北海道滝川市の夫婦らによる介護タクシー代などの生活保護費詐欺事件で、市が支給した約2億3800万円を田村弘市長ら幹部4人に全額返還させるよう求めた市民団体の住民監査請求に対し、市監査委員は13日、違法な支出も市の損害もなかったとして請求を退けた。
◆都市の「限界集落」、自治体運営… 地域課題探る研究大会 「改革派」元知事ら討論 公共政策学会
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/28461
2008年6月14日
日本公共政策学会の2008年度研究大会が14、15日、北九州市小倉南区の北九州市立大である。著名な学識経験者らが都市部の「限界集落」や貧困、自治体運営のあり方など幅広いテーマでシンポジウムや討論会を開く。
大会は12回目で九州での開催は初めて。期間中、2回のシンポと17の分科会で論議を交わす。
分科会では、北九州市の町と大字(おおあざ)単位で65歳以上の割合(高齢化率)を調査し、都市部の「限界集落化」の実態を浮き彫りにした北九州市立大の楢原真二教授が調査結果を紹介し、高齢化と地域コミュニティーについて問題提起。阪神大震災の災害公営住宅での孤独死問題などを調査している下関市立大の池田清教授もコミュニティーの崩壊について論じる。14日午後2時45分から2時間の予定。
同時間帯には、「改革派知事」と呼ばれた浅野史郎、片山善博、北川正恭の3氏が「補完行政の今後」と題し、シンポ形式で国と地方自治体のあり方を語り合う。
15日午前9時半からは格差社会で問題化している貧困をテーマに討論。北九州市立大非常勤講師の藤藪貴治氏が、厚生労働省から不適切と指摘された同市の生活保護行政の問題点を指摘する。特定非営利活動法人(NPO法人)自立生活サポートセンター「もやい」の湯浅誠事務局長は若者の貧困の実態を報告する。
参加費は2日間通して1000円(学生500円)。問い合わせは、楢原教授の研究室=093(964)4102。
=2008/06/14付 西日本新聞朝刊=
◆外国籍の子どもに「学習権」の保障を
http://www.komei.or.jp/news/2008/0623/11832.html
与党有志議連が「中間報告」
財務、文科両省に提示
外国人学校の「認可」緩和、税制優遇など
制度的差別の解消めざす
公明新聞:2008年6月23日
「中間報告」を額賀財務相(左から3人目)に示し、要望する浜四津代表代行(左隣)、山下氏(右隣)ら議連のメンバー=12日 財務省
自民、公明の与党有志議員でつくる「外国人学校及び外国人子弟の教育を支援する議員の会」(会長=河村建夫衆院議員、幹事長=山下栄一参院議員)がこのほど、日本で暮らす外国籍の子どもたちの「学習権」確立を目指す「中間報告」をまとめた。財務、文部科学両省に提示された同報告のポイントを解説するとともに、一貫して外国人子弟の教育支援に取り組んできた山下参院議員に、その意義や今後の活動などについて聞いた。
「中間報告」のポイント
外国人子弟教育の基本方針策定
「外国人学校支援法」の制定
各種学校認可の審査基準緩和
寄付金税制優遇の導入
通学定期割引制度の適用
不就学・就学実態調査の実施
公教育での多文化共生教育推進
日本語教育の拡充
経済界と協力しての基金創設
確かな"青写真"
1990年の入国管理法改正で日系人家族らの就労が自由化されて以降、日本で暮らす外国人は激増し続けている。2006年末現在、その数は208万人を超え、国内総人口の約1.6%を占める。
これらの外国人が、不足する国内の労働力を補っていることは政府も認めるところだが、その一方でさまざまな問題も浮上している。なかでも最大の問題が子どもの教育問題だ。日本語が十分に理解できないために授業についていけず、不就学になり非行に走る子どもは少なくない。外国人児童生徒の3割以上が不就学との推計もある。
中間報告は、こうした無責任な教育ネグレクト(放棄)を許している最大の要因を「国に確かな"青写真"がないため」と見て、冒頭で「外国人児童生徒の教育に関する基本方針の策定」を主張している。
公教育の枠内に
外国人の教育ニーズに応えるため、保護者や教育関係者が自主的に設立、運営しているのが外国人学校だ。"老舗"の韓国・朝鮮学校や中華学校から、ニューカマー系のブラジル学校やフィリピン学校まで、その数は現在210校以上に上る。
だが、これらの学校は、学校教育法第1条に定める正規の学校(いわゆる「1条校」)として認められていないため、国庫助成を一切受け取れない。学校保健や給食、奨学金制度などの対象からも排除されている。とりわけ著しい制度的差別を余儀なくされているのがニューカマー系の学校だ。韓国・朝鮮学校などのように「各種学校」の認可すら得られず、単なる「私塾」扱いとなっている。
こうした実態を中間報告は厳しく批判し、外国人学校への経済的・人的支援を包括的に定める仮称「外国人学校支援法」の制定を要求。併せて、(1)外国人学校を対象とした各種学校認可基準の策定とその緩和(2)寄付金への優遇措置導入(3)通学定期割引の適用拡大――なども訴えている。
公立校での教育
そもそも外国人児童生徒の数は全国にどれくらいいるのか。法務省の在留外国人統計によれば、2006年末現在、学齢期を含む5〜14歳の登録者数は約12万8300人。ところが文科省調査では、日本の小中学校に在籍する外国人児童生徒(6〜15歳)が約6万6800人、外国人学校在籍児童生徒数(同)が2万1800人で、併せて8万8600人にしかならない。実に4万人弱が「未掌握」というわけである。
このため中間報告は、文科省の学校教育調査項目に「外国人子弟の就学・不就学実態調査」を入れるよう主張。また、公立学校での外国人子弟への教育の充実を図る一環として、日本人児童生徒に対する多文化共生教育の展開も盛り込んだ。
このほか報告は、(1)「生活者としての外国人」の視点からの日本語教育の充実(2)経済界と協力した教育支援のための基金創設(3)在住外国人対策経費に対する地方交付税措置の拡充――なども明記している。
「多文化共生」への一歩に
7月に最終報告
議員幹事長 山下栄一参院議員
「教育を受ける権利」はすべての人間に保障された基本的人権の一つであり、国籍や民族の違いで差別されることがあってはならない。子どもの権利条約など各種の国際人権条約も、「学習権の保障はすべての者に認められた権利である」ことを明確にうたっている。
だが、日本の教育社会の現状は、残念ながらそうはなっていない。真の意味での「教育の国際化」が進んでおらず、「多民族・多文化共生」という国際社会共有の理念への理解も不足している。議連の活動は、こうした日本の教育社会を変革しようという試みでもある。外国人の子どもたちを取り巻く劣悪な教育環境を改善し、国籍の壁を超えた平等な学習権の保障を目指している。
中間報告には、外国人学校への税制優遇措置の導入や各種学校認可基準の緩和など具体的施策を数多く盛り込んだ。
過去4カ月にわたり、外国人学校関係者や有識者、自治体関係者から行ったヒアリングや現場視察などを通して浮かび上がった問題点と対策を、きめ細かにまとめ上げることができたと思っている。
中間報告は財務、文科両省に提示したところだが、議連としてさらに調査・研究を続け、7月に最終報告をまとめ上げる方針だ。ターゲットは来年度予算の概算要求と税制改正。ここに報告内容を全面的に反映したい。
今後の課題としては、多文化共生の考え方をどう社会に浸透させていくかという問題がある。幸い、この点は全国26の外国人集住都市が先駆的取り組みをしている。26都市の経験と実績を全国に発信していけるシステムづくりに努めたい。
仮称「外国人学校支援法」の制定など法整備も重要だ。また、近年急増している「ニューカマーとしての中国・韓国人子弟」への教育支援も新たな課題として浮上している。外国人登録制度の見直しや生活者の視点からの制度改革なども含めた「総合的な外国人政策」の確立も欠かせない。引き続き、全力で取り組んでいく決意である。
公明 教育の国際化へ全力
議連に総勢20人
外国人子弟の教育問題に、公明党は国会・地方議会議員が一体となって取り組んできた。
1999年、沖縄県のアメラジアンスクール(在日米兵と日本人との間に生まれた子どものための学校)に通う子どもたちに卒業資格が認められたのも、浜四津敏子代表代行や地元公明党議員の執念にも似た取り組みが実ったものだ。2003年には、欧米系のインターナショナルスクール出身者にしか大学受験資格を認めないという文科省の"差別的方針"に、「教育の国際化という時代の動きに逆行するもの」として強く抗議し、アジア系学校にも大学受験の門戸を開放させた。池坊保子文科副大臣(当時は政務官=公明党)が、同省の歴代高官の中で初めて外国人学校を公式訪問し、社会に強烈なインパクトを与えたのも、このころのことだった。
議連は、こうした公明党の取り組みの延長上で立ち上がったものである。きっかけは昨年(2007年)秋、都内で開かれた草の根の市民の集い「多民族共生教育フォーラム」。パネリストとして出席した山下参院議員に、会場から「超党派での取り組みを」との要望が出され、山下氏は「ぜひ実現する」と約束。その後、山下氏の呼び掛けに自公両党の有志議員が素早く応じ、2月に正式発足した。
公明党からは神崎武法常任顧問、浜四津代表代行、池坊副大臣ら総勢20人が参加している。
◆市が3460万賠償請求 滝川の生活保護費詐欺
http://www.47news.jp/CN/200806/CN2008062301000248.html
2008/06/23
北海道滝川市の夫婦らによる約2億円に上る生活保護費詐欺事件で、滝川市は23日までに、詐欺罪で公判中の元暴力団員で無職片倉勝彦(42)、妻ひとみ(38)両被告ら計7人と札幌市の介護タクシー会社に3460万円の損害賠償を求める訴訟を札幌地裁滝川支部に起こした。
訴状によると、片倉被告らは2006年12月−07年11月、35回にわたり滝川−札幌両市間を往復したと虚偽の申請をし、滝川市から介護タクシー代をだまし取った。
請求額は、詐取された約2億円のうち、札幌地検が公判で指摘した架空請求分。市は25日に予定される片倉被告らの判決後、追加の賠償請求も検討するとしている。
◆生活保護世帯への地デジチューナ配布などを取りまとめ
−デジコンの取りまとめは後日。情報通信政策部会開催
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20080623/soumu.htm
6月23日発表
総務省の情報通信審議会 情報通信政策部会(第30回)が23日開催された。同政策部会の委員会から、第5次中間答申に向けた報告が行なわれた。
■ 生活保護世帯への簡易チューナ配布を提言
「地上デジタル放送推進に関する検討委員会」で協議が行なわれていた「地上デジタル放送の在り方」ついては、中間答申案がまとめられて、承認された。
同案は、2011年のデジタル放送完全移行に向け、「今後3年間を最終段階と位置づけて」まとめられた。難視聴対策のための衛星放送の活用や、アナログテレビへのシール貼付、放送終了の告知のためのメッセージ表示、地上アナログ放送終了後のアナログテレビのリサイクルなどが盛り込まれている。低価格チューナの開発/流通については、「2009年夏までに実現できるよう取り組むべき」と言及している。
加えて、地上デジタル放送の完全移行に向け、生活保護世帯を対象に、国が専用チューナを無償で支給する方針を決定した。2007年の第4次答申で触れている「自己負担による購入」を原則としながらも、「経済的な理由により、必要最小限の対応すらできずに、テレビが視聴できなくなり、災害時も含めた必要な情報をこれまで得ていたのに得られなくなる事態が生じることのないよう、支援を行なうことが適等」とし、2009年度から生活保護世帯を対象に、簡易チューナの無償給付を行なうよう提言している。
2006年度の生活保護世帯は約107万世帯で、これらの世帯が対象となる見込み。なお、給付の方法については、「現物給付を基本とし、国において具体的検討を行なうべき」としている。また、現物給付による一括発注により、簡易チューナの低価格化も促していく。さらに、必要に応じて室内アンテナの給付や屋外アンテナの回収等の支援も検討すべきとしている。
また、2008年秋に全国10箇所に「テレビ受信者支援センター(仮称)」を設置。センターは地方公共団体や放送事業者、メーカー、工事事業者、販売店などが協力し地域密着型の組織として運営。説明会の開催や工事業者の紹介などを担当する。完全移行に向けて取り組む。さらに、「2009年初頭には全都道府県に一箇所は設置するべき」としている。
■ デジコン委員会は骨子案を提出
「ダビング10」の決着を見た、「デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会」からは、答申案ではなく、骨子案が提示されるにとどまった。答申案の文面等について24日に委員会で議論し、まとめる予定。
ダビング10の開始日時については、19日の委員会の合意を得たことと、Dpaが23日に開始日時を7月4日午前4時に決定したことを報告。答申案の文言については、次回委員会で確定するが、「情報通信審議会として、私的録音録画補償金の議論について早期の合意形成を図られることを期待する」との趣旨の骨子案に対して、同委員会の委員を努める消費者団体の代表からは「ダビング10と補償金の問題を切り離す、としているが、もともと委員会で補償金の問題を扱っていたわけではない。"期待する"というという人がいるのはわかるが、"期待していない人もいる"(高橋委員)」との意見も出た。
