞(へいそく)感、孤独。若者が献花台に引きつけられ、その一つ一つが積み重なっていく。
 20代の目線でアキバ事件を見つめる。
 ◇容疑者の25年と社会
 時代とともに変ぼうしてきた東京・秋葉原はいま若者文化の発信基地となり、「オタクの聖地」とも称される。アニメ、ゲーム、フィギュア、メイド喫茶などを目当てに若者が集う。事件を起こした25歳の男もその一人だった。
 男は父(49)と母(53)の長男として、青森市で生まれた。体罰やいじめ自殺が社会問題化し、ファミコンが普及した時に幼少期を過ごす。
 小学1年の89年、バブル経済がピークとなる一方、連続幼女誘拐殺人事件で宮崎勤元死刑囚が逮捕され、20代の猟奇的事件に社会が震えた。中学に進んだ95年に「ウィンドウズ95」が登場し、インターネット社会が到来する。オウム事件などがあり、平成不況を背景に派遣労働が広がっていくのもこのころだ。
 高卒の両親は「子供は絶対に大学へ」と教育熱心で、98年に県立青森高に合格するが、成績は振るわなかった。自動車整備士を養成する短大で学び、派遣社員として全国を転々とした。

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 ■過去25年間の若者・子どもをめぐる事件

83年 横浜で中学生ら10人がホームレスを殺傷

86年 東京の中学2年、鹿川裕史君がいじめを苦に自殺

89年 埼玉・東京連続幼女誘拐殺人で宮崎勤元死刑囚逮捕

90年 神戸で女子生徒が遅刻指導の教諭の閉めた校門に挟まれ死亡

94年 愛知の中学2年、大河内清輝君がいじめを苦に自殺

97年 酒鬼薔薇聖斗を名乗る中3男子が神戸で連続児童殺傷

00年 17歳無職少年が佐賀で高速バス乗っ取り

01年 大阪で宅間守元死刑囚が小学校に乱入、児童8人殺害

04年 長崎で小6女子が同級生を殺害

08年 指名手配中の24歳無職男が茨城の駅前で8人殺傷

毎日新聞 2008年6月24日 東京朝刊





◆二十代・アキバ献花台発:/中 薄氷踏む、派遣の生活
 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080625ddm013040105000c.html
にぎわいを取り戻した現場・秋葉原の交差点=東京都千代田区外神田で、長谷川直亮撮影
 ◇クビ、退寮…ホームレス保護所へ−−事件で国が動いた…気持ち複雑
 こぬか雨が東京・アキバ(秋葉原)の交差点をぬらす。殺傷事件(8日)から2度目の週末の21日午後、埼玉県の純子さん(28)が献花台で黙とうしていた。
 あの男を理解できるか−−。インターネット上で加藤智大容疑者(25)と事件を考えるサークルの「オフ会」の帰りだ。
 「フツーの新卒正社員」を夢見ていた。しかし、超氷河期の就職戦線は約30社すべて不採用だった。清掃会社、スーパー、不動産……。短大を出て8年間で12の職場で働いた。
 男と同じ25歳で仕事が途切れる。恋にも破れ、行き場のない感情をブログに書き続けた。
 <仕事はちゃんとしているのに>
 <私は恋愛に失敗したからダメなのかな>
 だれからも反応がなく、部屋で泣いた。「心をなくした奴隷として生きればいいんだ」
 どん底からはい上がれたのは新しい派遣先が見つかったからだ。「仕事は続けたい。自分が社会とつながっている証しだから」。今年2月、また派遣先との契約が切れた。「正社員でなくてもいい。とにかく、働きたい」

  □  □

 つなぎがない。
 派遣社員だった男は事件前の5日朝、静岡の工場の更衣室であばれた。
 名古屋市の職業訓練校に通う酒井徹さん(24)は作業着が頭に浮かんだ。ポケットの少ない化学繊維の「専用つなぎ」である。
 事件を報じる新聞を広げて驚いた。工場こそ違う。しかし昨年、愛知県の自動車車体工場で塗装工として働いた。登録派遣会社も男と同じではないか。
 男の職場では派遣の契約解除が話題に上がっていたが男は含まれていない。「でも」と酒井さんは言う。「つなぎは仕事に欠かせない。『ない』のを『お前はいらない』と受け取ったのではないか」
 酒井さんは工場で車のバンパー単品を塗装前に磨いてちりを落とす作業をしていた。「1ミリのちりでも塗料が引き寄せられて盛り上がり不良品になる」。1日約8時間労働で250個程度を磨く流れ作業だった。
 時給1270円は悪くない。1カ月約25万円になった。だが部屋代、つなぎのクリーニング代、食費、光熱費などを差し引くと残らない。食堂の社員割引もない。「正社員が400円のメニューを600円で食べた」
 クビは突然だった。
 昨年9月、働けるのは派遣半年を迎える翌月まで、と言い渡された。「目の前真っ暗」。加盟労組と団体交渉したが、新しい仕事を紹介されず、寮を追われた。ホームレス一時保護所に駆け込み、路上生活だけは免れた。

  □  □

 つなぎの件の翌日の6日未明、男はケータイサイトに書き込む。

 <あ、住所不定無職になったのか。ますます絶望的だ>

 仕事と住まいを同時に失う恐怖。住所を失うとケータイも使えない。通話が止まれば、派遣会社と連絡がとれない。自暴自棄になっていく男の心情が読み取れる。「少しでも行政の制度を知っていれば……」
 酒井さんは、一時保護所を出て、再び働きだした。今度は日雇いの工場派遣だった。研修の名のもと、最低賃金すらもらえない外国人研修生もいた。「派遣の待遇改善を」。派遣労組の先頭に立つが、事件後、状況が変わる。
 日雇い派遣の原則禁止−−。舛添要一厚生労働相がその意向を示した。歓迎できるが気持ちは複雑だ。「これだけ犠牲者が出なければ制度は変わらなかったのか」
 男はアキバへ向かうトラックの座席で何を考えていただろうか。いま、酒井さんは失業保険を得て家賃3万5000円のアパートに住む。同志社大の単位を取りこぼし中退してから、正規雇用の道はまだ開けない。そしてもがいている。

 「ハードルは高いが正社員になり、働いてみたい」

 ◇背景に強い閉塞感
 「電波男」の著者で独自の"オタク論"を展開している評論家の本田透さんに容疑者の心の背景を聞いた。

   ◇

 中流だと信じられた時代は努力すればだれでも豊かになれると思えたが、格差が広がり、一度負けたらはい上がるのが難しい。非正規雇用で働くうち社会的にも追い詰められていく。恋愛に居場所を求めもがいたが、そこにも格差があった。ゲームや漫画などに没頭するアキバ系オタクにもなり切れなかった。
 人間関係もつくれないこうしたタイプはネット上で、もてない者同士グチりあって気晴らしをしたりする。だが、ここでも適応できず、ケータイ掲示板で独り言のようにぶつぶつ書くしかなかった。どこにも自分の居場所が見いだせず、自分が主人公の物語をつむげなかった。そして、男は1日だけの主人公を目指し、ワイドショー独占と称し"テロリスト"になった。
 戦争などで人生をリセットしたいという若者が多い。将来が見えず、現実世界で主人公になれないという閉塞(へいそく)感、不安感が強い。今回のような事件が続く可能性はある。

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 ■過去25年間の主な経済ニュース

85年 労働者派遣法制定

91年 バブル経済崩壊、平成不況による「失われた10年」始まる

97年 山一証券、北海道拓殖銀行など破綻(はたん)相次ぐ

02年 景気拡大、平成不況終わる

04年 派遣法改正で製造業への派遣を解禁

05年 社会の二極化が「格差社会」として問題に

06年 派遣労働者が300万人超える。「いざなぎ超え」の景気回復と政府発表

07年 人材派遣大手フルキャストが違法派遣で事業停止、ワーキングプアが流行語に

08年 新卒大学生の内定率88.7%。99年度以降で最高に

毎日新聞 2008年6月25日 東京朝刊





◆医療保険「積み立て方式導入を」 財務省研が報告書
 http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20080625AT3S2401R24062008.html
 財務省の財務総合政策研究所は24日、人口動態の変化が財政と社会保障に与える影響を検討した報告書をまとめた。研究に参加した鈴木亘・学習院大准教授は、医療保険財政を将来も維持するためには、現役世代の負担で全体の歳出の大半をまかなう制度を改め、積み立て方式の導入が必要と提言。現在8.03%の保険料率を11.79%に引き上げることで、「2105年まで財政を維持できる」との推計を示した。
 神戸大の小塩隆士教授は公的年金が高齢者の格差をどれだけ是正しているのかを検討。分析の結果、公的年金の持つ高齢者への所得の再分配効果が乏しいと指摘した。厚生年金も報酬比例部分を持っているため、生涯所得の格差を大きくは是正しない。高齢者の所得格差を縮めるためには、「基礎年金部分を生活保護基準程度に引き上げるとともに、報酬比例の部分を圧縮するなどの改革が有効」と指摘した。(07:00)





◆【私説・論説室から】働く者が誇りなくす社会
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2008062502000124.html
2008年6月25日
 日本の封建社会には西洋のような農奴はいなかった。小作人が土地を耕す権利は保障されていた。比較的自由な立場の小作人は土地に縛り付けられた奴隷ではなく自らの裁量で収穫を増やし平等に分け合った。
 最近の歴史学で有力になった説は、日本が東洋でいち早く近代化に成功し工業社会に仲間入りした秘密を解き明かしている。
 日本では支配される側の人々も働くことに誇りを持て、自ら仕事や職場の改善を図ってきた。権力やカネへの執着は希薄だった。
 こうした、社会の伝統的価値観が根本から揺さぶられている。非正規労働が広がった影響は大きい。
 そこでは働く権利が保障されず労働者は一日単位で使い捨てられる。仕事に誇りを持ち改善に取り組んでも、その尊厳は一片の解雇通知でずたずたになる。
 実は非正規労働の広がりこそ戦後最長といわれた「好況」の秘密だ。株主配当や役員報酬は伸びたが、労働分配率は減り続け、社会にはカネと権力がすべてという風潮が広がった。
 企業は非正規労働者の医療や年金の社会保険負担を免れ、その負担は行き場を失った彼らの生活保護など財政に転嫁された。
 リストラによる業績回復が経営者の手柄になり希望のない「下流社会」から自暴自棄の犯罪が続く。「改革」の名で社会の根を損なう結果を招いた政治家や学者がもてはやされているのは不思議だ。 (清水美和)





◆最低賃金上げ 中小企業への支援が重要
 http://www.sanyo.oni.co.jp/sanyonews/2008/06/25/2008062508555532009.html
 政府や労使代表らで構成する「成長力底上げ戦略推進円卓会議」は、今後五年間で最低賃金の全国平均を小規模企業の高卒初任給の最も低い水準を目安に引き上げることで合意した。
 円卓会議は、政府が成長戦略を協議する場として二〇〇七年三月に発足した。当初は同年内にも最低賃金の中長期的な引き上げの方策をまとめる予定だったが、大幅アップを求める労働者側と経営への影響を懸念する経営者側が折り合わず、先送りされていた。
 労使が協議を経て一応の目指すべき水準を設け、最低賃金の引き上げを図っていくよう確認し合ったことは大きな前進といえよう。しかし、双方の意識の隔たりはまだまだ大きい。
 基準となる小規模企業の定義からしてそうだ。労働者側は、従業員が百人未満の企業を小規模企業とする。この場合、高卒初任給の最低水準は時給七百五十五円。最低賃金の全国平均が六百八十七円だから、六十八円の引き上げが必要となる。これに対し、経営者側はより給与水準が低い「二十人以下」を主張して譲らず、具体的な引き上げ額を示せないあいまいさが残る決着となった。
 審議の場は、今月末にも始まる本年度の引き上げ幅の目安を決める厚生労働省の中央最低賃金審議会に移ることになるが、先行きの不透明さは否めない。
 非正規雇用者が増えて賃金格差が拡大し、働いても生活費が賄えないワーキングプア(働く貧困層)が社会問題化している。安全網としての最低賃金の意味は一段と大きくなってきたといえよう。
 政府は最低賃金の設定に当たって「労働者が健康で文化的な最低限の生活が営める」水準を考慮するよう明記した改正最低賃金法を〇七年に成立させた。これを踏まえ、〇七年度の全国平均の引き上げ幅は従来の年数円から十四円と大きく上回った。それでも、依然として生活保護費を下回る地域もある。労働意欲を損なわせてはならない。合意を具体化し、大きく踏み出すよう求めたい。
 最低賃金のアップは、原材料価格の高騰や円高傾向にあえぐ企業の経営を一段と圧迫しかねない。とりわけ、非正規雇用者の比率が高い地方の中小企業は深刻だ。経営難や倒産による雇用切り捨てになったのでは何にもならない。
 中小企業が最低賃金の引き上げに耐え得る体力をつけるためには生産性の向上が重要だ。政府も、労使一体となった経営改善を支えていく施策のさらなる検討が不可欠である。





◆基準変更で現場混乱 保護費受給者の通院交通費
2008.6.25
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080625/crm0806250949001-n1.htm
 北海道滝川市の生活保護不正受給事件を受け、厚生労働省は4月に通院交通費の支給基準を厳格化する通知を出したが、受給者らの批判で新たな通知を出し現場に混乱が生じている。
 生活保護の受給者は通勤に必要な場合などを除き自家用車の所有が認められていない。このため、タクシー利用などで掛かった通院交通費が支給されていた。
 事件を受け、同省は「へき地などに住み、最寄りの病院に行くと交通費が高額になる場合に限る」と支給条件を厳格化。しかし「都市部では支給が打ち切られる恐れがある」「保護基準の実質的切り下げ」との批判が続出。同省は今月10日、継続的な通院で交通費が高額になった場合など都市部でも支給となる具体例を示した追加通知を出した。
 生活保護問題対策全国会議は、通知にある「高額」の基準の不明確さなどを指摘し「自治体によって混乱や不公平が出る」と批判している。





◆元組員夫婦に懲役13〜8年=生活保護2億詐取、「予算食い物」−札幌地裁
 http://www.jiji.com/jc/zc?k=200806/2008062500042
 北海道滝川市から受給資格がないのに生活保護費2億円以上をだまし取ったなどとして、詐欺などの罪に問われた元暴力団組員片倉勝彦被告(42)と妻ひとみ被告(38)の判決公判が25日、札幌地裁で開かれた。井上豊裁判長は「一地方都市の生活保護予算のかなりの部分を食い物にした未曽有の巨額公金詐欺事案」と述べ、勝彦被告に懲役13年(求刑懲役15年)、ひとみ被告に同8年(同10年)を言い渡した。
 井上裁判長は「手口は巧妙で遊興費欲しさからの犯行」と指摘。弁護側は公判で「滝川市が十分な調査をしていれば、被害の拡大を防げた。市には行政上の責任と道義的責任がある」と主張していたが、同裁判長は「不正な利益をむさぼっていた被告らに市の対応の是非を論ずる資格などない」と一蹴(いっしゅう)した。
 判決などによると、片倉被告らは介護タクシー会社から得ていた多額のバックマージンを滝川市に申告せず生活保護費を受給。2006年11月から約1年間にわたり、同社役員らと共謀し、札幌市の病院へタクシー通院したとして、通院移送費など2億円以上をだまし取った。(2008/06/25-12:02)





◆室蘭市の累積赤字、昨年比31億円圧縮も健全化険しく
【2008年6月25日(水)朝刊】
 http://www.muromin.mnw.jp/murominn-web/back/2008/06/25/20080625m_01.html
 室蘭市は24日、開会中の第2回市議会定例会の総務常任委員会で、平成19年度各会計決算(見込み)の概要を明らかにした。累積赤字総額が18年度末に比べ31億円余り圧縮し、135億7400万円となった。一般会計余剰金は4億8900万円だった。
 特別会計(5会計)の累積赤字は1億7300万円。うち国保会計1億100万円、老保会計7200万円の赤字がそれぞれ発生したのが大きな要因。
 企業会計(7会計)は、赤字を32億6100万円圧縮、累積赤字が134億100万円となった。病院会計が患者増や単価上昇などもあり、医業収入が増加したため、赤字を1億9100万円圧縮、累積赤字も8億8600万円となった。
 決算見込みでは一般会計歳入が437億1900万円、歳出が432億3000万円。生活保護費や中小企業向けの貸付金、除雪費などが減少し不用額が生じ余剰金が発生した。
 市財政課は「31億円の赤字圧縮と言っても、一般会計からの繰り出しが20億円(港湾会計)あり、自助努力で赤字を解消した分は11億円余り。財政健全化にはまだ長い時間がかかる」とし、地道な取り組みが必要だとの厳しい認識を示している。
(佐藤重理)