デジタル放送のコピー生後に関わるルールの担保手段(エンフォースメント)の議論についても、前々回の委員会の内容の整理などが報告されたほか、コンテンツの取引市場の形成など取り組みなどについても報告された。これらも、24日の委員会の議論を受けて中間答申案を決定する。
□総務省のホームページ
http://www.soumu.go.jp/
□開催概要
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/kaisai/080627_1.html
□関連記事
【6月23日】「ダビング10」開始日が7月4日午前4時に決定。Dpa発表
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20080623/dpa.htm
【6月19日】「ダビング10」開始日は7月5日ごろ。近日中にDpaが確定
−急転直下の決着。「ダビング10に限り補償金と切り離す」
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20080619/dub10.htm
【2月28日】「ダビング10」とは何か。デジタル録画緩和策の実際
−6月2日開始に向け、本質と課題をJEITAに聞く
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20080228/dub10.htm
【4月25日】アナログ放送に「2011年7月放送終了」のメッセージ表示
−停波半年前にはアナログ放送が常時レターボックスに
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20080425/soumu.htm
【ダビング10対応状況リンク集】
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20080207/dub10.htm
( 2008年6月23日 )
◆ペットの餌代のためコンビニに押し入った「イヌ男」を逮捕、大阪府警
http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2409418/3069229
2008年06月23日
大阪市内のコンビニエンスストアの監視カメラに撮影された犬の面をかぶった強盗の姿(2008年6月23日、大阪府警提供)。(c)AFP/OSAKA PREFECTURAL POLICE
【6月23日 AFP】動物が好きで多くのペットを飼っていた大阪市の男が、餌代を払えなくなり、「イヌ」の面をかぶってコンビニ強盗を働き逮捕された。
大阪府警は19日、3月に別のコンビニ強盗未遂で逮捕され、公判中の住所不定、無職河田教晴(Takaharu Kawata)被告(28)を、強盗容疑で再逮捕した。
警察によると、河田被告は3月に大阪市内のコンビニエンスストアに押し入り現行犯逮捕されたが、それ以前に発生した2件のコンビニ強盗の容疑もかけられ、計58万7000円を脅し奪ったとされていた。
その後、現行犯逮捕された店とは別のコンビニの監視カメラに、白黒のぶち模様の大きな犬の面をかぶり、ナイフを突きつける被告の姿がとらえられていた。
同府警が発表した供述内容によると、河田被告は動物が好きで、犬2匹、猫5匹、カメ5匹、ヘビ2匹を飼うほか、水槽で熱帯魚も飼育しており、餌代などに困って強盗したという。テレビでナイフによる事件を見て、強盗は簡単にできると思いナイフを購入したという。犬のうち1匹のビーグル犬は、奪った金で買ったとみられる。
河田被告は無職で、毎月12万円の生活保護を受給していたが、自分とペットの生活をまかなうには十分でなかったと供述している。
報道によると、現行犯逮捕の際に被告は犬の面をかぶっていなかったが、犬の面を食いちぎられてしまったためだ、と被告は説明したとされる。
被告の逮捕後、ペットたちはペットショップに引きとられた。賃貸マンションの契約は解除された。(c)AFP
◆総務省、地デジチューナーを無償支給 生活保護世帯対象に
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20080623AT3S2301523062008.html
総務省は23日、2011年7月の地上デジタル放送への移行に向けて、生活保護世帯を対象に、視聴に必要な専用チューナーを無償で現物支給する方針を決めた。情報通信審議会(総務相の諮問機関)の専門部会が同日まとめた答申案に盛り込んだ。来年度から2年間かけて実施する計画で、来年度予算編成に向けて財務省と調整に入る。
地デジに移行すると、専用のチューナーを接続しないと番組が見られなくなる。生活保護世帯は06年度末で107万世帯。総務省は電機メーカーに5000円程度の低価格のチューナーの開発を要請している。5000円に収まるとしても、無償支給のための必要経費は50億円を超える。アンテナの改修でも支援策を検討する。(02:23)
◆地上デジタル放送:支援、経済的弱者に配慮 「ばらまき」の批判も
http://mainichi.jp/life/electronics/news/20080624ddm008020033000c.html
情報通信審議会(総務相の諮問機関)の部会が11年7月の地上デジタル放送への移行をにらみ、生活保護世帯への地デジ対応チューナー給付を求める答申をまとめたのは、国主導で地デジ移行を進める以上、経済的弱者への政府の支援策も不可欠との声が高まったためだ。
地上テレビ放送のデジタル化は、高画質・高音質の番組やデータ放送などを視聴できるようにすることや、情報を圧縮して送り、電波の利用枠に余裕をもたせるのが狙い。デジタル化で生まれた枠は、需要が急増している携帯電話や「高度道路交通システム(ITS)」などに充てられるという。
問題はアナログ放送しか受信できないテレビを持っている人に経済的負担を強いることだ。
総務省によると、海外ではオランダ、スウェーデン、フィンランドなどが既にアナログ放送を終了。08年から地デジ移行が進むフランス、英国では政府が基金を創設して低所得世帯などにデジタル受信機の購入を補助する。米国はすべての地上波受信世帯に受信機購入のクーポンを支給する。
無料配布には「デジタル受信機は本来、それぞれで用意するのが原則。予算のばらまきにつながる」との批判もあるが、総務省の部会は地デジを「国全体の利便性向上につながる国策プロジェクト」と位置付け、生活保護世帯に限れば、異例の現物給付にも理解が得られると判断した。【川口雅浩、前川雅俊】
毎日新聞 2008年6月24日 東京朝刊
◆最低賃金 貧富の格差の早期是正を
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-133454-storytopic-11.html
2008年6月24日
最低賃金の大幅引き上げに政労使(政府、労働者、企業)の代表が合意した。合意された目標水準は現行の687円(時給、全国平均)を今後5年間で755円とするものだ。貧富の格差是正にもつながる。実現を後押ししたい。
合意は、20日に首相官邸で開かれた政労使の代表が参加する「成長力底上げ戦略推進円卓会議」で実現した。
引き上げ目標となった水準は「小規模事業所の高卒初任給の最も低い水準」である。
大田弘子経済財政担当相は「最低賃金を引き上げることは長い目でみて、消費と経済全体によい循環をつくる」とコメントしている。
驚くのは、最低賃金の水準について、大田担当相が「これまでは目指すべき水準がなかった」と語った点だ。
最低賃金は、毎年7月から8月に中央最低賃金審議会が経済情勢などを踏まえて引き上げ額の目安を決め、地方審議会が地域別の最低賃金を決めてきた。
ところが現行の最低賃金は、生活保護費すら下回っている。
仕事をし報酬があるのに、最低限の生活が難しい「ワーキング・プア」問題の源流がそこにある。
円卓会議の資料では日本の最低賃金は先進国の中でも低い。例えば、英国は時給1162円、フランスが1334円、オーストラリアが1344円だ。
日本人の長時間労働は欧米人から「ワーカホリック(仕事中毒)」とやゆされてきたが、低賃金が長時間労働を強いてもいる。
地域格差もある。一般労働者の賃金分布では東京、神奈川は1000円以上1500円台が多く、沖縄は600円から800円台に山があり、最低賃金を下回る600円以下もある。
合意はされたが、労働生産性と賃金とのバランス論から、大幅な引き上げに反対論も根強い。
賃金には能力・力量に応じた「成果・能力給」のほかに最低限の生活を保障する「生活給」の側面もある。
生活給の格差は基本的人権や生存権、命の格差にもかかわる。格差是正は政労使の義務であろう。
◆この人に聞きたい:NPO法人「地域精神保健福祉機構」代表・宇田川健さん /千葉
http://mainichi.jp/area/chiba/news/20080624ddlk12070005000c.html
◇当事者として伝えたい−−NPO法人「地域精神保健福祉機構(コンボ)」代表・宇田川健さん
◇行政に障害者の自立生活支援訴え社会的な死防ぐ
日本には約250万人の精神障害者がいるといわれる。約32万人の精神科入院患者のうち、約7万人は後見人などがいないため、長期入院を強いられる「社会的入院」だ。そんな中、重度の精神障害者の在宅生活を支援する「包括型地域生活支援プログラム(ACT)」が、市川市などで行われている。NPO法人「地域精神保健福祉機構(コンボ)」は、ACTの活動普及を目指し、07年2月に設立された。コンボの共同代表で、自身も現在、統合失調症気分障害の宇田川健さん(36)にその取り組みを聞いた。
−−コンボの活動と、特徴を教えて下さい
▼メンタルヘルスマガジン「こころの元気+(プラス)」や、ホームページ(アドレスhttp://comhbo.net)での当事者への情報提供が主です。「こころの元気+」では統合失調症などの病気について、治療法や薬の知識を紹介するほか、障害者団体の記事や障害者の生活を応援する特集を組んだりしています。コンボは私のような障害者が主体になって活動している点が画期的です。
−−コンボ設立にかかわるきっかけは
▼大学時代に躁鬱(そううつ)病になって以来、入退院を繰り返してきました。転機は98年、28歳で米国のロサンゼルス精神保健協会と日本の当事者団体の交流プログラムに参加したこと。00年からはプログラムのコーディネーターとなり、ACTの関係者と知り合ってコンボ設立にかかわりました。
−−米国と日本の違いは
▼驚いたのは、当事者が自分の病名、薬の名前とその効用・副作用の知識を持っていること。薬も自分の調子に応じて選択して服用し、主体的に病気と付き合います。またロサンゼルスは米国でも先進的な地域で、障害者でもフルタイムの仕事で給料を得て、自立生活を営んでいます。米国で90年に成立した障害者対策法(ADA)の存在は大きいです。障害者の公民権を認め、雇用などでの差別を禁止しています。県障害者差別禁止条例成立に反発が大きかったことを見ても分かるように、日本は遅れています。社会的入院の多くは生活保護を受けながら数十年の入院生活を送ります。家族や社会が引き受けないことを理由に、「社会的な死」が作り出されています。
−−精神障害者の社会復帰を進める上での課題は
▼各地域に私のような「発言する当事者」を育てる必要があります。多くの障害者にとって転機となるのは、障害を抱えながら社会生活を営むモデルケースとの出会い。そのモデル的存在が社会に発言し、偏見をなくしていくべきです。これまで精神障害者の居場所は、病院や作業所など医療、福祉の場に限られてきました。関係者の多くは「社会復帰は病気が良くなってから」と考え、簡単な手作業をさせるだけ。これでは一般社会で生きられません。一般的な職場で症状に応じて働き方を変えたり、何度も挑戦しながら徐々に移行すべきです。行政には、ACTに対し予算をつけ、優秀な職員が就職できる仕組みを作ってほしいです。重度の精神障害者が地域生活を維持するための仕組み作りが急務です。【聞き手・中川聡子】
==============
■人物略歴
◇うだがわ・けん
1971年生まれ。埼玉県越谷市出身。90年、筑波大学に入学。躁鬱病を発症して休学、96年退学。98年から日米精神障害者交流プログラムに参加。07年2月から現職。問い合わせはコンボ事務局(電話047・320・3870)
毎日新聞 2008年6月24日 地方版
◆道内生活保護世帯、昨年度は過去最多の9万3,541世帯
http://www.bnn-s.com/news/08/06/080624145737.html
06月24日(火) 15時00分
文:井上
2006年度版の生活保護手帳
1,000人当たりの被保護人員の割合を示す「保護率」も過去最高の24.6。
2007年度の全道の被保護世帯数(生活保護を受給する世帯)は、過去最多の9万3,541世帯となったことが道のまとめでわかった。
被保護人員の割合を示す「保護率」(人口1,000人当たりの被保護人員の割合)も、07年度は24.6(前年度比0.6ポイント増)と過去最高となった。全道の被保護人員は13万7,570人。
札幌市の被保護世帯数は、3万5,467世帯、保護率は28.0、被保護人員は5万2,702人。
道は1951年度に生活保護の調査を開始した。札幌市を除く道内の保護率は、85年度の21.0をピークに95年度まで減少を続けた。96年度以降は増加に転じ、04年度は85年度を上回る21.1、05年度は21.7、06年度は22.3と増加が続いている。
道内で保護率が最も高かったのは三笠市の44.6。昨年度の保護率22.8を超えた市は、札幌、三笠の両市のほかに釧路市44.3、歌志内市42.6、函館市38.9、小樽市37.8、室蘭市33.8、赤平市33.7、旭川市32.8、美唄市30.3、夕張市26.2、苫小牧市24.4の10市だった。
道保健福祉部では「はっきりとした要因は分析できないが、景気動向、雇用情勢、高齢者比率が影響し、複雑に関連している」と説明する。
◆北九州市:生活保護受給者の就労支援 対策チーム、民間専門職の導入提案 /福岡
http://mainichi.jp/area/fukuoka/news/20080624ddlk40010376000c.html
生活保護受給者の自立支援に向け北九州市が庁内に設置した「就労自立支援対策チーム」の第3回会議が23日開かれ、他都市の就労支援事業の視察結果などが報告された。
視察先は川崎市と東京都の足立区、杉並区で、いずれも福祉事務所に1人の就労支援専門職員を配置している。川崎市には9人の専門職員がおり、昨年度は397人を支援して276人が就労した。足立区は375人を支援し199人が、杉並区は152人を支援し97人が就労した。
一方、北九州市は230人の支援に対し、就労は26人にとどまっていた。大きな要因として、対策チームは就労支援専門員が小倉北区と八幡西区に各1人しかいないことを挙げている。
対策として、今年度中にも門司、若松、戸畑の各区役所保護課を巡回して勤務する民間キャリアカウンセラーを今年度中に導入するよう提案している。キャリアカウンセラーは、就労支援専門員に準じ(1)求職相談に応じ、求人情報の提供や求職活動を指導・援助(2)ハローワークに同行して求職を支援するなどの業務を担当するよう検討しているという。【木村雄峰】
〔北九州版〕
毎日新聞 2008年6月24日 地方版
◆非正規増加で負担増20兆円 老後の生活保護費で試算
http://www.47news.jp/CN/200806/CN2008062401000762.html
就職氷河期に増えたフリーターや派遣社員ら非正規雇用者が、賃金が低いために生活資金を準備できないまま老後を迎えて生活保護を受けると、追加的な財政負担が累計で20兆円に上ることが24日、分かった。シンクタンクの総合研究開発機構が試算した。
福田首相は非正規雇用対策も含めた包括的な社会保障対応策を7月中に打ち出す方針だが、こうした潜在的な「貧困問題」を放置することになれば、新たな財政圧迫要因となる恐れもある。
試算では、1968−77年生まれを就職氷河期世代と設定し、この世代を58−67年生まれの世代と比較。学校を卒業した後、就職活動をした非正規雇用者と、家事も通学もしていない無業者で、老後に生活保護を受ける可能性がある人が77万4000人増加すると算出した。
2008/06/24 18:38 【共同通信】
◆母子生活支援施設を建設へ/相模原市子育て・教育
http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryxiiijun0806526/
2008/06/24
相模原市は二十四日までに、経済的に困窮するなどした母子家庭を支援する「母子生活支援施設」を同市並木三丁目に建設が予定されている市営住宅内に併設することを決めた。市内では初の施設で、二〇一一年六月の開所を目指す。市が施設を建設し、民間による運営を検討している。
〇七年十月の市内の母子家庭数は前年同期比七百五世帯増の六千八百七十七世帯と増加傾向にある。市こども育成課によると、経済的理由などで支援が必要な世帯は毎年十〜十三世帯という。
市内に同施設がないことから市はこれまで、生活保護制度を活用し民間アパートへ入居させ、相談員が訪問指導してきた。だが自立に向けた生活訓練や就労支援が不足しがちなため、施設建設を決めた。
施設は鉄筋四階建てで、延べ床面積約二千平方メートル。二十世帯が入居できる母子室のほか、家事訓練を行う自立訓練室や学習室などを設置。専門職員として母子指導員や少年指導員が常駐する。
七月から地元説明会を開催する予定。
◆二十代・アキバ献花台発:/上 孤独、焦り…思い重ね
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080624ddm013040130000c.html
献花台はすぐに花や供え物でいっぱいになる=東京都千代田区外神田で21日、長谷川直亮撮影
◇事件起こすかどうか、一線どこに?
◇クビになるかも。怖い
東京・アキバ(秋葉原)−−。大通りの交差点に献花台はある。
花束、スナック菓子、アニメキャラクター……。下段にはペットボトルの白キャップが、ハチの巣のように並ぶ。
今月8日、7人の命をトラックとナイフで不条理に奪い、加藤智大容疑者が逮捕された。25歳の男は、ネアカ、ネクラ、ロリコンなどの言葉が流行した1982(昭和57)年に生まれている。惨劇の犠牲者を悼む献花台には若者がひっきりなしに訪れ、その大半が男と同じ20代だ。
□ □
事件9日後の17日午後7時−−。都内のタイ式マッサージ店で働くユミコさん(22)=仮名=が花束の山を見つめていた。1人でカラオケに行き、アニメソングを歌った帰りだという。
「友達がいないから悲しかったんじゃなくて、友達がいない人間はダメなんだと思い込んでしまったんじゃないかな」。来たのは2回目で、自分と男の生い立ちを重ねていた。
両親は教師で、塾、ピアノと習い事が多い少女期を過ごした。テレビ番組はニュースだけという家庭もストレスだった。そのはけ口は友達へと向かう。つらく当たって気づくとひとりぼっち。不登校になった。押しつぶされそうだった。
アニメと出合い、救われた。兄が借りてきたビデオを親に隠れて見た。主人公が旅をして魔物を倒していくストーリーに「この世じゃないみたいに自由」と心が弾んだ。漫画の専門学校に入ったが、プロへの道は遠い。
あの男と自分との違いを探し、答えが見つからない。
「事件を起こすかどうかの一線ってどこにあるの」
□ □
事件10日後の翌18日−−。昼休みの献花台は会社員や学生の姿が目立つ。女子高校生4人が手を合わせ、手をつなぎ去っていく。「みんなで使えるように」と数珠と線香も添えられた。
青表紙に「祈帳」と書かれたノートもだれかが置いたのだろう。大学生のユウサクさん(23)がノートを読み末尾に自分の思いを刻んだ。
「勝ち組の人は優秀な学校を出て一流企業。僕もその道が絶たれました」
工業系専門学校に推薦入学したが、就職できなかった。「勉強が足りないのか」と思い大学に進み、2度目の就職活動も苦戦している。内定が出ない。
−−コミュニケーション能力に欠ける
−−仕事には笑顔も必要だが君は鉄仮面
面接官の言葉が胸に突き刺さる。思えば中学の部活動でもキャッチボールの相手が見つからなかった。非正規雇用は切り捨てられると本で読み「絶対避けなければ」と焦る。
□ □
電脳タウンをメイド姿の少女たちが行き来し、店員のダミ声やBGMが響く。日が暮れると、街は電飾に彩られた。
仕事帰りの若者が目立つ午後7時−−。容疑者と同じ派遣社員の25歳の男性が、30分近くたたずんでいた。「クビになるかもしれない。怖い」
飲食店アルバイトの男性(27)は「事件を防ぐ方法が思いつかない」と悩んでいた。
「孤独は人を追い詰める。孤独はいけない」
□ □
だれかが犠牲者に花を手向け、それが献花台になった。警察、町内会、行政が協力し、供えられた花束や品は1万7000点近くに上る。怒り、悲しみ、やりきれなさ、閉塞(へいそく)感、孤独。若者が献花台に引きつけられ、その一つ一つが積み重なっていく。
20代の目線でアキバ事件を見つめる。
◇容疑者の25年と社会
時代とともに変ぼうしてきた東京・秋葉原はいま若者文化の発信基地となり、「オタクの聖地」とも称される。アニメ、ゲーム、フィギュア、メイド喫茶などを目当てに若者が集う。事件を起こした25歳の男もその一人だった。
男は父(49)と母(53)の長男として、青森市で生まれた。体罰やいじめ自殺が社会問題化し、ファミコンが普及した時に幼少期を過ごす。
小学1年の89年、バブル経済がピークとなる一方、連続幼女誘拐殺人事件で宮崎勤元死刑囚が逮捕され、20代の猟奇的事件に社会が震えた。中学に進んだ95年に「ウィンドウズ95」が登場し、インターネット社会が到来する。オウム事件などがあり、平成不況を背景に派遣労働が広がっていくのもこのころだ。
高卒の両親は「子供は絶対に大学へ」と教育熱心で、98年に県立青森高に合格するが、成績は振るわなかった。自動車整備士を養成する短大で学び、派遣社員として全国を転々とした。
==============
■過去25年間の若者・子どもをめぐる事件
83年 横浜で中学生ら10人がホームレスを殺傷
86年 東京の中学2年、鹿川裕史君がいじめを苦に自殺
89年 埼玉・東京連続幼女誘拐殺人で宮崎勤元死刑囚逮捕
90年 神戸で女子生徒が遅刻指導の教諭の閉めた校門に挟まれ死亡
94年 愛知の中学2年、大河内清輝君がいじめを苦に自殺
97年 酒鬼薔薇聖斗を名乗る中3男子が神戸で連続児童殺傷
00年 17歳無職少年が佐賀で高速バス乗っ取り
01年 大阪で宅間守元死刑囚が小学校に乱入、児童8人殺害
04年 長崎で小6女子が同級生を殺害
08年 指名手配中の24歳無職男が茨城の駅前で8人殺傷
毎日新聞 2008年6月24日 東京朝刊
◆二十代・アキバ献花台発:/中 薄氷踏む、派遣の生活
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080625ddm013040105000c.html
にぎわいを取り戻した現場・秋葉原の交差点=東京都千代田区外神田で、長谷川直亮撮影
◇クビ、退寮…ホームレス保護所へ−−事件で国が動いた…気持ち複雑
こぬか雨が東京・アキバ(秋葉原)の交差点をぬらす。殺傷事件(8日)から2度目の週末の21日午後、埼玉県の純子さん(28)が献花台で黙とうしていた。
あの男を理解できるか−−。インターネット上で加藤智大容疑者(25)と事件を考えるサークルの「オフ会」の帰りだ。
「フツーの新卒正社員」を夢見ていた。しかし、超氷河期の就職戦線は約30社すべて不採用だった。清掃会社、スーパー、不動産……。短大を出て8年間で12の職場で働いた。
男と同じ25歳で仕事が途切れる。恋にも破れ、行き場のない感情をブログに書き続けた。
<仕事はちゃんとしているのに>
<私は恋愛に失敗したからダメなのかな>
だれからも反応がなく、部屋で泣いた。「心をなくした奴隷として生きればいいんだ」
どん底からはい上がれたのは新しい派遣先が見つかったからだ。「仕事は続けたい。自分が社会とつながっている証しだから」。今年2月、また派遣先との契約が切れた。「正社員でなくてもいい。とにかく、働きたい」
□ □
つなぎがない。
派遣社員だった男は事件前の5日朝、静岡の工場の更衣室であばれた。
名古屋市の職業訓練校に通う酒井徹さん(24)は作業着が頭に浮かんだ。ポケットの少ない化学繊維の「専用つなぎ」である。
事件を報じる新聞を広げて驚いた。工場こそ違う。しかし昨年、愛知県の自動車車体工場で塗装工として働いた。登録派遣会社も男と同じではないか。
男の職場では派遣の契約解除が話題に上がっていたが男は含まれていない。「でも」と酒井さんは言う。「つなぎは仕事に欠かせない。『ない』のを『お前はいらない』と受け取ったのではないか」
酒井さんは工場で車のバンパー単品を塗装前に磨いてちりを落とす作業をしていた。「1ミリのちりでも塗料が引き寄せられて盛り上がり不良品になる」。1日約8時間労働で250個程度を磨く流れ作業だった。
時給1270円は悪くない。1カ月約25万円になった。だが部屋代、つなぎのクリーニング代、食費、光熱費などを差し引くと残らない。食堂の社員割引もない。「正社員が400円のメニューを600円で食べた」
クビは突然だった。
昨年9月、働けるのは派遣半年を迎える翌月まで、と言い渡された。「目の前真っ暗」。加盟労組と団体交渉したが、新しい仕事を紹介されず、寮を追われた。ホームレス一時保護所に駆け込み、路上生活だけは免れた。
□ □
つなぎの件の翌日の6日未明、男はケータイサイトに書き込む。
<あ、住所不定無職になったのか。ますます絶望的だ>
仕事と住まいを同時に失う恐怖。住所を失うとケータイも使えない。通話が止まれば、派遣会社と連絡がとれない。自暴自棄になっていく男の心情が読み取れる。「少しでも行政の制度を知っていれば……」
酒井さんは、一時保護所を出て、再び働きだした。今度は日雇いの工場派遣だった。研修の名のもと、最低賃金すらもらえない外国人研修生もいた。「派遣の待遇改善を」。派遣労組の先頭に立つが、事件後、状況が変わる。
日雇い派遣の原則禁止−−。舛添要一厚生労働相がその意向を示した。歓迎できるが気持ちは複雑だ。「これだけ犠牲者が出なければ制度は変わらなかったのか」