◆生存権訴訟:老齢加算廃止巡り 26日東京地裁で判決
 http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080625k0000e040060000c.html 「我々にとっては命の問題です」。東京地裁前でマイクを握る原告の横井邦雄さん=2008年6月19日午後1時6分、銭場裕司撮影
 70歳以上の生活保護受給者に上乗せ支給されていた老齢加算を廃止したのは、生存権を保障した憲法に違反するとして、東京都内の高齢者12人が、居住する3市7区に廃止処分の取り消しを求めた訴訟の判決が26日、東京地裁(大門匡裁判長)で言い渡される。全国8地裁で係争中の同種訴訟では初の判決になる。
 「生活が苦しくなると削るのは食費。肉などは2、3回に分けて食べるようになったよ」。原告団長の横井邦雄さん(79)は1人暮らしの都営住宅で苦笑いした。がんを患い、緑内障で左目の視力を失いながらも、裁判を闘い続けてきた。
 横井さんは活版印刷の元職人。バブル経済の崩壊で雇い先がなくなり、96年から生活保護を受けている。現在の収入は生活保護の月約7万5000円のみ。2年前、老齢加算制度が「特別な需要はない」との理由で完全廃止された。約1万8000円を減額され、「年間20万円以上のカットはきつすぎる」と嘆いた。
 生活はぎりぎりの状態で、香典を出せず、弔電で済ます。京都の姉の見舞いも年1回に減らし、「自宅のお風呂もやめて、区が配布した月4回の入浴券でしのいでいる」と言う。
 高齢者には消化のよい食べ物や暖房などが必要で、墓参りなど社会的な費用もかかるとして、1960年に老齢加算制度ができた。裁判で横井さんらは、憲法が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」が損なわれていると強調してきた。「正当な理由がなければ、保護を不利益に変更できない」とする生活保護法にも反すると訴えた。
 「判決に期待したい。我々の裁判は年寄りだけの問題じゃなくて、底辺の声なんです」。ワーキングプアの問題にも心を痛める横井さんは力を込めて語った。【銭場裕司】





◆事件事故裁判:市職員の胸元つかみ現行犯逮捕 /山口
 http://mainichi.jp/area/yamaguchi/news/20080625ddlk35040354000c.html
 24日、下関市本町1、無職、斉藤利勝容疑者(55)を公務執行妨害の疑いで。斉藤容疑者は同日午前11時15分ごろ、同市役所の生活保護者面接室で、相談相手の福祉部生活支援課の男性職員(36)の胸ぐらをつかんだ疑い。要求が通らなかったため激高したと供述しているという。職員にけがはなかった。(下関署)
〔下関版〕
毎日新聞 2008年6月25日 地方版





◆病院未収金・保険運営者が徴収
2008.6.25
 http://sankei.jp.msn.com/life/body/080625/bdy0806252032004-n1.htm
 患者が病院に治療費を支払わない「未収金問題」を議論してきた厚生労働省の検討会は25日、保険運営者(市町村や社会保険事務所など)に治療費回収を肩代わりさせる「保険者徴収制度」の強化を柱とした最終報告書案をまとめた。
 報告書案では「生活困窮」の状態にある患者には治療費減免制度や生活保護を活用するよう提言。一方、財力があるのに支払いを拒否する悪質な滞納者には医療機関が"夜討ち朝駆け"といった積極的な訪問で徴収することを求めた。
 それでも支払わない場合は、保険運営者に通報した上で、運営者が催促や差し押さえなどの強制徴収に着手する「保険者徴収制度」を行うべきだとしている。
厚労省は今年秋にも運営者向けの基準を策定する予定。





◆「妥当な判決」と滝川市長=元組員の生活保護詐欺事件で
 http://www.jiji.com/jc/zc?k=200806/2008062501051
 北海道滝川市の生活保護費詐欺事件で、札幌地裁が元暴力団組員(42)に懲役13年などの判決を言い渡したことを受け、田村弘市長は25日夕、市役所で記者会見し、「妥当な判決。再発防止と信頼回復に職員一丸となって努力していくつもりだ」と述べた。2億円を上回る巨額詐欺の背景として、被告側が主張した市行政の責任については、「法的な責任を認めた上での判決とは思っていない」と語った。
 市は年内に「滝川市再生基金」(仮称)をつくり、市長と副市長の給与減額分1500万円程度と、事件に関与した介護タクシー会社の車両や預金を差し押さえ、計約2000万円を積み立てる方針だが、被害額には遠く及ばない。被告らに対する損害賠償請求訴訟も「大きな期待はできない」と市長は認めた。
 行政責任を追及する市民団体は、市長らに対する訴訟を準備しており、市長は「コメントできない」と言葉を濁した。(2008/06/25-21:55)





◆20年前への感謝、恩返しの寄付金で車イス披露 取手市
 http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/ibaraki/080626/ibr0806260311001-n1.htm
2008.6.26
 「これで本当に肩の荷が下りました」−。かつて生活保護を受けていた茨城県取手市の70歳代の女性。先月、「恩返ししたい」とコツコツと続けた預金から100万円を同市に寄付し、市はこのお金で車イスを購入した。25日には、市内の市社会福祉協議会や施設に車イスを搬送。女性は姿を見せなかったが、約20年前に生活保護の仲介役になってくれた職員から報告を受けると、感謝を込めてこう話したという。
 車イスには「寄贈取手市民より」と書かれたプレートがつけられた。自走型・背折れ式16台▽自走型・エアタイヤ式5台▽介助型・背折れ式7台▽フルリクライニング式1台−の計29台。市社会福祉協議会のほか、市内の老人福祉施設や特別養護老人施設など6カ所に運ばれた。
 市社協では、「社協には購入してから15年くらいたっている古いものもあるので、それと交換して貸し出したい」と話していた。
 昭和62年ごろ、2人暮らしだった母親の病気もあって生活保護を受けたという女性。その後、職を得て生活保護を辞退し、現在は年金生活を続けている。
 当時、仲介役となった同市の岡田儀春政策調整課長が25日、女性宅を訪れて、車イスの写真を見せて報告した。女性は「たくさん買えてよかった。大変お世話になりました」と喜んでいたという。





◆大阪市、府の維新プラグラムで4億6000万円の影響
 http://sankei.jp.msn.com/region/kinki/osaka/080626/osk0806260315001-n1.htm
2008.6.26
 大阪市は25日、大阪府が公表した行財政再建計画「大阪維新プログラム案」が実行された場合の影響額推計を発表した。市が府補助金などを財源にして実施している事業と、府・市が協力して実施する事業の影響額は今年度で計約72億6700万円にのぼるとした。このうち、市に影響が少ないとみられる3つの流域下水道事業を除く実質の影響額は約4億6000万円。市は今後、不足額を確定し、9月市議会に補正予算案を提出して対応することにしている。
 市によると、府補助金などを財源にしている114事業のうち維新プログラム案で影響を受けるのは22事業。今年度の不足額は約6700万円で、21年度は約1億4100万円と試算した。おもな事業は、生活保護受給者に対し、キャリアカウンセラーを派遣する事業(府補助2分の1)などで、市は事業規模を維持したまま継続するかも含め、検討する。
 さらに、府・市協力事業で廃止・縮小対象は99事業で、3つの流域下水道事業を除くと、今年度、約3億9900万円、21年度は約7億2000万円、府からの出資が減る。
 協力事業は、主に団体への助成事業で、市は大阪人権博物館(リバティ大阪)、アジア・太平洋人権情報センター(ヒューライツ大阪)、大阪国際平和センター(ピース大阪)への助成金は、府と歩調を合わせて削減する方針。3助成事業で削減額は約5000万円になる。このほかに、大阪フィルハーモニー協会や文楽協会、21世紀協会事業への助成は今後、検討する。





◆07年県警DV相談 人口比で全国最多
 http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-133530-storytopic-1.html
2008年6月26日
 配偶者、パートナーなど親密な関係にある者からの暴力、いわゆるドメスティックバイオレンス(DV)に関連して2007年に県警に寄せられた相談は528件に上り、06年の329件を大幅に上回ったことが県警生活安全企画課のまとめで分かった。
 人口10万人当たりの相談件数は38・6件で、2番目の兵庫県の29・37件を大きく引き離して全国ワーストとなった。06年は鹿児島県に次いで2位だった。
 08年も4月末までの相談件数は175件で、前年同期の171件より4件増えるなど増加傾向にある。こうした現状について同課は「事案が多いというだけではなく、広報啓発活動によって、DVが犯罪であることが浸透し、相談者が増えた側面もある」と分析している。
 加害者と被害者の関係は婚姻関係が68・6%、内縁関係(同居)が19・4%、元婚姻関係が6・9%、元内縁関係が5・1%の順となっている。
 地裁が加害者に対して被害者への接近禁止や住居からの退去などを命じる保護命令は07年、県内で45件発令されている。
 内閣府男女共同参画局の資料を基にした県青少年・児童家庭課の資料によると、06年に県内で発令された保護命令件数の人口10万人当たりは3件で全国平均の1・7件を上回り全国6番目の多さだった。
 県警生活安全企画課は「エスカレートすると最悪の形にもなりかねない。小さいうちに芽を摘むためにも悩まずに相談してほしい」と呼び掛けている。
(沖田有吾)





◆老齢加算廃止は適法=「生存権侵害」認めず−生活保護受給者ら敗訴・東京地裁
 http://www.jiji.com/jc/zc?k=200806/2008062600494
 70歳以上の生活保護受給者に上乗せ支給されていた老齢加算の廃止は、憲法が保障する生存権を侵害するなどとして、東京都内の受給者12人が居住地の7区3市に加算打ち切り決定の取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は26日、「廃止には合理的な根拠があり、憲法に反するとはいえない」として訴えを棄却した。同様の訴訟は、ほかに7地裁で争われているが判決は初めて。原告側は控訴する方針。
 訴えていたのは73〜84歳の男女各6人。
 大門匡裁判長(岩井伸晃裁判長代読)は「現実の生活水準を無視した著しく低い基準を設定したとまではいえない」と述べ、憲法が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を下回る困窮を余儀なくされたとする原告側主張を退けた。(2008/06/26-18:55)





◆ 老齢加算廃止は合法 生存権侵害は認められず
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080626/trl0806261333005-n1.htm
2008.6.26
老齢加算の廃止決定取り消しを求めた訴訟で、東京地裁に入る原告ら=26日午後0時34分、東京・霞が関
 生活保護制度の見直しに伴い、70歳以上に支給されていた「老齢加算」を廃止したことは、「生存権」を保障した憲法に違反するとして、東京都内の73〜84歳の高齢者12人が、墨田区や青梅市など居住する自治体7区3市に廃止決定の取り消しを求めた訴訟の判決が26日、東京地裁であった。大門匡裁判長は、老齢加算廃止を合法と認め、原告の訴えを退けた。
 京都や神戸など全国8地裁で係争中の同種訴訟で初めての司法判断で、今後の訴訟に影響を与えそうだ。
 老齢加算は、70歳以上の生活保護受給者に一定額を加算支給する制度で、昭和35年に創設。高齢者には消化の良い食品や暖房などが必要として、生活保護費に上乗せして月額約1万8000円が支給されていた。しかし、厚労省は省内の専門委員会の提言を受けて、18年度から廃止した。
 裁判は、老齢加算廃止の違憲・違法性が争われた。高齢者側は、廃止によって食費を切りつめるなど節約を強いられており、「最低限度の生活を保障した生存権を侵害された」と訴えていた。「廃止には正当な理由がなく、不利益変更を禁じた生活保護法に違反している」とも主張していた。
 一方、自治体側は、生存権侵害の主張に「原告らは老齢加算廃止後も一定限の生活水準を保っている」と反論。「廃止は十分に審議した上で決定されており、裁量権の乱用には当たらない」と違法性も否定していた。





◆7地裁の訴訟にも影響必至 老齢加算廃止「適法」判決
2008.6.26
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080626/trl0806262145012-n1.htm
 生活保護制度における「老齢加算」の廃止を「適法」と認めた26日の東京地裁判決。廃止決定そのものが容認され、新潟、京都、神戸など全国7地裁で係争中の同種訴訟にも影響しそうだ。
 裁判は、原告の個別事情を争わず、廃止決定の違憲・違法性に争点が絞られた。原告側は「廃止には正当な理由がなく、国の裁量権の逸脱」と主張し、生存権の侵害を訴えていた。
 大門匡裁判長は、厚労省が廃止を検討する際に用いたデータの妥当性を支持。70歳以上の生活費は60歳代よりも少ない▽70歳以上の生活保護費は低所得者層の生活費よりも多い−との調査結果から「老齢加算の必要性はない。廃止には合理的な根拠がある」と判断した。
 生存権は憲法25条で「健康で文化的な最低限度の生活をする権利」と定められている。生存権をめぐっては「生活保護の基準設定は厚労相の裁量に委ねられ、著しい逸脱がない限り違法とはいえない」と最高裁が判示しており、今回もこれに沿った格好となった。
 判決後、記者会見した原告団長の横井邦雄さん(79)は「予想を裏切られた。ぜいたくをしたいのではないという思いを全く理解してもらえなかった」と不満をあらわにした。全国生活保護裁判連絡会事務局長で京都訴訟の代理人を務める竹下義樹弁護士は「判決は生活保護の実態を理解していない。この判決を引きずらないように戦わなくては」と今後の影響に懸念を示した。





◆保護費不正受給で逮捕へ 通院100キロタクシー往復
 http://www.47news.jp/CN/200806/CN2008062601000931.html
 収入を隠して生活保護費を受け取ったり、通院の際のタクシー代を不正受給したりしたとして、埼玉県警捜査4課は26日、生活保護法違反容疑で、埼玉県深谷市内の指定暴力団組幹部の男(60)と妻(44)を27日にも逮捕する方針を固めた。
 県警によると、男らは生活保護費受給者の通院交通費補助制度を使い、たびたび自宅から約100キロ離れた群馬県北部の温泉地にある病院に通院し、往復のタクシー代を請求。タクシー代数百万円を含め計約1800万円を深谷市から不正受給していたとみられる。
 関係者によると、男は交通事故で負傷したとして保険金など計2千数百万円を受け取っていたにもかかわらず、深谷市に生活保護費の支給を申請。2003年1月から不正受給する一方、「首のねんざの治療」として、群馬県北部の病院まで通院、医療費やタクシー代を受け取っていた疑いが持たれている。





◆火災警報機設置助成率0・37%/相模原市がPR強化へ政治・行政
 http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryxiiijun0806589/
2008/06/26
 相模原市が、二〇〇六年度から高齢者約六千人を対象に実施している住宅用火災警報機設置助成制度の利用実績が計二十二件、利用率はわずか0・37%にとどまっていることが二十六日までに分かった。警報機は一一年五月末までの設置が全住宅に義務付けられている。中でも逃げ遅れが心配される高齢者に、助成制度がほとんど利用されていない実態が判明したことから、市は「消防と福祉の連携によるPR作戦」をスタートさせる方針だ。
 全住宅に警報機の設置を義務付ける改正消防法は〇六年六月に施行され、五年間の猶予期間が設けられた。このため、同市は(1)六十五歳以上(2)要介護認定など生活に援助が必要(3)本人と扶養者が市税非課税か生活保護受給―の対象者に、電磁調理器などと同様に助成制度の運用を開始した。
 三個までの購入費の九割(生活保護受給の場合は全額)を同市が負担。一個四千円前後のため、三個買っても自己負担は千二百円程度という。
 同市が今年六月、助成制度の利用実績を調べたところ、〇六年度六件、〇七年度十六件の計二十二件と判明。同市は「チラシを窓口に置く以外に周知してこなかったため」と、利用率の低さを釈明する。
 高齢者の普及率について、助成制度担当の同市高齢者福祉課は「普及率は消防の担当なので把握していない」、消防局予防課は「市内全体の普及率の把握を優先してきた」と説明。横浜市の場合も、高齢者在宅支援課と消防担当の安全管理局予防課が、それぞれ助成制度とPRを受け持っているため、高齢者の普及率は掌握していない。
 県は「助成制度の説明は福祉部局、PRは消防部局と担当が縦割りになっているため、猶予期限内に設置しなければいけないという緊急性が高齢者に伝わっていないのでは」と推測。警報機設置をめぐる"縦割り"は相模原市だけの課題ではないようだ。
 高齢者を含めた全体の設置率は相模原市が「23%」、横浜市は「20%」と推定。相模原市は今後、全高齢者世帯にチラシを送付し、六月中旬から始めている警報機設置PRキャンペーンの効果を検証する普及率調査を本年度中に実施する方針。横浜市は昨年、全戸向け広報紙で助成制度をあらためて紹介したという。





◆非行少年を更生支援 田辺署が補導センターと連携
 http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=148482
 青少年による犯罪を防ぐため、田辺署は田辺青少年補導センター(杉原荘司所長)と協力し、検挙には至らなくても犯行にかかわっていた少年を更生支援する取り組みを始めた。県警は「警察が事件を処理した後も補導センターと連携して少年の立ち直り支援に取り組むのは、県内で初めて」と話している。
 県警少年課によると、これまでは中高生の粗暴行為などで学校から通報を受けた場合は補導センターが対応していたが、警察の取り調べ後に生活指導することはなかったという。そのため、検挙しなかった少年が、再び犯罪にかかわる事例もあり、両者で連携することにしたという。
 25日には、窃盗を繰り返していたとして田辺署が少年グループ9人を逮捕した事件で、一緒に行動していた17歳と19歳の少年2人(いずれも田辺市在住)についてセンター職員が今後の生活の改善などを指導した。
 仲間の少年らは昨年2月から今年4月までの間に、田辺市などの飲食店や商店に侵入し、現金やゲームソフトの盗みを繰り返していた疑いが持たれている。犯行は40件で、被害総額は約185万円に上るという。
 一連の事件で、2人は犯行に加わった疑いがあるとして任意での取り調べを受けたが、逮捕された少年らが窃盗をするとは知らずに行動していたことが分かった。
 しかし、田辺署は2人が今後、再び犯罪に巻き込まれないようにセンターに連絡。センター職員が2人から心境や学校生活、友人関係などを聞いたほか、同席する保護者に対して、家庭環境の重要性などを伝えた。今後も2人には継続して指導していくという。
 同センターは「非行防止の観点から、今回のような方向性は大切。より連携を密にして支援に当たりたい」と話している。
 県警によると、昨年1年間、県内で発生した刑法犯に占める少年(19歳以下)の割合は33・1%で全国ワースト10。再犯率は29・7%。県警は「再犯率は全国平均(30・3%)より低いが、単純計算だと3人に1人が再び罪を犯していることになる。見過ごせない数字だ」と対策に取り組む姿勢を見せている。
【少年(手前)から話を聞く田辺青少年補導センター職員。保護者も同席し、友人関係などについて聞く=25日、和歌山県田辺市中屋敷町で】
('08/06/27)