男はアキバへ向かうトラックの座席で何を考えていただろうか。いま、酒井さんは失業保険を得て家賃3万5000円のアパートに住む。同志社大の単位を取りこぼし中退してから、正規雇用の道はまだ開けない。そしてもがいている。
「ハードルは高いが正社員になり、働いてみたい」
◇背景に強い閉塞感
「電波男」の著者で独自の"オタク論"を展開している評論家の本田透さんに容疑者の心の背景を聞いた。
◇
中流だと信じられた時代は努力すればだれでも豊かになれると思えたが、格差が広がり、一度負けたらはい上がるのが難しい。非正規雇用で働くうち社会的にも追い詰められていく。恋愛に居場所を求めもがいたが、そこにも格差があった。ゲームや漫画などに没頭するアキバ系オタクにもなり切れなかった。
人間関係もつくれないこうしたタイプはネット上で、もてない者同士グチりあって気晴らしをしたりする。だが、ここでも適応できず、ケータイ掲示板で独り言のようにぶつぶつ書くしかなかった。どこにも自分の居場所が見いだせず、自分が主人公の物語をつむげなかった。そして、男は1日だけの主人公を目指し、ワイドショー独占と称し"テロリスト"になった。
戦争などで人生をリセットしたいという若者が多い。将来が見えず、現実世界で主人公になれないという閉塞(へいそく)感、不安感が強い。今回のような事件が続く可能性はある。
==============
■過去25年間の主な経済ニュース
85年 労働者派遣法制定
91年 バブル経済崩壊、平成不況による「失われた10年」始まる
97年 山一証券、北海道拓殖銀行など破綻(はたん)相次ぐ
02年 景気拡大、平成不況終わる
04年 派遣法改正で製造業への派遣を解禁
05年 社会の二極化が「格差社会」として問題に
06年 派遣労働者が300万人超える。「いざなぎ超え」の景気回復と政府発表
07年 人材派遣大手フルキャストが違法派遣で事業停止、ワーキングプアが流行語に
08年 新卒大学生の内定率88.7%。99年度以降で最高に
毎日新聞 2008年6月25日 東京朝刊
◆医療保険「積み立て方式導入を」 財務省研が報告書
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20080625AT3S2401R24062008.html
財務省の財務総合政策研究所は24日、人口動態の変化が財政と社会保障に与える影響を検討した報告書をまとめた。研究に参加した鈴木亘・学習院大准教授は、医療保険財政を将来も維持するためには、現役世代の負担で全体の歳出の大半をまかなう制度を改め、積み立て方式の導入が必要と提言。現在8.03%の保険料率を11.79%に引き上げることで、「2105年まで財政を維持できる」との推計を示した。
神戸大の小塩隆士教授は公的年金が高齢者の格差をどれだけ是正しているのかを検討。分析の結果、公的年金の持つ高齢者への所得の再分配効果が乏しいと指摘した。厚生年金も報酬比例部分を持っているため、生涯所得の格差を大きくは是正しない。高齢者の所得格差を縮めるためには、「基礎年金部分を生活保護基準程度に引き上げるとともに、報酬比例の部分を圧縮するなどの改革が有効」と指摘した。(07:00)
◆【私説・論説室から】働く者が誇りなくす社会
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2008062502000124.html
2008年6月25日
日本の封建社会には西洋のような農奴はいなかった。小作人が土地を耕す権利は保障されていた。比較的自由な立場の小作人は土地に縛り付けられた奴隷ではなく自らの裁量で収穫を増やし平等に分け合った。
最近の歴史学で有力になった説は、日本が東洋でいち早く近代化に成功し工業社会に仲間入りした秘密を解き明かしている。
日本では支配される側の人々も働くことに誇りを持て、自ら仕事や職場の改善を図ってきた。権力やカネへの執着は希薄だった。
こうした、社会の伝統的価値観が根本から揺さぶられている。非正規労働が広がった影響は大きい。
そこでは働く権利が保障されず労働者は一日単位で使い捨てられる。仕事に誇りを持ち改善に取り組んでも、その尊厳は一片の解雇通知でずたずたになる。
実は非正規労働の広がりこそ戦後最長といわれた「好況」の秘密だ。株主配当や役員報酬は伸びたが、労働分配率は減り続け、社会にはカネと権力がすべてという風潮が広がった。
企業は非正規労働者の医療や年金の社会保険負担を免れ、その負担は行き場を失った彼らの生活保護など財政に転嫁された。
リストラによる業績回復が経営者の手柄になり希望のない「下流社会」から自暴自棄の犯罪が続く。「改革」の名で社会の根を損なう結果を招いた政治家や学者がもてはやされているのは不思議だ。 (清水美和)
◆最低賃金上げ 中小企業への支援が重要
http://www.sanyo.oni.co.jp/sanyonews/2008/06/25/2008062508555532009.html
政府や労使代表らで構成する「成長力底上げ戦略推進円卓会議」は、今後五年間で最低賃金の全国平均を小規模企業の高卒初任給の最も低い水準を目安に引き上げることで合意した。
円卓会議は、政府が成長戦略を協議する場として二〇〇七年三月に発足した。当初は同年内にも最低賃金の中長期的な引き上げの方策をまとめる予定だったが、大幅アップを求める労働者側と経営への影響を懸念する経営者側が折り合わず、先送りされていた。
労使が協議を経て一応の目指すべき水準を設け、最低賃金の引き上げを図っていくよう確認し合ったことは大きな前進といえよう。しかし、双方の意識の隔たりはまだまだ大きい。
基準となる小規模企業の定義からしてそうだ。労働者側は、従業員が百人未満の企業を小規模企業とする。この場合、高卒初任給の最低水準は時給七百五十五円。最低賃金の全国平均が六百八十七円だから、六十八円の引き上げが必要となる。これに対し、経営者側はより給与水準が低い「二十人以下」を主張して譲らず、具体的な引き上げ額を示せないあいまいさが残る決着となった。
審議の場は、今月末にも始まる本年度の引き上げ幅の目安を決める厚生労働省の中央最低賃金審議会に移ることになるが、先行きの不透明さは否めない。
非正規雇用者が増えて賃金格差が拡大し、働いても生活費が賄えないワーキングプア(働く貧困層)が社会問題化している。安全網としての最低賃金の意味は一段と大きくなってきたといえよう。
政府は最低賃金の設定に当たって「労働者が健康で文化的な最低限の生活が営める」水準を考慮するよう明記した改正最低賃金法を〇七年に成立させた。これを踏まえ、〇七年度の全国平均の引き上げ幅は従来の年数円から十四円と大きく上回った。それでも、依然として生活保護費を下回る地域もある。労働意欲を損なわせてはならない。合意を具体化し、大きく踏み出すよう求めたい。
最低賃金のアップは、原材料価格の高騰や円高傾向にあえぐ企業の経営を一段と圧迫しかねない。とりわけ、非正規雇用者の比率が高い地方の中小企業は深刻だ。経営難や倒産による雇用切り捨てになったのでは何にもならない。
中小企業が最低賃金の引き上げに耐え得る体力をつけるためには生産性の向上が重要だ。政府も、労使一体となった経営改善を支えていく施策のさらなる検討が不可欠である。
◆基準変更で現場混乱 保護費受給者の通院交通費
2008.6.25
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080625/crm0806250949001-n1.htm
北海道滝川市の生活保護不正受給事件を受け、厚生労働省は4月に通院交通費の支給基準を厳格化する通知を出したが、受給者らの批判で新たな通知を出し現場に混乱が生じている。
生活保護の受給者は通勤に必要な場合などを除き自家用車の所有が認められていない。このため、タクシー利用などで掛かった通院交通費が支給されていた。
事件を受け、同省は「へき地などに住み、最寄りの病院に行くと交通費が高額になる場合に限る」と支給条件を厳格化。しかし「都市部では支給が打ち切られる恐れがある」「保護基準の実質的切り下げ」との批判が続出。同省は今月10日、継続的な通院で交通費が高額になった場合など都市部でも支給となる具体例を示した追加通知を出した。
生活保護問題対策全国会議は、通知にある「高額」の基準の不明確さなどを指摘し「自治体によって混乱や不公平が出る」と批判している。
◆元組員夫婦に懲役13〜8年=生活保護2億詐取、「予算食い物」−札幌地裁
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200806/2008062500042
北海道滝川市から受給資格がないのに生活保護費2億円以上をだまし取ったなどとして、詐欺などの罪に問われた元暴力団組員片倉勝彦被告(42)と妻ひとみ被告(38)の判決公判が25日、札幌地裁で開かれた。井上豊裁判長は「一地方都市の生活保護予算のかなりの部分を食い物にした未曽有の巨額公金詐欺事案」と述べ、勝彦被告に懲役13年(求刑懲役15年)、ひとみ被告に同8年(同10年)を言い渡した。
井上裁判長は「手口は巧妙で遊興費欲しさからの犯行」と指摘。弁護側は公判で「滝川市が十分な調査をしていれば、被害の拡大を防げた。市には行政上の責任と道義的責任がある」と主張していたが、同裁判長は「不正な利益をむさぼっていた被告らに市の対応の是非を論ずる資格などない」と一蹴(いっしゅう)した。
判決などによると、片倉被告らは介護タクシー会社から得ていた多額のバックマージンを滝川市に申告せず生活保護費を受給。2006年11月から約1年間にわたり、同社役員らと共謀し、札幌市の病院へタクシー通院したとして、通院移送費など2億円以上をだまし取った。(2008/06/25-12:02)
◆室蘭市の累積赤字、昨年比31億円圧縮も健全化険しく
【2008年6月25日(水)朝刊】
http://www.muromin.mnw.jp/murominn-web/back/2008/06/25/20080625m_01.html
室蘭市は24日、開会中の第2回市議会定例会の総務常任委員会で、平成19年度各会計決算(見込み)の概要を明らかにした。累積赤字総額が18年度末に比べ31億円余り圧縮し、135億7400万円となった。一般会計余剰金は4億8900万円だった。
特別会計(5会計)の累積赤字は1億7300万円。うち国保会計1億100万円、老保会計7200万円の赤字がそれぞれ発生したのが大きな要因。
企業会計(7会計)は、赤字を32億6100万円圧縮、累積赤字が134億100万円となった。病院会計が患者増や単価上昇などもあり、医業収入が増加したため、赤字を1億9100万円圧縮、累積赤字も8億8600万円となった。
決算見込みでは一般会計歳入が437億1900万円、歳出が432億3000万円。生活保護費や中小企業向けの貸付金、除雪費などが減少し不用額が生じ余剰金が発生した。
市財政課は「31億円の赤字圧縮と言っても、一般会計からの繰り出しが20億円(港湾会計)あり、自助努力で赤字を解消した分は11億円余り。財政健全化にはまだ長い時間がかかる」とし、地道な取り組みが必要だとの厳しい認識を示している。
(佐藤重理)
◆生存権訴訟:老齢加算廃止巡り 26日東京地裁で判決
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080625k0000e040060000c.html
「我々にとっては命の問題です」。東京地裁前でマイクを握る原告の横井邦雄さん=2008年6月19日午後1時6分、銭場裕司撮影
70歳以上の生活保護受給者に上乗せ支給されていた老齢加算を廃止したのは、生存権を保障した憲法に違反するとして、東京都内の高齢者12人が、居住する3市7区に廃止処分の取り消しを求めた訴訟の判決が26日、東京地裁(大門匡裁判長)で言い渡される。全国8地裁で係争中の同種訴訟では初の判決になる。
「生活が苦しくなると削るのは食費。肉などは2、3回に分けて食べるようになったよ」。原告団長の横井邦雄さん(79)は1人暮らしの都営住宅で苦笑いした。がんを患い、緑内障で左目の視力を失いながらも、裁判を闘い続けてきた。
横井さんは活版印刷の元職人。バブル経済の崩壊で雇い先がなくなり、96年から生活保護を受けている。現在の収入は生活保護の月約7万5000円のみ。2年前、老齢加算制度が「特別な需要はない」との理由で完全廃止された。約1万8000円を減額され、「年間20万円以上のカットはきつすぎる」と嘆いた。
生活はぎりぎりの状態で、香典を出せず、弔電で済ます。京都の姉の見舞いも年1回に減らし、「自宅のお風呂もやめて、区が配布した月4回の入浴券でしのいでいる」と言う。
高齢者には消化のよい食べ物や暖房などが必要で、墓参りなど社会的な費用もかかるとして、1960年に老齢加算制度ができた。裁判で横井さんらは、憲法が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」が損なわれていると強調してきた。「正当な理由がなければ、保護を不利益に変更できない」とする生活保護法にも反すると訴えた。
「判決に期待したい。我々の裁判は年寄りだけの問題じゃなくて、底辺の声なんです」。ワーキングプアの問題にも心を痛める横井さんは力を込めて語った。【銭場裕司】