◆生活保護費不正受給:群馬まで100キロ、タクシーで通院 埼玉・深谷市が組員告発
 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080627ddm041040038000c.html
 埼玉県深谷市内の暴力団組員の男(60)が生活保護費を市から不正に受給していた疑いがあり、市が生活保護法違反容疑で埼玉県警に告発していたことが分かった。群馬県北部の温泉地にある医療機関まで約100キロの道のりをタクシーで通院したとして料金を請求するなど、妻(44)と2人の受給額は約1800万円に上るとみられている。
 関係者によると、組員は07年10月、群馬県北部の医療機関で診察を受けたとして、自宅からの往復のタクシー代十数万円を生活保護費に含めて受け取っていたという。同月、県の監査で不正受給の疑いが発覚した。
 生活保護を巡っては厚生労働省が06年3月、暴力団員に生活保護を支給しないよう通達を出し、暴力団員と疑われる者について、自治体が警察から情報提供を求めるよう指導していた。
 北海道滝川市では、暴力団関係者が介護タクシーによる通院費約2億円を不正受給していたとして起訴され今月25日に懲役13年の実刑判決を受けている。【浅野翔太郎、町田結子】
毎日新聞 2008年6月27日 東京朝刊





◆「裏切られた」、原告控訴の方針 老齢加算廃止訴訟
 http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20080627AT1G2602M26062008.html
 生活保護の老齢加算廃止は違憲だとして、東京都内の高齢者が十市区に廃止取り消しを求めた訴訟で、26日の東京地裁判決で敗訴した原告らが記者会見し「高齢者の生活の苦しみを理解していない判決だ」と控訴の方針を明らかにした。
 大門匡裁判長は判決理由で「加算廃止で節約を強いられ不自由も少なくないが、生活を無視した著しく低い基準とまではいえず裁量違反は認められない」とした。
 判決後に会見した原告の横井邦雄さん(79)は「友人の葬式に香典を出す余裕がなくなり、食事も切り詰めて寿命を縮めているのに判決に裏切られた。控訴したい」。八木明さん(82)も「文化的な生活などできない。なぜこんなに苦しまないといけないのか」と涙を浮かべた。(07:00)





◆老齢加算訴訟 「生存権」が心配になる
6月27日(金)
 http://www.shinmai.co.jp/news/20080627/KT080626ETI090015000022.htm
 生活保護費の「老齢加算」の廃止は、「生存権」を保障した憲法に違反するとして、高齢の受給者たちが取り消しを求めた裁判で、東京地裁は原告の請求を棄却した。
 老齢加算が廃止されて、憲法25条が定める「健康で文化的な最低限度の生活」が営めるのかどうか−。それが争点だった。
 判決は、加算の廃止は「現実の生活条件を無視した著しく低い基準を設定したとまではいえない」として、合憲と判断した。「最低限度の生活」は維持できているという判断である。
 本当にそうだろうか。
 老齢加算は70歳以上の受給者に対して、消化のよい食事や冠婚葬祭などのために生活費に一定額を上乗せしていた。2004−06年度に段階的に廃止された。
 高齢の受給世帯は、9割近くが1人暮らしだ。加算の廃止で、苦しい生活をさらに切り詰めている。葬式にも顔を出せず、孤立感を深める人が少なくない。
 岡山県の療養所患者が国に生活保護費の支給を求めた「朝日訴訟」で、1960年の1審判決は、生存権を人間らしく生きる権利ととらえた。生活保護制度は、生存権を具体的に保障する「命綱」だ。後退させることに、司法は慎重であるべきだった。
 気になるのは、この判決が、生活保護水準の引き下げを進めている政府の動きを、追認することにならないか、ということだ。
 厚生労働省は老齢加算の廃止に続き、母子世帯に対する「母子加算」も減額し、09年度には全廃する。昨年は保護基準の引き下げに手を付けようとした。増え続ける社会保障費の抑制がねらいだ。
 厚労省は加算の廃止や基準引き下げの理由として、生活保護費が低所得世帯の生活費を上回っていることを挙げている。だが、これでは発想があべこべだ。
 生活保護を必要とする世帯のうち、実際に受けているのは約2割、という試算もある。本来ならば、保護基準を下回る低所得世帯の底上げを図るべきなのに、より困窮している方へ保護基準を合わせては、セーフティーネットの水準が果てしなく下がってしまう。
 生活保護の基準は、保育料や介護保険料の減免など、低所得者対策のものさしにもなっている。最低賃金にも影響を及ぼす。
 新潟、福岡など他の9地裁で、加算廃止の取り消しを求める同様の訴えが起こされている。受給者の生活の実態をくみ取った判断を期待したい。





◆生活保護の老齢加算廃止は合憲 東京地裁
 http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0001176736.shtml
 生活保護制度の見直しで七十歳以上の高齢者に支給されていた「老齢加算」を廃止したのは「生存権」を保障した憲法に違反するとして、東京都内の七十-八十代の男女十二人が調布市など三市七区に廃止決定の取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は二十六日、決定は合憲として請求を棄却した。
 各地で起こされた同種訴訟では初の判決で、大門匡裁判長は、老齢加算の廃止後も憲法二五条が定める『健康で文化的な最低限度の生活』は維持されていると判断した。
 原告は「生存権侵害の実態から目を背けており不当」として控訴する方針を明らかにした。
 判決は「老齢加算は高齢者に『特別な需要』があることを根拠にしているが、今は加算が必要な需要はない」と指摘。その上で「廃止決定は、現実の生活条件を無視した著しく低い基準を設定したとはいえない。行政の裁量権を逸脱しておらず、『最低限度の生活』の需要を満たしていないとはいえない」とし、憲法に違反しないと結論付けた。
「裁判官は想像だけで言っている」 兵庫の原告団
 「老齢加算」廃止を合憲とした東京地裁判決を受け、兵庫の原告・弁護団は二十六日、神戸市内で記者会見し、原告の越智圭子さん(74)=同市北区=は「わたしたちの生活について、裁判官が想像だけでものを言っている。残念な判決。大変さを分かってほしい」と怒りの声を上げた。
 神戸地裁では原告九人が係争中。弁護団長の藤原精吾弁護士は「廃止前こそが最低生活であって、もっと低い水準の現在は違憲だ」と指摘した。
(6/27 09:30)





◆生活保護費不正受給:一部、組に上納か 元組員ら逮捕
 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080627k0000e040075000c.html
捜査員の任意同行に応じる崔鳳海容疑者(左)=埼玉県深谷市上野台で2008年6月27日午前6時35分
 生活保護費を不正受給したとして、埼玉県警捜査4課と深谷署は27日、韓国籍で深谷市上野台、稲川会系暴力団元組員、崔鳳海(チェボンへ)(60)▽妻の育代(44)両容疑者を生活保護法違反容疑で逮捕した。5年間で約1800万円を受給していたとみられ、県警は一部を暴力団に上納していた可能性もあるとみて追及する。
 調べでは、崔容疑者らは07年10月下旬、群馬県みなかみ町の接骨院で9月に診療を10回受けたとうその申請をし、施術費のほか、タクシー代や電車代など交通費補助を含む計約14万円を不正受給した疑い。崔容疑者の足の障害を理由に03年から生活保護費を受給。多い月は生活扶助が約10万円あり、「治療にかかった」として交通費を含む医療扶助を受け取ることもあったという。
 厚生労働省は06年3月、暴力団員に生活保護を支給しないよう全国の自治体に通達。暴力団員と疑われる場合は警察に問い合わせるよう求めた。だが、深谷市は県警に相談しておらず、市福祉事務所の職員は「風ぼうや言動が荒っぽく、ライターを机に投げつけることもあった。(厚労省の)通達後も報復が怖かったので警察に相談しなかった」と釈明した。【浅野翔太郎、町田結子】

 ◇「処遇難しい人」担当者引き継ぐ
 深谷市は27日、茂呂敏行市福祉事務所長らが会見した。生活保護法の要領では、施術費は接骨院に直接払い、受給者に渡さないことになっているが「断っても、暴力団員のような言葉遣いで脅され、払い続けてしまった。職員が自宅まで現金を届けることが状態化していた」と説明。市担当者間では「(崔容疑者は)処遇が難しい人」と引き継がれていたという。また、県警に告発後の調査で、03年3月に交通事故の保険金2200万円の収入があったことが分かり、生活保護費全額を返還するよう今年5月に通知していたという。





◆生存権訴訟:東京地裁請求棄却 「問題点検証し、京都に生かす」 /京都
 http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20080627ddlk26040560000c.html
 ◇生活保護老齢加算
 生活保護制度で70歳以上に支給されていた老齢加算の廃止決定の取り消しを求め各地で起こされた訴訟で26日、東京地裁で請求を棄却する判決が出たことを受け、京都訴訟の原告(3人)の2人と、代理人の弁護士が中京区で会見。尾藤廣喜弁護士は「貧困の実態から目を背けた不当な判決だ。問題点を検証し京都訴訟に生かしたい」と述べた。
 原告の松島松太郎さん(82)=山科区=は「余分に金をくれと言っている訳ではない。年寄りは早く死ねということか」と憤った。
 老齢加算の廃止を巡っては全国8地裁で103人が原告となっている。京都地裁への提訴は全国初(05年4月)だったが、判決は今回の東京地裁が初めて。【熊谷豪】
毎日新聞 2008年6月27日 地方版





◆島根県営住宅の入居を抽選制に変更
 http://www.sanin-chuo.co.jp/news/modules/news/article.php?storyid=504164004
島根県内で最も待機者の多い県営幸町団地。100人以上が待機していたが、2010年度までには抽選制に完全移行する=松江市幸町
 島根県は、高齢者や障害者、ドメスティック・バイオレンス(DV)の被害者らが県営住宅へ優先的に入居できるよう、入居者の決定方法自体を「登録順」から「抽選制」に変えた上で、一般応募者は一回に限る抽選回数を二回に増やすことにした。待機者のいない空き室で七月上旬から順次、適用し、二〇一〇年度には完全移行する。
 優先対象は、六十歳以上の単身者▽夫婦のいずれかが六十歳以上▽身体、精神、知的障害者のいる世帯▽未成年の子どものいる父子、母子世帯▽生活保護の受給世帯▽DV被害者−など。二カ月おきに、その間生じた空き室について抽選会を行う。
 これまでの入居は、団地ごとに申し込み順に希望者を登録し、空室が出れば、紹介、決定する仕組みだった。
 しかし、県内十四市町にある九十四団地・約五千戸のうち、年間の入退去戸数は三百戸程度。このため、待機者は約八百人に上り、最多の松江市の幸町団地では今年三月時点で、約百三十人に達していた。高齢者らへの優遇措置も限定的だった。
 抽選制は、松江市の淞北台団地や出雲市の小境団地など、十四団地・二十九戸で七月上旬から募集を始め、八月上旬に実施。ただ、待機者がいる団地は〇九年度末まで、登録順を続ける。
 昨年七月施行の住宅セーフティーネット法で、県などの公的賃貸住宅の管理者は、住宅の確保に困っている人への配慮に努めるよう定められた。





◆給食費:未納対策 那覇市内全校長にアンケート実施へ
 http://mainichi.jp/area/okinawa/news/20080628rky00m040001000c.html
 那覇市学校給食費未納問題検討委員会(委員長・桃原亮昌学校教育部長)が25日、那覇市樋川の市教育委員会で開かれた。給食費未納者への具体的な対策案を今年中に策定する方針を確認、市内の全小中学校長に対策の中身や在り方について尋ねるアンケートの実施を決めた。
 那覇市の2007年度の給食費納付率は97・1%で未納率は2・9%。未納額は約4000万円に上るという。
 アンケートでは、徴収強化月間を設けることへの是非や、具体的対策として(1)給食支払い誓約書の義務化(2)連帯保証人制度の導入(3)未納情報を中学校に提供(4)法的手段の導入(5)収納推進員の配置(6)民間債権代行サービス制度の導入−を挙げ、校長の考えを尋ねている。未納の背景や未納対策の効果的な実践例を尋ねる設問も入れる予定だ。
 アンケートは来月実施、8月までに集約する予定で、結果を参考にしながら今年中に対策の素案を策定していく方針。
 未納者対策として、市では現在、口座振替を推進しているほか、4月からは生活保護世帯の児童の給食費について、生活保護費からの天引きをスタートさせた。
 市教委の担当者は「給食費は100パーセント食材費に使われており、未納が生じれば、栄養バランスが壊れないように工夫もしなければならない。まずはこの現状について、保護者に知ってもらうことが大切だ」と話していた。
(琉球新報)
2008年6月28日





◆どう喝が怖かった 深谷市が釈明 生活保護不正受給
 http://www.saitama-np.co.jp/news06/28/06x.html
生活保護費の不正受給問題で、会見する深谷市の(左から)吉岡課長、茂呂部長、増野次長=27日午前11時半、深谷市役所
 深谷市の元暴力団員組員夫婦が生活保護費を不正受給していた事件で、市は二十七日、記者会見を開き、保護費支払いの経緯などを説明した。市は不正受給について「県から指摘されるまで、全く気が付かなかった」と釈明。崔鳳海容疑者の要求通りに支払いを続けたことについて、「どう喝が怖かった」などと話した。
 会見には、茂呂敏行福祉部長兼福祉事務所長、増野誠同部次長、吉岡敏幸福祉課長らが出席。生活保護費の支給開始から不正受給の発覚、その間の同夫婦とのやりとりなどについて説明した。
 それによると、市が生活保護費を支給するようになったのは、二〇〇三年一月から。崔容疑者が前年に熊谷市内で交通事故に遭い、障害認定を受けたことで、支給を開始。以降、告発するまでに生活扶助、住宅扶助、医療扶助、生業扶助の計約千九百四十四万円を支払った。
 支給段階で、市は崔容疑者が高級乗用車を所持していることを把握。財産を処分し、それを生活費に充てるため、市は車を廃車するよう指導した。崔容疑者はこれを拒否し、同事務所内などで担当職員にライターを投げつけたり、「なめとんのか」などとどう喝。市は「報復が怖い」(茂呂部長)ため、指導が徹底できなかった。
 医療扶助のうち、「施術費」は医療機関が市に請求書を出し、受給者を介さずに医療機関に支払われる仕組み。だが、崔容疑者は「立て替えて支払いをした」などとうその申告をし、市に施術費を支払うよう、請求した。市の担当者は崔容疑者のどう喝を恐れ、毎回のように崔容疑者の自宅へ直接現金を届けていたという。崔容疑者が実際に通院していたかについては、接骨院側に確認をしなかった。
 担当者がどう喝されていたことについては「担当職員と課長程度までは知っていたと思う」とする一方、「組織として対応できず、担当者任せにしてしまっていた」などと話した。
 今回の事件について茂呂部長は「不正受給という認識は全くなかった。市は被害者だ」と強調した。
 事件を受け、市は内部調査委員会を設置。外部の有識者会議を経て、九月中旬までに今後の対応策をまとめる。崔容疑者に対しては、時効に当たらない生活保護費計約千八百万円の返還を求めている。

原因を究明して再発防止措置取る
 新井家光・深谷市長のコメント 容疑者が逮捕されたことについて、告発した市としては事態を真摯(しんし)に受け止め、内部調査委員会で原因を究明し、再発防止のための適切な措置を取ってまいります。





◆鹿児島の妻絞殺:妻の依頼で殺人の被告、懲役3年の判決−−地裁 /鹿児島
 http://mainichi.jp/area/kagoshima/news/20080628ddlk46040723000c.html
 借金苦にあえぐなか、妻の依頼を受けて妻を殺したとして嘱託殺人の罪に問われた無職、東條剛士被告(67)の判決公判が27日、鹿児島地裁であった。平島正道裁判官は「安易に命を奪うのは許されない」などとして懲役3年(求刑懲役5年)を言い渡した。
 判決によると、東條被告は3月20日午後5時ごろ、鹿児島市柳町の自宅で、妻福子さん(81)に依頼され、福子さんの首を腰ひもで絞めて殺害した。平島裁判官は「(借金苦の)生活状況は同情できる」としながらも、「親族への相談や生活保護を受けるなど取りうる手段はあり、短絡的で実刑は免れない。被害者の娘は深い悲しみにさいなまれた」と指摘した。【大塚仁】
毎日新聞 2008年6月28日 地方版