◆事件事故裁判:市職員の胸元つかみ現行犯逮捕 /山口
http://mainichi.jp/area/yamaguchi/news/20080625ddlk35040354000c.html
24日、下関市本町1、無職、斉藤利勝容疑者(55)を公務執行妨害の疑いで。斉藤容疑者は同日午前11時15分ごろ、同市役所の生活保護者面接室で、相談相手の福祉部生活支援課の男性職員(36)の胸ぐらをつかんだ疑い。要求が通らなかったため激高したと供述しているという。職員にけがはなかった。(下関署)
〔下関版〕
毎日新聞 2008年6月25日 地方版
◆病院未収金・保険運営者が徴収
2008.6.25
http://sankei.jp.msn.com/life/body/080625/bdy0806252032004-n1.htm
患者が病院に治療費を支払わない「未収金問題」を議論してきた厚生労働省の検討会は25日、保険運営者(市町村や社会保険事務所など)に治療費回収を肩代わりさせる「保険者徴収制度」の強化を柱とした最終報告書案をまとめた。
報告書案では「生活困窮」の状態にある患者には治療費減免制度や生活保護を活用するよう提言。一方、財力があるのに支払いを拒否する悪質な滞納者には医療機関が"夜討ち朝駆け"といった積極的な訪問で徴収することを求めた。
それでも支払わない場合は、保険運営者に通報した上で、運営者が催促や差し押さえなどの強制徴収に着手する「保険者徴収制度」を行うべきだとしている。
厚労省は今年秋にも運営者向けの基準を策定する予定。
◆「妥当な判決」と滝川市長=元組員の生活保護詐欺事件で
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200806/2008062501051
北海道滝川市の生活保護費詐欺事件で、札幌地裁が元暴力団組員(42)に懲役13年などの判決を言い渡したことを受け、田村弘市長は25日夕、市役所で記者会見し、「妥当な判決。再発防止と信頼回復に職員一丸となって努力していくつもりだ」と述べた。2億円を上回る巨額詐欺の背景として、被告側が主張した市行政の責任については、「法的な責任を認めた上での判決とは思っていない」と語った。
市は年内に「滝川市再生基金」(仮称)をつくり、市長と副市長の給与減額分1500万円程度と、事件に関与した介護タクシー会社の車両や預金を差し押さえ、計約2000万円を積み立てる方針だが、被害額には遠く及ばない。被告らに対する損害賠償請求訴訟も「大きな期待はできない」と市長は認めた。
行政責任を追及する市民団体は、市長らに対する訴訟を準備しており、市長は「コメントできない」と言葉を濁した。(2008/06/25-21:55)
◆20年前への感謝、恩返しの寄付金で車イス披露 取手市
http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/ibaraki/080626/ibr0806260311001-n1.htm
2008.6.26
「これで本当に肩の荷が下りました」−。かつて生活保護を受けていた茨城県取手市の70歳代の女性。先月、「恩返ししたい」とコツコツと続けた預金から100万円を同市に寄付し、市はこのお金で車イスを購入した。25日には、市内の市社会福祉協議会や施設に車イスを搬送。女性は姿を見せなかったが、約20年前に生活保護の仲介役になってくれた職員から報告を受けると、感謝を込めてこう話したという。
車イスには「寄贈取手市民より」と書かれたプレートがつけられた。自走型・背折れ式16台▽自走型・エアタイヤ式5台▽介助型・背折れ式7台▽フルリクライニング式1台−の計29台。市社会福祉協議会のほか、市内の老人福祉施設や特別養護老人施設など6カ所に運ばれた。
市社協では、「社協には購入してから15年くらいたっている古いものもあるので、それと交換して貸し出したい」と話していた。
昭和62年ごろ、2人暮らしだった母親の病気もあって生活保護を受けたという女性。その後、職を得て生活保護を辞退し、現在は年金生活を続けている。
当時、仲介役となった同市の岡田儀春政策調整課長が25日、女性宅を訪れて、車イスの写真を見せて報告した。女性は「たくさん買えてよかった。大変お世話になりました」と喜んでいたという。
◆大阪市、府の維新プラグラムで4億6000万円の影響
http://sankei.jp.msn.com/region/kinki/osaka/080626/osk0806260315001-n1.htm
2008.6.26
大阪市は25日、大阪府が公表した行財政再建計画「大阪維新プログラム案」が実行された場合の影響額推計を発表した。市が府補助金などを財源にして実施している事業と、府・市が協力して実施する事業の影響額は今年度で計約72億6700万円にのぼるとした。このうち、市に影響が少ないとみられる3つの流域下水道事業を除く実質の影響額は約4億6000万円。市は今後、不足額を確定し、9月市議会に補正予算案を提出して対応することにしている。
市によると、府補助金などを財源にしている114事業のうち維新プログラム案で影響を受けるのは22事業。今年度の不足額は約6700万円で、21年度は約1億4100万円と試算した。おもな事業は、生活保護受給者に対し、キャリアカウンセラーを派遣する事業(府補助2分の1)などで、市は事業規模を維持したまま継続するかも含め、検討する。
さらに、府・市協力事業で廃止・縮小対象は99事業で、3つの流域下水道事業を除くと、今年度、約3億9900万円、21年度は約7億2000万円、府からの出資が減る。
協力事業は、主に団体への助成事業で、市は大阪人権博物館(リバティ大阪)、アジア・太平洋人権情報センター(ヒューライツ大阪)、大阪国際平和センター(ピース大阪)への助成金は、府と歩調を合わせて削減する方針。3助成事業で削減額は約5000万円になる。このほかに、大阪フィルハーモニー協会や文楽協会、21世紀協会事業への助成は今後、検討する。
◆07年県警DV相談 人口比で全国最多
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-133530-storytopic-1.html
2008年6月26日
配偶者、パートナーなど親密な関係にある者からの暴力、いわゆるドメスティックバイオレンス(DV)に関連して2007年に県警に寄せられた相談は528件に上り、06年の329件を大幅に上回ったことが県警生活安全企画課のまとめで分かった。
人口10万人当たりの相談件数は38・6件で、2番目の兵庫県の29・37件を大きく引き離して全国ワーストとなった。06年は鹿児島県に次いで2位だった。
08年も4月末までの相談件数は175件で、前年同期の171件より4件増えるなど増加傾向にある。こうした現状について同課は「事案が多いというだけではなく、広報啓発活動によって、DVが犯罪であることが浸透し、相談者が増えた側面もある」と分析している。
加害者と被害者の関係は婚姻関係が68・6%、内縁関係(同居)が19・4%、元婚姻関係が6・9%、元内縁関係が5・1%の順となっている。
地裁が加害者に対して被害者への接近禁止や住居からの退去などを命じる保護命令は07年、県内で45件発令されている。
内閣府男女共同参画局の資料を基にした県青少年・児童家庭課の資料によると、06年に県内で発令された保護命令件数の人口10万人当たりは3件で全国平均の1・7件を上回り全国6番目の多さだった。
県警生活安全企画課は「エスカレートすると最悪の形にもなりかねない。小さいうちに芽を摘むためにも悩まずに相談してほしい」と呼び掛けている。
(沖田有吾)
◆老齢加算廃止は適法=「生存権侵害」認めず−生活保護受給者ら敗訴・東京地裁
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200806/2008062600494
70歳以上の生活保護受給者に上乗せ支給されていた老齢加算の廃止は、憲法が保障する生存権を侵害するなどとして、東京都内の受給者12人が居住地の7区3市に加算打ち切り決定の取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は26日、「廃止には合理的な根拠があり、憲法に反するとはいえない」として訴えを棄却した。同様の訴訟は、ほかに7地裁で争われているが判決は初めて。原告側は控訴する方針。
訴えていたのは73〜84歳の男女各6人。
大門匡裁判長(岩井伸晃裁判長代読)は「現実の生活水準を無視した著しく低い基準を設定したとまではいえない」と述べ、憲法が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を下回る困窮を余儀なくされたとする原告側主張を退けた。(2008/06/26-18:55)
◆ 老齢加算廃止は合法 生存権侵害は認められず
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080626/trl0806261333005-n1.htm
2008.6.26
老齢加算の廃止決定取り消しを求めた訴訟で、東京地裁に入る原告ら=26日午後0時34分、東京・霞が関
生活保護制度の見直しに伴い、70歳以上に支給されていた「老齢加算」を廃止したことは、「生存権」を保障した憲法に違反するとして、東京都内の73〜84歳の高齢者12人が、墨田区や青梅市など居住する自治体7区3市に廃止決定の取り消しを求めた訴訟の判決が26日、東京地裁であった。大門匡裁判長は、老齢加算廃止を合法と認め、原告の訴えを退けた。
京都や神戸など全国8地裁で係争中の同種訴訟で初めての司法判断で、今後の訴訟に影響を与えそうだ。
老齢加算は、70歳以上の生活保護受給者に一定額を加算支給する制度で、昭和35年に創設。高齢者には消化の良い食品や暖房などが必要として、生活保護費に上乗せして月額約1万8000円が支給されていた。しかし、厚労省は省内の専門委員会の提言を受けて、18年度から廃止した。
裁判は、老齢加算廃止の違憲・違法性が争われた。高齢者側は、廃止によって食費を切りつめるなど節約を強いられており、「最低限度の生活を保障した生存権を侵害された」と訴えていた。「廃止には正当な理由がなく、不利益変更を禁じた生活保護法に違反している」とも主張していた。
一方、自治体側は、生存権侵害の主張に「原告らは老齢加算廃止後も一定限の生活水準を保っている」と反論。「廃止は十分に審議した上で決定されており、裁量権の乱用には当たらない」と違法性も否定していた。
◆7地裁の訴訟にも影響必至 老齢加算廃止「適法」判決
2008.6.26
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080626/trl0806262145012-n1.htm
生活保護制度における「老齢加算」の廃止を「適法」と認めた26日の東京地裁判決。廃止決定そのものが容認され、新潟、京都、神戸など全国7地裁で係争中の同種訴訟にも影響しそうだ。
裁判は、原告の個別事情を争わず、廃止決定の違憲・違法性に争点が絞られた。原告側は「廃止には正当な理由がなく、国の裁量権の逸脱」と主張し、生存権の侵害を訴えていた。
大門匡裁判長は、厚労省が廃止を検討する際に用いたデータの妥当性を支持。70歳以上の生活費は60歳代よりも少ない▽70歳以上の生活保護費は低所得者層の生活費よりも多い−との調査結果から「老齢加算の必要性はない。廃止には合理的な根拠がある」と判断した。
生存権は憲法25条で「健康で文化的な最低限度の生活をする権利」と定められている。生存権をめぐっては「生活保護の基準設定は厚労相の裁量に委ねられ、著しい逸脱がない限り違法とはいえない」と最高裁が判示しており、今回もこれに沿った格好となった。
判決後、記者会見した原告団長の横井邦雄さん(79)は「予想を裏切られた。ぜいたくをしたいのではないという思いを全く理解してもらえなかった」と不満をあらわにした。全国生活保護裁判連絡会事務局長で京都訴訟の代理人を務める竹下義樹弁護士は「判決は生活保護の実態を理解していない。この判決を引きずらないように戦わなくては」と今後の影響に懸念を示した。
◆保護費不正受給で逮捕へ 通院100キロタクシー往復
http://www.47news.jp/CN/200806/CN2008062601000931.html
収入を隠して生活保護費を受け取ったり、通院の際のタクシー代を不正受給したりしたとして、埼玉県警捜査4課は26日、生活保護法違反容疑で、埼玉県深谷市内の指定暴力団組幹部の男(60)と妻(44)を27日にも逮捕する方針を固めた。
県警によると、男らは生活保護費受給者の通院交通費補助制度を使い、たびたび自宅から約100キロ離れた群馬県北部の温泉地にある病院に通院し、往復のタクシー代を請求。タクシー代数百万円を含め計約1800万円を深谷市から不正受給していたとみられる。
関係者によると、男は交通事故で負傷したとして保険金など計2千数百万円を受け取っていたにもかかわらず、深谷市に生活保護費の支給を申請。2003年1月から不正受給する一方、「首のねんざの治療」として、群馬県北部の病院まで通院、医療費やタクシー代を受け取っていた疑いが持たれている。