◆県内生活保護世帯が55年ぶりに1万世帯を突破した
 http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20080628/17982
(6月29日 05:00)
 県内の生活保護受給世帯数は二〇〇七年度、一万三十三世帯で五十五年ぶりに一万を突破したことが、県の二十八日までのまとめで分かった。高齢者世帯の増加と長引く不況を背景に、新たに保護を受ける世帯が増え続けている。原油高騰に伴う物価高や後期高齢者医療保険料などの負担で生活が圧迫されることで、生活保護世帯がさらに増えるのを懸念する声もある。
 生活保護世帯数は、毎月の受給世帯数を平均して年度の受給世帯数としている。県内では、戦後の混乱にあった一九五二年度の一万六百八十九世帯をピークに徐々に減少し、九二年に初めて四千を下回った。しかし、バブル崩壊を転機に、十四年連続で増加し、二〇〇五年度に九千を突破したばかりだった。
 〇七年度の一万三十三世帯のうち、高齢者世帯が42・0%と最多。次いで傷病者(30・1%)、障害者(11・8%)、母子(6・4%)。一世帯当たりの平均人数は一・四人。単身世帯の増加で、五十五年前の二・九人より半減した。
 就労による収入増などで生活保護を必要としなくなる世帯より、新たに保護を受ける世帯が約五百−七百件も上回る状態が八年続いている。県医事厚生課は、自立が難しい高齢者世帯の増加と、バブル崩壊以降の雇用情勢の悪化が影響しているとみる。
 国際医療福祉大大学院の六波羅詩朗教授(社会保障)は「物価の上昇、後期高齢者医療や介護保険の保険料負担など、高齢者にとって生活しづらい要素が増えている」と指摘。今後も増加傾向が続くと見通す。
 〇七年度の県内の生活保護費の支出額は約二百二十六億七千五百万円。生活保護費のうち医療費扶助の一部が障害者自立支援制度に移り、前年度より約五千四百万円減った。
 全国の生活保護世帯は、〇五年度に初めて百万世帯を突破している。





◆[老齢加算廃止]現実を直視した判決か
 http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080629.html
 相次ぐ食料品など生活必需品の値上げと、増大する医療費の負担に苦しむお年寄りには、あまりに厳しい司法判断だ。
 東京地裁は、生活保護制度の見直しで七十歳以上の高齢者に支給されていた「老齢加算」の廃止が生存権を保障した憲法に違反するとして、東京都内の七十―八十代の男女十二人が調布市など三市七区に取り消しを求めた訴訟で、決定は合憲との判決を下し、請求を棄却した。
 判決は「廃止を問題視するのは無理からぬことだ」と理解を示しつつ、「廃止決定は現実の生活条件を無視した著しく低い水準ではない」と指摘。その上で「『最低限の生活』の需要を満たしていないとはいえない」などとして、原告の訴えを退けた。
 庶民の生活感覚からかけ離れた判決で、行政の間違いや行き過ぎをチェックすべき司法の役割を果たしたとは言い難い。
 七十歳以上の生活保護世帯に支給されてきた「老齢加算」は一九六〇年から四十年以上続いてきた。それが、財政難を背景にした生活保護基準の見直しに伴い、二〇〇四年度から削減され、〇六年に廃止された。
 廃止によって、月額九万九千円の生活費から約一万八千円の加算金が削減された原告もいるという。十万円に満たない生活費が、二年後には二割削減である。生活が困窮するのは明らかだ。
 同じような訴訟は、札幌、京都、福岡など九地裁で争われている。
 司法は、「老齢加算」の廃止決定に至る経緯と原告の生活実態を詳細に調べ、財政難のツケを生活保護受給者に回した行政の不備を指摘してもよかったのではないか。
 「老齢加算」の廃止決定をめぐる訴訟は、生活保護制度の貧弱さを如実に示している。
 四十年も続いてきた制度を財政が苦しいという理由で、廃止するのもふに落ちない。
 財政難でなすべきことは無駄を省くことであり、国民の、それも日々の生活に困っている人々に負担を強いるような政策は、そもそも間違っている。
 政府は、訴訟で争う前に「最低限の生活すら維持できない」と裁判所に駆け込んだ高齢者の訴えに耳を傾け、支援することを考えるべきであったと思うがどうか。
 日本の平均寿命は女性八五・八一歳、男性七九歳と、世界一の長寿国だ。古今東西、長寿は最もめでたいことの一つとされているのだから、お年寄りは「世界一の幸せ者」と言っていいはずなのに、現実は大きく異なる。
 老齢加算の廃止に加え、後期高齢者医療制度など、お年寄りに冷たい政策が次々に打ち出されている。さらに、人権のとりでと信じ、救済を求めた司法が追い打ちをかけたといってもいい。
 東京地裁の判決後、原告団長の横井邦雄さん(79)は「われわれは国民の中で最も弱い立場にあり、金のない年寄りは早く死んでくれということか」と嘆いた。
 お年寄りにこんな悲しいことを言わせる国が果たして「長寿国」と言えるのか。疑問というしかない。





◆最低賃金改定 働く貧困層を無くそう
 http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2008063002000088.html
2008年6月30日
 今年の最低賃金改定は改正最低賃金法の施行と政府の「円卓会議」での中長期方針合意という追い風の中で行われる。大幅な引き上げを実現してワーキングプア(働く貧困層)撲滅につなげたい。
 労働者にとって賃金は一番の関心事である。最低賃金は企業などがこれ以下の賃金で雇って働かせてはならない−と国が歯止めをかける制度だ。原則として正社員もパート・アルバイト、派遣・請負社員もすべての労働者が適用対象となる。
 今年は違反企業への罰則強化などを盛り込んだ改正法が七月一日から施行される。また政府の成長力底上げ戦略推進円卓会議は最低賃金を中長期的に引き上げることで政労使三者が合意した。
 同会議は具体的に「生活保護基準との整合性」や「小規模事業所の高卒初任給の最も低位の水準との均衡」を考慮して五年程度かけて引き上げることを確認した。
 最低賃金が生活保護費を下回らないようにすることは当然のことだ。昨年の最賃改定では全国平均で十四円引き上げたが、それでも東京都や大阪府など九都道府県で生活保護費を下回っている。
 また引き上げ目標として高卒初任給を取り上げたことは評価できる。ただ、どの程度の企業規模とするのか調整を急ぐ必要がある。
 経営側は従業員二十人以下の企業を対象とすべきと主張した。
 一方、労働側は十−九十九人規模を取り上げた。〇七年度の初任給は時間給換算で七百五十五円。これは現在の全国平均の最低賃金六百八十七円を六十八円上回る。仮に五年間で埋めるとすると毎年十四円近くのアップとなる。
 経営側は最賃の大幅アップは地方の中小企業の倒産や工場などの海外移転が増えて雇用に悪影響が出る−と苦しさを訴えている。
 経営の厳しさは理解できるがここは生産性の向上や職業訓練強化などを行って乗り切るべきではないか。時給七百五十五円でも年収は約百五十九万円。この程度の賃金も払えないとなると、企業としての存在価値が問われよう。
 今年の最賃改定は今月末から中央最低賃金審議会で作業が始まり、地方最低賃金審議会での審議を経て十月ごろに正式決定する。
 欧米主要国と比べれば日本の最低賃金はまだかなり低い。日本の非正規雇用者は一千七百万人を超え、多くが年収二百万円以下とされる。賃金水準の底上げは経済の活性化からも緊急課題である。





◆最低賃金:引き上げ、労働局に要請書−−県労会議 /群馬
 http://mainichi.jp/area/gunma/news/20080630ddlk10040071000c.html
 県労働組合会議(県労会議)はこのほど、最低賃金(時給)改定の審議が7月から始まるのを前に、最低賃金の1000円以上への引き上げなどを求める要請書を群馬労働局に提出した。
 最低賃金は現在、生活保護水準を下回っており、逆転現象解消を目指す改正最低賃金法が7月1日から施行される。県労会議は県内生活保護受給者と同額の手取りを得るには、時給1041円が必要と試算した。
 現行の最低賃金は664円で、試算と377円の開きがある。試算の条件は、▽18歳以上で独立生計の単身者▽生活保護受給額を県内最高額に設定▽月労働時間は150時間−−など。【塩崎崇】
毎日新聞 2008年6月30日 地方版





◆視覚障害詐欺事件 全盲を装った男が福祉サービスの詐欺も否認
 http://www.bnn-s.com/news/08/06/080630131444.html
06月30日(月) 13時20分
文:糸田 
札幌地方裁判所
 330万円相当の日用生活用具や介護サービスなどを不正に提供させたとして、初公判後に追起訴。
 全盲の視覚障害者を装い、札幌市から生活保護費の障害者加算分などをだまし取ったとして、詐欺の罪に問われている丸山伸一被告(50)の第2回公判が30日午前10時から札幌地裁(嶋原文雄裁判長)で開かれた。
 丸山被告は、1999年4月に「視神経炎、全盲」と診断され、市から視力障害1級の認定を受け、03年10月から生活保護を受給した。保護費には、障害者加算(月額2万6,850円)と1級認定者に加算される重度障害者加算(同1万4,380円)も上乗せされていた。
 ところが今年1月、全盲であるはずの丸山被告が昨年10月に運転免許を更新し、視力検査で両眼あわせて「0.7」以上であったことが判明した。丸山被告は2月25日、札幌南署に詐欺容疑で逮捕された。
 起訴状によると、丸山被告は札幌市の白石区役所保健福祉部(移転後は南区)で、視力障害1級にあたる身体障害者を装って申請手続きをし、03年11月14日から08年2月1日までに生活保護費の障害者加算分計約210万円を不正に受給した。
 4月25日に開かれた初公判で、丸山被告は「(全盲を)装ったということはございません」と起訴事実を否認。検察官は冒頭陳述で、被告は目が見えるのにもかかわらず、目が全く見えないふりをして、02年9月30日と07年11月11日に運転免許を更新していたことを明らかにしたが、弁護人は(事前に行った被告人との話し合いの段階では)「起訴事実を認定する前提だったため、準備ができない」と主張したため、この段階で公判は閉廷した。
 30日の公判で、上下グレーの作業着を着て入廷した丸山被告は、右手で左胸を抑え、看守に支えられながら、苦しそうに身体をくの字にさせて被告人席に座った。
 嶋原裁判長から「大丈夫ですか」と尋ねられると「苦しい。出生時からの心臓奇形で、いま発作が起きている。心臓弁膜症です」と説明し、「審理に耐え得るのか、苦しいのならば少し休むか」と聞かれると「ここまで来たのだからやりましょう」と答えた。
 札幌地検は5月20日、丸山被告が障害者に限って給付される日用生活用具やホームヘルパーが家事などを行う介護サービスなど合せて約330万円相当を視覚障害者を装って不正に提供させたとして詐欺罪で追起訴した。
 公判では追起訴状の朗読と罪状認否が行われ、丸山被告は検察官の朗読を証言台に座って聞いていたが、「座っていると内臓が圧迫されているので辛い」と話し、被告人席に横になった。追起訴状朗読後、検察官に「書面を確認するか」と尋ねられると、「僕はいま視力が全くダメなので(読めない)。自分で分かっていますので大丈夫です」と答えた。
 罪状認否では被告人席に横になりながら顔を上げ、「正規に申請の手順を踏んで正直に申し込んでいるので(全盲を)装っているということはしていません」とはっきりとした口調で、前回と同様に詐欺罪を否認した。
 7月30日の次回公判では、検察官、弁護人双方の被告人質問が行われる予定。





◆威力業務妨害:大阪・富田林市役所に車突っ込む 男を逮捕
 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080630k0000e040064000c.html
富田林市役所に突っ込んだ車を調べる捜査員ら=大阪府富田林市で2008年6月30日午前10時25分、幾島健太郎撮影
 30日午前9時ごろ、大阪府富田林市常盤町の同市役所1階正面玄関に乗用車が突っ込み自動ドアのガラス扉を突き破った。府警富田林署は、車を運転していた同市西板持町2の無職、井川道雄容疑者(61)を威力業務妨害容疑で現行犯逮捕した。職員1人が割れたガラスで足にけがをし、病院に搬送された。井川容疑者は「内妻の福祉関係で不満を持っていた」と供述しているという。
 調べでは、井川容疑者は車で市役所に突っ込んだ後、ペットボトルに火を付けようとしたが、職員が駆けつけたため、そのまま投げつけた。ペットボトルからは油のにおいがしたという。市関係者によると、刃物も持っていたとの情報もある。車内からはプロパンガスボンベ3本なども見つかった。
 市によると井川容疑者は、生活保護や介護保険を巡って市とトラブルになっていたという。事件当時、来庁者は少なく、市民にけがはなかった。
 同市職員は「庁舎内に火災報知機が鳴り響き、車から白い煙が上がっていた」と驚いた様子で話した。【稲垣淳、曽根田和久】





◆知的障害者をサポート 成年後見NPO誕生へ
 http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080630_11
 知的障害者の成年後見業務を行う「成年後見センターもりおか」の設立総会は28日夕、盛岡市志家町のサンセール盛岡で開かれた。今秋には、成年後見業務を行う団体では県内初の特定非営利活動法人(NPO法人)となる予定だ。障害者や高齢者らを狙った悪質商法などが増加する中、専門的で永続的な支援を提供し、権利や財産を保護する。
 約20人が出席し、設立趣旨書の確認など11議案を可決。同市の石橋乙秀弁護士を理事長に選出した。
 毎月勉強会を重ね、7月に盛岡地方振興局にNPO法人の認証を申請。10月ごろに認証を得て業務を開始し、初年度は5人、来年度は15人程度の後見を目指す。
 近年、全国的に障害者や高齢者ら、判断能力が十分でない弱者を狙った財産侵害や不公正な契約、権利の侵害などの事案が多発している。
 知的障害者の親は自らの加齢とともに子どもの将来への不安が大きくなるが、行政の支援はまだ不十分で、成年後見制度への関心が高まっている。
 しかし、一個人の後見人に子どもの将来を託すことには不安があり、長期的に持続した後見も難しいことなどから、普及は進んでいなかった。
 同センターは法律や医療、福祉などの専門家が親と協力し、法人として永続的で多面的な支援を提供するため設立した。
 石橋理事長は「費用的な問題もあり、これまで成年後見制度を利用できるのは一部に限られていた。NPO法人化後は実績を重ねて信頼を築き、より多くの障害者が安心して暮らせる仕組みをつくりたい」と意気込みを語る。

 成年後見制度 認知症や精神、知的障害などで判断能力が十分でない人の財産管理や日常生活にかかわる契約などを支援する制度。後見人は契約を代理したり、本人が行った不利益な契約の取り消しなどを行う。





◆中長期の最低賃金水準を議論 厚労省審議会で議論開始
 http://www.asahi.com/politics/update/0630/TKY200806300359.html
2008年6月30日
 厚生労働省は30日、08年度の最低賃金(最賃)引き上げ額を議論する中央最低賃金審議会(中賃)の初会合を開いた。20日の「成長力底上げ戦略推進円卓会議」で政労使が最賃の中長期的な引き上げで合意しており、労働側は大幅な引き上げを期待する。だが景気の減速から経営側の反発も強く、波乱も予想される。
 中賃では労使代表らが、7月末をめどに引き上げ幅の目安を決める。これを受けて都道府県の審議会が検討し、10月に引き上げる予定。
 例年、中賃では、従業員30人未満の企業の賃上げ率などを参考に議論していたが、昨年は10年ぶりの高水準となる平均14円の引き上げを決定。今回は、生活保護基準との整合性の考慮を求める改正最賃法が7月1日に施行されるうえ、政労使の円卓会議で、「小規模事業所の高卒初任給の最も低位の水準との均衡」を考慮し、5年程度かけて引き上げることを確認したことから、労働側には「昨年並みの大幅な引き上げ」を求める声が強まっている。
 だが、経営側はこの日の会合で「原油高騰などで中小企業は会社の存続まで問われている。実態を考慮した審議を」と求めた。
 円卓会議で大田経済財政相が「中賃で議論すべきだ」とした「小規模事業所」の定義についても、審議会の今野浩一郎会長(学習院大教授)が会合後、労使の隔たりの大きさを理由に「(議論できるか)わからない」と記者団に語るなど、先行きは不透明だ。





◆「高卒初任給並み」争点=中央最低賃金審が初会合
 http://www.jiji.com/jc/zc?k=200806/2008063001032
 全国の最低賃金改定の目安を協議する中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関、会長・今野浩一郎学習院大教授)が30日、今年度改定に関する初会合を開いた。厚労省は、政府の「成長力底上げ戦略推進円卓会議」が小規模事業所の高卒初任給を中長期的な最低賃金の引き上げ目標とすることで合意したことなどを説明し、審議での配慮を求めた。審議会は具体的な引き上げ幅を検討する小委員会での議論を経て、7月中の答申を目指す。
 今年度の協議では、同1日施行の改正最低賃金法に沿って、生活保護費を下回らない水準まで底上げを図るとともに、円卓会議で合意された中長期的引き上げ目標を踏まえ水準を話し合う。
 近年最大の上げ幅となった07年度(時給687円、14円アップ)に続き、今年度も大幅な上昇が見込まれるが、使用者側委員は「中小企業は会社の存続まで問われる大変な時期にある」として、引き上げムードにくぎを刺した。目標水準を左右する「高卒初任給の事業所規模」をどこに定め、どこまで反映させるかが争点となる。(2008/06/30-21:43)





◆最低賃金:中央の審議開始 7月中をめどに目安額提示
 
 08年度の最低賃金改定の目安を審議する中央最低賃金審議会(会長・今野浩一郎学習院大教授)が30日、舛添要一厚生労働相の諮問を受け始まった。7月中をめどに、最低賃金改定の目安額を示し、それに基づいて全国各地の地方最低賃金審議会が、地域の具体額を決定する。
 今年度の最低賃金は、1日施行の改正最低賃金法で生活保護費以下にならないよう考慮される。さらに、政府の「成長力底上げ戦略推進円卓会議」で決まった、今後5年で「高卒初任給の最も低い水準との均衡を勘案する」との長期的方針も踏まえて論議される。
 今野会長は「高卒初任給という指標もあり、昨年までとは決め方の議論も変わってくるだろう」と話した。【東海林智】


*作成:橋口 昌治
UP:20080609 REV: 随時
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