◆火災警報機設置助成率0・37%/相模原市がPR強化へ政治・行政
http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryxiiijun0806589/
2008/06/26
相模原市が、二〇〇六年度から高齢者約六千人を対象に実施している住宅用火災警報機設置助成制度の利用実績が計二十二件、利用率はわずか0・37%にとどまっていることが二十六日までに分かった。警報機は一一年五月末までの設置が全住宅に義務付けられている。中でも逃げ遅れが心配される高齢者に、助成制度がほとんど利用されていない実態が判明したことから、市は「消防と福祉の連携によるPR作戦」をスタートさせる方針だ。
全住宅に警報機の設置を義務付ける改正消防法は〇六年六月に施行され、五年間の猶予期間が設けられた。このため、同市は(1)六十五歳以上(2)要介護認定など生活に援助が必要(3)本人と扶養者が市税非課税か生活保護受給―の対象者に、電磁調理器などと同様に助成制度の運用を開始した。
三個までの購入費の九割(生活保護受給の場合は全額)を同市が負担。一個四千円前後のため、三個買っても自己負担は千二百円程度という。
同市が今年六月、助成制度の利用実績を調べたところ、〇六年度六件、〇七年度十六件の計二十二件と判明。同市は「チラシを窓口に置く以外に周知してこなかったため」と、利用率の低さを釈明する。
高齢者の普及率について、助成制度担当の同市高齢者福祉課は「普及率は消防の担当なので把握していない」、消防局予防課は「市内全体の普及率の把握を優先してきた」と説明。横浜市の場合も、高齢者在宅支援課と消防担当の安全管理局予防課が、それぞれ助成制度とPRを受け持っているため、高齢者の普及率は掌握していない。
県は「助成制度の説明は福祉部局、PRは消防部局と担当が縦割りになっているため、猶予期限内に設置しなければいけないという緊急性が高齢者に伝わっていないのでは」と推測。警報機設置をめぐる"縦割り"は相模原市だけの課題ではないようだ。
高齢者を含めた全体の設置率は相模原市が「23%」、横浜市は「20%」と推定。相模原市は今後、全高齢者世帯にチラシを送付し、六月中旬から始めている警報機設置PRキャンペーンの効果を検証する普及率調査を本年度中に実施する方針。横浜市は昨年、全戸向け広報紙で助成制度をあらためて紹介したという。
◆非行少年を更生支援 田辺署が補導センターと連携
http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=148482
青少年による犯罪を防ぐため、田辺署は田辺青少年補導センター(杉原荘司所長)と協力し、検挙には至らなくても犯行にかかわっていた少年を更生支援する取り組みを始めた。県警は「警察が事件を処理した後も補導センターと連携して少年の立ち直り支援に取り組むのは、県内で初めて」と話している。
県警少年課によると、これまでは中高生の粗暴行為などで学校から通報を受けた場合は補導センターが対応していたが、警察の取り調べ後に生活指導することはなかったという。そのため、検挙しなかった少年が、再び犯罪にかかわる事例もあり、両者で連携することにしたという。
25日には、窃盗を繰り返していたとして田辺署が少年グループ9人を逮捕した事件で、一緒に行動していた17歳と19歳の少年2人(いずれも田辺市在住)についてセンター職員が今後の生活の改善などを指導した。
仲間の少年らは昨年2月から今年4月までの間に、田辺市などの飲食店や商店に侵入し、現金やゲームソフトの盗みを繰り返していた疑いが持たれている。犯行は40件で、被害総額は約185万円に上るという。
一連の事件で、2人は犯行に加わった疑いがあるとして任意での取り調べを受けたが、逮捕された少年らが窃盗をするとは知らずに行動していたことが分かった。
しかし、田辺署は2人が今後、再び犯罪に巻き込まれないようにセンターに連絡。センター職員が2人から心境や学校生活、友人関係などを聞いたほか、同席する保護者に対して、家庭環境の重要性などを伝えた。今後も2人には継続して指導していくという。
同センターは「非行防止の観点から、今回のような方向性は大切。より連携を密にして支援に当たりたい」と話している。
県警によると、昨年1年間、県内で発生した刑法犯に占める少年(19歳以下)の割合は33・1%で全国ワースト10。再犯率は29・7%。県警は「再犯率は全国平均(30・3%)より低いが、単純計算だと3人に1人が再び罪を犯していることになる。見過ごせない数字だ」と対策に取り組む姿勢を見せている。
【少年(手前)から話を聞く田辺青少年補導センター職員。保護者も同席し、友人関係などについて聞く=25日、和歌山県田辺市中屋敷町で】
('08/06/27)
◆生活保護費不正受給:群馬まで100キロ、タクシーで通院 埼玉・深谷市が組員告発
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080627ddm041040038000c.html
埼玉県深谷市内の暴力団組員の男(60)が生活保護費を市から不正に受給していた疑いがあり、市が生活保護法違反容疑で埼玉県警に告発していたことが分かった。群馬県北部の温泉地にある医療機関まで約100キロの道のりをタクシーで通院したとして料金を請求するなど、妻(44)と2人の受給額は約1800万円に上るとみられている。
関係者によると、組員は07年10月、群馬県北部の医療機関で診察を受けたとして、自宅からの往復のタクシー代十数万円を生活保護費に含めて受け取っていたという。同月、県の監査で不正受給の疑いが発覚した。
生活保護を巡っては厚生労働省が06年3月、暴力団員に生活保護を支給しないよう通達を出し、暴力団員と疑われる者について、自治体が警察から情報提供を求めるよう指導していた。
北海道滝川市では、暴力団関係者が介護タクシーによる通院費約2億円を不正受給していたとして起訴され今月25日に懲役13年の実刑判決を受けている。【浅野翔太郎、町田結子】
毎日新聞 2008年6月27日 東京朝刊
◆「裏切られた」、原告控訴の方針 老齢加算廃止訴訟
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20080627AT1G2602M26062008.html
生活保護の老齢加算廃止は違憲だとして、東京都内の高齢者が十市区に廃止取り消しを求めた訴訟で、26日の東京地裁判決で敗訴した原告らが記者会見し「高齢者の生活の苦しみを理解していない判決だ」と控訴の方針を明らかにした。
大門匡裁判長は判決理由で「加算廃止で節約を強いられ不自由も少なくないが、生活を無視した著しく低い基準とまではいえず裁量違反は認められない」とした。
判決後に会見した原告の横井邦雄さん(79)は「友人の葬式に香典を出す余裕がなくなり、食事も切り詰めて寿命を縮めているのに判決に裏切られた。控訴したい」。八木明さん(82)も「文化的な生活などできない。なぜこんなに苦しまないといけないのか」と涙を浮かべた。(07:00)
◆老齢加算訴訟 「生存権」が心配になる
6月27日(金)
http://www.shinmai.co.jp/news/20080627/KT080626ETI090015000022.htm
生活保護費の「老齢加算」の廃止は、「生存権」を保障した憲法に違反するとして、高齢の受給者たちが取り消しを求めた裁判で、東京地裁は原告の請求を棄却した。
老齢加算が廃止されて、憲法25条が定める「健康で文化的な最低限度の生活」が営めるのかどうか−。それが争点だった。
判決は、加算の廃止は「現実の生活条件を無視した著しく低い基準を設定したとまではいえない」として、合憲と判断した。「最低限度の生活」は維持できているという判断である。
本当にそうだろうか。
老齢加算は70歳以上の受給者に対して、消化のよい食事や冠婚葬祭などのために生活費に一定額を上乗せしていた。2004−06年度に段階的に廃止された。
高齢の受給世帯は、9割近くが1人暮らしだ。加算の廃止で、苦しい生活をさらに切り詰めている。葬式にも顔を出せず、孤立感を深める人が少なくない。
岡山県の療養所患者が国に生活保護費の支給を求めた「朝日訴訟」で、1960年の1審判決は、生存権を人間らしく生きる権利ととらえた。生活保護制度は、生存権を具体的に保障する「命綱」だ。後退させることに、司法は慎重であるべきだった。
気になるのは、この判決が、生活保護水準の引き下げを進めている政府の動きを、追認することにならないか、ということだ。
厚生労働省は老齢加算の廃止に続き、母子世帯に対する「母子加算」も減額し、09年度には全廃する。昨年は保護基準の引き下げに手を付けようとした。増え続ける社会保障費の抑制がねらいだ。
厚労省は加算の廃止や基準引き下げの理由として、生活保護費が低所得世帯の生活費を上回っていることを挙げている。だが、これでは発想があべこべだ。
生活保護を必要とする世帯のうち、実際に受けているのは約2割、という試算もある。本来ならば、保護基準を下回る低所得世帯の底上げを図るべきなのに、より困窮している方へ保護基準を合わせては、セーフティーネットの水準が果てしなく下がってしまう。
生活保護の基準は、保育料や介護保険料の減免など、低所得者対策のものさしにもなっている。最低賃金にも影響を及ぼす。
新潟、福岡など他の9地裁で、加算廃止の取り消しを求める同様の訴えが起こされている。受給者の生活の実態をくみ取った判断を期待したい。
◆生活保護の老齢加算廃止は合憲 東京地裁
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0001176736.shtml
生活保護制度の見直しで七十歳以上の高齢者に支給されていた「老齢加算」を廃止したのは「生存権」を保障した憲法に違反するとして、東京都内の七十-八十代の男女十二人が調布市など三市七区に廃止決定の取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は二十六日、決定は合憲として請求を棄却した。
各地で起こされた同種訴訟では初の判決で、大門匡裁判長は、老齢加算の廃止後も憲法二五条が定める『健康で文化的な最低限度の生活』は維持されていると判断した。
原告は「生存権侵害の実態から目を背けており不当」として控訴する方針を明らかにした。
判決は「老齢加算は高齢者に『特別な需要』があることを根拠にしているが、今は加算が必要な需要はない」と指摘。その上で「廃止決定は、現実の生活条件を無視した著しく低い基準を設定したとはいえない。行政の裁量権を逸脱しておらず、『最低限度の生活』の需要を満たしていないとはいえない」とし、憲法に違反しないと結論付けた。
「裁判官は想像だけで言っている」 兵庫の原告団
「老齢加算」廃止を合憲とした東京地裁判決を受け、兵庫の原告・弁護団は二十六日、神戸市内で記者会見し、原告の越智圭子さん(74)=同市北区=は「わたしたちの生活について、裁判官が想像だけでものを言っている。残念な判決。大変さを分かってほしい」と怒りの声を上げた。
神戸地裁では原告九人が係争中。弁護団長の藤原精吾弁護士は「廃止前こそが最低生活であって、もっと低い水準の現在は違憲だ」と指摘した。
(6/27 09:30)
◆生活保護費不正受給:一部、組に上納か 元組員ら逮捕
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080627k0000e040075000c.html
捜査員の任意同行に応じる崔鳳海容疑者(左)=埼玉県深谷市上野台で2008年6月27日午前6時35分
生活保護費を不正受給したとして、埼玉県警捜査4課と深谷署は27日、韓国籍で深谷市上野台、稲川会系暴力団元組員、崔鳳海(チェボンへ)(60)▽妻の育代(44)両容疑者を生活保護法違反容疑で逮捕した。5年間で約1800万円を受給していたとみられ、県警は一部を暴力団に上納していた可能性もあるとみて追及する。
調べでは、崔容疑者らは07年10月下旬、群馬県みなかみ町の接骨院で9月に診療を10回受けたとうその申請をし、施術費のほか、タクシー代や電車代など交通費補助を含む計約14万円を不正受給した疑い。崔容疑者の足の障害を理由に03年から生活保護費を受給。多い月は生活扶助が約10万円あり、「治療にかかった」として交通費を含む医療扶助を受け取ることもあったという。
厚生労働省は06年3月、暴力団員に生活保護を支給しないよう全国の自治体に通達。暴力団員と疑われる場合は警察に問い合わせるよう求めた。だが、深谷市は県警に相談しておらず、市福祉事務所の職員は「風ぼうや言動が荒っぽく、ライターを机に投げつけることもあった。(厚労省の)通達後も報復が怖かったので警察に相談しなかった」と釈明した。【浅野翔太郎、町田結子】
◇「処遇難しい人」担当者引き継ぐ
深谷市は27日、茂呂敏行市福祉事務所長らが会見した。生活保護法の要領では、施術費は接骨院に直接払い、受給者に渡さないことになっているが「断っても、暴力団員のような言葉遣いで脅され、払い続けてしまった。職員が自宅まで現金を届けることが状態化していた」と説明。市担当者間では「(崔容疑者は)処遇が難しい人」と引き継がれていたという。また、県警に告発後の調査で、03年3月に交通事故の保険金2200万円の収入があったことが分かり、生活保護費全額を返還するよう今年5月に通知していたという。
◆生存権訴訟:東京地裁請求棄却 「問題点検証し、京都に生かす」 /京都
http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20080627ddlk26040560000c.html
◇生活保護老齢加算
生活保護制度で70歳以上に支給されていた老齢加算の廃止決定の取り消しを求め各地で起こされた訴訟で26日、東京地裁で請求を棄却する判決が出たことを受け、京都訴訟の原告(3人)の2人と、代理人の弁護士が中京区で会見。尾藤廣喜弁護士は「貧困の実態から目を背けた不当な判決だ。問題点を検証し京都訴訟に生かしたい」と述べた。
原告の松島松太郎さん(82)=山科区=は「余分に金をくれと言っている訳ではない。年寄りは早く死ねということか」と憤った。
老齢加算の廃止を巡っては全国8地裁で103人が原告となっている。京都地裁への提訴は全国初(05年4月)だったが、判決は今回の東京地裁が初めて。【熊谷豪】
毎日新聞 2008年6月27日 地方版
◆島根県営住宅の入居を抽選制に変更
http://www.sanin-chuo.co.jp/news/modules/news/article.php?storyid=504164004
島根県内で最も待機者の多い県営幸町団地。100人以上が待機していたが、2010年度までには抽選制に完全移行する=松江市幸町
島根県は、高齢者や障害者、ドメスティック・バイオレンス(DV)の被害者らが県営住宅へ優先的に入居できるよう、入居者の決定方法自体を「登録順」から「抽選制」に変えた上で、一般応募者は一回に限る抽選回数を二回に増やすことにした。待機者のいない空き室で七月上旬から順次、適用し、二〇一〇年度には完全移行する。
優先対象は、六十歳以上の単身者▽夫婦のいずれかが六十歳以上▽身体、精神、知的障害者のいる世帯▽未成年の子どものいる父子、母子世帯▽生活保護の受給世帯▽DV被害者−など。二カ月おきに、その間生じた空き室について抽選会を行う。
これまでの入居は、団地ごとに申し込み順に希望者を登録し、空室が出れば、紹介、決定する仕組みだった。
しかし、県内十四市町にある九十四団地・約五千戸のうち、年間の入退去戸数は三百戸程度。このため、待機者は約八百人に上り、最多の松江市の幸町団地では今年三月時点で、約百三十人に達していた。高齢者らへの優遇措置も限定的だった。
抽選制は、松江市の淞北台団地や出雲市の小境団地など、十四団地・二十九戸で七月上旬から募集を始め、八月上旬に実施。ただ、待機者がいる団地は〇九年度末まで、登録順を続ける。
昨年七月施行の住宅セーフティーネット法で、県などの公的賃貸住宅の管理者は、住宅の確保に困っている人への配慮に努めるよう定められた。
◆給食費:未納対策 那覇市内全校長にアンケート実施へ
http://mainichi.jp/area/okinawa/news/20080628rky00m040001000c.html
那覇市学校給食費未納問題検討委員会(委員長・桃原亮昌学校教育部長)が25日、那覇市樋川の市教育委員会で開かれた。給食費未納者への具体的な対策案を今年中に策定する方針を確認、市内の全小中学校長に対策の中身や在り方について尋ねるアンケートの実施を決めた。
那覇市の2007年度の給食費納付率は97・1%で未納率は2・9%。未納額は約4000万円に上るという。
アンケートでは、徴収強化月間を設けることへの是非や、具体的対策として(1)給食支払い誓約書の義務化(2)連帯保証人制度の導入(3)未納情報を中学校に提供(4)法的手段の導入(5)収納推進員の配置(6)民間債権代行サービス制度の導入−を挙げ、校長の考えを尋ねている。未納の背景や未納対策の効果的な実践例を尋ねる設問も入れる予定だ。
アンケートは来月実施、8月までに集約する予定で、結果を参考にしながら今年中に対策の素案を策定していく方針。
未納者対策として、市では現在、口座振替を推進しているほか、4月からは生活保護世帯の児童の給食費について、生活保護費からの天引きをスタートさせた。
市教委の担当者は「給食費は100パーセント食材費に使われており、未納が生じれば、栄養バランスが壊れないように工夫もしなければならない。まずはこの現状について、保護者に知ってもらうことが大切だ」と話していた。
(琉球新報)
2008年6月28日
◆どう喝が怖かった 深谷市が釈明 生活保護不正受給
http://www.saitama-np.co.jp/news06/28/06x.html
生活保護費の不正受給問題で、会見する深谷市の(左から)吉岡課長、茂呂部長、増野次長=27日午前11時半、深谷市役所
深谷市の元暴力団員組員夫婦が生活保護費を不正受給していた事件で、市は二十七日、記者会見を開き、保護費支払いの経緯などを説明した。市は不正受給について「県から指摘されるまで、全く気が付かなかった」と釈明。崔鳳海容疑者の要求通りに支払いを続けたことについて、「どう喝が怖かった」などと話した。
会見には、茂呂敏行福祉部長兼福祉事務所長、増野誠同部次長、吉岡敏幸福祉課長らが出席。生活保護費の支給開始から不正受給の発覚、その間の同夫婦とのやりとりなどについて説明した。
それによると、市が生活保護費を支給するようになったのは、二〇〇三年一月から。崔容疑者が前年に熊谷市内で交通事故に遭い、障害認定を受けたことで、支給を開始。以降、告発するまでに生活扶助、住宅扶助、医療扶助、生業扶助の計約千九百四十四万円を支払った。
支給段階で、市は崔容疑者が高級乗用車を所持していることを把握。財産を処分し、それを生活費に充てるため、市は車を廃車するよう指導した。崔容疑者はこれを拒否し、同事務所内などで担当職員にライターを投げつけたり、「なめとんのか」などとどう喝。市は「報復が怖い」(茂呂部長)ため、指導が徹底できなかった。
医療扶助のうち、「施術費」は医療機関が市に請求書を出し、受給者を介さずに医療機関に支払われる仕組み。だが、崔容疑者は「立て替えて支払いをした」などとうその申告をし、市に施術費を支払うよう、請求した。市の担当者は崔容疑者のどう喝を恐れ、毎回のように崔容疑者の自宅へ直接現金を届けていたという。崔容疑者が実際に通院していたかについては、接骨院側に確認をしなかった。
担当者がどう喝されていたことについては「担当職員と課長程度までは知っていたと思う」とする一方、「組織として対応できず、担当者任せにしてしまっていた」などと話した。
今回の事件について茂呂部長は「不正受給という認識は全くなかった。市は被害者だ」と強調した。
事件を受け、市は内部調査委員会を設置。外部の有識者会議を経て、九月中旬までに今後の対応策をまとめる。崔容疑者に対しては、時効に当たらない生活保護費計約千八百万円の返還を求めている。
原因を究明して再発防止措置取る
新井家光・深谷市長のコメント 容疑者が逮捕されたことについて、告発した市としては事態を真摯(しんし)に受け止め、内部調査委員会で原因を究明し、再発防止のための適切な措置を取ってまいります。
◆鹿児島の妻絞殺:妻の依頼で殺人の被告、懲役3年の判決−−地裁 /鹿児島
http://mainichi.jp/area/kagoshima/news/20080628ddlk46040723000c.html
借金苦にあえぐなか、妻の依頼を受けて妻を殺したとして嘱託殺人の罪に問われた無職、東條剛士被告(67)の判決公判が27日、鹿児島地裁であった。平島正道裁判官は「安易に命を奪うのは許されない」などとして懲役3年(求刑懲役5年)を言い渡した。
判決によると、東條被告は3月20日午後5時ごろ、鹿児島市柳町の自宅で、妻福子さん(81)に依頼され、福子さんの首を腰ひもで絞めて殺害した。平島裁判官は「(借金苦の)生活状況は同情できる」としながらも、「親族への相談や生活保護を受けるなど取りうる手段はあり、短絡的で実刑は免れない。被害者の娘は深い悲しみにさいなまれた」と指摘した。【大塚仁】
毎日新聞 2008年6月28日 地方版
◆県内生活保護世帯が55年ぶりに1万世帯を突破した
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20080628/17982
(6月29日 05:00)
県内の生活保護受給世帯数は二〇〇七年度、一万三十三世帯で五十五年ぶりに一万を突破したことが、県の二十八日までのまとめで分かった。高齢者世帯の増加と長引く不況を背景に、新たに保護を受ける世帯が増え続けている。原油高騰に伴う物価高や後期高齢者医療保険料などの負担で生活が圧迫されることで、生活保護世帯がさらに増えるのを懸念する声もある。
生活保護世帯数は、毎月の受給世帯数を平均して年度の受給世帯数としている。県内では、戦後の混乱にあった一九五二年度の一万六百八十九世帯をピークに徐々に減少し、九二年に初めて四千を下回った。しかし、バブル崩壊を転機に、十四年連続で増加し、二〇〇五年度に九千を突破したばかりだった。
〇七年度の一万三十三世帯のうち、高齢者世帯が42・0%と最多。次いで傷病者(30・1%)、障害者(11・8%)、母子(6・4%)。一世帯当たりの平均人数は一・四人。単身世帯の増加で、五十五年前の二・九人より半減した。
就労による収入増などで生活保護を必要としなくなる世帯より、新たに保護を受ける世帯が約五百−七百件も上回る状態が八年続いている。県医事厚生課は、自立が難しい高齢者世帯の増加と、バブル崩壊以降の雇用情勢の悪化が影響しているとみる。
国際医療福祉大大学院の六波羅詩朗教授(社会保障)は「物価の上昇、後期高齢者医療や介護保険の保険料負担など、高齢者にとって生活しづらい要素が増えている」と指摘。今後も増加傾向が続くと見通す。
〇七年度の県内の生活保護費の支出額は約二百二十六億七千五百万円。生活保護費のうち医療費扶助の一部が障害者自立支援制度に移り、前年度より約五千四百万円減った。
全国の生活保護世帯は、〇五年度に初めて百万世帯を突破している。
◆[老齢加算廃止]現実を直視した判決か
http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080629.html
相次ぐ食料品など生活必需品の値上げと、増大する医療費の負担に苦しむお年寄りには、あまりに厳しい司法判断だ。
東京地裁は、生活保護制度の見直しで七十歳以上の高齢者に支給されていた「老齢加算」の廃止が生存権を保障した憲法に違反するとして、東京都内の七十―八十代の男女十二人が調布市など三市七区に取り消しを求めた訴訟で、決定は合憲との判決を下し、請求を棄却した。
判決は「廃止を問題視するのは無理からぬことだ」と理解を示しつつ、「廃止決定は現実の生活条件を無視した著しく低い水準ではない」と指摘。その上で「『最低限の生活』の需要を満たしていないとはいえない」などとして、原告の訴えを退けた。
庶民の生活感覚からかけ離れた判決で、行政の間違いや行き過ぎをチェックすべき司法の役割を果たしたとは言い難い。
七十歳以上の生活保護世帯に支給されてきた「老齢加算」は一九六〇年から四十年以上続いてきた。それが、財政難を背景にした生活保護基準の見直しに伴い、二〇〇四年度から削減され、〇六年に廃止された。
廃止によって、月額九万九千円の生活費から約一万八千円の加算金が削減された原告もいるという。十万円に満たない生活費が、二年後には二割削減である。生活が困窮するのは明らかだ。
同じような訴訟は、札幌、京都、福岡など九地裁で争われている。
司法は、「老齢加算」の廃止決定に至る経緯と原告の生活実態を詳細に調べ、財政難のツケを生活保護受給者に回した行政の不備を指摘してもよかったのではないか。
「老齢加算」の廃止決定をめぐる訴訟は、生活保護制度の貧弱さを如実に示している。
四十年も続いてきた制度を財政が苦しいという理由で、廃止するのもふに落ちない。
財政難でなすべきことは無駄を省くことであり、国民の、それも日々の生活に困っている人々に負担を強いるような政策は、そもそも間違っている。
政府は、訴訟で争う前に「最低限の生活すら維持できない」と裁判所に駆け込んだ高齢者の訴えに耳を傾け、支援することを考えるべきであったと思うがどうか。
日本の平均寿命は女性八五・八一歳、男性七九歳と、世界一の長寿国だ。古今東西、長寿は最もめでたいことの一つとされているのだから、お年寄りは「世界一の幸せ者」と言っていいはずなのに、現実は大きく異なる。
老齢加算の廃止に加え、後期高齢者医療制度など、お年寄りに冷たい政策が次々に打ち出されている。さらに、人権のとりでと信じ、救済を求めた司法が追い打ちをかけたといってもいい。
東京地裁の判決後、原告団長の横井邦雄さん(79)は「われわれは国民の中で最も弱い立場にあり、金のない年寄りは早く死んでくれということか」と嘆いた。
お年寄りにこんな悲しいことを言わせる国が果たして「長寿国」と言えるのか。疑問というしかない。
◆最低賃金改定 働く貧困層を無くそう
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2008063002000088.html
2008年6月30日
今年の最低賃金改定は改正最低賃金法の施行と政府の「円卓会議」での中長期方針合意という追い風の中で行われる。大幅な引き上げを実現してワーキングプア(働く貧困層)撲滅につなげたい。
労働者にとって賃金は一番の関心事である。最低賃金は企業などがこれ以下の賃金で雇って働かせてはならない−と国が歯止めをかける制度だ。原則として正社員もパート・アルバイト、派遣・請負社員もすべての労働者が適用対象となる。
今年は違反企業への罰則強化などを盛り込んだ改正法が七月一日から施行される。また政府の成長力底上げ戦略推進円卓会議は最低賃金を中長期的に引き上げることで政労使三者が合意した。
同会議は具体的に「生活保護基準との整合性」や「小規模事業所の高卒初任給の最も低位の水準との均衡」を考慮して五年程度かけて引き上げることを確認した。
最低賃金が生活保護費を下回らないようにすることは当然のことだ。昨年の最賃改定では全国平均で十四円引き上げたが、それでも東京都や大阪府など九都道府県で生活保護費を下回っている。
また引き上げ目標として高卒初任給を取り上げたことは評価できる。ただ、どの程度の企業規模とするのか調整を急ぐ必要がある。
経営側は従業員二十人以下の企業を対象とすべきと主張した。
一方、労働側は十−九十九人規模を取り上げた。〇七年度の初任給は時間給換算で七百五十五円。これは現在の全国平均の最低賃金六百八十七円を六十八円上回る。仮に五年間で埋めるとすると毎年十四円近くのアップとなる。
経営側は最賃の大幅アップは地方の中小企業の倒産や工場などの海外移転が増えて雇用に悪影響が出る−と苦しさを訴えている。
経営の厳しさは理解できるがここは生産性の向上や職業訓練強化などを行って乗り切るべきではないか。時給七百五十五円でも年収は約百五十九万円。この程度の賃金も払えないとなると、企業としての存在価値が問われよう。
今年の最賃改定は今月末から中央最低賃金審議会で作業が始まり、地方最低賃金審議会での審議を経て十月ごろに正式決定する。
欧米主要国と比べれば日本の最低賃金はまだかなり低い。日本の非正規雇用者は一千七百万人を超え、多くが年収二百万円以下とされる。賃金水準の底上げは経済の活性化からも緊急課題である。
◆最低賃金:引き上げ、労働局に要請書−−県労会議 /群馬
http://mainichi.jp/area/gunma/news/20080630ddlk10040071000c.html
県労働組合会議(県労会議)はこのほど、最低賃金(時給)改定の審議が7月から始まるのを前に、最低賃金の1000円以上への引き上げなどを求める要請書を群馬労働局に提出した。
最低賃金は現在、生活保護水準を下回っており、逆転現象解消を目指す改正最低賃金法が7月1日から施行される。県労会議は県内生活保護受給者と同額の手取りを得るには、時給1041円が必要と試算した。
現行の最低賃金は664円で、試算と377円の開きがある。試算の条件は、▽18歳以上で独立生計の単身者▽生活保護受給額を県内最高額に設定▽月労働時間は150時間−−など。【塩崎崇】
毎日新聞 2008年6月30日 地方版
◆視覚障害詐欺事件 全盲を装った男が福祉サービスの詐欺も否認
http://www.bnn-s.com/news/08/06/080630131444.html
06月30日(月) 13時20分
文:糸田
札幌地方裁判所
330万円相当の日用生活用具や介護サービスなどを不正に提供させたとして、初公判後に追起訴。
全盲の視覚障害者を装い、札幌市から生活保護費の障害者加算分などをだまし取ったとして、詐欺の罪に問われている丸山伸一被告(50)の第2回公判が30日午前10時から札幌地裁(嶋原文雄裁判長)で開かれた。
丸山被告は、1999年4月に「視神経炎、全盲」と診断され、市から視力障害1級の認定を受け、03年10月から生活保護を受給した。保護費には、障害者加算(月額2万6,850円)と1級認定者に加算される重度障害者加算(同1万4,380円)も上乗せされていた。
ところが今年1月、全盲であるはずの丸山被告が昨年10月に運転免許を更新し、視力検査で両眼あわせて「0.7」以上であったことが判明した。丸山被告は2月25日、札幌南署に詐欺容疑で逮捕された。
起訴状によると、丸山被告は札幌市の白石区役所保健福祉部(移転後は南区)で、視力障害1級にあたる身体障害者を装って申請手続きをし、03年11月14日から08年2月1日までに生活保護費の障害者加算分計約210万円を不正に受給した。
4月25日に開かれた初公判で、丸山被告は「(全盲を)装ったということはございません」と起訴事実を否認。検察官は冒頭陳述で、被告は目が見えるのにもかかわらず、目が全く見えないふりをして、02年9月30日と07年11月11日に運転免許を更新していたことを明らかにしたが、弁護人は(事前に行った被告人との話し合いの段階では)「起訴事実を認定する前提だったため、準備ができない」と主張したため、この段階で公判は閉廷した。
30日の公判で、上下グレーの作業着を着て入廷した丸山被告は、右手で左胸を抑え、看守に支えられながら、苦しそうに身体をくの字にさせて被告人席に座った。
嶋原裁判長から「大丈夫ですか」と尋ねられると「苦しい。出生時からの心臓奇形で、いま発作が起きている。心臓弁膜症です」と説明し、「審理に耐え得るのか、苦しいのならば少し休むか」と聞かれると「ここまで来たのだからやりましょう」と答えた。
札幌地検は5月20日、丸山被告が障害者に限って給付される日用生活用具やホームヘルパーが家事などを行う介護サービスなど合せて約330万円相当を視覚障害者を装って不正に提供させたとして詐欺罪で追起訴した。
公判では追起訴状の朗読と罪状認否が行われ、丸山被告は検察官の朗読を証言台に座って聞いていたが、「座っていると内臓が圧迫されているので辛い」と話し、被告人席に横になった。追起訴状朗読後、検察官に「書面を確認するか」と尋ねられると、「僕はいま視力が全くダメなので(読めない)。自分で分かっていますので大丈夫です」と答えた。
罪状認否では被告人席に横になりながら顔を上げ、「正規に申請の手順を踏んで正直に申し込んでいるので(全盲を)装っているということはしていません」とはっきりとした口調で、前回と同様に詐欺罪を否認した。
7月30日の次回公判では、検察官、弁護人双方の被告人質問が行われる予定。
◆威力業務妨害:大阪・富田林市役所に車突っ込む 男を逮捕
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080630k0000e040064000c.html
富田林市役所に突っ込んだ車を調べる捜査員ら=大阪府富田林市で2008年6月30日午前10時25分、幾島健太郎撮影
30日午前9時ごろ、大阪府富田林市常盤町の同市役所1階正面玄関に乗用車が突っ込み自動ドアのガラス扉を突き破った。府警富田林署は、車を運転していた同市西板持町2の無職、井川道雄容疑者(61)を威力業務妨害容疑で現行犯逮捕した。職員1人が割れたガラスで足にけがをし、病院に搬送された。井川容疑者は「内妻の福祉関係で不満を持っていた」と供述しているという。
調べでは、井川容疑者は車で市役所に突っ込んだ後、ペットボトルに火を付けようとしたが、職員が駆けつけたため、そのまま投げつけた。ペットボトルからは油のにおいがしたという。市関係者によると、刃物も持っていたとの情報もある。車内からはプロパンガスボンベ3本なども見つかった。
市によると井川容疑者は、生活保護や介護保険を巡って市とトラブルになっていたという。事件当時、来庁者は少なく、市民にけがはなかった。
同市職員は「庁舎内に火災報知機が鳴り響き、車から白い煙が上がっていた」と驚いた様子で話した。【稲垣淳、曽根田和久】
◆知的障害者をサポート 成年後見NPO誕生へ
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080630_11
知的障害者の成年後見業務を行う「成年後見センターもりおか」の設立総会は28日夕、盛岡市志家町のサンセール盛岡で開かれた。今秋には、成年後見業務を行う団体では県内初の特定非営利活動法人(NPO法人)となる予定だ。障害者や高齢者らを狙った悪質商法などが増加する中、専門的で永続的な支援を提供し、権利や財産を保護する。
約20人が出席し、設立趣旨書の確認など11議案を可決。同市の石橋乙秀弁護士を理事長に選出した。
毎月勉強会を重ね、7月に盛岡地方振興局にNPO法人の認証を申請。10月ごろに認証を得て業務を開始し、初年度は5人、来年度は15人程度の後見を目指す。
近年、全国的に障害者や高齢者ら、判断能力が十分でない弱者を狙った財産侵害や不公正な契約、権利の侵害などの事案が多発している。
知的障害者の親は自らの加齢とともに子どもの将来への不安が大きくなるが、行政の支援はまだ不十分で、成年後見制度への関心が高まっている。
しかし、一個人の後見人に子どもの将来を託すことには不安があり、長期的に持続した後見も難しいことなどから、普及は進んでいなかった。
同センターは法律や医療、福祉などの専門家が親と協力し、法人として永続的で多面的な支援を提供するため設立した。
石橋理事長は「費用的な問題もあり、これまで成年後見制度を利用できるのは一部に限られていた。NPO法人化後は実績を重ねて信頼を築き、より多くの障害者が安心して暮らせる仕組みをつくりたい」と意気込みを語る。
成年後見制度 認知症や精神、知的障害などで判断能力が十分でない人の財産管理や日常生活にかかわる契約などを支援する制度。後見人は契約を代理したり、本人が行った不利益な契約の取り消しなどを行う。
◆中長期の最低賃金水準を議論 厚労省審議会で議論開始
http://www.asahi.com/politics/update/0630/TKY200806300359.html
2008年6月30日
厚生労働省は30日、08年度の最低賃金(最賃)引き上げ額を議論する中央最低賃金審議会(中賃)の初会合を開いた。20日の「成長力底上げ戦略推進円卓会議」で政労使が最賃の中長期的な引き上げで合意しており、労働側は大幅な引き上げを期待する。だが景気の減速から経営側の反発も強く、波乱も予想される。
中賃では労使代表らが、7月末をめどに引き上げ幅の目安を決める。これを受けて都道府県の審議会が検討し、10月に引き上げる予定。
例年、中賃では、従業員30人未満の企業の賃上げ率などを参考に議論していたが、昨年は10年ぶりの高水準となる平均14円の引き上げを決定。今回は、生活保護基準との整合性の考慮を求める改正最賃法が7月1日に施行されるうえ、政労使の円卓会議で、「小規模事業所の高卒初任給の最も低位の水準との均衡」を考慮し、5年程度かけて引き上げることを確認したことから、労働側には「昨年並みの大幅な引き上げ」を求める声が強まっている。
だが、経営側はこの日の会合で「原油高騰などで中小企業は会社の存続まで問われている。実態を考慮した審議を」と求めた。
円卓会議で大田経済財政相が「中賃で議論すべきだ」とした「小規模事業所」の定義についても、審議会の今野浩一郎会長(学習院大教授)が会合後、労使の隔たりの大きさを理由に「(議論できるか)わからない」と記者団に語るなど、先行きは不透明だ。
◆「高卒初任給並み」争点=中央最低賃金審が初会合
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200806/2008063001032
全国の最低賃金改定の目安を協議する中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関、会長・今野浩一郎学習院大教授)が30日、今年度改定に関する初会合を開いた。厚労省は、政府の「成長力底上げ戦略推進円卓会議」が小規模事業所の高卒初任給を中長期的な最低賃金の引き上げ目標とすることで合意したことなどを説明し、審議での配慮を求めた。審議会は具体的な引き上げ幅を検討する小委員会での議論を経て、7月中の答申を目指す。
今年度の協議では、同1日施行の改正最低賃金法に沿って、生活保護費を下回らない水準まで底上げを図るとともに、円卓会議で合意された中長期的引き上げ目標を踏まえ水準を話し合う。
近年最大の上げ幅となった07年度(時給687円、14円アップ)に続き、今年度も大幅な上昇が見込まれるが、使用者側委員は「中小企業は会社の存続まで問われる大変な時期にある」として、引き上げムードにくぎを刺した。目標水準を左右する「高卒初任給の事業所規模」をどこに定め、どこまで反映させるかが争点となる。(2008/06/30-21:43)
◆最低賃金:中央の審議開始 7月中をめどに目安額提示
08年度の最低賃金改定の目安を審議する中央最低賃金審議会(会長・今野浩一郎学習院大教授)が30日、舛添要一厚生労働相の諮問を受け始まった。7月中をめどに、最低賃金改定の目安額を示し、それに基づいて全国各地の地方最低賃金審議会が、地域の具体額を決定する。
今年度の最低賃金は、1日施行の改正最低賃金法で生活保護費以下にならないよう考慮される。さらに、政府の「成長力底上げ戦略推進円卓会議」で決まった、今後5年で「高卒初任給の最も低い水準との均衡を勘案する」との長期的方針も踏まえて論議される。
今野会長は「高卒初任給という指標もあり、昨年までとは決め方の議論も変わってくるだろう」と話した。【東海林智】
*作成:
橋口 昌治